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#1
第075回国会 外務委員会 第14号
昭和五十年四月十八日(金曜日)
    午前九時三十八分開議
 出席委員
   委員長 栗原 祐幸君
   理事 石井  一君 理事 鯨岡 兵輔君
   理事 小林 正巳君 理事 水野  清君
   理事 毛利 松平君 理事 河上 民雄君
   理事 堂森 芳夫君 理事 正森 成二君
      臼井 莊一君    加藤 紘一君
      小坂善太郎君    正示啓次郎君
      細田 吉藏君    増岡 博之君
      山田 久就君    渡部 一郎君
      永末 英一君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 宮澤 喜一君
 出席政府委員
        外務省欧亜局長 橘  正忠君
        外務省条約局外
        務参事官    伊達 宗起君
 委員外の出席者
        外務省情報文化
        局文化事業部長 堀  新助君
        文部省学術国際
        局ユネスコ国際
        部留学生課長  五十嵐耕一君
        運輸省航空局審
        議官      間   孝君
        外務委員会調査
        室長      中川  進君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十八日
 辞任         補欠選任
  竹内 黎一君     臼井 莊一君
  細田 吉藏君     増岡 博之君
同日
 辞任         補欠選任
  臼井 莊一君     竹内 黎一君
  増岡 博之君     細田 吉藏君
    ―――――――――――――
四月十六日
 船舶料理士の資格証明に関する条約(第六十九
 号)の締結について承認を求めるの件(条約第
 七号)
 社会保障の最低基準に関する条約(第百二号)
 の締結について承認を求めるの件(条約第八
 号)
 海上航行船舶の所有者の責任の制限に関する国
 際条約の締結について承認を求めるの件(条約
 第九号)
 油による汚染損害についての民事責任に関する
 国際条約の締結について承認を求めるの件(条
 約第一〇号)
 油による汚染損害の補償のための国際基金の設
 立に関する国際条約(千九百六十九年の油によ
 る汚染損害についての民事責任に関する国際条
 約の補足)の締結について承認を求めるの件(
 条約第一一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本国政府とオーストラリア政府との間の文化
 協定の締結について承認を求めるの件(条約第
 一号)(参議院送付)
 国際電気通信条約及び関係議定書の締結につい
 て承認を求めるの件(条約第五号)(参議院送
 付)
     ――――◇―――――
#2
○栗原委員長 これより会議を開きます。
 日本国政府とオーストラリア政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。
#3
○河上委員 日本国政府とオーストラリア政府との間の文化協定につきまして、若干御質問をいたしたいと思います。
 それに先立ちまして、それに関連する問題でございますけれども、新聞報道によれば、最近オーストラリアを訪問した文化使節団、木村前外相が団長であるようでありますけれども、この文化使節団に対しまして、去る四月十二日シドニーで、これは木村さんが言われたのですが、オーストラリア政府のウィットラム首相は、文化のみならず経済、社会などあらゆる分野にわたり、日豪間の交流を促進するため、オーストラリア・日本交流財団といったものを設ける構想を検討中ということでありますけれども、この報道につきましてお尋ねをしたいと思うのであります。
 まず第一に、この文化使節団というのは一体どういう性格のものであったのか、それからもう一つは、この豪日交流財団の発足の時期とか、あるいはこれに対応する日本側のそういうような構想というものがあるのかどうか。そういうような向こう側の構想の内容とそれに対応する日本側の構想があるのかどうか。特に、昨年の田中・ウィットラム会談で日豪協力計画というものがうたわれたわけでありますけれども、その後の具体的な進捗状況というものがどうなっているのかというようなことについてお伺いしたいと思います。
#4
○堀説明員 オーストラリアを訪問いたしました文化使節団の性格、目的でございますが、これは前にアジア地域に対しまして二度同様の使節団を出しております。今回、オーストラリア及びニュージーランドを使節団の訪問先に選びましたのは、豪州及びニュージーランドと日本との関係が、最近経済面を中心といたしまして非常に発展一しておることは御高承のとおりでございますが、それに伴いまして両国で日本に対する関心が非常に増大しております。また、御質問の中にもございましたように、昨年田中前総理が両国を訪問されまして、特に豪州との間では、現在御審議をいただいております文化協定の調印が行われ、また御質問の中で触れられました、お互いに百万豪州ドルを出し合って文化交流を促進しょう、そういう約束もございますので、使節団を派遣いたしまして、文化協定の今後の実施においてどういうことを日本としては特に力を入れてやるべきであるか、また百万ドルの計画につきましても、先方の考え方、先方では日本に対してどういうことをしようとしておるか、そういうことを各方面の方と会って聞いていただく、そうい目的で使節団を出したわけでございます。
 そこで、伝えられておりますオーストラリア側におきます日豪文化交流財団でございますが、これは豪州側でまだ確定的な構想を示してはおりません。現在設立のための委員会をつくりましてそこで審議をしておるわけでございます。その設立委員会で一応の基本的な考えを答申しておりますのを使節団が聞いてまいりましたが、大体年間五十万豪州ドルくらいをこの財団に出す、そういたしまして、本部はもちろん豪州の首府のキャンベラでございますが、東京に小さな支部をつくるということでございます。それで、財団の事業範囲は、御質問にもお触れになられましたように、狭い意味の文化だけではなく、経済、技術関係をも含めた非常に広い面での日本との交流を図る、そういう構想のようでございます。その点は、田中前総理大臣、オーストラリア御訪問の際の日豪共同新聞発表にもいまのことを含みとしまして書いてございます。文化協定のことが書いてございまして、それから百万豪州ドルを出し合うということが書いてございまして、最後に、より広範囲な関係を促進するための措置に関して協議をするというような書き方になっております。
 この財団に対しまして、日本側で対応する措置を考えておるかどうかという点でございますが、日本側には、御高承のとおり、すでに国際交流基金が設立されております。実は豪州側でこの財団を考えるに至りました具体的な理由の一つは、日本には国際交流基金というものがある、ところが豪州側にはそういうものがない、豪州側にもそういうものをつくるべきだという考えが最初向こうにあったようでございます。ただ日本の国際交流基金と同じようなものではなくて、その取り扱う範囲は、先ほど申しましたように、狭い意味の文化よりも、もっと広くということを考えておるようでございます。
#5
○河上委員 それでは、これから向こうの計画につきましてはだんだん具体化してくるということだろうと思うのでありますが、本協定の内容について若干伺いたいと思います。
 この第五条に関連いたしまして、日本人大学卒業生がオーストラリアの大学に入学しようとする場合、学位の問題がどうなるのか、これについてはもうすでにはっきりとした話し合いがついているのかどうか。これは戦後あったことでありますけれども、日本の旧制大学の卒業生がアメリカへ留学した場合に、運のいい人はMAの資格を取っておるというふうに扱われて、修士課程を終えた者というように扱われて、運の悪い人はバチェラーの資格しかないというふうに取り扱われたりして、アメリカ側に日本の大学の卒業生の資格の取り扱いについて非常に多くの混乱があった。最近は全部新制大学になりましたから、アメリカへ留学する場合そういう問題はかなり解消しているようでありますけれども、オーストラリアの場合はどういうふうになるのか。いまは旧制大学卒業生というのは留学することがほとんど少ないと思いますけれども、そういうような問題を含めて、いま実際に話し合いはついているのかどうか、その点を伺いたいと思います。
#6
○堀説明員 学位の問題につきましては、御高承のとおり、各国におきまして学校制度がいろいろ違いますので、常にこの学位を同等と認めるかどうかということが各国間で問題になります。そういうわけで、わが国が各国とつくりました文化協定及び諸外国がつくっております文化協定にも、この第五条と似たような趣旨の協定条文がございます。ただ、実際には、先日、ベルギーとの文化協定に基づく混合委員会と申します協議をいたしましたが、ヨーロッパの真ん中にあるベルギーでさえ、イギリスだとかフランスとの間に、相手国の学位をはっきりと認めるという国際間の取り決めないし国内法の規定がないということでございました。ベルギーにつきましては、ただ一件、オランダとの間にそういうはっきりとした取り決めができておる。イギリスとの間でさえはっきりした取り決めはない。それじゃどうしておるのかと申しますと、実際上はイギリスであれまた日本であれ、大学卒業生はいわゆるバチェラー級の学位と認め、したがってベルギーの国の修士課程に入学を認める。ただ、もちろん個々の審査をいたすわけでございます。個々の審査をして、この人ならよかろうという場合には、その個々の人の日本の学位をベルギーにおいても同等であるというふうに認める。
 これはベルギーの例を申し上げたわけでございますが、わが国とオーストラリアとの関係におきましては、御質問のように、はっきりとした話し合いはまだできておりません。ただ、現在まで協定がまだ成立しておりません段階におきましても、実際上は、お互いに相手国の大学卒業生は大学卒業生というふうな取り扱いになっております。これは、いままでのところ、お互いのそういう資格の同等性を認めるかどうかという具体的な問題がさほどなかったからそれでも済んだわけとも申せるかもしれません。今後学生の行き来が激しくなりますと、もう少しはっきりしなければいけないであろうということを考えまして、この第五条に基づいてお互いにまず情報の交換をする、その上で、できればはっきりした取り決めに進みたい、そういう考えでございます。
#7
○河上委員 そうしますと、話し合いはまだ十分煮詰まっていないけれども、そういう方向でいきたいという希望はここで表明されておるというふうに理解していいわけでございますね。
 たとえば東南アジア諸国の大学の卒業生が日本へ来る場合、あるいは日本の大学の卒業生が向こうの大学へ行く場合でも同じようなことが当然起こると思うのですけれども、そういうような点について、いま日本政府ではどういうふうに取り計らっておるか。
 たとえば東南アジア諸国の場合、かつての宗主国の大学のデグリーを非常に権威あるものと認めて、日本の大学のデグリーなどは余り高く評価しないというような傾向がよくあるというように聞いております。恐らく日本の大学も、逆に東南アジア諸国の大学の卒業生を余り高く評価しないというようなこともあるのじゃないか。アメリカやイギリスの大学の卒業生ならフリーパスで受け入れるけれどもというようなことがあるのではないかと思うのでありますけれども、東南アジア諸国地域の場合、こういう問題をどういうふうにいま取り扱っているか、今後取り扱っていきたいと思っているか、そういう点についてちょっと伺いたい。
#8
○堀説明員 学位の同等性、ないしどの程度に相手国の大学における学位を自分の国で認めるかという問題につきましては、二つの側面があるかと存じます。
 一つは、日本の大学を卒業して、いわゆる学士でございますね、これを向こうの修士課程に入る資格があると認めるかどうかという問題、これは制度上の問題でございます。
 もう一つは、日本で学士を取った、あるいは博士を取った人を、相手国でも博士号を取ったりっぱな学問をした人と認めて、それ相当の地位につけるかどうかという実際上の待遇の問題があるかと存じます。
 いま先生御指摘の、東南アジアの大学の学位を日本でどういうふうに認めるかという問題につきまして、最初の方の制度上の問題につきましては、これは文部省の所管でございますので、法律は私ちょっとあれでございますが――学校教育法でございます。日本の場合には、法律におきまして、正規の教育機関で十二年の教育を終わった者は大学入学試験を受ける資格があるということになっております。
 それから、日本で学位を取って帰ったけれども、東南アジアで日本の学位はだめだとか言われておる点があるのではないかという点は、先ほど申しました第二の側面、実際上どういうふうに扱われるかという点でございます。その点につきましては、二年ほど前に外務省で東南アジア各国について調査をいたしました。詳細は省略させていただきますが、やはり日本にも昔は学閥というものがございましたが、東南アジアでもそういうものがあるところもあるというので、日本の大学を卒業した人よりも、たとえば東南アジアからイギリスへ留学して同じ程度の学位を取った人が優遇されておるというような事実は多少ありました。しかし政府が、たとえばタイ国の政府が官吏採用試験の際に資格として要求する学位については、日本はタイ国では同様に認められておるというような報告がございました。
 いま申しましたように二つの側面がございまして、この協定に申しておりますのは第一の側面の方と御理解いただきたいと存じます。なぜかならば、第二の側面は、大学卒業生を採用する会社の判断だとか、そういった面が絡むからでございます。
#9
○河上委員 第一の点も重要ですが、本当を言うと第二の点が一番重要なわけであろうと思うのであります。オーストラリアと日本との問においてそういうことが将来起こり得るのかどうか大きな問題でありますけれども、本当の文化交流をやろうという場合には、いまおっしゃったデグリーの評価について、第一の技術的な評価よりも、やはり社会的な評価の方が実は非常に重要なんじゃないかと思うのですね。そういう点について、せっかくこういう文化協定が結ばれるのですから、そういう後者の点についても今後お互いに努力すべきではないかと思うのでございます。
 それは一つの要望にいたしまして、第六条でございますけれども、第六条の言わんとするところは、オーストラリアに対して、日本紹介の映画をつくる、テレビジョンの映画かと思いますけれども、そういうようなことを含んでおるのかどうか。また逆に、オーストラリア側がオーストラリア紹介のテレビジョン映画あるいはラジオの番組を日本向けにつくるという意味を含んでおるのかどうか、その点をちょっと伺いたいと思います。
#10
○堀説明員 文化協定の目的は、広く申しますと、この協定の前段に書いてありますように、お互いの国の文化、歴史、諸制度、一般的な生活様式を一層理解をするように努力しようということでございますが、この第六条につきましては、相手国の文化、歴史を自分の国で理解させるということについての規定でございます。
 したがいまして、たとえばいま御質問で具体的にお取り上げいただきましたラジオ、テレビジョンにつきましては、これは政府が可能な範囲において豪州のことを日本にラジオ、テレビジョンを通じて紹介することについて奨励し、容易にするということでございます。
 それじゃ具体的にどういうことをするのかと申しますと、たとえばラジオ、テレビの前に書いております美術展覧会の例をとりますと非常にはっきりするわけでございますが、オーストラリアの美術の展覧会を日本でやる。オーストラリア一般紹介の展覧会などがございます場合に、それに関して日本へ来られる方の渡航、それから展示品の通関などにつきまして、国内法の許す限り通関などが早くできるように便宜を供与する、また、展覧会に対しまして外務省が後援名義を出したり、あるいは場合によりましては国際交流基金が共同主催をするような場合もあるかと存じます。
 そういった具体的に何をするかは、いわば漠然といたしておりますが、お互いに相手国のことを自分の国の国民がより理解するようにできるだけ奨励し、便宜を図ろうという趣旨でございます。
#11
○河上委員 そういたしますと、こちら側が相手側に対して、こちら側のことを理解せしめる、紹介するということは、この中には全然含まれないわけですか。たとえばオーストラリア側が、日本国民にオーストラリアのことを理解してもらうためのこういうような各種の活動をする、あるいは日本側がオーストラリアに対して日本の紹介の映画をつくるとか、テレビジョン、ラジオの番組をつくるとかあるいはレコードを送るとか、そういうようなことは一切ここには含まれていないわけですか。
#12
○堀説明員 日本のことをオーストラリアの国民に紹介するという点につきましては、この条文は、日本がそういうことをするというのについて、オーストラリア側ができるだけ便宜を図るという規定になっております。したがいまして、先生の御質問の点を正確に申しますと、この条文のカバーするところではないと申していいかと思います。日本のことを紹介する映画、これは日本がつくる。それを向こうへ持っていくときに、通関などで便宜を図ってくれるというのがこの規定の趣旨でございます。
#13
○河上委員 そういたしますと、つまりここで規定したことは、要するに相手側の努力に対してそれぞれ便宜を与えるということを約束したにすぎない、こういうことでございますね。
#14
○堀説明員 そのとおりでございます。
#15
○河上委員 そうしますと、逆に相互がそれぞれの自分の国の紹介を相手にするということは必ずしもここでは、言葉だけで言えば義務づけられていない。しかし、実際にはそれがないと、こういう相手のために便宜を図るということは生きてこないわけですね。ですから、日本政府としては、オーストラリアに対してそういう日本紹介の、日本についての理解をしてもらうためのいろいろなことをやるという考え方があるのかどうか、そのことを伺いたいと思いますが、いかがですか。もしそういう場合、これは日本政府がそういうことを責任を持ってやるのか、それとも個々の民間がいろいろ努力をやることに対して、政府が便宜を与えるというふうに考えておるのか。
#16
○堀説明員 文化協定は、その内容がどちらかの義務として、非常に厳格な義務を義務づけるものではございませんが、やはり国家間の協定でございますので、研究を奨励するとかいう書き方ではございますが、あるいは容易にするという書き方でございますが、その範囲内の義務を持つわけでございます。そこで、日本の文化を豪州に紹介するということを豪州側の義務として義務づけるということは、これはやはり無理でございまして、お互いに自分のことを相手に紹介するのは、その紹介したい方の国が義務としては負う、それをできるだけ容易にするというのが協定の趣旨でございます。したがいまして豪州で日本のことを紹介するのは、これは第一次的に日本政府の義務でございます。それから、それについては民間からのいろいろな協力も現に得ておることは事実でございますが、協定上の義務としては、相手国がこちらへ紹介に来るのをできるだけ容易にするということにとどまっておるわけでございます。
#17
○河上委員 それじゃ、たとえばオーストラリアに対する日本紹介の映画とかテレビジョンとかラジオ、その他、そういうようなものがいままであったことがありますか。また、もしそういう番組があった場合には、それを監修する監修者はだれであったか、今後そういうものを出すような場合についての監修の責任は日本政府にあるのか、それとも全くそういうことは政府としてはかかわり合いを持たないということなのか、その点を伺いたい。
#18
○堀説明員 私の記憶しておりますのから思いつくままに申し上げますと、三年ほど前にオーストラリアの国営放送、ABCが日本へ来て日本を紹介するテレビ番組をつくりたいということがございました。これは実はジェトロが協力したわけでございますが、その後去年も似たようなことがありまして、外務省の情報文化局で協力したことがございます。その場合には、協力の範囲は、ジェトロの場合には資金援助もしたようでございますが、外務省の場合には資金援助はいたしておりませんので、こちらへ来て自分たちがこういう企画でこういうところを写したいという彼らの企画に対しまして、その場所の訪問に対してあっせんをしたり、そういった便宜を与えたわけでございます。したがいまして、番組の内容につきましてはこちらから注文をつけることもなく、向こうの企画者の創意に基づいたものでございます。これに対しまして、こちら側から注文をつけたりすることは、やはり報道の自由の観点からはもちろんのことでございますが、やはりそういうことは差し控え、自由に撮ってもらう、そのための便宜を与えるというのが私たちの協定上の趣旨でもあり、実際上行っておることでございます。
#19
○河上委員 大体わかりましたが、私が先ほどから伺いたかったのは、こういう協定に基づいて、日本政府がオーストラリア向けの日本紹介の映画をつくるとか、そういうようなことをやるつもりが全くないのか、やるべきであるかないかという問題が一つありますけれども、そのことを聞きたかったわけですが、それだけ伺えばよろしい。
#20
○堀説明員 どうも失礼いたしました、御質問の趣旨を少し取り違えましたようで。
 日本がオーストラリア向けに日本を紹介する映画などをつくる意図があるか、もちろんそういう意図を持っております。現在までのところは、まず一般的に、一般的と申しますのは諸外国どこにでも通用するような日本紹介のフィルムから始まりまして、もう少し分けまして、先進国向け、開発途上国向けというふうにだんだんにフィルムをつくる分野を広げてきたわけでございます。一カ国向けにというフィルムは実はいままで特にまだできておりません。これも今後フィルム制作の予算の増加及び一般的なものはもう大体つくったから、もっと専門化しようということでつくっていくと存じます。
#21
○河上委員 その場合、そういうものをつくる場合の監修の責任はどこにあるのかですね。また政府がやると言うならば、幅広くいろいろな人のアドバイスを得てやっておるのかどうかですね。何か一つの映画について具体的に答えていただければ。
#22
○堀説明員 日本紹介の映画につきまして、私たちは私たちなりに二つの分野に分けております。一つは広報映画と称しておりますが、日本のことを、これはいろんなことでございますが、外国に紹介するための映画。もう一つは、文化映画と称しておりますが、広報と文化とどこで判然と線を切るかはむずかしいところでございますが、主として文化的なものは文化映画と称しておるわけでございます。広報映画は、外務省の情報文化局で制作しております。したがいましてその監修権と申しますか、これは外務省の情報文化局の責任でございまして、企画その他については専門家の助言を得ております。文化映画の方は、私たち文化事業部の方で主管しておりまして、国際交流基金が実務に当たっております。ただ、ただいままでのところは、文化映画は自主的に制作したものはございませんで、民間でつくられた文化映画のうちいいものを買い上げて利用しておる段階でございます。ただし、これは今後は自主企画に基づいて制作をしていく意図は持っております。
#23
○河上委員 これは、将来政府が全部責任を持ってやるのがいいのか、それとも民間に自主的にやらしたものを政府が買い上げてやった方がいいのかということは、文化の質の問題として非常に重要なことだと思うのです。そこで実情を伺ったわけでありますが、さらに第八条に関連してでございますけれども、両国のテレビジョン放送機関の間の協力の容易化に努めるというふうにうたっておるのでありますが、NHKやそれに類するようなオーストラリア側の公共放送機関についてはともかくといたしまして、両国の民間放送機関の相互的協力関係というようなものは実際にどういうふうになるのか、これはここにうたわれていることは、いわゆる日本でいう公共放送機関というのも、何が公共かというのは、日本語は非常にあいまいですけれども、よく言うけれども、公共放送機関だけを対象にしているのかどうか、それともいわゆる民間放送機関というものをこの中に含めているのか、それをちょっと伺いたいと思います。
#24
○堀説明員 第八条の対象といたしております放送機関は、いわゆる公共放送機関だけではなく民間のものを含めておる趣旨でございます。
#25
○河上委員 そうすると第九条ですけれども、これは「両国間の観光旅行を奨励し、及び容易にする。」こうなっていますね。この前の御答弁によりますと、人数は日本から豪州へは一万五千七百人ですか、豪州から日本へは一万七千八百人と、余りまだ多くなっていないようですけれども、これは将来さらにふえることを前提としていると思うんでありますけれども、もしそういう奨励の結果、オーストラリア人の日本旅行客の数がふえていった場合、たとえば大阪国際空港へのカンタス航空の乗り入れの可能性といったことまで考慮しておるのか、それとも、あるいはそういう定期便はともかくとしてチャーター機というようなものについて便宜を与えるというふうな考え方があるのかどうか、それを伺いたいと思います。
