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1974/10/15 第73回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第073回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
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1974/10/15 第73回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第073回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号

#1
第073回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
昭和四十九年十月十五日(火曜日)
    午前十時四十五分開議
 出席委員
   委員長 安井 吉典君
   理事 伊藤宗一郎君 理事 佐々木義武君
   理事 田川 誠一君 理事 石野 久男君
   理事 原   茂君 理事 瀬崎 博義君
      石原慎太郎君    前田 正男君
      粟山 ひで君   米内山義一郎君
      山原健二郎君    近江巳記夫君
      内海  清君
 委員外の出席者
        原子力委員会委
        員       井上 五郎君
        科学技術政務次
        官       中村 禎二君
        科学技術庁長官
        官房長     片山 石郎君
        科学技術庁研究
        調整局長    伊原 義徳君
        科学技術庁原子
        力局次長    福永  博君
        科学技術庁原子
        力局原子炉規制
        課長      中村 守孝君
        国土庁長官官房
        災害対策室長  杉岡  浩君
        運輸省船舶局長 内田  守君
        気象庁長官   毛利圭太郎君
        参  考  人
        (東京大学名誉
        教授)     萩原 尊礼君
        参  考  人
        (日本原子力船
        開発事業団理
        事)      堀  純郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月十五日
 辞任          補欠選任
  河上 民雄君    米内山義一郎君
同日
 辞任          補欠選任
 米内山義一郎君     河上 民雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(地震予知及び原
 子力船むつの放射線漏れ事故に関する問題)
     ――――◇―――――
#2
○安井委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 本日、地震予知に関する問題調査のため、東京大学名誉教授萩原尊礼君に参考人として御出席を願っております。
 この際、萩原参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席くださいましてありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いいたします。
 なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行ないますので、さよう御了承願います。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。原茂君。
#3
○原(茂)委員 予定しましたより、いろいろな都合で時間が非常に短くなりましたので、相当多くの問題でお伺いをしたいと思いますが、どうせ繰り返しが多いと思いますから、繰り返しを避けるように端的にお伺いもしますし、御答弁もちょうだいしたい、こう思います。
 最初に、最近の地震についてお伺いしたいのですが、まず伊豆沖地震、これはもう相当のエネルギーが放出されたので、当分の間地震の心配はない、こういうことになるのでしょうか。
 続いてお伺いしますが、この地震のあと、天城山西部のどこかで、温泉などが相当湧出量が多くなる、温度も上がった、こういうことをいっていますが、やはりこの伊豆沖地震に関係してそういう現象があらわれたということになるのでしょうか。そういう現象があらわれると、当然地下水位が上がっていることを中心にいろいろと調査をしているようですが、そういうことをしろうとが聞きますと、また何か地震が、大きなエネルギーの放出がそこらに行なわれるのじゃないかという不安がありますが、そういう点は心配ないものかどうか、それが二つ目です。
 それから、これもついでにお伺いしておいたほうがいいと思いますが、八月四日に関東地方を中心に地震がございました。宇都宮、水戸あたりで震度四、相当大きな地震だということで、所によっては騒がれましたし、死者も出るというような地震だったようですが、次いで九月四日に、また御存じの東北地方の北部中心の地震がありました。これは盛岡、八戸あたりが震度四の大きなものだったようです。こういう一連の地震があったあと、九月の二十七日にまた房総沖の地震がございました。この日の前の日でしたか、九月二十六日に地震予知連絡会が、相当大きなものがあるだろうという珍しい発表をされたわけであります。たいへんいいことだと思うのですが、いままでの調査の結果、空白地域における判定をされて相当の地震が起きるだろう、こういったやさきに二十七日のあの地震があったというようなことから、最近、何かいよいよ、予知連絡会でも警告を出すし、ずっとこの一カ月、二カ月を見ると、伊豆沖地震以来かなり関東地方周辺に大きな地震が起きたりして、またそれ以上のものが起きるのじゃないかというように予知連絡会の発表を受け取る向きもあって、たいへんこの点で心配があるわけですが、一連のこの問題に対して、現在予知連絡会として総合されました中で、いま私が疑念に思っておりますような一連のものが、一連の関連がある、あるいは全然切れた、違った現象でこれが起きているので、特に冒頭にお聞きしましたように、たとえば活断層上における伊豆沖地震のあとは、もう全然心配はないのだといったようなことが言えるかどうかを、一つずつ区切ってここでお教えをいただきたい。これは萩原先生でも気象庁でもけっこうでございますから、まず第一にこの点をお伺いしたい。
#4
○萩原参考人 お答え申し上げます。
 南伊豆地震のエネルギーが、どの程度までどの程度の地域において解消されているかということでございますが、大体こういう地震は、地震のあとに余震が起こります。その余震の起こりました範囲、余震域と申しておりますが、大体その程度の範囲のエネルギーが解消されるのでございまして、それ以外は、まだ大きなエネルギーが蓄積されている場合もあり得るわけであります。
 次に、南伊豆の地震に伴いまして、天城山地方などに温泉の湧出量がふえたとか、そういう報告がございます。この南伊豆の地震におきまして、天城山周辺の地域まで影響が及んだということは確かでございまして、現にこの南伊豆の本震の直後に、伊豆半島の南部におきまして多数の余震が起こりましたが、これと同時に天城山周辺でも多数の小地震が観測され、現在も観測されつつあるわけでございます。
 それで、この天城山地域は、かつて、昭和五年、丹那盆地に大きな断層をつくりました伊豆北部の地震、その断層の延長上にあるわけでございまして、現在、南伊豆地震の後に起こっております天城山付近の小地震は、北伊豆地震の断層の延長として天城山付近の活断層が少し動いた、そういう結果に基づくものであるのか、もうすでに、昭和の初期におきまして天城山付近で強震が起こっておりますが、そういうことであの付近のエネルギーは大部分解消されていて、ただその残りが、この南伊豆地震によって誘発されてエネルギーが解放しているとも考えられるわけでありますが、この問題は、現在まだはっきりとした解決を見ておりません。現在国土地理院におきましては、天城山を通りまして伊豆半島を縦断いたします路線につきまして水準測量を実施しております。もうやがてそれが終わると思いますが、それと、それより南にやはり水準路線がございますが、それの再測結果によりますと、下賀茂付近にやはりかなり大きな落差が認められております。もし天城山の水準測量の結果ここに大きな変動があるとすれば、やはりそういった断層の活動のようなものがあったということになるわけであります。この天城山付近の地震活動につきましてはただいま調査中というところで、もう少し時間がたちますと、よりはっきりしたことを申し上げられるかと思います。
 そういうことに関連しまして温泉の湧出、これは単に振動だけで湧出量がふえる場合もございますが、そういった一連の地殻変動と関連して湧出量が増したということもございますので、ただいま一生懸命調査を進めている段階でございます。
 次に、最近起こりました一連の地震でございますが、東北地方で起こりました盛岡震度四の地震、これは別といたしまして、九月二十七日房総沖に起こりました地震は、その前日連絡会が発表いたしました房総南沖のいわゆる地震活動の空白地帯、これのまさに周辺で起こったものでございまして、これは、連絡会の翌日起こったのは全く偶然でございます。
 ただ、こういったような空白部の周辺における地震活動は、この地震だけではございませんで、このごろたびたび周辺で起こっております。また皆さん方がお気づきにならない、つまりからだに感じないような小さい地震が非常にたくさん起こっております。銚子付近それから勝浦付近等も含めまして、いわゆる微小地震群というものが起こっております。こういう意味で、こういった地震活動の空白部の周辺で地震活動が盛んになってきたときは、その空白部に大きい地震が起こる、そういう例が幾つか経験されておりますので、現在連絡会といたしましては、この空白部の周辺の地震活動を、特に気象庁と大学にお願いいたしまして監視していただいているわけでございます。
 なお、この空白部はなぜ重要視しているのかと申しますと、歴史時代に房総沖で非常に大きな地震が起こって、大きな津波を起こし、また房総半島の太平洋岸に大きな地震災害を与えているということがあるからでございます。ただし、東京ということを考えますと、相模湾に起こりました大正十二年の関東地震よりも震源地が遠くなりますので、関東地震ほどの影響はないと思っております。
#5
○原(茂)委員 いまの問題でもう一点お伺いしたいのですが、空白地帯を中心に検討された結果の発表があったわけです。それによりますと、二百七十年間大きな地震がなかったということが、房総半島南沖を中心にと発表された理由のようですが、いままで多くの歴史を調べてみますと、大体百年から三百年という周期が――周期ではありませんが、長いので三百年ぐらい、それ以上のものはあまりないということになりますと、二百七十年もなかったということは、うっかりするとほんとうにごく近い将来に相当大きなエネルギーの放出がある、大地震がある、こういうことに考えられるのですが、先生は人心を動揺させると思って言えないのかもしれませんが、年内ぐらいにはあぶないぞということなんでしょうか、まだ十年やそこらだいじょうぶだというふうに、そのくらいの見当はおつきになるのでしょうか、どうでしょうか。
#6
○萩原参考人 私ども連絡会が、房総沖に地震活動の空白部があるということを特に申し上げました第一の理由は、南関東の観測強化によりまして、相模湾周辺、房総半島におけるひずみエネルギーの蓄積は、大正十二年関東地震以後それほど大きくはない、つまりあの辺で、相模湾周辺で、関東地震の再来は当分は考えられないということになりました。それで、もし関東周辺で非常に巨大な地震の起こり得るところがあるとすれば、この南である、直下地震は別でございますが、それだけしか考えられない、こういうような意味合いで発表いたしたのでございます。
 ただ、その空白部にいつ大きい地震が起こるか、その時については現段階においては明確にお答えできない。これから調査、観測を進めていくことによって、はっきりしたことが申し上げられるのではないかと思っております。
#7
○原(茂)委員 地震予知推進のための五カ年計画があるわけですが、この五カ年計画が過ぎると、この種の問題で、いつごろというようなことがばく然と言えるようになるのでしょうか。
#8
○萩原参考人 言えるようになると思います。
#9
○原(茂)委員 その次にちょっとお伺いしたいのは、地震と火山の噴火との関係なんですが、この間、いまの南伊豆の地震の直後に東大地震研の中村助教授が、火山の噴火、特に三原山ですが、これとの関係があるんだというような発表をされました。そのあと、通産省の地質調査所の第一調査研究室長の木村政昭という方が、御存じのように、千七百年前後大島は五回大爆発をしたんだが、一例を除いただけで――一例というのは、一八五四年東海道、南海道大地震といわれるマグニチュード八・四の巨大地震の直後に噴火した。この一例を除いただけで、あとの四例は、噴火があってから三年から十一年後、大体平均して七年後くらいには大きな地震があった。相模灘あるいは遠州灘です。そういうことを考えると、やはり火山の噴火と地震というものは、関連して考えるべきだというふうな説をなす先生方もおいでになるんですが、この説は、大体、現在予知を中心に研究をなさる先生の立場でも、やはりそういうことがあり得るというふうにお考えでございますか。火山の大噴火と地震との関係というものは、全然ないと思うということになりますか、あるということになるのでしょうか。その点をお伺いしたい。
#10
○萩原参考人 大きい目で見まして、地震活動と火山活動とは関係があります。特に、御承知のように海洋底拡大説、プレート・テクトニクスの考えによりますと、地震活動と火山活動とは一体のものと考えなければならないわけでございます。そういう意味で、大島の噴火は、地震の研究の立場からも大いに考えていかなければならないわけでございます。そして三原山の活動といいますか、それと関東及び関東南部の非常に広い範囲の地震活動との関連、これは考えていかなくてはならないし、また、大いに関係があると思うわけでございます。
 ただ、木村さんのおっしゃるように、三原山の活動だけを見ていれば地震の予知ができる、しかも、過去においてこうこうであったから、千九百何年に大噴火があって、それから関東地震があって、それから千九百何年に東海地震が起こるだろう、そういったような、いつ起こるかということまでに触れるということは、これはまだ木村さん個人の考えであって、学会で議論される段階である。したがって、いつ起こるかまでの問題については、連絡会としては現段階におきましては触れないといいますか、木村さんの考えは取り上げないということにいたしております。
