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#1
第074回国会 本会議 第3号
昭和四十九年十二月十七日(火曜日)
   午前十時三分開議
    ―――――――――――――
#2
○議事日程 第三号
  昭和四十九年十二月十七日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件
 去る十四日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。松永忠二君。
   〔松永忠二君登壇、拍手〕
#4
○松永忠二君 私は、日本社会党を代表して、総理の所信表明について質問いたします。
 田中内閣は、世論と野党の追及と党内対立の中で崩壊しました。私は違反行為はやっていない、地位利用もやっていないし何も悪いことはしていないと首相が釈明していたのに、この事件はなぜ強大な権力の座を根底からゆるがしたのでしょうか。政治家は、総理はこの事件の中に何を学び、どうこれにこたえるかということを真剣に考えなくてはなりません。
 まず、田中内閣に対するわれわれの批判は、インフレ対策に対する失敗であります。高まるインフレに有効な歯どめができず、かえって調整インフレ的な立場でインフレに拍車をかけました。多極化した国際情勢の中で、それに対応する政策は何ら示されず、ただ、その場主義の方策しか行なわれませんでした。
 次は、その政治姿勢であります。日韓関係の緊張、核持ち込みラロック証言、インドの核実験、原子力船「むつ」問題、三菱重工業などの爆破事件、公共料金の大幅引き上げなど、短期間にこれほど多くの問題にぶつかった内閣はありませんが、これほど黙りこくってきた内閣もありませんでした。(拍手)保革接近の参議院選挙後も所信表明を回避し、その後も、国民と対座して国民に向かって政治の現実と将来の展望を語り国民の不安を解きほぐす姿勢はほとんどありませんでした。外国訪問、党内人事、フォード大統領来日を優先させてきました。国民不在の政治姿勢に対し国民の不信感はぎりぎりまで深まってきました。
 次は、総理に対する国民の信頼感の問題であります。身辺の疑惑について国民の前に釈明せざるを得なかった首相は、かつてわれわれの記憶にはありませんでした。インフレもエネルギーについても、国民の協力なくして成功はできない段階に来ています。そのような際に、首相の政治資金と個人資産についての疑惑は、国民の支持と協力を根本から掘りくずすものであります。田中首相に強く求められたのは、その道義的責任でありました。総理は、総辞職の原因はどこにあり、これを今後の政治にどう生かしていこうとしているのか、その決意と考え方を伺いたいのであります。
 総理は、自民党の近代化について一貫して努力してきたことは事実でありますし、その機は熟したと言っています。総理が諸悪の根源だと言う総裁選挙についても、椎名調査会で試案を検討してもらうというのであります。椎名答申の出たとき、世論はそらぞらしい自民党改革案と嘲笑し、問題はこれをどう実現するかにあると批判をいたしました。この椎名調査会に試案を示したところで、総裁選挙の改正が一月党大会に提案されるなどという期待を持つ者は一人もありません。政治資金を一本化すると言ってみても、幾ら自民党に借金があるのかわからない人にどうしてそれが解決できるだろうかと疑われるのであります。派閥解消も党機関で検討してもらうというのでありますが、それでできるなら、とうの昔に改革はできたはずであります。首相が責任者としてつくった党の近代化の答申の派閥解消も近代政党の建設も、全然実行されていないでいまに至っていることを銘記しなければなりません。首相に要望することは、自己の主張に責任を持つことであります。党近代化の鬼と言い続けてきた総理総裁は、いかなる順序で、いかなる時期をめどとして実施しようとしているのか、明らかにしてほしいのであります。
 また、首相は、国会の場で金脈問題をはっきりさせるのが筋だと主張してきました。あなたがこう主張してきたのは、田中金脈問題が自民党の金権体質にその素地があり、これを国会の場で明らかにすることによって、自民党と金、政治家と金の不明朗な関係を正し、公党公人の倫理を正し、政治に対する国民の不信を一掃し、社会の道義感の退廃を防ごうとしたからではなかったのでしょうか。しかるに、それは田中氏自身の判断だから、田中氏が調査の結果を発表すると言うのだから私がどうこう言うことはないとの発言は、首相をやめればそれでよいということで、党近代化の問題として取り上げてきた従来の態度と全く矛盾するものであります。憲法に明らかなように、内閣は議会の信任を基礎として成立し、議会に対し責任を持つという議院内閣制によって議会が国政調査権を持つものであります。国政調査権の前には、行政の秘密は、国家機密のように最小限のものに限らるべきものであります。法律上内容の明らかでない職務上の秘密、職務上知り得た秘密を広義に解釈し国政調査権を妨げることは断じて許されません。(拍手)政府は必要な資料を提示し、自民党は参考人、証人の招致に応ずべきであります。野党との対話と協調を力説する総理は、この全野党の要求に真摯にこたうべきであります。この勇気と決断が得られないならば、新総理に対する国民や野党の期待の半ばは失われるものと覚悟しなければなりません。総理総裁としての決意を聞きたいのであります。また、閣僚の身辺の清潔を裏づけるため、首相並びに閣僚は個人資産の公開に踏み切るべきだと考えますが、総理の見解を聞きたいのであります。
 総理は所信表明で、重大な時局に全身全霊を打ち込む、精魂を傾けると誓っています。その決意には同感し、賛意を表するものでありますが、実行についての方法に具体性がなく、したがって迫力も乏しいのであります。組閣においても、三木新体制にある混迷が目立ちます。これは総理が世論の動向、世論の支持と言いながら、これを証拠立てるものはありません。派閥次元を越えて全党支持と言いながら、ささえる力の弱さから来るものでありましょう。選挙というものの意味と重さをいまさらに感じます。しかるに総理は、解散などといういことは頭にないし、夏の総裁選挙も私個人の提案だと言うのであります。椎名氏が、党を解党して第一歩より出直すにひとしい反省が必要だと述べているのは、自民党が組織政党として失格しており、政権担当の資格を欠くことを告白したものであります。早期に解散し、国民の総意によって政権の所在を明らかにし、選ばれれば、確信と自信を持って真の政局の安定と大胆な施策を展開すべきであります。これこそ憲政の常道であります。また、これが派閥の大小を越えた指導力を確立するゆえんでもあります。総理の考えを聞きたいのであります。
 金権選挙が金権政治の根源であることは明らかであります。特に、政治資金規正法の改正は、野党も国民も強く要求し続けた問題であります。理想的なものでなくても、漸進的試行的にやって、悪いところがあれば手直しするという態度で、早急に政治の軌道に乗せなくてはなりません。また、総選挙になって議席だけがふえて、政治資金規正法の改正は各党の公約として提示されるなどということは絶対あってはなりません。もしそういうことであれば、公約に対する不信を高め、選挙を通じて国民の声を政治に反映するという民主政治の本幹を無視することとなり、政治、政党、政治家に対する不信はその極限に達するものと覚悟しなければなりません。(拍手)政治資金規正法の改正こそまさに時代の要請であり、政治家の責務でもあります。選挙公営もまたこれと表裏一体的なものであります。総理の決意と実行のプログラムを明らかにしていただきたいのであります。
 次に、外交の方針についてお尋ねいたします。
 アメリカの外交を端的にあらわすものはキッシンジャー構想であります。政治、経済、軍事のすべての分野にわたって、二つの超大国の全世界的な均衡というアメリカの目標に向けて日本やヨーロッパを再整列させ、アメリカの目から見て公平な費用と義務を負担させようとするものであります。国際環境の変化の中で、失いかけたアメリカの指導性を回復し、自由陣営の新しいワク組みの中にアメリカの指導性を確立しようとしたものであります。アメリカが日本に期待する役割りは、アジア・太平洋地域における均衡維持のため日本が有効な軍事的、経済的役割りを果たすということであります。今回の日米共同声明は、このアメリカの外交方針が露骨に押しつけられているのであります。しかるに総理は、安全保障条約のもとでの日米協力関係を永続させ、それが引き続き有意義な役割りを果たしていくと断定している声明を忠実に履行する決意だと述べています。しかし、アメリカの核保護に依存しつつ、日米共同防衛体制のワク内でその役割りを増大していく方法が、最近のアジアの情勢のもとでの日本の対応のしかたとして誤りではないのだろうか。むしろ、非核地帯の発展から非核世界への実現に向かう以外にないのではないかという考え方が強く主張されてきています。したがって、将来は日米友好協力条約への切りかえ、根本的には日米安保条約の廃止をすべしとの主張が増大してきました。つまり、安保体制を清算し、日本外交の自主性を回復すべしとの主張であります。日米友好関係の維持強化が日本外交の基調であることを強調するだけでなしに、対米外交の自主性をどう回復するかという考え方について総理の見解を聞きたいのであります。(拍手)
 石油問題についての考え方は所信表明に明らかにされていますが、共同声明では、両国は消費国の協力を進めることを重要視し、とあります。英文では、大いなる重要性を付与すると、きっぱり言い切って、石油消費国の同盟を結成し、産油国と対決するキッシンジャー構想を原則的に認めたのであります。食糧問題においても、食糧供給の確保の原則を認めています。世界食糧会議におけるキッシンジャー構想は、輸入国の責任で備蓄を進めることであり、将来輸出国カルテルに発展する心配もあります。食糧と石油で日本側がはさみ打ちにされ、米国に押されて原則を認めざるを得なかったという感じがいたします。石油、食糧問題について、世界的調整の場で日米の関係をどう調整し、いかなる方針で対処していくのか、外相の見解を聞きたいのであります。
 共同声明は核問題に触れながら、核持ち込み問題は明らかにされていません。ラロック証言のほかに、米上院外交委員会での、核積載艦がある国の領海を一時通過ないし寄港の場合は配置には該当しないとのムーラー統合本部長の証言、元国防次官の、沖繩の核問題に触れて、核を貯蔵している事実は残っているとの証言等は、核兵器に対する日本国民の特殊な感情を理解し、日本政府の核政策にそむかないという米国の正式見解に強い疑問を抱か迂るものであります。米国は核の存在は公表しないと言い、日本は米国政府を信頼するというのでは、現在のところ核の存在を明らかにする方法はありません。政府の言う非核三原則には偽りはないし、アメリカも日本の核政策にそむかないというのなら、国会で非核三原則を決議するより方法はありません。これを妨げる何らの理由はないはずであります。これによって平和国家のイメージが国際的に明らかになりますし、政府に対する核持ち込みの疑念も晴れます。総理は非核三原則の国会決議に応ずる決意があるのか、また、これに応じられないとすれば、いかなる理由によるものなのか明らかにしてほしいのであります。また、政府は来たる通常国会に核拡散防止条約の批准を提案するのかどうか、被爆三十周年を前に、被爆者の悲願である全野党共同提案の国家補償による被爆者援護法案の成立をはかるべきだと考えますが、総理の見解を聞きたいのであります。
 いま一つ、二国間の争点となる問題があります。アメリカ側は日本の北洋漁業にきびしい規制を押しつけました。動物性たん白源の半分を水産物から、その二〇%を北洋からとっている全北洋漁業に、また日本水産界に及ぼす影響は深刻なものがあります。第三次海洋会議でも二百海里の経済水域設定が動かしがたい大勢とはいえ、アメリカがまずまつ先に実行を迫るような態度に強い不満を感ずるものであります。日米間で海洋会議問題についてどういう話し合いが持たれたのか、また、今後の日米、日ソ漁業交渉に対する政府の決意を明らかにしてほしいのであります。
 われわれが国際環境の変化の中で特に注意をしなければならないことは、長期の展望に立って見ると、国際社会に起こっている各種の変化のうちで最も基本的な流れは、中小国が発言権を増大し、大国支配の秩序に抵抗して平等の発言の機会と国際決定への完全な参加を求めていることであります。その具体的な事実は限りなくあります。この政治的経済的ナショナリズムは、また資源問題、通貨問題と関係しながら、世界経済、日本経済に甚大な影響を与えています。日本経済は、国内の産業構造の転換と海外直接投資、海外生産の拡大という対応の方法をとることになり、これがまた、投資国にさまざまな影響を与えています。総理の言う、日本は世界とともに歩む外交、国際協力を強調するというばく然たるものでなく、日本はみずから自立性を確保しながら、開発途上国の求めている民族自立、経済自立、社会的公正の要求等の公正な原理秩序形成の道を国際協力の中で実現することに役立つ日本外交、経済外交の基本方針を確立する必要に迫られています。所信表明には、全世界的協力に基づく新しい世界秩序の形成ということが述べられていますが、これはどういう意味でしょうか。総理は、この国際環境の変化の中で、日本外交、経済外交の基本方針をどこに置こうとしているのか、伺いたいのであります。また、田中前首相も日中国交回復に、太平洋諸国への訪問に、それなりの努力をしてきましたが、総理はいかなる方法に重点を置いてこの外交方針を展開していこうとしているのか、伺いたいのであります。また、早期に解決を必要とする日中、日ソ平和条約の締結にどう対処していくのか、お聞きをしたいのであります。
 次に日韓関係の問題であります。木村前外相は参議院外務委員会で、韓国に対する北からの軍事脅威は、政府としては客観的にそういう事実はないと判断していると述べました。しかるに椎名特使は、南北朝鮮の赤十字会談、南北共同声明といったものを南北朝鮮の緊張緩和と受け取った日本側の現状認識が誤りであり、私自身が油断していたとも言っているのであります。韓国首相は国会答弁で、今後一にかかって日本が韓国の安全保障問題について認識を深め、それを行動をもって証明することだと言っています。また、政府の表明によれば、椎名特使訪韓によって事態は朴大統領狙撃事件以前に戻った。金大中氏の出国問題、金東雲一等書記官の捜査など解決すべき懸案があるとの立場をとっています。しかるに韓国の外相は国会で、韓国政府としては金大中事件はすべて決着したものと考えると答弁しています。当の金大中氏自身、自由回復も事件の究明も何一つ片づいていないと訴えています。また、日本国内の合法団体である朝鮮総連を政府があたかも規制することを約束したように韓国側は受け取っているのであります。外務大臣は金大中事件をどういう順序で解決しようとするのか、法的に疑義のある早川、太刀川事件の処置をどうするのか、また、朝鮮総連について韓国とどのような約束をしているのか、明らかにしてほしいのであります。米ソ、米中間の緊張緩和の進展という近年の情勢の中で、朝鮮問題の解決は急速度に進めるべきものであります。日本は、南北対話だけでは何も生み出せない中でその継続を主張するだけでなく、朴政権をささえる大きな柱である韓国への経済援助は再検討さるべきであります。また、国連軍の存在が時代錯誤になってきた中では、在韓国連軍の撤退、在韓国連司令部の解体に賛意を表すべきであります。政府の朝鮮民主主義人民共和国に対する態度と対韓外交の態度を明らかにしてほしいのであります。
 今回の補正予算で、四十九年度補正後の一般会計予算規模は、前年度補正後予算と比べて二五・七%増となり、前年比二〇%以内に押えた抑制予算というキャッチフレーズは破綻してしまいました。補正額のうち三分の二は人件費、物件費の高騰による補正要因で占められ、弱者救済も、すでに決定していた実施時期繰り上げの費用のみで、積極的な施策はありません。野党の修正要求は当然であります。まさに物価政策の破綻を財政面から露骨に示したものと言わなければなりません。大蔵省は、来年度予算の規模は本年度当初の二三%程度の増加にとどめたいと考えているようでありますが、来年度当然増は三兆六千億ともいわれ、伸び率を二五%増以内に圧縮することはほとんど不可能と見られています。また、投資的経費のウエートの高い財政投融資は、各省庁要求が八九%の増加であります。大蔵省はこれを二〇%増以下に押えたいと言っておりますが、これまた容易なことではありません。大蔵大臣は、来年度予算編成の基礎となる経済指標において、実質成長率、物価上昇率を幾らと考え、一般会計及び財政投融資の規模をどのくらいにしたいと考えているのか、伺いたいのであります。
 来年度予算編成にあたって、われわれの主張は、その第一に、既定的予算を根本的に洗い直し、新しい国民の要請に沿っての各政策の優先順位を定めることであります。生活関連の公共投資に重点を置くべきであります。
 その第二は、財政の所得再分配機能を最大限に活用し、資源所得に軽い税制を正すとともに、特に、インフレ直撃を受けている恵まれない階層の福祉の徹底であります。
 その第三は、地方の自主財源を拡充し、地方財政の充実を具体的に実行することであります。
 大蔵大臣は、予算編成の重点をどこに置くのかお聞きをしたいのであります。
 地方財政は、悪質なインフレによる経費増と景気後退に伴う税収の落ち込みで危機に瀕しています。福祉行政はその実施の主体が地方自治体であり、福祉型予算は一度計上されるとふくれる傾向にある予算であります。しかも、国の補助、助成の率は低く、超過負担も過大であります。したがって、根本的な改革は求めながらも、差し迫ったものとして地方交付税率の引き上げ、法人事業税の税率を高めるとか、法人事業税の売り上げ高課税方式の採用、法人事業所税の創設要求、地方公共団体の金融公庫の設立要望などの要求が出ています。今回実現の強く要望されている事業所税は明年度実施をするのか。また、年末の一時措置でなしに、地方財政を救うためどういう具体案を持っているのか、関係大臣に伺いたいのであります。
 次は、大幅賃上げの問題であります。政府、日経連、経営者は、日本の賃金の水準はすでに国際水準に達したと言っています。しかし、この賃金水準がいかなる生活水準のもとで与えられているかを考えなくてはなりません。経済審議会が生活水準を調査した結果、日本の生活水準は国際比較でイタリアの三分の一にすぎないと発表しています。また、賃金三〇%の上昇が消費者物価一〇%上昇をもたらすという、物価と賃金を抜き出しての議論は、他の経済的変動の要素はすべて不変であるという仮定に立つ非科学的議論であることはすでに定説のあるところであります。(拍手)日本の労働分配率が国際的に見て低く、しかも低下の傾向にあることは事実であります。石油価格や他の国際商品の価格水準を当然として新価格体系の成立を主張する人が、分配関係の国際的平準化について一言も言わないのはどういうわけでありますか。(拍手)しかし、われわれも、大幅賃上げが引き続き行なわれるとき、それが物価上昇や日本経済に与える影響の大きいことを否定するものではありませんが、賃上げが大幅にならざるを得ない諸要因をあらかじめ除去することが前提であって、(拍手)インフレの進行が依然としてとどまるところを知らず、三〇%の賃上げが六カ月にゼロになり、むしろ実質賃金が減少する中で大幅賃上げの自粛を求めること自体無理なことであります。(拍手)問題は、この大幅賃上げが物価上昇の原因をつくらせないところに政策があるのであります。政策の欠如したまま物価対策を展開しようとすれば、それ自体として何らの積極的内容を持たないうしろ向きの所得政策につながらざるを得ないのであります。政府は、独禁法を強化して独占価格を抑制し、資源所得に軽い不公正な税制の改正、予算圧縮の中での社会保障の充実、一時的な公共料金の凍結、大衆預金の目減り対策に真剣な具体的努力を払うべきであります。まず、三月末消費者物価が対前年比一五%増を物価抑制の目標として、政策をこのワク内で調整し、実現を強力に推進する責任があります。経営者も、企業内利益や内部留保の積み増しの抑制、減価償却の一時繰り延べによる賃上げ吸収への努力をするとともに、労働組合も経営者と対等の立場で話し合いの中で適正な賃上げを実施し、あわせて実質賃金向上のための行動を積極的に行なうべきでありましょう。春闘を前にして、政府の責任をどう果たし、企業の責任をどう果たさせていくのか、また所得政策に対する考えを労働大臣に聞きたいのであります。
 まず、欠陥行政でお聞きしたいのは、原子力船「むつ」の問題であります。この問題で明確になったのは、原子力の技術の未熟と原子力行政の欠陥でありました。技術的な問題に数多い疑問もありますが、こうした問題をおいて、原子力委員会の委員の構成が開発側に偏しているのではないか、科学技術庁の原子力局に同居している安全部門を独立さしたらどうか、安全審査会をパスすれば、詳細設計の安全性は、原子力発電は通産省、原子力船は運輸省にまかされている安全審査方法も改むべきではないのか、安全性の研究予算の充実など、原子力行政の改善の問題があります。また、原子力発電は現在なお未完成の技術で、温排水の影響、固形型廃棄物の処理、処分など、幾多未解決の問題があります。したがって、住民参加の監視体制や実効のある公聴会制度の確立も必要であります。開発を中心の原子力行政を、環境保全と安全確保を中核とし、それが技術と社会の二つの側面から検討されるような原子力行政への転換が必要であります。六十年度、六千万キロワットの原子力発電、原子力船の実用船第一号完成など、原子力開発利用計画も再検討さるべきであります。
 以上の諸点について総理の考えを聞きたいのであります。
 自動車排ガスの五十一年度規制問題も欠陥行政の一つであります。中央公害対策審議会は、五十一年度規制が無理な場合でも、技術的に可能な限りきびしい許容限度を設定せよと答申し、総理も、長官辞任の際、同様なことを言明しました。しかるに、いま、五十一年度規制を二年延長し、二本立てで大幅に規制をゆるめる方針をきめ、毛利前長官は、せっかちな審議で、在任中に専門委員会の報告書をまとめさせました。全く規制緩和の食い逃げであります。鉄と車で油を買うという輸出産業の国際競争力に根拠を置く経済論議ではなしに、排気ガス規制は、まず、住民の健康を優先する精神が尊重さるべきであります。まず、審議会の慎重な審議を強く求めます。やむを得ず規制緩和を行なう際は、大気部会の四項目の決定を実施に移し、大気汚染に苦しむ国民や自治体の悲痛な叫びにこたえるべきであり、企業はまた規制できないことを証明するデータを出し、二年後の完全実施を約束すべきであります。政府はどう一体責任を果たしていくのか、企業にどういう責任を果たさせるのか、総理の決意と考え方を聞きたいのであります。(拍手)
 最後に、教育もまた欠陥行政の一つであります。文相が、教育行政には何よりも国民の理解と支持が必要だ、政治的対立の激しい教育界の流れを幾らかでも変えることに向かって半歩でも近づくことが私の課題だ、せっかちにならずに長い目で見てほしいと語っていることは全く賛成であります。問題は、これをどうしてつくるかということであります。教育に関係するすべての者がいまどうしても解決しなければならないことは、学校教育を立身出世の準備の場、よい学校への進学の準備の場でなしに、人間をつくる場にすることであります。教師は、詰め込み教育の中で、じっくりものを考え、自分の特長を伸ばし、豊かな情操や高い道徳性を養う教育のできないことに失望し、悩みを持っています。また、教える教科書を自分で選ぶことができず、あまりに窮屈な管理体制の中で、ものを言わない、生気のない教師に変わりつつあります。親たちもまた、宿題に追われ、塾に通い、子供らしい遊びや青年らしい活動に十分な時間を持たない姿に不安を感じながらも、入学、就職という現実の前には必要悪と認め、むしろこれを激励していることに矛盾を感じています。その根源が社会の強い学歴主義にあることは言うまでもありません。しかし、これは教師や親たちの努力だけで改めることはできないのであります。
#5
○議長(河野謙三君) 松永君、時間が超過しております。簡単に。
#6
○松永忠二君(続) はい、わかりました。
 それには学歴を前提とした就職の条件をなくすことが大切であります。これは教育関係団体や組合などの強い主張を背景にし、総理と文相が陣頭に立って財界と話し合い、その協力を求めなければなりません。私は、首相と文相がこの陣頭に立って財界に話し合いを求めれば、その突破口はつくられると考えるのであります。文相は一体どういう方法で政治対立の激しい教育界の流れを変えようとしているのか、具体的な考え方と抱負をお聞きして質問を終わりたいと思うのであります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(三木武夫君) 松永議員の御質問にお答えをいたします。
 第一点は、田中内閣の総辞職についていろいろ御質問がございました。田中内閣の総辞職は、田中氏自身の声明にもありますごとく、自分自身に関係することで国政を混迷におとしいれたことに対する道義的責任を感じて辞職をするということでございます。しかし、この問題はきわめて深刻な問題でもありますので、私自身は、当時、政治家はみずから律することきびしくなければならぬという教訓として受けとめました。今日はまた、自民党総裁として、この不幸なる事件を契機にして、自民党の体質に対して改革を加えなければならぬという決意を固めさした次第でございます。
 第二点は、自民党の近代化について御質問がございました。私は、政党の近代化は単に自民党ばかりの課題ではないと思っておるわけでございます。まあしかし、御質問は自民党でございますので、これは共通する問題だとは思いますが、お答えをいたします。