#26
○堀説明員 この第九条の趣旨は、いま御指摘になりました日豪州間の往来の数字は正確でございますが、そのようにまだ少ない段階である、よってお互いに観光旅行を奨励し容易にしようじゃないか。ただし観光旅行と申しましても、その目的はこの第九条に書いておりますが、「両国の国民の間の相互理解を促進するため、」のような観光旅行を大いに奨励しようというような規定になっておるわけでございます。そこで御質問の、たとえば大阪にカンタス航空機をとめるというような航空協定上のことまでこの第九条で考えておるかという点につきましては、そこまでは考えておりません。それはまた別に航空協定上の問題として両国間で討議すべきことであると存じます。
#27
○河上委員 運輸省の方、もし来ておられましたら、この問題についてどういうように考えておられますか。大阪空港はこれ以上便をふやすということは、騒音問題から見て不可能だと思うのですけれども、そういうような問題についてどういうふうなお考えでおられますか。
#28
○間説明員 お答え申し上げます。
 現在、カンタス航空の日本への乗り入れにつきましては、御案内のとおり航空協定に基づきまして、東京への乗り入れ権がオーストラリア側に与えられておるわけでございます。大阪につきましては、現在の協定上は権利を与えていないという状況でございますので、この大阪へ乗り入れを認めるということにいたしますにつきましては、航空協定のいわゆる付表を改正するという手続がまず必要になるわけでございます。その場合に、そういう付表の改正に日本側として応じるかどうかという問題につきましては、これは一つには需給上の面から見た必要性があるかどうかという点の判断があるわけでございますが、そのほかに現在日本につきましては、先生よく御承知いただいておりますように、空港上の制約が大きな問題としてあるわけでございまして、特に大阪につきましては、現在外国航空機につきましては新しい乗り入れば一切認めていないのが実情でございます。したがいまして、こういう空港の現状から申しまして、このカンタス航空機の大阪乗り入れということを新たに認めるということにつきましては、私どもといたしましてはこれは非常に困難でございまして、新しい空港ができるまでは新規の乗り入れば認められないというのがまず私どもの立場でございます。
#29
○河上委員 第十条にございますけれども、そこに書いてありますことから見まして、いま各府県や各市でよくやりますけれども、青年の船とかなんとかいうのを派遣することがありますが、そういうようなものをこの第十条の中で意味しておるのかどうか、それを伺いたいと思います。
#30
○堀説明員 いま御質問ございました各府県などで実施いたします青年の船によります交流、これは第十条の青少年の交流という点で入っておるというふうに理解いたしております。
#31
○河上委員 一応協定の各条につきまして気づいたことをちょっと伺ったわけですが、それから少し離れまして二、三、日豪関係について伺いたいと思います。
 まず第一に通商、水産問題でございますが、最近、わが国の牛肉輸入規制への対抗措置といたしまして、オーストラリア側が日本のいろんな製品につきまして対日輸出規制ということを考えているというふうに伝えられているわけでありますけれども、こういう問題につきまして両国政府外務当局としてはどういうふうに考えておられますか。ガットの自由貿易のたてまえからしまして、こういうことはお互いにやっていっていいのかどうか。まあしかし、実際にはやらざるを得ないという面もいろいろあろうと思うのですけれども、その点、外務大臣のお考えはいかがでございますか。
#32
○橘政府委員 オーストラリア側におきまして、昨年、特に自動車の輸入制限措置をとっております。その他、鋼板あるいは若干の繊維というものについても輸入を制限する動きがございます。これらにつきましては、日豪両国間のみならず、ガットの場というようなものを通じまして両国間の協議を行っておりまして、ごく最近も日豪間におきまして協議が行われております。それぞれ、向こう側にもいろいろな事情がございますが、十分双方の立場と事情を理解し合って、円満に問題を解決していくという努力を重ねている段階でございます。
#33
○河上委員 それについてはかなり楽観的な見方を持っておられるのか、それとも非常に厳しいというように見ておられるのか、その点を伺いたいと思いますけれども、つい数日前に、こういうような問題を解決するためではないかと思うのですけれども、オーストラリアのロイド外国貿易省第一次官補が来日しておられるように新聞で拝見いたしました。このロイド氏との話し合いの結果はどのような進展を見たのか、また、このお話し合いというのは、いま言ったこの相互の輸出規制の動きを何とか食いとめたいということと非常に深い関係があったのかどうか、ちょっと伺いたいと思います。
#34
○橘政府委員 ただいま御指摘の豪州のロイド貿易省次官補が日本に参りまして、一昨日、日本側と話し合いをいたしております。これは、基本的な性格といたしましては、ガットに基づく両国間の協議でございまして、先ほど申し上げましたような豪州側の輸入制限品目というようなものについての話し合いを行ったわけでございます。ただ、これは先ほど申し上げましたように、両国がそれぞれの考え方、それから事情、立場というものを説明し合いましたが、まだ双方の意見の交換、情報の交換というところの段階でございまして、特に今後どうするという結論のところまでは至っておらない実情でございます。
#35
○河上委員 これからまだまだそういう話し合いをせねばならぬということでございますね。
 オーストラリアといえば、われわれはすぐ羊毛ということを思い出すのですけれども、日本の繊維業界がいまこんなような状態ですので、羊毛の買い控えが行われて、オーストラリアでは大量の在庫がうずたかく積まれておる。二百万俵というような、例年の七倍だというようなことも聞いておるのですけれども、こういうようなことにつきまして、日豪関係から見まして、日本政府はこれでいいと思っておられるのか、何か手を打つお考えがあるのかどうか。これはやむを得ないということで政府として静観しておられるのか、その点を伺いたいです。
#36
○橘政府委員 日本とオーストラリアの貿易全体としての動きは発展の道をたどっておりまして、昨年も往復合わせますと六十億ドルぐらいの大きな量に達しております。ただ、御指摘のように、ここ一両年の経済状況の変動がございまして、日本側の経済活動全体の低迷ということの影響を受けて、羊毛などを含めました豪州の対日輸出で、かなり影響を受けている部面もございます。ただし、これは特に日本側において、政府において輸入を阻害するとか、そういう意図は全く持っておりませんで、牛肉などの例はございますが、その他、羊毛等につきましては、自由な貿易制度のもとにおいて行われておるわけでございまして、経済活動全般の影響のあらわれが豪州にそういう部面であらわれたという現象でございます。したがいまして、豪州との間でというよりも、そうした経済状況全般の事情、あるいは政府としての立場というものをいろいろの機会に説明をしておるわけでございます。したがいまして、特にこのために、豪州としては日本の経済状況が好転することを希望し、念願しておるわけでございますが、これは経済状況全般の影響の一つということを豪州側でも理解している実情でございます。
#37
○河上委員 いまの問題は、日本経済全般の影響があらわれたということでありますけれども、もう一つ、これはもう少し政府の責任は大きいと思うのですが、日豪漁業協定がことし十一月で期限切れとなりますけれども、これの経過はどうなっておるのか。また、日豪基本条約締結交渉の見通しがどうなっているのか。この点を外務省からお伺いしたいと思います。
#38
○橘政府委員 漁業協定につきましては、これから話し合いを行う予定でおります。
 それから、日豪の基本条約の件につきましては、年来交渉が行われておりまして、ただいまも外交チャンネルを通じて折衝が重ねられておる段階でございます。
#39
○河上委員 その場合、オーストラリア側は、日本漁船の随時寄港の継続に難色を示しているということでありますけれども、この点どうなるのでしょうか。
 それから、海洋法会議の結論を待たないと向こう側は何も言ってこない、あるいは日本側も何も言えないというような状況にあるのかどうかです。
#40
○橘政府委員 オーストラリア側として、日本漁船のオーストラリアへの寄港を過去のとおりそのまま必ずしも認めたくないという気持ちがあることは私どもも聞いておりますので、この点につきましては、日本側としての立場、考え方もかねて説明しております。五月には両国間の閣僚委員会も開かれる予定でございますので、その機会にもこの問題を豪州側と話し合う予定でおります。
#41
○河上委員 それじゃ、時間がもう大分たちましたので、最後に伺いますが、日豪定期閣僚委員会には宮澤外務大臣はお出かけになりますか。あるいは、どういう日本側のメンバーを考えておられますか。それを伺って私の質問を終わります。
#42
○宮澤国務大臣 両方の約束によりまして開かれるものでございますので、今度はキャンベラで開かれるわけでございますが、私としては参らなければならないと思っておりまして、ただいま閣内で通産大臣と農林大臣の御出席が決定をいたしておりまして、あと関係各省庁、できれば大臣にかわります事務当局の人々に参加をしてもらいたい、かように考えております。
#43
○栗原委員長 正森成二君。
#44
○正森委員 昨年の十一月二日に当時の田中総理がオーストラリアを公式訪問されまして、そのときに共同新聞発表をされました。その中の十八項を見ますと、「文化協定に規定された幅広い分野の活動の実施を確保する必要性が認識され、両国首相は、そのような活動を奨励するためにそれぞれ約百万オーストラリア・ドルに上る相互に同等の支出を行うとの両国政府の意向を表明した。」こうございます。そこで、先ほども少し出ましたけれども、この百万オーストラリア・ドルの支出というのは、ほぼ何年間にわたって、わが方としてはどういう種類、目的のものに主として支出する予定であるか、それを伺いたいと思います。
#45
○堀説明員 御指摘の日本、豪州それぞれ百万豪州ドルに上る資金を支出して両国間の文化交流を図ろうという計画につきましては、事務当局間の口頭の了解でございますが、約十年にわたって百万豪州ドルになるようにしようではないかということになっております。そこで、わが方といたしましては、具体的には国際交流基金を通じまして主として人物交流、それから豪州におきます日本研究、日本語講座に対する援助を重点にしてまいりたいと考えております。
#46
○正森委員 その計画は昨年協定されたわけですが、本年度からもうすでに具体的に実施するつもりですか。もしそうだとすれば、本年度人物交流しようとしているわが方の人物として予定されている人はございますか。なければ結構ですが。
#47
○堀説明員 日本、豪州ともに本年度から早速実施する計画でございます。日本からの豪州へ派遣いたします人物交流の具体的な人名につきましては、まだ決定いたしておりません。
#48
○正森委員 それでは次に、文化協定の第四条に「各国政府は、自国において、他方の国の国民が修学し、研究し、及び訓練を受けることができるように、当該国民に対して奨学金を与えることを容易にする。」こう規定されております。そこで、この奨学金を与えて留学させておる相互の状況、あるいは問題点というものがあればまず概括的に説明を伺いたいと思います。
#49
○五十嵐説明員 まずオーストラリアから日本に参っております留学生の数の概況から申し上げたいと思います。
 現在、私ども文部省の方で奨学金を出して参っております留学生が二十七名ございます。それからそれ以外のいろいろな奨学金あるいは自費で参っております留学生が十八名おりまして、現在オーストラリアから参っております大学に在学します留学生は四十五名というふうに相なろうかと思います。
 それから、やはり文部省の方で奨学金を出しまして日本人の学生をオーストラリアその他の国に派遣しておるわけでございますが、そういうものといたしまして、一つは一般的な学部のあるいは大学院の修士課程におります学生を一年間非常に幅の広い視野を持たせる、あるいは大学において勉強の機会を与えるというために出しておりますが、その計画で参っておりますのが六名、それから教員養成大学の学生でございますが、これは特に教員養成の学生につきましても今後国際的な幅の広い視野を持たせたいということで派遣しておりますが、それが現在六名ございまして、合計われわれの奨学金では十二名参っております。
 それからそれ以外のもので一体どのくらい参っておるかということにつきましては、実は正確な統計が現在ございません。ただ、いわゆる出入国管理統計というものがございまして、それでは、いわゆる高等学校レベルあるいは一般的な研修員みたいなかっこうでございますが、そういうものの数をトータルして、これは数字としましては一九七三年でございますけれども、約百六十名くらいに相なろうかというふうになっておりますが、以上でございます。
#50
○正森委員 いまの御説明は、主としてわが国の奨学金制度によってオーストラリアの方が日本へ来ておられる数、及び日本国民がオーストラリアへ留学しておる数について説明があったと思うのですね。それで、もし私の伺っておるのに誤りがなければ、オーストラリアの奨学金に基づいてわが国に来ておられる学生あるいは日本人の学生で向こうで勉強しておる学生、そういう数がもしわかりましたら御説明願いたいと思います。
#51
○五十嵐説明員 オーストラリア政府から奨学金をもらってどういうような者が来ているかというものにつきましては、現在残念ながら数字を持っておりません。ただ、大学によりましては、自分の方で奨学金を持ちまして送り出しておる者もある。あるいは民間からそういう資金をもらって出しておる者もあるというふうに聞いております。それから高等学校レベルでございますと、たとえばライオンズクラブとかあるいはロータリークラブとか、そういうものが相互にお金を出してやっておるというものはあると思いますが、その正確な数字につきましては把握しておりません。
 以上でございます。
#52
○正森委員 第四条ができました以上は、相互に自国の優秀な若い人々を交換して勉学するということは、できるなら同等の割合あるいは金額で行うことが望ましいという点からしますと、文部省としてはできるだけそういう点の把握も今後しておいていただきたいというように思います。
 なお、わが国へ来ておられる現在の四十数名のオーストラリアの若い方たちは、主として大学でどういう方面を学習しておられるか、統計上わかっておりますか。わからなければ結構です。
#53
○五十嵐説明員 どういう分野につきましてといいますものは、残念ながら現在国費の留学生のみしかつかんでおりませんが、国費の留学生につきまして申し上げさせていただきますと、やはり人文関係が非常に多いわけでございまして、日本文学が非常に多い。それからそのほか歴史学、人類学、言語学、宗教学というものでございます。そのほか、最近の新しい傾向といたしまして、そういう人文系のみならず、社会科学系もだんだん多くなってきているということで、政治学とか経済学という分野でございます。それから私どもの方で派遣しておるような学生につきましては、やはり英文学とか物理とか植物学とかあるいは教員養成関係とかそういうものでございます。
#54
○正森委員 次に、今度の協定文の第八条を見ますと、「両国政府は、両国の報道機関、ラジオ放送機関及びテレビジョン放送機関の間における協力を容易にする。」という条文がございます。わが国がいままで他国と結びました、日本とフランス、日本とイタリア、あるいは日本とドイツというような、約二、三十カ国との間の文化協定を見ますと、このような、報道機関との間における協力を容易にするという条文は初めてではないかと思うのですね、私が比較表をちょっと調べてみましたら。そこで、これはどちら側の申し入れによって行われたのか、そして、特にこのことを挿入して、双方の国のどういう協力を進めようとしているのか、それについて簡単に説明してください。
#55
○堀説明員 第八条の規定は、御指摘のとおり、わが国の諸外国との文化協定では初めて出てきたものでございます。オーストラリア側におきましては、一九六八年にインドネシアと結んだ協定、一九七一年に韓国と結んだ協定に同じ趣旨の規定がございます。そこで、実はオーストラリア側から最初にこの条文を入れようじゃないかという提案があったわけでございますが、私たちといたしましても、報道機関、ラジオ、テレビジョンの現代社会におきます重要な役割り、特に相手国の国情、政治、経済及び文化などの紹介に果たします大きな役割りを認識しておりましたので、欣然これを受けて立ったわけでございますが、実はわが国といたしましても、従来の協定にはございませんけれども、実際上はかなりこの方面の協力が行われておりまして、特にアメリカとの場合におきましては、日米文化教育会議、通称カルコン、英語の略語でカルコンと申しておりますが、これではかなり活発に行われております。たとえば、日米間にテレビ番組フェスティバルというのをつくりまして、すでに二回やっておりますが、最初アメリカで、去年は日本で、両国の放送業界の方が集まりまして、それぞれの番組を見せ合う。そこで、これは非常にいいというのを、これを買いましょうというようなことになることが行われておりましたので、これは非常に結構なことであるので、協定にはっきりと書きましょうということになった次第でございます。
#56
○正森委員 昨日、有名なフルブライト氏が国際交流基金賞を受けられて、そして、東京の有楽町の朝日講堂で演説をされているようであります。その演説を見ますと、「教育は時間がかかる。だが、力がある。いますぐに、人類を破局から救い出してくれるわけではないが、その目的にかなうもつとも力強いものは教育だ。教育こそ、国際関係の中心にすえられるべきものである。教育交流によって、国際関係に人間性を持たせることができる。節度のある能力は、他の人たちも自分と同じに感情を持った人間だと認識できる。」というようなことを言われて――これは訳文でございますから、正確でないかもしれませんが。そして、「国際教育は、こうした目的のために前進させるべきだが、一国の外交政策の道具に使われてはならない。絶対に、一国のイメージアップ、PRの手段に利用されてはならない。教育交流が外交政策の手段として扱われるならば、教育の腐敗であり、必ず失敗する。」というようなことを言っておられるのですね。これは、多年この方面に貢献されたフルブライト氏としての一つの見識であろう、こういうぐあいに思うのです。教育あるいは国際交流というのは非常に大切だ。わが国はむしろそういう面では、いままで、努力はされたのでしょうけれども、比較的その努力の程度が少ないように諸外国に見られて、エコノミックアニマルというようなことを言われたわけです。
 そこで外務省に伺いたいのですが、国際交流関係の基金とか文化交流へのわが国の予算というのはどの程度のものであって、それはイギリス、フランスあるいはアメリカというようないわゆる西側文明諸国の予算との対比ではどのぐらいの比率になっておるか、わかれば伺いたいと思います。
#57
○堀説明員 予算につきましては、各国それぞれ予算の立て方が違いますので、国際比較をいたしますことは非常にむずかしいのでございますが、私たちの手に持っております限りの資料で申し上げたいと存じます。
 まず、日本の国際文化交流、教育も含めてでございますが、予算は、ほかの国との比較の便宜上去年の数字を使わしていただきますが、外務省関係だけで申しますと、百十一億九千九百二十七万円、まあ百十二億でございます。これは国際交流基金に対する出資金も入っておるわけでございます。それを諸外国の外務省の文化関係の予算と比較させていただきますと、アメリカが約百八十九億、イギリスは百四億、フランスは三百三十五億というふうになっております。ただ、この比較が非常にむずかしいのでございますが、アメリカが案外少ないのではないかという感じもいたしますが、これはやはりアメリカとフランスの場合には予算の立て方が違いますので、また日本におきましても、先ほどから話に出ました国費留学生の予算は文部省にございます。また科学――科学と申しましても、純粋自然科学方面での人物交流は学術振興会、それからその他の広い科学分野におきましては科学技術庁の予算もございます。したがいまして、これを比較するのは非常にむずかしいのでございますが、各省の、これは国際文化交流であろうと私たちがまあ勝手にあれいたしました予算を申しますと、四十九年度でございますが、百四十六億円になっております。
#58
○正森委員 いまいろいろお話が出ましたが、その中には出資金が入っているのでしょう。ですから、実際にその年度に使える額というのはどのぐらいなんですか。それは案外少ないんじゃないですか。
#59
○堀説明員 御指摘のとおり出資金が入っております。したがいまして、先ほど申しました外務省限りの予算で百十二億と申しましたうち百億は出資金でございます。そうしますと、残りは十二億だけであるかと申しますと、それもまたそうでございませんで、それまでに積みました二百五十億の出資金の運用益が加わるわけでございます。そこで、出資金を御指摘のとおり引きまして、運用益を加えました、これをまあ実質予算と申しますか、それを計算いたしまして申し上げますと、昨年度は外務省関係では二十九億三千六百万円で、各省庁を加えましたのを先ほどは二百二十八億とたしか申し上げたと思いますが、それは実質では百四十六億になります。
#60
○正森委員 そういうように出資金の運用益というものでやりますから、実際に使える金は、外務省としてはほぼ年額三十億ぐらいなんですね。私が外務省関係者に聞きましたら、これは非常に少ないということで、やりくり算段していると、こう言うのですね。ですから、そういう方面についても、文化協定の質問の際に、エコノミックアニマルだなどと言われないように御考慮願いたいということを申し上げておきたいと思うのです。
 それから、宮澤外務大臣に伺いたいと思います。いままで事務当局に質問がございましたので、一言外務大臣に伺いたいと思うのですが、オーストラリアに関係することで、報道によりますと、オーストラリアは昨日カンボジア王国民族連合政府を承認した、こういうぐあいに出ておるのですね。そしてプノンペンが事実上ああいうことになりましたので、ASEAN諸国でも会合を開きまして、タイが音頭をとって十九日には承認の方向で共同声明を出す、こう言われておるのですね。こういう激変の中で、わが国としてもカンボジアの新しい政権に対して早急に承認すべきである、こう思うのですが、どういう態度をおとりになるつもりですか。
#61
○宮澤国務大臣 新しい政権が事実上、実質的な、効果的な姿勢と申しますか、エフェクティブなコントロールを確立したというふうに認められました段階で、なるべく早く承認をいたしたいと考えておりますが、御指摘のように、ASEAN諸国にもそのような動きがあるようでございますので、できれば歩調をそろえると申しますか、同じような時期に考えることが一番いいのではないかと存じております。
#62
○正森委員 終わります。
#63
○栗原委員長 渡部一郎君。
#64
○渡部(一)委員 まず、日本国政府とオーストラリア政府との間の文化協定の審議に先立ちまして、現在の三木総理が外務大臣に在職された当時、汎太平洋構想とでも言うべきものを唱えられたことがあります。それはアメリカ、オーストラリア、日本、カナダ、その四カ国を結んで、太平洋の周りの諸国間のさまざまな問題点について友好と連帯を深めよう、こういうような構想であったと承っておるわけであります。その他の国々とももちろん構想されておったのでありましょうが、これは三木外務大臣のお話の段階でとどまったように思っているわけでありますが、宮澤外務大臣とされましては、こうしたお話し合いの連関のようなものを今後お進めになっていくおつもりがあるのかどうか、少なくとも以前の外務大臣の御構想でありますから、またそれが現在の総理大臣の御構想でもあったわけでありますから、何らかの引き継ぎなり案なりがおありではなかろうか、こう思いまして、まずお伺いをするわけでございます。
#65
○宮澤国務大臣 いわゆる汎太平洋構想というのは、これはしばしば考えられる一つの構図でございます。ことにわが国、カナダ、アメリカ合衆国、オーストラリア、その四つをその中から取り出しまして、比較的これらの国が、ある意味では経済的に大きい、あるいは大きな潜在力を持っておるといったようなことから考えられる一つの構図であろうというふうに存じております。ただ、それらの四カ国で何をするかというようなことまで事が具体化しておるわけではないと存じますが、現実には、たとえばわが国を中心にして考えますと、先ほどもお尋ねのございました定期的な経済閣僚会議といったようなものは、ちょうどカナダ、アメリカ合衆国、オーストラリア、いずれともそういう関係を持っておるようなことになっておりますので、そういう意味での一つの構想と申しますか、というものであろうと思うのでございます。それは確かに意味のある考え方でございますけれども、注意しておきませんといけませんのは、実は最もアジア的な問題を持っておる国々というのは、その四つであるよりは、むしろその四つ以外の国々である場合が多いわけでございますので、しかもいろいろな意味で苦労の多い国もその四つ以外の国々に多いわけでございますから、そういう国々に疎外感を与えるとかいうことになってはいけないわけでございますし、わが国の当面の問題としては、これらの、わが国を中心にいたしますと三カ国でありますが、それとの関係は閣僚会議もございますしして、まずまずお互いにいわば気心の知れた関係ができつつあるわけでありますから、それ以外の国々との問題の方がやはりもっと注意を払うべき実情ではなかろうか。したがいまして、先ほどの構想との関連で申しますと、それらの四つの国が四つだけで何かをするというのではなくて、中心になって、一緒にアジアのそれらの国々と問題を考えよう、私は、そういう形になりませんといけないのではないかと存じます。
#66
○渡部(一)委員 これとも関連するのでありますが、こういう構想みたいな考え方というのは、非常にオーストラリア政府は熱心であると思います。ですから、恐らく三木総理も当時のいろいろな交渉の中からこういうことを言われたのもちょっとわかるような気がいたします。
 それで、オーストラリアに数年前オーストレーシアという考え方が非常に大きくはやったことがございます。オーストレーシアというのは、インドネシアなんかを合わせまして、あの辺一帯を合わせたオセアニアという考え方を破って、もう一つ大きな考え方で構想しようというような考え方であったかと思います。あるいはそれはアジア地域のエーシアをもじって名づけたのかもしれません。このオーストレーシア論というものとあわせまして、当時同じく、非常にはでに行われましたのは地球二階建て論とでも言うべきものでございました。これは北半球の方を家でたとえれば二階とすると、われわれは一階である、これから次の世紀に至ると、資源を持っている南半球は北半球に対して非常に大きな意味合いを持つ、いままでは二階建ての二階の方がフットライトを浴びておったんだが、一階の方が大きなフットライトを浴びるのだというような議論がここ数年激しく行われました。恐らくそういう問題に通暁されている大臣としては、いろいろな御構想もお考えであったかと思います。こうした考え方については、大臣はどういうお考えでございますか。つまり南半球部分との関係、特に日本のような、アジアにおける北半球部分と、アジアにおける南半球部分との関連というのはかなりめんどうな問題になると思うのでありますが、どういうお考えであるか、この際お聞かせをいただきたいと思います。
#67
○宮澤国務大臣 オーストラリアの場合、これはある程度ニュージーランドも同じであろうと思いますけれども、いわゆるコモンウェルスとの紐帯が非常に強かったわけでございますけれども、たとえば英国がECに入るというようなこともございまして、したがって、数年前の段階から、オーストラリアあるいはニュージーランドの注目が日本との関連にかなり集められるようになったということは確かに仰せられるとおりでございます。先ほども河上委員からお話があったことでございますけれども、私どもオーストラリアという国を考えますと、やはりこれはポテンシャリティー、非常に潜在的なものをたくさん持っている国である。ただそれに比べますと、人口が少のうございますので、いわゆる総体のGNP、一人当たりではなくて総体のGNPということになりますと、あれだけ潜在力を持っている国としては比較的小さい。したがって、GNPが比較的小さいということは、消費の量も投資の量も、一国としてはあれだけの潜在力を持っている国でありながら比較的小さいということになります。わが国のような国から申しますとうらやましいような状況とも言えると存じます。そして他方で、一次産業が相当大きな規模でございますために、国全体として申しますとあれだけの潜在力を持っていながら、海外との取引についてある意味で神経質にならざるを得ない。たとえば、一次産品のわが国の買い付けといったようなものがわが国の都合で非常にふえたり減ったりいたしますし、あるいは海外からの、ことに鉱産物資源に対する投資にいたしましても、それがやや資源を収奪するようなことになりはしないかという危惧を持つというふうに、非常に潜在力のある大きな経済になり得る国でありながら、先ほど申し上げましたような理由でわが国などの動向にはかなり神経質にならざるを得ない。それに対して、わが国の出方が時としてやや無神経であるというような感じが、私率直に言ってときどきいたすわけでございます。そういうことは気をつけていかなければならないところであろうと思います。
 そういう観点で、二階建て論というのは私もときどき聞いたことはございますけれども、南半球でもオーストラリアぐらいあるいはニュージーランドぐらいにいきますと、南半球ではございますけれども、むしろ赤道を中心にして言いますと、わが国とやや似たような地位にあるわけでありますので、先ほども申しましたように、それも大事なことでありますけれども、その間にあるいわゆるアジア諸国というものとの関連で考えていかなければならない要素が多いのではないか。その点はインドネシアなどはまさにそういう国の一つであろうというふうに考えるわけでございます。
#68
○渡部(一)委員 私も、その中間のアジア諸国との関連は非常に大きな問題があると同時に、似た立場にあるとおっしゃいましたオーストラリアとの関係は今後とも緊密、友好の立場で推し進めていかなければならぬ、こう思っておるわけであります。その意味で、そこまでの大臣のお話は率直に言いまして私も同様の意見を持つものでありますが、ここで、オーストラリアとの間で何か仕事をする場合に、二、三触れられましたが、両国の間でかなり意見のそごを来し、国民感情の上でそごを来している面がございます。大体シドニーに参りますと、日本の特殊潜航艇がシドニーに殴り込んだ日が向こうの海軍記念日になっておるわけでありますし、オーストラリアという国にとっての最大の、蒙古襲来のごときショックを与えたのは、今次大戦における日本軍の攻撃であったわけでありますから、そういう背景から考えなければならないだろうと思うわけであります。
 私が特に思いますのは、いわゆるオーストラリアの白豪主義と申しますか、日本の進出企業その他、交渉をしておる諸君にとって非常に不快な差別感を与えられる面というのはきわめて濃厚でありますが、こうしたものについてはどういう交渉をなさろうとしておるのか、私は、ひとつ率直にお伺いしたいと思います。
 といいますのは、広大な面積がある、こちらは非常に狭隘な地域を抱えておる、流通すればと、こういう単純な議論だけでは必ずしもいかないものでありますし、両国関係をそういう形で律するわけにはいかぬと思いますけれども、実質的な白豪主義の残存というものが、どれぐらいオーストラリア周辺の諸国とオーストラリアの間を緊張させておるかわからぬという点については、率直な意思表示というか、意見の表明がなされてしかるべきであろうかと私は思っておるわけであります。特に最近に至って、労働力の不足から膨大なヨーロッパ難民を受け入れている形跡を見るにつけましても、また日本の船員たちがオーストラリアの港に入った場合に、そういう立場から宿泊も許可されないというような問題が惹起しておるのを見るにつけましても、こうした問題はもう少し円滑な話し合いを外交当局としてなさるべきではなかろうか、こう思っておるわけでありまして、御意見を聞かしていただきたい、こう思っているわけであります。
#69
○宮澤国務大臣 政府委員に補足をしてもらおうと思いますけれども、要すれば、いわゆる白豪主義ということについて、オーストラリア政府あるいはオーストラリア人自身がずいぶん、いわば反省という言葉は適当でないかもしれませんけれども、考え直しているように私は思っております。それは長い間のことでございますので、そうすぐにあしたから、あさってからということではないにいたしましても、そのように見られることについては非常に自分たちで考え直さなければならないという動きがあるように私は存じております。でございますので、表向きそれをそういう形で外交の話のテーマにするということは、向こうにそれだけの反省がございますだけに、効果としてはあるいは逆効果になるかもしれないというように思ってもおります。現実問題といたしますと、しかし労働組合等々も相当強うございますから、われわれとしては単純労働をどうかしようということでは考えるべきことではありませんで、やはり高度な技術をもってオーストラリアの国民生活なり経済に貢献する、そういう立場から問題を考えていくのが一番穏やかで、そうして反対がなくこの問題を時間をかけて処理していく方法ではないかというふうに考えております。
#70
○橘政府委員 大臣の御説明に特につけ加える点はございませんが、一九七二年に現在の労働党政府ができましてから、特にヨーロッパ系の人とそれ以外の人との差別をなくしていく、特に移民の受け入れという面について差別をなくしていくというのを基本的な政策目標としてうたっております。ただしこれの実施の態様につきましては、ただいま大臣からもお話しございましたように、オーストラリアとしてはオーストラリアの国の成り立ち方というものもございますので、漸進的に措置がとられていくものであろうというふうに見ておるのが実情でございます。
#71
○渡部(一)委員 大臣のお話しになりましたのは、技術をもって貢献するという形から、オーストラリアのそうした問題については排除するようにしたいとのお話であったように承っておるわけでありますが、現在オーストラリアに対する日本の技術移民はどのくらいの規模に上っておるのか、累年でその数字を挙げ、御説明いただきたいと思います。私は、いまの御説明とは逆にだんだん毎年々々減っておる、そうしていまはほとんど零に近い状況になっているのではないか、こう思っているわけでありますが、いかがですか。
#72
○橘政府委員 実際にいわゆる移民という形で日本からオーストラリアに参りました数字を申し上げますと、一九五九年から一九七三年の間に九百十七名の日本人が移民としてオーストラリアに渡っております。年度別にいたしますと、これは日本側の旅券発給という、わが方の記録のベースでございますが、昭和四十七年に二十八名、昭和四十八年に二十七名、昭和四十九年に十五名という数字になっております。
#73
○渡部(一)委員 私は、ある意味で白豪主義の存在をあるといって攻撃するのでなく、オーストラリア経済あるいはオーストラリア文化に貢献するという立場から日本が取り組むという姿勢について賛成であります。しかし、現実の努力は、白豪主義の存在がまさにあるかのごとく結果が出ております。いまお話しになりましたように、十名、二十名程度の移民ということは、鎖国された国と見てまず差し支えないような数字であります。現に向こうは、日本側の技術移民について強い欲求が地元にあるわけでありますから、こういうのは一段と御努力を払われた方が、安定した日豪関係をつくる上において賢明ではないかと思うわけであります。私は、むしろ日本において所を得ぬ優秀な技術者を、またその家族をこの地に送り込むということは、日本の経済侵略などというような妙な言い方をされないで、非常に賢明な協力の一つの形式ではなかろうか、これについては一段の配慮を払うべきではないかと思いますが、いかがですか。
#74
○橘政府委員 オーストラリア側の事情が一つあると思いますし、それからオーストラリア側としても、移民を認める第一順位を、近親者の呼び寄せということを一応第一順位に考えているようでございます。それから移民をする者の経済的な能力とか、豪州の社会の中に溶け込むという要素も重要視しているようでございまして、向こう側の要素が一方にございます。それから日本側にも、豪州に対しての移民の希望の量とか質とかいう問題もあろうかと思います。ただ、これらを通じまして、日本側としては豪州側に対して、一般的な考え方としては、出入国等につきましても事態を改善していくようにということの一般的な希望はいろいろな機会に話してはおりますが、ただいま申し上げましたような両側の事情というものが根底にはあろうかと考えております。
#75
○渡部(一)委員 これは具体的な問題ですから、ただいまの御答弁ではだめな点を補足しておきますから、今後御研究を仰ぎたい。
 それは、オーストラリア側に移民をしたいと希望される方が、私の方にも数名、お話があってお見えになりました際、日本の外務当局の御協力はきわめて不十分であって、具体的な問題について非常に困惑をしておられるケースが幾つもございます。
 例を挙げますと、一人は牧畜の技術者として向こうへ乗り込もうとした。日本側において、オーストラリア側から購入する牧畜のさまざまな技術を相互交流する意味でその人は乗り込もうとした。当人は途中において永住したいという希望を持った。その場合に、大使館に行ったら、そんなことはできるわけはないではないか、そんなくだらないことを考えないで、いい若い者が日本人の嫁さんをもらえ、と言って一喝されて帰ってきた。けんもほろろという言葉が該当する。結局その人はどういうようにしたかというと、オーストラリアのある大臣さんのところに押しかけていって、私はこういう希望を持っていると言った途端に非常に気に入ってくれまして、さまざまな手続を処理して移民がうまくいって、いま向こうの国民になっておるわけであります。少なくとも日本の外務省の不親切、まず官僚主義というものはここにおいてきわまるようなケースが、これ一件ではなく私は耳にいたしております。
 また、オーストラリアの方と結婚して日本のお嬢さんが向こうに行こうとしたら、お前は向こうに行って売笑婦でもするのではないかと頭からどなられた。そして旅券の発給に対して厳しい審査というよりも、いやがらせ審査が行われた。当人は、それを申請に行くときに、少しつめのマニキュアが赤過ぎたせいだろうかなどと言って私のところに泣いてきた。こういうくだらないケースが続発しているわけであります。基本的な御答弁はそれでいいかもしれませんが、件数が少な過ぎるだけではなくて、あきらめているのではないか。日本にとってはある意味で各国との友好連帯を深めなければならぬわけでありますから、現在時点、平和のこの時点において、諸国に行きたい人は大いに行かせる、そして来たい人はうんと来させるという形で、友好連帯の基礎をつくっておく必要がある。ですからそういう雰囲気のある人はどんどん行ってもらう、そういうのを少し援助する姿勢がなければならない。ところがいままでのやり方では、ともかく事故を起こさないというだけにとどまっておる。新しいことはしない、変わったことはやらない。沈香もたかずへもひらずという有名な言葉がありますが、まさにそれでいく。それで局長は、余りはでなことをしないうちに定年になられるのを理想とされておるように見える。私はそんなことではならぬと思う。全くこれについては私は不十分だと思いますね。外務省のこれに対する方針はここ数年変わっていない。オーストラリア移民の希望者に対する態度というのは、変わっていないどころではない。なるべくブレーキをかける方向で終始一貫されておる。私はこれはまずいと思う。ですから私は、この日豪文化協定の本物の審査よりも前に、そういう姿勢を聞いたい。何も変わっていないのではないか。
 私は後、国際交流基金の問題でもちょっと申し上げるつもりですが、国際交流基金からこちらに支出される金額だって、ほとんどネグリジブルスモールである。まるで日本の何とか村に対する文化援助のごとき数字しか出てない。奨学資金だってほとんどゼロに近い。ほんの二、三人である。兵庫県神戸村より少ない。こんなものが後ろの財政的な立場としてこれについておる。だからこの物々しい協定の背後には驚くばかりの後ろ向きの行政がくっついておると、私はひとつ申し上げるわけでありますが、どうですか局長、この辺態度を少しお改めになるお気持ちはございませんか。基礎的な大臣の御方針は先ほど承ったとおりです。それに対して私は別に異論をはさんでない。しかしやっていることは、両国の間の友好あるいは連帯を深めるために、少なくともお互いの友好的な文化関係を発展させるためにとられている施策とは全く質の違うものである。外務省の事務当局は、その辺を少なくとも一歩前進させるおつもりがあるかどうか、お答えいただきたい。
#76
○橘政府委員 一般的な、基本的な考え方といたしましては先ほど申し上げたところでございますが、御指摘のような具体的なケースが起こりました場合には、そのときどきの事情も私ども日本側といたしましても、政府としても十分伺いまして、具体的なケースについては、相手方にもよくあっせんなり説得なりということで御協力をすることは、政府としても当然のことと考えておる次第でございます。
#77
○渡部(一)委員 非常に意欲的であり、敬意を表するわけでありますが、今後そういう問題があったら、どこにお伺いすればいいのかをお話しいただきたい。というのは、この前のケースではたらい回しにされて、日本側は答えていないのです。そこで局長、そういうオーストラリア移民になりたい、技術移民として行きたい、かの地でかの国民に協力をしたい、文化的に協力をしたい。どこへ行けばよろしいのですか。
#78
○橘政府委員 移民としての受け入れということは、本質的にオーストラリア政府の決定事項でございますので、先方へ当たってまいりますそういうチャネルはどこであるか、本質的には個人の方の問題でございますが、それがどういう場所でどういう形でそういうケースが起こりますかによって、日本側のあるいは政府のどこの部局が関係をするか、出先であるのか東京であるのか、いろいろケースもあろうかと思いますので、具体的なケースについてその都度検討いたしたいと思っております。
#79
○渡部(一)委員 局長、それは理論的にはそうなんでしょう。それは民衆の動向をお役所のかっこうに合わせる考えです。そうじゃなくて、オーストラリアと仲よくするんだったら、仲よくするためにお役所の形を直さなくちゃなりません。だから、国際交流基金でも何でもいい、要するに、どういうふうに行ったらいいのかの窓口を、民衆の要求に応じられるような窓口にしていただきたいと私は思うのです。そうでなければ本当におかし過ぎる。そうして、台湾であるとかあるいは韓国とかフィリピンに対するエロチックアニマルと言われるような旅行団に対しては、外務省は最大の便宜を与えているではないですか。そうでしょう。旅行社がくっついてきて、そういう恐るべき国辱的な団体を山ほど出しておる。そうしておいて、こうしたまじめな移民に対しては何にも援助をしない。それは当人の個人の問題なんて言うじゃありませんか。そんなおかしなのがありますか、本当に。そんなことを言っておるとこの協定通らないよ。何が文化協定だ。文化的センスがないじゃないですか。だから、あなた、それに対して何かの担当部局をつくるなり何とか対応策を講じなければならない。みっともない団体は大々的に出てくるのを妨害しないで、いい方が行こうとするのは小人数であるから実質的に妨害する、それがあなたがやっているやり方じゃないですか。そうでしょう。何でこんなだらしないことをやっているんですか。実質行くといっても行けませんよ。ほとんど全部ノックアウトされている。そして外務省のどこに行っても全部たらい回しをされている。旅券課へ行く、旅券の方のポストへ行け、旅券の方のポストは旅券だけだといってはじく。そしてほかのところをうろうろ歩いて、大使館とか領事館とかぐるぐる歩いて――オーストラリア側は何と言っているかというと、日本の外務省というのはオーストラリア問題を扱うポストが決まっておりませんと東京のオーストラリア側は言っていますよ。私そこまで言っているのに、あなたはまだ当人個人の問題ですと済ましておられますか。それは至急検討されるという意思表示があってしかるべきではないですか。どうです。
#80
○橘政府委員 外務省におきましては、オーストラリアに関する問題は欧亜局の大洋州課というのがございますので、事オーストラリアに関します限り、大洋州課で御相談の窓口ということにはなり得るかと思います。
#81
○渡部(一)委員 申しわけないけれども、その人たちはその大洋州課というところにも行ったわけですよ。行ったら、ここはオーストラリアとの政策を論ずるところであって、移民の問題なんか扱わないとそこの課長は言われた。どうします。今後扱いますか。
#82
○橘政府委員 政府間の問題でありますれば、当然政府として相手方の政府への直接の問題の提起なりプレゼンテーションという問題になると思います。ただ、先ほど申し上げましたように、移民の御希望ということは、その移民の御希望をなさる方の希望であり、これを決定するのはオーストラリア側でございまして、したがって、オーストラリア側に対してオーストラリア側のどういうチャネルを通じてこれをオーストラリア政府の担当部局に申請というものをぶつけていくかという、おのずとチャネルがあると思います。そういうのにどういうチャネルにぶつけたらいいかというようなことを御相談に乗る、そういう側面的な御相談に乗るという意味では、当然この場合大洋州課でございますけれども、そういうところも適当な課としてお考えいただいて結構だと思います。
#83
○渡部(一)委員 じゃ、これからはそこへ行けばいろいろ教えてくださるわけですね。くどいようですけれども、いままではだめだったのです。ここは政策を扱うところです、そんな日本国民の一人ずつの問題なんか扱っておったらおれたちは仕事がオーバーする、ゲラアウト、こういうわけです。だから私は言っておる。外務省というのは日本国民の保護には役に立たない、外交談議をするところと同じだとまでその人たちは感じて帰ってきている。だから私はこれをくどいほど申し上げた。大洋州課だったら大洋州課らしくそうした諸問題も含めて扱ってもらいたい。その都度ぼくらが電話をかけたりヘチマだとかして、そこらじゅう駆けずり回って、一人ずつ問題を片づけていくという方向でやらせるのでは、それは行政府としてナンセンスであると私は言いたいのです。今度はそれは大丈夫ですね。そこでいろいろな情報を教えてくれますね。それから、オーストラリア側のどういうようなチャネルにどういうようにぶつければどういうようになるということは、そこの大洋州課で十分な情報を持っておると理解していいわけですね。お願いします。
#84
○橘政府委員 私どもの持っております限りの情報なり御参考の資料は、十分差し上げる用意がございます。
#85
○渡部(一)委員 きょうは私は当然なことを当然らしく伺いました。こういうことは他の問題でもしょっちゅう耳にすることでありまして、こうした点、外務省の全体の業務の中に繰り入れて、日本国民の意向と希望、特に平和友好を求めて諸国に出ていこうとする若い日本の青年の希望にこたえられるよう、外務省各局に対しては十分御検討をいただきたいと私は要望しておきます。大臣、よろしゅうございますね。――じゃあ、大臣首振っておられますから賛成ということにとれますので、次へ行きます。
 今度は、この条文の中で、第二条、「各国政府は、自国における他方の国の文化機関の設立」とここに書いてありますが、この「文化機関」はどのようなものを意図されておられますか。そしてその資金量としてどういうものを予定されておられますか。
#86
○堀説明員 第二条に申します「文化機関」といたしましては、当面、豪州内におきましては、わが国の国際交流基金の駐在員事務所、ないし将来さらに発展すれば、国際交流基金の文化センターのようなものを考えております。
 また、豪州側から日本へ送る文化機関といたしましては、豪州側でただいま豪日文化財団という構想を検討いたしておりまして、成立の暁には東京にその支部を置きたいと考えておると聞いております。
#87
○渡部(一)委員 第三条において教育及び研究の奨励の項目があります。これはどういうように奨励されるのか、どれくらいの予算を充当されようとしておるのか、お答えいただきたい。
#88
○堀説明員 第三条の趣旨は、それぞれの国におきまして相手国の言語、文学、文化その他についての教育及び研究を奨励するということでございますが、具体的に大学に講座を置くという問題になりますと、これはそれぞれの大学の政策に基づくものでございますので、政府といたしましては、この協定成立の暁には、そういうことをいろんな機会におきまして大学に対して奨励をするという措置をとる義務がございますが、どれぐらいの予算を出すかどうか、それはまだ決定いたしておりません。
 なお、豪州側におきまして日本の研究に関する講座、現在もございますが、さらに発展する場合、両方につきまして日本側から先生を送って欲しいというような要望がありました場合には、国際交流基金を通じましてその援助にできるだけのことをしたいと考えております。
#89
○渡部(一)委員 第四条の奨学金を与える旨でありますが、これはどれぐらいの規模、どれぐらいの費用というものを予定されておられますか。
#90
○五十嵐説明員 留学生につきましてはすでに豪州との間に相当程度の交流がございます。それで現在、五十年度におきまして文部省がオファーしておりますのが、学部段階、これは日本語関係でございますが、それが三名程度、それから研究段階、これは大学院レベルでございますが、これが十二名でございます。
 ただ、実際に来る学生につきましては、向こうが推薦してきます学生数その他によりまして多少変動がございますが、一応私どものオファーしている数はそういうものでございます。
#91
○渡部(一)委員 いまお話を伺っているうちにだんだんこの文化協定がみすぼらしいものに見えてくるわけですが、国際交流基金関係で、対オーストラリア関係に支出される費用というものはどれぐらいですか、人件費を抜きにして。全体で二十二、三億のものですけれども、諸国全部合わせまして、世界じゅう相手にして二十二、三億でしょう。その二十二、三億の中から人件費を抜くと非常に少なくなってしまうのです。恐らく半分以下でしょう。その中でオーストラリアにどれぐらいあげて文化交流と名のるのか、ちょっと聞かしていただきたい。
#92
○堀説明員 オーストラリアに対しまして、国際交流基金の文化事業においてどれぐらいの支出を行っておるかという点につきまして、ただいま仰せのように人件費を除きまして、さらに全世界向けに資料をつくったりフィルムを買ったりしておりますが、そういうものを除きまして、もう確実にオーストラリアとの人物交流、その他向こうの日本研究の援助で実際に支出した額でございますが、これは四十九年度は三千百万円でございました。ただ、本年度におきましてはこれは文化協定の成立もあり、また田中前総理訪問の際の文化交流拡大の約束もございますので七千四百万円にさしあたり増加する計画でございます。
#93
○渡部(一)委員 その費用は倍にふえたように見えますけれども、インフレの部分がありますから、これは実質的にふえたのは二、三割でしょう。三千万円なんというのはちょっとすごい金額ですね、少なくて。これは町でうわさをされておる東京都区会議員選挙の費用に匹敵するような費用です。これは費用が少な過ぎて文化事業になり得ないのですよ。私はもうこれで足かけ五年越しに文化事業は少ないと叫び続けているわけであり、ここで御質問するたびに、歴代の外務大臣及び担当の文化事業部長は、私の意見を了とされて深い努力を表明されておりますけれども、この程度、これでは何にもできないんじゃないか。それこそすごい低額かつ時代離れをした数字としか考えられない。私はどんな善意があっても、財政的裏づけのない善意というものはナンセンスだと思うのです。お金がなくて口だけでりっぱなことを言ってもし方がない。特に文化関係事業というのは、ほかの問題と違って、人の心を対象とするものであり、人の感情を対象とするものであり、歴年にわたるその当該国民の積み上げられた文化的傾向に対して投資をし、影響を与えるものでありますから、私どもは、これに対してとやかく費用対効果比のような学説をもって論ずるわけにいきませんけれども、少なくとも費用が余り少ないと意味がなくなってしまう。
 私は、すでに四年前に当委員会において、ソニーの年間広告費が九十億であるということを指摘しました。ソニー一社で九十億のものを、日本外務省挙げての文化事業の費用が当時約十億円段階でございました。ソニーと日本とどっちを売り込むのがわが国にとって大事なのかという問題提起までいたしましたけれども、この三千万とか七千万なんというのは、商社の一支店の通常経費より低いだろうと私は思います。この辺は何とかなり得ないものなのか。これから先も文化事業というのはこういう程度で押さえ続けていくべきものなのか、もう一回お考えをいただかなければいけないだろうと思いますが、まず事業部長はこういう金額でよいと、こういうお考えでしょうか。まずその辺から伺いたい。私は毎年毎年こういうことを申し上げて、あなた方から御答弁を問うのもしんどいのでありますけれども、もう一回御決意を承りたい。
#94
○堀説明員 先ほど申し上げました数字は、国際交流基金だけの数字でございまして、豪州だけをとってみましても、文化交流にはたとえば国費留学生の予算は、これは文部省についております。それから科学者の交換につきましては文部省傘下の学術振興会、それから科学技術庁でも人物交流の関係をやっております。ただ、国際交流基金の金額、先ほど申し上げました金額は些少でございますが、毎年先ほど御指摘のとおり、渡部先生から文化交流事業予算の拡大を外務委員会で私たちを叱咤激励していただきまして、おかげをもちまして、実質におきまして国際交流基金の予算も毎年四〇%以上は伸びておりますので、ほかの政府予算全体の増加率に比べますとかなり優遇されておりますので、これで十分だとはもちろん存じません。多々ますます弁ずで、もっともっと予算をいただきたいのでありますけれども、まずは四〇%以上の伸びということで当面私たちとしては満足すべきではないかと考えております。
#95
○渡部(一)委員 悲しみに満ちた御答弁であり、私は、それは担当者の方として理解を得られない苦しみを表現されたものと思います。
 最後に大臣に伺いますが、私の質問時間も非常に長くなりましたので、大臣に御決意のほどを承りたい。
 このオーストラリアとの間の文化協定についてこうした形であれしてよいものかどうか、この内容について私はもう一回伺っておきたい。余りにも財政支出が文化関係事業に少な過ぎる。これはもう抜本的に改めなければならない。これは現大臣に対して私は予算分科会においてもお話を申し上げましたけれども、一段の努力を払っていただかなければならない。戦闘機の費用と比べるつもりはありませんけれども、本当に少な過ぎる。日本は軍事国家と言われても差し支えないぐらい文化の方には手を抜いている。これをこれから先、周辺の諸国との間で平和憲法の趣旨に基づいて友好的な関係をつくり上げるためには、一段の費用の増大が要る。けたの違う費用の増大が要る。こう申し上げておきたいと思うのですが、いかがでございますか。
#96
○宮澤国務大臣 この点は渡部委員の御指摘になりますとおりでありまして、予算委員会の分科会でも申し上げましたとおり、まことにお恥ずかしい次第でございます。このことには、あのときも申し上げまして御理解もいただいたのですけれども、やはり沿革と申しますか、伝統的な蓄積の少なさということが関係をしておりまして、当然のことですが、かつては貧しい国でありながら、軍備のために最大限の費用の捻出をせざるを得なかった。戦後は、ともかく国民が生きていくということに精いっぱいであったわけで、そのためには何とか経済を伸ばさなければならないということをお互いに一生懸命やってまいりました。ただいまのような文化の問題に本当に国民がお互いに関心を向け始めましたのは、せいぜいここ十年のことであります。でありますから、文化国家と言いましてもそれはわれわれの目標でありまして、現実であるとは申しにくい現在の段階であります。でありますけれども、ともかく食うに困らないようになってまいったわが国として、本当に金を使うべきところは、こういう問題であるとか教育というような問題であることはもう間違いのないところでありますから、過去、蓄積が薄いのでありますだけに、今後毎年毎年の手当てをよほど厚くしてまいりませんと、文化国家を目標とするわが国の施策としてはまことに心細いものであります。たびたび御指摘のとおり、私どももそういう努力を格段にいたさなければならないというふうに考えておるわけでございます。
#97
○栗原委員長 永末英一君。
#98
○永末委員 オーストラリアの領域の一部にパプア・ニューギニア地域が含まれておりますが、これまでこの地域とわが国との間に文化的な関係がございますか、ございましたら御報告を願いたい。
#99
○堀説明員 パプア・ニューギニアにつきましては、私たちは豪州の一部と考えておりますので、特にパプア・ニューギニアを取り出してどういう文化交流があったか、記録を持っておりませんので、御了承いただきたいと存じます。
#100
○永末委員 昨年の日豪閣僚会議のときにも、パプア・ニューギニアの外務大臣がその後半には参加をされて、そして当該地域の独立が間近いということは日本国政府もわかっているわけであります。ことしの一月にはわが国の総領事館がパプア・ニューギニア地域の首都と目されておるポートモレスビーに開設された、そこまでやっておるにかかわらず、文化関係はわからぬですか。
#101
○堀説明員 文化関係では、パプア・ニューギニアを特別に取り出して記録いたしておりませんので、現在、私、承知しておりません。申しわけございません。
#102
○永末委員 申しわけないと言われたらそれで終わりでございますが、やはりこの地域に対するわが国の三十年前のかかわり合いというものを考えるならば、オーストラリアの領域にはなっておりますけれども、相当多くの日本人がこの地域とかかわり合ったという歴史は払拭できないわけでありますから、焦点を決めて、やはりこの地域との文化的な関係について日本国政府はもっと知っておく必要がある。外務大臣、そう思われますね。
#103
○宮澤国務大臣 御承知のように、いまの段階におきまして、パプア・ニューギニアとわが国との関係というのは非常にいろいろな意味でむずかしい微妙な問題がございますけれども、おっしゃいますように、だんだんハプア・ニューギニアに向けて経済的なわが国の関心というのは出ていくような状況でございますから、それの方へまた目を奪われていきますと、それなりに問題がありそうでございます。文化関係の方で、これはだれにも議論のないことを何かやはり考えていく必要があると私は思います。
#104
○永末委員 いま外務大臣が、経済関係がもし間違った接近の仕方をすればということに対する懸念の意をあらわされましたが、外務省とされましては、一体この地域とわが日本との経済関係についてはどのように把握していますか。
#105
○橘政府委員 私、ただいま、日本とパプア・ニューギニアとの間の貿易とか、あるいは具体的な経済協力の案件の数字を持ち合わせておりませんが、すでに従来におきましてもパプア・ニューギニアに政府ベースの調査団を二回派遣しておりますし、民間ベースのものも、私どもの知っているところでは一件、調査団が現地に赴いております。したがいまして、今後の日本とパプア・ニューギニアとの間の貿易を含めました広い意味での経済的な協力関係については、政府としても正しい形での協力が進むように、できる限りの措置をとる考えでおります。
#106
○永末委員 パプア・ニューギニア地域に行っております日本の企業が、その振る舞いはなはだこの地域の人々にとって好ましくないということで、いろいろな注意を受けている事実は御存じですか。
#107
○橘政府委員 パプア・ニューギニア側から、多少そうした申し入れといいますか、希望の表明を受けておる事実はございます。
#108
○永末委員 後でまた外務大臣に聞きますが、総領事館が設置されましてから一体どんなことをやっているのですか、この機会に御報告願いたい。
#109
○橘政府委員 現在、先生御承知のとおり、パプア・ニューギニアは完全な独立へ向かっての道を歩んでおるわけでございます。したがいまして、現地の総領事といたしましては、パプア・ニューギニア側との接触、それから現在もオーストラリアが依然として形の上でその上におるわけでございますので、そうした方面との接触ということを通じまして、現地の政治的な動向の的確な把握、それから情勢の判断、それから経済関係の正しい発展についての実情の把握とそれに関する意見というような方面において、通常総領事館としてなすべき業務を行い、かつ、そういう特殊なニューギニアの現在の事情に即した活動をやっております。そのほか、いろいろ漁船等の問題につきまして起こりましたときには、それについての解決に援助をするというような活動も行っております。
#110
○永末委員 御報告を伺いますと、何かうまいことやっているようでありますけれども、日本の企業等がこの地に関係をいたしました基本的な経緯は、日本とオーストラリアとの約束あるいはその枠組みでこの地域に行っておる。ところが、現地では独立を目指してどんどん現地政府がいろいろな新しい枠をつくるわけですね。ところが日本の企業はその枠に入り切れないということで注意を受ける。そういう変化というものを正確に現地の総領事館は知らねばならぬのでありますが、先ほどの御報告を聞いておりますと、文化関係はわからぬ、企業のそういう問題については二、三注意を受けたようなことがあるという程度では余りギャップがあるのではないですか。なぜ一体日本の漁業関係が、現地から出ていけというようなことを厳重に言われたかということの原因をやはりはっきり把握してもらわなければ困るのではないですか、いかがですか。
#111
○橘政府委員 わが方の総領事館の開設も、先生先ほどお話しございましたように、ことしの初めでございまして、現地でその場で、かつ、このように変化している情勢の中で、状況の把握、それから判断という仕事に携わっているわけでございます。したがいまして、ただいま開館の当初の段階にございますので、活動においてまだ不十分な点があるかとも思いますが、時間の経過とともに、情報の入手から情勢の判断から、出先機関としてなすべきこと、そういうものについての活動は逐次完全な、十分なものに今後なっていくものと考えております。
#112
○永末委員 外務省は、この地域の独立をいつだと判断しておられますか。
#113
○橘政府委員 最近パプア・ニューギニアのソマレ首相が明らかにされたところによりますと、五月の初めごろに制憲議会というものをやって、それからその後で独立の時期がだんだん決まっていく、まあ秋ごろであろうかという観測が有力であるというふうに承知しております。
#114
○永末委員 新しいパプア・ニューギニア国家の憲法に対する憲法制定の委員会が作業をしておりましたが、これがどこまで終了しているか、御存じですか。
#115
○橘政府委員 先ほど答弁申し上げました中で、一カ所訂正さしていただきます。憲法制定議会は、五月ではなくて六月の初めの予定でございます。
 それから新しい憲法につきましては、従来住民議会で審議が進められてきたと承知しております。ただ一部分、本年に持ち越された部分があるようでございまして、現在のところソマレ首席大臣のお話では、この六月初めと予想される憲法制定の議会で憲法の草案を確定するという予定と承知しております。ただいまの草案というのは大体十四章からなる案文であるというふうに聞いております。
#116
○永末委員 すでに憲法制定委員会でこれらの条章はほとんど条文としては審議が結了しており、後は本会議における決定を待つ段階だと私どもは承知をいたしておりますが、だといたしますと、いまお話のように秋ごろであるか、あるいはもっと早いかということが問題になります。早ければ早いだけの対応策をわが国の方も考えなければならぬ問題でございますから、一説に六月三十日ごろ独立の日取りになるのではないかという説もあるのでありまして、この辺は十分に情報を取っておいていただきたいと思います。
 さて、いま独立を目指して、先ほど申し上げましたようにどんどん積極的にいわばパプア・ニューギニア現地政府の施策なり方針が決められてきますと、それに応じていろいろな考え方も変わってくるのでございまして、一番大きな変わり方はどういうところにあると思いますか。
#117
○橘政府委員 従来オーストラリアの統治下にあったわけでございます。これが独立の国となるという大きな新しい段階を迎えるわけでございます。したがいまして、独立の国家としての自主性をどうやって確立していくか、経済の面におきましても、従来から持っております、よく貨幣経済とそれ以外の経済という二重構造ということも言われますが、そうした経済上の困難、問題というものも踏まえて経済的にどう発展していくかということについて、どこまで自主性を発揮し得るか、それから、従来からのオーストラリアとのつながりも非常に深いわけでございますから、それを保ちつつ、他方日本との経済を中心とした関係をどう発展していくかということについて、国づくりの多くの問題に直面していくわけだと思います。内部の問題も相当いろいろの面で抱えておりますし、現在の憲法制定上の一つの問題も、新しい国の中央政府とそれから地方の政府との権限の調整問題ということが一つの焦点と承知しております。そういう意味で、新しい国の内部の国固めということにも相当大きな課題を抱えていると考えております。
#118
○永末委員 現地政府の副首相であり警察大臣でございますピタ・ルース氏が次のようなことを申したと現地紙が伝えておりますが、「時は既に移り変り、今や長年の忍従に耐え忍び、ようやく自主独立、民族自立の悲願が達成されようとしており、国民も、自由、独立の息吹きを、いままさに享受しつつあるこの時期に際し、事実を無視した前近代的封建的な植民地的色彩の濃い精神構造より脱しようとはせずに、あくまで白人優越主義を押し通そうとする動きが、このところ、官民各界で多大の弊害をもたらしてきている」、このことに対して警告を発したと伝えられておる。一言で申しますと、オーストラリアの統治から出て新しい独立国家をつくる、すなわち植民地的状態から独立国家をつくるとすれば、きわめて強いナショナリズム的な雰囲気が出てきておるのは当然でございまして、私はそのときに、先ほど触れましたが、日本の企業等がこの地に入ります、あるいは関係を持ちますにつけて、すべていままではオーストラリアの枠組みであった、しかしそのままの姿では現地では受け継ぐことができない雰囲気ができておるということを十分に承知しなければならぬ。したがって独立の時期が、先ほどあなたの方は秋ごろと申しましたけれども、私はまだ早い時期になり得る可能性があると申し上げました。したがって、それを見るならば、急速にやはり日本政府の方針として、新しい独立国家が持つであろう一つの構えというのがございますから、それに合うようにやはり日本の業界も指導し、そしてそれに合うようにわが方の体制も整えていくということが必要な時期に、いまや四月の終わり、五月でございますから、なっておるように思います。こういう準備が必要だとお思いになりませんか。
#119
○橘政府委員 日本側といたしましても、先生御指摘のような現地の実情と心情というものをよく踏まえてこれにこたえ、妥当な協力関係を発展し開拓していくという心構えと、それに適応した形というものが必要であろうと考えております。
#120
○永末委員 外務大臣に最後の締めくくりをお願いしたいのです。
 あなたは経企庁長官もお務めになり、通産大臣もお務めになりましたので、十分日本の経済人のマインドも御存じだと思うのです。この地域は広大な、日本の一・三倍もございますけれども、人口は三百万以内であり、その戸籍もまだ整備されていない。そこへもってきて、プラリ川開発を初め、日本の側の経済開発の調査が行われました。調査が行われれば、現地の方々の気持ちとしては、それが早急に具体化するであろうという期待感を持ってこの調査団を迎えておったことは事実でございます。いまやこの国が独立をいたすということになりまして、大体オーストラリアドルで一億ドル以上の、いわばオーストラリア政府からすれば持ち出しのあった地域がどういう形で財政上の均衡を保つかということになりますと、これらの開発計画の実施に伴いつつ、日本国政府の経済協力というものの比重を現地側としては非常に重く見てくると思います。したがって、先ほど触れましたように、ただ単に、この地域に対して日本の企業は利潤を獲得するというようなことではなくて、もっと違った意味で、戦争を経ずしてこの地域が独立をいたす、こういう地域に対して、同じ太平洋経済圏の一国であるべきものでございますから、わが国政府が慎重に、しかも前向きに接触を保ち、経済協力すべきものは積極的になしていく、そういう構えと準備が必要だと思います。大臣の御見解を承ります。
#121
○宮澤国務大臣 御指摘のように、いまわれわれは、パプア・ニューギニアに対しましては最も注意深く対処しなければならない現地の段階であるというふうに考えています。
 パプア・ニューギニアと申しましても、南北によって非常に事情が違うようでありますし、また、おのおのの地域の中でも部族間のお互いの利害関係というものが異なりますし、制憲会議から独立をしようということでございますけれども、全体として共通の言語をどの程度に持ち得るか。ピジンというのは共通の言語であろうと思いますけれども、それは全部に通じるというわけでもないようであります。また独立の過程において、オ−ストラリア政府のやり方に対してある程度肯定的な人々と否定的な部族とがあったようでありますし、今日までの経緯の中で、独立促進派と、どちらかと言うと漸進派とがあったようにも思われます。したがいまして、いまの段階では一つの国家として統一意思を持ったものに育っていってほしい、これがもうわれわれの願い得るいわばすべてである。それをどのようにして助けていくかということに、われわれとしてはすべての注意を集めなければならないところであろうと思います。
 そういう段階で、しかし企業の進出が多少もうすでにあるわけでございます。この人たちは確かにいわばオーストラリア政府経由で入った、あるいは、現地で新しい政府を組織するであろうと思われる有力な人々との連係のもとに入った。しかし、オーストラリア政府に対しては、概してパプア・ニューギニアは全体として批判的になりつつございますし、有力だと考えた人が一夜にしてそうでなくなるというようなことも間々あるわけでございますから、私ども総領事館をポートモレスビーに置いたわけでございますが、いま一番私どもの注意すべきことは、ともかく一つの統一した意思を持つ国家に育ってほしい、そのためにわれわれ何ができるかということでなければならないというふうに考えております。
#122
○永末委員 大臣、せっかくひとつ慎重に、また前向きにこの問題に対して対処されるよう、強く期待しておきます。
#123
○栗原委員長 速記をとめて。
#124
○栗原委員長 速記をつけて。
 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#125
○栗原委員長 次に国際電気通信条約及び関係議定書の締結について承認を求めるの件を議題とし、政府から提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣宮澤喜一君。
    ―――――――――――――
国際電気通信条約及び関係議定書の締結につい
 て承認を求めるの件
    ―――――――――――――
#126
○宮澤国務大臣 ただいま議題となりました国際電気通信条約及び関係議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明申し上げます。
 国際電気通信条約は、国際連合の専門機関の一つである国際電気通信連合の基本的文書でありまして、連合の機構、業務等について定めているほか、国際電気通信業務の運用に関する基本的事項について規定しており、通常五、六年ごとに開催される全権委員会議で旧条約にかわる新条約締結の形式で改正されることになっております。一昨年のスペインのマラガ=トレモリノスで開催されました全権委員会議においては一九六五年のモントルー条約にかわる新条約が作成されましたが、新条約は、旧条約に対して主として技術的内容を持った若干の改正を行ったものであります。また、条約当事国間の紛争の解決を円滑にするため、一九六五年の全権委員会議において条約とは別個に作成された紛争の義務的解決に関する選択追加議定書につきましても、条約の場合と同様に、一昨年の全権委員会議において新議定書締結の形式で改正が行われました。
 わが国は古くより国際電気通信連合の主要メンバーとして連合の活動に積極的に参加しており、この条約及び関係議定書にも率先署名いたしましたが、国際電気通信の分野における国際協力及びわが国の電気通信業務の発展のため、この条約及び関係議定書の当事国となることは必要かつ有意義と考えられます。
 よって、ここに、この条約及び関係議定書の締結について御承認を求める次第でございます。何とぞ御審議の上、速やかに御承認賜らんことを希望いたします。
#127
○栗原委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
 本件に対する質疑は後日行うことといたします。速記をとめて。
#128
○栗原委員長 速記をつけて。
     ――――◇―――――
#129
○栗原委員長 引き続き日本国政府とオーストラリア政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 これより日本国政府とオーストラリア政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件の討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
#130
○栗原委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本件に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
#131
○栗原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 本日はこの程度にとどめ、次回は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。
    午後零時十二分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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