くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第075回国会 本会議 第21号
昭和五十年五月二十一日(水曜日)
    ―――――――――――――
  昭和五十年五月二十一日
    午後二時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 三木内閣総理大臣の憲法問題についての発言
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
   午後五時二十四分開議
#2
○副議長(秋田大助君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 内閣総理大臣の発言(憲法問題について)
#3
○副議長(秋田大助君) 内閣総理大臣から、憲法問題について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣三木武夫君。
    〔内閣総理大臣三木武夫君登壇〕
#4
○内閣総理大臣(三木武夫君) 稻葉法務大臣が、五月三日、自主憲法制定国民会議に出席したことは、たとえ本人が個人の資格のつもりで行ったことであっても、閣僚の地位の重さからして、その使い分けには無理があり、閣僚の行動としては、慎重を欠いたと言わざるを得ない。
 また、五月七日、参議院決算委員会における発言は、国の最高法規である憲法の持つ重要性にかんがみ、不適当な発言であり、はなはだ遺憾である。
 私も稻葉法相に対し厳重に注意をしたが、法相自身もこれらの点を深く反省し、今後は十分その言動を慎むと誓約している。
 三木内閣の閣僚が憲法改正を推進する会合に出席することは、憲法改正をしないという内閣の方針について誤解を生ずるおそれがあるので、三木内閣の閣僚である限りは、今後は出席させない。
 自民党は、結党時の政綱において、憲法の自主的改正を図ることにしているが、三木内閣は国会でもしばしば言明しているとおり、憲法改正を行わない方針である。したがって、改憲運動のリーダーシップをとることはない。
 現行憲法は、高い理想を掲げて現実政治の向こうべき目標を設定していることは、すぐれたものと思う。
 三木内閣としては、現行憲法の理想を政治の上に一層具現していくよう、最大の努力を払う決意である。
 なお、憲法記念日については、憲法の施行を記念し、国の成長を期すという記念日の趣旨に沿って、内閣の責任において、意義ある記念行事を行う。
 以上をもって私の発言を終わります。(拍手)
     ――――◇―――――
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)の趣旨説明
#5
○副議長(秋田大助君) 内閣提出、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣坂田道太君。
    〔国務大臣坂田道太君登壇〕
#6
○国務大臣(坂田道太君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。
 これは、自衛官の定数を、海上自衛隊五百十七人、航空自衛隊三百三十六人、計八百五十三人増加するための改正でありまして、海上自衛官の増員は、艦艇、航空機の就役等に伴うものであり、航空自衛官の増員は、航空機の就役等に伴うものであります。
 次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。
 これは、航空自衛隊第三航空団の司令部の所在地を愛知県の小牧市から青森県の三沢市へ移転するものでありまして、当該部隊の任務遂行の円滑を図るためであります。
 以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 防衛庁一設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#7
○副議長(秋田大助君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。上原康助君。
    〔上原康助君登壇〕
#8
○上原康助君 私は、ただいま趣旨説明がなされました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対し、日本社会党を代表して、三木首相並びに関係閣僚に、わが国の外交、防衛の基本にかかわる幾つかの点について質問いたします。
 最初に、政府の外交姿勢について、総理並びに外務大臣にお尋ねいたします。
 三木総理、あなたは、今国会の施政方針演説の中で、「善隣友好がわが国外交の重要な柱であることは申すまでもありません。」と強調しておられます。しかし、歴代の自民党政府はもとより、三木内閣が真の善隣友好外交政策をとっているとは決して言えないのであります。
 なぜならば、自民党政府は、憲法の精神に基づいて、わが国が本来進むべきである非武装、平和、中立外交の道をとらずに、戦後の冷戦思考で打ち固められた日米安保体制至上主義に固執し、常にわが国を米国の反共防衛のとりでとし、米軍の実質的な基地の自由使用を認め、インドシナへの侵略的軍事介入に積極的に協力加担する態度しかとってこなかったし、いまなおその姿勢をとり続けているからであります。
 ところが、いまや、米帝のアジア侵略の野望は、民族の解放と独立、平和を求めるカンボジア、ベトナム人民を主軸とする戦いによって完全に打ち砕かれ、米軍はインドシナで敗退し、その他のアジアの諸国からも次々と撤退せざるを得ない立場に追い込まれております。まさに、戦後の冷戦構造と米国のドミノ理論は音を立てて崩壊しているのであります。
 その結果、米国離れは世界的に広がりつつあり、特に日本と韓国を除くアジアの諸国は、この歴史的な新しい潮流に沿って、すでにタイ政府は米軍の全面撤退を取りつけ、現に、タイ国からの米軍の行動展開を拒否する強固な態度をとっているのであります。また、その他のASEAN諸国も米国との軍事協力関係を次第に断ち切って、非同盟、中立の外交姿勢をとりながら結束を図りつつあります。
 それに反してわが日本は、米国との軍事提携を一段と強め、ニクソン・ドクトリンにますますめり込んでいく態度しかとっておりません。
 政府は、いまこそ発想を転換し、新しいアジアの情勢に対応していく外交政策を樹立する考えは全くないのか、三木総理の確たる所見を伺っておきたいのであります。(拍手)
 次に、事前協議についてお尋ねいたします。
 これまでもしばしば問題になってきたことでありますが、最近のマヤゲス号事件をめぐって、カンボジアに新たな武力介入を展開した米海兵隊が、沖繩から直接出動していったことは、米軍自体が認めており、否定できない事実であります。これらは明らかに、「戦闘作戦行動のための基地として、日本国内の施設及び区域の使用」に該当するものであり、事前協議の対象となるべき一例であります。
 この件で、米側から事前の申し入れがあったのか、それとも、政府は、沖繩基地からの米海兵隊のこのような直接出撃による戦闘展開も、協議の必要などないという立場をとっておられるのか。もしそうだとすれば、事前協議制は、わが党がたびたび指摘してきたように、日米両政府合作によるインチキきわまる空文でしかないことを、改めて天下に暴露したものと言わなければなりません。
 今回のことを含め、事前協議のあり方について、総理並びに外務大臣の明確な見解を求めるものであります。
 次に、外務大臣にお伺いいたします。
 あなたは、先月訪米して、米国首脳との会談で、一九六九年十一月の佐藤・ニクソン共同声明の中のいわゆる韓国条項を再確認し、韓国のファッショ的朴軍事政権へ従来にも増して積極的なてこ入れを図ることを約束したのではありませんか。
 すなわち、韓国の安全を維持するため日本政府の協力を惜しまないとして、有事の際、沖繩、岩国などの米軍基地の自由使用を認め、非核三原則にとらわれずに、わが国への核持ち込みにも反対はしないとの新たな約束が取り交わされたとのことであります。
 このことは、きわめて重大と言わなければなりません。日本政府が惜しまないとする協力の内容を、具体的に国民の前に明らかにしていただきたいのであります。
 さらに、あなたは、今月末パリで開かれるIEAとOECD閣僚会議に出席の際にも、米国務長官と対韓政策を重点に話し合いが持たれるとのことでありますが、外務大臣の朝鮮問題に対する認識と、基本的な考えをあわせてお聞かせ願いたいのであります。
 次に、韓国条項の再確認との関連で総理の見解を求めておきます。
 政府は、もし朝鮮半島で不測の事態が起きた場合、わが国にある米軍基地を再び朝鮮半島への発進攻撃基地として使用させ、航空機あるいは艦艇による核兵器の持ち込みを、一時的にせよ認めるのか、それとも拒否するのか、三木総理の確たる答弁をいただいておきたいのであります。
 そして、私は、当面の外交課題で三木内閣に強く要求したいことは、アジアの平和を確保するため、一九七二年の日中共同声明を基礎にして、日中平和友好条約を速やかに締結することであります。また、アジアで成立した新政権との外交関係を一日も早く樹立し、善隣友好の平和外交を積極的に進めていくことであります。
 特に配慮すべきことは、金大中事件さえうやむやにしたまま日韓閣僚会議を再開したり、朴政権への一方的な加担を直ちに取りやめ、朝鮮民主主義人民共和国との友好親善を促進し、南北朝鮮の自主、平和、統一を図るための発想の転換こそ、国民の負託にこたえ、歴史の趨勢に逆らわない国際信義にかなう道理だと信ずるが、三木総理の決意のほどを伺っておきたいのであります。(拍手)
 次に、防衛問題についてお尋ねいたします。
 わが国の自衛隊は、時の政府権力が、米国のアジア戦略に組み込まれながら、憲法をなしくずしに拡大解釈して、なりふり構わぬ形で増強に増強を重ねて今日に至っております。その意味で、自衛隊は戦後の冷戦構造の遺物であり、わが党が一貫して主張してきたように、憲法違反の軍隊であることは疑いの余地はありません。
 そのあかしとして、長沼ナイキ基地をめぐる裁判で、一九七三年九月七日、札幌地裁は次のように明快な判決を下しております。
 すなわち、「憲法九条の解釈は、憲法の前文の永久平和主義に従ってなされねばならない。九条は、一項で侵略戦争を放棄し、二項で戦争の危険を根絶するために、自衛力を含めた一切の軍備、戦力を放棄し、かつ、交戦権をも否認した。陸上、海上、航空各自衛隊は、現在の規模、装備、能力から見て、憲法九条二項に言う「陸海空軍」に該当し、違憲である。自国防衛のためという理由は、軍隊ないし戦力であることを否定する根拠にはならない。」と、自衛隊が憲法違反の軍隊であることを明々白々と論破しているのであります。
 しかるに自民党政府は、裁判所のこのような判決を一顧だにせず、五兆円余をかけて四次防を強行し、さらにポスト四次防に着手するなど、自衛隊は際限なく肥大化していくばかりであります。アジアを含む世界の情勢が、対決の時代から対話と平和の時代へと大きく転換している中で、また、国民大衆は、インフレ、不況、高物価、低福祉、住宅難に苦しんでいるというのに、なぜわが国だけが軍備の拡大強化に一段と力を入れねばならないのか、政府は、国民のこの疑念に全くこたえていないのであります。
 そこで私は、総理並びに防衛庁長官に、次の諸点についてお尋ねするものであります。
 その第一点は、当面、わが国に対して差し迫った軍事的脅威は全く予測できないにもかかわらず、なぜ従来の方針に固執して、自衛官の増員、防衛力の増強を図っていかねばならないのか、その背景と理由を明らかにしてほしいのであります。また、アジアの新情勢に対応していく防衛構想及び政策などを再検討するのか、あわせてお聞かせを願いたいのであります。
 その第二点は、四次防と、その後の防衛力整備計画との関係についてであります。すなわち、ポスト四次防は、四次防プラス第五次の防衛力整備計画なのか、ローリング方式をとるのか、明確にしてほしいと思います。また、伝えられているように、四次防の達成は断念したのか、断念したならば、どのような面を断念したのか、お示しをいただきたいのであります。
 その第三点は、四次防及びポスト四次防が想定する軍事的脅威とは、一体いかなるものなのか、また、仮に四次防及びポスト四次防が達成されたとすると、政府が言う、わが国の独立と平和を確保するに足る防衛体制は確立されることになるのか、御見解を求めておきたいのであります。
 その第四点は、なぜ特に海空の装備の能力の増強に力を入れるのかということであります。
 四次防及びポスト四次防で計画されている艦艇、航空機などの大型化、近代装備等が達成されると、海空の装備力と行動範囲はとてつもなく拡大され、政府がこれまで主張してきた専守防衛論とは一層矛盾するばかりか、憲法の限界をはるかに越えた、他国に脅威を与える戦力となることは必至であります。特に、機種の選択で火花を散らしている次期主力戦闘機の性能、攻撃能力から見て、このことは一段と明白であります。政府として、そうはならないという歯どめと保障がどこにあるのか、明確にお示しをいただきたいのであります。
 その第五点は、シビリアンコントロールの確立についてであります。政府は、これまで一貫して、防衛政策等の秘密主義と閉鎖的な自衛隊づくりに狂奔してきました。その具体例が、小西裁判で見られたように、軍事機密の保持ということを口実に、裁判所の要求する資料提出に応じなかったことや、幹部隊員によるクーデター研究、隊員の思想調査、教範の内容等に如実にあらわれており、自衛隊が、明らかに政治権力支配を目指す武装集団化しつつあることを見ても明らかであります。この動向は、軍隊特有のシビコン否定の危険信号だと言わねばなりません。
 したがって、政府は、今日までの防衛問題に関する秘密主義をなくし、兵器産業との癒着や、制服主導の防衛政策等を抜本的に改め、国民が必要とする資料及び情報等を進んで提供し、憲法の精神を前提としたシビリアンコントロールを不動のものとして確立すべきであります。総理並びに防衛庁長官の決意のほどを伺っておきたいのであります。(拍手)
 次に私は、沖繩問題に若干触れてみたいと思います。
 復帰して満三年を迎えた沖繩は、県民が復帰に託した期待はことごとく裏切られ、農業破壊、局地的な不況とインフレ、物価高、失業など本土の比ではなく、県民生活は復帰前にも増して苦しい状況に追い込まれております。とりわけ、復帰をしても、基地の島沖繩というイメージは何ら変わらず、県民の生活道路を封鎖しての米海兵隊の実弾射撃訓練、海水浴をしようとする女子中学生への暴行事件、伊江島での青年狙撃事件など、米兵による悪質犯罪が続発しているありさまであります。
 しかるに、政府は、極悪非道のこれらの米兵犯罪を県民側に立って解決しようとはせず、安保条約、地位協定を盾に、当然わが国が行使すべき裁判権を放棄したり、犯人引き渡しを要求しなかったばかりか、米軍の駐留を認めている以上、犯罪があってもやむを得ないとか、銃砲による殺傷事件もさほど悪質なものではないなどと、米兵犯罪をむしろ正当化するかのような言動しかとっていないことは、言語道断であり、断じて許すことはできないのであります。(拍手)
 一事が万事、屈辱的日米安保条約と地位協定に縛られて、国民の基本的人権が不法不当に侵害されても、犯人の逮捕や裁判権さえ正当に行使することができないとあっては、わが国の主権にかかわる重大問題だと言わねばなりません。諸悪の根源は、まさに軍事基地の存在であり、日米安保条約を堅持し、軍事優先の政策をとっている政府の政治姿勢にあると言わねばなりません。
 私は、一連の米軍演習と犯罪に対して政府がとってきた態度に、百万県民にかわって強く抗議し、政府に一大反省を求めるとともに、この種の米兵犯罪に対する政府の今後の心構えと、山積している沖繩の諸問題にどう対処していくおつもりなのか、三木総理並びに外務大臣の所見を伺っておきたいのであります。(拍手)
 最後に、沖繩を今日の状況に追い込んでいるのも、自衛隊が際限なく肥大化していくのも、平和憲法を無視して、安保条約至上主義をとってきた三木内閣を含め、歴代の自民党政府の反動的政治姿勢にあると断ぜざるを得ません。したがって、現行憲法に欠陥があるのではなしに、憲法を守り、それを忠実に履行しようとしない自民党政府こそ、ブレーキのきかない欠陥車であって、改めるべきは政府・自民党の政治姿勢そのものであります。いかなる理由があろうとも、軍国主義復活につながる自衛官の増員と防衛力を増強していくことに同意できるものではありません。これはまた、国民の強い要求でもあります。
 三木総理、社会的不公正を本気で是正したいならば、国民生活と関連する福祉政策に巨額の防衛費を振り向け、内政の充実を図ることこそ、三木内閣の使命であることを強く指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣三木武夫君登壇〕
#9
○内閣総理大臣(三木武夫君) 上原君の御質問にお答えをいたします。
 三木内閣は、善隣友好の外交を進めてまいるということは、現在においても、将来においても変わりのないことでございます。
 また、日米安保条約を廃棄すべきであるという御見解であります。
 日米の友好協力関係を維持していくことは、日本外交の基本であります。日米協力と安全保障条約は、その条約の名に示すがごとく、日米間の広範な協力関係を規定しておるものでございまして、日米間の重要な条約をなすものでございますから、これは政府としては堅持していく考えでございまして、上原君と見解を異にするものであります。
 また、インドシナの新情勢についていろいろお話がございました。
 インドシナの新情勢がアジア全体にいかなる影響を与えるか、これはやはりもう少し情勢を見きわめる必要もございますが、当面、直ちに周辺地域に混乱と不安定をもたらすことはないと考えております。
 しかし、アジア地域全体の安定を図るためには、アジア諸国の経済的な、社会的な基盤を強化することが必要であります。日本としては、アジア諸国が、経済的にも社会的にも、その基盤の強化に向かって、できる限りの協力をしてまいる考えでございます。このことが、善隣友好外交のきわめて重要な側面であると考えておる次第でございます。
 また、朝鮮半島についていろいろ御質問がございました。
 日本の念願は、最も近接しておる朝鮮半島が、平和と安定を維持するということを切に願うものございます。大規模な武力衝突が起こるようなことのないように、日本もできる限りの外交的努力を傾けたいと考えております。われわれは、一九七二年の南北共同声明によって、南北双方が統一三原則に合意したことを高く評価して、両当事者を初め関係国のすべてが、この共同声明の精神に沿うて平和的解決ができることを非常に希望をするものでございます。
 また、朝鮮半島に有事の際というお話でございました。
 そういう場合の事前協議の対象につきましては、そのことが、わが国の安全にとって、安全々確保する見地からどういう影響があるかということを判断して、事前協議に臨むものでございます。
 また、防衛力の問題については、防衛庁長官からお答えをいたすことにいたしますが、とにかく、国の安全を確保するということは、政府の国民に対して持っておる最も厳粛な任務の一つでございますから、われわれとしては、上原君のような非武装中立というような考え方は持っていないわけです。国の安全を守るためには最善を尽くしたい。最小限度の自衛力を維持し、さらに、日米安保条約によって、日本の安全を確保していきたいという考えでございます。
 そういうものをやめて国民の福祉を、ということでございましたが、これは、そういう国の安全の基礎の上にこそ、国民の福祉は成り立つものしいう見解でございます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#10
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆるマヤゲス号の事件に関しましては、米国からは詳細に事情を聞いておりますけれども、カンボジア側からはそのような機会はございませんために、厳格に事態を規定することは困難でございますけれども、米国が自国民及び自国船を保護するために、救済のために行動に出たというふうに推定をせられます。
 そうして、それに関して沖繩から海兵隊が進発をしたということでございますが、その海兵隊は、沖繩の基地から他の海外の基地、恐らくタイ国と推定せられますが、そこへ移送をされたのであります。そのような事情を総合して判断いたしますと、いわゆる直接の戦闘行動に沖繩から出たとは考えられません。したがいまして、そのことが事前協議の対象になるというふうには、政府は考えておりません。
 次に、韓国の問題でございます。
 四月に、私がアメリカのキッシンジャー長官と会談をいたしました際に、ただいま上原議員の仰せられるところによりますと、いわゆる韓国あるいは朝鮮半島に非常の事態が起こった場合に、政府はわが国の基地の自由使用を認めるということを約束したのではないか、あるいは、非核三原則に反する約束をしたのではないか、こういうお尋ねでございますが、そのような事実は全くございません。これらは、すべて日米安保条約及び付属協定に伴う特別の義務をアメリカ側に課しておるわけでありまして、そのようなことを軽々しく解除をするといったようなことを、私がいたすはずはございません。したがって、今月末に予定せられておりますパリにおけるキッシンジャー長官との会談でも、もちろん同様なこと、要求があるとも思いませんし、また、そういうことを申すつもりは毛頭ございません。
 ただ、この韓国条項、いわゆる一九六九年の佐藤・ニクソン共同声明において、韓国の安全は日本の安全にとって緊要であると述べられた部分について、ワシントンにおける内外共同記者会見において、どう思うかという質問がございました。私は、これに対して、現在も私はそのように考えておると申しました。ただいまもそのように考えております。
 沖繩の問題につきましてお尋ねでございました。
 日米安全保障条約上、沖繩県民が、特に他の県民に比して重い負担を負っておられることに、私ども常に同情と、何らかの改善をしなければならないということを考えております。いわゆる基地の整理統合について、日米間に具体的に話し合いが進んでおりますことは、御承知のとおりであります。それにもかかわらず、最近起こっておりますような事件はきわめて遺憾なことでありまして、つい先日も、在京の米大使を招致いたしまして、特に軍紀の振粛維持について、米国政府の注意を喚起いたしたところであります。ただ、これらの事件は、具体的には、地位協定その他日米両国の法令に従いまして、一法定のもとに裁かれつつありますことは、御承知のとおりでございます。(拍手)
    〔国務大臣坂田道太君登壇〕
#11
○国務大臣(坂田道太君) 上原君にお答えを申し上げます。
 憲法第九条は、主権国として持つ固有の自衛権までも否定しておるものではございません。したがいまして、この自衛権の行使を裏づける必要最小限度内の防衛力の保持は、同条の禁止するところではございません。自衛隊はまさにその限度内の防衛力でありますから、違憲ではないというのが、従来からの政府の見解でございますし、長沼第一審判決が出たことによって、これを直ちに改める考えはございません。
 もちろん、下級審の判決として、自衛隊違憲という裁判所の判断が下されたという事実は認識しておりますが、しかし、国政の責任を負う立場にございます政府といたしましては、防衛力の整備は、わが国の平和と安全を維持し、その存立を全うするためにゆるがせにできない事柄であることにかんがみ、これについての従来からの方針を変更する考えはございません。
 アジアの新情勢に対応していく防衛構想及び防衛政策を、どのように再検討するかというお尋ねでございます。
 アジアをめぐる情勢につきましては、最近のインドシナ情勢の急激な変動が周辺地域にどのような影響を与えることになるか、その推移を十分見きわめる必要があると考えておりますが、当面、わが国については、差し迫った具体的な軍事的脅威が顕在化する可能性は少ないと判断いたしております。基本的には、四次防策定時と変わりないものと考えます。
 また、国内的には、経済、財政事情の変化等、防衛問題をめぐる環境は厳しさを加えております。わが国の防衛力はあくまでも自衛のためであって、紛争を抑止することが第一義であることに変わりはございませんが、このような状況を踏まえて、種々の角度から防衛力のあり方について見直すことは必要であると考えております。
 このため、さきに事務当局に対しまして、ポスト四次防の防衛庁案の作成に着手するよう私から指示したのでございますが、その作業開始に当たりまして、当面必要な作業方針にとどめ、以後、逐次、何回かに分けて行うことといたし、これらの見直し作業は、防衛を考える会等、広く識者の意見を聞くとともに、適当な機会に国防会議に諮りたいと考えており、さらに、今後の防衛問題については、広く国民の理解を求め、コンセンサスを得る必要があるため、計画策定の各過程において、適宜防衛庁の考え方を国民に問いかけながら、内容を固めていく方法をとりたいと考えております。
 ポスト四次防の問題についてでございます。
 ポスト四次防において整備すべき防衛力については、今後の検討を経まして決定する問題でございまして、現段階では申し上げられませんが、いずれにいたしましても、質的な向上に重点が置かれまして、大幅な増強は困難なものと考えております。
 また、防衛力整備計画の方式といたしましては、固定方式、ローリング方式等について種々の角度から検討を進めておりますが、最終的にどのような方式をとるかは、今後の検討をまって決定したいと考えております。
 四次防の達成は断念したのか、断念した場合、どのような装備を断念するのか、明確に示せというお尋ねでございます。
 わが国は、国力、国情に応じ、自衛のために必要な限度において効率的な防衛力を漸進的に整備することとし、四次防もその一環として策定したものでございますから、四次防の最終年度である五十一年度におきましては、四次防の総仕上げを図り、その目標達成に努めるべき年でございます。しかしながら、四次防の進捗状況は、四十八年度以降における経済財政事情の大幅な変動により相当のおくれが認められ、また、最近の諸情勢を考慮いたしますと、五十一年度においてこのおくれを完全に回復することは困難な状況と判断されます。
 したがいまして、五十一年度の業務計画作成に当たりましては、このような現実を踏まえて、推進すべき事業の優先度を定めて、実質的な防衛力の整備に努めるよう、すでに陸海空各幕僚長等に指示したところでございますが、具体的にどの装備を断念することとなるかにつきましては、現在検討中でございます。まだ申し上げる段階ではございません。
 四次防及びポスト四次防の想定する軍事的脅威はいかんということでございます。
 四次防は、周辺海域の防衛能力、海上交通の安全確保能力及び重要地域防空能力の強化並びに各種の機動力の増強を重視しつつ、装備品の更新、近代化を図ること等として策定されたものでございます。特定の軍事的脅威を想定しているものではございません。
 なお、ポスト四次防は、現在防衛庁におきまして検討中でございますが、四次防と同様、特定の軍事的脅威を想定して策定するようなことは考えておりません。
 軍事的脅威は全く予測できないにもかかわらず、防衛力の増強や増員を図らなければならない理由いかんという御質問でございます。
 今日の国際情勢は複雑かつ流動的でございますが、緊張緩和を基調にして推移しつつあることにおいては変わりはございません。当面、わが国に対して差し迫った具体的な軍事的な脅威が顕在化する可能性は少ないというふうに考えております。
 しかし、現在の国際社会における安定化への努力は、集団安全保障体制を背景とし、軍事力の均衡の上に立って進められておるものでございますし、また、防衛力の建設には長期間を要しますので、そのときどきの情勢のいかんにかかわらず、万一の事態に備えて、平素から計画的にその整備に努める必要があると考えておる次第でございます。
 四次防及びポスト四次防が達成されると政府は言うが、わが国の平和と独立を確保するに足る防衛体制が確立できると思うのか、見解いかんということでございます。
 わが国は、国防の基本方針にのっとりまして、国力、国情に応じ、自衛力のため必要な限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備することとしております。四次防はその一環として策定されたものでございますが、四十八年度以降の経済財政事情の大幅な変動のため、その完全達成は困難な状況となっております。
 また、諸外国における装備の質的向上等を考慮すれば、たとえば、早期警戒機能の不備、航空基地、レーダーサイト等の抗たん性の不足、機動展開能力の不足等、わが国の防衛力については、なお整備すべきことがあると考えております。
 ポスト四次防の作成に当たりましては、これらの現状を十分認識した上で、各種の機能について欠陥のない防衛力の整備に配慮してまいりたいと考えておりますが、広く国民のコンセンサスを得られるようなものを固めたいと、種々検討いたしている段階でございますので、御指摘の点については何とも申し上げられないわけでございます。
 防衛上の資料は、国家の安全と利益に深くかかわっておりますものが多うございます。公開することが適当でないものもございますが、防衛に関する国民的コンセンサスを得るためには、いろいろな資料を広く国民に公開する必要があると考えております。国会審議上必要なものは、従来からできる限り提出をしてまいっておるところでございますが、今後もこの方針に変わりはございません。
 自衛隊は、国会、内閣及び隊務を統括する文民たる私の指示する基本方針に従ってその任務を全うするよう十分に管理されております。装備の選定等の重要問題につきまして、自衛官が独断で決定できるようにはなっておりません。シビリアンコントロールは十分徹底いたしておると考えております。(拍手)
#12
○副議長(秋田大助君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#13
○副議長(秋田大助君) この際、御報告いたすことがあります。
 永年在職議員として表彰された元議員森下國雄君は、去る七日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 同君に対する弔詞は、議長において去る十八日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は多年憲政のために尽力し特に院議をもつてその功労を表彰されさきに外務委員長建設委員長の要職にあたられた正三位勲一等森下國雄君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます
     ――――◇―――――
#14
○副議長(秋田大助君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後六時六分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  三木 武夫君
        外 務 大 臣 宮澤 喜一君
        国 務 大 臣 坂田 道太君
 出席政府委員
        内閣法制局第二 味村  治君
        部長
        防衛庁防衛局長 丸山  昂君
        外務省アメリカ
        局長      山崎 敏夫君
        外務省条約局長 松永 信雄君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト