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1949/03/17 第7回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第007回国会 厚生委員会 第14号
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1949/03/17 第7回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第007回国会 厚生委員会 第14号

#1
第007回国会 厚生委員会 第14号
昭和二十五年三月十七日(金曜日)
    午後一時三十三分開議
 出席委員
   委員長 堀川 恭平君
   理事 青柳 一郎君 理事 大石 武一君
   理事 中川 俊思君 理事 松永 佛骨君
   理事 岡  良一君 理事 苅田アサノ君
   理事 金子與重郎君
      幡谷仙次郎君    丸山 直友君
      亘  四郎君    堤 ツルヨ君
 出席政府委員
        刑 政 長 官 佐藤 藤佐君
        検     事
        (検務局長)  高橋 一郎君
        大蔵事務官
        (銀行局長)  舟山 正吉君
        厚生政務次官  矢野 酉雄君
        厚生事務官
        (医務局次長) 久下 勝次君
        厚生事務官
        (保険局長)  安田  巖君
 委員外の出席者
        法務府事務官
        (矯正保護局
        保安課長)   高橋 良雄君
        法務府事務官
        (矯正保護局医
        療科学分類課
        長)      大津 正雄君
        検     事 岡本梅次郎君
        厚生事務官
        (保険局厚生年
        金保険課長)  和泉 武夫君
        判  事  補 佐藤 千速君
        専  門  員 川井 章知君
        専  門  員 引地亮太郎君
三月十四日
 青少年飲酒防止法案(姫井伊介君外二十一名提
 出、参法第一号)(予)
同月十七日
 厚生年金保険法等の一部を改正する法律等の一
 部を改正する法律案(内閣提出第八六号)(参
 議院送付)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日会議に付した事件
 厚生年金保険法等の一部を改正する法律等の一
 部を改正する法律案(内閣提出第八六号)(参
 議院送付)
 派遣委員の調査報告に関する件
    ―――――――――――――
#2
○堀川委員長 これより会議を開きます。
 まず厚生年金保険法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案を議題といたしまして、前会に引続き質疑を許すことにいたします。岡良一君。
#3
○岡(良)委員 実はただいまわれわれが審議しておる案件とは直接関係はないのですが、この機会に厚生年金保険法の運営の実施について、いささか勉強をしたいという意味でお尋ねを申し上げたいのです。現在大蔵省預金部に預け入れられておる資金の総額は、年金の勘定ではどれだけありますか。
#4
○安田政府委員 お手元に差出しております資料の九ページをごらんいただきますと、積立金の状況が出ております。お持ちではございませんでしようか。
#5
○岡(良)委員 持つていないのですが……。大体の総額はどれくらいですか。
#6
○安田政府委員 一月末で百八十一億でございます。三月末になりますと、大体百九十四億ちよつと欠けるくらいになると思います。
#7
○岡(良)委員 それではその預け入れておる金の利子は、かつてどれだけで、現在どれだけで、将来はどれだけで、その額は金額としてどれくらいになりますか。
#8
○安田政府委員 昨年の十月までは三分五厘でございまして、十月からが四分、それから明年度、つまり四月一日からは大体四分五厘というところで、話合いをしております。
#9
○岡(良)委員 金額は……
#10
○安田政府委員 金額は幾らかちよつと今はつきりしておりませんけれども、大体十億四百万円ばかりの予算を組んでおります。
#11
○岡(良)委員 それでは預金部がそういうふうにそれぞれの会計勘定等から預けられておる資金を貸し付けておる場合の利率はどれくらいのものでしようか。これは保険局長御存じないかもしれないが……
#12
○安田政府委員 ちよつと私どもの方で、全部わかつておりませんが、いろいろ種類によつて違うようでございます。
#13
○岡(良)委員 資料がありますけれども、重ねてお尋ねしたいのです。年度末に剰余金があつたときは、積立金ということに取扱われておるのでありますね。
#14
○安田政府委員 さようでございます。
#15
○岡(良)委員 積立金は現在どれくらいありますか。
#16
○安田政府委員 先ほど申し上げましたように、一月末で百八十一億、それから三月末の推定が百九十四億ちよつと欠けるというところでございます。
#17
○岡(良)委員 いや、私がお尋ね申し上げておるのは、厚生年金特別会計法によつて、年度末にできた余剰金の積立金があつたら繰入れる。これがどれだけあるかということです。
#18
○安田政府委員 今の額は過去からずつと参りまして、余裕金を会計を締切りますときに、積立金にいたします。それで今の百八十一億と申しますのは、本年度の余裕金と積立金が一緒になつた額でございます。
#19
○岡(良)委員 この厚生年金保険法の第五十六條には、被保険者等のために福利施設をすることができるということに規定されておりますが、今度の予算を見ますると、業務勘定の中で約二千三百五十万円余が福祉施設費、及び福祉施設補修費の財源として、年金勘定からの受入れとなつておりますが、これは具体的にどういうふうな施設、あるいは補修をなさることになつておるのでしようか。
#20
○和泉説明員 業務上あるいは業務外の事故によりまして、身体に障害を及ぼされた者の回復につきまして現在温泉で外科の療養所というものができております。場所は神奈川県湯河原、北海道の登別、島根県の玉造、その他佐賀県にもございます。大体さような外科の療養所ができておりまして、そして廃疾につきましては、その療養所に入つて身体の回復をはかるというところの施設ができております。
#21
○岡(良)委員 年金勘定の支出の中で保険給付費が十二億八千余万円ということになつておりますが、これは大体具体的にはどういうような方々に、どの程度の給付をされておられるのでしようか。一、二例をあげて、あるいは遺族年金とか、障害に関する手当金というようなことについてひとつ承りたい。
#22
○安田政府委員 遺族年金が一万千五百三十一件で八千八百万円ばかり、障害年金が三千四十六件で二千八百六十六万余円、寡婦年金が九千百三十八件で一億三千三百四十万円少しです。遺児年金が五百三十六件で五百五十万円ばかり、総額にいたしますと二億四千八百万円ほどになります。そのほかに脱退手当金が若干入ります。それで障害年金、寡婦年金、遺児年金の方は、大体最終の俸給三箇月を平均いたしまして、それの二箇月分が出ております。
#23
○岡(良)委員 そうしますと、障害年金、寡婦年金、遺児年金の一件当りはどれくらいの金額になるでしようか。それでその支給の基準となるべき、いわば月の標準報酬というようなものは、大体積算の基礎としてどういう金額になつておりますか。この年金法による標準報酬で……
#24
○安田政府委員 実は予算書を持つて来るのを忘れましたのですが、大体平均の標準報酬が五千数百円になつておりますからして、五千数百円の二箇月分、大体その程度のものだとお考えになれば間違いございません。
#25
○岡(良)委員 そういたしますと、今のお話では保険給付費は大体二億八千万円ですが、この予算書では、保険給付費は十二億八千万円となつておりますが、非常に大きな隔たりがあるようですが、その点どうですか。
#26
○安田政府委員 今資料を取寄せましてお答えいたします。
#27
○岡(良)委員 それでは現在保険料の徴収の場合の対象となる標準報酬は、どれだけに見ておられますか。
#28
○安田政府委員 標準報酬の総額でございますか。
#29
○岡(良)委員 たとえば健康保険の場合に六千二百円に見るとか、六千円に見るとか……
#30
○安田政府委員 先ほど申しましたように、詳しい数字を忘れましたが、五千数百円になると思います。これはなぜそういうふうに低いかと申しますと、八千円で標準報酬を打切つておりますからして、健康保険より低くなつておるのであります。
#31
○岡(良)委員 それでは五千数百円を対象として千分の幾つという、その率で徴収しておるわけですね。
#32
○安田政府委員 そうでございます。
#33
○岡(良)委員 それでは多分これは法律が昭和十七年かと思いますが、昭和何年ごろになると、どつと受給資格を得て受取る人が多くなつて来るように思いますか。
#34
○安田政府委員 昭和十七年の六月に施行になりましたから、それから十五年たちますと、坑内夫の養老年金が始ります。昭和三十二年になるようでございます。それから、また五年たちますと、坑内夫以外の一般の労働者の年金が始まつて来る、こういうことでございます。
#35
○岡(良)委員 それではあと、それじや予算の方の書類が来ましてから、質問いたします。
#36
○堀川委員長 それでは苅田委員。
#37
○苅田委員 大蔵省からは見えておられないのですね。
#38
○堀川委員長 今来るそうですが、まだ見えておりません。
#39
○苅田委員 大蔵省関係のことはあとにまわします。それでは保険局長にお尋ねいたします。退職積立金というのと、それから退職手当金ですね、これは総額どれくらいになつておりますか。
#40
○安田政府委員 資料が差出してございますが、その第五ページをごらんになりますと、そこに書いてございますが、昭和十九年の九月末、つまり十九年十月にこの法律が廃止になりましたときに、押えました額は、四億八百二十二万七千六百七十円、それからだんだん現実に労働者がやめて行きますときに拂いますから、額が減つて参りまして、二十四年十二月末になりますというと、その次の欄に書いてございますように、一億二千三百万円ぐらいになつております。
#41
○苅田委員 この資料には今度の新しい法律による現実に退職手当金、あるいは退職積立金の割もどしですか、これを受ける人数ですね。人数が出ていないように思うのですけれども、これはわかつておられるのですか。
#42
○安田政府委員 人数ははつきりわかつておりません。―失礼いたしました適用事業所数の次に適用労働者数があつて、昭和十九年九月末現在で百四十六万余人、それからだんだん減りまして、二十四年の十二月末に至りましては五十四万余人、大体一事業所当りの平均労働者数は、昭和十九年九月末現在で二百人、二十四年十二月末現在で二百人、一事業所当り平均保管額は十九年が五万五千七百七十六円、二十四年度は四万五千円に減つておるわけであります。
#43
○苅田委員 この資料にもそうあるのですが、これによりますと、積立金の労働者一人当りの保管金が二百七十八円七十五銭になる。それから退職積立金の方が五十三円四十七銭、退職手当積立金が二百二十五円二十八銭、そういたしますと五十三円とか二百円とかいう金は、今日にすれば非常に零細な金だと思いますけれども、しかしこれは昭和十二年から積立てておつて、その当時の掛金は千分の二十、労働者の方は千分の十ですか、とすると、これはやはり相当酷だつたと思いますが、今度これが法律の適用を受けて、この金が労働者の方に割りもどされるときには、そのままの実数でお返しになるつもりですか。それとも現在の時価にスライドさせてお返しになるつもりか。これをお聞きしたいと思います。
#44
○安田政府委員 保管いたしておりまする間の利子をつけて返すつもりであります。
#45
○苅田委員 それは当然利子はどこが保管しておつても拂うものですけれども、問題は昭和十二年のときの一円と今の一円とは、同じ一円でも非常に違う。御承知のように、恩給なんかでも現在の時価にスライドさせるということは普通となつておる。そのための改正もあつたほどで、今度厚生省が預つたそのままの金で返されるということに、私は不合理があると思いますが、その点はいかがお考えになりますか。
#46
○安田政府委員 インフレによりまして貨幣価値がかわつた点はごもつともと思いますが、これは労働者の一種の強制貯蓄になつておつたわけで、そのまま貯金帳を預つておりまして、その間の利子をつけるということで、一般のそういう貯金と区別して、特別な扱いをするようなことは今のところ考えておりません。
#47
○苅田委員 それでは少し話を進めてお伺いしておきたいのです。現在の養老年金はまだ受給者の該当者がないわけですが、これは昭和二十八年になれば早い人は当るわけですか。抗内夫あたりはそうじやないですか。
#48
○安田政府委員 三十二年です。
#49
○苅田委員 そういたしますと、養老年金の支給額は現行法では月に三百円ということになつておるわけですね。これはこのままで改正されてないのですが、これがもし三十二年なり三十八年になつて受給される場合には、やはり三百円でもつてなされようとするのかどうか。これをお聞きしたい。
#50
○安田政府委員 三百円に下げて標準率を計算いたしますのは、これは苅田委員御承知の通り、今坑内夫でありますと千分の百二十三、一般が千分の九十四という高率になつております。そういたしますと約一割あるいは一割以上の金を給與から引かれるということになりますと、今の給與状態からいつてとてもできないわけであります。それで三百円に押えて、そのかわりに千分の三十といたしまして負担を軽くする。これは過渡的な臨時的の処置でありますので、今申しました三百円をそのまま固定さして行くという考えは毛頭ございません。なるべく早い時期に根本的に総合的に考え直しまして、元の通りにもどして行かなければならないと思います。まだその時期に来ていないと思つておりますが、いずれ社会保障制度審議会で、今これらの問題について案を練つておられますので、その問題にも当然触れた解決策があると思います。つまり言いかえますと、現在の保険のわくの中で問題を考えますと、現在ではこの方法しかないということになつて来ると思います。しかしさらに社会保障という、もう少し高い観点から問題を考えて行きまするならば、たとえば国庫で幾ら負担するかというようなところまで進めて行かなければ、現在のところでは解決できないのじやないかと思つております。
#51
○苅田委員 養老年金の支給額の方は、実際に支給するようになれば、厚生省の方はこれを考え直してやるというようなお約束なんです。ところが現在もらえるようになつておる退職積立金なり退職手当金なりにしましても、その当時相当高額なものをかけていたと思いますが、それが貯金をしておる場合に、どんどん購買力が減つてしまつたのに、今日そのまま返すということしか考えておられないということになると、先のことをお約束なすつても、これをどの程度信用していいかということが問題になると思います。だから先の約束よりも、現在しておるものを実際にやるということの方を考えていただきたいと思います。その点はいかがですか。
#52
○安田政府委員 現在のことも考えたいと思いまして、たとえば現に支給されておるものにつきまして、寡婦年金、遺族年金につきましては額が上つておるわけでありますが、養老年金は三十一年とか、三十二年とか、大分先のことになりますし、現在すぐ給付の需要が起つておるわけでもありません。かたがた総合的にこういう問題を考えようというわけで、審議会でせつかく案を練つておられますので、今これを事務的にすぐつつつきますと、時間もありませんし、またその方が得策だともいえないのじやないかと思いますので、先ほど申しましたような見解をとつておるわけであります。
#53
○苅田委員 私のお尋ねしたのはその点ではなくて、さしあたりこの法律の改正によつて、退職積立金、退職手当金の割もどし代金がもらえるわけです。私はこのことを言つておるわけです。
#54
○安田政府委員 インフレによつていろいろ不利益を受けたというのは、これは国民全般にそういう現象があつたと思うのでありまして、いろいろな銀行に対する預金にいたしましても、あるいは郵便貯金にいたしましても、預けたときの貨幣価値と、引き出すときの貨幣価値が違つておるということは、戦後一般的な現象でありまして、今のところ特にこれだけを何とかするというところまで参つておらないわけであります。
#55
○苅田委員 しかし私は国民が自由にした貯金と違つて、これは政府の方でとりつぱなしで返さなかつた。その間いくら引出したくとも出せなかつたのですから、これは掛金をしておる人の責任じやなくて、その間にこういうふうにどんどん貨幣価値を引下げてしまつた政府の方の責任なんだから、これを返すときに、やはり元の購買力のあるもので返さないということは、政府として非常に搾取しておるということになるわけですが、その点はどうですか。
#56
○安田政府委員 さしあたつて今のところ、苅田委員のお考えになるようなところまで参つておりません。
#57
○苅田委員 なお私厚生年金のことでお尋ねしたいのですが、厚生年金はこの保険の建前として二十年間継続勤務者が、その一番大きな額である養老年金がいただけるわけなのですが、現在のような情勢では、はたして女の人が二十年間継続して働けるような條件があるかないか。あるとしてごく一部の人にすぎなくて、たいていの人はとられつぱなしになつておるのですが、こういう点は非常に不合理だとお考えになりませんか。
#58
○安田政府委員 女子につきましては、今の日本の職業の状況から見まして、お説のように早くやめる人が非常に多いのであります。それについて養老年金をやるべきか、あるいは廃すべきか、たしかに議論があると思います。しかし将来のことなんかを考えてみますと、おそらく社会保障制度ができ上るにいたしましても、やはり女子を入れたものになるのではないかと思うのであります。なおかけつぱなしで損になるというお話でございますけれども、女子の場合は、分娩あるいは結婚によりまして脱退いたしますときは、六箇月入つておりますと、脱退手当金がもらえます。脱退手当金というのは相当有利になつております。まず私はかけ損だというところまでは行つていないのじやないか。こういうふうに思つております。
#59
○苅田委員 分娩、結婚によらない脱退者ですね。こういうものに対しては特別の措置はないわけですか。
#60
○安田政府委員 一般の被保険者は五年勤めますと、脱退手当金をもらう資格ができるわけであります。女子の場合は、大体結婚とか分娩によりましてやめる場合が非常に多いのでありまして、これは特殊な場合でございますから、その分だけが六箇月で、その他の方は五年という、ほかの方と同じような條件がつくわけでございます。
#61
○苅田委員 それでは大蔵省の方にお尋ねしながら、またその間で保険局長にもお尋ねしたいと思うのですが、まず第一番に二十四年度における預金部の資金中において、厚生年金の占めておる比重をお聞きしたいと思います。大体二十四年度の預金部資金の総額、それから厚生年金保険の預金部に入つてる総額、そういうふうなものをお聞きしたいと思います。
#62
○舟山政府委員 御説明申し上げます。預金部の資産といたしましては千七百六十億ばかりありますが、一月末現在の数字でございます。厚生保険預金は百八十三億円に相なります。
#63
○苅田委員 大体預金部資金のうちの一割以上が、厚生年金の積立金であるというわけですね。
#64
○舟山政府委員 さようでございます。
#65
○苅田委員 次にお聞きしたいのですが、二十四年度の厚生年金保険料の収入というものは、予算書によりますと大体六十億円余りを見込んでおりますね。そうすると二十五年度分の厚生年金の積立金によつて預金部資金増しはどれくらいに見込まれておるかということ、もしも二十四年度分が不明でございましたら、二十三年度の大体七十七億円の収入の中でどれくらいが預金部に貸し付けられたかということを御返答願いたいと思います。
#66
○舟山政府委員 二十四年度におきましては厚生保険年金は九十八億増加する見込みでございます。二十五年度は百三億見込んであります。
#67
○苅田委員 これは保険局長の方にお答えを願つた方が適当かと思うのですが、二十四年度の厚生年金積立金は百八十一億、全部預金部に入つているというのですね。これがどんな形で大蔵省の預金部に貸し付けておるのであるか。これは大体資料の九ですね。それがそういう形になつているわけですか。
#68
○安田政府委員 さようでございます。
#69
○苅田委員 そうしますと普通預金とか、定期預金とか、特別預金とかあるわけですが、これに対する利率というふうなものは同一ではないように思うのですが、さつきおつしやいました四分とか何とかいうようなことが……
#70
○和泉説明員 普通預金につきましては三厘、定期預金につきましてはただいま四分、特別預金につきましては、これは国債社債、それぞれ銘柄によりまして率が違つております。
#71
○苅田委員 二十四年度に大蔵省として厚生省に支拂う利子が、貸付金に対してあると思いますが、この利子の総額がどれくらいになつておるか。それから同様の金額を大蔵省が、さらにこれは公共団体等に貸し付けておいでになつたと思うのですが、その利率がどれくらいで、利子総額がどれくらいですか。これをお答え願いたいと思います。
#72
○舟山政府委員 ただいまその資料を手元に持ち合せておりませんのですが、後刻取寄せたいと思います。
#73
○苅田委員 それでは後刻取寄せて御説明願いたいと思います。
 次に大蔵省の預金部というのは、これはもちろん厚生省の厚生年金と積立金以外にもあるわけですが、これを大体どういうふうに運用しておいでになるか、大まかなところでよろしいのですが、おも立つた項目をお知らせ願いたいと思うのであります。
#74
○舟山政府委員 預金部資金の運用につきましては、戦前におきましては広汎な運用方法が認められておつたのでございますが、戦後におきましては、この預金部資金の濫用を防ぐという意味から、司令部の覚書によりまして、きわめて局限されております。そこでまず国債を持つこと、それから地方債を持つこと、なお地方公共団体に対する前貸しに使うこと。これは地方債に振りかえることを前提とするわけでございます。そのほか最近は個別的な了解を得まして、各種の公団に対する運転資金を供給しております。ただいま認められておりますのはその範囲でございまして、昨年末におきましては、預金部資金を、やはり了解を得まして、銀行にその余裕金を預託したということはやつております。それ以外の方法は、ただいまのところ認められておりませんが、次の段階といたしましては銀行などの発行いたします債券、いわゆる銀行債を預金部資金で持てるように話合いを進めたいと考えております。
#75
○苅田委員 これは二十四年度の預金部資金の中で、相当の数量のものが地方公共団体の貸付の内容になつておるというふうに考えるのですが、この地方公共団体の貸付の内容、つまりこの地方公共団体に貸し付けたものが土木費とか、保健衛生費とか、社会労働施設とか、警察とか、消防とかそういう費目別にどういうふうに使われておるか。大体の数字でけつこうでございますが、お知らせ願いたいのです。
#76
○舟山政府委員 地方債の発行に関しては、別途地方財政の監督上の許可があるのでございまして、地方が歳入、歳出のバランスの不足の場合にこれを発行するわけで、その内容はきわめて多種多様にわたつておると思います。ただいまこれも急のあれで持ち合せておりません。
#77
○苅田委員 その詳細な内容を知りたいのですけれども、後刻その資料を出していただけますでしようか。
#78
○舟山政府委員 預金部、政府といたしましては、地方債の引受けということ一本になつておりますので、具体的に何の事業に幾らという資料がとつてありますかどうですか、ちよつと確信がないのでございますがございますれば、さつそくお届けいたしたいと思います。
#79
○苅田委員 私の方の市の資料で、地方自治庁の方の資料には、大体さつき私が申しましたよりもつと詳しい項目別で、起債の内訳がしてあるわけなんです。ただこれはどこから起債を仰いだかという点がはつきりしておらないのですから、これはもしも大蔵省の方でおわかりにならなければ、地方自治庁べ行けば、どこから起債を仰いで、こういうふうにわけたというふうなことは明瞭になると思うのですが、いかがでしようか。
#80
○舟山政府委員 本年度において発行せられました地方債は、ほとんど全部が預金部資金の引受けで、公募したものはございませんから、もし本年度の地方債についてごらんくださるならば、その内容がすなわち預金部資金から出ておる。こう御了承置きくだすつてけつこうでございます。
#81
○苅田委員 本年度というと、二十四年度分はそうなんですか。
#82
○舟山政府委員 そうです。
#83
○堀川委員長 よろしいか。
#84
○苅田委員 いやまだあります。今の点を重ねてもう一度お聞きしたいのですが、そういたしますと、地方自治庁の方で出しておる資料によつて、地方起債を仰いでおるものがあるとすれば、これはほとんどこの預金部資金から出ておると、かように考えてよろしいというわけですね。
#85
○舟山政府委員 さようでございます。なおつけ加えますと、今年度は預金部資金では地方債三百十億を引受けております。なお地方債を引受けますほかに、その前貸し的なものも出ておる例がございますから、それらを総合いたしました方が、全貌がはつきりいたすわけであります。これはひとつ調べたいと思います。
#86
○苅田委員 その点は私ども非常に重要だと思いますので、ぜひお調べになつて、資料として出していただきたいと思います。それをお願いいたします。
 次に預金部資金について、二十四年度の運用方針要領というものが出ておるということを聞いておるのですが、それによりますと、特殊なものに限られて、ひもつきで自治警察の費用に、これが使われておるということを聞いておるわけですが、そういう事実がありますかどうか。お伺いしたいのです。
#87
○舟山政府委員 預金部といたしましては、起債許可のありました地方債は、これを引受けるのでございまして預金部からひもつきでやることはないわけでございます。
#88
○苅田委員 私が以前聞くところによりますと、これは多分保険局長からお聞きしたと思うのですが、預金部資金は、総司令部の意向によつて、大体これを置かした日がさまつておつて、地方公共団体、公共事業というようなもの以外は使われないというふうな話を承つておつたわけなんですが、先ほどの銀行局長のお話によると、今年度からはさらにこれが銀行の方の融資にも使われる。産業の方の融資にも使われるというふうな話も出ておるわけですが、それはどうなつたのですか。
#89
○舟山政府委員 これは昭和二十一年だつたと思いますが、司令部の覚書が出ておりまして、国債、地方債に限り預金部資金を運用できる、これははつきりしております。その後昨年に至りまして、これを公団すなわち政府機関にまで運用を拡張されたのであります。昨年の暮預金部に相当の余裕金ができまして、当局といたしましては、預金部資金が余つて運用されずにおるということはいかにも残念である。この余裕金を一時何らかの形で、金融市場にもあるいは経済界にも役立つように運用したいということを願い出ました。その結果として、昨年暮。ごく短期ではありますが、一時余つておる金を銀行に預けたらよろしかろう、こういう許可が出た次第でございます。
