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#1
第074回国会 本会議 第4号
昭和四十九年十二月十八日(水曜日)
   午前十時四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
  昭和四十九年十二月十八日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。小平芳平君。
   〔小平芳平君登壇、拍手〕
#4
○小平芳平君 私は、公明党を代表して、去る十四日に行なわれました政府演説に対し、総理並びに関係大臣に若干の質問をいたします。
 すでに代表質問も三日目になっており、総論的なものはだいぶ出ましたので、私は具体的な問題を提起いたします。具体的な問題に対する政府の具体的な答弁を多くの国民が期待していることを確信いたしますので、誠意ある御答弁をお願いいたします。
 まず三木総理の演説についてですが、ただ「重大時局」だとか「難局打開」などと言い、「御協力をお願いする」というだけでは問題の解決に前進がないわけであります。以下数点にわたり総理の率直な御答弁を期待いたします。
 第一に、三木総理はほんとうに金権政治を打破しようと決意しているのかどうか。
 昭和四十八年六月五日、三木さんは当時の田中内閣の副総理、環境庁長官として環境週間の記念講演をなされております。その中で、美しい環境を取り戻すことが大切だとの趣旨を述べてから、政治についても真剣に考えなければならないことがあると言い、「たとえば当選のために手段を選ばないというのもその一つであります」と、このように言っております。それから一年の後、あの参議院選挙は、金権選挙、企業ぐるみ選挙と強い批判が巻き起こったのであります。三木さんは、その選挙後、「党改革の起爆剤になる」と宣言して閣外に去りました。副総理というものはそのような無責任なものなのか。遠い昔のことならいざ知らず、わずか半年前の副総理が、今日の金権政治、金権選挙に対してどのように責任をお感じなのか。責任を感じておられるなら、具体的に何を実行するかをお伺いしたいのであります。
 第二には、田中前総理の金脈問題に関係してお伺いいたします。
 田中氏の資産公開については、三木総理も就任前にそれを求める発言をしておられたのですから、ここで再び確認をしていただきたい。また、国会の閉会中に行なわれた各委員会における質疑を通じても指摘された疑惑をどう処理されますか。これらの疑惑をうやむやのうちに終わらせようとするなら、国民の政治不信はさらにつのり、総理が演説で述べられた御協力どころではなくなってしまいます。総理はこれに対してどのような姿勢で臨まれるか。具体的には税務における守秘義務について、また資産の公開について、総理御自身のみでなく、全閣僚の公開を慣習化するよう努力していただきたいと思いますが、総理の御答弁をお願いいたします。
 第三に、政治資金の規制について伺います。
 わが党の基本的な考え方は、「会社、法人、団体の寄付は一切禁止すること。個人献金も年間の限度額を設けること」であります。総理は、通常国会に改正案を提出すると答弁しておられますが、新聞報道などによれば、自民党内で検討されている案は全く期待に反するもののようですが、いかがですか。昭和四十二年の第五次選挙制度審議会の答申も、五年後には個人献金に限るという内容でした。すでに七年も過ぎているのですから、個人献金に限るという改正案を提案すべきだと考えますが、いかがですか。
 次に私は、インフレ対策と今後の経済運営について、要点のみあげて質問をいたします。
 総理は所信表明の中で、社会的不公正の是正を繰り返して述べています。それでは一体何が社会的不公正なのか、それをどのように是正していくのか、その具体策が明らかになっておりません。言うまでもなく、最近数年にわたるインフレは、総理の所信表明にもお認めのごとく、国民の間に大きな経済的不公正を生み出しています。所信表明で総理は、「一大物価作戦を福田副総理統括の下に展開する」と言っています。さきにも述べましたように、三木さんは副総理として、金権政治に対する戦いをしなかったのではありませんか。今度こそ、三木総理として物価作戦を展開するかと思ったら、それは福田副総理にやらせるという。それでは三木さんは、御自分は何をやろうとなさるのですか。また、福田副総理は、一大物価作戦をどのように展開されるのか。政府の演説を聞き、また新聞報道などを見ていると、総理が二人できたようなことにならないか、あるいは大蔵大臣が二人できたようにならないか。それはよいとしても、国民の一番知りたいことは、責任はどこにあるのか、これ以上無責任な政治をやられてはたまらないということであります。総理並びに関係大臣の御答弁を承りたい。たとえば、きのうの本会議における公共料金の引き上げ抑制についての答弁でも、福田経企庁長官は、白紙にして検討と言い、大平大蔵大臣は、値上げしなければならないような示唆をしている。そうしてけさの新聞報道では、高木大蔵事務次官が公共料金のアップの必要性を強調している。これでは閣内の不統一もはなはだしいではありませんか。その責任は三木総理にあると考えますが、総理のはっきりとした御答弁を承りたいのであります。
 とにかく近ごろの物価上昇には国民は悩まされ続けてきました。このわずか二年間、すなわち田中政権下において地価は五〇%も上昇しているのであります。持てる者と持たざる者との資産、所得面の差は一そう拡大し、持たざる者にとって土地はもはや高ねの花となってしまいました。
 また、ひどいのは預貯金の目減りであります。本年度の国民生活白書によっても、個人の家計部門では、一世帯当たり二十二万円も目減りしたと言っております。零細な預貯金者は、ほかに資産の有利な運用手段を持っておりません。また、退職金で老後の生活に備えようとする方にとっても、このような預貯金の減価は実に重大な問題であります。あまりにもばかばかしいから貯金はやめようとしても、それではまた不安になります。一般大衆の貯蓄の動機は、病気や不時の災害に備えてということであり、あるいは子供の教育、結婚資金、老後の生活のため、住宅確保のためという現状、言いかえれば、社会保障や社会資本の貧困を個人の責任において補わなければならない限り、一般大衆は、いかに貯蓄が減価しようとも貯蓄をせざるを得ないのであります。
 また次に、物価急騰下での収入の増加に顕著な差が生じていることであります。インフレ下で年金生活者、母子家庭、身体障害者等は完全におくれをとっていると思われます。現在インフレ収拾策としての総需要抑制策の中で、数十万人をこえる失業者を出し、さらにそれに倍する潜在的失業者が生み出されているのが現状であります。インフレの犠牲者がインフレ鎮静策の中で再び被害者となっているという現状でございます。
 以上のようにインフレに伴う資産、所得の分配の不公平こそ社会的不公正の代表例であると思うのでございます。こうした庶民の生活実態の中から、不公正の是正が一日も早く実行されるよう強く要求するものであります。
 そこで、私は具体的に二、三の提案をしますから、政府の誠意ある御答弁を承りたいのであります。
 第一に、個人に対しては富裕税とも言うべき財産税を課すること。また法人に対しては、まず大企業の土地資産の再評価を実施して再評価税を課すること。これらを財源として今後のインフレによる弱者対策を講ずるということであります。
 第二には、十一月二十七日の国民生活審議会総合部会の中間報告にもありますように、老齢者の貯蓄の実質価値を維持するため、物価上昇率に応じて調整し償還する特別貯蓄国債を発行すること。また、零細貯蓄の保護を目的とする特別利子制度を設けること。この二つの制度だけでも実現すれば、社会的不公正の是正に大きな役割りを果たすと考えますが、いかがですか。
 第三に、新価格体系の移行と独禁法改正についてであります。この点についてはすでに多くの問題点が指摘されたので多くは申し述べません。独禁法の改正問題は、その背景に必然性、緊急性があると考えます。わが党からもすでに改正案を国会に提出していますが、総理からなお具体的な御答弁をお伺いしたいのであります。
 次に、社会保障関係について伺います。
 わが国の政治も経済も、その運営を国民福祉優先の方向へ転換しなくてはならないことは、すでに国民的な合意として要求されてきております。ところが、相次ぐインフレの高進はかえって福祉の内容を薄くし、一般国民は家計のやりくりに四苦八苦であります。
 そこで、まず次の諸点について見解を明らかにしていただきたい。
 第一に、生活のできる年金を保障すること。政府の宣伝した五万円年金は、五月の物価補正で六万円年金になったと言っておりますが、現在支給されている年金の額は、厚生年金で、本年九月の男子の平均が四万六千六百円、女子は三万円そこそこです。三十年も働き続けてきた退職者でも、年金だけで生活のできる人はほんのわずかでしょう。政府はすみやかに現在の年金制度を根本的に洗い直し、財政に賦課方式を導入し、各種老齢年金の大幅アップを実現すべきことを強く要求いたします。
 また、物価上昇による年金スライドは、厚生年金が八月、国民年金は九月に実施したが、来年度はいつ実施するのか、両院を通じてさっぱり明らかにしておりません。本年十月七日、社会保障制度審議会では、「新年度早々からスライドされた年金が支給されるよう。一部予測値を採り入れるなど」と提言しております。また、十一月二十七日には、国民生活審議会でも、拠出制年金については物価スライドを機動的に対応させること、また、無拠出の福祉年金についてもスライド制を導入するよう報告をしております。このような答申を早く実行すべきであって、答申や報告を聞いただけで実行しないなら、何の意味もない。政府の具体的な取り組みを明らかにしていただきたいのであります。
 福祉年金についても、昭和五十年度に一万円ということは、あの狂乱物価の発生する以前の予定であります。当然、これは再検討すべきであります。財源の不足ということは理由になりません。老齢福祉年金は、拠出制国民年金の本格的支給が始まるまでの期間でありますから、暫定的な財源で足りるわけであります。
 また、特に福祉年金には併給制限や所得制限という不合理があるのをどう考えますか。普通恩給などの公的年金を受けている人は、年間十六万円で打切られます。かりにこれらの支給額が十五万円あると、福祉年金はわずか一万円しか支給されません。年間十六万円といえば、一カ月で二万三千三百円です。この金額でだれが一カ月の生活ができますか。昭和四十七年九月二十日、神戸地裁のいわゆる堀木訴訟の判決を機会に、障害福祉年金と児童扶養手当の併給制限は廃止されましたが、その他の給付についていまなお残されている多くの制限を、緩和ないしは撤廃するようすみやかに検討していただきたいのであります。
 また、各制度を通じて、遺族年金の五割というのもひどいではありませんか。御主人がなくなられたからといって、遺族の方が半分の生活、半額で生活ができますか、第一。外国の事例を見ても、五割を八割に上げるのが当然でありますが、はっきりとこの点御答弁いただきたい。先ほどの十六万円と今度の八割についてははっきりした計画を発表していただきたい。しかも、その妻が身体障害者であるような場合に、遺族年金を年間十六万円以上の支給を受けていると前記の併給制限にかかり、不自由なからだをかかえて働くこともできないし、ただの一万三千三百円で病気のからだをかかえて一カ月を送っている、これが実態でございます。
 第二には、生活扶助基準及び社会福祉施設の措置費を根本的に検討し直して、その額を大幅に引き上げること。また、物価上昇に対応して機動的に引き上げる制度を立てるべきであります。生活保護世帯や福祉施設の入所者がインフレ、高物価に襲われ、どれほどの苦しい状態にあるか、いま私が説明するまでもないと思います。政府は何回かにわたって物価補正をしていますが、残念ながら基本の額が低過ぎるし、また、物価補正もとうてい生活の実態に追いついていってないのであります。これらの実態もあわせてお考えいただきたいのであります。
 私は、三木総理にぜひお考えいただきたいことがあります。よく、谷間の老人とか福祉の谷間の人といわれます。私は、このように谷間だといって片づけられることに強い反対意見を持っております。不幸な境遇の人に対しあなたは谷間だと言うのでしたら、それでは山の上にいる人は一体だれですか。どんなりっぱな制度があるのですか。個人が好んで谷間へ落ちるのではない。制度自体の欠陥を是正しなくてはならない。それが政治でしょう。
 昭和四十七年の春ころ、厚生省がようやく難病対策に動き出そうとしていた当時、ある難病の友の会を組織して、機関紙の編集発行、事務局の中心となっていた人がおります。いまここでは、かりにSさんとしておきましょう。Sさんは、原因不明、治療法も不明の難病ゆえ、この二年半の間入院、退院を繰り返し、いまはほとんど動けない状態になっています。さて、日本の社会保障制度がこのSさんにしてあげたことは何でしょう。Sさんは、健康なときに病院へ十年ほどつとめて厚生年金に加入していたが、病気で退職するときに、せめて一年か半年もたてば健康を取り戻せるかとの期待を持って、厚生年金を脱退して脱退一時金を受けました。その後は、もう脱退手当を受けた以上、何の給付もありません。国民年金に強制加入だからと言われて加入したが、保険料を申請免除になっているため、身障者一級の認定を受けているけれども、障害年金は受けられません。特に、発病が厚生年金の加入期間だったからという理由で、国民年金は全く相手にしてくれません。それでも、区役所の窓口で、過去の国民年金の免除された分の保険料を払い込めば障害年金を受けられるかもしれないと聞いて、八方金策して四万四千五百五十円を払い込んだ。ところが、この九月に、症状が固定してからあなたは払い込んだんだからそれはむだだといって、障害年金の請求を却下するという通知が来た。しかし、難病患者に症状の固定はないのです。現にSさんは、二年半のうちに動けなくなっているではありませんか。現代医学で症状が固定するかしないかさえわからない、それが難病です。国民皆年金とはかけ声ばかりで、せっかく保険料を納めても年金に結びつかない人が全国には多数発生しているが、どうお考えですか。年金の窓口が、保険料だけさっさと徴収しておいて、実はあなたはだめだったと言った。それは、国家という名の詐欺にかかったようなものではありませんか。
 ここで私は、難病対策について、ただ一つだけ厚生大臣に確認しておきたいことがあります。
 身体障害者に対する年金や手当等は、身体障害者手帳の所有者を対象としています。ところが、現在の手帳の交付については、難病患者は手帳の交付を受けにくい仕組みになっています。そこで、身障手帳の交付は、本人の生活の状態、安静度とか、身のまわりのことが自分でできるかどうかなどを基準にして手帳を交付するように改めていただきたい。この点は前からの問題でありますので、昭和五十年度において、調査研究費を取るなり、専門委員会を発足するなり、何か具体的な出発をしていただくよう御答弁をいただきたい。
 次に私は、農業、漁業、畜産等のいわゆる第一次産業の振興と環境問題について総理の所信をただしたい。
 歴代の自民党内閣は、海外から安く買える物は国内でつくる必要はないとの考えで、農業を犠牲にして経済開発を強引に進めてきました。いまこそわが国は、大企業本位、工業優先の行き方を抜本的に転換して、長期展望に立った農業育成政策を確立しなければならない時期に来たと痛感いたします。
 第一に、三木総理は、工業優先、農業軽視の過去の政策をどのように反省しておられますか。わが国の食糧自給率の現状からして、もし大きな気象異変でも起こり、世界的な凶作に見舞われるとか、または何かの事情で食糧の輸入がストップしたら一体どのようなことになるとお考えですか。日本民族生存のためにも、農業を基盤産業とし、確立できるよう保護育成すべきであります。
 食糧の自給率向上のためには、農地が確保されなくてはなりません。従来のように、高く売れてもうかる物なら何でもつくろうという工業偏重主義や乱開発は絶対に許されません。さらに農業人口が確保されなくてはなりませんが、わが国の農業人口は離農率がきわめて高いのが現状であります。その原因はいろいろあると考えますが、政府がここでなすべきことの一つは、農家の収入を安定拡充することであります。それには、生産された主要農産物に、生産費所得補償方式に準じた価格保障を国で行なっていくことを提案しますが、いかがでしょうか。
 第二には、食糧問題と海外諸国との関係であります。
 まず、わが国自体が食糧の自給率向上につとめることはもとより、当面の課題としては、どうしても食糧の輸入を確保しておかなくてはなりません。世界的な食糧不足の今日、さまざまな事態が起こってくることが想定されますが、それらの事態に十分対処し得るだけの輸入体制の確立が必要と考えますが、その対策を具体的にお伺いいたしたい。
 また、次に海外援助の問題でございますが、発展途上国及び飢餓に苦しんでいる国に対してわが国は何らかの積極的役割りを果たしていくべきであると考えます。従来のように、わが国は自国の自給率を減らして世界の食糧を買いあさっているなどと、白い目で見られているばかりが能ではありません。発展途上国に対して農耕技術、特に世界でも最高水準にある水稲栽培技術の援助をはじめ、肥料供給と土壌改良など、わが国が持っているすぐれた技術の援助や資金援助を強力に推進していくべきであると考えますが、いかがでしょう。
 第三に、農業、漁業と工業開発について総理に伺います。
 総理が環境庁長官をしていた間にも、各地で開発推進か開発反対かで激しい論争が起きています。いわゆる大企業や政府や県当局が強引に開発を進めようとするのに対して、農民や漁民は、農地を守ろう、漁場を守ろうと強く叫んでおります。政府は、一方では農業、漁業の振興をはかると言いながら、他方では農地や漁場をつぶしてきた。これに対して総理はどう考えますか。特に企業側の説明として、公害のない工場を建てるというが、ほんとうに公害のない製鉄工場や石油精製工場というものがあり得るのかどうか。今日までも、どこの工場を建設するときにも、公害はないとか、あってもたいしたことはないと言っていて、結局は全国を公害の渦に巻き込んでしまったのです。いま私は具体的な例を一つあげます。海の水も木々の緑も透き通るばかりのきれいな南の離島で、大規模な石油精製工場を建設するという計画が企業によって発表された。たちまちその島全体が賛成か反対かの両派に分断されてしまった。反対派のある人が次のように言っていました。この島が過疎地だというが、それは島に住んでいる私たちの責任ではないんだ、政治の責任ではないか。われわれは今日でも米のめしを食べ、カラーテレビも見ている。これ以上開発によって賃金は上がらなくてもよろしい。公害のない、都市悪とでも言うべき精神的な荒廃のない、自然も人情も美しく豊かなこの島を守っていきたいのだと言っておりましたが、いまこそこのような発想の転換が、価値観の転換が必要なときと痛感いたしますが、総理の御所見を伺いたいのであります。
 次に、公害問題でも特に三木総理に御関係の深い水俣病について最後にお尋ねいたします。
 鹿児島県に住む水俣病患者である、ある老人が、「私のからだは水俣病におかされている。しかし、県当局は私を水俣患者としては認めてくれない。そこで、このからだを生きたまま解剖し、調べてほしいと環境庁に訴えるため私は東京へ出てきたんです。このままだだと、東京も二十年後には水俣と同じになるとですよ。東京の人はおとなしいが、そうなってもよいですか」。このことは新聞にも出ていたから御存じでしょう。
 総理、あなたは昨年五月、水俣を視察したときに何と言われましたか。患者の方々に取り囲まれ、まず、「皆さんの苦痛を聞くために来た。何でも言いなさい」。さらに、「不治の病だからといってあきらめてはならない」と激励し、その上、「皆さんの苦しみはわかった。できることは何でもします」とかたく約束したではありませんか。その結果、約束したことは、「水俣病を研究、治療し、患者を社会復帰させるために総合センターをつくる、この総合センターを実現するために、患者を加えた委員会を設ける」ということでありました。また、補償に関しても、会社側に責任をもって患者側に立った完全な補償を行なわせると言ったのであります。ところが、それよりはや一年半、あなたは一体何を実行されましたか。どの一つをとっても実現していないではありませんか。無責任な発言と言うほかありません。
 さらに、東京大学の白木博次教授の論文、熊本大学の武内忠男教授の見解をどう水俣病に生かしていくのか、この点についてもあわせてお尋ねをいたしたい。「死亡後、十人の老人を解剖して調べたら、全部水俣病とわかった。ところが、生前に水俣病と認定されたのはわずか三人だけであった」と述べておられますが、これまでのような一部の神経症状しか認めない現在の水俣病認定基準では、ほんとうの患者を発見することは断じてできません。
 総理、あなたはいままでの経済成長重視政策から福祉優先の政策に切りかえると言われておられますが、本気でそのように考えておられますか。真に国民が望む公害行政を行なうためにも、ぜひ水俣病問題の解決、認定基準の改正、センターの建設等、患者に対しての約束をすぐさま実行していただきたいことを強く要求する次第であります。
 以上をもって私の代表質問を終わります。政府の誠意ある御答弁を期待いたします。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(三木武夫君) 小平議員の御質問はきわめて多岐にわたっておりますので、御質問に忠実にお答えをしたいと思いますが、もし漏れておるところございましたら、委員会等においてお答えをすることにいたしたい。
 最初は、金権政治、金権選挙についてのいろいろな御批判でございますが、これはもう弁護の余地はないわけです。政治を金権で支配することが許されるならば民主政治が崩壊することは明らかであります。しかし、これにはいろんな問題が制度的にもからんでおる問題があると私は思います。第一、選挙に金がかかり過ぎるということであります。法定費用というものがきめられておっても、非常に法定費用を超過する選挙資金がかかるというような事態、あるいはまた、政治資金規正法という法律についても、いろいろ改正する点が私はあると思います。こういう選挙法とか政治資金規正法、こういう改正も行なうことによって、金権政治の国民の批判にこたえたいと私は思っております。
 それから、総理及び全閣僚の資産を公開せよという御所見でございますが、小平議員も御承知のように、資産の公開という制度はまだ日本に一つもなじんでいないわけであります。外国でもそうであります。したがって、いまここでこれを制度化するということにはなかなか問題がある。私は全閣僚にこれを強要する考えはない。しかし、総理としてみずから政治姿勢を示す意味において私の財産は近く公開をいたします。
 それから、政治資金規正法の問題についていろいろと小平議員の意見を交えられましたが、これは、個人献金に限るという御意見が中心のようでありますが、私も、政党の政治資金というものは党費と個人献金でまかなうことが理想だと思っておるわけであります。ところが、まだ日本では個人献金というものが国民の慣習として熟していないわけでありますから、そういう理想的な方向に行くとしても、しばらくの間は過渡的な期間が要る、こう私は考えておるわけでございます。したがって、いまの政治資金規正法に節度とガラス張りといいますか、非常に明朗化する、こういう方向で政治資金規正法の改正を考えてまいりたい。通常国会のこれは議題にいたしたい所存でございます。
 また、社会的不公正の是正について、いろいろ年金とかあるいは福祉政策にも触れてお話しになりました。われわれは、やはり社会的公正を確保するということがこの内閣の大きな使命でもありますので、したがって、今後物価の動向なども勘案いたしまして、生活保護基準引き上げ、社会的保障制度の拡充、その他福祉政策を積極的に進めていく考えでございます。もちろん、その前提には物価を抑制するということが最大の目標であることは申すまでもありません。いろいろとこう例をあげて言われましたけれども、これはなかなか小平議員の御提案は一制度だけで直ちに措置するのには困難な問題も相当ございます。だから、年金制度全般を通じて、たとえば期間の通算措置その他の方法で、いろいろ御提案になりました点は、改善のできる点は改善をしてまいりたいと思うわけでございます。
 それから、今後の経済運営の基本方針というものを示せというお話でございましたが、これはもう政府のやっておることは、御承知のように、物価の安定というのがこの内閣の最優先の課題であります。そのためには、公共事業などを繰り延べて、財政金融政策を中心として総需要の抑制政策を続けていく。そしてまあ明年度の消費者物価も、昨日も経済対策閣僚会議において、なかなか困難はあるけれども、一五%程度に、あらゆる努力を行なって消費者物価の水準を明年三月、前年度比その水準に抑制していこうということをこの会議においてもきめた、意思の統一をはかったわけでございます。こういうことで、何としても物価を鎮静化していくということが必要でございまして、このことを最重点の政策として今後努力をしていく所存でございます。
 また、経済対策閣僚会議についていろいろな御疑問が出たようでございましたが、これはほかにもいろいろの閣僚会議がありますように、この閣僚会議は、経済運営の基本の方向というものについて関係閣僚間の意見の交換、思想の統一をはかろうという目的で、おもに経済の運営の基本的方向に関連する諸問題を取り扱うわけでございます。そして福田副総理に取りまとめをお願いをしておりますが、しかし、個別的な、具体的な問題に対しては、行政が従来どおりな担当で進むことは明らかでございます。また、最終的の決定は閣議が行なうことであって、また最後の責任を私が負うことは申すまでもないわけでございます。そういうことで、この経済対策閣僚会議の性格というものに対しては、御理解を得ておきたいと思います。
 また、農業の保護、育成についていろいろと御意見がございました。全くわれわれも同様に考えて、農業は大切にせなければならぬ。食糧の確保というのは、人間の生存のこれは前提条件であります。したがって、今後農業の生産の基盤――土地とか水資源の確保、整備とか、有効な利用の促進であるとか、とにかく農業生産の基盤をこれは整備、強化していく。また、農家経済というものを安定させなきゃならない。農業に希望を持たせなければいかぬわけでありますから、これに対しては価格政策、自立経営政策等の総合的な政策をあわせ行なって、日本の農業の重要な位置づけというものを確立したいと思っております。
 また、環境政策について御熱心な小平議員からいろいろ御質問がございましたが、私も少なからず環境の保全には関心を持っておるものでございます。そういう意味で、今後は環境アセスメントというものを拡充して、工場をつくる前に、工場立地なら立地の前に環境アセスメントを行なって、そうして生活の環境、美しい国土というものを保全するという前提の上に立って工場立地を行なうようにいたしたいと考えております。きわめて環境の保全にはきびしい態度をこの内閣はとる所存でございます。
 水俣病について、いろいろ約束したのが実行してないじゃないかというお話でございましたが、これはいろいろ大きな問題でございますので実行がおくれておりますが、私は言ったことは必ず実行するということを言っておるわけでありますから、実行は、約束したことは必ずいたします。
 ただ、水俣病の総合センターなどもこれを設置したいということで、設置をするとするならば非常によい運営をせなければならぬというので、省内に機能とか、運営をいろいろ検討する委員会を置いておったわけでございますが、明年度の予算の編成を通じて具体化するよういたします。その他、あるいは認定基準についてお話がございました。これは学界の論議もいろいろいま御指摘のようにございますから、これは適正を期するようにいろいろ検討をいたしてみたいと思っております。しかし、とにかく水俣において私が約束したことは必ず実行する、三木内閣は約束したことは不実行はしない、こういうことを申しておるのですから、御信用を願いたいのでございます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(福田赳夫君) お答えします。
 総需要抑制政策はいつまで続けていくのだと、また、それによって受ける影響についてはどう対処するかというお話でございますが、ただいま総理からも申し上げましたように、インフレを抑圧する、これがいま当面最大の急務であると、そういうふうに考えております。そのためには総需要抑制政策は引き続き堅持する。まあ、景気かインフレ退治かという論争がありますが、私は、インフレ退治のほうが優先をする、よって生ずる景気への影響はきめこまかく対処する、そういう考え方をとるべきだというふうに考えております。まあ、中小企業だとかあるいは離職者、そういうものにつきましてはこれは妥当な対策をとる考えでございます。
 それから公共料金の扱い、これにつきましてはしばしば申し上げているのですが、財政上からはいろいろ議論があるところであります。しかし、物価の抑制、これが非常に大きな問題だと、インフレをどうしても退治しなきゃならぬ、そういう見地に立ちますときに、これはまた別個の考え方が必要じゃないか、そういうふうに考えるのであります。そこで、いま政府部内で相談しておりますが、いろいろ新聞には出ておりますけれども、白紙の立場で検討するという考えでございます。
 それから、国民生活審議会で中間報告をしておる、その中に、老齢者向けの特別国債制度、また、零細預貯金に対する特別利子制度というものの創設を示唆しておりますが、これは非常に貴重な見解であるというふうに思うのであります。そういう考えのもとに、よく関係各省の間でこれが具体化ができるものかできないものか検討してみたい。いま検討をしておる最中でございます。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(大平正芳君) 社会的不公正是正の見地から富裕税、土地再評価を取り上げるつもりはないかという御質問でございます。社会的公正を具現する上から申しまして、税制は絶えず見直してまいらなけりゃならぬことは当然だと思っております。ただ、いま御指摘の富裕税、これは課税対象の把握がたいへん技術的に困難な問題であろうと思いまするし、土地再評価となりますと、まだ実現しない利益に課税するわけでございまして、これまた税制上いろいろの問題を生んでくることになると思いまして、こういった点につきましては、検討はしなければなりませんけれども、いま直ちに取り上げるという考えはございません。
 第二の、国民生活審議会が、老齢者向けの、物価スライドづきの特別貯蓄国債を発行というような点を提案されておるわけでございまして、これはたいへん示唆的であると思います。けれども、これまた、まず現行の金利体系との関連が大きく問題になってまいりまするし、そういう国債の購入者をどう限定してまいりますか、資格をどのように限定するか、限度額をどう考えるか、これも非常に技術的に困難でございまするし、また、相当の財政負担を覚悟しないとできない制度であるように思います。せっかく検討はしてみますけれども、明年度こういうことについて直ちに手を染めるという考えは残念ながら持っておりません。(拍手)
   〔国務大臣田中正巳君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(田中正巳君) 小平さんにお答え申し上げます。
 最初に、年金の問題についていろいろの角度から御質問、御要望等がございました。私は、今回厚生大臣に就任して直後に、年金制度についてはこれを抜本的に改善をいたしたいというふうに考えておりまして、いろいろと目下検討、考慮中でございます。しかし、非常に複雑な仕組みのものでございますから、直ちにできるものではございませんので、したがって、本来なら昭和五十二年に財政再計算をすべきところでございますが、これを一年繰り上げまして、五十一年財政再計算を実行いたしたい。そうなりますると、もう明年の夏ごろまでにはある程度の骨子を得なければなりませんが、非常に今後これについて意欲的に努力をいたしたいというふうに決意をしております。
 そこで、具体的な問題でございますが、第一にスライドの時期でございますが、今年緊急措置として、それぞれ厚年は八月、国年は九月というふうに繰り上げておりますが、いまの予算要求は、率直に申して厚年は十一月、国年は翌年一月というふうに従来のそれに直して要求をしているようでありますが、諸情勢を勘案して何らかの改善をいたしたく今日関係省庁とせっかく協議中であります。
 福祉年金の金額の引き上げでございますが、予算要求は一万円ということになっておりますが、ただいま小平先生のいろいろお話の趣旨等もございますし、また、世間にもそういったような同様のお声がございますので、何とかこれを改善できないものかというふうに考えておりますが、小平先生、財源の点については云々とおっしゃいましたが、実際問題としてこれは非常に財源を食う制度でございまして、したがいまして、財源論を抜きにいたしましては実際問題として処置ができないものでございますから、この間にあって私としては非常に苦慮をいたしておるというふうに申し上げておきたいと思います。
 併給問題につきましては、これは最初からいろいろ議論がございまして、同じように国民の税金から出てきたものを理由、縁由は違うからと申しまして両方にダブって取っていいものかどうかという議論が制度の発足当時から実はございました。しかし、その後のいろんな事情を踏まえてだんだんと併給制度というものが厚くなってまいりましたが、御案内のとおり、今日の制度十六万円でございますが、いろいろな事情もありますので、これについては明年度できるだけひとつ緩和の方向に持っていきたいというふうに思い、予算折衝をいたしたいと思っております。ただし、さっき申したような理由がございますので、完全撤廃ということは私はいかがかと思っております。できるだけ緩和をいたしたいと思います。予算折衝の前でございますから、いま、これをこういたしますということを申し上げるのは時期が適当でないというふうに思います。
 遺族年金について、五割ではやっていけないではないかというお話でございますが、確かにそのようなことについては考慮をいたさなければなりませんが、これについてはわが国ではもう明治以来本人の年金の五割というのが遺族年金の実はずっとした通り相場でございました。しかし、今日ではやはり五割ではどうにもなりませんということのお声が強いものですから、これについてはひとつ、さっき申しました財政再計算時において何らかの措置をとりたいものというふうに考えております。
 それから、さっき総理もちょっとお触れになりましたが、設例の問題でございます、Sさんとかおっしゃいました問題でございますが、お聞きをいたしますると、たいへん気の毒で胸のつぶれる思いがいたすわけでございますが、これは年金制度における通算の方法についていろいろと問題があるもののようでございます。脱退手当金――脱手をもらってしまえば、あの方の場合、脱手をもらったということが非常に実は障害になったわけでありまして、脱手というのは前の年金の権利を放棄して一時金をもらうということでございますのでそういう境遇になったのだと思いますが、これについては今後ひとつ通算通則法における通算年金に障害年金等を含めることを検討し、そのような方向で処置をし救済をするのが一番よろしかろうと思っておりますが、これ等も今度の財政再計算時に十分に検討に値する課題だというふうに思っております。
 生活保護費の基準は、これは常に最近では明年度の経済見通しの数字をいただいてから予算要求をすることになっておりますので、まだこの数字が固まっておりませんから、したがいましてまだ未要求でございます。近く経済見通しの御発表があるようでございますから、これを勘案し、この内閣が不公正の是正、そして弱者の救済ということを非常な課題として取り上げているということを踏まえまして、私としてはできる限りの基準の引き上げをいたしたいものというふうに考えております。
 また、措置費の内容については、入所者の生活、また、そこに働く人々の処遇の改善等、いろいろな問題を含んでおりますので、これについても、近く始まりまする予算折衝においてできるだけの努力をいたし、何とか成果をあげたいというふうに思っております。とりあえず、先ごろ御高承のとおり、特別一時金の支給を閣議で決定をいたしました。なお、この種のものについて物価スライドをやりなさいというお話がございましたが、実際問題として、毎月払われる生活保護費に一時々刻々スライド制を導入することは、事務上の観点からいってもなかなかむずかしいものというふうに思うわけであります。
 それから、難病の方々に身障手帳を交付したらどうであろうかということでございますが、難病で、現に身体障害者福祉法に定める障害の状況に該当する方については、つまり、これは病状が固定をし、ないしは継続をしている者については手帳の交付が行なわれておりまするが、難病といわれるものにもいろいろなものがございまして、これを身体障害者対策の範疇の中で考えることについてはいろいろと問題があろうと思われます。したがいまして、これについてはケース・バイ・ケースで処置をしていくのが正しいものというふうに思います。
 以上、お答え申し上げました。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(安倍晋太郎君) 総理の答弁に補足してお答えをいたします。
 初めに、価格政策を強化しろというお話でございますが、農業の再生産を確保していくために価格政策を強化することが大切であることは言うをまたないものであります。四十九年度、ことしの行政価格がいろいろ決定されたわけでございますが、その際には、賃金、物価の上昇を十分織り込みまして大幅に引き上げをいたしましたことは御存じのとおりでございまして、今後ともコストの動向が生産者価格に適正に反映されるように全力を尽くしてまいりたいと思っております。
 次に、農産物の輸入体制はどうなっておるかというお話でございますが、わが国農業の自給力を高めていくということが一番大切でございますが、しかし、やはり輸入に依存せざるを得ない農産物があるわけでございまして、特に穀物等の主要輸出国であるアメリカやあるいは豪州、カナダ等と密接な情報の交換を行ないまして、わが国の必要量の安定的な確保をはかっておるわけでございます。また食糧、農産物の実情に即して、実効ある多数国間商品協定の推進、あるいは二国間の中長期にわたる貿易取りきめ等の締結により安定供給の確保をはかることといたしまして、これも現在進行中でございます。
 さらに、海外の農業援助を強化せよという御意見でございます。わが国といたしましても、従来からこれら開発途上諸国からの要請に応じまして、専門家の派遣あるいは技術員の受け入れ、技術協力センターの設置などの技術協力を実施してまいったわけでございますが、今後は、今年の八月に設置されました国際協力事業団を通じまして、農業開発プロジェクトに対する協力を行なうなど、その拡充強化につとめてまいりたいと考えております。(拍手)
#10
○議長(河野謙三君) 答弁の補足があります。三木内閣総理大臣。
   〔国務大臣三木武夫君登壇〕
#11
○国務大臣(三木武夫君) 二点、私の答弁で漏れた点がありますのでお答えいたします。
 公共料金につきましては、最終的には閣議においてこれは決定をいたすわけでございます。その間いろいろと新聞に意見が出ておるということは、今後そういうのは慎重にいたすことにいたします。
 それから独禁法については、われわれは自由経済体制というものが経済の運営には一番いいと考えておるわけでございます。自由経済体制を維持するためにはルールが必要である。そのルールの必要なものは独禁法である。独禁法は来たるべき通常国会にどうしてもこれは提出をしたい。提出をするについて、できるだけ広く国民の意見を聞くことがりっぱな成案を得る道であるということで、閣内に独禁法改正の懇談会をいまつくって、近く発足することになっております。いろいろ公明党の御意見などもこれは参考にいたすことはむろんのことでございます。そして通常国会には独禁法の改正を提案をしたいと、こういう考えでございます。(拍手)
#12
○議長(河野謙三君) 小平芳平君。
   〔小平芳平君登壇〕
#13
○小平芳平君 総理大臣に一点だけ補足して質問をいたします。
 いまの公共料金を、値上げをストップするのか、それとも値上げが必要だというのか。それは確かに最終的には閣議できめることでしょうし、あるいはまた新聞に対しては、いろんなことが出ているから、それは慎重に扱うようにさせますといういまの総理の御答弁ですが、国会の答弁で食い違っていたでは困るじゃありませんか。ですから、ストップするのか、ストップに対して白紙で見直すのか、あるいは前提として値上げが必要だということで検討されるのか。それは閣議でも御検討になるでしょう。新聞発表も慎重になさるでしょう。この本会議のここにおける答弁がそういうふうに食い違っているということは総理の責任ではありませんかと質問したわけです。それに対して御答弁をいただきたい。
   〔国務大臣三木武夫君登壇〕
#14
○国務大臣(三木武夫君) 国会の場で、方針がきまっておるならば、ここで当然に申し上げるわけでございますが、この問題は、まず、経済対策閣僚会議などにおいても、次の会議においてはこの問題は論じようということになっておりますし、これは閣議においても重要な問題でございますので、予算編成の過程ともにらみ合わせてこれは決定をしていく。むろん、この決定が今日のような物価安定ということを至上命令にしておるわけでございますから、公共料金を次々に上げていこうということならば何も苦心はいたさないので、これを極力抑制しようという方針で検討をいたすことは明らかでございます。まだ決定を見てないわけでございますので、ここで政府の方針を申し述べることができないことは御了解を願いたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(河野謙三君) 春日正一君。
   〔春日正一君登壇、拍手〕
#16
○春日正一君 私は、日本共産党を代表して、緊急に解決が求められておる国政上の問題について、総理並びに関係大臣に質問します。
 まず、昨日、衆議院の代表質問でわが党金子議員が取り上げた兵庫県南但馬地方に生じた部落解放同盟朝田・丸尾派による暴力・不法行為の問題であります。この問題は単に一地方のある分野に生じた事件にとどまるものではなく、わが国民主主義の根幹にかかわる国政上の重大な問題であります。
 昨日、福田国家公安委員長はその答弁の中で、残虐な集団的暴行の結果、五十八名の教職員に傷害が加えられたことを認め、暴力と民主主義は絶対に相いれないと答え、永井文部大臣も、八鹿高校で学内に暴力があったことを認め、教職員の安全、教育の中立性の重要なことを強調する答弁をされました。これはきわめて当然なことであります。しかし、事件発生の原因についての福田国家公安委員長の説明の中に不正確な点があるので、あらためてこの点を含めて伺いたいのであります。
 その第一は、教育に対する暴力的介入の問題であります。昨日の答弁によると、校長の説得を拒否して教師が集団下校したと言っています。しかし、事実は次のとおりであります。
 解放同盟朝田・丸尾派の糾弾と称する教師に対する暴力襲撃の動きは、数日前から糾弾の動員がかけられ、当日は早朝からこれを実行するという異常な状態が迫っていました。すでに、この地方では、脅迫と暴力を伴う糾弾なるものがひんぱんに行なわれており、しかも八鹿高校では校長、教頭らがこの暴力集団に加担していたので、教師たちは切迫した身の危険を感じ、その理由を生徒たちに説明し、集団で下校したのであって、この教師の行動は当然のことであります。校長や県の指導主事たちが教師の下校を制止したのは、その安全を守るためではなく、暴力的糾弾の場に引きとめようとしたのであります。国家公安委員長の答弁はこの点でも認識を誤っているのであります。
 また、昨日の福田国家公安委員長の答弁では、事件は八鹿高校の解放研が教師との話し合いを持つことを要求したのに対し、教師が拒否したことから発生したかのように言っています。しかし、事実は、八鹿高校には長い歴史を持つ生徒の部落研活動が存在し、教師の自主的な同和教育への取り組みとともに、地域の人たちから高く評価されていました。これに対して、解同朝田・丸尾派は、部落民以外はすべて差別者であるなどと言い、同校の教師や生徒を思いのままにしようとしましたが、これが成功しなかったので、彼らは自分たちの行動隊として解放研をつくり、これを認めさせようとしたものであります。同校の職員会議や生徒会が、暴力による学校支配を意図する解放研を自主的な生徒のサークルとして認めなかったのは当然なことであり、特に教師たちが、外部からの介入として解放研を承認しなかったのは、「教育は、不当な支配に服することなく、」という教育基本法第十条の規定から見ても当然のことであります。
 私は、国家公安委員長に、以上の点について事態を正確に調査することを求めるものであります。
 次に、この事件で最も重要なことの一つは、この残虐な集団リンチ事件に教育委員会関係者及び学校当局も協力、加担していたということであります。県教育委員会指導主事など数名は、事件の起こった五日前から八鹿高校内に泊まり込み、校長、教頭とはかって校内応接室を共闘会議なるものの現地本部に提供し、解同朝田・丸尾派らは、それ以後連日青年行動隊、他校の高校生解放研などを動員し、校内に宣伝車を乗り入れ、校舎にポスターを張りめぐらし、職員室に乱入してハンドマイクで怒号したり、糾弾会のための投光器をつけるなど、校内を騒然とした異常な事態におとしいれたのであります。この中で彼らは、解放研生徒二十数名を職員室前にすわり込ませ、事件の前日、午後四時過ぎ、この生徒らにビフテキランチなどを食べさせたあと、ハンスト宣言なるものを出し、しかも、翌朝暴力的糾弾の開始とともに、その生徒たちは姿を消すという、はなはだ作為的なことを行なったのであります。
 こうして起こった十数時間に及ぶ朝田・丸尾派の残虐な集団リンチに対して、県教育委員会の関係者や校長らが現場にいて、リンチに耐え、血みどろになっている教師に対して屈服を迫り、リンチを加える側に協力、加担したのであります。しかも、さらに驚くべきことには、教育委員会関係者と校長などは、警察に対して、「校内は平穏な話し合いが続いている」などと、全く虚偽の報告を続け、いまに至るも「暴力はなかった」などと言い続けておるのであります。これでは、教育委員会関係者や校長などは、まさに暴力リンチの共犯者になっていることではありませんか。これが教育行政担当者のとるべき正当な措置と考えるかどうか、関係大臣の見解を問うものであります。
 さらに、事件直後、兵庫県教育委員会但馬事務所長などは、この残虐な集団リンチ事件の監禁、致傷罪で現在検挙、勾留中の丸尾良昭などを講師にして、「八鹿高校闘争の成果と課題に学ぶ」と称し、解放行政推進総括学習会なるものを開こうとし、但馬地域の各自治体の首長、議長、教育委員長、教育長を招集していた事実があったということが、わが党国会議員団の調査によっても明らかにされております。このような教育事務所長らの態度は、暴力犯人を先生に仰いで、暴力肯定、暴力賛美の学習会なるものをやるということで、狂気のさたであります。このような教育関係者に対して、政府、文部省は、今日まで一体どのような措置をとってこられたのか、明らかにしていただきたいのであります。
 なお、政府、文部省は、兵庫県教育委員会及び但馬地方の教育委員会と学校長のとった行為を、教育基本法に照らしてどのようなものと考えておられるのか、見解を伺います。
 第二は、地方自治体の暴力集団への協力、加担の問題であります。
 こうした解放同盟朝田・丸尾派の不当な糾弾闘争なるものに自治体当局が多数の職員を動員し、加担させたばかりか、彼らの暴力行為のための経費を同和予算の名目で支出しているという事実があります。たとえば、集団リンチが起きた八鹿町では、ことし九月にきめた補正予算だけでも、彼らが暴力事件で使った動員用のマイクロバス二台、各種の糾弾会現場などの撮影のためのカメラ、撮影機、マイクの購入費など七百四十三万円が支出され、さらに十二月提出の補正予算案では、町財政が窮迫し、財源見込みも立たないにもかかわらず、解同朝田・丸尾派の糾弾闘争費や動員用マイクロバスの追加購入費、ゼッケン、腕章など九百四十一万円余りが計上されようとしているのであります。しかも、これは単に八鹿町だけにとどまらず、但馬地方の大多数の自治体で発生している事態であります。本来、未解放部落住民の生活安定と福祉向上のために使わるべき同和予算が、このような暴力行為のための費用として支出されるなどということが、一体、許されていいものかどうかお伺いしたいのであります。地方財政の健全な運営を義務づけた地方財政法を踏みにじる明白な違法行為だと思いますが、政府の見解を伺いたいのであります。
 私は、以上のような事態が緊急に解決されなければ、わが国の法も、民主主義も、暴力によって根底からくつがえされてしまうことを特に強調し、政府がすみやかに厳正な措置をとることを強く要求するものであります。
 次に、日本経済と国民の暮らしの問題についてであります。
 今日、わが国の経済はインフレと不況の同時進行という未曾有の困難な状態にあり、国民の暮らしは、この二重の打撃のために、物価高、急増する失業と倒産など、きわめて深刻になっております。総理は、「全身全霊を打ち込んで、難局打開に当たる」と言われましたが、それならば、この深刻な事態の国内での根本原因が歴代自民党政府の大企業本位の経済政策にあることを率直に認めなければなりません。総理は、大企業本位というのは共産党の独断だ、などと言われましたが、たとえば、企業の払う税金の場合でも、資本金一千万円以上五千万円未満の中小企業は四三%であるのに、資本金百億円以上の大企業は三九%と、かえって安くなっております。これこそ大企業本位の政治ではありませんか。また、この不況下の九月期決算で、大企業三百八十三社が狂乱物価で空前のもうけをあげたと見られた三月期決算よりも、さらに利益を一五%ふやしているのも、新価格体系を口実として大企業の製品価格の思う存分の値上げを認めた政府の政治の結果ではありませんか。これでは、インフレと不況が同時に進み、社会的不公正が激しくなるのは当然であります。総理が難局を真に打開するためには、歴代自民党政府の大企業本位の経済政策を根本的に改め、物価と国民生活の安定、社会保障の充実、公害防止と自然環境保全などを第一とした国民本位の経済政策に転換すべきであります。総理の見解を伺います。
 特に物価の安定は今日の急務であります。物価を引き下げ、国民の購買力を高めることは国民生活を安定させるきめ手であります。これが今日最も深刻な不況にある繊維、家庭用電器その他の売れ行きを回復させ、不況の解決を促進させる道でもあります。ところが総理は、物価上昇の元凶である大企業と歴代自民党政府の責任には一言半句も触れずに、逆に賃金と物価の悪循環を主張するなど、国民に責任をなすりつけようとしております。このような立場でインフレが解決できるはずはありません。正しい物価政策と、何よりも、政府が公共料金引き上げをやめ、五十年度予算編成にあたって物価安定、インフレ抑制を第一に編成し、福田副総理がかつて蔵相時代に始めた建設公債という名の事実上の赤字公債の発行を大幅に削減するなどの思い切った方針をとり、日本銀行の大銀行への貸し出し残高を圧縮するとともに、大銀行の大企業への貸し出しを規制し、さらに大企業の価格つり上げをきびしく規制することであります。総理はこのような立場で物価大作戦を進める考えがおありかどうか、伺いたいのであります。
 特に、総理が公共料金について受益者負担が原則などと言い切り、悪名高い前総理と同じ立場で引き上げを言明していることは驚くべきことであります。たとえば値上げを予定しているたばこなど、現在でも今年度見込み約四千億円の黒字ではありませんか。なぜ黒字のたばこを上げるのですか。これでは物価が下がるはずはありません。総理は誠実な政治を力説していますが、政府が許認可権を持つ公共料金に対する態度こそ、物価問題に対する誠実さの最良の試金石であります。公共料金の引き上げはやめるべきだと思いますが、総理の答弁を求めます。
 また、総理は、この不況下にも行なわれている大企業の製品値上げをどのようにして押えるのか。わが党は、国会に調査権を持った特別委員会を設け、大企業を調査できるようにすべきだとの提案を繰り返し行なってきていますが、自民党の一貫した反対によって実現しておりません。自民党の体質改善を唱える党総裁でもある総理は、この不当な反対をやめさせるべきだと思いますが、見解を伺います。
 また、総理は、独占禁止法改正案を通常国会に提出する準備をしていると述べていますが、財界は、公正取引委員会の試案をさえ骨抜きにすることを要求しております。この問題について最も重要なことは、わが党が独占禁止法改正案要綱で述べているように、資本金百億円以上の巨大企業や、三菱、三井、住友といった独占企業集団、多国籍企業などの横暴な事業活動、経済撹乱行為を規制すること、彼らの原価と資金運用を報告させること、カルテル価格は原状回復命令で引き下げさせることなどであります。総理はこのような内容を改正案に取り入れる意思がおありかどうか、伺いたいのであります。
 次は、社会保障の問題であります。
 いま、厚生省の前で、八十歳の高齢者を含む老人代表がこの寒空に徹夜のすわり込みを行なっております。その要求は「生活できる年金」をということであります。年末を控えた低所得者の切実な年末一時金の要求についても、政府が出したのは、大都市で一人当たりわずかに二千六百五十円、それでも昨年より六百五十円ふやしたと言いたいでしょうけれども、三木内閣になってふやしたのは何と百五十円であります。これが十三日の閣議決定というのですから、驚くほかありません。社会的不公正を是正するという総理は、直ちに老齢福祉年金を月二万円に引き上げ、その他の年金もこれに相応した措置をとり、また生活保護費と社会福祉施設の措置費を五割引き上げ、低所得者に三万円以上の年末一時金を支給すべきであります。また、わが国の社会保障がきわめて劣悪である根本の原因が、大企業の高度成長には湯水のごとく国費をつぎ込みながら、社会保障には国と資本家の当然の負担も出し惜しみ、高福祉高負担などと言って国民に負担を強要したこれまでの自民党政府の政策にあったことは明らかであります。現在、国民所得に占める社会保障費の割合がフランスの四分の一にすぎないという事態を改めること、労資折半になっている各種社会保険料の負担割合を資本家七、労働者三に改め、中小企業には必要な助成を行なうこと、そして西欧並みに年金の財政方式を積み立て方式から賦課方式に切りかえることが不可欠であります。総理の基本政策はどうか、あわせて答弁を求めます。
 次に、中小企業問題について質問します。
 中小企業の窮状打開は緊急な問題であります。倒産は戦後最大の規模になり、多くの業者が事実上失業状態となっております。政府の行なう年末融資ワクの拡大は実情を無視したものであります。特に、仕事口を保障することが急務であり、私は官公需の総額の五割以上は中小企業に発注することを求めます。また、政府の中小企業金融機関融資ワクを広げるとともに、中小企業信用保険法第二条第四項の不況業種の中小零細企業に、低利もしくは無利子のつなぎ融資制度をつくることを要求します。さらに、中小企業の活動分野への大企業の進出をきびしく規制すること、不況業種や伝統的工芸品産業に打撃を与えている競合商品の輸入を緊急に規制することを求めます。総理の明確な答弁を願います。
 また、住宅八万戸建設のために住宅金融公庫の融資ワクを緊急に拡大することは小沢前建設大臣も努力を約束されたことであります。大蔵大臣は、この八万戸の融資ワクを直ちに認めるべきだと思いますが、お答えいただきたい。
 ここで、農業の危機の打開について質問します。
 現在、畜産農家は飼料高と売れ行き不振で肉牛一頭売れば十万、二十万の赤字となり、経営放棄は一日平均で養鶏農家五百七戸、肉牛農家は百五十三戸、酪農家は九十戸にもなっております。いま子牛までが捨て値で屠殺に出されていますが、これは畜産業が崩壊しつつあることを示すものではありませんか。総理は、畜産農民が危機突破大会などのときに、まず自殺者の霊に黙祷をささげてから議事に入るという事実を御存じですか。このような事態を緊急に打開するために、さしあたり畜産物価格安定法の指定食肉に牛肉を加え、農民には再生産を確保できる生産者価格を、消費者には安定した小売り価格を保障する特別な措置を講じなければなりません。また輸入飼料、国産穀物飼料を国が管理し、価格の暴騰を押えるとともに自給率を高める措置をとらなければならないと思います。総理の見解を伺います。
 現在、世界的に食糧危機が叫ばれている中で、農家人口は昭和三十五年以来一千万人も減少し、わが国の穀物の自給率はわずか四三%にまで下がり、米を除けばわずか七%というありさまであります。欧米諸国に例のない深刻な事態となっています。今日の農業危機を打開する道は、食糧の自給を基本として、外国農産物の輸入を制限し、おもな農産物に生産費を償う価格保障制度を確立し、国の責任で農用地の積極的な拡大をはかる以外にはありません。総理はこのような政策を実行すべきだと思いますが、その見解をお伺いして私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(三木武夫君) 春日議員の御質問中、解放同盟のことは関係大臣からお答えいたすことにいたします。
 経済と国民生活について、いろいろ自民党の経済政策についても御批判がございました。しかし、戦後の荒廃の中から国民の生活を確保して生活水準を高め、雇用の機会を増大した自民党の経済政策というものが日本の社会に寄与したところは非常に大きいものがあると思います。しかし、一方において、今日の事態になってまいりますと、いままでのような高度経済成長は続けていくことはできない。資源の点からも、環境の点からも、労働力の点からいっても制約を受けるわけです。どうしても安定成長路線に切りかえていかなきゃならぬ。そのときに、春日議員も御指摘になりましたように、いままでのような量的な拡大ではなくして、国民の生活の質的な充実、これをはかっていくということがこれからの方向でございます。したがって、いまお話にもございました物価の安定はもとより、社会保障の充実、環境保全、こういうものは重要な質的充実の中の要素になることは明らかでございます。
 それから、次に物価問題についていろいろお話がございました。公共料金については先ほど御答弁申したとおりでございます。また、いまは物価を安定さすということがこの内閣の当面の最大の課題でございますから、総需要抑制のワク組みはくずしませんけれども、しかし、一方において、不況などで中小企業、下請、こういう人たちが非常な影響をもろにかぶらないように、いろいろと融資のワクを拡大する等、その他きめこまかい政策をとってまいりまして、そうして物価を安定さすという施策にいろいろな施策を集中して行なってまいりたいと思っておる次第でございます。
 また、物価問題調査委員会のようなものを設けて、証人喚問などで大企業の価格引き上げや売り惜しみなどに対して調査するようにというようなお話でございます。これは国会内のことでございますから、国会内部における処理におまかせをする以外にはございません。
 また、独禁法の改正については、先ほどから申し上げましておるとおり、われわれは自由経済体制を守るためにルールをつくるという、こういう点で独禁法の改正をやろうとするわけではございますが、これは各方面の意見を取り入れて国民的なコンセンサスを得たいと思っておりますので、各方面の意見には耳を傾けていく予定でございます。
 また、老齢福祉年金月二万円、あるいはまた生活保護費の措置費の五割引き上げ、いろいろと具体的な御提案がございましたけれども、この問題は、春日さんの御提案のような福祉年金は掛け金のない制度でございますから、なかなかたいへんな財源も要すわけでございまして、まあ、全体としては年金とか社会保障の給付の水準を高めたいという、こういうことで昭和五十年度の予算の編成をいたしたいと考えておりますから、そういう中でこういう福祉の問題は取り上げていきたいと思います。
 また、中小企業、零細企業については、先ほど申しましたように、融資のワクを拡大したり、あるいはなるべく官公庁の仕事が中小企業に回っていくように、これは行政指導でそういう努力もして、経済の今日のような需要抑制が中小企業や零細者に非常なしわ寄せのいかないような配慮をいたしたいと思います。
 農業の緊急対策としていろいろ畜産のお話がございました。われわれも、今後日本が畜産という面についてはいろいろと飼料の問題も含め問題が多いわけでございますから、畜産の農家というものが安定して経営ができますようにあらゆる対策を講じてまいりたいと考えております。
 農業政策については、これは御指摘のように世界的に見ても食糧不足でありますし、農業というものは世界的にも見直されておるときでございます。日本の場合は、米はあれだけの自給率を持っていますが、ほかの穀物とか飼料というものの自給率は非常に諸外国に比べて低いわけでございますから、今後自給率を高めていく、このことはわれわれも同様に考えておるのですが、そのためには生産の基盤というものを、水とか土地とかいうものに対してしっかりと確保していくこと、あるいは農家の経営というものが魅力を持つような、非常に安定した経営ができるようにしないと農業に希望がないわけであります。価格政策あるいはまた経営技術、こういう面で総合的な対策を樹立して、食糧政策というものを前進させたいという考えでございます。(拍手)
   〔国務大臣福田一君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(福田一君) 春日議員にお答えをいたします。
 同高校事件は、部落内の対立によって生じたものでありますが、その結果、暴力事件が起こったことはまことに遺憾であり、暴力行為はその種類のいかんを問わず、民主主義と相いれないものでありますから、断固として取り締まる方針であります。
 ただいま春日議員から事件の内容について説明を求められましたが、同事件は目下捜査、取り調べの段階でありますので、国会の場といえども、現段階において、昨日衆議院本会議において述べた以上に事実関係に触れることは、捜査、裁判等に悪影響を与えるおそれがありますので、差し控えさせていただきます。
 また、地方自治体が部落問題に関連して不当に予算を支出していたかどうかにつきましては、御質問の趣旨を参考としつつ取り調べを行ない、適当なる措置をとることといたします。(拍手)
   〔国務大臣永井道雄君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(永井道雄君) 春日議員の県立八鹿高校事件についての御質問に答弁させていただきます。
 学校教育の中に暴力というものがあってはならないということについては言うまでもないことであります。そこで、これについて教育行政上どういうふうに考えるか、またどういうふうにしているかという御質問だと思いますが、これにつきまして経過を申し上げますと、十二月三日、山崎政務次官が兵庫県に行かれまして、兵庫県教育委員会関係者に会いました。会われた方は副知事、それから教育委員長、教育長であります。そして指導、助言をいたしました。指導、助言の内容は、学校教育の中から暴力を排除して授業を再開する。そして教育を正常化するということであります。幸いに授業は再開されるに至りました。その原則は何であるかということでありますが、原則は、同和教育においても教育の中立性というものを守っていくということであります。
 次に、十二月十四日の会合についての御質問がございましたから、それについてお答え申し上げます。
 十二月十四日の会合の問題は、十一月二十五日付、但馬自治会長、それから兵庫県教委但馬教育事務所長、さらに兵庫県立但馬文教府長の名義で、十二月十四日に昭和四十九年解放行政推進総括学習会を開催する旨の通知を出したという事実があります。で、これはこの地方の関係者の間で計画されたものでありまして、兵庫県教育委員会の本庁は承知しておりませんでしたが、最近に至ってこれを知りました。そして教育委員会は、十二月十三日、現地に対して、十四日におけるこの会の開催を中止するように指示いたしましたので、会は開催されませんでした。それは、先ほどから申し上げました考え方に私たちが立っておりますから、会が中止になったということは、教育の中立性という教育行政の立場をとったものと考えております。
 以上をもって御答弁といたします。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(大平正芳君) 私に対する御質疑は、住宅公庫に対して、四十九年度中にさらに八万戸の追加融資の受付を再開するつもりはないかという御質問でございました。で、御案内のように、ことしの住宅公庫に対する財投資金七千五百六十二億円を予定いたしておったわけでございますが、それに、この金融引き締め下にかかわらず、政府といたしましては千七百八十六億円を追加投入いたしました結果、ことしの貸し付け規模は、当初八千五百七十六億円でございましたけれども、一兆二百十四億円、五八・一%、前年度に対比いたしましてふやしたわけでございます。したがいまして、政府としては一応今年度はこれでがまんしていただくべきじゃないかという考え方をいまなお持っておるわけでございます。しかし、住宅政策が非常に緊張を呼んでおる問題でもございまするし、建設当局からも強い要請がございます。したがって、私としてはことしと来年を通じまして日本の住宅建設、とりわけ公的資金による個人住宅はどの程度にすべきかという点につきまして、建設大臣とよく相談をいたしまして、今後の措置を考えてみたいと思っております。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(河本敏夫君) 中小企業についての御質問がございましたが、基本的には体質の改善、つまり経営の近代化であるとか経営の改善と、こういうことにあると思いますが、何ぶんにもただいまは緊急事態でございますので、その対策として考えておりますことは、第一に年末の必要な資金量を確保することでございます。そこで、政府関係の機関におきまして特別ワクといたしまして七千億を用意いたしておりますが、さらに民間の金融機関におきましても一定ワクを用意さしております。金融的にはまずこれでだいじょうぶでなかろうかと考えております。
 第二は、仕事の面だと思うのですが、そこで官公需についての御質問がございましたが、これは官公需関係の仕事を中小企業に回すということは、これはずっと前からとっております基本的な政策でございまして、昨年は二七%ばかりございました。ことしは約二%ふやしまして二九%にする予定でございます。しかしながら、五〇%に直ちにせよというお話は、中小企業の現在の能力、設備、技術者等から考えまして、これは無理でなかろうかと思います。順を追いましてふやしていく所存でございます。なお、大企業が中小企業の分野にみだりに出ていかないように、これは行政指導をするつもりでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(河野謙三君) 藤井恒男君。
   〔藤井恒男君登壇、拍手〕
#23
○藤井恒男君 私は、民社党を代表して、先日行なわれた三木内閣総理大臣の所信表明演説につき若干の質問を行ないます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 総理は演説の中で、今日政治に対する国民の信頼がそこなわれようとしていることを憂慮し、政治も経済も、従来の惰性に流されていたのではたいへんなことになる。この際国民の心を施政の根幹に据え、国民とともに歩む政治、すなわち、政治の原点、政治の心に立ち返らなければならないと述べ、これからは力の対決を排し、対話と協調によって謙虚に国民の声を聞きつつ、清潔で偽りのない誠実な政治を実践すると、その決意をお述べになりました。インフレ、物価高、そして先の見えない不況の中で呻吟している国民の目の前で、金脈問題によって退陣した田中内閣にかわる三木内閣の基本姿勢は、私はかくあるべきだと思います。私は、この総理の政治理念に賛意を表します。しかし、総理、率直に申し上げますが、国民がしんから熱望し、すがる思いで聞きたがっていることについて、あなたは的確にお答えになっていないのです。国民は年の瀬を迎えて、一体物価はどうなるんだ、がまんしろと言うが、いつまでがまんすればいいのか、あるいは中小企業のおやじさんにしてみれば、この不況はいつまで続くのか、年末融資をすると言うが、肝心な仕事がなければどうしようもないではないか、資源も食糧も乏しく、輸入もむずかしく、この日本は一体どうなっていくんだろう、こういったきわめて具体的な、今日的苦悩に答えを求めているのです。
 総理が首班指名を受けたおり、一つの政治姿勢として、私の資産を公表すると言明されました。このことはそれなりに意義のあることとは思いますが、庶民の側からすれば、それは無縁のことです。庶民はもっと切実だし、具体的な今日ただいまの生活のこととあすからの暮らしの成り行きを聞きたいのです。今日、わが国が未曾有の激動期を迎え、国民が困り果てている現状を踏まえ、国民とともに歩む政治を実践するためには、政治家は、党派を越えて英知を結集して政策を定め、これを実行することが何よりも必要であると思います。
 私は、かかる立場に立って以下総理に質問します。
 総理は、最も強い国民の声にこたえるものとして、インフレ克服と不況防止による経済の安定と社会的公正の確保が三木内閣の至上課題であると言われました。私も、まさにこのことが国民の今日的悲願であろうと思います。要は、そのための具体的施策を国民の前に提示し、勇断を持ってこれを実行し、その効果を国民のはだに知らしめなければなりません。
 総理、公共料金についてお尋ねします。田中前内閣以来懸案となっている公共料金をどうしますか。白紙に戻して洗い直すということは、少なくとも向こう一年間凍結するということにしなければ、物価抑制を第一義とする三木内閣の体をなさないと思うのですが、総理、いかがでしょう。はっきり国民に決意を示してください。
 二つ目は、物価抑制の目標値の確定についてお尋ねします。総理、この際、時限を切って消費者物価上昇率の目標指数を国民に明示し、その目標値に到達するための具体策を提示してください。昭和五十年三月における消費者物価上昇率を何%にしますか。昭和五十一年三月末の消費者物価を何%にしますか。この目標指数に到達するために政府はこれこれの施策を講ずる、したがって、国民はこれこれについて協力してくれという具体策を提示してもらいたいのです。それが国民のためになる施策であるなら、民社党は党派を越えて全力をあげて応援いたします。
 第三は、この一年間に拡大された社会的不公正をどのように是正しようとなさるのか、具体策をお聞きします。
 その一つは、言うまでもなく、行き過ぎた利潤の吸い上げをどうするのか。利子、配当、土地譲渡税の分離課税や医師の優遇税などの税の不公正などを改めることなど当然だと思いますが、いかがでしょう。
 二つ目は、いわゆる弱者対策です。インフレによって最も手痛い被害を受けている低所得層、年金生活者、生活保護世帯、社会福祉施設入所者への配慮、庶民が自己の生活を犠牲にしてたくわえた預貯金の目減りに対してどのようになさろうとしているのか。私は本年三月、第七十二回国会の予算委員会で、時の田中総理、福田大蔵大臣に、庶民預金の目減り補償を行ない、インフレによってもたらされた社会的不公正を是正すべきであるとの提言を行ないました。政府はこの問題を等閑視して今日に及んでいます。幸い、ここに発足した三木内閣は、インフレによる社会的不公正を是正することをモットーとして取り上げています。総理、大蔵大臣いかがでしょうか。
 次に、総理並びに大蔵大臣に具体的にお尋ねいたします。
 先月二十七日に首相の諮問機関である国民生活審議会の物価上昇下の分配等のひずみ是正策についての中間報告をどのように受けとめていますか。この提言は、問題の緊急性にかんがみ、あえて中間報告の形で具体策を指摘したものです。老後に不安を持つ人たち、そして預貯金の目減りをただ手をこまねいて見ていなければならない小口零細預金者に対象を限って、社会保障制度の充実、税制の改革、金融資産の目減り対策をあえて中間報告という形で具体的に指摘したものです。
 その内容は、
 物価上昇のもとで、生活の不安定化の著しい層に重点を置いた社会保障の物価上昇に対応する充実、強化。
 課税最低限の物価上昇に対応する引き上げを中心とする中低所得層向け物価調整減税の実施。
 零細貯蓄、老後貯蓄に重点を置いた貯蓄の実質価値の維持。
 右の三点が当面のひずみ是正策としてその早急な実施が望まれるとしたものです。ひずみ是正とは、パイの分け前を公正に戻すことであって、再分配が基本だと思います。物価上昇によって起こった不公正を是正することはパイを拡大することではないのだから、財政負担がかさむ、金利のつり合いがくずれるといったものではなく、再分配のくふうだけだと思います。これさえできないというのなら、社会的不公正を是正するという総理の言は虚言になってしまいます。今日、国民の不満、不信の根源が社会的不公正にある以上、この不公正が是正されてこそ初めて国民は政府のやる気をはだで感じ、金権政治によって失われた政治への不信感を回復し、国民一致して日本経済の困難を乗り越える気概を持つことができると思います。総理、大蔵大臣の決意をお聞かせください。
 第四番目に、不況対策についてお伺いします。
 このところ、総需要抑制の浸透とともに景気は急ピッチで不況色を強めています。わが国産業界で圧倒的就労人員をかかえる中小零細企業は、インフレによるコストアップの中で、加工賃の値下げ、受注難にあえぎ、原料高、製品安の採算割れの状況下に立たされています。本年六月から十一月までの企業倒産件数は五千八百件にのぼり、年の瀬を迎えて、完全失業者もまた百万人時代を迎えようとしております。総需要抑制下における不況対策は二律背反的要素はあるが、ここに何らかの手を打たねば社会的混乱は避けられないと思います。インフレを克服しなければならない。そのために総需要抑制策を講じなければならない。そのために企業が倒産し失業者が増大する。これでは政治は不在ということになります。三木総理、政治は演説ではなく、実行であろうと思います。このインフレ物価高を克服するための総需要抑制下での具体的不況対策というものをどうなさいますか、お尋ねいたします。
 私は、経済問題について、公共料金、物価抑制、社会的公正、不況対策、以上四つの面から総理並びに関係大臣に具体的施策をお尋ねしました。
 総理は、所信表明の中で「インフレ克服と不況防止による経済の安定と、広く社会的不公正の是正」を国民の声としてとらえつつ、その解決の手段は資源の節約、賃金と物価の悪循環の是正、経済政策の安定成長路線への切りかえ、福祉施策の推進による社会的公正の確保という抽象的決意表明に終わっております。三木内閣は、田中前内閣の日本列島改造構想のもとにおける経済政策としての新全国総合開発計画や経済社会基本計画の失敗を認め、これらの諸施策を改めて、新しい経済安定成長路線を出発せしめようと意図しているものと思うのですが、個々の政策に具体性がなく、しかも、全体を体系づけた総合経済政策としての展望が明示されていません。これでは、激動する荒波のもとで、日本丸がどこに進路を求めて、どのようなかじさばきをするのか、国民は全く不安であると言わざるを得ません。わが党は、つとに物価安定のための経済新秩序を確立することを目的とした独禁法の改正強化、寡占価格規制法の制定、抜本的な銀行法の改正、重要産業基本法の制定についてその政策内容を策定し、提言しているところです。総理並びに副総理は、政府の目ざさんとする新経済進路を体系立てて具体的に説明してください。
 次に労働問題についてお尋ねします。総理は対話と協調の政治を力説しておられます。ところで、一カ月に四回もの国鉄ストが行なわれるということは全く異常なことで、この現象を見る限り対話と協調は存在していないと思います。公共機関である国鉄ストによって最も甚大な被害を受けるのはいわゆる弱者であります。そしてその不満はどこへも持ってゆくことができません。この種、公共企業の労働争議によって引き起こされる国民の実質的被害損失はどのように救済されるのかお答え願います。
 労使関係は、間断なき対話、それも各産別台での制度化された事前協議の確立によって健全化が果たされるものと思います。そのためには、政府が率先して労働組合の社会的地位を認め、真摯な態度で胸襟を開いて事前協議の場を設営してゆく努力が必要であろうと思います。総理、労働大臣、いかがですか。
 さらにお尋ねします。総理は四十九年の実質経済成長率がマイナスという状況における来春闘が物価問題のきめ手になるとして、労働四団体との対話を深める態度を打ち出しています。さきにも申したとおり労働組合との間断なき対話はきわめて意義あることと思います。が、しかし、これまでの政府のインフレ、物価に対する姿勢、そして総理が所信表明の中で申された範囲での内容をもって来春闘の話をしようとしているなら、それは徒労に終わることでしょう。むしろ労働組合が先行き物価に懸念を持って高い賃上げを要求することを認めることとなるでしょう。政府が責任をもって物価に具体的な目標を示し、実質賃金を保障する具体策を提示し、さらに、シビルミニマムを確立するための展望などを率直に話し合うこと、すなわち単なる対話ではなく、それを事前協議の次元にまで高めるとき、労働組合は賃上げを自制する条件を見出すものと思います。総理、並びに労働大臣のお考えはいかがでしょう。
 次に、労働大臣にお尋ねしますが、このたびの不況によって、中小零細企業では倒産、工場閉鎖、一時帰休など、雇用にかかわる問題が続出しています。あなたは、失業は人生の最大の悲劇と言われていますが、労働者の職場を確保するためにそれではどのような手を打っていますか。また、不幸にして職を失った人たちへの措置をどのようにしようとしておられますか。
 政府は雇用保険法を再び上程されましたが、特に中小零細企業の間にこの法案の早期成立、即時実施の声が日増しに高まっています。労働大臣のお考えをお伺いします。
 次に、選挙制度についてお尋ねします。国民が政治に不信を唱え、政治に背を向けている原因はいろいろあげられましょうが、私は、その中で最も大きな原因は選挙制度にあると思います。私は、議会制民主主義を守る立場から全国会議員が政治の信頼を取り戻すために、誠実にまっ正面からこの問題に対処しなければならないと思います。
 そこでお尋ねしますが、その一つは定数是正についてであります。衆議院において、ある選挙区では四万五千票で当選、あるいは選挙区では十四万四千票で落選はたしてこれが正しく民意を反映していると言えましょうか。国権の最高機関としての国会の権威が疑われます。この問題は、すでに衆参両院における公職選挙法改正に関する特別委員会の小委員会においてあらましの論議がととのっていることでもあり、あとは決断と実行あるのみです。通常国会においてぜひ成立さすべきだと思うのですが、総理の決意をお尋ねします。
 二つ目は、金のかからない選挙、それは国政選挙はもとより、地方自治体における各種選挙にも共通して考えなければならない重要な問題です。べらぼうに金のかかる選挙、そこに金権、金脈がからみ、国民をして政治不信を抱かしめる最大原因があるのです。これこそ超党派で真剣に取り組むべきだと思います。いやしくも、公職選挙は公営で行ない明朗な選挙を、これは国民のひとしく願うところであり、かつ、選挙を戦う国会議員全員の願いではないでしょうか。総理、決断していただきたい。
 三つ目は、政治資金についてであります。田中政権から三木政権への交代のゆえんは、金に汚された政治への国民の批判であります。しかるがゆえに、総理は就任にあたって、正直に、清潔に、誠実をモットーに政治の信頼を取り戻したいと言われました。政治理念としてまことにりっぱであると思います。であるなら、あなたこそ三木政権の時代に政治資金規正法を抜本的に改正して、政治から金脈を断ち、明正な政党政治が行なわれるルールを確立する勇断をふるっていただきたい。総理の御見解をお聞かせください。
 最後にお尋ねします。総理は、政治は力の対決ではなく、対話と協調によってこそ進められなければならないと言われました。私は、国民が素朴に政治を見る目は次のようなものだと思います。本来、政治は国民のためにあるものなのだが、現実の政治は、政策論よりも、党利党略が先走り、国民から遠く離れたものでしかない。ここから脱政治という風潮が生まれているのではないでしょうか。総理が、政治も経済も従来の惰性に流されてはならない。国民の声を聞き、国民とともに歩む政治を目ざして、力の対決を排して、対話と協調をとうとぶ、このことを正直に考えているなら、予算編成を行なう段階から各党に呼びかけて対話を重ねたらいかがでしょう。国民の生活に重大な影響を及ぼす重要政策についてもまたしかり。政府・自民党は、みずからの法案を策定する前の段階において各党に呼びかけ、英知を集めて政策を練り上げる、文字どおり事前協議体制を築き上げるのはいかがでしょう。それこそが国民が求める生きた政治への道であり、政治の信を取り戻す道であると思います。総理の率直な所信をお尋ねして私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(三木武夫君) 藤井議員が、私の政治理念に対して賛意を表されました。これは、具体的な政策は政治理念から生まれるわけでございますから、たいへん私はありがたく存ずる次第でございます。今後は、具体的に実行することによってこの難局打開の責任を果たしたいと考えております。
 次に、公共料金についていろいろお話がございましたが、先ほど申し上げましたごとく、この物価問題が最重要な事態であることにかんがみて、この問題は、極力抑制するという方向で予算編成の過程においてきめたいと考えております。
 それから、消費者物価に対する目標値といいますか、目標の数値をきめることが必要である、そういうお話でございましたが、昨日の、経済対策閣僚会議などにおきまして、明年の三月、年度末の消費者物価を前年比一五%程度にこれを抑制するということで意見の一致を見たわけでございます。これを実現いたしますためには、いろいろな施策が伴わなければ容易ならぬことでございますが、万難を排してこの目標数値の水準に消費者物価を置くように努力をいたしたいと思っております。明年度から明後年、少なくとも二年ぐらいの間の消費者物価などに対する目標の数値は定めたほうが、いろいろ国民生活の計画を立てていく上に私はよろしかろうと思う。来年はまだ一五%という水準でございますが、再来年になれば、むろん一〇%を大きく割った一けた台にしなければならぬとは明らかでございますが、これはいましばらく諸般の経済情勢の見通しなども踏まえて、目標の数値を立てられる段階が来ましたら、そういう明後年度までぐらいの目標数値は立てたいと考えております。
 それから、社会的不公正について、税と社会福祉の問題につきましては大蔵大臣と厚生大臣からお答えいたすことにいたします。
 それから、わが国の経済は今後大きくいままでと変わっていくのではないかというお話ですが、資源の入手もいままでとは事情が異なりますし、環境問題も、工場の立地にしても非常に容易ならぬわけであります。いろいろな高度経済成長をささえた諸条件はみなくずれてしまったわけでありますから、安定経済成長の路線に切りかえていく、自然、成長もゆるやかにならざるを得ない。そういうゆるやかな中においても、いろいろ御指摘のあったように、いままでのような量的拡大ではなくして生活の質的充実をはかるために、いろんな立ちおくれておる、あるいは社会保障の面においても、公共投資の面においても、そういう立ちおくれを取り戻して、そして社会の公正を確保して、よい環境を守り、いろんな福祉施策というものもできるだけ前進せしめて、福祉社会を建設するということが大きな目標でございます。
 春闘に対して労働四団体との対話をどう進めるのかというお話でございましたが、これは労働賃金というものが経済に大きな影響を与えることは申すまでもないわけでございます。したがって、賃金というものの決定には、特に今日のような時代には良識と節度が要求されるわけでありますが、労働組合だけに節度を要求するということは片手落ちでありますから、われわれはその一つの大きな前提になる消費者物価の抑制ということに全力を尽くして、そして労働組合側としても、いま申したような良識と節度のある賃金がきめられることを願っておるわけでございます。われわれはいつでも労働組合の代表の方々と率直に意見を交換する考えは持っております。私も労働組合の代表者と必要に応じてお目にかかりたいと存じております。
 それから、いろいろ選挙についてのお話がございました。定数是正についてはいま各党間で話し合いが進められておるということを聞いておりますが、いかにも今日の定数というものは不自然でございますから、すみやかに定数是正が行なわれることを私は希望するものでございます。
 また、選挙制度も、金がかかり過ぎる。もう国会議員の選挙に始まって地方選挙までこんなに金のかかる選挙を繰り返しておったのでは、私は日本の民主政治というものはやはりこういう面から崩壊するという憂いを持っておるものでございます。したがって、私もこれに対しては自民党に私の案を提示しまして、粛正選挙に関する選挙法の改正について自民党の検討を近く求めたいと考えております。
 政治資金規正法についても、政治に金がかかることは当然でございます。また、企業から政治献金を出すということが悪いということではないと思う、今日の段階で。しかし、それには政治資金というものが、いやしくも国民から見て疑惑を持たれないような一つの公明正大なものでなければならぬし、また、幾らでも金が要るからといって無制限な政治献金というものが許されるわけではないので節度も要るでしょう。こういう点で政治資金も一ぺん見直してみる必要があると考えておりますので、その政治資金の改正についても自民党で検討を開始する予定でございます。これはいずれも各党の御協力を得なければならぬわけでございますが、いま申した点は各党ともその必要を痛感せられておるわけでございましょうから、御協力を得て、日本の民主政治の基盤を健全なものにするということで各党の意見が一致して、粛正選挙に関する選挙制度とか、政治資金の規正に関する法律が改正をされるようなことを、私はそういう事態になることを願うものでございます。
 また、野党との間に事前にいろいろ話し合いをするというのは――「事前協議」というおことばをお使いになりましたけれども、事前協議というのもなにですが、必要に応じて党首会談を開きまして、野党の意見を私は率直に承りたい。少数者の意見も聞くということでなければ民主政治は成り立たぬわけでございますので、これは予算をきめる前に党首と会って野党の意見も承って、取り入れられるものがあるならば取り入れることによって――これは国民のために政治をやるわけでありますから、党派の立場からどうこうということではございませんから、そういうこともやりますし、また、非常に重要な法案には、そういうような党首会談などで率直に意見を交換することも必要だと思いますが、大いに与野党間の対話の政治を行ないたい所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。
 経済政策の基本をどういうふうに持っていくかというお尋ねでございます。これにつきましてはただいま総理からもお話がありましたが、いままでのいわゆる高度成長政策、これを静かで控え目な安定成長政策へ、これは根本的に、もう非常に色彩あざやかに転換していかなけりゃならぬと、さように考えております。
 申し上げるまでもございませんけれども、いま世界が非常に変わりつつあるというふうに私は見ておるんです。これは極端かもしれませんけれども、人類始まって以来の転換期と見てもいいくらいに思っておるんです。つまり、いままでの世界では、地球上の資源が無限であるというような立場で、その有限性について思いを及ぼしたという時期は私はなかったと思うんです。それが、地球上の資源が実は有限なものであるという意識、これが世界じゅうにいましみ通りつつある。そういう中におきまして、国々に非常に大きな変化が出てくる。資源保有国は、これはどういう立場をとるかといいますと、この資源は非常に大事なものであり、まあ金を積まれてもいままでのような状態で出すわけにいかぬというような考え方、つまり、資源保有国が売り手市場になるという傾向が強まってくると、こういうふうに見るのであります。また、同時に、アラビア諸国がとったように資源戦略、そういう手段に出る国が出てくる。そういう情勢だとすると、資源消費国側は、そういうような資源保有国側のこの動きに対して身がまえをする傾向を持つと思うんです。つまり、省資源、省エネルギーという経済政策をとるだろう。そういうようなことを考えますと、私は世界の情勢というものは、いままでのような、たとえば六〇年代には五・七%の成長をした、実質。そういう成長が非常に鈍化しまして、低成長時代に入る。しかも、これが安定した低成長時代じゃなくて、その低成長の中で資源戦略をとる国が出るというようなことのあり得る、波乱含みの低成長時代になる、こういうふうに見るのであります。
 そういう中で、わが国がどういう態度をとるか。これは資源に乏しいわが国であります。また食糧にも弱いわが国であります。そのわが国が当然、これはまあ世界のそういう動きに順応した姿勢をとらなけりゃならぬし、また、この物価問題につきましても、再びあやまちをおかしちゃいかぬ、あるいは公害、この問題にも対処しなきゃならぬということを考えますと、どうしても過去六〇年代にわが国が達成したあの高度成長というものは、これはとり得ない。もう、夢よもう一度ということはあり得ないし、あることはまた適当ではない、こういうふうに考えるのであります。そういうことから考えまして、いままでもわが国の経済運営の指針でありました長期計画、これは全部ここで見直しというか、白紙の立場で新しい状態に対しましてつくり直さなけりゃならぬ、そういうふうに考えます。そういうことで、新長期計画を策定いたしますが、それに乗ってわが国の経済が安定して、しかも内容の充実したものであってほしい。そういう方針を持ちまして、これから新しい気持ちをもって日本経済に取り組んでまいりたいと、かように存じます。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(大平正芳君) 社会的公正を貫くということは政治の不断の理念でございまするし、とりわけ現内閣といたしましてその点に非常な熱意を持っておりますことは藤井さんも御案内のとおりでございます。そういう観点から若干の御質問がございました。
 まず第一に、税制でございますが、物価調整減税、特別措置の改廃、さらには積極的に富裕税の創設等についてどう考えるかというような御質疑でございました。で、税制につきましては、御案内のように、与党並びに政府の税制調査会にいま御審議を願っておる段階でございまして、具体的な御答弁を申し上げる段階でないことは御理解をいただきたいと思うのでありますが、御趣旨のラインに沿いまして、社会的公正をどのように貫いてまいるかということにつきましては、強い問題意識をもちまして御審議を願っておりますことを御理解いただきたいと思います。
 物価調整減税でございますが、ことしの大幅な減税によりまして、名目賃金の増加を上回る課税最低限の引き上げが実行できたことは、たいへんしあわせであると思っておりまして、それが平年度化されますと、さらに一三・三%の引き上げになり、はるかに水準を抜いて世界一位になってきておりますこと、これまた非常にしあわせだと思っておるわけでございまして、私どもといたしましては、これ以上大幅な物価調整減税を考えなくても、がまんしていただけるのではないかと考えておりますが、なお、これは税制調査会の御審議に待ちたいと考えております。
 租税特別措置の改廃等につきましては、すでに期限が参っておるものも若干ございますので、いま御審議を願い、前向きの答申を期待いたしておるところでございます。
 富裕税等の創設でございますが、これは先ほど小平議員にも御返事申し上げましたように、いろいろ税制技術上問題がございまするし、御提案の趣旨はよく了解できますけれども、直ちにこれを実行に移すということはたいへんむずかしいと考えております。
 それから、国民生活審議会の中間報告、物価上昇下の分配等のひずみ是正策についての御質疑でございました。で、この御提言は、先ほども小平さんに御返事申し上げましたように、たいへん示唆的であると考えておりますし、今後、政府の施策を推進する上におきまして参考にさしていただきたいと思っておりますが、小平議員にもお答え申し上げましたように、これは藤井さんは現行の金利体系あるいは財政負担等にあまり関係ないじゃないかという御指摘でございますけれども、私どもの立場から検討してみますと、現行の金利体系、実施技術上のいろいろ問題がございますばかりか、相当巨額な政財負担を伴う性質の御提案のようにうかがえるのでございまして、趣旨は示唆的であり、参考にはいたしたいと思いますけれども、直ちに実行に移すということはいま考えておりません。(拍手)
   〔国務大臣田中正巳君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(田中正巳君) お答えいたします。
 社会的不公正の是正という政治指標を追求する場合、いわゆる弱者対策、社会福祉の強化、充実等がその大きな一翼をになうものであることは、これはもう申すまでもないところでございます。そこで、こうした観点に立って、私どもは、生活被保護者、老人、身体障害者、母子家庭等々に対する施策をこの際充実強化をしなければなりませんが、どうも最近の物価情勢を見ますると、どうかいたしますると、わが省の予算ないしはずいぶん多額の予算要求を政財当局にお願いをしておりまするけれども、どうもそれが物価上昇のあと追いになるようなことがあってはいけないと思いまして、この点について、厚生大臣としても、物価、経済の情勢については非常な関心を寄せているわけであります。
 しかし、現実は現実でございますので、いわゆる物価上昇を、これを完全にカバーし、その上にさらに施策を充実するように積み上げていかなければならないという二重の実は課題を背負っているだけに、相当われわれとしては、従来のような形ではなしに、非常な決意を持って臨まにゃならぬと思っておりますが、いずれにいたしましても、さいぜん申し上げたとおり、いろいろな施策についてそれぞれ予算を充実をいたしまして、皆さんの御要望にできるだけ沿いたい所存であることを申し上げましてお答えとさせていただく次第であります。(拍手)
   〔国務大臣長谷川峻君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(長谷川峻君) お答えいたします。
 最近のようにむずかしい経済情勢のときに、産業別にそれぞれの方々がお話し合いをするということはたいへんけっこうなことでございます。現に私のほうでやっております産業労働懇話会におきましても、産業別にそれぞれ労使が話をすることがいいんじゃないかと、こういう提案がなされているわけであります。先日、日本繊維産業会議に私も出席いたしましたが、今日の情勢において一番きびしい立場に立っております日本の繊維産業界の労使の方々が大ぜい集まって危局突破のために非常な熱意を示しておりました。私は、こういうふうなそれぞれの産業別に懇話会が設けられて、意思を疎通して打開するという方向をとられることは非常にけっこうなことだと歓迎するものであります。
 さらにまた、藤井議員は雇用保険法の早期実現を期せと、こういうお話がありましたが、いまのような時代にほんとうにレイオフにかかる者、あるいは失業に入ろうとする者、完全雇用をやっておった日本経済の中で、勤労者の汗の上に築かれたこの日本、私はこの法案の中において、御承知おきのとおり、補償給付もありますし、そうしたことからしまして、皆さん方の御賛成を得て、一日も早くこの法案が可決されることを私のほうからもお願い申し上げるものであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#29
○副議長(前田佳都男君) 田中寿美子君。
   〔田中寿美子君登壇、拍手〕
#30
○田中寿美子君 私は日本社会党を代表して、主として経済、国民生活問題について三木総理並びに関係閣僚に質問いたしたいと存じます。
 三木総理は、このたび田中内閣二年半の失政のあとを受けて、政治的、経済的に最悪の事態を収拾すべき至難の任務を背負って内閣首班として登場されました。まことに御苦労さまでございます。が、国民はいまやあなたがことばでなく具体的な政策を示されることを渇望しております。あなたが野党との話し合いを進めると言われるのが真意であれば、野党の意見を十分取り入れ、具体的で誠意ある御回答をいただきたいということを最初に念を押しておきたいと存じます。
 まず最初に、三木内閣の経済政策の基本姿勢をお尋ねいたします。
 総理、悪性インフレと不況の共存する、あなたの言われる戦後最大の難局をもたらしたのは一体だれなんでしょうか。総理の所信表明演説にも、インフレ、高物価、不況などがあたかも世界経済の影響で自然に起こってきたかのような表現しか見出されません。私は何よりも初めに総理に対して、歴代自民党政府の経済政策が今日の難局をもたらしたものであるということを徹底的に反省していただかなければならないと存じます。(拍手)
 総理、そのような反省の上に立って、国民生活優先の福祉型経済に転換させるのがあなたの使命ではありませんか。いかがお考えですか。
 総理、あなたが自民党総裁に就任された直後には、しばしば自民党の立て直しのために企業との癒着を断つと公言されました。その後このことばがあなたの口からはあまり聞けなくなりましたが、あなたの御心境に変化が起こったんでしょうか。これまでの自民党政権は、財界と結合して大資本に異常な利潤の蓄積を保障してきた一方で、国民大衆には絶えず物価高騰による所得や預貯金の目減りを押しつけ、インフレの最大の犠牲者であるいわゆる社会的弱者の生存権すらも危うくしてきました。
 ことに四十七年七月田中内閣発足以来、蓄積された過剰資本は、日本列島改造計画の強行と投機の横行で、大企業による土地、証券、為替、各種の商品などの買い占めが続発し、石油ショックに便乗してつくられた物不足、狂乱物価状況を引き起こしました。その間に大資本は笑いがとまらないほどもうけたのです。これは国民がまざまざと見せつけられたことであり、今春七十二国会でいわゆる悪徳企業の追及でも暴露された事実であります。あなたはここで、大資本と政府の癒着を断って、国民生活優先の福祉型経済に転換する御決意のあることをお誓いくださいませんでしょうか。総理の経済政策に対する基本姿勢をお伺いいたします。(拍手)
 それでは、国民生活優先の福祉型経済に転換するために、総理、あなたは具体的にどのような政策を持っていらっしゃいますか。私は、四点について御提案申し上げ、総理並びに関係閣僚のお考えをお聞きしたいと思います。
 まず第一に、インフレによってこれまで過大な利潤をあげてきた大資本のもうけを吐き出させ、インフレの犠牲者救済の財源に充てよということであります。
 三木総理は、安定成長路線を宣言されました。これまでの自民党政府は常に、高度成長の中からのみ福祉や弱者対策の財源はつくれると主張してこられました。一体、安定成長に転換される場合、福祉のために必要な膨大な費用はどこからどのようにして捻出されようとするのですか。従来の政府のやり方でどこからそれを生み出させるのですか。私は大企業の過大な利潤を吐き出させてそれに充てよと主張いたします。総理はたびたび、甘いことばかりは言わない、苦しいことも国民にお願いする、と言っていられますが、私はこの発言はまず財界に向かって発せられるべきものであると考えます。
 法人企業統計によって見ても、これまでの十年余の高度経済成長期間に法人企業のあげた利益は膨大な額にふくれ上がっており、利益率も大幅に伸びております。本年九月期決算においては、鉄鋼その他の大手の会社、銀行の利益は特に高額にのぼっております。総需要抑制下でも一部の企業は利益を大きくふやしているのです。私は、七十二回国会においてわが党の提案に基づいて成立した会社臨時特別税法は、三木総理の言われる野党との話し合い方式の一つの成果であると考えますが、この特別税法の実施で、今年度の補正予算の収入に一千九百八十億の税収が加えられております。これは二年間の時限立法ですが、このような大企業の過大な利得に対する税の徴収の制度を今後もお続けになるお考えがありますか、総理並びに大蔵大臣にお尋ねいたします。
 次に、私は法人税法を改革し、大企業の負担を強化することが必要だと考えますが、いかがですか。日本社会党は、法人の基本税率を四二%に引き上げること、また、本来取るべき税金を免除して大企業や高額所得者の便宜をはかってきた租税特別措置法の廃止を基本的な方針としております。また、ここ数年来法人が大量に取得した土地の含み資産に対して再評価課税を行なうとともに、土地譲渡所得の一〇〇%分離課税を実施するなどによって大企業の過大な利潤を吐き出させるべきだと考えますが、これらを実行する用意がおありでしょうか。高額所得者を優遇する利子配当分離課税などの特別措置廃止によれば、四十九年度でも減収分七百十億円の財源が確保できるではありませんか。そのような税制の改革を断行して、総需要抑制下でインフレの犠牲者救済の財源を捻出すべきではありませんか。
 他方、勤労所得者、サラリーマンの所得税は、この激しい物価高の中で実質上増税され、物価の高騰とのはさみ打ちにあい、不満が満ち満ちております。国民生活審議会の十一月二十七日の中間報告でも、物価上昇が国民生活に及ぼすゆがみ、すなわち不公平を指摘し、所得税、住民税の免税点を物価上昇に応じてスライドさせて引き上げるべきことを提言しております。総理、税の面でのこのような不公平に対して何らかの物価調整減税を直ちに行なうよう大蔵省当局に指示される意思がおありになりませんか。
 日本社会党は、所得税の免税点を四人家族で二百八十万円まで引き上げること、生活必要経費として教育費、医療費、家賃その他を控除すること、内職収入を非課税にすることなどをかねて要求しております。特に、年末の緊急要求として年内所得税の三万円税額控除を申し入れております。これが不当な要求だとお考えになるでしょうか。お伺いいたします。
 総理、あなたは就任以来、社会的弱者救済を急がねばならないと言ってこられました。ところが、今回の補正予算総額、二兆九百八十七億の中身を見ますと、いわゆる弱者対策費は福祉年金等改善のための経費として四百二十二億が組まれているにすぎません。これらはすでに本年六月と十月の給付改定によって増加した経費のあと追いにすぎません。政府は、昨年度にならって生活保護世帯並びに福祉施設入所者に年末一時金を予備費から支給することを決定したと伝えられますが、総理、この激しい物価高のおり、一時金二千円余で、もちが何切れ買えるとお思いになりますか。もちろん、全然支給しないよりはましですが、昨年末には老人、身障者、母子世帯にも一時金が支給されたことから比べると、後退したと言わねばなりません。もっと本格的な取り組みができないでしょうか。
 まず、福祉年金を引き上げることについてですが、総理、あなたはかつて昭和四十七年一月の「中央公論」誌上で、「福祉国家と国際協調の道」と題する一文で、老齢福祉年金はさしあたって一万円に引き上げるべきである、と述べていられるのを記憶していられるでしょうか。四十七年に一万円必要だったとしたら、四十九年末の現在の必要額が幾らになるとお思いでしょうか。老人たちは、せめて食費の実費として二万円はほしいと血の出るような叫びをあげております。
 国民生活審議会も、無拠出制年金も、拠出制年金もともに物価スライド制の導入が必要であること、しかもインフレの進行に間に合うような速度でスライド制を実施せねばインフレの被害の救済にならないと指摘しております。本年十月から七千五百円になった老齢福祉年金を来年四月から一万円にするというのではゆうちょう過ぎます。総理、この際年末に繰り上げ、福祉年金を相当大幅に引き上げるお考えはありませんか。社会党は、補正予算組みかえ案では年内に老齢福祉年金二万円実施を要求する予定ですが、これを不当な要求とお考えでしょうか。
 同様に緊急の救済を必要とするのは生活保護世帯です。不慮の交通事故で夫を失い貧困におちいった母子家庭などの状況はこの激しいインフレの年末にどのように難儀なものか、総理、あなたの想像にも及ばないところです。生活扶助は本年六月と十月にわずかの引き上げがありましたが、もともと低基準でありますから、打ち続く公共料金の値上げと米代その他食品の値上げでとほうにくれている状況です。この際、生活保護基準を大幅に引き上げること、また国民生活審議会の報告にあるような低所得層に対する必需物資の現物による補助、その制度も検討してみるおつもりはありませんか。
 このような弱者救済には財源が必要です。私がさきに提案しましたように、法人や高額所得者の優遇をやめて増税して収入をはかり、補正予算の増額修正を行なう意思がおありにならないか、お伺いします。大蔵省当局の見積もる税の自然増収額は本年度も、毎度のことながら、実際より六千億から八千億少な目に計算されております。うそを言わない政治を看板にされる総理、財源を正直に検討してください。いかがですか。
 さらに、インフレの大きな被害者には老人、身障者、児童などの社会福祉施設があります。これらに対しても、措置費の物価にスライドした上昇がなければ、自分自身で収入を得ることのできないこれらの弱者は生命を脅かされることになります。
 ここで特に問題になるのは、これらの施設に働く職員の不足と労働条件の劣悪なことであります。民間の施設の中にはインフレで経営の危機にさらされているものもあり、働き手の不足で解散寸前のものもあります。
 総理、あなたは記者会見で、身障者の宮尾修さんの投書を引用され、こういう人の声を生かしたいと言われました。そのおことばが真実ならば、身障者などの施設に働き、その世話をしている職員の増員と待遇改善のために必要な措置費の思い切った増額を実行していただかない限り、あなたの美しいことばも生きてこないと考えますが、いかがですか。あなたは福祉施設の職員の多くが過労から腰痛症に倒れている実情を御存じでしょうか。聞くところによりますと、厚生省は来年度福祉施設職員一万九千九百二十三人の増員を必要と考え、措置費の増額を要求しているとのことです。これはこれらの施設の職員の労働条件に労働基準法違反の多いことが繰り返し指摘されているためです。もともと犠牲の多いこの種の仕事に携わる職員の善意や信念が踏みにじられることがないように総理のあたたかい御配慮を要望いたしたいと考えますが、いかがですか。大蔵、厚生両大臣の御答弁も求めます。
 次に、インフレ激化の中の国民の預貯金の目減り対策についてお尋ねいたします。
 インフレのもと、大資本に多額の融資をしてきた原資は主として国民の預貯金であります。ところが、国民大衆の預貯金の金利は、物価上昇に追いつかぬどころか、元金まで目減りしてきたのですから、まさに大衆収奪と言うべきではありませんか。総理、もはや何らかの手を打つべきときだとお考えになりませんか。
 たびたび引用いたしますが、国民生活審議会の報告でも、零細貯蓄者や老後の備えとして貯蓄にたよっている退職者などの貯蓄の目減りは深刻な問題であるから何らかの対策をとるべきであるとしています。少なくとも緊急には、零細な貯蓄者と年金生活者など高齢者の貯蓄に対して元本を保証する特別貯蓄国債のようなものを発行するなど、かなり思い切った目減り対策を講じなければ、社会的不正義をいつまでも許すことになります。大蔵省でも検討しているということでありますが、先ほどこの点について福田副総理と大蔵大臣との答弁にはニュアンスの違いがありました。総理御自身、急いで間に合うように対策を実行するように御指示になりますか、お聞かせください。
 次に、公共料金についてお尋ねいたします。
 総理は、公共料金についてはタイミングと幅を検討すると言っていられます。それは一体どういう意味ですか。予想されている公共料金を、たばこ、麦、酒類、郵便、電信電話の順に上げるという報道もされています。タイミングとは、四月統一地方選挙と春闘を考慮に入れて、そのあとでという意味ではありませんか。そのようなこそくな方法をとられても、公共料金を引き上げる限り、それは政府主導の物価引き上げ政策をまたまた繰り返すものだという非難は免れません。総理、あなたはインフレ克服が最大の課題だとお考えになるなら、まず公共料金の値上げをストップされるべきだと思いますが、白紙検討というだけではなく、はっきりとした御答弁をお願いいたします。大蔵大臣や大蔵省当局は公共料金引き上げの必要を説いているのです。日本社会党は、一年ないし三年の公共料金引き上げの中止を主張しております。私は、その間に公共性の原則に基づいた福祉型料金体系をつくり上げるべきだと思います。公共料金はいわゆるナショナルミニマム、すなわち国民生活の最低基準を保障するために、できるだけ低廉に押え、低所得層や社会的弱者に対して低くスライドさせる料金体系にすべきだと考えますが、総理の御意見はいかがですか。
 総理、あなたも公共料金にも受益者負担の原則を説かれております。また先ほど大蔵大臣は、コストが上がったら公共料金も引き上げるべきであるというようなことをこれまでおっしゃっております。公共料金の場合はコスト、企業ベースで考えるべきではないと思います。公共料金の場合は低所得者ほど収入に比べて高く支払う逆進性を持つ間接税にもひとしいものではありませんか。総理の御見解を伺いたいと思います。
 以上、三木内閣が発足して、GNP第一主義のこれまでの高度経済成長政策からいまや安定成長に切りかえようとしつつあるとき、経済政策に対して根本的に日本経済の方向を福祉型に転換させる意思があられるかどうか、その意思があれば当然手始めに実行せねばならない数点の政策についてお尋ねいたしました。具体的にお答え願います。
 次に私は、インフレ、高物価の推進力である大資本の寡占体制を規制するために、政府は独禁法をどのように改正強化するつもりかをお尋ねしたいと考えます。
 これまでの高度経済成長期に、政府は常に総需要を拡大し、大資本の生産を増大させ、価格つり上げによる大きな利潤を許してきました。三木総理、あなたは大メーカーの製品の価格がつり上げられる原価の秘密についてよく御存じのはずであります。かつてあなたが通産大臣の当時、いまだカラーテレビが売り出されて間もないころ、「カラーテレビの輸出価格が六万円で国内価格が二十万円、これでは開きが大き過ぎる」という有名な三木発言をされたことをよもやお忘れにならないでしょう。当時、カラーテレビの原価は六万円以下だったということになります。同じように、アメリカでもラルフ・ネーダーが、自動車の原価がとてつもなく安いのに大メーカーの寡占体制によって値段がつり上げられている事実をアメリカの上院の公聴会で暴露して大騒ぎになったことがあります。
 総理、独占禁止法を強化して大資本の寡占体制による価格つり上げのメカニズムを規制しない限り、市場を支配する大メーカーはたやすく価格をつい上げられます。
 その上問題なのは、政府が価格つり上げにしばしば協力していることです。ごく最近の例でも、石油の在庫量が七十二日分もあってだぶついているのに、消費者価格を引き下げるかわりに、通産省は六百万リットルの減産を行政指導して価格つり上げに協力しているではありませんか。今春の国会で石油資本を通産省との癒着を摘発をされたことがもはや忘れられたかに見えます。砂糖についても同様のことが言えます。十月末砂糖の不足、続いて値上げが農林省によって指導されました。ところが、実際には砂糖の生産は九月末四%増でしたのに出荷が一五%減ということで、明らかに出荷制限によって価格をつり上げた形跡があります。
 総理、もしこのような価格つり上げの仕組みを不当とお考えになるなら、この際、独禁法の強化をためらうことなく実行していただきたいと考えますが、いかがですか。
 公正取引委員会はすでに独禁法の改正原案をつくっていますが、財界や自民党内からの圧力がかけられていると報じられております。総理が総裁に就任された当初の独禁法改正への意気込みが最近やや鈍ってきたように見受けられます。社会的公正実現の重要な項目である独禁法の強化改正についての総理の決意がどのくらいかたいか、お聞かせください。
 日本社会党は前国会以来独禁法改正案を提案しております。私は独禁法強化のために次の諸点を主張いたします。すなわち、一、巨大化した独占企業の分割を命令する権限を公取委に与えること、二、大企業の合併、カルテル行為、株式保有による系列支配を制限すること、三、不当な価格引き下げ命令権を公取委に与えること、四、株式保有の制限、五、在庫届け出、原価の公表、六、再販制度の禁止、七、公正取引委員会の立ち入り調査権を認める、八、その他流通関係を含めて不当な取引を規制し、真に自由で公正な取引を保証することなどであります。総理、これらの点に御賛成いただけますでしょうか。
 欧米資本主義諸国では独禁法の規制はきびしく、特にアメリカでは消費者である市民が企業を告発する権利を持ち、訴訟に勝てば、市民は損害額の三倍までの補償を要求することができます。いまや消費者は目ざめております。大資本は自己の利益にのみきゅうきゅうとすることは許されません。近代経済学者グループ、法学者グループからも、独禁法の強化なくしてインフレへの克服はないとして政府への要望が出されているではありませんか。総理の勇断を希望いたします。
 次に、春闘に向けての労使間の賃金交渉に対して、政府が干渉に似た指導をやめるべきだと思いますが、総理のお考えをお尋ねします。激しいインフレ下の日本の勤労者の生活が、名目上の大幅賃上げにもかかわらず、家計の圧迫にさらされていることは説明を要しません。総理府の家計調査によっても、九月にすでに今春闘の大幅賃上げは物価上昇によって実質的にはわずか〇・一%増、税金を差し引くと逆に〇・一%減となり、春闘の賃上げは帳消しになってしまったとされています。ところが、政府は労働大臣や大蔵事務次官の口を通じて、また財界は経団連などを通じて早くから、来春の賃金引き上げ幅を一五%のところに押え込むべきであるという趣旨のガイドライン的な発言をしてきました。総理も労働大臣も一昨日以来の国会で、所得政策はとらないと公言されますが、事実上労働者にのみ押しつける所得政策と言えるではありませんか。この狂乱物価の中にあって賃金のみにたよる勤労者は、せめてあと追いにすぎなくとも、政府統計の物価上昇率以上の賃金引き上げがなければやっていけません。総理、あなたはほんとうに物価を三月末一五%上昇率に押える自信がおありになりますか。もしその自信がないなら、賃金引き上げ幅を一五%ぐらいなどという指導を政府がすることは慎むべきだと思いますが、いかがですか。
 この際、認識していただきたいことは、日本の勤労者のフローの所得、すなわち現金などの所得が年々上がって西独に近いところまで来たにもかかわらず、ストックの富が格段におくれているために生活が苦しいという事実です。総理は外国をよく御存じのはずですが、欧米諸国の勤労者に比べて日本の勤労者の生活ほど生活基盤となるべきストックの富の貧弱なものはありません。住宅、光熱、暖房、上下水道、道路、その他の生活環境施設あるいは年金、医療その他の社会保障や福祉施設を含めて、勤労者の生活を豊かにする基盤がひどく立ちおくれております。であればこそ、労働者の賃上げ分でインフレに対して生活防衛するかたわら、その中から自己の負担で住宅、暖房その他に投資し、子供の学資や老後のために貯蓄をせざるを得ないのです。その上、日本の労働者の分配率はいまだに四三、四%と欧米諸国に比べて低く、しかも、この分配率は最近の統計で見るとむしろ下がりぎみです。それだけ資本の取り分が多いということなのです。こう見てくると、日経連の言う「国際水準に達した日本の賃金」という言い方は、フローの数字だけの比較であって、ごまかしと言わねばなりません。総理、あなたは労働者の節度を求めるならば、政府、企業側も本気で物価を押え、欧米諸国並みの生活基盤の確保をはかることが必要です。思い切って社会的投資に予算の配分を切りかえることこそ緊要であるとお考えにならないでしょうか、御所見を伺います。
 次は不況対策ですが、すでに同僚議員の質問に対して答えていられますので私は反復を避けたいと思いますが、四十八年度に放漫にふくらませた超大型予算のあと、急激に総需要抑制策で引き締めた結果生じた不況に対する政府の責任は重大です。政府はすでに財投からの七千億の融資を発表され、必要とあらばさらに支出するということですが、私は特に零細企業の救済、並びに家電や繊維産業などに大量に一時帰休とか一時休業の名において実際には解雇となってしまうのが通例の女子労働者、出かせぎ農民の不就労者、パートタイマーの婦人たちの不就労者、採用延期者など、失業統計にあらわれないものの雇用対策をお聞かせください。現在の不況対策は、総需要抑制のワクの中で政府が来年度予算の中身をいかに配分するかにかかっております。さきにも述べましたとおり、勤労者の生活基盤のための社会的投資や弱者救済のために財源を大きく回し、不要不急の公共事業を切るといった思い切った政策を実行しない限り、来年度二五%増の予算の範囲では不況対策は実行されないと思いますが、総理のお考えばいかがですか。
 総理、あなたも大平蔵相も四国の出身ですが、日本列島改造計画に基づく予算のうち、本四架橋予算や高速道路網、新幹線網などの予算支出を一部中止し、または延期し、不況対策に回すことが必要かと存じますが、そのようなことを実行する勇気がおありになりますか。田中内閣の失政を正すために登場された三木総理にそのくらいの勇気がなければ、日本経済の転換もむずかしいと考えますが、いかがですか。
 次に私は、日本農業の危機に立って三木内閣が農政の転換をいかにされるかを伺いたいと思います。
 農政についても、総理、まずこれまでの失政を認めていただかなければなりません。自民党政府の高度経済成長政策は、農業を軽視し農業を犠牲にする政策でありました。このためEEC諸国、イギリスなど各国が食糧自給率を高めている中で日本だけが急激に自給率を低下させ、食糧輸入を激増させました。特に田中内閣の日本列島改造政策のもとで、農地、山林のすさまじい買い占め、地価の暴騰が引き起こされ、農民は生産意欲を失い、農業破壊に拍車をかけました。この失政をお認めになりますか。食糧不足が騒がれるようになって、最近にわかに農業見直し論が起こっていますが、安易な増産奨励では日本農業は救われません。長期的展望と総合的計画がなければ農民は意欲を持たないのではないでしょうか。政府の農業に対する基本的な、長期的な計画をお尋ねいたします。
 最後に、私は、一九七五年が国連の設定した「国際婦人年」に当たることを三木総理に想起していただき、来年度にあなたが婦人の権利擁護のために実質的に何をする決意がおありになるかを伺いたいと思います。
 何ゆえに国連が「国際婦人年」という年を設定したのでしょうか。それはそもそも、国連によって世界人権宣言が発せられて久しいにもかかわらず、世界じゅうに婦人に対する相当の差別が、法制上も実態上も存在する事実が認められているからです。そこで一九六七年の国連総会で、「婦人に対する差別撤廃要求宣言」が採択されたのに端を発し、この宣言を実りあるものとするために「国際婦人年」が設定されたのです。したがって、来年、一九七五年は「婦人年」であり、国連加盟国があげて女性の差別撤廃、能力の開発のために一大キャンペーンを行なうこととしたのであります。
 この際、総理に要望したいと存じますのは、私たち女性が、「国際婦人年」を機会に、国連や政府の行事のあるなしにかかわらず、すべての法律、制度並びに慣習の中にある男女の不平等と差別を撤廃し、日本国憲法で保障されている両性の平等を実現するための行動に立ち上がる決意を持っていることを認識していただきたいということであります。
 現在の日本は男性中心の社会であります。この国会の議場においても、女性はりょうりょうたるものではありませんか。最も問題なのは、雇用における不平等です。日本の婦人は、全就業者及び雇用者総数の約三分の一以上に当たり、日本経済の重要なにない手であるにもかかわらず、雇用機会、待遇、労働条件においていまだ多くの差別が存在しております。また、社会でも家庭でも、法的にも、慣習上にも、いまだ不平等が無数に残っております。これは女性に希望を失わせ、一個の人間としての能力を十分に伸ばし発揮することを妨げたり、活動を阻害したりしております。これらの問題について、来年、一九七五年には徹底的に解明し、調査し、要求を起こすために全日本の女性が立ち上がる計画をいたしております。私はこの際、総理に婦人の持つ問題を認識し、行事中心でなく、実質的な成果のある協力をしていただきたいと存じます。その一つとして、アメリカの大統領直属の委員会である平等雇用機会委員会に類する権威ある機関を設置し、雇用に関して性別による差別を排除するための勧告を行なう権限を持たせ、実質的に男女差別撤廃の実をあげることができるような機能を果たすものとしていただきたいと考えますが、総理、検討していただけるでしょうか。これは女性の要求のほんの一端ですが、総理の婦人問題に対する御意見をいまだお聞きしたことがありませんので、この際お尋ねいたします。
 以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(三木武夫君) 田中議員の御質問にお答えをいたします。
 内閣の基本姿勢について、今日までの高度経済成長が大資本と癒着してこういう結果になったのではないかというお話です。高度経済成長は、当時としては国民的な合意が私はあったと思います。しかし、とにかく政府は自民党政府であったわけでありますから、振り返ってみればいろいろと反省すべき点も確かにございます。今後の経済運営の中にその教訓と反省を生かしていかなければならぬと思います。また、これからの経済政策というものは、先ほども申しましたように、高度経済成長期のような量的拡大の時代ではないわけですから、立ちおくれておる社会資本の充実とか、あるいは社会保障とか、福祉政策の拡充とか、とにかく生活の質的な充実をはかっていくわけでございますから、住宅とか下水というもののウエートは非常に高くなってくる。そういうことで、そういう社会をつくることによって国民の福祉を増進していこうということでございます。
 また、いろいろと――税のほうについては大蔵大臣からお答えをいたすほうが適当だと思います。
 社会福祉については、私の「中央公論」の文章をお引きになりまして、福祉年金を二万円に上げるべきだというお話でございます。この福祉年金というものは、私が自民党の政調会長のときに創設をしたわけで、当時は千円で出発をしたわけでありますが、しかし、そこには発想の転換があったわけであります。掛け金なしで年金を渡すというわけで、これを金額だけをふやしていこうということで創設をしたわけですが、何ぶんにも全部財政的支出でありますから、いま田中さん、二万円と、こう言いますと、いま一万円、まあ明年度予算を通じて考えておるわけですが、二万円ということになると、一万円ふえると六千億円、六千億円の財政支出を伴うわけでありますから、そこになかなか、掛け金でない年金であるだけに、財政事情ともにらみ合わさなければなりませんので、どうしてもこれは――年金制度全体、賦課方式を採用せよと言う人もございますし、年金問題というものは、全体的にいま見直して検討する時期に来ておると考えます。
 それから、独占禁止法に対して非常に御熱心な御発言がございました。私も、やはり自由社会を守っていくためには、この独禁法のような政策は自由社会を守る大きなやっぱり柱だと思って重要視するわけでございます。独禁法の内容については、政府の部内に懇談会等も設けて、各方面の意見を政府は聴取して、できるだけ国民各位の納得のいくような改正案を国会に出したいということで懇談会も設けたわけでございますが、私が熱心なのは、やはり消費者、中小企業者、下請という弱い立場にある人たちが自由経済の中で押しつぶされていくようなことは公正な社会でありませんから、そういう人たちの立場が保護できるようなルールをつくらなければならぬというのが私の考え方の根本にあるわけです。これは具体的な成案は、いま申したような懇談会等の意見も徴し、各方面の意見を徴して、成案を二月末までには得て、三月には提案をしたいと考えておるわけでございます。
 それから、「国際婦人年」に際していろいろ御発言がございました。私も、婦人というものが今日どこの世界を見ても男女平等な権利を持っておるわけで、実際に日本の社会よりも西欧の社会が社会的にも非常に婦人の方”が活躍をされておるわけでございまして、だんだんと日本も、ただ憲法の上だけでなしに、男女がやっぱり対等であるということが実際の社会生活の中にも具現をされてきておることは非常に喜ばしいことだと思いますが、いま問題の、やっぱり雇用と申しますか、職場などに対しても男女の区別がないようにということは、国際的にも一つの大きなこれは運動の中心にもなっておりますし、政府としても、そういう点から今後職場における男女の平等ということに対しては重大な関心を持ってまいることにいかしたいと思います。
 私が触れなかった点は大臣が補うことにいたします。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(大平正芳君) 第一の私に対する御質問は、会社臨時特別税を恒久化する意思はないかということでございます。これは田中議員も御承知のように、本税の立法の趣旨は時限立法でございまして、立法の趣旨にすなおに従いまして、二年たてばこれは廃止するということが明示されておりますので、ただいまこれを恒久化するという意思は持っておりません。
 それから、第二の法人税法に累進制度を導入する意思がないかということでございまして、これはたびたび本院におきましても御答弁申し上げましたとおり、累進制度というのは自然人にふさわしい制度でございまして、政府としてこれは法人に適用するというようなことは考えておりません。
 第三の問題は、特別措置の改廃でございます。これは税の持つ促進的なあるいは抑止的な機能を一定の政策目的のために活用しておるわけでございまして、規模の大小でございますとか業種によりまして区別をしていないわけでございまして、私どもといたしましては、この改廃につきましては毎年注意深く見直しをやっておるわけでございまして、次の通常国会にも若干の項目につきまして御審議を願う予定にいたしておるわけでございます。ただ、私どもとしては、これが既得権化するというようなことのないように十分厳正に年々歳々見直していかなければならぬものと考えております。
 第四の問題は、物価調整減税をどう考えておるかということでございます。先ほど小平議員にも御返事申し上げましたように、ことしの所得税法の大改正によりまして、課税最低限は飛躍的に高まってまいったわけでございますし、それが平年度化いたしまして、百十五万円が来年は百七十万円になるということで世界一の水準に達するわけでございます。したがって、課税最低限はこの程度でがまんしていただけるのじゃないかと思っております。ただ確かに名目所得が大幅にふえました関係で税金は多くなるわけでございますけれども、それは事実でございますけれども、税金を支払ったあとの可処分所得というものを見ていただきますと、これまた相当大幅にふえておるわけでございまして、私は、ただいま物価調整減税につきましては、政府としてはやや消極的に考えておるわけでございますが、なお税制調査会の御判断を求めたいと考えております。
 それから、大蔵省の自然増収の見積もりが過小ではないかということの御指摘でございますが、確かに、所得税はベースアップ等の影響を受けましてたいへん収入が好調でございますけれども、景気がこのようにさえない状況でございますばかりか、国民の消費態度というものが非常に健全になってまいりまして、間接税目、一々当たってみますと予定収入になかなか達しないという状況にもありますので、私ども、この補正予算に出しました税の見積もりというものは過小であるとは考えていないわけでございます。
 その次の御質問は、預貯金の目減り対策についてでございまして、これは預貯金だけの目減りに――これは田中さんも御承知のとおり金融資産全体の問題になる可能性を持っておるものでございまして、したがって預貯金だけの目減り対策を特定の層に考えるということは、たいへん技術的にむずかしい問題であるばかりでなく、政策的にもたいへんむずかしい課題であると思います。そこで、御案内のように、政府は四十八年から五回、中長期の預貯金に対する利子を改定してまいりましたことは御承知のとおりでございます。それよりも何よりも、私どもといたしましては、さらにインフレ対策に全力をあげまして、新たな目減りを起こさないように努力することが一番大事なことと心得て、懸命になっておるわけでございます。
 インフレ対策はなるほど必要でございますけれども、個々のインフレ対策が根幹的なインフレ対策を殺す――角をためて牛を殺すことのないように、インフレ対策に埋没することによってわれわれは本格的なインフレへの挑戦を忘れないようにしなければならぬと考えておるわけでございまして、精一ぱい、心を鬼にいたしましてインフレ対策に精進いたしたいと思っておりますことを御理解いただきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣田中正巳君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(田中正巳君) 田中さんにお答えいたします。
 福祉年金を直ちに二万円にせよということについては、ただいま総理がかなり具体的にお答えになりました。
 そこで、申し上げますが、福祉年金、昭和三十六年に国民年金法ができたときには、当時もうすでに相当の年齢に達しておりまして拠出制年金になじまない人について、何も差し上げないのはいかがかと思いまして、当時、月千円の福祉年金を給付したことは御案内のとおりであります。しかし、当時はあれでもあれなりに喜ばれたものでありまして、決して当時としてはこの福祉年金で生活ができるかできないかという議論はなかったわけであります。しかし、その後、福祉年金の性格について国民の考え方が微妙に変わってきたということをわれわれは踏まえなければならないと思っているわけでありまして、かような意味で、福祉年金の位置づけ、性格というものについて再検討をしなければならないというふうに考えておりますが、いかさま、これはどうも一般会計から支弁をいたしておりますので、さっき総理が申しましたとおり、一万円で六千億、もしおっしゃったようなことでありますれば、一兆二千億の財政支出が必要ということになりますと、どうも福祉年金の支出だけで一省庁の予算に相当するというような金額になりますものですから、相当にむずかしいということがわかっていただけるものと思います。
 そのほかに、これにはいろいろな問題がもう一つあるわけでありまして、いま言われているところの拠出制の年金とのバランスがあるわけであります。特に経過年金、例の五年年金、十年年金というのが支給をされ、またさらには、来年から始まるんですが、拠出をした者が拠出をしない者よりどうも少ないという逆転現象が起こるということも出てまいりますので、したがいまして、この五年年金、十年年金というのは、普通の拠出制の国民年金より国庫負担を非常によくしているんですが、なおかつこういう問題が起こるということになりますと、この種の間の調整というものも綿密、慎重にやらなければならないと思いますので、したがいまして、この種の福祉年金をやはりある程度国民の要望にこたえられるようにするためには、さっき総理がおっしゃったように、年金の財政方式を含めて、根底からこれを考え直さなければ、私はとてもそういうことはできないものというふうに思います。したがいまして、五十一年度の財政再計算時に、こうした福祉年金問題を含めまして年金の根本的な改定に取り組む所存であります。
 生活保護基準をこの際至急に上げよと、こういうことでございますが、これについては、先ほどお答えを申し上げましたとおり、例年明年度の経済見通しが出たところで、これを勘案いたしまして予算要求をすることになっておりますが、まだ経済見通しは出ておりませんが、もし近く出ましたならば、できるだけこれが厚くなるように最大の努力をいたしたいというふうに思っております。
 次に、施設職員を約二万名増員せよということをおっしゃっておりますが、田中さんもすでに御勉強になっておりまして、わが省の予算要求、大体その程度の実は増員の予算要求をしているわけであります。しかし、これについていろいろと問題がたくさんあるわけでございますが、私としては、社会福祉施設に働く人々の抱いておる使命感に対し政府は決して安座をしてはいけない、むしろこれに十分報いることがなければいけないというのが私の信念であります。私は、党におるころから、この種の問題について及ばずながらいままでいろいろとやってまいりました。その気持ちを、この際厚生大臣になったということで、さらにひとつ大いに努力をいたしたいというふうに思っておりますので、どうぞ皆さんの格別の御支援をお願いをいたしたいということをお願いを申し上げておく次第であります。(拍手)
   〔国務大臣長谷川峻君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(長谷川峻君) 電機、繊維では一時休業を行なっている企業がほんとうに増加しております。これらに対して、政府といたしましては、田中先生御承知のとおり、今国会に提出している雇用保険法案、これによって休業手当の一部を助成することによって解雇の防止と休業補償の充実をはかりたいと、こう思っているわけであります。
 出かせぎにつきましても、積極的な求人の開拓、さらにまた就労あっせん、援護につとめてまいる所存です。
 お話しのパートタイマー離職者に対しましては、求人の確保と職業紹介の充実につとめているところでありますけれども、この中には失業保険の適用を受けていない人もおりますので、雇用対策法に基づきまして、職業転換給付金制度をはじめとする各種の援助措置を活用して再就職を促進してまいりたいと、こう思っている次第です。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(安倍晋太郎君) 田中議員御指摘のように、農産物の自給率は、総合で七三%、穀物四三%と、非常に低いことは事実でございます。したがって、自給力を今後とも高めていくということが農政の今後の課題であろうと思うわけであります。農業生産の基礎となる土地、水資源を確保し整備することや、生産の中核となる農家群に希望を与えていくということが重要であると思うわけでありますし、また、田中議員御指摘のように、長期的視点に立って生産目標を設定するとともに、生産基盤あるいは制度金融、相続税制、価格政策、技術経営対策など農業経営条件について強化、充実していくとともに、農村の環境整備と福祉向上をはかって、明るい農村を建設することにつとめてまいりたいと思います。(拍手)
#36
○副議長(前田佳都男君) 答弁の補足があります。三木内閣総理大臣。
   〔国務大臣三木武夫君登壇〕
#37
○国務大臣(三木武夫君) 田中議員の御質問の中で、公共料金を一時凍結し、福祉型料金体系をつくれということに、私の答弁が漏れたようであります。一応申し上げた感じがしましたのですが、漏れておるということでございますのでお答えをいたします。
 公共料金は来年度の予算の編成とも関連をいたすものでありますから、これは先ほど申した経済対策閣僚会議においても次の会議のときにこれをいろいろ検討することになっておりますし、閣議においてもいたしまして、予算編成までにこの問題は決定をするわけですが、現在の段階では、まだ田中議員のおっしゃるような結論が出ておりませんから、これにお答えはいたしませんが、できるだけ抑制するという方向でこれは考えていくということでございます。
 また、福祉型の料金体系ということでございますが、一部にはこういうことも現に行なわれておるわけでございますから、結局どこまで取り入れるかという問題でございますので、今後の検討にまかしていただきたいと思うわけでございます。
 また、所得政策を政府が指導しておるのではないか、そして、賃上げの規制をやろうとしておるのではないかということでございましたが、所得政策というと、単に賃金だけでなしに資本所得もこれはやっぱり所得政策の中で制限を受けなければ片手落ちになるわけで、いま政府は所得政策はやる意思はないと、昨日か、この議場でお答えをいたしたわけで、そういう見地から賃上げの規制を政府は指導しておるようなことはございません。労使がこういう目下の経済状態を顧みて、良識と節度のある話し合いをしてもらいたいということを願うだけでございまして、労働組合の賃金を政府が規制するというような動きはいたしておらないわけでございます。(拍手)
#38
○副議長(前田佳都男君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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