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1949/03/29 第7回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第007回国会 厚生委員会 第19号
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1949/03/29 第7回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第007回国会 厚生委員会 第19号

#1
第007回国会 厚生委員会 第19号
昭和二十五年三月二十九日(水曜日)
    午後一時五十三分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 松永 佛骨君
   理事 青柳 一郎君 理事 田中 重彌君
   理事 中川 俊思君 理事 岡  良一君
   理事 苅田アサノ君
      高橋  等君    丸山 直友君
      亘  四郎君    堤 ツルヨ君
      渡部 義通君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 林  讓治君
 出席政府委員
        厚生事務官
        (社会局長)  木村忠二郎君
        厚生事務官
        (保險局長)  安田  巖君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (社会保障制度
        審議会事務局
        長)      小島 徳雄君
        厚生事務官
        (大臣官房総務
        課長)     森本  潔君
        厚生事務官
        (社会局保護課
        長)      小山進次郎君
        労働基準監督官
        (労働基準局給
        與課長)    宮島 久義君
        労働事務官
        (職業安定局失
        業対策課長)  海老塚政治君
        專  門  員 川井 章知君
        專  門  員 引地亮太郎君
三月二十八日
 委員大森玉木君辞任につき、その補欠として金
 塚孝君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
三月二十七日
 厚生年金保險に関する請願外二件(松谷天光光
 君紹介)(第一八五九号)
 医薬分業制度確立に関する請願(堤ツルヨ君紹
 介)(第一八七三号)
 同(中曽根康弘君紹介)(第一九四八号)
 遺族の援護対策確立に関する請願(足立梅市君
 外八名紹介)(第一九〇一号)
 同(逢澤寛君紹介)(第一九〇二号)
 同(坂田英一君外二名紹介)(第一九五三号)
 国立療養所患者の食費増額に関する請願(井之
 口政雄君外一名紹介)(第一八八四号)
 民生委員の機能充実に関する請願(青柳一郎君
 紹介)(第一九四四号)
 クリーニング法案に関する請願(首藤新八君紹
 介)(第一九七一号)
 須賀の山を国立公園に指定の請願(稻田直道君
 紹介)(第一九八二号)
 社会保險の危機打開に関する請願(田中元君紹
 介)(第一九八九号)
 国立富山病院の施設拡充に関する請願(内藤隆
 君紹介)(第一九九二号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 生活保護法案(内閣提出第一一六号)
 公述人選定に関する件
 厚生行政に関する件
    ―――――――――――――
#2
○松永委員長代理  これより会議を開きます。
  まずお諮りいたしますが、来る四月一日午前十時より開会の厚生委員会公聽会における公述人の申出が参つておりますが、昨日一ぱいで公述人申出の締切りと相なつておりますので、この際公述人の決定をいたしたいと存じますが、理事会において大体決定いたしました通り、民生委員連盟会長の原泰一君、社会事業協会理事長青木秀夫君、中央兒童福祉審議会委員牧野修二君、翼風園長下松桂馬君、至誠会第二病院患者代表の井上春雄君、千葉県君津郡中村助役増田正直君、日本医師会理事竹内一君、元明治学院教授天達忠雄君、民生委員江津秋技君、無職竹内まさ君、健康会議社編集長朝倉純義君を生活保護法案審査のための公聽会の公述人に選定するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○松永委員長代理 御異議なければそのように決定いたします。
 なおただいま決定いたしました公述人の中で、公職追放に関する覚書該当者がありましたら、削除いたしますから御了承願いたいと存じます。
    ―――――――――――――
#4
○松永委員長代理 次に社会保險審議会、社会保險医療協議会、社会保險審査官及び社会保險審査会の設置に関する法律案について、まず当該係官の御説明を願います。
#5
○安田政府委員 簡單に御説明申し上げます。
 行政機構の整備簡素化についての政府の方針に従いまして、厚生省におきましてもその附属機関の整理のため、別途提出いたしました審議会等の整理に伴う厚生省設置法等の一部を改正する法律案と同様の趣旨におきまして、かつ同法と一体をなすものとして厚生省所管の社会保險関係の各種審議会等を統合するために、この法案を提出する次第であります。
 この法案の内容につきましてその大要を申し上げますと、第一に、従来健康保險、船員保險及び厚生年金保險の運営に関する事項を審議するため、健康保險審議会、船員保險審議会、厚生年金保險審議会が置かれておりましたのを統合して社会保險審議会を設置したこと。第二に、従来健康保險、船員保險及び国民健康保險の療養を担当する者の指定、指定の取消し及び保險診療の指導に関する事項並びに適正な診療報酬額、または診療報酬の標準額を審議するため、それぞれ中央社会保險診療協議会、地方社会保險診療協議会及び社会保險診療報酬算定協議会が置かれておりましたのを統合して中央社会保險医療協議会及び地方社会保險医療協議会を設置したこと。第三に、従来健康保險、船員保險及び厚生年金保險の保險給付についての不服を審査するための第二次審査機関として及び保險料その他の徴收金等についての不服を審査するための第一審機関として、それぞれ健康保險審査会、船員保險審査会及び厚生年金保險審査会が置かれておりましたのを統合して社会保險審査会を設置し、同時に保險給付に関する不服を審査する第一審機関として置かれていた各保險の保險審査官を統合して社会保險審査官としたことであります。
 以上の改正によりまして各機関の構成員をして、各保險に関して審議または審査するにあたつて、総合的な判断をする実益を附加することを期している次第であります。
#6
○松永委員長代理 青柳委員より発言を求められております。これを許します。青柳一郎君。
#7
○青柳委員 大体了承できるのでありますが、ただ一点だけ当局に伺つておきたいと思うのであります。この法案を拝見いたしますと、健康保險、船員保險、厚生年金保險おのおのにつきまして、その事業の運営に関する事項について、企画、立法または実施の大綱証関するものはあらかじめ社会保險審議会に諮問するということに相なつておるのであります。ところでこの三つの保險においては、おのおのがみな社会保障制度と関連を非常に持つものであります。現在政府御当局におかれまして、社会保障制度審議会というものを開催せられておる。この審議会は社会保障制度に関することにつきましては、すべて事前に了解を得ると言いまするか、審議してもらうということに相なつております。私の質問は、この社会保險審議会と、社会保障制度審議会との関連いかんという問題であります。もしそのおのおのにつきまして、異なる意見など出ます際に御当局はどういうふうにお考えになつておるかという一点のみを承りたいのであります。
#8
○安田政府委員 各保險の審議会の権能は、ここにも書いてございますように、保險事業の運営に関する事項というふうに制限がございますので、実際問題といたしますと、大体保險の運営上の実際的な問題が、これにかかつて来ると思います。たとえば料率を変更するとか、あるいは一部負担がどうとかいうような、きわめて実際的な、部分的な部門にすぎぬのじやないか。社会保障制度審議会の方におきましては、もつと根本的な、体系的な問題がそれにかかつて来やしないかという問題。両者にかかるべき共通の問題もあるかと思うのでありますが、そういう場合には、両方にかけるようにいたしたい。なおそのときに意見が違つていたらどうかということでございますけれども、今申しましたような部分的と、もつと根本的な問題との関係もございますので、そういうことは万々ないではないか。かように考えております。
#9
○青柳委員  一応けつこうであります。
#10
○松永委員長代理 次に中川委員より、共同募金に関する件について、発言を求められておりますので、これを許します。中川委員。
#11
○中川委員 先般、広島の共同募金の調査に参りましたときに、いろいろ感づきましたところその他について、二、三お伺いをいたします。
 第一点は募金の方法でありますが、どうも各地方をまわつて聞いて見ますと、半強制割当をされる、こういうような苦情が非常に多いのであります。しかしこれは、私がこの間の報告のときに、苅田委員からの質問にお答えいたしましたように、広島県なら広島県、山口県なら山口県に、一定の額をきめて募金をするのでありますから、勢いその額に満たそうと思えば半強制的にならざるを得ないことは、一応認められるのであります。しかしここに何らか基礎的な、科学的な募金の方法がないものか。たとえばアメリカなどでは、給料生活者からは、給料の一日分を差引くとか何とかいうようなことをしておるように伺つたのでありますが、しかしこれは給料生活者からならそれができるかもしれませんが、給料生活者にあらざる者からは、それができないことでありますし、これらの点について、配分ももちろんでありますけれども、私が今お聞きしておるのは、主として募金の方法であります。何らか世帶割にするとか、あるいは資産割にするとか、すなわち税金割、その担税力に応じて出さすとか、あるいは人口割にするとかいうような件について、当初これは立案されましたときに、何らかのお考えがなかつたものですかどうでしようか。
#12
○木村(忠)政府委員 共同募金につきましては、厚生省といたしまして、募金の方法につきまして、こうしたらいいとか、ああしたらいいとかいうようなことは差控えたいと思つておるのであります。と申しますのは、共同募金はあくまでも民間の運動でございまして、政府におきまして統制して、どういう方法でやれということを指導することは、むしら適当でないというのがわれわれの考えでございます。当初から共同募金につきましては、援助はするけれども、これに対しましてこちらがコントロールはしないという建前をとつておるのでございます。しかもその後政府の方は、逐次これから後退する建前をとりまして、できるだけ民間運動としての本質を生かしまして、あくまでも強制的になるという感じを抱かせないようにというふうに考えた次第であります。募金の方法につきましては、たとえばただいまお指摘のありましたような税の額の割合によるとか、あるいは收入の割合によるとかいうようなことを一応は考えるのでありまするけれども、そういたしますと、かえつて強制的になるおそれがあるのでございまして、ただその県あるいはその町村といたしまして、一応一人当りいくらぐらいの割合になるのだということを示して、それによりまして、各人が自分の能力によりまして適切な額を寄付するというふうにいたすのが、最も適当であろうかと考えております。従いましてわれわれといたしましては、強制的になることはできるだけ取締りたいというつもりで、今後指導して参りたいというふうに思つております。
#13
○中川委員 これは木村さん、ひとつざつくばらんに、かみしもを脱いでお願いいたします。第二に、事務費でありますが、二十二年度に厚生省から、事務費は大体一割以内というようなお指示があつた。これはいつか木村さんからお伺いしたと思うのでありますが、なおこれは現地で聞いたことですが、ところが広島におきましては、これは二割を使う。県が六分、地区が四分、町村が一割、合計二割を使つておるのであります。そこでこれは純然たる民間の事業でありますから、県費や市町村費でまかなうことはできないと思うのであります。大体一割を限度として使うという指示をなさつておるのでありますが、これをもつと徹底さしていただきたい、かように考えております。ところがこれを徹底さすということになれば、先ほどお話のありましたように、中央からそういうコントロールはなるべくしない。こういうことになるのでありますが、しかしせつかく大きな社会事業として、厚生省の所管事項でありますので、これらの点についてあまりたくさん事務費を使わないようにと、さらに厚生省として徹底さしていただく御意思があるかどうか。この点について伺います。
#14
○木村(忠)政府委員 御質問の通り、実際の必要な事業そのものに使う金を集めるというのが目的でございますので、事務費が高くなるということは思わしくないことであります。われわれとしましては、別に事務費をどのくらいにしろということを指示いたしておるわけではないのでありますが、一応一割くらいが適当であろうということは考えております。中央共同募金委員会におきましては、国全体としては一割くらいにとどめるという考え方でもつていたしておるのであります。目標額がきわめて多いような地方におきましては、一割よりも低いのでありますが、目標額がきわめて少いものにつきましては、事務費が一割よりもよけいかかるといつたような状況になつておりまして、結局国全体としては一割程度にしたいという考えをもつて、中央共同募金委員会が指導いたしておるようであります。事務費の中でもむだなものはできるだけ省くようにしなければならぬと考えております。これらの点につきましては、共同募金につきましても、募金である以上は、一応許可を要することになりますので、許可に際しましては、事務費があまり大きくなるような許可はしないようにさせたいと思つております。なお許可を受けたより以上の事務費を使つておるものにつきましては、適当な措置を講じなければならないと思つておる次第でございます。
#15
○中川委員 それから事務局の機構の問題でありますが、これは最初はいろいろな手違いがあつたと思うのであります。先ほど木村さんがお話しのように、官庁はなるべく民間事業の中に入らないということでありますが、広島におきましては、県知事とか民生部長とかいうものが、事務局の機構の中に入つておる。それがああいう問題を起したひとつの原因ではないかと思うのであります。厚生省におきましても二十三年度に指令をお出しになつて、こうした事務局の官僚化は極力警戒をせよというお示しがあつたようでありますが、今後この問題につきましては、中央共同募金委員会を御督励なさつて、監査機関を設置することが必要であると思う。また委員会の改組を願つて、婦人であるとか、青年とかを委員に入れてやるというようなことを地方では非常に要望いたしておるのであります。これらの点について、本省といたしましてはどういうふうなお考えを持つておられるか。お伺いします。
#16
