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#1
第074回国会 内閣委員会 第3号
昭和四十九年十二月二十三日(月曜日)
   午後三時六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         加藤 武徳君
    理 事
                世耕 政隆君
                林  ゆう君
                上田  哲君
                鈴木  力君
    委 員
                岡田  広君
                源田  実君
                寺本 広作君
                戸塚 進也君
                中村 太郎君
                八木 一郎君
                山本茂一郎君
                中村 波男君
                野田  哲君
                秦   豊君
                太田 淳夫君
                峯山 昭範君
                河田 賢治君
                内藤  功君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       植木 光教君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  坂田 道太君
   政府委員
       人事院総裁職務
       代行       島田  巽君
       人事院事務総局
       給与局長     茨木  広君
       人事院事務総局
       職員局長     中村  博君
       総理府人事局長  秋富 公正君
       防衛政務次官   棚辺 四郎君
       防衛庁人事教育
       局長       今泉 正隆君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        首藤 俊彦君
   説明員
       法務省民事局参
       事官       浦野 雄幸君
       外務省大臣官房
       在外公館課長   枝村 純郎君
       労働省労働基準
       局賃金福祉部企
       画課長      川口 義明君
       自治省行政局公
       務員部給与課長  金子 憲五君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○特別職の職員の給与に関する法律及び沖繩国際
 海洋博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(加藤武徳君) それでは、ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律及び沖繩国際海洋博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。
 三案につきましてはすでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより一括して質疑に入りたいと思います。
 質疑のおありの方は順次御発言をお願いいたします。
#3
○野田哲君 まず、総務長官、予算委員会との関係でお忙しいようでありますので、総務長官が出席されておる間に、まず第一に総務長官に質問いたしたいと思います。
 御承知のように、きょうは十二月の二十三日です。町にはもうジングルベルも鳴り、歳末の売り出しが行なわれている、こういう時期で、公務員の勤務する日は年内にあと五日間しかないわけであります。このような時期に、公務員の給与を、四月から改定すべきものが今日なお決定されないままに至っている。これはまさに異常な状態だと言わなければならないと思うんです。昨年は、御承知のように九月には決定をし、四月からの引き上げ分が精算をされているわけであります。それがことしはまたおくれて、年末ぎりぎりに審議を行なっている。今日の非常な狂乱物価と言われる物価上昇の中で、国家公務員、そうして同様に取り扱われる地方公務員、家族を含めると数百万人の生活の基盤である公務員の給与の改定がこのように遅延をしている。これは、せっかく人事院が例年よりも勧告の時期を早めて、七月二十四日から開会をされた臨時国会でぜひ決定をしてもらいたいということで、七月の二十六日に勧告をしたにもかかわらず、前国会でこの審議を行なう措置をとってこなかった政府に重大な責任があると思うんです。そうして、その間に引き続いて物価の上昇が続き、またそのことによって、これを金利に換算をしていけば非常な目減りを公務員の諸君は受けていることになると思うわけであります。
 まず、総務長官は、この八月に審議しておれば、八月の支払い分から改善した給与で支払われたものが今日までおくれている、これによって目減りが生じている。このことをお認めになりますか、いかがですか。
#4
○国務大臣(植木光教君) いま、野田委員から御指摘のとおり、人事院は非常に努力をしてくださいまして、例年よりも早く七月の二十六日に勧告を出されました。お話しのとおり、七月の二十四日から三十一日までが前国会の会期でございまして、その間に出されたわけでございます。政府は三十日に給与関係の閣僚会議を開きまして、この問題について協議をしたわけでございますが、何ぶん例年に比べますと高率、高額でございまして、財源の問題あるいは行政事務の簡素合理化の問題、既定経費の節減問題等々、いろいろ人事院勧告に対処すべき諸問題をかかえておりましたために、これを正式に決定するいとまがないうちに国会が終わりまして、その後、国会が開かれなくて今日に至ったのでございまして、非常に長期にわたりまして、この人事院勧告の完全実施が行なわれず今日に至りましたことは、政府といたしまして非常に残念であり、遺憾であると存じております。
 ただいま目減りの問題についてお話がございました。御承知のとおり、人事院勧告というものが政府及び国会、両方に対して出され、給与法定主義をとっております関係上、今日まで国会が開かれないために、いわゆる目減り問題というのが起こったわけでございます。これが幾らであるかということについては、いろいろな計算の方法もありましょうし、私どもちょっとつまびらかにいたしませんが、公務員諸君が、この間、八月に実施されていたならばということでいろいろ御不満を持っておられるという心情は十分理解をしているのでございますけれども、何さま、ただいま申し上げましたように、人事院の勧告尊重と給与法定主義という両方をとっておりますたてまえに立っておりますために、これに対処することができないで、七月の人事院勧告完全尊重実施ということでこの法律案を御審議いただくということになったのでございまして、この辺の事情につきましては遺憾に存じておりますけれども、諸種の事情がございましたことにつきましても御理解をいただきたいと思うのでございます。
#5
○野田哲君 いろいろいま総務長官のほうから述べられたわけでありますけれども、給与によって生活をしておる公務員の諸君にとっては、国会が、どういう形でいつ開かれるか、このことは生活の上では特別関係はないわけであります。ですから、今度の場合を見ても、衆議院で正味一日ぐらいの期間で審議をし、参議院もわずかきょう五時間程度の審議でこれが成立をする。こういうことであれば、前の七月二十四日からの二週間程度の会期があったわけでありますから、そこで審議をして、八月から改善された給与を払い得るような措置をとろうとすればできたはずであります。それが今日の非常な高物価の中で待たされている。私が計算をしたところによると、八月分から正規に支払われていることと今日まで延引していることとの比較によると、これがもし、八月からは正規に支払われるということを見越して公務員が平均給与ベースで換算をして借り入れ金をしたとするならば、一万円をこえる金額を利息として払わなければならない、こういう計算が出てくるわけであります。これは政府と公務員という関係であるから、これをいま長官が言われるように、いろいろな事情があるからがまんをしてもらわなければならないというふうな意味で言われたけれども、民間の債権債務の関係であれば、この状態というのは、これはただでは済まないと思う。当然それに対しては弁償措置を講じなければならない性格を持っていると思うのです。
 そこで、総務長官にお尋ねしたいのは、目減りのことについて明確にお答えにはならなかったわけでありますけれども、長官がここで目減りをしていると、こう言うことはいろいろ差しさわりがあるんだろうと思うのですけれども、実害があるということは総務長官はお認めになりますか、いかがですか。
#6
○国務大臣(植木光教君) いまお話ございましたような事情がございまして、また、私が御答弁申し上げましたような事情がございまして今日に至ったわけであります。人事院の勧告が早期に処理されるというふうにしなければならないということについては私も全く同感でございまして、先般まで本院の議運の委員長をいたしておりまして、政府に対しては、早期に国会を開け、給与法を提案しろということを盛んに言ってきた一人でございますので、したがいまして、認識は共通でございます。政府としては、今後早期に処理ができますように努力をいたしたいと存じます。
 目減りについて、ここで認めるか認めないかと、こういう御質問でございますが、そういう御不満があるということは、十分私、理解をいたしておりますが、法律的に申しますと、給与法の改正によりまして初めて公務員の給与債権が具体的にあらわれるという、確定をするという、そういう仕組みになっておりますので、ここで私から、目減りがあった、これだけであるということを申し上げることはひとつお許しをいただきたいと思います。
#7
○野田哲君 なかなか、そこのところは総務長官も明確にはお答えになっていないのですが、問題は、やはり公務員やその家族の生活の基盤、御承知のように公務員は兼職が禁止になっておりますから、給与の改善措置がおくれたからといって、その間いろいろ内職をするわけにもいかないわけであります。そうして、毎年毎年、勧告の時期、あるいはそれを受けての政府の閣議の決定、あるいは国会の開催時期、そういうことによって公務員の給与の改善の時期が一定しないという点、昨年は九月に実施されたわけでありますから、全国の多くの公務員は、昨年九月に実施できたものがよもやことしはこんなにおくれるとは思っていないと思うんです。やはり、少なくとも八月ないしは九月には、人事院勧告も早められたことだから改善の措置がとられる、こういうふうに期待をしておったと思うんです。それが、毎年政府の御都合なり、国会開催時期によって時期が不同だということでは生活設計が成り立たないと思うんです。これはいま総務長官も言われたように、公務員給与の勧告を受けて給与法の改正をしていく、その制度にも基本的に問題があると思うんです。そこで、衆議院でも附帯決議によってこの手続の検討を行なう、こういうような趣旨のことが、各党一致で附帯決議として付されたように聞いておるわけであります。また、十一月の終わりごろであったと思うんですが、日本経済新聞に、政府なりあるいは人事院の中で検討されているという授権規定というような報道もされていますが、いま総務長官のほうでは、この制度についての検討ということに抽象的に触れられたわけでありますけれども、総務長官の所管で、公務員の団交権の問題あるいは労働基本権の問題、団結権の問題等を含めた公務員問題連絡会議というのが、たしか設置されていると思うんですが、この中では、この種の問題について、いま私が総務長官に質問しているような問題も当然関連を持ってくるわけでありますけれども、検討をされていますか、いかがですか。
#8
○国務大臣(植木光教君) 現在の制度は、先ほど申し上げましたように、人事院勧告がある、そしてそれを受けて国会が法定すると、こういうたてまえでございますので、この制度の中で早期に処理をいたしますためには、勧告を受けて直ちに国会を開くという努力をするのが、現在の制度内での私どもの一つの今後十分努力をしていかなければならない点であろうかと存じます。
 それから、ただいま授権立法についてお話がございました。お説のとおり公務員問題連絡協議会というのが総理府内に設置をせられまして、労働三権につきまして、どういうふうにするかということについていろいろ協議をしているわけでございます。この点につきましては、この労働三権につきましては、この協議会の中におきましてさらに検討を続けていくように、協議を続けていくようにということを、先ほど人事局長にも申したのでございますが、いまお話がございましたこの授権立法につきましては、もう野田委員は十分御承知であろうかと思いますが、重大でまた非常に困難な問題がございます。事実問題としてございます。一つには、いまの勧告は国会と内閣に対して行なわれて、国民の代表であります国会の議を経て決定をされるわけでございますが、この国会の議を何ら経ないで実施するということは差しつかえないのかどうかというのがまず第一点であると思います。さらに、勧告の対象になりません防衛庁の職員あるいは裁判官、検察官その他特別職の職員につきまして、全く政府の判断だけで給与の改定を行なっていいかどうかという問題がございます。それから、その授権をいたしまして仮払いを行なったあとで最終的に国会が承認をするということになるというのが一つの考え方でございましょうが、承認がその際得られなかったときにはどうするかという問題がございます。それから、勧告が行なわれました時点で、はたして給与を改定いたします財源、予算の補正というものの目途がつけられるかどうかというような点もあるわけでございます。したがって、何ぶんにもたいへん重大で、具体的な結論を出すということはむずかしい問題でございますけれども、政府といたしましては、いま御指摘のありました点について鋭意検討をしていこうという考え方でございます。
#9
○野田哲君 私は、授権規定をつくれということを質問の中で主張しているわけではないんです。その点は誤解のないように申し上げておきます。政府のほう、あるいは人事院の中でその種の議論もあるがということを聞いたわけであります。
 そこで、問題は支給手続の改善をはかっていくということについて、総務長官は鋭意検討中であると、こういうふうに言われたわけでありますが、この問題はもう非常に長い経過があるわけでありますし、そういう点からいまに始まった論議ではないと思います。そこで、この鋭意検討中ということでありますけれども、労働基本権問題等もいろいろからむと思うんですけれども、とりあえずの措置として、支給手続が遅延をする状態を解決をするための方法について鋭意検討中ということですけれども、とりあえずの方法として、抜本的な問題はさておくとして、少なくとも、来年の公務員の給与の支払いはこのような状態を起こさないような形で決着をつけなければならないんじゃないかと思うんです。そこで、総務長官のほうで鋭意検討中というのは一体いつごろをめどに検討されていくのか、この点、考えがあれば聞かしてもらいたいと思います。
#10
○国務大臣(植木光教君) ただいま野田議員のお話では、授権立法ではないと、もっと手続的なことでいまの制度の中で早期に実現をするようにというお話でございました。この早期実現というためには、先ほども申し上げましたように、人事院勧告が出される、ちょうど国会開会中でありましたならば、財源上いろいろな問題もございますけれども、早急に結論を出してその国会で御審議をいただく。閉会中でありましたならば、できるだけ早く給与改定のための国会をお開きいただいて、そしてそこで御審議をいただくと、そういうようなことが一番手っとり早いものではないかと思うのでございまして、したがって、いまの制度内でありますと、人事院に第三者的な専門的判断をなるべく早くしていただく、それを受けて、政府はできるだけすみやかに国会に提案をする、こういうことになろうかと思うのでございます。
#11
○野田哲君 総務長官と私のやりとりの中でちょっと誤解があると思うのは、私は授権立法がいけないとかいいとか、固定的な考え方を持って主張しているわけではないんで、方法についてはいろいろあるでしょう。私どものあえて主張を言えといえば、公務員にも交渉権を与えて、たとえば、同じ公務員の中でも五現業のような形で、労働協約によって決着をつけていく、そういう形がとれれば、私は、それが私の立場から言えば一番いいと思うんですけれども、一挙にそこまでいけないとすれば、何かいい手続はございませんかという形で、一つの考え方として授権立法ということも話題になっているし、あるいはいまの制度の中でやっていこうとすれば、勧告が出たらすぐ短期の国会でも開いて、臨時国会でも開いてやっていく、こういう措置もいろいろあると思うんです。だから、それを固定的に、いま私がどれがいい、これがいいということを言っておるわけではなくて、少なくとも来年の公務員給与の改善を行なうにあたっては、今日のような事態はとらない、こういう点だけはこの際明確にしておいたほうがいいのではないか。
 そこで、衆議院のほうでも支給手続の改善について検討すべきである、こういう各党一致の附帯決議がなされたように聞いておるので、それについての総務長官としての、担当大臣としての、具体的にこれを受けた形でのある程度の考えがあればこの際聞かしておいていただきたい、こういう意味なんです。
#12
○国務大臣(植木光教君) 衆議院の附帯決議は、項目といたしまして二つございまして、一つは支給手続の問題であり、一つは初任給の問題でございます。いまお話のございました、支給が早期に行なわれるようにということについてひとつ改善せよということにつきましては、鋭意検討いたしまして、ただいま私が申し上げましたようなことも一つの方法かとも思いますし、その他いろいろな角度から検討をさせていただきたいと存じます。
#13
○野田哲君 総務長官、検討の結果は、来年の支給手続に間に合うような形でのタイムリミットで検討をぜひしていただきたいと思うんですが、そういうことでよろしゅうございますか。
#14
○国務大臣(植木光教君) 従来、給与改定を行なっておりました実績をずっと調べてみますと、十一月ごろにやったこともありますし、お話しのとおり昨年のように早期にやったというのもございます。私どもといたしましては、できるだけ早期に行なうべきであるという考え方のもとに検討を続けさしていただきたいのでございまして、時期はいつだということを明示せよということでございますけれども、偽りのない政治をやりますのがこの内閣でございますので、この際、いつまでにやりますという時期の明示につきましてはちょっとお許しをいただきたいと存じますが、先ほど来申し上げておりますように、早期に処理ができるようにという方向で検討を鋭意さしていただきたいと存じます。
#15
○野田哲君 いま総務長官は、偽りのない政治を行なうということを内閣として考えていると。もちろんそれは偽りがあっては困るわけなんで、ここで約束されても実行が伴わなければ何の意味もないわけですが、同時に、三木内閣は社会的な不公正をなくしていくということを表看板、第一看板にしているわけです。そういたしますと、いまの公務員の現状というのは非常に不公正です。一番不公正です。まあ一番とは言わないけれども、一番卑近な例をとって比較をすると、たとえば農林省で、片や林野庁勤務、片や他の一般の部局、同じ農林省の職員の間でも、すでにことしの五月ないしは六月から改善された給与の支給を受けている、片や今日までお預け。こういう例は、たとえば大蔵省の場合でもあります。造幣局、印刷局と、主計局や理財局との間、非常な不公正が生じているわけです、現に。ですから、もし極端な例を言えば、大蔵省の中で、勤務場所が造幣局であった者が、ことしの十月一日なら十月一日付で辞令一本によって理財局のほうへ配置転換になったときには、四月から一ぺん改定された給与で支払いを受けていた者がまた改定前のところへ逆戻りをする、極端に言えばこういう結果になるわけであります。非常な不公正が生じているわけであります、現在。ですから、時期のことはいまここで明示できない、こういうふうに言われましたけれども、少なくともことしのようなことを繰り返さない、そのぐらいのことは総務長官の口からこの際聞かしておいてもらいたい、こういうふうに思うんです。
#16
○国務大臣(植木光教君) 先ほど来申し上げておりますように、勧告を尊重し、そして早期に処理ができますように私どもは今後努力をいたしてまいりたいと思います。
#17
○野田哲君 それでは、次の問題に入っていきたいと思います。
 今度の給与の改善措置が終わりますと、その差額の支払いが年内に行なわれる。その時点から、人事院と政府のほうでは、公務員の給与の支払いについて銀行口座振り込み、こういう方法を採用しようとしています。この銀行口座による振り込みの方法、これを今回とろうとするのは、一体その目的、どのような行政効果を期待しているのか、こういう点をまず伺いたいと思うんです。
#18
○国務大臣(植木光教君) 人事院からの勧告の中に、銀行口座に振り込むという方法が考えられる、望ましいというような意味の御意見が出されました。これにつきましては、メリットとデメリットと両面あろうかと存じます。専門的なことにつきましては人事院及び人事局長のほうから答弁をいたさせます。
#19
○政府委員(茨木広君) 振り込み制度の問題につきましては、四十六年ころから問題になっておりまして、で、昨年の報告、勧告の際にも、その点について引き続き検討するという旨を触れたわけでございますが、一つは、現在の現金で渡すという方法のこれは一環になるわけでございますけれども、病気で休んでおります者とか、あるいは外国に出張しております者とかというような者に典型的にあらわれるわけでございますが、そのような場合に、何らかやはり振り込み制度のようなものを使わないというと現実に支障を来たすというようなことで、かねて各省庁の人事課長会議等からも要望がございましたわけでございます。そこで、そういうものにいろいろこたえていかなければいかぬということで検討を加えておったわけでございますが、その結果、本人の申し出によるというようなことを骨子にいたしまして、今回の勧告の際に結論を出していただいたわけでございます。まあ、民間のほうも相当そのようなものをやっております事情もございますし、そういうようなことを私のほうの側といたしましてはねらいにいたして、職員の便宜をできるだけはかってまいらなければいかぬだろうというような観点から入っていったわけでございます。
#20
○野田哲君 給与局長は、病気で長期に休んでおる者とか、長期出張の場合というふうな、ごく一部の例外的なことを引き合いに出して、だからこういう方法もというふうに言われるんだけれども、これは何も新しい制度をつくらなくても、そういう当然海外出張しておったり、長期に出張しておったり、あるいは病気になっておる者の場合にはとり得る方法はあるわけなんです。新しい制度をつくってまでこういう方法をとっていこうという、これは政府の主導によって、労働基準法や公務員法に規定しているところの、賃金は通貨で直接本人にその全額を支払う、この原則を政府の主導によってくずすことにはなりませんか。
#21
○政府委員(茨木広君) 通貨で支払うという原則そのものをくずすことになるとは私ども考えておりません。で、まあいろいろ、労働基準法なりについて特に中心的な議論があったようでございますが、いろいろ、学者によりましてもその説をめぐって論議が行なわれておったようでございますが、いま使っておるような方法でございますというと、別に本人のあれを無視するということにもなりませんし、何らそのたてまえを破るものではないというふうに通説は大体通っておるというふうに承知をいたしております。で、その振り込み制度のようなものも、国民生活にどの程度なじんでくるかというようなことによって、だんだんそういうような心配もなくなってくるのではなかろうかというようなところもずっとあわせ考えまして、人事院としては結論を出したわけでございます。別に、政府主導型でそれをどうこうしたというようなことは思っておりませんし、規則の中にも、各省庁でそれを実施いたします場合には、職員に対します制度の内容の周知徹底、それから本人の申し出の確認のしかた、そのようなことについて、やはりこちらのほうでチェックをする必要がありと考えまして、承認のもとに実施させるというたてまえをとらせていただいたわけでございます。
#22
○野田哲君 いま給与局長の言うような形で、あくまでも本人の申し出によってやっていくんだ、本人の自由意思だ、こういうことになってまいりますと、各省庁の中で、いままでどおりの方法で現金で支払うものと、それから銀行口座へ振り込む、こういうふな二つの方法がとられることになるわけです。これは逆に、事務の面からいえば簡素化をはかるという目的に逆行して、複雑になりはしませんか、どうですか、その点は。
#23
○政府委員(茨木広君) 現時点におきましては御指摘のとおり二つに分かれますし、今後といえども一つの方法に全部統一されるということはおそらくあり得ないのではなかろうかというような推定をいたしております。それはしかし、だんだんこの制度の趣旨が理解されていき、それから金融機関等の側におきますそれに対する対応のしかたも、要するに、率直なことばでいえばサービスがよくなってまいりますれば、それを使うことによる支障も少なくなってまいりましょうから、漸次そちらの方向に多くなっていくのではなかろうかと思いますが、いますぐ一つの方法に統一されるというふうには私どもは考えておりません。また、むしろ急速にいきますよりも漸進的にこれは進むべきものであろうし、そのほうがやはりよろしいというふうに考えております。
#24
○野田哲君 はしなくもいま給与局長が言われましたが、漸次これは全体へ拡大していくのだというふうに私は聞いたわけでありますけれども、総務長官は、いま全国の官公庁の職場に――全国といえば少し大げさになりますが、かなり広範な形で、官公庁の職場に金融機関の職員、銀行の職員が入って、しきりに個々の職員に勧誘合戦が繰り広げられている、あるいはまた信用金庫など、いま日本銀行の口座を持っていない金融機関が、あるいは自治体の金融機関に指定をされていない金融機関が、この権利といいますか、資格といいますか、窓口をとるために非常に露骨な運動が関係機関に対して、あるいは職員に対して繰り広げられている。このことは、金融機関の預金獲得競争に公務員や、あるいは給与支払い事務を担当しておる人たちが巻き添えになっていく、こういう実態にあることを御存じでしょうか。
#25
○国務大臣(植木光教君) ただいまお話しのようなことがありますことを、どの程度であるかは十分確認をいたしておりませんけれども承知いたしております。
#26
○野田哲君 ここに、私もある金融機関の出しておる機関誌、金融機関の団体が出しておる機関誌を持っておりますけれども、この機関誌によっても、国の取り扱い、地方自治体の取り扱いを懇切丁寧に図解をし、説明を加えて、大々的な運動を展開しろ、こういう指示といいますか、奨励が行なわれているわけであります。積極的に、個々の職員や事務取り扱い者に対して獲得のためのアタックを行なえ、こういうようなことが、公然と大大的に金融機関の団体などで機関誌でも慫慂されておる。こういう状態になってくると、これは公務員の給与の支払いという関係を通じて、別にここに金融機関と事務取り扱い者の間に妙な疑惑を生むような状態が絶対にない、こういう保証はない。むしろ多分に、私は非常にここに不純な問題が出てくるんじゃないか。金融機関の不当な、過当な競争の巻き添えになる、こういう懸念は総務長官としては感じられませんか。
#27
○国務大臣(植木光教君) 最近は、給与所得者もだいぶ銀行その他の金融機関を利用をいたしまして、いろいろな家計の支払い等も行なっているような状況になってきております。どの金融機関を選びますかということはそれぞれ個人の自由でございますけれども、この、いま問題になっております給与払い込みの対象となる金融機関ということになりますと、これはやはり、会計法上、国庫金の支出が日銀を通じて行なうということになっておりますために、日銀または日銀代理店を通じて口座振り込みを行なうというふうにならなければならないわけでございます。また、支給の日に給料が確実に振り込まれますためには、口座振り込みの対象となる金融機関は、日銀と口座の取引があり、かつ振り込み金融機関の店舗から交換振り込みが可能な店舗に限るということになろうかと思うのでございまして、したがいまして、いまお話がございましたようなことが、非常に不明朗な事態を起こしましたり、あるいは政府としても、あるいは人事院といたしましても、この口座振り込み制を前向きに採用していこうといたしておりますのは、給与の支払い事務の簡素合理化に役立つということが一つの目標でもございますので、したがいまして、いまお話がありましたような、金融機関が官庁内に入り込んで預金争奪戦を行なうということは決して好ましい現象であるとは存じません。その点につきましては、十分に指導をしなければならないと思います。
#28
○野田哲君 この問題について、さらに別の問題で二つの問題を感じるわけです。
 一つは、債権債務の関係について、勤労者の給与所得については、これは差し押えについても一定の制限を加えてあります。月額の何%以上は差し押えをしてはいけないとか、こういうような制限が加えてあります。ところが、これが本人の手元に渡るのではなくて、いきなり給与支払い者から銀行預金にぼんと振り込まれるということになれば、これは債務を持っておる者については、その時点で月額の給与額をこえた形でも差し押えは可能だということになるわけです。個人の権利を非常に侵害をすることになるわけであります。この点について重要な問題がありはしないか、こういう点が一つ。
 それからいま一つは、私どもの場合、守秘義務という問題でこの国会でいろいろ議論がされておりますけれども、職業上知り得た秘密については漏らしてはいけないという守秘義務は、公務員あるいは弁護士、医師等に課せられているわけであります。もし、公務員の給与を銀行振り込み、こういうことになってまいりますと、公務員の月額所得について、守秘義務を持っていない金融機関の職員が毎月の所得というものについてこれを具体的に知り得る立場に立つわけであります。このように、守秘義務が課せられていない者に対して公務員の生活基盤になる所得が全額手に取るように知られる、こういう点については人権を守る上で問題がありはしないか、この点について総務長官、どういうふうに考えておられますか。
#29
○政府委員(茨木広君) その前に。御質問が二つございましたが、まず第一点の差し押えとの関係でございます。これは民事訴訟法の六百十八条との関連の問題であるわけでございますが、この規定によりますというと、先生がいまおっしゃられましたように、収入についての差し押え禁止の規定がございます。これは振り込まれますというと一種の預金債権になりますので、その点のあれが及ばないということは御指摘のとおりでございます。そこで、この制度を職員に周知徹底します場合の一つの着眼点として、その点を必ず本人に周知をいたしまして、そのようなおそれのある方は申し出ないということができますように、そのように各省庁のほうに指導してございます。
 それから第二点の守秘義務の関係でございますが、銀行法等にやはりそういう問題が別途規定があるのではなかろうかと思いますが、一応、払い込まれますものは税金その他を差っ引いた形になりますし、それから省庁により、あるいは本人の希望によっては一定額を現金で直接渡すという方法と併用することしできるようになっておりますから、それらも本人の選択によって全額がわからないようなことには相なるというふうに考えております。
#30
○国務大臣(植木光教君) 後段の問題でございますけれども、銀行法には、いま野田議員がおっしゃったような守秘義務は明定せられていないというふうに承知をいたしております。ただ、この制度を導入をいたしますのは、それぞれの職員の生活上の便宜を考えまして、その意思によって振り込むという方法を考えておることは御承知のとおりでございます。一方、金融機関というのは、御承知のように信用で成り立っているのでございますから、金融機関が、だれそれの給与は幾らであるというようなことを、公表といいますか、公にするというようなことは本来あり得べからざることであるというふうに私は考えます。
#31
○野田哲君 そういたしますと、いまの給与局長の御答弁なり総務長官の御答弁を承りますと、ここで確認をいたしたいと思うんです。あくまでも全額振り込みたい者はその方法をとるし、一部でもいい者は一部でその方法をとる、あるいはあくまでも従来どおりの方法にしたい者はその方法をとる、こういうことで、あくまでもこれは本人の任意によるものであると、こういうふうに承ったわけでありますが、そういたしますと、これは今後漸次拡大をしていくという話がありましたけれども、一人一人の職員の意に反してまで強制はしない、あくまでも任意だと、こういう点を確認をしていいのかどうかという点と、もう一つは、政府の主導によって、労働基準法によるところの、通貨で直接本人にその全額を支払うという日本の賃金を支払う基本的な原則、これはくずす意図を持ったものではない。この点ははっきりとここで確認をしてよろしいか。
#32
○国務大臣(植木光教君) 政府といたしましては、いままで給与関係の閣僚会議を開きまして何回かやりました結果、十月二十二日の閣議におきまして、給与の支払い事務の簡素合理化のために給与の口座振り込み制の導入をはかるという方針をきめたわけでございます。ただ、これは各省庁によりまして、それぞれその方法等について考えられておりまして、もう御承知のとおり、いままでも全額振り込んできた職員もありますし、まあ一部という者もございます。あるいは省庁によりましては、全額またはもう振り込みをしないか、どっちかにするというような、いろいろそれぞれの省庁によりまして、職員の意見等も勘案をしながら措置をとってきているのでございまして、この導入を前向きにはかっていくという方針は政府としてはきめておりますけれども、現在のところこれを強制するというような考え方はありませんで、省庁の判断にゆだね、また職員の自発性を尊重するというのが現状でございます。
#33
○野田哲君 では次に、この今度の給与の改正案の具体的な内容に入ってみたいと思います。
 まず一つは、簡単な問題から入っていきたいと思うんですが、人事院の給与局長に伺いたいと思うんですが、今度提案されている宿日直手当の改善について。宿日直手当の改善については、いつの時点で何を根拠にしてこの金額あるいはその改定時期を決定をされているか、この点をまず伺いたいと思います。
#34
○政府委員(茨木広君) 宿日直手当は、超勤手当等と同じような意味の、本来の勤務に対する給与ではなくて、別途のそういう勤務に対する給与というような性格を持っております。そこで、従来の経緯は、毎年これを改定するということではなくて、三年に一度ぐらいの割合で、民間の制度の実態等も調査をいたしまして、そして勧告を申し上げて改定をしていくというたてまえをとっております。昨年もそういうことで制度の調査等をやって改定の勧告をお願いを申し上げたわけでございますが、今年は、まあ昨年から今年にかけますところのいろいろ物価とか給与事情の変更がたいへんございますので、そこで、まあ異例ではございますけれども、本年度も何らかの措置をとらなきゃいかぬだろうということになりました。しかし、今年はたいへん民間の給与実態調査の項目に織り込みます必要のあるものが、項目として多うございましたので、これを連年民間の調査をやるというようなふうな手順にまいりませんでございました。そこで、ことしの民調の結果出ました給与改定のアップ率等の事情等も参酌いたしまして、引き続きではございますけれども、ちょうど昨年から一年おきましたところの九月一日から金額を改定をすることが妥当な措置ではないかという結論に達しまして、御案内のような勧告を申し上げて現在審議をお願いしておると、こういう事情でございます。
#35
○野田哲君 まあ明確ではないのですけれども、やはりこの宿日直手当というのは、この金額の決定にあたっては、やはり何といってもその要素の最大の要素は、この公務員の通常の勤務における本俸が一日当たりどれだけの金額になっておるか、なったか、これが一番重要なファクターになるのじゃないかと思うのですが、そうではないですか、給与局長。
#36
○政府委員(茨木広君) 国家公務員の場合には、別にそういう原則はございませんけれども、結局、宿直いたしますと、まあ夜食が要るとか、そのほか、一種の通常の勤務時間外の別途の勤務が行なわれるという事情もございますので、そういうような本人の給与のほう、本俸的なもののほうの事情等も考慮して決定すべきものであろうという点は、この性格からやはり考えていかなきゃいかぬ問題であろうと思っております。ただ、本人が幾らもらっているかということから、リジッドに、直接それに結びついて幾らと決定されるというような運用ではございませんで、大体宿日直をやられるような方々の給与層の状況等も見ながらきめておったという経緯でございますし、民間のほうの、労働省のほうで御監督になっておるほうの事情も大体そんなような運用をしてきているものというふうに承知をいたしております。
#37
○野田哲君 ですから、この宿日直手当の改善については、これはやはり、今日公務員の給与の改善が四月から行なわれておるわけでありますから、当然それと並行してその改善の時期についても四月から行なわれるのがあるべき姿だと思うのです。ことさらにこれを九月にされておる、この理由は一体何ですか。
#38
○政府委員(茨木広君) この宿日直の勧告を決定いたします院議の際にも、いま委員さんが御指摘のような時期の問題等も相当論議をやったわけでございますが、同時に、通常のこの宿直よりも密度の濃いものについてのより高い金額改定等のような問題も含んでおりますし、それから、やはり何といいましても、連年ということになりますというと、一年よりもさらに期間を短くして、数カ月でまたそれを改定するということもやはりいかがかというような点も論議の末、連年でございますので、やはり一年程度をおいてということに相なったわけでございます。
#39
○野田哲君 この点については、ことしの六月ですか、昭和四十九年六月三日に、宿日直手当の実施時期に関する請願第一三九七号、こういう形で衆議院のほうで採択をされています。各党一致で採択をされています。そういうふうな経過があるにもかかわらず、いま給与局長が説明されたような形で本年あえて九月にされておる、これは一体どういうことなんですか。
#40
○政府委員(茨木広君) その請願が採択されました御趣旨は、その後私のほうに、こういうことになったからということで政府側のほう、内閣側のほうからそれに対する回答、意見と申しますか、そういうものを求められてきたわけでございますが、そういう趣旨で、最終的にどうこうというような意味というよりも、もうちょっと、いろいろそういう意見を聞いてくるというような意味における採択であるようにお受けいたしておりますけれども、そのときの回答にも、ただいま答弁申し上げましたような趣旨で、連年というようなことでございますので、今後これが二年とか三年置いておいてさらに宿日直の額を改定していくというような時期に、四月なら四月にという一般の給与改定のほうと合わせてというふうな御趣旨の方向に持っていけというようなことでございますれば、そういうものをその時期に検討すべきでなかろうかというふうに考えております。で、直接これは給与のほうの官民比較そのものの中には、そういう、事柄の性質上入っていない金額の問題でございますので、別途のやはり決定経過をたどるというようなことに相なっておるわけでございます。
#41
○野田哲君 そういたしますと、次のこの問題についての改善を行なう際は実施時期についても検討すると、こういうことで理解をしていいわけですか。
#42
○政府委員(茨木広君) 当然そういうようなことも考慮に入れて、検討を院議でいただくということに相なると思います。ただ、先のことでございますから、連年行なわれるのかどうかちょっとわかりませんが、かりに連年行なわれるといたしますと、すぐそこを詰めていくというのはいかがかなという感じはいたしております。二年とか何とかということでございますれば、そんなようなことを十分考えなければいかぬと思います。
#43
○野田哲君 次は手当の問題について。第二点目に、人事院のほうでは、私は前々からいつもこの問題、なくなられた佐藤前人事院総裁等にも問題にしておったのですが、人事院は、平たく言えば夏期手当とか年末手当、端数を切り捨ててしまうという悪い慣行があるんです。慣行というのか考え方というのか。年末手当、今度〇・一改善措置が出ておりますけれども、官民比較では〇・一八、こうなっている。この中の〇・〇八、これを捨ててある。いままでもこれ、毎回切り捨ててあるわけです。総務長官ね、わずか率で言えば〇・〇八じゃないか、コンマ以下二けたじゃないかというふうに思われるかもわかりませんけれども、今日ではこの〇・〇八捨ててしまうということは、一万円を切り捨てることになるのですよ。そうでしょう。平均給与のあれから言えば一万円切り捨ててしまうことになるわけです。民間の労働組合で、十一月から十二月の初旬にかけて年末の手当の交渉がずっと各組合行なわれておりますけれども、一万円を切り捨てるか上積みするかというのは、これはストライキをかけた問題になるんですよ。これがいとも簡単に〇・〇八捨ててあるんです。こういう扱いで公務員にがまんしろと言っても、これはなかなかがまんしにくい問題なんですよ。そこで、まず総務長官に、そういうことなんですよという事情を知っておいていただいて、島田人事官に伺いたいと思うんです。これからも一体人事院は、コンマ以下二けた目は、どんな官民比較が出ようと捨ててしまうのかどうか、この点を伺いたいと思うんです。
#44
○政府委員(島田巽君) 小数点、コンマ二つ以下を切り捨てるということは、ただ単に少ないから切り捨てるということではございませんで、公務員の特別給に関しましても、民間における賞与等の詳細な実績を調査して、民調の一環として調査したものに基づいて率を出しているわけでございますが、ただ民間の場合と違いまして、公務員の特別給の場合には、やはり法定主義でございまして、法律によって率を改正していただくということになりますと、翌年度になりまして今度民間の景気の状況等でその率が民間のほうが支給率が少ないという事態が起こったような場合に、今度は引き下げの勧告をするというふうなことにもなりかねない。そういうことが過去におきましても二度ばかしございまして、私どもといたしましては、小数点の下のほうを切り下げると言ってはあれでございますが、そこまで勧告いたさなかったために切り下げの勧告というふうなことはしないで済んだというふうな過去の実績もあったような次第で、手がたくとらえているというのが私どもの趣旨でございます。
#45
○野田哲君 人事官ね、過去もう人事院勧告制度ができて今日まで一体何年になっておると思うんですか。三十年近くなっているんですよ。その中で、わずか二度ばかり民調の比較において小数点以下二けたをそのままあらわしておったのでは下げなければならぬ場合があるから、そういうことを想定をして二けた目はもう採用しないんだと言われましたけれども、それでは島田人事官、切り捨てたほうが何回ありますか、それを言ってください。
#46
○政府委員(島田巽君) 給与局長から回数を申し上げます。
#47
○政府委員(茨木広君) 約十九回ばかりございますけれども、ただ、これは単純に切り捨てたのかどうかということになりますと、多少問題がございまして、御案内のように前年度の民間の特別給の支給状況を調査をいたして、その月数を出しまして、それを当年度の新しい給与ベースに乗じましたものをもって特別給支給の額と、こうしておるわけでございます。でございますから、当然そこに、御案内のように連年ベース改定が行なわれておりますから、そういう意味では小数点第二位のところを採用いたさなくとも、その金額でもって切り込んだというかっこうには決してなってないんでございまして、特に今年度の場合のように相当大幅なベース改定が行なわれておりますときには、おくれ分を見込みましても十二分それは利子分を償って余りあるというような感じの額になってくるわけで、その辺がたいへんむずかしいところだろうと思っております。で、現年度主義をそれじゃすぐ云々ということも出てきますけれども、なかなか、そこはまたひとついろいろ問題がございます。そういうようなことになっておりまして、単純に切り捨てごめんをしたということではないんで、その点は御了解をいただきたいと思っております。
#48
○野田哲君 給与局長ね、そういうごまかしを言っちゃいかぬですよ。私も、この国会に出るまでこの問題でめしを食ってきておったんですからね。まあ時効になったものは別として、ここ十年来切り捨てられたのは毎回で、民調と比較をして公務員のほうが高かったけれども下げないで済んだというようなことは一回もないんです。毎年切り捨てられているんです。総務長官ね、〇・〇八切られておるんです。一万円ですよ。これは公務員の組合が、交渉権も保障されていない、協約権もない、救済機関もないからこれで毎年泣き寝入りをしておるんです。これは民間や公労協で――一万円ですよ、官民比較で差が出ておるものが切り捨てられるということでは、これはおさまりませんよ。復活させる意思はありませんか、これ。
#49
○国務大臣(植木光教君) 私は〇・〇幾つが少ない額であるというような認識は持っておりません。私もサラリーマン生活を送った者でございますから、決してそれをおろそかにすべきであるというような考え方はございません。ただ政府といたしましては、人事院の勧告を尊重するということに最大限努力を続けて今日完全実施までこぎつけたわけでございまして、いまの御意見等は、今後人事院において第三者的中立機関として御判断の資料にされるのではないかというふうに思いますが、私として、いまここで人事院にこうすべきであるというようなことはちょっと申せない立場でございますので御理解をいただきたいと思います。
#50
○野田哲君 島田総裁代行いかがですか。もうあなた代行で最高責任者でいるのはきょうだけなんです。あしたから総裁がきまるんで、ひとついまの最高責任者として、これからもこういう切り捨てごめんのやり方を続けていかれるのかどうか、改める考えがあるのか、それをひとつ答えてください。
#51
○政府委員(島田巽君) 私ども何も低きを願って切り捨てるというようなつもりで粗末な扱いをしたというふうなことは全然ございませんで、先ほど申し上げましたような考え方に基づいていままで処理していたということでございますので、どうかこの点御理解願いますとともに、明日から新総裁ということになりますと、新総裁を加えましてまたいろいろと御趣旨のことを話し合ってみたいというふうに存じます。
#52
○野田哲君 じゃ、これ検討していただけると、まあいま、もうこれからは切り捨てませんとは言えないとしても、検討してくれますか、これ。いままでのようなやり方について。いかがですか。
#53
○政府委員(島田巽君) 新総裁にこういう問題があるということを伝えて、私どもと寄って話し合いをするつもりでございます。
#54
○野田哲君 では最後に、今度の改善措置の一番大きく公務員の諸君が問題にしておるのは初任給、それから若年層のところが同じような性格を持った三公社五現業などと比較をして非常に低い、これが一番やはり問題になっているわけであります。この点について、これはやはり交渉権が保障されていないというところに一番問題があると思うんです。したがって、今回の場合でも、人事院のほうで公務員の組合、まあ法律用語で言えば職員団体と言うんでしょうが、この代表の人たちとよく話し合いが行なわれておればもっと変わった形が出ておるんじゃないかと思うんです。総務長官ね、いま高等学校卒業した初任給のところで、公労協――三公社五現業のところと比較をして九千円前後の差があるんですよ。ですから、同じ公務員で高等学校卒業した者が、たまたま配属されたところが林野庁であった者と、農林省の一般のところであった者とが、そこでたちまち一万円近い差がつくんです。こういう点は、いかにどう説明しようとも合理的な論拠はないですよ。こういう点についてまず知っておいていただきながら、人事院としてこれについて今後改めていくというお考えをお持ちかどうか、この点を伺っておきたいと思うんです。
#55
○政府委員(茨木広君) 実態について本年度の姿がそのような結果になっておるということはございますが、これはなかなかたいへんな、いろいろむずかしい問題を含んでおるというふうに私ども考えております。で、現在出ました官民較差を配分するというこの立場でものごとを考えてみますというと、やはり初任程度の入り口のところと、それから中位等級のところといろいろ比較してみました場合に、やはり連年この初任給のところは民間のところに近いところでずっと合わせてまいったわけでございますが、中位等級のところは、配分の点についてやや下のほうに引っぱられておりました関係上薄くなっているというような関係もございまして、かえって実態的にはその辺のところが苦しくなっているということも一方にございます。そういうところから、いまのこの方法のままで配分をやっていきます場合に、初任のほうに全部満足のいくまで寄せ切れるかということになりますというと、やはりどうしても問題があるというふうに言わざるを得ない。こちらのほうの官民比較の方式も、いろいろ影響の大きい人事院勧告でございますので、民間の従業員の大体過半数、約五〇%をこえる層をつかまえてくるという点をやはり踏まえて、国民の理解を得るというようなところから百人以上の規模のところを押えているのは御案内のとおりでございます。一方、三公五現のほうは、御案内のように春闘の大企業のベースが出ますというと、大体そこでもって一つの金額のワクを設定される、そうなりますと、大体千人以上の企業規模というところで向こうは押えられる、まずそこの点に一つの違いがございます。それからこちらのほうは、俸給表は御案内のように課長から下は高卒の初任のところまで全部一本の俸給表の中に入っております。ところが三公五現のほうは、係長、課長補佐等は別ワクで管理職俸給表等の名前で呼んでおりますが、別ワク俸給表を持って、その間に配分で食い合わないようになっております。こちらのほうは、端的に中位クラスのところと初任とのワクがお互いに食い合うというかつこうが、もうむき出しに出てくるというような問題もありまして、そこでやはり、その年、その年の出ました較差としまして妥当的な配分はどうであろうかというようなところで配分をしなければいかぬものでございますから、なかなか問題点はあるというふうに承知はいたしておりますけれども、その初任のところだけ満足させるというわけにいかないところに苦労があるということを御理解をいただきたいと思っております。
#56
○野田哲君 いろいろ問題がありますが、もうこれで私は終わりますが、給与局長はいろいろ説明をされましたけれども、官民比較ということを引き合いに出されると、今度は官民比較のやり方に私は問題があるよというところまで触れていかざるを得ないんですけれども、そこまではもう私はきょうは言うつもりはありません。ただ、給与局長は、下のほうをよくすると上のほうを落とすことになるよと、こういうふうに、簡単に言えばそう言って開き直っておられるわけです。しかし、それは裏返しをすれば、上のほうを手厚くするために下のほうを犠牲にしておると、こういうことになるわけです、裏返して言えば。だからこれは、この種の議論は毎回、毎回繰り返されておるんです。だから、たまにはまあ上のほうにはがまんしてもらって、若い者が喜んだよ、このぐらいのことをたまにはやってもらわなければ、公務員の若い層は浮かばれないと思うんです。だから、現にいま初任給のところで一万円近い差が出ているんだから、これについては、今後やはり官民比較の方法を、対応の取り方等を十分検討をされて改善をされることを強く要望して、私は質問を終わります。
#57
○戸塚進也君 私は、いま議題になっております給与関係諸法案に関連いたしまして、若干お尋ねいたします。持ち時間が三十分しかございませんので、当局のほうもひとつ簡明にお願いいたしたいと思います。
 今回の給与改善については、先ほど総務長官からもお話がありましたが、人勧を完全実施したということについての努力は大いに認めたいと思いますし、敬意を表したいと思います。しかし、同じ支払ってもらえるなら、先ほど野田委員からもお話がありましたように、もう少しすみやかに支払いをして差し上げる方法はないか、これはやはり同じような気持ちを持つものであります。これは今後についてぜひ改善をしていただきたいと思うところであります。
 そこで、今回の給与改善あるいは人事院勧告を一〇〇%実施していただいたわけでございますから、あわせてイコールになるかもしれませんが、その与える社会的な影響というものをどのように考えていらっしゃるか、率直にお尋ねしたいと思います。もちろん、今年度は、私は異常なインフレとか狂乱物価というような背景の中で行なわれた給与改善でありますから、これが高過ぎるとか、そういうことを申し上げるつもりはありません。しかし、一昨日私はある会合で、ほんとうの零細企業、その企業主の人がこう言いました。この間公務員の人のボーナスが出て、若い人が二十万ぐらいの札を数えてにこにこしている写真を見たけれども、わしらはあんな札は一ぺんに持ったこともない。年末になってお仕着せに一人一万円工員に払ってやろうと思うのにきゅうきゅうしているんだと、そういうことをもう少し考えてほしいというような、そういうことばも聞きました。なるほど、その点から考えれば、そういう立場の人から見ればもっともだというふうにも感じたところであります。で、人事院勧告は、あくまでも民間給与を追ってやるものでありますから、その理屈はよくわかるわけでありますけれども、民間一般人から見ますと、その民間の個々の給与というのが幾ら上がっているかわからなくて、人事院勧告でもって二〇%、三〇%というところだけがぱっと出るものですから、やっぱりいま私が申し上げたような零細な立場の人たちから言いますと、あるいは農家の人の立場から言いますと、割り切れないようなものがある、こういうふうに思うわけであります。
 で、来年度からは、特に三木政権も安定経済成長へというようなことを言われておるわけでありますから、来年度以降の人勧、給与改善のあり方については関心を持たざるを得ないところであります。私としては、特に来年度以降の勧告のあり方、あるいは社会的な影響、さらに公務員給与の長期的なビジョンの策定、こういうことが必要ではないかというふうに考えておりますが、その点当局のお考えをお伺いします。
#58
○国務大臣(植木光教君) 人事院が、官民の比較をなさいまして、今回の勧告を出されたわけでございます。これは、いまお話ございましたように、ことしはまあ異常な経済状況でございますから、こういう高額、高率のものが出ましたということについては、国民の皆さんにも理解をいただけると思うのでございますけれども、お話しのように、零細な企業の人々にとりましては、いろいろ御批判があるということを私も承知いたしております。また特に、ことしの早い段階に、いわゆる春闘が行なわれました段階にこの公務員給与の改定も行なわれておりましたならば、三〇%をこえる今回の改定というものはあまり目立たなく、常識的であるというふうに理解されたかもしれませんけれども、時期がこのようにおくれましたために、よけいにいろいろな面での御批判もあろうかと思うのでございます。ただしかし、先ほど来申し上げておりますように、公務員諸君もいまの経済状況の中でたいへん生活に苦労をしておられるわけでございますから、今回はひとつ国民の皆さま方にもこれで御理解をいただきたい。ただ行政サービスあるいは公務の能率の向上ということについては、ぜひとも国民の期待にこたえて、公務員の諸君が努力をしていただきたい、このことは私どもからも強く要請をするところでございます。
#59
○戸塚進也君 そこで私は、先ほど野田委員からも御指摘があったんですが、別の角度から考えても、来年度以降の人事院勧告というもののあり方について、やはりもっと再検討されるべきものではないか。たとえば、お話しのように、現在人事院では企業規模で百人、事業規模で五十人以上、全国で六千九百三十五カ所、九十一職種、五十五万八千四百八十六人を対象にしておると、これはまことにその労力、作業は大いに可といたします。しかし、先ほど申し上げたようなもっと零細、あるいはまた農業その他、そういった一般的なもっとやっぱりデータも必要ではないか。もちろんこれまで公務員の働く側の立場の方の意見も聞いておられると思うけれども、なおやはりそういう方々の意見も、これは組合を持たざる自衛官とか、そのほか、そういう方々もあるわけです。組合の方々も、また持たざる方々も、働く側の方の立場ももう少しやっぱりしんしゃくしたような何か改善を必要としているんだと私は思うのでありますが、その点についてどうお考えになりますか。
#60
○政府委員(茨木広君) いろいろいま御意見がございましたが、私どもがお預かりいたしております公務員層の給与を決定します場合には、やはり国家公務員法の六十四条の中にございますように、民間の給与の事情等をやはり考慮してきめなければいかぬという一つの原則がございます。その場合に、どの程度の規模と比較するのが妥当かという問題がございますが、やはり公務員の職階と職務の内容でございますとか、責任が類似のものをやはりつかまえてきて比較をしていくということをやらないというと、やはり関係者の御納得を得られないんではないかというふうに考えております。御案内のように、公務員の場合には労働権も制限されておりまして、直接折衝できめるという方法にはなっておりません。そこで私どもが間に介在をさせていただいておるわけでございますが、そういう観点からいきますというと、やはり今後といえども、民間の給与が改定されます状況というものを踏まえて、やっぱりやっていかなきゃいかぬということはくずすわけにまいらぬことだろうと思っております。
 それから、規模の点については、御意見のようなことも各方面でやはりございますが、しかし、また一方、いまの百人規模ではどうも小さ過ぎるんだ、公務員の実態からいえば、われわれの組織はもっと大きいんだから、五百人なり千人の規模と比較してもらわなければいかぬのだという要請も強く、ずっと前から出されております。ですから、そういうところのやはり間をとりながら、いろいろ各方面の状況を見ながら決定していかなきゃいかぬというふうに考えております。
 それから、自衛官等は政府のほう、内閣のほうで、こちらのほうの給与との均衡をとりながら別途特別職関係としておきめになっておるのでございまして、その点は、こちらのほうで民間の事情を調査いたしたものがずっと反映されるようになって、御心配のないようになっておるんじゃなかろうかというふうに考えておるところでございます。特にこういう景気の変動期に際しましては、いいほうに向かう場合はたいへんあれでございますが、悪いほうに向かっていきます場合には、私どもの人事院勧告がたいへんいろいろ各方面に迷惑を及ぼすかのごとく言われますことは、実は私どもとしましてはたいへんつらいことでございまして、その点はやはり御理解を得て、私ども、公務員層の人材確保にも支障がないようにやはりさせていただかなきゃいかぬのじゃなかろうかと思っております。
#61
○戸塚進也君 十分にその点は理解をいたします。しかし、ひとつマンネリズムになって、こうやっていつもきめられているからこうやればいいという考え方じゃなくて、時代も進んでいる、社会の経済情勢も変わってくる、また零細企業、農家の人もいる、そういう人のことも十分考えながら、それに納得がいくような人勧のあり方、こういうことについては絶えず研究していただきたい、これは要望いたします。
 そこで、先ほど野田委員からも初任給の問題がお話がありましたが、この問題にこだわらず、今回改善をされた場合において、初任給あるいはまた中堅クラス、最高幹部クラス、そういう方に分けて、いま国家公務員の給与の中でどの層が最も改善をさらに要するであろうか、そういうふうに考えておられるであろうか、それについて見解を伺います。
#62
○政府委員(茨木広君) 一応ことしの問題といたしましては、例の総合較差是正の問題からきます差額分も考慮に入れながら、初任給のもの、それから従来多少そういう意味で御迷惑をかけておったんではなかろうかと思います中堅クラスの中だるみ是正の問題等、それから物価全体の変動からきます総員に対します配慮、この三点を押えながら勧告を申し上げたようなことでございます。今後の問題といたしましては、今後民間のほうにおける給与について、初任給なりその辺の全体の配分状況がどのように変わっていくか、やはり毎年事情が変わるようでございますから、その辺をやはり踏まえながら結論を出していただかなきゃいかぬのではなかろうかというふうに考えております。
#63
○戸塚進也君 それでは、今度の中で一般行政職の中の医師給与についてお尋ねいたしますが、これはかなり医師の確保という面に意を用いられて、初任給調整手当二五%支給など、これまでに改善されてきている点はずいぶんありますが、現実問題として、国家公務員の中でも医療に携わらない、一般行政職の中でいろいろ大事な仕事をしてもらう医師の確保が非常にむずかしくなっているのじゃないかと思うのです。さらにこの点については今回のこの法案を修正せよとは申せませんけれども、前向きに改善する必要があると思うがいかがでしょう。
#64
○政府委員(茨木広君) 医師の給与につきましては、医療職俸給表をきめます際に、民間の動向を見まして検討を加えておるわけでございますが、特にお医者さんの場合には、僻地ほど高い給与を出さないと赴任しないというふうな実態も官民を通じてございまして、そういう意味で逆のほうに高くなっていくという実態がございます。そこでそういうものを一つは踏まえて勧告申し上げた。ただ、いまそれは主として現実に医療に従事される方を中心に考えてまいったわけでございますが、いま御指摘のような分野でも医師の確保難というものが見えてまいりましたので、ことしは初任給調整手当を二万五千円にするという改正案をお願いを申し上げている次第でございます。その状況、その結果、今後どういうように変わってきますかも見ながら、本来の医療行政に従事します者と全く同じに持っていくべきかどうか、その辺のところはよく検討さしていただきたいというふうに考えております。
#65
○戸塚進也君 そこで、今度の改善の法案を拝見いたしまして、私はさらに今後前向きで改善を必要と考えるものとして、特にまあ私は自分自身の持論として考えておりますのは、身命を国家にささげて国の安全とか治安という問題に携わっている、自分の命を的にしてやっておるという自衛官、警察官等の、非常な危険な職業の人たちのその待遇の改善、これはぜひ必要なことではないかと思いますが、この中で、自衛官については後ほどそれだけについてお尋ねいたしますからそれはおきまして、そのほかにも、社会福祉関係の従事者、これについては、私はもう現在俸給表の中で福祉職俸給表というものをつくってもいいんじゃないか。もうおしっこやいろいろなものの処理まで、真夜中まで労働条件の過重の中でやっておられるという、いわゆる社会福祉関係の仕事に携わっている職員の方々の給与の改善、さらに僻地、辺地、離島、そういうところで国家のために働いている方々。もう一点、私はことし東南アジアへ行ってまいったのでございますが、この寒い日本を離れて、向こうへ行きまして一年じゅう気候何にも変わらない暑い中で、しかも平均寿命四、五十歳で早死にしちゃうような国で、伝染病に悩まされながら、外地で日本の国家のために働いていらっしゃる外交関係の職員の方、もちろん外地の特別勤務手当があることは聞いております。その金額もわかります。わかりますが、聞いてみて、これじゃほんとうにかわいそうだと、命を縮めてほんとうに気の毒だと、こういうふうに私は見てきたのでありますが、当面いま御答弁願いたいのは、そういういまの社会福祉関係従事者、さらに僻地、離島関係等の非常に不便な場所で国家のために尽くしている人、それから外交関係の職員として外地に勤務している方々、こういう方々の給与についてはもっと積極的に改善をされるというようなお気持ちがないかどうか、これについてお尋ねいたします。
#66
○政府委員(茨木広君) まず、第一点の社会福祉関係の職員に対します問題でございますが、御指摘のとおりたいへん御苦労な仕事でございますので、まあいろいろ他の職種についての改善問題も起こっておりますけれども、やはりこういう福祉職員等のものともいろいろやはりバランスも考えながらやっていかなければいかぬ問題であろうというふうに思っております。国家公務員の福祉関係の職員の場合には、医療職なりあるいは一般行政職を基本にしながら、調整額というものを、最高二〇%でございますが、二〇、一六、一二、八、四というふうな五段階で、それぞれの施設の状況等に応じましてそれを付加するというたてまえでもって特別の配慮を加えさせてもらっておるところでございます。今後とも、その辺のバランスがいいかどうかということについては、毎年よく検討しておりますが、その辺を見ながら運営をしてまいりたいというように考えております。
 それから次、僻地勤務職員の問題でございますが、これも僻地関係につきましては、やはり二五%の範囲内で、特地手当という名称になっておりますが、そういう手当をつけることになっております。それらは生活の不便度等を考慮しました形になっております。でございますから、本俸が改正されますというと、その率で自動的に金額が改定されるというような仕組みに相なっておるわけでございます。
 それから、外交官等の場合でございますが、これは外務省のほうで別途、私のほうの所管でなくその方面のことは決定する仕組みになっておりますので、御了承を得たいと思っております。
 大体そういうことでございます。
#67
○国務大臣(植木光教君) いまの外務省関係の問題でございますが、外務省職員につきましては、一般職員と同じでございますが、外地に赴任をいたしました場合には、お説のとおり在外勤務手当が特別につくことになっております。これはいまも人事院からお話ありましたように、外務省と大蔵省とが直接に交渉をいたしまして、どのような額にするかということの努力をしているわけでございます。それから、外地勤務者は二年に一回は一カ月間有給賜暇が与えられるというような処遇もいたしているのでございます。なお、特別職の大使、公使等につきましては、一般職員の給与額改定に伴いまして、特別職としての他の職務と責任の度合いと均衡をとりました給与の改定を行なっているのでございまして、在外勤務者につきましては、私どももいろいろ配慮してまいりますけれども、いま申し上げましたような手続をとっておりますことを御理解いただきたいと思います。
#68
○戸塚進也君 外務省は。
#69
○説明員(枝村純郎君) 在外職員の給与につきましては、法律上も、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律と、別立てになっておることは御承知のとおりでございまして、特別の手当であるという観念から、かつては十年間も据え置かれていたことがございます。近年はようやく三年ごとぐらいの改定ということでやってまいったわけでございますが、最近の石油危機に伴います世界的なインフレ傾向にございまして、本年の四月から、前回の改定から二年しかたっておりませんでしたが、急遽財政当局の御理解も得て改定をいたしたわけでございます。また、昨年この国会でも御審議を願ったんでございますけれども、最近のように物価、為替の変動が非常に急激であると、こういう状態では、必ずしも従来のように法律で非常にこまかいところまで在勤手当をきめておくということでは機動的な運用がかなわないんじゃないか、こういうことで、実費支払いの原則でございます住居手当を全面的に政令に委任していただいたようなこともございまして、これは財政当局としても、今後いままで以上に機動的に在勤手当の水準というものを考えてもらえるという趣旨と理解しております。先生御指摘の後進地域におきます、特に困難な勤務環境ということにつきましては、在勤手当を定めますにあたりまして、私どもも配慮しておりますし、この点財政当局も配慮してくれておりまして、たとえば、その物資不足のために多くの品物を国外で調達しないといけない、こういったことにつきましては、その当該任国の物価あるいは為替以外に、任国の外の先進国の物価の上昇率というようなことも考慮することにいたしております。それから、あるいはその単なる生計費以外に、いわゆる、私どもは特殊勤務地ポイントと申しておりますが、そういった要素をも加味して、ある程度高い給与を出せるようにいたしております。現実に、現在の外務公務員の在勤手当の水準を見ますと、民間各社あるいは国連職員などに比べまして、私どもの給与体系のほうが、アフリカでありますとか、中近東あるいは東南アジアであるような勤務環境の悪いところについては、先進国に比していい水準を出しております。そのほか、ただいま総務長官から御答弁申し上げましたように、休暇帰国の運用につきましても、後進地域に格別な配慮をする等の、処遇の改善については格別に意を用いておる次第でございます。
#70
○戸塚進也君 格別に意を用いていただいていればけっこうです。私は見てきた限りにおきまして申し上げたんですが、あまりにも気の毒だと、まだそう思いました。それから、休暇の問題が出ましたが、アラブ関係なんかの外交官の人たちは休暇とっていませんよ、人が足らなくてとてもとれないんじゃないですか、そこら辺のこともひとつぜひ考えてください。総務長官、ひとつぜひそういう、まあ離島、僻地、あるいは社会福祉、それから外交官、そういうほんとうにたいへんな立場で働いている方々のためにぜひ今後の長官のひとつ御活躍と御後援をお願いしたいと思います。
 そこで、自衛官のことについて少々お尋ねいたします。私はことしの春、個人的に、ある私の県の基地司令にお会いしたことがあります。そのときにその基地司令がおっしゃったことは、これはもう自分のことはいい、自分の給与のことなんかはもういいんですと、しかし、いまの社会情勢や職務の内容から考えてみて、曹士、つまりまあ下の人たちですね、その人たちの待遇についてはぜひこの際考えてやってほしいんだということを切実に伺いました。その後調べてみますと、自衛官については昭和二十七年でございますか、きめられた後は、抜本的な改定ということはないようでございます。これまた伺うところによりますと、最近防衛庁の中で、そうした自衛官の処遇等の問題について研究調査するというような研究調査会みたいなものも発足しているやにも伺っております。しかし、こまかくはわかりませんし、その実態がどうであるのか、あるいは防衛庁なりあるいは給与関係の当局においてそういう自衛官の立場というものを理解されて、今後給与改善について意を用いられることについてどうか。それから、たとえば営内に居住する隊員の食費問題等についてもそのようにも聞いております。ここらについて一体政府はどのように今後御方針を持っていらっしゃるか、お尋ねしたいと思います。
#71
○政府委員(今泉正隆君) お答えいたします。
 第一の点でございますが、御指摘のとおりここ二十年、発足以来、自衛官の給与制度の根本的な部分については検討をいたしておりませんでしたので、昨年五月、これは部外の学識経験者を主たるメンバーとする防衛庁職員給与制度等研究調査会というのを毎月一回開きまして、いろいろわれわれとともに検討していただき、またそれを実現するように努力しようと思っております。
 具体的に二、三の例をあげますと、自衛隊特有の問題、自衛官にことに多いような問題、御存じのとおり士のクラスは二年ないし三年という短期の任用制でございます。そういった他にあまり例のない公務員としてふさわしい処遇改善というものはどういうものであるか。それからまた、曹以上の階級の自衛官は、停年でございますが、二佐以下が五十歳という若年の停年であります。その中での給与、広い意味での給与、退職年金、退職手当等を含みましたそういったものが、おおむね現在警察職員と同様な制度になっておりますが、これでいいかどうかというような問題。さらにまた、殉職、不具廃疾などになる者が比較的若年の隊員に多いわけでございまして、現実の給与をもとにした公務災害補償だけでいいかどうか。もちろん賞じゅつ金というような他にない制度もありますけれども、そういったことを含めて検討を続けておりまして、検討の成果をできるだけ具体的に実現したいと思っております。
 それからなお、第二の営舎内に居住いたしております曹士の俸給決定の際に、食費、営舎内で食事をいたします食費をあらかじめ控除した上での俸給決定にいたしておりますが、この点については、この研究調査会の本年六月の中間報告で、これは控除すべきではないという結果が出ました。それを受けまして、来年度の予算で実現すべく現在関係当局と折衝いたしております。
#72
○戸塚進也君 もう五分しかありませんので、そこで自衛官の問題についてもう一点だけ。
 この間、北海道の然別で爆発事故がありまして、数人尊い命を犠牲にされたわけでございますが、そうした問題が出てまいりますと、補償といいますか、そういう問題がございます。この場合に、そういう自衛隊の隊員の方というのは年齢が若いですから給与が低い。こういう面で、なかなか国家公務員並みの補償といいましても、金額が非常に低くて御遺族の方にはたいへんお気の毒だという点があると思います。その辺についてどのようにお考えになっていらっしゃるか。それと、その研究会の結論はいつごろ出るのか、二点簡単に。
#73
○政府委員(今泉正隆君) お答えいたします。
 最初の問題でございますが、若年のために公務災害補償、具体的には遺族補償ないしは障害補償であるわけですが、それが比較的少ない場合が多い。そういうことで、特定の職務の場合、然別の場合とか、あるいは航空機搭乗、落下傘隊員、あるいは不発弾の処理隊員、あるいは司法警察職員として勤務いたしまして、それがもとでそういった殉職ないしは災害を受けた場合には、先ほど申しました百万ないし一千万の賞じゅつ金を支給する制度はとっております。が、大もとの公務災害補償についていま少し考えたいと思っております。
 なお、制度研究調査会の結論は五十年度末にいただく予定にいたしております。
#74
○戸塚進也君 時間がもう三分しかありませんので、ルールを守るために三問まとめてお尋ねして終わります。
 最初のお尋ねは自治省にお尋ねいたしますが、最近、地方公務員の給与が、非常に国家公務員との格差の問題、それから各都道府県によるばらつきの問題、こういうものが出てきまして、私ども、何となく素朴に考えますと、ちょっと理解に苦しむようなことが出てきております。この給与改善法案について閣議で御審議なさったときにこの問題が出たというようにも伺っておりますので、この点について自治省並びに総務長官、もしその閣議の模様など若干お聞かせ願えますれば御見解をお聞かせ願いたいと思います。
 それから、人勧の中で、給与ではありませんけれども報告書の中に、週休二日制を五十年度実施ということでいろいろ準備を進めるべきだというようなことがあるわけでございますが、その後、民間の動き、さらに石油ショックなど異常なこういう事態、それからまた世論、こういうものを考えた場合に、その後、総務長官せっかくいらっしゃいますのでこの週休二日制の扱いの問題について今後どのように考えていらっしゃるお気持ちであるか、この点簡単にお伺いいたします。
 最後に、かりにもし今回の補正予算、それから、この内閣委員会の関係法案が、かりにもしきょうじゅうに参議院を通過したとするならば、よもや、国家公務員八十万人いらっしゃるそうでありますが、その方々に年内に支給ができないということはないでありましょうなと、もう一度念を押しておきたいと思います。たとえば辺地、離島、外地に勤務される方々を含めて年内に支給していただいて、少しでも明かるいお正月を迎えていただきたい、こう願うものでございますが、もう一度その点について確認しておきたいと思います。
 以上で終わります。
#75
○説明員(金子憲五君) 御指摘のように、地方公共団体の職員の給与水準、四十八年の調査によりますと、国家公務員を一〇〇といたしますと、一〇八・七というような数字になっております。ただ、個々の団体に当たってみますと、その中には三割あるいは四割、国の水準より上回っているというような団体もございまして、これらの原因につきましては、給与制度あるいはその運用の面におきまして適正を欠いているということに基づくんではなかろうかというふうに考えております。こういったようなことは、給与制度上の問題といたしましても、あるいは財政硬直化の原因とも相なりますし、また行政水準にも影響するというようなことがございますので、私ども、地方公共団体に対しましては、今後十分にこの適正化のための努力をするように指導してまいりたいというふうに考えております。
#76
○国務大臣(植木光教君) ただいまの地方公務員につきましては、いまのお話のとおりでございまして、十月二十二日の公務員の給与改定に関する閣議決定の際に、これがいまお話しのような形で話題になり、また行政指導をしてまいるということになったのでございます。この点は自治省からのお話のとおりでございます。
 それから週休二日制でございますが、人事院から今回報告がございました。昨年以来、人事院と各省庁との間で事務的に検討をしてまいりまして、なお検討する分野が残されているということで、人事院におきましては当面、試行――試みに行なうということについての計画策定等、具体化のための検討を進めておられるというのが実情でございますし、政府といたしましても、昨年来、週休二日制関係閣僚懇談会、関係各省庁事務連絡会議において検討を重ねているところでございます。要は、これによりまして住民サービスが低下をするということになりますと、国民の理解と納得が得られませんので、その辺のところを鋭意いま検討をしているというのが実情でございます。
 それから、非常に年末差し迫りましてこの御審議をいただいているわけでございますが、従来の経験からいたしますと、給与の支払い差額が行なわれますためには、おおむね一週間程度が必要でございます。したがいまして、政府は年末押し迫っておりますのでできるだけの準備をして何とか年内に支給せられるようにという努力をし、またそれをお願いをしているわけなのでございまして、そのためにも、本法案が早期に成立をいたしますように何とぞ御協力くださいますようにお願いいたします。
#77
○戸塚進也君 総務長官ね、もう終わるつもりだったんですがね、総務長官のお話を伺っていると、何かちょっと無理なところもあるような感じがするんですがね。私どもは、たとえば今晩上げたら、もう年内八十万の公務員にみんなひとつ少しでも、これは十分じゃないかもしれないが、少しでもあたたかい正月を迎えてもらうようにと、そういうために与野党問わずみんな心配していると思うのです。ひとつ総務長官、もう一つ前向きな答弁お願いします。
#78
○国務大臣(植木光教君) 私から、きょう今晩上げてくださいということは、もうここまで出ておるわけでございますが、これは委員会で審議せられるところでございます。もう万全の準備を整えつつ早期成立を待っているというのが私どもの現状でございます。
#79
○戸塚進也君 わかりました。
#80
○鈴木力君 時間を節約しますために、私はいろいろ問題がありますけれども、相当部分は省略をいたしまして、先ほど野田委員が質問をしました項目の中に若干はっきりさしておきたいことがございますので、これは持って回らないで、はっきりとひとつ御答弁をしていただきたいと思います。
 その一つは、宿日直の実施時期の問題です。四月に調査してこれだけ必要だということになっているのに、九月実施にするということの理由づけがどう考えてもはっきりできないわけです。もう一度お答えをいただきたい。
#81
○政府委員(茨木広君) 期末手当の問題と、それから、本俸その他の手当を含めましたものについては四月現在の状況を調査いたしておりますけれども、宿日直の項目は今年度の調査項目にないわけでございます。そういう関係で、先ほど御答弁申し上げましたように、その後の給与改定率等を参考にしながら人事院の独自の立場で御勧告を申し上げましたと、こう申し上げたわけでございます。
#82
○鈴木力君 それじゃ説明にならぬのです。調査項目になかったが、人事院の独自の立場でこうしましたと、その独自の立場で九月と言ったのは何かということを聞いているのです。九月がいいのか、八月がいいのか、七月がいいのか、その九月というのはどこからきたということを聞いているんです。人事院の立場でしたことは承知しています。
#83
○政府委員(茨木広君) 九月というふうに押えましたのは、勧告を扱っておりましたのが六月から七月でございますが、で、まあ七月に勧告できますか、八月になるか、たいへんデリケートであったわけですが、一応七月勧告になりましたが、その後審議を経ましてということでいろいろ考えまして、若干の時期も置かなければいかぬしということで、それから昨年の宿日直に関します改定の実施時期が九月一日でございました。やはりそこに一年間をおかしていただくということで九月一日というふうに、昨年の実施時期を踏まえましてことしの実施時期を勧告申し上げたという次第でございます。
#84
○鈴木力君 あまりやりとりしていると時間が長くなりますから、もう一つだけ聞きます。
 昨年の九月調査はいつ時点で調査なさったんですか。
#85
○政府委員(茨木広君) 昨年のときは民調と一緒の時期に、金額の調査ではなくて、制度が、民間でどのような制度を踏まえておるかという形でもって調査を実施いたしております。
#86
○鈴木力君 だから、持って回って御説明をなさるからわからないんです。昨年は四月、他のものと一緒に調査をして、そうして九月という勧告をしたんです。ほんとうなら、やっぱり調査の時点で必要だという勧告をすべきだったと思うんです、私は。それで今度は、去年九月にしたからことしも九月からということで、最初のボタンをかけ違えたからおしまいまでかけ違えていきますと、こういう答弁なんでしょう。これではやっぱり私は宿日直手当一つだからいうことになりませんけれども、人事院ぐらいはもう少しきっちりした態度でやってもらいたい。前にボタンかけ違えたから、またかけ違えて順々におしまいまでいきますというのでは、これはとても納得できないと思います。したがって、私は、いまこの法律を直せというわけには手続的にいかないとすれば、この次の機会にはきっちり直しますという答弁はぜひ必要だと思います。いかがですか。
#87
○政府委員(茨木広君) 宿日直の改定時期の問題は、ずっと九月なり八月なり、あるいは四十六年の場合には一月というふうなときもございましたし、四月からというようなたてまえでずっとこなかったものでございますから。
#88
○鈴木力君 この答弁ではだめなんですよ。それなら、なぜさっきあなたは最低一年はおきたいということを言ったんですか。去年も九月にしたから最低一年おこうとして九月にしましたと、こう答えている。それで、今度は直せと言うと、一月にしたこともある、何月にしたこともある。それなら、なぜ九月にしたと、もう一度聞き直さなきゃいかぬのですよ。これでは、とてもじゃないが時間がないから、私が端的に聞いているんです。いま四の五の四の五のそういうことを言わずに、少なくとも、人事院という立場からいったら、そういういままでの、去年こうなったからことしもこうというよりも、ことしの改定がなぜ必要かということをずばり出さないとこれは納得できないんです。それだけを申し上げておきます、時間がありませんから。
 その次に、さっきの銀行振り込み問題ですね。野田委員の質問にいろいろと御答弁をちょうだいしたのを私も拝聴しておりました。これはもう第一条何とかというふうにお伺いしますと時間がかかってしょうがありませんから、まとめて私は申し上げますよ。労働基準法の関係から言うと、本人の希望によるというのだから差しつかえない、こういう筋の御答弁があったと思うのです。それから、事務の簡素化につながるとおっしゃったと思う、そのメリットのほうでですね。
 それで、私が伺いたいのは、国家公務員がこれを始めたら地方公務員もまたそういう――これはあとで自治省の方に伺いますけれども、それぞれの条例改正の通達がもう出ている。その場合に、そういう波及効果ということを考えられて所期の目的が達成されると思っていらっしゃるのかどうか。地方の現実におやりになられているところでどんな問題が起こっているかを御認識なさっているのかどうかということを一つ私は伺いたいのです。
 それから、もう一つの点は郵便局。たとえば地方公務員やなんか、国家公務員にも若干ありますけれども、非常にへんぴなところやいろいろなところにおります。その郵便局は、この振り込みの対象にするのかしないのか。
 まずこの二つの点をお伺いいたします。
#89
○政府委員(茨木広君) 最初の問題でございますが、これは法律的に言えば、現金の支払いという中に今度の方法も入るというふうに解釈をいたしております。ただ、その間に強制にわたらぬようにということで、人事院の承認のもとにこれを実施するというような考え方でございます。
 それから第二点は、郵便局等の問題でございますが、この点は、郵便局のほうでもこの制度のほうに乗ろうということでいろいろ御検討なさっているように承っております。したがって、それがそういう制度改正等整備されるまでの間にはこの振り込み制度そのものにはすぐ乗ってこないと思いますけれども、私のほうの規則の出し方は、「機関」という用語を使っておりますので、整備されれば自動的に入り得るようなことにいたしてございます。
 それから、ほんとうの僻地のような場合はどうするのかという問題でございますが、いま現在のたてまえでいきますというと、かりにそういう場合には、やはり郵便局を使うという意味の現金送金というものが行なわれるだろうというふうに考えております。
#90
○鈴木力君 このあと政府にお伺いいたしますから。
 いまお伺いしたことの中で私がお伺いしたいのはこういうことです。私が、実際にこれをやっておるある地方公務員の職場から聞いたことばなんです。よろしいですか、職場の長が――大きな職場じゃないんです、地方公務員は。職場の長が、今度銀行振り込みで月給をもらうことにするからこれに判こをつきなさい、その銀行は県金庫の銀行だ。そこにいる組合員といいますか、職場の職員は、同じ銀行振り込みでも自分はこの銀行が都合がいいという意見がある。それから、さっき野田委員が言ったようないろんな事情があって自分は現金をもらいたいという議論もある。ところがしかし、そうなりますと、その職場の給与事務がとてもじゃないがいまの人件費じゃ追いつけないわけです。だから職場の長から、まあがまんして判こをつけ。そこまで言われると、とてもいやだと言えないから、しようなく判こつかされた。これがほとんど大半ですよ、小さな職場では。だから、労働基準法違反でないか、憲法違反でないかという議論は、法律のたてまえがこうだという法律論でいけばそういう仕組みになっているけれども、しかし法律論ではなしに、行政効果というものがそういう形にあらわれておる。逆に言ったら給与支給事務の繁忙化につながってきているわけです、多様化すれば。でなければ、自分の意思というものは踏みつぶされて一律に県金庫をやられている。ある県のごときは――ある県と言っておきましょう。県と打ち合わせをして、今度の年末の給与支給金をその金庫が相当部分貸してやるという約束で、そのかわりその銀行を通じて全部振り込めという約束がしてある。これはもちろん職員団体も、それでも年内にほしいからけっこうですと言わざるを得なかった。これは法律がこうなっております、条例がこうなっておりますという問題と、それが行政という現実に生きたときとはまるっきり違った効果になっている。この辺をもう少し反省をしてみる必要があるのではないかということなんです。
 それから私は、郵便局、さっき伺いましたですね。ほんとうは私は、これからも伺いたいのですけれども、政府は郵便局を指定する方針なのか、認める方針なのか認めない方針なのか、どちらかということをはっきり伺いたい。郵便局の問題がこうだなんというこまかいことはわかっていますからおっしゃっていただかなくてもいいです、時間の関係から。
#91
○国務大臣(植木光教君) 地方自治団体についての問題、いまお話がございましたが、これはお話にもありましたように、それぞれの地方団体におきまして条例を制定をしてやらなければならないということは申すまでもないことでございまして、やはりいまいろいろな職場での具体的なお話ございましたけれども、法令に基づきまして行政上誤りのないようにしなければならないと存じます。この点については関係省から指導をさせるようにいたしてまいります。
 それから、いま事務の簡素化になるのかどうかというお話がございましたが、現在までいろいろ民間企業あるいはまた政府関係機関等でも管理職等について実施をしているところでございますが、振り込みの実施によりまして、全体として、事務量が軽減されることはあっても増加することは予想できないというような評価をいま受けているのでございまして、この点につきましては、さらに私ども、先ほど申し上げましたように事務の簡素合理化ということと、職員の便宜に供するということが目的でございますから、その目的はかなえられるようにしなければならないと考えております。
#92
○鈴木力君 本人の意思がつぶされるかどうかとう……
#93
○国務大臣(植木光教君) いま、先ほども申し上げましたけれども、地方自治団体でもそうでありましょうし、また国家公務員の場合にも、本人の意思というものはやはり尊重しなければなりませんし、この点につきましては、各省庁においていろいろ検討し努力をしているところでございます。
 郵便局につきましては、いま検討中でございまして、これはいろいろな問題があるようでございますので、これを指定機関とするのかどうかということについては、郵政省を中心といたしましていろいろ検討しておりますので、いまのところ、ここでどうなるということは申し上げられないという状況でございます。
#94
○鈴木力君 自治省の方、お願いしておったんですけれども、自治省で通達出されたでしょう。それで、その通達の中身をどうこうと、きょうとても時間がありませんからそれは伺いませんが、あの通達を出すにあたって、あるいは出したあとでもよろしいですよ、それは法律的に条例つくらなければならないと、これは当然の話ですから、ああいう御指導についてどうこうと言うわけじゃない。その効果が、さっき申し上げましたように、私がある程度さわってみた限りにおいては、国家公務員の場合はわりあいに本人の意思というものが尊重されているようなんです。それはやっぱりその職場のほうが規模も大きいし、また、いる場所というのは大体機関の多いところですからね。地方公務員の特に県費、たとえば学校の教員なんかがそうなんです。県費支給なんですね。県から学校に一括して職員分がいままで送られてきている。学校の出納事務職員がそれを受け取ってきて先生たちに一人ずつ分配しておった。一方、もし本人の言うとおりを聞くと、私は信用組合をほしい、私は大和銀行がほしい、私は地方の何々銀行がほしい、もう銀行ごとに振り分けをするという事務だけでもたいへんにふえてくるでしょう。だから、結局職場の長がこれ一本にしてがまんして判こをつけと言う、これが出てくるんですよ。そうなってくると、法律はそうなっていないけれども、行政の中でそういう系統に追い込んでおる。これは実は、この給与の支払い事務ばかりじゃなしに、最近の行政はそういう傾向が非常に強くなっていますからね。そこで私はこの問題を非常に重要視して見ていると、こういうことなんです。私はほんとうはこの銀行いやだったけれども、とうとうみんなと一緒でなければ都合が悪いから判こをついた。こういうことがあるとすれば、私はこの制度というのはやめるべきである。でなければ、自治省は、やはりそういうことが万が一でもないようにという相当強い指導をしなければこの効果が浮かんでこない。それについての所見を伺いたかったわけです。
#95
○説明員(金子憲五君) 年内に口座振り込みによる給与支払いを実施しようとする団体は非常に限られております。いままで御指摘があるような問題がある団体は、どちらかといいますと、私どもの指導――国の口座振り込み制度の実施に伴いまして私どもが地方団体に対して通達を出す以前に、むしろ当該団体の資金繰りと結びつけて口座振り込み制度を実施をしようとした団体に御指摘のような問題があろうかというふうに考えております。私どものほうの指導といたしましては、あくまでも事務合理化の目的と同時に、本人の便宜をはかるということを大前提としておりまして、あくまでも本人の意思に基づいて実施をすべきものだというふうに考えております。
 それから、本来の目的達成ができるかどうかということでございますが、現在、地方公共団体のうち中程度の規模の市以上の規模の団体におきましては、ほとんどが給与計算を電算機で処理をいたしております。そういった団体におきましては、いかなる金融機関を選定をいたしましょうと、電算機によって振り分けを行なうということで、最初におきましての振り込み口座指定につきましては若干の労力を必要といたしますが、その後の振り込みにつきましてはほとんど手間を要しない。したがいまして、どのような金融機関を指定いたしましょうと、その点につきましては問題がないというふうに考えております。そのような考え方から私ども指導を行なっておりますが、その金融機関の範囲におきましても、特に国よりも地方公共団体の場合のほうが口座振り込みの職員に対しての便宜が大きいんではなかろうか。たとえば遠隔地におきましての義務教育の学校あるいは駐在所においての警察官、これらに対しましての従来の給与支払いは、たとえば、後日におきまして警察署に警察官を招集をする、あるいは自動車でもって持ち運ぶ、あるいは先生の一人が教育事務所に出かけていくというようなことで、しばしば給与支払い期日に本人の手に渡らないというようなこともあったわけですが、今回は、むしろそういった人たちのためにも口座振り込み制度の採用が適当なんではなかろうか、そういったような考え方から、農協、それから郵便局に至るまで振り込みが可能なように考えて指導しております。
#96
○鈴木力君 少なくとも自治省ぐらいはもう少し地方の実情に合ったものの言い方をしてほしいです。遠隔地の僻地の学校が、銀行振り込みをしてもらったほうが本人は便宜だという考えは私にはわからぬ。いいですか、金融機関も何もないところにいてですよ、そうして銀行振り込みをして、銀行預金通帳をながめておって買いものができますか、いま。それはここであなた逃げるための答弁でしょう。そういうところにほんとうに親切であったら、本人あてに現金書留で送ったらどうです、ほんとうにその親切みがあるなら。何のために――あんた何キロメートルか行かなきゃいかないような遠い銀行まで、一人一人それを取りに行かせるようなことを親切ごかしにやる自治省というなら、考え直さなきゃいかぬですよ。どうです、それは。時間がありませんからね、もう一つお伺いしなきゃいけないことがありますが、これは私の言うほうが正しいでしょう。金融機関のないようなところに働いているのに、銀行通帳に積んだから親切だなんていうことは、そんなことは自治省の方ぐらいは言うものじゃありません。それから、本人の意思を尊重するのが第一前提と言うなら、ほとんど全部が現金をほしいんですよ、いま。もっとも、みんな貧乏だから、あまり預金通帳持たされないから、この機会に通帳を持ってという、そんなことを親切ごかしに言うのは、これも正しいことじゃない。これは自治省でもう一度検討してみてください。いいですか、よろしいですか。そうして、もし私が指摘したような事実があったら、自治省は責任を持って指導してください、あとで出た問題は自治省に直接持ち込みますから。それだけ申し上げておきます。
 そこで、長官にもう一つ私は伺いたいんです。郵便局についていま検討しているということはわかりました。問題点があることは私も承知しております。そこで、ほとんどいまの国家公務員も地方公務員も一〇〇%出資者になっておる労働金庫をどうして指定できないか、このことを私は最後にお伺いしたい
#97
○国務大臣(植木光教君) これは人事局長からお答えいたします。
#98
○鈴木力君 時間がありませんから、早くやってください。
#99
○政府委員(秋富公正君) 先ほど総務長官からもお答え申し上げましたように、現在、これは会計法上の問題がございまして、いわゆる国庫金の支出、これは日銀を通じて行なうこととされておるわけでございます。で……
#100
○鈴木力君 わかった。もういいです。わかりました。
 それで、郵便局も日銀の代理権は持っていないんです、そうでしょう。郵便局も日銀の代理店になっていないけれども、これは会計法上には触れないから問題点を検討してやるかどうかということでやっている。労働金庫は日銀の代理店の資格を持っていないから最初から問題にならない。この説明がわからないというんです。
#101
○政府委員(秋富公正君) 御指摘のとおりでございますが、同時に、これは支給日に給与が確実に振り込まれるかどうかということも非常に私たちといたしましても大きな問題でございまして、この点につきましては、日銀の……
#102
○鈴木力君 わかりました。時間がありませんから、わかりました。もう一つ聞きます。端的に聞きますからね。郵便貯金の場合には末端まで信用できてわかるけれども、労働金庫の場合にはわからないという理由はどこにあるんです。簡単に言えばこういうことでしょう。労働金庫は労働者の出資している銀行だからこれは信用できない、郵便局は国家の機関だから信用できる、そういうようなことで労働金庫をはずすというような気持ちがあるから。ところが、いまのこの給与を受けるほとんど全部の人は、労働金庫の出資者であり、貯金をする場合には第一に労働金庫に貯金をしようとしている人たちなんですよ。その人たちを、労働金庫を除外して――このときはよかったわけですよね、日銀の代理業務がないからということでいけた。郵便局を入れるときは説明がつかないでしょう。まあ待ってください、もう時間がありませんからね。こんなことをやっておるから、この銀行振り込みというのは親切ごかしであるけれども動機は別にある、こう言わざるを得ないんです。かりに日銀の代理業務がなくても――これは国家公務員の場合もそうですよ。たとえば、大和銀行、第一勧銀ですか、虎ノ門支店は日銀の代理業務をやれるわけですね。そうすると、そこへ東京労金の口座を置いておけば、そこで東京労金に振り込みできるんじゃありませんか。意図的に労働金庫を除外しようとしている、このことが私は納得できないと、こういうことです。
#103
○政府委員(秋富公正君) 現在口座振り込みの対象となっている金融機関は、都市銀行、地方銀行、信託銀行のすべて及び相互銀行のほとんどでございますが、いま御指摘の労働金庫以外にも、信用金庫の相当数、信用組合については、現在のところ振り込みの対象とはなっていないのは御指摘のとおりでございますが、この点につきましては、先ほども申し上げましたように、いわゆる日銀を通じて行なっているわけでございますが、いわゆるこれが支給日に確実に振り込まれるかどうかという点について、何ぶん早急の間でございますので、今後さらにそういった点を含めまして検討いたしたいと思っております。
#104
○鈴木力君 私はいまの説明では納得しないんです。郵便局なら支給日に振り込まれたかどうかはわかるが、労働金庫がわからないというその根拠かわからない。労働金庫だって、労働者がやみ金融やっているのと違うでしょう。ちゃんと政府の法律で認めた金融機関、そして、何回かは、銀行法に基づいて、これは特に御丁寧に大蔵省と労働省の両方の監査を受ける機関じゃないですか。そういう国家の機関を、国の法律に認められた機関を、一方は信用できないけれども郵便局は信用はできるというようなことを、政府の方がおっしゃるということに私は納得できない。いいですか、これはもう労働金庫も入れるという方向で、郵便局と同じ扱いでこれは検討してほしい。日銀との関係からいえば郵便局も労働金庫も同じです。それから、信用金庫、信用組合につきましても、私はここにリストがありますけれども、なるほど地方の、さっきへんぴ論が出ましたよ。へんぴの職員が、信用金庫しかないようなところは指定からはずされている。これが御親切ごかしに説明されるからわからないんですね。それは、この信用金庫は小さいからというかもしれませんよ。そういうところがね、給与の支給者の立場に立った場合には、そういう点からやらないといけない。その場合には、法律を言い出す。法律というのは、その対象のために効果があがるように法律は変えることができるんです。法律をたてまえにして、行政がひん曲がってもしょうがありませんという態度は、これは今日の行政姿勢じゃない、政府の政治に対する姿勢じゃないわけです。抜本的に、そういう点からこれは検討し直していただきたいということを私は強くこれは要望しておきたいと思います。
 最後にもう一つだけ。これももう時間がありませんから要望にとどめますが、総務長官に、真剣にこれは御検討いただきたいのは、要するに野田委員が言った最初の、給与がこんなにおくれた事態がどうかと、こういう問題ですね。これを私はさっきの戸塚委員の質問でもそう思った。もう、たとえば零細企業の労働者がどうこう、そっちの声も聞けというような声が出てくるんですね。こうなってきますと、労働基本権と引きかえに公務員給与を勧告をしておった人事院の性格は私は変えるべきだということです、やっぱり。そういうことを聞いてきて、判断をするという場合には、やっぱり人事院は、たとえば公労委のような仲裁機関に、この部分については移行していく時期にもう来ている。そういう観点から、私は別にどうしろと具体的に言うわけじゃありません。そういう問題もあわせた、いまのワクの中でどこかをつつき回して、矩形の面積一定にしておいて、縦横どうしようかというような議論じゃなしに、そうした問題も含めた抜本的なというか、根本的な検討を私は政府に強く要望しておきたいと、こう思います。
 以上で終わります。
#105
○太田淳夫君 それでは、ただいま審議されております人事院の給与勧告につきまして質問をさしていただきたいと思います。
 ことしのこの人事院の勧告につきましては、もうすでに七月二十六日に勧告が出されまして、例年よりも早かったということでございますが、この例年よりも早く、二週間も早く出されましたこの勧告は、処理されずにいままでまいりました。その問題も、この当委員会におきまして再三議題になってきたわけでございますけれども、この人事院の勧告、これは民官給与の較差解消をはかっている、このことは当然でございますけれども、昨年の四月からことしにかけまして異常な物価上昇がございました。これは二四・九%というような異常な事態でございまして、まあそういったこともこの勧告の中身には盛り込まれております。これは当然だと思いますが、それにこたえまして、ことしの五月三十日に、この委員会におきましての決議もあって、一〇%の勧告を出しました。その一〇%増加の暫定措置がとられましたけれども、とてもそれではこの異常な物価高に追いついてまいりません。いま、先ほども自民党の戸塚委員からもお話がございましたとおり、この年末になりまして勧告の完全実施ということで、公務員の方々はいいなあというような声がちまたに聞こえるようになりました。しかし、一生懸命この物価高の中で、わずかな一〇%暫定措置の中で生活を守り、この国の行政運営に携わってみえた公務員の方々が、そのようなやはり批判を浴びなきゃならないということは非常に気の毒だと思います。そういった意味で、この人事院の勧告が出ましてから、やはり即時に実施をしておけばこれは問題なかったわけでございますけれども、いままで据え置かれてきたその中で、公務員の方々の生活、非常な悲惨な状態の方もおみえになると思いますが、このような事態を招いたことに対しまして、まず最初に総務長官ですね、公務員給与を所管し、そして公務員の生活を守る立場にみえる大臣のお考えをちょっとお聞きしたいと思います。
#106
○国務大臣(植木光教君) ただいま太田委員がお話しになりましたとおりでございまして、この完全実施が今日に至りましたことにつきましては、私ども非常に強く遺憾の意を表したいと存じます。公務員の給与につきましては、人事院勧告があり、また国会で御審議をいただくということで、二つのたてまえをとっておりますから、この間、時期的なズレがあるということは例年のことでございますが、しかし、先ほど申し上げましたように、できるだけ早期にこれを決定するという努力を今後いたしてまいりたいと存じます。本年は特に、非常に物価上昇がございまして、公務員もそうでございますけれども、国民全体が非常に経済混乱の中で苦労をしておられる実態でございます。したがいまして、政府といたしましては、物価上昇を一日も早く抑制しなければなりませんので、総理を中心として、この抑制のための一大作戦と申しますか、あらゆる施策を重点的にそこに傾注をしていくという状況なのでございまして、これは全国民のかかえている大きな問題でございますから、政府は責任を十分に痛感をしながら対処してまいらなければなりません。公務員の諸君につきましては、お話しのとおり、この物価上昇の中で給与の改定がおくれてまいりましてたいへん御苦労をかけておりますことにつきましては、私どもも十分承知しておりますし、またいろいろな不満を持っておられることにつきましては十分に理解をいたしております。たとえば、十月の東京都の総合消費者物価指数を見てみますと、前年比二六%弱の上昇でございます。これを五十年の三月には、前年比一五%に押えたいということで努力をしておりますことは御承知のとおりでございますが、いまの状況はそういう状況でございますために、公務員はお説のとおり暫定アップとして一〇%と定期昇給分だけで今日に至ってきたのでございまして、この間、実質賃金が低下しているという事実がございますので、ひとつここで一日も早く、一刻も早くこの法案を成立させてくださいまして、公務員の諸君に喜んでいただけますように御協力をお願いを申し上げたいと存じます。
#107
○太田淳夫君 人事院にお伺いをしたいと思いますが、それでは、勧告が臨時国会で処理されなかったので、あとでどのような早期成立を目ざしての努力をされていたかということをお聞きをしたいと思います。
#108
○政府委員(島田巽君) 人事院といたしましては、御承知のとおりの早期勧告をいたしたわけでございますが、早期勧告をいたします私どもの気持ちも、早期勧告と同時に早期支給がこの際最も必要であるという観点に立っての七月勧告をいたした次第でございまして、それだけに、その後のいろいろな事情でおくれましたことに対しまして、私どものほうといたしまして、できるだけ早い機会に早期実施をしていただきたいということを、政府に対しまして、適時私のほうから申し上げて今日に至っている状況でございます。
#109
○太田淳夫君 先ほどの総務長官のお話の中に、公務員の方の実質賃金が非常に低下していることはよく把握をしているというお話もありましたけれども、十月十六日現在の労働省の労働経済指標を見ましても、民間労働者の実質賃金そのものも非常に低下をいたしております。ここに一つのデータがありますけれども、もうその点も御承知だと思います。これを見ましても、一月から四月までマイナス、五月になってようやくプラスになった、それは春闘の結果があらわれてきたんだと思います。その後は、五月に六・五、六月に五・五と低下して、七月には一〇・二と上がる、これもボーナスの支給があったために上がってきた。八月になると四・二と、五月、六月に比べてまたさらに低下しております。また、十一月三十日付の労働省の発表によりましても、十月はマイナス二・九%、十、十一月はなおさら不況の時代ですから、賃金の分割払い等もありますので、このマイナス状態はさらに続いていると思います。この労働省の発表の中には公務員のベースアップは含まれておりません。非常に数字は低いと思いますけれども、それでも労働省の発表では名目賃金が二二・五%上昇している。ところが公務員の場合ですと、本年四月からの一〇%のいまのお話の暫定処置、それから定期昇給分を含めても名目賃金は二二・五%まではいかない、まあせいぜい一五%ぐらいでないかと思います。こういうことから見ますと、いまお話しのとおり公務員の方々の実質賃金というのは非常に劣悪な状態が続いております。その上に、物価上昇にこの公務員の方々の給与はすでに追いついていない、これは明らかだと思います。いま総理府総務長官も、そのことはよく御承知であると、まあそういった意味でこの給与の早期支給ということもお話しになりました。私どももそれを目ざしていまいろいろと審議さしていただいているわけでございますけれども、本年のこの消費者物価の伸びの様子、確かにいま総務長官お話しのあったとおり一五%目標目ざして努力されるというということ、これはたいへんに私たちも期待をしておりますけれども、総理府の統計局の資料で見ますと、本年四月から十月まで――この十月からは、特に国鉄、私鉄、医療費と、それから米価などの公共料金が一斉に上がっております。全国平均で八%ぐらいになっておると思いますし、東京の特に区部につきましては、十一月まで発表されていますが、これだと八・一%の上昇になっています。ですから、四月から今日まで、いずれにしましても八%以上には上がっていますし、本年最後の数字になるとやっぱり一〇%ぐらいはこれは消費者物価の伸びがあると思われます。ですから、こう考えてみますと、昨年の四月から本年四月までの消費者物価の伸びが二四・九%、これは最初にお話ししました。きょうまでの伸びを見ますと、十月は全国で三五%、東京で三七・七%のアップと、こういう状態になっております。ですから、この勧告を見てみますと、四月からの一〇%暫定処置を含めても二九・六%、それに定期昇給分二・八%含めましても三二・四%しかありません。そういった点を考えてみますと、この本年の勧告をいま実施しても消費者物価に追いつきませんし、この国家公務員法の第二十八条の情勢適応の原則、これを見てみますと、百分の五ですね、これは民間給与との差と書いてありますけれども、こういった情勢から見ますと、人事院がこの情勢適応の原則に従いましてもう一度勧告をし直さなきゃならないような事態ではないかと思います。これは前回の委員会におきましても峯山委員からそういった点につきまして人事院の考えもたしかお尋ねしてあると思いますけれども、もう一度、現在のこの事態に立ち入りまして、現在のこの人事院の勧告の早期実施とともに、さらに情勢適応の原則にのっとって公務員の方々の給与の再度の勧告をお考になってみえないかどうか、その点の見解をお聞きしたいと思います。
#110
○政府委員(島田巽君) いま御指摘の国家公務員法第二十八条に規定をしております情勢適応の原則がございますが、この第二十八条の後段には、「俸給表に定める給与を百分の五以上増減する必要が生じたと認められるときは、」人事院は勧告をしなければならない、という趣旨でございますが、俸給表を百分の五以上引き上げる必要があるかどうかということでございまして、直接に物価が何%上昇したからそれですぐに勧告を義務づけられるという性質ではないものと私ども理解しておりまして、したがって、そういうふうな俸給表五%以上も引き上げなければならないような情勢がもし起こったような場合には、これは、私どもとしてよく考えなければならない問題であろうかと思います。
#111
○太田淳夫君 そうしますと、いまの現在の状態ではこの原則を適用する考えはないということですか、そこまで立ち入っていないということですか。
#112
○政府委員(島田巽君) いまのところ、私どもといたしましては、何としてもこの七月勧告の完全実施ということをまずしていただきたいということが切なる念願でございまして、まだ第二次、続いての勧告ということはいまのところ考えておりません。
#113
○太田淳夫君 それでは、公務員の方々の生活を守る大臣として、総務長官、いかがお考えでしょうか。
#114
○国務大臣(植木光教君) まあ、たいへんおくれましたことは、先ほど来、何回も申し上げておりますように残念であり遺憾に存じております。で、今回の人事院の勧告の内容は、本年四月の官民給与の比較に基づくものでございまして、人事院は専門的な立場で十分調査をせられたことだと思うのでございます。問題はお説のとおり、先ほども申し上げましたが、調査時点、それから勧告時、それから勧告から給与改定までの物価上昇と、こういうものが問題になろうかと思うのでございますが、昨年来の異常な物価上昇が国民生活に及ぼす影響につきましては、政府として重大な関心を持っていま対処をしているところでございまして、したがいまして、人事院の勧告を尊重をし、一刻も早くこれが成立をいたしますことを心から念願をしているのでございまして、私どもといたしましては、人事院が専門的な立場で調査し、勧告されたものにつきましては、最大限尊重をしていくという立場でございますので、御理解をいただきたいと存じます。
#115
○太田淳夫君 そこで問題になってくるのはやはり早期支給の点だと思います。公務員の方々の給料というのは、まあ給与法定主義と先ほどおっしゃいました。財政上のいろんなたてまえもあると思いますけれども、何らかのやはりこれは道を講じなければならない問題じゃないかと思います。ことしは、聞くところによりますと、共済組合でもたいへん貸し付けの金額がふえているということは、それだけこの物価に伴う中で生活がたいへんな状態になっていると思います。
 そこで、私どもも考えているわけでございますけれども、この人事院勧告が出る前一〇%の暫定措置を講ぜられたわけでございますけれども、この勧告が出され、まあこのことしのような異常な事態になりますと、大体二五%から三〇%以上、春闘の状態見ても三〇%以上でございますので、大体それにのっとった勧告が出るということは、これは当然考えられると思います。当然ですね。ですから、その中で、その勧告が出たときに、国会で、まあことしのような臨時国会が始まっても内閣にやる気がなくてこの審議がされなかった、こういうような場合も、勧告が出たときに、その中から一〇%でなくて二〇%あるいは二五%という、そういう生活を守られる範囲内の内払いということができないのかどうか。そのことをちょっとお聞きしたいと思います。
#116
○国務大臣(植木光教君) 御承知のように、政府は予算を編成いたします際に、五%のまあ給与の上昇分は予算上は組んでいるわけでございます。これを、たとえば仮払いしたらどうかというようなことも一つ考えられますが、これまた人事院の勧告を待たなければならないというのが現在の制度でございまして、ことしの一〇%のアップにつきましても、人事院の勧告を待ちましてこれを行なったというような経過でございます。仮払いにつきましては、何とかできないものかということでいろいろ検討もしておりますけれども、先ほども申しましたように、また、いま太田議員お話しがございましたように、国会の議を経ないでやっていいのかどうかということでありますとか、あるいはまた勧告の対象とならない職員に対してはどうするのかとか、あるいはまた、その財源問題等がございます。で、そういう意味で、この仮払い方式というものは、現在の制度のもとではできないというのが現状なのでございまして、ただ、先ほど申し上げましたように、まあできるだけ、その勧告が出ましたならば早期に国会に法案を提出をし、予算を提出して御審議をいただくという努力を今後してまいりたいと思うのでございます。
#117
○太田淳夫君 そうしますと、現状としてはいろんな問題があってできかねるということですね。将来このようなことがあった場合にはどうでしょうか、それに対する……。
#118
○国務大臣(植木光教君) 非常に、もうこの制度そのものにかかわる問題でございますし、問題点も、先ほど来申し上げておりますように幾つもございます、きわめて重大な問題でございますけれども、私どもといたしましては、鋭意検討を続けていきたいというのが現在の私どもの考え方でございます。今日ある制度の中で、どうすれば早期に支給することができるかということを考えますほうがまあ一番手っとり早い方式ではないかと思うのでございます。別に、いろいろな御意見も伺っておりますので、非常にむずかしい問題でございますけれども、検討はさせていただきたいと存じます。
#119
○太田淳夫君 かつてですね、佐藤人事院総裁がこの委員会でおっしゃっていましたが、戦前は、何か公務員給与というのははっきりときまったものがあった。いまはもう、この税金、それから給与支払い関係上そういった法定主義になって、いろいろな段階を経ているということでございますけれども、やはり公務員の皆さん方の生活を保障するための給与ということでございますので、そういう点から考えますと、もう一度この人事院勧告のあり方というものは、やっぱり考え直さなければならない事態にきているのじゃないかと思いますが、勧告が出され、国会の議を経て早期支給といわれても、もう民間の給与の昇給分には非常におくれてきます。ほとんど半年以上おくれてくるのじゃないか、最大にこうやってもですね。そういうような状態を繰り返していくのじゃなくて、もともと公務員の方々の給与体系はこういうものだというものをつくれないものであるかどうか、その点の検討はどうでしょう。
#120
○国務大臣(植木光教君) 私どもといたしましては、優秀な人材を公務員として誘致し、また確保したい。同時にまた、公務員の諸君には、大いに能率をあげていただいて行政サービスに徹していただきたいという基本的な考え方を持っております。したがいまして、人事院が第三者、中立機関として民間との比較を十分に調査されながら勧告を行なわれるということにつきましては、最大限尊重してくるというふうに今日まで努力をし、いまここで実現をしているわけでございます。公務員諸君の生活につきましては、私どもも十分に配慮をしてまいりたいと存じます。同時に、国民全般のことも考えなければなりません。国民の方々の理解を得られるような給与でなければならないと存じますし、また、民間の給与所得者また給与、賃金を受けない民間の方々というような方々も大ぜいおられるわけでございますので、この辺のところは、人事院も十分に考えながらやってきておられるわけでございますので、私どもとしては、公務員諸君の生活を守ることと同時に、国民の理解と納得を得るという二つの課題をかかえながら今後努力をしてまいりたいと存ずるのでございます。
#121
○太田淳夫君 それでは次の問題に移りますが、先ほどから論議されました給与の振り込みの問題についてちょっとお聞きしますけれども、人事院は、いままで給与につきましては民間の給与と比較していろいろと決定されております。しかし、この振り込みにつきましては、何ら実態について発表されてないようですけれども、いま、民間ではどの程度の口座振り込みがされていますか、その調査したものがありましたら示していただきたいと思います。
#122
○政府委員(茨木広君) 人事院で直接調査をしましたものはございませんけれども、民間のほうにおいて調査しましたものを見ますというと、上場会社の場合で、約六割近いものが実施またはその予定という回答になっておるようでございます。それから、非上場の場合にはやや率が落ちまして、約四二%程度のものがそういう対象になっているということでございます。内容は、やはりいろいろ、会社全員にしているものもございますれば、希望者とか、あるいは管理職以上とかに限っているものもございます。
#123
○太田淳夫君 それはいつの時点の調査ですか、いまのあれは。
#124
○政府委員(茨木広君) 四十九年、本年でございます。
#125
○太田淳夫君 何月。
#126
○政府委員(茨木広君) 月まではわかりません。
#127
○太田淳夫君 富士銀行がことしの五月に六千社を対象に調べたアンケート調査によりますと、銀行振り込みを採用している会社は二四%、上場会社だけでは三八%と、こうなっておりますけれども、いまの発表ですと、六十何%ですか、実態は。――いいです、それは。
 そこで私たちは問題として取り上げたいことは、十月二十二日の閣議におきまして、給与支払い事務の簡素合理化のため、給与の口座振り込み制の導入をはかると、こういうことで決定されたわけでございますね、最初に。まず、それに基づきまして、十一月二十五日に人事院規則を一部改正をしてこの振り込み制度を希望者に適用すると、こういうことになったわけですね。まず、私たちがここで問題にしたいことは、人事院の勧告が完全に実施をされたあとでこういう問題については人事院が規則を改正をすべきじゃないかと思う。最初にまず、このまだ完全実施もされていないのに、このような規則を改正した理由というもの、根拠をまずお伺いしたいと思います。
#128
○政府委員(茨木広君) 十一月の二十五日に規則を出しました理由は、この規則を出しまして、その上で今度各省庁において職員に対する周知徹底、それから申し入れの受理、それから人事院に対します承認の申請、口座の確認の手続、振り込み依頼書の作成等というような一連の手続がずっと必要になってまいります。そこで、これは御意見のとおり、やはり人事院勧告の本体の実施の時期からということを私のほうも踏まえまして、その時期以後でないといけないという立場で各省のほうも指導してございますし、同時に実施できますように準備できる期間をぎりぎり見ましてその時期に出したような次第でございます。その前に、政府側の態度といたしましても勧告を完全実施するという意思決定をいただいた後でないと、私のほうもそこに踏み切るわけにいかぬということで、その辺の時期も待ちながらその時期に規則を出したという経緯でございます。
#129
○太田淳夫君 そうしますと、この閣議決定の中には、このような給与支払い事務の簡素合理化のため、給与の口座振り込み制の導入をはかるとありますが、人事院の規則改正のほうにはそういったことが書いてございませんけれども、その目的が明らかにされていない、こういうふうに思います。昨年の人事院勧告におきましても、一応給与の口座振り込みについてはその導入を検討する、こういうことがございましたけれども、本年はそういうことなしに、ただ一片の規則の改正によってこのようになってきたわけでございますが、確かに、口座振り込みにすれば事務の簡素化ということになると思います、あるいは合理化。先ほども問題になりました、いろんなメリットあるいはデメリットもございます。しかし、私はここで問題にしたいことは、人事院というのは、やはり先ほども総務長官のお話の中にありましたけれども、公正なやはり第三者的な立場に立ってこれはやっていかなければならない、こういう使命があると思います。そういう点まで考えますと、今回の給与振り込みにつきましては、まず、給与振り込み制、そのことを規則を改正してやる前に、この人事院勧告の即時実施をまず目ざして、そしてそれがされたあとでこの規則を改正をしてもおそくなかったんじゃないか、こういうふうに私たちは思うわけです。その点についていろいろと見てみますと、やはり公正な第三者というよりも、むしろ政府のほうについているような感じがするわけです。政府に追随をしているような感じがする。このような消費者物価の異常な上昇の中で、やはり一日も早く公務員給与の支給を考えていく、それが最初であると思います。当然だと思います。しかし、そういった本人の自由意思じゃない、基づかないような口座振り込み制を導入しようとする、そういった行き方というのはやはり間違っているんじゃないかと私たち思うわけです。一つの、公務員の方々に対する賃金のこれは抑制の方向に向かっているんじゃないか、あるいは政府の経済政策のあり方、いわゆる所得政策を公務員に押しつけていくんではないか、そういった私たちは心配もしているわけでございます。そういった点につきまして、総務長官の見解もお聞きしたいと思いますし、また人事院も、そのような閣議決定に迎合するような形で、勧告の実施がはかられていないうちに振り込み制度の導入をはかった、そういった政府の一つの方針にはまり込んだという感じ、こういったことは、人事院の本来のあり方に反する私たち行為じゃないかと思いますので、その点につきまして人事院の総裁代行あるいは総務長官から意見を賜わりまして質問を終わりたいと思います。
#130
○政府委員(島田巽君) 人事院といたしましては、人事院独自の考え方で口座振り込み制を考えておりまして、したがって、本年の勧告を出します際に、勧告の説明をつけますが、その中に、私のほうで、こうこうこういう場合「職員から申出があったときには、給与の全部又は一部を口座振込によって支払うことができることとし、」というふうな、そういうふうな改正を行ないたいという希望を私のほうから勧告のときにすでに出しているわけでございまして、そして、もちろんこれを人事院として採用しますにあたりましては、政府と申しますよりも、実際に給与を担当しておられる方々の意見を代表して、まあ代表してと申しますか、置かれている人事担当官会議などの席上で、始終そういう実務的な意味からの御要望があった。そういうものを始終聞いておりました関係上、こういうことを実施してはどうかというふうな意見を申し述べた次第でございます。
#131
○国務大臣(植木光教君) ただいまお話ございましたように、口座振り込みにつきましては、勧告の際に説明がございまして、導入をはかってはどうかということでございまして、それを受けまして、政府としては閣議で、十月二十二日に、導入をはかるという閣議決定をしたわけでございます。人事院が規則をつくられたことは人事院独自の御判断でございまして、いまのお話のとおりであると存じます。勧告に伴う説明の中にそれを行なった以上、手続はやはり規則の中できちんとしておかなければならないのではないかというような考え方でおつくりになったのではないかと思うのでございます。
 それから、ただいま、口座振り込みは所得政策を推進する意図に基づくものではないかと、こういうお話でございましたが、口座振り込み制の導入は給与支払い事務の簡素合理化と、職員の利便を考慮いたしまして行なうこととしたのでございまして、所得政策導入とは全く関係ございませんので、どうぞ御了承くださいますようお願いいたします。
#132
○峯山昭範君 先ほどから、ちょっとお伺いいたしておりますと、二、三納得できないこともございますので、補足をいたしまして質問をさしてもらいたいと思います。
 まず、初めに人事院ですが、給与の口座振り込み制の実施の問題につきまして、私は先ほど初めて聞いたんですけれども、上場会社でこの口座振り込みをしている会社が六〇%、それから非上場会社で四二%であると、こういうふうに御答弁がございましたが、これは私非常に多いなあという感じがするわけです。私の感覚としては、こんなよけいないんじゃないかという感覚で私はいままでこの銀行振り込みの問題を考えておったわけです。そこで、私は上場会社とか非上場会社というものの言い方を人事院がしたのは、私初めて聞くわけです。人事院が給与の調査をする場合に、民間事業所を公務員の給与と比較するということで幾らか選んでいますね、七千二百ですか、選んで事業所をやっておりますが、皆さん方が民間調査をしている事業所では一体何%ぐらいの会社がいわゆるその振り込みを実施いたしているのか、これはどうですか。
#133
○政府委員(茨木広君) 先ほども御答弁の中で申し上げましたように、人事院のほうで直接調査をいたしておりませんということで、先ほど、民間のほうで調査されましたものについてはということで御紹介を申し上げたわけでございます。で、そのいまのパーセンテージも、予定のもの等を含めましてというふうに申し上げたわけでございまして、そういうことで、私どもで直接調査をいたしたものはございません。
#134
○峯山昭範君 私はね、人事院が調査したかと思って質問したんですけれども、調査してないということになるとこれはやっぱり問題ですね、人事院のその態度が問題です。人事院は、やはり自分たちの力でこれは調査をして、そしてその上で勧告をするというのが従来の人事院の姿勢じゃないですか。自分たちでは何にも調査しなくて、そしてその上でこういう勧告を出すというのはね、ことしの勧告自体がまだ完全実施されてない、現実に公務員の皆さん方の手に給与が入っていない時点においてこういうふうなことを先ばしってやるということは、政府に追随していると言われてもしようがないんじゃないですか、どうですか、これ。
#135
○政府委員(茨木広君) 給与の大筋の問題につきましては、御案内のように民間の給与というようなものを調査してということが国家公務員法の六十四条の規定の中にもございますので、そういうようにいたしておるわけでございますが、この振り込み制度のような一種の支払い手続の制度を改正いたします際には、何割まで実施しているからということでやります場合ももちろんあってもよいと思いますけれども、その他の、いままでの四十七年当時の民間の実施したものの資料等もありますが、そういうような漸次拡大しつつあるという状況を踏まえながら、必要性に応じてやはり道を開いていく必要があろうと。そこで今回の出方も、強制にわたらないように、本人の希望を中心に自由に踏み出していくという、非常に弾力的な態度をとりながら踏み出していくという姿勢をとったのも、その辺のところもあったわけでございます。
#136
○峯山昭範君 いや、私は何ぼ聞いてもどうも納得できないんですがね、人事院はいままで、これはこの振り込みの制度の問題でありますけれども、現在まで給与の中身の問題については相当いろんな問題が出てまいりました。住宅手当にしましても通勤途上の問題にしましても、いろんな問題ずいぶん出てまいりましたですね、通勤手当の問題にしてもそうです。金に換算されるから当然これは調査するのがあたりまえということになるかもわかりません。しかしながら、人事院が、私は何にも調査しなくてその実情すら――聞いているんですか、実情は。こういう銀行振り込み制度ですね、実施している会社はこんなよけいあると言うんです。あなた方は幾らかの会社の実情を聞いて、そしてどういう利点、欠点があるのか、そしてさらには、どういう問題が起きているのか、こういうことは調査されたんですか、あなた方。
#137
○政府委員(茨木広君) そういうことでございますと、それはまあ四十六年以来この問題は院内で吟味されておりますので、いろいろ学説の問題でございますとか、それから、公社、公団等の実施の実情、それから、一部分でございますが、そういう民間の状況等は部分的には調査をよくいたしてございます。
#138
○峯山昭範君 あなた方ね、その部分的には調査しているとかね、そんなこと言っていますけれども、具体的にはどうなんですか、あなた方が現在まで調査した資料を出していただけますか。あのね、資料ないんでしょう。資料がないんだが、私が言いたいのはもっとほかにやることがあるんじゃないかというんです。人事院は、現在公務員の皆さん方の実質賃金がどうなっているか、四月実施から現在までずっともらっていないわけです。四月から現在までの実質賃金の動向は一体どうなっているか、どうですか。これは総理府の人事局――これは人事院じゃないかもわかりませんよ、いまの問題は。総理府の人事局では、公務員の皆さん方の実質賃金がどういうぐあいになっているかということについては、当然総理府の人事局としては、あなた方はやる仕事がないんですから、このぐらいはちゃんと掌握していないといけませんよ、どうですか。
#139
○政府委員(秋富公正君) 十月の東京の総合消費者物価指数、これは昭和四十五年を一〇〇といたしますと一六一・五でございまして、前年同月の一二八・四に比べますと約二六%弱上昇いたしております。これに対しまして公務員の給与につきましては、六月の人事院勧告に基づきまして一〇%のベースアップはいたしておりますが、それと定期昇給分だけでございまして、その間にいわゆる消費者物価指数に比べまして若干乖離があるということは私たちも考えておるわけでございまして、実際上実質賃金がこの間におきましては低下しているという状態でございます。
#140
○峯山昭範君 そこら辺のところはもっと詳しくつかんでいないといけませんよ。四月から消費者物価指数は現在までどのくらい上がっているんですか。
#141
○政府委員(茨木広君) いまの実質賃金の問題でございますが、四月からの消費者物価の総合指数でいきますというと、四月を一〇〇にいたしまして、十月までが出ておりますが一〇八でございますから、約八%上昇いたしております。したがって、私どもの公務員関係でいきますというと、一〇%部分の概算渡しをした程度でございますので、これに近いところまで物価が上がっておると、こういうかっこうに相なるわけでございます。
#142
○峯山昭範君 したがって、そういうふうな観点から考えてみましても、当然これは早期支給という問題については、これは総務長官ですね、私たちがどうしたら早く支給できるかということを考えるよりも、私たちが云々するよりも、少なくとも総務長官が考えるべき問題だと私は思うんです。こういうぐあいにしたら早期支給ができるんじゃないか、こうあるべきじゃないかというのは、これは総務長官が私は考えるべきだと思うんです。何か腹案はありませんか。
#143
○国務大臣(植木光教君) 私も総務長官に就任をいたしまして、この問題についてはたいへん心を痛めて今日に至りました。したがいまして、一つの案といたしましては、勧告が行なわれた際には、国会開会中でありましたならば幸いでございますが、もし国会が休会中でありましたならば、この公務員給与改定のための国会をお開きをいただいて、そうして審議し改定をしていただくというのが一番手っとり早い方法ではないかと考えているのでございます。これはもう、これからできるだけそのように善処していくように努力をしていきたいと存じております。
#144
○峯山昭範君 総務長官ね、まあ総務長官、当時は総務長官じゃございませんでしたからという理屈は通らぬわけですよ、ほんま言うたら、これね。続いておるわけですからね、総務長官切れるわけじゃない。人間的にはかわりましたけれども中身は変わっちゃ困る。前の私たち内閣委員会でこの問題のときには相当言いました。あの臨時国会のときに二週間ありました。当然あのときに、前のなくなりました人事院総裁は、夜を昼を徹してあの勧告の内容をつくった、当然今度の臨時国会で審議されるであろう、法案として提出されるであろうと思って、私はもう一生懸命やりましたと。しかしながら、法案も出て来なかった、何にもなかったというのが実情なんです。ですから、こういうふなことがあっては困るから、やっぱり総務長官として公務員の生活を守るという立場からいえば、実質上勧告が出ているわけですから、それにあわせて財源措置をし、そして早期支給の具体的なことを考えなくちゃいけないんじゃないか。これは当然、私はこの点についてはもう一度あとで答弁をいただきたいと思います。
 そこで、さらにいろいろとお伺いしたいことがあるんですけれども、先ほどの物価の問題も、これは人事院ですね、先ほど人事院はこういう答弁をされていましたですね。消費者物価が上がったから直ちに、要するに給与を改善するということにはならない、こういうふうな意味の答弁をされました。しかし、私は現在のいわゆる給与の勧告の内容等を調べてみますと、やっぱり消費者物価というのは相当な影響があります。消費者物価指数がこれだけ上がるということは、それに見合ったやっぱり給料の上昇というものはなければいけないわけでしょう。そういう点から考えてみますと、ことしの四月からすでに十一月までの物価の上昇というものは、それは勧告のいわゆる五%という時点から考えてみますと、八%以上一〇%近くもう上がっているわけです。こういう点からいくというと、私は前の委員会のときにも言いましたけれども、一回の勧告じゃなくて、二回の勧告というのもこういう時代には考えるべきじゃないか、これは当然私は必要なことだと思うんです。私は、民間の給与というものも、いろんな時点、いろんな考え方があると思いますけれども、当然そういう点は考慮していかなくちゃいけない問題だと私は思うんです。この点もあとで御答弁いただきたいと思います。
 それから、これは給与の内容について、これは総務長官並びに人事院総裁にまとめて質問をいたしておきますが、今回の勧告の内容の中で一つだけお伺いしておきたいんですが、これは初任給の問題です。この問題については先般も同僚議員からも質問ございましたけれども、たとえば、各省の事務次官の給料が現在まで五十五万円でした。今回は、これは八万円引き上げになりまして六十三万円に上がったわけです。ところが、高校卒の公務員の初任給、いわゆる初級公務員試験に合格したあの高校卒の初任給の上昇が一万円にならない。したがって、九千八百円の引き上げなんですね。確かに、先ほども長官はちょっとパーセントの話をいたしましたが、このパーセントでわれわれ生きているわけじゃないんですよね、これ。パーセントというのでは生活できないですわ、これでは。そういう点から考えてみますと、片っ方は八万円上がる、片っ方は一万円しか上がらないというのじゃ、これは差があり過ぎる、実際問題としてですね。そういう点から考えてみましても、これはぜひともこの格差というものは、これは是正をしてもらいたいと思うし、初任給の是正というのは先ほども問題になりましたけれども、人事院のほうで、この点相談をし、検討をしてもらいたいというのが私の念願であります。
 それから、住宅手当の問題も、非常にこれも納得できないですね、人事院。住宅手当、これは今回の引き上げで初めて千円ですか、自宅から通っている人たちに対する手当が千円、そして住宅を新築または購入した職員については、五年間は千五百円を加算した二千五百円、これは一体どういう根拠からこういう金額が出てきたのですか、これね。やっぱり、現在の住宅手当というものは民間を調査されていますか、そして、どういうところからこういう金額が出てきたのか、これはほんとうに私たち住宅という問題は重要な問題でありますし、あまりにも少な過ぎるという感じがするわけです。こういう点についても、これからぜひとも検討していただきたいと思います。
 さらに、もう一点質問をして私の質問を終わりたいと思います。それは週休二日制の問題です。これは週休二日制という問題については、先般の委員会等でも五十年の十月を一つのめどとするとかいう話が一ぺん出たことがございますのですけれども、これは、一体週休二日制という問題についてはどういうふうにお考えなのか、この点お伺いをしておきたいと思います。
#145
○政府委員(茨木広君) まず、初任給の問題について、指定職の問題と下の一般職員の問題の関係のお話がございましたが、今回の指定職の改正のやり方は、行政(一)俸給表のアップ率から連動するような姿でもってずっと上のほうに持っていくということを中心に考えてございます。それで、上のほうの率につきましては、二五、六%程度のところにいたしてございます。下のほうの高卒等の初任給のところは、三二・一%程度のアップ率になっておるわけでございます。今回の給与改定の一つの特色になっておると思いますけれども、昨年からことしにかけての総合物価の値上がりがたいへん大きゅうございましたので、全般的に各職員層にわたりましてその点はやはり配慮をせざるを得なかったという点が中心の課題であったわけでございます。
 それから次は、情勢適応の原則の問題でございますが、私から補足させていただきますが、一つは物価との関係でというふうに答弁がありましたのは、御案内のように、民間給与の中にはそれらがすべて労使の交渉を通じまして、そのときの物価の事情でございますとか、あるいは経済成長の問題でございますとか、いろいろな事情が総合反映されておるというふうに私どもは考えております。そこで、毎年民間給与の調査を実施いたしまして、官民較差を出してその結果を勧告として反映させてくると、こういう筋道をたどっております。そこで、物価が上がりましたからといって、直接直ちに給与改定の勧告をという道を通らずに、やはり民間のそれ相応の給与改定がその後行なわれたかどうかというようなことを注視いたしておりまして、そしてやはり必要な調査を実施して勧告を申し上げるということがやはりよいであろうということで考えておるわけでございます。
 それから、三番目の住宅手当の問題でございますが、これは一部、その当時、報告その他のところで必要なものは出したわけでございますが、民間の持ち家について実施しております率等については直接資料として出しておるわけでございますが、額の点については、私ども手持ちのものとしては民間の事情というようなものも大体把握いたしておりますけれども、ことしは制度を踏み出すというようなところから、まず一番基礎のところと、それからもう一つ、官民較差の中で調査をいたしますので、官民較差の中から出てまいりました原資を、それぞれ俸給表に盛り込む分、諸手当のほうに回す分と、いろいろ、それぞれの必要事情がたいへんございますものですから、当初から住宅手当のほうにたくさん回すというわけにもまいりませんので、初年度のこの制度をつくっていくということで千円から踏み出さしていただくというのがまず基礎でございます。それから二千五百円の問題でございますが、これはどうしても、その中でもやはり新たに家を建てたり、取得されたような方は、どうしても自分のお金だけでというわけにいかぬので、大部分やはり借金をいたしております。これは共済組合のほうの貸し付け金等の状況を調査してみますというと、やはり五年間ぐらいのところが一番まあ返済金が多いようであります。その先になりますというと、時代も古いということもございましょうと思いますが、相当減っておるようでございます。その辺の事情も考えまして、とりあえず、やはり五年間程度のところは額を多くしてというようなところで二千五百というような数字に相なったわけでございます。
 それから、あと人事官のほうからお答えを申し上げます。
#146
○政府委員(島田巽君) 先ほどお尋ねのございました週休二日制の問題でございますが、これは七月勧告におきまして、準備を進めるにあたりまして、週休二日制の形式を、隔週または月二回ということと、時間短縮を伴うという、この二つを七月勧告で明らかにしたことは御承知のとおりでございますが、その後人事院におきましては、実施に際しましてなお検討を必要とされるいろいろな問題、たとえば交代制の看守についてどうするかというようなことなどを、実施の調査を行ないますとともに、そういうところで、やはり今度の報告に申し述べました試行計画というものを実施するということにつきましても、関係の各省担当官を交えまして、具体的な問題点をいろいろと詰めてまいりまして、そういう意味で、慎重に現在準備を行なっているわけでございます。何よりも、この実施に伴いまして行政能率、行政サービスの低下があってはならない、それからまた、そういう交代制勤務のところの方々に非常な無理がいかないようにするにはどうすべきかというふうなことの実地の検討でございます、そういう試行計画につきましては、今後、なおさらに検討を加えまして、事務的な案を詰めてまいり、そうして関係機関に連絡いたして、それぞれ調整の上で実施に踏み切りたい、現在こういうふうに考えております。
#147
○国務大臣(植木光教君) 前国会は七月の二十四日から三十一日までの八日間でございまして、二十六日に勧告が出され、三十日に第一回の閣僚会議が行なわれた、こういう経過は御存じのとおりでございます。この前の国会は所信表明演説が行なわれないというようなことなどもありまして、いつもと違った国会でございまして、その後、早急に国会を開会しろという御要求がありましたのがいろいろな事情によりまして今日に至り、給与法の御審議も今日になったということは重ね重ね遺憾に存じているのでございます。今後は、先ほど来申し上げておりますように、早期に処理ができますように努力をいたしてまいりたいと存じます。
 それから、初任給のお尋ねがございましたが、公務員に優秀な人材を確保するためには、初任給というのはその入り口でございますので、したがって、私どもといたしましても十分に配慮をいたしていきたいと存じます。
 週休二日制については、ただいま人事官からお話がございましたとおりでございますが、政府といたしましても、人事院といろいろ連絡協議をいたしますとともに、昨年来、週休二日制関係閣僚懇談会及び関係各省庁事務連絡会議を置いておりまして、ここで具体的な検討に入っているのでございます。行政サービスの問題、それから定員の問題、あるいは予算の問題、いろいろな要素がございます。これらを含めまして具体的に検討を続けております実情でありますので、御報告をさしていただきたいと存じます。
#148
○峯山昭範君 たいへんおそくなってすみません。ありがとうございました。
 あと、人事院のほうは先ほどの口座振り込みの資料は出してくださいね。
#149
○政府委員(茨木広君) 手元にありますものはお届けいたします。
#150
○内藤功君 先ほど来、給与の口座振り込み制の問題について政府並びに人事院からいろいろお話がございましたが、この制度をとれば非常に便利であるとか、それから職員の承諾、同意を得ているから問題がないとか、大体この域を出ない法律論のように承っておったのであります。私は、まずこの口座振り込み制の問題について、それが便利だからとか、労働者のほうの承諾を得ているから問題なかろうというような議論では、これにからまる法的ないろんな疑義が十分解消できておらないと思いますので、しかと見解をお確めしておきたいと思うのであります。
 まず、これは諸外国でも、イギリスをはじめとする各国で現物給与制が十九世紀から禁止をされ、そうして給与の現金払い制というのが法令で次第に確立されてきた。ILOでも、一九四九年ですか、条約を結ぶようになる、こういう歴史的な沿革のある問題です。日本でも、通貨払い、全額払い、直接払いが賃金の支払い方については基本的な原則である。判例なんかも幾つか出ておるようであります。そういう問題をやはりきちんと行なっていかなければいけない。それからまた、この問題を国会にかけないで、十一月二十五日に人事院規則九−七というのでもって、人事院の中だけでこれをきめてしまって、こういうふうにきめました。こういうやり方、本来国会の法律できめるべき問題を人事院という機構の中できめてしまう。これは憲法上の問題もあるし、また国会の審議権の非常な軽視という、こういう大問題じゃないかと私は思うのです。簡単にお考えかと思うけれども、しかし非常に大きな疑念がある問題です。
 そこでまず、これは人事院にお伺いすることになると思うのですが、十一月の二十五日に人事院規則九−七の一条の三というのをつくって、改正して、これでやっていこうと、こういうふうに簡単に片づけられているわけですけれども、こういう内容の規則、しかも、こういう手続による振り込み制の実施というものと憲法上の問題、これは考えたか考えないか、どういう問題考えたか、それを第一問でお伺いしたいと思います。
#151
○政府委員(茨木広君) この給与振り込み制度の問題については、いろんな議論がございますことは先生御指摘のとおりでございます。そこで、四十六年以来人事院の内部で準備をされておったわけでございますが、今回、昨年以来、報告で触れましてことし実施に踏み切らしていただいたわけでございます。そこで、いま御指摘のような各種の学説あるいは労働基準法のほうの問題をめぐることも吟味をいたし、それからILO条約の問題も吟味をいたし、それから法律の解釈上の問題についても、関係向きとも連絡をしながら吟味をした経緯でございます。それで一番ポイントの、おそらく憲法問題から労働基準法の問題であろうと思いますが、そういう点についても吟味し、また関係のところともやはり打ち合わせをいたしてございます。特に給与法の三条の解釈については、いま先生が解釈されましたようなふうに私ども踏まえております。そういう意味の現物給与等をされるという趣旨でございますので、現金の支給と同等視すべきものについては、その法律の範囲内でやれるということで、その点について疑義もございますので、解釈規定ということで、人事院の解釈規定を出す権限を持っておりますので、その根拠に基づきまして、今回の規則でその点を明らかにするという立場を一つとりますのと同時に、その間の各省間の職員との間において、強制にわたることがないようにということを踏まえなければいかぬので、一応承認制度にかからせるということで、その間のチェックをしていくというようなたてまえをとったわけでございます。
#152
○内藤功君 私のまだ詳しく聞かない点まで先ばしりしてお答えになりましたが、一番先に私の聞きたいのは、憲法上の問題を考えたか考えないか、考えたとすればどういう問題かということですが、明確なお答えがない。そこで、あまり深く考えていなかったと思うので、ずばり聞きますが、二十七条ですな、憲法二十七条の第二項「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」、賃金その他の勤労条件の基準は法律できめる。法律でですよ、国会の審議をして法律できめる。まずこの原則にだれが見ても違反するんじゃないかという疑いが起きるわけです、人事院規則をぱっとつくって国会にかけないで出すということは。これはどうです。
#153
○政府委員(茨木広君) 私どもといたしましては、その法律として国家公務員法があり、それからさらに給与法があり、さらに部分的に人事院規則等にゆだねられておるというふうに段階的に踏まえております。先ほども申し上げましたように、給与法第三条の解釈ずばりとしても、現金の支給という概念に一応該当するということでございますので、ただ、その疑義がある向きがありますので解釈規定でその点を明らかにした、こういうような段階を踏まえた考え方をいたしておるわけでございます。でございますから、直接給与法等に書いていないことを乗り越したというような考え方をいたしておりませんので、憲法との関係は、違憲の問題はないというふうに考えております。
#154
○内藤功君 これはあくまで、法律で定める、ですから、この振り込み制を人事院の規則でもってきめるということは、まっこうからこれに違反する疑いが起きると思うんです。そこで、あなたのほうは給与法に問題を持っていかれるので、私は、では給与法のワクでもこういう問題をお考えになったかどうか聞いてみたい。それはこの一般職給与法の三条では、「この法律に基く給与は、第五条第二項に規定する場合を除く外、現金で支払わなければならない。」、五条二項というのは、宿舎とか、食事とか、制服とか、これに類する有価物の場合ですから、これはもうはっきりしている。そうすると、この有価物の中に現金の払い込み制だとか何かは入りません。そうすると、そのほかの場合は現金で払わなければならない。そこで現金の解釈ですね、これが問題になってくると思う。あなたのほうは、現金の中には直接本人に渡す現金だけじゃなくて、銀行振り込み、振替貯金制といいますか、こういうものも入るというふうな見解ですが、これは非常に私はおかしな見解だと思う。現金というのは、やっぱりこの場合は現金で本人に渡すということがこの条文の趣旨でなくちゃいかぬと思うんですよ。そこで、いまそのお答えを得る前に、労働省お見えですか、労働省にお伺いしたいんですが、労働基準法の二十四条、これが基本的な規定です。「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」という条文ですね。この通貨というのは労働省の解釈はどういう解釈をとっていますか。
#155
○説明員(川口義明君) 労働省は、通貨というのは特段に解釈をしてはございませんし、特段に労働省だけの解釈ということではございませんが、一般的には強制通用力のある貨幣をさすというふうに解されていると思います。
#156
○内藤功君 労働省の見解と、いま承っていいですね。強制通用力のある貨幣であるという具体的な御答弁があった。そうすると、さらに労働省の御見解を伺いたいですが、小切手、それから、いわゆる口座振り込み、振替貯蓄制などと言われている、こういったものはどうです。強制通用力のある貨幣と言えますか。
#157
○説明員(川口義明君) 強制通用力のある貨幣であるかどうかという問題よりは、この基準法二十四条の通貨払いの原則、先ほどから御指摘がありますが、この通貨払いの原則というのと口座振り込みとの関係がどのようにあるかというふうに考えるべきだと思います。すでに御指摘ありましたように、賃金の通貨払いの原則と申しますのは、種々弊害のございました現物給与を禁止するという歴史的にも淵源のある規定であることはよく存じておりますし、また通貨払いの原則は、そういう弊害がある現物給与を、一般的、原則的には禁止をして強制通用力のある貨幣で支払うという原則を定めたものだというふうに存じます。ところで、その口座振り込みでございますけれども、現在銀行等の金融機関による預金の支払いというものは、多額のものは別といたしまして、確実、かつ軽易、迅速に行なわれるというのが一般的な状態であろうかと思います。したがいまして、そういう状態のもとで賃金の口座振り込みというのを考えましたときには、通貨による支払いと実質的には差異はないというふうに考え、認められるのではないかと思います。また、さらに現在労働者が、ガス代ですとか、電気代ですとかいったふうな定期的な支出のあります料金というふうなものにつきましては、口座振り込みを利用した支払いというのがかなり広く行なわれております。こういう現実からあわせ考えてみますと、労働者が口座振り込みを希望しているというときに、使用者側が口座振り込みの方法によって賃金を支払うということにつきましては、賃金の通貨払いの原則に反することではないというふうに考えております。
#158
○内藤功君 実質的には差異がないかどうかというのは、経済論として、実質論としては、あるいはそういう異論が立つかもしれない。それから、労働者が希望しているかどうかということは一つの事情としては言えるかもしれない。しかし、法二十四条ですね、ここで言う法は基準法、二十四条の通貨という概念は、これは、実質的にはこれと同じだからとか、これに近いとか、労働者が希望しているからということで概念が変わってくるものじゃないと思うんですね。強制通用力のある貨幣というものが通貨だと、こういう前提に立った場合に、それが実質的に似ているから、あるいは実質的に差異がないということで、すぐにこれが通貨だと、振り込みが通貨の支払いと同じだというところに持っていくのは私は非常に問題があると思う。
 それからもう一つ、この労働基準局の見解がないというけれども、労働基準局で編集をした労働基準法という条解がありますね。もう十年ぐらい前に出たものですけれども、これにははっきりと、小切手、振替貯蓄制等を利用する支払いについて、通貨による支払いと認め得るかどうか問題であると。わが国の現状では、必ずしも一般に普及している支払い手段とは言いがたく、これを受領した労働者に不便と若干の危険を与えるものだから、通貨という定義どおり小切手などは含まれないと解すべきであろうといって、等というのは、ここで文脈からたどっていくと小切手、振替貯蓄制等ということになると思います。こういう見解をちゃんと本でもって出していらっしゃるわけです。あなたもお読みになったことがあると思う。いまの見解は、この前の見解と違うかどうかと私はきめつけるわけじゃないけれども、こういうふうにちゃんと文字になって出ているのがあるのですね。どうなんですか。これは単に一冊の本であって、役人がかってにアルバイトで書いたものだ、だから責任を持てないということはおっしゃらないと思うのだけれども、どうなんですか、これは。
#159
○説明員(川口義明君) そのような見解がだいぶ前に出ていることは存じております。当時のその見解を書いたころでございますけれども、一つは、当時の議論は口座振り込みというものと小切手を一緒に議論しておりまして、現在の段階でもいろんなところで同じような議論があるかと思いますが、日本の実際の情勢から見ますと、小切手一般と口座振り込みというのはちょっと一緒に議論できないと思います。もう一つは、当時、かなり前は、労働者の間で口座振り込みというのを支払い手段としてかなり多用するという状態にもございませんでした。そのようなことから、当時は問題があるということで書いていると思いますけれども、自後、民間で口座振り込みが行なわれ始めますころに私どもも検討いたしました。その考え方というのは先ほど申し上げたとおりでございます。
#160
○内藤功君 しかし、これは取引の間、つまり買い主と売り主あるいは本店と下請業者、こういう取引業界において口座振り込み制を使うかどうかという議論ではないんですね。いまやっているのは賃金ですね。労働者はやっぱり現金ほしいですよ。さっきどなたか言われたように、クレジットとかいうもので使うという人はあまりいないんで、現金を手にしたいわけです。それから、本来通貨で払う、現金で払うというのは、それなりの、労働者がすぐに賃金でもって生活必需物資を買えるようにという、やはりそういう要請から出ているもので、これはいまの世の中でも十年前でもこの要求は同じ、むしろいまのようにたくわえが少なくなってきている労働者、サラリーマンの現状では、なおさらこの現金払いの要求というのは強くなっているとこそ言え、弱くなっているとは言えないと私は思うんですね。こういう段階のもとで、あなたの言っているのは、一般の商取引関係においては、確かにこれは振替貯蓄制、口座振り込み制というのが普及してきたかもしれない。これが賃金において言えるかどうかというところに私は大きな問題があると思う。
 そこで、さらにもう一つお伺いしたいのですが、これは裁判所の判例では一体どうなっているか。これは主として小切手の問題に関してだけれども、賃金通貨払いの原則というのを非常に厳格に解釈していると思いますが、法務省の民事局の方おられますか。この点は、この二十四条の通貨払いというのを最近の判例ではどのように考えておるか、お調べになっているところがあったらお答え願いたい。
#161
○説明員(浦野雄幸君) いまの御質問の点につきましては、必ずしも、いま判例を手にいたしておりませんのでこの席で明確に申し上げられませんけれども、一般的に申し上げられることは、実際の運用あるいは実務の取り扱い等の面から考えまして、小切手などについては若干広い範囲で解釈している向きがあるかと思いますけれども、こまかい点については承知いたしておりません。もし御必要がございましたらばあとで調べて御報告いたしますけれども、その点についての御質問があると聞いておりませんでしたので調べておりません。
#162
○内藤功君 あとでよく調べていただきたいのです。私の調べたところでは、この二十四条の賃金通貨払いの原則というのを、これは東京地裁の判例ですが、非常に厳格に解釈しています。あなたがいま広くと言ったのは一体どういう意味ですかよくわかりませんが、判例は、通貨を、やはりさっき私が労働基準局の本を引用して言ったように厳格に解釈しております。たとえば、これは三十九年四月の日本国際連合協会事件、四十年五月の東京栄光時計事件、有名な判例です。いずれも東京地裁です。東京地裁の判例というのは、地裁だけれども民事事件なんかでは全国的な伝播力、影響力のある判例です。この中では、賃金通貨払いの原則を定めている二十四条の解釈として、小切手によって解雇予告手当を出した、これを出しても、有効に賃金支払いのための提供をしたものと認めることができない、という判断を、この二十四条の賃金通貨払いという原則から導き出している判例が二つあるわけですね、よくお調べになっていただきたい。私は、やはりこういう点からして、いま話が少し横に入りましたが、労働基準法の二十四条の通貨払いというのは、これは非常に厳格に通貨という概念が解釈をされてきておると思うのです。私はやはりこの原則を、いま世の中に、特に取引関係の中でこういうキャッシュレスの世の中といいますか、口座振り込みがはやってきたからといって、小切手が非常に使われているからといって、これを賃金という労働者の生活の糧を得る賃金にそのまま持ってくるというこの考え方を、よく政府委員諸公並びに人事院の関係当局はもう一ぺん深く考えてみる必要があると思う。私はやっぱりこういう意味で、これらの、いま引用した労働基準局の過去の見解、これは正式に訂正されてはいません。いま、少し違う見解を労働基準局の人は言ったけれども、ちゃんと本になって残っている。こういう見解の出る、それだけの社会的な実態が日本にあると思うのですね。それと、やはりこの裁判所の判例、こういった動きを十分に理解をしなければいけない。さっき給与局長は、十分にその法律問題も検討したと言うけれども、こういった問題について人事院の給与局長は一体どのように考えるか、お伺いしたい。
#163
○政府委員(茨木広君) この結論が出るまでの過程の中には、そういった労働基準法の解釈なり、船員関係の解釈なり、それから当時の末弘さんその他の学説等をいろいろ吟味してみますというと、まあ、場合によっては小切手のようなものすら換貨上差しつかえなければよろしいというような見解もございますし、いわゆる現金が、その日のうちにその口座に払い込まれて本人の要するに貯金になるということでございますから、そこで本人が受け取ったという姿が出てくるわけでございます。すぐ現金引き出しが、本人が希望すればできるということでございますれば、給与法でいうところの現金払いの原則に合致していると、その範囲内のものであるというようなふうに踏まえまして、そういうまた総裁以下の結論で、下級規定として出したということでございます。
#164
○内藤功君 いまの末弘博士の論文というのは、たしか終戦直後のですね、あの状況の中での論文だと思います。雑誌の労政時報か何かの論文をいま言われたと思うのですが、その後に出た、特に労働法学界の書物、学説というのは、さっきからあなたは学者の意見を聞いたというけれども、たとえば有泉教授、宮島教授あるいは松岡教授、こういった学説をお調べになったと思うけれども、貯蓄、いわゆる小切手支払い、それから現金の口座振り込み制、こういったものについて否定説がずっと強くなっているわけですね。まあ私は、否定説が多いから、肯定説が少ないからどうこうというわけじゃないけれども、こういう否定説が多いにはそれなりのやはりそういう否定説を理由あらしめる日本の状況があるということを十分留意されなければいけないと思うのです。
 そこで、次に私がお伺いしたいのは、人事院の給与局長にお伺いしたいのは、あなたはさっきから、一人一人の労働者の同意があればいいと、こういうことを非常に強調していらっしゃいますけれども、そうなると、この労働基準法の二十四条で、法令または労働協約に別段の定めがある場合には通貨以外のもので支払うことができると、労働協約に別段の定めがある場合ですね、労働契約とはいっていない。つまり、個人の労働者の同意があっただけでは通貨払いの原則の例外は認められない。労働組合という労働者個人個人の利益を代表する団体と使用者との合意であるところの労働協約があった場合に通貨払いの原則の例外が認められる、こういうたてまえを二十四条はとっている。これは深く洞察しなければいけない問題だと思う。一人一人の同意というのは、これはえてして使用者の恣意的な、あるいは強い強要というものが予想されるので、労働組合による協約という防壁をそこにつくったと見るのが私は妥当じゃないかと思う。もし、一人一人の個人の同意があればこういう通貨払いの例外が認められるというなら、労働協約または労働契約と、あるいは労働者個人の合意というのをそこに条件として書くべきだ、私はそういうふうにこれを理解するのが解釈としては非常に正しいのじゃないかと思う。この点についてお考えになったことがあるか、この点の疑義は持たれなかったかという点をお伺いしたい。
#165
○政府委員(茨木広君) いまの労働基準法の問題は、先ほどから論議されておりますように、たとえば現物支給をするというような場合でございますというと、法律なりあるいはそういう労働協約というようなもので認めなければできないというたてまえだろうと思うんです。今度の振り込み制度の問題は、あくまでも現金支払いの中の範囲内の問題でございまして、そこで、その法律上の給与の支払いの中に入っておるか入っていないかという問題と、本人の同意云々という問題とは直接の関係はございません。ただ、今回それに踏み切る過程の問題といたしまして、現在の公務員の勤務なり、住居を定めております場所と、そういう金融機関等々の関係を見ますというと、いろいろ、支障がないか、あるいは家族の状況等をあわせますというと、支障のない方もいらっしゃいますけれども支障のある方もあるというふうに考えられますので、そこで、今回踏み出すについては、あくまでもやはり本人の同意を前提として漸進的に進むべきだという人事院としての判断をそこに一つしたわけでございまして、法律上どうこうという問題と直接の問題とは関係あるとは考えておりません。
#166
○内藤功君 そこで、いま労働基準法の問題で一般論の御見解を伺ったわけですが、問題のこの一般職給与法ですね。そうすると、人事院給与局長にお伺いしますが、この一般職給与法の三条でいうところの「現金で支払わなければならない。」というこの現金というのは、直接職員個人に現金で渡さない場合、つまり口座振り込み制の場合もこの「現金で」に入ると、こういうような御見解なんですか。そうすると、それはさっきの労働基準法二十四条にいう通貨というものの解釈、通貨というのは強制通用力のある貨幣だと、こういうふうにお答えがあった。労働基準法のほうの通貨の解釈は強制通用力のある貨幣、しかし、一方において、給与法の三条の現金というのはそれに限らないで、ほんとうに、職員には何ですか、明細書を渡して、そしてあとは銀行でとってくれと、こういうものも含まれる、こういう解釈になると、この二つの法律の解釈というものは非常に均衡を失してくるようにも思うんですがね。かつまた「現金で」という、われわれの一般社会通念による解釈というものと非常に離れた、無理な、非常識な解釈のようにも思えるのですが、この点いかがでしょうか。
#167
○政府委員(茨木広君) こちらの用語と労働基準法の用語とが、「現金で」、片方は「通貨で」というふうに表現が違っておりますけれども、法律の意図しておりますところは、先ほど論議がありますように、現物給与等即時要するに現金的に使えないものを禁止するという趣旨であるというように考えておりますので、その間に相違があるというふうには私どもは考えておりません。それから、若干、法律の表現では、こちらのほうは直接払いというやつは人事院規則のほうにゆだねられておりまして、先ほど先生がおあげになった人事院規則九−七の一条の二の二項のほうに、やはり直接払い云々の問題は、「法律又は規則によって特に認められた場合を除き、」というふうにすでに定めてございます。そんなような点の相違はございますけれども、現金と通貨と、用語の違いはありますけれども、実質的な相違はないというふうに考えております。
#168
○内藤功君 法律が賃金に介入する場合には賃金のきめ方、賃金の払い方、この面で国家が労働者保護の観点から立法的、行政的に介入をしていくというのが各国とも労働立法の基本だろうと思うんです。そういう意味で、私は、非常にこれは大きな問題なんで、くどいようだけれども法律論を含めて厳密にいま詰めているわけです。
 そこで、いまのお答えに対して次のことをお聞きをしたいのです。一般職の給与法に基づいて、給与法を実施するために人事院規則をつくられたわけなんでしょうが、一般職給与法の二条には「この法律の実施及びその技術的解釈に必要な人事院規則を制定」すると。この法律を実施することと、それからこの法律の技術的な解釈に入り用な限り人事院規則というものはつくっていくんだと、こういうたてまえであります。しかし、私どもが考えるところ、現金で支払うという原則に対して、いまある五条二項の例外のほかに、もう一つ例外をつくろうとするものじゃないか、これは。つまり、現金払いの原則については、いま五条二項で宿舎、食事などについての現物支給の例外があるけれども、このほかにもう一つ例外を立てていく、こういうことだと思うんです。私は、いまこういう人事院規則ができてしまいますと、いかにもこれで何とかおさまるような感じがしますけれども、われわれはそうであっちゃいけない。これは、本来この問題は国会で法律として提案され、そしてここで十分な審議を尽くし、参考人なんかも呼んで調べて、そうして法律としてこれができているかどうかが審議される問題である。冒頭に言った憲法の二十七条二項、賃金、労働条件の基準は法律できめると、こういう原則からいったってそうだし、またこういう口座振り込みなんという制度は、技術的解釈なんという問題じゃないですよ。この法律の実施というのは問題じゃないです。一つの新しい法の例外を、原則に対する例外をつくるものなんだ。これは私は、人事院規則でつくることは間違いだ、本来給与法の改正でいくべき問題だと、こういうふうに思うんです。重ねてこの点についての明確な御答弁を伺いたい。
#169
○政府委員(茨木広君) 五条のほうにあります、現物給与と並ぶような意味の例外を設けるというふうには私どもは考えておりません。やはり、現金の支払いという給与法三条の範囲内の問題であるというふうに考えております。この点については、先生がいまおっしゃられたような問題も十分出るということを予想いたしまして、当時の佐藤総裁存命中も院議で何回かその吟味を重ねまして、そして法則局のほうとも打ち合わせをして、その範囲内の問題であるということになって、解釈規定というかっこうでこの人事院規則を出したという経緯になっております。どうも、私からの説明でたいへん不十分であろうかとは思いますけれども、そういう点は十分吟味をいたしたつもりでございます。
#170
○内藤功君 法律でやっちゃいかぬということなんですか。それとも、法律でやることもできるし、人事院規則でやることもできる、この選択の問題に当面して人事院規則を選んだということなんですか。それとも、法律ではやっちゃいかぬことなんだ、これはあくまでも規則でやるべき、規則の専権事項なんだと、こういうことなんですか。
#171
○政府委員(茨木広君) 法律のほうが上位のものでございますから、法律でやっちゃいかぬことだということではないとは思いますけれども、一応その法律を要しないことであるというふうに考えておるわけでございます。一応現在の三条の現金の支払いという中に含まれる範囲内の問題であるということでございます。
#172
○内藤功君 もう一つ非常に大きな問題があるわけですね。これはもう私も、あなた方の議論が、中でどのようにされているか漏れ承ったことがありますので、そういう意味でお伺いいたしますけれども、それは例の民事訴訟法六百十八条の問題、すでに御案内のとおり六百十八条は、「左ニ掲クル債権ハ之ヲ差押フルコトヲ得ス」と。第五号に官吏の職務上の収入、まあいま第五号ばっかり議論していますけれども、第六号も関係あるわけです。これは明治時代の法律ですからむずかしいことばですが、民間の人は「職工、労役者又ハ雇人ガ其労力又ハ役務ノ為ニ受クル報酬」、こういうのは差し押えできない。二項で、その収入については四分の一に限り差し押えることができる、給料の。まあ公務員が差し押えられるなんという人はあまりいないと思うんですが、私の経験ではやっぱりおる。別に悪気じゃない。たとえば、背広を月賦で買う、うっかり代金を忘れちゃってきびしい月賦屋が押えにくる、あるんですよ、これはね。悪気じゃない。あるんです。それから車を買う。若い人なんかはぱっと車を月賦で買う。代金二回ぐらい忘れちゃって、押えるほうは相手がどういう人かわかりません、どういう偉い人かわからないから押えてくる、こういうこともあるわけです。別に恥じゃないわけです。日常起こることなんですね。ところが給料というのは大事なものですから、昔から社会政策的にこいつは四分の一までしか押えられないという保護があるのですが、さて、これがいわゆる給与振り込み制、口座振り込み制になるというと、銀行預金に入っちゃいます。大和銀行の虎ノ門支店なら虎ノ門支店に入ってしまう。そうすると、これはどうでしょう。まず御異論ないと思うけれども、一般債権の中にごちゃごちゃに入ってしまう。おやじさんの相続で受け取った金であろうと、自分の持っているアパートの家賃であろうと、何して得た金であろうと、全部給料とみんなごちゃごちゃに入っちまいますから、これは銀行に対する預金債権になっちゃう。そうすると、これはもう全部極端に言うと押えられる状態にある。そうすると、これは民事訴訟法に基づいて持っておる公務員あるいは一般勤労者の四分の三まで差し押えを受けない、これは権利というか、あるいは特権というか、そこらあたりは法律上の性質はいろいろあろうけれども、こういう権利ないし特権というものが、この上位の法律できめられているものが下位の人事院規則でもって事実上侵害されてしまうという結果になる。この点はどういうふうに考えたらいいのか。人事院規則の制定によって、民事訴訟法上にきめられている差し押えを受けざる特権というものがこういうふうに侵されていくという問題は考えたのかどうなのか、考えたとすればどういうふうにこの点は考えたのか。しょうがない、それは人事院規則で法律が侵されてもしようがないというふうに考えたのかどうなんですか、これは。
#173
○政府委員(茨木広君) この点は、振り込まれますというと一般債権になりますので、御意見のとおりに民事訴訟法の規定がそこに及ばないような結果が招来いたします。そこで、この点は本人の申し出を受ける際の必ず周知しなければならない事項として、そういう事柄になりますよということは周知していただくように各省のほうに御依頼をしてございます。
#174
○内藤功君 そうしますと、問題二つあると思うんだけれども、一つは、いまいみじくもおっしゃったが、そのあれですか、給与振り込み制を実施して、それに応じていただける方ですな、あなたのことばで言うと、申し出しようかどうかということを考えている人には、だれからどういうような方法で、もしあなたが口座振り込み制をとられますと、あなたが月賦屋さんから差し押えを受けるときに全部持っていかれますよということを説明したというのですか、わざわざ。そうなんですか。
#175
○政府委員(茨木広君) それぞれの各省庁の給与事務を担当しておるほうから、そういう旨を各人の倣うに説明をしておるはずでございます。私のほうが承認をいたします際に、各省のほうからとります書類の中には、どういう事項を各人に周知させたかということをとっておりますが、その中に必ずそういうものが入っておるようにチェックをさしております。
#176
○内藤功君 私も公務員の方々何人かから、この実際を聞きましたけれども、そういう話を聞いたという人はいまは一人もまだぶつかっていませんね。あなたが、振り込み制を実施してこれに入った場合には、差し押えられたらばそれは全部取られますよ。それ聞いたらみんな乗ってこないんじゃないですか、おそらく。私はその点についてこれ以上深入りしませんけれども、そういうようなことを、実際にいま公務員の人々で聞いている人はほとんどいないですよ、私の聞いた中じゃ一人もいない。また、おそらくそのことを言ったらば、もっと振り込み制に応じてくる人は減るだろうと私は思います。
 次の問題は、本人が納得すれば、よろしいですか、その本人が納得すれば、民事訴訟法上六百十八条の差し押えを受けざる権利あるいは特権というものは、これは否定されてもやむを得ない、こういうお考えなのですか。
#177
○政府委員(茨木広君) 本人が、その規定の保護の適用の範囲内におるというふうに考えますれば、この申し出はおやりにならないだろうと思う。直接、民事訴訟法の規定をこちらのほうがどうこうするというような、直接の関係ではないというふうに私どもは考えております。
#178
○内藤功君 では次に、法律論でお答えを伺いたいのですが、民事訴訟法上差し押えを受けない権利あるいは特権というものは、本人がこの権利は放棄いたします、この特権は放棄いたしますと、放棄になじむものですか。
#179
○政府委員(茨木広君) 私もあまり詳しくはございませんが、民事訴訟法の規定は、やはり強制規定でございまして、それを許していったならばしり抜けになりますので、そういう制度の規定ではないというふうに考えております。
#180
○内藤功君 法務省お見えですから、この点について御見解を伺いたい。
#181
○説明員(浦野雄幸君) ただいま御質問の、銀行振り込みの場合の民事訴訟法六百十八条の適用有無でございますが、その前提に、銀行振り込みでなくて現金が支払われた場合にどのように適用になるか、それとどのように差があるかということを考えてみる必要があろうかと思います。銀行振り込みでなくて、職員に現金で給与が支払われた場合、この場合には民訴五百七十条の現金差し押え禁止の規定が一般的に働きまして、四分の一をこえては差し押え禁止になるということは、これはもう当然だろうと思いますが、その現金を自分で銀行に預金をしたという例を考えてみますと、これは先生御指摘のように自分の他の銀行預金債権と混合いたしますので、銀行預金債権、つまり銀行に対する預金の払い渡し請求権については六百十八条の適用がない、全額差し押え可能だということにならざるを得ないというように思うわけです。問題は、御指摘のように銀行振り込みで、現金が渡らずに直接銀行の口座に振り込まれたという場合に同じなのか差があるのかということになるだろうと思うのであります。その場合に解釈論といたしますと、現金は直接渡っているわけでなくて、本人の口座に直接振り込まれるのであるから、まさにそれは給料が預金という債権に転化していくと、したがって六百十八条を類推適用すべきであるというような解釈論もないわけではございません。しかし、これは先生御指摘のように、他の預金債権がある場合には、民法の混合の規定に従って混合いたしますので、特定の問題も踏まえてその解釈をとることは相当困難であろうというふうに思うわけです。そうしますと、おのずから預金に振り込むということは、やはり給料とは異質な債権になる、したがって、給料債権については六百十八条の適用があるけれども、預金に振り込まれると全額差し押え可能であるというような解釈論が当然出てくる、残ると思うわけであります。しかしながら、いま申しますように、本人が現金でもらって銀行に積んだのと、本人の申し出によって銀行に振り込んだのとどれだけの差があるかということになりますと、いずれにしても、本人の申し出を前提とする以上は、自分がもらって預金に貯金しても、これは六百十八条の適用がないわけでございますので、直接振り込んだ場合について六百十八条の適用がないからといって、何の不利益をも課することにはならない。したがって、前提は本人の自由意思に基づいて振り込みの申し出をしているという前提をとる以上は、現行六百十八条の規定から申しましても、特段不都合がないというように考えております。
#182
○内藤功君 あなたはいまおっしゃった中で、本人の意思に基づいて会社が銀行に振り込んだ場合ですね、給料を。これは本人がお金を銀行の窓口に持っていって入れた場合と同じ意味で六百十八条を準用すべきだという見解があるかもしれぬと言ったけれども、これは成り立ちませんな、その見解は成り立たない。ですから、もう混同によって中の債権、中の預金は全部同じものになる、だから完全にこれは差し押えの対象になる、こういう結論になると思うのですよね。そうすると、六百十八条という、明治この方つくってきた、こういう労働者保護の社会政策的な規定、これは一体どうなりますか。人事院規則によって六百十八条の存在意義というのは大半失われるということになろうと思うのですね。私は、そういうことをいまここで問題にしたわけです。ですから、もしこういうことを隠して、さあこれは便利ですよ、本人の同意があればお宅の近くの銀行に行きますよ、こういうことだけ言って集めているとしたら、これはたいへん問題だと思う。私はこのことを指摘したいと思うのです。あらためてこれは質問をあなたにはしません。こういう意見を述べておきたい。
 時間がないので、さらにもう少し法律的な問題を詰めてみたいと思います。給与局長にお伺いしたい。そうすると、もし本年度の差額分から給与振り込み制を希望した人が、どうもこれはよくないと。共かせぎの人なんかはいつ一体取りに行けますか、ひとり者の青年はいつ行けますか。銀行のお金をおろす時間は午前九時から午後三時までです。小さなくぐり戸をもぐって行く手もあるけれども、そういう堂々としないやり方はあまりとるべきじゃない。九時から三時までの間しかない。そうすると、その時間は公務員として全力をあげて仕事に打ち込まなきゃならない、どういうふうにして行くのです。非常に行きにくい。こういうような問題が起きて、よし、おれはもうやめだ、すぐにやめたいという場合にはこれはやめることができるのですか、その手続はどうするのです。
#183
○政府委員(茨木広君) やはり、それは本人の申し出によってやめるということもできます。
#184
○内藤功君 この人事院規則の九−七には、いつでもやめることができるという条項は何にもありませんね、これはどうなんです。イギリスの一九六〇年の賃金支払い法、これにはこう書いてある。ペイメント・ウエイジズ・アクト、この中には、雇用期間中いつでもこのような支払い方法をやめることができる、こういう条項を必ずこの法律の中でも一項目入れているわけです。私はこういう点が非常に不備だと思う。私自身はこの人事院規則自体が、そのもの自体が違憲の疑いがあるものだと思うけれども、なおこの立法自体にこういう不備な点があるということを申し添えておきたいと思うのです。
 時間の関係で最後に総務長官に伺いたい、二つ質問があります。一つは、いまの議論をずっと聞いておられて、あなたも給与担当の大臣だから御所見があると思うわけです。それを伺いたい。これだけ問題があるのですよ、法律上の問題。あなたも御勉強家だから、おそらく問題点はすでに勉強してこられたと思うわけです。これだけの問題があるものを、十一月の二十五日、田中総理がやめる前の日に大急ぎでこんなにあわてて規則でつくってやる必要があるのか、正々堂々とこの国会に法律案でお出しになって、われわれの議論の対象にし、そうして参考人を呼んで意見を聴取するという態度にやはり出るべきじゃないかと思うんです。これが一点、まずこれからお伺いしておきます。
#185
○国務大臣(植木光教君) ただいま、きわめて濃密な法律論議が行なわれておりますのを拝聴いたしておりまして、この口座振り込みの取り扱いについては十分な配慮をしていかなければならないということを痛感をいたしました。憲法を重んじて、憲法に基づいた行政を行なうというのは当然でございますし、一般職の給与法にいたしましても、労働基準法にいたしましても憲法に基づいて制定をせられているわけでございまして、政府といたしましては、現物給与を禁止し、給与の明瞭確実、かつ容易な入手を保障をいたしますことと、中間搾取を排除して職員に給与の全額を帰属させるために、給与の支給者と職員との間に他人を介在させないということが非常に大切なことであるというふうに考えているのでございます。
 人事院規則のことにつきましていまお話がございましたが、これは人事院が独自でおつくりになったものでございまして、したがって、私どもといたしましては、政府が口座振り込み制を導入をするという方針でやっておりますのとまた別の立場で、人事院は人事院として手続的な面で疑義が生じないようにということで規則の改定をせられたのではないかというふうに考えるのでございます。いずれにいたしましても、この口座振り込み制というのは、公務員の便益に供するためと、それから事務の能率化あるいは簡素合理化というものをたてまえとして導入をしようとしているのでございまして、したがって、私どもはこれをただいまのところ強制的にやるということは現段階では考えておりませんで、職員の自発的な意思に基づくという配慮をしていくということが肝要であるというふうに考えておるのでございます。
 なお、ただいまお話がございましたいろいろな法律的な面につきましては、さらに政府部内におきましてもいろいろ研究をさしていただきたいと思います。
#186
○内藤功君 最後にもう一問、総務長官に。これもすでに委員各位からこもごもお話がありましたが、前佐藤人事院総裁は、七月二十六日、この人事院勧告を出されるにあたって、民間並みの改善がすみやかに行なわれるようあらゆる努力を傾注して勧告の時期を早めた次第だ、国会と内閣におかれては、以上の趣旨を了察され、この勧告の早期実現のためすみやかに所要の措置をとられることを切望するという、非常に切々たる訴えを出してこの勧告を七月二十六日に出した。今日すでに五カ月近くたっている。私のところには、委員各位のところにもそうだと思うけれども、公務員の方々から、特に若い人、下級の方と思われる人からはがきが一ぱい来ています。こんなに高く積んでいます。七月二十六日の人勧以来すでに四カ月以上経過しているにもかかわらず、いまだに確定しておらない。電気、ガスの公共料金をはじめとする諸物価の値上がりの中で、私たちの生活は危機的状況におちいっているということを切々と訴えてきておるわけであります。私は、先ほどから総務長官その他からお答えがあったけれども、これは一にかかって政府の怠慢である。故意、過失ということばがあるけれども、故意と言えなければ過失ですね、こういうような損害をこうむったのは。あの法案というのは、一体二カ月も三カ月もかかってできるものか、そうじゃない、毎年同じひな型であります。そこに数字を書き込めば――極端に言って失礼かもしれないけれども、数字を書き込めばこんな法律は、法律をつくるお得意の方にはもう数十分でできてしまう法律だ。しかも予算がたくさんかかる、財源がたくさん要ると言うけれども、そんなことはわかっていることだ。それから、人事院の勧告完全実施ということも数年前からきまっていること、それを覚悟で内閣をしょって立っているわけだ。だから、財源が見つかりません、財源がたくさんかかりますなんていうのは、これは言いわけにすぎない。結局これは、田中内閣が七月二十四日からの臨時国会をほんとうに石の地蔵さんで過ごしてしまって実質審議をやらなかった。さらに、いまの総務長官は議運委員長でいろいろ御苦労はなすったとは思うけれども、この臨時国会開けという要求に対して、やれ南米へ行く、アメリカへ行く、オーストラリアへ行く、カナダへ行く。一番肝心なのは日本に残ってこれやることじゃないんですか。それを放置している。そうしてあげくの果ては金脈問題で野たれ死にだ。全部彼らの責任であります。そうして、その結果は全部公務員労働者にくる。これはもし私が公務員労働者だったら国家賠償法に基づいて訴訟を起こすかもしれませんよ。そういうことを考えている人は一ぱいいます。一体いつから債権が発生するかということで、総務長官、さっき法律ができたときに国に対する債権が発生すると言いました。しかし、そうじゃないと思う。これは債務不履行で構成すればそうだけれども、不法行為で構成すればいい。国の過失による不法行為で構成してごらんなさい。そうすれば、当然法律をつくって出すことが可能であった時期を政府の常識で考えればいいんだ。そうすれば私は七月三十一日には当然出せると思う。私は七月三十一日に不法行為がこれは成立している。こういう理論が成り立つと思うのです。その計算をしてみると、さっき野田委員が御指摘になった数字では一万円ですか、一万円一人損している。これは大問題ですよ。こういうような損害を受けていいる。私はやはり今後真剣にこういうことがないようにするにはどうしたらいいか。総務長官さっきはっきり答弁しなかったけれども、私は二つ提案をしたい。一つは、今後、この人事院勧告が出た場合には日限を限ってこの国会で審議をし、承認をする。たとえば一つの立法の参考として、公労法十六条二項を思い起こしてください。公労法十六条二項は、十日以内に国会に提案するという規定ですな。三公社五現業の場合には、こういうふうにして、仲裁裁定ができたりあるいは労使間で賃金の協約ができたらば、こんな五カ月も六カ月も待つという規定じゃないです。十日以内にやれとはっきり書いてある。公務員もやっぱり同じにすべきです。この公労法十六条二項に準じて、十日以内に国会がこれを審議をして予算をきめるということをはっきりやっぱり私は立法措置としてうたうべきだ。ちょっと考えればこういう知恵が出てくる。それから、それにおくれた場合にははっきり遅延損害金を労働者に払う、公務員に。これをはっきりしたほうがいい。それくらいにしないといまのこの内閣の怠慢は直らないんです、これは。毎年同じでしょう。来年は何とかいたします、来年は早くやります。聞きあきました、そういうのは。きちんとやっぱりこれは立法をして期限を限る。期限におくれたらそのときから銀行利息をつける。高利貸しじゃないんだから高い利子でなくてもいい。そうしてきちんと責任を法律的にも明らかにする必要があると思うのです。この二点はむずかしいことじゃない。どうですか、この点について。即答できないにしても検討する価値が大いにあると思うんだけれども、総務長官どうですか。
#187
○国務大臣(植木光教君) 人事院勧告以来、長い月日がたちましたことにつきましては、まことに遺憾に存じております。今後政府といたしましては、人事院の勧告が出されましたならば、これを早期に処理をするという努力をいたしてまいります。ただいまの御意見は御意見として承っておきます。今後、早期処理につきましてあらゆる角度から検討をさせていただきますので、御了承のほどをお願いをいたします。
#188
○内藤功君 これで終わるつもりだったけれども、ちょっと答弁に不満なんでね。どうなんですか。ただ御意見として拝聴するというのは、御意見としてぽいっと捨てることも含まれるんですね、失礼だけれども。前向きに、積極的にという、そこに形容詞がなくちゃいかぬと思うんです。どうなんですか。それはちょっと不満ですな。
#189
○国務大臣(植木光教君) 御意見を承りましたので、これは私どもにとりましても一つの御指摘の事項であり、また研究の課題でもございます。ただ、いろいろな問題がございますので、先ほど申し上げておりますように、要は、早期に人事院勧告が処理せられるというのが目的でございますので、その目的実現のために努力をさしていただきたいという所存でございます。
#190
○委員長(加藤武徳君) 他に御発言もないようでありますから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。
 内藤君から委員長の手元に、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。
 修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。
 この際、修正案を議題といたします。
 まず、内藤君から修正案の趣旨説明を願います。内藤君。
#191
○内藤功君 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、以下改正法案と略称いたします。これに対する修正案の提案理由を御説明いたします。八項目に分けて申します。
 第一、修正を求める部分、一、特に青年層、下位層の一般職員の給与の底上げをはかりますため、別表の俸給表の修正を行なうことを求めます。二、附則第二項のうち、宿日直手当の実施期日を四月一日に修正する。以上、二点にしぼって修正を求める次第でございます。
 次に、第二としまして、俸給表修正の基本的な考え方につきまして申し述べます。
 その一、行政職俸給表(一)、いわゆる行(一)に例をとり御説明申し上げます。行(一)の初任給号俸八等級三号、改正法案では五万九千二百円、これにあと二千八百円上積みして修正し、六万二千円まで引き上げる。
 二、六等級四号まで修正する。
 三、修正のやり方は、引き上げ額の上積み及び間差額、これは号と号との間差額。間差額の減額による収斂方式、号俸が先にいくに従って間差が減っていくという収斂方式をとる。その際、現行の間差額を下回ることのないようにする。
 四番目には、行(一)以外の俸給表については、行(一)の各初任号俸との金額差を保つよう、全体のバランスを考慮しつつ修正するものとする。
 こういう観点でお手元にお配りしましたプリント十二ページの修正案を作成いたした次第でございます。
 次に、三番目に、行政職俸給表(一)の八等級三号に二千八百円を上積みする理由について申し上げます。
 三公社五現業の高卒初任給との格差は、先ほども野田委員などから御指摘がありましたように、農林省と林野庁の差などを比べると非常に極端、約一万円も開いております。参考までに、おもな公社、現業庁の初任給を申しますと、郵政が六万八千一百円、国鉄が六万八千七百円、電電公社六万八千七百円、林野六万八千百円等々であります。この格差を縮小させるためには、少なくとも八等級三号の現行四万四千八百円、改正法案では五万九千二百円に、一万七千二百円、改正法案に対する関係では二千八百円を上積みして、六万二千円程度の水準に引き上げる必要があると、かように考えた次第でございます。
 次に、第四といたしまして、行(一)の六等級四号まで修正する理由について説明申し上げます。
 青年層、下位層の一般職員の給与の底上げの原則を貫くという観点で、六等級五号以降については修正をしないことにいたしました。
 次に第五、いわゆる収斂方式を採用した理由について説明いたします。
 八等級三号を二千八百円上積みし、六等級五号以降間差額の修正を行なわないということにいたしましたため、必然的に上積み額を順次減額していく収斂方式を採用しないと、いわゆる逆転、下の人のほうが多くなってしまう逆転が生ずるからであります。
 第六に、現行の間差額を下回らないこととした理由について。
 これは、修正により現行の間差額を下回ることになりますと、現行の定期昇給額を引き下げる結果となるからでございます。
 次に第七、附則の中の第二項、宿日直手当の実施を四月一日に修正する理由。
 これも先ほどから鈴木委員その他からの質問の中に出てきましたように、第七十二国会の衆議院内閣委員会におきまして、橘日直手当の実施を四月一日にするということを求めた請願書を各党各派一致で採択しておりますので、これに従い、請願を尊重する観点から四月一日とすべきであります。
 最後に、第八として、本修正案に要する経費につきまして、これは約五十四億であります。その内訳は次のとおり。概算でございますが、一つ、一般職の俸給及び期末手当の引き上げ分が三十三億一千万円、二番目、俸給引き上げに伴う寒冷地手当、特地手当などの引き上げ分が一億九千万円、三番目、共済金、退職金、超勤手当などの引き上げ分十三億九千万円、四つ目、宿日直手当引き上げ分六億円、これは四月から八月までであります。合計約五十四億九千万円。
 以上が提案理由でございます。よろしく御審議をお願いしたい。
#192
○委員長(加藤武徳君) ただいまの内藤君提出の修正案は予算を伴うものでございます。したがって、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。植木総務長官。
#193
○国務大臣(植木光教君) 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対するただいまの修正案につきましては、去る七月二十六日の人事院勧告及び本年度の財政事情にかんがみまして、政府といたしましては賛成いたしかねます。
#194
○委員長(加藤武徳君) それでは、ただいまの修正案に対し質疑のある方は順次御発言を願います。――別に御発言もないようでありますから、質疑はないものと認めます。
 それではこれより討論に入ります。
 討論は、ただいま議題となっております三案及び内藤君提出の修正案を一括して行ないます。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 まず、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行ないます。
 まず、内藤君提出の修正案を問題に供します。内藤君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#195
○委員長(加藤武徳君) 少数と認めます。よって、内藤君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#196
○委員長(加藤武徳君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、野田君から発言を求められておりますので、これを許します。野田君。
#197
○野田哲君 私は、ただいま可決されました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について、自民、社会、公明、共産、民社の各党共同提案にかかる附帯決議を提出をいたします。まず案文を朗読いたします。
   一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  公務員の給与改定に関する本年の人事院勧告は例年に比べて早期に勧告されたにもかかわらず、その実施がはなはだしくおくれたことは、誠に遺憾である。政府は、民間並びに三公社・五現業職員の給与支給の実情にかんがみ、公務員給与の支給に当つては勧告の時期も考慮して支給が行われるよう支給手続きの改善について検討すべきである。
  なお、政府は、公務に優秀な人材を確保できるよう、民間並びに三公社・五現業職員の初任給との関係をさらに考慮することについて必要な検討をすべきである。
  右決議する。
 この附帯決議案の趣旨は、案文及び委員会の審査の過程においてすでに明らかでありますので、説明は省略させていただきます。
 以上でございます。
#198
○委員長(加藤武徳君) ただいま野田君から提出されました附帯決議案を議題として、採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#199
○委員長(加藤武徳君) 全会一致と認めます。よって、野田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、植木総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。植木総務長官。
#200
○国務大臣(植木光教君) ただいまの附帯決議につきましては、政府として慎重に検討いたしたいと存じます。
#201
○委員長(加藤武徳君) 次に、特別職の職員の給与に関する法律及び沖繩国際海洋博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#202
○委員長(加藤武徳君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#203
○委員長(加藤武徳君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、ただいま可決されました三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#204
○委員長(加藤武徳君) 異議ないと認め、さように決定いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時五十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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