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#1
第075回国会 法務委員会 第3号
昭和五十年二月十八日(火曜日)
    午前十時十五分開議
 出席委員
   委員長 小宮山重四郎君
   理事 大竹 太郎君 理事 小島 徹三君
   理事 田中伊三次君 理事 田中  覚君
   理事 保岡 興治君 理事 稲葉 誠一君
   理事 横山 利秋君 理事 青柳 盛雄君
      小澤 太郎君    小平 久雄君
    早稻田柳右エ門君    綿貫 民輔君
      諫山  博君    沖本 泰幸君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 稻葉  修君
 出席政府委員
        法務政務次官  松永  光君
        法務大臣官房長 香川 保一君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 勝見 嘉美君
 委員外の出席者
        最高裁判所事務
        総局総務局長  田宮 重男君
        最高裁判所事務
        総局人事局長  矢口 洪一君
        最高裁判所事務
        総局刑事局長  千葉 和郎君
        法務委員会調査
        室長      家弓 吉己君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月十八日
 辞任         補欠選任
  濱野 清吾君     綿貫 民輔君
同日
 辞任         補欠選任
  綿貫 民輔君     濱野 清吾君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第一三号)
     ――――◇―――――
#2
○小宮山委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。青柳君。
#3
○青柳委員 ただいま議題となっております裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、簡単に質疑をいたしたいと思います。
 この改正案はきわめて簡単でございまして、要するに、第一は、簡易裁判所の判事の員数を三人増員する、それから第二は、裁判官以外の裁判所職員の員数を二十三人増員する、このただ二つのことでございますけれども、こういう改正の結論になるまでの間に、最高裁判所当局といたしましては、例年のことながら内閣の方に対していわゆる増員要求というものを出されたと思うのです。このことについては、前回の委員会で同僚の大竹委員からも質問がありましたので、重複するところを避けたいと思いますけれども、どのような要求を出されたのか、計数も含めてお尋ねいたしたいと思います。
#4
○田宮最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 当初、八月末に概算要求書を提出するわけでありますが、その段階におきますところの要求の内容でございますが、裁判官は判事補十二名、簡易裁判所判事十四名、合計二十六名でございます。それから書記官六十一、家裁調査官二十一、事務官二百七十七名で合計三百五十九名。それからそのほか行(二)職員、医療職職員等合計して六十一人。全体、裁判官と一般職合計いたしまして四百四十六名の増員要求をした次第でございます。
#5
○青柳委員 いま言われたような要求をするのについては、それぞれ根拠があって、しかるべき理由があってそれだけの数が必要であるというふうに計算されて出したものだと思います。その理由は、それぞれについてどういうことでございましたでしょうか。
#6
○田宮最高裁判所長官代理者 増員の要求をいたしますやり方の問題でございますが、従来からそれぞれの項目を検討いたしまして、そうした業務に必要な人員ということで要求をするということに相なるわけでございます。たとえば広報体制の充実強化というようなことで広報関係が非常に必要である、そのために事務官が必要であるということで事務官の要求、また、健康管理機構を充実したいということで医師、薬剤師、看護婦等の要求をいたす。それからまた、最近共済組合の事務が非常にふえておりますので、その関係でも事務官を必要とする。また、今回予算では認められましたけれども、家庭裁判所におけるところの寄託金事務の処理のために事務官が必要である、そういったようなこと。また、一般の民事、刑事、家裁の事件処理の関係でございますが、調停事件の処理の充実強化のため、または特殊損害賠償事件等の処理、執行官監督事務、執行官事務事件受付職員、そういうようなこと。刑事では、今回予算で認められておりますが、交通事件処理というようなことでございます。また、家庭裁判所の関係におきましても、調停事件関係の処理というようなこと。その他図書館、書記官研修所、調査官研修所のそれぞれ事務を円滑にするというようなことで若干の事務官の増員。このような組み立てをいたしまして予算要求をいたした、こういう次第でございます。
#7
○青柳委員 それぞれの理由、よくわかりましたが、いまお答えのなかった分は後回しにいたしまして、お答えのありました裁判官以外の職員の増員の理由は、それぞれ具体的な根拠があって出されたものだと思いますけれども、結果的に見ますと、いまお答えの中にもありましたように、地方裁判所における特殊損害賠償事件とか、家庭裁判所における家事調停事件、それから簡易裁判所における民事調停事件及び道路交通法違反事件、こういうものについての適正迅速な処理を図るための分は幾らか認められた。それ以外の、広報関係とかその他、いまお話しのありましたいろいろのことについては全然認められなかったという結果になっております。そうなりますと、せっかく適正迅速な処理を図るという趣旨で裁判官以外の職員の増員を相当数要求したにもかかわらず、結果的にはきわめてわずか、四百二十名に対し、そのうち四十八名は予定の削減人員でありましても、七十一名が実際上は増加されるのではなかろうかと思ったのに二十三名、三分の一以下になってしまったというような現実でございますけれども、これはそれぞれ合理的な理由があってそこに落ちついたのか、それともがまんせいということで、実際は必要は認められるのだけれども何かほかの理由でがまんしてくれということだったのか、その辺はいかがですか。
#8
○田宮最高裁判所長官代理者 決してこれでがまんせいということで押しつけられたわけではございません。裁判所の場合には何と申しましても事件処理ということが中心でございます。先ほど御説明いたしましたように、その他の広報関係、共済事務関係といったようなもの、これももちろん大切ではございますけれども、これはもっぱら司法行政事務でございますので、現在の陣容で絶対にやっていけないというふうな状況ではございません。できたらばそれだけふやせばなお円滑にいくのではないかということでございますので、こうした行政事務になりますと、いろいろのやり方によっては現在の陣容でもやり得る。工夫をこらすことによってそういうことも可能な部分でございます。したがいまして、予算折衝の過程におきましてそういうような点につきましていろいろ折衝するわけでございますが、政府の定員を極力抑制するというような方針もございますし、当面、裁判所として緊急を要するものは事件の処理関係であるというようなことで、最終的には事件処理関係に集中いたしまして事件処理関係の人員を確保するということで、そのほかの人員につきましては、さらに事務処理その他の合理化を図るといったようなことで従来の事務に特に支障を来さないで済むというようなことで、結果的には先ほど先生御指摘のような人員ということになったのでございます。
#9
○青柳委員 先ほど、裁判官以外の職員の予算要求の内容、それぞれの職種について話がありましたが、いずれも緊急性があって要求されたものだと思うのです。裁判官の不足ということについても後から御質問いたしますけれども、裁判官以外の職員の不足という問題はもう慢性化しているというか、十年あるいはもっと前から毎年毎年要求をせざるを得ないというような状況であって、決して増加要求をしなかった年はない。裁判所の方から私の手元に届けていただきました表を見ましても明らかでございます。たとえば、四十一年は八百二十名の要求がありまして、結局は五十八人しか認められていない。四十二年は六百十六名要求しまして四十七名、四十三年は五百四十二名要求しまして、削減人員が七十七あった関係もありますが、結局十三名が純増である。四十四年は五百十二名で、削減が五十で、結局は差し引き百十九名の純増。以下同じですが、四十五年七百八名の要求に対して百五名、それから四十六年は五百十九名に対して十九名、四十七年は四百七十七名に対して三十一名、四十八年は五百十七名に対して二十八名、昨年、四十九年は四百七十八名に対して二十五名というようなぐあいに、すべて一けた下で、しかも非常に低いところでようやく認められておる。けたが同じ台なのは四十四年と四十五年だけだ。こういうふうに、何か要求もマンネリ化すれば結局これをしぼられて純増もきわめて少ないという状況、これも慢性化しておる。ほとんど同じパターンを十年この方繰り返している。これは一体どういうことを意味するのでしょうか、私どもはとうてい理解ができない。
 要するに、予算要求というものは少し山をかけて吹っかけておけば、どうせ削られるのだから、結局は、ねらいのところに近いところが得られるのだ、そういうことで、こういう型というものがすべての予算要求にはつきものなのだから別に不思議ではないということで了解してしまう、そういうことなのか。それとも、国民の要求を満たすためには、また職員の労働強化を来さないためにはこの程度の人員は必要なんだ。それをそもそも毎年請求するけれども認めてもらえないから、根気よく、これでもか、これでもかといって続けていく。そうすればしまいには、十年くらいたてば十年前の要求ぐらいなものは達成できたことになるというような、そういうねらいでやっているのか、この辺のところの率直な話をお聞きしたいと思うわけですが、いかがですか。
#10
○田宮最高裁判所長官代理者 決して、山をかけて当初のねらいのところを最終的に獲得し、それで数年たてば当初の目的を達するというふうなやり方の予算要求ではございませんで、先ほど申し上げましたように、それぞれの事務、司法行政事務も裁判事務もそうでございますが、それぞれに必要なこととして予算要求をしてまいっておるのでございます。
 先ほどちょっと言い足りませんでございましたが、この増員要求のうち大体半分以上は、毎年、裁判事務関係と申すよりはむしろ司法行政事務関係、たとえば先ほど申しました広報関係とかそれから研修所の事務職員といったような一般の行政事務関係が要求にはあるわけです。その点につきましては、これは他の省庁と特に異なる点はないわけで、普通の行政事務と特に変わる面もございませんので、そうした関係で絶えず要求はいたしますけれども、最終的には裁判事務関係優先ということで、そちらの方の人員を確保することに相なるわけでございます。
 たとえば、行(二)職員と申しまして、最近、庁舎等たくさんできますと、清掃業務とか電気設備関係の職員とか電話交換手といったような職種が必要なわけでございますので、そういう点も毎年毎年庁舎の新営に応じましてある程度増員要求をしてまいっておるのでございますが、これも昨今の事情になりますと、できるだけこれは裁判所内の職員ではなくて清掃会社に外注をするとか、それから機械設備は自動化をするというようなことで、極力人員ではなくてそうした面で賄っていくというようなことで、最終的にはそういうふうなことで話し合いがつきますので、結果的にはその分の増員は認められなかったということにはなりますけれども、反面、そうした清掃会社に掃除を頼むといったような経費、それから電気設備関係におきましてもそうした専門の会社と契約を結ぶ、そうした関係の経費として認められる、そういうふうなこともございまして、増員が認められなかったからといってそれですぐに事務に支障を来すということもない、そういうふうな増員部分もあるということを御了解いただきたいと思います。
#11
○青柳委員 いまの答弁を積極的にと言いますか、要するに納得のいくように聞く方で理解をするとすれば、当初の考えていた最高裁の要求というものにも一理あるんだけれども、よく話し合ってみると、結局は、諸般の事情を勘案すればその都度減ってくるんだ、決してはったりでも何でもないんだ、こういうことになりそうなんですけれども、どうも無理が通れば道理が引っ込むと言いますか、人員を余りふやしたくないんだという基本方針がありまして、特に削減をするなどという時世のときに増員をするなどということは、これはもう傾向が逆であるというようなことで、結局はその方が強くなって折れざるを得ない。だから決してはったりではない。むしろ理想的なものを求めるが、現実は理想どおりにはいかぬのだというような、いまの御答弁を積極的に受けとめればそういう理解になると思うのですが、それにしてもどこかにこのしわが寄っていると思うのです。
 私どもは全司法労働組合あたりからいろいろの苦情を聞くわけです。国会でもひとつ事実関係をよく認識してもらいたい、そして国政の中で自分たちの苦しい立場、切実な要求を実現するように、反映するように努力してもらいたい。これは野党だから言ってくるのじゃなくて、与党の委員の先生方のところへも陳情はしているようでありまして、これは私どもも部外者として聞いても道理に合っている要求ではないか。つまり、労働が非常に強化される、したがって職業病も続出している、しかし労災認定はなかなかしてもらえない、それは当然国民に対するサービスにはね返っていって、国民の権利を守るという点で非常に不十分なものになる。いずれにしても結局否定的な現象が生まれているんだ、そういうしわが寄ってきているんだということでございます。したがって、私たちはこういう現実を見るために、毎年一回は法務委員会として現地視察を五日間にわたって行いますし、また同時に、議員個人としても現場に行って切実な声を聞くように努力をしているわけです。
 私も最近、東京地方裁判所を訪問いたしまして、所長以下裁判官並びに労働組合の人たち、つまり職員の人たちの声も聞いてまいったわけでありまして、わずかな時間ですから十分なことはもちろん見聞できませんでしたが、やはりある程度の印象を受けて帰ってきたわけです。その全部をここで申し上げるわけにはいきませんけれども、たとえば書記官の人たちの仕事ぶりですけれども、従来は書記官が自分で聞いたり見たりして、それを手書きでもって記録にとどめる。私どもがまだ弁護士になったばかりの戦前の時代のことを言うのもおかしいのですが、あの時分には、書記官は裁判官が口授するのをそのまま書いていくというような時期もありました。これも一つの方法ですけれども、時間的には非常に能率の上がらない手工業的なやり方であります。しかし、もう戦後はそんな、裁判官が一々聞き取って、自分の理解を口授して、書記官がそれを浄書するような形で調書ができるというようなことは絶対なくなりまして、全く書記官の責任において、また能力においてつくり上げるということがもう常態化している。これが書記官の本来の職務だろうと思いますけれども、これで独立性もあるわけで、裁判官の下働き機関というわけでもないわけです。
 ところが速記官というのが入るようになりまして、そして当事者が証人あるいは本人尋問をやる。裁判官はそれを黙って聞いておって、補充的に聞くという程度であります。速記官が入って、当事者が聞くものですから、くどい聞き方はしないわけですね。ある質問をし、ある答えが出れば、それをもう一遍念を入れて聞いて、また同じような回答を取ってというようなことをしない。どんどん先へ進んでいく。これは、速記官がいる場合にはそれで済むわけですね。
 速記官のいない場合、書記官が今度はそれと同様のことをやらなければならない。そこで録音機を使うというようなことが一般化しているようであります。この録音機を使うということも、近代的な兵器でありますから決して悪いことではないと私は思うのですが、今度は録音機を頼りにして調書をつくるということになりますと、大変な時間がかかるわけですね。これはもうやってみればすぐわかることでありますけれども、録音された時間の何倍となくかかるわけです。したがって、法廷が終わってから自分の部屋に帰って机の前でそれをやるということもできるわけでありますが、雑音といいますか、周りがやかましくてなかなか聞き取れないというような場合もあるし、何しろ時間がかかるからどうしても家へ持って帰って、そして徹夜してでもつくらなければならぬというようなことになって、持って帰るという実情がわかりました。しかも、この録音機たるや、一台では間に合わないから、二台ぐらい要る。それで二台のうち一台ぐらいは裁判所の方で買ってくれるのかと言いましたら、いやそうじゃないのだ、これは私物なのだ、一台安くても二万円以上かかるのだけれども、それを買って家の方へ置いたり、持ってきたりしているのだということなんですね。こういうようなことで一体いいのか。私は、録音機使用そのものを問題にするというよりも、余りにも書記官が過労になる。そして、家へ持って帰ったのは何か手当にでもなるかというと、それはならないというのですね。ですから、それだけ無給で働かされておるわけです。そういうことが重なっていきますと非常に神経質になってまいりまして、結局は職業病にかかるというような状況になる。
 速記官についても同様のことがあるということでございまして、速記してきたものをどういうふうにまた翻訳するかということも大変な作業のようであります。だから速記官の中で職業病にかかっておる方の数も非常に多いし、また婦人の速記官が多いわけでありますから、いわゆる婦人に特有の職業病、あるいは出産、育児というような問題もありまして、そういう二重三重の負担のために病気になっている方が非常に多い。産前産後の休養もとれないし、流産をしたり異常妊娠をする人も非常に多い。一々ここで統計などは申しませんけれども、アンケートその他の調査によって、決してこれは誇大な宣伝ではないということでございました。
 一々それを公務上の疾病として申請をするかと言いましたら、やるけれどもほとんど認められない例が多いので、もういわゆる上申はしないという例が非常に出ている。まことに不合理なことだと思います。決して好きこのんで無理な労働をしているわけでもないし、また病気になっているわけでもないわけですね。そして、余り仕事熱心過ぎるからそういうことになるんだから、少し怠けていればいいんじゃないかなどと言ったって、日本人が非常に勤勉だということは世界に有名なんでありますけれども、裁判所の職員を含め、国家公務員の方、いわゆる地方公務員もそうですけれども、決して世間で言われる、民間と違って親方日の丸で怠けているんだというようなものではなくて、本能的に仕事をする性質を持っている。だから、交通ゼネストなんかのときには、民間の労働者も自転車を使ったりトラックに乗ったり、非常に苦労して職場へ行くようにしている、あるいは泊まり込む、そういうことは国家公務員の場合裁判所職員の場合でも例外ではないのですね。だから、もう非常に勤勉なわけです。だから無理してでも病気になるまで働くということになるわけです。こういうことを考えると、親方日の丸だから余り数をふやして人件費を使うのはむだである、合理化をせぬことには世間に申しわけないといったようなものではないわけなんですね。こういう点は、やはり人事を扱う立場、もっと高い立場からものを見る場合には当然増員ということを考えてやらなければならないと思います。
 先ほどのお話の中に、書記官の増員要求というのは本年度はしたのでしょうか、しなかったのでしょうか。
#12
○田宮最高裁判所長官代理者 書記官の増員は、合計六十一名の要求をしてございます。
#13
○青柳委員 これこそまさに、先ほどお話しの司法行政よりもそういう裁判事務の方に重点がどうしても移るんだという、六十数名の書記官の要求をされたのはまさにそのものずばりだと思うのですね。ところが、裁判所職員の中の書記官は一名も認められないような結果になっております。要するに事務官を二十三名ふやした。書記官の増員というのはその認められた中にございますか。
#14
○田宮最高裁判所長官代理者 認められましたのは二十三名の事務官でございまして、書記官は今回の予算では計上されておりません。
#15
○青柳委員 やっぱり私の聞き間違いじゃなかったですね。だから事務官だけなんですね。もちろん事務官だって司法行政だけではない、裁判事務の方にも関係しておられると言えばそれまでかもしれませんけれども、いずれにしてもこの点は切実だ。先ほど、どうしても司法行政でない方が重点になるのだと言われた、そのものずばりの書記官がふやされていない。
 大臣、参議院の方で法務委員会が開かれておって、そちらにもう顔を出さなければならぬということですからここでお尋ねいたしますが、法務大臣としても裁判所職員の定員をふやす必要性というものについてやはり御理解がいただけるのではないかと思いますので、どういうふうなお考えを持っていらっしゃるか、それをお尋ねしたいと思います。
#16
○稻葉国務大臣 青柳さんの裁判所に対する御質問とその応答を伺っておりまして、私としても大変勉強になりました。ありがたいと思います。わが国の法曹人口が少のうございまして、裁判官の給源にも限度がありますが、ただいまの書記官の過労等についてのお話はよくわかりました。今後裁判所の要求される事務官、書記官等の増員につきましては、窓口となって、予算要求の責任者である大臣としても大いに努力をして、少しでも御期待に沿えるように近づけていきたい。強く御質問に感銘いたしました。努力をする覚悟でございます。
#17
○青柳委員 大臣のそういう所感をお聞きしまして、私ども意を強うするわけでありますが、特別職として裁判所職員はその都度、一般行政職と違ってこういう法律案を出されて、もちろん別に出されて、法務委員会でその都度毎年審議する。これだけ国民の関心を呼ぶ機会が、特に裁判所職員という形であるわけなのです。給与法案なんかになりますと、検察官の給与が裁判官の給与と同じように法務委員会で審議されますけれども、検察官あるいは検察庁関係の職員の増員というようなことについては、ここでは法案としてほとんど審議されることはないのです。だからそういう点で、裁判官及び裁判所職員一般の定員を毎年毎年ふやしていくということについて国会の審議を受けるという特殊性にかんがみましても、担当の法務大臣におかれては、やはりいまお話しのように、特殊の立場にあられるわけでありますから、大きく関心を持っていただきまして、少し実情に合うような法律案になることを期待をいたしておきたいと思います。
 特に、大臣お帰りになる前にお尋ねしたいと思いますことは、裁判所職員の中の裁判官の不足と
 いうのも、後から私、細かに聞こうと思っておりますけれども、やはり慢性化しておりまして、一番極端なのは、いわゆる裁判所の支部あるいは独立簡易裁判所と言われるところに常駐の裁判官がいない。つまり不在庁というのが全国に非常にたくさんある。過疎地帯の市などにある簡易裁判所あるいは支部、そういうところに裁判官がいないものですから、職員は多少おりますけれども、ときどき裁判官がやってきて裁判事務をとるという、こういう不在庁の存在というものが、もう十年以上ずっと前からそういう状況が続いている。これはどういうことなのか。そんなもの要らないのだからつぶしたほうがいいのか、それともつぶすべきではない、問題はそこに配属する裁判官の数が不足しているのか、どっちに隘路があるのかと言えば、つぶす方に合理性があるのではなくて、裁判官をそこに配属することの方に合理性がある、こういうふうにわれわれは見受けるわけです。英米法の制度のように巡回裁判所などというものは日本にはありませんから、どうしても要所要所に裁判所というものが存在しておって、裁判所の機能を営むためには当然のことながら裁判官がそこに常駐しておられるということでなければならないわけだと思うのですね。
 なぜ裁判官がそういうふうに不足しているのか。これは定員が少ないから不足しているのか。それとも、定員はふやしても裁判官のなり手がないから結局は欠員という形で配属できない、つまり定員を幾らふやしても欠員ばかり出て充足できない、したがってこれは法曹人口の貧困というところに原因を求むべきか、そういう議論もあると思うのですね。私どもは、日本の現状で法律を勉強する学生が非常に少ないとか、あるいは国家試験に合格する人が非常に少ないというふうにはちょっと考えていないわけです。そうではなくて、弁護士や何かになる人は結構あるのだけれども、裁判官になる人が少ない。また弁護士から裁判官に転出する人も少ない。そこに裁判官不足の根源があるのではないかと思うのですけれども、大臣は、なぜそういうことになったとお思いになっておられるか、御見解を承りたいと思います。
#18
○稻葉国務大臣 大変むずかしい御質問でございますね。私は、裁判官に対する国民の尊敬の念だとか、それから裁判官のその職責に対する誇りであるとかいうものがないとは思わないのですが、きわめてじみな仕事であるし、弁護士さん等に比較して収入が、経済的にも恵まれる点が少ないというような点もあって、弁護士にはなり手がたくさんあるけれども、判検事になり手がないという結果になっているのではなかろうかと推察をいたすわけです。なかなかむずかしい問題でございますから、判事さんに聞いてみないとわからぬ点もございますし……。こんなことでございます。
#19
○青柳委員 どうも大臣、まだ実情を御研究中のようでありますから、今後大臣をやっていられる間にもいろいろと御研究なさる機会もあろうかと思いますので、またその機会にお尋ねをいたしたいと思います。
 何かいま参議院の方から催促が来ておるそうでございますから、そちらにお移りになって結構でございます。
 そこで、引き続き最高裁にお尋ねをいたしますが、私は過日、東京地方裁判所を訪問した際に検察審査会の部屋に立ち寄りまして、そこで職場の職員から、短い時間でありました、仕事の最中ですから五分か十分もお聞きした程度だと思いますけれども、十分までもお聞きしなかったと思いますが、少しく実情を承りました。そうしますと、予算が非常に少ないと言う。つまり、PRをする予算なんというのはほとんどない。部屋の中にポスターが数枚かかっておりまして、検察審査会というものはこういう仕事をしているのだ、国民の皆さんに大いに活用してもらいたいというような趣旨のポスターが幾種類か掲げてありました。こんなにあるじゃありませんかと言ったら、よく読んでくださいと言う。なるほど、検察審査会の名前もあるけれども、何か協力団体の名前もそれに出ておって、いわゆる民間団体が集めた金でこれは出されている。だから裁判所として検察審査会のPRなんというのはほとんど行われていない。したがって、まずここで検察審査会というものが非常に国民から縁遠い存在になっている。しかし、やっている仕事は非常に重要であって、国民が権利侵害を受けた、犯罪の被害者になったというようなことで、検察庁の公正な処分があるだろうと思って期待しておったのに、案外と犯人を庇護するといいますか、不公平な扱いを受けたというので裁判所の方に駆け込んでくるということで、利用している方はその重要性がよくわかるのだけれども、一般は泣き寝入りになっている。
 これは非常に残念であるということと、それからもう一つの隘路は、受理してから一年くらいたたないと審理が始まらない傾向がある。長くて一年、短くても数ヵ月後でないとだめ。なぜそうなのかということになりましたら、審査をする日が限られている。週に一度か、二週間に一度でしたか、ちょっと記憶があいまいになっておりますけれども、そう頻繁にはできないのだ。どうして頻繁にできないのですかと言いましたら、無抽出でもって選ばれる検察審査員の方々の御都合をそう頻繁に無視するわけにいかない。大体非常に手当が少ない。手当といいますか、実費弁償ですか、それが非常に少ない。だから、一日そういう審査会に委員として呼び出されると一日の労働がふいになって、収入がそれだけ減るわけですね。それに見合うものはもちろんない。交通費をカバーするのが精いっぱい。家庭の主婦などになりますと、お子さんを連れてくるわけにもいかない、御近所の方にお願いをする、そういうお礼も払わなければならない。連れてきてもめんどうを見てくれるような託児所があるわけでもない。そういう御無理を願ってやっていただいているのですから、そう週に一遍とか十日に一遍というようなぐあいに来ていただくわけにいかないからどうしても時間がかかって、一件上がるのに何ヵ月もかかる。それが済まないと次の案件にかかれない、こういう話であります。
 そうすると、手当をふやせばいいのかということに素人はすぐ思うわけでありますけれども、手当をふやされても、そう毎日のように呼び出されてはこれはもうとてもできるものではない。それはそのとおりだと思います。したがって、結局は実費弁償の方もふやさなければ、ただ犠牲をそういう委員の方に負わせるだけです。それは国民としての義務なんだから、年に一度もあるかないかのようなことなんだから、たまたまそういう選に当たったならばやるのが当然じゃないかなどと言わないで、これは財政的な犠牲を余り払わせないようにすることも大事だけれども、同時に、検察審査を行う機構を拡充するという、つまりその職員の数をふやし、そして裁判所でいえば部というようなものの数をふやす。東京の地裁の場合には第一検察審査会と第二と二つに分かれておりましたが、これが第三、第四、第五というふうに分かれておれば、そこにみんな事件を分配されますから、一定の方だけに犠牲を払わすというようなことはなしに並行的に審理が進むということが考えられるのではないか。つまり、どうも印象から言うと、最高裁は検察審査会というものを余り評価していないんじゃないか。むしろ、厄介者扱いとまでは言わないまでも、まあ、余りそこに予算をつけて拡充するというようなことについては消極的ではないのか、こういう印象を受けたわけですね。
 今度の改正案を見ますと、裁判所事務官を、現行「二万千二百五十三人(うち九百九十二人は、検察審査会に勤務する職員とする。)」という括弧つきになっておりまして、これが今度の改正案では二十三人増で、「二万千二百七十六人(うち九百九十二人は、検察審査会に勤務する職員とする。)」これは据え置きでございます。二十三人増だからとても検察審査会の方をふやすなどというわけにはいかぬのだというお話にもなろうかと思いますけれども、検察審査会については特別に括弧つきで法律はできておる。これはどういう意味かよく私には理解できませんし、これは増員をされてきたという歴史があるのかないのか。そしてまたこれを増員する改正というものを考える余地はないのかどうか、これをお尋ねしたいと思います。
#20
○田宮最高裁判所長官代理者 法律に括弧になっておりますが、御承知のように、検察審査会は裁判所とは組織が別でございますので、検察審査会の定員というのは別個に定められているということでございます。
 過去において検察審査会の職員の定員をふやしたことがあるかというお尋ねでございますが、その点についてはございません。
#21
○青柳委員 どうも、そうすると初歩的なことからお尋ねしなければいけませんが、裁判所と機構が別だという。そうすると、所管は最高裁判所の中に入っておらぬということであるという意味なんですか。そうすると私、法務省関係かな、そんなふうに思ったりするのですけれども、この辺、私ども素人でちょっとわかりにくい面がありますから、もうちょっと詳しく御説明をいただきたいと思います。
#22
○千葉最高裁判所長官代理者 検察審査会は、独立の法律で、民間人による独立の機関だということで、裁判所の機構そのものではございませんで、裁判所の方が人員、予算等について庶務的な面を扱う、それで公平な立場で裁判所の中にその機構を置いてある、こういう関係になりますので、裁判所そのものの機構とは別になっております。ただ、先ほど申しましたように、予算とか人員等の点につきましては裁判所の方がその手当てをする、そういうかっこうになっております。
#23
○青柳委員 裁判所とは任務が必ずしも同じじゃないということは、やること自体からよくわかります。準起訴手続などというのは裁判所が担当する仕事でありますから、これはそれなりに純粋に裁判所の事務だというふうに思いますけれども、しかし、裁判所の庁舎の中にあって、人員の配置とか手当などはやはり最高裁が扱うんだということであるならば、どこかでこの問題について真剣に考えてくれるところがないと、これは置いてきぼりを食うという結果にならざるを得ないわけですね。だから、いま千葉刑事局長がおっしゃったように、裁判所が手当てをする手当のものとか、それから委員の実費弁償ですか、そういうような問題とかいうのについて当然事務を担当するということであるならば、法案についても、それからそれを変更することについても関心を持ち、まま子扱いにしないでもらいたいと私は思うのですよ。そうしないと、それはもう立つ瀬がないと思うし、またこの制度を設けても全く形骸化されてしまうという結果になると思う。
 私がかつては弁護士の仕事をやっておった時代に扱ったこともありますが、ある交通事犯で、運転者には過失らしいものは認められないからということで、行政処分もあるいは刑事処分も受けなかった。しかし検察審査会では、なぜ不起訴にしたかということについて審査した結果、これはおかしい、やはり業務上過失があるということで起訴すべきものであるという意見が出たんですが、もうすでに時効にかかっておったというようなことがあって、これは刑事事件としてはもうだめでございましたが、民事事件が並行して行われておりましたので、その損害賠償の方にはその審査会の意見の結論というものがやはり一定の資料としての効果を発揮したというふうに見るわけです。これは私自身の扱った事件ではなくて、他の人の扱ったのをはたで見ていてそういうことを感じたわけです。そういうふうに具体的にも、決して被害者の被害妄想の、ただ気休めにあるというような制度ではないというふうに思いますので、今後これはまた私も研究を深めて質疑を続けたいと思いますが、最高裁におかれてもぜひ真剣に御検討を願いたいと思います。
 それから、事務官の仕事の中で、裁判事務というよりも庶務的な事務で、特に給与の関係を扱っているところがございました。そこへ私も寄ってみたのですが、ここはちょうど行ったときが給与の支払いの日に近づいていたせいもあるのかもしれませんけれども、もう立ったままで整理をやっているというような人もあるし、とても私どもが話を聞くような雰囲気ではないのですね。もう流れ作業みたいな形でやっているのですから。いつもこんなかと言うと、大体そうだと言うのですね。裁判所の上の方で十分めんどう見てくれるか、自分たちのやっている仕事について十分評価してくれるかどうかというようなことも率直に聞いてみたのですけれども、どうもそうはなっておらぬ。というのは、裁判所事務官から書記官の方に行くというルートになっておって、書記官のための研修といいますか、そういうような方に人を取られたりして、そしてやはり仕事のしわ寄せが来ているのだ、こういうような意見が出ました。
 大事な給与などの仕事に携わっている人たちでございますから、神経も使うだろうと思いますし、また民間の供託金の扱いあるいは保釈金の扱いなどもやっているわけでありますから、金を扱う非常に重要な仕事でございます。ほかの仕事が重要でないという意味ではありませんよ。それにふさわしい待遇ではないというふうな感じを持ちました。これは果たして妥当であるかどうか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
#24
○田宮最高裁判所長官代理者 事務局部門では、一般的な庶務は常時仕事の増減というものはございませんが、特に人事、経理といったような関係は一時的に仕事が集中するということもございますので、かなり、同じ事務局の中でもほかの部門に比べて忙しいという時期があろうかと思います。そういう点につきましては、近時いろいろ機械等を導入いたしまして事務の能率化、それから負担の軽減等を図ってまいっております。
 なお、青柳先生から御指摘の、書記官にというお話でございますが、これは御承知のように、事務官で書記官の資格を得るために書記官研修所に入所するということになりますと、入所した期間中事務官が不足するといったようなことではなかろうかと思いますが、その点につきましては、そうした穴埋めと申しますか、その期間はほかの部局の者がその手伝いをするといったようなことで賄っておりまして、書記官研修所に入所したためにその部分があいてしまって、ほかの者に全部しわ寄せになるという状況にはなかろうというふうに考えております。しかし、いずれにいたしましても、そうした人事、会計といったような仕事は、かなりほかの部門よりも忙しいことは間違いも起こりますので、今後とも機械化等を図りまして、職員の負担をほかの部局と同じようにいたしたいというふうに考えております。
#25
○青柳委員 いま会計の経理の方のお話をいたしましたが、これは人事課という部分にあるのかもしれませんが、人事課と経理と同じかどうか、ちょっとそこのところ、私、覚えておりませんが、人事課というようなところは、全司法労働組合に加入している職員が非常に少ない。採用された場合にこの人事課のほうに配属をして、そこで研修でしごくというような人事課特有の雰囲気があって、そこで一定の訓練を受けた後に他の職場へ配属するというようなことで、労働組合になじまないような雰囲気があるようにも報告されております。だから、これがまさか、労務対策としてすべてここに突っ込んでいくということではないと思いますけれども、しかし組合員の数が非常に少ない、そして呼びかけをしても反応がほんの微弱である、そういうようなのが現実です。だから、こういうのは何かやはり一種の差別と言いますか、そういうものをうかがわせる面がありますので、これも本当にそうだとするならば決して軽視できない問題だと思います。質問しても、恐らくそういうことはありませんという答えが来るだろうと思いますからこれ以上質問いたしませんけれども、どうもそういう状況がうかがえました。
 時間の関係もございますので次に移りますが、裁判官の慢性的な不足ということについては先ほど大臣にちょっと質問いたしましたけれども、全国に地裁の支部あるいは家裁の支部、それから独立簡易裁判所というようなものが幾つかありまして、そこに専属の裁判官が配置されていないということが古くから問題になっております。これは、それほどの必要がないから配属しないというのが主たる理由であるのか。しかし、廃止はできないのは、じゃなぜなのか。それから、いや、廃止するなどということはそれは考えていないんだけれども、いかんせん裁判官が少ないから専属的に配置はできないんだというのか。そうだとすれば、裁判官をふやすということについてはどういうふうに今後努力をするのか。それから、裁判官は決して少ないわけでもないけれども、好んで行ってくれないから仕方がないんだというような原因があるのか。そうだとすると、どうしてそういうところへ回されることに拒否反応を示すのかというようなことも、まあわかるような面もないわけではないけれども、そういう点がもしあればお尋ねをいたしたい。いまの質問にしかるべき回答をいただきたいと思います。
#26
○田宮最高裁判所長官代理者 裁判所の乙号支部、それから簡易裁判所でかなり多数の裁判官が常駐していないということは事実でございます。その原因でございますが、ただいま青柳委員いろいろお挙げになりましたが、結論的に申しますと、それらすべてではないかというふうに言えると思います。
 まず、そうした裁判所の場合には、裁判官一人の事務量として一人置くだけの事件がないといったような状況にございます。したがいまして、そういうふうな場合には、最寄りの庁の事務量と、その事務を処理しながらなおかつ填補によってもその当該支部、簡裁の事件も処理し得るということで、最寄りの庁と合わせて一人置けば足りるという程度の事務量であるということが言えると思います。
 それからまた、裁判官の不足ではないかという問題もございます。確かに、独立簡裁等で裁判官がおらないという場合には、簡易裁判所の判事の場合には判事補、判事のようにそうした一定の資格要件というものが厳格でございませんので、簡易裁判所の判事についてはそうした給源の問題というのは特に深刻な問題ではございませんけれども、しかし、簡易裁判所の性格論とも関係いたしますが、できるだけ有資格者をもって簡易裁判所に充てるという一方の要請もございますので、そういった面から見ますと、特に選考によるどころの簡易裁判所判事を一挙にふやしてそういうところまで置くということも、これもある意味では給源との関係で、簡易裁判所に裁判官が常駐しないという裁判所もできる、こういうことだろうと思います。
 それからまた、仮に当該乙号支部に常駐することの方がむしろ事務処理としてはふさわしいという場合もございます。むしろ乙号支部の方に常駐をして、本庁なり最寄りの甲号支部に填補するということの方が事務処理としては好ましいのではないかと思われるところもあるのでございますが、こういうふうな場合になりますと、先ほどもまた青柳先生から御指摘のように、当該裁判所に行きたがらないということがございます。これもいろいろ理由はあると思いますけれども、主たる理由はやはり子弟の教育問題ではなかろうかと思います。それからまた、若いうちでございますとできるだけほかの裁判官と一緒のところにいて、そこにいていろいろと接触することが自分の勉強にもなるということにもなりますし、また図書、資料の整備といったような関係も、どうしても大きな裁判所の方が整備しておりますので、むしろそちらの方が自分の将来のためにも勉強になるというようなことで、そうした乙号支部には進んで行きたがらないという面もございます。したがいまして、私どもの方から見ますと、むしろ乙号支部に常駐して、余裕があれば他の庁に填補するということが望ましい場合でありましても、そういう場合にはやはり甲号なり本庁の方に常駐して乙号支部の方に填補する、そういうような関係もございまして、いろいろ理由はあろうと思いますが、現状においてある程度相当数の不在庁があるというのは現実でございまして、その実情はいま申し上げたようなととが理由ではなかろうかというふうに考えております。
#27
○青柳委員 いろいろお話がありましたが、それぞれそうなるにはそれだけの原因があってなっているわけですけれども、それでは現状のままでいいのかということになりますと、いろいろな支障と障害が出てきてあるようであります。
 たとえば簡易裁判所で、あるいは支部で、仮処分などというような申請がありましても、たまたま裁判官はおらないということで、書記官が適当に電話連絡等で決める、あとからサインするというようなことになるのかどうか、あるいはそれが来るまで待たなければならないということで非常に時期を失するとか、いろいろの支障がある。逮捕令状などの場合でも、勾留令状なんかの場合でも、簡易裁判所に専属の裁判官がいないということでどうこうというようなこともあるようです。いずれにしても、しわ寄せがある程度また裁判官以外の職員の方にも及んでいるというような弊害もある。
 ですから、いっそのこと整理統合して、そして登記所のように一人庁、二人庁みたいなものはやめて、もう三人以上、四人以上置いて合理化されるような形で、いま交通機関も発達しておるのだから思い切って実情に合うように整理統合したらどうだ。もっとも地元の反対ということも考えなければならないが、これは納得してもらってやったらどうだというような意見だって絶無ではないようです。
 ところがまた反面、そうばかりではないのだ。そういう裁判官のいないような町には弁護士も司法書士もいない。司法書士ぐらいはいるけれども、余り裁判事務にはタッチしたがらない。したがって、法律問題の相談に行くところはどこかということになったら、そこの簡易裁判所なり支部なりの窓口である。そこへ行くと親切に職員の人が相談に乗ってくれる。長いときは半日ぐらいつぶされちゃうというような相談も持ち込まれるという報告も聞いておりますけれども、いずれにしても活用されている面はあるのですね。だから廃止してしまうと、これは地域エゴじゃなしに、本当に困るということもある。だから、これはよほど多面的な総合的な考察を加えて、そして弊害を除去するということに努力する必要があると思います。私は何よりもやはり裁判官の数をふやすことに重点を置くべきではないかと思うわけです。
 そこで、簡易裁判所の裁判官にも定員があるわけでありまして、簡易裁判所の裁判官の定員は、現行法は七百七十六人で、三人加えて七百七十九人になるということでありますが、これは簡易裁判所判事として任命された者の数というか、任命されるであろうところの定員だというふうに理解します。ところが、判事補で同時に簡易裁判所判事を兼ねる人があります。この判事補と兼務になる場合の定員というのはどっちの方に数えるのか。判事補の方で五百七十三人とある方に加えておいて、その中に入れておいて、そしてその中から簡裁判事を兼任させるというような形になるのか。それとも簡易裁判所判事の定員の方に填補しておいて、そして判事補の方の定員の方には加えないというようにするのか。その双方である、そうするとその割合はどうなる。こういうことを私は質問したいと思う。きわめて初歩的な質問でありますが……。
#28
○田宮最高裁判所長官代理者 御承知のように、判事補の職に三年以上ついておりますと簡易裁判所判事の資格を有することになります。で、現実に各地の各庁の実情に応じて、適宜当該裁判官が地裁の仕事をすると同時に当該所在地の簡易裁判所の仕事をする、してもらうといったような各地の実情がございますので、三年を過ぎますと各地で、判事補兼簡易裁判所判事、あるいは簡易裁判所判事兼判事補の発令がなされているのでございます。
 この場合に、判事補を本務とし簡易裁判所判事を兼務とする場合と、それから簡易裁判所判事を本務とし判事補を兼務とする二通りの場合があるわけでございます。これはもっぱら、ただいま御指摘のありましたように定員法上の制約の問題でございまして、定員の関係ではあくまで本務で計算をしております。したがいまして、判事補兼簡易裁判所判事の場合には判事補の定員の枠でそうなっておりますし、また簡易裁判所判事が本務、簡易裁判所判事兼判事補の場合には簡易裁判所判事の定員と、こういうことに相なっております。
#29
○青柳委員 給源はそうすると、裁判所法を見ればわかりますが、最高裁判事は簡易裁判所の判事を兼務することはできないでしょうけれども、下級審の判事はいずれも簡判を兼ねられるようでありますので、七百七十九人という数を大きくしておけば、またあるいは判事、判事補の数を大きくしておけば、有無相通じて、そして独立簡裁といえども決して給源に事欠くことはないというふうに理解できるわけですね。もちろん簡裁の判事の資格しか持っていない人を判事補、判事にするわけにはいきませんから、この方はおのずから制約がありますけれども、簡判に関する限りは定員というのは相当ゆとりがあるように思えます。これは私の理解が間違っているかもしれませんけれども。
 そこでまた別なことをお尋ねいたしますが、予算定員というのと現実に配置する定員というのですか、配置定員というか、言葉は私よくわかりませんけれども、予算の定員はこれこれしかじかだけれども、現実の配置されている定員は、書記官とそれから事務官なんかの場合には過員とか欠員とかいうことがあるということは常識になっているようであります、有無相通ずるから。裁判官の場合にも有無相通ずる面が、いま簡判と判事補、判事との間にありますから、欠員とか過員とかいう問題が絶無ではないのだ。たとえば判事補を本務として簡判を兼務とすれば、七百七十九人にさらに何十人という過員のような状態をつくることは可能のような気もいたします。
 そこで、下級裁判所職員の中の判事の配置基準、あるいは他の職員の配置基準というのは、最高裁とすれば何か一般的に標準を設けて、大体それに従ってやるようになっているのかどうか。文書などができ上がっておって、それがいわゆる規則という形になっているのかどうか。規則あるいは規程ですね、下級裁判所職員定員規程というようなものがあるのかないのか。そういうものがあるとすれば、それは一般に公開をしないのかどうか。
 私ども毎年視察に行きまして、関係庁の文書による報告書などをいただくのですけれども、検察庁の方では、定員はこうで、いま充足しておりますとか欠員が何名とか、ちゃんと書いてある。ところが裁判所の方は、定員が何名で欠員が何名だというようなことは全然書いてない。不思議に思ってときどき聞くこともあるのですけれども、決まっているような決まっていないような、答えがきわめてあいまいで、余りしつこく聞くと失礼みたいな感じがするものだからおしまいにしてしまうのですけれども、あれは在野法曹の弁護士会の人たちも非常に関心が高いのです。職員録などを見て、ここに何名の裁判官がいるということはわかるのだけれども、これは一体定員との関係においてどうなっているのか。それから全国一律に見た場合、定員と欠員の数はどんな状況かということも、そろばんを入れていけばわかるのだろうと思いますけれども、とにかく各裁判所ごとにはわかる。ここでは何名欠員になっているとか、ここは過員ということもあり得るわけですね。予算定員というものはおのずから限界がありますけれども、配置定員については当然、一定の基準があるとすれば、それに準じてこれは過剰であり、ここは不足であるというようなことはあり得ると思うのですが、この点はいかがですか。
#30
○田宮最高裁判所長官代理者 各裁判所の配置すべき人員でございますが、これをどういうふうに算出するかという点でございますが、一応原則としては事件数ということになっております。特に事件数のうちでも新受事件が一応基礎になりまして、しかし新受事件だけではございませんで、そのほか未済事件がどの程度累積しているかということも当然考慮されますし、また事件によりましても、訴訟事件と、それからそのほかに略式とか督促、それから令状、執行といったような事件もございますので、そうした事件との関係も考慮いたしますし、また各裁判所における合議率といったようなことも考慮しております。それからさらに、最近のように種々特殊な、複雑困難な事件が多くなっておりますので、そうした複雑困難な、行政、労働、公安、それからまた公害といったような事件等も顧慮いたしまして、それによって当該裁判所に配置すべき必要人員というものを考えているのでございます。したがいまして、そのような関係でございますので、特に明確な基準といったようなものはありません。基礎的なものはございますけれども、全体としてはかなり裁量的な要素が多うございますので、特に文書の形にしたところの基準といったものは現在ありません。
 それから後段の御質問でございますが、この点につきましては、それぞれの裁判所におけるところの必要人員ということで年度初めにおきまして一応決めておりますが、その後の事件の変動等によりまして適宜それを変更していくということをやっております。それからまた、書記官、裁判官、調査官といったような、こうした一定の資格を要するような職種でありますと、年度当初に仮に人員を決めましても、年度の中途においてその補充ができないということで欠員状況を生ずるということは間々あるところでございます。そのような場合には、どうしてもその後を補充しなければいけないということでありますと他の庁から配転をするということになります。配転をいたしますと片方の庁ではまた欠員を生ずるということになりますが、裁判所みたいな特殊な資格を有する者が大部分を占める役所でございますので、年度当初に必要人員ということで決めましても、それが年度の中途におきましてはいろいろと欠員を生じ、また翌年の初めになりますと一応また必要人員を満たす、こういったような関係になっております。したがいまして、必要人員というものにつきましては、これは全く内部的な取り決めといいますか、内部的に決めておりまして、時々刻々に変わっている、こういうことが現状でございます。
#31
○青柳委員 一般部外者は、裁判所に任せてもらって、つべこべ言ってもらいたくないというような、そんな気持ちは裁判所にもないと思いますし、まして部外者でなしに、裁判所の機構の中で仕事をしておられる関係者の人には、自分の所属している裁判所で裁判官は何人になって、書記官は何人で、事務官は何人、あるいは調査官は何人というような――事務官のことはともかくとして、そういう特殊な資格を持った人たちの年度初めの目安というようなものがある以上は、それを求めに応じて公開するといいますか、知らせてやるというようなことがあっても別に弊害はないのではないか。
    〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕
むしろそれを隠しておくというところに何か非常に合理的でないものが感じられるが、何か、人事のことだから余りあからさまにするとまずいというような含みがあるのか。しかし、定員のことで、ここは一人足りないからもう少し欲しいのだ、事件数などから見ても特殊性から見ても足りないのだからという要望が、当然その部局から出てきておかしくないというようなことも考えられるのですけれども、これは極秘ということになっているのか。それとも、求められれば、だれにでもというわけではありませんけれども、公開されるものなのか、この点、お尋ねしたいと思います。
#32
○田宮最高裁判所長官代理者 当該庁の必要人員というものにつきましては、当該庁別にそれぞれ連絡をしてございます。したがいまして、当該庁におきましてそうした人員ではとてもやっていけないというようなことでありますと、たとえば年度の途中で複雑困難な事件が係属した、その処理のためにこの人員ではやっていけないというような場合ですと、またその必要人員を変更いたしましてそれぞれ連絡するということをやっております。裁判所の仕事というものは、事件数、それから事件の内容等におきまして日々流動的な関係にございますが、そのようなことで、当該庁の当該年度におけるところの必要人員といったようなものにつきましてはそれぞれの庁に連絡してございますので、当該庁がそれでやっていけないというような場合には、当然私どもの方としてはそれを十分検討しておるというのが実情でございます。
#33
○青柳委員 全司法労働組合あたりでは、未済件数とか既済件数とか、あるいは新受件数とかいうようなものを自分たちの組合員の協力のもとにある程度調査することができるようで、東京地裁の場合には未済件数は五、六百件くらいが理想というべきところを七百件台に上っている、八百件台というのも部によってはあるというようなことが出てくるわけであります。しかるに、東京地裁での裁判官の定数というもの、あるいは書記官の定数というようなものが一体当初どう決められているのかというようなことについて、また、他の裁判所の場合どうであるかというようなことについては、ちょっと知るよすががないらしいのですね。私どももまた知るチャンスがない。これは流動的なものだからそんなものは知る必要ないんだと言ってしまえば、これはもうお任せする以外ないということで、批判の余地も希望の余地も出てこないわけでありますからね。これは秘密になっているのかどうか。聞けば、だれにでもということではないにしても、少なくとも秘密じゃないということであれば、新聞社などがいろいろの情報を得たいということで聞きに行ってももちろん教える。一般国民でもそうだ。別にこれを明かしてしまうと機密漏洩になるというようなものでないとするならば、あるいは個人の人権に影響があるというようなことでないとするならば、秘密にする必要はないのであって、年度の初めに決めたということであれば、決めただけのことは必要に応じて公表する。ただ、積極的に官報その他で公示するというようなことはないにしても。その点はいかがですか。
#34
○田宮最高裁判所長官代理者 これはいろいろ考え方はあると思いますけれども、こうしたそれぞれの裁判所におけるところの必要人員といったようなものは全く内部的なものでございますので、特に公開をして国民の皆さんに知っていただくというものではないというふうに考えております。もしどうしてもというようなことでありましても、それは先ほど来御説明いたしましたように、年度当初におけるところの必要人員ということでございまして、その後、その人員が、途中で書記官、調査官等がやめた場合、また裁判官がやめたといったような場合には、必ずしもそれが補充できないといったような関係もございますので、仮にそういうような数字がありましても、それはある時点におけるところをとらえますとその実情とは合っていないというふうなことでございますので、あれやこれや考えますと、一般的に公開すべきものではなかろうというふうに考えております。
#35
○青柳委員 どうもここの点は私とずいぶん見解が違います。いずれまたもっとよく勉強して、そのままでいいのか、これはあくまでも、必要に応じて、たとえば国会の調査権に対しても、守秘義務じゃないけれども、絶対に言わないんだということになるのか。これは年度当初に決めたからには決めただけの合理的な根拠があると思うのです、目の子算じゃないのだから。それが年度途中で決めたとおりにいってない、それにはそれなりの理由がまたあると思うのです。たとえばそこに配属した人がやめたとか亡くなったとかいうようなことで減る。もちろん一時的な現象で、ほかから回せば補充されるが、そのままになっているというようなこともあり得るし、それから配置がえで、もう必要なくなったからよそへ回したんだということもあるでしょう。そういうことは秘密なんだ、そんなことにつべこべ言ってもらいたくないんだというのは、これは何か行政に対して一般が介入するのはけしからぬのだというような一つの壁を設けて、それに対しての批判は絶対に許さないというようなこと、これは私は、いかに人事権を持っているからといってオールマイティーなものじゃないと思うんですね。この人をここへ配置したのはよくないというような議論だって聞きたくない、そんなことはこっちの言っていることなんで、批判なんか受け付けない、これも私は正しくないと思うのです。まして、定員が過不足の状況になっているかどうかというようなことは、たとえば都会集中になり過ぎているんじゃないかという議論だってあるわけです。それから先ほど問題にしました不在庁の問題もある。定員が不足しているということでは、簡易裁判所の場合はないように私さっき思いましたが、これも間違いないとすれば、私はむしろ、配置定員というものに合理性が欠ける場合もあり得るんではないか、決して簡易裁判所の判事が少ないということに根本的な原因があるんではないということもあり得ると思うのです。そういう司法行政のことについて、われわれが国政的な調査の中でも対象にしても構わないし、また国民の間からそれに対しての意見が出ても構わないというふうに私は考えます。
 そういう点でこの問題は留保いたしまして、最後に一、二の点をお尋ねしておしまいにいたしますが、最高裁入りをいたしますと定年は七十歳、簡易裁判所の裁判官も七十歳、ところが下級審の場合の定年は六十歳、あるいは六十何歳、長官なんかの場合は六十三歳でしたか、何歳か上がっているようでありますけれども、これは戦前の裁判官が終身官であるというようなところから、定年というのを設けておかなければ、八十になっても九十になっても終身官として、みずから退官しない限りはその地位を保持するというようなことではおかしいから、やはり定年というのは終身官である裁判官については必要だということから本来は出てきた制度じゃないかと思うのですね。もっとも、最近国家公務員の定年あるいは地方公務員の定年ということが問題になっておりますから、あながちただ裁判官だけの問題ではないような気もいたしますけれども、この定年制について考え直すというか、再検討するという余地があるのかないのか、まだ十分に裁判官として活動できる人を定年という理由で退官させるということが合理性があるのかないのか。もっと定年の上限を上げるということは考える必要はないのかどうか。戦前と比較してその点はどうなっているのか、これをお尋ねしたいと思います。
#36
○勝見政府委員 裁判官の現在の定年は先ほど御指摘のように、最高裁判事及び簡易裁判所判事につきましては七十歳でございます。その他の裁判官には六十五歳というふうに法律で定められております。御承知のとおり、戦前と戦後を比べますと、定年制につきましては、一般の裁判官につきまして憲法で任期が十年という制度をとっております。したがいまして、戦前のいわゆる終身官としての制度と、戦後の日本国憲法下における裁判官の定年の制度は、基本的に違うものがあるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。ただ、ただいま御指摘のように、現行法で定められておりますいわゆる六十五歳の定年がそれでいいのかどうかという問題につきましては、十分検討に値する問題だと思いますけれども、私ども法務省側といたしましては現在のところ、具体的に現在の六十五という定年を変更すべきであるかどうかということについて特に積極的な意見は持ち合わせておりません。
#37
○青柳委員 それから、定年退官後、そういう人たちが現実にはどういう社会的な活動あるいは職業についておられるかということについてお調べになったことがあるかどうか知りませんが、簡易裁判所の裁判官に就職されるという方も相当あるようであります。それから弁護士になるという方、公証人になるという方、また、悠々自適して何らの職業につかないという方、あるいは非常勤の調停委員になっておられる方、いろいろだと思いますけれども、こういう方々の退官後の生活はおおむね保障されているような待遇になっているかどうか。
 それから、私が特別に関心を持つのは、五十歳を過ぎる時分になりますと余りあちらこちら動き回らないので、自分の終生住むような場所を自宅として保有をされるという方が多くなっているのじゃないかと思いますが、これは大体公務員住宅を追い出されて、あわててマイホームを手に入れなければならぬというような状況になっているのかどうか。大半の方がもう退官に間近い時分にはそれぞれ自宅をお持ちになって、決して、退官したから住まいに困るというような――困ると言うとおかしいのですけれども、あわてて物色するというような状況ではないのかどうか、こういう点での待遇に検討する余地があるかどうか、念のためにお尋ねしたいと思います。
#38
○矢口最高裁判所長官代理者 非常に御理解あるお尋ねでございますが、現在、定年が一般の判事の場合六十五でございまして、六十五でおやめになる二、三年前にはやはりしかるべき住居をお求めになりまして、定年退官されたときには新しい終生の住まいにお移りになっておるというのが一般でございます。
    〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕
定年退官時まで公務員宿舎に住んでおられるという方は、皆無ではございませんけれども、非常に数が少ないというように承知いたしております。もっとも、最近非常に持ち家政策といったようなことに共済組合等でも力を入れておりまして、比較的若い年齢の方がどんどん家をお持ちになる。私事で恐縮でございますが、私など、まだ全然そういう手当てをいたしておりませんが、もっと若い方がどんどん家をお持ちになるというような風潮もございます。これは各人千差万別でございますけれども、定年が比較的長いわけでございまして、そういった点、もうこれで十分だなどということではないともちろん思いますが、かなり恵まれておるのではなかろうかと考えております。
#39
○青柳委員 もう終わりにいたします。
 ただ、住居の問題が出ましたのでついでにお尋ねしますが、地方の裁判官の場合は、いわゆる宅調というようなことがあるのかないのか、毎日裁判所に出勤されるというような状況なのかどうか、存じませんが、都会の裁判所の裁判官は出勤日が月水金とか火木土というような形に分かれていて、その間のウイークデーは宅調――特殊の言葉で、私どもも最初は何のことかよくわからなかったのですが、自宅で調査をすることを宅調と言うのだそうですが、果たして自宅が調査をするに適するような環境であるのかないのか。案外、公害だとかあるいはその他いろいろのことで、とても自分のうちで記録を読んだり調査をしたりするというような環境ではない。本当ならば役所へ行って、図書館もあるし、そこで仕事をした方が非常に合理的でもあるし、能率も上がる。大体自宅と仕事場とが一緒というのは、弁護士なんかの場合でもそうですけれども、非常に不規則なものになって、能率は決して上がらない。小説を書く人などは別でございましょうけれども、私どもトライの仕事をやっている者はそういう、どてらを着たままで調査をするなんというのはちょっとおかしいわけです。だから宅調などという制度は、自宅が悪いというよりも、むしろ裁判所の建物に個室を設けてあげるというくらいになっていれば解消するんじゃないか。どうも衆議院議員、参議院議員の個室なんというのは非常にぜいたくだという新聞記事をこの間読みましたけれども、控えの間つきでぜいたくだ。確かに私も自分の法律事務所と比較してみて、非常にぜいたくだと思っております。裁判官の場合について、宅調というのは一体どんなものなのか。あれは非常にいい制度だというふうにお思いになっていらっしゃるかどうか、御意見を伺いたいと思います。
#40
○田宮最高裁判所長官代理者 いわゆる宅調でございますが、これはただいま御指摘のように、全国どこでもということではございませんで、主として東京、大阪といったようなところで、これも制度として確立しているわけではございませんで、庁舎が狭隘であるということが理由でございます。同じ部屋を二つの部が使用しているという時期がかなりの間続いておりました。一つの机を二人の裁判官、要するに月曜日出る裁判官と火曜日出る裁判官が使用するといったように、主として部屋の関係からそうした宅調ということが事実上行われてきたのでございます。
 この宅調がいいかどうかという点については、いろいろ御議論のあるところでございますが、御承知のように、臨司意見書では、宅調は余り好ましくないということの意見がございまして、私どももその後その線に沿いまして、庁舎の新営、それから裁判官室の整備といったようなことで、建物をよくすると同時に、裁判官の執務室をよくするということでいろいろ予算の手当てをしてまいっておりまして、幸い大阪等は、長い間不便はありましたけれども、現在では各裁判官が毎日出ても足りるだけの十分の部屋がございます。東京の場合も、ごく一部はまだ残っておりますけれども、ほとんど全部毎日出てきても十分なほど部屋はございますし、部屋の中もかなりの程度整備されてまいりましたので、現在ではいわゆる宅調日にも裁判所に出てきて、それぞれ仕事をされるという裁判官がかなりふえております。また、東京地裁の民事の庁舎はあのとおり古うございますが、一部に裁判官研究室というものを設けまして、大学の図書館のように、隣に座っている人が気にならないような設備をいたしまして、そこで開廷日には判決等を書いてもらうということにしておりまして、それもかなり現在では活用されております。東京地裁は、現在最高裁の赤れんがの跡にまたさらに改築するという時期にもなってまいりますので、そういう際は、ただいま先生御指摘のように、執務環境をできるだけよくするという方向で今後鋭意努力いたしたい、そういうふうに考えております。
#41
○青柳委員 終わります。
#42
○小宮山委員長 次回は、明十九日水曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十分散会
ソース: 国立国会図書館
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