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#1
第074回国会 石炭対策特別委員会 第3号
昭和四十九年十二月二十四日(火曜日)
    午後五時五分開議
 出席委員
   委員長 田代 文久君
   理事 金子 岩三君 理事 田中 六助君
   理事 地崎宇三郎君 理事 山崎  拓君
   理事 多賀谷真稔君 理事 渡辺 惣蔵君
   理事 多田 光雄君
      三枝 三郎君    篠田 弘作君
      楢橋  進君    綿貫 民輔君
      上坂  昇君    細谷 治嘉君
      鬼木 勝利君    松尾 信人君
      小宮 武喜君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  河本 敏夫君
        労 働 大 臣 長谷川 峻君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       渡部 恒三君
        通商産業政務次
        官       嶋崎  均君
        通商産業省立地
        公害局長    佐藤淳一郎君
        資源エネルギー
        庁石炭部長   高木 俊介君
        労働政務次官  中山 正暉君
        労働省労働基準
        局安全衛生部長 中西 正雄君
        労働省職業安定
        局審議官兼労働
        省職業安定局失
        業対策部長   岩崎 隆造君
 委員外の出席者
        大蔵省主計局主
        計官      小山 昭蔵君
        通商産業省立地
        公害局石炭課長 脇山 敏雄君
        商工委員会調査
        室長      藤沼 六郎君
    ―――――――――――――
十二月二十一日
 新石炭政策の確立等に関する陳情書外十二件
 (三笠市議会議長阿部進外十二名)(第一四八
 号)
 朝日炭鉱の閉山反対に関する陳情書外四件(夕
 張市議会議長岡山碧外四名)(第一四九号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 閉会中審査に関する件
 石炭対策に関する件
 派遣委員からの報告聴取
     ――――◇―――――
#2
○田代委員長 これより会議を開きます。
 この際、先般通商産業大臣に新たに就任された河本敏夫君より発言を求められておりますので、これを許します。通商産業大臣河本敏夫君。
#3
○河本国務大臣 このたび通商産業大臣の任命を受けました河本敏夫でございます。わが国を取り巻く経済環境にはきびしいものがございますだけに、その責務の重大さを痛感いたしております。
 私といたしましては、この難局にあたり、国際社会の一員として、世界経済の安定化につとめるとともに、わが国の経済の活力と将来にわたる創造的発展を確保しつつ、真に豊かな福祉社会の実現を目ざして、通商産業政策の展開につとめてまいる所存であります。
 ところで、今日の経済運営の困難さをもたらしている最大の原因の一つは、資源・エネルギー問題であります。昨年末の石油危機は、資源・エネルギーの大半を海外に依存するわが国経済の脆弱性を明らかにするとともに、資源・エネルギーの確保の重要性をあらためて認識させるところとなりました。かかる情勢変化を背景にわが国の資源・エネルギー政策は、新しい時代認識のもとで、総合的観点からの検討が強く要請されております。
 政府といたしましては、石炭政策につきましても長期的かつ国民経済的視野に立った、総合エネルギー政策の一環としての新しい石炭政策のあり方について石炭鉱業審議会に本年十月一日に諮問したところであり、目下、石炭需給、流通、石炭鉱業の経営問題等全般にわたり再検討を行なうなど、慎重に審議をいただいております。
 来年度の石炭政策につきましても、既存炭鉱の生産力の維持、石炭鉱業の経営の安定、鉱害対策、石炭鉱山保安の強化及び国内炭開発の可能性調査等に重点を置きつつ、適切に推進することとし、五十年度予算の編成にあたってこれらの施策にかかる予算の確保に努力する所存であります。
 また、石炭鉱業における災害の防止につきましては、従来から保安なくして生産なしという基本的認識のもとに、自主保安体制の確立を徹底させるとともに、厳正な保安監督を行なってきているところでありますが、今回三井砂川炭鉱におきまして重大災害が発生しましたことは、まことに遺憾なことであります。
 今回の事故につきましては、行くえ不明者の救出、原因の究明等に最善を尽くしているところでありますが、これと並んで、石炭企業に対して石炭鉱山保安の強化につき監督指導の徹底をはかり、石炭鉱山における災害の防止に万遺漏なきよう努力してまいる所存であります。
 かかる方針を御理解の上、今後とも石炭対策に御協力いただきますよう委員の方々にお願いいたしまして、結びのことばにかえさせていただきます。(拍手)
#4
○田代委員長 次に、労働大臣に就任された長谷川峻君より発言を求められておりますので、これを許します。労働大臣長谷川峻君。
#5
○長谷川国務大臣 再び労働行政を担当することになりました長谷川であります。
 石炭鉱業に関する当面の労働問題について一言申し述べ、各位の御理解と御協力を得たいと存じます。
 初めに、このたびの三井石炭鉱業砂川鉱業所における災害につきましてはまことに遺憾であり、罹災者の方々並びに御家族の皆さまに対しまして心からお見舞申し上げるものであります。
 労働省といたしましては、罹災者の災害補償、遺家族の就職援護に遺憾なきを期すとともに、かかる災害が再び発生することがないよう一そう努力する所存であります。
 石炭対策につきましては、昨年来のエネルギー情勢の変化に伴い、石炭鉱業審議会において現在検討が進められております。労働省といたしましても、その結論を受けて基本的な対策を検討することになりますが、御承知のごとく、去る七月に同審議会から報告された「新しいエネルギー情勢に対応した石炭の長期展望」において、国内炭の安定的確保と並んでそのための炭鉱労働者の確保の重要性が示されております。
 今後の石炭対策の推進にあたりましては、こうした問題にこたえるためにも、石炭鉱業の経営基盤の確立とあわせて石炭鉱業が将来にわたって魅力ある職場となることが必要であると考えており、通産省との十分な連携のもとに、労働条件の改善、保安の確保、労働・生活環境の整備等を推進することによって、労働者の確保と職業の安定、福祉の向上をはかり、石炭鉱業の安定のために努力を傾けたいと思っておるものであります。
