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#1
第075回国会 本会議 第4号
昭和五十年一月二十八日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第四号
  昭和五十年一月二十八日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続
   )
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    午後二時四分開議
#2
○副議長(秋田大助君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
#3
○副議長(秋田大助君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。津金佑近君。
#4
○津金佑近君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、三木内閣の当面する内外政策について、総理並びに関係閣僚に質問いたします。
 まず第一に、政治に対する総理の基本姿勢についてお尋ねいたします。
 三木総理、あなたは昨日の答弁で政権交代問題に触れ、その前提条件は、与野党間に防衛、外交の基本政策に共通の基盤があることであり、それなしの政権交代は、国際的な不信と国民に混乱を来すと述べました。
 総理の発言は、わが国の平和と安全、国の進路にかかわる日米安保条約の問題などについての基本的な一致がなければ、言いかえれば、安保条約を支持しなければ野党に政権を渡せないというものであって、国民主権に挑戦する驚くべき暴言であります。(拍手)
 言うまでもなく、議会制民主主義は、主権在民の基本的立場から、主権者たる国民の意思に基づいて政治が行われることであります。ところが、三木総理の発言は、国民の意思や議会制民主主義より、日米安保体制を不可侵のものとして優先させる対米追随論にほかなりません。
 第一、安保条約でさえ第十条で、いずれかの政府が安保条約をやめる場合のことについて規定しているではありませんか。世論調査によれば、国民もまた、その七割が中立を望んでいるのであります。安保条約についても、外交政策の問題でも、これを決定するのは国民の意思であり、国権の最高機関である国会なのであります。
 ところが、日ごろ「議会の子」をもって任ずる三木総理は、外交政策の継続性の必要という口実で、国民主権と議会制民主主義、国民の意思に基づく政策決定と政権交代を乱暴に否定し、日米安保条約を基本憲章と称し、不磨の大典として国民と国会に押しつけ、日本国民をアメリカの侵略戦争協力の道に永久に縛りつけようとしているのであります。(拍手、発言する者あり)あなたの恐れる国際的不信なるものは、もっぱら、アメリカ政府の反響だけではありませんか。
 田中前首相も、かつて、外交、防衛、教育、治安において、自民党と同じ基本政策を持つ政党が成長するまで、自民党は政権を持たなければならないと述べたことがあります。今回のあなたの発言は、田中前首相の発言に劣らないものであることをみずから実証したものであります。(拍手)
 事は、国民主権と憲法、議会制民主主義と政党政治の基本にかかわるきわめて重大な首相発言であります。憲法否定、憲法違反のこの暴言を取り消すかどうか、国民の前に明確に答弁されることを求めるものであります。(拍手)
 続いて、中東問題について質問いたします。
 日本共産党は、中東問題を世界の平和と安全にかかわる当面の中心的課題として一貫して重視し、その正しい解決のために努力してまいりました。三木総理も施政方針演説で、中東問題を今年最大の国際問題として取り上げざるを得なくなり、これに対する政府の立場を述べております。
 ところで、キッシンジャー・アメリカ国務長官は、一月二日、「中東をめぐる事態が、先進工業国が実際に絞め殺されるような重大な危機に直面した場合には、武力介入もあり得る」と述べております。フォード大統領は、すでに昨年九月、世界エネルギー会議で演説し、「世の終わりを告げる最後の言葉を使わずにエネルギー問題を討議することは困難である。危険は明白であり、それは容赦のないものである。」と述べています。フォード大統領、キッシンジャー長官は、昨年八月政権発足以来十数回にわたり、この種の発言を繰り返し行っております。
 総理、あなたはこれらの発言を知っておりますか。アメリカ政府首脳のこのような言動と、三木総理の、「産油国と消費国とが、力ずくではなく、あくまで対話と協調により、相互利益の調整を図るべきだ」という発言とは、一致するとお考えですか、この点は中東問題に対処する上で最も重要な点でありますので、明確に伺っておきたいと思うのであります。(拍手)
 しかも、フォード政権は、産油国を言葉で脅迫するだけではなく、これを裏づける軍事行動を実際に展開しているのであります。地中海における米第六艦隊は兵力を一倍半に増強し、第七艦隊の空母コンステレーションが二十六年ぶりにペルシャ湾に入っております。これは、第四次中東戦争の際にもなかった事態であります。もし、第五次中東戦争が始まり、アメリカが出兵するというようなことになるならば、国際的にも、国内的にも、一昨年の石油危機どころでは済まない重大事態をもたらすことは必至であります。
 日本共産党は、一月二十日、この重大事態に際し、フォード大統領に厳重に抗議し、三木首相に対し、キッシンジャー構想に追随しないことを明確に宣言し、アラブ諸国の正義の立場を支持する方向に外交政策を転換することを強く要求してきました。
 ところで、総理は、中東戦乱の再発を防ぐと言っておられますが、もし本当にそうであるならば、なぜアメリカのこうした危険な動向に一言も触れようとしないのですか。これは、人を欺き、おのれを欺く態度と言わなければなりません。(拍手)
 いまこそ政府は、このようなアメリカの危険な戦争瀬戸際政策に反対し、これをやめるようアメリカ政府に強く要求し、抗議すべきであると思うが、総理の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 日本共産党は、すでに早くから、中東問題を根本的に解決し、中東に平和をもたらすためには、イスラエルが不法に占領した地域からの全面撤退と、パレスチナ人民の民族主権の確立を強く要求してまいりました。ところが、アメリカは、アラブ諸国民の正義の要求を拒否しているイスラエルに対し莫大な軍事援助を与え、パレスチナ人民の民族主権を確認した昨年十一月の国連決議に反対投票をするなど、イスラエルの侵略政策を公然と支援しております。
 総理は、パレスチナ人民の正当な権利は承認されるべきだと述べておりますが、同時にあなたは、この権利の抑圧者であるアメリカとの協調を日本外交の基本路線とする立場を表明されております。これは、一体どう理解すればよいのか。パレスチナ人民の正当な権利を承認する三木内閣の立場とアメリカのイスラエル支援政策とは、どのように一致するのですか、責任ある答弁を求めるものであります。(拍手)
 以上のことから、改めて重視されなければならない問題は、日米安保条約の問題であります。この条約こそ、外交、軍事問題はもとより、エネルギー、経済問題の上でも、日本をアメリカの侵略的な世界戦略の共犯者に仕立て上げている根源であるということであります。
 ところが、三木総理、あなたは、この日米安保条約を、軍事同盟の維持だけではなく、エネルギー、食糧などの経済協力を含めた日米協力の基本憲章であるとまで高言しております。
 だが、日本の現実はどうでしょうか。日本への核持ち込みは、ラロック証言をまつまでもなく、いまや公然の秘密となっております。アメリカは、中東のみならず、ベトナム協定の破棄さえ公言し、ベトナムへの軍事再介入の動きを活発にいたしております。ハノイ上空を公然と侵犯している戦略偵察機SR71は、沖繩から発進しているではありませんか。昨年来、実戦さながらの猛訓練を続けている沖繩駐留の米海兵師団は、一月初めに緊急出動態勢に入っております。もしアメリカのベトナム再介入が始まるならば、日本はその最大の侵略基地になることは火を見るよりも明らかであります。(拍手)
 三木総理、あなたは、三木内閣のもとで、あの残虐なベトナム侵略戦争の基地にされた事態が再現されてよいと考えているのですか。アメリカのベトナム再介入が切迫している今日、あなたは、日米安保条約をあえて基本憲章とまでうたい上げているが、平和と民主主義に反してベトナム侵略戦争に加担し、日本がその基地となることを安保条約の名で肯定するつもりなのか、はっきりお答えいただきたいと思うのであります。(拍手)
 三木総理の安保憲章論は、その名において、日本国民をアメリカの危険な侵略戦争との運命共有の道に導くものであり、断じて受け入れることのできないものであります。(拍手)
 第二に、国民生活の防衛と日本経済の転換の問題について質問いたします。
 三木総理は、高度成長政策を支えてきた条件は崩れ去った、こう言われました。しかし、いま厳しく問われている問題は、過去において高度成長を支える条件のあるなしにかかわらず、歴代自民党政府の高度成長政策が、国民の基本的利益に照らしてどうであったか、この問題であります。
 一九六〇年代の始まりに、所得倍増計画という形で高度成長政策がスタートしたときに、日本共産党だけがこれに反対をいたしました。また、その後、高度成長政策を具体的に推進するために政府が持ち出した新産都市や工業整備特別地域の建設など、大企業奉仕の国土開発政策に対しても、これに反対してきたのは日本共産党だけであります。
 わが党は、大企業本位の高度成長政策に反対するとともに、一貫して、国民生活の安定と向上を第一に、日本経済のつり合いのとれた発展、日本経済の自主的、平和的発展の経済政策をとることを主張してきたのであります。日本共産党のこのような主張の先見性は今日明白となり、高度成長政策をとり続けた歴代自民党政府は、国民に対してきわめて大きな誤りを犯したのであります。(拍手)それは、何よりも現実の結果が明らかにしております。
 高度成長政策によって、日本には、世界一の総合商社、世界一の鉄鋼会社を初め、世界的巨大企業が続々と生まれました。法人企業の営業利益は、六〇年と比べ七三年には何と八倍にも急増いたしました。一方、高度成長政策が国民にもたらしたのは低福祉であります。社会保障給付費の国民総生産に対する比率が、西欧諸国の場合十数%であったのに対し、日本は五%台にとどまっております。また、消費者物価上昇も、他国に比べて日本が群を抜いております。しかも、国民は、健康で安全な生活を営む国土、環境を奪われました。
 また、穀物の自給率は、六〇年の八三%が七三年には四一%に押し下げられ、エネルギーの自給率は、六〇年の五五・八%から七二年の一三・六%へと押し下げられ、農業の破壊は異常なまでに進み、石炭産業は乱暴に押しつぶされるなど、日本経済の長期的発展にとって欠かすことのできない土台さえ破壊されてしまったのであります。これらの点も、他の資本主義国と比べて全く異なる点であります。
 三木総理、あなたが高度成長の転換を唱えられるなら、まず、大企業本位の高度成長を推し進めてきた自民党政治の責任についてどう考えられるのか、国民の前に明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 同時に、問題なのは、転換というその中身の問題であります。これが、それまでの経済成長率が高過ぎたから、これを今後は低くすることだけで済ませようとするならば、国民を欺くことになるでありましょう。
 昨年末の党首会談の席上で、わが党の代表は三木総理に、「当面の財政経済政策について」と題する要求書を手渡しました。そこで日本共産党が最初に強調した点は、高度成長型税制、財政、金融の仕組みを改めるべきだということであります。
 大蔵省の資料に基づきわが党が計算したところによれば、一九七二年、資本金別実効税率で、資本金一千万円以上五千万円未満の中小企業は四三・二六%であるのに、資本金百億円以上の巨大企業は三八・九五%と、中小企業よりもはるかに税が軽く、まさしく、これまでの税制は、大企業になればなるほど税が安い逆累進の形となっているのであります。
 今日、公共投資は、年間十兆円を超える規模となりました。その中で、産業基盤と生活基盤との比率は、これまで三対一か二対一といった産業基盤の圧倒的優勢でありました。政府金融においても、七二年度末における平均貸付金利は、大企業向け金融機関である輸出入銀行は四・九四%、開発銀行は六・八四%であるのに対して、中小企業向け金融機関である国民金融公庫は七・七%、中小企業金融公庫は七・七九%であります。これが高度成長型、そしてまごう方なき大企業本位の税制、財政、金融の仕組みなのであります。総理は、さきの臨時国会で、わが党の金子議員の質問に対し、大企業本位というのは独断であると答弁されました。
 総理、あなたはこれだけの事実を目の前にしても、なおこれまでの仕組みが大企業本位だということを認めようとしないのですか、責任ある答弁を求めるものであります。(拍手)
 さらに見逃すことのできないのは、こうした大企業本位の税制、財政、金融の仕組みがそのまま残っているということであります。そのため、不況にもかかわらず、大企業三百八十三社の昨年九月期の利益は八千六百二十六億円に達し、三月期と比べ約一五%増と、狂乱物価で生み出した高利潤をさらに伸ばすという異常な事態があらわれました。それがインフレ抑制を妨げるとともに、他方では、この厳しい不況と、ひどい物価上昇の中での国民の苦しみをはなはだしくしているのであります。今日、高度成長型の仕組み、大企業本位の仕組みを可能な限り徹底して取り除くべきであります。
 そこで、具体的に次の三点についてお伺いをいたします。
 第一、大企業優遇の金融を正すため、まず政府金融から正すことであります。日本共産党は、一つの具体的な提案を示しております。高度成長時代の落とし子であり、大企業に長期低利で好条件の政府金融を保障した産業投資特別会計を国民生活安定特別会計に改め、今後は、中小零細企業や公共住宅、勤労者の住宅建設に向けて、その他国民生活を守る事業に向けて、長期低利で好条件の政府金融を大幅にふやす道を開くべきであると考えるが、総理の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 第二に、大企業、大資産家優遇の特権的減免税を根本的に再検討する考えはないか、また、少なくとも大企業、中小企業の実効税率を逆転させる考えはないか、お伺いいたしたいと思います。
 第三に、産業基盤二、生活基盤一という従来の公共投資のやり方を改め、これを逆の二対一に転換することであります。この点については、臨時国会の参議院予算委員会で、福田副総理も基本的に賛意を表明されております。
 政府がこれらのことを実行する意思があるならば、住宅、保育所、公園、下水道など生活基盤整備を大幅に進めることができるのでありますが、これを実行する意思があるかどうか、総理の明快なお答えをいただきたいのであります。(拍手)
 物価問題について質問をいたします。
 今日、物価上昇の被害者は、一握りの大企業を除く労働者、農民、中小零細企業など圧倒的な国民であります。そのことは、政府統計によっても、労働者の実質賃金が、昨年の春闘後の十月は、前年同月よりもマイナス二・九%に落ち込んでいることからも明らかではありませんか。
 三木内閣の物価対策が、物価上昇の元凶である大企業のことはほとんど問題にしていませんが、あなたが総裁である自民党の五十年度運動方針では、物価上昇の被害者である労働者を頭から敵視しております。そこでは、驚くべきことに、労働者が憲法で定められた労働基本権に基づいて、みずからの生活と権利を守るために闘うことと、三菱重工、三井物産などの爆破事件とを同一視しております。ここに自民党三木内閣の本音が示されているのであります。(拍手)これはきわめて重大なことであります。
 また、郵便料金、たばこ、酒の間接税を上げながら、公共料金を極力抑制するというのは、歴代自民党政府が、いつも極力抑制と言いながら、さんざん値上げをしてきた伝統を引き継いだものと言うほかはありません。(拍手)一切の公共料金値上げ計画を撤回すべきであります。ことに、たばこ、酒は黒字であるにもかかわらず、たばこは五割、酒は二割の大幅値上げをすることは断じて許されないことであります。(拍手)
 三木内閣は、真剣に物価安定の大作戦を展開するというのであるならば、何よりもまず物価上昇の元凶である大企業の価格、料金を引き下げるべきであります。そのためには、経理や原価を公開させ、不当なつり上げは引き下げさせることがどうしても必要であります。三木総理、大企業の価格に抜本的なメスを入れる意思がありますか、その決意と具体的対策について責任ある答弁を求めるものであります。(拍手)
 今後の物価政策にとって重要なのは、独占禁止法を国民の期待に十分こたえられる内容にすることであります。政府は、大企業の原価を公開させる点について、公正取引委員会試案を後退させようとしていることが伝えられておりますが、日本共産党は、このような後退には反対であります。
 さらに、今日、独占資本の横暴から国民の利益を守るためには、具体的には、日本経済に決定的な支配力を持つようになった三井、三菱など六大グループを含む独占企業集団及び多国籍企業の反社会的行為、経済撹乱行為をどこまで規制できるか、ここにかかっているのであります。
 ところが、これまでの独禁法はもちろん、公正取引委員会試案も含めて、カルテルは取り締まっても、コンツェルンの形をとる独占企業集団を取り締まる点では、ほとんど無力だと言わなければなりません。日本共産党は、巨大企業だけでなく、多国籍企業、独占企業集団などの経理、原価などを公取委員会に対して系統的に報告、公開させることを改正点の一つに加えるべきだと主張しております。
 総理は、以上の点を含め、独占禁止法改正に積極的内容を持たせる用意がおありでしょうか、明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 次に、環境問題について質問いたします。
 三菱石油の重油流出事件は、二つの恐るべき事実を明らかにいたしました。第一は、一企業の一回の事故が瀬戸内海全域にわたりはかり知れない民族的被害を引き起こし、長期にわたってはなはだしい汚染の影響を残すという、かつてない重大な環境破壊を引き起こしたことであります。第二に、全国各地で同じ事件が次々起こる可能性が満ち満ちているということであります。
 私は、まず、加害者負担の原則に基づいて、漁民を初め被害者に対する全面的な補償を行うとともに、汚染の実態を全面的につかみ、わが国の科学者、専門家の総力を結集して、これを除去するための抜本的な対策を講ずることを強く求めるものであります。(拍手)そして第二、第三の三菱石油流出事件を阻止するために、三木内閣が緊急に次の対策をとることを要求いたします。
 その一つは、すべてのコンビナートと石油基地を総点検し、不備が発見された場合には、操業の制限あるいは停止の処置など、抜本的な対策を直ちにとることであります。
 第二に、公害法を初め関係現行法では、この種の災害の予防ができないことが明らかになった現在、その抜本的な改正に取り組むことが急務であります。
 第三に、諸外国に比しても、わが国の安全審査はなきに等しいと言われていますが、このような事故を未然に防止する事前の安全審査体制を大至急つくり上げなければなりません。これらの対策は、あの深刻な事態を防止するために最低で不可欠なものであり、その実行を強く要求したいと思います。総理の明快な答弁を求めるものであります。(拍手)
 第三にお尋ねしたい問題は、現在の地方自治体財政の危機をいかに打開するか、この問題であります。とりわけ、過去五年間で一兆円に及ぶと言われている超過負担の解消は、保守、革新を問わず、全自治体関係者の痛切な要求となっております。
 わが党は、当面、超過負担解消特別措置法を制定し、全国知事会議など、地方六団体を含む調査特別委員会によって超過負担の実態を調査し、過去五年分については、国の責任で三年間でこれを解消することを提唱しておりますが、いまこそそういう措置をとるべきではありませんか。
 また、現行の三二%の地方交付税率を四〇%に引き上げるとともに、生活関連公共施設の用地費、建設応対する起債枠を大幅に拡大する考えはないか、政府の明確な答弁を求めたいと思います。
 今日、地方財政の危機にさらに拍車をかけている問題に、部落解放同盟朝田派の財政食い荒らしの問題があります。
 日本共産党は、戦前のあの軍国主義の暗黒時代のもとで水平社があった時代から、あらゆる迫害に抗して、一貫して部落差別をなくし、基本的人権を確立するために闘ってきたただ一つの政党であります。(拍手)自治体の同和行政、財政を正しく行うことは、差別撤廃の上できわめて重要な意味を持つものであります。
 ところが、今日、部落解放同盟朝田派は、差別撤廃の名のもとに、少なからぬ地方自治体に対し、暴力、脅迫を手段として、途方もない同和予算を要求し、一般市民に対して逆差別の状態をつくり出し、多くの自治体を重大な財政危機に陥れているのであります。七十四国会において、南但馬一帯の地方自治体が解同朝田・丸尾派らの強要のもとに深刻な財政破綻に陥っていることは、八鹿高校事件に関する質問の中で明らかにしたとおりであります。
 福田自治大臣は、はち巻き、ゼッケンに至る、彼らの蛮行のために支出されている問題について、「同和予算の使い方としては間違いであると思っております。」と、こう答弁をされましたが、その後どのような是正措置をおとりになったか、お伺いしたいのであります。(拍手)
 あわせて、丸尾らの蛮行に加担した八鹿高校校長や教頭、兵庫県教育委員会の関係者などの捜査、これに対する文部省の調査及び是正措置はどのように行われているのか、この際、改めてお尋ねしておきたいと思うのであります。(拍手)
 さらに、八鹿高校事件で逮捕された保釈中の主犯丸尾ら七名が、国会再開直前の一月二十二日に、朝来町における橋本先生宅の不法監禁事件などで新たに逮捕されました。この刑事事件の概要についても、政府の説明を求めたいと思います。
 今日、不法、不当な同和予算が強要されている典型は、大阪の各自治体であります。しかし、それがいかにひどいものであるかということは、大阪府下の各市町村での総予算に占める同和予算の比率を見れば明らかであります。
 すなわち、四十八年度では、和泉市二三%、富田林市の場合は、人口八万七千のうち同和人口千八百人、約二・一%で同和予算は二四・五%、泉佐野市は四・三%で三五・九%、泉南市に至っては、同和人口六・五%で同和予算四九・七%という、驚くべき数字に達しているのであります。大阪市の浪速区では、同和事業として、一校五十億五千万円もかけた小学校、三十五億二千万もの解放会館、二十五億九千万の買い物センター、十五億六千万の老人センターなど、これだけでも合計百二十七億二千万円を人口一万五千人の同和地区に費やすなど、驚くべき事態が生まれているのであります。一方、大阪市の非同和地域では、老朽校舎、プレハブ教室など、緊急整備を要する学校が延べ三百七十五校にも及んでいるのであります。
 これは大阪市だけではありません。堺市の市立解放センターでは、七階建てで市職員百三十七人、人件費だけでも年間三億円であり、同市の市民会館の職員十四人とは雲泥の差であります。総理はこうした現実を御存じでしょうか。
 これはまだ氷山の一角にすぎませんが、政府はどのような措置をとってきたのか。また、このような同和予算が、同じ地域内でも解同朝田派に属さない者には適用されていないという実態があることを御存じですか。また、これに対してどのような措置をおとりになっているか、お伺いしたい。
 このような事態は、東京都においても、いまや例外でなくなっております。現に、解同朝田派は、昨年十二月、東京都に対して百四項目に及ぶ「一九七五年度要求」なるものを突きつけ、その中で、東京都の全教職員の研修、さらにはPTAへの啓蒙活動さえ要求するに至っております。もしこれが実行に移されるならば、同和行政はもとより、教育の中立性も侵され、子供の教育と未来にとって重大な事態を招くことは、余りにも明らかであります。
 東京都では、昨年八月来、応急生活資金など同和行政の各種資金の貸し付けなどに対し、解同朝田派には無条件で貸し出すが、そうでない者に対しては研修を条件とするという、この点では日本じゅうどこにもないやり方が行われております。こうした朝田派の無法な要求に屈服した状態が続くならば、東京都でも、さきに述べたような無法な要求が実行に移され、ついには大阪市や堺市のような事態にならないという保証は全くないのであります。
 福田自治大臣並びに永井文部大臣は、これら一連の事実について、いままでどのような措置をとられたのか、また今後どうされるつもりなのか、明確かつ具体的にお答えをいただきたいのであります。
 第四に、金権腐敗政治の一掃と政治資金規制について質問をいたします。
 金権腐敗政治の根源が、自民党を初めとする一部政界と大企業、財界との癒着にあることは、だれの目にも明らかであります。
 三木総理、あなたは、国民の怒りの的になった田中前首相の金脈問題について、これを批判し、国会で明らかにすると述べまして、国民の共感を得られました。ところが、総理となるや、後退に後退を続けたことは周知の事実であります。
 また、三木総理は、総理就任前、企業献金をやめ、政治献金は個人とする、これはきわめて簡単で、しかも現実的な提案で、観念的な理想論ではないと明快に主張されました。ところが、総理の発言は、これまた次第に後退し、政治資金規制に関する三木私案では、個人献金はまだ機が熟さないとして、企業献金の道を温存し、ついには、企業献金は必ずしも悪ではないと、財界に公然と協力を要請するに至ったのであります。
 日本共産党は、創立以来半世紀にわたり、財界と大企業から献金をびた一文受け取ったことのないただ一つの党であり、われわれはこれを心から誇りに思うものであります。(拍手)
 こうした立場から、日本共産党は今国会に、企業はもちろん、労働組合などすべての団体からの政治献金を禁止し、寄付は個人に限ることを中心内容とする政治資金規正法の抜本的改正案を提起いたしているのであります。企業献金は中止すべきだが、労働組合献金は認めるべきだという主張は、まことに首尾一貫性のない身勝手な態度と言わなければなりません。(拍手)
 この問題は、政府が、政治資金規正法の改正をまたずとも、財界から献金は受けない、こう決意しさえすれば直ちに実現できる問題であり、これこそ、まさに政党の清潔度をはかる試金石なのであります。
 三木総理、この金権政治の克服と政治資金の抜本的規制こそ、国民があなたに、せめてこれだけでもと最も大きな期待をかけた点であります。ところが、あなたが総理就任以来、国民の信頼を最も大きく裏切ったのもこの問題であったのであります。
 総理、いまからでも遅くありません。あなたが清潔な政治をモットーとするなら、ためらうことなく、国会のこの壇上から国民に対して、直ちに、今後政治献金は個人に限る、企業献金は受けないと言明すべきであると考えますが、総理の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 質問を終わるに当たりまして、最後に申し上げたいことがあります。
 三木総理は「すべての日本人は、日本丸という同じボートに乗った、最も緊密な運命の共有者であります。」こう述べられました。ところが、三木船長がかじをとるこの日本丸の前途は、自民党大会がいみじくも述べたように、行方の知れぬ、海図のない航海そのものだということであります。これでは遠からず、原子力船「むつ」のように、激動する国際情勢の波間に漂流するか、マラッカ海峡の第三祥和丸のように座礁の運命は避けがたいと言わなければなりません。(拍手)こうした道を進む限り、三木内閣と自民党は近い将来必ずや国民の厳しい審判を受けるでありましょう。
 総理並びに関係閣僚の誠意ある答弁を求めまして、日本共産党・革新共同を代表しての私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
#5
○内閣総理大臣(三木武夫君) 共産党の津金さんの御質問にお答えをいたします。
 第一問は、成田さんの御質問に答えた、私が、政権の交代には基本的な政策に共通の基盤があることが好ましいと言ったことは、憲法論として言っておるのではないのです。憲法論としては、津金さんの言われるように、それは国民が決定をするわけですが、政治論として、津金さん、あなたがごらんになっても、どこの国でも、政権の交代が行われておる国に、国の防衛についても外交についても、基本的考え方が百八十度違っておる政権の交代というものは例があったでしょうか。議会政治というものは革命ではない。(拍手)改革は望んでも、革命は議会政治が目指すものではないのでありますから、どうしても、政権の交代によってその国の基本政策が根本的に違わないで――もし違えば、国民としても、安保条約も自衛隊も根本的に違うということになれば、非常な混乱が起こる。また、外国から見ましても、政権のたびごとに外交政策の基本が変わるということでは、国際的にも非常に不安な感じを与えるわけであります。私は、しばしば外国の模様、選挙などを見ましても、昨年の五月でも、フランスのミッテランとジスカールデスタン、この支持母体というものは極端に違う支持母体であっても、外交問題や防衛問題が主たる論議の中心にはなってなかったのであります。国民生活に関係する問題が両方の大統領選挙の焦点になっておりました。
 だから、私は、憲法論と言ったんではなくして、政治論として、そういう政党の、政治の姿が日本にできないものか、そうすることが好ましいんだ、政権の交代が、国民に混乱を与えるというような不安なしに政権の交代ができる基盤が日本の政党政治に生まれないかという、議会人としての私の願望を述べたわけでございます。さように御承知を願います。(拍手)
 また、第二は、中東における戦争の危険というものを非常に御指摘になりました。それについて、フォード大統領あるいはキッシンジャー米国務長官の発言を引用されました。私も新聞で読んだわけですが、キッシンジャー国務長官の発言は、首を絞められて絞め殺されるようになったら黙って死ぬわけにはいかぬ、これに対しては、これはやはり武力の介入ということもあり得るというようなニュアンスの発言でありました。しかし、津金さん、これは仮定の話であります。もしそういう場合があったらという仮定の実話で、現実のアメリカの中東政策だとは私は思わないのです。現にアメリカの中東政策は、御承知のように、十二月にフランスの大統領ジスカールデスタンとフォード大統領とが会って、そして一緒に決めたことは何か。この三月には産油国と消費国との間で話し合って、石油問題を解決するための予備会談を開こうということを決めたじゃありませんか。アメリカの政策が、そんなに初めから武力で解決しようという政策であるとするならば、そのような決定をフランスの大統領と決めるわけはないじゃありませんか。そういう点から考えまして、私は、私の言う話し合いによって中東問題を解決すべきであるという線と、現実のアメリカの中東政策との間に、大きな食い違いはないと考えておる次第でございます。(拍手)
 したがって、アメリカに対して、アメリカの危険な戦争瀬戸際政策に警告を発すべきだというようなことは、そういうことをする考え方は持ってないということを申し上げる次第でございます。
 また、アメリカがイスラエルを支援しておる、私はパレスチナ人民の正当な権利を承認すべきだという演説をしたが、そのアメリカの立場と私の言う立場とは、非常に一致してないじゃないかという意味の御質問がありましたが、アメリカも、御承知のように、最も中東の和平に対していま努力をしておるのはキッシンジャー国務長官であることは御承知のとおりであります。何回も中東に参って、それは私が言うのでなくして、エジプトのサダト大統領でも、キッシンジャー長官の努力は高く評価すると言っておることは御承知のとおりであります。どうしても中東は、石油問題を解決しようとするならば、石油問題の背後にある中東紛争を解決することが、石油問題の解決の根本であります。したがって、その点では、イスラエルに対しても相当説得する必要がありますから、キッシンジャー国務長官の役割りを、これはやはり評価しなければならぬと私は思っておるのでございます。そしてわれわれとしても、日本は国連安保理事会の二四二号の決議のときには、非常任理事国で決めたのですから、この決議を実行するということに対しては、日本はできるだけの努力をして、これがもう和平の基礎ですから、アラブ諸国もこれは承認しておるし、アメリカもまたこの二四二によって紛争を解決しようと、アメリカを初め世界の国々は、そういうふうに世界的な意見の一致を見ておるのですから、そういう点で、アメリカの考え方と私が本会議で述べた考え方に、大きな隔たりがあるとは思わないのでございます。
 また、日米安保条約、これを非常に攻撃されましたけれども、今日における、核兵器の時代における国防観念は、戦争をするということではないと思いますよ。もし戦争が起こってくれば、人類はこれでもうおしまいです。戦争を防ぐというところに核時代における国防観念があるんだ、だから、日米安保条約というものを、戦争のためにこんな条約を結んでおるのではない、戦争を防ぐ抑止力として日米安保条約の役目というものをわれわれが評価するからであります。(拍手)
 そういう意味で、日本の自衛力も、四次防、これをむやみに拡大する考え方は私はないんですよ。そうなってくると、日本の防衛力は、それはよその国に比べても、予算の割合でも、今年度の予算でも約六%であります。これは予算の規模として、世界各国に比べて主要国では日本は一番低いことは御承知のとおり。しかし、むやみに日本の防衛費をふやしていく考えはない、最小限度に防衛力は抑えながら、その足らないところは安保条約によってこれを補強しようという点で、安保条約の持っておる戦争抑止の上における力は、正当に評価しなければならぬと考えておるのでございます。(拍手)
 また、アメリカと何か協力することが、日本の自主外交を非常に損ねるように津金さんは言われますけれども、私は、むしろそういうアメリカに対して先入観を持つこと自身が、すでに自主性を失った態度ではないか、こういうふうに考えるのでございます。(拍手)
 今日、日本とアメリカの関係というものを、皆さんは軽くごらんになるとしたら誤りであります。貿易においても、約三割の貿易はアメリカとの間にやっておるし、食糧の問題一つとらえても、エネルギーの問題をとらえても、日米の協力というものをそんなに軽く評価することは、私は誤りだと思うのでございます。しかしながら、だからといって、私は外務大臣を二年ばかりしておったが、アメリカに対して、日本が言うべきことを遠慮して言わなかったということはない。やはりアメリカとの関係は、日本は自主性を持たなければならぬことは津金さんの言われるとおりであります。しかし、初めからアメリカに偏見を持って、アメリカとの間の友好関係が、いかにも一方的にアメリカ一辺倒で、日本の自主性がないようにお考えになるお考え方も、これはやはり偏見であると言わなければならぬと思うのでございます。(拍手)
 また、次に、ベトナムに対して沖繩から偵察機が飛び立っているというお話でございますが、まあアメリカは、やはりアメリカの軍用機が偵察活動もできるわけになっておりますが、私は、この事件についてはまだ承知してないんで、この事態はどういう事態かよく調べてみたいと思っております。しかし、それはアメリカができ得るんだ。米軍機が偵察活動を、行動の範囲内においてやることは認められておることであるということでございます。事実については、まだ事実関係は承知してないということでございます。
 それから次に、高度経済成長というものを非常に、これは言葉が過ぎるかもしれませんが、まあ目のかたきのようにおっしゃいますけれども、あの敗戦の廃墟の中から、食べる物もない、着る物もない、働こうにも働き口がないときに、何とかして生活水準を上げたい、雇用の機会を増大したいとして、国民が一生懸命になって、その国民が一生懸命で働いた結果が経済の成長を呼んだので、その高度経済成長でいろいろな弊害やひずみができたことは、率直に認めます。私は認めないのではない。しかし、高度経済成長がもたらした国民の生活水準、雇用の機会の増大というその高度経済成長のメリットの面までも全部否定して、全部高度経済成長は悪だというきめつけ方には、賛成ができないということでございます。(拍手)
 いま、これからわれわれがしなければならぬことは、速度が速過ぎたことは事実です。そのことが、資源の点においても、世界から見ても、日本が資源を世界から買いあさったり、あるいは環境問題に対する配慮が足りなかったり、そういう高度経済成長の速度が速過ぎたためのいろいろな弊害面が起こっておることは認めます。これからは、私も施政方針演説で言ったように、高度経済成長を支えた条件はなくなったのですよ。これからは安定成長といいますか、正常な成長に日本は返らなければならぬ。そうなってきますと、いままでと違って、いま津金さんの言われた財政も、あるいは税制も、あるいは産業構造も国民生活も、大きな路線の変更の機会に、皆一遍ここで見直してみなければならぬ、新しい出発をしなければならぬ段階でございますから、この問題に対しては、私は真剣に取り組んでみたい。
 しかし、これだけの大きな転換を、津金さんは、まだ何にもやらぬじゃないかと言っても、まだ二カ月にも足らぬ三木政権が、これだけの大きな転換を、何にもやらぬとおっしゃっても、それは少し酷な批評ではないでしょうか。(拍手)私は、こういう大きな転換期を、本当に真剣に取り組んで、国民に混乱を起こさないで、高度経済成長から安定成長への橋渡しをこの内閣はやり遂げたいと念願しておるということだけは、皆さん、御信頼を願いたいのでございます。(拍手)
 また、税制の問題についていろいろと御質問がございました。必ずしも税制が大企業中心というようにきめつけられることにも承服いたしかねますけれども、税制の改革ということは必要でございますし、また、租税特別措置法も、これはやはり整理、合理化をしてまいらなければなりませんし、税制調査会の意見も聞いて、税の負担の軽減、合理化というものに対しては、これは図ってまいることをお約束いたします。
 また、産業基盤の整備は、これからはやはり生活関連といいますか、生活の環境整備、住宅とか下水とか保育所とか、そういうものに重点を置くべきだということは、私と意見が一致しない点は多いのですけれども、この点は、津金さんと全く同意見でございます。これは、われわれもさようにいたしていくつもりでございます。
 また、自民党の大会等も例にとられまして、自民党が労働者に対して非常に、何と申しますか、労働者に対しては反労働者的政党であるというふうにおっしゃいましたけれども、私も、党大会における総裁の演説で党員に呼びかけたことは、自民党は労働者にも支持される政党になろうではないか、こういうことを党員に呼びかけたのであって、今日、労働者の持っておる社会的地位を無視して政党がやれるものではありません。やはり労働者というものは、国を支えておる大きな力であることは間違いない。自民党といえども労働者の雇用の安定、生活の向上に対して、今後とも重要な課題として力を入れていくものであるということを、議員の皆さんにも、国民の皆さんにも申し上げておきたいのでございます。(拍手)
 それから、いろいろ価格の問題についてお話がございました。われわれも、やはり大企業の寡占体制のもとにおいて、価格が必要以上につり上げられることのないように、これに対しては価格調査官もございますし、あるいはまた行政指導を通じて、こういうときに、いわゆる工業製品に対してもできるだけ、物価が鎮静に向かっておるこういう機会に、引き下げられるものはできるだけ引き下げられるような監視と指導とを行っておることを申し上げるものでございます。
 また、公共料金についていろいろお話がございました。私も、公共料金というものは、財政的見地から言えば、これはむちゃな面もございます。そういうものを、赤字的なものを、公共料金を改定しないで赤字が累積したら、それを一度に解決する場合には大変なことになるわけですから、やはり公共料金というものは、それを利用する方々が適当に負担をしていただくということが原則でございます。そうでなければ、それは公共事業というものは成り立たない。財政資金で全部やれと言うなら別ですけれども、そういうことができないとすれば、適当に受益者の負担を願わなければなりませんが、今日は非常事態であるということで、まあ郵便も六カ月間延期をして、しかも、はがきのごときも二十円を十円にしたり、たばこ、酒は値上げをしましたけれども、あるいは電信とか電話とか、塩とか小麦とかいうものは据え置いて、極力公共料金の値上げを抑制したわけでございます。
 コンビナートについては、これはいろいろと問題を起こしておりますから、総点検をいたします。また、今後コンビナートというものを新設しようというときには、いわゆる事前の、環境へ与える調査なんかを十分にいたすことによって、簡単にコンビナートの新設は認めない方針でございます。また、コンビナートのいろいろな事故に対しては、関係各省とも相談をいたしまして、法律的に不備な点は、これを改むることにやぶさかではございません。
 次は、文部大臣と自治大臣の御答弁の御要求がございますので、いま申し上げた以外のものは、自治大臣と文部大臣からお答えをいたすことにいたします。
 最後に、私に質問がございました、一つには政治資金規正法でございますが、この政治資金規正法につきましては、これはこの国会に提出をいたします。内容についてはいま検討を加えておるわけでございますが、やはり節度を持たなければならぬということでございます。そしてまた、津金さんは私が言うことが後退しておると言うが、私は初めから、政治資金について、いきなり党費と個人献金に限れとは、津金さん、言ってないのですよ。できるだけ早く移ることが理想だけれども、それまで移るのには経過的なある期間が要るということを、私は終始一貫して述べておるので、総理になって、ことに意見が後退したということはありません。それは最初から私が述べておることでございます。できるだけそういう期間を短くできれば、党費と個人の献金でいけば、一番国民に対して疑惑も与えることがなくていいとは思いますけれども、日本の場合は個人献金が社会的慣習の中にまだ育ってないわけですから、しばらく経過期間を置きたいと思います。
 また、企業の献金が悪だとは思っていない。自民党は企業に甘えてはいけないという自民党の反省から言っておるので、企業の献金が悪いから、この企業献金をやめろという発想ではない。自民党が、ただ企業に対して安易におんぶしてはいけないという戒めの反省から、総裁としての発言であるということでございます。(拍手)
 それから、日本丸、私の総理のもとに日本丸の将来が御心配なようでございましたが、どうか御安心を願いたい。私は、全力を傾けて、日本の平和と安定のために、必ず日本丸の方向を誤らしめないで私の責任を果たす所存でございますから、どうか津金さん、その点は、立場は違っても、この船長が日本を誤らすことはないと御信頼を願いたいのでございます。(拍手)
#6
○国務大臣(大平正芳君) 総理大臣からおおむねお話がございましたけれども、一つは、産業投資特別会計を国民生活安定特別会計に変える意図があるかどうかという御質問でございました。
 この会計は、御承知のように、昭和二十八年に設けられまして以来、産業の開発、貿易振興等のために投資を続けてまいりまして、ことしも輸銀に対しまして六百二十億円の投資、北東開発公庫に対しまして十六億円、金属鉱業事業団に対して十一億円等、貿易とか地域産業の開発等に投資をいたしておるわけでございます。御指摘のように、大企業優先などというものではございませんで、この会計を、お説のようなものに改組することは考えておりません。
 第二の問題は、大企業優先の税制の改正についての御質疑でございました。おっしゃる意味は、租税特別措置の改廃について勇断をもって当たれという御趣旨のことと拝聴いたしたのでございます。
 この制度は、津金さんも御承知のように、企業の大、中、小、零細規模にかかわらず、貯蓄の奨励でございますとか、あるいは輸出の振興でございますとか、技術の開発とか、公害の防止とかいう特定の政策目標を達成するために、税の減免を一定の要件のもとでいたす制度でございます。したがいまして、その目的を達成いたすにつれまして、これを改廃してまいりますのは当然でございまして、最近も、輸出割り増し償却制度を廃止いたしましたり、特別償却制度の一部を廃止いたしましたことも御案内のとおりでございます。今国会におきましては、利子、配当特別措置とか、土地譲渡所得等につきましての特例に対する課税の強化をいたしておりますことも御案内のとおりでございまして、今後の情勢の推移におきましても、鋭意改廃の努力は続けてまいるつもりでございます。
 それから、地方自治財政につきましては、後ほど自治大臣から御答弁があると思いますけれども、交付税率を四〇%にする意思があるかどうかということでございますが、ことしは大変奮発をいたしまして、地方に対しまして、去年に比べまして三〇・三%の増加、沖繩に対する臨時特別交付金を加えまして四兆四千二百九十五億円という空前の伸びでございました。私は、交付税率を引き上げるという意図を持っておりません。(拍手)
#7
○国務大臣(永井道雄君) 津金議員から、同和教育につきましてきわめて重要な御質問がございましたので、それに対して御答弁申し上げます。
 まず、八鹿高校事件でございますが、学校の場におきまして暴力が用いられたということは、きわめて遺憾であることは申すまでもございません。これに対して、文部省はどのような立場で臨むかということでございますが、第一は、申すまでもなく、教育の場においては暴力というものは絶対に排除するということであります。第二は、同和対策審議会の答申の精神に基づきまして、法のもとにおける平等、人権の尊重という精神によって、差別というものをわが国からなくしていく。第三に、教育を推進していくわけでありますから、教育の場に政争というものを持ち込まない、すなわち教育の中立性の原則を守るということであります。(拍手)
 ただ、この文部省の方針を進めていきます上でどのような手続が必要であるかと申しますならば、申すまでもなく、わが国におきましては地方自治を尊重いたしております。そして、地方自治におきましては、一般行政との協力、協調のもとに教育委員会が教育に当たっているわけでありますから、その判断と責任を重んじると同時に、これに対して指導、助言を行うというのが文部省の立場でございます。
 さて、そのような立場をもちまして、八鹿高校事件につきましては、昨年十二月、指導を行ってまいりましたが、指導の内容は、学校を正常化するということでございましたが、授業が再開されるに至りました。しかし、御指摘のように、あるいは校長、教頭、県教育委員会の関係者などが事件に加担しているのではないかという御質問がございましたが、これにつきましては、重要な事実でございますから調査をしておりますが、今日までのところ、その報告に接しておりません。
 次に、東京都の問題でございますが、東京都の問題について申し上げますと、部落解放同盟東京都連合会委員長から、昭和四十九年十二月、東京都知事あてに同和行政全般にわたっての要望書というものが出ておりまして、その中に、「全教員の研修を保証すること」というのがございます。これにつきましても、文部省の立場というのは先ほど申し上げたとおりでございまして、教育の中立性を守るということです。そして、人権を尊重して差別をなくすようにしていく、そのことにつきまして、東京都教育委員会との連絡を保ちつつ、その責任と判断のもとに、先ほどから申し上げました原則を実現するように、指導、助言をもって臨んでいるということでございます。(拍手)
#8
○国務大臣(福田一君) 津金さんにお答えをいたします。
 まず第一は、地方財政の問題でいわゆる超過負担の問題、それから交付税率の問題、それから起債枠の問題、この三つについて御質問がございましたが、過去の超過負担の解消につきましては、これは交付の申請、交付の決定というものがすでに行われておりますので、これをもう一度見直すということは非常に困難であると考えております。
 今後の超過負担をどうするかということについては、私は、単価を適正にすることによってそれがないように、今後大いに努力をいたしたいと考えておるものでございます。
 次に、同和問題について御質問があったのでありますが、そのうちで、まず八鹿高校の事件の経緯について御質問がございましたが、ただいま八鹿高校の問題につきましては、十二名を実は逮捕いたしまして、今日まだ捜査を続けておる段階であります。
 丸尾某という者を再逮捕したが、その経緯を十分説明しろ、こういうことでございますが、お尋ねの事件は、昨年の十月二十二日から同月二十六日までの間、被疑者ら多数が、兵庫県の朝来郡朝来町所在の橋本哲朗宅を包囲いたしまして、マイク等を使用して脅迫するとともに、自由を拘束して不法に監禁したという、監禁並びに暴力行為等処罰ニ関スル法律違反事件であると私は承知をいたしております。
 次に、地方同和予算を不当にゆがめて使われておるのではないかという御質問でございますが、これはいま調査をいたしておる段階でございまして、調査の結果を待って適当に処理をいたしたいと考えております。
 なおまた、同和対策費が地方財政を非常に圧迫しておるじゃないかというお話でありますけれども、私たちは、同和対策費は、これからも、国費においても大いに伸ばしていくべきものであると考えております。しかし、それを伸ばしておるからといって、三分の二は国費でございます。三分の二は国が負担するのです。三分の一は地方が持たなければならない。だから、国費をむやみにふやすと、三分の一の負担をするというのについて地方財政が圧迫されやしないかという問題も考えられないわけではありませんが、いまのところ、それほどの予算を組んでおるわけではございません。
 問題は、いわゆる地方自治の精神にのっとりまして、単独事業というものを同和のために相当大幅にやりますというと、それは地方財政を圧迫する傾向がございますので、そういう点については、われわれとしても懸念を持っておるということを表明させていただきます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(前尾繁三郎君) 竹入義勝君。
#10
○竹入義勝君 三木総理、あなたが昨年十二月九日、国会において総理大臣の指名を受け、三木内閣を組閣して一カ月半、私は、あなたの政治姿勢はいかなるものか、果たして、かねてからあなたの持論であった数々の政治理念や政策が、どのように実現され、展開されるかを、非常な関心をもって注目してまいりました。
 三木総理、あなたは、たった一カ月半ぐらいで自分の考えが実現できるかと、先ほども反論をされたわけであります。しかし、衆議院に三十八年の議席を有し、「議会の子」をもってみずから任じ、いつの日か、日本の宰相という最高の立場において自己の経綸を大いに行おうとしていたに違いないあなたにとって、日ごろの素懐を実現するに当たってのこの一カ月有余の時間は、当初予算編成という機会も含めて、決して短過ぎる時間ではなかったと信ずるのであります。(拍手)
 政治の転換がいまほど望まれているときはありません。これは単にわが国だけではなく、世界史的に大転換期を迎えているのではないでしょうか。
 すなわち、明治維新から第二次世界大戦終戦までの富国強兵、殖産興業を第一期とするならば、終戦後から石油ショックの一昨年に至る高度成長時代、この時代を第二期、そして昨年から始まる低成長、安定成長の時期というように分けられ、その中で、最も重大な転換の時期が現在であると思うのであります。
 このような時期において、政治に課せられた重い責任を顧みるとき、政府・与党また野党という立場の相違を超えて、国民の負託にこたえなければなりません。(拍手)したがって、かかる意味からも、三木総理の所信を改めてただすことが必要であり、私は、ここに公明党を代表し、質問をいたすものであります。(拍手)
 三木総理、私は率直に申し上げて、あなたが総理就任前とその後とを比べて、非常な後退を示していることに、きわめて危惧と失望を感じております。
 私は、三木さんの総理就任に際し、きわめて象徴的な四つの問題をいかに処理されるかを、大変失礼な言い方かもしれませんが、踏み絵として設定をいたしました。
 その第一は、清潔な政治実現のための一つの大きな柱である政治資金規正法を、どのように強化改正するか。
 第二には、大企業の横暴を抑えるために、独占禁止政策、すなわち独占禁止法の改正にどのように対処するか。
 第三は、公害対策としての自動車排ガス五十一年規制にどのような決断をするか。
 第四に、西欧先進国に比べて非常に低劣なわが国の社会保障政策の充実向上、特に老後の生活保障としての年金法改正にどのように対処するか。
 以上の四つでありました。
 これら四つの問題はいずれも、三木総理が大企業、大資本の立場に立つか、国民大衆の立場に立つかの問題であり、言い直せば、強い者の立場に立つか、弱い者の立場に立つかを明確に判定できる問題であるからであります。
 そして、現在までの経緯は、明らかに国民にとってきわめて失望的なものであります。これでは、三木総理の言う社会的不公正が是正されるどころか、ますますそれを増大していくことになるからであります。これでは、かねがねあなたが国民に向かって約束してきたのと、余りにも違いが大き過ぎませんか。これは羊頭を掲げて狗肉を売るに等しいと思わざるを得ません。
 いま、未曾有の難局に際して、政治がリーダーシップを発揮しなければならない重要なときに際会をいたしております。このときにこそ、政治が国民からの信頼を回復しなければ、この難局を突破することはきわめて困難であります。政治資金の集め方、使い方をガラス張りにし、少なくとも政治が金によって左右されるというような疑惑を一切払拭することが、この政治に対する国民の信頼を回復する第一歩であります。
 そのために、政治資金規正法は、一切の法人、団体からの献金を禁止し、献金は一定額に限って個人のみとし、収入、支出をガラス張りにするよう厳しく改正すべきであると思いますが、総理はいかがお考えでありましょうか。
 三木総理は、かねて持論として、政治資金は個人献金に限ると言われてまいりました。最近、企業献金を積極的に受け入れる方針に変更されました。しょせん、これがあなたの本音なのかと国民は失望をいたしております。いわゆる口舌の徒の汚名を受けないためにも、果断と実行を求めてやまないものでありますが、御答弁をいただきたいと思うのでございます。(拍手)
 次に、選挙有権者の意思をできるだけ公平に反映させ、民主主義を徹底ならしめるため、衆議院の定数是正と参議院地方区の定数是正をぜひ実現しなければなりません。
 公職選挙法には、国勢調査の結果に基づいて定数是正はなされなければならないことが明記されております。かつ、前通常国会、衆議院公職選挙法特別委員会小委員会において、衆議院の定数是正について、参議院問題と切り離し、与野党の合意がほぼ成立していた問題でもあります。ところが、三木内閣に至って、参議院全国区比例代表制と抱き合わせでないと、これを行わないとの空気が強いと聞き及びますが、私は、与野党各党が合意した衆議院の定数是正のみでも、早急に実現すべきことを要求いたします。お答えをいただきたい。(拍手)
 さて、いま国民大衆が直面している危機と不安は、いわゆるインフレ下における物価上昇の中での生活危機であり、また、弱い者いじめの総需要抑制政策の進行によって引き起こされた中小零細企業の倒産、失業と不況の深刻化による生活不安であります。
 自民党政府の長年にわたる高度経済成長政策は、インフレを悪性化させ、さらにこれに加うるに、大企業、大資本、また悪徳企業の一群が、やみカルテルによる不当な価格引き上げ、土地を初め生活必需物資の買い占め、売り惜しみなど、あらゆる金もうけの手段を駆使して物価をつり上げ、国民生活を塗炭の苦しみに追いやりました。この事態を収拾するために、政府は総需要抑制政策に転換し、いわゆる極端なデフレ政策を強力に推進しました。
 この結果、企業の倒産は一万二千件を超え、失業者はすでに七十万人を超え、このまま進行すれば、本年三月には、失業者は百万人を超え、有効求人倍率〇・七五倍に達し、職を求めて得られない者四人に一人ということになると予想されております。しかも、この倒産、失業の企業は、そのほとんどが中小零細企業であります。このことが如実に示しているのは、インフレの場合もデフレの場合も、犠牲者は、常に弱い多くの勤労国民であることに重大な関心を持たねばなりません。(拍手)
 このように、政府の総需要抑制政策は、いわゆる社会的弱者層の犠牲の上に行われております。私は、今日の石油価格の高騰を初め、わが国経済を取り巻くもろもろの情勢から見て、安易な見通しや期待が許されないことは十分に承知いたしております。したがって、大枠としての総需要抑制や、高度成長から安定成長への経済政策の転換に反対するものではありません。しかしながら、これまでの政府のやり方は決して承服できるものではありません。
 これからの日本経済の安定成長を本当に具体化し、実現するためには、単純な金融、財政圧縮、抑制だけでなく、金融、財政、経済の構造にまでメスを加え、成長至上主義の原因となった日本の政治、社会のそれぞれ仕組みを点検し、成長の減速、経済の減速、福祉の向上など、抑制だけでない構造の改革をすることにより、本当の意味の安定路線の実現を目指すべきであります。(拍手)
 このように、構造改革とともに総需要抑制政策の中身を転換し、今日の不況の一つの大きな原因となっている個人消費支出の異常落ち込みについては、低所得者階層の所得増加が図られなければなりません。生活保護世帯、老人世帯等には、生活できる社会保障が実施されなければなりませんし、さらに、勤労者のうち、低所得層の人たちの所得がふえるような全国一律最低賃金制の確立など、国の施策がとられる必要があります。低所得の勤労者の多くは、いわゆる中小零細企業で働いている人たちであります。したがって、この人たちの所得引き上げや、失業の不安から解放するためには、これら企業に仕事を与える国の施策が十分に行われる必要があります。(拍手)同時に、不況に呻吟する中小零細企業の多くの声は、融資もさることながら、何よりも仕事というのが圧倒的であることを忘れてはなりません。(拍手)
 そのためには、たとえば、地域住民のどうしても必要な住宅、学校、保育所、福祉施設、下水道など、生活関連公共事業等を総需要抑制によって一律に縛ることなく、むしろ促進する方策を講じ、それによって生ずる波及効果を期待しなければなりません。また、その事業実施に当たっては、大企業の下請といったこれまでのやり方を改めることが大切であります。
 こうしたきめの細かい施策の準備なしに、ただ総需要の抑制を行えば済むというものではありません。もし、現在のやり方で物価が政府の言うように横ばい状態になってきたと仮定しても、それは倒産と失業の上に成り立ったもので、それでは物価安定という、本来手段であるべきものが、多くの人々の生活権を奪うという結果を招くのでは、人間の福祉実現という本来の目的は失われることになりましよう。われわれは、今日まで政府がやってきたこうした総需要抑制政策の質的転換を要求しておるのであります。(拍手)
 同時に、物価安定を真に考えているならば、郵便料金、酒、たばこなどの公共料金を、少なくとも物価上昇率が一けたに落ちつくまで抑制をすべきではありませんか。
 以上、きわめて総論的に私の意見を述べました。総理の率直な御見解を承りたいと存じます。
 引き続き、具体的問題についてお尋ねを申し上げます。
 まず、独禁政策の強化についてでございます。
 一昨年の石油危機をきっかけにする物価狂乱の中で、大企業はほしいままに、やみカルテルによる価格のつり上げ、寡占による管理価格、買い占め、売り惜しみなど、数限りない横暴を積み重ね、国民生活を破壊と危機に陥れてきたのは衆目の一致するところであります。これは、企業みずからの社会的責任の自覚の欠如であり、企業エゴイズムの露骨なあらわれであることはもちろんでありますが、現行独占禁止法の骨抜き状態こそがその根源であり、大企業の横暴と暴利を許し、自民党への金脈をつなぐ不可欠の素地であることは、言をまたないところであります。
 三木総理が、独禁法改正問題懇談会を設け、各界の意見を問うとしながらも、単に御意見拝聴の段階にとどめ、この懇談会の結論がいかなるものであっても、企業分割、原価公開、持ち株制限の、今回改正の最もかなめとなるべき三項目を含む公正取引委員会試案を骨抜きにする下地をつくろうとしていることは、三木総理の当初の積極的姿勢から大きく後退を意味するものであると国民は考えているのであります。もし、あなたが繰り返し言う骨抜きにはしないというならば、一体独禁法改正をどのようにお考えになり、対処するか、明確に御答弁をいただきたいのでございます。(拍手)
 次に、税制の不公平についてでございます。
 社会的不公正是正の国民の要求は、虐げられた国民の血のにじむ、火を吐くような切実さと、政治への糾弾が込められているとの厳粛な社会的背景と重みがあります。だからこそ、今回の予算で、特に社会的公正を最も鋭角的、具体的に反映しなければならない税制改革においても、社会的公正が実現されねばならないのに、それが実現していないのは、国民の期待を裏切るものであります。所得税、相続税、利子、配当分離課税等の一部に手が加えられましたが、なお不公平が強く温存されております。
 たとえば、インフレの進行時に、土地投機によって得た巨額の地価の増益、すなわち、四十八年末和光証券の調査にあらわれた東京証券市場上場千二百八十六社の所有土地価格は、帳簿上三兆五千四百三十億に比べ、時価は六十六兆四千百三十九億で十八・八倍、評価益が六十二兆八千七百十億円という巨額のインフレ利得に対し、これを当然再評価し課税すべきであるのに、それが見送られているのであります。
 また、法人税について、大企業と中小企業との法人税負担率が、明らかに大企業が軽いという矛盾を見るとき、大企業、大資本の法人税の負担率を上げ、かつ、累進税率を採用すべきであります。また、利子、配当分離課税についても、マル優制度によって零細預貯金者を保護し、不労所得保護の利子、配当分離課税制度を撤廃すべきであると思うのであります。
 今回の税制によって、庶民に関係の深い所得税、入場税等の減税が二千六百億円、これに対して酒税と専売納付金、すなわち、たばこの値上げによって三千七十億円の増税、増収をいたしております。ミニ減税と言われた所得減税は、物価調整減税どころか、実質的には増税となり、しかも、酒、たばこは間接税の逆進性、すなわち、低収入ほど間接税負担が多くなる作用の中で、国民生活をますます苦しめることになることは明らかであります。これをもってしても、不公正の是正どころか、高度経済成長がもたらしたひずみのッケを、またまた中低所得層とそれ以下の人たちに回すことになりかねないと言うべきであります。(拍手)
 いまこそ、従来の資本蓄積促進、金持ち優遇、大衆課税強化の税制度を洗い直して、福祉優先、社会的不公正の是正のための抜本的税制改革を追求すべきであると思います。しかるに、予算政府案の税制は、従来の体系を何ら改めようとせず、国民生活に犠牲を押しつける不公正拡大の税制であると私は断ずる以外にないのであります。これに対する総理の率直なお考えを、まずお伺いいたしたいのでございます。(拍手)
 次に、社会保障についてであります。
 先ほども申し述べましたように、インフレ、高物価と不況の両面から犠牲の一方的しわ寄せを受けている老人、生活保護世帯、母子世帯、心身障害の人たち、社会福祉施設関係者などに対して、生活保障と不況脱出のための個人消費の増大を図る政策実行こそ、いまほど求められているときはないのであります。
 年金制度の長期的構想のもとに、将来ともに一定水準の生活を確保する年金を支給し、財源が確保されなければならないのは当然であります。老後生活は連帯相互扶助で、年金で安心して生活できるようにしてこそ福祉社会であります。無拠出であっても、福祉年金を生活保障年金と考えるならば、直ちに最低二万円は保障されるべきでありましょう。また、今日、いわゆる食える年金ということが言われていますが、そのためには、拠出制の年金月八万円はどうしても早急に実現すべきであります。
 わが党は、生活保障年金の確保には、財政方式を賦課方式に移行する以外に年金水準を高めることは不可能であり、現行積み立て制度では、全く期待できないと思うのであります。賦課方式への転換と実現を図るべきだと思いますけれども、総理の所見を承りたいのであります。(拍手)
 また、年金、医療保険など、国民が受ける社会保障は、職業や住む所で差別を受けるものであってはなりません。そのためには、年金、医療保険などの統合、さらに総合的に社会保障基本計画を策定し、今後の財政に一定のレールを明確に設定すべきであると思いますが、総理の所信を明らかにしていただきたいのであります。
 次に、中小企業対策であります。
 高度経済成長政策が完全に破綻し、インフレ、物価高騰と総需要抑制政策によって、中小零細企業は大企業のしわ寄せを直撃される等の被害を真っ先にこうむり、多くが倒産の危機に直面をしておることは、先ほど申し上げました。そして、大企業と中小零細企業の関係において社会的不公正が拡大されている現状において、私は三木総理に対し、中小企業対策について基本的な認識の転換を要求したい。すなわち、これまで政府の高度経済成長政策の根底にあった、大企業中心の経済政策によって経済成長を促進し、それによってまた中小企業も恩恵を受けるという考えから、中小企業の安定的な発展によって、国民経済を安定させるという基本的な理念を確立することであります。(拍手)これなくして、当面している中小企業の苦境を救済する道も、社会的公正の実現もないと考えるからであります。
 以下、具体的にお伺いをいたします。
 第一に、今後の中小企業行政を充実する上で、総理は中小企業省を設置する考えを持っているかどうか。
 第二には、中小零細企業の事業量の確保について、政府の中小企業向け官公需を増大させると同時に、下請振興協会の下請あっせん業務を拡大、充実すべきであると思いますが、総理の見解をお示し願いたい。
 第三には、小規模事業者が緊急に必要とする生業安定資金については、社会政策的見地から、無利子、無担保、無保証の融資制度を創設すべきだと考えますが、総理の答弁を願いたい。
 第四には、大企業がみずから、あるいはダミーを使い、中小企業分野へ進出し、仕事を奪い、多くはその中小企業を大企業の系列下へ組み込み、その支配下に置いていることについてであります。不況の深刻化に伴ってこの傾向はますます顕著になるでありましょう。中小企業の分野を明確にすることはむずかしいにしても、大企業の進出によって中小企業の経営が脅かされる業種を指定し、調整していくということが最低限必要であります。
 わが党では、今国会に大企業と中小企業の事業活動調整法案を提出いたしておりますが、政府は、大企業の中小企業分野への弱肉強食的進出をどう考えているのか、また、これに対してどのような措置を講ずるのか、見解を承りたいのであります。(拍手)
 次に、土地、住宅問題でございます。
 前内閣の日本列島改造計画によって暴発した土地投機と地価の狂乱は、社会的不公正の根源的役割りを果たし、住宅を初めとする国民生活関連公共事業の遂行を阻み、庶民からマイホームの夢を奪ってまいりました。
 国土利用計画法は、このような投機熱に冷水を浴びせ、加えて金融引き締め、不況の影響によって地価は鎮静の方向に向かっていますが、政府は、この機会を逃さず地価安定を恒常化させ、土地を投機の対象とできないように、国土利用計画法の厳正な運用を促進し、同時に、公有地の拡大のため、地方自治体が遊休地などの買い取りを行う財源の調達を積極的に推進すべきであります。また、土地保有税等土地税制の強化と、公的機関による土地の大量供給対策を同時併用的に推進すべきであります。
 これらの土地対策について、総理の所信を述べられたいと思うのであります。(拍手)
 また、全国で三百万世帯が木造賃貸アパートなど、小さくて狭い住宅に住み、一千万世帯余りが住宅困窮を訴えている重要な問題である住宅問題についてただしたい。
 昭和五十年度予算案によれば、公共住宅建設は、四十九年度に比べて二万戸の建設数の減となっているのであります。この姿勢では、第二期住宅建設計画の達成はきわめて困難であり、かつ、その内容は、明らかに民間建設主導型の高家賃住宅で、低所得の住宅困窮者を見捨てた結果となっているのであります。この点について総理の説明を求めたい。
 さらに、五十一年度から始まる第三期住宅建設計画は、公共賃貸住宅建設を中心に、低所得の住宅困窮者救済のための画期的な策定を行うべきであると思いますが、いかがでありましょうか。(拍手)
 さらに、公共住宅建設に当たって、地元地方自治体に建設拒否の機運が高まっていることは御承知のとおりと思います。その理由は多方面にわたっておりますが、その主なものは、一つは人口急増、環境激変、二つには用地取得難と資金難、三つには、住宅及び住宅団地関連公共事業の超過負担の激増等が挙げられるのであります。これらの困難は、地方自治体の立場において、国が十分の打開策を講じなければならない問題でありますが、総理はいかに考えておられるか、答弁を願いたいのであります。(拍手)
 また、住宅宅地審議会は、住宅問題の基本的認識を明らかにして、総合的な住宅政策体系を確立することをねらいとした住宅基本法の制定を提唱いたしております。わが党は、すでに昭和四十三年以来、住宅基本法案を国会に提出し、今国会においても継続審議中でありますが、この問題について総理の見解を求めたいのであります。
 同時に、住宅問題の解決に当たって、多くの困難な問題点を抱える住宅行政を総合的に推進するため、住宅省の設置を要求するものでありますが、これについても総理の見解を求めたいのであります。(拍手)
 憲法に示された地方自治の確立を求める声は、いまや大きな国民の声となっております。国の財政政策の一環として取り扱われてきた地方財政は、超過負担問題、国民健康保険財政問題、公営企業の危機等に象徴されるとおり、住民生活環境の向上、社会福祉の充実、地域社会の整備等、山積する住民の要求との板ばさみに遭い、危機に瀕しております。
 今日の事態をもたらしたものは、不況による税収の伸びの低下と、人件費の増大という現象面からとかく論ぜられておりますが、その原因は、長期にわたる高度経済成長政策と、地方自治を圧殺する中央集権的な国の方針にあると言わざるを得ません。つまり、国の政策がもたらしたひずみを解決するために地方自治体は翻弄され、しかも、超過負担問題に明らかなように、国が負担すべきものを負担してこなかった、そうした根本的問題を解決しないまま、インフレと不況の併存という最悪の経済状態を迎えたのが、今日の深刻な地方行財政の危機であると認識すべきであります。(拍手)
 政府は、四十九年度補正予算で、四十八年度余剰金を積み増しして、交付税制度創設以来最高の伸び率で地方交付税交付金を増加しましたけれども、いまだ糊塗的な対策の範囲を出ず、基準単価の改定も地方の実態にほど遠く、五十年度予算案から見ても、超過負担の解消どころか、拡大すると言えるのであります。また、政令指定都市に限られた事業所税の創設も、大都市財源に多少のプラスにはなるものの、地方財政の危機を構造的に解決するものでは決してありません。国民の生活の場である地方自治体の財政危機は、そのまま福祉の充実と地方自治の確立を阻止するものにほかなりません。
 いまこそ、国と地方の税源の配分、事務の配分、地方事務官制度に象徴される官治的行政の廃止等に真剣に取り組むべきでありますが、総理の確固たる考えと具体的な構想、また、それを実現するプロセスをぜひともお伺いしたいのであります。(拍手)
 次に、公害問題についてでありますが、政府は、四十七年十月に、五十一年自動車排ガス規制を環境庁告示として一たん決定しておきながら、自動車業界の圧力に屈して、みずから定めた方針を撤回しようといたしております。これは国民に対する公約違反であり、企業優先政策以外の何物でもありません。さらに、より根本的には、三木内閣が国民の生命、健康を守る立場に立つか、大自動車メーカーの側に立つかのきわめて重要な選択として、国民は三木総理の決断を凝視しているのであります。
 われわれは、あくまでも完全実施を要求するものでありますが、政府が五十一年規制について不可能であると言うならば、不可能である理由を、資料と審議会経過を細大漏らさず公開し、国民に納得できる形で説明をすべきであります。(拍手)
 さらに、政府が決定しようといたしております五十一年規制の大幅後退は、一つには、公害防止にまじめに取り組む中堅メーカーを無視し、大メーカーを擁護するものではないか、二つには、現在〇・六グラムをクリアする車が完成していながら、小型車の〇・六グラム、大型車の〇・八五グラムの暫定値を設けた理由について、明確な回答を総理に求めたいのであります。(拍手)
 次に、昨年暮れに起きました三菱石油水島製油所の重油流出事故は、瀬戸内海全体を死の海と化し、漁業と漁民に甚大な被害を与えております。私は、政府と企業の責任において、きれいな瀬戸内海の復元と、漁民に対する完全な補償を強く要求するものでありますが、瀬戸内海の抜本的な環境保全対策及び漁民の生活に対する補償について、政府の明快な答弁を求めたいのであります。
 また、これと関連して、政府が前々から公約している公害による物的損害の補償制度を早急に確立すべきであると思いますが、総理の見解を承りたいのであります。(拍手)
 さて、内政の最後に、きわめて重要な教育問題について質問をいたします。
 教育の荒廃が久しく論議されながら、教育の改革が一向に進まず、かえって荒廃を拡大いたしております。この被害をもろに受けるのが子供たちであり、この子供たちが担う日本の将来であることを真剣に考えれば、これをいっときも放置できないものであります。
 たとえば、資源のないわが国が、技術と創意によってしか生きる道のない宿命的な立場からすれば、みずから考える力や創造性の芽を摘み取る現在の詰め込み、暗記万能の教育が抜本的に改められなければならないでありましょう。(拍手)
 この意味において、三木総理の施政方針演説の教育に対する考え方には同感できるものがあります。しかし、論議はだれにでもできるのであります。少なくとも、いま必要なことは、山積みされている教育改革の問題の中で、たった一つでも実行に移すということであります。したがって、まず突破口を開くという意味で最小限、次の三点は三木総理の決意いかんでできることであると思い、提案をするものであります。
 第一は、五段階相対の学力評価は、少なくとも小学校三年生までは撤廃する。第二は、知識偏重の詰め込み教育を改め、教育内容の量を少なくする。第三に、高校全入制を実現するための施策を強力に講ずることであります。
 総理の具体的な答弁を求めるものであります。(拍手)
 さて、今日の国際情勢は、資源をめぐってきわめて緊迫した事態に立ち至っていることは、一連の国際会議でも如実に示されております。こうした国際情勢の中で、資源を持たないわが国の方針について、政府の外交方針はきわめて場当たり的な日和見主義であり、アメリカに気がねをし、一方で発展途上国の顔色をうかがうという一貫した基本的な態度を持たないありさまであります。こうした態度では、必ずや近い将来破綻し、みずから困難な国際的立場に陥るだけであることは明らかであります。今日の資源ナショナリズムの台頭の経緯を見れば、当然起こるべくして起こったものであり、先進工業国の発展が、発展途上国の犠牲の上に築かれたものであることは事実であります。発展途上国の要求は当然であるし、また十分に理解でき得るものであります。
 私は、総理に対し、わが国独自の自主的な立場を明確にして、発展途上国との協調を積極的に図るべきことを強く要求するものでありますが、総理の所信を伺いたいのであります。(拍手)
 また、政府が昨年の国連総会で、諸国家の権利義務憲章に棄権したその理由は一体何なのか、いわゆる消費国の結束を促すキッシンジャー構想にこういう態度で臨もうとしているのか、さらに、アラブ諸国との関係を今後具体的にどう進めていこうとしているのか、それぞれ明確に伺いたいのであります。
 日中平和友好条約の締結につきましては、すでに予備会談も逐次開かれ、三木総理もその促進に積極的姿勢を示されていることは、日中友好の発展にまことに喜ばしい限りであります。しかしながら、条約締結を必ずしも歓迎しない勢力も存在することは否定できません。総理のこの問題に関する見通しと決意を承りたい。
 また、日ソ平和条約締結については、宮澤外務大臣の訪ソの結果を見ても、条約締結の前提となるべき北方領土問題に解決の兆しが見られなかったのは、きわめて残念であります。日ソ関係の今後について、総理の具体的なお考えを伺いたいのであります。
 以上、いろいろ申し上げましたが、三木総理が光栄ある重い責任を果たすために力いっぱい献身するという強い決意の表明から言うならば、百のきれいな言葉より、一つの実行が大切であります。(拍手)いままでの政治を大きく変える、すなわち、国民の望む、また三木総理のかねての公約のたった一つでも実現することに、勇気ある決断をすべきではないかと思います。それによって、たとえ三木内閣が短命に終わることになったとしても、新しい日本の政治を開いた政治家三木として、日本の政治史に永くその名を残すでありましょう。(拍手)
 私は、そのような三木さんならば、協力を決して惜しむものではないということを申し上げ、私の質問を終わります。どうか質問に対して率直な答弁を期待いたします。(拍手)
#11
○内閣総理大臣(三木武夫君) 公明党を代表する竹入委員長の御質問に対して、できるだけ詳細にお答えをしたいと思いますが、竹入委員長の質問は約二十九問、多岐にわたっておりますので、きょうは結論的な私のお答えだけでお許しを願いたいと思うのでございます。
 最初に、私の内閣の踏み絵として四つの問題をお挙げになりました。政治資金規正法と独占禁止法、自動車排気ガス、それから年金法の改正、これがこの内閣の踏み絵であって、すべて後退しておるという御発言でございました。これは議員の皆さんにも、国民の皆さんにも誤解を生ずる言葉でありますから、この点については、私、申し上げておく必要があると思うのであります。
 一つは、政治資金規正法。私は最初から、政治資金は党費と個人献金が好ましい、しかし一気にそこまでいけないから、経過規定は短期間置く必要があるということは、竹入さん、終始言っておるのです。それは、選挙制度審議会などでもやはり五年という経過規定を置いておりましたが、政治活動には金がかかるわけで、そんなに大きな急激な変化を、急に切りかえては混乱が起こりますから、できるだけ短期間の経過規定を置くようにする必要があるということを言っておるわけでございまして、後退はしていないのです。この政治資金規正法は、この国会にぜひとも提出する予定で、自民党としても検討を加えておる次第でございます。竹入さんの言われるように、政治資金は節度と明朗ということを趣旨にして、現実をも考慮した改正をいたすわけでございまして、そう私がいままで言っておることを後退するという考え方はございません。
 また、独占禁止法は、ここでいろいろ申し上げることは適当でないと思うのは、いま政府の懇談会などにおいても、各方面の方々が非常に熱心な論議を闘わされておるわけでございます。独禁法の改正は、これは日本の経済活動の基本法にもなり得る、そういう面も一面にあるわけですから、これをそんなに簡単に取り扱うわけにはいきません。各方面の意見を徴して、そして自由経済に対して、非常にいまの社会的要請があるわけですから、自由、わがままなことは許されないという社会的要請があるわけですから、その要請に従ったルールをつくっていこうということで、これはただ形だけで、骨抜きにした独禁法を国会に提出する考え方はないわけでございます。まだ、私のこの考え方が後退したと御断定なさるのには、時期が早いのではないかと思うのでございます。
 また、社会保障の充実ということについて、年金制度というものを改正すべきだ。私もさように考えておるわけで、福祉年金などの今年度予算編成を行ってみまして、竹入さんは二万円出すべきだとおっしゃるのですが、二万円より三万円、三万円より四万円ということがいいことは、これは老人の方々に喜ばれることはそのとおりでございますが、これは掛金なしの年金でございますから、二万円ということになりますと一兆二千億円、税金からそれだけの支出をしなければなりませんので、こういう財政状態からして、一兆二千億円を福祉年金のために振り向けるということはなかなか困難で、どうしても年金制度というものの仕組みを根本的に考え直す時期に来ておると思いますので、年金制度というものを、厚生省を中心として根本的な検討をいまいたしておるわけで、来年度の予算編成には、その検討の結果を反映したいと思っておるわけでございます。
 また、自動車の排気ガスについては、これは私がなぜ決断をしないのかとおっしゃいますけれども、自動車の排気ガスというものは、ただ決断だけでできるものではないわけです。昭和五十一年の窒素酸化物〇・二五というのが、政府が告示したいわゆる達成目標でございますが、窒素酸化物に対する排出量のこういう規制というものは、世界のどこでもやってないし、したがって、技術の開発も世界のどこもできてないのです。これを技術の開発から始めるということでございますから、日本がこれは世界に先鞭をつけるわけでありまして、必ずしも自動車メーカーが、これはサボっているんだとも言えないわけです。私もしばしば自動車の業界の人たちを呼んで、どうしてもこれは、光化学スモッグの大きな原因になっておるんだし、君たちが、企業の社会的責任からいっても、できるだけ政府の方針に従うような技術開発をやってくれということを、しばしば私が督励をしたことは、竹入さん御承知のとおりです。どうしても五十一年度規制を、いまのままで日本の自動車に強要することは無理である、こういうことで、いわゆる暫定値というものをこしらえて、大型車には〇・八五、小型車には〇・六ということを大気部会で決めたわけです。しかし私は、何としてももう一遍この問題は検討してもらいたいということで――こんなことはないのですよ、中公審にもう一遍それを、まあ差し戻す形で、審議を願ったのです。中公審には各方面の人々が寄って、技術的な面から見て、あるいは国民的広い立場で御検討を願って、結局は無理だということが断定をされたわけでございまして、ここで私が、私の力だけで押し切れるのなら、竹入さん、私はやるのですよ。力だけでなくして、技術開発という問題が背後にありますから、力だけで押し切るわけにはまいりませんので、これを二カ年間の延期というものを、できる限りその期間を早めるということが精いっぱいで、力でできることと力でできないことがあるということは、ぜひとも御理解を願いたいのでございます。(拍手)
 そういうことで、私の約束をいたしましたことは必ず実行いたします。どうか竹入さん、私の言っておることが後退また後退という評価は、この段階ではなさらないようにお願いをいたす次第でございます。
 それから、定数是正の問題でございますが、定数是正と参議院の全国区の問題、これを絡まして自民党はやっておるのではないかとおっしゃるのですが、私は、参議院の全国区というのは問題だと思うのですよ、この制度は。これは野党の中においても、これは少し改正しなければならぬという御意見を非常に強く聞くのでありますから、この区制の問題、また、全国区の問題と絡ますとか絡まさぬとかいうのでなくして、せっかく対話と協調の時代に入ったのですから、皆さんのお力で、この問題は、各党の話し合いによって円満に解決されることを期待いたす次第でございます。
 それから、日本の経済が安定成長の時代にこれから入ってくる、そのために金融とか財政経済の構造にメスを入れて、安定成長に適応したような体制をつくらなければならぬ、その場合に、社会福祉という問題はやはり大きな中心の題目になるという御意見には、全く同感でございます。私もそういう点で、これはいままでの高度経済成長下のようなやり方を惰性でやろうとしてもやれないわけですから、安定成長期に即応した日本のあり方というものを十分に検討をいたしまして、早いものは来年度の予算に反映できるようにいたしたいと思うわけでございます。
 また、その中でいろいろ、生活保護世帯とか、あるいは老人世帯とか、あるいはその他社会的に弱い立場にある方々のことについて十分気をつけるべきだということは、全くお説のとおりで、今年度もああいう抑制予算の中でも、一番伸ばしたものは社会保障関係費でした。三六%、一兆円伸ばしたわけですからね。そういう点で、こういう条件のもとでは、そういう弱い人ほど立場を十分に考えて、精いっぱい組んだ予算であるということだけは評価を願いたいと思うのでございます。
 なお、不況に悩む中小企業の方々、それと関連して住宅の問題というものをお話しになりました。これはやはり仕事を確保するために、住宅問題というものは、一方において国民生活の安定にもなるし、また、中小企業に仕事を与えるという意味で、住宅問題というものは、やはり今後大きな力を入れなければならぬ問題だと思います。政府の予算でも、財投などを入れまして三〇%を超えたのは、公共事業の中で住宅だけであります。その次には下水とか公園とかに力を入れたわけで、竹入さんの言われますように、生活環境の整備ということには、一段とこれから力を入れてまいりたいと思うのでございます。
 そういう中で、いわゆる公共料金の引き上げをしたことは非常によくないというお話でしたが、やはり財政的な面も考えなければならぬわけで、それは赤字であっても、それを全部財政でカバーするということになれば、これはよほど仕組みを変えなければ、いまの状態では、やはり赤字を財政的に将来カバーしていくというようなことはできませんから、どうしても利益を受ける方に御負担を願うということは、公共料金の原則であります。しかし、非常時であるということで、これは非常事態と考えて、精いっぱい公共料金を抑えたのが、いわゆる郵便料金も六カ月延期して、郵便料金、たばこ、酒、もうそれ以外の公共料金は全部凍結をした、精いっぱい公共料金は抑制するために努力したのだとお考えを願いたいのでございます。
 独禁法のことについては、先ほど触れました。
 また、社会的不公正の是正についての税制改革については、これは土地の値上がりによるインフレ所得に対して再評価して課税をしたらどうかというお話でしたが、その土地を転売して、現実に利益が上がったときには、やはり重い税金を譲渡所得に対してはかけることにしました。しかし、まだ売らないで利益が発生しないものに課税をするということは、土地を持っておる人に対してそういうやり方はいかがかということで、われわれは、いまはそういう考えは持ってないわけでございます。
 また、不労所得と言われる利子、配当分離課税などの制度は、やはり今回の場合においても二五%から三〇%に税率を上げ、将来は撤廃したいという方向で検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
 それから、福祉年金については、先ほど申したように、根本的に年金のあり方というものを検討いたしたいと考えておるわけでございます。その場合には、賦課方式などももちろん検討の対象にするということでございます。
 また、中小企業の問題にお触れになりまして、中小企業省という問題を具体的にお出しになりました。こういうものをつくることが、政府の中小企業対策として必要なのではないかというお話でしたが、もし、中小企業省をつくることによって、本当に中小企業の人たちの近代化、安定化、安定して経営ができるように役立つというなら、つくることはいとわないのですが、どうも制度だけではいかないような感じがして、制度よりも中小企業に対する対策を強化する方がよい、制度だけを次々につくってみても、それだけで目的を達成できないと考えまして、今後は、中小企業対策そのものの内容を積極的に推し進めていきたいということで、いますぐ中小企業省をつくろうという考え方は持ってないのであります。
 その中で、竹入さんもお触れになりましたように、小規模事業者、中小企業の中でも小規模の事業者という人は、中小企業がやはり風当たりが強いのに、なおかつ小規模の方々はインフレの影響を非常に強く受けるわけでありますから、社会政策的な見地からも、無担保、無保証の融資制度を、去年は千二百億であったのを一挙に二千四百億にしたわけです。竹入さんは、それを無利子にせよという御主張でございますが、それは金融でありますから、無利子ということは無理だ。しかし、無担保、無保証にして、融資の金額もふやし、あるいはまた年限もふやして、この制度の内容をできるだけ小規模経営者に厚くしていこうと思っておる次第でございます。
 それから土地の譲渡所得の分離課税というようなものについて、これについては、二千万円を超えるものについては、四分の三の総合課税を徴収することにしたわけです。二千万円を超えるものに対しては四分の三総合課税にする、こういうことで、竹入さんのおっしゃったように、土地の譲渡所得に対しても、これは分離課税に、いまのような限度においていたしたわけでございます。
 それから住宅問題については、竹入さんも御指摘になりましたように、環境問題とか、あるいはまた用地の取得難とか、いろいろと住宅の建設を阻むような条件というものが非常に出てきておるし、また、都市において住宅というものに対する要望というものは一番強い要望でありますから、住宅建設全体に対して見直しをしたいと私は思っておるわけでございます。そういう点で、まあこれからは住宅に力を入れていかねばならぬ。私は、住宅省というもの、住宅基本法というものは考えておりませんが、この内閣として、住宅政策というものは特に力を入れてまいりたいと考えておる次第でございます。
 また、地方の自治体の財政危機に対して、国と地方との問題について、いろいろあり方について御発言がございましたが、実際に今日、地方の自治体というものは問題だと思うのです。中央よりもむしろ地方の財政硬直化のほうがもっと深刻かもしれません。だから、地方自治体が、自治の原則の中にあっても、やはり責任を持てるような自治体になってもらわなければ困るわけでありますから、地方行財政のあり方というものに対しては全面的に見直しをする必要がある、こういうことで地方制度調査会に先日、私は諮問をいたしました。この問題について十分な検討をしてもらいたいと思っておるわけでございます。
 排気ガスの規制の問題に対しては最初に申し上げました。
 それから、三菱石油の問題については、これはもう汚染者負担の原則によって、そうして十分なことを汚染者が負担をすべきものと思っておる次第でございます。
 また、原因不明の場合の救済の措置というもの、これは今後検討いたします。原因者がある場合はいいけれども、原因の不明の場合のいろいろな補償措置というものはなかなか困難でありますから、この問題は検討いたしますから、しばらく時間をかしていただきたい。
 教育問題についていろいろお話がございました。教育というものは、これはやはり一遍に独断でどうこうできる問題ではございませんので、専門家の協力などを仰がなければならぬわけでございますが、竹入さんの言うように、五段階相対の学力評価を少なくとも小学校三年までは撤廃すべきじゃないか、一つの御意見だと思いますが、政府はいまそういう考え方は持っておりません。また、知育詰め込み教育を改めて、教育の分量を少なくせよということは、おっしゃるとおりであります。詰め込みに過ぎておりますが、これは教育課程審議会というのがございまして、教育の問題というものは、ただ一人の意見だけで改革を断行することは危険でもありますので、こういう教育課程審議会等でも検討を願って、知育偏重といいますか、詰め込み教育の弊害を改めたいと考えておる次第でございます。
 それから外交についていろいろお述べになりましたが、私は、いまの内閣の外交政策はよくやっていると思っているのです。それはなぜかと言えば、日本はやはり先進工業国との間にも協力関係を維持していかなければなりません。しかし、一方において、世界のこれからの問題というものは、すべて発展途上国と先進国との関係の間から起こることは明らかですから、われわれとしては、そこの発展途上国との友好関係というものは、あるいは技術とか経験とか経済とかの協力を通じて、社会経済の発展のために寄与するというようなことを積極的に、苦しい中でもできるだけのことをやらなければならぬ。いわゆる先進国との関係も維持しながら、発展途上国との関係というものもやはり友好関係を維持する。どうしても日本の立場は、そんなに一方的に力でいこうというわけでないのですから、日本の外交というものはバランスのとれた外交をやらないと危険であります。そういう点で、いまの政府の外交の方針というものは、そう誤った方針であるとは私は思ってないのであります。
 また、昨年の国連総会で権利憲章を棄権した理由をお尋ねになりましたが、あの権利憲章の中には、相当いろいろな投資をした場合でも、国有化しようと思えば、その国が自由に判断ができる。あるいはまた、工業国と産油国との間にいろいろな価格、第一次産品の価格に対して、何かインデクセーションというような方式で、やはり工業製品というものが上がれば、もう皆第一次産品というものの生産国は生産カルテルのような形で値段を引き上げる。何か、両方が話し合ってというものでないわけでございますから、どうも、すぐにこういうことが実施をされるというようなことになることには、世界の協調というものに対していろいろ考える点がありましたので、これには棄権をいたしましたけれども、開発途上国がやはり開発途上国としての権利というものを主張しようということは、よくわかります。日本はこれに対して深い理解を持つことのできる国でありますから、今後こういうふうな精神がもう少し国際協調の形で生かされるように、日本もできるだけ努力をしていかなければならぬと考えておる次第でございます。
 それから、日中の平和友好条約締結問題、この問題は、竹入委員長も大変に御苦心になった問題ですが、現在の予備的な交渉は順調に行っておるわけでございます。これは、日中の平和友好という一つの大きな、戦争処理ではないのですから、将来に向かっての日中の友好の基礎を築こうというわけですから、これは案外に早く妥結に達することができるのでないかと思っておりますが、相手のあることですから、ここで期限を切ることはよくないと思いますが、できるだけ日中両国は永遠の和平、永遠の友好関係を築き合うことが、アジア、太平洋の安定、平和のために、これは重要な基礎になるわけでありますから、できるだけ日中平和友好条約を速やかに締結し、それが締結できましたならば、一番早い国会に批准を受けたいと思っております。
 日ソ関係については、領土問題が未解決でございますが、この領土問題を避けて通るわけにはまいりませんので、これからしんぼう強く、日ソ間に領土問題の解決のために努力をして、日ソの平和条約も締結を促進したいと考えておる次第でございます。
 お答えをいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(前尾繁三郎君) 春日一幸君。
#13
○春日一幸君 私は、民社党を代表し、わが国政が当面する内政、外交上の重要問題について質問いたします。
 その第一は、中東戦争の動向と石油問題についてであります。
 ここに、中東の軍事情勢に対する関係諸国首脳の言動を総合するに、その緊張は日々に高まり、いまや一触即発の危機にありとも見受けられます。すなわち、フォード米大統領はこのほど、「石油で工業先進国が絞め殺されるようになれば、米国は武力行使の可能性を除外しない」と言明いたしました。アラブ産油国は、「米国が軍事介入するならば、われわれは油田を破壊することもできる」と異口同音に反発しております。
 また、周恩来中国首相は、第四期全国人民大会で、「米ソ両大国による世界覇権の激烈な争奪は、いつかは世界大戦を引き起こすだろう」と述べ、さらに毛主席の教えとして、「われわれは深く地下道を掘り、至るところで食糧を蓄え、防備を強め、戦争に備えねばならぬ」とまで強調しております。
 また、これと相前後して、エジプト軍最高戦略会議も、「もしエジプトとアラブ諸国を満足させる政治的解決が実らなければ、第五次中東戦争は不可避である」と言明いたしました。
 もしも第五次中東戦争がこのようにして発火いたしまするならば、大国の軍事介入があればなおさらのこと、それが避け得たとしても、アラブの石油供給は一大とんざを来すことは明らかであります。そのとき、石油総輸入量の八〇%をアラブに仰ぐわが国経済はどのような打撃をこうむることか、まさに想像に絶するものがあります。
 現に、世界の石油消費国政府はそのことを警戒し、それに備えてそれぞれに対応策を講じつつ、一方ドライブレス、ヒートレス、ウエーストレスなどを指標に、強力な消費節約の国民運動を展開しておりますが、これに比べてわが国の現状は、現に都会のネオンはあかあかと夜空を彩り、ホテルもオフィスも放縦な冷暖房で、あたかもそれは古代ローマさながらの安楽ムードにありますが、これは政府に何か成算と確信があってのことか、まことに不安にたえません。(拍手)
 政府の中東情勢に対する見通しはどのようなものか。また、もしも第五次中東戦争が勃発した場合、政府は、わが国経済を支える石油資源をどのようにして賄われる方針か。もとより、政府が自主的立場に立って、あらゆる外交上の手だてを尽くすことは当然であるが、同時に、内政の面においても最悪の事態に備え、これが対策に万全を尽くすべきであると思うが、この際、総理より、これに対する政府の態度、方針をお示し願いたいのであります。(拍手)
 次は、産油国に集中するオイルダラーと、あわせて資源問題について質問いたします。
 一九七四年一月、アラブ産油国が原油価格を一躍四倍高に引き上げて以来、わずか一カ年にして、そこに累積した石油代金はすでに一千億ドルとも言われ、今後ともこの消費国から産油国への富の移動は、いよいよおびただしきものとなりましょう。かくて、世界経済は、これから巨額の国際収支の赤字を担う消費国と、膨大な外貨収入を手にする産油国との二極に分散しつつあり、この状態がこのまま将来に向かって持続されるならば、このオイルダラーの問題だけで、世界経済は遠からずして破綻を免れることはできません。
 このほどフォード大統領は、「産油国の石油価格引き上げは人工的操作であり、世界はこれに耐えられない」と言明し、よって、産油国と消費国との間の価格引き下げの話し合いを提唱し、あわせて、石油消費一〇%の節約について、主要消費国の共同行動を求めております。これに対し総理は、「石油の消費節約は消費国の共同戦略としてではなく、それを消費国も産油国も共同して合理的に活用しようという全人類的発想で」云々と述べておられますが、これは具体的には一体いかなる内容を示すものでありますか。
 ここに、政府が昨年末発表した五十年度の経済見通しによれば、五十年度の石油輸入量は二億八千八百万キロリッターで、それは史上最高の四十八年度実績を目指しており、これでは政府の言動は首尾一貫せず、国民にも世界にも、わが国政府の真意を理解させることはできません。
 そこで、この際、次の五点について質問いたします。
 第一は、当面、IMF、OECD等において石油資金金融制度がさまざま検討されておるが、この資金の融資対象たる消費国や発展途上国のその借入金は、ここ数年にして巨大な額に累積し、さらに、これは将来に向かって無限に膨張するものと思われるが、このような限界の知れぬ債権債務はどのようにして決済される構想か、政府の見解を伺っておきたい。
 第二は、なおオイルダラーがわが国企業の株式取得に立ち向かってくる場合を想定し、これに対する政府の態度、方針を伺っておきたい。
 第三は、政府は石油価格引き下げに関する米国の提唱に対して、今後どのように対応する方針か。
 第四は、政府はこの際、石油の輸入削減とその消費節約を行う考えはあるかないか。あるなら、その具体策いかん。
 第五番目には、ここに石油を初め、資源保有国の資源ナショナリズムが急激に高まりつつある現在、資源小国たる日本にとって、資源問題はまさに国民の死活に直結する重大問題となりました。よって政府は、資源の安定供給を確保するために、この際、資源の供給源の分散化及び水力、地熱、太陽熱、原子力等の国産エネルギーの多元的開発を図ることとし、あわせて、産業構造を省エネルギー型、資源節約型に転換させるとともに、特に廃棄物再利用の徹底を図るため、格段の施策を講ずべきであると思うがどうか。
 以上の諸点について、総理より政府の方針とその対策を具体的にお示し願いたいと思います。
 次は、米軍による核兵器のわが国領域への持ち込みの有無について、疑義をただしたいと存じます。
 先般、米議会におけるラロック証言によって、米軍は日本国土へしばしば核兵器を持ち込んでいるのではないかとの疑惑が生じ、われら国民に大きな衝撃を与えました。当時木村外相は「核兵器の持ち込みは、日米安保上事前協議を要するが、日米間にはその種の協議を行ったことがないから、そのような事実はないものと確信する」と述べ、これに対し米国務省は「核兵器の存否については一切言明しないのが米国の国是だから、ラロック証言についてもコメントはできない」と断言いたしました。
 この両国政府の言明で浮き彫りにされたことは、たとえ日米間に安保条約上どのような協約があっても、核兵器の持ち運びについては、米当局者は、その国是に基づき、それを日米間の事前協議の議題に供することはあり得ないという、このことであります。だとすれば、あのラロック証言にもかかわらず、事前協議がなかったので、米国が核兵器を持ち込むはずはないと確信してみせるあの政府の態度は、まことに奇怪至極と申さねばなりません。日米外交の中軸であり、日本の安全保障の支えとも言われる日米安保条約が、このような疑惑を内包したものであってはなりません。
 米国政府は、これら日本国民の疑惑に対し「米国は日本政府の核政策に背かない」とのみ述べておりますが、問題の重大性にかんがみ、このような禅問答的な抽象論では、われら国民はとうてい納得できません。
 三木総理は、この所信表明で誓われたごとく、偽りのない誠実な政治を実践されるために、そして、日米両国の友好と親善を揺るぎなきものにするために、政府は、この際、基地なき安保への改定を目指す民社党路線を真剣に検討されることとし、当面の措置として、米国に対し、条約に基づく協定が、事実に即して公正に運営されるよう改めて交渉なさるべきであると思うが、政府の方針はどうでありますか。総理より御答弁を願います。(拍手)
 なお、この際、あわせて核拡散防止条約の批准について伺っておきます。
 わが国政府は、本条約に調印して以来六カ年、本日に至るまでこれを無批准のままたなざらしにしております。この問、本条約の批准国は八十カ国を超えました。これではわが国の非核方針に対する国際的な疑惑が加わるばかりであります。わが党は、本条約批准による功罪を厳密に勘案した結果、この際、問題点を確認した上で速やかに批准に踏み切るべきであると考えます。このほどの新聞報道によれば、政府もまたその方針との趣でありますが、ならば、この批准案は今国会に提出されますかどうか、総理の御決意のほどを端的にお示し願います。
 次は、内政上の重要問題について質問をいたします。
 その第一は、大企業の社会的責任の明確化と、それを中心とする経済の民主的秩序の確立についてであります。
 池田内閣以来十数年、高度成長の一本道をフルスピードで突っ走ってきたわが国経済は、ここにインフレ抑制の逆ブレーキをかけられて、たちまちその方向を失って狂乱状態に陥りました。かくて、右側はインフレの絶壁、左側は不況の谷底という、スタグフレーションのがけ縁をしどろもどろに歩いておるのが、わが国経済の現状でございます。すなわち、大企業の大いなる繁栄の隣り合わせで、昨一年間に中小企業の倒産は一万一千件を超え、失業者はおおむね一百万人に達しました。
 このほど、総理は、その経済政策を高度成長から安定成長に切りかえると言明されましたが、この際、総理に特に御銘記願いたいことは、その政策の転換こそは、それは物質万能、生産第一の自民党政治の誤りを総理がみずから反省されて、そこから真に人間尊重、福祉優先の理念に新しく生まれ変わられたものでなければならぬという、このことであります。
 したがって、政府は、この際、わが国経済の構造的矛盾と社会的不公正を是正し、これを刷新改革するために、ここに少なくとも次の三つの政策をその主柱として打ち立てられるべきであります。
 その第一は、独禁法の改正でありますが、それは少なくとも公取原案をナショナルミニマムとして、すなわち、やみカルテルの排除、課徴金の徴収、原価の公表、独占企業の分割、株式保有制限などについて法上の措置を講じ、もって企業活動に社会的公正のルールを確立することであります。
 第二は、銀行法を改正して、その系列融資、偏向融資、情実融資、これを規制し、もって銀行の社会的役割りと公共的使命を明定することであります。
 第三は、一定規模の大企業を対象に重要産業基本法を制定し、西独における労使共同決定法の機能を念頭に置いて、そこに労働者代表、消費者・地域住民代表者等より成る経営委員会を設け、この機関が、公害防除、製品価格の設定等、その企業の経営について取締役会に必要な勧告を行うこととし、もって、大企業の社会的責任を明確にすることであります。
 以上、独禁法の改正、銀行法の改正並びに重要産業基本法の制定は、この狂乱経済を克服するために、そしてわが国経済に民主的秩序を確立するために、これは緊急不可欠の要件であると思うが、政府の方針はいかがでありますか、総理より明確なる御答弁を願います。
 次は、インフレの克服と公共料金の凍結について質問いたします。
 申し上げるまでもなく、インフレを克服しつつ不況を防止し、社会的弱者を救済することは、わが国政が当面する最優先課題であります。
 そこで、インフレを克服するために、政府は総需要抑制策を堅持せなければならず、それと同時に、その引き締め政策の犠牲者たる中小企業に対しては、ケース・バイ・ケースで応急適切な救済策が講じられなければならず、あわせて経済的弱者に対しては、万難を排してその生活を支援せなければならないが、政府の具体策は、そのいずれに対してもいまだ実効、効果をおさめ得てはおりません。
 先般来、政府は一大物価作戦を展開すると宣言しておられますが、ならば、その大方針に基づき、政府はみずから率先して、政府管理下にある公共料金はもちろん、たばこの値上げ、酒税の増徴など一切の値上げを凍結して、値上げが他の値上げを呼ぶ悪循環を身をもってここで断ち切るべきであります。もしも政府が現実になずみ、自分は値上げして満腹し、国民は値上げをこらえて空腹に耐えよというような、そんな荒唐無稽な物価大作戦では戦果をおさめ得る見込みはありません。(拍手)国民とともに歩む政治、有言実行の政治は、およそそのようなものではありません。
 政府は、この際、インフレが鎮静するそのときまで、一切の政府管掌の価格と料金は現状のままに据え置くべきであると思うが、これらの諸点に対する政府の方針はどうか、総理より御答弁を願います。
 次は、社会的不公正の是正と、経済的弱者に対する生活防衛政策について質問をいたします。
 およそ政治の目的は、社会的不公正を是正し、国民平等の原則を実現することにあり、よって、社会福祉を充実させることは政府の責務であり、これを享受するは国民の権利であります。いまや、国の政策はこの理念に徹して実行されなければなりません。
 本年度の福祉対策予算は、従来に比べ増額されたとはいえ、この程度では、狂乱物価の暴威により経済的弱者として多くの犠牲と被害を受けられております人々に対しては、その被害はまだまだ償われてはおりません。今後の社会福祉は、国が憲法によって国民に誓った生活水準の実現を目指し、すなわち、恩恵的救済の観念を一てきし、これが国家として当然の責務であるとの自覚に立って、新しく総合的に確立する必要がありましょう。そのためには、この際、国民生活保障憲章を制定して、国の決意とその大綱を明定する必要があると思うが、政府の見解はいかがでありますか。
 民社党は、このような理念に立って、当面の施策として、次の五点について政府の方針を伺います。
 その第一は、インフレ被害の特に甚大な生活保護世帯、母子家庭、心身障害者等に対して、この際、特別一時金の給付を手厚く行うべきであると思うが、どうか。
 第二は、老齢年金は、少なくとも向こう三カ年計画で月額四万円を支給できるよう、この際、応急の措置を講じ、とりあえず老齢者の生活をこの物価高から守るべきであると思うが、どうか。
 第三は、所得税の免税点以下の所得で、かつ、生活保護に至らない低所得者を対象として、国が課税最低限度額とその世帯の収入額との差額を支給するという、いわゆる逆所得税の制度を取り入れて、現行複雑多岐にわたる社会給付の諸制度を一気に単一化する考えはないか。
 第四は、インフレ、物価高による一般庶民の預貯金資産の目減りに対しては、このほど国民生活審議会並びに保険審議会も、その損失補償のため、国は適切な措置を講ずる必要がある旨強調しておるが、政府は積極的にその提言に従う意思はないか。
 第五は、各種福祉施設の人手不足の現状にかんがみ、教育人材確保法の立法例にならい、この際、福祉の人材確保法ともいうべき社会福祉事業従事者の待遇改善のための特別法、これを制定して、福祉施設の機能を充実する考えはないか。
 以上の諸点について、総理の御見解と方針を承りたい。
 次は、税制の改革について質問いたします。
 わが国税制が当面する緊急の課題は、インフレがもたらした所得や富のひずみ、すなわち、この社会的不公正を的確に是正することにありましょう。インフレが国民の公敵であり、諸悪の根源と言われるゆえんは、まこと、インフレこそは富める者をますます富ませ、貧しい者をいよいよ貧しくするという社会正義の破壊者であるからであります。いまこそ税制が、このインフレによる所得と富の社会的逆流を是正するために、断固としてその本来的機能を発揮すべきときであります。
 以上の観点に立って、当面の税制改革の具体策として、次の諸点について質問いたします。
 その第一は、インフレによる実質所得の目減りと、その反面現象たる名目所得の上昇によって、ダブルパンチを受けている中小所得者の負担軽減を図るため、この際、所得税の課税最低限を、現行百五十万七千円から、これを二百五十万円に引き上げることとし、一方、高額所得者に対しては、税率の累進度を高めてその負担を重くし、さらには、利子所得、配当所得の源泉分離選択制度など、資産性所得に対する優遇措置は廃止して、もって、租税応能の原則をここに実現すべきであると思うが、どうか。
 第二は、大企業はインフレの結果、借り入れ資金による多額の債務者利益を享受していることを直視して、中小企業法人を除き、この際、法人税の税率を四〇%から四二%に引き上げるとともに、土地その他の資産につき再評価を実施し、これに対し資産再評価税を創設すべきであると思うが、どうか。
 その第三は、インフレの結果、地価、物価の異常な高騰によってそこに大きなインフレ利潤が生じ、国民相互間に著しい富の偏在を生じていることにかんがみ、この際、高額資産所有者を対象とする富裕税を創設すべきであると思うが、どうか。
 以上、私は、インフレに挑戦して所得と富の平等化を図り、社会的不公正是正のために税制が果たすべき国家的役割りの大筋について提言いたしました。
 要は、強い者から取って、弱い者を助ける福祉税制の確立であります。これら民社党の提言に対する政府の方針はいかがでありますか、総理並びに大蔵大臣より御答弁を願いたい。(拍手)
 次は、農漁業振興対策とともに、食糧問題について質問をいたします。
 わが国は、古来、豊葦原瑞穂の国と自負した農業国でありました。しかるところ、戦後急激な工業化が進められ、農業は衰退の一途をたどり、かくて、食糧の総合自給率はいまや四割前後に低下いたしました。わけても小麦は八%、大豆は四%、飼料作物は三五%と、その自給度は極度に低下し、国内需要の大多分はもっぱらアメリカの供給に依存しているのが現状であります。
 食糧問題は、世界人口の急増に伴い、各国ともにその解決を迫られて、いまやこれが世界的な課題となりました。したがって、国内農水産業の振興を進めて食糧自給度を高め、早急に海外依存から脱却することは、実にわが国政の急務であります。
 よって、わが国はこの際、まずもって食糧基本法を制定し、農水産物の総合的自給率の目標を少なくとも八〇%に定め、それに向かって農業用地の開発、経営規模の拡大、価格保障制度の拡充、北方漁業の安全操業の確保、沿岸漁業の振興等を図り、将来に向かって希望の持てる農山漁村の建設を目指し、もって、食糧自給体制を確立すべきであると思うが、政府の方針はいかがでありますか。
 なお、この際、かつて戦争中の経験を想起して、国内のあらゆる空き地に大豆を作付する国民運動を展開して、食糧自給の思想を普及するとともに、その実収を図るのも、時宜に合致した食糧政策の一つであると思うが、政府の見解はいかがでありますか、総理より御答弁を願いたい。(拍手)
 次は、中小企業対策について質問いたします。
 中小企業は、わが国経済と国民生活を支える支柱であります。しかるに、その政治的、経済的地位は低く、ために生産、流通、サービス、ともに常に大企業の圧迫、収奪にさらされ、また、国の施策も劣後に置かれて、せっかくの中小企業基本法もいまだ機能いたしてはおりません。わけても、今日厳しい引き締め政策のしわ寄せを受けて、中小企業は極度の経営難に陥り、倒産は続出し、多数の失業者が路頭に迷っております。まさに中小企業の危機であり、これは社会的公正を求める立場から、断じて等閑に付することは許されません。
 よって政府は、不況による倒産防止のため、この際、政府系中小企業金融三機関に対する財投資金の大幅増加と日銀の別枠貸し出しを行って、中小企業向け金融を思い切って増大するほか、住宅金融公庫並びに民間住宅ローンによる庶民住宅建設の促進、官公需の優先発注、不況産業の過剰在庫品の買い上げなどの救済策を強力に実施すべきであります。
 あわせて政府は、下請代金支払遅延防止法に基づき、親企業の横暴な支払い状況を監視するとともに、特に中小企業に対する不当な歩積み両建て預金を摘発するため、金融機関を厳に査察し、さらに進んで、中小企業者の産業分野を確保するための所要の立法を行い、もって中小企業に対する不法、不当な圧迫を取り除くべきであります。
 特にこの際新しく政府に検討を求めたいことは、過大な銀行借金にあえぐ中小企業者と、一方、銀行に留保されておる膨大な貸倒引当金との関係についてであります。
 ここにわが国政を顧みるに、国民窮乏のときに臨んでは、時の為政者はしばしば借金棒引き、または借金軽減の徳政を救国済民の決め手として断行してきております。
 注目すべきことは、各級金融機関の貸倒引当金は、すでに一兆六千億円に達しておりますが、その二分の一程度の資金は、税法上の特別措置によって徴収を免れた税金そのものの蓄積であることであります。かりにこの一兆六千億の資金のある部分を、不況と借金の重圧に苦しむ中小企業者のうち、特に救済を要するものを対象として、これをその借金軽減の資金に、また返済の長期繰り延べ利子に充当するならば、現に危機にあえぐ中小企業の倒産を大幅に救済することができましょう。われらが先人は、時にこのような大胆な施策によって、国民の苦難をやわらげてまいりました。特に御検討を願いたいと存じます。(拍手)
 なお、中小企業対策の総括として、長年の懸案である中小企業省は、もはやこの時点で英断をもって設置せらるべきであります。
 以上の諸点に対する政府の対策、方針はいかがでありますか、総理より御答弁を願います。
 次は、教育問題について質問いたします。
 三木総理が、その組閣に当たって文部大臣を民間に求められたことは、教育の政治的中立性確保の見地から、わが党はこれに率直な賛意を表します。しかしながら、教育の中立性を確保するためには、そのような人的構成とともに、肝心なことは、それに必要な体制を国の制度として確立することであります。
 ここにわが国の教育行政を覆う最大の問題点は、教育の場がしばしば政争の具に用いられ、そこに学ぶ者が彼らの闘争の犠牲に供せられている、そのような教育のあり方が、現に国民モラル荒廃の一大要因になっている、このことであります。(拍手)わが国文部行政は、最も速やかに根本的な改革が断行されなければなりません。
 よって、この際、教育は、司法、立法、行政の三権に準ずる国の第四権として、これを文部省から分離独立せしめ、ここに新しく中央教育委員会と、それに必要な行政体制を組織して、教育をこの機関に一任すべきであると思うが、総理、文相の御見解はいかがでありますか。(拍手)
 次は、大学問題であります。
 民社党は、数年前より大学基本法案を提示し、大学制度の改革を強調してまいりました。それはまず、国公私立の差異をなくして、すべての大学を特殊法人にすることとし、これを大学制度の改革のスタートラインとするものであります。これはかねて永井文相の提唱されておる大学公社案ともその構想をおおむね同じくするものかと考えますが、永井文部大臣は、いまこそその年来の御経綸を実行に移されるべきであると思うが、御決意はどうか、文部大臣よりあわせて御方針を述べられたい。(拍手)
 次は、暴力犯罪の横行に対する政府の対策について質問いたします。
 昨今、殺人、暴行、傷害、強盗、強姦など、凶悪なる暴力犯罪が著しく増加しつつあります。現に、過激派学生による集団的な殺し合い、特に犯人の正体もいまだにわからぬ爆弾事件の累発、さらには違法、不当な職場、集団暴力の横行など、世相はますます険悪の様相を加え、道義は荒廃の一途をたどっております。人権と人命を全く軽視して顧みぬ残酷無残な凶悪犯罪がこのように多発しているということは、政治の末期的症状のあらわれとも見られ、まことにゆゆしき異常事態と申さなければなりません。(拍手)
 政府は、このような暴力犯罪に対しては、法の機能を総動員してこれを摘発し、あらゆる手だてを尽くして法秩序、社会秩序を確立すべきであると思うが、政府の捜査活動は現在どのように進められておるのか、総理より御答弁を願います。(拍手)
 次は、行政機構の改革について質問いたします。
 わが国の行政機構は、年々行政需要の増大とともに、国及び地方とも過度に膨張して、これが国民の負担を重くし、あわせて、財政硬直化の一大要因となっております。したがって、行政改革に対する国民の要望は切実、熾烈なものがありますが、政府は今日に至るまで何ら適切な措置をとっておりません。
 三木首相は、組閣以来しばしばニューディール、すなわち新規まき直しの決意を述べておられますが、ならば、まず隗より始めよのたとえのとおり、まずみずから行政機構の改革を断行なさるべきでありましょう。すなわち、それは機構と運営の両面にわたって簡素化、民主化、能率化の徹底を図ることであります。そして、租税の仕組みを換骨奪胎して自治体の自主財源をふやし、補助金行政を整理して、施策の選択を自治体と地方議会にこれを大幅に任すことであります。
 いまや、国家公務員の総数は百二十万、地方公務員総数二百四十万に達しております。これは成人国民二十一・五人をもって一人の公務員を抱えるものであり、これでは国民の負担があまりに重く、また一方、財政を硬直化させることは当然であります。わが国政の長年の懸案たるこの行政機構改革に対する三木内閣の方針はいかがでありますか。
 あわせて、この際、国鉄、電電公社等三公社五現業を初め、中央、地方の公営企業に対する経営の近代化、合理化について質問いたします。
 今日、郵便、電信電話料金、国鉄運賃を初め、公営企業による料金の値上げは、その企業の赤字発生が直接の原因であります。ここに、すべての民間企業がいずれもその合理化に骨身を削る思いで努力を傾注している現在、政府関係三公社五現業を初め公共企業体が、それにおくれず経営の近代化、合理化に真剣に取り組むことは、国民に対する当然の責務であります。(拍手)
 特に、国鉄と郵便業務にあっては、春闘、秋闘、年末闘争と、ストやサボタージュはやりたいほうだいで、あまつさえ国労、動労、全逓の労働組合は、事もあろうに合理化反対をその組合運動のスローガンに掲げ、これに反対する者を反労働者とののしって、これに非人道的な迫害を加えております。信賞必罰は政のかなめと申します。特に慨嘆にたえないことは、これらのストやサボタージュが、まるで野放しのままに見過ごされて、それらに対し当局が何ら法上の処分を行っていない、このことであります。
 労使ともども、相手は日の丸式のこのような乱離骨灰な労使関係を直視するとき、一事が万事、その企業経営の実態はどのようなものかと、まこと数々の疑惑とともに、このような公共企業体のあり方は、主権者国民にとって、もはや耐え得るところではありません。(拍手)ましてや、このような無秩序な体制で、国民に向かって料金値上げを要求するがごときは、むしろ恥知らずの鉄面皮とも断ずべきものであって、そのようなものは認めるべき筋合いのものではありません。(拍手)
 よって、政府は、三公社五現業を初め、中央、地方の公営企業について、その経営実態を徹底的に洗い直すために、ここに公営企業体近代化審議会とも言うべき権威ある国の機関を設置することとし、かつ、その企業体は、この審議会が指示した所要の合理化を実行するまではその料金の値上げは行い得ないように、この際、所要の法的措置を講ずべきであると思うが、政府の見解はいかがでありますか。(拍手)
 なお、これに関連して、民社党は、この際、公共企業体関係労働者に対する懸案のスト権については、公共の福祉のため適当な歯どめをつけてこれは認めるべきであり、もってスト権回復をめぐる紛争の悪循環を遮断すべきであると思うが、政府の方針はどうか、あわせて総理より御答弁を願います。
 最後に、三木総理の政治姿勢についていささか所見を述べ、民社党の態度を明らかにして、総理の善処を求めたいと存じます。
 激動の七〇年代は、ここに第六年目を迎え、これからがいよいよ険阻な峰続きかと見受けられます。総理は、組閣直後の記者会見で、この重大時局に対処して「力の限りを尽くし、清潔で偽りのない誠実な政治を実現し、国民の信頼を回復することに精魂を傾ける」と誓われました。民社党は、その総理の御決意には満腔の敬意を表するものであります。しかしながら、長年にわたって膠着したあの自民党の体質の中で、総理が果たしてそれを実行されることが可能かどうか、三木内閣成立以来ここ一カ月有半の重い足取りにかんがみ、うたた疑問を抱かざるを得ません。
 清潔な政治を実現するためには、金権政治の一掃を期して、速やかに政治資金規正法の改正と選挙制度の大改革を断行することが必要であります。国民とともに歩む政治を実行するためには、少なくとも私がここに指摘した国民的課題の一つ一つを、誠実に実行されなければなりません。
 総理は、十字架を背負う覚悟と悲壮な決意を述べておられますが、本日の段階においては、それはいまだ総論的スローガンの限界を出てはおりません。総理は、その総論に基づき、これからどのように各論を組み立てられるか、いまや全国民は、まなじりを決してその具体策の出方を見詰めております。
 ここに、民社党は、野党として政権に対抗するという一般的立場に立つものではありますけれども、同時にまた、国民的課題の解決をその使命として自負するものであります。わが国政は、いまや内外ともに問題山積のとき、わが党はこの際、ことさらに与党、野党の境界にこだわらず、進んで国民的課題の解決を目指し、それに役立つものならば、是々非々の立場を堅持して、時には政府にも協力を惜しまぬ方針であります。(拍手)
 ただ、ここで明確にしておきたいことは、わが党のそのような協力が可能かどうかは、一にかかって三木内閣の今後の政策の立て方、その実行のいかんにかかっておるという、このことであります。
 もしも総理が有言不実行ならば、われわれは三木内閣を見限ります。いわんや、羊頭狗肉の策に出るならば、民社党は矛をそろえてあなたに対決いたします。
 いまや、わが国政は急迫急湍にして一刻もゆるがせにならぬとき、三木総理は、まさに全国民の運命を担う日本の総理大臣として、右顧左べんされることなく、信念に徹し、国政の大事に当たられますよう、ここに改めて総理の有言実行を強く御期待して、私の質問を終わります。(拍手)
#14
○内閣総理大臣(三木武夫君) ただいま、民社党の委員長春日さんから、野党だからといって何でも反対しない、国民的課題に対しては、協力するものは協力するという、まことに政党のあり方として、非常に感銘深く民社党の立場を承ったわけでございます。私もそういう御期待に沿うべく、微力ではございますが、全力を傾けたいと存じておりますから、協力できるものは御協力を賜りたいと思うのでございます。
 第一番に、中東戦争についてでございますが、私は、中東戦争というものは避け得られる、また避けなければならぬ、もし中東戦争というものが起こったときは、これは大変な世界戦争に発展する可能性なしと言えないのでありますから、米ソはもとより、もう全世界が総がかりになって、中東戦争の発生を防止することが必要であると、かたく考えておるわけでございます。そういう意味において、日本もできるだけ中東戦争防止の役割りを果たさなければならぬと考えております。
 私が、施政方針演説などにおいても、中東問題を冒頭に持ってきたのは、中東の和戦を含めて、その動向というものが国際問題の中心題目であり、日本にとっても、中東の情勢というものが日本の国民経済に与えるものは、致命的な影響を与えるわけですから、今回、特に中東問題を施政方針演説の冒頭に述べたわけでございます。
 また、なぜそういうことを考えるかというと、世界も警戒をしております。戦争があるかもしれない、戦争があるかもしれぬという声が強くて、各国とも非常に警戒しながら慎重な態度をとり、国連においても、シリア、イスラエル、あるいはエジプト、イスラエルの間の国連の駐留軍は、駐留を春まで延期しておりますし、キッシンジャー国務長官も、中東に対してしばしば訪問しまして、中東和平の達成を精力的に続けておるし、また、この三月が来ると、産油国と消費国との間に、対話と協調という意味において好ましい話し合いの会議、準備会議でありますが、これが開かれて、中東の情勢というものが戦争に向かって進んでいるとは私は見ないのです。避けられる、また避けなければならぬというのが、私の中東に対しての観測でございます。
 また、もしものことがあったらということでございますが、国際エネルギー計画などで、緊急の場合には融通を受けるような制度もありますし、石油の需給適正化法などもございますし、また、一方においては、石油というものは、これは節約をしなければならぬことは当然であって、春日さんから御質問ございましたが、私は、この石油の節約というものは、単に、何かそれで産油国を圧迫しよう、圧力を加えようというのでなくして、石油は限られた資源でありますから、産油国も消費国も皆大事に使おうということをみんなが考えることは、人類としての共同の責任である。そういう意味において、日本も、もう幾らでも資源は使いほうだいということは許されない、世界人類のためにも資源は大事に使う。そういう意味において、一時的なものでなくして、今後はできるだけ石油の消費を節約するということが、国民生活の中でずっと今後実施していかなければならぬ方向だと考える次第であります。そのための国民運動も、政府としては、今後一層力を入れてまいりたいと思う次第でございます。
 オイルダラー対策などについては、春日さん、大蔵大臣の出席を御要望になっておりますから、大蔵大臣にゆだねることにいたします。
 それから、私がお答えをすべきは、核拡散防止条約について御質問がございましたが、春日さんの御指摘のように、核というものは、核を持っておる国が核軍縮を促進しなければならぬし、非核保有国に対しての安全保障というものも、これは頭に置かなければならぬ。しかし、日本として、そのことも当然でありますが、原子力の平和利用というものに対して、査察が、欧州のいわゆる原子力の機構と比べて、日本が特に差別をつけられるようなことがあったならば、これはもう日本の原子力開発に非常な蹉跌を来すというので、いわゆる査察に対して、平等に実施をされなければならぬということで、これをいま、国際原子力機構との間に交渉をしようということで、保障措置協定、こう言っているのですが、これが昨日出発をいたしたわけです。これは準備交渉を始めておる、こういうことで、話がまとまりますならば、いま御指摘のような問題も頭に入れつつ、できるだけ早く核拡散防止条約というものは批准した方がいい。日本のように核兵器を持たないということを決意しておる国が、この条約というものをいつまでも批准を延ばすということ、それはなかなか世界に対しても説明を要することではないか、私は、早期に批准すべきだと考えておる次第でございます。しかし、その前提には、いまのようなことが満足するような条件が満たされなければならぬことは申すまでもございません。
 それから、ラロックの証言などに対して、どうも核兵器を日本に持ち込んでおるのではないか、そういう疑惑が国民にあるということでございましたが、アメリカの政府、フォード大統領も参って、日本人が核に対して持っておる考え方、核に対する日本人の国民的心理というものはよくわかる、日本の核政策もよく承知しておるから、そういう国民の意思に反するようなことはしないということを、言葉は私の言う言葉と違いますが、そういう意味のことを申しておるし、また、核兵器の持ち込みというものは、事前協議の対象になるわけでございます。
 そういうことで、日米の協力及び日米安全保障条約というものは、根底にやはり両国の信頼関係というものがなくて、大統領が幾ら日本へ来てそういう保証を与えても、どうもあなたの言うことは信用できぬ、日本でひとつ飛行機や軍艦も点検しなければ承知できぬということでは、なかなかやはり、これからその条約というものが有効に、いつまでも両国の関係を安定した関係に、そういう条約によって置くことは非常にむずかしい。そういうことで、やはり信頼関係というものが根底になければならぬわけでございまして、われわれとしても、アメリカの大統領が日本へ来てまでこう言うのでありますから、これを信頼するという立場でございます。
 それから、独禁法のことにつきましては、これは先ほどお答えしておるように、骨抜きにはいたさない、相当厳しい自由経済のルールはつくりたいということでございます。
 それから、重要産業基本法、これは民社党が多年御主張になっておるのでございますが、いまそういう法律、制度というものを政府は考えておりません。しかし、企業の社会的責任というのは、今後ますます重要になってくることは当然でございまして、いろいろ今後、西ドイツの経営協議会も日本には適すると思いませんが、企業のあり方、労使の関係というものは、何らか新しい時代に即応したような関係というものを検討する必要があると思います。
 また、公共料金というものに対して、これをなぜ抑えなかったかということでございますが、政府としては精いっぱいのことをしたつもりでございます。あまり赤字が続いておるのを抑えたら、次に公共料金というものを改定するときには、これは大変なことになるわけでありますから、やはり受益者に負担を願うという原則の上に立たざるを得ないですけれども、最近の物価が非常事態とも言うべき状態にございますから、相当財政的にはむちゃなことをしておると思いますよ。しかし、いま申したように、たばこと酒、また、郵便料金を六月まで凍結して、しかもそれを、はがきなんかを三十円を二十円にしたりしまして、そして、そういう精いっぱい公共料金を抑制しようという努力はしたということはお認めを願いたいのでございます。
 それから、社会的な不公正是正ということについて、いろいろな生活保護世帯とか母子家庭とか心身障害者などに、特別な一時金を支給せよということでございましたが、そういう考えはないわけですけれども、ことしは、春日さん御承知のように、相当大幅にそういう各種の施策に対してはこれを増額し、改善をいたしたわけでございまして、社会保障費なども、昨年に比べて一兆円だけふえたわけですから、窮屈な予算の中で、これは相当思い切った予算の増額でございます。
 また老齢福祉年金、そういうのを今後三カ年計画で四万円にしろというお話でございましたが、これは二万円より三万円、四万円、金額の多いにこしたことはないのですけれども、御承知のように、これは掛金なしでございますから、いまのままでは、国の財政支出を伴うので、四万円というと二兆九千億円ということになるわけですから、これは今日の財政事情では、こういう式では春日さん、なかなかむずかしい。これは、年金制度というものをもう一ぺん根本的にいまのシステムから検討して、そしてすることが必要でございますから、この年金、高齢者のいまの福祉年金という制度は、その仕組みから再検討をいたすことを考えておるわけでございます。これは厚生省においても、年金制度全般を洗い直しの作業に入っておる次第でございます。
