くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第075回国会 本会議 第7号
昭和五十年二月二十一日(金曜日)
    ―――――――――――――
  昭和五十年二月二十一日
    午後二時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 離島振興対策審議会委員の選挙
 酒税法の一部を改正する法律案(内閣提出)及
 び
  製造たばこ定価法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後二時十五分開議
#2
○議長(前尾繁三郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 離島振興対策審議会委員の選挙
#3
○議長(前尾繁三郎君) 離島振興対策審議会委員の選挙を行います。
#4
○羽田孜君 離島振興対策審議会委員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
#5
○議長(前尾繁三郎君) 羽田孜君の動議に御異議ありませんか。
#6
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 議長は、離島振興対策審議会委員に高橋千寿君を指名いたします。
     ――――◇―――――
 酒税法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#7
○議長(前尾繁三郎君) 内閣提出、酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣大平正芳君。
#8
○国務大臣(大平正芳君) 酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 昭和五十年度の予算は、前年度に引き続き抑制的な基調のもとに編成したところでありますが、その中にありましても、福祉年金の画期的な改善を初め、国民福祉の向上と国民生活の安定のための施策を積極的に推進することといたしております。また、税制の面におきましても、所得税について各種人的控除の引上げを図りますほか、相続税等についても減税を実施することといたしております。これらの施策及び減税を実施するためには、租税収入、税外収入を通じて、その財源の多様化に配意しつつ、これを確保することが必要であります。
 ところで、現行の酒税の税率及びたばこの定価は、昭和四十三年の改正を経て今日に至っているものでありますが、その税率等が所得水準の上昇、物価水準の変動にかかわらず、定額に据え置かれているために、税負担が相当程度低下しておりますので、その調整を行う必要があります。
 以上の状況に顧み、ここに酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
 まず、酒税法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を申し上げたいと思います。
 第一に、酒税の税率につきまして、清酒特級、ビール、ウイスキー類特級及び一級、果実酒類の一部、スピリッツ類、リキュール類並びに雑酒について二二%程度、清酒一級について一五%程度、その従量税率を引き上げることといたしております。具体的に申し上げれば、通常の容器一本当たりで、清酒特級は百十五円程度、清酒一級は四十七円程度、ビールは十五円程度、ウイスキー特級は百五十円程度、ウイスキー一級は六十九円程度の増税であります。
 なお、清酒二級、合成清酒、しょうちゅう等につきましては、その消費の実情等を考慮し、税率を据え置くことといたしております。
 第二に、酒税の諸制度につきまして、納期限の延長制度に特例を設けることとするほか、戻し入れ控除制度の適用範囲を拡大する等、所要の整備を行うことといたしております。
 次に、製造たばこ定価法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を申し上げます。
 この法律案におきましては、製造たばこの小売定価を引き上げるため、種類別、等級別に法定されている最高価格を、紙巻きたばこにつきましては十本当たり十円ないし二十円、刻みたばこにつきましては十グラム当たり十円、パイプたばこにつきましては十グラム当たり二十円ないし四十円、葉巻たばこにつきましては、一本当たり三十五円ないし百二十円それぞれ引き上げる等、所要の改正を行うことといたしております。
 以上、酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 酒税法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#9
○議長(前尾繁三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。小泉純一郎君。
#10
○小泉純一郎君 私は、自由民主党を代表して、ただいま提案されました酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案に対し、総理大臣並びに大蔵大臣に若干の質問をいたしたいと思います。
 わが国経済が、高度成長から低成長時代に移行した現在、福祉充実のために増大する財政需要に対し、財源をいかに充足すべきかは、まことに重要な問題であります。
 しかし、最近憂慮すべき風潮が一部にあります。それは、税金は福祉社会への参加費用であり、納税が国民の重要な義務であると言われながら、税金は政府が取り立てるものだという受け身の考え方が少なくないことであります。だれかが多分税金を払うであろう、自分は減税を要求する、しかし、揺りかごから墓場まで政府が世話しろという、政府に責任のみ与えるけれども、それにふさわしい財源を与えない、そして、政府から無数のサービスを受けることを自然であると考えていることであります。政府に必要な財源を与えようとせず、しかも、われわれの生活のすべてを世話しろという、政府に万能の力を期待するなどということは、まことに無責任な議論と言わなければなりません。福祉国家というものは、全国民の協力なくしては成立し得ないものであり、要は、いかに国民の税金を有効に配分するか、福祉向上に結びつけるかであります。
 そこで、今回提案されました酒、たばこ値上げ法案についてでありますが、酒、たばこは代表的な嗜好品であり、消費量も多く、国家財政の財源として重要な地位を占めており、他の物品よりも高率の税負担が課されてしかるべきだと私は思います。
 昭和四十九年度の酒税収入は八千八百五十億円、たばこ収入は、国に納める専売納付金が三千四百四十億円、地方に納める消費税が三千四百四十四億円に上っております。今回の酒税については、清酒二級、合成清酒、しょうちゅう等は据え置き、その他については従量税であるため、その負担率が年々低下していることから、その負担の調整のため、清酒特級、ウイスキー特級、一級、ビール等では約二二%、清酒一級については約一五%従量税を引き上げております。所得が増加し、物価水準も上昇することを考えれば、従量税の負担が相対的に低下していくものであり、今回の措置は当然であります。
 ところで、前回四十三年に行われた改定後の消費量の推移を見ますと、値上げされたにもかかわらず、高級酒である清酒特級、一級は五年間に約二倍に、ウイスキー特級は約五倍もその消費量はふえております。
 そこで、大蔵大臣に質問いたしますが、今後は、高級酒に限って従量税率とともに従価税を引き上げるか、あるいは全面的に従量税を廃止して、物価の上昇につれて、自動的に税金がふえる従価税方式に変更するつもりがあるかどうか、大臣の御意見を伺いたいと思います。
 次に、たばこについてですが、たばこの定価も酒同様、四十三年以来据え置きされており、この間における原価の上昇の結果、たばこ消費に対する税負担が大幅に低下しております。納付金制度をとっている限り、原価が上昇するにつれて、売り上げがふえても、納付金の率が減っていくのでありますが、今後、納付金制度を廃止して、消費税制度の導入を考えているかどうか、大臣の御意見を伺いたいと思います。
 これに関連して、専売公社の企業責任を明確にする必要があると思いますが、現在いかなる合理化の努力がなされているか、そして将来、民間に経営を任せる可能性もあると思いますが、現段階で大蔵大臣はどのように考えているか、あわせて御答弁をお願いいたします。
