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1974/07/31 第73回国会 参議院 参議院会議録情報 第073回国会 本会議 第5号
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1974/07/31 第73回国会 参議院

参議院会議録情報 第073回国会 本会議 第5号

#1
第073回国会 本会議 第5号
昭和四十九年七月三十一日(水曜日)
   午後六時三十二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第六号
  昭和四十九年七月三十一日
   午前十時開議
 第一 永年在職議員表彰の件
 第二 国家公務員等の任命に関する件
 第三 公共料金等の値上げ反対等に関する請願
 第四 公共料金、消費者米価の値上げ反対等に
  関する請願
 第五 公共料金値上げ反対、第二次物価集中審
  議に関する請願(二件)
 第六 大企業の製品原価の公開、物価引下げ、
  公共料金値上げ反対に関する請願
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、内閣総理大臣田中角榮君問責決議案(藤田
  進君外四名発議)(委員会審査省略要求事
  件)
 一、日程第一
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員及び裁判官
  訴追委員予備員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員、同予備員、裁判
  官訴追委員、同予備員、皇室会議予備議員、
  皇室経済会議予備議員、検察官適格審査会委
  員、同予備委員、国土総合開発審議会委員、
  東北開発審議会委員、九州地方開発審議会委
  員、四国地方開発審議会委員、中国地方開発
  審議会委員、北陸地方開発審議会委員、豪雪
  地帯対策審議会委員、離島振興対策審議会委
  員、国土開発幹線自動車道建設審議会委員、
  台風常襲地帯対策審議会委員、首都圏整備審
  議会委員、北海道開発審議会委員、日本ユネ
  スコ国内委員会委員及び鉄道建設審議会委員
  の選挙
 一、日程第二より第六まで
 一、「看護」の充実に関する請願外百二十六件
  の請願
 一、委員会の審査及び調査を閉会中も継続する
  の件
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 藤田進君外四名発議にかかる内閣総理大臣田中角榮君問責決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加して、これを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、本案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。藤田進君。
   〔藤田進君登壇、拍手〕
#5
○藤田進君 私は、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党及び第二院クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました田中総理大臣問責決議案につきまして、その提案の趣旨を述べたいと存じます。(拍手)
 まず最初に、本決議案の案文とその理由を朗読いたします。
 以上が田中内閣総理大臣問責決議案の趣旨でございますが、私は以下、この趣旨の主要な諸点についてさらに申し述べたいと存じます。(拍手)
 まず最初に、本決議案の案文とその理由を朗読いたします。
   田中内閣総理大臣問責決議案
 本院は、内閣総理大臣田中角栄君を問責する。
 右決議する。
  昭和四十九年七月三十一日
 共同提案の理由について朗読いたします。
   理 由
 一、田中内閣総理大臣は、就任以来通年国会を主張しながら、本臨時国会に於いては短期国会の主張に急変し、更に昭和三十三年依頼慣例化している総理の所信表明も当然行うべきにもかかわらず、これを頑強に拒否し続け、当面する緊急な物価問題など諸問題に対し何ら所信の表明もなく、実質審議も拒否し、国民の期待を踏みにじり、国会を軽視したばかりか国政担当の意欲と能力を失つたことを自ら暴露したものである。(拍手)
 二、物価政策等に徴しても、日本列島改造、高度成長政策を反省なく推進し、インフレ、物価高騰を一段と強め、国民生活を破壊に導き、何らの具体的政策も実施しないばかりか、参議院選挙後も公共料金、原材料、資材などの大幅値上げを行い、一層物価値上げ、インフレを助長してきた。
 三、インフレ政策をとることによつて大企業を擁護し、買占め売惜しみ、ヤミカルテルなど反社会的商法を容認し、投機的経済をたすけてきた。同時に、農・漁業、中小企業を倒産に追い込み、食糧の危機的構造を深め、反社会的施策に終始した。
 四、国会開会中に公務員給与に関する人事院勧告が行われたにもかかわらず、これが実施のための法案提出など必要な措置を怠り、物価高騰の中で苦しむ公務員労働者の生活を窮乏に陥入れ、何らの対策を講じようとしない。
 五、軍国主義と侵略戦争と賛美すると共に教育面も時代錯誤の道徳論をふりかざし、靖国神社法の強行、日の丸、君が代の法制化、刑法改悪など反動的政策を強行しようとしている。
 六、金権選挙、権力政治は目に余るものがあり、国民の憤激をかい敗北しながら反省もせず、責任もとろうとしていない。
   今次参議院選は田中自民党内閣に対する事実上の不信任を意味するものであり、われわれは国民の意志に立脚して厳しく田中内閣総理大臣を問責し退陣を要求するものである。(拍手)
 以上。
 以上が田中内閣総理大臣問責決議案の趣旨でございますが、私は以下、この趣旨の主要な諸点についてさらに申し述べたいと存じます。
 過般の第十回参議院通常選挙の結果は、今日のわが国政治のあり方について国民のきびしい審判が下されました。七〇年代に入って二回目のこの参議院選挙の結果は、三年前の趨勢をよりきびしく引き継ぎ、政府・自民党の政治路線に対してはっきりと不信任の意思表示を国民がしたと断定できるものであります。
 この選挙に託した国民の期待は、言うまでもなく、今日の異常な物価上昇に見られる国民生活の危機を一日も早く打開してもらいたいという、そういう意味の選挙であったとも思うのであります。
 田中総理は、この選挙期間中、まさに驚異的とも言える強行スケジュールで全国をくまなく飛び回ったにもかかわらず、この国民の期待には何一つこたえようとはせず、物価雨漏り論をはじめ、国会の能率主義、多数決原理の強調から言論統制に至るさまざまな暴言、放言を繰り返し、選挙争点をはぐからし、自由社会の危機を訴え、そして選挙戦を有利に展開しようとしてきたのであります。
 また他方では、政治を金で買うがごとき醜い金権選挙――糸山君も出席でございますが、関東では何か六億、関西では四億、中部が三億とか、まだ続々と出ていると伝えられている。これを金権選挙、金の選挙でないとだれが言えるでありましょうか。このような金権選挙は糸山君一人にとどまるのでしょうか。ここに問題があると思う。このような十当五落とか、五当三落とか、こういう金権選挙、また企業ぐるみの選挙を田中総理も指示して、わが国選挙史上恥ずべき汚点を残したのであります。(拍手)
 田中総理と自民党の諸君のこのような政治態度、政治姿勢に、国民は民主主義の危機とファシズムの足音の近づきを敏感に感じとり、反動、反国民的田中政権を明確に否認し、憲法と民主主義の擁護を明確に選択したのであります。(拍手)まさに七〇年代後半の日本の政治の進路が、われわれの掲げる革新の政治であることを、この選挙の結果は示したと申し上げても過言ではないと思うのであります。(拍手)
 こうした冷厳な選挙結果は、田中内閣二年間の政治、経済、外交のあらゆる政策に対する国民的審判にほかなりません。
 とりわけ今日の異常なインフレ・暴騰物価は、田中総理が金科玉条としてきた日本列島改造論にあることはだれの目にも明らかであります。日本列島改造論が引き金となって、大企業、大商社による土地買い占めをはじめ、日本列島よりも広い大ふろしきを広げて、日本列島改造論というものがどれだけ害をなしてきたか、いまさら私が説明申し上げるまでもないと存じます。