 いわゆる自民党の近代化という内容でありますが、一つには、国民から信頼されるような政党の道義、モラルの確立をせなければならぬ。これはもう政治は国民の信頼を離れて成り立たぬわけですから、当然であります。第二点は、やはり自民党が広く国民各層を網羅した国民政党の組織に拡大していかなければならぬ。労働組合の支持も自民党が受けられるような自民党にならなければならぬと考えておるわけでございます。(拍手)また、第三には、このような世の中の変化の激しい時代でありますから、政党がその時代の変化におくれをとらないだけの政策の調査立案能力を身につけなければならぬ。この三点が私の政党近代化の課題だと思っております。ただ、これを具体的に改革するためには、私は、自民党の総裁公選のあり方、政治資金の集め方、使い方、さらにまた、今日の選挙のあり方、これに対する改革案を党に提示して検討を進めることにいたしておる次第でございます。
 また、田中氏自身の問題は、田中氏自身もみずから、すべてを公表して国民の疑惑を解きたいと言われております。これは近くそういう処置をとられることと期待をいたしております。しかし、国会においても、公人としてのいろいろな疑惑に対してその真相を究明しようということは、国会の機能として当然のことであります。政府としましても、協力のできる限りは協力をいたす所存でございます。ただ、資産の公開という問題をお取り上げになりました。この問題は、まだ制度としては世界的に見ても確立していないわけでございます。どこの国もまだ制度として確立していない。しかし、松永議員があえてこれを御指摘されるお気持ちはよくわかります。政治姿勢としての問題として受けとめて、私自身の財産は近く公開をする所存でございます。(「ほかの閣僚はどうした」と呼ぶ者あり)また――ほかの閣僚の問題については、制度としてこの問題はもっと検討をしてみたい。熟していないわけです。そういう点で、これは野党の方々にも御研究を願いたいと思うわけでございます。
 また、政治資金の問題については、私は、今日の世論の動向にかんがみて、政治の信用を回復するためには、政治資金の規制の問題に手をつけなければならぬと考えております。したがって、通常国会には政治資金の規正に対する改正を私は行なう所存でございます。準備を進めたいと思っております。それはどういうところにねらいがあるかというと、政治活動には金がかかるわけです。これはやはり今日のような時代になってくると、大衆社会でありますから、政治活動というものは昔と違って金がかかる。結局は、その金の集め方、使い方というものが、金が幾らかかるからといっても、これはやっぱり節度が必要であります。また、公明正大なものでなくてはならぬわけでありますから、政治資金規正法というものを、そういう政治資金に対してこうなければならぬという国民の要望に従って改正を加える所存でございます。
 また、解散のことをお触れになりましたが、これは、いまは解散のことは考えておりませんとお答えをいたす次第でございます。
 また、アメリカ外交についていろいろ御批判がございました。安保条約、これは松永議員とわれわれの立場とは異なっておりますから、いろいろな御批判がある思いますが、われわれは、日本の安全確保のために日米安保条約は必要である、こういう見地からわれわれが賛成をしてこの条約を結んでおるわけで、アメリカに押しつけられて結んだ条約ではないわけです。日本がこの条約が必要でないと言えば、この条約を破棄することはできるわけであります。したがって、私は、このことによって日米間の外交に自主性がないんだと思わないんです。私自身は、二年間も外務大臣をやってみて、対米外交において日本の外交に自主性がないと考えたことは一ぺんもない。私と、相手はラスク国務長官であります。相手はラスク国務長官でありましたが、ずいぶん意見の違ったことはある。違ったことは、私は、アメリカだからといって、安保条約を結んでおるからといって私の発言を遠慮したことは一回もない。だから、私は、日本人みずからが対米外交に自主性がないんだと考えないほうがいいという意見でございます。これはやはり日本が、今日これだけの国力を持った独立国が、アメリカに隷属した外交などとみずからが考えないほうがいい。やはり日本というものの今日持っておる世界的な影響力というものを、日本人自身が自信を持って、やはり国際社会で考える必要があるというのが私の見解でございます。(拍手)
 また、石油と食糧の問題についてでございますが、これはやはり石油、食糧に限らず、今日は世界各国の相互依存性というものが非常に深まってまいりました。どの問題でも個別的に解決できる問題はない。石油でも食糧でもそうであります。だから、大きく言って、国際協力という線ははずすべきではない。今日のような外交で自分の国家の利己的な考え方で国際社会に伍していくことはできない。どうしたって、相互にみなが利益を受けるという、ギブ・アンド・テイクということが経済外交の原則でありましょう。そういうことで、石油の問題にしても、私はキッシンジャー国務長官とも今年の一月に会って話をした。われわれの意見は、産油国との間に対決主義はとらない。石油消費国が団結して産油国との間に対決しながら、力によって石油問題を解決しようという考え方にはわれわれはくみすることはできない。どうしても産油国と消費国とがお互いに協力し合って、そうしてこの問題は解決する以外に解決する道はないというのが強い日本の主張であります。一月にもキッシンジャー国務長官に私は繰り返して言ったわけであります。多少はアメリカのニュアンスが違っておったように見えました。けれども、アメリカも、産油国と消費国とが話し合いをするというそのことに対して反対はしていない。その話し合いをする前に、まず消費国の意思の疎通をはかっておくことが必要でないかというので、その入り口の手続の違いがあることによって、根本的に産油国と消費国との間に話し合って問題を解決しようという私の考えておる原則にキッシンジャー国務長官は反対しませんでした。だからこそ、きのうでございますが、カブリ海のマルチニク島において、ジスカールデスタンとフォード大統領との間に石油問題について米仏の妥協がついて、そしてもういきなり産油国と消費国とが、また低開発諸国で石油を産出しない国々との三構成によって、来年の三月ですか、準備会議が開かれるという決定が行なわれたと聞いております。こういうことで、どうしてもやはりこういう問題は、力で資源の保有国に対して押しつけていくという考え方は私はとらない。そういうことは日本では、ことに石油のようなものを中東から日本は約八〇%も輸入しておるわけでから、そういう日本が中東に対して、力で消費国が団結して問題を解決しようという考え方は誤りである、あくまでも産油国との間に話し合って、相互の協力によって問題を解決していこうという考え方を、これは貫いていく考えでございます。
 食糧の問題についても、何としてもアメリカは世界における最大の食糧の供給国でありますから、アメリカとの間に、日本は食糧の安定的な供給を確保しなければなりませんから、これはよく密接な、緊密な連絡をとってまいりたいと思うわけでございます。
 次に、非核三原則についてお話がございました。松永議員、国会で決議をせよと、そして国民的にこの原則を大いに徹底さしたらいいじゃないかというお話でございますが、この間も佐藤さん自身がノーベル賞をおもらいになりましたのは、非核三原則ということでおもらいになったので、ノーベル賞をもらった主たる理由が、非核三原則というものを堅持したということでおもらいになったわけですから、相当にこの問題は国際的に、国会の決議を待つまでもなく、周知徹底されておるものと考えております。また、核兵器の拡散防止条約については、私はできるだけ早く批准をいたしたいと思っております。しかし、批准をする前に、この条約を批准することによって日本が不平等な立場に立たされてはいけない。ことに原子力の平和利用というものは、この分野で日本は非常に今後開発をしていかなければならぬわけでありますので、まずこの批准に先立って、国際査察といいますか、いわゆる原子力の保障措置協定とそれから国際査察、これをヨーロッパの原子力機構と日本とは差別をつけられないように、実質的に平等なような査察を受けるようにしたいという保障協定をまず最初に結んで、それでいよいよこの核兵器の防止条約の批准にかかりたいと思いますので、これはいま準備を進めておりますから、近く本交渉に入ることになる。それが早く済めば、これはできるだけ早い機会に国会の批准を求めたいと思っております。
 また、核の問題については、これは私どもは核の問題についてはラロック証言等もございますが、アメリカが繰り返し、核に対する日本人の特殊な感情はよく理解しておるということで、また、先般訪日されたフォード大統領もこれを繰り返し述べて、そして日本の国民の意思に反するような政策はとらないということでございますので、アメリカのこの政府の声明に対してわれわれは信頼をいたしておるわけでございます。(「被爆者援護法」と呼ぶ者あり)
 それから、日中の平和条約でありますが、この日中の平和条約については、日中の国交が正常化されまして以来、御承知のように政府間でも民間においてもますます関係が緊密になって、航空協定をはじめ各種の協定が結ばれていくようになって、非常に日中間の友好関係が深まっていくことはたいへんに喜ばしいことだと思っております。しかし何としても日中の永遠の友好関係を樹立するための基礎になると思われるものは日中友好平和条約でございますから、この交渉を始めたい。両方とも政府において外交ルートで準備をするということに同意をしておりますから、したがって、そういう外交ルートを通じて話し合いながら、両国の政府の呼吸の合ったところで本交渉に入って、日中の友好平和条約の締結を急ぎたいという考えでございます。
 日ソの平和条約につきましては、これはいままで領土問題に対するソ連の反応というものはきわめてきびしい。今日もきびしいんでありますが、昨年田中首相が訪ソされまして、首脳会談においてこの領土問題、北方領土の問題が未解決であるということを確認をしたわけです。これは一歩前進であります。そして平和条約の交渉を続けるということでございますので、これは中断さすことはよくないと思いまして、宮澤外務大臣に一月に訪ソをわずらわして、いま先方の都合も聞いておりますが、都合がよければ訪ソすることになると思いますが、そして平和条約交渉を続けたいと思っております。
 原子力の問題についていろいろお話がございまして、私は全く松永議員と同じ意見であって、原子力というものの平和利用の面というものが、エネルギーの問題を考えても、これは非常に大事な問題であるにかかわらず、いまだにこの原子力に対する国民の不安というものが払拭できないということは残念なことでございます。今後はやっぱり原子力行政というものは安全の確保と環境の保全という、松永議員の言われるのと私は同じような意見でございます。これに対して今後こういう問題の解決あるいはまた充実ということをはかりまして、国民の理解と協力がなければ原子力の開発というものは進んでいかないわけでありますから、そういう点で一そう原子力行政の中で、安全と環境に重点を置いて進めてまいりたいと思う次第でございます。
 排気ガスの規制について、これは少なからず私自身も重大な関心を持っておるものでございます。それは、私は環境庁の長官を田中内閣でしておって、そして硫黄酸化物の五十年規制は相当無理であったのですが、私はこれを断行したわけです。五十一年度のいわゆる窒素酸化物に対しての規制であります。これはまあなかなかむずかしい。まあ、アメリカもこういう問題を次々に延ばしておりますが、しかし日本は、よその国がやってないとかむずかしいといっても、非常に大気汚染の密度というものは、よその国よりも、こういう領土の狭い国ですから、高いわけで、よその国が延ばしたからといって、そんなに日本が延ばさなきゃならぬ理由はないわけで、何とかして五十一年度規制を実施できないかと、環境庁長官を辞任するまで、御承知のようにメーカーなどを呼んで激励を――技術開発の促進を何とかできぬかという方法を検討したのですが、辞職をいたしたわけです。私自身が辞職して、毛利君があとを継いだわけでありますが、それで先般は大気部会というところで結論が出たわけです。私はすぐ告示することをとめたわけです。こんな国民が関心を持っておることに対して、大気部会できめたからこれを告示するということはいけない、もう一ぺんこれを中公審の総会にかけて、国民的な立場から十分な審議を尽くしてもらいたいという指示を行なったわけです。いまやっておるのです、いま。きょういまやっておる最中でありますから、どういう結論が出ますか、その結論は私は尊重をしたいと思っております。そういうことで、この問題は光化学スモッグのあの大きな原因であるというので、私自身が重大な関心を持っておるということだけは松永議員ひとつ御理解を願いたいのでございます。私の答弁の漏れた点は各大臣から補足いたすことにいたします。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(宮澤喜一君) 外交案件につきましては総理大臣がすでに大部分御答弁をされましたが、特に私にお名ざしのありました点と、総理大臣が答弁をなさいませんでした点が三点ございます。それにつきまして申し上げます。
 第一点は、石油問題についてわが国の独自性が失われてはならない、ことに産油国と対決をするようなことがあってはならないという御指摘でありました。この点につきましては総理大臣がすでに詳しく御答弁になりましたので、具体的な事実だけを簡単に補足をさしていただきます。
 今年の二月にこの問題について国際会議が開かれまして以来、わが国としては、われわれが相談をするにしても、その場合は、すでに国際協調を旨として存在をしておりますOECDのワク内で行なうことが望ましい、これが一番誤解を招かないゆえんであるということを主張いたしまして、いろいろ経緯はございましたが、十一月の中旬に、国際エネルギー機関が設けられまして、これはOECDのワク内に設けられることになりました。同時に、この機関の主たる目的の一つは産油国との対話につながることであるという決議もなされておりまして、この国際エネルギー機関の成立につきましては、産油国の担当大臣などから、これを歓迎する旨の意思表示がなされておりますので、ただいままでのところ、わが国の主張が貫かれておるというふうに考えております。しかし、これは大事な問題でございますので、松永議員御指摘のように、今後とも十分注意をしてやってまいります。
 第二点は、海洋法会議、それから日米、日ソの漁業交渉についてでございます。この点につきましては、カラカスで御案内のような会議がございまして、それを通じまして、どこの国の主導と申しますよりは、各国の利害がきわめて錯綜しておるということが判明をいたしてまいっております。領海の問題、範囲の問題にいたしましても、あるいは経済水域の内容、大陸だなの問題、今後の公海の開発等々、たいへんに利害がふくそうしておりまして、どこの国が主導権をとるというようなことではないように存じております。来年の三月ごろジュネーブでその続きの会議があるわけでございますが、私どもといたしましては、国際協調はきわめて大事でございますけれども、同時に、わが国独自の国益が失われませんように十分注意をいたしてまいる所存でございます。
 それから日米の北洋漁業の取りきめにつきましては、本年末で有効期間が切れますので、先月十一月の末からつい最近まで交渉をいたしてまいりました。で、これにつきましてもやはり海洋法会議の関係、あるいは米国自身がいわゆる二百海里の漁業水域の法案を考えるといったような国内問題がございまして、かなり今回の交渉はむずかしかったように聞いております。が、一応われわれの主張がまあまあという程度通ったというふうに承知をいたしておりまして、明年一月から二年間、新しい取りきめが有効になるというふうに承知をいたしております。
 次に、日ソの漁業交渉関係でございますけれども、ここでもやはり海洋法会議の議論がいろいろ尾を引きまして、来年以降の漁業交渉は相当きびしくなるということは当然予想をいたさなければなりません。わが国の北洋漁業の長期かつ安定的な発展ということを確保するために、そういう基本線で、かなりむずかしい交渉であろうと思いますが、交渉に臨む所存でございます。
 第三点は、日韓の関係につきまして金大中氏の問題、あるいは二人の学生の問題、朝鮮総連の関連のお尋ねでございました。で、金大中氏の身柄の問題につきましては、当然のことでございますけれども、私どもとしても大きな関心を寄せております。で、同氏が依然として出国を希望されるものであるならば、その早期実現が望ましいと考える旨は再三韓国側へ申し入れてございます。ただ同氏は、ただいま選挙法関係の違反に問われて裁判中でございますが、これにつきまして韓国政府は、当然のことながら、公正な裁判、一般市民と同氏に不利なような差別待遇をするつもりは一切ない、それについては出国の自由についても同様であるということを韓国政府は述べておられます。まあ、この点につきましては、裁判のこれからの成り行きを十分注意してまいりたいと考えております。
 二人の学生の問題につきましては、これは第一義的には韓国の国内問題であるというふうに私ども心得ておりますけれども、しかし、日韓友好という関係を韓国政府が考慮されて、十分にその点を韓国政府が配慮されることを私どもとしては希望をいたしておりますし、また、その旨何度かにわたりまして韓国政府に表明をいたしております。
 それから最後の朝鮮総連の問題でございますけれども、私どもは韓国政府に対し、あるいは韓国大統領に対しまして、韓国政府の転覆を意図する犯罪行為あるいはその関連でのテロ行為がもしありますようなときには、これは、それがどの団体の所属員であろうと、どういう個人によって行なわれようと、ひとしく厳正に取り締まる、こういうことを表明しておりまして、この点はきわめて厳密かつ厳格にそういうことを申しておりますことを申し添えておきます。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(大平正芳君) 私に対する御質問の第一は、明年度の予算案の編成にあたりまして明年度の経済の成長率、物価をどう考えておるかということでございます。で、この点につきましては目下経済企画庁を中心といたしまして作業が進行中でございます。この段階におきまして具体的な数字を御披露申し上げることができませんことを御理解いただきたいと思います。ただ、いま物価の鎮静に努力いたしておるさなかでございまするし、民間に対しまして財政金融面から需要の抑制という御不自由を願っておりまする関係上、政府といたしまして予算案の作案にあたりましては極力抑制型を貫きたいと念願しておるところでございます。しかし、その中におきましても松永さんが御指摘になりました生活関連公共投資あるいはインフレの犠牲になっておりまする恵まれない方々に対する配慮、それから地方行財政水準がそこなわれることがないようにという御指摘でございますが、制約された予算の範囲内におきましてそういった点につきましては鋭意努力してまいりたいと考えております。
 事業所税を設けるつもりはないかということ、特にそういう御質問がございましたが、この問題は政府部内からもいろいろな案が出ておりまするし、いま政府といたしましては、企業の総合的な租税負担あるいは企業に対する現在の税制下においてどういう課税が行なわれておるかというものとの関連等につきまして税制調査会に御審議をお願いいたしておるわけでございまして、御審議の結果を待ちましてこれの採否を判断いたしたいと考えておる次第でございます。
 地方財政の問題につきましては、この年末、運用部の資金二千億、簡保資金九百億を投入いたしましたばかりでなく、今回お願いいたしておりまする補正予算案と地方交付税の特例法の成立と相まちまして、五千億の地方交付税交付金の概算交付を予定いたしておりますので、当面御不自由をかけることはないと思っておりますが、今後地方税の収入、交付税の手当て、それから地方債等総合的に勘案いたしまして、所要の財源をできるだけ確保するように努力いたしたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣長谷川峻君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(長谷川峻君) 松永さんにお答えいたします。
 私は、失業というものは人生において一番不幸なものである。こういう感じで行政をやっておりますが、いまのような経済社会状態の中に全国に雇用の不安が非常に高まっております。そういう中に来たるべき春闘についてのいろいろの御意見でございます。私は、これは第二の国難だ、こういうふうな感じ方をして、何とか無事に皆さんの御協力で切り抜けていきたいものだ、こう思っております。
 賃金につきましては、これはこれまでもそうですが、労使が自主的にきめるべきものでありまして、政府といたしましては、労使自治の原則に立ち入って行なうという考えはございません。きびしい日本経済の現状からいたしまして、労使が真に国民経済の視野と連帯感のもとに良識をもって行動されることを期待しているものでありまして、そのためにも松永議員御指摘のように、物価の安定をはかること、これが最も重要でありまして、政府としては物価政策を精力的に推進しているところであります。このような考え方からいたしましても、いわゆる所得政策ということは考えていないということを御理解いただきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣永井道雄君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(永井道雄君) 松永議員の御質問にお答え申し上げます。
 今日、わが国の教育が非常にむずかしい状況にありますことについては、これは人々がひとしく認めるところだと思いますが、それについて松永議員の御質問、二つの点に分かれていると思いますので、二つの点、順を追ってお話ししたいと思います。
 まず第一は、学校教育というものが入学の準備、それから就職準備というようなもののためにゆがめられているんではないか。そこで、それをどうするか具体的に考えを言いなさい、というおことばでございました。まず、ゆがめられているのは事実でございます。これも国民がひとしく認めているところでございましょう。その問題は、一部は学校教育の中の問題でございますが、他方におきましては、学校教育以外の社会の問題がございます。学校教育は、教育課程の問題あるいは大学の格差の問題、それから入学試験制度の問題、こういうふうな問題が含まれておりまして、文部省も、いままでそのうちのある部分については相当解決を得るために進んできておりますが、まだ足りないところがありますから、そういうものを解決する方向に向かって私は進みたいと考えております。
 しかし、もう一つ重要なことは、学校教育だけでこの問題は解決しない。社会におきまして学歴偏重の風潮がある、これをどうするかというおことばがありましたが、それは全くそのとおりであります。そこで私が積極的にやりたいと思っておりますことは、各界の方々と話し合いまして、そして私の希望といたしましては、これから学歴偏重というふうな形でもって採用、昇進というふうなものが行なわれないように各界の御協力を得なければならないと思いますので、これは各党においても御協力いただきますようお願いする次第でございます。
 それからもう一つは、教育の中に政治的な対立が反映しているのではないかということについての御質問でありますが、それをどうするか。その問題につきましては全くそのとおりであって、教育の中で政治が過熱していると思います。そこで、この内閣におきまして、協調それから対話ということが原則になっておりますが、特に教育界においてはそのことを重んじていかなければいけない。そうすると直ちに、文部省と日教組の問題をどうするかということが大体人々が注目する点でありますけれども、それも重要なことの一つですが、実を申しますと、文部省と話していかなければならない教育の組織、団体というのはほかにもたくさんあるわけです。校長会もそうでしょうし、あるいは大学もそうでしょうし、あるいは日教連というふうな組織もあるわけです。もう一つ非常に重要なことは、教育界同士がどのくらい話し合っているかという問題があります。
 そこでOECDが、わが国の教育が非常に混乱しておりましたときに、昭和四十五年に、エドガー・フォール元フランス首相を団長にいたしまして、そして調査団をわが国に送って調査をいたして、日本の教育政策と題する報告書を出しました。その中に、日本の教育というのは、学校は普及しているという点においては非常に高く評価すべきものだ。ところが、一つわからないことがあって、他国と違うのは、いろいろな部分がお互いに対話をしていない。どういうわけか。おそらく日本というところでは、少数の人を除いて大部分がいわゆる日本民族であって、そして同一文化の中に住んでいて、そして島国であるから、日本人はほんとうに困ったときは話し合えるという安心感がどこかに潜在的にあるんではないかというふうに書いてあります。私はこれは非常に含蓄のあることばのように思えまして、もしそうであるということになりますと、われわれに若干の甘えがあるというふうに考えなければなりませんから、私はそういう国になってはいけない。私の考えでは、私たちの力でそんな話し合いはできるはずだと思っておりますから、まず私が各界の教育界の方と話していただくし、それから教育界同士ルートをつくるためにサービスをいたしたいというふうに思っております。要するに、それは具体的な問題でありますが、その具体的に進めていくことはそうやってルートをつくることですが、さてそれをやりましても、もちろん利害の対立とか、あるいは教育条件の整備というふうな具体的な問題がたくさんございますから、そのルートをつくった上で、さらにどういうルールでやっていくか。そのルートとルールの問題、これにまず取り組んで、具体的に問題解決に向かっていこうと考えている次第でございます。