 今回の値上げは、五月一日に行われる予定ですが、昨日の衆議院物価問題特別委員会で取り上げられたように、すでに、値上げ後の利ざやをかせぐのがねらいで、買いだめが始まっております。値上げ前、特に四月には、一般庶民の買いだめも加わって、かなりの仮需要が起きると思います。前回四十三年の一九%値上げの際には、当時月平均百七十三億本の消費量が、四月には七十億本もの仮需要が起き、二百四十二億本に消費量は増加いたしました。現在、月平均約二百三十億本消費されていますが、今回四八%の値上げ改定で、どの程度の仮需要を予想し、その対策はどのようになされているか、お答え願います。
 わが国は、租税収入の中に占める直接税の割合は非常に高く、現在では、直接税対間接税の比率は約七対三になっております。生活環境の整備や、社会福祉の充実に対する国民の要求はますます高まりつつあり、所得税に対する減税の要請も大きく、片や財政支出増加の要請、片や財政収入削減の要請と、相矛盾する要求をどう処理していくかが、今後の財政の大きな課題であると思います。
 このような事情を考えると、今後新たな財源を求めるとすれば、直接税の比率がかなり高く、むしろ減税の要求が強い現在、一つの方向として、消費税のあり方を洗い直し、検討すべきであると私は思います。
 最近のように、あらゆる消費財が豊富に供給され、所得水準の上昇とともに、消費が一般に高級化、多様化の傾向を示してくると、特定の消費だけをとらえて課税するという、いわゆる個別消費税では、負担の公平は期しがたいのであります。福祉充実のための財源として、現行の個別消費税制度を変更して、何らかの新しい一般消費税制度の導入について、具体的に検討すべき段階に来ていると思いますが、総理大臣の率直な見解を伺いたいと思います。
 だれだって、物価は安ければ安いほどいいし、所得は多ければ多いほどいい、税金も少なければ少ないほどいいに決まっています。賃金は大幅に上げろ、物価は大幅に下げろ、税金は減らせ、しかし福祉は大幅にふやせ、こういう要求を実現できる便利な政府は、とうてい存在し得ないのであります。
 低成長経済のもとで福祉充実を図るためには、より恵まれた者、より強い者、相対的に有利な立場にある人々が負担の増加に耐えなければならないのは当然でありますが、責任ある政党が、すべてを他人や政府に依存しようという自制心を欠いた人気取りの政策を主張し続けるならば、民主主義は、やがて大衆迎合主義に堕落してしまうのであります。(拍手)
 連帯感で結ばれた活力ある社会を築くためには、国民のすべてが、それぞれの立場で福祉のための負担を分かち合うという、みずからを律する精神なくして、真の福祉国家の建設は困難であると言わなければなりません。
 今後、政府は、将来のあるべき福祉社会の姿を国民の前に明快に示すと同時に、それに伴う国民の責任と負担の所在を率直に披瀝する勇気を持ち、政治の指導性を高めていくための努力を積極的に推し進めていくことを強く要望し、私の質問を終わります。(拍手)

#11
○内閣総理大臣(三木武夫君) 小泉君の質問にお答えをいたします。
 一つは、一般消費税制度というものの導入を考えてはどうかというお話でございます。
 われわれが、今後福祉国家を目指す以上は、財源の問題が生じてまいります。相当な負担を国民にも願わなければならぬわけであります。したがって、一般消費税ということも検討を要する問題ではございましょうが、何分、間接税は間接税としての弊害の面もございますから、税体系の中における間接税のあり方、あるいはまた、国民の負担、物価に対しての影響等も考えて、この問題は、日本の税体系全般の問題として十分検討をいたしてまいりたいという考えでございます。
 第二番目は、あるべき福祉社会の姿を国民の前に明確にすべきではないか、われわれもやはりそのように考えておるわけでございます。
 日本のどういう社会を描いて自民党内閣がやっておるかということを明確にする必要があると思いますが、これは長期展望を要する問題でございますので、目下、新経済社会計画を策定中でございます。この中において、その輪郭を明らかにするつもりでございます。また、厚生省においても、年金制度全般について再検討をいたしておるわけでございますから、これは適当な時期に、小泉君御指摘のような、あるべきこれからの福祉社会の姿を明らかにいたしたいと考えております。
 まあしかし、小泉君の御演説の中で御指摘のあったように、とにかく政府は万能ではないわけでありますから、福祉社会を目指す以上は、どうしても社会連帯の精神というものに対して国民の深い御理解を願わなければ、福祉国家の建設というものはできるものではないという御指摘は、まことに御指摘のとおりだと考えておる次第でございます。
 お答えをいたします。(拍手)
#12
○国務大臣(大平正芳君) われわれの提案に対しまして、御理解と御支持を賜りましたことを感謝します。
 第一の御質問は、現在の従量税制度を従価税制に変えるつもりはないかという御質問でございます。
 今度の提案は、従量税を長く据え置いたために、従価税の税目に比しまして、相対的に租税負担が低下しておる状況にかんがみまして、これを調整しようというもくろみでございます。今回はそれだけをさしていただこうといたしておるわけでございまして、従価税化をしようというもくろみは、いま総理大臣が言われた、間接税体系全体の見直しと同時に検討さしていただく課題であろうと考えております。
 第二の、消費税制度を導入するつもりはないかということでございます。
 なるほど、財政収入を安定的に確保するとか、あるいは、公社の経営責任を明確にするというような立場から申しますと、消費税制度が望ましくございまするし、税制度調査会等の答申もそういうラインでなされたことがあることは、私どもよく承知いたしておりますけれども、これを実行してまいるためには、葉たばこの耕作者でございますとか、あるいは、たばこの小売業者でございますとか、多くの方々の理解と協力を得なければならぬわけでございます。ただいままだそういうところまで条件、状況が熟していないわけでございまして、ただいま消費税制度に移すという考えを政府はまだ持っておりません。
 それから第三の問題は、今度の引き上げによって仮需要が起こることが予想されるが、それに対する対策はどうかという御質問でござまいす。
 われわれのこれまでの経験によりますと、小泉さんも御指摘のように、約一カ月相当分ぐらいの仮需要が起きるのではないかと想定されるわけでございますので、休祭日等を活用いたしまして、労働組合の皆さんの協力も得まして増産に努めて、仮需要に応じて、市場に混乱を来すことのないように対処いたしたいと考えております。
 第四の御質問は、公社制度になってからの合理化努力で、見るべきものがあるかという御質問でございました。
 たとえば、四十三年から四十九年まで、この七年間の実績を見てみましても、事業量が一・七倍にふえておりますけれども、職員は逆に三千七百人減っておるわけでございます。また、一人当たり一時間の生産量は一・六倍にふえておるというようなところから見まして、公社は一応合理化努力を鋭意やっておると私どもは見ておるわけでございまして、ただいまこれを民営に移すという考えは持っておりません。
    ―――――――――――――
#13
○議長(前尾繁三郎君) 佐藤観樹君。
#14
○佐藤観樹君 ただいまは小泉議員の方から、本法案に対して賛成の立場から御質問がありましたけれども、私は、社会党を代表いたしまして、三木内閣ができてから初めての公共料金の値上げになろうとしておりますこの製造たばこ定価法及び酒税法の一部を改正する法律案につきまして、反対の立場から質問をいたしたいと思うわけであります。
 三木内閣は、当初の公約から後退に次ぐ後退を続けております。独占禁止法の骨抜き、政治資金規正法の後退、核不拡散条約の今国会提出の見送り、自動車排気ガス規制の後退、まさに、三木首相は口舌の士になったと私たちは思うわけであります。そして、いま、三木内閣の政治的なバックボーンとも言うべき社会的不公正の是正、これすら大変怪しくなってきた、こういう感がするわけであります。
 税制一つとってみましても、果たして、これで社会的な公正を目指すことができるのだろうかと疑いたくなるわけであります。現在のようなインフレにあってこそ、税制は、その重要な機能である富の再配分機能を遺憾なく発揮させなければなりません。インフレでぬくぬくと潤った者からは、そのインフレ利得を税で吸収し、インフレの大風に立ち向かうこともできず、やせ細っていったインフレ弱者には、税制でも、歳出の面でも救済の手を差し伸べる、これが私は政治の本質であると考えております。(拍手)
 総理府発表の家計調査報告でも指摘しておりますように、勤労者の間でも、最近この三年間のインフレの進行の中で、所得格差がますます広がってきております。所得の高い階層の人々の収入の伸び率は、低い人々の伸びをはるかにしのいでいるのであります。このようなときにこそ、弱い立場の低所得層には所得税の減税を、強い土地や資産を持っている人々には増税をというのが、社会的公正を維持するためにはぜひとも必要であります。