 また、今後ともやむなく離職を余儀なくされる方々に対しましては、従来から行なっております炭鉱離職者対策及び産炭地域振興開発対策の一そうの充実をはかるとともに、過去の離職者対策の経験を十分生かし、その再就職に万全を期してまいる所存であります。
 以上、石炭鉱業に関する当面の労働問題について所信の一端を申し述べました。今後とも各位の御意見を十分拝聴して行政の推進に力を尽くしてまいるつもりでありますから、何とぞよろしくお願いいたします。(拍手)
#6
○田代委員長 なお、通商産業政務次官に渡部恒三君及び嶋崎均君が、労働政務次官に中山正暉君が就任されましたので御紹介いたします。渡部通商産業政務次官。
#7
○渡部政府委員 このたび通商産業省の政務次官を拝命いたしました渡部恒三でございます。よろしく御指導をお願いいたします。(拍手)
#8
○田代委員長 嶋崎通商産業政務次官。
#9
○嶋崎政府委員 このたび参議院のほうから通商産業政務次官を仰せつかりました嶋崎均でございます。
 微力でございますけれども、皆さま方の御指導、御鞭撻をお願いいたします。(拍手)
#10
○田代委員長 中山労働政務次官。
#11
○中山政府委員 労働政務次官を拝命いたしました中山正暉でございます。
 浅学非才でございますが、よろしく御指導のほどをお願いいたしまして、ごあいさつといたします。(拍手)
     ――――◇―――――
#12
○田代委員長 次に、石炭対策に関する件について調査を進めます。
 三井石炭鉱業株式会社三井砂川炭鉱災害について、昨二十三日現地に委員を派遣し、実情調査を行ないました。
 この際、派遣委員より報告を聴取いたします。地崎宇三郎君。
#13
○地崎委員 三井砂川炭鉱の災害現地調査の結果を御報告申し上げます。日程は、十二月二十三日一日間でありまして、強行日程ではありましたが、千歳空港から現地までの車中で、札幌鉱山保安監督局、北海道労働基準局からの説明を聴取し、現地では、病院に負傷者を見舞った後、三井石炭鉱業株式会社並びに、労働組合、職員組合からそれぞれ説明並びに要望等を聴取してまいりました。
 派遣委員は、田代委員長をはじめ地崎宇三郎、多賀谷真稔君、多田光雄君、鬼木勝利君、小宮武喜君の六名でありまして、篠田弘作君、三枝三郎君、岡田春夫君が現地参加されました。
 まず、三井砂川炭鉱の概要について簡単に申し上げます。
 当鉱は、大正三年に第一坑が開坑され、現在の鉱区面積は約七十三万アール、埋蔵炭量は約一億三千八百万トンであります。稼行区域は美唄及び登川の二区域で、労働者数千八百三十八名、月産約八万トン、原料炭得率は約五五%であります。
 また、当鉱は、炭層が急傾斜で、ガスの湧出量も多く、鉱山保安法上、甲種炭坑に指定されておりますが、登川区域ではすべてを、美唄区域では約六〇%を近代的な水力採炭法で採炭しております。
 次に、災害の状況について申し上げます。
 災害は、十二月十九日、午後九時五十分ごろ、美唄区域のマイナス六百六十レベル南三号ブロックで発生したもので、現在のところガス爆発の疑いが濃厚であると見られております。発見の端緒は、同時刻ごろ、マイナス六百六十レベル南三号上添立て入れにいた係員が異常圧風を感じ、直ちに坑外事務所へ電話で報告してきたことにより判明したものであります。
 当時、美唄区域には、二百四十八名が入坑しておりましたが、救護隊の救出作業の結果、マイナス六百六十レベル南三号部内に配番されていた三十四名のうち、二十七名の罹災が明らかとなりました。罹災者の内訳は、死亡十一名、行くえ不明四名、重傷二名、軽傷十名であります。
 行くえ不明者は、南三号部内の九番下層南上添サブレベル坑道の崩落個所付近と見られているため、現在、この個所の取りあげによる救出作業に全力をあげております。原因の究明は、救護活動を終了してから行なわれるが、災害発生個所は、水力採炭による作業区域であり、当面、火源と推定されるものも判然としていないようであります。従来、水力採炭による採炭方法の場合、ガス爆発事故の発生は、通常予想されない事態であるだけに、原因は徹底的に究明するべきであり、このため、権威のある技術調査団の編成を考慮すべきであろうと考えます。
 次に、労災保険による遺族補償給付は、現在の概算で、遺族年金が、十名に年額約九百七十六万七千円、独身の一名には、遺族一時金が約六百四十六万四千円となっております。遺族年金については、遺族の希望により、前払い一時金として、平均賃金の四百日分を受けることもできますが、この場合、平均賃金の平均は約五千六百円であります。また、葬祭料は十一名で二百八十四万八千円であります。
 なお、会社からの弔慰金は、組合との協定では、世帯主一人一千万円、単身者一人七百五十万円となっておりますが、遺家族の今後の生活については万全を期するよう強く要請いたします。
 次に、現地におけるおもな要望は、保安対策を抜本的に改善するため、当面、監督指導体制の強化と保安委員、保安監督員補佐員の権限を強化するとともに、給与を国が保障されたいこと。災害原因を徹底的に究明するため、政府技術調査団を早期に派遣されたいこと、今次重大災害を理由とした閉山、合理化を行なわないこと、遺族対策に万全を期せられたいこと等でありました。
 最後に、今次災害の発生は、まことに遺憾な事態であります。今日のわが国石炭鉱業は、内外のエネルギー情勢の急激な変化により、その重要性が再認識され、抜本的な石炭政策が確立されようとしているやさきでもあり、全国の鉱山に与える影響も、すこぶる大きいのであります。私どもは、かかる災害は未然に防止できないことはないと考えております。政府並びに石炭関係者はさらに意を新たにし、労働者が心から安心して働ける環境を確保することを強く要請して、報告を終わります。
#14
○田代委員長 これにて報告の聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#15
○田代委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。多賀谷真稔君。
#16
○多賀谷委員 大臣には、就任早々非常に大きな石炭事故がありまして、本日の所信表明にも、災害の防止について今後懸命な努力をする、こうおっしゃっておられますが、この炭鉱災害というものについてどういう認識を持っておられるのか、そして具体的にはどういうようにしようとするつもりであるのか、大きな方針をひとつお示し願いたい。
#17
○河本国務大臣 石炭鉱業におきまして、保安対策というのはやはり最大の問題であろうと思います。先ほども申し上げましたように、保安ということを考えないで石炭の政策はない、こういうことも申し上げたわけでございますが、最大の課題として取り組んでいく覚悟でございます。
#18
○多賀谷委員 いつも大臣就任ではそういうあいさつがあるわけですけれども、しかし現実やはり災害が絶えない。ことに、今度の場合は水力採炭個所である。従来、水力採炭個所には火源がないから爆発等は起こらないと言われておったわけですが、そこで通産省、水力採炭個所には爆発事故等はなかったのかどうか、あるいは文献にはないのかどうか、ひとつあなたのほうの内外の文献等を、あるいは過去の例に徴して絶対いままでなかった、こういう情勢であるのかどうか、これをお答え願いたい。
#19
○脇山説明員 水力採炭は、現在わが国で実施しておりますのは三井の砂川炭鉱だけであります。あと芦別炭鉱、それから住友の赤平炭鉱で一部テストをやりましたり、試験操業を検討しているところがございます。私どもが知っておる限りでは、日本ではいままでこういった水力採炭現場でガス爆発災害が起こった事例はないというふうに思っております。
 それから海外の情報については、いまのところまだよくわかりませんでございます。
#20
○多賀谷委員 少なくとも水力採炭を採用するについては、一番のメリットは、そういう爆発事故等がないというのがメリットだと言っているでしょう。それに、海外の事情がわからないというのはどうも勉強が足りないのじゃないか、私はこういう感じを持つわけです。これは単に砂川だけではないのですよ。もう閉山になりました明治の明治鉱においても、あるいは明治の本岐においても水力採炭をやっておるわけですからね。もちろんこれらの山は閉山になったわけですけれども、なるほどいまは、ほとんど主要個所を水力採炭にしているのは砂川が唯一かもしれませんけれども、しかし過去にはやはりかなりやっていたわけですからね。
 そこであなたのほうで、火源と考えられるものがあるかどうか、そうして一体ガス量はどのくらいあった、こういうようにいま考えられておるのか。そうすると原因は一体どこにあったんだ、どういうように思われるか、これをお聞かせ願いたい。
#21
○脇山説明員 原因は現在調査中でございますから、具体的なことは申し上げられませんですけれども、少なくとも爆発をした事実はございますわけですから、爆発限界のガスはあったわけでございますし、またそれに着火し得る火源があったものと推定いたします。ただ、南三号部内の爆発をいたしました採炭作業場付近には作業者のキャップランプ、それから作業場照明に使います高燭安全電灯、それから携帯用の無線機等が一応火源として考えられますけれども、いずれも検定品でありましたり本質安全防爆構造になっておりますので、きわめて安全性の高い電気機器であろうと思います。そのほか、水力採炭現場でございますので動力は必要ございませんから、そういった動力線は入っておりませんし、それからまたハッパ等も実施していなかったものと推測しております。ですから、いまのところ火源はよくわかりません。
#22
○多賀谷委員 かつて特免地域、すなわち、特免地域というのはそういう災害が比較的ないという区域ですよ。これも特免地域というように指定してある。特別の免除の地域なんですよ。この特免地域に災害が頻発したのです。ですから、ここはだいじょうぶだというところが事故が起こるのです。これはやはり炭鉱特有なものですね。ですから、炭鉱全体が常にあぶないという認識がなければ、ここは水力採炭をしているからよもや起こるまいという認識のもとに作業をしておると、やはりこういう事故が起こる。ですから、わざわざ政府が特免地域と指定した個所に相当頻発災害が起こった年があるのです。ですからここにやはり保安行政の問題点がある、盲点がある。だいじょうぶという地域に起こるのですね。とにかくいままで水力採炭の歴史もそう浅くないですよ。かなり前からやっておる。ですからそういう実情であるとか、あるいはこれは、ソビエトが水力採炭を最初やったわけですから、そういう文献等を調べてひとつ十分注意をしてもらいたい。
 そこで問題は、あるはずがないのに起こったというのが政策として一番困るのですよ。政策のしようがないのです。起こるはずがないのに災害が起こったというと、政策のしようがないのですね。そこで、これはどうしても徹底的な原因究明がまず前提である、こういうように思います。そこで調査団としては、このたび学術調査団を送ってひとつ徹底的な原因究明をしてもらいたい、こういうことをいまも報告書に述べたわけですが、そこで早急に調査団の派遣をお願いをしたい。これについて大臣の御答弁を願いたいと思います。
#23
○河本国務大臣 至急に調査団を送りまして、徹底的にいま御指摘のような調査をしていきたいと思います。
#24
○多賀谷委員 そこで調査が出ますと、私は、もし予算措置が必要であるならばそれに対する予算措置を考えてもらいたいと思うのです。これはどういうようにやられるか。あるいは予備費が残っておれば予備費をやるか、あるいは来年度の予算編成の際にやられるか、あるいは、その原因究明が予算編成までに間に合わないならば何らかの金を使ってやるか、これはひとつぜひそれに伴う、原因究明後の予算措置が必要のある場合には予算措置を講じてもらいたい、このことを要望しておきます。よろしいですか。
#25
○河本国務大臣 予算措置も講ずるようにいたします。
#26
○多賀谷委員 保安全体については別の機会に述べたいと思います。ですから当面の問題としては、私は、まず技術調査団の派遣というのが一番必要じゃないか、かように思うわけです。
 続いて、来年度の予算編成についての石炭対策費の問題について触れてみたいと思います。
 来年度の予算編成について、ことに石炭対策についての財源問題大臣はこれについてはどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたい。
#27
○河本国務大臣 石油問題が起こりましてから石炭の問題は非常に重大になりまして、根本的に見直ししなければならぬ。これからはやはり原子力、石炭というものを日本のエネルギー政策の、石油以外の大きな柱として考えていく、こういう観点に立ちましていまいろいろな作業をやっておるわけでございます。そのために石炭審議会にも今後の基本方針を出してもらう、こういう作業もやっておるわけでございますが、とりあえず来年度の予算につきましては、先ほど基本的な考え方についてごあいさつで申し上げましたが、そういう趣旨に従いまして、相当多額の予算要求をしております。具体的には政府委員から答弁をさせます。
