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1947/11/10 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第30号
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1947/11/10 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第30号

#1
第001回国会 農林委員会 第30号
  付託事件
○農地調敷法の改正に關する陳情(第
 一號)
○物價是正及び肥料、作業衣、ゴム底
 足袋配給に關する陳情(第十號)
○農業保險法の改正に關する陳情(第
 十三號)
○農業復興運動に關する陳情(第十四
 號)
○水利組合費賦課に關する陳情(第二
 十二號)
○食料品配給公團法案(内閣送付)
○油糧配給公團法案(内閣送付)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第四十六號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第五十一號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第五十九號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第六十一號)
○薪炭生産のあい路打開に關する陳情
 (第六十二號)
○茶業振興に關する陳情(第六十三
 號)
○農業用電力料金の引下げ及び換地處
 分經費の全額國庫助成等に關する陳
 情(第六十七號)
○東北及び新潟地方の特殊事情に立脚
 せる食糧供出對策改善に關する陳情
 (第六十八號)
○農林省所管の治山治水事業の一部移
 管反對に關する陳情(第七十號)
○農地委員會の經費を全額國庫負擔と
 することに關する陳情(第七十三
 號)
○林道飯田、恭石線開設に關する請願
 (第十七號)
○主食需給計費の根本的改革に關する
 陳情(第七十四號)
○養蠶協同組合法の制定に關する陳情
 (第七十六號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第七十七號)
○農業會の農業技術者給與を國庫負擔
 とすることに關する陳情(第八十
 號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第八十四號)
○愛知縣豐川沿岸農業水利事業經費を
 國庫負擔とすることに關する陳情
 (第八十九號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第九十一號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第九十七號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第百二號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百五號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百九號)
○蠶繭の増産に關する陳情(第百十五
 號)
○養蠶協同組合法の制定に關する陳情
 (第百十六號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百十九號)
○飼料配給公團法案(内閣送付)
○函館營林局の管轄區域變更に關する
 請願(第五十四號)
○藥用人参試驗場設置に關する請願
 (第六十六號)
○米價改訂に關する陳情(第百二十八
 號)
○民有林野制度の確立に關する陳情
 (第百三十號)
○養蠶協同組合法の制定に關する陳情
 (第百三十一號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第百三十三號)
○開拓者資金融通に關する陳情(第百
 三十八號)
○米穀供出に對する報奬制度の廢止竝
 びに肥料の配給に關する陳情(第百
 四十九號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百五十號)
○遅配主食の價格に關する陳情(第百
 五十二號)
○岩手縣下の三農業用水改良事業を國
 營とすることに關する請願(第八十
 八號)
○福島縣安達郡大山村内の開墾事業を
 中止することに關する請願(第九十
 五號)