 以上をもって私の答弁といたします。(拍手)
#12
○議長(河野謙三君) 答弁の補足があります。三木内閣総理大臣。
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(三木武夫君) 松永議員の、被爆者の援護法を制定したらどうかという御質問に対して答弁が漏れておりましたのでお答えをいたします。
 政府は、現在原爆被爆者については、健康の面においては、原爆被爆者の医療に関する法律によって、健康の面は、医療に対してはその面でいたし、また生活の面については、原爆の被爆者に対する特別措置法で行なっておるわけで、現行法のワク内において、原爆被爆者の福祉を向上していこうという方針をとっております。原爆被爆者というのは、ああいう特殊な被害を受けられた方々でありますから、私もお目にかかったことがあるわけで、非常にその人たちの生活に対しては、政府としても重大な関心を持つことは当然でございまして、そういう政府の方針でございますので、現在はそういうワクで考えますけれども、やはり絶えず福祉の向上に対しては気を配ってまいりたいと考えております。(拍手)
#14
○議長(河野謙三君) 宮澤外務大臣。
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(宮澤喜一君) 補足して申し上げます。
 北朝鮮につきましては、御承知のように、今日までスポーツ、経済あるいは文化等の交流の積み重ねをいたしてまいっておるわけでございますが、今後ともこの基本方針を続けてまいりたいと考えておりまして、直ちに承認といったようなことを考える段階ではないと思っております。
 それから国連軍の解体につきまして御言及がございましたが、これは現在、御承知のように、国連の安保理事会で多少議論になっておるところのようでございます。関連事項といたしましては、そういうことをいたしました場合には、いわゆるその基礎になっております休戦協定、それにかわります何かの仕組みを考える必要があるであろうと存じておりますけれども、私どもとしては、ただいまのところ、そういうことを関連事項として検討を事務的にはいたしておる、しかし、第一義的にはこれは国連の問題である、かように考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(河野謙三君) 丸茂重貞君。
   〔議長退席、副議長着席〕
   〔丸茂重貞君登壇、拍手〕
#17
○丸茂重貞君 私は、自由民主党を代表いたしまして、総理の所信表明演説並びに関連する諸問題について、総理以下各閣僚に質問をいたす次第であります。
 三木内閣が誕生するまでの経緯を見ますると、自由民主党内部が、今までになく徹底した話し合い方式で、全党異議なく円満なうちに三木総裁を選出したわけでありますが、あの錯綜した党内情勢の中で最終的に意思統一を見た裏には、自由民主党が政局の危機を正しく把握し、思い切った出直し的改革をはかるためには、党内抗争をこれ以上つのらせて国民の批判を増幅すべきではないとする反省と深い自覚が働いた結果だと思います。
 したがって、三木総理にお願いいたしたいことは、この事情を十分御了察の上、一日も早く自民党の復元力を示し、国民の批判にこたえて、保守政治に対する国民の信頼を取り戻してもらいたいことであります。これが、わが党だけではなく、広く国民全般が抱く真の期待であると信ずるものであります。まことに先哲が三千年前に喝破したとおり、「信なくんば立たず」の一言が千鈞の重みをもってわれわれの胸を打つ次第であります。政治に国民の信頼がなければすべての政策は実効をあげることはできない。まさしく所信表明で総理が明言されておられるとおりであります。
 さて、今日政治が国民の信頼を回復するためには具体的に何をなすべきか、何をなさざるべきかを明らかにすることこそが刻下の急務と信ずるものでありまするが、この点に関する総理のお考えを簡明率直にお述べをいただきたいと思うものであります。
 何といいましても、今日の政治不信の最大の原因は、物価高、インフレと不況の問題だと思います。国民が毎日の生活の上でひしひしと感じておられまするところの物価高、あるいは金詰まりで経営が極度に逼迫している中小企業者等の方々の立場からするならば、まことにごもっともなことであります。当然のこと、不信の一掃は物価高と不況を一刻も早く克服することにあると信じます。しかし、このことは言うはやすくして行なうはなかなかむずかしい事情があります。なぜなら、石油危機に追い打ちをかけられたインフレ下の不況は、これまでの単純な景気循環理論だけでは割り切れない困難な事情をたくさん包含しておるわけであります。この際、思い切った発想の転換が真に必要とされるゆえんはここにあると信じます。この際思い切った発想を行なうと同時に、すでに総理も所信表明の中で特にこの点に触れられ、福田副総理をチーフとして経済対策閣僚会議を設置し、一大物価作戦を展開される決意を述べられておる次第であります。いままでの物価対策の大綱は、財政におきましては総需要抑制、また、金融においてはきびしい引き締めをすることが二大方式でありました。それはそれなりにある程度の効果をおさめてきたと思いますが、まだまだ国民が身近なところで物価が落ちついたなあという実感を持つまでにはほど遠いところがあると思います。その上、金融引き締めで倒産が月に千件をこすという状況が派生してきておる現在でも、なお、従来の方針を堅持することで済むかどうかが問題になります。
 総需要抑制にしても、そのうちの二〇%を占めるにすぎない国や地方自治体の財政需要をいかに抑制しても、また、二〇%の民間設備投資による需要を抑制しても、大切な五〇%を占める国民の一般購買力の抑制が効果的に行なわれなければ、十分な抑制効果は望まれないのであります。
 ところが、この民間需要は、前二者と異なりまして、政府の力で直接どうにもならない性質のものであります。国民全部に、需要抑制である節約に対して、深い理解ある協力なくしてはとうてい十分の効果は生まれない性質のものであります。従来、節約を呼びかける政府に対して国民の信頼は残念ながら必らずしも強いものではなかったので、十分な協力が得られなかったと言っても過言ではありません。財政、金融、国民の節約、三者一体とならなければ真の総需要抑制はできないと思いますが、この点に関して、福田副総理の物価大作戦の具体的骨格だけでもお伺いしておきたいと思う次第であります。
 次に、物価抑制の大目的のためとはいえ、また、きびしい金融引き締め策をとらざるを得ない状況下とはいえ、このきびしい引き締めが、産業界、特に中小企業に与えた影響はまことに深刻なものがあります。事業の縮小や人員整理あるいはまたレイオフ等で何とか苦境を乗り切ろうと悪戦苦闘する企業、なかんずく繊維、中小土建業を筆頭に、本格的な不況倒産が中小企業を直撃しておる現状であります。そうしたところがら、今回の引き締めの効果が卸売り物価においてやや鎮静化の傾向が出始めたことを契機にいたしまして、一部からこの辺で引き締めの手直しをしたらどうかという意見も出ておるようであります。もちろん、私たちも、大事な現在、金融全般の引き締め緩和は絶対認められないところと信ずるわけでありまするが、さはさりながら、毎月倒産企業が危機ラインの千件をこすという現実を非情に見過ごすことも政治ではないと信ずるものであります。そこで、年末を控え、各企業の資金繰りの総額はほぼ二兆円にも及ぶと伝えられております。これだけ全部というわけにはいかないにいたしましても、すでに政府が決定しておりまするところの七千億円の融資等、その他の財政措置のほかに、何とか強力な援助を臨時に行なう方法はないものか。
 そこで大蔵大臣にお尋ねいたしたいことは、この急場を切り抜けるために、厳格な資格条件をパスした中小企業に限りまして、臨時に特別金融措置ができるような時限的な具体的な機関を設けるわけにはいかないものであるかどうか。確かに、制度金融機関の原資を大幅増額するとか、あるいは短期間だけ特別低利で融資するような方法もありましょうが、この際は、特別機関を臨時に設置するぐらいの気がまえが必要ではないか。ぜひともこの点を真剣に御配慮賜わりたいとお願いをするものであります。
 また一方、企業倒産と不況は失業者の急増を生んでおります。このまま推移いたしますると、来年の一月から三月にかけて失業者数が百万人にも到達する勢いであります。一方、労働市場での労働者の需給関係を示す有効求人倍率も十月はついに一・〇倍を割り込みまして〇・九六倍と、低下の一途をたどるばかりであります。このような事態のもとにあっては、政府は一段と失業予防と失業者対策を手厚く実施しなければならないと存ずるわけであります。すでに政府はさきの国会におきまして、失業保険法の抜本改正案といたしまして雇用保険法案を提出いたしましたが、衆議院においては修正が行なわれ、これが参議院におきましては残念ながら廃案になりました経緯は御承知のとおりであります。今回もまた、就職、転職がなお困難な高齢者や身体障害者に対する失業手当の給付日数を長くし、また、低所得者に対する給付率の引き上げ等、恵まれない階層に思い切った対策を講じ、困難な財政事情の中から、雇用改善事業におきまして、また、一時帰休による失業の防止や雇用対策についても積極的に盛り込んだ雇用保険法案を今回もまた国会に提出しております。今度は衆議院修正を原案としておりまするので、早期にぜひとも成立させて、失業保険あるいは雇用対策、労働者の福祉増進等を一刻も早く実現させたいと念願しておりまするが、この点に関しまする総理の御決意のほどを伺いたいと存ずるものであります。
 また、はなはだしいインフレの国民生活直撃の結果といたしまして、総理の指摘された社会的不公正が生まれております。インフレは強者をますます強く、弱者をますます弱くしております。特に年金、恩給、扶助料生活者、また生活保護世帯、身体障害者は、特にこの被害を受けておるわけであります。こうした中におきまして、総理の諮問機関である国民生活審議会が、インフレに痛めつけられているこれら社会的に弱い立場にある者の救済策につきまして提言を行なっております。この提言は、老後に不安を持つ人たち、そして預貯金の目減りをただ手をこまねいていなければならない小口零細預貯金者に対象を限りまして、社会保障制度の充実、物価調整減税、金融資産の目減り対策等を具体的に指摘しておるわけであります。すなわち、社会保障制度の充実につきましては、老人、母子、身障者、子供等に関する各種年金、扶助料の引き上げや課税最低限を引き上げる反面、累進税率はそのままにいたして、高所得者にはむしろ負担をふやす物価調整減税を求めておりますること、御承知のとおりでございます。ひずみの是正とは、パイの分け前を公正に戻すことでありまして、財源の問題ではないと指摘しておるのであります。しかも、この提言は、いずれも実行可能を目標にまとめられたもので、これら限られた社会的に弱い立場にある方々に対して、以上の提言にさらに前向きにくふうを加え、社会的不公正の是正を実現されるお考えはありませんか、総理大臣にお伺いをいたす次第であります。
 福田副総理の経済見通しに対する御決意は、目標として、五十年度末物価の引き上げ率一〇%以内、五十一年度末では五%内外にぜひとも押えたいとしておられるようであります。国民ひとしく、その程度の上昇率にぜひとも抑制してもらいたい念願であることはいまさら私が申し上げるまでもありませんが、私はその御提案につきまして、あるいはその見通しにつきまして、非常に気がかりなことが二点あります。この二点についての明確なお見通しがない限り、その貴重な御提案あるいはお見通しも、たいへん狂ってくるんではなかろうかという心配を実は持っておるわけであります。
 その一は、先般来指摘されておりまするように、各種公共料金の引き上げであります。この年度内は凍結することになったようでありますが、来年度メジロ押しに鼻づらをそろえているところの郵便、電信電話、酒、たばこ、塩等の値上げがどうなるかということであります。いずれも相当な上げ幅を要求しているようでありますが、来年度以降、これら公共料金の取り扱いいかんによっては、物価の長期見通しに相当な影響を与えるのではないか、最も心配の点であります。もちろん、無責任に何年間凍結だなどとは、乱暴な意見として言うべきじゃありませんが、それにいたしましても、よほど厳密な計算の上に立った上での実行でないと、再び狂乱物価の引き金にならないという保証はどこにもないと信じます。政府は公共料金をいかに取り扱われようとしておりますか、先ほどの松永議員に対しまする御答弁でほぼわかりますが、もう一歩突っ込んで、具体的なお答えがいただけるならば、国民とともにしあわせと思うものであります。(拍手)福田副総理、大平大蔵大臣に、この点について特にお伺いする次第であります。
 もう一つ懸念されるものは、来年の春闘であります。もちろん、この物価高騰のおりでありまするから、勤労者諸氏が生活に苦しんでおりまする実情は実によくわかります。しかしながら、前回のごとく三二・九%というがごとき高率のベースアップとなると、はたしてそれだけのベースアップを企業は生産性の向上で消化できるかどうかということであります。いま、石油ショックその他の条件で、企業の経営状態はいいとは言えない。その中で、それだけの高率のベースアップを、生産性の伸びで吸収するだけの実力を備えておるかということは、だれが何と言おうとも客観的な事実であると私は信じます。もし生産性の伸びで吸収できないとすれば、これは好むと好まざるとにかかわらず、やむを得ず企業は製品のコストに上のせせざるを得ないことになります。すなわち、製品の値上げということになりまして、コストインフレの原因となること明らかであります。賃金引き上げ率が何%以上になればコストインフレになり、何%以下なら生産性が吸収するという議論は、なかなかきめ手がないものであります。よく承知しております。先ほどの松永議員の御質問の中にも、この点に関して微妙な点が触れられております。決して理解できないものではありませんが、だからといって、ある程度以上の高率の賃金引き上げが物価に微妙に反映することはもはや何人も否定できない真理だと信ずるものであります。(拍手)しかし、勤労者にいたしましても、物価の動向がさっぱりつかめず、天上知らずに上がるかもしれないという情勢の中にありましては、少しでも高い賃金引き上げを要求するのも、これまた当然のことであります。そこで、これらのことを考え、来年の春闘以前にぜひとも労使双方と政府がひざ突き合わせて話し合い、あらゆる角度から検討し、政府の物価についての長期展望について信頼を得るためにも誠意を尽くし、徹底的な話し合いを行なって、労使双方はもとよりのことでありまするが、政府も国民的願望である物価抑制に全面的に協力できるよう努力すべきだと思いますが、この点について福田副総理及び大平大蔵大臣にお伺いいたす次第であります。(拍手)
 次に、独禁法の改正問題であります。いま国民の中には政府が大企業と結びついて大企業の利益のためにのみ奉仕しているのではないかという疑惑が広く根をおろしていることを認めざるを得ない次第であります。事実はそうでなくても、あの石油危機に際しての石油輸入業者のあり方や、トイレットペーパー騒ぎのときに、政府の有効適切な手が迅速に打たれたとは必ずしも言われなかった事情がその原因になったと思われる節が多々あるのであります。すなわち、業界にやみカルテルが実在したり、市場支配によって不当な利益を得ているということ、これを監視、監督しなければならない政府機関の活動が手ぬるく見えること等がそうした印象を与え、不満をつのらしていると思われるのであります。すなわち、これが政治不信の大きな原因の一つをなしていることはもはや一点の疑いもいれないところであります。それゆえ、政府がいかに売り惜しみ、買いだめをするなと言っても、政府の言うことなどあてにならないと反発され、みな、馬耳東風であったと思うわけであります。その反動といたしまして、この点を取り締まるべき独禁法をもっと強力に改正して、より以上徹底してカルテル行為を監視すべきだとの論議が、各界各層、とりわけ広く国民の間にも同調する空気が多くなったと思われるのであります。極論する人たちに言わせると、独禁法さえ改正すれば、物価は大きく鎮静化するに違いないと信じているのではないかと思われるほどであります。その上、違法カルテルは独禁法の禁ずるところでありまするが、かりに違法カルテルが行なわれても摘発が容易でなく、たとえ摘発されて勧告による排除命令が出ましても、現在では何ら制裁が加えられないことなどが一そうこの傾向に拍車をかけていることも否定できない事実であります。もちろん、私たちも、独禁法の改正がどのように行なわれましても物価を引き下げる即効薬的な万能魔力を備えるとは思われないのであります。特に企業分割や原価表示等が、正当な企業活動を行なう上では大きな問題であることもわかるのでありますが、しかし、いまや独禁法改正問題の扱い方によっては、政府は大企業のみの味方であるとのいわれない世論の非難を再び一そう浴びることになると思われるのであります。要は、政治に対する国民の信頼の回復をはかることが最大の急務でありまして、思い切りて独禁法の改正に踏み切ることにきめた政府の勇断に心から敬意と賛意を表するものであります。(拍手)この上は拙速を避けて、あらゆる面に及ぼす影響を慎重に検討した結果得た成案を通常国会でぜひとも通過させなければならないと思いまするが、総理の御所見と御決心をあらためてお伺いする次第であります。
 次に、エネルギー源の問題をはじめといたしまして、あらゆる資源を外国からの輸入にたよらざるを得ないわが国にとって、数年前の高度経済成長は全く夢物語りとなり終わったのであります。これからは自己の能力のワク内でできる限り生産活動を行ない、それほど高くはないが安定した経済を維持できる限度で努力をしなければならないこと言を待たない次第であります。
 しかしながら経済機構、社会構造の中にはいまだこの冷厳な事実を十分理解できない階層や理解しようとしない人たちがおりまして、いたずらに高度成長時代の見果てぬ夢を追っていることも事実であります。このような人たちがまた安定成長に切りかえの障害になっていることも否定できないところであります。その意味で、低成長、安定路線を一刻も早く定着させなければならない。それには何といっても資源の節約以外にはないと信ずるものであります。すなわち、けちけち運動というようなキャンペーンと実行を、官民一体の形で推し進めることが最も平易で効果的な手段だと思いまするが、そのような努力をなされるお気持ちがあるか総理にお伺いいたします。
 次に、農林漁業問題についてお伺いいたします。わが国の農業は曲がり角にきていると言われてからすでに久しい期間がたっております。それゆえに専業農家は次第に減少し、兼業農家がふえ、いまでは農外収入が農家所得の重要な部分を占めるに至っております。過去、日本経済が高度成長を遂げていた時代には、農業は、その生産構造からくる経済的特性によって経済成長についていけない。その上急速な都市化現象に押しやられまして、次第に農業人口は商工業に吸収され、遂に生産人口は日に日に減少したのであります。しかも、農生産物は市場価格主義であるので、生産性の伸びの見込めない農業は、次第に衰亡せざるを得なくなるのも必然の結果であります。また、慢性的な人手不足も他の林業、漁業と同じくいまや農家を脅かす最大の大きな条件になっております。その上、昨年の飼料危機、さらには近い将来世界的な食糧不足時代の到来が伝えられる昨今、わが国の食糧の自給自足態勢を早急に確立させる必要がぜひともあります。現在、実際には自給率はわずかに穀物において四三%、総合してもわずか七三%であります。未曾有の物価高の中でも主食が廉価に、かつ容易に入手できるという保障がどれほど民心の安定に役立っているか、はかり知れないものがあると信ずるものであります。しかるに、米価の決定に際して食管会計至上主義が重視され、農民の生産意欲を減退させない最小限度の生産価格でさえも、消費者価格との差額が大きく、国の財政を圧迫するという理由だけで非難を受けていたのも御承知のとおりであります。四面海に囲まれたわが国が、国内産の農生産物が高いというだけでもし食糧を輸入一本にたよる傾向を強くしていったならはたしてどうなるか。安い輸入価格はおそらく国内の農業を圧迫し、経営悪化をもたらし、国内の農家は加速度的に減少し、わが国の農生産は壊滅することになることも予想されるのであります。それでも外国が永続的に廉価に必要量を供給してくれる保障があれば別であります。そんなことはもともと望むべくもないことは、飼料危機に際しまして関係各国がとられた態度で明らかであります。深く考えてみれば食糧の自給自足態勢こそは、国家の独立と安全にとって必要不可欠な条件であることは、これは戦中及び終戦直後の姿を思い浮べるまでもないと信ずるものであります。その意味でこの際農業に対する政策を根本的に改め、国の独立と安全のために必要不可欠である産業であるとの観点から大きく転換させるような根本的な施策を実施するお気持ちはございませんでしょうか。農民が喜んで農業に従事し、後継者も勇んであとを継ぎ、嫁にも喜んで行ける農業にぜひともいま切りかえなければならないと信じますが、(拍手)この点について総理並びに農林大臣の御所見を承ります。また、憲法に基づく財産の相続に際しまして、均等相続の原則で農家を継承する際にその農地が細分化される傾向にあります。農地として生産手段に使われるという保障があるならばその相続税は大幅に減額あるいは免除して、農地の細分化を防ぐ思い切った税制上の処置をとられるお考えはありませんか、大平蔵相にお伺いすると同時にお願いをする次第であります。(拍手)
 次に、社会秩序についてであります。特に、おそるべきことは、相次いで起こっておりまする無差別爆弾テロ事件であります。何の目的もなく、何の関係もない無事の国民の血と命を平然として奪う犯罪はまことに天人ともに許さないところであります。(拍手)しかも、捜査当局を嘲笑するごとく次々と凶悪な犯罪を繰り返しております。捜査当局もおそらく全力をあげて追及していることと信じておりますが、それにしても、このような犯罪をいつまでもわがもの顔に横行さしておったんでは、これが連鎖反応が起こることが何よりも心配であります。それのみか、最近に至りましては親殺し、子殺しというようなおそるべき犯罪が平然と行なわれ、また、ささいな感情やわずかの金銭のために人命を簡単に奪う犯罪がふえております。しかも、これらのことをあまり深刻に受けとめないのではないかと思われる風潮が世間に見受けられることのほうが私はより重大だと信じておるものであります。(拍手)社会秩序の回復につきましてどのようにお考えですか、総理の御所見を承りたいと思います。
 次に、政治の基本は選挙にありと言っても過言ではないと思います。最近は選挙に金がかかり過ぎることが各方面から指摘されました。また、これが諸悪を生む根源と言っても差しつかえないと思います。公選法をまじめに守っていたのでは選挙にはとても勝てないなどという不謹慎のことが平然とささやかれておる現実であります。それでは当選した者はみんな違反者なのかということになるとこれは困るんですが、その意味は、たとえば全国区の場合、よほどの知名人でない限り肝心の名前を知ってもらうことすらきわめて困難な実情でありますが、たとえば十万枚のポスターをベニヤ板で街頭に張りつけるだけで、一枚百円といたしましても――百円は最低であります――それだけで一千万円かかるわけであります。残り八百万円ですべてまかなうのでありまするから、十分な選挙運動はできないのがあったりまえであります。選挙に金がかからないようにすることは総理のかねての御持論でありますが、この機会に思い切って選挙制度を金のかからないように改めるお気持ちはありませんでしょうか。たとえば公営の面を思い切って広げるとか、事前運動をきびしくするとか、この際徹底的に改革することが必要と思います。先ほどの総理のお答えでこの点に関する御決心が非常にかたいことを承りまして、きわめて安心し、御信頼申し上げるものであります。
 総理は、就任直後の記者会見で、一番やりたいことは何かと聞かれ、教育であると答えられております。いまさら申し上げるまでもなく、教育は国づくりの基盤となる人づくりの根幹であり、民族の繁栄を左右するものであります。それには、今後のむずかしい国際環境の中で堂々とふるまえる豊かな人間性と広い視野を持った創造力に富む日本人をつくることがわが国教育の使命であろうかと思うものであります。今回の三木内閣の新発足にあたりまして、二十二年ぶりに民間出身の大臣が登場いたしましたのも、二十一世紀へ向かっての、新しい時代に適応した新しい教育政策の樹立に対する総理のなみなみならない意欲と決心がうかがえるのであります。
 それにつけましても、最近、学生によって起こされた一連の一般人をも巻き込む内ゲバ事件はあとを断っておりません。目に余るものがあります。それでも足らず、遠く中東、欧州までまたにかけて、アラブゲリラの国際的犯罪に加わっているということを考えるときに、彼らは一体何が目的であのような過激な行動に走るのか、またセクト間の闘争に命をかけて平然として殺し合う人命軽視の憂慮すべき風潮が少なからざる学生の間に日常化しているということは、一体何に起因しているのであろうかと深く憂えるものでありまするが、それはどうしても戦後の学校教育にその欠陥があるのではないかと思うのは、おそらく私ひとりではないと信ずるものであります。
 今日の世代の青年、若者の多くが、金銭的利益と官能的快楽を求め、過激に走るか無気力におちいるかのどちらかであったり、価値判断の処理能力に欠け、共同社会の一員としての自覚、責任のなさを感ずるとき、かつての教育の伝統の上に安住することに満足することなく、いまこそ教育の真の目的に徹し、新しい時代に息をする人づくりに真剣に取り組まなければならないと思うのであります。
 かつて昭和四十六年六月に出された中教審の答申はそれなりに評価ができるといたしましても、あらためて二十一世紀へ向かっての新しい人づくりと教育制度の抜本改革のためには、新しい時代の各界各層の衆知を集めた研究機関をつくって、教育に関する国民的コンセンサスを得るために全力を注ぐべきだと信じておるわけであります。
 幼稚園に入学試験があり、塾がもうかる商売として繁盛し、大学のキャンパスは立て看板で意味のわからぬ宣伝がしきりに行なわれたり、壁新聞が横行したり、学問の府は荒れほうだいであります。父兄ははらはらして子供の将来を憂えるのみという教育の混乱は直ちに是正しなければ、日本の将来の発展は望むべくもないと信ずるものであります。教育は国家百年の大計であり、一内閣、一政党のものではなく、国民全般のものであります。これからの教育の基本方針は、それぞれの教育関係者が過去の主張にこだわることなく、お互いが胸襟を開き、対話と協調の心で協力すれば、必ず教育の前途は明るく開けてくるものと信じますが、この点について、総理の教育に対する基本的な態度をお伺いしたいと思います。
 次に、最近大きな政治問題として報道されておりまする自動車の排ガス規制について伺いたいのであります。
 これは、光化学スモッグの発生状況に対処して、大気汚染を防止するため、工場などの固定発生源対策の総量規制とは別に、自動車の排気ガスについては、乗用車その他軽量車等に対し、大気汚染物質の一酸化炭素、炭化水素等を一気に現在の十分の一に減らし、窒素酸化物をいまの二分の一まで減らすという世界一きびしい五十年度の規制基準は、すでに決定したとおり実施されることとなっておるのでありまするが、問題となっておりまする五十一年度規制は、世界で最も進んでいるところのわが国の排ガス対策技術をもってしてもなかなか困難であるといわれております。窒素酸化物を、五十年度規制に次いでさらにいまの十分の一まで減らすというものでありまして、かねてから鋭意審議中でありました中公審の大気部会の自動車公害専門委員会が、去る五日、現状では五十一年度規制の達成は技術的に困難である、実施は二年延期する、その間は暫定規制値を設けるとの答申をしたとおりであります。これに対し一部世論から、これは業界寄りで、国民の健康を無視したものとの非難が出されております。これに対し総理は、慎重な審議を要望して、十日の中公審の答申は延期して異例の総会審議が開かれることとなって今日やっておるわけであります。
 日本の平地面積当たりの自動車の保有台数は米国の八倍も過密の状況にあります。澄み切った青い空を願うのはわれわれのだれしもの共通の願いでありまして、排出ガスの規制基準をアメリカよりもきびしくすべきことは当然であります。環境庁長官時代の三木総理も、メーカー側にその技術開発を強く要請されているのでありますが、それにもかかわらず、この後退したといわれる専門委員会の答申が出されたゆえんは何であるかを国民に十分周知徹底させなければ協調ある環境行政の推進はできないと信ずるものであります。事は、専門的、技術的、かつ科学的分野に属する問題であります。窒素酸化物を現在より十分の一に減らすことが技術的に科学的に可能なのか、事故防止のための安全性に自信があるのか、エネルギーの節約が要請される現在、ガソリン及びLPGの消費量はどうなるのか、自動車の製造コストは、また、年間二百万台の自動車輸出はどうなるのかなどの技術面及び国民経済上の見地からの見通しをも含めて、その影響を十分国民に納得してもらうことが必要であると思います。また、これと関連してディーゼル車、小型トラックの規制、低公害車の技術開発、車の総量規制、低公害車の税制上の措置などの総合対策もこれまた当然必要であろうと思うのであります。
 三木総理は、中公審大気部会自動車公害専門委員会報告を踏まえましてこれにどう対処されるのでありましょうか。先ほど一部お答えを承りましたが、国民にいやなことを求めるのみでなく、環境問題の重大性にかんがみ、企業にもまたいやなことを要請しなければならない社会的背景はすでに熟していると思うのでありまするが、国民的サイドに立った総理の前向きの答弁を心から期待するものであります。
 次に、今臨時国会に提出しておりまする補正予算案についてお尋ねいたしますが、補正を必要とする各項目はいずれもやむを得ないものであることは認めますが、何せ二兆九百八十七億円という大型補正でありますので、昭和四十九年度の財政規模は相当巨額になります。(「議長、時間」と呼ぶ者あり)これが物価を押し上げないか、また五十年度編成について大きな影響を与えないかということについて……
#18
○副議長(前田佳都男君) 丸茂君、時間が超過しております。簡単に願います。
#19
○丸茂重貞君(続) お答えをいただきたいと思います。
 次に、外交問題でありますが、(「議長、時間」と呼ぶ者あり)三木総理はその所信表明演説の中で、諸外国と仲よくする意味のことを言われました。
#20
○副議長(前田佳都男君) 丸茂君、簡単に願います。
#21
○丸茂重貞君(続) 核問題について一言触れさしていただきます。核問題は日米安保条約に微妙な影響を投げかける問題でありまするので、これに対処いたしまするには、日本全体の総合的利益ということを踏まえまして、どうぞ勇気と信念を持って対処されんことをお願いする次第であります。
 ただいまたいへん重大な政局であります。総理以下各閣僚の一そうの御加餐をお祈りいたしまして、質問を終わらしていただきます。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(三木武夫君) 丸茂君の御質問にお答えをいたします。
 第一点は、国民の政治に対する信頼を回復するのには一体どうするのかということでございます。
 私は、所信の表明の場合にも述べておりましたが、「清潔で偽りのない誠実な政治」と、こういうことを申したのでございますが、これはやはり「清潔」ということについては、金にまつわる不信が非常に多い、最近の政治に対しては。この金にまつわる不信を一掃するということが大事である。政治の清潔ということは信用回復の大きな前提条件になる。また「偽りのない」というのは、とにかく言ったことは必ず実行する、実行のできないことは言わないと、こういうことがこの政治の信用回復というものには非常に大事だと思います。また「誠実な政治」で私が考えておることは、結局は、国民の声というものを、常に国民の声に耳を傾けて、それで国民とともにやっていこうという、こういう態度の中に政治に対する誠実さというものがあらわれる。まあ、こういうことが私の頭にある政治の信用回復というものにはあるわけでございます。むろん、当面の国民が生活でひしひしと感じておることをてきぱきと解決するということが重要なことはもちろんですが、基本的に政治の信頼というのにはこういうことを私は考えているのだと。これについて改革を必要とする点については改革をいたしたいと考えておる次第でございます。
 それから、不況によりまして企業の倒産というものもふえてきておる、失業者も増加しておる。こういうことに対してどういうふうに対処するかという意味の御質問がございましたが、政府も、最近のこの雇用、失業の状態というものがだんだん深刻になりつつあるということに対しては十分認識をいたしておるわけでございます。したがって、失業の防止あるいは失業補償の機能あるいは労働者の福祉の増進の施策というものに対しては積極的に進めていきたい。雇用保険法などを臨時国会に提出しましたのも、その政府の意図の一端をあらわしたものでございます。
 また、各種の年金、恩給、扶助料、生活保護基準、これは丸茂議員のおっしゃられるように、インフレで最も強い影響を受けるのは社会的弱い立場にある人たちでございますから、老人とか母子、心身障害者、こういう人々に対して、こういう社会的に弱い人々に対しては五十年度の予算編成を通じて、そうしていろんな年金その他の社会保障の給付の改善を行なってまいりたいと考えておる次第でございます。
 独禁法の改正にもお触れになりましたが、私は、やはり経済の運営には自由経済体制を守っていくことがよいと考えておるものでございます。そういうためにも、自由経済体制と申しましても、何もかも自由放任というようなことが通用する時代ではないわけでありまして、一定のルールが要るわけです。そのルールの中で大いにみなが自由に競争していくということがなければ、自由経済体制が国民の支持を受けるわけはない。そういう意味で、やはり独禁法の中で守らなければならぬ、非常に弱いといいますか、そういう人たちの立場というものは、まあ消費者あるいは中小企業、下請、こういう人々がやはりルールの中で、あんまりそういう人たちが非常な社会的に不利なことにならないように、まあ押しつぶされるようなことのないように、あるいはまた押し倒されるようなことのないように、そういうルールが要ると私は思っているわけです。そういうことで、これはきわめて慎重を期さなければなりませんので、きょうの閣議においても、政府部内に独禁法の改正に関する懇談会を設けて、各界の人々の意見も十分に徴して、必ず通常国会には独禁法の改正案を提案をする考えでおります。
 またこの際、いろいろな資源の節約などについて国民的な運動、これを推進をする必要があるのじゃないかというお話でございましたが、とにかく、安定経済成長の路線に切りかわっていくわけでありますから、お互いの生活のパターンも、大量使い捨てのこういう生活のパターンというものは変えられなければ、もう少し簡素な国民の生活のスタイルというものが生まれなければいかぬし、また、エネルギーや資源をたくさんに浪費するような産業――浪費ではありません――それを使うような産業構造というものもこれは変えていかなければならぬと、こういうことで、確かに国民の理解を得るために大きな国民運動というものが必要でございましょう。そういう意味で、政府も先般資源とエネルギーを大切にする運動本部というものを設置したわけで、この運動を積極的に展開をしてまいりたいと思うのでございます。
 また丸茂議員は、新しい農業の位置づけというものに対して熱心なお話がございました。人間生活の安定は食生活の安定に始まるわけでございますから、農業というものを大切にしなければならぬと私は考えておるわけでございます。そうして、農家の人々に希望を与えられるようなことにならなければいかぬ。農林大臣に対しても、もう少し長期的な展望に立って総合的な食糧自給の対策を推進するようにということを私は申しておるわけで、農林大臣もそういう意向を体して、そういう総合対策を樹立して、これを推進をすることに相なっております。それまでの間、農業生産基盤の整備とか、価格対策とか、技術、経営の対策などは特に力を入れていかなければならぬ問題でございます。
 それから、テロ、爆発の事件、またその他いろんな悲惨な犯罪というもの、人命軽視の風潮がある。社会秩序の維持に対してのいろいろと御質問を受けたわけでございますが、最近テロ事件なども起こりまして、ゆえなく多数の犠牲者を出す、人命軽視といいますか、こういう風潮が見受けられますことは、まことに憂慮にたえない次第でございます。社会の秩序を維持するということは政治の第一義的な責任であると考えて、こういうふうな事案の未然防止、被害の拡大防止、犯人の早期検挙などについて、警察当局も督励しながら、総力をあげて秩序の維持に努力をいたしてまいりたいと考えております。
 また、選挙制度の問題について、特に金のかかる選挙について御指摘になりました。私も、ほんとうにこのような選挙に金がかかるような状態を放置しておけば、やはり日本の民主政治というものはこの面から崩壊してくるであろうということを憂えているものでございます。そういう点から、ぜひとも通常国会においては選挙粛正に関しての選挙法の改正を行ないたいと考えて、これは検討をいたしていく所存でございます。
 またその前に、そういう選挙法の改正が行なわれる前に統一地方選挙が始まるわけでございますので、現行の選挙法のワクの中で選挙取り締まりもこれは厳重にしてまいりたい。そういうことで、現行選挙法のワク内でも最大限度選挙法を励行して、選挙粛正の実をあげたいと考えておるわけでございます。これには与野党一致の御協力をお願いしましてこういう目的が達成できることを切に期待するものでございます。
 教育という問題についてもお触れになりました。まあこれは、人間のいろいろ個人個人の持っておる可能性というものを最大限度に引き出してこれを伸ばそうという仕事、これぐらいやっぱり大切な仕事はないわけで、私は教育というものをこの内閣の中で非常に重要な位置づけを行ないたい。しかし、日本のいまの教育界の現状は、丸茂さんも御指摘のように非常な混迷を感じる。それはまず教育界の雰囲気というものを一新しなければ、そして教育の場というものを政治の争いの場から切り離して、もう少し静かな場で教育というものが行なわれるような環境をつくらなければ私は教育の目的は達成できない。そういう点で、あまりとらわれない永井文部大臣を民間から起用いたしまして、ひとつ日本の教育の環境というものをまず変えて、そして日本の教育というものが本来の目的を達成できるような教育の正常な状態に返すために努力をいたしてまいりたいと考えるわけでございます。
 また、自動車の排気ガスの問題についてお触れになりました。私も田中内閣を辞職をするまで環境庁長官をいたしておりまして、この問題は最後まで気がかりになりましたので、自動車のメーカーなどを呼んで、何とか五十一年度の規制というものを実行できぬかという努力をしながら、最後に環境庁長官を辞任したわけですが、五十年度の規制を私が、相当難色があったんだけれども、断行したんです。五十一年度もやりたいと、こう考えたんですが、なかなかこの技術開発というものがまだそこまでいってないという点に難点があるようでございますが、しかし、この問題は光化学スモッグなどの発生原因の大きな原因にもなっておりますし、ただ大気部会でこういうふうにきめたからといって告示することはいけない、もう一ぺん中公審の総会にかけて国民的立場から審議をするようにという私も希望を述べて、その希望を体していまやっておる最中でございます、先ほど申したように、だから、この結果がどうなりますか、その結果によって、これはなるべく、いま申したような窒素酸化物に関する規制でございますが、これが目的が達成できるような、結果に対応してできるだけこの目的が達成できるような努力を最後までいたす所存でございます。
 大体、私に対しての御質問にはお答えしたようでございますが、漏れた問題がございましたら他の閣僚から補足することにいたします。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(福田赳夫君) 丸茂議員が御指摘のように、今日の経済情勢は非常にむずかしい状態です。私は率直に申しまして戦前、戦中、戦後、一番いまむずかしい時期じゃないか、そういうふうに思いますが、とにかくインフレとデフレが混在しておる、これがまた強く結びついておる、そういうさなかにおいてどういう姿勢をとるかということになりますと、私はこのインフレ克服、これに主力を置きたいんです。それによって摩擦現象も起きます。それに対しましては妥当な手は打つ。しかし、何としても、景気論を展開する人もありますが、とにかくこれはインフレの克服のほうが先だ、それによって生ずるところの摩擦現象については所要の措置をとるという考え方でいくのが妥当じゃあるまいか、そういうふうに考えております。
 物価はいま一体どういう状態になっておるのかということを考えてみますと、いわゆる狂乱状態は目下存在しない、こういうふうに見ておるのであります。これは克服し得た。つまり、狂乱というのはこれは需給インフレであります。先はインフレだ、物価高だ、いまのうちに買っておけという投機心理、これが狂乱状態を招いたのでありますが、これはもうないと思います。ただ、いまの状態はコストインフレとでも申しましょうか、このコストが、静かではありまするけれども、じわりじわり粘り強く物価を押し上げておる、そういう状態と見ておるのであります。コスト要因とすれば、海外要因もあります、それから国内要因もある。その国内要因の中で非常に重大な問題は、ただいま丸茂議員が御指摘の公共料金、それから賃金、こういうことかと思います。
 まず公共料金につきましては、これは財政論からいえば、もう賃金は上がりました。また物価が上がった、その公共料金、これを改定する、これは当然だと思うのです。しかし、いま非常にデリケートなむずかしい時期で、いわば非常な時期である。非常な時期には非常な考え方をとっていいんじゃないか、そういうふうに思うのです。そういうことで公共料金問題につきましては、これは昭和五十年度予算と関連しながら白紙で検討する、そういう考え方をとりたいと思います。もちろん、白紙というのは丸茂議員の御指摘のお気持ちを体しての白紙でございますことを御了承願いたい。
 それから賃金の問題につきましては、これは丸茂議員の御指摘に私は全く同感でございます。賃金問題はいまやこれは新しい段階に入っておる。一昨年までの十三年間の高度成長期におきましては、これは高賃金、高成長、しかも物価が安定しておったのです。それは、賃金が上がりましても、高成長でありまするから生産性が上がる。そこで製品価格に賃金上昇が転嫁しない。こういう状態だったわけでございますが、これからはどうしたって低成長になる。低成長下になりますと、賃金の上がりが大かたこれは物価にはね返ってくる。これは賃金問題の性格が非常に変わっておるということを深く認識しなければならぬ、こういうふうに思うのです。私は、労使ともがこれは率直にこういう状態を踏まえて話し合いをしてもらいたい。私はこの話し合いはつくと思うのです。これはどうせ同じ船に乗っておる労使である。また、これは同じ船に乗っておる一億国民です。これは話し合いがつかぬはずはないと思うのです。しかし、それには政府もその環境づくりにこれは全力を傾けなきゃならぬ、こういうふうに思います。
 公共料金問題、これなんかも、これは非常の事態の非常措置として考えなければならぬと、こういうふうに私が申し上げておるのは、政府がとにかくでき得ることを、あらゆることをやった、その前提に立って、もう国民全体が、特に労使が話し合う、こういう形でなけりゃこの問題は妥当な解決にはいくまい、こういうふうに考えるからであります。
 私はそういう考え方に立ちまして、これは賃金問題、非常に大事だ。また公共料金問題も非常に重要です。この二つの問題につきましてはほんとうに真剣に考えてみたい。また、そういう真剣な考え方、これに立って皆さんの御協力も得て、そうして物価問題は、これはこれだけ荒れた物価問題ですから、これが一年で片づくというわけにはいかぬ。しかし、二年ぐらいの間には何とか混乱前の状態ぐらいには持っていきたい。ぜひ御協力を賜わりたいとお願いを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(大平正芳君) 私に対する御質問の第一は、繊維、中小土建、その他中小企業に対する不況対策でございました。この点につきましては、丸茂さんも御案内のように、第一四半期、第二四半期、それから第三四半期、第四四半期を通じまして政府関係金融機関には七千億の追加融資をいたしましたばかりでなく、民間の金融機関に対しましては特別な配慮を求めまして、三千億をこえる資金を中小企業対策にイヤマークしていただきまして、いまあなたの御指摘の繊維あるいは中小土建等に対しましては、そのラインに沿いまして低利の融資が実行されておりますこと御案内のとおりであります。したがって、あなたの言われるように、特に新たな機関を設ける考えはないかというお尋ねに対しましては、そういう考えは持っていない、しかし、鋭意不況対策の着実な実行は期してまいるということでございます。
 第二は、公共料金につきましていま福田副総理からお話がございました。政府が関係いたしておりまする物価、料金につきましては一般の物価の値上がりよりは低目に抑制的に押えてきておりますことは御案内のとおりでございます。今後も極力抑制してまいらなけりゃならぬことは必然のことと考えております。しかしながら、いかに公共料金でございましても、コストと著しい乖離を来たすというようなことになりますと将来いやしがたい後遺症を残すという憂いも考えなければなりませんし、また、正常な企業の運営意欲をそこねるというようなことも心配しなければならぬと思うのであります。また、公共料金を押えることによって経営を維持するための財政措置を必要とするわけでございまして、したがって、今後の予算編成に関連いたしまして、そういった点を十分念査いたしまして、この問題に対してどういう時期にどういう幅において料金の引き上げを考えるかという点について十分検討をいたしたいと考えておるものでございます。
 第三の御質問は賃金問題でございまして、これは福田副総理からお話がありました点、全く私も同感でございます。技術を世界的に吸収いたしまして、また設備もどんどん新設、拡張いたしまして賃金高を十分吸収できた昔と違いまして、今日そういう条件はだんだん失われつつあるわけでございまして、賃金高はもろに物価高に影響してまいる状況でございますので、労使の間におかれまして節度あるお話し合いを期待いたしたいと思います。また、いま福田さんもおっしゃったとおり、政府におきましてもその環境づくりには鋭意努力いたしまして、労使双方の御理解を得なければならぬと考えております。
 第四番目の問題は、農地、とりわけ都市周辺の農地の相続税問題でございます。これは税制上の重要な問題であるばかりでなく、農業政策にとりましても大事な問題であることはよく承知いたしておるわけでございまして、あなたの御指摘になられたような問題点も含めましていま税制調査会に御審議を願っておるわけでございまして、その御答申を待ちまして考えてまいりたいと思います。
 最後に、補正予算が非常に大型で物価政策の推進に支障を来たしはしないかという御懸念でございまして、私も、こういう大幅なベアを受けましてこういう大型な補正予算を組まなければならぬということ、これはたいへんなことであると思いまして、まず財政面におきましては、既定費の節減を各省庁にかたきところをお願いをいたしました。ことしの予算の編成にあたりまして、すでに一般的に既定費の洗い直しをされたようでございますし、そこへさらに今度のことによりまして既定費の節減をお願いすることは無理であったわけでございますけれども、あえてそれをお願いいたしたわけでございまするし、また、官庁の定員管理につきましても厳正にやっていただきまして、人件費の節減につとめなければならぬわけでございます。そういった点、極力やってまいりまして、この大型予算が物価政策の推進に影響を及ぼすことができるだけ少ないように配慮いたしているわけでございます。国会におかれましても御協力をお願いいたしたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(安倍晋太郎君) 丸茂議員の御質問は、食糧の自給自足体制こそは国家の独立と安全のため不可欠であるという観点に立って、新たな農政を強力に推進し、農民が安心して農業に従事できるようにすべきだということでございましたが、私も、現状の農業に対しては丸茂さんと認識は全く同じでございます。最近における国際的な食糧事情の変化、特に国際的な食糧事情は恒常的に逼迫をしておると私も憂えておるわけでございますが、こういう中にあって今後国民食糧の安定的供給をいかにはかるかということが農政の最大の課題であろうと思うわけであります。
 そういう中にあって、まず第一に、国内生産体制を整備してわが国農業の自給力を高めていくということであります。
 また、第二点は、土地と資源の制約等から国内で自給することが困難な農産物がございますが、これはやはり今後とも輸入の安定化をはかっていくことが基本であると考えております。
 自給力の向上をはかっていくためには、わが国農業の現状から見まして、農業生産の基礎となる土地及び水資源を確保整備し、これが有効利用を促進する。また、農業生産の中核となる農家群に希望を与えていくことが大切であると思うわけであります。
 こうした考え方に立って、今後の農政の推進にあたっては、先ほど総理からも御答弁がありましたように、長期的な視点に立った生産目標を設定し、これに沿って農業生産基盤の計画的な整備と農用地の確保、あるいはまた裏作の振興等による土地利用の高度化、集団的生産組織の育成、あるいは大蔵大臣の御答弁にもありましたような相続税制度の改善等による農業生産の中核となるにない手の確保、育成、その他価格政策等を充実いたしまして、各般の政策、施策を総合的に展開をしてまいりたいと思っております。(拍手)
#26
○副議長(前田佳都男君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○副議長(前田佳都男君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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