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1974/08/21 第73回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第073回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第2号
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1974/08/21 第73回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第073回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第2号

#1
第073回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第2号
昭和四十九年八月二十一日(水曜日)
    午前十時三十六分開議
 出席委員
   委員長 角屋堅次郎君
   理事 登坂重次郎君 理事 林  義郎君
   理事 島本 虎三君 理事 土井たか子君
   理事 木下 元二君
      田中  覚君    橋本龍太郎君
      八田 貞義君    岩垂寿喜男君
      中島 武敏君    岡本 富夫君
      坂口  力君    和田 耕作君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 徳永 正利君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 毛利 松平君
 委員外の出席者
        内閣官房副長官 大村 襄治君
        北海道開発政務
        次官      今泉 正二君
        北海道開発庁総
        務監理官    秋吉 良雄君
        環境庁長官官房
        長       信澤  清君
        環境庁長官官房
        審議官     小幡 八郎君
        環境庁企画調整
        局長      城戸 謙次君
        環境庁企画調整
        局環境保健部長 橋本 道夫君
        環境庁自然保護
        局長      柳瀬 孝吉君
        環境庁大気保全
        局長      春日  斉君
        環境庁水質保全
        局長      大場 敏彦君
        厚生省環境衛生
        局食品化学課長 宮沢  香君
        農林省畜産局流
        通飼料課長   金田 辰夫君
        林野庁長官   松形 祐堯君
        通商産業省立地
        公害局長    佐藤淳一郎君
        運輸省自動車局
        整備部長    田付 健次君
        運輸省航空局長 中村 大造君
        運輸省航空局飛
        行場部長    隅  健三君
        建設省道路局長 井上  孝君
        特別委員会調査
        室長      綿貫 敏行君
    ―――――――――――――
委員の異動
八月二十一日
 辞任         補欠選任
  米原  昶君     中島 武敏君
  折小野良一君     和田 耕作君
同日
 辞任         補欠選任
  中島 武敏君     米原  昶君
  和田 耕作君     折小野良一君
    ―――――――――――――
七月三十一日
 一、公害対策基本法案(中島武敏君外一名提出、
  第七十一回国会衆法第一八号)
 二、大気汚染防止法の一部を改正する法律案(
  中島武敏君外一名提出、第七十一回国会衆法
  第一九号)
 三、水質汚濁防止法の一部を改正する法律案(
  中島武敏君外一名提出、第七十一回国会衆法
  第二〇号)
 四、騒音規制法の一部を改正する法律案(中島
  武敏君外一名提出、第七十一回国会衆法第二
  一号)
 五、公害委員会法案(中島武敏君外一名提出、
  第七十一回国会衆法第二二号)
 六、環境保全基本法案(島本虎三君外四名提出、
  第七十一回国会衆法第四三号)
 七、公害に係る事業者の無過失損害賠償責任等
  に関する法律案(島本虎三君外四名提出、第
  七十一回国会衆法第四四号)
 八、環境保全基本法案(岡本富夫君外一名提出、
  第七十一回国会衆法第四五号)
 九、公害対策並びに環境保全に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 公害対策並びに環境保全に関する件(大気汚染
 及び騒音対策等)
     ――――◇―――――
#2
○角屋委員長 これより会議を開きます。
 この際、毛利環境庁長官から発言を求められております。これを許します。毛利環境庁長官。
#3
○毛利国務大臣 先般、私は、はからずも環境庁長官を拝命いたしました。ここに就任のごあいさつを申し上げますとともに、環境行政に関し、抱負の一端を申し述べたいと存じます。
 今日、環境問題は、緊急に解決を要する重要な政治的課題の一つであり、私は、国民の健康を保持し、快適な生活環境を確保するという大きな目標のもとに、公害や自然破壊の防止のために、全力を尽くしてまいる所存であります。
 大気や水などの環境資源は限られたものであり、一たび破壊によって失われた環境を回復することは、きわめて困難なことであります。
 私は、このような認識のもとに、発生した環境破壊を、あと追い的に処理するという受け身の政策に終わることなく、長期的、広域的観点から環境破壊を未然に防止するとともに、すぐれた人間環境を創出するという前向きの政策を展開してまいる所存であります。
 具体的には、まず、公害の発生及び自然環境の破壊を未然に防止するため、各種の公共事業や地域開発にあたっては、その計画の各段階において、環境に及ぼす影響や防止策を事前に十分に審査する環境影響評価を、さらに積極的に推進し、その確立をはかってまいりたいと考えております。
 また、公害規制の一そうの強化をはかるため、各種公害に係る環境基準や排出基準の設定、見直し強化等、各種施策を総合的に推進してまいる所存であります。特に、いわゆる総量規制につきましては、先般大気汚染防止法の一部改正案を御審議いただいた際における当委員会の御論議を踏まえ、目下、硫黄酸化物について、その実施上の細目の検討を急いでいるところでありますが、硫黄酸化物以外の物質についても、技術的な問題を解決し、できるだけ早期に対象物質に加えることとしてまいりたいと考えております。また、水質汚濁対策といたしましても、すみやかに総量規制を導入すべく努力してまいる所存であります。
 自動車排出ガスの五十一年度規制につきましては、先般、自動車メーカー九社から、その技術開発状況等について聴取したところ、ほとんどのメーカーにあっては、現状において完全に五十一年度規制の目標を達成することは、困難であるということでありました。私といたしましては、できる限り、既定方針に沿った規制を実施したいと考えておりますが、内容が、技術的専門的なものでありますので、目下、中央公害対策審議会で御検討をいただいているところであり、この結論を待って、最終的な判断をいたしたいと考えております。
 また、公害による健康被害につきましては、公害健康被害補償法により補償給付の支給等の措置を講ずることとしておりますが、その実施上の細目について中央公害対策審議会で御検討をいただいた結果を踏まえ、このほど政令を定め、来たる九月一日から本制度を実施に移すことといたしました。
 公害の防止と並んで、いま一つ重要な環境行政の柱は、自然保護の推進であります。美しい国土、豊かな自然を保護し、これを次の世代に伝えるのは、われわれに課せられた責務であり、このため、昨秋明らかにした自然環境保全基本方針にのっとり、自然環境保全調査の結果をも参考として、原生自然環境保全地域等の地域指定の促進をはかるなど、積極的な自然環境保全政策を進めてまいる所存であります。
 以上、環境行政に関し、抱負の一端を申し述べましたが、これらの課題を達成するためには、予算面においても、また制度面においても、一そう充実をはかる必要があると考えます。
 私は、環境庁長官として、国民の健康の保持及び生活環境の保全を確保するという環境行政の使命を達成すべく、全力を傾けてまいる所存でありますので、皆様方の御支援、御協力を切にお願い申し上げる次第であります。何とぞよろしくお願いいたします。
     ――――◇―――――
#4
○角屋委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
 公害対策並びに環境保全に関する件、特に昭和五十一年度自動車排出ガス規制問題について、参考人の出頭を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○角屋委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。
 なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○角屋委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#7
○角屋委員長 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
#8
○島本委員 毛利新長官の初めてのあいさつと意見の表明があったわけです。私は、それを聞いて、やはり今後の環境行政に対する一つのはっきりした把握がことばの上では、長官、はっきりわかりました。問題はやる気であります。前には大石長官、また、あなたの前には三木長官でありますが、すばらしいと申しますか、一つの人生観を持ってこれに対処しております。私もいまいろいろと意見を聞いた上で、ひとつ長官にはっきりとしたことを伺いたいと思います。
 まずやる気が十分あるかどうか、十分それに対して配慮しなければなりません。環境庁、これ役所としては、その設置法の中に――第六条です。長官は「必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し必要な資料の提出及び説明を求めることができる。」のです。これはもうすでに御存じのとおりです。それと「重要事項について勧告することができる。」わけです。それと「勧告に基づいてとった措置について報告を求めることができる。」わけです。そして内閣総理大臣に対して意見の具申をすることもできるのです。これで一つの調整権の発動というものが、各般の行政にできることになるわけであります。これによって、いままでやってまいりましたが、いわばやろうと思えば幾らでもできる、やらないと思えば何もしなくてもいい、そういうようなところであります。したがって、これは十分にやる長官でないと、長官としては代々いい長官悪い長官、いい長官悪い長官、こういうように繰り返されるようでありますが、ここで、あなたによって打ち切ってもらいたいわけです。その決意のほどを伺っておきます。
#9
○毛利国務大臣 いい長官になるか悪い長官になるかは別として、誠心誠意許された権能を十分生かして、それよりももっと以前に、人間として環境の重大性を肝に銘じて実行したいと思っております。
#10
○島本委員 それじゃその実行に対しまして、一、二私自身がただしておきたいと思うことがございますので、歯にきぬを着せないでただしますので、率直にお答え願いたいと思うのです。
 長官は、三木長官の方針に従って積極的にやりたいという新聞記者との会談での発表がございました。三木長官は、一年七カ月の在任でありましたけれども、最後に、水俣ヘドロの除去、それから自動車排気ガスの五十一年規制、この問題未解決である。したがって、大臣は解除されたと思わない、こういうように思い残されて去ったようであります。これに対して、この二つの点について、三木長官の方針に従って積極的にやるという発言がございましたが、この問題等についても同じような考えでございますか。
#11
○毛利国務大臣 もちろん前長官の意思を十分そしゃくして、意をくんで拳々服膺、実行したいと思っております。
#12
○島本委員 そして第二番目に、長官は同じ記者会見で、田中総理の列島改造構想に対して、是認すべき点が多い、こういうように述べておられます。特に交通体系と都市計画を重視している点だ、こう述べておられるわけです。苦小牧の大規模工業開発、いろいろ問題を残したまま、環境庁が不完全な、これは欠陥アセスメントを発表し、世の話題をさらっているのです。それと同時に、いま排気ガスの問題等につきましても、これまた重大な関心が払われているのです。この列島改造論を是認する立場をとるという長官のお考えは、どの辺でございましょうか。
#13
○毛利国務大臣 列島改造論の中における、いま切迫している都市の集中化、これを何とかして解除したいという一点、交通地獄、これの解決、この二点に対する列島改造論における内容と共通点があるという意味であります。
#14
○島本委員 そうすると共通点はあって、公害環境行政と、これをなすことによって、なお環境保全になり、それから公害防除になるということになるわけですか。
#15
○毛利国務大臣 なるように、公害防除を優先的に持っていくところに苦心があるということです。
#16
○島本委員 どうも釈然といたしませんけれども、じゃ、三木長官もいわゆる五十一年規制の問題に頭を悩ましておった。環境庁全体もそうでしょう。この環境は一度こわされたものは、破壊されたものはよくならない。したがって、この問題に対しては時間をかけて引き継ぎを行なって、そして現長官との間にこれをやり遂げてもらいますということを言っておられたようであります。これはやはり十分引き継がれましたか。
#17
○毛利国務大臣 意思は十分承っております。
#18
○島本委員 これも長官に真意をただしておきたいと思うのです。
 やる気が十分あって、そして今後は、いま読まれたような所信に立って今度は堂々と環境行政をおやりになる、この長官の立場はわかりました。この七月十日のお昼ごろに、環境庁の大気保全局長をあなたがたずねて、いま焦点になっている自動車の排気ガスの規制の緩和の陳情をしておるということを私、承ったのです。おそらく、こういうような姿勢では五十一年規制に、まあいまのところ反対して何とかしたいというメーカーを相手にして、いまの既定方針を貫いていくことができるかどうか、私はやはり少し疑問なんであります。この点は、やはり国民も知りたいところじゃないかと思うのです。はっきりさしてください。
#19
○毛利国務大臣 排気ガス並びに自動車規制について、全然白紙で何にも知らないときに、私は党の政策担当の副幹事長の立場で、二、三こういうことを漏れ聞いて、局長のところに実情を調べに聞きに行った、それ以上の何ものでもなかったということを御報告しておきます。
#20
○島本委員 じゃ、実情を調べに行ったので、自動車の排気ガスの規制の緩和の陳情ではなかったということでよろしゅうございますか。この点、念のために大気保全局長に聞いておきます。
#21
○春日説明員 ただいま長官からお答えされましたとおりでございまして、自動車排気ガス規制の全般の問題についてお尋ねがございまして、御説明を申し上げた次第でございます。
#22
○島本委員 それで、最近の情勢は、直接には今後、この五十一年度の規制等については、あるいは環境庁の立場あるいは業者の立場、それは十分にわれわれとしても承り、なおかつそれを参考意見として聞いた上で、十分行政に対して私どもは進めさしてもらいたいと思っているのです。また、大いにその点は、がんばるべき点は皆さんのほうで大いに推進させてやってもらいたいと思っているのです。
 それで五十一年度の規制、これは技術的に困難であるということを大手メーカーのほうが言い出してきているようであります。それと同時に、暫定値にも当初は難色を示した、こういうようなことを承っているわけであります。
 せっかくこれは三木長官の代に環境庁が英断をもって、これははっきりとした見通しの上に立ってきめられたわけであります。しかし、事務段階で判断を避けて、これまた中公審の意見を聞くことにしたようであります。そして東京や大阪、光化学スモックがいま問題になっているような地域では、全面的にこの五十一年規制の実施を自治体が要請してございます。しかし、何としてもこの業界ができないからといって、またそれ以上引っ込んで、そしてもう一回考え直そうとする態度をとる場合には、国の環境行政として国民からこれは疑われませんか。初めきめたなら、それをきちっとやらせるように、これにやはりその立場を貫くべきじゃありませんか。業界ができないからといって引っ込んでしまうようでは、国の環境行政は疑問視されます。現在大手が進めている還元触媒方式、こういうようなものそのものも、マスキー規制の達成のためには正しいのかどうか、それ以外に方法がないのか、中小企業がやっているような技術研究はどうなんだ、こういうようなところまできちっと指導できないのでしょうか。一歩、二歩後退したような印象があるわけでありますが、この点、長官、どうなんでしょうか。
#23
○毛利国務大臣 島本委員の御質問の趣旨、よくわかります。きのう、おととい、名古屋、大阪へ出張して光化学スモッグ、いわゆる大気汚染の状況に照らしての自治体の要請もまことに強いものがあります。この必要性を非常に強く痛感いたしております。したがって、五十一年度規制についてはできるだけ既定方針に進むことには変わっておりません。
 ただし、聞けば聞くほど、また業界の意見だけのみならず、いろいろな立場で聞けば聞くほど、本件が可能性について種々の問題がある、特にそれが技術的、専門的な分野にあるということを聞いた以上、それに対してももっと苦悩し、真剣に本件についての検討を進める必要があるという観点に立って、大気汚染について審議継続中でありますが、これをさらに資料を追加して審議を要請しておりますが、九日から専門自動車部会ですでに調査を開始してくれておるようであります。したがって、中公審のその検討の結果を待って、いま島本委員のおっしゃるような社会の要請、過去のわが環境庁の掲げた方針、そして社会的、客観的情勢下における実行への現実に対して、私としては、もっともっと広く深く検討しながら、苦悩しながら結論を出していきたい、こう考えております。
#24
○島本委員 これは自動車の排出ガスの五十一年度規制、これで八月三日に中央公害対策審議会に対して再諮問をしております。これは五十一年度規制を既定方針どおりに実施するつもりでやったのですか、それともこれは暫定値、中間値、こういうふうなものを実施するつもりでこの中央公害対策審議会に対して再諮問したのですか。
#25
○春日説明員 ただいまの御質問でございますが、ヒヤリングを自動車メーカー九社に対して行ないました。さらに、三木前長官のお考えによりまして、九社の社長を招きまして、再度協力を要請いたしました。その結果といたしまして出てまいりました答えは、すべて五十一年度規制をそのまま実施することは不可能であるという回答であったわけでございます。したがいまして、そういったヒヤリングの結果を踏まえまして、中公審にお尋ねをするということでございます。
 しかしながら、私どもといたしましては、いまから暫定値をきめるとか、あるいは中間値をきめるとか、あるいはそのまま延期するとか、そういった前提をもってお尋ねをしているわけではございません。何とか、先ほど大臣の答えにもございましたように、五十一年度規制の目標を達成し得る方途はないかという考えから諮問をいたしておる次第でございます。
#26
○島本委員 その意味で諮問したというならば、これは再諮問のしかたが、私としては少し疑問がある。この日本の大気汚染の現状です。これは国民の健康を守るためにきびしい許容限度が必要であるということは、もう長官、おわかりのとおりなのです。五十一年度規制の延期だとか暫定値を設定するようなことは、これは万々あってはならない。政府の考え方もその辺がきちっとしていなければならないのです。どうもふらふらしている。環境庁は、まず外国に比べて車の過密度、それからもう広域化する光化学スモッグに対する現状、これをはっきり踏まえて、積極的な姿勢を示さないとだめだと思うのです。
 五十一年規制を既定方針どおりに実施させるためにはメーカーの技術開発、これこそもう強要すべきです。日本の平地面積の自動車の密度は、ちょうどアメリカの八倍になっているのが四十五年でしょう。四十九年は十倍をこしているでしょう。こういうような中にいて、アメリカが達成しようとしておるのを日本ができないわけないじゃありませんか。ここなんです。国民の健康を守り、国民の命を守るためなら、業者を強く規制してでも、これをやらせるのが世界の現状じゃありませんか、傾向じゃありませんか。ここで長官がはっきりした態度を示さないとだめなことになるわけです。
 私、再諮問したというこの既定方針が暫定規制のためのものでないということをいま承りました。しかし、そうであるならば、現在の置かれておる日本の立場をもっと深刻に考えて、業者に対してきつい態度で臨むべきだ、こう思いますが、長官いかがです。
#27
○毛利国務大臣 島本委員の御説よくわかります。同時に、既定方針に進む方針で臨んでおりますが、いま言うように許容度、汚染の度、これに対して目的達成の必要性も痛感いたしております。さりとて、現在中公審に検討してもらっておるのは、技術的、専門的な問題は、やはりあくまでも検討の要素に必要だと考えておりますので、その結果を待っておるという次第であります。
#28
○島本委員 なぜ私がこれを長官に念を押して聞いておるのか長官はおわかりだと思うのです。六月の二十日、ちょうど参議院議員選挙の最中でございましたでしょう。田中総理が、五十一年規制についてメーカーが技術的にできないなら、延期もやむを得ないだろう、こういうような発言が高崎でなされておりますね。その新聞報道に三木前環境庁長官がおこって、公害問題は環境庁にまかしてもらいたい、こういうような発言も報道されておりますね。
 この技術上の調査が十分に詰められていない段階で、一国の総理がこういうような発言をした。それと同時に、そのあとの、環境庁に呼ばれた業者の態度が、大手メーカーの場合は、まことにかたかった。そして歩み寄りさえも示さなかった。憤然と、やれるものならやってみろ、こういうようにして席を立っていったということも伺っておるのです。こういうような中で業者が強くなる。それに対して、もっと長官は強くならなければ――田中総理の発言はこういうようにあるわけです。まさにこれ企業寄りじゃありませんか。企業べったりじゃありませんか、この考えは。国民の健康を守る立場から、きわめてこれは軽率だと私は思うのです。長官は軽率だと思いませんか。
#29
○毛利国務大臣 総理の発言については、つまびらかにいたしませんが、総理といえども今日、人間の生命と健康を守る環境行政の基本方針については賛成していただいていると確信をいたしております。
#30
○島本委員 それなら、メーカーが技術的にできないなら延期はやむを得ない、こういうようなメーカーを援護するような発言はないはずです。しているのです。しているから、それ以上にあなたが強くなって、自分の所管事務に対して一つの決断を示さなければならないから聞いているのです。あなたの立場として、やはり少しぐらい言ってもいいのですよ。三木さんさえ、環境行政は環境庁にまかしてもらいたいと憤然と言っているのですから、そのあとを憤然と引き継いだんでしょうから、あなたもここで憤然とするのがあたりまえじゃありませんか。軽率だと思いますね。
#31
○毛利国務大臣 島本委員の誘いのことばはわかりますが、先ほどの答弁でお許しを願います。
#32
○島本委員 どうもそういうふうに大胆に率直にやるという長官でありながら、やはりそういうようなささいなことにさえも気を使って、そして言わない。これに対して私は、大胆さというか、どうもその辺に少し心配が残りますね。あなたはやれる人だということを聞いているから、どんどんやってもいい人ですから、そういう立場ですから、これくらい言ってもいいですよ。何も遠慮要らぬです。それも言えないということになると困ります。私は少しがっかりします。
 しかし、それと同時に長官、これは企業ぐるみの選挙でいろいろ問題があったその最中でございましたね。今度の場合、参議院議員の選挙もそうだったけれども、特に来春のいわば統一地方選挙、それからその前後かどうかわかりませんけれども、次の総選挙、おそらくこれに対して自動車業界からの政治献金がからんでだいぶ圧力がかかるんじゃないか、そういうふうなことさえ言われておるようであります。(発言する者あり)そして、それに対して長官はどのような態度を示すだろうか。こういうふうなことに対して、やはり国民が心配しているのです。
 したがって、参議院議員の選挙中の六月二十日に、高崎でこういうような総理の発言があった。しかし依然として、まだ五十一年規制に踏み切らない。まあ中間値に対してでしょうか、これをまた求めている。こういうふうなさなかに、今度また時間切れになって、これもきまらない、こういうふうなことは絶対あってはならないと思っているんです。ですから、そういうふうにしない、き然たる態度で、あなたは五十一年規制を実施する、この覚悟を示してもらいたい。
#33
○毛利国務大臣 いま島本委員のおっしゃる地方選挙とかその他の問題については、全然私の脳裏にはありません。考えてもいません。き然としてやる決心であります。しかし、中公審の技術的、専門的な見解を待って判断をするということは、先ほど来申し上げたとおりであります。
#34
○島本委員 中央公害対策審議会に対して再諮問した、その結論を待ってというような話です。私が、これを心配するゆえんのものは、大気部会に日産の川又会長がおられます。それから専門委員にやはり業界の家本潔さんがおられます。おそらくそれぞれの立場で主張なさるんじゃございませんか。そうした場合には、これもいまのような危惧、時間切れになって当然延長戦でしょうかね。まだきまらないままにそのまま延長戦に入っていくということが予想される。そういうふうになってはいけないから聞いているのであります。この際、こういうような委員に対しては、もう一回再考慮されたらどうでしょう。
#35
○毛利国務大臣 それはまだ考えておりません。
#36
○島本委員 考えておらないということになりますと、これまた少しがっかりであります。
 それと、今度は、この点はいかがですか、長官。自動車メーカーにも社会的な責任と自覚がなければなりません。あたりまえのことですわね、それから公害防止への取り組み、これはやはりはっきりと態度で示さなければならないこともあたりまえですわね。そうすると、最初の聴聞会の段階で単に企業秘密をたてにして達成可能な規制値さえも示さなかったということは、これはやはり人間の健康を守るための意欲に何か欠けているものがあるんじゃないか。低公害車への要請が世界的な趨勢であるということを認識していないんじゃないか。同時に、公害防止に積極的な協力姿勢を環境庁として示させるべきじゃないかと思うのです。
 まして触媒の開発、実用化及び低公害エンジンの開発に際して、企業秘密が技術の開発を阻害する原因になってはならないと思います。公害に対しては企業秘密はあってはならない、この点は三木前長官がはっきり言明してございました。これもまた、この五十一年規制の中に当然入ってくるんです。そういうふうなことがあってはならないと思うのですが、これは長官いかがです。
#37
○毛利国務大臣 わがほうで要請した公害防止に対する協力の限度が、いささかでも非協力の点があったとするならば、まことに遺憾であると同時に、私はいままでの経過についても、いま少し厳重に調査をしたいと思っております。
 なお、いま島本委員のおっしゃるように、人命と健康を守るためのこの重大な目的達成のためには、技術その他の交流に秘密があってはならないという態度を厳守したいと思っております。
#38
○島本委員 現にそういうような態度をとった場合に、きちっとその点を業者に申し渡してやってほしかったのです。もう三木長官はそういうような態度で終始しましたが、ちょうど選挙の最中でありまして、こういう点は委員会としても切歯扼腕の状態でありましたけれども、何らわれわれとしては手を施すことができなかった。まことにこの点等遺憾でありますが、今後こういうようなことに対して、長官ははっきりした態度でもって臨んでください。この点は、はっきり私から要請しておきたいと思うのです。
 マスキー法の規制といっておりますけれども、これは当然原則があるのですね。国民の健康を守るために大気の質を一定レベルに保つための規則だ。これはマスキー議員が言っていましたね。したがって、この環境基準を確保するために、やはり大気の総量規制の実施に伴って移動発生源に対しても、厳格な規制が必要になってくるから、自動車のこういう排気ガスに対しても規制値をだんだんきびしくするわけです。この人命の尊重であるとか国民の健康を守る立場からすると、公害対策それと安全性、これはもう優先されるもので一あって、経済効率であるとか商品性、こういうようなものに対しては、やはり二の次に考えるのが立場じゃないか、私はそう思っているのです。いまの場合、あまりにもこの商品価値、商品性といいますか、それを追っている。経済効率を高めるために、おそらくはもう肝心の公害防除のための研究を十分やっていると思われないのです。この指導に対して基本的な考え方、はっきりしているでしょうか、聞かしてもらいたいと思います。
#39
○春日説明員 マスキー上院議員が大気清浄一九七〇年改正法案を出しましたときに、先生のおっしゃいました一つの理念を持ちまして提案したことは事実でございます。ただ、その半面マスキーも三つの原則というものを示しておりまして、一つは環境を守ることと活発な経済活動の間には二津背反的な矛盾がある、これを越えてバランスをとるということが現実問題としては必要なんだ、そういったことも第一の原則として申しております。私ども行政に自動車の排気ガス規制を移してまいります場合には、やはり技術、それから自動車の持つ安全性あるいは経済性、その他も総合的に勘案することは必ずしも必要でないとはいえないと思います。必要なことの一つであろうと考えております。しかしながら、何を優先すべきかといえば、おっしゃるとおり人命尊重と申しますか、そういったことが先にくるのは当然であろうと考えております。
#40
○島本委員 まあそれはそのとおりなんでありますが、それならばもっと環境庁として、業者に対して強い姿勢を示すべきじゃないかと思うのです。同時に長官、私が新聞で見た中に、窒素酸化物の環境基準は日本では厳格過ぎるとか、そしてまた光化学スモッグの原因になっているかどうかさえこれはまだまだ不解明であるとか疑わしいとか、こういう発言があったようであります。聴聞会でです。そうすると自動車メーカーは窒素酸化物の環境基準及び光化学スモッグの実態調査については、まだまだ疑問が多いのだ、こういうように思っているのじゃございませんか。そうだとすると、光化学スモッグの発生機構の究明や自動車の大気汚染の寄与率について検討、こういうようなことに対して当然環境庁行なっているでしょう。こういうような発言があった場合には、そうじゃないということを、きちっと指導するのが環境庁じゃありませんか。そこに環境庁の一つの指導体制の弱さがあると思うのです。長官、これはやはり光化学スモッグの一つの発生機構の究明と自動車の大気汚染の寄与率、こういうようなものははっきりしているのですから、こういう変な発言があった場合は、きちっと態度で示すべきですよ。そのときどうしてこれはやらなかったのですか。これは事務当局。
#41
○春日説明員 窒素酸化物の環境基準がアメリカに比べてきつ過ぎるという意見は確かに自動車メーカー一、二からあったわけでございます。それに対しましては、私どもそのヒヤリングの席上あるいはその他の機会をとらまえまして、日本における窒素酸化物の環境基準のあり方、それからそのアメリカとの違い等々につきましては十分述べ、かつそれに対して説得できたものと考えております。
 それから光化学スモッグに対する発生機序の問題でございますが、これは明らかに窒素酸化物、炭化水素が空中におきまして太陽光線のもとに光化学反応を起こすことによって発生するということは、これは世界じゅうどこにも疑問のないところでございまして、若干自動車メーカーの疑義のあるところは、固定発生源と自動車との窒素酸化物なり炭化水素の寄与率の問題等であったわけでございますが、これにつきましても、各地域によってそれぞれかなり異なっているというような現状、これは私どもも話し、またそういったことは十分メーカーも理解しているものと考えております。
#42
○島本委員 理解しているものだと考えるにしては、捨てぜりふとしてちょっと私どものかんに触れます。環境庁は少し軽く見られているじゃないか、こういう危惧さえ私は持ったのであります。そうじゃないのです。設置法できちっとしたことを長官言えるのですから、業界に対しても通産省に対しても、環境に対する調整権というようなこの立場で勧告もできるのです。意見の聴取もできるのです。ですから、きちっとやるべきなんだ。まして業者に対して、それはもうわかっていると思います程度じゃだめなんです。もっとき然とした態度で私は臨んでほしい。
 それと同時に、今度五十一年規制です。これがもしやられないということになったら、これはたいへんなことになると思うのです。まず第一番に過密地域での大気汚染防止、これがどうも困ってしまうのじゃないか、東京、大阪のように。過密地域では五十一年規制、これはもう大気汚染防止上不可欠な要素ですから、もしこの既定方針どおりに実施できない場合には、当然地方自治体の公害防止計画、大気汚染防止対策、こういうようなものに支障を及ぼすことになると思うのです。これは一連の関係で、環境行政としては大事な一つの踏み絵になっているわけです。これだけはきちっとしてやらないとだめなんじゃなかろうか、こう思うのです。そうでなければ地方行政に、地方自治体に及ぼす影響が大きいということです。したがって、この点に対してはもう十分に支障を及ぼすものであるということを私は憂慮しているのです。いかがですか、これ事務当局。
#43
○城戸説明員 いま先生御指摘のように、公害防止計画の中にいろいろ関係してくるわけでございまして、私どもとしましても、規制が予定どおり実施されるということを非常に強く望んでいるわけでございます。もし、それができないということになれば、当然見直すべきものも多々出てくるわけでございまして、私どもといたしましては、そういうことのないようにしたい、こう念願いたしております。
#44
○島本委員 ひとつこの点、やはり環境庁が公害防除、環境保全の立場から、はっきりものを言っていいのじゃなかろうかと思う点が一つあります。それは、エンジンのシステムの改造によって五十一年度規制に対処しようとするのか、還元触媒装置によって、これを行なおうとするのか、メーカーによって、これはまちまちなようであります。これはもう学術的に究明できるのじゃございませんか。たとえば本田技研、こっちのほうではCVCC方式でエンジンのシステムの改造をやっている。そうすると、今度は東洋工業ではロータリーエンジン、REですか、それをやっているようでありますが、これはどうなんですか。メーカーも五十一年度規制の段階で、これはどうしても実験室を一歩も出ないような現状だ、こういうように言っているわけです。実験室の段階でも、五十一年度の目標値を達成できないところがほとんどで、一番防止技術の開発が進んでいる本田技研でも、実験室段階においては一応目標値を達成することはできても、十分耐久性のある規制合格車を商品化することは不可能だ、こう言っているようてあります。
 しかし、技術的に困難な点、量産化することがむずかしいという点、こういうような点はどこだということを究明してございましょうか。同時に、還元触媒装置の耐久性の問題が未解決である、こういうようなことがいわれておりますけれども、還元触媒の開発の現状はどうなんですか。それはガソリン中の鉛、これが触媒を劣化させるということですが、それはガソリンの無鉛化との関係、こういうようなものについても十分検討されているはずです。こういうような一つの行き方に対するその検討した結果を、業者にはっきり指導性として発揮することができるわけじゃありませんか。一つ一つ業者がこういうようにして一時のがれすることに対して、答弁もできない、指導もできない、こういうようなことでは私は困ると思うのです。この点、きちっとしてやるべきじゃございませんですか。そこが少し疑問なのであります。エンジン開発なのか、それとも、もう一時的にただそれを押えればいいというような暫定方式によろうとする考えなのか、私はその点一貫性がないような気がする。この点どうですか。
#45
○春日説明員 先生御存じのように、自動車排気ガス規制は、四十八年度規制を経まして五十年度規制にただいま突入いたしておるところでございます。五十年度規制と申しますのは、炭化水素、それから一酸化炭素を、四十八年度規制に比べまして十分の一にいたします。窒素酸化物につきましては約二分の一にいたします。こういうきわめてきびしい規制でございます。これは五十年度規制すら、世界じゅうで達成しているところはどこもないわけでございます。それを五十年度規制として、わが国ではやろうというわけでございます。
 五十一年度規制と申しますのは、さらに窒素酸化物を五十年度に比べて約五分の一、四十八年度、現状に比べますると十分の一にしようという、きわめてめんどうな技術的な問題を含む規制でございます。なぜかと申しますると、窒素酸化物を押えようといたします、少なく出そうといたしますると、炭化水素と一酸化炭素が多く出る。また逆に一酸化炭素、炭化水素を減らそうといたしますると、窒素酸化物がたくさん出るという、常に逆相関の関係にあるしろものでございますので、それを同時に十分の一に減らそうということは、非常に技術的な困難性があるということは、まず御了承いただきたいのでございます。
 そこで、五十年度規制につきましては、エンジンの改良あるいは酸化触媒等によって、世界に先んじて日本の各メーカーは行なうことができる、こう申しております。したがいまして、五十年度規制に突入したわけでございますが、五十一年度規制では、達成するために二つのアプローチがございます。
 一つは、先生もお話しがございましたように、新しいエンジンシステムに重点を置くものと、従来のエンジンの改良にプラスするところのあと処理装置の組み合わせに重点を置くもの、この二つがあろうと思います。前者の場合は成層燃焼エンジン、本田技研工業のCVCCエンジン、あるいはロータリーエンジンというものが新しいエンジンシステムでございましょう。それから後者の場合、すなわちあと処理装置の組み合わせプラスエンジンの改良ということになりますが、これに力を入れているものといたしましては、トヨタ、日産等々があるわけでございまして、その中でも基本的な対策技術方式と申しますのが還元触媒装置でございます。
 二つを分けまして、前者すなわちロータリーエンジンとかCVCCエンジンというようなものは、従来のCVCCなりロータリーエンジンの行き方を延長することによって五十一年度規制というものを達成しようという技術的なアプローチのしかたでございます。
 ところが、あと処理装置の場合でございますと、五十一年度規制は窒素酸化物を少なくするわけでございますから、これはいままでの酸化触媒ではだめなのでございます。全く新しいアプローチという意味で還元触媒の開発ということが要請されるわけでございます。
 還元触媒装置の開発と申しますのは、いままで各メーカーともいろいろ試みてまいりましたが、いまのところ、その劣化度が大きい、あるいは熱によってこわれるというような問題がございまして、十分なものができていない。しかしながら、では絶対に今後還元触媒というものが見込みがないかといえば、これはいわば抗生物質を見つけるとか、あるいはガンの化学療法剤を見つけるようなものでございましてい言うならば、一種のチャンスがあれば、あしたにでも見つかるかもしれない、しかし、このままでいけば五年先になっても見つからないかもしれない、そういう不確かな問題が含まれておりますけれども、ともかく還元触媒の開発についても、今後とも各メーカーは力を入れておるようでございます。
 したがいまして、大きく分けて、新しいエンジンシステムに重点を置くメーカーと、それからあと処理装置に重点を置くメーカーでは、五十一年度達成のアプローチのしかたが違いますけれども、私はいずれにいたしましても、五十一年度規制に向かって各メーカーともそれぞれ努力をしていることは十分認めていいのではなかろうか、かように考えております。
 なお、還元触媒の場合は、これは酸化触媒もそうでございますが、無鉛化ガソリンでないと触媒の劣化が起こるということは当然でございます。
#46
○島本委員 資力であるとか人材、こういうものを擁して一つの研究システムを確立している大手メーカー、こっちのほうができなくて、わりあいに弱小だといわれているメーカーのほうが低公害車を開発している。しかし依然として、三けたの億の金が開発研究費に使われている。おそらくほんとうの低公害車をつくるのではなくて、コストダウンだけの考え方でこれはやっているのではないかとさえ思われるわけです。私はそういうようなことがあってはだめだと思うのです。あれほどの大きなメーカーなんですから、十分に資力や人材、こういうものがあるのですから、一気にそれにかかったらいいじゃありませんか。
 どうもこの点、少し私どものほうとしては、わりあいに零細だと思われるほうの企業がこれをなし遂げ、またなし遂げようとしている。大手メーカーのほうでは、十分あり余ると申してもいいかもしれませんが、資力や人材を擁していながらも、この研究システムのほうでは不十分である、こういうような点は、私はほんとうに残念だと思います。しかしながら、早くこれは達成させないといけない問題でありますから、これはもう既定方針どおりに進めるべきであろうと思います。これはいまでは一歩も退いてはいないのだ、こういうような態度を私はこの際、確認しておきたいと思うのですが、長官、いかがです。
#47
○毛利国務大臣 先ほど来たびたび申し上げておるように、一歩も退いていません。既定方針で進む方針ですが、技術専門的な調査の結果いたしますということです。
#48
○島本委員 念のために伺っておきますが、窒素酸化物の総量規制の実施、これSOxのほうはやっておりますけれども、窒素酸化物の総量規制の実施、これはもうすべきじゃないかと思いますが、この準備は進んでいますか。
#49
○春日説明員 窒素酸化物の総量規制につきましては、本年度から汚染予測手法確立のための調査に着手いたしたところでございまして、窒素酸化物の場合は、硫黄酸化物の総量規制の手法と違いまして、技術的にいろいろ困難な問題点があるわけでございます。したがいまして、できるだけ早期にそういった手法の確立ということをはかりまして総量規制の実施をはかりたい、かように考えて現在取り組んでいるところでございます。
#50
○島本委員 実施については、いつごろという見通しですか。
#51
○春日説明員 現在の窒素酸化物の総量規制に伴います手法確立のめどがついてからでございますが、私どもは、できれば二年程度はその手法の確立にはかかるのではなかろうかと考えております。
#52
○島本委員 大臣就任の一つの記念に、いま二年と言うた、これを一年くらいにして、ひとつ急がしてみたらどうでしょう。やる気十分の大臣であるということを聞いております。やる気のあらわれは、その辺じゃないかと思うのですが、ひとつ……。これは十分、やってやれない問題じゃありませんから、この点、ひとつ大臣の決意を伺いたい。
#53
○毛利国務大臣 科学的に無知な私で、わからない点がありますが、たいへん無理なようでありますが、督促してみます。
#54
○島本委員 それで、五十一年規制は一歩も退いておらない、同時に、中央公害対策審議会に再諮問をしたけれども、これは五十一年度の規制を既定方針どおりに実施するつもりなんだ、こういうような点、いままでの御答弁がございました。私はやはりこの点で一歩も退かない態度で終始してもらいたい、また業界を指導してもらいたい、このことを強く要請しておきます。
 同時に大臣、この六月五日、NHK大ホールで、副総理として三木環境庁長官が出て、自然保護憲章に対して政策としても取っ組んで、これを国民に周知させ、行政の面でもこれを十分あらわすように努力する、こういうようなことを発表いたしておりました。
 この自然保護憲章を十分お読みだと思うのですが、これに対するお考えを承りたい。
#55
○毛利国務大臣 この自然保護憲章を私は数度も読みまして非常に感銘いたしました。したがいまして、この憲章がいっておる、自然は、人間をはじめとして生きとし生けるものの母体であり、その中で人間が生存していく上に基盤であるという認識に立って、すべての国民が真の自然を尊重し、愛し、また自然との調和をそこなわないようにして、美しい自然を長く子孫に伝えるべきことを宣明したものであり、本年六月五日に環境週間を機に制定されたものでありますが、この憲章は自然保護に関する国民的合意として結実したものであり、いわば一種の社会規範としての性格を有するものと思います。今後はこの憲章に宣明された内容を、国民的な協力を得つつ結実させるように努力をしたいと考えております。
#56
○島本委員 この憲章の後半、第三項目に、「開発は総合的な配慮のもとで、慎重に進められなければならない。それは」つまり開発は「いかなる理由による場合でも、自然環境の保全に優先するものではない。」こういうふうにはっきりうたって、これを今度行政の中で生かすということを三木長官ははっきり言っていました。私は、そういうような点については多大の期待を持っている。それで、それをやる場合には長官としてはきちっとした今後のアセスメント、環境影響事前評価の確立が必要じゃないか。そのためにはこの開発事業その他の良好な環境の確保に支障を来たすおそれがあるような特定事業、こういうようなものに対しては許認可制にするのはもちろんですけれども、必ずこのアセスメントの手続の整備をして、このものさしによって、きちっと開発を進めさせるということが必要じゃないかと思うのです。
 自然環境保全的な見地からすると、スーパー林道であるとか、いろいろな国定公園、国立公園、こういう地帯の指定地域内の許可であるとかまたは指定地域の廃止であるとか、こういうようなものの申請が出されてきている。そういうようなものに対しても、やはりこのアセスメントを当てはめてみる必要が当然ある。高速自動車道路であるとか、新幹線、空港、これはもう長官も調査してきておわかりでございましょうが、こういうような公共事業自身に騒音公害、振動、こういうようなものがある。こういうようなものはばかみたいなものです。国がやる公共事業において、そういうようなものに対しても、きちっとこれを当てはめて、そういうようなことがないようにして、自然環境破壊にならないということが、これが一つの前提条件になっていなければならない。
 それと同時に、この日本の産業公害についても、企業の立地の前提となる港湾計画であるとか、公有水面の埋め立てであるとか、工場団地の造成、こういうものの許認可にあたってのアセスメントというものを、やはりきちっと当てはめてやる必要があるのではないか。おそらく日本にこれがいままでなかったために、日本列島は公害列島になってしまった。今後はやはり自然保護憲章、これを行政的に反映させる。登坂先生もこれに対しては、自民党も積極的にこれをやるように努力するということを言って万雷の拍手を浴びたのでありますから、自民党とてもこれに賛成なんです。(「自民党が賛成」と呼ぶ者あり)自民党とて賛成なのです。したがってこれを実施することにおいては満場異議がないはずであります。このアセスメントを十分やって自然環境保全、公害防除につとめるべきだ、こう思うのですが、これを法制化し、これをきちっとやるように準備は進んでおりますか。また長官の意見を聞きたい。
#57
○毛利国務大臣 開発が自然を破壊する。したがって、開発に対して自然が優先しなければならぬ、当然であります。島本さんのおっしゃるアセスメントをあらゆる開発に対しても産業に対しても徹底しなければはらぬ。これはいま最も強調すべき問題点であり、私も就任以来、自覚して強調いたしております。特に閣議でも、公共事業に対して単価にアセスメントの予算並びに公害防除に対する予算というものも最初から織り込むべきである、これが過去においてあまりにも意識が足らなかったし、具体的に予算に織り込み方がなかった。少なくとも五十年度予算には、これを徹底的に公共事業に織り込むべきであるということを主張してまいっております。
 たとえば一千メートルの道路をつくるにあたりましても、総需要抑制という大看板がかかっておりますから八百メートル、七百メートルに道路のキロ数を短縮してでも、その二割、三割を公共公害防止に入れるという姿勢で出発をしなければならぬ。それは言いかえれば、いまの自然憲章の行政面の尊重にもなりますしいわゆる委員のおっしゃる法制の問題については、なるべく早くそうしたものを準備したいといま考えて準備中であります。
#58
○島本委員 せっかく大臣が、そういうような自然保護憲章はこれを具体的な行政の面へ反映させる、これも鋭意検討中であるという最中に、今度はまたまた北海道開発庁が、先般大雪山の縦貫道路、これがストップになりまして、ストップになったら、今度は大雪ダムができるようになった。大雪ダムができるようになった瞬間に、今度またしてこの林道が、その大雪ダムの水没に対する補償工事として旭川営林局がルートをきめて旭川の開発建設部が工事をしておる。
 この工事は延長五・五キロ、四十七年に着工して今月中に完成する、こういうような林道があるのです。国道三十九号線から二百七十三号線へつながる。それから途中からルベシナイ林道へ入る。これは大雪の原生林が目前にある場所です。それから狸台第一林道、狸台第二林道、ペンケチャロマップ林道、こういうようにつなぐ計画がいま行なわれようとしております。標高八百メートルから九百メートルです。これは直径三十センチ以上の樹林を切り倒して、山はだを削って、土砂を谷間に落とすような林道の開発をやっている。
 開発政務次官は、先般、北海道へわざわざ行って調査されてきておられます。こういうような自然破壊を堂々とやる開発はいま許されないはずです。この大雪ダム周辺の国道並びに林道は観光道路じゃないか、こういわれておりますが、こういうように自然破壊をしてまで開発庁では、なぜこの道路をつける必要があるのですか。これに対して開発庁はどういうような態度ですか。
#59
○秋吉説明員 お答えいたします。
 大雪ダムの工事は、ことしじゅうには概成をする予定になっておりまして、ついては大雪ダムが建設されますと、水没地帯の既存の林道がなくなるわけでございます。それに対します、いわゆる補償林道つけかえ工事というものを開発局が現場で工事をやっておりますが、これについてのルートにつきましては林野庁の計画、要請によって私ども工事を施工しておるわけでございます。しかしながらルートによりましては、先生いま御指摘になりましたような自然景観の問題、環境上の問題、いろいろございます。
 したがいまして、そういった問題のあるところにつきましては、ペンケチャロマップ線だと思いますが、これにつきましては現在、工事を中止しておりまして、代替ルートにつきまして林野庁当局において鋭意検討されておるというような状況でございまして、私ども北海道開発庁と申しますか、開発局といたしましては、林野庁それから最終的には環境庁となるかと思いますが、自然環境の問題について十分配慮して工事の推進をなしてまいりたい、このように考えております。
#60
○島本委員 これは林道です。この林道の場合は幅四メートル六十です。そしてこれは標高九百メートル、こういうようなところに林道をつくるということ、これは実際上どうなんですか。そのつけ方も、途中から土砂を全部谷間へ落として、もうむごたらしい状態になっておるのは、ほんのきのうの新聞にこれが発表されているじゃありませんか。林野庁長官が、いまのような状態でこれを進めているということは、私は遺憾です。どういうわけでこれは進めているのですか。当然、延長は中止すべきです。それと、いままでつくったものは廃道にすべきです。林野庁長官の意見を伺います。
#61
○松形説明員 お答え申し上げます。
 ただいま開発庁のほうからお答えいただきましたように、この林道は大雪ダムの建設に伴います、つけかえ林道でございます。つまり、既設の林道がございましたことは、そこに森林の管理あるいは経営のために必要であったということでございまして、この地帯には林道に囲まれておりますところが、あるいは利用区域面積と申しますが、約七百ヘクタールぐらいございます。
 先生御承知のとおり、昭和二十九年でございますけれども、洞爺丸、例の台風で、層雲峡等を中心といたしまして、日本の木材需要の三年分という大風倒が起こってまいりまして、その後十年かかりまして、この処理をいたしてまいりました。しかし、あとのその森林をいかに保護、管理して、りっぱな森林に育てるかということが、私ども林野に与えられた使命の一つでございまして、そのためにもこの林道が必要である、こういうふうな考え方を持っておりまして、工法の間違いとか、あるいは手違い等があれば、これは修正いたしますけれども、森林の管理維持あるいはそれに必要な木材搬出、あるいは施業のために林道の必要ということは、私ども一番大事なことだと思います。しかし、その工法工種につきましては十分注意すべきことだ、このように考えておるところでございます。
#62
○島本委員 この場所、ペンケチャロマップ林道というところは、環境庁のほうからストップされているはずです。ここはエゾマツ、トドマツの原生林、それと三十度をこえるような急斜面地であるというようなところから、これは中止されている。そのそばを延ばしているわけです。そして、この延長だけじゃございません。きのうの調査によりましても、林業経営上必要かどうか疑問だというのです。もう一回調査されたら、どうですか。
 同時に、林業経営上の立場から、あのような林道は、もうつくらないことになっている。普通の林道は標高九百メートルというようなところへつくらない。もっと谷間的なほうへつくって、そして上のほうから木材を切る必要がある場合は、そのまま下へ下げて持ってくる。なぜこの標高九百メートルというようなところまで、これをつくらなければならないか。観光道路の疑いがある。この大雪ダム周辺をずっと回るための観光道路なんだ、こういう疑いがある、こういわれているじゃありませんか。
 それと同時に、これは自然公園の第二種の指定地域内でもあるわけです。それを切りとった土砂、伐根などを谷のほうへそのまま落としている。全く山荒らしであり、全く自然破壊です。もうすでに貴重な自然保護区域として大切に残されている。そのためには縦貫道路でさえもストップさしている。ここに新たな林道をつくって、それも公害のたれ流しに似たようにして、土砂をそのまま木の根っ株と一緒に谷間に落としてやっている。その写真さえ載っていますけれども、これはどういうことですか。いまだにこういうような工法をとっているのですか。谷を開いて、中間から全部谷へ落としてやっているじゃありませんか。
 北海道の開発がこういうような姿だということは遺憾です。直ちにこれは調査すべきです。そしてこの問題に対しては、あくまで延長については中止すべきです。そして、いままでつくったものについては、これを廃道にすべきです。もう一回調査をした上で厳然たる態度をとるべきだ、こう思います。
 これは農林省なんですか、それとも林野庁なんですか、開発庁がやらせているのですか、建設省なんですか。どっちなんです、これは
#63
○秋吉説明員 これは大雪ダムの水没に併う林道のつけかえ補償工事でございますから、したがいまして、どういったルートの林道にするかということは、まず林野庁当局で御検討がなされるかと思います。それに基づきまして、工事といたしましては開発局で工事いたしますが、その開発局の工事の指揮監督は建設大臣ということになっておりまして、はなはだ複雑で、非常に私どもも明快な説明がしにくいわけでございますが、いずれにいたしましてもルートの問題は、まず主として農林省のほうといいますか、林野庁において御検討がなされ、それが最終的には環境庁の協議を経てルートがきまっていくという、こういうふうな仕組みになってるのが現状でございます。
#64
○島本委員 じゃ林野庁のほうでは、林野庁自身が緑を守るといいながら、こういうような林道のつけ方をやらせているのですか。それと、メーター幾らでこれをやらせているのですか。
#65
○松形説明員 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、高地の森林の育成管理という面から、この林道が必要だというふうな判断のもとにつけかえ道路としてこれを設定いたしたものでございます。先ほど開発庁からもお答えいただきましたように、特に自然保護上あるいは傾斜が急であるという先生の御指摘の場所等につきましては、約千五百メートルでございますけれども、これは現在中止いたしておりますし、また今後連絡道路として計画いたしておる場所あるいは路線の設定等につきましても、現在私ども自体としても、これは検討いたしておりまして、最終的にはやはり環境庁と、あるいは建設省、それら関係官庁と十分協議をいたしながらこれを進めてまいりたい、かように考えているわけでございます。
 なお、先生御指摘のように、工法につきましても十分反省するところが、写真で見る限りについてはございますので、現地を十分調査してみたいと思っております。
#66
○島本委員 残された自然、これを守るのも自然保護憲章のたてまえからして当然。いかに北海道開発庁ありといえども、自然を破壊して開発はないのです。せっかく、まあ新任の政務次官ですけれども、あなたも調査してこられたと聞いているのです。田中総理が選挙の最中、これまた札幌で開発について重大な放言をしているのです。北海道のクマは五千頭いる、これを五百頭に減らしても、これはもう開発すべきだ、そうして開発に反対する議員は一人も出してくれるな、開発が全部できてからそういうような議員を出してよこせ。大通りの演説会場でそんなことを言っている。そのあとあなたが任命され、視察に行ってきましたから、それがうそかどうか十分わかっただろうと思います。この大雪の林道、こういうふうにして残された自然を破壊してまでも開発を進めるつもりなのですか。こういうようなやり方はひとつここではっきりと規制して、こういうようなやり方はもうすでに行なわれているのですけれども、そんなことをさせないという立場で、これは指導しなければならないんじゃありませんか。
 私は、基本的に、何でももう土木事業のようにやればいいのだという北海道の開発行政はなっておらないと思う。それじゃだめだ。まして、こういうような自然保護憲章ができているのに、こういうようなのを――見てください、この写真を。見せてあげます。こういうふうにして北海道の自然なんか守られますか。開発行政について自然破壊は絶対すべきじゃない、これが三木長官の一つの発想だったのです。もうすでにやられているじゃありませんか。あなた、その責任ある立場からどう思われますか。念のためにこれを見てください。
#67
○今泉説明員 私は議員になります前、人の選挙の応援もずいぶんいたしましたときに、北海道に環境問題のオーソリティーの島本虎三先生がおられるということは、もうつとに聞いておりまして、島本先生が環境庁長官になられたらどうなるかなという期待も私もありましたけれども、この間、私も八月の一日から三日間、就任以来初めて視察をさせていただきました。過去三十三年間やっておりました前職のときには、私は一年間に七回ぐらい北海道へ行っておりますから、目的は違いますけれども北海道に非常に親しんでおります。一部の視察でありますけれども、一応回ったところを簡単に申し上げますと、苫小牧の東部、それから石狩新港、千歳の新空港予定地、これらを私たち見てまいりました。わが国の唯一のフロンティアであるということを自分で確認いたしております。そして、ただいまの大雪のところも、私も写真も拝見いたしましたし、ほかでも見ましたし、それから、いま環境庁長官いらっしゃいますけれども、中止のところの赤線が引かれておりますところも私も行ってみたいと思っております。
 私は、三十一代目の政務次官でありますけれども、前回までの一番行った方を調べましたら、北海道に十三回行ったという方が一番多いというので、私は十三回以上行きたいと思っておりますが、何しろあそこへすわって判こを押しているなら、だれが政務次官になっても同じだと思います。やはり先生方のおっしゃるように、自分の足で見て、私はいま御批判いただきました田中系でございますけれども、総理にもじかにずけずけ言い、同じ町内に住んでおりますから、私はその点は非常に足が軽く伺えますので、私のような者でもそのことをつとに申し上げたいと思っております。そして、役割り的には五百万の道民の方々のおしあわせはもちろんでございますが、国民全体のしあわせをつかむためには、先生のおっしゃられたようなことを踏まえまして、私は自然環境を残しながら、なおかつその中で最大限の努力をしながら、そのままの形を残す状態を何とかして腐心をしながら、かけがえのない自然環境の保全とともに北海道の開発を皆さま方の御納得のいくような形で町村長官とともに、また皆さま方の御配慮をいただきながら進めていきたいと思っております。
 いつもこの環境の問題になりまして公害の話になりますと、私思い浮かびますのは、いまから五十年前にイタリアの有名なタイプライター会社のオリベッティの社主が創業いたします、開店の披露をいたしますときに、売れるか売れないかわからない製品をつくりましたときに、隣にもう公害防止工場を同時につくってスタートを切ったということを私は聞いております。五十年前に政治家の中でもまた企業家の中でも、自分の会社が、やがては公害を及ぼすんではなかろうか、出すんではなかろうかということを、創業以前から同じ社屋、敷地内につくったというのはオリベッティだけが世界でも――私たちの耳にすら入るくらいでございますから、そういう大先達のおりますことを、政務次官の任期というのは長くても一年ぐらいだと聞いております。早いのはもう半年くらいでなくなると聞いておりますが、私はその線を踏まえて、島本先生のところにたびたびこれからも伺って、個人的にもお知恵を拝借したいと思います。これは一人の日本人として政党政派を越えてこういうお話は大同団結していきたいと思っておりますので、今後ともよろしく、微力ではありますが、御指導賜わりたいと思います。ありがとうございました。
#68
○角屋委員長 島本委員、あと若干の時間です。
#69
○島本委員 足しげく足軽く、これはまあ十三回以上行きたいと言っておりますが、なかなか足が軽いだけではなくて、口も軽いようであります。しかし石狩新港も見てきたいということであります。石狩新港には環境アセスメントをきちっとして、あれは着工しておりますか。まだやっておりませんか。
#70
○秋吉説明員 御案内のように石狩新港の開発は、私どもは公害の発生しない内陸工業、機械工業を主体に考えております。したがいまして、ただいま環境アセスメントはまだやっておりません。
#71
○島本委員 先ほどのやつ、結論出ていませんが、長官、やはり林道がものすごい自然破壊になっておりますから、一回環境庁としても――その接続部分については、これは中止させてあるのです。その延長部分をやっているわけです。十分そこは調査されて、そして必要であるならば延長の中止を命ずる、そして同時に、つくったものに対しては廃道を命ずるということもあってしかるべきだと思います。これは十分調査すべきだと思います。これは環境庁長官の決断をひとつ要請いたします。いかがでしょう。
#72
○毛利国務大臣 至急調査をいたします。
#73
○島本委員 では、もう残念ながら時間になったようであります。時間といっても政務次官ではありません。私としても最後に長官に承っておきます。
 この一問になります。というのは、四十九年、本年の五月七日に、もう北海道では石炭専焼の火力発電所を設置することにきめて、立地点を苫小牧の大規模工業基地、その東側ということをきめたようであります。石油危機に伴っての国内の重要エネルギー源として石炭を見直したということであります。それに対して、一つまた環境庁として重大な問題があるじゃありませんか。
 鉄鋼を誘致する際に昭和五十三年から昭和六十年までの間、これをストップさせたのは窒素酸化物であります。同時に環境保全が問題だったわけであります。そうすると、いままでは三木長官はじめいろいろ申されておりましたし、これは事務当局がよく知っているとおりなんです。重油の伊達火力でも、長官御存じのように大気汚染、温排水の問題だけじゃなくて、工事に対して、これは公害発生の事態が起こりました。これはゆゆしい問題です。水質汚濁の問題、また最近あの汚濁防止フェンスが破れたという報告さえきているのです。まことにこれは大事なことです。したがって、石炭に対しての窒素酸化物による大気汚染のひどさ、これは二・四倍くらいになる。それに対して脱硝技術、これは開発されるだろうという見込みでやるようであります。そうすると除去技術はまだ確立されていないわけです。されるだろうという予定です。そうなりました場合には、同じやっても三十五万キロワットのものが可能であるのかどうか、これさえも疑問なのであります。
 同時に五十三年度の計画に対する北海道の環境アセスメントは不十分であるということ、これは三木長官も認めました。そして環境アセスメントに対してのデータの欠落もはっきり認めました。そして環境の事前評価の練り直し、公害対策の万全を期すということも、ここではっきりやりました。ただし、補完するということだけなのです。根本的にやり直すということは全然言わなかった。そうすると補完、補完ということでは、開発優先ということになってしまうじゃありませんかということを再三ここで言ってまいりました。
 そうなりますと、苫小牧東部に対しては、これは国家的な事業ですから、当然今後の開発の進め方に対しては、再検討の時期にきているわけであります。欠陥が多いいままでのアセスメント、粉じん、ばいじん、この予測は不十分だ、これもはっきりしました。認めました。それと水質の油分、浮遊物質、これに対しても予測から除かれているということもわかりました。そうなれば環境影響事前評価、これは大規模開発の免罪符にしてはならないはずでありますから、当然開発が大規模であればあるほど評価に誤りがあった場合の影響は大きいわけですから、評価は厳密にしなければならないわけです。いまそういうような窒素酸化物、これの状態が変わってきましたから、もう一回環境影響の事前評価をやり直すべきではないか、このように思うのです。最後に決意を長官に承っておきたい。
#74
○毛利国務大臣 重油から石炭への変化、並びにいま委員のお話しによると、いろいろな点の大きな断層というか変化が起きる前提条件に立っているようでありますし、補完のアスセメントの現在の調査から一転して、見直しというか、やり直しというか、思い切った客観情勢にふさわしい事前影響評価をやるべきだ、またやらすべきだと考えております。
#75
○島本委員 では委員長、これで終わります。
 なお、終わったといっても、まだ委員長の許可を得ていませんが、最後に委員長、一言。
 環境庁としてはまさに重大な時期であります。その際に長官になられたわけであります。そして今度与えられた任務というものは意外に大きいわけであります。したがいまして、決して国民大衆の期待を裏切らないように、あなたは、ほんとうにいいことは何でもやるという長官であるということも聞いております。ひとつその点では遅疑逡巡しないで、やるものはきちっとやる名長官になってほしいことを心から要請いたしまして、私の質問を終わる次第でございます。ありがとうございました。
#76
○角屋委員長 岩垂寿喜男君。
#77
○岩垂委員 私は、いわゆる五十一年規制の問題を中心にして、特に環境庁を中心にしてお伺いをいたしたいと思うのですが、いま島本委員の御質問いただいたことのダブリはできるだけ避けまして、承ってまいりたいと思うのであります。
 最初に承っておきたいのは、中公審の専門委員会に再審議を要請したという背景について、もう一ぺん私は長官の見解を承っておきたいと思うのです。
 と申しますのは、かなり矛盾した言い方があるわけであります。片方では技術的にかなり困難だからやり直すのだという言い方がある。片方では人間の生命や、いまのお話の中にもありましたように、健康を守っていかなければならぬという至上命令がある。環境庁として一ぺん方針をきめた以上、それを守らせるべきだという見解がある。ただし、その内容をよく調べてみると、たとえば長官やあるいは局長の委員会における御発言などの経過をたどってみると、どうも方向がすでに出ていて、一つの方向を目ざして諮問なさっている、こういうふうに思うわけでありますが、そこのところを、しろうとにもわかりやすく実はぜひ承っておきたいと思うのであります。
#78
○春日説明員 御承知のとおり四十七年十月三日に「自動車排出ガス許容限度長期設定方策について」という中間答申を中公審がいたしました際、アメリカの大気清浄法改正法が当時予定しておりました「規制に準ずる規制目標の達成には実用面においてきわめて困難である」こういう見解はあるのだけれども、「実用化を含めてその開発は必らずしも不可能ではないとの見解に達した」ということで答申が出たわけでございます。しかしながら許容限度の設定をいたすにあたりましては、防止技術の開発状況を勘案して行うべきである、こういったことも併記してございます。
 したがいまして、私どもはヒヤリングの結果、五十一年度の目標達成をするということは、きわめて困難であるということがわかってきた。特に各メーカーは一社といえども、すべて達成することが可能ですと言ったところはございません。したがいまして私どもは、この防止技術の開発状況を勘案して行なうべきであるという点からしても、やはり中公審の御議論をもう一回わずらわす必要がある、かように考えておる次第でございます。
#79
○岩垂委員 いま春日さんからお話があったように、一社といえども可能ではない、つまり困難であることがわかったというわけであります。困難であるということを前提にして、ほかの手だてを考えるとすれば、ほかに幾つも方法があるものではないと思うのであります。その点について、もう一ぺん承っておきたいと思います。
#80
○春日説明員 許容限度設定にあたりまして、できる限りきびしい値を設定すべきである、こういうことに対しまして、確かに中間値なりあるいは暫定値という考え方もございましょう。あるいは技術的な可能性からして、むしろ単純延期という線も決してないわけではないでしょう。あるいは技術的に不可能といえども、さらに目標達成のためにやる、少なくとも公示をしてしまうという手だってないわけではないと思います。これはすべて技術的な問題にからむ問題でございまして、やはり中公審の専門委員会で十分御検討いただく必要があろうかと考えております。したがいまして、私ども事務方といたしまして特定の案を現在持っているわけではございません。
#81
○岩垂委員 それはマスコミをはじめとして、環境庁が暫定基準の方向に踏み切って中公審に答申を求めたということは常識でしょう。これが普通の人間の考え方ですよ。それを、方法は三つございます、一つは暫定基準でしょう、一つは単純延期でしょう、一つは五十一年をそのままやるということでしょう、ただし、あなたいまおっしゃったとおりに、一番最後の五十一年そのままというのは不可能だ、こう言っておる。メーカーが言っているというわけでしょう。とすれば、あとの二つということを前提にしておはかりになったと思う以外に方法はないと私は思うのです。もし三番目のことを考えるならば、あらためて答申なさる必要はないわけですから。その辺は政治的にものをおっしゃらないで、奥歯にもののはさまった言い方をしないて、もっと単純明快に――私は環境庁としては暫定基準の方向を目ざしていらっしゃるというふうに判断をしますが、その判断が間違っているかどうか、くどいようですが、もう一ぺん承っておきたいと思います。
#82
○春日説明員 環境庁といたしましては、中公審に御審議をお願いしているところでございますので、中公審の審議を束縛するような一つの事務方の固定した前提あるいは考え方、そういったものを明らかにすべき段階ではないのではなかろうか、かように私どもは考えております。
#83
○岩垂委員 それならば、この前の中公審の答申を受けて今日まで環境庁が答えてきた大臣をはじめとする答弁の中には、五十一年規制をきちんとやる、そのことを明らかにしていたわけでしょう。事情の変化が起こったから、こういうことになったわけでしょう。だからその辺は、いままでのいきさつと、それから今日の技術的な状況というものを見合って――ごまかしてはいかぬと私は思うのです。やはり私は率直に申し上げて、ごまかしているというふうに見えるのです。それは白紙で諮問をいたしました、だから私どもはどういう方向になっても専門的な結論が出れば、それに従います。この前もそうだったのです専門的な見解に従ってきたわけです。
 しかし、専門的な見解に基づいて、今日まで行政をリードしてきた責任というのは、これは環境庁の責任であり、日本国政府の責任でしょう。それがそういう態度を示してきたわけでしょう。だとすれば、そのところに私は変化が起こったというふうに考えざるを得ないのです。ここは環境庁は、やはり政治的にリードをすべきなんです。今日までできないとすれば、できなかった事情について環境庁がどれだけ努力をしてきたのか、メーカーなどを含めて、そこのところをもう一ぺん確かめておきたいと思う。
#84
○春日説明員 私ども六月の初旬から二週間にわたってヒヤリングを行ない、メーカーの開発状況について逐一聴聞してまいったところでございます。なお、メーカーは五十年度規制について、現在その達成に努力中であるわけでございます。さらに五十一年度規制というものをその上にかぶしていくわけでございますから、先ほど島本委員のお尋ねにもお答えしたわけでございますが、五十年度規制とは違ったアプローチが要請されている。したがいまして、かなりこれは、五十年度規制の延長線上には技術はない場合もあるわけですから、私どもはメーカーの努力を期待もいたしております。現実に努力をしているものと私は考えております。いままで環境庁は決してそういったことを座視してきたわけではございません。私どもはあらゆる機会をつかまえて技術的な革新的な発展というものをメーカーに要請してきたつもりでございます。
#85
○岩垂委員 それじゃその点はあとでもう一ぺんお尋ねをすることにして、ヒヤリングで各社はどんなデータを示したか、わかる限り詳細にお教えをいただきたいと思います。
#86
○春日説明員 五十一年度からの自動車排ガス規制に関しまして、自動車メーカーの対策技術の開発状況を把握するために、先ほども申しましたように、六月六日から十八日までの間、九社に対しましてヒヤリングを実施いたしたわけでございますが、ヒヤリングにおきまして私どもが聴聞いたしましたのは、各社から、技術開発体制の問題、それから対策技術の採用に至る経緯、対策技術の現状及び問題点、将来の計画、こういったものについて聴取いたしたのでございます。
 五十一年度規制は、窒素酸化物の排出を五十年度規制よりも、さらに五分の一にいたすわけでございますが、各社の対策技術を大きく分けますと、これは先ほども多少詳しく申し上げましたので省略いたしますが、要するに新しいエンジンシステムに重点を置くもの、あるいは従来エンジンの改良と、あと処理装置の組み合わせに重点を置くもの、この二つに分かれておったのでございます。各社とも五十一年度規制の対策技術は、まだ実験室段階を出ていない状況でございます。その進捗状況は各社それぞれ異なっているわけでございますが、実験室段階でも五十一年度の目標値を達成できないのがほとんどである、こういうことでございます。
 また対策技術の問題点としては、開発及び生産のリードタイムが少ないということを申しております。また現在五十年度対策で余裕がない、現存は五十年度対策を完成するために努力中で、五十一年度対策に移れるだけの余力がないということを申しております。また耐久性及び信頼性のある還元触媒装置が開発されていないということ、運転性能及び燃費が極度に悪化するということ、車両重量または排気量の大きい車につきましては窒素酸化物低減対策が宿命的に困難である、こういったことをあげているわけでございます。
 各社のそれぞれの問題につきましては省略さしていただきますけれども、おおむねそのような次第でございます。
#87
○岩垂委員 東洋工業や本田はデータを示したけれども、トヨタ、日産はヒヤリングの段階ではデータを示さなかったということを承っておりますが、それは事実ですか。
#88
○春日説明員 いわゆる暫定値につきましては、おっしゃったとおりでございまして、それゆえに、三木前長官が九社の社長を再び呼びまして、一月の余裕を与えて再度協力を要請いたしたわけでございます。その結果、昭和五十一年度規制の見通しと実施可能な暫定値についての答えが、それぞれあった、こういうことでございます。
#89
○岩垂委員 各社が示したデータだけではなくて、環境庁として独自的に排ガス防除機器メーカーなど、あるいは関連メーカーを対象にして調査をした結果、目標に近い技術開発が進んでいるという事実が突きとめられたということが明らかにされておりますが、ヒヤリングとは別に環境庁は独自的にそういう調査をなさったことがあるかどうか。
  〔委員長退席、島本委員長代理着席〕
あったとすれば、それらについて御報告をこの際いただきたいと思います。
#90
○春日説明員 正式のヒヤリングとして行なった経緯はございません。ただし、私ども日常業務の一環として、常にそういった関連メーカーを呼び、調査は行なっております。
#91
○岩垂委員 その調査と、五十一年規制の目標値の関連あるいは到達できるレベル、ぎりぎりのところですね、それらの問題について企業ごとのデータをお持ちのはずでございますが、ぜひそれをお教えいただきたい。
#92
○春日説明員 ただいまの御質問の趣旨でございますが、触媒メーカーについての調査でございますが、少なくとも五十一年度規制を達成し得るような還元触媒はまだ開発されていない、かように言っていいと思います。もちろん初期値と申しますか、千キロメートルあるいは二千キロメートル程度は、十分五十一年度規制値を満足するものは幾つもありますが、少なくともわれわれが要求しております三万キロテストに合格するようなものは一つもございません。
#93
○岩垂委員 これは東京都の公害監視委員会がメーカーを呼びまして、同じようなヒヤリングをやっているわけでありますが、そのヒヤリングの中で、東洋工業が五十一年規制に近いものを得ている、そして希望が持てる展望にある、確かにいろいろな実用化の点で問題はないわけではないけれども、近い将来に可能性があるという態度を示しているわけであります。これらのヒヤリングの東洋工業の態度、そして東洋工業は暫定の基準などについての数値を示しているわけでありますが、これについて環境庁は、それをどう受けとめているか承っておきたいと思います。
#94
○春日説明員 私ども東洋工業から報告を受けておりますのは、五十一年度規制値NOxの〇・二五グラム・パー・キロメートルの規制値を達成する可能性及びその実施可能の時期の見通しが得られるのは、昭和五十一年度後半の見込みである、こういうことを報告しております。そうして実施可能な暫定値につきましては、現在NOx低減技術の限界は〇・六から〇・七グラム・パー・キロメートルである、これに量産移行時の変化量あるいは耐久劣化の問題あるいはばらつき、こういった問題を考慮した暫定値ならば〇・六あるいは〇・七グラム、これは可能ではなかろうか、こういうふうに申しております。
#95
○岩垂委員 環境庁はその東洋工業の一つの実験的なデータあるいはその目標について全体の、つまり九社の状況から見ると、一番進んだものと理解をしているかどうか承りたいと思います。
#96
○春日説明員 必ずしも私はそのようには理解いたしておりません。先ほども申し上げましたように、五十一年度規制に到達するには二つのアプローチがある。一つは新しいエンジンシステムによる方法と、それから従来のエンジンプラスあと処理装置の組み合わせと、この二つございますが、東洋工業のロータリーエンジンは前者のうちの一つでございます。それに類するものは先ほども申しましたが、本田工業のCVCCエンジンというようなものもございました。報告だけでございますけれども、東洋工業の報告に比べまして本田技研では、CVCCエンジンで千五百ccクラスの車両に関する限り、技術開発の成果あるいは品質管理水準の向上等を勘案するならば、〇・六グラム・パー・キロメートル程度ならば実施可能であろう、こういうことを申しておりますので、私は少なくとも東洋工業並びに本田技研は、ほぼ同位置にある、かように考えております。
  〔島本委員長代理退席、委員長着席〕
 しかしながら、いずれにいたしましても両社とも、これは千五百ccクラス、ロータリーエンジンの場合、これは単純に気筒容積ではかることはできませんけれども、いずれにいたしましても、いわゆる小型車に限られている、こういう現状がございます。
#97
○岩垂委員 環境庁として、たとえば東洋工業とか本田技研というのは、自動車のメーカーからいえば率直に申し上げて中小のメーカーですね。それが、とにかくそれなりの、いわばレーゾンデートルを明らかにする意味を含めて懸命に研究したことだけは事実だと思うのですけれども、しかし、その中小といわれるメーカーが、これだけのレベルに到達をしながら、トヨタ、日産が実際にはかなりサボっているとさえ思われてもいたしかたがないほど、今日のヒヤリングに対しても誠意のない態度を示していますね。これらについてどうお考えになっているか率直に……。私はこの際、業界にもそういうことを含めて、ずばりものを言うべき時期に来ているのじゃないかと思うのですが、これは一ぺん環境庁長官からも見解を承っておきたいと思います。
#98
○春日説明員 確かに本田技研あるいは東洋工業は、いわゆる大メーカーと称せられるトヨタあるいは日産に比べますると、かなり小さな会社でございます。乗用車に関する限り日産、トヨタで日本の生産量の七〇%のシェアを占めておるという点からも御指摘のとおりであろうと思います。
 ただ問題点といたしましては、日産トヨタといういわゆるメジャーのメーカーは三千数百ccの大型車から千ccクラスまで各種、多種多様の車を製造いたしておるわけでございまして、ことに目玉商品としてはセドリック、クラウンクラスの二千ないし二千数百ccの車というものが中心である。これがタクシーにも使われておるわけでございますが、そういった問題が多少東洋工業なり本田技研とは違うのではなかろうか。要するに大メーカーといたしましては、すべての車に共通して使えるような技術開発というものをやはり目ざすのが一つのアプローチとしては私は当然であろうと思います。なぜかならば、還元触媒というものが完成すれば、すべての多種多様の車にそれが応用できるからであろうと思います。そういう意味で、私は、アメリカの例にならいまして日本のトヨタなり日産が還元触媒というアプローチを目ざしたことは、ゆえなしとしないと思っております。
 一方、私は本田なり東洋なりが従来と発想を新たにしてエンジンシステム自身を変えるというアプローチをとったこと、これは非常に革新的なことであって、私は非常にこれは重要なことであり、りっぱなことであろう、かように考えております。しかしながら会社の持っている性格が違うということも、やはり考慮と申しますか評価の材料には加えざるを得ないではなかろうか、かように思っておる次第でございます。
#99
○毛利国務大臣 九社の協力体制に格差があるかどうか、つまびらかでないのでありますが、調査をしてみたいと思います。したがって、もし質問者のおっしゃるような事態がありとするならば、きびしく警告はしたいと思います。
#100
○岩垂委員 あるとするならばという前提でありましたけれども、実はここに日産自動車株式会社が昭和四十九年の七月十六日に、東京のヒヤリングへ提出をした資料があるのであります。これは政府のヒヤリング、環境庁のヒヤリングのあとから出されたものなんですけれども、これを拝見しますと「わが国のいわゆる「光化学スモッグ」とは」ということが書いてありまして、これはごらんになったですか。たとえば「東京の夏に発生するスモッグ現象」を二つに分けて、「広域被害」と「局地被害」ということに分けて、「広域被害」については「ロスアンゼルスにおける光化学スモッグの被害に類似」していると書きながら、下には「原因不明」と書いてあります。光化学スモッグがどういう原因で起こっているかということは、もはや周知の事実です。さっき春日さんも島本さんの御質問にお答えになりました。こういう態度なんです。だから、もっとひどいです。これを見ると、「わが国のNO2環境基準設定の根拠」ということに触れまして、「わが国のNO2環境基準設定の根拠には科学的にみて、若干の疑問点があるように思われます。」と書いてあるわけです。つまり、環境基準そのものについて、いろいろな角度で実はけちをつけているわけです。
 この文書を拝見しまして私は非常に腹が立ってきたのです。これは、わが国の環境行政全体に対する挑戦だといわれても、しかたがないと思う。こういう事実を私は放置しておいてはいけないと思うのです。こういう事実を放置しておくとすれば、それは明らかにいまの五十一年規制というものが、企業べったりといっては、ことばが過ぎるかもしれませんけれども、企業ベースで進められているというふうに考えられてもいたし方がない、このように思います。環境庁長官は、それについてどう思いますか。
#101
○毛利国務大臣 少なくとも環境庁は企業サイドであるという感じを持たしてはならないと考えております。
#102
○岩垂委員 いまの事実を、これは事実なんですから、春日さんも御存じになっているのですから、不見識であるということを日産に注意しますか。
#103
○毛利国務大臣 いままでも注意はしておるようでありますが、さらに調査をして、事実の上に立ってきびしく警告をしたいと思います。
#104
○岩垂委員 事務当局ではなくて、大臣の名前、環境庁長官の名前できちんと文書で注意しますか。くどいようですが、私はこの辺をきちんといま確かめておきませんと、これから起こるであろうさまざまの事態について、一体どこの何を信頼したらいいかわからなくなりますので、その点を確かめておいて御答弁いただきたいと思います。
#105
○毛利国務大臣 調査の上、その事実を確認の上、警告を発します。
#106
○岩垂委員 調査の上とか確認の上とかって、いま春日さん、見たことがあるとおっしゃているわけです。これは調査する必要ないです。もう見ているわけです。だから、その点もう一ぺんきちんと言っておいてください。
#107
○毛利国務大臣 おっしゃった点もあわせて、私のほうで再度調査をします。
#108
○岩垂委員 言いたくはないのですが、調査をするといって、明らかなんですよ、調査する以前に。認めていらっしゃるのです、大気保全局長は。それを何を調査する必要があるのです。
 私は毛利さんの立場についていろいろ言いたくはないけれども、率直に申し上げて、あなたは自動車重量税のときにはメーカーの側にお立ちになったこともある、党の立場か何か知らぬけれども。あるいはいまも、五十一年規制の問題について、環境庁に申し入れをして、それは調査に行ったんだというふうにつじつまを合わせておられるけれども、どうしてもその辺について、私としてはやはり心配をせざるを得ないのであります。だから、もうちょっと歯切れのいい答弁を――そういう前科といえば、ことばがたいへん過ぎますけれども、必ずしも環境庁長官の立場から見て、ものさしに合わない若干の行動があったことは事実なんですから、調査しますとかなんとかでなく、注意しますと単純に答えたらどうですか。そうしたことの再びないように責任をもってやらせますと言ったらどうですか。
#109
○毛利国務大臣 いまあなたから資料を掲げておっしゃっておるが、私は、いまだかつて見たこともなければ、またその事実を聞いてないのですから、そういう事実に立って警告はもちろん発しますが、私の目、私の耳で確認をして、またその事実以外にも、より広く確認をして警告したい。
 あなたの中にちょっと違っておる点がある。自動車重量税については、あなたは間違っている。どんなに私が苦しめられたかしれない。がんとして私がかぶりを一つ振れば実行できなかった。実行したのは私です。あなたのいまの認識は誤っているから訂正しておいてください。
#110
○岩垂委員 わかりました。それは議論のあるところで、私も若干それについては、いろいろ申し上げてもいいのですが、それなりにあれを持っていますけれども、ここはその議論をする場所ではございませんので、それはまたそういうやりとりで終わりたいと思いますが、日産の問題などについては、環境庁としてのきちんとした政治姿勢を示していただくということを私は信頼をいたします。
 それでは、実は私、この前の五月十七日に、この公害環境の委員会で三木さんにお尋ねをしたことがありまして、三木さんから明確なお答えをいただいたんですが、それはつまりこういうことです。
 いわゆる先発メーカーがある。そうして暫定ということも考えなければならぬだろう。そのときに、先発メーカーというものができたときに、五十年のときには東洋工業や本田ができていたから――もっと正確に読みますと、「五十年度の規制の場合は本田とか東洋工業とか、そういう技術の開発自体は、やっぱりメーカーがあったわけですね。だから日産からも、あるいはまたトヨタからも相当な強い陣情を受けたのですが、これはもう問題にならぬ、現にあるではないか、開発している。大メーカーができぬわけはないということで、非常にこちらとしても、そういう人たちにも言いやすい立場にあったわけです。」ということを述べていらっしゃいます。そうして、あとで、そういう立場、つまり先発メーカーの立場というものを十分踏まえながら、暫定の場合には、五十一年の場合には、それらのことも考えてみたいというふうに言っていらっしゃいますが、その方針を踏襲すると見てようございますか。――すみませんけれども、それは環境庁長官にお願いいたします。三木さんのいわば後任者であり、三木さんの信頼する環境庁長官ですから……。
#111
○毛利国務大臣 先ほど来お答えしておるように、五十年規制よりも五十一年規制のほうが複雑で、非常に技術的に困難な点がある。しかも可能性についていろいろ議論のある状況下にあって、技術的、専門的に、いま中公審にあげて議論をしてもらっておる。その結果を待っておる。その結果によって決断を下すという従来からの方針どおりです。
#112
○岩垂委員 結果によってということでありますが、私はもう環境庁は暫定基準できちんときめていらっしゃると思うし、その方向で事が運んでいると思うし、そのことをすなおにマスコミの皆さんも伝えていらっしゃると思う。ここだけの議論が違うのです。ここだけといえば、あえて率直に言えば、大臣と局長の意見が、その発言だけが違う。私どもは白紙です。まわりは全部暫定基準を認めちゃっているんですよ。そうなっていくだろう。だとすれば、どこに落ちるのだろうかという議論のほうがまともな議論だと思うのです。それが大衆感覚です。残念ながら、それが政治というものかというほど、たいへんどうもわかりきった議論を遠回りに言わなければならぬことがあるわけですから、もし暫定基準ということになったときに、いまのような、つまり五十年のパターンお考えになるおつもりかどうか、承っておきたいと思います。
#113
○春日説明員 たいへんおしかりを受けるだろうと思いますけれども、それこそ中公審の審議の中心的な話題と申しますか、論点の一つであろうと思います。したがいまして、それにつきまして私がいま申すわけにはまいらぬわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
#114
○岩垂委員 国会の答弁を、私は、ぜひ春日さん振り返っていただきたいと思うのですよ。委員会でも、それから健康被害補償法案の議論のときも、あるいは総量規制のときも、つまり五十一年規制をそのとおり実施すると言いながら、現実には技術的に困難があるということをあなたも言ってこられた。その技術的な困難というものを、皆さん方はそれなりに、今日までかなり時間があったわけですから検討いただいてきたはずです。そして同時にヒヤリングもこのまぎわにおやりになったはずです。そうしてさらに、ヒヤリング以外のデータをお調べになったということも私もいま伺いました。それなりのデータはきちんと持っていらっしゃる。ただ、それが〇・二五というところまでいけるかどうかという議論については、いろいろ議論があるということを私も承知しております。だとすれば、そこへ落ちる先というのが暫定基準だということをあなたか――新聞の記事によれば、私は読んでもいいですけれども、各社書いているけれども、自動車専門部会に設問なさったときに、それとわかる御発言をなさっているわけです。しろうとでもわかる発言をしているわけです。暫定だということを。そのことを前提にしたときに、たとえばという前提でけっこうですから、まあ、あとから私そのことをどうしてくどく聞きたいかということについても申し上げますけれども、ぜひ暫定基準という場合の一つの目標、そして同時に、現在一番近いレベルというのは一体どの辺にあるのか、その辺をもう一ぺん聞いておきたい。
#115
○春日説明員 先ほどから申し上げておりますように、五十一年度規制は窒素酸化物の規制でございます。要するに五十年度規制と違いまして、五十一年度規制は窒素酸化物の規制であるわけでございまして、窒素酸化物の排出ガス量と申しますものは、自動車の大きいか小さいかによってこれは相当宿命的に量が違ってまいります。これは炭化水素や一酸化炭素の排出規制とかなり違った点でございます。
 したがいまして私どもは、五十年度規制のときと違いまして、車種別にものを考えるかどうかという問題も、やはり検討しなければいかぬことでございまして、たとえばCVCCなり、あるいはロータリーエンジンが、千五百cc相当で〇・六なり〇・七グラムできるというならば、それでは二千四百ccのクラウン、セドリッククラスにそのまま適用できるかといえば、これはむずかしいかもしらぬ。そういった問題点、いろいろ複雑いたしておりますので、私どもは中公審の専門委員会でお願いしておるわけでございまして、最大ここまではいける、あるいはこのくらいの値である、まだこういうふうに私は申し上げる段階ではなかろうと、かように申し上げておるわけでございます。
#116
○岩垂委員 どうも何かまともでない議論をしているので、私も腹が立ってくるのですけれども、環境庁としてはデーターをお持ちなんでしょう。大体どの辺までならいけるということも、それなりにおわかりなんでしょう。それをすなおに言われたらどうですか。専門部会というのは確かに専門的な議論、技術的な議論を必要とすることはわかりますよ。しかし、皆さんだって専門的な理解や知識を持っていらっしゃるわけです。それならば環境行政をリードする環境庁としては、一体どれだけのデータを持っているという議論はあっていいと思うのです。そうでしょう。まして、いわんや専門部会の中に日産自動車の代表まで出ているわけでしょう。環境庁は、もっときちんとリードする姿勢というものを明らかにすべきだ。だとすれば、どこまでなら現在技術的にできているということをもう一ぺんちょっとおっしゃってください。
#117
○春日説明員 お答え申し上げます。
 東洋工業では〇・六ないし〇・七グラム・パー・キロメートル、これは、いわゆるルーチェクラスでございますから千五、六百cc相当分だと思います。それから本田工業では、CVCCエンジン千五百ccクラスで〇・六グラム程度と申しております。それから日産自動車では、昭和五十年度規制値に比べまして一〇%の低減でございますから、大体一・〇から一・一程度であろうと申しております。これはおそらく大機種から小機種含めての考えであろうと思います。それからトヨタ自動車工業におきましては一・〇ないし一・一グラム、こう申しております。これもやはり大型機種を含めての論議であろうと思います。したがいまして私どもは、すべてに共通した一つの規制値を出す場合に、非常に技術的にむずかしい問題がある、すべて千五百ccクラスの値をそのまま適用していいかどうか、こういう問題があることを御了知いただきたいと思います。
#118
○岩垂委員 なぜそういう規制を必要とするかといえば、人間の健康が、生命がおかされている、だから急がなければならぬ、その目標を立ててきたわけでしょう。かけがえのあるわけじゃないのです。だとすれば、率直にいえば、やれるものからやっていくことのほうが正しいのです。同時にそれがある意味でインセンティブ行政になる条件もあり得るわけです。だから私は一つの車種でもいいから、やれるべきものからやっていく、こういう積極的な姿勢のほうがむしろ必要ではないのか、こういうふうに考えますけれども、その点について承っておきたいと思います。
#119
○春日説明員 できるところからやればよろしいという御意見でございますが、しからば小型だけ〇・六グラムそれから大型は一・〇グラム、あるいは三千ccくらいのいわゆるもっと大きい車については一・一とか、そういうことは、いままでの行政の中ではほとんどとってこなかったわけでございます。少なくとも五十年度規制、四十八年度規制、すべて一律であったわけでございます。しかし先生の御意見のように、これは車種別に分けて値を出し、そしてできるものからやるべきではないかという御意見を十分参考にさしていただきたいと考えております。
#120
○岩垂委員 私の言いたいのは、要するに大型はなかなかむずかしい、トヨタ、日産ですけれどもね。しかし中小メーカーは一生懸命で努力をして、それなりの技術開発をして〇・六のレベルまで来ている。〇・六で合わせればいいのですよ。まあ私は一〇〇%と言いたいけれども、一〇〇%がどうしてもいけないとすればという前提で申し上げるのです。ぎりぎりのところで考えるということ以外にないとすればですよ。にもかかわらず、最初から大型のところで、それじゃそれはできませんからという形で足して二で割る、あるいは大型ができるまでは待っている、こういう姿勢では、私はどうにもならぬと思うのです。
 われわれは率直に申し上げれば、五十一年規制はどんな努力をしてもすべきだ、それが今日まで政府の責任、国民に対する約束であったし、政策的な公約なんですから、やるべきだと主張する。しかし、一歩その立場をおいて離れてみて、技術的にできないとすれば、その技術的な条件の中でベターな道筋というものは、一体どんなものなんだろうかということは、環境庁がきちんと方向を示していいと思う。だとすれば、今日まで到達可能なぎりぎりの条件、それを一体どうやってさがし求めながら全体に適用さしていくか。極端なことをいえば、それに間に合わない自動車はつくらせないくらいの規制があったっておかしくないと思う。もちろん、それから中古車規制の問題はありますけれども、それもあとに回しますが、そういう行政の姿勢というものがなければ、これはどこまでいったって、企業が技術開発が不可能でございますから、それまでお待ちを申し上げます、トヨタ、日産さん、どうぞごゆっくり、どうかひとつ考えていただきたいということに、実は言っていることと同じなんですよこれは。
 だから、そういうことのないようにしてほしいと思うのですが、その点について、たとえば車種のことでいえば、現実にいま、これはマツダのサバンナ・バンですか、〇・四二で走っているでしょう。あるいは本田でも〇・八ないし〇・九、これはシビックの場合ですけれども走っているわけです、現実に。〇・四二のところまで、小型の場合ですけれどもあるわけです。
 問題は、そういうものを大事にしていくということを、あなた方が五十一年規制の原則をくずそうとなさっているわけですから、だれが考えたってそうなんですから、それならば、そのくずそうとなさっていることを、多少良心的につじつまを合わせていく努力をなさったらどうだろうかと思うのですが、もう一ぺんこの辺について……。
#121
○春日説明員 そういった努力は私どもは十分いたすつもりでございますし、またいたしておるつもりでございます。ただ、現在中公審の討議の中でそういった問題が行なわれておるわけでございまして、その点につきましては、先生の御意見を十分委員会のほうに反映するように私は努力してまいりたいと思っております。
#122
○岩垂委員 以上、私がいろいろ言ったことの意味は、自工会の幹部はもう〇・八でいくということに大体なっているんだ、私は直接会って聞いたのですけれども、これなら小改造で大体済む、業界にとっては万々歳だという話さえ実はささやかれているわけであります。そういうことはないと、はっきり申し上げてようございますね。
#123
○春日説明員 さようなことはございません。
#124
○岩垂委員 たとえばこれは仮定の議論で、仮定の議論に立ち入ってたいへん恐縮なんですが、でも聞いておきたいのは、中公審が、あるいは環境庁が暫定値をきめたとしますよね。あとのプログラム、たとえば〇・二五に到達する目標、それは、これも技術開発を待っているというふうにおっしゃるのか、あるいは一定の時間的な制約というものを、それはアメリカとの見合いももちろん出てくるのでしょうけれども、プログラムを立てて一定のリミットをかけるおつもりがあるかどうか、その点を、つまり事後の対策をはっきり示していただきたいと思います。
#125
○春日説明員 先ほどから申しておりますように、暫定値でいくというふうにきめたわけでもないわけでございますので、暫定値をきめたあとのプログラムについては、さらに仮定の上の仮定でございまして、お答えしかねるわけでございますが、たとえばアメリカが今回エネルギー供給及び環境調整法によりまして、連邦規制値の実施の変更をいたしておりますが、その中で七六年規制当初値、これは日本の五十一年度規制の当初値に相当するもの、すなわちNOxの〇・四グラム・パー・マイル、〇・二五グラム・パー・キロメートルに相当いたしますが、これは二年間実施を延期して七八年から適用する、そして七六年度は〇三・一グラム・パー・マイル、七七年はNOxグラム・パー・マイルの暫定値とする、こういうような行き方を一つ明らかにしているというようなことも、これは参考になるものと私は考えております。
#126
○岩垂委員 アメリカの一つのプログラムというものが参考になるというふうに、いま春日さん、おっしゃいました。これは参考になるということで私もとどめておきます。そうしませんと、それ以上言えないというのですけれども、大体そのおっしゃっていることの中に筋道が浮かび上がってきましたので、この際、申し上げておきたいのですけれども、率直にいって自動車業界というのは、東京電力や私鉄などと肩を並べて、政治献金をなさっていらっしゃる業界です。やはり政治的な圧力という問題は、露骨に申し上げるまでもないと思うのですけれども、ないとは言えないわけであります。
 そうした意味で環境庁長官、自民党は自動車業界から政治献金をもう受け取らぬというふうに環境庁長官の立場でひとつ決意のほどを示してほしいと思うのです。あなたが決意しても、だれかが受け取ってくるかもしらぬけれども、せめて環境庁長官は、その辺のところのやはりけじめというもの――いろんな情報が流れていますから、五十一年規制の問題については。そういう情報が信憑性のないことを示す意味でも、あなたの政治姿勢をちょっと承っておきたいと思います。
#127
○毛利国務大臣 そういうけじめをつけたいと思います。
#128
○岩垂委員 わかりました。じゃ、五十一年規制の中には、春日さん、たとえば軽量バスや軽量トラックあるいはディーゼル車などの問題をかぶせているというふうに理解してようございますか。
#129
○春日説明員 いわゆる五十一年度規制そのものの中には入っておりませんが、中公審の審議には、五十一年度規制に引き続いて、そういった問題を審議していただくことに予定されております。
#130
○岩垂委員 その中公審の議論について関連をして申し上げたいのですけれども、中公審の議論というのをぜひ公開してほしいと思うのです。それが一つ。
 それから委員の中に、たとえば住民の代表とか地方自治体の代表を加えてほしいという意見を私は持っていますが、しかし事実は、もう走り出してしまっているわけですけれども、この議論の中で、専門部会の中で、自治体の代表や住民の代表の意見を聞くということをお約束いただきたいと思うのですが、これは長官に承っておきたいと思います。当然のことだと思うのですけれども……。(毛利国務大臣「専門的だから局長から」と呼ぶ)追加したいのですが、こんなことは専門的じゃないのです。片方では川又さんや日産の代表が入っているでしょう。なぜ住民や地方自治体が、非常に困難している人たちが、その中できちんと意見を述べる場所を与えられないのですか。そんなことは常識じゃないですか。ちっとも専門的じゃないですから、お答えをいただきます。
#131
○春日説明員 中公審の大気部会の中には住民代表と申しますか、入っていらっしゃいます。市原市長がお入りになっていると思います。決して住民の代表が入っていないというわけではございません。
 それから、その大気部会の下部にございますところの自動車公害専門委員会は、まさに技術者の会でございますので、これは私は一般の住民の方々がお入りいただく場ではなかろうと考えております。
#132
○岩垂委員 技術者だけしか入らないという議論は、実はおかしいのですけれども、しかし、住民代表や地方自治体の代表の意見を求めるという謙虚な態度は、やはり必要だと思うのです。なぜかといいますと、昭和四十八年の中古車規制のときには、たとえば東京の公害研の大平さんなども入ってかなり議論をして、自治体の気持ちやらそういうようなものも反映できたかどうかは別として、努力をしているのですが、今度ははずれていますね。はずれているので、人事のことですから、あまり言いたくはないのですが、その傾向も一般的にあるわけです。ですから、結論を出す前に住民代表と地方自治体の意見を聞くということについて長官、お約束いただきたいと思います。
#133
○毛利国務大臣 直ちに委員に加える加えないは別として、地方自治体なり、そういう民間の御意見を反映する努力はしなければならぬと考えております。
#134
○岩垂委員 中央公害対策審議会の内容の公開の問題や、いまのお答えを信頼をいたします。やはり住民や地方自治体の意見、特に地方自治体の人たちというのはいろんな意味で困難をもたらしているから、あとで聞きますけれども、全国でたいへんな地方自治体から、五十一年規制をそのとおりやれという注文がついていると思うのです、意見書その他の方法で。私どももその立場を支持します。その意味で、やはり地方自治体の意見をぜひ聞いてほしい、このように思います。
 時間になってしまいましたので、最後に一つだけお尋ねをしますが、規制値の問題はそっちへ置いておいて、たとえば公害を出している車に対する課徴金というかペナルティーの問題、あるいは車の総量規制といいましょうか、それらの問題をワンセットで中公審にお願いをしているのかどうか。今度の答申の中で、それらのことを含めて出すことと理解をしてよろしいかどうか承っておきたいと思います。
#135
○春日説明員 今回の中公審に対する諮問は、そういったワンセットとしてはお尋ねをしているわけではございません。
#136
○岩垂委員 尋ねてはいないけれども、そうするとその問題というのは、別個に引き続いて議論をしていくというふうに了解してようございますか。
#137
○春日説明員 いわゆる自動車の公害専門委員会がそういった問題を討議する場にふさわしいかどうかは別といたしまして、いろいろそういった問題は討議していただくことにするつもりでございます。
#138
○岩垂委員 もうちょっと時間を下さい。
 その公害を出している自動車に対するいわば課徴金というような問題というのは、中古車対策の一つとしても重要な要素だと私は思うのです。これは、だから五十一年規制全体の中での一つの柱としてお考えいただく以外にないだろうと思うのです。だからその問題は、車の規制の問題も含めて、たとえば車の規制にどういうふうに御意見を持っていらっしゃるかわからないけれども、ここでちょっともし御意見があるならば承っておいて、締めくくりたいと思います。
#139
○春日説明員 おっしゃいますとおり、自動車排気ガス規制と申しますものは、単に乗用車の五十年、五十一年度規制ですべて終われりというものではないことは事実でございまして、少なくとも日本におきます登録二千六百ないし二千八百万台の自動車の半数は貨物自動車である、そういったものの規制、あるいはディーゼル車の規制、あるいは使用過程車の規制、こういったものが相伴う必要があろうかと考えております。また交通量自身の特定の地域における規制の問題も、そろそろ実際問題として検討していく必要もあろうかと思います。さらに課徴金なり、あるいはインセンティブの税法の問題等々、これはまだ私どもの単なる局内での論議でございますけれども、そういったことも今後総合的に検討していく必要は十分あろうかと思います。ただ、これは環境庁のみで検討するものではなくて、関係省庁とよくコンセンサスを得た上で行なっていくべきものと考えておるわけでございます。
#140
○岩垂委員 時間が来てしまいましたのでやめますが、実は運輸省のほうにもお伺いをする予定だったのですが、時間がございませんので、これは省略をいたします。
 ただ、お願いをしたいことは、五十一年規制というものは、やはり国民がみな見詰めている、とりわけ選挙中の田中さんの発言という問題を含めて、三木さんが激怒されたことを含めて、やはり環境行政というものは政治に左右されてはいかぬと思うのです。そして同時に、企業のいわば利益に奉仕してはいけないと思うのです。そういう意味で誠実に、これは島本委員もおっしゃいましたけれども、五十一年規制について毛利長官が誠意をもって努力なさることを期待して、これでやめます。
#141
○角屋委員長 この際、午後二時まで休憩いたします。
   午後一時二分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時八分開議
#142
○角屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。土井たか子君。
#143
○土井委員 私は、まず新関西国際空港問題についてお尋ねをしたいと存じます。
 去る十三日に審議会のほうから答申が出たわけでございますが、あの航空審議会に対して諮問をなすったのは昭和四十六年十月十三日付で、当時の運輸大臣は丹羽喬四郎大臣であります。ところが、今回答申されました中身は、当時のこの諮問書の諮問理由の一にございます「関西地区における航空輸送需要の増加に伴い、大阪国際空港における航空機の離着陸回数は年々増加し、就航機材の大型化等の対策を講じても、昭和五十年代初めには、その限界に達するもの」というふうな予想のもとに「現在の大阪国際空港は、その立地条件からみて拡張により能力を増加させることは困難であるので、関西地区に新しい空港を早急に建設する必要がある。」というふうなことが諮問理由の1に掲げられていたわけであります。
 まずお尋ねしたいのは、この航空審議会というのは運輸省の諮問機関なんですか、運輸大臣の諮問機関なのでありますか、この点が第一であります。いかがです。
#144
○徳永国務大臣 運輸大臣の諮問機関でございます。
#145
○土井委員 続けてお伺いいたしたいのは、審議会が答申をするにおいては、諮問に対しての答申でございましょう。諮問を受けての答申でございますね。したがいまして、この諮問理由からいたしますと、今回の答申の中には「新しい空港は、大阪国際空港の廃止を前提として、同空港の機能を代わって受け持つ能力のあるものとしなければならないと認識した。」というふうなことで答申の中身は出発をしているわけでございます。
 そうしますと、これは諮問理由の1にございます点と、まさに出発の時点が違うわけでございまして、技術的な問題じゃございません、部分的変更じゃございません、基本が変わったといわざるを得ない中身になっているわけでございます、諮問を受けての答申ですから。諮問理由の一にいうところと違った答申を出す。事情変更の原則ということもございますけれども、事情変更の原則なら原則で、どういうふうに事情が違ってきて、したがって、こういう答申を受けて、これを尊重しますとおっしゃる運輸大臣御自身が、この諮問書にいうところの諮問理由の一に対して、こういうふうにみずから認識して、今回のこの答申については受けて立つというふうな正式な御見解の表明があってしかるべきだと思うのであります。今回の答申においては、事情が変更いたしておりますよ、答申の中身は、そういう点からいたしますと。あくまで運輸大臣の諮問機関である航空審議会における答申でございますから運輸大臣としては、この諮問理由の一に対してどういうふうにお考えになり、どういう措置をお講じになる御用意がおありになるか、これをお伺いいたします。
#146
○徳永国務大臣 お話しのように、四十六年の十月十三日に、運輸大臣から航空審議会に諮問いたしました諮問理由は、いまお読み上げになったとおりでございます。当時運輸省といたしましては、この伊丹国際空港をも存続させるというような基本的な考えを持っておったようでございます。しかし、その後騒音問題等を中心にいたしまして、いろいろな社会事情の変化があったことは、これも御説明申し上げるまでもなく先生よく御存じのとおりでございます。そこで、航空局長をもちまして、新しい空港ができ上がる時点で廃止をも含めて検討する、地元の公共団体ともよく御相談の上で検討しましょう、こういう一札が出たわけでございます。その間の事情も御承知と存じますが、そこで当時審議会においては、いま先生がおっしゃったように、当初の諮問といささか趣を異にしているじゃないかということで、審議会でもこれが問題になったそうでございます。
 運輸省の見解といたしましては、そういう基本的なものは持っておりたけれども、社会的ないろいろな情勢の変化によって廃止することもあり得るのだ。存続することもあり得るけれども、廃止することもあり得るという見解を述べまして、審議会においてもいろいろな場面が想像されるということで、その前回の最初の諮問をそのまま受け取って、廃止もあり得るという前提のもとに今度の答申を出された、かように私は承知しております。
 したがいまして、運輸省の見解といたしましては、航空局長名をもって表明いたしました当時の立場を、ちっとも変更しておらないわけでございまして、新しい空港ができました時点でよく地元の皆さん方とも公共団体の皆さん方とも御相談いたしまして、その時点で廃止をも含めて、ひとつ検討しよう、こういう態度でございます。
#147
○土井委員 いまはるる事情の変更のいきさつについての御答弁であったようであります。
 私がお尋ねいたしておりますのは、さきにも申し上げましたとおり、航空審議会というのは運輸大臣の諮問機関であるということを確認させていただいわけでございますね。いまおっしゃいましたのは、内村書簡の問題なんです。当時局長であった内村さんが書簡をしたためて十一市協に対して出されたあの中身をおっしゃっているのだろうと思います。それを受けて審議会でも、運輸省としては大阪空港を廃止をして、新空港というものの建設を考えることにやぶさかではないというふうな御趣旨の御意見を、その審議会の席上でお述べになったといういきさつはあろうかとも思うわけであります。
 ただ、それはそれでありまして、私たちは審議会の審議録をひとつ見せていただきたいと言ったって、これは見せていただくことが、いままでに全くできなかったわけでありますから、その間の事情はまことによくわかりません。私は格式ばった形式論を言うわけじゃありませんが、運輸大臣の諮問機関の審議会でありますから、したがいまして、運輸大臣が当時、四十六年十月十三日に出された諮問書、さらに諮問理由の中身はこのまま生きているわけであります。本来、運輸大臣の諮問機関である審議会が、この運輸大臣の諮問に対して答申をやるということが筋でありまして、この諮問理由にいうところの中身とは、それた答申を出す場合には、それなりの運輸大臣名による何らかの措置を講じなければならないというのが本来考えられるところの形式論の行き方でありましょう。
 そこで私は、いま運輸大臣に対して、これに対してどういうふうにお考えになり、どういう善後策、善後措置をお講じになるかということを申し上げているわけです。いかがでありますか。
#148
○徳永国務大臣 たいへん理詰めなお話でございまして、あるいは当時そういうふうな諮問の変更をするのが適当であったかとも思いますけれども、運輸省の考えといたしましては、二本立てで置いておくというのも、あるいはことによりますと、そういう事情の変化があるかもわからぬというようなこともふえんしていったにすぎないと思います。その諮問書を見ましても、必ず一本置いておきますよ、いかなる事態になっても置いておきますよという読み方もあるいはあるかもわかりません。当時運輸省の見解は、そういう見解を持っておったということも事実でございます。
 しかしながら、この審議会におきましては、その後の事情の変化等をも十分考えて、これは必ずしも最初の運輸大臣の諮問に対して違法な答申ではないという見解のもとに、先ほど来お話のございます答申をちょうだいしたわけでございます。私どもはこの答申を尊重いたしまして、今後努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#149
○土井委員 違法、合法という手続面での論争をやるということになりましたら、これはおそらくは違法であるということを申し上げるのは、たいへんむずかしかろうと思います。ただしかし問題は、これは政治的側面において争われるべき問題が、これから多々出てくるであろうと思いますから、私はこの点をはっきりしていただきたいということを、先ほど来申し上げているのです。
 といいますのは、今回出ましたこの答申の中身には、「新しい空港は、大阪国際空港の廃止を前提として、同空港の機能を代わって受け持つ能力のあるものとしなければならないと認識した。」とございますが、ここで問題は、二つの違った意見が錯綜するわけであります。一つは新空港建設に先立って大阪空港を廃止して、その上で新空港建設というものを、ひとつこの計画に従って考えてみょうじゃないかという意見と、もう一つは新空港をまず建設してみて、その暁に大阪空港は不必要になったという時点で廃止を考えようじゃないかという意見と、この二つの意見がこの答申のこの表現からすると、お互い相錯綜するわけであります。
 しかし、この二つの意見それぞれが持っている意味というのは、基本的に違うわけでありまして、片や大阪空港を廃止するということを、どこまでも大前提に置いたところの新空港の建設なんです。もう一方のほうは新空港建設ということをまず先んじて考えて、その上で必要とあらば大阪空港も撤去しない、しかし、大阪空港はもはや要らないという時点で、この大阪空港の廃止も考えてみょうというふうな、非常に大阪空港廃止という点からすると、消極的な態度で臨むことになるわけです。よって立つ基本が違うわけですね。あとのほうの立場に立つと、何ら――先ほど来運輸大臣が、私は、この答申を尊重します、特にこの二月、大阪地方裁判所で大阪国際空港に対しての騒音訴訟のあの判決の結果、非常に強い、大阪空港はどうも今後拡張整備するわけにはいかない空港だ、そればかりではなく、これを縮小していくことが必要だ、音源対策に対しても、いままでになく十分に取り組むことが必要だ、周辺整備についても騒音対策として、ひとつ抜本的に取り組んでいくという非常に意欲的なところをお示しになった運輸大臣なんです。
 したがいまして、そういう点からすると、いま二つの相反する立場において理解できるということになりますと、いずれの立場に立って、この答申を尊重して考えますとおっしゃっているのか、そこのところをはっきりしていただかないわけにはいかないのですよ。これは政治的に、これからいろいろな意見が出てまいりますから、おそらく政治的に、その点はもう今後非常な争いのもとになるであろうというふうに私はにらんでおります。いろいろな思惑が、これをめぐって、さらに混乱に混乱を重ねることにもなりかねない。
 そこで、ひとつこれを機会に、いま申し上げたような意味を含めて「新しい空港は、大阪国際空港の廃止を前提として、同空港の機能を代わって受け持つ能力のあるものとしなければならない」という点についての大臣御自身の御理解のほどをひとつ明確にここに示していただきたいのです。いかがですか。
#150
○徳永国務大臣 いろいろな、それまでに私は腹を固めました、理解するまでの順序がございますけれども、それは省略いたしまして、私はこの答申は新しい空港ができた時点で廃止することもあり得るという前提のもとに答申をちょうだいしている、かように考えております。
#151
○土井委員 そうしますと、大阪空港の廃止ということも非常に消極的でありまして、新空港ができてみなければわからない、新空港ができて、なおかつ、大阪空港というものが必要とあらば、それは廃止することは、まずできないということの御認識をここに持っていらっしゃるというふうに理解していいわけでありますね。
