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#1
第075回国会 外務委員会 第28号
昭和五十年七月四日(金曜日)
    午前十時五十三分開議
 出席委員
   委員長 栗原 祐幸君
   理事 石井  一君 理事 鯨岡 兵輔君
   理事 小林 正巳君 理事 水野  清君
   理事 毛利 松平君 理事 河上 民雄君
   理事 堂森 芳夫君 理事 正森 成二君
      坂本三十次君    正示啓次郎君
      田中  覚君    竹内 黎一君
      戸井田三郎君    登坂重次郎君
      葉梨 信行君    福永 一臣君
      山田 久就君    綿貫 民輔君
      石野 久男君    江田 三郎君
      勝間田清一君    川崎 寛治君
      小林  進君    三宅 正一君
      渡部 一郎君    永末 英一君
 出席政府委員
        外務政務次官  羽田野忠文君
        外務省アジア局
        長       高島 益郎君
        外務省条約局長 松永 信雄君
 委員外の出席者
        外務委員会調査
        室長      中川  進君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月三日
 辞任         補欠選任
  加藤 紘一君     江崎 真澄君
  松本 善明君     金子 満広君
同日
 辞任         補欠選任
  江崎 真澄君     加藤 紘一君
同月四日
 辞任         補欠選任
  加藤 紘一君     綿貫 民輔君
  正示啓次郎君     中村 梅吉君
  住  栄作君     細田 吉藏君
  田中  覚君     福田 篤泰君
  竹内 黎一君     葉梨 信行君
  谷垣 專一君     宇野 宗佑君
  戸井田三郎君     原 健三郎君
  登坂重次郎君     小坂善太郎君
  勝間田清一君     石野 久男君
  三宅 正一君     小林  進君
同日
 辞任         補欠選任
  葉梨 信行君     竹内 黎一君
  綿貫 民輔君     加藤 紘一君
  石野 久男君     勝間田清一君
  小林  進君     三宅 正一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 閉会中審査に関する件
     ――――◇―――――
#2
○栗原委員長 これより会議を開きます。
 この際、日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件の取り扱いについて御協議を願います。毛利松平君。
#3
○毛利委員 今国会におきまして本協定の承認が得られるよう努力いたしてまいりましたが、会期も本日一日を残すのみになり、残念ながら承認を得るに至らない見通しであります。
 そこで、私は、次の理由により、本協定を継続審査にしておくことがわが国にとって最小限必要であると思うのであります。
 すなわち第一に、本協定は、韓国側においてすでに昨年十二月十七日国会の承認を得ているのにもかかわらず、わが国は本協定を前通常国会において廃案にいたしております。今国会再び廃案となるような事態となれば、国際的にも問題となり、日韓関係に悪影響を及ぼすおそれが十分あります。今国会で廃案となった場合、韓国側は、日本政府が本協定の発効に誠意がなく、協定締結の見込みは大幅に遠のいたものと一方的に判断する可能性があります。韓国側が共同開発区域で単独開発を計画した場合、国会において本協定を継続審査にしておくことにより、その計画を思いとどまらせる歯どめになると思うのであります。
 次に、本協定の批准は、海洋法会議の結果を待つことにして、本協定を廃案にせよとの御意見もあります。しかし、海洋法会議の結果、日韓間の大陸だな境界画定に自動的に適用されるごとき客観的基準が合意される可能性はなく、新しい条約が成立しても、共同区域の開発は両国の交渉にゆだねることにならざるを得ないと思うのであります。しかも、海洋法会議の趨勢を見ると、大陸だなの範囲に関して広い大陸だなを有する国々から自然の延長論を強く主張されております。
 一方、わが国のように、これに反対すべき直接の利害関係を有する国はギリシャ等のごく少数に限られており、結局大陸だなについては自然の延長論が第一の基準として採択され、二百海里の距離基準は経済水域として採用されるとしても、それは、大陸だなについては自然の延長論を補完するものにとどまる可能性が大きいと思われます。したがって、新海洋法条約の成立まで本協定の批准を待っても、決してわが国にとって有利となることは期待できないばかりか、客観情勢は日々わが国にとって不利になってきておりまして、本件を継続審査にすることは時宜を得たものと考えるものであります。
 以上の理由により、私は、日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をされたいとの動議を提出いたします。
 委員長各位の御賛同をお願い申し上げます。
#4
○栗原委員長 ただいまの毛利松平君提出の動議について御発言があればこれを許します。河上民雄君。
#5
○河上委員 ただいまの動議につきまして日本社会党を代表して私どもの立場を述べたいと思います。
 第三次海洋法会議における経緯にかんがみまして、大陸だな問題に関する世界の趨勢は、きわめて複雑な動向を各国は示しております。かかる現状から、日韓の間における大陸だな境界画定に関する問題は、日韓両国にとって重大な関心事であるのみならず、わが国の国益上、慎重にあらゆる面から検討を要する問題が山積いたしております。今国会に提出されたいわゆる日韓大陸だなに関する協定に関しては、いまだ国民のコンセンサスを十分得るに至らず、また中国側の大陸だなに関する主張を何ら顧慮することなく、韓国側が本協定の発効手続を進めていることを理由として、本協定が今国会の承認手続の最終決定が得られない場合、これを継続審査案件として単に次期国会に引き継ぐことは、きわめて便宜主義的な取り扱いと言わざるを得ないと思います。さらに本委員会における本件の審議状況から見まして、従来の慣例上これを廃案とするのを至当と考える次第でございます。よって、わが党は、本協定の今会期における廃案を主張し、継続審査案件として処理することに反対するものであります。
#6
○栗原委員長 正森成二君。
#7
○正森委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、本件いわゆる大陸だなに関する日韓間の協定について閉会中審査を行い、継続にすることに反対し、廃案にすべきであるということを主張いたします。以下それについての理由を簡単に申し上げます。
 まず第一に、本件の協定がいわゆる大韓民国朴政権との間で行われておりますが、御承知のように朝鮮民主主義人民共和国からは、この朴政権というのはそもそも当事者能力がない、全朝鮮人民を代表するものではないということが言われているにもかかわらず、一方的に結ばれた協定であります。
 そして第二に、本件いわゆる係争地域というのは、中華人民共和国にとってもみずからの大陸だなを主張している地域であり、三国間で円満に解決されるべき原則であります。しかるにそのような手続が一切とられておりません。こういうものについて継続審議にするということはきわめて不適当であると思います。
 なお、内容について多くは申しませんけれども、必要な範囲で申し上げますと、この協定はそもそも性質の違う二つのものを抱き合わせにして出しておる。すなわち、北部についての境界画定と南部についての共同開発という二つであります。そして北部については、外務省の説明によりましても、いわゆる等距離原則によって処理されております。ところが南部の共同開発については韓国のいわゆる自然延長論というものをとって、わが方の中間線より範囲内のものについて共同開発するというたてまえになっており、わが国の主権的権利を著しく侵害するものであります。
 そして、政府の非公式の言い分によりますと、いわゆる一九六九年の北海大陸だな事件に関する国際司法裁判所の判決、こういうものが必ずしもわが方に有利でないということのようであります。しかし、この判決を調べてみましても、いわゆる大陸だなに関しての境界を画定する場合の原則とされております等距離原則、すなわち等距離原則というのは合意それから中間線及び特別事情というものを考慮する三つを組み合わせたものになっておりますが、そういう点を、この国際司法裁判所の判決も全く否定し去ったものではないと言われております。
 のみならず、大陸棚条約が結ばれましてから現在に至るまで二十年近い歳月がたっておりますが、その間に結ばれましたすべての条約を見ましても、本件条約のようにこういう一方的な譲歩を行った条約はございません。いずれもいわゆる等距離原則と言われるものの範囲内において承認されており、あるいは合意がなされている実情であります。
 そういう点を考えますと、この条約はきわめて慎重に審議されるべきであると言わなければなりません。
 ところが、翻って本国会における状況を見ますと、なるほど本会議で一応趣旨説明と質問は行われましたけれども、肝心の審議すべき当委員会においては外務大臣の提案理由の説明が行われただけで、私どもはこのような重要な案件についてただの一度の審議も行っておりません。こういう実情を考えますときに、また伝えられるところ与党の中でもいろいろ意見があり、出し直しをすれば与党の中の合意を得るのになかなか時間がかかるということも巷間言われておりますが、仮にそれが事実であるとすれば、そういうものは一度廃案にして、もう一度与党の中でもよく練り直して、その上で国会に提出するというのが、与党の背後にある国民の意思をも正当に国会で代表する道であるというように考えます。
 私ども日本共産党・革新共同としては、法案の内容についてもちろん反対であり、そしてその手続においても十分この外務委員会で審議されておらないというような点を考えますと、しかもこの条約の有効期間が五十年であるということを考えますと、五十年ということになれば、三木内閣が存続しないことはもちろんであるだけでなく、現在の資本主義体制が続くかどうか、朴政権が続くかどうかということさえわからない、そういうものを早々に継続審議にするというようなことには私どもは絶対に反対であります。
#8
○栗原委員長 渡部一郎君。
#9
○渡部(一)委員 私は、公明党を代表して、日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件の閉会中審査に関する動議に対し、反対の意を表するものであります。
 私は、公明党を代表して、この案件に対する私どもの態度を申し述べたいと存じます。
 まず、本案件は、提出当初より二協定を一案件のごとく装って提出するというごまかしの上に成立しているものであります。すなわち、この協定は両国間の大陸だなの境界画定に関するものでありますが、北部の部分と南部の共同開発との二協定が存在するのでございますが、これをこのような形で一案件として提出することはきわめて不当であります。それはすなわち、このような形で連結が行われるものであるならば、わが外務委員会において精密な審査が行われるということは今後保証されず、一括してイエスかノーかというやり方、そしてきわめて粗放な審議の内容しか期待できないからであります。また二つの協定の本質的に違うものをこのようにまとめて提出したということは、外務当局のエラーもありますが、自民党の外交部会のきわめて重大な失態であると指摘せざるを得ないのであります。しかも、この審議に当たり、審査の十分な日程はとられておらず、かすかにこの提案理由の説明が本委員会において行われたのみでありまして、その内容については一回も十分な審議が行われておらないということを指摘したいと存じます。
 したがいまして、このような案件を継続案件にするということに関しては、当外務委員会のいままでの審議の伝統に対して重大な変更を試みるものであり、少なくとも継続審議にすることにはなじまない案件であると存じます。
 しかも、本外務委員会における今回の審査の途上、きわめておかしな問題が続々発生しているわけであります。核防条約に関しましては、自民党は、審議したのにもかかわらず継続審査案件としてこれを葬り、また大陸棚条約については審議しないのに継続審査にしようとするこの矛盾と撞着、このうそとごまかしに関しては私どもは許すことができないのであります。
 また、問題になっております北部協定と南部協定についてでありますが、まず南部協定に関しましては、内容的にも大きな問題点があるわけであります。
 すなわち、北朝鮮の方から、あるいは中国の方からこの境界の画定あるいは共同開発に関してさまざまの意見があるのに、これに対して十分な手当てを行ったかどうかについて、私たちは資料を欠いているわけであります。
 またこの南部協定の開発に関しては、アメリカの国会において多くの汚職事件の追及とともに問題点が指摘されており、その指摘された問題点についての解明あるいはそれに対する情報を欠いているわけであります。
 また、日本と韓国の間においては、金大中事件を初めとするさまざまな問題、不実企業を中心とする日韓援助に関する不明朗な問題等、わが国国民に対してきわめて不当な印象を与え続けているわけであります。こうした問題についてあえて触れることなく、そしてそれを解明することなく、当案件の審査にかかることもまたきわめて不当であると私たちは考えるわけであります。
 また、政府の言い方を聞いておりますと、先ほどの理事会の席上、本案件についてわが国政府はすでに署名をしているわけであるが、もし批准しないならば、途中において南部開発が韓国の手によって一方的に行われ得るということを自民党理事は表明されました。これは明らかに自民党あるいは政府のいままでの主張からも妙な説明であります。すなわち韓国政府は、署名案件についても、他の民主国家が批准するまでの間にその交渉決定内容を重大に変更するような国家行動をとるということを公示しているからであります。これは韓国政府に対する明らかな冒涜であり、少なくとも政府・自民党が表明すべき意見ではないものと心得ます。
 また、本案件につきましては、資料の提出がきわめて不十分であります。本案件を審議するに当たり、日韓関係を総ざらいすると申しているわけではありませんが、本案件に関連する重大な事項に関し、政府・自民党は資料を十分に提出する必要があります。少なくとも、共同開発地域における各国政府と開発担当会社との間の契約内容のごときものは当然提出されてしかるべきなのにもかかわらず、政府は依然としてそれを提出せず、本案件に対する審査を不能ならしめているわけであります。
 また私どもは、ただいま国会において、特に参議院において行われておりますように、議会民主主義の正当な行使に当たり、問題が発生している事実にかんがみ、政府に深く反省を求めるのでありますが、政府・自民党は、最近においては党内の意思統一を欠いたまま法案を提出する癖があり、特にこの法案に関しても全く反対者を党内に多数擁しながら、あえて強行しようとする、このような形では、また参議院において通過が阻止され、大騒動が起こることは目に見えておる。そういう形のままにこういう案件を提出することについて十分の反省をいただきたい、こう思うわけであります。
 以上、いろいろ申し述べましたけれども、形式的にも実質的にも、本案件を閉会中審査案件とすることは当委員会の正当な運営にとってなじまないばかりか、わが国の国益を損し、当委員会の正当な国政審査権に対する重大な障害になるものと考え、ここに反対の意を表明いたします。
#10
○栗原委員長 永末英一君。
#11
○永末委員 日韓大陸棚協定に関する民社党の意見を開陳いたします。
 もともとこの条約案は、二つの種類の異なったものを一本にいたしておるところに大きな疑義がございました。われわれは、日本と韓国との間での北部におけるいわゆる境界画定の問題は、これは日韓両国双方が合意を見るならば、それはそれなりでまとまるべき問題だと考えます。しかしながら、同時に条約の内容をなしております南部の共同開発に関する件につきましては、わが国が建国以来初めてやろうとすることでございまして、それにしてはきわめて準備が不十分であり、配慮の足らないところがある。これは出直してやるべき問題ではなかろうかとわれわれは考えております。
 もっとも、昨年、ことし、大きな二つの海洋法会議が行われました。そして、領海、経済水域、海底利用、それぞれについて多数の国々の意見がこのフォーラムで開陳をされ、そしてジュネーブにおきます本年度の海洋法会議は、最終的に単一草案をつくりまして閉会を見ております。言うならば、海底利用という問題につきましては、世界各国は初めてこれを消化し、複数ないしは多数国間の問題となるところでは、いわば新しい海の国際法秩序ができ上がろうといたしておるところでございまして、これらに先立って、日韓両方で合意を見たからといって、いわゆる南部におけるアジア大陸の大陸だな問題について二国だけでものを決めようとするのは、非常な国際的な問題のある点だとわれわれは考えます。しかも、共同開発とは言っておりますけれども、日本国と韓国だけの問題ではなくて、これに米国資本が入ってこようとしておるのでございまして、しかもその大陸だなにつきましては、中国が同じく自然延長論の主張のもとに、自国もまたこの地域の問題についての発言権を留保していることは歴史的事実であります。にもかかわらず、急いで日韓両国だけの話し合いで第三国であるアメリカの資本の導入をやろうという態度につきましては、わが国政府の外交方針として一体いかがなものであろうか、われわれは深い疑義を持っております。
 しかも、この共同開発の点につきましては、韓国は大陸だなの自然延長論の立場に立ち、わが国が等距離論の立場に立つといたしましても、わが国から言えば非常に大きな譲歩であります。それほどの譲歩をしておりながら、昨年の一月にこれが調印をされ、そして現在まで非常に長い時間を要しておりますが、その調印に際しましても、同じく大陸だなの自然延長論の立場に立つ中国との間には懇切な話し合いも行われず、自後長期を経ているにもかかわらず、なお中国との間にはほとんど未接触のまま推移をいたしておる政府の国際感覚について、われわれは深い疑義を持っておるものであります。
 したがって、この条約案がわが衆議院の本会議に上程をされ、わが外務委員会で審議の対象になったのでございますけれども、そして時日を食いながら、なお便々として何らなすところなく本日まで推移し、会期が切れたから閉会中の審査を要求しようという態度には、われわれとしてはきわめて不快の念を持っております。これらの新しい国際秩序をつくろうというならば、それはそれなりに手を尽くすべき点があったのではなかろうか。
 この意味におきまして、これらの条約案は、振り出しに戻って、そうして新たな観点から考えるべき問題だと考え、閉会中審査にはわれわれは賛成することはできないという態度を、はっきりと表明をいたしておきます。
    ―――――――――――――
#12
○栗原委員長 ほかに発言もありませんので、直ちに毛利松平君提出の動議について採決いたします。
 毛利松平君提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
#13
○栗原委員長 起立多数。よって、毛利松平君提出の動議のごとく、本件は閉会中審査の申し出をすることに決しました。
 なお、議長への申し出に関する手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
#14
○栗原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 この際、暫時休憩をいたします。
    午前十一時十八分休憩
     ――――◇―――――
〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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