○北海道てん菜業の保護政策確立に關
 する請願(第百二號)
○薪炭の價格に關する陳情(第百六十
 二號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百六十三號)
○食料品給給公團法に關する陳情(第
 百七十六號)
○農業會の農業技術者給與国庫補助に
 關する陳情(第百八十七號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第百八十八號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第百九十二號)
○市營競馬の施行に關する陳情(第二
 百二號)
○北海道開拓事業に關する陳情(第二
 百七號)
○岩手山ろく國營開發事業に關する陳
 情(第二百九號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第二百十三號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第二百二十號)
○未懇地の開拓事業に關する陳情(第
 二百二十二號)
○群馬縣古馬牧村外三ヶ村のかん漑用
 水路に關する請願(第百二十一號)
○蒜山演習地の返還竝びに開拓計畫變
 更に關する請願(第百三十五號)
○食糧配給確保に關する陳情(第二百
 二十六號)
○林業振興對策に關する陳情(第二百
 二十七號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第二百二十八號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第二百三十一號)
○水利組合法の改正及び水利事業費國
 庫補助に關する陳情(第二百三十二
 號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第二百三十五
 號)
○米麥需給計畫の根本方針に關する陳
 情(第二百三十六號)
○農業保險法制定に關する陳情(第二
 百四十四號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第二百四十五號)
○岩手山ろく國營開發事業に關する陳
 情(第二百四十八號)
○未利用地排作利用臨時措置法案(内
 閣送付)
○青果物の統制撤廢に關する請願(第
 百七十六號)
○開拓對策に關する請願(第百七十七
 號)
○舊軍馬補充部十勝支部用地内山林拂
 下げに關する請願(第百八十三號)
○十勝種馬育成所用地解放に關する請
 願(第百八十五號)
○昭和二十二年度産米價格竝びに供出
 に關する陳情(第二百六十二號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第二百六十七
 號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第二百六十八號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第二百七十一
 號)
○自作農創設特別措置法及び同法附属
 法規の一部を改正することに關する
 陳情(第二百八十號)
○勤勞大衆の食糧危機突破對策に關す
 る陳情(第二百八十二號)
○日本競馬會に關する陳情(第二百八
 十三號)
○農村指導農場開設に關する陳情(第
 二百九十四號)
○昭和二十二年度産米價格竝びに供出
 に關する陳情(第二百九十五號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第二百九十九
 號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第三百號)
○臨時農業生産調整法案(内閣送付)
○小阪部川貯水池改良事業を國營とす
 ることに關する請願(第二百七號)
○旭川合同用水工事促進等に關する請
 願(第二百九號)
○農地改革促進に關する請願(第二百
 十三號)
○東京都内の食糧配給に關する陳情
 (第三百七號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第三百十三號)
○種卵及びひなの價格撤廢並びに養鶏
 用飼料増配に關する陳情(第三百十
 八號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第三百十九號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第三百二十五號)
○開拓融資金増額に關する陳情(第三
 百三十號)
○農地法による山林開墾行過正に關す
 る陳情(第三百三十二號)
○農作物の「榮養週期栽培」の普及實
 施に關する陳情(第三百三十五號)
○千葉縣長生郡茂原乾繭所の設備を縣
 蠶絲業會に還元することに關する陳
 情(第三百三十七號)
○農業協同組合法案に關する陳情(第
 三百四十二號)
○三方原揚水事業に關する陳情(第三
 百四十五號)
○富士山ろく開發農業用水事業促進に
 關する陳情(第三百四十九號)
○こうじ類の一般製造に關する請願
 (第二百四十六號)
○茨城縣下北浦干拓事業促進に關する
 請願(第二百四十八號)
○茨城縣下のかん害對策助成に關する
 請願(第二百七十六號)
○大池用水幹線改良に關する請願(第
 二百九十號)
○主食配給に關する陳情(第三百六十
 號)
○農業協同組合法案に關する陳情(第
 三百七十八號)
○農地調整法竝びに自作農創設特別措
 置法の改正に關する陳情(第三百八
 十號)
○奈良縣下のかん害對策に關する陳情
 (第三百八十七號)
○農業協同組合法案に關する陳情(第
 三百九十號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第三百九十二號)
○農業共濟保險法案中の農家負擔等に
 關する陳情(第三百九十三號)
○食糧緊急對策に關する陳情(第三百
 九十九號)
○養蠶協同組合獨立強化に關する陳情
 (第四百號)
○農業協同組合法案の一部を削除する
 ことに關する請願(第二百九十七
 號)
○觀光都市に對する自作農創設特別措
 置法の實施延期に關する請願(第三
 百十六號)
○熱海觀光地帶を農地法の適用より除
 外することに關する請願(第三百二
 十四號)
○森林治水竝びに災害防止林造成事業
 擴充強化に關する請願(第三百三十
 號)
○民有林施業案編成國庫補助増額に關
 する請願(第三百三十五號)
○鹿兒島縣に國立茶業試驗場九州支場
 を設置することに關する請願(第三
 百三十六號)
○樟腦製造事業を森林組合に許可すこ
 とに關する請願(第三百三十七號)
○農業協同組合法案に關する陳情(第
 四百十七號)
○農業協同組合法案に關する陳情(第
 四百二十四號)
○邑知潟干拓計畫反對に關する陳情
 (第四百二十六號)
○福岡縣三地郡高田村地先その他の干
 拓事業を國營とすることに關する陳
 情(第四百三十六號)
○農業災害補償法案(内閣送付)
○農村指導農場開設に關する陳情(第
 四百三十八號)
○主食の均てん配給に關する陳情(第
 四百四十號)
○新發田市舊町裏練兵場拂下げに關す
 る陳情(第四百四十一號)
○食料品關係の公團制反對に關する陳
 情(第四百四十九號)
○農地開發營團の解散に伴う開發事業
 の都道府縣移管その他に關する陳情
 (第四百五十號)
○民有未墾地買收計畫の樹立その他に
 關する陳情(第四百五十二號)
○農業協同組合法案に關する陳情(第
 四百五十四號)
○邑知潟干拓計畫反對に關する陳情
 (第四百五十五號)
○東京都の薪炭増配に關する陳情(第
 四百六十號)
○農業協同組合法案に關する陳情(第
 四百六十八號)
○元御料林拂下げに關する陳情(第四
 百七十號)
○植林用苗木無償配付に關する請願
 (第四百一號)
○適地開拓に關する請願(第四百二
 號)
○北海道農業試驗場復興助成に關する
 請願(第四百七號)
○燧灘干拓事業實現促進に關する請願
 (第四百二十號)
○ビール麥栽培奬勵に關する請願(第
 四百二十五號)
○農業協同組合法の制定その他に關す
 る陳情(第四百八十二號)
○薪炭生産者價格等に關する陳情(第
 四百八十三號)
○鹿兒島縣揖宿郡内のかん害救濟に關
 する陳情(第四百八十六號)
○農業保險制度の擴充強化に關する陳
 情(第四百九十一號)
○農地委員會費國庫補助増額に關する
 陳情(第四百九十九號)
○農業協同組合法案に關する陳情(第
 五百一號)
○水害林業對策に關する陳情(第五百
 十一號)
○米竝びに甘藷の價格改訂に關する陳
 情(第五百二十三號)
○農業協同組合法案その他に關する陳
 情(第五百二十四號)
○競馬法の改正に關する陳情(第五百
 二十五號)
○適正米價決定に關する陳情(第五百
 二十六號)
○燧灘沿岸干拓事業實現促進に關する
 陳情(第五百二十八號)
○千葉縣下のかん害復舊助成に關する
 陳情(第五百二十九號)
○農業協同組合法案に關する陳情(第
 五百三十四號)
○食料配給公團制反對に關する陳情
 (第五百三十八號)
○食料配給公團制反對に關する陳情
 (第五百四十一號)
○農業保險法の改正に關する陳情(第
 五百四十四號)
○自作農創設特別措置法の一部を改正
 する法律案(内閣送付)
○國有林野法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十一月十日(月曜日)
   午前十一時三十九分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○農業災害補償法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(楠見義男君) それではこれから會議を開きます。延び延びになつておりましたが、本日は農業災害補償法について一應提案理由を、先般伺いましたけれども、その内容について更に農政局長から御説明を承わることにいたしたいと思います。本日は時間もございませんので内容の説明、同時にお配りを頂いております政令事項についても、やや難解の點がございますので、それらの點について一應御説明を伺いまして、質疑はこの次からいたしたいと思います。本日は説明だけを伺いたいと思います。
#3
○政府委員(山添利作君) 農業災害補償法につきまして御説明をいたしますが、お手許に農業保險及び家畜保險制度新舊對照表というのが配付してございます。それでは書類をお持ちにならん方もございますようでありますから、大體これに副つて同時に又お持ちならない方も差支ない程度にお話をいたしたいと思います。
 第一に變りましたのは、法律の名前が變つております。今までは農業保險法竝びに家畜保險法、この二つの法制でございました。家畜保險の方は可なり古くから實施いたいしております。農業保險の方は昭和十二年でございますか、その當時から實施いたしておるのであります。これを一本の法制に纏めまして、今囘農業災害補償法という名前に變つたのであります。次に、この一本に纏めました理由につきましては、組織が變つたのでありまして、從來の點を申しますと、農業保險につきましては一番末端の共濟事業を市町村農業會が行う。それから郡に農業保險組合を作る。それから府縣にその連合會を作る。それに對して國が超過再保險を行う。こういう制度でありまして、その間四段階と申しまするか、市町村農業會、郡の農業保險組合、府縣の連合會、それから政府、かようになつておつたのであります。それから家畜につきましては、郡の單位に家畜保險組合がありまして、これに對して政府が割合保險をいたしておつたのであります。今囘はこの農作物に關する保險と、家畜に關する保險を一つの團體で行うということにいたしました。そこで新らしい制度におきましては、市町村の區域に農業共濟團體を作る。この農業共濟團體におきまして、農作物に關する保險竝びに家畜に關する保險の、これは共濟と申しておりますが、引受をする。それから府縣の段階におきまして、その連合會を作る。その上に政府が保險をする、こういうことになつております。そこで今までと違いました點は、家畜の保險と農作物に關する保險が一本になつたということと、それから末端の組合が今日ではそういうふうに市町村農業會等が水稻等について行なつておりましたのを、今度獨立の組合を作るということ、それから郡の組合というものがなくなつた。家畜について言えば、これは府縣の組合の連合會が取扱うことになつた。こういう點であります。かように申しましても、尚危險を實際に負擔するかどうかという點につきまして、從來と違つた點だございます。農作物の保險については市町村農業會が共濟事業を行うと申しましても、自分自身で危險の手持はしないのであります。今囘は一割だけ自分のリスクでやると言いますか、手持が一割ある、こういうことになります。それから家畜については取扱はいたしますけれども、共濟金の全額を都道府縣の連合會に保險するわけでありまするから、手持はございません。即ち言わばただ取次のような内容になるわけであります。組合構成といたしましては、そういう點が變つております。
 その次に共濟の目的でありますが、農作物の保險につきまして從来行なつておりましたのは、水稻、麥、桑の葉でございまして、そこで變りましたのは新らしい制度におきましては、桑の葉に代うるのに、一歩進めて繭の違作を共濟する。もとより桑葉の減少ということも從來の保險制度でありますと桑葉の減少も含んでおりますが、更に延長をして繭の違作を保險に取込まれる、こういうわけであります。尚政令によりまして今度陸稻竝びに芋類等に、即ち主要食糧として供出の對象になつておりますものに、共濟の範圍を可及的に早い機會に擴げて行くという考を持つております。それから家畜の方につきましては今までは牛と馬の保險でございましたが、今度は牛と馬の他に山羊、緬羊、種豚、こういうものが保險の對象に入つて來たわけであります。これは共濟の目的でございまするが、その次の共濟の事故についてであります。この共濟の事故につきましては、新らしい制度におきましては、農産物について氣象上の原因によるもの一切を含めることにいたしたのであります。今まででございますと、この著しい例は東北地方における冷害は共濟の目的に入つておりませんでしたが、これを入れたこと、これが一番大きな改正であります。その他に鹽水の入つて來ます害であるとかいうようなものも入れまして、凡そ自然的な氣象上の原因に基ずく理由による損害でございますれば、これを共濟の對象にするということにいたしたのであります。尚ただ火山の爆發でありますとか、或いは地震によるところの損害、こういうようなものも共濟の對象になる。昨年の暮でありましたか、南海の震災が起つた時に、麥を播いておつたけれども、鹽水が入つてこれが駄目になつた。これは地震によるものだというので共濟金が支出できなかつたのですが、今囘はそういうものも一切含めるということになります。結局損害が起ることで、殘つておりますのは蟲害であります。病害は共濟の對象になる。蟲害はともかく豫防ができるわけでありまして、人爲を以て豫防し得るわけでありますから、その方面で豫防施設を完備して貰う、努力して貰う。その他の自然的な災害は皆共濟を受けるこういうことであります。それから家畜につきましては、從來行なつておりましたのは死亡保險だけであります。これを擴張いたしまして、死亡以外に疾病又は傷害、人間で言えば醫療保險であります。これを行いますと同時に、出産の保險もいたす、この出産といいますのは、流産或いは生れた子供で、これが一人前の家畜保險につけるに至る年齢に達しない間の、小さい間の保險、これを含んでおるわけであります。尤もこの出産に關する保險は牛と馬に限るのであります。廢用保險、從來切迫賭殺と申しておりまして、ともかく死に掛かつたとか、或いは足一本折つて役に立たんから殺してしまう、これは從來切迫暗殺と申しておりましたが、今囘はこれを廢用保險という名前で呼んでおります。これもそういう用途が從來の用途に使い切れなくなつたということにつきましての共濟は、牛馬等について概ね行なうという考え方をいたしておるわけであります。それから責任期間というようなことについては特に御説明申上げることはございません。ただ違いましたのは牛や馬は、今まで牛は十三歳を超えたものは保險の對象にはしない、馬は十七歳まででなければ保險の對象にしないということでございましたが、新らしい制度におきましては、それを超えましても、前以てずつと二ケ年以上の長い間引續いて保險の對象になつておつたという場合におきましては、年齢に制限なく、毎年掛金を拂えば共濟保險關係が續いて行く、こういうことにいたしたのでありまして、途中で牛や馬にいつてぽつんと切れるというようなことはないようにいたしました。その次に保險の金額であります。これは先程の保險事故の擴張は竝んで今囘の大きな點でございまするが、從來水稻の保險について申しますれば、自作地につきまして段當四十五圓、これは昭和十八年當時決められたままになつております。これを今年におきましては、二石以上の田におきましては千二百圓、それから一石五斗以上の田におきましては段當九百圓、一石五斗未滿は六百圓ということに改訂をいたすことにいたしておるのであります。何故今まで水稻について段當四十五圓というようなノミナルな金額に止めておつたかということにつきましては、全體として農家以外の政府負擔になります共濟掛金が凡そ半分ございますので、その財源關係から今日まで極めて低い保險として目的を達することのできない低額に据え置かれたのであります。今囘は今年のものにつきましては只今申上げた通りの額になつており、制度といたしましては毎年主務大臣が段當の收穫價格の半ばの五割を標準として定めるということにいたしておるのでありまして、從つて今後米價が變動いたします度に、概ね段當收穫高の五割を基準として定める、こういうことにいたしたのであります。これは毎年物價状況に應じてやつて行くということについての保險金額を、一種スライデイング・システム的な考え方を以て處理して行くということにいたしたのであります。それのできます所以のものは、畢竟消費者の方に政府の持ちます保險料を負擔して貰う、轉稼をして行く、こういう關係からそういうことが起つて來たわけであります。
 それから保險金支拂の程度について、これは水稻につきまして、御承知のように農作物につきましては三割以上の被害があつた場合に共濟金を支拂うことになつております。但し繭につきましては、四割以上の減收を見た場合ということになつております。この支拂方法を單純化して、三〇%以上の損害がありました場合に幾らの割合の時に幾らと、こういうふうに決めてございますが、これを單純化したということでありまして、これは實行上の便宜であります。特に申上げる程のことはございません。
 その次に保險料算定の基礎でございまするが、これは申すまでもなく過去の實績によりまして定めるわけでありまするが、從來水稻につきましては、昭和七年から昭和十五年、その他の農作物も同樣であります。これを危險率算定の基礎といたしておりましたのは、今囘水稻につきましては、昭和元年から昭和二十年、麥類は昭和元年から昭和十九年、こういうように最近の事實を取入れて計算をいたしました。その結果といたしまして、保險料は相當程度上つております。と申しますのは、その主なる理由の一つは、最近の五ヶ年間に相當損害が多かつた。その事柄が自然保險料算定の基礎に繰込まれたということが一つ。もう一つは保險料共済事故を擴張いたしました。冷害或いは霜害というふうに擴張いたしました。その部分で高まつておるのでありまして、そういう點から事實に即することではありまするけれど、料率そのものとしては高くなつております。そこで新らしい共濟料といたしましては、お手許にすでに配付してございまする資料に記載してあります通りに、一番低いところで十二圓二十何銭ということになつており、平均して確か二十四圓ぐらいであつたと思います。それから最高が四十四圓、水稻一段歩についての共濟金が九百圓として、大體そういう共濟の率に相成つておるわけであります。
 それで共濟料金を農家と政府とが分擔するのがこの農業保險の主義でございますが、結果から見ますると、全體の農作物につきましては、政府と農家との負擔は大凡半々になつております。農家の方が幾らか多いという程度になつておりまして、この點は從來と變りはございませんけれども、今囘はその内容におきまして元とひどく違つたというわけじやありませんけれども、理論的に分析をして分擔割合を決めたというのであります。即ち全國に共通するところの最低の部分を先申しました十二圓何がし、米についての話でありますが、これは農家の負擔とする。即ち米價の中に含まれておるものと見まして農家の負擔とする。それを超えてその府縣で通常標準被害率と申しておりまするが、そこまでに至るところの標準以上災害と申しておりまするが、この以上災害に至る部分につきましては今の最低部分を超します部分を農家と政府と折半して負擔をする、そうしてそれを超すところの超以上災害、具體的に申しますれば東北地方の冷害、又關西地方におきましても非常に大きな旱害等が起きました場合には、非常に高いものになりまするので、それに對應する掛金の部分は全額政府が負擔をするということにいたしたのであります。從來の考え方といたしましても、或る一定の金額を決めまして、何十銭以上は二分の一、何十銭以上は三分の二を政府が負擔する、こういうことでありましたが、これと結果においてひどく違いはございませんが、今のように理論付けをした形において負擔割合を決めたということであります。この點が從來と變つております。
 家畜につきましては別に政府は從來負擔をいたしておりませんが、今囘も負擔をしておらないのであります。
 それから事務費の負擔でございますが、從來も農業保險におきましては府縣の組合及び郡の組合につきましては、基準の事務費を國が負擔いたしておりました。今囘は府縣の組合竝びに末端の市町村における共濟團體の基準事務費は、政府が負擔するということになつております。而して市町村の團體に設置しまする職員の費用は、三分の二を國家が負擔するということに豫算上内定を見ておるのであります。尚家畜保險につきましては從來は事務費の負擔はなかつたのでございまするが、今囘は組合が一本に統合されますという結果によつて、その事務費につきましても國が一部負擔しておるという關係に相成るわけであります。
 大體以上のような點でございまするが、一體今年どうなつておるかということにつきまして、見込でございまするが、申上げて見たいと思います。御承知のように水稻に關する保險につきましては、本年の稻作にもこれを遡及適用するということにいたしております。この點につきましては八月の上旬にそういう公の通牒をも出しておるわけでございまするが、尤も法制が成立すればということとして出しておるわけでありまするが、今年の支拂見込といたしましては、大體水稻につきましても十八億圓くらいは支拂うことになるのだろう。無論確定はいたしておりません。その他麥、桑等も合せますると十九億圓ばかりを支拂うということに相成ると思います。その内政府の方から支拂いまするものは十二億圓見當であります。その差額が約七億ばかり生ずるのでありまするが、これはどうするか、固よりこれは組合の手持の保險料から支拂つて貰うものがございますると同時に、全體といたしまして七千萬圓くらいのそこに不足を生ずることに相成るのでありまして、これは縣の組合竝びに郡の組合、これは農林中央金庫から融通をして貰うという考をいたしております。大體そういう状況に相成つておるのであります。今年水稻に關する遡及します關係の分として、保險の特別會計に米穀特別會計から繰入れます分が五億九千萬圓、その他來年の麥等を考えますと、只今追加豫算に出ておりますのが約六億圓でございます。尚申上げて置きたいことは、この法律によりまして原則として六億圓食糧管理特別會計から保險の特別會計へ繰入れる。その繰入れた金額はこれを食糧の價格に織り込むということになつておるのでありまするが、本年度の措置といたしましては、これを價格差補給金の方から支出をする。從つて本來なら米について一石當り十九圓くらい掛かる筈でありますが、今年は掛かつておりません。これは別の財源から本年の措置として出すことになつております。それが法律の附則に、正誤表として今日あたりお手許に配付をされたものがあると思いますが、そういうことになつておるわけであります。この消費者負擔と申しますると、いかにも消費者だけが負擔するごとくに見えまするが、從來の方式におきましては大體三分の二を食糧管理特別會計から繰入れ、三分の一を一般會計から繰入れる、こういうことになつておつたのであります。ところが外國米を輸入する當時はそれでよかつたのでありますが、そういうこともできなくなつた今後は、全額を食糧管理特別會計から入れて貰うけれども、これが消費者の方の價格に織り込まれるということになるわけであります。言い換えて見れば、これは政府が米を買います價格と、これを消費者に賣ります價格の間において、相當高い地方における危險に對する負擔、即ち本來から言えば、その地方の米價は高かるべき筈であるというようなものを、全體としてプールをしておるのだ、こういう觀念に相成るわけでありまして、消費者負擔といいますことは、一面から見れば、米の生産費についての共濟掛金に關する部分を全國的にプールをして、政府の手でそういうふうに生産費を高く買う代りに、一方に消費者轉稼をしておる。こういう觀念を取つてもいいのではないかと考えておるのであります。尚御質問によりまして御説明を申上げたいと思います。
#4
○委員長(楠見義男君) 先程申上げましたように、本日はできるだけ説明を伺う程度に止めたいと思つておりましたが、尚今の點で簡單な御質問がありましたら、この際して頂きたいと思います。
#5
○羽生三七君 今の消費者負擔のことについてちよつと伺いたいと思うのでありますが、この前私ちよつと何か打合會か何かの時に伺つたと思うのでありますが、この数億圓の金を消費者負擔にするということは、つまり現下の財政上財源がないからか、或いはそれともこういう食糧不足下においては、食糧について生産者も消費者も共にその責任を分つという考えから出ておるのか、そのいずれであるか伺いたいと思います。
#6
○政府委員(山添利作君) これは考え方といたしましては、この財源問題につきましては昨年の暮からやつておるのでありまして、どうしても一般會計からは出ないというのが、事の實際、今日までに延びて來た實情であります。而してこれを消費者負擔と決めましたのは、多分六月頃の閣議であつたと思います。それはお話のように、考え方によるのでありまして、何と申しましても米價は消費者に非常に影響がございまするので、從來は生産費で買うといいますか、生産者から買い値段について、更に一般會計から補給金を出して米價を特別に安くしておつた、こういうような事情もあつた。それを今囘は一遍に取り拂つてしまおうというのであります。それでは消費者がそれだけ高いものを負擔するのか、事實そういうことでありまするが、これを生産費の側から見ると、全國一本の値段で買う。ところがこういう危險に遭遇するものを考えて見れば、東北地方はいくらかその意味においては、抽象的で、抽象的ではありまするが、生産費は高かるべき筈なんです。それを全國一律なものとして買つて、そうしてこの共濟掛金に關する部分をプールして、それを今度消費者に賣つておる。こういう見方をすれば當然これは生産費の中に含まれておる。そういう意味においては一種のプールによつて合理化した。こういう説明もつくわけであります。併し何といつても金がないからこういうことになつたということには違いございません。
#7
○島村軍次君 保險を災害補償法という名前に變えた經過なり理由を一つちよつと簡單に……。
#8
○委員長(楠見義男君) ちよつと速記を止めて下さい。
#9