○木村(忠)政府委員 事務局そのものは、仕事に専念しなければならぬようなことに相なりました。共同募金を一年に一箇月間やるといたしましても、その最初に募金の宣伝等についての計画もしなければならぬし、宣伝についての各種の準備その他もございます。また募金の後には、こまかい計算などもいたしまして、それぞれ手続をしなければなりませんし、また配分委員会できまりました内容に従いまして配分を実施する、あるいは配分した後の用途が、当初の目的通りのところに使われておるかどうかという点についての調査もしなければなりません。そういうふうに共同募金が実際目的通り使われておるかどうか、あるいは目的通り実際にやるようにするというためには、事務局の機構というものは一応常設的なものとなつておらなければならぬことになるのでありまして、これについてはやはり専任の者を置いてやるという建前をとるのがいいのじやないかと思つております。しかし共同募金委員会そのものは、金を寄付する側の人の集団であるべきでありますから、これの構成につきましては、それぞれの地方において適当な人を入れるということが必要であろうというふうに考えております。これにつきましては、こちらから具体的にどうこうという指示はいたしませんけれども、地方におきまして、あまり妙なことになつているものがございましたならば、これに対しましては適宜注意するというふうにいたして参りたいと考えております。特に官公署がこれに入ることは、いろいろと誤解を招くおそれもありますので、われわれといたしましては、官公署の者が責任のある地位につくということは避けるように指導いたしているような次第であります。この点につきましては、今後も実質上そういうことがなくなるようにしたい。現在名目上はほとんどそういうことはなくなつておりますけれども、官公署におきまして、実質上まだタッチしているところもあるやに聞いておりますので、そういうこともなくなるように努力いたしたいと考えております。
#17
○中川委員 最後にお願いをいたしておきたいのであります。日本人は大体社会事業に対する観念がきわめて乏しい国民でありますので、そうした共同募金なんかの問題に対しましても、進んで自発的に協力するという態勢ができていないのではないかというふうに私どもは考えております。この共同募金の問題は、先ほども木村さんのおつしやるように、あくまでも民間の自主的な活動にまつという御趣旨でありますので、中央官庁から積極的にいろいろな働きかけをなさることは――むろんなさるのが建前であろうと存じますけれども、せつかくこれを立案なさつて、こういう制度ができたのでありますから、有終の美をなす意味からいつて、お気づきになつた点を直接お申出なさることが本意でありますならば、中央募金委員会などを通して善導をお願いいたしたいと思うのであります。さらに社会事業に対するところの啓蒙運動も、中央募金委員会だけではなく、厚生省の社会局あたりでも大いにやつていただきたいと思います。いずれにいたしましても、そういうふうな点についてお気づきの点は、それぞれの各機関に御指示を願いまして、広島のような不祥事件が起きたために、今年は募金に応じないというような国民の気持を根絶するように、この上とも御努力願いたいということをお願いしておきます。
#18
○松永委員長代理 次は岡良一君。
#19
○岡(良)委員 今事務費の問題が出たので、その取扱いをどういうふうになさるか聞きたいのであります。実はこういう実例がある。それはある県で同胞援護会というものがありまして、これが孤兒の收容施設と引揚者の寮の中に売店を経営したり、ミシン及び疊表などの授産所を経営をしておりますが、この孤兒の收容所は、兒重福祉法によつて国あるいは県等の補助金をもつて維持されておりますので、現在のところ同胞援護会とは何ら関係がないというようなかつこうになつている。同胞援護会が管理するという形にいたしますと、孤兒の施設の長は手続上きわめて煩雑であり、いろいろな面で時間的なずれがあるために、非常に不自由を感ずるだろうと思います。ところで昨年度の共同募金の分配は、社会事業協力会が中心となつて、この募金の配付について協議した結果、一括同胞援護会に分配された共同募金をどういうふうに取扱つたかというと、結局現実には何ら仕事をしておらないけれども、現在なお形だけでも職員をとどめておるので、しかも何ら收入を持つておらない関係上、そうした実態のない形式上の職員費のために、その募金がかなり費消されて、実際それを待ちあぐんでいる孤兒の收容施設というところには、希望通りに募金が流れて来なかつたということがありまして、その施設の長がいろいろ意見を申しおつたのでありますが、そういう場合に厚生省として立ち入るということはどうかと思いますが、何か内面的な指導で、そういうように実際兒童福祉法によつて、孤兒收容施設として国なり地方の補助金で運営をやつておる場合、共同募金がただちにその施設の方に流れることによつて、施設とそこに收容されている者の福祉のために、直結的に活用されることが望ましいということをその当時考えておつたのでありますが、厚生省の方ではそういうお取扱いはどういうふうになさるのですか。
#20
○木村(忠)政府委員 御説の通りに共同募金の金が、実際の事業費に使われないで、その他の事務費に使われるということは避けなければならぬことであると思つております。従いまして、各種の団体の事務費のための経費に充てるために共同募金を当てにするということは、適当でないのであります。それにつきましては、私としましてはそういうことのないように十分監督して参りたいと考えております。この点の監督は、これに対する干與ではないのでありまして、われわれといたしまして当然行政上の監督をしなければならないことになつております。
 なおこの機会に考えなければなりませんことは、共同募金はあくまでも最初目標をきめました場合に、どういうものに出すものという最初の予定があるわけでございます。その予定に従つて配分するのが原則であります。最初から目当なしに、ただ総額を幾らといたしまして集めるのではなくて、どういうものに金を出してやるという予定を立てまして、その予定のもとに総額がきまるわけであります。従つて募集の許可の際におきましても、その限度において許可されておるわけでありますから、実際の実行につきましては、その範囲内においてやらなければならぬというのが建前でございます。ただその後の事情の変化等もございますので、その変更する必要がございましたならば、配分委員会に諮りました上で、配分の変更をし、さらにこれにつきましては相当の手続をとらなければならないことだろうと思つております。従いましてその配分の仕方が、当初の目的と著しく異つておる。それがはなはだしく不当であるというような場合におきましては、これに対しましてわれわれとしましては、適当なる監督方法を講じなければならぬというふうに考えております。その点に遺憾の点がございましたならば、われわれとしましてはまことに申訳ないと思うのであります。この点については今後十分に注意いたしたいと思います。
#21
○苅田委員 この前中川委員から共同募金に関する視察についての報告がありましたときに、私の質問に対しまして、中川委員から詳細はなお報告書を出すはずだから、それによつて知つてもらいたい、こういう御答弁だつたのでありますが、報告書もどうやらできているというふうにも聞いておるのですが、いつこの報告書を出していただけますか。このことをちよつとお伺いしておきたいと思います。
#22
○中川委員 これは委員長から議長に提出されますから、それをごらんくだされば詳細わかります。厖大な報告書ですからここでは時間を要しますので、従来の慣例に従つて手続をとつておりますから、どうぞその方でごらん願いたいと思います。
#23
○苅田委員 いつできますか。
#24
○中川委員 もうすぐできます。
#25
○松永委員長代理 次に森本総務課長より審議会等の整理に伴う厚生省設置法案等の一部を改正する法律に関する件について発言を求められておりますので、これを許します。森本総務課長。
#26
○森本説明員 審議会等の整理に伴います厚生省設置法の一部改正につきまして御説明を申し上げたいと思います。まず最初に御了解を得ておかなければなりませんことは、この法律は国会に提出になりましたところ、衆議院、参議院双方ともにおきまして内閣委員会に付託になりまして、そちらでいずれも可決になつたものでございます。設置法でございますので、厚生委員会に関係がありますから、なるべく早い機会に御説明を申し上げたいと思つておりましたところ、機会が遅れましてさようになつたわけでございますが、ひとつ御了承願います。
 内容といたしますところは、昨年十一月四日に閣議決定で行政簡素化の一環として審議会を整理するという方針がきまりました。それで整理方針としましては、審議会の中でぜひ必要なもの、これは残すけれども、官吏のみを委員とするような委員会、または單なる諮問機関的な委員会は廃止する。それから類似した性質の委員会はなるべく統合する。こういう方針のもとに整理をいたしたのでございます。厚生省関係の審議会としましては、従来四十一の審議会がございました。これを整理いたしまして二十一にいたしましたが、実質的に廃止になりましたのは五つでございます。他はいずれも統合ということになつております。以上四十一の審議会を二十一に整理したというのがこの法律案の骨子でございます。事後になりましたが、ひとつ御了承願いたいと思います。
#27
○丸山委員 ただいま森本さんからお話がありましたそのことは、書類としては審議会等が統合せられるということは拝見しておつたのでありますが、ところが厚生委員会に付議せられたことではなく、内閣委員会でございますから、かまわずにおけばよいとはいうものの、事後において御報告を受けるというようなことは、はなはだおもしろくないと考えます。こういうふうな厚生省関係の事項は、本会議を通過した後に報告せられるという形でなく、一応委員会にお諮りあつてしかるべきだと考えます。とかく委員会が軽く見られるということは、この間からしばしば問題があつた。こういうような取扱いをせられますことが、どうもそういうふうなことを起すもとだと思います。つまらないことでございますが、あらかじめ早く委員会に御連絡あつてしかるべきだと考えます。どうぞこれからよろしく。
    ―――――――――――――
#28
○松永委員長代理 次に生活保護法案を議題とし、前会に引続き質疑を通告順によつて許します。なお本法案につきまして、林厚生大臣の出席を求めます。通告順によりまして岡良一君。
#29
○岡(良)委員 私は前会に引続きまして今度の生活保護法の抜本的な改正と、将来その実現が期待せられております社会保障制度との関連について二、三点お尋ねをいたしたいと思います。
 そこで昨年十一月の第八回の審議会総会で採決されておる覚書並びにその後の生活保護法の改善強化に関する勧告でありますが、要するに覚書では給付の内容は最低限度の生活を保障するものでなければならない。さらに老人、寡婦、孤兒、身体障害者その他の生活困窮者に対する法的扶助の制度は、社会連帶の観念によつて一層拡充強化すべきであると唱えられておりまして、その一つの具体化といたしまして、今般の生活保護法の大幅改正があつたと考えております。そこでお尋ねいたしたいことは、この老齢者あるいは寡婦等に対する生活の保障の点でありますが、これは政府としては、特にまた審議会の御方針あるいは構想といたされましては、やはり公的扶助という姿によつて、この最低生活の維持を保障しようとしておられるのであるかどうかという点を、事務局長あるいは社会局長等から承りたいと思います。
#30
○木村(忠)政府委員 生活保護法の方におきましては、全般的な老齢者の老後の保障ということを考えてはおらないのでございまして、これはあくまでも一般の広い意味の社会保障制度としてお取上げ願うことが適当であると思つております。老齢になりまして生活ができなくなつたという者につきましては、やはり一般生活困窮者と同様でございますので、その点につきましては、最低生活の維持に支障のないようにいたしまして、他の社会保障制度全般が整備されるまでの間におきましては、この制度をもつて最低生活の保障をいたしたい。かように考えておるわけであります。
#31
○岡(良)委員 先ほど申しましたように、将来に期待される社会保障制度との関連において、その構想を、社会保障制度という構想から承りたいのであります。たとえば今のお話でありますと、老年者であり、あるいはまた寡婦であつても、特に現在最低生活を維持することのできない條件にある者に対しては、生活困窮者としてこの保護法の対象にするということでありますが、将来社会保障制度ができた場合には、もつと広汎に老齢者あるいは寡婦その他に対しても、あるいは年金制とか、そういう形において、覚書の最初にもありますように、すべての国民を対象とせよというふうにもうたわれてありますが、そういう気持を持つて、あるいは寡婦年金なり、あるいはまた国民年金制のような形において、働くことのできない老齢者に対する年金を交付する。そういうふうな方向に現在社会保障制度審議会の構想が進んでおるかどうかを事務局長に伺いたい。
#32
○小島説明員 ただいまの御質問でございますが、社会保障制度審議会におきましては、御承知の通り今研究段階にございまして、結論にはまだ達しておりません。ただ研究問題としてどういう問題が研究されておるか、また研究さるべきかという問題につきまして一応お話を申し上げたいと考えます。
 ただいま御質問のように、老齢年金の問題あるいは寡婦年金の問題、孤兒年金の問題は、社会保障制度を各国で考える場合には、それぞれの国において考究されている問題であります。ただその場合におきまして、現在におきましては、各国におけるそれぞれの歴史があるわけでありますが、主として被用者につきまして、その被用者に対する問題として老齢年金なり、あるいは遺兒年金なり、寡婦年金の問題というのが主として問題になつているというわけであります。御承知の通りイギリスみたいな非常に国民年金制度が進んでおる場合において、全体の制度といたしまして寡婦年金というものを、被用者以外の方についても実施しておるという国がございますけれども、現在の各国の段階におきましては、主として被用者というものが中心になつておる段階にあるわけであります。社会保障制度審議会といたしましては、将来こういう問題を日本においてどういうふうにするかという問題につきまして、研究段階といたしましては、そういう問題も、被用者以外の場合に日本において研究する場合におきまして、どういう程度の財政力がいるか。どういう程度の国民の醵出がいるかというような問題につきましては、愼重に現在研究いたしておる段階でありまして、この問題につきましては、きわめて大きな問題でございまして、非常に国家の財政力との関係がありますし、また国民の負担能力との関係もきわめて深い関係がありますから、これが研究の場合におきましても相当の期間、段階という問題が、おそらく起るのではないかというようなことが考えられておるのでありますが、現在のところは研究段階である。こういう実情でございます。
#33
○岡(良)委員 私どもの考え方からいえば、もちろん現在いろいろな財政の事情もありますので、ただちにそういうような広汎な国民年金制や、あるいは寡婦年金制等が、広くすべての国民に行き渡るような制度として確立されることは困難かとは思いますが、今お話に出ました、いわゆる官公吏あるいは民間労働者については、厚生年金や船員保險、あるいはまた恩給年金等の制度があつて、働けなくなつてからはある程度の生活保障がなされている。ところが農民は全然そうした保障がない。御存じのように日本の農民におきましては、特にからだ一つが元手でありますので、従つて五十歳の年齢になると、すでに非常に老衰した顔貌になる。露骨に生理的な消耗をやつているのであります。従つて私どもの考え方からすれば、むしろ農民等をも含めた国民年金制のような形において、すべての働けなくなつた老齢者を包容するものがぜひとも必要ではないかと考えております。社会保障制度審議会といたしましても、公的扶助という観念を一歩進めた保險体系のような姿で、当然老齢者に対する年金制の広汎な実施というところまでお進めを願いたいということを、この機会に希望しておきます。
 それから寡婦の手当でありますが、従来とも未亡人、母子福祉法の制定促進等の請願を、この委員会も繰返し受けでいるわけであります。特に日本では戦争で七十万以上の未亡人が遺兒をかかえて非常に生活に苦しんでおられるのでありますが、こういう寡婦につきましても、われわれとしては当然、やはりすべての寡婦を対象とした最低生活保障の年金制は実施すべきものと思います。この点については、今度生活保護法の中で適当に取扱うように措置するという話も聞いているのでありますが、その点はさておきまして、ここでお尋ねしたいのでありますが、覚書の中に、現行の社会保險制度が、公務員の共済組合、恩給制度をも含めて総合調整するとともに拡充せよ、こういうような一項があります。それは現行のいろいろな保險制度を総合調整して、寡婦、遺族、老齢の手当はそれぞれ独立した一本の体系に整理する、そうして全国民を対象とする、こういう姿に行こうという意思がこの覚書の中に盛られているのでありましようか。その点を伺いたいと思います。
#34
○小島説明員 ただいまの覚書でございますが、御承知の通り、今審議会でやつている問題は研究段階で、はつきりした結論が出ているわけではございませんけれども、その覚書にありますのは、現在の官吏の恩給制度というものとか、あるいは地方公務員の恩給制度というものは、どういう性質のものであるかというと、一つは社会保障的な要素がその中にある程度加味されており、同時に他面においては、いわゆる報奨的な性質も加味されている。そういう意味において、一面加味されている社会保障的な性質については、全般的として調整をしなければいけないのじやないか。すなわち官吏だけ特別な恩給という制度があることにつきまして、一般の被用者の問題について、そういう面を調整したらどうか、こういう問題がそこに現われているわけでありまして、これは将来根本的にいろいろ研究さるべき問題でございます。一応そういうことで総合調整して行く。こういう結論を述べているのであります。
#35
○岡(良)委員 厚生大臣にお尋ねしたいのでありますが、先般政府から、恩給、年金等を三千七百円ベースから六千三百円ベースに引上げる法律が提出されております。一方社会保障制度審議会が保險財政の赤字克服のために緊急立法を必要としながら、これがたな上げとなつて、依然として保險財政は苦しい状態にあるということで、官公吏に対する恩給年金等は、いち早く総合調整を越えてむしろ引上げられてしまつた。一方厖大な国民の健康の保障のための健康保險制度の赤字財政が、非常に不統一ないろいろな苦しい財政状態を続けていることは、まつたく官尊民卑というような思想の端的な現われのように思われますが、大臣はいかがお考えになりましようか。
#36
○林国務大臣 ただいまのお話ごもつとものことだと考えますが、目下研究中でありまして、正確なことを申し上げるだけの材料はここに持合せがございません。
#37
○岡(良)委員 覚書の第九項でございますが、家族の扶養及び教育の責任並びに最低賃金制との関連を勘案し、家族手当をこの制度に包括すべきであるとうたわれておりますが、この意味は具体的にどういう意味でございましようか。
#38
○小島説明員 現在、御承知のようにわれわれの俸給には、俸給のほかに家族手当というものが入つているわけであります。この家族手当が給與と賃金の形態において概念上はつきりいたしません。一つの生活給みたいなものがある程度家族手当の問題のうちに包含されて、賃金の形式において支給されておるわけであります。それから将来の社会保障制度ということを考える場合におきましては、結局多子家庭の場合におきましては、非常に生活が困窮するという実情が現在あるわけであります。それが一部におきましては、現在の賃金形態におきまして、家族手当というような形式で出ているわけでありますが、この問題は社会保障ときわめて関係が深いのでありますから、社会保障を考慮する場合におきましては、それらの点をも考慮して研究しなければならぬ、こういうことが結論に出ておるわけであります。
#39
○岡(良)委員 給與課長にお尋ねいたしますが、こういうふうな形で社会保障制度審議会では、今事務局長も言われましたように、最低賃金制というものが社会保障の密接不可分な前提となつておるのであります。しかし現在のところこの最低賃金制というものは、労働組合等においても広汎にその確立が要求されておるが、実施されておらないようであります。この点について何かその実施を妨げる具体的な事情があれば、この機会に承りたいと思います。
#40
○宮島説明員 お答え申し上げます。最低賃金が今まで実施されなかつた理由を、私ども次のように説明して参つて来ております。それは結局今まではインフレーシヨンの高進がはげしかつたために、経済状態もきわめて不安定であり、従つて有効適切な最低賃金制度が技術的に不可能である。こういうふうに考えてその設定を見合わして来たわけであります。ただ最近の経済情勢から申しますると、一応インフレーシヨンもその進行状況をきわめて緩慢にして来たというふうに考えられますので、そういう点からこの最低賃金の実施が可能になつたのではないだろうかと思つておるわけでありまして、このことについては、すでに労働基準法でその設定のいろいろな手続については規定を設けております。この規定に従つて最低賃金が設定されるべきかどうかということを研究すべきである、こう考えまして、御承知の通り二十五年度の予算におきましては、最低賃金を審議するための賃金審議会の費用を計上して、ただいま御審議願つておるわけであります。従いましてこの予算が通りますと、それを審議するための審議会は発足できるのではないだろうかと思つております。この審議会において、今のような経済情勢とにらみ合せて、最低賃金が実施できるかどうかということを御審議願つて、その結果に基いて労働大臣は、実際の制度を始めるかどうかを決定することになるだろうと思つております。
#41
○岡(良)委員 それでは先ほど小島事務局長のお話にもありましたが、日本の賃金給與体系が非常に不分明な面がある。まつたくその通りでありますが、かりに労働省給與課といたしましては、これは社会保障制度と非常に密接な関係があるのでありますが、この生活給と能率給というようなものは、どうせ総合された形において賃金、給與が決定されると思いますが、そういう場合、被扶養家族というものは妻と第一子というふうに限定されるものですか、それとも現行のように全扶養家族に対して手当を支給すべき建前をとる方が至当と思うか。その点を伺います。
#42
○宮島説明員 給與として生活給をいかに考えるべきか、特に生活給的な色彩の強い家族給をいかに考えるべきかという問題につきましては、私ども技術的な研究の結果によりますると、その水準ときわめて深い関係があるように考えております。大体家族手当制度というものは、各国においてきわめて一般的に普及しておる制度であります。ただアメリカにおいてはないようでありますが、その他のほとんどすべての国において、家族手当というものは普及しておるようでありますが、その家族手当は賃金として支給されておるのではなく、多くは社会保障的な形で支給されておるのであります。そういう面から考えますると、わが国の家族手当制度について、現在は相当検討しなければならない段階に来ておる、そういうふうに考えておるわけです。大体賃金というものがもしノーマルな経済のもとにおきまするならば、やはり労働者のその家族も含めた最低生活費を上まわる程度の賃金が支給されるということが、もちろん理想でありますし、現実にそういうことが実現されて来ておるのでありますけれども、わが国の実情を申しますと、終戰後のあの生産がほとんどとまり、インフレーシヨンが非常に高進した、そういう時期の水準、支拂い能力から申しますると、労働者の生活費をカバーするような賃金が支給できないという実情があつたわけであります。そういうときを経過して現在に参りましたので、社会保障制度もあまり完備していなかつた。そういうことを反映しまして、結局給與として家族手当制度というものが入つて来た。こういうふうに考えなければならぬのではないかと思つておりますが、家族手当として支給すべきその家族数は何人とすべきかという問題についての決定的な答えはないのではないかと思うのですが、結局普通の賃金であれば、その家族も含めて労働者の生活費を上まわる賃金が支拂われておる。御参考までに申し上げますると、大体今までの最低賃金というものを考える際に、アメリカでも、あるいはニュージーランドやオーストラリヤにおきましても、その家族は大体三人ないし四人程度のものを考えた最低賃金制度が考えられておりまして、それが一律の最低賃金制度として実施されて来ております。そういうぐあいでありますので、賃金そのものの中に当然家族の生活費も含まれている、こう考えていいと思うのであります。ただそれはノーマルな経済のもとにおける一般賃金水準から言えることでありまして、わが国の実情では、まるめた賃金として、家族の生活費も含めて支給することが困難であるという事情がありましたので、これを反映しまして、家族手当の支給ということが始まつたのでありまして、そういう意味から賃金をできるだけ少く支給するためには、実際の扶養家族数に応じて家族手当を出すということの方がそのことを達成できる。こういう関係から実際の家族数に応じて家族手当が支給される。こういう形になつておるようであります。
#43
○岡(良)委員 私どももそう願いたいのでありますが、実は最近になりましてから、社会保障制度の実現ということが、事業主や資本家団体の会合等においても盛んに決議される。その理由の一つとして大きく取上げられておるのは、現在の家族手当の支給というものが、事業家にとつては非常な負担であるというふうな底意から叫ばれている傾向があります。ところが、これは釈迦に説法でありますが、日本の鉱工業の平均賃金を週賃金に直してドルに換算すると四・一ドル、アメリカが三一・五ドル、イギリスが一七ドルで、大体物価の事情から申せば大した差違はないと思います。最低賃金がアメリカのそれに比べて、日本の鉱工業平均は八分の一、イギリスの四分の一だというふうに、きわめて低位の給與に置かれている日本の労働者が、さらにそうした底意から家族手当はある程度で扶養家族を切りとられて、あとは何らかの形において被用者の負担に転嫁されるというようなことになつては、これは一大事だと思いますので、今給與課長のおつしやつたような線で、私どもはあくまでも全扶養家族の生活給という基本線を堅持されるように願いたいのであります。これは社会保障制度審議会で、将来あるいは兒童手当等について御審議が進められた場合におきましても、そういう事情をよくのみ込んで、しかるべき体系を打立てられんことをこの機会に心からお願いしておきます。
 それから失業の問題について二、三点お尋ねいたしたいと思いますが、実は生活保護法の審議におきまして、私はこの失業問題はきわめて重要な問題であつて、いわば完全雇用がほんとうに実行されるならば、生活保護法の役割というものは非常に減殺されるのであつて、そういう意味からも、現実の日本における失業問題の情勢の率直なところを承りたいのであります。たとえば昨年度における日本の失業状況、そしてまたその吸收の状況はどういうふうな数字となつているか。また昭和二十五年度における失業の推定と、その吸收の計画はどうなつているかというふうな点について、あらましを承りたいと思います。
#44
○海老塚説明員 失業の状況につきまして、本年度と明年度の見通しを申し上げたいと思います。御承知の通り一昨年までは、いろいろ議論はございましたけれども、失業状況はそれほど深刻でなかつたというふうに思われたのでございますが、昨年に入りましてから、ことにドツジ予算の実施に伴いまする経済界の動向、あるいはそれに関連いたしまする行政整理、企業整備等の結果、昨年の七、八月ごろから失業状況は一段と深刻化しつつあるように考えられるのでございます。この状況を数字的に、たとえば失業者の数の推移等で現わせますと非常にいいのでございまするが、現在の失業者の定義あるいはその統計に現われて来る数字というような事柄が明瞭を欠くために、必ずしもこれをもつてその傾向を現わすことはできないのでございますが、大体失業保險の受給者の数でありますとか、さらに各工場、事業場におきまする労働者の採用あるいは転退職の状況でありますとか、あるいは公共職業安定所に現われて参りまする求職者の数、あるいは安定所の紹介によりまする就職者の数、そのほかには企業整備の状況、こういうような数字を見ますると、ただいま申し上げましたように、昨年の八月ごろから一段と失業状況は深刻化しつつあるというふうに考えられるのでございます。これらの数字につきまして、御希望があれば後ほど御説明いたしたいと思います。
 これに対する対策といたしましては、昨年度労働省の所管といたしましては、失業保險、それから公共事業に対する失業者の吸收、あるいは失業対策事業による労務者の吸收、こういうふうなことによりまして、でき得る限り失業者の離職の間の生活を援護するように努力して参つたのでございまするが、明年度の予算におきましても、失業対策事業あるいは失業保險等によりまして、これらの失業者の離職の間の生活の保護にでき得る限りの努力をいたしまして、失業の激増に伴いまする社会不安の解消に努めたいと考えている次第であります。もちろん失業の最終的解決は、一般民間雇用量の増加にまたなければならないのでございまして、これは全体的な経済施策の進行促進によりまする輸出の振興等を中心にいたしまする雇用量の増加にまたなければならないのでございまして、これらによりまする失業者の吸收に至ります間の措置といたしましては、ただいま申し上げましたような方法によりまして、でき得る限り失業者の生活保護に努めたいというふうに考えております。内容が非常に広汎になりまするし、さらに御質問によりましてお答えいたしたいと思います。
#45
○岡(良)委員 昭和二十五年の推定失業者またその吸收計画等について、具体的な数字の資料をお見せを願えれば、後刻でけつこうでありますからお渡し願いたいと思います。
 それから実は私どもが生活保護法と関連して、失業問題について特に重視しますのは、御存じのように終戰後農村だけでも、大体二百五十万から三百万の人間を吸收しておると言われるのであります。これはいわば日本の伝統的な家族扶助の形で吸收されておるのですが、しかし私どもが身辺に最近見ておるいろいろな事象から考えましても、もはやこの家族扶助の限界を突破せんとするというふうな、非常に危險な状況を実は感じておりまするので、これにつきましても失業問題に対する適切な施策ができるだけ早く確立されないことには、最低の生活を保障するという生活保護法が、まつたく泥沼の中に身を置いたような形になろうとする危險を感じましたので、お尋ねを申し上げたわけであります。そこで今失業対策課長のお話でありましたが、国務大臣としての林大臣にお尋ねしたいのですが、きようの毎日新聞で、来年度の対日援助が陸軍省では二億七千万ドル、国務省では一億ドルを一応の目安としておる。たかだか二億ドルくらいしか当てにできないのではないかということが報道されております。それでかりに日本の貿易が五億五千万ドル程度あるといたしましても、七億五千万ドルないし八億ドル程度のことになりますので、そういうような線で日本の経済を安定させるということになると、雇用量の増大よりも、むしろ経済規模というものが非常に縮小して来るのではないか。こういうニュースを見るにつけましても、失業問題の深刻化、同時にまた今日まで家族扶助の形で吸收されておつたいわゆる離職者という潜在失業者が、深刻な形をとつて現われて来るのではないかということを懸念するのでありますが、この新聞によりますと、総司令部の方では、来月の二十日までに日本経済の長期計画についてのプランを提出するように指令があつたということになつておりますが、こういうときにやはり失業問題の解決と申しましようか、有効需要を促進して雇用量の増大をはかるという観点から、政府としては労働省その他と緊密によく連絡をせられ、労働力の適正な計画配置というようなことを、同時並行的に実施されるという姿でこの計画が打立てられることになつておるのでしようか。念のためにお聞きしたい。
#46
○林国務大臣 ただいま同委員からのお話の点につきましては、新聞でちよつと拝見したばかりでありまして、内容につきましてはまだ十分にきわめておりません。それでもしかかる援助が非常に少いものといたしましたならば、政府としては大いに今後労働省あたりと研究いたしまして、そういうことのないよう努力いたして行きたいと考えております。なおその点については、具体的の事柄についてよく存じておりませんから、また機会があつたらお答え申し上げます。
#47
○岡(良)委員 この機会に厚生大臣から言明を得たいと思うのでありますが、実はこの生活保護法の大幅改正が話題となりましてから、国立療養所に療養中の患者さんから、私ども委員が、それぞれ相当数の手紙を受取つておるのであります。その手紙は、生活保護法の改正は反対である。なぜかならば、生活保護法が改正されることになると医療内容が低下する。あるいは現在生活保護の適用を受けているわれわれが、その保護から除外される。あるいは生活保護の取扱いがきわめて官僚化する。等々の理由をあげて、反対の陳情のような意思表示を受けておるのであります。ただ私どもはこの法案を拝見いたしまして、むしろ患者諸君の方が少し思い過しではないかと思つておるのでありますけれども、かなり力強くそういうふうな気持を訴えて来ておられますので、現在国立療養所には、生活保護の対象となつて療養中の者が全患者の四五%を占めておりますので、これらの患者の諸君に対して安心を與えていただくためにも、本法の改正以後においても、医療内容の低下とか、またまだ療養を欲し、療養を必要とするにかかわらず、生活保護の対象となることから漏れるということが絶対にないということを、どうかこの機会に厚生大臣から御言明をいただきたいと思います。
#48
○林国務大臣 ただいまのような事実を、私どもの方としてはまだ耳にいたしておりません。従つてそういうようなことが万あるといたしましたならば、厚生省としてはこの点について大いに留意しなければならぬと考えます。現在においては現状と少しもかわりはないのでありますから、その点については御安心を願つてけつこうだろうと思いますし、もしそういうものがあるものといたしましたならば、十二分に注意をいたしまして、かかることのないようにいたしたいと考えております。
#49
○丸山委員 今岡委員から御発言になりました診療内容の低下を患者がおそれておるということは――私もここにたくさんの患者からの書類を受取つておりますが、その中にこういう文句が書いてあります。診療内容が今度の改正によつて非常に制限を受けるために、内容が低下をする危險がある。その低下は健康保險並、または国民健康保險並までも低下するとこういうことが書いてある。さようにいたしますと今まで行われておつた医療は、健康保險並あるいは国民健康保險並よりははなはだ高等な、あるいは行き届き過ぎた治療が行われておつたのではないかというふうにすらも、私はこの文章を見て感じておつたのでありますが、実情はいかがであつたか、お伺いいたしたい。
#50
○木村(忠)政府委員 現在においても医療内容については、国民健康保險のあります所は国民健康保險によることになつておりますし、それのない所では健康保險によるということになつておりまして、その内容が国民健康保險よりは上であるということはありません。従つて今度とりました措置は、従来やつておりましたことを法文にうたつてその内容を明らかにするというだけでありまして、ほかに他意はないわけであります。
#51
○苅田委員 国立の療養所の患者さんからの御心配については、私どもの方にも数々の陳情が出ておりますけれども、その一つで特に厚生大臣にこの問題では私どもたびたびお目にかかつて聞きたいと思うのですが、今度改めて健康法の中に施設の長がその保護を打切る、あるいは変更をするということについての発言をするということが出ていたわけであります。そういたしますと、ただいまの病院内における患者自治会等の運動に活動しておるような患者、病院長の意見とは違つた意見を持つておる患者等が、施設の長と意見が衝突したために、保護が打ち切られるといつたようなことが起りやすい。昨年の秋の定員法による療養所内の職員の首切りに対して動いた患者自治会に対する当局の処分を見ておると、こういう心配は杞憂ではないということが思われるわけなのです。こういう條文をつくつたために、ほんとうに診療をしなければならない患者であるにもかかわらず、そういつた施設の長の意見が採用されて、一方的に保護を打ち切られるというようなことが起る危險もあると思うのですけれども、この点についてはどういう御処置をお考えになつておりますか、お聞きしたいと思います。
#52
○木村(忠)政府委員 この法案では、一つの保護施設の長が、保護すべきものの保護を打ち切るということは全然考えておりません。保護をするかしないかということは、すべて市町村長がきめることになつております。保護施設の長はこれをとやかくすることはできないことになつております。この保護施設につきましては管理規定を設けることになつており、管理規定は都道府県知事の認可を得てきめることになつておりますが、その管理規定には、保護施設の中におきまして保護を受けております者は、保護施設の長によつて指示等がなされるだけでありまして、保護施設の長が適当に保護を打ち切るとか打ち切らぬということは全然ございません。
#53
○岡(良)委員 次には保護法運営上の今度の予算のことについてお伺いいたしたいのです。今度の改正法案によりましても、国、県あるいは市町村の負担区分が明確にうたわれておりますが、本年度の生活保護法運営上の総予算と、そうして推定ということにはなりましようが、県及び市町村の負担が数字の上でどういう程度のことになるのですか。
#54
○木村(忠)政府委員 ただいまのところ国の負担する百五十億に対応いたしまして、地方の市町村並びに府県における財源といたしましては、平衡交付金の算定の際に、その点を十分考慮はいたしますが、平衡交付金を配付いたすように地方自治庁と話合いをいたしております。
#55
○岡(良)委員 昨年の民生委員の全国大会でも、そういう決議はいたされておるようでありますが、特に今度は法律の精神をきわめて画期的に改正をして、国民の生活困窮者に対する最低の生活を国の責任において保障を與えるということが明確にうたわれている以上は、当然これは国が全額を負担するというところまで行くのが至当ではないかと考えております。この生活保護制度の改善強化についての勧告等を見ましても、やはり市町村その他の負担の軽減がうたわれておりますが、今度の改正を見ますと、いろいろ機構や制度や身分等についての改正はありますが、予算はそのままたな上げになつたような感じがいたしますので、その辺のところをひとつ伺いたいと思います。
#56
○木村(忠)政府委員 この点につきましては、一昨日も御説明いたしたのでありますが、今回のシヤウプ博士の勧告による地方税制の改正に伴いまして、市町村の財源というものは非常に大きくなりますが、それに反しまして国の財源は非常に小さくなつているわけであります。従つてそれらの面からいたしますと、これらの地方の民衆に非常に密接な関係のある分野につきまして、地方の方に負担が増すというのが普通の考え方であろうと考えております。従つてそういうような関係からして、従来通りにすることになれば、中央の方の負担が重くなるといろ形になりますので、この際はとりあえず従来通りの形をとつております。しかしもちろんこれにつきましては、その後の実際の状況を見た上で、今後の負担については十分考えなければならぬ。と申しますのは、中央と地方との財源の状態、仕事の割振りというものが、現在地方制度審議会で審議されておりますので、それによつて、われわれとしては中央と地方との仕事の区分というものをはつきりさせまして、これに応じて、これらの負担区分のことについても考えたいと思つているような次第であります。
#57
○岡(良)委員 今度のシヤウプ勧告による税制改革案のうち、地方税制は目下衆議院でも審議中でありますが、現在のところあの改革案では住民税は約二倍半、それから固定資産税の名のもとに減価償却し得る資材等も含めて、家屋地租等も約三倍半の増加になつております。なお附加価値税というがごときものも、これは私どもとすれば取引高税以上の悪税ではないかという感じもいたしまして、決して地方民の負担というものは軽くなつておらないと思う。軽くなつておらないで、地方財政において多少の收入増しが見込まれるということは、結局地方民自身の負担が重くなつたことを意味するにすぎないのであつて、われわれとしては、今後大幅な改正をやる以上は、当然国も大いに奮発してやるというところまで行くべきではないかと考えているわけであります。一応私どもの党の立場からするこの法案に対しての総括的な質疑は、これで打切ることにいたしますが、なお逐條ごとに堤委員から後の機会にお尋ね申し上げることになつておりますので、私の質問はこれで打切ります。
#58
○松永委員長代理 速記をやめてください。
    〔速記中止〕
#59
○松永委員長代理 速記を始めてください。丸山委員。
#60
○丸山委員 林厚生大臣にお伺いしたいと思います。これはこの前社会局長からも一応の御答弁があつたのでございますが、どうも明確でありませんので、この際さらに大臣から明確なる点をお示し願いたいと思います。というのは生活保護法の中の医療でございます。この医療は法文の内容を見ますと、社会保險のいろいろな施設、あるいは方針に従うという文句が数箇所に現われておるのであります。ところが生活保護法と申しますものは、国民の最低の生活を保障するものでありまして、従つて医療の内容というものは最低の医療となつて来るべき性質のものではないかと私は考えるのであります。社会保險の医療内容と申しますものは、もちろん必要なる限度ではございますが、決して最低ということはうたつてない。これは保險でございますから、保險の範囲内において、たとえば結核は何年間の給付で打ち切るというようなことが、いろいろ起つて参ると思うのであります。しかし生活保護法におきましては、最低の医療ではあるが、そういう制限があつてはならない。何年にわたりましても、その最低の医療を受けなければならぬ必要が続くうちは、給付して行かなければならないというように、社会保險医療と生活保護法の医療というものとは、根本的に相違しておると私は考えておるのでありますが、その点いかがでありましようか。明確に御答弁を願いたいと思います。
#61
○林国務大臣 ただいま丸山委員のお尋ねになつたことは、さきに社会局長から答えた通りでございまして、大臣としてもその答弁に対しては責任を持ちます。
#62
○丸山委員 それでは社会局長にもう一ぺんお伺いしたいのでありますが、ただいま申し上げたように、医療というものに関する理念が、根本的に違つておると思うのであります。この社会保險医療の方針と、最低の生活を保障する医療とには、若干その間に差がなくてはならないりくつだと私は考えるのでありますが、いかがでありましようか。
#63
○木村(忠)政府委員 理論としてはお説の通りかと思いますけれども、実際に現在の実状からすれば、われわれとしては、国民健康保險程度の医療はいたさなければ、最低の医療をいたしておるとは考えられないのであります。従つてわれわれとしてはその線を確保したいという考えを持つものであります。
#64
○丸山委員 社会局長の御答弁によりますと、現在の保險医療は最低の医療であるという発言があつた。これは、不幸にして保險局長はお見えにならないので残念でありますが、ちよつとおかしいと思います。保險局においては、これが最低の医療なりという御発言は今まで一回もなかつた。しかるに社会局長から初めて現在の社会保險医療は最低の医療であるという発言があつた。それに間違いありませんか。
#65
○木村(忠)政府委員 われわれとしては、この程度のものは最低のものとして確保いたしたい所存であります。
#66
○丸山委員 次に、これはこまかい点になりますが、四十九條の医療機関の指定でございます。これを拝見いたしますと、医療を担当させる機関を指定する、かように相なつております。実はこのほかのいろいろな條項を見ますと、先ほど申し上げたように、社会保險の医療システムを準用するということが強くうたわれておりますが、社会保險の考え方というものは多年の経験、いろいろな法令、政令等によつて整備をせられておるのであります。しかるに生活保護法においては、そういうことが行われておらなかつた。今までは野放しの医療であつた。これに対してある一つの規格を與えることは当然必要だと思いますが、そのためなのか、あるいはそれをただ準用するという意味からか、はなはだ不徹底な條項が数箇所に見当るということを私は考えるのであります。第四十九條もその一例でございます。四十九條には医療を担当させる機関を指定するとありますが、社会保險の方では、医療を担当する者を指定することになつております。従つてその機関が他の條文によつて取消されるという場合には、そこに勤務しておる者全部が取消されることになります。診療を担当する者を指定するならば、不良な者のみを処分することができるわけですが、機関ということになると、責任の所在が不明確になるのですが、どういうわけでこういうことにされたのですか。
 もう一つは、本人の同意を得てということになつておりますが、これは本人の申出をまつてという意味でございますか。ただ一方的に、厚生大臣あるいは都道府県知事がある者を指定したいと考えた場合に、その本人が同意するかどうかということを確めて指定するという意味でございますか。その点を明確にしていただきたいと思います。
#67
○木村(忠)政府委員 社会保險の場合と異りまして、医療機関という言葉を用いておりますのは新しい用語例でございます。今後におきましてはおおむねこの用語例に従うことが原則になつております。さよう御了承願いたいと思います。第二の点につきましては、こちらからお願いしまして、御同意を得まして指定するということで御了解願いたいと思います。
#68
○丸山委員 さようになりますと、この法律はかなり官僚的な色彩が強いということが考えられるのであります。申入れをまつて、その同意を得た形にして指定することになりますと、診療を受ける患者側も医医師の選択の範囲が広くなりますし、その指定が広くなる可能性がありますが、一方的に厚生大臣または都道府県知事が本人の意思を徴することなく、ただお前を指定したいから同意しろというような形で診療機関を指定する場合には、ごく少数の診療機関を指定する危險がある。こういうことは無差別平等の原則にも反しまするし、また医療を受けんとする患者が、医師を選択する上にも制限を受けるという結果が起るのであります。これに対して私は非常に不満でございますが、いかがお考えになりますか。
#69
○木村(忠)政府委員 同意を得てというようにいたしておりますのは、この法律によりまして各種の制限を受けますので、こちらから一方的に指定するということは適当でないので、同意を得るということにいたしたわけであります。従いまして、われわれといたしましては、できるだけの範囲で適当なものはすべて指定いたすようにいたしたいと考えます。ただその場合に、本人がいやがるものをむりやりに指定するということは適当でないので、同意を得るということにいたした次第でございます。
#70
○丸山委員 今のお話では非常に広くなさるようにも聞えますが、しかしこれは独断でありまして、必ずその間にいろいろ弊害が起ることは当然であると考えます。これは当然これを担当したいという医療機関、あるいは医師、あるいは歯科医師等がそれを申し出て、その申出について適当であるかどうかを考えて、これを指定するという線に持つて参らなければならぬと私は考えておりますが、いかがでございますか。
#71
○木村(忠)政府委員 この点は運用の問題でございまして、申出がありましたならば、われわれの方といたしまして、特にその医師に不適当な点がない限りは、当然同意を得まして指定いたすことに相なると思つております。
#72
○丸山委員 次に第五十條でございますが、五十條は「厚生大臣の定めるところにより、懇切丁寧に被保護者の医療を担当しなければならない。」と書いてありますが、医療機関が懇切丁寧と申しますことは、どういう意味でございましようか。
#73
○木村(忠)政府委員 ここで申しております医療機関は、そこに入つております医師その他の者を一切含めたものでございますから、すべて懇切丁寧にしなければならぬということになるだろうと思います。
#74
○丸山委員 さようにいたしますと、医療機関に勤務している小使一人が、もし懇切丁寧を欠いたという場合に、その次の條項で、その指示に従わなかつた場合には指定の取消しを受ける危險があるのであります。すなわち責任の所在がある一個人にある場合といえども、その機関の全部が処分せらるるという危險を生ずるのであります。こういうことはすなわち機関を指定することの罪でございまして、これはある者を指定した場合においては、その者を処分すればいいのでありますから、そういう不都合を生ずると考えますが、いかがでありますか。
#75
○木村(忠)政府委員 もし不適当な者がおりまして、その者がその機関の指定を取消さなければならないほど不都合なことをするような場合には、当然そういう人を解雇いたしていただかなければ、その機関を利用するということにつきましては、いろいろと支障があろうかと思います。従いましてわれわれの方といたしましては、この点については今申しましたような考えでおりますので、そう支障はなかろうと思つております。
#76
○丸山委員 次に五十二條でございますが、これも健康保險、社会保險というものをかりに借用して参つたために、こういう不明朗なばらばらのものが現われたのではないかと考えるのでございますが、指定医療機関の所在する市町村に国民健康保險があつた場合には、その国民健康保險の診療方針の例によると、かように書いてある。ところが御承知のように国民健康保險の診療方針というものは、厚生省あるいは診療協議会その他において決定したものはなく、現存しておらないのであります。もしつくるとすれば、それは個々の健康保險組合がつくるわけなのであります。従いましてその内容に至つては、全国一律というわけには参らぬ。また診療報酬というものも、全国一律というわけには参つておらない実例が多いのであります。そういうものを全画一律にやらなければならない性質の生活保護法の医療に、その国民健康保險を準用するということ、あるいはそれがなければ健康保險に行く、それもいかなければ厚生大臣が定めるというように、非常にばらばらな不明確な規定でございますが、この点はいかがでございましようか。
#77
○木村(忠)政府委員 現在といたしましては、地域的には多少ばらばらになりましても、その地域におきまする各種の状況を判断いたしまして、そこでその周囲の状況に合うようなふうにいたすのが、われわれの考えておりますところの行政の原則ではないかと思つております。他の状況を考えないで、全国一律にするということは適当でないのでありまして、すべて物事はその土地の状況に合うようにするようにいたさなければならぬと考えております。従いまして現在におきましても、一応この方針をとつておるのでありまして、その方針を法文をもつて明らかにするというのでございまして、これが今のところ最も妥当な考え方だろう。将来国民健康保險が全国的に施行されるようになりましたならば、当然全部国民健康保險の規定で行くのが適当であろう。現在のところではかように考えております。
#78
○丸山委員 その土地の状況に会うようにという御答弁でございますが、これは事実御承知であろうと思いますが、国民健康保險の診療單価と申しまするものは区々でございます。現在国民健康保險においては乙地十円となつておりまするが、私の調査いたしましたところにおいては、国民健康保險の單価は、ある所においては一定の單価が十二円で行われておる所もあります。あるいは八円で行われておる所もあるのであります。そういうような場合に、普通の健康保險の基準でありまする十円を上まわつたところの、その土地の国民健康保險の診療報酬がこの條項によつて使われるかと申しますと、私想像するところによると、この二項にある、及びこれによることを適当としないときは厚生大臣が定めるといつて、御自由にお定めになるというように考えられるのであります。しかるに一方それが健康保險の水準以下である八円ということがきめられている場合においては、無條件に国民健康保險の診療報酬を採用する。こういうことが必ず行われると考えるが、いかがでございますか。
#79
○木村(忠)政府委員 この点につきましては、われわれはそういうふうに行わないつもりでいるのでございます。
#80
○丸山委員 次に五十三條でありますが、五十三條に「診療内容及び診療報酬の請求を随時審査し」という條項があるのであります。これは私ぜひ必要な條項だと考えております。事実私が今まで経験しているところによりますと、生活保護法の診療内容は、はなはだ残念なことではありまするが、不徳なる医者がありますために、非常な厖大なる請求書を提出しているという事実がございますので、これは最低の医療でなく、最高の医療であるのではないかとさえ疑われるものが実在しているということは間違いないのであります。従つてこれの請求書を随時審査する必要のあることを私は痛感するものでありますが、この條文をもつてするところの都道府県知事が随時に審査するというようなことでは、なお私は不十分であると考えます。これは常置的の医療内容を審査するところの機関をつくる必要があると考えるのでございますが、いかがでございますか。
#81
○木村(忠)政府委員 この点につきましては、全部を一応審査するということにいたしますると、その医療費の支拂い等に遅延を来すということもあろうかと存ぜられますし、一応随時審査するということでやつているわけであります。しかしこれにつきましては、はなはだしく不当な場合におきましては、全面的に審査しなければならないという場合もあり得るかと存ずるのでございまして、そういうようなところから、こういう規定にいたしているような次第でございます。
#82
○丸山委員 ただいまの御答弁によりますと、はなはだしく不当なるものを審査するというお話でございますが、はなはだしく不当なる診療報酬の請求書を発見いたしますのは、これは当然市町村長に提出せられますから、都道府県知事が発見するよりは、市町村長が発見することが多いのであります。しからば都道府県知事が審賛することでなく、市町村長の申出によるか、あるいは市町村長が特に審査を要求した場合に都道府県知事がやるというふうなことに、これを改める必要があるのではないかと考えるのであります。その点いかがでございますか。
#83
○木村(忠)政府委員 これにつきましては、われわれの方針といたしましては、できるだけ全般的に審査いたすようにいたしたいと考えているのでございます。都道府県知事にやらすようにいたしましたのは、市町村長ではこの審査につきまして十分なる能力を持ち得ないのではないか。むしろこれは都道府県知事にやらせる方が適当な審査ができるというところから、都道府県知事にしているのであります。これにつきましてはできるだけ多くの審査をいたしまして、不当な支出がされることがないようにいたしたいと考えております。
#84
○丸山委員 なお不十分でございまして、市町村長が審査する能力がない云々ということでございますが、事実は今までどういうふうに行われておつたか。これはすでに行われている事実があるのであります。その土地の医師会と協同いたしまして、市町村長がこれを一応見まして、市町村長の権限においてというわけではありませんが、市町村長とその土地の医師会との申合せによりまして、一応不審査をいたしまして、これに対して健康保險におけるがごとく、点数を限定するという権限はございませんけれども、これに対して医師会が勧告を與えるというようなことが、現に存在しているのであります。そういうようなぐあいに、県知事がただ権限を持つということだけでは、非常に稀薄でございまして、どうしても直轄しているところの市町村長が、これにタッチする必要があると私は考える。それに対して何らかの方法を講ずる必要がないかと考えるのであります。
#85
○木村(忠)政府委員 ただいま御指摘になりました点は、われわれといたしましては先般来そういうような審査の組織をつくりまして、審査させるように指導いたしているわけであります。大きな市等におきましては、これは市にはそれぞれ能力がございますので、これにつきましては都道府県知事から市町村長に委任いたしまして、その審査をやらせるようにいたしておりますし、今後もやはり同様にいたしたいというふうに考えております。
#86
○丸山委員 次に五十四條に、報告及び書類の検査をすることができるということがありますが、当該吏員というのはどういう吏員でありますか。これは医師たる資格のない都道府県における吏員ということになりますと、診療録を検査するということは、相当の弊害をかもす危險がある。またその吏員が検査した場合に、患者の祕密を知つた場合、これを漏洩したことに対する罰則規定がないのであります。これは健康保險その他にもこういう規定はあるのであります。そういうものは今規定してないのはどういうわけでありますか。
#87
○木村(忠)政府委員 この当該吏員は、われわれといたしましては、医師たる吏員または医療法による医療監査員に依託してやる。この二つの場合を考えております。その他の者にやらせる考えではありません。なおこれにつきまして秘密を漏洩いたしました場合においては、公務員法によりまして処置するということになろうと思います。
#88
○丸山委員 ちよつと元へもどりますが、五十一條に指定取消し処分のことがあります。これは社会保險において、その人間のやり方が悪いという場合に指定を取消しさすというときは、社会保險審議会でどう処分をするかという大綱をきめるという規定もございますし、あるいはそれに対して処分を諮問するというようなこともございまするが、この條文においては何らその規定がないのであります。従つて処分せられる者にとつて、これを陳弁する機会が何ら與えられておらない。この規定が何もないのであります。これははなはだ一方的な処置だと私は考えますが、生活保護法医療審議会というようなものをつくつて、それに諮問して処分をする。あるいは処分するのならこういう條項のあつた場合にはこういう処分をするという大綱をきめる組織が必要であると考えますが、いかがでしようか。
#89
○木村(忠)政府委員 この指定の取消しにつきましては、この指定の制度全体から見まして、一応そういう特別なる組織をつくる必要もわれわれとしましてはなかろうかと思つております。なおこれに対しまする救済法としましては、結局行政事件訴訟特例法によりまして、これに対するところの救済措置は講ぜられるように思います。
#90
○丸山委員 これで打切ります。
#91
○松永委員長代理 それでは渡部委員。
#92
○渡部委員 生活保護法の問題は、今日特に重大性を帶びて来たわけなのですが、この原因は要するに国民の殊に勤労者が食えなくなつておる。單に食えなくなつておるだけでなくて、健康も破壊され、またみずから自殺さえもしなければならぬような状態にある。こういう現実の上に立つて問題の重要性が起きて来たのだと思います。そこでこの法案が実施されるためには、やはりこういう客観的な事実と関連してのみ適当に考えられなければならないわけでありますが、この場合に、先ほどから岡委員を初め、失業者数の問題あるいは失業状態の問題が提起されておるけれども、どうもはつきりした答弁を得られなかつた。しかしながらただ一つ重要なことは失業対策課長が言われた、これは統計に現われた数字では、失業の現状というものがはつきりつかみ得ないのだということを明言された。これは大臣もすべての委員諸君もお聞きの通りでありますが、そうだとすれば、政府の代表である形で労働大臣が委員会においても、本会議においても、現在失業者は三十万ないし四十万のところを上下しておるというようなことを常に言明しておられた。その点についてそういう数字が現実を正確に、もしくは大づかみにでもはつきりつかめる形では現わしていないのだと言われた失業対策課長の言葉から見て、大臣はどういうふうに思われますか。
#93
○林国務大臣 ただいまお話の失業者の問題につきましては、まず三十万ないし四十万くらいのものであろうという推定のできましたゆえんは、私はよく存じておりませんけれども、今までにおよそそれだけのものであろうということに基いた対策を労働者がやつていることは事実であろうと思います。
#94
○渡部委員 それが政府の政策立案の場合の基礎的な数字になるとすると、ここに相当重大なる問題が起きて来るように思います。たとえば二十一年の六月にこういう政府発表があつて、それが時事年鑑に載つている。そのときの政府の発表機関は、労働省がなかつたと思いますから厚生省じやなかつたかと思うのでありますが、その点ははつきり私わかりませんが、時事年鑑によると、二十一年六月に五百五万人の失業者があるという発表である。これは厚生省が発表されたとすれば、そのことに関連して次のことも聞かなければならぬと思います。二十一年に五百五万の失業者があるといわれた二年後の二十三年の暮になつて、企業整備、行政整理によつて新たに増加されると予想されるところの失業者数が、百六十万ないし百七十万あるというように、これも政府から発表されている。また現実に二十四年の六月以降失業対策課長が、先ほど言つたドツジ・ラインがまさに現実の政策の上に反映されようとした時期にあたつて、百六十万ないし百七十万の失業者が予想されると言つたその半年後において、御承知のように、林大臣の政府において国鉄その他の官公労働者の首切りが行われて、これが数十万に達している。さらに民間の企業が非常に厖大な失業者をこの時期以後出している。たとえば昨年の三月から六月までの間に、二十七県において約三千の中小企業が倒壊している。この中小企業から約二十万の失業者が出ている。こういうふうに、政府のかつて発表されたもの、それから累次的に激増いたして来ておる状態は、こういうものの中にはつきり示されているにかかわらず、三十万ないし四十万の失業者ということが立案の対象基準になるとすれば、その立案政策というものが、非常に不確かな事実の上によつて政策が立てられているじやないか。ことに生活保護問題になつて来ますと、こういう不正確な事実の上に立てられたものであつては、その成果というものが非常に不確かなものになつて生活保護法の精神が貫かれないことになると思う。この点について林大臣はどういうふうに考えられているのか。ちよつとお尋ねいたします。
#95
○林国務大臣 ただいまの三十万ないし四十万という数字は、常時の問題と考えております。それでただいまほかに質問されました数字は、私どもよく存じませんが、今局長に伺いますと、厚生省から発表したことはないように承知をいたしたわけであります。従つて、対策を講じます上におきましては、三十万、四十万ということによつて対策を講ずるのではなく、常時そういうことがあると考えて、その対策は別途の数字によつてできたものであろうと考えますが、労働省におけるその数字の問題などにつきまして、私よく存じ上げませんから、正確なことはお答えできませんが、定めしそういう見地からお考えになつていらつしやるのではなかろうかと、私どもは考えるわけであります。
#96
○渡部委員 十万ないし四十万というものが常時の数字であつて、ここから失業対策が立てられておる。失業対策事業に関する一切の政策が、大体においてこの四十万をどうするかという見地から立案されておることについては、林大臣が御存じでないはずはないと思います。これはもう耳にたこができるほど、われわれとしては聞いておるわけなのです。そうだとすれば、こういう失業対策の問題が、同時に生活保護法の問題と関連して来るのであるから、やはりその数字がはつきりわからないということだけではなくて、政策は三十万ないし四十万の失業者が常時あるということの上に立つてきめられておるのであるという点を、はつきりしてもらいたいと思います。
#97
○木村(忠)政府委員 失業者数が三十万ないし四十万あるといいますのは、総理府の統計局の発表によりますところの労働力調査による数字であります。これは現実にある一定の期間におきまして、完全に就業しなかつた者の数が幾らあるかという推定でございます。従いましてこの数字が、必ずしも日本における現実の失業者の数字に相なるわけではないのであります。御承知の通りに、日本の失業は潜在失業、失業が潜在するという傾向があるわけであります。この傾向は、昔もございましたし、現在でも同様にあるわけであります。その状況がどうなるかということは一つの推定に相なるわけであります。労働省といたしましては、これに対しまして一つの推定を加えまして、対策を立てておられることと存ずるのでございます。失業の数の中には、摩擦失業と申しまして、ある程度就業しなかつた期間のある者がいつもあるのが普通の状況でございまして、この数字につきましては、常に対策を立てる必要はないのであります。だから失業対策は完全失業の数字そのものを基礎にして立てるのではないのでありまして、その他の数字を合せて立てるというふうになつております。三十万、四十万という数字を基礎にしてやつてはおりますけれども、三十万ないし四十万に対する失業対策ということとは、全然違うということを御存じ願いたいと思います。
#98
○渡部委員 政府の発表している三十万ないし四十万という数字は、労働省の説明によると、一週間に一時間も就業しなかつた失業者だけを目当てにしているのである。しかし一週間に一時間も仕事をしないような状態にある人は非常に裕福な人でなければならぬのであつて、非常に有利な條件にある人でなければ、一週間に一時間も就業しないなんということはないわけです。従つてそういう人さえも三十万ないし四十万もあるのだという現実は、政府の失業対策の立て方に非常なギャップを来しているというふうに私たちは考えざるを得ない。現に数字でなく、具体的な点について考えてみますると、こういう事実があるわけです。たとえばこれは呉市の場合ですが、呉市から吏員が状況してわれわれの方へ陳情に来ておられるが、こういうことを数字をあげて発表されている。呉市は、あのくらいの町で今失業者が四万人あるという。それで、せめて月一万人の日雇いのわくをもらいたい。しかしそれをするためには六億の予算が要る。国庫から四億地方から二億としても、呉市は税收が年一億しかない。つまり呉市では失業者の四分の一の日雇いのわくをつくるためにも、予算の二分の一しか税收がないというふうな状態に置かれておるわけです。ところで、現に就業しているものはどうであるかというと、一千百人くらいにすぎない。それから御存じのように、青森市で問題が起きました。青森市では大体百五十人の日雇いのわくをつくつておつた。ところがいつも五十人ないし六十人あぶれてしまつておる。それでこれらの人が越年闘争で、現実の就業を要求してこれを獲得した。その話を聞いて、近傍から日に日に多くの人が就業を要求して市に詰めかけて来て、これが二千人、三千人に達して、そこであの大きな問題が起きたことは御存じのことと思います。こういうふうに、表面に現われているのはほんのちよつぴりしたもののように見えても、潜在的な失業者、もう食えなくなつている国民が非常に厖大な数に達しておるということ、このことがつまり最近の職業安定所におけるいろいろな問題を引起さしていると思います。大臣は、そういうふうに食えなくなつた勤労者が厖大にあつて、その一つの現われが現在職業安定所に詰めかけて、いろいろああいう問題を引起しているという事実に対して、どう認識されておりますか。
#99
○林国務大臣 ただいまの呉の問題につきましては、私伺うのは今初めてですけれども、安定所に対しまして、相当数の失業者が押し寄せて来られて、就職を求めると同時に、これの救済を求められているということは、私どもも承知いたしております。
#100
○渡部委員 私のお聞きしたのはそういう現象だけではなくして、多くの人が職業安定所に詰めかけて職業を要求している事実があるということではなくて、その背後には、そのように多くの失業者群が、生活にたえない人民層がつくり出されつつあるという事実を認識されているかどうかということです。
#101
○林国務大臣 ただいまのときにおきまして、そういうような失業者がふえはしまいかということにつきましては承知いたしておりまして、大いに憂慮すべきことと考えまして、政府といたしましても、これに対する対策を講じなければなりませんが、直接の問題につきましては、労働省がその衝にあたり、急場の場合におきましては、非常に困窮者に対しましては、労働省と言いましようか、安定所においても適当な措置を講じておられると思つております
#102
○渡部委員 そのような失業者が、あるいは貧困者が厖大化してその現われが、職業安定所の最近のああいうような傾向として現われて来ておるということを、御認識なされたとするならば、こういう問題に対する対策の一端として、生活保護法というものができるわけなんでありますが、つまり国民の権利として、そういう食えない状態、あるいは生存できない状態に置かれておることを拒否する。あるいは生命権、生存権を要求するという国民的な権利によるものとして、生活保護法というものがつくられておるわけでありますが、しかしこういう状況――失業者が、あるいは食えなくなつておる国民が職を求めて、働く権利、生きる権利を求めて、職業安定所に詰めかけて、それを要求する。厚生大臣の方では、生活保護法その他によつてこれに一定の手を打とうという。主観的には、以前から大臣の言われる非常に温情的な立場からそれをなされておることは、はつきりわかりますが、しかしながら厚生大臣とは別の立場からは、同じ政府が、こういう状況にある勤労者、職業を求めている人たち、生存権を求めている人たちに対して、非常に彈圧を加えておる。こういうことは新聞でも御存じでありましようが、この点は林厚生大臣の意向とは少し違つたように思いますが、その点はどうなんですか。
#103
○林国務大臣 ただいま安定所の方に多数参られたという場合において、ただその事実をもつて、政府といたしましては彈圧を加えるようなことは考えられません。何かそれから派生的に出たような問題について、彈圧と言つては語弊があるかもしれませんが、ある程度の取締りというようなことはあつたかは存じませんが、われわれといたしましてはそういうことのないように、なるべく職業の與えられる者に対しては與えまするし、なお生活保護法によりますものには、その場合ただちにそのすべてのものを生活保護法によるというわけにも参りますまいし、手続上におきましても若干のずれというものは出て来るであろう。さらにお困りのようでありますならば、区役所におきまして民生委員あたりと御協議の上で、生活保護法によらなければならぬものでありまするならば、それの取扱いはいたします。先ほどおつしやいましたように、彈圧のようなことは、労働省あたりから命ずるようなことも、もちろんありもしますまいし、派生的に起きたという場合において、取締るためによんどころなくこれを取締つたということはあるかも存じませんが、何ごともないときにそういうような彈圧を加えることは、おそらく私どもはないことと信じております。
#104
○渡部委員 要するに非常に厖大な数、言われておるところによると、一千万から一千三百万ぐらいに達する潜在的失業者の動きが、その爆発点としてああいうところに、小規模な形で現在では発散しておるような形だと思うのです。これは国民の生きる権利、または就業したいという熱烈な要求から出ていることなんであります。しかも現在失業者というものは、いろいろな方向に向いているわけであります。そういう形で職業を求めても、政府も認められているように、ほとんど十分に就業せしめることができない状態に置かれでおる。大部分の者が、政府の、林大臣の主観的な意図にかかわらず、ほとんど生か死かの状態に追い込まれてしまつておるのであつて、ここからいろいろな問題が起きて来るわけですが、一方ではこういう人の中から、沖繩方面にどんどん募集されて――日本の食えない失業者たちが、あるいは食えない人民層が、沖繩の方にどんどん送られているといううわさが、あるいは報告がわれわれの方によく聞えて来ますが、大臣はこの点はお聞き及びでありますか。
#105
○林国務大臣 ただいま安定所にありますところの者を沖繩の方にやるというようなことは、私承知いたしておりません。ただ土木建築請負業者と申しますか、その連中が仕事をさして行く場合においては、安定所よりおせわ申し上げて行くというようなことがあつたかは存じませんけれども、安定所に申し込んで来たところの者を、安定所からただちに沖縄の方に連れて行くようなことは、やつておるのとは考えておりません。
#106
○渡部委員 それが事実どうかという問題よりも、労働者たち、ことに職業安定所に集まつて来る労働者の中に(「それは労働委員会の問題じやないか」と呼ぶ者あり)いや、厚生委員会の問題に関連する。こういうような空気があるということ、この点については十分考えてもらわなければならぬと思います。そこでこういうふうな人たちは、日本の国の状態では、厖大な失業者群、あるいは人口を養うことができない状態になつているんだということの証拠でありますが、こういう失業者の中から、今度は他の面が現われて来ておるわけです。どういう面かというと、現在働いている人たちも、御存じのように非常に安い賃金である。しかもその賃金が遅配欠配しているような状態であるが、一方はこういう工場の首切りがその中からどんどん行われながら、他方ではこういう失業者が臨時工として雇われて、わずか百五十円とか二百円とかいう、話にならない賃金をもつて使われておる。この結果、臨時工自体の生活問題に関係して来るし、同時にこういう人たちの家庭の、あるいは縁類者たちの救済の問題というものにも関連して来るわけでありますが、しかしまた一層深刻な点では、そういう臨時工というものがどんどん雇われておる状態は、就業労働者の賃金一般を非常に低下して来るわけです。御存じのように、こういうことがなされますと、このことによつて就業労働者の賃金が破壊されて来つつある。この点については、林大臣ははつきり今昔を肯定的に振られましたから、御存じであり同時にまた確認されておることと思いますが、どうですか。
#107
○林国務大臣 場合によりましては、そういうように下つて来はしまいか。私どもも漸次いたずらに低下するということについては、憂慮すべきことと考えまして、なるべくそういうことのないように、また適当な就職のでき得べき方面に向つて行かなければならぬのではないかと、その点につきましては、政府といたしましても努力をいたしておるのであります。
#108
○青柳委員 議事進行――私ただいま渡部委員の御質問を聞いておりますと、非常に雄大な構想から出ておられる。今までのところ三、四十分というものは、実に失業問題、就職問題のみに終始しており、いつ生活問題に来るか来るかと思つているが、なかなか来ない。今までの御質問のところは、すべて失業問題である。生活保護というものは、失業対策事業、公共事業などをたくさん起す、あるいは失業保險料で救済する面もある。そういうすべての失業対策によつて、あぶれ出た人を救うのが生活保護の問題である。こういうことは政府御当局の御言明もありますし、われわれの常識をもつてしても明らかなんです。あまりに雄大過ぎて、前提が長過ぎるような気がいたします。できるだけ早く生活保護の問題の中心に突入されんことを委員長から御注意願います。
#109
○渡部委員 今の御発言によると、私が生活保護法問題に関連がないことを話しているような言いぶりでありましたが、私はこれには非常に異見があります。われわれはこういう生活保護というようなものが起きる根源に連関してのみ初めて、生活保護法というものの本質的な問題を明らかにすることができるわけです。枝葉末節な問題は、むしろこういう基本的な問題との連関の上からだけ、正しく判断されるものだと思うのです。もちろん私は時間の関係もありますから、なるべくそういう点は簡略にしたいわけでありましたが、ただいままでのところはつきりしていなかつた。それでその点を質問しているわけなんです。もちろんこれからなるたけその点はつづめて言いますが……。
#110
○松永委員長代理 できるだけひとつ簡單にお願いします。
#111
○渡部委員 そこで二、三お聞きしたいことは、このように失業者の数が厖大になり、しかも労働者がますます多く失業して行く状況にある。そうして失業者は悲惨きわまる状態にあり、生命さえも保障されていない状態にある。その結果は就業労働者の賃金問題にまではつきり関連して来るのであつて、その状態をますます悲惨ならしめている。言いかえれば、失業と就業とにかかわらず、今日の状態は、非常に勤労者の困難な状態に直面せしめられておるということは、今までの話の中で、大臣も大体肯定されたと思うのです。そこでこのような状態がどこから起きたかということについて、先ほど失業対策部長が、やはり重要な発言をされた。これはドツジ予算の実施に関する経済動向、それに伴う企業整備と行政整理とによつてことに深刻化したということを先ほど申されましたが、現在政府のその上に立つておられる基本的な政策基準というものは、ドツジ・ラインであるはずだと思いますが、ドツジ・ラインの実施がそのようなものを生み出すものとするならば、ドツジ・ラインの実施によつて中小業者は先ほど申し上げました実例のように崩壊する状態であり、そうしてドツジ・ラインの線に沿うた言葉かもしれぬが、池田蔵相があのような失言をされたというようなことになつて来ると、ますますドツジ・ラインの方向というものが、勤労者の生活状態を、先ほどから繰返し繰返し申し上げたような状態に追い詰めて行くものじやないか。この点について大臣はどういうふうにお考えになりますか。
#112
○林国務大臣 先ほど働労省の方からお話がありましたように、ドツジ・ラインによりまして、かなり緊縮した矛算で行つておるということだけは事実と考えます。しかしながらこれはすべての点から考えてみて、日本の再建をはかりますためには、こういうふうにやつて行かなければいかぬのではなかろうか。またこれによつて現われたところの失業者の問題につきましては、経済的の方面、あるいは産業を盛んならしめる。抽象的に申しますが、そういう方面によつてこれが救済をはかつて行くというようなことは、今まで議会でよく論ぜられておるところでありまして、そういうような数ができるだけ少くなりますように、またまつたくこれを救済し得られるような方法につきましては、労働省において十分現在の立場において講じておられることと私どもは考えております。
#113
○渡部委員 その点については私は事実客観的なものは、ドツジ・ラインが今まで申し上げたような方向に、すべての国民経済及び国民の生活状態を追い詰めているというふうに考えますので、この点は意見の相違だということに結局なるだろうと思います。ただこのような状態にあるとするならば、われわれ国民の代表としての希望からいえば、そういう政策を変更しても、国民の産業と生活状態が完全に守られる方向に、政府としても積極的に強力に民族的な立場から深く考えていただくということの希望を申し述べて、この点に関する大臣への質問は打切りにします。
 あとはこまかいことになりますが、先日来問題になつております民生委員の権限の問題でありますが、この点について先日民生委員との懇談会が開かれました。三月七日ですか、その席上、民生委員の方から非常に重要な意見が出ております。民生委員の意向といたしましては、現在の案として提出されておるものは、民生委員の権限を非常に不当に制限することになりはしないか。事実なつておる。また民生委員をそのような権限状態にあらためて置くということは、これは社会局長の説明によれば、国家が出すところの経費に関係することであるから、それを決定する権利は町村長にあるというような御見解のようでありましたが、この点について民生委員の人たちはどういうふうに考えたかと申しますと、民生委員の側から申しますと、民生委員が存在しているということは、要保護者を遺漏なからしめるという点が最も重要なのであります。しかも要保護者であるかどうかを正しく判断するのが、この民生委員のブロックによる協議でなければならぬのであつて、この点も非常に重視されなければならぬ。しかも保護者の補導や身近かなせわに至るまでなすということは、民生委員でなければできないことだ。こういう非常にもつともと考えられる見地から、今度の改正に反対の意見を提出されているわけなのであります。その点について、民生委員の要求や民主委員の見解をどういうふうに考えますか。
#114
○木村(忠)政府委員 民生委員の権限をとるとか何とかというようなことは、一つもいたしておらないのであります。従来生活保護法によりますれば、民生委員は市町村長の補助機関、市町村長の手足ということになつております。従いましてあくまでも生活保護法の保護を決定いたしまするものは市町村長であり、市町村長がそれぞれの機関を使いまして、その保護を決定するについての各種の資料を收集するというのが、従来の建前であります。それに対しまして民生委員は補助機関であるという立場をとつておつたわけです。本来民生委員ができました由来はと申しますと、これは民間にありましてその近隣の人のせわをすると同時に、その人々の声をかわつてあげる。またそれによりまして、実際に困つている人で、自分で困つていることを言つて行けない人のためにかわつて言つてやる。これが民生委員の本来の使命でございます。單なる市町村の一つの手足、つまり市町村という役所の事務員ではないのでございます。それは生活保護法によりまして、その市町村の事務員が足りないために、市町村の事務員の仕事をさせておる。その仕事をさせるように法律上きまつておるのが、従来のやり方であります。これに対しまして、市町村の事務員としては当然そういう職員を置くべきであつて、そういうふうに改めたのが今回の改め方であります。ただその前におきまして、ほんとうの民生委員として、かように保護を要するような人たちの側に立ちまして、その弁護者ともなり、またその援助者ともなるのは、民間側の人としての民生委員で、これは常に要保護者と接触いたしておりますために、そのものとの間の関係を結びつける規定を、何らか設けておかなければならぬというところから、そういう規定を第二十二條として設けることにいたしたわけであります。それにつきましてはわれわれといたしましては、民生委員の権限を取り上げたというようなことは全然ないわけでございます。これにつきましては従来通り民生委員は民生委員といたしまして、それぞれ民間の一つの組織といたしまして活動していただくということは必要であり、またそのことにつきましては、今後においてもそれをお願いしなければならぬというふうに思つております。これに対しまして市町村としましては、あくまでも市町村当局はみずからの責任をもつて、その責任を遂行して行くということについては全力を注がなければならぬ。その線を明確ならしめるというのが、今回第二十二條を改正いたしました理由でございます。何ら民生委員に対して、その権限を取り上げてどうこうするということはないのでございます。
#115
○渡部委員 ところが民生委員は全国大会において、政府の改正案の趣旨の方に反対であるわけです。このことをはつきり全国大会の代表者が委員会に対して語つておる。そういうふうな反対があり、しかも民生委員たちの語るところによると、事実上有給の今度できる吏員によつてはそれができない。たとえば浦和の民生委員が語つたところによると、有給者五人が一人当り百世帶ないし百五十世帶を担当しておつて、どうしても順調に事務を運び得ない。しかもその人たちは非常に不熟練な人であるというような点から、事実上このような制度をとられるならば、生活保護法の実体そのものが破綻して来るであろうということを強調されたことは、出席委員の全部が知つておるところであるわけであります。このように実際上その実体さえも破壊されるのではないかということを民生委員たちが全部懸念しているばかりでなく、しかも全国大会がこれに反対しておるというような事実を前にして、なおそれをどうしても改変しなければならぬのか。この点について伺います。
#116
○木村(忠)政府委員 民生委員の全国大会は昨年の十月でありまして、この法令については反対の決議をいたしておりません。この点はお間違いだろうと思います。先般の話は、民生委員の代表の一部の方がお集まりになつてのことであろうと思います。民生委員大会の決議ではございませんから、その点ははつきりしておきたいと思います。
 なお本件につきましては、民生委員制度そのものについての根幹に関係があるものというふうな誤解が一部にございまして、これによりまして相当の反対があつたようでございます。これはその点が誤解であつたことが明らかになりまして、その点につきましては、割合に皆さんが理解いたしてくださつておるようであります。ただいま申しました通りに、われわれといたしましては、民生委員の活動について何ら制限いたすつもりではございませんし、これにつきましては自発的な、また奉仕的な仕事というものは、今後といえども活溌にやつていただきたい。またそうやつていただくように、われわれとしましてもできるだけ努力いたしたいと思つております。ただ市町村といたしまして、その責任を民生委員に負わせまして、みずからの責任を履行しないという状況はよろしくないというふうに考えまして、われわれといたしましては市町村の責任もこの際十分強化するといいますか、責任を自覚させる、またこの責任を確かに遂行させるというふうな措置をとることにいたしたい。つまり責任の明確化ということが、この際われわれといたしましてはどうしても必要である、こういうふうに考えておるのであります。これにつきましては、われわれとしまして民生委員の権限を取り上げるとか、民生委員をないがしろにするとかいうような、民生委員に対しまして失礼な考えを持つておりません。従来の民生委員が非常によくやつてくれたことに対しては非常に感謝しております。またわれわれは、民生委員に不当に課せられております責任を、この際できるだけ軽くいたしたいと考えております。ただたびたび申します通りに、これにつきましては転換期の措置が必要であります。方針といたしましてはこの通りでありましても、ただいま御指摘がありましたように、有給専任職員というものは全面的にこれを設置することができるかどうかということにつきましては、われわれとしても確信を持つておりません。従いまして一部の有給職員を充実することができる場所から、逐次これを施行して行きたいというふうに考えております。これにつきましては、その点についての各種の措置を講じつつ、市町村の有給職員を充実して参りたい。それに伴いまして、逐次民生委員さんの責任をできるだけ軽くして行く。そうして民生委員さんの立場は、本来の民間の奉仕者としての立場をさらに強くいたしたい。かように考えておる次第であります。
#117
○渡部委員 先日われわれが懇談をしたところの代表者が全部反対を述べたばかりでなく、地方においても、たとえば浦和の方においては、全部総辞職しようというような空気さえあつたということをそのときに話されたわけであります。しかもこの総辞職しようという問題が起きたのは、法案を見てからではなくて、それ以前に埼玉県の民政部長のケントという人が、大体改正案的な内容を実行しろということを民生委員に通達して来たことによつて、この問題が浦和の民生委員たちの不平不満を買いまして、そこで総辞職しようという声さえも出たということであります。そこでお聞きいたしたいのは、このような改正案的な内容のものが、民政部長ケント氏によつて前々から浦和市の民生委員に対して出されているというような事実にかんがみまして、政府の今回出そうとする改正案というものが、このような軍政部あるいは総司令部の方向からの前もつての指示によつて改正を意図されたものなのか。またその指示があつたからして、こういうふうな趣旨を法案の上に盛られたのかどうか。この点をお伺いしたいと思います。
#118
○木村(忠)政府委員 公の指示をだれが実施するか、民間の奉仕者にその責任を負わせるか、公の機関がみずから責任を負うかということにつきましては、従来は当事者がやつておりましたものが、逐次公の機関がやるようになつて来るというのが世界の趨勢でございます。従いましてわれわれといたしましては、この趨勢に従いまして逐次その方向に向つて行くのが、最も正しい行き方であると確信しております。ただこの場合におきまして、われわれといたしましては従来の民生委員制度というものの沿革からいたしまして、民生委員制度と、この公の責任を明確にすることとの間の調和をどういうふうにするかということが、最も考えなければならぬ点であると思つておるのでございまして、この点を考慮してその協力態勢をとるのが最も適当であるというふうに考えまして、本案のようなことを考えた次第であります。
 なお埼玉県におきまする事例につきましては、当初埼玉県においてこれを実施いたした場合におきまして、若干やり方において適当でないものがございまして、相当問題があつたようでございます。これにつきましては当省の注意によつて、その埼玉県の民政部長が――これはケント氏ではございませんので、水野さんでございます、水野さんがそういう措置をされましたのについて中央から注意をいたしまして、これの措置は変更になりまして、大体厚生省の方針通りでやつておる状況でございます。
#119
○渡部委員 今埼玉県に起きたような問題、つまり民政部の方から直接埼玉県の民生委員会の方向にそういう指示があるというふうなやり方、このようなやり方が現在日本の政府の方で合理的になされるのかどうかという点です。たとえばわれわれはこういう問題は政府が案つくり、われわれ国会の決定することによつて、実際上施行せられる。あるいは連合軍の方から出た指示あるいは命令であるとするならば、それがこのような形で国会を通過して、初めて施行されるのが原則のように思う。そのような場合に今埼玉県で起きたような問題がしばしば起きているとすれば、これは相当重大な問題だと思うのですが、こういう事柄はどういうふうにお考えですか。
#120
○木村(忠)政府委員 本案につきましては、厚生省としてはこの法案が適当であると考えまして提案いたしております。国会において御審議になりまして、これについて御修正に相なることは国会の方でおやりになることでございますので、われわれといたしましては、それについては十分愼重に御審議願いたいというだけでございます。特にこれにつきまして、この原案通り通せというようなことにつきましては考えておりません。本案につきまして、われわれといたしましてはこれが最善のものであるというふうに考えて提案いたしておることを申し上げまして、お答えといたしたいと思います。
#121
○堤委員 ただいま民生委員の問題について青柳委員も御発言になりましたし、皆さんから問題にされておるようでございますが、これは民生委員が忙し過ぎるということは相当問題になつておりましたので、これを勘案しての改正であります。ただ誤解を生じておるという点について遺憾な点があるのでございまして、その点は格下げをしたのでなしに、今まで非常に事務などをまぜて煩雑であつたところの民生委員の手助けをするつもりで社会福祉主事を置かれたのだと、私は局長の答弁によつても解釈し、またそうあるべきが私はほんとうだと思つておりますので、この点をひとつ全国の民生委員に徹底するような手を、何か本省としては講じなさるのが必要ではないかと、私はかように考えます。
#122
○木村(忠)政府委員 お説まことにごもつともでございまして、われわれもこの問題に関しまして、各種の誤解が生じておりますることを非常に遺憾に存じております。当初この問題につきましては、昨年の十一月の二十四日に通牒を出しまして、十二月一日から一部の市におきまして、有給の専任職員を相当充実しておる所について、有給の専任職員でもつて仕事をするという対策をとれるようにいたしております。この際におきまして、新聞記事によりまして、従来の民生委員のやり方が悪かつたためにこういうようなことになつたという記事が出たことがございました。これは非常に誤解を招きますので、われわれとしてそういうようなことは全然ない、従来の民生委員は非常によくやつていただいたのでありますけれども、いろいろな実際の仕事の内容というものが、時勢が変化して参りまして、従来の民生委員さんに片手間でやつていただくことについては、きわめて不適当になつて来ている。しかもそうしなければ実際に公正なる扶助ができないということになつておりますので、その点を改めるために有給専任職員に責任をもつてやらせるという建前をとりまして、民生委員さんには民間の奉仕者といたしまして、これに対しましてあるいは民間におきまするところの要援護者、あるいは要援護者のボーダー・ラインにあります人々の相談役ともなり、またこれらの人の弁護者ともなり、またその人との代弁者ともなるといつたような立場に立つて、大いに働いてもらう方法を強化したい。こういうふうに考えまして、こういうような措置をしたのであるということを、十分に民生委員の代表者の方々にも申し上げ、また各地方に参りましても、その点を強調いたしまして、民生委員さんの中心になるような方々は、大体御了解になつたように思つております。もちろんそれぞれのこまかい点につきまして、おもしろくないという考えを持つておられる方もあると思いますので、当省の意図するところにつきましては、十分了とせられるように考えております。
#123
○堤委員 私は教育扶助のことについて局長に質問いたしたいのでございますが、私たち地方へ参りましても、生活保護法によるところの生活扶助は受けられない。なぜならば、ある程度自分に收入があるからというところの母子世帶が、相当多いのであります。小さい小学校へ通うところの子供を三人くらいかかえた未亡人が、たとえば国会の便所の掃除なんかをしている未亡人は、しよつちう私に訴えているのであります。四千八百円くらいの手取りをもらつている、そういたしますと生活保護法の適用は受けられない。しかしどうしても他に一銭一厘の收入の道がないので、生活保護法は受けられなくても、せめて子供の教育費だけはもらいたいという気持、ぎりぎり税金を納めて五人世帶、六大都市において五千五百何がしをもらうものと割合いして見て、その未亡人がもらうところの收入はどつこいどつこいであるならば、これは教育扶助だけを單独に渡し得る法であるというふうに解釈して間違いございませんか。
#124
○木村(忠)政府委員 教育扶助は單給できることになつております。従いまして生活扶助を全然受けない人で、生活扶助に相当する程度の收入しかない人につきましては、当然教育扶助だけが單給されることになつております。
#125
○堤委員 それではいただきました参考資料の中に、教育扶助費は大体生活扶助費と同様、毎月二・五%の増額を見込んで算定した一億三千二百八十万六千五十八円というものに、国庫八割というので予定しておられるわけですね。そういたしますと、大体小学校六年生までが年二千円もらうといたしまして、頭割りにいたしますと、五万一千八百四十人くらいにしか当たらぬわけです。これでもつて今年の生活保護法の百五十億を、たとえば教育扶助だけにしても五万一千八百何がしの見積りしか組んでおられないということに対しては、私は今度政府が給與を上げない、裁定をのまないといつて、たつた一つの逃げ道として生活保護法を改訂することによつて、また福利施設をよくすることによつてと言われるこの厚生予算の中の一つの予算が、たとえば困窮して教育扶助を受けなければならぬ子供が、全国に五万一千八百何がししかないという頭でもつて教育扶助を組んでおられるということは、今局長からお伺いしましたお答えによりまして、非常にこれは未亡人母子世帶にはありがたいわけです。今まで受けられなかつたものが、子供の教育費二千円受けるということはありがたいことでありまして、私たち地方に帰つても大きなみやげができたと思つております。しかしそれが全国で五万一千八百人ぐらいしか受けられないことになると、あまり喜ぶわけに行かない。この点、なぜこれだけしかないのかということを局長に御説明願いたいと思います。
#126
○木村(忠)政府委員 それは数字のけたをお間違いになつているようですが、十億三千二百八千万六千五十八円、人数は五十一万八千五十三人でございます。
#127
○堤委員 それでは私はけた違いに五万に計算いたしておりましたので、これは私の方が悪うございましたが、しかし戰争遺兒だけにつきましても、ざつと二百万あるのですから、五十万とけたがかわつたといつても、これは満足できる数ではございません。こういうものに対しまして、この法案が通りましたら、いつから実施されるか知りませんが、実施される段階になつて、教育扶助の点についてだけでも、非常に不服を申し立てるものがあるという場合に、この子供たちの教育扶助のために、追加予算をお組みになる御確答を得られるかどうか。伺つておきたいと思います。
#128
○木村(忠)政府委員 当然出さなければならぬものに出して、足りなくなりました場合には追加しなければならぬことになります。
#129
○堤委員 まことにけつこうであります。この百五十億の予算というものは、相当追加予算をお組み直しにならなければならぬと私は思つておりますので、ここでしつかり覚悟をしておいていただきたいと思います。
 次に住宅扶助の問題でございますが、これは八割は国庫負担になつておりますが、これも前の政府のこの法案によりますと、教育扶助と同じように單独にいただけるのでございますね。
#130
○木村(忠)政府委員 そうです。
#131
○堤委員 そういたしますと、私はいつまでも要保護の形に置いておくことは、国家の政策としてまずいということを常に申し上げておるのであります。たとえば住宅扶助をあげられるということはけつこうでございますけれども、いつまでも住宅扶助を出さなければならないという状態に置いておくよりは、むしろ住宅扶助で補いながら、やがてこの住宅扶助をもらわないような、住宅を持ち得るところの人たちに持つて行くような政策でなければならないと私は思う。こういうことから考えまして、今度住宅金融公庫法案というものが建設省の委員会を通つて出るわけで、非常に庶民階級には期待を持たれておるわけであります。厚生省が住宅扶助なるものをお考えになつたのはけつこうでありますが、さらに進んで、これとタイアップして、この生活保護法の住宅扶助費というものを、別個にお考えになるのがほんとうではないかと私は考えるのであります。たとえばこの住宅扶助費というものの使い道を厚生省の中でやりくりして、住宅に困つておる人の幾割かがこの住宅金融公庫の恩典に浴して、将来家を持ち得るように持つて行くのがほんとうではないかと思いますが、これに対して何かお考えはありましようか。
#132
○木村(忠)政府委員 住宅金融公庫の案というものは、私の承知いたしておりますところでは、ある程度自己負担額があると思つております。この自己負担額が負担できますれば、生活の扶助にはかかりません。現在の状況から考えますと、お説まことにけつこうだと思いますけれども、われわれの方だけではちよつと何ともいたし方がないというのが実情じやなかろうかと思います。
#133
○堤委員 なるほどおつしやる通りでございまして、よくわかりますが、厚生省として建設省にかけ合つて、厚生省がバツクになつて救済できるような方法がとれないかどうか。こういうことを私は言つておるわけでございます。もちろん建てる家の何パーセントかの負担額を持てるというものは、富裕階級の部類に入りますから、生活保護法からいえば、單独にはかからないけれども、厚生省として建設省とかけ合つて、何かこの人たちのために福利施設として獲得して行くような形でやつて行けないかということをお尋ねしたのです。
#134
○木村(忠)政府委員 われわれといたしましても、住宅扶助の考えといたしましては、現実の住宅を給與するということを、むしろ考えるべきではないかと思つております。ただいまでは、それだけの予算を持つておりませんので、何ともいたし方がありませんけれども、従来引揚者の住宅につきまして特別の措置をとりましたような考え方を、今後はできるだけ考えて行きたい。これも皆様方の御後援によりまして、できるだけ努力いたしたいと思つております。
#135
○青柳委員 ちよつと伺いたいのであります。教育扶助、住宅扶助両方に関する問題ですが、こういう教育扶助も單給、住宅扶助も單給なんでありますか。
#136
○木村(忠)政府委員 そうです。
#137
○青柳委員 そういたしますと、いわゆるボーダーにある人に対して支給する。たとえば遺兒二百万と言われましたけれども、二百万の中の生活に困つている階級、並びにそのちよつと上にあつて、子供を学校にやると生活扶助の階級に落ち込むというおそれのある人に、これを支給すると思うのでありますが、今の堤さんと局長との応答を聞いておりますと、そういうような限界がはつきりしないのであります。その点をお示し願いたいと思うと同時に、この教育扶助を受ける人数の根拠、並びに住宅扶助を行う箇所数の根拠について承りたいと思います。
#138
○木村(忠)政府委員 これは單給の予算がそうなつているのではないのでありまして、併給、単給合わせまして予算がそういうふうになつているというのが実情でございます。なお根拠については説明員の方から説明いたします。
#139
○小山説明員 ただいまの青柳委員の御質問にお答えいたします。教育費、住宅費両方とも、この法律施行と同時に当然給與しなければならぬというふうに想定されます人間、言いかえますと、現在生活扶助を受けておりますものを基礎にして算定をしております。但し今後こうした人々が逐次増加することが予想されますので、先ほど堤委員が引用なさいましたように、毎月二・五%の延びを見ている計算をしております。
#140
○青柳委員 そういたしますと、この計算の基礎といたしましては、現在生活扶助を受けている人の数をまず根拠として、それに毎月々々二・五%増している、そういうことなんでありますか。
#141
○木村(忠)政府委員 ちよつと補足的に御説明いたしておきますが、現在の生活扶助費の中に教育扶助費は含めておりまして、実際には教育扶助するものだけが生活扶助で救助されているのであります。従つて生活扶助だけを別個計算いたしますと、生活扶助が打切られて教育扶助が單給になるというものが、現在の要保護者の中にもあることを御了承願いたいと思います。
#142
○堤委員 この教育扶助の問題ですが、これは未亡人母子家庭には非常に喜ばれております。私最後に希望いたしておきますが、私自体が六年生の子供を持つているのであります。それで六年生の子供を持つております未亡人母子家庭というものは、大抵下に三年生か一年生の子供三人くらいを考えなければなりません。実際に学校にやつておりますと、今額が非常に問題になつておりますが、子供に年二千円もらつて、それは助からないことはないですけれど、実際問題としては、子供を持つた親といたしまして、予算がなくても、せめて月に五百円をあげてもらいたいという希望を私は持つているわけであります。でありますので、これが改正されましたあとで、さらにこの教育扶助の額が上げられるように私たちも協力いたしますから、本省自体としても、どうか努力していただきたいという希望を申し上げておきたいと思います。
 それからもう一つお尋ねいたしたいことは、委員長が五時ぎりぎりに終つてもらわなければ困ると言われましたので、私は十分くらい前に私の質問を終らなければなりませんが、きようできなかつたら、次にさしていただきたいということをちよつとはさましていただきます。できるところまでさしていただきますから……。
 この社会福祉主事の問題でございますが、実際問題といたしまして、五十人に一人ということになつておるのでありますが、これが実現いたすことになりますと、案外本省あたりでは、役場におる厚生課の役人、吏員あたりを兼用させておこうかというような腹でいらつしやるのではないかという懸念を持つのでございますが、どうでございますか。
#143
○木村(忠)政府委員 社会福祉主事につきましては、一応の資格を設けたいと思つております。これにつきましては、一応政令案で考えておりまするけれども、もう少し嚴格な資格になるだろうかと思つております。やはり一定の資格のある者を置きまして、その者にやらせるということにいたしたいと思います。なおその人たちに対しましては、適当なる講習その他の訓練をやらなければならぬというふうに思つておるような次第でございまして、單に現在おります者をそのまま転用するということは考えておらないわけであります。
#144
○堤委員 そういたしますと、実際問題として村に参りますと、五十人なら五十人生活保護法の適用を受けている村は至るところにあるわけです。そうすると、今までの民生委員と協力してやつておる厚生課の職員と、福祉主事というものと二人できるわけですね。それが民生委員とタイ・アップしてさらに効果を上げるというふうに大体解釈してよろしうございますか。
#145
○木村(忠)政府委員 実際には要援護者が五十世帶以上ありまする市町村は、全体の半分ないわけであります。従いまして実際問題としましては、この五十世帶に一人という制度をとりますると、これは各町村に一人ずつの職員を置くというわけには行かないかと思います。この社会福祉主事になりまする仕事は、ホーム・ヴイジターと申しまして、各家庭を訪問して歩く人、そしていろいろ調査したり相談したりする人、それからインテーク・ワーカーと申しまして、受付よりはむずかしいのですが、実際に面接しましていろいろな処置をする人、それらを監督しますシユーパーヴアイザー、この三つの形があるわけであります。従いまして社会福祉主事の形を完全に備えますためには、二人あるいは三人ぐらいずつなければならぬということに相なるのであります。従いまして小さな町村におきましては、今ただちにこれを実施することは困難であろうと考えております。われわれといたしましては、まずさしあたり市に実施いたしたいというふうに考えておりまして、町村におきましては、逐次拡充して行くか、あるいは機構問題を若干考えて行くか、これらを適当に措置いたしたいと考えておりまして、全部のものにこれをただちにやるということはなかなか困難であろうかと考えております。
#146
○堤委員 この社会福祉主事につきまして、党として希望を申し上げておきたいと思いますが、大体日本の官僚系統の職員というものはひもつきでありまして、おじさんが上役になつているとか、親戚のだれそれがどこにいるからというような関係でひつぱつて来て、そのポストに非常にそぐわない人がすわつているということが、今日の政治を浸透させる意味において障害を與えている。今日失業時代でございまして、私たちのところにも相当履歴が参つております。そういたしますると、適当であろうと不適当であろうと、ひもつきのそういう人を、とにかく人に頼まれて、アプレ・ゲールのあんちやんあたりをそういうところに入れるということになると、非常に困ると思いますので、その点本省で資格については十分検討していただきたい。そして現在の大学出であるとか、女子大学あたりでまじめに社会学を研究して、この中でいろいろとこうした厚生行政に対する勉強をしているまじめな卒業生などもございますから、古狸のような、あまり間に合わないような人よりも、情熱あるところの、ほんとうにこれでやつて行こうというような希望を持つた、社会事業に大いに関心を持つた人を使うように、初めてですからどうか悪い前例を残さないように、厚生省で特に気をつけていただきたいと思います。
 もう時間がないようでございますので次の日にいたしますが、もう一つだけ伺います。最近しきりと国立療養所などに入つておられる患者からの申立てが、先ほど共産党の委員、丸山委員、岡委員から言われました通り、いろいろあるわけでありますが、三親等内にこれを扶養するところの者がある場合には、今日医療扶助を受けている人たちも再検討を受けて、そうして世帶單位でなしに、個人單位に、扶助を受けている人たちに、もし三親等というのが嚴密な意味で出て来た場合には、捨てられるのではないかというので動揺しているわけです。私はこの法案をおとといあたりから繰つているのですけれども、三親等というのは書いてないようですが、三親等は書いてあるということを患者がしきりと言つて来るのです。この点私の読み方が悪いのかもしれませんが、教えていただきたいと思います。
#147
○木村(忠)政府委員 扶養の義務というのは民法できまつておりまして、大体親子、夫婦、兄弟、直系の血族、そこまでは扶養の義務がただちにあるのでありますが、そのほかに三親等内の者でありまして、家庭裁判所でもつて扶養の義務をこれに課した場合には、その者も扶養義務があるということになつております。その点が三親等ということになつておりますが、この法文のどこにも出ておりません。
#148
○堤委員 時間が来たようでございますから、この辺で止めます。
#149
○松永委員長代理 本日は一応この程度にして質疑を打切りますが、本日の御発言中に不穏当な言辞がありましたら、速記録より削除いたしますから、御了承願いたいと存じます。
 次会は明日午後一時より開会いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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