くにさくロゴ
1974/09/10 第73回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第073回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号
姉妹サイト
 
1974/09/10 第73回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第073回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号

#1
第073回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号
昭和四十九年九月十日(火曜日)
    午前十時三十八分開議
 出席委員
   委員長 安井 吉典君
  理事 小宮山重四郎君 理事 佐々木義武君
   理事 石野 久男君 理事 原   茂君
   理事 瀬崎 博義君
      稲村 利幸君    梶山 静六君
      竹中 修一君    河上 民雄君
     米内山義一郎君    津川 武一君
      近江巳記夫君    内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      森山 欽司君
 委員外の出席者
        原子力委員会委
        員       井上 五郎君
        科学技術事務次
        官       武安 義光君
        科学技術庁原子
        力局長     生田 豊朗君
        科学技術庁原子
        力局次長    福永  博君
        運輸省船舶局首
        席船舶検査官  謝敷 宗登君
        労働省労働基準
        局安全衛生部労
        働衛生課長   山本 秀夫君
        参  考  人
        (日本原子力船
        開発事業団理事
        長)      佐々木周一君
        参  考  人
        (日本原子力船
        開発事業団専務
        理事)    内古閑寅太郎君
        参  考  人
        (東京大学教授)内田 秀雄君
        参  考  人
        (むつ市長)  菊池 渙治君
    ―――――――――――――
委員の異動
九月十日
 辞任         補欠選任
  海部 俊樹君     竹中 修一君
  堂森 芳夫君    米内山義一郎君
  山原健二郎君     津川 武一君
同日
 辞任         補欠選任
  竹中 修一君     海部 俊樹君
  米内山義一郎君    堂森 芳夫君
  津川 武一君     山原健二郎君
    ―――――――――――――
七月三十一日
 一、科学技術振興対策に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(原子力船むつの
 放射線漏れ事故に関する問題)
     ――――◇―――――
#2
○安井委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 本日、原子力船「むつ」の放射線漏れ事故に関する問題調査のため、日本原子力船開発事業団理事長佐々木周一君、同専務理事内古閑寅太郎君、東京大学教授内田秀雄君及びむつ市長菊池渙治君、以上四名の方々に参考人として御出席を願っております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席くださいましてありがとうございます。どうかそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いいたします。
 なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行ないますので、さよう御了承願います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹中修一君。
#3
○竹中委員 私は、原子力船「むつ」の定係港のあります地元の者として、この船が建設計画以来非常な関心を持っていたわけであります。そういうことで、このたびの出力試験にほんとうに個人の立場で、実際にその試験に立ち会ってみたい、私は科学を信じておりましたので、事故はない、この試験はりっぱに成功するという確信は持っておりましたけれども、万が一事故が起きて、まあ冗談でありますけれども、放射能の汚染を受けるかもしらぬ、それも政治家として覚悟しなければいけないというつもりでお願いをして、この船に乗せてもらった者であります。二十四日の午後に本船に乗り込みまして、三日に連絡に来た巡視船に乗り込んで、事故の内容を詳細に政府あるいは事業団に報告するために帰ってきたわけであります。
 ところで、この事故というのは、一日の晩の十七時十七分、出力を七%くらいまでに上げようという途中、出力が大体一・二から一.四%くらい上がったという時点で警報機が鳴ったという事故であったわけであります。これはあとで聞いたわけでありますけれども、出力を一〇〇%に上げた場合に、放射線が〇・一以上漏れるとアラームするようにセットしておいたというのが、一・四%くらいの出力でそのアラームが作動したわけでありますから、全く異常な状況だと思うわけであります。
 そこで、本船はいろいろ苦しい環境の中、洋上で原因究明につとめたわけでありますけれども、私がこちらに帰ってきてから、その事故の情報が非常におくれた、あるいは正規のルートでなく入ってきたというようなことで、事故が起こった初期において、非常に情報が混乱しておったということを現実に聞いたわけであります。そのことが一そう世論の混乱を来たしている。その混乱がいまでも続いているように見受けるわけでありますけれども、一体この事故は、事業団あるいは政府に対して、どういう経路で何時ごろ、どういうふうにして伝達されたものであるか、まずその辺をお伺いしたいわけであります。最初に、事業団の方に、どういう経路で何時ごろどういうふうにしてその事故の通報があったか、お伺いしたいと思います。
#4
○内古閑参考人 ただいま御質問にあずかりました件でございますが、事業団が「むつ」から第一報を受け取りましたのは九月二日でございます。二日の十時ごろむつ事業所から参りました。その後、東京本部へは、むつ事業所からあくる日の十時二十分に参りました。
#5
○竹中委員 あくる日というのは、三日ですか。
#6
○内古閑参考人 はい、そうでございます。
#7
○竹中委員 三日ですか。
#8
○内古閑参考人 これは三日と心得ております。
#9
○竹中委員 事故が一日ですから、三日だと……
#10
○内古閑参考人 いや、二日でございます。私、間違えました。二日の十時二十分ごろ連絡がございました。それで科学技術庁にも連絡いたしまして、一方青森県のほうへも、事業所の第二報によって事故を確認いたしまして、青森県庁へ通知した、こういうことになっております。
#11
○竹中委員 わかりました。いま伺ってみても、責任ある専務理事が、何時であったかはっきりわからないような状況です。
 科学技術庁には、何時にどういう経路でこの情報が入ったわけでありますか。
#12
○生田説明員 科学技術庁に情報が入りましたのは、九月二日の十時半ごろでございます。
 情報が入りました経路は、原子力局から本船に乗船しております検査官から原子力局の原子炉規制課に、とりあえずの第一報といたしまして電話連絡があったわけでございます。
#13
○竹中委員 いま原子力局長のお話を伺うと、本船に乗っている検査官から連絡があったということですが、事業団からはどういう連絡があったわけですか。
#14
○生田説明員 ただいま御報告申し上げましたように、検査官から原子力規制課に報告がございましたので、さっそく原子力船事業団の本部に問い合わせたわけでございますが、その時点では、まだ本部にむつ事業所から報告が届いていなかったというように聞いております。
#15
○竹中委員 初期の情報伝達が非常におくれておった、それが、先ほど申し上げましたように、世論の混乱の大きな原因になっていると思うわけです。
 そこで、青森県庁に対する連絡は、事業団としてはどういうふうになさいましたか。
#16
○内古閑参考人 先ほどもちょっと申し上げましたが、青森県のほうへは、その日の午後二時ごろ通報いたしました。
#17
○竹中委員 私は本船におって、本船に乗り組んでおる技術部長から、いやなことが起こっているんですということを聞いたのは、二日の午前十時であります。記者団と一緒に聞いたわけです。すでに事故が発生してから約十七時間後です。そこで、これを聞いた記者団がさっそく本社のほうに記事連絡をした。その記事の連絡が、内地に伝わった情報の第一報のように、私は帰ってきてから見受けたわけです。さっそく新聞社のほうから知事のところに、こういう事故が起こっているそうだけれども、どういう報告が入っているかという問い合わせがあったが、知事は何にも知らなかった。逆に知事のほうから、事業団に十三時二十分ごろ聞いてみたら、何だかそういうことらしいというまことにあいまいもことした、責任ある者として答うべからざるような回答が返ってきた。それで、その日の午後四時三十分ごろに初めて正式に連絡があった、こういうことです。
 そういうことになると、本船に一緒に乗り組んでいた実験員に非常に気が済まないような気がいたしますけれども、あの事故を事故と考えていなかったのか、重大な結果を起こすということを考えていなかったのか、ということは、本船が出発する前に、事業団の本部としてはそういう指示をしていなかったのかという疑問を持つわけです。とともに、事業団と青森県庁が協定を結びましたけれども、その協定の中にも、おそらくこういう事故があったら、さっそく協定の相手方である県知事に通報すべきものという条項があるものと私は思うわけでありますけれども、その辺についてお答えをいただきたいと思います。
#18
○内古閑参考人 県に対しましては、ただいま申し上げましたように二時に通報したのでありますが、事の重大を軽視したというのではなくて、私どもとしては、技術上の問題でございまして、軽々しくすぐにこれを報告するということにはなりませんので、十分に調査いたしましてその上で確報を得た、こういうことになっておりまして、その確報を得た上で外へ発表いたしました。それが、先ほど申し上げました県庁へは二時でございました。そういう次第でございます。
#19
○竹中委員 いまの話を伺いますと、事故の調査をしてはっきり確かめてから通報するつもりだったというお答えでありますけれども、この事態を異常事態と考えなかった、そこに非常に問題があると思うのです。原因を調べてそれから報告するんだという心がまえと、すでに異常事態が起こったから、原因の究明はあとにしても、とにかく第一報を入れるという態度が欠けておることに、今回の情報不連絡の重大な原因があると思うのです。時間がありませんのでこれ以上申し上げませんけれども、これからいろいろなことが起こってくると思う。そういうことで、情報の伝達、通報等については細心の注意を払って、これ以上世論を混乱させないように、ひとつ覚悟を新たにしてがんばっていただきたいと思います。
 次に移りますけれども、本船の状況についていろいろ御報告があったと思いますが、私は、現実にその船に乗っておったので少しく御説明申し上げますけれども、一日の夕方アラームが鳴った。そこで、一日の晩一晩かかっていろいろ放射線漏れを調査した、そして二日から現実にその調査に入って、また、できれば応急修理をしたいということで、本船は非常に努力をしてやったわけであります。いろいろ放射線漏れを調べてみたところ、横のほうからは放射線が検出されない、上部のほう一帯から放射線が検出されるということで、一体しからば、横のほうから漏れていない、上のほうから漏れているということで、上のほうのどこから漏れるかということを調査に入ったわけです。あの狭い、しかも、何か間違うと危険が自分のからだに及ぶかもしらぬという状況の中で、非常にとうとい使命感に燃えて、実験員あるいは機関員の方々がその調査に当たったわけです。
 御承知のとおり、格納容器の上部にはポリエチレンと鉛が張ってあるわけです。そこでポリエチレンの継ぎ目から、あるいは合わせ目から放射線が漏れているのではないかということで、その漏れているかもしらぬという個所をさがしにかかった。どういう方法を講じたかと申し上げますと、硼素が幸い船の中に積んであった。御承知のとおり棚素は粉ですから、ただ粉をポリエチレンの上にあけても固定しないということで、水に溶かして塗ってみようじゃないかということを最初考えた。ところが水だと水分が、あるいは漏れているところから落ちるといけないということで、水に溶かすことはやめたわけであります。そして砂にまぶせばいいのではないかということも考えたわけでありますけれども、それは船の中に常備せられている防火用であるから、いざというときにそれがないと困るということで、船長からクレームがついて砂はやめた。そこで窮余の一策として、私は非常にいい考え方をしたと思うのでありますが、晩御飯をたいて御飯に硼素をまぶしてボロンライスをつくって、非常に粘着性を持たせて、それではかったわけです。記事を見ると、まあこれは冗談で言っているんだろうと思いますが、握り飯を握ったというようなことも書いてあるけれども、本船はそこまで努力をして、そしてその検出をはかったわけです。私、機関長から聞いたのですが、このボロンライスを乗っけると、大体九〇%ぐらいのニュートロンは吸収されるということでした。にもかかわらず一%くらいしか吸収されていないということで、ポリエチレンの張ってある部分、ポリエチレン部分からは放射線は漏れているのではない。
 そういうことになると、ポリエチレンを張っていないまん中の鉛の部分ではないかということになった。御承知のとおり、鉛というのはガンマ線は吸収するけれどもニュートロンは吸収しない場所です。そこにボロンライスを張ってみたら、もちろん正確なものではありませんけれども、三分の一ぐらいばっとニュートロンが減った。そこで、この鉛の部分からニュートロンが漏れているんだという現象だけははっきりしたわけです。
 そこで、今回の試験はゼロ%の出力試験ですから、炉物理の専門家は乗っているけれども、遮蔽物関係あるいはメカニック関係の技術者は乗っていないということで、どの辺から漏れているかはわかったけれども、どこから漏れたかということがどうも判明をしない。炉自体からの計算値がおかしいのか一次遮蔽がおかしいのか、あるいは設計ミスなのか計算ミスなのか施工ミスなのか、はっきりしないというような現状であったわけです。私は、本船を退船する際にいろいろと機関長から聞きました。漏れている個所はわかったけれども、どうして漏れるかということが、私が本船を退船するときにはわからなかったわけです。こちらに帰ってさましたら、新聞その他の報道では、二次遮蔽ではなくて一次遮蔽に問題があるのではないかということが実は新聞報道で出ているわけです。けさもNHKの報道でそういっていました。
 そこでお尋ねをしたいと思いますけれども、きのう一部の実験員が帰ってまいりました。いま事業団及び責任のある政府として、この事故の現状並びに見通しについて、どういうふうに考えているかをお答えいただきたいと思います。最初に事業団。
#20
○内古閑参考人 ただいまの御質問の件に関しましては、詳細に船で御調査いただいておりました話でございますが、まさにそのとおりでございます。
 さて、あとどうするかという問題につきましては、御承知のように、ただいま調査員が乗り込みまして、それで八日、九日調査いたしまして、ゆうべからきょうにかけてそれを検討いたしまして対策を講じよう、こういうことになっておりまして、ただいまのところその報告はまだ参っておりません。期待しておる次第でございます。
#21
○竹中委員 事業団のお答えでは、まだ見通しを持っていないということでありますけれども、これを監督している科学技術庁としては、相当な腹がまえがすでにできていると思うのです。長官のお考えをお聞きしたいと思います。
#22
○生田説明員 ただいま先生御指摘の放射線漏れが発見されまして、私どもは、これは非常にたいへんなことであるというふうに考えたわけでございます。
 そこで、早急にその原因の究明をすることがまず第一であるというふうに考えまして、翌日の九月の三日でございますが、私ども科学技術庁と運輸省と合同でむつ放射線しゃへい技術検討委員会というものを設置いたしました。設置と同時にさっそく協議を開始したわけでございますが、その結果といたしまして、とりあえず現地に遮蔽の専門家を含みます専門家を派遣して、詳細に原因の究明をすることが第一であろうという結論に達しまして、七名の専門家を九月の五日に海上保安庁の巡視船に乗せまして本船に派遣したわけでございます。七名の専門家の内訳は、原子炉の設計、製作をいたしました三菱原子力工業から四名、それから第二次遮蔽の製作を担当いたしました石川島播磨から二名、それから原子力研究所の遮蔽研究室の専門家一名、計七名でございます。この七名の専門家を派遣いたしまして、二日かかりまして九月の七日に本船に到着いたしまして、本船にかねがね乗っております技術陣との打ち合わせをまずいたしまして、翌八日から調査を開始しております。
 現在まで、まだ調査の結果の報告は参っておりませんが、あと一両日かかるように聞いておりますので、その調査の結果がまとまり次第、この専門家をまた引き揚げまして、別途私どもで原子炉遮蔽その他の専門家の検討委員会、小委員会も設置をいま急いでおりますので、その専門家との合同の会議を開きまして、原因の究明、それからとるべき対策、それを早急に決定いたしたい、かように考えております。
#23
○安井委員長 大臣はいいですか。
#24
○竹中委員 大臣にひとつ。
#25
○森山国務大臣 閣議がございまして、遅参をいたしましたことをおわび申し上げます。
 冒頭からのお話を全部承ったわけではございませんが、今回の「むつ」の出力上昇試験にわざわざ御乗船をいただきまして、今回の事態について、十分現地においていろいろ御検討を願いましたことについて、またそのことについて御報告を願いましたことにつきまして、深く敬意を表する次第であります。
 初めからお伺いはいたしておりませんが、今回の事態につきましてお話がありましたことで私の考えを申し上げたいと思いますが、まず第一番に、情報が、大臣である私の耳に入りましたのは二日の午後一時ごろでございました。すでに前日の夕方五時過ぎに問題が起きておったわけでございますから、二十時間近い時間がかかって私の耳に入ったということにつきましては、まことに私は遺憾しごくに存じております。そのことによって、避け得たであろう混乱が避けることができなかったというような面もあったことは否定できません。今後、こういう事態についての情報連絡を、すみやかにやる必要があるというふうに考えておる次第でございます。
 事柄の中身は、御案内のとおり放射線漏れでございまして、これは放射性物質が表に出るという事態ではなくて、放射線が漏れた、いわば光線漏れのようなものでございます。
 漏れました内容につきましては、約〇・二ミリレントゲン程度でございまして、その上で一日八時間ぐらい仕事をして一年間やりましても、総量は胃のレントゲン程度のものでございます。すなわち現在の段階、わかってきた段階におきましてはその程度ではございますけれども、この段階においてこういうような放射線漏れは、全く予期せざるところでございましたから、私はこの事態を重要視する、技術的に当面小さなできごとであったといたしましても、そういう考え方ではなくて、この問題を重大視して取り組まなければいけないというふうに考えました。そして従来の経過もございますから、これが究明につきましては、その洋上にとどまってこの真相究明に当たるべきであるということを、現地に通報をいたした次第でございます。
 それにつきまして、運輸省と科学技術庁の合同の委員会あるいは専門家グループの設置は、先ほど原子力局長から御報告のあったとおりでございまして、現在、現地に送りました専門家が調査中でございます。何せ東京から千二百キロ先の沖合いにございますものですから、情報連絡も思うにまかせぬ面もあり、かつ、人を送るにいたしましてもなかなか、大洋のうねりの高いところでございますから、かなり時間がかかっていることは事実でございます。いずれにいたしましても現在の状況では、できる限りの対策を講じて真相の究明に当たっております。
 表面〇・二ミリレントゲンの放射線漏れであるといたしましても、はたして実態はどうなっておるのかということについて、現在までいろいろな話は耳にいたします。けれども、それをはっきりこうだという報告を受けるには至っておりません。また、なぜこういう事態が起きておるかということにつきましてもまだ調査中でございますし、そういう検討の上に立って、当面どういう措置をすればいいかということについても、現在、これまた調査中の段階でございまして、私は、中間的にはいろいろな見方や考え方があり得るだろうと思いますが、いたずらに混乱を招くことのないよう、やはり最終的にまとまったところで総合判断をすることが必要であると思っておりますので、この結果を待って、最善の措置をとりたいというふうに考えておるところでございます。
 現在の状況は以上のとおりであります。
#26
○竹中委員 責任者である大臣からお話を伺ったわけでありますけれども、ことばの中に、小さなことではあるけれども重大な事故として受けとめているというふうにお話がございましたが、科学的には、現在原子炉がとまっているからあるいは小さなことであるかもしらぬけれども、国民に与える影響というもの、ましてや現地の人々に与える影響というものは非常に重大であるということで、これからも科学的な解明はもちろん、厳重な調査あるいは試験のもとに、計算のもとにやっていただかなければいけませんけれども、終末に至るまで重大な関心を持ち、重大な事故としての御処理をいただきたいと思うのです。
 いまお話の中に、大臣みずからが、私は安全だと思っていたというお話がありました。私も実は安全だと思っていたのです。
 お話を次に移しますけれども、いまもお話がありましたように、安全であるという認識のもとにこの実験が行なわれたわけでありますが、事故が起こった。私たちは、政府の許可を得たものであるから、しかも事前に十分に政府が審査をし、また確認をしているということで、安全であるというふうに一般の国民は考えると思うのです、科学者じゃありませんから。その中で、昭和四十八年の七月に原子力船開発事業団が「むつ」のPRのために出したパンフレットがあるわけです。二、三種類事業団ではパンフレットを出している。その中で、一つのパンフレットの中にこういうことがあるわけです。五ページですけれども、「安全性についての国の審査および監督「むつ」は建造段階から運航に至るまで、次のとおり国の厳重な審査監督を受けでいる。」ということで、原子炉の設置許可、設計及び工事方法の認可、検査、運転ということですべて国の審査を受けていて、原子炉の設置許可については、「国を代表する専門家の意見を聞いて十分安全であることを確認した後、「むつ」の原子炉の設置を許可した。」政府が許可した、こうなっているわけです。だから私ども一般の国民は、政府を信頼し、信頼できる政府が十分な審査のもとに許可している、だから安全だと思っていたわけです。
 したがって私は、いまの事態におきまして、原子力委員会が与えた許可あるいは運輸大臣の船舶建造許可について非常な疑問を持つわけです。このことについて大臣、どういうふうにお答えがいただけましょうか。
#27
○生田説明員 「むつ」の安全審査あるいはその他の手続につきましては、ただいま先生の御指摘のとおりでございます。
 法令上の御説明をさしていただきたいと思いますが、原子炉規制法に基づきます原子炉の安全審査及び原子炉の設置許可につきましては、原子力委員会の議を経まして内閣総理大臣が許可をすることになっておりまして、その手続が終わっております。法令上は、その後は船舶安全法によります検査の手続にゆだねられるわけでございまして、その段階は、現在検査を続けている段階ということになろうかと考えております。もちろん、その間におきまして科学技術庁と運輸省とが相協力して進めてまいるということは当然のことでございますし、従来もそういう方向で進めてまいっているわけでございます。
#28
○竹中委員 そうしますと、原子力委員会で法令上に基づいて、審査の場合は、安全であるということを確認しているわけですか。
#29
○生田説明員 原子炉の基本設計につきましては、安全であることを確認いたしますと同時に、その安全であるためには、その原子炉の設計あるいはその後の製作、工作あるいは詳細設計という面につきまして、かくかくしかじかの条件が満たされることが必要であるということを示しているわけでございます。
#30
○竹中委員 運輸省は来ておりますか。――運輸省にお尋ねします。
 そうすると、基本設計については安全であることを科学技術庁では確認をしているということになると、運輸大臣の船舶建造許可についてはどういうふうにお考えですか。
#31
○謝敷説明員 お答え申し上げます。
 運輸大臣の行ないました船舶の建造許可は、これは別の法律でございまして、炉の安全については炉規制法に基づきます設置許可と、そのあとを受けまして、船舶安全法によりまして、原子炉施設を含めまして、船体とか機関とか電気設備とかその他の設備について検査をしておるわけでございます。現在はその検査の実施中でございまして、今回の上昇出力試験もその一環と考えております。
#32
○竹中委員 何かごちゃごちゃしてさっぱりわからぬですけれども、この炉が安全であるということを、どこがそれは認可したわけですか。
#33
○謝敷説明員 私どもは、船舶安全法で現在検査中でございます。したがいまして、最終の出力試験も含めまして、海上試運転をやった上で確認して検査証書を出す、こういうことになっております。
#34
○竹中委員 いまの話を伺いますと、試運転をしてみなければ、安全であるということは自信が持てないのだというような答弁のように聞こえますけれども、無責任じゃないですか。
#35
○謝敷説明員 もちろん、安全法におきましては製造中の検査と、それから船を実際に動かします前の第一回の定期検査を行ないます。製造検査におきましては設計の検査、それから工事の検査、材料の検査、そういうものをやってまいりまして、それから、それらの上に立ちまして性能の試験をやる、こういう順序と段取りになっております。
 そこで、もちろん私どもは、炉規制法に基づきます安全審査の内容をわきまえて、それに基づきまして設計の検査から今日性能試験の段階までに至っておりますが、もちろん、これまでの段階におきましては十分安全を信じながらやってきておったわけでございます。この点、出力試験を待たずに予知できなかったかという点につきましては、非常に残念と考えております。したがいまして、今後は、先ほど原子力局長から御答弁ありましたように、早急に両省共同で原因を究明いたしまして、それが材料であるのか、設計であるのか、工事であるのか、あるいは整備であるのか、そのいずれにあるかを究明いたしまして対策を立てる、こういう考えでおります。
#36
○竹中委員 残念であるということでは済まされない問題だと思うのです。この原子力船がこれから船として生きていけるかいけないか、国民全部が納得するかしないか、非常に重要な問題なんです。いままでの御答弁を伺いますと、だれがこの炉が安全であるかということを判定したかということがどうもまだはっきりしない。原子力局長、もう一度御答弁いただきたい。
#37
○生田説明員 船舶用の炉につきましては、ただいま私とそれから謝敷検査官が御説明したとおりでございますが、先生の御理解をいただきますために、発電用の原子炉について御説明申し上げたほうが、大体同じでございますので、御理解のために御便利かと考える次第でございます。
 発電用の原子炉につきましては、まずその原子炉の設置者、これは電力会社でございますが、電力会社が原子炉の設置の許可の申請を政府、内閣総理大臣あてに出してまいります。内閣総理大臣はそれを受けまして原子力委員会に諮問するわけでございます。原子力委員会はその諮問を受けまして、安全専門審査会を開きまして安全審査をいたします。この安全審査は、先ほど御説明申し上げましたように、原子炉の基本設計につきまして審査するわけでございまして、その基本設計が、安全を維持しながらその原子炉を稼働することが基本設計として可能であるかどうか、それからその安全を維持するためには、この基本設計につきまして幾つかの条件が満たされなければいけないので、その条件を原子炉の詳細設計あるいは工事、建設の段階で満足しなければいけないということを審査いたしまして、そういう形で安全審査を終わりまして原子力委員会に答申をいたします。原子力委員会はその答申を受けまして、原子炉の設置の許可を認めるべきかどうかを検討いたしまして、認めるということになりました場合は、その旨を内閣総理大臣に答申いたしまして、内閣総理大臣が設置の許可をするということでございます。それで発電用の原子炉につきましては、それ以後の詳細設計及び工事方法の認可につきましては電気事業法に譲っておりますので、電気事業法に基づきまして通産省が詳細設計と工事方法の認可をいたしまして、その認可されました詳細設計と工事方法に基づきまして原子炉の製作、設置が行なわれるということでございます。あと、最終的には完成検査を通産省が行ないまして、そこで、安全審査の段階からの一貫いたしました設計、基本設計、詳細設計あるいは工事方法がそのとおりにでき上がっているかどうかということを確認いたしまして、それから試運転に入るということでございます。これが発電用原子炉につきましての広い意味の安全審査でございますが、それの方式でございます。
 船舶用の原子炉につきましては、実は本件一つだけでございますが、発電用の原子炉に準じた形をとっておりまして、先ほども御説明申し上げましたように安全審査、狭い意味の安全審査でございますが、基本設計につきましての審査につきましては発電用の原子炉と同様でございます。これにつきましても同様の手続を経まして設置許可をいたしております。そのあとの段階につきましては、発電用の原子炉が詳細設計、工事方法の認可以降の段階を電気事業法に譲っておりますかわりに、船舶安全法にその後の手続を譲っておりまして、電気事業法と船舶安全法とは別個の法律でございますので、必ずしもその規定は同一ではございません。しかし、実質的な内容といたしましては同じような手続が、これは運輸省において行なわれるわけでございまして、先ほど検査官からの御説明もありましたように、各段階の検査を積み重ねまして、電気事業法における手続と同様のことをやっていくということで、いまその中間的な過程にあるということでございます。
#38
○竹中委員 そうしますと、具体的な設計の許可は運輸省がしたということですか。そして原子力船は初めてのケースですから、失礼ですが、運輸省にそういう審査をする能力があるのですか。それもあわせてお答えいただきたい。
#39
○謝敷説明員 お答え申し上げます。
 ただいま原子力局長からお話がございましたように、私どもの船舶安全法では製造検査と定期検査と、この二段階になっております。そこで、最終的に製造検査のあとで、たとえば設計の承認とか工作方法の認可とかこういう時点での認可行為はなくて、最終的に定期検査におきまして試験を終わりましたあとで全部確認をいたしまして検査合格証書を出す、こういうたてまえになっております。と申しますのは、船とか航空機とかいうものにおきましては、非常に気象、海象の条件を受けやすい。したがいまして、設計をやり、それから工作をし、さらに工作の途中の段階でまた設計の見直しをし、工作をし、最終試験にいく、こういう過程を繰り返しながらいく性質のものでございますので、一般船舶につきましてそういう体系になっております。したがいまして、原子力船についてもそういう過程を踏みながら現在試運転の試験の最中である、こういうことでございます。
 それから、運輸省で原子力船の検査に関してどういう体系でやっているか、こういう御質問にお答えいたしますが、運輸省では、昭和三十一年と記憶しておりますが、運輸省の審議機関であります原子力船審議会におきまして原子力船の研究、開発の必要性を認めまして以来、私どもは研究、開発とそれから検査の実施機関として能力の充実につとめてきたわけでございます。現在、私どもの体制といたしましては、船舶関係の技術職員につきましては十八名、日本原子力研究所に派遣をいたしまして研修を受けた者がおります。それから船舶技術研究所におきましては全体で十八名、これは主として研究に当たっているメンバーでございますが、原子炉の遮蔽それから装備の研究を主としてやっている機関でございます。
 そこで私どもといたしましては、検査の段階に入りましてから、本件は原子力という専門的な知識を必要としますので、一般の船舶は地方の海運局の検査官に検査をゆだねておりますが、本省でみずから検査をするということで、本省で原子力船の特殊規則を、審議会の意見あるいは原子力委員会の審議を仰ぎましてつくりまして、それに基づきましてまず本省の規則関係の整備をして、それからその次に、実際の検査に移行した段階におきまして、それらの講習を受けた者を検査に当たらせる。したがいまして、たとえば検査地が神戸とか東京とかに散らばりますが、それも本省みずから行なうという体制でやっております。
#40
○竹中委員 どうも伺ってみると、われわれしろうとにとっては、安全であるかどうか試験をしてみてからわかるのだということは、まことに無責任な体制のように私は思うのです。安全であるかどうかをためすために検査をしているのだというふうに受け取れますけれども、私ども国民は、そうじゃなくて、これは役所のいろいろな検査を受けて安全であるということが確認されているから、この試験は心配がないのだというふうに受け取っているわけです。御答弁を伺って非常に無責任なような感じがしました。責任者である大臣は、どういうふうにこれをお考えになりますか。
#41
○森山国務大臣 ただいま原子力局長及び謝敷検査官から話がありましたように、この仕事は政府部内において二つに分かれている。一つは安全審査の問題であります。これは科学技術庁で、それから運輸省のほうで設計審査及び検査という段階に、大きくいえば分けてあります。法律もそういうふうにできておることは皆さん御案内のとおりであります。
 私どもは、図面の承認等は運輸省の段階においてなされておるわけでございますから、安全性につきましては心配ない。ただ出力上昇試験、いわゆる試運転でございますが、この試運転の段階において最終的にそれが確認されるというふうに考えております。そして今回の原子炉は九九%自主開発の線でやってまいりましたから、それはその開発の過程において、外国製の原子炉をそのまま持ってきて、あるいは外国の技術を導入してつくるというのと若干様子は違っておるわけではございますけれども、私は安全審査、設計図面の承認等の手続を経た過程において、まず心配ないものがつくられておるというふうに考えておりました。
 しかしここで一つ、先ほど安全性に問題あり、こういうお話でございますが、〇・二、ミリレントゲン程度の放射線は、人体に障害を与える等の問題からいえばきわめて軽微なものでございます。そして、それがやはり警報装置で事前にキャッチされるということ、その意味において、私は安全性については確保されておるというふうに思っております。しかし、とにかくそういう問題点がありますから、これは大事をとって真相を究明し、また洋上においてその真相究明を続けなければいかぬという基本方針をきめたわけでございまして、私は、この段階において安全性に疑念ありというふうには考えておりません。そういうふうに問題があれば事前に警報装置でわかるということでございます。そしてこれからの調査の結果によって、どういう事態が現在ほんとうに起きており、それが何が原因であって、そしてそれに対してどういう対策が講ぜられ、その対策の講じ方いかんによってはいろいろなことを考えなければならぬというふうに考えておるわけでございますから、安全性の問題については国民の御期待に沿うような最終的な解決をはかる。その段階において、先ほど来申しましたようにいま調査続行中でございますので、なお時間をおかし願いまして、最善の努力を尽くしたいと考えておる次第でございます。
#42
○竹中委員 いろいろお尋ねしたいことがありますから、これ以上申し上げませんけれども、運輸省とか科学技術庁とか、これは一般国民にしてみれば関係ないのです。どちらにしても政府なんですから。運輸省と科学技術庁と連絡を緊密にして、この難局の解決に当たっていただきたいと思うのです。
 次に移りますけれども、一つの経験から申し上げるのですが、二次遮蔽について申し上げますと、原子力第一船原子炉設計許可申請書、四十二年四月三日に原子力船事業団から総理大臣に申請されたものでありますけれども、その添付書類の八から十の間の一〇七ページ、いわゆる二次遮蔽について基本設計の根本が書いてあるわけです。「二次遮蔽は、原子炉室周辺に短型枠型のコンクリート、原子炉格納容器上半分に鉛とポリエチレンおよび両者の接合部分にコンクリートを使用する構造となっている。その他船底からの散乱線を防ぐために原子炉室周囲の下部二重底に水をはっている。」格納容器上半分に鉛とポリエチレンを使用すると、こうなっているわけです。鉛もしくはポリエチレンと、こうなっていない。したがって、私どもは鉛とポリエチレンを両方張り合わせているものだという理解をしていたわけです。事実、原子力船事業団で出しているパンフレット、数種類ありますけれども、われわれ一般のものとしては、原子力船事業団で出しているこのパンフレットによって知識を得、そして安全であるかというようなことを一応判断しているわけです。青森県知事だってもちろんそうだと思う。「原子力船「むつ」の安全性について」のパンフレットの六ページ、「わが国の原子力第一船「むつ」」これの一番最後のところ、いずれもこの図面には、上部には鉛とポリエチレン二枚が張るようになっている。私どもはそういうふうに理解をしているから安全だと思っているわけです。
 ところが、本船を退船するまぎわに私は機関長から説明を受けました。私は非常に驚いたことでありますけれども、実際の本船の設計は、上部にはポリエチレンと鉛と二枚が張らさっていない。上部の頭の周辺はポリエチレンがかぶっているけれども、頭の上は鉛だけだということを私は事実初めて知ったわけです。この前青森県庁に行って知事に話ししましたら、知事がこの原図を、この本を見ておりませんでした。青森県庁にこの書類が来ているかどうかということを企画部長を呼んで調べさして、その結果を見ないで私はこちらに来たわけでありますけれども、いまの話だと、したがっていま二次遮蔽か一次遮蔽かこれから調査しなければわからぬけれども、二次遮蔽で格納容器の上のほうにポリエチレンをかぶっていなかった。それについて要らないという御説明があるかもしれぬけれども、それは別として、実際はポリエチレンをかぶっていないのに、事業団が出しているパンフレットにはすべてポリエチレンをかぶっているように出ている。事業団はうそをついたのですか、これでわれわれをだまそうとしたのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
#43
○内古閑参考人 ただいま御指摘の点につきましては、結果的にはまことに申しわけない次第になっているというふうに反省いたしております。
 最初のころは、最初のころというとあれですが、設計そのものはポリエチレンはかぶっていないということになっておりました。ところが、パンフレットをつくるにあたりましては、パンフレット自体が小さいものですから、それで全部かぶさっているがごとき絵をかいたわけです。あのパンフレットにありますのは、設計図面でございませんで一つの絵でございまして、それであとから見ますと、寸法も入れてありませんし、大体の炉の断面を簡単にかいたものでございますので、そういう点におきまして、パンフレットのほうは、ごらんになりますとかぶさっているようになっております。概念図でございますので、その点誤解を招きましてまことに申しわけないと実は思っております。そういう次第でございますから、御了承を賜わりたいと思います。
#44
○竹中委員 御了承を賜わりたいと言うけれども、なかなか御了承できないんです。単なる絵であるから、ポリエチレンをかぶっておるようにかいてあるというお答えですけれども、それでは済まされないと思うのです。それの説明の中に、「また、図からみられるように」とわざわざ注釈してあるのです。「さらに格納容器の外側は、鉛やポリエチレンや厚さ数十センチメートルの重コンクリート」こう書いてあります。図で見られるようにと書いてあるのですよ。これは二、三種類の事業団発行のパンフレットの中にこの絵があるわけです。こういうでたらめをしている事業団に対して、原子力局長はどういうふうにお考えになりますか。
#45
○生田説明員 先生は船にお乗りになっていらっしゃいましたので、十分御承知かと思いますが、格納容器の上部のまわりといいますか、上部ではございますが、そのまわりのところは鉛とポリエチレンとの二重構造になっております。先生御指摘の一番問題のところは、その上部のまたまん中のところでございます。そのまん中のところが鉛だけでございまして、ポリエチレンは張っていない。それがただいま先生の御指摘の問題点であろうかと考えております。
 安全審査でございますけれども、安全審査は、先ほど御説明申し上げましたように基本設計でございますので、安全審査のときの条件といたしまして、格納容器の上部にはポリエチレンと鉛を使用することということになっておりますが、それをどの部分にどのくらいの厚さのものをどういう組み合わせで使うかということまでは、基本設計の段階ではきめておりません。それは詳細設計以降の段階でございます。
 そうではございますけれども、先生御指摘の、実際につくられました原子炉とその事業団のPRのパンフレットとが違っている、特にその違っているところから今回放射線が漏れたということは、私はたいへん重要なことだと考えておりまして、事業団にも、なぜそういう重大な間違いが発生したのかということを、至急その原因を探求するように指示してございまして、ただいま調査中でございますが、中間的に報告を受けました段階では、当初の設計では、格納容器の上部全面が鉛とポリエチレンでおおわれていた、その後設計変更をいたしまして、中央部は鉛だけでも十分安全であるという計算に基づきまして、中央部を鉛だけに変えたということのようでございまして、その事業団のパンフレットは、設計変更以前の古い図面に基づきましてその絵をかいたのではなかろうかと私は想像しております。もしそういうことでございましたら、たいへんな不注意であるというふうに考えております。
#46
○竹中委員 たいへんな不注意でありまして、これが原子力事業団あるいは原子力局のいままでの態度ではなかったかと、非常に不信感を持たせる重要な原因になっていると思うのです。この点、十分な御反省をいただきたいと思うのです。
 私、ある人から聞きました。これは全然部外者ですけれども、制御棒がまん中にあるから、制御棒は非常にニュートロンを吸収するから、その制御棒のある上の二次遮蔽、そこにはポリエチレンを張らなくてもよかったのだというようなことまでその当時あったのだということを私は聞いたわけです。しかもいまお話を伺いますと、最初はポリエチレンをかぶっていた。しかし、設計変更をしてポリエチレンが要らないということでとったのだというようなお話ですが、この辺のことを、さらに詳細に正確に御調査をしていただきたいと思います。
 次にお尋ね申し上げますが、私どもは本船は国産率が約九九%、名実ともに国産原子炉の第一号基であるというふうに伺っておりました。私は非常に誇りを感じておったわけです。それが残念ながらこういうことになってしまった。世上いろいろ、設計の段階でウエスチングハウス社にチェック・アンド・レビューを頼んだら拒絶をされたとか、今回の事故が起こってまたウエスチングハウス社に聞いたところ、また拒絶をされたとか、あるいは最初設計図を見せたときに、これは大体欠陥があるというふうに言われたとかというようなことがいわれているわけです。
 これについてお尋ねをするわけですが、大体この「むつ」の原子炉には、外国の技術あるいは外国の製品というものはどこの部分にあるわけでありますか。
#47
○生田説明員 「むつ」に載せております原子炉は、先生御指摘のとおり大部分国産技術でございますが、一部外国技術の部分がございます。これは制御棒の駆動装置でございます。
 この比率でございますけれども、原子炉全体のコストが約二十七億円でございますが、そのうちで制御棒の駆動装置が約二億円でございますので、原子炉の中で制御棒駆動装置、すなわち外国技術に依存いたしました部分は、金額比率にいたしまして約八%でございます。
#48
○竹中委員 いま制御棒の駆動装置を外国から買ったということですが、これはいまの放射線漏れには直接関係がないと思いますけれども、ほかにもあるのですよ。私は中にも入って見ましたが、通風装置のスクリーンのスペアがありましたが、聞きましたら、これは外国のものですと機関部員が答えておりましたけれども、ほかにありませんか。
#49
○福永説明員 制御棒の駆動機構につきましては、ただいま局長からお答えしたとおりでございます。先生御指摘のように、そのほかにフィルターでございますとか、あるいはデッカナビーゲーターでございますとか、そういったいわゆる装備品類で購入したものがございます。
#50
○竹中委員 そうしますと、先ほど私、いろいろなうわさが飛んでいるということを申し上げました。そのことについて外国の技術とどういう接触をしたか、その経過についてお答えをいただきたいと思います。
#51
○福永説明員 お答えいたします。
 先生御案内のように、本件原子炉は三菱原子力工業で作製しているわけでございます。三菱原子力局――三菱原子力工業は、御案内のようにアメリカのウエスチングハウス社と技術提携をいたしておりまして、そういう意味で、三菱を通じましてアメリカのウエスチングハウス社の技術を導入しているということはいえるかと思います。なお途中段階で、ウエスチングハウス社に設計のチェック・アンド・レビューを依頼したと承知いたします。
#52
○竹中委員 いま三菱を通じてウエスチングハウス社と接触をしたというふうなお答えでございますが、そうしますと、よくいわれているように、ウエスチングハウス社から欠陥品であると言われたとか、あるいは今回の事故が起こったので相談をしたところ、自分には関係がないというふうに断わられたとかいうようなうわさがありますが、チェック・アンド・レビューを頼んだときにどういう回答があったのか、そのことについてお答えいただきたいと思います。
#53
○内古閑参考人 ウエスチングハウスへチェック・アンド・レビューを頼みましたのは、三菱原子力工業がウエスチングハウスヘチェック・アンド・レビューを頼んだのでございます。これは国産でございますが、三菱原子力はウエスチングハウスとすでに原子炉の関係で技術提携をしておるものですから、それでチェック・アンド・レビューを頼んだわけです。
 その回答は、まあまあ三菱も適当な返事を得たというように聞いております。ですから、その結末つくりましたものでございまして、ウエスチングから図面をもらったり買ったりというようなことはございません。全部国産でやりました。
#54
○竹中委員 内古閑さん、そこのところなんですよ。最初にチェック・アンド・レビューを頼んだら、最初から欠陥であると言われたということはうそですかどうですか、はっきりしてください。
#55
○内古閑参考人 それはうそだと思います。
#56
○竹中委員 思うじゃなくて……。
#57
○内古閑参考人 私は聞いておりません、そういうことは。絶対に聞いておりません。
#58
○竹中委員 まあまあだいじょうぶだというのは、どの程度ですか。
#59
○内古閑参考人 それはウエスチングへ頼んだが、あそこはやはり軍の仕事をやっておりますので、それで十分満足する返事が得られなかったかもしれぬということは考えられます。けれども、それはウエスチングからはそうは聞いておりませんが、自分の大体の満足を得る返事を得ているというふうに聞いております。それで、あと御質問で、現在聞いてみたらばとやかくというお話がございましたが、現在、ウエスチングにはそれは聞いておりません。
#60
○竹中委員 冒頭申し上げましたように、九九%の国産率であるということに対して非常に誇りを持ったわけでありますけれども、残念ながらもろくもその夢がくずれた。ということになると、わが国の原子炉の実力からして、国産ということは無理だったというふうにも思いますが、原子力局長どうですか。
#61
○生田説明員 現在の段階で、私どもは今回の問題によりまして、原子炉の純国産技術によります開発が無理であるというような結論は全く得ておりませんし、そのようにも考えておりません。むしろ、従来いろいろ御指摘いただきました問題点といたしまして、原子炉が外国技術に依存し過ぎていて国産技術が少ないから、いろいろ安全性についてもはっきりした考え方が出せないのではないかという御指摘を各方面からいただいているわけでございまして、今後とも原子炉の設計、製作につきましての国産技術は大いに振興してまいりたい。国産技術によりまして、国際競争力のある原子炉の製作は十分に可能であるというふうに考えております。
 それから、一言つけ加えさせていただきますが、先ほど内古閑専務から、ウエスチングハウスに対しましてのチェック・アンド・レビューにつきましていろいろ御説明がございました。ただ、先ほどの御説明の中には、私ども全く承知していないこともございますが、チェック・アンド・レビューの結果では、一応ウエスチングハウスはオーケーの返事をよこしたというように聞いております。その点至急調査いたしまして、後刻御報告させていただきたいと思います。
#62
○竹中委員 ちょっとそれに付随してお尋ねしますが、チェック・アンド・レビューというのは、単にわれわれが友だちに、ちょっとこれを見てくれというような程度なんですか。それとも、ちゃんと正当な報酬を支払って、完全にチェックしてくれというようなやり方だったのでしょうか。
#63
○内古閑参考人 私どもは三菱へ原子炉を注文いたしまして、三菱原子力が設計をいたしましてそれをウエスチングへ出して、そしてチェック・アンド・レビューをしてもらって、その結果妥当な線であるという返事をもらったということでございますが一これは私どもとしては、やはり国産でやるにあたりましても、三菱とウエスチングの提携を利用してそういうことをやってもらうほうが、妥当であるというふうに考えたからでございます。
#64
○竹中委員 どうもはっきりしたお答えがちっともいただけないので、まことに残念ですが、時間がありませんので、次に移りたいと思うのです。
 私は、一般国民が、大体こういうレベルで政府が確認しているから安全だ、いろいろな安全装置があるから安全だというようなことは、大部分の国民はそうだと思うのですよ。そこで私、聞いておくのは、陸上試験をした、あるいは部分的な試験をした、だから安全だというふうに私自身は思っておりました。一般の人にもそういうようなことを話しているわけです。
 そこで、これも事業団で出しているパンフレットですが、四十七年の十一月、「原子力船「むつ」の臨界・出力試験について」というパンフレットの二ページ、これは問答の形で出ているわけです。問いとして、「今回行なうことにしている臨界および出力試験のために原子炉に関するどのような試験を行ない、安全性を確認しているか。」という問いなんです。今度の試験は安全であるかという問いなんです。それに対して答えた形で、「原子炉の陸上における臨界試験 昭和四十六年八月から同年十二月までの五ヶ月間にわたり三菱原子力工業株式会社の臨界実験装置において、現在「むつ」の原子炉に入っている核燃料及び制御棒を用い、臨界試験を行なった。その際原子炉の臨界及び零出力運転をすでに経験しており、この試験により、原子炉の運転に必要な特性を確認している。」ということです。
 それから二番目として、「船上における原子炉装置の機能確認試験 昭和四十七年一月から同年七月までの七ヶ月間にわたって行ない、原子炉運転中の温度及び圧力の状態を作りこの条件下における各装置の耐圧、耐熱性ならびに全機器の作動について、安全であることを確認している。」おかの上でやっているのだから安全だ、こういう説明です。
 しかし、ちっとも安全じゃなかったじゃないですか。この辺どういうふうにお考えですか、しろうとにわかるようにひとつお答えいただきたい。
#65
○生田説明員 ただいま先生からも御指摘がございましたように、この「むつ」の原子炉の安全性に関します実験といたしましては、昭和四十年から四十一年にかけまして臨界実験、これは三菱原子力工業が臨界実験装置を大宮に、このために新しい実験装置をつくりまして実験をやったわけでございます。そのほか、計測器の環境試験、炉心構造の模型試験、燃料集合体の模型試験、それから今回問題の遮蔽の効果実験、これは原子炉の研究所でやはりこの遮蔽効果の実験をいたしますために、JRR4という実験装置をつくりまして実験をいたしました。さらに、船体運動性能実験、格納容器内の機器の配置実験、総計約二億六千万円の費用をかけまして各種の実験を行なったわけでございまして、十分安全性確保のための実験は行なわれたと私どもは考えていたわけでございます。
 それにいたしましても、今回の放射線漏れを起こしましたのは、まことに意外でもございますし、それだけに、原因の究明を何としてでも急がなければいけないというように考えておりますので、先ほど来御説明申し上げましたように、至急原因を究明いたしまして、その辺の、従来の陸上実験におきまして何らかの落ち度あるいは足りなかったところがあるかないか、その点も含めまして至急検討いたしたいと考えております。
#66
○竹中委員 いま原子力局長の御説明の中に、従来行なった陸上試験その他の事前の試験が何らかの欠陥があったのではないかというふうに反省しておる。まことにそうだと思うのです。いまさら言いたくありませんけれども、従来データ捏造に常に迷わされている原子力局ですから、はっきりしていただきたいと思うのです。
 その次のページの三ページに、「臨界および出力試験はどのような目的で行なうのか。」という問に対して、答えは、「臨界および出力試験は、陸上臨界試験ならびに機能試験において個々に確認された原子炉およびその関連装置の性能を船上で総合的に確認するために行なうものであり、試験は次の種類に区分される。」何々の確認と、確認のためにやるというのですよ、安全であるか。先ほどの運輸省の答弁のように、試験をしてみなければ安全であるかどうかわからないのだというようなことでなく、そのとおり働くかどうかを確認するためにやるのだということで、安全性について全然疑いのない表現になっておるのですよ。この点もいままでのやり方について十分御反省をいただきたい。
 こういうふうに一般の国民は科学的に知識はないわけですし、私もしろうとなんです。しかし、こういう事業団の出したパンフレットによって安全であるというふうに確信をしておったわけです。こういう数々の現実と違うパンフレットを出していた、たいへん先輩に対して恐縮でございますけれども、佐々木理事長一言、いままでの問答を通してのパンフレットその他についての御所見を承りたいと思います。
#67
○佐々木参考人 まず第一に、今回の放射線漏れの件について、私は非常に残念に思っております。これが今後日本の原子力船の開発に何かの貢献をしてくれることを、私は希望しておる次第でございます。
 竹中先生の御指摘になりましたそのパンフレットの問題、これは事業団としてはまことに不行き届きな点がございまして、今後こういうことにつきましては十分注意をしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
#68
○竹中委員 先ほど来の問答を通じて、いま原因の根本的な究明に当たる。そのために調査団を本船に派遣している、そして帰ってきたら総合的な判断をするというお答えで、そのとおりしてもらわなければいかぬわけでありますけれども、本船の事故が起こった直後、一両日間でこちらへ帰ってきて内地の新聞を見たわけでありますけれども、とりあえず船上で応急修理をする、そして安全に船を保つというようなことが出ておったわけです。私は、これは応急修理で済む問題でないと思うのです。もちろん、放射線がいかなる場合でも漏れないように修理はしなければいけませんけれども、単に修理とか修繕とか、運転してみたらパイプの接合が少しゆるかったとか位置がずれておったというような修繕、いわゆるリペアとは違うと思うのですよ。根本的な問題に入っていかなければいけないと思う。そういうことで調査結果が出てきたら、私はもちろん根本的な問題に入ってくると思いますので、単なる修繕とか修理という考え方でなく、私は安全審査を最初からやり直さなければいけないというふうに思うわけでありますけれども、科学技術庁長官、その点についての腹がまえはできておるものでしょうか。
#69
○森山国務大臣 先ほど来申し上げますように、一体何が起きておるか、なぜ起きたのか、どういう対策があるのかということにつきまして、現地に人もやり、こちらのほうに専門家グループも結成し、また関係両省の間で具体的に検討する体制ができておりますから、この結果によりまして、従来の経緯にかかわらず、国民の御納得のいくような措置を考えてまいるつもりでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、事態はいまお話のごときものであるかもしれませんし、あるいはもっと簡単なものであるかもしれませんし、あるいはもっと重大なものであるかもしれません。いずれにいたしましても早急に真相を解明いたしまして、対策に万遺憾なきを期したい、そういう考えでございます。
#70
○竹中委員 いろいろお話を伺っておりますと、いま御当局の考え方として根本的な原因究明をする、それまでは現在の試験海域に「むつ」を置くというお話です。そのとおりだと思うのです。私は本船に乗り組んだ経験からして、青森県の尻屋崎東方八百キロ、北太平洋のまっただ中にあの船が漂泊をしているわけです。もちろん補助エンジンは積んでおりますけれども、相当長期間にわたってあの船が北太平洋の中、しかもこれからは台風の余波が入ってくる。冬の北太平洋は非常にしけるわけです。その中に原子力船がしばらく漂泊しなければならないとすると、乗り組み員の安全、本船の安全というものを十分考えていかなければいけないと思います。
 そこで、当面心配になりますのは、乗り組み員、実験員、検査立ち会い人あるいは報道関係の方々、こういう方々の交代等も必要になってくるのではないかと思いますが、それに対して原子力事業団ではどういうふうにお考えでしょう、内古閑専務。
#71
○内古閑参考人 御質問の件でございますが、お話しのように、あのままで漂流さしておくということについては、まことに忍びない点が多分にあるのでございます。したがいまして、いまのお話のように、交代員をやるとか食糧を供給するとか、そういうことにつきましては万全の策を講じてやっていきたいというふうに考えております。
#72
○竹中委員 万全の策を講ずる講ずると言うけれども、いままでの事業団のやり方から見ると万全の策はちっともうまくいかない。私は、乗り組み員が非常に不安になっていると思うのです。原子力船そのものについての不安は、もちろん原子炉を閉鎖しているから心配がないけれども、大体食糧、燃料、水は十五日までより積んでいない。しかも、台風十六号もくずれて向こうのほうに行くかもしらぬというような中です。これは、アメリカ航路に一カ月かかって行くということが最初からわかっていれば話はまた別だと思うのですよ。しかし、「むつ」の臨界実験に約二週間の予定で北太平洋に行く、しかも波の間に間にゆられながらやっていくのだ、それはもう覚悟しているのですし、乗り組み員も非常に元気でおりますけれども、だからといってお先まっ暗、いつまで置いてもいいということではないと思うのです。ことに若い司厨部員が、女の乗り組み員が六名乗っております。非常に元気でおりますけれども、やはり体力に限界がくるというふうに私は考えるわけです。したがって対策を講じたら、早急にいつ幾日に交代要員をやるからそれまでがんばれというような的確な指示がなければ、乗り組み員に非常に不安を与えると私は思うのですよ。私自身船からおりますときには救命胴衣を着て、非常に高い本船からなわばしごでゴムボートに乗り移ったわけですが、若い六人の女子船員がこちらへ帰ってくるのにも相当安全なことを考えてやらないと、あの太平洋上で落ちたらそれきりですから、そういうこまかいところまで注意する。これは専務の責任なんです、専務のやる仕事なんですから、こまかい点まで気を配って、どうせ長期間あそこにいなければならぬわけですから、乗っている乗り組み員の士気が阻喪しないように、また安全のために努力をしてもらいたいと思うのです。
 そこで、たいへん失礼でございますけれども、新聞にも報道されておりましたが、本船の食糧は非常にまずいのです。聞いてみたら、一日の食卓料が四百八十五円というのです。われわれが議員会館で食べる昼めし一食分なんですよ。これは政府の船がみんなそういう予算だと言うけれども、何か方法がないんですか。私も十日分で四千八百五十円払ってまいりましたけれども、そしてこちらに帰るために乗った海上保安庁の巡視船「えりも」では夜食を出してくれました、ラーメンですけれども。ところが、「むつ」は夜食も出ないのです。ラジオも聞けない、テレビも見れない。そしていつまでいるかわからない。しかもエンジンの推進力はない。北太平洋の中で一日に一回、金華山に出入りする船がレーダーに映るか映らないかというところにいるこの乗り組み員たちのことを考えて、船員は三度の食事より楽しみがないわけですから、もう少し何とか食糧を補給するとか、もっと栄養のつくものを食べさすように努力をしていただきたいと思うのです。これは役所のほうも少し研究してあげていただきたいと思うのです。
 それに対して、いま乗り組み員の安全について申し上げましたけれども、船自体の安全ということも非常に重要なことだと思うのです。先ほど来お話を伺いますと、一応のめどがつくまで試験海域に置くということです。しかし、本船のいる海域というのは、先ほど申し上げたように非常にきびしい環境の中にいるわけです。これから台風も来るだろうし、あらしも来る。台風のまっただ中に入っても、「むつ」にそこにいろということはできないと私は思うのです。どうしても緊急避難をしなければいけない。この緊急避難について、何かもうすでに対策を講じているのでしょうか。あらしはあす来るかもしれぬのですよ。それは十分考えて、天気図を見て、台風が行きそうだと指示しますということでは間に合わないのです。本船の安全について、緊急避難についてどういうふうな対策をすでに講じておられるか、お答えをいただきたいと思うのです。
#73
○内古閑参考人 その点は、お話のごとく緊急の問題でございまして、われわれとしては非常に緊迫感を感じておる次第でございますが、台風だとか荒天ということが予想されます場合には、その進路を検討いたしまして、事前にその海域を離脱するなど、適当な処置を行なうよりほかはない、こういうことに考えておりまして、これに対しましては、船長とよく連絡をとりまして処置したいというふうに考えております。
#74
○竹中委員 事前に天気図を見たりするのは、私もわかるのですよ。その際に、緊密に船長に連絡をすると言うけれども、あらかじめ言っておかなければいけないのです。いつあらしが来るかわからないのですよ。そしていまの状況では、残念ながら日本国じゅうどこの港でも引き受けてくれないと思うのですよ。そうすると、波の来ない内海とか、あるいは洋上の波の来ないようなところに避難しなければいけない。ですから、これから対策を練っていてはおそいのです。こういう場合にはこうしろという指示が、もう船長に行っていなければいけないと思うのです。早急にその対策を立てていただきたいと思うのです。
 それについても、本船は「へらくれす」というオーシャンタグを一隻随伴しております。一日に三回本船のまわり一海里のところを巡回しております。不連続線が多いものですから非常に霧の多い海域です。そこで、霧笛はもちろん鳴らしますけれども、本船は航行不自由船です。いつ他の船と衝突するかもしれないというので、随伴船が、タグボート「へらくれす」がしょっちゅう巡回してくれている。霧が強くなると、一キロの周辺で霧笛を鳴らして本船を警戒してくれているのです。そして波のまにまに流されていく。そして「へらくれす」が曳航して、波にさからってあまりゆれないようにしてくれている。随伴船の「へらくれす」が非常にたよりになっているわけです。
 しかし、あのタグボート自体の補給がまた問題になるわけです。先般すでに函館に一回帰したわけです。まる裸なんですよ。ですから、随伴船はぜひとも必要なものだと私は思うのです。ですから、「へらくれす」との、随伴船の交代もひとつ考えてもらわなければいけないということですが、その手配はできているのでしょうか。
#75
○内古閑参考人 ただいまのところ、御指摘の「へらくれす」の交代ということはやっておりません。
#76
○竹中委員 そういうのんきなことでなく、早急にやってください。すぐ右から左にできるものではないと思うのです。理事長もひとつ特別なお計らいをいただきたいと思うのです。
 与えられた時間が過ぎましたので結論に入りたいと思いますが、いままでいろいろとお話を申し上げました。たくさんお尋ねしたいことがあるのです。しかし、同僚の委員の方もいろいろと準備をしていると思いますので、私は、私が乗ったいまの出力試験のことに限定してお尋ねをしたわけでありますけれども、たいへん残念な結果になったわけです。
 そこで先般、私が所属しております自民党の青森県連で政府並びに事業団に対して六つの要望事項を出しているわけです。いままでの問答を通じてその御回答が一部出されておりますけれども、もう一度締めくくりの意味でお願いを申し上げますので、一項目ごとについて大臣から御返事をいただきたいと思うのです。
 「一、放射線もれの原因の究明及び対策の徹底を期すること。二、安全確保のための所要の措置を完了するまでは試験海域を移動すべきでない。三、政府並に事業団の責任体制を確立すること。四、漁民等の了解を得るについて事業団は従来積極的でなかったが、今後責任をもって行うこと。五、原子力船の再点検をなすべきこと。六、母港の移転については時期の決定を急ぐこと。」この六つでありますけれども、この場で正式に大臣からお答えをいただきたいと思います。
#77
○森山国務大臣 原子力船「むつ」についての自民党青森県連からの御要望につきましては、第一の「放射線もれの原因の究明及び対策の徹底を期すること。」は、先ほど申し上げたとおりでございまして、それなりの体制をとって、数日中に真相が明らかになりましょうし、それに対する対策を急速に講ずるつもりであります。「安全確保のための所要の措置を完了するまでは試験海域を移動すべきでない。」という御意見に対しては、私どももそのように考えてまいりましたが、先ほど竹中委員からお話しのとおり、やはり乗り組み員あるいは船の現状等から、この問題についてこの方針で対策をやるにしても、いままでどおりのやり方ではいかぬというような問題がございますから、そういう点は万遺憾なきを期するように考えて、準備中であります。「責任体制を確立する」ということについては、これを近い時期に明らかにするつもりであります。「漁民等の了解を得るについて」の努力の問題につきましても、今後できるだけの措置をいたしますし、「原子力船の再点検」の問題につきましても十分考えてまいりたいと思います。「母港の移転」についても同断でございます。
 いずれにいたしましても、青森県連からの御要望につきましては、基本的に御趣旨を尊重いたしまして、最善の措置をできるだけ早く講じたいと思います。
 今日までの対策といたしましては、情報が私どもの耳に入るのがたいへんおくれたということは、私自身もたいへん残念に思っておりますし、現地の青森県知事も非常に憤慨されておるというふうに聞いております。その意味ではまことに残念しごくであり、知事がそう言うのもごもっともだというふうにさえ、むしろ逆に考えておるわけであります。その後の措置につきましては、現在できるだけの措置を講じつつあるわけでございますが、それも、要するに現在現地に何が起きており、なぜ起きて、それに対して対策はどういうことが考え得るかということについてもう少しめどが出ませんと、具体的に踏み出すわけにいきません。しかし、そうだからといいまして、その成り行きを待ってからやったのでは時期的にいろいろ問題が出てまいりますから、そういう点を心がけましていまいろいろ対策を鋭意検討しておる、そういうことでございます。どうか御了承をお願いいたします。
#78
○竹中委員 時間が参りましたのでこれで終わらしていただきますけれども、今回の事故によって、わが国の原子力政策あるいは原子力問題が相当程度後退したと私は思うのです。原子力船「むつ」については、私は振り出しに戻ったような感じさえ受けるわけです。それだけ地元民あるいは国民の不信感、あるいは船に対する不安感を生じさせたということは、非常に私自身残念なことだと思うのです。しかも、原子炉がいま制御棒が入って放射線が出ていないけれども、それを説明してもなかなか受け付けてくれないような状況にあるということは御承知だと思うのです。したがって、対策は急ぎ、しかしじっくりと落ちついて、原子力問題の根本に立ち返って私はこの問題を処理していただきたいと思うのです。いろいろ温排水の問題あるいは廃棄物処理の問題、あるいは廃炉の処理の問題等について、まだまだバランスのとれた原子力政策、原子力事業界のバランスのとれた実力ができていないと思う。どうも原子力の炉の開発、原子力船の開発、それだけが先行しているような心配があるわけです。この際、そういう点もあわせて十分慎重に、謙虚に、振り出しに戻った気持ちで私はやっていただきたいと思うのです。それが、今回できた事故に対する最善の前後処置だと思います。大臣は非常に御苦労なさっておりますけれども、ひとつ大臣、非常に勇気のある方ですから、ただ今回は攻撃ではなく守備ですから、じっくりと腹を据えてかかっていただきたいと思うのです。
 そういう点で、せっかくお見えになりました事務次官、今回の経緯を通じてどういうふうにお考えであるか、また、大臣の補佐役としてどういうことをなされるか、ひとつお話を伺いたいと思うのです。
#79
○武安説明員 今回の出力上昇試験におきまして、予想外のできごとが起こりましたことはたいへん残念に思っております。大臣から明らかにされました方針に基づき、事務当局としまして一丸となって事態の今後の処理、将来の対策に努力いたしたいと考えております。
#80
○安井委員長 竹中君、お約束の時間がだいぶ過ぎておりますので……。
#81
○竹中委員 はい。これで終わりますけれども、政府が直接動かしている船でもないのですから、原子力事業団との連絡、先ほどの自民党の青森県連からの要望事項の中にありましたように、どうも事業団の体制が弱い、現地説得の問題が弱いというふうにも要望が出ているわけです。その点についても格段の御心配をいただきたいと思うのです。これは単に青森県知事にまかせておけばいいというような一ローカルの問題ではないと思うのです。やはり全国民の関心を持ち、全国民のための原子力政策でありますから、全国民のための原子力船がありますから、これを機会にますます健全な原子力行政のために一歩一歩前進するいしずえとなるように心から希望して、政府並びに事業団各位のこれからの御尽力をお願いして、質問を終わらせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#82
○安井委員長 関連質問を許します。小宮山重四郎君。
#83
○小宮山委員 関連でございますので非常に短いので、簡単にお答え願いたいと思います。
 まず第一に、洋上でいろいろ調査されているのですけれども、このような事件があったことで、むつ市長もいらっしゃるのですが、むつ市長は、もう再入港絶対反対でございますか、お答え願いたい。
#84
○菊池参考人 初めてこういう機会に遭遇しまして、若干気が落ちつかないでいるわけでございますが、私は、現時点で一番事業団のシンパであるというふうに、先ほども米内山国会議員とむしろ笑ったようなことでございます。
 私は、当初から、安全性の問題が確認されるならばいつでも容認するという立場をとってきております。先般の臨時議会におきましても、非常に不満はあったとは思いますが、直ちに定係港撤去を求める気はない、しかし、その場合はかなり厳重な条件がなければならぬであろう、そういうふうに答えてもおりますし、そのとおりいまも考えております。
#85
○小宮山委員 大臣、まあこういう事件でございますので、地元市町村の方々、いまの竹中委員の自民党県連の要求等もございますし、このまままたむつに戻れないんだ、一度ドック入りせざるを得ないであろうと考えます。ドック入りする考えはありますか、どうですか。
#86
○森山国務大臣 先ほど来申し上げましたとおり、真相を究明いたしまして最も適切な措置を講じたいと考えます。真相、原因、対策等当面の事態が明らかでない段階で、今後の大筋の方向についてはっきり申し上げる段階ではないというふうに考えております。
#87
○小宮山委員 そうすると、限度は洋上でどのくらい置いておかれるとあなたは考えておりますか。
#88
○森山国務大臣 そういう実情も十分考慮して、対策を講じつつあります。
#89