 それから、逆所得税でございますけれども、これは学説としてはあるのですけれども、どこもやっておる国はない。一人一人事情が違いますから、それをナショナルミニマムのようなものがあって、それ以下の者には皆金を払ってくれるというのは、一人一人の事情があって、学説としてはあり得ても、実際の政治というものには、なかなか現実にこれを取り入れることはむずかしいから、せっかくの御提案ですけれども、いま取り入れる考えはないわけでございます。
 それから、インフレの、いわゆる一般に言う預貯金の目減り対策については、いま大蔵省で慎重に検討をいたしておるわけでございます。
 それから、当面の税制の改革については、大蔵大臣からこれはお答えする方が適当だと思いますので、大蔵大臣からお答えをいたします。
 農業については、農林大臣の出席要求がございませんので、私から農業というものに対してお答えをいたしておく次第でございます。出席というか、答弁の要求がないわけでございます。
 食糧は、やはり春日さんの言われるように、自給率を高めなければ、いまカロリー換算で四〇%程度だと言われておりますが、やはり穀物にしてもそういう自給率が低いことは申すまでもないのですけれども、だからといって食糧を自給自足するというようなことは、これはむちゃなことであって、今日の世界は、皆やはりいろいろ各国が食糧を輸出することによって経済のバランスもとれておるのですから、そういう政策は適当でない。しかし、一番必要なことは、いろいろな情勢というものが起こり得るわけですから、そのときには、日本の農地が、農業生産というものをやはり急激にできるだけの力を養っておくことが私は一番大事である。農村の基盤整備というものに、この抑制予算の中でも特に力を入れましたのは、潜在的な農業生産力というものを高めておく、しかし、一方においてはできるだけ自給力を高める。また、大豆を皆たんぽのあぜなんかにまけというお話、非常に細かい御注意でございましたが、そういうことをわれわれの子供なんかのときは皆やっておったのですから、農林省もそういうことも今後奨励をするようにいたします、なるべくそういうふうに空地を利用することがよろしいわけでございますから。
 また、中小企業の対策については、春日さんは中小企業対策に従来から大変御熱心であるわけですが、政府としても、昨年、七千億円の緊急融資をいたしたわけで、この資金が足らないようになりましたら、これを追加をいたすつもりでございます。金融の面から、中小企業というものが不当なしわ寄せを受けないように努力をしたいということでございます。また、事情によっては、返済の猶予も行うよう指導をいたしておるわけでございます。
 日銀に対して、中小企業の資金を別の枠というわけには、日銀のたてまえからいたしておらないわけでございますが、しかし、中小企業の資金需要というものを十分に考慮して、日銀も、中小企業金融については、これは一段と配慮をいたしておるということでございます。
 また、住宅の金融公庫などについて触れられましたが、住宅は、住宅の不足もあるし、また今日、中小企業の人たちに対する仕事をふやすという意味からいっても、住宅というものは大事な問題でありますから、住宅公庫などを重視して、四十九年度は二度も財投の追加をいたしたわけです。
 また、官公需に対しては、まだ二八・七%しかならぬですけれども、私も、何とかこれは五〇%ぐらいに持っていけないか。通産大臣の時代に特別な法律も私はつくったわけでございますが、何とか中小企業の、せめて官公需などに対しては、これは一般の場合よりもやりやすい面もありますから、この率はふやしていきたいと思っておるわけでございます。
 それから、中小企業の下請代金の支払い遅延防止法、これはもう今後厳重に中小企業庁、公正取引委員会などにおいて、監督を強化してまいりたいと思っております。
 また、歩積み両建てというものは銀行検査の場合に、この点を一番重視しておるわけでございます。また、金融機関の内部においても、これは強く申しておるわけでございますから、指導員、この責任体制というものを確立して、そして会社などにおいても役員の中から、こういう歩積み両建ての問題に対してそういうことのないように、特にそういうことをなくするような指導をするための特別な役員を置くようにするぐらい、この問題に対してはそういう事態をなくしていきたいと努力を進んでしておるわけでございます。
 この中小企業の問題は、日本は非常に中小企業に従事する人も多いし、実際において、中小企業が安定しなければ、日本は安定というわけにはいかないぐらい重要でございますので、今後は、中小企業対策というものは一段と力を入れてまいりたいと思っております。
 それから教育問題については、せっかくこれもやはり大臣の答弁の御要求がございますから、文部大臣にゆだねることにいたします。
 それから地方行政のことについては、これはやはり中央も地方も行財政の見直しをする時期に来ておる。また、地方の場合はいろいろ中央よりもひどい面もある、春日さん御指摘になったように。そういう意味で、いま地方自治体というものに対して、地方制度調査会などにも、数日前でしたか諮問をいたして、この問題の検討を始めてもらったわけですが、政府としても、単に中央だけでなしに、地方の行財政というものに対しての一つの行き詰まり、これにメスを入れるべきだと考えておるわけでございます。
 それから、最近、凶悪犯罪が非常に起きて、治安の維持というものに対して政府は一段と力を入れなければならぬということについては、政府も非常に心配をしておるわけでございます。やはり治安の維持ということは、政府の一番大きな責任の一つであることは申すまでもないわけですから、捜査員を配置したり、また国家公安委員会などに対しても、強くわれわれの希望を伝えて、やはり民主社会において暴力が横行するようなことになれば、民主主義というものは維持していかれませんから、今後、暴力行為、凶悪犯罪というものはできるだけ取り締まり、また、取り締まるばかりでなしに、事前に防止するような努力をいたしたいと思うわけでございます。
 最後に、政治資金規正法と選挙制度の改革の問題に触れられましたが、私は、どうしてもこの問題はこの国会で解決をしてもらいたいと願っておるものでございます。まあ、金にまつわる不信というものが、政治不信の中の大きな部分を占めておる。しかしながら、政治には金がかかるわけですから、余りそう政治に金がかからぬような顔をするわけにはいかない。政治には金がかかるけれども、その金が国民から疑惑を受けないような、節度のある明朗な形で政治資金というものを政党は集めなければいけない。そういう点で、政治資金規正法をぜひやりたいということと、今日の選挙のあり方というものが、こんなに金がかかる選挙をやっておっては、これはやはり自民党ばかりでなしに野党の諸君でも、このごろの選挙は金がかかるようになっていると私は思うのであります。
 そういうことで、もう少し金がかからないで選挙がやれるような、しかも、選挙というものが、余りこう何でもいろんなことをやるのでなくして、政策を中心にして、正しく公明な選挙が行なわれるような、そういうやはりすべて人の自覚ばかりでなしに、制度的にもそういう制度の改正が必要な面もございますから、これは各党の御協力を得て、政治資金規正法と選挙の粛正に関する一つの特別立法は、ぜひともこの国会にひとつ提案をし、御可決を願いたいと思っておるわけでございます。
 大抵お答えをしたと思いますけれども、ございましたか、何か。(発言する者あり)もし私に落とした面があれば、大蔵大臣などに補足をしてもらうことにいたします。(拍手)
#15
○議長(前尾繁三郎君) 内閣総理大臣から、答弁を補足したいとのことであります。これを許します。内閣総理大臣三木武夫君。
#16
○内閣総理大臣(三木武夫君) 三公社五現業というものは、これはやはり法律は守らなければならぬ。だから、ストをやるということは禁じられておるのでありますから、それをやって国民に迷惑をかけることはいけないということは、法治国家として当然のことでございます。したがって、この点は、声を大にして春日さん言われたが、われわれも全く同感でございます。この点については、今後とも、三公社五現業の従業員の方々が国民に迷惑を与えておる、それがやはり違法な行為であるということに思いをいたして、そういうことのないような良識のある行動を切に願うものでございます。
 また、三公社五現業のスト権の問題などについては、いろいろといま審議をいたしておるので、政府としてもこの問題に対しては、今年の秋ごろまでに結論を出したいと考えておる次第でございまして、この問題は、政府としても真剣に検討いたすことにいたしておるわけであります。この問題とストの問題とは、別の問題であると考えておる次第でございます。(拍手)
#17
○国務大臣(大平正芳君) 私に残された問題の第一は、最近の石油危機に伴う国際的な金融取り決めについてでございます。
 春日委員長御指摘のように、最近OECDの枠内において、またIMFにおきまして、金融の特別な取り決めが合意を見たことは御案内のとおりでございます。これは、このままいけば無限に膨張するおそれがあるのではないかという懸念を御表明になったわけでございますが、私はそう考えておりません。このいずれの取り決めも、臨時的なつなぎの資金であると考えております。いずれ産油国側におかれても輸入の拡大に努めることでございましょうし、消費国側におきましても、省エネルギーの経済への体制固めが進みまするし、また代替エネルギーの開発でございまするとか、石油の消費の節約というような点も進むことが期待されるわけでございますので、若干の時間がかかりますが、その間に、国際的な金融秩序が混乱することがないような措置がとられたわけでございまして、一時的なつなぎの措置であると御理解をいただきたいと思います。
 第二の御質問は、オイルダラーによってわが国の株式の取得が行われるようなことになった場合、政府はどういう措置を講ずるかということでございます。
 外国投資家によるわが国企業の株式取得は、それが単なる資産の運用でございます限りにおきましては、自動的な認可があってしかるべきものと私は考えております。しかしながら、その投資によりましてその企業の経営に参加するということでございますならば、当該企業の同意を必要といたしまするので、主務大臣のもとで個別審査の対象になるものでございまして、ケース・バイ・ケースで慎重に処理さるべきものと考えております。
 次に、税制の改正につきましての御質問でございます。
 第一の委員長の御提言は、所得税の課税最低限を二百五十万に引き上げたらどうかという大胆な御提言でございます。
 たびたび私は申し上げておりますように、今度の改正によりまして、夫婦子二人の家族におきまする課税最低限は、わが国は百八十三万円になるわけでございまして、世界で圧倒的に一番高い最低限を確保できたわけでございます。念のために申しますと、アメリカが百二十九万円でございます。英国が九十五万円でございます、ドイツが百十二万円、フランスが百五十万円でございまして、わが国が圧倒的に一位なんでございまして、私どもといたしましては精いっぱいのところをやったので、むしろよくやったとおほめをいただきたいと思うのであります。(拍手)
 第二の御提言は、高額所得者にもっと税金をかけたらどうかという御提言でございます。
 ごもっともでございますけれども、これまでの経過を見ますと、わが国の所得税納税者に対する減税におきましては、課税最低限の引き上げというところに力点を置いてまいったわけでございまして、その結果、低額所得者に厚く減税が終始行われてまいったわけでございます。したがって、結果といたしまして、高額所得者は、他の先進諸国に比べまして、むしろ高い課税にたえなければならぬ状態になっておりますので、ただいませっかくの御提案でございますけれども、高額所得者にこれ以上いまの段階で重課する考えはございません。
 第三の租税特別措置でございますが、これはこの議場を通じましてたびたび御答弁申し上げましたとおり、利子、配当所得の源泉分離選択税率は従来二五%でございましたけれども、これを三〇%に引き上げたこと、土地の譲渡所得を重課いたしたこと、これはたびたびお答え申し上げたとおりでございます。
 それから、法人税率を引き上げたらどうかということでございます。
 四十九年度の改正におきまして、三六・七五%から四〇%に法人税は税率は引き上げておけるわでございますが、法人税と法人事業税、法人住民税、皆合わせますと、いま法人の負担は約五〇%となっておりまして、先進諸国に比肩いたしまして軽くないわけでございますので、ただいまこれを引き上げるつもりはありません。
 法人の土地の再評価税を設けたらどうかということでございます。
 これまたこの席でたびたびお答え申し上げましたように、また三木総理もお答え申し上げましたように、これはまだ実現しない利益に対する課税でございますので、どういたしましても、税率は低くせざるを得ないわけでございますが、法人税率より低い再評価税を設けますと、それが転売される場合は困るわけでございまして、私は、この土地の再評価税をいま設けるようなつもりはないのであります。
 それから、富裕税を設けたらどうかということでございます。
 これもたびたびここでお答え申し上げておるとおりでございまして、所得税の補完税として富裕税を考えるということにつきましては、財産の捕捉が完全でなければならぬということでございますが、ただいま、残念ながらまだそこまでの行政能力を日本政府は持っていないわけでございますので、そういう行政能力の充実を待たなければできない相談であるということをお答え申し上げて、私への御質問に対するお答えといたします。(拍手)
#18
○国務大臣(永井道雄君) 春日議員から、教育の行政運営に関しまして、きわめて重要な御質問を二つ受けましたので、それについて答弁いたしたいと思います。
 まず第一は、民社党で長く提案しておられる大学基本法案というものは、私自身が提案いたしました大学公社案というものに非常に似ているものであるが、今日私に、大学公社案、あるいは民社党の御提案の大学基本法案のような形のものをつくっていく考えがあるかという問題でございます。
 実は、この二つの案以外に、中央教育審議会の昭和四十六年六月の答申を見ますと、その中にもほとんど類似の案がございます。三者に共通なものは、私の理解いたしますところでは、今日の大学というものが、閉鎖的あるいは独善的に陥りやすい点も含んでいる、あるいは社会が激変している中で、それに対応して大学というものが有効に運営されにくい、そういう面を持っているので、これに対して新しい公的組織をつくることによって、そして大学に今日以上の責任を持たせると同時に、自治の力を発揮して、そして大学をつくっていくという考えであるかと私は理解いたしております。
 問題は、これらの三つの案に類似の以上のような点があるのでございますけれども、昭和四十六年六月に中教審の案が出ましてから今日まで相当の年月を経ておりますが、いまだにこのような大学ができていない。そこで、考えますのに、これはやはり現在の大学の状況というふうなものを、国公私の別を問わず、すべてよく検討してみる必要がある、あるいはまた、各界の意見というものを一層よく聞いてみる必要があると私は考えております。したがいまして、案それ自体はすでに中教審の答申の中にも盛られていることであり、非常に検討を要する重要なものであると思いますが、その案を実現いたします手続としては、なお相当の検討は必要かと考えております。
 第二点は、教育というものが政争の場から離れたものにならなければいけない、そこで、それを実現するためには、今日の文部省とは別個に中央教育委員会というものをつくり、そのもとに新しい行政組織というものを組織化しまして、教育行政を行ってはどうかという御見解についてでございます。
 これにつきましては、私は、教育を政争の場から離す、そして教育の政治的中立性を図っていくというお考えにつきましては、全く同感でございまして、きわめて重要であると考えております。しかしながら、直ちに現在の制度を変えるということが望ましいかどうかについて、私の見解を申しますならば、今日、直ちにそれを行う必要はないのではないかと考えております。
 と申しますのは、この国会におきましていろいろと立法行為が行われますが、その立法行為によって、たとえば教育基本法というものもできております。また、教育基本法に基づく法令がありまして、それはわが国における教育というものは中立的であるということを定めているわけであります。そして、この法律に基づきまして、文部省というものは行政を行うわけであります。したがって、立法と行政というものの分立の関係がございますが、文部省は、この法律に基づいて厳正に公平な立場で教育行政に当たらなければならない、そういう立場にあるわけでございます。
 そこで、私がそれを実際に進めていくということはきわめて大事なのではないか。私自身のことになりますけれども、現在の制度の中で、三木首相のお考えは、教育というものを政争の場から離したい。そこで、私自身は民間出身の人間でございますが、現行制度の中で、私はこの文教行政の責任あるお仕事をお引き受けすることとなったわけでございます。
 そこで、まあ私自身は、以上のように考えますと、この現行制度の中で、きわめて微力でございますけれども、教育行政というものを本当に政治的に中立にして、そして教育を充実していきますために、国会の皆々様の御理解、そして御協力というものを得ればまことに幸いであると、かように考えている次第でございます。(拍手)
#19
○議長(前尾繁三郎君) 内閣総理大臣から、答弁を補足したいとのことであります。これを許します。内閣総理大臣三木武夫君。
#20
○内閣総理大臣(三木武夫君) 春日さんの重要な御提案の一つである、公営企業体の近代化審議会というものを設けて、三公社五現業などの内容を徹底的に合理化する必要があるのではないか、その合理化が済むまでは料金の改定なども、これはやはり抑えておくべきでないかという、大変に示唆に富むお話でございます。
 やはりこの公共料金の値上げの場合には、それだけの徹底的な合理化というものを行うことが前提になるということは当然のことでございまして、この御提案は大変に示唆に富んだ建設的な御提案だと思いますが、政府のほうで、御承知のようにいろいろな審議会があるわけでございます。いろいろな審議会がございますから、どうしても洗い直さなければならぬことは事実でありますが、いままでの既成の審議会でその目的が達成できるかどうか、できない場合には、御指摘のような審議会なども必要だと思いますが、できるだけ、いままである審議会を活用できぬかという点で、検討をしたいと思います。
 お答えいたします。(拍手)
#21
○議長(前尾繁三郎君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#22
○議長(前尾繁三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十七分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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