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1949/04/22 第7回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第007回国会 厚生委員会 第30号
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1949/04/22 第7回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第007回国会 厚生委員会 第30号

#1
第007回国会 厚生委員会 第30号
昭和二十五年四月二十二日(土曜日)
    午前十一時二十七分開議
 出席委員
   委員長代理理事 松永 佛骨君
   理事 青柳 一郎君 理事 大石 武一君
   理事 岡  良一君 理事 金塚  孝君
   理事 苅田アサノ君 理事 金子與重郎君
      幡谷仙次郎君    丸山 直友君
      亘  四郎君    堤 ツルヨ君
 出席政府委員
        厚生事務官
        (保險局長)  安田  巖君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局
        長)      三木 行治君
 委員外の出席者
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局予
        防課長)    小川 朝吉君
        專  門  員 引地亮太郎君
    ―――――――――――――
四月二十日
 委員中川俊思君及び福田昌子君辞任につき、そ
 の補欠として森下孝君及び堤ツルヨ君が議長の
 指名で委員に選任された。
同月二十一日
 委員森下孝君辞任につき、その補欠として中川
 俊思君が議長の指名で委員に選任された。
四月十九日
 福岡市在住引揚者等の住宅附店舗建設資金融資
 に関する請願(池見茂隆君紹介)(第二六三七
 号)
 あん摩術営業法案反対に関する請願(大石ヨシ
 エ君紹介)(第二六五二号)
 生活保護法案の一部修正に関する請願(亘四郎
 君紹介)(第二六五三号)
 同(苅田アサノ君外一名紹介)(第二七四一
 号)
 青少年飲酒防止法制定に関する請願(水谷長三
 郎君紹介)(第二六五四号)
 同(石井繁丸君紹介)(第二六五五号)
 同(足鹿覺君紹介)(第二七三五号)
 遺族の援護対策確立に関する請願(堤ツルヨ君
 外一名紹介)(第二六五六号)
 同(中曽根康弘君外一名紹介)(第二七四四号)
 同(小松勇次君紹介)(第二七六〇号)
 医療法第十三條改正に関する請願(金塚孝君紹
 介)(第二六六二号)
 医師の調剤権存置に関する請願(金塚孝君紹
 介)(第二六六三号)
 健康保險制度の統一化並びに同診療報酬支拂促
 進に関する請願(金塚孝君紹介)(第二六六四号)
 国立福島療養所内の民主化促進に関する請願(
 菅家喜六君紹介)(第二六九三号)
 生活保護法の適用範囲拡大に関する請願(加藤
 鐐造君紹介)(第二六九四号)
 生活協同組合助成に関する請願(加藤鐐造君紹
 介)(第二六九五号)
 国民健康保險制度改善に関する請願(赤松勇君
 紹介)(第二七〇六号)
 進駐軍労務者の健康保險料政府負担額増額に関
 する請願(青柳一郎君紹介)(第二七三四号)
 青少年飲酒防止法制定反対に関する請願(三宅
 則義君紹介)(第二七三六号)
 同(北澤直吉君紹介)(第二七三七号)
 同(川野芳滿君紹介)(第二七三八号)
 同(松野頼三君紹介)(第二七三九号)
 同(前尾繁三郎君紹介)(第二七四〇号)
 医薬分業制度確立に関する請願(江崎真澄君紹
 介)(第二七四二号)
 同(岡村利右衞門君外一名紹介)(第二七五九
 号)
 薬事法改正に関する請願(小平久雄君紹介)(
 第二七四三号)
 国立療養所患者の食費増額に関する請願(立花
 敏男君外一名紹介)(第二七四五号)
 引揚者の援護に関する請願(竹村奈良一君外一
 名紹介)(第二七四六号)
 厚生年金保險に関する請願外二件(渡部義通君
 外一名紹介)(第二七四七号)
 国立療養所大府莊職員の不正行為に関する請願
 (田島ひで君外一名紹介)(第二七五七号)
同月二十一日
 医薬分業制度確立に関する請願(多武良哲三君
 紹介)(第二七九四号)
 青少年飲酒防止法制定反対に関する請願外一件
 (井出一太郎君紹介)(第二七九五号)
 同(前尾繁三郎君外一名紹介)(第二七九六
 号)
 同外二件(吉田安君外一名紹介)(第二八六三
 号)
 同(荒木萬壽夫外一名紹介)(第二八六四号)
 同(有田喜一君外一名紹介)(第二八六五号)
 進駐軍労務者の健康保險料政府負担額増額に関
 する請願(前田種男君外三名紹介)(第二七九
 七号)
 同(渡部義通君外一名紹介)(第二七九八号)
 同(丸山直友君外一名紹介)(第二七九九号)
 同(田中元君紹介)(第二八〇〇号)
 同(金子與重郎君紹介)(第二八〇一号)
 外地引揚歯料医師免許に関する請願(岡良一君
 紹介)(第二八一七号)
 同(門脇勝太郎君紹介)(第二八一八号)
 同外一件(渡部義通君外一名紹介)(第二八一九号)
 同(坂口主税君紹介)(第二八二〇号)
 同外一件(青柳一郎君紹介)(第二八二一号)
 同(田中元君紹介)(第二八九九号)
 水道事業に対する国庫補助増額に関する請願(
 神田博君外七名紹介)(第二八二八号)
 保健婦助産婦看護婦法の一部改正に関する請願
 (青柳一郎君紹介)(第二八六六号)
 遺族の援護対策確立に関する請願(河原伊三郎
 君紹介)(第二八六九号)
 同外四件(逢澤寛君紹介)(第二八七〇号)
 本渡町母子寮建設促進に関する請願(原田雪松
 君紹介)(第二八九三号)
の審査を本委員会に付託された。
同月二十日
 同和対策確立に関する陳情書(兵庫県議会議長
 山田平市郎)(第八〇九号)
 国立相模原病院の結核病とう増設の陳情書(神
 奈川県高座郡相模原町長小林與次右ェ門外十
 名)(第八三三号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 結核対策に関する件
 社会保險制度に関する件
    ―――――――――――――
#2
○松永委員長代理 これより会議を開きます。
 都合により委員長がおさしつかえがありますので、私が委員長の職務を行います。
 本日はまず結核対策に関する件を議題といたします。本件に関しましては、昨年十二月二十三日に当委員会に設置されました結核対策に関する小委員会において検討中でありましたが、昨日委員長に対しまして、小委員会で得た一応の結論をまとめた報告書が提出されました。お手元に配付してあるのがその報告書でありますが、これについて、まず丸山結核対策に関する小委員長より説明していただくことにいたします。丸山委員。
#3
○丸山委員 本厚生委員会におきまして、昨年十二月十七日、議長の承認を得て結核対策に関する小委員会が設置されまして、同二十三日に私ども十名の委員が選任せられ、結核対策の諸問題の十分な検討を行つたのであります。私が小委員長に選任せられまして、一月二十五日第一回の委員会を開き、爾後昨日までに八回の委員会において愼重調査を重ね、その間政府の関係当局、結核予防会等、各方面の実情並びに意見を聽取し、ここに概括的の結論を得ましたので、その大綱について御報告申し上げます。
 お手元に差上げてございます報告書は、一々これを明読いたしますと時間を要しますので、省略いたしたいと考えます。ただそこに盛られておりまする考えは、ただいまし結核蔓延の状況が、昨年度の死亡者が十四万になんなんとし、推定罹患人口が百四十万と考えられ、その国家財政に及ぼす損失、生活窮乏の因となつておること、経済復興を阻害すること等とあわせて保健衛生分野以上のおびただしい提害があるということから、これに対する対策を考え得られるだけのものをここに申し上げた次第であります。大体これを区別いたしまして、結核予防の施設に関する件、それに対する考え方、それから結核の予防事業を行う面に対する考え方、その次には技術者の確保と技術の向上に関する件、及び行政機構の一元化によるところの結核対策の種種なる困難の打開、及び将来にわたりまして社会保障制度が確立せられる場合における、特に結核撲滅に対する一貫した措置が講ぜられるように希望すること、及び営利を目的とせざる結核予防事業を行う法人に対する寄付金の非課税等の項目が盛られておるのであります。なお結核の対策樹立は現時の急務と考えますので、この報告書に盛られた内容をよく検討いたしまして、この際厚生委員全員の名をもつて、結核対策に関する決議案を提出いたしたいと小委員会において決議いたしたわけであります。小委員会において作成いたしました決議案の案文を朗読いたします。お手元に差し上げてございますものとは若干違つております。
  結核対策に関する決議案
  わが国における結核蔓延の現況は、近年やや改善されたとは言え、なお、昨年度の死亡者は、十四万に垂々とし、その推定罹患人口は、百四十万と唱せられている。
  従つて、その影響するところは、啻に保健衛生の分野のみならずズ、生活窮乏の因となり、経済の復興を阻害し、その国家的損失は、実に、千億を超ゆる国帑の喪失にも匹敵するのである。
  よつて政府は結核死亡率を今後五ケ年に半減し、十ケ年に欧米文化諸国と同程度まで低下せしめることを目標として、次の如き強力なる対策を樹立し、之が急速なる実現を期するため、必要なる法制的及び予算的措置等を講ずべきである。
 第一 予防の強化徹底を期すること。
  右に関し
 一、二ヶ年間に人口十万に対し一ヶ所の割合に整備すること。
 二、結核保養所を各都道府県及び大都市に設置すること。
 三、現行結核予防法に基づく知事の検診権限を拡大し、健康診断の普及と事後措置の完全を期すること。
 四、環境上、病毒伝播感染防上の措置を講じ、これに対する国庫補助をなすこと。
 五、結核予防法を改正強化すること。
 六、結核に関する正しい知識の普及徹底を期するとともに、食生活の合理的改善を図ること。
 第二 治療並に保護の徹底を期すること。
  右に関し
 一、結核病床十二万床を五ヶ年間に整備すること。
 二、結核の外料的療法、その他近代療法の普及を図ること。
 三、社会保險を拡充普及し、患者の医療費及び生活費の保障に努力を拂うこと。
 四、後保護施設を国又は都道府県、及び大都市において設置すること。
 第三、研修機構の充実、技術者の待遇改善、資格法の制定等によりその確保と技術の向上を図ること。
 第四、結核研究機関に対する研究の補助を、大幅に増額すると共に、新治療薬の研究、並びに生産に対して助成すること。
 第五、行政機構の一元化を図ること。
  右に関し
   厚生省に專ら、結核に関する事務を掌る部局を設置し、結核予防、並びに治療に関する事務の統合を図り、且つ、結核予防対策審議会を設置して総合的結核予防対策を樹立すると共に、各省間の連絡を密にすること。
 第六、将来社会保障制度の確立に当つては、特に結核撲滅に重点を置き、これがため必要なる措置を講ずること。
 第七、営利を目的とせざる結核予防事業を行う法人に対する寄付金は非課税とすること。
  右決議する
 以上が決議文の案文でございます。小委員会の御報告を終ります。何とぞこの案文を御検討の上、決議案提出に御賛同あらんことを切望する次第でございます。
#4
○松永委員長代理 ただいま丸山委員より結核対策に関する決議案についての御発言がありましたが、本件に関して何か御意見がありましたら御発言願います。
#5
○苅田委員 これは配付されました資料とは相当違つておりますので、私はつきりわからなかつた点、省略されております点を少しお聞きしたいと思うのですが、予防の強化徹底というところで、第三の現行結核予防法に基く知事の検診権限ということはどういうふうになつておりますか、おそれ入りますが、もう一ぺん言つていただきたいのですが。
#6
○丸山委員 実はお手元に差上げました資料は、内容を詳しく書いてあるわけであります。たとえば労働基準法、学校教育法に基く健康診断のうち、結核に関する健康診断は結核予防法のそれと一体化をはかるとか、あるいは必要によりますと都道府県知事が強制的に学校あるいは工場等に対しても結核予防のための検診、健康診断を行う、あるいはそれに対する指示を行うようにしたいというのが内容でございます。しかしそういう内容をあまり詳しく決議案の内容に入れますると、文章に迫力がなくなるので、こういうふうに短くいたしまして、これを内容の説明をする場合に詳しく申し上げたいというわけで、省略したわけでございます。
#7
○苅田委員 その点了承いたしました。次に第二の治療並びに保護の徹底を期するというところにも、社会保險を拡充普及し、傷病手当金の増額とか、給付期間の延長、給付内容の充実というようなことが具体的に書いてあるわけなのですが、今度お省きになつた。これもおそらくは口頭で御説明になるときにお入れになることだと思うのですが、しかしこの点は私は非常に大事だと思うのです。集団検診ということを強制的にどんどんし得るようにすれば、どうしてもその半面に、これによつて職場に働いておる人たちの生活が脅かされないための施設を十分にしないことには、集団検診をするということがむしろ働く権利を剥奪することになるおそれがありますので、この点だけはやはり決議文にはつきりうたつておいていただきたいと私は考えます。
#8
○丸山委員 これもただいまと同様の意味でございましてこの項目を削つてしまうという意味で省略したのではございません。従つて文章の意味として、患者の医療費及び生活費の保障に努力を拂うということを書かないことにいたしまして、口頭で説明したいと考えております。
#9
○苅田委員 私もそれはそうだろうと思つて申しましたのですが、そういうふうにしないで、この点だけはせひ具体的に決議文の中に入れていただきたいということを希望しておるわけなんです。
#10
○松永委員長代理 他に本件に関する御発言はありませんか。――それではお諮りいたします。結核対策に関する小委員長の丸山委員より提案されました結核対策に関する決議案の案文につきましては、丸山委員より提案されましたのに、ただいまの苅田委員等の御意見を取入れた内容といたしまして、提案者は御賛同を得た委員総員といたしまして、決議案を提出いたしたいと存じますが、御異議、ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○松永委員長代理 御異議なければさように決定いたします。なお決議案の取扱い及び案文の整理に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますからさよう御了承願います。ちよつと速記をやめてください。
    〔速記中止〕
#12
○松永委員長代理 速記を始めてください。
    ―――――――――――――
#13
○松永委員長代理 次に社会保險に関する件について青柳委員より発言を求められておりますので、これを許可いたします。
#14
○青柳委員 本委員会におきまして、前々から社会保險についていろいろ御意見が出ておるのでありますが、現在の社会保險、ことに健康保險並びに国民健康保險を現状のまま放つておきました際には、だんだん苦しくなつてつぶれて行くことも、現実に現われておるのであります。何とかしてそういう危機からこれを救いますと同時に、社会保障制度ができるまでのつなぎといいますか、それまでに次第次第に整備をはかつて参らなければならないと存じます。従いましてこの委員会におきまして、各委員の御発言があつた点なども参酌いたしまして、疾病に関する社会保險制度の整備に関する決議案といたしまして、一案をつくつた次第であります。これから朗読いたしますが、御賛同を得られれば非常に仕合せだと存じまするし、どうぞどんどん御訂正のほどをお願いいたしたいと存じます。
  疾病に関する社会保險制度の整備に関する決議案
  社会保障制度の確立については、政府はさきに社会保險制度審議会を設置し、鋭意これを調査、研究及び立案に当つておるが、現下の国民生活は、国家資源の窮乏と経済再建のための過渡的な財政経済的制約の下に、極めて急迫しており、社会保障制度の確立は益々緊急を要する情勢にある。
  然るに、社会保障制度の基礎として重要なる分野を占める健康保險及び国民健康保險等疾病に関する社会保險制度は、財政的に破綻に瀕し、今にして拔本的対策の樹立なくしては、到底崩壊を免れない実情にあり、かくては社会保障制度の樹立は誠にあやぶまれるのである。よつて政府は、全般的社会保障制度の実現について遺憾なき施策を行うことはもとより、特に、疾病に関する社会保險制度の目下の危機に対拠するとともに之が整備を図るため、出来得る限り速かに次の措置を講ずべきである。
 一、健康保險制度と国民健康保險制度の綜合調整を図ること。
 二、事務費は全額国庫負担とするとともに、医療給付費、就中、結核に要する給付費に付ても、国庫負担を考慮すること。
 三、診療機関の設置その他保健施設の拡充に対する国庫負担を増額し、その普及徹底を計り、医療費支出の軽減を講ずること。
 四、国民健康保險の保險料は目的税として徴收し得るようにすること。
 五、国民健康保險を出来得る限り速に全市町村に行わるるやう、之が普及に努めること。
 六、国民健康保險について、財政力の薄弱なる町村に対する措置として、平衡交付金の交付等を考慮すること。
 七、事業資金について低利融資の途を、講ずること。
右決議する。
 以上であります。どうぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
#15
○松永委員長代理 ただいま青柳委員より疾病に関する社会保險の整備に関する決議案が提出されましたが、これに関して御意見があれば御発言を願います。
#16
○丸山委員 青柳委員にちよつとお伺いしたいと考えますのは、これは全部非常にけつこうな決議案であると私には考えられるのでありますが、従来決議案が出ましても、政府がこの決議案を実行に移す面において、なかなかその線に沿わないというような、つまり注文のしつぱなしというようになる結果をもたらしておる決議案も相当あると考えます。その意味におきまして、この第四の目的税として徴收し得るようということに関するのでありますが、これは先般の地方行政委員会の方へも厚生委員会の決議をもつて目的税とするという條項を入れておきましたところ、地方行政委員会においてはこれを認めないで削除してしまつたというような形であります。また関係当局も、これにはなお難色ありというように私どもも承つておるのでありますが、入れておくということは確かによろしいことであると思いますが、この決議というものがどうも軽く取扱われるというような結果を来してはいけませんので、何かこの條項についてもう少し緩和するようなことをお考えになれませんか。いかがでありますか。
#17
○青柳委員 ただいまのお尋ねでありますが、実は私は国民健康保險の問題につきまして関係御当局を訪問いたしまして、そのうちの一番の保險についての責任者にお会いしたのでありますが、その際にこの話をいたしたこともございます。と申しますのは、御存じのように政府におきましては、本国会に国民健康保險の保險料を市町村の目的税として課するという案をつくられまして、閣議においてこれを決定いたし、関係方面に持ち出しましたところが、遂にその同意を得るに至らなかつたのでありまして、その点につきまして一番上の責任者の方とお話をしたのでありまするが、その際に私が感得いたしましたことを申し上げますと、ESSの方とPHWの方といろいろ御相談がありましたが、結局最後におきましては、今度の地方税はいろいろたくさんの問題を含んでおるので、この保險料を保險税として持つて行く問題は、この一箇年間くらいの地方税の実施状況を見て実現してもおそくはないだろう、そういうような結論に達したように存じたのであります。そういうこともございましたので、この実現は不可能ではないと思いまして、先般のこの委員会におきましてもお願いいたしまして、地方行政委員会に申し入れたのであります。その際地方行政委員会におきましては、この問題は一部の方々から質問がございまして、これを税金にするより先に考うべきことがありはせぬか、それは何であるかというと、国庫の補助をもつともらわなければいけないのではないか、また各種の医療施設の充実がなければいけないのではないか、卒然と保險料を保險税にするということについては、ちよつと考えてみると論理的飛躍があつて理解に苦しむ、というようなお話も実はあつたのであります。当時地方行政委員長におきましては、その後の懇談会におきまして、この問題につきましては市町村のために考えなければならぬ問題とは思うが、ただいまも違つた意見もあつたし、地方行政委員会において将来地方税に関する小委員会をつくるつもりであるから、その小委員会におきまして、なおこの問題はその他の問題とともに検討しよう、こういうお話であります。これを税金にするということにつきましては、結論といたしましては、絶望ではないと私は思うのであります。ただしかし、私の気持といたしましては、税とする市町村もあろうし、税としないで従前通り保險料としておく市町村もあつてもいいと思うのであります。国民健康保險がほんとうにしつかりと運営されておりまするところは、税よりは保險料の方がとりいいというところもあることはあるのであります。ただしかし、そういうふうに国民健康保險料を国民健康保險税でとることを得るというふうな考えでありますが、そうなるといわゆる市町村の独立税ということになつてしまして、法文に現われぬというような点もあるのでありまして、原則といたしましては、税金としてとる、しかし税金としてとらないこともできるというふうな規定を設けたいというのが、現在の私の心境でございます。
#18
○丸山委員 よろしゆうございます。
#19
○苅田委員 私どもといたしましても、この決議案の趣旨には賛成でございます。ただこれを実施いたします項目につきましては、二、三賛成することのできない点、あるいは疑問の点があるのであります。たとえばただいま問題になつておりまする第四項の目的税とする点は、これは私がこの前地方税についての申入れの中の決議文にも、この案のあることを知りまして、この点は私も意見を申し述べなければならないと思つておりましたが、私どもの出席しない会合で採決されましたために、意見を申し上げる機会がなかつたのでありますが、健康保險の保險料を税金でとることに対しましては、共産党は反対であります。保險料が入らないというのは、その負担を地方の一般住民が負い切れないということにあるので、それを強制的にぜひ拂わなければならない税金でとるということになると、少し大げさな表現をすれば、健康保險にかかるがためにまた自殺者がふえるというような因果関係になるわけでありまして、この点は私どもとしては賛成できない点なのであります。
 それから国民健康保險について平衡交付金を交付してもらうということにつきましても、私どもは平衡交付金につきましては、非常に疑義を持つておりますので、この点につきましてもにわかに賛成することはできない、こういう考えなのであります。
#20
○青柳委員 今のお考えにつきまして、私の考えておる点をちよつと申し上げさせていただきたいと思います。税にいたしましても、現在とつておる保險料をそのままに税とするという趣旨でありまして、しかも保險料を税といたしましても、減免の措置も講ずるし、また生活保護階級からはとる必要はないというのでありまして、負担の増とは相ならないと思うのであります。もちろん国民健康保險料の運営をだんだん盛んにして行つて、新しい事業が加わつて来るという際には、当然保險料といたしましてもふえるのでありまして、そうなる際には、税もふえて行くということは承知の上であります。それから平衡交付金の交付を考慮するということは、実はこの委員会では最初の問題でありまして、私申し上げるのを失念いたしたのでございまするが、この点につきましては政府当局におきましても、関係当局におきましても、だんだん考えつつあるということを私知りましたので、この際そういうこともあるということをあらためてお知らせをいたしておきます。
#21
○岡(良)委員 ぼくはこの前も医療を中心とする社会保險の危機を突破するために、国庫の大幅負担を実現するようにという意味の趣旨でもつて、決議案を提出いたしておきましたので、近々この委員会にそれを諮られるというお話も事務当局からあつたのでありますが、ただいま御説明の青柳委員の御提出になりましたお諮りになつておられまするこの決議案は、私どもの考え方よりもなお十分に整備されておりまするので、私が提出しております決議案は、青柳委員御提出の決議案に同調するというふうにおとりはからい願いたいと思います。
 ただいま青柳委員から、これは社会保障制度が実現化されるまでの過渡的な措置であるという御説明がありましたので、そのわくの中で、ここに述べられてある御趣旨は一応ごもつともとして、私どもは賛成をいたするのでありますが、何と申しましても関疾病保險制度を拡充することになり、あるいはまた、全国民がすべて貧富の別なく、適当な機会に、必要とするときに右理的な医療を受けられるような医療制度、いわば社会保障制度が完備された場合を目的としておるはずであります。その過渡的な行き方として、健康保險制度と国民健康保險制度の総合調整をはかるという第一項目ですが、具体的にどういうふうにしたらこの調整がはかられるということについて、長らくこの方面に行政的に深くタツチしておられた青柳さんから、具体的な御抱負、あるいは御構想を承れればけつこうだと思います。
#22
○青柳委員 これは非常にむつかしい問題でありまして、この問題につきましては、社会保障制度審議会その他でいろいろ考究されておるのであります。ただ私がここに書き上げました気持は、国民健康保險と健康保險とを比較いたしました場合に、いかにも国民健康保險の方が充実しておりませんので、それをせめて健康保險並に上げて行きたい。もちろん健康保險制度も現状だけではいけませんので、これもなお進歩発達するものと思いまするが、それと同程度にまで国民健康保險を引上げて行きたい、こういう気持を現わすのにいろいろ苦労をいたしまして、こういう文字を使つたのであります。将来の問題といたしましては、あるいは地域保險、国民健康保險で全部をおおうとか、あるいはこの二つを統合いたしますと、いわゆるイギリス流の保險サービスへ行かざるを得ないとか、いろいろの論議があろうと思うのでありますが、私がここへ書き上げましたのはそういう点からでございます。もう一つは、ただいま岡さんのお話の中にもありましたように、全国民を対象として、この二つの保險以外に船員保險等公的医療扶助でもつて、国民全部を保險の対象として綱羅しようという気持も、これに入つておるわけであります。具体的な問題につきましては、この際は御猶予をお願いしたいと思います。
#23
○岡(良)委員 そういう理想的な、全国民を対象とする医療に対する保障制度を立てるということになれば、何と申しましても根拠法規と、予算措置と、施設が非常に必要だと思います。幸い保險局長が御出席でございますから、ただいま私が青柳委員にお尋ねいたしました点、保險局長のお立場から、現在の共済保險や、船員保險や健康保險の中にも国民健康保險や生活保護法による医療施設があつていろいろやつておりますが、これらをどういうふうな形で日本の現実に即応して統合して行くかという、忌憚のない御見解を承れればけつこうだと思います。
#24
○安田政府委員 この御決議の案、御趣旨には私どもまつたく同感でございまして、このような御趣旨に沿つて今後努力して行きたいと思つておるのであります。今お尋ねの第一の点でございますが、青柳委員からもお話がありましたように、根本的には医療保險を一本にするという問題があるわけであります。その前提には、やはり医療保險はすべての国民を対象にしたものにするかどうかという問題があるわけでありますが、岡委員のお話のように、その問題につきましては、財政的な裏づけの問題が出て来ると思います。法律的には、全国民を対象にするためには、国民健康保險が強制的なものにされればいいわけでありまして、これは法律の條文を一箇條ちよつと書きかえればできる程度のものでございますが、むしろお話のように財政的な負担でございますとか、あるいは医療機関の整備、こういつた問題があとに残ると思うのであります。ここでまたすぐに問題になることは、調整の中で、健康保險の被保險者の家族の問題、被扶養者の問題、どちらの保險に入れるかというような問題、これは目前の問題でありまして、現に問題になつておる事項でありますから、そういう意味から申しましても、ここに書いてあります一の事項は、意味があると思うのであります。さらに根本的にこの制度をどうするかということにつきましては、私どもいろいろ研究はいたしておりますけれども、社会保障制度審議会でも近く御結論をお出しになるようでございますから、それらとよく比較し、また検討いたしまして、さらに詳しく勉強して行きたいと思つております。
#25
○岡(良)委員 この決議案に施設の面なんかもやはり強くうたう必要があるでしよう。ここには施設の設置について国庫負担を増額するというようなことが書いてありますが、もつと施設そのものについてやはり強く一項を加えたらいいと思うのですが、どうでしよう。
#26
○青柳委員 今の岡さんのお話のこともここに入れておるつもりなんでありますが、もし字句が不適当でありますならば、どうでも御訂正願つてけつこうでございます。現在診療機関に対しては国庫の助成が三分の一、保險施設についても三分の一ということに相なつております。私ども先般考えたことがあるのでありますが、国民健康保險だけをとつて申し上げますと、二億五千万円の国庫の助成で診療機関を増設するということに相なつております。これでどのぐらいできるかということを調べましたところ、診療所が五百箇所、病院が五十箇所、こういうことであります。現在無医地域が千三百あるというふうに聞いておりますので、二年分ありますれば、一応どこの無医地域にもできるという計算に相なります。しかし今までにできなかつたところに対して普及するのでございますから、三分の一の補助率も低きに失するだろう。またそこに勤めるお医者さんにつきましても、いろいろ複雑な問題が起つて来ると思いますので、大体二箇年分の助成だけでは全部につけることはできない。ことに補助率について十分考えてもらわなくちやならぬということも考えております。保險施設についても同様なことが言えると思うのであります。字句の点につきましては、何とぞ御訂正をお願いいたしたいと思います。
#27
○岡(良)委員 シヤウプ勧告によると、これまでの保險料は税率を一律として、社会保障税の名目のもとに大蔵省が一元的に徴収するというふうにうたつてあります。そこでこの第四項に、国民健康保險の保險料は目的税として市町村がとり得るごとになつており、関係方面との御折衝もあつたように聞きますが、社会保障税としてこの保險料をとるということについて、関係方面の意向、またその時期等についても、社会保障制度審議会の方に何か示唆があつたように聞いておりますが、その間の事情を承りたいと思います。
#28
○安田政府委員 シヤウブ勧告の趣旨はいわゆる被傭者の保險、つまり健康保險でありますとか、失業保險でありますとか、厚生年金保險、あるいは労災保險でありますとか、そういつたようなものが別々の機関で、別々に徴收をされておりますから、それを税でとることによりまして一元的に取扱う、こういう点をねらつておるわけでございます。そのねらいから言いますと、国民保險の方は、これは御承知のように市町村單位でございまして、市町村がその経営の主体でございますから、一応無関係だということが言えるわけであります。従いましてシヤウプ勧告の問題は、この問題とは別に考えていいのではないかと思います。
#29
○岡(良)委員 この第二項目ですが、事務費の全額国庫負担ということは、組合保險の方面でも、しよつちゆう叫ばれておることですが、少し遠慮し過ぎた表現のように思うのです。イギリスの社会保障制度では、これはぼくの読み違いかもしれませんが、医療費は国民医療サービス法による財源一億五千万ポンドのうち、一億一千万ポンドは国庫で支出しておるということは、これは事実でございますか。これは過渡的措置として、一応こういうような過程をたどるとするにしましても、もう少し結核のみならず、医療費の方を国庫が大幅に負担すべきことをうたつてもいいと思うのですが、いかがでしようか。
#30
○青柳委員 医療給付費の何割、何パーセントを国庫が負担すべきかというような、学理的な結論がなかなか出ない現状では、それが不可能のような状態にあるので、いろいろ苦慮をいたされておるようであります。そこにちようと――この間保險局長からも発言がありましたが、結核の給付についてその全額、あるいは何パーセントというものを国庫からもらつた方がはつきりするというような意見が出て参りまして、それが実際的に強くも主張できるというような面から、現在強く取上げられておるように考えられますので、その点をうたつたわけであります。全般的な社会保障制度ができました際には、これだけでは、あるいはいかにも弱いという感じを感けられるかもしれません。しかしながら先ほど来申し上げましたように、過渡的な措置としては、少し遠慮だとは思いまするが、この程度でよろしいかと思つて、起案したわけでございます。
#31
○岡(良)委員 現在の健康保險における結核性疾患に対する医療報酬は、大体年間どれぐらいになつておりますか。
#32
○安田政府委員 私、確かな数字を記憶いたしておりませんけれども、結核性疾患は、大体二割から三割近いのじやないかと思います。金額にいたしますと、大体政府管掌で、月に医療費の支拂いが、七億から八億ぐらい、現在は八億を出ておるようでありますが、それの二割ぐらいだというふうに記憶いたしておりますから、二割にいたしますと、一億六千万円の十二倍、二十億ぐらいになると思います。
#33
○金子委員 この決議案の全体の考え方に対しては、青柳委員のただいまの説明に対しましては、賛成できるのでありますが、この第一項に、国民健康保險制度の総合調整という字句を使つておりますが、これは思い切つて一元化するようにはつきりすべきじやないかというのが、私の考え方であります。それはなぜかと言いますと、厚生委員会に出て来るいろいろな厚生問題が、ひとり疾病問題ばかりでなく、失業問題にいたしましても、その他の問題にいたしましても、一応小市民的な一つの感覚の上に立つておるのであります。こういうような問題に当らない、やかましくない国民層というものが、半分以上占めておるにもかかわらず、ここに出て来るものは、小市民的な感覚で、一つの声があるものだけが重く取上げられるという感がある。この国民健康保險と健康保險の問題も、そうだと思います。私は地方におりまして、長年、国民健康保險制度が始まる当時から、この普及に地方団体として努めておつたのでありますが、大都市において、国民健康保險というのがなかなかできない。というのは、健保に惠まれておる階層が多いから、地域的なものに参加しないというのが原因になつておる。この差別のあることは、むしろ国民健康保險の設立に、非常な惡影響を及ぼしておるのであります。そうして現在国民が、職業のいかんを問わず、あるいは地域、住民のいかんを問わず、同じ立場において、国家の恩惠にあずかるということは当然なのでありまして、従つて今健保と国庫との問題は、簡單にできる問題であります。これは疾病の問題だけを取上げれば地域保險になりますので、思い切つてそうすべきじやないか。これが大体傷害のようなものにおきましても――直接この問題ではありませんけれども、工場でベルトにかまれたら傷害保險になり、農民が馬にけられてかたわになつたら泣き寢入りだというような職業の別によつて、非常にかわつておるのであります。従つて、疾病保險問題に対しては、むしろ一元化しろという要求の方が正しいのではないか。私としてはそう思うのであまりす。
 それから、ただいま一番問題になつております、この項目の中では税金の問題でありますが、目的税としてとるかとらぬかということであります。理想から申しますと、税というような強制的な考え方をせずに、そういう字句でなしに、保險料というような形で行つた方がいいと思いますが、実際は保險料という名前になりましても、これは今強制することになつておりますので、むしろ言葉としては非民主的なような形でありますが、実際に市町村に運用するときには、目的税という方が仕事がやりよい。これはりくつでなしに、現実にやつてみて、そういう状態であることをつけ加えまして、もし目的税ということができるならば、それでいいのではないか。そう考えております。
#34
○青柳委員 今金子委員の発言、ごもつともな点があるということも、私よく存じておるのでございます。ことに国民健康保險をやつておりまする立場から申しますると、非常にありがたいお話があつたのでありますが、この問題は実際問題といたしましては、いろいろな方面の御考慮もありまするし、ことにこれは過渡期において、過渡的な措置としてやろうとするものでございますので、私は現状では、国民健康保險を今よりもよくすることによつて、健康保險制度と大体同じレベルまで上げて行く。そこに至つたならば、それからどうしようかということにつきましても、必ず簡單に解決するものであろう。こう思いまして、過渡的の措置といたしまして、この程度にとどめたのでございます。ただいまおつしやいました点は、国民健康保險の立場から申しますると、都市において非常に発達しにくい点がありました。御指摘のように、健保の占める部分が広いものでございますから、発達しにくいのであります。そういう点から申しまして、国民健康保險だけの立場から申しますれば、国民健康保險として、地域的な保險で一元化することを望むのでありますが、相手があるし、それを解決するには、いろいろな複雑な問題が起ろうと思います。ここにおきましては、そういう問題などを脱却して、勇敢にというふうなことも一応は考えられるのでありまするが、それにいたしましても、現状ではすぐに国庫に一元化ということは困難な実情にあることを私は感じたものでありますから、この際は国民健康保險を健康保險並に持つて行つて、今お話のことはその後の問題にいたしたい、こういう気持からこういうふうにした次第でありまして、御了承を得られますれば仕合せと存じます。
#35
○金子委員 ただいま青柳委員のお気持はよくわかつたのでありますが、それならばここへ「綜合調整」という字句だけでなく、国民健康保險の加入者と健康保險の加入者では、国家的な恩惠が非常に違つておるわけですから、この不均衡を是正して、そうして総合調整するというふうなことをはつきりしていただいたらどうかと思うのですが、それに対しての御意見を伺いたいと思います。
#36
○安田政府委員 健康保險と国民健康保險を一本にしますことは、これは理想でありまして、おそらくこの問題は、社会保障制度審議会で根本的な制度を考える場合には、必ず問題になる事項だと思います。ただ現状から申しますと、御承知のように、国民健康保險の方につきましては、自分が保險料を積立てるだけでございまして、これに対して国費の補助といたしましては、事務費につきまして七割の補助があるのであります。それから健康保險の方にしますと、これも御承知の通りで、保險料を事業主と折半負担するということでございます。この点が非常に利益になつておるのであります。従いましてこれをもし一緒にするということになると、結局事業上の折半分をどうするかという問題が出て来るわけであります。もしこれをとつてしまいますと、勤労者の方の保險のレベリダウンになつて来るわけであります。それからまたそこまで国が使用主にかわつて負担して行くということになりますと、またいろいろな理論づけをするのにやつかいな問題が出て参りますが、それだけレベル・アップするために、国費というものをどうするかということは大きな問題であります。それからまた失業保險にしても、その他の保險にいたしましても、大体同じようなかつこうで行つております。それからなお現金給付、傷病手当金というものも健康保險の中に入つておるのであります。これらのものが別々にわかれるということになつて、そのために起るところの事業主ないしは勤労者の不便というような問題も考えて見なければならぬ。しかし御趣旨は私どもごもつともだと思いますが、そういう意味でおそらく青柳委員の御案は、その辺のところをぼかしてあつたのだろう、こういうように拜察したのであります。
#37
○金子委員 今保險局長の御説明がありましたので、どうしても私は一言申し上げなければならぬことになつたのであります。今の制度にとらわれて考えると、御説の通りであります。しかしながらこの問題は、それであればこそ、よけいに考え直さなければならぬ。一体勤労者が働く工場、組織労働者が働くときには、工場主が負担する。その工場主はどこから金を出すかというと、工場主自体が自分の持金を出すわけぢやない。結局事業收益から出して行くよりほかない。この事業收益は、結局その生産したものを消費する人たちが負担するよりほかないのであります。それならば一般の農民なんかはだれが負担するか。保險料が多くなつた。それを事業主が負担するといつても、やはり自分の勤労の汗によつて負担するよりほかはない。今、なるほど主たるものは個人、事業主、国家というふうに三つになつておる。一方は個人と国庫の補助ということでやつておるけれども、それを本質的に掘り下げて行けば、一体事業主が負担するというのは変な話じやないか、もし事業主が負担するならば、それと同じ筆法で行くと、農民の場合には、自分で働いて、その働いた面から出すということになるのであります。これは今の制度そのものから言いますと、確かにそういうことになりますけれども、そういう階層が国の半分以上あるんだということなら考えれば、これはそれを乗り越えて考えなくちやならぬ問題だ。もし国家の財政的なものが許さないとするならば、私は国民の職能別によつて差別することはいかぬと思う。だれにも同じように恩惠は與えてやらなければならぬ。ないならないなりに、恩惠は同じようにしてやるのがほんとうじやないかと思う。そういう点から考えますと、この階層はどうでもいい、これは組織的でやかましい階層だから恩惠に浴するというような考え方はいかぬと思います。青柳委員や局長の今の段階においては、これをかえるならば、何か役に立つだろうというこうは、社会保障制度審議会においてやるときには大きな問題だろうと思いますが、しかしながら私ども国民全体から考えて行くならば、本質的に考えて行くべきではないか。事業主が納めるということは別としても、事業主と個人と区別できない階層が日本国民の半分以上を占めておる。そういう点からいつて、私はそういうことを申し上げたわけであります。
#38
○苅田委員 私はただいまの金子委員の御発言と、先ほどの岡委員の御発言とをにらみ合せまして考えましても、現在の社会保障制度の整備に対して、これを実際的にやつていただくためには、国家の財政から大幅な補助がなければ、とうていできない問題なので、そういう点について、やはりこの決議案には、具体的には医療給付の費用であるとか、結核に対して給付をするとか、あるいは事務費の全額負担というように書いてありますけれども、それだけにとどまらないで、やはりはつきりと現在の社会保障制度のうまく行かない状態に対して、思い切つて国費からの支出をやつてもらいたいという意味を、明文で書いておく必要がある、かように考えます。
#39
○岡(良)委員 第五項に、「国民健康保險を出来得る限り速に全市町村に行わるるやう、」云々とあるが、私どもの調べた範囲では、現在国民健康保險財政が非常な赤字を出して、ほとんど開店休業のものがどんどんふえて行きつつある。それはなぜかというと、結局医療報酬の負担にたえかねるということですが、何と申しましても、国民健康保險の財政内容を見た場合に、小さい組合だと、結核患者で入院するものが三人も出れば、たえられない。それだけでごそつと全部とられてしまうのであります。国民健康保險が普及しない原因は、医療報酬が過大であつて、それを借入金、繰入金でまかなつておりまして、いなかのちつぽけな組合なんかは、結核患者が三、四人も入院すれば、それだけでつぶれてしまうという状態でありますから、結核に要する給付は国原負担とすべきだというようなとを明確に出した方が、決議案としてはいいじやないかと思いますが、いかがでしよう。
#40
○青柳委員 そういう御意見を、この委員会の方全部がお持ちでありますれば、勇敢にそれは書き上げてけつこうだと思います。
#41
○金子委員 第五の「国民健康保險を出来る限り速に全市町村に行わるやう、之が普及に努めること。」とありますけれども、この普及できない理由は、現在すでにつぶれそうしなつておるというようなところにあるので、平衡交付金の交付という形をとるか、あるいは国民健康保險をできる限りすみやかに全市町村にわたるようにするために、今の弱体な状態に対して国庫の助成金をふやせということを、具体的に入れたらどういうものでしようか。
#42
○青柳委員 その点は、実はこの案で考えておるのでございまして、この点で結局疾病に関する社会保險に必要なものは、大体事務費と医療給付費がその大部分を占めております。これに対して国庫の助成を受けるということと、診療機関の設置につきまして国庫負担の増額がありましたならば、またなお保險料を目的税として徴收し得るという、この三つのものができましたならば、それは急速に全市町村に推し及ぼし得る実際的の動力と相なると思いまして、順序もそういうふうに書き上げた次第であります。その点は考えておるのであります。
#43
○松永委員長代理 お諮りいたします。ただいま青柳委員より提出されました疾病に関する社会保險制度の整備に関する決議案の案文につきましては、青柳委員より提出されましたものに、ただいまの各委員の御意見を取入れた内容といたしまして、提案者は御賛同を得た委員総員といたしまして決議案を提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○松永委員長代理 御異議なければそのように決定いたします。
 なお決議案の取扱い及び案文の整理に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますから、さよう御了承願います。
 本日はこの程度にて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせ申し上げます。
    午後零時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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