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1974/09/11 第73回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第073回国会 社会労働委員会 第3号
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1974/09/11 第73回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第073回国会 社会労働委員会 第3号

#1
第073回国会 社会労働委員会 第3号
昭和四十九年九月十一日(水曜日)
    午前十時三十九分開議
 出席委員
   委員長 野原 正勝君
   理事 斉藤滋与史君 理事 葉梨 信行君
   理事 橋本龍太郎君 理事 山下 徳夫君
   理事 枝村 要作君 理事 川俣健二郎君
      瓦   力君    住  栄作君
      田中  覚君    高橋 千寿君
      戸井田三郎君    登坂重次郎君
      金子 みつ君    島本 虎三君
      田口 一男君    森井 忠良君
      田中美智子君    寺前  巖君
      大橋 敏雄君    坂口  力君
      和田 耕作君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君
 委員外の出席者
        総理府統計局長 川村 皓章君
        文部省初等中等
        教育局財務課長 別府  哲君
        厚生省公衆衛生
        局長      佐分利輝彦君
        厚生省環境衛生
        局長      石丸 隆治君
        厚生省医務局次
        長       宮嶋  剛君
        厚生省薬務局長 松下 廉蔵君
        厚生省社会局長 翁 久次郎君
        厚生省児童家庭
        局長      上村  一君
        厚生省保険局長 北川 力夫君
        厚生省年金局長 曾根田郁夫君
        社会保険庁年金
        保険部長    河野 義男君
        社会労働委員会
        調査室長    濱中雄太郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 厚生関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○野原委員長 これより会議を開きます。
 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川俣健二郎君。
#3
○川俣委員 厚生省に一点だけ、伺いかたがた、確認しておきたいと思いますが、いま各官庁が来年度の予算原案の作成作業に入っておるわけですが、その中で、私はたいへんその段階で歓迎もしたいし、評価したいし、委員会としてはたいへんに喜ばしいことだと思って厚生省に敬意を表しておるのは、いわゆる年金の賦課方式をいよいよ取り上げる、こういう方向づけがなされたことでございます。従来は、いろいろと年金の種類の中にも発生由来がばらばらであるし、基金も過不足いろいろとあって、なかなか西洋式の賦課方式は取り上げるのに困難であろう。しかしながら、昨年、年金で与野党が対決したというよりも、むしろ与党の積み立て方式に対し、四野党の提案は、賦課方式が財政方式の理念になって四野党の年金制度が提案されたわけです。しかしながら、いろいろと検討してみると、考え方はわかるが、野党の賦課方式はまだ時期尚早であるではないかという考え方で、ベースはアップされたが、方式はやはり積み立て方式――君は働いているときにどのぐらい積み立ててきたかという、それ本位にローンを払っておった、それが今回賦課方式に切りかえるという、政府の番頭役である官房長官の発表は、私たちもたいへん歓迎したいと思っておるわけでございます。
 そこで厚生大臣に伺いたいのは、来年の四月一日からの予算のこともあるし、それから制度改正もこれありでありましょうから、どうせこの委員会で検討しなければならない年金制度ですから、おおよそのあらまし程度でけっこうですから、大体いかようなめどがついて、早くも賦課方式を取り上げるという意思決定の方向をとったか、これを伺っておきたいと思います。
#4
○齋藤国務大臣 新聞に伝えられた官房長官の話、私も新聞で見たわけでございますが、その趣旨とするところは、漏れ承るところによりますと、老後の生活を不安なからしめるようにするにはどうすればいいであろうかといったふうな話が中心になされたようでございます。したがって、賦課方式をいつから採用するとかいうようなことを具体的に官房長官が言われたということを私は承知しておりません。はっきり申しますと承知いたしておりません。老後の生活に不安なからしめるにはどうすればいいであろうか、党のほうでももう少し研究していただきたい、こういったふうな趣旨の発言であったと承知をいたしておるわけでございます。
 そこで、これはもう当委員会において私は一昨年来いろいろ申し上げてまいりましたが、年金制度というものは老後の生活をささえるに足る年金額を長期にわたって確実に支給できる制度でなければならない、それの財政方式として積み立て方式と賦課方式の二つがあるということは私がたびたび申し上げておるとおりでございます。長期に確実に年金給付を確保する、それにはどういうふうな財政方式がいいのか、こういうことであるわけでございまして、私はむげに賦課方式を、それはだめだ、全然見込みがないんだということを申し上げているわけでもありません。現在の財政方式は御承知のように積み立て方式でございますが、修正積み立て方式でございます。修正積み立て方式と申しますのは、厚生年金で申しまするならば、大体は三分の二くらい国は給付費負担をいたしておりますから、これはある意味からいうと、国の部分については完全賦課方式でございましょう。しかし全体で考えてみると、厚生年金に関する限りは、三分の二が積み立て方式である。それから国民年金などになりますと、これはもう法律でいろいろ御審議いただきましたとおり、御承知のように現在ちょうだいいたしておりまする保険料というのは、積み立て方式とするならば非常に少ない。積み立て方式とすれば、三分の一きり保険料としてはちょうだいをしていない、こういうのが実情でございますので、私どもはいわゆる修正積み立て方式と称しておるわけでございます。
 そこで、この考え方でございますが、私は、これも去年の予算委員会で申し上げたことがございますが、積み立て方式と称せられるものにかわるには、いわゆる年金受給者の数が何十年か先に定常化する、そういう時代になれば、いわゆる世代間の負担の均衡を失することがないようにできるのであるから、定常化した段階においては自然に賦課方式になるでありましょう、しかし、さればといって何十年先に賦課方式に自然に移るという姿は好ましいことではない、やはり国民の合意を得て、若い世代の者がその世代の老人を養うというふうな賦課方式にできるだけ早く切りかえていく、それは政治の力でありましょう、政治の力によって三十年先を二十年先に詰めていく、こういう姿において若い人が年とった人を養うという合意ができるならば、そういうことが望ましいということをたびたび申し上げているわけでございます。というわけでございまして、私はむげに賦課方式が好ましくないなんということを言った覚えもありません。したがって、ある意味からいうと、現在の修正積み立て方式は、逆な見方でいえば修正賦課方式とでもいうべきものであろうというふうに私は考えておるものでございます。
 問題は、この財政方式がなぜ議論になるかということは、根本は年金額をどの程度に出すかというところから問題が始まると思うのです。この修正積み立て方式とか修正賦課方式とかあるいは完全賦課方式とか、いろいろ財政方式は議論が出ますが、どの程度の額を年金額として出すに適当であるか、その額を出すにはどういう財政方式が適当であるか。問題は財政方式にあるのではなくて、年金額がどの程度の年金額であることが望ましいかというところに問題があるんだ、こう私は思うのです。これは皆さん方もそうだろうと私は思うのです。財政方式は手段、方便であります。要するに、どの程度の年金額を出せるにはどうすればいいか、私はこれが一番の問題だと思うのです。したがって、積み立て方式がいいとか、あるいは賦課方式がいいとか悪いとかいう問題ではなくて、どの程度の年金額を出すか、これは私どもはたびたび申し上げておりまするように、ILO条約にある平均賃金の四五%程度が望ましい、平均賃金の四五%までは持っていきたいんだ、ところがそれはどの程度かというと、日本においては基準的な標準報酬の大体六〇%に該当するのではないか、こういうことを申し上げているのです。
 そこで、こういうふうなことがもし日本における望ましい額であるとするならば、それを確保するにはどうすればいいかということが財政方式として考えられるべきものではないか、こう私は考えておるものでございます。そこで初めて、いわゆる物価スライドの問題、賃金スライドの問題がそこに出てくる、こうなってくるのではないかと私は思うわけでございます。私があまり長い答弁をするのはいかがかと思いますが、私どもは固定した財政方式に執着はいたしておりません。固定した財政方式に執着していないのであります。要するに、国民の望む年金額をどの程度に設定し、それを長期にわたって支給するには、しかも国民のコンセンサスを得てやるにはどういう財政方式をとるべきであるか、こういう観点から考えるべきではないかと私は思うのです。
 というふうな考え方から、実は先般、七月の上旬でございましたが、社会保障制度審議会長の大河内さんにお越しいただきまして、こうした問題について長期的な見通しに立った検討をひとつお願いしたいと申し上げているのです。それは年金だけじゃないんです。老後の生活をささえるに足る雇用問題、これは定年制につながります。定年制の問題があります。すなわち、老後の生活をささえるに足る雇用問題、それから所得方式の問題である年金、それから医療、この三つを総合的に考えた、老後の生活をささえるに足る総合的な社会保障体系というものの青写真をひとつお考えいただけぬかということを、すでにお願いをしてあるのです。その中に、私は、財政方式も含めてひとつ長期的な見通しにおいてお考えいただきたいということをお願いをしてあるのでございまして、大河内会長も、秋になれば本腰を入れてそうした総合的な社会保障体制、老後の生活をささえるに足る総合的な社会保障体制の整備についての案をひとつ考えてみましょうという実は約束をいたしておるわけでございます。したがって、私はそういう財政方式にこだわりませんで、問題は、老後の生活をささえるに足る年金額はどの程度のものであることが望ましいかという前提に立って、それならばいまの財政方式をどうしたらいいだろうか、こういう観点から私は考えていくべきではないか、こう考えておるわけでございます。
 もう一つそこでつけ加えて申しますと、賦課方式とか財政方式との関連において、実はこれは非常にむずかしい問題があるのです。私は二つあると思うのです。一つはそういう積み立て保険料を取るというのでない、いわゆる老齢福祉年金ですね、これを一体どういうふうに措置するかというのがこの財政方式の検討においての一つの大きな問題だと私は思うのです。すなわち、老齢福祉年金というのは片一方においては生活をささえることであってみれば、最低生活保障であるところの生活扶助とどう関係づけるか、こういう一つの問題があるわけでございます。それからもう一つの問題は、財政方式を考え、賦課方式なり修正積み立て方式とかいろいろありますが、考えなくちゃなりませんのは、いわゆる拠出制の国民年金がまだ成熟してない、そこに一つ問題があるのです。すなわち、厚生年金のほうはすでに歴史が古いわけですから、二十年なり二十五年なりとても長い歴史を経ております。ですから、これはある程度成熟しておりますから財政方式についてのいろいろな検討はかりにできても、国民年金のほうはまだ実は成熟してない、ここに私は問題がある。
 すなわち老齢福祉年金というのは、ある意味からいえばこれは完全賦課方式です、国民の税金によってやっておるのですから。そこで、しかしその問題となると扶助との関連をどうするか、それから拠出制であるならば厚生年金と国民年金における成熟の差をどう解決していくか、こういうむずかしい問題をかかえてはおりますけれども、ある程度の年金額についての見通しをつけて、そしてそれに対処する財政方式はいかにあるべきか、これはお互いに私は真剣に考えるべきだと思います。そういう意味において、賦課方式がいいとか積み立て方式が絶対的なものであるとか、そういうことは私はあまりこだわりません。要するに、長期、確実に年金額が支給できる財政方式はどうあるべきかという観点から今後とも私は検討を進めてまいりたい、こう考えておるものでございます。したがって、賦課方式にするならば年金が上がる、こういう考え方じゃなくて、年金をどの程度の額にするにはどういう財政方式が望ましいか、こういう観点から私は今後とも検討を続けてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
#5
○川俣委員 大臣の御高説を拝聴いたしましたが、前半の問題ですが、新聞で初めて見たと言わんばかりの――ただ私たちは、賦課方式がいいか積み立て方式がいいかという学説の論争をしているんじゃないわけだ。国民は、はあ、賦課方式に今度切りかえるんだなと、政府の代表者が突如として言うわけだから、したがって、それに期待していいかどうかというのがまず第一点ですよ。
 それから第二点は、確かに財政方式の立て方が目的ではないんだが、やはり財源というか資金というか、財力が根底にならなければできないわけでしょう。いま積み立てたものが十一兆あるわけだ。そうしますと当然、いま十一兆円の積み立てに対して六千億か七千億といういわば銀行利子に匹敵するものを使っておるわけだから、したがって長年積み立てたものが十一兆円あるから、君は幾らしか積み立ててこなかったが、しかし国家保障の立場でこの十一兆に手をつけて賦課方式という財政方式をとってやるぞ、こういうように国民が期待するのは当然ですよ、あの新聞を見たら。その辺を聞きたいのであって、何もいまのやり方は単純な積み立て方式じゃなくてやはり賦課方式に一部入っているんだぐらいは私だって知っておりますよ。そうじゃなくて、一般の国民は、突如あのように新聞に出されれば、マスコミの取り上げ方が悪かったのかあるいは取材のしかたが間違ったのかどうか知らぬけれども、官房長官が少なくともこれから財政方式は賦課方式をとるんだということになれば、ある程度変わるということを期待するわけですよ。その点を聞きたいのですよ。
#6
○齋藤国務大臣 この問題につきましては、先ほども申し上げましたように、官房長官としては、老後の生活を不安なからしめるにはどうすればいいかという問題を党としてお考えいただきたいということを申し上げたということを聞いておるわけでございます。すなわち検討をしていただきたい、老後の生活をささえるにはどうすればいいか、そういうことを考えていただきたい、検討をしていただきたい、こういうことを発言したということを承知いたしておるわけでございます。
 そこで、野党の諸君が一昨年あの賦課方式の法律をお出しになりましたから、賦課方式イコール年金が上がる、こういうふうに国民が考えるか考えないか、私は川俣先生がおっしゃったような考えをお持ちになる方は実際多いと思います。私は率直に言って多いと思います。しかしながら、そういうふうな健全なる年金制度を維持するためには、政府はやはり慎重な態度をとらざるを得ないのです。政府は慎重な態度をとらざるを得ません。そこでいま申し上げているように、そういうふうな方式を採用するとしても、いわゆる老齢福祉年金との関係をどうするか。それから厚生年金と国民年金においては成熟の差は非常に違うんです。いわゆる五万円年金を現実受けていただくような国民年金受給者はいないんです。厚生年金はおります。そういう関係をどうするか。これはやはりお互いに真剣に考えていかなければならない問題だ。ですから私は検討しないと言っているんじゃないです。そういう二つの問題をかかえながら検討をいたしましょう、私はこう申し上げているんですよ。私はだからそういうものに執着しておりません。固執しておりません。しかし、いますぐそうなるということではいけませんから、そういう問題があるんですよと、だから官房長官だって、賦課方式をいまからすぐとりましょうと言った覚えはないと私は思います。これは官房長官にお聞きになればわかると思うのですが、官房長官の言われたのは、老後の生活をささえるにはどうすればいいか、みんな不安を持っている、何かいい方法がないか、党でひとつ研究してください、政党政治でありますから、党がこれをやれというなら考えましょうと、こう言っている。ところが政府はそう簡単にいきません。政府はだから、慎重に考えて、いま申し上げましたように、財政方式と老齢福祉年金の関係をどうするか、そうすれば扶助制度をどうするか、当然関連すべき事項ですよ。それから厚生年金と国民年金じゃたいへん違います。厚生年金のほうは歴史を持っておりますから、いわゆる二十五年経過しております。国民年金のほうはそうなってない。というわけで、そういう問題があることを含めて私も研究をいたしましょうと、こう言っているんですから、先生も御満足いただけると思います。
#7
○川俣委員 政府はそう簡単にいかないと言ったって、官房長官は政府の代表じゃないですか。政府が簡単にそうはいかぬよと言うたって、それはやはり国民は納得しない。
 それじゃ一つだけ確認しますよ。それは、私の勘違いでした、あの官房長官の発表は自由民主党に対して賦課方式も一ぼつぼつ検討しておきなさい、こういった発言であったのかどうか、それが一つ。それから二つ目は、いま懇談会で検討してもらっていますね。その経過をある程度――きょうは急ですからお知らせ願えないと思いますから、もし経過を書いた書きも一のがありましたら、理事会に出してもらえるかという問題、これが二つ目。それから三つ目は、それじゃ、もしお聞かせ願えれば、私はやはりせっかちだったのかどうだったのか、あまりすなお過ぎてあの新聞を見たのかどうか知らぬけれども、賦課方式にするとすれば当然十一兆円に手をつけなければならないです。そうしますと、どのようにあの十一兆円にこれから年次別に手をつけていくのか、取りくずしていくのか、これが三つ目。それから四つ目は、やはり何といったって国民から見ると給付水準が問題ですから、どの程度考えておるか。年金局長のほうの話になると思いますが、こういったところをお聞かせ願えれば、私は質問を終わります。
 ただ大臣、おれは政府だから政府はそう簡単にいかぬのだ――しかし、これは野党が言っているじゃないのですよ、あるいは自民党の橋本理事が発表しているのじゃないですよ。あれは政府の代表が発表しているのですよ。そんな言い方はないでしょう。どうですか、これは。
#8
○齋藤国務大臣 私の承っておりますことは、官房長官は、老後の生活において非常に不安を持っておる者もあるので、不安を持たせないようにするにはどうすればいいかということを頭に描いて党において検討していただきたいということを申しただけなんです。賦課方式というのはその間の議論の中に、それじゃ賦課方式を考えることもあるかなということを、だれかが言ったとか言わなかったとかという話を聞いておるだけなんです。老後の生活に不安を持たせないようにするにはどうすればいいか、こういうことについて党でひとついろいろ検討をしていただきたいということを官房長官が言って、党の意見がまとまるならば、政党政治でありますから、政府もひとつ大いに前向きに考えましょう、こう言っているのです。私自身もこだわってないとはっきり言っているのですよ。こだわっていないのです。
 問題は年金額をどうするか、その年金額を長期にわたって確実に支給するにはどうすればいいか、それは財政方式、手段、方便の問題であります、こう言っているのです。
 それから二番目は懇談会というのですが、社会保障長期計画懇談会の問題だと思いますが、これについてはまだ具体的な案はできておりません。
 それから積み立て金を、賦課方式にすればそれをどう取りくずしていくかとか年次別の計画案があるならとこういうお尋ね、それは年金額についてどの程度が適当であるかというお尋ねについては、まだ具体的な案を持ち合わせておりません。
#9
○川俣委員 ちょっと人騒がせなというあれがよく世間でいわれるけれども、あれはそういう感じを受けるな。何か最初の御高説は、橋本幹事長だか二階堂官房長官が年金の内容をわかってああいうことを言うのか、それともわからないから、齋藤国務大臣の教育が悪いのか、さっきの前段の大臣の説明は委員会に対する説明というよりも、何かそういうような印象を受けてしようがないのだ。
 ただ、最後に言っておきますよ。国民は老後老後と言ったって、いまの年寄りですよ。それを期待しているわけだよ。いまの年寄りも期待しているわけだ。あした、あさっての敬老の目じゃないけれども、われわれの老後を言っているんじゃないですよ。だからそこに賦課方式が出てくるわけだよ。そういう考え方ですから、政府はそう簡単にいかぬのだというのじゃなくて、どっちともこれ持たぬというぐらいだったら、思い切って賦課方式を前向きで検討して、来年度は画期的なものを御期待に沿うようにやりますということの発言ぐらいあっていいんじゃないですか、どうですか。
#10
○齋藤国務大臣 人騒がせを言ったわけではないと思うのですが、ほんとうに日本の政治において老人問題というのは非常に重要な問題だと思うのです。これはほんとうに大事な問題だと思います。そういう意味において、私も実は七月の十日前後だったと思いますが、大河内さんに年金問題、雇用問題、医療問題三つを含めた総合的な社会保障体系というものを考えてくださいということを現実にお願いしてあるのです。書面じゃありませんが、諮問という形でお願いをしております。書面は出しておりません。その中で、私も実は財政方式を含めてとこう言っているのです。これはもうあの当時の新聞をごらんいただければはっきり出ております。財政方式を含めて、老後の生活をささえる総合的な社会保障体制について、ひとつ期限などは切らずに慎重に考えてくださいというお願いをしているのです。私も官房長官がどういう趣旨でどういうことばを使って言われたか知りませんが、私は財政方式はこだわらないというのですよ。おわかりになっていただけると思うのです。こだわっていないのですよ。どうすればいいかということについての青写真をみんなでつくろうじゃないか、こう申し上げておるのですから、十分御理解いただいたと思うのです。よろしくひとつお願いいたします。
#11
○川俣委員 終わります。
#12
○野原委員長 金子みつ君。
#13
○金子(み)委員 私は、きょうは財団法人結核予防会に関する事項にのみしぼってお尋ねをさせていただきたいと思っております。
 実は、この前の通常国会のときに結核予防法の一部改正が審議されましたおりに、関連事項といたしまして、財団法人結核予防会の件につきましては私自身も質問をいたしております。それからまた、同じときに参議院におきましても、社会労働委員会において藤原道子議員あるいは須原昭二議員がそれぞれ質問をしておられます。それらの質問に対して、大臣並びに当時の三浦審議官が答弁をなさっていらっしゃるのでございますが、議事録をよくよく読み返しまして考えてみたわけでございますけれども、どういうふうに読んでみても、質問に対する大臣の御答弁が、私たちが質問しております結核予防会自体に対する援助、あるいは結核予防会が行なっております二つの大きな事業である、一つは結核研究所、一つは結核療養所ですが、療養所に対する援助のことを幾らお尋ねをいたしましても、御答弁はすりかえられてしまって、常に結研に対する援助の御答弁に終わってしまっているわけです。たいへんに残念だと思うのですけれども、きょうはどうか問題をおすりかえにならないで、そのことずばりで御回答あるいは御意見をいただきたいというふうに考えて、いま一度重ねてお尋ねをする次第でございます。
 前にもお尋ね申し上げておりますから、いろいろと申し上げる必要はないと思うのでございますが、財団法人結核予防会が戦前、戦中、戦後を通じて、亡国病であった日本の結核に対する国の政策に全面的に協力をして、そのことにただひたすらに励んで協力をいたしました結果、今日御案内のように結核の死亡率もはるかに低下して、九位あるいは十位というふうになった。この功績に対しては、前回の質問のときの大臣の御答弁でも、結核予防会の大きな輝かしい功績、これに対する敬意の念を表明なさいましたことは事実でございますし、そのことはもう厚生省では十分御存じのところでございます。
 そこでその結核予防会の事業の一つの結核研究所に関しましては、国が持っていない研究所を、実際問題としては民間である結核予防会が肩がわりをして、そしてこれだけの大きな功績をあげてきたということに対する国の支援というものがあるのは当然のことでございまして、前回援助をお願い申し上げましたときに、現在補助金が出ておるものにつきまして、新しい年度では、五十年度の予算の中では十分に考えるという御答弁もいただいておりますし、今回の予算の中にはそのことを概算要求の中にお示しいただいておりますことを私どもは評価をいたすわけでございますけれども、事は結核研究所だけの問題ではないのでございまして、結核研究所は事業の大きな一つではありますが、いま一つの結核療養所の運営の問題について、いまどんなに困っておられるかということ、これはもうこの前の通常国会のときにるる御説明も申し上げてありますし、参議院でも千分説明があったことでございますから、ここで本日は時間の関係もございまして詳細に申し上げることは省きたいと思っておりますが、ことに結核予防会が持いております事業の一つの清瀬におきます状態でございますが、大臣もあるいは局長もごらんになっていらっしゃって御存じかもしれませんが、あの清瀬の建物は木造で非常に老朽化しているという危険性をはらんでおりますから、これは建てかえなければならないということはもう当然のことであります。この建てかえもしなければならない、そこへもってきて結核療養所の運営がこのところずっと左前で、御承知のように累積赤字が十二億円にもなっているという事実がございます。そしてまた、この赤字を補てんするために国からは一銭も助成をいただいておりませんから、何とかしてということで金融を画策するわけですが、御承知のように総需要抑制の一翼もございまして、いい顔して金融に応じてもらえないという苦しい状態にある。そこでいよいよ背に腹はかえられぬということで、このままにしておけば療養所を運営できなくなるからつぶれてしまうのではないかというふうなことが考えられる。それでいろいろ手を打ってきておるわけですね。街頭募金もしておりました。秩父宮妃殿下も街頭にお立ちになって募金をなさったという事実もございます。そのようなことをいろいろと手をかけて、何とかしてという涙ぐましい自立の努力をしているわけでございますが、もうどうにもならないところまで来ている。そこで、もういよいよどうにもならないからというので、土地を売ってそして何とかという考え方を予防会側は考えておられるようでございます。
 その土地の売り方の計画などにつきましては、また後ほど御説明させていただきたいと思いますが、こんなような状態になっているときに、何とかして――大臣も、ほんとうに結核予防会には世話になった、国民のために非常にいい仕事をしてもらったのだとおっしゃっていらっしゃるのですから、何とかして援助をする方法ということを考えていただけないものでありましょうか。もしそれができないとすれば、国が引き取ってこれを肩がわりを、今度は逆に、いままで予防会歩いたしました協力に対する――肩がかりというわけではありませんけれども、どうにもならない、このままではつぶれてしまうような予防会でありますから、国が引き取るというようなことも考えられないこともない。この前の三浦審議官の御答弁によりますと、やはり最終的には結核は国立療養所を中心にしてしなければならないんじゃないかと思いますというような御発言がありますところを見ますと、国が引き受けなければならないんじゃないかという意図も含められていたのかしらと私どもはうかがい知ることができるわけでございます。
 そこで、私はひとつお尋ねしたいのでございますが、結核研究所に対する助成をしていらっしゃることによって財団法人結核予防会に対する援助はよろしいのだ、これですべてである、結核予防に対する一つのあり方としてはこれでいいんだというふうに考えていらっしゃいますのかどうですか、そのことをまずひとつお尋ねしたいと思うのでございます。
#14
○佐分利説明員 結核予防会につきましては、四十八年度から財政再建の五カ年計画をつくって厚生省も協力、援助をいたしまして、その計画を進めております。
 結核研究所につきましては、収入を伴わない部分でございますので従来からも助成を行なっているわけでございますけれども、療養所とか診療所の部門につきましては、たとえば現在結核研究所の付属療養所も保生園も、経営費の約二割が赤字になっておるわけでございますが、医療費が適正に値上げをされ、また予防会が病院の経営、管理についてさらに適正化をはかっていけば消えていくのではないかとも考えられるわけでございます。このような関係から、療養所部門につきましては、再建整備五カ年計画にのっとって、私どもといたしましては指導、協力、さらに援助、こういったものを今後も続けてまいりたいと考えております。
#15
○金子(み)委員 再建整備五カ年計画の中の指導、協力、援助、いま局長の御答弁があったのですが、その中の援助というのは具体的に何でございますか。
#16
○佐分利説明員 医療金融公庫等から融資をいたしたいと考えております。
#17
○金子(み)委員 融資をいたしたいんでございますね、いたしたんでございましょうか。
#18
○佐分利説明員 保生園についてはすでにいたしておりますけれども、結核研究所の付属療養所につきましては、これから改築が始まるわけでございますから、今後の問題でございます。
#19
○金子(み)委員 援助に関してですけれども、改築に関する援助だけなのでございますか。運営に関する援助というものは考えてはいらっしゃらないんですか。
#20
○佐分利説明員 運営につきましては他の公的法人、公的団体等との関連もございまして、なかなか補助するわけにはまいらないと思います。したがいまして、やはり従来どおり五カ年計画に基づいて協力、指導をやっていくということになろうかと存じます。
#21
○金子(み)委員 それじゃちょっと局長に御説明いただきたいんですが、結核予防法六十条、これをどういうふうに解釈したらよろしゅございますか。
#22
○佐分利説明員 結核予防法六十条の規定は、旧結核予防法の九条にもすでにあった規定でございますけどれも、昭和二十六年の新結核予防法においても六十条に規定をされました。内容は、非営利の法人が療養所の設置、拡張、運営をする場合に二分の一以内の補助金を出すという規定でございます。
 まず建物の設置とか拡張につきましては、当時はまだ十一、二万床しか結核病床がございませんで、第一次の十九万床計画、これを数年のうちに急いで達成しなければならないという時期でございました。この計画は二十八年の実態調査の結果によりまして修正されまして二十六万床計画に改められたわけでございますが、そういう時代でございますので、建物等につきましては補助金が出されたわけでございます。運営費につきましては、その後健康保険、国民健康保険等も整備してまいりましたので、療養所の費用も原則としてはそういった社会保険あるいは生活保護法等の費用でまかなうということになりました。ただ二十八年まで補助いたしましたのは、小児結核療養所に対する運営費の補助金でございました。しかしこれにつきましても、医療保険の整備あるいは小児結核療養所が逐次一般結核療養所に転換するというようなこともございまして、二十九年度からは打ち切られております。また建物の整備も、昭和三十三年の二十六万五千床をピークとして結核の病床も減り始めまして、利用率も下がってまいりましたので、昭和三十四年度から補助を中止しておるわけでございます。
 このような規定でございますので、現時点においてこれを結核予防会等に適用するのは困難であろうと考えております。
#23
○金子(み)委員 その困難であるということですね、これは前回のときにも三浦審議官がそういうことばをお使いになっていらっしゃるのです。なぜ困難なのかが私たちには理解ができないわけなんです。建物の拡張に伴う運営という理解をしていらっしゃるのだとすれば、この法律にはそうは書いてない。全部一つずつアイテムが別ですから、そうではないと私は思いますが、そうだとすると、結核予防会に援助することが困難であるその理由を教えていただきたい。
#24
○佐分利説明員 他の公的法人との関連から、むずかしいと考えております。
#25
○金子(み)委員 それではお尋ねします。
 大臣にこれはちょっとお尋ねしたいんですが、九月三日の朝日新聞、四日の読売新聞等で私どもは承知したことでございますけれども、東京の渋谷に日本赤十字社の経営します赤十字中央病院というのがございますが、この中央病院が医療センターに今度変わります。あそこも相当古い建物でございますので新築をいたしている最中でございますが、新築中の日赤医療センターが資金不足になったので、これを補うために、五十年度以降、年金福祉事業団から二十億円を融資するということが新聞に報道されておりました。この中身につきましては、かつて田中総理から厚生大臣に対して、日本赤十字社は由緒ある日赤であるから、何とか考慮してほしいという御依頼がおありになった、あるいは指示とでも申しますかありましたので、齋藤厚生大臣が特に配慮をして二十億円の融資を考えることにしたと総理に報告していらっしゃるというふうに報道されておりましたが、事実でございましょうか。
#26
○齋藤国務大臣 日赤が庁舎が非常に古くなりまして、中央病院の建物も非常にいたんでまいりましたので、その所有する土地を売却いたしまして、その売却した金で日赤の中央病院を建設するという計画で今日進めておるわけでございます。ところが、建設のほうの金が、物価の値上がりでなかなかたいへんになりまして、医療機械のほうまでなかなか手が回らぬというふうな話になってまいりました。そこで、建物ができても医療機械が整備されないというのでは、これは病院の体をなしません。そういうようなことで日赤も非常に心配されておりますので、医療機械については別途年金福祉事業団のほうから、五十年以降、大体二十億程度あれば足りるようでございますが、その程度の融資をいたそう、こういうふうな計画をきめたわけでございまして、新聞紙に伝えられておるとおりでございます。
#27
○金子(み)委員 それが事実だといたしますなれば、私はその同じ考え方をなぜ結核予防会にできないかということをお尋ねしたい。日赤が由緒ある日赤であるのならば、結核予防会は結核に関する限り日赤を上回るほんとうに由緒ある結核予防会だと私は信じております。この点は大臣がお認めになるのでございましたならば、結核予防会に対する同じ取り扱いをなぜしていただけないのでしょう。何か日赤には非常に力を入れていらっしゃるようですが、予防会に対しては何か冷たいような感じがいたしますが、その辺を大臣、どうぞ。
#28
○齋藤国務大臣 私は冷たいような感じは全然持ってないのです。これはひとつ訂正していただきたいと思うのです。私は、結核予防会というのは日本の結核の歴史の上において非常に大きな功績を残されたということについては、非常に敬意を表しているのです。結核だけは、いまなるほど減っているようでございますが、これは油断できないのです。これは油断したらたいへんなことになります。最近においても、そう数は多くないかもしれませんが、乳児結核などがふえているというようなことも私は聞いておるのです。けさも佐分利局長に、乳児結核というのを忘れてはだめですよというようなことまで、実は言うたことがあるのです。そういうようなわけで、結核予防会については、私は実際非常に熱心なつもりなんですよ。冷たいなんというようなことを言われる筋は私は全然ないと思うのです。これだけは取り消していただきたいと思うのです。ほんとに私は、この結核予防会が再建五カ年計画を立てるにあたって、それに対する国の助成というものをできるだけやれ――私が大臣になる前から、実は結核予防会というと夢中になって、大蔵省に飛んでいって、自分で陳情して予算をふやさしたこともあるのです。ところが、あまり収益のない研究所のほうが中心になるような形になっておりますので、とかくそういう感想をお漏らしになったのではないかと思うのですが、結核予防会の病床においても、医療機械器具等において不足の点があるならば、私は医療金融公庫で低利の金融をあっせんすることはやぶさかではございません。したがいまして、私もきょうの御質問を受けまして、私もあまり具体的な内容を実は勉強しておりませんでしたから、ひとつさっそくその療養所のほうはどうなっているのか、私も具体的に調べてみます。調べてみまして、由緒ある結核予防会の療養所などがつぶれるようなことがあってはたいへんなことですから、五カ年計画とにらみ合わせながら、国は金融の面でどういうふうな道があるのか、私は具体的に研究いたします。そして、日赤などと差別をしているなんというようなことを言われぬように、はっきり援助の措置を講ずるように努力いたします。はっきりお約束申し上げておきます。
#29
○金子(み)委員 大臣はこの前のときにも、結核予防会の過去の偉大なる功績に思いをいたし、結核予防会がりっぱに再建されるよう最大の努力をいたしますことをお約束しますとおっしゃってくだすっているのです。ですから私はそれを信じているのですけれども、具体的にそれが出てこないものですから、やはりあれは口だけだったのかな、こういうふうに思わざるを得なくなって、たいへん大臣には、痛くない腹を探られたと思って残念だと思っていらっしゃるかもしれませんが、そういうふうに思っているわけなんです。ですから、そうでないのでございましたならば、具体的に支援、援助をしているというところを示していただきたいわけなんです。それがないものですから、どうしてもそういうふうになります。十二億円も赤字を積み重ねるに至るまでなぜほってあったんだろう、これも一つの疑問になるわけなんです。そのいまの大臣のお考えが、なぜもっと前にさかのぼって行なわれて、十二億の赤字にならないで済むようにならなかったのだろうか、このことを非常に残念に思うわけです。しかし、いまからでもおそくありませんから、大臣の御発言のように、具体的に、予防会がつぶれるなんということのないようにぜひ進めていただきたいと思うのです。
 今度の土地を売る計画は、大臣いらっしゃってごらんになってくださるそうですから、いらっしゃって――患者がものすごく不安になっているんです。結核患者が不安な状態で療養生活をするなんということは、病気をなおすためには最も悪い条件だということは、もう重々大臣も局長も御存じだと思います。ところが、そういう状態にいまなっている。もしこの土地を売るということになりますと、新しく建てようとする建物から数メートル離れたところまで切られてしまうわけです。そうしますと、その隣に何が建つかです。工場が誘致されるのか、あるいはマンションが建てられるのか、いずれにいたしましても結核療養所としての条件、環境は非常に悪くなるというふうに考えられます。ですから、これをそこまで切りくずさない、手前で押えていただけるようにぜひ御援助願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#30
○齋藤国務大臣 結核予防会が今日まで相当な累積赤字を持っておりましたために、いわゆる再建五カ年計画を立てよう、こうなってきたわけでございます。その中で、研究所のほうはわりあい補助が行って、療養所のほうはさっぱりないじゃないか、こういうふうなことからいろいろな不安が出てきたのではないかと思うのです。しかし私は、五カ年計画を立てるのにやはりある程度の自分の自主的な努力をするということは、これは当然大事なことです。したがって、ある程度の土地を売却する、これは私は実際のところやむを得ない措置じゃないかと思います。どの程度売るか売らぬかは別としまして、ある程度自主的な財源を見つけるという努力は企業体としては当然なすべきことでありますが、しかしこういう由緒のあるものでありますから、日赤などと差別をするなんという考えは私は毛頭ないんです。でございますから、具体的に私もその実情を調べてみまして、可能な限りの援助をするということでございますから、そして金子委員が御満足のいくように、必ず御納得のいくような援助をいたしますから、どうかきょうのところは、もう少し調べてからの返事に待っていただくようにお願いをしたいと思います。
#31
○金子(み)委員 それはそれでけっこうだと思いますけれども、私が満足するかしないか問題じゃないので、結核予防会の方たち並びに入っていらっしゃる患者さんたちが安心できるようにしていただきたい、こういうことでございます。
 いろいろお調べいただきますときに、先ほどちょっと佐分利局長がおっしゃったことばの中で、私もひょっと気になることがあるのですが、他の公的法人との関連もあってなかなか結核予防会に補助することはむずかしいという御発言がございました。私は、大臣がこれから調べて援助をなさってくださる場合に、結核予防会は公的医療機関でないからだめだというような線をお出しにならないようにお願いしたい。日赤は公的医療機関なんだ、だからあれはよろしい、正当だ、しかし結核予防会は公的医療機関になってない、だからそれは同じようにはいかない、こういうふうなきめ方をされることを懸念いたしまして、あらかじめ予防線を張らせていただきたいと思います。
#32
○齋藤国務大臣 公的病院でないことはもうお述べになりましたとおりでございますが、私はその公的であるとかなんとかいうことは別として、結核予防会が今日まで数十年の長い歴史において、日本の結核撲滅のために非常な功労を立ててこられたです。これは国民として私は感謝すべきことだと思うんです。厚生省もその感謝をした気持ちを援助の中にあらわす、これは私は当然のつとめだと思います。したがって結核予防会が御納得のいくように、金子先生が不満であっても、結核予防会が納得のいくような一つの案をつくるようにいたします。
#33
○金子(み)委員 ぜひそのような形で、できるだけ早い機会に進めていただきますように、どういう形でなさっていただくかはあとで報告いただけるそうでございますからきょうは申し上げませんけれども、どうか予防会が安心して事業運営できるように、大臣の特別なおはからいをお願いしたいと考えるわけでございます。その点は、しばらく時期を待ちまして御答弁をいただくことにさせていただきます。
#34
○川俣委員 いまの関連で締めくくらしてもらいたいと思います。
 大臣、これは私たちも別に社会党だけじゃなくて、むしろ与野党、党派を越えてこの救済というか、援助に当たらなければならぬと思っておったわけです。そこで、もしいま大臣のようなお話がなければ、これはもう委員会の決議で――昨年出かせぎ現場を見たりあるいは施設を見たりした経験を、たいへんに好評であるし、今度の厚生省の予算にそれが具体化されて成果が出ておるように私も感じられましたので、提案しようと思いました。ところが大臣のほうから、やはり援助をするにしてもまず調べてみなければならぬというごもっともな発言もありましたし、たいへん前向きな、私の質問に対してよりも金子委員に対してはたいへん理解のある御答弁がありましたので、委員会の提案はいたしませんが、公的であろうが、私的であろうが、しかも身近にあるわけですし、火の車であるし、一番の弱い患者でもありますので、ひとつ理事者側、労働組合側、そして患者側、それから当局、われわれというような、意見の交換の場を持つことも大事だと思うので、ぜひ近々中に、大臣お一人で行かれるのもけっこうだと思うのですが、やはり超党派でこれを調べる場を理事会で検討してみたいと思いますので、大臣もその点を御了解願いたいと思います。どうかよろしくお願いして、この質問を終わりたいと思います。
#35
○野原委員長 田口一男君。
#36
○田口委員 まず大臣に初めに一点だけお伺いをしたいのですが、新聞報道その他によりますと、今回十月一日から引き上げが予定をされておる消費者米価にからんで、この福祉施設関係についてもその影響を緩和をしたい――去る六日の政府と党三役の折衝の決定事項として、この扶養費というのは扶助費のミスプリントじゃないかと思うのですが、扶助費の改善についてつとめる、こういった趣旨の報道があったのですが、一体米価の引き上げと同時に、十月一日からこの生活保護世帯、老人ホーム、そういったところについても引き上げ措置が行なわれるのか、行なわれるとすればどういう方法でやるのか、その辺についてまずお聞きをしたいと思います。
#37
○齋藤国務大臣 今回消費者米価が三二%引き上げられることになり、十月一日からこれが実施されることになりましたことは御承知のとおりでございます。それに伴いまして、生活保護世帯につきましては、扶助額の改定をいたす考えでございます。それと同時に、特別養護老人ホーム、それからいろいろな精薄施設等に入所をしておられる方々、こういうふうな社会福祉施設に入所しておられる方々についても、措置費というのですか、正式なことばで申しますと。その措置費の改定をいたしたい、かように考えておる次第でございます。新聞紙には扶助費額とかなんとか書いてありますが、正式に申しますと生活保護世帯に対する扶助基準並びに社会福祉施設の入所者に対するそういう措置費を、必要な限度改定をいたしたい、かように考えておる次第でございまして、その内容は目下慎重に検討を加えておりますが、十月一日実施で行ないたい、かように考えておる次第でございます。
#38
○田口委員 さっそく十月一日からということはけっこうなんですが、これは社会局長にちょっとこまかい問題でお聞きをしたいと思うのですが、いま大臣のお答えがありましたように、生活保護世帯に限って言った場合、本年六月から若干、六%ですか、保護費の改定がありました。ああいったやり方で消費者米価の引き上げに伴っての保護費の引き上げをやるのか。それから私どもは現場でいろいろと意見を聞いてみますと、これは従来もやられておったのですが、消費者米価が引き上がる、そういった時期に、そのことのみをとらえて、これは保護基準のほうのことばでは米価加算というそうでありますけれども、一人世帯、二人世帯、三人世帯というそれぞれの世帯数に応じて主食費の割合を引き出して、それに対する米価加算という措置を行なっていたようです。ですから今回の、いま大臣がおっしゃった十月一日からの生活保護世帯等に対する保護費の改定、措置費の改定という――措置費のほうは一応おくといたしましても、保護費の改定という問題は、従来とり行なわれてきた米価加算といった技術的な改定にとどまるのか。その辺の検討をされておるようですけれども、いまお考えがあればひとつお示しをいただきたいと思うのです。
#39
○翁説明員 お答え申し上げます。
 ことしの四月、保護基準につきましては、前年四月対比で二〇%引き上げをいたしたわけでございます。さらにこの六月にただいま御指摘のとおり六%引き上げをいたしました。これは、前年四月における消費者物価指数と本年四月における消費者物価指数が、率にいたしまして二四・九、年度当初の基準引き上げ二〇%に比べて四・九%引き上がっておる、したがいまして被保護世帯の生活維持ということを勘案いたしまして、さらにある程度の格差縮小ということも加味して六%の引き上げを行なったわけでございます。
 ただいま御指摘のございました十月一日からの米価改定に伴う引き上げにつきましては、先ほど大臣も申し上げましたように、現在被保護世帯の扶助基準並びに社会福祉施設の収容施設についての措置費のアップということを中心に、ただいま検討を進めているわけでございます。それ以外の問題につきましては、なお今後におきますところの消費者物価指数あるいは家計消費支出の動向等を勘案いたしまして、なお慎重に検討してまいりたいというように考えておりまして、当面十月一日の米価改定に伴う保護費の基準改定と申しますのは、米価にかかわるものというように考えて作業を進めておるところでございます。
#40
○田口委員 事務当局のそういう作業検討をしておる内容はそれなりに理解はできるのですが、今後十月一日改定を目途にして、ひとつより検討材料に含めていただきたいと要望したいのですが、それは、こういう状態を二、三例を申し上げたいのです。
 これは、名前はあえて省略をいたしますが、ある五人の子供をかかえた母子世帯、もちろんこれは生活保護世帯です。従来まで食費のうち米代は一カ月四千四百八十円、これだけ一カ月に買わなければならぬ。ところが今度の三二%引き上げによって、単純に米代だけを計算するとざっと千五百円増になるわけです。だから千五百円の増ということになれば、いま言った米価加算という技術的な改定をやればそれである程度カバーをすることができるだろう。しかしこの方が言っておるのは、消費者米価を上げることによって他の物価に波及をすることをおそれる。現にこの方の家計簿をちょっと拝見をさせてもらったのですが、米代は毎月毎月変わっていないのですけれども、副食、調味料なり嗜好品などについては、去年の八月とことしの八月一年比べますと、米代はほとんど変わらず、ところが副食、調味料については約六千円アップをしておるのです。去年は二万四千円程度であったものがことしは三万円をこえる。こういった事実からして、米価引き上げが物価に与える影響は二%なんと経企庁は言っておるようでありますけれども、それだけではおさまらぬのじゃないか。したがって、今回十月一日から保護費の改定が行なわれるとすれば、そういうことも十分勘案をした保護費の引き上げをやってもらわないと、生活保護世帯にとっては他を切り詰めなければならぬ、収入は限度があるのですから。他を切り詰めるとなれば、それは教育材料を切り詰めるとか、いろいろな点でしわ寄せが起こるのじゃないか。そういう点について今後の検討の中の一つの材料にしてもらって、ただ単に三二%上がったからその世帯については何%だ、こういう機械的な保護費の積み上げじゃなくて、この際、年に二回、三回の改定になるという異例な事態でありますけれども、そういうことを加味をしてもらいたい。これは要望でありますが、ひとつ大臣、私いま申し上げたことに対する御見解を承りたいと思うのです。
#41
○翁説明員 ただいまの御指摘の点、十分よくわかるわけでございます。ただ、昨日たしか発表になりました経済企画庁の米価改定に伴う波及効果というものにつきまして私ども承知しておりますのは、主食に伴う物価に及ぼす影響というのは約一%程度、それから米の値上げに伴って間接的に影響する率が〇・一七というように承知しております。もちろんこういった数字の問題でございますから、そのとおりであるかどうかにつきましてはいろいろ生活の実態等によって異なると思いますけれども、一応試算したところではそういう数字であるというように承知しております。
 なお先ほども申し上げましたように、この四月の保護基準の改定あるいは六月の六%アップという場合にも、ただいま御指摘がありました若干の格差縮小というような面を配慮した措置をとって今日まで来ておるわけでございます。
 なお年間における保護基準を改定する場合の考え方といたしましては、従来ともそうでございますけれども、直近の消費者物価指数あるいは消費水準という数値をとりまして、そしてそれが低所得階層、特に被保護世帯に及ぼす影響というものを考慮いたしまして保護基準の改定をしておるわけでございます。
 したがいまして、いま直ちに十月の時点におきまして、ただいま御指摘がございました影響するところまで含めた改定ということにつきましては、先ほど申し上げたように米価ということに限るわけでございますけれども、なお十月以降における消費者物価指数あるいはその他の経済動向等が非常に被保護世帯に影響するところが大であるならば、適時適切な措置をとってまいるということで私どもは作業を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
#42
○田口委員 じゃ、そういうことを期待をいたしまして、次はちょっと年金のほうに移りたいと思います。
 この年金の問題は、本年の七月一日、政令第二百五十三号で、俗にいわゆるスライド政令というのが出ましたけれども、これは昨年の物価スライドを具体化したものとして、率の問題はともかくとして歓迎をいたします。しかし、問題は、せっかくのスライド政令をつくりながら、このスライドの対象を、厚生年金に例をとりますと、加給額に対してこれを対象にしていないのですね。これは一体どういうことなのか。いろいろと厚生省のその筋から出ておる資料なんかを見てみますと、たとえば「社会保険」という雑誌のナンバー八、これに厚生省の草刈さんが説明を加えておるのですが、「国家公務員の扶養手当の額を勘案して」、そういったことからいわゆる加給年金額がスライドの対象としてはなじまないという意味のことを述べておられる。これは年金局長、一体スライド政令を出す場合に去年のああいった制度改正の論議のいきさつからいって、加給年金額をスライドの対象にしないというのはおかしいのじゃないか。ある人に言わせると、これは新聞の「声」欄に載っておったのですが、「わざわざ家族加給金を除外して物価スライド制の本旨の減殺を図ったところに、よく弱者いじめの根強さがあらわれている。」というふうなことがちょっと出ておるのですね。私はそれは全くだと思うのです。なぜこのスライドに加給年金額を対象にしないのか、ここのところをちょっと詳しく説明をしてほしいのです。
#43
○曾根田説明員 加給年金額をスライドの対象から一応はずしておることにつきましては、先ほど先生もお述べになりましたように、従来、厚生年金は再計算時における政策改定の際に、加給年金につきましては公務員等の扶養手当の額を参考といたしましてかなり大幅な政策改定を行なっておる、そういう事情からはずしたようでございます。しかしながら、いま先生もお述べになりましたように、再計算時のタイムラグの問題もございますし、また実は事務的にも問題がございます。率直に言いまして、私は加給年金をスライドの対象からはずす積極的根拠はあまりないのではないかという感じがいたします。したがいまして、次の機会にこれを一応検討いたしたい、そういうふうに考えております。
#44
○田口委員 これは次の機会に検討――大いにけっこうなんですけれども、さらに言わしていただきますと、いま言った国家公務員の扶養手当に見合ってといいますか勘案してといいますか、そういうことからいいますと、御存じのように本年七月二十六日には人事院勧告が出ました。これはまだ閣議決定はなされておりませんが、まあ常識からいえば当然四月一日から遡及実施をされるものだと思います。その人事院勧告の中で、扶養手当は配偶者について現行三千五百円が五千円に今度引き上がった。ところがこれを厚生年金の加給額に比較をした場合に、四十八年十月までは妻の加給額が一千円、それが今度二千四百円になりましたね。
  〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕
そうすると二千四百円と三千五百円とが見合ったものとして一応理解をした場合、今度の人事院勧告によって四月一日から五千円になったら、一体そのタイムラグという問題から考えて矛盾があるのではないか。同様の趣旨から、扶養親族の子供が対象になっておるのですが、現行の国家公務員の扶養手当の場合に、第一子、第二子までが一千円、これは今度千五百円に引き上がったわけですね。ところがこれに見合うものとして、厚生年金の加給額は、加給年金額は八百円、八百円が千円に見合う、ところがその千円が千五百円になる、こういった具体的な数字を引き合わせてみた場合に、今回のスライド制で、今回八月一日からの一六・一%のスライドに加給年金額を対象にしないというのはどうあっても納得できない、ふに落ちない。したがって、政令事項でありますから、これはひとつ大臣の英断で、この際加給年金額を対象にすべきではないのか、当面の問題として。
 さらに検討課題として、これは私はそうすべきだというのではなしに、大いに議論をしたいと思うのですけれども、どうも厚生年金の加給金額というあり方は私はおかしいと思うのですね、筋からいったら。というのは、標準報酬月額そのものから年金保険料を取る場合に、扶養手当を含んだものを標準報酬額として保険料を徴収しておるのですからね。そうなってくると、徴収した保険料で――前回の場合、千円掛ける二十七年八万四千六百円ですか、そういった年金計算方式をとれば、当然に妻や子供の加給年金額というものは必要でないという理屈もこの限りでいえば成り立つのではないか。さらに発展をすると、これは前回厚生省で調べたらしいのですが、厚生年金の遺族年金、不幸にして年金受給者がなくなった場合に、その遺族、妻に対しては二分の一しか遺族年金がもらえない、こういったところまで発展をして考えると、厚生年金の加給年金額、遺族年金の二分の一支給というのは、他の共済年金その他との関連もあるのですけれども、どうにもその辺が理屈からいって一貫をしていない。こういう点、五十一年を目途に今回制度改正が予定をされておるようでありますけれども、まあここで結論を出してもらいたいということは、さっき言った趣旨からいって早きに失するのですが、そういう考えについてどう思っておられるか、その点のところをひとつ参考までに聞かしていただきたいと思うのです。
#45
○曾根田説明員 いま御指摘のありました加給年金のあり方について、確かにいまの問題は一つの大きな問題だろうと思います。
 実は厚生年金における加給年金というものは、沿革的には、かつて非常に年金額が低かった時代に、いろいろな名目で年金額を少しでもふやそうとする一つとして取り入れられたようないきさつもございます。それからまた、現在他の公的年金制度につきましても、たとえば国家公務員共済組合員の場合は、遺族年金を別といたしますと、たしか加給年金という考え方はないとも思うのでありますが、そういうことで年金額を大幅に改正する際に、加給年金そのものをどうするかというそのこと自体は一つの問題でございますので、次の再計算の機会に一応は検討の対象にいたしてまいりたい、そういうふうに考えております。
#46
○田口委員 それはいいのですけれども、その前段に言った国家公務員の扶養手当の見合いでスライドの対象にしていない当面の問題ですね。これはなじまないとかどうとかいうんでなくて、スライドを採用したという趣旨からいって、いま改めるべきではないか、この辺どうですか。
#47
○曾根田説明員 当面のスライドの対象にするかどうかの問題は、先ほどお答えいたしましたように前向きに考えたい。それから加給年金が、公務員等で今回のようにかなり大幅に引き上げられる、そうすると、従来のような単純に共済組合、国家公務員の扶養手当と同じような考え方をそっくりそのまま取り入れていくことがいいかどうか、それは基本的な問題として再計算の機会に慎重に検討いたしたい、そういうことでございます。
#48
○田口委員 今度はスライドの技術的な問題について、加給年金どうこうということじゃなしに、今回の一六・一%のスライドが八月から行なわれる、そうすると、八、九、十、この分を十一月に年金受給者はふところに入れる、だいぶん時期がかかるわけですね、タイムラグといいますか。社会保険庁の職員の皆さんが、今回三カ月前に持ってきたということについても、ほとんど徹夜の状態でプログラムを編成したりどうこうという御苦労は、私は理解をし敬意を表するのでありますが、年金を受給する側から見れば、そういった公務員の苦労もさることながら、何とかタイムラグというものをもっと短縮できぬかという気持ちは理解してもらえると思うのですね。そこで、そういった事務的なふくそう、これは無視できませんけれども、そういったことを一応こちらに置いておいて、例の附則二十二条のスライド条項、今回の場合、四十七年を基準にして四十八年二八・一%、それは四十九年にもらわれる、こういったズレというものを短縮する方法というものは考えられないか。消費者物価指数というものは一年一回の発表でありますから、その辺のところまで言及しなければならないと思うのですけれども、よく公務員が出張旅費なんかの場合に概算払いというのがありますね、これは事務が複雑になりますけれども。そういったようなことがこのスライドの場合に、ほんとうにスライドを採用したのだということからいったら、そういうこともいまのこういう狂乱物価といわれているときには年金生活者に対してはほんとうに親切といえるのではないか、こういう問題についてどうお考えになっているのか。
#49
○曾根田説明員 スライドのタイムラグの問題は、気持ちといたしましては私も十分うなずけるのでございますけれども、問題はスライドの基準として全国消費者物価指数をとっておるということから、どうしても時期的な制約がございまして、御承知のように、対前年度上昇率が出ますのがどうしても各年五月に入ってからでございますから、正式にはそれから以降の作業ということになりますと、現在の社会保険庁業務課における事務処理体制からいいますと、本年の特例がぎりぎりの限度ではなかろうかと考えております。概算払いというようなお話もあるわけでございますけれども、これも事務的にいいますと、支払い期月ごとに実は受給権発生の有無あるいは支給停止事由の有無、そういうものを一つ一つ全部チェックしておるわけでございますので、実際問題としては、さかのぼっての概算払いというようなことも事務的にはとうていいまの事務処理体制には乗らない、したがいまして、いまのスライド条項を基本とする以上、先ほど言いましたように、おのずからそこに時期的限界があるというふうに御了解願いたいと思います。
#50
○田口委員 事務的には確かに私も理解できるのですが、このタイムラグを解消する方向に次期制度改正の際には検討してもらいたい。もちろんその前提としては、物価スライドでタイムラグを問題にするようなこういう狂乱物価を押えることが先決問題だと思うのです。そこで、このスライドに関連して、今回の一六・一%のスライドによってどれくらい財源が要ったのか、それをあとでお示しいただきたいのです。
 ここでひとつ、先ほど大臣から川俣委員の質問に対して御高説があったのですが、例の賦課制度云々を私はどうしてもやれとかどうとかという議論でするんじゃありませんけれども、今回のスライド一六・一%、来年は二〇%前後になるのじゃないかと思うのですが、年金の実質価値を維持していくというためにスライド制が採用された、これは間違いないんですね。
 ところが一方本年の春闘で労働省がいっておるように三〇%強の賃上げがあった。こういったことを考えると、先ほど大臣がお話しになったように年金水準というものは賃金水準の六〇%程度をめどに置きたいという場合、去年ならば六〇%になったと思うのですね。ところが、本年四月からの三〇%強の賃上げによって、現行の厚生年金に限っていえば、厚生年金の水準そのものが六〇%というものを維持しておるだろうかどうか。昭和五十一年に予定をされておる今度の再改定でそれは見直されるべきものとしても、ことし、来年の年金水準というものが、現行の賃金水準とのかかわり合いを考えた場合には、しろうと勘定からいっても六〇%を切れるんじゃないか。単に物価スライドで、タイムラグは一応おくとしても、年金の実質価値を維持するという精神ならば、六〇%ということを念頭に置いた場合に、年金の実質価値というものは相当減ってきておるといわざるを得ない。この辺のところを一体どうするかという、賃金と年金額の乖離というものはいまの状態ではますます広がっていくんじゃないか。これをどう押えていくかということについてどう考えておるのか。賃金スライドという考えもあると思うのですが、言うならば賃金と年金給付水準とのかかわり合いをどう維持していくか、この辺についてのお考えをまずお示しいただきたいと思います。
#51
○曾根田説明員 昨年度の平均標準報酬六割という水準が実質的に目減りしたのではないかというお尋ねでございますけれども、本年度のように三〇%を上回るような賃金引き上げがございますと、平均標準報酬、これは上限も引き上げられてはおりますけれども一相対的には御指摘のように昨年度の水準が目減りをしたということは避けられないと考えております。それがために、できるだけ物価スライドで最小限度のつなぎをいたしまして、政策改定の時期をできるだけ早くということで五十二年度を一年繰り上げる方向で検討しておるわけでございます。
#52
○田口委員 五十二年を五十一年に繰り上げたということもわかりますけれども……。
 そこで、先ほど川俣委員から御質問のあった官房長官の賦課方式云々ということにからんでくるのですけれども。私は今日のような狂乱物価が――まあ前提としてはこれは押えることがわれわれの任務でありますけれども、遺憾ながら続くものとした場合に、年金というシステムは根底からくずれるわけですね、どんどん物価が上がれば。本来的には年金制度というのは物価上昇というカーブがゆるやかなカーブを描く中で、今日と二十年先、三十年先とはそう大差がないというところに年金のうまみがあると思うのです。ところが、今日のような狂乱物価がどんどん続くとすれば、年金のシステムというものは根底からくずれ去ってしまう。これはお互いにわかると思う。そこで官房長官が、大臣の表現をかりれば老後の生活をいかにして安定をするか、こういうことを主にして賦課方式ということも出たんだろうと思う。そこで、大臣の言われるには、財政方式というものは財政方式のいかんによって年金水準というものを左右するのではなくて、年金水準を六〇%なら六〇%を確保するためにはいかなる財政方式がいいかということを考えなければならぬ、こういう御趣旨の御答弁があったのですが、私はそこで勘ぐって言いますけれども、この時期に突如、老後の生活を安定をさせるために年金の財政方式を賦課方式に一ぺん検討してみたらどうだという自由民主党の諸君にそういった諮問といいますか、検討材料を与えたその真意は、いまのような物価状態がずっと続いていったら、十兆円になんなんとする積み立て金というものは目減りをしてしまう、一方、今日の六十五歳、七十歳というお年寄りが生活を安定さすためには、まあ乱暴な意見ですが、十兆円の積み立て金を全部取りくずして五万円なり六万円なりの水準を確保するというならいざ知らず、それは今日なかなか言うべくして無理だろう、といって一方お年寄りの今日の物価高に対する生活危機、不安というものはとうていぬぐい去れない、だからこの際、修正積み立て方式といわれましたが、今度は修正賦課方式というふうな考えで、いまの現役の労働者がいまのお年寄りの年金水準を維持する、そのためには、賦課方式という限りでいえば保険料というものは当然上がるだろう、積み立て金も一応頭に置きながら、それは目減りをしていくんだ、目減りをしていくし一方財政投融資でいまのところ方々に金がいっておるからすぐには取りくずせない、そこで、いまある老人の生活不安というものを除去するためには現役の労働者の保険料を賦課方式という――われわれが単純に賦課方式をやれやれと言っておるからそれに乗っかって、ひとつ若い者が一億総親孝行の考えでいまの年寄りに対する年金水準を確保すべきじゃないか、こういう意味合いで突如として賦課方式云々ということが出てきたんじゃないかと私は勘ぐるのです。勘ぐるんですよ。しかしそれは勘ぐりですから、げすの勘ぐりになっちゃ困りますけれども、それは別として、私は今日のお年寄りの年金水準を少なくとも現役の労働者の六〇%、その六〇%を確保するためには、この際、積み立て方式がいいとか賦課方式がいいとか、二者択一の方式はあまり意味がないと考えるのです、今日の物価情勢の中では。
 ですから、これは一つの提案というよりも一ぺん検討してもらいたいのですが、いま言った修正積み立て方式という積み立てのほうにウエートのかかった修正方式じゃなしに、賦課のほうにウエートのかかった修正賦課方式を採用した場合、現役労働者の六〇%の水準を確保するためにはどれぐらいの掛け金収入がなければならぬのか、こういったこともひとつ検討して、一つのたたき台として出す必要があるんじゃないか、こうまで年金が議論になっておるのですから。まだ私は十分整理してないのですが、今日の老人の生活の不安、それからこのままの状態が続けば目減りをしていく積み立て金に対して、いまの現役の労働者はやがては年寄りになるのですから、そういったことを考えた場合には修正賦課方式という、これは私なりの言い方なんですが、そういうことも考えてみるべきときではないだろうか、こう思うのですが、いかがなもんでしょうか。
#53
○曾根田説明員 積み立て方式ないし賦課方式については、いろいろそれを唱えられる方によってかなり幅のある感じもいたすのでございますが、先ほど川俣委員の質問に対して大臣が答えられましたように、厚生年金あるいは国民年金、これはいわゆる修正積み立てということばで通常呼ばれておりますけれども、その積み立ての度合い、実態は、大臣も述べられましたように、厚生年金では保険料として三分の二程度、実は総費用の二割が国庫負担、これは給付時の国庫負担でございますから、いわば給付時国庫負担は一種の賦課方式でございますので、これをあわせ考えますと、実は積み立てておるのは総費用の五割程度ということになろうかと思います。それからまた国民年金でいいますと、大体三分の一程度の積み立てしか行なっていない。しかしながら、両制度とも財政方式の方向としての基調は積み立てを一応の目途といたしておりますので、修正積み立てと呼んでおりますけれども、こういう積み立ての実態から見ますと、修正積み立てあるいは修正賦課というのは、実際問題としては、今後の費用調達のスケジュールをどういうふうに世代間のバランスをとっていくかといういろいろの選択があるわけでございますけれども、その選択というものは、修正賦課といいあるいは修正積み立てといっても、実態としては私はそう幅の広いものではないのではないかという感じが実はいたしております。先生の御指摘もあるいはそれに近いところかとも思います。ですから、あくまで財政方式の問題は、十分なレベルの年金を将来長期にわたり確保する、世代間のバランスをとりながらそういう将来にわたる費用調達のスケジュールをどういうふうに組んでいくか、そういうものとして考えておるわけでございます。
#54
○田口委員 これらの財政方式の問題は、年金水準の確保ということで、よりお互い英知を出し合わなければならぬし、先ほど大河内教授に対して諮問もあったということですから、早急にこういった検討をする材料をわれわれの前にも出していただいて、ひとつよりよいものに早急にしていかなければならぬ、そういった資料の提供を今後もひとつお願いをしたいと思っております。
 そこで、今度は観点を変えるのですが、やはりスライドに関連をして、きょうの朝日新聞にどなたでしたか、私どもが常々言っておることに対して、国民の世論に対してある答えを出しておるのです。というのは、いま厚生年金でいいますと、六十歳から六十五歳までの間、厚生年金受給資格があっても、再雇用された場合、五万円以上の収入があれば年金が支払い停止になるでしょう。ところがこれもいろいろの資料で言うのですけれども、これは厚生省がいっておるのじゃないが、厚生年金保険法令通達集を売るための宣伝文の中に「この秋の物価自動スライドで約六万円となり、名実共に年金の時代となった。」という表現もありますから、単純に言ったら、あの五万円という制限もスライドすべきじゃないかという気がするんですね。五万円以上の収入を六万円にしてもいいのじゃないか。それよりも問題は、この厚生年金のこういった制限措置が一つの根拠になって、いろいろなところに悪い影響が出ておるのですよ。
 一例を申し上げますと、公務員で五十五歳で、まあ定年がある、なしですけれども、やめますね。五十五歳ではまだ若いですから、外郭団体なり何なりにつとめるわけです。それで、やめられた退職公務員の年金額をはじくと、月三万円あるとする。二度づとめの会社のほうでは、その人の年齢、経歴からいって十万円払うのが均衡がとれる。ところが、あなたは年金をもらっておるのですから、わが社から出すのは七万円しか出しません、こういうことがいまやられておるのですね。特に退職公務員が、天下りじゃなしに、各団体なんかに二度づとめをする場合に、そういったことをやられておる。その根拠をついていくと、厚生年金でもやられておるじゃないですかということになる。民間の会社で、他の大手から中小というふうに同じ厚生年金の法体系のもとの移動にすぎぬのですけれども、本人にとってみれば、二十年、三十年厚生年金の掛け金をかけて、さあ六十歳になった、やめた、三万円もらえるのじゃないか、二度づとめはおれのかいしょうでつとめるのだから、そこで五万円もらおうと六万円もらおうと、こっちの年金は関係ないじゃないか――こういう気持ちわかるでしょう。ところが、こちらは二度づとめ、五万円もらったら年金はゼロ。これも今日の年金生活者の生活実態から見て、あまりにも現実無視じゃないか。ですから、そういう制度を変えるということが根本的なんです。一番初めに言ったスライドの条項からいって、五万円というのはここでいうこの表現では六万円になっているというなら、この金額も当然六万円にすべきじゃないか。この辺どうでしょうか。このことで私はもう終わります。
#55
○曾根田説明員 在職老齢年金の六十歳から六十五歳の低所得の方々への支給の問題でございますが、いま御指摘のように、標準報酬四万八千円以下の人には、四段階に分けて一定の率の年金を差し上げておるわけでございます。この趣旨は、非常に低い賃金と年金と合わせて、昨年度の場合ですと、おおむね五万円程度は差し上げよう、そういう考えのようでございます。ところで、賃金が大幅に上がりまして標準報酬四万八千円をこえるようになりますとこれは支給停止になりますので、御指摘のような問題が出るわけでございます。自動的なスライドにするかどうかは非常に問題があると思いますけれども、政策的な問題といたしましては四万八千円というものは、賃金上昇等を考えますと、やはりある程度手を加える必要があるのではないか、したがいまして、次の改正の機会の検討課題といたしたいというふうに考えております。
#56
○田口委員 じゃ、終わります。
#57
○橋本(龍)委員長代理 次に、田中美智子君。
#58
○田中(美)委員 非常に時間が少ししかありませんので、簡単明瞭にお答え願いたいと思います。
 まず最初に大腿四頭筋短縮症の問題ですけれども、これに対して一応厚生省の方に来ていただきまして、いままで厚生省がどうしているかというようなことは大体のところ伺っております。その伺ったことによりますと、非常に対応がおそい。親にとってみればこれは一日もほっておけないという気持ちにかられているにもかかわらず、厚生省の対応が非常におそいというふうに感ずるわけです。
 それで、一番まず最初にしていただきたいというようなことはたくさんあるわけですけれども、まず最初に、どれくらいの患者がいるというふうに厚生省としては推定しているのでしょうか。一言でお答え願いたいと思います。
#59
○上村説明員 児童家庭局長でございます。
 正確な数字はつかんでおりませんが、七月に私ども聞きました話では約二千五百名くらいというふうに聞いております。
#60
○田中(美)委員 これは推定ですね。どういうふうにして調べたのですか、この二千五百は。
#61
○上村説明員 これは、五つの県を除きまして、親の会で調べたといって私どものほうに伝えられた数字でございます。
#62
○田中(美)委員 そうすると、国としては全く何もこの数を把握する努力というのがなされていない。親の会というのは、ほんとうに自主的な親の会ですから、そこにはお金もありませんし、みんな親が自腹でもってはがきを出し、電話をかけ、電話料なんというのは何万という金を使っているわけです。そうして、医者のただの検診というものを入れて数を把握している。私の見ましたところでは全国至るところにこの患者さんが出ているわけですね。百人とか二百人、秋田には二十名をこえるんではないか、青森には百名をこえている見込みだとか、山形も百名だとか、そういうようなことが報告されて、その中でいま刻々とふえているわけです。私のいただきました八月二十一日の資料では三千四百名。あちこちの医者が推定をしまして、日本じゅうで数十万になるのではないかというようなことさえいまいわれているわけです。しかしこれは非常に非科学的な、きちんとした調査に基づいてないわけですから、どれが正しいか、その推定は多過ぎるということも言えない段階だと思います。これに対して国が早急に検診をするという必要性を感ずるわけですけれども、この検診についてはどのようにいま計画していらっしゃいますか、お答え願いたいと思います。
#63
○上村説明員 現在、診断基準の作成について検討をしておる最中でございます。そういった診断基準ができました際には、その診断基準を各県に流しまして、私どもの行なっております乳幼児の健診の際にその診断基準に従ってスクリーニングをしたい、こういうふうに考えております。
#64
○田中(美)委員 診断基準がまだ出ていない――これは山梨に大量発生した、初めは風土病じゃないかというようなうわささえあった時点からもはや一年たっています。その前にいろいろなあれからしますと、学界誌に発表されたのでも昭和二十一年から五百件にも及んでいるわけですね。そうしますと、少なくとも去年山梨に大量発見されてから一年たっているのに、最初の一般検診のそれの基準さえできないということはどういうことですか。これは医者によりますと――それは全部の医者に聞いているわけじゃありません、しかし、担当医者に言わせますと、幾ら何でもやる気があれば一週間でできる、こう雷っているのです。そういう点はどうして一年も何年もかかってまだできないのですか。どういうつもりですか。そういうものはいつできるのですか。いつからやって、どういう努力をして、いつできるのか、お答え願いたいと思います。
#65
○橋本(龍)委員長代理 田中委員に申し上げますが、医務局長はただいま海外出張中でありますということについては、理事会で田中先生もおられましたので御了承をいただいておりましたが、次長でよろしゅうございますか。
#66
○田中(美)委員 はい。
#67
○橋本(龍)委員長代理 それではすぐ次長を呼んでください。――おそれ入りますけれども、その部分は留保してお進めをいただけますか。
#68
○田中(美)委員 これをお答え願えないと次に進んでいけないですね。――それじゃこの検診の問題はちょっとおきまして、次に進めさせていただきます。
 それでは治療費の問題です。これは育成治療ができるようになったということですけれども、これのワクというものはいまないというふうに伺いましたけれども、それでよろしいですね。
#69
○上村説明員 そのとおりでございます。ワクがないと申しますのは制限してないというつもりでございますか。
#70
○橋本(龍)委員長代理 いま医務局次長が到着いたしました。
#71
○田中(美)委員 いまこれをやりましたので、こっちの育成のほうを先にやりたいと思います。
 そうすると、今後患者さんがどんどん出て手術患者が非常にたくさんふえた、どんなに数がふえても国としてはきちんと予算を出して、所得制限以外のワクは絶対はめないということは確かですね。
#72
○上村説明員 そのとおりでございます。
#73
○田中(美)委員 所得制限というのはいま最低のところはどこら辺になっておりますでしょうか。
#74
○上村説明員 育成医療の場合には保険の自己負担分をカバーするということになりますので、その自己負担額の最高は三万円でございます。それで全額徴収されますのは、税額にいたしますと年額九二万九千円の所得税を納めるクラス、したがいまして年収に直しますと約六百万円ということになります。
#75
○田中(美)委員 結局その三万というものを国が全額支払うということですか。
#76
○上村説明員 三万と申しますか、この病気について育成医療をします場合に、態様によっていま医療費がまちまちでございますが、さっき申し上げましたように保険給付の自己負担額でございますから、一件にして三万が最高限度になる、そうしてその所得階層別に見まして低い階層はまるまる公費で見る、さっき申し上げました高い階層はその費用は自己で負担をしていただく、そういうことになるわけです。
#77
○田中(美)委員 どういう意味ですか、もう一度説明してください。
#78
○上村説明員 育成医療というのは、保険で自己負担の部分を公費で負担をする仕組みである、つまり――よろしゅうございますか。
#79
○田中(美)委員 はい。そうすると、はっきりさせたいと思うのですけれども、年収六百万円以下の方ですと親の負担は全くないということですね。
#80
○上村説明員 階層によってゼロから三万円まで幾つかのランクに分かれております。たとえば生活保護世帯とか市町村民税の非課税世帯という、私どもA階層、B階層といっておりますが、それは自己負担額は全然ございません。それから中ごろの、年収が二百二十万円ぐらいということになりますと月に一万二千円ほど負担していただく、そういうふうに所得の階層によって負担していただく額に差がございます。
#81
○田中(美)委員 そうしますと、結局これは国庫負担ではなくて、一万二千円なり何なりは、育成を受けても親が払わなければならないわけですね。
#82
○上村説明員 ですから、かりに一件三万円だといたしますと、いま申し上げました一万二千円負担する階層は、公費で負担されるのが一万八千円、自己負担するのが一万二千円、こういうことになるわけです。
#83
○田中(美)委員 これは厚生大臣が前にお話しになったわけですけれども、難病並みに扱いたいというふうに言われているわけですけれども、育成を適用してもこうした負担が親にかかってくるということはやはり問題だと思うのですね。この点を、治療にかかる治療費というものを全額国庫負担すべきだ、国が補償すべきだと思いますけれども、その点……。
#84
○上村説明員 私はむしろ小児のいわゆる難病と申しますか、それが例外で、公費負担医療というのはあくまでも所得によって公費負担の割合に差をつけるほうが妥当ではないかというふうに思います。
#85
○田中(美)委員 これは大臣にお聞きしたいのですけれども、これは病気ではないのですね。それは病気には違いありませんけれども、これは子供が自分で病気になったのではないのですよ。これはむしろ害を加えられたと見てもいいと思うのですね、親には。完全にそうなわけですから。これに対しては所得に応じて負担をするのが当然だという考え方は、育成はそうなっている――それでは、この場合には育成の上にプラスをして一切親の負担をなしにするというのが当然ではないかというふうに思うのですけれども、大臣、その点お答え願いたいと思います。
#86
○上村説明員 これは子供の病気というものは、私ども一応平等に扱わなければいかぬというふうに考えております。それで育成医療の対象になる症状というのはいろいろあるわけでございますが、そういった同じような症状を呈するものには、育成医療という給付がすでに法律として制度化されておるわけでございます。そして特定の医療機関を指定して、そこに行けば妥当な医療が受けられるというそういう仕組みでやっておりますので、私はどうも、ただにするほうがおかしいのではないかというふうに思います。
#87
○田中(美)委員 私は育成医療という制度を改革せよと言っているんではないのです。この病気のことを言っているからね。家庭児童局長に言っているんではなくて大臣に聞いているんですけど、この病気は簡単に言えばけがですよ。けがと同じです。交通事故のように、人から何かを加えられたことによって起きた病気なわけですからね。子供の病気はすべて公平にと言われますが、それじゃ交通事故も自分がなった病気も一緒に扱えというのと同じ、これは非常に暴言だというふうに思います。大臣はこの病気というものを普通の病気と同じように解釈なさっていらっしゃるわけですか。はっきりお答え願いたいと思います。児童局長、いいです、そういう考え方なら。大臣のお答えを聞きたいと思います。
#88
○宮嶋説明員 医務局の次長でございます。
 おっしゃいますように大腿四頭筋症につきましては、現段階におきましては注射に基づく事故疾病であるという疑いがきわめて強いわけでございます。そういう意味合いにおきまして、まさに先生おっしゃいますように、一般の病気とはわけが違うということはそのとおりだと思います。
 ただ一義的に、いま交通災害の事例をおっしゃいましたけれども、交通災害につきましては、まず一義的には災害を加えた者と受けた者との関係におきましてあるいは賠償の問題が起こり、その他の補償の問題が起こってまいりまして、そこで解決されるというのがたてまえであろうと思います。同じようにこの問題につきましても、一般的には、そこに医師の医療についての措置の誤りというふうなことがあってこういうことがあったとするならば、そこでは医師対患者の関係におきまして、一義的には、いわゆる一般的な医療事故をめぐる医師対患者ないしその親との関係におきまして、医療費をめぐる財政負担の問題、経済負担の問題につきましては解決されるべきだ、たてまえはそうだ、そのように存じております。
#89
○田中(美)委員 確かに交通事故とはまた違います。交通事故の場合には――これは交通事故の場合にでも、道路に穴があいてあったらいけないところに穴があいてあった、それで事故が起きた場合には、やはりその道路の管理者のほうに責任がいくわけですからね。それと同じように、確かに医者と患者の間の対立というものはあります。しかし、この病気というものがもう昭和二十一年からわかっていながら、あっちこっちにそういうものが出ていながら、そういうものに対して厚生省が何の手も打っていなかったというところには――ただ医者だけの責任であって、医者と患者の間で裁判を起こして、そして事故の補償金を取れということでは済まないというふうに思うのですね。これは国の責任がそこに大きくかかっている。ですから、そういう点で国も責任を果たすし、医者のほうも果たさなければならないかもしれない。そういうところで話し合っていかない限りは解決できない問題です。そういう意味で私は言っているんですね。だから普通の子供の病気と同じに扱ってはならない。だから育成で受けて、治療費のある部分は解決するけれども、やはり自己負担が出ているわけですね。
 で、私の言いたいのは、一万二千円の負担がもしかかってきた、わずかじゃないかというふうに言われるかもしれませんけれども、これ以外にどれだけの金がかかっているかということは、これはいまおかあさんたちがこまかく計算を出しておりますけれども、入院するんだって、三週間というものはびっしり子供がギプスをはめたまま寝っきりなんですからね。そして痛い痛いと言っている子供を見るわけですからね。その間、親は仕事を休まなければならないわけです。親が大工さんであれば一日に何千円という日当というのがぱっと飛ぶわけですね。それから給料取りだってそのために休みをたくさんとるというふうなことでたくさんの損失が出てくるし、それに付属したいろいろな費用というのは、特に交通費というのは、足が悪いんですから車に乗せていきますね。そういうようなことや、また親自体が病院が遠ければ車に乗る。これはもう膨大な金がかかっているんですね。ほんとならばその金はやはり厚生省が負担すべきだというふうに思うんですね。それに対する補助金というのは出すのがあたりまえだと思います。ましてこの治療費の上でも負担をさせられ、そうした雑費がうんとかかる。これはいま全国で数十万ではないかと医者も言っているわけですけれども、そういう患者さんが次々と出てくれば、これは親の最も大きな要求として、目前の要求として出ているわけですね。これに対して国がやはり耳を傾けるという姿勢を持ってほしいと思うわけです。これについては耳を傾けるという姿勢はあるのでしょうか。
#90
○宮嶋説明員 大腿四頭筋症につきましては昭和二十一年からあったというお話でございますが、まあ経緯についていろいろるる述べることは差し控えたいと思いますけれども、しょせん、現実的には昨年十月の山梨県の問題を契機にこの問題が大きく世間的な問題になったわけでございます。その後、先生も御案内のとおり、いまその原因究明あるいは診断方法、治療方法等の究明をやっております。後ほども先生から御質問があるかと思いますが、そのときに答えますけれども、そういう状況でございまして、原因につきましても実はまだ明らかでない面があるわけでございます。現にわがほうの研究班はまだ結論を出しておりませんけれども、山梨県の調査委員会におきまして中間報告をしたところによりますと、注射の回数と相関関係がありそうだ、あるいはまた注射の部位とかあるいは注射をやった年齢、時期、いろいろな関連がありそうだ、あるいはまた薬剤の関連もあるかもわからない、いろいろなことがいわれておりまして、山梨においてもまだ詳細は不明である、こういう結論でございまして、だからこそ私どももいま原因究明を急いでいる段階でございます。
 ですから原因究明ができない段階におきまして、あれこれここで、その結果として出てきた事故につきましてだれが一体その費用の補償をするのだということを論ずることも若干無理があろうかと実は思います。ただ、雑な言い方でございますけれども、現在の、要するに一般的にいわれております、世間的にいわれております注射によって起こったんだ、どうもドクターのほうに配慮が欠けておったのじゃないかというふうなことが、かりに事実としますならば、その点につきましてはやはり基本的には一般的な医療事故の問題として、一義的に、他の医療事故についてもございますように、それはその段階で解決するというのが、私は一般的な方法、たてまえだろうと思うわけでございます。ただ、現実たくさんの費用負担がなされ、皆さんお困りである、そのことについて政策的配慮をどうするかという問題はありましょうけれども、たてまえとしてはそういうことであろうと存じております。
#91
○田中(美)委員 いま原因究明というふうにおっしゃいましたけれども、先ほどあなたが来てないときちょっと話したわけですけれども、日本全国にだあっと出ているわけです。どこの県にもみな出ているわけですね。そしてこの病気というのは潜在患者が非常に多いだろうということは、これはどの医者も大体一致しているあれですよ。一人患者が出ていれば百人は潜在患者がいるのじゃないかと言う医者もいれば、一人出れば十人いるのじゃないかと言う医者もいる。そういう違いはあったにしても、潜在患者が非常に多いということだけはどの医者も言っているわけです。そうしたらこの潜在患者が何人ぐらいいるかということを厚生省が把握していなくて、いや二千五百人ぐらいです。――聞いてみれば、これは親たちが自主的に電話をかけ合ったりして調べたそういう数字なわけですね。もしこれが十倍だとすれば二万五千です。百倍だとしたら二十五万という数が出てくるわけ。これをまず最初に、大体何人患者がいるのかという推定でも、もっと科学的な推定というものを早急に厚生省がするべきです。これはたとえどういう原因であるか――これはもう注射だということはわかっているわけです。ただ注射液なのか、注射のしかたなのか、注射の回数なのか、注射の場所なのかということは、それはまだはっきりとはわからないかもしれないけれども、全部注射であるということはわかっているわけですね。そうであれば、いつごろにどういう注射をしたかということを調べる。数を調べることと、いつごろに、どういう薬を、何回、どこに打ったかということを調べることが原因究明じゃないですか。それならば検診しなければわからないじゃないですか。
 ですから、私はいままでのことを厚生省にとやかく言おうとは思いません。強く言おうという姿勢でいまものを言っているのではないのです。やってほしいから言っているのです。それについて普通の病気と公平に扱うんだなんというような返答をされたら、やっぱり語気が荒くなるんですよ。決して私は厚生省とけんかしようと思っていま質問しているのではなくて、何とかしてあの患者さんたちをすぐに救わなければならないと思うから言っているわけです。それにはすぐ検診をしなければならない。いま親と医者の間に非常に混乱が起きているということはよく御存じなはずです。私よりそちらのほうが御存じだと思うのですね。そうしてカルテの差し押えだ、やれどうだとか、医者が逃げただとか、やれ追っかけただとか、そういう問題だって起きているわけです。一体それは、原因究明がなされなければどちらが悪いのかなんというような見方でしてはならないのだと思います。そうした混乱をすぐに防ぐためにはどうしたらいいのかということでやっていただきたい。そのためには、検診をすれば、そこからはっきりと短縮症患者とわかるのもあるし、また疑いというのもあると思います。そういう人たちが出た場合に、この人たちを見た五年間のカルテのあれはあるわけですからね、すぐに国の力で疑いの出た患者さんのカルテを全部集めまして、そしてどの子にはどういう注射をいつ、どこに打ったかということを全部統計とれば、疫学的にだけでもやはり大きな傾向というものは、原因究明の一つの科学的な目安になると思うわけです。専門の医者が研究をしていくということもこれは非常に大事なことです。ですから、研究班をつくられたということはけっこうなことですけれども、もう一つそうした疫学的なことを、国がわずか十人や十二人のわずかなこれだけの医者でどれだけのことができるのか、これをやはりより多くのことができるように、これに対して国が積極的に金を出して、国の保健所なりを使い、乳児健診それから三歳児健診それから学童健診、こういうものを総合的に早急にやって、そのカルテを全部きっちりと集めて、そしてきちんとそういうことをやっていただきたい。これを至急にやらないと、結果が出なければだめだという、最初の一般検診というのは一週間もあればできることです。それでまず数だけ把握する、そしてカルテを集める、そしてこういう医者にそういう資料を提供して分析をしていただくということを、国がしなければならないのじゃないですか。班だけつくって、国はそれが出るまでは何もしません。子供たちは日に日に患者はふえているし、まだ注射を打っている医者もだいぶいるということを聞いてます。悪いか、いいかということもはっきりしないからそのままにしておく、これではならないのだと思うのですね。ですからどのようにこれから検診をしていくか、これを全く計画がないならば、すぐにこの検診計画というものを早急にやっていただきたいというふうに思います。
#92
○宮嶋説明員 ただいま先生から、要するに検診をとにかく急げというお話でございます。現在、小さい子供さんを持ったおかあさん方は皆さん御心配でございまして、言いますならば、この面に関する不安が一ぱいあるわけでございます。それだけに、私どもどの大腿四頭筋の問題につきまして実情を把握するにつきましては、できるだけ慎重にがっちり数をつかみたい、かように思います。
 先ほどから先生おっしゃいますように、私ども研究班を設けましていろいろやっておりますけれども、この研究班の大きい使命といたしまして、一つには実態調査の問題がございます。また、いま一つこれに関連しまして、診断方法の確立と申しますか、大腿四頭筋の診断の方針をきめる、基準をきめるということもやっております。ただいまのところ、現在の研究班のこの面に関する動きを申し上げますと、現在研究班二つございますが、その中の佐藤班、佐藤先生がやっておられる班でございますが、この班におきまして近く、全国に育成医療機関が約九百五十ございますが、それにプラスで、整形外科をやっておりますわりかた大きい病院を加えまして、全国の千病院につきまして、大腿四頭筋の患者についての治療状況及び治療結果というふうなものにつきましてアンケートをとるという作業を現在進めておりまして、おそらく近々のうちに調査票をこの千医療機関に発送する。そうしますと、おそらく一カ月のうちにはこれらの医療機関から、これら整形外科をやります育成医療機関なり大病院のほうから、全国的にこういう専門の窓口機関を通った大腿四頭筋の患者の状況がまず一義的にわかる、かように存じております。同時に、この研究班は、第二に申しました診断方法につきまして現在盛んに究明をやっております。一義的にわかりましたこの概数というものにつきまして、もちろん皆さん方に御報告申し上げるのは当然でございますけれども、念には念を入れて、いわゆる診断基準がはっきりしました段階におきまして、この基準を用いて全国的に今度は数字をつかむということも必要であろうかと思っております。そのためにはまず診断基準の確立を急ぐということでございまして、目下この佐藤研究班におきましてはこれを第一に、一番急いでやっております。おそらくこの月末ないし来月の初めには、診断基準につきましてこの専門家たる先生方の合意が得られて、この基準が明確に打ち出される。となりますと、さっそくこの基準を各県に御連絡申し上げまして、そして、手だてとしましては、御存じのとおり現在母子衛生のフィールドにおきまして、ゼロ歳児につきましては年二回の、これは強制ではございませんけれども、任意の健診制度が保健所において行なわれております。このネットに多くの乳児がかかっておりますので、このネットにかけてこの診断基準を当てはめてみるということが一つと、いま一つ、三歳児につきまして全国的に、これは強制的な健康診査でございますが、これを行なっておりますので、ゼロ歳児の健診及び三歳児の全国的な健診の実施というものとこの診断基準をかみ合わせて、そしてより具体的な、より正しいデータをそれに集めるというふうなことを考えております。とにかく私どもも急いでおります。専門家の集まりで、甲論乙駁がございまして、先生お待ちのようになかなか急にはまいりませんけれども、とにかく急いでおります。そういうことで、そのアンケート調査はすぐ出す、あるいはまた診断基準もできるだけ早く出すということでがんばっておりますから、いましばらくお待ち願いとうございます。
#93
○田中(美)委員 それでは大至急に基準を出し、そして全国的な検診をやっていただきたい。
 いま零歳児と三歳児と言われましたけれども、いま学童にだいぶ出ているわけですね。ですから学童の検診というのも入れないと、その子たちがはずされてしまうわけです。私は実際に何人かの患者さんにも会いましたし、子供たち見まして、もう大きくなって、ホッテントットだなんていうようなことをいわれているわけですね。おしりがずっと出るわけですから。小さい子をすわらしてみたら、ほんとにひどいものです。背骨だってこう曲がってきますし、ほんとに見ていられないわけです。私自身病院に患者さんを、小野木昭二さんという八歳の男の子ですけれども、手術をした日に行きまして、医者からもいろいろ手術のしかたなども教えていただいたり、こういうふうな手術をいろいろなこういうふうなやり方でやっているというようなことで、実際にこの昭二君にも会ってきたわけですけれども、何しろ足を直角に曲げて、腰から全部ギプスをはめて、そして痛い痛いといって、三週間というものは動けないわけですから、そしてこの中がかゆいとか、痛いとか、これを取ってくれ取ってくれ言う。そのように、ついているおかあさんのほうがもう神経がおかしくなりそうです。もうかわいそうで、他人がちょっと見ただけでもうやりきれないわけですから、親にしてみればほんとうにかわいそうです。そしてまたマッサージなんかだって、まさに拷問にかけているようなひどいマッサージですね。そういうふうなのを見て、そういう話も聞きますと、ほんとうにこれは一日もほうっておけない、一日も早く親の気持ちをやはり安心させて治療の方向にいくように、金の問題が困らないようにしなければならないと思うのです。いま家庭児童局長言われました二千五百人というこの数字は、おかあさんたちが全く自腹で、医者にも自腹で自主的に一部分をやった数が何とはなく集まって、いまのところこれだけという数字で三千人、四千人というのが出てきているわけですね。これは非常にあちこちで、ただ検診してあなたは四頭筋だとこういわれたはいいけれども、相談に行くところもなければ医者もわからないというふうなおかあさんたちは、非常に不安のどん底に落ちているわけです。私があちこち聞いて、そういう不満を聞いたりしていろいろ調べたところでは、いま名古屋にあゆみの会というおかあさんたちの会があるわけですけれども、ここでは名古屋大学の、その手術をしている医者ですね、国立の名古屋大学の手術をしている医者が、ほんとに自費で出てきてくれて、検診をしているわけです。検診をして、そこで出てきた疑問だという親たちに対して相談もやっているわけなんですね。そして病院では治療もやっているわけなんです。名古屋大学付属病院で治療したあとの相談までも医者がやっているわけです。そうしますと、治療は病院の仕事としてその医者がやっているわけです。しかしその相談からあとの問題というのは、全部これは自主的に無料でやっているわけです。私は、こうした一貫した治療のある自主的なグループというのは――これは民間だといっていいと思うのですね、こういうものができているわけです。これは非常にいいというふうに私は思ったわけですね。そこでやっていることが一〇〇%いいかどうか、これはわかりません。しかし、こういう親から、先生から、治療から、あとのフォローアップまで全部一緒になって研究体制を組んでいるというのは、私がいままで当たったところではないんですね。ただ検診だけぽおっとやって、あとそのままということでも困るわけですからね。そういう意味で、やはり研究班にこういう成果というものを反映させて、そしてこういうグループがモデル地区みたいにして研究しているということをやはり一方的に進めていくというふうにしませんと、ただ治療状態のアンケートでわかった、全国的の検診、これはまた相当年限が半年、一年かかっちゃうと思う。それからでなければ治療体制ができないということでは困るんで、全部併用してやっていただきたい。そのためには、こうしたモデル地区のような、モデルグループのようなものをつくりまして、そうしてこれに対して積極的にこうした研究班の中に入れていく。
  〔橋本(龍)委員長代理退席、大橋(敏)委員長代理着席〕
そして幾らかでも研究費なり何なりということで国がそれを補助していく、こういうことをやっていただきたいと思うのです。これは非常に小さな問題に見えるかもしれませんけれども、こうしたところにやはり国の姿勢に対する信頼感というものが親にできれば、そうした混乱だって、起こさなくてもいい混乱を起こしているかもしれない。これはやはり不信感から来ているわけですよ。ですから、こうしたことをぜひやっていただきたいというふうに思うのです。時間がありませんので、あともう一つだけ話をしたいと思いますが、そのモデルケースをつくる問題というのは、検討して、あとでちょっと御返事をいただきたいと思います、いますぐ出ないと思いますので。
 もう一つは、解熱剤とか油性の抗生物質が悪いのではないか、こういうふうな疑いというものが持たれているわけです。これをいますぐ医者に注射をするなということは、結論が出ないとできないというふうなことでしょうから、それならば――私はこのいろいろ疑問のある薬の注射液を全部ずっと見てみたわけです。こういうのに全然注意書きが書いてないわけなんですね。ですから、いまでも知らない医者というのは注射をぼんぼん打っている。前と同じように打っている医者もあるわけです。だから、これをとめるという意味でもやはり何らかの行政指導がほしいわけです。そういう意味で、こういうものには、やはりそういう疑いがあるから乱用とか、乳幼児にはというふうな、何かそういう注意書きを書くというこういうことを、これならば至急厚生省の力でできるんじゃないかと思うのです。こういうことをあちこちに手を打つことでおかあさんたちの国に対する信頼感というものが出てくれば、静かに話し合いながら、少しでもいい方向に持っていけるというふうに思うのです。こういうふうに書くということはどうでしょうか。
#94
○松下説明員 先ほど医務局次長からも御答弁申し上げましたように、大腿四頭筋短縮症の発生原因といたしましては、注射部位とか回数、年齢、それから先天的素因、いろいろなことが複雑に関与しておるということで、なかなかはっきりしないわけでございますけれども、御指摘のように、その中で薬剤の種類あるいは量というものも一つの要因ではないかということは、先生御指摘のようにいわれておるわけでございます。ただ特定の薬剤による原因という結論がまだ出ておるわけではございません。
 最近、東北大学の赤石教授から、注射薬液の内容によりましては組織障害の程度が異なってくる可能性があるという御意見が出まして、これは新しい問題でございますので、この中で指摘されております事項の中で、PHとか浸透圧につきましてはできるだけ早くということで、業界に対して指導いたしまして書かせるようにいたしまして書かせるようにいたしております。ただ、溶血性の問題につきましては、これは赤石先生御自身も組織障害との関連がなかなかむずかしい、これはしたがって試験方法が確立されたあとでどういうふうな注意をしなければならぬかということを書きませんと、いたずらに不安を起こすだけであるということで、これは研究班に赤石先生を含めて委嘱いたしまして、至急研究を始めておる段階でございます。これにつきましても結論が出ましたならば、しかるべき注意事項を書かせるようにいたすつもりでございます。
#95
○田中(美)委員 至急この薬に対する注意書きというのもやっていただきたいと思います。
 次に、もう一つ、老人問題ですけれども、いま厚生省の統計で見ますと、この四十三年からわずかの間に、ひとり暮らしの老人が非常にふえている。特におばあさんのひとり暮らしの世帯というのは、昭和四十三年から六〇%もふえているということが、これは毎日新聞の八月二十五日の新聞に出ておりました。
 こういう中で、ひとり暮らしのお年寄りに対するヘルパーの増員の必要性というのは非常に大切なことだと思うわけです。ことしになっても、ひとり暮らしの老人が火事で焼死したというような新聞記事があちこちに出ているわけですね。これに対してヘルパーを増員するというのは早急にしなければならないというふうに思うのですけれども、一応そちらにこの間伺いまして、大体いまやっておる情勢というのはわかるわけですけれども、いまやっておるのは週二回で一日二時間なんですね。これでもってヘルパーの計算をしておるというところに私はやはり問題があると思うのですね。何次計画というものを立てるためには、やはり少なくとも週四回、重症の方は病院に入れるなり臨時に毎日というのがあったとしても、一応平均して週四回。そして二時間では非常に短いのではないか、三時間なり四時間というふうな時間でもってヘルパーの数を計算していきませんと、とても週二回では、ヘルパーの来る前に自殺をしているというふうなケースなども、新聞の事例をこれに集めてありますけれども、これをずっと見ますと、ヘルパーが来る日と来る日の間にお年寄りが自殺などしておるわけですね。そういう意味で、ヘルパーを非常に待ちわびておる。これをまず基準を変えていただきたいということ。そこから何次計画というものを立てていただきたいと思います。
 それからもう一つは、ヘルパーの待遇ですけれども、ヘルパーの仕事というのは単なる掃除をして洗たくをするというのが大きな仕事ではありません。これは栄養指導もしなければならないし、そうしてカウンセリングもしなければならない。同じ話を百回でも聞くわけですが、初めて聞くような顔をして聞いて、お年寄りの孤独をいやし、そうして欲求不満をなおしてあげるということも仕事です。そうすれば、そうしたカウンセラーとしての、ケースワーカーとしての仕事も要る。そうして病気になれば病院に連れていく、何するというと、いろいろな福祉のケースワーカーとしての知識も必要なわけです。これをいまヘルパーは要請されておるということで、自分で非常に勉強しておるわけですね。しかしこれが嘱託のままに置かれておる。そして非常に安い。いまのところ国からの補助は三分の一ですからわずかですけれども、五万五千円しか出されない。こういうことではならないというふうに思うのです。これは非常に高度の職業、専門職だというふうに私は思います。そういう意味で、将来はやはりほんとうに専門教育を受けた、福祉大学を出たような人たちがなっていく、男性もなっていく、そういう専門家にしていかなければならない。いまはそういう専門家が足らないし、研修をしながらそうした専門的な仕事をしていただくんだというふうに思うわけです。この身分保障というものをきちっとしない限りは、そうした専門性というものは出てこない。いま全国で正職員にしているところというのは御存じですか。正職員はどこがやっているか御存じですか。
#96
○翁説明員 いろいろな御質問がございましたので、まずヘルパーの問題を申し上げます。
#97
○田中(美)委員 正職員のことだけちょっとお願いいたします。
#98
○翁説明員 八千四百六十名でございます。
#99
○田中(美)委員 嘱託とかそういうのじゃなくて、正職員になっておる、ちゃんと公務員に裏づけられておる……
#100
○翁説明員 福祉事務所の職員でございますか。
#101
○田中(美)委員 はい。
#102
○翁説明員 福祉事務所の職員は現在定数の範囲内では大体七割程度になっておるわけでございます。一千百二十……。
#103
○田中(美)委員 嘱託も入れてじゃないですか。
#104
○大橋(敏)委員長代理 ちょっと待ってください。発言は委員長を通してやってください。
#105
○田中(美)委員 じゃ、けっこうです、もう時間がありませんので。正職員になっている例は非常に少ないと思うのです。嘱託とか、いろいろな形で金が出ているわけですね。ですから、福祉事務所に勤務していましても、外から見れば職員に見えますけれども、身分というのはそうなっていない。名古屋市ではこの四月から市の正式の職員になったわけですけれども、しかし、これとても、そうした専門職でありながら技能労務職というような形で賃金がきめられている。それから四十歳以上は全部同一賃金だ。四十歳以上が多いわけですからね。十年の経験者も、いま採用された人も同じ賃金だというふうなことがあるということは、せっかく正職員にするというような先進的なことをしても、国の補助がないためにこういうものにそうした不備ができているわけです。こういうふうなことを直していただきたいというふうに思うわけです。
 きょうは時間がありませんので、要求ばかり申し上げますが、もう一つは国の施設サービスと在宅のサービス、これを比較しますと、これは、私が老人問題を研究している学者の友人に試算をしてもらったわけなんですね。厚生省の統計にないものですから、こちらでつくってもらったわけなんです。これでいきますと、国が公的に施設サービスに出しているのは老人としては九三・八%なんですね。それが在宅になりますと六・二%ですね。いかに在宅老人というものが放置されているかということがこの数字でもわかるわけです。決して施設がいいと言いませんけれども、全部使われている金の中の割り振りを見ますと、施設は九三%以上、そして在宅は六%しかない。こういうことを見ましても、このホームヘルパーに金をうんとかけて、人数をうんと多くして、そうしてひとり暮らしの老人というものをずっとお世話をしていくということは、早急の老人問題の根本ではないかと思うのですね。年金と、これは根本の問題だというふうに思います。このヘルパーの問題についてどういうふうに――いまの私の申し上げたこと、週四回一日三時間、四時間という問題ですね、それからヘルパーを正職員にするという問題と、それから居宅サービスに大量の金を使うということ、施設じゃなくて、電話だとか、いろいろなものに使う、この三点について簡単にお答え願いたい。
#106
○翁説明員 お答えいたします。
 福祉事務所の正規職員問題につきましては、現在三百二十名程度でございます。ただ、これは国が地方交付税で払っている中から市町村が市町村の職員として雇用している者でございまして、国が基準を示している分だけ市町村が雇用していないという点に問題があります。
 それからホームヘルパーにつきましては、これは御指摘の点よくわかります。待遇その他、改善をすることについては、今後とも毎年計画的に進めてまいりたいと思います。
  〔大橋(敏)敏委員長代理退席、橋本(龍)委員長代理着席〕
 それから、いわゆる介護人の積算の基礎でございますところの二時間という問題につきましては、一応の積算の基礎でございますけれども、私どもとしてはできるだけ非常勤の職員がふえるようにしたい、そのためには来年度以降も総数において大幅な改善をはかってまいるということで、積算の基礎等につきましては検討を加えてまいりたいと存じております。
#107
○田中(美)委員 それを早急にしていただきたいというふうに思います。
 最後に一言だけ。四月十一日に私がここで質問いたしました、じん不全の患者さんの廃疾認定日の問題、これはお答えが近いうちにというお話で、だいぶ日にちもたっておりますので、どのようになりましたか、その経過を簡単にお答え願いたいと思います。
#108
○河野説明員 慢性じん不全の患者に対する障害年金の廃疾認定につきましては、臨床医学の専門家の意見を徴しつつ検討を続けてまいったわけでございます。いろいろ意見が対立いたしましたが、ようやく意見が調整つきまして、近く人工透析を実施している患者につきまして、その患者の臨床症状、それからじん機能検査成績、それから労働能力に対する制限の状況、そういったものを勘案いたしまして障害年金の認定をしたい、かように考えております。実施の時期につきましては、新しいケースでございますので、周知徹底する期間が若干必要かと思います。できるだけ急いで実施に移したい、かように考えております。
#109
○田中(美)委員 いつごろになりますでしょうか。この間も、できるだけ、だったものですから、もう一度はっきりと……。三カ月から認定するということですね。それをいつから実施するか、もう一度はっきりおっしゃってください。
#110
○河野説明員 まず第一点の廃疾認定の時期でございますが、人工透析を使ってその効果が安定するのに三カ月ぐらい必要であろうということで、三カ月の時点で廃疾認定をしたい、かように考えております。
 それから、この障害年金の実施につきましては、おおむね十月一日を目途に手続をいま進めておるところでございます。
#111
○田中(美)委員 では、質問を終わります。
#112
○橋本(龍)委員長代理 次に、寺前巖君。
#113
○寺前委員 きょうは大臣に下垂体性小人症の子供の問題について質問をしたいと思います。
 過般、私は、京都府の舞鶴和田中学校の三年生であります山田寿子さんという、からだのぐあいから見るならば小学校の二年生ぐらいの身長しかない子供ですが、成長ホルモンが欠けるところから大きくなれないのだという悩みを聞きました。ことしの三月には大臣のところにお手紙を出したというので、お返事を待っているのだが聞かしていただけないのだ、何とか大臣にお話しを願えぬものだろうか、こういう内容です。どういうお手紙を出されたのかということで、私、その控えを見せていただきました。大臣、もう先刻御存じのことだと思いますが、披露してみたいと思います。
  私は今年の四月から中学三年生ですが、身長が一一九・六センチしかありません。ふつうならば小学二年生ぐらいの身長です。
  勉強のうちではいちばん体育が好きですが、困ることがいちばんたくさんあります。たとえば高とびの時です。くわしく説明すると、みんなの場合だと、九十センチぐらいからはじまるけれど、私がいるので六十センチぐらいからはじまります。高くなってきたらとべないと思いながらもとびます。
  また体育祭の時は、いっしょうけんめい走っても二〇〇mの時はみんなより五〇mほどはなれてはずかしいです。
  今までにも陰口をいわれたりしてきました。そんな時は、はらがたってくやしかったです。
  私は小さいころからばかにされつづけ、もう慣れてしまいました。もうこんなに慣れてしまう所まで限界が来たということは、今までにどれだけ苦しみ、悩んだ事でしょう。それがこれからも繰り返されるかと思うと、いてもたってもいられない気持ちです。
  そして去年の夏、身長が伸びるかもしれないと思い大阪の病院に行きました。そして下垂体性小人症という病気である事がわかりました。そして身長が伸びるようになる薬もあると聞きました。けれども薬がなかなか手に入りません。私は今十四歳なので早く治療をはじめないと身長が伸びなくなるということをききました。
  三月二十五日にその薬が使えるかどうかを決める話し合いがあると聞いています。それで私はもちろん同じ悩みを持っている人とともだ一刻も早く身長が伸びるようになる薬がつかえるように話し合ってもらえるように大臣さんからぜひおねがいして下さい。
 もうよく御存じだと思います。聞いてみますと、東京、大阪、金沢の先生方で三つのチームを組んで研究をしていただいているそうだし、三十二人の方々に成長ホルモンを投与するという作業をやっておられるようです。ところが、この子供さん、大阪の淀川キリスト教病院の岡田先生のところに診断に行って、それははっきり小人症だということで、成長ホルモンを打てればなあということの話になりました。ところが、登録したのが二月の中旬でしたが、登録してみると、十人の人に大阪では投与をしてもらえるそうだけれども、自分の前に九人も人が待っている。そのために、私はいま三年生だけれども、この必要な年齢のときに、自分が投与してもらえるときはいつになったらくるのだろうか、おとなになってしまったら、いまさらもうどうにもならない時期がきている、何とか打てるような状態に、全国三十二名の投与が行なわれているけれども、何とか方法はないものだろうか、大臣さんにもう一度聞いてもらいたい、これが子供の叫びであり、親の叫びであり、これが同級生の諸君たちの叫びであります。大臣も御心痛のことだと思いますが、どういう措置をとっておられるのか、私は最初に聞きたいと思います。
#114
○松下説明員 ただいま先生から御指摘になりましたお手紙は、確かに大臣のお手元にいただきまして、大臣から私ども薬務局と、それから保険の適用の問題の保険局、それから難病対策を所管しております公衆衛生局、それから児童の衛生を担当しております児童家庭局、そういったところに大臣から御指示がございました。
 いま御指摘になりましたように、この脳下垂体性の小人症に投与いたしますホルモン剤としましてはスウェーデンで製造されておりますクレスコルモンという医薬品、国際的にこれ一つでございます。いままでこれが少量、治験用の医薬品として輸入されておりまして、したがって、先生がおっしゃいましたように量も少ないし、それから保険の適用の対象になっておりませんために、非常に負担もかかる。それから需要を満たすこともできないということで、前々から専門家からも御指摘がございました。ただ、これは原料が人体である。人体の脳下垂体であるというようなことで相当審査がむずかしかったわけでございますが、そういった大臣の御指示もございまして、できるだけ私ども手続を進めまして、ことしの九月六日にこれは新薬といたしまして正式に医薬品としての承認をいたしております。続いて、いま保険局とも相談いたしまして、これを保険の適用になります医薬品として告示をいたしますような作業を相談して進めておる段階でございまして、そういったお手紙の御要望に沿うような作業をまず進めまして、その見通しがついたところで御返事を申し上げたいということで、御返事を差し上げるのがおくれておりますのはまことに恐縮でございますが、御投書の趣旨につきましては、鋭意大臣の指示を受けて進めておる段階でございます。
#115
○寺前委員 いま新薬から保険薬への方向にということで目下手続を進めておられるということは、いまそういうことでしたね。それで問題は、その品物が、この子供さんは、全国で三十二人分しか品物がない、自分は病院へ行ってみたところが、前に並んでいる人が九人おるのだ、自分の番にいつになったらくるのだろうか、これがまず直接の心配なんです。だから、そういう新薬としての投与をしてもらえるものかもらえないのか、いまのままではしてもらえぬではないか、生きる道はありながら、その道が得られないということが不安なのです。そこの改善のためにどうされるのか、これが一つ。そして、いま来ている分が三十二人だということなんだけれども、全国でそういう待っている人がたくさんおるのではないだろうか。舞鶴で学校の先生方が、この子供の問題を通じて調べてみたら、その成長率が普通の人より低いという人たちが十人近く出てきているからかなり全国にあるんじゃないかということを先生方も心配しています。いま厚生省として、一体全国にどれぐらいの人が対象としてあるだろう、この二つの問題についてお答えいただきたいと思います。
#116
○佐分利説明員 公衆衛生局の下垂体障害調査研究班の四十八年の疫学調査によりますと、全国で下垂体性小人症の患者は八百八十人と報告されております。また、本年実施いたしました第二次疫学調査の中間報告によりますと、八百八十人のうち、このホルモンがきくであろうという方々は約三百人と報告されております。
#117
○松下説明員 いまのヒト成長ホルモンの供給の見通しについて、私のほうからお答えいたします。
 これは住友化学工業がスウェーデンから輸入しておるものでございまして、先ほど申し上げましたように、人間の脳下垂体から抽出する製剤でありますだけに、原料に非常な制約がございますけれども、新薬として正式のルートに乗せましてスウェーデンのほうとも話し合いをいたしまして、大体年間四万五千バイアル、患者一人当たりの年間使用量が百五十バイアルというふうに、専門家の御意見でございますので、これで約三百人分の医薬品を輸入するという計画になっております。
#118
○寺前委員 そうすると、お二人の御答弁から聞くと、必要な成長期の子供に投与するときくということが大体三百人がいまの調査の結果出ている、その分の輸入を確保して期待にこたえるようにしたい、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますね。――そうすると、いま私が提起しましたお手紙のこの子供も早晩お役に立つようにしたいというふうに理解してよろしょうございますでしょうか、これが一つ。
 それから第二番目に、今度はお金がかかります。一回の投与に一万円ぐらいかかる、週三回だ、こういう話です。ですから、成長期の子供がこれによって非常に効果があるということが明確になって、その薬を投与するんだから、何とかそのお金のかからないようにという、一つは保険の適用という問題だ。保険薬にするということ。もう一つは、やはり公費負担、育成医療の対象にする、この問題をこの子供たちに考えてやらなければならないんじゃないだろうか、そこについてはどういう見解でおられるのか、これは第二番目の問題として聞きたいと思います。
#119
○佐分利説明員 第一の御質問についてお答えいたします。
 その方は、大阪大学の医学部が適応症の患者として登録しております方でございますから、薬が輸入され次第、投与されるものと考えております。
#120
○上村説明員 いまお話しの小人症の中で下垂体前葉ホルモンの欠乏症というのは内分泌疾患に入る。それで私どもことしの十月から小児慢性疾患の治療研究事業にこの内分泌疾患を加えましたので、その内分泌疾患として公費医療の対象になるというふうに申し上げられると思います。ただその前提としまして、いまお話しになりましたように保険で採用されるというのが前提になるわけでございます。ただ率直に問題点を申し上げますと、相当金がかかることは間違いございませんが、公費負担医療でございますから、慢性疾患、公費で見ることになるのですが、現在のところ内分泌疾患の扱いは入院に限っておりますので、この点は今後の研究課題だというふうに考えております。
#121
○寺前委員 そうすると、いまも大事な問題を最後に局長さんが提起された。通院をして投与しているということになっているということになると対象外になるから研究をしたいということなので、私はそのまま研究をしていただいて実現するように、これは大臣にも重ねて希望を申し上げておきたいと思います。
 それから、あとで大臣に御答弁いただきたいと思いますが、同時に今度は、八百人の方々がいまわかっている中で三百人が有効であるという問題を御指摘になった。ということは、しかるべき時期に発見されないと効果を発揮しないということを意味しているんだろうと私は思うのです。すなわち成長期の子供の段階に発見されなければいけない、早期の発見をどのようにするかという対策が私は重要な位置になると思う。だからその早期発見のための対応策をどのように考えておられるのか、この点についてお聞きしたいと思います。
#122
○佐分利説明員 公衆衛生局の下垂体障害調査研究班が医師会また住民の御協力を得てそのような情報を集めてまいる所存でございます。
#123
○寺前委員 情報を集めるだけではなくして積極的に――これは私は要望申し上げておきたいと思いますが、たとえばこの子の場合だったら四、五歳の段階から異常を感じだしている。ところが小学校の四年生の段階に共済病院でしたか、見てもらったときに異常なしという判断が下っているのです、心配して行っても。だからこのような判断を下す状況ではせっかく情報を持っていってもその検診が効果がないということになっている。だから私は、こういう症状が起こる少なくとも学校の入学期の検診の段階にこういうような調査のしかたをやりなさいとか検診のあり方の上に、私は他の疾病問題もあると思いますのでよく研究して早期発見できる指導を確立してもらう。私はいまの答弁では十分準備されたものだとは思いませんので、これも要望の一つとして、早期発見のための対策はどうするか、これを確立してもらう。それから先ほど児童家庭局長が申しました通院の措置をどのようにするか、この問題についても十分期待にこたえるように配慮をしていただきたい。特にいまのお話を聞いておって思ったのはそのことと、さらに現在投与してもらうのに東京と大阪と金沢に行かなければならぬことになっている。だからこれをもよりの国立の病院なりで一方では予防面においての指導をすると同時に、もよりの国立なり大学なりの病院で投与できるようにこれを指導することはできないのか。担当のお医者さんに聞いてみたら、できないことはないと言っています。だからそこを改善する。その改善点、以上の三つについて、目下改善をしておられるんだったら局長さんに御答弁いただいたらよろしいし、そうでなければ大臣から一括してこの子供の期待にこたえる御答弁をいただきたいと思います。
#124
○佐分利説明員 まず下垂体性小人症の診断基準につきましては、ただいま公衆衛生局の調査研究班と日本内分泌学会とで検討中でございます。
 また、もよりの医療機関で診断、治療ができるようにという御要望でございますが、治療のほうは診断が確定すればどこでもできると思います。そこで診断が問題になりますけれども、先ほど申し上げました診断基準をつくりますと同時に、小人症は下垂体性のもの以外に甲状腺によるものその他の小人症がございます。その鑑別診断には血液中のホルモンの測定等をやらなければなりませんが、そういったホルモンの測定能力を持った病院はただいま日本には百二十病院しかございません。したがって診断についてはそういった機能を持った一部の病院にお願いをして、診断が確定すれば、治療はもよりの医療機関でよろしいのではないかと考えております。
#125
○寺前委員 大臣から最後に……。
#126
○齋藤国務大臣 その他の問題につきましては十分検討をいたします。
#127
○寺前委員 それではこの問題については十分御検討いただいて、同じようにこの世に生まれてきた子供たちが生涯とも泣かなくて済むという道を見出されてきておるのでありますから、ぜひともお金の問題で行き当たるとかあるいは薬のないところから行き当たるとかいうことのないように十分に対応策をお考えいただきたい、重ねて申し上げておきたいと思います。
 せっかくの機会でございますので、今日物価が非常に上がってきている段階で、生活保護者の問題についてこの際一言お聞きをしたいと思います。
 すでに本年の三月に物価特別委員会におきまして私は生活保護の幾つかの問題について提起したわけですが、その際に、子供たちの教育扶助の問題が一体どうなんだろうか、あるいは級地の格差問題はどうなんだろうかということを生活保護の問題として提起をしたわけですが、その基礎になる低所得者世帯の就学援助金について、これは文部省の所管でございますので、当時私は、ノート一冊が三、四十円を四十八年六月を基礎にしてこの予算を組んでいるけれども、異常な物価高の中でノートの値段は七十五円から八十円もしてきているではないか。鉛筆はHB一本十五円で組んでいるけれども、現実には三十円からしてきているじゃないか。倍にもなってきていながら、本年度の予算の中でそのままで就学援助といっても単価計算があまりにも低いではないかという問題を指摘して、検討するというお答えをいただいておりました。その後約半年になるのだけれども、もう一学期は終わって二学期も始まりました。この子供たち、低所得世帯の子供たちのめんどうを真剣に考えるという立場があるならば、すみやかに改善を行なってこそ当然だと思うのです。文部省も文部省、厚生省も厚生省としてその責務を果たさなければならないと思うのですが、どのようになっているのか、まず最初に文部省からお答えをいただきたいと思います。
#128
○別府説明員 お答えを申し上げます。
 昭和四十九年度の就学援助費の中の学用品につきましては、もうすでに御案内のことと思いますが、その単価をこの四月から一八%引き上げ、また特に経費がかかります新入学の児童生徒の場合に入学準備金として小学校一万円、中学校一万二千円を予算化したわけでございます。しかしながらその後の物価の動向等を十分に把握いたしまして、できるだけ早い機会に実際に学用品が買えるような額にこれを措置したいと考えまして、関係方面と目下折衝いたしているところでございます。そこで時期といたしましてはできるだけ早い時期にやりたいと思っております。
 また、その措置の内容につきましては、先生御指摘のように、昭和四十九年度予算の要求をする段階では、ノート一冊一三十円ないし四十円というような額を基礎にいたしまして積算をしていたわけでございますけれども、従来この学用品の単価につきましては、いわゆる積み上げ方式というものがここしばらくとられておりませんでした。昭和四十一、二年までは積み上げ方式がとられておりましたけれども、その後の数年間は物価上昇に伴う一定の率を前年度単価にかけてこの単価を積算するという方式をとっておりましたので、これを実情に即して改正をいたしたいということで、昨年の予算要求のときから各学年ごと、各教科ごとに必要な品目を積み上げて積算をするということで予算要求を行なっている次第でございまして、昭和五十年度の予算要求にあたりましても、たとえば例としてノートをあげますと、小学校一年生のノートを一冊七十五円というふうに積算するなど実情に即したものにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
#129
○橋本(龍)委員長代理 寺前君に申し上げますが、すでに日本共産党・革新共同の持ち時間を十三分オーバーしております。簡潔に締めくくってください。
#130
○寺前委員 それでは私は最後に、お約束の時間のようですのでやめておきますが、大臣にお答えをいただきたいと思います。
 いま文部省からすみやかに改定をしたいというお答えがありました。もう二学期が始まったのですから、すみやかにということでございましたが、二学期が始まっているという実情の上において、それこそ一番最短のすみやかな時期に改善をしてもらうということを厚生省からも大蔵省と強く折衝して実施を、教育扶助の分野においてこれとの関連で影響しますので、大臣からその点について強くやっていただけるのかどうか、このことが一つ。
 もう一つは、生活保護の一級、二級、三級、四級という級地問題。全体で二七%の級地の差があります。これはずいぶん大きな格差なんで、これをもつと縮めてほしいというのが従来からの問題だし、検討するというお約束もいただいてきました。一つの級の間が三で割って九%の差が生まれてくる。これはあまりひどい取り扱いじゃないかと思うので、できるなら撤廃をしてもらうなり、あるいは公務員の給与の場合でも八%ですか、そんなに差はありません。ですからこのあまりにひどい差の取り扱いなど、私は基本的に考えるところにきているんだと思うのですが、これは一体年度内に考えるのかどうか、その二点について大臣から御答弁をいただいたら私は終わりたいと思います。
#131
○齋藤国務大臣 前段の問題につきましては、ただいま文部省からお答えいたしましたように、できるだけ早くということでございますから、私のほうもできるだけ早く要望いたしまして、そちらができますれば教育扶助のほうも右へならえということで改定をする、こういうことにできるだけ早くいたしたいと思います。
 それから後段の級地間の格差、これは私もいまのような格差は縮小しなければならぬ、こういうふうに考えておりまして、中央社会福祉審議会のほうともいま相談をいたしておりまして、これは年度間においては無理でございますが、来年度四月から級地間格差を縮小するように準備を進めておるところでございます。
#132
○寺前委員 お約束の時間でありますので、やめます。
#133
○橋本(龍)委員長代理 大橋敏雄君。
#134
○大橋(敏)委員 私は、大腿四頭筋短縮症、別名ひざ硬直症の問題が全国的に大きな社会問題化してきておる。いろいろなところでかなりの論議を呼び始めておるわけでございますが、先ほど田中委員からも質問があっておりましたけれども、この問題について若干お尋ねをしてみたいと思います。
 いろいろ論議されている中で、確かにこの病気に対する厚生省のいわゆる行政姿勢といいますか、対応がおそいとかなんとかといういわゆる行政姿勢に対する不満、批判、そういう声はかなり強いものがあります。私は、これはだれがいいとかあるいは悪いとか、確かにその責任の所在の追及も大事なことではありますけれども、そういうことよりも現実にそうした病気で悩んでいる子供さん、そうした病気で悩んでいる皆さんに対して率直にそれを掌握し、一日も早く対処し、救済していかなければならない、こういうふうに考えるわけです。先ほどからもお話がありましたように、そのためには原因の究明あるいは潜在患者の把握ですか、あるいはまた治療方法の確立、こういうものを急がねばならぬことは当然のことでございますが、こういう立場からいまから二、三点質問したいと思います。
 私も今月の初めに福岡市の守る会の代表者の方数名と懇談をしてきましたし、現実にその患者も見てまいりました。その一例をあげてみますと、釜崎さんという方の次女の方ですけれども、貴子ちゃんというのは現在四歳でございますが、一歳と三カ月のときにかぜを引かれたそうです。左足太ももに注射を打たれた。その後発熱するたびに注射をしていたら、いつの間にか二十本ほどの注射を打ったことになった。それからそのときすぐじゃなくて二歳になられるころどうもおかしいなと気づかれた。それで昨年の十月、九大病院で診断してもらったときに初めて大腿四頭筋短縮症である、こういうふうにわかったのですね。その後手術をなさったわけでございますが、完治しませず、また来年再手術をしなければならない、こういうふうにいわれているようでございます。現在九大のリハビリ、マッサージを続けておられるわけでございますが、いまなお正座することもできないという状況が続いておるわけです。
 私はこれは二、三の患者を見てきただけでございますが、こういう方々が、先ほどの話によりますと、全国で二千数百、患者の皆さんのほうから言わせれば少なくとも三千人は間違いない、潜在患者を入れるともう数万人に及ぶだろう、こういうことであったわけですが、これは一日も早くやはり対処しなければならぬ。
 そこで具体的にお尋ねいたしますけれども、七月の二十五日、参議院の議員会館で大腿四頭筋短縮症の子供を守る会の全国委員会、この集会が持たれたわけでございますが、その席上で、滝沢医務局長は、きょうは海外出張でお留守でございますが、次のようなことをおっしゃっておるわけです。九月一ぱいまでには診断基準を出します、このようにはっきり皆さまにお約束なさっておるわけですね。たいへん期待されているわけでございますが、先ほどからも診断基準のことが論議されておりましたけれども、はたして九月一ぱいに約束どおり診断基準が出るのかどうかお尋ねしたいと思います。
#135
○宮嶋説明員 ただいま先生御指摘のとおり七月の、親の会の皆さん方との話し合いにおきまして、局長から、目下検討を進めています佐藤研究班において研究を大急ぎやっておるので、九月末には診断基準ができるでありましょうという答弁をしたことを私も聞いております。
 またその局長、そういう約束をいたしまして、その線を佐藤班にも伝えまして、できるだけ早目に出してほしいということで実は督励もいたしておるわけでございます。目下の状況を聞きますと、できるだけ九月末に出したい、ただ、いまのテンポで参りますと十月の初めにかかるかもわからぬということでございますけれども、本日ただいまの先生の御指摘もあり、九月末までにできますようになお一段の督励をしたいと思います。
#136
○大橋(敏)委員 この病気に対する厚生省の行政姿勢がいろいろと言われている中でありますだけに、その誠意、熱意を示す意味からも、やはり約束したことは約束どおりに示されるのが賢明だと思います。
 そこで、九月の末ないしは十月の初めにはそうした診断基準が示されるわけでございますが、その診断基準ができましてから具体的に厚生省はどのような対策を打たれようとするのか、先ほどの答弁ではゼロ歳児あるいは三歳児健診のときにこれを実施するんだということでございますが、その点お尋ねしたいと思います。
#137
○宮嶋説明員 先ほども御答弁申し上げましたように、診断基準ができますればさっそくにも各都道府県も心配しておりますから連絡をとりまして、この診断基準に基づきまして機会をとらえて乳幼児層における本疾病の状況というものが把握できますように診断をやってもらおうと思っております。
 具体的には先ほども触れましたようにゼロ歳児の年二回の健診、あるいはまた三歳児の年一回の一斉健診という場をとらえまして、これは各県必ずしもいつやるときまってるわけではございませんで各県やる時期はまちまちでございますけれども、とにかくがっちりした診断基準によってがっちりつかむということを心がけたいと思っております。
#138
○大橋(敏)委員 それはぜひ実施していただきたいところでありますが、問題は、この大腿四頭筋短縮症という病気がずいぶん発生してきた、問題になってきたというのは、抗生物質が安く手に入るようになったころからだ、この辺からたいへんこの病気がふえてきた、こういうふうにも見られているわけでございますが、そうしてみると、ここ十年、十五年の間だと思うのですね。したがいまして、ゼロ歳ないし三歳児健診での診断基準での把握もさることながら、現在潜在患者がいるであろうというのは、この十年、十五年の間の患者でございますので、やはり幼稚園、小学校、中学校まで何としても同じような診断基準でもって対処していくべきではないか、当然こうした診断基準が出れば、そちらの小学校や中学校のほうでもなさるとは思いますけれども、行政管轄が違いますのでちょっと不安になるわけです。いま言ったような立場から、むしろ厚生省のほうから文部省のほうにそのことを具体的に要望なさるお考えがあるかどうか。
#139
○宮嶋説明員 田中先生またいま先生から御指摘ございましたけれども、私ども診断基準ができましたら文部省のほうにも直ちに連絡をとりまして、文部のほうでも御協力をいただくようにお願いをしたいと思っております。
#140
○大橋(敏)委員 実は先ほども指摘がありましたが、確かにこれまでの患者の把握のしかたに問題があったんではないかと思われます。それはいままで集団健診等は全部都道府県ごとに実施されてきたわけです。そして患者の把握にしても都道府県からの報告を待って実態をつかんでいたというのが実情じゃないかと思うのですよ。というのは、それだけに厚生省としてはそう大きな問題ではないという判断に立っておったのではないかと思うのですけれども、そういう立場ですからおそらく厚生省のほうで実態をつかんでいるといっても、大量発生したあの山梨あるいは長野、福井などのごくわずかな地域の内容だけではないかと思うんですね。やはりこの問題はそう簡単なものではない、もっと深刻に事態を重視して厚生省みずからが積極的な姿で対処していくきわめて大事なことだと思うのですが、これは大臣の気持ちをお伺いしたいと思うのです。
#141
○齋藤国務大臣 この問題は私は実は非常に大きく考えておる問題でございます。まあ当初は山梨の特定の医者の注射による医療事故みたいな調子のものでございましたが、これはなかなかその後の様子を見ますと、いまお述べになりましたように長野、福岡、山形、やはり全国各地にわたっておるわけでございまして、私はこの問題は非常に大きく考えておりまして、十分な対策を講じていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#142
○大橋(敏)委員 四十八年の九月ですか山梨県で集団発生してから一年たったわけですけれども、厚生省もようやくいま研究班を発足さした。研究班を発足さしたことについてはりっぱなことなんですけれども、たいへんその対応がおそい。先ほども指摘があったとおりでございます。その間、民間の医師、看護婦さん等百五十名もの人々がいわゆる自主検診をなさった、つまり無料奉仕をなさったわけですね。非常にこれは感謝すべき問題でございますが、こうして国のいわゆる行政姿勢に対する不満とその病気の実態あるいはその重大さをお感じになった皆さんが自主検診をなさってきたわけでございますが、いずれにしましても、いま厚生大臣はこれを重視している、大きく考えているとおっしゃいましので、今後は積極的な姿で対処されていくと私は信じますけれども、最近、原因究明のために佐藤班、堀班ですか、この研究班が調査に乗り出したというところでございますけれども、一体どういう研究をしているのか。というのは、その予算規模を見ますと百五十万程度ですかね、私はこの程度の予算ではたいした調査はできないんじゃないか、こういう疑問を持ちますもので、そういう立場から説明をしていただきたいと思います。
#143
○宮嶋説明員 先生もすでに御存じのようでございますが、両研究班におきましてはそれぞれ分担をいたしまして、佐藤班におきましては診断の基準あるいは治療の問題をやっておりますし、あるいは今度は堀研究班におきましては発生予防の観点からいろいろな技術的な究明を行なっております。予算額はそれぞれ百五十万、百五十万でございまして、合わせて三百万と、なかなか乏しい予算でございますが、その中で先生方、少ない予算でございますけれども、各研究機関あるいはまた医療研究機関と連絡をとられまして、乏しい予算の中で大いにがんばっていただいているということで、私どもかねがね申しわけなく思っておりますけれども、この研究はなお今後長く続くわけでございます。来年も続くでございましょう。来年になりますれば、省内にいろんな研究がございますけれども、その中でワク取りをよけいいたしまして、さらにこの本研究が内容豊かにしっかりしたものになるように努力をいたしたいと思っております。
  〔橋本(龍)委員長代理退席、委員長着席〕
#144
○大橋(敏)委員 佐藤班、これは正式には短縮症に関する研究班、要するに全国約千の国公立病院や療養所を対象にして実態調査をなさるということでございますが、これまでの起こってきたその病気、関係するものについてのデータの収集だけだろうと私はこう思うわけですよ。あるいはまた堀班にいたしましても、発生予防と治療に関する研究だということでございますが、いずれにしましても、私はいままで起こったものだけのデータ集めで終わるのではないか、それ以上のことはこれではとてもなされないのではないか。というのは、やはりこれを一体何が原因でこうなるのか、たしか注射ということがほぼその原因であろうといわれているわけですけれども、体質の問題もあるだろう、あるいは注射液の問題もあるかもしれない、あるいは注射の場所によるのかもしれない、さまざまいわれているとおりでございますが、そういうことで、こういういまの研究班の研究内容というものは、あくまでもこれまでのやつ、いままで起こったもののみをただ整理するだけのような感じを受けてならないのですけれども、もっと積極的に拡大された総合的な研究まで発展していくのかどうか、この点についてお聞きします。
#145
○宮嶋説明員 両研究班ともわが国の整形医科学会あるいは小児科学会におきます権威を集めてやっておるわけでございまして、先生方は行政官でございませんで、まことにその道のドクターとしての専門家でございます。私もこれまでの研究の状況もいろいろ聞いておりますけれども、それぞれのお立場で全く専門的に、しかも深く突っ込んで研究をなさっております。これまでデータのございます山梨あるいは岡谷を中心とする長野あるいはまた古く福井のデータとか、そういうデータはもちろんお持ちでございますけれども、それ以外に、特に整形医科のフィールドにおきましては、具体的にその門をたたいた患者さんも多数お見えでございまして、そういう自己症例もたくさんお持ち合わせの上で研究をやっていらっしゃいます。決して在来のデータを集めてその分析をするというだけではなしに、具体的に突っ込んだ研究をなさっていらっしゃる。たとえて一例を申し上げますと、先ほど田中委員の御質問にも答えましたけれども、これからやろうとします約千病院に対するアンケート調査というのは、きわめて専門的な内容でございます。千病院につきまして、過去におきまして訪れました大腿四頭筋症の患者につきまして、すべてについて、その写真の状況から始まって、治療状況を専門的に詳細に書いてもらう、またその結果を詳細に書いてもらう、この膨大なデータをさらに詰めようというふうな意気込みでございまして、決して先生御指摘のように、在来の材料だけでやっているというわけでございません。両研究班の研究の成果を御期待願いたいと思います。
#146
○大橋(敏)委員 いまの東北大の赤石教授が打ち出しています注射液説がありますが、これも中央薬事審議会のほうで何かなされていると聞いておりますけれども、これもちょっと聞かしてください。
#147
○宮嶋説明員 薬務局長がおりませんので、便宜、私から、こまかいことは存じませんけれども申し上げますと、両研究班と実は並行いたしまして、本大腿四頭筋症につきましては薬剤起因説もあるわけでございまして、先生も御存じのとおり、東北大学の赤石先生から薬剤原因ではないかという御指摘もあったわけでございます。これを受けまして、薬務局におきましては、中央薬事審議会の副作用調査会がさっそく赤石発言を取り上げまして、具体的に先生のお話も聞き、また材料も吟味しまして、一応の意見を、この五月でございましたが出したわけでございます。そこでは、赤石発言を全面的に認めることはできないけれども、しかし、その関連の有無についてはやはり検討する必要を認めるという中間的な御結論でございました。
 これを受けまして、薬務局のほうでは、特に注射薬が問題でございますので、注射薬剤の安全基準という問題を中心にして研究しようというので、この夏、七月からでございますけれども、すでに検討を始めております。私どもはこの検討の結果もいまの両班の研究に加えて、総合大成したものとして全体的な結論を出したいと思っております。
 なお御参考までに申し上げれば、われわれの堀班のほうにも赤石先生が入っておられまして、両方はブリッジ方式で検討をするというかっこうで現在進めております。
#148
○大橋(敏)委員 いずれにいたしましても、総合的な研究に入っていくんだということでありますが、予算がないために研究ができないというようなことがないように御注意申し上げたいと思います。
 それから、もう一つお尋ねしたいことは、注射がもとだ。液であるかその場所であるか回数であるかは別としましても、注射がもとでこの病気が発生しているということは、もうほぼ一致した意見のようでございます。わが国の診療のいわゆる注射の回数というものは、外国に比べて非常に高い。社会医療調査報告にも、医者は一回、一人の患者に対して平均三本近く注射を打っていたと、こう報告しているように、日本人の薬好きといいますか、あるいはそうした注射などを好む感覚がそうさしたのかもしれませんけれども、ある一面では、いまの点数制度がこのような注射をばんばんやらしていっているのではないか、打たねばもうからないという、こういうものがやはり作用しているのではないかという心配もなされておりますので、この辺で、医者の皆さんに対して、こういう四頭筋短縮症等もこれあり、注射に対しては慎重にというような趣旨の注意を喚起し、行政指導なさる必要があろうかと思うのですけれども、この点についてはどうお考えですか。
#149
○宮嶋説明員 この問題につきまして、注射がその原因ではないかという疑いはきわめて強いわけでございますが、特に注射が人体に及ぼす影響というものについての御配慮というのは、常々各ドクターにおありであろうと思います。すべての医療機関のドクターが、臨床医はすべて人命を救済するために、日夜努力もされ勉強もされて、それぞれ臨床の治療をやっていらっしゃるわけでございますけれども、しょせんは、日々進展する医学の問題でございまして、いろいろなトラブル、苦しみを経て医学は進歩していく。そういう中で、このたびのこういう不幸な事態でございますけれども、この災いを転じて福となすという意味からも、今後もこの注射の使用について、私どもは関係方面とも連絡をとりまして、できるだけいい医療ができるように御指導もしたいと思っております。特に、その契機としたいと思いますのは、先ほどから申しておりますように、原因が何であるのかという究明は現在進行中でございますけれども、かりにこれが注射に起因する、注射の頻度に起因する、注射が多過ぎるということでございますならば、その問題をとらえて、これを契機に一般の医療の担当者に対しまして啓発を行ない、指導をするということは当然でございまして、そういうことを通じてさらに日本の医療がよくなりますように努力をしたいと思います。
#150
○大橋(敏)委員 私の持ち時間がもう参っておりますが、最後に一言大臣にお尋ねしたいと思います。
 この患者は育成医療の対象とされていくわけでございますが、その医療そのものの負担だけではなくて、あるいは経費だけではなくて、実はその子供が入院する場合は、親が一緒にやらなければいかぬわけですね。そうしますと、家庭が留守になる。そのためには一時どなたかに家庭を見てもらわなければならないというようなことで、予想外の費用が次々とかかっているという話も聞いてまいりました。したがいまして、この原因究明あるいは対策等が進められていく中において、これは確かに大きな問題であるということがはっきりしてきたその段階で、そうした家庭的な補償をしてあげる必要があるのではないかという問題も出てくると私は考えますので、その段階に至りましたときには、そうしたものも含めて、いわゆる補助的な、何といいますか、補償の内容も検討していただきたい、こう思っているわけでございますが、いかがなものでしょうか。これは大臣から、どうですか。
#151
○齋藤国務大臣 家計に及ぼす影響、私も相当なものがあろうと思います。そこで私どもは、医療費については育成医療というようなことでその負担の軽減をはかるようにしておりますが、一般の生活全体についての費用を軽減するというわけには、実際問題としてはこれはいくまいと思います。けれども、医療費については、その育成医療のやり方等について改善を加えるものがあれば今後とも改善をしていってできるだけ負担の軽減をはかる、こういう考え方で今後とも努力をしてまいりたいと思います。
#152
○大橋(敏)委員 終わります。
#153
○野原委員長 坂口力君。
#154
○坂口委員 医療費の問題が最近の大きな話題になっているわけでございますが、先日、診療報酬再改定の諮問案が提出をされまして、二月の改定に続いて行なわれようとしているわけであります。この医療制度全体の中での位置づけでありますとか、あるいはまた漏れ聞くところによりますと、改定幅は大体一六%前後というようなことでございますが、厚生省としてこれに対してどのようにお考えになっているのか、全体的なことからひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#155
○北川説明員 今回中医協に諮問をいたしました診療報酬改定の内容につきましては、すでにいま仰せのとおりの上げ幅を持っておるものでございますけれども、今回の性格は、何と申しますか、前回二月改定前後における異常な経済条件というふうなものによりまして、医療機関の経営がきわめて困難な状況になっておる。したがって、国民に対する医僚サービスが低下することがきわめて憂慮される状況にあるということを踏まえまして、いわゆる緊急改定という性格を持つものでございます。そういった意味で、約一六%という問題につきましても、前回改定後における物価、人件費等の動向を考慮いたしましてこれを算定いたしますと同時に、内容につきましても、いま申し上げましたように、医療サービスが低下をしないように、かつまた内容によりましては、医学技術の進歩というふうなものに見合ったように技術料というものを適正に評価する、こういうことで考えたような次第でございます。
#156
○坂口委員 今回の改定が緊急改定であるというお話でございましたが、この諮問案の中でいわゆる病院とそれから診療所の格差というものが一応四・四%というふうに出されているようでございますが、この四・四%差というものが病院とそれから診療所との間の差として、大体この辺が適当であるというふうにお考えになっているのかどうか、この点につきましてもひとつお聞きをしたいと思います。
#157
○北川説明員 今回の改定にあたりましては、いまお答えを申し上げましたように、最近の物価、人件費等の動向を勘案をいたしますと同時に、特に人手をたくさんかかえております病院の経営というものを十分に考慮する必要がある、このように考えたわけであります。したがいまして、上げ幅の検討にあたりましても、できるだけ病院についての考慮を行なうということで、いま申し上げました物価、人件費等の動向だけで計算をいたしますと、四・四%というふうな差はつかないわけでございますけれども、いわば病院に十分傾斜をするという意味合いでプラスアルファをいたしまして、結果的に四・四%の病診格差というものをつけて、いま先生が言われたような病院経営の困難さを緩和する、克服する、こういうふうに考えておるわけでございます。
 ちなみに申し上げておきますと、先般の二月改定の際におきましては、実質一七・五%の改定でございました。この際の病診格差は三・五%であります。今回は一六%でございまして、しかも病診格差は前回を上回る四・四%というふうにしておりますので、私どもはこの程度のものでいわゆる病院についての配慮は十分に行なっている、このように考えております。
#158
○坂口委員 四・四%の病診格差がついているわけでございますが、いままで大きい病院はかなりの赤字をかかえているわけでございますけれども、この病院の赤字の解消ということもあわせて、これで可能であるというふうにお考えになっているかどうか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
#159
○北川説明員 これは診療報酬だけで解決できる問題でありますかどうか、いろいろ問題があると思います。と申しますのは、いま例に出されました大病院ということになりますと、いろいろ公的な機能というふうなものを持っておりまして、たとえば看護婦の養成でございますとか、あるいはまた高度不採算先駆的な医療をやっております。そういう問題がございますので、そういった面についてすべて診療報酬でまかなうべきかどうか、もとよりこれは現在もやっておりますけれども、公的な資金を、一般の税金を、国費あるいは県費を投入するということによってやっていく場合もあるわけでございますから、今回の診療報酬改定だけでもっていわゆる赤字、さらに害えば累積赤字というものまで全部解消をしていくということは、なかなかむずかしい問題ではなかろうか、今後保険医療行政だけではなくて、医療行政全般といたしまして、いま言われたような公的な機能を多く持つ病院、大病院、公機能病院、こういうものについては、その辺の資金の投入のしかたをどうするかということも含めまして、正常な病院経営ができますように、医療行政全般として、保険も含めて努力をしてまいりたいと思っております。
#160
○坂口委員 いまおっしゃいますとおり、結局報酬だけで片のつく問題ではないと思うわけであります。言われましたとおり、医療行政の改善ということをあわせてやっていかないことには、現在たまったこの赤字の解消というものは困難かと思うわけでありますが、お聞きしたいのはその医療行政の改善でございますけれども、これは今後と申しますか、緊急の問題でございますし、これから時間をかけてゆっくりと検討をしてきめていくというようなことでは、現在の病院はパンクをしてしまうという状態にあるのではないかと思うわけであります。したがいまして、医療報酬の改善だけでは片づかないというふうに皆さん方も言われるわけでありますし、あわせて医療行政の改善が急務であるというふうに私どもも思うわけでありますが、この医療行政の改善について、現在お考えになっていることがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
#161
○宮嶋説明員 お答え申し上げます。
 都道府県立とかあるいは日赤、済生会等の公的な医療機関につきましては、ただいま保険局長から答弁ございましたように、いわゆる公的な性格に基づきまして看護婦の養成事業であるとかあるいは救急医療事業であるとか、あるいは高度のガンとか、あるいはまた小児の医療関係、そういうもろもろの公的な活動をやっております。問題は一般的に診療報酬を上げましても、いわば医療収益に乗りがたいこういう事業につきまして、相当のてこ入れをしなければならない、そういう公的な活動分野に対する助成を強めなければならないというのが、私ども医務局のまた気持ちでもございます。ただ、現状を申し上げますと、その面でまだ十分ではない、まだまだ足らないというふうに思っております。ただ、私ども努力をしていないわけではございませんで、たとえば公的三団体に対します助成の道につきましては、実は関係各方面の強い御支持も得まして、財政当局とも話し合い、結果的には公的三団体につきまして、四十八年度から初めて一つには累積赤字の解消方策、一つには公的三団体が持つ公的活動分野に着目した助成、チャンポン方式になっておりますけれども、公的三団体に対する助成ということで、累積赤字を持っておる限り、当該三団体の各病院の運営部門に対して、特にガンとか、あるいはまた救急とか、あるいはまた過疎的な分野における不採算医療地域における病院機能というふうな三つのものに着目いたしまして、累積赤字がある限り補助をしようということで補助の道を初めて四十八年度つくりました。当時その金額は約二億九千万円でございましたけれども、四十九年度に至りましてその額はさらにふやしまして四億という額を出しております。実はこの四億ないし二億九千万の額と申しますのは国庫補助額でございますが、これにつきましては同額のものを県も持つというかっこうになっておりますから、一般的に公的三団体に対しましては実はその倍額がいっておるという状況でございます。
 それ以外に実は看護婦の養成事業、これが相当な金を食います。この面につきましては従来から運営費に対しましていろいろ補助をやってまいりました。ただこまかいことを申し上げますと、補助対象経費の見方が少ないから現実に対して助補割合がきわめて小さいということはございましたけれども、年々補助対象の割合も補助対象の内容もふやしてまいりまして、現実にかかる費用に着目しながら補助をするということで、現在国、県で運営上に要します経費の半分は負担する、補助する、こういうことで相当多額の経費を用いまして運営費の補助を出しております。
 それ以外に特に三団体で申しますのは、こういう運営費のいまいただいておる補助もさることながら施設整備に相当金がかかる、この面のてこ入れがないと施設投資の面の借金があとあと残ってたいへんになってしまうということもいわれますけれども、施設整備につきましてもわが医務局におきまして約七億程度の少ない額ではございますけれども、その大部分を公的医療機関に渡すというかっこうで補助もいたしております。まだまだ御要請からほど遠いかもわかりませんけれども、私ども現在レールを敷いているものについてはさらにさらにそれを強める。それからまた今後ともいろいろくふうしましてこういう関係団体の意向も聞きながらその範囲を広げていきたい、かように存じております。
#162
○坂口委員 これは大臣にお聞きをしたいわけでございますが、いま御回答のありましたように、公的三団体に対しましては四十八年度から何がしかの助成金が出ているということでございますけれども、この数年来の公的な病院の経営状態というのは悪化の一途をたどる一方であったわけであります。
 そういう意味で今回の医療費改定だけではいかんともしがたいものがあるわけでありますので、さらに一そう救急医療、あるいはまたいまお話しがございましたガンの問題、あるいはまた僻地医療の問題等につきましては、これは積極的な国庫補助というものが必要ではないかと思うわけであります。先ほどのお話にもありましたように、今回の報酬だけでは片づかない問題でありますので、その医療行政の改善とあわせてこの問題をどうしても緊急にやっていただかなければならない問題であろうかと思います。その点の御決意をお聞きをしたいと思います。
#163
○齋藤国務大臣 病院、特に大きな病院の経営という面から考えてみますと、診療報酬だけで全部まかなうというのには非常に無理があるという感じを私は率直に持っております。しかしさればといっても病院経営の大宗というものはやはり診療報酬にありますから、今回の改定においても大病院があまり赤字を出さぬで経営できるようにということを配慮いたしまして、今回の診療報酬の改定をしようというわけでございます。
 私どもはこの診療報酬の改定にあたりまして、病診の格差というものは四・四ということになったわけでございますが、四・四ということを前提にして診療報酬の改定を考えたんじゃない、大病院が経営ができるようにそれぞれの診療項目について思い切った大幅な引き上げを行なう、そういう前提で考えてみた結果、たまたま結果が四・四になり、さらにまた甲病院と乙表の診療所との差がさらにもっと大きくなった、こういうわけでございまして、診療報酬の改定は初めから四・四なんという前提を置いて考えたものじゃない、大病院の経営が何とか赤字なしにやっていけるということにしたということをまず御理解を願っておきますが、同時にまたそういう診療報酬だけで解決できないもの、すなわち休日、夜間診療の問題あるいはガンその他の不採算医療の問題あるいは看護婦の養成問題、こういう問題全部をひっくるめてやはり財政的な面の援助をしなければならぬ、こういうふうに私どもは考えておるわけでございまして、来年度におきましてもガンその他の不採算医療については公的病院だけでありましたが、それを民間の病院にも広げようじゃないか、これはもう大事なことなんです。公的病院だけがなぜしなくちゃならぬ、理屈がないのですね、これ。公的であるがゆえに国の補助をする。民間だって同じなんです。非常に高度の医療をやっているところにはやはり金を出す、こういう筋が必要ではないか、こういうことで来年度はこういう面にも予算の拡充をやりたいと思っております。さらにまた看護婦の養成なども、これは全部を診療報酬でまかなうなんというのはどう考えてもこれはおかしいです。そこで今日、本年度においてもだいぶ改善いたしましたが、来年度においても県立病院あるいは町村立の病院が看護婦の養成所をつくるその経常費の補助を出さぬ、これはおかしいです、どう考えてみても。というようなわけで、診療報酬が病院経営の大宗であることは間違いありません。しかしながら、それだけで済まぬ問題、それはやはり国とか県なり市町村、こういう公の立場に立って財政的な援助をする、そういう必要とするものはどんどん勇気をもって援助をする、こういうやり方でやはりいくべきじゃないか、こういうふうに私は考えておるものでございます。
#164
○坂口委員 私も先ほど公的病院ということを申し上げましたけれども、これは私立のものも含めて当然やるべき問題であるというふうに思うわけであります。
 いまお話しの中で、救急医療等の問題も若干出ましたけれども、これは地域に行きますと、どちらかといえば公的病院が救急医療の中に入らずに、私立のところがおもにこれを引き受けてやっているというようなところもかなり多くなっている。この救急医療等も初めから採算制を云々するものじゃないわけでありまして、これはもう当然採算制を度外視して医師なり看護婦なりあるいは施設なりを備えて待たなければならないそういう性格のものでありますから、救急医療体制等についてもこれは単なる保険診療というワク内だけの考え方ではなしに、別なワクとして国がさらに一そうの助力をすべきである、こういうふうに思うわけでありますが、もう一つ救急医療の問題がちょっと大臣のおことばにも弱かったように思いますので、重ねてこれだけお聞きしておきます。
#165
○宮嶋説明員 先生おっしゃいます救急医療というのはいわゆる交通災害に対する救急医療の問題といいますよりも、おそらく急患対策としての医療ということだと思います。
 実は従来から交通災害を中心にした救急医療センターあるいはまた救急告示病院、診療所、救急医療センターが現在約百九十ございますが、あるいはまた救急告示病院、診療所が全国で約四千八百ございますけれども、そういう交通災害を中心とした救急体制というものが、最近の状況、推移を見ておりますと、診療時間外搬送件数の中における各科の配分等を見ましても、交通事故件数は相当減ってまいりました。診療時間外ですと、患者の中でもう一割を切っている。あるいはまた救急告示病院、診療所の状況を見ましても、交通災害でかつぎ込まれることが少なくていわゆる一般的な急患が多い、こういうことがおもになってまいりまして、特に都市部を中心といたしまして一般国民の間から急患対策を求める声はきわめて切なるものがございます。そういう意味におきまして、実はやっておりますのが一つには当番医制、一つは休日、夜間診療所、この二つの組織を使って現在その需要にこたえつつあるわけでございます。もともとわがほうといたしましては、当番医制度によって全部カバーしようということを考えたわけでございます。現在全国で、これは医師会の協力のもとにやっているわけでございますが、全国郡市医師会の数に対しまして、当番医制をしいておられます医師会の数は割合にいたしまして約六割でございます。また、全国民人口に対するこの当番医制によりますカバー率が同じく約六割程度でございます。そういう状況で当番医制度は相当進んでまいりましたが、ところが片面、需要のほうからいきますと、どんどん急患需要が伸びていくということでございまして、いまや当番医制も相当ピンチに立っております。特に当番医制がピンチに立ちますもとは二つございまして、一つは、要するに当番医になった方の家族の側あるいはまた従業員の側からいいまして、きわめて負担が過重であるということが一つと、いま一つは、需要者側からいいますと、当番医制はときどきかわるわけでございますが、要するにその行くべき場所について当番医というのはよくわからないというふうな需要側の要請もございまして、だんだん問題に逢着しつつございますけれども、そういう中で生まれてまいりましたのがこれにかわる休日夜間診療所をはっきりつくろうじゃないか、これも単に医師会にまかしたかっこうじゃなしに、役所のほうも入っていって、いわば公側でも対応しなくてはいかぬということから、そこに出てまいりましたのが休日夜間診療所の構想でございます。
 もともと休日夜間診療所は四十年代に入りましてちょぼちょぼできましたけれども、まだ数が少うございましたが、ここ二、三年来だんだんふえてまいりまして、先般のわがほうの調査によりますと、全国で九十二の休日夜間診療所がございます。その大部分は人口十万以上の市でございます。私どもこういう状況のもとにおきまして方針を立てました。それは、まず当面人口十万以上の都市型の市につきましては、人口十万以上の市について原則一カ所の休日夜間診療所をとりあえずつくってしまう、ただし、人口四十万以上の大都市になっていけば二十万ごとに一カ所つくろうというので、実は四十九年度を初年度といたしまして、四十九、五十、五十一と三年度で、全体の数を計算しますと二百六十になるわけでございますが、二百六十をつくってしまおう、こういう計画を立てたわけでございます。
 その第一年度としまして、四十九年度におきまして七十カ所の休日夜間診療所をつくる、一カ所平均百平米程度のものでございますが、これを市がつくる、そして中身については医師会の協力を求めて当番医にかわって交代で大体二人の医師、二人の看護婦を標準としますが、運営をやってもらう。その運営費については人件費分を見てあげようじゃないかというので、医師、看護婦二人分について人件費を公で負担する、市が負担する。そして国のほうの補助といたしましては、できます建物につきましてはその三分の一を国が持つ、三分の一を県が持つ、残りは市が持つ、それから運営費につきましては国、県費三分の一、三分の一持つ、残りは市が持つというかっこうで、いずれも三分の一でございますが、そういうかっこうで実は発足をさしたわけでございます。
 しかし、この制度をやってみますと、需要が予想以上に高いということもございますし、また最近の動きを見て三年も待っておれぬということでございますから、私ども二百六十カ所の三カ年計画を急遽二カ年計画に変更いたしまして、できれば明年度一挙に残りをつくってしまうというふうなことを考えております。
 大体以上のような構想でおります。
#166
○坂口委員 この休日診療の問題、あとでまた少し触れさせていただきます。
 この診療報酬でございますが、ことしの二月にも改定され、今回また改定されるということで、毎年これが年中行事のようになっているわけでありますけれども、あとからその年々の物価の値上がりに沿って改定を行なう、あとから追いかけるという形に年々再々なっていると思うわけであります。いわゆるあと向きのスライド制と申しますか、そういう形になっているわけでありますが、以前から医療費のスライド制という問題が出ておりますけれども、これに対しまして、このように毎年毎年していくんだったらスライド制にしたらどうだというような意見も出ております。これに対するお考えをひとつ承っておきます。
#167
○北川説明員 診療報酬にスライド方式を導入するという問題につきましては、御承知のように、四十六年の保険医の総辞退がありました際に、合意十二項目ということで、当時この問題について、いわゆる診療報酬を物価、人件費にスライドしていくということについては厚生大臣としてもその実現に努力する、こういうことで、関係団体との間に申し合わせがあったわけでございます。そのようなこともございまして、また中央社会保険医療協議会におきましても、診療報酬を医学医術の進歩に見合うようにするということ、それからまた物価、人件費等経済の変動に対応せしめるということ、こういうことをやるべきであるという建議を四十七年の二月改定の前段なりました建議で同年一月にちょうだいをいたしております。そういうことで、昨年もこの問題を中医協で論議を願ったわけでございますが、昨年の暮れには診療報酬にいわゆるスライド方式を導入することについてということを――現在すでに中医協に厚生大臣のほうから諮問をいたしておりまして、中医協のほうから適切な答申があることを期待いたしておるような次第でございます。いまお話しの中で、常にうしろ向きではないかというお話があったのでございますけれども、確かにいまのような変動の多い時代でございますと、そういうことが言われるかもしれません。私どもはあくまでもこの問題は、いま申しましたように、常に医学医術の進歩に見合うようにする、それから物価、人件費等の経済変動に対応させる、こういう二つの観点から考えておりまして、今後ともそういう見地から、先生が言われたような、単なるあと追いではなくて、真にそのときどきの医学の水準というものを反映する医療サービスが提供できるような診療を保持したい、そういうつもりで考えておりますので、スライドの問題も含めまして診療報酬の今後の改定につきましてはそのように御理解をいただきたいと思います。
#168
○坂口委員 このような物価高騰のおりでありますので、医療費の改定という問題は当然毎年起こってくるわけであります。要は、結局はその内容であるわけであります。国民の側から見ますと、費用だけが上がりましても、現在かかえております医療の矛盾というものがそのままいつまでも残されたままでの医療費の年々再々の値上げというのではどうにもならないと思うわけであります。今回の改定にあたって、医療の内容充実の面から、現在までかかえておりますいろいろな問題がございます。先ほど出ました夜間休日診療の問題もございますし、僻地の医療の問題もございます。あるいはまた看護婦の問題もございますし、医師の養成等もございます。こういった現在かかえておりますいろいろな矛盾を改革していこうというその方向づけの中で、今回のこの医療費の改定というものが検討されたかどうかということを私はひとつ知りたいわけであります。その点につきまして少しお伺いしたいわけでありますが、時間があまりありませんので、一、二こちらでしぼりまして、お伺いをしたいと思います。
 一つは、無医地区解消の問題が一つの大きな問題といままでからなっております。この解消は先ほどお話が出ましたように、単にこれは医療費の改定だけで片づく問題ではございません。医療制度全体の中で改革を進めなければならない問題でございますけれども、しかし、この医療費一つをとりましてもやはり無医地区を解消の方向づけとしてやはり考えていかなければならない面もあろうかと思います。たとえば地域の病院を基幹病院として医師を派遣するというような考え方も、いままでも出されていると思いますが、そういった面で今回の医療費改定の中でこういうふうな点が問題にされたかどうか、どういうふうに考慮されたかということについてお聞きをしたいと思います。
#169
○北川説明員 僻地医療という問題と診療報酬との関係だと思います。いまのお尋ねに対しまして、直接今回の改定で、しからばその点についてどのような対応をしたかということになりますと、ダイレクトにこれがあるということは必ずしも申し上げることはできないかもしれません。ただ、先生もお話しのとおり、無医地区対策とか僻地医療対策というのはやはりすぐれて医療制度全体の中での問題でございますので、今回の診療報酬の中では、特段のものはあげることはなかなかむずかしいわけでございますが、しいて一つの例をあげますと、農村地区等に多いいわゆる往診でございますが、往診料につきましては今回思い切った改善をいたしておりまして、現行の大体四倍程度まで上げております。そういう例が一つあります。したがって、全般的に基幹病院、親元病院からの医師派遣云々というようなそういった点については、診療報酬の面でどう見るかということはなかなかむずかしい問題でございますので、いま申し上げましたような例示、こういうところに一つのあらわれがあろうか、このように思っておる次第でございます。
#170
○坂口委員 先ほども局長が申されたように、これは診療費の問題だけじゃなしに、医療行政全体の中で考えなければならない問題でありますので、これはもう時間がございませんのでさらに質問もいたしませんけれども、ひとつ緊急にこの無医地区解消のための、いわゆる他の医療行政の面での努力というものをしていただきたいと思うわけであります。
 次に、休日診療の問題がございますが、先ほどすでに全国的なレベルでの数値が示されました。いわゆる当番制の休日診療というものが全国で九十二カ所すでに行なわれているということでございますが、三カ年計画を二カ年計画に縮めてひとつやっていくという方針、まことにけっこうかと思いますけれども、実際問題といたしまして、各都道府県の現状等を聞いてみますと、いままで医師会等が中心になってやっておりました当番制の休日診療というものが、ややもするとやめられていくという傾向がかなりございます。先ほど言われましたような家族や従業員の問題もございましょうし、また場所が変わるというような患者さん側から見た問題もあろうかと思いますけれども、しかし理由はいろいろあろうかと思いますが、とにかくやめられていくというケースがかなり多いわけであります。
 それで、先ほどあげられたような理由のほかに、やはりもっと根本的に考えなければならない点があるのではないかと私は思うわけであります。一つは十万都市の中で一カ所ぐらいのいわゆる休日診療のような形ではさばき切れないというようなこともある。それが先ほどおっしゃった家族や従業員の問題にも波及してきているというふうに思うわけであります。十万都市に一カ所というような考え方がいいかどうかということも基本的に検討してもらわなければならないのではないかというふうにも考えるわけであります。この休日診療の問題は、先ほど三カ年を二カ年の計画ということもございました、多少前向きではございますけれども、しかしそういう意味でもう少し根本的な問題があるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#171
○宮嶋説明員 おっしゃいますように、いろいろな問題があろうと思います。また私どもがやっております対策は実は最少限の対策でございまして、これをもってよしとするわけでございません。私ども特に全体的な休日、夜間の体制を考えます場合に、とりあえずそういう手を打って、それでさらにこれにつきましては人口十万以上につきましても数をふやすべきでありましょうし、また十万未満の市等につきましてもそういうニードはすごくま高っておりますから、第一段階が終わりました段階におきまして、二の次になりますけれども、そこいら付近も考えなければならない、かように存じております。
 また、当番医制につきましては、いろいろな問題がございますけれども、しかし多くの医師会においてまた多くの地域において、医療関係者の間からもあるいはまた地域住民の間からも求められているこの当番医制でございますので、そう致命的なダメージを受けているとは考えません。そこでお互いにいろいろ話し合いが行なわれ、また地方公共団体がそこに介入をして、よく見受ける例でございますが、地方公共団体でこういう当番医制について補助を出している場合もございますし、また話は別でございますが、救急告示病院、診療所に対して地方公共団体が、そうたいした金ではございませんけれども、地方公共団体としての財源を投入して御援助申し上げるというふうなことでてこ入れをやっている例もございますけれども、そこはそれいろいろな関係者のくふうによりまして当番医制は守っていくし、もつとみなのものにしたい、かように存じております。
 全体的な輪郭としまして私ども思いますのはやはり休日急患対策につきましては、一つには情報センターと申しますか、幾つかの市にその例がございますけれども、情報センター、それから休日夜間診療所、それに当番医、こういうネットワークが基本的になるんだろうと思います。要は、それぞれの中身につきまして国自体の指導の方針をがっちり固める、あるいはまた財源もよけい取って大いに財政誘導をやるということであろうと思います。そういう方向で今後とも私ども努力したいと思っております。
#172
○坂口委員 たとえば日曜日に診療を行なって、普通の日に休むという形態をとっている診療所、医院、これがかなりあるわけでありますが、こういうふうな行き方については、私はこういったところがふえればたいへんいいと思うのですが、これは皆さん方の側はどういうふうにお考えになっておるんでありますか。
#173
○宮嶋説明員 先生と全く同じ意見でございまして、けっこうなことだと思います。そういうウィークデーによる医療機関の地域的なローテーションというものがあれば地域住民もどれだけ助かるかわからない、かように存じております。
#174
○坂口委員 これは小さな問題でありますし、ここで言うのはどうかと思いますが、日曜日に診療を行なって、そうして普通のウィークデーに休む。たとえば水曜日なら水曜日に休むというところがあったと仮定いたします。そういたしますと、水曜日に、その医院にとりましてはいわゆる休みの日でありますね、その休みの日に何か緊急の事態が起こって出動するというときには、たとえば休日加算というものは認められない、こういうことになっておりますために、それだったらやはりみなが休む日曜日に合わせて休んで、そうしてウイークデーは全部診療するという形に変えようというような動きがあるというふうに聞いておりますが、この点いかがでございますか。
#175
○北川説明員 ただいまの問題は、二月改定の際にいわゆる休日加算というものを新設をいたしました。そのときにいまのようなケースについてどのような配慮をするかということを検討したわけでございますけれども、やはりいろいろ見方はあるかもしれませんが、日曜は診療をしてそれ以外の日に休むというんでありますから、結果的には同じことなんで休日診療加算――休日加算をすべきものはいわゆる国民の祝日等における休日というものの範囲に限定をすべきじゃないか、こういうことで現在まで参っております。
 ただ、先ほどもお話しに出ました時間外診療、夜間診療とかそういったいわゆる救急的な問題につきましては、今回の改定でもって標傍時間内であっても加算をするというような措置をとるように考えたいと思っております。
 いまおっしゃった前段のケースは、やはり二月改定のときの考え方を変えるというふうな予定はいまのところはございません。
#176
○坂口委員 日曜日に診療するというのは奇特な人だとぼくは思うわけでありますが、普通のウイークデーに診療して日曜日に休むという人と、それからウイークデーの一日を休んで日曜日を診療するという人と、これは別に差をつけるという意味じゃございません、同じようにしたらどうかということを申し上げているわけです。普通のウイークデーに診療して日曜日に休む人については、休んだ日に緊急事態ができたときには休日加算が出るけれども、逆に日曜日にやっていてウイークデーの水曜日なら水曜日に休むという人については休日加算が出ないのは、平等じゃなしに、逆に差がついている。だからこれは普通の同じような考え方でいくべきじゃないかということを私言いたいわけでありますけれども、これは今後ひとつお考えいただけませんでしょうか。
#177
○北川説明員 そういうようなお考えもあると思うのですけれども、結局日曜は診療をしてウイークデーは休むということで、結果的には同様なことになるわけですね。そういうことで今後の検討課題にはいたしますが、現在まで検討いたしました結果は、いま申し上げましたように、深夜加算とか標傍時間内であっても時間外加算をつけるとか、いわゆる休日診療、夜間診療、救急診療、そういったものについて今回は配慮をしたいということでございまして、全般的な問題は今後の問題として検討さしていただきます。
#178
○坂口委員 時間がございませんので、最後に、今回の医療費の改定によりまして保険財政というものに大きな影響を与えることは間違いのない事実であります。特に政管健保でありますとか国保、こういった体質的に非常に弱い保険につきましては、その影響がまことに大であろうと思うわけであります。こういうふうな弱い体質のところには、どういたしましても国庫負担というものがさらに一そう必要になると思うわけでありますが、政管健保や国保等の非常に弱い体質の保険に対して国庫負担を今後一そうに進めるという大臣の御決意を聞かしていただいて終わりにしたいと思うわけであります。お願いいたします。
#179
○齋藤国務大臣 今回の医療費改定は一六%ということでございますが、一六%といいましても、国費の負担は実に膨大なものでございます。大体一%が百四十五億程度になるわけでございますから、一六%になりますと二千三、四百億の国費の負担になるわけでございます。それと同時に被保険者側の負担もまたお願いをしなければなりません。政管健保におきましては、昨年皆さん方の御協力をいただきまして成立いたしました健康保険法に基づきまして、保険料率の引き上げを行なわざるを得ないと思います。保険料率の引き上げ幅は大体どの程度になりますか、診療報酬改定がきまりましたあとの段階において慎重に積算をいたしてまいりたいと考えておりますが、被保険者の方々にも負担増をお願いしなければなりません。さらにまた国保においても、それぞれ住民の方々の医療費の負担をお願いしなくてはならぬ、保険料の負担をお願いしなくてはならぬ、こういうふうに考えております。どの保険でも財政の苦しいことは同じといえますが、その中で特に国民健康保険は財政はなかなか容易じゃないと私は思うのでございます。これについては、御承知のようにそれぞれ法律に基づきまして補助をいたしておるわけでございますが、あの補助だけで来年度以降済むだろうかということになりますと、なかなかこれはたいへんな問題でございますので、医療費の改定が済み、さらにまた来年度の予算編成の際には、最重点を置いてこういう問題の処理をしなければならぬだろうというふうに考えておりまして、国保財政の強化のためには最大の努力をいたす考えでございます。
#180
○坂口委員 最後にするつもりだったんですけれども、保険料の改定の問題が出てまいりましたので一言だけ申し上げておきたいと思います。
 私申し上げましたのは、保険料を改定して、これを上げていただくことをお願いしたわけじゃなしに、国庫負担をさらに進めてもらいたいということを要望したわけであります。大臣のおことばからすると、保険料を改定して一般の負担をふやすことを優先してお考えのようでございますけれども、それは本末転倒でございまして、国庫負担のほうをまずいかに行なうかということを中心にお考えをいただきたい。そのことを重ねて強く要望しまして、私は終わりにさしていただきます。
#181
○野原委員長 和田耕作君。
#182
○和田(耕)委員 八月の二十二日でございましたか、食品調査会の小林会長の名前で、AF2の使用禁止についての答申がございました。そして政府はそれを受けて、急遽九月一日からAF2の使用を禁止する、そして九月中一カ月でもってその製品を回収するという措置をとって、現在それが進行中であるということでございます。
  〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕
 私は他のこのような関連の薬品の措置について、そのつどどうかなという感じがいつも残っておったのですけれども、今回のこのAF2の問題は、政府としてこういうものを許可して、安全だから国民はそれを安心して食ってもいい、飲んでもいいという太鼓判を押すのは厚生省なわけですね。その厚生省として、今回のAF2の問題を考えてみますと、いかにもたよりない感じを私は受けるのです。今年の四月二十五日でしたか、東京地方裁判所でもって郡司裁判というのがございましたが、あのときは裁判所も、AF2について安全なものだという考えを背景にした裁判だったと思うのですけれども、また、八月二十二日の食品調査会の小林答申が出る直前まで、厚生省並びに関係の方々は、これは安全なものだということを確信しておられたと思うのです。そういうふうないろいろないきさつを思い出してみまして、いかにもたよりないなという感じを私は受けるのですけれども、この問題、許可された昭和四十年ですか、それからの経過、特に禁止に踏み切った二十二日以降の経過についてお伺いをいたしたい。
#183
○石丸説明員 AF2を昭和四十年に認可いたしました当時の実情につきまして御説明申し上げたいと思います。
 このAF2につきましては、昭和三十七年に初めてその毒性等に関します報告書が提出されたわけでございまして、昭和三十七年から昭和四十年にこれを決定いたします間、ほぼ三年間、食品衛生調査会の毒性部会及び添加物部会におきまして、前後八回にわたりましてその提出されました資料を検討いたしたわけでございます。その三年間の間には、審議の途中におきましてまた新たないろいろな資料を要求する、そういったことを行ないまして、当時の学問的レベルにおきましては最善の努力を払って御審議願ったと思うわけでございますが、当時の提出されました資料によりますと、慢性毒性、あるいは発がん性、あるいは代謝等、そういったいろいろな点を検討、審議を行なっていただきまして、当時のデータでは、発がん性などの毒性は認められないということを確認いたしました上、昭和四十年五月にこれが認可されたわけでございます。
 その後、このAF2につきまして学問的にいろいろ検討が行なわれておったわけでございますが、その後のいろいろな学問的な報告におきましても、このAF2の安全性を疑わしめるような報告はなかったわけでございます。しかしながら、全く新しい学問的分野といたしまして、遺伝と申し上げましょうか、変異原性に対します疑問が昨年の二月に提出されたわけでございまして、その後これは全く新しい学問の分野でございましたものでございますので、昨年の九月に変異原性につきましての検討委員会をつくりましていろいろ検討を進めておったわけでございます。それで、先ほど先生の御指摘のとおり、八月二十二日の段階に至りまして国立衛生試験所のデータで発ガン性が新たに認められたということで、八月二十二日に食品衛生調査会の建議が行なわれたわけでございます。その建議に基づきまして九月一日から使用を禁止し、なお現在市場に流通しておりますAF2を使用いたしました食品につきましては十月一日からその流通をとめる、かような措置をとった次第でございます。
#184
○和田(耕)委員 いままでAF2は安全であるという、そういうデータを出したのは、これはいろんな調査をしたようですけれども、これで出ないでこの国立衛生試験所の調査に出たということは、これはどういうふうに理解したらいいのですか。
#185
○石丸説明員 先ほど御説明申し上げましたように、昭和三十七年から四十年当時の実験におきましてもこれが何ら毒性が証明されていなかったわけでございますし、また指定された後、昭和四十年から現在に至るまでの間、いろいろな学者がいろいろ調査をいたしておったわけでございますが、それのデータにおきましてもそういった点が認められなかったわけでございます。
 昨年十月から国立衛生試験所におきまして、これは全然別の目的で動物実験を実施いたしたわけでございます。すなわち非常に大量の投与を行ないましてどれだけ動物が耐え得るかという実験をやっておったわけでございますが、その実験の途中におきまして、たまたま死亡いたしました動物を解剖いたしましたところガンが発見された、かような状況でございます。その学問的な意義づけと申し上げましょうか、これはなお現在検討中でございますが、一つの原因として考えられるのは、従来使っていた動物と違う動物を今回使った、これは同じマウスでございますけれども系統の違うマウスを新しく使ったということでございまして、あるいはそういったマウスの系統の違いというようなことがかような実験の結果の食い違いにつながってきたんではなかろうかと推定いたしております。
#186
○和田(耕)委員 大量のAF2を投与をした、しかもその実験の対象になったネズミがいままで使ったネズミとは系統の違ったネズミであった。話を聞きますと、大体人体許容量の四千倍から一万二千倍の大量のAF2を投与した結果だというふうに聞いているのですが、これは事実ですか。
#187
○石丸説明員 ただいま先生の御質問のとおりでございまして、今回行ないましたのが四段階の濃度につきまして実験を行なっておるわけでございます。そのうちガンが発生いたしましたのがただいま先生御指摘の、低い濃度で現在使用を許可いたしております使用量の四千倍の量を投与いたしておりますし、また高濃度のところで発生いたしました濃度が一万二千倍の濃度、かようなことでございます。
#188
○和田(耕)委員 この小林会長の答申の中にもあるのですけれども、最後のところに「この研究結果は」、つまり有害である、発ガン性の物質だということをきめた研究結果は「これまでの陰性の実験結果と異なり、その理由に関しての検討、特に動物の系統差、その他の実験条件に関しての検討が必要であろう。また、観察された癌は従来の人に対する慢性毒性に関する安全基準にくらべて極めて大量の投与においてみられたものである。」これがいまの四千倍から一万二千倍ということを言っているわけでしょうけれども、「しかし、食品添加物は、投与量のいかんを問わず、動物で癌原性の証明されたもの、あるいはその疑いの濃厚なものについては使用すべきではないとする原則に従い、その使用は直ちに禁止されるべきものである。」こういう答申を出しているわけですけれども、私ちょっと不思議に思うのは、こういうふうな判断を調査会でするということになると、その前に書いてある毒性に関する安全基準というものはどういう意味を持つのかということですね。つまり四千倍、一万二千倍という大量のものを投与した結果でこれは有害である、これは禁止すべきであるという決定をするなれば、安全基準、つまり許容量というものをきめる基準というのはどういう意味を持つのか、そういう素朴な疑問を持つのですが、それはどういうことでしょう。
#189
○石丸説明員 この点につきましては学問的にも現在非常に論争がある部分でございます。御説明申し上げますと、この安全量を算定する一つの目安といたしまして急性毒性及び慢性毒性というものを判断するわけでございまして、それから安全率をかけまして普通使ってよろしい量をきめるわけでございます。これもいま国際的に一応認められた線といたしましてわが国でもその基準を採用いたしております。そういった急性毒性あるいは慢性毒性あるいは催奇形性、こういったものと別に、発ガンの問題につきましては現在もWHO、FAO等の委員会の決定がある、世界各国のその基準に従っておるわけでございますが、発ガン性だけにつきましてはそういった常用の濃度とは別に、非常に高濃度で実験を行なっても、ガンが発見されればすなわちその物質はとめるべきである、かような基準が現在国際的にも採用されておるわけでございまして、わが国もこの食品衛生調査会におきましてもその基準にのっとって現在判断をいたしておるわけでございます。ただ、こういったものの考えには、先ほど先生が御疑問を抱かれましたように、やはり学問的にもそういった方法がいいのかどうかということは現在まだ検討中でございます。おそらく来年のWHOの会議におきましてもそこらがもう一度検討し直されるということは私のほうにも連絡が入っておりますけれども、現段階におきましては、先ほど申し上げましたように、その濃度のいかんを問わず、一応ガンが発生したらとめる、かような措置をとっております。
#190
○和田(耕)委員 日本の食品衛生調査会というのは日本におけるこの関係の最高の権威者が集まっていると思うのですけれども、そこではそのような議論は出ておるのですか出てないのですか。あるいはWHOのそういうあれがあるから機械的にこれはもう禁止だというふうにいったのか、あるいはこの内容についてのそういう議論をさんざんした結果なのか、私はこの報告と決定の間が非常に機械的で、何か権威的な学者がそろっているわりには大事な問題が審議されてないで、ただ一般のマスコミのいろんな影響もあったでしょうけれども、さっとやってしまった。あるいは厚生大臣にしても、そういう点について何か私不安に思う点があるので御質問しているわけですけれども、何かそういうふうな問題について御検討になったかどうか。
#191
○石丸説明員 先ほど申し上げましたように、これは国際的にも問題になっておる問題でございます。さらに今回の食品衛生調査会の審議の過程におきましても、この四千倍、一万二千倍というかような量を使っての実験について、やはり委員の間では非常に大きな議論になったわけでございます。一応、従来の判定基準というものを今回に限りまた変えるということには、今回の食品衛生調査会では結論に至らなかったわけでございますが、やはりそれに対してはいろんな議論があったわけでございます。
  〔橋本(龍)委員長代理退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕
 それと同時に、今回国立衛生試験所で行ないまして発生いたしましたガンというものが、これは動物、マウスにだけある臓器でございまして、前胃というもので、食道と胃との間にある臓器でございまして、これが人間にはないというような、そういったところに発生いたしたものでございますので、そういったものがはたして人間にも発生するかどうか、こういった点につきましても議論が出たわけでございます。そういった点が先ほど先生がお読みになりましたその調査会の結論の中につけ加えられたわけでございまして、そういった点を今後もさらに追求すべきである、かような結論になったわけでございます。
#192
○和田(耕)委員 私もそういう問題については全くしろうとでわからないわけですけれども、今後厚生省としてもそういう問題について真剣に検討していくと思うのですが、かりにその検討の結果、AF2というのはある人間の絶対安全な基準に照らして無害であるという結論が出たとすれば、この禁止条項を取り消すということになりますかどうか。その心がまえについてお聞きしたい。
#193
○石丸説明員 一たん指定を取り消しましたものをさらに再指定いたしましたのが、御記憶だと思いますが、昨年サッカリンの例があるわけでございまして、サッカリンは、一応使用を認めておったものが、発ガンがあったというアメリカの報告に基づきまして一応使用を禁止いたしまして、その実験をさらに検討いたしました結果、これがサッカリンそのものの発ガン作用でなく、その中に含まれていた不純物の発ガン作用であるということがわかりましたものですから、昨年の十一月にこのサッカリンを再指定いたしたようなかような前例もあるわけでございます。今後、このAF2の毒性につきましてさらに検討を続けることになっておりますが、その検討の結果を待たなければ直ちにいま申し上げられませんけれども、やはりサッカリンと同じような結果がもし出る、あるいは今後の学問的追求の段階において今回採用いたしました国立衛生試験所のデータの不備というようなことが判明すれば、さらに検討してまいりたいと思っております。
#194
○和田(耕)委員 こういう問題について、私はそういうおそれはないと思うのですけれども、いままでは、日本の戦後の復興とか高度経済成長とかということで、つまり、国民に被害のおそれのあるこういう問題については、業界あるいは国の一方的な一つの判断で国民は黙ってついてきたというある時代があったわけですね。ところが、この四、五年前から公害問題が出てくる。そしてあるいは食品に、いまのこういう有毒性の問題が出てくる。これは毎日使っている国民にとっては、そういうおそれがあるというだけでほんとにおそれがあるよりももっと有害な影響を人体に及ぼすようなことにもなる食品なんですね。そういうことですから当然マスコミも、いままでの上からの宣伝、上からの許可に対する反動として、相当行き過ぎた、おびえ過ぎたといいますか、そういうふうな宣伝をする時代がこの四、五年間ずっと続いてきている。そのさなかのことですから、私は今後の問題として、いろいろ今後も出てくると思う。思うけれども、そういうことを扱う厚生省としてはかなり独立性を持って、マスコミががぁがぁ言ったってそれに不当に影響されたりしない。いままで国民の気持ちを聞かないでやったと同じような裏返しになったような状態、そういう中でこういう問題を検討してもらっては困るわけです。これは一般の公害の問題でもそうです。悪いことばかりじゃないのですから。AF2でも大きな効果をいままで持ってきた。それはちょうど大気汚染の自動車の関係も同じような状態です。したがって、こういう問題を扱う機関は純粋に厳密に科学的な検討というものを、そして独立的な判断というその姿勢が確立しないと、私は非常に困ったものだと思うのです。そういう点で厚生省は重大な責任を持っているし、いままでの行政についても大きな責任があるのじゃないかと私は思う。そうでしょう。厚生省が認可したから国民は安心して使っている。ある日突然に有害だということができて、一カ月ぐらいで回収しろという命令を受ける。国民はたいへんな疑心暗鬼におちいって、そして自分はもうガンになるのじゃないかとか、あるいは自分の生まれる子供がおかしくなるのじゅないかというあれを受ける。つまりこういう結果をつくったのは厚生省にも責任――厚生省が一番責任があるわけですね。そういうふうな問題について、大臣、どのようにお考えになるでしょう。
#195
○齋藤国務大臣 こういう問題につきましては、私はあくまでも科学的な検討によって決着をつけていただくということが一番基本だと思っているのです。このAF2に関する限り申し上げますと、実は国会でもたびたび野党の方々から質問を受けたのです。マスコミあるいはその他消費者の団体がいろいろなことを言うている、疑わしいじゃないか、疑わしいから禁止しろ、もう数ケ月言われてきました。私はそれに対して、あなたも専門家じゃないでしょう、私も専門家じゃないのだ、専門家でない者同士が疑わしいから禁止しろ、そんなことは私はとても聞けません。あくまでも、食品衛生調査会がいまから十年前、その当時の検討の結果無害であるという結論を出して許可した以上、それを否定するような科学的な材料が出ない限り、私は絶対いたしません。すべて私は食品衛生調査会の科学的な結論を待ちます、こういうことで、実は終始一貫私は来ておったのでございます。
 ところが、先ほど来局長から御答弁申し上げましたように、十年前の分析と申しますか科学的な検討が、やはりその後の分析科学、科学技術の進歩というのでございますか、そういうことから、すなわち急性毒性といったふうな安全性のほかに、遺伝性の問題がありますよということが出てきたわけですね。これは昨年です。さらにまた最近に至りまして、いわゆる発ガン性の問題が出てきた。それが一応の結論が出たわけでございますから、結論が出ればこれに従って処置しようとする。これが私は厚生省として当然なことではないか、こういうふうに思うわけでございます。したがって十年前、最近問題になったような遺伝性の問題、劣性遺伝の発生の問題あるいは発ガン性の問題について今日のような分析、科学検討があの当時行なわれておったならば、あるいは私は許可しなかったかもしれません。しかしやはりあの十年前の、そう言っちゃ悪いですが、科学的な調査が、その当時の学問としてはそれが最高だったのでしょう。でございますから許可したのですが、その後の進歩によってこういう問題が出てきた。これが科学的にはっきりわかるということであれば、やはり国民の健康を守る上から、これは科学的根拠が出れば禁止するというのが当然じゃないか、私はこういうふうに考えて処置したわけでございます。したがって私は、あくまでもこういう問題は、消費者団体がいうからとかあるいはマスコミであぶないというから禁止するという性質のものじゃない、あくまでも科学的な根拠に基づいて処置すべきものである、こういう前提を私は強く持ってきたつもりであり、今後とも私はそういうふうな態度を持してまいるつもりでございます。したがって、今回発ガン性の問題あるいは劣性遺伝性の問題、こういう問題について、これをくつがえすところの、今回やった実験、分析をひっくり返す材料が出れば、私はそこでまた一つの問題が新しく開けてくると思いますが、まだそれがない限り、この実験というものは尊重して処置をするというのが当然じゃないか。私は、役所として一切介入をしておりません。禁止したがいいでしょうとか禁止しないでくださいというようなことを、全然、言ったことはありません。独自な立場で、ひとつ一番進歩した科学技術に基づいた結果を出してくださいということだけを申し上げておったわけでございますから、その点はひとつ御運解いただきたいと思います。
#196
○和田(耕)委員 事務的な立場から見れば、厚生省、いま大臣のおっしゃるとおりだと思うのですけれども、この小林報告を見ましても、これはかなり良心的にこの実態についての報告をしている。いろいろこれは根本的な検討を要するし、許容量の安全基準の四千倍あるいは一万二千倍という多量のものが投与されておるということと、実験の対象のネズミが違っておる系統のものだということ等から見て、根本的な再検討が必要だということを示唆しながら、最後のところで、しかしこういうことだからこの処置をとるんだと、これは一国の最高基準を持った一つの調査会の学者の判断としては、いかにも形式的過ぎるのじゃないか、私はそう思うのですよ。また、いま局長が言ったように、今後検討されればまた再び使うこともあるというわけですから、あるいはこの三カ月ぐらいを一つの凍結的な期間にして、生産は控えてくださいというふうなことにして調査をするとかいうふうなこともあり得るのじゃないか。つまり、根本的な、実験の結果があやしいという前提があるのですから。私は、そういう点で、日本の何とか審議会とか何とか調査会という、技術者の最高水準だというのをあまり信用しないのです、このころ。これは公害でもそうです。つまり、技術以上に精神的な問題で影響されるような精神状況があると思うからです。これは、こういう問題について科学者が、正しい科学者としての判断を出すということは、これは行政の一番重要な問題なんです、大臣。単に、諮問すれば学者がそういう答えをしたというのじゃないのです。学者が、何ものをもおそれないで、自分の技術的な研究、良心に基づいて発表するようなことが必要なわけです。研究することが必要なわけです。そういう問題について欠けるところがありはしないか。私は、その問題について関係者の上野製薬の方にもいろいろ聞きました。そして、上野製薬の人たちも、私どもはそういう決定が出た以上はそれに従いますといいながら、十分手を尽くした研究の結果と違った結果がある日突然出てきた、しかもそれが安全基準の四千倍から一万倍も使ったという、わずか一回の調査で、ある一人の調査でそのことが出てきたということに、かなり不満を持っているようですね。これは間違いであれば、上野製薬であろうが何であろうがやるべきだと思うけれども、そういう点について厚生省自身が、つまりいまのマスコミその他が代表する空気に押し流されておるのじゃないかという感じさえ持つ。大臣、いかがですか、絶対そんなことないですか。
#197
○齋藤国務大臣 食品衛生調査会についての御批判、いまいろいろお述べになりましたが、私はこの問題については精神的な影響というものを全然感じませんでした。これは科学的な根拠によって処理するきりないと、それは、たいへんそう言っちゃ失礼ですが、科学的な知識のない方々が、危険だ、あぶない、疑わしきは禁止しろ、そんなことをいったってだめだと、かりに私が危険だと言ったってだれが信用しますかと私は言っているんです。私は法学士ですから、何もこんな科学の知識は全然ありません。私が危険ですと言ったって、だれも信用するはずはない。国会議員が言われても私は信用すべきものじゃない。あくまでもこれは科学的な立場において処理すべきものだ、こういうことが私の基本的な信念でございまして、政治的だとか、マスコミその他が何といっているか知りませんが、そういう精神的な影響は一つも受けないで、冷静な気持ちで処理したということは御信用いただきたいと思います。
#198
○和田(耕)委員 そういう場合に今後望みたいことは――私もそのとおりです。やっぱり科学的な、いかにも科学者が間違った、おかしいことであっても、やはり科学者の決定というものがこういう問題を判断していく一番大事な基準であるように厚生大臣としては指導していくべきだと思うのですね。ただ、このAF2のきめた経過を見て、池田報告があったのは八月十六日でしたか、それでこれの報告があったのは二十二日ですね。こういう、わずか数日のうちに、いままでさんざんやった調査結果をくつがえすような決定、しかもそれによってたくさんの人が迷惑をする。これは単に業界が迷惑するだけじゃないんですよ。それを使った国民が、あれ、自分はガンになるんじゃないか、変になるんじゃないかという、大事なことなんです、これは。そういうことをきめる場合に、食品衛生調査会としては、もっと国民が納得できるような検討をする経過をもっていいじゃないか。何か、ものにおびえたみたいにこの始末を調査をして報告をしている。これを読んでみれば、先ほどから申し上げているとおり、普通のものよりも四千倍、一万二千倍もたくさん使った、しかも実験対象は違った種類のネズミだ、人体のいろいろな検討をしなければならぬ問題はたくさんある、こういうことをいいながら、つまり一つの常識、国際的な一つの運用だけでこうなっておるということなんですから、そういう点については、もっと学者としても独立の判断をもってやるべきだ、もう日本は最高レベルじゃないんですか。もういつまでも外国の決定を聞かなければわからない段階じゃないでしょう。こういう問題については、そういう日本の独自の技術者としての判断があってしかるべき問題じゃないですか。そういう問題なしに、こういうきめがあるからこういうことをやるんだ、これは、私は食品衛生調査会の学者諸君の能力なり気持ちを疑うわけじゃないんですけれども、もっとこういう問題については、国民が信頼できるように、つまり消費者運動なりマスコミが主張していることに乗ったら信頼するというわけじゃないんですよ。かえって不安を増す場合があるんですよ、これは。聞くところによると、最近チクロの問題を、これはたいへん有害だということでやっていたけれども、有害じゃないんだということで再使用する国があるということを聞いているんですけれども、そういう例がありますか。
#199
○石丸説明員 チクロが発ガン性の動物実験結果によって使用を中止されていることは事実でございまして、この後この発ガン性について再実験を世界各国方々で行なっておるわけでございまして、すでにヨーロッパ等の諸国におきましてはチクロを再指定いたしている国がございます。さらに、これはまだ公式の情報ではございませんけれども、最近アメリカのFDAが再指定するような動きがあるというような情報も入っております。
#200
○和田(耕)委員 日本ではチクロの問題についてその後検討しておりますか。
#201
○石丸説明員 チクロの毒性問題につきましては、発ガソ性のほかに、これは日本独自でいろんな動物実験をすでに衛生試験所で行なっておるわけでございますが、発がん性につきましては、ほかの各国と同じような実験結果を得ておりますが、そのほかにさらに日本独自の研究分野があるわけでございまして、睾丸の萎縮というような実験結果が現在国立衛生試験所の実験結果で出ておりますので、これの評価につきましてさらに検討を加えてまいりたいと思っております。
#202
○和田(耕)委員 この問題についてはこれでやめますけれども、大臣、お聞きのような問題だと思いますので、これは私もよくわかりません。ただ、そういう経過だけを見ての考えですけれども、やはりこれはかなり圧倒的なマスコミの偏向したいろんな報道のしかたがあることは事実だと思う。そういうことがあればあるほど、そういうことがある重要な意味を持ってきたことも事実です。先ほど申し上げたとおり、一方的に上から押えつけられた、下からのはね上がりがかなりきびしくなるということは事実です。この段階はそういう二つの間違いというものを考えながら、やはりこの技術的な学者の判断というものが正しく出されるように指導する時期に来ていると思うのです。
 そういうようなことで、ぜひともひとつこの問題を契機にして、行政の責任者としてそういう心組みを持っていただきたいと思うのです。きょうその問題に触れる時間もありませんけれども、これについて、たとえば上野製薬にしても、聞いてみるとかなり大きな損害があるという。上野製薬だけでなくしてハム・ソーセージの業界にとっても、これはたいへんな損害を受けている。こういう損害というのは、本来これは業界自身が受けるべきものか、国はこのような問題についてどのような責任あるいは賠償をするものかということについて御検討されたことはありますか。
#203
○石丸説明員 添加物の一たん指定いたしましたものの指定取り消し等につきましては、昭和三十九年以来約五品目のそういった取り消しが行なわれておるわけでございまして、従来からこういったものに対します経済損失の補償の問題等については、法的にもいろいろ検討を加えておるわけでございますが、従来からの例で申し上げますと、こういった経済的損失を受けた業者に対しまして、融資等の措置を講じておるわけでございまして、今回やはりハム・ソーセージ業界あるいはカマボコ業界、そういったところで経済的損失があったということ、並びに今後やはりAF2を使わないで国民に細菌性の食中毒を防ぐ意味で安全な食品を供給するためには施設改善等も必要とするわけでございまして、そういった新たな設備投資に対しましての融資等につきまして、農林当局のほうにもすでに話を進めている段階でございます。
#204
○和田(耕)委員 まあこの問題についてはお互いに内容のわからぬ問題をいろいろ議論していることであって、これ以上述べませんけれども、とにかくいろんな間違った判断を与えるような力に影響されないような学者あるいは審議会というものを――何か間違いそうなら審議会でひとつ検討してつくり直すとか、そのくらいのことはやるべきだと私は思う。その点を一つつけ加えさせていただいて、この問題についての質問を終わります。
 もう一つ、これもひとつぜひともお考えをお聞かせいただきたいのは、このごろ戦争当時の空襲とか艦砲射撃とかでもってかたわになったりした被害者の人たちが自発的に集会を持って、自分たちに対する国の補償というものもあってしかるべきじゃないかという動きが出ております。これは東京にもあります。この集会、この間御案内を受けたものですから、私そこに参りました。参って実際に空襲あるいは艦砲射撃等で片腕をなくするとか、あるいは腸に障害ができたとか、あるいは女の方で顔面にやけどを負って引きつったような感じの方々のいろいろ報告を聞きました。聞いたんですけれども、まず最初に大臣にお伺いしたいのは、こういう戦争でもって損傷等を受けて不具になるあるいは非常に深刻なからだの損傷を受けるということは、国がこれをめんどうを見る、補償するという場合にその対象になるもあかならないものか。実際、なるものとしても実行できないものもあります。対象がなかなかわかりにくい問題もあります。しかし、考え方としていま私が申し上げたような、艦砲射撃を受けてけがをした、空襲でもって顔が半分焼かれた、あるいは片一方の腕がなくなった、それによってその人の生涯は他の普通の人に比べてたいへんハンディキャップを受けておる。この事実。つまり戦争に基づくそういうことがはっきりすれば、国として何らかの補償をつけるべきものだと私は思うのですけれども、その実行がむずかしいかむずかしくないかは一応別として、国として何らかの補償をすべきであるかどうかという問題についてはいかがでしょう。
#205
○齋藤国務大臣 戦争によってそういう手をなくしたりあるいは顔面に負傷した、こういう方々に対する補償をしてくれという動きがあることは私も承知しておりますが、私どもの従来の法観念から申しますれば、国が補償する者は国と特別な身分関係のあった者だけについて行なう、こういうたてまえをとっております。したがって、それ以外の者には一般統治権の発動として、一般的な社会保障の体系において措置をする、こういう一貫した方針を今日までとっておるわけでございまして、そういう手をなくし、足をなくしあるいはまた顔面に傷害を受けたという方々に対しましては、身体障害者福祉法なりあるいは障害年金、そういう方面においてめんどうを見るべきものであって、国が独自の立場によって補償をすべきものではない、こういう考え方できておるわけでございますから、そういう方々は国家の補償の対象にはしない、こういう考えで今日まできておるわけでございます。今日まで国会においてたびたびそういう御質問をいただきました。もう私が大臣になりましてからも毎回そういう御質問をいただきましたが、私はあくまでも国の補償は国と特別な身分関係にあった者だけに限るものであって、そのほかの者に対しましては一般の社会保障のワク内で考えますということを答弁をいたしてございまして、そうした考えをいま変える意思はございません。
#206
○和田(耕)委員 そうしますと、原爆の被爆者の援護というのはどういうように考えたらいいのですか。
#207
○齋藤国務大臣 原爆の被爆者に対しましても、国家補償という考え方から原爆被爆者援護法をつくれということで野党の皆さん方から出ております法律がございますが、この法律に対しましても、国と特別の身分関係がございませんから援護法については賛成をいたしかねます、こう申し上げてございます。しかしながら、こういう方々は原爆に被爆されまして、健康上非常な障害を受けております。したがって、生活を守る、保障するという考え方ではなくて、原爆被爆というその疾病、健康、そういう面から見ての援護といいますか、保護をいたしましょう、こういうことにしておるわけでございまして、あくまでも原爆の放射能被爆という前提に立って健康上の障害の医療、治療に国はできるだけの援助をいたしましょう、こういうことにいたそうというのが私どもの考え、そういう考え方から今日まで来ておるわけでございます。生活をめんどう見るということであるならば、それは特別な身分関係がある者以外にはいたさない、一般の国民に対して、生活が困るというならばいわゆる生活保護というものがあるではないか、こういう考え方でございます。
#208
○和田(耕)委員 いまの原爆被爆者の援護法、これは私ども野党そろって法律案を提出しているわけですけれども、政府がなかなか言うことを聞いてくれないことはよく知っている。ただこれは、被爆者として、他の人とは違った、国としての医療にしても、あるいはその他のいろんな援護をしていることは事実です。
 いまのたとえば片腕を失ったという人、あるいは重要なハンディキャップ、身体障害を戦争の爆撃その他によって得た人は、放射能であるかないかの違いはあっても、戦争の犠牲という点では違いありませんね。そうですね。そうであるとすれば私は、当然大臣としても、それは国がいろいろな程度の差はあってもあの程度の、国民が認めるような援護をすべきであるけれども、いかんせん、対象がわからないんだというふうにお考えになっておられたと思うのだけれども、そういうものについては国は責任はないんだというふうにお考えなんですか。あるいは責任はあっても、実際に対象の人を見つけ出すことが非常に困難だというふうにお考えになっておるのか。やはり国としてはそういう責任はないんだ、そういう人を調べてみる必要もないんだというふうにお考えになっているんですか。
#209
○齋藤国務大臣 国が責任あるかないかは別といたしまして、法律的に戦争というものに対して国がどういう責任を負うかということは別問題といたしまして、すべての国民はやはり戦争の被害を受けたのですね。なくなった方もあります。うちを焼かれた方もあります。さまざまな被害を国民は受けているのですね。それは全国民です。そこで、よく死亡された方々に対して、なんとか年金を出せとか、いろんな意見もありますが、これは死亡した方の正確な数字がわからぬのですよ。実際の人もわかりません。わからぬのがあるのです。原爆では三、四十万といわれておりますが、あの当時、御承知の三月十日の東京大空襲ではあれを上回った死亡者が出ているのです。死亡者が出ているのがわからないのです。しかし、わかるわからぬは別として、すべての国民はやはり被害を受けている。うちを焼かれ、うちはこわされ、あるいは負傷し、死亡し、こういう状態であるわけでございます。国がそれを何とか補償しろということになりますれば、一体その範囲をどこからどこまでにするんだ、いや、範囲もさだかでありません。ですから、やはり国の考え方からいえば、国と特別の身分関係のある者は補償をいたします。しかし、そうでない方々に対して、けがをされた方々に対しては、それぞれ身体障害者福祉法という法律があるのです。あるいは年金法があるのです。あるいは原爆については特別な放射能被爆という、現在生きておられる方で放射能の被害を受けて健康障害を現に受けているそういう方々に対しては、別途の法体系において健康を守る上においての保護法を考えるべきである、こういう考えでございまして、すべての国民に対して生活が困るなら、それは最低生活保障として、生活保護法というものがあるのです。それから、けがをしている人、足をなくした、手をなくした、その方々に対しては、身分保障はしなくても、身体障害者福祉法という社会保障の体系があり、障害年金法というのがあるんです。おそらくそういう方々の中でも、障害年金を受けておる方が相当おありになると思うのです。そういうわけで、一般の方々については一般の社会保障体系の中で保護をし、国と身分関係のある者は国が補償する、こういうたてまえを貫いていくべきであろう、こういうふうに考えておるものでございます。
 ただ、ドイツなどにおきましては、いろいろそういう関係のものはありますが、あの当時のドイツというのはほんとうの戦場だったのですね。日本も戦場でなかったかといえば、それはある意味においては多少は戦場ではありましょう。でございますから、ドイツは、戦後処理としては一般人を中心として実は援護をやってきたのです。日本はそうじゃなくて、身分関係のある者から始まった、こういういきさつの違いはあるとは思いますけれども、やはり一般人の方々は、それぞれ整備されているなんというとそれほどじゃないとおっしゃるかもしれませんが、一般の社会保障の体系で見ていくべきものである。その社会保障の体系が不十分であるならば、これはできるだけ直していかなければならぬ。したがって、原爆被爆者に対しては、放射能ということで健康障害があるということから、年々いろいろな措置を講じておるわけでありますが、それはあくまでもその人たちの生活をまるまる見るという法律ではない。放射能被爆に伴う健康障害をどうやって軽減していくかということから出ておるわけでございますから、その辺はひとつ、先生十分御理解のとおりでございますから、御理解いただきたいと思います。
#210
○和田(耕)委員 私もいまの戦災を受けた方の集会に出まして、そしてそのことを申し上げたわけです。私の考えとしては、確かに皆さん方が腕をなくし、足をなくし、あるいはからだの内臓に重大な損害を受けたということに対しては、やはり戦争の被害ですから、国は何らかの援護をすべきであると思う、といっても、一般の戦争被害で家を焼かれたり、そういう人もたくさんおる、それを全部、補償しろというのは、これはちょっと無理なことなんだ、ただ、からだに重大な損傷を受けるということは、これは特別扱いとして国が援助すべきだと思うけれども、ただこれは対象を選び出すことが非常に困難だ、この問題がいままで残っておるのは、その困難だということが一番大きな理由だと思う、それについてどう思うかと言ったのですが、いま集まっている数百名の人は、そのときの町内会の会長さんが証明するとか、隣組の班長さんだった人が証明するとかいうことでお互いに証明する方法を持っているようですけれども、これは非常に不十分だし、非常に局部的なものだし、人によってはこれは真偽のほども保証できないようなこともあるでしょう。そういうことがありますから、国がこの人たちに対して補償するということが正しいということになれば、やはり国として一応調査をするという手続をとることも必要じゃないのか。とすれば、今度、国勢調査の予備調査がもう間もなくあるわけです。国勢調査というものはそういうものになじむか、なじまぬかという議論はありますけどれも、この問題だけでなく他の問題でも、付加的な項目として、これは国民全体に当たることですから、そういう国勢調査の場で、あなたは戦争でもって被害を受けましたか、あなたの親戚の方でそういう人はおりませんかということを調べると、大体の状態はわかってくるのじゃないか、こういうように思うのです。それで、きょう、総理府の国勢調査の係りの方がお見えになっておると思いますが、いかがでしょうか。
#211
○齋藤国務大臣 戦争による障害を受けた方々の実態調査をやったらどうかという意見は、一昨年来あるのです。そこで実は昨年、戦災を受けた都市、といいましても住民の移動が激しいわけですが、サンプル的にひとつどこかやろうかという計画を立てまして、ちょうど名古屋市がやろうという動きがあったものですから、名古屋市において昨年、戦争障害者の実態の調査をしております。その結果はまだ発表になってないと思いますが、そのうちの相当の部分は、身体障害者福祉法なりあるいはその他の援護の措置をやはり受けております。そこで、名古屋市だけやったのですが、さらに愛知県全体もひとつやろうじゃないかという動きも実は出てまいりまして、本年度、国も愛知県と相談をしまして、名古屋市を除く愛知県全体についてその障害者の実態調査をやろう、こういうことにしております。
 そこで、これを全国的にやはり一度やろうかなあという考えを持っているのです。そのやり方についてはもう少し、国勢調査でやったがいいか、あるいは別なやり方でやったがいいか、問題があると思いますので、いま十分検討しております。できれば来年度の予算の際に、補償するとかしないとかいうことは別としまして、戦争によって障害を受けた方々が現在どういう生活をしておるのか、ほんとうに身体障害者福祉法の援護を受けているのか、あるいは障害年金をもらっているのか、やはりその実態は調べておく必要があるのではないか、こういう考え方で来年度において何がしかの実態調査をやるための予算をいま要求をいたしております。その要求が通った段階で、国勢調査と一緒にやったがいいか、あるいは別にやったがいいかというようなことも、技術的な問題もいろいろありますから、ひとつ慎重に検討して、何とか少しやってみたい、こういうことで考えております。しかし、そのことをやることは、イコール補償につながる、こういう前提で考えられたのでは、これはたいへんなことなんで、現在の法体系においてやはりどの程度援護が行なわれているのかということも知る必要もありますので、そういう意味において実態調査をやりましょう、こういうことでいま計画を進めておる段階でございます。
#212
○川村説明員 それじゃ先生の御質問にお答えを申し上げますが、先生御指摘のように、国勢調査は来年の十月一日ということで現在準備中でございます。
 それで、いまの御質問は、厚生大臣がいまお答えをされましたので、おおむねその趣旨は申し述べたと思いますが、国勢調査の立場から技術的な側面で問題点だけ率直にお答えをいたしておきたいと思っております。
 まず第一点は、国勢調査の性格上からくる一つの問題でございまして、先生御存じのように、国勢調査はいわば全国民漏れなくやることでございますから、今度はおそらく一億一千万人以上の方々全部を実は対象にいたしまして、その調査事項と申しますのは男女の別であるとか、あるいは年齢であるとか国籍であるとか、要するに個人個人がすべて持っている属性と申しますか、そういう現在の状態をあくまで問うということの基本的な性格を持っております。そこで、実はできるだけ全部にわたってほしい事柄を聞くことが一応性格になっておりますし、そのために今度は指定統計として、ある意味で申告の義務まで課しておるわけでございます。今度のような場合に、多少個人の中身に触れてくるような問題のときに、はたして、申告義務といいますか、一種の国民の納得と申しますか、その辺が全部取り切る問題かどうかという点もつ性格上の問題としてあろうと思います。
 それからもう一点は、技術上の問題が一つございまして、いま、戦災を受けた方と、こういうことでございますが、やはり戦災を受けたと同時に、多少場所なり状態なりをおそらく聞きたいのではなかろうかと、これは推測されます。そのような場合に、範囲なり定義というもの、ないしはこれの出てきた結果の使い方というあたりが実は明確になっておりませんと、実際に全国民を相手にいたしますので、全国の調査区を約六十七万調査区に分けて、それに指導員を一人ずつつける。その指導員の教育なんという問題も実は出てくるわけでございまして、その意味で定義等がはっきりいたさないと、非常な混乱を生ずる問題がやはり技術的にあろうかと思います。そのほか事務的には、五年ごとに国勢調査は行ないますが、来年はそのうちの簡易調査ということになっております等の事情もございまして、やや特定目的の調査というのは、一般的には国勢調査とはちょっとなじみにくいかなという感じがいまのところいたしております。
 以上でございます。
#213
○和田(耕)委員 これで終わりたいと思いますけれども、国勢調査の問題については、私、別の機会に一度御質問してみたいと思うのですが、これはせっかく全国民くまなく意見なりいろいろお答えを受けるわけですから、しかもこれは、いまおっしゃるように特別の調査であって、申告の義務を課しておるというようなこともあるので、なかなかどれもこれもというわけにはいかないと思うのですが、今後やはり、たとえば国会でこれを国勢調査で調べてみようというようなことになれば、そういうふうな項目を調査項目の中に入れるとかいうことがあっていいのじゃないかと私は思うんですね。しかし、きめるところの場所が、単に役所が、あるいはあるグループできめるなんということでは、義務を課するわけですから、国会でそういう法律で、こういう問題について特別国勢調査の機会に聞いてみようじゃないかということをきめるような手続を経てやる必要があるのじゃないか。これは別の機会にいたしますけれども、ひとつ大臣、ぜひともその問題は、これは靖国法案なんかのときでもいつも問題になるのです。私どもの友誼団体に海員組合というのがあるのですけれども、海員組合の諸君は軍人軍属以上に大東亜戦争に突っ込んでいっているわけですね。しかもこれは靖国神社に全然祭られるわけじゃないんだということで、今度の戦争は日清、日露の戦争と違った全国民の選良という意味を持っているわけで、やはりこういう問題は政府として考えておるのだ、またできるだけのことはしなければならないんだという気持ちが必要だと私は思います。そういうことでございまして、大臣もひとつできるだけ調べてみようという御答弁でございますので、今後御期待申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
#214
○斉藤(滋)委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後三時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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