○小宮山委員 いろいろなことをお聞きしても、お答えが十分できないようです。
 いま責任の問題が出ております。政府並びに事業団の責任体制を確立すること。これはさっき話を聞いていると、大臣、これは責任は運輸省ですか、政府部内は運輸省ですか、科学技術庁ですか、どちらですか。
#90
○森山国務大臣 それらの問題も、実情をよく調査いたしまして考えたいと思っております。
#91
○小宮山委員 それはおかしいですよ。事故が起きたんですから、ちゃんと責任はどこにあるのかはっきりしなさい。まず第一に私は言いたい。ことしはずいぶんある。分析研だって予算委員会で初めて出てきて、安全だと思った。いまも安全だと思ったら出たじゃないですか。そのぐらいの責任、はっきりしなければいけませんよ。私は、特に科学技術庁は関頭に立っている、どうなるかということ、そのぐらいのことまで考えてお答えいただかなければいかぬ。先ほども、警報が鳴った、〇・二ミリレントゲン出たから警報が鳴ったから安全なんだ。それは詭弁だと思う。あぶないから警報が鳴ったんですよ。やはり国民の安全とか原子力の発展を考えたら、もっと謙虚に責任体制をはっきりしなさいよ。私は、むつの市長さんもそういうことを言っているんだろうと思うのです。事件があって、いまだもってふらふらしている。竹中議員に聞けば、何か持っていってやらなければいけないじゃないですかと言ったら、赤坂のせんべいがいいじゃないかというような認識。事務次官、だめですよ、そんなことじゃ。私は、そういう認識ではいかぬ。はっきりもっと責任体制を早くきめなければいけない。何が起こっているんだか、たいしたものでないかもしれない、大事なものかもしれないという大臣の御発言がある。たいしたものでもない、大事なものでもないのですと言っても、科学技術庁が関頭に立っているんですよ。生きるか死ぬかのせとぎわじゃないですか。ほんとうに、たいしたことでないのかもしれぬ、大事なものかもしれぬというようなことでは困るのです。私たちはこういう事件は、安全だとみな国民に納得させて出させたのですから、その辺の責任体制だけははっきりしてください。分析研で聞けば大臣は――私は言いたいことではないけれども、原子力委員会にしてもそうじゃないですか。ただ単に首を切ればいいというものじゃないですよ。慣例を破って自分の体制にするということじゃないんですよ。私はそういう認識をもう少し科学技術庁がしっかり持っていただきたい。
 大臣、与党からこういう質問をすることはたいへん大臣にとっては不満でしょうが、私は科学技術庁を、日本の科学技術というものを愛すればこそ言うのです。もう一度はっきり、責任体制はどこにあるのです。科学技術庁はないのですか。
#92
○森山国務大臣 先ほど来申し上げますように、目下調査を進めておりますから、近い時期にその問題についてもお答え申し上げたい、こう申し上げております。あなたがどういう御意図でそういうことをお話しになるのか、私は理解に苦しむわけでございますが、もう少し事情についてよくお調べの上、いろいろ御質問を願いたいと思います。
#93
○小宮山委員 私はあなたとけんかするつもりはございません。原子力船については、本委員会で与野党一致してできたものである。われわれもその成功をほんとうに心から願ったんです。しかし、いまの大臣の御答弁はたいへん不満であります。あなたとここで討論する意思はございませんけれども、一日も早く原因究明ができ、地元住民が納得できるような体制をつくっていただくことをお願いしまして、関連ですからこれで終わります。
 ありがとうございました。
#94
○安井委員長 午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後零時二十二分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時七分開議
#95
○安井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。石野久男君。
#96
○石野委員 大臣にお尋ねしますが、原子力船「むつ」は出港の前からいろいろの問題がございました。出港にあたっても地元の強い反対などもあったりして、たいへん困難な事情でありましたが、夜陰に乗じての出港、そして今日のような事故ということになってきたわけです。
 現在の状況からすると、放射能漏れの問題については原因の究明がまだ十分行なわれていないようでありますから、どういうような処置をするかわからないという話でございますけれども、先ほど来、午前中の質疑応答などを見てみまして、修理作業なりまた解体作業は徹底的に洋上でやっていくということになるのか、それもと、ある場合にはどうしても接岸しなければならないというような事情も出てくるのではないかというように考えられますが、そういう点についての見通しはどのようでございましょうか。まずいま、その所見をひとつ承りたい。
#97
○生田説明員 午前中の竹中先生の御質問のときにお答えいたしましたように、現在、原因の究明を急いでいる段階でございますので、現在の段階で、その結果につきまして予見を申し上げますことは、差し控えさせていただきたいと思いますが、私どもでは、考えられます幾つかの場合を想定いたしまして、いろいろ検討いたしております。
 現在の段階では、先般本船に参りました七名の専門家が、応急修理の資材も同時に相当量持ってまいっておりますので、洋上で修理をするということを第一のたてまえにいたして進めている段階でございます。
#98
○石野委員 これは想定ということはよくないかもしれませんけれども、事実事故が起きておりますから、現在ではもう想定ではなく、具体的な対策を立てなきゃいけないのですが、洋上修理ができないというときには、当然やはり接岸をせにゃならないということになると思います。あるいはまた、ほかにどういうふうな方法があるのか知りませんけれども、その場合の対策ということは、これは想定でも何でもなく、現実に考えなければならぬ問題でございます。
 これについては、科学技術庁なりあるいは事業団では、それに対する対策は十分できているかどうか、その点についてお伺いしたい。
#99
○生田説明員 ただいま原因究明の作業を行なっておりますので、それと並行いたしまして、ただいま先生御指摘のありましたような、万一の場合につきましてもいろいろ考えております。
 ただ、何といたしましても原因がはっきりいたしませんことには、洋上修理といいましてもいろいろの段階がございます。たとえば、現在海上保安庁の巡視船で本船に運び込みました修理資材だけで修理ができる場合もございましょうし、さらに修理資材あるいは測定機器等の追加を要する場合もございましょうし、あるいはそれ以上の場合もございましょうし、いろいろの場合が考えられますので、その点、総合的にただいま検討している段階でございます。
#100
○石野委員 洋上で修理とかいろいろな対策を立てるということをやっておりましても、季節的にいいますと、だんだん北の海が荒れるような事情が出てくる。先ほど竹中委員からの質問もありましたように、本船自体に推進力をいま持っておりませんから、そういうようなことを考えると、いつも安全地帯、安全地帯を考えているということで、問題の解決はできないように思います。なぜなら、そういうことをしておるとだんだん基地から離れていくという状態になって、作業はますます困難になってくるだろうと思います。ですから、これは想定とか何かでなくて、どうしても現実にその対策を立てなければいけないのじゃないか、こういうように思いますが、その対策を全然怠っているようなことでは私はいけないと思うのです。
 そういう意味で、この対策について、たとえばいままでの事情で見ますと、むつ港というものがあるわけです。しかしむつ港の事情は、現実にはおそらく帰港不可能だろうと私は思っております。しかし、それにもかかわらずまだむつ港に対して帰港するということの方策があるというふうにお考えになっていられるかどうか、これは特に長官にお尋ねをしたいのですが、いかがでございましょうか。
#101
○森山国務大臣 先ほども申し上げましたように、現地に何が起きておるか、現在の段階ではそのこと自体もはっきり言える人はないわけでございます。なぜ起きているかについても同様でありますし、どういう技術的な当局の手当てがあるかについても不明であります。
 したがって、そういうことをできるだけ早くはっきりさせたいということで調査団も派遣いたしましたが、何せ千二百キロの沖合いでございますから、人をそろえ、資材等を準備し、船で送るにいたしましても相当な時間がかかりますが、一番早い時間で措置しておると私は現在の段階では思っておりますけれども、なおかつ、いまの段階では真相を明らかにするに至っておりません。まさに隔靴掻痒の感があるわけでございますが、できるだけ早くそのことを明らかにいたしまして、それに対して対策を考えてまいりたいと思っておるわけでございます。
 今後いろいろな情勢の展開が予想をされますから、いかなる事態が予想されましても ともかく現在むつは定係港でございまして、また、むつは青森県にあるわけでございますから、市長さんあるいは知事さんにこのことについて、一度は御相談をかけなければいかぬというふうに私どもは考えております。これから先のことにつきましては、現在いろいろ考えておるという段階でございます。
#102
○石野委員 いま何が起こっておるか皆目わからないということを、いまごろ大臣が言うのは実際問題としておかしいのだ。これは出ていく前には、完全です、絶対に安全性は確保します、放射能は絶対に漏れませんと言い切ってやったのですから。これはまたあとで質問しますがね。
 そこで、まず何よりも知事さんあるいは市長さんとの話し合いもしなければいかぬ、こういうことですが、私も、実は出港の前日から二日間にわたりまして現場を見ておりますし、地域における当時の事情もわかっております。なかなか容易じゃないと思うのです。たまたまきょう菊池市長さんにおいでいただいておりますので、市長さんから、現地の事情は、この問題についてどういうような感じであろうかということをお聞きしたいのです。ひとつ市長さんから御事情を聞かしてください。
#103
○菊池参考人 現地の事情について答えろということでございます。
 出港前にあたりましては、だいぶ同情的な条件も出てきたようでございまして、あと若干出港をおくらせる配慮があったならば、かなり今日の条件が変わっただろうというふうに私は判断をいたしております。その判断は、二十二日次官にお会いしたときにも申し上げております。
 ただ、非常に無理な出港を重ねて、その後に、ないと常に言明されておりました事故が発生するに及びまして、私は、いまでは県論が入港阻止というふうに傾いているというふうに判断をせざるを得ない状況にあるだろうと思います。二十五日にも、私は事業団側に、きょうもし無理な出港をするならば、この反対運動が大きな輪となるだろう。事実あの日は、すでにもう北海道の船も少数ながら入っておりまして、これらの呼応がどうなるか非常に心配である、もし入港を考えるならば、直ちに出港中止して話し合いを再開するべきだという申し入れをいたしましたが、それが聞き入れられておりません。
 漁民の反対につきましては、陸奥湾の漁民あるいは青森県の漁民の数からしますと、当初強行派といわれた漁民の数は、あるいは少ないかもしれません。しかし、ホタテの養殖漁業者ということに限定いたしますと、非常に大きな生産量をあげていた漁民が反対していたことも事実でございます。一部の漁民という県あるいは科学技術庁のとらえ方が、何を基準として言ったか、その辺は非常に問題があるだろうと思っております。その輪は、御承知のように県内の漁民全体に広がりまして、東北、北海道にも広がっております。そして県内の世論としては、農協にもその輪が広がっております。もちろん、労働組合にも一般の市民にも広がってきておることは事実でございます。すでに若干の市町村においても、この問題についての見解が明らかにされつつございます。
 定係港を持つ市長としても、これらの事態になりましたことは、従来の科学技術庁の態度からして当然だと私は思いますけれども、遺憾な事態になってきているように存じます。そのように、きわめて県内の状況はきびしいものに変わりつつある、そういうふうな認識を持っております。
#104
○石野委員 菊池さんにもう一度お尋ねしますが、非常にきびしいものになっているということは、私たち素朴に思いまして、出港前の情勢などから見まして、かりに洋上でいろいろな修理作業とかなんかをやりまして、そしてもう科学技術庁や事業団は安全性はだいじょうぶだ、放射能は絶対出ないよということで、とにかく陸奥湾に入ってくる、こういう状況になったような事情のもとでも、私の感じでは、これは現地では、けっこうですよとなかなか言わないように感じてきておるのでございますが、市長さんの所見はどういうふうにお考えですか。
#105
○菊池参考人 事業団あるいは科学技術庁が、従来、絶対安全であるというその根拠が、安全審査専門委員会を通っている、国の権威ある機関がそういう保証をしているのであるから、放射能はもちろん漏れないし、絶対間違いないのだ、このことで県民を納得さしてきております。それが、かりに小事故と判断しようが、大事故につながっていると判断しようが、そういう事態が出てきたということは、国に対する信頼性がくずれたことであろうと思います。
 今後、再びこれで十分だという説明がかりになされたとしても、県民として受け入れる可能性が非常に少なくなっているだろう、そういうふうに思います。自由民主党の県連ですらも、安全審査あるいは総点検を要求している事態を考えますと、私は、陸奥湾に入るということは非常に困難であろうという判断をせざるを得ないのでございます。
#106
○石野委員 この際、私はお聞きしておきますが、市長さんはそういう事情のもとで、やはり定係港を行政区域の中に入れておるということから、何をなさなければならぬかということが非常に重要な課題であろうと思っております。現在の市長さんの心境からしまして、いま当面、市長としてはどういうことをせにゃいかぬというようにお考えになっていらっしゃるか、その点についてひとつ。
#107
○菊池参考人 私は、出港が決定になります前に、従来の経緯からしまして――従来の経緯と申しますと、四十二年定係港受け入れ当時から昨年の九月まで県議会議員として、この定係港を含む原子力船の問題をいろいろと論議をしてまいりました。また十月からは、市長としてこの問題に取り組んでいるわけでございますが、その間に持ちましたいろいろな疑問について申します。
 私は、安全審査というようなものは金科玉条ではないというふうに感じておりまして、同時に、先ほど問題になりました外国技術の導入ということについても、きわめてはっきりしたものが従来ございません。設計チェックだということは当時から言われておりましたが、先ほど竹中先生のお話にもございましたように、舶用炉は本来原潜の炉として開発され、商業機密以上に軍事機密がその中に含まれているということから、設計チェックを受けるということは非常に困難が伴うだろうということは、当時から私が議論しておったところでございます。
 その後の建造から今日に至りましても、いろいろな問題がございまして、先ほどの質問にも触れますけれども、制御棒の駆動装置が、新聞紙上に伝えられたところによりますと、アメリカから輸入したものが一部問題があるので、アメリカでつくり直させるには期間が少ないので国産にかえたという記事が当時出ておりました。それについて、最近事業団に問い合わせましたところ、そのような答弁も大体いただいております。答弁書は今日持ってきておりますが、先ほどの質問に対する局長の答弁は、完全に輸入品を使っているような御答弁でございました。こういう点についても非常にあいまいさがございます。また、七月に起きましたボルトの脱落事件であるとか、それに関連するいろいろな問題からいって、政府、事業団が言っているように、間違いのないものだと判断するにはきわめて困難な状況を持っているということから、安全審査の再審査、総点検を求めておったのでございますが、それが取り上げられることなくして出港ということになり、そして、いまこういう事態を生んでおります。
 私は何よりもこの機会に、そういう従来含まれていたいろんな問題と関連して考えるならば、われわれが想像する以上に、この原子炉は問題を含んでいるものだと判断せざるを得ないような感じを持っております。
 それらのことを考えますと、やはり自民党県連の要求にもありましたように、まず安全審査から、基本設計の審査あるいは詳細設計の審査、そういうものを洗い直し、同時にそれと関連して、この船そのものがどう設計どおりに施工されているのか、どういう材質を使っているのかまで洗い直すべき必要があるだろうと思います。そういう基礎的なものからの洗い直しによって、再び原子炉が理論的にも実体的にも安全だということをまず明らかにすべきだと思います。
 それを、それではどこがするかということになりますと、従来の安全審査の先生方あるいは設計チェックに関与した方々だけではなくて、むつ市あるいは青森県の漁民、あるいは青森県の推薦する学者をもその中に入れて検討をしていただくことを求めたいと思います。その結果によって、私はむつ市長としての今後とるべき態度を考えたい、さように考えております。
 以上のような心境で今日おりますことをお答えしたいと思います。
#108
○石野委員 ありがとうございました。事業団の佐々木さんにお尋ねいたしますが、原子力船はもうほんとうに安全性の問題については、完全なものであるというお考えのもとにこれを出港させました。私も当日理事長さんにも会っておるわけでございますが、そのときは、まあ森山長官がきょうどうしても出すようにという厳命だからやります、こういう一言だけしか承ることはできなかったわけなんです。現実には、理事長さんや長官の考えていたこととは違ってこういう事情になりました。現在では、何がどこにどういうふうに起きているのかわからぬというような、全く非科学的な実情になっておる。
 こういう実態に現在直面しておりまして、そしてこの母港を持つ菊池市長さんからは、いまのようなお考えがあったわけです。あなたは、やはりむつに母港を持つという考え方からすれば、この市長さんや――私は実はきょうは、市長さんのほかに漁連の会長さんやなんかもお呼びしたいと思いましたのですけれども、やはりいろいろ御都合やあるいは政治的ななにには出られないとかというようなことで、ここへ出てもらえませんでしたことを非常に遺憾に思っておりますが、大体やはり市長さんのようなお考えが、いま杉山さんあたりにもあるというふうに私は確信しております。私はあの日、杉山さんとも会場でずいぶん話をしました。
 そういうような事情を含めて、佐々木理事長はこの問題について、特に母港という立場で、むつの市民なりあるいは青森県民、ひいては日本の全国民の前に立ってのことでございますけれども、母港の問題船が帰ってくるという問題についてどのようにお考えになっていられるか、その所見をちょっと聞かせていただきたい。
#109
○佐々木参考人 まず第一に、今度「むつ」が放射線漏れを起こしたことにつきましては、私は非常に遺憾に存じております。
 したがって、御承知のように、いま調査団が船に参りまして、その原因の究明に当たっておるわけでございます。その結果を聞きまして、適当な処置をとることがもしできれば、「むつ」としては母港を出港します前の状態と同じ状態になるわけでございますから、そうすれば、なおもう一度菊池市長、それから陸奥湾の漁民の方々にもよく了解を得まして、御承知のように六十幾名の船員が乗っておりますし、技術者も乗っておりますが、海上におりましてそれらの方々も相当疲れておられることでございますから、もし船が安全になりましたならば、皆さんの御了解を得て、一日も早く母港に帰したい、かように考えております。
#110
○石野委員 船には乗り組み員も乗っているし、現実に炉はもう当分は動かないことははっきりしておりますから、補助機関を使っての限度でしか動かないことはもう間違いありません。人道的な立場やなんかからして、船に乗っておる人を何とか帰すということは、これは母港へ帰すということも必要になりましょうけれども、しかし、先ほど市長さんが、これから市長として、やはり本件について、少なくとも安全審査の問題については、基本設計あるいは詳細設計等基礎的な洗い直しをする、あるいはまた工事等についての問題にも洗い直しせねばならぬものがあるだろう、そういうようなことをした上で、しかも安全審査の委員には、従来の人のほかに、県民の側からも、あるいは県民が推薦する学者までも含めたそういうようなものにするという体制づくりの上でなければ、とてもじゃない、この話に乗ることはできない、こういう話をしております。そういうようなことは、一つには科学技術庁、政府当局との関係もございますけれども、事業団の取りまとめの長としてのあなたは、こういう菊池さんの御意向についてはどのようにお考えになっておられるか、それをお聞かせ願いたいと思います。
#111
○佐々木参考人 私は、菊池市長のお考えは菊池市長のお考えであって、事業団の理事長といたしましては、先ほど申し上げましたような考えで、今度の調査団の結果で、もし「むつ」の安全が確保せられまするならば、先ほども申し上げましたように、人道上の見地も考えてくださって、われわれがむつへ帰ってくることについては十分御了解を得たい、かように考える次第でございます。
#112
○石野委員 乗り組み員を人道上の立場から考えるということで母港を使うというこの結びつけば、必ずしも成り立たないと思うのですよ。人道上の問題であれば、船を置いたままでみんな人をこっちへ連れてくればそれで済むのですよ。問題はそうじゃなくて、船と母港との関係あるいは地域住民との関係の問題になっている。いわゆる炉との関係ですよね。それなら、からっぽにしておいて人を連れてくれば、幾らでも人道上の問題は処置できますよ。あなたの立場は、そういうようなところに逃げちゃだめなんですよね。あなたの立場は、原子力船というものをむつ港との関係でどういうふうにするのか、あるいは他に停泊港なり母港というものを考えるかという問題で考えておらにゃいかぬだろうと私は思う。そうでなかったらあなたの仕事は遂行できぬだろうと思うのです。そういう立場で私は聞いておるのですから、問題を別なところに持っていかないようにして御答弁ください。
#113
○佐々木参考人 私といたしましては、むつは初めから、事業団、政府、それからむつ市、青森県、皆さんの御賛成を得て母港になってもらったのでございますから、先ほども申しましたように、「むつ」の安全性が確保せられたならばむつへ帰していただいてしかるべきじゃないか、かように考えるのでございます。
#114
○石野委員 これはあんまり論議をしておりますと時間の関係がありますけれども、しかし、これだけのことは言っておかなければいけないと思うのですよ。菊池市長さんは、安全審査の総点検をしなければいけないだろう、そしていまや県民は政府を信頼してない、事業団の言っていることもうそっぱちだ、こういうふうに思っておる。だからそう簡単にはなかなかできないので、私は市長として、もしそういうようなものにこたえてなお話をするならばということで、先ほどいろいろな所見があったと思うのです。だから、これは具体的に、佐々木さんが菊池さんの考え方は菊池さんの考え方でございますよというふうに簡単に受けとめていいのかどうかという問題が一つあるのですよ。なぜなら、あなたのところの船が陸奥湾へ入っていけば、当然のこととして市長や知事のもとにおる県民が騒ぐのですから、それとは無関係に入れないのですからね。だから、菊池さんの考え方は考え方でいいんですよというような、そういう安易な考え方であるというと、これはちょっとこの問題についての、あなたの責任の持ち方なり考え方というものに問題があると思うのです。私はあえてもっと突っ込んでいけば、あなたのこの船を出すまでの間の考え方というのは、絶対にこういう事故は起きないということが信念だったんでしょう。
 先ほどパンフレットでいろいろ話がありましたが、あなたが私たちに、お読みくださいと言って下さった「原子力船の話」という本がある。この本のどこを見たってそればかり書いてある。安全性なんかについて、どこにも疑問はないと書いてある。そんなことを読んでおると時間がないから言いませんが、ここでいわれていることは、いかにしたら経済性を確保するかということしか書いてない。あなたが事業団の総裁だか理事長だかになってやっていることは、この原子力船の経済性をいかにして確保するかということしか考えていないのですよ。安全性なんというのは考えたことないんでしょう。そういう状態の中で今日こういうような事故が出たんですから、安全性の問題について、何とかうまく修理ができたらということだけではだめなんですよね。
 だから、基本的に考え方の原点に戻っての洗い直しをしてほしいという市長の考え方を、それは市長の考え方は考え方でございますというようなことであるというと、ちょっと問題の解決は社会的にはできませんよ。私はあなたの立場を心配するからこれを言うのですがね。どうですか、菊池さんが先ほど述べられた御所見については、もうそれはそれでございます、私は知りませんということなんですか、どうですか。
#115
○佐々木参考人 日本の原子力船と申しますものは、初めから安全性に疑問があるならば、日本としても原子力船の建造を考えなかったと思います。つまり、技術的にもそれから外国の例を見ましても十分安全性は保てる、こういう前提のもとに「むつ」の建造がせられたわけでございます。
 今度、不幸にしてこういう放射線漏れの事件が起こりましたが、これは何と申しましても日本で初めてやる船でございまして、いろいろそういうことが起こらないということは、やはり断言できないのじゃないかと思いますが、しかし、先ほども申しましたとおり、調査団の人が行かれていろいろのことを検討していただいて、これに対する対応策というものも考えられるんじゃないか。そうして、今度は安全であるということがわかった場合には、ひとつ市長さんにも十分了解をしていただいて、漁民の方々にも納得をしていただいて、そして本船は出港前と同じ状態になるのですからむつへ帰していただきたい、こういうことを私はお願いをしたいわけでございます。
#116
○石野委員 何べんも私の質問をはぐらかしていきますが、私の聞いているのは、あなたの意見ということのほかに、菊池さんから、今後この問題を地域住民との間で十分納得と合意の上でうまく進めていくのには、これこれこれだけのことをする必要があるだろうということを言われているのです。これは菊池さんだけでなく、私たち個人がいろいろ考えていることとも大体合致するものが多いのですが、いま菊池さんから、当該地域における市長さんとして、これだけのことはどうしてもやってもらわないとなかなかできないだろうと旧いうことで所見が述べられたのだから、そういうことについて、事業団の統括責任者であるあなたが、どういうようにお考えになっているかということだけ聞かしてもらえばいいのですよ。「むつ」はもとに戻ったのだからいいとかなんとかということではなくて、こういう問題についてはそういう必要がないのか必要があるのか、もうそれは全然考えなくていいとおっしゃるのかどうか、ちょっとそれを一言だけ聞かしてください。
#117
○佐々木参考人 菊池市長がどういうお考えであるか、それは菊池市長さんのお考えのとおりでございまして、それをとやこう私が申し上げるべき筋合いじゃない、かように考えるのでございます。
#118
○石野委員 これは大臣にも関係ありますけれども、しかし、あなたは当該事業団の長でございますから、それじゃちょっとそのことについて私はお聞かせいただきますが、まず菊池市長は安全審査の総点検をする必要がある、こういうふうに言っておられますけれども、その必要はありますかないですか、どうですか。
#119
○佐々木参考人 私は、別に必要があるともないとも答えるべき筋合いにはございませんので、それは菊池市長が適当に御指示なすったらいいのじゃないか。事業団としましては、先ほども申し上げましたとおり、船を安全なものにすればこれはいいのであって、そういうことに私は専心したい、かように考えております。
#120
○石野委員 佐々木さんにお聞きしますけれども、私はいま菊池さんのことを聞いているのじゃないのですよ。これはあなたに聞いているのですよ。いま事故が起きたのです。安全審査の問題で十分だと思ったものにこういう事故が起きたんだから、そしてあなた方は安全審査を信じてここまできてこういう事故が起きたので、これはもう一ぺん点検しなければならない問題であると考えるのが当然だと思いますけれども、それは考える必要はないのですかどうですかと聞いている。
#121
○佐々木参考人 事業団といたしましては、先ほども申し上げましたように、本船を安全にするために全力を尽くす考えでおります。
#122
○石野委員 本船を安全にするために全力を尽くすということは、安全審査等のいろいろな問題について、従来そのとおりにやってきたけれどもこういうことになったんだ、こういうことに通ずるのだろうと思いますが、そうすると、いままであなた方が確実にだいじょうぶだと思ったのに、こういう事故が起きたという原因はどこにあるかということを、理事長としてどういうふうにお考えになりますか。
#123
○佐々木参考人 それを、どういうぐあいになったのかということをいま調べてもらっておるわけであります。その結果を待って十分考えてみたい、かように考えております。
#124
○石野委員 佐々木さんにお聞きしますけれども、その結果を待ってということの意味は、いままでやったやり方はどこかに間違いがあったから、どこか間違いがあったところをさがし出さなければいかぬということでしょう。いままでやったことに間違いがなければ、こういう結果は出なかったんじゃないですか。あなたは出港前にもそうおっしゃったし、そして現在こういうふうになったんだから、それでは、絶対に安全です、絶対に放射能は出ないのだと言ったことはどういう確信に基づいて言ったのか、そのことについての心境を言ってください。
#125
○佐々木参考人 いままで私が得ました技術上の知識では絶対安全だ、かように考えておりましたから、書物にも書きましたし、講演なんかでも申し上げました。しかし、不幸にして今度こういう事件が起こったのでございますから、これはいままで考えておったことと、それから実際に起こったこととはそういう違いがあるのですから、専門の方に調査していただいて、どこがどうなっておったのかということを調べてもらって、その結果によって処置をする、こういう考えでございます。
#126
○石野委員 それではもう一度理事長にお伺いしますけれども、いままでは絶対にだいじょうぶだといって書かれたこれらのものが間違っておりました。そうすると、これは書き改めないとこの影響は大きいですね。この「原子力船の話」をあなたは何部刷ったか知りませんけれども、これは相当多く一般の方々に読んでもらっているのだろうと思います刀これはもう絶対間違いないということで、至るところで放射能漏れだとかなんとかというのはおかしいんだというようなことを、「巷間放射能が大きな問題として騒がれておりますが、実態をよく知らないで、ただ騒ぐのでなく、その特性をよく知って頂いて、有効利用について一般の方がたのご協力を希望する次第です。」こういうふうに、これは七五ページに書いてあります。この種のことがずっと書いてある。どのページにも書いてあるのですよ。これは一刻も早く回収しなくてはいけませんよ。間違っているのですからね。あなたは著者としてこの書が非常に間違っているということをいまお認めになられたんだから、できる限りこれを訂正する書物をあらためて出されるかどうかする責任があると私は思いますよ。その点についてどういうふうにお考えになりますか。
#127
○佐々木参考人 今度の事件にかんがみまして、よくそういうことを調べまして、その書物に訂正する必要がある場合は、御指示どおり訂正いたします。
#128
○石野委員 これは時間をとりますから先に進みますが、ある場合はということは、あるということを認めたんだから、とにかく一刻も早く直しなさいよ。
 井上原子力委員にお尋ねいたしますが、井上さんは原子力委員会を一応統括されておられますが、本件は、安全審査問題に関連して相当問題点が多いことが明らかになってきておると思います。私は、別に諸説がどうだからこうだからということでなくて、この現実に直面して、やはり安全審査を相当やり直さなければならないような問題が出てきておるんじゃないか、こう思うのです。これはもう別にメンツやなんかにこだわることなく、原子力の将来の発展のために私どもは繰り返して申しますけれども、原子力の平和利用を反対しておりません。原子力船についても、これが安全性を確保できる限り、何も反対する理由はないんです。ただ、安全性の確保をするのには疑問があるから問題を提起しておるし、もっともっと慎重にやってほしいということを言っておるのでありますが、たまたま、あらゆる角度から事故は絶対出ないだろうと思ったのにこういうことになってまいったわけでございまするから、こういう事情に関連しまして、安全審査の問題に何らかの手抜かりがあったということを考えるべきではなかろうか、こう思うのです。これは、きょう安全審査の責任者であられました内田さんもおいでになっておりますから、双方ともにそのことについて私はお聞きしたい。この際あまりいこじにならないで、率直に日本の科学のために、ひとつまじめな御答弁をお願いいたします。
#129
○井上説明員 原子力船の最初に設置の認可申請がありましたのが四十二年ごろでありまして、原子力委員会といたしましては、法規に基づきまして、安全審査会の審査を経て設置の許可をいたしました。その後の審査が運輸省の所管になっておりまして、私どもが安全を確信いたしたにかかわらず、結果的に非常に意外な結果を見たということは、まことに遺憾でございます。
 それにつきまして、ただいま石野先生から御指摘がありましたような、審査体制そのものを考え直す、あるいはやり直す必要があるのではないかという御意見でございましたが、私は、今日の段階において必ずしもさようであるかないか、今日はまだ実情が詳しく把握されておりませんが、原子力委員会といたしましてもこの問題を重視いたしまして、連日のごとく状況審査をいたしておりまするけれども、残念ながらまだ事情が把握されておりません。そうした結果を見まして、さようなこともあわせて考えなければならないことが、不幸にして起こるかどうかわかりませんけれども、今日の段階におきましては、私どもがただいままで審査をいたしました結果は、十分今日まで並びに今後にわたって、信頼し得るものと考えております。
#130
○石野委員 井上委員は、現状はまだはっきりわからないからということで、確答はできないというお話ですから、これは無理はないとは思います。ただ、報道されるところによりますと、もうすでに放射能は完全無欠だと思ったものから出ておることは現実なんですね。そうだとしますと、それは一次遮蔽か二次遮蔽かどっちかわからないけれども、その遮蔽装置の中に問題があったことも一つありましょうし、それから、あるいはまた炉内におけるところの中性子をどういうふうにして外へ出さないようにするかということについての設計上の問題とか、いろいろな問題があってこういう結果になったんだろうと私は思います。そして一般には、欠陥炉だ、それをそのまま安全審査を通してしまったということはけしからぬというような意見もあちこちに出ておるわけです、実をいうと。
 私は、先ほど来お話がありますように、問題は、一般の人たちがこれに信頼感を持てない限りにおいては、どんなに説かれても大衆の支持を得ることはできないだろう、いわゆる自主、民主、公開の民主の面が充足されませんと、原子力の平和的利用というものは非常に困難だと思います。だから、今日の情勢では、あの事態がわかれば当然のこととして審査のやり直しをしなくちゃならない。特に設計上のミスなどがあるということになれば、これはもう完全に審査上のミスであったと言わざるを得ないだろうと私は思います。だから、そういう点が明らかになった場合には、原子力委員会としても、また安全審査の側でも、当然この問題についての責任をとるべきだろうと思いますが、その点について、審査委員長であられました内田さん、どういうふうにお考えになっておられますか。
#131
○内田参考人 原子炉安全専門審査会の安全審査は、御存じのように、原子炉の設置許可の基準におきまして、将来その原子炉が、このように設計し、製作し、かつ運転されれば安全が確保されるという基本計画について審査するわけでございますので、すなわち遮蔽におきましては、一次遮蔽と二次遮蔽の総合効果がどのような遮蔽効果を持つべきであるかという設計基準を審査するわけでございます。したがいまして、その内容につきましては、現在、それが間違っておるという結果は出ていないと思っております。
#132
○石野委員 私は技術屋じゃないからわかりませんけれども、一次遮蔽、二次遮蔽というものについての設計上あるいは安全審査上の審査には、間違いがなかったというふうに考えていらっしゃるのにもかかわらずこういう事故が起きたということは、そうすると、どういうことから来ているんでしょうか。
#133
○内田参考人 するわち、遮蔽だけを取り上げてみますと、安全審査の段階では総合の遮蔽効果、すなわち今回の場合でございますと、格納容器の外のハッチの外側が周辺監視区域になっておりますが、そこの放射線量率をかくあるべきであるという、その考え方について妥当であるかいなかの審査でございます。したがいまして、現在それがつくられた段階におきまして放射線量率をはかったところ、その基本基準をかなり大幅に狂っておったということは、その基本計画に基づいた設計なり工事の施工が妥当であったかいなかに問題があるのだろうと思います。
#134
○石野委員 工事ということになれば、これは工事指針のようなものがありまして、それのとおりにやらなければ問題は工事者の責任になるだろうと思います。その工事指針というものを出すのは、安全審査を通る過程でも当然検討されるのでございましょうし、あるいはまた他の部門かもしれませんが、設計の部門ということになれば、これは当然安全審査の中では、あらゆる場合を想定しての設計審査をやるのでございましょうから、少なくとも審査会では、どんなことがあっても放射能は外へ漏らないという確信においてその認可を与えているのであろうと私たちは思っておるのですけれども、そうではないのですか。
#135
○内田参考人 安全審査では、基本計画の前提条件について審査するわけでありまして、それに沿った設計と工事計画が妥当であるから、安全審査会が報告書を出したあとの、いわゆる認可段階の問題でございまして、安全審査会が行ないます安全審査では詳細設計までは入っておりません。それの基本条件を審査するわけであります。
#136
○石野委員 基本条件の範疇にはどういうものが入っておるのか、私はここでわかりませんけれども、そうすると、こういうような事故があった場合の安全審査会の責任の問題については、安全審査会としては全然責任はない、こういうふうなたてまえで原子力委員会は考えておられるのかどうか、これは井上さんにひとつお聞きしたいのです。
#137
○井上説明員 全然責任がないかどうか、私は結論的に申しまして、当時安全審査会が出しました結論と申しますか、審査結果の考え方については、正しいものであったといまでも考えております。ただし、不幸にして実際にできましたものが、そのとき与えられました基準、またそのときできるはずであると考えた設計あるいは製作と合わなかったということについて、委員会または安全審査会の方々において責任があるとは考えておりません。
 ただし、だから何ら責任がないというのではなく、これは日本の将来の原子力船をいかに有効に実用化に持っていくかという非常に重要な問題でございます。高い次元においてこれをりっぱな、安全な、かつ経済的な原子力船に仕上げていくということについては、みな協力をしなければならないと考えております。しかし、現行法規上におきまして、当時安全審査会が決定をされました結論というものは、今日考えてみましても正しいものであった、かように考えております。
#138
○石野委員 当時はそうであったけれども、実際に物ができたら間違っていたというんでは、これは信頼はできなくなっちゃうのですよ。安全審査をやるということは、物ができて、それが一般の地域住民なり周辺にほんとうに安全であるかどうかということへの認証を安全審査会は与えるものであるというふうに、住民は考え、国民は考えているわけです。いまの井上さんの考え方からすれば、おれたちはその当時における問題だけは責任をとるけれども、物ができたときには安全審査会の責任はありません、その当時は正しかったんだけれども、いまこうなってきたら、おれは責任はありませんということになると、これからは、まさに安全審査会の問題について国民は信頼をおかないということを、あなた方のほうでそういうふうに裏づけさせることになるのですが、それでもいいのですか、そういう聞き方をしても。
#139
○井上説明員 私の表現が少々ことば足らずと申しますか、不適当であったかもしれませんが、私は、当時原子力の法現に照らしまして、安全審査会が決定をしました安全の基準、これは正しいものであったと考える、今日もそれを訂正する必要はないということを申し上げたつもりでございます。
 ですけれども、原子力船というものをほんとうに将来有効に利用し得る、また、それに対して国民の方々の信頼を得るという上において、大きな立場において、これを国民の信頼し得るものにしなければならないという意味においてみんなが協力していかなければならない、かようにお答えをいたしたつもりであります。
#140
○石野委員 なるべく短く答弁してください。
 いままで、決定した当時のことは間違っていないし、いまも改める必要はない、そういうふうに思っているけれども、現実には放射能は出てきた。出ないはずだったものが出てきたということについて、その当時審査をしたことについて、何にも訂正する必要はないんだということになると、どこを訂正しなければならぬということなのか、これがわからない。だから、そういう点について、安全審査会としては結論を出したとぎは正しかったけれども、いま間違っていったのは、それじゃ工事が間違っておったのか、あるいはあなたたちの責任でない他の部門で間違っておったんだ、こういうふうに私たちは読み取らなくちゃいけないのかどうか。そこのところだけ、もう簡単でいいですから、端的にひとつ所見を聞かしてください。
#141
○井上説明員 ただいま内田安全審査会長からもお答えをいたしたとおりに、設計の基本的な基準というものについての当時の考え方は今日でも正しい。とすると、ただいま石野先生から御指摘のように、それではどこで間違ったのか、こういうことでございます。これをいま究明いたしております。この結果が、先刻来いろいろ御指摘のように、これはやはり根本的に考えなければならない問題であるというならば、さよう考えなければなりませんし、これはそうではないということであれば、その時点においてしかるべく善処する。
 要は、ただいま再三お話がございましたように、安全という問題について国民の信頼し得る安全審査をしなければならない、これについては、全くさように考えております。
#142
○石野委員 そうしますと、これは科学技術庁長官もそうですが、原子力委員会にしても事業団にしても、あなた方は、放射能が出るなどと考えるということは間違っていますよ、これはもう完全なんですから絶対に放射能は漏れませんよ、こういうように言ったことの中に、何か足りないものがあったということは事実なんですよ。ですから、いまからは、あなた方のその放射能についての、心配をしているということは間違いであると言い切ることは、皆さんはもうやめなければいけないということだと思うのですよ。とにかく、何でこういうことになったのか原因がわからないのだから、原因のわからない事故が起きているのにだいじょうぶですよというようなことは、これからは言えない、また、そんなことを言うことは非常に大きなあやまちをおかす、こういうようなことになるのだと思うのですが、そういう点の私の考え方は間違っているかどうか。これはひとつ、まず事業団の理事長さんから、お三人の方々に御意見を聞かしていただきたい。
#143
○佐々木参考人 先ほどからも再々申し上げておりますとおり、私どもとしましては原子力船は安全にいける、またこれは技術的にもそういうことが証明せられますし、それから、外国で運航している船もそうなんですから、そういう確信をもって船を建造してまいったわけでございます。
 ところが、不幸にして今度そういう事件が起こったのですから、これをどうして完全なものにするかということに、今後とも全力を尽くさなければならない。そこにわれわれの進歩があるのじゃないか……
#144
○石野委員 だから、完全だと言えないのでしょう。言い切ることはよくないのでしょう。住民に対して、心配するなと言えないのでしょう。
#145
○佐々木参考人 心配をしてもらわないように、これから調査の結果を見て完全なものにしていきたい、こういう希望を持っているわけでございます。
#146
○井上説明員 安全審査の最初の段階において、放射能が絶対に漏れないといったような審査をいたしたのではございません。当時の申請に対しまして、監視区域あるいは側面のいかなる地点においても放射能はこれこれ以下である、こういう審査をいたしております。それで十分安全であるということを審査したのでありまして、それが結果的に、その量をはるかにオーバーした量が出た。とするならば、設計が妥当でなかったかあるいは製作上のミスがあったか、この点をただいま検討をしておる次第でございます。
 したがいまして、絶対に一つも放射線が出ないといった安全審査をしたわけではございませんので、まあ私どもはその範囲において十分安全性が守れる、こう考えたわけでございます。結果的にそれがそうでなかったということについては、今後十分究明をいたしまして、皆さま方の御安心を得られるものにするということは、私どもの全部の責務であると考えております。
#147
○森山国務大臣 先生は、この種の問題の大家でございますから、一言申し上げたいのでございますが、現在起きている事態は、放射能が表に出るのではありません。すなわち放射性物質が表に出るのではございません。放射線が漏れがあるのでありまして、いわばこういう電気でいえば、電気が漏れておるのでありまして、何か放射線と放射能とごっちゃにお話になりますと、先生のような大家がそういうふうに御発言になりますと、何か重大な事態が起きているような印象を受けると思いますので、その点はどうか分けて御発言を願えればと、こういうふうに思っております。
 それから放射線自体は、先ほど申し上げましたように一時間〇・二ミリレントゲンでございまして、八時間その上で仕事をして一年間やりましても胃のレントゲン一回分ぐらいの量でございますから、これは安全性については全く心配ないのです。しかも、それは警報装置というものがあって、これは注意しなければいかぬぞということになって、事前にわかっておるのです。だから、これは安全性については全く心配ない証拠じゃないかと私は思っておるのであります。
 ただ、そうではあるけれども、こういう問題は、従来の経過にかんがみて重大視しなければならないということで、ひとつ洋上で引き続き真相を究明してもらいたい、またそういうことのために特別調査をやっておるということでございまして、何かわれわれがやっていることが安全性に疑念のあるような仕事をしておる、そういう点を認めろということでございますれば、ただいまの御発言は、そのままいただきかねるというのが私の所感でございます。
#148
○石野委員 長官、長官はたびたび光線漏れと同じで、放射能、放射性物質が漏れてはいないのだ、こうおっしゃるのですよね。確かに外へ漏れているのはそうでないんでしょうが、この炉の中で出ておる中性子が多量になりますれば、それがほかのものに当たって、そしてガンマ線等というものになって放射線になって出てくるのでしょう。だから炉内におけるところの設計上、中性子が設計以上のものが出ているから、だからこういう結果が出てきているのでしょう。外へ出ているのは線かもしれないけれども、中ではそういう中性子というものが設計以上に出ておる。そういうことがあるからこういう結果が出てきているのじゃないですか。
 だから、いたずらにそれは物質じゃありません、線でございますなんというようなことだけでごまかしちゃだめですよ。そうなってくる原因は、炉内におけるところの設計上のあやまち、何かのミスがあるからじゃないかということを、ここでは真剣に考えなければいかぬと思いますよ。大臣が簡単に線だから、線だからというようなことだけれども、炉の中ではそういう問題があるのと違いますか。現にこれが、あなた方がいわゆる出力試験をやったときに、制御棒を四本抜けば当然そういう出力が出るだろうと思ったものが、四本では出ないで、またもう四本だけを、中途のところまで出たときに、ようやくそういう臨界に達したのでしょう。すでにそのときにおいても問題があるのじゃございませんか。現にこの炉が一〇〇%の――いまは出ておるものはほんのわずかだ。それはたった一・四%しか出力を出してないんだから。このままで一〇〇%出したらどういうことになるのです。たいへんなことになるのじゃないですか。
 大臣は私に対して、何かそれはお返ししますと言ったけれども、大臣のその考え方が間違っているのだ。大体原子力委員会にしてもあるいは科学技術庁にしても、基本設計だとかあるいは詳細設計をして、それを工事をやって、それがあなた方が審査したとおりにできているかどうかということの検査をやっているのですか。あなた方が、もし自分たちが認可し、それでよろしいといったような設計で完全にそのようになっておったら、こういう事故は出ないはずなんじゃないんですか。その当時はよかったんだけれども、いまおかしくなっちゃったんだ、だからその原因を探究しているんだ、そんなことであなた、説明になりますか。もともと基本設計とかあるいは詳細設計をしました、それを認可した当時の事情を、工事が完成する段階でぴしっと押えているのかどうか。科学技術庁はそれをやらしているのですか、どうなんですか。やっているのですか、どうですか。科学技術庁にちょっとお伺いします。
#149
○生田説明員 大臣の御答弁の前に、若干事務的な御説明をさせていただきます。
 ただいま先生の御指摘でございますけれども、今回の放射線漏れの現象といたしまして出てまいりましたのは、先生御指摘のとおり、設計値よりも多量の二次ガンマ線が格納容器の外に出てきたということでございます。その原因はおそらく、これも先生御指摘のとおり、中性子が多量に出ているのであろうということが想像されるわけでございますが、問題といたしましていろいろの考え方がございます。
 一つは、中から出てまいります中性子の量は多くないけれども、遮蔽に問題があって、したがって、その中性子が遮蔽を通り抜けて出ている場合、これが一つでございます。それから第二は、遮蔽には問題がないけれども、中から出てまいる中性子の量が、何らかの原因によりまして予想されたよりもたくさんの中性子が出ているという場合が第二でございます。
 この第二の場合がさらに二つに分かれまして、その中性子の出てまいる量が一次遮蔽が十分に、何らかの原因によってきかなかったために中性子が二次遮蔽にぶつかるということであるのか、それとも、一次遮蔽には問題ないけれども、その他の原因によって中性子がたくさん出ているのか、いろいろのケースが考えられるわけでございまして、現在の段階では、一がいに中性子の量が非常に多くなり過ぎて、そのために、遮蔽は十分であったけれども、その効果がなかったというように私どもは判定できる状態にございません。その辺を究明いたしておりますのが現在の段階でございます。
 それからもう一点、直接の御質問ではございませんので恐縮でございますが、先ほど菊池市長に対しまして先生御質問になりましたときに、菊池市長の御答弁の中で、午前中の私が御答弁申し上げましたものに関連いたしまして、制御棒の駆動装置の輸入の問題、間違いであるという御指摘がございましたけれども、これは正確に申し上げますと、制御棒駆動装置は輸入でございます。ただ、輸入いたしましたところ、その中の一部圧力ハウジングにつきましてさびが発生いたしましたので、その分だけを国産に交換いたしました。したがいまして、ごく簡単な部分でございますので、制御棒駆動装置全体としては私は輸入と申し上げたわけでございまして、国産と交換したのはごく一部でございます。市長さんの何か御記憶間違いかと思いますので、あらためて御説明させていただきました。
#150
○森山国務大臣 ただいま原子力局長から御答弁申し上げたことで、おおよそおわかりであろうと思いますが、一・四%の出力で〇・二ミリレントゲンの放射線が出ておるということにつきまして、なぜこういうようなことになっておるのかということを究明するために現在調査をやっておる、だから、その調査の結果を見なければわかりません、その調査の結果によってこれから処置をしましょうということであって、あなたのおっしゃるような断定を、一義的にできるような段階に現在ないということを私は申し上げておるわけでございますから、どうかその点は御理解を願いたい。
 それから、一・四%の出力で、もしこれが一〇〇%出たらどうなるのだとおっしゃいます。確かに一・四%の段階で一時間〇・二ミリレントゲンの放射線が出るということは、一〇〇%出力の場合には確かに問題でございますよ。ですから、私どもはそういうような段階において、一〇〇%出力はおろか、二〇%出力も、そういうこれ以上の出力を出すか出さないかということも、これは検討いたそうとしておる。しかし、現段階においては、この放射線が何ら人身に障害を与えるような段階に達していない。先ほど申し上げましたように、毎日八時間その上で一年間やっても胃のレントゲン一回分くらいじゃないですか。しかし、その程度であっても事は重大に考えて、この当面を処理しようというのがわれわれの立場なんです。そういう点、どうかひとつ立場についてお考え願いませんと、御自分で頭の中でいろいろなことをつくって、それでこうだこうだとおっしゃいましても、実情が出てきた段階で――それはあなたのおっしゃるとおりかもしれませんよ、あるいはもっと簡単なことかもしれません、もっと重大かもしれない、どういうことになるかわからないが、しかし、そういう事態について最善の措置をとりたいということで、いろいろなことをいま考えておるということでございます。
 あなたも、科学技術庁長官になられてこういう事態にぶつかれば、やはりいろいろなことを考えてやらなければならないのですから、どうかひとつ、長年の懸案でございますから、そういう意味で、ただぼうっと拱手傍観しているわけではございません。しかし、拱手傍観せぬまでも、これからの問題を打開するのは非常に困難があるということを、私は痛感をいたしております。
#151
○石野委員 私がもし科学技術庁長官になりましたら、森山さんのようには、こんなにばたばた強行出港なんというようなことをやりませんよ。やはりもっと慎重に考えてやります。
 そこで、考え方の問題として、いまわからないんだから、調べているんだからよく立場を理解してくれということです。それは、森山さんたちが前々からそういう態度をとっていたら、十分私たちは理解をしますよ、強行出港なんかやってなければ。だけれども、あなた方がこの強行出港をやるときはどういうことを言ったんです。完全だと言ったんじゃないですか。放射能は絶対出ないと言ったんじゃないですか。そのことばをいま考えたら、そういういまのような答弁はできないんじゃないですか。
 皆さんの立場は、いままで国民に対して、地域住民に対して、放射能が出るなんということはこれっぽっちもないんだと言ってきた。井上さんは、審査の過程で、若干のものは出るということを前提として審査をパスさせたということで、ほんとうのことを言ってくれたんだから、これは私はいいと思うのです。だけれども、事業団のごときは、一切出ないと言っているんじゃないですか。ごまかしているんじゃないですか。しかもあなたは、この本の中でそう書いているんじゃないですか、「原子力船の話」の中には。そしてあなたの考えているのは、安全の問題じゃなくて経済性の問題としか書いてないじゃないか。
 私たちは、原子力の問題については、それの平和利用を非常に真剣に考えていますよ。経済性の問題ももちろん考えていますけれども、それ以前に、経済性の問題は、人間が生きるために経済性が必要なんですよ。経済性が先に立って生きることはどうでもいいというんじゃないんですよ。本末を転倒してもらっちゃ困るんだ。だから、皆さんがいままでに、原子力についてはいろいろ問題もある、まあ中曽根さんの言うように、試行錯誤はつきものだと。試行錯誤がつきものであるならば、これはもっと慎重にものの言い方をしなくちゃいけないんじゃないですか。
 私は、きょうは時間のない中での質問でございますけれども、大臣があなたの独断でやらないでということばをよく私に言いますけれども、私は決して独断で言っていませんから、むしろ森山大臣自身が独断をやっているんですから、この独断をやめてもらわにゃならぬ。
 少なくとも、皆さんは光線だけが出ているんだとよく言われるが、光線だけが出ているんだからいいというんじゃないんですよ。これはもう私たちのようなしろうとがなにしても、中性子がたくさん出てきて、それが鉄にぶつかっていけば、ガンマ線とかその他のものになって出てくることは、もう初歩的に私たちは教わっていることなんです。今度の場合なんかは、確かに局長が言うように、遮蔽の問題に問題があったのか、あるいは炉内における中性子の発生の問題、制御の問題でどうなっているのかという問題がまだ不明であることはよくわかります。しかし、おおよその予測される範囲においては、むしろ炉内におけるところの制御に問題があったんだろうということは、もうはっきりしているわけでしょう。だから、そういう点をよく考えて、もう少し真剣にこの安全性の問題について取り組んでもらわなければいけしないと思うのですよ。
 私は、こういう段階に来て、いま振り返って、だいじょうぶだ、安全だと言って強行出港したことの責任のすべては大臣にあると思うのですよ。事業団の理事長にも問題がありますけれども、より多くは大臣にあると思うのです。あなたの考え方が、百八十度違っているということに対する責任ぐらいは考えなきゃいかぬですよ。私は、むしろこのすべての責任は森山長官にあると思っている。同時にまた、事業団の理事長にもあると思います。それをそういうふうにさせた原子力委員会にもあると思うのです。
 私は、原子力委員会が安全性の問題で、田島委員が辞任せざるを得なくなったような内部事情であることを聞いておりまするから、そういうようなふだんの安全性に対する考え方の粗漏な、安易な、どちらかといえば真剣に考えている者をばかにしているようなそういう態度が、今日この結果になってきていると思いまするので、これはもうはっきりと、いまの政府の科学技術政策の基本に触れる問題として再考を促さなくちゃいけないと思う。私は、むしろこの問題については、事故の究明を早急にやってもらいたいけれども、より以上に、かくのごとく強行手段を講じたところの森山長官以下の関係者の責任を問わなくちゃいけないと思っておる。むしろ森山さんはその責任をとるべきですよ。それは、わが国の科学技術の将来のためにぼくはそのことを考えている。大臣、その点についてどういうようにお考えになりますか。
#152
○森山国務大臣 たいへんいい機会を与えていただいたし、たいへんいい質問をしていただきましたので、一つ一つお答えを申し上げたいと思います。
 まず、強行出港だというお話でございますが、御案内のとおり、昭和四十二年にむつを定係港といたしましたときには、第一船だけでやめないで第二船、第三船までやってもらいたいという地元の要望があったくらいであります。それが昭和四十七年に船ができて、そうして原子炉も装てんされまして、その段階で、いざ出ようと思いましたら、これは反対だと、こういうことであったわけでございます。そして自来二年間、この船が動かないわけでございまするから、しかも最終的に動かしていいという条件は、二〇%以下の出力上昇試験というものは、世界どこの国でも岸壁でやっているものを、まあ私が着任する前のことではございますが、すでに洋上で出力上昇試験をやるというような、世界で初めての、洋上試験とはていのいいことばでございまして、一種の漂流実験のような状況にまで追いやられて、しかも、それすらも実行できないというような段階であったのでございます。百五十億円近い金をかけ、十年以上の歳月をかけて、しかも、できた船がいつでも出れる状態になって二年間動かない。眠れる日本の象徴だと、ある週刊誌はやゆするがごとき状況になったわけでございまするから、これを一日も早く出すということは、私は、この責任者の一人として当然やるべきことだと思っており、いささかもおかしくないと思っております。
 そのために、一つには、地元対策といたしまして、原子力船開発利益の地元還元という考え方のもとで、御案内のとおり、道路、有線放送、体育館あるいは漁業組合に対する補助、融資等の対策も講じつつ、一方において、安全性の問題について心配ないからぜひ出させてくれということで出たのです。出たのは、普通エンジンで出たわけでございますから、むつ市並びに陸奥湾には、もう放射能が全く出る余地がない形で出たわけでございますが、世界で初めてのこういうやり方、苦肉の策でございますが、うまくいけばいいんだがなと思っておったのでございますが、当初は順調でございまして、向こうを六日か七日ごろ出てこれて、たいへんよかったなと思いましたところ、はからずも今回の知らせでございます。
 今回の知らせは、私の耳に入りましたのは二十時間ほどおくれておりまして、その点はまことに遺憾しごくでございましたが、聞いてみると、先ほど来申し上げましたような放射線漏れが未然にわかったわけでございますが、これは小さいことだというふうに考えないで、大ごととして取り扱わなければいかぬ、だから船を動かさないで、実情をそこで調べてごらんなさいということでこちらからも専門家を送ったわけです。この段階で、遮蔽の問題が出てこようとは予想もしておらなかったようでございますので、専門家もそこに送ったわけでございます。
 それで、この船を出したことにつきまして、強行出港だとおっしゃいますが、地元知事さんは、長年の懸案でございますから、非常に御苦労されたと思います。しかし最終的には、二十九漁業組合のうち二十五組合は、この際これを認めたらどうだ、四組合はどうしても言うことを聞いていただけないということであったわけでございますが、まあ最終的には、これでいくのもやむを得まいということで青信号が向こうで上がりましたから、私どもは最終的にゴーという意思表示をいたしたわけでございます。
 なお、四組合につきましては、海上保安庁の幹部諸君が、ふだんは漁民の方々と非常に御懇意に願っておるようでございますから、強制出港阻止はやらないということばを信用しておりましたところ、この間のような段階になったわけでありまして、何か非常なむちゃくちゃをこちらがやったように言われますが、とんでもないことでございまして、これは私どもこそやるだけの手を尽くして、かけるだけの時間をかけて今回行なったわけでございますから、いまのような御表現をいただくことは、これは理不尽だと私はむしろ考えておるわけでございます。
 それから安全性の問題は、先ほども申し上げましたように、〇・二ミリレントゲンの量のものでも、事前の警報装置でもってわかるというシステムになっておるのであります。船に乗っておる人はもとより、船が停泊している周辺の人たちにも、そういう意味で安全性に疑念を抱かせるような仕組みにはなっていない。テクノロジーアセスメントは幸いにして健在であった。そういうシステムでございますから、それは当初のナショナルプロジェクトが思うとおりにいっていないことは事実でございます。こういう点は、いま昭和四十九年のこの現在、私が国務大臣として今回の事態にぶつかってこういう事実を発見いたしましたので、これは責任を持って処理しなければならぬと思っておりますが、あるいは船ができました二年前にすぐ出ても、こういう事故が起きたかもしれない。あるいは去年出ていても起きたかもしれない。ことしやらなくても来年やる、再来年やる、そのときに起きたかもしれません。しかし、私はこういうことは早くわかったほうがいいと思っております。そして、このわかった事態を正確につかんで善処することが政治家としての責任である、私はそういうように考えておる次第であります。
#153
○石野委員 大臣が技術の進歩発展のために、また原子力船を有効に開発するために熱意を燃やしてやることは、私は非常にけっこうなことだと思います。しかし、かりに大臣が、漁業協同組合の諸君との話し合いの中で、大多数の方々は賛成してくれたけれども、四つの組合は反対していた、しかし、それも海上保安庁との話し合いで仲よくうまく出港できるということになっておったのにああなったのは、これは全く私のほうの責任じゃないんだ、決して私はむちゃくちゃなことはやっていないんだ、こういう立論です。問題は、安全性に対する考え方が、あなた方のような立場で考えているものと、反対する人の立場に立って考えているものとは全然違うんですよ。そうでしょう。そして、どちらが正しかったかということになれば、この四組合の諸君の考えていることがてきめんに当たっちゃったんじゃないですか。四組合の方々は、こうなってこうなるとは言わないけれども、とにかく不安だよということを提起しておったわけですよ。そして学者の中にも、そういうことを考えている人もおったわけですよ。
 率直に申しますと、大臣はやはり、われわれはそれを確信しておったけれども間違っていた、われわれの予想していないような不測なものが出たんだから、この点では一本とられたけれどもしかたがない、そのぐらいの謙虚な立場にならなければ、原子力の将来の発展のために、あなたは政治家としての仕事はできませんよ。いままでおれの言っていることは間違っていないんだ、反対したやつらがけしからぬのだというような考え方だったら、絶対にこれは解決しませんよ。
 だから私は、大臣が一つの信念に基づいてものをやることについては反対しません。それは政治家だから、みんなそれぞれのやり方がある。だけれども、事実があなた方の考えていることと違った面で出ている以上は、そのことを率直に認めなければいけない。原因がどうなっているかこうなっているかは別として、あなた方の言っていることは全く間違っていたということになる。全くと言うとまたおこられるかもしらぬけれども、全く方向が変わってしまった。だから、その点は率直に認むべきですよ。
 そうして、いまたとえば、漁民の方々の立場を私が主張したら、それは理不尽だと言うけれども、事実問題として、あそこの漁業協同組合の諸君は、二十九の組合は、確かに一時はデモンストレーションでいこうということになっておったけれども、しかし、事態の急変に彼らは結集しました。そしてあれだけの反対があったのですよ。もし台風がなければ出れなかったのじゃないですか。そういう事態があるということもまたあなたは知らなければいけないと思う。私は率直に言うと、出たからこういう事実が明確になったので、よかったと思っていますよ。これは出ないで押えられたら、こういう事実があってもまたおおい隠されて、反対する者ばかり悪く言われている。事実はやはり指摘した人の言うとおりになったのだから、率直に大臣は認めるべきである。
 ことに、あなたはいま、現地の方々に対しては、いろいろと言うだけのことは聞いてやったのだということを言っておりますね。これは、たとえば新聞の現地で会談をやったときのことばにもありますし、いまも言っておりましたけれども、有線放送をつくってやったとか、体育館をどうしたとかと言うけれども、それはそうやるということであって、まだできていない部分もあるのでしょう。あなたは有線放送はもうつくってやったと言っても、まだそこまでいっていないのじゃないですか。事実はそれと違うのでしょう。
 そしてまた、もう一つは、先ほど局長が制御棒のことについて、外国の品物をどうだこうだということについては、それは一部分か全体か知りませんけれども、菊池市長が事業団に聞き合わせたところが、それは国内製のものにしたのだという答弁をもらっているわけです。そういうものをもらっているのだから、そういうような誤解を、これはどういうふうなところでどういう行き違いがあったか知らないけれども、特に市長というような重責にある人に対する答弁に誤りを犯すような返書を書くようなこと、これは事業団のほうから出しているのだそうですけれども、事実は私は見ておりませんが、そういうことのないようにしてもらわなければいけない、こういうふうに私は思っております。
 いずれにしましても、大臣は自分たちの間違っていたということについては、率直に認めるべきですよ。そしてこれから善処すべきだ。そのことだけはひとつはっきりしておいてもらいたいと思います。
#154
○生田説明員 ただいま先生一番最後に御指摘の点でございますが、正確にもう一度申し上げさせていただきます。
 本年八月十八日付で原子力船事業団の佐々木理事長から、むつ市菊池市長あての回答でございます。それの第二項に、「制御棒駆動装置が国産化に至るまでの経緯」というのがございまして、「制御棒駆動装置の一部である圧力ハウジング溶接部に、製作過程での後処理が原因と推定される発錆があったので、安全性の見地から、その部分を取替えることにしました。この部分の製作は、既にわが国にも十分実績があったので国産技術で製作しただけで、制御棒駆動装置全部が不合格となって国産のものと取り替えたわけではありません。」このような報告が出されておりますので、私は先ほど、菊池市長が御記憶間違いではなかろうかと申し上げたわけでございます。
#155
○森山国務大臣 あなたがいろいろ先ほど来おっしゃられるわけでございますが、それはナショナルプロジェクトとして当初企図した計画があり、それが進んできたわけでございますが、どこかの時点で何かがあったのだろうと私は思います。そういう点を、今度の調査でいま究明をしようとしている段階でございますので、そういうのをただほっぽり出してやっているなら別でございますが、もう現地に人も着いて、八日からずっと仕事を進めておる現状でございますから、そういう点を確かめていろいろなことを申し上げたいと私は思っておるのです。
 だけれども、御自分でこういうことだというふうにおきめになられて、きめつけられていろいろ御意見をお述べになるので、まあ御意見をお述べになるのは自由でございましょうが、私は、やっぱり真相がはっきりしませんとなかなか申し上げにくいのでございますので、どうかそういう意味では、この真相究明に真剣に取り組んでおるのだ、そしてその真相究明の段階においてわかった事態につきまして、それぞれの措置をとっていく。これはいろいろな措置があると思います。どうかひとつそういう意味で、この事態が判明してとります措置について、またいずれかの機会にひとつ御高見を承りたい、こういうふうに思います。
#156
○石野委員 最後に、今度の放射能漏れがどういう形で、第一次、第二次遮蔽のところに問題があるのか、炉内における中性子の制御に問題があるのかわかりませんけれども、いずれにしても、これはそれに何らかの手を加える作業をしなくてはいけなくなるだろうと思うのです。この作業にあたって、特に私は、きょうは労働省からもおいでいただいておるはずですが、従来、美浜にしましてもどこにしましても、事故があるごとに作業に入った労働者に被曝事故が数多く出ておる。それでその場合は、たいてい下請業者等を使うことによって行なわれるわけです。私は、今度の場合については事も重大でありまするし、しかも炉内の問題であることは間違いないのですから、この作業に当たる労務者は、簡単に従来やっておるような下請作業なんというようなことでやらないで、いわゆる放射能管理という立場からする労務管理というものを厳密にやってもらいたいと思うのです。この点で、ひとつ労働省の考え方を聞かしていただきたいということが一つ。
 それからいま一つは、いま調査中であるから、私どもも率直に言って詰めた話はなかなかできないわけです。そこで、これは政府なりあるいは事業団にお願いしたいのですが、今度の場合、どういうふうに放射能漏れが行なわれているかという放射能漏れの分布の状態というようなものを、私たちは一日も早く知りたい。それと同時にまた、いわゆる中性子がどのようなふうに出ておるのかというようなことを、あるいはまたガンマ線がどういうふうに出て分布されているのかというようなことを、一日も早く知る必要があると思うのです。そしてそういうようなことについては一日も早く資料として、委員長、これはあとで政府から出していただきたいと思います。これらのことは、次の委員会までは時間がありますので、委員会ということじゃなしに、そして私だけじゃなくて、各委員全部必要なんだろうと思いますから、全委員に対してそういうものを出していただくようにお願いしたいと思います。
 それから第三点としては、私はこの問題を通じて安全審査の問題について、それはいろいろ理由がありましょうけれども、原子力委員会としての森山委員長それから委員長代行が、やはりもっと原子力委員会の中における安全審査の問題についての体制というものを、このことの結果いかんにかかわらず問題があると思いますので、整備するような体制づくりが必要なんじゃないだろうか、そういうように思いますから、そのことについても、ひとつ所見を聞かしておいてもらいたい。
#157
○山本説明員 美浜の例にもございましたような不祥事が発生いたしませんように、事業者をよく指導してまいりたい、こう思っております。
#158
○森山国務大臣 資料につきましては、一段落し得る段階がありますれば中間的にも出しますが、それは象のからだで、鼻のところだけさわって長いとか、あるいは横っ腹をさわって平らだとかというような部分的な情報が出てまいりまして、全体の動向をまとめるに不適当な場合もございますので、しかも、そう遠からざるうちにまとまった経過報告ができるであろうというふうに私は考えますから、原則としては、まとめてお知らせをするようにいたしたいというふうに考えております。
 原子力委員会のことについてどういうことをお考えか存じませんが、原子力委員会において今回の事態については十分経過の御説明を申し上げ、委員各位の御検討も願い、必要があれば安全審査会等につきましてもこの経過を十分御報告を申し上げ、御検討願うような措置をとりたいと思っております。
#159
○石野委員 資料のことで、大臣から、資料が何か一応まとまらなければ出しませんということですが、いわゆる中性子の分布状態だとかあるいは放射能がどういうふうになにしているかというふうなことは、まとまる、まとまらないにかかわらず実情を私たちは知りたいところでございますから、大臣の側で都合のいいようにならなければ出さないのだというようなことだったら、ちっともわけがわからなくなってしまう。こんなことはそうたいして、事実を資料としてなにするだけで、意見は加えなくたっていいんですから、事実を知らしてもらうだけだから、この資料だけはぜひ、そういう大臣の答弁がありましたけれども、私は資料を要求したいと思います。
#160
○森山国務大臣 資料を出すことによりまして、事態の正確な認識が進むならばけっこうでございますが、そうじゃない場合もございますので、それらの問題の措置は、御一任を願いたいと思います。
#161
○石野委員 私は、それは大臣の権限で言うのか知りませんけれども、あなたはむつで、科学に挑戦すると言った。反対する人たちが行ったときにそう言ったそうだが、そういうことばは科学に挑戦しますよ。それはまずいですよ。やはり資料ぐらい出して、意見は別ですよ、実情はこうだというくらいのことは、これだけの事態が出ているのに資料を出さないなんというような、そんなばかなことはないでしょう。
#162
○森山国務大臣 資料は出します。しかし、誤解を招かないような措置で出すわけでございますから、御一任を願いたいと思います。
 それから、科学に挑戦するというのを現場でだれが、テレビか何かのときにございましたが、あなたはそういうことを言ったことがあるだろうということで相づちを求められましたから、相づちを打ちました。しかし、私はそういうことをどこで言ったかいま失念をいたしておりますので、どこでそういうことをしゃべったのか、どういうことか私はちょっと、いまあなたのおことばに対して一々丁寧にお答えしなければならぬと思っているものですから、ちょっとお答えをしかねるわけでございまして、それは留保しておきます。
#163
○石野委員 委員長の善処をお願いします。
#164
○安井委員長 次に、米内山義一郎君。
#165
○米内山委員 先ほど竹中委員のお話を聞きながら、実は私は昔の奴隷船を思い出したんです。「むつ」という船は聞けば聞くほどおかしい。まだ正規の船でない。正規の船でないとすれば、非常にあぶないものを中に積んだ浮遊物です。機雷みたいなものじゃないか。それに大事な、原子炉よりも大事な人間が乗っている。しかも、いつ帰ってくるか日にちもはっきりしない。どこへ帰るかもはっきりしない。おまけに食いものまでお粗末です。テレビも見れない。出た人間の気持ちになってごらんなさい。奴隷船でもどこかへ行く港がある。帰る港がある。一体この問題をどうするつもりか。それともいま理事長が言うように、出港前の状態で帰ってきたらいいじゃないかと言う。しかし、もう嫁入りしたのです。第一子目で流産したようなのが、もとのからだには容易にならぬ。それをそのまま帰ってくる、どこにこんなのがあります。もとのとおりに安全ならば、出たときも安全なはずだ。
 何もこの原子力船には問題がないはずなのに問題が起きているのは、これは科学技術の問題以前に政治の問題があると思う。この人道問題は当然切迫してきますよ。加速度的に切迫してくる。どうします。そのためにはどういう手段が要るか、この問題を、行政の責任者としての大臣からお聞きしておきたい。
#166
○謝敷説明員 ただいま「むつ」の状態は、船舶安全法上では試験のために出航する、こういう状態でございます。ただいま先生御指摘のような、危険物を積んだ浮遊船という表現につきましては、原子炉をとめましても補助エンジンによって十ノットの速力を確保できるということでございますので、私どもは堪航性という点を十分考えて試験のために出航することを認めた、こういうことでございます。
#167
○森山国務大臣 ただいま運輸省の検査官からお話があったとおりでございます。事態をすみやかに脱却させるために最善の措置をとりたいと思います。
#168
○米内山委員 そこで、私はもっと具体的に、むつへ帰ってくるのか。いつごろ帰ってくるのか。青森県知事でさえ手のひら返したように、入れないと言い出したのです。自民党もそう言った。それを前提にして、中にいる人たちの人道上の問題を考えたときには、船を修理するなんということはおそらく不可能でしょう。その問題を考えながらこの人道上の問題をすみやかに処理するためには、どうなさるお考えかということです。
#169
○森山国務大臣 先ほど申し上げましたように、いま現地の調査を鋭意進めております。いろんな場合が考えられるわけでございます。しかし、いかなる場合があろうとも、やはりむつの市長さんと青森県の知事さんには、とにかく一言お願いをしなければならないというふうに思っております。それがまた礼儀であろうというふうに思っております。
#170
○米内山委員 これはお願いだけで済むものか、おわびを伴わなければできないものか、その点、あなた政治家だからその感覚をお尋ねしておきたい。
#171
○森山国務大臣 いまの質問はたいへんいい質問でございまして、あなたがおっしゃる気持ちはよくわかります。
#172
○米内山委員 さっきあなたは、あなたの党派の委員の方に少し文句つけていたようだが、私はあなたと党は違うから、同じ仲間じゃないと思うから、少し気にさわることを言ってもあまり腹を立てないでくださいよ。別にひやかすわけじゃない。
 この間四日の日に、私は青森県の地元代議士としてあなたに若干の申し入れをした。そのとき私は、今度の放射能を一番強く浴びたのは大臣でしょうと言ったら、あなた頭をかいていた。私はその次に、危険なのは放射能じゃなくていまの原子力行政じゃないか、こう申し上げた。いまも同じです。と申しますのは、原因はわからないとおっしゃるけれども、私から見るとこの因果関係はきわめて明らかだ。科学以前のものだ。先ほどから専門家とかそういう人たちの話を聞いていると、きわめて独断が多い。独断です。信念を強調される。まるでいたこか山伏の話を聞いているようだ。どこにも科学的な根拠がない。
 特にこっけいなのは、大臣もおっしゃるし、これは青森県知事も同じことを言っておりますよ。警報装置があるから安全だ、こう言う。こっけいですよ、この問題については。半鐘があるから火事がないということとやや同じです。ついこの間も情報が東京へ伝わった。事故の起きたことは重大だとあなたが発表したその時間に、青森県知事は、ブザーの故障もあると言う、ないとは言われないからなと、こういう話だ。火事だと人が騒いでいるときに、半鐘の故障かもしれないというのは、これはばか殿さまの言うことだ。こういう意味で独断が多過ぎるし、おかしい。
 第一番に、あなたはこの間、新聞の報道だけれども、はっきりこの「むつ」の安全性を疑う者は現代科学に対する挑戦者だ、こう言う。なかなかいいことをおっしゃる。りっぱな政治家だと思いましたよ。しかし、いまとなって考えるのは、あなたのあの考え方は科学に対する冒涜であり、住民、県民に対する挑発だ、挑戦だと思います。間違いない。その結果あなたがいま苦しんでいる。この人道問題を、こうやってこうやりますと言えないのはそのためなんだ。これはあなたの責任が大きい。あなたは政治家だから、もう責任をとることは腹にきまっているだろうと思う。顔つきを見てもそうだ。すてばち的なところを聞いてもそうだ。
 そこで、私はこのいきさつを申し上げましょう。先ほどむつの市長さんが、いまとなっては私は「むつ」のシンパだ、こう言った。これは、われわれは科学技術に対しては、シンパどころか積極的な推進者なんです。だからといって、いまの原子力船の事業団とか科学技術庁のシンパにはなり得ないのです。「むつ」の乗り組み員は大部分はむつの市民だから、市長さんは人道上の立場からそう考えるのは、これは責務なんですよ。
 そこで、あなた方の原子力船開発の一つのいきさつの中で、五、六年も前でしょうか、むつに定係港が設定されようとしたとき、われわれはこれに反対運動を起こした。そのときに科学者と称する者、有名な男ですよ。南極探検隊の隊長をやったというのが事業団の理事。そうして青森へ行って地方紙にわざわざ寄稿して、この原子力の開発に反対するのは火をおそれた野獣のごときものだと、こういうことなんです。私は実に驚いた。結局、いきさつを見ればそこからきているのです。結局独断、非常に非科学的な態度で科学の運用をしてきていることがこの結果なんです。それと口裏を合わせたように、あなたがこの間そう言うたということが新聞に出たものだから、こういう事故の起きるのは当然じゃないかと思った。問題はその辺にあるのじゃないですか。(森山国務大臣「どの辺よ」と呼ぶ)結局、ものの出発点の考え方ですよ。(森山国務大臣「わからぬな」と呼ぶ)独断ですよ。われわれ野獣でないことは明らかになったでしょう。この危険性に反対したのは証明された。あなた方が野獣になったと同じなんです。とてもこれじゃ気違いに刃物だと思うのです。正気のさたじゃないと思う。
 だから、いまの原子炉を分解して安全審査をやるという市長さんの意見は、これは技術の問題。政治の問題ならば、原子力委員会、安全審査会、科学技術庁の原子力局、事業団、これの安全審査をやりなさいよ。これの安全審査から始める。その審査を受ける前に坊主になったらどうだい。責任をとったらいいじゃないか。言いのがればかりしてますよ。あとで速記録を見て、いつか機会があったら――別に一々はことばじりをとらえるつもりはないけれども、いたこか山伏の話を聞いているようだ。信念に基づいて言っておるだけだ。責任のがれで言っておるだけだ。こういうことじゃ青森県民を説得できるものじゃない。だから、この技術の問題も重要だが、人をばかにしたように、人の気持ちをさかなでするようにするから、たった四組合が全組合になり全県になったのじゃないですか。
 あなたは、そういう意味でわれわれに対しては反面教師だ。反面教師ですよ。私は科学技術なんというのはむずかしいことだと実は考えておったのです。ところが、握りめしに硼酸まぜて放射能を防ぐというから、それならおれでもこれから勉強すれば役に立つ。おかげで青森県民は科学技術というものを、科学技術行政は原子力よりもおっかないものだということをみんな覚えた。あなた、われわれに対してはたいした恩人みたいなものだ。ぼくはここにこの問題の出発点があると思うのですよ。
 だから、高度な位置にある科学者というものは、特にこの原子力などに携わる科学者というものは考えてもらいたい。ノミの研究の科学も科学だが、原子力とか宇宙開発というものは、間違えば人類の運命にまで及ぶものです。これが独断や山伏みたいな信念でやられたのじゃ、これはまさに危険、気違いに刃物といわざるを得ない。もう少し謙虚でなければいかぬ。目的は産業のためなのか、目的は国民、人類のためなのかということを考えれば、謙虚にならざるを得ないのです。そうすれば危険も未然に防げるのです。この責任の問題を聞きたい。
 先ほど、何割が輸入技術かと言ったら、金目で二〇%弱だ、こうおっしゃるが、科学技術というものはそんなに簡単に金で割り切るわけにいかない。そこで原子力局長、あとで答えなさい。システムは、日本ないしは三菱で開発したものだ。問題はシステムの問題でしょう。それからこれは金を払ったはずだ。国民の税金を払ったはずだ。どうしますか。これは欠陥車なんだよ。インチキなんだよ。自動車だって、そういう故障があれが回収する。欠陥車として回収する。テレビを買うときでも、洗たく機を買うときでも、秋葉原へ行って、みんな見て選択して買う。これには選択の自由のない取引がある。これは欠陥車、インチキを買ったんです。この始末をどうしますか。これは会計法上の問題もあると思うのです。ああいうものを見てもわからないのが合格だというなら、見る資格がないでしょう。わからなかったということはもうたいへんなことなんです。欠陥を知っておったがと言えば、責任問題が出ます。知っておって原子炉を載せて出港したら、責任は直接的だが、それがわからなかったというのはもっとひどいでしょう。それがわからなかった、予見できなかったということはもっと重大な責任です。この点を含めて、それぞれからお答え願いたい。
#173
○生田説明員 まず第一点でございますが、「むつ」の原子炉のシステムが国産かどうかという御指摘でございますけれども、これは発電用原子炉にも使っております加圧水型の原子炉の一種でございますので、加圧水型の原子炉であるという点では、アメリカでウエスチングハウス社が開発しました原子炉の一種でございます。
 ただし、この船舶用の原子炉といたしましては、先ほども御説明申し上げましたように、純国産技術によりまして開発されたもので、先生の御指摘のことばをかりますと、国産技術によってつくられたシステムの原子炉と申し上げてよろしいかと思います。
 それから第二点でございますが、国産化率を、先ほど金額換算で八%と申し上げました。これは金額換算で計算するのはおかしいではないかという御指摘かと思いますが、計算の方式といたしましては、国産化率を計算いたします場合に、金額の比率で計算いたしますか、重量、重さで比較いたしますか、いずれかしかないわけでございますが、こういうかなり高度の性能を持ちました機械の場合は、金額で換算するのが私どもは妥当だと考えております。
 それから、たとえば欠陥車を回収するのと同じようにすべきではないか、あるいは欠陥の家庭電器製品を回収するのと同じようにすべきではないかという御指摘でございますが、これは実はちょっと違うわけでございまして、これがもしも全部検査を終了いたしまして、完全な実用段階に入りましたもので、実用段階に入りましたものが問題を起こしましたら、確かに先生の御指摘のとおりでございます。ただ、これはまだ検査の段階でございます。最終検査は終わっていない段階でございまして、先生の先ほどのたとえをおかりいたしますと、自動車でございますと試作車でございまして、テストコースをいま走っておる段階でございます。家庭電器製品でございますと、電気洗たく機を開発いたしまして、そのメーカーで試用しておるという段階でございます。このあと検査の段階を積み重ねまして、最終的に検査に合格いたしました場合には、そこで初めて、先ほど運輸省からの御説明もありましたように、実用船として使われる段階になるということで、まだ試作の段階で、つまり、いままで積み重ねてまいりました安全審査なりあるいは図面の承認なりあるいは検査なりが、そのとおりにいっているかどうかということをいまテストする段階、残念ながらそのテストの段階で問題が発生したということでございますので、それを解決することはもちろんでございますけれども、完全に検査が終わったものが、その検査をしたにもかかわらずおかしくなったということではございませんので、その点、御理解いただきたいと考えております。
#174
○安井委員長 あとどなたですか。
#175
○米内山委員 原子力委員会も……。長官、あなたを含めて安全審査をしてもらいたいとぼくは言っておる。
#176
○森山国務大臣 まとめて御返事します。
 あなたのお話は、ひょうひょうとしておもしろいのですが、とらえどころがないので、あなたの御意見として承っておきます。まあまじめな話は、原子力局長がしましたから……。いまの話の中で、いろいろ含蓄のある御表現をいただきましたから、よく伺っておきます。
#177
○米内山委員 実はこれは、あなたに対する批判であり、攻撃なんだよ。あなたはちゃんとまともに受けるのがあたりまえでしょう。私は、いまおもしろおかしく、ひやかし半分に言っておるから、あなたもふまじめに聞くが、これは大事なところなんですよ、ほんとうは科学の発展のために。
 そこで、この船をどうするかということです。ものになるかならないか、これは別問題として。私は、一九五八年だがレニングラードへ行ったとき、レーニン号というのが船台からおりて艤装中に見学したことがある。かなり古い話です。ソ連でもその後第二船をつくったという話は聞いておる。アメリカでもそうだという。これで第二船はつくる勇気も出まいし、問題の多いところだ。それよりも、まあ大体国際的に、日本の原子力開発というのは大恥をかいたことだけは事実だ。国民からものすごい不信感、技術的にも不信感、行政の上でも不信感を受けたことになる。これをぬぐうために、原子力委員会というのはどういう方針で臨みますか。さっきの御答弁を聞いていると、何もわれわれには間違いがないという一辺倒だが、技術的に間違いがあるかないか、これはぼくは専門家じゃないが、行政の上からは、私が指摘するとおり、考え方に間違いがある。こういう高度な科学者は、もう少し考え方を、むずかしいことばで言うならば、哲学というまで至らなくても、この科学の目的はだれに貢献するためにあるべきものかということぐらいは、きちんと腹におさめてもらいたいと思うが、委員長、その点の考えはどうですか。
#178
○井上説明員 先ほど石野先生の御質問にもお答えを申し上げたのでありますが、原子力委員会がこの安全審査をいたしました点について、手続的のことをたいへんしゃくし定木的に申し上げたことで御不満があるのかと存じますが、もとより、この問題が非常に重要であり、先刻も申しましたように、究極において国民の方々が御納得がいく、そして世界的に受け入れられる原子力船というものを日本の技術において開発をしなければならない。こういうことにおいては、ひとり原子力委員会のみならず、あらゆる方面の力を結集してこれをものにしていくと申しますか、欧米諸国に伍していけるだけのものに仕上げていくという責任があるものと考えております。
 ただ、安全審査の手続上の問題が、現行法は御承知のように非常に古く、もう十何年、かれこれ二十年近く前に制定をされております。その制度そのものだけでいいかどうかには、ただいまお話がありましたように、考え方と申しますか、あるいは哲学的という御表現でございましたが、政治的な考慮が要るかどうか、いろいろ考えさせられる点はございまするが、私は当面、原子力船のこの事態に対しましての当初行ないました原子力委員会の決定は間違っておらなかったのであるけれども、結果的にこうした非常に予測せざる問題を起こしたということが遺憾であり、考えたいということを申し上げたつもりでございます。
#179
○米内山委員 大臣はちょっと退席中だから、理事長にちょっと聞きますが、あなたはこの前、二十五日に、石野代議士、私、津川代議士、公明党の参議院議員の四人が面会を求めても、二時間も面会しなかった。そうしてわれわれが強引に二階に上がったら、はしご段の上でああいう話だ。今後も、入港するときもああいう姿勢でやるつもりですか。
#180
○佐々木参考人 どうも、「むつ」が出港いたしますときは非常に取り込んでおりまして、たいへん失礼を申し上げました。入港するときはもう少しそういうことのないようにいたしますから、どうぞよろしくお願いいたします。
#181
○米内山委員 国会の委員会へ来るとまるで処女のようで、あそことはまるきり違っておる。全くこれはわれわれ庶民から見ると、お粗末の一席に終わったわけだ、この「むつ」の問題は。大臣などは責任をも感ずるからこうも苦しく考えているけれども、われわれから見ればお笑いの一席、お粗末の一席だ。
 そこで、この問題は出発点から出直したらどうか。笑いだけでは済まされない問題が含まれています。まず、あなた方は責任をとることだ。そうしてわびすることですよ、国民及び青森県民にも。それから出発しなさい。そうするならば、人道上の問題も含むから、青森県民だって人間ですからね。これをここまでこじらせたのは、野獣と言われたり挑戦者だと言われるからこういうことになる。これはあなた方のまずさなんだ。そのために人道上の問題がきびしく起きているのだから、責任を感じなさいよ。男だったらこの際責任とって、みんな坊主になって安全審査を受けなさい。そうするならば、国民もわが国の科学技術の発展のためにみんなシンパになるはずだ。それをあたかも、あなた方より知識のレベルが低い者は、野獣だの挑戦者だのと言うことは間違いなんです。行政の出すべきことばでもないし、とるべき姿勢でもないし、考えるべきことでもない。なぜ人類が進歩したか。科学が発達してくる、この科学というものを、英知と倫理性でコントロールしたから人間が破滅しないのです。特に今後はそういう危険性のきわめて多い時代に入っていくんだ。求めるものは謙虚です。国民とともに科学を発展させようという思想なんだよ。それなしにはこの問題は茶番劇だ。
 そこで、今度の問題は過失なのか誤りなのか。交通事故で前方不注意で衝突するときもある。これは次に注意すれば直る程度の事故だ。アル中患者が、酒飲まなければいれないのが交通事故を起こしたのとは違うのです。私らは、この経済優先、経済を追求する科学というものは、アル中患者が自動車を運転するようなものだから、気違いに刃物だと思う。さっきちょっと、これは失言か間違いかは知らないが、三菱原子力局と言ったけれども、政府の原子力局と三菱の原子力と癒着しているのじゃないか、こういう疑いを持つ。
 だから、この金の支払い、物の検収の問題予算単価の問題はどうか。目方ではかることはできないと局長は言ったが、じゃ、こういうふうに分類してごらんなさい。この研究には、基礎的な研究、応用的な研究と開発上の研究と三段階ある。こう三つに分類したときに、この経費というものはどういう割合になりますか。
#182
○生田説明員 ただいまこまかい資料が手元にございませんので、後ほど調べて御報告申し上げますが、先生の御指摘は、研究費でございましょうか、それとも「むつ」の建造費でございましょうか。
#183
○米内山委員 建造費全体について何ぼだか……。
#184
○生田説明員 建造費全体の中で、ただいま御指摘の三分類の資料でございますか。調べまして御報告申し上げます。
#185
○米内山委員 大臣、大臣から答えてもらいたいのは、これは前方不注意の過失なのか、アル中患者が飲まないでいれないで運転したような誤りなのか、あやまちか誤りかどっちかです。過失ですか。
#186
○森山国務大臣 再三再四いままで申し上げましたとおり、現在事態の真相を調査中であります。一体、安全審査の段階に問題があったのか。安全審査会長は、そういう点についてはわれわれのほうには落ち度はなかったというお話でございますが、その後の、たとえば図面の承認などしておるようでございますから、そういう段階とか、あとの建造の段階とかでこういう問題が起きたのか、また、その間原子力研究所をはじめとしてそのための実験とか研究とかを、先ほど来言われましたように相当やっております。そういう過程において、どの辺で何があったのかということを調べてみませんと、あなたがおっしゃるように、ふわっと、いまおまえの代で起きたんだからおまえの責任だ、こうおっしゃられるようなもので、それは私も、あなたのおっしゃるとおりかもしらぬが、しかし、いま私の段階で、それじゃこれが腹を切ればいいんだろうということでは済まないような問題なんですよ。
 これは、やはり日本の国の一つの大きな仕事の途中でふぐあいがあったわけでございますから、その真相を明らかにして、きちんとした処理をしなければならないわけでございます。それを私が尽くす責任があるというふうに考えておるのでございまして、まああなたもこの点はほんとうは御心配でございましょうが、席がかたくなるから、少しふわっとしたお話をしておられるものだと私は善意に解釈いたしますが、どうかひとつ、野党の立場におかれましても、それはいろいろお考えもあって反対のほうに初めから御賛成かもしれません。しかし、やはりこれは始末をつけなければなりませんから、そのためにいま実情調査を鋭意進めておるわけでございます。
 それは、何もやっていないというのなら、何をやっているんだと言っておこられてもやむを得ませんが、両省の相談会もやっておりますし、専門のグループの組織もできておりますし、現地に人が行って八日から鋭意やっております。そうすると、どこに問題があったかということが明らかになると私は思っておるわけでございますから、その結論を見ないうちにああだこうだ、ああだこうだ言っても……。ここにたくさんの方がこれだけおいでになっても、ほんとうに何が起きているんだ、何が原因なんだ、それから対策の問題ということになりましても、やはり現地へ行ってみないとなかなかわからないんじゃないでしょうか。そして、ある段階だけではいかぬので、四日なり五日なりかけて一つの調査としての一単位の中の結論というものをまとめ、また、七人の方が行っておりますが、会社関係の人もおいでになりますし、原研の遮蔽の責任者も行っておりますけれども、やはりできるならば第三者的な方々がこれをチェック・アンド・レビューいたしまして、ここに問題ありというのをできるだけ早く出して、そして対策を講じていかないと、どうでございましょうね。何が出てくるかわからないのを、おれはこう思う、それでおれの考えはどうだ、こう言われましても、ちょっとこの段階では御返事に窮するということでございますので、どうかひとつ、誠心誠意この問題の解決のために取り組んでいるという科学技術庁の姿勢というものについて御理解願いたい。科学技術庁と申しますよりは、むしろ政府の姿勢に御理解を願いたいと思う次第でございます。
#187
○米内山委員 時間も過ぎましたが、最後に一問。
 私は青森県をすべて代表するのじゃないですが、どうせおじぎして入れてもらわなければならぬのでしょう。入らないつもりなら別ですよ。そういう気持ちがいささかでもあるなら、いまの青森県民のこじれた、というよりも、あなた方がこじらかしたあのむずかしい心理状態に対して、何か一言ことばはないですか。あれば、この国会を通したことだから新聞でも報道されるし、私らも今晩帰って、人道上、いろいろ役に立つことがあれば役に立ちたい。
#188
○森山国務大臣 まことに好意あふれる御発言をいただき、ありがとうございます。
 いずれにいたしましても、今回の事態というものはまことに遺憾しごくでございます。すっといけばいいことでございますが、こういうふうにごちゃごちゃして、各方面の方々にたいへん御心配をおかけしているということは、私は当初の段階から、国民の皆さまに御心配、御迷惑をかけて申しわけない、こういうふうに考えております。
 しかし、申しわけないだけで相済まないんでありまして、この真相を究明して手を打っていかなければならないわけでございます。気がまえはそういうことでございますが、これは青森県民だけじゃございません。もう一億国民に対して、私どもは今回の事態というものは、まことに残念しごくなことであったと思っております。一日も早く真相を究明いたしまして、適切なる対策をとりたいと思います。その節はどうか格別の御指示、御声援をお願いいたします。
#189
○米内山委員 わかりました。
#190
○安井委員長 次に、津川武一君。
#191
○津川委員 大臣が遺憾であった、青森県民に済まないと言っているから、それは了承して進めていきます。
 私たちの立場ですが、原子力という大きなエネルギー、これは石油や電力などとともに国で管理して平和利用、安全に、国民が犠牲にならないように、国民のしあわせになるように利用しなければならない、このように考えていることが一つ。そしてこの原子力の利用は、どこまでも自主的で、民主的で、公開されなければならない、この立場に立っております。
 しかし、原子力船開発事業団法が昭和三十八年に国会に提案されたときは、この三つの原則は守られそうもない、そういう状態で審議されておりましたので、私たちは、他の四党は賛成いたしましたけれども、これに反対したわけでございます。昭和四十六年に期限切れで延長になったときも、他の四党はこの延長に賛成しましたが、私たちは、延長に賛成しかねて今日に至っているわけであります。したがって、私たちはどこまでも自主的、民主的、公開という形で原子力エネルギーを利用していきたい、これが私たちの立場。
 もう一つは、最近の漁場の汚染の中で、陸奥湾は全国でよごれていないまれに見る宝の海であります。したがって、これをよごしてはならない。この立場と、あそこでせっかく育ったホタテ貝の漁業を、守り育てていかなければならないという立場でございます。この立場から若干質問してみます。
  一番最初に政府に言いたいことは、私、医者ですが、普通薬を開発するときに、五つの病院、研究所でやってみて問題がなければ、それを薬とし
 て国民に届けて使ってよろしい。これは何人かの追試を必要としているわけです。国民的な納得を
 必要としているわけです。原子力船を五カ所でやるわけにはまいりません、お金がかかって。こんな大きな六十億なんというものは。そこに問題があるわけです。あとで、ほんとうに安全審査がだいじょうぶだったかを追試しようと思っても、そういうドックもない、製造所もない。たいへんなことなんです。こういう大きな事業は、したがって、反対の人の意見も、第三者の意見も、国民の意見も集中していかなければならない。ここに原子力行政の基本問題があるわけであります。
  〔委員長退席、石野委員長代理着席〕
自分のやったことだけが正しいんだということで押し切っても、それでは国民を納得せしめるものがない。そこで、いままでの過程がどうであったか、現状をどう処理するかについて、大臣は自分の考えだけでなく、広く国民の意見を取り入れていくということが基本なので、そういう立場から、私は若干質問を進めていきます。
 一つは、いま「むつ」が太平洋上を漂流しつつ出力試験しているこの事件でございます。佐々木事業団理事長、定係港をつくりましたね。何のためにつくったのか、原子力船をつくるときに出力試験をどこでやるつもりであったのか、この点を明らかにしていただきます。
#192
○佐々木参考人 むつの定係港でいろいろな開発をやりたい、こういうことで母港にお願いしたわけでございます。
#193
○津川委員 そのとおりでしょうね。それは海が静かでもあるし、あそこには定係港があって、陸上にもいろいろなものがあるから、いろいろなことが起きてもやりやすい、こういう意味でございますか。
#194
○佐々木参考人 そのとおりでございます。
#195
○津川委員 それが、なぜあそこでやらないで、外に出ていってやらなければならなくなったのでございますか。
#196
○佐々木参考人 青森県知事にあっせんをお願いいたしましたときに、外洋でやれば解決ができる、こういうお話でそういうことになったわけでございます。
#197
○津川委員 そこで、これは実験が一番やりやすい条件をつくってやるのがほんとう。二つ目には、何らか事故が起きたときに、すぐ事故の究明ができる体制があるということ。三つ目には、事故が起きたとき、その事故をすぐ片づけ得る体制があること。こういうことが、私たちも実験をやってみましたけれども、実験の基本だと思うわけですが、今度尻屋崎沖八百キロのところでおやりになっていますね。事故が起きて放射線が出た。すぐこの原因を究明する人員、その知見を持っておる人、その必要な器材器具を持っていかないで、あれだけでおやりになったのはなぜでございます。
#198
○佐々木参考人 とにかく八百キロの海上の沖におるのですから、そのほうの専門家に来ていただいて、できるだけの器材と器具を持っていったような次第でございます。
#199
○津川委員 それで、だめだったので、九月七日ですか、どのくらいの人員とどのくらいの器材を運びました。
#200
○佐々木参考人 人員は七名でございまして、そして器材は約一トン半ぐらいでございます。
#201
○津川委員 理事長、そのとおりでしょう。事故を明らかにするためにも、事故を一おさめるためにも、新たに七人の人員、新たに一トン半持っていかなければならない。そういうさみしい状況で、六十何億かかった船の実験をおやりになることが科学的ですか。いかがです。
#202
○佐々木参考人 いま御指摘になりましたような次第でございますので、私どもとしては、できるだけ岸壁で出力試験をしたいことをお願いしたのですけれども、まあ青森県知事のごあっせんで、この際は少々の不便、いろんなことがあっても、太平洋上でやったほうが漁民に対するなににいいから、そういうふうにしろというような御説明がございましたので、そういうぐあいにやむなくやったような次第でございます。
#203
○津川委員 理事長、波の静かな、上がれば岸にすぐいろいろなものがあるところ、人員もあるところ、人も心配しないところ、それが母港でしょう。そこでやりたかったのでしょう。その母港を足げにしたのはどなただと思います。船にすると港、母港ですね。人間にするとおうちですね。自動車にすると車庫ですね。こういう大事なものがあの定係港なんです。この定係港というものを出ていくな、出ていくな、出ていくなとあれだけの人が皆さんに要求した。それを足げにして出ていった。米内山さんはくれてやった嫁だと言っているが、私は、みんなで出ていくな、出ていくなと引きとめた者が家出してしまった、家出人ですよ。たこでいうならば、糸が切れたたこなんだ、あれは。人間についていえば、家を失った流浪の民になっちゃっている。これがあなたたちですよ。あなたたちは一部漁民が反対したと言ったけれども、これはまっかなうそです。あなたは国会で何といったか。賛成派もある、われわれは漁民に依存していると言った。あなたたちが依存したのは、あの漁協の経営協議会の人たちで、国の法律できめているのは漁業協同組合、その連合会、これがわれわれが、政府が行政で相手にする人。それは抜きにして、そして知事の言うこと、あなたたちの言うことをききそうな人のところで相談した。これがあなたたち。だから八月十五日、あの人たちがきめたのはひっくり返された。賛成されなかったでしょう。二十日の日もそうです。
 こういう大事な定係港、母港をこっぱみじんに足げにして出ていったあなたたち、この責任はどうでございます。どう考えます。
#204
○佐々木参考人 私どもは、ああいうような状態で出港したくありませんので、もうあらゆる手段、あらゆる方法を講じて、漁民の方々それからむつ市民の方々に御了解を得るように努力したつもりでございます。その結果あの日に出港をせなければならなくなったものですから、ああいうような状態になりましたけれども、そのことは非常に残念に思っております。
#205
○津川委員 あなたは、先ほど問題になった、あとでもぼくは原子力船の話を問題にするけれども、安全だの一点ばりだった。森山長官が、新聞の報ずるところによると、科学への挑戦者と言ったが、実験の基本的な条件を踏みにじったあなたたちこそ、まさに科学への挑戦だとぼくは思う。そこはそれでいい。
 そこで、今度帰りたいと言っている。漁民は今度は全部反対ですね。あなたも見ているでしょう。労働組合が反対でしょう。農協の婦人部も反対でしょう。今度竹内知事までも反対でしょう。知事は安全がはっきりしない限り入れないと言っている。自民党の県連、安全がはっきりしてももう入れないと言っている。こういうことになっているわけです。
 したがって、あなたたちとしては、大事な大事な母港をみずからの手で放棄してしまった。もう入れません。母港でありませんよ、これは。こういう立場からいって、母港というものを取り戻すためにどんなことをしなければならないか、どんなことをなさるつもりか、この点を明らかにしていただきたい。
#206
○佐々木参考人 そういうことにつきましては、われわれは非常に苦心をいたしました。どうすれば船が帰ってこられるか、どうすれば皆さんの御了承を得られるであろうかというようなことにつきまして非常に苦心をしまして、考えて、そういうことの方面に一々手を打っていきたい、かように考えております。
#207
○津川委員 どんな手を打つかは、後刻質問の段階であなたにまた提言をして、もう一回質問をしていきます。
 繰り返しますけれども、もうあそこの漁民全部が、農協の婦人部が、労働組合が、民主団体が、知事が、もちろんむつの市民、菊池市長、そうして自民党まで反対しているので、これはもう母港でないと考えて、別な考え方をしなければならないと思います。その考え方については、あとでまた申し上げます。
 そこで、第二の問題は安全の問題でございます。もう一回繰り返しますが、あの大きな八千二百十四トン、六十何億円、原子炉が入っているもの、めんどうな構造の入っているもので、これは一回しかやれない。したがって追試するわけにいかない。同じ条件で繰り返すわけにいかない。したがって、安全にはかなり慎重でなければならないし、批判する人の意見を聞かなければならないし、こいう立場で安全というものは考えなければならない。
 そこで、内田参考人にお伺いしますが、安全審査会の会長としてあの書類検査は、どんな検査をされたか、簡単に概略だけお示し願いたいと思うのです。
#208
○内田参考人 お答えいたします。原子炉安全専門審査会における安全審査の書類は、申請書の本文とその添付書類が主でございまして、必要があった場合に、その参考書類の提出を求めることがございます。主たるものは申請書本文でございます。
#209
○津川委員 よくわかりました。
 そこで、今度の原子力船「むつ」の設計、その設計に基づいてどんな船や炉をつくる施工をしたか、その施工をだれがどんなに監督したか、こういう工程については皆さんには責任がないわけですね。この点をひとつ明らかにしていただきたい。
#210
○内田参考人 原子力船「むつ」に関しましての設計並びに工事方法の認可に必要な事項についてい私たち存じておりません。
#211
○津川委員 そこで、重ねて内田参考人にお伺いしますが、皆さんが審査されて報告されたとおりおやりになっていれば、この事件はなかった、こんなふうに考えてよろしゅうございますか。
#212
○内田参考人 安全審査で妥当性を検討しました基本計画の基本方針に沿って設計され工事が行なわれました場合でも、さらに使用前検査がございます。ただいまのいわゆる放射線が漏れたという事件といいますのは、この使用前検査に相当する状態だと思っております。使用前検査で設計並びに工事が基本計画に合っているかどうかの検査をいたしまして、さらに運転なりあるいはその後の定期検査等、一連のプロセスに沿っての安全確認が必要だろうと思います。
#213
○津川委員 内田参考人にまた伺いますが、使用前の検査というのですか、おやりになること、これは皆さんに責任があることなんですか。
#214
○内田参考人 これは行政府だろうと思います。
#215
○津川委員 そこで、安全審査会の中には、今度の事件に責任はないと考えてよろしゅうございますか。
#216
○内田参考人 先ほど申し上げましたように、現在出力を上げておる段階で、設計の基本よりも予想以上に大きな放射線が出たという使用前検査の段階でございますので、安全審査の基本をきめました、格納容器の外側のハッチの前面におきます放射線量率をここまでに押えるという基本計画と直接関係することではなくて、その設計なり工事施行の結果が、基本計画と必ずしも一致しなかったということだろうと思います。
#217
○津川委員 そこで、内田さんと科学技術庁にお尋ねしますが、私、「原子力第一船の安全性について」という原子炉安全専門審査会の報告書をいま見せていただいております。その六ページに、「本原子炉には、原子炉容器の周辺を囲む鋼板、水、コンクリートによる一次遮蔽があり原子炉室周辺はコンクリート等による。また、格納容器上部は鉛とポリエチレンによる二次遮蔽が設けられる。」こういうふうに指摘しております。ところが、今度実際に事故が起きてみますと、このポリエチレンがつけられてなかったわけです。このことは、安全審査委員としてどんなにお考えになります。
#218
○内田参考人 先ほど来申し上げておりますように、遮蔽に関しましては一次遮蔽と二次遮蔽との総合効果が、外に対しての線量率がこれだけに守れるという基本的な方法でありますので、ポリエチレンと鉛の板をどのような厚さでどのように配置するかということは、詳細設計におきます段階でございまして、詳細設計におきまして、もしポリエチレンが上部になくても、線量率をこれだけに保てるという設計の見通しがあれば、その段階で、ポリエチレンが必ずしも必要ではないかと思われます。
#219
○津川委員 そうすると、皆さんが、この設計でポリエチレンが設けられるということは、形式的な検査になるわけですか、実質上の検査になるわけですか。私たちは、皆さんがやったことは、設計、施工、実物になければならないと思うのですが、この私のしろうとの質問に、どういうふうに説明してくださいます。
#220
○内田参考人 審査会の報告書に書いてございます、いま先生がお読みになったのは、原則的に必要だろうと思っております。ただ、それを守らなくても、詳細設計なり工事施行で十分目的が達せられる場合には、また別の認可がされれば、差しつかえないだろうと思われます。
#221
○津川委員 これは科学技術庁でもよろしいし開発事業団でもよろしいが、こういう安全審査会の報告に対して、実際なぜあのものにはポリエチレンがついてないのでございます。
#222
○生田説明員 その点につきましては、午前中竹中先生の御質問にもお答えしたとおりでございますが、この格納容器の上部でございますけれども、全部にポリエチレンがないわけではございませんで、上部のまわりの部分には鉛とポリエチレンで被覆されております。まん中の部分がポリエチレンがございませんで、鉛だけでございます。この点は、竹中先生御指摘のあったところでございます。
 したがいまして、ただいま内田先生からの御説明もございましたように、安全審査の段階は基本設計でございますので、鉛とポリエチレンを遮蔽材として使用するということが一般的にいわれているだけでございまして、どの部分にどういう形の鉛あるいはポリエチレンを使うかというのは、安全審査よりもあとの段階の問題であろうか、かように考えております。
#223
○津川委員 そうすると、この安全審査会の報告、ポリエチレンをつけなきゃならない。どこにつけなきゃならない、容器上部。それを皆さんがかってに一番上の炉頂、頂部につけないで、まわりにつけるというかってなことが許されるわけでありますか。何のために安全審査会があるのですか。この点は、安全審査会に対する皆さんの考え方です。安全が非常に問題になるので、そこのところが重ねてあっても私はやらなければならぬと思うのですが、省いた理由、これを具体的に説明していただきたい。いま説明できないとすれば、後刻またわれわれに書類として提供してもよろしいし、この点は非常に重大になってきたわけであります。
#224
○生田説明員 安全審査につきましては、先ほど内田先生からのお話で尽きていると思いますが、設計につきましての基本的な考え方、それからその設計に基づきまして出てまいります条件と申しますか、現象と申しますか、それについてきめるわけでございます。
 今回の場合は、ただいま御説明申し上げましたように、一般的に鉛とポリエチレンを遮蔽材として使うということのほかに、基本設計として認め得る条件を規定しているわけでございまして、先ほどの内田先生の御説明のとおり、その条件が満足されるのであれば、具体的にどういう形の、あるいはどういう方式で鉛とポリエチレンを組み合わせるかというのは、安全審査の問題ではございませんで、詳細設計あるいは工事、製作、その段階の問題であろうかと思います。安全審査はそこまでのアローアンスを持っているものだと解釈しております。
#225
○津川委員 今度の事件、非常に国民が注目している。問題の解明の一つはそこにあるわけで、なぜ端っこにだけポリエチレンをつけて、一番上のほうにつけなかったか、これが具体的な科学的な理由で説明していただかないと国民が納得しない。いままで安全だというふうに一般的なことばでやってきた。いま原子力局長もそういうことばである。具体的にここを省いた理由が何であるかということを、科学的根拠を明らかにしなければ国民が納得しない。これを明らかにしてください。
#226
○生田説明員 先ほど来御説明申し上げておりますように、現在原因の究明中でございますので、正確なところは、この原因の究明の結果を待ちませんと御説明できないわけでございますが、一応常識として考えられますのは、この格納容器の上部のまん中の部分にポリエチレンの遮蔽材を用いなくても、安全審査で要求されました条件は十分満たされるという詳細設計以後の段階でございますが、設計あるいは工事上のそういう計算あるいは結論があったものだと考えております。
 しからば、なぜそれにもかかわらずそこから放射線が漏れたかというところが問題でございますので、先ほど石野先生の御質問のときにもお答えいたしましたように、それが単なる遮蔽の問題であるのか、あるいは中性子の量の問題であるのか、その辺をただいま検討している段階でございます。
#227
○津川委員 局長、これから検討するでは事が済まされない。現に安全審査会はポリエチレンを使えと言っている。あなたたちはそいつを使わなかった。それなりの理由がなければならない。常識でなどということではだれも納得しません。ここには科学的根拠がなければならぬ。やりなさいと言うものをわざわざやらなくてもいいと言う。やらなくてもいいと言うものをつけたのならこれは話はわかるよ。やれと言ったものを省いた設計上の、皆さんの科学的根拠がなければ、この点は何としても納得しません。この点、あなたと繰り返しているといけませんから、かなり科学的な証明書を私たち委員会のほうに出していただきたい。
 そこで、このポリエチレンは、開発事業団が見学者に配っているリーフレットには、ついていると書いてあるのですね。しかしないんだね、いまわかったとおり。見ると、全部上の炉頂部のところの頂部にもついていると書いてある。理事長、これはどうしてです。
#228
○佐々木参考人 それは科学的でなしに、一般の人に常識的にわかりやすいように書いたものですから、そういうことになっているのだろうと思います。
#229
○津川委員 一般の人にわかりやすくするのであれば、一番科学的なことが一番わかりやすい。うそをついたり、ごまかしたりすると一番わかりづらい。この点はどうしてこういうことになったのですか。
#230
○佐々木参考人 それは先ほどもお答え申したのですが、事業団の多少手落ちでございまして、今後はそういうことのないようにいたしたいと思っておりますが、趣旨は、故意にそういうことをしたのじゃございませんで、一般にわかりやすいようにという考えで、係の者がそういうようにやったわけでございます。今後は、もう少し注意をしまして正確なものを刷るようにいたしたい、かように考えております。
#231
○津川委員 佐々木さん、科学というのはその間違いがどこにあらわれるかというと、一番簡単なところにあらわれるのです。分析化学研究所のときにデータあったでしょう。不破書記局長と私がやったでしょう。三足す二を六と間違えている。これは五ですよ。こういうあやまちが出るところには、その奥に一番大きなあやまちがあるのです。あなたたちは単純なミスだと言っているけれども、このないものをあったと言ったところに、今度の放射線が漏れた根本原因があるのです。科学に対する態度、あのバックグラウンドのことでぼくらに指摘されたでしょう。また同じことをやっているのですよ。
 だから、あなたはこれはあやまらなければならぬ。単純なるミスではなくてこの点は非常に重大なんです。こういう重大な認識を持たれますか。
  〔石野委員長代理退席、委員長着席〕
#232
○内古閑参考人 いまの問題は少し古くからありますので、私から……
#233
○津川委員 経過でなく、こういうことを生んだあなたたちの態度です。経過は聞かなくてもいい。
#234
○内古閑参考人 これは、原子炉設置申請書の参考資料として提出している図面におきましては、実物と同じく、格納容器頂部はポリエチレン遮蔽を施工していないことになっておったのでございますが、一般にわかりやすい書類といたしましては、「むつ」がまだ「むつ」という名前の前から、実はパンフレットに絵がついておったのでございます。その絵には、ポリエチレンが全部かぶさっておるようなことになっておったわけでございます。それをそのまま踏襲いたしましたところに、いまの偽りだというようなお話があるわけでございますが、これは私どものまことに手違いでございまして、おわび申さなければいけないと思っております。
#235
○津川委員 手違いでなくて、理事長、専務、ほんとうに真剣でなければならない。われわれしろうとは技術の最高のところはわからない。ところが、あなたたちがどんな態度でやっているかは、われわれしろうと目にも明らかに出てくる。これはこの間のバックグラウンド、分析化学研究所と同じことを繰り返しておる。したがって、このままでいくとまた別な事故が出てくるという心配を私たち持つから、強く指摘しているわけです。
 そこで、みんなが言うことは聞かなければならない。こういう点で大事なのは、ボルトが蒸気発生器の中に落ちていたでしょう。これを何と説明したか、これに対して菊池参考人にお伺いします。あそこからボルトが出たとき、参考人はどう考えて、事業団もしくは政府にどのような要求をなされたか、これを教えていただきたいのです。
#236
○菊池参考人 ボルトの事件につきましては、七月末だったと思いますが、当時アルバイトとして作業に加わっていた者がたまたまその事件に遭遇いたしまして、蒸気発生器のパッキングの取りかえをするためにあけたときに、興味本位からどうなっているのだろうということでのぞいた結果ボルトが落ちておった。そしてそのボルトを持ち上げて、そのときそこに居合わした人々の話は、このボルトはこの中に使われておるボルトとはどうも違う、そういうことであったというふうに聞きまして、本人にも会って聞きました。
 事業団にそのことについて問い合わせましたところ、ボルトが落ちておってそれを締め直した、同時にほかの部分も締め直しましたから問題がありません、こういうお話であったわけでございますが、私たちとしましては、単にそれだけでもう終わったというふうには考えませんでした。もしもかりにこのボルトが落ちておったとするならば、どういう原因で落ちたのか、落ちたままで炉を運転した場合、蒸気発生器内にどのような影響を及ぼしていたであろうかという詰めをこの機会にする必要があるであろうということから、文書をもって回答を求めておりましたが、たいしたことではないという口頭の説明だけで、最近もまだ調査中という返事が来ているようでございます。
 私は、先ほど石野先生の御質問にも申し上げましたように、こういうような事態、こういうような管理、こういうような検査、こういうような工事をしているということは、安全の基本的なものにもかかわる。その解析をこの出港前に明らかにすべきであろうと思います。
 また、これらと関連した事態がほかにもないか。事業団の発表以外にも、実はアルバイトに行った方々が指摘している部分がございます。しかし、事業団はそのことはない、実はこう言っておりますが、このことにつきましても、実際に点検する場合にそのことが事前にわかっていたのか。また、この点検修理が行なわれた後にどういう報告がなされているのか。私は、おそらく報告がないとするならば隠しておっただろう。事業団が隠しておるのか、知らないのか、どっちにしても事は重大だ、そういうものを全部この出港前に洗い直すべきだという意見を私は申し上げ、県も大体その方向であったようですが、県に対しても満足な回答がない。そういう中で出港が行なわれたことはきわめて残念ではありますし、また、今日のような要因がその中に含まれていた、そう考えざるを得ないことで、いま、そういう管理上の問題について非常に残念に思っております。
#237
○津川委員 菊池市長は県民を代表して県会議員、むつの市長をされておられた方で、こういう具体的な安全に対する疑念を提示しているわけですから、この菊池さんの言うこと、また皆さんから質問を受けて、事業団がどうなされましたか。私は、それを全部たんねんに納得いくように回答すると同時に、総点検をやるべきだと思うのですが、この点はいかがでございますか。
#238
○内古閑参考人 本件につきましては、知事さんのほうへ御回答を申し上げているのが八月二十一日付で出ております。その回答はこういうことになっています。「七月二十四日蒸気発生器二次側の水質管理の状態を点検した際、内部構造物の取付ボルト一本が脱落していることを発見しました。原因を調査しましたが組立工事の際当該ボルトの締め方に注意を欠いたためと考えられます。なお他の部分については良好な状態であります。また仮に脱落に気づかず運転した場合でも蒸気発生器の機能に影響を及ぼすものでありません。」こういう返事を出しております。
#239
○津川委員 八月二十一日はどんな日だと思っています、専務理事。菊池さんになぜお答えにならない。知事になぜやって、菊池さんになぜ直接おやりにならない。そのときは皆さんは、二者協定であなたたちは菊池さんを抜きにしてやっている。抜きにされたからよけい菊池さんが心配なんだ。知事にやって、なぜ菊池市長にやらない。菊池さんにこそ答えなきゃならない。
#240
○内古閑参考人 ただいまコピーは持っておりませんが、同じものが菊池市長にも出してあります。
#241
○津川委員 それはあとでまた菊池さんからお伺いしようとしている。次にまた菊池さんに答えていただく場面がありますので。
 そこで、これは一つのボルトがゆるんでいると全部ゆるんでおる、こう考えたほうがよろしい。ここにこそ安全の問題があるわけです。こういう点でやらないと間違いをおかす。
 その次には、アメリカのサバンナ号の問題です。これは「むつ」の原子炉と同型の加圧水型原子力発電炉ですが、一九六七年安全審査が通過してから、それで一九六七年十一月二十三日ニューヨークを出て、間もなく原子炉の緊急冷却装置が問題が起きて、弁があかなくなってとまっちゃったでしょう。これが今度の原子力船「むつ」と同じ事故なんです。この事故を皆さんがどう参考にされたか。
 その前に、この事故に対して菊池市長はどんなに感じられて、このことで何らか政府、事業団もしくは県に処置されたかどうか。お願いいたします。
#242
○菊池参考人 サバンナの件についてはあまり詳しい報告は受けていません。ただ、サバンナでもいろいろ問題が起きているじゃないかということは申したことがありますが、そういうことは聞いて、具体的には説明がございません。
 それから、先ほどのボルトに関係する回答書ですが、私たちはああいう知事に答弁したようなものを求めておらなかったわけです。ただ、あのように簡単に、落ちていても影響がなかったと思いますということでは困ります。はっきりとした具体的な説明をしてほしい、そうして私たちはその説明によって私たちのできる範囲で判断をする、そういうデータを添えてほしい、私たちがかりにみずから能力がなくとも、判断すべき方法がいろいろあるのであるから、具体的な検討の結果を示してほしいということを申しておりましたので、私たちには、先ほどの知事のような説明がかりにあったとしても、納得し得ないものでございます。
#243
○津川委員 繰り返しますけれども、原子炉は一つだけの原子力船です。ほかでつくって同じことをやれない。だから、この問題に対して徹底的に意見が出なければならないし、出た意見は尊重しなければならない。これに答えなければ出港してはいけない。これが、あの大きなお金のかかった建造物の安全の審査の原則なんです。
 そこで、関西電力の福井県の美浜の原子力発電所の美浜第一号炉が四十五年十一月から営業運転した。ところが、蒸気発生器の細管にたくさんの穴が出てきた、減肉も始まった、こういう事故が起きてきた。これは原子力船の「むつ」と同じ型の、同じ構造の原子炉です。これに対して今度の事件が起きたので、森山長官がその使用停止命令をしておる。六日です。これも非常に今度の原子力船の安全を危ぶまれる重要な一つの例証ですが、これに対して菊池参考人にもう一度お伺いしますが、これをどう考えて、政府や県や事業団にどのようなことをされたか。
#244
○菊池参考人 これは私たちよりも、むしろ反対同盟のほうから、あるいは守る会のほうから詳細な質問書が出ておりますが、それに対する、私たちから見ますと、まじめな回答が得られておりません。
#245
○津川委員 森山長官、井上原子力委員、佐々木事業団理事長、安全審査に対してこんな状況なんです。これは国民が疑惑を持つのがあまりにも当然なんです。これに対してあなたたちは何をやってきたかということです。これは先ほどの本だ。「原子力船の話」佐々木周一著、読んでみます。「私があえて、自信をもってそういうことをいうのは、「むつ」は放射能をおびたものを全然外へ出さない装置になっているからなんです。現にこの間も青森県の社会党の代議士が−この人はもともと反対の人だったんですが、「むつ」に来て、あそこに原子力館がありますが、そこで原子力船の仕組みをごらんになって、なるほどこれなら放射能は全然外へ出ない、自分は認識をかえた、といってお帰り下さったそうです。」と書いてある。あなたはこのところで、かなり絶対だいじょうぶだと言ってきている。社会党の人のまた聞きまで利用して原子力船はだいじょうぶだ、放射能も出ない、放射線も出ない、絶対だいじょうぶだと言ってきている。これが一つ。
 森山長官、ここに記事がありますよ。河北新聞の六月の十二日、田中さんにあなたがはっぱをかけられてむつの現地を訪れた、あのときです。「むつ市を訪れた森山長官は「原子力船むつは放射能を全く出さず安全性に心配ない」「これだけの船と施設がありながら、安全性を疑うのは世界の科学に対して挑戦するようなもの」」。その次、八月の二十五日、あの中に堂々と門から入らないでヘリコプターでどっかに降りて、皆さんの目につかないところから入ってあの出港式に出て、「一部の人の反対は遺憾にたえない」とか、「こんな抵抗は慣れており」出港に対する「“祝辞”の一つだと思っている。」これがあなたの発言です。いろいろなことがあるけれどもこういうことが出ている。
 もう一つは、あの南極の越冬隊長の西堀栄三郎さん、これは原子力開発事業団の元理事、この方が「むつ」の定係港をきめるときに、あそこに出てきて五十何回集会を開いて、むつの市民と漁民に何と言ったかと思うと、「原子力をおそれる者は火をおそれる野獣のようなもの」これが西堀理事、こういう形で皆さんが発言してきたわけです。
 この現実にたくさんの安全性に対する疑惑が出ているときに、皆さんがこういう発言をして、現に今度の事故ができた。この点で、長官と事業団の理事長がどう思っておるのか、間違っておったと思っておるのか、依然としていまでも正しいと思っておるのか、この点を明らかにしていただきます。
#246
○森山国務大臣 どうもあなたの御発言を聞いていると、たいへんものやわらかではありますが、ねちねちとあまり善意の御発言ではありませんね。(津川委員「ねちねちとは何です、長官」と呼ぶ)たとえば私が現地に行くのに、ヘリコプターか何かに乗って正門から入ってこないということをあなたおっしゃいましたね。けしからぬじゃないですか、あなた。(津川委員「入ってきていませんよ、どこから入ったのですか」と呼ぶ)私はわざと遠回りしたんじゃありませんよ。できるだけ早く現地に行くために、できれば東京から飛行機で八戸へ行って、それから八戸からヘリコプターで大湊へ行って、大湊から一番早いのが船ですから、船で二十分ですから、そういう予定で行ったわけです。ところが飛行機が飛びませんで、それで八戸に行きまして、八戸もやはり飛行機が飛ばないために自動車で行ったわけです。それで、現地に行きますのに全部予定どおりやるから、大湊から船に乗ってくれと、こういうことでありまして、何も正門を避けて行ったわけではいささかもありませんよ。(津川委員「なぜ正門から入らないのですか」と呼ぶ)何かごたごたをおそれて遠回りしたような御発言をあなたはしますけれども、そんなことはありません。どうかひとつそういう曲がったお考えをしないでいただきたい。堂々と最初の予定どおり行ったんでございますから。ただ、飛行機が飛ばなかったためにそうなったということをあなたにお考え願いたいと思います。何かごたごたするから、大臣が横へ曲がって行ったなんということは全くありませんから、どうかひとつその点を間違いなく御理解願います。
 それから、美浜一号炉の蒸気発生器の問題につきましても、何か今回の事件があるからこういうことをやったようにお話しのようでございますけれども、決してそういうわけではございません。昭和四十七年の六月十三日に問題が起きましてあとで調べてみるとこまかい穴が一カ所ある。そういうことで、これはいかぬというので総点検みたいなのを四十七年六月十五日から四十七年十二月九日までやったわけであります。そしてその後四十八年三月の十五日から四十八年八月十九日の定期検査のときに調べましたところ、さらに減肉が発見されたわけでございまするし、その次の点検で、四十九年二月十二日から六月四日の定期検査で調べてみましたところ、いいということでありましたところ、わずか一月半でまたそういう点が発見されましたから、従来はこれは能率の悪い原子炉だということで――いままでこまかい穴は三つしかあいていないのです。あと細管が薄肉、肉が薄くなったということでありまして、それを全部せんを詰めてやりましたから、八千何本ある細管のうち二千本ぐらいが動かなくなっているという意味で能率が悪い。しかし、定期検査して一カ月半ぐらいたってまたもやそういうことがわかってくるというようなことであるといたしますと、これはとにかくかねがね国会でも問題にされていることでもございますし、ただ能率が悪いだけでは相すまぬではないか、この際やはり蒸気発生器の取りかえを含めて根本的にひとつ再検討して考え直したらどうだという勧告を私はいたしたわけでございます。
 したがって、これは「むつ」の問題と全く関係ありませんよ。何かあたかも同じ型式の炉であるから、「むつ」の炉と関係あるようにあなたがくっつけてお話でございますが、これはあなたのめがねがゆがんでおるからそういうように見えるのでありまして、全く無関係であることをこの機会に申し上げますから、ですから、あなたがじゅんじゅんとお説きになることについては、ときに傾聴すべき点もございますから、私どもは伺っておるわけでございますけれども、あまり事実を曲げて、みんなたくさんいてごたごたしてはこわいから、私が道を曲げて船で来たみたいな御表現があったり、美浜の原子炉の細管取りかえの勧告と今回の「むつ」の問題をくっつけてお考えになるのは、ちょっとどんなもんでございましょうか。やはり真実は真実で、国会でございますから、あなたも言論の自由はございますよ。しかし、私も国務大臣ではありますが同僚議員でございますから、やはり私はほんとうのことはお話ししておかないと、いかにもひきょう未練なことを森山科学技術庁長官がやっているように思われるのもはなはだ心外でございますから、そういう意味で、あなたは御不満であるようでございますけれども、じゅんじゅんとお説きになることはけっこうでありますけれども、あまりねちねちおやりになることは、私、賛成しませんね。やはり同僚議員として私も尊敬して、敬意を表してあなたの話を聞いているんですから、私も言うべき点はひとつ言わせていただきたい。その点だけ申し上げます。
#247
○安井委員長 事業団のほうはいいですか。
#248
○津川委員 事業団から……。
#249
○佐々木参考人 わが国としましては、どうしても原子力船というものは必要でございますから、だから、そういう意味で科学の粋を集めて安全な船をつくりたい、こういうことでいま努力しているわけでございます。
#250
○津川委員 私は、森山長官からほめられる必要もないし、ねちねちなんぞという非難をされる必要もない。問題は、原子力船の利用について、自主的、民主的、公開をやることです。
 そこで森山さん、私たちのことばに、存在は意識を決定するということばがあるのです。森山さんがどんな環境に置かれているか、それで森山さんの気持ちがきまるという。だから客観的に、皆さんが正門で待っている、森山さんが、皆さんがそう反対しているのに行くのだから、これは会いたくないというのは、森山さんの弁明がどうあろうが、ここが科学なんです。美浜の原子炉が「むつ」の原子力船と同じ構造なんです。しかも問題が起きて、菊池市長さんたちは、だからもう一回「むつ」も安全性を再審査しなさいと言っている。そのときに、九月一日に事故が起きて九月二日にとめたとすれば、森山さんがどんなに張り切って、私の心境はどうだと言っても、これが具体的な科学というものなんです。森山さんがあせってはあはあ言って話して、私に一生懸命食ってかかったところを見ると、まさにここに私は森山さんの本質を見たわけであります。
 そこで、理事長にお伺いします。あなたと竹内知事は、「原子力船「むつ」の出力試験に係る放射能監視に関する協定書」を結んでおりますね。この中の九条で、「甲は、次の各号の一に該当すると認めた場合において必要があると認めたときは、乙に対し、原子炉施設の補修、原子炉の運転の停止、「むつ」の航行の停止、「むつ」の陸奥湾からの退去その他必要な措置をとることを求めることができるものとする。」となっている。あなたはさっき、前の委員のときに、実験後いま検査してみて、何ともなければ、出港しない状態と同じだと、仮定を言っているね。仮定のことで答えている。陸奥湾から出ていくこと、退去もしくは「むつ」の航行の停止、原子炉の運転の停止、これを竹内知事があなたに求めてきたとき、あなたはどうされますか。
#251
○佐々木参考人 先ほども私が申し上げたのですが、「むつ」を絶対安全なものにして、そして「むつ」が岸壁におりましたときと同じ状態にしました場合に、青森県知事、むつ市長に、むつへ入港して接岸する承認を得たい、御了解を得たい、かように考えておる次第でございます。
#252
○津川委員 私の質問に答えてください。理事長、知事から原子炉の運転の停止、航行の停止、陸奥湾からの退去を求められたらどうします。
#253
○佐々木参考人 求められても、本船が安全である限りは――その安全でない場合にそういうことを求めるということでございますから、もし本船が何か事故を起こして不安な状態ならば、それは協定に従って、そのとおり従うしかございません。
#254
○津川委員 そこで、次の質問に入りますが、起きた事件、これも遺憾だ。これのあと片づけに万全を期さなければならぬ。しかし、起きた事件に対する態度が問題なんですよ。事故が起きたのは九月一日午後五時十七分、事故が起きても放射線を出しておって、とめたのは十二時間後の次の日の午前五時、こういう扱い方なんです。これはすぐとめるのがほんとうだ。なぜ十二時間も出力試験をしておったかですよ。ここに科学がないところがある。だからこわいのです、あなたたちは。米内山議員が、あなたたちを安全審査しなければならぬと言うのはここにある。もう一つ、事故が発生したのは午後五時十七分、その日の午後十時、次の日の午前八時に、船からは異状なしという報告が事業団に入っています。これが二つ。三つ目に、はしなくも森山長官が言った、自分が知ったのは二十何時間後だ。問題の青森県知事は、二十時間後の九月二日の午後一時に事業団に問い合わせて初めて知らされた。菊池市長は三日に、文書でこの状態を説明してくれと言っている。こういう状態です。これはフランクでなければならぬ。考え方によると、事故と考えないで、無理にまだ十二時間も出力試験を続けておったのじゃないか。非常に非科学的です。隠そうとしたのじゃないか、こういう疑いがたくさん持たれます。どうしてこういう態度をとられたのか、これが一つ。
 菊池参考人に伺いますが、菊池参考人が、九月三日にどういう質問を事業団なり県なり政府に出して、そのほうからどういう答えが来られたか。
 この二点、理事長と菊池参考人にお伺いします。
#255
○佐々木参考人 ちょっと御参考までに申し上げますが、実は昨日ですか、船へ行った人が帰ってきたのでございます。そのときに私に、その技術の人は、新聞に事故、事故と載っているが、技術員の人はあれを事故と思っていないのですね。非常に不服で、ああいうものを新聞に事故と書かれるのは困りますと言う。それは技術員の個人の意見でございますが、われわれのほうには、技術の方も、そういう見解を持っているお方もいらっしゃるわけなんです。
 それで、なるほど問題が起こりましたときの通報のしかたはおくれておりますが、ある技術者は、やはり一つの訓練を受けておりまして、そういう事故が起こっても、すぐ知らすということはもう少し慎重にしなくちゃいかぬという訓練を受けて
 いる人もあるのですね。まず監視器械を調べなくちゃいかぬ、監視器械がずいぶん間違うこともあるから、そういう訓練を受けている技術者もおるわけなんです。それから「むつ」の実際の場合は、周辺のサーベーをするために原子炉の運転を継続する、こういうようなことをやったという報告もございます。
 それから、おくれましたのは、御承知のとおりに船から通信をしてきますときに時間帯をわれわれはとっておりまして、その時間帯が来ましても通信ができないことがあるのですね。ちょうどたまたまあの場合のときにはそういうことが起こりまして、多少おくれたような事件もございました。非常に不幸な事件ですけれども、そういうことがあったわけで、必ずしも、われわれが故意に通信を怠ったようなわけではございませんので、そういう点もひとつ御了承願いたいと思います。
#256
○津川委員 菊池さんが答える前にちょっと……。
 理事長、あなたたちの報告、事業団から原子力研究所に、八百キロメートルのところに到達したという電報がすぐ来ているのです。炉の点火に成功したとすぐ来ているのです。出力試験を始めたとすぐ来ているのです。この二とを覚えていますか。そうでしょう。それで事故に対してはこうなんです。ここいらに、あなたたちのこれから危険だと思うところがある。はっきりしてください。しっかりしてください。こういう点を私は指摘しなければならぬ。事故をどう処理するか、事故に対する態度が謙虚でない。
 そこで、この点を指摘して、それで菊池さんのお答えをいただきます。
#257
○菊池参考人 私たちが問い合わせをしましたのは、科学的に判断できるような報告のしかた、発表のしかたをしてほしい、ただ何ミリのあれが出た、あるいは何百カウントの数字が出た、それだけではわれわれが判断しにくい、もっと科学的な測定の状況を示して、科学的な判断のできるような報告のしかたをしてほしい、そういうことを申し入れてございます。
 それで、先ほどのお話の中にございました通報の件でございますが、私が三者協定を結ぶ、それで会いたいということで三者協定の作業を進めておりましたが、最終的に二者協定になりました。協定締結の作業の間に、この通報で、いつ通報するかということが一つの大きい問題になりました。私たちは、通報はとにかく異常が発見された場合に直ちに通報をしてほしい、それは警報機の故障であろうがほかに原因があろうが、原因調査はその後にしてほしい、そういう条件のもとに作業を進めておりました。それが二者協定になりまして、念書その他の交換でいろいろな問題を詰める、そういうものなくして締結されたと思われますが、さらに県が私たちに、従来考えておりました念書あるいは往復文書の公開を拒否いたしておりますので、その点、三者での話し合いから後退した二者協定ができた、その後退した結果が、こういう報告がおくれたというようなことにもつながっているのではなかろうかというふうに考えまして、非常に残念に思っております。
#258
○安井委員長 もう、あとまだおられますから、ひとつ締めくくってください。
#259
○津川委員 ええ。
 そこで最後の質問ですが、これは原子力船事業団が研究開発をしたことは非常によかったと思います。開発の技術報告書の一覧表を見ますと、「JNS原子力船第一船用炉心の臨界実験に関する研究」以下十集、これがその一つの報告書です。これが青森県に届いてないのです。だれが見なければならないかというと、青森県や菊池市長たちが見て、これはだいじょうぶか検討しなければならない。そういう検討、批判にたえなければならぬ。再びやることできないから、ここが非常に大事なことです。したがって、これをなぜ青森県に届けないのか、幾つつくったのか、だれだれに配ったのか、なぜわれわれが要求したときわれわれに出せなかったのか、この点をまず明らかにしていただきます。
 委員長、これが終わってから総括で意見をちょっと申します。
#260
○佐々木参考人 技術報告書は、事業団が行なった実験などの状況及び結果を取りまとめ、関係官庁、出資者及び寄付者に報告するためにつくったもので約八百部つくっております。配付先は、関係官庁及び大学等試験研究機関に約二百部、出資者、寄付者に約五百五十部、国内業務用として約五十部使用しております。
#261
○津川委員 こういうものはほんとうに民主的に、反対の人たちにも公開してやるのが何よりも必要なんですが、その点がやられてない。やはりこの問題を扱う上において今後の問題の重要なものとして、やはりこれから事を処理する上においても、そういう民主的な人にも、第三者にも、反対な人にも、いろいろな意見を聞いてやっていただかなければならぬからぼくは申したわけです。
 最後に長官、この原子力船「むつ」をつくることからいままでの経過、この一切を国民にまず発表して――何としても事故が起きたのはいかぬ、何でうそついたと、たくさん来ているのです。陳謝すべきだと思うことが一つ。このお気持ちが長官と理事長にあるのかどうか。
 二つ目には、皆さんの略称でいうと、いわゆる炉規制の法律がありますが、この法律を適用してやはり調べなければならぬ。一つには、放射線が漏れた、最初は第二次遮蔽板から、次には今度は第一次遮蔽板から漏れている、三番目には、今度は容器の中から漏れているのじゃないか、今度は炉心に問題があるのじゃないか、こんな考え方がたくさん出ているし、事業団自身も炉心に問題があるのじゃないかという見解まで発表しておる。こうなってくると、この事業は法律に基づいて設計から施工までもう一回洗い直して安全を一〇〇%にする、国民が納得する、そこまでやはりいかなければならないんじゃないか。こうすべきだと思う。この点が二つ。
 三つ目は、何よりもいま問題を解決すべきことは、国民的な納得が得られて問題がぐっと進むためには、森山長官と理事長は責任をとってやめる。もうあなたたちにはこれを解決する能力がないと私は見ている。いまるる申し上げたとおり。この責任をとるべきだということが三つ。
 最後に、完全な遮蔽板がついてないのに「むつ号」という名前がつけられた。こういう名前を冠せられたので、むつの人たちは、あの名前はもうこりごりなんです。おれたちはあの「むつ」のことで、天下にしょっちゅう新聞で書かれているから肩身狭い思いをしておると言っている。これはむつの名前を汚した非常に重大な問題なんです。むつ市民にあやまる一つの具体的な措置として、名前を変更されたらどうか。
 この四つを申し上げ、答弁があれば長官と理事長からお伺いして、私の質問を終わります。
#262
○森山国務大臣 原子力船事業団の理事長の分も含めてお答えをいたします。
 その前に美浜の問題がございましたが、この美浜の問題であなた、何か今度の問題とからめていますが、今度の細管漏れのためにその後原子炉が停止いたしましたのは七月十七日であります。定検のあと一カ月半ぐらいでございますものですから、これは注意せねばいかぬぞ、一体実情はどうなっているのかということで、本来ならもっと早く勧告をするべきはずでございましたけれども、今回のような問題等がございまして、むしろおくれたのでございますからね。何かあなたの、何でもかんでもそういうように我田引水で、まああなたの唯物史観で存在が意識を決定する、あなたこそまさに存在で意識を決定しているから、ものの見方が曲がっているのじゃないか、私はそういうふうに思います。
 それから、どういうふうに考えるかというのは、先ほど米内山さんにお話し申し上げたとおりでございますから、その点はあえて繰り返しません。
 今後の措置等につきましては、実情を調査いたしまして十分対策を講ずるつもりでございますが、さっきるる申し上げたとおりでございます。
 やめたらどうかというお話でございますが、共産党のあなたに言われてやめるわけにいきません。かえって勇気百倍いたしまして、事態の措置に万全を尽くす所存でございます。
#263
○津川委員 私は、国民を代表してあなたに辞職を勧告したことを申し添えておきます。
 終わります。
#264
○安井委員長 次に、近江巳記夫君。
#265
○近江委員 各委員からいろいろな質疑が行なわれたわけですが、私は初めにお伺いしたいのは、この事故が発生しまして、これは九月一日でありますが、きょうは十日、しかも担当の委員会でございますし、きょうの時点になってもまだその調査が進んでおらない。私は、この実験のときに当然専門官も乗せるべきでありますし、万一のことも考えてプラスチック板も乗せるとか、あらゆる万全のそういう体制をとり、しかも、そうした一貫した体制があるならば、当然きょうの委員会におきましても、この事故の原因というものについて報告がされると思うのです。それができないということ自体において、非常にそういう一貫したものがない、そういうことを露呈しておるのじゃないか、私はこう思うわけです。
 そこで、原子力局長にお聞きしたいと思うのですが、まだ調査が終わっておらないということで、決定的なことは言うことはできないかもしれませんが、その原因というものについてはほぼわかっておると思うのです。そこで、いまの段階におきまして、局長として、この原因はこうであると想定されるべき点をひとつあげていただきたいと思うのです。
#266
○生田説明員 ただいま専門家が調査中でございます。それで調査の結果を待ちませんと最終的な結論が出せない状況につきましては、先ほど来御説明申し上げたとおりでございます。
 一応想定されるものといたしまして、格納容器上部の遮蔽効果について問題があるのではないかという疑いが一つ。それからもう一つは、格納容器上部の遮蔽効果については問題がないけれども、計画と申しますか、想定されておりましたよりも多量の中性子が中から飛び出しているのではないかという疑いが一つございます。このいずれとも、いまのところ判定できない状況でございまして、格納容器の内部に各種の計器を取りつけまして、ただいま測定をいたしております。さらに、放射線量の分布状態も全面的に再調査しておりますので、その辺の調査結果を待ちますと、ただいま申し上げました、どちらの原因であろうかということが逐次判明してまいると考えております。
#267
○近江委員 これは原子炉の欠陥である、あるいは設計ミスであるということは、非常に全般的な意見としていわれておるわけですが、局長としてはどう思うのですか。
#268
○生田説明員 ただいまも御説明申し上げましたように、調査の最終的な結論を待ちませんと何とも申し上げられないわけでございますけれども、いわゆる原子炉の基本的な欠陥というものがはたして何をさすのか、世上いろいろ伝えられておりますところが、各種の判断があるようでございます。たとえば、炉心部に非常に問題があるとか、一次遮蔽に問題があるとか、あるいは二次遮蔽に問題があるとか、その辺の、どの程度をもちまして欠陥原子炉あるいは基本的な欠陥というように表現いたしますか、これは調査の結果を待ちまして、総合的な専門家の判断を仰ぎませんと、いまのところ、私といたしましては何とも申し上げかねる次第でございます。
#269
○近江委員 先ほども申し上げましたが、出港のときにあたってなぜ専門官を乗せなかったか、また遮蔽板を乗せなかったか、この間の事情についてお聞かせいただきたいと思います。
#270
○生田説明員 まず、専門家をなぜ乗せなかったかという御指摘でございます。今回のような問題が発生してみますと、これは結果論でございますけれども、遮蔽の専門家を乗せるべきであったということになるわけでございますが、当初は、よもやこの遮蔽について問題が出るということは想像しておりませんでしたので、臨界実験とゼロ出力の実験でございますので、主として炉物理関係の専門家を乗せたわけでございます。
 それから、ポリエチレン等の遮蔽材をなぜ乗せなかったかという御指摘でございますが、これも結果論としては確かに御指摘のとおりかと思いますけれども、当初は、最初の状態の遮蔽で当然十分であるということでございまして、最初から遮蔽材を乗せなければいけないような状態でございますと、これはむしろ臨界実験、ゼロ出力試験もできないわけでございますので、当然その必要はないという判断で試験を行ないましたところ、先生御承知のような事態が発生いたしましたので、急遽そのあとを追っかけまして手当てをしたという次第でございます。
#271
○近江委員 そうすると、科学技術庁が判断したことば、非常に甘かったという反省を率直にしておられますか。
#272
○生田説明員 当初は全く想像しなかったことでございます。ただ現実にこのような事態が発生いたしました以上、判断が甘かったという御指摘を受けましてもやむを得ないと考えております。
#273
○近江委員 それで、この決定的な原因についてはしばらく調査に待たざるを得ない、このように思うわけであります。
 私は、ここで特に申し上げたいのは、一つは、いわゆる安全審査の問題だと思うのです。科学技術庁におきましては、いわゆる審査範囲というものは原子炉の安全審査である、それから運輸省における審査範囲というのは、図面の承認と工事検査、あるいは性能試験、こういうように聞いておるわけでありますが、私たちこの委員会におきましても、原子力委員会の安全審査というあり方につきまして、もっと強化すべきである、一貫した体制をとるべきであるということは強く主張してきました。ところが、今回のこの事件を見まして、いかにもばらばら行政、責任が一貫しておらない、こういうところに私は今回のこういう事故が発生した大きな原因があるのじゃないか、このように思うわけです。
 実際に運輸省におきまして、いわゆる原子炉の専門家という人は何人おられるのですか。その体制についてちょっと運輸省から答えてください。
#274
○謝敷説明員 運輸省の体制についてお答え申し上げます。
 午前中も御説明申し上げましたように二つございまして、一つは、船舶局に研究開発の推進と検査をやっておる者と、それから船舶技術研究所に研究の実施をやっている者がございます。それで前者におきましては、十八名いままで原研の研修を受けて、それぞれの段階ごとに必要な個所に張りつけて、本省がみずから検査をしておる、こういうことでございます。技術研究所におきましては、十八人が一般課程と高級課程の原子炉研修を受け、かつ研究所でございますので、日本原子力研究所の中にも支所を持っておりまして、遮蔽と原子力船の艤装といいますか装備、これを中心にして研究をしているというのが体制でございます。
#275
○近江委員 そこの技術者の人がどれだけの検査をしたか。しかし、結果におきましてこういうような事故が発生しておるわけですね。
 内田さんに私はお伺いをしたいと思うのですが、美浜の蒸気発生器が故障した、こういうときに内田さんは、安全審査が甘いという批判に対して、安全審査会の役目は設計条件のよしあしを検討するだけで、それ以降の詳細設計はメーカー、検査は通産省の責任、今回の「むつ」の場合においては運輸省の責任と、こうなるわけですね。安全審査会はオールマイティな力を持っていないのだ、こういう意味の発言をされたということがいわれておるわけですが、そういう現在の審査会のあり方であれば――国民はみんな安全審査会をパスしたということで、心配はあるにしても、やはり技術のことはわからぬわけですよ。ですから全面的な信頼を政府に置いておりますし、あるいは原子力委員会、ひいてはこの審査会に置いているわけです。ところが一貫したそういうようなあとの追跡ができない。そして一たび事故が起きますと、通産省なり運輸省が悪かったのじゃないか、こういうことであれば、安全審査会をパスしたということについての安心感より、われわれとしては非常に不安でまかせられないような気持ちなんです。一生懸命やっておられることはわかるわけですけれども、こういう現在の体制のあり方に対して、現状のままでいいと思っておられるのか。今後もしも内田先生がほんとうに前向きの、こうあるべきだということをおっしゃって、われわれもそうだと納得できるものがあれば、全力をあげてあと押しをしたいと思うのですよ。その点についてはどのように思っておられますか。
#276
○内田参考人 お答え申し上げます。
 いわゆる安全審査というものが、一般の人の印象と原子炉安全専門審査会における安全審査の役割りと内容とに非常に差があることは、私たちもよく感じております。
 発電用の原子炉の場合でありますと、設置許可における原子炉安全審査会の安全審査が終わったあとの設計並びに工事方法の認可、あるいは通産省の電気事業法でいいます工事計画の認可の段階におきます詳細設計なり工事方法の認可に際しましては、通産省の原子力発電技術顧問会がございまして、そこで通産省からいろいろ諮問を受ける。したがいまして、原子炉安全専門審査会の意思をくんだ認可における意見の具申ができるわけでございます。幸いにも原子炉安全専門審査会の委員と通産省の原子力発電技術顧問会の委員とはほとんど同一でございますので、その経過をホローすることは、精一ぱいやっているつもりでありますが、できていると思っております。
 原子力船におきましてはそういう段階になかったことが、いま思うと残念でございますけれども、その点が原子力船と発電用の原子炉の場合との許認可の段階の非常に違ったところであろうと思います。
#277
○近江委員 原子力船と発電用の原子炉の場合のあり方の違いを明確にここでおっしゃったわけですが、この原子力船建造に際して、わが国の原子力の第一船でありますし、舶用炉という点において、一般の発電用の原子炉より以上に慎重な追跡調査、監督、あらゆるシビアなチェックをしていくのがほんとうなんです。ところがこういう体制がとれなかった、そのこと自体が今回の事故の一番の根本原因だと私は思うのです。こういうことをなぜやらなかったのですか。これはひとつ局長か次長にお答えいただきたいと思うのです。
#278
○謝敷説明員 原子力船の安全の問題に関しましでは、たびたび御説明を申し上げておりますとおり、まず原子炉規制法によりまして炉の設置許可がなされ、そのあとで船舶安全法によりまして製造検査、それから竣工前の第一回定期検査をやる、こういうやり方をしておるわけでございます。
 それで両者の整合といいますか、技術的なつながりにつきましては、私どもとしては原子炉安全専門審査会のメンバーとして船舶局長も入っておりますので、安全審査会におきます添付書類それから申請内容等、審議の過程で十分承知をいたしまして、それをわきまえた上で製造中の検査に入っていくわけでございます。もちろん先生が御指摘のとおり、発電用炉と違うといいますか、一つ特徴がありますのは、第一船は、目的にも書いてございますように、原子動力実験船でございます。その意味におきまして、実験船でございますから、私どもといたしましては昭和三十一年から私どもの審議会、あるいは私どもが監督しております研究協会、そういったところで、具体的には三十八年だと覚えておりますが、そこから次第に技術的な研究開発を積み重ねてまいりまして、その上で第一船の基本設計を終わり、炉の設置の申請をし、その設置の許可を受けたあとで私どもの検査に回ってきたという状態でございます。したがいまして、私どももそういった研究段階の研究内容、それから私どもの審議会におきます技術的な内容、それから原子力委員会の中の審議内容を技術的に十分把握した上で検査に取りかかっておるつもりでございます。
 ただ、先ほどから御説明申し上げておりますとおり、実験船でございます。したがいまして、私どもとしては設計と工事、それから試験、こういったものを繰り返しフィードバックしながら検査を完成させていく、こういうことをしておりまして、その意味で、運輸省は出力試験の前に遮蔽効果についてこういった問題を予知できなかったかという点については、十分おしかりを受け、私どもとしても非常に残念に思っておりますが、これを機会にいたしまして、現在科学技術庁と私どもが検討委員会を設け、現在「むつ」に実験員が行っておりますので、この結果を十分解明いたしまして、適切な措置を講じて検査の完成に持っていきたい、こう考えております。
#279
○近江委員 いまあなたのお話を聞いていますと、これは実験船であるから、いろいろ出てきた問題点をチェックし、是正しながら前進するのだ。なるほどその話も一つの筋かもしれませんけれども、しかし、今日これだけ原発の安全性、汚染問題、環境問題等が問題になり、しかも原子力第一船であるということで、国民あるいは世界じゅうの注視の中で行なわれておるわけです。そういう積み重ねということは許されないことじゃないかと私は思うのです。それは科学の進歩の上において、あなたの話も通る話です。しかし、いままで政府は、原子炉というものは実験段階じゃないのだ、もう実用段階だと、私たちが安全性の問題なりをやかましく言ってきたときに、常にそういう答弁をなさっておられた。
 ところが、それをチェックしながら前進するんだと、全く同じ考え方を、この担当したメーカーは持っていて、こういうように言っておるわけですね。「むつは原子力発電などとは違う舶用炉開発のための実験船だし、国産化率も高い。動かしてみて欠点を補修するのは常識ですよ。政治情勢上、一発で百点満点を要求されたのも、やむを得ないこととは思いますがね」これは読売新聞ですよ。ここにも出ておるわけです。そういう完全を追求せずして、積み重ねでいいんだ、これはメーカーも政府のあなた方も同じ考えでおるわけです。
 私は、ここに事故が発生した大きな問題があると思うのです。なぜ百点満点を目ざして今日までやらなかったか。百点満点という腹がまえがあれば、運輸省においても当然そういうチェックの部門を設け、できるはずなんです。その辺が非常に甘かった。根本的な原因はここにあると私は思うのです。しかも、この事業団のパンフレットを見ても、安全である、絶対です、そういうことばかりPRしているわけです。ところが、実際に実施しているのはそういうような心がまえではやっていないわけです。積み重ねで前進していけばいいんだと。それでは誇大広告ですよ。その辺の腹がまえについて反省はないのですか。
#280
○謝敷説明員 お答え申し上げます。
 検査の申請を受けてから現在まで約二千八百回、また二千八百件にわたる検査の各項目を終えております。もちろん、検査の担当者といたしましてはメーカーと厳然と立場が違うわけでございまして、私ども検査の立場でも、一〇〇%安全であると信じて検査の各段階を終わってきているわけでございますが、その意味におきまして、事前に防止できなかったということについては非常に残念に思い、反省をしております。
#281
○近江委員 それで、きょうは原子力委員会の先生方こうやって来られておるわけですが、先ほど内田先生にお聞きしたわけですけれども、あなたは井上さんですね。――こういう現在の原子力委員会の安全審査のあり方について現状のままでいいんでしょうか。今後の方向としてどういう方向にお考えなんでしょうか。その点をひとつお伺いしたいと思います。
#282
○井上説明員 先刻から石野先生、米内山先生からも大体御同様の御質問がありまして、お答えを申し上げたのでありますが、今回の原子力船の故障と申しますか、についての問題につきましての安全審査は、手続上もまた方法についても遺憾なかったものと考えます。
 しかし、ただいま近江先生の御質問は、原子力委員会の審査のあり方として一体これでいいかどうか、こういう一般論的なお考えであるかと思いますが、先刻どなたかからも、技術的に考えないで哲学的に考えなければいけないといったような御発言も伺っております。先刻私、一言申しましたように、現在の原子力委員会の設置法あるいは規制法というものが制定をされましてからもう二十年に近い経過をしております。したがいまして、今日質的ないし量的に申しましても、制定当時とは若干事情の違う点もありますので、原子力委員会といたしましては、先般、原子力に関する安全審査会というものをつくりまして、安全に対処するためにはどういう点を考えなければならないかという全般的な問題の検討に移っておる段階でございまして、いまだいかようにあるべきかということについて、何らの結論を得ておりません。しかし、諸外国の例から考えましても、現行の日本のやり方のみが最善であるとのみはいえないかもしれません。さような意味におきまして、米国あるいは欧州等のあり方についても考えておりますが、今回の原子力船につきましては、ただいま運輸省の担当の方からお話がありましたようなことで、安全審査におきまして考えたことが不幸にして実現しなかったということは残念でありますが、しかし、それが一発百点でなかった。しかしきわめて軽微なある事故が起こった。これで原子力船が運航不能である、あるいは国民の信頼をかち得ない、言うなればフェータルな欠点が出たとは私は考えておりません。
 さような意味におきまして、この問題はこの問題として最善を尽くしまして、必ずや国民の信頼、また先ほどから御指摘のありますような、青森県一帯の方々の御安心が得られるような状態にぜひしなければならない、かように考えております。
#283
○近江委員 今後のあり方につきましては、政府全体として真剣に取り組んでいただきたいと思うのです。そうしないと、切断されたそういう責任体制であれば、これは幾ら連絡を密にするとかなんとかいっても、やはり相当な漏れが出てくることは間違いないわけです。ですから、その点は長官に私、強く要望したいと思うのです。その点についてお伺いしたいと思います。
#284
○森山国務大臣 先ほど来先生からたいへん適切な御指摘がございました。実は、事態の真相に少しでもアプローチをしたいと思っておるわけでございます。
 日にち順に申し上げますと、一日の晩に放射線漏れの事態を発見いたしまして、それが二日の昼過ぎに私どもの耳に入ったわけでございます。そこで、三日に科学技術庁と運輸省両者で会談が行なわれ、四日の昼には船が出せるというところにまいりました。ただ人のほうが、最終的に七名でございましたが、四日の段階ではまだ人員の数で最終的に確定するに至りません。そのほかに資材とかあるいはポリエチレンの材料とか、そのほかせっかく参るわけでございますから、牛肉二十キロあるいはくだもの、たばこというようなものも持って横浜を出ましたのが、四日の昼には船は出るばかりになっておりましたが、人と物の準備がありますので五日になったわけでございます。そして千二百キロの先でございますから、七日に現地に着きました。そして八日から調べておるわけでございます。
 いま私の頭の中に入った範囲内において、日付順で申しましても、一日、二日、三日、四日、五日、六日、七日で、もう八日から仕事をやっておるということでございまして、私自身ももう少し早く事態がつかめないものかという点で焦燥を感じておる点は、近江先生と全く同様でございますが、これでも最短距離で調査の段階に入っておるのだということだけは、どうか御認識を願いたいと思います。洋上の実験のようなことでございますが、千二百キロも離れておりますために、思うにまかせない点があるわけでございます。しかし、今後とも調査をできるだけ早く進め、できるだけ結論をまとめ、こちらのほうにある専門家グループがチェック・アンド・レビューができるような体制に持っていきまして、真相を解明いたしまして、先ほど来各委員からお話がありますることにつきまして、その解明いたしました現状並びに原因、対策等によりまして最善の努力を尽くしたいというふうに思っております。その際、ただいま近江委員からお話がありました事項につきましては、拳々服膺いたしまして事態の措置に努力をいたしたい、そういう心づもりでございます。
#285
○近江委員 そこで、こういう事故がありまして、安全審査は原子力委員会の安全審査会でなさったわけですが、それで今後、いわゆる完全にチェックできるそういう体制に進んでいきたいというような発言があったわけですが、やはりそれを実行していく、いかないという点につきましては、今回のこの件について、責任というものについてどこまで自覚なさっておるかという点をもう一点聞いておきたいと思うのです。その点ひとつ井上さんから。
#286
○井上説明員 責任というおことばは簡単でございまするが、法的責任ということから申しますると、私ども及ばずながら原子力委員会としては、法律に求められておる行為上の欠陥はなかったものと考えております。
 しかし、法律的に責任がないというだけで事態がこれでよろしいのかということになりますれば、先刻近江先生から御指摘がありましたように、やはり原子力委員会は究極において国民の信頼をかちえなければいけない。そういう意味におきまして、より一そうの完全な信頼をかちうる審査体制を、今後ともつとめていきたいと考えております。
#287
○近江委員 法律的にはないけれども道義的にはある。この間の韓国の大統領の暗殺事件のときも、それに近いようないろんなやりとりがあったわけですが、しかし、これは私は思いますのは、道義的といいますか、そういうことよりも、私は法体制の上からいきましても、やはり原子力委員会が一切の責任を負うというぐらいの、そういう体制にあってはじめて原子力委員会のそういう指示も徹底するし、やはり最終のそれだけの責任を持ってもらいたいと思うのです。これは一発にお答えできる問題ではないと思いますけれども、そういう責任がばらばらになるところに、この種の事故なりいろんな事件が次々と発生しておるように私は思うわけです。その点ぜひともそういう全体の責任を明確に持っていく、またそれだけの権限を持っていくというぐらいの体制にすべきじゃないかと思うのですが、その点はどうお考えですか。
#288
○井上説明員 ただいま申し上げましたように、原子力の安全審査に対する審査体系は、各国必ずしも一致しておらない。と申しますよりは、むしろかなり相違をしておるというのが実情でございますが、日本のただいまの現行法で申しますれば、原子力委員会の法規上の責任、また原子力の規制に関しまする法規におきましては、その法令のたしか七十三条であったと記憶するのでありますが、原子炉並びに原子力船の規制につきましては、それぞれ通産省並びに運輸省の所管にはっきり除外をされております。私どもは、それがいい悪いは別といたしまして、法規上といたしましては、その制約内で行動せざるを得ないのでございますが、先刻御指摘がございましたような、やはり全般として原子力政策を推進する上に、いかにあるべきかということを十分考えるべきであるという御指摘については、私どももさように考えております。
#289
○近江委員 私は、いま申し上げましたそういう法制面も含めて、今後十分検討をやっていただきたい、これを強く要望しておきます。
 それからもう一つ、これはさかのぼるわけですが、いま原因がはっきりしておらないということでありますけれども、ふた全体の遮蔽効果を調べるためのそういう実験は行なわれておったのかどうか。書類審査といいますか、そういうチェックを野放しにした状態で出港さしたのじゃないかと思うのですが、これについては運輸省どうですか。
#290
○謝敷説明員 お答え申し上げます。
 遮蔽につきましては、私どもといたしましては日本原子力船開発事業団、船舶技術研究所、日本原子力研究所の三研究機関、開発機関が共同で、二年にわたりまして、このためにつくられました遮蔽専門の原子炉、これは原爆にありますJRR4でございますが、これで実物大に近い大きさで模擬実験を行なっております。その成果につきましては、これは本実験の目的にも書いてございますように、「むつ」第一船の設計に反映されるということが目的でございまして、計算コードの確認を含めて、一次、二次の遮蔽体の実験をやっております。したがって、これで技術的に遮蔽の効果については最終的に実験をした、こう考えております。
 遮蔽の問題につきましては、こんだけでございませんで、昭和三十四年から船舶技術研究所が研究しておりまして、遮蔽に原子力研究費の約三分の一ぐらいを使っておりますし、全体でも三十四年から四十八年まで引き続き遮蔽関係については研究をしております。
 以上でございます。
#291
○近江委員 科学技術庁は、陸奥湾内で「むつ」の原子炉を作動させないという方針は表明されておるわけですね。そして住民の説得に当たってこられた。しかし、こういう事故が起きまして、今後のことを考えていきますと、そういうことはないとは思うのですが、母港内での原子炉の作動あるいは実験というようなことは、これはないのでしょうね。一応お聞きしておきたいと思います。
#292
○生田説明員 出力上昇試験につきましては、ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、昨年、青森県との間で、出力上昇試験に際しましては、陸奥湾内の航行は補助のエンジンで行ない原子力推進は行なわないという旨の約束をしておりますので、現在の段階で、湾内で原子炉を動かすということは考えておりません。
#293
○近江委員 それから、もう一つ局長にお伺いしますが、どの段階で洋上実験というものを打ち切るか、そしてまた今後の母港の問題につきましては、どのように基本的にお考えか、この点をお伺いしたいと思います。
#294
○生田説明員 最初の洋上試験の問題でございますが、これは先生御承知のとおり、最初、つまり今回行ないました臨界試験、それからゼロ出力試験及びその第二段階の二〇%出力上昇試験、この二段階につきましては、諸外国とも岸壁で行なうのが通例でございます。わが国におきましても、この「むつ」も当初は岸壁で行なうということで予定しておりましたところ、先生御高承の地元の問題が発生いたしまして、先ほど申し上げましたとおり、最初から洋上で行なうということになったわけでございます。そのために、先般来いろいろ現実に起きておりますような連絡の不行き届き、あるいは補給、人員の輸送についての困難が出ていることはたいへん残念なことでございます。
 この試験をどの程度で打ち切るかということでございますが、今回の問題の原因の究明が第一でございまして、それによりましてとり得ます対策の程度によりまして、今後洋上試験を続行するかあるいはどうするかということを決定いたさねばならないというように考えておりますので、その辺の判断は、一にかかって原因の究明にあるというように考えている次第でございます。
 母港の問題につきましては、今回の出力上昇試験を行なうにあたりまして地元の漁業関係者から要望が出されまして、青森県知事からもその旨要望がありましたので、それを受けまして政府及び自民党の首脳部で御協議いただきまして、母港の移転問題につきましては、出力上昇試験と並行して誠意をもって協議をするということを約束しておりますので、今回の問題が起きましたので、多少当初からのテンポがずれておりますけれども、このおきめいただきました方針に従いまして、青森県当局と誠意をもって協議をするということになろうかと考えております。
#295
○近江委員 大臣にお伺いしたいと思いますが、いわゆる漁連をはじめ、むつ市、青森県、そうした団体におきまして反対の声が非常に高まってきておるわけです。こういう事態に対して、大臣としてはどのように受けとめ、今後どう誠意ある態度で臨まれようとしておられるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
#296
○森山国務大臣 先ほど来再三再四にわたってお話ししておりますとおり、尻屋崎沖八百キロの沖合いで何が起きているかということについて、正確にこれを把握をいたしまして、その段階において技術的にも社会的にも政治的にも間違いない措置をとってまいりたいというふうに考えております。
 いまお話しの中で、地元がいろいろなむずかしい空気になっているということにつきましては、経過については私どもはまことに残念に思っておりますし、また苦慮をいたしておるわけでございます。
#297
○近江委員 そこで、いま非常に強い声としまして、実験を中止して、そして根本的な見直しと、設計の段階から根本的に現在の原子力船というものを見直すべきじゃないかという声が非常に強くなってきておるわけですが、その問題に対してはどのようにお考えですか。
#298
○森山国務大臣 この段階におきましては、近江委員の御意見ではございますが、御意見としてお伺いしておくとしか申し上げようはございません。一日も早く実情を調査いたしまして対策を立て、近江委員先ほど来るるお話しの点を十分考えながら、対策を講じてまいりたいと考えております。
#299
○近江委員 それで、今後の修理等の経過と結果の公表につきまして、大臣は、ほぼ固まった段階で発表するということをおっしゃっておられるわけですね。今後やはりこれは、もう三原則からいきましても当然われわれとしても非常に関心を持っておりますし、国民も非常に不安を持って見守っておるわけでありますし、これはひとつすみやかに、しかもできる限りの資料を提出していただきたい、このように思うわけです。これは委員長にもお願いしておきたいと思いますが、それについてお伺いしたいと思います。
#300
○森山国務大臣 いま原子力三原則の話があり、公開の原則の話がございましたが、結果の公開でございますので、プロセスにおいて一区切りついて、あとでそのことが混乱を招かないようなポイントがございますれば、その段階において考えたいと思いますが、そう遠からざるうちに私はわかるのではないか、こう思っております。
 先ほど来申し上げましたように、一日以来ほとんど連日この調査について動きがございまして、八日の日曜日に現地で調査が始まってきょうは、月曜、火曜と三日目でございますので、あすあさって、二日くらいたった段階ではある程度の、おそくももう一日ぐらいの段階には様子がわかるのではないかと私は思っております。
 いずれにいたしましてもそういうことでございますから、できるだけ御趣旨に沿うような形でやりたいとは思っておりますが、ただ、今回の問題でもいろいろな意見が飛びかうわけでございますね。そのことがかえって無用の混乱を起こしているように私は思いますので、何もくさいものにふたをしようなどという気は毛頭ありません、実情がわかったらぶちまけて見てもらわなければならぬと思っておりますが、そうかと申しまして、事業団のだれかれがこう言った、だれかれがこう言った、いずれも何ら根拠なくて憶測でものをしゃべるということで、あっちへ飛びこっちへ飛びしてかえって混乱を増しているような面も現在見られますので、この調査の結果内発表方につきましては慎重に事に当たりたい、そういうように思っておるわけでございます。
#301
○近江委員 あとまだ他の委員がしますので、私は終わりたいと思いますが、最後に、通産省なり運輸省なりこの原子力委員会との関係等見ましても、非常に一面は整備されておるということをいままでよくおっしゃってこられたわけですけれども、こういう一つを見ましても、まだまだばらばらなそういう責任の分断といいますか、そういうものが目につくわけです。ですから、非常にむずかしい面は多々あろうかと思いますけれども、こうした一貫した安全体制、国民が安心し納得できる、こういう体制をすみやかにつくり、固めていただきたい、私はこのように思うわけです。それを井上さんと大臣にお伺いして終わりたいと思います。
#302
○森山国務大臣 時間の関係もございますから、私が井上委員長代理の分も一括して申し上げます。
 先ほど来いろいろ御質疑がございまして、いろいろその間の経過等については問題があるかもしれません。いまこの機会に率直に言って、政府内部で責任のなすり合いのようなことは一切いたしたくないと思っておるのが現状でございます。むしろ真相を一日も早く究明し、その真相に基づいて改善すべき点があれば改善するような措置を講じて、当面対処すべき措置があればこれを果敢に行なっていくような努力をいたすことが、この責任を果たすゆえんであろうと思います。もっとも、実務的にはそんなふわっとしたことでは片がつきませんので、それはよく考えていくわけでございますが、基本的な気がまえといたしましては、これが科学技術庁だ、これが運輸省だ、あるいはこれが原子力委員会の問題だというようなこと、あるいは会社側の遺漏だというようなことは、いまこの際は、そういう真相の実情調査がまだ済まない段階において、それをつかんでおらない段階においてそういうことをやっていくことは、私は当を得た措置ではないと思います。
 したがって、政府としては、今回の事態の処理について責任をもって処理に当たるつもりでございます。どうかひとつ、先ほど来おもしろ半分かどういうことかわかりませんが、おまえやめたらどうかなんとかというような、そういうことで問題が片づくなら簡単でございまして、もう二度とこういうことを起こさないようなやはりしっかりした体制をつくっていくことが私どもの責任であり、義務である、そういうように考えて、鋭意取り組んでおるわけでございます。もちろん、近江委員の御指摘の点は十分念頭に入れまして今後処理をいたすつもりでございますし、経過のいかんによりましては、またあらためて委員長をはじめ委員各位にも御報告をいたしたい、こう思っております。
#303
○近江委員 終わります。
#304
○安井委員長 次に、内海清君。
#305
○内海(清)委員 朝からの会議で皆さまお疲れだと思います。私にも与えられた時間がございますので、できるだけ重複しないように、あるいは多少重複するかもしれませんが、若干お尋ねしたいと思います。
 今回の原子力船第一船の臨界実験にあたって、こういう事態が起きましたことはまことに遺憾しごくでございます。このことは、将来の原子力船の建造並びに原子力の平和利用の面からいって、原子力発電にも影響が出てくるでありましょう。このことをたいへん遺憾に思うわけであります。
 この実験は、大体定係港で行なわれるべきものであり、それが定係港で行なわれなかったということについて、せっかく定係港をつくってこのことが行なわれなかったことは、これまたきわめて遺憾であります。もちろん船の艤装なりあるいは炉の積み込み、燃料の装入その他は行なわれたでありましょうけれども、先ほど来話がございますように、少なくとも二〇%程度までは定係港で行なわれるべきものであります。
 私は、この問題には初めからタッチしております。定係港をむつにつくるときにもずいぶんいろいろの問題があったわけであります。最終的にあそこにきまって、私どももやれやれという感じもいたしたのでありますが、それがこういう事態で定係港の役目をなさぬという。きわめて残念であります。しかし、いままで定係港をつくりながらなかなかそれらが役に立たぬというふうなことにつきましては、今日まで事業団においてもいろいろ問題があったわけであります。時間がございませんから申し上げませんけれども、現地のほうでいわゆる怪文書というふうなものがいわれてみたり、あるいは今回の事業団のPR資料が先ほど来問題になったようなことがあるということ、これはどうもたいへん残念なことでありまして、最も科学的に処理されなければならぬこういう問題が、ああいうふうなミスでもって国民の不信を買う、地元民の不信を買うということは、これは今後の問題としても最も御注意願わなければならぬことだと思うのであります。少なくとも事業団におられます方も、これはいわゆる専門家というふうに一般国民が見、私ども見ておる方々であります。それがそういうふうなミスがあるということにつきましては、きわめて残念しごくであると思います。今後、この原子力問題を進めるのにあたって、そういう点については万全の措置をとっていただきたい、まずこれを要望しておきたいと思うのであります。
 それから、けさほど来いわゆる原子炉の安全審査の問題がいろいろ問題になっております。先ほども、わが国の安全審査体制というものについてお話もございました。私どもがいままで聞いておりまする安全審査体制では、アメリカのものをよく聞いておるわけです。ひとつこれは局長でも内田先生でもけっこうですが、日本の安全審査体制とアメリカの審査体制、どういう違いがあるか、このことをお伺いいたしたい。
#306
○内田参考人 直接のお答えになるかどうかわかりませんが、アメリカの安全審査と日本の安全審査とを直接比較するのは、私、十分記憶にございませんが、いわゆる安全審査会というものの立場の違いを申し上げますと、アメリカはACRSといっておりますのが、私たち日本での安全審査会に相当する。メンバーの構成がそうでございます。要するに、学識経験者という第三者の機関でございますが、アメリカのACRSは原子力委員会の諮問機関でございまして、いろいろ意見の具申なり技術的な内容について意見を申す機関でございます。日本の安全専門審査会といいますのは、本来同じ内容であると思いますけれども、原子力委員会が設置許可を出す段階におきまして、安全の確保についての妥当性を安全専門審査会が結論を出す必要がございます。そして、安全審査会としてのまとめた報告書を原子力委員会に提出するというかなり重要な責任と義務を持っておるものでございます。その点が、アメリカのACRSと日本の安全専門審査会と機能にかなりの違いがあると言えると私たちは思っております。
 それが一番の点だと思いますが、いわゆる安全性の確保、確認に対する審査といいますか、事前評価の体制から申し上げますと、だいぶアメリカも最近変わっているようで、はっきり私ここで申し上げるわけにはまいりませんが、要は、原子炉の設置におきます建設、日本でいいますると設置許可とそれから認可段階等幾つかございまして、認可段階におきましては、発電用の原子炉に限って申し上げますと、各段階におきますステップ・バイ・ステップの認可がございます。でありますから、設置許可がおりましてから運転に入ります五年ぐらいにわたりまして、それぞれの段階におきます詳細設計の認可を行なっているわけでございます。それに対しまして、日本では原子力発電技術顧問会が諮問に応じております。アメリカの原子力委員会でありますとコンストラクションパーミッションとそれからオペレーションライセンシングとの大きく二つに分かれているわけでございますが、それぞれにつきまして、向こうでいいますとACRSが諮問に応じていると聞いておりますが、詳細ちょっと私、内容をはっきり申し上げる自信がございませんので、多少間違っているかと思いますが、大体そのようなところであります。
#307
○内海(清)委員 私どももこのことについて詳しい勉強をしておりませんけれども、アメリカのこの委員会におきましてはスタッフも非常に多い。私が聞きました記憶によりますと、二千人近くおるんじゃないか。それが一々安全審査の段階において、いわゆる数字的な計算から、いわば初めから一々設計に対する計算もし、そうしてこれを諮問に応じるというふうなことを聞いておるのであります。あるいは間違っておる点があるかもしれません。ところが寸日本におきましては、先ほど来御説明があったとおりで、基本設計に対するこれを審査して、条件をつけてやられるということであります。そして、わが国ではそれが今度いわゆる詳細設計と申しますか、次の段階で具体的な設計になっていくということのようであります。どうもその辺に一つの問題があるのではなかろうか。日本のこの安全審査会、いわば原子力委員会ですが、これがそういう十分な体制ができていないのではないか、アメリカあたりに比べて。これは予算の関係があるか何があるかわかりませんが、日本の体制で十分だということであるならば、何も予算を使う必要はないんでありますけれども、こういうふうな問題が起きてまいりますと、やはりそういうことに対してもいろいろ議論が出てくるであろうと思う。今後、原子力の平和利用ということはわが国においてきわめて重要な問題でありますから、私は、こういうふうなものに対する安全審査の問題等は、これは金を惜しむべきでないというふうに考えておるのであります。
 それらの点につきまして、長官のほうで何かお考えがありましたら承りたいと思います。
#308
○生田説明員 ただいま先生からたいへんありがたい御指摘をいただいたわけでございまして、安全審査体制の強化、これは人的な強化を中心にいたしまして、来年度予算の要求におきましても相当の大幅な人員増を要求してまいるつもりでおります。
 ただ、もう一点の御指摘でございますが、安全審査の問題につきまして、ただいま先生からの御指摘のようなこともございますし、その他、たとえば前国会などにおきましても、アメリカの安全審査の資料は非常に膨大であるけれども、日本の安全審査の資料あるいは報告書は非常に薄いものしかない、これは安全審査が十分に行なわれていないのではないかというような御質問も受けたことがございます。これは、本日諸先生から御質問が出ておりますような安全審査というものの性格でございますが、一口で安全審査と申しますが、これを狭い意味の安全審査と広い意味の安全審査と二通りに考えたほうが、むしろ御理解をいただけるのではないかと先ほどから考えているわけでございます。
 簡単に申しますと、アメリカのように原子力行政を原子力委員会で一元的にやっておりますと、本日いろいろ御質問いただきました、科学技術庁原子力委員会におきます安全審査と運輸省の検査との関係、あるいは発電用の原子炉につきましては、同じく原子力委員会の安全審査と通産省の認可あるいは検査の関係、その他そういうものが全部一括して行なわれて、広い意味の安全審査ということになっているように理解しております。これが日本では、その基本的な部分が原子力委員会の安全審査であり、具体的な部分が通産省なり運輸省なりの認可とか検査であるというように分かれておりますので、たとえば、ただいま先生もおっしゃいましたように、アメリカでは千数百人の安全審査の要員をかかえておる。日本は、たとえば安全審査をやっていただいている先生は三十人ほどでございますので、非常にわずかではないか、こういう御議論もございますが、通産省あるいは運輸省の分まで全部足してまいりますと、たとえば通産省の資源エネルギー庁の担当官、地方通産局の公益事業部の担当官、運輸省でございますと船舶局の検査官、そういうものを全部足してまいりますと、もちろんアメリカと同じ数までにはまいりませんけれども、かなりの人数にもなるわけでございますし、先ほどいろいろの資料とか報告書のことを申し上げましたけれども、通産省なり運輸省なりでその検査あるいは認可の過程でつくられております資料も全部集めてまいりますと、これも相当の量になるわけでございまして、いわば広い意味の安全審査の基本的な部分が原子力委員会であり、その具体的な部分が各省に譲られている。たとえばアメリカのような場合でございますと、それが全部広い意味の安全審査として一括されているという差があると思っております。その点の御理解をいただきたいわけでございます。
 それにいたしましても、さらに体制の充実というものをはかっていきたいと考えておりますので、この点も、今後とも御指導をいただきたいと思います。
#309
○内海(清)委員 日本には現状における日本の理由もあるわけでしょう。しかし、けさほど来からたびたび委員の諸君から話が出ましたように、安全審査がパスしたら、いわゆる完全とは言わぬがほんとうに安全なものだという、そういう意識を国民に与えるわけなんですな。だから、そういういまの審査の内容を知っておれば、これはもちろんそれほど驚くことでもないかもしらぬ、疑問を持つことでもないかもしらぬ。この問題は、知らざるがゆえに疑いを持つということがきわめて多いわけで、たとえば今度の問題でも、実際乗船しておるそのほうの専門家からいえば、けさからの話がありますように、放射線が出たのはたいした問題じゃないということになるかもしれない。ところが一般国民から見ますと、知識がないだけに、これはたいへんなことだということになるわけです。その点を国民に十分理解さすことが今後きわめて必要だ、私はこう思うわけです。そのためには、やはり国民にわかりやすいような審査体制も考えるべきであるというふうに思います。これは当然役所のほうでお考えになることだと思いますが、そのことが必要であろうというふうに思うわけであります。
 それからいま一つ、先ほど定係港で行なわれればいろいろな問題がもっとスムーズに解決できたであろう。それが八百キロも洋上でやるわけです。したがって、もし洋上でやるということを事業団できめられた場合に、いわゆる情報連絡というものをどう考えられるか。陸上のようには簡単にいかぬ。今回の問題でも、私が承りましたのでも、なかなか連絡がうまくいかない。何か船とこちらでやって、そして陸上の通信につないでやる。しかも役所の関係もあり、事業団の関係もあり、報道陣の関係もあってその情報連絡が制約される。だからスムーズにいかないという。少なくとも洋上でやられる場合には、全く安全だということを考えればそういう必要はないかもしらぬけれども、万一の場合にはどうするかということを考えれば、情報連絡に対して万全の処置をとっておかなければならぬはずである。これに対してどうお考えになっておるか。これは事業団のほうだと思いますけれども、お聞かせいただきます。
#310
○佐々木参考人 洋上でやるということになりましてから、いま御指摘のとおり通信ということが一番大切だと考えまして、事業団と船とはどういう通信連絡をしたらいいかということで、たとえば郵政省にお願いをしまして特別な電波をちょうだいするというようなことも試みましたのですが、これは二カ月も三カ月もかかるそうで、今度は間に合わなかったのでございます。船には三人しか通信士が乗っておりませんので、これが交代で事務に携わっておるわけでございます。そういう点にも制限がございます。しかし、そのうちで最も能率的にかつ迅速にやるように船と事業団は打ち合わせをしたことになっておるのでございます。そういうわけでございます。
#311
○内海(清)委員 特別な電波をやれば二カ月、三カ月かかるという。しかし、洋上で臨界実験をやるということは相当前にきまったはずであります。これは日本海でやるとかどこでやるとかいうことで、もうとても母港ではできない、陸奥湾内でもできない、洋上に出なければいかぬということは、相当前からお考えになって御決定になっておったと思うのです。これは役所と事業団両方でお考えになっておった。それが二カ月かかるにしても、その段階から準備すれば十分できると思うのです。今日いろんな面で非常に連絡がおくれた、情報がいろいろまちまちでわかりにくいということは、一にこれにかかるわけです。即時に情報の通報なり連絡ができるようにされなければならない。この辺にも少し、今回の洋上実験に対する考え方に甘いところがあったんじゃないかと私は考えるのです。
 そういうもろもろの面で、いろいろ反省していただかなければならぬ面があるのじゃなかろうか、こういうふうに私は思うのであります。これはもう、こういうことになったのですが、今後、これが修理ができるまでみな洋上におらなければならぬのだろう。そうすれば、ますますそういうことが必要になってくるであろうと考えるのであります。電波なら、二月も三月もかかるというのではどうもなりませんが、何か情報連絡にもっとできるような方法をお考えになることが必要ではないか、かように考えます。これは要望しておきましょう。
 それから理事長、先ほどの発言で船の経済性の問題をお話しになりました。今回の第一船は、これはいわば実験船ですね。私どもは実験船ということでやってきたわけです。したがって、経済性の問題は、まずこれは全くなくするということではありません。これは再来年ですか、事業団法がなくなると、日本ではどうするかという問題が起きますから、その時分には経済性も必要になってくると思いますけれども、第一船の建造というのはやはり実験船であります。いかに安全な船をつくって、そうして乗り組み員も訓練できるかということであります。もしこれが、経済性に重点が置かれて考えられるとすると、私はいろいろな問題があると思う。これは原子炉でありますから、いま言うた遮蔽の問題その他、陸上とは違うわけでございます。船というのは、経済性を考えれば、できるだけ軽い船であり、小型の炉でなければならないということであります。これは陸上では、一応の計算上にさらにコンクリを打つにしても、その上に安全性を一割持つならば、それだけ厚いものを打っても、まあそれほどたいしたことはない。ところが船の場合は、経済性を考えると、その辺に問題が出てくるわけであります。
 だから、事業団のほうにお尋ねをしますけれども、経済性ということを常に念頭に置いてこの船に対処されたか、やはり実験船であるから、いま申しましたような、いかに安全な船をつくり、乗り組み員を訓練するのに適した船をつくるかというようなことをお考えになったか。これは、第一船をつくるにあたっての事業団としての心がまえでなければならぬはずであります。その点についてお伺いいたしたいと思います。
#312
○佐々木参考人 御指摘のとおり、原子力船は経済性も必要でございますけれども、それよりも先に、安全性が第一でございますから、これは非常にやかましく関係官庁からも言われますし、一般の要望もございます。たとえば、オットー・ハーンなんかに比較しましては、非常に安全性を高めてあるのでございます。
 一例をあげますと、遮蔽のコンクリートの幅が一メートルあるのでございますが、これはみな見学に来た外国の人から、どういうところでこれを一メートルにしたのか聞かれました。御承知のように、そういう大きなものをこしらえますと、それだけ重さが増すわけでございまして、重コンクリートの一メートルのコンクリートで囲まれておるわけでございます。それは一例でございますが、その他いろいろな点におきまして、二重、三重の安全性に注意をしてこの実験船をこしらえましたので、今後も、安全性ということについては十分注意してやるつもりでございますから、御了承願います。
#313
○内海(清)委員 安全性については、オットー・ハーンよりもきわめて意を用いたということ、これは一つは、日本が唯一の被爆国でございまして、原子力に対する国民の感情がかなり強い。実はオットー・ハーンを輸送しておりますときに、炉は積んでありましたが、私はドイツへ行って見ました。あそこは母港をつくっていない。なぜつくらぬかと言うて聞いてみますと、実験船じゃないか、第二船以下をどんどんつくってほんとうにこれは商船として使うような体制になれば母港をつくらなければならぬが、実験船だから母港はつくらぬというので、キールにおける民間造船所の岸壁へつけてやっておりました。われわれは実にびっくりしたわけであります。
 したがって、船は経済性を無視して、あるいは燃料の差しかえなどでも船の中でみなできるように、そういう燃料スペースですか、いろいろなものをとっておる。だから、これでほんとうに、あと完全な原子力船ができるようになれば、当然母港もつくらなければならなぬということを言っておったのであります。そういう点で私は感心して帰ったわけでありますけれども、そういう点について、向こうの考え方はなかなか徹底しておると思うたのであります。
 だから、この「むつ」に定係港をつくるのにも、私どももいろいろ意見を言ったのでありますけれども、日本ではどうしても母港をつくらなければいかぬ、それはできたほうがけっこうだということでできたのでありますが、今回の事態であります。これはまことに遺憾千万である。そういう点が、ドイツではいろいろ合理的に考えてやっておるなということを見てきたわけであります。
 それから、これは安全審査の面から一ぺんお答えいただきたいのでありますけれども、二の設計は大体四十二年ごろですね。あの当時の設計としては、もちろん万全のものであったろうと私は思う。それから後、日本はこの原子力に対しても非常に進歩しておる。したがって、現状から考えて、あの当時の設計になお、ミスということを考えるのでなしに、あの点はこうしたほうがよりよかったろうという点があるかどうか、それとも、そのときの審査どおりでいま考えてみてもまことにけっこうである、安全であるというふうにお考えになるかどうか、これは安全審査の面からのお考えがありましたら、ひとつ承りたい。
#314
○内田参考人 むずかしい御質問で、的確なお返事ができるかどうか疑問でありますけれども、原子力船「むつ」の基本的な考え方は、普通の船と何ら変わらないで運航できるような安全性を維持するのである、そういうことでありまして、適切な運航指針、その運航指針は原子力委員会かおきめになりましたが、適切な運航指針に沿っておれば、普通の船と何ら変わりなく一般の港に入出港ができる、また一般の人もその原子力船に、直接炉の付近は別といたしまして、乗船することも差しつかえない、そういうような安全の基本方針が確立されて設計の基本計画を見たわけでございまして、その点は何ら現在でも問題なく、また非常に的確な指針であったと思っております。
 ただ、「むつ」の原子力船は、陸上でいいますと加圧水型の原子力炉でありまして、加圧水型の原子炉がその後どういう点が問題になったかということは、もう御存じかと思いますけれども、例のECCSの問題が取り上げられてきたわけであります。ECCSの問題は、発電用の原子炉と「むつ」の原子炉とは容量も違いますし、設計も違いますし、燃料の材料等も違いますが、これに関しましては、最近は日本でもECCSに関します指針をつくりまして、それについて再検討をしておりますし、たぶん原子力局が「むつ」につきましても検討を進められていると思いますので、この点も、別に問題ないと思います。
 したがいまして、基本的な安全設計について、安全審査会が検討しました事項は現在でも変わっていない、こう思っております。
#315
○内海(清)委員 これは軽水炉の炉でございますから、それに対しては別に変わっていないという問題だと思いますが、これは、その後さらにどこかで再検討されたことがあるかないか。ことに、完成してからもう一年十カ月ほどたったわけです。そういう点を重ねていろいろチェックされ、検討されたことがあるかないか、その点をお伺いしたいと思います。
#316
○内古閑参考人 最初設計いたしましたものは相当古いものであるということは、御指摘のとおりでございます。しかし、でき上がりましてあと数年たっておりますが、特別に欠点が出たというところはありません。ただし、しょっちゅう運転をしましたり補修をしたりして補強につとめてきたということでございます。改良はございません。
#317
○内海(清)委員 改良はないということですが、最初にこれが設計、施工が完全なものであったならば今回の事件は起こらなかった、こう思うわけであります。しかし、それが起きたんでありますから、もう一度直すべきものは直す、直す個所があればそれを直す、修理する個所があれば修理する、これが行なわれるべきではなかったか、結果論としましてはそういうことであります。これがスムーズにいっていれば、そういう問題はないわけであります。しかし、時間的な余裕は十分あったはずであると思うんであります。その点については、どういうことで実際やられなかったかということでございます。
#318
○内古閑参考人 ただいま御指摘の点でございますが、今回の放射線の問題は、これは機器そのものは改良しないでそのままでございましたが、この放射線の問題は、実際に炉を運転してみませんと、放射線を出してみませんとわからないことなのでございます。各機器は一つずつ完全なものができておりますけれども、それを船に載せまして、有機的に運転するということにおきましては、故障といいますか、遺憾はないということでございますけれども、炉ばかりは、実際に臨界に達して放射線を出してみませんとわかりませんものでございますから、これだけは、今回起こった問題の原因であったと思っております。
#319
○内海(清)委員 なるほど放射線の問題は、これは臨界実験をやってみなければわからぬということは十分うなずけるわけでございます。これは大臣も言われるように、この試験をやるということは安全を保つためにということで、今回船が出たということ、これはそのとおりだと思いますけれども、事業団が今日まで、一般に対して全く安全だと言われておることについては、その点を考慮して言われたかどうか。試験してみなければわからぬ問題を、あらかじめ安全であるとPRされるところに今度の問題がある。非常な不信感を巻き起こしたのは、私はそれだと思います。
 だからこの点は、試験をしてみなければ不明の点があるが、現状においては全く安全であると推定するというふうなことであればいいんですが、その点が、PRと実際あなた方がお考えになったこととの間にちょっと矛盾がありはせぬか、私はそう思います。その点いかがですか。
#320
○内古閑参考人 ただいま御指摘の点でございますが、実際問題といたしましては、もう放射線の問題だけは、これはやってみなければわかりませんので、やむを得ないということでございますが、その他の点につきましては、これは機器そのもの一つ一つは完全なものになっておりますので、そういう点におきましては、われわれは信用を持ってやっております。
 それで、安全性の問題につきましては、私ども、設計から製作におきましても、これは万全を期してやっておりましたものでございますので、それらに対しましては、絶対の信頼感を持っておりました。したがいまして、安全性ということにつきましては、私どもは、それによって強調をしてよろしいというふうに考えておったのでございます。
#321
○内海(清)委員 全く信頼してそういうPRをされたということであります。しかし、やはりその点が、それであるならば放射線の問題については、臨界実験をやってみなければわからぬが、しかし、この程度の放射線が出る程度では、安全問題には、海の汚染もなければ何にもないのだと、その辺のPRのしかたはむずかしいかもしれませんけれども、その点の配慮が、私は足らなかったんじゃないかと思う。そういう安全だというPRをしておるときにこういうことが出ますから、きわめて不信感がわいてくる。もう母港には帰ってもらわぬと言う。
 もしこれが、原因を究明して、それがわかってから対策は立てられるでありましょうけれども、万一洋上でこれが修理ができぬようなことが出てきたら、たいへんなことでしょう。そういうこともあらかじめ考えれば、もっとその辺の配慮があってしかるべきであると私は思うのであります。その点はいかがですか。
#322
○佐々木参考人 ただいまの御趣旨のとおりでございますので、事業団としましては、そういう御趣旨に沿いまして、今後は、そういうことに一そうの注意を払ってやっていきたい考えでございます。
#323
○内海(清)委員 理事長のそういうおことばでございますから、重ねて申しませんが、事業団におかれましては、最初に申しましたように、少しミスが多過ぎるんじゃないかというふうな気がいたします。今後こういうことがあってはなりませんが、十分PRにつきましても慎重に対処していただきたい。これを強く要望しておきたいと思うのであります。
 それから、二次遮蔽につきまして、結局、頂上部が鉛だけでポリエチレンが張ってない。このことは、最初からそういうふうな計画になっておったのでしょうか、どうでしょうか。その点をひとつお聞きしたい。
#324
○内古閑参考人 ただいま御指摘の点でございますが、これは原子炉の設置申請書の参考資料といたしまして提出いたしております図面には、実際と同じように、格納容器の頂部にはポリエチレンをしてないというふうになっております。しかし、「むつ」という名前を出さない前のころ、原子力第一船といっておりますころにつくりましたパンフレットが実はございまして、それには、かくのごとき詳細な設計と同じようなのでなくて、いわゆる普通の絵がかいてありました。その絵を踏襲いたしましたので、それをそのまま採用したと申しますか、継続してまいりましたので、この点は、まことに申しわけないと思っております。
#325
○内海(清)委員 第一船時代に出したものにポリエチレンも張ってあった、だからそのままやったということでありますが、そうすると、第一船といっておった当時は、ポリエチレンを張るような設計になっておったのですか。
#326
○内古閑参考人 設計はそれからあとでございますが、最初のころは、全部ポリエチレンが張ってあるような設計になっておったのです。それが、いろいろ研究の結果、頂部はポリエチレンを省いてもよろしいという計算値が出たものですから、そのように製作をいたした次第でございます。
 したがいまして、そういうふうに変わったにもかかわらず、パンフレットのほうだけは依然としてそのままで、それは申しわけない次第だと思います。
#327
○内海(清)委員 頂部にポリエチレンがなくてもいいということは、側面のほうは十分二次遮蔽もコンクリートにしてありますし、上部でも周囲のほうはポリエチレンも張ってある、ただ頂部だけはないということは、炉心の上に水もあるし、いろいろな関係で、ポリエチレンを張らなくても安全だということだったんだと思うのであります。これは原因の究明がされなければわかりませんけれども。鉛だけだったら、どれだけの厚さでいいというふうな計算はもちろんできておったと思いますけれども、その辺の問題や、どうもこれは悪くいえば、上のほうは安全であるから――もちろん、なるべく金をかけぬことが必要ですけれども、これは省いてもいいだろうというふうなきわめて安易な考え方があったとすれば、私は問題だと思う。
 さっきも申しましたように、実験船でありますから、あくまでも安全ということについては万全の措置をとらなければならぬわけです。それで、これはもちろん原子力船の予算の問題について、ずいぶんこの委員会でもめたわけです。私も申しましたけれども、最初のものではとても応札せぬだろう、しかしよろしいということでやったら、応札がなかったので予算がふえたわけです。そのために二年ぐらいおくれちゃって、大体初めの計画でいえば、オットー・ハーンより早くできなければならなかった。それがこれだけおくれたわけなんです。もしそういうふうな予算的な問題があったとするならば、これは大きい問題だ。しかし、少なくとも安全の問題だから、そういうことはなかっただろうと私は想像しております。この辺はいかがですか。
#328
○内古閑参考人 ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、予算が少なくなったからとったとかいうようなことではございません。計算の結果省いてもよろしいということになりました結果、ポリエチレンだけをはずしたのでございまして、鉛その他につきましては、設計どおりということになっております。
#329
○内海(清)委員 そうすると、計算上そこに間違いがあったということにもなると思いますが、これは原因を詳細に調べてみなければわかりませんが、もし計算上間違いがあったとするならば、これまたたいへんな問題だと思うのです。そうすれば、これは安全審査の問題にも波及してくるだろうと思います。しかし、専門家がやられることで、計算の間違いがあってもならぬことです。おそらくそういうことはなかなか考えられぬのでありますけれども、そういう点が実際は違ってきたということについては、今後十分究明していただかなければならぬ、かように思うわけであります。
 その他いろいろございますけれども、なおもう一つお尋ねしておきたいのは遮蔽の問題です。それで今度の場合、炉と船体はメーカーが違いましたから、そこらにも関係があると思いますが、大体遮蔽の設計は船をつくるほうで担当することになった。ところが、その当時私がちょっと聞いた話でありますが、船体をつくるほうの石播さんでは、これは責任がなかなか持てぬということで、事業団がそれでは責任を持とう、計算は三菱原子力工業がやるというふうなことできまったというふうなことを当時聞いたわけですが その辺の真相はいかがでございましょうか。もし今度の遮蔽がミスがあったということになれば、そういうことにもいろいろ関係を持つわけです。私の聞いた話では、遮蔽の設計については事業団が責任をもっというふうに聞いておるわけでありますが、その点いかがですか。
#330
○内古閑参考人 遮蔽につきましては、石川島播磨重工が製作いたしまして、しかも……(内海(清)委員「計算は三菱原子力工業がやった」と呼ぶ)さようでございます。それで製作の責任は、これはメーカーにございまして、いま御指摘がございましたように、事業団が責任を持つからやれということは、これは全般的のものはすべて事業団が責任を持たなければいけないものでございまして、遮蔽だけ特にということはなかったと思います。
 それで、いま重コンクリートのお話も出ましたが、かようなものは、清水建設が実物をつくりまして実験をいたしまして、そして重コンクリートをつくったというようなこともございまして、いま御指摘のようなことにつきましては、ございません。
#331
○内海(清)委員 いまのお話のようなら理解するわけでありますが、実際に計算を石播が責任を持たないというふうなことがあったとするならば、これはその辺にあれがあると思うのであります。またいろいろな関連が出てくるだろうと思うのであります。いまの御説明のとおりであったらけっこうだと思います。もちろん、すべてに事業団が責任を持つわけでありますけれども、石播は計算に対する責任は持たぬということであったように聞いておるわけであります。
 この遮蔽問題につきましては、船体のほうで受け持つのだろう、石播のほうで受け持つのだろう、あるいはまた安全審査をする場合に遮蔽のことを考えずに安全審査はできぬだろうというふうな、いろいろな議論がいまあるようであります。これらはほんとうに、それはどこが責任を持つかということは、今後明らかにしておいていただきたいと思います。その点いかがですか。
#332
○内古閑参考人 ただいま私、ちょっと間違って申し上げた点があるようでございます。
 製作につきまして、そのものについては事業団が全部責任を持つというようにお話し申し上げたのですが、事実は、つくったものにつきましては全部メーカーの責任でございまして、われわれは、そのでき上がったものを十分試験してそれを受け取るということでございまして、つくるのと性能についての責任はすべてメーカーの責任でございます。私、先ほど事業団が全部責任を持っていると申し上げましたけれども、これはちょっと間違っておりましたので、訂正さしていただきます。
#333
○内海(清)委員 いま言われたことはわかりますが、いわゆる私の申し上げましたのは、計算の責任を石播は持たない、三菱が持つということで、これは事業団が責任を持つことを、それで承認されたということになるかもしれません。そういうことがあったわけですか。
#334
○内古閑参考人 計算はすべて三菱がやりまして、それで設計は三菱もあり石川島もあり、こういうことでございます。
#335
○内海(清)委員 設計はどうですか。
#336
○内古閑参考人 設計は、石川島関係は石川島の……
#337
○内海(清)委員 その計算に基づいて……
#338
○内古閑参考人 そうです。三菱のものは三菱、こういうことであるということです。
#339
○内海(清)委員 そういう点から申しますと、遮蔽の問題については、どうも初めから少しあいまいな点があったのじゃないか。いわば計算にしましても、元来石播が計算してその施工をすべきものでしょうけれども、それに対してはちょっとちゅうちょした、計算は三菱でやれということでやらしたというようなことを、ちょっとその当時聞いたわけであります。そういうことであるならば、遮蔽問題については、やはり最初から多少問題があったのではないか。施工するほうが、ほんとうに計算もし責任を持って施工すべきであると私は思うのです。それがよその計算でもって施工したということになるわけであります。その辺のところは、どうもいまのあなたのお話でははっきりしませんけれども、やはり常に一貫して責任の所在というものを明らかにして施工もやらせなければいかぬだろうというふうに私は考えるのでありますが、この点いかがですか。
#340
○佐々木参考人 先ほども申し上げましたとおり、遮蔽は三菱原子力研究所でこしらえまして、それを石川島播磨で製造したのでございます。全体の責任は、やはり事業団が負うべきものであります。
#341
○内海(清)委員 それはもう全体の責任は事業団が負われることは当然でありますけれども、その遮蔽の計算を、やはり施工する石播が元来やるべきものではないのか。それを三菱がやったということですね。その点いかがですか。
#342
○佐々木参考人 それは石播でそういうことができなかったので、三菱原子力でこしらえたのでございます。
#343
○謝敷説明員 ただいまの件、建造許可、これは契約の関係だけを見ております。直接安全性を見ております。その問題と、それから検査申請をした書類で私どもが確認をしておりますのは、遮蔽の問題につきましては、先ほどから質問に対してお答え申してきておりますが、原子炉の設計から一次遮蔽の基本的な条件がきまってくる、それに関連して二次遮蔽かきまってくる、こういう考え方でございまして、普通のエンジン、たとえばディーゼルエンジンとかタービンエンジンを買ってきて据えつけるという問題と違う問題でございますので、二次の遮蔽につきましても一次と関連をいたしまして、三菱原子力工業が事業団に遮蔽計算の契約をして出しております。その遮蔽計算によって基本的な寸法、材料等がきめられて、それで石播から出てきております製造申請におきましては、それに基づいて鉛を包む鋼板による作業の設計とか工作設計とか、あるいはポリエチレンを包みます鋼板の箱の設計とか取りつけとか、こういうものは石播が工作設計をして施工した、こういう関係でございます。
#344
○内海(清)委員 大体わかりました。
 それではもうこれで終わりますが、長時間どうも御無礼いたしましたけれども、今度の問題は、いずれにしてもなるべく早い時期において原因を究明され、それに対処していただきたい。そうしてほんとうに「むつ」が原子力第一船としての役目を果たすように、一日も早く善処を願いたいと思います。
 同時に、母港につきましては、すでに政府と地元の間で他に移すということで話し合いができているようで、この点についてはいろいろまた今後議論が出てくると思う。せっかく金をかけて母港をつくったが、それが「むつ」に対しても母港の役目を十分果たさないで、またほかに母港をつくらなければならぬというふうな状態。今後いろいろこの問題は出てくるだろうと私は思う。すべてこれはいわゆる国民の税金でありますから、その辺に問題があるわけであります。税金の問題につきましては、「むつ」完成後一年十カ月たってようよう実験に入ったということ、しかもこういう問題が起きて、なおこれから実験がどのくらいかかるかというふうな問題も危惧されるわけなんです。どうかひとつこの点に対して十分な御考慮をして、一日も早く原因究明とこれに対処する方針をきめていただいて、これを実施に移していただきたいと思います。
 同時に、この問題がいわゆる原子力の平和利用に――いま新聞にもずいぶん書かれておりまするし、国民の間にいろいろな問題を起こしておる。ことに、国民の原子力の平和利用に対する不信感というものは、これは専門家が考えられる感覚とちょっと違うところもあると思うのですけれども、ひとつ十分国民がこの点を理解して、今後の原子力の平和利用に支障のないように、この点も万全の措置をとっていただきたい、このことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。もし長官のなにがありましたら……。
#345
○森山国務大臣 御趣旨を体しまして、最善の努力を尽くします。
#346
○安井委員長 参考人各位には、長時間にわたりありがとうございました。
     ――――◇―――――
#347
○安井委員長 この際、おはかりいたします。
 先般、鹿児島県、佐賀県、福岡県及び岐阜県に委員を派遣し、科学技術の実情について調査を行なったのでありますが、派遣委員より調査報告が文書で提出されております。
 本調査報告を、参考のため会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#348
○安井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後六時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト