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1949/12/23 第7回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第007回国会 厚生委員会 第2号
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1949/12/23 第7回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第007回国会 厚生委員会 第2号

#1
第007回国会 厚生委員会 第2号
昭和二十四年十二月二十三日(金曜日)
    午後二時十三分開議
 出席委員
   委員長 堀川 恭平君
   理事 大石 武一君 理事 田中 重彌君
   理事 松永 佛骨君 理事 苅田アサノ君
      田中  元君    丸山 直友君
      亘  四郎君    堤 ツルヨ君
      渡部 義通君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 林  讓治君
 出席政府委員
        (官房会計課
        長)
        厚生事務官   高田 正巳君
        (国立公園部
        長)
        厚生事務官   飯島  稔君
        (薬務局長)
        厚生事務官   慶松 一郎君
        (社会局長)
        厚生事務官   木村忠二郎君
        (保險局長)
        厚生事務官   安田  巖君
        (引揚援護局
        長)
        厚生事務官   田邊 繁雄君
        (公衆衛生局
        長)
        厚 生 技 官 三木 行治君
        (環境衛生部
        長)
        厚 生 技 官 石橋 卯吉君
        (医務局長)
        厚 生 技 官 東 襲太郎君
        引揚援護庁次長 宮崎 太一君
 委員外の出席者
        專  門  員 川井 章知君
        專  門  員 引地亮太郎君
十二月二十日
 委員丸山直友君辞任につき、その補欠として山
 崎猛君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
同月二十一日
 委員山崎猛君辞任につき、その補欠として丸山
 直友君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十二月二十一日
 結核対策に関する決議案(志賀義雄君外三十五
 名提出、決議第四号)
 現行健康保険制度の危機突破のため国庫負担増
 額に関する決議案(岡良一君外二名提出、決議
 第一四号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 小委員及び小委員長選任に関する件
 厚生行政に関する件
    ―――――――――――――
#2
○堀川委員長 これより会議を開きます。
 本日はまず小委員及び少委員長の選任の件についてお諮りいたしたいと存じます。
 厚生行政の中で昨今問題になつております社会事業振興の諸問題及び結核対策の諸問題の十分な検討が必要と考えられますので、この際本委員会に、それぞれ委員十名よりなる社会事業振興に関する小委員会及び結核対策に関する小委員会、この二つの小委員会を設けたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○堀川委員長 御異議がなければ、ただいまの二つの小委員会を設けることにいたしたいと存じます。
 引続きお諮りいたしますが、ただいまの小委員会を設けることにいたしました各小委員並びに小委員長の選任につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、これまた御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○堀川委員長 異議がないようでありますので、社会事業振興に関する小委員に
   青柳 一郎君  大石 武一君
   今泉 貞雄君  中川 俊思君
   松永 佛骨君  亘  四郎君
   堤 ツルヨ君  金塚  孝君
   渡部 義通君  金子與重郎君この十名を小委員にお願いいたしたいと存じます。
 それから結核対策に関する小委員に
   大石 武一君  高橋  等君
   田中  元君  田中 重彌君
   幡谷仙次郎君  丸山 直友君
   岡  良一君  芦田  均君
   苅田アサノ君  橘  直治君の十名をお願いすることにいたします。
 なお社会事業振興に関する小委員長には、松永佛骨君にお願いいたします。また結核対策に関する小委員長には、丸山直友君にお願いいたしたい。かように存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○堀川委員長 それではさよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○堀川委員長 次に厚生行政に関する件を議題といたしまして、質疑を通告順に許すことにいたしますが、厚生大臣は今参議院の方で本会議を開いておりまして、総理大臣のかわりに出席を求められておりますので、その方へ行きましたが、できるだけ早くこちらへ帰つて来ることになつておりますから、その点御了承願いたいと思います。
 それでは通告順によりまして、丸山直友君に発言を許します。
#7
○丸山委員 いろいろ各方面に伺いたいのでありますが、まず第一番に委員長の御所見をちよつとお伺いしたいと考えております。
 御承知のように、第六国会の終りに近く、共産党から結核対策に関する決議案が出て参りました。これに対しましては、結核問題は非常に重要な問題でもあり、かつ各党ともに重大な関心事でもあります。また決議案の内容に盛られておりましたことから考えまして、政府は何らの施策をしておらぬというような強い表示がありましたために、少し検討しなければならぬのではないかというような考えから、いろいろなお話合いがありまして、結核に対する小委員会をつくり、よくこれを練つて、完全なる決議案をつくつて各党の連合においてこれを提出したいという申合せをしたことは御承知の通りであります。そのときの提出者であつた共産党といえども、やはりそれは御承知のことであつたと思います。しかるに今度承りますと、この第七国会に議院運営委員会の方に、委員会の審議を省略するというようなことをつけて、再び同一の結核対策に関する決議案が提出せられたということであります。これは私どもの最初の申合せとまつたく反した動き方であります。どういうふうな御意向であるかということを私ははなはだ疑うのであります。ことに議院運営委員会にお出しになつたのが、委員会に付議せず、委員会を省略してただちに本金議にかけるというようなことに意思表示をせられだとすると、これはますます私として不可解な行動である。こういうようなことをやられまして、ここに委員会に付託せられたということに対して、委員長はどういうふうにお考えになるか。またどういうふうにお扱いになるかを承りたいと思います。
#8
○堀川委員長 丸山委員のただいまのお言葉に対しましては、私も多少同感に存じておるのであります。本月の三日でありましたと存じまするが、本委員会で、その決議案は事重大でもあり、各党愼重審議して、小委員会をつくつて、その上で決議案を練つたらどうか、こういうお約束をいたしておつたことは私どもも承知いたしております。その点につきまして、今丸山委員からお申出になつたことに対しては、何とも申訳ないのでありますが、出された趣旨がどうであるかということは、共産党の方へ聞いてみませんと、私の方ではわかりませんので、理事会でちよつと苅田アサノ君にその点は申し上げておつたのであります。ちようどお晝の時間に、何か党の方で一ぺん聞いてみる、自分はそういう意思じやなかつたんだ、こういうお話があつたのでありますが、その点についてひとつ苅田委員から、何か御答弁があればやつていただきたいと思います。
#9
○苅田委員 ただいまの委員長のお言葉は、多少お取違いがあるかとも思うのですけれども、私が申しましたのは、大体私があのとき申し上げましたと同じような径路だつたと思うのです。つまり今回共産党の方であらためて結核に対する決議案を出しましたのは、第六国会でもつて本委員かいで、この次にはこの結核についての特別の小委員会も設け、またできれば各党の共同提案になる決議文をつくるとか、あるいは法案を作成するとかいうような意向もあつたのでありますけれども、私どもといたしましては、この問題の重要性を考えまして、ぜひこの委員会の劈頭にそのことを問題にしたい。こういう意向でもつてこの決議文を出したのでありまして、ただいまの丸山委員の御発言もありましたし、また本委員会におきましてすでに結核に対する特別の小委員会も設けられておりますので、私どもとしましては、この点で目的は達しておりますので、この決議文は共産党といたしましては、ここで撤回するということを申し上げたいのであります。もうすでに運営委員会の方にも撤回の手続をとつておりますから、さよう御承知願いたいと思います。
#10
○田中(元)委員 今の問題で私関連がありますので申しますが、私議院運営委員をやつております関係から、昨日の運営委員会で前々から神山君と私は折衝しておつたのでありますが、当然この問題は、厚生常任委員会で各党ともに十分審議した上じ、委員会を通じて決議案を出してもらいたいと思う、聞くところによると小委員会もできるからそういうことでいいのではないかということを、私神山君に申し上げておつたのであります。昨日も各決議案がたくさん出ておつたのでありますが、その際にも神山君は私の名前を指名いたしまして、この問題は委員会に付託したいと思うからよろしくということだつた。きよう撤回されておるかどうか私はわかりませんが、一応そういうことで運営委員会におきましては、共産党の神山君と民自党の私の方で話合いはついております。ただ私非常に不審に思つたことは、第六国会の終りに出して委員会に付託された決議案が、突如として共産党の方から運営委員会にまわつて来たということであつて、今後はそういう問題が起きないようによろしくおとりはからいを願いたいというふうに考えております。委員長の方にも申し上げると同時に、共産党の方にも一言それを申し上げて。きたい。かように考えております。
#11
○堀川委員長 今丸山君並びに田中君の方から申されましたように、本月の最終日の十二月三日にああいう申合せをいたしておりましたのに、こういうことが出たということは、私といたしましてもはなはだどうもおもしろくないという感じもあつたのでありますが、今苅田君から撤回されたということであります。苅田君の御意思は共産党の本部の方へはその意思を通じられておつたそうでありますが、しかしああいう手続があつたということに対しましては、どうも皆さんに申訳がないと存じまするが、今後委員会の申合せは十分に本部の方へ御通達願いまして、取違いないようにひとつお願いしたいと思います。
#12
○苅田委員 事務上の連絡に不十分の点があつたと思います。本部はここに関係はないです。これはおそらくこの委員会ではつきり再確認してもらいたいという程度のものでなされたと思うのです。ところがそういう点が、ここではもうすでに小委員会もできるということになつておつた。このことを御存じなかつたのではないかと思うのです。そのためにそういう多少の手違いはあつたかと思いますけれども、今後はそういう手違いがないように気をつけます。
#13
○丸山委員 ただいまのいきさつも大体了承いたしましたが、苅田委員からここで撤回したのだというだけで法的の手続は済みますか。
#14
○苅田委員 すでに運営委員会の方にもそういう手続をとるように申出ております。
#15
○堀川委員長 委員長といたしましてもまことに申訳ありません。どうぞ御了承願います。
 それでは通告順によりまして丸山委員からお願いいたします。
#16
○丸山委員 保険局長に伺います。前国会において政府支拂い促進に関する特別委員会が設けられ、それによつて改府支拂い促進に関する法律ができたことは御承知の通りであります。この政府支拂い促進に関する法律の中に、健康保險の政府支拂いの遅延が包含せられるかどうかということについて、その特別委員会の席上で質疑応答が行われておりますが、その際に濱中法制局参事の答弁として「健康保險の指定医に対する診療報酬の支拂いでございますが、これも政府と指定医との間に診療契約が締結せられておりますので、この契約も政府契約でございますから、当然その場合にもこの法律が適用になると思います。」という答弁があつたのでございます。また討論の際において大上委員から言われておりましたことで、「本特別委員会がこの法案作成につきまして意を用いました立法精神は、これの施行せられるにあたりまして担当部門であるところの行政官庁がどのような運用方針をとるか、どのような内部における事務規程をつくつてこれを運用するかという点にあるのであります。これを嚴に注視する必要があろうと思います。われわれはこれを実施する面においては、われわれの、あるいは国民の声としてさらにこれが十分嚴正に守られんことを特に希望する」というような討論が行われておつたのでありますが、保險局の当事者としては、この問題に対してはいかようにお取扱いになるお覚悟でございますか。
#17
○安田政府委員 お答えいたします。政府支拂いの遅延防止の法律案のお話でございますが、衆議院の法制局でもあれに適用があるというような見解をとつているようであります。また私ども参議院の方の委員会に呼び出されまして、これは健康險の診療報酬にも適用するのであるというようなお話を伺いました。従つて国会の御意思もそこにあるということは、提案理由の御説明を見ましてもはつきりわかるわけであります。私は参議委員の大蔵委員会に出しましたときにも申し上げたのでございますが、もともとこの法律が土木工事の支拂いでありますとか、あるいは一般の品物の納品あたりに適用になるという書き方がしてありますために、健康保險の保險医に対する支拂いというような特別なものにつきまして、それをそのままあてはめるのにはいろいろ疑義が出てくるということを申したのでありますけれども、とにかく適用があるのだというようなお話でございました。それで私ども、あれが施行になりましてから、早速衆議院の法制局の方とも御相談申し上げておりますし、政府部内でそういうことを解釈する最高の機関であるところの法務府の中の調査意見局の方にも、いろいろお伺いを立てております。なお大蔵省とも相談いたしたのであります。そこで法務府の方の今までの非公式の意見といたしましては、各個人々々のお医者さんと政府の間に、あれがそのまま適用があるということは考えられぬ。支拂基金と政府の間にこの法律が適用になるのではないかということを相当はつきりおつしやつております。しかしこれは私どもとしては、もう一つ手続をはつきりいたしまして、正式に文書で諮つてからきめたいと思つております。大蔵省の見解も大体そういうようなことを考えているようであります。それから衆議院の法制局の方で、も、私どもの方の下僚の者が行つて聞いたところでは、そういうような解釈をとつておるようであります。と申しますのは、保險医を指定するという行為が医師との間の契約になるかどうかということ自体にも疑問があるのでありますけれども、なお実際問題といたしまして、各保險医が診療を終わつた時期、またそれによつて支拂いを請求した時期、それから政府が基金を拂つて、基金がまた各個人のお医者さんに支拂いを完了した時期というようなことを、あの法律に規定されておりますところの期日の起算点にいたしますことは、実際上おそらく不可能だと思います。これは全国七万、あるいはそれ以上もあるお医者さんでありますから、ほとんどできぬのじやないかと思います。それからまた一人々々について違つた利子を計算するということは、実際上できぬじやないかという理由も相当あるのではないかと思います。また基金の方といたしますと、基金が給付を完了する時期はいつになるだろうかという疑問がある。基金が給付を完了した時期ということは、これはお医者さんに基金が支拂つた時期ということになると思います。それから計算いたしますと、いつまでたつても、この規定の適用がないというばかなことになる。そこでそこらのところは、何とかうまく法案の趣旨に沿うように解釈できぬものかということで、今申し上げたような機関にそれぞれ相談をいたしまして、研究をしておるところでございます。どうぞひとつ御了承願います。
#18
○丸山委員 いろいろ御努力中であるということは承りまして、かつこの法律の精神をなるべく生かして使いたいという御精神のあることは満足いたしまするが、しかし保険医が政府と診療の契約をすることは、やはり政府との契約であるということは、濱中さんのお考えの方が正しいのではないかと私どもは考えております。支拂基金を通じているということは、支拂基金というのは元来一つの取立て機関であります。プール機関であります。あれは走り使いをするような役目である。仕事をするのは医者がやる。それの契約の対象は政府である。基金はその金の取次ぎ役であり走り使いでしかない。走り使いでしかないのでありますから、その間の支拂い請求書の時期の問題とか、書類に関してはいろいろ複雑な関係もあると思いますが、あれは支拂基金を相手に契約しているのではない。あれは支拂基金でしかないという考えから、この法律を政府が十分生かして使われるように御善処あらんことを特に希望する次第であります。
 次にこの前の第五国会において、例の百日せきワクチンによる注射禍の問題について、かなりやかましくいろいろと言われました。その節まだ調査不十分であるためにはつきりしないというような御答弁があつた部分があつたのであります。その後大分時日もたつておりますので、いろいろ御調査になつた結果おわかりになつた部分もあろうかと考えます、また新しい事実もあろうと思いますので、これに対する経過を一応承りたい。
#19
○三木政府委員 速記を止めて申し上げたいと思います。
#20
○堀川委員長 速記を止めて。
    〔速記中止〕
#21
○堀川委員長 速記を始めて。
#22
○丸山委員 これは非常に重大なことであります。注射によつて結核の罹病者が出たということさえも大問題と考えておりますのに、そのトラブルの起つた原因が、ワクチンの入れ物からワクチンを抜き取つて、結核菌の純粋培養を入れておつて、それを注射するということは、非常に重大な問題であります。この問題に対して、もちろん検察庁といろいろ御調在中であるということでありますが、厚生省当局としては今後こういうことの起らないためには、どういうふうな具体的の処置をおとりになるお考えでありますか。たとえば各市町村に配付いたしまする注射液の保管は、これは特別な金庫に保管させるとか、よほど厳重な処理をなさいませんと、非常に重大な社会問題を引起すと思います。また島根県において起りましたジフテリヤの問題のような、ああいう原因のはりきりしたものであつても、それを用いて注射した医者は、業務上の殺傷罪として起訴されている。こういうことが大きな社会不安となり、また犯罪と結びついたときにおいては、実際注射に携わつておる医者の責任を問われる危險がある。これでは安心して医師たるものが予防注射に携わることができないと思います。この点に対して十分な御覚悟が必要と考えますが、どういうふうにお考えになりますか。
#23
○三木政府委員 ワクチンの注射の実施にあたりましては、御指摘の通り今後格段の注意を必要とすることは、私どもも先ほど申し上げました通りでありまして、このワクチンの製造をやつておりまするところの施設のなお十分なる管理、並びにできました薬品のワクチンの検定、これは今日非常に嚴重にやつておるのでありますが、さらにその輸送途中における注意及び保管上の注意というものにつきましては、方全を期して明瞭な責任者が責任を持つて堅固な施設に格納するというような措置が必要である、かように考えておるのであります。御指摘になりました点につきましては、政府当局といたしましても、十分に留意いたしまして善処するつもりでおるのでございます。
#24
○丸山委員 どうぞひとつよろしくお願いいたします。それから医務局長にお伺いしたいと思います。この前の第五国会だつたと思いますが、例の診療所の四十八時間問題についてお伺いいたしたことがあります。また診療科名の問題についてお伺いしたこともあるのであります。診療科名の問題につきましては、医道審議会の発言が重要である。しかも医道審議会の中に発言権を持つておるところの日本医師会の会長もおられるのであるから、その方面のお考え方も相当に重要だろうと承つておつたのであります。しかしなお今日そのままになつておるのでございますが、これは実際の医師の利益というようなことではなくて、社会一般大衆があれだけの診療科名ではなく、もう少し範囲を広くすることを熱望しておることは、多分御承知だと思います。すでに東京において胃腸病院が銀杏病院と書いていちよう病院と読ましておるという事態が起つておるのであります。これは医者がその利益ということだけを考えておつた場合には行われない。これは社会大衆のために必要であるということを考えるのであります。これに対してどういうお考えを持つておられますか。さらに先だつての医道審議会の結果はどうなつておりますか。また今後はどういうふうにした方がいいとお考えになりますか。実は関係当局の方においても、この問題は御了解を得る見込みがあるやに私は承つております。その辺の消息もお伺いしたい。
 また四十八時間問題につきましては、これも同様なことでございまして、これは医者の利益ということではなく、現在の医療施設の段階においては患者そのものの不便が非常にひどい。この点に対する何らかの緩和の処置をおとりになるお考えがありますかどうか。
#25
○東政府委員 まず診療科名の問題についてお答えいたします。今お話のごとく医道審議会におきましては、ほとんど毎回と申してよろしいくらいこの問題については論議をかわしております。あの医療の診療君名の制限の根本の考え方と、その後診療科名をふやした方がいいという今の考え方との間には根本的な食い違いがありまして、少くとも現在の医療法が、医薬制度調査会によつて、その原案が審議されまして決定いたしましたそのままの筋を固くとつて参りますと、医道審議会におきましても、あれ以上診療科名をふやすことはできない。すなわちあげてあります診療科名はあくまでも専門科名ではないのでありまして、いかなる医師といえども、医師の免許状な得た医師が当然標榜し得る科名としてあげてあるのであります。さような議論をして参りますと、現在の診療科名をふやす必要はないという結論になるのでございます。また一方医療を受ける側から見て、ある特定の医師がある特定の診療科においてすぐれた技術と申しますか、専門的技能を持つておるというふうなことを示すことは、これまた必要なことでありますので、一方専門医並びに専門科名という問題が早急にきめられなければならないということも、これもその通りでございます。そこでただいまも申しましたような医療法の根本の建前と、患者の受ける利便とついう点との間に、一見安協の道がないような状況になつておつたのでありますが、日本医即会におかれましても、この問題をいろいろと御審議になうつておりまして、その御意見等は厚生大臣に御提出になつております。私どもも日本医師会の御意見は、十分これを尊重する意向を持つております。現在のところ私どもといたしましては、診療科名が診療専門科名と混同あるいは同一視せられるということは、これを極力避けたいとは思いますが、また一方専門科名というものは決定しもしくは専門医の制度が確立するまでの暫定的の措置として、この間に何らかの妥協点と申しますか、見出そうということにも十分な努力を拂つております。従つて医道審議会といたしましては、積極的に診療科名をふやすというふうな措置には出ないものと考えられますけれども、一方医師会方面の診療科名に対するお考えが輿論の支持を得られまして、そして法律改正にまで及ばれるという場合がありますれば、これは輿論の支持があるのでありまして、私どもとしては何らそれに苦情を申し上げるべき立場ではないのであります。もつぱら目下のところは医師会の御決定と申しますか、医師会がいかなる方針といかなる態度をもつてこの問題の積極的解決に当られますかということを、実は静観しておるという状況でございます。
 それから四十八時間制の問題でありますが、この規定を今ただちに、あるいは比較的近い将来に緩和する意向かというお尋ねに対しましては、さような緩和の意思は持つておりません。ただしかしながら四十八時間制がしかれました場合に、患者それ自身の受けます不便、不幸等のことがあつてはならないのでありまして、この点につきましては実情を十分に調査する必要を感じておりますので、医務局といたしましてはすでに先般も三班の調査員を派遣いたしまして、その特定の地域における収容施設と診療所と、そしてまた患者の受ける利便、不便等についての実情の調査を始めております。これをできる限り全国にわたつて、いろいろな程度――文化の程度あるいは医師の分布の程度のいろいろな地域について行いまして、その実情に即して処置をとりたいとは考えておりますが、重ねて申し上げますが、今ただちにこれをかえるというふうな考えにはなつておりません。
#26
○丸山委員 先般病院監査を行われましたはずでありましたが、その結果のあるいは多少御報告を集めておられると思う。また病院監査の結果、当然いろいろな不良な、規格に適しないものがあると思いますが、その数はおわかりになつておりますか。
#27
○東政府委員 御承知の通り病院監査は、各都道府県の監査員がそれぞれ都道府県について行つておりますので、私の知つております限り、太部分の都道府県は、少くとも一回のインスペクシヨンは行つております。そして県によりましては念のために第二回のインスペクンヨンをやつておりまして、一、二の県につきましてはその結果等も拝見して参りましたが、まだ私の方の手元には、公式の監査の結果の報告は集まつておりません。おそらく本年度末に全部集まるのではないかという見過しを持つております。と申しますのは、各日地方とも大体病院監査の目的並びにその真意が相当徹底いたしましたと見えて、つまりこの結果によつてでき得る限り病院の質を向上させるように指導し、協力するという方向に進んでおりますので、一回の監査について不備な点については、いついつまでにこれこれの点を改良しておかれるようにというので、今第二回目の監査をいたしまして、そしてその向上のあとに従つて採点がだんだんよくなつて来ておるというような状況であると承知しておりますので、おそらく三月末ごろに、全部私どもの手元に参るのではないか。多少当初の予定よりは遅れましたが、そのように感じております。
#28
○丸山委員 監査の結果、ある欠陥がある。それを直すには資材がいるというような場合に、資材のあつせん等にも十分な御識力になつておりますか。
#29
○東政府委員 これもすべての県についてのことは存じませんが、私が最近出張いたしまして実情を知りました二、三の県につきましては、その県においてできる限りの援助を與えております。また私の方からはたえずその点について、物資のあつせん等の援助を與えよということを指示いたしております。しかしながらさように言葉では申しましても、実際病院の管理者、経営者が満足せられる程度にまでその援助が及びますかどうかについては、疑いは持つております。しかしながら少くとも十分な援助を與えようという心持で監査員が臨んでおりますことは事実でございます。
#30
○丸山委員 厚生大臣が見えましたら質問いたしたいと思いますので、厚生大臣への賛同は保留しておきます。その折に局長あるいは課長等にも関連した事項をお伺いすることにいたします。これをもつて質問を打ち切ります。
#31
○堀川委員長 それででは田中先君。
#32
○田中(元)委員 医務局長にお尋ねいたします。第七国会に提案の予定の医療法人というのが出ておりますが、社会保障審議会等におきまして、医療制度の問題に対して、根本的な意見が今日闘わされておる最中であります。医務局長は将来の医療制度をどういうふうにしたらいいかという考えを持つているかをお伺いしたいと考えております。
#33
○東政府委員 医療制度の問題は、社会保障制度等と密接な関連を持ちますもので、きわめて重大な問題であると存じます。私どもといたしましては、この社会保障制度審議会の審議の状況、もしくはその御決定の模様によりまして、あるいは私どもが在来とつて参りました医療制度に対する考えを改変しなければならないことがあるやも知れぬと私は存じておりますが、まだその結論等が明確になつておりません今日では、私どもといたしましては一昨年から昨年へかけまして、主として医療制度審議会において審議され決定いたされました医療制度に対する根本的な考えを、そのまま現存も踏襲いたしております。要約いたしますれば、いわゆる公的な医療機関と、そうして開業医をもつて代表される私的な医療機関との二本建で参りますが、しかしながら政府として具体的にこれを促進する、政府として積権的にこれを促准するのはまず公的医療機関である。すなわち公的医療機関の整備ということを主流といたしまして、そうしてこれにこの公的医療機関が及ばないような場合、あるいはそういうふうな地域、もしくは公的医療機関を別に必要としないような対象というようなものも多数にあるわけでありますから、そういうところに対しては私的のいわゆる開業医というものの力を主として発揮していただく。すなわち公的医療機関を主流とする公的並びに私的医療制度の二本建ということを根本の考え方にしております。従つて現在の医療法におきましても、特に公的医療機関というような部分を設けまして、今までの医療法にはございませんような公的医療機関に対する補助等の規定を設けたわけでございます。
#34
○田中(元)委員 医務局長は、今の開業医の制度に関しましてば一層これを後援して行く、あるいは擁護をして行くというような考え方を持つておるということはかわつておりませんですか。
#35
○東政府委員 ただいま申し上げましたように、政府として積極的に援助と申しますか、進めて参りますのは、公的医療機関の方であります。といつて私的の医療機関、開業医を圧迫するとか、もしくはこれをして自滅させるとかいうような考えは毛頭持つておりません。そうしてでき得る限り、開業医の方が何と申しましても現在においてはその数において、またその診療対象の数においてははるかに多いのでありますから、将来はその技術がどういうふうにかわつて参るかもしれぬと思いますが、少くとも近い将来においては、開業医というものが日本の医療の相当大きな部分を担当することは事実であります。従つてこれに対してやはり今まで通りの開業医に対する厚生省の在来の態度はかわらずにずつと参るつもりであります。ただしかしながら開業医というものが、従来とはその趣きをかえなければならない。また当然かわつて来るだろうという予想は持つております。
#36
○田中(元)委員 これは後ほど厚生大臣に承りたいと思つておりますが、時間等の関係がありますので、ちようど医務局長と社会保険局長が並んでおりますから、お二人に聞くことはどうであるかよくわかりませんが、当然医療の問題は患者対医者の問題でありまして、健康保険の医療であろうとも、一般医療であろうとも医療にかわりがない。かように考えますと、最近社会保障がだんだん審議会などで進んで参りまして、どういう結論が出るかは別といたしまして、当然健康保険というものが大きく医療の中に入つて来ておる。この場合において医務局の中に社会保険局の医務と申しますかへそういうものを一括して厚生省の医務局自体がそういうようなもの全体をやるという考え方を、今厚生省で医務局長、社会保険局長の間に話合いがあるかないかということを承つでおきたい。これは厚地省の設置法自体が、将来において社会保障審議会の結果どういうふうにかわるかは別といたしまして、私は非常にその点においていろいろな問題があるのではないかというふうに考えておりますが、この際、立場を異にしておるお二人から聞くのはちよつとまずいのではないかと思いますが、率直にこの際、内輪の委員会ですからお伺いしたいと思いますが、その点いかがでございますか。
#37
○東政府委員 将来の医療の面におきまして、社会保険がきわめて重要な地位に立つということは、これは間違いのない事実と思います。なお進んで申しますと、医療の主体は社会保險医療になると思います。またそうならざるを得ぬ情勢だと思います。従つてこの社会保険というものを、医療を中心に考えますと、これはどうしても医務局が全責任を持つてその行政に当らなければならないという形になるのであります。しかしながら一方また保険経済の面を重要視して、その方に主体を置いて考えますと、これは医務局当局の力の及ぶところではないのでありまして、現行のような保険局ということになつて来るのであります。従つてこの社会保險を扱いますのに、どちらに重点を置いて行くのか。いわゆる被保険者、国民のためにより幸福であるかということの見通しによつて、現行のような機構、もしくは社会保險といえども、その医療の面はこれを医務局のもとに置くということにしますか。それによつて私は決定されるべきものと存じております。なお申し上げますが、いまだ保險局長とは、この問題について胸襟を開いてと申しますか、ざつくばらんにお話合いをしたことはございません。いずれいたす機会があるとは存じておりますが、まだいたしておりません。
#38
○田中(元)委員 それでは社会保險局長に承りたいと思います。今の医務局員の御答弁で了承いたしました。今後とも緊密な御連絡を要望いたします。
#39
○堀川委員長 大臣がお越しになりましたから、とうぞ大臣のもあわせて御質問願います。
#40
○田中(元)委員 厚生大臣に今の問題を承りたいと思います。私の質問を繰返します。
 社会保障審議会が今継続中でありますが、その結果、厚生省は厚生省設置法案等を出して、厚生省と労働省の間に社会保障省をつくるような考え方を持つておりますか。持つておりませんか。ちよつと御答弁いただきたい。
#41
○林国務大臣 まだただいまのところ、そこまで行つておりません。従つて社会保障制度審議会の審議をまつてからやることでありまして、まだそこまで答申ができておりません。
#42
○田中(元)委員 厚生省の内部における機構も、そのとき同時に改革するものと考えてよろしゆうございますか。
#43
○林国務大臣 まだその点につきましても答申をまつてからでないと、全然お答えをいたすまでの範囲になつておりません。
#44
○田中(元)委員 社会保険局長に承りたいと思います。よく問題になります医師、歯科医師等が今日医業を続けております中におきまして、相当な生活と申しますか、これに関通じた深刻な問題があるのであります。医療制度はどうなるであろうかという問題が一面あると同時に、税金の問題で非常に悩んでおるのでございます。医者はよくもうかるとかもうからないとかいうような議論をいたすのでありますが、医療そのものは物ではなくて、これは多分に生活上不可分な、単なる唯物的な考え方だよで行けないものではないかというふうな点は議論をまたないのであります。一体健康保険の料金のうち社会保険局長としては、その勤労研得が何パーセントくらいであろうと考えていらつしやるか。ちよつと承りたいと思います。
#45
○安田政府委員 お医者さんの診療報酬必ずしも十分とは存じておりませんけれども、現在の点数制度というのは、御承知のようにいろいろ関係者の代表が集まりました診療報酬算定協議会できまつているようなわけであります。大体その中でどの程度がお医者さんの利益になるかということでありますが、算定協議会できまりました場合には、数字が違うかと思いますが、たしか二三%かその程度のように聞いております。ただ税務署の税をかけます場合の見積りというものと、それから算定協議会で二三%という数字を出しました基礎においては若干の相違のありますから、それがそのまま税務署の方の所得税の課税の基礎になるかどうかということは、多少の問題があると思いますが、ただ私どもとして希望いたしたいのは、一般診療と社会保險診療においては、そのように報酬の点で違いがございますので、それを一緒にして同じような割合で所得税をかげてもらうのは困る。そこのところははつきり区別してもらいたい。こういう方針でございます。
#46
○田中(元)委員 それでは、保險局長としては二三%内外が所得であるというお考えのわけでございますが、そういたしますと、厚生省は大蔵省の主税局に向いまして、少くとも平均が二三%内外であるということに対して正式な御交渉を願いたい。今日私の聞きます範囲内では、各地各様な違いがありまして、いまだに医師、歯科医師の税金の問題というものが、各地において相当な摩擦を起しております。少くども健康保険の監査をやつております社会保険局長はおわかりのことと思いますが、医師にしても歯科医師にしても、相当でたらめな診療をして、中には保険医を取消されている者があるという状況であります。これは医者そのものが本質がよくない点もあると思いますが、その点について、国民として税金を拂うことは当然だと思いますけれども、今日の段階において過重な税金を課せられるということは、よほど考えられなければならぬことであると思う。ともかく社会保険制度のようなものができて、どうしても医者は今後は昔のような開業医でしかるべくやつて行くという状況ではなくなると思います。また国家としても、医者に対する要求は相当強くなると思いますが、この際主税局との間に、あるいは厚生省等を通じまして、閣議でもよいのでありますが、大体医者の医療費というものの社会保険における率というものはどのくらいが基準だろうかということくらいは、この際私はきめてりいただきたい。これは希望でもあると同時に、その点については至急やつていただきたいというような要求をいたしたいのであります。この点しかるべくおとりはからいを願いたいと思います。
#47
○安田政府委員 たいへんこれはむつがしい問題でございまして、今申し上げましたように、医者の方に支拂いますところの診療報酬の單価なり点数をきめます場合、今申し上げた数字が大体の利益であるというように見積られております。しかしそれについても、すでに税金等が片方においては支出の中に入つているし、税務署の方ではそれを支出と見ないというようなでこぼこがいろいろありますし、また税務署の方、大蔵省の方の見解は、とにかく利益があるところに所得税をかけるのはあたりまえであるというような見解であります。従つて全国一律に二割とか三割とかいつても、田舎と都市ではそこに違いが出て来る。あるいは診療所のような様式をとつているところと、病院のような大きいところとの費用の程度も違つて来るということがあります。ただ私どもの要求し得るのは、社会保険の診療というものの報酬の基礎はこういうことである、従つて医者に対しても相当勉強を願つているのだから、この方の税金はできるだけ負けてくれという話はしばしば話しております。しかし向うとしてはそれではどれだけやるかという場合、甲の人も乙の人も、甲地にいる人も乙地にいる人も、同じ割合で引くということは徴税の原則からいつてできない、こういうことであります。来年度からはシヤウプ勧告によりまして、詳しい内容は知りませんが、帳簿等をはつきりつけまして、それによつて費用とそれから収入というものがはつきりわかれば、それについて幾らというものがかげられるということも申しておるわけであります。その程度でございます。
#48
○田中(元)委員 私重ねて申し上げておきたいと思いましたが、これは各地各様の場合に違うとは思いますけれども、大体の基準額だけは、厚生省から大蔵省へ強く要望すると同時に、こういろ問題をはつきりさせていただきたい。これは医師会としては非常に重大な問題でありまして、税金を拂いたくないからどうのこうのという問題ではないので、あります。各地には非常に差がある。あるところでは医療費の六〇%ある、あるところでは四〇%だと考えておるように、個々の医師の一般患者だけから見ておるものと、社会保護政策から見ておるものとの差が当然考えられるのであります。今までのところはそういう点もなかつたというようなことでございまして、朝から晩まで健康保険の患者を徹頭徹尾見ておつて、収入を上げて来た医師も、あるいは一日二人か三人の患者を見て相当な収入を上げて来た連中も、収入の面では同じであつたという関係から、非常に不公平な点もあつたようであります。そういう点につきましては、厚生当局と大蔵当局の間に、十二分なる御研究と御検討を重ねていただきまして、一日も早く明朗な医療ができるように私は要望したいと思います。これで私の質問を打切りたいと思います。
#49
○堀川委員長 それでは丸山君、大臣に……。
#50
○丸山委員 厚生大臣に御質問申し上げます。いろいろお伺いしたいのですが、まず一番最初に人口問題に関する質問をいたしたいと思います。
 第五国会において、この厚生委員会で人日問題に関する小委員会ができまして、その結果本会議において五月十二日決議案が御承知の通り通過しております。この日本の人口をいかにするかという問題に対しまして、そのとき、あげられた條項は、第一番目が日本の各種産業の振興をはかつて国土の開発、食糧の増産等によつて多数の人口を養うことができるようにしようということが第一番目であつたのであります。第二番目が人口の自然増加を押えようとする方法で、第三番目は将来の海外移民に関して調査研究の準備をすることであつたはずであります。この中で厚生省所管事項は、もちろんこの第二番目の人口の自然増加を調節することであると考えますが、幸いに厚生大臣は副総理でおられますがゆえに、あわせましてこの際各種産業の振興、国土の開発、食糧の増産等によつて、現在の日本の人口問題の処理についてお見通しは明るく、希望を持つておられるかという概括的の御見解でよろしゆうございますが、承りたいと思います。また将来海外移民に関する点も、講和会議がまだ行われておりません今日、ただちに御返事を承るわけには参らぬと思いますが、これもどの程度に目下御努力中であるか、どんなお見通しであるかということもお漏らし願えればたいへんけつこうだと思います。
 第二番目にあげておりました人口の自然増加を押えるということは、厚生省の所管事項なのでありますが、この実際の運用を拝見しておりますと、ただいまのところ不幸にも人口妊娠中絶が漸次に増加して来ておることが見えますが、受胎調節に関してはどうもまだ普及徹底を欠いておる。あるいは避妊薬というものが公に認められまして、発売せられておりますが、その効果ははなはだ怪しいというようなことから、近来売行きは激減しておるということも聞いております。一方保健所における優生結婚相談所は、経費の関係あるいは事務的の関係もあると思いますが、まだその軌道に乗つておると考えられません。こういうことに関して、これからのお見通し、御覚悟、抱負など承りたいと思います。この御返答を承りまして、また次に他の問題を承りたいと思います。
#51
○林国務大臣 ただいまの人口の問題は非常にむずかしい問題でして、私どももこの間審議会からの御答申だけはちようだいいたしまして、そういうような関係から、なるべく御答申に基いてこれを決定して行くことが、衆知を集めたこの問題を解決する上における一つの方法ではなかろうかと考えておりますが、私その点まだ詳細に存じておりませんから、明確なるお答えを申し上げることは、はなはだ残念ながらできかねるわけであります。なお人口の問題で調節をするようなこと、あるいは避妊薬を用いるようなことについてどういうとりはからいをしていいかということについて、道徳的な問題であるとか、あるいは実際の点であるとかいうような問題について考えまして、私どもとしては非常に苦慮いたすわけであります。従いまして、どうした方がいいかという名案の持ち合せが実はございません。都会などにおきましては、知識階級の連中と申しましようか、その方々が若干使用しておられるようなことも承知しておりますのと、農村においてはこれが普及ができておらないから、これを普及した方がいいじやないかというような御注文もありますけれども、これに要します避妊薬を求める経費の問題であるどか、これらにつきましては相当の安いものを提供するようなぐあいにはいたしたいと考えております。聞くところによりますと、富山の薬屋さんなどが農村などの家庭に袋に入れまして、これらの調節をはかる一つの資料といたしているというようなことも伺つたのでありまして、これなどは羞恥心を持つております人間からすれば、一つの方法ではなかろうかと考えているわけであります。私どもといたしましては、ただいま丸山さんの御質問に対して、どういうふうなぐあいにしたらよかろうかということにつきましては、あまりはつきり申し上げられるだけの材料の持ち合わせがございません。なお今後人口の見通しなどにつきましては、専門の方がおりまして、数の上においていろいろの御説明が願いたいと思いますが、昨年まででしたか議会などの答弁では、少しく下まわつて来ているような状況に立ち至つているもののように考えるのでありまして、その後の統計などについては、専門の方からお答えを願うことに“たしたいと考えるわけであります。
 なお海外の移民の問題につきましては仰せのごとくまだ講和前でもありますし、私どもとしては、希望は幾らも持つておりますけれども、この際申し上げることは差控えたいと考えるわけであります。
#52
○丸山委員 あまり確実な御見解を持つておられないということになると、少々心細くなつて来るわけであります。私は厚生省の所管事項として、厚生大臣から実はこういうことを承りたかつたのであります。人口妊娠中絶の形で行かないで、受胎調節の形でこれを推進させなければいけない。そうするのには、現在の保健所をどういうふうに運用したらよいか。何かそれに対する具体策、考え方はなかろうか。優生的結婚相談所というようなものをつくることに法律上なつておりながら、現在事実においてはつくられておらない。ほんとうに少い。ほとんどありません。こういうようなものを予算的処置その他において強硬に推進して、この方面に御努力なさる御抱負がないかしらと思つて、実は御返事を承りたかつたのであります。
 それから海外移民のことはおつしやる通りであります。しかし技術者の海外進出ということは、もうすでに行われ始めている部分もあるはずであります。そういうことも副総理としては何かおつしやることはなかろうか。かように考えて伺つたのであります。
#53
○林国務大臣 私どもといたしましては、移民の点について申し上げるだけの材料を持ち合せがございません。しかしながらインド方面であるとか、あるいはその他海外に対して発展し得られるような人間は、これから続々続いて出て来られるじやなかろうかという、漠たるこちらの希望的と申しますか、うわさなどは聞いておりますけれども、具体的にどういう方面にどうだというまでには、まだ立至つておりません。
#54
○丸山委員 人口問題はそれで打切りまして、次に医師の調剤権について伺いたいと思います。医薬分業ということが近ごろやかましくなつておりますことに多少関連性がございますが、一体医師に調剤権というものがあるのかないのか。まずこれをはつきりと承りたい。これは私はこういうことを考える。調剤というものの定義は、ある薬物をあるいれものから分取する、わけとるということも一つの調剤である。一つの薬物を他の薬物に混合することも調剤であります。具体的に申しますと、日本薬局方の食塩という薬物を、日本薬局方の蒸留水という水の中に溶かすということも一つの調剤であります。医師が医業を営み、医業を行う上において、私はかくのごとき行為は当然行われなければ、医療というものは完全に行われないものと考えております。その意味において、医師には根本的に調剤権ありと私は考えますが、それに対していかがお考えですか。
#55
○林国務大臣 現在のところ、お医者さんは自分の患者に対しましては、みずからするだけの権利が認められているようであります。
#56
○丸山委員 少し不満足に考えますが、自分の患者に対しませんでも、その薬を溶かすということが調剤であります。それを患者に付與するとせざるとは第二。ただ溶かして蓄えておくことも調剤であります。その権利があるかということ。
#57
○林国務大臣 今、薬務局長からお答え願います。
#58
○慶松政府委員 調剤の定義なんでございますが、今の薬を溶かすというようなことそれ自身は、大体定義づけますと、調剤とは言つておらないのであります。調剤とは薬をつくりまして、そうして患者にやる戸とそれ自身を調剤と言つていると思います。
#59
○丸山委員 患者にやるというのはどういうふうなやり方を意味しているのでありますか。やり方をはつきりと……。
#60
○慶松政府委員 患者に指示を與えて渡し、患者自身が用いるということであります。そういうふうに患者に指示を與え、患者自身が用いる楽をつくつて渡すこと、これを調剤と申します。
#61
○丸山委員 間違いございませんか。
#62
○慶松政府委員 その通りであります。
#63
○丸山委員 指宗を與えないで渡した場合には調剤でなくなるのでありますか。あるいはまた患者自身でなく、他人がそれを用いた場合には調剤でなくなるのでございますか。あるいは用いるべき命令を與えて渡しても、それを用いなかつた場合には調剤ではございませんか。おのおの三つの条件一つ欠いても調剤ではございませんか。そこをはつきり……。
#64
○慶松政府委員 薬事法によりますと、薬をある治療の目的のために調合いたしまして、それを患者に渡し、患者が用いる。薬を調合いたし、患者の治療に用いるために、そうしてそれを患者に渡す目的をもつて薬を調合する、これが調剤だと思います。
#65
○丸山委員 そういたしますと、少し定義がかわつて参りましたが、渡す目的をもつてするのが調剤ですか。渡さなければ調剤でないんですか。
#66
○慶松政府委員 私はそうだと思います。特定の患者に対しまして、その患者に使用せしむる目的をもつて薬を調合する。これが調剤だと思います。
#67
○丸山委員 ある法理家から承りますと、日本薬局方の脱脂綿というものは一つの包みになつている。その紙函をあけて、綿棒という棒の先にある一定の分量をとつて巻きつけて、それにマーキュロクロームという薬をつけて患者につける。そういうことも医師には権利がないか。そういう点をはつきり……。
#68
○慶松政府委員 私はそういうことは調剤とは考えられないと思います。
#69
○丸山委員 法理家はこれを調剤であると、確かに私に言明している。私は医薬分業に関連しておりますから今承つているのでありますが、今藤松局長のお話を承つておりましても、医師の調剤権というものの定義が、まだ確立しておらないというのが現在私の意見であります。この調剤権というものの確立ができておらないうちに、医師の調剤権というものを云々し、医薬分業ということを言われるのがまず誤りである。まず第一に医薬分業ということにおいては、医師の調剤権というものの定義を確立することが必要である。その点に対しては、厚生大臣いかにお考えですか。
#70
○林国務大臣 素人の私としまして、まことに何と申し上げてよいかわかりませんが、その辺の法律の問題はよく研究いたしたいと存じます。
#71
○丸山委員 慶松局長の御答弁に対して非常に私は不満を持つております。なおその問題は時間もかかりますし、将来に譲りたいと考えますので、一応打切ります。
#72
○堀川委員長 それでは渡部委員。
#73
○渡部委員 今の日本の状態は、国民の生活が非常に破滅的な困難な状態にあるのでありまして、この結果、失業や浮浪の洪水が起つているのみならず、国民の健康が急角度に衰えておつて、国民各自働く人の間における病人の率は、飛躍的に高まつておるのであります。従つて、こういう全情勢から言つて、厚生関係の問題は非常に重大化し、これはある程度まで今日の政治の欠陷なのではあるが、それにしても厚生関係の諸問題が飛躍的に重大化していることは事実であつて、従つて厚生当局及び委員会の任務や責任もまた伴つて重大化しているわけでありますが、大臣はこうした問題についての認識をどういうふうにされているのか。さらに現在の状況のもとで、どういう問題が厚生省の根本的な重点的な面であるのか。従つて政府として現に重点的に取上げられようとされておるのか。そういう点をお伺いします。
#74
○林国務大臣 ただいま生活保護の問題につきましては、今日の実情からかんがみましり、生活の保護を必要とするような方々が多いことを非常に憂えておるのであります。従いまして今後それらの問題につきましては、そういう方々のないように努めて行きたいと考えております。なお今日非常にそういうような人がふえておりますということは、生活保護法によつて立直つて行かなければならぬ人が逐次増加して来ておるような実情ではなかろうかと考えるのでありまして、今後大いに努力しまして、そういう人のないように努めたいと思います。
#75
○渡部委員 その解決あるいは施策の方向として、どういう問題が現に考えられておるのか。あるいはそれを実現するためにどういう処置がとらるべきものとして、現に準備されておるのか、そういう点を伺います。
#76
○林国務大臣 そういうように窮状にある人につきましては、大体生活保護法の問題によつてこれが解決をつけて行きたいと考えております。なおそこになりますまでにつきましては、それぞれの状況によつて遠いますが、あるいは母子家庭などにつきましてはあるいは授産所であるとか、その他生業を與えるようにいたしますとか、あるいはまた家屋のないような者に対しましては、家屋の支給をするように努力するというような方法を講じて参りたいと考えております。
#77
○渡部委員 これは法案を考える上にも重要であるばかりでなくて、具体的に問題を解決して行く上に特に重要なのでありますが、いろいろあげられた重点的な方向について、これが実現される見通しがはつきりしておるのかどうか。伺いたい。
#78
○林国務大臣 予算の伴いますような問題も、おのずから起きて来るかと考えます。従しまして現在二十四年度における予算のものはそれが実行に努めておりますが、なお将来の問題といたしましては、この厚生行政に対して、昨今非常に御了解を得、また周囲からの非常な御支援を賜わつたものと考えまして、予算面におきまして二十四年度よりは相当多額に計上し得られるように、大蔵省の方がらも理解を得まして、そして二十五年度の予算を提出するようになつております。従いましてそれらの点を考えまして、今日まで行いましたようなものの充実をはかつて参りますとともに、この予算に計上せられました方面によつて、さらにそれらの拡大をはかつて、そうしてその目的を達してに行きたいと考えておるわけであります。
#79
○渡部委員 單に今までのなされて来た各部面を、若干強化して行くというようなことでは牧まらないような状態にまで達しているのじやないか。従つて厚生問題については、新しい飛躍的な構想と、よほど重大な決意をもつて事を急速に進められることがなかつたならば、これは重たな社会問題、政治問題として出て来る情勢ははつきりして来ておるのであつて、その新しい飛躍的な構想というものがあるのかどうか。この点をお伺いいたしたい。
#80
○林国務大臣 ただいままで厚生省がずつと行つて来たものを見ますると、きわめて私どもしろうとの目から考えてみましても、平凡のように思われるような点も多いのでございます。しかしながらそれをどういうふうにしてやつて行くかという問題について考えてみますと、結論のところ、ただいままで参りましたものの強化を第一にやつて行くということが、充実をはかつて行くゆえんではなかろうか。こういうような点から考えまして、私どももひたすら予算の面において、できるだけ多くの予算を獲得いたしまして、まずそれらの点について充実をはかつて行く。奇想天外のような名案がわれわれの方に今あるかと申しますると、そういういろいろなところをせんじ詰めましたら、現在までの機構の充実というところに結論が落ちついて行くのではなかろうか。こういうように考えまして、これが整備に鋭意当つて行くとか、あるいはその他の場所であるとかいうものの拡大をはかつて行くというような方向に力を傾けて行きたいと考えておるわけであります。
#81
○渡部委員 たとえばシヤウプ勧告に基く社会保障税といつたようなものが新設されるように聞いておるが、しかもこういう問題について、大蔵当局と厚生省及び労働省との間には、意見の相違があるというようなこともわれわれは聞いておるのであります。われわれ厚生委員としましては、厚生的な立場からこの間適を十分に討議し、結論づけなければならない責任があるのでありますので、どういう点に大蔵当局と労働省もしくは厚生省との意見の相違があるのか。相違の意味がどこにあるのかというような点についてお伺いいたします。
#82
○林国務大臣 仰せのごとく社会保障制度を税のようなぐあいにやつて行くたらどうかということにつきまして、先般来これをいかにとりはからうかということについて、鋭意折衝いたしております。その衝に当つております局長から経過を御報告いたします。
#83
○安田政府委員 シヤウプ勧告で社会保障税云々と言つておりますのは、実は税をつくるということよりも、問題は現実各種の保險がばらばらの機関で徴収されており、しかも適用の範囲が違い、かつ料率等につきましても個々別々であるというところをなるべく一本にして、税務署でまとめてとりたい。それには総所得に対して所得税をかけますから、そういつたふうに総所得に対しましてまとめて源泉課税をしたらどうか。それで徴収官庁も大蔵省でやつたらどうか。それからもう一つは課税の標準でございますが、大蔵省でやつておりますところの所得税というものは、御承知のように総所得主義でございます、それから私どもの健康保險でありますとか、年金保險と申しますものは、標準報酬というものをつくつておりまして、たとえば五千六百円でありますと、五千五百円の線で何級とか、あるいは六千三百円であれば、六千円の方へ近づけまして何級とか、十九階段にしておる。そういうものを一本にしたらどうかということであります。これはしごくもつとのな意見なのでありまして、もし大蔵省でそういうふうに簡單に源泉徴収のときに全部料率を加えましたものがかけ得るならば、非常に便利になつて来る。そういつた手続き上の点がシヤウプ勧告のねらいなのであります。ところが実際の状況を見ますと、現在の社会保險は各種各様でございまして、その沿革から見ましても内容から見ましても、非常な相違があるわけでありまして、本質に手をつけないで、簡單に徴収だけを一緒にやるということは非常にむずかしく、かえつて混乱を起しはしないかという問題がある。手取り早い話をいたしますと、たとえばある一人の事業種が健康保險につきましても、年金保險につきましても、あるいは失業保險につきましても、すべてのものを所得税と一緒にとるとり方を是認するといたしますと、それは源泉徴収で申告主義になります。申告して源泉でとつてそれを税務署へ納める。税務署の方には、最後に一年分の総計をまた書いて送るというようなかつこうになるのであります。ところが私どもで現在やつておりますのは、その場合に、そういうふうに徴収いたしました保險料というものと給付というものが、これはリンクしておるのでありますが、その給付と申しますのは、たとえば傷病手当金をやるとか、あるいは養老手当金をやるとか、あるいは下付年金をやるとかいう場合に、その人が幾ら納めておるかということが基準になつておる。フラツトでもつて多額にポツと出すのでなくて、幾らこの人が納めておるかということが基準になるのであります。従いまして幾ら納めておるかというを確認しない限りは、支拂いができない。そういたしますと、今の場合には結局大蔵省に幾ら納めたがということを月別に、各人別に帳簿をとりまして、その帳簿を保險官署でありますところの私どもの方に送つていなだく。それによつてわれわれの方で一々毎月直していつて、いざ支拂いよいうことが起きた場合に、支拂つて行くというやり方をしなければならない。これはたいへんな手数なのです。そういうことを考えますと、ただちにやることについては非常に問題がある。こういうことなのであります。なおまたシヤウプ勧告では、いろいろな税を一本にしろということでありますけれども、労災保險は御承知のように料率がばらばらになつている。健康保險につきましても、健康保險組合というものがございまして、これは各事業体ごとに組合をつくつておりまして、それに対する料率がまた違うのであります。そういうようなめんどうなものはしようがありませんから、大蔵省の案でも一応のけてしまつたわけであります。全部一緒にできないから、それで労災保險をのける、共済組合の保險をのける、それから健庸保險組合をのける、こういうわけであります。そういたしますと、大蔵省でとるにつきましても、現在の案でありますと、六種の違つた税率になつて来るわけであります。つまり健康保險に入つているのでも、健康保險組合は健康保險料でとつて行きます。ところが政府官署の方ではこれは税でとつて行く。そうすると、今問題になりますのは、年金保險と健康保險と失業保険でありますけれども、失業保險と年金だけしか入つていない者もある。三つ入つておる者もある。それからまた今度は同じ政府官署の健康保險の中でも、市町村の職員のように、健康保險だけ入つているけれども、年金も失業保險も入つていない者もある。またその中に任意継続と申しまして、自分はやめたけれども、しばらく入つておりたいというのがございます。それから年金のごとく自分はもうやめたけれども、十年もやつたのだからあと十年間は、自分で保險料を拂いますから、入れてくれというのもある。非常にばらばらになつて来る。そういうばらばらのこまかいものをみな保險料の対象に残しておいて、大きいものだけを三つ四つにわけて保險料をとつて行くことは、大して意味がないのではないか、そういうようなこと。それからまた保險料の徴収を総収入主義にいたしまして、標準報酬にいたしませんと、給付のときに非常にめんどうなことがある。たとえば年金あたりは二十年間帳簿をつくつておるのであります。その帳簿というものは、標準報酬でありますと、そう出入りがないのであります。それに手を入れることは非常に少い。ところが現在の総収入主義で行きますと、居残りがあれば非常にたくさん出す。休みがあれば少くなるというようなことで、必ず毎月一人一人の総収入が違うのはあたりまえで、そういうものを全部チエツクして直して行かなければならぬ。それを今度は二十年たつたときに、過去のものを全部計算して出さなければならない。こういう問題があるわけであります。従いまして、やはりやるならば、そういう点をもつと簡単にして、この程度のものは、徴収の方は各別々にとるけれども━━別々と申しますのは、いろいろの料率でとつても、拂う級の方は定額でやるとか、そういうような簡單な方法を考えるというような根本に手を入れないと、取扱いがかえつて複雑になりはしないだろうか。そういう点が今大蔵省といろいろ話合つている要点でございます。
#84
○渡部委員 そうすると、医療法の見解の差異というものは、單に徴収及び給付の技術的な面にだけあるように考えられるのでありますが、しかし今の説明の中には、やはり單なる、技術的な差異だけではなしに、課税の公平というような問題に関連して、相当大きな問題があるのじやないかというふうにも思われるのですが、その点はどうですか。それからもう一つ、どちらがその事務を取扱うかという問題に関連して、何か機構上の若干の変更とか、定員の増減とかいうような問題が伴うものとして考えられておるかどうかという点もお聞きしたい。
#85
○安田政府委員 問題は技術的な点が主たる問題であります。つまり現在の保險の制度というものは、給付というものと徴収というものとが一体になつておるのであります。従つてそれを切り離す場合には、それを結びつけて支拂うかつこうになつておりますから、両方を結びつけるだけの事務的な手続がもう一ついるということになるのであります。この点が一番問題になつたわけであります。ですからシヤウプ勧告そのものは、徴収の技術の上からは單一化されて非常に簡単になるけれども、同時に今度は保險の方の給付の面から言うと、それではかえつてものが複雑になつて行くという、相反する性質のものが含まれておるわけであります。これが致命的なものなのでありまして、本質に手をつけないと、なかなかうまく行かないというのは、そういうことだと思います。
 それから機構の問題は、私どもの方で徴収に当つておりますのが大体二割程度でございますから、それは大した問題じやないと思います。大蔵省と厚生省徴収官庁、つまり保險官署との間に何かセクシヨナリズムでもあるのではないかという御疑念があるかと思いますけれども、決してそういうものはないのであります。
#86
○堀川委員長 ちよつと申し上げますが、大臣は衆議院の本会議から呼ばれたものですから、ただいま行つております。
#87
○苅田委員 あとおいでになりますか。
#88
○堀川委員長 早ければ帰つて来ると思います。御了承願いたいと思います。
#89
○苅田委員 ただいまの渡部委員のお聞きになりました社会保障税ですが、これについてもう一点お聞きしたいと思います。ただいま考えられておる徴税の統一という面からやれば、現行の保險料率は、統一の関係上引上げられるという傾きはないでしようか。現在わかつておる程度において、それはどうでしようか。お尋ねしたいと思います。
#90
○安田政府委員 徴収を一元化したために、保險料率が上るということはございません。むしろ一元化すれば、事の道理から言えば、簡單になりますから、それだけ事務費が減る道理でありますから、ないわけであります。しかしながら先ほど申しましたように、現在われわれの方では標準報酬主義で行つておりますから、たとえば健康保險で言いますと、二千円から二万四千円までの間十九階段になつております。従いまして今二千円以下のものも相当おるのであります。そういたしますと、総収入主義で行きましたならば、二千円までのものが現在二千円に引上げられてやつておりますから、もしそれを下の方に下げますと、実際の総収入で行きますと、それについては若干料率が上るのじやないかということが考えられる。しかしこれはごくわずかなものだと考えます。
 それからもう一つは、年金保險でございますけれども、年金保險は御承知のように、現在二千円から八千円までになつております。なぜ八千円で押えてあるかと申しますと、現在実は給付も月額三百円を基準にされておるわけであります。それに対して三%の養老年金の率をかけて、それで上は八千円と押えておるわけであります。もし八千円を二万四千円まで引上げますならば、三百円の月額の標準報酬で給付を押えておくということは、また問題になつて来ますから、どうしても再検討しなければならぬ。それをどこまで上げたらいいかという問題も起きて参りましよう。それからなおこの二万四千円に上げて、給付の方を三百円で押えておくということになりますならば、それでは取り過ぎになりますから、若干率を下げなければならぬ。下げた場合におきましても、八千円以上の人は非常にたくさんとられる。下の人はそれより少くなる。たとえて申しますと、二万四千円の人でありますと、養老年金だけの率を考えますと、現在の暫定保險料率によりますと二百四十円、これが半々になります。それが二万四千円になりますと、七百二十円になりますから、三百六十円。百二十円が三百六十円になりますから、三倍、これは非常に大きな問題じやないかと思います。厚生年金は今でもあまり評判はよくないのでありますけれども、そういうところに自然手がついて来るという問題になりますから、單なる手続上の問題ではなくて、本質上から生じて来る問題でありまして、せつかくああいうような勧告もございまするし、大蔵当局のお話もありまするから、そういう案を練りたいということで努力しておりますが、根本的の問題でそういう面に行き当つておりますので、できれば大蔵省としてもつと簡單な案にしていただいて、徴収だけでも一つまとめて簡単な案をお考え願えれば非常によいのではないかと思つております。
#91
○苅田委員 健康保險のことについて少しお聞きしたいのでありますが、現在の健康保險の財政状態について、今どの程度の赤字があるか。それからお医者さんに対する安排いはどのくらいの遅延になつておるか。また年度末までの赤字の見通しはどうか。これに対して政府はどういう対策をとつておられるか。この点についてお聞きしたいと思います。
#92
○安田政府委員 健康保險の方は、政府管掌においてはかなりの赤字が予想されたのでありますが、八月に対策を立てまして結果、だんだんと回復をいたしております。しかしその回復策は三月末日に数字のつじつまが合うような計算でございますので、現在におきましてはまだ十四、五億の赤字になつておるというふうに承知いたしております。しかし医師に対する支拂いはだんだんとこぎ着けて参りまして、契約の日より大体一月あるいはそれよりちよつと遅い程度までこぎ着けて参りました。契約の日と申しますのは、十月分について申しますと、十月分の支拂いを十一月末までにやるという契約でございますからして、それが現在十二月末に大部分が済みそうだという程度のところまで行つておるわけであります。なお今のところでは、徴収の率が大体十一月におきまして七割から八割程度でございまして、十二月の終りまでには、ぜひひとつ八割五分くらいにしたいという意気込みでやつております。それで行きますと大体三月の終りには、一月遅れくらいで済みはしないかというように考えております。
#93
○苅田委員 赤字はどうですか。つまり三月の年度末には赤字がなぐなるというわけですか。
#94
○安田政府委員 つまり一月遅れになりますれば、そのときに十二、三億の赤字になりますけれども、しかしこれは四月に入りますから、今のままで行きますならば何とかやつて行けばしないかと思います。しかしこれはわからないことでありまして、私どもの頭が悪いから、見通しが悪いということもありましようけれども、病気になる傘、つまり受診率がぽんと上れば、これは何で押えようと押えられないことでございまして、私どもの今の見通しでは、そんなことになりはしないかということでございます。もしそれで赤字が出るようなら、来年の一月の終りなり、二月ごろになつたら大体のことがわかりますから、そのときに緊急な手当をしたいというように考えております。
#95
○苅田委員 これはつい十日ほど前に、板橋の健康保險出張所に偶然私が参りましたときに、その実情を聞いたのですが、ただいまお話のような楽観的なこととは大分違つた実情があるのであります。つまり徴収が非常に遅れておりまして、しかもあそこでは取立てのために、二千件ある事業主に対しましてもうすでに六百件を差押えておる。月末までには九百件は必ず差押えるであろうが、しかしそれでも徴収の見込みが立たないような状態であるということを言つております。それでただいまのような御報告が、実際の出張所あたりの実情とは、よほどかけ離れておるのじやないかということで心配されることが一つ。それから安田局長は十月七日の本委員会でもつて、現在の保險の赤字を埋めて、来年度からの保險経済を確保するためには、どうしても事務費の国家全額負担、それから給付の一割は要求しなければいけない。当初の要求においては大蔵省にけられたけれども、しかしこれは最後まで自分はがんばるつもりであるというような御発言がありましたのですけれども、その状態はただいまではどういうふうになつておるか。そういうように最後までがんばらなくとも、そういう特別の処置を講じなくとも、来年度の保險経済は破綻しないという見通しがあるのかどうか。この点もお聞きしたいと思います。
#96
○安田政府委員 私ども、事務費の全額と給付の一割というものを大蔵省に要求いたしました。そのとき申した通りでございまして、これは社会保障制度審議会の政府に対する勧告にも、そのような数字が出ておるのでございます。いろいろ努力いたしました結果、御承知のようなことで、来年度から事務費が、三割が五割に上るという程度で終つてしまつたことは、非常に遺憾に思つております。しかしそのときの話合いでは、結局従来保險料率が御承知のように千分の五十でありましたが、これが議会がおきめ願つておりますのが千分の五十五までは上げ得るという幅がありますので、もちろん議会で御承認になつた満度まで上げたいということで、五十五まで上げました。これには標準報酬が六千円でありましたのを、一割適正化すれば上るだろうというわけで、六千六百円に引上げることを考えたわけであります。それから大蔵当局の申しますのは、徴収をひとつ百パーセントとれということであります。そういう数字にいたしますと、大体数字が合うのであります。その結果を今努力しておるわけでありまして、大体標準報酬で行きますと、六千四百円をちよつと越えるところまで行きついた。これが一月ぐらいのことでそういうことになつた。徴収は今おつしやる通り非常に困難であります。しかしながら月々少しずつ上つて行つておりまして、五月の終りごろ三割に満たないものが、現在では七割五分になつておる。これは第一線管掌が非常につらいだろうと思つております。実際よくやつてくれたと考えております。第一線管掌のことをお聞きになると、実際に自分が当つたのでありますから、差押えを一件やりますにはこれは相当苦労もいたし、努力もいたしておるのであります。実際つらいことど、私どももその立場はよくわかりますけれども、ぜひ滞納のないところまで持つて行きたいと努力いたしております。先の見通しになりますと、御承知のように、経済界の見通しの問題もかかつて来るわけでありまして、私どもが切り離して保險経済だけの見通しというわけにも参りません。最近の例で行きますと、いろいろ保險料の支拂えない原因に、事業主が賃金の遅拂いをしておるということも、非常に大きな原因になつております。それらのことを考えますと、あるいは苅田委員の言われるような心配の事態が起るかもしれません。われわれの今の見通しといたしましては、そういうこともあわせ考えまして、とにかく二月ころまでに一生懸命やつてみたい。なるべく国にも迷惑をかけないでやつてみたい。二月ごろになりましたならば、大蔵当局が、それでもどうしてもいかぬと言つたときに、それを見殺しにするということもよもやなかろうという希望をもちまして、努力をいたしております。どうぞよろしくお願いいたします。
#97
○苅田委員 この問題につきましては、もつとお伺いしたいこともありますが、時間もありませんので、大体御当局の言われる点を信用させていただきまして、次にお伺いしたいことは近来非常に日雇い労働者が多くなりまして、東京都内で登録されておるものだけでも一万人を超えておるという状態であります。この人たちは生活の條件から言えば、常雇いの労働者よりも、さらに悪い労働條件にある人たちです。こういう人たちが一度病気になつたときには、やはり医療の道は苦しいわけであります。それでこういう日雇い労働者に対しても、健康保險を適用してもらいたい。こういう意見が圧倒的に強いわけであります。現在の法律の状態では、日雇い労働者が健康保險の対象にはならないことはわかつておりますけれども、そういつた現状にかんがみて、日雇い労働者にも健康保險を適用させるような改正法規を試みられる意思があるかどうかということをお伺いしたいのであります。
#98
○安田政府委員 日雇い労働者の健康保險の適用につきましては、ただいまもお話でございますが、私どもの耳にも入つておりまして、実は研究いたしております。ただ今日までこれが適用されなかつたということにつきましては、それ相当の理由があることでございまして、結局その実体が非常につかみにぐいという点が一つございます。これを地域的につかむにいたしましても、組合單位でつかむにいたしましても、非常につかみにくい点が一つございます。それから報酬において、大体私ども今調べておりますけれども、稼働月数というのは一月のうちでよくて二十一日ぐらい、悪ければ十八、九日ということも聞いておりますが、そういたしますと、普通の工場労働者と違つて、そこに十日なり十一日なりのプランクができるわけでありますから、そういうものを一体どこで持つか。これを保險のわくの中で考えますと、保險数理の上では成立たないことはきまつておるわけであります。失策保險とその点が違うわけでありまして、失業保險は支給されるケースが非常に少うございますし、また失業保險は給付についてもちやんと制限を設けておりますが、健康探險の場合は制限を設けるわけに行かぬだろうと思います。そういう技術的な点、あるいは財政的な点から考えまして、今詳しい数字をつふみたいと思つて努力しておりますが、その数字もなかなかまとまらぬというような状況でございます。私は、やはりこれは普通の保險の様式でやつておる今の保險制度のわく内で考えるということは、若干むりではないか。もしそれをつかむとすれば、地域保險のような方法でつかむということも、一つの方法ではないかと考えております。また社会保障制度審議会におきまして、創造的なものができますならば、健康保險ではなくて社会保險という面でつかむならば、これも一つの方法ではないかと思つていろいろ考えておるわけであります。
#99
○苅田委員 当局の方でそういうお考えで御研究になつていられるということは、非常に私どもとしても感謝したいと思うのですけれども、問題は一日を争う火急の事件だと思います。この社会保障制度が確立してからの問題としては、すでにこの人たちに対して時期を失するおそれがあると思う。そこで御当局の方で、何とかして健康保險あるいはそれに類するものを適用したいという考えがあるのだとすれば、それは法律の改正とか、あるいはその形とか、そういうようなものについては、また別途に審議があるはずなんで、当局の御意向としてそういうものを適用させるように準備しておいでになる。何らかそういう社会保障制度にかけて、そういつた医療の給付をやりたいという意味でこれを御研究になつているというふうに、ただいまの御返答を了解してよろしいわけでございますか。
#100
○安田政府委員 実は私どもは、日雇い労務者の問題だけでなくて、でき得べくんば国民全体に健康保險制度が適用されるということについて研究いたしております。もちろん今おつしやるようなことで考えておるわけであります。
#101
○苅田委員 くどいようでありますけれども、もう一度御意向をお伺いしたいと思うのです。国民全体と申しましても、すでに労働者の方には健康保險があり、そのほか地域の正規の健康保險としては国民健康保險もあるので、当面大きな問題となつておるのは、現に最も悪い條件で働いている日雇い労働者に健康保險に類するものがないという問題だと思います。一方これはそういつた集中的な全般的な社会保障制度としての整備をお考えになることも、もちろん必要でございましようけれども、そうした必要な現状についての早急な処置というものは、それは保險局においては考えられていないと思います。そういう意味で私はお聞きしておるのですけれども、その点についての御答弁をいただきたいと思います。
#102
○安田政府委員 最初から申しますように、日雇い労務者については、いろいろ困難な点がありますけれども、それらの資料を集めておりますことは、申し上げた通りであります。それから国民保險もありますけれども、国民保險というのは、これに御承知のように強制的なものでございません。従いましてある町村ではやりますけれども、ある町村ではやらないというようなわけで、全国的に見ますと大体中分ぐらいの状況でありますから、そこにいわゆる労働者とそのほかの農業者なり自営者との問に、保險の網がかかつていないギヤツプがまだあるわけでございます。そういう問題の実は日雇い労務者の問題と合せて考えている、こういうことでございます。
#103
○苅田委員 それでは日雇い労務者の問題は、保險局の方で急いで御調査に相なつて、年が明けまして委員会でもあれば、その御調査の結果をまた御報告いただくなり、あるいはそれまでにどういう御決定に相なるかわかりませんけれども、そのときまでにこちらの方では一日も早くそういう対策を立てられんことを要望いたしまして、それで切上げることにいたします。
 次に国民健康保險の問題についても少しお聞きしたいのですが、国民健康保險は、ただいまおつしやつたように非常に限られているだけではなくて、現在加入している人たちに対しましても、実際の運用の面でも非常にうまく行つていない。現在たとえば三千万人の加入者があるといたしましても、その多くのところで市町村の方が保險料の徴収の面について困つておる実情だと思うのです。この点は健康保險よりもさらに個人に対する━━大多数は農民だと思うのですが、この保險料の負担が過重になつていると思うのですが、こういう点は政府の方で国費によつて負担するという方法でこれを解決なさる意図があるかどうか。この点についてお聞きしたいと思います。
#104
○安田政府委員 国民健康保險は今大体五千二、三百から四百くらいの数字の市町村でやつておるわけであります。しかしその中でほんとうにうまく動いているというのは四千幾らぐらいじやないかと思います。その四千幾らもお話のように経済的には非常に苦しい立場にある。この原因はいろいろございますが、一つは戦後非常に受診率が上つているということもございますし、保險料の徴収が思わしくないということも一つの原因であります。これに国庫負担をするということもけつこうなことで、われわれとしては全面的に賛成するものでありますけれども、しからばどういう方法で国庫から金を出したらいいか。これは非常にむずかしい問題であります。と申しますのは、国民健康保險というのは、御承知のように政府管掌のようにまとまつたものではなくて、各一つ一つの市町村全部事情が違います。従いまして、経営が非常にらまく行つているというのは、たとえば市町村の人が非常に熱意を持つておりますとか、あるいは市町村民のそういうことについての意識が高いとか、あるいは自分の医療機関を持つているとか、お医者さんが非常に協力しているとかいうようないい條件がそろいますと、これは現在でも赤字なしでやつておるわけであります。またそういう赤字を出さない村の方が保險料が少くて、赤字を出している方が保險料が多いということもある。そういうところは経営の面において何かぐあいの思い面があるという問題がある。従つて赤字を出したから赤字を出した分だけを国庫で持つということは、一生懸命やつておる人にとつてはおもしろくない次第でありまして、そういう意味で国旗で負担することもできないという技術的に非常にむずかしい問題がある。おそらく将来どういう形になるかと申しますと、まだ若切りかわつておらないのもありますけれども、現在大部分が市町村の公営主義をとつております。市町村が自分の仕事としてやつておるわけであります。従いまして、もしそれに国庫負担をやるとするならば、やはりシヤウプの勧告にありますところの平衡交付金のようなものの中にそれが入つて、そして市町村の財政力に応じ、また市町村の必要なる仕事とにらみ合せて国費が流れて行くという形になるのではなかろうかと考えておる次第であります。
#105
○苅田委員 やはり国民健康保險の点なんですが、現在の保險料のとり方は、大体資産割と人頭割と平均割でとつておるのですが、こういうとり方においても、たとえば資産に応じてとる面を増し、現在の戸数割的な面を少くして、こういう点から促險料徴収をやさしくする点も私ども考えられますけれども、こういう点について政府の御考慮があるかないか、もう一ぺんお聞きしたいと思います。
#106
○安田政府委員 御説のように今の保險料のとり方は、資産割と申しますか、それが大体五〇%、平均割が二割、あと三割が人頭割ということになつております。これは一つの標準でございますから、必ずしも各町村がその通りやつておるとは限らないですが、全部所得割にするとか、所得割を非常に高率にしておくことも、一つの理想かもしれないけれども、現在の国民健虚保險がよく行つていない一つの原因は、村民などの認識が十分ではない点が非常にあるのであります。自分の家はほとんど病気にならないのに非常に高いものがかかつて来る。あそこの家は非常に病気になるのに、ほとんど保險金をかけていないじやないかというところが、大きな阻害の原因になつておるわけであります。従つて現在の国民健康保險が成長の段階にあるときに、所得割をたくさんとることは、かえつて不得策じやないかということを私自身考えております。そこで所得割の五〇%は、そうきちようめんにとらなくでも、あるいは四〇%でもいいじやないか。そうしてこれを育てるようなことにすべきではないかと考えておるわけであります。いずれにしても保險料という形ですと、町村民に今市しましたような関係もございますし、町村としても税金の方を先に納め、保險料はどうしてもあとになる実情でございますので、実質においてはほとんど税金とかわらないので、この際これを国民保險税にしたらどうだろうか、こういうような話も進めておるのであります。大体地方財政委員会の方は了承してくれておりまして、今関係方面と折衝しておるようなわけであります。
#107
○苅田委員 ただいまのお話ですと、これは新聞等にも出ておりますように、国民健康保險料を地方税に入れるというお話の裏書きがあつたのでありますが、現状でこのまま税に繰入れることは、保險局長と私は説を異にしておるものであります。それでなくても過酷な農民に対する税金に、さらに強制的に高い税金を押しつけることになると思うのです。これはここでお話してもしようがないことなんですけれども、たとえば米価は一定のものに押えつけられ、当然そういう米価で近代の医学の相当高価な医療を受けられるのがあたりまえなんです。農民の収入に対しては一定の制限を置いておる以上、医療の面において政府は責任をもつてこれが給付をしなければいけないと私は考えるのです。この線については私は保險局長と意見を異にしておりますが、そうすれば保險料は一応とれるかもしれないけれども、もしもそれを強制的にやれば、農村方面の不平はもつと深刻になるだろう。その辺も十分考え合わされて、これを地方税に繰入れることには十分深き御用意がなければたいへんなことになるのではないかという考えをつけ加えておきたいと思います。
 それから先ほどの日雇い労務者の点について、社会局長にお尋ねいたしますが、二十日の夕刊中外ですか、日雇い労務者一万名に対して都で作業衣、地下たびを配給するということが出ておるわけです。もしこれをとる力のない人に対しては、一千円の金を支給するということが出ているわけなんです。これは新聞社が間違つて伝えていることですか。それともこの問題について社会局の方でも責任ある措置をおとりになつておるのですかどうですか。この点をお伺いしたいと思います。
#108
○木村(忠)政府委員 社会局としては労務用物資をとりますための資金を交付するということは考えたことはございません。
#109
○苅田委員 そうすると今問題になつている日雇い労務者に対する作業衣、地下たびの配給について、生活の困窮者に対しては一時扶助として一千円までを支給するということは、あるいは生活保護法適用者に限つてするのですか。それとも全然そういうことについて社会局は御関係がないというわけですか。
#110
○木村(忠)政府委員 社会局としては全然関係はございません。
#111
○苅田委員 生活保護法のことについてお聞きしたいのですが、大体生活保護法は、いろいろな社会保險の適用を受けられない。あるいはそれを受けておつてもまだ生活費が足りない。全然ほかに生活の方法がないという人々が、みんなこの生活保護法を命の綱にして頼んでおるわけなんですけれども、しかし現在行われておる生活保護法では、実際生活困窮者をこれで救済しておらない実情もたくさんあるわけです。それの一番大きな原因は給付が低過ぎるということだと思うのです。それでこの前の国会で木村政府委員の本委員会でお話になりましたことの中にも、来年度になれば生活保護法の基準の引上げを考えておるという御説明があつたわけです。それは米価の値上りを見越して、あるいは貨物運賃等の値上りによる物価へのはね上りを見越しての当然な引上げ以外に、もつと生活を豊かにするとは言えなくとも、生活水準を上げる。実質的な意味で保護費を上げるという意味での改正を考えておられるのですかどうですか。その点をお聞きしたいと思います。
#112
○木村(忠)政府委員 ただいままでのところ、われわれの一応考えておりまする水準まで引上げることにつきまして、財政当局との間に了解がまだついておりません。しかし一月には米価が引上げになりますので、とりあえず一月一日をもちまして米価の引上げ、その他の諸物価に相応いたしました基準の引て上げを行いまして、さらに引続き財政当局と交渉いたしました上、少くとも四月一日からは基準の引上げをもう一回いをまして、われわれが一応考えておりまする水準まで引上げてみたい。かように考えて努力いたしている次第であります。
#113
○苅田委員 一応お考えになつている基準を、もう少し具体的にお話願いたいと思います。
#114
○木村(忠)政府委員 この点につきましては前々国会だつたと思いますが、お話申し上げました線を一応目標といたしております。と申しますのは大体飲食物費は現在の基準をもつて参りたい。その他の諸経費につきましては、この前に申し上げましたように、現存の飲食物費が総経費の約八〇%になるのを、七〇%前後にまでいたしたい。約一〇%だけ飲食物費以外の経費を引上げるようにいたしたいということを目標にして努力いたしておる次第であります。
#115
○苅田委員 そういたしますと、予算の点とからみ合うと思うのでありますけれども、大体二十五年度の予算が百五十億でしたかになつておる。これは昨年度の予算の百十七億ですかに比べまして、相当の値上りはしておりますけれども、しかし第六国会の予算の審議のときに、商大の井藤教授が来られてのお話を聞きましても、二十四年度予算を組んだ当時の物価指数と、それから二十五年度の指数とでは、少くとも五割の値上りがある。だから一万円の所得がある者で、一万五千円になつて初めて通常の、同じだということができるというような、これは日銭の卸売物価指数によつておる政府の統計なのだそうですが、そういう説を考えてみましても、前年度百十七億円に対して、二十五年度百五十億の予算では、お考えになつておるような基準を引上げるということをするには、人数を減すということを伴わない限り、不可能だというように考えるのでありますけれども、そういう点に対しては、あらためて予算措置をなさるつもりでありますか、その点をお伺いしておきたいと思います。
#116
○安田政府委員 この点は一つの見通しなんでござまして、われわれといたしましては、一応現状にあまり大きな変化がなければ、現在組んでおりまするところの予算でもつて、大体間に合うのではないかと思つております。これにつきましては、いろいろ根拠があるわけでありまして、従来の基準を引上げるに伴いまして、実際に生活扶助費がふえて行くという割合を見てみますると、基準の引上げと同じ比率でもつては上つて行かないのであります。と申しますのは、財政当局あたりから牽制されて、この命が出ないというよりは、むしろ実際には割合に甘く扶助しておるというのが実情であるようであります。もちろん基準は基準でありまするから、甘くできる部面と、甘くできない部面とがあるわけであります。従いまして、非常に苦しい部面と、楽になつておる部面があるわけであります。われわれといたしましては、この楽な部面は極力押さえて行きたいというふうに考えておるのであります。苦しい部面につきましては、基準の引上げによりまして、水準の高い補助をいたしたい。そのかわり楽な部面につきましては、従来通りの基準にいたしたい。かように考えております。この両面からいたしますと、大体現在の予算で間に合うのではないかと思つておりますが、これはもう一年詳細な検討をいたしてみませんと、実は本年九月ごろから非常に急激に生活扶助費が増加いたして参つておりまして、この原因等を十分に検討いたしてみまして、その結果によりまして、今後足りるか足りないかということを検討して参りたいと思つております。予算を組みましたときには、この状況がいまだわかつていなかつたときでありますので、前の状況だから間に合うと思つておつたのでありますが、その後状況ががわつておりますので、今後の基準の引上げと相伴いまして、検討いたしたいと考えております。
#117
○苅田委員 局長の方では御存じと思いますけれども、府県によりましては、政府から参りました生活保護費を使つていないところもあると思うのです。それは適用する人がないからではなくて、これは新しい情勢として、今地方なんかで非常に配付税なかかの関係上、財政上困難いたしておる。当然出さなくてはならないんであつても制限するという気味が非常に強いのです。これは実地に調べてみると、非常にむりな審査が行われておるということが、往々にしてあることなのです。お説のように甘い点もあるかもしれませんけれども、私の目につくことは、やはり当然適用さるへき人が、そういつた地方財政の困難の点から、非常に限られておるという点があると思う。私どもの希望といたしましては、むしろこれはできれば地方の府県市町村での二割の負担を、もう少し減して、そうして国の方の負担を増すというような政策をとられなければ、現在の枯渇している地方の財政状態からは、どうしてもやはり必要を割つて制限するという傾向が起つておりますので、この点も十分御考慮の上、さらに予算的な措置についての適当な御考露をお願いしたい、かように考えております。
 次に、結核の問題について、二、三お聞きしたいのですけれども、公衆衛生局長がおいでになりませんようですから、私の質問はこれくらいにいたします。
#118
○丸山委員 保險局長にちよつとお伺いいたしたい。九月の十六日付で、保險発第二七八号で、厚生省の保險局医療課長から各都道府県の民生部保險課長あてに通牒が出ております。社会保險診療に対して国立医療機関のみは支拂い基金の審査を経ず直接組合より支拂い、かつ一部負担を免れる━━初診断を免れる、特殊法人、非現業共済組合連合会及び公立学校共済組合員等の受診の際、国立病院にては一部負担金を徴収せず、こういう通牒が出ておりまして、その中に、やむを得ずこうなつたという文句が使われておるのであります。また大蔵省の主計局長から厚生省の医務局長あての計発第五三〇号の文言によりますると、国家公務員共済組合法に基き組織せられた共済組合の組合員及び被扶養者については上記の取扱いをすることを共済組合と基金の打合せ会において決定ざれた、かように書いてあるのであります。これについてお伺いしたいのですが、健康保險法の第四十三條の四に、「保險医及保險薬剤師ハ厚生大臣ノ定ムルトコロニヨリ」云々とあります。厚生大臣の定むるところと申しますのは、健康保險保險医療養担噛規程が、厚生大臣の定むるところによるという、これにあたるものと考えます。その第二十一條に、保險医またはこれを使用する者は、診療報酬の請求をしようとするときは請求書を基金を経由して提出しなければならない、と明記してあるのであります。国立病院等は、いわゆるこの規定の中にありまする保險医というものにあたるかどうかということでありまするが、これは政府の指定する者であるということはもちろんであります。しかし健康保險法施行規則第四十五條の二に、「保險医又ハ保險者ノ指定スル者(以下保險医ト総称ス)」と、かように書いてありますから、私どもの見解といたしましては、この保險者の指定する者も保險医であると解釈します。そうしますと、保險医である者が診療報酬請求書を提出する場合には基金を経由して提出しなければならないという規定があるのであります。その規定を破つて基金を経由せずして支拂いを請求するというようなことが、公的な機関でない、基金と組合の打合会のごとき非公式なものにおいて約束がなされて、それが厚生大臣の定めておる担当規程に反しておるということが認められてはたしていいものかどうか。この法的な解釈について承りたいのであります。第二段は、こういうことを行われました結果でありますが、一般の被保險者あるいは家族が国立病院に受診して、初診料を徴収せられておるのに、政府共済組合のみがこの徴収を免かれるという不平等がここに起るのであります。また政府共済組合員といえども、国立病院にあらざる他の診療所で受診する場合においては、初診料を徴収せられ、及びその診療報酬請求書は審査を受けるというようなことの行われる不平等が起るのであります。また国立病院の診療内容が、現在私どもの調査いたしましたところでは、一件当りの点数は、普通一般の診療所の一件当りの点数よりも、はるかに高額になつておるという事実があるのであります。これはしばしば試験的の治療その他も、やはり国立病院等においては行われることが比較的多いということも関連しておると考えられますし、あるいはまた国立病院が独立会計になりましたために、ある程度の収入を確保しなければならぬという要求が、その陰にひそんでおることも想像するにかたくないのでありますが、現在非常に窮迫しておる保險経済というものに、こういうものが行われた場合において、何らかの悪影響を及ぼすものではなかろうか、私はかように考える。そういう取扱いはすみやかに廃止せらるべきものと考えるのでありますが、これに対する保險局長の御意見を承りたい。
#119
○安田政府委員 この問題につきましては、私どもも実は基金を通して支拂つていただき、また基金で審査を受けていただきたいという希望を持つておつたのでありますが、御承知のように、国立病院とそれから共済組合との契約内容として、そういう契約ができてしまいまして、やむを得ず現在のような実情になつたのであります。そこで私ども保險局といたしましても、また共済組合といたしましても“保險経済の点から考えるならば、私は当然審査を受けた方がいいのではないかという気がいたすのでありますが、つまりそういう契約ができてしまつて、事実今お話のようになつたのであります。そこで現在これをまた元のように返していただくということにつきましては、ここに医務局長もおられますけれども、医務局長もそういうことに御賛成でございまして、厚生省としては一本になつて元のように返したいということで、措置を進めておるわけであります。ちようどただいま参りますときも、各共済組合の人に集まつていただきまして、そのことを相談しておつたときであります。どういうふうになりましたか、帰りまして至急実情を取調べたいと思いますけれども、そういう方向に進めておるということを御承知願いたいと思います。
#120
○丸山委員 ただいまの御答弁で交渉中であり、保險局としてはこういうことは廃止したいという御意向であることは了解いたしましたが、私はただ、契約によつてそういうことが行われることは違法行為ではないかと実は考えるのでありますが、さようにお考えになりませんでしようか。私が先ほど申し上げましたように、保險医療養担当規程に、「保險医またはこれを使用する者は、診療報酬の請求をしようとするときは、請求書を基金を経由して提出しなければならない」という規定があるのであります。この規定に反しておるのであります。しかし国立病院に勤務しておる医師その他が、保險医でないならばこれは別であります。すでに保險医であるのでありますから、しからば保險医が診療報酬請求、あるいはそれを使用する者でありますなら、会計課なんかがあるでしようから、そういうものが請求するのであります。それで経由しなければならないという規定があるのに、そういう規定に反したことは、どちらのウエートが重いのか。
#121
○安田政府委員 お話のような解釈も成り立ちますし、それから指定というのが、病院とそれから保健所との間の契約だという、契約の面を強調したような解釈の面もございますので、なおひとつもう少し研究いたします。
#122
○丸山委員 御努力を願いたいと思います。
#123
○苅田委員 医務局長にもう一つ伺いたいと思います。これは先ほど丸山委員からも要求があつたことなのですけれども、健康保險の遅拂いに対する延滞利下は、これは当然健康保險医に拂わるべきものだと私は思います。それは大蔵委員会でこの法律が上程されたときの経緯にかんがみましても、これは最初健康保險を含まないで一応法案を出すということに了解がなつたときに、共産党の川上委員が反対をいたしました。もし健康保險が含まれないならば、共産党としてはこれに賛成できないという発言がありまして、その後大阪の保險医が動き、またやはり大阪から出身しておられる委員長がこれに対してついに動かされた。皆さんの御見解としては、最初は、国が道をつくるにしてもまず国道をつくり、県道をつくるということが必要なので、まず政府の土木関係そのほかの遅拂いに対する延滞料をつけるということを国道として、健康保險は県道ぐらいにして、順次及ぼしたらどうかというような発言があつたようですけれども、しかしそういう強硬な川上委員の要請によつて、健康保險も含めるということが成り立つたことにかんがみてみましても、これは当然ほんとうにそのために働いている健康保險医に対して延滞料をつけるということでなければ、意味がないと思うのです。そういう委員会の経過等をお考えになりまして、これは基金側に支拂うべきものであろうと、あるいは健康保險医側に支拂うべきものであろうと、そういうことは問題にならないと思うのでありまして、そういう点に対しましても、はつきりした御回答を早く出していただきたいということをお願いしておきます。
#124
○堀川委員長 では本日はこの程度で散会いたします。次会は公報でお知らせします。
    午後四時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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