#90
○苅田委員 二十五年度の運用計画というふうなものは、大体できておるだろうと私も思うのですが、わかつておれば項目別に大体の御計画を御説明願いたいと思います。
#91
○舟山政府委員 二十五年度の預金部資金の総計は、新しくできます資金は千二百億もできるかと思うのでございますが、ただいま申し上げましたような運用方針を授かつておりますので、今確定いたしましたものといたしましては、地方公共団体貸付金三百七十億、これ以外には、たとえば、これもただいま申し上げましたように、金融債を持ちたいとか、産業資金に供給したいとかいうような希望はあるのでございますが、これらについてはただいま折衝中でございます。
#92
○苅田委員 そうすると、これは許可がおりれば、金融債の応募とか、産業資金にもお使いになるのでございますね。
#93
○舟山政府委員 国民大衆の間から集まつて来た金でございますから、できるだけそういう方面に使いたいという希望を持つておるわけでございますが、ただいまいろいろの制限がありますのは、郵便貯金を初めとして、国としてきわめて大事にしなければならぬ金である、この運用にあたつて、いささかも欠損の生ずるようなことがあつては、預けた国民に対して相すまぬから、これは安全第一主義で行くというような思想がございまして、そのために、ただいま申し上げましたようなことに運用が限られておる次第でございます。これを経済界あるいは国民全体の役に立たせますように、できれば運用範囲を広げて参りたいというように考えておる次第でございます。
#94
○苅田委員 銀行局長に対します質問は、大体それぐらいにいたしまして、お願いいたしました資料をいただきました上で、さらに質問いたしたいと思います。
 次に、矢野政務次官にお尋ねしたいわけですが、ただいま銀行局長の御説明によれば、厚生年金保険は、すでに昨年の末においても、相当の金が産業界の方にもまわつておる、さらに本二十五年度の計画では、これがなお金融債の応募とか、産業資金の方にまわるということを言われておつたわけでありますけれども、これは先ほど明らかになりましたように、この預金部資金のうちの一割は、直接労働者が積み立てたものである。半額は資本家が負担しておるわけですけれども、これが百八十何億円か入つておるわけです。しかも労働者の方は、この金を納めるためには、非常に安い賃金の中から、比較的高額な料金を負担しておるばかりでなくて、しかもそれがすぐ目の前に返つて来ないで、二十年先、十五年先というような長期の條件で預けておることは、この金が労働者の生活の向上のために、たとえば住宅であるとか、あるいはいろいろな医療設備その他の施設のためにまわされるということを期待しておるから、こういうことをやつておるのだと思うのであります。昨年末から、厚生年金の積立金を、そういつた施設の方にまわしてもらいたいという声が非常に大きいわけですが、そういう方面に少しもまわらないで、さつき言つたように、この金がどんどん産業界、金融界の方にまわつて行くということに対して、厚生次官はどういうふうなお考えでおられますか。そういつた大衆の希望に対して、当然と思われるかどうか。もし思われるならば、今後大蔵省と御折衝になりますか。その点について御意見を伺いたいと思うのであります。
#95
○矢野政府委員 今の御質問は、またたいへん建設的な御意見が含まれておる御質問だと思つておりますが、その問題だけ実は専門的に私研究しておりませんが、その御意見の中にも、非常に傾聴すべきことが確かに含まれておりますし、勤労者が汗によつて掛金として拂われたものが、結論的に全部産業資本の方面に重点的に使われるというような結果が事実あるとすれば、相当これは研究を要すると思います。ゆえに厚生省といたしましては、ただいままでそれがどういうように運営せられて参りましたか、責任者である大臣ともよく打合せをいたしますし、また大蔵省当局が、今までどういうプリンシプルのもとに金を運用したかについても、十分折衝いたしまして、もし御意見の通りに、産業資金という方面のみに重点的に使われるような結果であるとするならば、私としても相当これを是正する必要がありと認めておるものであります。いずれ十分研究調査、打合せをいたしました上、また御返答申すことにいたします。
#96
○苅田委員 ただいまの次官のお言葉は、実はきよう次官に御出席願つたのは、大臣が出席できなければ次官というふうにお願いしたわけでありますから、代理としての御答弁だと思うのです。そうだとすれば、これは非常に時機をはずしておると思うわけです。というのは、この問題は、きようやきのう起つた問題ではなくて、厚生年金について、労働者からの陳情も再々厚生省当局にもあつたと思うわけです。それから、この金がどういうふうに使われておるかということは、詳細には地方起債の内訳を見なければわかりませんけれども、相当警察費だとか、消防費だとかいうような、むしろ特に最近ひどくなつて来た労働者の弾圧の費用にも使われておると思うのですが、そういうことは、今後でなくても、すでに行われていることなんで、これに対して、もつとはつきりした認識を持つて、今までお受けになつた陳情等についても、大蔵省とも話が進んでおるはずじやないかと思うのですが、そういう点については、大蔵当局と厚生省は折衝なすつたことはないわけですかどうか。この点についてお聞きしたいと思います。
#97
○矢野政府委員 御意見はいたし方ございませんが、それらの金が労働者を弾圧するために使われておるなどとは、さらさら思つておりません。日本の警察そのものが、労働者弾圧のために設けられたというようなことの精神は、私と根本的に違つておるのでありまして、その折衝の詳細なる経過については、さいぜん私答弁申し上げました通りに、いずれよく御満足の行くように、あらためて御答弁申し上げたいと思います。ただいまその資料を持ちません。
#98
○堤委員 関連して伺いますが、先ほどから苅田委員の質問に対して、政務次官がお答えになりましたが、これは労働委員会でも、相当わが党あたりは問題にして来たものでございまして、去年の第五国会あたりから相当論議がかわされておるはずでございます。この厚生年金の積立金を、三分五厘の利子で大蔵省がこういうふうに流用するのはけしからんという声は、相当長い間ございます。矢野政務次官が政務次官になられます以前にも、相当参議院の方で問題になつたことであります。それを今日まだこれから研究いたしまして、というような答弁では、私は苅田さんじやございませんが、まことにたよりないと思うのでございます。これは衆参両院の労働委員会でもついておるはずでございますが、まだ次官がそれについて大臣と相談なすつたことがないというような言葉は、まことにもつてけしからぬと思うのであります。わが党といたしましても、これは労働委員からやかましく言われており、厚生委員会としては、当然厚生省の方で使うべき金なんだから、これをあらゆる社会事業施設に使うとか、また労働階級の救済事業にいろいろ使うというふうな面に充てるべきが当然であるということを言えということを言われております。速記録を調べてもらいましたら、相当言つておるはずであります。でありますのに、政務次官が、これから大臣と相談しなければならぬというようなことでは、大蔵省とかけひきなさつたという、前の林厚生大臣の答弁はうそで、今の政務次官のおつしやることが正直なんだと思う。ときどき困ると、うその答弁をなさるということが林副総理にはあるらしいというふうに、先ほど来思つておるわけでありますが、この次は、ぜひ林副総理を呼び出してもらつて、この点を追究したい。林副総理は、かけひきをやつて相当うまく行つておるという話を第六国会においてやつているが、政務次官はこれからするというのでは、これほどつじつまの合わない話はないと思う。これは私だけが言つておることじやない。わが党の政調も言つておるこることでありますから、今ごろそういう答弁をいただいては、労働委員にもしかられますから、副総理の答弁がほんとうか、政務次官の答弁がほんとうかということを確かめさしていただきたいと思います。これは次の委員会に残さしていただきたいと思います。
#99
○矢野政府委員 詳細な経過については、その責任の衝に当つている保険局長からまた答弁しますが、私の申し上げたのは、さいぜん苅田委員の御質問と御意見に対しての、政務次官としての考えで、今問題になつている御質問の点が重大であるので、さらに政務次官としては厚生大臣と百尺竿頭一歩を進めて、大いに御希望に沿うような結論を出そうと実は思つております。おしかりの点は十分ちようだいいたしまして、大いに勉強いたすことにいたします。
#100
○安田政府委員 今の政務次官のお答えにちよつと補足させていただきたいのでありますが、厚生年金の積立金が労働者の零細な金を積み立てた金であるから、非常に大事なものであることは論をまたぬのであります。しかし現在の厚生年金が積立金制度をとつておりまして、そして毎年積み立ててある一定の時期になりますと、どつと支出が出て来る。そのときのための用意としての性格を持つているわけであります。従いまして、労働者が積み立てた金でありますからして、それを全部労働者の方の福利施設として使うということは、片方から申しますと、もう少し有利、確実に運営して行くというような責任もありますから、全部をそれに使うということはやはりむりな話だと思います。従いましてその中の一部分を、労働省の方の福利資金に安く還元して貸し付けるということは、まことにけつこうなことだと思います。これが実は戦争中は大蔵省と協約ができておりまして、運営しておつたわけでありますけれども、先ほど銀行局長がお話になりましたように、戦後メモランダム等の関係でそれができなくなつております。それにつきましては、政務次官も大臣もずいぶんと骨を折つていただいております。なお大蔵省におきましても私どもと同じ見解でございまして、この前の当委員会でお話いたしましたように、国内的には大体目鼻がついて来ております。その上でのことを、大臣、政務次官から御処置願うことになつております。
#101
○堤委員 よくわかりました。一応御努力なさつたあとはうかがわれるのでありますけれども、今おつしやいました局長の言葉は少しおかしいと思うのです。それはもちろん積み立てておいてある金ですから、なるべく利子の高いところへ貸して、少しでもうまく使えばいいというようにおつしやるけれども、一応積み立ててあるのであつて、これを大蔵省が流用しているという点においては、私はかわりはないと思うのです。ですからこれは私ども聞き及ぶところでは、どうも厚生省がそういうところが、設置後日なお浅い省であるので、大蔵省にしてやられている。そうして大蔵省はこれを三分五厘の利子で握つて放さぬということをちよつと聞いたことがあるのですが、このところあたりがほんとうではないか。銀行局長がおいでになりますから、ひとつ―労働者の零細な、強制的に積み立てさせた金を大蔵省が握つて放さぬというような今までの風聞がほんとうであるとすれば、これはけしからぬと思います。今局長のおつしやつたところによると、大蔵省も同じ見解を持つておられるならばけつこうで、近ごろお持ちになるようになつたのではないかと思いますがひとつその趣旨において御努力をすべき点があるならば、厚生大臣及び政務次官もおやりになるのでしよう。われわれ国会議員といたしましても、お互いに御協力申し上げますから、これだけが協力してできないことはないと思いますから、ひとつ今後さらに御努力を願いたいということを、特に大蔵省の方々に申し上げます。
#102
○舟山政府委員 大蔵省に対して御発言がございましたので申し上げますが、この資金の運用につきましては、政府関係の資金は、預金部に集めまして、これを総合して、安全かつ確実、国民経済のためになるように運用するということになつておるのであります。これが多年の方向としてこういうふうに発達して参つたのでありまして、すなわち各方面で集まりました資金を、総合的に、財政なり国民経済と合せた方向に流すという考え方をとつているわけであります。預金部に方々から資金の預入があるわけでありますが、その集まつたことに一つ一つそれだけについて還元するという考え方は、資金の効率的な運用とか、あるいはやはり運用ということにつきましては確実ということ、つまりこの零細な金を出しました人々のためにいささかも損害を與えない、確実という面が強く強調せられますので、これは一ところに集めて、しつかりした運用をして行くということが適当であろうと考えます。従いまして各方面から集まつて参ります資金を、ただバラバラに還元するということでは、資金運用上は適当でないと考えます。またこの預金部資金の使い方でありますが、これは国家機関またはそれに準ずる公共的機関について放出せられますので、決して国民全般のためになつておらぬというようなことはないのでございます、こういう行き方をとつていることをひとつ御了承願います。将来この行き方をどうかえるかというようなことにつきましては、また別個の問題として研究いたしたいと思います。
#103
○堤委員 ただいまの銀行局長の御答弁でわかりました。これは局長を責めてもしかたがないのでございまして、現在の政府與党の性格ですからしかたがないですけれども、そのときそのときに応じて国民経済というものを勘案して、そんなに文句にとらわれずに、もつとほんとうの庶民階級の救済策というものがなければうそじやないか。これが政治だと思うのです。たとえば未亡人の問題にいたしましても、無差別平等という言葉をいつも固執なさつて、差別的な環境に育つて来た未亡人、母子家庭というものが、今日なお救済できないというのが民自党の性格です。一局長を責めてもしかたがありません。政務次官がおいでになつておりますから申し上げておきますが、ひとつ影の形にそうごとき、かゆいところに手の届くような方策をそのときそのときに打つていただきたい。政務次官は次官になられますまでは野党的な色彩の強い方で、はつきりとそういう主張をなさつておつたのでありますが、政務次官のいすをお占めになられましたから、林副総理に拍車をかけて実現していただきたいということを希望いたします。これは厚生年金だけに限らず、私は特に社会党といたしましてお望みいたします。
#104
○苅田委員 ただいま御説明になりました厚生年金の積立ての中から、一部を労働者の方の福祉にまわすという御計画だそうですが、大体これはどれくらいの割合になりますか。その点をお漏らし願いたいと思います。
#105
○安田政府委員 大体一割以内というくらいのところを考えております。
#106
○苅田委員 やはり保險局長なりあるいは次官なりにお聞きしたいのですが、ただいま局長から厚生年金というふうなものは、労働者の非常に大切な零細な金だから、ちつともそれが損が行かないように大蔵省の預金部の中でじつと持つているのだというお話があつたのですが、しかしそういうふうに大蔵省の中でじつと持つておつて、それがまわりまわつて警察の金になつたり、消防の金になつたりするということがほんとうの大事な持ち方か、それとも今は御承知のように、労働者はきよう食べる金、あす食べる金がないというので、ほんとうに自殺もしたりあるいはやけになつて暴動を起したり、そういう状態がたくさんあるので、そういうふうになつていて、これから十年先、十五年先に幾らかしれませんが、金をもらうのを平生から積み立てておくための大事な金の最も適当な使い方か。こういうことについて、もう少し常識のある御返答が願いたいと思う。少し意見にわたるかもしれませんが、それでもやはり大事な金は預金部に収めておいて間違いなく利殖をはかつてふえて行く方がよいというふうにお考えでしようか。それともわずか一割くらいの金では、どういうふうにお使いになるのかしれませんが、大して労働者の方の福祉にならないと思うのですが、御返答を願いたい。
#107
○安田政府委員 積立金の中から約一割と申しますと、大体二十億近くになると思いますけれども、これが被保險者の方のいろいろな施設に入つて行つて使われる。たとえて申しますと、住宅の資金になるとか、あるいは医療機関であるとか、あるいは教育施設費とかいつたものでございます。二十億の金を、現在これはどうせ利子をつけて貸すわけでありますけれども、これをこなすということになりますと、やはり相当な額じやないかと思います。そういう意味に使われる金といたしましては、決して少な過ぎるということはないというふうに考えております。なお十五年とか、二十年も先になつて使われるよりも、すぐ使つた方がいいというお言葉もありましたが、そういたしますと、考え方として養老年金が成立たないということになりますし、おそらく今度できます社会保障制度におきましても、養老年金なるものは相当重い比重を占めておるものと思いますけれども、そういう意味からも、私はこういう制度はますます助長して参りたいと思つております。
 なおこの機会に、先ほど岡委員からちよつとお尋ねがありました予算のことについてお答え申し上げたいと思います。養老年金の方の来年度の予算の十二億の給付額の内訳でありますけれども、遺族年金が七千九百二十一万四千円、寡婦、遺児年金が四億三千八百五十三万五千円でございます。それから障害年金が四千八百五十二万五千円、障害手当金が八千四百五十八万一千円、脱退手当金が六億三千六百五十九万八千円、合せて十二億八千七百四十五万円、先ほど申し上げました二億何がしの金は脱退手当金が入つておりません。これが五億円もありますので、本年度の予算は、昨年の予算額に自然増を見込みました額であります。
#108
○堀川委員長 銀行局長は参議院の予算委員会へ行かなければなりませんから、銀行局長に御質問の方からお願いします。
#109
○青柳委員 ひとり厚生年金ばかりでなく、簡易保険等から預金部に積み立てておる、その積立金の運用につきまして、確実な操作をされておることはわかりますが、その運用の間におきまして、政府当局は利益をもたらすことを考えておられるかどうかという点であります。この厚生年金は、勤労者の零細な金を集めたものであります。従いまして、この勤労者から集まつた零細な金をもつて、国家が利益をはかるようなことはないと私は思うのでありますが、聞くところによりますと、厚生年金の方に入ります利子は安くて、他に貸し付けられるときの利子は高いように見受けられるのでありますけれども、そういう考え方はあり得べからざる考え方のように、厚生行政の立場からは考えられるのでありますが、御意見を伺います。
#110
○舟山政府委員 預金部資金の運用につきましては、利ざやを多くして蓄積を多くするということは少しもねらいではございません。現状におきましては、経費の増高その他から、今年度においては、一般会計から三十数億の赤字補填をしております。来年度におきましても、まだ三億円ばかりの赤字補填をすることになつております。これか自立採算の域に達しますれば、貸付利率等は下げるようにいたしたいと考えておりますので、御了承願いたいと思います。
#111
○青柳委員 ただいまのお答えを承りまして安心したのでありますが、この厚生年金の金は、何べんも申しあげますように、勤労者の零細な金を集めたものでありますから、それだけ有利なように、厚生年金の方に利子を出すように、今後とも十分な御努力を願いたいと思います。私は昨日の委員会におきまして、最初にこの積立金の問題を取上げて、前々から数回にわたりまして、本国会におきましても、この積立金は勤労者の福祉施設のために返すことを希望しておるのでありますが、今回はぜひこの問題を解決いたしたいと存ずるのでございます。その点につきましても、現在大蔵省御当局の御努力を感謝いたしまするとともに、この問題が実現するように大蔵省御当局においても十分の御努力をお願いいたします。
#112
○岡(良)委員 先ほど苅田委員の御質問に対して政務次官から、きわめて巧妙な御答弁がありましたが、これは厚生保険特別会計法の第十二條で、「各勘定二於テ支拂上現金ニ余裕アルトキハ之ヲ大蔵省預金部ニ預入ルベシ」という法律があるわけでありますので、問題は、これを特別な金庫を設定するというような形で、労働者の強制的に積み立てられた、乏しい資金から出しておる保険料は、一括集約して、五十六條に規定されておるように、福利施設に大幅に使えるようなことは、法律的にはできないでしようか。保険局長はその点おわかりだろうと思いますが、どうでしようか。
#113
○安田政府委員 現在のところは、仰せのように国債か、あるいは預金部の資金に入れることになつております。これは現在の建前でございます。そのほか一つの基金を持つというような考え方もあるかと思いますが、その点につきましては、まだ十分研究いたしておりません。
#114
○岡(良)委員 それから政務次官にお伺いいたしたいのですが、先般も委員会で保護課長との質疑におきましても、また本日の保険局長との応答におきましても、よく社会保障制度というものが実現されるならばという仮定が、しばしば御答弁の中に見えるのでありますが、聞くところによれば、社会保障制度の確立については、相当関係方面におきましても、これを促進するような空気もあるように承つておるのであります。従いまして、おそらく年度内には、一応まとまつた案を、保障制度審議会から勧告があり得ることと私は想像いたしておるのでありますが、もしそういう勧告があつた場合に、政務次官は重大な決意をもつて、その実現のために、法的予算的措置を講ずるというかたい御決意があるかどうか。打出の小槌のように、何でも社会保障制度ができるならばということでは、一般国民もきわめて安心が行かないのでありますが、政務次官の御決心を承つておきたいと思います。
#115
○矢野政府委員 社会保障制度審議会の意思がそこに決定いたしましたならば、内閣総理大臣に対して答申せられますので、厚生行政に関するいろいろな結論づけられ問題は、ただちに厚生省としても民主的な世論の反映といたしまして、真剣に取組んで行きたいと思います。いずれ二十五年度の通常国会としての予算審議等は、あるいは終了して間に合わないような場合もあり得ると思いますが、その際は来るべき臨時国会において、補正予算等において予算措置をすべき問題はただちに予算措置をするというような決心を持つておる次第であります。
#116
○岡(良)委員 昨年の八月二十二日付で、社会保障制度審議会は第一回の勧告をなした。ところが、その緊急立法として健康保険の赤字財政の克服をやれという勧告は、完全に無視された。また生活保護の改善強化に関する勧告も、すでに発せられておりますが、現在まだわれわれは審議に至つておらない。こういうようなことで社会保障制度審議会の勧告というものが、これまでのところ、少くともきわめて無責任な取扱いをされておるということは、われわれとしても非常に遺憾に思うのでありまして、今度社会保障制度審議会の総合的な制度に関する勧告があるならば、ぜひとも当局としても実現をする所存であるということは、昨年の本会議における私の質問に対して吉田総理も答えられておられましたが、やはり特に厚生省当局としても、重大なる決意で実現していただくように、くれぐれもこの際お願いいたしておきます。
#117
○矢野政府委員 ごもつともでありまして、それらの勧告については、全面的な改正にまだ着手しておりませんが、健康保険におきましても事務費の二割増加、あるいは生活保護法の改善についても、目下ある度その精神を汲んだ改善をすべく、もう今明日中にオーケーを得ることと思つて御審議を仰ぎたいと思つております。よく御趣旨に沿うように十分の決意をもつて望みたい覚悟でございます。
#118
○亘委員 本法案の質疑も、大体終了いたしておるものと思われるのでありますが、この際質疑を打切りまして、討論終結後表決に付せられんことを望みます。
#119
○堀川委員長 ただいま亘委員より本法案の質疑を打切り、討論終結の後表決に付せられたいとの動議が提出されましたので、その採決をいたします。本動議の通り本案の質疑を打切り、討論終結の後、表決に付するに賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#120
○堀川委員長 起立多数。よつて本動議は成立いたしました。これにて本法案の質疑を打切り、これより討論に入ります。
    〔「委員長不公平」と呼び、その他発言する者あり〕
#121
○金子委員 これはただ単なる進行上の意見でありますけれども、厚生委員会にはときどき出ておりまして、非常に超党派的で気分よく研究させてもらつておるのでありますが、きようの動議のように、この改正法のことはもちろん問題はないといたしましても、こういう機会に、たとえばこの厚生年金そのものを一つとりましても、これは次の社会保障制度の一環であり、私どもの率直な立場から言いますと、今までの保障制度というものは、各職場職場あるいは、地域々々によつて、おのおの別個に起つておる。こういうあり方ではいけない。そうするとこれから国民の全体の立場に立つて、機会均等の社会保障制度というものをつくり上げなければならぬ。こういうふうな大きな職務を私どもは持つておると思うのであります。従つて本会議や何かの運行上方やむを得ないときには、委員長の方から、こういう事情だからこれは一応通して、研究課題としてあとへ残してほしい。それから時間が許されるならば十分討議をして、そうして建設的に次の効果をもたらすように議事進行を進めていただきたい。こういうことを私は議事進行に対する意見として申し上げます。
#122
○堀川委員長 いや、これは相当この前も予備審査もしておりますので、この厚生年金の問題に対しましては、この法律案を上げたからと言うて、質疑ができぬはずはないと私は思う。だからそれは、どなたかを呼んでこういうことを聞きたいということをあらかじめ言うていただけば、何度でも呼んでもらうようにする。それで質疑をしていただいたらけつこうかと思います。ただ私が考えますのは、この法案を上げましてあとにつつかけて来ておるやつが、まだ五つか六つありますし、それからまた法務庁の方も来ておりますし、相当これも重大なる問題だと思いますので、そういうようなかつこうになつたかもしれませんが、いろいろ御審議をしたいことは、どしどしやつていただいたらけつこうかと思います。いつでもおやりになるならば、呼んで来ることにはやぶさかではないと思うのであります。
#123
○苅田委員 議事進行について……。私はやはり皆さんもお聞きになつておつたように、きようの私の質疑はまだ済んでいないし、さらに銀行局長も資料を持つて来て説明をすると言つておいでになるわけであります。この説明をしていただく点は、先ほど委員長の方でもおわかりになつたように、預金部資金から出ておる金が、どういうぐあいに使われておるかということの、詳細な資料をいただくことになつておりますので、そういう点も十分審議をした上でないと、これについての討論ができないというのが共産党の態度なんであります。ですからそういうことをさせないで、これは何も非常にあとへ延ばすわけではなしに、おそらくこの次の委員会まで待つていただきますならば、それができるわけでありますから、私はぜひこれをしていただきたいと思うのであります。これは四月一日が施行日になつておるわけですから、きようあと三十分や四十分の時間をこの厚生委員会でとるということが、どれだけ今後の議事の妨げになるのか。そういうことも考えないで、私はこういう審議の仕方をすることは、ただ自由党とかあるいは委員長とかの利益のためには、そういうふうな審議がいいかもしれないけれども、私は本委員会における審議は、あくまで国民の利益に基いて審議なされなければならないと思うのであります。そういう点について、まだまだ不十分な点が残つておるから、これの質疑をしたいということに対して一方的に打切るということは、私どもとしては承服できない。この前のときには、私は皆さんの御意見だつたから譲りましたけれども、もしきようそういうふうなことをなさるのであつたならば、私は議院運営委員会に出して、そういう一方的なやり方については、徹底的に争うつもりでありますから、その点を申し上げておきます。
#124
○堀川委員長 舟山局長から言われたことはあとから資料を持つて来ますというだけで、持つて来て答弁するとは言わなんだ。あなたの方も資料を提供していただきたいということだけでしたから。それからまたあなたが言われるように、あと三十分か四十分で済むということですが、私の方ではその簡単には考えられない。この前のときもそうでありますし、どうもてんでばらばら、長いことやられたつてしようがないと思いますので、きようは亘委員からの動議が出ましたので、動議通りやつたわけであります。
#125
○苅田委員 しかし皆さんも聞いておいでになるのだから、聞くだけでも……
#126
○堀川委員長 聞くことは、あなたがお聞きになろうと思うことは、どの局長でも課長でも呼んで来ますから、いつでも聞いていただけばよろしい。
#127
○苅田委員 もしこのまま議事をお進めになるならば私は退席いたします。
    〔退席する者あり〕
#128
○堀川委員長 それでは討論に移ります。青柳委員。
#129
○青柳委員 私は民自党を代表いたしまして本法案に賛成するものであります。
 本法案の趣旨とするところは、いわゆる任意継続被保険者について、この際暫定料率を設けようとする点と、もう一つは、元ありました退職積立金及び退職手当法に基きますところの退職積立金と退職手当は、現在事業主が保管いたしておりますが、その額は非常に少額である。しかし一方事業主並びに被保険者よりも、強くこれを精算してくれろという意向も申し出ておるのでありまして、その線に沿つて改正をしようとする、たつたこの二点であります。
 積立金の問題などにつきましては、この改正法案の関與するところではないのであります。この二つの点につきましては何ら異議をさしはさむものでなく、すみやかにこの法の実施せられんことを切に望むものでございます。
 なお先ほども御論議の中に積立金の問題も出ておりましたので、厚生年金と申しますと、いつも積立金の問題が議に上るのであります。この積立金を現在被保険者たる勤労者の福祉施設に還元しておらない点は、いかにも残念でございました。何とでもしてこの実現をはかりたいのでございますが、この問題はひとり現在の内閣がやつた問題ではございません。片山内閣時代にも、やはりこのままで通つておつたものでございまして、わが内閣におきましては、この問題を解決しようとする熱意を非常に持つておられるという点について、私は非常にうれしく存ずるであります。私はこの際厚生年金の積立金が、すみやかにこの被保険者たる勤労者の福祉施設に還元せられることを切に希望いたしまして、それを條件といたしましてこの法案に賛成するものでございます。
#130
○堀川委員長 岡委員。
#131
○岡(良)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本改正案に賛成をいたします。しかし次の二点を特に急速に政府として法的、予算的措置を請ぜられたいのであります。
 第一点は今青柳委員も申されましたように、積立金の運用の件でありますが、現在労働者がくぎづけにされた低賃金の中から、法的に強制をされて拂つておるところの基金が、今年度の予算においても、労働者の福利施設には、法によつてなし得る規定があるにもかかわらず、二千三百五十万円しか出されておらない。しかして百八十一億が預金部の方に預入されておるというふうな現況にかんがみましても、ぜひとも会計令第百五條の改正、あるいは特別会計の規定を設けるか、それとも社会保険の特別会計法の十二條を改正いたしまして、特別なる基金のプール化に充て、重点的に大幅に、これを労働者の福利厚生の面に導入するごとき、法的措置が講ぜられたいのであります。
 第二点は、この厚生年金は、現在日本の一般民間労働者を対象としておりますが、しかしながら社会保障の観点から言うならば、単に官吏あるいは民間労働者のみならず、広く日本の人口の二分の一以上を占める農民もまた、当然養老、あるいは遺族下付等の年金の制度に浴せしめて行くべきでありまして、いわんや現在輸入食糧の関係や、あるいは肥料の値上り、その他いろいろな形において、恐慌のまつただ中にある農村に対しましても、かかる制度を広げて、全国民をその適用の対象とするところまで、力強く前進される必要があると考えますので、その意味合いにおいて、重ねて社会保障制度の実現のためには、政府は懸命の努力と責任ある態度をもつて善処せられんことを強く要望いたしまして」本法案に賛成をいたすものであります。
#132
○堀川委員長 以上で討論終局いたしました。採決に入るはずでありますが、都合により採決はあとですることにいたします。
    ―――――――――――――
#133
○堀川委員長 次に、派遣委員の報告聴取の件を議題にいたします。
#134
○堤委員 その間に政務次官に一つだけ質問させていただけませんか。
#135
○堀川委員長 それでは堤委員。
#136
○堤委員 政務次官にちよつと質疑をいたします。私のところにしきりに住宅金融公庫法案のことについて、いろいろと問合せがあるのであります。おそらく他の厚生委員も、たくさん問合せを受けておられると思います。これは、厚生委員の管轄下にあると思うので、国民の常識によつて相当質問が来ると思います。それから私たちの常識としても、これは閣議を通つたものが、われわれの委員会に付託されてしかるべき性質のものじやないかと考えるのでありますが、この点政務次官は厚生省の重要なポストにおいでになつて、いかにお考えになつておるか。ちよつとお聞かせ願いたい。
#137
○矢野政府委員 実は二十五年度に御審議を願つております厚生省所管の無縁故者住宅即引揚者住宅は、五億御審議を願つておるわけでありますが、その他の三十一億の建設省所管の分、あるいは住宅金融公庫の五十億、並びに見返り資金の百億つぎ込むという、その問題は現在のところ厚生省所管に属しておりません。政務次官会議等におきまして、その連絡折衝はいたしておりますが、ただ厚生省の所管する現在の機構においてはただいま申し上げた通りの事情でございますので、むしろ立法府であります皆さんの側におかせられまして、さらに建設省、その他を御鞭撻願つて、御要望を達していただきたく、むしろこちらから希望する次第であります。
#138
○堤委員 住宅金融公庫法案の運営、でき上つてからの実際面においては、相当労働者、つまりほんとうに金融公庫の法律によつて救われなければならないところの人たちの声が、入れられなければならないと思うのでございますが、建設委員会だけでやられると、これはほんとうの目的通りに運用されないのじやないかという心配が、非常にあると思う。だから労働委員会、厚生委員会は、十分これに対する意見の具申をしてよいじやないかと私自身は考えております。今迄に、政務次官から御希望がありました。ひとつ委員長の方でお考えを願つて、今後厚生委員会として、建設委員会の方へ意見を具申をするような手続をとつていただきたい。これはわが党として申入れをいたしておきます。
#139
○堀川委員長 それでは次に、派遣委員の報告聴取の件を議題といたします。
 去る三月七日より四日間にわたり、癩療養所内の療養状況、及び秩序に関する実地調査をして来られた丸山委員より、調査の報告をしていただくことにいたしておりますので、丸山委員からひと御報告願いたいと思います。
#140
○丸山委員 ただいま議題となりました癩療養所内の療養状況及び秩序に関する実地調査のため、に、去る七日から四日間、草津の癩療養所楽泉園へおもむきまして、調査いたしましたその結果を御報告申し上げます。
 この調査の最初の動機となりましたのは、去る一月十六日同療養所におきまして、患者撲殺の不祥事を惹起いたしましたために、それの原因及び将来これをいかに防止するかということの対策を樹立する目的でございまして、私と田中重彌君と岡良一君と三名が行き、なお專門員の引地亮太郎君、調査主事の神田洗君を同行いたしました。なお厚生省から玉村技官の御同行を願いまして、調査の方法は、療養の実況に関しますことは療養所におきます医師と看護婦その他の職員の活動状況、及び患者から直接にその状況を聽取し、並びに施設を視察いたしました。なおこの不祥事件に関しましては、同じくこれらの方々からそのときの状況を承り、なお前橋地方検察庁中之條支部、国家地方警察群馬県吾妻地区警察署、草津町の自治警察署におきまして、その職員、副検事、及び革津町公安委員長を喚問いたしまして、事情を聽取したわけでございます。詳しいことは報告書にございますから、時間の関係上省略いたしますが、大体の結論を申し上げたいと思います。
 まず療養の状況につきましては、関係職場員は所長の指導のもとに、誠意と責任を持つて療養の実をあげるよう努力しております。この努力を万全ならしむるために、まだなお欠陥があると考えますので、政府は特に次のような改善を、なすべきであると考えるのであります。すなわち従前行われていなかつたプロミンの注射療法が盛んに行われるようになりました結果、医師、看護婦はその注射の施行のためのみならず、副作用に対する処置のために、業務は急速に加重せられております。しかるに本園においては、医師の定員が九名であるのに対して、現在六名しかおりません。看護婦は定員三十一名に対して二十一名しかおらないのであります。しかもプロミンの注射は、これは朝夕分割注射をすることが最も望ましいのでありますが、人手が足りないために、これを一日一回しか注射しておらないのが現状であります。この医療要員の不足のため、医療効率の減退を来しておる実情であります。ゆえに少くとも医師は十名、看護婦は病床二十に対して一名になるように、要員の充足をなさなければならぬと考えて参つたのであります。なおそのほか研究設備を充実し、研究費及び図書費を増額するのほか、その勤務の状況によりまして特殊の勤務手当、あるいは寒冷地手当、勤務地手当、不健康業務加算等についても、その実態に即するように特別の考慮が拂われなければならぬと考えるのであります。御承知のごとく、寒冷地手当のごときは、県別にきまつておりますので、群馬県は長野県よりも低率になつております。しかるに草津は高原であります関係上、常に冬は零下の温度を保つておりまして、最低気温は零下十数度に達する状況であります。しかるに寒冷地手当は、長野県の六割に比し、群馬県は二割である状況であります。その他寒冷地でありますために被服、寝具、燃料等についても、その費用が当然増額せられなければならぬと考えるのであります。
 次に現在の患者の慰安費は月に二百円ずつ給與してあります。これはその病気の性質上、はなはだ衣服が汚染することが多いのでありまして、石鹸その他を購入するのにもことを欠き、また周囲の社会と離れて生活しております関係上、新聞、雑誌等を要求する者が多く、あるいは詩歌、俳句等によつてみずから慰めようとしておりますが、その雑誌、紙等を購入することができない状況にありますので、これは四百円程度に増額する必要があると考えるのであります。
 次にこの土地は火山灰地帶でございまして、ことに雪も多く、また結氷することが非常に多いために、その土質が霜柱で持ち上げられまして、それが解けますときには、道路は非常に悪くなるのであります。そのためにトラツクの車輪は埋まり、深きみぞをつくり、健康者といえどもこれを歩行するのには非常に困難な状況にあります。ましてこの病者は、手足の不自由な患者が多いために、治療を受けるために治療室へ行くのにも困難を感ずる道路の状況なのであります。この上に主要な道路はこれを鋪装し、あるいは整備し、冬期の除雪等においても適当な措置を講じなければならぬと考えておるのであります。
 次にこのたびの不祥事件に関する秩序の問題に触れます。御承知のごとく癩の予防法には、第四條ノニに「国立癩療養所及前條ノ療養所ノ長ハ命令ノ定ムル所二依り入所患者二対シ必要ナル懲戒又ハ検束ヲ加フルコトヲ得」同じく癩予防法施行規則第五條ノニに「療養所ノ長ハ入所患者二対シ左ノ懲戒又ハ検束ヲ加フルコトヲ得、一 譴責、二 三十日以内の謹愼、三 (削除)四 三十日以内ノ監禁、第一項第四号ノ監禁ニ付テハ情状二依リ其ノ期間ヲニ箇月マテ延長スルコトヲ得」こういうような規定がありますにかかわらず、昭和二十二年に、これらの処置を所長が加えるということは人権蹂躪であるというような見解から、この條文は空文に化しておるのであります。従いまして園長は自主的な保全措置を講ずることができなかつたということが、この事件の原因であると考えられるのであります。また事件が発生いたしまして以来、矢島園長は終始陣頭に立つて職員を指揮し、職員もまたこれに一致協力して事件処理に万全を期し、手落ちがなかつたものと私どもには見られたのであります。今次不祥事件の発端ともいうべき被害者中岡哲夫その他の兇暴なる言動については、楽泉園より警察署に連絡し、警察官を派遣して調査しておるにかかわらず、草津町警察署おいては、事前に一適当な防犯的措置を講じなかつたのであります。事件発生の当夜におきましても、警察官が園から派遣依頼を電話で受理してから現場到達まで、わずか三キロの道に二時間半を費し、その現場到着後においてもなお警官の面前において、撲殺が行われたのであります。事件に関係しておる患者は目下自粛自戒しておりますので、ただちに今後不祥なる事件が続発する危険はないように考えられました。しかしかくのごとき事態が起らないために、将来に備えるためには、次の対策が必要であろうと考えております。
 まず第一として、本園の周囲にさくをめぐらし、患者が自由に外出できないようにしなければならないと考えるのであります。
 第二は該療養所入所患者に対する懲戒検束の執行については、本事件発生後昭和三十五年二月二十七日厚生省医務局長及び公衆衛生局長連名をもつて、管下施設に通牒されたのでありますが、所長の懲戒権は一応回復したことにはなつておりますが、所長の行う監禁処分は憲法違反であるという見解が強いために、最高検察庁及び法務府等においても、これに対する明確なる解釈を加え、即刻これを管下の施設に通牒を発し、徹底させなければならないと考えるのであります。
 次に療養所内にあります監禁室は、採光、換気、濕度、保温等に留意して、民主的な施設にすみやかに改造する必要があると考えるのであります。これは現在使用しておりません過去にありました監禁室を直接に見まして、その設備があまりに不良でございまして、これでは人権蹂躪問題を起すのもむりからぬのではないかというふうに感じられたのであります。これを改造いたしまして、代用刑務所として、ある法的な措置が今後講ぜられなければならぬと考えるのであります。もちろんこの場合その収容しております者に対しての治療は、療養所長がこれを行う。しかも監視は警察官においてこれを行わなければならぬと考えるのであります。
 次に万人は法の前には平等であるという原則に立つて、司法権の発動は、癩患者に対しても仮借なく同様に適用せられなければならないと考えるのであります。従つて必要なる取調べ、拘束等は、躊躇することなく行われなければなりません。その結果、起訴せられ、あるいは成規の判決を受けた者は、刑務所に収容されなければならないはずであります。しかるに現在その設備がないのであります。そのため今までの癩思者の犯罪者は、あるいは行刑猶予になりますか、その他の方法をもつて、事実刑の執行が行われておらなかつたのであります。これが癩患者をして、あたかも特権があるかのごとく、いかなる犯罪を犯しても自分たちは刑に処せられることがないという観念を與えましたために、かくのごとき事態が起つたものと考えられますがゆえに、癩療養所に隣接して特別なる刑務所を一、二箇所に設置をしなければならないと考えるものであります。しかもその刑務所内の療養は、療養所長がこれをなすべきであります。
 次に四として、刑を終つた者、あるいは刑に付するには及ばないが、教化を必要とする者に対しては、特別なる教化施設を持つておるところの療養所を別につくるべきであろうと考えるのであります。
 次に五といたしまして、本園においては相当数の朝鮮人の癩患者を収容しております。この朝鮮人癩患者は、その風俗習慣が日本人と異なり、言語の理解が不十分であるために、しばしば意思の疏通を欠くことがあるのであります。そのために療養所の運営に支障なしとしませんので、これは本人たちの希望もございますので、なるべく早くこれを本国である朝鮮に送り返すような処置が講ぜられなければならぬと考えるのであります。
 なお詳しく申し上げるといろいろございますが、これをもつて概略の御報告といたします。なお御質問がございますれば、資料は非常にたくさんここにございますから、お答えいたします。
#141
○岡(良)委員 なお私ども現地に参りまして、当園に約一千余名の癩患者が収容されておりますが、その代表の人たち十名ばかりと、いろいろ隔意なき懇談をいたしました節に、いろいろな要求もありましたが、全体が一致して特に強く要求をされておつた点を一言だけ、丸山さんの御報告につけ加えて申し上げておきたいと思うのであります。
 それは現在の社会の癩に対する認識がきわめて遅れておる。癩は現在ではすでにりつぱな伝染病であり、従つてこれを予防することのできる方法もすでに確立されており、かつまた治療等も進歩いたしまして、その軽快を見る段階にまで進んでおるけれども、古いいわゆる天刑病という観念のもとに、癩患者のみならずその家族に対しても、まことに不当な取扱いを受けるために、そのために起る精神的苦痛は、患者のみならず家族にとつてもまことに遺憾であるので、政府としてもこの癩患者の癩病そのものに対する最近の医学の段階においての適切な認識を、広く世間一般にも普及せしめてもらいたいということが、その懇談会の代表者の諸君のひとしく叫んでおられた点でありますので、一応補足的に御報告を申し上げておきます。
#142
○堀川委員長 御質問はございませんか、それでは今の丸山委員の報告に対して、久下医務局次長から何か御意見を承りたいと思います。
#143
○久下政府委員 ただいま丸山委員から将来の改善対策につきまして、いろいろと御意見がございました。厚生省に関係をいたします部分につきまして、私から現状並びに今後の私どもの考え方につきまして御説明を申し上げまして御了解を得たいと思います。
 まず第一はプロミン注射をしておりますのに、これに必要な医師及び看護婦の人員が非常に少くて困るという話でございます。確かにお話の通りでございまして、私どもといたしましては、昨年来坤フロミンの注射をいたしますために、医師及び看護婦の定員を増加する必要があるということを認めまして、二十五年度予算の折衝に当りましても、相当数の増員を見込んで要求をいたしたのでございましたが、全般的な増員抑制の方針に押えられまして、そのための増員は認められなかつたのでございます。ただ御審議をいただきましたので、御承知であろうと存じますが、来年度の予算の中に、熊本の菊地惠楓園に一千床の新設の療養所をつくる予算が認められておりまして、これに伴います人員の増加も、従来の比率で認められておるのでございます。これはまだ予算もきまつておりませんので最終的な、確定的なものではございませんけれども、いろいろ準備的な打合せをしております段階におきましては、予算的には全然新しい療養所ということになつておりますけれども、実際は菊地惠楓園の拡張というふうなかつこうでやるようになつた方がいいのではないかという意見もあるのであります。そうなりますと、そこから若干の定員が割き得るのではないかと思つておりますので、もしさようなことになりましたならば、予算的には少しむりなのでありますけれども、何とか他の療養所に少しづつも潤うようにいたしたいと考えて、関係の筋に認められたときには、折衝をする考えでおる次第でございます。
 それから研究費でございますとか、あるいは職務手当の問題、寒冷地手当の問題、僻地手当の問題等、いろいろお話がございました。それぞれごもつともな点でございます。研究費につきましては、きわめて少額のものが認められておるだけでありまして、御要求になりました各事項につきましては、私どもとしても今後とも折衝を続け、増額に努力をいたしたいと考えております。
 次は患者の慰安費について、現在二百円であるのを、四百円にしていただきたいとうお話でございます。これも私ども全然同感でございまして、二十五年度予算の折衝に、その増額方を要求いたしたのでありますが、従来通り二百円ということで、査定を受けておるような実情でございます。これらの点につきましても、なお今後とも一層の努力をいたしてみたいと思つております。
 それから所内の道路が非常に悪いというお話でございますが、これは何とが予算のやり繰りがつきましたならば、できるだけ早い機会に改善をするようにいたして参りたいと思つております。
 次に秩序の維持の点でございまして、私どもに関係しているお話が一つ、二つございました。まず第一は周囲にさくをめぐらすというお話でございます。この点は実は多少の問題があるのでございまして、御承知の通りあの施設内を、公道でありまする県道が走つておりますために、楽泉園の周囲にかきをめぐらしてしまいますと、一般の通行人に非常な支障を来すことになります。また道路を通行し得るようにかきをつくりますと、所の中の連絡が悪くなるということで、実は非常に悩んでおるのでございます。費用の点もありますし、この点につ事ましては、何かもつといい方法があれば考えたいと思いますが、ただいままで話が出ておりますところでは、公道である県道が施設内を走つております関係で、実行は困難な実情にあるような次第でございます。
 それから監禁室の構造でございますが、御指摘がございました点はごもつともでございまして、この点は先ほど申し上げました一千床の増床以外に、各療養所に従来の施設の改善によつて、一千床別にふえることに相なつております。これらの経費を何とかやりくりをいたしまして、至急改善をするようにいたしたいと思つております。
 それから朝鮮人の患者を、希望に応じて本国に送還するようにということでございますが、この点は私どももぜひそうしていただきたいと思いますので、関係の方面と十分連絡をいたして参りたいと思います。
 なお最後に岡委員から癩に関する社会一般の認識が不十分であるから、これを徹底する措置を講じたらよいというお話でございました。ごもつともでございまして、私どもも今後あらゆる機会をとらえまして、そういう点に十分の努力を拂いたいと考えておる次第でございます。
#144
○丸山委員 いろいろ今のお話を承りまして、当局の御熱意のあろことははなはだ満足に存じますが、至急その意に沿つて実現せられるように御努力願いたいと思います。ことにさくは私も多少問題であろうと実は開いて参つたのであります。開いて参りましたが、そのさくはそれほど重点ではなくて、金のかかる問題でありますから、それほど重点的に考えなくてもよいかと考えますが、療養所の職員が現在勤めておられますところは、勤務地手当その他の関係から見ても、非常に僻陬の地でありますから、その子弟を教育することができない。現在勤めております方の子弟が、少くとも高等学校程度になつてはもうあそこの町にはおられない。もうここに勤務しておることができないということを訴えられております。癩療養所へ勤務しておられます方は、これはどちらかというと、特殊な方というわけではございませんが、特別な熱意を持つた方たちなのでありまして、こういう方たちを失いますと、この補充にも非常に困難であろうと考えます。また現在勤められております年齢層を考えましても、七十歳以上の方が二人もおられますということは、こういうことの困難さを物語つておるのではないかと考えますので、至急こういう点については御考慮願いたいと考えておる次第であります。
 次に法的なことを少しお伺いしてみたいと考えます。御承知のように癩予防法には定めたものがあるのでございますが、これは現在空文に帰しておるのでございます。この前の議会にこれが問題になつた結果、空文になつております。法律にきめられてあるものが、そのときの解決によつて適用できない。空文になるということは、はなはだ望ましくないと私どもは考えます。しかし癩予防法に定めてあります今の所長が、こういう司法権を行使することは、この法律だけでさしつかえないものでございますか。あるいはその所長を特別司法警察職員として、特に指定するという法的な裏づけがなければ、これが実行できないものであるか。それから施行規則にございます内容でありますが、今の三十日以内とか、あるいは二箇月に延ばすかということでございますが、これは施行規則のようなものでこういうものをきめて、法的にさしつかえないのであるかどうか。ひとつお伺いたしたい。厚生大臣が定める細則というようなものもある。厚生大臣が司法に関する措置を定めて、それがすぐ効力を発生して、それでさしつかえないのであるかどうか。この点をお伺いしたいと思います。
#145
○佐藤(藤)政府委員 ただいまの法制関係についてお答えいたしたいと思います。癩患者を強制的に癩療養所に収容するということは、これは申すまでもなく癩予防法の規定によつて運用されておるのでありまして、癩患者を社会から離隔して、癩病の伝播を防ごうという純粋にいわゆる予防的な行政措置でありますから、この癩患者の特殊性にかんがみまして、療養所の中で脱走を防ぐため、あるいは園内の秩序を維持するために、ある程度の懲戒処分をしなければならぬという必要は、当然認められるのでありまして、癩予防法の法律の委任を受けて、現在は癩予防法施行規則というものを省令で規定されておりますが、この法令の根拠がありますれば、必要なる限度において懲戒処分を行うことは適法である。かように私どもは解釈しておるのであります。
#146
○丸山委員 言いかえますと、別に園長は特別司法警察職員として指定する必要はないわけでございますね。
#147
○佐藤(藤)政府委員 ただいま申し上げましたように、癩予防法の法律で委任をいたしておりますから、その委任の範囲内で、施行規則においては療養所長に懲戒権を付與しておる。これは一向さしつかえないと思います。
#148
○丸山委員 実は法律が改正になつておりませんから、その法は生きておつたわけであります。しかるに昭和二十二年の議会におきまして問題になりまして癩療養所の所長がかくのごとき監禁を行うことは、人権の蹂躪であるということのもとに、この法の適用がとめられたのであります。従いまして監置所と申しますか、拘留所と申しますか、どうも名前ははつきりわかりませんが、そういうものが今立ちぐされの形になつておるわけであります。また人々の寄付金によつてできたと思いますが、特別の病室と申しますか、重犯罪に属する癩患者を収容する特別なものができておつたのであります。これも現在荒廃に帰して使用にたえないような状態になつておるわけであります。そのときのただ都合によつてこの法の執行を停止するというようなことが、二十二年においては行われておつたのでありますが、これは合法的なものでございましようか、いかがなものでございましよう。
#149
○佐藤(藤)政府委員 ただいまの通牒というのは、おそらく厚生省の方から癩療養所長の懲戒権の発動についてその運用上苛酷にわたらないようにという趣旨で出たことと思いますが、それによつてただちに法律及び施行規則を改正するというような趣旨ではなかつたろうと考えております。
#150
○丸山委員 そのときの通牒の全文を読んでおりませんので、実ははつきりわからないのですが、事実においては、これはその使用を全然停止しておる状況で、そのためにかくのごとき惨事が起つたのであります。いかがでございましよう。
#151
○久下政府委員 私から当時の事情を申し上げたいと思います。確かにお話の通り、昭和二十二年の暮以来、楽泉園事件の際にこの問題は、事実上の停止を見るようになつたのでありますが、もともと問題の焦点は、今お話の中にございました特別病室と称する刑務所類似の建物について問題があつたのでございまして、各癩療養所にございまする懲戒検束の場所が、具体的に問題になつたわけではなかつたのでございます。ああいう特別病室というものに収容をいたしますことが、結局法律上の根拠といえば、癩予防法第四條に基くものであるというような関係から、それが憲法違反ではないかということで国会で御審議の際に相なりましたので、私どもはこのときに、実は文書をもつてする通牒を出したのではございません。各療養所長に、会議の際に、口頭をもつてその点を伝えまして、事実上こういうふうに国会で問題になつてそうして裁判を経ずして自由を拘束することは憲法違反だという話であるから、というような注意をいたしたのでございます。
#152
○丸山委員 そうしますと、これの対策としては一先般文書で出されておりましたのは、癩予防法第四條の二に定める懲戒検束に関する最高検察庁及び法務府の見解について、というのが玉村枝宮以下十数名の御連署で出ておるわけであります。これは厚生省及び療養所長といたしまして、最高検察庁及び法務府に直接お話になりまして、再びこの條項を生かしてこれを使つて行くというふうなことが出ておるわけであります。ただいまの御答弁によりますと、これだけですでにこの癩療養所の所長は監禁とか、あるいは検束というようなことがすぐ実行できるともちろん解釈できます。しかし今まで二十二年からこれが停止せられておつたというようなことが実際にありましたので、ただこういうような申合せを厚生省の技官というような方から園長あての名前で出されるのではなく、これを最高検から直接に検察庁その他にも御通知になるべきが万全ではないか、かように考えられるのでありますが、その点いかがでございましようか。
#153
○高橋(一)政府委員 癩療養所におきまする監禁の施設につきましては、法律問題としては、刑政長官からただいま申し上げた通りでありまして、この点は法制意見部の方とも十分協議いたしました結果、法務府の公式の見解と申してさしつかえないと思うのであります。私の理解しておりますところでは前の楽泉園事件でたいへん問題となりました結果、特別病棟はとりこわされ、その他の監禁施設も残つておるかどうか存じませんが、運用が停止しておつたというふうに考えるのであります。おそらく当時問題となりましたのは、ちようど刑務所のように、一年も二年もそこに監禁して置くとか、あるいは当時ありました減食をやるとか、そういつたような行き過ぎの点があつて問題になつたのであつて、懲戒そのものを問題にしたとは考えられないのであります。ただ当時の風潮といたしまして、そういう問題になりましたものですから、療養所の職員も非常にやりにくくなりまして、おそらく必要以上に懲戒も差控えておつたというふうに考えるのであります。そういうふうに私ども理解しておりますし、また法律上の見解も、ただいま長官から申し上げたような次第でありまして、今申されました文書にも、たまたま私の名前が出ておりますので御答弁申し上げるのでありますが、そういう点につきましては少しも疑問を持つておりません。この点は刑事事件の方の問題に、格別なる問題でもございませんし、検察庁の方としてそう誤解があるとは考えておりませんので、ただいまお述べになりましたような全国に通牒といつたようなことは、格別必要ではないというふうに考えております。むしろ厚生省側では、それぞれ癩療養所の職員の方々に徹底させれば、それでよろしいのではないかと考えておる次第であります。
#154
○丸山委員 私ども実際に調査いたしましたところでは、地方検察庁の一部分では、やはりそういう執行が停止になつておつて、これを使つてはいかぬというような御見解があるやに、私どもは見て来たわけであります。また警察署においては、まつたくその見解でございます。全然これを使つてはならぬと解釈しておるわけであります。だから今度は、これを私ども厚生省といたしましては、当然この癩療養所の所員に対しては通達できましようが、権限上これを検察庁に通知する権限はないと思います。これは当然あなたの方で、いずれかの方法をもつて、その旨を地方の警察にお伝えを願わなければならぬと考えますが、いかがでしようか。
#155
○高橋(一)政府委員 ただいまのような誤解を生ずる向きがもしございますならば、なるほど通牒でもしてその誤解を解いた方がよろしいと思います。よく厚生省の方と御相談いたしまして、適切な処置をとりたいと思います。
#156
○丸山委員 次にこれに関しまする対策として、代用刑務所を置く必要があると私どもは考えておるのでございますが、こういう施設の中には懲役監禁、禁錮監禁あるいは拘留所拘置監禁というような区別があるそうでございますが、そういう区別なしに、ただ代用刑務所というような名称で、癩療養所に近いところに刑務所を付設していただくということは、法規にさしつかえございませんか、いかがでございましようか。
#157
○佐藤(藤)政府委員 先般の草津の司法事件にかんがみまして、ただいまの御意見のように代用監獄を設けたらどうかということを、厚生省と法務府との間によりより協議いたしたのでありまして、その協議の結果といたしまして、癩患者の受刑者に対しましては、特に指定した国立療養所の一部を監獄に代用して、そこに収容するようにいたしたい、こういう結論を得まして、予算的措置を講じようと努力いたしたのでありまするが、明年度の予算についてはその運びに至りませんでしたので、できるだけ近い機会にさように取運びたいと考えております。
#158
○丸山委員 ただいまお伺いしたのになお御答弁不十分なのでありますが、この刑務所と申しますか監獄と申しますか、それに種類があつて、その罪によつて多少違うように考えるのでございますが、そういうような区別を上ないで、代用刑務所というようなものを單一にこしらえてさしつかえないかどうか、お伺いしたい。
#159
○佐藤(藤)政府委員 癩患者は特殊な受刑者でありまするから、單に一定の刑務所に収容するというだけでは足りませんので、どこまでも癩病に対する療養をしなければならぬという責任を国家としても持つておりますので、もし癩療養所の一角に代用監獄をつくりましてときには、その一定の区画の中に入れて療養をする。そうして療養しながら刑の執行をするという方法をとりたいと考えております。従つて普通の受刑者のよいように禁錮刑、懲役刑等の区画を設けて牧容するというようなことなく、一般にその代用監獄に収容して刑の執行をするというふうに持つて行きたいと思つております。ただ裁判の上において、懲役刑の言い渡しを受けた者に対しましては、刑法上一定の定役に服せしめなければならぬということになつておりますので、その癩患者たる受刑者が、もし労役にたえる程度の軽患者でありますならば、その療養にさしつかえない程度で、あるいは労役を科するというようなことも考えなければならぬと思います。
#160
○丸山委員 次にお伺いいたしたいのは、今の不祥事件の起りましたのは、何と言いますか、親分と申しますか、乱暴な人たちが短刀を所持して、他の善良なる患者を脅かしたというようなことが、直接の動機になつたわけでございます。この点につきまして、短刀を持つておるから、その短刀を取上げてもらえないかということを、草津の警察署にしばしば連絡したにもかかわらず、警察はこれに対して何らの処置もしなかつたということが、今度の事件の発端であると考えておりますが、しかし警察署から聞きますと、短刀を持つておつたのではということを確実に言うためのではない。持つておるという風聞であるというふうに聞いたからこれを見なかつたのだ、こういうふうに言い訳をしております。しかし患者から直接聞いたところでは、そういうふうには申しておらないわけであります。そういうような短刀を持つておつて、将来いろいろな事件が起りそうだというような危険があります場合に、警察官が癩療養所に入つて、いわゆる家宅捜索をするというようなことは、警察署方面から聞きますと、短刀のあり場所をはつきりと、訴えた者から指示してくれなければ、これは不可能であるという答弁を受けた。さようなことでは警察権というものは、非常に不十分だと私どもは考えるのでありますが、その点いかがでしようか。
#161
○高橋(一)政府委員 令状をもらつて捜索をやります場合には、やはり捜索すべき場所でありますとか、あるいは目的とする物件が明示されなければならないと思います。だた具体的の場合に、どの程度で場所なり、あるいは物が特定されておるとかいうようなことは、具体的に断判しなければ一概には言えないと思います。今のお話の場合は、そういうふう場所なり何なりが特定しないというのが、警察官の口実になつたのか、あるいは申告した方で必ずしも短刀を持つているということに確信が持てないで、どうもそうらしいのだがという程度で警察官に言つたので、警察官もなかなか動きにくかつたのか、あるいは十分な根拠があつてなお警察官が場所柄、赤常に職務の執行が敏速に行かなかつたのか、その辺の事情は詳しくは存じておりませんが、いずれにいたしましても私どもとしましては、楽泉園事件というものは、今回の事件をさかのぼつて適正にどうするということは、かなりむずかしいの参ではないか。要するに今度の問題を契機といたしまして、たとえば拘禁の施設であるとか、懲戒の根拠であるとかいうようなものを逐次整備して参りまして、将来こういう事件の起らないようにするという方に努力を向けたいと考えております。
#162
○丸山委員 次に刑余の者及び刑に服しなくてもよろしいが、多少悪質な人たちの強制保護施設、特別な療養所をつくたらどうかと私どもは考えておりますが、これは久下さんかちよつと……
#163
○久下政府委員 その点につきましては、なおとくと研究いたしてみたいと思いますが、ただ御承知の通り癩療養所は、大体におきまして一般から隔離されておりますし、また数箇所の療養所は島嶼の上に、ほかに全然施設建物がなく、療養所だけがあるというようなところもございますし、癩療養所それ自身、すでに教化的な目的を達し得る施設でもあると考えられますので、特別なものをつくらなくても、そうした面に対しまして、療養所の運営上留意をするということでも、目的を達し得るかと考えます。なおこの点は私どもといたしましても、十分検討をいたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと考えます。
#164
○岡(良)委員 癩予防法の第四條なり、施行規則によつて監督することができることになつておるわけで、そういう権利が所長には復活されたということですが、実際草津において見ますと、特別病室のごときは、きわめて陰惨な、非人道的な印象を與えるものなのです。また予防法の施行規則を執行するためのいわゆる監置病棟というものは、きわめて非人道的な感じが実はするのですが、ああいうものは、やはり一つの施設の基準を厚生省あたりが示されてやるということにしなければ、昭和二十二年のような物議をかもすと思いますから、何かそういう点について具体的な考えがありますのでしようか。
#165
○久下政府委員 先ほど丸山委員のお尋ねにお答え申し上げました通り、監禁施設は各療養所にあるのではありますけれども、二、三年使つておりませんので、相当荒廃をしております。どうせこれを使い始めます以上は、相当手を加えなければいけないと思つておりますので、それにつきましてはまた委員の方々の御意見も伺いまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと考えております。
#166
○岡(良)委員 先ほどもちよつと申し述べましたように、実際現地について事情を見ますと、やはり癩者であるために、どちらかというと、治外法権的に取扱われておる。そこで乱暴な者は、おれは癩だから警察の方では手加減をしてくれるというので、ますます増長する。そこでまじめな園内の療養者諸君が、それでは、警察が自分たちの園内の秩序を守つてくれないならば、われわれはわれわれの自力で秩序を守らねばならぬというような形で起つておるというふうな動きも、非常に強く感ぜられたので、そういう点で、今後もあり得ることですし、現に四十三犯の患者が楽泉園に最近までおつたそうですが、これなども微罪起訴処分で何をやつてもぽんぽん釈放されて罪を重ねておるというようなかつこうになつておるので、これは希望ですが、癩患者の療養所の監置病室等を見ましても、とにかく八千人ほどしか現在収容されておらないし、推定の病人は四万とも言われておるのでありますから、国内には相当の者が療養所に入らないでおるので、警察関係等においても、癩者はなおるものである、非常になおることは困難でも、とにかく伝染病である、従つて予防することはできるのだという、科学的な認識を取締りの諸君も持つていただいて、不当に治外法権的な取扱いをしないように、これは法務府あたりでひとつ大いに督励していただきたいと思います。
#167
○高橋(一)政府委員 この種の問題につきましては、従来は何といつても病気が病気なものですから、第一線の大勢の方々が、必ずしも思い通りには動かなかつたと思います。しかしながらもつと根本的な原因は、捜査、検察あるいは裁判をいたしましても、最後の刑務執行が担当されておらないというところが非常に重要な問題でありまして、これを確保しなければ、いかに前の手続をやつてみましても、結局は同じことになるのじやないかというふうに考ええております。そこで私どもといたしましては、第一段の努力を拘禁の施設を確立することに置きまして、これに並行して捜査あるいは検察ということを的確にやりたいと考えております。
#168
○丸山委員 さつき岡さんがおつしやいましたことを私はなら敷衍して申し上げたい。現在荒廃に帰しているとは申しながら、おそらく当時の状況は、まつたくこわれてはおらなかつたと思いますが、拘置所は昔の伝馬町の牢獄のような、大きな木の格子で前が囲つてありまして、それには何らの風さえぎる処置がしてなかつたらしい。御承知のように草津は、夜になるとマイナス十数度に下る。あの所で拘置所とは申しながら、吹きさらしの板の間であらたらしいのですが、格子が囲んだだけで、しかもそのまわりは高いコンクリートの塀で囲んで、日当りも悪い。ああいう状況では、おそらく人権蹂躙という問題が起ることは当然だと思います。これからこれをつくります上におきましては、拘置する、監禁するというようなことは、懲戒ではなく保安である。特にそれは病舎であるという考え方から、もう少し人道的の病室らしい拘置所をつくられるようにすることを、私の希望として申し上げておきます。そうでなければ、おそらく再び人権蹂躙問題は必ず起る。しかもそのために今より以上の惨事が起るということを、私は特に申し上げておきます。
#169
○中川委員 先ほど来伺つておつたのでありますが、今高橋さんから、最後の刑務執行の制度が確立していないために、これ以上の手はつけられないというような御趣旨に伺つたのであります。これについては、むろん国会として重大な関心を持たなければならぬと思うのでありますが、高橋さんの方で何かこれについて、今日まで腹案なり何なりお考えになつたことがありますか。
#170
○高橋(一)政府委員 私の立場をあらかじめ申し上げておきたいのでありますが、これは法務府でも問題が矯正保護局の方の関係になるのであります。ただ検察庁の方の仕事を私どもの検務局でやつております。問題が今のところ、厚生省の方と法務府の矯正保護局の方の問題とにかかつているわけであります。それにつきましては検務局の方としては、検察の立場から非常に関心を持たされているわけであります。そうい仕事の関係を御承知置き願いました上で、お答え申し上げたいと思うのでありますが、私どもの立場から申しますと、先ほど岡委員からもお話になりましたように、とにかく捜査、検察、さらに裁判、刑務執行ということが的確に行われませんために、警察頼むに足らずといつたような気分ができていることが、非常に大きな原因だつたと思います。そこでそれを的確に行いますために、刑務執行まで担当することが必要である。それと同時に、癩予防法上の監禁その他の懲戒の施設も必要でございます。私の考えといたしましては、たとえば村山の全生園あたりを拝見いたしましたときに、やはりお話のように昔のいわゆる牢屋式の監禁施設でありまして、今日では、もはや懲戒の施設としても不適当であると考えるのでございます。そこで癩予防法上の懲戒の施設としてあのような施設を、厚生省の方でまず改善されまして、療養にも適するし、監禁の効果も果し得るようなものにいたしまし、てそうしてそれを法的の措置をいたしまして、代用監獄に指定する。現在の代用監獄としますのは、警察の留置所だけでありますが、留置所はああいう施設ですので、既決囚については一箇月以上続けて置くことはできないとされているのであり産ますが、これは別に代用監獄とする場合の通則ではございませんので、その代用監獄の施設が十分長く置くに足るものであるならば、そういう制限はいらないものだと考えます。それから先ほど丸山さんのおつしやつておられた物置監、禁錮監、懲役監といつた区別は、これは代用監獄におきましては必要でございませんので、まず懲戒処分を行う場所としての施設を至急整備していただきまして、それを代用監獄というふうに法的措置を講じまして、それで大体の目的はまず達し得るのではないかと考えております。
#171
○中川委員 先ほど長官から、拘禁の施設について厚生省と折折衝したところが、今年度は予算がとれなかつたというようなことでありますが、これは久下さんに、一体どの和度の御構想になつておりますか。予算はどの程度厚生省としてはおとりになるつもりであり、また全国の療養所にどの程度のものをつくろうというような御折衝をなさつておりますか。
#172
○久下政府委員 厚化省として案をつくつて要求いたしました内容は、全国の国立癩療養所十数箇所のうち、三箇所に癩刑務所を付設する。それはそれぞれ十人を収容できるもので合計三十人、そのほか十箇所の療養所全部に、それぞれ新しい形の拘置所をつくるという計圃でございまして、総計費九千万円という要求をいたしたのでございます。公共事業費で経的安定本部に要求を出しまして、再三押合いへし合いをいたしたのでありますけれども、結局この種類のものは厚生省から要求して来るべきものではない、法務府から要求すべきであるということ一点張りで、とうとう承認にならなかつたのであります。
#173
○中川委員 法務府の方でそういうことでありましたら、安本なり関係方面に御連絡を願つて進めていただくわけに行きませんか。実は先ほど来いろいろ拝聴しておつたのでありますが、現在のままでは、こういうことは将来しばしば繰返されるようなことになるのじやないかという懸念をわれわれ持つのでありますが、ころぱぬ先の杖と申しますか、もうすでに一回も二回もころんでおるのでありますが、なほ将来に備えて、法務府の方でひとつ強力にやつていただくことはできないものか。高橋さんにお伺いいたします。
#174
○高橋(一)政府委員 私はちよつと疑問があるのでございますが、そういうふうな刑務所を法務府が設けました場合には、それと別個に懲戒の施設を設けられるわけでありましようか。もし設けられないとすると、懲戒はどういうふうにされる予定でありますか。その点が疑問なのです。
#175
○中川委員 御説ごもつともと思います。ゆえに先ほどお話のあつた刑務執行の制度につきましても、国会が法務委員会その他関係委員会でもつて、急速に整備しなければならぬと思いますが、これにつきましても、ただ国会だけでなく、法務府の方としましてもいろいろ御意見もあるだろうと思いますから、これらの御意見も参酌して、すみやかにその制度法確立するとともに、ただいま私の申しましたような件について、全力を注がなければならぬと思うのでありますが、これはただ現在の制度は、なるほど法律は国会でつくりますが、御承知のように実際は、みな行政府で案をつくつてお出しになるのですから、形式的なことは抜きといたしまして、それらの点につきましても、どういうふうにしたら万全が期せられるかという、国会不勉強ではなはだ相すまぬのでありますが、どうぞそれらの点については協力するという意味で、今後御指示を願いたいと思うのです。ことにこの問題は、将来しぱしば繰返され得るということも考えられますのでひとつできるだけ具体的な案をお示しを願つて、そうして国会を御鞭撻をしていただきたいかように考えております。
#176
○高橋(一)政府委員 私はこの問題につきましては、前から非常に関心を持ちまして、なお今後も引続き、久下さん方とよく御相談したいと思つております。ただいまの腹案と申しますと、私は厚生省の方が、この間安本の方に交渉される場合の筋道が、やはり違つておつたのではなかつたか。初めから代用監獄をつくるということでは、なかなか承知しにくいのでありまして、代用監獄というのは、すでに別の目的である施設を刑務所に代用する、たとえば警察の保護や何かの必要から留置場というのがございますが、それを刑務所に代用する、こういうものなのであります。でありますから、初めから代用監獄をつくるということは、これになかなかむずかしいのではないか。それならば初めから刑務所をつくるということが、法務府から言つたらよいのではないかという御議論が起ると思うのでありますが、そうしますと刑務所のほかに、懲戒の関係施設というものが、どうしても必要だろうと思うのであります。そうしますと国費の二重負担になると考えるのでありまして、実際に療養所なんかを拝見しました私の感じから申しましても、現在の監禁施設というものが、もうすでにそのままではいけないのであつて、当然改善しなければならないものと思います。そこでそれをやると同時に、それを代用監獄に指定する、こういう方法で行くのが一番いい方法ではなかろうか。現在私が見ておりますと、この問題につきましては、厚生省と矯正保護局との間に、ややもすると若干御意見の明確でない点があるのであります。これはひとつ厚生省の方で本腰になつていただいて、国会のお力によりまして、この措置を実現すればよいのではないか。私どもの方としては検察といつたような立場から、それを非常にお願いしたわけであります。
#177
○岡(良)委員 さつき申しましたように、療養所は今八千ほどしか入つていない。全国四万くらいあるという推定の数字も開いておりますので、これは單に療養所だけの秩序の問題でなく、やはり国全体の治安の問題という角度から、もしたまたま法を犯し刑の執行を受けた場合には、療養所に仮設されたところに入れるといたしましても、やはり法務府もそういう高い角度から、問題を單に療養所だけの秩序維持という点でなく、全体の秩序確保という点からいつていただきたいと思います。
#178
○丸山委員 ただいまのお話、代用監獄を療養所内につくりました場合に、代用監獄を監視をするといいますか、管理するといいますか、そういうものは癩療養所の所長でなく、当然司法官がやるというように考えられますが、その点をひとつはつきりしていただきたい。何かそこに出張所のようなものをつくつてはいかかがですか。
#179
○高橋(一)政府委員 現在の代用監獄になつております警察署の留置場は、全部これは警察署長以下が管理しております。しかし一定の基準に従うわけでありましようが、そういうことになつておりまして、その場合の勤務する職員といつたようなものは、これはそのときの代用監獄としてのきめ万によるのではないかというように考えます。
#180
○丸山委員 そうしますと、療養所内の監獄は、所長が管理するわけなのですか。
#181
○高橋(一)政府委員 それはその通りと思います。
#182
○丸山委員 院長ですか。
#183
○高橋(一)政府委員 院長でございます。本来の目的である建物の管理責任者が、当然なるものと思うのであります。代用監獄としての施設の責任者にもなるものだと思つております。
#184
○丸山委員 そうしますと、今の殺人罪というような場合には、数年にわたる禁錮と申しますか、そういう刑の執行をそこでやらなければならぬと考えますが、その場合にも、それを管理して行くのは、医者である院長でありますか。
#185
○高橋(一)政府委員 そういうふうに考えます。ただその場合に、事務職員のほかのしかるべき方も、別に置き得るでありましようし、あるいは刑務官吏がこれに關與するということも考えられましようし、それは要するに法律の立て方であろうと思うのでありまして、しからばこれがこうであればこうなければならぬというような、きまつたものはないのではなかろうかと考えます。
#186
○丸山委員 実は先般その意向を聞いてみましたところ、そういうものをつくられることは非常に望ましい。これは患者も全部希望しております。現に従事しております職員、院長はじめ全部それを要望しております。狂暴な患者は、刑務所のようなものをつくつて、刑の執行あるには拘留というようなことは、警察官でやつてもらいたいという希望が非常に強い。と申しますのは、院長は医者でございまして、おもに治療に携つておるものでございますから、なるべく患者とはそういう面でタッチして行く。これを処罰するというふうな強い面は、所長はそういう権限を執行したくないという意向が強いのであります。そうしませんと療養そのものに支障を生ずる結果になる。なるべく医ならば警察官の派遣を希望し、またそれを管理する人間は、なるべく医者でない者でやりたいという希望を持つておりますが、それは不可能なことでしようか。
#187
○高橋(一)政府委員 おそらく療養所の院長さんは、皆さん大体お医者の方々であろうと思います。やはりそういう仕事はあまりお好みにならないと思うのでありますが、先ほども申し上げたように、事務スタツフもございましようし、それから要するに刑務官吏の方も何らかの形で関與させるといつたようなことで、その辺はきめ方でありまして、今どういうふうにすることはできないといつたような問題はないじやないかと考えます。
#188
○中川委員 これは私、久下さんにお願いしておきますが、せつかくそこまで案を立つて、予算までおきめになつて、スタートなさつたのだから、ひとつ各関係官庁と緊密な御連絡を願つて、できるだけこの施設を早急に進めるように、また厚生省が先に立つてやることにおいて、各省に異議があれば、どこの省が先にやつてもかまわぬですから、要するにこの施設が完備して、そういうことが将来再び起らないように、ひとつ御努力を願いたいと思います。
#189
○堀川委員長 もう発言はありませんか。
 それでは本日はこの程度で散会いたします。
    午後四時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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