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#1
第075回国会 外務委員会 第9号
昭和五十年三月十四日(金曜日)
    午前十時四十分開議
 出席委員
   委員長 栗原 祐幸君
   理事 石井  一君 理事 小林 正巳君
   理事 水野  清君 理事 毛利 松平君
   理事 河上 民雄君 理事 正森 成二君
      小坂善太郎君    正示啓次郎君
      竹内 黎一君    福永 一臣君
      江田 三郎君    土井たか子君
      渡部 一郎君    永末 英一君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 宮澤 喜一君
 出席政府委員
        外務政務次官  羽田野忠文君
        外務省経済局長 宮崎 弘道君
        外務省経済局次
        長       野村  豊君
        外務省条約局外
        務参事官    伊達 宗起君
        外務省国際連合
        局長      鈴木 文彦君
 委員外の出席者
        大蔵省主計局主
        計官      宮下 創平君
        農林大臣官房企
        画室長     森実 孝郎君
        農林省農林経済
        局国際部長   山田 嘉治君
        外務委員会調査
        室長      中川  進君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十四日
 辞任         補欠選任
  中村 梅吉君     正示啓次郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦
 貿易規約及び食糧援助規約の有効期間の延長に
 関する議定書の締結について承認を求めるの件
 (条約第三号)
 関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の変更
 に関する第二確認書の締結について承認を求め
 るの件(条約第四号)
     ――――◇―――――
#2
○栗原委員長 これより会議を開きます。
 千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件及び関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の変更に関する第二確認書の締結について承認を求めるの件、以上両件を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部一郎君。
#3
○渡部(一)委員 私は、ただいま議題となりました国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約の有効期間の延長に関する議定書につき御質問をさせていただきたいと存じております。
 まず、この協定のことを御質問いたす前に、当協定の性格上どういうことが意図されておったか、総括的な認識をお伺いしたいと存じます。
#4
○野村政府委員 先生御承知のとおり、国際小麦協定というものは戦前にもあったわけでございますけれども、その後、一九四九年以来ずっと協定が結ばれておったわけでございます。特に一九六七年に至りまして小麦規約と食糧の規約が入ったわけでございまして、従来、六七年の協定までにおきましては、先生御承知のとおり、加盟国の輸出国、輸入国のそれぞれ権利、義務というものが定められておったわけでございます。
 いずれにいたしましても、こういった国際小麦協定というものは、いわゆる小麦の価格というものをある程度安定し、かつまた、その供給を安定させようというふうな国際協力的な考え方に基づきましてできておるわけでございます。しかしながら、御承知のとおり、戦後一時は小麦というものが供給過剰のような時期もあったわけでございまして、そういった状況のもとでずっとつくられていたことは事実であるわけでございます。いずれにいたしましても、国際小麦協定というものは、そういった輸出国、輸入国というものが相互に、国際協力というものによりまして国際貿易の拡大、かつまた、国際貿易市場の安定ということをねらいとしておったわけでございます。しかしながら、先生御承知のとおり、一九七一年の小麦規約を作成いたします際におきましては、特に輸出国の中におきますところのいろいろな意見の対立もございまして、経済条項というものができなかったということは残念であるわけでございます。しかしながら、現在の小麦規約というものは、いま申し上げましたとおり、経済条項はございませんけれども、先ほど来申し上げましたとおり、いろいろな情報の収集、交換というようなことを通じまして、そういった国際協力の増進に努めようということをうたうとともに、今後、でき得れば、その経済条項を含むところの新しい協定を作成しようというふうなことをうたっておるわけでございます。
#5
○渡部(一)委員 ただいまのお話しぶりを伺っておりましても、小麦の価格安定及び小麦の供給の安定の二つを柱としてお話しになったと私は承っておるわけであります。そうしますと、本協定については、小麦の供給安定と価格安定、この二つの目的のために役に立つ協定であるかどうかをお伺いいたします。
#6
○野村政府委員 御承知のとおり、この小麦協定の歴史は、先ほど申し上げましたとおり、かなり歴史が長いわけでございまして、この小麦協定に基づきますところのいろいろな各国の国際協力というものによりまして、特に一九七一年ごろまでは、小麦の価格、かつまた供給というものが非常に安定されたというふうにわれわれ承知しております。特に、御承知のとおり、われわれ輸入国といたしましては、そういった安定とともに、供給保証というようなことも非常に念願しておりましたわけでございますけれども、そういった供給保証というふうなものもすでに小麦協定の中には織り込まれておったわけでございます。幸いといいますか、その後七二年、七三年になりまして、特に七三年に入りまして非常に市場価格が高騰したケースがございますけれども、従来、小麦につきましては、先ほど申し上げました供給保証の規定というようなものが発動されまして、一九五一年及び一九五二年の二年間につきましては、そういった供給保証というものが発動されたわけでございまして、わが国は市価よりも安い一定の価格で相当量の小麦等を買い付けることができたというふうにわれわれ承知しております。
 ただし、近年におきますところの小麦価格の高騰というものは、これはいろいろな原因があるかと思いますけれども、特に石油ショック以来のころからのいろいろなインフレ、これは小麦だけではございませんで、一次産品の価格の上昇というものがあったわけでございますけれども、これは必ずしもこのような事態には、小麦協定としては十分には対処できなかったかもしれませんけれども、先ほど来申し上げましたとおり、従来は小麦価格の安定と、かつまた、先ほど申し上げましたとおり、供給の保証にも十分寄与したというふうにわれわれ了解しております。
#7
○渡部(一)委員 ただいまの経済局次長のお話を伺っておりますと、小麦協定はいままでは役に立った、それから後のお話はないようですね。いまこういう協定を結ばれて何かいい点があるのですか。あなたはこれから先の話は何もなさらなかったし、一九五二年では効き目があったとおっしゃったけれども、一九五二年と言えば大分昔のことですし、そんな古い話のことをおっしゃるのでは……。最近はこれはどうなんです。
#8
○野村政府委員 ただいま申し上げましたとおり、現在の小麦規約におきましては供給保証というふうな明確な規定もございませんし、先ほど申し上げました経済条項というものを欠いておることは事実でございます。しかしながら、現在その経済条項を欠いておりますけれども、国際小麦理事会の場におきましていろいろ、小麦市況の検討でございますとか加盟国の協議というふうなことによりまして種々の情報、資料というものを交換、かつまた入手するというふうな利益があるわけでございます。そういった各種の情報なり資料というものはわが国の輸入市場の安定的な確保というものに役立つものであるわけでございます。
 それから、先ほど申し上げましたとおり、経済条項を含む新たな協定の準備作業というものがいま始まりつつあるわけでございますけれども、そういったものにもわが国も積極的に参加しておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、七三年以来のいろいろな国際経済情勢に基づくところのインフレ、その他一次産品の値上がりがあったわけでございますけれども、そういった状況のもとでは新しい協定の作業も必ずしもはかどっておりませんけれども、最近、一次産品価格も比較的鎮静化の方向にあるわけでございまして、そういった意味から、新しい協定の作成というものの雰囲気というものはより良好になってくるのではないかというふうにわれわれ考えております。
#9
○渡部(一)委員 そうすると、あなたのおっしゃったことは、まず各国との間の情報交換に役に立つ、新たな小麦協定の準備作業に効き目があるとしかお答えになっていない、いまの答弁は長いけれども。そうすると、情報交換は、このたび行われました世界食糧会議におけるお話し合いの中で、わが国は農業関係産品に関する情報交換につき非常に意欲的な提案もなされ、むしろ大型な本質的な情報交換がそこで行われるようになっておると私は承っておるわけです。そうすると、あなたの言われている情報交換の機能というのは、こちらは明らかに大したことないと思われる。また、私が農林省側から承ったところでは、農林省は、全世界各地に農務官を派遣して、そうして農業状況につきかなり的確な情報を最近得られており、成果は着々と上がっている旨すでに述べられておる。そうするとこんな機能は要らないじゃないですか。もう明らかにこの情報交換というのは、あなたがここで述べているだけであって、大した情報交換が行われている形跡はない。そして、悪いけれども、協定の準備作業なんというものはこんな場所でやる必要もない。国連の場もある、あるいはOECDの場もある。ジュネーブでは常時意見交換が行われておる。何でこんなものを結ぶ必要があるのか。これは単なる形骸ではないですか。そして、あなたがいま述べているように、供給の安定、価格の安定のためには全く役に立っていないことをあなたは間接的に認められた。要らないじゃないですか、そんなものは。何でそういうのを結ばれるのですか。私は非常にやさしく質問している最中です。もうちょっと堂々と返事をなさったらどうですか。まだ私は本質的なことを言ってないですよ。
#10
○野村政府委員 申すまでもなく、小麦協定におきましては、いろいろな情報交換というものは、これはあくまでも小麦に限られるわけでございます。先般、世界食糧会議のお話が出ましたけれども、そこにおきましても今後情報システムを強化しようということが決まったわけでございますが、これはいわゆる小麦以外の食糧というものも、たとえば飼料穀物とかそういうものもあるわけでございまして、非常に対象範囲も違うというふうなことが考えられるわけでございます。かつまた、小麦協定に入っております国と、いわゆる世界食糧会議に入っておりますメンバーとはやはり違うわけでございまして、世界食糧会議の方が確かに国連の機関として非常に大きな機関になっておることは事実でございますが、そういった意味で、相互補完し合いながら十分な機能を発揮するということが非常に必要かとわれわれ感ずるわけでございます。
 かつまた、新しい協定の改正でございますけれども、これはすでに先生御承知のとおり、小麦規約第二十一条の規定に基づきまして、経済条項を含む新たな協定の準備作業を行うということが定められておることがあるわけでございます。もちろん、その小麦規約の二十一条に基づきまして、今後新しい協定というものもつくるわけでございますけれども、当然そのためには、すでにことしの二月におきまして、協定準備のための特別な作業グループがつくられたわけでございます。しかし、この新しい小麦規約というものをどうするかということは、先ほど来先生の御指摘もございますとおり、世界食糧会議との関係もございましょうし、かつまた、今後の多角的な国際関税交渉といいますか、貿易交渉というようなものにも非常に関係がございますので、そういった動き等も見ながら進めていくことになるかというふうに考えております。
#11
○渡部(一)委員 まあ、あなたのお話は、それはあなたがそうおっしゃったにすぎないのであって、余り必要性のある答弁ではない。あなたのおっしゃる論法でいくならば、農業産品の情報交換のためには一々国際的な理事会をつくる必要があるという意見になる。農業産品は数が多いので、小麦についても専門的なところをつくっておくことが必要であるとあなたがおっしゃるのであるならば、じゃお米についてもつくるべきであり、大麦についてもつくるべきであり、カラス麦についてもつくるべきであり、トウモロコシについてもつくるべきですよ。そういう議論では私を説得できないじゃないですか。何で要るんですか、もう一回言ってごらんなさいよ。あなたはそういう基礎的なことを全然わかっていないできょう来られた。ちょっとお気の毒だと思うが、答えられる方が後ろにいらっしゃるのですから、説明員でいいじゃないですか、お答えになったらどうですか。何でこれが要るんですか。そんな答弁では答弁にならない。
#12
○野村政府委員 御承知のとおり、いろいろな一次産品があるわけでございまして、どういった一次産品につきましていわゆる商品協定というようなものをつくろうかということは、そのときどきの商品の性格あるいはまた国際市場の動向、あるいはまたその違いというようなものによって、いろいろ分かれるかというふうにわれわれ理解しておるわけでございます。
 そこで、いま先生がおっしゃいましたのは、それでは大麦あるいはまた米等々につきまして、いろいろな情報交換の場をつくるべきじゃないかというふうな趣旨かというふうにわれわれ承知しておりますけれども、これは食糧だけではございませんが、たとえばゴムでございますとか、そのほかの一次産品につきましても、いろいろな協議グループというものがすでに作成されておるのもあるわけでございまして、その商品によりましていろいろな情報交換の場というものはできてくるわけでございますけれども、それはやはりいろいろな国際的な雰囲気といいますか、各国の協力によって初めてでき上がるものというふうにわれわれ考えておるわけでございます。
#13
○渡部(一)委員 あなたの言っているのは答弁になりませんな。じゃ、別の方向からもう一回議論しましょうか。次長、よく聞いておいてください。別の質問をしますよ。
 経済条項を欠落した商品協定であるということを、あなたは別の言い方で、価格安定や供給安定に役に立たない協定であるということをすでに自認された。そこで、私は言うのですが、いままで結んでいる商品協定群の中で、これと同じように経済条項を欠落しているものはどれとどれなのか、経済条項が入っているのはどれとどれなのか、言ってください。
#14
○野村政府委員 先生御承知のとおり、現在商品協定といたしましてわが国が入っておりますのは、小麦、砂糖、すず、コーヒー、ココアというようなものがあるわけでございます。このうち、現在経済条項を欠いておりますのは、小麦、砂糖、コーヒーでございまして、残りのすずとココアにつきましては経済条項が残っております。
#15
○渡部(一)委員 そうすると、商品協定というのは、要するに小麦もコーヒーも砂糖も要らないということになるんじゃないですか。違いますか。
#16
○野村政府委員 いま申し上げましたとおり、商品協定五つの中で三つが経済条項を欠いておりますけれども、それはたまたま協定の延長の際におきます当時の市況の状況によりましてできなかったわけでございます。それは必ずしも輸入国との利害の対立だけではなくて、小麦協定の場合には御承知のとおり、いわゆる輸出国の中の利害の対立というような問題から、経済条項が欠けたわけでございます。しかしながら、経済条項がないからといって、必ずしもメリットがないということではなくて、先ほど来何度も申し上げておりますとおり、それぞれの商品につきまして需給の見通しというようないろいろな情報を交換することによりまして、いろいろ有益な情報を得るということに非常に役立ちまして、そういった意味から国際協力が進められておるというふうにわれわれ考えておるわけでございます。
#17
○渡部(一)委員 経済局次長、そんなにがんばるのだったら、これらの協定のおかげでどういう情報を得たのか、情報をこの委員会に出しなさいよ。情報なんか得ちゃいないじゃないですか。どの委員会でどういう情報を得てどういうように得したか言いなさいよ。そんないいかげんなことを言っちゃいけないな。それは素人にそうやってごまかすようなやり方をするのと違うんだ、当委員会というのは。国民の見ている前で説明するのに、そんないいかげんなことを言ったんじゃ話にならぬじゃないですか。
 あなたへの反証をもう一つ言いましょうか。
 申しわけないけれども、あなたが商品協定の経済条項があるとおっしゃったココアについて、私たちは当委員会で詳細に議論したからよく知っているけれども、いまココアの国際価格はココア協定で望んでいる価格の二倍にもなっており、在庫は全くなく、ココア協定は実質上役に立たなくなっているじゃないですか。これをどう考えているのですか。あなたの言う商品協定の存在価値は、情報交換にだけ意味があるのですか。そして、あなたはその情報交換をしたしたとさっきから言っているけれども、情報交換をしたというなら私は農林省に聞きますよ。その情報で農林省がどれだけ潤っているか。外務省が農林省にそんなことを話した形跡なんか一言だってないじゃないか。いいですか、農林省の方に聞きますよ。
#18
○山田説明員 お答え申し上げます。
 現在小麦を初めとする各種の商品協定が経済条項を欠いておるために、その協定本来の目的でございますところの価格の安定あるいは供給の安定という目的を果たすため、非常に力の弱いものになっておるということは率直に認めざるを得ないところであるとわれわれも考えております。したがいまして、先ほど経済局次長が答弁申し上げましたように、現在この国際小麦理事会の場におきまして、経済条項を持つような実効ある協定をつくるということについて協議をいたしておるわけでございます。
 なお、情報につきましては、これは小麦に関する国際情報交換の場として私どもは非常に有益な場であると考えております。先ほど先生御質問ございました世界食糧会議におきまして、日本が提唱いたしました世界食糧情報システムというものは、これは実際の事務局的活動をFAOに期待しておるわけでございますが、事小麦に関する情報につきましては、それはただいまの小麦協定に基づく小麦理事会で収集しました情報というものを最大限に活用するというように考えております。
 それから、なお補足いたしますと、現在の小麦協定は経済条項がございませんが、単に情報の交換をするというだけではなくて、市況の安定のために各国がロンドンに集まって協議するというところに相当有用な意味があるというように私どもは考えております。
#19
○渡部(一)委員 農林省のお答えの方がはるかに話がわかりますね。
 それでは農林省に聞きますよ。農林省は小麦理事会で協議された小麦の情報を、どういう形でどれくらいの程度で受け取っておられるか、説明してください。
#20
○山田説明員 お答え申し上げます。
