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#1
第075回国会 法務委員会 第6号
昭和五十年二月二十五日(火曜日)
    午前十時十一分開議
 出席委員
   委員長 小宮山重四郎君
   理事 大竹 太郎君 理事 小島 徹三君
   理事 田中  覚君 理事 稲葉 誠一君
   理事 横山 利秋君 理事 青柳 盛雄君
      小澤 太郎君    小坂徳三郎君
      小平 久雄君    福永 健司君
    早稻田柳右エ門君    日野 吉夫君
      八百板 正君    沖本 泰幸君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 稻葉  修君
 出席政府委員
        法務大臣官房長 香川 保一君
        法務省矯正局長 長島  敦君
        法務省保護局長 古川健次郎君
 委員外の出席者
        法務省刑事局刑
        事課長     根岸 重治君
        法務省保護局参
        事官      西岡 正之君
        法務委員会調査
        室長      家弓 吉己君
    ―――――――――――――
二月二十二日
 熊本地方法務局免田出張所存置に関する請願
 (瀬野栄次郎君紹介)(第六四一号)
 同(瀬野栄次郎君紹介)(第七二〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第一二号)
     ――――◇―――――
#2
○小宮山委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大竹太郎君。
#3
○大竹委員 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案でございますが、改正の部分が、御承知のように中央更生保護審査会の構成その他を改正するという案件でございますので、中央更生保護審査会について若干御質問を申し上げたいと思います。
 中央更生保護審査会の権限その他につきましては第三条に規定されておるわけでございますけれども、この更生保護審査会の性格、権限というものはやはり一応こういうときに吟味してみる必要があると思いますので、中央更生保護審査会の性格及び権限についていま少し詳しく御説明をいただきますとともに、審査会の実績その他におきまして、この機能を十分発揮しているかどうか、発揮してきたかどうか、法務省においてどういう評価をしておられるかということ等について御説明をいただきたいと思います。
#4
○古川政府委員 お答えいたします。
 ただいま御指摘いただきました中央更生保護審査会のまず性格、権限でございますが、その権限につきましては、ただいま大竹先生御指摘のように、犯罪者予防更生法の第三条に規定がございます。申し上げますと、法務大臣に対しまして、特赦あるいは減刑、刑の執行の免除、復権などのいわゆる個別恩赦の実施について法務大臣に申し出をすること、さらにはまた、地方更生保護委員会が決定いたしました仮出獄の取り消し、保護観察の停止などの処分についての不服申し立てに対する裁決をする、こういうようなことが権限でございます。すなわち、司法機関である裁判所の有罪判決の効果を事後に変更し、あるいは地方更生保護委員会が合議体でいたしました決定を審査するなど、きわめて重大な権限を行使していると言えるかと存じます。
 この審査会の性格でございますが、この審査会は委員長及び委員四名から成っておりまして、これらの方々の合議によって審理を行うものであります。その行政法上の性格は、独立性を有する行政庁たる合議機関であるということが言えるかと存じます。また、審査会は、法務大臣に対しまして恩赦の申し出をするかどうかということを決定する機関でもございますので、そういう意味で決定機関と言えるかと存じます。中央更生保護審査会がこのように独立性を有しまして、その権限を合議制による決定によって行使することとされておりますのは、その権限に属する事務を慎重かつ公正に処理する必要があるからであります。
 次に、ただいま先生の御指摘いただきましたその実績、これは現在、年間約三百件を超える恩赦の審査をいたしております。年々ふえてまいっております。この恩赦がいかに一般に効果を及ぼしているかという点につきましては、刑事政策的見地から非常に効果がある、こういうふうに言われておりますが、また実際に、かつて委員をされた方で、恩赦というのはどういうような効果を持つかと思っておったところが、実際恩赦状、恩赦の赦免状を交付された人の非常な感激、そういうものから見ても非常に効果がある。それから、後ほどまた申し上げたいと思いますが、恩赦を受けた者でほとんど再犯はございません。そういう意味で非常に成果を上げている。審査会は、こういう恩赦につきまして重大な権限を行使している、重要な機能を持っている、こういうふうに存じます。
#5
○大竹委員 次に、この提案理由の説明を拝見いたしますと、「恩赦上申事件が逐年増加の傾向」にあるため、中央更生保護審査会の「適正かつ迅速な審査に支障を来すおそれが生じて」きたということを挙げておられるわけでありますが、この審査会の処理の事務量及び審査方法などについて御説明をいただきたいと思います。この資料にも一応は出ておりますけれども、大事な点でありますから御説明をいただきたいと思います。
#6
○古川政府委員 お答えいたします。
 まず、恩赦上申事件の増加状況でございますが、先ほど申し上げたように、非常に恩赦の刑事政策的効果が一般にも浸透してまいったかと存ずるのでありますが、ふえてまいっております。数をまず申し上げますと、昭和三十六年から昭和四十年までの五年間、この平均受理件数は九十七件だったのでございますが、その後の昭和四十一年から四十五年までの五年間、この平均件数は百七十七件というわけで、前の五年間の九十七件に対しまして約二倍に近い増加を示しております。さらに、昭和四十五年の次の四十六年におきましては二百八十三件、四十七年は三百十四件、こうなっております。このほかに沖繩復帰特別恩赦に関連して三百五十二件が別にございます。これは資料に書かれております外数であらわしておりますが、沖繩特別恩赦だけでも三百五十三件ございます。次に昭和四十八年にはこれが三百二十三件、つまり昭和四十七年度の三百十四件からさらにふえてまいっております。また、この昭和四十八年には尊属殺の違憲判決に伴う特別の恩赦などが別に百件ございます。このように、通常の個別恩赦の事件数は年々増加してまいっております。
 次に、審査会における審査手続でございますが、まず、恩赦を受けたい者は、刑務所もしくは保護観察所の長または検察官、これらの者をわれわれ上申権者と呼んでおりますが、この上申権者に対しまして出願、すなわち恩赦願書の提出をいたします。この願書を受理した上申権者は、所定の事項を調査しまして、恩赦についての意見をつけて審査会に対して上申してくることになっております。なお、上申権者は右の出願のほか、必要があれば職権でも上申することができることになっております。
 これらの上申が審査会に参りますと、審査会におきましてはその事件の主査委員が指名されます。主査委員が、まず刑事事件記録その他関係記録について詳細な調査及び審理を行います。この場合、必要に応じ本人あるいは関係人等についての面接なども行います。またこの間、主査委員は委員長初めその他の委員にも関係記録を回しまして、調査方針等について適宜相互の連絡協議を行っております。
 このような調査及び審理が終わりますと、委員長及び四人の委員で構成される合議において、慎重にその恩赦上申の当否が審議されるわけでございまして、結局多数決で議決されるということになるわけであります。合議の場合に、一回だけでは終わらずに数回の合議が行われてようやく結論が出るというようなことも間々あるように聞いております。
 なお、恩赦事件のほかに、この審査会におきましては、先ほど申し上げましたように、地方更生保護委員会が決定した仮出獄の取り消しその他の処分についての不服申し立てによる審査請求事件がございます。この審査請求事件は平均して年間ほぼ十件前後受理しております。この審査請求事件の審査会における審査方法は、前に申し上げました恩赦事件の場合とほぼ同様でございますが、違っておりますのは、請求受理から裁決の期間が制限があることでございまして、請求受理から、この場合には六十日以内に裁決をしなければならないというふうに法律で定められております。
 以上でございます。
#7
○大竹委員 大体御説明をいただいてわかったような気がするわけでありますが、この提案説明の中に、いまのこの上申事件がふえてきたということに続きまして、「特に、無期刑による仮出獄者、死刑確定者、刑の執行停止中の者などについての事案の複雑な恩赦上申事件の増加傾向が著しいため、」云々とあるのでございまして、ごめんどうでもこれらの点についていま少し詳しく御説明をいただきたいと思います。
#8
○古川政府委員 お答え申し上げます。
 今回、この法案を提出いたしましたその大きな理由である、最近の複雑な恩赦上申事件の増加傾向でございますが、その第一に挙げられますのは、無期刑の仮出獄者の恩赦上申事件の増加であるというふうに申し上げたいと思います。無期刑の仮出獄者の恩赦上申事件数の推移を見ますと、昭和四十五年には三十七件、四十六年には三十九件、次の四十七年には五十七件、四十八年には七十一件と、四年間に約倍増、こういうふうに年々増加の一途をたどっております。また、潜在的な無期刑の仮出獄者の恩赦上申事件も相当ふえております。と申しますのは、無期刑の仮出獄者で仮出獄後五年以上を経過しております者の状況を見ますと、昨年の調査で約四百人、無期刑で仮出獄している者がおりますが、そのうち相当数の者が保護観察の成績良好という報告になっております。したがいまして、これらの者につきましてはさらに期間がたちますとどんどん恩赦の上申事件になってくるんではないか、かように考えるわけでございます。元来、無期刑の仮出獄者は恩赦によるほか救済の道がないわけでございまして、今後ともこの無期刑の仮出獄者の恩赦上申事件はさらに増加をしてくるものと思われるのでございます。この無期刑事件は、当然死刑事件に次ぐ重大悪質な事件でありまして、審理は勢い慎重を要することはもちろんでございます。また、その刑事事件記録も膨大でございまして、その審理には相当な日時を要するということになるわけであります。
 第二番目に、死刑確定者に対する恩赦上申事件も複雑でございまして、審理に非常に慎重にならざるを得ないわけでございます。現在、審査会で審査中の死刑確定者に対する恩赦上申事件は十件ございます。死刑事件の恩赦の審理については、事案の重大性にかんがみまして、もちろん一般事件に比し、より以上慎重かつ綿密な調査と審理を必要とするものであることは申すまでもないところであるのでございまして、特に冤罪などを理由に恩赦を求めている事件が相当あるわけでございまして、これはさらにきわめて困難かつ複雑な問題を含んでおりまして、より慎重な審理を必要とするものでございます。
 次に、刑の執行停止中の者に対する刑の執行の免除の事案でございますが、これにつきましても、質的に詳細な調査と慎重な審理を要する事案が増加してまいっております。たとえば病状の診断でありますとか、将来執行の可能性があるかどうか、恩赦を行うについて相当かどうか、こういうことを判断するについて慎重な検討を要する事件が多くなってきております。
 これが恩赦事件の複雑性の一例でございます。
#9
○大竹委員 それでは今度は、委員長あるいは委員について具体的に若干御質問を申し上げたいと思いますが、現在は委員長が常勤でいられ、あと四人は非常勤ということでございますが、現在その職についておられる委員長あるいは委員の方々はどういう方がなっていらっしゃるか。これはたしか任期は三年だと思いますが、任命の時期その他具体的に御説明をいただきたいと思います。
#10
○古川政府委員 お答えいたします。
 現在、委員長は柳川眞文氏でございまして、同氏は検事をされた方であります。大臣官房の保護課長、法務総裁官房長、大阪高等検察庁検事長等を歴任されまして、昭和四十一年三月定年退官された万でございます。委員になられましたのは昭和四十五年四月でありまして、初めて中央更生保護審査会の委員に任命されました。当時は委員長は互選でございましたので、委員の互選によりまして委員長になられましたが、昭和四十七年六月に当時の国会で委員長が常勤ということになりましたので、昭和四十七年六月には常勤の委員長におなりになりまして、引き続き今日に至っておられるのであります。
 次に、三宅富士郎委員でございますが、この方は裁判官をされた方でございまして、東京地方裁判所判事、東京高等裁判所判事を歴任されまして、昭和四十三年八月定年退官された方でありますが、昭和四十四年十一月に中央更生保護審査会委員に任命され、三年を経まして昭和四十七年十一月、そこで任期が更新になりまして今日に至っておられるのであります。
 次に、吉田次郎委員でございますが、この方はもとの少年審判所等に勤務された方でありまして、京都の少年審判所長、法務省保護局参事官、東北地方更生保護委員会委員長等を歴任されまして、昭和四十五年三月退職された方でありますが、昭和四十七年十一月中央更生保護審査会の委員に任命され、今日に至っておられるのであります。
 また、川嶋眞一委員は、少年院等に勤務された方でありまして、矯正研修所長、大阪矯正管区長等を歴任されまして、昭和四十九年四月に退職された方でありますが、同月、中央更生保護審査会委員に任命され、今日に至っております。
 最後に、武田喜代子委員でございますが、この方はお茶の水女子大の付属高女を卒業された後に、西條八十等に師事されて、長らく文学活動に従事された方であります。日本放送協会の脚本部に職を奉ぜられたこともありますが、その後放送作家として活躍されており、昭和四十三年六月以降は総理府の青少年問題審議会委員をなさっておられます。委員になられましたのは昨年の十二月でございまして、昨年十二月に中央更生保護審査会委員に任命され今日に至っております。
 以上でございます。
#11
○大竹委員 大体わかりましたが、そこでわかりますならば、この五人の方々の現在の年齢を……。
#12
○古川政府委員 柳川委員はたしか七十二歳、三宅先生も七十二歳になられるかと思います。吉田次郎先生がたしか六十七歳ぐらい、川嶋先生は六十二歳、武田喜代子先生は六十三歳ぐらいというふうに記憶いたしております。
#13
○大竹委員 そこでお聞きしたいのでありますが、恐らく四人の非常勤委員のうちから今度は常勤のお二人をお選びになるんだというふうに思うわけでありますが、これはどういうようにしてお選びになるのか、まずそれをお聞きいたしておきたいと思います。
#14
○古川政府委員 これは法務大臣の御任命でございますので私が申し上げるのはなんでございますが、先ほどから申し上げておりますように、今度、恩赦事件が非常に複雑になってまいりました、そこで非常勤の方四人のうちお二人だけでも常勤になっていただいて常時勤務していただいて、恩赦事件の適正迅速な処理を図ろうというものでございますので、結局非常勤の委員の方四名のうち、比較的時間的に余裕のある方をお願いすることになるんじゃないかと思います。すべての委員の方はもう国会の御承認も得まして、この審査会の委員としてはまことに適格な方でございますので、どなたになっていただいてもいいわけでございますが、やはり常時勤務ということになりますと、できるだけ時間的余裕のある方をお願いすることになるのではないか、かように考えるわけでございます。
#15
○大竹委員 これはやはりあれでしょうか、現在の事務処理の問題から全部を常勤にしなくても、二人だけお願いすれば何とかなるという趣旨で二人だけを常勤にお願いするということになったんじゃないかと思うわけでありますが、これはやはり将来は全部を常勤にするというようなこと、またたとえば、そういうことはどうかわかりませんけれども、四人まで常勤にする必要がなければ三人全部を常勤にして、三人にしておくというようなことも考えられるわけでありますが、そういうことはどういうようにお考えになっておりますか。
#16
○古川政府委員 先ほど申し上げましたように、事務量がふえてまいりましたのでこの際非常勤の四名のうち二名をということになったわけでございますが、さらにこの恩赦の刑事政策的効果がより一般に浸透いたしまして、恩赦事件がさらにふえてくるということになりますと、あるいはさらにまた残りの委員の方々も常勤にお願いしなければならないようなことも出てくるんじゃないかと考えないわけではございませんけれども、また一方、委員として適当と思われる方の中には、常勤化は好まれないという方もおいででございましょうし、また、元来審査会の性格としましては広く一般の意見が反映されるような民主的な審査会という点からいたしましても、委員全部が常勤となりますとこれはやはり問題があるのじゃないか、そういうような点から、やはりこの問題は慎重に検討を要する問題ではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
#17
○大竹委員 先ほどの御説明だと、四人ともいままでは非常勤でいられたわけでありますから、その中から主査の委員というものを決められて、そして、早い話がある程度平等に事件を案分されて事務を処理してこられたんじゃないかと思いますが、今度は常勤の方と非常勤の方とあるわけで、主査をどういうように配分するのか、事件の処理その他はどういうように処理されることになるのか、その点を説明していただきたいと思います。
#18
○古川政府委員 これは常勤化の制度が発足いたしませんと何ともあれでございますが、現在はやはりできるだけ四人の方に平均的に主査委員をお願いして、その中にもやはりお忙しいからということである程度のアンバランスはございますが、できるだけ順次お願いするというようにしているわけでございます。今度委員の方二名の常勤化をお認めいただきますならば、やはりその常勤の方にある程度主査委員のお仕事が多く回るんじゃないかというふうに考えます。ただ、そういたしました場合にも、やはりできるだけ皆様の御意見が十分反映する、また当然合議の機会には全員でやっていただくわけでございますので、全員の御意見が反映した、広い視野に立った決定をいただくというふうに配慮されなければならない、かように存じます。
#19
○大竹委員 次に、七条二項というのがあるのでありまして、いままではたしか常勤である委員長だけが政治活動をしてはいけないということになっていたわけでありますが、今度は委員長及び委員、非常勤の委員も含めて、政治活動の禁止ということに改正されるようであります。まあそれでもいいのかもしれませんが、最近の物の考え方から言うと多少逆行しているというような、非常勤の委員までやらないでもいいんじゃないかというようにも考えられるわけでありますが、その点はいかがですか。
#20