#28
○高木政府委員 来年度の石炭予算につきましては、編成時点におきまして千六百九億という財源を石油と石炭のほうに配分いたしまして、御存じのとおり、千二百五十五億という石炭予算を現在要求しておるところでございます。ただし、その後景気の変動あるいは石油の輸入量という点等まだはっきりきまってない点がございますので、現在のところ、財源がはたして千六百九億でいけるかどうかというところにも大きな疑問がございますし、なお諸対策等々を考慮した場合、石炭分として幾らが配分になるかというのは現在未定でございますけれども、少なくとも石炭部といたしましては、必要な財源は確保すべく努力いたしたいというふうに考えております。
#29
○多賀谷委員 その千二百五十五億というのは、石油関税の十二分の十ですか。
#30
○高木政府委員 ちょうど十二分の十という数字ではございませんで、少し割った数字になっておると思います。前年度の繰り越し金、そういうものを入れての配分でございますので、はっきり十二分の十という数字ではございません。
#31
○多賀谷委員 従来の経緯からいって、これは、十二分の十を確保するというのは従来の決定でしょう。それがどうして十二分の十を割るようなことがあるのですか、しかも予算要求で。
#32
○高木政府委員 昨年度までは十二分の十ということで法律上規制されていたわけでございますけれども、本年度、四十九年度分からは石油と石炭を一緒にしまして、トータル財源の中で両者が成り立つように見るというようなことで、長官の裁断に至っておるような次第でございます。
#33
○多賀谷委員 長官見えていますか。――では、長官見えてないようですけれども、大蔵省の主計官出席しておられますので、お聞かせ願いたいと思うのですが、明年度の関税収入の見込み、どのくらい油が入って、そうして大体どういうような収入が見込まれるか、それについて、石炭についてはその十二分の十確保できるのかどうか、こういう点をお聞かせ願いたい。
#34
○小山説明員 まず明年度の原油の輸入見込み、さらにそれを受けましての原重油の関税収入の見込みでございますが、まず原油の輸入量の見込みにつきまして現在関係省の間で鋭意検討がなされている段階でございます。通産省から大蔵省に対しまして、来年度の予算要求の基礎としてこの夏出されました見込みによりますと、三億キロリットルを若干上回る量というものが輸入量の見込みとして積算の基礎になっておりますが、現在検討されております数字は、それを少し下回る線に落ちつくのではないかというふうに予測されますが、これはまだ確定していないというふうに聞いております。したがいまして、先ほど石炭部長さんがおっしゃいました原重油関税収入の額も、この輸入量がどうなるかという結果によっては、何がしかそれより減少するということがあり得る。非常に大きく減るということではないと思いますが、何がしか減るということは予測できるんではないか、こういうふうに考えております。
#35
○多賀谷委員 その若干上回るというのは、具体的には幾らで計算したのですか。あるいは、若干下回るんではないかということは、大体どのくらい見込みが立つのか。
#36
○高木政府委員 予算編成時の際は三億三十二万キロリッターでやっております。現在、経済成長の見方を四%あるいは四・五%と、いろいろな数字を置いて輸入量を想定し、また、そのうち課税対象分が幾らになるかというようなこともいろいろ検討しておる段階でございますけれども、まだ最終的に設定された数字はございません。
#37
○多賀谷委員 この関税ですね、これは関税率審議会で五十年度はそのまま延期することになったと聞いているんですが、それに間違いないですか。
#38
○高木政府委員 本日の関税率審議会の小委員会のほうで一年間延期するという御了承を得ておりますけれども、最終的な部会のほう、関税率審議会のほうの結論は後日に延ばされるんじゃなかろうかと思います。本日は小委員会でございます。
#39
○多賀谷委員 大臣としては、経済の見通しと関係あるわけですが、財源確保にどういうようにお考えであるのか、お聞かせ願いたい。これは、石炭政策はいまから抜本的にやらなければならぬ。それと関税の問題ですが、いま聞きますと、十二分の十という線も若干くずれたやに聞いておるわけです。まず第一の問題は、どういう見通しを持っておられるのか。それから、関税のうちで石炭の比率ですね、石炭対策に占める比率は十二分の十が確保できるのかどうか。それからもう一つは、さらに、それが確保できないとするならば、一般会計から入れるのかどうか、この点についてどういう考え方であるか、お聞かせ願いたい。
#40
○河本国務大臣 来年度の石油の輸入量は、たぶん今晩の第三回の経済対策閣僚会議でほぼ最終の数字が出てくると思います。石炭関係の予算につきましては、来年度、五十年度は、これは大体ほぼ確保できるのではないかと思いますが、五十一年度以降につきましては、石炭審議会の答申等も出まして、さらに大きないろいろな計画が進むと思います。でありますから、予算も相当ふえなければならないと思いますので、五十一年度以降の分につきましてはやはり抜本的な対策が必要であろう、来年度の分については何とかなるであろう、こういうふうに考えております。
#41
○多賀谷委員 そうすると、大体石炭勘定としては、通産、労働含めてですけれども、要求している要求額はほぼ認められる、こういうように考えてよろしいのですか。
#42
○河本国務大臣 いま、認められると言い切ることはできませんが、認められるように努力しなければならぬと思っております。
#43
○多賀谷委員 そうすると、大体大臣としては自信あるわけですね。
#44
○河本国務大臣 いま結論を正確に申し上げることは御遠慮申し上げますけれども、ともかく何とか努力するようにいたします。
#45
○多賀谷委員 しかし、先ほど大臣のほうは、五十年度は大体確保できる見通しがある、五十一年度は、これはむしろ石炭対策の抜本対策をやらなければならないので、財源については、従来の財源でいいかどうかについては検討を要するが、五十年度政策については大体見込みがある、こういう意味もあるのですよ。大体、要求している石炭勘定についてはほぼ要求額が予算に盛り込められると考えていいんじゃないですか、どうですか。言いにくいけれども、大体そういうことでしょう。
#46