 小麦理事会におきましては毎月一遍、これは一種の市況報告でございますが、マーケットリポートというようなものを出しておりまして、現物はこれでございますが、こういう過去一カ月の世界各国の市況の状況につきまして情報を受け取っておる。さらに、一年先まで見通しました市況の見通しということにつきましても情報を出し、それをいただいておるという状況にございます。
#21
○渡部(一)委員 悪いですけれども、あなたのいまおっしゃったその市況報告というのが私の持っているのと同じだとすれば、あなた、それは役に立ちませんですよ。それはここに丸紅でも何でもいいから商社を一社でも呼んできてそれを見せたら、あきれ返って、そんなもので商売やったら私たちはだめになりますと言うに決まっていますよ。その程度のものを当委員会に出してきて、それであなたはさもすごいことが書いてあるように振り回したけれども、それは当委員会の理事にお見せをいただきたい。委員長、あれはほとんど役に立たないものなんです。抜けがらみたいなものなんです。穀物輸入商社に言わせれば、あそこへ出てくるのはもう単なる結果であって、何ら予測的価値がない。それで、もしあれをまともに信じて農林省が仕事をしていらっしゃるとすれば恐るべきことです。農林省はほかにもっと精度の高い統計をお持ちのはずです。それはすばらしい情報なのであるかどうか、もうちょっと露骨な答弁を伺いたい。そんなにやにやしながら出てくるようでは、初めからお里が知れるから私はあきれておるんだけれどもね。
#22
○山田説明員 ただいま御披露申し上げましたこの一月ごとの市況の報告というものは、これは確かに率直に申しまして、先生御指摘のように、私どもの方といたしましても各国に農務官を派遣して情報も収集しておりますし、それから日本の商社等も相当膨大な情報を持っておりますので、それに比べて、毎月出すところの市況報告というものが非常にすぐれたものであるというように、率直に申し上げて私も考えておりません。ただ、先ほど申し上げましたように、これ以外に一年先を見通した市況の見通しというものを出してございます。これにつきましては、たとえば農林省におきましても、食糧庁が小麦の買い付けをいたしますときに一つの参考資料としてこれは十分活用しておるということは言えると思います。
#23
○渡部(一)委員 非常に正直なお話が続いたから、外務省、わかりましたか。いま農林省の方はあなたの顔をつぶすまいと思ってかなり弱めておっしゃっていてあの程度なんです。つまり、露骨に言えばこれは役に立たないのですよ。情報になっていないのです。参考資料の一つだとあの方は丁寧におっしゃってくだすった。その友情に外務省は敬意を表すべきですね。農林省がいかに妙な材料で苦しめられているかをこれは示しておる。外務省の経済局というのは小麦のことなんか一つも知っちゃいない。それがこんなお粗末な協定をつくって、優雅に乾杯しながら、外国でしゃれたお世辞を言っているというだけの意味しかない、小麦理事会なんというのは。だから、あなた方は農林省に対して的確なサゼストなんか何一つしていないじゃないですか。農林省がついに国際部長なんというのまでつくらなければならなかった理由はそこにある。情報が役に立っていないのですよ。それはこういう協定文の中身がもう全く空洞化したものを、さも重大そうに当委員会に提出するところにある。いいですか。情報交換は役に立つと言うけれども、情報交換にはならないということを私はいま論及した。市況についてお話しするならもっと適切な場所がほかに幾らでもありますよ。何も意味ないじゃないですか。
 あなたはお答えになっていないけれども、ではココアにいきましょうか。ココアの商品協定が役に立っているか立っていないか言ってごらんなさいよ。これは経済条項がついているんだ。ついているけれどもだめなんだよ、ココア価格が暴騰して。答えてごらんなさい。答えなかったら、また農林省に答えてもらうから。
#24
○野村政府委員 ココアの協定は先生も非常に御承知のとおり、輸出割り当てといわゆるバッファーストックというものを使って対処をしておるというのが一つのメカニズムでございます。これにつきましては、先生御指摘のとおり、これはまだ経済条項が働いておりますけれども、しかしながら、価格が非常に高騰しておるという現状は事実でございます。ただし、ココアにつきましては、御承知のとおりいま申し上げたとおりのような状況でございますけれども、この協定そのものが、何といいますか、まだ十分な意味を持っているというふうにわれわれは理解しておるわけでございます。
#25
○渡部(一)委員 あなたの答弁は答弁になっていないじゃないですか。ココアの値段が上がっておる、商品協定で決まっているとおりその値段を下げられない、しかしながら十分意味をまだ持っているというのはどういうことなんですか。Aでなければ、Bでないが、AはイコールBであるという、そんなことを言ったら、あなたは気違いと思われるよ、そんな論証は。論理学の基礎がなっていないじゃないですか。
 政務次官に伺いましょうか。ああいう答弁でよろしいと思われるかどうかについて私は伺いたい。これはとてもじゃないけれども、私は質問することが不可能ですよ、これでは。政務次官どう思われますか。
#26
○羽田野政府委員 非常に答弁に苦労しておるようですが、やはり商品協定、いろんな経済条項が十分機能を発揮しない、あるいはなくなっている、あるいは安定供給に対する保証の面が十分でないというような、非常に機能が弱くなっている面は御指摘のとおりだと思います。しかし、さてこれがない方がいいかある方がいいかということになりますと、いま特に食糧問題について、世界的にも、日本でも非常に重要な問題になってきておるということになると、やはりそのテーブルを残しておいて、それをだんだんいい機能を発揮する面に持っていくということに意味があるということをいま述べておるのだと思いますし、私もそういうふうに大いにこれを活用せねばならぬ、こういうように考えております。
#27
○渡部(一)委員 政務次官はうまいポイントを示されましたですね。ない方がいいのかある方がいいのかというと、多少活用した方がいいのではないかという、いいポイントで答弁された。
 外務省は、私への答弁がいま不能なんですから、次まで留保しておきますから、後ほどこのココア協定の問題についてちゃんと答えていただきたい。いいですか、留保をつけましたよ。
 次に申し上げますが、この協定の商品協定群の価格維持の能力は、下げる方を食いとめるために役に立っているのか、上がるのをとめるために役に立っているのか、答えていただきたい。
#28
○野村政府委員 商品協定のいわゆる価格帯を設けます目的は、いわゆる最低価格と最高価格というものがあるわけでございますけれども、その価格帯の機能というものは両方の機能があるわけでございまして、余りその最低価格より落ちないこと、かつまたその最高価格を上回らないというふうなことをねらいとしたということで、両方の機能があるというふうに理解しております。
#29
○渡部(一)委員 両方の機能があるのはわかっていますよ、それは。しかし、両方の機能があるというのはわかっているが、その上の方の機能が発揮されたのか、下の方の機能が発揮されたのか、例を述べていただきたい。私はこの協定がだれのために存在するのかを聞いているのです。つまり先進国の横暴を増進するために役に立っているのか、後進国の被害を食いとめるために役に立っているのか、私はそれをいま問題にしようとしているのです。
#30
○野村政府委員 小麦規約におきましては、先ほど来申し述べましたとおり、最高価格になった場合にはその最高価格ということで、仮にその最高価格を超える場合には、その最高価格の中で一つの供給保証というものが得られれば、これは輸入国にとりましての大きなメリットであるわけでございます。
 これは先ほど来申し上げますとおり、特に日本を初め輸入国の強い主張によりまして、小麦規約の中にはそういった供給保証の規定が入っておるわけでございます。したがいまして、その商品協定というものは、一番望ましいことは、その最高価格、最低価格の中で価格が十分安定的に動くということが一番望ましいわけでございますけれども、小麦につきましては、一九五一年及び一九五〇年の二年間につきましては、最高価格を割るというふうな状況がございましたものですから、供給保証の規定が発動されまして、わが国に対しまして供給保証が果たされたというふうなことがあったわけでございます。それによりまして、わが国は小麦の供給が確保されたというふうな事例がございます。かつまた、その最低価格を割ったような場合もございますけれども、その場合には必ずしも、現在の小麦規約におきましては輸入国がその最低価格でいわゆる買い付け義務というものは負っておりませんので、そういった意味においては輸入国の義務というものは非常に少ないというふうなことになっております。
#31
○渡部(一)委員 いまあなたが率直におっしゃったような問題点があるために、商品協定群はだめになったんです。つまり輸入国の強圧が、これらの食品の提供国家に対して、比較的後進国群に対して、この安定的な価格保証をするという意味を持たなかったということですね。小麦の場合は明らかにアメリカというちょっと例外的存在があるのでこの議論はおかしくなるわけですが、少なくとも小麦をつくっている方にとってみるならば、輸入する国を守るための条約、そしてそのためにひたすら発動された条約と見ることが正しかろうと私は思います。そうすると、そういう体系を商品協定群として残していくということがどんな意味合いを持つのか。高価格を抑えるというならやはり最低価格も抑える、こうした互恵平等の立場でなければ、その協定というのは長続きするものではない。商品協定群がことごとく破産に瀕して再検討を迫られた意味の背景には、そういう歴史的な考え方の変化というものが存在しておる。そうでなくて、交渉委員たちをただ派遣して、輸入国である日本にのみプラスになる協定を結べと言って強圧することが続けば、結果的には商品群のあるときは暴騰し、あるいはあるときは暴落しという中で、日本の国益は広い範囲で失われなければならないと私は思うのですね。その辺に対するお考えはどうですか。いままで考えていなかったでしょう。
#32
○野村政府委員 先生の御指摘のとおり、商品協定というものは多々いろいろな側面があるわけでございます。商品によりまして違いますけれども、一次産品の場合には、先ほど来おっしゃいますとおり、後進国の生産に係る物が相当あるわけでございます。したがいまして、もともと商品協定の発生というものは、かつて一次産品というものがある時期に非常に過剰になった、かつまたその相場が非常に暴落したり、非常に相場が変動したということによりまして、後進国の取得利益というのも損われたということも一つの要素になっておるわけでございます。かつまた、いわゆる輸入国の立場から見ますれば、そういった商品協定を締結いたしますに当たりましては、やはりその供給が安定的に確保される、かつまた価格が安定するということが望ましいわけでございまして、もとよりわれわれといたしましては、そういった後進国の願望も入れながら、こういった商品協定にも入っている面もあるわけでございますけれども、かつまた同時に、日本側のように資源が非常に乏しい国で、食糧を初め幾多の一次産品を輸入に仰がなければならないという国につきましては、安定的にかつまた合理的な価格で供給を受ける、かつまた、非常に異常な市況の変化があったような場合にも、先ほど申し上げましたとおり供給保証を受けられるということが、われわれとしては非常に望ましいわけでございまして、そういった両方の利益を兼ね合いながら、こういった商品協定の作成なり交渉に臨んでおるというのがわれわれの実態でございます。
#33
○渡部(一)委員 それはまた私の質問に答えておられないですよ。それは私はちょっと不勉強だと思いますね。こんな簡単なことを私が丁寧に伺っているのに、お答えがそういう状況で出てくるというのは不勉強である。局長が御答弁になるところを次長が出てこられたので、おそらく御存じなかったのかもしれないと私は思いますけれども、こんな状態ではちょっと質疑能力がないと見るしかないな。最高価格の問題のときは発動された、最低価格の問題のときには発動された例はない、そんな協定が長続きするわけはないでしょうと私は申し上げた。何とお答えになるのですか。それにまずお答えなさいよ。今度は一つずつ区切って言いますから、答えてごらんなさい。
#34
○野村政府委員 御承知のとおり、現在の小麦規約におきましては、その最低価格の場合におきまして、いまおっしゃいますとおり、いわゆる購入義務というものが、必ずそこから買わなければならないというわけではないのでございます。先生の御質問は、そういった協定は長続きしないのじゃなかろうかというふうなお考えかと思います。もとよりそういった商品協定というものは輸出国の利益と輸入国の利益というものが十分バランスされたところにおいて初めて成立するわけでございまして、かつまたそういった上に立たなければ、先生のおっしゃいましたとおり、長続きしないということにつきましてはそのように私たちも考えております。
#35
○渡部(一)委員 あなたのいまのお答えはまた一般論ですよ。そこまでは正しいのです。ただ、この小麦協定のつくり方それ自体は余りにも輸入国の利益だけを言い過ぎたものではなかったのですか、それがこの協定ができ上がらなかった理由なのではないですかと私は次に聞いているのです。
#36
○野村政府委員 確かに、おっしゃいますとおり、それも一つの原因かと思います。しかしながら前にも申し上げたと思いますけれども、現在の七一年の小麦協定が経済条項を欠いた理由というものは、もちろん輸出国と輸入国との利害というものもあったかもしれませんけれども、そのときにおきましては、主たる理由は、輸出国の中におきましていわゆる基準となるべき小麦の価格とか基準地点とか、あるいはまた基準の小麦の選定等につきまして、特に輸出国の中でも利害が分かれたというような理由から、経済条項ができなかったわけでございまして、われわれといたしましては、いま先生の御指摘のような考慮というものは十分念頭に置きながら、交渉に臨んでおるわけでございます。したがいまして、今後の協定におきましても、もちろん先ほど来ございますとおり、輸出国と輸入国双方の利益を勘案しながらやっていくということでございます。
#37
○渡部(一)委員 その御答弁は非常に一般論に過ぎますから、じゃ今後小麦協定を成立させるときにはどういう交渉態度で臨まれるのかというのをついでに伺っておきますよ。じゃ、どういう態度で臨まれますか。価格帯はどういう価格帯を予想しておられますか。あなたに聞いてもだめだから、農林省のほうに伺いましょう。農林省は小麦協定がもしできるとすれば、どのくらいの価格帯であることを望まれているのですか。
#38
○山田説明員 現在の段階におきましては、新しくできるべき小麦協定の価格安定帯の水準がいかほどであるかということにつきましては、遺憾ながらまだお答えできません。
#39
○渡部(一)委員 そうしたら安定供給及び価格帯その他に対する基礎的な考え方について伺うわけですが、今度の小麦協定ができるに当たって、農林省は外務省に対してどういう見解を述べられましたか。
#40
○山田説明員 先ほど外務省の方からお答えございましたように、新しくできるべき小麦協定につきましては、小麦理事会の中に新しい協定の準備作業をやるためのワーキングパーティが設置されたばかりでございまして、まだ準備作業の第一歩でございますので、まだ私どもといたしまして非常にコンクリートな考え方を詰めるという段階まで至っておりませんけれども、私どもの考えといたしましては、新しくできるべき小麦協定は、やはり経済条項を持った実効のある協定である必要がある。供給の安定、価格の安定に寄与できるような実効のある協定である必要があるというように考えておりますので、先生御指摘のように、できれば最高価格、最低価格というような幅を設けまして、何らかの経済的な操作によりまして、その安定帯価格の中に世界の小麦の価格が安定できるようにするという姿が望ましいというように考えております。
#41
○渡部(一)委員 農林省といままでお打ち合わせをしていなかったことは、この御答弁でも明らかですね。新しい小麦協定についてのコンクリートな考え方について、農林省の意見はいまここで表明された。経済局はそういったことについて、国内の意見を固めないで国際的に協議を進めようとなさっているのですか。私が非常に遺憾とするのは、外国でワーキンググループをつくっても何をしてもそれは勝手であるけれども、少なくとも日本国を代表して交渉するのだったら、もうちょっと農林省と相談してから行かれたらどうですか。
#42
○野村政府委員 申すまでもなく、われわれが対外的な交渉に臨みます場合には、これはあに農産物だけではございませんけれども、十分国内官庁の方々とも打ち合わせ、かつまた意見を調整し、参加しておるのが実態でございますし、さらに実際問題といたしましては、小麦その他のこういった交渉の場合には、実際上農林省の方々も参画して交渉に当たっておられるというのが実態でございます。かつまた、出先のこういった小麦理事会に出席される方々も、もちろん外務省の身分ではございますけれども、農林省からも出向していただいておる方々でございまして、そういうことで特に農林省とわれわれの意見が食い違っておるというようなことはわれわれとしてはございません。
#43
○渡部(一)委員 それなら、あなたはさっきから効き目があるといろいろ言われたが、いま農林省の方は、現在の小麦協定と違って今度の新しいものは実効のあるものにと言われた。効力のないということを農林省側は明確に言っているわけですよ。こういう効き目のないものじゃなくて、効き目のあるものにとおっしゃっているじゃありませんか。ところが、あなたは最初、本協定は効力があるかのごとく当委員会で発言を続けられた。向こうは効力のないことはずばずばおっしゃっているのです。これでよくお打ち合わせしていると言えますね。言葉で言い逃がれするのじゃなくて、今度商品協定群で交渉に行かれるなら、交渉するに当たってもうちょっと丁寧に打ち合わせて行かれたらどうか。そして、今後交渉なさるのだったら、少なくとも価格帯についてどういう考えを持って向こうに交渉されるのか。交渉の方針というか基礎的な考え方、それを今度は外務省の方から言ってください。
#44
○野村政府委員 先ほど来農林省からもお答えがございましたとおり、具体的な価格帯を幾らにするとか、そういった段階までにはまだ至っておらないわけでございます。
 基本的な考え方といたしましては、われわれといたしましては、小麦協定というものは本当に実効のあるものにするということを期待しておるわけでございます。そういった意味から、この実効があるということは、先生御指摘のとおり、輸出国、輸入国双方の利益が非常にうまくバランスされたもので、かつまた永続的な実効性のあるものにしたいという考え方でわれわれは臨みたいというふうに考えておりますけれども、まだその交渉が具体的には始まっておりませんので、いま具体的に価格帯をどうするとかというところまでにはまいらないかと考えます。
#45
○渡部(一)委員 具体的にあなた方はまだ国内で詰めていないのに、外国のワーキンググループの中に入ろうとしているから私は文句を言っているのです。あなたが言っているのは逆ですよ。国内で詰まらないで、どうして外国へ行ってちゃかちゃか交渉をやっているんですか。そんなに出先は偉いんですか。経済局はいつの間にか外務大臣みたいな仕事をするようになったんですか。あなたは私の質問をよく聞いてないからそんなになるんだ。後ろの意見ばかり聞いてこないであらかじめもうちょっとよくレクチュアを受けていらっしゃいよ。それでなかったら当委員会の質疑にならないじゃないですか。――相談するなら相談しなさいよ、私は待っていてあげるから。もう一回後ろと相談してがっちり返事をしなさい。
#46
○野村政府委員 先ほど申し上げましたとおり、この準備作業というものはこれから始まるところでございまして、そういった意味から、まだ具体的な価格帯を幾らにするとかということを決めておらないということを申し上げておるわけでございます。かつまた、この作業が始まりましても、いま直ちにそういった具体的な価格帯をどうするとかというところまでの作業には入らないというふうにわれわれ承知しておるわけでございますので、これから交渉といいますか、話し合いに臨みます場合には十分農林省とも協議してまいるということは当然のことでございますし、かつまた、必要があれば農林省の方々と一緒に参るというのが大体われわれの考えておるところでございます。
#47
○渡部(一)委員 じゃ、いまワーキンググループをつくって作業をやっている最中である、その間だから決めなくていいのだ、実際に出すまでの間には農林省とよく打ち合わせる、こういう意味ですね。
#48
○野村政府委員 先ほど申し上げましたとおり、具体的な討議といいますか、作業というものはまだこれからという段階でございまして、これからそういった作業に臨むわけでございます。そういった作業に臨むに当たりましては十分農林省とも打ち合わせてまいるということは当然のことでございますし、農林省の方もそういった作業にも参画されるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
#49
○渡部(一)委員 そんな長く言わなくて、そのとおりですと言えばいいんですよ、そういうときは。
 次に、現在わが国が署名していまだ締結していない多数国間条約あるいは二国間条約というものについて御説明をいただきたい。まず名前を言っていただきたい、及び四十八年七月以降の暫定適用したもの、それを述べていただきたい。
#50
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 わが国が署名をいたしましていまだ締結をしていない条約のリストは、前国会、臨時国会におきまして先生から御要望があり、外務委員会の資料として提出いたしました。はなはだ申しわけございませんが、実は本日手元に持っておりませんので……。それでは拝借しましたリストによりまして申し上げます。
 戦後の条約でございますが、ここに二十本の条約がございます。武力紛争の際の文化財保護に関する条約、これは一九五四年にでき上がった条約でございます。二番目が一九五五年、国際冷凍協会に関する条約というものでございます。三番目が一九五七年にわが国が署名いたしました口蹄疫防止国際条約、それから四番目は一九六五年にわが国が署名いたしました国際海運の簡易化に関する条約、五番目はわが国が一九六七年に署名いたしました海難における救援救助についての規定の統一に関する条約を改正する議定書、六番目は一九六九年にわが国が署名いたしました千九百六十九年の船舶のトン数測度に関する国際条約、七番目は一九七〇年にわが国が署名いたしました核兵器の不拡散に関する条約、八番目は一九七〇年にわが国が署名いたしました特許協力条約、次に一九七一年にわが国が署名いたしました国際特許分類ストラスブルグ協定、次に同年にわが国が署名いたしました改正万国著作権条約、次に同年にわが国が署名いたしました向精神剤に関する条約、次に七二年にわが国が署名いたしました生物兵器禁止条約、やはり同年にレコード無断複製防止条約、同じく同年に油濁損害補償基金設立条約、同年最後に南極あざらし保存条約というものに署名いたしております。七三年には三本ございまして、海洋投棄防止条約、野生動植物絶滅国際取引条約、国際電気通信条約、以上の三つでございます。昨年は二本ございまして、千九百七十一年の国際小麦協定の有効期間の延長に関する議定書、つまり現在御審議願っているものでございます。それから最後に二十番目でございますが、万国郵便連合憲章の第二追加議定書等ということで、これは一月十四日現在に作成いたしたリストでございます。
#51
○渡部(一)委員 暫定適用が行われたものについて御説明をいただきたい。
#52
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま申し上げました二十の条約の中で暫定適用をいたしましたのは最後から二番目、十九番目の国際小麦協定に関するものでございます。
#53
○渡部(一)委員 ただいま議題となっておる議定書において、有効期間を延長することになっているという暫定適用は何年何月から何年何月まで延ばすというものでありますか。
#54
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま御審議を願っております有効期間の延長に関する議定書は、昨年の七月一日からことしの六月三十日まで一年間、七一年の小麦協定を延長する――小麦協定を構成いたしますのは小麦貿易規約と食糧援助規約二つございますが、それを一年間延長するという議定書でございます。
#55
○渡部(一)委員 なぜ、去年の七月一日から今年の六月三十日までのものを、その延長期間がほとんど終わったいまごろに出すのですか。
#56
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 実はこの議定書でございますが、これはごらんになりますとおり、小麦貿易規約と食糧援助規約と二つの規約から成り立っているものでございます。したがいまして、この両方を延長する際の日本側の態度というものは、これは日本国のみならず、当時のアメリカの態度もそうだったのでございますが、食糧援助規約につきましてECの態度が決まっていなかったということがございました。これは、この延長議定書を作成する期間におきまして、たしか四月ごろだったと思いますが、議論がなされて、この延長議定書が作成されていたときでございますが、食糧援助規約というのがございまして、ECはこの食糧援助規約に入らないということを言ったわけでございます。入るか入らないか態度を留保しておったという方が正確かもしれませんが、したがいましてわが国といたしましては、ECが入らないような食糧援助というものは無意味である。ECが態度を早く決めて食糧援助に加わるというのであれば、日本もこの食糧援助規約に参加をして、この小麦協定一年の延長にも同意いたしましょうということで話を進めていたわけでございます。当時、六月の初めに至りましてようやくECの態度が、この食糧援助規約に入るということに決定いたしましたので、その段階におきまして、日本といたしましても、それではこの食糧援助規約を含む小麦貿易協定一年の延長に賛成しようということに態度が決まりました関係もございます。六月でございますので、当時、前年の通常国会はもう終了しておりましたし、この臨時国会におきましては、また時間的な関係もございまして御提出する時間がなかったというのが、この通常国会に御提出申し上げる理由でございます。
#57
○渡部(一)委員 この一年延長は、暫定適用をもってまた一年延長するといううわさを伺っておりますが、それはどうですか。
#58
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 この協定をさらに一年間、すなわちことしの七月一日から来年の六月三十日まで延長するという方針が各国間で了解されているのが現状でございます。
#59
○渡部(一)委員 これは委員長に申し上げますが、これは当委員会のココア協定審議の際における当委員会理事会決定と委員会における委員長発言に背くものであります。また外務大臣発言にも背くものであります。といいますのは、何が行われたか。この協定は七四年の七月一日から七五年の六月三十日、この一年間延ばすものであります。ところが、いますでに三月十四日である。残す期間三カ月しか残っていない。そしていまEC問題があったという御説明を伺いましたけれども、ECの加盟を待つにしても、六月の初めにECの加盟が行われた。そうするならば、それからすでに国会は二国会を経ている。三国会目である。そういう時期に当委員会に対してこういう説明が行われるというのはもってのほかである。これはもう当委員会を軽べつするというか侮辱するもはなはだしい。しかももう一年延長しようとしている、七五年七月一日から七六年六月三十日まで。各国は了解しておる。もちろんわが国の政府代表もその旨該当地域において了解をしておる。当委員会についてはそれを報告しない。
 私は、めんどうくさいのですけれども、ココア協定の審議のときにどんなことがあったかを委員長に御理解をいただきたい。
 四十八年七月二十日、外務委員会であります。そのときに外務委員長であったのは藤井勝志君であります。藤井勝志君は、これについて、現状報告を述べられました。当時、委員会が空転しておりまして、そして空転のあげくの果てに開かれた委員会であります。
  ただいま議題となりました国際ココア協定は、参議院より本院に送付されておりましたところ、本協定に関し、昨十九日の外務委員会理事会において、外務省より、一九七三年六月三十日までにその憲法上の手続に従ってこの協定を批准し、受諾し、または承認するように努力することを約束し、かつこの協定を暫定的に適用する旨を国連事務総長に通告することができるとの協定条文の規定に従って、国連事務総長に本協定を暫定的に適用する旨を六月末通報した結果、本協定はわが国についても暫定的に効力を生じた旨の説明がなされました。暫定適用をしたということを述べているわけであります。
 この説明に対し、各党理事より、そのような通告を行なう際は、事前に外務委員会、少なくとも外務委員会理事会に対し報告を行ない、了承を得べきである。それにもかかわらず、当委員会に了解を求めることなく、協定の審議に入る直前になって釈明するのは、国会軽視もはなはだしいといわざるを得ない。その点、政府より明確な説明がなされなければ、審議には応じられないとの強い主張があったため、理事会は一たん休憩のまま流会となり、委員会も開会に至らなかったのであります。
 このような説明が行われました。
 当時の外務委員会の理事でありましたのは、現理事の石井一君、鯨岡兵輔君、西銘順治君、岡田春夫君、堂森芳夫君等であります。
 それに対して事情の説明が事務当局よりあり、経済局西田経済局次長より説明がありました。そして、
 外務委員会に対し、はなはだ不行き届きの点がありましたことにつきまして、事務当局としてここにおわびを申し上げますとともに、今後かかることを繰り返さないよう深く反省しておりますことを申し上げます。
 こう、びしっと書いてある。
 そして、それだけでも許されないというので、外務委員長発言が行われることがその理事会で決定された。石井さんも御承知のとおりですね。
 それで、このとき藤井委員長は、委員会を代表し、このように述べている。
 藤井委員長 この際、委員長より外務省に対して申し上げます。
 ただいま説明のありました国際ココア協定につきましては、暫定的に効力を発生する旨の規定がありますが、この通告を国連事務総長にするにあたり、行政府はあらかじめ当外務委員会に報告しておくことが条約審議上望ましいように存じますが、この点に関する外務大臣の御所見を伺っておきたいと存じます。
 こう述べておる。そして、それに対して大平国務大臣は何と答えられたか。この大臣のお答えは事前に理事会の了承を得られたものであります。
 ただいま御審議を願っております国際ココア、協定につきましては、各署名国が六月三十日までに批准または暫定適用を求められておりましたため、政府としては国会で御審議を願っておりました一方、暫定的に適用する旨を六月末に国連事務総長に通報した次第でございますが、この手続をとるにあたりまして、外務委員会に対しはなはだ不行き届きの点がありましたことはまことに遺憾に存じます。今後このようなことがないよう十分注意してまいりたいと思います。
 と述べた。
 昭和四十八年から昭和五十年の三月に至るまで、二カ年間に三カ月少ない時間の間、当外務委員会に対する外務省側の軽べつ感は、このような形になってあらわれるということは私は信じがたい。外務省は、他国との協定を結ぶに当たり、信頼と公正を旨として交渉されているのでありましょうが、当委員会に対して正式に意思表示をし、外務大臣が述べられ、経済局次長が省を代表しておわびをなさったことと同じことを、なぜまたこんなになさるのか。何がゆえであるか、何ゆえにこんなみっともないことをなさるのか。そして、私がここに質問をするまでの間、委員会の多くの同僚諸君が質疑をしている間、それに対して釈明が一向にないのはどういうわけか、私は伺いたい。これは手落ちでは済まされない。
 私は、直ちに理事会の開会を要求し、これについての扱いを理事諸君にお諮りをしたいと存じます。委員長、よろしくお計らい願います。
#60
○栗原委員長 速記をとめて。
#61
○栗原委員長 速記をつけて。
#62
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 渡部先生の、ただいまのココア協定との関連におきましてそのような経緯がございましたことは、私もその後聞いて承知いたしております。ただ、ただいま渡部先生が最後にお読み上げになりました外務大臣の答弁もございますし、さらに、先生御承知のように、昨年の通常国会におきまして、条約の国会提出に関しまして、時の大平大臣から、何が国会に提出すべき条約であり、何が国会に提出しない、すなわち、いわゆる行政取り決めとして処理できるかということについての政府見解を御報告申し上げたことは、先生も御記憶だろうと思うのでございますが、その冒頭にも、若干長くなるかもしれませんが、読み上げさせていただきますと、「昨年の第七十一回国会における日米原子力協定改正議定書の審議に際し、今後同協定第九条に定める濃縮ウランの対日供給ワクを変更する交換公文を取りかわした場合には、外務委員会理事会に御報告することをお約束し、また、」これから以下でございますが、「国際ココア協定の審議に際し、同協定のごとき国際商品協定締結につき国会の承認を求めている場合に、やむを得ざる事情により国会の承認に先立ち政府がとった暫定的適用措置に関しては、これをすみやかに外務委員会に御報告する所存であることを申し上げたのも同じ趣旨による」――同じ趣旨というのは前段とのあれでありますが、そういうふうに申し上げているわけでございます。実は、私どもの了解といたしましては、当該条約を、ココアの場合のように国会にまさに御審議をお願いしている期間、その最中に暫定適用の宣言をしたのがココアでございまして、そのような場合は、国会開会中でもあるし、御審議中でもあるから、暫定適用をいたしましたと御報告を申し上げるというふうに私どもは了解をいたしておったわけでございます。この小麦協定につきましては、国会も開会中ではございませんでしたし、そのような事情になかったために、特にココアのごときケースには該当しないものとして、別に隠し立ていたしたわけではございませんけれども、正式に委員会報告という措置はとらなかったというわけでございます。
#63
○渡部(一)委員 いまのあなたのそういう解釈をなさるのでありましたら、私はとうてい承服しがたい、なぜかといえば、暫定適用に関しては、明らかに今国会になる前に二度にわたって国会が正式に会期を持ち、当委員会の質疑が行われているにもかかわらず、その暫定適用を外務委員長に対しても理事会に対しても全く報告をしなかったという点にあるからです。すなわち、あなたはいま、ココア協定の審議の際に、ココア協定を審議中暫定適用を行って報告をしなかったという小さな一点にのみしぼって表明されました。それは明らかに大きなミスでありますから、特に改めて二度謝ってもらったにすぎません。当委員会において問題となったのは、その前提として、外務委員会及び外務委員会理事会に対し、国民の大きな理解を求めつつ審議をするという立場から、大臣までが明らかに釈明をされ、経済局次長が謝罪の意思を表明されたという事実があるわけであります。したがって、あなたの解釈は、その二度にわっての謝った一番すごい部分だけを挙げて、他の全体的な、当委員会軽視という部分について自己免責をしようという悪らつな考え方であります。そういう考え方は当理事会としてはとらないものでありまして、当時の事情を知る委員諸公とともに、私は外務省に対する態度を判断し直すべきであると依然として思います。したがって、あなたの答弁はきわめて不当なことを答弁されまして、当委員会の判断にはなじまない。大臣及び関係局長は謝罪をするのがあたりまえなのに、何たる答弁ですか。一年間の暫定適用のほとんどが終わるころになって当委員会に出しておいて、しかも平然としてそんなことについては謝る必要がないとお考えならば、それはそれで結構、当委員会の審議はこれでやめて、緊急理事会の開会を委員長お願いいたします。
#64
○宮澤国務大臣 ただいま渡部委員の御質問と政府委員の答弁をここで伺っておりますと、問題は二つあるように存じます。すなわち、前回外務大臣がおわびをし、申し上げましたことは、御審議中の条約案につきまして事情によって暫定適用をいたしました際に委員会にそれを申し上げなかった、審議をしているのに何事であるかというおしかりがあったものと思います。そういうことは今後気をつけまして、御審議中の案件を暫定適用せざるを得ない場合には御報告を申し上げます、こういうお約束をいたした。それがココア協定に関する一件であったように存じます。
 ただいまの問題は、この条約は、御審議の最中に暫定適用をいたしたものではなく、期限が参りまして、そのとき国会が会期になかったということから、暫定適用をいたした、そしてその後に、ただいまこのように御審議を願っておる、そういうケースでございますから、前回お約束をしたことを食言をしたではないかという御批判は当たらないように思います。
 したがいまして、新しい問題がここに出てきておるわけであって、一般に暫定適用する場合に、国会の御審議中であると否とにかかわらず、そのようなことは報告をすべきである、もしそういう委員会の御意向でございましたら、それは政府といたしましても、十分にそのような御意向を尊重いたさなければならないと思います。しかしながら、前回のことについての食言があったと言われます部分は、これはケースが違うように承知をいたします。
#65
○渡部(一)委員 委員長、話になりません。
#66
○栗原委員長 速記を待って。
#67
○栗原委員長 速記を始めて。
 暫時休憩いたします。
    午後零時六分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時二十七分開議
#68
○栗原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。渡部一郎君。
#69
○渡部(一)委員 先ほどの暫定適用に対する政府の御説明は、はなはだ不当であります。暫定適用はすでに七十一国会当時、憲法上の疑義があるという論戦が行われ、そして暫定適用を行った際においてはどういう態度をとるかということについては、当時の大平外務大臣及び西田経済局次長より意思表示があったはずであります。先ほどの理事会において外務大臣は明らかに釈明をなさいましたが、改めてこの場でその御見解を披瀝していただきたいと存じます。
#70
○宮澤国務大臣 ただいま渡部委員の御提起の問題につきまして、私は、従来のいきさつの詳細につきましては承知をいたしておりませんでしたが、ある協定の暫定適用を行いましたときは、国会の開会中、閉会中にかかわらず、委員長及び理事に対して御報告すべきものであると考えます。今回これを怠りましたことは遺憾でございます。
#71
○渡部(一)委員 伊達参事官は先ほど妙な解釈をなさいましたから、もう一回あれを伺います。
 昭和四十七年、七十一国会における当外務委員会理事会の意思表示は、暫定適用をいたした場合においては、少なくともこれは条約上の行政的な政府の措置と見る点については疑いが多いという指摘が当時ありました。そうしてこの委員会においては、行政府が立法権を侵害するおそれのないように、行政府はあらかじめ当外務委員会に通告しておくことが望ましい旨の意思表示があったわけであります。そしてその上で、ココア協定に関しては特に審議中に暫定適用が行われたものであって、特に罪状が軽くないという点で、改めて当委員会において条約の取り扱いに関するお話し合いの席上、外務省から釈明が行われたものであります。ところが、あなたはその一番重大な、とりわけひどい部分のみを挙げて、そうしてそれが最低の外務省の承認したものであると理解されたのは全くの間違いであります。ただいまの理事会のお話し合いも各委員のお話し合いも、そういうことで了解をいたしたわけでありますし、改めて再確認をされたわけでありますが、あなたはなおかつそういう意見をお持ちですか。
#72
○宮澤国務大臣 当時の事情につきまして私どもの事務当局に誤解があったように存じます。私からかわりましておわびをいたします。
#73
○渡部(一)委員 大臣がおわびになったことですから……。
 今回の暫定適用の報告が実に十カ月おくれて行われたわけであります。そして一年間の延長のうち、十カ月が過ぎたということははなはだ遺憾であります。さらに、次の七五年七月一日から七六年の六月三十日までの一年間をさらに延長する旨のお話し合いが国際会議の席上で行われたという点について、先ほど外務省当局から御説明がありました。そうしたら、今度はこのように暫定適用が行われてから十カ月も後から国会提出されるというふうな妙なことはないと思いますが、その点の御決意を表明していただきたい。
#74
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 この次の延長する議定書、すなわち、ことしの七月一日から来年の六月三十日まで一年間延長する議定書がどのようなものになるか、大体現在御審議願っているものと同じようなものになるだろうとは思いますが、まだ確定いたしておりません。しかしながら、いずれにいたしましても、そのような延長議定書というものができ上がりまして、国会に御審議を願うというものであります場合には、時間的余裕があります限り、一番早い国会にお出しいたしまして御審議をお願いしたいと思います。
#75
○渡部(一)委員 このほかに暫定適用を行ったものは、現在のところありませんですか。
#76
○伊達政府委員 現在、このほかに暫定適用を考えているものはございません。
#77
○渡部(一)委員 この協定と一緒にただいまかかっておるガットの方で、似たようなことがまた一つ起こっているわけであります。それはBTN条約の改正が行われて、そうしてそれを国会の承認を得んがために国内法の改正が行われたわけであります。国内法の改正が行われたのが四十七年の四月一日でありまして、そうして今日に至るわけであります。実に三年間、この条約が空中に浮かんでおった。そうして国内法の手続との関係という理由で混乱が生じておったことに対してどう説明なさるか、お伺いをいたします。
#78
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 BTN条約につきましては、国会の御承認を得たものでございますが、その第十六条によりますと、関税協力理事会が条約の改正を勧告いたしまして、改正された改正案がベルギー外務省から各締約国に送られまして、六カ月以内にいずれの締約国からも異議の通告がなかったときは受諾されたものとみなされまして、それから以後さらに六カ月たった後で効力を生ずるということになっております。このような改正規定を含みました条約を国会が御承認をいたしましたときは、行政府が何らの締結行為なくして改正を受諾することを国会よりお認めいただいたものというふうに考えておるわけでございまして、第十六条に基づく改正の受諾について、私どもは特別に国会の御承認を得る必要はないというふうに考えているわけでございます。特にまた、これは今回の場合ではございませんでしたが、異議の通告をする、この改正に反対であるという場合には、まさに改正の効力を生じないような効果をもたらすわけでございますから、その際はなおさらそのようであるというふうに考えております。
#79
○渡部(一)委員 未提出条約及び協定について、多国間条約については先ほど述べられました。二国間条約については述べられませんでした。私は、外務省が条約を結びあるいは協定を結ぶことについて異議を申しているのではありませんが、少なくとも署名をした条約あるいは協定に関して、その処理の仕方を報告なさる義務があろうかと思います。先ほど述べられたのは多国間条約のみでありまして、二国間条約については全く触れられないのは遺憾であります。したがって、多国間条約及び二国間条約、その両方につきまして、今後その条約をどう扱うかについて、先ほど外務省からいただいた一覧表によれば、検討中という同じような文字が記されているのみであります。何のゆえに検討中であるのか、これらについて御説明と資料の提出を私は要求いたします。
#80
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 今国会に上程いたしており、あるいはこれからも上程いたすように準備いたしておるものがあるのは、先生お持ちのリストの終わりの方に入っておるものがございますが、それ以外のものにつきまして現在どういうふうに処理する方針であるかということにつきましては、改めて御説明申し上げたいと思います。
#81
○渡部(一)委員 委員会資料としての御提出を求めます。
#82
○伊達政府委員 委員会から御要求がありますようでありますので、委員会資料として御提出申し上げます。
#83
○渡部(一)委員 委員長、よろしくお願いいたします。
#84
○栗原委員長 承知しました。
#85
○渡部(一)委員 では、次に、別の観点からまた御質問をいたしたいと存じます。
 先ほど世界食糧会議の問題に多少触れたわけでありますが、世界食糧会議の全般的な内容につきまして、簡単にまず前提としてお伺いをしたいと存じます。
#86
○鈴木政府委員 昨年の十一月、ローマで開かれました世界食糧会議におきます一番大きな問題点といいますか、つまり世界の食糧の逼迫状況を拝見いたしまして、何に重点を置いた国際協力を進めていくかという観点から、三つ大きな問題があろうかと思います。
 一つは食糧をいかにして増産させるか、特に開発途上国を中心とした食糧増産体制をどうするか、これに対して先進国がどのような協力を行うべきか、これが第一点であろうかと思います。
 第二に、そういった食糧増産体制が整うまでの間のいわばつなぎとして、食糧の不足な特に開発途上国に対してどのような食糧援助を行うか、その仕組みをどうするかということが第二の点だろうと思います。
 それから第三は、そういう食糧援助を可能ならしめ、常時不足の国に対する手当てを可能ならしめるために、備蓄というものをどのように考えるべきか、備蓄を行う仕組みなりあるいは備蓄の大きさなり、それをどういう種類の穀物あるいは食糧に及ぼすかという点、この三つがこの食糧会議における大きな問題であったというふうに考えております。
#87
○渡部(一)委員 その中で、各種の食糧会議の宣言及び決議がここに行われたということを、四十九年十一月付農林経済局国際経済課の発行されたパンフレットで承知いたしておるわけでありますが、これは、大体わが国においては代表は全部承認をされたのでありますか。態度を述べていただきたい。
#88
○鈴木政府委員 そこに付された決議全部、日本政府は承認いたしております。
#89
○渡部(一)委員 その中で、これはいろいろ問題があると思うのでありますが、決議の十四番目、このパンフレットでいきますと六十二ページのところに「食糧生産増大のための軍事費削減」というテーマがあります。これは何が書かれているかといいますと、戦争の費用が非常にかかっている、軍事費というのがかかっている、ところが食糧というものの開発、増産のためにはお金をかけていない、この辺を直すということを約束しているわけであります。途中から読みますと「すべての国によって精力的に取り組まれるべき深刻な世界の食糧危機が存することを考慮し、軍縮及び開発に関する専門家グループの報告が「毎年二〇〇〇億ドルが軍事目的に使われ、軍事費と農業開発援助の現在の目的額との差は非常に大きなものである」とみつもった点を同じように想起し、本会議の参加国に対し、開発のために軍事費を削減し、こうして浮いた資金を開発途上国における食糧生産と緊急時の在庫の確立のための資金に振り向けることに関する国連総会決議及びその他の国連機関の決議を早急に実施するための必要な措置を取ることを求める。」とあります。
 まず、今期予算におけるわが国の防衛費と農業の食糧増産援助、あるいは備蓄のために支出される費用との対応を述べていただきたい。
#90
○鈴木政府委員 いま御質問の最初の点、つまり日本が決議全部に賛成、承認しましたという点について、一言ちょっと御説明申し上げたいと思います。
 それは、いま渡部委員が指摘されました決議、つまり軍事費削減と食糧増産への充当の問題でございますが、ローマ会議におきます議題は、表決なしに全部コンセンサスというかっこうで採択されました。日本はこの決議だけにつきましては、一応コンセンサスということで表決がございませんから、イエスとかノーとかいうことは申し上げる機会はなかったわけですが、ただこの決議につきましては、国連総会における問題との関連もございましたので、もしこの決議が投票に付されておったならば、日本政府は棄権していたであろうという意味の意見表明をいたしておりますことをちょっとつけ加えさしていただきます。
#91
○渡部(一)委員 これは事重大ですよ。軍事費を削減して農業の増産に対する費用をふやすということは、これはもう大変すばらしいことですね。それをなぜ棄権をするという意思表明とされたのですか。しかも、先ほど私が述べたときには、さも全部賛成したような顔をしながら、私が質問し始めた途端に、実は棄権するつもりだったなどといまごろ意見を表明されたとしても、それはもう十日のアヤメというか二十日の菊というか、後から出おくれた話ではありませんか。実際上意見の表明――当委員会において説明されたとしてもナンセンス、どういう意味でそんなことを言われるのですか。
#92
○鈴木政府委員 軍事費削減と後進国に対する援助とを結びつける考え方は、これは一昨年の国連総会の際にソ連が提案した考え方でございます。この考え方をどのように受けとめるかということにつきましてはいろいろと検討いたしましたが、ソ連の提案は、安全保障理事会の五つの常任理事国がまず軍事費の削減をしろという考え方でございますが、では、軍事費の削減一〇%という考え方を実際の各国の予算に当てはめました場合に、各国の予算の立て方が必ずしも一様でないし、また予算面に出ていないところにもおそらく軍事費に結びつく費用もあるのじゃなかろうか、そういう予算もあるのではなかろうかという観点から、まずその軍事費をどのようにしてとらえるかというところに問題があったわけでございます。そのほかに、これを途上国の援助のために直接結びつけることが果たして適当であるかどうかということについても、いろいろな観点から疑問が表明されまして、この決議自体についてのむしろ検討といいますか、検討を十分しないうちは態度を表明できないということは、実は国連総会の場であったわけでございます。したがいまして、今度のローマの会議に同じような考えが出ましたときに、日本の代表といたしましては、やはり国連総会とのつながりもあるし、これに対して一概に賛成はできない、つまり国連総会と同じような立場を維持せざるを得ないという意味の棄権をいたしたわけでございます。
#93
○渡部(一)委員 今期予算案における軍事費と見られるものは幾らですか。
#94
○宮下説明員 お答え申し上げます。
 防衛関係費として計上されております、これは防衛庁経費全部でございます、それから施設庁の経費等も含まれておりますが、一兆三千二百七十三億二千百万円ということになっております。
#95
○渡部(一)委員 今度は食糧の増産あるいは援助あるいは備蓄等に計上された費用はどのくらいですか。かつ、総予算に占める割合は何%ですか。先ほどの軍事予算に対するパーセンテージもあわせて述べていただきたい。
#96
○宮下説明員 お答えいたします。
 先ほどの防衛関係費の一般会計予算に占めるシェアでございますが、ちょっと正確にまだ計算してございませんが、六%強だろうと思います。
 それからお尋ねの農林関係予算でございますが、これは取りようによりましていろいろ、食糧増産、備蓄、さまざまな問題が含まれておりまして、農林省予算全体がそういった目的と関係しておるというように見てもよろしかろうと思いますが、農林省所管以外にも、たとえば海外の農林業の開発協力というような問題の予算も外務省に計上されておりますが、こういった予算も全部含めまして、農林関係予算といたしましては、二兆一千七百六十七億七千四百万円ということでございまして、一般会計に占めるシェアは一〇・二%でございます。
#97
○渡部(一)委員 わが国の防衛関係予算及び農業関係予算は、前年度と比べて、両方とも何%のただいま伸びを示されましたか。
#98
○宮下説明員 ちょっと手元に防衛関係費の予算の伸率の正確な計算は持っておりませんけれども、四十九年度予算額が一兆九百三十億円でございます。それに対しまして、先ほど申しましたように、五十年度予算額が一兆三千二百七十三億円ということでございます。
 それから、農業関係予算は、四十九年度が一兆八千二百八十九億一千三百万円でございまして、この伸率は一九・〇%となっております。
#99
○渡部(一)委員 そうしますと、明らかに防衛関係予算は前年度比で約二一%近く増強しており、農林関係予算は一九%の増強であり、二%から差があると見えます。そうすると、やはりわが国は食糧の自給に熱を入れるのではなく、防衛関係予算の増強に非常に熱中しておるということが予算の上で見えるわけですね。それが、こういう国際会議の席上で、食糧増産に一生懸命力を注いで軍事費の増強には熱を入れないというふうにがんばられた理由ですか。
#100
○鈴木政府委員 先ほど軍事費と開発途上国に対する援助との結びつきの問題が国連総会で出ましたときにも、実はそれに対する批判の大きな理由の一つは、これは直接結びつけるのが適当であるかどうか、つまり軍事費はやはり軍事費として削減する考え方は大いに結構だけれども、食糧援助はそれとの結びつきでなしに、むしろその問題自体としての必要性から各国が自主的に考え、国際協力を進めていくべきではないかという考え方が批判論の一つの大きなあれをなしておったわけでございます。したがいまして、今度の食糧会議におきましても、少なくとも日本代表はそのような考え方のもとに、やはりこの間のリンクはむしろ切って考えるべきだというふうなことで対処いたしたわけでございます。
#101
○渡部(一)委員 そういう態度をとったのは日本だけですか、ほかの国にもあったのですか。
#102
○鈴木政府委員 これは各国の態度を必ずしもその点で確かめたわけではございませんけれども、国連総会の場における議論から察しますと、少なくとも西側の自由貿易の諸国は同じ考え方をとったものと考えます。
#103
○渡部(一)委員 食糧会議の席上でなぜ日本は防衛費のことを一生懸命そういうように心配して、食糧に対する熱意のない態度を示されたか、これは非常に問題だと私は思うのですね。日本は平和憲法を持った未曾有の国家です。その平和憲法を持っておる未曾有の国家が、食糧増産を一生懸命やろうって世界じゅうが叫んでいる真っ最中で、軍事費縮めて食糧ふやそうと言っているときに、はい、賛成です、そのとおりですよと先頭に立っていくのがわが国の態度でしょう。それを、ソビエトが言い出したからとかヘチマだとか言う。そしてヨーロッパの外交官等の顔つきばかりをうかがう。そしてこんな態度をとる。これは一体何事ですか。もうこのやり方は珍妙をきわめておる。食糧生産増大はしたくないのか、軍事費削減はしたくないのか、この基本的な命題にこたえなければならない。なぜ前年度より軍事費を削減してみせないのです、こういう決議があることでもあるから。前年度より防衛関係予算を二一%も上げて、食糧の方は一九%しか上げないで、顔向けならぬようなことをしておいて、それを説明するために、国連では、軍事優先、食糧削減型の妙な国家として投票するなんて何事ですか。国連局は一体何を考えているのですか。あなたは日本を自衛隊の国家にでもしようというのですか。これはもう態度というか基礎的方針のエラーですね。外交がない、基本戦略がないのに戦術だけが先行しておる。そうして場内を見渡して、投票するときだけ元気よく入れる。だからこんなことになる。何で留保なんか言うのですか。こんな留保を言ったことの意味はどこにあるのですか。軍事費削減一〇%、もちろんそれは結構なことじゃないかと、むしろ推進する立場であってほしいとわれわれは思うのに、なぜそういうのに賛成しないのですか。あなたのさっき言った説明では説明になりませんよ。
#104
○鈴木政府委員 先ほど御説明したことのあるいは繰り返しになるかもわかりませんが、この軍事費削減と開発途上国に対する援助とを結びつけるという考え方自体に、われわれとしては問題があるというふうに考えたわけでございます。つまり、軍事費削減これ自身は非常に結構なことである、特に国連総会の場で出ました場合にも、世界の軍事的な緊張緩和の一助になるという考え方から、これ自身には異論はなかったわけでございますが、それを削減した分だけを開発途上国の援助に回すということが必ずしも可能になるんであろうかどうか。そもそも、そのスタートから軍事費というのは幾らであるかということをとらえることがまずむずかしいということ。その他のいろいろな理由によって(渡部(一)委員「その他いろいろな理由……」と呼ぶ)理由によりまして、この考え自体が必ずしも多数の受諾するところとならなかったわけでございます。日本自身の考え方からいたしましても、開発途上国に対する援助、特に食糧援助はそれ自身として考えるべきであって、この二つが相関関係にあることによって、つまり前者が決まらない限り後者が行われないということは、われわれとしてはとるべきではない。開発援助、食糧援助それ自身の必要性からわれわれは考えるべきであるという考え方から、必ずしもこの結びつきについては、われわれとして全面的にこの考え方を入れて、つまり軍事費削減をした分を食糧援助に回すという仕組みに抵抗を感じたわけでございます。
 昨年四月に行われましたいわゆる資源総会における日本代表の演説、また昨年十一月のローマの食糧会議における日本代表の演説を見ましても、食糧援助はそれ自身の必要性から、できるだけバイあるいはマルチを通じて行うということを宣明し、またそれに応ずる予算的な裏づけをいたしたわけでございます。食糧援助それ自身の必要性については、日本のなし得る最大限度までいままでやってきておりますし、今後とも続けるというのが日本政府の考え方だと思います。したがいまして、軍事費の問題につなげて、日本の食糧援助が不十分であるとかどうとかいう考え方はわれわれはとっておらないわけでございます。
#105
○渡部(一)委員 あなたは軍事費削減賛成なんですね。それで食糧の増産、備蓄、援助については賛成なんですね。一つずつ聞きますけれども、どうですか。あなた、いまごちゃごちゃおっしゃったからもう一回聞きます。賛成ですね。
#106
○鈴木政府委員 軍事費の削減そのものについて、日本の場合にどうであるかということは私のお答えする限りではございませんが、少なくとも国連総会で出ました軍事費削減を要請される国は五つの安全保障理事会の常任理事国であったということだけを申し上げておきます。
#107
○渡部(一)委員 あなたは日本の軍事費削減には、では反対なんですね。
#108
○鈴木政府委員 日本の軍事費削減云々の問題につきましては、私は答える立場にございません。ただ、総会にこの考え方が出ましたときに、削減一般については、特に核兵器国である五つの安保の常任理事国がまず率先して削減するという考え方自体には、われわれとしては賛成するという一般的な感じは表明いたしております。
#109
○渡部(一)委員 やっとわかってきました。あなたは五つの核を持った国の軍事費削減には賛成で、日本の軍事費削減には反対なんですね。日本はもっともっと軍事国家にしたいというわけですね。そうして、食糧については援助するというけれども、軍事費の方から回すというのは反対なんですね。だから福祉とかなんとか、外務省の費用とかほかの費用から農林省へ回せ、はっきり言うとこういうわけですね。そうでしょう。そういう珍妙なことをいま言っているわけでしょう。どうです。イエスかノーで答えてください。
#110
○宮澤国務大臣 それは特定の所管を持っております政府委員の立場として、お尋ねがありましても、お答えしがたいのはあるいは当然ではないかと思います。
 私の考えを申し上げますと、わが国の軍備、防衛のための支出は、わが国の国是として最小限にとどめられておると考えております。が同時に、最小限のものは持っていなければならないということでございますから、必ずしも大きな削減の余地があるというふうには考えられない。必要があれば、少しずつでもふやしていかなければならない場合があろうと思います。
 また、食糧関係の経費は、それ自身の必要、援助につきましてもさようでございますから、予算全体としてその間のバランスをどのようにとるかという問題はもとよりございますけれども、両方の問題を短絡的に考えるということではないというふうに思っております。
#111
○渡部(一)委員 私は、大臣がそこでまとめられましたから、大臣に今度は質問いたしましょう。
 大臣、日本はなぜ国際場裏で、こういうふうな軍事費削減をして食糧の方に回そうという考え方について留保し、反対したかという先ほどからの局長の苦しい答弁を、ここで聞いておられたと思います。あれは全く意味不明の答弁ですね。唯一、結びつけるのに反対だ、なぜ結びつけるのに反対かという理由には、可能かどうかわからないから反対なのだとまず言われた。そして私が不規則発言をいたしましたところ、その他いろいろな理由がありましてということでした。当委員会で説明するのに、その他いろいろなんということを初めて私伺いましたけれども、説明ははっきりしなければいけない。唯一明快になったのは可能かどうかということだけです。可能でないものはことごとく賛成しないという外務省の方針なのかどうか。これは疑わしい。いまのは可能かどうかが問題だからと言っても、核兵器の削減の問題についてわが国は何回も意思表示をしたはずです。可能かどうかというのは大いに疑いがあるじゃありませんか。その程度の御答弁では、これは局長は余りこの問題を熱心にやっていらっしゃらなかったなと感じるしかないのです。大臣はこういうことを巧みにおっしゃる方ですから、もう回答が用意されたと思いますけれども、少なくともこれほど国際外交場裏で日本政府が妙な意思表示をしているということについて、私は遺憾の意を表明せざるを得ない。もう少し何とか言いようがあるのじゃないか。軍事費削減と未開発農業援助とを結びつけるのに問題があって、投票したら反対するぞと最後に叫ぶことが日本の国際外交の基本をなすのかどうかについて、私はきわめて遺憾の意を表明したい。大臣、この辺をひとつ御答弁いただきたいと思います。
#112
○宮澤国務大臣 軍縮という問題は御承知のようにそれ自身きわめて複雑な問題であり、長い時間の経緯をたどって今日に至っておりますことは渡部委員が御承知のとおりでございます。また、それを論ずるにはそれを論ずる場がありますこともよく御承知でいらっしゃろうと思います。わが国の防衛費について見る限り、先ほど申し上げましたとおり、政府としては常に最小限の必要を満たすということを方針にいたしておりますので、そこに冗費があるというふうには考えておりません。わが国以外の軍事費についてわれわれがどのような関心を持つかと言えば、それはたとえば、わが国の防衛体制は日米安保条約との関連において成り立っておりますことは御承知のとおりでございますので、そういう意味で、アメリカが条約上の義務を果たすだけの支出はしてもらいませんと、わが国自身の安全に係るというふうにも考えられます。したがいまして、一般に世界の軍縮が進行して軍費の支出が減っていくということは、もとよりわれわれが希望するところでございますけれども、それはそれなりにやはりその方の専門家、そういう場というものがあるわけでありまして、しかも各国間のバランスということもまたあろうと思いますので、そういう場において論じられるのがやはり本筋ではないであろうか。
 他方で発展途上国に対する食糧援助、これはもとより大切なことであって、わが国も努力をいたしておりますが、これはこれ自身として各国が努力すべきことである。たまたま軍事費の負担が浮いたから、そっちの方へ回すといったような性格のものではなくて、やはりそれ自身として発展途上国の要望にこたえなければならない。そういう問題でございますから、両方の間を直ちに結びつけて、こっちの浮いたものをこちらへという性格のものではないのではなかろうか。そういうふうな考えをわが国は当時とったものと私は想像をいたします。もとより全体の世界政治の望ましい姿として、わが国もさようでございますけれども、そのような軍事的な経費というものがだんだん減っていき、そしてそれがもっと人道的な立場に用いられていく大きな趨勢が望ましいことは、これはもうおっしゃいますとおり、私どもとしては全く異存がございません。
#113
○渡部(一)委員 そういう意思表示を今後国連なりしかるべき多国間協議の席上で、大臣がいま最後にお話しになったようなことを改めて表明なさるおつもりがございますか。私が調べたところではそういう意思表示をなすった例を聞いておりませんので、特に念を押して伺うわけです。
#114
○宮澤国務大臣 それにふさわしいような場というものが恐らくございますと思います。たとえば国連総会におけるその国の一般方針といったような演説等々、そういうふさわしい場において発言せらるべき事柄ではないかと存じます。
#115
○渡部(一)委員 それでは、商品協定の効用性に関する質疑の途中で政府側お答えができなくなりましたから、その分を留保して私の質問を終わります。
#116
○野村政府委員 先ほど先生の御質問のございましたのは国際ココア協定の点かと存じまして、特にその経済条項が……(渡部(一)委員「その問題じゃない。商品協定全般ですから、また後で」と呼ぶ)
#117
○栗原委員長 速記をとめて。
#118
○栗原委員長 速記をつけて。
 土井たか子君。
#119
○土井委員 まずお尋ねをしたいのは、千九百七十一年の国際小麦協定の有効期間の延長に関する議定書の問題について、わが国は締約国とみなされていますかどうか。
#120
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 締約国とみなされるという明文の規定はございません。したがって、日本はもちろん締約国でもございませんし、条約と申しますかこの議定書の規定上、締約国とみなされるということでもないわけでございます。
#121
○土井委員 この議定書を国際会議の場で採択をされて、そして後に日本はどのような手続をいままでにとっていらっしゃいましたか。まず、ひとつ順を追って日時を明確にしながら経過説明をいただきたいと思います。
#122
○伊達政府委員 この議定書の採択及び発効に至るまでの時間的な経過でございますか。ちょっと御質問の意味がはっきりととれませんでしたので、恐れ入りますが……。それでよろしゅうございますか。――これは、昨年四月十九日に日本といたしましてはこの延長議定書に署名をいたしまして、同年の六月十八日に暫定的な適用の宣言を寄託したものでございます。
#123
○土井委員 その暫定的適用宣言は、根拠をどこに置いてなすったわけでありますか。
#124
○伊達政府委員 暫定的適用の宣言は、この議定書の第八条によりまして、暫定的適用を各国がやってよろしいということが認められているわけでございまして、したがいまして、わが国は、これを国会の御承認を求める時間がないままに、しかもこの議定書の発効というものを有効ならしめるために暫定的適用宣言を六月十八日にいたしたというものでございます。
#125
○土井委員 伊達参事官に申し上げたいと思います。要らない御発言は結構です。私がお伺いしていることに対して的確にお答えください。
 この議定書の第八条の条文に根拠を置いて暫定的適用宣言を日本はなすったわけですね。第八条の条文をよくごらんいただきたいと思うのです。「宣言を寄託する政府は、暫定的にこの議定書を適用するものとし、かつ、暫定的にこの議定書の締約国政府とみされる。」と書いてありますよ。
#126
○伊達政府委員 先ほどの御答弁間違えました。失礼いたしました。この議定書によりますと、第八条によりまして「暫定的にこの議定書の締約国政府とみなされる。」ということになっております。失礼いたしました。
#127
○土井委員 もういいかげんな答弁はやめていただきたいと思います。それくらいは勉強してしかるべきですよ。第八条の条文に明記してあるのです。締約国とみなされますかと私が聞いたときに、締約国ではございませんという御答弁だった。いまそれをはっきりもう一度訂正なさいますね。
#128
○伊達政府委員 訂正させていただきます。
#129
○土井委員 ならば、私、手元にこの条文と同時にいただいた、外務省がお出しになっている説明書についても訂正をお願いしたいのです。説明書をよくお読みいただきたい。ここには「小麦貿易規約の延長議定書の締約国は、」と書いてあって、この中に日本は入っておりません。明確に締約国と言えるかどうかは疑義があります。しかし第八条の暫定的適用宣言をやってから後は、第八条に基づいて考えていった場合には締約国政府とみなされているわけでありますから、その旨をやはりこの説明書の中に明記すべきでございましょう。この説明書は一体いつお書きになったのですか。ここに「昭和五十年一月」と明記してある。五十年一月だと、昨年の六月十八日にすでに暫定適用宣言を日本はしているわけであります。したがって、その旨をはっきりここに明記する義務が外務省としてはあると私は思うのです。いかがですか。
#130
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 この説明書に書いております「延長議定書の締約国は、」というのにつきましては、これは明瞭にそれぞれの国内法上の手続を経まして、真の締約国となったもののみを掲げているわけでございまして、私どもといたしましては、日本はいまだ締約国ではない、つまり議定書の発効上締約国とみなされている国であるというふうに考えているわけでございます。
#131
○土井委員 大変に苦しい御答弁ですね。本来条約とか協定というものは、締約国たり得る資格というのは、やはり正式に国内的な手続というものを経た後でなければならないというのは原則的に言えるわけですけれども、その条約がどういうふうに締約国とみなすか、あるいは締約国であるかということを規定で明示してある場合は、それに従って考えるべきです。本議定書について言うと、第八条の暫定的適用ということを決めている条文の中で、暫定的適用宣言をやった政府については「この議定書の締約国政府とみなされる。」という項目がちゃんと明記してあるわけでありますから、それに従ってこの議定書に対しての認識は持たなければならない、そういうことではありませんか。いまの御説明は非常に苦しい御説明だと私は思うのです。
#132
○伊達政府委員 わが国といたしましては、締結行為というものを行った上で初めて締約国となるというふうに考えているわけでございまして、私どもといたしましては、先週も御説明申し上げましたように、この暫定的適用というのは、それぞれの国の行政権の範囲内においてこの条約が適用になることを宣言する意味しか持たないものであって、したがって、これは締結の行為は一切含んでいないというふうに考えているわけでございます。
 他方、この第八条におきまして締約国とみなされるといいますのは、これは先週も御説明申し上げましたように、この議定書効力発生等の関係がありまして、一応の締約国とみなしているものでございまして、みなされておりますものは、やはりそのもの本来のものではないというふうに御理解いただきたいと思います。
#133
○土井委員 本来のものではないといっても、第九条「効力発生」というところを見ますと、「この議定書は、第六条から前条までの規定に従い批准書、受諾書、承認書、締結書若しくは加入書又は暫定的適用宣言を千九百七十四年六月十八日までに寄託した政府の間で、次の日に効力を生ずる。」こういう規定の仕方でありまして、暫定的適用宣言を行った政府の行為と、もうすでに受諾書、批准書、承認書、締結書というものを正式に取り交わした国との間で差別した取り扱いをいたしておりません。効力の発効する日についても同様に取り扱っているのです。効力を生ずるということになれば、当然この議定書によって拘束を受けるということにもなる。だからそういう点から言うと、締約国政府とみなされるというのは、まことにへんぱな取り扱いでありますけれども、一応この議定書自身がはっきり認めているところ、これはもう単純素朴で結構です。それは大事だと思うのですよ。虚心坦懐にお認めをなさるということがまず私は出発の第一歩だと思うわけでありますが、いかがですか。いろいろな妄想にこだわらず、いろいろな前例とかあるいは大変な知識を持ち合わせている場合は、間々それが災いのもとになる場合があることをここに申し上げて、この条文に対しては虚心坦懐に御理解をいただくことが大事だということを私は再度申し上げたいと思うのです。いかがですか。
#134
○伊達政府委員 暫定的適用の性格の問題になってしまうのでございますが、この第九条に、御指摘のように、正式に批准書、受諾書、承認書、締結書等を寄託したものと、それから暫定的適用宣言を行ったものとを同等に取り扱いまして、効力発生にかかわらしめていることは事実でございますが、その内容そのものはこの条文からは出てまいりませんけれども、暫定的適用宣言というのは、本来的な意味における締約国ではない。そうしませんと、先週申し上げた暫定適用の解釈との矛盾が起こってまいります。この暫定適用と申しますのは、先週も御説明申し上げましたように、それぞれの条約自体の義務を負うものではなくて、条約の全部、つまり百なら百の義務を負うものではなくて、そのときどきのその政府に与えられている行政権の範囲内においてその条約の規定を適用していけばよろしいということでございますので、本来的な意味における締約国ではないというふうに御理解いただきたいと思います。
#135
○土井委員 いま御説明なすったような根拠は、本議定書のいずれに書いてございますか。
#136
○伊達政府委員 明文の根拠というものはこの条約には書いてございません。しかし、これも先週御説明申し上げたところでございますが、暫定適用というのは、そもそもそのような制度といいますか、そういうものが考え出されてきた経緯からいたしましても、これは先ほども御説明申し上げた内容を持つ暫定適用でございまして、あくまで締約国として完全な義務を受諾するものではないというふうに私どもは理解しておりますし、かつまた、それが国際的な解釈というもので確立いたしているものと御理解願いたいと思います。
#137
○土井委員 それは一般論として、伊達参事官がお考えになっているお考え方なんです。いま審議しているのは、伊達参事官の考え方について審議しているわけじゃない。議定書について審議しているわけでありますよ。したがって、議定書で暫定的適用宣言ということを問題にしている中身はこういうものであるということが、他の部分でいまおっしゃったような中身として明らかであるならば、私は伊達参事官の御意見に従います。しかしそういうことはどこにもないのです。ただあるのは、暫定的にこの議定書の締約国政府とみなされる、適用宣言をやったら締約国とみなされるのですよ、というふうにしか明示していないのですよ。ほかには、特にいまるる御説明なさったような趣旨を理解しようとしても、そういうことを明記しているところがないのです。ただ国際上の慣例であるとか、先週その席で御答弁になった、かのウィーン条約などをまた引き合いに出されるかもしれない。しかし条約法に関するウィーン条約というものは、これは伊達参事官御承知のとおりでありまして、未発効であります。日本も批准をいたしておりません。これを引き合いに出されること自身非常におかしいことになってくる。それならそれでやりますよ。非常におかしいことになってきます。これを引き合いに出して、これが国際的なわれわれが従うべき準則であるとおっしゃるなら、どうしてこのウィーン条約について日本は批准しなかったのです、と言いたいのですよ。いかがですか。
#138
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘のように、ウィーンの条約法条約というのはわが国もまだ加入、批准いたしておりませんし、それからまだ未発効のものでございます。ただこの条約は、御承知のように国際法委員会というものがございまして、各国の国際法の学者及び学識経験者が集まりまして起草した条約でございまして、その限りにおいて国際法の主たる考え方、条約についての考え方というものを集大成し、具現しているものというものでございます。私も先週、なお傍証として申し上げますがという言葉をたしか使ったと思いますが、必ずしもこれが根拠だからと申し上げたわけではございませんので、国際法委員会というような場においてでき上がりましたそのような条約の解釈、そういうものを傍証として申し上げたにすぎません。
#139
○土井委員 それはやはり伊達参事官御自身がお考えになっていらっしゃる物の考え方だと思うのです。この議定書で、そういう本則にのっとって暫定的適用というものは取り扱ってみたいということであるなら、その旨を明らかにしておくというのが本来あるべき姿だと思うのですよ。それがないということは、現にあるこの議定書の中で、日本としてはどのようにその問題を考えているかということを示している限りにおいて理解しなければならないでしょう。これは国際条約として、すでにこういう議定書の中で明らかにされているところはどういうところであるかということによってこの中身を理解する以外にないでしょう。そうしますと、暫定的適用については、おっしゃっていることは国際的常識としてあるかもしれない。一連の国際法学者がそういう見解を公にしているかもしれない。そしてウィーン条約の中身では、暫定的適用ということについてそれを取り扱っている項目もございます。けれども、本議定書について果たしてその問題はどうであるかということは、私が繰り返し言うとおり、この議定書がどのようにそのことを決めているかに基づいてどこまでも考えていかなければならない。だからこの問題は、日本は締約国政府とみなされる。一応第八条「暫定的適用」ということを決めている規定が示しているとおりに考えなければいけない、どこまでいっても。その問題は幾ら伊達参事官に申し上げても、私は水かけ論だと思うのですよ。
 ところで、一つ申し上げたいのは、先ほど私は、暫定的適用宣言は日本はしましたね、その根拠は何でございますと言ったら、第八条だと言われた。この第八条というのは、いま審議をしております議定書の第八条なんですね。一九七一年の小麦協定の第八条じゃない。その一九七一年の小麦協定が昨年の六月三十日をもって失効する、それを一年期限を延期するということを認めた本議定書の第八条に基づく行為であったわけですね。このことをひとつ確認させていただきましょう。
#140
○伊達政府委員 基づくという言葉でございますが、この条約において認められている暫定的適用宣言をしてもいい、することができるという限りにおきまして、この第八条に基づいて行った宣言でございます。
#141
○土井委員 そうすると、この議定書の第八条という条文を日本はすでに適用して行政行為をなさったということが言えますね。これを確認させていただきましょう。
#142
○伊達政府委員 行政府限りで行える内容のものでございますので、そのような適用宣言を寄託いたしたわけでございまして、先生の御理解のとおりでございます。
#143
○土井委員 そうしますと、もうすでにこの議定書自身は動いているわけでございますね。
#144
○伊達政府委員 先生大変むずかしい点を御指摘になったのでございますが、条約というのはいろいろと、何と申しますか……。
#145
○土井委員 そんな言いわけは要らない。動いているのでございますねと私は聞いているのです。
#146
○伊達政府委員 その意味においては、その限りにおいて動いていると言えます。
#147
○土井委員 すれば、もうこの議定書自身は現に足を生やして先行してしまっている。現に動いているのですよ。いま動いていることをお認めになった。第八条というのはすでに日本において適用されてしまっているのです。適用して、政府の行政行為において暫定的適用宣言をおやりになったんですから、本議定書というのはすでにもう動いているのです。日本も、この議定書が有効であるということに従って、すでに行為をなすったということなのですね。お認め願います。
#148
○伊達政府委員 そういうふうに見ることもできると思います。
#149
○土井委員 そうしますと、先週、私は伊達参事官に、憲法七十三条の三項による「條約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、國會の承認を經ることを必要とする。」という条文解釈をしながら、これは事前承認なんですか、事後承認に当たりますかとお伺いをいたしましたら、事前承認に当たりますと非常に自信のあるきっぱりとしたお答えでございました。果たして、これはきっぱりと事前承認をいま国会に求めているとおっしゃれますか。
#150
○伊達政府委員 第八条が動いているか動いていないかという御質問になりましたときに、私がいささか限定つきのお答えをしたわけでございますが、つまり、第八条に基づいておるか基づかないかという点でございましたが、私が頭の中にございましたのは、もう一つはこういうことでございます。つまり、条約上第八条というもので暫定適用宣言というのは認められている、しかし、日本が暫定適用をするのは、これは先週来申し上げておりますように、政府の行政権の範囲内において、経済の条項も含まないような理事会管理規定のみを持つものが一年間延長されることについて……。
#151
○土井委員 そういう理由は要らないです。私がお伺いしていることに対してお答えください。問題をずらさないでください。こっちが質問していることに対して御答弁してください。
#152
○伊達政府委員 事後承認であるか事前承認であるかという点につきましては、私どもは事前承認であるというふうに先週お答え申したわけでございますが、それについては考えは変わっておりません。
#153
○土井委員 ならば、事前承認であるということを、ひとつ理由を明確にお聞かせくださいませんか。先ほどの私がお尋ねしたこととも関連してお答えをいただきたいと思います。
#154
○伊達政府委員 これも前回御説明申し上げたところではございますが、日本は暫定適用というものは行政権の範囲内においてできるものである、すなわち、行政権に与えられた権限を逸脱するような義務を受諾することは一切含んでいないで暫定適用を行うものであるというふうに解釈をし、かつまた、これが国際的な解釈として確立しているものでございます。したがいまして、日本が昨年の六月十九日に暫定適用の宣言をいたしました、これは事実でございますが、そこで何を暫定適用するかと申しますと、これは協定というものがございますので、これを一年間延ばす趣旨には賛同する、そしてその限りにおいて行政府としてできる範囲内においてそれに協力し、それを適用いたしていきましょう、ただし、行政府がその権限を越えなければできないような義務というものがありとすれば、それは承知できません、それは実際上いかに協定の適用といっても日本については適用がないのでございますという意味において暫定適用宣言をいたしているわけでございます。したがいまして、この条約は、もし国会の御承認を得た上でこれから批准書ないし承認書というものを寄託いたしますれば、日本は正真正銘の締約国として一〇〇%の義務を負う、その意味において批准書の寄託ないしは受諾書の寄託というものが締結行為に該当するわけでございますが、日本はまだこの条約を締結していない、したがって、それ以前におきましては、国会の御承認を得るのはこれは事前承認である、このように私どもは解釈いたしておるわけでございます。
#155
○土井委員 いま、この暫定的適用というのは行政行為の範囲でできることであるからという前置きで御説明になりました。憲法七十三条の三項にいう「條約を締結すること。」、すべて行政行為ですよ。条約締結行為というのは行政行為ですよ。行政行為以外のものじゃないのです。行政行為の範囲内でできるということを理由にしながら御説明になったって、それは理由にならない。あらゆる条約を締結する行為というものは行政行為です。まずそれが一つ。あと順を追って申し上げます。
#156
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 行政行為の範囲内でともし私が申し上げましたのであれば、それは言葉の誤りでございまして、行政権の範囲内でということでございます。先生が条約の締結は行政行為であるとおっしゃいましたのは、これはまさに御指摘のとおりでございまして、ただ、日本国の憲法第七十三条上、本来的な意味における、憲法上の意味における条約を締結するのは、国会の承認が必要であるということを私どもは考えておるわけでございます。
#157
○土井委員 いま行政権の範囲内とおっしゃった。同じことであります。内閣というのは行政権者ですよ。しかも、内閣の行政権について憲法上具体的に明記されている行為の一つに「條約を締結すること。」というのがあります。これまさしく行政権の名において、行政権の範囲内として憲法が明定している内閣の権限じゃないですか。それ以外のものじゃないですよ。
#158
○伊達政府委員 行政権の範囲内と申しますのは、そのときにおきます法令及び予算において、政府、行政権に対して認められた権限の範囲内という意味で私は使っているわけでございます。
#159
○土井委員 言葉のあやというのを取り上げて、行政権についての定義ということを問題にし出したら、これはいろいろあると思うのですが、いまここで問題にしているのは、憲法七十三条の三項であることはあくまでもお忘れなく。それを先ほどから私は問題にしておるわけであります。
 そうしますと、お互いが討議をする土台というのは、憲法上行政権というのはどういうふうに考えられているか、行政行為というのはどのように考えなければならないのかということを認識しながら討議すべきでないでしょうか。別枠を持ってきて、私はこういう意味でこれを使ったというふうな御説明をお伺いするようになったら、これは切りがないと思うのであります。だから、そういう意味も込めて、私のお伺いしていることに対して明確にお答えをいただかなければなりません。
 さて、あくまで第八条というのは暫定的適用について規定をしている条文でしょう。私は、質問の最初の方で、日本が暫定的適用宣言をやった根拠はいずれにございますかと聞いたら、本議定書の第八条と明確にお答えになったわけですよ。第八条に従って日本は暫定的適用宣言をすでにアメリカ政府に対して昨年の六月十八日に寄託をしている。やっているわけですね。それ以後、好むと好まざるとにかかわらず、日本が国内的にいかに説明を弄しようとも、この議定書というのは国際間において有効であり、物を言うわけであります。この国際間において有効である議定書の中では、日本が暫定的適用宣言をやったそのときから、この議定書の締約国政府とみなされているわけですよ。締約国になるためには、批准が必要でございますとか国会承認をいただかなければなりません、先ほどの御説明でございました。それは正真正銘、この議定書の中にも第六条に従って「批准、受諾、承認又は締結」という項目があって、この手続を、日本の場合には自国の憲法上または制度上の手続に従って行わなければならないという義務があるわけですね。ただしかし、この第八条という条文も同じこの議定書の中にある同列の条文であります。いま私が申し上げた第六条と第八条というのが同じこの議定書の中で問題にされているという、この条文に対しての認識、特にこの八条に根拠を置いてすでに暫定的適用宣言を日本はやったという行政行為、もうすでにこの議定書の一部は政府の行政行為において有効に適用されておりますねと聞いたら、先ほど、はいとおっしゃったんです。そういう点からしますと、この議定書というのはもうすでに有効に動いてしまってるんですよ。日本も国際間においては、締約国政府とみなされているんです。この問題をいまひっ提げて、国会で承認をしていただきたいという問題になっているわけでしょう、この議定書についての審議なんですから。この議定書について承認をしてもらいたいということなんでしょう。したがって、そういう前後関係からすると、正真正銘、国会に事前の承認を求めて、ただいまこの議定書を本外務委員会に審議の席上、提出したということが言えますか。いかがです。
#160
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 やはり日本は、締結ということは、憲法上、国会の御承認を必要としているわけでございまして、承認を得た上で締結をするという考えから出発いたしているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、これはいかなる意味においてもまだ締結行為をしたものではない、したがって、これは事前の御承認を仰ぐものであるというふうに考えております。
#161
○土井委員 いかにそういうことをおっしゃろうと、いま伊達参事官のおっしゃったことは、日本の国内的手続の点から言うと確かにそうであります。まだ日本はこの条約に対して締約しておりません。しかし、国際間においては、この議定書に基づいて日本という国の立場、日本という国の権限並びにこの議定書に拘束される中身というものが決まっているわけでしょう。この議定書の八条によると、何遍も繰り返して言うんですが、この暫定的適用宣言を行った以上は、この議定書の締約国政府とみなされているんですよ。したがって、国際間における日本政府の立場と、国内における日本政府の立場とは相矛盾するということになるんじゃないですか、そういう点から言うと。したがって、国内においては、まだ正式にこれが締結をいたしておりません、締約国になっておりませんがゆえに、いろいろと義務の上では日本政府としてはこれに縛られることがないのでありますという御説明をなさるに違いない。先ほどからそれを承っております。しかし、国際間においては締約国とみなされているわけでありますから、その事柄に対して日本にかけられる期待というのがあるわけでありましょう。その間の政治的な責任というのはいかがなりますか。どうなんです。
#162
○伊達政府委員 政治的な責任の問題でございますが、暫定適用の国というものはあくまで暫定適用の国でございまして、これにつきましては、国内において、ただいま先生が申されたような、また私が申し上げておるような御説明をしているわけでございますが、それが同様に国際間においても説明し得ることであり、その解釈が国際間において適用されているものでございますので、政治的な責任が生ずるという問題はないと思うのでございます。
#163
○土井委員 それは、そういうふうな認識が一部にあるかもしれません。またそういう認識を持っていらっしゃる方々がいらっしゃることも事実でありましょう。けれども、この議定書に基づいてあくまで、いろいろ議定書の中身の手続関係というのは取り扱われるわけであります。これは純然たる手続関係ばかりしかないわけでありますから。手続関係が取り扱われるわけでありますが、この手続関係が取り扱われるときに、日本というのは暫定適用宣言を行っている国でありますから、したがってこの締約国政府というふうにみなされて取り扱いがなされるということは事実でしょう。それは第九条以降の効力発生の問題についてもそういう取り扱いがなされてありますし、この議定書全部についてそういうことが問題にされるというわけであります。
 したがって、そういう点から言うと、大体これは締約国ではない、締約国とみなされる、締約国とは違うのであるから、みなされておる国についてはいろいろと国際上の取り扱いということも別に支障を来たさないであろうというふうな御説明でありますけれども、それはそうじゃなかろうと思いますよ。国際会議の席において、締約国とみなされておる政府に対しては発言権がないとか、それから締約国とみなされておる政府については通達がないとかいうふうなことではないでしょう。みんな一律に取り扱われるわけであります。それは第九条以降の条文をよくお読みになるとよくわかる。したがって、これは国際間においてすでに締約国政府とみなされてしまう、その行為を日本の政府はすでにおとりになっておる。しかもそのおとりになった根拠はいずれにあるかというと、ただいまになって審議をしている議定書の第八条に根拠がある。だから、いわば政府がおとりになった暫定的適用宣言というものを追認する形で、それも含めて、ただいま議定書に対して国会は承認をしなければならないということになっておるわけであります。あるいは承認しないかもしれませんよ、まだこれは未知数でありますけれども。しかし国会の承認というのは、この中の八条の、具体的に言うと、この議定書のある部分はすでに行われてしまっているということについての追認も含めて、いま承認をするというかっこうになるわけであります。これを称して国会の事前の承認をいまお願いしておると先ほどおっしゃいましたけれども、そのとおりきっぱりと言い切れるものでしょうか、大臣いかがでございますか。
#164
○宮澤国務大臣 大変高度な御論争で専門的な知識が十分ございませんけれども、結局、暫定適用という制度がこの議定書によって設けられておる。その適用を受ける選択をするかしないかということは主権国側の自由であると思います。わが国はこの選択をしたわけでありまして、なぜできたかといえば、それは政府が行政権の範囲内の行為としてそれができたのであって、この八条の選択をする、いわゆる権限を与えたものではなくて、行政権が固有にそういう権限を持っておって、たまたまこういう選択がこの議定書によって与えられておりますから、それを選択したにすぎないというふうに考えます。まず前段、私はそういうふうに考えていいのではないかと思います。
 それから、国会に御承認を求めておりますのは、いわゆるみなし締約国になることの御承認を求めているのではなくて、締約国となることの御承認を求めている、こういうふうに考えています。
#165
○土井委員 すでにいま日本はみなし締約国なんですよ、暫定適用宣言を寄託いたしておりますから。いわばみなし締約国でしょう、いまの大臣のお言葉をおかりすれば。みなし締約国から正式の締約国になるために国会の承認をいまいただくということになるわけでありますね。みなし締約国というのは根拠はどこにあるのですか。天から降ったり地からわいたりして急にみなし締約国になったわけじゃない。しかも行政権の範囲内というのはどこまでも言われるわけでありますが、そういうことがえて勝手にできているわけじゃなくて、いま大急ぎで国会の承認を必要とする本議定書の意味というのは、うかうかしていると、この六月三十日でこの議定書は無効になるというところに問題があるわけですね。ただしかし、無効になる以前に、この議定書に対して日本は採択すると同時に、採択してから後、この議定書の八条に基づいて暫定適用宣言をやっているといういきさつがあるわけでしょう。暫定適用宣言をやって後、今日に至るまでどうなっていたかと言ったら、一九七一年の小麦協定というものは有効に動いておりますということを日本は認めて今日に及んでいるわけですよ。そういういきさつですね。ですから、まことに大臣は端的におっしゃったけれども、日本はすでにみなし締約国なんです。みなし締約国である日本が、これを国会に承認をということで、改めてそのもとになっている議定書をお出しになるという行為は、事前に受ける承認ときっぱり言い切れるか、どうですか。大臣、いかがなんですか。
#166
○伊達政府委員 みなし締約国から正式の締約国になることにつきまして、実体的には、突き詰めていえば、今回国会の御承認を得るわけでございますけれども、みなし締約国と申しますのは、先ほど来御説明申し上げておりますように、条約の本来的な意味における締約国ではないのでございまして、これは日本は行政権の範囲内において、この条約が生きている間にその規定に沿って行えることを行えばよろしいという意味におきまして、暫定的適用宣言をしているわけでございまして、条約上それが締約国であるとみなされて、発効要件の上で発効の数の中に含められているということがあるわけでございます。また実体上は、これは御承知のように経済条項も含んでおりませんし、実体的な権利義務関係というものが発生いたすような実体的な問題はございません。ただ単に情報の交換でございますとか、ないしは小麦市況の検討でございますとか、それから将来の実体規定を含めた、経済条項を含めた協定の作成の検討というようなことでございますので、これは全く行政府限りにおきまして外交案件の処理といたしてできるわけでございます。したがいまして、みなし締約国という言葉がどうも悪いのでございますが、みなし締約国という言葉があるからゆえに、普通の正規の締約国と同等の権利義務を負うものである、したがって、それが事前ではなく、事後の承認ではないかとおっしゃられる点は、私どもが再三御説明申し上げておりますように、そうではなくて、やはり事前の承認であるというふうに私どもは考えているわけでございます。
#167
○土井委員 しかし、私はこの議定書が軽い議定書とは決して考えておりません。小麦協定が軽い協定とは決して考えておりません。しかし一般に、外交案件を処理することということを理由に、国会の承認を得るまでにすでに足を生やして有効に歩いてしまうような中身を持った暫定的適用宣言を政府の名においてやれば、幾らだって有効にそれは動くことができるということになっていったら私は大変だと思うわけであります。それを認めたら一体何のために七十三条三項で――私は先週の質問でもこれは少し申し上げたわけでありますが、事前に、あるいは時宜によっては事後の国会承認が必要であるという理由がさっぱりなくなってしまう。那辺に国会の承認というものを憲法が重要視しているか、原則としては事前に国会承認が必要なんですよ、だけれども万やむを得ない場合について、時宜によっては事後承認が必要なんですよと。しかし、どこまでいっても国会承認というものを非常に重視しているという点はよもや軽くはお考えになっていらっしゃらないだろうと思う。