 このような結果、田中内閣成立以来の卸売り物価の上昇を見ますと、この在任二年間で五三・六%。池田内閣の池田さんは、とにかくまかせてくれ、消費者物価は上がっているが、見てください、卸売り物価は上がっていない、卸売り物価が上がったならば、これはたいへんでございます、こう言って他界をいたしました。五三・六%、敗戦後にも匹敵するような、このような物価を上げたこの田中内閣、これは過去十八年間の物価上昇に匹敵するものであります。こうした異常事態は、敗戦後の一時期を除いて、歴代の保守党内閣のもとにおきましても全くあり得なかったことであります。田中総理が果たしている反国民的、犯罪的役割りははかり知れないものがあると言うべきでありましょう。(拍手)
 異常インフレと暴騰物価から、みずからの生活を防衛するために、労働者が国民春闘に立ち上がり、農民がかつてない激しい米価闘争を展開し、中小企業者が経営危機突破大会を開き、勤労国民おしなべて自民党と田中内閣に反対して決起しているこの現状は、国民生活がいかに危機的状況に置かれているかの証拠にほかならないのでございます。(拍手)
 しかるに、田中総理は今日の状況をもってしても、日本経済がインフレでは全くないと強弁しているのであります。かてて加えて新価格体系の名によって、灯油、紙製品など高値安定と称して値上げをはかり、また、選挙結果というきびしい国民審判も顧みず、私鉄、ガス、国鉄、米価等の公共料金を軒並みに値上げしようとしているのであります。これは明らかに政府主導の暴騰物価であり、この秋にはどのような事態になっていくのかそらおそろしく感じるのは私一人ではないと考えるのであります。
 異常なインフレ・暴騰物価への政策が貧富の大幅な格差を再生産し、富む者と富まない者との対立、インフレ加害者と被害者との対立を激化させ、それが政治不信を醸成し、社会の荒廃を進め、それがファシズムの温床となることは歴史の証明するところであります。
 しかるに、田中総理は、すでに昨年の国会における通年国会説、国会能率論、小選挙区制への執着、教育勅語、軍人勅諭の評価、教育への権力的な介入など、あらゆる面で憲法を否定し、民主主義に逆行する政治を進めてきたのであります。そうした政治姿勢が国民の目にはあの忌まわしい第二次大戦の悲劇と二重写しになって危機感をもって受けとめられ批判されたのは当然と言わなくてはなりません。
 また、外交についても、お隣の韓国で展開されている朴軍事政権の強圧政治と田中内閣の政治姿勢及び対韓政策は一体不離の関係にあることが明らかであります。すでに昨年の金大中氏事件以来一年を経過するのでありますが、当時田中内閣は、筋を通した決着をはかるということ、これが議会への公約でございました。にもかかわらず、その後の状態はどうでございますか。筋を通した決着というよりも、日韓閣僚会議を当時強行して、経済援助などとるものはとられたにもかかわらず、その後の進展は、大統領緊急措置をはじめとする一連の強圧政策に発展し、事態はますます悪化しているのであります。
 金大中氏は、今日の朴軍事政権をささえているのはアメリカの軍隊と日本の円である、こう述べております。田中内閣は、いま韓国の民衆の血みどろの苦悩を無視して、朴軍事政権に対する経済援助を継続しようとしているのであります。この世界に悪名をはせた朴軍事政権と同盟し経済援助を続けることは、田中内閣が朴政権と同質、同罪であることを物語るものであると言わなければなりません。(拍手)
 あらゆる政治家に問われなければならないことでございますが、政治信念に基づいて行動し、その結果について国民の審判を仰ぎ、そして、その結果について責任を負うのが常道であります。田中内閣二年間の政治、経済、外交の諸政策はあらゆる点で国民の審判を受けたのであります。すなわち、結果に責任を負って、一日たりとも政権の座に居すわることなく退陣をすべきであると思うのであります。(拍手)
 さて、本院は、過般の選挙で欠員を含めまして百三十の同僚が新しく選任または再選され、ここに新しい陣容をもって発足したのであります。したがいまして、田中総理は、引き続き政権を担当するとするならば、当然、選挙に示された国民の審判を受けとめて今後の政局に臨む所信を明らかにすることが、議会制民主主義の本旨にのっとった当然の義務であると思うのであります。(拍手)しかも、自民党の選挙敗北が契機となって副総理、大蔵大臣及び外務大臣など、田中内閣の主要な閣僚が辞任、更迭というありさまであります。経済政策、外交政策についてもその所信を明らかにする必要があると思うのであります。前の百八十五日の国会で十分言い尽くされて、諸君はよく聞いておるだろう、などとうそぶく田中総理。半数が改選されている自民党の諸君も聞きたいと言っていた、いまはしゅんとしているけれども。(拍手)そういう実態を十分踏まえた上で、総理は当然に所信表明をすべきであったと思うのであります。
 しかるに田中総理は、野党各会派の強い要求にもかかわらず、本院に対して一片の所信も明らかにせず、本国会をいまや逃げ切ろうとしているのであります。(拍手)かかる田中総理の政治姿勢は、議会制民主主義と相いれないばかりでなく、わが国の民主主義の危機をもたらすきわめて危険な反民主主義行為であると断ぜざるを得ません。(拍手)
 選挙中あれほどの暴言、放言を繰り返してきた田中総理が、今国会直前の記者会見ではどう言いましたか。私もあのテレビを見ました。かなり変わったな、変わりようの早さだなと思っておりました。どういうことを言ったですか。今国会直前では、国民の審判、敗北をわれわれははっきりと認識して、これからは野党ともよく話し合うと、こう言っていた。ところが今回はどうでございますか。まだそのくちびるのかわかないうちに、全く自民党、田中総理独裁の形じゃありませんか。(「一つぐらいいいことはないか」と呼ぶ者あり)一つぐらいいいことがあればいいが、ない。(笑声)廊下で会っても――野党ではない――殿、乱心召されてなあというようなことばをずいぶん聞きました。全くけしからぬという話も聞きました。田中にはくっついていけないと言っておん出た主要閣僚、副総理もいる。大蔵大臣もいた。ところが、問責、その責任を問うと言えば、この国会では、全くツルの一声というか――これはそうはいかぬというこのロジック、この論理がどうしてもわからない。これを称して田中総理のあやつり人形と言われてもしかたがないのではないかと思うが、これはきょうの、この賛否の投票ではっきりとわかってくる。
 このように、国会中は独断的に話し合いを一方的に拒否する姿に変わってまいりました。権力者、ファシストの黒い黒い影を見るのは、おそらく私一人ではないと思うのでございます。
 田中インフレによって日本経済を破壊し、田中金権政治によってわが国民の生活、あるいは民主政治をことごとく腐敗、堕落させ、加えて敗戦という大きな犠牲を払って築き上げてきた戦後民主主義を崩壊させようとする田中総理を、一日としてその存続を許すことはできないのであります。(拍手)
 田中総理が一日長く続くことは、日本国民の不幸がそれだけ日に日に増大、深刻化していくことをここに思いを至さなければなりません。
 本決議案は、平和憲法の理念を広げ、国民生と向上を願う、国民の総意に基づくものであると私は信ずるものであります。自民党の諸君からも、個人的にはきびしい、われわれのいまだかつて聞いたことのない、使ったことのない田中批判が出ております。昨今の状態、胸に手を当てていただけばわかる。ここで一々この人、あの人と言う時間はない。あまりにも数が多い。したがって諸君も、この問責、責任を問う決議案には白い記名の投票をお願いすることによって、わが日本の、参議院の政治の良識を取り戻していきたい。(拍手)国民の危機を救っていきたい。御協力をお願いいたしまして、私の提案の説明を終わりたいと思います。(拍手)
#6
○議長(河野謙三君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。丸茂重貞君。
   〔丸茂重貞君登壇、拍手〕
#7
○丸茂重貞君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました田中総理大臣の問責決議案に対しまして反対の意見を表明するものであります。(拍手)
 今回の参議院選挙は、早くから保守、革新の逆転が叫ばれ、石油危機がもたらした狂乱物価という悪い環境の中で行なわれ、その結果いかんは国民注視の的でありましたが、わが自由民主党は改選前に比し若干減ったとはいえ、前回に比べると現状を維持し、依然として国民の支持と期待の大きいことが明らかにされ、政治の安定勢力としての地位を保つことができたのであります。
 しかし、この選挙に示された国民の審判は虚心に受けとめ、国民の信任を得た責任政党として、今後全党をあげて物価問題をはじめとする選挙公約の実行に最大の努力をいたさなければならないのであります。
 問責決議案に対する反対の第一点は、このたびの決議案はおおよそ意味のないものであるからであります。田中内閣成立以来初めてのことでありますが、これまで自民党内閣になって以来、衆議院において内閣不信任案がたびたび出されましたが、そのつど案は否決されて、結果的には国民の前に与党内閣の信任を明らかにして、いつも会期末国会の対決の緊張感を盛り上げようとする、党利党略に立った作為的な年中行事としか映らないのでありました。
 およそ内閣の不信任案なるものは、みずから次期政権を担当する能力を持つ野党によって提出されてこそ初めて意義のあるものでありまして、選挙を前にして、それぞれ連合政府綱領が発表されましたが、このいわゆる野党連合政権構想といっても、無原則な野党の連合は政治の混乱という表現にも見られるとおり、野党連合政権の実現は実にまぼろしの彼方にいったのであります。今日の野党にその資格ありとは、国民のだれもが考えていないと思うのであります。不信任案は野党の伝家の宝刀であり、これが敗れれば、すなわち田中内閣を信任することに通ずるものであります。解散か辞職かの最後の切り札として用うべきものでありまして、みだりに乱用されるべきものではないはずであります。
 このたび衆議院に提出されました不信任案は、今夕すでに圧倒的多数をもって否決されておる以上は、本院においては保革接近したからといいましても、むしろこの際、問責決議案を提案されなかったほうが、良識の府として、一そう国民の負託にこたえるゆえんではなかったかと存ずるものであります。
 以上が反対の第一の理由であります。
 野党側は、昭和三十三年の国会法改正以来、選挙直後の臨時国会において総理の所信表明演説は慣例化しているから当然行なうべきだということを最大の理由にあげておるようでありますが、そもそも三十三年の国会法改正の発端は、昭和三十一年八月行なわれた参議院選挙の臨時国会が十一月まで召集されるに至らず、その間、院の構成も行なわれなかった事例があったので、このような国会の空白を避けるために、当時の国会法を改正し、第二条の三の二項を設けて、選挙後の臨時国会は、その任期の始まる日から三十日以内に召集しなければならないと法的に義務づけ、まずもって院の構成を第一義的にやるべき趣旨とされたのであります。したがって、所信表明演説は、国会法改正に伴う必要条件としていないことは申すまでもないことであります。野党側が一方的に、所信表明を行なうことを当然のごとく主張し、所信表明を行なわないときは院の構成にも応じないがごとき態度をとられたことは、その本末を誤るものと言わざるを得ないのであります。
 わが党といたしましては、今国会の会期には所信表明は行なわず、院の構成に限るという党の決定に基づきまして八日間の会期を院議にはかって決定したものでありますが、総理が所信表明に応じないから内閣不信任に相当するという野党の態度は、全く党利党略のためにするものとしか理解できないのであります。
 田中内閣の行政に対し、問責に値する具体的な点を何ら見出すことができないからであります。
 以上が問責決議案に反対する第二の理由であります。
 野党が政府及び与党の政治政策を批判されることは御自由であります。かつ、それが野党の責務でもまたあると思います。しかしながら、今回の臨時国会は参議院の半数が改選されたことに伴いまして、新たに院の構成を定めることを目的として召集された国会であります。その国会において、田中内閣の責任を問われなければならないような重大な政治的な変化が発生したとはとうてい考えられないのであります。かりに、野党側から見て、不信任案提出の不可欠の要素があったといたしましても、この時期が当を得ているとは全く考えられないのであります。
 政府の物価対策等を問責決議の大部分の理由としているようでありまするが、先般の通常国会は、いわゆる物価国会とも呼ばれたとおり、三十五日の会期延長を含め、実に百八十五日間にわたり、その間、予算審議を初めとし、大手商社を参考人としての物価集中審議、物価関係法案の提案等について野党の諸君が徹底的に論議、追及が行なわれたことはつい先月のことであります。
 しかしながら、少なくとも野党が政府及び与党の施策を攻撃される場合には常に対策を明らかにされてしかるべきものと思うのであります。
 私どもも、政府の熱心な努力にもかかわらず物価の抑制が十分な成果をあげ得ないことを実に遺憾に存じておるものであります。しかしながら、今日の物価問題は、一国のみで解決できる問題ではなく、今日世界共通の悩みであることは皆さま方の御承知のところと存ずるものであります。幸いにして、最近これまでの適切な諸施策とあわせ、総需要抑制の効果の浸透もあって需給の緩和が進み、物価の騰勢にもやや落ちつきが見られてきたのであります。しかし、なお一方でエネルギーコストの上昇、春闘賃上げ等のコスト要因の波及が懸念されるものの、今後の政府の懸命な努力と施策のよろしきを得て物価安定に大きな期待が持たれることができるものと考えるものであります。
 以上が問責決議案に反対する第三の理由であります。
 田中内閣は発足当初から大きな試練に直面したのであります。特に、内政面におきましては、四十七年後半から急上昇した経済は次第に過熱し、需給は逼迫状態におちいり物価高騰が続いたことは御高承のとおりであります。このため総需要抑制策を強化し、鎮静に向かいつつあったやさき、昨年末突如として襲った石油ショックによる狂乱とまで呼ばれる異常な物価高と、春闘による大幅な賃金上昇を誘発し、国際収支の先行きにも大きな不安を投げかけておるのであります。
 しかしながら、田中内閣の強力な施策もようやく効果が出始め、狂乱物価は鎮静し物価もようやく落ちつきを見せつつあるのは御存じのとおりであります。
 もちろん、これは国民の理解と協力、財政路線の転換、金融引き締め、総需要の抑制、緊急立法を制定し万全の対策を講じ事態の好転をはかっているからであります。とはいえ、世界共通の物価問題の悩みもあります。しかしながら、現状の消費者物価の値上がり問題は賃金と密接不可分の関係にあることも指摘しないわけにはまいらないわけであります。国民春闘の美名に隠れた大企業に働く労働者の大幅なベースアップと物価の悪循環がそれであります。
 野党の諸君が物価で政府を攻撃する前に、生産性の向上に見合う合理的な賃金引き上げを認め、生産力の向上の成果を消費者に還元するよう指導力を発揮されることを切に希望をいたすものであります。(拍手)まことに、これなくいたしましては、賃金、物価の悪循環は永久に断ち切れないと存ずるものであります。
 これが、この問責決議案に反対いたしまする第四の理由であります。
 われわれは、今回の参議院選挙を通じて、国民が何を求めているかをはだにじかに感じることができたのであります。この大衆の不満をよくよくくみ取り、反省すべき点は率直に反省し、責任政党として一日も早く具体案をもって国民生活の安定と向上のため全力を傾けられんことを内閣に心から希望いたす次第であります。
 以上の理由により、すみやかに本問責決議案を否決されることを心からこいねがい、私の反対討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(河野謙三君) 村田秀三君。
   〔村田秀三君登壇、拍手〕
#9
○村田秀三君 私は、日本社会党を代表し、ただいま提案されました田中総理大臣問責決議案に対して賛成の討論を行ないます。(拍手)
 人類は、有史以来、さまざまな社会を形成し体験してまいりました。近代民主主義の歴史においても希望と発展の中に築かれていく社会、絶望と退廃に沈んでいく社会をわれわれは幾つも見出すことができます。今日の日本はいかなることばで表現さるべきでありましょうか。私は、悲しむべきことに、それは不公正と非民主主義であると言わざるを得ないのであります。(拍手)
 われわれ日本人は、いまを去る二十九年前、悲惨な戦争の廃墟の中で新しい憲法を制定し、これに夢を託し、希望に燃えて刻苦に耐え祖国の再建を決意いたしました。しかるに、今日の現状は憲法の理想とはほど遠く、産業間、地域間の格差のみならず、生活の格差は拡大の一途をたどり、貧困なるがゆえに命を断ち、またわが子さえも死に追いやらねばみずからの存在がないというような状態や犯罪の大型化は、まさに不正義と不公正の暗黒社会と言わざるを得ないのであります。これは、戦後政権の座にあった保守党、なかんずく自由民主党の反憲法的大資本優先の諸政策にその責任があると言わざるを得ないのでありますが、特に一昨年七月田中内閣が発足して以降は、物価暴騰に見られるごとく、これまでの産業経済政策の失敗が田中総理自身の政治理念とその運営のまずさによって一挙にふき出したものと見られるのであります。(拍手)私は、幾つかの問題でその失政を指摘しなければならないと思うのであります。
 その第一は物価問題であります。田中内閣が発足した一昨年七月からことし一月までわずか一年半の間に卸売り物価は三一・六%、消費者物価は二〇・四%と戦後史上最悪の異常インフレを招来いたしました。その原因は、総理がしばしば弁明しているような国際的インフレや石油危機という外圧的要因にあるのではなく、大企業が利潤増のためにとった大規模な価格つり上げ競争であり、土地や物資に対する大々的な投機であり、それを許しあおった列島改造政策とそれに伴う財政金融政策であったことは今日だれしも否定できない事実でありましょう。この中で大企業は前年の数倍という空前の利益を計上し、反面、国民は日々の生活に苦しみ、特に年金生活者や生活保護家庭、身体障害者等文字どおり身を削られる毎日をしいられたのであります。まさに不公正な社会と言わざるを得ないのであり、田中総理自身の責任と言うべきでありましょう。
 第二に、社会経済の混乱は、いわゆる石油危機に象徴されるように、資源の乏しい日本において重化学工業偏重の資源浪費型経済を進める産業構造に警鐘を鳴らしたと言うべきでありましょう。すなわち、国内の石炭産業をつぶし、石油万能の工業と生活構造をつくり上げ、国際分業論のもとに米以外の農産物は輸入にたよるという政策は、鉄鋼、自動車、電機など重化学工業部門の肥大化と繁栄をもたらしましたが、その反面、公害のみを増大し、かつ、数十万の炭鉱労働者を失業のふちに追いやり、農業就業者を半減させて、しかも出かせぎによらなければ農家経営は困難という荒廃した農村社会をつくり上げてまいりました。その結果、食糧の自給率はオリジナルカロリー計算で四十六年五三%、また畜産にしても、そのほとんどが輸入飼料に依存せざるを得ない畜産加工業に転落している実情は、昨年春の大豆や小麦の国際価格の高騰と輸入の削減に見られるように、国民生活に重大な不安を与えずにはおかない農業政策はまさに重大な誤りであり、これを大きく転換させねばならないにもかかわらず、四十九年度生産者米価決定に見られるごとく、真剣な農民の要求を無視し、低米価に押え、また何ら基本農政転換の政策がとられないのは重大な誤りであると言わざるを得ないのであります。これは、これまで自民党の幹事長等政治の中心にあった総理自身の責任でもあろうと思うのであります。(拍手)
 第三に外交問題であります。第四次中東紛争の勃発による石油危機の到来当時、田中総理はなすすべを知らず、やがて事態の深刻さが判明するに及んで、それまでのイスラエルの領土膨張政策を認めたアメリカ外交に追随してきた政策を百八十度転換し、三木特使を急遽派遣するなど、その自主性の欠除について世界のひんしゅくを買ったのでありますが、その外交方針の基本が那辺にあるのか判断に苦しむのであります。日中国交回復の実現はよしとするも、二年を迎えようとする今日、その実務協定は遅々として進まず、その優柔不断の姿勢は対韓外交にも明らかであります。すなわち、金大中氏事件の解明のみか、二人の日本人学生に対する韓国軍事裁判に対しても、何ら具体的に即応せず、傍観者的態度に終始していることはまことに遺憾であり、アメリカ下院外交小委員会ですら、韓国に対する経済援助再検討のための聴聞会を開くことが報ぜられておる今日、朴政権の明確なファッショ化を看過することなく、き然たる効果的対策を急ぐべきであろうと考えられるにもかかわらず、これを放置しておくことは、まさに外交理念の欠除と指摘せざるを得ないのであります。(拍手)
 第四に、田中総理の政治姿勢であります。
 田中総理はかつて自民党の幹事長を五期つとめられ、その際、事実上の国会対策委員長も兼ねたといわれており、日韓条約、大学管理法など、一国会に二十回もの強行採決を行ない、総理就任後も、自民党の総裁として、六十一通常国会では国鉄運賃値上げ法を、また、七十二通常国会で教頭法、靖国神社法案強行採決を行なわせしめたのであります。ここに見られるように、その論理は、政治は力なりとする、まさに独裁者の持つ政治哲学の上に、民主主義を否定し、政治を運営し、また、今日以降もそれを行なおうとしていることは間違いありません。今次参議院選挙においてもそれは端的にあらわれたと言うべきでありましょう。今回の選挙ほど、金力、権力、企業が介在した選挙は例を見ないと、自民党自体の有力者さえ認めざるを得ない。それは保革逆転をいわれた参議院の議席を金で買い、体制を維持し、かつ、党内における自派の勢力を伸ばして、もってみずからの権力の座を守ろうとしたものと解されるのであります。(拍手)しかしながら、国民は賢明でありました。汚濁に満ちた選挙の実相でありましたが、結果は、田中総裁が率いる自民党の支持率は、全国区は四四・三%、地方区においては三九・五%と、前回に比し四・五%の低落を見、与野党の議席差はわずかに七議席、過半数をこえることわずかに一議席となったのであります。国民の自覚は自民党政治を離れ、特に田中総理に冷厳な批判と審判を下したと言うべきでありましょう。(拍手)田中総理は、この事実について謙虚に反省をすべきであります。しかるに総理は過日自民党の議員総会において、自民党の支持が半減しても、行なわなければならない政策を場合によっては行なわなければならない旨述べたことが新聞に報道されました。これは一体何を意味するものでありましょうか。もし総理が常に発言をしておる小選挙区制法や靖国法を党是のために強引に押し通そうと考えるならば、それはもはや国民のために政治が存在するのではなく、一党のために、極言すれば、田中総理自体のために政治があると言わざるを得ないのであります。(拍手)みずからの主張に反対する者に対しては弾圧し抑圧する独裁者といまや断定せざるを得ないと思うのであります。(拍手)
 さて、国会法に基づき、今七十三臨時国会は開会されました。第七十二通常国会閉会からわずかに二カ月を経ない国会とはいえ、この間、電力料金をはじめ公共料金の引き上げのみならず諸物価の騰勢は衰えを見せません。加えて、金権、企業ぐるみ選挙に対する国民の怒りは、その早急な解決を迫っております。国民は、選挙で示された国民の意思が政治にどのように、しかもすみやかに反映されるかについて大きな期待を寄せていると言うべきでありましょう。そして、物価狂乱の中であえぐ国家公務員の生活改善のために人事院は給与改善の勧告を行ないました。それは当然ながら今国会で処置されるものとしてなされたものに間違いありません。このような意味合いにおきまして、野党各党は、当面する重要な課題について総理の所信を求め実質的な審議を行なおうと要求し続けたのであります。また、衆参両院議長はじめ与党内部においてさえも野党の要求の正当性を認めておるにもかかわらず、総理はこれを頑強に拒否し、ついに本日、田中総理自身の問責決議について審議し本国会を終わらねばならないことは、まことに遺憾と言わざるを得ないのであります。(拍手)開会式はあっても何もない国会、まさに憲政史上最大の汚点を残したと言うべきでありましょう。これもみな先ほど来述べました田中総理自身の政治姿勢に由来するものであり、その政治的無能を内外に露呈したものであろうと考えるのであります。田中総理の存在は、議会制民主主義を否定し、国民生活の危機をより一そう深化させるものであると断言せざるを得ません。
 よって私は、野党共同提案にかかわる総理大臣田中角榮君の問責決議案に賛成をするものであります。
 以上、討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(河野謙三君) 白木義一郎君。
   〔白木義一郎君登壇、拍手〕
#11
○白木義一郎君 私は、ただいま提出されました内閣総理大臣田中角榮君問責決議案に対し、公明党を代表し、賛成の討論を行なうものであります。(拍手)
 このたびの第十回参議院選挙の持つ意味は、単なる定期的な国政レベルの選挙ではなく、七〇年代後半の政治路線を決定する重要な意義を持つものであったことは周知の事実であります。すなわち、昨年秋以来の物価狂乱、悪性インフレの中で、国民生活は深刻な不安に襲われ、破綻の一途をたどりつつあったその中で、国民みずからが政治の選択を求められたという重大性を持つ選挙であったのであります。この重要な意義を持った参議院選挙を国民がいかにとらえ、また、みずからの主権によっていかなる回答を出したかは、このたびの参議院選挙史上まれに見る七三・二%という高投票率と、自民党得票数の激減がそれを如実に物語っているのであります。私は、この国民が下した審判に基づき、田中総理大臣問責決議案に対する賛成の理由を明らかにするものであります。
 まず第一に、田中総理は、インフレ、物価、社会福祉、公害等、現在国民が最も望んでいる政治課題に対して背を向けるだけではなく、選挙前からの靖国神社法案、小選挙区制、刑法改正など、一連の反動化体制に加え、教育問題をもってみずからの失政に対する国民の追及をかわし、同時に日教組を断圧することによって教育への権力介入をはかろうとしたのであります。そうして、このたびの参議院選挙の遊説においても、総理は従来からの国民を愚弄したような強気な姿勢は少しも変わらず、物価や公害は雨漏りのようなもの等々、まさに国民の悲願を踏みにじるごとき発言を平気でしてきたのであります。一国の総理にかける国民の期待は非常に重いものがあり、それだけに総理はみずからの発言に重い責任を持たなければならないのは当然のことであります。
 あなたが真に国民の主権を尊重し、みずからの責任を自覚するならば、物価狂乱に対する国民の怒り、田中内閣を否定した国民の審判を謙虚に受けとめ、そして国民の前にその所信を表明するべきであります。しかるに、いままでの通常選挙後の臨時国会の慣例を破り、院の構成にのみとどめることに固執するその姿勢こそ、国民不在の政治を行なってきたいままでの方針と何ら変わるところがないのであります。その上、先日の記者会見において二階堂官房長官は、政府の重要施策についてすでに前国会で十分に論議し尽くしたとして、総理の所信表明、実質審議、公務員給与に関する法案提出その他の一切をすべて拒否したのであります。これこそ、憲法において二院制を根本とした議会制民主主義の大原則を頭から否定し、参議院を軽視する反国民的政治姿勢以外の何ものでもないと断ぜざるを得ません。まさに国民の主権と意思を踏みにじり、一党独裁の道を歩もうとするこの田中総理を、私たちは国民の代表として断じて許すことはできないのであります。
 第二に、選挙史上最大の汚点を残した金権・企業選挙を指導した田中総理並びに自民党幹部は、民主主義の破壊者であると言うべきであります。五当三落とか、十当八落などとエスカレートした金権選挙が連日活字になってマスコミで報道され、しかも、企業ぐるみ選挙が大手を振ってまかり通ったこのたびの選挙が、どれほど善良な国民を傷つけ、人格をおかし、公明な選挙をよごしてきたかはかり知れないものがあります。自民党の勝つためには手段を選ばないというよごれ切った選挙に対する国民の怒りが、このたびの選挙の結果としてあらわれたことに対し、私たちは、国民がみずからの手で主権の尊厳を守ったものとして高く評価するものであります。今回の参議院選挙が保革逆転の可能性を持つという危機感から、自民党は大企業に対し資本主義存続の危機を訴えたのであります。そして財界から金を吸い上げ、ばらまき、それでもまだ不足として財界に政治資金の割り当てを追加し、さらに営利法人である企業ぐるみの選挙運動を強行したのであります。そして、これを労働者が人権と生活を守る労働組合の選挙運動と同一視してはばからない総理をはじめとする党幹部の発言は、ものの本質の立てわけをわきまえないものと言うべきであります。かてて加えて、堀米中央選管委員長発言にまっこうから挑戦したその行動は、長年打ち立ててきた自由と民主主義の旗をみずからの手でおろしたことを証明するものであります。
 第三は、選挙後より今日までの田中総理の政治姿勢の問題であります。あなたは、このたびの選挙に対し、いままでの失政による党の劣勢を挽回するために全力を傾けられたことは自他ともに認めるところでありましょう。しかるに、その結果たるや、総理の戦いの激しさとは逆に、国民の心が全く田中内閣から離れていたことを明らかにさせたものであります。総理は、去る九日、選挙後初の記者会見において、いままでの姿勢を転換し、話し合いの政治を行なうことを強調されました。国民をはじめとして私たちは、そのことを聞き、このたびの国会において、田中総理の今後の国会運営や、あるいは当面の諸問題に対する所信表明が聞けるものと期待していたのであります。しかし、その期待はみごとに裏切られ、話し合いの政治どころか、従来の独断と横暴な政治を国民に押しつけてきたのであります。そして、選挙期間中、国民があれほど強く望んだ物価の安定に対し、政府はこのわずかな間に、私鉄運賃、路線トラック料金の値上げを認可し、さらに、砂糖、セメント、洗剤、アルミ等の価格凍結品を次々と値上げをしていったのであります。そして、秋に向かって国鉄運賃、消費者米価等の一連の公共料金の値上げを行なおうとしているのであります。消費者動向予測の調査によりますと、一般消費者の三割もの世帯が家計の赤字を訴えているこの現状の中で、なお物価の高騰が続くならば、政治を担当する責任政党として、また、その最高責任者である内閣総理大臣として、その責任を問われることは当然であります。
 一昨日の自民党両院総会において総理は、「たとえ自民党の票が半減するようなことがあっても、やるべき政策はやらねばならぬ」と言って、すべてを正当化しようとする発言をされましたが、これなどはまさしく国民を愚弄する暴言であり、全国民に対する挑戦であります。総理は、日本国憲法にうたわれている国政に関する基本精神をほんとうに理解されておられるのか、はなはだ疑問に思うものであります。もし、あなたが憲法の基本的精神を少しでもわきまえていられるならば、この重大な時局にあたって、われわれが要求するまでもなく、一国の総理として国民に対しみずからの所信を述べることはきわめて当然のことと言えるのであります。国会は何も政府の議案だけを審議する機関ではないことは、あなたが一番よく知っておられるはずではありませんか。国民の厳粛なる信託によって新しい参議院の構成ができたいま、国民の審判により明らかになったごとく、総理は、国民の意思を尊重し、今後に対する施政の方針を明確にし、その責任を全うすべきであります。しかるに、現在のあなたの姿勢たるや、自民党が長年行なってきた国民べっ視の政治理念をますます推し進めようとしております。これこそ民主主義を冒涜し、国政を私有化する以外の何ものでもありません。あなたは国政担当の最高責任者として、このような異常事態を引き起こしておきながら、まだ権力の座にしがみついていこうとするのですか。国民がいま最も望んでいることはあなたの退陣なのであります。(拍手)いさぎよく退陣をして国民に対し一切の失政の責任をとるとともに、政治革新への道を開くことがいまあなたに残された唯一の道であります。
 さらに私は……
#12
○議長(河野謙三君) 白木君、時間が超過いたしました。簡単に願います。
#13
○白木義一郎君(続) はい。
 この田中内閣を推し進めてきた自民党の諸君に申し上げたい。アメリカのニクソン大統領弾劾裁判において、ある勇気ある数人の共和党議員の良識ある判断に思いをはせたとき、いまこそ生活防衛を願い、国民が投じた一票の重みを再度考え、参議院の良識を守るときであると信ずるものであります。(拍手)
 よって、以上の理由から、私たちは田中総理の責任をきびしく追及し、ここに退陣を強く要求し、内閣総理大臣田中角榮君問責決議案に対する賛成討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(河野謙三君) 岩間正男君。
   〔岩間正男君登壇、拍手〕
#15
○岩間正男君 私は、日本共産党を代表して、田中内閣総理大臣問責決議案に賛成の討論を行ないます。(拍手)
 今回の選挙の結果は、主権者である国民が田中自民党内閣の悪政にきびしい審判を下していることを明白に示しております。総理がこの国民の審判に対して責任ある態度をとるのは当然であり、選挙後の本国会で所信表明を行なわず、一切の審議に応じないというに至っては、まさに言語道断と言わざるを得ません。しかも総理は、選挙中、国民の気持ちをさかなでにするようなたくさんの無責任な放言を行ないました。たとえば四十五カ国を相手にして戦いのできたのも教育の成果であると強調して、かつての侵略戦争を美化し、教育勅語、軍人勅諭まで礼賛するなど、内外の重大な疑惑を呼び起こしており、その点からも国民は、総理が国会を通じて所信を明らかにすることを強く要求しているのであります。また、選挙後の国会で、院の構成とともに総理の所信表明が行なわれるのは、議会制民主主義のルールとして昭和三十三年の国会法改正以来確立された慣例であります。しかるに、総理が今回ことばをかまえて所信表明を拒否してきたことは、主権者である国民の意思と、国権の最高機関である国会を踏みにじる態度であり、また、行政府の意思を立法府の上に置こうとする憲法じゅうりんの態度として絶対に許すことはできません。これが本問責決議案に賛成する第一の理由であります。
 賛成の第二の理由は、総理がみずからの大企業奉仕の政治が引き起こした国民生活の重大な危機に対し無責任な態度をとり、あまつさえ物価問題、災害対策、さらに多くの懸案をかかえている外交問題などの緊急案件に対してさえ今国会での審議を拒否していることであります。
 今日の物価狂乱の根本原因が、売り惜しみ、買い占めなどで暴利をむさぼる大企業の横暴と、日本列島改造計画などでこの大企業に奉仕する田中内閣、自民党の政治にあることは論議の余地のないところであります。ところが、総理は本年一月、第七十二国会の施政方針演説で、物価対策に対し、結果についての責任をとると広言したにもかかわらず、参議院選挙中の演説では、物価は雨漏りか水道のじゃ口が締まらない程度のものと述べるなど、無責任きわまりない態度をとっております。しかも、選挙後には、私鉄運賃など公共料金をはじめ、アルミ、セメント、その他基礎物資の独占価格を次々に引き上げ、新しい物価狂乱の大波をみずからつくり出しております。総理の念頭にあるのは、大企業、大資本の利益だけであり、国民生活への配慮はゼロにひとしいと言わなければなりません。特に、国民は、今国会で、物価問題はもとより、各地に発生した深刻な災害の問題、物価高騰でとりわけ深刻な打撃を受けている生活保護世帯や年金生活者、失対労働者などの問題、農民や中小零細業者の経営破綻などの緊急な経済社会問題が審議されることを強く求めておるのであります。このような国民の願いに顔をそむけ耳をかそうとしない総理の態度を激しく糾弾せずにはおられないのであります。
 第三の理由は、史上空前といわれる醜悪な金権選挙、企業選挙の最大の責任者は、ほかならない田中総理あなたであることであります。
 国政選挙が清潔、公正に行なわれることが議会制民主主義の根本条件の一つであることば、あらためて論議するまでもありません。田中総理が今回みずから先頭に立って腐敗選挙を推し進めたことは、金と力によってわが国の民主主義制度の根幹を突きくずそうとする許すことのできない所業と言わねばなりません。さらに、いわゆる企業ぐるみ選挙に至っては、選挙の公正を害することはもちろん、国民の選挙権行使の自由と思想、信条の自由を抑圧する許すことのできない行為であります。しかも私は、この腐敗選挙が、偶然のものではなく、自民党の有力者もすでに指摘しているように、自民党総裁選挙でのきたない金権選挙とも体質的にかたく結びついています。さらには、田中内閣の大企業奉仕の政治の必然の産物でもあり、田中総理の手段を選ばぬファッショ的性格ともかたく結びついていることを指摘するものであります。田中総理がその責任から絶対に免れることのできないものであることはすでに明白な事実であります。
 第四の理由は、総理の無能な外交が、わが国の主権と国民の安全にとって重大な事態を招いていることであります。
 田中内閣は、朴政権による日本の重大な主権侵害行為であることが明らかな金大中事件について、事件発生後すでに満一カ年を迎えるというのに、いまなお何一つ解決しようとしていません。その上、朴政権の不当不法ないわゆる民青学連事件など、卑劣なでっち上げによって南朝鮮人民が大弾圧を受けました。それと同時に、早川、太刀川両氏が懲役二十年という重刑を言い渡されたにもかかわらず、両氏のでっち上げ事件の資料集めに来日した韓国中央情報部員の日本国内での捜査活動を黙認し、現在に至るも「静観」などと称して両氏の救出に何らの措置をとろうともしておらないのであります。この屈辱的な外交姿勢は、国民への重大な背信行為と言わなければなりません。しかも、田中総理は、この韓国を、自由と民主主義を目ざす国と繰り返し賛美し、いわゆる対韓経済援助を進めて、朴独裁政権との醜い癒着を強めていることは許すことのできないものであります。
 このような田中内閣に国政をまかすことはとうていできません。すでに内閣の支持率は二〇%をはるかに割っており、史上最低となっています。田中総理やめよの声は、いまや国民絶対多数の声であり、天の声、地の声と言わねばなりません。(拍手)
 狂ったコンピューターで暴走するブルドーザー田中総理は即刻退陣すべきであり、国民にその罪を謝すべきであります。
 このことを強く要求して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(河野謙三君) 田渕哲也君。
   〔田渕哲也君登壇、拍手〕
#17
○田渕哲也君 私は、民社党を代表して、ただいま提出された内閣総理大臣田中角榮君問責決議案に対し、賛成の討論を行なうものであります。(拍手)
 すでに野党各党代表の討論で明らかなごとく、田中内閣の失政は枚挙にいとまがありません。そればかりでなく、田中総理は、基本的に総理としての適格性を欠いていると言わざるを得ません。
 私は、総理として必要欠くべからざる要素は、一つは、種々の諸情勢に対処し、適切な措置をとり、わが国の安全と国民生活の安定をはかり得る能力であり、そしてもう一つは、国民に対する誠意と責任感であると思います。残念ながら田中総理には、この二つとも欠けていると言わざるを得ません。
 まず第一の点でありますが、今日、国民生活を苦境におとしいれている異常な物価上昇を招いた原因は一体どこにあるのでしょうか。田中総理は、石油危機や国際諸物価の上昇をあげて自分の責任ではないと言われるかもわかりませんが、同様の情勢下にある欧米諸国に比べ、わが国の物価上昇率は実に二倍ないし三倍にのぼっている事実を何と説明されますか。田中内閣が提唱してきた日本列島改造論、また、国際通貨問題に対してとった調整インフレ政策、大型予算等々が、今日の異常な物価上昇を招く根本的な原因となったことは否定できません。
 また、石油危機が突発した際、便乗値上げや、買い占め、売り惜しみなど、悪徳商法を防止するための適切な処置を怠り、一そう物価高を激しいものにしました。これは単なる怠慢というよりも、田中内閣の金権政治的な性格が、悪徳業者との結託を生み、このような事態を生んだと言っても過言ではありません。
 以上の一例を見ても、田中総理には、困難な情勢に対処して国民生活を守っていくための能力に欠けていると言わざるを得ません。
 さらに、田中総理は、結果に対して責任をとると明言しておきながら、国民に対して責任をとるという姿勢は全く見られません。昨年の内閣改造のときに、従来から田中内閣のインフレ促進型経済政策に対し強い批判を加えてきた福田赳夫氏を大蔵大臣に任命されましたが、このこと自体、みずからの政策の行き詰まりを自認したものであり、本来なら、このときに責任をとり辞任されるのが筋であったと思います。ところが、実際には、居すわりを続けるばかりでなく、今回の参議院選挙においても、自民党の議席、なかんずく自分の派閥の議席をふやすためにはまさに手段を選ばず、企業に対して候補者を割り当て、強制的に応援をさせたり、財界から吸い上げた多額の資金を選挙につぎ込み、七当五落といわれる史上空前の規模の金権選挙を出現させたのであります。まさに、みずからが日本の国のため、国民のために何をなし得たかを反省することなく、何が何でも選挙に勝ちさえすれば権力の座に居続けられるのだという態度と言わざるを得ません。そして選挙中、自分の閣僚である福田、三木両氏からさえ田中総理の金権選挙に対する批判の声が出るに至ったのであります。この田中総理の金権政治は、単に田中内閣、自民党を危機におとしいれるだけでなく、日本の民主政治そのものを崩壊に導くものであることに注目しなければなりません。
 さらに問題なのは、選挙前あるいは選掌中の総理の発言であります。金権選挙に対するマスコミの批判が高まると、総理はそれを封ずる手として、党利党略的な小選挙区制論議をぶち上げ、そのわずか一週間後には世論の反発に驚いて小選挙区制論議の休戦を言い出しました。また、政府・与党の経済基本政策を無視して、新幹線網、本土四国架橋の必要性を説き、悪名高い列島改造論の復活を放言したり、また物価は家のかわらや窓ガラスが破れた程度だなど、国民の生活実態をわきまえぬ発言をするなど、政治の最高指導者にふさわしからぬ支離滅裂、無責任きわまる暴言、失言を繰り返したのであります。そして選挙の結果、自民党は参議院において過半数すれすれにまで敗退するに至りました。これは田中内閣の失政や政治姿勢に対する国民の冷厳な審判が下されたものと言わざるを得ません。
 ところが、それに対しても田中総理の反省の態度は見られないのであります。参議院の半数改選という国民の洗礼を受けたあと、われわれ野党が田中内閣に今後の施政についての所信の表明を求めることは当然であります。また、公共料金の相次ぐ値上げ等で、再び物価狂乱の不安が迫っているいま、国会がこれについて政府の対策をただし、審議を行なうのは、これまた選良として国民の負託にこたえる当然の責務であります。与党内においても、三木派では所信表明を行なうのは当然であるとの見解を表明しており、この議場内の自民党の諸君も、多くは腹の中ではこれを当然の要求として受けとめておられると信じます。(拍手)
 しかるに、田中総理は、自分だけの、あるいは自分の派閥だけの都合で、あえて所信表明をしない、審議もしないという無理を押し通したのであります。
 参議院では、選挙の結果、与野党の議席差は数議席という僅少となっております。河野議長も、これからの参議院は数よりも理を重んずべきだと言われましたが、話し合いにより、よりよき結論を見出す努力こそ大切であります。ところが、今回の田中総理のやり方は、あえて数議席の差にものを言わせて、野党側の要求を拒否し、強引に押し切った問答無用の姿勢と言わざるを得ません。
 さらに七月二十六日、人事院の公務員の給与改定に関する勧告が政府と国会に対し提出されました。物価高の今日、国会開会中にこの勧告に基づいて、財源について審議し、公務員の給与改定を早急に実現することは当然のことではありませんか。これさえも自分が所信を表明するのを避けるため、あえて踏みつぶしてしまったのであります。
 このように、国民の最低限度の要求をすべて排除し、何の審議もさせないとどら声でこれを拒否する田中総理の態度は、主権者である国民を冒涜し、議会制民主主義を破壊する権力思想のあらわれ以外の何ものでもありません。この田中総理の姿勢こそ、国家より党が、党より自分が先にあるという思い上がりと言わざるを得ないのであります。
 田中総理の就任直後の所信表明の中で言われた、政治責任を明らかにして決断と実行の政治を遂行すると言明されたことがもしほんとうならば、この際、総理在職の二年間にみずからが招いた事態を正しく見詰め、深く反省し、自分でなければだめだという誤ったうぬぼれを捨てて、責任をとって辞任されることをいまこそ決断し、実行されるべきであります。(拍手)
 私は、国民の怒りを代表して、以上のことを強く要求するとともに、田中総理問責決議案に対する賛成の理由を申し述べ、討論を終わるものでございます。(拍手)
#18
○議長(河野謙三君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#19
○議長(河野謙三君) 迫水久常君から、歩行困難のため、投票を参事に委託したいとの申し出がございました。これを許可いたします。
 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#20
○議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#21
○議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百四十九票
  白色票          百二十一票
  青色票          百二十八票
 よって、内閣総理大臣田中角榮君問責決議案は否決されました。(拍手)
#22
○議長(河野謙三君) これにて休憩いたします。
   午後八時十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後九時二十二分開議
#23
○副議長(前田佳都男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第一 永年在職議員表彰の件
 議員河野謙三君、小川半次君は、国会議員として在職すること二十五年に達せられました。
 つきましては、院議をもって両君の永年の功労を表彰することとし、その表彰文は議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○副議長(前田佳都男君) 御異議ないと認めます。
 議長において起草いたしました両君に対する表彰文を朗読いたします。
   〔河野謙三君起立〕
  議員河野謙三君 君は国会議員としてその職にあること二十五年に及び常に憲政のために力を尽くされました
  参議院は君の永年の功労に対しここに院議をもって表彰します
   〔拍手〕
   〔小川半次君起立〕
  議員小川半次君 君は国会議員としてその職にあること二十五年に及び常に憲政のために力を尽くされました
  参議院は君の永年の功労に対しここに院議をもつて表彰します
   〔拍手〕
    ―――――――――――――
 表彰状の贈呈方は、議長において取り計らいます。
#25
○副議長(前田佳都男君) 安井謙君から発言を求められております。発言を許します。安井謙君。
   〔安井謙君登壇、拍手〕
#26
○安井謙君 私は、本院議員を代表いたしまして、ただいま、永年在職のゆえをもって表彰せられました河野謙三君並びに小川半次君に対しまして、一言お祝いのことばを申し上げます。
 議長河野謙三君は昭和二十四年衆議院議員として政界に入られ、その後、参議院に転じ今日まで二十五年有余にわたり憲政のために尽くしてこられました。その間、昭和四十年には本院副議長、また、昭和四十六年には本院議長に当選され、さらに去る二十六日には引き続き議長に再選されたのであります。同君は常にすぐれた見識をもって、参議院の自主性の確保と権威高揚のため並々ならぬ情熱を傾けておられることはすでに皆さん御承知のとおりであります。
 小川半次君は昭和二十一年衆議院議員に御当選になり、本年四月参議院に転じられました。その間、衆議院予算委員長等の国会役員並びに自由民主党全国組織委員長、国民運動本部長等の役職を歴任、すぐれた人格と識見を持ち、議会政治の発展のために大きな足跡を残してこられました。
 ここにわれわれ一同は、両君の御功績に対しまして深甚なる敬意を表しますとともに、本日はえある表彰を受けられましたことに対し、心から祝意を表する次第であります。
 第十回通常選挙を終え、参議院に対する国民の関心が高まっております今日、両君におかれましては健康に御留意の上、参議院の使命達成のため、一そうの御尽力を賜わりますことを期待し、はなはだ簡単でございますが、お祝いのことばにいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○副議長(前田佳都男君) ただいま表彰を受けられました両君から、それぞれ発言を求められております。順次発言を許します。河野謙三君。
   〔河野謙三君登壇、拍手〕
#28
○河野謙三君 私は昭和二十四年一月の衆議院の改選の際に衆議院議員としての議席を得、引き続き昭和二十八年に参議院通常選挙において参議院に議席を得、今日まで二十五年の長きに至りました。顧みて、その間何らなすことなく、いたずらにこの責任の重い国会の議席を汚したことをまことに恥じ入っておる次第でございます。しかるに、いま本院を代表して、安井謙君から身に余る御祝辞をいただきましてまことにありがとうございました。
 二十五年の功労表彰というものは国会議員として最高の栄誉であると私は心得ております。この栄誉を与えられました今後におきましては、たまたま議長の要職にもあります私は、残余の期間を全力をあげてよりよい国会の建設のために、皆さんの御協力を得て、懸命な努力をすることをここにお誓いいたしましてお礼のことばにかえます。ありがとうございました。(拍手)
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#29
○副議長(前田佳都男君) 小川半次君。
   〔小川半次君登壇、拍手〕
#30
○小川半次君 私は、本院議員となりましたのは去る四月でございますが、衆議院におきまして二十四年十カ月在職いたしましたので、通算して本日のこの光栄に浴することになったのでございます。
 ただいまここに院議をもって表彰を受けましたことは無上の喜びでありまして、心から感激いたしておる次第でございます。
 顧みまして二十五年間、大過なく在職いたしましたのは、よき先輩、よき同僚に恵まれたからでございます。この上は、本院の皆さま方の御指導のもと、政務に精励し、もって国民の負託にこたえたい覚悟でございます。
 以上、簡単でございまするが、一言もって謝辞といたします。ありがとうございました。(拍手)
   〔副議長退席、議長着席〕
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#31
○議長(河野謙三君) この際、国会議員として永年にわたり在職せられました前議員の表彰についておはかりいたします。
 国会議員として二十四年の長きにわたり在職せられました森八三一君、松澤兼人君、中山福蔵二君、杉原荒太君、田中一君、古池信三君、成瀬幡治君、田口長治郎君、足鹿覺君、故木檜三四郎君、故井上知治君に対し、院議をもってその永年の功労を表彰することとし、表彰文及び表彰状の贈呈方は議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
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#33
○議長(河野謙三君) この際、おはかりいたします。
 塚田大願君から裁判官弾劾裁判所裁判員予備員を、星野力君から裁判官訴追委員予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
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#35
○議長(河野謙三君) つきましては、この際、
 裁判官弾劾裁判所裁判員。同予備員、
 裁判官訴追委員、同予備員、
 皇室会議予備議員、
 皇室経済会議予備議員、
 検察官適格審査会委員、同予備委員、
 国土総合開発審議会委員、
 東北開発審議会委員、
 九州地方開発審議会委員、
 四国地方開発審議会委員、
 中国地方開発審議会委員、
 北陸地方開発審議会委員、
 豪雪地帯対策審議会委員、
 離島振興対策審議会委員、
 国土開発幹線自動車道建設審議会委員、
 台風常襲地帯対策審議会委員、
 首都圏整備審議会委員、
 北海道開発審議会委員、
 日本ユネスコ国内委員会委員及び
 鉄道建設審議会委員の選挙を行ないます。
#36
○細川護熙君 各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、裁判官訴追委員予備員、皇室会議予備議員、皇室経済会議予備議員の職務を行なう順位は、これを議長に一任することの動議を提出いたします。
#37
○黒柳明君 細川君の動議に賛成いたします。
#38
○議長(河野謙三君) 細川君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#39
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員その他の各種委員を、議席に配付いたしました氏名表のとおり指名いたします。
#40
○議長(河野謙三君) 日程第二 国家公務員等の任命に関する件
 内閣から、漁港審議会委員に菊田隆一君、佐藤肇君、瀬尾五一君、高木淳君、上杉武雄君、村田安藏君、吉村宮一君、近藤元次君、上釜孝君を任命したことについて本院の同意を、
 また、宇宙開発委員会委員に網島毅君、八藤東禧君を、
 社会保険審査会委員に黒木延君を、
 日本放送協会経営委員会委員に加藤多喜雄君、
 鈴木俊三君、宮脇朝男君を、
 日本電信電話公社経営委員会委員に大野勝三君を、
 労働保険審査会委員に大竹政男君、高橋展子君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 まず、宇宙開発委員会委員、日本電信電話公社経営委員会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#41
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、いずれも同意することに決しました。
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#42
○議長(河野謙三君) 次に、社会保険審査会委員及び労働保険審査会委員のうち、高橋展子君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#43
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、全会一致をもっていずれも同意することに決しました。
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#44
○議長(河野謙三君) 次に、漁港審議会委員、日本放送協会経営委員会委員及び労働保険審査会委員のうち、大竹政男君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#45
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、全会一致をもっていずれも同意することに決しました。
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#46
○議長(河野謙三君) 日程第三より第六までの請願、及び本日、社会労働委員長外三委員長から報告書が提出されました「看護」の充実に関する請願外百二十六件の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
#48
○議長(河野謙三君) これらの請願は、各委員長の報告を省略して、各委員会決定のとおり採択することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#49
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
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#50
○議長(河野謙三君) この際、委員会の審査及び調査を閉会中も継続するの件についておはかりいたします。
#51
○議長(河野謙三君) 本件は、各委員長要求のとおり決することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#52
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、本件は各委員長要求のとおり決しました。
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#53
○議長(河野謙三君) 今国会を終わるにあたり一言ごあいさつを申し上げます。
 今国会は、新たに当選せられました議員各位を迎え、参議院は装いを新たにして新発足をいたしました。
 内外の時局多端のおりから本院に課せられた任務は重大であると存じます。ここに皆さまの御労苦と御協力に対し心から感謝の意を表するとともに、今後とも御自愛の上、ますます御健闘あらんことを祈ってやみません。
 これにて散会いたします。
   午後九時四十二分散会
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ソース: 国立国会図書館
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