 ところが、今年度の所得税減税はわずかに千九百五十億にしかすぎません。これは物価上昇を加味いたしますと、減税はなきに等しいわけであります。そして一方では、今度の法案によって、たばこの値上げで二千五百億円、酒税の値上げで千七十億円、ざっと所得税減税の一・五倍の増税が行われているのであります。所得税をほんのちょっぴり減税をしてもらったと思ったら、反対に、たばこと酒でがっぽり取られてしまったというのが、国民の偽らぬ実感でございます。
 こんな簡単な算術は、幾ら経済に弱いと言われる三木首相にもおわかりいただけると思います。こんなことで、果たして土地も資産もないインフレ弱者を救済したと言うのでしょうか。税の持つ富の再配分機能を働かしたと言うのでしょうか。首相の言う社会的不公正の是正、これができるのでしょうか。それとも、これはやはり口先だけだったのでしょうか。総理の見解をお伺いしたいと思うわけであります。(拍手)
 さらに、いまお話がございましたように、たばこや酒は貧乏人も飲むんだ、吸うんだというようなお話がございましたけれども、そこが問題なんでございます。たばこや酒に含まれる税金は、松下幸之助さんが吸うものでも、老人年金を受けるお年寄りでも同じ額であるという不公平があります。いまの三木首相の答弁の中でも、このことは多分認められております。同額というよりも、むしろ逆に、所得の低い人ほど税の負担割合が重くなる逆進性を、間接税に持っているわけであります。まさか、このように暮らしにくい世の中で、老人年金を受けている者はたばこを吸ってはならぬ、酒を飲むな、こういうことではありますまい。現在のようなインフレで、低所得者ほど重くのしかかるたばこ、酒などの間接税を重くすることは、ますます不公平を拡大することになるのではないでしょうか。不公正是正を絶えず口にする首相の率直な御意見を承りたいと思うわけであります。(拍手)
 また、三木内閣の政策課題の第一は、何と言っても物価の抑制にあったはずであります。たかが、たばこぐらいと言われるかもしれません。たばこは、いま成人の約八割、三千三百万人の人々が吸っている、まさに大衆の嗜好品であります。
 東京調布市の多摩川団地に住む会社員の加藤修さん、四十二歳の方でございますが、同僚二人で正月から禁煙を誓いました。加藤さんは三万円のお小遣いで、子供たちにケーキを買って帰るのが楽しみで、たばこは一日セブンスター一個、こういう方でありましたけれども、ことしの正月からは禁煙いたしました。いままでたばこ代は一月三千円で済んだわけでありますけれども、今度値上げになりますと、これが月四千五百円の負担になります。一家四人の米代が六千円、これと考え合わせますと、ずっしりと値上げの重みを感ずると訴えております。
 消費者物価指数への影響が〇・六%、昨年十一月の消費者米価に次ぐ大幅な値上げであります。いま、たばこの箱には、皆さん方も御存じのように、「健康のため吸いすぎに注意しましょう」、こういうふうに印刷をされておりますけれども、さらに私たちは、これはちょうど、「家計のために吸い過ぎに注意をしましょう」、こういう悲しいことになりはしないかと憂えているわけであります。(拍手)
 現在のようなインフレのもとで、財源確保という財政上の理由で値上げをするということは、国民のインフレの心理、インフレマインドを強く刺激するばかりであります。このような緊急性のない値上げは、物価抑制を第一目標にしている限り、考え直すべきであると思いますけれども、物価抑制との関連をどう考えていらっしゃるか、総理にお伺いをしたいと思います。
 もし、財源がないから、福祉に回すお金がないからというなら、私たちは、インフレでもうけた強い者、企業から取るべきであると、逆に提案を申し上げます。たとえば、法人税率を平均四二・五%にするとか、法人間の受取配当を益金に算入するとか、交際費課税を強化するとか、広告費税の創設、利子、配当所得の総合課税、租税特別措置法の整理、こういったようなことをすれば、私たちの試算でも、ざっと一兆六千四百億円の財源が見出せるわけであります。インフレでもうけた企業からは取らずして、インフレで苦しんでいる大衆から、たばこの値上げによって煙に巻くがごとき政策を認めることは、私たちはできません。
 総理、あなたは議会の子を任ずるとともに、官僚出身でない政治家を誇りとしてきたはずであります。官僚は、強い者には弱いが、弱い者にはめっぽう強いという体質があります。あなたはそうでないはずであります。私の提案する税制改正を受け入れて、初めて、強きをくじき弱きを助ける社会的不公正の是正ができるのであります。首相の見解を承りたいと思います。
 また、今回のたばこ、酒の値上げによりまして、国税の中に占める間接税のウエートが非常に大きくなってきます。三木内閣がいつまで続くかわかりませんけれども、今後一層間接税の割合を大きくしていくのか、また、最終的には、物価の値上がりを導くような付加価値税の導入までいくのか、今後、この間接税をどういうふうにしていくかについてお伺いをしたいと思います。
 以上五点につき、政府の基本政策にかかわる重要な問題でございますので、あえて三木総理に率直な見解をお伺いしたいと思うわけであります。
 次に、今回の値上げの理由、専売公社のあり方について、担当大臣である大平大蔵大臣に伺います。
 そもそも、たばこ製造を専売制にしているのは一体なぜでしょうか、どういうメリットがあるのでしょうか。私は、たばこが専売制であるのは、公社が、国民に安くてうまい、だれでもどこでも同じ値段で安心して吸えるたばこを安定的に供給する、これが公社の務めであり、国民のための専売公社にふさわしい経営に変えていくべきであると考えております。
 少なくも四十三年の長期計画には、この「安くてうまい」の文字が入っていたわけでありますけれども、最近の公社は、皆さん方も新聞や雑誌でごらんになっていると思いますが、値上げのためのキャンペーンを盛んに莫大な広告費をかけて行っております。皆さん方もごらんになったと思いますけれども、この中には、「うまいたばこ」という字は入っておりますが、「安い」という文字は入ってないのであります。これは一体どういうことでございましょうか。物価高の折から、公社としての現代的なメリットというのは、値上げをしないでやる、これが私は公社としてのメリットであると思っております。この公社の社会的責任、公共企業体としての公共性をどう発揮すべきであると、監督大臣たる大蔵大臣は考えていらっしゃるのかをお伺いをしたいと思います。
 今回の値上げの最大理由は、葉たばこや人件費などのコスト高で、公社が国に納める専売納付金が減ってきたというものであります。それでは、公社のたばこが売れなくなってきたのか、量が減ってきたのか、とんでもないのであります。毎年百億本という膨大なたばこが売り上げを伸ばしております。加えて、消費者になるべく高い銘柄を買ってもらおうと、あらゆる手段を尽くした結果、公社が国に納める益金額、これはどんどんと急ピッチに伸びております。昭和四十年が二千九百六十三億であったものが、四十五年には五千百五十二億円、四十九年には六千九百十四億円にもなっているわけであります。額でふえても、国への専売納付金の制度は、あらかじめ利益額の目標を決めて予算を立ててしまいますから、コストが予算以上に上がりますと、自動的に益金率が下がる。逆に益金率、つまり税率を固定しておいてコストがアップになりますと、これをカバーするためにたばこの定価を上げなければならないというシステムになっております。いま大蔵省、専売公社が騒いでいるのは、この益金率が六〇%を割って、四十八年には五九・三%、四十九年には五六%となったから、これを四十七年以前の六〇%に戻してもらいたい、これが値上げ法案の理由であります。
 一体、この益金率六〇%というのは、大蔵省と専売公社が覚書を交換しているものでありますが、どういう意味を持つのでしょうか。また、公社の経営を硬直化させるこの専売納付金制度は、三木総理お得意の洗い直しを迫られているのではないでしょうか。この専売納付金制度について、大蔵大臣の見解をお伺いしたいと思います。