 そういう点からすれば、この暫定的適用という問題について、私は、いますんなり考えられるのは、すでにこの議定書の第八条の部分、これに根拠を置いて日本は暫定的適用宣言を行った、みなし締約国になっている、この議定書を改めて国会の承認をいま求めている、いわば事後承認なのだということが非常にすんなりするし、すっきりすると思うわけであります。事後承認なんじゃないでしょうか、これは。すでにこの議定書というのは有効に働いて、いまやもう大半の期日を経て、有効な期間というのは六月三十日を期して終わるわけでありますから、目の前に有効期間の期限切れは来ているのですよ。
 ならば、もう一つひっくり返ってお伺いしますが、この議定書が採択されたのは一体昨年の何月何日で、そしてその後すぐにこれに対して国会承認を得ようとしたら、国会は開会されていなかったかどうかという時間的前後を確認していただけませんか。
#168
○栗原委員長 速記、とめて。
#169
○栗原委員長 速記、つけて。
#170
○伊達政府委員 関係国間におきまして、この議定書の案が昨年二月二十二日に採択されまして、日本が署名いたしましたのは四月十九日でございます。そして六月十八日に暫定的な適用を宣言したわけでございます。
#171
○土井委員 それではこれで休憩に入りますが、休憩に入る前に一言ここで確認しておきたいのは、簡単なことです、これは午前中に引き続き審議の中でも明らかになりましたけれども、六月十八日に暫定適用宣言をアメリカ合衆国政府に対して寄託なさる以前に、国会に対して、暫定適用宣言じゃないですよ、承認を得る手続をとる時間的余裕というのは全くなかったかどうかを、一言でいいですからお答えいただきたいのです。
#172
○伊達政府委員 全くございませんでした。
#173
○土井委員 これについては全くないという御意見を確認しておいて、後、質問は続行させていきたいと思います。
#174
○栗原委員長 本会議終了後再開することとし、この際休憩いたします。
    午後一時五十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時九分開議
#175
○栗原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。正森成二君。
#176
○正森委員 この前の質問のときに私が、世界食糧会議で、非常に飢餓に瀕している諸国民等が生じた原因はどこにあると食糧会議の宣言の前文で言っているかということをお聞きしたのに対して、政府委員に十分の答弁の御用意がございませんでした。そこで委員長の御指示で質問を中断したわけですが、その問題について改めて答弁を伺います。
#177
○鈴木政府委員 世界食糧会議で採択されました宣言でございますが、この宣言は前文に十一の項目を並べておりまして、そういう状況を認識、リコグナイズした上で次のような宣言をするということで十幾つかの項目が掲げられております。その前文の中にどういうことが書かれておるかという御質問かと思いますが、この前文十一項目の要旨を、もしお差し支えなければここで申し上げてよろしゅうございましょうか。
#178
○正森委員 時間がないの。だから要旨だけ言ってください。
#179
○鈴木政府委員 まず第一点としましては、その開発途上国の深刻な食糧危機は経済社会的に重要なばかりでなくて、人間の生存権あるいは尊厳を危険にさらすものであるということが第一の点。
 それから第二に飢餓の撲滅と栄養改善がすべての国の共通の目的である……。
#180
○正森委員 そういうことを聞いているのじゃなしに、そういう地位になったのはどこに原因があるか、どういうように指摘しているかということを聞いているのです。大臣がおられる時間は全部で二十分しかないのです。だから簡単に答えてください。
#181
○栗原委員長 委員長からも、簡潔にお願いをします。
#182
○鈴木政府委員 その点、特に前文の中でいま御質問に関係する点は恐らく第三の点ではないかと思いますが、その要旨は、申し上げますと、飢餓と栄養不良の影響を受けている人々の状態は、植民地支配やあるいは現在も続いている新植民地主義等の社会的不平等というようなものを含む歴史的状況によって生じておるということを認識の一つとして掲げているということでございます。
#183
○正森委員 いま答弁がありましたように、私は、ここに「世界食糧会議に出席して」ということで、わが政府の代表団の一人でありました農林省顧問の亀長友義さんがお書きになった論文を持っておりますが、その中の一部に「大会宣言の骨子」というのがあります。その前文に、いま政府委員が答えたのと同じようなことが載っておりまして「飢餓と栄養不良に悩まされている人々の地位は、彼らに対する社会的不平等、外国の植民地主義による支配、人種差別、あらゆる形での新植民地主義による差別および十分な解放を妨げている大きな障害を含む歴史的な環境から発生している。」というのが亀長さんがまとめられている前文の骨子であります。
 そこで、これは開発途上国などで起こっている食糧の飢饉というものが、一般に言われているようにその地域で人口がふえているとか、あるいは天候がどうであるとかということだけではないんだ、むしろそれより以上に植民地主義あるいは新植民地主義、社会的不平等というものが問題になっているんだということを世界食糧会議が指摘したものだと思います。
 そこで大臣に伺いたいと思うのですが、わが国が今後国際会議等で食糧問題等について態度を決めていく場合に、こういう点を十分に配慮して政策を決めなければならない、こういうように思っておりますが、そういうお考えには間違いがございませんか。
#184
○宮澤国務大臣 やはり過去の歴史にかんがみて、改善すべきは改善すべきであるという態度でございます。
#185
○正森委員 それに関連してすぐガットの問題を少しお伺いしたいのですけれども、前のいきさつがございますので、世界食糧会議関係のことを少し伺って次に進みたいというように思います。
 そこで、世界食糧会議に関連して、この前質問が保留になっておりました国際小麦協定の問題について質問を戻したいと思います。
 私は、手元に穀物グループに臨む農林省の考え方(案)という、三十八年六月二十日に農林省から出されました文書を持っております。それを見ますと、検討されるべき本件世界商品協定の内容としては、特に穀物の国際価格安定の問題、輸入数量の保証の問題等が問題となると考えられるが、わが国としては、穀物の主要な輸入国であると同時に、人口の三分の一を占める農業従事者(生産者)を擁している生産国であるという事実にも留意の上云々というようになっているのです。つまり、安定的な供給を確保するというだけでは不十分であって、人口の三分の一を占める農民の立場ということも考えなければならない、こういうことだと思うのです。そして同じ文書の中で、しかしわが国は、小麦については現在年間二百四十万程度の輸入を行っており、また長期的には国内生産は年間百五十万ないし百七十万トンとなっているところ云々というように書かれておるわけです。そしてまたわが国の穀物の価格支持の問題についても触れまして、わが国の価格支持は昭和二十五、二十六年を基準とするパリティ価格により行われているが、生産費を償うに至らず、他作物に比しても有利と言えない実情にあって、決して国内生産を刺激するほど高いものではなく、国際的に見ても不当に高いものではないことについて説明する、というようになっているのです。これはわが国の農政を考える上について非常に大切な問題だというように思うのです。
 そこで、現在小麦に限って聞きますと、この農林省の書類が出されました昭和三十八年では、農林省自身が小麦の輸入というのは年間二百四十万程度、そしてわが国内生産は年間百五十万ないし百七十万トンと、こう言うておるのですが、それが現在までにどういうように推移したかについてまず簡単に説明してください。
#186
○森実説明員 お答え申し上げます。
 三十七、八年当時は、小麦の生産はかなりの実績を持っておりまして、大体百五十万トンから百七十万トン程度の生産量の実績を持っておりました。四十三、四年以降特に激減いたしまして、四十九年産麦の生産量は二十三万二千トンということになっております。
 なお、輸入数量につきましては、四十八年、九年の状況では大体五百五十万トンから七十万トン程度という数字になっております。
#187
○正森委員 いまお答えになりましたように、輸入量は非常にふえ、そして生産量は減っているということですね。ここに私は日本農業年鑑の七四年版を持っておりますが、それを見てみますと、これは農林省の統計表でありますが、「ムギ類の作付面積は、六〇年の一四四万ヘクタールから、七〇年の四六万ヘクタールへと、一〇年間で一〇〇万ヘクタール減少し、七二年にはさらに半減し、七三年には二〇万ヘクタールを割って、ムギ作は日本農業から消滅しかかっている。」こういうことになっているのです。ですから、農林省統計が正しいとすれば、一九六〇年の百四十四万ヘクタールから七三年には二十万ヘクタールを割るというような状況になっておる。そしてあなた方は、自分の文書自身で生産費を償うに至らない麦の値段であるということを認めておりますが、同じように昭和四十七年度の農業の動向に関する年次報告、農林省、によりますと、たとえば米については一九七一年で家族労働報酬の一日当たりは二千三百八円、こう書かれておりますが、小麦は四百四十一円、まるきり引き合わない状況にあなた方は価格水準を置き、そういうことを行って、わが国の小麦の生産というようなものを不当に削減しているというようになると思うのですね。国際小麦協定で現在経済条項がないということはこの前の質問でも指摘いたしましたけれども、そういうように世界の食糧事情が非常に厳しくなっておりますときに、各国が自主的に食糧の確保ということを考える場合に、これでは余りにわが国のそういう意味でのセキュリティーというものに反するのではないかというように思いますが、いかがですか。
#188
○森実説明員 お答え申し上げます。
 麦の生産が激減しましたことは事実、御指摘のとおりでございます。ただ、これはやはり何と申しましても高度成長の中で裏作部門でございまして、経営規模も小さいし所得もまとまらない。それからさらに経営技術的に申しますと、日本の稲作技術の発展の方向がわせ化の方向をたどってきて、いわゆる作期調整の問題がかなり深刻になってきている。こういう状況を反映して麦の生産が減ってきたことは事実でございます。御指摘のような労働報酬の問題もいわばその一環をなす問題と私どもは理解しております。かような意味で、水田裏作を中心にして麦の増産を本格的に考えてみたい、かような意味から、昨年から従来の価格算定方式ではじかれます買い入れ価格のほかに、一俵当たり二千円の生産奨励金を支出すると同時に、水田裏作を中心にいたしました麦の集団生産組織、つまり、規模拡大による麦作経営の維持という問題について新しい援助を行うことを決めております。
#189
○正森委員 私の理解が正しければ、稲については非常に生産方法について向上しているというか技術が上だという意味のことをおっしゃいましたけれども、しかし同じように日本農業年鑑に書かれているところを見ますと、大体米の場合は、国内産米の政府買い入れ価格は海外相場に比べて三倍以上になっておる。最近でも日本米を輸出する場合は輸出価格はトン当たり六万円だが、政府買い入れ価格は約十七万円である、こうなっておるでしょう。ところが麦の場合はどうかと言えば、麦の輸入価格はトン当たり五万五千円近く、ところが日本の麦の生産者価格はトン当たりで小麦二類二等で七万四千四百三十三円だ、こう書いてある。そうすると、必ずしも生産方法がどうだこうだというよりも、価格の問題で、麦の価格がブッシェル一ドル五十セントというようなのがいま六ドル超えて、最近は少し下がりましたけれども、そういう状況の中で、やり方によっては、わが国の麦の価格が国際価格に対して米に比べれば少しの補助で引き合うようになっている。そうなっているのに麦が不当に重視されていないということが価格政策からも言えるのじゃないですか。
#190
○森実説明員 最初にちょっと私の御説明があるいは行き届かなかった点があると思いますので申し上げますが、私が申し上げましたのは、日本の稲作技術の増収と安定の方向がわせ化の方向をたどったために、作期の調整の問題というのが起こってきている。御案内のように、日本では内地については裏作の麦でございますから、やはりそこが重要な課題になっているということを申し上げたわけでございます。
 なお、政府の買い入れ価格と国際価格との関係でございますが、一九七二年以前の国際価格が非常に割り安な時代では、大体国際価格は輸入価格で換算してみて三万円弱であった。当時、政府買い入れ価格は六万円くらいになっていたわけです。今日の状況で申しますと、政府の買い入れ価格はトン当たり小麦が九万四千円、大麦が八万三千円でございますし、これ以外に、先ほど申し上げました生産奨励金が一俵二千円、トン当たり三万三千円ついております。したがって今日国際価格がかなり上昇いたしたといたしましても、大麦について言えば五万円、小麦については六万円前後の価格でございますから、かなりわが国の生産者麦価は割り高なものになっていることは事実でございます。ちなみに米の生産者価格はトン当たり約二十三万円強でございます。大体これもいまの麦と同じで国際価格が非常に変動しておりますから、大体倍近い形になっております。
#191
○正森委員 いま答弁がありましたけれども、そのことによって小麦が百四十四万ヘクタールから二十万ヘクタールを割るようになっておるということについて、価格政策の点で適切でなかったのじゃないかという疑問はやはり氷解しないと思うのです。しかし、大臣に対する質問の時間があと五分余りになりましたから、ガットの問題に質問を変えまして申し上げたいと思います。
 今度新国際ラウンドというのが始まりますが、わが国がそれに臨む方針の問題について、もしお答えができれば大臣から伺っておきたいと思います。
 新国際ラウンドでECなどが主張しておりますハーモナイゼーションといいますか、平準化というのに対して、アメリカはリニアカットといいますか、一律切り下げというような方針をとっておりますが、わが国はそれに対してどういうような態度をおとりになるおつもりでございますか。
#192
○宮澤国務大臣 実は似たような問題がケネディラウンドのときにもあったわけでございまして、わが国としては結局ガットができ上がりますときには一種のパッケージになると思いますので、その辺の動きを見ながら、あえてどちらに軍配を上げるということでなく、全体の各国の譲許といいますか、負担といいますか、それが均等になるようなバランスのとれた形にしよう、こういうのが基本的な態度でございます。
#193
○正森委員 私の承知しているところでは、新国際ラウンドに臨むためにアメリカが新通商法を定めましたが、その中で大統領権限としていろいろなことを決めておりますが、その中の非常に注目すべきところに意思決定機関の創設ということがあるわけです。これは伝えられるところでは、ガットについてもIEA、国際エネルギー機関と同じように加重投票制を導入するということで、一国一票ではなしに、そういうようなものを導入したい、つまり敏速に力関係に応じた決定ができるようにという趣旨だろうと思いますが、そういう考え方が入っているということが言われております。もしそういうことになりました場合には、これは決定の仕方についての一種の非常な変革だと思うのですが、もしそういう提案がなされる場合には、わが国としてはIEAと同じような態度をとるのか、それとも従来の投票制度を維持するようにするのか、それはどうですか。
#194
○宮澤国務大臣 ただいまのアメリカの法律は、聞くところによりますと議会の議論の中にそういうような論がありまして、一種の努力をしろという行政府に対するアメリカの議会の意思を反映したもの、そういうふうに了解をしておりますので、アメリカがどれほどそれに固執いたしますか、一つ問題がございますが、仮にそうであったとしても、ガットという場はそういう場ではございません。したがって、わが国としてそのような投票制度を設けることは、ガットの場では適当でないというふうに考えます。
#195
○正森委員 ガットでいま非常に問題になっておりますのは、開発途上国がみずからの国の利益をどう守り、いわゆる先進国と利益調整をどうするかということだろうと思うのです。今度、新国際ラウンドが行われますと、これは関税がハーモナイゼーションかリニアカットか知りませんが、とにかく下げられる。そうすると開発途上国は一般特恵といいますか、特別の特恵を持っているわけですから、ガットの場でそういうことが決まりますと、いままでの既得利益といいますか、そういうものが減少することになるということの意見が非常にあると思うのです。そういう開発途上国の意見にも配慮を示さなければならないし、東京宣言に関連して、わが国の閣僚の演説もはっきりとは触れておりませんけれども、開発途上国の利益というものは十分尊重するというようになっていると思うんですね。そこで、そういう問題が出ましたときに、開発途上国の利益をどういうぐあいに守る方向でいかれる予定ですか。そして、そういうぐあいになりましたときに、競合するわが国の中の比較的生産性が進んでいない産業といいますか、そういうものの利益の保護との関係はどうなさるおつもりですか。
#196
○宮澤国務大臣 二つの違った方向からのお尋ねであったわけでありますが、基本的に考えまして、このたびのガットの交渉は、前回、ケネディラウンドの交渉におけるよりももっと強く開発途上国の主張がなされるであろう。そして、われわれは前回よりももっと注意深くそれに耳を傾けなければならないのではないか、事態はそういうものとして認識をいたしております。
 ただいまの、一般の関税率が引き下げられますと、特恵のうまみがそれだけ薄れるではないかということは、それは確かに理屈上、そういうことであると思いますけれども、まずどれだけ、どういうカットにしましても引き下げが実現できるかということに力を尽くしまして、その後に、特恵がそれによってうまみが薄れた部分をどういう形で開発途上国の利益という形で補っていくか、これは別途の問題として考えるしかないのではないかと思っております。
 それから、それとの関連で、そのような特恵を与えた結果、わが国の産業のおくれた部分と競合関係が生じるではないかということも御指摘のとおりでありますから、その場合にどういう制度をいたしますか、いまのようにタリフクォータのようなことをいたしますか、まあわが国の産業の国内的な構造改善も進めてまいる必要があると思いますが、その辺のことも十分注意しながらやってまいりたいと思います。
#197
○栗原委員長 永末君。
#198
○永末委員 外務大臣は就任された直後、わが国がいま当面しているきわめて困難な経済問題であるインフレは、もし外交的な処理がうまくいけば、その大部分は解消せらるるだろうという旨の御発言がございました。これはそんたくしますに、ガットが考え、また所期しているような方策がうまくいくならば、いまわが国が当面しておるインフレというものの原因の多くは取り除かれはしまいか、こういうようなことをお考えになったのでしょうか。
#199
○宮澤国務大臣 仰せられますようにそれも一つでございますが、同時に、エネルギーにいたしましても食糧にいたしましても、価格が急に上昇したことによって、わが国が不安にさらされたという要素が多うございましたから、仮にその価格が昔に戻りませんまでも、何か今後安定した推移というものを国際的に考えるならば、あの当時起こりましたような不安というものはかなり解消するのではないか、そういう国際的な努力、合意をも考えたいという意味もございました。
#200
○永末委員 ガットはもともと買い手市場、すなわち供給がたくさんあって、そして買い手の方がこれに対してどうするか、同時にその買い手である各国の国内産業を見合いつつ関税をどうするか、こういう問題であったと思うのです。ところが、いま外務大臣の言われましたように、供給側が供給を制限したり、あるいは価格を一方的に高くつり上げる決定をするということは、もともとこのガットが考えられたときに考えていなかった条件ではなかろうか。そうしますと、世界の経済の安定のためにガットの果たし得る範囲というものがきわめて狭くなっておるということになりはしまいか。だといたしますと、日本のインフレを食いとめるためには、ガット以外の何らかの方法というものを考えざるを得ない、こうなると思いますが、いかがでしょうか。
#201
○宮澤国務大臣 それは確かにむずかしい問題でございますけれども、従来、永末委員の言われましたように、ガットというものは主として輸入規制、輸入制限をどうやって防ぐかということを考えておったわけでございますけれども、輸出規制というようなことが行われてまいりました。これはガットが従来余り想定していなかった事態でございます。それに対してどういうふうに対処するかということになりますと、まず今度のガットの場でそういう輸出規制というようなものについても考えなければならぬではないか、これはわが国だけではございませんが、そういう問題意識を出しまして、そして輸出国との間でどのようなことが可能であるかということを、グループでもつくって研究をしなければならないと思うのでございます。その末がさてどういうことになりますか、ガットに新しい規定を設けることになるか、あるいはまた別途、輸出と輸入との間の何かの形の協定あるいは了解というようなものを形づくるようになるか、実は問題は、ちょっといま輸出国の力が大変に勢いが強うございますので、従来の経験からはちょっと見通しにくいのでありますけれども、いずれにしても、そういう問題が新たに非常にむずかしい問題として加わりましたことは仰せのとおりであります。
#202
○永末委員 だといたしますと、いま新国際ラウンドの機が持ち上がっておりますが、日本国政府としては、いままでガットでは考えていなかったけれども、輸出規制の問題を問題点として提出する、こういう構えで臨む、このように了解してよろしいか。
#203
○宮崎(弘)政府委員 先ほど大臣から申し上げましたように、輸出に関しますガットの規定は比較的不備ということでございますが、ただ原則は、ガットの第十一条に、輸出及び輸入全般につきましていろいろな禁止ないしは制限を新設したりあるいは維持してはならないという規定がございます。それに対します例外規定がその同じ十一条の後の方にあるわけでございます。
 そこで、私どもといたしましては、他の国と話し合いながら、十一条にございます輸出に関します規定を、さらに詳細な一つのコードのようなものでもつくりまして、なるべく輸出も、いわば余り恣意的な政府の判断によって規制できないような形のものをつくりたいと考えているわけでございます。ただ、この点につきましては、一部の輸出国側にかなり強い反対もございまして、この問題をめぐりまして次期の国際ラウンド、東京ラウンドの中で討議をするという一つのグループをつくりまして、そこで各国の意見を持ち寄って、これを何とか輸出国にとっても輸入国にとっても満足のいけるようなものをつくりたいという努力をしかかっているところでございます。ただし、その成り行きにつきましては、まだいまの段階では予測することが困難かと存じます。
#204
○永末委員 新しい東京ラウンドの中でというお話がございましたが、食糧については、いわゆる資源供給国はガットの機構の中に入っておりますが、OPEC機構に入っておる諸国は入っていないように思うのですけれども、これらの諸国をくくるというのは一体ガットでできるのかどうか、いかがですか。
#205
○宮崎(弘)政府委員 御指摘のとおり、OPEC諸国の中でガットに加盟しておりますのはクウェート、ナイジェリア、インドネシア、ガボン、この四カ国のみでございまして、そのほかイラン、その他の若干のOPEC諸国が、ガットのメンバーではございませんが、ガットの作業に参加しているものもございます。しかしながら、何と申しましてもガットの規定によりまして、あるいはガットの交渉によりまして、OPECのいわゆる現在とっております価格政策なり生産政策なりを討議するということは非常に困難かと存じます。で、次期国際ラウンド、東京ラウンドにおきましても、石油の問題を正面から取り上げて論議することは、いまのような事情から相当の困難が伴い、むしろ石油の問題はここでは議論せずに、他の場で議論することになる公算が大かと考えます。
#206
○永末委員 外務大臣、ガットではございませんが、別途の角度で、たとえば石油についても備蓄をやろうではないかというキッシンジャーの呼びかけがあり、食糧についても、世界食糧会議で似たような呼びかけがございます。さて、その備蓄ということ、それはわが国の経済の角度からもそれぞれ必要性はございますが、ガットが期待したような意味での世界経済の交流という点から見ますと、備蓄というのはいささか外れているような気がします。備蓄によって期待すべき価格の変動というものがあるとするならば、そういういわゆる備蓄呼びかけということと、ガットというものに対するわが国の期待と、この二つ並べて御所見をお伺いして終わります。
#207
○宮澤国務大臣 ガットが、確かに言われますように、どちらかといえば買い手市場を反映して発足いたしましたために、いまのようなことは十分には考えられておりません。ただガット自身が商品協定をやることは認めておりますし、そこからまた幾つか商品協定が生まれたこともございますので、そのような商品協定の中において、こういう情勢になりますと、いろいろな意味での備蓄、バッファーの備蓄もそうでございますが、そういうものを取り入れた形での協定というものは考えられる。考えられるんですが、実はその負担をどうするとかいろいろむずかしい問題がございますが、ガットの関連で申せば、やはり商品協定の中でそういうものをこなしていくというのが方式としては考え方ではないかと思っております。
#208
○永末委員 終わります。
#209
○栗原委員長 正森君。
#210
○正森委員 それでは、大臣がおられるときにと思ってガットの方を少し先に聞いて質問がじぐざぐいたしましたが、世界食糧会議の問題についてもう一度聞かしていただきます。
 世界食糧会議ではいろいろ食糧の供給を安定させるために方策が練られましたので、その全部については本条約の審議との関係上触れませんけれども、二、三の問題について伺いたいと思います。
 キッシンジャー演説によりましても、穀物の備蓄というのが非常に重視されまして、通常の在庫のほかに六千万トンを備蓄すべきであるというような意見が出たやに聞いております。これに対しては、いろいろ意見が出たようでございますが、まずわが国はどういう態度をおとりになるおつもりですか。
#211
○宮崎(弘)政府委員 世界食糧会議でいろいろ議論されましたことをいわばフォローアップしますために、ロンドンで専門家の会合も開かれたわけでございますが、備蓄の問題につきましては、いわゆる各国政府が各国の判断で備蓄をするということにつきましては、私ども日本といたしましても、できるだけやりたいと思っておりますけれども、これは、国際的な管理のもとに置く備蓄ということになりますと、一体備蓄は普通の商業上のストック、ランニングストックとどういう関係にあるか、通常のランニングストックは、当然輸出国である程度持っているべきものと考えているわけでございますけれども、その上積みとなるのかどうか。また、この備蓄は一体どういう穀物の種類を備蓄するのか、あるいはまたこれをいつやるのか。またその備蓄を取り崩す場合はどういうときにやるのか等々の問題がたくさんございまして、日本といたしましても、無条件に国際的な管理のもとに置かれます備蓄について賛成するわけにはまいりませんし、あるいはまた無条件に反対するものではない。さらに、そういった具体的な問題につきまして詰めた上で、われわれの負担すべきものがあるかどうか、あるいはほかの国がどういう態度に出るかということを検討してまいりたいというふうに考えております。
 ただ、現状におきましては、世界全体で通常のコマーシャルのストックも非常に足りないような状況にございますので、いま直ちに備蓄を開始しようということになりますと、なかなか経済的にも困難がございます。したがいまして、この問題は長期にわたって検討事項として詰めるべきものは詰め、しかる後にわが国の負担も考えて方針を決定いたしたい、かように考えております。
#212
○正森委員 私が承知しておりますところでは、たとえばEC諸国は、キッシンジャー氏の言うこの備蓄案が強制的であるということに非常に反発をした。開発途上国は、そもそも開発途上国の農業生産が先進国の余剰農産物のダンピングによって破壊された。最近では先進国の経済政策の誤りからインフレを招き、その結果開発途上国に食糧危機が起きているというような前提の上に立って、巨大な備蓄ができるのは現実には米国を初めとする先進国だけであり、これが再びダンピングや政治的圧力の材料となり、先進国の主導権を強めるだけだということで非常に反発したようであります。そしてわが国政府も、他の諸国とは多少理由は違いますが、財政負担が大きくなり過ぎる、国内に貯蔵所がないこと等を主な理由に、消極的な態度をとったというように報ぜられております。こういうような諸国の態度を勘案して、わが国政府もキッシンジャー提案に消極的な態度をとったというように理解してよろしいか。
#213
○宮崎(弘)政府委員 キッシンジャー長官の演説にありますような六千万トンという数字が果たして妥当なものであるかどうか、先ほど申し上げましたように、輸入国としての立場からいたしますと、通常の貿易上のランニングストックは輸出国の負担で蓄えておいてほしいものであるということ、また日本自身が一番関心がございますのは貿易の面でございまして、日本自身としまして、必要な際には十分な食糧が、妥当な価格で安定的に買い付け得るということが私どもとしては一番の関心のある点でございます。ただ、キッシンジャー長官あるいはその他の国の人も言っておりますように、一部の国で非常な飢饉が生じて、その国の人々が困るような事態に備えて何がしか備蓄を行うということの必要性も、これを全く否定し去るわけにはまいりませんので、その辺のことを考えまして、ことに一部の開発途上諸国からは、必要な場合に食糧援助を受け得るような備蓄はしてほしいというような意見も出されておりますので、その問題をも十分勘案いたしまして、先ほど申し上げましたように、いますぐの問題でなくて、将来これは末長く続く議論かと思いますので、今後の状況の進展に応じて、さらにわが国の態度を固めたいというふうに考えておるわけでございます。
#214
○正森委員 もう一つ、世界食糧会議について聞きたいと思います。
 国際農業開発基金というのが今度つくられることになりましたが、それについては自主的な拠出で行うというようになっておったようですが、いままでのフォローアップの中で、その大体の金額あるいはわが国が負担すべき額というようなものは決まっておりますか。あるいはそれについて一定の方針をお決めになりましたか。
#215
○鈴木政府委員 基金の設立は今度の会議の大きな眼目であったことは先生御指摘のとおりでございますが、この基金をどういう形のもの、どういう内容のものにするかという議論は実はまだこれからの問題でございます。したがいまして、これに参加する国、それからどのくらいの額が適当であるかということはこれから論議されるわけでございますが、いずれにしましても、その性質は自発的拠出ということは動かないと思います。
#216
○正森委員 この基金が使い方によっては非常に役割りを果たすということも言われておりますけれども、他方では、たとえば産油国にオイルダラーがいっぱいあるから、これを拠出させてというような考えに対して、産油国などが気前よく現金を拠出すれば、それは自由市場で食糧価格をつり上げて、富裕な穀物生産者と多国籍食糧商社に利益を与えるのみではないかという心配があるということもまた事実なんですね。そうすると、金は出したが一体だれをもうけさせてやったのかわからぬということにもなるということが広く言われておる点も勘案して、わが国の政策を決めていただきたいということを指摘しておきたいと思います。
 それから、私は先ほど小麦の問題だけを挙げて農林省に伺いましたが、国際小麦協定に関連して聞くわけですから、余り広くいろいろなことを聞くわけにもまいりません。しかし、食糧問題を考える場合には、たとえば昔はアメリカから何でも買えるというように思っておりましたが、一九七三年の六月にアメリカが大豆その他を禁輸する、しかもそれが契約をしているものについても削減するというようなことから、わが国がひっくり返るようなと言ったら大げさ過ぎるかもしれませんが、非常な騒ぎになったことは御承知のとおりだと思うのですね。こういう点についても、たとえば農業年鑑などを見ますと、大豆では、一九六〇年に三十二万ヘクタールあったものが七二年には九万ヘクタールに落ちるというようなことで、非常に心細いのですね。現在は恐らくもっと落ちていると考えなければならないと思うのです。その点で、いろいろな本の中に書いてあるように、一国の安全というものは必ずしも軍備だけではない、食糧の自給率やエネルギー問題というものの自主独立性がなければ、あるいはそれに近ずく努力がなければ、軍備だけを持っておってもいたし方がないということは、この間のエネルギー危機やあるいは食糧問題等で広く識者に言われているとおりであります。
 そこで、農林省に、あるいは食糧庁かどちらかわかりませんが伺いたいわけですが、私が指摘しているようなことを前提にして、現在わが国の食糧の自給率は、最近の十年間ぐらいをとってみてどういうぐあいになっているのか。それから農林省は、食糧の自給率を考える場合にいろいろの方式があると思いますが、どういう考え方でやっているのかについて簡単に答えてください。
#217
○森実説明員 お答え申し上げます。
 まず一つは、自給率という御議論でございましたので、自給率の算定の仕方の問題を申し上げます。これは率直に申し上げますと、私ども、品目別に見るのが正しいのだろうと思っております。しかし、トータルとして全体の自給の姿を何らかの形で把握したい、こういう議論もあるわけでございまして、そこで、総消費量と国内の総生産額を卸売物価に換算いたしまして、総合自給率というものを仮に試算しております。これで見ますと、三十八年が八二%であり、四十八年は七一%ということになっております。ただ、先ほど申し上げましたように、自給率の問題は総消費量と総生産額の比率でございますので、生産力が落ちたという要素以上に、今日の状況では、人口の増加と一人当たり消費水準が量的にも質的にも急速に向上した、こういう事情が反映していることは事実でございます。
#218
○正森委員 いま総合自給率というようなことでお答えになりましたが、世上言われているオリジナルカロリーですね。たとえば畜産物を買うという場合に、その飼料は大部分輸入されておる。その飼料をカロリーに換算して、それが全体の自給率から見てどうであるかというような計算方法からいくと、どういうぐあいになりますか。
#219
○森実説明員 お答え申し上げます。
 オリジナルカロリーの自給率という考え方は一部の学者等にございまして、政府も参考までに試算したものはございます。これは実は果物とか野菜というふうなカロリー以外の食品は、ほとんど自給率の中に出てこないわけですね。そういう欠点がある以外に、これは畜産物の生産を飼料穀物に生産も消費も置きかえるわけでございます。この基準に確たるものがないという問題点がございますが、大ざっぱに試算いたしますと、大体四十七年の数字で申し上げますと五三%という数字になります。
#220
○正森委員 五三%というのは農林省が出しているものでございますけれども、学者の中では、たとえばもっと低くて、四三%であるというように言うておられる方があるのはよく御存じのとおりだと思うのです。それで実際上総合カロリーだけでは、たとえば飼料が全部とまってしまえば畜産はできないということから見ますと、本当にわが国の安全という点から考えれば、自給率は総合自給率などよりもっと低いというふうに見なければならないと思うのですね。しかもそれだけではなしに、最近学者が言っておるところでは、たとえば米などは一〇〇%自給率があると言われておるけれども、お米を生産するための耕運機だとかそういうものの材料はどうなるのだ、あるいはそのエネルギーの石油はどうなるのだということを考えると、米でさえも一〇〇%自給率が満足されていると言えないということで、そういう点も考えて、たとえば並木氏などはこれを「アグリビジネス段階の食料自給度」というように呼んでおるようですね。これは一番原点まで立ち返るとそういうことになるわけですね。
 農林省はアグリビジネス段階の食料自給度ということについて考えたことがあるのかどうか、考えているとすれば、そういう点を考えれば、わが国の食糧自給度というのはわが国の安全というたてまえから考えた場合にどの程度になるのか、それについてお答え願いたい。
#221
○森実説明員 お答え申し上げます。
 一つは、先ほど先生御指摘になりました四三%という数字は、穀物だけの自給率だろうと思います。
 それからもう一つ、アグリビジネス段階での自給率という、いろいろ野心的な御提案が一部の学者にあることは私も伺っております。しかし私どもとしては、よるべき技術的基準がない以外に、出てくる数字の解釈等も問題があるだろうと思います。そういう意味ではやっておりませんし、目下のところそういう試算をする考えは、残念ながら持っておりません。
#222
○正森委員 いまそういう試算をする考えは持っていないということで、アグリビジネス段階の自給度というのは、これは非常に野心的な学者という表現を使われましたが、非常に心配をした学者がそういうところまで考えておるんですね。旧軍人などのお書きになった本の中にも、名前は言いませんが、安全保障からそういう点を考えなければならぬ、そういう書物が出ているのも御承知のとおりだと思うのですね。
 そこで、私は国際小麦協定に関連しての質問で、農水での質問じゃありませんからこれ以上申しませんけれども、しかし一般的に考えてみますと、国際小麦協定には、前のときに指摘いたしましたように、輸入国として一番大事だと思われる経済条項、価格条項というものがない。そして食糧の安定的供給ということを言っておる。しかし食糧の安定的供給だけではなかなかいけない状況が起こってきている段階の中で、各国が食糧の自給度というのに非常な関心を持っていることは事実なんですね。ところが、主な食糧輸出国であるアメリカからの供給というのは、自分の国の得失によっては大豆のようなことになってくるということを考えますと、やはり農林省や食糧庁としては、国の安全確保という意味からも、食糧の自給度というのは考えていく必要があると思うのです。そういう点から言いますと、小麦にしましても大豆にしましても、そういう手当てが必ずしも十分ではないという点を考えますと、この国際小麦協定の経済条項がないという点にも関連して、われわれとしては非常に寒心にたえないということを指摘して、ちょうど時間も五時になりましたから、私の質問を終わらせていただきます。
#223
○栗原委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる十九日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
    午後五時散会
ソース: 国立国会図書館
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