○委員長(楠見義男君) 速記を始めて下さい。
#10
○北村一男君 この保險は大變趣旨は結構と思いますが、ただ國民健康保險が非常に趣旨において結構であつても、なかなか地方の實情を見ますと、うまく行つておらんのであります。この補償法で補償される一番大きな事故はやはり風水害と思いまするが、風水害の内水害などは、先祖以來水害を受けないところは依然として受付けない、受けるところは殆んど毎年のように受けるというようなことになりますと、この組合は、大體組合を作ること自體は自由のように法案に見受けまするが、こういう安全地帶は組合を作らん、作るところは水害の被害を毎年受けるようなところが作るということになるものと考えます。そういたしますると、この法案の九十何條でしたかに、金額が餘り澤山になりまして支拂ができないときは、金額を減すようなことも書いてございまするが、そういう被害ばかり受けるところが組合を拵えるようになつて、全國的にできませんと、これが完全に行きますかどうか、その邊のお見通しをちよつと伺いたいと思います。
#11
○政府委員(山添利作君) 災害が非常に地域的に偏るというような傾向があるということが、農業保險には御指摘になりますように一番むつかしい點であります。從つて任意の保險ではこれは成立しない。例えば村の中でも始終霜の降るところは決まつておりますし、それから水がつくところは河つぷちという、こういう點もございますので、從つてこれは強制主義を取つておるのであります。と申しましても、これは市町村の共濟團體が成立しますれば、その地域内の農業者は全部強制加入になる、それでは市町村において作るのは任意であるが、これは一應任意の形ではございまするが、從來の法制におきましても、地方長官はその設立を命ずることができる、こういう規定も設けてあります。主義といたしましては、大體全部作つて貰うということが前提になつておるわけであります。この法制におきましても、府縣の委員會の勸告がございますれば、地方長官はそういう命令をもなし得るということにいたしてございまするが、從來殆んどの町村でやつておりまするし、この切替えになりましても同様に全部の町村でやつて貰うということが、大體暗默の前提になつておるのであります。併し今の災害の多い所、少い所ということにつきましては、その地方の實情によつて掛金を査定するわけでございまして、例えば新潟縣と申しましても、新潟縣一圓が同じ救濟掛金の率ではございません。町村毎に何階級かの階級を付けることになつております。そういうふうにして、合理的な災害事情に應ずるような掛金が決められ、而して災害の多い所につきましては、先程申しますように、政府の負擔する割合が多くなるということによつて、全體の調和を取つておる。こういうふうに接配いたしておるわけでございまして、こういうふうに合理的な方法によつて、基礎において全部の市町村に組合を作つて貰う。こういう考え方であります。
#12
○委員長(楠見義男君) ちよつと伺いますが、先程の御説明で行くと、本年度の措置は價格差補給金の方から食管特別會計の方に埋めることになつて、消費者の價格というものには影響はないのですね。今の米價というのは、新米穀年度に入つて價格を改訂した、あの價格ですね。
#13
○政府委員(山添利作君) あの中に入つていないのです。
#14
○委員長(楠見義男君) そうすると結局本年の米からですか。
#15
○政府委員(山添利作君) そうです。
#16
○委員長(楠見義男君) それじや今日はこの程度にいたしまして散會いたします。
   午後零時二十二分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     楠見 義男君
   委員
           門田 定藏君
           田中 利勝君
           羽生 三七君
           北村 一男君
           西山 龜七君
           佐々木鹿藏君
           竹中 七郎君
           石川 準吉君
           宇都宮 登君
           岡村文四郎君
           島村 軍次君
           寺尾  博君
           徳川 宗敬君
           藤野 繁雄君
           松村眞一郎君
           山崎  恒君
           板野 勝次君
  政府委員
   農林事務官
   (農政局長)  山添 利作君
ソース: 国立国会図書館
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