○古川政府委員 ただいま御指摘のように、現在は委員長が常勤化されておりまして、当時の法改正によりましてこの七条二項が新たに設けられまして、委員長に対する政治活動の禁止ということをお認めいただいたわけでございますが、今回の改正におきまして、七条二項に「委員長」とありますのを「委員長及び委員」、つまり常勤であろうと非常勤であろうと、すべての委員について政治運動を制限するという法案にいたしたわけでございます。元来、中央更生保護審査会における審理の公正中立のためには、予防更生法の第五条四項に条文がございまして、「三人以上が同一政党に属する者となることとなってはならない。」というふうに規定がございます。一応その政治的中立性が考慮されていると存ずるのでありますが、先ほど申し上げましたように、前回の改正で委員長が常勤化された際に、委員長につきましては政党その他政治団体の役員となることを禁じ、積極的な政治活動ができない、そういう政治活動そのものの制限まで置いたわけでございます。今回の改正におきましても、常勤化された二人の委員の方は委員長と同じようなことになるのは当然だろうと思うのでございますが、さらにこの際非常勤の委員の方まで同じ制限をかぶせようといたしましたのは、中央更生保護審査会の政治的中立性を一層強化するためと申し上げていいかと思うのでございます。ほかの委員会の法令を見ましてもほとんどすべて、常勤、非常勤にかかわらず制限されているようでございます。そういう点からいたしますと、この中央更生保護審査会は、ほかの委員会も同じでございましょうが、より以上にそういう政治的中立性は強調されなければならないというふうにも存じまして、この際、常勤、非常勤にかかわらずすべて制限しよう、こういうふうにいたしたわけでございます。
#21
○大竹委員 次に、えらい細かいようなことを聞いて恐縮な点もあるわけでありますが、委員長及び、今度は常勤の委員と非常勤の委員ができるわけでありますが、それぞれの待遇、給与というものはどうなっておるか、この際お聞かせ願っておきたいと思います。
#22
○古川政府委員 現在の委員に対する待遇といいますか、手当でございますが、現行の非常勤委員に対する手当は、これは日額でございまして九千五百円となっております。各委員の方は平均して一カ月に十二日間程度御出勤ということになっておりまして、金額にいたしますと平均十一万四千円ということになるわけでございます。この日額手当は、昭和五十年度の予算案では一日一万二千円とされておりますので、その支給額は一カ月平均十四万四千円となる予定でございます。
 今回の改正をお認めいただきますと、今度は常勤委員の給与は月額五十五万五千円ということになりまして、先ほどの非常勤の十四万四千円との間には相当の格差が生ずることとなるわけでございますが、これは、二人の委員の方が常時勤務する。いまのところは一週間に二回かそこらというところが、今度は一週間常時勤務していただくということになりますので、これは当然であろうと存ずるのであります。さらに、このため常勤委員の方は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務などへの兼業が禁止されるということになりますので、必ずしも均衡を失することにはならないのではないか、かように考えておるの
 でございます。
#23
○大竹委員 委員長はどういうことになっておりますか。
#24
○古川政府委員 委員長は六十三万円でございます。
#25
○大竹委員 もちろんこれは常勤でいらっしゃるから期末手当その他は別につくのですか、どうですか。
#26
○古川政府委員 常勤の方は手当がございます。
#27
○大竹委員 最後に、先ほど現在の委員の詳細についてお聞きいたしたわけでございますが、国にはいろいろこの種の委員があるわけでありますけれども、総体的に見ますと相当お年をとっていらっしゃる。それから一応それぞれの役所をおやめになった方だということになっておるわけであります。しかし、この委員の性格からいたしましてそれぞれの、あるいは検察官あるいは裁判官あるいは矯正の仕事等々、いずれも相当な経験を持った方が適当だということだろうと思いますけれども、また一面、ことに常勤という委員もいらっしゃるわけでありますから、何も新しい時代の傾向を追うという意味ではございませんけれども、やはりこれからの考え方として、一口に言えば若返りというものをお考えになっていく必要があるんじゃないかというふうに思うわけでございますが、その点についてはどうお考えになりますか。
#28
○古川政府委員 前回、委員長常勤の際の議事録を拝見いたしましても、前々から審査会委員の若返りということを御指摘いただいたようでございまして、その際は、やはり記録を精査する、そういうような際にはお年寄りよりは若い人の方がいいのではないか、こういうような御指摘であったように思うのでございますが、確かに若い方で大いに張り切っていただいてやっていただいても結構なんでございますが、何分にも、先ほど申し上げましたように、仕事がやはり相当の学識経験を有する方、またあるいは常勤になりますとやはり時間的余裕がある方というようなことになりますので、先ほど申し上げたような方々にお願いしているわけでございます。現在の各委員の方々のお仕事を拝見しておりますと、記録の精査も、連日おいでいただいて刑事記録をごらんいただくという場合もございます。そういう際、われわれから拝見いたしましても、決して年の衰えを感じさせるような方はございませんので、現在の段階では審査会の事務は非常にスムーズに行われている、かように拝見するわけでございます。今後、御趣旨を体しまして十分事務当局でも検討いたしたい、かように考えます。
#29
○大竹委員 終わります。
#30
○小宮山委員長 青柳盛雄君。
#31
○青柳委員 ただいま議題になっております犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案の、改正の要点について一、二お尋ねをいたしたいと思います。
 今回改正をされようとする問題点は、中央更生保護審査会委員の四人のうち二人を常勤の職員として活動をしていただく。つまり、審査会の機能の充実を図る。それによって、この法律が目的としているところの、主として犯罪者が再び罪を犯さないようにするとかいうような、犯罪予防を効果あらしめるものにするという、そこにねらいがある思います。
 犯罪をした者の改善及び更生を助けるためには施設内での矯正という問題がありまして、これは法務省では矯正局が担当しておられる。もちろん民間の協力も非常に重要になっております。同時に、施設から釈放されて保護関係になって社会に復帰するという段階においても、更生の事業というものは非常に重要でございますが、それはいま問題になっております中央更生保護審査会の直接の仕事ではないようでございます。
 中央更生保護審査会の任務につきましては同法の第三条に規定がございますので、これで尽きるわけでございますが、その三条の規定を読みますと、権限は三つありまして、恩赦の問題が一つ、それから地方更生保護委員会の決定に対する不服の審査、三番目はその他ということでございますが、何よりも私どもが非常に関心を持ちますのは、その第一番目の恩赦の問題でございます。
 恩赦は政令恩赦と個別恩赦と分かれていることはもう常識でございますが、いつも世論で大きな問題になりますのは政令恩赦でございます。どうも時の政府が政策的に恩赦制度を乱用する。特に公職選挙法違反などで政治関係者が逮捕せられる、処罰を受ける、こういう人たちが再び政界にカムバックをするためには何としても恩赦がないといろいろ支障を来す。そこで何とか政治的な出来事を契機にいたしまして、あまねくその思恵に浴させるという意味での政令恩赦が、もう戦後でも、私正確には計算しておりませんけれども、十前後あるんじゃないか。三十年間に十前後あるとなれば、三年に一遍はあるというようなことにもなりかねないわけなんで、それほど恩赦、恩赦で大量の人が刑の効果を消してもらう、権利も復活するといったような、そういう当事者にとってみれば、あるいは関係者にとってみれば非常にありがたいことでありますけれども、また公職選挙法違反などというような問題につきましては、政治の浄化ということが叫ばれている際にこれに逆行するものではないかという厳しい世論の批判も出てくるわけでありまして、これはそれなりに世論の批判にさらされ、また一部から、野党もそのためのイニシアチブをとりながら、恩赦制度の改正についての法案の提出などというようなことも行われたことがあります。
 このことを私はいまここで論じようとも思いませんし、また質問しようとも思っておりませんが、この恩赦の乱用という問題が個別恩赦においてもあるのかないのか。私どもの実感から言いますと、どうも個別恩赦の方ではそれとは逆ではないだろうか。大変に厳格で、ちょっとやそっとでは恩赦の恩恵に浴されないんではなかろうかというような、素朴な感じを受けるわけですね。事実かどうかは統計によって調べた方がよろしいのかもしれませんけれども、私どもが関心を持つ恩赦事件というのは、先ほどでも御答弁の中にありましたが、冤罪を主張している人たち、特に死刑囚、死刑を宣告されて確定され、すでに十数年、二十年近くたってしまっているというような人が現実に存在するわけなんです。こういう人たちは、確定後一日一日が、いつ死刑の執行を受けるかということで身の縮む思いをしているということでございます。もし死刑の執行を受けてしまえば冤罪を晴らすことも不可能になる、そういう心配もありますしするので、再審の請求などもあわせて行っておりますが、再審の壁というのも非常に日本の場合厳しい。とうていこの狭い門をくぐり抜けて再審が開始されるというようなことは望むべくもないというのが現状でございます。これは制度の問題もあります。そのことについてもここでいま論じようとは思いません。
 したがって、この死刑囚の人たちはあわせて恩赦という問題で、とりあえず無期懲役にでも変えておいてもらえば、命のある間に真犯人もあらわれてくる、明確な新しいアリバイの証拠も出てくる、真実というものは必ずあらわれるものであるという確信と展望を持って養生しながら、七十、八十、命のある限り、刑の執行は無期という形に変わっておりますから、その間に真相を明らかにしてもらおう。ところが戦後の例で、死刑が無期懲役に恩赦で変わったという例は私は二つしか聞いておりません。一つは関西の方の婦人の事件だそうでございますし、一つは千葉かの男性の事件、いずれも精神異常のような状況で死刑の執行は困難であるというようなこともあり、また情状酌量すべき面もあるというようなことのようでありますが、いずれにしてもこれは政治的な色彩は全然ありませんし、一般的な大衆運動としての、まあ救援運動ですか、要するに冤罪事件としての署名をたくさん集めて再審裁判所に請願をしていくとか、あるいは中央更生保護審査会に陳情するとかいうようなことはなかった事件のようであります。
 説をなす者によりますと、これは衆議院で議員立法として、占領期間中の死刑確定事件に関しては特別な例外として、現行刑事訴訟法の再審制度を少し緩和して再審理由を広げるということにして、占領中に死刑にさせられた何名かの事件、その典型的な例はいわゆる帝国銀行事件という平沢貞通氏の殺人事件であります。そういうのはなかなか国会では通しにくいから、死刑確定者でも場合によっては恩赦で無期懲役になるんだという例としてこの二つのケースが出たんだと思います。これは真相かどうか、私はわかりません。そういうことはともかくといたしまして、なかなか恩赦も再審と同じように厳しいものであって、乱用どころの騒ぎではないというのがわれわれの実感でございます。
 そこで、私はまず具体的にお尋ねをいたしますが、今度の法律の改正について参考資料一として、三十一ページに「恩赦上申事件の受理及び処理人員」というきわめてドライな数字が並べてあります。中身は全然私どもには何を意味するのかわかりません。受理件数があり、処理件数があり、未済件数があるだけでございます。もちろんこれで、どの程度の事件が受理されて、どの程度が処理されて、どの程度が未済になっているかということは、数字を見ればおぼろげながらわかると思いますけれども、一体、処理はどういうふうにされたのか。処理の仕方にもいろいろあると思います。恩赦を取り上げないという処理もあるだろうし、恩赦を取り上げて適当に認めてやったという処理もあると思いますが、そういうことに関して、特徴的なものを教えてもらいたいと思うんです。処理の内容の一件一件についてどうこうと言うんじゃありませんが、いま私が知りたいと思っているのはどういう処理結果であったのかということ、まずそれをお尋ねしたい。
#32
○古川政府委員 ただいま御指摘の恩赦の処理状況でございますが、参考資料に添付いたしました受理、処理人員の四十八年度を例にとってみますと、総数が六百七十一ございますが、そのうち処理されましたものが六百九十二ということになっております。この処理のうち、「相当」なものは三百七十三でございまして「不相当」というのが二百九、かようになっております。したがいまして、大体六割強、七割ぐらいのものが認められたということになるかと思います。
#33
○青柳委員 私の質問はきわめて概略的で、中身をということでございますが、いわゆる恩赦相当という意味のようでございますが、それが七〇%近い。それから不相当というのは恩赦には全然当たらないということのようであります。一体「相当」であるかないかと言っても、恩赦の中身が次には問題になるのじゃないかと思うのです。だれがどのような恩赦を求めてきて、そしてそれに変更なしに、求めるとおりに受け入れられたのを「相当」と言うのか。それとも、しかるべく恩赦してください、法律の枠の中でお任せいたします、死刑から一挙に二十年の懲役にしてくれというようなことができないならば、まず段階的には無期懲役でもようございますというようなことなのか。あるいは、有期懲役がこれだけだけれどもこのくらいにまけてもらうとか、刑の執行の免除をしてもらうとかいうようなことだとか――その求める内容が別に恩赦をされる権限を持っている内閣あるいはこれを申し出るところの中央審査会を拘束するものではないでしょうけれども、何か請求の範囲というものはありそうな感じがするんです。請求という言葉は非常に厳しいかもしれませんけれども、要するに恩赦してくださいという希望がたくさん当事者の中にあるわけでしょうし、またこれを取り次ぐ機関の中にも意見があるでしょうから、そういうものはどのように言われるのを「相当」と言うのか。まずこの中身をもうちょっと教えていただけませんか。
#34
○古川政府委員 ただいまの点につきましてお答えいたします。
 いま申し上げた四十八年度の「相当」という中には、恩赦の種類別があるわけでございまして、それを申し上げますと、特赦、つまり完全に許したものが百五件でございます。それから刑を減じた、減刑が四十七件でございます。刑の執行の免除が九十七件でございます。それから復権が百六十五件、こういう数字に相なっております。
 そこで、ただいま青柳委員御指摘の、申し出と、それから上申権者からの上申と、それから審査会におけるその種別の決定といいますか、これの食い違いも幾つかございます。私も記録を見ておりまして、これは特赦より減刑の方がいいということで減刑にされた審査記録を見たことがございます。それから、現に先ほどから御指摘のございます平沢貞通の問題も、前回、四十六年に恩赦不相当で棄却されておりますが、そのときも、自分は冤罪であるから特赦してくれ、こういう申請でございました。そういう特赦、冤罪であるから特赦してくれという申請だけを審査会は審査したわけではございませんで、その際に、それはわかる、しかしながらいろいろ調べていくとどうも冤罪ということは問題である、しからばほかの条件でこれは無期に減刑する、無期というか、刑を減軽する点ではどうだろうかというところまでも審査いたしまして、しかしやはりそういう点でも恩赦することは相当でないということでされたというふうに伺っております。したがいまして、そういう例は幾つか私も見ておりますし、そういうことがあるようでございます。
#35
○青柳委員 機構の運営についてある程度私ども部外者も理解を深めることができました。数字で見る限りにおいては相当の成果といいますか、何でもかんでもけっ飛ばしてしまうというようなものではないということはわかりました。また、復権のような政治的な色彩があるようなものばかりが扱われているわけでもない。いわゆる政令恩赦なんかともちょっと違うという点もわかりました。
 そこで、この恩赦の基準と申しましょうか、大体の慣例もありましょう、それから担当者の人たちの長い経験あるいは学識、そういうものが運用の上で大きな働きをしていることもわかりますが、それにしても、何か恩赦の基準というようなものがあってもいいんではないか。これは政令恩赦の場合でもそのことは非常に問題になると思います。
 それで、恩赦制度が戦後新憲法下で確立する過程の中で、恩赦制度審議会というものが設けられて恩赦制度について調査審議をされ、最終意見書及び勧告書というものを内閣に昭和二十三年六月に提出をされたという記録があります。
 最終意見書の中では、「一般的恩赦個別的恩赦を通じて、それが従来のごとく政府部内の手のみによって決定されるということも、事の重要性に鑑み、適当を欠くであろう。恩赦は憲法上内閣の責任において行わるべきものであるけれども、それに民意を反映せしめることは民主主義の原理からいって正当であり且つ必要であると考える。また、それによって他面恩赦濫用の弊を防止されると信ずるのである。」という趣旨があります。
 勧告の中にはイとロと分かれておりまして、イの方は恩赦審議会、つまりこれは一般的な政令恩赦だけでなしに、政令による恩赦に関する事項と同時に、「個別的恩赦の運用基準に関する事項及び恩赦制度一般に関する事項につき進んで内閣に勧告し、又は内閣の諮問に対し答申する。」そういう恩赦審議会というものと、それからもう一つは、恩赦審査会という仮称であるけれども、これは法務総裁の諮問機関として、「個別的恩赦の決定を内閣に求めるに当り、」当時は法務総裁ですね、法務総裁は「あらかじめ審査会に諮問する」こういうようなもので、イのほうの恩赦審議会というものはついに日の目を見るに至らず今日に至っておるけれども、次の個別恩赦について、法務大臣の決定についての諮問的役割りをするものとしては、いま問題になっております中央更生保護審査会がつくられているというわけで、機構は、少なくとも個別恩赦についてはでき上がっているんだが、さてそのイの方で言った内閣の諮問機関としての恩赦審議会の任務であるところの「個別的恩赦の運用基準に関する事項」というようなものを決める機構そのものができていない。それで、私ども恩赦法という法律も見るわけでありますけれども、これにも個別恩赦についてどういう基準で恩赦を行えというようなことがあんまり具体的には出ていないわけですね。
 そこでお尋ねをするのは、刑事政策の面から言って、刑をどういうものにするかということが非常に具体的に問題になるわけです。罪を犯したということ、それから刑罰法規に触れるという点ではもう争いはないけれども、さてしからば法律で決められた刑の中でどういう刑を言い渡すのがいいか。体刑がいいか罰金刑がいいか。体刑であるとするならばどういう程度の数量的なものがいいのかというようなこととか、その他いろいろ自由裁量の範囲が広いわけです。これは裁判機関のやる仕事でございますが、同時に、裁判で死刑とか無期とか懲役十五年とかいうふうに決められて刑の執行が行われつつある。もっとも死刑の場合は執行されればそれっきりですけれども、死刑以外の刑の場合には執行状態というのは継続しているわけであります。その期間の状況やあるいは社会の情勢の変化、いろいろ勘案いたしますと、刑事政策面から考えて当然この判決には修正を加える必要が出てくるということもあります。
 だから、刑事政策は裁判までで決まってしまうわけではなくて、裁判で確定した後の刑の執行の過程においてもある。もちろん施設内矯正というような行刑の面での検討も非常に重要でありますけれども、刑を変更するというか、確定刑に手を加えるという恩赦の作用というものも、それなりに非常に重要な刑事政策上の部署を担当していると思うのであります。私ども余り勉強を深くやっておりませんので、刑事政策などについての本を精読をいたしておりません。諸外国の例などもあって、若い学者諸君あるいは研究者が論文を書いたり、研究の結果を発表したりしているのがたくさんあるようでありますから、それを根気よく見ていけばいい例が発見できるんじゃないかというふうにも思いますけれども、どうも、判決前の問題とか行刑の問題についてはいろいろの文献を目にする機会はあっても、恩赦政策について専門の本をまだ私不幸にして余り見ておりません。
 そこでお尋ねなんですけれども、それを専門にやっておられる法務省の保護局としては、どういうような基準というようなものを考えておられるのか。また事実それが一つの参考として活用されているのか、これをお尋ねしたいと思います。
#36
○古川政府委員 ただいま青柳先生御指摘のように、非常に恩赦は、大事な仕事でありまして、また刑事政策面からも非常に機能を果たしているわけでございます。果たしてしからば、恩赦はどういうような基準で運用しているか、あるいは保護局といいますか、法務省にその基準があるかどうか、こういう御指摘でございます。もちろんこれは審査会でやることでございまして、われわれはその事務局をいたしておるわけでございまして、これは元来審査会の仕事ではございますが、一応われわれの考えておりますところ、これは青柳先生の御質問にお答えすることになるかどうかわかりませんが、一応申し上げたいと思います。
 先生御指摘のように、恩赦は、先ほどの、昭和二十二年に内閣に設置されました恩赦制度審議会における最終意見書によりますと、恩赦の合理的機能として次の四つの事項が挙げられておるわけでございます。これは先生御存じのとおり、一つは、法の画一性に基づく具体的不妥当の矯正、第二番目が、事情の変更による裁判の事後変更、第三番目が、他の方法をもってしては救えない誤判の救済、第四番目が、犯罪後の行状等に基づくいわゆる刑事政策的な裁判の変更もしくは資格の回復、この四点でございます。一番問題なのはこの四番目の、犯罪後の行状等に基づくいわゆる刑事政策的な裁判の変更もしくは資格の回復であろうかと思うのでございます。恩赦でも、実際に扱います事件でこれが一番多いわけでございます。
 そこで、その際に審査会としてはどういうような点について調査をするかという点でございますが、これは犯罪者予防更生法の第五十四条に一応調査事項が掲げられておりまして、犯罪者予防更生法の第五十四条では、中央更生保護審査会における調査事項としては、一つに本人の性格、次に行状、それから違法の行為をするおそれがあるかどうか、それから本人に対する社会の感情、その他関係のある事項について調査をする、こういうふうになっておるわけでございます。そういうことを調査いたしまして、もちろんこの中には本人の健康状態でありますとか年齢等ももちろん入ってまいると思います。こういうような事項を調査いたしまして、そこで恩赦をすることが相当かどうかということを決めるわけでございます。これは元来個別恩赦でございまして、一つの事件一つの事件がそれぞれの個別性を持っているわけでございます。したがいまして、いまのような点を調査いたしましてもこれはまさに千変万化でございまして、その個別性がまたこの審査会の一つの機能であるか、かように思うわけでございますが、しかしながらそれができるだけやはり公平に行われること、これはもちろん必要でございます。
 そういうことで、別に基準とか、あるいは大体こういうものだというものを特にわれわれの方では準備しておりませんが、審査会の方から、現在こういう事件を審査しておるが、このような事件について従来どのような事例があったか、どのようであるかというようなことは再三御質問がございます。一応われわれの方としては先例は全部カードに準備しておりまして、まあ大体こういう事件についてはこうだということをその際逐次お答えしておりますが、そういうような点、個別的でケース・バイ・ケースであるとは申しながら、やはり審査会では、その事件と同じような事件について恩赦が認められたかどうかという点は一応やはり審査として、ときにはお考えになっておられるようでございます。
#37
○青柳委員 まあ、個別恩赦なるがゆえになおさらそうであろうとは思いますが、まことにケース・バイ・ケースで、どんな似たような事件でもそれぞれ特色があるわけでありますから、一律の扱い方というのはできないのはよくわかります。ただそれにしても、行き当たりばったりで、そのときの御都合次第ということでは公平というものは期せられないわけであります。幸い日本では、こういう刑事問題について、と言うよりも、広く、と言った方がいいのかもしれませんが、司法制度の運用の過程では汚職とか腐敗というものは非常に少ないんじゃないか。これは誇っていいんじゃないかという感じがするわけです。もっとも、警察段階でもみ消されたというような話もよく聞きますからその辺のところはともかくといたしまして、裁判官が判決をする過程で、金権勢力に影響されたというようなこととか、不公正がどうも目に余るものがある、汚職や腐敗がその中に露呈しているというようなことはないようでありますし、恩赦の場合でもそういうことはないと思いますから、そう不公正、不公平な扱いにはなるまいと思いますけれども、それにしても、余り前例にばかりとらわれるとこれはきわめて保守的になって、前例がないからということで、新しい、経験しないような事実関係の中では処理できないという弊害も出てきます。
 したがって、基準というのはある程度はできていていいんじゃないか。いま御指摘のありました予防更生法の五十四条の一項の規定はよく引用される条文でありますし、これは刑事訴訟法の起訴便宜主義のところでも使われるし、また、物の本によれば、裁判官が執行猶予にするかしないか、どういう刑にするかしないかというときにも大体こういうところを情状として考慮に入れるというようなことでありまして、それはそれなりに合理性を持っていると思います。思いますが、これをこのままで十分と言えるかどうかということが一つの問題、さりとて、もっと机上の観念的な空想で作文をしてみればいいというようなものでもないと思います。
 問題は、このような法律ができておりますのですが、「個別的恩赦の運用基準に関する事項」という勧告もあったことですから、何か特別法をつくるかどうかは別としても、もう少し突っ込んだ扱い方の基準というものを決めてもいいんじゃないかということを考えますし、また私は、さらに一転して基準の運用ということになりますが、これも先ほど言いました民意を反映するということであれば、英米法あたりである起訴陪審とか、あるいは裁判における陪審制度といったような、一般の素人の人たちが陪審員として司法に参加するというような制度のようなものを設けて、そして常勤であれ非常勤であれ、職業的な審査会委員に一任しない、あるいはこれを補佐する法務省の公務員に一任しない、一般の民間人の知恵をかりる、協力を受けるというような形にしていくことが望ましいのではないだろうか。これは検察審査会制度などというのが、いま余り活用されておりませんが、それなりに民意を反映する意味において一つの役割りを演じているということも参考にするならば、恩赦に関する諮問的な民間機関というようなものが、民関機関というと言葉はおかしいですが、民間から専門的でない人たちの協力を得るという、そういう制度を考える余地はないだろうか。こういうことによってやはり犯罪の予防ということにも役立つと思うんですね。一方において、正義が無視される、法治主義が無視されるということについてのふんまんから検察審査制度というようなものもあって、決して不正な行為、犯罪的な行為は見逃されない。法というものは厳格に守らなければならないんだという思想を国民の間に植えつける役割りも検察審査会は演じていると思うのですね。同時に、法は温かいものでもあるということも知る必要があるわけなんです。決して血も涙もないものではないということを知るためには、この恩赦という制度の中に、保護司のような経験を持った人の意見も取り入れられるような余地ももちろん必要でしょうけれども、一つの制度として考えられるのではなかろうかというようなことを思うわけであります。そういうふうな、運営の仕方について機構的な民主化があるならば、現在の基準ともされているような、この本人の性格、行状、違法行為をするおそれがあるかどうか、また本人に対する社会の感情、その他関係ある事項といったようなものとか、あるいは社会の安寧秩序を脅かすことなく釈放される可能性があるのかどうか、そんな人が出てきてもらっては困るというような状況とか、いろいろなことがあまねく吸収される、審査されるという、そういう保証があるんではなかろうかと思うのです。
 大分回りくどくしゃべりましたので、法務大臣御了解得たかどうか存じませんが、私の言わんとするところは、いま申し上げたような新しい考え方に立って研究してみる余地はないかどうか、これはぜひ大臣のお考えを承りたいと思います。
#38
○古川政府委員 いま青柳先生御指摘の点につきまして、さらに事務的に先ほどの答弁を補足いたしたいと思いますが、犯罪者予防更生法五十四条でああいう項目を掲げているわけでございますが、さらに恩赦法の施行規則でわれわれの方は調査書というものを設けております。施行規則の二条の一項あるいは四条等で、恩赦上申になります際の調査書をつくっております。それはさらに項目を分けまして、先ほど申し上げましたような健康の状態なども入れました心身の状況、経歴、行状、家族の状況、資産及び生計、並びに将来の生計方針、犯罪の動機、原因、犯罪に関する参考事項、被害者及び社会の感情、その他、記載例もつけまして、さらにこれを細かくしたものを一応内規としてつくっております。そういうことで、できるだけ多くのデータを集めて審査会の調査資料とするというたてまえをとっておるわけであります。
 さらに、今度は審査会の問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、非常に民主的をたてまえといたしておりますので、全部を常勤化していただくのに問題があるというようなことを申し上げましたが、先ほど青柳先生御指摘の、たとえば保護司などを入れてはというあれもございますが、委員の中には、現在保護司をやっておられる方もおられますし、調停委員をやっておられる方もおられますし、できるだけそういう、広く民意の反映するような審査会ということで運営しておられるように伺っております。
#39
○青柳委員 まあ、大臣、むずかしい問題だからということでお答えを避けられましたが、確かにそんな単純な問題でもありませんし、私も十分考えに考え抜いて提案しているわけでもありません。御検討いただければよろしいと思いますが、いずれにしても、今度常勤者を二人ふやして、そして充実を期するということでありますから、従来よりはもっと違った結果が出てくるだろうとは期待いたします。そういう意味で、この制度の改正そのものに私どもとしては反対する理由はないのでありますけれども、しかし同時に、こういう制度を戦後実施されてから二十五年以上、四半世紀を過ぎているわけでありますから、この辺で一遍回顧してみて、そしていい点は伸ばすし悪い点は改める、もっと前向きにこの制度そのものを検討していくということが大事ではないか。なかなか一挙に変わらないにしても、私がいま提案いたしましたような線でまた改良すべきものは改良していかなければなるまいと考えます。
 それからちょっと、杞憂であればよろしいんですが、冤罪を主張する死刑事案の確定者が再審請求をしたりあるいは恩赦の請求をしたりしておりますが、再審手続中とか恩赦請求中は死刑の執行は一応ストップされるという法的規制あるいは慣習のようなものがあるようでありまして、それはそれなりに冤罪を主張する者にとっては救いの道になっているわけですけれども、恩赦の出願、申し出がきわめてスピーディーに処理される。だから、恩赦不相当ということでぽっぽっと処理されてしまう。処理されるたびにまた出すというようなやり方もありましょうけれども、いずれにしても余り悪い方にスピーディーに処理されてしまうというようなことになると、これは事務の簡素化のためでしょうけれども、結局一網打尽のような形になってきて――一網打尽という言葉は余り適切じゃありませんが、とにかく、せっかく恩赦に淡い期待をかけていても電報で返事が来るみたいに処理されてしまうというような結果になったのでは困ると思うのですね。人がふやされたために速くなったということは――この大臣の提案理由説明を読みますと、「適正かつ迅速な審査」、迅速というところをひがんでとるわけじゃありませんけれども、いい結論を迅速に出してくださるならいいけれども、悪い結論を迅速に出されたのでは何と情の薄いものかということにもなるわけですね。だから、悪いんだったら慎重にやるから余り迅速ということにはならないというようなことが期待されていいんじゃないか。
 それから、これは運用の問題で希望しておくわけですが、先ほど、無実を訴えている人間の場合には特赦などということは考えられない、刑の変更くらいのものだというお話がありましたが、無実を訴えているがゆえに恩赦が認められなかったというのが日本弁護士連合会でも非常に問題になって、決議まであったのです。徳島のラジオ商殺し事件、これは奥さんがだんなさんを殺したというような事件、そういう疑いでやられたのですが、いつまでたっても本人は無実を主張して譲らない、改悛の情がない、こういう者は恩赦はできないというようなことで、再審を申し立てたりして無実を訴える者には恩赦はもうなじまないのかというような憤りのこもった議論があるわけでありますが、これを実際上はどういうふうに扱っているのか、お尋ねをいたしたいと思います。
#40
○古川政府委員 先ほどの第一番目の、恩赦の出願あるいは再審の請求中ということが死刑の執行を延期する事由となるかどうかという問題につきましては、これは法律上は、そういう再審請求とか恩赦等の出願中でありましても死刑の執行を命ずることには何ら問題のないわけでありますが、しかしながら実際の問題といたしますと、死刑執行は非常に重大な問題でございまして、当然そういうことかと思うのでございますが、現在までに恩赦の出願中あるいは審理中に死刑の執行が行われた事例はないわけでございます。
 それから冤罪の点についてでございますが、先ほど申し上げましたように、冤罪を理由とする者につきましても審査会は恩赦を考えたわけでございまして、決して冤罪を主張する者は恩赦になじまないという考えを審査会はお持ちでないことは間違いないと思います。
#41
○青柳委員 仮釈放の問題ですね。これは中央更生保護審査会の問題ではなくて、地方更生保護委員会の決定の問題でありますが、仮釈放の請求というのもたくさんあるわけですね。ところが本人が事実を認めておらぬ。公判記録などを全部地方更生保護委員会の方で根気よく読まれるのかどうか、知りませんが、記録は読まないで、読めばあるいは別な、本人が無実を主張するのも無理からぬということもわかるのかもしれませんが、判決だけ読んで、判決が有罪になって、どうも情状も非常によくない、そういうのが無実を主張しつつ、再審は請求していないけれどもおれは悪いことをやったのじゃないというようなことを言っている限りは出さないという。これは政治的な事件に多いのです。一般事件、窃盗とか強盗とか詐欺とかいうような、そういう反社会的な行為で有罪を言い渡されて刑の執行を受けているというのではなくて、労働運動あるいは農民闘争その他政治活動に関連して罪に問われた、そして刑が確定して執行された。自分は悪いことをやったとは思わない、大体これはでっち上げである、不当弾圧である、こう言っているような人間は、幾ら刑務所の中でちゃんと規則を守って、模範的な、社会に出してもちっとも心配ないような人であっても目いっぱい置いておく、絶対に仮出獄は認めないといったような例が過去においてあったのです。北海道の白鳥事件の村上国治君などは一審無期懲役、二審二十年の刑になって、十四年ぐらい刑をつとめまして、たしか五、六年の仮出獄を認められていま釈放されておりますけれども、これは非常に異例な部類でありまして、それ以外の事案で私の知っているのでは本当に仮釈放というのは少ないのです。
 それというのも、いま申しましたように、どうも本人が無実を主張する、いわゆる改悛の情がないというところに帰するようでありますので、恩赦の場合も、いま御答弁がありましたようにぜひひとつ切り離して、再審請求しているとか本人が無実を主張しているとかということとは切り離して、別の観点、純粋の恩赦制度そのものの原点に立ち戻って研究してもらいたい。無実を主張している人であればこそ、私は、社会へ出てもう一遍犯罪を犯すというようなこともあり得ないというふうに思うわけで、その点では改悛の情とかなんとかいうこととは無関係であります。むしろ改悛の情があるかないかを問題にするのは、罪を犯したということが争いなく本人も自覚している人間についてあるのであって、罪を犯したことがないという確信に燃えている人に改悛の情があるかないかなんということを、事実を認めるか認めないかによって判定するということこそが一方的な官僚的な考え方ではないかというふうに思いますので、この点は繰り返しになりますけれどもぜひ運用の上で留意していただきたい。
 このことだけ申し上げまして、私の質問を終わります。
#42
○小宮山委員長 沖本君。
#43
○沖本委員 この犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案の提案理由の説明の中に、「近時、恩赦上申事件が逐年増加の傾向をたどっており、特に、無期刑による仮出獄者、死刑確定者、刑の執行停止中の者などについての事案の複雑な恩赦上申事件の増加傾向が著しいため」と、こうあるのですが、「無期刑による仮出獄者」というところと、「事案の複雑な」という個所ですね、これについての中身の御説明をお願いしたいと思います。
#44
○古川政府委員 先ほど大竹先生の御質問にお答えいたしまして、無期刑は重大複雑であると申し上げたのでございます。その理由は、ほとんど無期刑は大体死刑と同じように、強盗殺人あるいは殺人あるいは強姦殺人、こういったような事件でございます。そこで記録も非常に膨大である。そういうような犯罪を犯すに至った動機もいろいろございますし、先ほどのような恩赦のいろいろな理由も無期は死刑に次ぎましていろいろ複雑でございます。そういう意味で重大複雑だというふうに申し上げたわけであります。
#45
○沖本委員 これは前にも御質問したことがあるのですけれども、大阪の刑務所で大阪大学の不正入学事件があって、当時相当社会の問題になったという点で、刑務所の方も当委員会で視察にも行きましたし調査もしたわけで、それぞれのことが出たわけですけれども、問題は、長期刑の者が仮出獄して、それに関連する人たちになるわけですが、内部と連絡をとって、外から内に入って事件を起こしておるということになるわけです。結局、先ほどの御説明の中にも、本人の性格、本人の行状あるいは本人の行状に対する社会の感情というような点をお挙げになってお話があったわけですけれども、いわゆる仮出獄した者について、それに殺された方は暴力団関係じゃないかとか、その事件の内容とか、それは本人の人権もあることですし、そういう面は考えなければならない点でもあるわけですけれども、それと今度は社会の感情という面から考えていくと、事件を起こすということは予想できないわけですけれども、少なくとも社会へ出てきてそういうことを犯しそうだというような者はやはり考えてもらわなければならない。たまたま事件が報道され、刑務所の中にまで問題が及んでいったことなのですけれども、これは一応報道を通して社会の人の目に入った、耳に入ったということなのですが、やはり報道されなければ、同じような事件がないにしても、ケースの人たちが出ておる、社会の中におる、それがまた犯罪を犯していくということになる場合、これは社会人の感情としては大変な迷惑だということになるわけなんですね。それで、その後特に矯正局の方でも、法務省の方でも十分その点には取り締まりなりいろいろな方法を講じられておるとは思いますけれども、ともすると、当時聞いた話なのですけれども、要領のいい人が仮出獄なりそういう恩典に浴して、本当は社会へ出しても別にそんな影響のないような人がいわゆる無口であったりその態度が十分でなかったりということで、逆にその人たちが出られない。むしろある意味で要領のいいのがうまく外へ出て自由なことをやっている、これじゃ法の精神なり内容とは反するということになるわけですけれども、そういう点についてその後矯正局の方でのこういう実態の把握なり状況なり――これは先ほど青柳先生がおっしゃったとおり地方の更生保護委員会に属する問題にはなるわけですけれども、やはり一番中心部になるのはそちらの方であるということになるわけですから、そういう点についていまの状況はどういう状況なのか、御説明いただきたいと思います。
#46
○長島政府委員 ただいま御質問の点、おっしゃるとおりでございまして、たとえば暴力団関係者等のような者で、出たらまた犯罪をやるというような者が早く仮釈放で出るということはあってはなりませんし、同時に、社会へ出て完全に更生できるというような人について、なるべく早く仮釈放をして社会内処遇に移すというのもまた当然あるべきことだと思います。
 これを解決いたします方法としまして、昭和四十七年に受刑者分類規程という新しい規程をつくって、四十七年以降これを使っておるわけでございます。新しい分類規程におきましては、受刑者が刑務所へ入りましたときから分類をすでに始めるわけでございますけれども、これは本人の性格、資質の分類と申しますか、そういうことから家族関係、過去の経歴、それから将来どういう生活をやっていくかという見通し、帰住先、そういうものにつきましてまず入所時に分類をいたしまして、それから短期の者につきましては三カ月ごとに、長期の者は六カ月ごとに必ずまた再調査をやっておるわけでございます。同時に、保護の方との関係でございますけれども、最近は入所いたしますと早い時期から保護の関係の方が、保護司さん等が面会に来られまして、家庭環境、帰住先の調整と申しますか、それに入っていただいております。そういう情報もこちらの方へいただいておりまして、そういったいろいろな科学的な情報と申しますか、それを集めまして、分類の方の専門家、それから所長、各部長、課長等が集まりまして審査をいたします。仮釈放が適当かどうか、会議をいたしまして、慎重な会議の結果、仮釈放を申請するのがいいだろうという結論になりますと、所長が――もちろん拒否権がございますけれども、所長もそれでいいというふうに考えますと委員会の方へ申請をするということになっております。
 現在、刑務所には累進処遇制というのを一方でとっておりまして、これもいまの分類調査と関係がございますが、分類調査の結果、非常に所内の行状もいいということになりますと、階級がだんだん上がっていくわけでございます。最初は四級から入るわけでございますけれども、三級、二級、一級と上がってまいりますが、二級から一級に入りますと仮釈放の申請の対象に当然なってまいるわけでございます。そういう意味で、一方では所内の行状が累進の級別が上がる際に非常に反映しておりますが、一方では科学的ないろいろな調査というものが行われておりまして、その両方を総合してやろうということでやっております。ただ、これはいま申し上げましたように四十七年からやっておりまして、いま一生懸命努力をしておりますけれども、完全にうまくいっておるというふうにはまだ申し上げかねると思いますが、そういう方向で努力をしておる現状でございます。
#47
○古川政府委員 先ほど御指摘のように、仮釈放中の者が再犯を犯したり、いろいろ問題はあるわけでございますが、仮釈放につきましてはこれはわれわれのほうの更生保護委員会が決定しているわけでございまして、こういう点につきましてはそういうことのないように従来から注意しているわけでございます。
 ただいま御指摘になりました、要領のいい者が早く許されるようではないか、この点につきましては、われわれの方も仮釈放につきましては公正を旨とするように前から指示しているわけでございます。確かに御指摘のように、累犯者の中には施設の職員と比較的なれと言いますか、そういう意味で表面的には従順に振る舞うというようなのもあるいは出てまいるかと思いますし、また仮釈放の審理の際に委員が面接に行きますと、その委員に対しては悔悟の情を装うと言いますか、おとなしそうに見えるのもあるわけでございます。こういう点は、委員は比較的ベテラン――保護観察所長を経歴した者あるいは刑務所長を経験した者、そういうようなベテランを充てているわけでございまして、そういうのを見破って仮釈放に万遺憾なきを期する、こういうことに努めているわけでございまして、今後とも十分その点については配慮してまいりたい、かように考えております。
#48
○沖本委員 これは刑務所の中を視察に行ったときに話があったのですが、たとえば、当を得ているか得てないかはわかりませんが、中の受刑者で暴力団関係が主だったわけですけれども、この人たちはいま頭を刈って、それで従順な様子でネコをかぶっているという表現があったわけですけれども、一たん外へ出るとがらりと変わるのだという御説明もあったわけなんですね。ですから、中での受刑している様子は非常にいい、だけれども出たら変わるんだというような内容からいくと、全く要領の悪い人だとかえって中で不当な扱いを受けて、それで、善良な人ということはないでしょうけれども、比較的無難な人の方が中へ置かれて、全く要領のいい人が出られるのではないかというふうな感じは受けたわけなんですね。ですから、社会復帰ではなくて一時的に出て社会生活をするわけなんですけれども、それが中におるときからもう犯罪につながることを計画して外へ出ていくというようなことであったのではこれは何もならないわけで、むしろこういう制度の方がかえって社会のためにはよくないということも言えるわけです。
 この中にありますとおりに、いわゆる複雑な社会情勢、社会機構というものが犯罪のケースそのものも複雑にしていっているということになるわけですから、これは刑務所の中の問題ではないんですけれども、たとえば、最近新聞に出ておりましたとおりに、病院へ入って、病院に入院しているということで事件からできるだけ逃れているというようなケースもあるわけです。そういう点も考えていきますと、やはり公平に、公正に、受刑者なり何なりという者の恩赦なりあるいは仮出獄なり仮釈放なりというものが十分検討されていくように充実をしていただかなければならないということを考えるわけです。
 それから同時に、しばしば問題になりますけれども、中に勤めていらっしゃる職員の方々の処遇自体を十分見ていませんと、なれ合いが起きてそういう事件につながっていったり、あるいは隔絶されたところで勤務している人の方がむしろ刑を受けているというふうな感じを受けるような問題もあるわけですから、そういう点は、たびたび申し上げることですけれども、十分考えていただかなければならないことだと考えるわけでございます。
 それから、話は変わるわけですけれども、交通事故によって刑の確定があったということで刑務所へ入るということになるわけですけれども、刑務所に入れることは、当然社会復帰をさして将来そういう事件を再び起こさないということが前提条件で罰を受けるということになるわけです。しかし、交通事故というのは多発しておるわけですし、中身のケースは非常に複雑であるということも言えるわけですね。それから、それは罪によって裁かれるわけですからどうこうということはあり得ないわけですけれども、会社の経営者であるとか、あるいはその人がいなくなったら大変なことになっていくというような人も同じように入っていっている。それから刑を受けて社会復帰しても、本人がダメージを受けてしまって、とても将来もとのところに戻らないということも考えられるわけです。地方自治体にしてもいろいろなところにしても、車の事故というものをなくするために努力はしておるわけです。そういう中にあって、交通事犯に係る人たちの受刑の状況、これはどういうふうになっておるのでしょうか。
#49
○長島政府委員 お答え申し上げます。
 先生お話しのように、交通関係で禁錮あるいは懲役の言い渡しを受ける人が最近非常にふえております。それでそういう方々だけをできる限り一カ所に集めまして、そういう方々に適した刑の執行と申しますか処遇をやろうということで、たとえば東京の近辺でございますと御承知の市原の刑務所が交通の専門の刑務所になっております。あそこへ入ってまいりますのは、平均で申しますと大体八カ月前後の刑期の人が多いと思います。あそこは、入りましたときはやや閉鎖的なところでございますけれども、最初の二、三週間たちますともう非常に開放的な、かぎもかけないような建物の中に住んでおりまして、さらに自動車の運転を続けるという人につきましては安全教育とか運転技術の指導等もその中でいたしておりますし、もう自動車の運転をやめるという方には別の作業をやらせております。その作業につきましても、外へ出かけていきまして近所の農家のお手伝いをしたり、外の工場で働いたりというようなことをやっておりまして、生活自体は社会生活に非常に近いようなやり方をしております。御指摘のように、交通事犯でございますからいろいろな方が入っておられるわけで、なるべく社会とのつながりを絶たないように、ことにおっしゃったような企業なんかの関係がありましたような場合には、そういう関係を絶たないようにいろいろな配慮をいたしておりまして、面会等も非常に自由にいたしておるわけでございます。
 なお、仮釈放につきましても、こういう人たちですからほとんど原則的にみんな仮釈放の上申をいたしておりまして、現実問題としては刑期が短いものですから長い仮釈放期間はございませんけれども、多くの場合に仮釈放をいただいておるというふうに承知しておるわけでございます。特別のできるだけの処遇をしたいということでやっております。
#50
○沖本委員 面会とか、比較的自由な取り扱いがあるというお話ですから、事業をやっている人たちが受刑をしておってもその事業が継続してできるように、できるだけいろいろな連絡なりなんなりはとらしてあげる、そういう方法も講じてやっていただきたいわけですね。後に残されている奥さんが主人がいなくなった後の経営をわからないなりに一生懸命になってやっているとか、経済的ないろいろな事情もあるわけですから、そういう点は配慮していただきたい。刑務所に入るくらいですから相当な事故ということになるわけですし、それから事故を起こした当事者であり、それには必ず人身事故を伴っておるということがあるわけですから、いわゆる被害者の方の立場もあるわけです。そういう点で複雑な問題を抱えておるわけですから、その辺も十分考えていただかなければならないわけですし、再び交通事故は起こさないということの確認といいますか、本人の技術なり考え方なり生活態度なり、そういうものが改まっていって、その刑を受けたことによってむしろそれがプラス面に影響していくような方法を考えていただかなければならないと考えるわけです。そういう点、十分御研究をしてやっていただきたいと考えます。
 それから、先ほどの仮出所で事故を起こすという問題につながるわけですけれども、最近暴力団の検挙が盛んに行われております。暴力団の資金源を求めるあり方とか、いろいろなことで内容が非常に複雑になってきているということも新聞の一部でわれわれは知るわけですが、最近の暴力団の実態あるいは現在の状況――これはまあ警察庁と検察庁との違いはあると思いますけれども、盛んに銃砲を撃ちまくっているというようなことがよくありますし、社会的な影響が大であるということも考えられるわけです。そういう人たちの実態と現在の取り締まり方針というものをお伺いしたいのです。
#51
○根岸説明員 お尋ねの暴力団関係事犯でございますが、四十八年の末現在におきまして警察庁で把握しております暴力団は二千七百二十三団体で、その所属構成員は十一万名余りというふうになっております。これは現在もそう変わりがないと思うのでございますが、最近暴力団に組織再編成の動きも見受けられまして、これに伴って暴力団同士の対立抗争に起因します殺傷事件や、組織構成員によります犯罪等が依然として多く発生しておる状況でございます。またその事犯も一層巧妙化あるいは潜在化するという傾向にあるわけでございます。ちなみに、昭和四十九年度の暴力団関係犯罪の検挙件数を申し上げますと五万七千件余りというふうになっておりまして、この中には殺人三百四十八件、あるいは銃砲刀剣で申しますと四千二百八十八件という数字が挙がっておるわけでございます。
 もちろん検察庁といたしましても各検察庁に暴力係検事を置きまして、暴力団の犯罪については重点的に厳正な検察を行っておるわけでございますが、暴力団の事件と申しましても単に殺人だとか傷害致死だとか、恐喝、暴行というような事犯にとどまりませんで、最近はあらゆる法律を駆使して、たとえば脱税事犯だとか、会社の設立にからむ公正証書原本の不実記載の罪だとか、あるいは特別法犯である覚せい剤麻薬事犯はもとより、競馬ののみ行為だとか、あらゆる分野にわたって違法事犯があれば、何らかの工夫をこらして犯罪に問擬できるものはその責任を問うという態度で、厳重な処罰ということを第一義に置いてやっておるわけでございます。
#52
○沖本委員 毎年のように、これは警察庁の方ですけれども、検挙体制をつくって盛んに検挙をおやりになるということなんですけれども、それが刑務所に入ってまた出ていく、また事件を犯す、いわゆる循環的なことを繰り返しているのじゃないか。一向におさまっていない。その結果そばづえを食うような人たちが多くある。またそのために、いろいろと取り締まりに協力しようと思っても後のお礼参りを恐れて協力しないとかということは過去にずいぶんあるわけなんですけれども、最近のそういうふうな市民の協力関係なり、あるいはお礼参りなりの事実はどういう状況にあるのでしょうか。
#53
○根岸説明員 普通の市民は余りこういう犯罪にかかわり合うことをそもそも喜ばないわけでございますが、ことに暴力団関係のことにつきましてそれにかかわりを持ちますと、お礼参りと申しますか、後難を恐れるというようなことから、ことに最近は他人のことに非常に無関心だというような風潮もございますので、率直に申し上げますと市民の協力というのはなかなか得られない実情でございます。しかしながら、やはり警察を初めとする各取り締まり機関や検察庁のほうで、それは一生懸命市民等を説得して協力していただいておるわけでございます。
 それで、お尋ねのいわゆるお礼参りのような件でございますが、統計面から見ましても、四十九年度はいわゆる刑法の証人威迫罪ということで四十二名検挙されておりますが、最近検察庁におきましては警察とよく連絡をとりまして、たとえば起訴された者が保釈になったような場合、警察に直ちに連絡をいたしまして、仮にお礼参りのようなことが起きた場合には、たとえば一一〇番いたしますと東京都内ですと、二、三分後には必ずパトカーが駆けつけるというような体制を常時整えておってもらいまして、そういうような事犯にはすぐ即応できるという体制を整えております。また、裁判所も非常に理解がございまして、暴力団関係の事犯につきましてはなかなか保釈を許さないというような運用もしてもらっておるようでございますし、仮に保釈になりましたような事案につきましては、検察官の方では準抗告を申し立ててその保釈をとめるというような方法をできる限り講じておるわけでございます。
#54
○沖本委員 お答えの中にあったとおり、最近は自分のこと以外のことにかかわりたくないというような風潮が非常に高いわけですね。ですから、電車の中でいたずらされていることを見て見ぬふりをしたり、あるいは囲まれて集団すりに遭ってもはたの者が見て見なかったり、たばこを吸っているのを注意したらぶん殴られたのをとめなかったとか、気持ちの上では皆非常に正義感はあるのだけれども、それを行動にあらわすのにはなかなか勇気が要る。あるいは勇気を示しても一人だけになってしまって、かえってその勇気や正義がむだになってしまうというような最近の傾向が非常に強いわけですね。ですからやはり現在の風潮に合ったように取り締まりの内容なりいろんなものもよく検討していただいて、市民なり住民の正義感なり勇気というものが助長されていって、それが一つの社会正義として高められていくような方向にあらゆる機構が努力をしていただくことが必要じゃないか、こういうふうに考えられるわけです。先ほど一番最初に御質問した、要領のいいのが出ていくというのもそれにつながるということになるわけですから、その点は十分検討していただいた内容で充実していただかなければならないと考えるわけです。それにはやっぱり職員の配置なり中の機構なりというようなものを十分充実していただくことも必要であると考えられますので、その辺は十分御検討いただきたいと思うのですが、特に暴力事件に伴うような内容のものが強いわけですから、この種の暴力事件に対しての大臣の御決意なり何なりを伺って、質問を終わりたいと思います。
#55
○稻葉国務大臣 沖本さんの御意見というか、御質問といいますか、全く同感でございまして、関係局とよく打ち合わせをいたしまして万遺憾なきを期し、先生の御要望にこたえてまいりたい、こう存じます。
#56
○沖本委員 ありがとうございました。
#57
○小宮山委員長 次回は、明二十六日水曜日、午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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