#152
○徳永国務大臣 これは前国会からたびたび私がお答え申し上げておりますように、地元の皆さん方と公共団体の皆さん方と十分相談いたしまして、いまの大阪空港が現状において欠陥空港であることは、これはもう認めております。したがいまして、新しい空港の答申をちょうだいしたわけでございますが、新しい空港が機能を発揮する時点におきまして、よく御相談して、それでもこの空港はわれわれの生活に対して非常な問題があるんだというような御意見のもとに、地方公共団体とどうしても納得がいかないという結論が出れば、これはもう廃止せざるを得ないと私は思います。しかし、いまからすぐ、あす、あさって、一年、二年先のものではございませんから、そういう時点になりまして、飛行機の騒音というものがどういうふうな変化をたどってまいりますか、あるいはまた、いまの新しい答申をちょうだいしました空港が、かりに御協力を得まして、りっぱにでき上がるといたしまして、その辺の交通のいろいろな事情あるいはその他の問題等もございまして、音のせぬ静かな空港なら残してもいいじゃないか、空港まで行くのに三時間もかかる、しかし高知まで行くのには四十分で飛べる、それならプロペラの飛行機なんかここで残しておいてもいいじゃないかというようなことになってまいりますれば、それはまたそのときの御相談にいたしましょう、こういうことでございまして、私どもは何も運輸省の権力を背景にしまして、これをどうこう押し通そうというようなことは毛頭考えておりません。その時点で十分お話し合いを申し上げた上で決定していこう、こういうことでございます。
#153
○土井委員 まことに、御答弁を承っておりますと、住民の方々の、あるいは地方自治体の方々の御意見を尊重しながら考えていきましょうとおっしゃるがごとき中身の御答弁であります。それはやはり一見その人たちの意思を尊重するかに見えて、実はそれはそうじゃないので、私が先ほどから御質問申し上げているこの中身については、ひとつ、しかとした御態度を持っていただかないと、新空港建設についても、また、いまあるところの大阪国際空港周辺の住民の方々に対して、今後騒音問題をどういうふうにしていくかということについても、住民の方々は納得なさらないだろうと思うのであります。
 いま大阪国際空港周辺の方々は、おそらく新空港ができる時点でこの空港は撤去されるに違いないと考えられている方が多いのですよ。また十一市協の会長である伊丹の市長あたりは、そういうふうに認識をされて、新空港建設を歓迎するという公式発表までされております。しかし、いま運輸大臣の御答弁を伺っていると、その辺はそうじゃないのです。新空港が建設された暁に、いまある伊丹、つまり大阪国際空港については必要か必要でないかということを、その時点であらためて考えてみようじゃないかという御答弁ですね。だいぶ食い違いがあるようです。この食い違いが続く限りは、いまある伊丹の大阪国際空港の周辺の方々に対する話し合いも、また新空港を建設されようとなさるところのその地元の方々に対する話し合いも、私はうまく進まないと思います。誤解が誤解を生んで、あるいはいたずらに横道にそれた論争に手間どって、いまこういう答申を受けて、どういうふうに地元に対していろいろと説明をなさり、また計画についての具体的な策定をなさるのか、私はよくわかりませんけれども、それはおそらく進まないだろうと思う。いまの点については、はっきり公式見解としてひとつ大臣から出していただかないことには、これははっきりいたしません。一体どういうふうな態度でお臨みになるのですか、この点ほんとうにこれから大問題になりますよ。
#154
○徳永国務大臣 たびたび私、お話し申し上げておりますように、大阪国際空港の将来のあり方につきましては、すでに昨年七月運輸省が大阪国際空港騒音対策協議会に文書をもって回答したとおりでございまして、政府としては答申の趣旨を尊重して、当面同空港の周辺整備事業を強力に進めつつ、その将来のあり方につきましては、関係の地元公共団体と今後とも十分協議してまいりたい、これがもう政府の一貫した変わらない態度でございます。それをいろいろ注釈をつけて、いままで御説明申し上げた次第でございますが、この態度は政府として変わってはおりません。今後も変わらないのでございます。
#155
○土井委員 それは大阪空港周辺の方に対する大臣からのいろいろなお呼びかけであり、事情説明でおありになると思うわけであります。今回の答申を受けて、それでは今後どのようにして、泉南沖といわれているあの答申の中身を具体的作業に移してお進めになるおつもりですか。
#156
○徳永国務大臣 答申にございますもろもろの問題をよく地元の皆さん方に御説明をまず申し上げなければならぬと思います。したがいまして、そういう問題の内容等につきましても、あるいは議論のありました重要な点につきましても、十分御理解のいくような御説明をすることが第一だと思います。
 そうして取りかかりますには、やはり地象、風向もございましょうし、あるいは道路をどうつけるか、あるいは地元に対してどういうふうな対策をするかとか、あるいはいろいろな御要望も出てまいると思います。そういうようなものを十分お話し合いをした上で、泉南沖というものに対する調査をまず始めなければならない。また、その調査の御協力をいただかなければ、とても運輸省だけでこれはやれる問題じゃございませんから、そういうことからまずよくお話し合いをして、そうして御理解をいただき、その上で地象、海象、気象でございますか、そういう面の調査を進めてまいりたい。進めてまいりたいと言いますと、すぐそこにぱっと行くようでございますけれども、その前に地元の皆さん方の御理解というのが、これは誠心誠意を尽くして内容も御説明し、資料も整えて話を進めてまいりたい、かように考えております。
#157
○土井委員 その説明は、いつごろからお始めになるおつもりですか。
#158
○徳永国務大臣 書類を、相当な分厚ないままでの答申の書類でございますが、それを千何百部というぐらい整えなければなりませんから、そういう手はずを進めております。したがいまして、今月末になりますか、あるいは来月早々にでもなりますか、なるたけ早い時期に、まず、そういうふうな書類を整え、それを関係の向きに送付いたし、あるいは持ってまいるとか、いろいろな方法はあろうと思いますけれども、そこから始めたい、かように考えております。
#159
○土井委員 それならば、何だか早急におやりになるような御趣旨の御答弁でありますから私申し上げますが、いまあるところの答申の中身になっている書類で、十分に地元に対しては説明がつくとお考えでいらっしゃいますか。
#160
○徳永国務大臣 いまお答え申し上げましたように、まず、たたき台と申しますか何かなければなりません、こういうものを答申をいただいたと。そしてその答申に対するいろいろな地元の団体の皆さん方の理解を求めるためには、ただ書類を送りつけるというだけじゃなくて、それまでにいろいろなもろもろの手段が要るだろうと私は思います。よく俗用語でいわれております、いわゆる根回しということばがございますが、ごあいさつも要ると思いますし、あるいはその内容の注釈も要ると思います。いろいろな手段を尽くして誠意を尽くしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#161
○土井委員 そこで、私はお伺いしたいことがあるわけでございますが、現在あるところの航空法の第一条という個所を見ますと、「国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択された標準、方式及び手続に準拠して、航空機の航行の安全を図るための方法を定め、及び航空機を運航して営む事業の秩序を確立し、もって航空の発達を図ることを目的とする。」とございます。
 そこで、現にこれはまだあの空港から飛行機は発着陸をいたしておりませんが、成田空港のあの空港について、国を相手どって実は事業認定取消請求事件というのがあるのを御承知だと思うのです。四十八年の九月十八日に、国のほうからの釈明書というのが出ておりますが、これを見てまいりますと「新空港の位置は、昭和四一年政令第二四〇号新東京国際空港の位置を定める政令をもって決定され、一方ICAO空港マスタープランは、昭和四二年三月一〇日に提言されたものであるため、新空港の位置を検討するに当たっては、参考にできなかった。」とあるわけです。
 いまの航空法の第一条からしましても、今回の新空港をいずれの場所に、いずれのような規模において建設すべきものであるかということは、これは一応ICAOにあるところの空港マスタープランということを無視しては考えられないということが言えるわけです。成田空港のこのことにおいては、釈明書で、ICAOの空港マスタープランのほうがあとなんだ、この空港建設計画のほうが先にあったんだ、だから、その位置を検討するにあたっては参考にできなかったというのが釈明の中に出ているのです。今回はそうはいかないと思うのですよ。今回の空港の建設地をいずれにするかというのは、ICAOのマスタープランについての基準は、こういうふうに考えたらいかがかということが先にあって、そうして新たに新関西国際空港というものを泉南沖にという答申が出るような時期的な関係があるわけですね。
 それからいたしますと、いまの一CAOのマスタープランについては「計画の順序」というところがあるわけですが、この「計画の順序」というところを見ますと、「計画は将来の開発及び拡張を行い得るような骨組を設け、最終的な空港全体の規模を示すべきである。航空機、旅客、貨物及び地上車輌の収容力を定め、物理的、経済的に可能な建設の主要段階、及びそれが必要であると予測される時期を示すべきである。」と書いてある。
 今回の答申を見ましたら、こういう点からしたら、まず考えておかなければならない航空機輸送需要の予想というもの、見通しというもの、これが、まず、はっきりないんですね。これは私は非常に大事な問題だと思いますよ、マスタープランをつくるに先立って。このことを確定しておかないと、一体何のために空港が必要かということにもなってくるのです。しかも、この点をはっきりさせておかないと、先ほど大臣の御答弁のように、大阪空港というものはつくってみた段階で、要るか要らないかというのをきめましょうというあいまいな答弁になってくるのです。この点がはっきりしていないと、一体新空港をつくってから、さてそれからどうなるか、つくってみたって何のことはなかったということになるだろうと私は思うのです。いま航空輸送需要については、どういうお考えを運輸省としてはお持ちなんでしょう。
 実は、このことを私がお尋ねしたいのは、今回の答申を見ても、それに対しては避けて通っているんですね。はっきりしたことを言ってないですよ。何ら言ってない。むしろ今後の課題にこれはゆだねているかっこうであります。しかし私は、ことし御承知のあの周辺整備機構を審議した二月二十二日の連合審査の場所で質問いたしました節、いままで航空機についての「需要の予測の中身を見ますと、いろいろな条件があるわけですが、その一つに、算定基準として「航空需要の予測は航空料金が鉄道料金に比して相対的に二〇%低下するという前提でなされている。」ということ」、これでいままで計算されてきた。将来航空機の需要はこういうふうに伸びるという算定基準はここにあったわけですね。ところが、これが今後くずれますねと私が聞いたら、それはくずれますという政府答弁なんです。だから今度は航空機需要について考え直さなければならない。需要増というものが、どういうものになるかというのは、いままでどおりの計算ではいかないというのが運輸省答弁だったのです。
 そこで、私はあらためてお伺いしたいのは、今回こういう新空港建設に際して、どういうふうな需要というものに基づいて、これだけの規模の新空港建設が泉南沖に必要だというふうなお考えをお持ちになったのであるか、その点をお尋ねします。
#162
○中村説明員 お答え申し上げます。
 確かにこの諮問がなされた当時におきましては、そのようなはっきりとした見通しというものをもって、そうして将来の新設されるべき空港の規模等についての検討をするということは当然であったわけでございます。
 それで、この答申がまとめられる段階で、この答申の中にもございますように、最近の世界の経済情勢の変化に伴いまして、いまの段階で明確な将来の輸送需要というものを数量的にはっきりと確定することが非常にむずかしい、こういう段階で、しかしながら新しい空港の建設というものが、いろいろな事情から非常に緊急を要する、こういう事情のもとに最小必要限度の規模ということで、この答申をまとめられた、こういうふうに承知いたしております。
#163
○土井委員 最小必要限度とおっしゃるのですね。それは需要増の問題じゃないんでしょう。まずはつくるべき場所はここだときめて、これだけのものをつくろうじゃないかときめて、そのつくった空港のキャパシティーを問題になすっているんじゃないですか。これは需要増の問題じゃないですよ。この滑走路がこれぐらいの規模だったら、どれだけの飛行機が発着できるかというキャパシティーの問題でしょう。そんなことだったら、いますぐにでも机上プランでできます。どこにでもできる。しかし問題は、いま生きた人間が住んでいらっしゃる地域について開発をやることなんですよ。しかも、これについては影響が非常に大きいんです。海上埋め立てといういままでにないことをやるんでしょう。したがいまして、ゆめおろそかに、つくってみようじゃないか、つくったら、これだけの飛行機の発着ができますよ、まあ当面つくってみようじゃないかと安易なことでつくられたら、たいへんな迷惑ですよ。
 また近来は御承知のとおりに、インフレ、インフレでありまして、いろいろな資材についても物価が上がることは必定です。これに対しては、たいへんな投資を必要とする。それをいいかげんなことで、キャパシティーで問題にしていって、それが航空機需要だなんということをいわれたら、とんだことだと私は思う。この点は、ひとつはっきりしていただきたいですね。特に今回の答申は原案どおりということであります。
 そこで、その点について私はたいへんなまやかしだと思うから、一つ申し上げたいことがある。原案どおりですから、原案を見ましょう。そうしますと、いま申し上げました新空港のキャパシティーですよ。候補地別空港能力というのがありまして、泉南沖、神戸沖一播磨灘の沖合い、この三つが対比されているわけでありますが、泉南沖については、いま現に滑走路が二本予定されている。横風用に一本です。つまり通常利用される滑走路の本数は二本。そうしますと、年間一体どれぐらいの発着回数があるかというと十四万回となっている。いまある大阪空港で年間どれだけの発着回数があるんですか。ここにあるのは航空宇宙年鑑でありますが、見た限りにおいても昭和四十六年で、もうすでに十五万七千回ですよ。せっかく空港をつくってみたって、これを下回るんでしょう、この数字からいくと、泉南沖じゃ十四万回ということで計算されているわけですから。いまある大阪空港の発着回数よりはるかに下回る発着回数を予定して空港建設をお考えになっているんです。
 これが大阪空港の代替空港なんて大きな顔して言えますか。つくってみたところで、これは大阪空港を廃止することは絶対できませんね。理屈の上で推していけば、そういう理屈になる。そうでないとおっしゃるのなら、あらためて申します。いま私が申し上げているのは、キャパシティーです。需要増、需要減いずれであるか。需要減でないと、この計算のつじつまは合わないわけでありますから、需要減ということならば、需要減の理由は、こうこうしかじかであるということを明確にお示しいただかないと、これは納得できる中身じゃないです。いかがです。
#164
○隅説明員 お答えいたします。
 現大阪国際空港におきましては、三千メートルの滑走路と千八百メートルとありまして、A滑走路、B滑走路を使って離発着を行っておりますが、これについての能力と申しますよりも、事実上の制限は非常に強い制限を受けておるのは、先生も十分御存じのとおりでございます。
 今度考えました泉南沖、あるいは神戸沖、あるいは播磨灘沖につきましての空港の能力といたしまして、泉州沖では現在の航空路、環境保全の可能な経路設定でいたしまして十五万ないし十六万回の能力を有しております。これは現大阪国際空港の制限ある運用に比べますれば、やはり環境、公害についての十分な配慮がございますれば、この能力をもって十分に発揮できるものとわれわれは考えておりまして、大阪国際空港の能力をはるかに下回るとは考えておりません。新しい公害のない空港といたしまして、環境の保全を十分に注意しながらも、当然この十五万なしい十六万の能力は発揮できるものと考えております。
#165
○土井委員 十五万なしい十六万とおっしゃると、いまある大阪国際空港の発着の横ばいを考えていらっしゃる数値であります。そうすると、この新空港建設というのは、一体向こう何年かかるのですか。いまからスムーズにいったとして、何年と考えていらっしゃるのですか。
#166
○隅説明員 地元の合意をいただきまして事業に着手いたしまして、やはり最小七年程度はかかると思います。あるいは十年の期間を必要とするかもわかりませんけれども、一応七年以上かかるものと考えております。
#167
○土井委員 いま七年ないし十年先の経済的見通しというのは、国の政策としてあるのでしょうか。いかがなんですか。その点がはっきりしない限りは、いまの航空機の需要の問題であり、また発着回数の問題についても横ばいでだいじょうぶという確証はないですよ、これは。非常にあまい、しかもつじつま合わせの数値としてしか私は受けとめられないです、いまの御答弁じゃ……。
#168
○隅説明員 航空輸送需要の問題でございます。われわれもいろいろ試算をいたしました。新しい経済計画の結果がまだ十分出ておりませんので、これを予測することは非常に困難でございますけれども、ただ考えられますことは、新幹線網の発達、あるいは新東京国際空港が国際線に対する能力を十分に発揮できる、そういうときに大阪国際空港、すなわち関西地区における需要がどのくらいであるか、これは飛躍的に伸びるのであるか、あるいは総合交通体系の結果、航空に対する依存の割合が現在よりも減ってくるのではないかということも考えられます。われわれといたしましては、総合交通体系の上で、新しい経済計画のもとに輸送需要というものを、さらにこれから検討を加えていかなければならない、このように考えております。
#169
○土井委員 そうしますと、最終的な空港全体の規模を示すことは、いま不可能なんですね。ICAOのマスタープラン作成についての「計画の順序」というところでは「計画は将来の開発及び拡張を行い得るような骨組を設け、最終的な空港全体の規模を示すべきである。」と、ちゃんと書いてあるのですよ。これがいま示せないのですね。示せないにもかかわらず、その答申をもって即刻地元については説明を開始されようとなさる。一体どういうことなんですか、これは。
#170
○隅説明員 諮問を出しましてから二年十カ月になりました。先生が先ほど御質問になりました関係資料というものがどうかということでございました。この中には十六カ条にわたる相当分厚いいろいろのデータがございます。この中でただいまのICAOの問題も十分審議をいたしました。すなわち、関西国際空港建設の工法の問題、あるいは関西国際空港の施設の配置の問題、いろいろの問題は一応検討いたしました。ただ、現段階においては最終の結果を答申の中に示すということではなく、これは将来の問題であるというふうに審議会のほうでは御判断になりまして、答申にそのように示されたわけでございます。
#171
○土井委員 その答申を見ますと、場合によったら、第三空港建設もあり得るのですよ。これがたいへん。そうしますと、これは海上を埋め立てするのですから、いまこれから当面滑走路二本、横風用一本で建設しようとする、埋め立て面積からしたってたいへんなものだけれども、第三空港をそれにさらに継ぎ足しをやって、あるいはいずれか別の地点において建設するということになってくると、これまたもう一つたいへんな問題が私はあるだろうと思うのです。いまのICAOからしても、最終的な空港全体の規模を示すべきだという点からしたって、この点はまだはっきりと示されていないわけでしょう。しかもこれは、最大の欠落は、全体の規模において初めて環境アセスメントというのはできるわけですが、環境影響というのは、はたしてどういうことになるかというのも、その時点で初めてできる問題だと私は思うのです。いまはそういうことからすると、何にもできないことですよ、そういう問題一切。にもかかわらず、説明を開始されようとなさる。
 私は、ほんとうにこれくらい住民をばかにしたことはないと思うのであります。そういうことからすれば、いいかげんにしていただきたいと私は思いますよ。しかもなおかつ、そら頼みをして、大阪国際空港周辺の住民は、新空港ができさえすれば、ここはなくなると信じて疑わない方々が――これは純真な住民です。その方々に対して一体どういう御説明をなさろうというのですか。そういう点からすると、こんなまやかしさあったものではない。
 お尋ねいたしますが、今回出ている建議書の中身を見たって、はっきり書いてあるとおりであります。「関西国際空港の建設について関係省庁間の連絡調整を十分に行い、政府一体としてこれにあたる体制をとるよう措置すること。」これは運輸大臣がなさらなければならないわけでありますが、現にこの答申に対しては環境庁、水産庁、気象庁は態度保留をなっておるのです。私は運輸大臣にお尋ねをする前に、ここに環境庁いられます。環境庁がなぜ保留になすったかということを、もう一度ここでしっかり、はっきりお伺いしたいと思う。なぜ保留になすったか、その理由をひとつ明確にお答えいただきたい。
#172
○小幡説明員 お答えいたします。
 環境庁といたしましては、これまでに航空審議会に提出されました環境影響評価に関する資料では、泉州沖を適地とすること及び空港の規模を答申案のとおりとすることにつきまして、環境保全上その可否を判断するためには十分なものではないというように考えましたので、同答申案に対しましては、意見を保留することにしたわけでございます。
#173
○土井委員 そして保留なすって、環境庁としては、それに続いてどういう措置をこの問題に対して講じようとなさってますか。
#174
○小幡説明員 お答えいたします。
 環境庁といたしましては、今後運輸省がこの答申を受けまして同空港の建設計画の策定を進めるといたしますれば、その段階で、たとえば公有水面埋立法に基づく瀬戸内海の埋め立て協議といったような段階を通じまして、環境影響評価に必要と考えられます資料の提出を求めて、その可否を検討していきたいというように考えております。
#175
○土井委員 資料の提出をお求めになるのにも、具体的に最終空港の建設計画というものは、こういうものであるということがはっきりしていないと、資料も何も出せたものじゃなかろうと思うのであります。いま空港については、あらましこういうことで臨みたいというところが答申の中身に出ておりますけれども、それとて最終的に空港全体の規模を示したものではないわけでしょう。まぼろしですよ。それに従って環境庁から、幾ら資料を要求なすっても、私は出せたものではなかろうと思う。これは、こんないいかげんなことでは、しょうがないのです。こういう問題について、住民に対しての御説明は一体どういうふうになさいますか。まず建議書について、いまの状態のままでは各省庁が一致してこれは守ることができない。国では一本の姿勢で、この空港建設に臨むということはできかねますね。大臣、どういうふうにお考えになりますか。
#176
○徳永国務大臣 これだけの大計画でございますから、海上にこういう空港を建設するということも、世界的にも初めてぐらいの大規模な画期的なものでございますから、いろいろな困難や、あるいはまた今日まで二年十カ月にわたって御審議をいただきましたけれども、それは騒音その他いろいろな角度から、世界各国の事情、いろんな面から検討して、大体泉南沖にこういう空港をつくったならば適当であろうという答申をちょうだいしたわけでございます。したがいまして、これから持っていくことにつきましては、そう簡単なものでないということは、私どもも十二分に承知しております。したがいまして、この一応の答申をちょうだいいたしました、これを骨子にいたしまして、いまから――先ほども御説明申し上げましたように、地元の皆さん方が関西に一つの国際空港が必要だと、そうするならば、いまの伊丹空港、この欠陥空港、騒音に悩んでいらっしゃる皆さん方の問題等も含めて新しい空港をつくるならば、騒音等におきましても、公害等におきましても、十分これが配慮されるという御納得、御理解をいだだきましたならば、その上で海象あるいは地象、気象、そういうような面を十分調査いたしまして、そこで各省庁とも十分緊密な連絡の上に進めてまいりたいと思います。
 したがいまして、私はいまここで早急にあしたからでもというようなことは申し上げません。あくまでもそういう一つのプランに従って、まず地元の皆さん方の理解を得なければならないことが一つであると思います。そういうようなところから、今日まで成田空港にいたしましてもいろいろな問題を起こしてまいりました。また、きびしい御指摘を受けていることも承知しております。そういう轍を再び踏まないような万全の策を講じつつ一歩一歩進めてまいりたい、かように考える次第でございます。
#177
○土井委員 諸外国の例もひとつ参考にしながらということをおっしゃいましたが、肝心かなめは、わが日本の事情であります。諸外国の例とおっしゃるのなら、近い一つの参考資料はあることはある。それはどういう参考資料かと申し上げれば、ニューヨーク港外に埋め立て空港を建設しようとして、しかし、その計画はさたやみになりました。かなり具体的に計画を組んで、具体的に着工するまでいっていたけれども、それがとりやめになったんです。なぜか、これはやはり航空機の騒音や排気ガスの問題はもとより、あのニューヨーク港外に埋め立てで空港を建設することが、あの海域に及ぼす影響が絶大だと考えたから、やめたんですよ。諸外国のいろいろな事例を参考にしなければならない参考の一つに、それがございます。
 しかし、忘れられてならないのは、わが国の事情でございまして、特にあの海域は、大臣御承知のとおり、瀬戸内海環境保全臨時措置法の対象になっている海域なんです。この五月に、瀬戸内海環境保全審議会では、埋め立てに対してきびしい規制を行なうというはっきりした姿勢を出しています。特に泉南沖は、泉南沖のみならず大阪湾、さらには播磨灘、ずっと一帯瀬戸内海に及ぼす影響が大きいということを大臣御自身もよく御承知のとおりであります。その場所で、最終的にはどれだけの規模の埋め立てになるか、まだはっきりわからない段階でいろいろと御理解もいただき、説明もいたしたいとおっしゃるのが、私はふしぎでならないのです。
 内閣の閣議に対しては、これをすでに御報告になったのでありましょうか。また、いろいろ地元に対する説明資料というものは御準備なすったのでありましょうか。私は、答申を尊重したいとおっしゃる大臣の御態度にも、いろいろな答申の尊重のしかたがあろうと思うのです。答申をそのまま受けて、あいまいなところは、あいまいなままで、計画に対しても、具体的でないところは具体的でないままで、ゴリ押しをする尊重のしかたもあれば、もう一度これは基本的に考え直さなければならないという尊重のしかたもあろうと思うのですよ。しかし、後者の立場をとるならば、報告にしたって説明にしたって、これは時間をかけなければなりません。スピーディーにやることがベストとは絶対いえない。むしろ、こういう問題に対して忘れられてならないのは、いまの大阪国際空港を見た限りでもはっきりわかるように、環境保全であります。いかに環境を破壊しないか、いかに地方の住民の生活や健康を守っていくか、このことでございましょう。
 ところが、今回のこの答申の中身を見た場合に、その点が欠落しているのですよ。だから、環境庁は態度保留ということになっているのです。水産坊もそうであります。気象庁もそうであります。住民の立場からすれば、最も近くに建設される予定になるという住民の立場からすれば、空港が建設されて、経済的効率がどうのこうの、経済的発展がどうのこうの、空港の利用がどうのこうのよりも、気にかかるのは、やっぱりいま申し上げた環境保全の問題であり、健康の問題であり、生活の問題じゃないでしょうか。そういうことからすれば、自分たちの一番考えている、気にかかる、そういう中身を代弁してくれるはずの環境庁や水産庁や気象庁というのが態度を保留にしている答申ですよ。したがって、経済的効率や、経済圏の近くに空港は建設しなければならないという、そういう側面でだけこの問題を理解し、また建設計画を進められるということに対しては認めるわけには亀かないわけであります。
 したがいまして、先ほど申し上げた建議書のまず筆頭に書いてある、各省庁連絡を密にして、政府として一本になって、この空港建設には当たらなければならないという点については、いま申し上げたことからすると、むしろ順序が逆なような答申であります。経済的効率であるとか、いかにこれから空港の需要というものが問題にされるかということが非常に前面に出て、大切に考えられなければならないその問題が影をひそめている。このことがはっきり納得されない限りは、運輸大臣、だめなんですよ。したがいまして、この答申を尊重なさるという尊重のしかたについて、運輸大臣はどういう姿勢で臨まれるのか、ひとつはっきり御答弁願います。
#178
○徳永国務大臣 先生の御説に全く同感の面もございます。あるいはまた同感しがたい面もあるわけでございます。住民の環境を保全し、あるいは生活を守る、それが再びこわされるような空港であってはならぬということにつきましては、私は全く同感でございます。そのとおりであると思います。
 ただ、いま政府一体になって、まず進めろというお話でございますが、一応その答申をちょうだいいたしましたから、こういうことでちょうだいしたということを地元の皆さん方にも御理解をいただいた上で、それと並行して、あるいは埋め立てのこういうところにこういう道路をつけ、あるいは埋め立ての方法もいろいろあるようでございます。でございますから、そういうようなものをひとつ調査して進めつつ、政府の、あるいは環境庁でございますとか水産庁、漁業の補償の問題もございますし、いろいろこれからむずかしい問題が出てくると思います。そういうような問題を並行してお話ししつつ、一応の計画というものをまず立てなければならぬと思います。計画なしにこのプランで、ああでもないこうでもないと言い合っておったって、これはいつまでたったって結論がつくものじゃないと思います。御批判をいただくだけの調査資料をやはり持って、それで不適当であるということになれば、これはまた考え直さなければいかぬ時期が来るかもわかりませんけれども、一応調査を進め、そういうような万般の準備を遂行しつつ、各方面との十分な意見の調整、理解の度を深めてまいりたい、こういうことが、私が答申を尊重するという趣旨でございます。
#179
○土井委員 ならば、確認させていただきたいのですが、いまの御答弁の趣旨からすると、計画が出そろったというわけにはいかないというふうに理解させていただいてよろしゅうございますね。
#180
○徳永国務大臣 私の計画と申しましたのは、御答申をいただいたその内容に関する限り、出そろっておるわけでございますが、これから風向きとか、あるいは季節風がどういうふうに吹いてくるものか、あるいは海流というものが、これをつくった場合にどういうふうな変化を来たすものか、あるいはまた地盤というものがどういうふうに工法をもってやるのが適当であるのか、いろいろな天象、地象あるいは気象等の問題をやらなければならぬ、これがいまから進めなければならないいわゆる計画でございます。
 大阪府知事もマスタープランをまず示せというようなことを、新聞だけでございますけれども、そういうような御発言があっておるようでございますが、いろいろそういうようなお考えをも十分お話し合いを進めつつ遺憾のないような進め方をしてまいりたい、誠意ある理解を求めつつまいりたい、こういうことでございます。
#181
○土井委員 きょう御質問させていただいてはっきりしたことは、マスタープランがまだないということであります。これは新空港建設の暁には、大阪空港がなくなるという確証もない。新空港建設について航空機の需要見通しは全くない。また現に考えられている新空港の候補地別の空港能力からして、泉南沖の場合については、現にある大阪空港を考えた場合に、同じかあるいはそれを下回るような発着陸の能力が考えられている。したがって、これを建設の暁に大阪空港を撤去するということは、おそらく事実上不可能であろう。これだけはいえる。そうなってくると、大阪空港がどうしても廃止されなければならないという住民要求に従って考えられるのは、やはり空港拡張の問題がさらに出てくるのでありましょう。
 そこで、先ほど私は数値を示してお尋ねしたわけでありますけれども、最終的な空港全体の規模をまだお示しになっていないということからして、これは先ほどおっしゃった気象条件の問題であるとか海流の問題であるとか含めての環境アセスメントが何ら資料に従ってできない状況に、いまあるということにならざるを得ないわけであります。
 環境庁長官、ひとつ最後に私はだめ押しをしておきたいのですが、きょう午前中に北海道の苫小牧の東部開発計画について――あれはいままでにない日本の大開発計画です。すでにこれに対しては許可がおりて、着工になっている。しかもなおかつ、環境アセスメントの点からすると、あとで思わしくない点がぼろぼろ出てきた、環境基準に合わないことがぼろぼろ出てきた。自治体も具体的な資料を提示すべきであるにもかかわらず、それを提示しなかったといういきさつも中にはあるわけであります。そうしてきょう、あの開発計画については考え直さなければならないという趣旨の御答弁が出た。やってしまってから、あとじゃおそいんですね。したがって、やる以前の環境アセスメントがいかに大事かということは非常にはっきりしているわけであります。
 こういう国の建設計画、開発計画についての環境アセスメントは、環境庁の仕事であります。したがいまして、環境庁長官とされましては、今回の新空港建設の答申に対して、いま保留という態度で臨んでいらっしゃるわけでありますが、今後どういう見通しを持ってこの問題に対しては当たろうとなすっていらっしゃるか、そこのところをひとつお聞かせいただきたいと思います。
#182
○毛利国務大臣 運輸大臣の発言並びに答弁に対して御協力はやぶさかでありませんが、前提条件として、環境庁としてはアセスメントに必要な資料を要請いたしまして、それの十分な検討の上で可否をきめたいということであります。
#183
○土井委員 そこで、再度運輸大臣にお伺いをして、私はこの問題についての第一回目の質問を終えたいと思うのです。これから続々やりますよ。
 いま環境庁長官から、環境アセスメントに対しての項目をはっきり示して、それに対しての資料が提示されてから、ひとつ考えてみたいというふうな御発言がございました。まだそれに対しては資料が提示されていないわけですね。この資料の提示があり、環境庁として環境アセスメントの結果、好ましいか好ましくないかというふうなことをはっきりとお示しになり、それに対して、一応の計画の中身に対して、これならいけるということがあって、初めて計画に対して策定されたということになるのじゃないでしょうか。したがいまして運輸大臣とされては、環境庁の環境アセスメントの項目に従って、まず運輸省としての見解を明確に資料として提示なさること、それに対しての結論が出ない限りは、これは計画策定が具体的になっているとはお考えにならないこと、このことをひとつ確認したいのですが、いかがですか。
#184
○徳永国務大臣 いま答申をちょうだいしたばかりでございまして、それまでに飛行機を飛ばしたり、いろいろな騒音の一応の調査等はやっておられるようでございますけれども、まだどこに橋をかけるとか、どういうふうな埋め立てにするのか、あるいはそれをやったために潮流はどうなるかというような具体的なものについては、この答申の中には実は出てきてないわけであります。そういうようなものをいまから先調査いたしまして、繰り返して申し上げておりますが、そういうものを調査した上で、それと並行して、一体この環境の事前評価というものがどうなるかというようなことも相談しつつ参らなければならぬ問題だと思います。
 政府の中で環境庁と運輸省がいがみ合っておって、こういう大問題が推進するわけがございません。したかいまして、私どもは万般の配慮をいたしまして、しかも前にも申し上げましたように、地元の公共団体の皆さん方の理解もいただきつつ、そういうような問題を、これから進めていこう、こういうことでございますから、そのように御理解いただきたいと思います。
#185
○土井委員 そのできる時点では、もはや自分は運輸大臣ではなかろうというふうなお考えで、この問題にお臨みになるのは、私はまっぴらごめんだと思うのであります。あの運輸大臣当時に、この問題に対してこれだけはっきりしたことが、またしっかりしたことが遂行されたという運輸大臣であっていただきたいと私は非常に期待をするものでありますから、こういうことを申し上げるのです。
 最初のほうの質問に対しての御答弁は、どうも現にある大阪空港に対しての廃止というものは、おぼつかなくなってまいりました。と申しますのも、いまの新しくつくろうというふうにお考えになっております新空港に対しての、最終的な空港全体の規模がわからないからであります。これははっきりなさらないと、答申の中身をさらに具体的に移していくのは、これからだとおっしゃる答申の中身を認識することにならないと私は思うのですよ。
 いまのようなままでいろいろな説明をなすっても、おそらく住民側は納得できないでしょう。私もこれは納得できません。ひとつそういう点から、時間をかけて、答申の中身について具体的に一つ一つ、たとえば大阪空港は、この空港をつくっても存続せざるを得ないのだったら、存続せざるを得ないと、はっきりおっしゃっていただきたいのです。そこのところをまやかしで、大阪空港の廃止も含めて考えるというようなことを言われたら、一番ばかにされておるのは、私は住民だと思うのです。存続せざるを得なかったら、得ないというふうにはっきりおっしゃって、新空港については、しかし必要だということなら、なぜ必要か、この規模が必要だ、それはこういう理由で必要だというようなことをはっきりお示し願うのが、私は順序だと思うのです。
 また大阪空港廃止で、それを前提として、つくるならつくるで、だから、こういう空港が必要だと初めてなるのじゃありませんか。その点があいまいだから、最終的な全体的な規模をこの新空港に対して示すことがいまだできない、第三空港もあり得るというようなまやかしみたいなことを言わなければならないし、第二空港として考えていらっしゃる空港の規模の中身についても、これは航空機需要というものをはかることが、いまだかつてできないままにやっていらっしゃるために、非常にあいまいとした点が残されているわけであります。私は、だから今回の答申を見まして、ほかにもたくさん問題点があります。けれども基本的に、この点はどうしても、きょうはお伺いをしなければならない第一問として、お伺いをしなければならないと思います。運輸大臣、ひとつ時間をかけて、この問題については、答申に対しての再検討をひとつお願いしたいと思います。再検討、それが答申を尊重なさるゆえんだろうと私は思う。いかがですか。
#186
○徳永国務大臣 いまの空港は存続するなら存続するというふうにはっきり言えというようなお話しでございますが、私どもは、先ほど来申し上げておりますように、廃止することもあるぞ、廃止されても、新しい空港でこれを受け入れるだけの規模と考えの上にひとつ答申をしようというふうに受け取っております。これは総会における委員長の報告でもそうございましたから間違いないと思います。
 したがいまして、私どもはその存続につきましては、たびたび申しておりますように、これから先七年なり十年なりかかることでございますから、十分そういうようなものを配慮しつつ、その時点でひとつ地元の公共団体の皆さん方の御意見を十分拝聴して、そこできめていこうということでございます。
 何か羽田空港と成田空港のような関係でものを考えがちでございますけれども、そういうことじゃございません。あるいは調布に飛行場がございますが、そういうような形でひとつ残したらどうだという地元の御意見が出るかもわかりません、あるいは御理解がいただけるかもわかりません。そういうようなことは、その時点でひとつ考えてみようじゃございませんか、そこで十分御意見を尊重しまして、きめましょうということでございますから、どうかこれは、あくまでも存続するというのを基本的な態度で持っている、そういう態度を持っておったならば、航空局長の通達なんて、そんな中途はんぱな、よけいなことはしなかったはずでございます。この辺はひとつ、どうか御理解をいただきたいと思います。
 なお、答申の再検討をしろということにつきましては、答申の内容は十分今後検討してまいりますけれども、さらに、これをあらためて諮問し直して再検討するというような考えは、いまのところ持っておりません。
#187
○土井委員 時間が来ましたから、この問題に対してもう一つ追及をしていきたい気持ちは山ほどあるわけでありますが、ひとつ二回目の質問にそれはゆだねていきたいと思います。
 それで、もう時間が来たので私はやめたいのですが、もうあと一問だけ委員長お許し願えませんか。せっかく厚生省と農林省が来られているわけですから、一問だけ。
#188
○角屋委員長 五分の範囲内でお願いいたします。
#189
○土井委員 はい、わかりました。五分という許可が出ましたから……。
 実はAF2について、発ガン性が国立衛生試験所で動物実験の結果実証されまして、その上で厚生省は今回、これを使用することと、それから製造することと、もちろん販売することに対しての全面禁止を、この月のうちにきめる御予定でおありになるようですが、これをひとつ確認をしたいと思うのです。
#190
○宮沢説明員 お答えいたします。
 AF2につきましては、以前から問題になっておりまして、調査会のほうで再検討しておったわけでございますが、私どもの再評価の一環としてAF2の毒性試験を国立衛生試験所で実施してきておったわけでございます。つい最近、死亡した動物から、そういった発ガンを疑わしめる事実も出てまいりましたので、急いでガン学者が集まって、現在いろいろ討議をしておるところでございますが、一方WHO、これはこういった添加物の専門家の集まっているところで一つの原則をきめておりまして、発ガン性を疑わしめるような、そういう添加物であればこれは使用はしないというような考え方に立っております。ですから私どもは、そういった討議を待ちまして、そういう疑わしいというようなものについて答申がいただければ、それに沿った措置を早急にとっていきたい、こういうふうに考えております。
#191
○角屋委員長 土井君、同僚委員の質問の関連もありますから、あと一問で……。
#192
○土井委員 はい、わかりました。
 発売を禁止されたり製造を禁止されたりしましても、もう市場に出回ってしまっている、いろいろな食品に使用されているわけでしょう。この市場に出回っている食品については、おとうふだけじゃありません、これはソーセージ、ハムのたぐいにも使用されているわけでありますが、品目をひとつはっきりと出していただくことが一つと、それからもう一つ申し上げたいのは、これは、AF2もニトロフラン系の抗菌剤の一つであります。いまそのニトロフラン系の抗菌剤については、AF2のみならず十種類くらいが厚生省のほうで合成殺菌剤として認可をされているわけですね。その中には鶏とか豚の飼料にニトロフラン系のものが使われているという事実が、もうすでにございます。
 農林省とされましては、これまでの野放し状態から、特に今度は採卵鶏は生育段階だけ、ブロイラー、豚は出荷前の五日までの使用を認める、それ以外は認めないというふうな部分制限を設けられるようでありますが、今回のこの発ガン性の実証ということに従いまして考えてまいりますと、ニトロフラン系のこういう飼料というふうなものを使うということは、好ましくないことだけははっきりしているのです。全面禁止をするというお考えがおありにならないのか、ひとつこのことを、あと一問の一問としてお尋ねしたいのです。いかがですか。
#193
○金田説明員 お答えします。
 七月の十一日から、先生のおっしゃったように、採卵鶏につきましては全面禁止、その他につきましては出荷前五日間、これを限って認めるというふうにしておりますが、そういう新しい事実が出ましたので、今後さらに検討してまいりたいと思います。
#194
○土井委員 さらに検討とおっしゃるのは、全面禁止ということに対しておやりになるわけですか。これは、厚生省のいままでの態度を見ておりますと、AF2の取り扱いについても、実にそれはあと追いもいいところであります。率直に認めなければならないことに対しても、資料を外部に公開しなかったり、はっきりお認めにならないということが次々進んで、こういうふうな非常におくれた措置ということになっておるわけです。
 今回農林省とされては、部分的な禁止ということに踏み切られていることは、私、重々承知しておりますが、私がいま言っているのは、全面禁止の問題をどういうふうに考えられるか。
#195
○金田説明員 これは、新しい事実が発生しましたので、学識経験者の御意見を聞きまして再検討したいと思います。
#196
○土井委員 何べん聞いても同じことですから、全面禁止について御用意があるというふうに理解をさせていただいて、質問を終わります。
#197
○角屋委員長 木下元二君。
#198
○木下委員 まず、公害健康被害補償法の問題について伺いたいのですが、この法律が九月から施行されます。そのために、地域指定に必要な基礎調査が進められておるわけでありますが、その地域指定は、従前の認定地域とともに新たな地域について行なうという方針で進められてきました。尼崎について申しますと、この九月の新法施行に間に合うように、新たに地域を大幅に拡大されるということで進められておりまして、住民のほうも期待が大きいわけであります。ところが、急にその拡大がおくれる、間に合わないというふうなことが起こりまして、心配をしておるわけでありますが、どのくらいおくれるか、時期的なことを伺いたいと思います。
  〔委員長退席、島本委員長代理着席〕
#199
○橋本説明員 いま先生の御質問のございました公害健康被害補償法によります指定地域の拡大の問題でございますが、四十八年度の予算におきまして、先生のおっしゃいました尼崎市も含めまして、全国七地域において調査を完了いたしております。ただ、これを地域指定をするというためには、地域指定の要件等を定めなければなりませんが、私ども正直に申しまして、九月一日に公害健康被害補償法を何とかして実施をするということに従来全力を注ぎましたので、中央公害対策審議会には地域指定の問題についても諮問はいたしておりますが、まだその審議にまでは至っておりません。
 現在の予定では、大体九月一日に法律が動き出したならば、すぐさま中央公害対策審議会におきまして地域指定の要件ということについて御検討を始めていただき、十月中には昨年実施いたしました七つの地域につきましての、その地域指定につきまして具体的な最終的な結論を得たいというふうに思っておりますので、十一月からは地域指定を行ない、公害健康被害補償法を適用し得るというようなぐあいに進めたいと思っております。
#200
○木下委員 これは住民のほうの期待も大きいがけに、何とかひとつこういう遅延がないように、十一月からということでありますが、それまでおくれますことは、はなはだ遺憾であります。一日も早く新しい地域の指定が行なわれますように、特に要請をいたしておきます。よろしいですか。
#201
○橋本説明員 いま先生の御指摘のとおり、私ども十一月からおくれず発足いたすよういたす所存でございます。
#202
○木下委員 もう一つ関連して伺っておきますが、四十九年度分としまして地域指定のための調査を行なっておるのかいないのか。行なっていないとすれば、いつごろの予定であるのか。そして対象地域の予定はどうなっておるか。簡単でけっこうです。
  〔島本委員長代理退席、委員長着席〕
#203
○橋本説明員 四十九年度におきましては、十五地域を地域指定をするというための予算をとっておりまして、この秋にできるだけ早い時期に指定地域の調査をするところを決定いたしたいというように思っております。
#204
○木下委員 岡山県の水島地域について、ぜひとも調査を進めていただきたいと思うのです。大気汚染が非常に広く進んでおります。気管支系の疾患の患者もずいぶんおりまして苦しんでおります。本来からいいますと、これはもう四十八年度関係として調査が行なわれてしかるべきものだと私は思うのであります。これは要請をいたしておきますが、ぜひとも予定地域に含めていただいて調査をしていただくようにお願いいたしたいと思います。いかがですか。
#205
○橋本説明員 いま先生から御指摘のありました岡山県の倉敷につきましては県、市、住民よりも非常に要望があり、私どももこれはぜひ本年度の地域指定を調査の対象にすべきだというぐあいに現在考えておりますので、なるべく秋早くからこれを手がけるように努力をいたしたい、このように思っております。
#206
○木下委員 それでは次の問題に移りますが、大阪国際空港の問題であります。
 まず周辺整備事業の問題です。これは現に進捗をいたしておるところでありますが、騒音公害に悩む住民の救済という点では決して十分なものではありません。はっきり申しまして、はなはだ不十分であります。
 先般の航空機騒音障害防止法改正の際に、私運輸委員会で質問をいたしまして、運輸大臣にも要望もし、また質問もいたしたわけでありますが、たとえば民家の防音工事も、一室だけから家屋全体を対象にするように拡大をしていくということで検討を願う、また診療所も五ベッド以下のものについては対象にされないということでありましたが、これもこうした病人の治療をしておるところでありますから、ベッドの数によって格差を設けるのは不合理であるということで、五ベット以下のものも対象にしていただくことを検討を願う、移転補償につきましても損害賠償的なものを上のせすることを前向きで検討を願う、こういったことを要請いたしまして、大臣のほうも前向きでひとつ検討をするという答弁をいただきました。
 これがどう実現するか期待をしておるところでありますが、五十年度予算編成の時期でもありますので、住民の救済、補償を一そう厚くするという立場で、これはぜひとも積極的に臨んでいただきたいと思うのです。いかがでしょうか。
#207
○徳永国務大臣 いま具体的な例をおあげになりました、防音工事あるいは損害賠償の思想を入れて移転補償、それから五ベッド以下の病院等についての補助の問題でございますが、これはいずれも大切な問題だと思います。ただ、いま先生御指摘のございました民家の防音、全家屋をというわけには、なかなか一挙にはまいらぬと思います。まいらぬと思いますが、いまの現状に私どもは甘んずるものではございません。これはこの予算編成を通じまして一歩でも二歩でも前進さしたいと思って、具体的なことをいまここで内容を申し上げまして――まだ折衝の段階でございますから、前進さしていきたいと思います。
 それから移転補償に、損害賠償というものをその中に入れるかどうかということにつきましては、法律的ないろいろな問題もあるようでございまして、これはいま直ちにここでどうこうというお答えができぬのは残念でございますが、私のほうといたしましては、何とかくふうはないものかということで、いろいろいま折衝をやっておる最中でございます。
 なお、五名以下の小病院、これの補助の問題でございますが、これはおのずから優先順位もございますし、何もやらないというわけじゃございません。ございませんが、五十年度にここまで手がつけられるかどうかということにつきましては、いま直ちにむずかしい問題もあると思います。しかし将来の問題としては、私は考えていかなければならぬ問題だ、かように考えております。
#208
○木下委員 けっこうです。いまの御答弁が、住民のほうにより厚く具体化されますことを強く期待いたしまして、次の問題に移ります。
 大阪空港の騒音コンターの問題ですが、空港周辺十一市の騒音対策協議会、十一市協と申しております、これの測定した騒音コンターと、それから運輸省が航空機騒音防止協会に委託してつくりました騒音コンターとの間に大きなギャップがあります。この運輸省のコンターは、十一市協のコンターと比較いたしますと、被害地域がはるかに狭い地域になっておるのです。もうここで具体的には私申しませんが、この前に指摘をいたしました。この問題は、大阪国際空港周辺整備計画の区域指定の線引きをどうきめるかという重大な問題であります。運輸省は環境庁にも入ってもらって早急に調整をすると答弁をしておきながら、今日に至るも、いまだに調整作業が進められておりません。これはどうしてでしょうか。
#209
○中村説明員 先生御指摘の両方の騒音コンターの相違につきましては前国会でも、できるだけ早く再調査をするというお約束をしておるわけでございまして、現在まだその実施に取りかかっていないということにつきましては、私ども非常に残念に思っており、申しわけないと思っております。
 実は御承知のように周辺整備機構、これが四月に発足したわけでございますけれども、現在までその事業の実施の準備にいろいろ全力をあげておりましたので、おくれたわけでございますけれども、目下地元の府県並びに関係市とは、この秋十月ごろには実施したいということでいろいろ相談をいたしておりますので、これはもちろん環境庁にもお入りいただきたいというふうに思っております。実施細目を検討いたしまして十月には実施したい、こういうふうに考えております。
#210
○木下委員 この問題はすでにこの前の国会、五月十七日の公特委におきまして私が質問をいたしまして、運輸省のほうが答弁されておりますが、「ただいまおくれておりますのは、一つは、この調整をいたしますのに相当大がかりな調査をいたさなければなりません。その調査費がこれは予算的に認められておりますので、これの支出方について財政当局とも詰めておりますが、間もなくこの調整も終わりますので、終わり次第、この調整を開始いたします。もうすでに方法につきましては、その原案ができております。」こう答えておられる。
 そして私がさらに具体的な時期についてお尋ねいたしますと、「実際の騒音調査を、できれば今月の末から六月中には何とか行ないたいというふうに考えております。」こう答弁しておられる。これがまだやられていない。この前の答弁で言われた調査費の支出についての財政当局との詰めば終わったのでしょうか。
#211
○隅説明員 五月の十七日だったと思いますけれども、前の国会で先生から、現大阪国際空港の騒音コンターと大阪国際空港騒音対策協議会のコンターのズレがある、その再調査について、私がお答えいたしましたのは、そのとおりでございます。ここにそのお約束をいたしまして、六月中には何とかいたしたいと言いながら実行に移れなかったことについては深くおわびをいたします。
 なお財政当局との話は、あれから精力的にいたしまして、財政当局での調査費の支出については完全に了解、認可をとってございます。
 それから実施主体につきましても、お答えをいたしました。地元地方公共団体と十分御相談の上、厳正な立場で調査をする。それから調査の方法につきましても、全数調査かあるいは抽出調査か、それから調査地点についての詰めも進んでおります。先ほど局長が答弁いたしましたように、実は大阪国際空港周辺整備機構の発足に伴いまして、非常に事務がおくれたことを深くおわびいたします。
#212
○木下委員 そのおくれた原因については、もう時間の関係でこれ以上聞きませんが、私は委員会で答弁したことについては責任を持ってもらいたいと思うのです。思いつきで答弁をして、あとは知らぬでは困ると思うのですよ。特にここでの質疑につきましては、地元関係者、住民らは注意深く見守っております。ここではっきりこうすると具体的に言われて、それをやらないということでは、これは困ると思います。もうそういうことでは、運輸省自身の権威と信用を失墜する。そればかりではありません。国会の権威を傷つけることになると思うのです。こういうことが、もう二度とないように重々要請をいたします。どうですか。
#213
○徳永国務大臣 お説のとおりでございます。今後そういうことの再びないように厳重に注意いたしまして、またそういう実施にあたりましては綿密な事前の連絡を明確にいたしまして、いま御趣旨の点におこたえいたしたい、かように考えます。お許しいただきたいと思います。
#214
○木下委員 次の問題ですが、大阪空港をめぐる田中発言問題であります。
 去る六月十八日に参議院選挙の遊説に関西に行きました田中首相は、現大阪空港は関西新空港が開港しても簡単に撤去できない旨の発言をいたしました。あるいは二空港必要論なるものを唱えました。これでたいへんな物議をかもしたのであります。静かな空を取り戻したい、そのために将来の空港撤去をと悲願のように願ってきた住民は、裏切られた、こう言ってかんかんにおこっております。空港撤去宣言を行ないました伊丹市はじめ周辺自治体も、上を下への大騒ぎであります。一体どうなっているのかということで、自治体や住民団体などが首相官邸や運輸省等に続々やってきまして抗議や求釈明を行なったところであります。
 こうした事態を招きましたのは、田中発言がこれまでに示されておりました政府側の方針と大きなギャップがあったからであります。つまり運輸省なり環境庁の出してきました方針と大きな食い違いがあったからであります。この点については異論がないと思うのでありますが、念のためにどう認識をされておるか、まず環境庁と運輸省に一言伺いたいと思います。質問だけにお答えいただきたいと思います。
#215
○毛利国務大臣 総理の発言については、十分熟知してないので、それが事実であれば注意をするというよりも――事実を確かめてみたいと思います。
#216
○徳永国務大臣 総理が関西でいま物議をかもしたような発言をしたということは新聞で承知したわけでございますが、私も総理に、どういうことを言ったかという詳細な点については問い詰めておりませんけれども、いままでの運輸省がとってまいりました見解に全く相違はない。また、今度出ました答申を尊重してまいるということについても何ら変わりはございません。このことは明確にいたしておきたいと思います。
#217
○木下委員 質問の趣旨にお答えいただきたいのですがね。私がまず伺っておりますのは、運輸省で申しますと、関西新空港の開港時点に伊丹空港の撤去も含めて可及的すみやかに検討する、こういう公式見解が昨年七月以来出ておりますね。それからまた環境庁も、将来新空港が供用された時点においても、なお環境基準が達成されない場合は、廃止も含めて空港問題を根本的に再検討する、こう言ってきたのです。
 この運輸省と環境庁の方針自体は、きわめて問題を含み、私は支持しがたい点もあるわけでありますが、その点はさておきまして、少なくともこの運輸省と環境庁の方針と田中発言というのは相反する、ギャップがある、このことはお認めになるかどうかと伺っているのです。ギャップがあるからこそ大騒ぎになったと思うのですが、いかがですか。運輸大臣と環境庁長官にまず一言でけっこうですから、お認めになるかならぬか。
#218
○徳永国務大臣 新聞の報道を拝見しただけでございまして、それが速記録あるいは録音にとってあるかどうか、その辺も明確に詰めたわけではございませんが、私どもの見解というものは、総理の舌足らずなところは、問題になったとすればあったと思います。あったと思いますが、それは説明不十分な点でございまして、私どもの政府の見解に何ら変わるものはございません。このことは先ほど来申し上げておりますように、明確に申し上げておきます。
#219
○木下委員 そうしますと、運輸省も環境庁も従来の方針に変わりはない、こういうふうに伺ったのですが、念のために、政府のほうといたしましても、そのことに異論がないわけですか。内閣官房副長官に伺います。質問にだけ簡単にお答えいただきたいと思います。
 運輸省、環境庁が方針は不変だとしていることに政府として異論はないかどうか。
#220
○大村説明員 ありません。
#221
○木下委員 そうしますと、この田中発言は撤回されたと理解してよいわけですか。
#222
○大村説明員 参議院選挙中、六月十八日の田中総理の神戸、大阪における発言は、新空港が建設された後の大阪国際空港のあり方については、いろいろの角度から検討していく必要がある旨を述べたものであると考えております。政府としましては、このたびの航空審議会の答申の趣旨を尊重し、当面同空港の周辺整備事業を強力に推し進めつつ、その将来のあり方については関係地方公共団体と今後とも十分協議してまいる所存でございます。
#223
○木下委員 私の質問には答えていないと思うのですが、撤回されたと理解してよろしいでしょうか。
#224
○大村説明員 発言の真意はいま申し上げたとおりでございます。その後答申が出ましたので、その趣旨を尊重してまいる、こういうことです。
#225
○木下委員 この問題の発言ですね。問題の発言は撤回されたのでしょうか。撤回されていないのでしょうか。どっちかだと思うのですが、これはどうですか。
#226
○大村説明員 撤回したかどうかというお話ですが、発言があったことは事実でございます。また、その後答申が出ましたので、答申を尊重しでまいるということも事実でございます。
#227
○木下委員 そうすると、撤回はなかったということですね。そうしますと、その田中発言というのは依然として生きているわけですね。生きている、そうですか。
#228
○大村説明員 答申の趣旨を尊重してまいるということでございます。
#229
○木下委員 答申文そのものが、さっきも議論がありましたけれども、その解釈はいかようにでも解釈できるような内容でありまして、それをどう理解するか、いろいろ問題があると思うのです。その答申については後ほど聞きますが、答申を尊重するとかせぬとかということ以前に、田中首相が発言したこの問題発言、これが一体生きておるのか、あるいは撤回したと理解してよいのか、これは私非常に大事だと思うのです。もし撤回されていないとすれば、首相はこの発言で、大阪空出は残すんだ、そしてこの新空港ができても残して併用して使うんだ、こういう趣旨なんですよ、この発言は。真意がどこにあるのか、その真意をいろいろ探りましても、この発言の客観的な表現自体からは、それ以下のものでも以上のものでもないわけなんです。
 運輸省なり環境庁は、先ほど私確認いたしましたように、これは新空港ができた時点で、開港の時点で撤去を検討する、こういうことなんですね。撤去という方向が出ておる。これはあるいは撤去せぬかもわかりません。しかし、するかもわからない。そういう方向が論理的に出ておる。ところが、田中発言というのは、もう撤去のての字も触れていない。残しておくんだ、この間には大きなギャップがあるのですよ。だから、一体であるべき政府が、こういうことでは困ると思うのです。頭と手足がばらばらでは困りますよ。だから伺っておくのです。運輸省、環境庁は、従来の方針どおりだという。それが政府の方針だとすれば、首相の発言は当然撤回されていなければならない。あるいは、これから撤回されなければならない。当然の論理です。
#230
○大村説明員 答申は、大阪国際空港の廃止を前提として決定さるべきであるというふうにいわれております。それを尊重してまいろうということでございます。
#231
○木下委員 その答申のことを言われますと、後ほど私聞くつもりでおったのですが、廃止すべきだというふうな答申にはなっていないのですよ。廃止をした場合に新空港をこういうふうにつくるんだという答申であって、だから廃止を前提という表現にはなっておりますが、これは廃止しなければならないとか廃止すべきだということではないでしょう。そういうことをきめるのは、むしろ政府であって、これは行政の問題だ、こういう角度で審議会では、ああいう答申を出していると思うのです。だから、答申を尊重するというだけではお答えになっていないと思うのです。
 それとも、その答申の趣旨を、これは廃止の方向を打ち出しているんだ、それを尊重する、こういうふうに理解をされている、したがって、その答申を尊重するという態度表明によって前の発言はなくなったんだ、こういう趣旨で言われておるわけですか。それならそれで理解いたしておきます。
#232
○大村説明員 総理の選挙中の発言は、先ほども申し上げましたように、新しい空港ができた後の現在の大阪空港のあり方については、いろいろな角度から検討しなければいけない、したがって、簡単には廃止できないのじゃないか、そういう趣旨の発言をされたように私ども承知しておるのでございます。
 今回の審議会の答申は、国際空港の廃止を前提とするということを明確に織り込まれております。また、理由を見ましても、その背景には騒音なり公害の点を非常に重視されておりまして、それにかわる機能を、新空港を設けるべきであるというようなくだりもございます。そういった答申の趣旨を全体として尊重してまいろう、そういうことを申し上げたわけでございます。
#233
○木下委員 そうしますと、私、何もこだわりませんが、別に撤回という行為が必要だとかなんとかそういうことを言っているのじゃないですよ。ただ私、問題をはっきりさせたいので、特に念を押して聞いているのですが、答申の趣旨を尊重するという態度をとることによって、前の発言はこれは撤回されたと理解してもらってけっこうだ、こういう趣旨で伺っていいわけですね。そうでないとおかしいですよ。前の発言は発言で生きているんだ、存続していくという、そういうことを言っているわけなんだから、そう言っておきながら、いや撤去を進めるんだ、撤去も考えるということになってきますと相矛盾しますので、ですから、前の選挙中の発言というものはなかったものに考えてもらいたい、こういう趣旨でしょう。そうでなければおかしいと思うのですよ。
#234
○大村説明員 たびたびて恐縮でございますが、前の発言の、いろいろな角度から検討する必要があると言われた発言自身は残っておると私は思うのでございますが、国際空港の廃止の問題は、答申で「前提として、」ということが明確にうたわれておりますので、その点につきましては変化があったというふうにお受け取りくださいましても、その点は差しつかえない、こう申したわけでございます。
#235
○木下委員 これはもう時間が、次の質問ができませんので、この問題ばかり堂々めぐりをしておるわけにいきません。締めくくって申したいのですが、航空審議会の答申が出る直前に、こういう発言がなされましたことはきわめて重大であります。この問題発言の航空審議会の部会審議への影響は避けられないというふうに新聞報道もいたしました。少なくとも、客観的に答申に対する圧力となったことは否定できないと思います。しかも百五十万周辺住民や自治体に大きな混乱と不安を生ぜしめました。この責任を一体どのようにおとりになるのか。私は首相自身がこの周辺住民に対しまして申しわけなかったと一言陳謝をして、これはしかるべきだと思うのですよ。
 そのことはさておくとしましても、少なくとも明確にしていただきたいのは、この問題発言の撤回ということですよ。もうこれは前の発言はないと、答申を尊重するというその趣旨を述べたことによって、前の発言はなかったものと受け取ってもらいたいということを明確にしてもらわないと困ると私は思うのです。前のも生きているんだというようなことを言われますと、前は二空港併用論をはっきり言っているのですよ。しかもついうっかり選挙中に調子に乗って言ったというのではなくて、兵庫県庁と大阪のロイヤルホテルと二カ所ではっきり言っているのですよ。これはまあ、あなたに幾らやりましても、首相本人と違いますので、私はこの問題はもうこれ以上やりません。一応保留いたしまして、次の問題に移りたいと思います。大臣、何かございましたら……。
#236
○徳永国務大臣 担当が私でございますから、総理の発言に私がどうこうと言うわけじゃございませんが、いまおっしゃいましたように、政府全体の意見としましては答申を尊重してまいるということで、総理もいままでにいろんな御発言があって舌足らずなところがあったと思います。そういうような問題はすでになかったというふうに御理解いただいてけっこうでございます。
#237
○木下委員 そうしますと、私がいま申しましたように、撤回されたというふうに受け取っていいということですね。
#238
○徳永国務大臣 撤回ということになりますと、いろいろことばのごろやら何やら、のどにひっかかるものがございまして、それで大村副長官もいろいろと答弁を繰り返しているのだろうと思いますが、要するに、最終的な見解によって、すべてのものが最終的には見解にまとめられたというふうに御理解をいただきたいと思います。
#239
○木下委員 そういうふうに始めから言ってもらいますと、もう質問が簡単に終わるわけです。わかりました。
 航空審議会関西国際空港部会の出しました関西新空港についての答申の問題点について伺いたいと思うのですが、まず、この答申文と答申説明書、この二つをいただきましたが、この答申の基礎になりましたデータは、これはいただいていないのですが、どうなっておるのですか。
#240
○中村説明員 この答申の基礎になりました膨大な資料がございます。これは十六部に分かれておりまして、目下これを整理中でございまして、十月ごろには、これが完成いたしますので、これもすべて公表をして御批判を仰ぎたいというふうに考えております。
#241
○木下委員 私は、この答申とデータはワンセットだと思うのです。一体のものであります。答申文と答申説明書を出される以上は、これは当然基礎データもともに出していただきたいと思うのですよ。そうでなければ、この答申全体を明らかにしたことになりません。答申を出したと言われますけれども、これは完全な答申を出したということにならないですよ、形の上でも。しかも、この審議会の検討に使いました資料の一覧表、これさえ実は私のほうで要求いたしましても、いまだに私の手元によこしてこないのであります。どうも何かまずいものを秘匿しておるのではないか、そういう感じさえ受けるわけであります。これはすぐに明らかにしてもらえますか。
#242
○中村説明員 これは決して隠しておるとかいうことではございません。ただいま申し上げましたように、非常に大部のものでございますので、これにつきまして、もう一度部会におきまして目を通し、整理いたしまして、印刷に付して皆さまにごらんいただく、こういうことでございます。したがいまして、本来であれば答申が出される時点におきまして、そういうものもすべて完成し、印刷されて皆さまにごらんいただくということが、もちろん最善でございますし、またそうすべきであったかもわかりませんけれども、しかしながら、答申が非常に急がれるという事態もございましたし、何ぶんにも膨大なものでございますので、若干時間をずらし、十月ごろになりますけれども一完成して公表したい、こういうふうに考えております。
#243
○木下委員 いまの資料の一覧表、これだけでもすぐに提出願いたい。
#244
○中村説明員 資料の項目の一覧表につきましては、即刻お手元にお届け申し上げます。
#245
○木下委員 ちょうどたとえて申しますと、裁判所の判決でも、理由や判断を示しましても、どういう証拠があるのか、どういう証拠を採用したのか、こういうことを明らかにしないような判決というのは、あり得ないわけですね。ちょうどこれと似ておると私は思うのです、判決ではございませんけれども。その一番肝心な基礎データをお出しにならないで、そうして、その結論と説明書だけを出して判断をしてくれと言われましても、これは判断のしようがほんとうはないと思うのですよ。ですから、これはできるだけ早く明らかにしていただいて、ひとつ答申全体を一日も早く私たちに明らかにするという意味で早く出していただきたい。特に要請いたしておきます。よろしいですか。
#246
○中村説明員 御指摘のように、できるだけ早く完成させまして、公表したいというふうに思っております。
#247
○木下委員 いろいろ聞きたい点があったわけですが、時間の関係で一つだけお尋ねいたしますが、この答申の内容の埋め立て問題であります。
 特に問題は、この埋め立てについていろいろ問題があるわけでありますが、工事中の濁りの発生であるとか、あるいは人工島による潮流の変化であるとかといった点だと思うのです。答申説明書の一九ページ、二〇ページにも出ております。これによりますと、「潮流の基本パターンは変化しないということが判明した。」こういうふうにいわれながら、しかし「部分的に小さな変化はみられる」というふうな表示もあるわけです。部分的な小さな変化であっても、その起こる場所、変化の形態によりましては漁業に大きな影響を与えます。
 濁りの発生につきましても、護岸工事を先行施工するというふうに書かれておりますが、護岸工事自体が濁りを伴うのではないかと思われます。環境庁の瀬戸内海環境保全臨時措置法に基づく埋め立てについての考え方、基本方針といったものも出ておりますので、一体その観点から見て、この泉州沖空港建設、その埋め立ては許されるのかどうか、これが私は問題だと思います。
 あるいはまた大阪湾海底は軟弱な地盤で、一体永久的な空港がつくられるかどうか大きな不安が残ります。特に、この沿岸河川から流れ込んだヘドロ状の粘土層が幾重にも堆積をいたしまして、地盤沈下を招くおそれが強いといわれております。こんなところに千ヘクタールもの人工島、しかも空港をつくって一体安全か、科学的にもはなはだ疑問であります。この埋め立てにつきましての環境庁の考え方を伺いたいと思うのです。
#248
○大場説明員 瀬戸内海環境保全臨時措置法に基づきます埋め立ての問題につきましては、同法に基づく審議会から答申をいただいております。その答申の内容は、簡単に申し上げますれば、瀬戸内海の特殊性にかんがみ、埋め立てというものは厳に抑制する、やむを得ず実施する場合においても瀬戸内海の環境保全上のことをいろいろ考えて、十分なアセスメントをしてから行なえ、それから、ただいま御指摘になりました泉州沖の飛行場予定の場所でございますが、これは瀬戸内海のただいまの答申の中でも、大阪湾奥部ほか六カ所につきましては、特に汚濁負荷量の発生が多いといった工場立地等については、できるだけこれを避けろ、こういった趣旨のことが特に列記されております。
 したがいまして、この関西の新空港の建設に伴う埋め立てにつきましては、環境庁としては厳にそのアセスメントを十分にやって、それが水質等に及ぼす影響というものをよく勘案しながら態度をきめたい。しかしながら、先ほど来答弁申し上げておりますように、まだそのアセスメントに下すべき材料がきわめて不足しておりますので、それをいま運輸省当局にお願いしている最中でございます。
#249
○木下委員 環境庁としては、この埋め立ての基本方針に沿ったアセスメントがやられていないから、態度保留だということのようでありますが、しかし、そうしたアセスメントがやられていない埋め立てというのは、これは認めないということだと思うのです。そうしますと、態度保留ということでなくて、これはむしろはっきり反対という反対の線を打ち出すべきではないか、こう思うのですが、いかがでしょうか、環境庁。
#250
○小幡説明員 お答えいたします。
 審議会の過程におきまして、環境庁といたしましては、環境事前評価の資料が十分でないと判断されましたので、この問題につきましては、環境条件以外の航空の利便だとかその他の条件から見まして、泉州沖が適地であるとするならば、そこに焦点をしぼって、さらに環境条件について十分な審査を行なって、その上で適地を決定する、こういった内容の答申であれば賛成であるということも申し上げたのですけれども、審議会の大勢はほぼ原案どおり答申するということに相なった次第でございまして、したがいまして、環境庁といたしましては意見を保留する、こういうことにしたわけでございます。
#251
○木下委員 もしこの埋め立てを十分なアセスメントもしないままに強行をしていくというふうなことになってくると、これは非常に問題だと思うのですが、そういうときには明確に反対の態度をおとりになるわけですか。
#252
○小幡説明員 瀬戸内海の埋め立てにつきましては、この埋め立て規模から見まして、これはその埋め立てを認可する場合には環境庁に協議があることになっております。したがいまして、その時点で十分その可否を判断するに足る資料がなければ、これは埋め立てに同意できない、こういうことに相なるわけでございます。
#253
○木下委員 それからもう一つ、候補地を選定するのに七点の比較項目を設定しまして、それぞれの項目ごとの得点を合計した総得点で決定をするという方法がとられております。この説明書の末尾のほうに出ておるわけでありますが、これについて環境庁は結局棄権をしたということのように聞いております。投票を棄権した、これはなぜでしょうか。理由を簡単でけっこうです。
#254
○小幡説明員 この投票様式によります採点の方法は、環境条件と環境条件以外の幾つかの条件というものを同じレベルで比較する、もちろんそれぞれについて重要度というものを付して、そうして三候補地のそれぞれの条件についての点数づけをして、それを積算して総体的な比較をする、こういうやり方であるわけでございます。しかしながら、環境庁といたしましては他の条件がいかようなものでありましても、環境条件として許容されるべき範囲内におさまらない限りは、総体的にどのような価値づけがされましても、それに従うかけにまいらない、こういうことから、この投票には参加しなかったわけでございます。
#255
○木下委員 この比較項目一項から七項までありますが、たとえばその利用の便利さとか建設あるいは既存権益との調整、こういった項目があります。確かに言われるようにウエートの率は若干違うといたしましても、そうした項目と環境条件、何よりも重視しなければならない環境条件とを同列に置いて採点をするという方法はきわめて問題だ、私もそう思います。そういう角度から、これはこういうふうな投票をすること自体に問題があるということで棄権をされた。それなりに私は理由があろうと思います。環境庁でさえ、そういうふうな態度をおとりになっておるということで、この答申の内容についてはいろいろな問題があるということだと思います。
 時間が来ましたので、私は答申の中身の問題点については、いろいろまた別の機会に質問をいたしますことにしまして、最後に一言だけお尋ねをいたしますが、結局、答申は、関西国際空港は大阪国際空港の廃止を前提とする、こういうふうに明記をされております。いろいろな経過があったようです。しかし、これは結局廃止を前提というのは、少なくとも審議会としては廃止すべきだという考えに立っての論理展開ではなくて、現空港を廃止した場合に、その機能を代替できる新空港というふうな、そういう程度の意味しかなかったのではないか、こう思われるわけです。だからこの答申というのは、廃止を前提というふうにいっておりますけれども、いかにも廃止をするかのような、そういう見せかけがありますけれども、現空港が、新空港がつくられることによって廃止されるべきものという、そういう論理構造にはなっていないということなんですね。
 これは私、明確にしておく必要があると思うのですが、この点運輸省のほうはどう考えられておるのか。
#256
○徳永国務大臣 かねがね繰り返し申し上げておりますように、廃止される可能性もあり得る、そういう場合の受け方と申しますか、そういう立場で答申をいただいている、かように考えております。
#257
○木下委員 結局この答申に廃止を前提とすると明記しましたのは、一つには、この周辺の公害反対闘争が世論の支持を受けまして大きく発展をし、いまやこれを無視することができない、この問題を避けて通ることができなくなったからだと思います。が同時に、廃止を前提とすると表現することによって、だからこそ新空港が必要なのだという、この新空港建設の理由づけにもしておるのですね。
 これは非常に巧妙だと私は思います。だから私は、この審議会の考え方は運輸省の考え方と結局一致をしておる、変わりはないものと思います。運輸省の本音というのは、ともかくも新空港促進が第一だ。撤去というのも新空港促進に利用をする。そのために撤去をちらつかせるという側面が強いと思うのです。これが本音ではないでしょうか。いかがですか。
#258
○徳永国務大臣 どうかそういうように御解釈いただきませんように、すなおにひとつ私どもも答えておりますから、すなおに御理解をいただきたいと思います。
 いまから先何年たちますか、とにかく御協力を得て、御理解を得て、新しい空港をつくらねばならぬということは、これはもう多くの人々の認めているところだと思います。それに従っていまから作業を進め、その時点がいつになるかということは、なるたけ、いまの欠陥空港のあれだけの被害を受けている方々の苦しみをなくさなければいかぬわけでございますから、そしてその時点でひとつ、たとえば災害のためにビーチクラフトが食糧投下に飛び出すとか、あるいは連絡をとるとかというような、せっかくこんな施設があるんだから、そういうものは置いてもいいんじゃないかというようなことになれば、これまたひとつその時点で考えようじゃないかということでございまして、決していまのやつを、羽田空港と成田空港みたいなぐあいに、うまいこと言っておいて最後にかっとやろうなんというような、そういう大それたことは全然考えておりませんから、どうかひとつその点は御理解いただきたいと思います。
#259
○木下委員 なかなか本音は申しにくいところだと思います。
 最後に申しますが、すでに明らかなように、答申は出ましたけれども、問題の山積する答申であります。環境庁ですから態度保留をせざるを得ない。もしもこの答申に沿って建設が進むとすれば、これは環境庁としても同意ができない、反対だということも言われました。私は住民も納得しないと思うのです。住民のほうに対しましては、わずか一回公聴会を開いただけでありまして、住民の意思はなおざりにされております。私どもはこのような答申の結論に賛成できないのであります。もとより大阪国際空港問題の抜本的解決を目ざしまして、公害防止、安全性確保、公開等民主的決定の三原則を堅持して新国際空港の問題を根本的に再検討すべきだ、こういう見地に立っておることを明確にいたしまして、質問を終えたいと思います。
#260
○島本委員長代理 坂口力君。
#261
○坂口委員 公害健康被害補償法がようやく九月一日から正式にスタートすることになったわけでありますが、現在とられております他の社会福祉制度等に比べますと、高い給付水準等も中には見られるわけであります。しかし、問題点もまた多く含まれていますことは、この法律が誕生しますときにもいろいろの話題を呼んだところでありますし、きょうは、それらの点には触れませんけれども、多くの政令の決定によりまして、実際の運用上起ころうとしております幾つかの点につきましてお聞きをしたいと思います。
 まず、その中の遺族補償の面でありますが、たとえば一家の大黒柱が死亡いたしましたときに十年間の年金、それ以外は一時金というようなことにもなっておりますし、また十五歳未満の子供では百八万円を限度とするということになっております。この一家の大黒柱が死亡しましたときに、法第二十九条第三項の、政令で定められるところは、この十年間ということになりますが、これはたとえば子供が小さなとき十年ということになりますと、まだ十七、八歳、これから成長のし盛り、特に教育等で非常に金のかかるような時期にも当たるわけであります。この十年間という期限をつけられた根拠はどこにあるか、まずお聞きをしたい。
#262
○橋本説明員 いま先生の御質問の点は、遺族補償費について十年ときめたのは、一体どういうことであるかということでございますが、まずこの遺族補償費というものにつきましては、これは遺族補償給付基礎月額というものを、これは障害補償費の場合の標準給付基礎月額の場合と同様の考え方をいたしまして、賃金構造基本統計から出てまいりました年齢別、性別の平均賃金というものを基礎にいたしまして、それからその三割は、その方がもしも生きていれば生活費として使うということでその三割を控除して、残る七割ということで、この水準をきめたわけでございます。
 そういう七割の水準というものが、年齢別、性別に定められておるわけでございますが、それを十年間といたしました理由は、通常裁判をした場合に、民事賠償として支払われる額との均衡を考慮して十年ということを大体計算をいたしまして、十年という額にいたした、こういう経緯で十年となったということでございます。
#263
○坂口委員 いまお答えいただいたようないろいろ理由はあるのだろうと思いますが、先ほども申しましたとおり、一家の大黒柱が公害病で倒れるということがありました場合に、たとえば子供が五歳で、その一家の中心であります父親がなくなったような場合、十年先といいますと、子供がまだ十五歳であります。実際に当てはめましたときに、こういうふうな十年という年限のとり方というものが、あまりにも酷な例が多く出ることが予想されるわけであります。
 きょうは時間が少ないので、この問題等多くやっている時間はありませんが、こういう問題を今後さらに検討を続けていただきたいということをお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
#264
○橋本説明員 いま先生の御指摘のございます点につきましては、中央公害対策審議会の今回の政令の基礎となった答申の中でも、その問題点を指摘されております。そこのところを読んでみますと、「なお、受給者が幼児である場合とか高齢者である場合におおむね十年とすることが妥当かどうかについては本制度の補償給付の性格等とも関連するので今後検討を要するものと思われる。」ということでございまして、先生御指摘の問題意識と全く同じ考え方がこの根底にございます。ただ、その事態が起こるのは十年後に起こるものであるということで、今後の検討にゆだねたわけでございます。
#265
○坂口委員 次に、認定の有効期間というのがきめられております。慢性の気管支炎、それから気管支ぜんそく、肺気腫及びこれらの続発症、これは一応三年ということになっておりますし、ぜんそく性気管支炎及びその続発症は二年ということに一応なっております。これらの四つの指定疾患及びその続発症は、いずれも完治しにくい疾患ばかりであります。二年ないし三年という有効期間をつけるということは、非常に無理ではないかという気がするわけでありますが、この有効期間というものをつけられた理由について、ひとつお聞きをしたいと思います。
#266
○橋本説明員 有効期間をなぜ設けたかということでありますが、本補償法におきましては、有期認定という形になっておりまして、法律上認定の有効期間を設けるという法的な根拠があるということを、まず申し上げておきます。
 その期間につきまして、御指摘のようなぜんそく性気管支炎にあっては二年、慢性気管支炎及び気管支ぜんそくにあっては三年、肺気腫にあっては一応三年というような有効期間をきめたわけでございますが、これは法律上有効期間を設けたと同時に、患者さんを管理していく場合に、有効期間が全然ない現行の救済法を見ておりますと、非常に患者さんの管理がきっちり行なわれないという状態がございます。そういうことで、この有効期間を設けるということによって、かえって医学の立場からは指定疾病による被害の状況であるとか、あるいは定期的に検診をするというような医学管理をきっちりとれるということが、この制度の上から、医学的な観点から見ても、きわめて有効適切なことであるというような判断に立っておりまして、この期間が来て、なおかつ病気のなおっていない場合には、当然にこれは更新されるという形になりますので、不幸にして、もしも一生病気であるという場合には、この制度が一生つきまとうということになりますので、有効期間を定めるということが何ら患者さんにとって不利なものを及ぼすものではないということでございます。
#267
○坂口委員 次に、この補償法ができましても、この適用を受けられるかどうか、公害認定患者でありながら心配をしている人々がかなりあるわけであります。たとえば四日市市などでも公害病患者、いわゆる認定されました公害患者は総数で千五十五人あるわけでありますが、そのうちで千三十三人は、この新しい法律によりまして一応適用されると思いますが、その中で残りの二十二名は適用が受けられるかどうか危ぶまれております。
 それにはいろいろの理由がございますが、一つは、指定地域内に居住していて罹患をしたわけでありますが、いわゆる認定を受けたあとで、この法律の施行以前に地域外に転出した人ですね、そしてこの法施行時に治癒していなかった人、こういうふうな人がおります。また、指定地域内に居住していて罹患をし、認定を受けた人が一時地域外に出て、再び住宅事情等で、もう一度またそこに帰ってきている人たちがおります。こういうふうな人たちで一時住まいを指定地域外に移したために、この適用が受けられるかどうかということがたいへん微妙な人たちがおります。それからまた、認定の申請手続をせずに指定地域外に転出しまして、指定地域内の居住時において、すでに罹患していたために、同地域内での暴露要件を加味して、治療を必要と認められた人たちがおります。それから、さらに指定地域外の居住者でありますが、勤務先が指定地域内であって、勤務地で罹患をして、かつ、治療を必要と認められた人、こういうふうな人たちもあります。そのほか、指定地域外の居住者であって、指定地域に隣接して居住をし、罹患をして治療を必要と認められた人、こういうふうな人も中にはあるわけです。さらに、少数でありますけれども、指定地域内に引き続き六カ月以上居住する満五歳未満の人というような人もあるわけです。この指定地域内に居住をしていて、公害認定患者になった人で、その後そこに生活をしていては、どうしても健康が保てないというので、地域外に一度出た人があります。中には、そうしてまた再びそこに帰ってきておる人もあります。
 こういうふうな人があるわけですけれども、この人たちは、はたしてこの法の適用を受けられないのかどうか、総括的にひとつお答えいただきたい。
#268
○橋本説明員 いま先生の御質問は、非持異性の疾患の第一種の大気汚染に関する患者の場合でありますが、この場合には、この法律におきましては、制度上の取りきめといたしまして、指定地域という条件と、もう一つは暴露要件、これは居住もしくは通勤という条件と、そこの指定疾病という、三つの条件が満足されれば、この補償法の対象の患者として認定をするという形になっております。今回のこの政令の条件におきましては――従来居住期間三年、通勤期間五年という一律の形をとっておったわけでございまして、居住と通勤の通算もなかったわけでございますが、今回は居住期間につきましては、かなり大幅に短縮をしたという問題、また通勤期間につきましても、同様、短縮をいたしております。
 またもう一つは、不連続期間というものをこれに入れまして、ある一定の年限外、これは不連続期間の外ワクということを申しておりますが、そのある一定の年の間に、そこに住んでいるか通勤しているかという期間を全部換算をして、その期間を満たせば、この認定患者として対象とするというような、従来の救済法よりも非常にこの範囲は広がるという形の暴露要件の定め方となってまいったわけであります。
 先生の御指摘のございました四日市の患者さんの問題につきましては、市のほうから、これにつきまして去る七月十六日でございましたか、見えまして、資料もいただき、こまかな検討についての御要望もございました。私ども現在まだ一人ずつについて完全な判断はいたしかねておりますが、一人ずつの人につきまして、今度新しくきめましたこの暴露要件、従来とは違って非常に新しくなっておりますので、この暴露要件に当てはめてみて、どれだけの人が拾い上げられるかということによって、従来では全く拾い上げられなかったわけですが、その中の一部の方々は拾い上げられるものになるのではないかというように考えております。残念ながら、すべての方がこれに拾い上げられるという形とは申しかねます。一部の方につきましては、この不連続期間の適用及び居住、通勤の両方の換算ということによりまして、これを対象とし得るということでございますが、なお詳細は今後慎重に各ケースにつきまして居住、通勤のこまかな条件を洗った上で、これを決定しなければならないというように考えておるわけでございます。
#269
○坂口委員 たとえば具体例を一、二あげさしていただきますと、佐藤正明君、昭和三十八年の二月二十日生まれでありますから、十一歳ぐらいの少年であります。昭和三十八年の二月二十日に生まれましてから、昭和四十三年一月十六日まで、だから約五年の間、指定地域内に生活をしているわけであります。昭和四十三年一月十七日から現在までは指定地域外に生活をしているわけであります。そして四十年の三月に発病いたしまして、四十年六月にぜんそく性気管支炎の認定を受けているわけです。
 この認定を受けた時点におきましては指定地域内におりましたけれども、現在は指定地域外にいる、こういう例があります。先ほどお答えいただきましたように、たとえば不連続期間の適用ということになりますと、この人は生まれましてから五年間指定地域内に生活をしていて、そしてそこで指定疾患に認定されているわけでありますが、それ以後今日に至るまで指定地域外にはおりますが、いまなお病気はなおっていない、こういう患者さんにつきましては、そうすると、これは適用される、一応この暴露要件を満たすからこれは認められる、こういうことでございますか。
#270
○橋本説明員 いま先生の御指摘のありました佐藤正明さんの件でございますが、いまここにきめております暴露要件と申しますのは、申請時を起点として計算を始める、こういう形になっておるわけであります。この方は、私どものいま承知しております範囲内におきましては、市独自の地域指定の問題に関連された方ではなかったかと存じておりますが、申請時といたしまして、今回新しく申請をされたということになりますと、このケースにつきましては、不連続期間のワクで逆算をしたといたしましても、四十九年の九月から、ぜんそく性気管支炎でございますから二年六カ月を引くという形になりますので、この方の場合には残念ながらこの条件にははまらないのではないかというぐあいに私どもは考えております。
#271
○坂口委員 その不連続期間の適用という意味が私も十分にのみ込めていないわけでありますけれども、それは一応指定地域内で認定患者になった、そうして、一時その地域外に出ても、再びそこに戻ってくるというようなことで、合計をすれば、いわゆる期間としては入るという場合には、それは拾い上げるという意味ではないわけですか。
#272
○橋本説明員 少しこれは複雑な話でございますが、不連続期間と申しますと、たとえばいまの方がぜんそく性気管支炎ということになっております。そうすると、その不連続期間の外ワクはどれだけとっておるかといいますと、二年六カ月という形にこの方の病気の場合にはとっております。そうすると、その二年六カ月の間に住んでおられた期間が一体どれだけになるのかということでございまして、二年六カ月のうちに一年六カ月以上そこの場所に住んでおられた場合にはこの中に入る。飛び飛びになりましても、全部足しますと一年六カ月以上この中に住んでおられたということになるというなら、この制度の中に入ってくる、このような換算になってくるわけでございます。
#273
○坂口委員 そういたしますと、こまかなことを聞いて申しわけございませんが、先ほど申しましたとおり、たとえば一例をあげて申しましたので、先ほどの患者さんについて申しますと、生まれましてから約五年間指定地域内に住んでいたわけでありますから、二年六カ月以上その地域に住んでいたわけですね。五カ年を経てから指定地域外に出たわけであります。そういう人の場合には、一応指定地域内に五年おりましたし、そのときに発病をし、認定されている。発病しましてからも三年ほどたっておりますし、こういうふうなケースの場合には認められるということになるのじゃないかと思いますが、どうですか。
#274
○橋本説明員 いまのケースでございますが、従来の特別措置法ですと、四十四年の十二月でございますから、四十五年の初めに発足いたしまして、その前に三カ年の暴露という条件がかかっておったわけでございます。そのときの条件にこの方がはまっておったかどうかということになりますと、従来の救済法から見ますと、この人は四十三年までで出ておられますから、従来の救済法にははまらなかったわけであります。そうなっておりますね。そこで、この患者さんは、救済法の認定申請をされたかどうかは私は存じません。市独自の認定をしておられることは存じておりますが、救済法としての認定にはかからないということで、健康被害救済特別措置法の認定患者とはなっておられませんでした。そういうわけで、自動的にこの制度に引き継ぐということは、この方については、残念ながらできないわけでございます。
 この方について、これから議論をする場合には、この方がいま認定申請をされたと仮定いたしますと、いまから二年六カ月前にさかのぼって、この人がいま申し上げた一年六カ月の不連続期間を満たす条件を持っておられたかどうかということが、この人についての認定要件となってくるという形になります。これは法律を施行して、そのときに認定申請された時点ということは、これは法のたてまえでございますので、そういうたてまえからいきますと、残念ながらこの方は、その条件にははまらないということでございます。
#275
○坂口委員 いまお聞きしますと、いろいろの認定をします基準が定められておりますが、いずれにいたしましても、いまあげましたこの人たちが指定地域内におって、そこに起こりました公害によって発病をし、そして一応公害病としての認定を受けていたということは事実でありますし、またこの人たちが現在もなお、その疾病で悩んでいることもまた事実なわけであります。このような人たちが法律のワクに多少はずれるからというて、そこにはっきりと入り切ることができないからというて、これを放置するということは、今後これはできないと思う。数はそう多くはありませんけれども、こういうふうな人たちが四日市だけではなしに、他の地域にもかなりお見えになるのではないかと思うわけであります。この人たちを今後何とかして救っていく道をやはり考えていただかなければならないと思うわけであります。
 先ほど例をあげましたほかに、もう一例だけあげさせていただきますと、これは稲寄哲也さんという方ですが、昭和三十九年の七月二十四日から昭和四十二年十一月十日までの間、約三年三カ月の期間にわたって指定地域内に住所を持っていたわけであります。その間、昭和四十一年の十二月付で市単独制度の中で、ぜんそく性気管支炎として認定されております。昭和四十二年十一月十一日から昭和四十七年二月五日までの間、約四年三カ月の期間にわたりまして、指定地域外に転出をしておりました。昭和四十五年二月に施行の、この特別措置法の適用が認められなかったわけであります。しかし、法施行時においても治癒せず、なお治療を必要と認めたために、市独自の認定患者として継続している人であります。昭和四十七年二月六日付で再び指定地域内に転入いたしまして、引き続き治療を受けている人であります。こういうふうな人が幾人かあるわけであります。
 そこで長官、いま申し上げたような、いわゆるこの法律に適用されるかどうか、境界線上の方がかなりお見えになりますが、この方々をどうしてもこれは拾い上げる方向でいろいろの検討をしてもらわなければならないと思うわけです。そういう意味で、いまお答えいただきましたいろいろの基準から申しますと、多少むずかしい点もあるようでありますが、これは現在の基準でこれがたいへんむずかしいということであるならば、はっきりとこの公害によって疾病が起こった、こういう人たちもこの法の適用を受けられるような方向にやはり検討すべきではないか、こう思うわけでありますが、長官の御意見を承りたい。
#276
○橋本説明員 長官がお答えになりますまでに、一例お名前をおあげになりました稲寄さんのケースでございますが、この方の場合には四十七年二月六日から現在まで指定地域内に住んでおられるということでございまして、この人の病名からいきますと、二年六カ月の不連続期間のワク内で連続一年以上住んでいればいいということでございますので、このケースの場合には、従来の例ではだめでございましたが、今回の制度では拾い上げられる、そういう形になっております。ただ、住居条件をもう一度全部はっきり確かめませんと、私ども何とも申し上げかねますが、住居条件が指定地域内、指定地域外と書かれて、その期間のとおりである、間違いないといたしますと、この方の場合には拾い上げられる。従来のものよりかは前進したものになる、こういうことであります。
#277
○毛利国務大臣 制度の変更は困難だと思いますが、個別的には検討してみる余地があると思います。
#278
○坂口委員 個別的に検討をしていただいても、なおかつ受けられない方があるわけであります。ただし、その人たちがそれじゃいわゆる公害というものと関係がなかったのかといいますと、関係がなかったのではなしに、関係があったわけであります。その地域の大気汚染のために、からだを悪くしたということがはっきりしている人たちであります。ところが、その地域にいるということが、あまりにもからだに障害があるというので、少し離れた地域に移転をした。その地域がたまたま法律で引いた指定地域という線引きからはずれた地域であった。そのために、この法律が受けられなくなったという人たちがいま申し上げたような人たちではないか。個々に検討をして、やはりそれが入るような形にしてもらわないといけない。その点で、現在の制度というのは変えられないけれども、検討はしてみるというのでは、あまりにも冷た過ぎるわけでありまして、この人たちが入れるような形で何らかの手を打ってもらわなければならない。やはりそれがあたたかい政治じゃないか。その点の新長官の新たな決意をひとつお聞きしたいと思います。
#279
○城戸説明員 ただいまの問題でございますが、これは先ほど橋本部長から申し上げましたように、制度の仕組みとしまして因果関係を類推しているわけでございます。したがいまして、その条件をそれぞれできるだけ、たとえば許容要件を緩和していく、こういう方向では、これまでも努力をいたしてまいりましたし、今後もやりたい、こう思っておりますが、ただ制度の仕組みそのものを変えて、たとえばさかのぼっていろいろやるということは、これは私はできないと思います。もちろん、この個々の方につきまして、どういう条件になっているかということは個別に検討さしていただきまして、またお答えいたしますが、制度としては、そういう仕組みになっているということを御了承いただきたいと思います。
#280
○毛利国務大臣 冷たい点は認めますが、直ちに制度の変更ということは、簡単にお約束できないのが残念です。
#281
○坂口委員 冷たいということを認められてしまっては、どうにもならぬわけでありますが、冷たいがゆえに、その点を今後検討をしていただかなければならないと思うわけです。先ほども申しましたとおり、はっきりとその疾患が、公害によるものであるかどうかわからないという人については、これはやはりそれなりの理由もあろうかと思うわけです。ただし、先ほども申しましたとおり、その公害によって起こったということが認められていながら、その居住している期間あるいは場所が多少ズレたがために、この範囲に入らないというような人たちがいる。この人たちは、いまは四日市の例で申しましたけれども、他の公害地域にも、おそらく尼崎にもありまするでしょうし、川崎にもあるであろうと思うわけです。そういう人たち、同じように公害によって、からだをこわした人たち、それでいながら平等にこの法を受けられないという、そういうことが起こっている以上、冷たいということを認めて、そしてやむを得ぬという態度ではなしに、これはそういうことであれば、今後そういう人たちについては特別に検討を加えていく、やはり新長官としては、そのぐらいの答弁があってしかるべきだと思うのです。どうですか。
#282
○橋本説明員 いまの先生の問題でございますが、公害によって起こったかどうかを医学的に判断することは、これはできないということで制度的な取りきめをして、指定地域と暴露要件と疾病、この三つをやったわけであります。そこで個人について、これは公害によって起こったかどうかわからないという立場からでございますので、その観点からだけ申し上げますと、これはもうきわめてむずかしいというよりも、むしろ不可能に近い問題であると思いますが、ただ四日市につきましては、救済財団等もございますし、この法律でカバーできない点はどうするかという点について、市及び財団とも私たちはよくお話し合いもしてみたい、そのような考え方であります。
#283
○坂口委員 四日市の場合の二十二名のうちで、先ほどのような個々のケースを検討していただいた場合に、その中でどれだけがそこに拾い上げられて、どれだけが残るのか、私もよくわかりませんけれども一いま橋本部長が言われましたように、医学的に見て、そしてどうしてもいわゆる公害によるものかどうかの判定のしがたい、そういう人たちも中にはあるのかもしれません、私も詳しくその検討をしておりませんが。
 ただ、そういう医学的な見地からの判断のしがたいという問題だけではなしに、この制度上の線引きのために、その境界線上で、これは医学的には公害患者と十分思われる人でも、その線引きのために、なかなかその境界線上で救われないという人がありはしないか。これは医学的な問題を基準にして論じられているといたしましたら、そういうふうな問題は、いろいろの角度から今後検討をし直さなければならないのではないかと思うわけですが、いずれにしましても、この制度だけではなしに、いま部長が言われましたように、これに関連しましたいろいろの制度もあるわけでありますから、そういった中で、こういう人たちが、できるだけ同じような恩恵に浴せられるような方向で幾つかの検討をしていただきたい。その点、もう少し範囲を広めた考え方の中で長官取り組んでいただきたいことをお願いをしたい、ひとつ御決意を伺って終わりにしたいと思います。
#284
○毛利国務大臣 先ほどの議論を聞いておりますと、認定が明確な場合には検討に値すると思うのですが、認定がなかなか不明確で水かけ論のように承っております。そこが問題点だろうと思います。明確な場合には、当然検討すべき問題だと思います。範囲その他についても、より広く検討するにやぶさかでありません。
#285
○坂口委員 終わります。
#286
○角屋委員長 和田耕作君。
#287
○和田(耕)委員 最初に自動車の排気ガスの問題についてお伺いしたいのですけれども、昭和四十七年十月三日の中公審の答申、これは大臣、一つの努力目標というふうな意味として環境庁は受け取っておられるのか、あるいはこれが万一できないことがあっても、とにかく八〇%、九〇%はできるものだというふうに受け取っておるのか、つまりその問題をお聞きしないと、いまこの問題について、なかなか考えられない状況にきているという感じがするので、その問題から、ひとつお答えをいただきたい。
 努力目標ということであれば、状況はかなり変化する要素が大きいというふうにも受け取られるし、しかし、そういうことがあっても、七〇%あるいは八〇%、九〇%は実施可能だというふうに理解しておきめになったのか、いずれかということをひとつお答えいただきたい。
#288
○春日説明員 ただいまの御質問でございますが、一つの目標値としてきめたかということでございますが、そういう意味では確かに目標値でございます。したがいまして、許容限度の設定にあたっては、防止技術の開発状況を勘案して行なうべきである、そういうことを本文の中で申しておるわけでございます。
#289
○和田(耕)委員 そうであれば、まず大事な点においてよくわからない点がある。したがって、この五十年、五十一年の一つの目標というのは、大いに変わり得るというお考えで、この答申を受け取ったというふうに理解していいわけですね。
#290
○春日説明員 ただいまもお答えいたしましたように、許容限度の設定にあたっては、防止技術の開発状況を勘案して行なうべきであるけれども、「その場合においても、許容限度の設定年次をいたずらに遅らせることは厳に避けるとともに、技術的に可能なかぎり最もきびしい許容限度の設定を行なうものとする。」かように示してございますので、私はその目標値をあくまで目標値といたしまして、その達成に努力すべきもの、かように考えております。
#291
○和田(耕)委員 この答申の中ほどに、この規制目標については「困難であるとの見解はあったが、実用化を含めてその開発は必らずしも不可能ではないとの見解に達した。」こういうことばがありますね。そしていま局長がおっしゃったような文言があとのほうにあるわけです。
 私、こういう質問をするのは、二つの理由があるわけですけれども、大体これは、その数年前にアメリカのマスキー法というのができた。このおスキー法がアメリカにおいて法律としてできておるので、まあアメリカでできることだから日本でもできるだろう、日本は大気汚染が非常に急速に、しかも驚くべき進行をしているから、こういう目標ぐらいは必要だろうというふうな検討、つまり日本のスタッフとして技術者として、こういう問題を具体的に検討する、あるいはすることのできる経験を持って、その自信に立ってやったというよりは、アメリカもやったし、日本もやる必要があるんだという意欲的なものであったのではないかという感じがするので、そのことをお伺いしているわけです。
 中公審の専門委員の方々には日本の相当の権威者が並んでおるのですけれども、これは学問上の問題だけではなくて、実際の問題が大部分なわけですね。そういう問題を含めて、日本の場合なかなか経験も少ないということですから、そういうことを考えてみると、この公害専門委員のスタッフの方々は、確信をもって日本でもできるんだというふうにお考えになっておったかどうかなということを疑問に思うわけなんです。また、そういうふうなことがあっても当然なことだと私は思うのです。その点についてお伺いしたいわけで、この質問を最初にしますのは、あとで申し上げるように、各業界から大体、特に五十一年度の規制目標についてはノーという返答が出ているわけですね。しかし、このノーという返答に対して、なぜできないんだ、できるじゃないかということを政府として、あるいはこの専門委員の方々が確信をもって言えるかどうか、こういう問題があると思うのですね。
 したがって、どうしても今後、特に公害等の問題については、国の最高のレベルの人たちを国が指導できる範囲に準備しておくという体制なしには、こういう問題についての国の施策というのは、ぼくはできないのじゃないかと思う。そういうことを最後にお伺いしたいと思っておるので、この問題から入っているわけですけれども、いかがでしょうね、日本の技術者として、いま申し上げたとおり、あとから申し上げるように、自動車をつくっている人は、大小のメーカーにかかわらず、五十一年の規制目標は実験段階においてもできていないし、今後できる見込みも立っていない、大部分はこう言っているわけですね。これはいかがでしょう、そういう問題に対して日本の関係の技術者は、あるいは公害官庁の皆さん方がどういうふうにこれを処理なさるかということですね。
#292
○春日説明員 四十七年十月に中公審の答申を受けまして五十年度規制、五十一年度規制を確かに告示したのでございますが、これをいわゆる一九七〇年の大気清浄法改正法に比べてみますと、確かに若干な点で違いがあるわけでございます。アメリカの場合は、マスキーがいつも言っておりますように、一九七〇年の改正法では、技術的な可能性の有無とかコストの配慮は一切拒否した、こう言っていいと思います。そうしてマスキー法の場合は基準値を示したわけでございます。
 日本の場合は基準値でなくて、先ほど先生のお尋ねがありましたように、目標値を示しておるわけでございます。そうして日本の場合は、先ほどこれも先生が御指摘になりましたように、「規制目標の達成には実用面においてきわめて困難であるとの見解はあったが、実用化を含めてその開発は必らずしも不可能ではないとの見解に達した。」ということで、当時としては、四十七年の十月の段階におきましては、やはりマスキー法と違いまして、技術的な可能性というものを一応前提として目標値を立てておった、こういうふうに私は理解しておるわけでございます。しかしながら、四十七年当時の技術的な可能性の見通しというものは、必ずしもその後四十七年の十月から本年までの間に正しかったかどうか、この点については先生のおっしゃるように二、三の問題点はあろうかと思っております。したがいまして、アメリカのマスキー法と称せられるものは、これは議員立法であるせいもございましょうけれども、実施の延期申請とか、あるいは法律改正の提訴権まで触れておるわけなんですが、わがほうの目標値ということで、そういったものは触れていないというようなことがございます。
 したがいまして、先生の御指摘のごとく、四十七年の十月の段階で中公審の委員は五十一年規制が確実にできるということを見通したかと言われれば、期待感はあったに違いないけれども、その点がやや問題があったのではなかろうか、それはおっしゃるとおりであろうと思います。したがいまして、この中間答申の中でも、防止技術の開発状況を勘案して行なうべきだ、そうして許容限度の設定に当たれということを、すでに四十七年の段階でお書きになっておるものである、かように考えております。
#293
○和田(耕)委員 最近、環境庁で行なった各関係業界のヒヤリングがあるわけですね。これの要旨をお配りいただいておるのですけれども、大体重要な点は二点であって、今後、特に五十一年度の問題は、先ほどちょっと申し上げたのですけれども、実験段階においても見通しがついていないし、今後も量産等含めて、むろんそういう確信はできないのだ、見通しできないのだということを述べておる。これは各社によっていろいろニュアンスが違う点がありますけれども、特に日産トヨタの大手はそういうふうなことをはっきりと述べておるわけですね。それともう一つの点は、この五十年度の規制の目標を達成するために、たいへんな努力を注いだので、五十一年にまたこの大幅な改革を求められても、その余裕がないのだ。この二つの問題を述べておるわけですけれども、この点はいかがでしょう。
 先ほどの問題と関連して、実験段階でもできていないし、今後もその見込みは立たないということは、いや、そんなことはないのだということが言えるかどうかということですね。まあそれは、今後の中公審に御諮問なさっているようですから、それによって出ると思うのですけれども、つまり私は中公審の専門委員の方々の能力と言ったら失礼ですけれども、そういう問題を的確に判断するような経験なり施設なり、そういうものがあるかどうかということを頭に持ちながら質問をしているわけです。そういうものを判断する能力を持たなければ、こういう行政は今後とも進めることはできない、こういうことを感ずるがために質問しているのですけれども、いかがでしょうね、そういう問題について。
#294
○春日説明員 中公審の大気部会の中に設けられております自動車公害専門委員会の委員の方々は、十分それに耐えるだけの専門的な知識をお持ちであると私は考えております。もちろん自動車一の工学的な権威者だけではございません。自動車の排気ガスの健康に及ぼす影響等についても、専門家である医学者も含まれておりますし、この医学者の方は自動車工学の専門家ではありませんけれども、総合的に、私は日本の自動車排気ガス規制を討議されるメンバーとしては最高の方々であろう、かように信じておるわけでございます。
#295
○和田(耕)委員 そうしてまた、この中には自動車業界の責任者の方も入っておられるわけですね。つまり私の申し上げるのは、こういうふうな判断をするのは、やはり純粋に公共的な国の問題、国民の立場を考える人たちの一つの集団、つまり、いま問題になっているのは、国民の大気汚染を何とかしろという強い要求と、それを何とかするための科学的な、技術的な判断という、特に技術的な判断というものが現在の問題としては一番重要な問題になっているわけですね。
 したがって、私どもも何とかこの大気汚染の問題については、早くこれを解決しなければならぬという要望に沿って行動をしたいと思うし、現にしてきておるのですけれども、現在の一番大事なことは、つまり純技術、科学的に見て、それが、ある何年何月に可能であるかどうかということをきめなければならない問題、こういう場にこの業界の方が入るとかいうようなことは、私は必ずしも適当じゃない。先ほども、国民の声を聞くような人をもということもあったのですけれども、そういう機関と、国の一つのはっきりした意思をきめるところと――これはつまり、何ぼ田中角榮さんが有能な政治家であっても、こういう問題について的確な判断は下されない。あるいは現環境庁長官の毛利さんが非常に科学的にすぐれた人であっても、この問題について判断ができない。つまり、これを判断するようなスタッフが、公害問題についてはぜひとも必要だ。しかもそれが、私の何か感ずるところでは、非常に不十分であるという感じがするのです。
 たとえばアメリカには、あれは何と訳すのですか、ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンスという、国立科学院といいますか、そういうものがある。日本でも、もうそろそろそういうふうなものがあって、最高のスタッフがおると同時に設備がある、いろいろな問題をテストする設備があるというものを準備しないと、いまのような重要な行政の課題を解決することはできないのじゃないかという感じがするのですが、この点、大臣いかがでしょう。
#296
○春日説明員 アメリカの場合に、ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンスがあることは御指摘のとおりでございます。これは一つの研究所とかあるいは研究機関というものではございませんで、やはり日本の言うなれば学術会議的なものでございまして、それぞれの大学あるいは研究所の権威者等に国が判断の根拠をまかせておるというかっこうでございまして、言うなれば日本の私どもの自動車公害専門委員会、それにほぼ相当するものではないかと私ども考えております。
 もちろん、自動車工学と申しますものは、世界じゅうでもまだ六十年ぐらいの歴史より私はないと思いますが、その中で低公害車、ことに排気ガスを中心とした技術の進歩と申しますものは、ここ十年足らずの経験より各メーカーとも持っていないことは事実でございます。非常にむずかしい問題はございましょうけれども、私どもは、そのメーカーの技術の進歩というものを、こういった目標を掲げたことによりまして一気に引き上げる、こういう役割りをいままで果たしてきたと考えております。
#297
○和田(耕)委員 それでは形を変えて御質問申し上げたいのですが、この各メーカーからとったヒヤリングという、ここにメーカーがいかに努力したかということを関係のいろいろなデータを含めて報告していると思うのですが、これを環境庁としては、やはりメーカーは一生懸命やっているのだ、たいへん努力をしているのだというふうに評価をなさるか、メーカーが努力をしても、やはり一つの営利機関なんですから、いろいろな問題があるから、何か伏せている問題が相当あるのだというふうにごらんになっておられるのか、どういう評価をなさっておられるか。
#298
○春日説明員 私は、再三申し上げますように、五十年度規制というもの、これはスタートしたわけでございますが、五十年度規制を達成した日本の自動車メーカーの努力というものは、これは世界に全く先んじているという意味で、私は高くその技術を評価したいと思います。五十一年度規制の問題につきましては、これはさらに五十年度規制より窒素酸化物の削減――五分の一になるわけでございますが、むずかしい問題があるわけでございまして、それに対して自動車メーカーが努力なすっているということは、これまた評価はいたしますが、私はさらに努力を要請したい、こういうつもりでございます。
#299
○和田(耕)委員 その間にわずか一年、五十年と五十一年、一年の期間で相当強い窒素酸化物の削減を求めておる。メーカーのほうはどのメーカーも、この答申によれば、そんな時間では、とてもできるものではないんだ、五十年に一ぱいなんだ、こう言っているわけですけれども、これはしろうとが考えても五十年まで一生懸命やって、五十一年では、またその倍にもやるということは、なかなかできないように思うのだけれども、つまりこういうところの設定のしかたを見ていて、何か到達目標というふうな、厳密にできるという判断ではなくて、到達目標というふうなものじゃないのかという気持ちも出るわけですけれども、それはいかがでしょう、メーカーが言っている第二の問題――つまり五十年の問題で一生懸命で、五十一年の目標については、ほとんど余裕がなかったんだ、こう言っている。この問題、いかがでしょうか。
#300
○春日説明員 私どもは、五十一年度規制の目標値を定めましたのは四十七年の十月という時点でございます。ここで告示をいたしたわけでございます。したがいまして、五十一年度規制は、この段階において突如として天から降ってきたものでも、地からわいてきたものでもないんで、四十七年の十月の当時から示しておるということでございます。したがいまして、自動車メーカーは五十一年度規制値というものを一つの最終の目標といたしまして、五十年度規制はそれに到達する一つの経過でございますから、まあ私は、いまさらという気がいたすわけでございます。
#301
○和田(耕)委員 こういう問題について、私は全くわけがわからぬので、それ以上お聞きすることはできないのですけれども、いろいろな資料を見てみますと、この五十一年度目標というのは、つまり五十一年目標の中心であった一酸化炭素だとか、あるいは炭化水素だとかいうものを減らすことと、あるいは窒素酸化物を減らすことは矛盾する関係になるのだという、そこのところがむずかしいんだということがあるのですけれども、こんなことは当然初めからわかっておったことだと思うんですね。そういうふうな問題を含めて、いまここに環境庁は重要な決定を下さなければならぬわけですけれども、そういう問題を考えながら、とにかく非常に強い世論の圧力というものと、非常に厳密な技術的な検討というものを何とか両立していかなければならないという課題を負っているわけですね。ここで何とかそういう技術的な判断をできるような、国民がそれを理解するような体制をとる必要が私はあると思うのですけれども、この点、いかがでしょうね、いまの公害専門委員会だけじゃなくて……。
#302
○春日説明員 私どもは、先ほどもお答え申し上げましたように、四十七年の十月にそういった五十年度規制、五十一年度規制の目標値を掲げながら、いままで自動車メーカーの技術の飛躍を望んでまいったわけでございまして、少なくとも五十年度規制を達成し得るめどが、いまついておるということは、それに自動車メーカーも真剣にこたえてくれたものと、先ほど申すように評価いたしておるわけでございますが、さらに五十一年規制には非常にむずかしい技術的な問題はあるけれども、一歩でもそれに近づけてもらいたい、こういう念願をいたしておるわけでございます。
 それに対しまして、私どもはいろいろヒヤリングを通じまして、あるいはその後の私どもの態度の表明等を通じまして、私は国民の皆さま方に自動車排気ガス規制の重要性は訴えてきたつもりでございます。ただ、私ども何と申しましても舌足らずでございまして、若干の誤解を一部の方々に与えているとすれば残念でございますので、そういった点を私ども十分に心得まして、これから五十一年度規制というものの真意をお知らせするようにしてまいりたいと考えております。
#303
○和田(耕)委員 結局、これは大臣、お手本にしたアメリカは、いろいろ二段階に分かれておるようですけれども、二年ほどの延期をしたという問題があるわけですね。そうしてまた日本の場合にも、先ほどから問題になっているようなこと――現にメーカーの大手は、技術的に困難だということを言っておるのが現状ですね。今後、いろいろとメーカーの現地に行って専門委員の方々も御検討なさると思いますけれども、この段階になると、技術的に、あるいは科学的に可能かどうかということが一番重要な問題になるということは、これは否定できないですね。そういうふうなことから国民を納得さすような決定というものを何とかしていただかなければならない。そうして、もし現在のそういう公害専門委員会の組織が不備であれば、もっとこの問題を拡充して考える必要があるということを私は思うのです。これは何しろ早くやれということでやっても、実際できなければしょうがないことだということにもなりますので、そこらあたりの問題をひとつ慎重に検討してみなければならない、こういうふうに私は思うのです。
 ぜひともそういう業界の言うことを判断できるような――それは業界は商売しているんですから、もうけたいんですから、いろいろなできることでも、できることは言わぬでおって、できない問題ばかり出してくるということも、これは十分あり得ることです。そういうふうなことをとにかく判別するような能力がなければ、また能力のある人でも、やはり業界の持っている大きな財政力でもっていろいろと誘惑されることもあり得ることです。だから、そういうふうなことと、できるだけ遮断されたような権威のある技術的な一つの集団というものができないと、今後、特に公害行政のようなものはできないということですね。
 たとえばいま大きな重要な産業を、いろいろな問題があるからといって国有化をするという考え方もあるのですけれども、国有化をすれば能率がさっぱり下がってしまうということにもなる。自由な企業として、どんどん思う存分に働かすためには、これを国として権威を持ってチェックしていく力を持っていかなければならぬ。その力は権力だけじゃないのです。国民を納得さすような最高の一つの技術的なスタッフを持たなければならぬ。あの人たちが言うから、しょうがないんだというようなものを持って、自由に働く企業に対処していくという考え方が必要なわけです。これは一般の企業に対しても、そういう心がまえが必要ですけれども、特に公害という問題については、そういうふうなシステムを持ってやらないと、私はほんとうに大事な決定はできないと思う。
 これはいかがでしょう、大臣。そういう意味で特に公害という、今後国民生活にとって重要な問題であり、産業の一つの重要な転換点に立つこの公害行政というものを、権威を持って、いろいろな人に影響されないものを――これは自動車が問題になっていますけれども、単に自動車だけじゃないのです。食品の問題もありましょうし、あるいはその他いろいろな公害のあれがあるわけですけれども、そういうものを一応技術的にこなせるような国立の研究機関というものが私はぜひとも必要であろうと思う。そうでないと対応できないと思いますよ。
 それで、いまの公害審議会のようなものは、これは利害関係のあるいろいろな人たちを集めてやればいい。消費者の団体あるいは一般国民の強力な意見も出てくるし、業界の意見も出てこようし、あるいは学識の意見も出てこようし、そういう機関も必要ですけれども一しかし国の判断、軍配を上げるこの力を持つ機関として、国立のそういうふうな科学者の集団というものが、ぜひとも必要であろうと思う。これは各事業別といいますか、問題別にそういうものを持つ必要が私はあると思う。いかがでしょうかね、そういう考え方は。
#304
○春日説明員 大臣の御答弁の前にちょっと申し上げますが、先生のおっしゃることも、まことにごもっともでございまして、私どももそのように思います。
 ところで、現実にそういったものが環境庁としてないかと申しますと、それが中央公害対策審議会のメンバーの方々であろうと私どもは確信いたしております。私どもは、当代一流の判断力を持ち、学識を持たれた先生方を委員にお願いしておるつもりでございまして、それと同時に、先生のおっしゃるように国立研究機関というものを、環境庁で申せば公害研究所でございますが、それから運輸省あるいは通産省その他、国立の研究機関というものが、その一つのささえになろうかと考えております。先生のおっしゃる御意見に対しましては、全く同意見でございます。
#305
○毛利国務大臣 公害の防止並びに環境の完全確保のために目標値達成の大眼目を達成する意味において、いま局長が答えられたように、現在の陣容が完ぺきであろうと私は信じておりますけれども、いま和田委員のおっしゃるように、絶えずより権威ある有力者の国家的な集団によって公害問題を判断しなければならぬという考え方は賛成であります。そうあるべきだと思います。しかし、それじゃ現在が不備であるということは言えないのでありますけれども、そういう一つの心がまえで何ものにもとらわれないで、やはりこうした問題の判断は科学技術の基礎が一番判断の基礎であるという考え方、同時にそれには権威ある集団、国家的機関といいますか、こういうものを将来に向かってなるべく早く持たるべきである、こういうぐあいに考えます。
#306
○和田(耕)委員 これで終わります。
#307
○角屋委員長 中島武敏君。
#308
○中島委員 私もきょうは五十一年度規制の問題についてお伺いしたいと思っておるわけです。
  〔委員長退席、登坂委員長代理着席〕
 五十一年度規制と申しますのは、申すまでもなく命と健康にかかる非常に重大な問題であります。特に大都市においては、とりわけそうだと思うのです。ことしも東京におきましては光化学スモッグの注意報が、もうすでに何度も発令されておりますし、また被害者も非常に多数出ているわけであります。そういう上に立ってお尋ねしたいのですが、環境庁は五十一年規制をいわゆる再諮問されておられますが――この再諮問ということばについては、何かこだわりがあるようであります。ありますけれども、まあいわゆる再諮問をされているわけでありますが、この五十一年規制を完全に実施をするということは不可能だというふうに判断をされたのかどうか。まず最初に、この点をお尋ねしたいと思います。
#309
○春日説明員 六月に自動車メーカー九社を呼びましてヒヤリングを行ないました。その結果、九社とも五十一年度の目標値、すなわち窒素酸化物〇・二五グラム・パー・キロメートルという目標値を達成することは不可能である、かように述べておるわけでございます。したがいまして、その限りにおいては、きわめて困難であるということは言わざるを得ないと思います。したがいまして、そういった自動車メーカーの考え方、それから自動車メーカーがいままで開発してまいりました技術の現状、こういったものを中公審にお示しいたしまして、あらためて御審議をいただいておる、こういうことでございます。
  〔登坂委員長代理退席、委員長着席〕
#310
○中島委員 いまのお話は、自動車メーカーが五十一年度規制を実施するのにはむずかしさがある、困難である、こういうふうに言っている、そういう情勢だから、いわゆる再諮問をされた、端的に申しますと、そういうふうに聞こえるんですが、これは環境庁としても、自動車メーカーが困難だというふうに言っているのが正しいというふうに判断しておられるわけですか。
#311
○春日説明員 五十一年度規制の前提となった四十七年の中公審の中間答申におきまして、許容限度を設定するに際しては、防止技術の開発状況を勘案した上で行なうように指摘されておることは再三申し上げておるわけでございますが、さきに行なったヒヤリングの結果に基づいて、中公審にそういった技術的な開発状況について御審議を願っているというわけでございます。したがいまして、五十一年度規制の問題について、暫定値を設定するという方針を固めているわけでは必ずしもないわけでございます。
#312
○中島委員 私はメーカーのとっている言動、これを見ますと、実際にメーカーはほんとうに技術開発が進んでいないかどうか。実は進んでいるようだけれども、進んでいないというふうに言っているのではないか、あるいはまた、ほんとうはあまりやる気がないんじゃないかというようなことを感じる向きがあるのです。その辺は、環境庁としてはほんとうに率直なところをいって、どんなふうにお感じになっておられるかという点についてお伺いしたいのです。
#313
○春日説明員 世界的な自動車の不況の中で、私は、生き残れる一つの道は、何と申しましても低公害車をいかに早くメーカーとして完成するかというところにもあろうかと思います。そういう点からいたしましても、私は自動車メーカーが、できるものを怠惰によって、あるいは利益の面からのみこれをやらないということは、このきびしい世界的な環境保全の空気の中で私はないものと信じたいのでございます。
 御承知のとおり、自動車と申しますものは、まず第一に運転性能の問題があります。その次には、燃費がいかに少なくて済むかという問題がございます。それからもう一つはコスト、値段の問題であろうと思います。いままでの自動車メーカーの技術的な目標というものが、その運転性能をいかによくし、いかに燃費を少なくし、いかにコストを下げるかというところに集中しておったことは、私はそのとおりだと思うのです。しかしながら、低公害車と申しますのは、全部その逆なんでございます。要するに、低公害車にすればするほど運転性能は悪くなるでしょう。燃費も食うでしょう。それからコストも高くなるでしょう。そういう意味で、私は自動車のいままでの価値観というものを変えていかなければ、低公害車というものを幾ら出しても、ユーザーが買わないだろうと思うのです。そういう意味では私は、低公害車というものはユーザーの考え方、価値観というものにもやはり大きな影響を与えるものでなければならない、かように考えておるような次第でございます。
#314
○中島委員 先ほどから同僚議員がいろいろ、これから私が聞くことと同じことを質問しておられるのですが、私も、すでに質問のあったことなんですけれども、やはりひっかかるのですわ。ですから、やはり聞かしてもらいたいと思うのですが、メーカー各社というのは真剣に技術開発をやっているというふうに、やはり環境庁としては思われますか。さっきから何度もお聞きして出ている話なんですけれども、ほんとうに真剣にメーカーはやっているでしょうかね。
#315
○春日説明員 私どもはヒヤリングを通じまして、各メーカーの技術開発の経過あるいは現状というものをながめてまいったわけでございますが、たとえば五十一年度規制を達成するために、いわゆる還元触媒を主として使おうとしているメーカーがいかに努力をしてきたか、これは私言えると思います。しかしながら結論としては、努力はしたことはしたでありましようけれども、惨たんたる失敗の歴史にすぎなかったということも事実なんです。まあわれわれとしては、ともかくその技術、一生懸命やっただけでは困るんだ、ともかく一歩でも目標値に近づける技術というものを要望するわけでございます。
 したがいまして、先生がおっしゃるように、幾ら熱心にやったとしても、だめならば、それはやったことにならぬとおっしゃられれば、そういう意味ではやらなかったんだ、こういうことになろうかと思いますが、自動車工学の歴史の中で、いま非常にむずかしい時点にかかっておるものと私は考えております。したがいまして、自動車メーカーというものは決して努力をしなかったとは私感じておりません。
#316
○中島委員 たいへんくどいようですけれども、努力をしたというふうに感じておられるその根拠といいますか、そう感じられる根拠ですね、これは一体どういうところにお持ちでしょうか。私は、またちょっとあとで申しますけれども、ちょっと違う見解といいますか、というものを感じているんですけれども、そこをひとつ率直におっしゃっていただきたいと思うのですね。
#317
○春日説明員 自動車メーカーは四十八年度規制においてすら、世界的に見ればかなりきびしい規制でございます。たとえば日本に輸入しておりますヨーロッパの会社は、四十八年度規制を行なったがために日本に輸入できなくなったようなメーカーも幾つかあるぐらいでございます。それに比べまして、五十年度規制というものはさらにその十分の一、一酸化炭素及び炭化水素を減らし、窒素酸化物を二分の一に減らしたわけでございますから、これは世界に先がけてでございます。したがいまして、そういったことを考えてみますると、日本の自動車メーカーが努力しなかったなどということは決して言えないと思います。努力して五十年度規制というものに到達したんだ、こういうことは言えると思います。
 ただし、五十一年度規制については、まだまだ努力をしていただく余地があるだろう、こういうことを環境庁としては考えておるわけでございます。
#318
○中島委員 たいへん現象的な言い方をさしていただきますと、三木前長官が再聴聞といいましょうか、六月二十一日でしょうか、メーカーを呼んで資料の提出を求める、その他のことをやられましたですね。そのあとメーカーの代表は記者会見をやられて、その記者会見のときに特に日産の代表のごときは、暫定データの提出の義務を感じなかったというようなことさえ言っておるわけですね。これは記者会見だ、公式の場ではないというふうにおっしゃるかもしれませんが、私はそういうところに存外本音が出ているんではないかというように感じるわけです。その点もどうでしょうか。どう考えられますか。
#319
○春日説明員 おそらく先生の御指摘の点は、三木前長官が九社の社長を呼ばれた直後の記者会見ではなくて、六月のヒヤリングのあとの記者会見においてであったろうと思います。そういったことにつきましては、私ども憤激をいたした次第でございます。
#320
○中島委員 環境庁が憤激されるのは、私はもう当然だと思うのですね。そういう態度では、ほんとうに技術開発を熱心にやっているのかという疑問を私も抱きましたし、多くの国民がこれは抱いたと思うのです。
 それから、六月のヒヤリングが行なわれる前に、日本自動車工業会から「NOx低減の問題点」という資料が発表されております、ごらんになっていらっしゃると思うのですが……。私はこれを見て非常に――こういうことを書いてあるのです。これはもうすでにごらんになっておられると思いますので、全部を繰り返す必要は何もないと思いますが、「NO2環境基準の問題点」ということを一つ問題にしておりまして、そしてそこで問題にしているのは、アメリカのEPAの見解であります。これは要するに何を言いたがっているか。日本のNO2の環境基準というのは非常にきびし過ぎるということを、ここは言いたいようであります。
 それから、その次にこういうこともあります。「NO2環境基準達成の至難性」ということが述べられておりまして、ここには「自然界のNO2レベルは、〇・〇一ないし〇・〇二PPMであるとされている。」こういう見解を述べている。ところが、日本の環境基準は〇・〇二であります。そうすると、自然界と変わらない環境基準を日本は設けているのではないか、こういう見解なんですね。
 これはつまり一体どういうことかということですね。これはNOxについての五十一年規制を本気になってやるというような姿勢ではないのじゃないだろうかということを発表されている資料から非常に感じるわけであります。もうやらなくたっていいのだ、こういう態度が企業の態度、しかもこれは個別企業ではなくて、日本自動車工業会の名前で出されているものであります。これは一体環境庁として、どういうふうにお感じになっておられるか。また、こんなことをほうっておいていいのかという問題があります。これでもなお、真剣に技術開発をやっているというふうに、ほんとうに評価できるのだろうかという疑問を私は感じる。これは環境庁としてはいかがでしょう。
#321
○春日説明員 確かに自工会のパンフレットの中でそういった問題点が公表されていることも存じておりますし、二、三の自動車メーカーも日本の環境基準のきびしさというものについていろいろ問題を提起しておることも知っております。
 ただ、日本におきます窒素酸化物の環境基準は、昨年の五月、多年の審議のもとに決定されたものでございまして、数字上、アメリカの窒素酸化物の環境基準と単純比較すれば、確かに五倍きびしいことは事実でございます。しかし、それにはそれなりの日本の置かれた特殊事情あるいはきめられた考え方の相違等々がございまして、私どもはそういったものをアメリカと日本と単純比較するというようなことは、どだいお話にならないことである。私どもは直ちに自工会あるいはそういったメーカーを呼びまして、それに対して非を正してございます。
#322
○中島委員 非を正されるのは言うまでもなく当然であります。しかも、これが単に環境基準そのものを問題にしているとかいうことではなくて、NOx低減の問題点ということで、自動車メーカーに課せられている、これを低減させていくという上での大きな問題点として彼らがあげているわけであります。私は、ここにメーカーのとっている立場、態度というものが、きわめて鮮明に出ていると思うのです。
 それで再聴聞されて、そのあとトヨタ、日産は一・〇ないし一・一程度でございますが、そういうようなことならば暫定値としてというようなことを言っている。これ自身もこういう態度の上に立って出されてきているものであれば、そのまま信用するわけにいかぬのじゃないかというのが私の感じるところであります。環境庁がそれをまたうのみにされて、いろいろ困難だと言っているからということで、そういうデータも全部そろえて中公審にいわゆる再諮問をされているとするならば、率直に言ってこの態度も問題じゃないかということを私は感じるのであります。これは春日局長からも伺いたいし、それから同時に長官からも、この態度についてはやはり伺いたいと思います。
#323
○春日説明員 私どもがヒヤリングを通じまして得ましたいろいろな資料並びにそれの評価という問題でございますが、確かに私自身は自動車工学の専門家ではございませんから、私はいわばしろうとに近いものかもしれませんが、私ども環境庁の専門職員は、十分それに対しまして理解し、評価し得るだけの学識経験を持っておるものと信じておるわけでございます。それが評価したわけでございまして決して自動車メーカーの言っていることを、そのままうのみにするとか、あるいは出した資料は、そのまま承ってオウム返しに申し上げている、そういうようなことはないつもりでございます。
#324
○毛利国務大臣 できる限り既定方針どおりきびしくやるという方針に変わりはないのでありますが、たびたび申し上げておるように、可能性についていろいろ議論があるところである。したがって専門的、技術的に検討してもらうべく中公審にゆだねておる。かつ先ほど局長の言うように、防止技術の開発状況を勘案の上ということばもありますが、それはそれとして勘案の立場で検討していただきますが、業界の努力その他について十分やっておると信じておりますが、さらにきびしくやってもらうという態度で、われわれはあらゆる努力をしなければならぬ。それは公害並びに汚染度の高い日本という、このきびしい客観情勢に立っておるという立場、業界が〇・二五ということが世界の他と比較して、これもまたきびしいものであるということは、われわれもわからぬわけではない。熟知もいたしておりますが、それほど日本は公害問題にきびしい立場に置かれているという客観情勢に立って、もっともっとわれわれは業界にきびしく訴えなければならぬ、そういう立場をとらなければならぬ、こういうぐあいに考えております。
#325
○中島委員 けさほどからの質問の中でも、東洋工業や本田のような中堅メーカー、中小メーカーという話もありましたが、これは中堅メーカーですよ。中堅メーカーに五十一年規制に近い――とこから近いというふうに言うかという問題もありますけれども、しかし、かなり接近をした数値ができて、日産、トヨタのような大メーカーにそれができないということは、一体どういうことなんだという疑問が提出されておりまして、私もこれは同様に思うのです。
 ヒヤリングの内容について要旨を環境庁からいただいておりますが、それを見ますと、日産NVCC方式でも、実験室においても、そのめどが立っていない、こういうことをいっておりますね。そういうものかなあという気がするのです。これはCVCCと大きな違いのない方式でしょう。片一方は報告をされているものによれば〇・六というふうにいっているわけですが、それを実験室においても、めどが立っていない、こういうことを述べている。これはきわめて怠慢ではないかという気がするのであります。また日産トヨタは五十一年規制については見通しは立たないということを報告しておるわけですね。これは見通しがつかないというのは一体どういうことか。全車種ひっくるめるから、見通しがつかないということなのであって、全車種でない一部の車種ならば、これは当然見通しがつくのだ、こういう内容なのかどうか、そこのところも環境庁からいただいておりますものを見た限りではわからぬわけであります。これは一体ほんとうのところはどうなのか、そこをお尋ねしたい。
 それから日産、トヨタというのは、これは大メーカーのくせに、ほんとうに怠慢じゃないかという気がするのです。しかも先ほど来、環境庁もしかっておるそうですけれども、それにもかかわらずああいう資料をのうのうとして出してくる。そういうことも主張する。一体これで本気になってやっておるのかというここのところが、非常にわれわれも憤激を感じるところで、この点一体どうなんですか。だんだん時間がなくなってくるものですから、私はたくさん聞きたいのだけれども、もうあれだから、そこが一つ。
 それからもう一つは、五十一年規制にアプローチしていくやり方として二つあるということは、実際そのとおりなんだと思うのです。そのときに私は環境庁としてどこまでほんとうにデータをつかんでいらっしゃるのかということをお尋ねしたいのですよ。新しいエンジンシステムでいけば、いままでどういうところまで到達してきておるのか。企業の報告じゃなくて――企業の一番最終結果だけは〇・六とか〇・六ないし〇・七とか、あるいは一・〇とか一・〇ないし一・一とかというようなことをいっております。いっておりますが、それは最終の企業の報告したものでありますね。しかし、企業が報告したというだけでなくて、もっと突っ込んでいろいろ議論をやっておられると思うのです。もっと突っ込んで調査もやっておられるはずであります。
 そうすると、二つのアプローチの方式で一体小型乗用車と普通乗用車と、そのアプローチのしかたによって、どこまで実際できる、現在の技術水準はどこまで到達しておるのだということについて、環境庁は一体詳細なデータをつかんでおられるのかどうか、そうしたデータをつかんだ上で中公審にいわゆる再諮問をされたのかどうか、ここのところを伺いたいと思います。
#326
○春日説明員 最後の御質問からお答えいたすわけでございますが、どこまでいっているかというお尋ねでございますが、これは先ほども申しましたように、ドライバビリティの問題あるいは燃費の問題あるいはコストの問題、そういったものを無視して実験室段階でできる限度の場合と、それからユーザに対して、製品として安全性を確保しながら送り出す場合と、これはいろいろ違うと思うのです。ですから、お答えも自然に私はそこで変わらざるを得ないし、私どもの持っておりますデータといたしましても、実験室内におけるもの、あるいはマスプロの段階におけるもの、いろいろデータがあるとより申し上げかねるわけでございます。
 もちろんCVCCあるいはロータリーエンジンで、実験室内ならば、かなり低い五十一年度規制値に近いものは得られていることは事実でございます。それが商品として出せるかどうかということにつきましては、これは疑問であろうと思っております。
#327
○中島委員 もう一つ答えていただきたかったのは日産のやつですね。それもちょっと先にお答えください。
#328
○春日説明員 確かにNVCCはCVCCと同じく、原理的には私は大差はないと思います。しかしこの方式、成層燃焼方式と申しますものは、もう数十年前から原理的にはあるのだそうでございまして、必ずも珍しいものではないのでございますが、いまのところ、確かに実験室データによりましても、CVCCのほうが進んで、いい値を示しておることは事実でございます。
#329
○中島委員 また、ここへ戻ってきたいと思うのですが、その前に幾つかお尋ねします。
 本田がアメリカの環境保護局、EPAに対して五十年規制でどんな報告をしたのか、またその際に、五十一年規制についてどういう見通しを述べたのかということについて伺いたいのです。
#330
○春日説明員 いま手元に資料を持っておりませんので、あとで御報告申し上げたいと思います。
#331
○中島委員 じゃあとでぜひひとつその資料をいただきたいと思います。
 私は新聞で読んでいる範囲でありますから、その範囲なんですけれども、今年の一月のある新聞に、本田技研の杉浦英男取締役が、こういう発言をされている。これは五十一年規制です。五十一年規制、やれと言われればやれないことはないが、コスト、燃費の点から商品化するのは非常にむずかしい、こういうふうに言っておられる。実用化するにあたっては、先ほど来春日局長が、三つの点を指摘をされていらっしゃる。運転性能の問題、燃費の問題、コストの問題ということを言っておられる。私はこれを、新聞の報道でありますから、まだ本人に確かめたわけではありませんから、確実なことというふうに言えないわけですけれども、しかし、こういうことを言っておられるということは、やれと言われればやれないことはない、つまり技術的にはこれはできる、実験室段階の話ではないということを感じるのです。
 それから、アメリカの環境保護局に対して、どういう報告を正規に行なったのかということについても、私はつまびらかにいたしておりません。しかし、これまた新聞が報道するところによれば、五十一年規制も大体できる見通しであるということを述べているらしい。これは資料をいただいてから、はっきりしたいと思いますけれども、新聞報道は大体そういうことをいっている。
 そうすると、日産、トヨタがきわめて不遜な態度でありかつお話にならない態度であることは、これはもう言うまでもないのですけれども、本田なんかも一時期そういう発言をやっていた、それがいま後退してきているのじゃないか。〇・六というふうに、いまここで言うのはなぜなんだろうか、技術的には、ほんとうはできるのじゃないのか、こういう疑問を持たざるを得ないわけであります。その点、いかがでしょう。
#332
○春日説明員 私も本田からそういった話を聞いたことがございますが、実はもう一つ、くっついているのです。やれと言えば、コストの面、燃費の点では非常に大きくなるけれども、やってやれぬことはないというしりに、もう一つくっついています。それはおそらくスムーズに走らぬだろう、こういうあれがくっついておりました。要するにこれは商品として出せたしろものではない、こういう話を私は聞いたことがございます。
 それからアメリカにおきます聴聞会での各メーカーの発言のことでございますが、これは私どもに直接そういったものが報告があるわけではございませんので、つまびらかにいたしておりません。アメリカにおける発言の内容は十分了知いたしておりません。
#333
○中島委員 しかし資料は、その発言内容は、あとで御報告くださるのじゃなかったですか。
#334
○春日説明員 十分調査いたしまして、御報告できるものはしたいと思います。
#335
○中島委員 これは非常に重大な問題でありますから、アメリカに対してどういう報告をしたかということは。それは日本の環境庁が独自に聴聞会をやられるわけですから、必ずしも関係ないといえば、それまでだと思います。思いますが、当時アメリカに対してどういう報告をしておったのかということは、これはこれで私は非常に重要なデータだと思います。そういう点では、この聴聞会においても、アメリカに対していかなる報告をやっておったかということを問いただすのが私は当然であるし、またその資料を十分取り寄せられて聴聞会に臨まれるのが至当であったというふうに思います。
 その点は、環境庁としては、やはり真剣にこの問題の解決をはかろうとされているとするならば、まあ私は手落ちじゃないかという気がするのです。ぜひひとついまからでも、これはどういうふうに報告をしていたものかということについて調べていただきたいし、また御報告もいただきたいというように思います。
 続けて、運輸省の方いらっしゃると思うのですが、お尋ねしたいのですけれども、運輸省のほうでは、五十年規制のいわゆる低公害車の優遇税制適用車はどれだけあるのかということと、一体何台持ち込んで検査をされてるのか、新車とそれからそうでない車があると思うのですが、それはどういう車を持ち込んで調べておられるか、かつ、それぞれについての詳細なデータをお示しいただきたいと思います。
 私が運輸省からいただいておりますデータは、もう私のほうから申し上げますが、これはNOxだけに限ってちょっと申しますけれども、マツダのロータリーで〇・八ないし〇・三、それからマツダのレシプロで〇・八ないし〇・四、本田のCVCCで〇・九ないし〇・八、こういうデータを私は持っております。これはばらつきもきわめて大きいのですが、それぞれの車種によって詳細なデータがあると思うのです。それをぜひひとつお示しいただきたいと思います。
#336
○田付説明員 まず第一番のインセンティブの指定を受けている車の状況でございますが、現在までのところでは、マツダ九型式、本田一型式、合わせまして十型式ございます。
 それから第二の、どのような審査をしているかというからみのお話でございますが、一応インセンティブを受ける低公害の能力が、要するに性能があるかどうかという審査をいたさなければなりませんので、私どものほうには車を四台持ち込ませております。そのうちの三台は、まっさらな新車でございまして、それからもう一台は、三万キロの耐久を終わった車にさせております。
 それで、耐久をします条件としましては、ややこまかくなりますが、六十キロの速度で走る三万キロの中の割合が六〇%以上、それから百キロの速度で走る割合が二〇%以上というように、かなり具体的に走行条件をきめまして、要するに三万キロ走りました車を一台、それからまっさらな車を三台出させまして、これを私どものほうの研究所に自動車の審査部がございますので、そこに持ち込みまして、自動車をシャシーダイナモメーターという一種の測定機でございますが、現車そのままでローラーの上に乗せる試験機がございます。そこでテンモード試験等をやりまして、出ましたガスを分析をして、その出たデータが五十年規制の基準に合っているということを確かめた上で指定をすることにいたしております。
 それからデータでございますが、いまちょっと全部の型式の、先ほど申しました十型式の分を持っておりませんので、後ほど至急整えまして、先生のところにお届けいたしたいと思います。
 ちょっとお断わりさせていただきますが、当初先生のほうから御要望がございましたので、すぐお渡ししてもよろしいのでございますが、実はデータを使っていただく場合の考え方でございますけれども、私どものほうではメーカーの持ってきたデータは、少しまゆつばで読んでおりますので、実はそのままでは信用していないわけであります。したがって、その辺を読んでいただける経験のない方がお使いいただきますと、そのままでのみ込まれてしまいますので、実際に新車で出てくる、われわれの手元に入ってくる実用車の場合には、データが少し落ち込みますので、かりに落ち込んでも、それが基準に入っていなければいけないということで、私ども厳重な審査をいたしております。その辺を先生にお話しをした上で、お渡ししたいという気持ちがあったものですから、幅でお示しいたしましたが、先ほど御依頼の件ございましたので、後ほどお届けさせていただきたいと思います。
#337
○中島委員 たとえばマツダのロータリーですと、一番きびしいところで〇・三を五十年規制で一応パスしているんですね。一々のこまかいことは、ちょっと時間がないから省略いたしますが、それは間違いないと思うんです、資料としていただいておりますから。ですから五十年規制の努力をして、やはりNOxについてどこまで除去できるかという点では、かなり接近している。もう市販されているもの自身で、そこまでいっている車があるということも事実だと思うんですね。
 それから、これは業界紙で発表しているものですが、時間がありますと私はもう少し正確にやりたいのですけれども、ちょっと恐縮ですけれども、業界紙で発表されているのを見ますと、四十七年の十月にルーチェAPの2ですね、これで〇・七五だ、ところが約一年足らず後ですが、四十八年の六月に同じくルーチェAPの2が〇一四二、さらに同じ年、つまり昨年の四十八年十一月にサバンナAPで〇・三一というふうに、かなりのスピードをもって非常に成果をあげてきているというのが歴史的な事実じゃないかと思うのです。しかも市販されている車というのは、何も私はいまの部長のお話じゃないですが、一番〇・二五に近いところばかりを問題にするわけじゃないですけれども、でも〇・三というような数字もあり、あるいは三も四もあるでしょう、あるということは事実なわけなんですね。これで現在まで、それからさらに一年近くを経過している。そういう中で〇・二五ということがほんとうにできないんだろうかという疑問といいますか、そういうものを私は感じるのです。これは環境庁はどういうふうにお感じになっておられるか。私はそういう点で、もっとやはり進歩しているんじゃないかということを感じるわけです。
 ですから、先ほど環境庁のほうで、いろいろメーカーから出されてきた数字についても検討を加えて、別にうのみにして中公審に諮問したわけではないんだ、判断を加えているんだというお話がありましたけれども、しかし、〇・六ということを本田の場合でしたら言っておるわけですね。そうすると何かここに私は、ほんとうに〇・六なんだろうかという、こういう疑問を感ぜざるを得ないわけであります。環境庁もはたしてそれが正しいというふうにほんとうに判断をされたんだろうか、そうだとするならば、だいぶん甘い判断なんじゃないか、企業寄りの判断をされたんじゃないかということを、全体として何か業界に相当押されているという感じをぬぐうことはできないわけであります。これは率直な私の意見です。
 時間がないというのは、まことにやりにくいものなんですが、それで私は、すべてのデータをもっと公開をする、私どもが聞けば、運輸省にしましても環境庁にしましても、おっしゃるでしょう。おっしゃるでしょうが、もっと積極的に公開をする、そして国民がだれでも見てわかる、判断を科学的にというわけにいかぬかもしれぬけれども、非常に広く国民が見て判断をすることができるというような状況に置くことが必要ではないかと私は思うのです。そういう点で、中公審に諮問されるのもけっこうです。けっこうですけれども、もっとやはり積極的なデータの公開、具体的な事実を積極的につかむ、公開する、そして国民とともに環境行政を進めるという、こういう姿勢が必要じゃないかと思うのです。春日局長と、それからこれは長官もひとつ答弁をいただきたいと思います。
#338
○春日説明員 ただいまマツダで〇・三ができるというようなお話がございましたが、先生のおっしゃっている〇・三グラムと申しますものと、それから暫定値として〇・六ないし〇・七と申しておりますのは、実は違うのでございまして、〇・六ないし〇・七と申しておりますのは中央値でございます。〇・三というのは、その一番端っこなんです。一番きついところなんです。ですから、〇・六と〇・三の比較ではちょっと不公平になるであろうと思います。一中島委員「中央値で比較すると」呼ぶ)そうすると大体そんなものになるのじゃございませんでしょうか。
 そういうような技術的な問題はともかくといたしまして、先生のおっしゃいましたように、私どもはきびしい姿勢で、人間の健康を守るということを第一義にこの自動車排気ガス規制をやっていきたい、かような決心でございます。
#339
○毛利国務大臣 データの公開、国民とともに生きる、そうありたいと思います。努力します。
#340
○中島委員 もう一言、二言、長官にお尋ねします。
 あの総理発言は、ずいぶんきょうもこの委員会で問題になりました。私は、その五十一年規制が――これも報道によりますと、アメリカを見てもわかるように情勢が変わった、日本も物理的にできないなら無理だ、アメリカと同様延期もやむなし、こういう発言をされたようであります。先ほど来の御答弁を私は聞いているのですけれども、その上に立って、総理が一体どういうふうに言ったのかということを長官は確かめてみるべきじゃないでしょうか。これはたいへん大きな波紋を巻き起こした総理大臣の発言であります。確かめられたかどうかということが一つ。
 それから、いま一つは、この考え方の中には非常に大きな間違いがあると思うのです。それは、一つは、やはりアメリカが延期したから日本も延期するんだというように受け取れる考え方があります。アメリカが延期したから日本も延期するのだ、あるいは企業が無理だと言っているから無理なんだ、こういうふうに聞こえるわけなんです。たいへん率直に言って、総理の発言は企業寄りの発言だというように思います。その点で長官はどう思っておられるか。まず確かめたかどうかということと、それからどう思っておられるか、どうしようとされているか、以上をお聞きしておきます。
#341
○毛利国務大臣 いまだ確かめていません。確かめてみたいと思います。環境庁の基本方針、事のいかんによらず、そのようにいきたいと思っております。
#342
○中島委員 こういうのは早く確かめなければだめですよ、長官。やはりこれだけの大きな発言なんですから、きちんとぜひひとつ早く確かめていたたきたい。その上で――それから、これは先ほども言われた方がおりますけれども、私は政治資金なんかも相当からまっているんじゃないかと思いますよ。今度の参議院選挙にあたって、自動車工業会の会長である豊田氏の名前で、国民協会あての特別臨時会費として四億八千万円の割り当ての通達を出しておられる。トヨタは一億三千万円、日産は一億二千万円そのうち受け持つ、各社に全部割り振ってあります。そういうものを出しておるのです、これは参議院選挙にあたってですよ。特別会費、臨時会費です。
 こういうことをやっておって、これは実際におそらく、これまた率直に言いますが、国民協会に出されたものは自民党に行くことになっておりますのは天下周知の事実なんですから、行っておると思うんですね。こういうことと、はたして無関係なのかどうか、だれしもこれはふしぎに思うところであります。そういうふうに思うのは、無理はないのです。だからそういう点では、やはり政治献金を大企業から受けないという姿勢をきっぱりさせる、そうでなければ厳正な環境行政を行なっていくことはできないと思うのです。これも重ねて長官の見解を聞きたいと思います。
#343
○毛利国務大臣 環境行政を行なう上に、そういう関係の業界から、きっぱり断わって、受けてはならないと思います。
#344
○中島委員 最後に、私、この五十一年規制を実行しても、しかし同時に交通量規制をやる必要があるのではないかというように思うのです。なぜ私がそれを言うか。これは大都市の場合でありますし、特に東京都の場合ですけれども、東京都は御存じのように「都民を公害から防衛する計画」というのを発表いたしております。これもまた時間がありませんから、私は、もうほとんど内容を省略いたします。省略して、一番最後の結果のところだけを言いますが、五十五年度におきまして、四十八年規制を行ない、五十年規制を行ない、五十一年規制を行ない、固定発生源に対する規制を行ない、これらの計画があって、それを全部やっても、結局のところ七千トンのNO2、NOxですね、二酸化窒素が環境基準よりは残るという結果になっておるわけであります。
 やはりほんとうに環境基準を達成していくということをやろうとするならば、五十年規制はおろか、五十一年規制は断固として実施しなければならない、しかもその上で、なおかつ交通量規制をやらないことには、命と健康が守れないという、こういう実態にある。したがって、環境庁としては、この交通量の規制をやるというふうに考えておられるかどうか。これが第一点です。
 それから第二点は、この問題はすぐれて地方自治体にかかる問題であります。五十一年規制をもし延期するというようなことになれば、この地方自治体が立てている計画が実行できなくなることは、もうあまりにも明らかであります。ですから、したがって五十一年規制を断固としてやってもらわなければいかぬということになるわけですが、しかし同時に、これをやろうと思えば、やはり交通の規制権というものは地方自治体の長に渡さなければならないのではないか、これが一番住民の命と健康を守るのに適した方法ではないかというように感じます。その点が一点。どういうふうにお考えになるか。
 それから、もう一つ続けて伺います。使用過程車の問題です。使用過程車の問題について、現在は点火時期の調整かあるいは触媒装置か、どちらかを選んでつけるということになっておるはずであります。これを併用するならば、非常にすぐれた効果をあげることができるということが、東京都の側から実験の結果として報告をされております。これを併用した場合に、COでいえば六八%減らすことができる。HCの場合であれば四五%減らすことができる。それからさらにNOxであれば四%減らすことができるという結果が報告されております。もし併用しない場合にはどうなるか。併用しない場合には、COはほとんど減らない、それからHCは七%、それからNOxは二三%ということであります。併用したほうが、どれだけすぐれた成果をあげるかわからないという、そういう結果が出ているわけであります。
 したがって、私はこれは併用を義務化するということが必要ではなかろうかと思います。やはり使用過程車、いまたいへん問題になっておるのは五十一年規制が問題になっておりますけれども、しかし、同時に膨大な使用過程車をそのままにしておくことはできないと思います。そういう点でどんどん減らすことができるものであれば、それは人間の命や健康を守ることになるのですから、それらはあらゆる手段を尽くして減らすように、NOxがなくなるように、あるいはそのほかのHCにしろ、COにしろ、なくなるように努力すべきである、そういう点からこれを義務化する必要があるのじゃなかろうか。
 それから最後に、これはほんとうはいままでの答弁を聞いてから言うべきことでありますけれども、時間がありませんので、私はまとめてあれしますが、もしこれがほんとうに東京都がいっているように効果のあるものであるとするならば、まず少なくとも環境庁の持っておられる全車に併用ということを実行する、いや、もう政府関係が使う車は全部実行するというようなところまで進まれてもよろしいのじゃないかと思うわけであります。
 以上について、まとめてお答えをいただきたいと思います。長官からも何かあればいただきます。
#345
○春日説明員 過密地域におきます大気汚染の現状からして、大都市の交通量を減らす対策というものは必要である。ことに都市における自動車交通総量規制のための抜本的対策をとるべきではないかというきびしい御指摘であろうと思いますが、私は、自動車公害の著しい大都市等におきましては、自動車排出ガスを減らすために交通総量を減らす、そういった対策を含めた総合的施策の樹立が必要なことは全く先生と同意見でございます。ただ、この問題につきましては、単に環境庁だけの問題ではございませんで、関係省庁多数ございまして、そういったところで総合的に検討してまいりたいと思うわけでございます。
 なお、使用過程車の問題でございますが、これは運輸省がおいでになりますので、運輸省の御所管でございますので譲るといたしまして、そのほかに、私どもはディーゼル車の、ディーゼル新車の排出ガス規制につきましても、すでに御承知のとおり、従来のディーゼル黒煙に加えまして、窒素酸化物等を本年の九月から排出規制を行なっていくことにいたしておるわけでございます。今後長期的観点からディーゼル車というものの占める地位というものは、これは私はたいへん重要だと思います。先生の御指摘の一つだと思いますので、今後中公審で十分これを検討していただくように考えておる次第でございます。
#346
○田付説明員 先生御指摘の触媒と点火時期制御装置の併用の問題でございますが、先般東京都のほうから私どものほうへの要望もございました。いまそれに添付されました内容について検討いたしております。ただ、技術的に申しますと、一、二その中に不明な点などございますので、さらに詳細な技術的な点をいただいて勉強していきたい、こういうふうに思っておるわけですが、実は現在私ども運輸省といたしましては、四十八年度の緊急措置ということで、点火時期制御装置か、先ほど先生のおっしゃった触媒か、または第三の方式、これは水噴射その他の浄化方式がございますが、どれでもよい、とにかく早くつけようじゃないかということで、現在その作業が進行中でございまして、五十年三月までの間に千百五十万台を相手にいたしまして、現在その装置の取りつけを急いでいる最中でございます。現在までのところ、予定どおり大体進んでおりまして、あと八百万台ぐらい残っているのが現在の時点でございます。したがいまして、私どもとしてはその装置の取りつけをまず優先的にやっていきたいということを、いま考えております。
 それから併用の義務の点につきまして、もう一点実は研究をしなければならない点がございますが、公害の問題は実はガスだけではございませんで、騒音の問題もございます。私ども使用過程車の検査を通じまして、いわゆる安全確保をいたしておりますが、やはり最終的には騒音が何ホン、排気ガスは何PPMという数量規制で押えませんと装置をつけるだけでは、実はそれが劣化してしまいますと、所定の目的が達成できないということで、実は排気ガスにつきましても四十五年のときに一酸化炭素、それからことしの初めは実はHCの規制をそれぞれきめまして、HCの使用過程車の検査がいよいよ来年の一月から始まるということで始めたわけですが、これらは全部実は数量規制でございます。基本的にはやはり数量規制でやっていくべきが筋ではないだろうかという点がございまして、この点なども含めまして実はいま直ちに併用を義務化するということにつきましては困難な問題がたくさんありますので、私どもとしても慎重に対処していきたい、こう考えております。
#347
○毛利国務大臣 先ほどの春日局長の答弁で尽きておりますが、何といっても公害防止目的達成のためには、交通規制、総合規制というものも、関係の運輸省、警察等とも相談の上やらなければ、目的達成は不可能だと思います。どうしてもやるべきだと思います。
 ほかの点については、この間関西に行って四十三号線を見てまいりました。私どもの想像以上にトラックが多いのですね。これについて、もっときびしい規制を考えなければならぬ、つくづく感じました。
#348
○中島委員 終わります。
#349
○角屋委員長 岡本富夫君。
#350
○岡本委員 私で最後の締めくくりですから、両大臣ひとつ最後までがんばってください。
 そこで、環境庁長官は、長官に就任されてすぐに、関西の大阪国際空港あるいはまた道路公害、そういうものを視察されたということは、私はその姿勢としては非常に了とするものであります。いままでの長官は、大体こちらから委員会でややい言ってからしか行かなかった。しかしあなたは、今度就任後すぐに向こうに行かれたということに対しては、私は非常に高く評価をいたしております。
 そこで、まず環境庁長官にお聞きしたいことは、大阪伊丹国際空港に参りましたときに、住民の皆さんの一番の要望は何であったか、一日も早くこの空港をのいてもらいたい、撤去してもらいたい、それが非常に大きな要望であったと私は思うのです。そこで、そのときにもお話があったと思うのですけれども、また新聞の報ずるところによりますと、新関西国際空港ですか、この答申が出ましたが、この答申は、これを拝見いたしますと、その骨子としますところは、大阪国際空港の廃止を前提として、そのかわりの空港をここにつくるんだというのが、この答申の骨子だと私は思うのです。
 そこで、長官は向こうでこの答申を尊重するというようなお話をされたと思うのですが、尊重するというのは撤去を前提とした新空港の答申でありますから、それを尊重されるのか、この点をもう一ぺん確かめておきたいと思うのですが、ひとつ毛利長官からお聞きしたいと思います。
#351
○毛利国務大臣 関西で申し上げたことは、答申を尊重するけれども、環境庁の立場はかくかくであるということを申し上げたと思います。かくかくというのは、現在までにいわゆる影響評価について十分な資料が自分のほうに届いていないために、位置並びに規模についてまだ諾否、賛否を決定するに至っていない、したがって、留保しておるというのが、いままでの状態である、将来に向かっては新空港開設その時点において、供用の時点においてなお環境整備の条件がそろっていない場合に、撤去あるいは撤去を含みとして、その時限における検討をいたしますというお話をしたつもりでございます。
#352
○岡本委員 この答申でありますが、この答申の中には、まだなるほど環境アセスメントをしなければならぬ、これはよくわかるのです。しかし、この新空港をつくるについての前提条件として大阪国際空港を廃止する、そのかわりを向こうにつくるんだというのでありますから、いまあなたがおっしゃったように、その時点において大阪空港の廃止を検討するというのであれば、これはもうこの答申をほんとうに尊重してない、こう言われてもしかたがないのではないか、私はこういうふうに考えるのですが、どうもそこのところ、あなたも言いにくいかもしれませんが、環境庁長官のほうから、これはやはり勧告になると思うのですが、新国際空港をつくるについては、この答申どおり――大阪国際空港の廃止を前提としなければならぬぞ、こういう答申です。ですから、それを尊重するというのであれは、――あとで検討するというのであれば、これはちょっとその意味と、尊重のしかたといいますか、尊重も何もしていないんじゃないか、こういうふうに考えられるわけです。あとで検討するのであれば、この答申なんか何も関係ないことになってしまうのです。環境行政の中でこれはだめだ、これはこうしなければならぬ、こういうことになりますから、答申と全然関係がないのではないか、こういうふうに考えられるわけです。もう一度その点をひとつ明確にしていただきたい。要するに、この答申を尊重するのかしないのか。
#353
○毛利国務大臣 答申の解釈ですが、あまり表立って私が言う立場ではないと思いますけれども、撤去する場合もあり得る、しない場合もあり得るという意味が含んでいるような解釈も私はしておるのです、その答申の内容に。しかし環境庁としては、いま申し上げますような立場をとるということを申し上げておきます。
#354
○岡本委員 どの辺が撤去しない場合があるというところになっておりますか。ちょっと指摘していただきたいと思います。一番前文にきちっと「関西国際空港は、大阪国際空港の廃止を前提として、その位置を大阪湾南東部の泉州沖の海上とし、」あと云々とありますよ。どの辺に撤去しない場合もあるということが載っておりますか。どこが解釈できますか。この点をひとつお聞きしたいのです。毛利長官。
#355
○毛利国務大臣 ちょっとその前に、あなたから誘われてつい言っておるのだけれども、私答申を尊重するということばは、関西で一ぺんも使っていないのですが、どこでそういうことになったのですかね。
#356
○岡本委員 あなたあそこで、伊丹の市長さんに尊重しますということを一番最初にお答えになった、私は横で聞いていたのです。
#357
○毛利国務大臣 ちょっと記憶がないのだけれども、いまあなたのおっしゃる個条については、つまびらかでないのですが、先ほど運輸大臣とのやりとりの中でも、そういうことを感じましたので申し上げたのですが、この委員会で……。
#358
○岡本委員 環境庁の立場で言えばいいんですよ。私、運輸大臣からは、運輸大臣からの別の御答弁を聞きます。私がいまお聞きしておるのは、環境庁長官に対してお聞きしておりまして、環境庁として事実あの場所に参りまして、まあ当日は飛行機を逆に離陸させるようにしましたから――ほんとうはもっとひどいのです、高芝あたりは。なかなかこれが、腸がふわっと出てくるような、あそこにいるとたいへんな、それを御承知のように、過去十年以上になるのですけれども、ほんとうにひどくなったのは万博からですから、もう五、六年、もうしんぼうできない限界のところに来ておる。そういうところにあなたがお行きになって、ああした姿をごらんになったわけです。ですから、あの状態をごらんになる前と、それから、ごらんになってからとのあなたの考え方、すなわち、環境行政の考え方というものが相当前進をしておろうという期待を私はいたしております。
 したがいまして、先ほど私申し上げたように、伊丹の市長さん、あの場で一番最初に、今度の答申を環境庁長官は尊重なさいますかと言ったら、あなたは尊重しますとお答えになった、あと云々ありましたけれども、あと、先ほど答えたように、新しい空港ができてから、それからそれを含めて検討いたしますと言っておりましたけれども、しかし、それでは私はこの答申を尊重したことにならない、それはあとになりますからね。その点をもう一度明確にしていただきたい、こう思います。
#359
○信澤説明員 私がお供をしてまいりましたので……。おそらく伊丹市の北村センターですか、あそこでの大臣の御発言に関連してのお尋ねだと思います。
 あのとき市長さんからお話しございましたのは、新聞記事をお示しになりまして、あの航空審議会の答申を閣議で了承した、こういう事実はあるのか、こういうお尋ねがあったわけでございます。それに関連しまして大臣から、いや、閣議了承ではございませんで、閣議で報告があった、これについて若干の議論が閣議の席上でありました、こういう御趣旨の御答弁をしたかと思います。それに対して、この答申について政府はどういう態度をとるんだ、こういうお尋ねがございまして、それについて、やはり政府全体としては、せっかくいただいた答申であるから、それを尊重するという方向で今後いろいろな施策を進めることに相なるであろう、こういうことを申し上げたわけでございます。
 なお、大臣が申しました趣旨を若干ふえんして申し上げさせていただきますと、私どもは先ほど来申し上げましたように、この審議会の答申には態度保留いたしておるわけでございます。それは理由は、るる先ほどから申し上げておるところでございます。したがって、そういう状態のもとでは空港の規模その他も一切私どもとしては白紙の状態であるわけでございますから、そういう状態のもとに、その撤去を前提としてという部分についてもこれまた態度保留である、こういう考え方に立って、先ほど来のやりとりがあるわけでございます。
#360
○岡本委員 これはどこの新聞でしたかな。答申案が出ましたときに、各市も、また住民も、現空港廃止が前提ということで非常に歓迎をし、また住民の皆さん方も非常に喜んだ。なぜかと申しますと、御承知のように、要するに、大体いつごろこんなひどい騒音からのがれることができるかという見通しがつくならば、それまでしんぼうしてもいい――しんほうというのは、おかしいですけれども。全然、いまのところでは、いつまでたっても、この現在の生活環境からのがれることができないというのが皆さんの偽らざるところの心のうちなんですね。それがああして、どんどん出てくるわけです。
 したがって、いろいろな施策を言われても、それは必ず空港撤去を前提としておるんだということが、まず前提でいろいろな交渉といいますか、いろいろな話が出てくるわけです。したがって私は、新国際空港をつくるというならば、この答申どおりやはり撤去を前提とするということがなければ何にもならない。そこで、一番難航しておるのは、運輸省はこれはまだ併用するんだ、こういうことになりますと、これは長官聞いていただきたいのは、あんな狭いところで併用して、さらに便をふやすことになり、いま新空港の答申を見ますと、一年に十五、六万台、ちょうど現在の数量です。そこにまた、いまのを併用していくと、今度はニアミスから、もう危険度がきわまりなくなってくる、こういうことで非常に危険感というものを感ずるわけですね。ですから、この答申をほんとうに尊重し、環境行政の立場からこれをひとつ検討していただかなかったならば、いかないと私は思うのです。その点について再度長官として、前の三木長官ぐらい前向きにひとつ答弁をいただきたい。
#361
○毛利国務大臣 先ほど申し上げた方針に変わりはないのですが、現地へ行って、いかにあなたのおっしゃるように、前提とするという条件が強いか、しかもそのことに最も関心があるかという切実な叫びを胸に刻んで帰りました。
#362
○岡本委員 胸に刻んで帰ってもらっても、これは実行してもらわなければ困るのです。それから、これはここで運輸大臣を横へ置いておいて、あなたも答弁をしにくかろうと思うのですが……。
 そこで、今度は運輸大臣、あなたはこの新国際空港をつくるについて、この答申をどういうように尊重なさいますか、ちょっとお聞きしたい。
#363
○徳永国務大臣 どういうふうに尊重するか、非常にむずかしい御質問でございますが、私はその盛られた精神を十分くみ取りまして、いま現に伊丹空港において、生活の上からも非常に大きな苦痛を持っていらっしゃるそういう方々に対して、一日も早くそういうものが、新しい空港ができるように努力をしていきたい、こういうことでございます。
#364
○岡本委員 そうすると、新空港は、この答申案のように大阪空港の廃止を前提としてということは間違いございませんですか。
#365
○徳永国務大臣 そこに書いてありますそのとおりでございますが、ただ廃止を前提としてという解釈の問題が残っておるだろうと思います。私は、その新しい空港ができたら、これは全部やめにするんだぞという意味で、そこに書かれて盛り込まれておるものとは思いません。新しい空港ができた場合には、現空港の廃止ということもあり得るんだ、そういうようなものを受けて一つの答申をまとめたんだ、こういうふうに解釈をいたしておる次第でございます。
#366
○岡本委員 私、この答申を見まして、新空港ができたときに、大阪国際空港を存続させるんだというようなことは、全然この答申案では見受けられないんですね。日本語で書いてありますし、それからすなおに読みますと、どうも運輸相のおっしゃったことと、この答申とに、そこにそごがあると私は思うのですよ。
 一歩退いて、それでは新空港ができた場合、この答申を見ますと、大体一年に十五、六万台です。そうすると大体現在と同じなんです。その場合大阪空港をもしも供用する場合は――供用するという場合もあり得るというあなたのお考え方ですね、残す、存続させるという。その場合は、それを使うときは緊急な待避のためか、あるいはまた両方とも供用していくのか、こういった面についてひとつ詰めておきたいと思うのですが、いかがですか。
#367
○徳永国務大臣 新しい空港の答申をちょうだいしたばかりでございまして、これが完成するまでには相当の時間がかかるだろうと思います。あるいは七年ともいわれ、あるいはそれ以上に日にちがかかるだろうと思いますが、その間において航空機に対する音源の対策、音源の進歩、いろいろなものがあろうと思います。そういうようなものも含めまして、私どもは今日までとってきております――新しい空港ができた時点でひとつ地元公共団体の皆さん方と十分相談をして検討しようということを申し上げ、その態度は今日まで変わっていないわけでございます。
 したがいまして、いま先生御指摘のように、あの空港を、たとえば東京でいいますと、羽田と成田を両方供用しよう、そういうようなことでものを言っているわけではございません。そういう考えですと、いまの住民の皆さん方のいわゆる騒音公害に対する苦しみというものは取り除けるものではございませんから、その時点で地域公共団体の皆さん方も、これなら残してくれてもいいじゃないか、たとえば新しい空港がどういう形ででき上がりますか、まだ構想の域を出ておりませんけれども、これがだんだんとまた御理解をいただき、具体的に計画の段階に至り、建設の段階に至りますと、いろいろな問題が出てこようと思います。そういうようなものを十分考え合わした上で、しかも新しい空港に対しましても、公害のない空港として答申をいただいておりますから、まして、いままである伊丹空港に対しましては、これはもう公害のない空港として、たとえば小型機を置いてくれてもいいじゃないかというようなお話が出るかもわかりませんし、そういうような問題は、その時点でひとつ十分お話し合いをした上できめようじゃないか、こういうことでございます。いま先生が御指摘のように、両方供用して、わっと両方からジェットを飛び上がらせるなんというような考えは毛頭持っておらないわけでございます。
#368
○岡本委員 大臣、いままでの航空行政のあり方ですね。実はジェット機を大阪国際空港に入れるときに、ジェット機を入れるから非常に便数が少なくなる、大型機になるんだからというようなことで、それだけ便数が少なくなるならば、いまよりましだということで、十一市協も、あるいはまた住民の皆さんも、少しは納得したんですね。ところが、私、当時四十二年に当委員会でやった時分には二百五十機だったのです。それが万博のあのB滑走路ができて、とにかくどんどん入れるだけ入れてきたわけです。それでピーク時は一日四百六十機、そのうちの六〇%以上がジェット機印そういうことで、この運輸行政に対するところの不信感というのは、いまのところ、ぬぐい去ることができないのですよ。そこらをひとつ徳永運輸大臣は、昔のことはどうか知りませんが、いままでの航空行政について――いかに新空港ができたらこうするんだ、その時点でと、こういうことを言いましても、とても皆さんは納得しない。ですから、その点やはり明確にしておかなければ、この新空港もできないであろうということを私は申し上げたいのです。
 いままでの行政というものが、あまりにも住民無視、あまりにもひど過ぎた。これがもう今日の爆発的な、訴訟やあるいは調停にまで出さなければならぬ、はや病人が続出している、こういうところへ来たわけです。そういうことは御承知だろうと思いますけれども、そういうことを御承知であるならば、新空港ができたときも、その時点で皆さんと話し合いをするといっても、みんな聞かない。だから、やはり明らかな一つの方針をきちっと打ち出して、それでやらなければならないと私は思います。この点について、もう一度ひとつ。
#369
○徳永国務大臣 私は実はそう考えないわけでございます。いままで運輸省が見解を明らかにしてまいりましたように、これから先の十年間にどういうふうな変化が起きてくるのかわかりませんけれども、私どもは少なくとも、先ほど来環境庁長官もおっしゃっておるように、環境基準に合わないような空港に対しては、当然これは廃止すべきであるというような意味の御発言も前環境庁長官以来あるようでございまして、全くそのとおりだと思います。したがいまして、その時点において、たとえば交通事情その他いろいろな問題が、この新空港に対しては出てくるだろうと思います。そういうようなことを考え合わせまして――あるいは災害のためにごく小型の飛行機が御存じのように、いま調布の飛行場から飛び上がっておりますが、そういうようなことで騒音もない、公害もない、そういうようなものなら、あの施設を残してもいいじゃないかというようなことに相なりますれば、合意が得られますれば、私は残していってしかるべきじゃないか、こう考えるわけでございます。
 そういう点におきまして、地元の皆さん方と十分ひとつ御相談して、そのときにきめていったらいいんじゃないか、かように考える次第でございます。
#370
○岡本委員 そうしますと、大臣の考え方はわかりました。それは、新しい空港は大阪国際空港廃止を前提としてという答申のとおりだ、しかし、その時点において小型機ぐらいは入れても、まあ住民の皆さんが納得するなら供用する、そのかわり住民の皆さんが納得しなければ、それはできない、こう解釈してよろしいですね。
#371
○徳永国務大臣 そう御解釈いただいて、けっこうだと思います。
#372
○岡本委員 次に、環境基準につきまして、現在WECPNL八十五でしたか、この現在の環境基準は、特に人体に与える影響、子供の情緒障害、何といいますか、現地視察していただいてよくわかったと思うのですが、あるいは排気ガスの鼻血の問題、こういったものを全部加味された環境基準ではないと私は思うのです。暫定的だったと私は思うのです。将来人体被害というものについて、いつごろきめるか知りませんが、そういったほんとうに健康を害しない環境基準というものをつくらなければならぬ時代が来ると私は思うのです。また、いまやっていると思いますが、環境庁長官は、新しい空港ができて、こっちの現在の国際空港は基準にマッチしなければ、検討して廃止させるんだというようにお聞きしておりますけれども、一新基準というものができた場合それに合わなければならない、こういうように考えて差しつかえありませんか。
#373
○春日説明員 ただいま設定してございます航空機騒音の環境基準は、あくまでも公害対策基本法第九条にいうところの健康を維持し、生活環境を保全するという意味での環境基準でございますので、先生がおっしゃいますように、さらに新たなる基準というものを設けるつもりは現在のところございません。
#374
○岡本委員 それでは、あの基準というものは、御承知のようにまだ人体被害調査も全部終わってないのです。昭和四十三年だったか、当時佐藤さんが総理のときに当委員会で私が要求しまして、そして少し予算をつけて毎年、三年くらいやって、もうあと打ち切ってしまったような状態になっておるのです。またあとづけてくれと、やかましく言うておるのですけれども、なかなかそれも進んでない。したがって、現在の基準というものは、もう間違いないんだという断定は許されないと私は思うのです。中公審の答申だから間違いない、しかし、そのもとになるところの資料というものが全部できてない。これはたびたび環境庁もいままでそうおっしゃってたと私は記憶しておる。
 さらに、御承知のように飛行機の振動によって屋根がわらがどんどんずっておった。その屋根がわらをとめてありましたですね。ああいうもので、そのことを考えますと、振動基準というものをやはりきめていかなければならない。これもまだきまってないんではないでしょうか。いつごろ、この振動の環境基準というものはきめるおつもりをしておるのか、これをひとつお聞きしたい。
#375
○春日説明員 前半の問題でございますが、もちろん環境基準と申しますものは第九条のたしか二項でございましたか、アップ・ツー・デートの学問的根拠に従って、それは変えていくべきものであることは事実でございます。そういう意味では先生が御指摘になるように、常に環境基準というものは暫定的な要因を含んでおるということは事実でございます。おそらく先生のお考えは、そういうことであろうと思います。そうであるといたしますと、私も全く賛成でございます。
 なお、振動の基準の問題でございますが、これにつきましては、新幹線の振動基準でございますとかいろいろあるわけでございますが、新幹線の振動対策について昨年の末、中央公害対策審議会に対しまして、対策の基本となる指針について諮問をいたしておりまして、審議をお願いいたしておるところでございます。ただ手法は、制度的にも技術的にも、まだ慎重に検討を要する点が多々ございます。したがいまして、審議会での審議は相当な時日を要するものと私どもは考えられますけれども、環境庁といたしましては答申が得られ次第、早急に対策の推進方をはかってまいる所存でございます。
#376
○岡本委員 これは新幹線のほうで、航空機のほうは御承知のように、ああしてかわらがずれるぐらいですからね、これもひとつやってもらわなければならぬ。いまの答弁では――ありますか、とうぞ言ってください。
#377
○春日説明員 航空機による振動につきましては、工場建設あるいは自動車等による振動が地表を伝播するのに対し、航空機によります振動は空気中、気中を伝播いたしまして影響を及ぼすものでございますから、この気中伝播振動というものは可聴域、耳に聞こえる領域以下にわたる低周波の音なんでございます。そういった低周波の音に起因するものが非常に多いといわれておるわけでございます。要するに航空機振動と称するものでございます。したがいまして、いまだ解明されていない面があるわけでございますので、これらにつきまして、私どもは技術的な解明をいまいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#378
○岡本委員 いずれにしましても、私なぜそういうことを提案しているかといいますと、環境庁長官が、環境基準に合った場合だったらいいのだ、あるいはまた運輸大臣が、環境基準以下であれば、これはいいのだというような、お二人ともそういう考え方ですから、その環境基準なるものがまだ暫定であり、また振動のほうもはっきりしていない、そういうものから見て、そして環境基準以下でいいのだ、こういう考え方はひとつ改めてもらいたいということから提案をし、またこの環境基準というものを早く振動のほうもきめて、これだったら公害がないのだ、住民の皆さんも、これならだいじょうぶだ、こういうことにならなければならないと私は思うのです。もう時間があまりありませんから、こればかり言ってもしかたがありませんので次にいきます。
 次に要求として、これは航空局でも資料をもらっておるわけですが、運輸省がいまきめておるところの騒音コンターと、それから十一市協、すなわち地元の市や県が一緒になってきめた騒音コンターとの差が約二万戸ですか、あるわけですね。この調整はいつごろおやりになるのか、これをひとつお聞きしたいと思うのです。
#379
○中村説明員 お答え申し上げます。
 この両者の調整につきましては、私ども当初ことしの六月ごろにはこれを実施したい、こういうふうに考えておったわけでございますけれども、何ぶんにも新しく大阪にできました周辺整備機構の体制づくり等ございまして、お約束申し上げました時期にこれを実施することができなかったわけでございます。この点につきましては、われわれ非常に責任を痛感しておるわけでございますけれども、現在の段階といたしましては、おそくとも十月ごろには、これを実施すべく予算的な措置も講じておるわけでございまして、その他諸般の準備を整えまして実施してまいりたい、こういうふうに思っております。
#380
○岡本委員 そうしますと、その予算は騒音コンターをきめる際の調査の予算でありますが、全体の予算として十年間で整備機構のほうの予算総額が五千三百七十億、こういうようになっておりますけれども、この全部の予算総額というものは、これは運輸省の騒音コンターによって割り出されたものであると私は思うのです。そうしますと、今度は十一市協、要するに現地の各市と相談をすれば相当広がってくる。そうすると、この予算というものがくずれてくる。だから、その予算措置は十分配慮できるのかどうか、これをひとつ運輸大臣からお聞きします。
#381
○徳永国務大臣 いま航空局長から御答弁申し上げましたように、十分地元の皆さん方とも協調して調査いたしまして、その上で予算措置が必要な結果が出てまいりますれば、当然そういうものも含めて善処いたしたい、かように考えます。
#382
○岡本委員 それから現地に参りまして一番問題は、整備機構ができたけれども全然動いていない。たとえば整備機構の話をしますと、航空局のほうへ伺いを立てなければならないということで、その機能を発揮していない。これはいつごろから、その機能を発揮するようになるのか、これが一つ。
 それから民家の防音工事につきまして、一室だけでは、これは子供の勉強あるいはまた新聞にも出ておったように寝たきりの病人さん、あるいはお若い夫婦の方、こういうことを考えますと、どうしても二室以上要るのではないか、この点にもひとつ配慮をしなければならない。あるいはまた公団住宅、あるいは借家人、借家は全然防音装置はしてくれない。これが二つ目。
 それから、現在のところを立ちのく、それは飛行機の騒音のために土地価格が安い。したがって、これから先行くところが非常に高い、この差額についてはどうするか、こういった面をきめこまかく、これはひとつ運輸省のほうで配慮することが大切であると私は思うのです。それでなければ、この機構ができましても全然これは機能を発揮しない、こういうように考えられるわけです。
 この問題につきましては、一つ一つ詰めていきたいと思っておりますけれども、時間になりましたということで、じゃ、この点はまた次の機会に詰めます。
 そこで最後に、今後長官がお行きになって、国道四十三号線の自動車公害、これは御存じだと思うのですが、特にあの四十三号線の沿線というものは、もうみんな寝られない、あるいは生活ができないということで、両側一車線ずつくらいを削減して森林地帯を設けてもらいたい。まあ尼崎と大阪間は今度大体できるようになった、しかし西宮−芦屋も実施してもらいたい、こういうように話があり、長官からは、建設省に対して、これは申し入れておこう、こういうような答弁があったわけでありますけれども、これについて建設省のほうから答弁をいただきたい。
 それについて、またもう一つ。
 あの現在の過密した四十三号線の自動車の姿というものは、もうピークに達しておって、大体一日に十五、六万台通っております。したがって、どうしても湾岸に、要するに海のほうに新しい道路を建設して交通緩和をはかる必要がある。それでなければ、この問題は解決しないのではないか、こういうように考えられるわけです。これらは両方とも建設省からお聞きしたい。
 もう一つ、これは環境庁から。
 水質汚濁防止法の中に、下水道整備地域、これが適用除外され、立ち入り権限がなくなっておる。そのために、この間尼崎でも、アマテイというくぎメーカーが、いままで下水道に流していた水を公共用水域に流した。それを海上保安庁が摘発して、そしていま問題になっているわけですが、それについて尼崎市から環境庁に、四十九年の六月十一日に、この下水道整備地域も水質汚濁防止法の適用になるのかならないのか、立ち入り権限があるのかないのか、これに対しての問い合わせが来ているはずですが、その返事もない。これは水質保全局長からお聞きしたい。
 以上をひとつお答え願いたい。
#383
○毛利国務大臣 ただいまの岡本委員の四十三号線のいわゆる自動車公害については、おっしゃるとおりですが、昨晩帰ってきて、きょう朝から委員会に出席で、まだ建設省と交渉しておりませんので、その点御理解願います。
#384
○井上説明員 先生御承知のように、一般国道四十三号線の尼崎地区につきましては、外側の一車線を削りまして、一部歩道を削りまして、幅員約四メートルの植樹帯を設置し、なおかつ、部分的ではございますが、防音壁を設置して騒音公害に備える、こういう方針を決定いたしております。ただ、現在、尼崎地区におきましては、阪神高速道路が中央車線のほうで工事中でございまして、したがいまして、車線を削るという工事が現在のところでは、まだできません。阪神高速道路公団の主として脚柱の工事でございますが、これが完成をいたしました暁に外側の車線を削る工事を始めたいと思っております。これは現在の工程では、来年度から着工する予定でございます。
 それから、同じようなことを西宮−芦屋間に御希望があるようでございますが、現在、御承知かと思いますが、西宮−芦屋間におきましては、現在ある歩道の一部に約二メートルの幅で植樹帯を設置いたしております。それからなお、高架道路等には防音壁を設置して、若干でも騒音公害を減らすような措置を、ただいますでに講じつつございます。しかし、おっしゃいましたように、尼崎のような車線を削って、より大きな植樹帯をつくるということも御希望がございますので、この点につきましては、尼崎の結果を見まして西宮−芦屋間にも検討を加えてまいりたいというふうに考えております。
 それから最後に、湾岸道路のことでございますが、これは四十八年度から建設省直轄で、すでに調査を始めております。ただ、この道路は御承知のように、埋め立て地に次々とつくっていく道路でございます。現在、海のところもございます。建設省だけで片っ端からつくっていくというわけにまいりません。この辺は運輸省御当局とも御相談をしながら、調査だけは進めてまいりたいというふうに考えております。
#385
○大場説明員 ただいま御指摘のありました案件は、尼崎市のアマテイというくぎ製造業者が、ことしの春に強酸性の廃水を公共水域に排出したという案件であろうと思うわけであります。
 これにつきまして、尼崎市のほうから本年の六月に照会が来ております。照会の趣旨といたしましては、この会社は、通常は、尼崎市の下水道を利用しておる。ただし御存じのとおり、尼崎市あの地帯は地盤沈下地帯で、異常降雨の場合には浸水しがちであるということで、下水道のキャパシティをこえるおそれがある場合には、市の指示によって、下水道に排出しないで、公共用水域に流すことを考えなさい、こういったことになっておるわけでございます。それが海上保安庁で、ことしの四月に公共用水域にその排出水を降雨時流しましたところ摘発された、こういった案件につきまして、これは違法なりやどうかというような御質問があったわけでございます。
 この問題につきまして、いろいろ海上保安庁から事情聴取もいたしましたが、海上保安庁の調査では、ほんのごく例外的に、通常の場合には下水道に流しておるというケースではなくて、今回のケースには、かなり多い頻度で公共用水域に流しておる、こういったことのようでございますから、私どもの解釈といたしましては、ごく例外的に、通常は下水道を通じて流している場合には、これは水質汚濁防止法の適用除外になるわけでございますけれども、しかし、海上保安庁の調査のごとく、下水道も利用するけれども、かなり高い頻度で公共用水域に排出しておるという場合には、やはり水質汚濁防止法の対象として規制すべきではないか、こういう考え方を持っておりますので、さらに実態を詳細に聴取した上で、その判断を近く尼崎市に対して回答をする予定になっておるわけでございます。
#386
○岡本委員 時間が参りましたから、終わります。
#387
○角屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後七時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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