#11
○原(茂)委員 前々回も、いまお答えいただいたような問題で心配をして申し上げたのですが、たとえば、関東大震災の八カ月前に三原山の大爆発が起こっている。これも木村さんの発表の一部ですが、引例しなくても、先生御存じのようですからあまり多くを申し上げませんが、現在、三原山の火口底がどんどんどんどん上昇を続けているというようなことからいいますと、しろうとの立場で何かやはり、三原山の火口底の上昇というようなことが、次の地震の予知に非常に関係があるのじゃないかという感じがしてならないわけですが、この種の問題は、木村先生がそう言っても、学会、いわゆる連絡会としてはまだ取り上げない。これは先生が一存でおきめになるかどうか知りませんが、自動的に、その種の発表があったり問題がありましたら、連絡会あたりで真剣にやはりこれも取り入れて、三角測量でありませんが、一点、二点の測量のほかにもう一点、この三原山の火口底の上昇というようなものを加えた予知という観点からの検討も、この意見も入れながらするというようなことにしていただいたほうが、何かいいのじゃないかという感じがするのです。
 ただ、いまのところ取り上げないというようなことだけで、どなたかの判定で、まだ早い、そういった関係が直接あるとは思わないというようなことだけで終わってしまうのか。やはりそういうことは広く、せっかくの研究がされたら、それは正式に連絡会あたりで取り上げて、多くの経験のある大先生方が真剣に討議をされて、その結果、まだ早い、直接関連があり、いつ幾日にこの火口底の上昇の率によって地震がありそうだということは、まだ言えないというようなことに判定が出たということならいいのですが、何かこういう意見がたまたま出ます。地震学会の総会が開かれたと思いますが、十三日で終わったのでしょうが、そこらでも、あとでちょっとお伺いしますが、いろんな意見が出ていますけれども、やはりこのくらい木村先生が言う、中村先生も言っているというような問題に関しては、やはり連絡会あたりが自動的にこれを取り上げて審議の対象にして、何らかの関連づけにおいてこれが有効に予知に作用する、予知の一助になる、検討した結果そういうふうにするような仕組み、そういう習慣がないと、何となくもったいないような気がしますが、こういう点は私の聞き違いなんでしょうか。そういうものを自動的に連絡会で検討するような仕組みというものはないのでしょうか。
#12
○萩原参考人 三原山の噴火と地震の関係につきましては、この前に原先生から御質問がありまして、連絡会で統一見解の発表はできないものかというような話がございまして、連絡会では十分討議いたしました。その結果のコメントでございます。ただ、地震と火山とは関係ないと一蹴してしまったのではございません。ただ、非常に綿密に、起こるときまでを言うということは、現在、まだ学会で論議される段階であるというふうに考えたわけでございます。
 なお、三原山の活動につきましては、最近、噴火予知連絡会、ちょうど地震予知連絡会と同じように、火山活動に対するそういった連絡会ができまして、観測、調査等は十分行なわれつつあります。
#13
○原(茂)委員 ありがとうございました。
 では次に、地震予知に直接関係してお伺いしてみたい問題が二、三ありますが、その第一は、去年の三月でしたが、ソ連の科学アカデミーのサハリン総合研究所が、太平洋海域の調査のあと公表した声明がございます。ごらんになったと思いますが、「太平洋海底の安定期は終わり、新しい地震の時代が始まるだろう。もしこの予想が正しければ、七三年から七五年の間にアラスカ・カムチャッカ・日本を結ぶ地帯に三、四回大地震が起こり、大津波を引き起こすだろう」こういう発表がありましたので、たぶん御存じだろうと思います。やはりソ連も予知に関しては相当の研究を進めておりますし、特に海底調査に関しては進んだ面もありますので、このソ連の声明というものは、わが国の地震予地という観点からいっても非常に重要な問題を提起された、私はこう思うのです。
 こういうことに対して、日本の研究なりあるいは地震発生の状況に照らして、これは相当傾聴に値する、真剣に取り上げる必要がある理論だ、こういうふうにお考えでしょうか。あるいはこの感想、といっては恐縮ですが、これに対して、ある程度必要があれば、連携をとりながらわが国の地震予知に少しでも寄与させるように御配慮されているものかどうか、全然ソ連に連絡もしない、ただ発表を聞いただけということになっているのか、二つに分けてひとつお伺いしたい。
#14
○萩原参考人 ソ連では、地震に関係いたしました研究は、カムチャッカグループ、中央アジアのグループ、それからサハリンのグループなどがございます。そのグループは、みなそれぞれの地域において研究を進めておりまして、互いに競争でやっております。日本の地震学者も、ソ連のこういった研究者たちとは非常に親睦でございまして、手紙あるいは論文の交換等でお互いに知識を交換いたしておりますし、また、ときどき地震予知のシンポジウム等によって会合をいたしております。現に本年の五月も、タシケントにおきまして地震予知のシンポジウムがございまして、日本からも数名出席いたしておる次第でございます。
 ただ、このサハリングループが、どういうわけで太平洋海底に大きな地震活動が来ると言ったか、その理由はただいまはっきりいたしておりませんが、この太平洋の、いわゆる日本から千島列島、それからアリューシャンにかけました一連の島弧、ここは非常に巨大地震の起こるところでございまして、現在もそこに幾つかの空白部が存在しているわけでございまして、ここで巨大地震の起こる可能性は大いにあるわけでございます。これが大体どこで起こるであろうということも、つまり空白部に着目すればわかるわけでございます。ソ連におきましては、特にこの空白部の調査は非常に詳しく進められております。
 以上でございます。
#15
○原(茂)委員 なるほど、連絡が相当密にとられておるようですからけっこうだと思うのですが、このソ連でも相当、最近ある程度の予知ができたという例があるようですし、中華人民共和国もまたそういう二つぐらいの例を発表したようです、まあ私の聞いた狭い範囲かもしれませんが。米国でも少なくとも一、二例はあるというように、地震予知というのはある程度進んできているんです。この各国の例を見ましても、これはしろうとでわかりませんが、中くらいの地震の予知はできたけれども、大地震の予知ができていないんじゃないかというふうに思うのですが、これは私の勘違いかどうかをひとつお教えいただきたい。
 それから二つ目に、地震予知で一番大切なことは、これはもう先生が御中心でたいへん長年御苦労をいただいているわけですが、一つには、やはり地下水位の問題、それから井戸の中のラドンの変化の問題ですが、最近、これもまた東大の先生方、学生と一緒に思い切った発表をしたようです。それから、いわゆる化学成分の変化の分析、それから地磁気、これも何か新しい研究分野を開発されたように聞いています。それから地震波の速度、それからサイスミシティー、その次に地殻変動の連続観測、それから測地測量というようなものがおもな地震予知の必要なテーマになるわけだろうと思うのです。
 この中で、地下水位の問題あるいは化学成分の分析といった問題が最近非常に重要になってきたんですが、この分野におけるわが国の基礎研究、むしろその研究をされる学者、先生方が足らないというようなことを聞いているのですが、この予知をなさろうとする先生のお立場で、やはりそういう点お考えになって御不自由なのかどうか。
 それともう一つは、やはり地下水位の問題でいうのは、専用の深井戸がない。もっとほしいのだけれども、数が予算の関係でできないのか、とにかく専用の深井戸というものがあまりない。観測専用の深井戸は、場所の問題もあるでしょうが、あとで予算のこともちょっとお伺いしますが、一体予算上からいってできないのか。もし、専用の深井戸の場所が見つかった、やろうとしても、予算はあっても、この面における専門分野をやる先生方が少な過ぎて、人の問題がある、こういうことになるんでしょうか。とにかくこの二つの分野については、ちょっと日本の地震予知の面で欠けているという心配があると聞いたことがあるのですが、そういう点いかがですか、率直にお答えをいただきたい。
#16
○萩原参考人 最近、地下水が地震の前に変化する、あるいはラドンの含有量が変化する、化学成分が変化する、こういったことが大きくクローズアップいたしてまいりました。
 これの大体大もとは、ソ連の中央アジア、特にタシケント地方、タジク共和国の科学アカデミーが中心になって大々的な研究を進めております。一九六六年のタシケントの地震、これはマグニチュード五・五で、深さは数キロのところに起こった地震でございますが、町のどまん中に起こったために非常に大きな被害を出している。このときに二千メートルの深井戸から、いわゆる飲料水をくみ上げておったわけでございますが、その中のラドンの含有量が地震の前に非常に大きく変動した、そして地震が済むとまたそれがもとへ戻った、そういうことで世界的に有名になりました。その後、その余震につきまして調べますと、余震の大きいのがある前にラドンがかなりふえるということがわかりました。そして、このラドンの変化があるような場合には地下水も変化するし、いわゆる地下水の圧力でございますね、それも変化する。それから他の化学成分も変化する。これはつまり、地震が起こる前にある変動が地殻に起こって、ある帯水層の下から新しい水が供給されて、それにラドンが含まれている、また他のいろいろな化学成分も含まれている、こういうことで、いわゆる地殻変動のインディケーターになるというふうに考えております。
 ただ、ソ連におきましても、どういう過程でこの下の層から上の層にラドンがしみ出してくるかという、その詳しい過程についてはまだ研究中でございます。これを受けまして、各国で地下水のラドンの分析等を始められたのでございまして、アメリカにおきましても、一、二地震との関係が見つかった。また中国におきましても、ある地震でラドンとの関係が見つかったということが報告されております。
 ただし、これらの地震で、要するにこれは地震と水ということになるわけでございますが、いままででその関係づけられた地震の一番大きいのは、マグニチュード五・五ぐらいでございまして、アメリカあたりでは、地震の前にはっきり変わったというような、これはラドンでございませんが、地震の前に地震波の速度が変わったというような報告がございますが、小さいのになりますと、マグニチュード二・五といったようなほんとうに小さい地震でございます。こういうわけで、こういったような現象が、マグニチュード六以上あるいは七、八、そういうものにそのまま適用できるかどうかということは、これからの問題でございます。
 日本では、この地下水と地震との研究というのは非常に不利でございます。これは日本では非常に雨が多いということ、ああいう半砂漠地帯と違いまして、表面のほうは雨によって非常に左右される。深いところは、今度は別に、人口の密度が多いということで、盛んに人間が方々で深いところから地下水をくんでおりますので、いわゆる天然の地下水層の中の圧力といいますか、水の圧力、こういうものが人為的にディスターブされております。そういうようなことでなかなかむずかしいのでございまして、日本でこれが手をつけられなかったというのは、そういうところにあると思います。
 かつて関東地方におきましても、川越付近で非常に戦争前は水がたくさん自噴しておりまして、それが地震の前に変わるということで、それの湧水量を測定するということを始めたことがありますが、もうそのうちにそういう井戸水はかれてしまうというようなことがありました。しかし、こういうふうに非常にいい条件を備えたところでこういうことの関係が出てきたとなりますと、幾多不利な条件がありますけれども、日本でもまたそれなりの方法があるのだろうと思います。
 そういうわけで、この地下水の地球化学的な調査による地震予知の研究、こういうことは日本におきましては非常に立ちおくれておりますし、こういう地球化学の研究者というものの数も非常に少のうございます。しかし、この地震予知ということは非常に重要なことでありますので、あらゆる角度からそういう調査研究を進めて、総合的な判断を行なうべきものだと思いまして、これからは、こういった地球化学者による地震予知の研究ということが進められていくことを願っている次第であります。
#17
○原(茂)委員 ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、地球化学の面における技術者が少ないということは事実のようでございますが、この点もまた、次にもう少し、どうして補充するかをお伺いしたいと思ったのですが、きょうは時間がありませんから、それができません。
 それからお伺いしたいのは、磁場の変化による判断が、地磁気の問題ですが、これが研究されてきた結果、松代地震のときにもあった発光現象というようなものが、やはりこれは相当根拠のあるものだというので、発光現象そのものもやはり地震の予知という点では必要な課題の一つだ、こういうふうに最近は先生方もお考えになり始めたようなんですが、たとえば、房総半島南沖中心に空白地域を考えて、大きな地震のおそれがあると考えたときに、この発光現象そのものをとらえるような、常時観測するというようなことは必要ないのか、しようとしてもそれはむずかしいものなのか、どうなんでしょうか。
#18
○萩原参考人 地磁気の現象は、日本においては非常に進んでおります。そしてもし地震との関連、特に地震の前兆現象としての地磁気の変化があるとすれば、それは非常に小さいものであるということで、最高の技術をもって初めて測定できる程度の小さいものである、そういうことまではっきりわかっております。
 ところで一方、これまた日本の一つの悩みでございますが、非常に人為的な現象、つまり鉄道とかあるいはその他で人間がたくさん地面の中へ電流を流しますために、人為的な地磁気の変化が、われわれが測定しようとするものを越えたようになりがちでありまして、よほど山の中か鉄道から離れたところへ行かないと、観測が不可能だという状態でございます。
 発光現象におきましては、昔から、どういう場合に発光現象が見られるかという調査は非常にたくさん日本にございまして、武者金吉さんの書かれました「発光現象と地震の関係」という厚い本もある次第でありますが、この発光現象のあらわれ方もなかなか千差万別でございます。いわゆる発光現象の大半ばやはり人為的なもの、つまり高圧線がスパークするとかいったようなものであるということもわかっておりますが、実際に発光現象がある場合もあるということも確かでございまして、地震学者がそういった発光現象を実際に目撃してスケッチをしたような例もございます。
 ただ、あらわれ方が非常にまちまちでございまして、この発光現象を、何か非常な光を見たからそれですぐ地震が起こるということに結びつけるというわけにもまいらないのでございます。ただ、非常にとっつきにくい現象でありますので、これをほんとうに専門に観測し、研究しようという人がなかなか出てこないのが現状でございます。
#19
○原(茂)委員 時間がありませんので、一括して各般の問題を三つ、四つまとめてお伺いいたしますので、科学技術庁からもお答えをいただいたり、気象庁からもお答えをいただきたいと思うのです。
 いまの予知に関係もするのですが、深層観測井戸、これはどんどん進めていかなければいけないわけですが、その進捗状況は一体どうなっているのか、五十年度予算はどのくらい要求して、どこへどの程度のものを計画されているのかということが一つ。
 それから、地震予知推進会議が発足していなければいけない時期でございますが、これはいつ発足する見込みでございましょうか。同時に、これが果たす機能は一体どういうものか。地震に関する限り――国土庁へあとで都市防災を中心にお伺いしようと思ったのですが、時間がありませんので、国土庁からおいでいただいた方、また次に譲らせていただきますけれども、とにかく責任が一体どこにあって、どこで有事即応の体制と、指揮命令がはっきりして、ぴしっと動くようになるのかというような点が、いまだに私どもつかめないし、そういう機構になっていない点を前にも指摘しましたが、依然としてまだそこまでいっていない。非常にこれは心もとないことなんで、どうしても推進しなければいけないと思いますが、この点をじっくりお伺いして詰めていきたいと思いましたが、それも時間の関係であとに譲ります。しかし、少なくとも前からいわれております推進会議に関しては、それ相当の準備がもうできたはずでございますから、発足の時期、めど、それと、一体どういう機能を果たさせることになるのかということを、科学技術庁でもけっこうですから、お伺いをしたいと思うわけです。
 それから、五十年度の予算要求がすでにされました。金額あるいは内容、こまかく持っておりますが、これは萩原先生御存じでございましょうが、予知を中心にした関連予算として、大体今度の要求が通ればまあまあ満足だということですか。去年先生がおっしゃった、この程度にいけばといったものに金額的には合っておりますが、現在、いろんな研究を新たにしなければいけないという要素が非常に多くなってきた段階で、五十年度に関して、現在の予算要求、やはりこれでいいと思う、こうおっしゃるのかどうかを伺いたい。
 それからもう一つ、これは気象庁にお伺いしたいのですが、たとえば気象庁の御要求するこの予算がとれたとしても、実際に具体的に仕事をしていこうとする手足が非常に少ない。これが十分に充足されない限り、予算はとれたって、気持ちはあせってもなかなか成果をあげることができない、十分な研究ができない。そのためには人を補充しなければいけないのだが、その人が、今度の要求を見ましても、増員の面では気象庁が一番多いようですが、しかし、それでも三人だ四人だというわずかな人間ですが、これで十分なのかどうか、これをひとつお伺いしたいと思います。
 それから、この予知に関して一番大事なのは、やはり海底の地質調査というのが非常におくれているのがわれわれにとっても不安なんですが、これを、現在一体どういう計画を持ち、どうしようとしているのか。この間の六十メートルですか、もぐりましたが、そんな程度でやったのじゃ話になりませんし、かって、ずいぶん前ですが、昭和三十年ごろですか、フランスの潜水艇に乗って、日本の学者が三千メートルか四千メートルくらいはもぐって調べたことがあったようですが、私は前回にも、思い切って予算をつけて、外国の優秀な潜水艇があったら、それをチャーターしてでも海底の地質調査をすべきではないかということを科学技術庁には申し上げたことがあるのですが、その計画なり、それをやろうとする意気込みがこの予算の中にあるように思えないのですが、一体その点をどう考えておいでになるかというようなことを、一括して御質問して恐縮ですが、大都市防災に関してお伺いしたい国土庁の皆さんにはまたの機会に譲らしていただいて、最後に御答弁をいただいて終わりたいと思います。
#20
○伊原説明員 地震予知の重要性につきましては、原先生から、この委員会におきまして、従来ともしばしば御指摘をいただいたところでございますが、まず来年度予算につきましてざっと御説明申し上げますと、関係省庁の昭和五十年度予算要求総額は約二十六億五千六百万円でございまして、四十九年度が十五億五千三百万円でございますので、倍率が約一・七倍でございます。
 なお、御参考までに科学技術庁の関係といたしまして、国立防災科学技術センターで、先ほど御指摘の深層の井戸、深井戸による観測などを行なっておりますが、この関係が約一億七千四百万円でございまして、四十九年度の予算額五千九百万円に比べまして、約三倍となっております。
 深層観測井の計画、進捗状況といたしましては、現在、すでに埼玉県の岩槻市におきまして約三千五百メートルの井戸が掘り上がっておりまして、これは四十八年度に完成をいたしまして、すでに観測に入っておるところでございます。この一号井の完成によりまして、基盤の振動、地表面におきますよりも感度が百万倍から二百万倍程度よいといわれておりますし、また、雑音が非常に少ない、数百分の一、こういうふうにいわれておるわけでございますが、この連続観測をいたしておりまして、非常に有効であるということがわかってきたわけでございます。
 そこで、その次の計画はどうなっておるかということでございますが、今後さらに東京を囲んで二地点、東と西とに掘りまして、三角形の三つの井戸でもって連続の測定をいたしたいと思っております。来年度は、東部地区といっておりますが、そちらの深井戸につきまして計測器製作の整備を行なう、こういう予算を要求いたしておりまして、再来年度に掘る。それから、西のほうの井戸につきましては、四十九、五十年度に基盤の調査を行ないまして、五十一年度から三カ年で掘る、こういう計画でございます。こういうふうにいたしまして、昭和五十四年度からは深層観測井の三点観測ができる、こういうふうに考えております。
 それからその次に、地震予知研究推進連絡会議の件でございますが、昭和四十八年の七月に中央防災会議が、「当面の防災対策の推進について」という申し合わせがございまして、その線に沿いまして、地震予知関係省庁の連絡会議を設けまして、いままで幹事会も含めまして十回開催をいたしまして、鋭意検討を進めてきたわけでございますが、その結果、地震予知実用化のための研究を総合的、計画的かつ効率的に推進するために地震予知研究推進連絡会議、こういうものを設けるということで関係省庁の間で合意されたわけでございます。
 この会議は、本年十一月に発足ということで現在準備を進めておりますが、この会議でやりますことは、地震予知実用化のための研究をどういうふうにして推進すればよいか、この基本的な方策を考える、それから地震予知推進に関する測地学審議会の建議、そういったものの具体化をどうする、こういうふうなものを鋭意取り組んでまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
 機能につきましては、まずその責任体制ということでございますけれども、これは現在関係省庁といろいろお話をしておりますが、この会議は総理府に置く、こういうことで考えておりまして、科学技術事務次官が主宰する、一応こういうことで案が考えられております。もちろん、関係省庁いろいろございますので、その間十分連絡をとりまして、そごのないように考えておるわけでございますが、たとえば各機関の研究、観測情報、そういうものを交換、これにつきましては地震予知連絡会というふうなものもあるわけでございますけれども、行政府ベースでの会議といたしましては、この予知連絡会と十分密接に連絡をとりまして、学問的、科学的な御判断を十分行政ベースで活用してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
#21
○萩原参考人 五十年度予算の要求に関しましては、この金額は、かつて私がいろいろ要望してまいりました額にほぼ近いものでございまして、満足いたしております。
 ただ、聞くところによりますと、ことしはたいへん財政緊縮だそうでございますが、地震予知の重要性にかんがみまして、この要求した額がばっさりやられませんように、皆さま方の御配慮を願っておく次第でございます。
#22
○毛利説明員 申し上げます。
 気象庁の五十年度の人員要求は十数人を要求しておりますが、もしいただけましたならば、われわれが予算要求いたしました仕事は、従来の人員とともに活用いたしましてできると考えております。
#23
○原(茂)委員 確かに気象庁は十五名になるわけですが、これ全部ならば満足できるそうですから、何とか、きょう長官はいませんが、大臣としてこの点の協力を、また次の機会にお願いをする予定です。お答えがなかったのは、いま海底調査に関してどうするかの問題があるのですが、これももう時間がありませんので、次回に譲らしていただきます。
 どうもありがとうございました。
#24
○安井委員長 この際、萩原参考人に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査の上にたいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
     ――――◇―――――
#25
○安井委員長 引き続き、原子力船「むつ」の放射線漏れの事故に関する問題について調査を進めます。
 難航していた原子力船「むつ」の帰港問題も、昨日、漁業組合、県等との話し合いが合意に達し、本日、母港に帰港することになった模様でありますが、出港より今日に至るまでの本問題に関する経過概要について、政府より報告を求めることといたします。中村科学技術政務次官。
#26
○中村(禎)説明員 原子力船「むつ」が出港いたしましてから現在までの経緯につきまして、概要を御説明申し上げます。
 八月二十六日午前零時四十五分出港いたしましてから、同月二十八日尻屋崎東方八百キロの洋上で初臨界を達成いたしましたが、九月一日午後五時十七分、熱出力一・四%で試験中、毎時〇・二ミリレントゲンの放射線漏れが生じました。このため直ちに原因調査を開始し、専門家グループを同船に派遣、調査に当たらせました。同専門家グループは九月十三日帰京し、調査結果の報告を受けました。その報告を検討した結果、一次遮蔽のすき間を伝わっての漏れがおもなものであり、洋上での補修は不可能であると判断されました。
 そのため政府は、九月十四日、十五日の両日、原子力船関係閣僚懇談会を開き、「むつ」の入港先を検討した結果、まず燃料交換設備のある定係港に入港せしめ燃料を取りはずす、その後神戸に回航せしめ、原子炉を製作した三菱重工業神戸造船所で修理をするとの方針を決定いたしました。
 九月十九日定係港に帰港することについて地元の了解を求めましたところ、青森県知事をはじめ地元各方面より、現時点の入港は著しい混乱を生ずるので、見合わせられたいとの強い要請があり、十九日の入港は一たん延期し、十九日再度閣僚懇談会を開催し、とりあえず陸奥湾外のもよりの適地に仮泊し、当面の補給、人員の交代を行なうことといたしました。しかし、この陸奥湾外での仮泊に対しましても、県漁連は反対の決議を行なうに至ったのであります。
 政府は、かかる情勢にかんがみ、局面の打開をはかるとともに、長期漂流の状態にある「むつ」の実情を調査し、「むつ」船長との意見の交換に当たらしめるため、九月二十六日、科学技術庁政務次官以下を本船に派遣いたしました。その結果、「むつ」の乗り組み員の状況は、何ら目的なくして洋上で漂泊を続けておる、しかも帰る港もないという状況のもとでございますので、船員の精神的な問題、また健康の問題等、限界に達しておると思われたのでございます。また、船体の状況も限界に達しており、早急に入港を実現する必要があると判断いたされましたので、私は、帰りまして率直にその旨報告をいたしました。
 九月三十日、政府・与党連絡会議を開催し、鈴木総務会長を現地に派遣し、「むつ」の定係港入港についての地元の了解を得るための話し合いに当たらせることといたしました。鈴木総務会長は、県知事はじめ地元の各方面と精力的に話し合いを進めるとともに、現地において専門家会議を開催し、入港に伴う安全性の確認を行なうなど、局面の打開をはかられました。
 漁連側も、その委嘱する専門家とともに代表を「むつ」本船及びむつの事業所に派遣し、原子炉を停止した状態での入港、停泊については、安全上心配がないことを確認するに至ったと見られたのでございます。
 県漁連側は、各単位組合の意見を取りまとめ、十四日の代表者会議の後、鈴木総務会長との最終的な話し合いが行なわれ、その結果、「むつ」の定係港入港、定係港の撤去、地元地域及び漁業振興等が合意されました。
 なお、「むつ」の原子炉については、去る九日漁連代表者が本船におもむいた際、その立ち会いの上で電源キーを封印してまいったのでございます。
 そこで、昨日現地において、定係港入港及び定係港の撤去に関する合意が協定されました。その協定の内容でございますが、
   原子力船「むつ」の定係港入港及び定係港の撤去に関する合意協定書
  昭和四十九年十月十四日
       政府代表・自由
               鈴木 善幸
       民主党総務会長
       青森県漁業協同 杉山 四郎
       組合連合会長
       青森県知事   竹内 俊吉
       む つ 市 長 菊池 渙治
  原子力船「むつ」の定係港への入港及び定係港の撤去に関して、下記のとおり合意協定を締結する。
    記
 I 原子力船「むつ」の定係港入港及び定係港の撤去に係る事項
  1 政府は、この協定が締結された後、直ちに、原子力船「むつ」の船長に対し、定係港への入港を指令する措置をとる。
  2 原子力船「むつ」の定係港入港後の取扱いに関しては、入港後六ケ月以内に新定係港を決定するとともに、入港後二年六ケ月以内に定係港の撤去を完了することを目途として、昭和四十九年十一月一日からその撤去の作業を開始する。
  3 2により定係港の撤去が完了し、原子力船「むつ」が新定係港に回航されるまでの間、原子力船「むつ」を原子炉が凍結された状態で定係港に係留しておくとともに、次の措置を講ずる。
   (1)使用済燃料交換用のキャスクを、昭和四十九年十一月中に青森県外に搬出すること。
   (2)使用済燃料貯蔵池の埋立作業を、昭和四十九年十一月から開始すること。
   (3)クレーンの鍵を青森県知事に預け、補修、点検等の際にクレーンを用いる必要がある場合には、青森県知事と協議の上、これを行うこととすること。
 II 定係港地元対策及び漁業金融対策に係る事項
  政府は、定係港地元対策及び漁業金融対策として、次の措置を講ずることとする。
  1 むつ市内関連公共施設整備
   (1) 道路整備田名部−大湊間の道路整備事業に、昭和五十年度以降すみやかに着手する。
   (2) 体育館建設むつ市における体育館建設事業に対し、一億円の助成を行う。
   (3) 放送施設整備むつ市における放送施設整備事業に対し、七千万円の助成を行う。
  2 漁業振興対策
   (1) むつ湾漁業振興対策荷捌施設、冷蔵施設、海上作業施設、保管施設、蓄養施設、捲揚施設の建設等のむつ湾漁業振興事業に対し、八億八百万円の助成を行う。
   (2) ホタテ稚貝減産等補償対策ホタテ稚貝減産等補償費として、一億円を交付する。
   (3) 魚価安定対策及び漁業金融対策風評による魚価低落に対する魚価安定対策として、三億円を、青森県信用漁業協同組合連合会へ預託する。
    又、定係港の撤去等により、風評による魚価の低落のおそれがなくなった場合は、これを青森県漁業信用基金協会に某金として拠出し、漁業金融の円滑化を図る。
   (4) 漁港・港湾整備事業第五次漁港整備計画及び第四次港湾整備計画について、
    別添(1)及び(2)のとおり、その工事の促進を図る。
      また、建設省所管海岸保全事業中漁業と密接な関係のある地区の整備の促進についても配慮する。
    なお、漁港・港湾整備のための地元財源対策の一環として、起債について特別の配慮を行う。
    ※ なお、(1)、(2)及び(3)は、青森県を通じて行うこととする。
 III 原子力船「むつ」安全監視委員会に係る事項
  1 青森県、むつ市及び青森県漁業協同組合連合会(以下「青森県等」という。)は、原子力船「むつ」に係る放射能の監視等を適切かつ円滑に実施するため、原子力船「むつ」安全監視委員会を設置することとする。
  2 政府は、同委員会の運営及び青森県等が行う監視等に協力し、又、日本原子力船開発事業団をして協力させることとする。
 以上のとおりが今日までの概要でございます。
#27
○安井委員長 これにて報告の聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#28
○安井委員長 なお、本問題調査のため、本日、日本原子力船開発事業団理事の堀純郎君に参考人として御出席を願っております。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。
#29
○石野委員 私は、原子力政策あるいは原子力船政策等についての基本的な質疑は、また後日行なうことといたしまして、ただいま御報告のあった件について御質問を申し上げます。
 時間もあまりありませんから、端的にお尋ねいたしますが、きょう「むつ」は入港するという手順になっているようでございますが、予定としては大体何時ごろ入港することになっておりますか。
#30
○中村(禎)説明員 昨夜八時半過ぎに、原子力船事業団を通じまして、定係港に帰港するように指令を出しておりますが、大体、本日午後三時前後に入港する予定でございます。
#31
○石野委員 合意書によりますと、入港後二年六カ月以内を目途に母港を撤去する、こういうことになっているようでございますが、母港の撤去ということについて合意されました双方の側での撤去ということについての内容は、科学技術庁はどういうふうにお考えになっておられますか。事業団としてはどういうふうにそれを考えておられますか。
#32
○福永説明員 お答えいたします。
 私どもも、この協定書の要旨は、実は昨晩連絡を受けておりまして、詳細をいまだに承知いたしておりませんけれども、お手元にお配りしておりますような内容で原子炉を凍結する、あるいは使用済み燃料の交換キャスクを県外に持ち出す、つまり母港としての機能を停止するというようなことではなかろうかと想像いたしております。
#33
○石野委員 機能を停止するということの意味は、母港はそのままあるけれども、ただ動かさないということだけの意味ですか。
 私がこういうことを聞くのは、ほかではないのです。鈴木会長が現地に行って、三カ月以内に母港を撤去という話がありました。その撤去ということについての考え方が、事業団の内古閑専務の考え方あるいは鈴木総務会長の考え方等に、ずいぶん食い違いがあるというように見ておりましたし、先般もそのことをちょっとお尋ねしたのですが、ここでこういう合意書で出てきた撤去というのは、厳密な意味におけるところの撤去というふうに私たちは理解したいのです。ただ機能停止ということだけではちょっと理解に苦しむので、もうちょっとしっかりした……。
#34
○福永説明員 私の了解が多少舌足らずなところがあったかと思いますが、撤去ということが、どこまでの施設をどういうふうに撤去するのかという内容を私もまだ承知しておりません。したがいまして、どういう撤去の内容であるかというところまで、ただいまのところお答えいたしかねるわけでございます。
#35
○石野委員 これは、ここであまり論議をしていることじゃございませんけれども、次官に一つお尋ねしますが、内容の事情がわからないということですけれども、しかし、母港撤去ということになれば、もう母港はないことだと一般には理解するのですけれども、先ほどの話のように、ただ機能停止というようなことだと、そのまま残るというようなことにもなってきます。あとにクレーンだとか何かいろいろな処置のしかたはありますけれども、あるいはピットを埋めるというようなことがありますが、埋めたって、また掘り返せばすぐ使えるのですから、だから、撤去ということの意味はどういうことなのかということを、しっかりとこの際御開示願いたい。
#36
○中村(禎)説明員 私は、撤去ということは他に母港を移すということだ、かように考えております。
#37
○石野委員 母港がなくなる、そういうふうに理解する。私どもそういうふうに理解いたします。
 そこで、入港後六カ月以内を目途に新定係港を決定するということについて、これも政府としては、あるいはまた事業団としても、そういうことについて何がしかの検討は加えておるのだろうかどうだろうか、その点についてひとつ伺いたい。
#38
○福永説明員 先ほどの答弁でもお答え申し上げましたように、昨夜情報をちょうだいいたしましたので、事務的な検討はいたしておりません。
#39
○石野委員 運輸省の方がおいでになっておりますか。――運輸省ではそういう問題についてどのようにお考えになっているか。
#40
○内田説明員 ただいま原子力局の次長から御説明があったようなことで、具体的な問題として検討は始めておりません。ただ、私どもとしましては、いろいろな今度の経験がございますので、いろいろな分野において総力をあげてこの問題について、科学技術庁に御協力したいということを考えております。
#41
○石野委員 事業団としては、やはり母港がなければ仕事にならないことでもございましょうし、その点についてはどういうふうに考えておりますか。
#42
○堀参考人 お答え申し上げます。
 この問題は昨日政府でおきめいただきましたところでございまして、御連絡はいただきましたが、具体的な問題につきましては政府と御相談して、あるいは政府の御指示によってすることでございまして、具体的にはまだ進めておりません。
#43
○石野委員 とにかく、出先ではこういうことをきめ、また政府はきめたけれども、実際には皆さんのほうでは何にもそういうことについての検討はなされていないということのようです。これ以上聞いてもちょっとわかりませんから、次の機会にお聞きすることにいたします。
 先ほどの報告の中で、原子炉を凍結して燃料棒は抜かないということですが、交換用のキャスクは県外に移転するとこれに書いてありますが、燃料棒についても移転するというふうに、先ほどお読みになった文書の中にあったように思いましたが、それは私の聞き違いだったのでしょうか。
#44
○中村(禎)説明員 私は、燃料棒をいま移転するとは申し上げておらないのであります。
#45
○石野委員 凍結した船について、事業団としては将来どういうふうにこれを活用というのですか、お考えになっておりますか。その点、事業団の考え方をちょっと聞かしていただきたい。
#46
○堀参考人 先ほど申し上げましたように、昨日御決定いただきましたので、まだ具体的には検討しておりません。
 仮定の問題として申し上げますと、ただいま、いわゆる放射線漏れの現象の調査団が調査しておりまして、この結論、これは相当先になりますが、結論が出ました際でございますね、それによって、修繕その他の手だてを講ずれば、原子力船として実験を進め得るかと存じます。これは仮定の問題でございます。
#47
○石野委員 科学技術庁にお尋ねしますが、炉は凍結してしまいますが、今度の放射能漏れの問題についての調査は、この凍結した炉ではおそらく調査というものはできないだろうと思いますけれども、調査の必要はもうないということでこの凍結が行なわれるのですか、どうですか。
#48
○福永説明員 今回の原因調査につきましては、両省庁で遮蔽技術検討委員会を設けて調査を進めておるわけでございます。御指摘のように、凍結いたしますと原子炉の中を動かしての調査ということはできないわけでございますが、現在まで得ましたデータ、それからこれと並行して進めておりますいろいろの調査等をベースにいたしまして、原因調査を進めてまいる予定でございます。
#49
○石野委員 報告書によりますと、原子力船「むつ」の安全監視委員会の設置がなされる。この監視委員会でございますが、これは二年半を目途ということになりますと、その間事業団の寿命ですか、その寿命が、大体その時期になると来てしまうわけですね。それとの関連性はどういうふうになるのですか。
#50
○堀参考人 ただいまの事業団法によります事業団の寿命は、昭和五十一年三月末でございます。
#51
○石野委員 次官にお尋ねしますが、原子力船「むつ」の安全監視委員会に対する事業団というのは、そういう形でなくなってしまいますと、これは全部科学技術庁と運輸省が最終的には責任をとって、事業団というのは案外疎外されてしまうというような考え方で持たれていくものなんですか、どうなんですか。
#52
○中村(禎)説明員 かわって次長に答弁させます。
#53
○福永説明員 安全監視委員会は、ただいま政務次官から御報告申し上げましたように、青森県、むつ市、それから漁連という三者で行なわれることになっておりまして、これに事業団が協力するという形になっております。
 堀理事からの御答弁にもございましたように、五十一年三月をもってただいまのところ事業団法は廃止されることになっておりますが、今回こういう新しい事態になったことでもございますので、そういうことも含めまして、今後鋭意検討してまいりたいと思います。
#54
○石野委員 この監視委員会は放射能の監視だけですが、たとえば事故発生時等についての問題に対してはどういうふうに考えておるのでしょうか。事故発生といっても、放射能が出ても事故発生でしょうけれども、予測されない事故の発生というようなことも、みんな監視委員会がその処理に当たるのですか。
#55
○福永説明員 監視委員会の内容につきましては、詳細を承知いたしておりませんけれども、推察いたしますに、原子炉は凍結されているわけでございますから、先生ただいま放射線関係の事故とおっしゃいましたけれども、そういうことは考えられないわけでございます。しかしながら、私の推察では、周辺のバックグラウンド調査とか水質管理とか、こういったようなことを監視されるんじゃなかろうかと想像いたしております。
#56
○石野委員 この合意事項がもし実現しない場合、たとえばこれは二年六カ月というのが出ておるわけですが、そういう場合の政府の地元に対する対処のしかたですけれども、いまはまだはっきりわからないという御答弁ですが、そういうことについても政府の考え方をひとつ聞かしていただきたい。
#57
○中村(禎)説明員 政府としましては、協定どおりに責任をもって実行するということでございます。期日二年六カ月のうちにそれが実現できぬとなりますならば、当然それは責任を生じてくるわけでございますから、全力を尽くして合意書どおりに努力してまいるという考えであります。
#58
○石野委員 原子力行政の根本的な見直しということが、地元で強く要求されておったようにも承っておりますし、それから、われわれが現地を視察した場合にも、地元では原子力行政の根本的見直しということを、この合意が成立するまでの段階で強く要請しておったように理解しております。それが合意書の中では全然抜けてしまっていることについて、どういう事情があったのかということをひとつ聞かしていただきたい。
#59
○中村(禎)説明員 その点の事情につきましては、まだよく承知いたしておりません。
#60
○石野委員 あと同僚議員が、私の時間内で質問をしますので、私はこれでちょっとおきますが、「むつ」の基本計画、それから開発体制のあり方ということについて、政府なりあるいは事業団というものは、この際にどういうふうに考えるべきだというふうにお考えでしょうか。そのことが一つ。
 それから、要請としまして、先ほど次官から読まれた合意書の文書が、私どもの手元に参っておるのと文章の上では、ずいぶん違ったところもあったりしますから、その正式なものを早急にもらいたい。これは委員長にお願いしておきたいのですが、先ほどの質問だけちょっとお答えください。
#61
○中村(禎)説明員 今回の「むつ」の問題を契機といたしまして、慎重に今後善処してまいらなければならない、かように考えます。
#62
○安井委員長 いまの原文そのままという御要望ですが、それは政府側でもそのとおりするそうですから、御了承ください。
 米内山義一郎君。
#63
○米内山委員 この定係港があそこに設定されてから、陸奥湾の漁民は、ホタテ産業がどうなるだろうかという不安に非常に長い間悩んできたわけです。それが今度の協定によって、このことが確実に政府によって実行されるならば、いままでの混乱や不安から解放されることになると思うのです。
 そこで、いま石野委員も言われましたが、当初、鈴木総務会長が三カ月以内に母港を撤去する。撤去というものは、漁民の理解からいうと、あとかたもなく撤去するというようなことに当初は理解されておったわけです。今度これが実行されますと、主要なるピットとかクレーンとかキャスクというものはすみやかに撤去されるが、その後、現在でき上がっておるところのいろいろな陸上施設というものは残るわけです。これの処理について、もし将来地元の水産団体等から、それを活用するために政府等に払い下げの申請など出た場合には、いままで迷惑をかけた代償としても、それが水産業等に活用できる場合には、政府として払い下げすることを配慮すべきではなかろうかと私は考えるのです。この点について、いま直ちに御即答はできないことだとは思いますが、政務次官は政府内部で、そのことを要望に沿えるように配慮するお考えがあったら、簡単な御回答を得たいと思います。
