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#1
第075回国会 本会議 第5号
昭和五十年二月十三日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第五号
  昭和五十年二月十三日
    午後一時開議
 第一 昭和四十九年度の稲作転換奨励補助金等
    についての所得税及び法人税の臨時特例
    に関する法律案(大蔵委員長提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 大橋武夫君の故議員神門至馬夫君に対する追悼
  演説
 議員請暇の件
 日程第一 昭和四十九年度の稲作転換奨励補助
  金等についての所得税及び法人税の臨時特例
  に関する法律案(大蔵委員長提出)
    午後一時十七分開議
#2
○議長(前尾繁三郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(前尾繁三郎君) 御報告いたすことがあります。
 議員神門至馬夫君は、昨年十二月十一日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 同君に対する弔詞は、去る十二月十六日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
 衆議院は議員正五位勲三等神門至馬夫君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます
    ―――――――――――――
 故議員神門至馬夫君に対する追悼演説
#4
○議長(前尾繁三郎君) この際、弔意を表するため、大橋武夫君から発言を求められております。これを許します。大橋武夫君。
#5
○大橋武夫君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員神門至馬夫君は、昨年十二月十一日逝去せられました。まことに痛惜の念にたえません。
 私は、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、謹んで哀悼の言葉を申し述べたいと存じます。
 神門君は、大正十一年三月、島根県邑智郡桜江町の農家にお生まれになりました。
 少年時代、山合いの三江線をひた走る機関車にあこがれた君は、高等小学校卒業後の昭和十二年、念願の国鉄入りを果たされ、浜田機関区を振り出しに、列車の機関士として厳しい勤務に従事されました。災天下、やけつくような運転室の中でハンドルを握り締め、時には深夜、吹きすさぶ雪の中で蒸気機関車の点検を行うなど、働く者の苦しみと誇りを身をもって味わわれました君は、その生涯を通じて精神的支柱となった旺盛な責任感と負けじ魂を、ここにしっかりと体得されたのであります。(拍手)
 やがて、戦後、新しい息吹のもとに国鉄にも労働組合が組織されましたが、君はいち早く組合活動に参加し、所属組合員の輿望を担って、国鉄労組の米子地方本部書記長、同本部執行委員長として、組合員の地位の向上と生活の安定確保のために懸命の努力を傾けてこられました。さらに、昭和三十年以降は、島根県労働組合評議会議長、同事務局長として組合運動を指導、推進する傍ら、県の労働基準審議会委員、労働委員等を歴任して、各種の労働問題の処理に当たられたのであります。
 また、神門君は、島根県農民協議会の発足に尽力されるなど、県下の農民運動に残された足跡も大なるものがありました。「自分は農家の生まれで、戦前の農民の生活と苦悩を痛いほど知っている。農民を救うためにも、労働運動を発展させるためにも、労働者と農民とが一体となって運動を推進しなければならない。」と熱っぽく労農提携を訴えられたのでありまして、みずからスライド写真を持ってひたむきに農村を走り回る君の姿は、まさしく人間機関車そのものであったとのことでございます。(拍手)
 戦後約二十年にわたる労働運動、農民運動を通じ、大きく成長されました神門君は、やがて、みずからの信念と抱負を国政に具現すべく決意を固められ、昭和四十二年一月に行われた第三十一回衆議院議員総選挙に際し、日本社会党公認候補として出馬されました。時に四十四歳。この選挙戦において、神門君は、若き情熱を傾けて、政界の浄化、刷新を叫び、働く者の生活安定向上を力強く訴えました。そして、国民大衆のために政治に一身をなげうつことをかたく誓われたのであります。
 君のこの政治に寄せる真摯な姿勢は、飾り気のない率直な人柄と相まって、県民の強力なる支持を集めるところとなり、ことに神門至馬夫衆議院議員の誕生を見るに至りました。(拍手)
 自来、本院議員に当選すること二回、五年一カ月にわたる在職期間中、君は心魂を傾けてその職務に精励されたのであります。
 君は、国鉄マンとして自他ともに許す存在でありまして、終始運輸委員として活躍されました。第七十一回特別国会の昭和四十八年六月、国鉄運賃法改正案審議の際、神門君は、国鉄のあり方について綿密な調査のもとに、この壇上において堂々と自己の信念を述べ、日本社会党の立場を鮮明に打ち出されたことは、私どもの記憶に新たなところであります。(拍手)
 また、君は、郷土島根県を初めとする過疎化現象を深く憂慮し、党の過疎対策委員会の副委員長として、あらゆる角度からその対策を練ってこられたのでありますが、予算委員会などの審議の場において、機会あるごとにこの問題を取り上げて、過疎地域における医師の確保、地域開発の推進、町村道の整備など、行政投資の必要性を説き、関係閣僚に対し具体案を示して、その実現方を強く求められたのであります。君のこの熱意と見識は行政を動かし、その施策は着々と実行に移されているのでありまして、過疎地域の住民の福祉の向上に尽くされた功績は、大きく評価されなければなりません。(拍手)
 君の政策と取り組む真剣な姿勢と旺盛な意欲は、農業あるいは社会保障の分野にも及び、日本社会党の農業基本政策委員会、社会保障政策委員会など、各種の委員会に所属して、着々と研さんを積んでこられたのでありまして、社会主義運動の闘士である神門君は、政策通としてもますますみがきがかけられ、君の将来は、党の内外を問わず、大いに嘱目されるところでありました。
 日ごろ頑健な身体を誇りとし、政治の道をばく進し続けてこられました神門さんは、昨年十一月、突如体の不調を訴え、医師の診断によって手術を受けられることになりました。このとき、衆議院議員として、また、日本社会党の島根県本部委員長として多くの重要な課題と取り組んでいた神門君は、国鉄入社以来の親友の一人に、次のような手紙を送られたとのことであります。「政治情勢が重大な時期に私事の手術を受けるのは忍びないが、今後のことを考えて決断した。手術のことは浜田にいるおばにも知らせないでほしい。」というものでありました。神門君はこの後、幾ばくもなくして急逝されたのでありますが、公事の前にはわが身をいささかも顧みず、その生涯を世のため人のために捧げ通された君の崇高なる姿を目の当たりにして、私は、政治に携わる者の厳しさを改めて痛感せずにはおられなかったのであります。(拍手)
 政治家としての君の魅力は、何ものにも屈しない強固な信念のもとに、ひたむきに物事に取り組む誠実さと、常に温かく人に接し、互いに心が通い合える人間性にあったと申せましょう。「体が不調なときでも笑顔で接するのが政治家の務めです。」と語っておられた君の周囲は、常に明るさに包まれておりました。「人と議論を闘わすことはあっても、決して罵倒することがなく、思いやりのあるやさしい心の持ち主であった。」と、君をしのぶ郷党の人々が語っております。君もまた、大衆の心を心とし、国民大衆とともに考え、そして歩むことが、政治家に課せられた使命であると心に刻み、これに徹してこられたのでありまして、神門君こそ、真の大衆政治家であったと申すべきであります。(拍手)
 御年五十二歳、君の人生は、幾多の修練の時期を経ていよいよ円熟の域に達し、政治家として今後の大成が大いに期待されていたところでありますが、雄図半ばにして忽然として去っていかれましたことは、まことに痛恨のきわみであります。
 わが国内外の情勢がきわめて複雑な様相を呈し、未曾有の試練に直面しております今日、崇高な人格と新鮮な政治感覚に加え、実行力を兼ね備えた神門君を失いましたことは、本院にとっても、国家国民にとっても大なる損失と申すべく、惜しみて余りあるものがあります。
 ここに、神門至馬夫君の生前の御功績をたたえ、その人となりをしのび、心から御冥福をお祈りして、追悼の言葉といたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#6
○議長(前尾繁三郎君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 赤澤正道君から、海外旅行のため、二月十四日から三月一日まで十六日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
#7
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
#8
○議長(前尾繁三郎君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
#9
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 日程第一 昭和四十九年度の稲作転換奨励補
  助金等についての所得税及び法人税の臨時
  特例に関する法律案(大蔵委員長提出)
#10
○議長(前尾繁三郎君) 日程第一、昭和四十九年度の稲作転換奨励補助金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。大蔵委員長上村千一郎君。
    ―――――――――――――
 昭和四十九年度の稲作転換奨励補助金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案
    ―――――――――――――
#11
○上村千一郎君 ただいま議題となりました昭和四十九年度の稲作転換奨励補助金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案につきまして、提案の趣旨及びその概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、去る二月七日大蔵委員会において全会一致をもって起草、提案いたしたものであります。
 御承知のとおり、政府は、昭和四十九年度におきまして稲作転換対策推進のために、稲作の転換を行う者等に対して、奨励補助金または協力特別交付金を交付することといたしておりますが、本案は、これらの補助金等に係る所得税及び法人税について、その負担の軽減を図るため、おおむね次のような特例措置を講じようとするものであります。
 すなわち、同補助金等のうち個人が交付を受けるものについては、これを一時所得とみなすとともに、農業生産法人が交付を受けるものについては、交付を受けた後二年以内に固定資産の取得または改良に充てた場合には、圧縮記帳の特例を認めることといたしております。
 したがいまして、個人の場合は、その所得の計算に当たり、四十万円までの特別控除が認められ、これを超える部分の金額につきましても、その半額が課税対象から除かれることになります。
 また、法人の場合には、取得した固定資産の帳簿価額から、その取得に充てた補助金等の額を減額することにより、その減額分が損金と認められ、補助金等を受けたことに伴い直ちに課税関係が発生しないことになるのであります。
 なお、本案による国税の減収額は、昭和四十九年度において約三億円と見積もられるのでありまして、大蔵委員会におきましては、本案の提案を決定するに際しまして、政府の意見を求めましたところ、大平大蔵大臣より、稲作転換対策の必要性に顧み、あえて反対しない旨の意見が開陳されました。
 以上がこの法律案の提案の趣旨とその概要であります。何とぞ、速やかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(前尾繁三郎君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
#13
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
#14
○議長(前尾繁三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時三十六分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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