○河本国務大臣 先ほども申し上げましたように、昨年の年末の石油危機から、石炭の問題はこれまでと違いまして、一つの非常に大きな柱にいまなっていると思うのです。そういう意味におきまして、これはどうしても実現しなければならない、こういう考え方でやるつもりでおりますから、一番当初に申し上げましたような見通しを言ったわけでございます。
#47
○多賀谷委員 大蔵省、いいでしょうね。大臣はそう言っているけれども、いや、大蔵大臣は全然別の考えだ、主計局は別だというのでは困るのですが、大体いまの通産大臣の御説明どおりでよろしいのですか。
#48
○小山説明員 まだ大蔵原案が固まっておる段階ではございませんが、石炭対策の推進に遺憾なきを期してまいりたい、このように考えております。
#49
○多賀谷委員 主計局がそれぐらい言うならば、私はほぼ要求額は予算編成に織り込められる、こういうふうに理解したいと思います。主計局は口がかたいですからなかなか言わぬわけですが、その程度言うならば、いままでの大臣の答弁を受けて言っておるわけですから、私は大体織り込められるのだというように期待をしたいと思います。
 そこで、大臣、今後の石炭政策の最大の問題はやはり労務者確保なんです。ですから、人命問題も今度は、基本的に災害は重要ですけれども、またその及ぼす影響というものは他の労働者より非常に大きいですね。せっかく見直しなんて言っておるけれども、事故が起こったのではとても炭鉱はおるところではない、他の安全な職場に行こう、こういう気持ちになるのは当然ですね。でありますから、その点について私は災害問題と同時にやはり労働条件の問題だと思う。いま今日、春闘に対して、福田副総理もそれから長谷川労働大臣も、来年の春闘を天王山に思って、いろいろ前から盛んに春闘を押えるように努力されておるようですが、私はきょうは一般論は別として、炭鉱労働者の賃金は同じ地下労働者である金属労働者に対して非常に低かったわけですね。そこで、四十九年度の春闘で、皆さん方の努力によって、二年間で回復しようというのでようやく半分だけ回復したのです。そこで、五十年度にはあとの残りの半分を回復したい。要するに金属労働者、地下労働者の石炭との差異を二年間で解消しようというのが、当時の通産大臣の中曽根さん、さらに長谷川労働大臣の気持ちでして、それでようやく四十九年の春闘で半分回復した。あと半分残っておるわけですね。ですから、このことはひとつ通産大臣としても十分考えられて、労働者のせっかくの期待を裏切ることのないようにお願いしたいと思いますが、ひとつ御所見を承りたい。
#50
○長谷川国務大臣 まさにおっしゃるとおり、金属労働者に比べて石炭労働者の賃金が安かった。そこで最低賃金を上げて、そういうものが一つのてこ入れになって上がったというふうに私は理解しております。もう一つ、何といっても魅力のある職場をつくるためには、まず賃金の問題もありますし、さらにまた環境の問題もあるのじゃなかろうか、こういうことで、私のほうとすれば、せっかく前向きの姿勢で注目しているところであります。
#51
○多賀谷委員 大臣御存じのとおり、半分だけ回復したわけですね。あとの二分の一というのが、これは来年の春闘で解決するわけでしょう。差額分を解消するわけでしょう。それを聞きたいわけです。
#52
○長谷川国務大臣 ただいまも申し上げましたように、かつて大ぜいおった炭鉱労務者、それが魅力のある職場にまた戻そうというところから、私たちは最低賃金を上げたりいろいろな施策をしておるものとして、そういう感じから、いまから先も待遇の向上がはかられることを期待しているものです。
#53
○多賀谷委員 私は抽象的なことを聞いているのじゃないのですよ。きわめて具体的に聞いているわけです。大体二年間で他の地下の金属労働者と石炭労働者の賃金の差を解消しようというので、四十九年春闘では半分回復しました。ですから、約束どおりあとの二年目に、残りの一年ですから、二分の一解消してその差がなくなるでしょうね、こう聞いているのですよ。それに的確にお答え願いたいと思うのです。
#54
○長谷川国務大臣 賃金問題につきましては、そういう社会的情勢なども見ながら、やはり労使の間で御交渉いただくということですから、私は従来の最低賃金などを上げたことなどが、いまのようなことからして上がったことだというふうに考えております。
#55
○多賀谷委員 最低賃金と全然関係ないでしょう。とんでもない要因を持ってきてはだめですよ。要するに地下産業の労働者、すなわち金属労働者と石炭労働者が同じ地下産業であっても差があるから、その差を二年間で解消しようというので、四十九年春闘が半分回復したのです。あとの残りの半分は来年度の春闘で回復されるのでしょうね、こう聞いているのですよ。それをほかの要因をいろいろ持ってこられても困るのです。的確にお答え願いたいと思います。そういうように指導されるのでしょう。
#56
○長谷川国務大臣 昨年は五五%上がったのですね。そういう傾向からして、こういうものは、いま言うような魅力のある職場になるために、こういうふうにいろいろまた行なわれることを、私のほうでこれは幾ら上げろということは言えないです。これこそ賃金に介入するということになりますから、どの時点でどう上げろと言えないことはおわかりのとおり。ですから、昨年五五%上がって、なおかつ魅力のあるものに、そういう社会的要請と、それから新しいエネルギーの政策としてこういうものが必要だということで、労使の間で話ができるということを期待する以外にちょっとないですね。これは御理解願わなければ……。
#57
○多賀谷委員 知っておってはぐらかしたような答弁をされるとどうも困るのですが、一般の賃金ベースのほかに、そういう金属鉱山と炭鉱労働者の賃金の差を半分だけ埋めたわけですよ。ですから、あとの半分は、二年間で解消するという話だったんだから、来年の春闘には解決されるでしょうねと、こう聞いているわけですよ。それは労働大臣が無理であったら、通産大臣どうですか。
#58
○河本国務大臣 先ほど労働力の確保の問題として、第一に保安ということが絶対の条件である、このことがなければ必要な労働者を確保することはできない、こういうお話がございました。その点は私も全く同感でございます。
 第二の点につきましては、実は私は詳細経過はまだ聞いておりません。聞いておりませんけれども、いま労働大臣が言いましたように、ベースアップというものは根本的には労使の間で解決されるということが当然でございます。ただしかし、この労務者をどう確保するかということは現下の非常に重大な問題でございますから、保安だけやっても労務者が集まってこない、こういうことでは困りますから、すべての条件を必要な労務者が集まってくるような状態にしていくということはわれわれも希望するところでございますけれども、しかし相手方に対してこうしろ、ああしろと言うことはできないわけでございます。
#59
○多賀谷委員 大臣は十分御存じないようですから、ひとつ次の通常国会でお聞きしたいと思いますが、実情はそうなっていないのです。労働大臣の言うように、いまだ政府が出ないで解決したことは一回もないのですよ、ここ数年。率直に言うと、これは管理炭鉱ですからね。通産省、大蔵省がオーケーしないで賃金なんか出ますか。一般論の話なんかしてもだめですよ。ですから、私は石炭特別委員会であえて聞いているわけですよ。役所は賃金なんかに介入しない、それは原則論です。しかし炭鉱の場合には、賃金を役所がきめてやらないとだれもきめるものはいないのですよ、現実問題として。ですから私は聞いておるわけですよ。そればそうでしょう、一銭だって支出するのはみな一応は区切りがあるのですから。もう全くガラス張りになっているのですよ。個々の経営は全部通産省にわかっているのですよ。そうしなければ補給金なんか出せっこないのですよ。表はそうなんですよ、労働大臣の言うように。だからそんなことを言わないで、さらっと答弁をしてくれれば私もここで引っ込むのですけれどもね。それを原則論をたてにとって御答弁なさるから、答弁にならないわけです。しかし時間が来ておりますから、通産大臣、実情はやはりある程度示唆をしてやらないと解決できないのですよ。というのは、財源がきまっておるのです。炭価も石炭会社と電力会社がきめるとかなんとかいうけれども、現実は役所が中に入ってきめてやらなければきまらないのです。だから、炭鉱にはいろいろな補給金も行っているのですよ。現実そうなっているのです。それは表では、国家管理でもないし、私企業ですけれども、実際の扱いはそういうふうに扱わなければならないようになっているわけですよ。ですから、私はすらっとこう聞いたのだけれども、労働大臣は原則論をおっしゃるから、これはひとつ通産大臣、一勉強していただいて今後答弁願いたい、こういうように思います。実情はそうなっていない。ここ十年間ぐらい、通産省が顔を出さないできまったことは一回もないのです。それは事実なんです。いい、悪いは別として、事実としてきまらない。これだけ補給金をもらっておって、経営者は当事者能力がないのです。ですから、そのことをあえて言っておきたい、こういうように思います。
 最後に労働大臣に、あなたのほうも石炭勘定から緊就あるいは開就の予算を要求されておるのです。あなたのほうもやはり要求どおり通す自信がありますか。
#60
○岩崎政府委員 私どもも単価のアップを要求しておりますが、できるだけの努力をして予算獲得をいたしたいと思っております。
#61
○長谷川国務大臣 いま岩崎君が答えたとおり、私のほうでも、数字を見ました上で、強硬にひとつ大蔵省に折衝します。
#62
○田代委員長 多田光雄君。
#63
○多田委員 通産大臣に伺いたいのですが、先ほど石炭部長が、来年度の予算で石油関税の十二分の十、これ以下になるという話だったのですが、これはたいへんあいまいなのですが、大臣ちょっと説明してくださいませんか。法的には十二分の十を石炭のほうに回すということになっておるのだけれども、そうなると法を改正して出すということなのでしょうか、どうでしょうか。
#64
○河本国務大臣 まず先に、石炭部長から明快に答弁させます。
#65
○高木政府委員 四十八年度までは十二分の十ということで法律で規制されたわけでございますけれども、四十九年度からの分につきましては、その十二分の十という規制がはずれたわけでございます。で、石油、石炭の両方を関税収入の中から見るというふうになっておりますので、石炭と石油の配分は長官の裁量によって最終的にはきまるということになっておりますけれども、石炭部といたしましては必要な財源は確保するというたてまえで、今回千二百五十五億という予算要求をした次第でございます。
#66
○多田委員 こればかりにかかっておるわけにはいかないのですが、石油の何に使うのですか。
#67
○高木政府委員 直接私の所管でございませんので詳しくは申し上げられませんけれども、石油の開発、それから一部は備蓄の関係も入っていたと思います。備蓄に対する融資、主として石油公団に対する金であったと思います。具体的には、私の担当でございませんので申し上げられませんけれども。
#68
○多田委員 それから、これまた通産大臣に伺いたいのですが、先ほど、五十一年度以降は相当石炭関係に金を回すというふうに私伺ったのですが、もしそれが正確だとすれば、国内石炭を増産させていくという意味の石炭予算をふやすということなのか、あるいは研究費を一そうふやしていくということなのか、その辺どうなんでしょうか。その見通し、根拠、それをひとつ述べていただきたいと思います。
#69
○河本国務大臣 十月一日に石炭審議会に、今後の石炭対策はどうあるべきかということについて意見を伺っておるわけです。来年の五、六月には答申が出てくると思います。その答申を見まして最終的に基本対策をきめるわけでございますが、やはりその中には国内炭の増産、新しい炭鉱の開発、こういうことも当然入ってくるのではないかと思います。
#70
○多田委員 もう一度繰り返すが、部長、十二分の十の規制ははずれたということだけれども、これはどういうことなんですか。
#71
○高木政府委員 先ほど申し上げますように、法律からはずれたわけでございますけれども、附則におきまして、「昭和四十七年度及び昭和四十八年度においては、第四条の規定」というのが、石油に関する関税収入の帰属でございますけれども、「規定により石炭勘定及び石油勘定の歳入に組み入れる関税収入の額は、同条の規定にかかわらず、石炭勘定にあっては第一号」云々、いろいろございますけれども、そういうような規定がございまして、「これらの対策に必要な費用を勘案して、予算で定めるところにより、石炭勘定及び石油勘定の歳入に組み入れるものとする。」という規則になっております。
#72
○多田委員 これに関連してもう一つ、通産大臣に伺いたいのですが、先ほど国内石炭の増産も考えて相当出すというお話でしたけれども、石油関税が備蓄のほうまで石油関係に使っていくということになれば、一体その財源は関税以外にどこから持ってこられる予定なんでしょうか。
#73
○河本国務大臣 これは最終的には、先ほども申し上げましたように、五、六月ごろに答申が出まして、それを受けて基本的に政府の、内閣の方針をきめるわけです。そのときに、どうするかというふうなことをいろいろきめていきたい、こう思っております。
#74
○多田委員 エネルギー・石炭政策全体については、次の国会で総括的にいろいろ御質問をしたいと思います。
 きょうは私、主として砂川炭鉱の災害問題についてお伺いしたいのですが、労働大臣は労働力の確保なくして、あるいは保安なくして、生産なかなかたいへんだというお話をされましたが、それはもうそのとおりだというふうに思うのです。実は私、この間炭鉱事故が起きた直後、現地へ参りまして、数軒の犠牲者の家を回ったんです。そうしましたら、犠牲者の家族の方はこう言うのですよ。つまり、会社や政府や国会のえらい人は、来ると、もう二度と災害は起こしませんと、そう言いながら、災害が絶えない。しかもその災害は一挙に十数名、多いときは何十名という人が命を失っているわけですね。これが絶えないのですよ。総体的には減ってきておりますけれども、これは炭鉱も減りましたから。しかし依然として、この災害から労働者は免れていない。ですから、労働者は自分のからだを通じて、政府や会社の言い分というのは信用しておらぬです。
 おまけに、先ほど言ったように、十二分の十も削って石油の備蓄のほうに回していく、こうなってきましたら、いよいよ一番大事な炭鉱労働者――炭鉱に魅力を持たせると先ほど労働大臣もおっしゃったけれども、魅力を持つどころじゃないですよ。この一点を私申し上げておきたい。
 いま一つは、三井砂川は水力採炭を採用してから十年たっているのです。これから日本の石炭が深部に入っていく、いよいよ保安の問題が重要になっていくという中で、今回の水力採炭に伴うこういう悲惨な事故の原因究明ということが非常に、これは労働者のためと同時に、日本の石炭産業を復興する上でも非常に私は大事な問題だろうと、こういうふうに思っております。
 先ほど大臣も、政府の調査団を派遣するというお話でした。私もそれをぜひひとつお願いしたいと考えていたわけですが、問題は、その調査団の性格、それから調査団が現地へ行ってどういう調査をされるのかという問題なんですが、これは大臣、まあ私どもきのう帰ってきたばかりでありますし、皆さんも構想はまだ十分お持ちじゃないと思いますけれども、相当思い切って、この水力採炭だけではなくして、日本の石炭産業にまるで悪夢のようについている災害の多発という問題について、根本的にメスを入れるようなことも含めた炭鉱の調査団を送っていただきたい、こういうふうに思うのですが、どうでしょうか。
#75
○河本国務大臣 実は私が今度の炭鉱の事故で非常に心痛をいたしておりますゆえんのものは、一つはもちろん事故にあわれた御本人また御家族にたいへん申しわけないことだと思っておりますが、同時にあわせて、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、石油問題が起こって以来、日本の石炭産業というものは根本的に見直していかなければならぬ、非常に重要な地位を占めるようになった、こういうやさきに、労務者を確保し、新しくスタートする上におきまして、石炭産業がこのことによって非常に打撃を受ける、こういう点をあわせて同時に私は非常に心配をしております。そういう意味におきまして、お説のような調査団を派遣しまして、今度の問題だけではなくして、抜本的に災害問題と取り組んでいく、こういうふうにしたいと思います。
#76
○多田委員 今回の災害が起きる前に、現地でそういうガス爆発あるいはまたガスに関する保安上の問題、それ以外でもいいのですが、そういう問題の徴候がなかったのか、また政府はそういう問題を聞いていなかったのか、これを伺いたいと思うのです。
#77
○脇山説明員 札幌鉱山保安監督局では毎月、巡回検査を実施しております。それから災害が起こりました部内につきましても十七日には巡回をやっておりますが、その監督官が巡回いたしましたときには、現場の状態、それから保安日誌等の点検結果、それからまた組合なり保安委員会のメンバーからのお話等からも、そういった特にガスが急激にふえてきたというような話は聞いていないという報告を受けております。
#78
○多田委員 通産大臣、これはちょっと聞いておいてもらいたいのですが、実はこの間入りましたら、なくなったある遺族の、名前はこれは省略させていただきますが、奥さんが、だんなが最近ガスが多くなったということを言っていたというのです。つまりガス警報機の鳴る度合いが多くなった。それを言っていたというのです。それからもう一つ、これは十二月四日、今回の事故の起きた一坑の労働組合の支部代議員大会で、こういう発言が末端の職制の係員クラス、これは組合員です、これのこういう発言があるのです。乾燥期に入り爆発災が起きやすい、ガス対策を強化すべきだ。――これは途中抜きます――会社の幹部の中には保安にでたらめな者もいる。これは末端の職制です。こういうことが一坑の組合の支部代議員大会で発言されているのです。つまり私の言いたいことは、再三あるのです。この保安の事故の前には、そういう予兆や大衆の中あるいは労働者の中にはそういう不安があるのです。これが会社や保安関係の幹部の耳に入らないのです。
 それからまたもう一つ大事なことは、当然これは保安監督局の耳にも入らないのです。これは調べてみてください。そういう耳に入らないような監督行政になっているのじゃないか。あるいは、会社はやはり生産が何といっても第一ですから、どうしてもそこで働く保安の要員や、これも会社から給料をもらっているわけですから、年末を前に給料も余分にほしい、会社もいま売れるからやはり一定の増産を続けていかなくちゃならない。そうすると、労働者も保安にはなれっこになっている部面もあるでしょう。やっぱりこういう問題が、私はずれていく面が今後出てくるのじゃないかというように思うのです。
 そこで、このガス問題で私は伺いたいのですが、ガス警報器は二%で鳴りますね。ところが、法的には一・五%となっていますね、あの規則では。このガス警報器を一・五%に引き上げて、そうして事前に会社に取り組ませるというふうな思い切った措置をこのガス問題でとるようなことを考えていただけないかどうか、これをひとつ伺いたい。
#79
○脇山説明員 ガス警報器のガスパーセントの問題でございますが、石炭鉱山保安規則では一・五%をこえる個所へは送電を停止するようになっています。ですから、電気施設と連動しておる個所のガス測定の警報器の鳴るリミットを一・五%とセットしておるのが通常でございます、それから係員の付き添い作業をやりますところでは、二%未満まで認められております。ですから、採炭作業場等で係員が付き添い作業をやっておるところでは、二%にセットするということも省令上可能であるわけです。
#80
○多田委員 これも現地の監督署と、それから警察――事故か起きてから監督署に連絡か入ったのは一時間三十五分あとです。それから地元の警察に入ったのが二時間二十分。両方ともおそいといっているんです。毎回これもあることなんです。家族にわかったのは第一回の犠牲者が上がってきてからです。こういうことを監督のあなた方知ってますか。
#81
○脇山説明員 承知しております。
#82
○多田委員 つまり、これはやっぱり企業なんですよ。ですから、問題はきびしく取り扱っていかないというと、石炭産業復興の一番最大のネックになっている労働力の確保なんて幾らいってみたって、予算少々上げてみたってだめです。そのために第三者的な政府のこの監督行政が入るわけでしょう。ガス警報器も法規どおりきちんときびしくしていく。そのことによって鳴る度数が多くなって作業ができないというならば、それをどうするかという根本の問題に入っていく必要が、いまある。それほどエネルギーの問題が深刻な問題になり、石炭産業の増産は、かりに政府では二千万トンなんていっても、労働者はいま年齢が四十三歳でしょう。もう四、五年たったら労働力はいなくなるんですよ。
 こういう危機的な問題に対処する意味で、保安法規というものの不十分な点を、関係者や労働者の意見を聞いて、この際思い切って抜本的に改正していく。そういう対策をとらなければ、かりに予算をふやしても、炭鉱労働者は集まらない。この面から石炭産業は崩壊していく。そういう意味で通産大臣、どうでしょうか、この問題でもう一度――かなりりっぱなものができておりますけれども、現状に見合って、そして労働者の命を一名も失わない、こういう角度から、関係者の意見を聞いて保安法規の不備をこの際見直していく。それが石炭政策見直しの基本につながっていくんですが、そういうお考えをお持ちでしょうか。これは大臣にお伺いします。
#83
○河本国務大臣 先に立地公害局長から答弁をさせます。
#84
○佐藤政府委員 炭鉱におきますところの保安確保のために、われわれ監督行政をやる立場におきましては、特に第一線に働きますところの労働者の声を聞かなくちゃならないという立場を堅持いたしておりまして、機会あるごとに労働者の方々と接触するように指導してまいっております。たとえば現場に参りまして、監督員が監督したあと労使を集めて、講評の場合は労働組合にも十分にわれわれの検査の結果を申し上げますし、それから監督官が現場に参りますときには、労使を帯同して一緒に参っておりますし、そういうことで厳然たる姿勢でやっておるわけでございます。
 ただ、先生のおっしゃるように、現実にこういうような重大災害が発生いたしておりますので、今後ともこういう体制はなお一そう前向きに努力するように現場の監督局にさらに指示してまいりたいと思います。
#85
○多田委員 前向きの努力は、もう何十回も聞いているのですよ。私の伺いたいことは、石炭をほんとうに見直していくとか、石炭を増産さしていくとかいうのであれば、思い切って一番最大の保安行政上の問題を――足りない点かあるのは当然なんです、時代とともに。そういうものを見直していくお考えがないかどうかということを大臣に私は伺っているのです。
 それから、労働組合とやっておるというが、やっておる中に事故が絶えないわけでしょう。そういうことは、毎度の官僚的な弁解にすぎないと私は思っておる。その弁解をほんとうのものにするためには法改正が必要なんだということを言っておるのです。
#86
○河本国務大臣 先ほど多賀谷さんのお話の中に、事故は安全なところに起こる、こういうお話がございました。という意味は、ことばをかえていうと、油断すれば事故が起こる、こういう意味でなかろうかと思うわけでございます。いまのお話との関連におきまして、私は非常に感銘を深くしておるわけでございますが、お説のような点につきましては、今度調査団を派遣をいたしましてよく調査をいたしまして、そして前向きによく検討をしてみたい、かように考えます。
#87
○多田委員 大臣前向きに御検討ということなので、ぜひひとつ早急にそういう調査団を派遣していただきたい、こう思います。
 そこで、これまた通産大臣にちょっとお願いですが、北海道や北海道の市町村では、新しく炭鉱労働者を入れる場合に三万円の支度金を出しておるのです。これで道だけでも三千万ですか、予算を組んだのは。そういう意味で、炭鉱労働者を確保する意味で国自身が、新しく労働者を採用する場合にいろいろな援助をされるというようなことをひとつ御検討願えませんでしょうか。
#88
○河本国務大臣 その問題につきましても、よく検討してみます。
#89
○多田委員 最後に労災で、これは法定で六〇%ということになっておるわけですが、ほかの企業は、会社から出す付加金、これは大体四〇%ぐらいになっておるのですが、炭鉱については一〇%から一五%なんですが、これを、一番劣悪な条件の中で一番事故の多いこういう炭鉱労働者に対して、会社に対する指導として、そういう指導をやっていただけませんでしょうか。どうでしょう。
#90
○河本国務大臣 この問題もあわせて検討さしていただきます。
#91
○多田委員 時間が来ました。労働大臣に特会の問題をひとつお伺いしようと思いましたけれども、ほんとうに申しわけありませんでした。
 これで終わります。
#92
○田代委員長 ちょっと速記をやめてください。
  〔速記中止〕
#93
○田代委員長 速記を始めてください。
     ――――◇―――――
#94
○田代委員長 次に、請願についてでありますが、本委員会に付託になりました請願につきましては、ただいまの理事会において協議いたしましたが、委員会での採否の決定は保留することになりましたので、さよう御了承願います。
 また、本委員会に参考送付されました陳情書は、新石炭政策の確立等に関する陳情書外一件でございます。念のため御報告申し上げます。
     ――――◇―――――
#95
○田代委員長 次に、閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。
 石炭対策に関する件について、議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#96
○田代委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後六時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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