 いま述べましたように、益金率とは、国と地方自治体へ行く税金の売り上げに占める割合でありますから、すなわち、たばこに課せられた税率に等しいわけであります。四十九年度の益金率五六%は、五六%の税金がたばこに課せられているということを意味いたします。皆さん、ダイヤモンド、エメラルド、これは物品税がかけられておりますけれども、これは一五%の物品税でございます。自動車が二〇%の物品税。ところが、この物品税がかけられているものは、そう毎日ダイヤモンドを買う方はございませんのに、こういうように一五%という低い率であります。けれども、たばこのように毎日毎日消費するものですら、なお五六%という高い率の税金がかけられております。本年度値上げをしないと四六・五%になってしまうと大騒ぎをしておりますけれども、このような大衆から高率の税をしぼり上げるものについて、ほかに類を見ないのであります。
 たとえば、皆さん方がお吸いになる百円セブンスター、これは原価は三十三円と言われております。ところが、これは税金が五十七円入っているわけであります。チェリーも、値段が一緒でござまいすので、原価と益金率は一緒でございます。五十円のホープ、原価十九円であります。税金が二十六円。それからハイライト、これは八十円でございますけれども、原価は三十一円、何と四十一円の税金がかけられているのであります。大衆が嗜好するものについて、こんなに高い税金をかける必要が果たしてあるのでしょうか。この件について、なお一層高い税金をという大蔵大臣の見解をお伺いしたいわけであります。
 さらに、今回の値上げは、国民的なコンセンサスが十分得られているのかについては、非常に疑わしいわけであります。政府の税制調査会、専売事業審議会、こういったところでも十分な審議もされずに、大蔵省、自民党と専売公社がなれ合いによって国民に押しつけてきた値上げと私は思います。もっと国民の声を公社の経営に取り入れるために、消費者、関連産業の労働者、たばこ耕作農民、小売人、地方自治体などとのコミュニケーションの場を積極的につくり、経営のあり方を再検討する機関をつくるべきだと考えますけれども、いかがお考えでございましょうか。
 今回の値上げの理由の一つに、もし値上げをしないと、国への専売納付金が、地方自治体に行きますたばこ消費税よりも五十二年には下回ってしまう、こういうことが理由の一つに挙げられております。
 地方財政の危機が叫ばれている今日、地方財源充実のために、国、地方の比率を地方優先に上げるべきだとさえ考えます。絶えず国への納付金が地方よりも上回っていなければならないという発想には、地方自治は絶えず中央の下にあるべきだ、そういう考えがあるのではないでしょうか。自治大臣は、この地方財政との関連においてどのように考えているか、お伺いをしたいと思います。
 たばこに関する最後といたしまして、葉たばこの海外依存問題について伺っておきます。
 いまや、葉たばこ耕作者はかつての半分に減り、二五%を海外産葉に依存をしている現状であります。これは、公社が、耕作者に対して生産意欲を起こさせる十分な対策をとってこなかった結果であります。そして、いまや第二次中期経営計画では、ブラジル、インドネシア、インドなどから、日本の商社を通して開発輸入をすることを考えております。しかし、たとえばインドネシアの南スマトラでは、悪名高き日本の大手商社によって農業開発が行われ、借地料は、三十五年で一ヘクタール二千円と、ただ同然であります。農業労働者の賃金は、日本円に換算して百円程度となっています。このような生産方法で、確かに安いことは事実でありますが、果たして今後ともこんなことが続けられるでありましょうか。田中前首相のインドネシア訪問でも言われましたように、民族的意識は高揚しており、加えて、世界は食糧危機を迎えております。このような世界的な原料事情の悪化傾向を考えるとき、原料確保のために、目前の安い葉たばこに目を奪われることなく、長期的な展望に立って、国内産葉の生産、育成に努めるべきであると考えますが、大蔵大臣の見解をお伺いしたいと思います。
 最後に、酒税の値上げについて、一点だけお伺いをしておきます。
 酒税も、間接税として逆進性を持ち、たばこ同様大衆課税であることは論をまちません。政府は、値上げの理由として、数量にかかる従量税なので、思ったほど税収が伸びないと言っておりますが、近い将来、額にかける従価税に移行させるつもりなのか。またすでに、この税率引き上げのときばかり、ビール一本二百円の声も耳に入ってきておりますが、政府は、このような酒類の便乗値上げに対して、どのような有効な手を打とうとしているのでしょうか。
 以上、私は、三木内閣の政治課題である社会的不公正の是正を中心に置きながら、多岐にわたって国民に切実な問題点を質問してまいりました。いずれも三木内閣の政治姿勢を問う踏み絵となっております。どうか、心して答弁されることをお願いし、質問を終わりたいと思います。(拍手)
#15
○内閣総理大臣(三木武夫君) 佐藤君にお答えをいたします。
 今回の値上げは、税の持つ所得再分配の機能を損ねるのではないかというお話でございます。
 国としても、財源を必要とするわけでございますから、財源の多元化を図るといいますか、そういう点から、やはり公共料金というものは、ある程度受益者に御負担を願うということが原則でございます。
 しかし、今回は、物価安定を最重要政策としておりますので、極力抑制をいたしたわけでございますが、酒税の従量税率、たばこの価格等は、今回値上げをいたすわけでございますが、しかし、これは四十七年でありますから、七年間据え置いたわけであります。その間、国民の所得も上がってきたことは事実でございますし、また物価も上昇して、原価も上昇して、非常に税負担が低下したことは事実でございます。したがって、この機会に調整する必要があったわけでありまして、税の持つ所得再分配機能を損なうとは考えていないわけでございます。
 また、間接税の強化は負担の不公平にならないかというお話でございますが、しかし、その値上げをするにしても、大衆酒であるとか低価格のたばこは、引き上げの幅をできるだけこれは抑えまして、まあやむを得ないものだけ今回値上げをして、できる限り負担の公平を期そうと努力をしたわけでございます。
 また、値上げが緊急性はないのではないかということでございますが、佐藤君ごらんになってもわかりますように、社会保障でも一兆円をふやしましたし、また、いろいろな社会福祉の政策も積極的にやりましたし、また、その積極的ないろいろな施策をやった反面において、公債も、千六百億円、公債の発行を減らしたわけでございますから、どうしても税収入、税外収入というものをある程度維持しなければ、それだけの財源というものは賄うわけにはいかないわけでございますので、そういう配慮も加えたわけでございまして、緊急性ありという考え方で提案をいたしたわけでございます。
 また、税については、強い者に対して重税を、弱い者に対して減税を、という佐藤君のお話は、そのとおりでございます。そういう意味で、われわれも、利子、配当に対しての課税とか、いろいろその他、税負担を相当しても強いという立場である人には、一方に課税を強化すると同時に、一方においては社会保障などに非常に力を入れまして、公共事業などを抑えておる中において、社会保障などに対しては、予算を重点的にそういう方面に回すことによって、いま佐藤君の言われるような、そういう精神を生かしたいと努力はいたしたわけでございます。
 また、これは間接税をだんだんと強化していくのではないかということでございますが、日本は世界の中でも、税体系の中において間接税が一番少ない国の一つでありますが、これは将来の福祉社会を目指す以上は、相当な負担を国民の皆さんにも願わなければならぬわけでありますから、税体系全体の中で、間接税のあり方、そういうものに対して、今後検討を加えてまいりたいということでございますので、佐藤君の頭の中にある付加価値税というものを、いますぐにこれを採用しようというところまでまいっていないわけでございます。
 お答えをいたします。(拍手)
#16
○国務大臣(大平正芳君) 専売制度の目的は何か、安くてうまいたばこを安定的に供給することであるべきだというお説でございます。私も全く同感に存じます。
 日本のたばこが安いか高いかということは、何に対して安いか高いかという比較論でございますが、佐藤さんも御案内のように、先進諸国と比較いたしまして、ただいま日本のたばこの値段は、ほぼ五〇%ぐらいの水準にあると私は判断いたしております。いまお願いいたしておりまする値上げを実行さしていただきましても、はるかに先進諸国より低いと判断いたしております。
 それから、第二の物差しといたしまして、先ほど、四十三年以来据え置かしていただいたために、従価税がかかっておるものと比較いたしまして、ずいぶん税の負担が崩れてきたという意味のことを申し上げましたが、四十三年度の個人の消費支出を一〇〇としますと、指数的に見まして、四十九年度は二五九になっております。たばこの売上代金は、四十三年度を一〇〇といたしますと、四十九年度は一七〇になっておるわけでございます。今度の改定をさしていただきましても、個人の消費支出が三〇七に対しまして二二四になるわけでございまして、対個人の消費支出と比較いたしましても、決して高くないと私どもは判断いたしておるわけでございます。
 それから第二の御質問は、益金率の問題でございます。六〇%を確保しなければならないというのは、一体何を目安に言っておるのかというお話でございます。
 すでに御承知かと思いますけれども、先進諸国のたばこの税率は、おおむね七〇%から七五%になっておりますことは、御案内のとおりでございます。もっとも、これは地方税の関係がございますので、おおむねと申し上げさしていただきたいと思いますけれども、日本の場合、長く六〇%を維持してまいったわけでございますけれども、四十九年は五〇%を割る状況になってまいりましたので、この際五六%まで回復さしていただこうという、ごく謙虚なわれわれの願望であることを御理解いただきたいと思うのであります。
 それから第三の問題は、この値上げについて、果たしてコンセンサスが得られておるかということでございます。
 御案内のように、去年の暮れ、十二月二十七日に税制調査会、それから十二月十九日には専売事業審議会、それぞれお開きいただきまして、御賛同を得ておるわけでございますことを、この際お答えさせていただきたいと思います。
 その次に、葉たばこの供給について、国内産の葉たばこの確保は、お説のとおり、われわれも鋭意努めてまいらなければならぬために、各種の施策を講じておることは御案内のとおりでございますが、国外からも葉たばこの安定的な確保を図らなければならぬ事情にあることも、佐藤さんよく御承知のとおりでございます。しかも、従来お願いしておった国々だけでなくて、新たに供給を仰がなければならぬ国を開拓しなければならない事情にもございますので、ブラジル等にお願いいたしておりますことも、あわせて申し添えておきたいと思います。
 それから最後に、従価税に持っていくつもりはないかということでございますが、これは、先ほど小泉議員にお答え申し上げたように、間接税体系全体の見直しと同時に考えさせていただきたいと思います。
 なお、酒の値上げにつきましての便乗値上げの規制ということにつきましては、十分政府としても心して、さようなことのないように、行政指導に努めてまいりたいと考えております。(拍手)
#17
○国務大臣(福田一君) 佐藤さんにお答え申し上げます。
 今回のたばこの値上げが、地方団体の重要な財源であるたばこ消費税が、専売納付金を上回ることになるからという理由で、この改正を行ったのはけしからぬ、こういうような意味と理解するのでございますが、もとより私は、このたばこ消費税が地方団体の重要な財源であるということは、よく理解をいたしております。しかしまた、このたばこの納付金が国の財源として、そして国の施策を実行する上に重要な役割りを果たしておることも、御理解をしていただけると思うのでございまして、私たちは、先ほど大蔵大臣からも御返事がありましたけれども、税調その他を通じて、そうしてこれは当然であるということで、今回の値上げを断行することに相なったわけでございます。
 また同時に、これが値上げになりますと、これは二八・五%という数字でございますが、その分に相当する値上げ分は、やはり地方に入ってくるわけでございますので、必ずしもいまおっしゃったような、これはことしの実施の問題は別といたしまして、長い目で見ればそういうことになるのでありまして、地方財政を無視しておる、あるいは軽視しておるという考え方はございません。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(前尾繁三郎君) 増本一彦君。
#19
○増本一彦君 私は、日本共産党・革新共同を代表しまして、製造たばこ定価法及び酒税法の各一部を改正する法律案につき、総理並びに関係閣僚に質問いたします。
 まず、総理にただしたいことは、一体、三木内閣は真剣に物価問題に取り組む決意があるのかどうかという点であります。
 物価は、ようやく鎮静化の兆しを見せてきたなどという政府の宣伝にもかかわらず、食料品を初めとする国民の生活必需品は、依然として値上がりを続けております。インフレと不況の同時に進行する今日の深刻な事態のもとで、政府の統計や、本年一月の控え目な計算によりましても、勤労者の実質収入は、前年同月比でマイナス三%、失業者は、本年一月はすでに百万人を超えているのであります。
 その反面、大企業は製品価格をほしいままにつり上げて、インフレーションを加速しているのであります。ところが、三木内閣は、これら大企業の不当な価格つり上げを規制せず、逆に、一片の真実性も持たない、賃金、物価悪循環論を振り回して、物価高に苦しむ勤労者、国民に対して賃金の抑制を主張するとともに、今回の史上最高の四八%にも上るたばこと、大幅な酒税の引き上げによって、昭和五十年度だけで三千五百七十億円にも上る負担増をも押しつけようとしているのであります。来年度の所得税減税は二千三百九十億円ですから、これだけで、かえって一千二百六十億円にも上る増税となるのであります。これこそ、三木内閣みずから、物価値上げと国民生活破壊の張本人であることを示しているものであります。
 総理、あなたのこのような態度は、物価安定を求める国民の世論に対する重大な挑戦であり、物価安定を最重点施策とすると、みずからこの壇上で述べた、あなた自身の公約を踏みにじるものではありませんか。今日の国民生活の困難を顧みれば、このような値上げ法案は直ちに撤回するとともに、さらに、予定されている郵便料金などの一連の公共料金の値上げをしないと、国民の前にはっきりと言明すべきであると思うが、どうか、総理の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 第二に、総理にただしたいことは、三木内閣は、国民の負担の増大という犠牲の上に国の財政の確保を図るという、許しがたい政策を強行しようとしている点であります。
 政府は、財政硬直化と財政需要の増大、直接税、間接税の比率の不均衡などを口実に、一般消費税の導入や、価格が上がれば税金も便乗値上げになるように従価税の強化をもくろみ、今回のたばこ、酒税の値上げ法案も、その移行への準備の一環であることを肯定してはばからないのであります。しかしながら、これらの理由と口実は、たばこ、酒税の値上げを何ら合理化しないばかりか、大企業優先と軍事力強化を進める政府の五十年度予算と施策の本質を隠蔽する以外の何物でもありません。
 政府の言う財政硬直化とは、何よりも、大企業向けの産業基盤整備中心の三兆円を超える公共事業投資や、総額一兆円を超える防衛予算と、そして、残高が十兆円にも達する膨大な赤字公債の償還費などに、その重要な原因があることは明らかではありませんか。直接税と間接税の比率の不均衡という口実も、歴代自由民主党政府が高度経済成長政策を支えるために、いたずらに予算規模を膨張させ、その財源を、国民に対する所得税などの直接税の負担強化を進めてきた結果ではありませんか。わが党は、このような不当な口実を構えて国民の負担を増強させることは、問題の本質をすりかえることであり、断じて許すことはできないのであります。
 総理、あなたがいまなすべきことは、大企業中心の産業基盤整備の公共事業投資を削減し、国民生活基盤整備の投資に振り向けることや、防衛費を削減して国民生活の防衛にこそ、その財源を振り向けることであります。また、生活関連物資に対する間接税を大幅に軽減するとともに、この不況の中でも膨大な利潤を上げている大企業や、大金持ちに対する課税を強化することではありませんか。
 この観点に立つならば、第一に、一般消費税や付加価値税の導入を絶対にしないと明言できるか。また第二に、従価税方式の拡大など、大衆課税の強化は絶対にしないと言明すべきであると思うが、どうか、総理の明確な答弁を求めるものであります。
 さらに重大な点は、政府は、わが党の再三の要求にもかかわらず、国際競争力の確保を口実に、たばこの製造原価や専売公社の監査報告書すら、資料提出することを拒んでいることであります。製造たばこの定価の改定の是非を検討するためには、たばこの製造原価の計算や専売公社の事業内容と、その決算の正確な把握こそその前提であります。しかるに、政府がその必要な資料提出すら拒否することは、議会制民主主義を踏みにじり、憲法上の権限である国政調査権を無視する不当きわまりないものであります。
 政府は、このような不当な態度を改めて、製造たばこの各品目別の製造原価と流通コストの実態や、各年度の決算の詳細と監査報告書を国会に提出して、国会が、専売公社制度のあり方を含めて、実質的にも徹底的な審議を尽くすことができるようにすべきではありませんか。総理並びに大蔵大臣の明確な答弁を求めるものであります。
 今回のたばこの値上げ法案によって、政府は二千五百億円の一般会計の増収をもくろんでいます。これは、国民の負担を強化することによって、現在でも当期純利益が三千数百億円という膨大な黒字を上げているにもかかわらず、さらに専売事業を、国庫に対する財政収入の確保を至上命令とする制度に一段と改悪するものであります。
 すでに政府は、昭和四十六年五月より、専売公社法で定められている国への納付金の計算方法すらあえて無視して、専売公社に対して、国への納付金のノルマを押しつけ、公社は、そのノルマ達成のために、すべての犠牲を国民に押しつけてきたのであります。すなわち、政府と公社は、一方では葉たばこ耕作農民に対する収納価格や、たばこ小売業者のマージンを低く抑えるとともに、公社に働く労働者には、第二次中期経営計画に基づく労働強化によって、労働災害の増大など、労働条件の一層の悪化を強い、消費者国民には、新製品開発と称して、より高い銘柄を売りつけているのであります。
 政府は、今回のたばこ値上げの理由を原料価格の上昇に求めていますが、これも事態をごまかすものでしかありません。政府が公表している限られた資料から見ましても、昭和三十九年度を一とした場合、昭和四十八年度の売上総原価のうち、原料費の伸び方は二・三倍であるのに、減価償却は実に四・三倍にも達するという状況は、専売公社が中期経営計画による設備投資の拡大を進めると同時に、その減価償却を定率法による特別償却で処理して、利益を不当に費用化して隠していることのあらわれであります。しかも、値上げのやり方も、最も需要の多いハイライトやセブンスター、チェリーなどの上げ幅をより大きくして、国民負担をさらに強化しようとしているのであります。このような観点や立場は改めるべきではありませんか。
 私は、大蔵大臣に対して、次のような措置をとる意思があるかどうか、明確な答弁を求めるものであります。
 第一は、政府は、このような国庫第一主義に基づく中期経営計画をやめるべきであると思うが、どうか。第二は、葉たばこ耕作農民に対する収納価格の大幅な引き上げや、小売業者に対する適正なマージンの保障と、公社職員に対する労働条件改善にこそ努めるべきであると考えるが、どうか。第三に、減価償却の定率法を定額法に戻して、機械、設備の償却期間を適正に延長するよう改めるべきであると考えるが、どうか。
 以上三点につき、大蔵大臣の責任ある答弁を求めるものであります。(拍手)
 このような不当な経営が平然と行われているのは、専売公社の経営に国民の正当な意見を反映させる道がないからであります。政府は、専売事業審議会を民主的に改めて、一般消費者の代表を加えるとともに、葉たばこ耕作者や小売業者の意見が正当に尊重される手だてをとるべきであります。大蔵大臣の明確な答弁を求めます。
 さて、酒税の引き上げは、清酒醸造の中小零細業者の経営を一層圧迫するものでしかありません。中小企業近代化促進法に基づくきわめて不十分な中小企業構造改善事業も、本年三月で期限が切れ、大手業者によるおけ買いの急増と買いたたきは、さらに促進されることは明らかであります。ビール、ウイスキーなどの大企業産品は、酒税引き上げを口実に新たな便乗値上げを図ろうとしております。
 政府は、清酒醸造を中心とする中小零細業者の経営安定と、販路の拡大の大幅な助成策を講ずるとともに、ビール、ウイスキーを初め、清酒を含めた大手メーカーの過大な宣伝広告や、独占価格のほしいままのつり上げを初めとする横暴な企業活動を規制すべきではありませんか。政府は、このような政策を実行する決意があるかどうか、大蔵大臣の責任ある答弁を求めます。
 以上、述べてきましたとおり、今回のたばこと酒税の引き上げは、今日のインフレと物価高に苦しむ勤労者国民の犠牲で国の歳入の確保を図ろうとする、許しがたいものであります。三木内閣が、真に物価安定を最重点の施策とするという決意があるならば、大企業本位の五十年度予算をこそ、国民の立場に立って根本的に再検討すべきであります。
 私は、このことを強く指摘して、製造たばこの価格と酒税の引き上げ法案を速やかに撤回することを要求して、質問を終わります。(拍手)
#20
○内閣総理大臣(三木武夫君) 増本君にお答えをいたします。
 三木内閣は、本当に物価安定を最重点政策にしておるのかという御質問でございました。
 これだけの不況の深刻化にかかわらず総需要抑制政策をとって、不況対策にはきめ細かくいろいろな手を打って、政策の枠組みをじっと維持しておることをごらんくださっても、物価安定というものをどれほど重視しておるかということは、おわかりのとおりでございます。国民の御協力も得て、物価は鎮静の方向に向かい、政府が国民に約束しておった目標は達成できそうであります。したがって、物価安定というものを重要政策として本当に考えておるのかという御質問は、私どもには、心なき御質問と受け取るわけでございます。
 また、物価安定のために値上げ法案を撤回する意思はないかという御質問でございます。
 やはりわれわれも、できるだけこの物価安定のために、公共料金は抑制しようと努力をしたわけでございます。しかし、財政的な面もございますし、いろいろな点から考えて、やむを得ず酒、たばこなどについて、あるいは郵便料金などについての値上げをするということになったわけでございますが、まあ公共料金は、受益者負担が原則でございますが、その中で、できるだけ抑制するという政策をとったことは御承知のとおりでございます。したがって、値上げ法案を撤回する意思はございません。
 また、防衛費を削減したり、産業基盤整備のための公共事業を削減して、そして財源に充てて、値上げを中止すべきではないかという御質問でございました。
 われわれは、やはり公共事業については、これを抑制する中においても、住宅とか下水とか、生活関連の環境を整備するために、重点的に予算の編成を行ったことは御承知のとおりでございます。
 防衛問題については、これは増本さんと立場が違いますが、われわれは、最小限度の防衛力は必要であるという見地に立って、防衛費を計上いたしたわけでございまして、いずれも国民的要請に沿うたものであると考えておりますので、これを削減する意思は持っておりません。
 また、いろいろな法案の審議について、資料の提出についていろいろ御非難がございましたが、今後御審議に対しては、できる限り資料は提出をいたす所存でございます。
 また、今後、間接税を大幅に減税すべきではないかという御意見もございました。
 間接税というものは、消費の性格とか負担力なども考えて、その対象を選択いたしたわけでございまして、間接税を一律に大幅に減税することが適当だとは考えておりません。しかし、間接税というものを今後取り入れるにつきましては、税体系全体の中で慎重に検討をいたしてまいりたいと思っておる次第でございます。
 以上、お答えをいたします。
 また、先ほど佐藤君の御質問の中で、七年間据え置いたというときに、四十三年と私は申したと思うのですが、速記録では四十七年となっておりましたから、四十三年以来七年間据え置くということでございますので、訂正をいたします。(拍手)
#21
○国務大臣(大平正芳君) 第一は、製造原価の公表でございます。
 御案内のように、それぞれのたばこ企業は固有の技術を持っておるわけでございまして、外国のたばこ企業も、競争上、みずからの持っておる技術とか、研究開発の内容でございますとか、どういう味のつけ方をやるとか、いろいろなことは秘密にいたしておるわけでございます。しかしながら、そういう意味で公表はいたしておりませんけれども、国会の御審議に当たりましては、いま総理大臣からもお話がございましたように、最大限御協力を申し上げねばならぬと考えております。
 それから第二の、第二次の中期計画は取りやめるつもりはないかという御指摘でございます。
 これは昭和二十九年の二月、経済状況が非常に不安定なときに、一応の素案として公社が作案いたしたものでございまして、まだ確定した計画にはなっていないものでございまして、やめるとかやめないとかいう対象にはなりがたいものでありますことを御理解いただきたいと思います。
 それから、耕作者の利益、あるいは従業職員の処遇についての配慮に遺憾のないようにしたまえという御忠言でございます。
 この点につきましては、御案内のように耕作審議会がございまして、葉たばこの収納価格につきましても、年々歳々厳密な検討を遂げて、耕作農民の御理解と協力のもとで収納価格が決められておる経緯につきましては、御案内のとおりでございます。ことしの、せんだっての収納価格におきましても、四四%以上の大幅な改定を実現いたしましたことも御案内のとおりでございまして、今後も、一層適実な収納価格の形成に努力をいたしたいと思います。
 職員の処遇につきましては、公共企業体といたしまして、適正な処遇の確保に努力をいたしておるつもりでございます。
 減価償却を定率法でなくて定額法にすべきでないかという御意見でございます。
 私どもは、そういう見解はとらないわけでございます。技術の進歩が激しいときでございまするので、また、最初のうち維持費、修繕費が少ないときに、定率法によって大幅の償却をしていくということが、健全な経理のやり方であると存じまして、ただいま定額法に変えるというつもりはありません。
 最後に、審議会を民主化すべきでないか、審議会等で民主的な意見を吸い上げることに遺憾のないようにすべきでないかというお話でございます。
 この点につきましては、専売事業におきましては専売事業審議会というのがございまして、学識経験者、たばこ耕作者あるいは公社の職員等を構成メンバーにいたしまする審議会がございますと同時に、いま言及いたしましたように、たばこ耕作審議会が別途設けられておりますので、ただいまのところ、一応これで間に合っておるのではないかという見解を持っておる次第でございます。
 酒につきましては、中小酒類の製造販売者に遺憾のない措置を講ずべきであるという御注意でございます。
 私どもといたしまして、致酔性の飲料でございまして、誇大な広告をいたしまして、むやみに消費をあおるというようなことは、賛成できないわけでございまして、誇大な宣伝というようなことは、行政指導をいたしまして、慎ませておるわけでございます。同時に、中小企業の健全な経営につきましては、一般中小企業と同様、できるだけ手厚い措置を講じて、期待にこたえたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○副議長(秋田大助君) 広沢直樹君。
#23
○広沢直樹君 私は、公明党を代表して、ただいま趣旨説明のありました製造たばこ定価法の一部を改正する法律案、酒税法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに大蔵大臣に質問いたします。
 わが国の政治経済は、国際経済社会の激変を背景として、政府の高度経済成長政策の行き詰まりと、その失政によるインフレ、不況の後始末を余儀なくされております。したがって政府は、国民生活の実態の上から、これまでの諸政策を全面的に見直すことが、きわめて緊要なときであると言わなければなりません。
 そこで、勤労者の生活を見ますと、四十九年春のベースアップにもかかわらず、九月には、早くも可処分所得が前年同月に比べてマイナスになりました。総理府の家計調査報告の五分位階層別に見ますと、中低所得者層は、実質所得収入、消費支出が減少の一途をたどり、昨年九月で、すでにエンゲル係数は四〇%を超えていることを見ましても、その生活が窮迫していることを明らかに物語るものであります。同時に、不況の深刻化は、一時帰休制、賃金カット、首切りの拡大となり、インフレ、不況の直撃を受けて甚大な被害をこうむっております。
 これに比べて、高所得者層は、所得収入、消費支出が順調に伸び、エンゲル係数も二〇%に定着するなど、インフレ、不況を克服するばかりか、逆に利得を得ていることを示しております。
 政府の統計資料で見てさえいま述べたとおりでありますから、国民生活の困窮の実態はさらに深刻化するとともに、社会的不公正は一層拡大しているものと考えられます。
 かかる状況は、社会的不公正の是正のため税制の持つ所得再配分機能を強化することが、緊急かつ重要な問題であることを物語っているのであります。
 この点につきましては、三木総理並びに大蔵大臣も、施政方針、財政演説等におきまして、社会的に弱い立場にある人々に比べ、相対的に有利な立場にある人々に対しては、税その他公共負担の増加に耐えてもらうなど、社会的公正を確保すると公約されております。
 しかしながら、この公約と全くうらはらに、政府は大企業、有資産者を優遇する税制を根本的に改正しようとしないばかりか、所得の低い人ほど負担が重くなるたばこの値上げ、酒税の引き上げを行おうとしているのであります。これは逆進性の強い間接税の強化であり、大衆課税の強化以外の何物でもないと言わなければなりません。しかも、その額は、酒、たばこを合わせて約三千五百億円という大幅な値上げによる歳入の増収を見込んでおります。これらは、所得減税額二千四百八十億円を約一千億も上回るものであります。
 この政府の姿勢は、みずからの失政を根底の原因として招いた、いわゆるインフレ、不況の責任を回避するばかりでなく、最も社会的に弱い立場にある人々に犠牲を強いることによって、インフレ、不況の収束を図ろうとする以外の何物でもなく、平然として国民の生活の破綻を追い打ちするような政府の態度は、断じて許すことができないのであります。この点につき、総理並びに大蔵大臣の責任ある答弁を願うものであります。
 次に、物価対策の見地からお伺いいたします。
 現在、最大の政治課題である社会的不公正の是正のためには、まずその根本原因であるインフレ、物価の鎮静にあることは、論をまたないのであります。そのために、政府は不況と物価対策との二律背反するジレンマの中で、長期にわたって総需要抑制策を何よりも優先し、その堅持を図ってきたわけでありましょう。
 しかも、その総需要抑制策のもたらす影響は、不況が深刻化し、中小企業の倒産の続出など、経済危機が憂慮される状態まで手綱を引き締め、国民に耐乏生活を押しつけてきたのであります。ところが、その一方では、財政上の理由をつけて、酒、たばこなどの料金を引き上げることは、政策の一貫性を欠く身勝手なやり方であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 総理も大蔵大臣も、おそらくたばこは当初の平均五五%値上げ案を四八%に、酒税は平均三〇%引き上げ案を二二%、一五%に抑え、鎮静に努力をしたと言われるでありましょう。しかし、四八%あるいは二二%の値上げが、低い値上げであるとあなた方は言われるのか。もしあなた方が低い値上げであると言い切られるとするならば、余りにも国民生活を無視することはなはだしく、物価に対する無神経さをみずから示すものと言わなければなりません。(拍手)
 この値上げ案は、政府みずから抑制できるものであります。これら公共料金を抑えずして、民間に対して物価抑制に努力せよと言っても、これは単なるゼスチュアにすぎないと考えるのは当然ではないでしょうか。このような政府の態度と感覚は、再び政府主導型の物価高騰の導火線になることは明らかであると言わなければなりません。この点について、改めて総理並びに大蔵大臣の所見を伺うものであります。
 酒税の引き上げ理由について、政府は、四十三年以来引き上げが行われていないので、たばこと酒の税金はバランスさせておいた方がよい。また、量によって課税する従量税制度では、小売価格が上がっても税収の伸びに結びつかず、実質的には歳入の減収となり、意図せざる減税となる。このことは、物価対策の見地から国民の立場に立って考えるならば、従価税と異なり負担が軽くなるのですから、改定の理由として考えること自体が矛盾していると思います。
 さらに、社会保障などの歳出が年々増加しているので、その福祉財源を確保するために必要である、こういう説明をいたしております。しかし、この論理を民間企業に当てはめてみますならば、ただでさえ、製造原価や人件費の値上がりを理由にして価格の引き上げをもくろむメーカーに、便乗値上げを許す口実を与えることになることは明らかであります。
 また、酒税の国税収入に占める比率は、四十七年六・九%、四十八年五・九%、四十九年六・一%、補正後でも五・五であり、また、対間接税収入に占める比率も、四十七年二一・三%、四十八年が二一・二%、四十九年が二〇・三%と、いずれも過去三年間平均値にとどまっていることからも、社会的公正の確保、物価の鎮静が最大の政治課題となっているときに、大幅引き上げをしなければならない積極的な理由は何一つ見当たらないのであります。総理並びに大蔵大臣の明確な答弁を要請するものであります。
 次に、たばこ定価法の改正について、政府は四つの理由を挙げております。
 まず第一に、財政の危機として、定価改定しない場合には、五十年度専売納付金は前年度当初予算に比べ約三五%減少し、地方たばこ消費税の六〇%程度となり、国の財政専売を実施すべき公社の存立意義にかかわる重大な事態となるとする、たばこ事業益金率の六〇%確保を基準といたしております。この事業益金率の基準を、六〇%の確保に置かなければならぬ明確な根拠を示していただきたいのであります。
 公社の試算された資料によりますと、五十二年度には五三・三%となり、四十九年度の五四・三%を下回ることから、政府の言われる益金率の確立から言いますと、再びたばこの値上げが必要となってくるという論理になるではありませんか。あわせて答弁を願います。
 第二に、たばこの定価は昭和四十三年度以来据え置きとなっており、この間における原価の上昇の結果、たばこ消費に対する税負担が大幅に低下している、このことを理由といたしておりますが、それならば、原価公開及び五十一年度以降の資金不足や長期借り入れなど、公社の企業努力を明らかにするのが当然であると考えますが、これに対する答弁をお願いいたします。
 第三の理由として、日本のたばこの定価及び税負担率は、諸外国に比べて低いとする理由につきましては、ひとりたばこのみを取り上げて、総合的な税体系を無視するものであります。諸外国との比較を云々するならば、むしろ国民所得と生活の実態と税負担の関係から総合的にとらえて論ずべきであります。たとえば、先進諸国と比べて制度も質も劣っている社会保障なども含めた観点も必要であると考えます。いわば思いつきにすぎないとさえ言われるべきで、国民生活の破綻の危機に直面して、しかも、大幅値上げをする政府の発想は、とうてい国民に受け入れられるものではありません。(拍手)
 第四に、来年度の財政事情からも、たばこの定価改定による増収が不可欠である、これを理由にいたしております。この政府の言われる財政事情とは、全く一方的な理由であります。とうてい国民の合意を得られません。しかも、政府の財源調達は、大企業の法人税強化、大企業や有資産者に対する租税特別措置の改廃など、高度経済成長、大企業優遇の税体系を一新するならば、他に幾らでも方法はあるにかかわらず、抵抗の強いところからは取らないで、抵抗の弱いところから取るというものであり、政府の国民生活無視の政治姿勢を示す何物でもないのであります。
 以上、たばこ定価法の改正について、総理並びに大蔵大臣の答弁をお願いいたします。
 最後に、税制に対する政府の基本的な見解を伺います。
 政府は、間接税の見直しを機会あるごとに表明いたしております。わが国の間接税は、個別消費税が中心になっており、そのねらいは奢侈品や特殊な嗜好品を重点にしたものであり、もはや、酒、たばこは生活必需品や大衆品として、例外的措置をとる必要があると考えるものであります。
 従来から、わが国においては、税の基本を直接税中心に置いておりますが、問題は、その仕組みが生産拡大、高度経済成長のために体系化されていることにあります。
 こうした税体系の中で、大企業優先の経済成長を遂げ、その反面、産業、経済の二重構造を定着化し、また所得格差を拡大してきたのであります。したがって、政府が直ちに手をつけなければならないことは、不公正を拡大してきた直接税を是正することでなければなりません。それをなさずして、間接税の強化を行うことは、大衆重課となり、税の不公平が拡大されることは明らかであります。
 政府が言う税負担のひずみとは、一体何を意味するのか、また、負担の見直しとは、一体だれの負担が重くなり、だれの負担が軽くなるのか、この際、明確にしていただきたいのであります。
 また、政府の言う間接税の見直しに対し、国民は付加価値税の導入の意図のあることを憂えておりますが、もしそうだとするならば、現行税制における不公平がますます拡大されることになるわけであります。
 これらの点について、総理並びに大蔵大臣の責任ある明確な答弁をお願いするとともに、この二法案を速やかに撤回されることを主張して、私の質問を終わりにいたします。(拍手)
#24
○内閣総理大臣(三木武夫君) 広沢君の御質問にお答えをいたします。
 今度のたばこ、酒の値上げは、大衆課税の強化になるというお話でございました。
 これは、先ほど申し上げましたごとく、七年間据え置いたわけであります。その間に物価も上昇して、したがいまして、どうしてもこれをそのままに置いておきますことは、非常に税負担の低下に相なるわけでありますから、できるだけ上げ幅などに対しても、十分に大衆的な課税ということが緩和できるような考慮を加えまして、やむを得ずやったことでございまして、大衆の課税の強化をねらったものではないわけでございます。
 また、この政策が政府の物価安定と矛盾するのではないかということでございます。
 われわれとしても、公共料金というものは、それは一般からすれば、低ければ低いにこしたことはないというお考え方もありましょうが、しかし、受益者がある程度負担をするということになりませんと、ぐあいが悪いわけでございますから、できる限りこれは抑えるという、全体としての公共料金は抑制という政策をとったわけでございますが、たばこと酒については、この際、ひとつ公共料金の値上げをということになったわけでございまして、そのことが、すぐに物価安定に対して非常に大きな影響を持つという判断ではなかったわけでございます。今後も、インフレというもの、これを抑えなければ、いわゆる物価の上昇、インフレということが社会的不公正の最大なるものでありますから、今後ともインフレの抑制、物価の安定というものは、政府としてこの政策を強く推進してまいる所存でございます。
 また、今後、付加価値税等も頭に入れられて、間接税というものに日本の税の重点が向くのではないか、間接税というものは、非常に大衆の負担を強化することになるというお話でございました。
 確かに、五十年度においても、日本の間接税の負担は二六・五%というような、アメリカは別でありますが、ヨーロッパに比べると、全く、一番少ないわけでございます。したがって、間接税というものをもう少し考えたらどうかという声は、非常に強くあるのでございますが、しかし、間接税の便宜な点もあるけれども、また一般の、一律に大衆の負担ということも考えなければなりませんので、これは税体系全体の中で、間接税の問題は検討いたしたいと考えておる次第でございます。
#25
○国務大臣(大平正芳君) あらまし総理から御答弁をいただきましたが、酒とたばこの増税でございます。
 これはいま総理からお話がございましたように、四十三年以後据え置きになっておったわけでございます。四十三年当時、たとえば清酒一級を取り上げてみますと、小売価格に対する税金のシェアが三七・八%であったわけでございますが、今日それが二六・六%に低下いたしておるわけでございます。今回の改正によりまして、これを二九・四%までごしんぼういただこうということでございますので、決して無理なお願いをいたしておるものではないのございます。
 また、たばこにつきましても、先ほど佐藤議員にお話し申し上げましたように、個人の消費支出が四十三年以来約三倍になっておる中で、今度の値上げによりまして、たばこの占める割合を約二倍までお願いしようということでございます。これまた広沢議員よく御承知のことと思うわけでございまして、決して私ども過当なお願いをいたしていないことだけは御理解をいただきたいと思うのでございます。
 しかし、これによりまして、CPIへの影響は、たばこは〇・六%、酒は〇・一%程度の影響は当然物価にはね返ってくるわけでございますが、このことは、そういう調整措置をやらしていただくためのことでございますので、国民に御理解を賜りたいと願ってやまない次第でございます。
 それから、六〇%の根拠は何かということでございました。
 これは専売公社の益金率のことを言われておることと思うのでございますが、これは格別六〇%でなければならぬという客観的根拠はないのでございますけれども、佐藤議員にも御答弁申し上げましたように、先進諸国いずれも七〇%を超えておる状況でございまするし、過去のわが国の専売の財政に対する寄与率が、六〇%程度を終始維持さしていただいたわけでございますので、一応それを目安にいたしまして、それへの復元を考えさしていただいておるというように御理解を賜りたいと思うのであります。
 ことしの予算は、この措置によりまして公債の発行をセーブさしていただき、若干の新規政策を盛り込むことができたわけてございまして、なるほど特別措置を見直すとか、あるいは、税源全体につきまして十分の見直しができておるかという御質疑でございますが、私どもは私どもなりに、すべての税源につきまして十分の検討を加えたわけでございますが、そのあたりは十分御審議いただきたいと思いますが、そういう中にありまして、この四十三年以来据え置かれた酒とたばこの問題は、この際、最小限度の負担の調整をやらしていただきたいというのが今度の御提案の骨子でございまして、何とぞ、御理解をもって御支持賜りますようお願いをいたします。(拍手)
#26
○副議長(秋田大助君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#27
○副議長(秋田大助君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト