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#1
第075回国会 本会議 第35号
昭和五十年七月三日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十八号
  昭和五十年七月三日
    午前一時開議
 第一 千九百七十四年七月五日にローザンヌで
    作成された万国郵便連合憲章の第二追加
    議定書、万国郵便連合一般規則、万国郵
    便条約及び関係諸約定の締結について承
    認を求めるの件(参議院送付)
 第二 石油備蓄法案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 三木内閣不信任決議案(不破哲三君外三名提
  出)
 日程第一 千九百七十四年七月五日にローザン
  ヌで作成された万国郵便連合憲章の第二追加
  議定書、万国郵便連合一般規則、万国郵便条
  約及び関係諸約定の締結について承認を求め
  るの件(参議院送付)
 日程第二 石油備蓄法案(内閣提出)
    午前一時二十三分開議
#2
○副議長(秋田大助君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○羽田孜君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、不破哲三君外三名提出、三木内閣不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略して、この際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#4
○副議長(秋田大助君) 羽田孜君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○副議長(秋田大助君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 三木内閣不信任決議案(不破哲三君外三名提
  出)
#6
○副議長(秋田大助君) 三木内閣不信任決議案を議題といたします。
 提出者の趣旨弁明を許します。不破哲三君。
    ―――――――――――――
 三木内閣不信任決議案
    〔本号(一)末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔不破哲三君登壇〕
#7
○不破哲三君 私は、日本共産党・革新共同及び公明党を代表し、ただいま議題となった三木内閣不信任決議案について、提案の趣旨を説明し、同僚諸君の御賛成を得たいと思います。(拍手)
 まず、決議案文を朗読いたします。
    三木内閣不信任決議案
  本院は、三木内閣を信任せず。
  右決議する。
    〔拍手〕
以上であります。
 昨年十二月、金権と反動の政治に対する国民的な非難の中で退陣した田中内閣の後を受けて、三木内閣が成立して以来、すでに約七カ月が経過いたしました。それまで、田中首相の金権政治を強く批判していた三木武夫氏が、総理となって内閣を組織したことに対して、少なからぬ国民が、国民の利益と民主主義を守る方向での一定の変化を期待したのは事実であります。三木首相自身も、議会政治の擁護や社会的不公正の是正などを唱えて、新しい政治の始まりをしきりに強調いたしました。
 ところが、三木内閣のこの七カ月の政治と行動は、この内閣が民主主義への攻撃という点でも、金権政治を支えとした大企業奉仕、国民生活破壊の政治という点でも、対米追従外交で国民の安全と主権を犠牲にするという点でも、田中前内閣と基本的には少しも変わらない内閣であること、そればかりか、歴代自民党内閣がやろうとしてやれなかった数々の反動的暴挙を強行して恥じない内閣であること、このことを事実によって証明したのであります。
 もはや、三木内閣の存続を認めることが、国民の基本的利益と両立し得ないことは明白であります。すでにお手元に配付した文書にも基本点を述べてありますが、私たちが三木内閣不信任案を提出した理由は、ここにあります。(拍手)
 以下、三木内閣の実際の政策と行動に照らして、不信任案の具体的な理由を説明いたします。
 三木内閣不信任の第一の理由は、この内閣が、国民の言論の自由を侵害する公選法改悪案によって、わが国の民主政治の根本、議会制民主主義の根幹に対してファッショ的な攻撃を加え、しかも、議会政治の当然の民主的ルールも無視して、あくまでこれを強行しようとしているところにあります。(拍手)
 言うまでもなく、民主的な選挙制度を確立し、保障することは、議会制民主主義によって国民主権を実現する上で、欠くことのできない基礎の一つであります。それは日本国憲法前文も、「日本國民は、正當に選擧された國會における代表者を通じて行動し、」と規定しているところであります。それだけに、戦後の日本の政治史の中で、政治の反動化を推進しようとする勢力と、国民主権、議会制民主主義の原則を擁護する勢力との闘争が、しばしば選挙制度改悪の問題をめぐって行われたのは、決して偶然ではないのであります。一昨年、田中内閣の小選挙区制の企てが、国民の民主的な世論と闘争の前に挫折したのも、その一つの典型的なあらわれでありました。
 しかるに、三木内閣は、田中前内閣のこの失敗から教訓をくみ取るどころか、その最初の施策の最重要問題として、選挙制度の反民主的な改悪にみずから乗り出し、公選法改悪案を国会に上程したのであります。しかも、その改悪案の中心が、選挙戦における言論、出版の制限、抑圧に置かれているだけに、事は一層重大であります。
 言論、出版の自由は、民主主義の魂とも言うべきものであり、憲法が厳粛に宣言した、日本国民の不可侵の権制に属するものであります。(拍手)
 政府はよく、選挙のときだけのことだと言って、言論抑圧を合理化しようとしていますが、選挙とは、そもそも主権者である国民が、その主権を最も実質的な形で行使する時期であります。国民一人一人が正しい選択をするためにこそ、言論、出版の自由が最も全面的に保障されなければならない時期であります。
 この選挙の際の言論にさるぐつわをはめようとすることは、民主主義に対する最も罪の深い攻撃であることを、まず指摘しなければなりません。(拍手)
 もともと、現行の公選法は、この面で緊急に改正すべき多くの反民主的な制限条項を持っています。候補者や政党の言論戦と政治活動への制限とか、一般の新聞や機関紙での選挙の報道、評論の規制とか、戸別訪問の禁止などの条項は、議会制民主主義をたてまえとする欧米のどの資本主義国にも例を見ないものであります。だからこそ、すでに一九五五年に都道府県選挙管理委員会連合会は、公選法の改正意見として、言論による選挙運動を原則として自由にすることを要望し、一九六七年の第五次選挙制度審議会答申も、言論や文書による選挙運動と政治運動の自由化を求めていたのであります。
 もし、三木首相が、みずから称しているように、議会の子として本当に議会政治を擁護する意思があるなら、この分野でなすべきことは、法律で定められた定数是正を直ちに無条件で実行することとともに、これらの要望や答申を具体化して、反民主的な制限条項の縮小と撤廃に踏み出すことにあったはずであります。(拍手)
 ところが、三木内閣はそれとは全く正反対の態度、選挙時の言論戦の抑圧を一層全面的なものにし、国民の批判を抑え、自民党の多数支配の温存を図るという暴挙に出たのであります。
 中でも、この改悪案が、第一に、選挙に関連した政党機関紙の号外発行を全面的に禁止し、しかも、何が違反文書で、何が違反文書でないかの境界線を国会に明示することもせず、そのときどきの政府と警察の一方的な判断で禁止の範囲を幾らでも広げられるようにしたこと、第二に、政治活動制限の対象を、従来の政治団体から政治活動を行う団体に広げ、選挙運動期間中の言論統制を、これまた警察の判定いかんで、労働組合、青年団体、婦人団体、業者団体から市民団体に至るまで、どんな団体にでも広げられるようにしたことは、きわめて重大であります。
 これは、選挙中の政治宣伝や言論活動一般を犯罪視するということであり、戦前、あの治安維持法下の暗黒時代にさえ例のない無法なやり方であります。これは、まさに、選挙における候補者や政党の政治活動の自由を封殺し、国民の知る権利を奪って、有権者の自由な意思表明を否定することにほかならないのであります。(拍手)
 しかも重大なことは、この言論抑圧が、自民党三木内閣による政治反動化の計画の終着駅では決してないということ、自民党三木内閣は、その延長線上に、小選挙区制や憲法改悪などを展望しているということであります。小選挙区制の計画については、政府や自民党首脳自身、その意図を何ら隠そうとしておりません。(拍手)
 憲法改悪問題についても、稻葉法務大臣の言動をめぐって政府の政治姿勢が追及されたとき、三木首相が約束をしたのは、現内閣は憲法改悪をしないという、自民党が衆参両院で三分の二以上の多数を持っていない現状では、まことに自明のことを約束したにすぎないのであります。そして三木首相は、名うての改憲論者である稻葉氏をそのまま法相の地位に据え続けたばかりか、自民党総裁として、自民党にファッショ的な憲法改悪の準備を中止させることは、何ら行わなかったのであります。われわれは、公選法改悪が、このような、議会政治の形だけは残しながら、政治の全面的な反動化を進めようとする、なし崩しのファッショ化計画の突破口となっていることを重視するものであります。(拍手)
 三木内閣が、この問題でとってきた態度は、まさに、国民の自由の圧殺者、議会制民主主義の破壊者としての行動であり、この一事だけでも、われわれは、三木内閣の今後の存続を容認することはできないのであります。(拍手)
 不信任の第二の理由は、三木内閣の政治姿勢、特に金権政治に対する態度の問題であります。
 田中内閣の退陣と三木内閣成立の経過からいっても、金権政治を打破する積極的な措置をとることが、国民に対して三木内閣が負った最大の責務の一つであったことは、改めて指摘するまでもないことであります。三木総理自身、総理になる前の昨年九月、雑誌中央公論誌上で、金権政治に政治腐敗の根源があることを力説し、これを打破するために、三つの具体策を提案しております。この提案は、この議場でもすでに何回か引用されておりますが、三木総理の国民への公約とその実行ぶりとの矛盾をはかる一つの物差し、一つの指標として、あえて私はもう一度引用したいと思います。
 三木総理は、この提案の一つとして、「企業は政治献金を行わず、個人献金として献金の額には限度を設けること」を主張し、しかもこのことについて、「迂遠な理想論にすぎないという人がいる。しかし、日本の政治的現実をみれば、迂遠であるどころか、これこそ、現実の問題を解決する最も実際的な理想である。」と述べて、その現実性を強調しました。また、その後に吹き出てきた田中金脈問題についても、三木総理は昨年十一月、違法性がなければ済むという問題ではない、この問題は国会ではっきり解明すべきだと述べ、国会で真相を徹底して究明することが、国民に対する当然の責任だという態度を表明していたのであります。
 これが、総理になる前に、政治家三木武夫が国民に示した公約であります。
 では、総理になってからの七カ月、三木内閣は金権政治打破の問題で何をやってきたでしょうか。
 それは、第一に、国民の非難の前に一時中断していた財界献金を、国民協会から国民政治協会へ看板を塗りかえただけで全面的に再開したことであり、各地の選挙で、田中内閣顔負けの企業ぐるみの選挙を繰り広げたことであります。(拍手)
 第二に、三木内閣は、田中金脈問題でも、総理自身の公約を捨て去り、いわゆる守秘義務を口実に、事の真相を国会に報告することを最後まで拒否し、結局、五月七日の国税庁当局による税務上の見直し調査の最終報告の発表という形で、真相をやみからやみへ覆い隠してしまったのであります。(拍手)
 そして第三に、三木内閣がこの問題で持ち出したのが、いま国会で論議されている政治資金規正法の改悪案であります。これは、総理みずからがやめるべきだと力説していた企業献金を、やめるどころか、最高一億五千万円まで法律で認めるというもので、金権政治の制限どころか、企業献金をこれまで以上に引き上げようとする、まさに金権政治奨励法案そのものであります。しかも、違憲の疑いの濃い労組献金をわざわざ法制化した上、派閥への献金は、百万円までは届け出を免除する、こういうことをやりながら、匿名寄付の禁止に名をかりて、これまで街頭や演説会場で公明正大に行われてきた国民一人一人の零細な寄付を、事実上禁止しようとする悪法であります。
 ここにも、大企業、財界の政治介入には大きく道を開きながら、国民の政治参加だけは抑圧をしようという金権的、反国民的な政治姿勢が、むき出しの形であらわれていることを指摘しなければならないのであります。
 これが、金権政治に対する三木内閣の実際の態度であります。この内閣が、金権政治打破というみずからの公約や国民の期待を真っ向から裏切り、財界と癒着した醜い金権政治をその最大の支えとしていることは、もはや疑問の余地のないところであります。(拍手)
 不信任の第三の理由は、三木内閣が、経済政策面でも大企業擁護、財界癒着の政策をそのまま引き継ぎ、そのことによって、戦後最大の不況とインフレが同時に進行する中で、国民の被害と苦しみをこの上なく大きくしていることであります。
 現在、わが国では、不況は長引き、失業者はふえ、中小企業の倒産は依然として激しく、消費者物価の十数%の上昇という異常な高騰が続いています。今日ほど、国民生活防衛の政治が求められているときはないのであります。
 ところが、三木内閣が、この国会で現在も力を入れている経済政策は一体何でしょうか。それは国民生活の防衛ではなく、たばこ、酒、郵便料金等の大幅値上げ法案であり、この成立を強行することで、物価値上げにさらに拍車をかけ、ただでさえ苦しい国民生活に一層の重圧を加えることであります。しかも、政府は、これだけで満足しようとはせず、引き続き消費者米価の値上げ、国鉄運賃の二倍引き上げ、電話料金の五割引き上げ等々、公共料金の際限のない引き上げに加えて、大衆課税である間接税を中心にした増税攻勢を新たにかけているのであります。これに、三木内閣が準備中の赤字公債の大増発、三木内閣が容認しているビール、砂糖、ガラス、鉄鋼、家庭用灯油、大手私鉄等々、大企業の価格、料金の値上げラッシュ、これらが重なるならば、これからの物価の激しい再上昇は必至と言わなければならないのであります。(拍手)
 現に、三日前に発表された毎月勤労統計調査を見ても、ことしの春闘の賃上げ分は、すでに物価値上げの波にのみ込まれ、五月の実質賃金は、前年同月と比べて三・六%も低下しています。政府の物価値上げ政策による国民生活の被害は、これからどれぐらい広がるか、まさにはかり知れないものがあります。
 さらに重大なことは、国民生活のこうした現状を目の前にしながら、三木内閣が、わが国の税制や財政、金融の、世界にも例のないと言われる大企業本位の仕組み、勤労者や中小企業には重い負担をかけ、大企業を優遇するという、高度経済成長政策のこの最悪の所産を、何一つ是正しようとはせず、反対に、その温存と拡大に努めてきたことであります。
 政府は、世界一流の大企業が、中小企業よりもはるかに税負担が軽いという、大企業に対する特権的減免税の仕組みにさえ、何ら手をつけませんでした。三木総理が公約した社会的不公正の是正は、全くほご紙とされているのであります。(拍手)
 公害問題でも、三木内閣は、国民の生命や健康より大企業の利益を重しとする大企業擁護、反国民の本性をあらわにしました。中公審の議論に対する自動車業界の不当介入が事実によって明らかになっても、つくられたその結論を平気でうのみにして、そして、自動車大企業に対する排ガス規制を後退させる、日本の公害犯罪史上の代表的存在であるチッソに対して、その救済のために、事もあろうに、開銀融資を実行する。こういうように、三木内閣の公害対策なるものは、まさに国民を愚弄するものと言うべきであります。(拍手)
 不況対策についても、事態は全く同様であります。二度にわたる公定歩合の引き下げ、三次にわたる不況対策など、三木内閣がいま全力を挙げている景気回復促進策なるものは、財界の注文と要望にこたえたもので、失業の増大や中小企業の激しい倒産は放置しながら、少数の大企業に直接大きな利益を与えようというものであります。それはまた、この面からも、物価の上昇を再び推し進めようというものであります。
 しかも、その一方、不況とインフレのはさみ打ちで深刻になっている地方自治体の財政危機に対しては、これまで不当な超過負担などで困難を押しつけてきた政府自身の責任を反省するどころか、もっぱら福祉と住民サービスの切り下げ、手数料や公営企業料金の引き上げ、自治体職員への犠牲転嫁など、住民と労働者の負担で解決せよと迫り、この分野でも、国民生活への圧迫を大きくしようとしていることは、見過ごすことのできない問題であります。(拍手)
 大企業の横暴を抑えるための独禁法改正についても、政府は、経団連の要望をそのまま政府の方針として、その骨抜きを図りました。それが強い世論の批判を受けると、修正要求を一部取り入れて、ある程度前進的な内容の改正案を衆議院で通過させましたが、実際には、現時点での参議院の現状に見られるように、参議院で事実上これを葬り去り、ここでも、結局のところは財界への忠誠を尽くそうとしているのであります。(拍手)
 すべて、これらのことは、三木内閣が大企業擁護、財界との癒着という点で、歴代自民党内閣と全く同質、同性格の内閣であることを、事実で証明したものであります。
 五月に開かれた経団連総会に三木首相自身が出席をし、大企業本位の景気刺激策を求めた財界側の要求にこたえつつ、自民党に対する財界の従来どおりの支援を直接要請したことは、三木内閣と財界の、国民に背を向けた癒着の実態をまざまざと象徴したものであります。三木首相は、財界に政治献金を要請する、財界は、その見返りとして、自分たちに高利潤を保障する政策をとるよう三木内閣に要求する、この姿こそ、大企業本位の政治の腐敗の極致とも言うべきものであります。われわれが、国民の利益のために三木内閣の存続を認めることができないゆえんも、まさにここにあるのであります。(拍手)
 三木内閣不信任の第四の理由は、この内閣が対米追従外交によって、日本の主権と国民の安全を犠牲にし、なかんずく、日本を核戦争に導くおそれのある、きわめて危険な道を進んでいることであります。
 ここで私が、日本の国民の死活の利益の問題として強調したいのは、アメリカのフォード政権の核戦略に対する三木内閣の支持と協力の問題であります。
 インドシナでの敗北後、フォード政権がとっている核戦略は、そのむき出しの凶暴さで世界を驚かせています。シュレジンジャー国防長官は、だらだらと軍事行動に巻き込まれるのではなく、直ちに相手の心臓部をたたくことがベトナム戦争の教訓だと言い、そのためには、ヨーロッパでも朝鮮半島でも、アメリカから先に核兵器を使うことも辞さないということを繰り返し発言をしております。この六月二十五日には、フォード大統領が記者会見で、アメリカは核兵器の使用に当たって最大限の柔軟性を保持する、つまり、相手が核兵器を使わない場合でも、アメリカの側から先制的に核兵器を使用することがあり得るし、これがアメリカの基本戦略だということを、公然と世界に宣言したのであります。
 この核の先制使用という考えは、これまでもアメリカの戦略の中に含まれていましたが、今度のように、アメリカの方から核戦争を始めるということを、むき出しの形で天下に公言したのは、戦後三十年、六代にわたる大統領の中でフォード政権が初めてであります。
 しかも、私たち日本の国民が見過ごすわけにいかないのは、フォード政権が、この危険な核戦略の極東での焦点を朝鮮半島に定め、日本と韓国を軍事的にも一体化して、日米安保条約を極東の戦争体制のかなめにしようとしていることであります。(拍手、発言する者あり)
 ところが、アメリカ政府のこの危険な計画に対して三木内閣がとった態度は、これまた日本国民を驚かせるものでした。
 三木総理は、国会の答弁でも、先に核を使うというアメリカの核先制使用宣言を、戦争抑止力の発言と受けとめていると言って、肯定しました。さらには、アメリカに核のかさを積極的に要求する、入れてもらえなければ承知できないということまで言いました。こうして、フォード核戦略全面支持の態度を表明したのであります。
 日本を朝鮮半島での戦争計画に結びつける日韓一体化の要求に対しては、韓国条項の再確認、有事の際の在日米軍の朝鮮出撃容認という形で、これまた大いに積極的に協力し、日米軍事同盟体制における防衛分担の問題についても、アメリカの核艦隊との共同作戦を含めて、政府間の公式の取り決めまで行おうとしているのであります。(拍手)
 この防衛分担問題は、これまで日米間で非公式に話し合ったことはあっても、政府間レベル、あるいは軍部レベルで正面から本格的に討議することは避けられてきた問題でした。それを三木内閣が、事もあろうに、核戦争放火計画をむき出しにしてきたフォード政権を相手として、日米共同作戦体制の本格的な具体化に公然と足を踏み出す、最初の自民党内閣になろうとしているのであります。(発言する者あり)
 三木内閣の対米追従の事実は、ベトナム、カンボジア問題、沖繩問題 エネルギー問題など、数え上げれば切りがありません。中でも、最も重大なことは、いま指摘したフォード核戦略への支持、協力の態度であります。
 アメリカの核政策のアジアでの拠点が日本であり、横須賀を根拠地とする第七艦隊、沖繩嘉手納の第一八戦術戦闘航空団、沖繩と岩国に配置された海兵隊など、これらが、通常戦争とともに、核戦争に備えた核非核両用部隊であることは、隠れもない事実であります。(拍手)
 三木首相は、事実を挙げての国会での追及に対して、非核三原則の抽象的な繰り返しでかわそうとしてきましたが、一方的、先制的に核兵器を使うというアメリカ大統領の宣言を平然と受け入れ、アメリカの核のかさのもと、日米共同作戦の体制を本格的に推進しようとする三木総理の態度こそは、まさに、国民を偽って、日本を核戦争に巻き込ませること以外の何物でもないのであります。(拍手)
 ことしは、被爆三十周年に当たる年であります。世界で唯一の被爆国民である日本国民が、核兵器の全面禁止と核戦争阻止のために、新たな決意をすべき年であります。このときに当たって、三木内閣のような核戦争肯定の内閣を持ったということは、日本国民にとって最大の不幸と言わなければならないのであります。ここに、われわれが、三木内閣不信任案を提出する最大の理由の一つがあります。(拍手、発言する者あり)
 以上、四点にわたって述べてきましたが、この内閣がいろいろな粉飾をこらし、さまざまな政略を弄しているとはいえ、その本質において、財界奉仕、対米追従、民主主義破壊の反動的、反国民的内閣であることは、すでに明瞭であります。国民の間にも失望と批判の声は日増しに強まっており、特に、一斉地方選挙後には、ある通信社の世論調査で、早くも不支持率が支持率を上回るなど、三木内閣批判は、三年前の田中内閣成立当時よりも、もっと速いテンポで広がりつつあるのであります。(拍手)
 同僚議員諸君、いま国民の前で、すべての政党と政治家が、三木内閣に対する態度を問われています。内政、外交の両面で危険な反国民的性格を明らかにしたこの内閣に対し、もし革新を唱える政党や政治家で、当面の党利党略から、それを信任したり、あるいは、あいまいな弁護的態度をとったりするようなことがあるならば、その態度は、自民党政治を助けるものとして、国民の審判と歴史の断罪を免れることはできないでありましょう。(発言する者あり)
 私は、多くの同僚諸君がこの決議案に賛成されることを希望して、提案理由の説明を、ここに終わるものであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○副議長(秋田大助君) 討論の通告があります。順次これを許します。浦野幸男君。
    〔浦野幸男君登壇〕
#9
○浦野幸男君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま上程されました内閣不信任案に対しまして、反対の討論を行わんとするものでございます。(拍手)
 まず最初に、民主主義議会政治はルールを守らなければならない、これは政治の初歩であります。議運において、提案者は二十分、賛成、反対は十分と決めておるにもかかわらず、いまの提案者の提案理由の説明は何ですか。約束の倍もしゃべっておるじゃないですか。私は、こうした議会のルールを守らない政治というものは、きわめて遺憾に存ずるわけでございます。(拍手)
 私が、反対する第一の理由は、今回の内閣不信任決議案は、事もあろうに、水と油とが一緒になって、党利党略だけが目的の作為的な決議案だということであります。(拍手)
 元来、内閣不信任案というものは、憲法に定める厳粛な意味のものでありまして、いたずらに党略でもてあそぶ態度は、国会の権威を著しく傷つけるものであります。国民は、内閣不信任案を、余りにも安易に政争の具とする態度に、激しい憤りを覚えることでありましょう。ことに、今回の不信任案は、平素全く政治路線を異にしておる共産党と公明党が、常に国民の前で論争を繰り返していながら、両党の党略による野合の所産であって、国民を愚弄しておるとしか考えられません。
 通常国会の会期末を控えて、単なる議論の引き延ばし策にすぎない不信任決議案に、他の野党の同調すら得られない、これは当然なことであると思います。(拍手)
 私が反対する第二の理由は、三木内閣の政治姿勢とその成果を高く評価するからであります。
 三木内閣は、成立以来、対話と協調の姿勢を貫いて、国会審議を軌道に乗せ、公約に従って内外の重要案件の処理に精魂を傾け、議会政治の信用を高めるとともに、数々の成果を上げてまいりました。
 まず、さしもの狂乱物価を鎮静させたことであります。公約の物価安定目標を達成したことであります。三木内閣の施策によって、地価はむしろ全国的に低落の傾向にあります。消費者物価も安定の兆しが見えてまいりました。さらに、節度ある賃金水準を定着させました。第一次、第二次、第三次の不況対策を講ずることによって、長かった不況の時期を切り抜けて、景気はようやく好転の時期を迎えようといたしておるのであります。
 去る五月の十四日から二十二日まで、全国二十歳以上の男女一万人を対象として行われた国民生活に関する世論調査によりますると、三木内閣発足時の昨年十一月の調査に比べて、暮らしに対する満足度で、満足と答えた者が五一%から六〇%にふえております。その反面、不満が四八%から三九%に減って、ほぼ四十七年から四十八年時の調査に近い結果を取り戻しております。これは、物価も鎮静して、国民生活に一応の落ちつきができてきたことの、敏感な国民の反応であると断定しても差し支えありません。(拍手)
 さらに、三木内閣の姿勢が、弱い者、恵まれない階層の福祉の充実と、社会的不公正の是正という政治路線を定着させたということであります。これは、さきに成立いたしました五十年度の予算、公約達成のための多くの重要立法の成立によって、如実に実証されております。
 福祉年金の六割引き上げ、三八・一%の恩給年額の引き上げや、生活保護基準の大幅な増額、そして勤労者財産形成制度の拡充、八千四百億円の国税、地方税の減税、住宅建設の融資の拡充、宅地開発の促進、そうして、さらに、教員人材確保のための第二次給与の改善、私立学校振興助成法の成立や、教職員並びに保母、看護婦に対する育児休業の制度の確立、農林漁業、中小企業の振興立法、社会的公正確保の税制改正、中央、地方を通ずる財政硬直化の打開の努力等、内政の面におきまして、改善の意欲と努力は枚挙にいとまがないのであります。短期間におけるその成果は、率直に評価しなければなりません。
 党略に基づく性急な三木内閣への非難、いわれのないその退陣要求は、国民に対する説得力を欠くものであって、全く的外れのものであると、強く指摘せざるを得ないからであります。(拍手)
 私が、内閣不信任決議案に反対する第三の理由は、多年の懸案であり、議会政治発展のため不可欠の重要法案である公職選挙法の改正案、そうして、政治資金規正法の改正案に対して、不信任案の提案者が全く理解を欠き、事実を曲げ、逆宣伝をして、国民に無用の誤解と曲解を宣伝している共産党、公明党両党の態度に、深い憤りを覚えるからであります。(拍手)
 公職選挙法改正案は、選挙の公正を確保することを目的として、各党間で合意を見た線に沿った衆議院の定数の増加、供託金の額の引き上げ、選挙公営の拡充、選挙運動期間中の政党機関紙号外配布の規制、公職の候補者等の寄付の禁止、連座制の強化等を内容とするものでありまして、選挙の実態を踏まえた上で、長年にわたる選挙制度審議会の審議の結果を実現したものであります。
 不信任案の提案者は、選挙期間中の政党機関紙号外の配布規制を、憲法に保障された言論の自由を圧迫するかのごとく強弁しておりまするが、公正で金のかからない選挙のためには、号外という名の野放しの機関紙配布を、国民はビラ公害と言っておるではありませんか。その声にこたえて、選挙運動期間中のルールづくりをすることは、当然なことであります。(拍手)
 このようなルールがなければ、金権選挙に通じて、選挙の公正、明朗を損なうだけでなくて、ビラ公害に対する国民の強い批判にもこたえられません。改正案でも、選挙運動期間中の機関紙有償配布には何らの制限もいたしておりません。選挙期間以外の機関紙活動は、全く自由であります。言論の自由を抑圧するなどという共産党、公明党の宣伝は、何らの根拠もなく、言いがかりにすぎないのであります。(拍手)
 政治資金規正法の改正案も、昭和四十二年の第五次選挙制度審議会の答申以来、長年の宿題であります。国民審議でも常に議論の対象となってまいったところでございます。特に、昨年来の金のかからない選挙に対する国民の強い要請にこたえて、各政党の検討の結果を織り込んで、政府が提案したのであります。(発言する者あり)
 それは、政治資金の寄付の制限、政治資金の公開の強化、個人拠出の政治資金の課税上の優遇を内容としておりまして、足らざるところはあるとしても、数歩の前進であることには変わりなく、選挙制度審議会と世論の要請に十分こたえ得るものであると確信いたしております。
 公職選挙法の改正も、政治資金規正法の改正も、長年にわたる政治の課題であります。改正の基本方向は、各党の合意を見たものであるのに、具体案が提案されると、一転して反対に回るというのでは、公党の真意いずれにありやと疑わざるを得ないのであります。
 ここに、何らの理由もない不信任決議案に断固反対して…
#10
○副議長(秋田大助君) 浦野君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#11
○浦野幸男君(続) 私の討論を終わります。(拍手)
#12
○副議長(秋田大助君) 浅井美幸君。
    〔浅井美幸君登壇〕
#13
○浅井美幸君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました三木内閣不信任決議案に対し、賛成の討論を行うものであります。(拍手)
 三木内閣は、対話と協調、国民の心を政策の根幹に据え、偽りのない政治、信頼される清潔な政治を進め、公正で調和のとれた社会建設を主張いたしました。そして、クリーン三木のキャッチフレーズでイメージアップに努め、国民に大きな期待を抱かせたのであります。
 しかるに、わが党の竹入委員長が、今国会冒頭の衆議院本会議の代表質問で、三木内閣の決意を問うた四つの踏み絵、すなわち、政治資金規正法の改正、独禁法改正、五十一年排ガス規制、年金法改正は、いずれも三木総理がかねてから国民に約束してきたことであり、その実行は、従来の自民党の大企業優先の政治姿勢を転換し、現在の危機的状況の打開に最も必要な、国民の政治不信を解消できるか否かを問う問題提起でありました。
 しかし、いま私たちが見るところ、このことは、残念ながら、これら国民の期待は大きく裏切られ、しかも、前内閣に比して、三木首相に対する国民の期待がより大きかっただけに、その期待にこたえられなかった結果の幻滅は大きく、いまや、有言不実行、無能内閣とさえ言われる三木内閣の責任は、きわめて重大であります。(拍手)
 しかも、許せないことは、三木総理の見せかけのポーズによって、一見政策実行に熱意を傾けているかのように見せながら、実際は、自民党内の意見対立や、派閥対立の思惑で抵抗を受け、政策面で後退しているにもかかわらず、三木総理の責任ではないかのごとき錯覚を意図的に国民に印象づけている点であります。議院内閣制、政党政治の基本に立つならば、政府・自民党、総理・総裁は一体のものとして判断され、その責任を追及されることは当然のことであります。(拍手)
 三木総理が、自民党の複雑な党内事情を、あたかも他人事のごとく免罪符としてその責任を免れようとする言動は、政治の倫理を喪失したまやかしであり、決して許されることではありません。
 このように、国民の期待を裏切った三木内閣は、いかなる弁明の余地もなく、明らかに反国民的であることは明瞭であり、不信任に値するところであります。(拍手)
 以下、国民の期待を裏切った三木内閣の七つの大罪を指摘しつつ、三木内閣不信任決議案に賛成する主たる理由を順次述べるものであります。
 その第一の理由は、憲法違反及び民主政治に逆行する政治責任の問題であります。
 その端的な例が、稻葉法務大臣の欠陥憲法発言であります。
 この発言は、単なる一個人の発言ではなく、自民党の憲法改悪姿勢を如実に示したものであり、憲法の定める国務大臣の憲法遵守義務に違反した重大な問題であります。稻葉法相の責任はもとより、党内外で知名の改憲論者である稻葉氏を、憲法の番人ともいうべき法務大臣として閣僚に任命した三木総理の責任は、より重大であり、厳しく責められるべきであります。(拍手)
 また、民主主義の基本ともいうべき政治活動の自由と言論の自由を、大幅に制限することをねらった公職選挙法改悪案を強行審議し、国民主権と議会制民主主義に公然と挑戦しているのであります。(拍手)
 三木総理は、昨年九月の中央公論で、「言論の自由、思想の自由、政治活動の自由、表現の自由、結社の自由などの基本的人権は、絶対に確保すべきである。これらのものを失うと、社会も文化もみずみずしい濶達さを失うのである。」と述べながら、政治活動の自由を抑圧する政党等の機関紙誌の無償配布と号外禁止などの改悪を強行しようとしていることは、断じて許せないことであります。
 これは、単に自語相違、公約違反というような単純な問題ではなく、現行憲法に逆行する暴挙という以外の何物でもございません。三木内閣の反民主的、ファッショ的姿勢の責任は重大であり、このような暴挙は、国民の名において、断じて許すことはできないのであります。(拍手)
 第二の理由は、国民の強い批判の的となった、自民党の金権体質の温存を図った政治責任であります。
 三木総理は、就任前の昨年、「企業は政治献金を行わず、個人献金として献金の額には限度を設けること。企業から多額の献金を受けた候補者は企業の代弁者となり易い。議員は、団体の献金から独立し、政治家として自由な立場を確保しなければならない。金権を代表するかのごとくみられる現在の自民党の体質では、インフレにとり組む姿勢が疑われる。」などと、まことにかっこうよく述べておるのであります。
 しかるに、五十年一月二十七日の衆議院本会議での松野質問に対する答弁では、企業献金が悪いとは思わないと、前言を翻し、さらに、今国会提出の政治資金規正法改正案では、企業献金を正当化し、その上、無制限に等しい巨額の限度額を設けることによって、かえって企業献金を奨励する内容に改悪したことは、断じて許せないものであります。
 しかも、企業献金の禁止については、三木試案における、三年をめどに全廃するという国民向けのポーズから大幅に後退し、単に、五年後に再検討をする、この言葉にとどまったのであります。
 金権政治、腐敗政治の根幹ともいうべき企業献金の禁止に何ら歯どめもかけず、金権政治の温存を図ろうとしている三木内閣は、国民の期待を完全に裏切ったものとして、その罪は、国民の脳裏から消え去ることはないでありましょう。(拍手)
 さらに、ここで見逃すことのできない問題は、クリーン三木を看板にしている三木派の無届け政治団体の政治責任についてであります。
 三木派の政治団体である政策調査会、政策同志会、政経研究会、政経同志会、新政経同志会の五団体は、無届け政治団体であり、政治資金規正法違反であるとして、わが党議員の厳しい追及を受け、その責任と収支内容を明らかにすることを求められたにもかかわらず、その責任は認めたものの、ついに今日まで収支内容を明らかにせず、国民に対する疑惑解消に誠意を示さなかった無責任さは、強く責められるべきであります。この際、クリーン三木の名称は返上されるべきでありましよう。(拍手)
 第三の理由は、自主平和外交を放棄し、わが国の安全とアジアの平和を、ますます危険な方向に導こうとしている責任であります。
 三木内閣は、本院の非核決議、核兵器の全面禁止の国会決議を無視し、非核三原則に違反して、日本国内における米軍基地に米軍が核兵器を持ち込んだ事実を、明らかな証拠に基づいて追及を受けたにもかかわらず、その真相を明らかにしないばかりか、アメリカの説明をうのみにする対米追随外交は、日本の自主性のなさを露呈したものであり、厳格な態度で真実を調査すべきであります。
 また、核拡散防止条約の国会批准に際し、非核三原則をいかなる場合にも堅持する附帯決議と内閣宣言によって、衆議院承認が得られる状況が明確であったにもかかわらず、これを流産させてしまったことによって、日本の核武装に対する国際的な疑惑を解消することを困難にし、さらに、平和国家としての国際的評価を大きく失墜させたことは、重大問題であります。(拍手)
 また、ポストベトナムの情勢変化に関連して、朝鮮半島の危機説に従属的に同調し、日米韓軍事同盟体制の強化と、米大統領の公然たる核兵器先制使用発言に対し、驚くべき積極的評価を行い、進んでアメリカの核のかさのもとに入り、そのもとで防衛分担、共同作戦参加など、新たな米核戦略への全面協力ぶりは、まさに、緊張緩和に逆行する措置をあえてとったものとして、重大な責任を指摘せざるを得ません。(拍手)
 第四の理由は、国民的課題である社会的不公正の是正を放棄した責任であります。
 三木内閣は、社会的公正を確保するために福祉政策を実現しなければならない、「インフレの影響をまともに受ける弱い立場の人々を救済して、社会的公正を期する」などと公約しながら、社会的不公正をもたらした経済至上主義、高度経済成長政策のてことなってきた大企業、有資産者優遇の租税特別措置の廃止、中小企業よりも軽い大企業の法人課税の不公正税率を一向に是正せず、また土地投機、土地資産の価格増など、インフレによる不当な資産格差の拡大を放任するなど、不公平な税制度を温存し、社会的不公平の拡大を放置していることは許せません。
 また、食える年金の実現をと言いながら、福祉年金をわずかに増額しただけで、老後の生活を保障し得る年金制度改革に熱意を示さず、そのめどすら立てていないのであります。この実態こそ、三木内閣の公約が、単にムード的な無責任きわまるリップサービスにすぎないものであることを示す典型なのであります。(拍手)
 第五の理由は、庶民の生活と中小企業の不安を増大した責任であります。
 インフレ克服と不況脱出を最大政治課題としながら、総需要抑制政策の質的転換を何ら行わず、庶民の生活と中小零細企業に倒産、失業者など、いわゆる社会的弱者に一方的に犠牲を強いて、苦境に追い込んだことであります。これは、三木内閣が春闘賃上げ抑制に精力を傾け、他の犠牲を顧みない、偏った政策遂行によるものであることは明白であります。
 その一方では、たばこ、酒、郵便料金の大幅値上げの成立強行を図り、さらに、消費者米価、国鉄、私鉄運賃などの公共料金や鉄鋼等の大企業製品価格の値上げをもくろみ、物価上昇を主導する三木内閣の姿勢は、国民生活の不安を一層深刻化させていることは、断じて許されないことであります。(拍手)
 また、中小企業向け官公需増大と融資、さらには、小規模事業者の生業安定資金の融資、大企業またはそのダミーと中小企業の分野調整など、緊急政策に対して、何ら積極的な対策を講じなかった責任に対して、多くの国民から強い批判が巻き起こっていることからも判断できるものであります。(拍手)
 第六の理由は、五十一年排ガス規制を実行しなかった責任であります。
 三木総理が、環境庁長官時代に決めた五十一年自動車排ガス規制、一キロメートル走行、窒素酸化物〇・二五グラムを大きく後退させ、小型車と中大型車ごとの二本立て規制とし、暫定規制値も、小型〇・六グラム、中大型〇・八五グラムに緩和し、〇・二五グラム達成を五十三年四月からと、二年間も延期させたのであります。しかも、その後退に対して、なお業界弁護の立場をとったことは、その場その場でくるくる変わる無責任発言として、全く許せないことであります。(拍手、発言する者あり)
 第七の理由は、独禁法改正に対する欺瞞的態度と責任についてであります。
 独禁法改正について、わが党は多くの改正点を指摘し、その改正案を国会に提出していますが、与野党全会一致の修正点を一歩前進と認め、修正に同意し、衆議院における通過に積極的に協力したのであります。しかるに、参議院における自民党は、修正案成立を好まない財界の意を受けて、その成立を阻止しようと画策しております。三木総理が、真に、今国会において三木総理公約どおり成立させんとする意欲があるならば、自民党総裁として、衆議院における全会一致の審議経過と結果を尊重することを自民党内に指導すべきであり、かつ、みずからの政治信念に基づいて十二分に指導力を発揮すべきであるにもかかわらず、それを放任し、中間報告を求めて成立を図ろうという動きがあったにもかかわらず、消極的な態度に終始し、それを実行しないのは、独禁法成立は単なるゼスチュアにすぎなかったと断定されても仕方のないことであります。
#14
○副議長(秋田大助君) 浅井君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡潔に願います。
#15
○浅井美幸君(続) 以上のごとく、三木内閣の主たる罪状を、時間の関係で要約して述べましたが、組閣後わずか七カ月余にもかかわらず、反国民的な姿勢を強めてきているということは許せないことであり、三木内閣は、決して国民の側に立つ政権でないと断ずるものであります。(拍手)
 かかる三木内閣をこのまま存続させることは、いまやインフレ、不況に追い込まれている国民生活を、より一層危機的状況に陥れることは明らかであり、また、国際社会におけるわが国の信用を失墜し、平和日本の進むべき道を誤らせることも必定であります。
 この際、三木総理は深く反省し、速やかに退陣の決意を固められるべきであることを強く要請し、賛成討論を終わるものであります。(拍手)
#16
○副議長(秋田大助君) これにて討論は終局いたしました。(退場する者あり)
    ―――――――――――――
#17
○副議長(秋田大助君) 採決いたします。
 本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#18
○副議長(秋田大助君) 起立少数。よって、三木内閣不信任決議案は否決されました。(拍手)
     ――――◇―――――
#19
○副議長(秋田大助君) この際、午後二時まで休憩いたします。
    午前二時三十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四分開議
#20
○議長(前尾繁三郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 千九百七十四年七月五日にローザ
  ンヌで作成された万国郵便連合憲章の第二
  追加議定書、万国郵便連合一般規則、万国
  郵便条約及び関係諸約定の締結について承
  認を求めるの件(参議院送付)
#21
○議長(前尾繁三郎君) 日程第一、千九百七十四年七月五日にローザンヌで作成された万国郵便連合憲章の第二追加議定書、万国郵便連合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員会理事石井一君。
    ―――――――――――――
 千九百七十四年七月五日にローザンヌで作成された万国郵便連合憲章の第二追加議定書、万国郵便連合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約定の締結について承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔石井一君登壇〕
#22
○石井一君 ただいま議題となりました万国郵便連合憲章の第二追加議定書等の締結について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 万国郵便連合憲章の第二追加議定書等の諸文書は、一九七四年五月にローザンヌで開催された万国郵便連合の第十七同大会議において作成され、同年七月五日各国政府代表によって署名されたものであります。
 その内容について申し上げますと、まず、憲章の第二追加議定書は、加盟国の分担金について、各加盟国が自国の希望する分担等級を選定することができることに改めたものであります。
 一般規則は、執行理事会及び郵便研究諮問理事会の理事国数を増加し、かつ、加盟国の分担等級等の規定に所要の改正を行ったものであります。
 万国郵便条約は、通常郵便物の基本料金を約六七%引き上げ、また、通貨変動の場合の料金、書留郵便物亡失の際の郵政庁の責任、到着料の支払い等に関する規定に所要の改正を行ったものであります。
 また、価格表記書状に関する約定ほか三約定は、価格表記料、小包郵便物の追加料金率及び割当料金、郵便為替の振出最高限度額並びに郵便小切手業務に関する郵政庁間の決済方法等の事項について、所要の改正を行ったものであります。
 なお、以上の諸文書は、いずれも明年一月一日に効力を生ずることになっております。
 本件は、六月六日参議院から送付され、同日本委員会に付託、六月二十七日宮澤外務大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑を行いましたが、その詳細につきましては会議録により御承知を願います。
 かくて、昨二日質疑を終了し、採決の結果、本件は、全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(前尾繁三郎君) 採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第二 石油備蓄法案(内閣提出)
#25
○議長(前尾繁三郎君) 日程第二、石油備蓄法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。商工委員長山村新治郎君。
    ―――――――――――――
 石油備蓄法案及び同報告書
    〔本号(一)末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔山村新治郎君登壇〕
#26
○山村新治郎君 ただいま議題となりました石油備蓄法案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 わが国は、国民生活と国民経済を支える重要なエネルギーである石油の大部分を輸入に依存しており、一昨年の中東紛争を契機とする石油危機に見られるように、石油供給の削減や途絶といった事態が生じた場合、きわめて重大な影響を受けることになるのであります。
 本案は、最近の国際石油情勢に対処して、わが国への石油の供給不足が生じた場合における石油の安定的な供給を確保するため、石油備蓄の計画的な増強を図ろうとするものでありまして、その主な内容は、
 第一に、国は、この法律による石油の備蓄が円滑に行われるための施策を講ずるとともに、その必要性について国民の理解を深めるよう努めなければならないこと、
 第二に、通商産業大臣は、年度ごとの石油備蓄目標を定め、石油精製業者等に対し、常時保有すべき基準備蓄量を通知するものとすること。
 第三に、石油精製業者等は、年度ごとの石油備蓄実施計画を作成し、通知を受けた基準備蓄量以上の石油を常時保有しなければならないこと、
 第四に、通商産業大臣は、石油精製業者等の石油保有量が基準備蓄量に達していない場合は、基準備蓄量以上の保有を勧告し、基準備蓄量に達していない程度または期間が一定の基準に該当すると認めるときは、保有を命ずることができるものとし、この命令に違反した者には、罰則を適用すること
等であります。
 本案は、去る五月十五日本委員会に付託され、同月二十三日河本通商産業大臣から提案理由の説明を聴取し、以来、参考人から意見を聴取する等、慎重に審査を重ね、昨七月二日質疑を終了いたしましたところ、自由民主党、日本社会党及び民社党の共同提案により、石油備蓄の円滑化に関する国の施策を講ずる場合、石油貯蔵施設の保安の確保に配意すべき旨の修正案が提出され、日本共産党・革新共同及び公明党の委員から、それぞれ反対討論があり、採決の結果、本案は、多数をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、石油貯蔵施設の保安確保等を内容とする附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(前尾繁三郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#28
○議長(前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
#29
○議長(前尾繁三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時十二分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  三木 武夫君
        法 務 大 臣 稻葉  修君
        外 務 大 臣 宮澤 喜一君
        大 蔵 大 臣 大平 正芳君
        文 部 大 臣 永井 道雄君
        厚 生 大 臣 田中 正巳君
        農 林 大 臣 安倍晋太郎君
        通商産業大臣  河本 敏夫君
        運 輸 大 臣 木村 睦男君
        郵 政 大 臣 村上  勇君
        労 働 大 臣 長谷川 峻君
        建 設 大 臣 仮谷 忠男君
        自 治 大 臣 福田  一君
        国 務 大 臣 井出一太郎君
        国 務 大 臣 植木 光教君
        国 務 大 臣 小沢 辰男君
        国 務 大 臣 金丸  信君
        国 務 大 臣 佐々木義武君
        国 務 大 臣 坂田 道太君
        国 務 大 臣 福田 赳夫君
        国 務 大 臣 松澤 雄藏君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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