#64
○中村(禎)説明員 施設等の撤去後の転用等につきましては、お話しのとおり国の財産を投じて施設をしたわけでございますから、これが無にならないように検討して処理をせなければならない、かように考えております。
#65
○米内山委員 終わります。
#66
○安井委員長 山原健二郎君。
#67
○山原委員 いま報告のありました協定と閣僚懇談会の決定について質問をいたします。
 協定の中に、六カ月以内を目途に新定係港を決定する、こうなっておりますが、この六カ月というのはどういう根拠ですか。
#68
○中村(禎)説明員 現在のところ、鈴木総務会長がお帰りにならなければはっきりはいたしておりませんので、ちょっと私から御答弁はいたしかねます。
#69
○山原委員 この新定係港を六カ月以内に設定するというわけですね。大体そういう予測が立っているわけですか。閣僚懇談会においてはそういう話は出なかったのでしょうか。
#70
○中村(禎)説明員 私も末席を汚しましたけれども、その話は承っておりません。
#71
○山原委員 科学技術庁はこういう問題については、それでは全くつんぼさじきという状態ですか。
#72
○中村(禎)説明員 つんぼさじきに置かれておるというわけではございません。関係閣僚懇談会のメンバーの一人でございますから、さようなことはないわけでございます。
#73
○山原委員 このような六カ月と期限を切って、以内に新定係港をきめる、こういうわけですからね。それについて疑問があれば、科学技術庁としては閣僚懇談会において質問をするとか、事態を明らかにするというような、そういう行為もないわけですか。
#74
○中村(禎)説明員 いずれにいたしましても、政府が鈴木総務会長に一任をいたしまして、現地に派遣してあるわけでございますので、お帰りになりましてその問題ははっきりいたすことだろうと思います。
#75
○山原委員 幾つか疑問点を聞いておきます。
 次に、二年半を目途にこの定係港を撤去することとし、直ちにそのための作業に着手する。この二年半というのはどういう基準から、あるいはどういう根拠から出ておるのでしょうか。それから、直ちに作業に着手するという、この作業内容はどういうものですか。
#76
○中村(禎)説明員 他に母港を移転するといたしましても、どこに移転をするか、まず移転先をきめなければなりませんし、それに並行して、順次いまの母港を撤去するいろいろな作業をせなければならぬというわけでございます。移転先がどこかということは、まだはっきりいたしておらないわけでございます。
#77
○山原委員 協定の中には六カ月以内にと、こうなっておりますが、この閣僚懇談会のほうには、六カ月以内に新定係港を設定するという文言が入っておりませんね。これはどういうわけですか。
#78
○中村(禎)説明員 それは、現地で漁連代表あるいはむつ市長、青森県知事と鈴木総務会長の間でお話し合いをされて、最終的にそういうことで合意をされておるわけでございますから、いずれにしましても総務会長が帰られました上でなければ、現在のところまだはっきりいたしておらないわけでございます。
#79
○山原委員 六カ月以内に新定係港を決定をするという、これは現地の人にとりましても一番大事なところだろうと思うのですよ。その一番大事な部分が閣僚懇談会に出なかった理由、これはどういうことですか。いまの御説明ではちょっとわかりかねます。どうしてここに、一番大事な部分が閣僚懇談会の発表の中に出てこないのでしょうか。
#80
○中村(禎)説明員 いずれにしましても、双方話し合いいたしましたその了解事項のうちにそれが入っておるわけでございますので、先刻申しましたように、総務会長お帰りになってからでなければ、昨日の閣僚懇談会でもその話は出ていないわけでございますから、私も承知しないわけでございます。
#81
○山原委員 いま申しましたように、一番大事な部分、しかも、現地においては双方が話し合いをされて協定ができているわけですから、それに基づいて閣僚懇談会の政府側の決意が表明されておるのが、私どもがいただいたただいまのこの報告書だと思うのですよ。その部分の一番大事な、政府側のやらなければならない六カ月以内に新定係港を決定するということがなぜ出ていないのか。これは明確にしていただかぬと、協定書と違うじゃないですか。どういうことですか。
#82
○中村(禎)説明員 それは、現地で話し合いの過程において、その問題は現地の代表からもいろいろ話があっているはずでございます。鈴木総務会長との間でいろいろ話し合いがなされ、そして合意をしておるわけでございますから、政府としては鈴木総務会長に一任しておりますので、いずれ帰られましてから、そういう話し合いの経緯あるいは合意に達したこと等も、詳細に判明することだろうと思うわけでございます。
#83
○山原委員 合意に達した部分は幾つかあるわけでしょう。それは協定としていまいただいておるわけですが、その中で、二年半を目途に定係港を撤去するということも出ておりますね。しかし、その中の重要な部分として合意に達したもの、政府側の責務として与えられておるもの、それは六カ月以内に新定係港を決定するということです。このことは、では閣議のほうではまだ認めていないという御説明でしょうか。そういう地元における合意は幾つかなされたけれども、その中で、六カ月以内に新定係港を決定するということは閣議では認めていない、だからここでこの文言がなくなっているのですか。
#84
○中村(禎)説明員 了解事項を認めております。いわゆる双方合意をしたということを認めておりますから、それは当然認めておるものと私は思います。
#85
○山原委員 ではお伺いしますが、文言としては入れなかったけれども、六カ月以内に新定係港を決定するということは、閣議の決定になっているわけですか。閣議できめられたことの中に入っているわけですか。文言としてはないけれども、それはきめられているのですか。その点明確にしておいてくださいよ。
#86
○中村(禎)説明員 閣僚懇談会では、それは認めておるわけでございます。
#87
○山原委員 次に、二年六カ月ですね、この基準、根拠というものも非常に不明確でありますけれども、原子力船「むつ」は一体どうなるのですか。廃船になるのですか、それとも継続されるのですか。その辺は皆さんのほうではどういう決定ですかね。お考えを持っているのですか。
#88
○中村(禎)説明員 いずれ新定係港が決定をいたしました上で「むつ」の処理はきまるものと、私はこう考えております。
#89
○山原委員 それは逆じゃないでしょうかね。「むつ」というものの将来、これがどういうふうになるかということ、それが不明確であれば、定係港の問題もめどを立てたところで、全くどうなるかわからぬということなんですね。
 それからもう一つは、二年六カ月というこの基準ですが、あと一年半すれば事業団はなくなるわけでしょう。五十一年三月には事業団というものは、時限立法ですからなくなるわけですね。原子力船「むつ」の所属は一体どこになるのですか。これは事業団の責任者の方いらっしゃると思いますが、その辺どう計算されておるのですか。政府からどういうふうに説明を受けておりますか。
#90
○堀参考人 先ほど申し上げましたように、あと一年半で事業団は、ただいまの法律ではなくなりますが、これに対して、今後政府がどういうふうに御処置になるか、これは政府において御検討いただくことだろうと思っております。
#91
○山原委員 政府は、その辺のことをどうお考えになっているのですか。
#92
○中村(禎)説明員 新たな定係港がきまりました上で、原子力船としてやはりこれは開発を進めていくことになると私は考えております。
#93
○山原委員 大体、法律をつくるのはこの国会ですよね。国会が時限立法として五十一年三月に事業団は切れるわけですから、そういう状態であるにかかわらず、二年半というのはどういう基準に基づいてやったのか。その船の所属もどこに移るかわからない、その船の、「むつ」という原子力船の性格もどうなるかわからないというような中で、二年六カ月などというものが一体どこから出てきたのか。そんなことさえ明らかになっていない閣僚懇談会のこの決定というものは、一体審議の対象になるのかということすら私は感じるわけです。
 もう一回伺いますけれども、二年六カ月、しかも一年半の後にはもう事業団がなくなる、船の所属はどこか、船の性格はどうなるのか、この辺も全くいま科学技術庁としても論議をしていないという状態ですか。それを伺っておきたいのです。
#94
○中村(禎)説明員 そういう問題もいろいろ含めまして、現在検討をいたしておるわけでございます。
#95
○山原委員 鈴木総務会長が行かれて相当の時間経過しているわけですね。その中でいろいろな話がなされて、それに基づいて科学技術庁あるいは関係省庁あるいは閣僚懇談会、そういうものが開かれてお互いに連絡をし合いながら、鈴木さんが六カ月以内にときめれば、六カ月以内には政府のほうではこうやるのだというようなことがなされていくのが当然の行政上の問題ですね。それがなしに、全く二つに分かれてしまって、鈴木総務会長が帰ってこなければ何もかもわからぬなんという、そんな責任のない政府がどこにありますか。まさに無責任体制じゃないですか。これは全く国会の論議にも値しないような政府側の態度ですよ。
 それじゃ、そのことについてはあとで申し上げますけれども、協定のことについて二、三伺っておきたいと思うのです。
 一つは、キャスクを十一月中に県外に搬出する。十一月といえばあともう一カ月そこそこしかありませんが、県外のどこへ搬出するのですか。
#96
○福永説明員 このキャスクと申しますのは、使用済み燃料の交換キャスクのことでございます。現在、むつの定係港にございます。これは十一月中に県外に搬出することは、もちろん可能でございます。
#97
○山原委員 私の尋ねておりますのは、県外へ搬出をすると、こうなっていますが、どこですかと聞いているわけです。
#98
○福永説明員 搬出先につきましては、まだ具体的に決定しているわけではございません。しかしながら、たとえば原子力研究所といったようなところも、候補の一つではないかと思います。
#99
○山原委員 このことは相談があったのですか。このことだけはあなたが具体的に、少し毛のはえたような答えをなされたのですけれども、あとはもうかいもくわからない。それで、やっと原子力研究所へ行くだろう、これは自信を持っている、こういうことだけですが、このことは相談があったんですか。
#100
○福永説明員 別に、先ほど申し上げましたように、私、相談を受けたわけでもございませんし、昨晩おそくこの協定を見たわけでございます。私のただいま申し上げましたような、そういうのも考えの一つではなかろうかということでございます。
#101
○山原委員 まあ、一応その協定を見た上で、予測できるものはいろいろお考えになっておることはわかりましたが、肝心のところはわからぬで、その辺がややぼやっとわかりかけたような状態ですけれども、これもしかし、相談なくこういうことがなされておるということですね。
 それから閣僚懇談会の、「乗組員に対する措置については、誠意をもって配慮する。」これはどういうことですか。どういうことをやろうとしているのですか。これは運輸省ですかね。
#102
○内田説明員 御承知のように、「むつ」の乗り組み員が、一時漂流と申しますか、入港地がきまらないまま漂流しておったわけでございまして、その間の精神的、肉体的な苦難というようなものに対して、有形無形に誠意をもって保障しようということでございまして、具体的なその中身につきましては、原子力船開発事業団で、現在数字的なことを詰めつつあるということでございます。
#103
○山原委員 事業団のほうでは、この点についてはどういう措置があると思っておられるわけですか。
#104
○堀参考人 ただいま考えております措置といたしましては、特別な休暇を与える。これは年次休暇はございますが、それにプラスして休暇を与えるということ、それから特別な手当を出すということ、この二つを考えておりまして、それの具体化につきましては、いろいろの、たとえば予算の問題その他ございますので、検討中でございます。
#105
○山原委員 協定の中にあります原子力船「むつ」安全監視委員会の設置の問題ですが、これはどこが設置をするのですか、ちょっと先ほど説明がありましたけれども。それから、政府は協力するという状態ですが、これはどういう構想ですか。いまこの協定の中に出てきたものは、どういう構想で、どういう時期あるいはどういう監視体制をとるのか、その辺はどうでしょうか。
#106
○福永説明員 先ほどお答え申し上げましたけれども、この監視委員会と申しますのは、青森県、むつ市、漁連という三者によって行なわれるもののようでございます。これに事業団が協力するということでございます。
 その具体的な内容まで現在のところ承知しておりませんが、推察いたしますと、環境放射能の調査あるいは一次炉水の水質管理といったようなものが中心になるのではなかろうかと想像いたしております。
#107
○山原委員 大体総合しまして、この協定は、推察できる部分と全く推察しがたい部分とがあるわけですね。そしてこの閣僚懇談会においてはこの四カ条の文書になっているわけで、そういう点で大体真相はわかりかけたわけですけれども、肝心のところにおいては、やはり科学技術庁もよくわからない、こういう状態ですね。しかも、六カ月後に定係港の決定とか、あるいは二年半を目途に定係港を撤去するとかいうことについては、これはかいもく現在の状態でわからないという状態にあるということがわかりました。
 次に、原子力委員会にお尋ねしたいのですが、この原子力委員会の任務として、「原子力利用に関する重要事項に関すること。」となっていまして、企画、審議、決定をする、こういうことができるわけですが、この「むつ」問題が起こりましてから、原子力委員会は一体何をしてきたか、この深刻な事態に対して何回会議を持ちましたか、原子力委員会。
#108
○井上説明員 原子力委員長代理の井上でございます。
 ただいまの御質問でございまするが、もちろん原子力委員会は、この原子力船開発、その開発のために原子力船開発事業団というものを設立する必要がある、またこれにつきましての当初の安全審査等、当初から関係をいたしております。この前お答えをいたしましたのですが、そうした手続を経て今日におきましても、その決定が間違っておったとは考えておりませんが、結果といたしましてこうした不測の事態を生じたということにつきましては、非常に遺憾に存じております。
 これについて、委員会が何をしておるかという御質問でございまするが、私どもはほとんど連日会合いたしておりまして、この問題についての善処方を審議中でございます。
#109
○山原委員 連日会合を持たれておるそうですから、原子力委員会の会議の議事録ですね、これを提出していただきたいと思います。これは委員長にお願いいたします。委員長の御答弁を伺いたいのですが、いかがでしょうか。
#110
○安井委員長 いまの御質問の要求についてどうですか。
#111
○井上説明員 それではお答えをいたします。
 連日会合いたしておりまするが、これは議事録をとりまする正式の原子力委員会ではございません。ただいま審議をしておりまする内容の主たるものは、何と申しますか、ファクトファインディングと申しますか、事実をつかむ、確かな科学的並びに技術的な事実をつかむということが必要であるとわれわれは考えております。残念ながら、まだ洋上できわめてわずかな試験をしただけで、十分な結果を得ておりません。
 したがいまして、審議はいたしておりまするが、まだ十分な結果を得ておりませんし、その中間的な段階におきましては、私どもは、まだ何らの議事録をつくってございません。
#112
○山原委員 原子力委員会の機能の問題ですけれども、こういう国際的にもたいへん問題になって、これはイギリスの新聞など読みますと、ここへ持ってきておりますけれども、ナピーといって、決して茶化した新聞の論評ではありませんが、日本の「むつ」のことをナピーと呼んで書いてあります。ナピーというのはおむつだ、こういう記事も出ておるし、各国においても非常に重要な問題になっているわけですね。
 そういう中で、原子力委員会がこの重要な課題について当然審議をしていくということが大事だと思うのです。それは国民の期待しておるところだと思うのですね。それは正式な会議を持っていないと言うけれども、原子力委員会がやっぱりこういう事態に対して正式な会議を持って、あるいはこの協定がなされましたならば、今後についてやはり会議を持って、そしてこれに対処していくという責任ある体制というものをとるべきです。ばく然と集まって何かやっておるんだというようなことでは、これは負託にこたえることはできないと思いますよ。原子力委員会設置法に基づいてちゃんと会議も持って、そして責任ある態度を出していく。いま資料が不十分なら不十分というようなことが明確にならなければ、ただ皆さんが個人的に集まっていろいろやられたって、国民は原子力委員会の機能を発揮しておるとは思えないわけですね。だから、私はその会議録を見せていただきたい、こう言っているわけです。
 それから、この協定や閣僚懇談会で決定が出ましたならば、それに基づいてどういう会議を持つのかですね。どういう対処をするのか。資料にしたところで、もう資料は出ないわけでしょう。凍結されてしまってもう資料は出ないという状態であるわけですから、一体この時点でどういうふうに原子力委員会としては責任を持つのか、これを伺っておるわけです。どうですか。
#113
○井上説明員 御指摘のとおりでございまして、原子力委員会がこの問題について責任ある一つの見解を出さなければならない。そのためには正式の委員会を開いて、一つの意思表示と申しますか、統一見解を出さなければならない、かように考えております。
 しかし、ただいまの時点におきまして、私どもは、残念ながら何らかの欠陥があったということはいなめないと思いまするけれども、これについての十分な、いま申しました科学的または技術的な資料を持っておりますから、こうしたものを勘案いたしまして、私どもは、いずれただいま御指摘がありましたような考え方を決定する必要があると考えております。
#114
○山原委員 今後において、そのような科学的な資料が入手できて、それに基づいて論議のできる状態が、この「むつ」の問題について起こり得るという確信をお持ちですか。
#115
○井上説明員 確信というおことばですが、はなはだ恐縮でございまするが、私どもは最大の努力をいたします。
#116
○山原委員 いままでの原子力委員会の安全審査についての政府の今日までの態度は、これはもうまさに安全審査万能論ですね。原子力委員会の安全性審査が行なわれたんで安全だと、こう言い続けてきたわけですよ。だから、原子力発電所の問題だってそうです。これは私も議事録をいま持っておりませんけれども、この次にお見せしたいと思いますが、科学技術庁長官、歴代の長官もそうですが、原子力委員会で安全性が保障されたんだから安全だ。だから森山長官のように、これに対して疑問を持つ者は、科学に対する挑戦だとか、あるいは野獣論議だというような、全くふざけた傲慢な態度が出てくるわけですね。そういうところに、この「むつ」の問題の起こる根源があるわけですよ。日本の原子力行政の中に、いいですか政務次官、ほんとうに体制的にも、あるいは公開の原則からいっても、いま原子力行政を語る資格があるのか。安全性の問題についても、安全だと言い切っておいて、そして一・四%の実験が行なわれるとこういう事態が起こっているわけでしょう。国民はこんなことで信頼できるはずはないわけですね。安全性万能論はもう根底からくずれた。日本政府の原子力行政の根底がいまくずれているわけです。
 これに対して、ほんとうに国民が信頼の持てるようなそういう体制、研究、公開の原則、こういうものを確立しなければ、「むつ」問題の基本的な解決にはならぬわけです。これを皆さんがほんとうに感じておるかどうかということが、いま問われているわけですよ。資料にしたって科学技術庁は出さない。資料は全部押えて出したがらない。公開の原則も何もあったもんじゃないですね。そういういままでの傲慢な態度、非科学性、それがすべていまこの「むつ」問題で問われている。「むつ」問題だけではない。美浜一号炉の問題にしても、安全審査が行なわれて安全だ安全だと言うけれども、次から次へと事故が起こっているじゃありませんか。これに対してどう科学技術庁並びに政府が謙虚になるか、その政治的責任を明らかにしていくことが、いま要求されておると思うのですよ。私は、この点について明確な答弁をいただきたいのです。
 政治責任をどう明らかにするのですか。私は、責任の所在がどこにあるとかいうことを言っているのじゃありません。政府の今日まで行なってきた、また直接「むつ」の問題で出てきた、大かた二カ月近くもあの漂流船の中へ乗り組み員をやった、漁民の意思を無視して出港していったそういう責任、これは一体政治的にどう明らかにするつもりですか。そのことがいま一番問われていると思いますので、これについて、閣僚懇談会でもおそらくお話があったと思うのです。なければおかしい。お答えいただきたい。
#117
○中村(禎)説明員 原子力の開発推進には、何と申しましても安全性を確保するということが最も大事なことでございます。安全性なくして原子力の開発推進はできないと私は思うわけでございます。
 そこで、今回の「むつ」の事件を契機といたしまして、これを十分ひとつ反省して、そしてすべての体制を強化拡充してまいる。それのもとは、やはり自由、公開、民主のこの三原則をどこまでも尊重し、そうして体制の強化拡充をはかっていくということでなければ、今後の原子力の開発はできない、かように考えておるわけでございます。
 私は、安全性の問題、「むつ」の問題につきまして、安全だからと言いながら出港させた、それにもかかわらず放射線が漏れたじゃないか、これは安全じゃないじゃないか、こういう不信の念でございますが、今回のこの問題がここまで発展してまいりましたことは、政府に対する政治不信、それとまた地元関係者の思い過ぎた不安、この不信と不安が交錯して今日問題がこじれてまいったわけでございます。考えてみますと、安全性に対する認識、理解が、人によって少し何か食い違いがあるような私は感じがいたします。
 「むつ」が安全だと言って出港したことは、御存じのとおり、臨界あるいは出力試験のために出港したわけでございます。その段階で放射線が漏れた。本来から申しますと、洋上で修理できるものは修理する、できなければ母港に帰ってこれを修理する、そしてまた修理した上出港して試験を続ける、何回か試験を継続しまして完全な原子力船になるわけでございます。
 そこで、放射線漏れも〇・二ミリレントゲン線量でございますから、人体には別段に影響はないから、安全じゃないかといえばいえるわけでございます。反面、放射線が漏れたということに対して、やはりそれは欠陥じゃないかという意見もあるわけでございまして、この点のPRが、原子力に対する、あるいは放射線とか放射能等に対する認識、理解させるだけのPRの努力が、私は足っておらなかったということを十分これは反省しなければならぬ。まず第一にそこから出発をして、国民に原子力がどんなものであるかということをよく理解、納得をしていただいて、今後原子力の開発技術を進めてまいらなければならぬ、かように私は考えるわけでございます。
#118
○山原委員 今度の問題について、政府としては責任を明らかにする必要はないというお考えですね。要するにPRが足らなかった、そういうことですか。
#119
○中村(禎)説明員 いま、原因等を究明しておるわけでございます。遠からずその原因がはっきりいたします段階で、当然責任の問題もはっきりいたしてくるわけでございますが、責任をとるべきところは当然とらなければならぬわけで、そういう問題を不問に付してうやむやにしておきましては、ますます国民の不信を招くばかりでございますから、そういう点は一応はっきりいたさなければならぬ、私はかように考えております。
#120
○山原委員 最後に、今度の原因が明らかになるのはいつでしょうか。私は、政務次官にもその点聞きたいと思うのですが、原子力委員会にも聞きたいと思うのです。いまのあなたの御答弁では問題は解決しませんよ。じゃ、今度の「むつ」問題の原因は、大体いつごろ明らかになりますか。どういう資料が整えば明らかになるのですか。その可能性について、ほぼお考えになっておりますか。じんぜんと日を過ごしていくのか。それとも、大体これだけの資料が集まって、これで原因は明らかになるというふうにされるのか。いつまでも原因はあいまいにして、どっちがどうだったかわからない、PRの不足だとかあるいはどこに欠陥があったかわからないとか、そういうことになっては、これはたいへんなことですよ。大体どの程度で、どの辺でこの原因が究明されるのか。科学技術庁としての責任じゃないですか。どうですか。お二人から伺っておきたい。
#121
○中村(禎)説明員 私が承知いたしております範囲では、今後、約一カ月以上ぐらいたったら原因がはっきりするのじゃないか、こう承知いたしております。
#122
○井上説明員 いつごろはっきりするのか、正直を申しまして今度の解決案で、「むつ」の定係港で燃料棒を取り出し得るか、あるいはしばらくあれはあのままで凍結をするのかということが、若干事実を確かめる上において、第二案と申しますか、凍結案できまりましたために、少しく時間的に長くかかるのではないかということを、われわれといたしましてはひそかに心配はいたしております。
 しかし、相当詳細な設計資料はございまして、当時原子力委員会で審査をし、また原子力研究所でモデル試験をいたしました等々の資料がございます。さようなものをチェックいたしまして、ある程度の事実を確かめました上で、さて、いかなる措置をすればいいかということを、できるだけ早く決定いたしたいと考えておる次第でございますが、残念ながら今日、それがどういうふうであるかということをはっきりと申し上げかねる、まだ事実として十分解明されないということを申し上げなければならないのでございますが、ただいま御指摘の点につきましては、政務次官からお答えしました点と、私ども委員会の立場においても同様に考えております。
#123
○山原委員 こういうことですか。これから先は、凍結になったので、結果を測定するについてはたいへん心配が生じてきたけれども、もとの基本計画あるいは詳細計画等は持っておられるので、もとへ返ってずっとそれを追って調べてみたい、こういうことですか。
#124
○井上説明員 おことばを返すようではなはだ恐縮でございますが、凍結をされたから心配をしておるとは私、申し上げたつもりはございません。ただ、あの時点で早く炉の解体、少なくとも燃料棒の引き出しができますならば、事実の解明が少しく容易ではないかと考えるわけでございます。
 われわれといたしましては、それはそれといたしまして、今日までの資料、また原船事業団あるいは製造業界における資料等を検討いたしまして、可及的すみやかに事実をまず確かめ、その上で対策を講じたい、かように申し上げたつもりでございます。
#125
○山原委員 この問題、非常に重要な問題でありますから、また二十二日に委員会をやられるそうですので、いままでの審査の経過については、私のほうから、そのときに詳しく質問をいたしたいと思います。
 以上で終わります。
#126
○安井委員長 近江巳記夫君。
  〔委員長退席、石野委員長代理着席〕
#127
○近江委員 初めに、委員長にちょっとお願いしておきますが、皆さん方の発言が非常に声が低いと思います。もっと語尾を明瞭に答弁いただきたいと思います。
 初めにお伺いしたいことは、費用のことはあまり言いたくはありませんけれども、今日のインフレ下におきまして、老人施設等見てみますと、非常に満足な食事もできないようなきびしい状況でありますし、この原子力船においては、ばく大なわれわれの血税が使われておるわけであります。
 それで、この原子力船自体の建造、またむつ港における施設、またこの協定書に伴う、いまだけでも十二億八百万というのが出ておるわけですね。それから第四次港湾整備、第五次の漁港整備あるいは海岸保全事業の問題であるとか、その他いろいろあろうかと思うのですが、どのくらい費用がいままでかかり、今後新定係港の問題もあろうかと思いますが、どのくらいの費用を見込んでおりますか。
#128
○福永説明員 原子力船事業団は、先生御案内のように、三十八年からスタートしておるわけでございますが、四十八年度までの資料を私、ここに持っております。それによりますと、全体で百五十三億余りでございます。そのうち、原子力船付帯施設費、いわば、簡単に申しますと定係港の施設でございますけれども、これに要しました経費が、概算で二十六億余りであります。
 これから先の計画につきましては、まだ事務的な詰めをいたしておりませんので、お答えいたしかねます。
#129
○近江委員 これだけの血税をつぎ込み失敗したということについて、非常に残念に思うわけであります。きょうは大臣も来られておりませんし、おのずと質問も制約を受けるわけでございますけれども、これだけの国費をつぎ込み、こういう結果になったということについて、どういう御感想をお持ちですか。その点をまず初めにお聞きします。
#130
○中村(禎)説明員 こういう事態が起こりました
 ことは、予測をいたしておりません。こういう事態が起こりましてばく大な費用が費やされたということに対しては、まことに遺憾であると私は考えております。
#131
○近江委員 今後「むつ」をどうするかという問題は、今後検討ということの答弁になろうかと思いますが、いろいろ考えてみますと、いわゆる実験船にするとか、廃船にするとか、貨物船にするとか、いろいろな案があるように思うのですが、科学技術庁としてはどういう案をお考えですか。幾通りかの考えはお持ちだと思うのですけれども……。
#132
○福永説明員 先ほど来お答えいたしておりますように、ただいま運輸省と共同で合同委員会を持ちまして、原因の調査を進めております。それによりましてその原因が明らかになりますれば、また対策も明確になってくるということでございまして、その結果を踏まえまして、将来の計画については検討したいと思っております。
#133
○近江委員 新定係港を今後さがすことになるわけでありますが、その基準としてどういうようなところを考えておるわけですか。
#134
○福永説明員 たびたび同じような答弁でたいへん恐縮でございますが、ただいまのところ、まだ事務的な検討を進めておりません。
#135
○近江委員 そういう定係港がきまったとしても、少なくとも母港ができるまでやはり四、五年はかかるということは、これは専門家の一致したところで、工事の進捗状況から見てもそれくらいかかるのじゃないか。
 そうしますと、それまでどこかに係留しなきゃならぬということになるわけですが、こういう問題についてはどのようにお考えですか。
#136
○福永説明員 昨日の合意協定書にもございますように、六カ月を目途として新定係港を決定する、二年六カ月以内を目途に母港を撤去する、こういうふうな協定になっております。私どもとしましては、この協定が実行できるように極力努力いたしたい、かように考えております。
#137
○近江委員 先ほど井上さんは、この問題については何回も会合をしているということをおっしゃっておられたわけですが、これは事故が起きてから何回も会合をされておるわけですか。実際の出港に至るまでの間において、委員会としては何回この問題について会合されたのですか。
#138
○井上説明員 出港前に何回会合をしたかということにつきましては、実質上あまり何回も会合しておらないと申し上げたほうがいいかと思います。もちろん委員会は、御承知と存じますが、一週に一回ないし二回会合をいたしておりまするから、話題にしたことはございまするけれども、出港ということそのことは、むしろこれは原船事業団の仕事であり、ないしは政府事項でございます。
 たまたま不幸にして、残念ながらこうした事態が起こりましたにつきましては、委員会としては、先ほど申しましたように、まずファクトファインディングをやらなければならない、かようなことで再々会合はいたしております。しかし、今日の段階においては、委員会としてかくかくであるということを、申し上げ得るだけの材料が得られておらないということを申し上げたようなわけでございます。
#139
○近江委員 本委員会におきましても、原子力委員会は基本設計の安全審査だけであるという、その無責任さにつきまして何回も指摘しておるわけですが、事故を起こしてからでも、心配して検討したい、だけども的確な資料がないから困っておる。こういう一つのことを見ましても、このままでわが国の原子力行政というものを進めていいのかどうかという、具体的なそういう姿が出ておる、このように私は思うわけです。
 それで、先ほど次官は、安全性というのは人によって変わるというようなニュアンスのことをおっしゃったのですが、少なくとも科学技術の世界において、人によってそういう安全性の判断が変わる、そういういいかげんなことでいいかという問題になるんですね。森山長官が出港を命じたその根拠としては、いまの次官のお話によれば、人によって違うのだから森山さんが判断されたということになるんです。
 しかし、少なくとも裏づけというものがかなりのものが必要だと思うのです。そういう点、出港に至るまで原子力局はどういうチェックをしたか。また運輸省の船舶局はどういうチェックをしてきたのか。いままでの通常の船舶機関、こういう検査済み証をお出しになるまで、いろいろなそういう経過があろうと思うのですが、今回の原子力船というのは、これは初めてのケースであります。にもかかわらず、同じそういうプロセスを経てこられたのじゃないか。となれば、これは非常に慎重さを欠いた姿勢じゃなかったか、私はこのように思うわけです。その点、ひとつ原子力局と船舶局からお伺いしたいと思います。
#140
○福永説明員 原子力施設、今回の場合は原子力船でございますが、原子力船の原子炉の安全性につきまして、国がチェックいたしますシステムを大まかに申し上げますと、まず、基本的設計方針についての安全審査、これは原子炉等規制法によって行なっているわけでございます。それから詳細設計についての安全審査あるいは工事中における工程方の検査、竣工時における総合機能検査、運転開始後における定期検査、こういうふうな段取りになろうかと思うわけでございます。
 このうち、基本設計の方針につきましては、先ほどちょっと申し上げましたように、原子炉等規制法に基づきまして原子炉安全専門審査会が安全審査を担当いたしておるわけでございます。それ以降の段階につきましては、運輸省の船舶安全法に基づきます検査ということに、船舶安全法の体系の中にゆだねられるわけでございます。
#141
○内田説明員 私どものほうは、御承知の船舶安全法に基づく検査をやっておるわけでございます。
 その中身と申しますのは、炉を含みましたその原子力船につきまして、図面のチェック、工作、それから試験、そういうようなものを繰り返し繰り返しやっていくわけでございますが、まずお断わりいたしておきますけれども、先ほどちょっとお話がございましたけれども、この船は、船舶安全法の上では検査中の船でございまして、まだ検査証書は交付しておりません。言うならば、普通の船でいえば物理的にものができ上がって、海上試運転を始めるという段階と御理解いただければけっこうだと思います。
 それから、設計、工作あるいは試験というようなものは、御承知のようにいろいろな分野に船の分が分かれておりますので、原子力船全体としていつ設計のチェックが終わり、あるいはいつ工作が終わるということではなくて、工事上、たとえば船体は先行する、炉のこういう部分は先行する、それぞれについて部分的な効力試験等が行なわれ、最後に総合的に試験をしていくという手順を踏んでいくわけでございます。先生御承知のように、特に船の場合には、実船で、きわめてきびしい気象条件あるいは海象条件がございますので、手法といたしましては、たとえばチェックして、工作段階においてふぐあいが起こると、またその部分について図面を引き直していく、あるいは効力試験で所定のものが出なかったときには、またさかのぼるというようなことで、順次そういうようなものを繰り返していくというのがわれわれのほうのやり方でございます。
 いま申しましたような意味で、現在の「むつ」は、ちょうど普通の船でいえば海上試運転に入りかかったというところでございます。また原子炉につきましては、普通の船でいえば、ボイラーに初めてこれから火を通して効力試験をやるという段階であったということを、御報告さしていただきます。
#142
○近江委員 各段階で、部分的な効力試験をしていくんだということをおっしゃっているわけですね。それであれは、なぜその原子炉を船体に設置するまでの段階において、それはチェックできなかったんですか。
#143
○内田説明員 まず最初に、部分的な効力試験と申しますのは、たとえば、一つのパイプについて水圧試験を繰り返していくとか、あるいは材料試験をやるとか、そういうものもあるわけでございます。
 いま御質問の、炉をなぜ陸上で一度確かめなかったかということでございますが、これは一つは、私どもというより、原子力船開発事業団はじめ今度の開発全部を含めての問題になるわけでございますけれども、この原子力船の設計を三菱原子力工業でございますか、そこで始める初期に、船舶技術研究所、原子力船開発事業団、それから原子力研究所等の共同研究で、たしか東海村のJRR4ですか、あれによって基本的な問題について陸上試験をやっておるわけでございます。ただ、船へ持ち込みました段階では、特に二次遮蔽とかそういう問題につきましては、現場工事を伴いますので、そういう面から、どうしても海上で試験をやらなければいけないということでございます。
 それからもう一つ、私どもの立場を申しますと、やはり船あるいは炉というものは、本来メーカーなり設計者なりが一つの設計の段階、それからさらにそれを工作し、そして適宜性能を確かめていくという一つの工程というものがあるわけでございます。そういうメーカーの組まれた工程の中で行なわれていく段階、段階を、私どもが船舶安全法という面からチェックしていくわけでございます。もう一つの立場といたしまして、まあ、こういうことを申し上げますと先生におしかりを受けるかもしれませんけれども、船舶安全法という立場から申しますと、そのものが、かりにテストをやって、途中でもけっこうでございますが、だめだったらだめだ、試験をやってだめだということでございまして、それを陸上で、たとえばボイラーなんか、ほとんど実物でも陸上の試験はやらないわけでございますが、ただ、そういう陸上の試験をやることによって、試験そのものを安全に行なっていくという別の配慮は、確かに必要だと思います。
 そういう面では、基本的にはメーカーあるいは事業団はそういうプロセスを踏むべきであろうし、私、専門ではございませんけれども、試運転あるいは陸上運転を含めまして、およそ炉を運転するという面につきましては、御承知の炉規制法による保安規定の認可であるとか、あるいは運転の届け出の問題とか、そういう面で運転そのものの安全という問題につきましては、それぞれの法令で規制しておるのでございます。
#144
○近江委員 現在の船舶安全法からいきますと、ボイラー等はいままでずっと使われておるあれであるから、ほとんどそういう検査もない。要するに、最終的に動かしてみて安全であり完全であれば検査済み証を出す、それまではあくまで試験中である。私は、この辺の法体系のいわゆる中身の問題もあろうと思いますが、取り組みの姿勢の問題だと思うのです。今日これだけ、いわゆる原発の問題が論議されておるわけです。動く原子炉としての細心の配慮が、政府全体に欠けておるわけですよ。第一船として絶対に事故を起こしてはならぬわけです。にもかかわらず、普通のそういうエンジンと同じような姿勢で、だめならば、これはもう検査済み証を出さなければいいんだ、そういう安易な取り組み姿勢です。いま申し上げたように、これは法律自体にも問題があるわけです。また、原子力局は船舶局にそれを渡したんだからいいという、そういう甘い姿勢自体に問題があると私は思う。
 この点は、運輸省も科学技術庁も、当然これは今後の問題でありますから、関係法規の整備もしなければならぬし、そういう取り組みの姿勢についても、やはり非常に盲点があるように私は思います。これは当然チェックし改善していかなければならない、いろいろな問題がこれから起きてきますよ。それについては次長はどう思いますか。
#145
○福永説明員 科学技術庁並びに運輸省の本件に対する取り組み方の姿勢というものにつきましては、先生の御意見も十分に参考にさせていただきたいと思います。
 しかしながら、要するに現行の法体系のもとで、それぞれが有機的に十分な連携をとる、それでそれぞれにはっきりした責任は責任として確保する、こういう考え方が一番必要なことではなかろうかと思うわけでございます。先ほど来御説明申し上げましたように、今回のできごとにつきましても、現在、さっそく両省庁共同で技術検討委員会を設置いたしまして、鋭意原因の究明につとめるなど、両省庁密接にやっておりますけれども、今後ともますます密接な連携関係を保っていきたいと思っております。
#146
○内田説明員 私のことばが足りませんで、誤解をいただいたようなことで申しわけございません。普通のボイラーと同じようにという意味で申し上げたのではなくて、現在検査中の船であるということと、それからもう一つ、やはりわれわれとしましても、これはメーカーももちろん含めましてですけれども、設計の段階あるいは工作の段階で最善の努力を、それぞれの分野でやっておるつもりでございます。そういう意味で、なるべくというか、できる限り最終の効力試験というものが、そういうふぐあいな問題が起こらないように、それぞれの分野で努力するということはもちろんでございます。
 ただ、先ほど科学技術庁の政務次官から申し上げましたけれども、これは原因というものを、これから調べなければわからぬわけでございますけれども、初めて効力試験というもので火がともり、さらに出力を上げていくという初めての効力試験でございますから、それをやらずに保障するという、あるいはそういうふぐあいが生じないという保障は、なかなかその立場としてはとりがたい。
 ただ問題は、こういうふぐあいが起こったことが、それぞれの原因が明らかになってまいりますれば、それがその技術レベルなりその立場で防ぎ切れなかったものであるか、あるいは最善のチェックがなされていなかったのか、あるいはそのときの日本の技術レベルとしてしようがなかったことであったのか、そういうことはこれから、現在、われわれと科学技術庁と合同の対策委員会を開いて、いま一生懸命解析しているという段階でございます。
#147
○近江委員 現在のそういう法体系であっても、有機的に連絡をとり合っていけばいいんだということでありましたけれども、有機的に連絡がとれてないからこういう事故が起きておるわけですよ。それは今後事故の解明をしていかなければわからないことかもしれないけれども、現実にはそれは口だけですよ。いまあなた、関係省庁がこうやって連絡をとってやっていると言うけれども、事故が起きてからやっているんでしょう。それじゃどういう連携をとっていままでやってきたんですか。
#148
○福永説明員 私、ただいま申し上げましたように、現行の法体系のもとで有機的に連携をとって、密接な協力体制とともに、責任体制は明らかにしていきたい、こういうことを申し上げたわけでございますが、従来とも原子力委員会の、たとえば原子炉安全専門審査会でございますが、これには船舶局長も入っていただいております。それで両省庁で一貫した審査をやっておる、こういうようなことでございます。
 しかしながら、先生御指摘のように、これまでのところは、必ずしも一〇〇%うまくいっているというわけではございませんで、今回を機会に、その辺は十分反省いたしまして、今後努力をしたいと思っておるわけでございます。
#149
○近江委員 何といいましても、原子力委員会が安全審査をして安全である、そういうお墨つきをお出しになった。これはやはり、そういうお墨つきが出たんだから、これが一番の原因になっているわけです。原子力局は、あとはもう船舶局へ行ったんだ。連絡はやっているかもしれぬけれども、おそらくそれは形だけのものだと思うんですよ。突っ込んだ、どんなことがあってもそういう故障なり事故を出してはならぬという徹底した両省の体制をとって今日までやってくれば、こういうことはおそらく防げたはずじゃないかとぼくは思うんです。これは一〇〇%そうであるとは言いませんよ。今後の原因追及をしていけばいろいろなことが出てくるかもわかりませんけれども、そういう点におきまして、結局、原子力局は運輸省の船舶局にまかし切りにしておった。船舶局は、原子力委員会が安全であると言っておるんだから、これはあくまで試験段階である、悪ければクレームをつけてすればいいんだ、やはりそこにすきがあるのですよ。今度は、政府部内のお互いのすきのからみ合いの中から起きたこれは事件ですよ。
 そういう点において、これは単なる「むつ」だけの問題じゃないわけです。これは日本の原子力行政全体を真剣にこの際総点検して、洗い直して立ち直りをやらないと、これは解決しませんよ。私はそのことを特に申し上げたいと思うのです。
 それで原子力委員会といたしましても、いまその改組する方向でいろいろお考えであると聞いておるのですが、たとえば、この原子力委員会を専門家による中立的な機関にするとか、環境保全を前面に打ち出すために安全監視体制を環境庁に移管するとか、いろんなことをいま論議されておるということをお聞きしておるわけですが、どういう方向にいま進みつつあるのか、井上さんからひとつお伺いしたいと思うのです。
#150
○井上説明員 ただいま近江先生から御指摘の点は、まことにごもっともでございまして、私ども原子力委員会といたしましては、ただいま事務当局から法律的な見解を述べられまして、その限りにおいて間違った措置がとられたとは存じておりませんけれども、しかし、結果的に国民の信頼を裏切ったような結果が出てしまった。これは、何かそこに甘いと申しますか、認識の不足と申しますか、あるいは行政体制の不備があったのではないかということは、私どもといたしましても、十分謙虚に検討いたしたいと存じます。
 その検討につきまして、たいへん重複になって恐縮でございまするが、先ほど御指摘がございまして、政務次官からお答えをいたしました安全ということにつきまして、多少人によって安全そのものの解釈に開きがある。と申しますのは、今度の「むつ」につきましても若干の放射線漏れはございましたけれども、人畜の死傷その他重大な影響を出さなかったという意味においては、私どもも決して不安全であったとは考えておりません。しかし、原子力船が当初設計されたる性能を出さないうちに、ある放射線漏れをしたということは、当初、私ども原子力委員会が安全審査をいたしましたその規格に沿わないものができた。それについては、やはり体制上あるいは法制上の若干の不備があるのではないかということについては、私どももひとつ考えたいと思いますし、むしろこれは、皆さま方立法府あるいはその他の世論に十分伺いたい点ではございます。
  〔石野委員長代理退席、委員長着席〕
 御指摘のありました、原子力の安全についての一つの一貫体制が、行政府間ではとられておらないではないか、また、原子力を推進をするあるいは開発を進めるという意味での部門と、安全を審査する部門とが一つでは、何かそこに混同が起こるではないか、あるいは原子力の審査体制というものが、今日ある形よりもより中立的な性格を持たなければいけないのではないか、それぞれ御議論がございます。これらにつきましては、私どもは私どもなりに検討いたしたいと同時に、また皆さま方各方面の御意見を徴して、最も国民の信頼をかちうるであろうような結論を得たい、かように考えております。
#151
○近江委員 では、時間ですから終わります。
#152
○安井委員長 次に、内海清君。
#153
○内海(清)委員 だいぶ時間がたちましたので、質問は二十二日に大体譲りたいと思いますが、けさほどからのお話をいろいろ承りまして、私の一つの感じというものを申し上げます。今度の原子力船の問題につきましては、原子力船の開発をするにあたっては、基本的な問題があったはずであります。もちろん、いままではそれに沿って進めてこられたと思うのですが、不幸にしてああいう事故が起きた、こういうことであります。
 事故が起きてから後の姿を見てまいりますと、最初はなるほど工学的、技術的な問題が論議されてきた。ところが、だんだん終わりになってくると、これは一つの体制を含めた人為的と申しますかの問題こういうものが表面的に出てきた。それに追い回されて、何とか早く解決しなければならぬというふうなあせりが、政府に出てきたように私は思うのです。この工学、技術的な問題と、そうしてその体制を含めた人為的の問題というもの、これは全く別個のものですが、この二つがはっきり踏まえられて、両方から厳密に検討されなければならぬと思うのです。
 だから、先ほど来いろいろありまして、いろいろのお考えはあるようですが、たとえば、政府のほうは、できれば母港に帰ったならば燃料棒を抜いて、そうして船を製造いたしました三菱の神戸造船所に持っていって、これを改良あるいは補修して、原子力船の建造目的に沿うようにということが考えられたと思うのです。しかし、政府は鈴木総務会長にまかされて、鈴木総務会長は、ここで抜くのかあるいは凍結するか、どちらかの選択をせいということになった。ところが、抜かないで凍結するという選択になった。
 それでは、抜かないということに対して、なぜそうなったかということをいろいろ私は考えた。この燃料棒の引き抜きにつきましては、さっきもありましたが、それを保管しますキャスクあるいはその他のいろいろな防護施設が必要でしょう。プールも必要でしょうし、いろいろあるはずです。母港でありますから、そういうものは一通り整っておると私は考えるのです。ところが、整っておるが、これはまだいままで一ぺんも使うたことがないのだ。だから、漁協の推薦した学者によってやられたときに、これは田島さんが乗られましたが、その折りのあれには、燃料棒を抜くのもオーケーだ。これはどっちもみな一応オーケーです。ただし、抜き取り作業に関しては早急にはできぬのじゃないか、こういうことになったから、地元の人の選択は、それはまだあぶないじゃないかということになるわけなんです。それは、いままでそういう施設はあるけれども使用したことはない、こういうことなんです。
 そうすると、その抜き取りの作業の手順とか、あるいはそれらの運転技術の習得をやらなければならぬ、訓練せなければならぬ、それには数カ月かかるじゃないかということがあるのですよ。これがはっきりできておれば、私が考えるのでは、おそらく田島さんもそういうことにはならなかったのじゃないか、こう思うのですよ。その点はいかがですか。
#154
○中村(守)説明員 お答えいたします。
 燃料棒の取りはずしにどのくらい期間がかかるかということでございますが、私どもの調査した範囲においてお答えいたしますが、現在むつにあります燃料取りかえの施設、これは納めてからかなり時間がたっておりますので、そういう意味で、かなり現場でのチェックが必要でないか。それを非常に安全目に見ますと、いろいろ時間の勘定のしかたもございますが、実際に現地にそのメーカーの者が参りましていろいろ調査しました結果、非常に良好な状態で保存されておるということで、そのチェックにはそう手間取らないということが一点と、それから運転員の訓練という点につきまして必要になりますのは、やはりモックアップ装置をつくって取りかえをする練習をするということでございますが、そのモックアップ装置が当初はないということも一時あったのでございますが、よく調べてみましたところ、そういうものも現地に存在しておりました。したがって、それの製作の手間もかからない。運転員につきましては、その機械を納入しましたときに、その装置についてはいろいろなチェックをやっておるわけでございますので、そういう取り扱いをしました経験のある運転員をメーカーのほうから派遣させまして、その人間を中心に進める。それからクレーンの運転操作員等については、事業団の中ですでに工事中にもクレーンの取りかえをやっておりますので、全然ずぶのしろうとが参ってやるわけでもございません。
 そういう意味で、これはずぶのしろうとが初めからやる、それから取りかえ装置についても一々一から十まで点検し直すというようなことをやって、調整から何から全部やるということになりますと、そこら辺はかなりな時間がかかるかと思います。
 それから、燃料棒の引き出しにつきましてのマニュアルにつきましては、すでに機械を納めたときにマニュアルができておりまして、それを今回さらに精査するということで、私どものほうで電力会社のそういう取り扱いをしました経験者等も集めまして、そういうマニュアルもチェックするということもいたしておりまして、それらは並行して進められますので、そういうものにそう時間がかからない。
 燃料を一本引き抜くのに、一日に一本引き抜くという非常に慎重な計画を立てて、そういうもとで一応われわれのほうで試算しましても、約三カ月程度あれば可能であるという見通しを得ております。ただし、天候に大きく左右されますものですから、風の強い日とか雪の降った日、雨の降った日、そういう日は作業が、これは格納容器の中に塩分が入る等々の問題もございますので、できかねます。そういうようなことも考えて、若干それから延びる要素もある。ただし日程については、先ほど申しましたように、一日一体という非常に慎重な計画にしております。熟練してくれば、一日二体も可能かと思います。そういったところのことも考えますと、逆に減る要素もあるというようなことで、大体三カ月程度あれば可能ではないかというぐあいに、私どもの調査の段階ではそういうぐあいに了解いたしております。
#155
○内海(清)委員 三カ月あればいいと、これは自信をもって言われるかどうか。今度の臨界実験も自信を持っておられたはずだが、ああいうことになった。だから、ああいう問題のあとだから、引き抜きに関しても十分自信をもって、訓練に訓練を重ねてやらなければいかぬということ、これが田島さんの配慮だと私は思います。ところが、原子力船をつくったあれからいうならば、できるだけ早く原因を追及して、そうしてその目的に沿うべきである。ところが、最初の失敗がああいうことになってしもうたわけだ。
 そういう点を考えますと、私がさっき申しましたように、目の前の現象ということ、いわば体制を含めた人為的、あるいは行政的と言ってもいいかもしれませんが、それに振り回された感があるので、工学上、技術上の問題がそれでもって少し検討がおくれるというようなことも出てくる。これは本来別の問題でなければいかぬと私は思うのであります。そういう意味で、私はいま申し上げましたような感想を持ったわけであります。
 まあ、これは二十二日にやりますから、きょうは別に申し上げませんが、体制の問題一つ考えてみても、さっき船舶局長がお答えになりましたが、原発とは違って、船の場合はいわゆる船舶安全法によってこれをやるということです。そこは通産省の原発とだいぶん違うわけですよ。だから、私に言わせれば、これはもっと事前に科学技術庁と運輸省のつながりというものがほんとうに密接であって、そういう体制についても十分な検討ができたかどうかということ。運輸省からいえば、船舶安全法によってわれわれはやればいいのだということです。しかも、原子力発電といっても船なんですよ。しかも、定係港でやるべきその作業を波のある洋上でやろうというのですよ。その辺の問題が私はあると思います。
 さっき近江委員も言われましたが、政府のこれに取り組む姿勢というものが、私は最初から問題をはらんでおったと思うのであります。この問題は、私はきわめて大事な問題と思っております。これらにつきましても、いずれまた御質問することにして、きょうは深入りいたしません。そういう点を十分お考えいただきたい。同時に、あくまでもいまも政府の方針は変わっていないはずです。原子力商船を開発しようという根本を忘れないように、これからの処置もしてもらいたい。これは強い要望をしておきたいと思います。
 きょうは、もうほとんど何もこちらではわからぬようでありますから、次に譲らざるを得ません。ただ、きょうの報告で、先ほどからいろいろございましたが、六カ月以内に次の母港を決定して、二年半以内に撤去完了ということになって心いるわけでしょう。先ほど来聞けば、まだ新母港というものは何らめども何もついていないということです。これを目途にやるというのですが、この六カ月といいあるいは二年半といい、これは一つの努力目標ですか、何ですか。政府の見通しがなければ、努力目標といわざるを得ぬと私は思うのです。この点は、次官、いかがです。
#156
○中村(禎)説明員 そういう協定を結んでおるわけでございますから、その期間内には、当然全力を尽くして努力しなければなりません。努力目標にもなります。しかし、合意協定書を守るという上から、責任をもってその問題を処理していかなければならぬと私は思います。
#157
○内海(清)委員 私は、これは努力目標と受け取らざるを得ぬわけです。しかも、こういう事態になって新母港をきめる。いままでもいろいろ、離島とかあるいは既存の原発用の関係港湾を何とかしょうとかいうことがありますが、おそらくそう簡単にきまらぬと私は思います。そうすると努力目標といわざるを得ぬ。
 そこで、努力目標で、これがもし六カ月以内ということが大きく延びた場合に、再び国民の不信感を増すじゃないですか。ただ目の前の火の粉を払うためにあまり簡単に考えられれば、ますます原子力行政に対する国民の信頼を私は失うと思うのです。これはあなた方に言うても、六カ月以内ということをどうしてきめたかということは、あなたらはわからぬとおっしゃるかもしれませんが、これは非常に問題だ。だから、もしこうきめるならば、必ずこの期間にはやるということでやらなければならない。その見通しがあるのですか。あなた方がいままでやってこられてその見通しがないものが、こうなったからというて急にきまると思われますか。いかがです。――むずかしいでしょうから、けっこうです。
 どうかひとつそういう点を考えて、ただ目の先の火の粉を払うのもけっこうですけれども、わが国の原子力開発は今後どうしても進めていかなければならない問題でしょう。だから、そういうもっと長期のことも考えながら、事を一つ一つ処していかぬと、今度はのがれたがまた次に難題が来るというのでは、これこそ政府の原子力行政の姿勢というものがほんとうに問われる。国民の信頼はますますなくなると私は思うのであります。
 だから、いずれ長官も出てこられましょうし、現地からもみな帰ってこられましょうから、そういう点を十分御検討いただいて、二十二日の委員会には、そういうことが国民の前に明らかにされますように御努力を要望したいと思います。
 きょうはこの程度で終わっておきまして、また二十二日に御質問を申し上げたいと思います。終わります。
#158
○安井委員長 次回は、来たる十月二十二日午後二時より理事会、二時十五分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後二時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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