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1974/03/04 第75回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第075回国会 本会議 第10号
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1974/03/04 第75回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第075回国会 本会議 第10号

#1
第075回国会 本会議 第10号
昭和五十年三月四日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第九号
  昭和五十年三月四日
    午後二時開議
 第一 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を
    改正する法律案(内閣提出)
 第二 日本国と中華人民共和国との間の海運協
    定の締結について承認を求めるの件
 第三 入場税法の一部を改正する法律案(内閣
    提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 商工委員長の選挙
 議員請暇の件
 昭和五十年度一般会計予算
 昭和五十年度特別会計予算
 昭和五十年度政府関係機関予算
 日程第一 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一
  部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 日本国と中華人民共和国との間の海
  運協定の締結について承認を求めるの件
 日程第三 入場税法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    午後五時十四分開議
#2
○議長(前尾繁三郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 商工委員長の選挙
#3
○議長(前尾繁三郎君) 商工委員長が欠けておりますので、この際、商工委員長の選挙を行います。
#4
○羽田孜君 商工委員長の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
#5
○議長(前尾繁三郎君) 羽田孜君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 議長は、商工委員長に山村新治郎君を指名いたします。
    〔拍手〕
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#7
○議長(前尾繁三郎君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 瀬長亀次郎君から、海外旅行のため、三月十五日から二十八日まで十四日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
#9
○羽田孜君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、昭和五十年度一般会計予算、昭和五十年度特別会計予算、昭和五十年度政府関係機関予算、右三件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#10
○議長(前尾繁三郎君) 羽田孜君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 昭和五十年度一般会計予算
 昭和五十年度特別会計予算
 昭和五十年度政府関係機関予算
#12
○議長(前尾繁三郎君) 昭和五十年度一般会計予算、昭和五十年度特別会計予算、昭和五十年度政府関係機関予算、右三件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。予算委員長荒松清十郎君。
    ―――――――――――――
 昭和五十年度一般会計予算及び同報告書
 昭和五十年度特別会計予算及び同報告書
 昭和五十年度政府関係機関予算及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔荒舩清十郎君登壇〕
#13
○荒舩清十郎君 ただいま議題となりました昭和五十年度一般会計予算外二案につきまして、予算委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。
 この予算三案は、去る一月二十四日に予算委員会に付託され、同月二十九日、政府から提案理由の説明があり、翌三十日より質疑に入り、その後、公聴会、分科会を合わせて二十九日間審議を行い、本日、討論採決をいたしたものであります。
 なお、総予算に関連し、総括質疑終了後三日間を当て、参考人四十五名の出席を求め、金融機関のあり方、排気ガス規制等公害問題、中小企業対策、社会保障等の諸問題について、主として、社会的不公正の是正という観点に立って、集中審議が行われたことを申し添えておきます。
 まず、予算の規模等について、簡単に申し上げます。
 一般会計予算額は、歳入、歳出とも二十一兆二千八百八十八億円でありまして、前年度当初予算額に比べ二四・五%の増加であり、歳入のうち公債金収入は二兆円で、歳入総額の九・四%となっております。特別会計は、木船再保険特別会計の廃止に伴い、その数四十一と相なっており、政府関係機関の数は、前年度と同様、十五となっております。
 次に、質疑は、総予算に関連して国政各般にわたって行われましたが、ここでは、二、三の点について申し上げます。
 第一は、税制であります。
 質疑は、租税特別措置、資産再評価税等多岐にわたって行われましたが、特に減税について、巨額な自然増収に対する減税の割合は五・七%で、例年より著しく低く、大衆課税の強化となっているのではないか、また、利子、配当所得の特別措置の五カ年間の延長は、高額所得者に対する優遇であって、社会的公正を欠いているのではないかとの趣旨の質疑が行われ、政府より、明年度は二千五十億円の減税のほかに、四十九年度の大幅減税の平年度化分として約四千五百億円の減税効果が見込まれておるし、他方、歳入の確保についても意を用いねばならなかったことについて理解してほしい。所得税減税については、従来から低所得層に厚くしているので、大衆課税の強化とはなっていない。利子、配当所得について総合課税にすることは望ましいが、現在の行政能力では所得を十分に捕捉し得ないので、なお五カ年間の猶余期間をもって、課税の公平を期するため諸般の検討をしたいとの趣旨の答弁がありました。
 第二は、銀行行政についてであります。
 本問題につきましては、特に都市銀行のもうけ過ぎ、貸し出し方針等、経営上のマナーと銀行行政のあり方等についてただされましたが、特に、歩積み両建て等の拘束性預金を強要している現状には許しがたいものがあるが、政府の見解はどうか、この際、銀行の社会的責任を明確にするため、銀行法の改正を行う考えはないかとの趣旨の質疑が行われ、政府より、拘束性預金について、行き過ぎた例のあることは遺憾である、この際、改めて銀行局長通達を出し、自粛の徹底に努めるとともに、不当な事例については、従来にも増して厳しい責任の追及を行う、また、銀行法の改正については、慎重に検討していきたいと考えているとの趣旨の答弁がありました。
 なお、預金の目減り対策について、特に金融界の代表を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしましたが、いずれも、預金者に対し、金融機関の負担力の範囲内で何らかの措置を講じたいとの意見が述べられ、政府からも、本問題について、現在検討を進めており、遠からず実行に移すべく努力中であるとの答弁がありました。
 次に、中東和平に関し、過般行われた内閣総理大臣の施政方針演説において、問題解決の基本方針として、総理大臣は、国連安全保障理事会決議二百四十二号の実行を求めているほか、特に、パレスチナ人の正当な権利は、国連憲章に基づき承認さるべきもの云々と、パレスチナ人の民族自決権を明確にうたっているのに、外務大臣の外交演説では、単に、安保理事会決議二百四十二号に触れているのみで、民族自決権については、全然触れていない。このことは、総理大臣と外務大臣との間の政策上の食い違いであると認められるので、外務大臣は、衆参両院の本会議において、外交演説の訂正を行うべきではないかとの質疑が行われました。
 これに対し、内閣総理大臣より、わが国は、一九七一年及び七二年にパレスチナ人の民族自決権に関する国連の決議に賛成しており、自来、政府は一貫してこの方針を堅持しているので、外交演説も、当然この方針を前提として行われているものである。施政方針演説の起草に当たっては、外務大臣も十分意見を述べており、政策上、何らの食い違いはないから訂正する必要はない。また、総理大臣の施政方針演説は、政府の方針を代表するものであるとの趣旨の答弁が行われ、外務大臣より一施政方針演説と外交演説とは、十分に調整を図りつつ書かれたものである、外交演説でも、施政方針演説と同様のことを述べることも、一つの考えであると思われたが、この種の問題は、総理大臣の演説として述べられるならば、世界に与える印象及びその効果がはっきりあらわれると考え、あえて重複を避けたのであるとの趣旨の答弁が行われましたが、質疑者より、右の答弁では了承し得ないと、重ねて、外交演説の訂正方につき強い要求がありましたので、この際、御報告申し上げます。
 今後とも、パレスチナ民族自決権につき、総理大臣と外務大臣との間に、意見の相違があるがごとき誤解を内外に与えないように十分注意されるよう、理事会の申し合わせがございましたことを、特に申し添えます。
 総予算に関連しては、以上のほか、核持ち込み問題石油タンクの事故、自動車排気ガス規制の諸問題社会保障、不況対策、物価と賃金との関係、独占禁止法の改正問題、食糧の自給と農業政策、地方行政及び財政、労働問題、文教行政、海外経済協力のあり方、同和対策、予算の国会提出時期、外為会計の債務保証、政治資金規正法の改正問題等、国政各般にわたって、きわめて熱心に質疑が行われましたが、詳細は会議録により御承知を願いたいと存じます。
 かくして、本日、質疑終了後、日本社会党及び公明党両党共同提案による、また、日本共産党・革新共同から、さらに民社党から、予算三案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議が、それぞれ提出され、趣旨説明が行われた後、予算三案及びそれぞれの動議を一括して討論に付しましたところ、自由民主党は、政府原案に賛成、それぞれの動議に反対、日本社会党及び公明党は、両党共同提案の動議に賛成、政府原案及び他党の動議に反対、日本共産党・革新共同は、同党提案の動議に賛成、政府原案及び他党の動議に反対、民社党は、同党提案の動議に賛成、政府原案及び他党の動議に反対の討論を行い、採決の結果、各動議は否決され、予算三案は、多数をもって、政府原案のとおり可決すべきものと決した次第でございます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(前尾繁三郎君) 昭和五十年度一般会計予算外二件に対しては、堀昌雄君外十五名から、三件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。
 この際、その趣旨弁明を許します。堀昌雄君。
    ―――――――――――――
 昭和五十年度一般会計予算、昭和五十年度特別会計予算及び昭和五十年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔堀昌雄君登壇〕
#15
○堀昌雄君 私は、提案者を代表いたしまして、ただいま議題となりました日本社会党と公明党が共同提案いたしております昭和五十年度一般会計予算、昭和五十年度特別会計予算及び昭和五十年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求める動議につき、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。(拍手)
 すでに動議の案文につきましては、お手元に配付してありますので、御参照いただきたいと思います。
 まず、動議の主文を朗読いたします。
  昭和五十年度一般会計予算、昭和五十年度特別会計予算及び昭和五十年度政府関係機関予算については、政府はこれを撤回し、少なくとも次の諸点を含めて速やかに組替えをなし、再提出することを要求する。
  右の動議を提出する。
 まず最初に、昭和五十年度予算の編成替えを求める理由を申し上げます。
 三木内閣は、口では対話と社会的不公正の是正を唱えながら、施策の実態は、まさに有言不実行の、全くのまやかしであり、このことは、三木内閣初の本格的予算とも言うべき五十年度予算の実態が、如実に証明しているところであります。
 すなわち、昭和五十年度予算は、次のような基本的な欠陥を持っております。
 その第一は、物価の安定、社会的公正の確保を公約しながら、公共料金の値上げ、独占禁止法の改正、あるいは公害規制に対する態度など、大企業と資産所得者の利益を守り、物価、賃金の悪循環論を振りかざして、インフレと不況の犠牲を国民に転嫁しようとしていることであります。このような姿勢では、社会的公正に反するばかりか、インフレと不況を一層拡大することは必至であります。
 第二は、三木内閣の看板である福祉の充実も、老齢福祉年金等のわずかの底上げをしたにすぎず、これでは、放置されてきた福祉充実にはほど遠く、また、国民年金、厚生年金の賦課方式の実施や、年金額の引き上げも見送られてしまっているのであります。
 さらに、教育費の父母負担が増大する中で、入学金、授業料の大幅値上げを黙視し、国公、私立間の格差是正のための処置はとられず、義務教育無償の措置も進まず、高校全入制への具体策もとられていないのであります。
 その三は、税制改正でも、インフレ下での物価調整減税すらできず、かえって、酒税、たばこの値上げ等、間接税の増税を行い、大企業、高額所得者や資産所得者に対する不公平税制を温存し、高度経済成長政策のもとに体系化された税制を、いささかも転換しようとしていない点を指摘せざるを得ないのであります。
 第四の理由は、今日の地方財政が、増高する行財政需要とインフレ、物価高のもとで、従来の貧弱な財政構造のままで膨大な超過負担を抱え、まさしく危機に瀕しております。にもかかわらず、何ら抜本的な措置を講じていないばかりか、逆に、事務所事業所税の創設に伴い、事業税の自主財源を制限しようとさえしているのであります。
 五番目は、不況の中で、中小企業倒産対策、雇用、失業対策はきわめて貧弱であり、中小企業、労働者の不安は増大しております。一方、緊迫した農林漁業の危機打開を求める国民の声にこたえていないことは、全く遺憾なことであります。
 その六でありますが、住宅、土地対策についても、建設戸数を実質的に削減し、住宅困窮者の期待を全く裏切っているのであります。三木総理の公約であります環境保全対策も、五十年規制の延長を初め、大幅に施策が後退をいたしております。
 編成替えを求める理由の最後でありますが、国民生活優先の予算編成が強く求められているこのとき、依然として第四次防計画に固執し、防衛関係費を前年度よりも大幅に増額させているのは、国民の声を全く無視したものと言わざるを得ません。(拍手)
 新規の装備費、研究費を初め、新規定員増に伴う人件費の全額削減、訓練、演習費等の大幅削減、継続費、国庫債務負担行為の凍結は、当然であると言わざるを得ません。
 以上のような、国民生活軽視の予算を容認することはできないのであります。
 日本社会党及び公明党は、これまでそれぞれの立場を明らかにし、予算委員会の中で、政府に施策の具体化を求めてきたところでありますが、国民生活の緊急課題について、ここに共同して、政府が昭和五十年度予算を撤回し、次に述べる基本方針及び重点組み替え要綱に基づき、編成替えを行うことを強く要求するものであります。(拍手)
 次に、予算編成替えの基本方針について、御説明申し上げます。
 今日の経済情勢は、インフレ、物価高騰と不況の併存というきわめて深刻な事態に直面し、社会的不公正はますます拡大されております。
 当面する局面を打開するには、まず、これまでの政府・自民党がとり続けてきた大企業優先の高度経済成長政策の誤りを率直に反省し、国民生活優先の経済路線へ転換することが必要であり、同時に、この方向に沿って、インフレ、物価高の収束、不況の克服はもとよりのこと、現実にインフレ、物価高騰、不況の最も被害をこうむっている社会的に弱い立場に置かれている人たちの被害救済に、全力を挙げなければなりません。
 したがって、昭和五十年度予算は、以上の立場を堅持し、次の五つの基本目標を貫く財政の重点的配分を行い、財政構造の根本的転換を図ることによって、インフレと不況の克服、不公平、不公正の是正、生活優先の方向に編成替えすることが必要であります。
 一つ、インフレ物価高の抑制。
 二つ、総需要抑制の質的転換と中小企業不況の打開、雇用の安定。
 三つ、地方財政の危機打開と超過負担の解消。
 四つ、公平な税制の実現と国民福祉の飛躍的拡大。
 五つ、農漁業の基盤整備と公害防除、環境保全。
 以上、五つの基本目標を土台として、次に、国民生活優先への重点組み替え要綱について、歳入歳出のそれぞれの立場から、具体的に提案をいたします。
 まず、歳入の関係については、その柱として、勤労所得税の減税と、税負担の公平化を図ることにあります。
 インフレ、物価高のもとで、勤労者の税負担の軽減を図るため、生活費には課税しないとの原則に立ち、低所得層中心の所得税減税を実施する。
 このため、所得税は、四人家族年収二百八十万円まで無税とするよう、世帯構成に応じた税額控除を行うこと。
 所得税の課税所得一千万円以上の部分については、累進税率を高めること。
 資産所得課税を強化するため、利子所得、配当所得課税の特別措置を廃止し、株式譲渡所得課税を復活させ、有価証券取引税を強化し、さらに、個人の土地譲渡所得課税の特別措置は廃止し、また、富裕税を新設すること。
 大企業の法人税率を四二%に引き上げ、他方、中小企業の軽減税率適用区分を拡大する。さらに、配当軽課税率の引き上げ、法人受取配当の益金不算入をやめること。
 大企業優遇の価格変動準備金、異常危険準備金、及び内部留保の充実のための特権的減免税措置を廃止するとともに、交際費課税、政治献金課税を強化し、広告費に対する課税を創設し、一定割合を損金不算入とすること。
 法人所有の土地に対し、土地再評価益課税を行い、土地譲渡所得に対しては、分離高率課税を行うこと。
 酒税の税率の引き上げ、たばこ定価の値上げは行わないこと。
 入場税は、一万円以上の高額料金等を除いて、廃止すること。
 以上の諸点を取り入れて大衆減税を行い、税の公平化を図ることを提案するとともに、あわせて、この際、国債の発行を圧縮し、減額することを強く求めるものであります。(拍手)
 次は、歳出に関係する組み替え要求であります。
 その第一は、インフレ、物価対策の強化、公共料金、独占価格の規制についてであります。
 酒、たばこ、郵便料金などの公共料金の値上げはストップすること。また、消費者米価の物統令適用を復活すること。
 大企業の管理価格に対する規制と監視機構の強化を図り、主要商品の原価及び在庫の調査、公表を行うための専任の物価調査官を増員し、公正取引委員会の機構を強化すること。
 国民生活安定法、投機防止法の運用を強化すること。
 生鮮食料品の生産増強、卸売市場の整備、総合小売センターの設置等、流通機構の改革費用を増額すること。
 消費者保護行政を推進し、消費者団体への助成措置を講ずること。
 次は、社会保障、社会福祉、労働対策の強化についてであります。
 福祉年金を改善し、老齢福祉年金月三万円を目指し、当面二万円とし、特別給付金、障害福祉年金、母子、準母子福祉年金の大幅引き上げを図る。また、年金制度の抜本的改革を行い、賃金自動スライド制の年度当初よりの実施、賦課方式、国民年金夫婦六万円の最低保障制、被用者年金の一元化等を計画的に行うこと。
 生活保護基準引き上げ率を五〇%とし、施設入居者の生活経費も同様に引き上げること。
 老人福祉対策の拡充を進め、寝たきり老人対策を推進し、ホームヘルパーの増員、身分、待遇面善等を図ること。
 児童手当は月六千円とし、四月実施とすること。
 社会福祉施設緊急整備五カ年計画を、予定どおり五十年度に達成するとともに、施設職員及び病休代替職員の増員を図ること。また、自治体の超過負担や上乗せ措置を必要としないよう、措置費の抜本改善を図ること。
 障害児保育、教育の拡充、いわゆる介護手当の倍増と対象拡大、福祉電話の大量建設と通話料軽減、障害者団体の機関誌紙の郵送料無料化、福祉工場拡充や盲人福祉工場の新設、各種障害者の職域開拓、障害者が利用しやすい公共建築物(道路、鉄道などを含む)への改造等々、きめ細かな障害児者対策を確立すること。
 公設公営の休日夜間診療所網(歯科を含む)の整備、休日夜間診療所や僻地診療所に医師を派遣できる国公立基幹病院の整備、自治体病院に対する補助の拡大、救急医療対策の強化など、医療供給体制を国の責任で確立すること。
 いわゆる難病患者にも障害者福祉策が行き届くようにするとともに、身体障害者福祉法を初め、各法に分立する障害等級区分の抜本的改定を行うこと。
 国公立病院の差額ベッドの一掃、歯科における保険適用範囲の拡大、腎臓病患者の血液人工透析体制の確立、がん治療用原子炉の新設など、患者の負担軽減を図ること。
 医療保険の給付率を引き上げ(健保家族及び国保を八割に)、国民健康保険の国庫負担率を五〇%プラス調整交付金一〇%に、政管健保の国庫負担率を二〇%にするのを初め、老人医療その他の現行公費負担制度を、全額公費負担に転換すること。
 大腿四頭筋短縮症を初め、多発傾向にある薬害、医療被害の早期発見、原因究明、被害者救済の制度を整備し、予算措置を講ずること。
 結核、精神病、ハンセン氏病など長期慢性疾患対象の病院、療養所は、入所者にとって単なる治療の場であるだけでなく、一定期間の生活の場にならざるを得ない。このため、これらの病院、療養所の生活面を充実させ、リハビリテーションを含む予算を拡充すること。
 医師、看護婦など医療従事者の養成、医療機関及び福祉施設職員の週休二日制早期実施のための準備費を計上し、計画を策定すること。
 原爆被爆者及び民間戦災犠牲者に対する援護措置を確立すること。
 社会保障、社会福祉の計画的向上を実現するため、社会保障長期計画を立て財政対策を確立すること。
 労働災害対策を強化し、被災労働者に対する援護措置を充実すること。
 全国一律最低賃金制度の実施と労働基本権の確保のための施策、時間短縮、週休二日制、心身障害者高年齢者雇用等を図り、雇用安定対策を推進すること。
 中小零細企業の雇用対策を強化し、雇用保険の失業者に対する給与の延長措置の実施等雇用保障体制を確立すること。
 次は、住宅、生活環境の整備についてであります。
 従来の産業基盤整備優先の政策を改め、高速道、港湾等の予算の生活関連投資への切りかえなど、生活基盤整備重点の公共投資に転換すること。災害復旧事業については、実施時期を繰り上げ、早急に施行すること。
 公営住宅建設戸数の拡大を初め、公共賃貸住宅の大量建設、居住水準の向上を図るとともに、住宅金融公庫資金を増額して、住宅建設を促進する。日本住宅公団の家賃を引き下げる。住宅基本法の早期制定、公共住宅五カ年七百五十万戸の建設計画を確立すること。
 国土利用計画法施行費補助の増額、遊休地指定、公有地拡大のため、買い取り請求にこたえ得る財源を確保すること。
 下水道、公園、生活道路、中小河川整備等を重点的に行うこと。
 過疎バス対策の強化、国鉄在来線の整備強化を図り、住民の足を確保すること。また、通勤通学対策を強化し、交通地獄を解消するとともに、都市近郊の足なし団地の解決を図ること。
 次は、公害防止、自然環境保全対策の強化についてであります。
 瀬戸内海環境保全対策、環境影響事前評価の充実強化、総量規制の実施の拡大、公害監視測定器の整備等の促進、公害防止事業団助成費の拡充。工場排水クローズドシステム開発促進及び実施指導の促進、休廃止鉱山鉱害防止工事費補助金の拡充等を図ること。さらに、環境放射能増加防止対策、石油コンビナートの災害防止立法を含む対策を強化すること。食品公害対策の強化を図り、合成洗剤はやめさせる行政指導の措置をとること。
 公害被害者を全面的に救済するため、制度の拡充を行い、公害病の究明と治療開発のための研究開発制度を確立すること。
 国立、国定公園などの天然資源、自然美の荒廃状況を点検し、自然保護対策のための抜本的施策を講ずること。
 次は、教育、文化対策の充実についてであります。
 義務教育費の父母負担を引き下げ、給食費への国庫補助をふやすこと。
 義務教育施設への国庫負担の増額を行い、人口急増地域の小中学校用地取得費、校舎建設費等の拡充、高校の施設、用地費のための国庫補助を増額すること。
 私大奨学金を初め、奨学資金を増額すること。私立学校に対する経常費補助を増額すること。
 文化財の保存、史跡買い上げの予算を増額すること。
 次は、農林漁業、中小零細企業対策の充実についてであります。
 国民の食糧確保の見地から、十カ年計画で、自給率八〇%以上を目標にして、農用地の拡大、休耕田の復元、水田裏作、輪作等のための強力な予算措置をとること。また、共同化促進のため、長期低利融資をふやすこと。
 農産物の価格安定を図り、消費者に安定した価格で供給できるよう予算措置をとること。
 畜産危機打開のため、緊急粗飼料増産対策事業等の充実、飼料対策費の充実、流通飼料の価格安定策費を強化すること。
 林業生産基盤の整備を図り、造林事業費の中における労働者の賃金を引き上げ、国土緑化を推進すること。
 養殖漁業の推進、大型魚礁設置など、沿岸漁業整備費を強化すること。
 中小零細企業の緊急融資強化の措置を図るため、政府系三機関の融資枠を拡大すること。無担保、無保証融資制度を改善し、融資限度額を三百万円に引き上げ、小規模事業者生産安定資金を創設するとともに、信用補完制度を充実すること。下請振興協会の強化等、下請企業対策を強化すること。また、中小企業省の設置、中小企業の事業分野の確保、官公需についての中小企業の枠の拡大を図ること。さらに、繊維業の過剰在庫は、海外援助向け等、政府買い上げを図るとともに、伝統的工芸品対策費を増額すること。
 次は、資源・エネルギー対策の確立についてであります。
 総合エネルギーにおける国内炭の位置を明確にし、生産力拡大のための予算措置を図ること。また、国内資源確保の立場から鉱産物備蓄制度を実現すること。さらに、石油エネルギーについては、輸入、開発、精製の一元化を推進する措置を図ること。なお、資源収奪的海外援助は廃止すること。
 次は、地方財政危機打開と超過負担の解消についてであります。
 地方財政危機を打開し、住民福祉優先の地方財政を確立するため、自主財源を付与するとともに、地方税の課税最低限の引き上げに伴い、交付税率を大幅に引き上げて、第二交付税交付金制度を創設すること。なお、予算計上額の交付税交付金四千億円を保障すること。
 超過負担の解消を図ること。このため、約一兆円の既往の地方の超過負担について、三年間で補てんするための年度計画を立てること。また、公営住宅、義務教育施設、保育所等、福祉施設について、超過負担の生じないよう単価是正を行うとともに、対象差、数量差についても抜本的改革を行うこと。さらに、機関委任事務等についての人件費と事務費についても、国は全額措置すること。
 地方公営企業に対する助成を強化し、公営交通、水道財政対策、公営病院への財政措置を強化すること。企業債の償還期間の延長、利子の引き下げを図ること。
 次は、防衛関係費の削減についてであります。
 第四次防衛力整備計画は直ちに中止することとし、新規装備費を一切取りやめ、提供施設移設整備費を削減し、自衛官の定員増、欠員補充は認めない等によって防衛費は削減する。なお、継続費、国庫債務負担行為は凍結すること。
 次は、産業投資特別会計等への繰り入れの削減についてであります。
 一般会計からの産業投資特別会計及び港湾整備特別会計への繰り入れを削除すること。
 次は、その他経費の削減及び予算の効率的使用についてであります。
 国債減額に伴う利子支払い及び事務費を削減する。出資金のうち、日本原子力船開発事業団への出資金の削減及び輸出入銀行等への貸付金を取りやめる。予備費を削減する。施設費、補助金、委託費、物件費、旅費等のうち一%程度を削減し、予算の効率的使用を図ること。
 次は、財政投融資計画の国民本位の運用についてであります。
 財政投融資計画の大企業中心の運用を改め、開銀、輸銀等の大企業への長期低利融資や産業基盤投資を削減し、国民生活基盤投資を充実させること。特に、原子力発電はまだ商業炉建設の段階でないので、開銀融資等は削除すること。なお、財投計画は、全体として国会議決とすること。
 以上により、歳入歳出の規模は、政府原案と同額とすること。
 以上、日本社会党と公明党が共同して提案いたしました昭和五十年度政府予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議の理由及びその概要を申し上げました。
 これらは、国民の期待する、国民の立場に立つ要求であり、政府は、潔く今回の予算を撤回し、速やかに組み替えを行い、再提出されるよう強く要求いたしまして、趣旨弁明を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(前尾繁三郎君) これより、予算三件に対する討論と、動議に対する討論とを一括して行います。順次、これを許します。谷川和穗君。
    〔谷川和穗君登壇〕
#17
○谷川和穗君 私は、自由民主党を代表して、昭和五十年度予算三案に関し、政府原案に賛成し、日本社会党及び公明党共同提出の編成替え動議に反対の討論を行うものであります。(拍手)
 戦後、急激な復興と発展を遂げてまいりましたわが国経済社会は、ここに至り、重大な試練に直面いたしております。すなわち、国際環境の急変、資源・エネルギーの制約、予断を許さない物価動向、それに生活環境の破壊などであります。顧みて、この数年間は経済の異常な混乱の年でありました。
 来るべき昭和五十年度経済は、この混乱を収束し、中期的な見通しのもと、静かで控え目な成長に移行する重大な年であります。
 一方、原油価格は一挙に四倍となり、世界経済が適応の余裕を持ち得ず、混乱を続けました中で、石油エネルギーに対して特に依存度の高いわが国経済が、コストインフレと国際収支の悪化に悩まされてきたのは当然でありますが、この経験を経て、わが国経済の体質を、量的拡大の時代から質的充実の時代へと、静かに移していくことの必要性が認識され始めております。
 その意味において、昭和五十年度は、均衡のとれた発展の上に、国民総福祉の社会を実現することを目指す新しい出発の年としなければならないというのが、われわれの反省であり、われわれの認識であり、かつ、われわれの決意であります。
 言うまでもなく、一国の予算は、当該年度における一切の諸問題に対する政府の総括的、集中的解答であります。政府が、激変する社会情勢の中、いかなる問題意識を持ち、いかなる政治姿勢と政治的決意とをもって、国民経済の発展を図り、国民の幸せを確保するか、予算の編成に当たってはこれが問われなければなりません。
 私は、昭和五十年度を転機とする新しい経済社会の実現の中、いま求められている最も重要な課題を、第一に物価、第二に国民福祉、そして第三に資源・エネルギー及び国民食糧の問題であると考えます。
 以下、私は、五十年度予算案を通じ、政府がこれらの重要課題を解決するため、いかなる対策を用意したかを明らかにしながら、私の見解を表明いたしたいと存ずるのであります。
 まず第一に、物価の問題であります。
 ようやくにして物価も鎮静化の方向へ進みつつあることは、大方の認めるところでありましょう。本年一月において、卸売物価前月比〇・四%減、東京都区部消費者物価がほとんど横ばい、この三月の消費者物価の前年同月比上昇率が、政府の見通し一五%を下回って、二二%台に落ちつくことは確実であります。政府が物価の安定を当面の最重要な政策目標として掲げ、抑制的な財政、控え目な金融政策の運営に当たって、眼目をこの一点にしぼって経済政策を推し進めていることに、私は賛意を表するものであります。(拍手)
 すなわち、すでに生じた物価、賃金の大幅な上昇から、当然増経費が前年度予算総額の二〇%を超すという、かってない予算硬直化傾向の中、予算規模の圧縮には種々な困難が存在したにもかかわらず、一般会計において、既定経費の削減と合理化と、さらに財源の重点的な配分によって、前年度当初予算の二四・五%増、財政投融資計画においては、抑制的基調を堅持して、前年度当初計画に対し、わずかに一七・五%という予算編成を断行いたしました。一部に、予算規模が二四%を超して伸びたことを取り上げ、インフレ増強予算と言う者がありますが、義務的経費あるいは人件費、社会保障費など、当然増が二〇%を超すという、その大半であることを考えれば、これは当たらない批判であります。
 さらに、公債発行額を見れば、インフレ進行という国際環境の中、逆に前年度より千六百億円の減額を立て、公債依存度を、思い切って一〇%以下に抑え込むというかたい決意で臨んでおります。これは、政府みずからが財貨サービス購入の伸びを抑え、物価抑制には避けて通ることのできない、あえて試練の道を選んだものとして評価をいたします。(拍手)
 もとより、総需要抑制の長期化に伴い、生活活動が低下、雇用情勢にも変化が生じ、企業の中には、新規採用者の採用取り消しというような、およそ好ましからざる事態も生じ始めております。しかし、企業別に見れば、なおコストプッシュ圧力はまだかなり根強く、いまここで景気転換策に転ずれば、潜在的な値上げ要求が企業内合理化努力を越えて、再び物価を押し上げるかもしれず、いまここが、国民のしんぼう強い努力が強く求められるところかと存じます。
 労使関係についてこれを言えば、賃上げの三つの条件は、企業業績と、労働需要と、そして物価の三点かと存じます。いまここで二〇%を超える大幅賃上げが行われるならば、日本経済に重大なる影響を与えることは必至であります。
 よって、私は、政府が五十年度予算の執行に当たっては、片や、細心の注意をもって、機動的、弾力的に財政並びに金融を運用することを望みつつ、片や、労使双方に強く働きかけて、賃金の決定についても、国民経済的視野から、節度ある態度を貫かしむるよう期待いたしつつ、五十年度予算案を貫く政府の物価対策を強く支持するものであります。(拍手)
 次に、社会的公正の確保のための国民総福祉についてであります。
 インフレの進行は、所得や資産の再配分に大きな不公正を生み、国民経済を破壊し、ひいては、社会秩序をも混乱に陥れているがゆえに、インフレこそ、働く者にとっても経営の側からも、まさに恐るべき共通の敵であります。何にも増して、インフレ克服が第一義的な政策であることは論をまちません。
 しかし、同時に、最近における物価の動向に顧み、社会的公正が、インフレによって、はなはだしく損なわれつつある事実も見逃すことはできないのであります。その影響を最も受けやすい老人、身体障害者など、社会的、経済的に恵まれない人々に対して、極力福祉政策の充実を図り、他方、相対的に優位な立場にある人々には、税その他公共的負担に耐えてもらい、国民連帯でこのインフレを乗り越えることこそ、新しい政治の課題かと存じます。
 これを五十年度予算で見るならば、老齢福祉年金の月額七千五百円から一万二千円への引き上げ、年金への物価スライド制の導入、障害福祉年金、母子、準母子福祉年金の大幅引き上げ、生活扶助基準の二三・五%アップ、重度障害福祉手当、あるいは原爆被爆者保健手当などの創設などを初め、全体として抑制的な予算の中で一八・四%、伸び率にして、実に三五・八%、総額にして三兆九千億円というかってない福祉予算となっていることは、すでに国民すべての知るところであります。昭和三十年度社会保障費の総額が千十二億円であったことを思うとき、まさに隔世の感がいたすのであります。(拍手)
 これを、千八十億円を超しました私学助成を含め、三四・五%も伸びた文教及び科学振興費、さらに勤労者財産形成、一般会計、財政投融資計画、合計三〇・三%増の思い切って質の改善を図った住宅対策費、総財政投融資計画の六五%に近い下水、水道、公園、環境などの生活関連施設費の伸びなどとあわせて考えるとき、五十年度予算は、基本的に弱者救済、社会的公正確保、国民総福祉の基本路線が貫かれている予算であると考えるのであります。(拍手)
 さらに、妻や農地の相続税については、思い切った軽減措置を用意しつつ、所得税において、標準家族の課税最低限を、アメリカ、西ドイツを抜いて世界最高の百八十三万円に引き上げ、他方において、租税特別措置の改正では、利子、配当課税の強化、土地譲渡所得等に対する課税の特例等の是正を初め、幾つもの改正を行って、強者に対する公共負担の増大を迫っております。
 以上が、私が政府原案を積極的に支持する第三の理由であります。(拍手)
 次に、資源・エネルギー及び国民食糧の確保に対する施策の推進についてであります。
 食糧の供給力から見ると、すでに宇宙船地球号は定員オーバー、食糧と人口の問題は、年を追って人類生存にかかわる重大な問題としてあらわれ始めております。このような世界的環境の中、わが国の食糧体制を考えるとき、われわれはいまさらのように事の重大性に慄然たる思いを禁じ得ません。
 このような不安定の体制から脱却して、国民の生存を支えるため、五十年度からさらに自給度を高め、米について、新たに三十五万トンの在庫積み増しを行い、稲作転換目標を百万トンにとどめることとし、かつ、麦、大豆、飼料作物等の生産振興費に百八十七億円を上乗せするほか、農林漁業金融公庫資金を五百十億、農業及び林業近代化資金を一千六百五十億円増額いたしております。
 さらに、重要なエネルギー対策としては、石油九十日備蓄計画、原子力平和利用、原子力安全局の新設、新エネルギーの技術開発に踏み出し、さらに、国民の生活環境を守ることに関しては、先進工業国においては最も厳しい断固たる決意と対策を用意して、国民の生存の脅威である公害の防止に懸命の努力を傾けております。
 これをもって、私は、政府予算に賛成するいま一つの理由といたすのであります。
 次に、日本社会党及び公明党共同提出の編成替え動議について申し上げます。
 五十年度予算案は、三木内閣の対話と協調の政治姿勢により、予算編成前に、数次に及ぶ党首会談や、あるいは大蔵大臣と野党代表との会談を通じ、野党側の意見も十分に聞いた上、取るべきものは取り入れて編成したものであります。このような例は、かつて見ないことであります。
 さらに、政府予算案審議のさなか、野党のうちから提出されました修正要求も、慎重に検討の対象となりました。
 高度経済成長を支えてきた内外の条件が崩れ去り、安い原料、安い燃料、あるいは食糧や飼料が自由に手に入る時代が終わり、国内での労働環境の変化、国民意識の転換から、これはごく自然の流れであったとも言えるかもしれません。しかし、事柄は予算編成という事柄であり、かつ、予算執行という面からすれば、政府が自信と責任を持って当たるのが当然でありまして、その面からして、われわれは、政府原案をより現実的なもの、現下の日本経済の生々発展にとり、より効率的なものとの確信を持って、政府原案に賛成するものであります。(拍手)
 特に、野党の編成替え要求の中に、例年のごとく、防衛費の削減とか、法人課税の重課などに財源を求めるものがありますが、国の防衛に責任を持つ政権担当政党の自由民主党としては、必要最小限の防衛予算を計上することは当然の責務と考えており、また、事業税の新設によって、世界の水準より高くなる法人の税負担をこれ以上重くすることは、負担の均衡上からも適当でないと言わざるを得ないのであります。(拍手)
 以上、申し述べました理由により、私は、政府の予算三案に賛成し、社会、公明両党共同の編成替え動議に反対するものであります。
 議員各位の御賛同を賜らんことを要望しつつ、私の討論を終わります。(拍手)
#18
○議長(前尾繁三郎君) 阿部助哉君。
    〔阿部助哉君登壇〕
#19
○阿部助哉君 私は、日本社会党を代表し、政府の五十年度一般会計予算、同特別会計予算及び政府関係機関予算に強く反対し、日本社会党、公明党の共同提案に係る予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議に賛成の討論を行います。(拍手)
 三木総理が、年頭に本会議場において行った施政演説、「全人類は、地球船という同じボートに乗った運命共有者」云々から始まり、社会的不公正是正を約束した施政演説は、その後の予算委員会の審議を経て、これが全く麗しき作文にすぎない、国民の耳を欺くコマーシャルソングであったことを暴露しました。三木内閣の政治姿勢、経済運営の方針が、田中前内閣以上に反動的、反国民的であることが明らかになりました。(拍手)
 いま、世界の資本主義諸国は、どうにもとまらないインフレーションと、深刻な不況の中で混迷を深めております。その根本の原因は、アメリカの核とドルの支配体制が揺らぎ、その骨格が崩壊したことであります。
 三木内閣は、ベトナムにおけるアメリカの軍事的敗北、カンボジア情勢等、歴史の教訓に学ぶことなく、逆に、ここに来て、一段とアメリカの軍事戦略の中に深入りしておるのであります。
 また、無責任なドルたれ流しこそ、資本主義世界の経済を混迷に陥れた元凶であるが、このアメリカのドル支配に寄りかかって、世界一の高度経済成長政策を推進してきたわが国は、いまや、インフレーション、不況倒産、失業、農業の破壊、公害など、勤労大衆に耐えがたい苦難を負わせておるのであります。
 すなわち、大企業の独占価格を黙認し、大企業優先の財政、金融政策を行い、農業までそのために犠牲にして、彼らの巨大な蓄積と、笑いのとまらない高利潤を保証してきた自民党政府の高度成長政策が、今日の勤労大衆の苦難をもたらしておるのであります。三木内閣には、これに対する一片の反省もなく、これを補い改める心も政策もないことが明らかになりました。
 そこで、反対理由の第一は、三木内閣の経済政策の基本である安定成長路線についてであります。
 一体、首相が言う安定成長政策とはどういうことなのか、予算委員会の審議を通じて、明確な答弁は全くなかったのであります。資源の制約条件とか、経済成長率を抑えるとか言われるが、その実質的な内容は、何一つ明らかにされていないのであります。
 顧みますと、池田内閣の高度成長政策に対する国民の批判を回避するために、佐藤内閣は、三木内閣と同様に、安定成長を一枚看板として登場したのであります。その結果は、池田内閣を上回る超高度成長であり、国民には、インフレの災厄が年ごとに激しさを増して襲いかかったのであります。田中内閣については、いまさら言うまでもありません。
 なぜ、これまで自民党内閣と自民党は、安定成長と言いつつ、高度成長政策に化けてしまったのか。なぜ、国民を欺き続けてきたのか。
 首相が、本当に国民の福祉と生活の改善に直結する経済の安定成長路線をとろうというのであれば、何よりも、これまでの高度成長政策の深刻な反省と、その原因の摘出を行わなければならないのであります。しかし、首相の口から出た言葉は、高度成長政策の反省どころか、弁護であります。原因の究明と解決は全くなく、これからもやろうとする気配さえないのであります。
 いま、安定成長という言葉が果たしているただ一つの役割りは、一方でインフレと、つくられた石油危機を利用し、たった三年足らずの間に、五割も資本をふやした大企業の蓄積をそのままにして、不況に名をかり、国際競争力をまたまた旗印にして、勤労国民に賃下げ、首切り、果ては、生活水準の切り下げまで強要しておるということだけであります。(拍手)
 首相は、その先頭に立っておるのであります。あいまいな答弁のその衣の内側を、すでに国民は見抜いておるのであります。首相の言う安定成長とは、高度成長の仕組みをそのままにして、当面、勤労国民の一方的な犠牲によって、不況の脱出を図ろうとするだけであります。
 その結果、国内市場は狭まり、国際競争力を旗印に三たび、しかも、国民にとってこれまでにない残酷な、大企業の高度成長を準備する政策であります。大企業にとっては、一休み、一服して合理化をやる。しかし、国民にとっては、一服盛られるに等しい打撃であります。
 この五十年度予算原案は、この三木内閣の政策を推進し、大企業に豊かさを、国民に高物価、重税、生活水準の切り下げといった重大な犠牲を強いるもの以外の何物でもないのであります。(拍手)
 第二は、首相の公約とは全く逆に、五十年度予算原案が不公正を拡大しておる問題であります。
 これは、一例を示せば十分であります。政府は、五十年度予算案で、社会保障関係費を増額したと宣伝しております。無拠出制年金をわずか四千五百円引き上げまして、福祉充実の看板のように言っております。
 ところで、五十年度の税収増加額は、昨年度当初予算に比べて三兆七千億円、国民一人当たり三万七千円もの大増税であります。特に、その大部分を労働者が負担する源泉所得税は一兆四千五百七十億円、何と四五・七%の増加であります。四千三百億円の間接税の増税を加えれば、増税の三分の二が勤労国民の肩に直接のしかかるのであります。
 政府の宣伝する社会保障費の増加額はこの半分の額であり、無拠出制年金の国庫負担増加額は、わずか六百九十七億円にすぎないのであります。
 さらに、五十年度税制改正では、一兆数千億円を超える交際費の乱費には全く手をつけず、億を超える大資産家にまで相続税を軽減し、利子、配当その他、金持ち、大企業優遇の税制のほとんどを温存し、拡大さえしておるのであります。
 社会正義のシンボルと言われる税の公平の原則は、五十年度予算案で回復するどころか、社会的公正を口にする三木首相自身によって、かえってじゅうりんされているのであります。(拍手)
 第三は、政府予算原案のどこを見ても、日本農業再建への展望が見出せないだけでなく、これまで農業を破壊し、農民を苦しめ、ついに民族存立の基礎まで危うくした農業政策を継続する意図が読み取れるのであります。
 穀物自給率が四二%にまで低下し、米を除く他の食物の大部分を輸入に求めなければならない現状が、どれほど国民生活を不安定にし、さらに国の安全を危うくしているかは、一昨年来の出来事を見れば、いまさら説明の必要のないところであります。
 政府は、最近に至って、ようやく日本農業の再建を口にいたしております。幾つかの計画も示しております。しかし、そのすべてが口先だけであり、ペーパープランにすぎず、予算の裏づけのないものであります。
 日本農業は、もはや取り返しができないほどの危機にあります。耕作面積が減少しているだけではありません。農業適地は大企業のコンビナートに変わり、農地は地力が低下し、公害で生態系の変化さえ生じているのであります。減反した土地を再び農地に変えるには、膨大な費用がかかります。農民にその金はありません。農民は、農業を見捨てました。跡取りでさえ、十人のうち、九人が農業を放棄しておる現状であります。土地と人とが農業から失われたのであります。
 農業を再建するたった一つの方法は、高度成長政策を推進するために、大企業に行ったほどの大規模な農業投資を行い、いま働いておる農民が、農業をやっていてよかったと思う状況をつくる以外ないのであります。五十年度予算原案から、このような農業再建策の片りんさえうかがい知ることができないのであります。(拍手)
 第四は、公害の問題についてであります。
 これまた、首相の人間尊重というリップサービスは、産業優先の本音にみごとに席を譲り、国民を裏切ったのであります。
 さきに政府が決定した自動車排気ガスの五十一年度規制が、トヨタ、日産など、大自動車メーカーの圧力に屈服した事実こそ、雄弁に、弁解の余地がないほど三木内閣の本音を明らかにしておるのであります。すなわち、何よりも人間の健康と生命を大切にするという政治の原点を、三木内閣は持っていないし、今後も持つことができないということであります。
 また、予算委員会の審議において、日本企業の海外での公害のたれ流しの輸出について、政府は何らの規制もしていない事実が明らかになりました。このために、一銭の予算措置もないことも明らかになりました。わが国産業の公害が他民族にまで被害を与え、すでに反日運動の原因になっているにもかかわらず、なお省みようとしない。施政演説の冒頭でお述べになった「地球船という同じボートに乗った運命共有者」という言葉が、そらぞらしく響くではございませんか。(拍手)
 第五に、わが国に確実に核兵器が持ち込まれている事実が、数々の資料で明らかになったにかかわらず、首相は、アメリカの言いわけにもならない弁解をさらに代弁し、日本の核基地化にほおかぶりし、アメリカのアジア人民抑圧の前進基地としての立場を擁護し、強化しようとしている事実であります。これが独立国の政府の態度と言えるでしょうか。
 また、隣国である韓国との関係についても、金大中氏事件にほおかぶりしたまま、その弾圧政治、専制の政治が国際批判を浴びておる朴政権に対し、またまた新たなてこ入れさえ行おうとしておるのであります。首相は、就任前の自分の言葉を捨て去って、これまでの自民党内閣以上に、日米韓運命共同体を強化する道をひたすら進んでおるのであります。(拍手)
 最後に、当面している独占禁止法の改正に対する三木首相の態度に言及しないわけにはまいりません。
 インフレを初め、日本経済を混乱させ、国民生活を苦しめている諸悪の根源が、高度成長政策で肥え太った独占大企業にあることは、いまさら説明を要しません。独占大企業に規制を加えるのは当然であります。ところが、三木首相の手で、すでに、その核心である原価公開と企業分割は削除され、その上、三木派の大番頭である河本通産相の手で、さらに骨抜きにされようといたしております。
 首相は、就任に当たって、独禁法の抜本的改正を公約されました。しかし、実際は換骨奪胎にも等しい内容であります。独占大企業の基本的利益をむしろ擁護しようとするものであります。首相の態度に、勤労国民にかわって強く抗議するものであります。(拍手)
 五十年度予算政府原案と、予算審議で明らかになった三木内閣の政策は、国民生活、国の安全、民族の将来など、どの角度から見ても、反国民的と言わざるを得ません。五十年度予算政府原案を断じて支持するものではありません。
 以上、政府案に反対し、日本社会党、公明党の組み替え案に賛成して、討論を終わります。(拍手)
#20
○議長(前尾繁三郎君) 三浦久君。
    〔三浦久君登壇〕
#21
○三浦久君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、政府提出の昭和五十年度予算三案並びに社会党、公明党共同提出に係る組み替え動議に対する反対の討論を行います。(拍手)
 わが党は、昨年末の党首会談で、三木総理に対し、五十年度予算編成に関連をして、第一に、高度成長型の税制、財政、金融の仕組みを取り除くこと、第二に、インフレ抑制のための総合対策をとること、第三に、独占禁止法の民主的改正を行うこと、第四に、国民生活を守る緊急措置をとること、以上、四項目から成る当面の財政経済政策についての要求を示し、予算編成に反映させるように強く求めたのであります。
 また、本年二月九日、「五十年度予算に関する日本共産党の主張」を発表し、本日の予算委員会においても、予算三案撤回のうえ編成替えを求める動議を提出して、その態度を明らかにしてまいりました。ところが、政府は、切実な国民の要求に基づくこのわが党の申し入れや主張を全く無視して、反国民的な本予算を押し通そうとしているのであります。
 審議の全経過によって明らかになったことは、三木内閣は、一般に、総論はよいが各論が悪いと言われてきましたが、実はその総論そのものが偽りであり、その本質は、歴代自民党内閣と全く同じ総路線、対米従属、大企業優先の路線であります。だからこそ、国民のための各論の実行、不公正是正など、何一つまともに実行できない内閣であるということが明白になってきたということであります。(拍手)
 三木内閣の総論が大企業奉仕であるからこそ、自動車排ガス五十一年規制について見ても、国民の健康や生命よりも企業の利益を優先させ、審議の結果を無視して、企業寄りの告示を強行するという暴挙をあえて行っているのであります。自動車工業会が昨年上期で四億八千万円もの政治献金を自民党にしていることと、排ガス規制の告示を強行するという今日の事態との関係について、多くの国民が重大な疑惑を抱いているのは当然なことであります。
 わが党は、ここに改めて、この告示の取り消しと再審議を要求すると同時に、三木内閣の暴挙を厳しく糾弾をするものであります。(拍手)
 三木内閣の日米関係に対する屈辱的な態度は、一層許しがたいものであります。沖繩嘉手納基地に常駐する米軍第十八戦術戦闘航空団の核爆弾投下訓練に対して、三木総理は、投下訓練は最小限度のものであり、理解できると述べております。これは、復帰後、米軍が核爆弾投下訓練をすれば、アメリカに警告をすると言った佐藤内閣よりも後退をした発言であり、三木内閣の総論が一きわめて危険な内容を持っていることを暴露したものと言わなければなりません。(拍手)
 こうした対米従属、大企業奉仕の三木内閣の総路線は、政治姿勢の面でも貫かれておるのであります。
 三木総理は、総理になる前は、企業から多額の政治献金を受けた候補者は企業の代弁者になりやすい、政治献金は個人に限ると大みえを切っていましたが、その後、後退に後退を重ね、今日では公然と財界に献金をねだるまでになっており、企業献金、団体献金を公認する政治資金規正法を提出しようとさえしているのであります。これは自民党政治の根深い金権的体質が、三木内閣になっても何ら改められるどころか、むしろ、これを合法化しようとさえしていることを示すものと言わなければなりません。
 こういう政治姿勢であるからこそ、対米従属、大企業奉仕、国民犠牲の予算をあえて押し通そうとしているのであり、わが党は、これに強く反対をするものであります。(拍手)
 第一に、本予算は、国民の切実な要求に反し、インフレを助長し、物価を引き上げ、国民生活を破壊する予算となっています。すなわち、郵便料金や酒、たばこ、大学入学金などの公共料金の大幅値上げを次々に予定し、インフレ、高物価に苦しんでいる国民の期待を完全に裏切っているのであります。
 また、世論の批判の強い赤字公債の発行を二兆円も行うほか、同じインフレの大きな原因である高度成長型税制、財政、金融の仕組みをそのまま温存しております。これでは、インフレを抑制し、物価を安定させることは絶対にできないのであります。
 いま、インフレ、不況克服のために三木内閣が実行をしなければならないことは、
 第一に、公共料金の値上げをやめることであります。
 第二に、新価格体系の名による大企業製品の価格つり上げを厳しく規制することであります。
 第三に、長期国債を大幅に削減すること。
 第四に、メジャーの不当な価格操作を規制すること。
 第五に、高度成長型税制、財政、金融の仕組みを取り除くこと。
 第六に、独占禁止法を民主的に改正し、巨大企業の反社会的な経済撹乱行為を規制することであり、賃金引き上げが物価値上げの原因だなどという、事実に反する不当な宣伝を直ちにやめることであります。(拍手)
 第二の反対の理由は、国民生活を守る措置がきわめて不十分であり、国民の緊急切実な要求にこたえるものになっていないということであります。
 いま、国民が切実に求めているのは、インフレを抑制するとともに、老齢者、障害者、生活保護を受けている人々の社会保障、福祉の諸給付を大幅に引き上げることであり、不況の波から労働者、中小零細企業の生活と経営を守る緊急措置もとることであります。ところが、本予算は、国民の生活を守るどころか、逆に、国民生活を破壊する最悪の予算となっているのであります。
 三木内閣は、福祉重点、社会的不公正の是正をあれほど繰り返しておきながら、その福祉対策は、インフレでどんどん引き下げられ、これまでの福祉を維持することさえできない水準のものとなっているのであります。わずかに、社会保障関係費を三五・八%ふやしたことを一枚看板にしていますが、これは、田中内閣の四十九年度の伸び三六・七%さえ下回っているものなのであります。
 老齢福祉年金は、わずか月額一万二千円、しかも十月実施であり、物価値上げを考慮すれば、実質は九千円、田中内閣の公約よりも後退をしているものであります。
 その上、政府は、七十歳以下の老人医療費を無料にしている自治体に対して、今回、新たに国民健康保険に対する五%の調整交付金を打ち切るという措置さえとっているのであります。本来、政府のやるべきことをやっている自治体に対し、政府は感謝をすべきであるのにもかかわらず、逆に、懲罰的な措置をとって臨むという、このような政府の態度は、社会的不公正の是正とは全く逆のものであると言うほかはありません。(拍手)
 政府は、高福祉高負担が原則だと言っているが、これは国と資本家の負担を原則とする近代的な社会保障の原理を、真っ向から否定する許しがたい言動だと言わなければなりません。
 政府は、その責任で総合的社会保障五カ年計画を直ちに立てて、老齢福祉年金は二万円、生活保護費は五割引き上げるべきであります。また、年金の積み立て方式を賦課方式に改め、厚生年金は本人月額五万円、夫婦で八万円、国民年金は最低四万円に引き上げるべきであります。
 また、住宅建設を積極的に行うとともに、国民健康保険に対する財政調整交付金を一五%に引き上げて、保険料の引き上げを抑えること、健康保険も保険料の労使負担の割合を、労働者を三、資本家を七に改め、家族給付を八割に引き上げなければなりません。
 また、失業問題が非常に深刻となり、ことし四月には、失業者は百万人を大幅に超すだろうと予測をされているのにもかかわらず、政府は何らその対策を講じないばかりか、依然として失対事業の打ち切り政策を続け、他方、大もうけをしている大企業にさえ雇用保険法を適用して、交付金をつぎ込むなどということをしているのであります。
 政府は、不況に便乗した大企業の一時解雇、不当解雇を制限し、失対打ち切り政策をやめ、失対賃金を五割引き上げることが必要であります。
 また、中小企業の倒産による賃金不払いをなくすために、労働債権の補償制度を確立することも、きわめて重要であります。
 また、本予算では、不況の中で深刻な危機に陥っている中小零細業者の切実な要求も、完全に無視をされているのであります。中小企業対策費は、一般会計の〇・六%、千二百七十八億円にすぎず、そのため、中小企業の倒産は戦後最高となっています。かつてある閣僚は、中小企業の一人や二人死んでも構わないと暴言を吐きましたが、三木内閣は、口ではこうは言わなくとも、やっていることは、かつてのこの閣僚と全く同じだと言わなければならないのであります。(拍手)
 政府は、中小企業の仕事を確保するために、官公需発注のうち、中小企業への発注を五割以上とすること、また、大企業が中小企業固有の分野へ進出することを当分の間禁止するとともに、中小企業の金融難を打開するために、政府関係中小金融機関の融資を大幅に拡大し、金利引き下げなどの措置をとり、中小企業の経営を守るべきであります。
 第三の反対の理由は、政府は地方財政危機打開の措置を何らとっていないばかりか、逆に、地方・自治体にその責任を転嫁しようとしていることであります。
 地方財政は、いま大きな財政赤字となっています。これは超過負担を解消しようとせず、いたずらに、財政を悪化させるに任せてきた国の責任なのであります。ところが、政府は、逆にその責任を自治体に転嫁し、不当にも、地方自治体に対するさまざまな干渉を行って、地方自治を破壊しているのであります。本予算でも、総需要抑制の名のもとに、地方債の起債を前年度比二一・二%と低く抑えただけではなく、過去五年間で一兆円に及ぶ超過負担を解消する措置を何らとっていないのであります。
 三木総理は、地方財政のあり方を根本的に検討する必要があると言っていますけれども、これが事実であるならば、過去五年間分の超過負担を、今後三年間で補てんする措置をとるとともに、実勢価格に即した補助単価に改めるなど、今後も超過負担が生じない措置をとるべきであります。
 また、今日、多くの自治体財政を危機に陥れている大きな理由になっている部落解放同盟朝田派の、暴力と脅迫に基づく同和財政の不公正で乱脈な支出に対し、政府はこれをただし、是正する厳正な措置を直ちにとるべきであります。これらの措置をとらず、いたずらに地方財政の危機を招来しておきながら、その原因を、自治体労働者の人件費が高いからなどと、問題をすりかえ、根本的な解決にメスを入れない三木内閣は、地方行政を語る資格はないと言わざるを得ないのであります。(拍手)
 以上の緊急措置を実行するために、政府は次のような財源措置をとるべきであります。
 第一に、大企業に対する特権的減免税をやめて、適正に課税すること。これによって、三兆円の財源を得ることができ、地方自治体への緊急特別交付金一兆円の支出や、老齢福祉年金を月二万円にすることができます。
 第二に、一兆三千億円にも上る軍事費を大幅に削減することであります。また、百四十六億円に及ぶ電算機振興対策費やYX開発費等、大企業のための補助金等の不要不急の支出をやめることであります。
 第三は、第二の予算と言われている財政投融資計画を、大企業向けや産業基盤の整備を中心とするのではなく、中小零細企業、農林漁業者の生活を守り、住宅、下水道等の生活基盤を中心に大幅にふやしていくことであります。また、産業投資特別会計を、国民生活安定特別会計に改めることであります。これによって、国民生活安定の財源は十分確保されることになるのであります。
 要は、政府・自民党に、これらの施策を実行する意思があるかないかということであります。
 反対理由の第四は、エネルギー、食糧政策が対米従属、対米依存に貫かれているということであります。
 エネルギー、食糧は、わが国経済の安定、産業の振興にとって、欠くことのできないものであります。しかるに政府は、中東、北アフリカの産油国に対して軍事侵略をたくらんでいるキッシンジャー構想に追随をして、その枠組みの中で、石油備蓄体制づくりのために、一千六百五十六億円もの政府資金を注ぎ、海外油田開発、石油備蓄の名目で、石油開発公団の資金を昨年度の約三倍、二千四百二十四億円に大幅にふやす等、独占資本に莫大な資金をつぎ込もうとしています。
 一方、総合エネルギー政策に基づく石炭産業の民主的な復興が緊急不可欠であるにもかかわらず、石炭産業取りつぶしの第五次石炭政策を依然として推進をしているのであります。日本が進むべき道は、このような対米従属やメジャー依存をやめて、自主的、民主的な総合エネルギー政策を確立し、産油国との平等互恵の経済外交によって、DD原油の輸入を大幅に増大するとともに、第五次石炭政策をきっぱりとやめ、石炭産業復興のための施策を進めることであります。
 食糧問題についても同様であります。三木総理は、対米従属の食糧政策をますます強め、小麦、大豆などの主要農産物の輸入自由化を進める一方、国内の米作には依然として減反を押しつけ、農業用土地の縮小さえ図っているのであります。
 政府は、畜産危機打開のために、輸入飼料穀物を食管扱いとし、外国農産物の無原則的な輸入をやめて、食糧の自給率の向上を図らなければなりません。
 反対理由の第五は、対米従属のもとでの軍国主義復活強化を進行させていることであります。
 三木内閣は、日米安保条約を日米協力の基本憲章とまで持ち上げ、フォード政権の侵略的な中東政策、ベトナム再介入政策に積極的に協力の態度を示しながら、事実上の防衛分担金である米軍基地集約移転費は三百四十三億円に大幅に増額され、七四式戦車、ファントム戦闘機、ヘリ積載護衛艦など、海外侵略可能な新鋭兵器を大量に新規発注し、海上、航空自衛隊を増員するなど、四次防推進費は、総額一兆三千二百七十三億円にも達しているのであります。
 さらに、韓国、インドシナ援助などを中心に、新植民地主義推進のための経済協力費は、一千七百六十七億円にも上っております。
 日米軍事同盟の存在をそのままにしておいて、日本国民の平和と安全、世界の平和と安全はもとより、国民生活の向上を図ることもできないことは、だれの目にも明白であります。わが党は、日米安保条約を廃棄し、沖繩を初めとする全国の米軍基地を撤去し、四次防の中止と、自衛隊の縮小を強く要求するものであります。(拍手)
 わが党は、このような予算をやめ、五十年度予算を、国民生活と福祉向上を最優先とし、日本経済のつり合いのとれた発展の第一歩を踏み出す予算にしなければならないことを強く主張をするものであります。(拍手)
 また、日本社会党、公明党共同提出に係る組み替え動議については、内政面での幾つかの施策の要求はともかく、その財源の確保策が明らかではなく、かつ、大企業に対する補助金である電子計算機対策費、外航船舶建造利子補給金、YX開発費など、当然大幅に削除すべきものを放置しており、外交面においては、三木内閣の産油国敵視のキッシンジャー構想に追随する危険な外交や、石油備蓄計画のための施策、メジャーへの規制などに触れないなど、重要な諸点で反国民的な政府予算案を容認しているので、反対の態度をとるものであります。
 以上の立場から、日本共産党・革新共同は、政府提出に係る昭和五十年度予算並びに日本社会党、公明党共同提出に係る組み替え動議に反対することを明らかにいたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
#22
○議長(前尾繁三郎君) 坂井弘一君。
    〔坂井弘一君登壇〕
#23
○坂井弘一君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十年度一般会計予算、同特別会計予算及び政府関係機関予算三案に反対し、日本社会党、公明党両党共同提案の予算案の組み替え動議に賛成の討論を行います。(拍手)
 わが国経済は、昭和三十年代の後半から、歴代自民党政府が強引に推し進めた高度経済成長政策の帰結として、きわめて困難な局面に立たされております。三木内閣が公約している物価の安定や、社会的不公正の是正は、文字どおり国民の一致した要請であると言えるでありましょう。その意味で、昭和五十年度予算案は、三木内閣の公約がどのように具体化されるのか、その内容に多くの期待がかけられていたことは言うまでもありません。
 ところが、政府案は、ことごとく国民の期待を裏切った内容であり、三木内閣の公約である物価の安定、社会的不公正の是正も、結局は国民に幻想を持たせただけであり、全くのまやかしであることが露呈されているのであります。しかも、予算委員会でわが党が明らかにしたように、輸出保険特別会計の編成に重大な欠陥があるにもかかわらず、これにほおかむりしようとしているのも、絶対に許すことはできません。
 今日のインフレ、物価高騰、一方では中小企業の倒産、失業者の増加という困難な事態を克服するためには、よほどの決意が必要であり、しかも、現実的、具体的な政策手段が要請されることは、言を待たないのであります。三木総理のように、言葉あって実行なしの姿勢では、当面する困難な事態の克服は、とうてい及びもつかないと断ぜざるを得ません。
 そこで、以下、私は、政府案についての具体的な反対理由を申し述べます。
 第一は、インフレ抑制と物価安定の面からの問題であります。
 一般会計の伸び率二四・五%は、列島改造で悪名高い四十八年度予算の伸び率を一わずか〇・一%下回るにすぎず、しかも、予算規模を圧縮するために、剰余金からの国債償還費の削減、地方交付税精算額などの本年度補正予算での先食いを行っていることは、御承知のとおりであります。
 その一方では、物価安定のための有効な具体策もとらず、逆に、公共料金の値上げ撤回という国民の強い要求を無視して、郵便料金や国立大学の入学金、受験料の大幅引き上げ、たばこの値上げさえ強行しようとしているのであります。
 高度経済成長期の財政体質を抜本的に改めようとせず、予算規模を水ぶくれ的に膨張させ、各種公共料金の大幅値上げを実施したのでは、政府主導の物価上昇は避けることはできないと言わざるを得ません。
 第二は、五十年度の税制改正においては、社会的公正の確保どころか、不公正が一層拡大されているという点であります。
 政府の税制改正によると、所得税、住民税の減税は、物価調整減税にもならない超ミニ減税にとどめ、酒、たばこ等の間接税を増徴し、実質大幅増税を図ろうとしております。これでは、給与所得者の納税人員の増加、あるいは逆累進的な大衆の重課となることは、必至であると言わねばなりません。反面、インフレ高進による所得分配の不公正を是正せず、高額所得者に対する課税強化、利子、配当所得、土地譲渡所得に対する租税特別措置の改廃、法人税制強化等を見送ったり、実質たな上げをしようとしているのであります。
 今回の税制改正は、国民大衆の犠牲において財源を確保しょうという従来の租税構造に何ら改革を加えないばかりか、さらに不公正を拡大しようとするものであり、私の強く反対するところであります。(拍手)
 第三は、歳出の面についてであります。
 まず、政府が重点を置いたという社会保障関係費についてであります。
 なるほど、社会保障関係費は、四十九年度に比べ、あるいは他の経費に比べれば、伸び率は高くはなっております。しかしながら、その内容は、遺憾ながら既定路線にわずかの配慮をしたものにすぎません。すなわち、老齢福祉年金の月額七千五百円から一万二千円への引き上げも、二年前の田中首相の公約に二千円の増額をしただけであり、身障者、母子家庭等の各種年金の引き上げについても、ほぼ同様であります。しかも、この措置すらことし十月からの実施であります。さらに、生活保護基準の引き上げ、在宅重度心身障害者関係の介護手当の新設も微々たるものであります。
 これでは、インフレと不況のしわ寄せを受けて苦しんでいる多くの老人、生活保護世帯、母子家庭等の切実なる要求にこたえることができないことは言うまでもありません。政府案の社会保障関係費の増額では、せいぜい物価上昇の後追い的措置としか言いようがないのであります。
 社会保障政策で特に申し上げたいことは、その制度面の改善と、長期計画の策定を必要とすることであります。国民、厚生年金の賦課方式の実施、医療保険制度の改善等は、早急に実施すべきであり、これらと並んで、総合的な社会保障充実のための長期計画の策定が急務なのであります。場当たり的な社会保障政策では、真の福祉の充実はほど遠いと言わざるを得ません。政府が歳出予算の目玉であると言う社会保障関係費がただいま申し上げました程度でありますから、他は推して知るべきであります。(拍手)
 中小企業倒産の激増、失業者の増加、さらには、農業の危機に対処する具体的な措置がとられていないし、住宅、公園、下水道など、生活関連社会資本の整備も、実質的には大幅に後退しているのであります。また、公害関係予算も、国民の健康と環境を守る予算とはとうてい言えない内容であり、教育予算についても、最も深刻である私学の入学金、授業料の大幅値上げを食いとめる具体策を示さず、また、国公、私立間の格差を是正する措置もとられていないのであります。
 さらに、政府は、国民の多くが反対している第四次防衛計画に固執し、防衛関係予算を四十九年度より大幅増額しているのであります。新規装備費、研究費を初め、新規定員増をやることや、訓練、演習費等の大幅削減は当然なのであります。
 第四には、福祉の充実と密接に関係している地方財政の危機打開にきわめて後ろ向きの予算案であるということであります。
 交付税率の引き上げ措置もとらず、超過負担の解消にも何ら努力はいたしておりません。その上、政府は、地方公共団体の増大する財政需要に対する自主課税権の行使をも牽制しようとしているのであります。地方財政の危機を放置しようとする政府案に、強く反対するものであります。(拍手)
 以上、政府案に反対する主な理由を申し上げましたが、予算委員会の質疑を通じて明らかにされましたことは、三木内閣の姿勢は、国民向けのポーズと実際とは大きくかけ離れ、国民に背を向けているということであります。
 このことは、他の面においても、たとえば、わが党が予算委員会の審議の中で、米軍のわが国への核持ち込みの事実を、具体的な公式文書をもって明らかにしたにもかかわらず、三木総理は、かかる重大問題の徹底的解明を図ろうとする姿勢さえも示さず、ただ米側の説得力のない回答でその場を過ごそうという、国民世論を全く無視した態度をとっていることなどとあわせて明らかであります。
 核兵器の日本への持ち込みの疑いはますます濃厚となったと言うべきであり、また同時に、事前協議制度や日米安保体制の持つ危険な実態と、わが国政府の欺瞞的な本質が明確になったと言えるのであります。
 わが党は、国民に背を向ける三木内閣の姿勢を厳しく追及するものであり、国民不在の政府案に強く反対するものであります。(拍手)
 したがって、国民無視の政府案を大幅に編成替えをする必要があり、インフレ、物価高の抑制、総需要抑制の質的転換と中小企業対策の強化、不況打開、雇用の安定、地方財政の危機打開と超過負担の解消、公平な税制の実現と国民福祉の飛躍的拡大、農漁業の基盤整備と公害防除、環境保全を基本とした、日本社会党、公明党の共同提案の組み替え動議について賛成の態度を表明し、討論を終わります。(拍手)
#24
○議長(前尾繁三郎君) 小宮武喜君。
    〔小宮武喜君登壇〕
#25
○小宮武喜君 私は、民社党を代表して、ただいま提案されております昭和五十年度一般会計予算案、特別会計予算案及び政府関係機関予算案に対し、一括して反対の討論を行うものであります。(拍手)
 なお、社会党、公明党両党共同提案による編成替えを求めるの動議につきましては、見解を異にいたしておりますので、反対であることを明らかにしておきたいと思います。
 いま、私は、これから決定されるであろう五十年度政府予算案について、失望の念を抱いておるのであります。
 申すまでもなく、わが国経済は、この数年、高度成長の破綻が明らかになり、国民生活は、激しいインフレと、かつてない深刻な不況によって、二重の苦しみを経験しているのであります。このときに当たり、三木総理の登場は、国民に幾らかなりとも政策転換の期待を与え、また、総理自身も、社会的公正の確保を公約し、政策転換の意気込みを示されたのであります。
 ところが、その後の予算編成過程を見れば、相変わらず官僚主導型編成を踏襲し、予算案自体についても、何ら新味はなく、むしろ、酒、たばこ、郵便料金の増税や値上げを強行するなど、国民の期待を完全に裏切ったものになっているのであります。
 わが党は、このような政府予算案の諸欠点を予算委員会において具体的に指摘し、三木総理初め、政府に対し、強くその改正を要求したのでありますが、三木総理はその声に全然耳をかそうともせず、いま政府原案を多数決で押し切ろうとしているのであります。全く残念としか言いようがございません。
 三木総理が、本当に対話の政治を推し進めようとされるのであれば、政府原案にこだわることなく、野党の声も十分に聞き、真に国民福祉の向上のため、みずから予算修正を行う決意があってしかるべきだと思うのであります。しかるに、その姿勢も見受けられず、従来の自民党政治から一歩も抜け出ていないことは、三木総理の限界を露呈したものと言っても過言ではないと思います。
 次に、具体的に政府予算案に反対する理由を申し述べたいと思います。
 その反対の第一の理由は、公平を欠く政府の税制改正についてであります。
 現在のインフレのもとにおいては、労働者は生活防衛のために、名目賃金の大幅引き上げを獲得せざるを得ない状況にありますが、所得税はこの名目賃金に累進的に課税される仕組みになっており、課税最低限の大幅引き上げを行わない限り、実質増税になることは明らかであります。ところが、政府案は、わずかに課税最低限を百八十三万円に引き上げるだけにとどまっており、これでは、減税どころか、大衆増税であると言わざるを得ないのであります。(拍手)
 また、政府は、財源確保の名目で、たばこの値上げ、酒税の増税を行っていますが、これは、まさに、大衆の犠牲のもとに予算編成を行わんとするものであり、わが党の断じて許すことのできないところであります。三木総理が社会的公正の確保を唱えるのであれば、当然、財源は、高額資産家を対象にした富裕税の創設を行い、利子、配当の優遇課税を抜本的に改正し、交際費課税を強化するなどの措置を講ずべきであります。
 反対の第二の理由は、わが党の要求である公共料金の値上げ凍結を無視し、さきに指摘した酒、たばこのみならず、郵便料金の大幅引き上げを図っていることであります。
 すでに政府は、昨年十月以降に、国鉄運賃、バス料金、消費者米価、都市ガスなどの公共料金の値上げを軒並みに行ったのでありますが、さらに、これら公共料金の値上げを強行せんとすることは、政府の物価抑制に対する熱意を全く疑わざるを得ないのであります。わが党はすでに、昨年来、公共料金の値上げは、消費者物価上昇率が一〇%以下に定着するまでは凍結すべきであるという、現実的な提案を行っているのであります。同時に、この間、三公社五現業など、公共企業体の経営の近代化、労使の正常化を図るべきであると主張してまいったのでありますが、政府はこの具体的な提案を無視し、公共料金の値上げを断行することは、きわめて遺憾であり、絶対反対であります。(拍手)
 第三に私が政府予算案に反対する理由は、社会保障、住宅政策など、国民福祉の向上について、その対策が遅々として進んでおらず、むしろ後退さえしているのではないかという点であります。
 三木総理は、社会的不公正の是正を強調しておられますが、予算委員会の審議を通じて感じられましたことは、三木総理の言う社会的公正の確保は、依然として、弱者の救済、インフレによる被害の救済というようなことは、何か国からの恩恵的、慈善的救済の考え方がいまだに根強く残っており、発想の転換が一つも見られないことであります。したがって、そのため、予算の制約を理由に、ことごとく国民の要求が削られ、社会保障対策も全く中途半端に終わっていることであります。
 それどころか、社会保障政策と並んで最も重要な住宅政策においては、公営住宅の建設戸数が、昨年の九万五千戸から八万五千戸に、公団住宅も七万戸から六万戸へと、それぞれ一万戸も削減され、住宅政策が著しく後退していることは、見逃すことのできない重要な問題であります。
 このような事態を招いた原因は、政府の福祉に対する考え方が、あくまで個人中心、自己努力中心主義によるものであり、わが党の主張する、国の責務として福祉向上を図るという考え方と著しくかけ離れていることを、この際、厳しく指摘しておかなければなりません。
 最後に、私は、以上の観点から、改めて政府に要求しておきたいことがあります。
 それは、すなわち、わが国が真に福祉国家に前進するためには、広く国民の参加を求め、長期経済計画を策定すると同時に、国の重要施策として、福祉向上五カ年計画を策定することであります。また、その裏づけとなる長期財政計画が必要なことは言うまでもありません。
 わが国が、現在直面しているスタグフレーションの難局を乗り切り、国民生活の不断の向上を図るためには、国民の参加こそ重要であり、福祉の計画的向上こそ不可欠の要件であります。
 この二つの基本政策を忘れ、いかに諸問題を糊塗したとしても、それは、ますます国民大衆の政治不信を招くことは必定であることを忘れてはなりません。
 政府は、このことを十分反省されるよう強く要望して、私の反対討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○議長(前尾繁三郎君) これにて討論は終局いたしました。
#27
○議長(前尾繁三郎君) これより採決に入ります。
 まず、堀昌雄君外十五名提出、昭和五十年度一般会計予算外二件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。
 堀昌雄君外十五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#28
○議長(前尾繁三郎君) 起立少数。よって、堀昌雄君外十五名提出の動議は否決されました。
 次に、昭和五十年度一般会計予算外二件を一括して採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行います。
 三件の委員長の報告はいずれも可決であります。三件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
    〔議場閉鎖〕
#29
○議長(前尾繁三郎君) 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
#30
○議長(前尾繁三郎君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――開鎖。
    〔議場開鎖〕
#31
○議長(前尾繁三郎君) 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
#32
○議長(前尾繁三郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長報告〕
 投票総数 四百四十六
  可とする者(白票)      二百五十四
    〔拍手〕
  否とする者(青票)       百九十二
    〔拍手〕
#33
○議長(前尾繁三郎君) 右の結果、昭和五十年度一般会計予算外二件は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
 昭和五十年度一般会計予算外二件を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名
      安倍晋太郎君    足立 篤郎君
      阿部 喜元君    愛野興一郎君
      赤城 宗徳君    赤澤 正道君
      秋田 大助君    天野 公義君
      天野 光晴君    荒舩清十郎君
      有田 喜一君    井出一太郎君
      井原 岸高君    伊東 正義君
      伊藤宗一郎君    石井  一君
      石田 博英君    稻葉  修君
      稻村佐近四郎君    稲村 利幸君
      今井  勇君    宇田 國榮君
      宇都宮徳馬君    宇野 宗佑君
      上村千一郎君    臼井 莊一君
      内田 常雄君    内海 英男君
      浦野 幸男君    江崎 真澄君
      江藤 隆美君    小川 平二君
      小此木彦三郎君    小沢 一郎君
      小澤 太郎君    小沢 辰男君
      小渕 恵三君    越智 伊平君
      越智 通雄君    大石 千八君
      大石 武一君    大久保武雄君
      大竹 太郎君    大西 正男君
      大野  明君    大野 市郎君
      大橋 武夫君    大平 正芳君
      大村 襄治君    奥田 敬和君
      奥野 誠亮君    加藤 紘一君
      加藤常太郎君    加藤 六月君
      加藤 陽三君    海部 俊樹君
      粕谷  茂君    片岡 清一君
      金丸  信君    金子 一平君
      金子 岩三君    亀岡 高夫君
      鴨田 宗一君    唐沢俊二郎君
      仮谷 忠男君    木野 晴夫君
      木部 佳昭君    木村 武雄君
      木村武千代君    木村 俊夫君
      岸  信介君    北澤 直吉君
      吉川 久衛君    久野 忠治君
      久保田円次君    鯨岡 兵輔君
      熊谷 義雄君    倉石 忠雄君
      倉成  正君    栗原 祐幸君
      黒金 泰美君    小泉純一郎君
      小坂善太郎君    小島 徹三君
      小平 久雄君    小林 正巳君
      小宮山重四郎君    小山 長規君
      小山 省二君    河野 洋平君
      河本 敏夫君    國場 幸昌君
      近藤 鉄雄君    左藤  恵君
      佐々木秀世君    佐々木義武君
      佐藤 榮作君    佐藤 孝行君
      佐藤 文生君    佐藤 守良君
      斉藤滋与史君    齋藤 邦吉君
      三枝 三郎君    坂田 道太君
      坂村 吉正君    坂本三十次君
      櫻内 義雄君    笹山茂太郎君
      志賀  節君    塩川正十郎君
      塩崎  潤君    塩谷 一夫君
      澁谷 直藏君    島田 安夫君
      島村 一郎君    正示啓次郎君
      白浜 仁吉君    菅波  茂君
      鈴木 善幸君    住  栄作君
      瀬戸山三男君    關谷 勝利君
      園田  直君    田川 誠一君
      田澤 吉郎君    田中伊三次君
      田中 角榮君    田中  覚君
      田中 龍夫君    田中 正巳君
      田中 六助君    田村  元君
      田村 良平君    高鳥  修君
      高橋 千寿君    竹内 黎一君
      竹下  登君    竹中 修一君
      谷垣 專一君    谷川 和穗君
      千葉 三郎君    地崎宇三郎君
      中馬 辰猪君    塚原 俊郎君
      坪川 信三君    戸井田三郎君
      渡海元三郎君    徳安 實藏君
      床次 徳二君    中尾 栄一君
      中尾  宏君    中垣 國男君
      中川 一郎君    中曽根康弘君
      中村 梅吉君    中村 弘海君
      中山 利生君    中山 正暉君
      灘尾 弘吉君    楢橋  進君
      二階堂 進君    丹羽喬四郎君
      丹羽 兵助君    西岡 武夫君
      西村 英一君    西村 直己君
      西銘 順治君    根本龍太郎君
      野田 卯一君    野田  毅君
      野中 英二君    野原 正勝君
      野呂 恭一君    羽田  孜君
      羽田野忠文君    羽生 田進君
      葉梨 信行君    萩原 幸雄君
      橋口  隆君    橋本登美三郎君
      橋本龍太郎君    長谷川四郎君
      長谷川 峻君    旗野 進一君
      服部 安司君    浜田 幸一君
      早川  崇君    林  大幹君
      林  義郎君    原 健三郎君
      原田  憲君    廣瀬 正雄君
      深谷 隆司君    福田 赳夫君
      福田 篤泰君    福田  一君
      福永 健司君    藤井 勝志君
      藤尾 正行君    藤波 孝生君
      藤本 孝雄君    船田  中君
      古屋  亨君    保利  茂君
      坊  秀男君    細田 吉藏君
      本名  武君    前田治一郎君
      前田 正男君    増岡 博之君
      松浦周太郎君    松澤 雄藏君
      松永  光君    松野 幸泰君
      松野 頼三君    松本 十郎君
      三池  信君    三木 武夫君
      三ツ林弥太郎君    三原 朝雄君
      三塚  博君    水田三喜男君
      水野  清君    湊  徹郎君
      宮崎 茂一君    宮澤 喜一君
      武藤 嘉文君    村岡 兼造君
      村上  勇君    村田敬次郎君
      村山 達雄君    毛利 松平君
      粟山 ひで君    森  美秀君
      森  喜朗君    森下 元晴君
      森山 欽司君    安田 貴六君
      保岡 興治君    山口 敏夫君
      山崎  拓君    山崎平八郎君
      山下 元利君    山下 徳夫君
      山田 久就君    山中 貞則君
      山村新治郎君    山本 幸雄君
      吉永 治市君    早稻田柳右エ門君
      綿貫 民輔君    渡部 恒三君
      渡辺 栄一君    渡辺美智雄君
 否とする議員の氏名
      安宅 常彦君    阿部 昭吾君
      阿部 助哉君    阿部未喜男君
      赤松  勇君    井岡 大治君
      井上  泉君    井上 普方君
      石野 久男君    石橋 政嗣君
      板川 正吾君    稲葉 誠一君
      岩垂寿喜男君    上原 康助君
      江田 三郎君    枝村 要作君
      小川 省吾君    大出  俊君
      大柴 滋夫君    太田 一夫君
      岡田 春夫君    加藤 清政君
      加藤 清二君    勝澤 芳雄君
      勝間田清一君    角屋堅次郎君
      金瀬 俊雄君    金丸 徳重君
      金子 みつ君    川崎 寛治君
      川俣健二郎君    河上 民雄君
      木島喜兵衞君    木原  実君
      久保 三郎君    久保  等君
      久保田鶴松君    小林  信一君
      小林  進君    兒玉 末男君
      上坂  昇君    佐々木更三君
      佐藤 観樹君    佐藤 敬治君
      佐野 憲治君    佐野  進君
      斉藤 正男君    坂本 恭一君
      阪上安太郎君    柴田 健治君
      島田 琢郎君    島本 虎三君
      嶋崎  譲君    清水 徳松君
      下平 正一君    田口 一男君
      田中 武夫君    田邊  誠君
      多賀谷真稔君    高沢 寅男君
      竹内  猛君    楯 兼次郎君
      塚田 庄平君    辻原 弘市君
      土井たか子君    堂森 芳夫君
      中澤 茂一君    中村  茂君
      中村 重光君    楢崎弥之助君
      成田 知巳君    野坂 浩賢君
      芳賀  貢君    馬場  昇君
      長谷川正三君    原   茂君
      日野 吉夫君    平林  剛君
      広瀬 秀吉君    福岡 義登君
      藤田 高敏君    古川 喜一君
      細谷 治嘉君    堀  昌雄君
      松浦 利尚君    三宅 正一君
      美濃 政市君    武藤 山治君
      村山 喜一君    村山 富市君
      森井 忠良君    八百板 正君
      八木  昇君    安井 吉典君
      山口 鶴男君    山崎 始男君
      山田 耻目君    山田 芳治君
      山中 吾郎君    山本 政弘君
      山本弥之助君    米田 東吾君
      横路 孝弘君    横山 利秋君
      吉田 法晴君    和田 貞夫君
      渡辺 三郎君    渡辺 惣蔵君
      青柳 盛雄君    荒木  宏君
      諫山  博君    石母 田達君
      梅田  勝君    浦井  洋君
      金子 満広君    神崎 敏雄君
      木下 元二君    栗田  翠君
      小林 政子君    紺野与次郎君
      柴田 睦夫君    庄司 幸助君
      瀬崎 博義君    瀬長亀次郎君
      田代 文久君    田中美智子君
      多田 光雄君    津川 武一君
      寺前  巖君    土橋 一吉君
      中川利三郎君    中路 雅弘君
      中島 武敏君    野間 友一君
      林  百郎君    東中 光雄君
      平田 藤吉君    不破 哲三君
      正森 成二君    増本 一彦君
      松本 善明君    三浦  久君
      村上  弘君    山原健二郎君
      米原  昶君    浅井 美幸君
      新井 彬之君    有島 重武君
      石田幸四郎君    小川新一郎君
      大久保直彦君    大野  潔君
      大橋 敏雄君    近江巳記夫君
      岡本 富夫君    沖本 泰幸君
      鬼木 勝利君    北側 義一君
      小濱 新次君    坂井 弘一君
      坂口  力君    鈴切 康雄君
      瀬野栄次郎君    田中 昭二君
      高橋  繁君    竹入 義勝君
      林  孝矩君    広沢 直樹君
      伏木 和雄君    正木 良明君
      松尾 信人君    松本 忠助君
      矢野 絢也君    渡部 一郎君
      安里積千代君    池田 禎治君
      受田 新吉君    内海  清君
      小沢 貞孝君    折小野良一君
      春日 一幸君    河村  勝君
      小平  忠君    小宮 武喜君
      佐々木良作君    竹本 孫一君
      玉置 一徳君    塚本 三郎君
      永末 英一君    宮田 早苗君
      和田 耕作君    渡辺 武三君
     ――――◇―――――
 日程第一 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
#34
○議長(前尾繁三郎君) 日程第一、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。社会労働委員長大野明君。
    ―――――――――――――
 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔大野明君登壇〕
#35
○大野明君 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、戦傷病者、戦没者遺族等の処遇の改善を図るため、障害年金、遺族年金等の額を引き上げるとともに、戦没者等の遺族に対して特別弔慰金を支給する等の措置を講じようとするもので、
 改正の第一は、障害年金、遺族年金及び遺族給与金等の額を恩給法に準じて増額すること、
 第二は、未帰還者の留守家族に支給する留守家族手当の月額を遺族年金の増額に準じて引き上げるほか、戦傷病者に対する療養手当等の額を政令で定めること、
 第三は、日華事変以後に死亡した戦没者の遺族で、公務扶助料、遺族年金等の支給を受けている者がいないものに、特別弔慰金として額面二十万円の国債を支給すること、
 第四は、特別給付金の支給範囲を拡大し、昭和四十九年の戦傷病者戦没者遺族等援護法の改正により、新たに、遺族給与金または障害年金等を受けるに至った者にも、それぞれ特別給付金を支給すること
 等であります。
 本案は、二月十二日付託となり、二月二十七日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、本案は原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#36
○議長(前尾繁三郎君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 日本国と中華人民共和国との間の
  海運協定の締結について承認を求めるの件
#38
○議長(前尾繁三郎君) 日程第二、日本国と中華人民共和国との間の海運協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長栗原祐幸君。
    ―――――――――――――
 日本国と中華人民共和国との間の海運協定の締
  結について承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔栗原祐幸君登壇〕
#39
○栗原祐幸君 ただいま議題となりました日本国と中華人民共和国との間の海運協定の締結について承認を求めるの件につき、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本協定は、昨年七月以来、日中両国政府の問で海運協定を締結するための交渉を行ってまいりました結果、案文について合意に達しましたので、昭和四十九年十一月十三日、東京において署名されたものであります。
 協定の主な内容といたしましては、一九七二年九月二十九日の日中両国政府の共同声明に基づき、平等互恵の原則に従って、日中両国間の海運の分野における関係を発展させることを目的とするものでありまして、両締約国の船舶が相手国の開港に出入する権利、港に関する規則及び手続等、港における待遇、船舶乗組員の出入国、海難救助等に関する事項について相互に最恵国待遇を与えることとしておりますほか、両締約国船舶の国籍の認定、積量測度証書の相互承認等の事項について規定しております。
 本件は、二月七日外務委員会に付託、二月十日、宮澤外務大臣から提案理由の説明を聞き、質疑を行いましたが、詳細は会議録により御承知を願います。
 かくて、二月二十八日質疑を終了し、採決を行いました結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#40
○議長(前尾繁三郎君) 採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
     ――――◇―――――
#42
○羽田孜君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、日程第三とともに、内閣提出、相続税法の一部を改正する法律案を追加して、両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#43
○議長(前尾繁三郎君) 羽田孜君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 日程第三 入場税法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#45
○議長(前尾繁三郎君) 日程第三、入場税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長上村千一郎君。
    ―――――――――――――
入場税法の一部を改正する法律案及び同報告書相続税法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号。に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔上村千一郎君登壇〕
#46
○上村千一郎君 ただいま議題となりました二つの法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、入場税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、最近における入場税負担の現状に顧み、映画の免税点を千五百円に、演劇等の免税点を三千円に、それぞれ引き上げ、その負担の軽減を図るとともに、現在、五%及び一〇%となっております税率について、これを一本化し、催し物の種類にかかわらず、一律一〇%に改めるほか、所要の規定の整備を行おうとするものであります。
 本案につきましては、去る二月二十六日質疑を終了いたしましたが、同二十八日、佐藤観樹君外三名から、日本社会党、公明党、民社党の三党共同提案により、映画、映劇等の免税点を一万円に引き上げる旨の、また、小林政子君から、日本共産党・革新共同の提案により、入場税を廃止し、暫定的に競馬、競輪等に対する課税のみを残す旨の修正案が、それぞれ提出されました。
 次いで、これらの各案について採決を行いましたところ、両修正案は少数をもって否決され、よって、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案につきましては、全会一致をもって附帯決議を付することに決定いたしましたが、詳細は会議録に譲ります。
 次に、相続税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、最近における相続税及び贈与税の負担の状況に顧み、配偶者を中心として負担の軽減を図るとともに、制度の整備合理化を図ろうとするものであります。
 第一に、相続税負担の一般的な軽減でありまするが、相続税を課税するに当たって遺産から控除する額を、定額控除にあっては、現行の六百万円から二千万円に、法定相続人比例控除にあっては、現行の百二十万円から四百万円に、それぞれ引き上げることといたしております。
 なお、その際、従来の配偶者控除は、次に申し上げる配偶者の負担軽減措置に吸収することとしております。この結果、相続税の課税最低限は、配偶者を含む法定相続人五人の場合、現行の千八百万円から四千万円に引き上げられることになります。
 第二に、相続税の税率につきまして、その適用区分を拡大することにより、負担の軽減を図るとともに、最高税率を現行の七〇%から七五%に引き上げることにより、相続財産が高額な場合における課税を強化することといたしております。
 第三に、配偶者に対する相続税負担の軽減でありまするが、配偶者の相続財産について最高三千万円まで非課税とする現行制度を抜本的に拡充し、その取得した財産のうち、遺産額の三分の一相当額か四千万円のいずれか高い金額まで相続税を非課税とすることといたしております。
 第四に、贈与税につきましても負担の軽減を行うこととし、その基礎控除を現行の四十万円から六十万円に、居住用財産についての配偶者控除を現行の五百六十万円から一千万円に、それぞれ引き上げるほか、税率につきましても、相続税の税率に合わせて所要の調整を図ることといたしております。
 以上のほか、相続税の障害者及び未成年者控除の引き上げを行い、また、死亡退職金及び死亡保険金の非課税限度の引き上げを行うとともに、重度の心身障害者に対する贈与税の非課税制度を創設する等の措置を講ずることといたしております。
 本案につきましては、去る二月二十六日質疑を終了いたしましたが、本四日、佐藤観樹君外二名より、日本社会党、公明党、民社党の三党共同提案に係る修正案が提出されました。
 その内容は、相続税における配偶者の負担軽減措置のうち、遺産総額の三分の一の非課税限度について最高一億円の限度を設けるとともに、贈与税の配偶者控除について、その適用要件である婚姻期間二十年以上を十年以上に短縮しようとするものであります。
 次いで、採決を行いましたところ、修正案は少数をもって否決され、よって、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案につきましては、全会一致をもって附帯決議を付することに決定いたしましたが、詳細は会議録に譲ります。以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#47
○議長(前尾繁三郎君) これより採決に入ります。
 まず、日程第三につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#48
○議長(前尾繁三郎君) 起立多数へよって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、相続税法の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#49
○議長(前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#50
○議長(前尾繁三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後七時四十三分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  三木 武夫君
        法 務 大 臣 稻葉  修君
        外 務 大 臣 宮澤 喜一君
        大 蔵 大 臣 大平 正芳君
        文 部 大 臣 永井 道雄君
        厚 生 大 臣 田中 正巳君
        農 林 大 臣 安倍晋太郎君
        通商産業大臣  河本 敏夫君
        運 輸 大 臣 木村 睦男君
        郵 政 大 臣 村上  勇君
        労 働 大 臣 長谷川 峻君
        建 設 大 臣 仮谷 忠男君
        自 治 大 臣 福田  一君
        国 務 大 臣 井出一太郎君
        国 務 大 臣 植木 光教君
        国 務 大 臣 小沢 辰男君
        国 務 大 臣 金丸  信君
        国 務 大 臣 佐々木義武君
        国 務 大 臣 坂田 道太君
        国 務 大 臣 福田 赳夫君
        国 務 大 臣 松澤 雄藏君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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