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#1
第075回国会 地方行政委員会 第4号
昭和五十年二月二十六日(水曜日)
    午前十時三十六分開議
 出席委員
   委員長 大西 正男君
   理事 愛野興一郎君 理事 小山 省二君
   理事 高鳥  修君 理事 中山 利生君
   理事 古屋  亨君 理事 山本弥之助君
   理事 三谷 秀治君
      伊能繁次郎君    片岡 清一君
      亀山 孝一君    岩垂寿喜男君
      小川 省吾君    細谷 治嘉君
      山田 芳治君    小濱 新次君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 福田  一君
 出席政府委員
        警察庁警備局長 三井  脩君
        自治大臣官房長 山本  悟君
        自治省行政局長 林  忠雄君
        自治省行政局公
        務員部長    植弘 親民君
        自治省財政局長 松浦  功君
        自治省税務局長 首藤  堯君
        消防庁長官  佐々木喜久治君
 委員外の出席者
        文部省管理局教
        育施設部助成課
        長       西崎 清久君
        厚生省医務局指
        導助成課長   黒木 武弘君
        地方行政委員会
        調査室長    日原 正雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 地方自治、地方財政及び消防に関する件
     ――――◇―――――
#2
○大西委員長 これより会議を開きます。
 地方自治、地方財政、警察及び消防に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川省吾君。
#3
○小川(省)委員 大臣の時間が大変制限せられているようでありますから、まず最初に大臣に二、三お伺いをいたしたいと存じます。
 所信表明をお聞きして、大筋において理解できるわけでありますが、幾つかの点について大臣の所信をただしたいと存じます。
 大臣の所信表明の中で、この際、地方行財政に一つの区切りをつけて転換をすべき時期だとお感じになっておられるようであります。私も実は確かに一つの区切りをつけて転換をしなければならぬ時期だと思っておるわけでありますけれども、この際、危機と言われる地方財政の転換をしなければならぬわけでありますから、行政事務の再配分なりあるいはまた地方税財源の再配分を含めて、当然地方自治をあるべき姿に持っていくべきときだと思うわけでありますけれども、大臣の所信はいかがでございますか。
#4
○福田(一)国務大臣 御指摘のとおり、私も所信表明の中におきまして、高度成長から低成長に入っていく時期になっておりますので、これを一つの転機として地方行財政の見直しをいたすべきである、こういう考え方に基づきまして、地方制度調査会に七月までにひとつ案をつくっていただきたいという趣旨の諮問をいたしておるということでございます。
 その内容でございますが、御指摘があったように、国の補助金の問題であるとか、あるいは地方の財源を充実するという意味で税の問題、あるいは交付税の問題、いろいろな問題が私はあると思うので、そのどれをどうするかということは別として、全般に一度どういう姿が正しいかということを見直していくことは当然のことであると考えておるわけでございます。
#5
○小川(省)委員 私も地方制度調査会で諮問を受けている一人でありますので、いまの大臣の発言については十分理解ができるわけであります。確かにそういう点で地方財政は、地方行政を含めて本当に転換期でありますから、あるべき姿に何としてもしなければならぬ、こういうふうなことを私ども感じておりますので、ぜひひとつ大臣のそういう姿で謙虚にいろいろな意見をお聞きになって、転換をするような方向で大臣は処していっていただきたいと思うわけであります。高度成長のひずみの是正あるいは人間優先の地方自治を所信表明の中でうたっておられるわけでありますが、いま政治が、人間優先というか福祉型経済に変わってくるわけですね。そういう意味では福祉型経済というのは、従来のようないわゆる高度成長の時代と違って、公共事業優先の時代と違って、まあ北欧あたりでもそのようでありますけれども、いわゆる公共サービス面を充実強化をしていく、こういう形になるわけでありますから、何といっても、公経済の面で、いわゆる福祉型経済というのは、人件費を含めて非常に公共経済というものが充実されてくるといいますか、非常に金がかかってくるわけであります。そういうふうな状態に変わってくるわけでありますから、人件費というのが比較的大きなウエートを占めてくることは申し上げるまでもないことだというふうに思うわけであります。そういう意味では、今後、低成長下で、人間優先の福祉型経済のもとにおいて、いわゆる自治体における人件費の比率といいますか、そういうものは大体どういうふうな方向に行くであろうか、また、どのくらいの形で行くのが適切な姿であるというふうにお考えになっておられるのか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
#6
○福田(一)国務大臣 福祉型予算を今後組んでいくということについては、御指摘のとおり、しかあるべきであると私どもも考えておるのでありますが、その場合に、それにつれて人件費がどうしても伸びていく、ふえていく、人数においてふえるということについては、これは私はやむを得ないことであると思っております。ただし、その場合において、この人件費が、われわれが言っておりますのは、何とか国家公務員の人件費べースに見合ったように、全般も見直しつつ、この福祉予算は、定員増による人件費増があってもこれは当然なことである、私はかように考えております。
 その比率をどの程度にするかということになりますと、これはそれぞれの市町村によって差もございますし、一概にここで申し上げることはできませんが、人件費増を認めない福祉予算というものはあり得ないと思っております。
#7
○小川(省)委員 そういう点で、いま、地方自治体の財政危機があたかも人件費に一番の責任があるような形で、いわば人件費攻撃がやられているわけでありますが、閣議の中でも、地方公務員の人件費という問題は、恐らくしばしば取り上げられてきただろうというふうに思っているのです。
 そういう中で、いわば自治体行財政を指導していく自治大臣、自治省という立場の中では、いわゆる地方自治を守るべき責任も自治省の中には当然あるわけでありますから、自治大臣が一緒になって攻撃をしておったんでは困るわけでありますし、そういう意味で、責任を持ちながら、そういう状態を是正をしながら、あるべき姿に持っていく、こういうことに当然なると思うのですが、閣議の中でいわゆる人件費攻撃といいますか、地方公務員の人件費の問題について大臣はどのように対処し、どのように発言をしてこられたのか、まず、お尋ねをいたします。
#8
○福田(一)国務大臣 閣議において、ほかの閣僚から人件費の問題について発言があったことはないと思います。
 私からは、人件費の問題が新聞紙上をにぎわしておるが、実は、これは国家公務員と地方公務員との比較の問題で、ラスパイレス方式というものをとって一応計算してみると、これは概算であるけれども、一兆円近いような支出増になっておるようであるということは、一度発言したことはございます。しかし私は、それだからといって、地方公務員の給与が支給できないような国の財政計画というものが組まれるというようなことについては、これは大臣としての私の職責から言っても、政治生命をかけて闘うべきであると私は感じておるのでありまして、もしそのような事態が起きた場合には、私は徹底的に、この公務員の給与問題については、強く大蔵省その他に対しても主張をいたしてまいるつもりであります。しかし、私の見ておるところでは、いまのところ、そういうような空気は閣内には全然ございません。
#9
○小川(省)委員 角をためて牛を殺すという言葉がございます。地方公務員の人件費攻撃というのがかなり強くやられておりますので、いわば地域住民のサービスに本当に献身すべき地方公務員が、いじけたような姿になったのでは、本当の意味での地域住民の生活を守るような地方自治行財政を運営していくことはできないわけでありますから、そういう意味では、大臣の持っておる責任の一面としての、いわゆる本当に全国の地方公務員が責任を持って住民サービスの行える状態になるように、ぜひそういう一面も強く持っていただいて、今後とも閣議の中では対処をしていっていただきたい、このようなことを強く要請をいたしておきたいと思います。
 それから、あと一つ、過疎対策について大臣の所信表明の中で触れられておりますけれども、今後過疎対策として、どのような点をどういう形でお進めになろうとしているのか、お伺いをします。
#10
○福田(一)国務大臣 ちょっと人件費の問題で一言追加させていただきますならば、そういうような方針でやりますが、私は、人件費の問題がいま地方自治体でいろいろ問題になっておりますが、これを一挙に解決するなどということは困難な問題であると思っております。しかし、やはり計画を立てて順次解消していくという方向には持っていっていただきたいと思っておるのでございまして、これからも、そういうことがあっても、福祉関係の必要からどうしてもこれはどんどん上げなければいかぬ、それに右へならえして人件費がふえていくのも認めなければいかぬ、こういう考え方でないことだけはひとつ御了解を願っておきたいと思うのでございます。
 次に、過疎対策の問題でありますが、実は、あなたもそういう面で大変御心配いただいておる私も過疎県の出身でありまして、実はこの過疎問題というのは、過密問題と非常に関係があるわけであります。この過密ということをどういうふうにしてチェックするかという問題もこれからひとつ考えませんと、どんどん人口がふえるからといっては小学校をつくりあるいは保育所をつくる等々、いわゆる住民サービスの面をよくしますと、またすぐふえてくるということで、いつもイタチごっこをやっておるというのが東京とか大阪等々を中心にする地域の市町村の姿ではなかろうかと思うのでありまして、ここいらをどう歯どめをするかということも一つ考えなければならない問題ではないかと思っておるのですが、それと同時に、また過疎地域に対しては、住民がそこにおっても十分ないわゆる生活を維持する所得が得られないということが一つの大きな原因になっておるかと思うのであります。これをため直すというか是正するという意味では、輸送機関をもう少し充実して、そうして都市との交通関係をよくする必要とか、あるいはまた、何かそういうところに適当な仕事があるように国としてめんどうを見るというようなこともしていきませんと、私は都会へかける金の一部をそういう面で過疎地域へかけるということの方が、日本の国土全体を有利に使う方法になるかとも考えておるのでありまして、これらの面も含めて今後も研究をいたしますと同時に、現実の問題として、過疎対策としては、過疎市町村に対しては起債の面とかあるいは交付税の面等々でいろいろめんどうを見てきておるつもりでございます。
#11
○小川(省)委員 大臣の御答弁の中で、いわゆる地方公務員の給与は国公に準ずるというふうなことなり、あるいはまた、いわゆる高いと言われる公務員賃金について一挙に解決しようとは思わないとかいうふうな点で討論を深めなければならない点があるわけですが、大臣の時間もございますので、あとは大臣の忠実な輩下の諸君と討論をいたしたいと思っております。
 最後に一つだけお聞きしたいのですが、実は広島に加計という町がございます。源田実さんのお兄さんが町長のところです。私も実はその方にもお会いをいたしておるわけですが、大臣もことしの初めごろですか、何か二時間ぐらい、大臣のお宅へ伺った源田さんといろいろお話しになったという話を実は漏れ聞いているわけでありますが、大臣が源田町長にお会いしたところの印象というか、感想を一言お聞かせいただきたいと思います。
#12
○福田(一)国務大臣 確かに源田町長さんが私の家へ日曜日にお訪ねになりまして、ちょうどその日は私、結婚式があったんで、早く出かけたいのですけれども、二時間ばかり非常に情熱を込めて加計町の事情、それから自分はもう私利私欲は全然ない、七十五にもなっていまさら町長なんかやりたくなかったんだけれども、やむを得ず、担がれてしまったので、やる。やることになれば、こういう問題が出てきておるので、これは私はこういうような考え方を持っておりますというので、ある意味では、今度一六%になりましたね、あれを私に言われたときには二一%ぐらいにしたいんだということも言われておりました。私は、それについて是非の論は何もいたしておりません。しかし、住民が決起して、そしてどうしてもこれはやらなければいかぬと言われているので、私もその方向で進めていきたいと思います、御了解を願いますというお話でしたから、ああそうですかと言って承ったのですが、率直に言えとおっしゃれば、私はこれは非常にりっぱなお方であるというふうに申し上げたいと思うわけでございます。
#13
○小川(省)委員 表現はいろいろあるわけですが、お忙しい中で二時間もお邪魔をされてお話を聞いて、大臣、老いの一徹という言葉がありますけれども、老いの一徹といいますか、非常に人の話を聞かないで自分で一方的にしゃべりまくる、恐らく大臣もしゃべりまくられて、熱情に打たれたんだと思いますが、なかなか人の話を聞かないで、自分の考え方だけ一方的にしゃべるというふうなお感じを持たなかったですか。
#14
○福田(一)国務大臣 私は、実は長い間新聞記者を二十年もやっておりまして、自分の意見と反するようなことがあったときに、何でもああそうですかなんて言ったことはいままでないつもりでおります。したがって、たとえ相手がどんながんこな人であろうとどうであろうと、自分の気持ちと違えば、それはこうですとかああですとかいう意見を言うのですが、私は非常に常識的なことを言っておられると思ったから、大変熱心に言われるし、それに七十五歳になって、町長に出たくもないのに実は引っ張り出されたんだということからるる話を聞いておると、むしろ同情を申し上げて、結婚式に行く時間を三十分ばかりおくらして承ったというのが実相でございます。
#15
○小川(省)委員 大臣、ありがとうございました。大分大臣がお困りになったという話を漏れ聞いておりましたので申し上げたのですが、恐らく私が先ほど申し上げたような点があったんだろうということは推察をいたします。表現は、大臣はなかなか上手な表現をなさいましたけれども、そういう点は漏れ承っておりますので……。
 実はきのう、わが党の細谷議員と公務員部長とのラスパイレス方式をめぐる討論を、私も非常に興味深く関心を持ちながらお聞きをいたしておったわけでありますが、しかし私はどうしても一つ割り切れない点を感じているわけであります。確かにラスパイレス方式は、同一の条件で比較をするのには精度なり確率が高い比較方式であるということは、私も長い経験の中で承知をいたしておるわけでありますけれども、どうも自治省の考え方は、ラスパイレス方式狂信というか万能というか、そういう点にとらわれている、絶対視をしているんじゃないかというふうに思うわけであります。最近盛んに、先ほども理事会の中でやっておったわけですが、きのう理事会に引用されたわけでありますけれども、自治省、なかなか資料も公開をしない、こういうことを言われておるわけでありますけれども、自治省に実は地方の首長さんが陳情に参ります。そうすると必ず言われるのは、あなたのところのラスパイレス指数は一一二・八ですとか、あなたのところは一一五・幾つですというふうな形でまず最初に指摘を受ける、実はこういうことを言っているわけであります。そういう点では、自治省の中では課長補佐だか係長だか知らぬけれども、ある程度のところまで、どこのラスパイレス指数は幾つだということが私は明らかになっているのだと思いますので、公表しないというふうなこともあり得ないというふうに思うのです。首長さんが五、六人来ても、そこのところで、あなたのところは幾つ、あなたのところは幾つ、あなたのところは幾つというふうにやられるわけでありますから、私は自治省がずっといままでもそういうような形でやってくれば、現在のような状態の賃金の実態にはならなかったのかもしれないけれども、いまここでそういうふうにやっているわけでありますから、当然公表しても差し支えないものだというふうに思うのですが、なぜ公表なさろうとしないのですか、公務員部長にお聞きします。
#16
○植弘政府委員 昨日も再三お答えいたしましたが、基本的な立場から言いますと、ラスパイレス指数というのは、その団体がみずからのラスパイレスがどのくらいになっているかということを承知いたしまして、それでその団体の給与管理に活用するというのが本来筋であると思うわけであります。しかしながら、全般的にいまの地方公務員の給与実態がどうであるかということになりますと、全国的な資料としては発表してまいったわけでありますが、個々具体の問題になってまいりますと、やはりいろいろと考えてみなければならぬことでございますので、昨日ああいうお答えをしたわけであります。しかしこれは昨日も申し上げましたように、具体の市町村についても、各県の地方課を通じて出していることでございますから、資料はあるわけでございます。ただ、いま出すべきであるかどうかという判断が若干違っておりますためにいま出してない、こういうことでございます。
#17
○小川(省)委員 大体自治省の方で各地方団体のラスパイレス方式はどのクラス、どの程度の方までが御存じなんでしょうか。
#18
○植弘政府委員 自治省ではそれぞれの行政、財政の分野を通しましていろいろの角度から各地方団体を指導いたしておりますから、そういった衝にある者はおおむね幹部は知っております。
#19
○小川(省)委員 恐らく委員会ではお答えになれないだろうし、ならないと思うのですけれども、私どもが個人という立場で自治省に参っていろいろな問題をお話を申し上げる機会が多いわけでありますけれども、そういう中でいわゆる雑談的に出る言葉としては、大体ラスパイレス指数が一一
○なり一一五ぐらいならばまあまあ問題はないのですけれども、ここのところは一三〇ですから、一四〇ですからねというふうな話がございます。そういうのを私はずっと自治省のいろいろな各局部課を回って、大体自治省の腹としては一一〇なり一一五ぐらいは、当然地方公務員は国家公務員とは違うのだからやむを得ないという一面もあるのだろうというふうに私は推察をしているわけであります。恐らくそれを聞いてもお答えにならぬでしょうけれども、そういう実情が省内にあることは――いいですよ、一一〇なり一一五ならかまわないのだという返事をもらうわけじゃないのですから。そういう空気があることはお認めになりますか。
#20
○植弘政府委員 そういった上限が幾らかという議論は自治省としてはいたしておりません。したがって、一一〇程度ならいいとかということではなしに、たとえばそれぞれの団体によっていろいろな事情も違うことでございますから、一〇〇を前後にしてある程度の差があるといったような状態ならまあまあでしょうというような話は、率直に言いまして私どもはいたします。ただ、しかし、それが一〇五ならいいとか一一〇がいいとかといったようなことを言ったことは一つもございません。もちろん自治省各局でも、そういったことを考えているところはないと思います。
#21
○小川(省)委員 きのうも話に出てまいりましたけれども、国家公務員の一般行政職は四九・八%、約五〇%ですね。地方公務員全体が三二%。都道府県では大体二〇%というのが定説のようですが、それは誤りないですね。
#22
○植弘政府委員 そのとおりでございます。
#23
○小川(省)委員 大体こういう状態で指数をとって比較をするのはいろいろな矛盾なり無理があると思うのですが、地方公務員の大部分というのは、たとえば県税事務所の職員というのがいれば課税をし、徴税できるわけですし、福祉の職員がいれば、ケースワーカーがいればケースの指導ができる、あるいは保健婦がいれば保健指導ができるわけでありますから、地方公務員の大部分というのは、かなりの部分というのは、人件費即事業費、人件費を持っていることで事業が遂行できる、まあ教員なんかは典型的な例でありますけれども、人件費即事業費という職員がかなりの部分いるということはお認めになりますね。
#24
○植弘政府委員 そういう性格のものはやはり行政を担当いたします国、県、市町村と並べてみますと、担当する事務の内容によりまして比較的そういった性格の強いものが地方に多いということは、そのとおりだろうと思います。
#25
○小川(省)委員 だから、人件費イコール事業費という職員が地方にいっぱいいるわけでありますから、人件費だけを取り上げて投資的経費がやれどうのこうのという比較方法、ここにも大体問題があるのじゃないか。人件費イコール事業費の職員がたくさんいるのですから、人件費のみを取り上げてそれだけを悪者にされておる方法は間違っているというふうに私どもは思っているわけですが、どうですか。
#26
○植弘政府委員 これは財政局の方のお答えなのかもしれませんが、私どもが人件費について申し上げておりますのは、一番比較のしやすい行一の対応職種をラスパイレスで比較いたしまして、そこに水準の差があるとすればその差が人件費になっているわけでありますから、当然国家公務員の水準を上回る分は本来ならば直接的な行政サービスへ投入できるものじゃないだろうか、したがって人件費の部分についてもそこらのところは十分に適正化していただいて住民サービスに留意してもらいたい、こういう立場で申し上げているわけでありまして、人件費の占めるウエートがどうだという立場とは若干違っておるのです。
#27
○小川(省)委員 地方公務員の給与というのは、都道府県の場合、人事委員会が人事院の勧告を受けて勧告をして、職員団体と理事者が交渉をして、決まったものを条例化というか、議会の議決を得る、こういう形になっているわけですね。ですから、こういうふうな事情になったのには、やはり何といっても相手であるところの理事者というものがあるわけですから、私はそういう意味では、自治省というのはいわゆる職員団体の指導下にある職員に対して人件費が高いということで攻撃するけれども、どうも首長に対する教育というか、いわゆる管理者教育というものを従来余りにもお座なりにしてきたというふうな点を感じますけれども、その辺についてはいかがですか。
#28
○植弘政府委員 まさに先生御指摘のとおりでありまして、私どもは職員団体が節度のある要求をすることは職員団体として当然だと思います。しかし、仮に節度を起えたものを要求した場合でも、安易に受け入れるといったような傾向が首長にありたのではないか、それがいまのような状態を生んでいるのじゃないだろうかということで、いまの先生の御指摘はそのとおりでございまして、今後とも首長の側が本来の立場で、そういう適正な人事管理といいますか、給与管理をやるべきだということを指導しなければならないと思います。
#29
○小川(省)委員 先ほども大臣が言われましたけれども、自治省も常に言うわけでありますが、国家公務員の基準より高いとか、国家公務員の基準でなければならぬという根拠はどこにあるのですか。
#30
○植弘政府委員 すでにもうよく先生御承知のとおりでございますが、地公法の二十四条の三項でございますが、均衡の原則がございます。その均衡の原則は何をもって言っているかといいますと、もうすでに御承知と思うのでございますが、まず生計費なり国家公務員の給与なり、それから他の地方公共団体の給与、それから民間企業の従事者の給与、こういったものと均衡をとらなければならないということになっております。そこで、公務員として一番身近なものは、やはり国家公務員、地方公務員でございます。しかも先生いま御指摘のように、国家公務員の場合は人事院が都道府県の人事委員会と協力いたしまして全国七万有余の民間給与の給与実態を調査いたしまして官民格差を比較し、その差額を補てんしていくという立場でとっております。したがってその場合にも人事院では生計費等の要素も加味してございますから、国家公務員に準ずることが二十四条三項に言う均衡の原則を最もよくあらわしている。そういうことで、もう長い間そういったコンセンサスを得まして国に準ずる立場で参っているものでございます。
#31
○小川(省)委員 地公法の二十四条の三項の御説明を伺いましたけれども、いまいみじくも言われたように、二十四条三項というのは、生計費、それから国あるいは他の地方公共団体の職員なり民間企業の給与等と比較をするわけでありますから、そういうものを考慮して定めるということですから、国家公務員の給与というのは一つの要件にしかすぎないわけですね。それを、国公より高いとかどうとか言われるけれども、少なくとも国公より高くても差し支えない。考慮すべき要素の一つでありますから、その地域の事情の中で国家公務員より給与の高い自治体があっても何ら差し支えのないことだというふうに私どもは判断をするわけですが、いかがですか。
#32
○植弘政府委員 おっしゃるとおりでございまして、三千の地方団体がすべて一〇〇でなければならないという理由はないと思います。ある程度高い場合、ある程度低くてもいい場合があると思いますが、そこにはおのずから節度といいますか、当然適正なものが考えられなければならないと思います。
#33
○小川(省)委員 ですから私は、金科玉条のごとく国公よりもあなたのところは八・五%高いとかなんとかというふうな指導をやることは誤りだと思うのですね。三千三百に近い自治体の中には、その置かれている事情の中で少なくとも国家公務員よりも高くなければ全然人が雇えない、なかなか来ないというふうな状態の自治体だってあるわけでありますから、そういうことを取り上げずに、すべてを画一的に指導していこうというのは明らかに誤りだというふうに思うのです。二十四条の五項を見ますと、給与以外の勤務条件を定めるに当たって初めて国と他の地方公共団体の職員との均衡を失しないように適正な考慮が払われなければならないと触れているわけでございますから、重視されているのは、勤務時間と給与以外の勤務条件については少なくとも国家公務員に準じなければないけれども、給与についてはあながち国家公務員万能、国家公務員に準ずることが絶対であるというふうな考え方でこの地公法二十四条を読むのは誤りだというふうに思いますけれども、いかがですか。
#34
○植弘政府委員 繰り返すのをやめますが、先ほど二十四条三項の考え方を申し上げましたように、国家公務員の給与については生計費なり民間との関係が十分配慮されているわけであります。均衡がとられているわけであります。したがって、他の地方公共団体との関係におきましても、それが国を基準にしてやります場合には即他の地方公共団体とも均衡がとれるということで、国に準ずるということは二十四条三項にはございませんけれども、国に準ずることによって二十四条三項に言いますところの均衡原則をおおむね満足していくというふうに考えるのであります。
#35
○小川(省)委員 私がいま手にしているのはきのうの読売新聞の朝刊であります。「地方公務員の給与是正は一年間で 昇給停止も、自治省強硬」、私も実は二十九年、三十年ごろの地方財政の危機の時代に自治体の職員団体の役員をしておったわけでありますから、当時の情勢も、どう自治省が対処したかということも承知をいたしておるわけでありますけれども、二十四日の夕刊でも、大臣は給与引き下げ指導をやるというふうなことを言っておるわけであります。きのうはこの是正は一年間でというふうに細かい具体的な抱負までも挙がっているわけでありますし、自治省は現在の地方公務員の給与の是正指導という中で一定の方針を出したような書き方にこの新聞ではなっているわけでありますが、何月何日、どういう会議でどう決めたのか、お示しいただきたいと思います。
#36
○植弘政府委員 二十四日のその新聞記事について、私どもよく存じておりません。ただ、そこに書いてある内容については、従来から給与の適正化という問題について地方団体ではどのような方法でどのように考えるべきかということはもう常々指導しているところでございますが、いま一年に限ってどうという点については、少なくとも私どもでは承知いたしておりません。
#37
○小川(省)委員 これを読みますと、こういう方式をとられるのが大体普通なんですが、いわゆる新規職員の採用停止でありますとか、初任給基準の引き下げであるとか、あるいはまた給与改定率の引き下げ、昇給期間の延伸、期末手当プラスアルファの廃止、こういうふうな項目が列挙してあるわけですが、少なくともこれは自治省の中から何らかの決定があって出てきたのではないかというふうに私どもがとるのは当然であります。それでこの中にありますのは、特に給与改定率の引き下げという二十九年、三十年当時の地方財政の危機のときにもとられなかったような点が出ているので、私は奇異の感に打たれているわけでありますが、だれが取材に応じたのかどうかわかりませんけれども、こんなふうな状態で一年間で指導をしていくというふうな――地方公務員の給与が高くなったのは、三十二年に給与法が改定になって、三十二年以降のずっと引き続いた長い問題であろうと思いますけれども、そうすると、あなたがそんなことを決めたことはないんだというふうに言われますから、こんなことで指導をしていこうというふうな方針ではなくして、先ほど大臣も触れておりましたけれども、いわゆるあるべき財政の姿というものを一つの計画的な形でやらせるという意向はあっても、ここに言われているような方向でやろうというふうなことはお決めになったことはないと確認をしてよろしゅうございますか。
#38
○植弘政府委員 端的にといいますか、一年間で計画的にといったようなことについての最近の決定はございません。ただ、そこに書いてあることは従来からの行政指導としてはやっております。
#39
○小川(省)委員 それと自治省の指導の中で、そういうふうな一般的な指導がやられているということは私どもも承知をいたしているわけでありますが、最近の自治省の考え方を要約をして徹底をすれば、現在ある地方人事委員会なり給与条例に対する議会の議決などというのはまるっきり要らないもののように思われるけれども、自治省としてはどうなのか。
#40
○植弘政府委員 人事委員会の機能なり議会の機能、こういったものを否定する気はさらさらございません。
#41
○小川(省)委員 そうすると当然職員団体が理事者といいますか管理者と折衝をして、そういう経過に基づいて人事委員会がそれをいわゆる案文化をするといいますか、成文化をする、議会の条例案として提案をする、それが議会の機能の中で議決をされて正規に条例になって給与が決まっていくわけでありますが、そういう点については否定をするということは、当然これはあり得ないはずでありますけれども、それに対して容喙をしようなどという考えは毛頭ないということでございますか。
#42
○植弘政府委員 先ほど申し上げましたように、特に給与の決定につきましては二十四条の一項の職務給の原則なり三項の均衡の原則なりといったものがございますから、そういった法令ないしは条例の趣旨に基づいて、本来の使用者である住民の意向等も十分考えながら、適切な節度のある立場でやる部分についてはこれは当然でございまして、著しく逸脱するような場合があったときには、議会そのものを注意するわけにはいきませんが、やはり管理者を通して、もう少し適正な運営をやるべきじゃないかという指導はせざるを得ないと思います。
#43
○小川(省)委員 著しい逸脱についての論議はいまするつもりはありませんが、そうすると、いわば客観的に見て公平的に見て著しい逸脱があると認められるときには介入をするといいますか、容喙をするけれども、少なくともノーマルな状態の中で話し合いが行われてそれが決まっていくものについては自治省として特に介入をしたり、あるいは財政面で意地悪をして、やれ起債がどうだ、やれ何とかなどというふうなことまでやるつもりは持っていない、ただし著しい逸脱がある場合については当然これは管理職に対する指導はいたします、こういうふうに理解をしておいてよろしゅうございますか。
#44
○植弘政府委員 当面それで結構でございます。
#45
○小川(省)委員 きのうも大分論議になりましたんですが、ラスパイレスでミステリーが一つあるんですが、ちょっとお尋ねをしたいと思うのです。私、前の委員会で申し上げたような記憶もあるんですけれども、一年間にラスパイレスの指数が一
〇%も上がったり下がったりというふうなことは、特にそこの職員が千人いるところであれば二百人がやめるとか、あるいは急に一斉に三十六カ月昇給短縮とか三号俸なり上げたというふうなことがあれば、上がったり下がったりするとは思うのですが、一年間に一〇%も指数が変わるということは、特別なことがない限りはあり得ないというふうに私は思いますけれども、そのような理解でよろしゅうございますか。
#46
○植弘政府委員 昨日もお答えしたと思いますが、一般的にはそういう一〇%ものような変動があるとは考えられません。したがって、ラスパイレスと一方ではパーシェとを使いまして、そういった著しい変動がある場合にはどこか事務的なミスでもないのかという注意はしたりしていままでやってまいっております。
#47
○小川(省)委員 そういうものは、恐らく出す際のとり方が、経験年数のとり方を間違えるというようなことでもなければあり得ないわけですよ、通常の場合。ところが四十七年の四月の指数で見ると国分寺市は一三二・〇であります。四十八年四月の指数では一四五ということになっていますね。それから大阪の高石市では四十七年一二六・七、四十八年四月は一四〇から一四五の間にいるというふうに言われているわけであります。そういうことは、私は、とっている給与の実態調査の資料の中でそんなふうになっていることはないと思うのですね。いまのは上がった方の事例です。下がった方の事例では東京の府中が四十七年の四月が一五〇・九というふうに発表されています。四十八年では一三五から一四〇の間にあるというふうに言われているわけであります。調布や東久留米でも、それぞれ一四一・〇、一四〇・九なのが四十八年には一三〇以下になっているわけですね。挙げれば枚挙にいとまがないと思うのです、個々の自治体を挙げていけば。こういうふうな自治省で検討したラスパイレスの指数が出てくるということ自体がおかしいのでありますけれども、こんな変化をしていくようなことで、この指数を私どもに信用しろと言っても無理だというふうに思うのですが、いかがですか。
#48
○植弘政府委員 いま挙げられました例につきましては、たとえば国分寺のようなのはどうも事務的なミスがあったようであります、向こうから出した資料でございますけれども。しかしそういった三千三百の地方団体の中で一部そういったものがございましても、全体としてのマスで見ます場合においては、ラスパイレス指数はおおむねといいますか、非常に確度が高いというふうに考えておりますので、その意味では、そういった非常に変動の激しいところは、先ほど申し上げましたように個別的にも注意して、どこかがおかしいのではないかということで、実態をみずからよく再検討させるというようなことで給与管理に利用させる、こういうふうに思っております。
#49
○小川(省)委員 そういう実態でおかしいと思えばお調べになるのは当然でありますけれども、私どもが、自治省が言っているラスパイレス指数絶対というのを信用できない一面が、いま挙げたような事例の中にあるわけであります。そういう点では、自治省としてはやはりあっさりそういうのを出していただいて、そしてこれはおかしいと思ったら検討していただけばよいし、私どもから見ても著しく高いなと思われれば、それは自治省が適切な指導を、管理者を含めて、長い財政計画を立てさせる中でやればよろしい問題でありますが、自治省がラスパイレス指数絶対視というふうな考え方を取り除かないと、なかなかそういうことはできない。そしてそれを明らかにして示していただいて、そういう中で全体的な広い目で見て給与管理などというものはやるべきだというふうに私どもは実は思うわけであります。そういう点で、ぜひひとつ自治省としても、いま私が申し上げたような事例があるわけでありますから、絶対視をして、ラス絶対だというふうな考え方をおとり続けにならないで、やはり謙虚に比軽検討をし、あるいはおかしいなというところについてはやはり改めて個々に抽出して調査をし直すとかというような形にしないと、私は適切な給与管理もできないのではないかというふうに思うわけでありますが、いかがですか。
#50
○植弘政府委員 私どもは、当委員会に提出してございます資料にもございますように、ラスパイレス指数が万能とは言っておりません。しかし現在の統計からいきますと最も精度の高いものであるということは、いろいろな方面からの実証で私どもそう信じております。その点は先ほど先生もお認めいただいたようであります。それからいま言いましたように、著しく変動のあるようなところにつきましては再点検をさせる、また現にこちらから連絡したところが、これはおかしいというので再点検をしてきたところもございます。たとえば県でいいますとわずか〇・三違うのが計算機の間違いでございましたというような例もございましたり、その点は各団体ごとに、私どもの出しました資料をもとに自分たちの給与管理上どこがどうなったか、こうなったかというのを点検しているようですから、そういう点では非常に価値のある数字だと思っております。
#51
○小川(省)委員 いずれにしても、ラスの問題については昨日も大分論議をされましたし、やっていけば切りのない問題でありますから、ぜひひとつ、先ほど私は大臣に、角をためて牛を殺すということを申し上げたわけでありますけれども、いじけた地方自治体の職員をつくって満足な住民サービスができないような形に、給与管理のみを通じてやっていくような指導というものは明らかに誤りでありますから、十分心してほしいということだけを申し上げて給与の問題については一応終わらしてもらいます。
 だれにお尋ねをしていいかわからないのですが、最近住民参加の地方自治ということが選挙の折などにはかなり言われているわけでありますが、自治省としては住民参加の地方自治というものをどのようにとらえているのか、まずお伺いをしたいと思います。
#52
○林政府委員 地方自治体のあり方も、そのときの社会情勢に伴って年々変わってまいりまして、制度としては一応確立をし、その運用にはなれてきたとはいえその運用の内容をやはりその時代の要請に合わせて適応さしていくという努力は必要であると存じております。そして、住民参加という問題も、最近非常にあちらこちらでいろいろな運動も起こり、それを取り上げ、またそれを吸収していくということが民主的な運営であるということで大変問題になっておりますが、私の方としては、この住民参加に対する取り上げ方としては全国一律というか一概には論ぜられない面が非常にある。むしろその地方団体の特色、置かれた事情によっていろいろな形の運動が起きる、さらにそれの吸収の仕方によっても地方団体それぞれの工夫があると思っておりますので、ただいまの段階では、全体を見渡しておるといいますか、その発展の状況を見守っておるというのが現在の立場でございます。そしてこれらの全体の動きによって、あるいはこれに関する制度の改善を考えるというような事態も近いのではないかという気もしておりますが、住民参加自体、これを絶対視するという考えも間違いでございますし、それからまたこれを絶対に厄介者として扱うという考えも間違いだと思いますので、それぞれの自治体に適応した対応の仕方、むしろそういったものに対する創意工夫というものを地方団体に求めていく、現在は概して言えばそういうような立場にあります。
#53
○小川(省)委員 わかりました。三千三百の自治体があるわけでありますから、いろいろな形態がありますし、住民参加の運動としてもいろいろな形態があるし、それをどう取り上げていくかということもいろいろあるわけでありますが、少なくともそのことによって住民の意思が的確に反映をされて行政効果も上がる、住民の幸せにつながるという形でなければ住民参加の地方自治ということで生かされるものではない、私はこう思いますけれども、そうですか。
#54
○林政府委員 住民運動あるいは住民参加の方式、これはさっきも申しましたように、すべてが正しいとも限りませんし、すべてが間違いとも限りません、ということを申し上げたのは、これが全体的な高い立場に立った次元の高いものもあれば、きわめて卑近な地域エゴに発したものもある。それらを見きわめて、それをどういうふうに取り上げていくかということは、住民全体に対する責任を果たすことになるかという、その判断をするのはまさに地方団体側、理事者なり、議会側にあると存じます。その判断を間違えないことによって、いま先生がおっしゃるような住民参加と申しますか、住民の意向の積極的なしかも全体の福祉にプラスになるような取り上げ方が可能になる、そういうふうに見ております。
#55
○小川(省)委員 自治法七十四条の直接請求というのがちょくちょく行われるわけでありますが、当然、この直接請求という制度は、法的に認められた住民が参加をしていく制度の一つだと思いますが、そうなんでしょう。
#56
○林政府委員 直接請求はまさに住民参加を現行制度上はっきりと手続その他細部にわたって認めた制度でございます。この制度にのっとって住民の意向が出てくる、それが条例の制定の直接請求であったり、あるいはリコールであったりする場合もございますが、出てくることは、法はもちろん予想しておるところでございます。しかし、これが建設的なものであるか、そうでないかというのは、まさにその中身によるわけでございまして、したがってその中身については、法律もその中身を判断する機関を一応予定しており、ある場合には住民投票であり、ある場合には議会である。これらを通じて適切な運用がなされ、それぞれの議会なり長なりが中身の判断によって正しい判定をすれば、この制度に乗って住民の意向はまさに生かされる。こういうふうに考えております。
#57
○小川(省)委員 直接請求の制度には、行政の中でなじむものとなじまないものとがあるわけですね。いまもおっしゃいましたけれども、なじまないものというのは大体どのような長の権限に属するものといいますか、どういうものが直接請求にはなじみにくいものだというふうに自治省では考えておるわけですか。
#58
○林政府委員 非常にむずかしい問題でございまして、一口に言うのは大変困難でございます。やはりその中身によると存じますけれども、いますぐここでこういうものがなじみあるいはこういうものがなじまないと例を挙げることもちょっといたしかねますが、まさに中身によると申し上げるしか仕方ございません。
#59
○小川(省)委員 まあそうでしょうね。じゃあ、私の方から具体的にお尋ねいたしますが、最近職員給与表について直接請求が一、二出ている事例があるわけでございます。本来職員給与というのは長の権限に属すべきものであって、当然長が議会に条例案を出してやるべきものであって、このような職員給与の条例などというものは直接請求には全くと言っていいくらいなじむものではないというふうに私は考えているわけでありますけれども、行政局長の見解はいかがですか。
#60
○林政府委員 これはいささか先生と見解を異にする面もございます。本来職員給与というのは、民間の場合は労使対等の団体交渉で行われることが原則である、これに対して公務員の給与はそれと全く違った体系をとっておりまして、国で言えば人事院の勧告に基づいて国会によって制定される法律、地方団体であればそれにかわるべき住民の代表、議会の議決を経た条例ということで定められることになっておりまして、それを適正に維持することは、先生のおっしゃいましたとおりまさに長の責任でございます。長が適正な原案をつくり、それを議会で十分審議をして、もちろんそれは、長が原案をつくる場合には職員団体の意思も十分聞くことでございましょうが、長の責任でつくり議会で議決して決まる。これが適正なものであれば、そこに直接請求が起こってくるということは、実際問題としてそうはあり得ないだろうと思います。しかし、これがある程度常識的というかその範囲を離れた場合に、住民がそこに対して一議論をするということ、それはまた住民自治の場面で、あってもいいと思いますので、一概に給与問題は直接請求になじまないんだという先生のお考えには、大変失礼でございますけれども、いささか意見を異にする。まあその異常といいますか、その場合場合によってなじむ場合もあると考えざるを得ません。
#61
○小川(省)委員 まさに優等生的な答弁ですね。私は職員の給与条例なんというものは直接請求になじむものでは全然ないというふうに思っております。私も約二十年近く県庁の職員をやり、しかも職員団体の職員をやってきましたから、給与問題についてはある程度承知しておるつもりです。それから地方議会の中では二十八年間総務委員会の中でほとんどやってまいりました。そういう中で給与条例を私につくれと言ったって、私自身がなかなか単独でつくれるというものでは、給与条例などというものはないわけですね。特に最近の給与というのは非常に複雑多岐化した給与制度のもとできているわけでありますから、一般的に高いか低いかというふうな論議は別として、少なくとも条例事項に属する給与表であるとかその他のものについて本当の意味で住民に理解を得るというふうな形になることはほとんどないわけであります。私自身がそういう経験を持ちながらも、なかなか最近の給与制度は難解なわけでありますから、そういうものが広く住民の理解を受けて、そして直接請求というふうな形になじむものでは全然ないと思いますが、現在の給与制度の中における給与のあり方というのはそんな簡単に住民の直接請求になじむというふうに、行政局長、本当にお考えですか。
#62
○林政府委員 技術的な面で先生のおっしゃいますとおり非常に難解なものであり、複雑なものであり、素人である住民が全部が理解できるしろものとはほど遠いであろうということは確かにそのとおりだろうと思います。しかるがゆえにこれはなじまないということには直ちにはつながらないと私は思うのでございまして、給与制度自体は難解でございますけれども、その全体がある程度高いか低いか、それからその町の中におけるほかの民間の給与に比べてどうかということに町民が関心を持つことは、これはもう否定をする理由はないと思います。しかるがゆえに、直接請求で住民がつくって出した条例案がそのまま条例に成立するということでなくて、ちゃんと議会というものの審議を経て、技術的におかしければ直してという道が開かれておるわけでございますから、難解である、むずかしい、技術的であることは全く先生の御意見と同様でございますけれども、しかるがゆえになじまないというふうには私は考えません。
#63
○小川(省)委員 何といいますか、いわゆる職人的な技術的な面は一応さておいて、いま局長が言われたいわゆる高いとか低いとか町のあれと比べてどうだというふうな点は理解をできるわけですね。しかし、いわゆる職人的な事項に属する事項までがなじむものではないというふうに私は申し上げているわけです。
 先ほど大臣にも申し上げたわけですが、広島の加計町というのがございますね、源田実さんのお兄さんだそうですが、私もお会いしてみて、まさに老いの一徹といいますか、財政通をもって任ずる、大蔵省にもおられた方だそうで、その後満州国に行って財政局とかにいた方だそうでありますから、財政には一家言をもって任ずる方でありますので、かなり吹きまくられてきましたけれども、この町で直接請求が起こったということは自治省御承知のとおりですが、非常に優秀な方であるとは思うけれども、どうも老いの一徹で脳の筋肉が余り運動をしなくなってきたような感じもするわけであります。それで、その直接請求が議会の中で修正をして可決をされたというふうな新聞報道もその後見ているわけでありますが、自治省としてはこれについてどう対処をし、どのように把握をされているのか、まず最初にお伺いをしたいと思います。
#64
○植弘政府委員 先ほどもお話ございましたように、大臣のところに来られたときだと思いますが、私どもの方へ来られまして、事情はよく聞きました。それから、どうすればいいんだということでございますから、これは地方課を通して、従来からいろいろな方法がございますがというふうに事務的な相談にはこたえております。現実に今度は町に参りまして町民の代表がそういう直接請求をやったということでございます。これはもう私どもがタッチするところではございません、住民の意思でやっておられることでございますから。その結果はきのう報告を受けております。
#65
○小川(省)委員 直接請求を修正をして、先ほど大臣もちょっと言っていましたけれども、二一・八%という町長の考え方よりもさらに低いところで議決をされたようでありますが、私も行ってみて実は驚いたのであります。
 直接請求の付表として、行政職(一)表給料表であるとか、医療職(一)表給料表、医療職(三)の給料表などが直接請求についているのですね。こんなことは一般の地域の住民がわかるわけがないのです。大体それで給料表なんかつくり得る状態ではないわけですね。これはまる写しにして引き直してやる以外にないので、そのような状態で、いわゆる住民参加の地方自治というか、給与問題に対する考え方をとっていく、それを許す町長、またそのような状態があるということがわかった場合に、それをほっておくような自治省というのが地方自治体の指導的立場にあるとすれば、これはまさに根本から誤ったというふうに私は思いますけれども、いかがですか。
#66
○植弘政府委員 その直接請求にどういう議案を出したか、正直なことを言ってまだ存じておりません。まだそういう具体的といいますか、正式の報告を受け取っておりませんのでよくわかりませんが、私どもといたしましては、基本的には、市町村の問題につきましては地元の県の地方課を通して法律的、技術的な援助をするということにしてございまして、あくまでその点は地方団体の自主性に任して処理していただくというたてまえをとっておるわけでございます。
#67
○小川(省)委員 この町は人口七千ぐらいの過疎の町ですね。事業所とすれば役場と農協と郵便局と学校ぐらい。こういう七千ぐらいの町でありますから、私は診療所があるから医療職の(一)表、(三)表の給料表がついて出たのだと思いますが、こんなふうな状態で出される直接請求なんというものは、当然わかれば、これは高いから下げろとか安いから上げろというふうな問題とは離れて、これは本来の地方自治から誤りだというふうな形で、問題が起こるのを把握をしたならばすぐに指導をして、誤ったような地方自治を行っているようなところについては是正をすること、これまた自治省としての責務の一つだと思うけれども、その点についてはどうですか。
#68
○林政府委員 私も、直接請求の中身、どういう給料表がついていたかということについてはまだ詳細に見聞しておりませんので、確たることは申し上げられないわけでございますが、直接請求が出てまいりまして、それに非常に技術的にむずかしい条例案がついていたということのみをもって、直ちにこれは不適当な直接請求だと言うわけにはまいらないと思います。恐らくこの直接請求の中身の主体は、先生御指摘のとおり、住民のほとんど全部は高過ぎるじゃないかというだけの感情ではあると思います。それを具体化するために、ある程度そういうことに詳しい人間がおってそういう案をつくり、その案を説明するということもあるかとも存じますので、そのこと自体で直ちにこれは間違った自治の運営であるとは私はとうてい思えません。
#69
○小川(省)委員 良識ある討論をしましょうよ、良識を逸脱した討論ではなくて。大体給料表をつくられるような住民、給料表に明るい方もいてそういうことをやったのでしょうと言いますけれども、少なくともこういうのをつくったのは、いわゆる町長側に立つ町の管理職の方が考えて、そしてそれを持って署名をとって回って請求をし成立をした直接請求であることは、どう考えてみても間違いないわけですよね。そうだとするならば、当然これは、長たる者がおのれの権限に属する事項を、住民の意思だからというふうな形で、誤った形で住民を行政の中に動員をして、それが住民の意思だからというふうな形の自治というものは、明らかに長が自分の権限をみずから捨て去ったところの地方自治に臨む姿であるというふうに私は思うのですが、局長いかがですか。
#70
○林政府委員 公務員の給与の引き下げを意図して町長自身がそういうことをやったということは、私とうてい断定できないと思います。それと、一般に住民の参加ということには、何となしに何千人の住民が集まるということはまずないので、その場合は必ずそれを主体的に指導し、技術的な説明も加えてそれをリードする方がおられると思うのでございますので、恐らくそれに署名した住民というのは、たとえば給料表なら給料表の説明の内容を聞いても細かいことはわからないのがまあ普通でございますが、じゃそこにした署名の価値がどうかというと、やはり少し高過ぎるという感覚で、下げるという趣旨の請求だ、それに賛同して署名したとなれば、これもやっぱり一つの住民意思の参加ではないかと思います。そういう意味で、住民参加というのは、必ずそれをリードされ、詳しいことを知り、さらに説明をする方がおられ、その指導のもとに大局に対して賛成をした方々が集まって署名をされるというのは、これは通常の住民参加の方式であると存じますので、お言葉を返すようでございますけれども、いささかいまの先生の御見解とは異にさせていただきます。
#71
○小川(省)委員 これは見解を異にするというふうな問題ではないですよ。地方自治の根幹に関する問題だから私は言っているのです。そういうふうな形でその自治体の首長がみずからの権限を捨て去ってみずからの配下のある者に命じていわゆる住民運動として盛り上げていることは、やはり誤ったものではないか。署名をする方は、役場の職員は少し高過ぎるから少し下げさせなくちゃならないということで、受ければそれは署名はします。確かに住民意思のあらわれですね。しかし、そういう形でのいわゆる給料の引き下げについてやるのは、これは長の権限で当然話し合いをしながらやっていかれればいいので、長がそうやったとは思わないと言うけれども、長は私と会っても、長が下げたいのは人事院勧告を割り引きをして二一・八%まで下げるつもりなんだ、そうやるのだということを言っているわけですから、長が引き下げようとした意図は明らかですから、そのとおりに議会では決まらなかったようでありますけれども、いまそこで二一になったからとかあるいは一六になったからということの問題ではなくして、そういう形式を踏まれる直接請求などというのは、少なくとも事給与の問題についてはとらせることは自治省としては誤りだというふうに思いますので、局長は盛んに、優等生だか何か知らぬけれども、そういう答弁をなさっているけれども、私は自治の根幹の問題としてそういう点を言っているわけですよ。
#72
○林政府委員 同じ御答弁をすることになって申しわけございませんけれども、確かに給与問題ということが非常に難解であり、かつ、これについては一番責任を持っているのは首長である、さらにそれを議決する議会である、これはもう先生の御指摘のとおりでございますが、しかるがゆえに、これが住民の意思を表明するところの手段たる直接請求にはなじまないということは、私はどうしても思えませんので、それが非常に異常な事態である場合に住民が関心を持つのが当然であるという気がいたしております。
#73
○小川(省)委員 公務員部長、私はこの動きと、この新聞の、是正は一年間でという動きの中に、少なくとも関連があるのではないかというふうに考えるのですね。だから自治省が加計町のようなそういう事態を正しいというふうに判断をして認めていくんだという考え方に立つとするならば、少なくとも私は、法的に認められた職員団体が、長い経験、経過を通してその地方の理事者との間に話し合いをしてきたものを、少なくとも十年なり十四、五年、二十年近くかかって話をしてきたものを、一年間ですぱっとこんなような形で、住民の意思なんだということでやってしまうような状態がいいんだというような考え方に立ったら、これは正しい給与制度なんというものはあり得ないと思うのです。自治省が計画的に指導されるということであるならば一面了解できるけれども、これを正しいなどと言うのは明らかに誤りだというふうに思うけれども、公務員部長としてはどうですか。
#74
○林政府委員 けさほど読売新聞の、一年間にということは、公務員部長もお答えしましたように、これを強引に一年でやるという意思決定など何らしておりません。先生の御指摘のとおり、長い経緯を経てここまで来たものを、これが仮に行き過ぎだとして正しいところまで戻させるについても、ある程度の漸進的と申しますか、無理をしない段階のいろいろな配慮が必要である、そのところは十分心得ているつもりでございます。
 それからもう一つ、いまの加計町の問題について、先生はこういうものはなじまないのではないかとおっしゃったので、私はなじまないわけではないと言っただけでございまして、この加計町のやり方が正しいとか、こういうことで各地方団体もやらせるとかいうような気持ちではもちろんございません。加計町もあのこと自体が直接請求になじまないとは言えないということを言っておるわけでございまして、あそこではこの問題についていろいろな意味での相当波風が立ち、今後の町政運営の上においてむずかしい問題も相当残すと思います。でき得べくんば、もっと穏やかな方法でというか、職員団体側も良識を持ってよく町長と話し合いをして、まあ長いこと積み上げてきたものがこういう地方財政の苦しいときに当たって行き過ぎであるとするならば、自治省の方は国家公務員に準じた給与にしてほしいということはもう十数年来口を酸っぱくして指導しているわけでございますから、それに近づける努力をしていただけるならば、それぞれの団体にそれぞれの最も穏やかなというか、最終的には町民全体に迷惑をかけない方法もあると思いますので、私はいま加計町のことが、あれが正しいんだ、あれで全国に及ぼすんだというつもりは毛頭ございません。
 それから読売の一年間というのも、そういう意思決定したことはございませんし、それに一年で国家公務員どおりできるものだとは正直思っておりません。
#75
○小川(省)委員 いずれにいたしましても私はこの加計町のようなものが局長は正しいというわけではないという御答弁ですからまあいいんですけれども、いずれにしてもあれは私は四十九年度における給与改定の中で戦後最大の、人事院勧告始まって以来の最大の汚点だと思うのです。人事院勧告を政府が値下げを、割引をしたことはあるけれども、少なくとも自治体で割引をさせて許したなんということはないわけでありますから、しかも形態があんなような形で、住民の意思だと称しながら職員団体を抑え込む、そしてまた職員団体の役員を無理に病気にさせて、長期欠勤をさせながら役員をやめさせていってしまうというふうな不当労働行為を犯しながら――これはまた別な問題になるわけですから別に取り上げますけれども、そういう形でやってくる。こういうような状態を許していたら、私は円満な労使関係というものもないし、労使の話し合いなどというものはこれはもうまるっきり認められていかないものだというふうに思います。自治省が考えている給与制度のあるべき姿という方に持っていこうという努力というのは一応理解をしますけれども、少なくともそんな状態を許しておいて、全国の三千三百に近いところの自治体にわたって給与制度を円滑にやっていこうなどということはとうていでき得ないことですから、特に最後にまた口を酸っぱくして、そのようなことをやはり少しなじまない、誤った――正しいと言わないということですけれども、そういうことについては自治省もひとつ心をして当たってもらいたいということだけは要請をいたしておきます。
 最後に一つ公務員部長に伺いますが、中国で下放運動というのがございますけれども、下放運動というのを御存じでしょうか。
#76
○植弘政府委員 詳細には存じませんが、書き物等では少し見ております。
#77
○小川(省)委員 恐らく具体的なことはお知りにならないと思うのですが、公務員や政府機関の職員やあるいは教員であるとか中学以上の学生等が一年の一定期間農村等へ行って農作業に従事をしていることということぐらいは御承知だろうと思うのです。これは中国自体においては、やはり永続する革命というふうな精神的な面が強調されてやっているわけなんですが、やはり農作業の苦しさ、厳しさを学ぶという点とかあるいは中国の農業の発展については一定の効果を上げていることも事実であります。私どもが中国の農村へ行って見ると、非常に生き生きとした若者がいっぱいいる。あなたどうなのと言うと、いや私は学生ですというようなことで、豚の管理や何かをやっている青年がいっぱいいるわけです。そういう人たちが中国の新しい農村の発展に従事をしているわけであります。私は、他山の石というか、別に制度が違った国であったって何だって、いいことを学ぶことはいいことだと思うのです。私は、過疎対策の一環として、あるいはまた自治省が人件費攻撃なんかばかりやっていないで、あるいは地方公務員にこういうふうな運動を、キャンペーンを起こして、少なくとも過疎対策であるとかあるいはまた農業自給率の向上であるとか、農村は出かせぎでなかなか人手がない。こういうふうないわゆる日本の農業の現状の中にやはりこの下放運動というものを取り入れたキャンペーンというか、国民運動ぐらいを、自治省は人件費攻撃に憂き身をやつさないで そのようなことを取り入れていくことが日本の新しい、地方全体を含めた発展になっていく、こういうふうに私は思うのでありますけれども、いかがですか。
#78
○植弘政府委員 どうもよく実態をつぶさに知りませんので、どうお答えしていいか迷うのでありますが、地方公務員が地方の実態をよく知って、その住民の意図をくみ上げながら行政サービスを行うという、これは当然だろうと思います。しかし仮にいま先生おっしゃったように、一定の期間職員を地方に出すということになりますと、職務専念の問題だとかこういったような問題もございます。したがって、いま定員の問題もございまして、直接的な与えられた日常業務というものも定員の問題もありますから、そうなってまいりますと、日曜日でも行ってもらうのか、いろいろと服務の問題から考えてみなければならない問題があると思います。
 どうも的確な答えができませんで、失礼いたします。
#79
○小川(省)委員 私は、一定の期間というのは中国の実情を話したのですが、一月に沖繩の自治体の職員というか、自治労の諸君が、実は沖繩は一月、二月というのはサトウキビ刈りの最も忙しいシーズンであります。そこで沖繩の自治労の諸君が旗振りをして、労農提携だとかなんとか言わずに、農村にはいま労働力がないのだということで、実は手弁当で動員をかけて、一日有給休暇をとって手伝いをやったわけであります。沖繩の一万六千の職員の中で四千人ばかりがこれに参加をしたそうであります。非常に腰が痛くて翌日どうも仕事に差し支えた、休暇をとったやつも中にはいるかもしれませんが、非常に沖繩の現地では農民に感謝をされ、高く評価をされているようであります。私はそういうものが新しい農村に対する対策の一つとして一考に値するものではなかろうかというふうに考えているわけであります。そういう意味では私は、過疎対策なり農林対策等を含めて、自治省としてひとつこの下放運動というか、そういうものについて検討をしてみたらいかがかというふうにお勧めをしたいわけなんですけれども、検討に値する事項とお考えになり、検討してみるつもりがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
#80
○植弘政府委員 公務員行政の立場からそういう運動をどうするかということになりますと、私としては非常にお答えしにくいと思います。ただし、公務員が先ほど言いましたように地方の事情を考えながらボランティア活動をおやりになっているようなことは、これは別の問題でございますが、本来やはり与えられた公務というものがございますから、この遂行との関係で真剣に考える問題じゃないだろうかと思います。
#81
○小川(省)委員 私は当然これはボランティア活動になるだろうと思うのですがね。そういう意味では、私は人件費攻撃ばかりやっていじけさせないで、そのような形をとって、自治省というのは本当に、やはり地方自治体の行政を通じて地方公務員が仕事をやっているんだとお考えなんでしょう。それならそれを守る立場も自治省にはあるわけなんでしょう。もちろん人件費攻撃なんかにさらされて――事実国家公務員以下の自治体もあるわけですよ。そこだって財政的には危機なんですから、人件費だけじゃないのですよ。だからそういう意味では、いたずらに地方公務員諸君の人件費が高い高いなんて言われないで、たまにはそういうふうな活動の中で国民から感謝をされるような地方公務員をつくる、ボランティアで結構だから、そのようなことも検討に値するならばひとつ考えてみたらどうかということをお勧めしているので、それについてどう考えるかということです。
#82
○植弘政府委員 もう先生よく御承知でありますが、公務員行政の柱は、いつも申し上げますが、公務能率の向上と服務規律の問題であります。公務能率の向上という場合に考えてみますと、やはり信賞必罰といったようなものも非常に大きなものでございます。そういう意味で、そういったボランティア活動に熱心な者を奨励するといったようなことも非常にまた意味のあることかと思います。よく実態を調べさせていただきまして、検討させていただきたいと思います。
#83
○小川(省)委員 余り優等生であっても――いまや大蔵省と違って自治省の官僚の諸君が日本の最も優秀な官僚の諸君のはずでありますから、そういう意味では自信を持って、私はひとつ、あまり局限をされてにっちもさっちも動かないようなぎくしゃくした形ではなくして、広い視野で物事をながめて、日本の全体の農村問題であるとか過疎であるとかというものをしんしゃくしながらやはり行政に当たっていってもらいたい、こういうふうに思うわけであります。
 いろいろ最後によけいなことを申し上げましたけれども、以上で私の質問を終わります。
#84
○大西委員長 午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時五十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時六分開議
#85
○大西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 地方自治、地方財政、警察及び消防に関する件について質疑を続行いたします。三谷秀治君。
#86
○三谷委員 大臣の所信を拝見しますと、大変りっぱな所信になっております。しかし、これは具体的にはどうするのかという問題が明らかになっておりません。たとえば「高度成長とそれがもたらした国民生活の繁栄とひずみに対する正確な認識と評価の上に立って、これからの最大の課題である経済の安定成長と福祉社会の実現に向かって大きく踏み出」す、こうおっしゃっている。これは総論としては、私も大変賛成であります。それじゃ具体には何をするのかという問題ですね。それからまた同じように、「量的拡大の時代から、生活中心、福祉重視の質的充実の時代へと転換が図られる中にあって」地方自治も重要な転換期を迎えた、こういうふうにおっしゃっております。
 そこで、高度経済成長を改めるということは、たとえば地方税における高度経済成長の構造ですね、こういうものについてはどのようにお考えになっておるのか。大企業の税の特権的な減免措置などについてどうされるのか、これが付随してこないと、これは口頭禅になってしまう、その点のお考えを聞きたいと思います。
#87
○首藤政府委員 税制に例をお引きいただきましての、高度成長の状況が変わりました事態における地方財源の充実等に対する考え方でございますが、御案内のように、高度成長の状況が停滞をいたしてまいりますと、地方税収の方にも従前見られましたような税の自然増が乏しくなりますことは御指摘のとおりでございまして、地方財政を擁護いたします面から考えましても、地方税源の充実といったようなことについて意を払わなければならないものと考えておる次第でございます。
 私ども、ただいまの認識といたしましては、地方税源全般を充実をする必要があることはもちろんでございますが、特にその中でも、市町村を中心にいたしました税制の充実、税源の充実といったようなことに意を用いておるつもりでございまして、御案内のように昨年は法人課税、特に法人住民税の増徴ということで平年度約二千億程度の税の増収を図りましたし、ことしはまた大都市の税源といたしまして、事業所税等の新設を企図いたしておるわけでございますが、このようないろいろな手段を講じまして、都市税源の充実に努めるべきだと考えておる次第でございます。
 なお、御指摘の租税特別措置の取り扱いでございますが、これにはいろいろ内容もございますけれども、すでに目的を果たしたもの、あるいは国税からのはね返りを遮断をすべきもの、こういったものにつきましては、逐次これを整理をしていくということに努めたいと考えておる次第でございます。
#88
○三谷委員 租税の構造の中における高度経済成長政策というもの、資本の蓄積、国際的競争力の強化、産業の奨励というようなことでずっとおやりになってきましたですね。いま高度経済成長を改めるというふうになってきますと、ここのところの構造も変えなければだめだということなんですよね。
 そこでお尋ねしますけれども、一億円以上の法人数と免税法人数をちょっとお尋ねしたいのです。
#89
○首藤政府委員 免税法人数というお尋ねでございますが、収益が上がらないことによって課税がされていない、たとえば法人税の課税がされていないとか、あるいは事業税の課税がされていない、こういう意味かと存ずるのでございます。ただいま細かな資料を持ってまいっておりませんが、十億以上の法人で約二〇%近くの法人が、現在収益を生み出していないという意味をもって法人税もしくは事業税、これがかかっておらないという事態であると存じております。
#90
○三谷委員 そこの表現があいまいなんですがね。収益を生み出していないとおっしゃる。それじゃこれはいわゆる赤字法人、倒産法人というふうな性質のものかというと、そうじゃないでしょう。これは好況、不況にかかわらず、まあ一億円以上の大企業でいいますと、大体三〇%が例年無税になっておる。しかも、これは赤字、倒産会社じゃないのですよ。通常の営業活動を行っておる、種々の公共サービスを受けておる、資源も大量に消費しておる、そういう会社なんです。この欠損法人の中には有名な成長企業も入っておる。一覧表を見ますと、ずいぶん出てきているわけですが、これはあくまでも税法上の欠損であって、いわゆる赤字会社ではない。そこに問題があるんですよね。これは税法上から言いますと、租税特別措置もありますし、法人税法もありまして、租税特別措置所得、それから法人税所得を差し引きますから、税法の上の欠損法人になっている。しかし、これは赤字じゃないということなんです。そこが非常に従来からあいまいにされてきましたけれども、そうじゃないのです。たとえば過大投資しまして過大償却をやりますと、それはすぐに欠損法人になるわけです。そういう形で、大きな投資をしたところが大きな償還を図るというので税法上の欠損になってきている。こういう状態が一般的に見受けられますけれども、これは大変不公正だと思いますが、どうでしょうか。
#91
○首藤政府委員 法人税法ないしは租税特別措置法上の益金算定の手法でございますが、これは先生御案内のように国税の方で扱っておるものでございますけれども、この算定の仕方につきまして、つまり企業の収益の算定のあり方をどう算定するかという点について、御指摘のようないろいろな問題点があることは、私も承知をいたしております。ただ、この点につきましては、まあこれは国税の方でございますが、従前の税に対する扱いがそうなってきておるわけでございますが、去年ないしおととし法人の税負担率の引き上げをいたしましたことに伴いまして、今度は法人の収益算定のあり方の適正化を図る必要があろうということで、現在これは政府の税制調査会におきましても、この算定の適正化等についての議論が重ねられておる次第でございます。そのような措置を通じて、これは適正な修正が今後行われていくべきものであろうと私は考えておる次第でございます。
#92
○三谷委員 いまおっしゃいましたように、国税における特別措置に原因がある、それが地方税にはね返ってきているということになっております。しかし地方税制上の特別措置、これもありますね。この方が少し金額が多いじゃないですか。たとえば、ここに東京都が出しました不公正是正の研究発表がありますけれども、これを見ましても、地方税における特別措置によります税の減免分はかなりな額に達しているわけですね。ですから、国税における特別措置の改善、それから法人税法上における種々の引当金の撤廃、それから地方税における特別措置の撤廃、こういう問題がたくさんあるわけですね。これをどうするかという問題については具体的にはまだお考えになっていないわけですか。
#93
○首藤政府委員 御指摘のように、地方税におきましてもいろいろな特別措置はございます。主なものは、市町村民税におきます生命保険料控除でございますとか、固定資産税におきます各種の控除でございますとか、電気ガス税におきます産業用電気の非課税措置でございますとか、こういったものでございまして、大体二千億見当のものがあるわけでございます。これにつきましては、御案内のようにわれわれといたしましても、租税特別措置の整理、廃止ということに努めていきたいということで鋭意検討もいたしておりますし、また措置もいたしておるところでございます。
#94
○三谷委員 具体的には何から手をつけるおつもりかわかりませんが、御説明していただきたいと思います。
 特に事業税ですけれども、これは前にも申し上げましたが、事業税は物税であるという租税概念に立ちますならば、つまり企業の事業活動に対する地方自治体の公共サービスの経費を負担するたてまえでありますから、これが税負担を免れるということになってきますと、これは全く不公正の典型みたいなものです。たとえば法人住民税にしましても、法人事業税におきましても、まあ法人事業税は均等割りだけですけれども、所得割りは全然無税になってしまう、事業税もただになってしまうということは、物税のたてまえからしましても合点がいかぬことですけれども、どのようにお考えですか。
#95
○首藤政府委員 租税特別措置の合理化につきましては、御案内のように、去年は大規模の電気資産に対します措置を廃止いたしますとか、ことしは産業用電気の非課税措置を若干廃止いたしますとか、あるいは外国貿易船に係ります固定資産税の非課税措置の廃止をやりますとか、こういったようなことで逐次進めさせていただいておるわけでございます。なお、ことしは土地の長期譲渡所得に対します住民税の課税標準の特例措置の改正も、これは国税とあわせてでございますが、措置をいたしたところでございます。
 なお、事業税につきまして、これを収益課税でなしに外形標準課税に持ち込むべきだという御説は、先生前々から御主張のとおりでございまして、私どももでき得ればそのようにいたしたいと考えておるのでございますが、前々から申し上げておりますように、これは事業税の歴史的な経過等に徴しまして、急にこれへの切りかえをいたします場合には税負担の変動が非常に激しいし、いろいろな問題がございますので、現在鋭意検討中というところでございます。
#96
○三谷委員 毎年検討中とおっしゃっておりますけれども、これは不合理なことですから是正しなくてはいかぬです。道理に合わぬことは是正するという処置をとりませんと。激変するとおっしゃいますけれども、確かにこういうふうな租税徴収制度に変えますと、租税負担が変わってくる、それは当然のことなんです。変わらなければいかぬと言っているのですよ。たとえば大きな会社が、ざっと挙げましても昭和電工だとか、川崎重工業だとか、いすず自動車だとか、あるいは関西石油とかいうふうなものが事業税は一銭も払っていない。住民税もわずか五千円の均等割りだけで済んでいるというようなことでは、これはなかなか住民は納得できないことなんです。しかもこれが物税という税理論に立ちますならば、今日の法人税に係る租税特別措置のはね返りを受けること自体が不合理なことです。租税特別措置というのは所得に対する例外措置を規定したものであって、事業活動そのものに対する例外措置ではないわけですから、事業税が物税であって事業活動を対象にするものでありますならば、所得に対する特例措置がその事業税にまで影響するというふうなことは認められることではありません。ところが法人税による優遇措置や租税特別措置による所得調整措置というものが、物税である事業税にも波及してきて、そして膨大な企業が税金を一銭も払わない。まあ一銭もと言ってはおかしいが、事業税は一銭も払わない。しかもこれが毎年三〇%以上も占めているんです。一億以上の会社で見ますと、三〇%の会社が税金を払っていないということですね。これはだれが考えてもおかしいことなんです。これは速やかに検討して物税なら物税の立場を貫いていくということにしてほしいと思います。
#97
○首藤政府委員 事業税につきまして、なるたけこれを外形標準でもって課税をしていくようにしていくことが望ましい、これは先生御指摘のとおりでございまして、私どももかねがねそう思っておるわけでございます。ただ先ほど申し上げましたように、いままでの事業税の歴史的経過等に徴しまして、急にこれを切りかえますときには、先生も御案内のように税負担の変動等が起こりますし、特に中小企業その他におきまして、収益のない事態にやはり税を負担しなければならぬといったような事態が起こりますことも懸念されますので、でき得ますところから逐次そのような措置をもあわせて講じるように努めていきたいということで研究をさしていただいておる次第でございます。
 なお、今回創設をさしていただくべく御提案を申し上げております事業所税におきましては、収益課税という形をとりませんで、外形標準を採用するという形にいたしましたのも、こういった考え方のあらわれの一端かと御理解を賜りたいと存ずる次第でございます。
#98
○三谷委員 事業税を物税として取る場合に大きな変動が生じてくるとおっしゃっております。確かに変動が出てくる。こういう資本金百億、二百億の会社が事業税を一銭も払っていない。あるいは住民税の所得割りも払っていないという事態は、これは速やかに改善しなければいかぬ問題です。
 そこで、中小企業のことを盛んにおっしゃいますけれども、この租税特別措置あるいは法人税法によります大幅な所得調整を受けておりますのは大企業が多いんです。中小零細業者なんというものはそんな余裕はありはしません。だからそこは、中小企業が犠牲を受けるというのじゃなしに、やはり大企業の負担を増大せしめるというところに一番眼目がある問題であって、そういう点から私どもは申し上げておるわけです。
 それからいま事業所税のことをおっしゃいましたが、これは大都市財源に対応する目的税でありまして、事業税とはおのずから別個のものだというふうに私は考えております。
 そこで、もう一つ申し上げますと、それではこの法人事業税の損金算入はなぜ行われるのか、どこに根拠があるのか、これをお尋ねしたいのです。
#99
○首藤政府委員 税の損金算入でございますが、税として徴収されます額につきましては、経費の処理上、これを経費として落とすというのがむしろ通常の原則でございまして、法人税及び法人税割り等、同じく法人の所得そのものにかかります税金につきましては、これは控除のしようがございませんので、所得そのものを対象にする、あるいは法人税額そのものを対象にするという税金の計算方法をいたしておるわけでございます。したがいまして、事業税は物税ということで設立がされておる税金でございますので、固定資産税等と同じように損金に算入をされる、こういう仕掛けになっておるものと心得ております。
#100
○三谷委員 物税というたてまえですけれども物税になっていないでしょう。所得課税をおやりになっているわけなんです。所得課税をしておる限りは損金算入の根拠はないんですよ。たてまえは物税だ、こうおっしゃっているが、実際の課税方式は所得課税なさっているのです。収入金課税のところは別としまして大部分が所得課税なんですね。所得に課税しますならば、これは損金に算入する根拠はありませんよ。ただ、物税であって、もうかろうともうかるまいと、事業活動をしておれば、その事業体に対して一定の税負担を求めるという立場に立ちますなら、これは損金算入の根拠が生まれてくる。ですから、いま同じく法人所得に課税しております法人税や法人住民税が損金算入されていない、ところが事業税だけが損金算入されておる、そこで東京都で少し事業税の税率の引き上げをやりますと、これが損金に算入されて国税収入に影響がある、交付税にも影響が出てくる、こんなことになっておる。こんなものは損金算入する根拠はありません。なぜこれ損金にしなくちゃならぬのか。所得に課税をしておって何で損金算入しなくちゃいかぬのか。
#101
○首藤政府委員 ただいまも申し上げましたし、また先生も御案内のように、事業税そのものが企業の活動そのものに課する物税、あくまでそういうたてまえでこの事業税というものができ上がっておるわけでございます。実態は先生御指摘のように外形標準をとっておりますものの方がむしろ少のうございまして、所得を課税標準にしておるものが多うございますけれども、税そのもののたてまえとしては物税であるという点は先生も御案内のとおりでございます。そうでございませんと、同じ府県税におきましても、法人所得そのものを課税標準として法人住民税が課され、なおかつ事業税が課されるという論理的根拠は、なかなかまた、ここでも問題が出てくるわけでもございまして、物税ということで創設をされ、また維持をされております事業税でございますので損金算入をする、こういう論理的構成であろうと存じております。
#102
○三谷委員 物税であれば物税課税せねばいけませんがな。物税である物税であると言いながら所得課税やっているのですから、それだったら内容は物税と違いますがな。物税であるからこそ損金算入ができるわけです。所得税でありますならば、もうけに対して課税するものですから、損金算入の根拠ありはしませんがな。ここのところは、あなた方おっしゃいますのに非常に矛盾があるのですね。そこで、これを所得課税やりますと、所得税と一緒になってしまいますから、地方の税源としての独自性がなくなってしまう。だから、物税物税と、こうおっしゃっている、しかし実際は物税じゃないわけです。矛盾の上に問題をごまかしていらっしゃいますから、いつになってもこの矛盾が解決しませんね。これを一体どうされますか。大臣、この問題、長いこと私ども追及してきましたけれども、この矛盾を何とか解決せぬといけませんですね。
 それで大企業は、とにかく一銭も払わないのですがな。その約三〇%の大企業というのは実に資本金が五百億ぐらいのものがありますものね。川崎なんか四百三十三億ですか。いすゞ自動車でも資本金が三百八十八億じゃないですか。そういう大会社ですね、三菱製鋼だとか、間組だとか、神鋼電機だとかいうふうな、何十億という大会社が大きな規模で事業活動をやっている。それに対して地方自治体は公共サービスをやっていく。水を提供する、道路を提供する、港湾を提供する。そういう集積の利益を受けながら、事業税は一銭も払わない。これではちょっと合点がいきません。大臣、どうですか。
#103
○福田(一)国務大臣 ただいま御指摘がありましたような問題を踏まえまして、ただいま税制調査会においていろいろと審議をしていただいておるということでございまして、その結果をまって対処してまいりたい、かように考えております。
#104
○三谷委員 税制調査会におきましては、四十三年と四十六年の答申におきまして、この点は指摘しているはずなんでしょう。このままだと不合理だということを指摘しているわけなんですね。いつでも税制調査会税制調査会とおっしゃいますけれど、これは諮問機関ですから、政府がこれは道理にかなわないものであるから改善をすべきだとお考えになれば、税制調査会にかける必要もないわけであって、まあいろいろな複雑な問題については各界の意見を聞くという処置が必要であって諮問機関があるわけですけれども、こんなものは非常に簡単なことですし、税制調査会もすでに二回にわたりましてそういう趣旨の意見を発表しております。それがなぜこのようにしていつまでも矛盾した状態で、お尋ねをしても答えることができないような状態で放置されているのか、これをお尋ねしたいのです。
 これは自治省も言っているように物税なんです。物税だと物にかかる、事業体にかかるものでしょう。所得にかかるものじゃない。物税だから損金算入もするのだというたてまえ、もうかろうともうかるまいとかけるのだ、こういうたてまえですね。ところが実際には、いま所得課税をやっていますから、税法上の欠損会社には税金がかからない。だから三十何%の大企業が事業税を一銭も払っていない、あるいは住民税も均等割りしか払っていない、こういう不合理が出ているわけでしょう。ここをやっぱり変えないといけませんな。税理論から言いましても全然矛盾したことをおっしゃっているわけだし、また矛盾したことをやっているわけですね。ここを一体どう解決するかという問題は、いつまでももたもたしている時期と違いまっせ。もうある程度これは変えなければ、非常な不公正をもたらしておりますし、この議論もすでに税制調査会においてもやっているものでありますから、当然これは手をつけてもらいたいと思いますが、どうですか。
#105
○首藤政府委員 ただいま先生御指摘がございましたように、また私も申し上げておりますように、この税が物税として巣立ち、物税として存在をしておるということはお説のとおりでございまして、物税である限りにおいて、その企業の活動状況に応じて損益のいかんにかかわらず負担というかっこうで負担をしていくということが本来の筋であるという点は、全く御指摘のとおりでございます。
 この事業税につきましては、先生も御案内のとおり歴史的に長いいきさつがございまして、かつて外形標準というものをとらえるかっこうで事業税を賦課するという法的改正が行われたこともあるわけでございますが、これが実施に移されないまま、負担能力そのほかの現況から、現在のような大部分が所得課税の体制に取り込まれてきて今日まで至っておる。もちろんその中の一部においては売上金額等の外形標準によっておるものもございますし、また地方団体において適当な外形標準がつかまえられるならばこれをあわせ用いることもできるといった法的規定もあるわけでございます。したがいまして、この税を純粋の物税として存続をさせますために、課税標準のあり方について、御指摘のようにこれを外形標準にできるだけ切りかえていく、あるいは外形標準をあわせ用いていくという点について検討を重ねるのは当然でございまして、私どもも鋭意検討を重ねておるわけでございますが、なかなか名案ができないわけでございます。
 その理由は、やはり負担に大きな変動が出ますこと、それから先ほど中小企業のことをちょっと申し上げましたが、租税特別措置の適用有無のことでございませんで、中小企業のケースでございますと、つまり赤字が出たと申しますか、収益がない年度が非常にしばしば来るわけでございますが、その収益のない年度にも、物税というかっこうでございますと税の負担をいたさなければなりません。そういった意味での税の痛さと申しますか、そういったこともございまして、なかなか名案が見つからない、そういう状況でございます。なお、鋭意検討さしていただきたいと存じております。
#106
○三谷委員 中小企業に対して大変温かい思いやりを示していただいて感謝しておりますが、そういう思いやりがありますならば、新しくこの物税というものを現実に合ったものにしますときに、中小零細企業の税負担について一定の法律上の条項でも加えるということをやりますならば解決することですから、いま私たちが一番問題にしておりますのは大企業です。資本金が百億、二百億、五百億という大企業が膨大な従業員を抱えておって、そして水をどんどん使っていく、資源をどんどん使っていく、そして道路や港湾の設備を地方自治体のサービスによって受ける、あるいは公害対策費も膨大な額に上っている。その大企業が地方自治体の税源としては何らの貢献もしないというようなことは、これはだれが考えたって納得できるものじゃありません。それを速やかに改善してほしいと思いますし、それを改善しなければ、あなたのお答えも論旨が一貫しませんでしょう。物税だ物税だとおっしゃいますけれども、物税になっておらへん、所得課税になっておるわけだ、物税としての特徴はないわけですから。そうしますと、損金として扱う根拠もなくなってしまう。一つの体系として全部崩れてしまうわけです。これを改善をしてもらうということは当然やらなければいかぬことですし、税制調査会もそういう答申を出しているわけですから、このやり方を考えてもらう。私はその外形課税がいいか悪いかという問題については触れてはおりませんですよ。とにかく物税というたてまえに立っているわけですから、その面で考えて、どういう徴税方法が一番いいのかということは別個に研究してもらえばよろしいけれども、このままでいつまでも不合理な状態でじんぜん日を過ごすべきではないと私は思っております。この点は、大臣どうでしょうか。
#107
○福田(一)国務大臣 お説の趣旨はよく承りましたが、なお検討を続けさしていただきたいと思います。
#108
○三谷委員 それで、国税のはね返りですけれども、これは東京都の調査で軽減額の構成を見てみますと、特別措置適用所得というのが九・六%になっている。それから法人税法適用所得というのが一二・九%、法人事業税の損金算入で八・一%になります。ですから、実質所得一〇〇に対してほぼ三〇%の所得が控除され調整される、残余の七〇%に対してだけ課税される、こうなっております。ですから、政府は昨年幾らかの手直しによって実効税率は上がったとおっしゃっている。しかし実際の実効税率と実質税負担率というものは非常な差が出てきておる。五〇%の実効税率だとおっしゃいますけれども、こういうふうな処置を行って税の対象から除外しますために、実際には四〇%程度にしかすぎない、こういう状況になっているということが計数的に明らかにされております。
 そこで、これは変えなければいけませんわ、高度経済成長の仕組みですから。これを変えていくということをやりますならば、地方税収入も、地方税の分も合わして四、五千億になりはしませんかね。そういう改善措置をとってもらうことを私は特に希望したいと思います。これについてもう一度見解を承っておきたい。
#109
○首藤政府委員 先ほども御指摘がございましたし、またお答えを申し上げたわけでございますが、昨年度でございましたか、法人税及び法人住民税の税率を引き上げて法人関係の税負担を強化するという措置をとったのでございますが、もう一つ御指摘のとおり問題がございます。法人の所得の算定の際の各種控除引当金そのほか、これをどう考えるかという問題があるわけでございます。この点につきましては、昨年の夏以来、税制調査会において専門的な部会もつくられまして、また外国等の視察も行われまして、外国における法人税制のあり方等々対比をしながら、個々のあり方を正しいものに適正化を図っていこうという、せっかく努力中の問題でございまして、そのような結果を踏まえ措置がなされるものと理解をいたしておるわけでございます。
#110
○三谷委員 外国の方までお調べになっているそうですが、日本の租税特別措置というのは外国のどこにもない制度になっている。各国のそれぞれ個別にやっている分の処置を全部日本では引っ張り込んできている、誘導している。ですから、租税特別措置のデパートという言葉が使われておりますけれども、各国でやっている分を――各国を見ますと、たとえば退職引当金をやっておる国もあるし、あるいは支払い配当の特別措置をやっているところもある、あるいは法人の受け取り配当の損金算入をやっているところもある。いろいろな制度がありますけれども、これは各国とも、どれかをやっておって、どれかをやっておらぬですね。日本はそれを全部やっているのです。西ドイツ、フランス、それからアメリカ、イギリスあたりの制度を一つ残らずこれを拾い上げて、全部その特別措置を取り入れている。そこで、税収に大きな実質上の差が出てくるということになっております。ですから、これは改善をしてもらうように特に要求しておきます。
 もう一つは、自治省が昨年、地方税の課税、徴税について公表を差しとめる通達を各自治体にお出しになりましたですね。これはなぜか。所得額、税額を秘密とする根拠は何か、これをお尋ねしいのです。
#111
○首藤政府委員 去年の十一月十九日に出しました守秘義務関係につきましての通知のことであろうと存ずるわけでございます。この点につきましては、従前から自治省で通達をいたしておったものがあるわけでございますが、地方税法の第二十二条に関連をいたします、いわゆる地方税法上の秘密の問題と、それから、地方公務員法の第三十四条一項の一般的に地方公務員に課されております秘密、ここの解釈につきまして、従前の通達がいささか舌足らずのところがございましたので、その間を明確にいたす意味をもちまして、当地方行政委員会で、昨年の春でございましたか、その付近を明確にするようにという御指摘も賜りましたので、以後、法制局及び大蔵省と協議を重ねまして、統一的な見解をまとめました結果として、十一月十九日に通知をいたしたものでございます。
#112
○三谷委員 去年、この委員会でそういう意見があったとおっしゃいますが、これは個人の議員の方の質問があっただけと違いますか。私どもそれを、議論する場所じゃないから、聞いておりますけれども、そのことを、地方行政委員会で決定をするというようなことはやったこともないし、それぞれ意見が違うわけであって、個人個人の意見がそのままそこで反映されるというふうになってきますと、それはもう要するに自治省の責任でやったことであって、地方行政委員会の責任ではない。
 そこでお尋ねしますけれども、この税の問題というのは、たとえば、法人税法の百五十二条というのがありますでしょう、それから、所得税法の二百三十三条というのがありますね。要するに、これは国税を一定限度以上の各事業年度の所得の金額を、大蔵省令の定めるところによって、記載された事項について公示しなければならない、こうなっているのですよ。ですから、この公示しなくちゃならぬという根拠はどこにあるのかといいますと、これは大蔵次官をしておりました吉國氏がそれを文章にまとめておりますけれども、こういうたてまえになっておるようです。
 吉國氏の意見によりますとこうなっておりますね、「申告納税は国民の公の義務であって、その履行が公益上要求されるものである。」つまり、税金を納めるということは国民の公の義務である。その履行が公益上要求されるのは当然である。「したがって、一方において納税者がこの公の義務に対する明確な責任を有することが必要であるとともに、第三者もその適正な履行を監視することが必要である」こうなっているのです。そのことが所得税法あるいは法人税法によりまして、所得の公開をするというたてまえになっている。つまり、税の問題は全部秘密なんだ、そんなことになっていない。国民が監視する必要があるんだ、そのために公表するんだ、こういう理論になっている。
 自治省も今日までにおきましては、いろいろな照会に対して答えておる。たとえば議会が要求した場合はどうか。この場合においては、その要求によって地方税に係る資料の提出をすることは差し支えはない、こういうことを答えてきております。それから、そのほかずいぶん各府県から照会がありまして、照会に対する自治省の回答一覧表がここにありますけれども、従来はそれは認めるという立場に立っておった。認める立場は要するに、住民が監視することが必要なんだ、公の義務の責任を監視するんだ、そういう立場に立っておる。それを今度はどうですか。あなたの通達によりますと、地方議会がこれに対して要求しました場合においても、地方議会にもこれは出してはならぬ、こんなことが書かれているじゃないですか。地方議会の審議権まで侵そうとしている。しかも御承知のように、地方自治法の九十六条ですか、議決事件の中には、この税の問題、地方税の滞納だとかあるいは延滞だとか督促だとか、こういうものについての議決事件というものがうたわれている。そうしますと、地方議会が、税の滞納やあるいは税の督促だとかいろいろな問題についてこの議決をするという権利が当然あるのであって、そうすれば、その税の内容について調査するのはあたりまえのことなんです。それに対して、地方自治体がこの資料を請求した場合でも、これはたてまえとしては出すべきではないというふうなことをおっしゃっている。これは一体どういうことなんです。
#113
○首藤政府委員 先生御案内のように、地方税法の第二十二条で「地方税に関する調査に関する事務に従事している者」それがその事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならぬという意味の規定があるわけでございまして、この場合秘密とは、一般に知られておらず、また、他人に知られないことについて客観的に相当の利益がある、知られたくない、こういうような内容が、この地方税の調査に関連をいたしまして、調査に従事する者が知ることができるケースが間々あるわけでございますので、こういったことを漏洩をしてはならぬという規定が設けられているわけでございます。また、地方公務員法の三十四条の一項につきましても、やはり公務員につきましての秘密漏洩に関します事項が盛られておるわけでございます。したがいまして、こういった点から考えました場合に、地方税の調査に関します事務に従事をしておることに関連をいたしまして知り得ました秘密、これは公開をしないのが原則であるということになるわけでございまして、その旨のことをメンションをし、かつまた、これが議会の審議権との関連に相なってまいりました場合には、その議会の審議における必要性とか納税者等の利益保護、行政の円滑な運営確保の必要性、こういったことを総合的に勘案いたしまして、当該団体の長が、要請に応ずべきものと判断したときにはもちろんこれは提出をすることができるわけでございますが、それ以外の場合には原則として開示をすべきものではないという趣旨のことを通知いたしたわけでございます。
#114
○三谷委員 いまの税にかかわる所得だとかあるいは徴税の状態だとか、そういうものがなぜ秘密になるのですか。いま言いました法人税法の百五十二条、所得税法の二百三十三条、これはどういうことになるわけですか。要するにここでは一定額以上の所得は公示する、こうなっているのです。公示するということは要するに民主主義の考え方なんですね。この納税者が公の義務に対して明確な責任を有する、第三者も適正な履行を監視するものだ、そういう思想に立つものだ、こうなっておる。地方税だけがなぜそのようにして秘匿されなければならぬわけですか。国税との関係はどうなるわけですか。
#115
○首藤政府委員 一般に個人あるいはそのほかの者の収入額でありますとか所得額でありますとか、こういうものは他人が知っておらずまた知られたくないということで、これは税法上の秘密にも当たり、また地方公務員法上の秘密にも当たる、こういうように理解をいたしておるのでございます。国税におきましてもそのような秘密にわたりますことを漏洩をしてならぬという規定が所得税法、法人税法、相続税法等にもそれぞれあるわけでございます。ただ、ただいま御指摘の条文は特に高額者、特に一定の額以上の者について法律でこの分は公表してよろしいという規定がございますので、その分は公表されるわけでございまして、それ以下のものはやはり秘密として扱われておりますことは、国税も地方税も全く同じことであると理解いたしております。
#116
○三谷委員 いまずいぶんごまかしをおっしゃっている。公示してよろしいなどとおっしゃっているが、公示しなければならないとなっているのだ。発表しなければならないとなっているのだ。これは要するに税の内容についてなるほど発表しなければならないものはちゃんと金額何ぼ以上とかいうふうになっている。一定の制限規定がある。それは発表しなければならないものであって、それを発表することができるのに、なぜその他の者は発表できないのか。要するに税務という公権力をもってやります業務というものが、いわゆる個人的な秘密に属するのかどうかという問題なんです。そんなものじゃないでしょう。要するに公の義務を負っている、その義務を果たしていく、それを住民が監視するのだ。要するに行政における情報の公開ということは、どうしても税の問題にしても何にしろ行政の公正のために必要なことなんだというたてまえが、この所得税法における公示しなければならないという規定になってきている。ですから、国の税金においてさえそのような措置がありますのに、地方税におきましてはなぜそれがだめなのか、いけないのか、そこがわかりません。しかも、これまでの行政解釈によりますと、議会などから請求があった場合には当然これは出しても構わない、こうなっておる。それがなぜこのように変わってきたのか。しかも田中金脈問題で資料を要求したのに対して、大平蔵相が、いま資料は出せない、しかしこれはケース・バイ・ケースだと言っているのだ。ケース・バイ・ケースでやって、全面的に出さぬものじゃないと言っているわけでしょう。それをなぜ地方議会に対しては議会の審議を妨げるような通達を出すのか、これをお聞きしたい。
#117
○首藤政府委員 国税におきましても税の調査に従事をすることに関連しまして知り得た秘密はあくまで秘密扱いでございまして、所得税法の二百四十三条とか法人税法百六十三条とかいうものに規定してございます規定は全く地方税法における二十二条の規定と同じ、つまり知り得た秘密に類する事柄は漏洩してはならぬという原則が立てられておるわけでございます。ただ国税におきましては先生御指摘のように一定金額以上のものについてはこれは公表するという特別の法的な取り決めがございますので、その意味で秘密漏洩という面の違法性と申しますとちょっと語弊がございますが、それを阻却をする、こういう法体系になっておるものと存じておるわけでございます。こういった考え方は、大蔵省ないしは法制局等も昨年夏からずっと詰めまして、統一的にそのような事柄であるというように了解をせられておるものと理解をいたしておるわけでございます。
 それからなお、議会の審議権との関係でございますが、議会の要請によりまして議会の審議の必要上その公表開示を求められた場合には、先ほど申し上げましたように、審議の必要性とか納税者の利益の保護とか行政の円滑な運営確保の必要性等を総合的に勘案をして、長が判断をしたときには、これを開示することができるという意味のことも言っておりますので、これは先ほど先生が御指摘のように、長がケース・バイ・ケースで開示をすべきものかどうかこれを判断し、その判断に基づいて取り扱うというようにすべきである、こういう通達をいたしたわけでございます。
#118
○三谷委員 あなたのおっしゃっている中に詭弁があるのだ。一体この秘密とは何かというのだ。法律で決められた公の義務ですね。これを履行することがどうして秘密になるのか、あるいはこの所得税法と法人税法に規定されております公表制度、これは適正な履行を第三者が監視することが必要だからこういう規定があるのだ、こうおっしゃっている。こういう規定がなぜつくられておるのか、その根本の理念は何なのか、これをお尋ねしたい。
#119
○首藤政府委員 国税におきまして一定の金額以上のものを公表させるとなっております法的構成そのものがどういう理由によってつくられておりますのか、これは担当でございませんのでつまびらかにはいたしていないのでございますが、いろいろ理由があってそのような法的規定が設けられたものであろうと存じております。あるいは先ほど申し上げましたように、一般的に税の調査に関する事務に関連をいたしまして知り得た事項、秘密事項、これを漏らしてはならぬという原則は両税ともにあるわけでございまして、地方税法二十二条に規定をされておりますような項目が国税にもあるということは先ほど申し上げたとおりでございます。
 それから、秘密でございますが、秘密は一般的に知られておらず、また他人に知られないことについて客観的に相当な利益がある、こういうように考えられます事実をさすようでございまして、この点におきまして個人の収入額でありますとか、あるいは所得額であるとか、こういったものはこの秘密に属するものであるというように解釈をされておる次第でございます。
#120
○三谷委員 あなたはここで、なぜ所得税法や法人税法で一定規模以上の所得金額を公表するかということについては、どういう理由かわからぬとおっしゃっている。しかし大蔵事務次官をなさっておった吉國さんがこういう理由によるものだという意見を発表されている。それによりますと、第三者もその適正な履行を監視をすることが必要なんだ、そのためにこういう制度をつくったのだ、こうおっしゃっている。要するにこれは民主主義の規定なんですよ。もともと納税制度というのは国民の公の義務である、これははっきりしている。その履行というものが公益上必要である、これもはっきりしている。そうして納税者がこの公の義務に対する明確な責任を有するのはもちろんだけれども、第三者も適正な履行を監視することが必要である、これは要するに行政情報というものを公開するということは当然な話であって、たまたま税の調査に行って全くプライバシーに属することが表面に出てきたとかあるいは個人個人の生活上の問題などが出てきたとかいうんじゃない。要するに公の税の制度そして徴税の制度、このことは個人のプライバシーなんてものじゃない。しかもこれは第三者によって監視すべきものだという見解になっている。そういう中でなぜこういうとんでもない通達をうろたえて出すのか。いままでは議会の請求があった場合には出してもよろしいと言っている。今度の通達を見ると「議会の審議の場においてその開示を求められた場合においても、原則として開示すべきではないもの」こうなっておる。そうして「議会から地方自治法第百条」百条調査ですね、「百条等の規定に基づきその開示を求められた場合においては、議会の審議における必要性と納税者等の利益の保護」を総合的に勘案するようなことが書かれている。要するにあんた方は地方議会の権限についてまで勝手な解釈をして、議会の請求があっても原則としては出すべきものではない、こんなことをおっしゃっておる。いままではそんなことじゃなかったのでしょう。いままでは議会の請求があれば出すべきだ、こういう通達になっておる。なぜこのようなことをなさるのか。あんた方、民主制度に反しておるんじゃないか。逆行しておるじゃないか。行政情報というものを官僚だけが握ってしまって議会にも示さない、そんなことは独善だ。そこの点は改善してもらわぬと困る。
#121
○首藤政府委員 先ほども申し上げましたように、地方税法の第二十二条の規定があるわけでございまして、その場合の職務上知り得ました秘密、これはいろいろございましょうが、個人の収入とかあるいは所得額、こういったようなことは知り得た秘密に該当する、こういう定例の解釈に相なっておるわけでございます。この秘密の扱いにつきまして、この二十二条に該当します事項とそれから公務員法の三十四条に該当いたします事柄との関連につきまして従前から若干疑義がございましたので、これを法制局及び大蔵省等と詰めまして、このような有権解釈と申しますか一定の決まりました統一解釈と申しますか、こういうものに達しましたので、それを十一月十九日に通達をいたした、こういう次第でございます。
#122
○三谷委員 そういう行政的な答弁だけじゃだめですよ。法人税法や所得税法によって公示を義務づけている。それが所得というものが厳密な秘密であれば、こういう公示を義務づけるということ自体に問題があるわけだ。公示を義務づけておるのは、要するに適正な履行を監視するという民主主義的な理念に立ってこういう制度がつくられておるわけです。それを、国でもこんなふうにやっているのに、地方においては全く全面的に出してはならぬのだ、こんなことはあるべきことじゃありません。いま秘密秘密とおっしゃいますけれども、要するに納税という問題は、これは公の義務であって第三者もその適正な履行を監視すべきものだ、こういう理念に立っているわけだ。第三者がその適正な履行を監視するということは秘密ではないということだ。いま公務員法による秘密の問題と地方税法による秘密の問題をおっしゃったけれども、公務員法による秘密の問題というのは公務員個人個人の問題なんだ。制度上の要求だ。税金を示してもらいたいという制度としての、たとえば議会の要求であり、あるいはその他の要求があるわけであって、それは公務員法のように個人個人が個別に知り得たものを公表するとかしないとかいう問題とは違う。公の義務を履行する場合における秘密という概念は何かということなんだ。個人がそれぞれの人間関係において知り得た秘密なんというものじゃありゃしない。これは公の問題だ。それがなぜ秘密になるのか。それが秘密であるとすれば、第三者が適正な履行を監視するというこの理念に立ってつくられた所得税法、法人税法の規定はどうなるんだ。全く矛盾してしまっている。そこをお聞きしたい。
#123
○首藤政府委員 地方税に関します調査に関連いたしまして、徴税吏員そのほかがいろいろな個人の秘密を知り得ることがあることは当然のことだと思うわけでございます。この場合に、先ほどから申し上げますように、収入金額であるとか所得額であるとかこういうものは、やはり個人にとりましてはだれにも他人に知られたくないというものでございましょうから、これは二十二条に言う調査上知り得た秘密に該当する、こういうように法制局の方でも理解をし判断をされておるわけでございます。そういう観点で、一般的に税法運営上、調査上知り得ました秘密につきましてはこれを漏洩することができないというのが国税、地方税を通じた原則でございます。ただ国税の場合には一定の金額以上の場合に公表をすべし、こういうことになっておるわけでございますが、これは、その面において知り得た秘密を漏らしてはならぬという二十二条そのほかの秘密漏洩に関します罪に対する違法性の阻却条項と申しますか、こういうかっこうで設けられておる、このように理解をいたしておるわけでございます。
#124
○三谷委員 第三者もその適正な履行を監視することが必要であるという、この理念はどうなんだ。いま意見を聞いておると、何でもかんでも秘密だ秘密だ、公の義務であっても秘密である、だからもう一切出すべきものではないんだ、こんなふうになっている。しかし大蔵事務次官がこの所得税法や法人税法の公開をしなければならないという規定についておっしゃっているのは、第三者もその履行を監視すべきものだ、だから必要なんだ、こうおっしゃっている。そこの理念等はどうなるのですか。秘密秘密とおっしゃいますが、その秘密というものが、公の義務というものが秘密になるのかということなんだ。そんなことまで秘密になるのかということですよ。
#125
○首藤政府委員 国税におきます一定金額以上の公表を行うということにつきましての理由でございますが、これは先ほども申し上げましたように、私は直接国税関係の担当でございませんので、どういう理由でそういう規定が設けられたかということについて有権的な解釈を申し上げる立場にございませんので、その点はお許しをいただきたいと思います。
 それから、この税の調査をやります際に知り得ました事項、その中で所得額であるとか税額であるとかこういうものは、個人にとりましても他人に知られては困る、そういう性質のものであるということで、この二十二条の秘密に該当するのだという点につきましては、法制当局もそのように、解釈をするという有権解釈をいたされておりますので、私どももそれに従っておるわけでございます。
#126
○三谷委員 あなたはそこの解釈だけおっしゃっているのだ。こちらの方の解釈については有権的な解釈ができない、こうおっしゃっている。しかしこの問題というのは大蔵省とも打ち合わせをしたとおっしゃっているし、法制局とも打ち合わせをしたとおっしゃっているわけだから、ここに出てきている矛盾は一体どうなるのか。税というものが完全に秘匿される秘密であるならば、一定の金額のものは公表しなくちゃならぬというような規定がなぜ生じてきているのか、それと地方税の矛盾はどうするのか、ここも明確な論理性のある説明をしてもらわぬと困ります。私どもはこの点は、行政情報というものは官僚がひそかに握って国民に知らさない官僚独善の処置に対する一つの歯どめだと思っている。またそうおっしゃっている。だからその秘密というものは、税金を何ぼ払っているかというのは個人の秘密になるのか。われわれは何ぼ税金を払っている、それは個人の秘密じゃないと思っている。それぞれによって金額は違うけれども、それぞれ公の義務を果たしておるわけだから、それが秘密であるというような解釈の仕方自体がおかしい。そうして、行政上の情報というものは官僚が握ってしまって国民疎外でやっていく、そういう内容のものになっている。
 そしてもう一つ、地方自治法の九十六条の議決事件の中には、市税の滞納繰越金、延滞金、督促手数料、公法上の債権、これの地方議会においての議決ということが決められておる。その地方議会については、滞納あるいは延滞金、督促手数料、公法上の債権については、秘密だから知らしてはならぬ、こう言っている。自治法の権限を行使するについてもできないような通達を出しているのです。こういうことは合点がいきません。そういうこととの関係は、どういうふうになるのですか。
#127
○首藤政府委員 二十二条に言う秘密でございますが、税の調査上知り得ました所得額であるとか収入額であるとかあるいは個人の税額であるとか、こういうものは秘密に該当する、こういう法的な有権解釈になっておりますことは先ほど申し上げたとおりでございます。
 それから後段でございますが、議会の審議権との間におきましては、調整が必要な事態が起こり得ることは当然のことでありまして、そのゆえに地方自治法百条等の規定に基づいて開示を求められた、こういうケースにあっては、その知事なり市長なりそういう団体の長が、各種の事項をケース・バイ・ケースに勘案をいたしまして、その要請に応ずべきものと判断をした場合にはもちろん開示をすることができる。その場合も、でき得る限り秘密会等で審議をするようにしていただきたい、こういうことを申しておるわけでございますが、絶体絶命出してはならぬということを言っておるわけではございませんで、その間の事情なり法益なりを彼此勘案をいたして、要請に応じて開示すべきものかどうかという判断をした後に開示を行え、こういう趣旨のことを言っておるわけでございまして、頭から百条調査権等の条項そのものを否定しているわけでもないわけでございます。
 それからまた、若干技術的なことでもございましょうが、開示をいたします場合にも、何のだれべえさんという個々の名前でなくても、たとえばABCといったような符号で出し得るようなケースもございましょうし、ある程度ランク分けをして集計をしたようなもので出し得るケースもございましょうし、個々、個人の秘密にずばりと該当をするというやり方でないケースもあり得るかと思いますので、そういったケースについていろいろ彼此勘案をすべきであるといった趣旨のことを盛り込んでおるわけでございます。
#128
○三谷委員 地方自治法第百条というのは、議会の議決による調査委員会のことだと思うのです。こういう調査委員会なんというものは日常ふだんに実践的には扱ってやっていない。特に重大な問題が発生した場合にのみ調査委員会をつくっているわけです。議会の日常的な機能じゃない。そういう特別な調査委員会をつくった場合でも、その要請に応ずべきものと判断したときを除き開示すべきものではない、原則的には開示すべきものではない、こういう内容になっているわけです。いわんや、この議決事件というのは調査特別委員会においてやるべきものではない。たとえば延滞金の問題とか滞納繰越金とか督促手数料とか公法上の債権とか、こういうものは主として議会の常任委員会で審議をしているわけです。その常任委員会の審議では資料が出てこない。百条によりまして議会の議決によって特別調査委員会をつくったときのみ、議会が請求することができて、その場合でも、判断によっては開示すべきものではない、こうなっている。ですから、あなたさっきからいろいろ手直ししたようなことをおっしゃっていますが、文章はそうなっていない。地方議会の議決事件についてまで制肘を加える、こういう内容になっている。
#129
○首藤政府委員 御質問の内容でございますが、百条調査のときだけにかかわって通知をいたしておるというわけではございませんで、「百条等の規定に基づき」と書いておりますが、これはもちろん他の条文もございまして、議会の検査権あるいは議会の機関におきますいろいろな検査権、こういうものも含んで考えておるわけでございます。
#130
○三谷委員 あなたの通達の説明というものが通達の文章とは変わってくるのです。文章はそんなふうになっていない。私はこの間地方自治体へ行って聞きましたけれども、もうこれは自治省の方から一切出してはならぬという通達が来ているのだ、百条委員会をつくりました場合でも、その要請に応ずべきものと判断したときを除いて開示すべきではない、原則は開示すべきものではないのだ、こういうふうになっている。開示する場合でも秘密会だとかなんとかおっしゃっている。これは少し自治省としては越権に過ぎやしませんか。地方議会の権限を自治省が勝手に制限をして、法律で決まりました議決事件の内容についてまで示してはならぬと言っている。内容が示されずにどうしてこれは議決できますか。当然この問題は、一般的なプライバシーじゃないということだ、公法に基づく責任の問題であり、義務の問題だ。それを全く個人的な秘密というふうな理解に立ってやるところに問題が出てくる。これは、いまおっしゃいますのがそうであるならば、もう一つそのような通達に直してもらいたい。このままですと、守秘義務というものが議会の審議権までに優先をして、全然議会の審議もできない状態になってきておる。
 しかも、あなたもさっきから言っていますけれども、税に対する考え方ですね。吉國二郎氏が言っている、これは国民、第三者も監視すべきものだという観点、これが全然抜けてしまっている。民主的な制度におきましてはそれは必要なんですよ。昔は知らしむべからず、よらしむべしと言った。国民は何も知っちゃならぬ、全部おれが知っておったらいいんだ、議会にも知らす必要はないんだ、そういう思想がここに通達になって出てきておる。これはいまの民主的な自治制度に反するものだ。それは各地方自治体で議会審議の関係で屈伸性をもって取り扱っていくというものであって、画一的な規制を、しかも論理性のきわめて薄弱なものを出すということは大変間違っている。これはいまおっしゃっているような意味に直してもらいたい。これによりますと、百条委員会をつくった場合には総合的に勘案するけれども、たてまえとしては開示すべきものではない、こういうふうになっておりますが、これは少し直してもらいたい。直すというか、撤回すべきものだ。
#131
○首藤政府委員 ただいまも申し上げましたように、地方税法二十二条に基づきまして、税務の調査上知り得ました個々、個人等に関するいろいろな秘密、所得額とか収入金額とか税額とか、こういうものを漏らしてはならぬという一つの法的な規定があるわけでございます。それから一方、地方自治法において議会における各種の審議権、検査権、こういう権限があるわけでございまして、この漏らしてはならぬというその秘密に関する事項が議会の審議の場において非常に必要であるといったようなケースについて両者の調整ということが考えられなければならない。そのケースにおきましては議会の審議における必要性とか、納税者等の利益の保護とか、行政の円滑な運営の保護のための必要性だとか、そういったことを総合的に勘案をして、長が開示をすべきであるかどうかという判断をいたしまして、開示をすべきだという判断に立ったならば開示をすべきだ、こういう調整の条項を記したわけでございます。この点につきましては法制局等ともこの法体系のあり方について十分打ち合わせをいたしたのでございまして、私どもといたしましては地方自治体における議会の審議権等の制約というようなことは毛頭考えてもおりませんし、またそのような結果になるものとも思っておりません。
#132
○三谷委員 毛頭思っていないけれども、この文章によればそうなるじゃないか。しかもそういう実例がすでにもう大阪でも出ている。従来は発表しておりましたものを、自治省通達がありますから発表できませんと言っている。毛頭ありませんと言っても、毛頭どころか、ずいぶん出てきている。
 それからこの漏らしてはならぬということですね。漏らしてはならぬということを個人個人の公務員が無原則にあっちこっちでしゃべっちゃならぬということ、議会などが制度的に要求するものとはこれは別の問題だ。特に公務員法による秘密という問題は、公務員として知り得た秘密というものを無原則にどこでもかしこでも漏らしてはならぬということを言っているのであって、一つの議会という制度、あるいはこの議案の審議という制度の中で要求されたものまで公務員個人個人の秘密、守秘義務というふうな解釈をすべきものじゃないのです。そこは個人の問題と制度の問題と一緒にしちゃだめだ。
 それできょうは時間がありませんから、これはこのまま置いておきますけれども、これはこのままじゃだめですぞ。また繰り返し、私はいずれ地方税法の質問もあるでしょうからやりますが、こういうことは個人個人の一般的、原則的な守秘義務というものと、議会の審議というものに関連する制度としての資料の提供ということを混同しちゃだめだ。これは後で考えておいてください。
 もう一つ尋ねますけれども、地方税において同和控除、同和特別減税というものが認められておるかどうかです。これをお尋ねしたい。
#133
○首藤政府委員 地方税におきます減免措置でございますが、これは先生も御案内のように地方税法上、住民税とか固定資産税とかそれぞれの税目につきまして減免をし得る場合のケースが法定してあるわけでございまして、これに基づきまして個々の地方団体において個々の実情に応じて自主的に減免の措置がとられておる、こういうことに解しております。したがいまして同和控除でありますとか、そういったことがあるというようには考えておりません。
#134
○三谷委員 御承知のように税というものは法律主義ですから、法律に規定のない控除だとか、減免はできないことは御承知のとおりだと思います。
 ところが、いま地方自治体におきましては同和控除、同和免税というものが広範にやられている。これについては御承知ありませんか。御承知であれば、資料を発表してもらいたい。
#135
○首藤政府委員 先ほども申し上げましたように、また御指摘をいただきましたように、個々の納税者の担税力等について特別の事情がある場合に限りまして減免をすることができる旨の規定がございますので、それに基づいて、個々の具体の実情に即して減免措置がとられておる、こういうように私ども理解をしておるわけでございます。したがいまして、同和控除といったようなもので減税措置をやっておるというようには私ども存じてはおりません。
#136
○三谷委員 それでは少し紹介しましょうかね。
 ここに、これは尼崎市ですね、市税特別措置要綱というのができている。これによりますと、大変大幅な減税がやられている。これは「尼崎部落解放事業促進連絡会を窓口として、市税減額申請書を市長に」出す。そうすれば本要綱の適用を受ける、こうなっている。そうして、これはたとえば個人にかかる住民税は算出税額から二万円の税額控助をする。さらに残税額の三〇%を控除する。給与所得については五〇%控除する。これは固定資産税においても都市計画税、軽自動車税にも行われておる。こういう処置が現実になされている、これについてどうお考えでしょう。
#137
○首藤政府委員 先ほども申し上げましたように、法律の条文に従いまして個々の納税者の担税力等について特別の事情がある場合に限り市町村長が減免ができる、こういう規定がございますので、そういう規定に基づきまして自主的に当該市町村においていろいろな減免措置をとっておられるのであろうと思います。ただいま御指摘がございましたが、そういった減免があるいは結果的に同和地区といったようなところに集中をしておるといったような事態があるいはあるのかも存じませんが、私どもとしてはあくまで法律の規定に基づきまして個々の納税者の実情に即して減免が行われるべきものである、このように考えておる次第でございます。
#138
○三谷委員 あなたいろいろこの処置について弁護といいますか、推定的な弁護をなさっている。これははっきりしておりますのは「同和対策に関する行政措置の一環として市税特別措置を定める。」と、こうなっている。同和減税になっている。こういう処置があり得ていいのでしょうか。
#139
○首藤政府委員 個々の納税者の担税力等についての実情に即して減免が行われるべきものである、このように私どもは考えております。
#140
○三谷委員 ところがそうなっていないのだ。所得が何ぼとか、免税基準が何ぼとか、免税するための所得基準が何ぼとか、そんなことは全然ない。要するに、これは「同和対策に関する行政措置の一環として市税特別措置を定める。」そこには何の収入の制限もなければ、生活上の制限もない。ありますのは、出すのは部落解放事業促進連絡会を窓口として出すのだ。そしてあとは減免の額、率、これが書かれておるというだけのことだ。これはどうですか。こういうことが行われていいでしょうか。税金というものは当然公正でなくちゃいけませんし、またこれは法定主義なんです。同和控除なんというものは大蔵省も絶対認めておりませんと言っている。その絶対にちょっと怪しい点があるけれども、たてまえはそう言っている。ところが、こういうことが地方自治体において行われておる。しかもこれは未解放部落全体に普遍して行われる受益じゃないのです。この尼崎の促進連絡会ですか、これを窓口として行われる、こうなっている。この実態についてはどうお考えですか。なお、これはほかにもありますよ。これはどこですか、大阪府下の各市町村ほとんどこれやっておりますね。こういう点についてどのようにお考えですか。
#141
○首藤政府委員 先ほども申し上げましたように、地方税の減免につきましては、それぞれの税目に減免の規定があるわけでございますが、その趣旨は、申し上げておりますように、個々の納税者の担税力等について特別の事情がある、こういうことを、個々に、実情に即しまして自主的に地方団体がやるべきものである、このように考えておりますことは、先ほど申し上げたとおりでございます。
#142
○三谷委員 その一般論だけ聞いておるのとは違うがな。具体的に説明しておるじゃないか。そんな一般論をいまさら聞くのだったら、何のためさっきから説明しておるのだ。こういうやり方をやっておるがどうかと言っておるのだ。それをまた後ろへ戻して一般論にいつも行っておる。卑屈な態度をとりなさんな。こういうやり方で減免がされておっていいのかということを言っているのだ。
#143
○首藤政府委員 私ども、個々の減税のやり方の内容につきましてつまびらかに内容を承知いたしておるわけでございませんので、考え方といたしまして、個々の納税者の実情に即して減免が行われるべきものである、そのようにわれわれとしても指導いたしたいという考え方を申し述べておるわけでございます。
#144
○三谷委員 一般論でなしに、私の方で聞いているのは、一般論として税の減免をする場合にはどうなんだ、こんなことを言うておるのとは違うがな。尼崎でこういう状態がありますがどうですかと言っておるのだ。あるいは東大阪市でこういう状態がありますがどうですか、こう言っておるのだ。それに対して、また一般論で答える。そういう横着な態度がありますか。具体的な事実によってお尋ねしておるのだ。もしもそうであるならばどうだとかこうだとか意見がありそうなものだ。
#145
○大西委員長 三谷君に申し上げます。
 自治省はどうも実情を把握していないようですが、あなたの方から、必要ならばその調査を求めた上で、しかるべき後の機会に御質問したらいかがでしょうか。何か並行線ばかりたどっているようですから。
#146
○三谷委員 実情を全然知らぬのかね。
#147
○首藤政府委員 実情につきまして調査をしたことがございませんので、つまびらかにいたしておりません。
#148
○三谷委員 そうしますと、これは調査をして指導する必要がありはせぬかね。
#149
○首藤政府委員 検討いたしてみたいと思います。
#150
○三谷委員 検討じゃないがな。事態は明白であって、事実を示しているわけだから、そういう事実があれば大変だからすぐに調べるというのならわかるけれども、検討するとは大体何だね。
#151
○首藤政府委員 同和対策各般の問題につきましては、御承知のように政府全部ないしは各省いろいろにわたる問題でございますので、たとえば総理府等におきましてまとめて調査等をやるといったような機会もあるやに聞いておりますので、そういった事柄ともあわせまして検討をさせていただきたい、このようなことを申し上げた次第でございます。
#152
○三谷委員 私は地方税の問題を聞いたのですよ。つまり、あなたが責任をお持ちになっている事項についてお尋ねしたのですわ。それを、総理府とかなんとかいうことをおっしゃらずに、当然この指導の責任はあなたにあるわけだ。それはだれがどのような形で調査するか、それは知りませんけれども、あなたが直接行って調べるということはなくてもいいと思うけれども、しかし、一応この問題については明確な調査をしてもらって基本的な方針を出してもらわぬと困るわけだ。税なんというものが不公平になっておって、実際には困ってない者であっても、同和関係であれば減免がされるというような不公平なことがあっていいもんじゃない。負担分任にも反するわけだ。しかも、税がこのようにして減免され、しかも行政施策の面においてはとんでもない過大な要求によって受益をするということがなされてきておるわけだから、行政の不公正の重要な内容になっている。これは、次の税法の審議がありますから、それまでに大体調べて、自治省としての見解をまとめておいてもらいたい、これを私は要求しますが、どうですか。
#153
○首藤政府委員 できるだけ御希望に沿うように検討させていただきたいと思います。
#154
○三谷委員 それじゃ時間が来ましたから、いま宿題が二つほど残りましたけれども、これは調査を待ちました上で改めて質問したいと思います。
#155
○大西委員長 小濱新次君。
#156
○小濱委員 自治大臣の所信表明に対しまして、数点お尋ねをしていきたいと思います。
 従来の高度経済成長下で、地方財政は、地方税、交付税の伸びや地方債の積極的な活用などによって、生活環境施設整備や住民福祉施設をようやく軌道に乗せることができました。今後とも、高度経済成長下で顕著になってきた公害、環境破壊、交通問題を初め、過密過疎問題、道路、住宅、下水道、公園、緑地などの生活関連施設整備の立ちおくれを是正し、あるいは老人、母子、障害者などの社会的弱者に対する福祉施設の積極的な推進、その他住民生活に伴って、今後ますます財政需要は増大する一方であると思います。しかし、今後のわが国の経済は低成長時代に入ると言われているわけでありますが、その場合地方財政においても、従来のような地方税、交付税の大幅な伸びは期待できないと思います。
 そういう現状を踏まえて、自治大臣にお尋ねをしていきたいと思いますことは、低経済成長という中にあって、これまでの高度成長下の地方行財政のあり方を根本的に改革しなければならないわけであります。このことについて、総理もまた自治大臣も、所信表明の中で、積極的に地方行財政のあり方について根本的にメスを入れる、このようにおっしゃっておられるわけでございます。またこのことに関して、自治大臣の御答弁の中にも地方制度調査会に検討を要請しているとありますけれども、いままでの高度経済成長から低成長の時代に入り、特に福祉重視が要求されている今日、地方行財政の充実強化ということについて、また十年後の地方のあるべき姿は、行政面ではどうか、また財源関係ではどうあったらよいかということについて、自治省としても独自の考えなりビジョンを持つことが必要ではないかと思うわけでございます。そうした考えを持って、今後の国の長期計画に対して、住民福祉の立場から経済の見通しなりの意見を言うことが必要であると考えるわけでございますが、この点についてひとつ自治大臣の御所見を承っておきたい、こういうふうに思います。
#157
○福田(一)国務大臣 ただいま御質問がございましたが、今後は高度成長の時代とは違いまして、低成長時代に入っていくわけであります。大体五%程度というようなことで見てまいりますと、十数%の伸びがあった時代とは違いまして、税収の伸びにいたしましても、あるいはまた税収の伸びに絡んで――絡むといいますか、関連して国からやってまいります交付税の額にいたしましても、これは相当な影響がある。また、低成長時代におきましては、そうそう起債というものもふやすわけにはまいりません。そういうような制約がどうしても加わるわけでございます。その制約が加わりますけれども、十年後の見通しを言えとおっしゃれば、やはり相当程度、国のいまの五%ぐらいの成長が続くとすれば、十年後にはあるいは経済の成長率も六〇か七〇になるか、それくらいまでは私は伸びていけると思うのです。そういうことになったときの姿ということになりますと、昨日もちょっとお話があったわけでございますけれども、その段階においては、これから公共事業としていわゆる国民の要請にこたえる面は、もうすでに学校にしても道路にしてもかなりの程度は充実してきておりますから、そういう面に使う金よりは、むしろ福祉の問題あるいは公務員の給与の問題等々にある程度の重点が置かれてくるようになるのがやはり正しい姿ではないかと私は思っておるわけであります。
 しかし現段階において、それではそのとおり、たとえば来年、再来年というようなときにすぐそこはどう考えていったらいいかということになりますと、しばしば私が申し上げておるところでありますけれども、財源がそれほど急に伸びるわけではございませんので、この際地方財政の硬直化を見直す点としては、やはり一応人件費なども見てみなければいけない。何となれば、国家公務員との比率において相当な差があるということはもう天下公知の事実でございまして――私は何もそれだけが行財政の問題点とは思っておりません。超過負担の問題とか、国のいろいろな施策をいたします場合における国からの支出というものもいろいろございますから、そういう面において考えなければならないこともあるし、いろいろ問題を洗っていけばたくさんありますけれども、いまはその点をひとつ大いに考えてもらいたいものであると思っております。ということは、一方、中小企業等において倒産とかなんとかいうような事態が起きたり、大企業においては不当解雇、解雇が行われたりしているようなこの段階において、国家公務員より高い給与が払われておるということはいかがかと思われる。第一、国家公務員の給与というのは、御案内のように、経済団体の給与ベースを中心にして、それに大体見合った中間のところをとっておるのでありますから、それより高くなるということは公正の観念から見ても何か不思議な面、われわれとして理解できない面があるということであります。したがって、これをどれくらいに見るかは別といたしましても、たとえば概算で言うておるのでありますけれども、全体で言うと一兆円ぐらいは違うのじゃないか。こういうものを二、三年で解消するというような形をとりましても、三千億円ぐらいの金が福祉予算として回せるという形も出てくるわけなんです。私は、具体的にどう処理するかということは、それぞれの市町村によって違いますから、ここで画一的なことは申し上げませんけれども、そういう面からも一つ財源の捻出ができるのではないか。
 一方、超過負担の問題については、これは小濱さんもおわかりのように、どういうのが一体超過負担だということになりますと、その基準のとり方でありますとか、国がどれだけ負担して地方がどれだけ負担するかという基準の問題だとか、範囲の問題だとか、いろいろ考えてくると、なかなかどこがどうというはっきりした方程式みたいなものは出てきませんけれども、しかし、大体の常識の範囲でこれくらいはというところは出てくると思うのですね。だから、それに合うようにして、そして超過負担がなくなるように努力するということは、これはもう当然なことだと私思うのです。そういうことによってある種の財源の捻出ができるとすれば、これも福祉関係とか環境整備あるいは公害を除去するようなものにも回していけると私は思います。一方において、税収はそれほどは伸びないけれども、まあまあ何とか少しは伸びるということであれば、福祉関係あるいは環境整備に回せる経費というものはある程度はまだ捻出できるものである、私はこう考えておるわけでありまして、その意味では、国に対しても今後も超過負担の問題は極力解消するように努力してまいりたい、こう考えまして、そういう立場で歳入の面を考え、そして歳出の面では、いまあなたがおっしゃったような福祉関係等々を重視して、そして地方の自治体がその住民の希望にこたえていくような行政が行われることが望ましいと考えておるわけでございます。
#158
○小濱委員 いろいろと御所見を承ったわけでありますが、非常にむずかしいというか、困難な時代に選ばれて自治大臣の要職につかれたわけであります。そういう点で、低経済成長下における地方行財政のあり方というものは、当然内外の衆知を集めて早急に策定すべきであるというふうに私どもは考えて御所見も承ったわけでございます。
 次に、同じく大臣にお尋ねをしていきたいと思いますが、福祉の充実、生活関連施設整備等の内政の充実の大きな担い手は、言うまでもなく地方自治体であります。今後この傾向はますます増大する一方である、こういうふうに見られます。そうした場合、当然これに対応するため、地方の財政力を強化しなければならないことは明らかでございます。しかしながら、ここ数年の地方財政計画を見た場合、額の上では確かに国の一般会計を若干上回っておりますけれども、伸び率においては国より下回った、圧縮型と言われておるような内容になっております。これでは内政の担い手である自治体に対して、今後予想される財政需要に逆行する姿ではないか、こういうふうに申し上げたいわけであります。
 そこで、将来の展望に立ったとき、地方税の大幅拡大等の自主財源を積極的に推進すべきであると思いますが、この点について大臣にお尋ねしたいと思います。
#159
○福田(一)国務大臣 ただいま御質問がございましたような福祉行政、環境整備ということをやるために財源が必要なことはもう申すまでもございません。それには、地方自治体としてはやはり自主財源というものを重視していかなければなりませんので、そういう面で、税その他の面でも努力をいたしてまいらなければならないと考えております。
#160
○松浦政府委員 ただいま大臣がお答えになられました方向で事務当局としても努力をしてまいるつもりでございますが、ただいま財政規模の問題でのお尋ねがございましたので、ちょっと補足の説明をさせていただきます。
 五十年度の地方財政計画の伸びは二四・一でございます。国の伸びは二四・五でございます。この姿をごらんいただければ、いかにも地方財政の伸びが悪い、そうお考えになるのは当然だと私ども思います。私どもも、どうしてこういうことになったのかということを心配をいたしまして、国の予算を洗ってみました。その結果、国の予算の中で地方財政に関係のある部分と、全く関係のない部分がございます。たとえば年金でございますとかあるいは食管の問題でございますとか、こういった問題は地方財源の負担を伴わないわけであります。そういうふうに大別をいたしてみますと、国の予算の中で地方財政に関係するものの伸びは二二・七でございます。地方財政に関係のないものは二七・八伸びておるわけであります。したがって、国庫財政の地方財政に関係のある部分よりは地方財政計画の方がずっと伸びておるということをこの点で御理解をいただけると思うのでございます。
 具体的に申し上げますならば、道路とかそういったようなものの伸びは公共事業並みにとどめる、そのかわり国の方で伸ばしておる社会福祉関係は地方財政計画においても全面的に高い伸び率を使う、こういう形で財政計画を組んでおりますので、これは蛇足になるかもしれませんけれども、数字からのお尋ねについては、私どもとして見て不思議はないんだということだけあえて弁明をさせておいていただきたい、こう思います。
#161
○小濱委員 いろいろと努力を続けておられることは、これはもう当然認めております。それで地方税は、これは確かに伸びているというふうに私どもも内容的に検討してよく理解をしておるわけでありますが、この財源配分の国が七、地方が三の状況というものは変わっていないわけですね。昨年度の法人税の改正の際にも国の取り分が多くなっているという内容が示されておりますが、事業所税の創設などわずかで、決して三割自治の解消の方向に向かっているとは私どもは見ていないわけです。私ども地方行政の立場から、地方財源危機という内容をよく理解をしている立場から、地方財源確保に当局の一層の努力を要望申し上げたい、こういうつもりで御質問をしたわけでございまして、ひとつその点はよろしくお願いしたいと思います。
 次に財政計画について、これはひとつ大臣あるいはまた財政局長からお答えいただきたいと思いますが、今回のこの五十年度の財政計画では、地方公務員の定員十三万八千人を新たに組み込んだ。これは四十八年四月一日の実態に基づいて是正したものであって、あくまで四十八年度ベースでの是正にすぎない。その後四十九年度、また五十年度には、各省庁からの施策を推進するためにそれを上回って地方公務員がふえている。これも明らかでありますが、地方自治体も長期的な展望から、定員については慎重にむだのないよう自主的に対処することは当然でありますが、国の委任事務がふえている現状では、定員の増加の問題は、いたずらに地方のみに責任を押しつけて解決できるものではないと私どもは考えております。
 そこで今後の方針として、計画をオーバーした自治体に対しては一般財源でやらせるのか、また実態に沿った定員の是正を行う用意があるのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
#162
○松浦政府委員 地方財政計画上の定員の問題につきましては、五年に一度行われます指定統計でございます給与実態調査に合わせて規模を是正するという方向で、今回十三万八千人に規模是正を行ったわけでございます。今後も、五年に一度にするのかどうかという問題は別にいたしまして、やはり規模是正を行っていくべきだというのがわれわれの考えでございます。ただ、現実の問題といたしましては、私どもが考えております以上に地方公務員が著しい伸びを示しているということも事実でございますので、われわれが理論的に納得のできるものについての組み入れは行いますけれども、納得のできない部分については、税金の思想で言いますれば否認をする、そういう形で地方に対して、国と同様の人員削減に対する努力もお願いをしなければならない、こう考えております。基本的には先生の御発言と私どもの考え方には相違はないのではないかというふうに考えております。
#163
○小濱委員 いろいろと内容には私どもも理解できる点はあるわけですけれども、今後オーバーした事態についてどういう形でこれに対処していくのであろうかなという基本的な問題を、一般財源でやらせるのか、また実態に沿った定員の是正を行うのか、どういう用意があるのかということでお尋ねしたわけでございますが、よくわかりました。
 次に、これも自治大臣か財政局長にお尋ねをしていきたいと思います。
 地方債についてであります。これまで高度経済成長下において、産業基盤整備や生活関連施設整備に積極的に活用してきた地方債の内容を見たときに、財投に占める政府資金の割合がだんだん低下してきたという、こういう内容のようであります。今後低経済成長下において生活関連、住民福祉などの向上を推進するためには、公共部門に対する資源配分を強化しなければならない、こう考えます。したがって、これまで産業基盤に重点が置かれていた財投を、生活基盤を主体とする地方債に大幅に振り向けるべきである、こういう方向に今後の地方債に対する方向を持っていくべきではないかというふうに考えておりますが、この点についてひとつお尋ねしたいと思います。
#164
○松浦政府委員 全く先生の御指摘になられましたとおりでございまして、本年度の地方財政計画を策定するに当たりましても、いまおっしゃられましたようなことのみを――のみと言ってはあるいは強いかもしれませんが、のみに近い形で頭に置きながら地方債計画を作成したつもりでございます。個別にごらんいただければおわかりいただけると思いますが、ごみの処理問題あるいは上下水道、病院、こういったものに大幅な伸びをつけまして、先生がおっしゃられた産業基盤整備というようなところにはほとんど起債がつかないという形になっておりますことは、地方債計画をごらんいただければおわかりいただけるところだと思います。
#165
○小濱委員 大分ありますので、ひとつ問題を詰めてまいりたいと思います。
 最近の枠外債の拡大の実態などから見まして、地方債の要望は非常に多くなっていると思います。地方側の要望は、政府の決めた枠を相当オーバーした要望が確かに出ている、こういうふうに見ております。地方債の枠からはみ出した分はどのくらいあるのだろうかなと考えておりますが、この点と、今後の起債に対する見解はどうであろうか、これをひとつお答えいただきたいと思います。
#166
○松浦政府委員 枠外債は、高成長時代に景気を維持するというような観点からできるだけ地方債を認めて仕事をやっていただこうという形と、もう一つは、土地の取得に対する地方債の需要、この二つから発生したものだと考えておりますが、前段の方の問題は、今日のような経済事情では事情が消えております。後段の土地に対する需要というものはまだ非常に根強いものがございますし、特に人口急増地帯等におきましては、相当地価が上がっておりまして、小中学校の用地の取得、幼稚園の用地の取得、そういったものに非常に資金が必要のようでございます。そういう観点から、私どもといたしましては、今後枠外債というものは出投資、出資金、投資に要する経費とかあるいは土地の購入に要する経費とかに限定をしてまいりたいと考えておりますが、大体、昨年度で七千億前後、本年度ではまだ最後の見通しがついておりませんが、まあそれと同額かその程度ちょっと超えるぐらいか、これだけは枠外債が出るんではなかろうかと思います。
 地方債に対する考え方というお尋ねでございましたが、地方債は先生御承知のようにあくまで借金でございます。なるべく地方債は発行しないで、一般財源で財政計画を組むということが将来の地方財政の健全化のために必要であろうかと思っております。したがって、私どもとしては、地方債をふくらませる形で地方財政計画を組むということについては、にわかには賛成できないという態度をとっておるわけでございます。
 具体的に申し上げますならば、できるだけ地方債をお認めすれば、確かに財源がふえるから地方財政の運営は楽かと思いますけれども、結果的にはそういう地方債を認めることが事業に充てる一般財源が余るという形になります。それがまた問題の給与等に回っていくということになりますと、地方財政の健全性というのは維持できない、こういう考え方もございます。したがって、地方債については実情に合うようにほどほどにして、できる限り交付税で財源を確保する、あるいは地方税で財源を確保する、こういう態度を基本にして今後は当たってまいりたいと考えておるところでございます。
#167
○小濱委員 補助制度についてお尋ねしたいと思いますが、地方の自主財源に比べて補助金の伸びが高くなっているわけであります。このように補助制度の拡大は地方団体の自主性を損ねるとともに超過負担の増大という弊害をもたらし、地方財政圧迫の大きな要因となっていると思います。知事会を初め地方団体が、その零細補助金の廃止や整理統合を進めているということも承っておりますが、補助金に対しては当然存続するものと、また廃止しても差し支えないものとあります。現在は、その根本的な洗い直しを積極的に進めなければならない。そこで零細補助金は廃止して、その分だけ一般財源に振り向ける措置を真剣に検討すべきである、こういうふうにも考えておりますが、この点についての御見解を承りたい、こう思います。
#168
○松浦政府委員 この点につきましては、数次にわたる地方制度調査会でもそのような御答申をわれわれに下さっております。自治省といたしましても、全く先生の御意見に賛成でございます。零細補助金をただ切るだけでは困る。切った金額だけは一般財源に回してもらうという仕組みで零細補助金の整理ができたらまことに結構だと思います。私どもも、今後とも各省にお願いをしてまいりたい、このように考えております。
#169
○小濱委員 これは自治大臣にひとつお尋ねしたいのですが、三木総理大臣が二十五日の夕方、NHKの「三木政治に問う」の対談番組に出演をいたしました。その内容は、福祉や環境問題での地方自治体の役割りを評価するとともに、国から地方自治体への補助金についてもこうした地方の役割りが十分生かされるよう洗い直す考えを明らかにした。先ほども洗い直すという言葉が出ております。総理もこういうふうに確かにおっしゃっております。この点について首相は同番組で、福祉や環境問題については地方自治体が一番詳しい、政治にもっと地方からの発想が生まれてこないといけない、と持論の地方自治育成論を述べ、さらに地方自治体に対する補助金には優先順位をつけるなどして整理をしたい、国と地方自治体との関係を洗い直すと、こう述べておられました。積極的にこの公の場で発言しているこういう総理の御発言に対して、自治大臣といたしまして今後どのように取り組んでいくお考えをお持ちになっておられるか。せっかく総理がこれだけ御理解ある発言をしておられるわけですから、今度は自治大臣としてもそれに対応するやはり決意なり心構えというものがなければならぬであろう、こう思いますが、ひとつ御意見を聞かしていただきたいと思います。
#170
○福田(一)国務大臣 昨日の総理のNHKの発言について、私は全く同趣旨に考えておりまして、総理の姿勢を自治大臣の立場において大いにバックアップするべきであると私は考えておるものであります。ということは、何といっても住民の生活というものは、東京の国会の中で議論が行われておるときでも、地方自治体においての生活、その地域地域の生活が中心になっておるわけでありまして、そうすれば福祉関係とか環境整備とかというような問題は、それぞれの地域の者が何を一番望んでおるかということはその地域の者に聞くより以外に道はないわけでございます。でありますから、そういう観点からすれば、地方からこういうものをこのように処置をしてもらいたいという要望が出てくるように仕向ける、それをもっと一層強く指導していくということは、私は自治行政としては当然の措置であると考えておるわけでございます。
 ただまあ、そういうことはもう異議のないところでありまして、したがってそうすればそれに伴うところの経費というものは必要になってきます。それぞれの自治体でそれを全部賄うわけじゃない。国が十分めんどうを見ていくということも当然なことであると思っておるのでありますが、しかし福祉の問題ということになりますと、物によっては、たとえば下水道の整備などということになればそれはそこの地域ですっかり決まってしまいます。ただ年次を何年でやるかという問題が予算の関係で相違するわけですが、しかし福祉の関係といっても、たとえば医療問題とか年金とかそういうことになりますと、そこの地域だけでは決まらない面が出てくる。行政は一元化といいますか、やはり公正でなければならない。鹿児島の人たちが受ける福祉行政というものもあるいは東京におけるものもある程度公正というか、公平でなければ、――差のあることはいたし方がありませんけれども、そういうことも考えてみなければならない。それからまたそういうような点から見るというと、国がどれだけどういうふうに負担を持っていくかということも十分考え合わさなければなりません。またそれに関連してそれぞれの財源をどう地方自治体がやっていくかということになりますと、ここにもいま現行の交付税の問題とかあるいは特交とかというものはありますけれども、そういう問題も考えていかなければならないと思うのでありまして、私は、趣旨においては総理の発言に全面的に賛成でございますから、その趣旨に沿って今後も地方の住民の意欲をくみ取り、希望をくみ取っていくという努力は一層強化していきたいと考えておるものでございます。
#171
○小濱委員 力強いお答えをいただいたわけですが、総理大臣としてもあのような真剣な心境というものを公の場で話をされたわけですから、この点をやはり担当自治省としても当然十分にその意を踏まえてこれからの努力をしていただきたい、こういうふうに、せっかくの機会でございますので御要望申し上げたわけでございます。
 さらに、これも大臣また財政局長にお尋ねをしていきたいと思います。
 人口急増市町村の財政需要は依然増加の一途をたどっておるわけであります。中でも小中学校用地の取得については一番頭を悩ましております。これはもう御存じのとおりであります。そのために土地開発公社など懸命にその対策を立てているが、銀行の窓口が厳しく、十分な金が借りられない、こういうのが実情になっております。後でまた詳しく申し上げますが、特に自治体の緊急を要する小中学校などの用地取得に対する融資についてはどのような措置を講じているのか、現状と対策についてひとつお伺いをしたい、こういうように思います。
#172
○松浦政府委員 現実の問題といたしまして、土地開発公社に土地購入の資金が現在のような金融情勢下でなかなか回らないという一面があることは事実のようでございます。自治省といたしましては、そういった資金の手当てができないが、どうしても緊急に取得をしなければならない土地があるというような団体については、直接自治省の方においでを願いまして、自治省の官房の方で十分事情を聞いて、なるほどこれは取得しなければならないという土地でございますれば、大蔵省なりあるいは日銀なりに直接、この団体については資金の道をあけてやってくれということをお願いして、問題のあるところは今日まで個々に片づけてきたつもりでございます。
 なお、先生御承知のように、非常に土地に要する経費が焦眉の急であるという声もございましたので、四十九年度の補正予算で獲得をいたしました交付税の配分に当たりましては、臨時土地対策費という形で約二千億、交付団体で千五百億に上る金を現金で配賦をいたしました。それだけ土地を買ってくれ、その金をほかに使わないでくれ、土地を買ってくださいという形で御指導申し上げ、現在のところでは一応鎮静化をしているというふうに私どもとしては受け取っております。なお引き続き、これのみでは措置が十分であるとは考えませんでしたので、五十年度の交付税、財政計画の中においても千五十億円の臨時土地対策費を組み込みまして、これを交付税としてまたお配りするつもりでございます。これによってまた資金の圧迫の解除の一助にもしてほしい、こういう気持ちで措置をとっております。具体的にお困りの団体については個々に自治省にお申し出をいただいて、私どもとして個々にそれぞれのネックをともに破って御協力を申し上げたい、こういう気持ちでおりますので、御了解をいただきたいと思います。
#173
○小濱委員 ぜひひとつ相談に乗っていただきたいと心からお願いをする次第でございます。しかし実態は、これは財政局長よく御存じのとおりでありますが、相模原市の場合をまた申し上げたいと思いますが、人口急増の最も顕著なところで、西の高槻だとかあるいはまた東の相模原だとか、こういうふうに言われているところでございます。四十九年度の場合、市の債務保証が百三十三億円、こう出ておりました。その内訳は、土地が八十一億円、学校建設五十二億円。ところが土地取得の八十一億円のうち五十六億円、これも農協資金で賄った、これが現実であります。そのため不足の二十五億円をやむを得ずこれは繰り延べせざるを得ないというのが実態でございました。その結果として五十一年開校ができないという事態が起きておるわけですね。しかもこれをプレハブで行った場合、二ないし三億円が余分に市の負担になることなどもあって、現地では大きな問題になっている。これらの公共用地については特別な配慮をすべきである、こういうふうに見ておるわけであります。これを大蔵、自治省に陳情しても、わかったという御返事はいただけても、銀行の窓口に行けば、日銀の締めつけが厳しくとうてい対処できない、こういうことを耳にいたしております。小中学校用地は一般の融資と別にするなど、十分な対策を心から望むわけでありますが、今後の決意といいますか、考えをお伺いしておきたいと思います。
#174
○松浦政府委員 これはいろいろ考え方がございまして、学校用地等につきましては御承知のように、後で補助金をもらわなければならないという形から公社で買うということになりましょう。土地に対する補助制度のないものにつきましては、地方団体が私どもに用地取得の起債の申請をしていただければ、私の方で許可も申し上げる用意もございます。また、先ほど申し上げましたように、個々にお困りになっておられるところは具体的に自治省の方に御相談いただければ、それぞれ手当てもいたすつもりでございますので、そのようにお願いしたいと考えております。
#175
○小濱委員 さらに、現在急増地域の小中学校、それから幼稚園建設や学校用地取得に対する補助制度などの特別措置がとられておりますが、これらの地域はその他ごみ、上下水道などの生活関連施設に対して財源の特別措置を続けていかなければならない、そのためには、これはもう人口急増地域に対する特別財政措置の立法を講じ、強力に対策を推し進めていく必要があろうと思うわけです。立法を講ずる、なかなか立法するには時間もかかりますが、確実なんですね。こういう方向でぜひひとつ推し進めてもらいたい、このように私どもはその必要性を言っておるわけですが、この点についての御見解を聞かしていただきたい、こう思います。
#176
○松浦政府委員 人口急増地域につきましては、小中学校の用地取得費に対する補助金あるいは小中学校校舎の建築費の補助率の引き上げ、幼稚園、消防施設に係る国庫補助率の引き上げ、そういうものをこれまで逐次取り上げまして、全体として人口急増対策に抜かりがないように努力をしてまいりました。
 また、交付税の配分に当たりましても、人口急増補正というものをできるだけ強化をして、一般財源をそれぞれの団体に配賦するということも抜かりなくやってきたつもりでございます。現在の段階では、これらの各省にお願いをしてやっていただいております法律措置あるいは予算措置、それを通じて今後とも努力をしてまいりたいと考えておりますが、立法化という気持ちは現在の段階では持ち合わせておりませんので、お許しをいただきたいと思います。
#177
○小濱委員 御存じのように急増地域は若い人が多いわけですね。当然子供の数が多くなってまいりますので、その施設が不足していくわけであります。ですから、予算措置だけではなくて、現地に即して対策を講ずるとなれば、立法を講ずるという方法しかないなという感じを持ったわけでして、むずかしい問題でもあり、またこの問題についての御見解はいただきましたが、ぜひひとつ今後ともこういう方向で急増地域の対策を進めていただきたい、こういうふうに思っておるわけですが、この点については大臣いかがでございましょうか。ぜひひとつこういう方向でやっていただきませんと、急増地域を抱えている自治体の苦境というものはよくわかるんですね。ですから、財政局長は立法化はいまのところ考えていない、こういうことですけれども、将来はそういう方向で努力していただく以外にこれの解決策はないであろう、こういうふうに考えておりますので、この点について大臣から一言御見解を聞かしていただきたいと思います。
#178
○福田(一)国務大臣 人口急増地域の立場から見ますとごもっともな御要望であると思うのでありますが、また一面において、立法化するような形になりますとますますまた人口がふえてくる、人口がふえるとまたますます施設をやらなければならぬということで、イタチごっこになる可能性もあるのじゃないかという感じがいたします。
 そこで、大都市の近所の市などはもう少しそこいらの問題を考えていただきませんと、これは過密過疎の問題が増幅されることがあっても解消しない。したがって、そういうような市は年がら年じゅう苦労を続けていかなければならないという問題もあろうかと思いますので、そこいらの問題も踏まえまして、立法化の問題については十分われわれとしても考慮をしていかなければならないと思いますが、しかし、具体的にいまそういうような市があって非常に困っておられるという場合においては、自治省としてもほっておくべきものではありませんから、御相談があれば、しかるべき方法で御援助を申し上げるというか御協力を申し上げるようにさせていただきたい、かように考えるわけでございます。
#179
○小濱委員 よろしくお願いをしたいと思います。
 これは文部省にお尋ねをしてみたいと思いますが、公立高校建設についてであります。
 最近の高校進学率は年々高まる一方で、全国平均九〇%を超えておる、こういう説がございます。現在の高校教育は義務教育にも等しい状態であるとも言われております。知事会の調査によると、大都市都府県を中心に高校生の急増期に入っておる、こう言われておりますが、昭和四十九年から五十一年の三年間で新設校百九十四校、四千百七十五学級が必要であり、これに要する経費は四千億円、また既設校二百七十四校で千四十三学級の増築が必要で、それに要する経費は二百四十五億円、こういうふうになっております。また五十年度の建物建設費は九百億円、用地費四百億円、計一千三百億円、新設校の一校当たりの建設費は二十億円が必要とされております。今後の高校建設は重大な問題であり、地方財政の大きな負担となっておりますが、文部省として公立高校の建設に対してどのような見解を持っておられますか、お伺いをしたいと思います。
#180
○西崎説明員 ただいま先生のお話ございましたとおり、現在全国的な高等学校への進学率は、四十九年度で九〇・七%ということに相なっております。ただ、今後の見通しとして考えます場合に、確かに高等学校の生徒数の増加はあるわけでございますが、特に問題になっておりますのは、東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、京都、兵庫というふうないわゆる急増都府県でございまして、今後の高等学校新設計画の七割以上がこれらの府県に集中しておるというふうな事態が予想されておるわけでございます。したがいまして、高等学校の建設に対する財源対策としましては、これらの都府県の問題になるということも一つの焦点でございますが、文部省といたしましては、五十年度予算において新増築に係る補助要求をいたしておりましたが、政府予算の決定の段階におきまして関係各省の協議のプロセスにおきまして、従来から高等学校にかかわる建築事業の財政措置は地方債措置等で行われてきておるというふうな経緯もございまして、自治省等の御配慮を十分いただきました上で、このたび政府地方財政計画においては三百億円の高等学校整備事業に係る起債措置が講ぜられるということに相なっておるわけでございます。これらにつきましては、自治省の方の運用の御配慮によりまして、五十年度以降等の問題もございますが、本年度、五十年度の建築については、まず支障なく建築が行われるものと私どもは考えておる次第でございます。
#181
○小濱委員 具体的例を少しお話をして、そしてまた文部省と自治大臣の方からお答えをいただきたいと思いますが、現在の高校進学率、これは大変な数字になっているわけでございます。中学卒業者がここ数年減少してきたことによってようやく支えられてきたという、九〇%という数字になっているわけであります。戦後の第二のベビーブームに入りまして今後ますます高校進学希望者が増加しているわけでありますが、文部省でも、五十三年の高校生の数は現在より約三十万人ふえると見込んでいるようであります。高校進学希望者は、大都市周辺の人口急増地域が特に多いわけであります。いま課長さんの言われたそのとおりであります。神奈川県では今後十年間に百一校建てるんです。もし高校増設が五十六年度までに行われなければ、高校進学率は埼玉県で四六%、それから大阪で六三%と言われております。こうした実態に対して真剣に対処しなければならない事態を迎えておるわけでありますが、一方においては、進学率の上昇に伴って高校の義務教育化が論じられている現在であります。いままでの、高校教育は都道府県に任せておけばよいという安易な考えを改めなければならない時代に来たのではないか、こういうふうに考えるわけであります。
 そこでお伺いしたいわけでありますが、公立高校の新設に対して国の大幅な助成措置を講ずることに対して積極的に取り組まなければならない、こう思うわけですが、ひとつ文部省と、これは自治大臣から先に御見解を聞かしていただきたいと思います。
#182
○福田(一)国務大臣 私は、国民の教育レベルを順次上げていかなければならないということは当然な要望であるし、進学率がふえればそれに対応して国も自治体も努力をいたさなければならないと考えておりますので、いま小濱先生が申されましたような高校進学に伴う学校の増設ということについてはわれわれとして全面的にサポートしていかなければならない、かように考えておる次第であります。
#183
○小濱委員 自治大臣、神奈川で十年間で百一校建てるんでしょう。どこへ建てるかというと、そういう予定地はないわけですね。これから山の上に高層ビルを建てて、そこへ何校か高校団地みたいなものをつくろうかなんという、そうせざるを得ないような実態になっているわけです。ですから、この人口急増に伴う対策が何かないものかと思いまして、私どももこの立法化ということについてずいぶん長い間地方行政部会として取り組んでみました、どうすれば抑えることができるかということで。ところがなかなかいい内容が出てまいりませんで、途中でわれわれもあきらめてしまったわけですが、こういうことじゃいかぬということでまた取り組みました。私の方でいま立案中のものは、人口急増に伴う公共施設の整備に関する特別措置法、こういう長い名称でようやく法制局の最終的な仕上げの段階までこぎつけたという内容がございます。これはもう皆さん方から言わせれば、こんな幼稚なもので果たして見通しが明るいのかというおしかりがあろうかと思いますけれども、私どもとしては何かたたき台にでもなればと、こういうふうに思いまして一生懸命取り組んだわけでございます。ですから何か立法化ということが必要だなあと思うわけです。これは自治体が、県が全額持ち出しということで非常な苦況に立っているわけですから、ぜひひとつそういう方向で努力をしていただきたい、こう思うわけですが、文部省が来ておられますが、せっかくでありますからひとつこの点について御見解を聞かしていただきたいと思います。
#184
○西崎説明員 初めにちょっとおわびを申し上げたいのですが、先ほど進学率につきまして九〇・七と申し上げましたが九〇・八の誤りでございます。訂正さしていただきます。
 ただいま先生のお話の高等学校新増設に対する補助についてどう考えるかという点でございます。昨年八月の概算要求時点で私どもは七十億の補助要求をいたしておったわけでございます。その時点において、私どもの判断といたしましては、この事態に対処する意味で補助が必要であろうという見地での要求であったわけでございますが、五十年度予算の政府案決定の時点において、地方債措置によりこれを行うということに相なりましたプロセスもございますし、現時点において今後の補助制度の問題についていかがかという先ほどの御質問につきましては、現時点では地方債措置でこれを五十年度対処するというふうなお答えになるわけでございまして、今後の問題については、また政府としての対処の仕方があろうかと思いますが、本日のお答えといたしましては差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
#185
○小濱委員 ひとつこれは自治大臣に御要望でございますが、ぜひこういう内容をより御認識をいただきまして、これからの公立高校の建設、これが県の全額負担になっているということで、これは何らかの措置を示していただきたい、こう思うわけです。いろいろ御意見を伺いましたが、これはこれからの課題でございますので、よく御認識と一層の御努力をお願いを申し上げたい、このように御要望申し上げるわけでございます。何か御意見があれば聞かしていただきたいと思いますが、いかがでありましょう。
#186
○福田(一)国務大臣 先生の御趣旨は十分承って、今後検討さしていただきたいと思います。
#187
○小濱委員 よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 厚生省関係を少しお尋ねをいたします。
 救急業務についてちょっと調べてみたのですが、東京都の場合では、救急患者の総数は年間約二十五万件にも達しております。救急需要の増加の傾向がこのまま続くとすれば、昭和五十五年の救急件数は約三十四万件にも達するものと予想されておるようであります。そのうち、厚生省が指定して全国的に整備している救急医療センターや国立、公立及び大学付属病院への収容状況は、私の資料ではきわめて悪く、全体の救急総数の一割程度にしかすぎないようであります。この点についてはどうかということでお答えをいただきたいと思います。
#188
○黒木説明員 国立病院関係の救急医療体制の件でございますが、救急医療センター四十八病院、それから告示病院三十四病院、計八十二病院が国立病院関係では救急医療を担当しているわけでございます。そのほか、十一病院ほどがまだ救急を担当してないわけでございますけれども、こういった病院は目下整備中だとか、がんセンターだとか子供の専門病院とかそういう形で、救急告示あるいは救急を担当するのが必ずしも適当でないという病院が担当してないわけでございまして、そういうものを含めまして、私どもといたしましては、国立病院はすべて救急の告示を受けたりあるいは救急センターになるようにという指導に努めてまいっておるわけでございます。
 なぜ全体の救急医療患者の受け入れに対する比率が少ないかということでございますが、これは国立病院の数もございましょう。あるいは国立病院がもっぱら非常に高度な専門的な治療等を手がけておるということもあるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、国立病院がもう少し率先して救急医療を手がけるような体制に指導をし、努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#189
○小濱委員 ぜひそういう方向で一層御努力をお願いしたいと思います。
 東京消防庁の資料を入手いたしまして拝見いたしますと、救急告示医療機関、いろいろな医療機関別の一覧が載っております。それに対する総数が載っており、それからその総数に対するパーセントが載っておる。実数で二十二万五千百八十二人の数の中で、国立関係は二千九百九人で一・三%、都立が七千四百五十七人で三・三%、市町村立が千七百九十八人で〇・九%、日赤が三千三百四十三人で一・五%、済生会が五百九十四人で〇・三%、国保団体連合会が七百十四人で〇・三%、国立を除く大学が一万六千三百三十二人で七・三%、私立病院が十七万五千二百三十六人で七七・八%、救急告示以外の医療機関一万六千六百二十一人で七・四%、こういうデータが出てまいりました。これは私全国的に調べてみたいと思ったのですが、なかなかその資料が入手できませんでしたので、東京都の例だけを挙げたわけであります。
 こういうことですから、これからいろいろと大きな災害が予想をされるというときに、この救急業務について、当然これは消防庁に努力をしていただきますが、それに今度は受け入れ側の医療センターをはっきりしておかなくてはならない。ところが実態は、こういう実態になっている。いま厚生省からの御答弁でこの点を強く主張しておられましたが、これは先の話ではなくて緊急を要する問題がいま起こりつつあるわけですから、急に応ずるといういまの立場からも、ぜひ早急にこの問題の解決をしてもらいたいわけです。きょうは課長さんにおいで願ったわけですから、ぜひそのことを御報告を願って、そういう方向で努力をしていただきたいと思いますが、ひとつ御答弁がございましたらもう一度お聞かせを願いたいと思います。
#190
○黒木説明員 救急医療体制につきましては、国立病院あるいは公立病院、公的病院その他の病院が協力をしてやっていくのが一番現実妥当性がある対策だと思っておりまして、そういう形で進めておるところでございますけれども、とりわけ国立病院あるいは公立病院はその役割りの重要性にかんがみまして、特に国立病院については、先ほどお答えいたしましたように率先して救急医療を担当するような形で努力してまいりたいと思います。
 先生御指摘の非常災害の場合の国立病院の役割りでございますけれども、これはもとより、地域にあります国立病院のみならず、全国の国立病院等を活用願って、必要な協力あるいは連携その他国立病院を全体的にお使いいただいて、そういう非常災害の場合の対策には当たらしていただきたいというふうに私どもとしては考えておる次第でございます。
#191
○小濱委員 よろしくお願いをしたいと思います。
 消防法二条に基づく医療機関は、厚生省令、救急病院などを定める省令により医療機関側の任意の協力申し出に基づいて救急病院などとして告示されるだけであります。その医療機関にはほとんど財政措置がなされていないわけです。病院側には法制上特別の義務もないようであります。単に一般の医療機関と同様に医師法上の診療義務、これがあるだけで、必要な地域に適切な施設を持つ医療機関が分布されていないということで、むしろ偏っている、そういう現状になっているようです。救急医療機関については現行の自由申し出制を改め、救急需要に十分対応できるよう、応急的措置と傷病者の選別の機能を担当する第一次救急医療機関と専門特殊医療を担当する第二次救急医療機関に区分して、行政機関でこれは指定すべきである、こういうふうに私どもは考えておるわけであります。おわかりになりますか。
 それから指定された医療機関は、昼夜の別なく常時必要な医療従事者、医療設備、資器材などを完備しておくものとし、国及び地方公共団体はそのための十分な財政措置を講ずるようにすればよいのではないか、こういうふうに見ております。
 それから救急車と受け入れ側の医療機関との相互の連携のシステム化を図る必要がある、こうも思います。この問題について、ひとつ厚生省の方からお答えをいただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。
#192
○黒木説明員 救急医療機関の体制でございますが、先生御指摘のように、救急告示病院あるいは救急告示診療所というようなものをまず一次機関としまして、その上に救急医療センターというものを広域的に整備をいたしておるわけでございますが、これが地域的に偏在いたしておるという御指摘でございまして、私どももそういった地域偏在をできるだけなくそうということで都道府県を通じまして救急病院等の適正配置について努力し、指導してまいっておるところでございます。さらに、救急医療体制のあり方として、先生御指摘のように二十四時間診療体制あるいは選別機能を持った医療センターの構想等を御指摘になったわけでございますが、私どもとしても理想としては、あるいは考えの方向としてはそのとおりだろうと思っておる次第でございますが、現時点におきましては専門医、たとえば脳外科の手術のできる専門医とか小児科の専門医とかいったお医者さんが非常に少ないというような現実、あるいは救急のための専用ベッドをどう確保するかといった問題、いろいろな問題が山積をいたしておりまして、医療制度全般にかかる問題にも相当するわけでございまして、その中から現実可能な施策を選びまして一つ一つ施策を実施してまいらなければいかぬだろうというふうに考えておる次第でございます。
 さらに、こういった救急医療を実際やってくれる病院に対しましては、救急医療の重要性あるいは救急医療が社会保険診療報酬では必ずしも賄い切れない、つまり現在の出来高払い制度ではどうもなじまない面もあるわけでございまして、そういう面につきましては、今後運営費について補助金を導入するといったような形も、公的病院、自治体病院については始めたところでございまして、こういった施策を今後とも充実してまいりまして、国民がいつでも、どこでも適正な医療を受けられるような医療供給体制、システムをつくり上げていきたい、かように思っておる次第でございます。
#193
○小濱委員 病院にABCランクというのがございますね。そのAランク病院では五百五十万円ですか、いまのお話の内容ですが、こうなっているわけですね。自治体病院のAランクでは四百五十万円ですか、そういうふうになっているわけですね。補助金の内容です。自治体病院にも差をつけているのです。これが問題だと、私はこう思ったわけです。この差をつけているということが一つ。もう一つは、私立に何ら補助金を出していない、こういうことも大きな問題であろう、こういうふうに考えるわけですが、この点についてお答えをいただきたい、こう思います。
#194
○黒木説明員 先生御指摘の点は、公的病院、日赤とか済生会とかいった公的病院に対します救急医療の運営補助金の単価が五百五十万、それから自治体立に対しては四百五十万ということについて、差のあることはどういうことかという御質問だと思います。私どもといたしましては、自治体立病院に対しましては、その設置主体であります自治体から一般会計の繰り入れも可能でございますし、あるいは自治体立病院についてはその累積赤字のたな上げ債の発行あるいはそれに対します利子補給の措置といったような措置も講ぜられておるわけでございまして、そういった自治体病院に対します財政措置というものが日赤、済生会等の公的病院にはないわけでございます。そういったいわば親があるかないかの差を勘案いたしまして、結果的に百万ほどの差をつけたということでございますが、私どもとしてはそれ相応の努力をいたしたつもりでございますので、御了承をいただきたいというふうに考えております。
 それから私立病院に対します補助金の点でございますけれども、公的病院あるいは公立病院に対しましては赤字を条件に補助金を出しているわけでございます。私立病院については、決算の内容が必ずしもわれわれとしては承知できないという予算技術上の面、それから当面は財政的にあるいは役割り的に最も重要視さるべき公的病院あるいは自治体病院というふうに補助金制度を開始しておるわけでございまして、一つのそういった予算技術上の面も含めまして今後の課題だろうというふうに考えておるわけでございます。
#195
○小濱委員 指定された救急医療機関は、これは常時緊急事故に対処する必要があるわけです。常時ベッドをあけておく必要があるということ、さらに医師や看護婦を待機させておくなどの必要も生じていること、しかしながら医療機関は独立採算なので、ベッドがあいていれば利益が上がらないという、こういうマイナス面も当然出てくるわけでございます。現在の現物給付、出来高払いの制度下では、救急医療病院は成立しないのではないか。最近は辞退する病院が出ているということも伺っております。そういう点で、このいま申し上げましたような現在の現物給付、出来高払いの制度下では、救急医療病院は成立しないのではないか。この点をどう考えていくのかということについてお考えを聞かしていただきたいと思います。
#196
○黒木説明員 救急医療につきましては、先生御指摘のとおり、現在の出来高払い方式の社会保険診療報酬によってはカバーし切れない面がたくさんあると思います。医者、看護婦さんの待機、あきベッドの待機と申しますか、そういった意味での診療報酬というものは、現在の方式では必ずしもカバーできないわけでございます。そういう面に着目いたしまして、私どもとしては補助金の制度がどうしても必要だということで公的病院あるいは公立病院に補助金を開始したところでありまして、考え方としては先生の考え方と同じでございます。
#197
○小濱委員 そこで、厚生省にもう一点お尋ねしておきたいのですが、消防法では一応救急病院を義務づけているわけですが、現行のように救急病院の不足している実態からは消防法は奨励法にすぎないという御意見も出ているわけです。法律では無理があるというので救急医療に関する特別立法を、――特別立法、また出てまいりましたけれども、これを制定する必要がどうしても出てくるなという感じを抱いているわけです。特に医療機関の少ない地域のことも考えて早期に実現すべきである、このように考えておるわけですが、この点いかがでございましょうか。
#198
○黒木説明員 救急医療体制を考えていきます場合にやはり一番大切なことは、救急医療を担当する医師、看護婦等をどういうふうに確保するか、それから絶えず救急患者のために優先ベッドをどういうふうに確保するか。現時点ではそういった医師、看護婦の確保あるいは病床がすぐ満床になるといった全体的な病床不足の現状からいきまして、必ずしも法律でそういった制度を決めてもうまくいくのかどうか、大変困難な点がたくさんあるわけでございます。私どもとしてはどうしても、そういったネックになるものを一つ一つ解決していくことによって地域の実情にふさわしいあるいは現実、妥当性のある政策を選びながら救急医療のシステムをつくっていくことが先決ではなかろうかというふうに考えている次第でございます。
#199
○小濱委員 自治大臣に一つ。救急医療センター、これがいままでお聞きのように非常に私立と公のものとの収容内容が大きく隔たりがあるわけです。最近は非常に経費がかさむので私立も返上しているというような内容からして、これは公立をもう一遍見直していかなくちゃならないなという、もう少しそういう国立とか公立のものがこの医療センターの公示をして救済していくような努力をすべきであるなというふうに、内容から私どもは感じたわけでございます。いまお聞きのような内容でございますので、これも自治大臣にお骨折りを願わなくちゃならない問題であろうと思いますが、御見解をひとつ聞かしていただきたいと思います。
#200
○福田(一)国務大臣 ただいま先生と厚生省との質疑応答を聞いておりまして、いかに救急施設というものが不足しておるか、また一般の者がそれで困っておるかという実情もはっきりいたしましたので、御趣旨に従って努力をさせていただきたいと思います。
#201
○小濱委員 消防庁長官にお尋ねしていきたいと思います。
 過日、自治大臣の発言がございまして、コンビナート防災法を現在検討中である、こういうことを私どもは耳にいたしております。また大きな期待を持っておるわけでございます。提出はいつごろになる目標であるのか、あるいはまた通産、建設などとの調整も非常に難航するであろう、こう思われますので、そういう点のいろいろな経緯についてひとつ長官からお答えをいただきたいと思います。
#202
○佐々木政府委員 コンビナート地帯の総合防災体制の整備ということにつきまして、私ども大臣からの御指示によりまして、現在立法措置も含めましていろいろ検討しているところでございます。できますればコンビナート防災法といったような形で立法化を図ることが必要なのではないだろうか、こういうことでいまいろいろ検討しておりますが、このコンビナート地帯につきましての各省の権限の競合関係というのは、御承知のとおり非常に複雑な状況でございます。現在各省の意見を取りまとめまして、法案の大綱等につきましてその内容の検討を私ども進めております。まだ自治省内における作業の進行中でございまして、具体的な内容につきましての各省との折衝は恐らく今週末あるいは来週早々からといったような時期になるのではないだろうかというような感じがいたしております。できるだけ早く仕上げろという大臣の御命令でもございますので、私どもいまその考え方の取りまとめをできるだけ急いでいたしたいということでやっております。一応目標といたしましては三月中旬ということでございますけれども、何分にも内容が非常に複雑な関係もございまして、いまの作業状況はややおくれ目でございます。率直に申しましておくれ目でございますが、できるだけ早く成案を得て、各省の意見を調整しつつ提案をいたしたいというふうに考えております。
#203
○小濱委員 長官にお尋ねをしたいと思いますが、コンビナート防災法というのは全国のコンビナートに関係する防災法、特に日本の心臓部といわれる東京湾関係、特に京浜重工業地帯、ここにいまいろいろと口上された問題もあるわけですけれども、でき得れば、簡単で結構ですから、内容についてひとつ御説明をしていただければ幸いだと思います。
#204
○佐々木政府委員 現在コンビナート地帯におきます危険物あるいは高圧ガス等につきましては各省の立法がそれぞれの所管の部分につきましての個別立法、個別規制という形になっておりますが、コンビナート地帯の特殊性から見まして、そうした個別規制のほかに総合的な防災体制というものが必要ではないだろうか、こういう趣旨から、いわば防災体制をできるだけ一元化をしていくという方向でただいま検討いたしております。ただその場合に、その防災体制を一元化いたします場合の最終的なその地域の責任者を、国とするのか、地方団体にするのか、地方団体といいましても府県にするのか、市町村にするのか、その辺がまた非常にむずかしいところでございます。また単体の規制の主体も、危険物でありますと市町村でございますし、高圧ガスでございますと現実的には府県が行っておるわけでございます。この辺の調整が非常にむずかしいわけでございますけれども、できる限りこの防災体制というものを一元化していく、こういう方向で法案の内容はまとめていきたいというように考えております。
#205
○小濱委員 事前に対策を講ずる、そういう予防措置というものがいま望まれているわけですけれども、防災対策というのは、予防措置というものももちろん含まれていると思いますが、いかがですか。
#206
○佐々木政府委員 防災の最も基本が予防でございます。そういう意味におきまして、この予防につきましては、企業が当然にみずからの事業所で災害を起こさない、またそれを外部に及ぼさないということのために、企業自身が責任をもって体制をつくっていくということは当然必要でございます。また、それに対して地方団体なり国なりが、そうした予防体制というものが十分にとられているかどうかということを常に監視をしていくという体制が必要であろうというふうに考えております。
 そうしたいろいろな予防的な措置、あるいはまた定期的なその地域の防災体制の点検といったようなものを通じまして、まず災害を起こさないということのためにどうしていくか、当然これは重要な前提として考えていかなければならないわけであります。それから万が一災害になった場合にはどうしていくか、その間の各災害担当機関の連絡協調体制をどうするかという問題がその次の問題になるだろうと思いますが、まず重点は、そうしたただいま述べられましたような予防の措置というものが非常に大きなウエートを占めてくるであろうというふうに考えております。
#207
○小濱委員 防災に対するいろいろな予算の仕組みを見てみますと、省庁の数がたくさんになっていますね。十九くらいあるようです。国土庁の方では消防庁のコンビナート防災法の完成を心から待っておるわけです。それをたたき台にして、そして各省庁に呼びかけてその完成を急いでいこうということになっているわけでして、そういう点では自治省の責任は非常に大きいわけでして、一層努力をしていただきたいと思いますが、三月中旬というのは、完成して提出される時期を指すのか、消防庁が提出する時期を指しておられるのか、そこのところをもう一度お答えを願います。
#208
○佐々木政府委員 先ほど申し上げましたように、大臣から三月中旬を目標にしてとにかくまとめろ、こういう御命令があったわけでありまして、私どももできる限りその御趣旨に沿うように努力をしておるわけでございますが、今後各省庁間の調整というものが非常にすんなり行くというようなことになりますれば、三月中旬ごろに法案としての形態を整えることができるかと思いますけれども、私どもが現実に作業をやってみますと、法案としましても相当大きな法案になるんじゃなかろうかというような感じがするのでございます。そういう意味におきまして、作業としましてはややおくれかげんの状況でございまして、私どももできる限り三月中旬には法案としての形態を整え得るまでに政府部内の意見の調整は完了していきたいというふうに考えております。
#209
○小濱委員 去る四十九年十二月二十六日、地震予知連絡会が最近の測定の結果、京浜工業地帯の中心に直下型地震が予想されるとの異例の発表をされました。このことについてテレビ、ラジオ、それから各種の報道機関が大きく取り上げておるわけでございまして、これは地震の前兆と見られる地盤の異常隆起が認められた、そこで一、二年後に震度五くらいの地震が起こる心配があると異例な発表をなさいました。あるいはまた専門の学者はM六とも言っております。発表した内容はいろいろとあるようでございますが、こういうことについて現地ではその対策に大わらわであります。
 最近現地の声を聞きますと、トランジスタが飛ぶように売れているとか、あるいはまた弁当持参の通勤者が多くなってきたとか、あるいは手ぬぐいだとかタオルを持っている人が目立ってきた。これは水につければ防毒面の役割りをするわけです。さらにまたPRのための会合を開くと満員の盛況である。市民の方々は冷静を装っておりまして心配はないようですが、しかし、あれだけ予言をされて、そしてまたあれだけその内容が確実なものを発表された住民の心境というものは、警戒心を非常に強く持っておることは事実であります。
 そういう点で、川崎市は一生懸命に努力しておるようでありますが、直下型、川崎の中心部ということですから、東京の方に直下型が変わる場合もあり得るし、東京では対岸の火事のようなつもりではいられないはずであります。
 私も試みにちょっと調べてみたのですが、川崎には御存じのように石油タンクが大小二千四百本、本と基は同じでありますので、両方言います。高圧ガスタンクが十本、液化ガス、LPガスですが、これが二百八本、その他アンモニア、酸化エチレン、こういうものがありますし、塩素タンクが十七本あります。この塩素タンクの十七基という内訳は、味の素で七トンが四本、二十四トンが一本、昭和電工千鳥町で十五トンが二本、同じく川崎工場で百トン一本、十五トン五本、大川地区で百トン二本、セントラル化学浮島町で五十トンが二本、総容量五百五十七トン、これを気化させると何と三百十五倍になるということです。ですから、大気中に流れ出すと容積にして十七万平米になるわけです。
 この間長官の方でタンクの実態を把握されました。そして非常に憂えられるようなそういう実態を私どもも改めて認識をいたしました。また大臣その他関係者が最近は京浜重工業地帯に視察に行ったり、行く計画を発表なさったりしておられるようであります。こういうことで、M6一揺れ来たときにどういう形になるのであろうかということを想定いたしますと、もうわれわれは寒けがするわけであります。御存じのように、あそこには五つの埋立地がございます。そこには一本の橋で陸との連係がとられている。この橋が落ちたらどうなるのか、島の従業員はどういう結果になっていくのか。船は川崎だけでも大小二千隻ありますけれども、あのタンクが事故によって、そして海に流れ出した油、海面に流れ出した油ということになりますが、それがまた火の海に化したということになると、船は御存じのように、火の中を走ってまいりますというと、エンジンはとまっちゃうんですね。これはもう長官よく御存じのとおりと思います。その海面火災をよけながら船が前進していきますけれども、人間の力には限界があります。どういう結果になるか、これは明らかであります。そういうことで、何とかここで対策を講じなければならないということで川崎でもいろいろやっておるようでありますが、緊急を要する問題は防災遮断帯をつくることである、こういう結論になったようであります。これを試算してみたところが、現在の計画では四兆円はかかるということです。当然地元で負担は無理であります。ところが、災害対策基本法を読みますというと、「災害予防及び災害応急対策に要する費用その他この法律の施行に要する費用は、その実施の責めに任ずる者が負担するものとする。」関係の自治体が負担をするようになっておる。そうすると川崎では四兆円、これを何とか捻出をしなければならないということでこれは全然可能性がございません。あきらめているようであります。建設省、通産省が何かとまた――内容は具体的には申し上げませんけれども、抵抗があるようであります。
 そういう点で、これだけ学者が発表された地震予知、それに対して地元では対策を講じようとする。ところが、膨大なそこに予算の必要性が生じてきた。これでもしも不幸にして事件が発生した場合に、何ら手を打たないで、そうして多くの犠牲者を出したということになると、それの責任というものは免れることはできないだろう、こういうようにも考えるわけでございます。こういうことがありますので、ぜひひとつ今度のこのコンビナート防災法の中には防災遮断帯、これが当然入っていると思うのですけれども、この点についてはどうかということが一点と、自治大臣にこれはぜひともひとつ決意を聞かしていただきたいのですが、地元では大変に、冷静は装っているけれども、やはりもう心配の大きな種になっていますから、ひとつ住民が安心できるようなかたい決意のそうした大臣の御答弁が心から望まれる、私はそういうふうに考えておるわけですが、お答えをいただきたい、こういうふうに思います。
#210
○佐々木政府委員 コンビナート地帯を有する地域の、特に大地震の対策につきましては、一般住民の居住地域とコンビナート地帯というものを切り離していくということは防災上非常に重要な点であるというふうに考えております。そういう意味におきまして、このコンビナートの地帯の防災対策を考えます場合には、当然防災遮断帯というものが考えられるべきであろうというふうに考えておるわけでございます。そうした防災遮断帯というものをどういう形でつくるのか、これらについて具体的にいま検討を進めておる段階でございます。
 いずれにしましても、防災遮断帯が必要なのはいわゆる危険物あるいは高圧ガスというものを取り扱い、貯蔵している事業所と住民の居住地域というものを遮断をしていこうということでございますから、川崎におきましても、いまの工場地帯の工場立地の状況から見て、相当程度の防災遮断帯というものをつくり得ない状況ではない、これは考えてみればある程度の防災遮断帯的なものは確保できるのではないだろうか、こういうことでいま市の方とも具体的な御相談を申し上げているところでございます。いずれにしましてもコンビナート防災法の立法に当たっては、防災遮断帯というものにつきましては当然考えていかなければならないというふうに思っております。
#211
○福田(一)国務大臣 コンビナート地帯であり、しかも地震の発生の危険性があるという二重の危険性を持った川崎周辺地区の問題につきましては、われわれも非常に心配をいたしておるのでございまして、できる限りの措置をとらなければならないと考えておりますが、さしあたりの問題として警備対策というものが非常に重要であると考えております。これについては政府委員の方から答弁をさせたいと思います。
#212
○三井政府委員 ただいま大臣から申し上げましたが、この点について補足して申し上げたいと思います。
 川崎地区の問題につきましては、地震予知連絡会であのような発表がありました。警察といたしましては、この発表以前から全国の地震の問題については対策を研究しておりますけれども、その中でも格別南関東の大地震の場合の対策というのをかねてから検討しておるわけでございます。この発表もありましたので、この対策のうち、特に川崎周辺地域にこれをしぼって検討を進めておるところでございます。その中で警察のやる役割りといたしましては、特に住民の安全を確保するという観点から避難対策、それからまた被害の拡大を防止するという観点から交通対策について検討を進めておるわけであります。この避難対策につきましては、人命の被害を防止するという観点からすでに東京都及び神奈川県それぞれの基準局と密接な連絡を行っておるのでございますし、また交通対策につきましては、交通規制の要領とか規制線をどこにどのように設定するか、こういうふうな観点から円滑な災害発生時の防止措置、これを行うように検討しておるわけであります。すでに警視庁、神奈川県の県警におきましてはそれぞれ被害の想定といったものもやり、またその場合の具体的な計画の検討ということを始めておりますし、関係の自治体との連絡会議、検討会を実施をいたしておるわけでございます。また、警察だけでやれることでとりあえずやらなければならぬことといたしましては、一月に入りまして警視庁、神奈川県警でそれぞれ通信の訓練を実施しょうという、手近なところから応急対策の推進に着手をいたしたというような次第でございます。
#213
○小濱委員 最も大事な治安ということもありますね。それから避難誘導、交通問題もありましょう。これの警察の責務は非常に大きいと思います。そういう点で、急に応ずる体制ですから、ぜひひとつこれは努力をしていただきたいと思います。やはり最初の一日が最も大事になるだろうと思いますけれども、三日間が勝負だろうと私ども考えておる。さて、川崎の百万市民をどこへ避難誘導するのであろうか。私どもそれぞれやってみました。どこにもありはしない。あるのは多摩川の河川敷ぐらい。あすこから上へ誘導するしかないだろう、あるいは川を渡って向こうへ泳ぎついてもらう。そういう避難場所がまずないのだ。それから食料問題も出てくる。それから水が出てくる。そしてまた資材も欲しくなる。そういうことで、地域では大変な財源が必要になっていくわけです。そういう点で、用地買収だとかあるいはまた移転とか含めて、川崎では四兆円という数字が出ている。大変な金ですね。国から何も出ないのですから全部持ち出しです。そういうことで、事前に何かその対策が講じられるような国の助成措置というものが必要になってくるわけですね。そういう点で大臣にお願いをしておきたいことは、これは公害問題だとか環境問題だとかという問題と違って緊急を要する問題でありますので、ここまで大がかりになってまいりますとやはり何らかの措置を講じなければならない、こういうふうに思いますから、先ほどもいろいろと困っていることがあったら自治省に相談に来てもらいたい、何とかお力添えいたしましょうということでしたが、いいですか、これは。四兆円。そういうことで、ぜひひとつそういう心温かい何かその助言をしてもらうような窓口がなければいかぬと思いますが、これはやはり地方自治体を預かる自治省としては、自治大臣としては、当然何らかの御意見を聞かしてもらわなければならない、こういうふうに思いますが、よろしくお願いします。
#214
○福田(一)国務大臣 私はそのような事態が起きたときには政府が責任を負って、すべてのその後の問題、救済措置、さしあたりの住民の誘導であるとか、あるいはこの避難に対する食料問題とかということは一応考えますが、しかしそれに要した費用その他についても政府が当然めんどうを見る、緊急の立法をしてでもこれに対する対策をすべきであると考えておりますから、これはもう自治省を離れて政府の問題になる、こう考えておるわけでございます。
#215
○小濱委員 大変力強い御答弁をちょうだいいたしましてありがたく思っておりますが、実はこれは私どもが考えついた御提案でございますが、こんなことも考えてみましたのでお話しをしてみたいと思います。
 コンビナート周辺地域の防災対策緊急措置法案というような趣旨の法案をつくるべきではないか、こういう内容でございます。これを五つに分けまして、自治大臣がコンビナート周辺市町村を指定する。第二には、周辺市町村及び県は、コンビナート周辺地域の防災緊急五カ年計画を樹立する。第三に、防災緊急五カ年計画事業に対しては国が大幅な国庫補助制度を設ける。第四、企業に対しても応分の負担を求める。第五、地方団体の地方負担に対しては、交付税及び地方債で十分な財源措置を講ずる。こういうように私どもは考えをまとめてみました。
 国で法律をつくってくれることが確実であり、それは時間がかかっても私どもはその完成を心から望むわけですけれども、今回の場合にはぜひともひとつ緊急問題だという内容をよろしく踏まえて、ぜひとも早急にその完成をされますよう心から要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。大変ありがとうございました。
#216
○大西委員長 次回は、来たる二十八日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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