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1974/10/30 第73回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第073回国会 社会労働委員会 第5号
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1974/10/30 第73回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第073回国会 社会労働委員会 第5号

#1
第073回国会 社会労働委員会 第5号
昭和四十九年十月三十日(水曜日)
    午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 野原 正勝君
   理事 斉藤滋与史君 理事 葉梨 信行君
   理事 橋本龍太郎君 理事 山口 敏夫君
   理事 山下 徳夫君 理事 枝村 要作君
   理事 川俣健二郎君 理事 石母田 達君
      加藤 紘一君    瓦   力君
      住  栄作君    田川 誠一君
      田中  覚君    高橋 千寿君
      戸井田三郎君    登坂重次郎君
      大原  亨君    金子 みつ君
      島本 虎三君    田口 一男君
      田邊  誠君    村山 富市君
      森井 忠良君    田中美智子君
      大橋 敏雄君    坂口  力君
      小宮 武喜君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君
 委員外の出席者
        内閣法制局第四
        部長      別府 正夫君
        経済企画庁長官
        官房参事官   佐々木孝男君
        大蔵省主計局主
        計官      梅澤 節男君
        厚生省医務局長 滝沢  正君
        厚生省社会局長 翁 久次郎君
        厚生省児童家庭
        局長      上村  一君
        厚生省保険局長 北川 力夫君
        厚生省年金局長 曾根田郁夫君
        厚生省援護局長 八木 哲夫君
        社会保険庁医療
        保険部長    山高 章夫君
        農林省畜産局牛
        乳乳製品課長  鴻巣 健治君
        運輸省鉄道監督
        局国有鉄道部業
        務課長     植村 香苗君
        自治省行政局選
        挙部選挙課長  秋山陽一郎君
        日本国有鉄道常
        務理事     伊江 朝雄君
        社会労働委員会
        調査室長    濱中雄太郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 厚生関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○野原委員長 これより会議を開きます。
 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大原亨君。
#3
○大原委員 きょうは最初一般的な問題について質問をいたしますが、最初は厚生大臣、総需要抑制のもとにおいて、言うなれば社会保障の予算をどのような方針で来年度は組んでいくのか、確保するのか、そういう基本的な考え方について、国務大臣である齋藤邦吉君に質問をいたします。
#4
○齋藤国務大臣 昨年来の石油ショックによる物価高、その後もまた引き続き、最近やや鎮静しかかってまいっておりますが、物価が高い経済状況のもとにおいて、社会保障としてどういう点を考えるべきであるかという御質問でございますが、まず基本的には、私どもは、昨年の春きまりました経済社会基本計画に基づいて、昭和五十二年度までに振替所得、国民所得との関係において八・八%に持っていくという大きな基本的な路線というものを考えておるわけでございますが、そういう基本的な考え方と並行しまして、先ほど申し述べました物価高に対処して、経済的に弱い人々の生活を何としてでも守っていかなければならない、老人あるいは身体障害者あるいは母子あるいは生活保護世帯あるいは社会福祉施設に入っておられる方々の生活を守っていく、そういうことに当面緊急度を置いて来年度の予算編成にも当たっていきたい、こう考えておるような次第でございます。
#5
○大原委員 しばしば社会保障制度審議会からも意見の具申があるわけですが、二回にわたってあるわけですが、インフレによって、資産所得と、言うなれば都市銀行等の金融機関を持っている大企業、言うなれば商社、そういうものと一般国民勤労階層との間に非常に大きな不公平が生じている。インフレのもとにおいては、その不公平を是正をして、所得の再配分をする。そこで、インフレ対策といたしまして総需要抑制をいまやっているわけですが、そのときに無差別の引き締め方をすべきではない、これは必要なところへ出していくというのが総需要の抑制であって、水ぶくれになっておる需要については抑制をしていきますけれども、そういう面においては二重の不公平が発生しないような総需要抑制における社会保障の予算を優先的に確保する、生活問題については優先的に確保するという方針がなければ、私はこれはそういう政治ではないというふうに思うわけです。この点は、これからいよいよ十二月にかけて予算の編成に臨まれるわけですが、厚生大臣の心がまえを聞いておきたいと思います。
#6
○齋藤国務大臣 先ほども申し上げましたように、経済的に弱い立場にある人々に対しては最優先的に予算を配分すべきである、こういう考え方で予算の編成に当たりたいと考えております。したがって、来年度の予算編成にあたりましても、概算要求において二五%というのを原則といたしますが、社会福祉の面についてはその例外として予算編成に当たろうではないかという閣議決定をしておることは御承知のとおりであります。私どもはそうした考え方で、経済的に弱い人々の立場に立った予算編成に全力を尽くす覚悟でございます。
#7
○大原委員 大臣がいまお話しになりました経済社会基本計画でありますが、昭和四十八年から五十二年まで、これは消費者物価の上昇を四%台にしておるわけですね。これは全部くずれておるわけですね。だからこれはもう政府の施策の基本になっていないのではないか。つまり昭和四十八年を福祉元年にしたわけですけれども、それはドルショック以降の福祉優先の原則をここで何とか政府としてもやろうということで福祉元年ということになったが、消費者物価一つとってみても、インフレでがたがたになっておって、これはもう御破算、パアになっておるわけでしょう。経済社会基本計画は手直し程度じゃいかぬと思うのです。よくいわれるように、それは世直しでなければいかぬ。あれはだれだったか言われておりましたね。手直しでなしに世直し、あれは福田さんですか、私はそれは同感だと思っておる。手直しじゃない、世直しだ、根本的に改めなければだめではないか、こういうふうに私は思うわけです。その中で、国民所得に対する振替所得についてはいま六%程度であるから、これを八・八%に計画的に昭和五十二年までに上げていくという政策を最低としてとるのかどうか、こういう点を具体的に問題として提起をして、見解を求めます。
#8
○齋藤国務大臣 昨年の春にきめました経済社会基本計画は、御承知のような物価、経済の成長率の問題、さらにまた賃金その他の問題等もありまして、なかなか予断を許さない状況でございますから、相当手直しをしなければならないものであるということは承知をいたしております。特に公共事業その他の面においては思い切った手直しが必要であることは当然でございます。しかしながら、国民の生活を中心とした社会福祉の問題だけは、いわゆる振替所得八・八%までは持っていかなければならぬという覚悟で臨みたいというのが基本的な考え方でございまして、その点は、よその部分は思い切った手直しがあっても、社会福祉の面だけは八・八%に持っていくという努力をすべきである、私はかように考えております。
#9
○大原委員 それはあなたは考えておっても、田中内閣全体は考えておらぬわけですよ。無差別の引き締めをやっておるわけです。というのは、これは経済企画庁に聞くのですが、年金とか社会保障の給付費の支出あるいは賃金というふうなもの、生活水準に対する支出、それと土木建築のような公共醜業に対する支出というものは、同じ百億円を使いましても、需要に対する波及効果は違うのではないか、これは数字があると思うのですが、お答えください。
#10
○佐々木説明員 手元に数字を用意しておりませんけれども、一般的に申しまして、公共事業の引き起こす需要のいわゆる波及効果は大きい。大体一千億投下いたしまして二千億、二倍以上になろうかと思います。
#11
○大原委員 だから引き締め政策のときに大きな企業のほうへ遠慮いたします……。どうも社会保障をふくらましたらインフレを助長するんじゃないかというような簡単な議論があるわけですね。これは間違いなんですよ。その点は理論的にも実際的にも厚生大臣や経済企画庁がしっかりした考え方を持っていなければ、無差別の総需要抑制をやると、中小企業とかあるいは社会福祉とか、国民の所得に対する実際上の生活費に対する引き締めになってあらわれてくる。そうすると実質的には低下をしてくるという考え方が当然に理論的に成り立つわけです。いま言われたように、公共事業は一千億円使えば二千億円需要効果になって出てくるわけですから、ですからそういう点についてはぴしっとした考え方を持つべきではないか。
 そこでもう一つ、経済社会基本計画の中で非常に具体的な提案があったことについて私もしばしば指摘をしておるのですが、それは昭和五十二年までは寝たきり老人で施設に収容しなければならぬ者については全部収容いたします、それから重度心身障害児者につきましても全部収容いたします、早目にやります、こういうことを基本計画としてはかなり具体的に書いておるわけです。こういうことについては、計画を立ててきちっとやるべきではないか。あなたは振替所得、国民所得を分母とする比率については八・八%を最低に確保するという方針だということを言っておるが、裏づけになるようなそういう施策がなければいかぬと思うが、いまの二点についてはいかがでしょう。
#12
○齋藤国務大臣 先ほど申しましたように五十二年度に八・八%に持っていくという基本路線は動かすべきではない、こう考えておるわけでございまして、それに基づいて昨年来、御承知のように厚生省においては社会保障長期計画というものを定めておるわけでございます。その社会保障長期計画の中の社会福祉施設の整備については、一応中間的な報告をいただいておるわけでございます。それによりますと、先般来の国会においてたびたび申し上げておりますように、入所を希望する重症心身障害児については五十年度においてこれを完成しようということにしておるわけでございます。大体来年度においては重症心身障害児のうちで入所を希望する方々――、残っておるのは一千百でございますので、その一千百のベッドは完全に整備する。これは私は先般の国会でも申し上げ、田中総理もそう申し上げております。五十年度において何とかしよう。それから、寝たきり老人の特別養護老人ホーム等については五十二年度までの整備計画の中で最重点を置くということで計画を練っておるわけでございまして、できるだけ最終年度においてそういう目標が達成できるように努力をしたい、かように考えておるわけでございます。そのほかの社会福祉施設、保育所その他の問題等もありますので、いまその計画を練り直そうという答申が出ておりますので、その答申に基づいて来年度の必要な予算編成に当たりたい、こういう考えを持っておるわけでございます。
#13
○大原委員 五十年までに重度心身障害児者の収容を希望する者は全員入所する、こういっても現実は、島田療育園ではないけれども、各地においては実際は施設といえば中の人的な条件ですね、これを整備しなければいけない。たとえば患者一人に対して一・五が必要だ、そういう今日の状況における方向が出つつあるわけですが、そういう人的な条件もやらなければ、ベッドをつくったからといって、実際には入っていくのではなしにどんどん出ていかなければならぬ。特にそういう民間福祉施設等が、措置費等のインフレにおける直撃を受ける不合理性によって非常に困っているのではないか。そういう点を総合的に考えないで、ベッドだけつくりましたから五十年までにはできました、こういう考えではいけない。そういう面において、そういう人的な条件についてどういうふうに具体的に来年度は考えているか。来年度は五十年でありますが、その見解を聞かしてもらいたい。
#14
○齋藤国務大臣 仰せのごとく、建物だけでは収容できません。それはこれをめんどう見るところの人的な整備もしなければならぬ、当然でございます。そのほかいろいろむずかしい問題があります。そういうむずかしい問題を克服しながら国会において答弁申し上げましたような施策を充実させる、こういうふうに目下努力をしておるわけでございます。
 そこで具体的には、長期計画の中でいま御答申をいただいておりますのは、社会福祉施設の整備計画と看護婦の養成計画についての御答申をいただいておるわけでございます。しかし重症その他の社会福祉施設については看護婦だけではできません。そこで、これについては御承知のように処遇の改善ということによってできるだけ定着していただくようなやり方をしなければならぬでしょう。そこで処遇の改善あるいは勤務条件の改善、こういうふうなところに重点を置いて、来年度の社会福祉施設に従事する職員の処遇の改善に全力を尽くそうというようなことで予算の編成に当たろう、こういうふうに考えておる次第でございます。必要なことがございましたら、細目は局長から答弁をいたさせます。
#15
○大原委員 重度心身障害児者の施設については人が要るわけです。そしてその人がほんとうに熱意を込めてやらなければ、幾ら施設をつくってもこれはから回り。たとえば患者一人について一・五が要るじゃないか、こういうことですね。そういう問題については具体的にどうお考えですか。
#16
○上村説明員 いま大臣からお答えいたしましたように、重症心身障害児施設は来年度一千百床整備すれば一応その施設はでき上がることになるわけでございますが、いま御質問にございましたように、現にある施設についても人手の確保に困っておる、いまお話しのとおりでございます。そこで本年度におきましても重症心身障害児施設の重症指導費を大幅に引き上げたわけでございます。ただ重症心身障害児施設の場合には、御案内のようにその運営費の主たる財源というのは医療費に置いておる。たとえば四十九年度の当初予算に即して申し上げますと、一人月額大体十八万円見当重症心身障害児施設にあてがっておるわけでございますが、そのうち十万というのは医療費でございます。その医療費につきましてはことしの十月から二八%上がっておるわけでございます。そういった医療費の動向と、それから重症指導費をどう持っていくかを考えながら、来年度におきましては一応四十九年度と同じようなベースで人手が確保できるように努力してまいりたい、こういうふうに思っております。
#17
○大原委員 二階堂官房長官がかつて厚生省や与党に対して、このインフレ下で年金の財政方式は賦課方式に切りかえたほうがいいんじゃないか、すべきじゃないかということを指示したというふうに一部新聞にありましたね。インフレのもとにおいて積み立て金の運用利回りやあるいは個人がかけた保険料の予定利回りが、インフレで減価するもの以下であるというようなことは積み立て方式の自殺行為であります。この財政方式について、あるいは年金の改革について、どういう基本的な考え方で政府は臨んでおるのか、準備をしておるのか、その点について簡潔に所信を聞きたい。
#18
○齋藤国務大臣 現在の財政方式は積み立て方式でございますが、これは完全積み立て方式ではない、御承知のように修正積み立て方式でございます。特に国民年金などはそれはもうたいへんな修正積み立て方式でございます。そこで、この財政方式の問題はいろいろ昨年来論議のあったところでございますが、私は基本的に、老齢化社会の出現が非常に急速度で進展しておる日本において、やはり現代と将来、後代の人々との負担の不均衡というものがあってはならないということを基本として考えてみるならば、いま直ちに賦課方式に切りかえるということは私はできないと思います。しかしながら、賦課方式になるには、老齢人口が定常化した場合、一定の水準でもう定着していった場合には賦課方式におのずからにしてなるということで、まああまりこれに関心を払わないという態度はよくない。二十年先、三十年先にはおのずからに賦課方式になるであろう、ただ投げておけばいいんだということではいけない。やはり国民的なコンセンサスを得ながら、それを政治の力によって二十年くらいに縮めていくとか、あるいは十年以内には賦課方式に切りかえていくとか、そういうふうな努力は私はすべきだと思いますが、賦課方式にいま直ちにするということは容易ではない、私はかように考えております。
 しかしながら、こういう財政方式の問題よりも、むしろ年金水準をどうするかが基本なんでありまして、年金水準をどの程度に持っていくか、現在の賃金、物価、こういう経済状況の中にあってどの程度の年金水準が適正であるかということが基本であって、その基本の水準を確保するためにはどういう財政方式をとったがいいのか、こういうふうにものを考えるべきじゃないか、こう私は考えておるものでございます。したがって財政方式には私はそうこだわっていないんです。要は、現在の経済状況のもとにおいて年金水準が適正であるかどうか、こういうところがやはり一番の問題ではないか、こういうふうに私は考えております。
#19
○大原委員 それは問題ではないんじゃないですよ、あなた。それはつまり、過去に、昭和二十年前後、厚生年金ができて、これが戦争中と戦後のインフレでめちゃくちゃになって、その間が空白と同じような保険状況が続いておるわけですね、財政状況が続いておるわけです。いまは、貨幣価値について言うならば、そういうむちゃくちゃなインフレのときです。であるから、そういうときには、過去勤務の問題、世代間の問題でいろいろ問題になりますが、福祉年金をどれだけ引き上げるかということ、この性格づけが一つ。それと、積み立て金をどのように運営していくかということが一つ。これはいまのようなずるずるべったりの運営方式では、大蔵省主導型、それから財界主導型になってしまうのです。いまの十一兆円は昭和八十五年ごろに幾らになりますか。幾ら積み立てたからといったって、二十年後、三十年後に幾らになりますか。皆さん方の資料を見てみると、昭和八十五年には四百十一兆円という積み立て金が積まって、六分の利子で二十四兆円を当てにした財源を考えているわけですが、しかし、こんなにべらぼうに物価が上昇したら、これは全然問題にならぬでしょう。こんなむちゃくちゃなことはないでしょう。それを、最近長期計算を変えさせたならば、三百七十兆円くらいになっている。利子をちょっとひねったら、そうなってしまう。だからこの十兆円、二十兆円を二十年、三十年後を目ざして積み立てていくという考え方は、インフレのときには基本的に問題があるのです。だからこれはもうだめですよ、田中内閣は手直し程度ではだめなんだ。齋藤厚生大臣もその一員であるかと思われるけれども、手直しじゃだめだ、世直しをやらなければだめだ。この点だけは、私は福田さんと同じだ。これは世直しですよ。根本的に慢性インフレに対応する社会保障とは何かということを考えなかったら、自民党は何を小手先のことをやったってだめですよ。いかがです。賦課方式について、もう少しはっきりした考え方を言ってみなさいよ。それは福祉年金をどうするのかということがあるんですよ。過去勤務をどういうふうに評価するかということがあるんですよ。核家族化している現状に対して、老人をどう養っていくかという問題が直ちにある。それから積み立て金の運用利子の問題があるんですよ。保険料の予定利回りがあるんですよ。こんなことで納得できないようなことをしていたら、絶対不公平な政治ということになるのです。時間もないので、簡単でいいから、ひとつあなたの決意を述べてください。
#20
○齋藤国務大臣 財政の積み立ての問題、運用の問題等については、大原委員の御意見、承りましたが、私どもは、やはり二十年、三十年長期にわたって確実に安定してその年金の財源に充てるという運用をすることが基本でありますから、一時、なるほどインフレというものがあって目減りをする――それは私はわかりますよ。しかし、こんなインフレが何十年も続くはずはないですよ。続くはずがない。ですから長い期間を考えてものは判断すべきものであって、きょう、あす、それだけでものを判断してはならない。こういう長期的なものはやはり長期的な視野に立って判断をするということが一番大事なことだと私は考えております。したがって、先ほど申し上げておりますように、賦課方式にいますぐ切りかえるということは困難でもありますし、そういう考えは持っていないということをはっきり申し上げておきたいと思います。
 それから福祉年金の問題は、皆さんすでに御承知のように、もうことしはすでに七千五百円に上がっております。来年は一万円に上げましょう、こういうことを言うておるわけでございまして、来年度においても一万円の老齢福祉年金を支給することができるように、来年度の予算編成においてもそういうふうに概算要求を出しておる、こういうわけでございます。
#21
○大原委員 その一万円の議論はもういまはしないですよ。これをやり出したらまたなにだけれども、いま一万円ではしようがないでしょう。一万円ではどうにもならぬじゃないですか。一年間に平均三万円ぐらい名目賃金を上げないと実質賃金が確保できないようなインフレの時代になっているんですよ。
 もう一つ厚生大臣、あなたは、いまのインフレは慢性インフレではないと言われるのですが、これは慢性インフレなんですよ。そういう認識がなければ、福祉の問題を扱う資格がないんだ。わかりましたか。慢性インフレなんですよ。エネルギーとか資源とかそういう世界の情勢を見た場合に、日本のように大きな資本が横暴をきわめて、引き締めをやったからといったって、過剰流動性は都市銀行を通じてその他プラス・アルファで持っているんですよ。引き締まらないわけだ。だから、そこの不公平がある限りは、日本のインフレは続くわけですよ。投機があるわけです。インフレが続くということは、貨幣価値が恒常的に下落するんだから、投機があるわけだ。そういう条件で、いま世界一のインフレになっているのですから……。いままでの高度成長で、無資源国の日本が、食糧すらないような日本がこういう状況の政治を続けていけば、慢性インフレは続くのです。インフレがなかったら資本主義は倒れるのです。だから、それに対応できる国民生活安定の施策はどうかということがいまの議論ですよ。だからあなたのように、インフレに対していま当面のちょこちょこっとの問題だというふうな認識ではだめです。あなたは大臣はいつまでやれるかわからぬけれども、そんなことではだめです。
 その次は診療報酬の問題ですが、簡単に……。われわれ社会党は、診療報酬の再値上げについてはやむを得ないと思っている、結論は。上げなかったならば医療機関が荒廃するですよ。やむを得ない。ただし、このような一九%、二八%、合計いたしまして年に三五%、こういうことは異常なことで、たとえ狂乱の石油危機があったにしても、またインフレが続くということになると石油危機はあるかもしれない。この問題にどう対応するかということは非常に大きな問題です。だから社会保障制度審議会がいっているように、やはり所得の再分配を行なうという観点で、そのインフレの犠牲を社会保障面には出してこない、こういうことが必要である。
 そこで第一は、国民健康保険や政府管掌の健康保険は一〇%の補助ですが、その補助率を二〇%にするとか、国民健康保険の補助率を上げるとか、家族の給付は国民健康保険は七割ですけれども、診療報酬が上がりますとこの自己負担分の三割がふえてくるわけですから、これを八割にするとか、そういう財政措置についても一般財源を通じて、税金を通じて所得の再配分を行なうとかあるいは給付の中身をよくするとか、こういう問題についての配慮なしに、診療報酬を上げます、弾力条項を発動いたします、そういうことは、私は将来のことを予測をいたしまして非常に政府としては無責任なことであるというふうに思うわけです。その点につきまして、二、三の点を例示いたしましたが、所信をひとつ明らかにしてもらいたい。
#22
○齋藤国務大臣 今回、病院等における医療従事者の処遇の改善もはかっていかなければならぬ、ことしの春闘で三二・九%の賃上げが行なわれた、そういうことを契機として病院の経営が非常に苦しくなった。そういうことになりましたので、今回十月一日実施で十六%の診療報酬の改定を行なったわけでございます。
 そこで、その財源として私どもは、医療保険というのはやはり保険制度でございますから、保険料を上げていただくということが基本的に大事なことだと思うのですよ。昨年皆さん方の御協力をいただいて成立いたしました健康保険法によって一〇%の定率補助を行ない、さらにまた、保険料率を上げればそれなりの国の補助をふやしていきましょうと、これは皆さん方の御協力をいただいてつくった法律なんです。それを、いま異常な上がり方であるから国の負担を二〇%にせよというのではなくて、やはり保険というものは全国民の協力のもとに育成していくというのが私は基本だと思うのです。でございますから、なるほど異常な状況にあっても、やはり法に従ってすらっと保険料を上げていただく、これが大事なことではないかと思います。定率の一〇%の補助をし、料率一%上げれば幾ら、こういうわけでございまして――今度上げますと、料率が上がった分についていきますと、国は大体四〇%持つのです。これは御承知のことだと思う。労使それぞれ三〇%ずつ、大体このくらいの比率になるわけでございまして、その点は昨年の法律改正で非常に御配慮いただいたわけなんです。でございますから、やはり必要なものは必要のように保険料を上げていただくということは私は筋じゃないか、かように考えております。
 しかしながら国保については、これはなかなか容易じゃないと思うのです。これはもう私が申し上げるまでもなく、昨年来老人医療無料化を行ない、老人医療のしわ寄せが国保に相当及んでいるわけでございます。そして年度途中でもございますので、単に四五%の定率補助だけでおやりなさいということを言えるか言えないか、私はなかなかこれは言えないと思うのです。でございますから、本年度中においても、将来補正予算でも組むような場合には国保に対する助成金をふやす、こういうことは私はやるべきだと思っております。そういう意味で今後とも国保の財政強化については努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
#23
○大原委員 賃金が三二%上がったというのだけれども、保険料収入は三二%ぴしゃりはいかぬでもふえるんですよ。賃金が上がったからといって、それは料率は同じでも保険料はふえるわけですから、そういう簡単な理屈があるわけですから、その中で操作できないということを明らかにしなければいかぬ。それはインフレをもろに受けた、直撃を受けた非常に行き詰まった財政状況や社会保障の現状から考えてみて、やはり所得を再配分するということで保険料の負担にならないようにしなさい、これは当然じゃないですか。
 そこで、まだ他の問題もありますから申し上げるのですが、診療報酬の改定に伴う弾力条項の発動につきましては、社会保険審議会にいまかかっておるわけでしょう。国会に報告しなければならぬというふうになっておるわけですが、国会に報告する手続、時期、心がまえ、こういうものについてお聞きをいたしたい。
#24
○齋藤国務大臣 この規定は昨年皆さん方の御協力でできた規定でございますが、従来料率は法律できめるというのを、社会保険審議会の議を経てきめる、そしてその出た結果は国会に報告する、こうなっておりますから、あくまでもこれは慎重な配慮をしなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。したがって、今度〇・五%上げるにあたりましても、慎重に考慮をいたしたつもりでございます。しかも、単年度においてその赤字を全部消そうなんというんじゃないのです。四十九年度、五十年度の二年間にわたってこの赤字を消すようにしていこうではないかという、非常に慎重な配慮のもとに〇・五%ということをきめて諮問をしておるわけでございます。そういうふうな慎重な配慮をいたして、やむを得ずこういうことをお願いいたしました、そういう内容を付して、そして国会に報告をすべきものであろう、私はかように考えておるものでございます。
#25
○大原委員 いつ国会に出すか。国会はどうするのか。
#26
○齋藤国務大臣 御承知のように、これは法律に基づいて診療報酬の弾力条項を発動いたしましかときはすぐそのあとの国会に報告せよ、こういうことでございますから、その法律の規定に基づいて報告をいたす考えでございます。
#27
○大原委員 報告をしたときにはもう実行されているわけですか。
#28
○齋藤国務大臣 法律に基づいて御報告を申し上げる考えでございます。
#29
○大原委員 実行したあと報告するんですか。
#30
○北川説明員 いま大臣がお答え申し上げたとおりでございまして、先般の健保法の審議のときに当院で御修正いただきました規定に、「政府ハ厚生大臣が前項ノ規定ニ依リ保険料率ヲ変更シタルトキハ速ニ其ノ旨ヲ国会ニ報告スベシ」こういう規定がございますので、これによってやる予定でございます。
  〔委員長退席、山口(敏)委員長代理着席〕
#31
○大原委員 それでは本論でありますが、社会党は他の野党の皆さんと話をいたしまして、原子爆弾被爆者援護法を参議院から出そうという準備をいまいたしております。今度参議院が与野党伯仲いたしましたからね。そこで、問題になる個所がいままで残っておりますから、それについて集約的な論争をいたしたいと思います。
 この社会党の考え方は、法律の体系といたしましては、現在の戦傷病者戦没者遺族等援護法の基準や精神を取り入れながら、放射能や熱線や爆風というこの人類いまだかつてない深刻な、言うなれば環境破壊、深刻な人体破壊、そういうものの特殊事情を考えた原爆被爆者の援護法を国家補償の精神でつくるべきではないかという考え方であります。これは自民党の中にも賛成者は多いのです。署名している人はいま九十名こえておるわけです。採決すれば勝つわけです。しかし政府は、国家補償の精神による援護法はつくれないんだということを言ってきたわけです。頑強に言ってきたわけです。
 それでその論争は、私どもの国家補償の第一の精神は、国家間の戦争によって国際法で禁止した非人道的な兵器である原子爆弾による被害であるから当然に国家補償ではないかということが第一。第二は、当時昭和二十年の戦争の末期段階においては、戦闘員と非戦闘員の差がないではないかということをいろんな角度から立証したわけです。論争したわけです。そこできょうは、私は新しい材料を加えて集約的に質問をいたしておくにとどめます。
 そこで、第一に質問いたしますが、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議といたしまして、これは昭和四十九年四月四日でありますが、「政府は、次の事項につき、格段の努力を払うべきである。」という第一項に、「太平洋戦争末期における閣議決定に基づく国民義勇隊の組織及び活動状況、」これは昭和二十年三月二十三日の閣議決定に基づくものであります。それから、これは御承知の昭和二十年の六月に公布され、施行された法律でありますが、「旧義勇兵役法の実施状況を明確にし、適切妥当な援護措置がとりうるよう検討すること。」という附帯決議があるわけでありますが、この四月四日にいたしました附帯決議に基づいて、どのような措置をおとりになったかということをまず第一にお聞きをいたします。
#32
○八木説明員 先生御指摘のとおり、前国会におきます援護法の附帯決議におきまして、国民義勇隊あるいは旧義勇兵役法の実施状況の問題を附帯決議でいただいているわけでございますし、先生からのたびたびの御質問もいただいているわけでございまして、私どもといたしましては、非常に古いことでございますのでなかなかむずかしい問題ではございますけれども、できるだけ当時の資料なり文献というものを当たりまして勉強しておる次第でございます。現在までの段階におきましては、旧義勇兵役法の施行状況等につきまして、関係の法令等の整備は行なわれたわけでございますけれども、終戦が八月十五日でございまして、法律ができましたのが六月二十二日ということで、法律制定公布後五十日程度でございますので、法令等につきましては若干把握できたわけでございますけれども、具体的にこの法律が発動されたというふうには現段階においては承知しておらないというふうに考えておる次第でございます。
#33
○大原委員 昭和二十年の六月二十二日に制定されました義勇兵役法につきましては、厚生大臣、こういう経過があるわけです。これはあなたの論争に関係いたしますから、私は簡単に申し上げておきますが――余分があるので大臣にお見せしますが、あなたも当時、戦争犯罪者とは言わぬけれども、そういう中枢部におられたわけですから……(齋藤国務大臣「そんな失礼な」と呼ぶ)いまのは取り消しておきます。課長クラスでしたから知っているわけですが、この義勇兵役法というのは、私が戦争犠牲者に対する公平な救援措置ということで原爆に焦点を当てながら追跡しておるときに、昭和四十三年に、閣議決定や関係法律を政府は封印しておったわけです。そこで官房長官の認印をとりまして、私は、朝日新聞その他の縮刷版を追跡いたしまして、法律があるはずだ、閣議決定があるはずだということでやったわけです。そこで、政府のほうも昭和四十三年に封印を解きまして、判こを押しまして出したのだ。その義勇兵役法はお手元にあるのですが、これは非常に簡単な、九条と附則でできておる法律であります。第一条に「本法ニ依ル兵役ハ之ヲ義勇兵役ト総ス」、そして途中省略いたしますと、第二条は「義勇兵役ハ男子ニ在リテハ年齢十五年ニ達スル年ノ一月一日ヨリ年齢六十年ニ連スル年ノ十二月三十一日迄ノ者」、女子にありては十七歳から四十歳まで、これは勅令の定めるところによって義勇兵役に服するという規定が御承知のとおりあるわけです。これは第七条を見てもわかりますように、「逃亡シ若ハ潛匿シ又ハ身體ヲ毀傷シ若ハ疾病ヲ作爲シ其ノ他詐偽行鳥ヲ爲シタル者ハ二年以下ノ懲役ニ處ス」。それから第九条には「国家総動員法第四條但書中兵役法トアルハ義勇兵役法ヲ含ムモノトス」というふうにありまして、総動員法の体系からいっても、戦傷病者戦没者遺族等援護法の準軍属になるように、これはぴしっとなっているわけです、総動員法の体系の中に入っておるわけですから。現行援護法で軍属と準軍属を逐次拡大をしてきて年金化してきたのですが、総動員法関係はその中に入っておるわけです。その中に入るような仕組みになっているわけです。もう一つは、警防団や医療従事者については、本年の国会で皆さん方がいままでの審議を尊重して結論を出して、これは援護法の準軍属として処遇されているわけです。
 そういうことから考えてみまして、あなたとの質疑応答の中におきまして、つまり当時の犠牲者は、国との関係においては一般権力関係か特別権力関係かという議論をいたしました。そこで、齋藤厚生大臣は四月二十五日の社会労働委員会における答弁の中で、「特別権力関係と一般の統治関係にあったものというものの間には、おのずから差はあるのだというのが従来からの私どもの考え方でございまして、特別権力関係にあった者について国家賠償的な法体系をつくり、一般的な統治権の発動等として行なわれておった者についてはそれなりの社会保障的な考え方で行なう、こういう基本的な考え方をいまにわかに改めるという考えは持っていないわけでございます。」こういう集約的な答弁を私どもとの質疑応答の中におきましてあなたがしているわけです。繰り返しているわけです。そのことを逆に言いますと、当時年齢には上下について制限がありますが、男女については、兵役と同じように国家総動員法の全部の体系の中で位置づけて、懲役をやっておるという事実が立証されるならば、これは明らかに特別権力関係である。明らかにそういう関係である。逆に言うならば、その議論を発展させるならば、そういう厚生大臣の答弁でもあるわけです。そこでことしの春、四月四日の援護法の審議のときにも私どもは附帯決議をつけまして、政府は法律の運用と実態を検討すべし、こういうふうにやってあるわけです。
 事実の問題については一応たなに上げるといたしまして、私が申し上げました法律関係の議論に対じまして――事実の問題は、局長が言ったことについてはあとで議論します。そういうことに関係をいたしまして、内閣法制局は私が申し上げました点についてはどのような見解を持っておるか、お答えをいただきたい。
#34
○別府説明員 お答えいたします。
 本年の三月二十八日の当委員会におきまして、大原委員から本件についての御質問がありました際に、私その際にはまだ十分調査をいたしておりませんので、はっきりしたことはわからないところがございますが、義勇兵役法のたてまえとその実施状況について考えられる一般論を申し上げますということで申し上げたのを、あと一度読み上げた上でその後の調査の結果を申し上げたいと思います。
 その際に私のほうからは、閣議決定によって組織された国民義勇隊の隊員であるかどうかという事実は、その当時の事実でございますからわかりにくい点があるかもしれませんが、一応事実として確認が可能であろう。国民義勇隊自体についでは、御存じのように、現在援護法の二条三項三号で拾い上げているわけでございます。そのあと問題にされました義勇兵役法との関係でございますけれども、国民義勇隊の隊員になることと、義勇兵役法が実際に大原委員がおっしゃいましたように、施行はされているけれども実効的に働いたところまでいっているかどうかということを調べさせていただきたいと申し上げたわけで、働いた事実までいきませんと、この法律、義勇兵役法のたとえば罰則が働いてこないということを一応その際に申し上げたわけです。
 そこで、その後の調べましたことを申し上げますと、先ほど大原委員御指摘のように、義勇兵役法自体が、たとえば第二条に、男子については十五年から六十年までの年齢の者は義勇兵役に服すということが書いてございますが、その「服役ノ期間ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ必要ニ應ジ之ヲ變更スルコトヲ得」というふうな規定もございます。特に一番問題になりますのは、第五条に「義勇兵ハ」――義勇兵というのは義勇兵役に服する者と考えてよろしいかと思いますが、「必要ニ鷹ジ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ召集シ國民義勇戦闘隊ニ編入ス 本法ニ依ル召集ハ之ヲ義勇召集ト稱ス」と書いてございまして、義勇召集を受けた者でないと義勇兵ということにならない。先ほど御指摘ございました、たとえば七条の罰則等も「義勇召集ヲ免ルル爲逃亡シ若ハ濳匿シ」というように書いてございますので、義勇召集というような具体的な行為がなければこの七条の罰則というのはかかってこない、これは三月の際に答弁したのを若干ふえんすればそういうことになるわけでございます。ところで、いま申し上げました五条の「勅令ノ定ムル所二依リ」「義勇戦闘隊二編入ス」という点につきましては、先日の御質問の際に当方明確でございませんでしたのをその後調べた結果によりますと、同じ日付、六月二十二日に義勇兵役法施行令という勅令が出ておりますのは先生御存じのとおりかと思いますが、その十条に「義勇召集ハ國民義勇戦闘像編成下令ヲ以テ之ヲ實施シ」と書いてございますので、国民義勇戦闘隊というものが編成され、その下令がないと、義勇兵役法のいわば器と申しますか、組織のほうが動いてこないということになるのかと思います。
 なお、その次に十一条という規定がございまして、先ほど申し上げました義勇召集についてでございますが、「義勇召集ハ主務大臣ノ定ムル方法ヲ以テ之ヲ本人ニ通達ス」ということになっております。当然普通の兵役法につきまして考えられると同じように、いわゆる赤紙と同じような本人に対する通達がなければ義勇召集を受けて義勇兵とならないというのが法律、勅令全体を通じてのたてまえになっておる、そういうふうに考えられるわけです。
 なお、先ほど申し上げました国民義勇戦闘隊の組織に関しましては、これも大原委員当然御存じだと思いますが、国民義勇戦闘隊統率令というのがございまして、これはいわば国民義勇戦闘隊の組織に関する勅令の定めでございますので、この組織に関する勅令にはいろいろ具体的なことは書いてございますが、この組織に関する定めがあったとしても、国民義勇戦闘隊の編成下令がなければ国民義勇戦闘隊というものがまだできなかったということになるのではないかと思います。
 いま申し上げましたのは、大原委員も御指摘になりましたように法律のいわば構成と申しますか、たてまえでございまして、法律の内容だけを申し上げますとそういうことになります。
#35
○大原委員 そこで、法制局はそこまで調べておるなら、この法律をさらに具体化して、いま個人個人に召集令書を出すのだと言われたが、そういう具体的な手続についてどのような決定があるか知っているか。
#36
○別府説明員 ただいま言われました手続のうち、まず編成下令のほうを先に申し上げたらよろしゅうございましょうか、あるいは召集の具体的な手続のほうでごさいましょうか。――御質問があとのほうだといたしますと、あとのほうは、先ほど読み上げましたように、通達につきましては「主務大臣ノ定ムル方法ヲ以テ之ヲ本人ニ通達ス」ということが勅令に書いてあるというところまでしか調べてございません。
#37
○大原委員 だからそこを調べなければだめじゃないですか。そこを調べなければ、法律は公布して即日施行されているわけですが、それが末端まで実際に命令として出ていなかったのだという立証にならぬのじゃないか。
#38
○別府説明員 お答えいたします。
 「本人ニ通達ス」ということでございますから、手続はともかくとして、本人まで到達していなければいけないだろうというつもりで先ほど御答弁をいたしたわけでございます。
#39
○大原委員 だから、どういう手続で本人まで通達する、そういう手続がきまっておったのかということを明らかにしなければ、法律は施行されても実際上実施に至らなかった、こういう結論にならぬではないか、こういうことを言っているのです。
#40
○別府説明員 お答えいたします。
 先ほど読み上げました十一条につきましては「主務大臣ノ定ムル方法」というのがございまして、これを調べてなかったのは当方の手落ちでございますが、先ほど読み上げませんでした勅令の第八条に、一応読み上げますと「義勇兵ニ對シテハ編入セラルベキ國民義勇戦闘除名、國民義勇戦闘隊ノ職員ニ充テラルベキ者ニ在リテハ其ノ職名其ノ他必要ナル事項ヲ豫メ通知ス」という規定がございまして、これはいわば手続加重かと思いますのですが、現実の召集行為の前にあらかじめ通知するということもございます。しかもこのあらかじめ通知することにつきましては特別に主務大臣への委任というようなものはございませんで、まずあらかじめ本人に対する通知があり、重ねて先ほど申し上げました十一条によって主務大臣が、たとえば方式等を定めるのだろうと私は考えたわけでございますが、方式等を定めて本人に通達するということでございますので、八条と十一条両方を考えますと、個々の人、被召集者に対する通知が到達しなければ召集は完了しない、効力を発生しない、そういう考え方をとっております。
#41
○大原委員 主務大臣はだれです。
#42
○八木説明員 陸軍大臣でございます。
 それから補足して御説明申し上げますと、「主務大臣ノ定ムル方法ヲ以テ本人ニ之ヲ通達ス」ということで、主務大臣が何か定めてないかというので私ども調査したいままでの段階では、特に定めておるという事実はないわけでございます。
 それからもう一つは、義勇兵役法施行令九条というのがございまして、そこで「義勇召集ニ關スル事務ニ付テハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ地方長官及市町村長竝ニ第七條但書ニ規定スル施設ノ長其ノ他必要ト認ムル者ニ對シ之ガ補助ヲ命ジ又ハ之ヲ委囑スルコトヲ得」ということで、当然こういう事務が実施されるということになりますれば、当時の地方長官あるいは市町村長等何らかの事務をやっておるのじゃないかということで、この辺も調査したわけでございますが、現段階では具体的にそういう事実はつかんでおらない次第でございます。
#43
○大原委員 私の調査によると、主務大臣は内務大臣と陸軍大臣、それで事務を委任をしている。法制局は主務大臣がと言ったけれども、いろいろ経過があって共管にして、そして召集事務は委件をしている。知事から市町村長に委任をしている。
 そこで私は、肝心のところだけれども、話を申し上げておくのだが、戦傷病者戦没者遺族等援護法では準軍属として――閣議決定に基づく国民義勇隊を三月に決定したわけです。三月二十三日の閣議で決定して、これは準軍属として対象になっている。そこで国民義勇隊を地域や職域において編成をして、どんどん総動員ができる体制になったわけですが、その閣議決定では根拠が薄いということで法律をつくったわけです。義勇隊をやっている経過の中で法律をつくって網をかぶせたわけです。そして自由な行動、移動等についても、たとえば広島市の例をずっと調べてみても、禁止をして、規制をしている。そして七月から八月へかかってくると、夜間の通行についても規制をした。かってに疎開できないようにした。男子とか子についてや年齢については一定の義勇戦闘隊の範囲はあるけれども、子供と年寄りもやはりかってに移動してはいけないというふうに最後はやったわけです。それはここに経過がある。そういうふうに全体としては自由を拘束しているわけです。自由を拘束している中で原爆、戦争の被害に直面した、こういうことが事実なんです。
 そこで、広島の原爆戦災誌、一巻から五巻まであって、第一巻の二八ページのところをコピーしているわけですが、それによりますと、「昭和二十年六月、政府は「国民義勇兵役法」、および「国民義勇戦闘隊統率令」を制定した。これによって、一五歳から六〇歳までの男子、一七歳から四〇歳までの女子は、義勇兵役に服し、国民義勇戦闘隊に編成されることになった。広島市では、市長粟屋仙吉を隊長とし、森下重格助役以下、助役・部長を幕僚とする地域義勇隊と、軍管理工場を単位とする職域義勇隊を編成した。地域義勇隊は東西の二個部隊に分かれ、東部隊長奥久登」云々とずっとあって、「小隊を編成した。この義勇隊の組織は六月中に編成を完了する」――というところはちょっと議論があるところだろうが、「完了すると、大隊ごとに義勇隊精神透徹講演会を開催し、引続いて戦闘隊転移査閲訓線をおこなった。」ということで、ずっと書いてあるわけです。
 そこで、その趣旨で各町内会、隣組あるいは各民間団体、青年団体、婦人団体を呼んでやったときの広島市の公会堂における矢野少将の訓示の中には、これからは違うんですよ、単なる勤労奉仕ではありませんよ、第一線は現役の軍人が守ります、第二線も現役の軍人がやります、第三線を国民義勇隊が守ってください、第四線は現役がやります、こういうことで本土決戦に備えて、これは勤労奉仕ではなしに軍務ですよ、こういうことを繰り返して説示いたしまして、そして戦闘配置につけた。戦闘配置につく体制でこの都市の防衛に当たった。
 そこで、広島は第二総軍司令部がその直前に設置をされて、畑俊六氏、これが総司令官になった。そこで東部は東京、西部は広島、そういうことで、全体としてはそういう体制が強化された中で原爆が落ちた。こういうことですから、八月六日の八時十五分に落ちたわけだけれども、いよいよきょうの作業にかかろうというときに、全部が全部ではないけれども、作業にかかろうというときに被害を受けた人がそうでありますが、地域の住民で見れば、あしたはどうだ、あさってはどこだ、こういう計画があって居住地についても規制を受けているわけです。その前の日には働いているわけです。ですから、そういうことであの原爆の場面に直面をしてきたのに、軍人、軍属だけで形式的に区分けをしてやるのはおかしいではないかということがいまだにあるわけです。一般戦災者との関係はあるでしょう。あるでしょうが、これは当然出てきてよろしい、その上に原爆の特殊性を考えて国家補償でやりなさい、こういうことについては、私は政治論からいっても、閣議決定で準軍属にしているのですから、兵役法で網をかぶせて、明らかに特別権力関係――厚生大臣の言でいえば子供と年寄りは一般権力関係かもしらぬ。しかし、これもやはり巻き添えを食ったわけです。ですから、このことについては明確にして、できるだけ国の責任で施策をするんだということを法律上も政策上も明らかにすることは当然のことではないか、こういうふうに私は思うのです。これはいままで議論をしたことについての一つの私のデータに基づく集約的な質問ですから、ひとつ厚生大臣からこの心がまえなり、これに対するやり方について所見を明らかにしてもらいたい。
#44
○齋藤国務大臣 義勇兵役法の問題については、施行はされたが実際行なわれたかどうか、もう少しこれは検討をしなければならぬ問題であろうとは思います。まあそれはそれといたしまして、私は、国家補償の精神に基づく援護ということになれば、従来のような私がこの前の国会で述べましたような考えをいま改める考えは全然ございません。ただ、私はもう前々から言うておりますように、こういう国家補償の精神による措置と社会保障体系との間に、できるだけその人たちの生活なり健康なりを考えてあげる措置は強化していく必要がある、これは私は心からそう思っているのです。そういうふうな考え方で、従来のように申し述べました考えをいま改めるという考えは持っていないということをまたあらためて申し上げておきたいと思います。
#45
○大原委員 いまの法制局その他を入れての法律の論争は、法律については、厚生大臣、法律が実際施行されて、大臣でなくても軍隊で命令を発動することになっておればこれは明らかに特別権力関係であるという議論は、議論としては尽きておるのですよ、明らかに義勇兵役法が施行されていれば。国民義勇隊についての閣議決定に基づいていろんな事業に従事した場合においても準軍属になっているのですが、この法律というのは明確に法律上の義務を課しているわけですね。これは間違いないわけです。ただ最終的に実施をされておるかどうかについてはなおかつ不明確な点があるのです。あるのですが、この原爆誌の文章は官報に匹敵する市の市報に従って書いた記録なんです。地方によってはこの実施の経過については濃淡があるにいたしましても、法律上は、当時の空気からいうならば、明らかにそういう法律の背景のもとにいろんな行動、権力を発動したことは間違いないことです。それをしもいままでの経過にこだわって、そして閣議決定だって日にちを間違って法律を書くときに二十二日にしておったわけです。実際は二十三日の閣議だった。二十二日は閣議はなかった。私が指摘したら法律を直したけれども。そういうことでちょびりちょびり加えていったわけだけれども、そういうことではおかしいのではないか。いままでの質疑応答でも、軍人や軍属や準軍属その他の戦争犠牲者は二百数十万、一般戦災者は五十万、その中で原爆の人もおるわけです。そういうことが明らかになっておるわけですから、私は原爆については国家補償の精神で当然にやるべきである。自民党の中にもそういう意見の人はたくさんおる。法律的にも厚生大臣が最後に言ったようなものではない。
 こういう点を私は指摘をいたしまして、時間が五分ほど過ぎましたから、きょうはこれで終わっておきたいと思いますが、それはなおかなり検討しておる、検討する余地はあるというように厚生大臣は言っておる。検討するつもりはある、こう言っておる。言っておるが、なおかつ、これはいままでの責任を回避するという方針で検討をするのではなしに、最後の詰めにおいては、こういう当時の状況、雰囲気を十分考えた上でやらないと、戦争犠牲者に対する公平な救済にはならぬ。国がやった戦闘行為で原爆でやられておるのだから、そういうことから考えてみても、これは絶対に納得できないことではないか。そういう精神の上に立ってできるだけ可能な範囲において援護の措置をするということが当然の政治の姿勢ではないか。そういうことについてわからぬことを繰りおしておったら自民党だめですよ。
 以上で終わります。
#46
○山口(敏)委員長代理 次に、枝村要作君。
#47
○枝村委員 私は、大腿四頭筋短縮症の問題について初めに質問してまいりたいと思います。
 この病気の存在はすでに昭和二十一年ごろから学会の一部で指摘されてきておるのでありますが、また、昭和大学の付属病院や国立の小児病健でも、七年から八年前から数十回の手術例があると伝えられておるわけであります。この大腿四頭筋短縮症は、大腿部の筋肉のうち中間広筋、大腿直筋、内側広筋、外側広筋の四頭筋の一つあるいは複数が、注射、外傷、感染などによって筋肉特有の弾力性とか伸縮性や成長が阻害される、こういう症状を起こすわけでありますが、こういう病気に関する情報を厚生省が行政的にキャッチしたのはいつごろであるか、これをまずお聞きしたい。
#48
○滝沢説明員 先生御指摘のように、大腿四頭筋短縮症の学会の発表につきましては昭和二十年に一例の報告があるようでございますが、御指摘のように、原因については外国では先天性のものもかなりあるということでございますが、一般的には注射あるいは外傷、感染等による筋肉の障害が原因であるということでございます。
 この情報につきましては、われわれ現在の行政担当の者としては、山梨県の鰍沢における大腿四頭筋の集団発生を契機にいたしまして行政的な対処という具体的な措置に出たのが最初でございまして、われわれの行政の関係で調べましても、たとえば湯河原に十年前に集団発生がある、あるいは福井県の今立町に集団発生があるという事実はございますけれども、これを行政措置の上で取り上げているという形はとっておりません。当時の責任者の方々がそのような事実を承知しておったということとあるいは行政上の処置に及ばなかったということ、この点を承知しておったかどうかは明確にわかりませんが、少なくとも行政的な処置については具体的なものはなかったというふうに思うわけでございます。
#49
○枝村委員 いまお答えになったとおりでして、これも結局は突き詰めて話をするならば、まあ要約をするならば、そういう被害者の父兄が中心になって組織する、あるいは運動を起こす、こういうことからいつも行政当局がそれを取り上げて措置するということであります。あとからいろいろ質問もしますけれども……。患者の父兄たちから言わせれば、こういうきわめてなまぬるい行政の措置、情報のキャッチ、こういう今日のあり方に対して非常な不満を持っているのですが こういうのは二十一年ごろから始まっておるにもかかわらず、昨年ごろになってそういう運動が起きて初めてキャッチする。知っておるとかおらぬということは別にして、そういう体制そのものがいいのかどうか、こういうことですね。こういう厚生省のいまの体制そのものを将来どういうふうに克服していくか、こういう問題について厚生大臣の所見をひとつ伺いたいと思います。
#50
○滝沢説明員 確かに御指摘の問題は非常に重要な問題でございます。たとえば未熟児網膜症について二つの異なった判断の裁判の結果が出ております。これは医学的な知識というか、学会で発表されて、それを医師として当然承知した上の注意義務として実施しなければならないという時期が、二つの裁判にズレがあるわけでございます。ということは、かなり早い前ですと、その発表が、一般の医師までそれを守らせるのには医学的に少し無理があったという判断の裁判と、当然この程度のことは医学的な知識として医師の注意義務の中で実施すべきである、こういう判断とによって、同じ性格の事件が時期によって二つの判断が下っております。
 これは一つの例でございますが、われわれは今後、先生御指摘のように医療にまつわるところのいろいろな問題点が学会等で発表されても、これがわが国全体の医師にどのように情報として伝わるかという仕組みが実はないわけでございます。ないと申しますが、学会というものに注意し、それぞれの関係しておる専門分野の方にはかなりそれが知識として、あるいは注意する知識として入るわけでございますけれども、一般的にはなかなかこのような情報が入りにくい仕組みになっております。われわれとしては、このような一般的な医療にまつわるところの事故あるいはいろいろの情報というものを、今後どのようにして一般の医師に注意を喚起するような仕組みに持っていくかということは、医学、医術の問題でございますので、行政の判断だけではこれは困難なことでございますが、われわれのところに医療情報の開発室のようなものも設置されましたので、この事件にかんがみましても、今後医療の団体である医師会とも相談しながら、会員にいかにして、これらの学会等で発表されあるいは具体的な事例として提起される問題点を一般医療の中の注意義務なりあるいは医師の知識として情報を提供するかという仕組みについては、これはぜひ前向きに検討して対処しなければならないというふうに思っておる次第でございます。
#51
○枝村委員 そういう気持ちはわかるのですけれども、実際にはそれがなかなか行なわれないということなんですから、そこにはやはり法規制、立法措置というものも一度検討を始めていかなければならぬ問題があるのではないか。
 それはあとにいたしまして、何よりもそういう未確認疾病に関する情報の集中システムを確立せなければならぬと思うのです。今度の厚生省の予算の中には、いわゆる保健所と都道府県庁、それから都道府県と厚生省との間にテレファックスなどを整備するようなそういう要求が予算措置としてされておると聞くのですけれども、これだけでは、いまあなたがおっしゃいましたように、現場の医師がそれをどういうふうに確認してどういう取り扱いをするかというのがしゃんとしない限りは、なかなかそれだけでは解決されるものではないというように思っておるんです。
 そこで、この現場の医師または医療機関に対してそういう未確認疾病の通告義務を負わせることを、いろいろな方法があるでしょうけれども、政府は直ちに検討してみたらどうか、そういう方法は何かありはしないか、こういうふうにわれわれしろうとなりに考えておるのです。またそういう制度をつくっていけば、関係の法律の改正なんかにも手をつけなければならぬかもしれませんです。そういう法律の手続が必要になるかもしれません。その点、私はしろうとですからわかりませんけれども、ほんとうにそういう患者が出てきて、それを直ちに医師がそういう義務づけによってそれぞれの機関に報告し、それが本省まで上がってきて、それで厚生省として全体の指導をしていく、そういうシステムなどをつくったらどうか、こういうふうに思っておるわけなんですが、どうですか。
#52
○滝沢説明員 先ほど例に引かれました公衆衛生局の予算要求のテレファックス等は、これは一般的な疾病、特に伝染病あるいは感染症というようなものが中心になろうと思いまして、私が申し上げた医療にまつわるところのいろいろの未確認あるいは不確定な問題の提起という点とは少し問題が違いますので、確かにテレファックスの活用というようなことでこの情報を得るというような仕組みでなくて、先生御提案のモニター制度、いわゆる薬務局が実施しております医薬品に関するところの副作用等が出た場合に、全国各県の医師、医療機関からの協力を得て、モニター制度によってその情報を得ているという仕組みが一つ参考になるわけでございますので、これらの点は今後立法措置というか、このような情報というような問題に対してはなかなか医療の秘密的な問題等もございますし、これを立法で義務づけるというようなことではなかなかこれは、おそらくどこの国にも例としてもないと思います。一般的には情報というものを協力によって、かなり自由な立場で積極的に御協力願うようなモニター制度のようなものを当面は検討することが必要であろうということで、御提案の線を、薬務局の副作用問題等の事例もございますので、あわせて検討いたしたい、こういうふうに考えるわけでございます。
#53
○枝村委員 そういうことをなぜ言うかといいますと、単にこの大腿四頭筋の短縮症だけでなくして、難病、業病といわれるようなものがお医者のミスとか手当てのおくれなどから起きてきて、しかもこういう病気は、親御とすれば世間になるべく隠そうという気持ちがやはり潜在的にあります。しかしお医者にはかかるわけなんですから、お医者がもう少し義務づけられるようになってくれば、これは直ちに――自分はわからぬにしても、それぞれの機関に行けば専門家がおるのですから、それからすぐずっと上がっていくということになるのですから、どうしてもどこかで手を打たないと、いまのままでほうっておくと、これの予防治療とか早期発見とかいうものが全然できないような気がするから言っているのです。とりわけ今回のこの病気になっておる人たちの調べによりますと、子供がすわることもできない、歩くこともできない。原因がわからない。それでおかしいということで、いろいろそういう患者の父兄どもが集まって相談してみると、大体いずれも同じように小さいときに、いわゆるかぜを引いたとかこじらせたとかいうことでお医者に連れていって、大腿部に注射を何十本と打った子供さんたちがそういう病気になっているということが、お互いの話し合いの中で発見されてくる。だから原因はそれではなかろうかという親御の直観的な感じがそういう結論を生み出している。医学的に、科学的にどうか、それはわかりませんよ。わかりませんけれども、決して先天性とか遺伝性のものでないということから、これならお医者がもう少し注意すればこの病気は未然に防ぐことができたのではなかろうか、こういうふうに考えるのはあたりまえですよ。ですからこれだけに限らず、ほかの病気でも疑わしき何かが起きたら、お医者がもう少し慎重に、みだりに注射を打つとかいうこともさせないようないろいろなことを、単なる注意の通達ということでなくして、何かとめさせる、注意を喚起する、人命を尊重する、こういう規制ですか、それから報告の義務とかいうようなものをさせることによって何かの手だてができるのではないか、こういうふうに思っておるのです。そういう意味で私はいま質問をしたわけでありますから、そんなことできるかということでなくして、これは厚生省当局も十分検討をすることがやはり大事だと思うのです。その結論がどうなるか、それはいろいろ問題もございましょうけれども、そういうことの検討を始めていただきたい。そうしてその結果をこの委員会に、いろいろ検討してみたがこういうことになるだろう、なりそうだとか、あるいはだめならだめでいいですから、いつかの委員会に報告してもらいたい、こういうことをひとつ再度要求したい、いかがですか。
#54
○滝沢説明員 先ほど来お答えいたしておりますように、私としても、医療の周辺の問題が種々ございますので、なかなか複雑な問題がからむとは思いますが、方向としては先生のおっしゃるとおり、医療の情報問題について的確な処置ができますように検討いたしたいというふうに思っております。
#55
○枝村委員 それから、いま原因の問題は、私どもが親御さんやその他のいろいろな状況などを見て、結局注射の乱用でなった、こういうふうに一方的に申しましたが、これに対してあなた方は、そうではない、あるかもしれぬがないかもしれぬ、こういう答弁になると思うのです。しかし、医務局長、あなたもお医者さんですね。やはり日本のように、かぜであろうがげりであろうが、どんどん注射を打ち回す、こういう国はないのじゃないですか。どうですか。
  〔山口(敏)委員長代理退席、斉藤(滋)委員長
  代理着席〕
#56
○滝沢説明員 日本のようにということでございますが、専門家の書かれたものあるいは直接の御意見等聞きましても、外国では注射というものについてはよほど必要な場合以外はこれを医療の中で手段としてはほとんど使わないという方向は確かなようでございますので、それに比較いたしますと、日本の医療の中では注射が多用されておるという、比較されればそういうことでございます。日本の注射というものが医療の上でどうしてこのように多用されるようになったかといういろんな問題点は別といたしまして、比較するならば、確かに先生御指摘のように日本の注射は多用されておるということは事実でございます。
#57
○枝村委員 いま言いましたように、日本の場合には、ただのかぜとかげりでそういうふうに世界に例のないほど抗生物質の注射をどんどん打つ。こういうことは、あなたも言われましたように、そのことが病気に効力を発揮して治癒できる場合もあるでしょうけれども、あまりどんどん打つことはやはり正常ではないでしょう。どう思いますか。
#58
○滝沢説明員 確かに必要以上と思われるものがあることは私も否定できないと思いますが、ただ医師の個々の患者に対する判断、たとえばぜんそくというような長期にわたってしょっちゅう症状を発生してくる子供に対して、その注射薬が非常に効力を発揮するというような事例の場合、なかなか転地療法その他の対策が困難なときに、知らず知らずに長きにわたってぜんそくの治療のために相当多量の注射が行なわれるというような、医療上ある程度やむを得ないと申しますか、なかなか判断の――多用している、それがある意味で不当であるということまでいえるほどの多用であるかどうかというものは、医療の個々の問題でございますから非常に判断はむずかしいと思いますけれども、一般的にわれわれの研究班の先生方の御意見からいきましても、日本の医療の中に、特に小児に対する注射についての万全な考慮というものは今後一そう考えていかなければならぬというのが一致した御意見でございますので、やはりそれらの御意見は当然の方向として、われわれもこの医療の問題と注射、特に小児の注射の問題については、研究班もこれに取り組んでいただいておりますので、これの適正な運用について今後も努力いたしたい、こういうふうに考えております。
#59
○枝村委員 私も子供がおりますけれども、かぜを引いたときにはああいう注射を打つとすぐなおることはなおるのですが、それが結局こうなったということになってきておるとするならば、やはりこれに対して適正な手を厚生省として打たねばならぬのですけれども、いままで打ってないことは事実なんですね。ただ医師会が乳幼児への注射は慎重に行なえという呼びかけはしておるということを聞いておるのですけれども、実際には厚生省として今日までしていない。それは昨年末の山梨県の問題からようやく腰を上げたという程度ですから、やらぬのがあたりまえだと思う。問題は、私どもはこの病気がそういう抗生物質を乳幼児の時期に打ちまくったということで発生したと思いますから、厚生省はいまからどうするかということになりますと、やはりそれも一つの大きな原因だという想定のもとにいろいろと検討していってもらわねばならぬ。そのことがやはり患者を持つ親御に対する行政上のこたえる態度だ、政治のあり方を示すものだ、こういうふうに思っております。そして医師会が自主的にそういう警告を発するということだけではなく、厚生省が行政措置として医師に対してそのような警告を送るべきではないか、行政指導するのが筋合いではないか、こういうふうに思っておるのです。時間がないから答弁はあまり求めませんが、そうしないと、もし個々の医療内容にわたることは行政指導としてなじまないから、いわゆる医師会の自主規制に期待するという態度だとすれば、医師会の自粛等にもかかわらず起きたこういう問題については、医療被害についてはその責任は一体だれがとるかということになるわけなんですね。医師会に全責任を負わせようとする、そういう気持ちではよもやないと思います。そうすればどうしても行政当局が、お医者さんの自主性を侵すところまでいかないにしても、全体のそういう病気を発生させなくするためにある程度の介入をしていかなくてはならぬ、こういうふうに思っておるのであります。
 そしてもう一つの考え方は、もしそういうお医者のミスによって起きたということがはっきりする場合に、今日では示談とか民事、こういうことで解決していく場合があるのですが、先ほどの何らかの規制、立法措置をせよというのはこれにもはまってくるのですけれども、医師のそういう大きなミスに対しては、やはり何らかの立法措置をして規制するということはむずかしいかもしれませんけれども、していかないと、医師の判断だけに依然としてほたっておくことは、先ほど言いましたようにこの病気を根絶したり、なおるものがなおらない、こういう結果に終わってしまうような気がしてならぬのであります。その問題についての答弁は求めません。
 次に、厚生省は四十八年七月に医事紛争に関する研究班というものを発足させて今日に至っておるようでありますが、この間約一年三カ月たっていますが、一体どういうことを研究し、どういうことによって事態の解決をするかあるいは妨げているか、そういう事実がこの研究班によってある程度進められておると思うのですけれども、いまこれについてここで答弁をしていただかなくてもいいですけれども、中間報告というようなものを資料として出していただきたい、こういうことを要望しておきますが、それはどうですか。
#60
○滝沢説明員 研究班の内容についてお答えしてもよろしゅうございますが、お求めが資料提出ということでございますので、中間的にただいま検討してまいりました具体的な手続等の内容について、資料として提出いたしたいと思っております。
#61
○枝村委員 それと、医療被害や薬害に関する情報収集とか原因究明、そして被害者救済については新たな制度を確立する必要がある、こういう問題について、去る十月の二十五日の参議院の社労委でわが党の浜本議員が質問したのに対して、厚生大臣はその必要性を認められました。したがいまして、次期通常国会に間に合うような立法化を検討する旨の答弁もやはりされておるようでありますが、私ども衆議院の段階におきましても十分研究をしなくてはならないので、この際申し上げておきたいのは、ひとつできるだけ早い機会にこの委員会に、そういうことをするための準備、用意として、各種医療被害者及び関係者を参考人として招いて、医療被害、薬害に関する集中討議をしてもらいたいと思います。これはあなたのほうへの質問じゃありません。これは委員長にお願いですけれども、してもらいたいということを提案しておきたいと思うのですが、ひとつ委員長のそれに対する返答をお願いいたしたいと思います。
#62
○斉藤(滋)委員長代理 参考人のことにつきましては、理事会におはかりして決定いたしたいと思います。
#63
○枝村委員 その次に、結核対策について質問をいたします。
 いままで、結核対策に関しての質問を同僚の議員から繰り返し当委員会でも行なってきたところでありますが、特に九月の十一日のこの委員会で指摘し要望して、そうして大臣も前向きの答弁をされました財団法人結核予防会の問題について、私は、事がきわめて緊急を要するために、重ねて念のために確認しておきたいことが二、三ありますので、厚生大臣にお伺いいたしたいと思います。
 厚生大臣もよく認識されておりますように、戦前、戦中、戦後を通じて亡国病であった結核の撲滅のために国の政策に全面的に協力され、今日のような成果をあげられてきた予防会が、いま倒産の危機に直面しておるのであります。入院中の患者をその結果追い出して、土地を売らなければ年も越せない、そればかりでなく、もし土地を売ったとしても三年ももたない、全くお先まっ暗な立場に置かれている、こういうことを金子みつ委員が訴えました。そうして予防会全体に対して援助してほしい、こういうことに対して、厚生大臣は、予防会の再建五カ年計画に国の助成をできるだけやるとも言われ、病院改築に対しても日赤と差別することはない、また医療器具等においても、不足な点があるならば低金利融資のあっせんをする、具体的に研究する、はっきり援助の約束をする、こういう言明をされているところであります。また、予防会が果たしてきた数十年来の功労に対しては、厚生省もほんとうに感謝の気持ちを持っておって、それを援助の上にあらわしていく、それは当然なことだとも言われたのでありますが、この齋藤厚生大臣の御発言に対して、関係者は実は心から喜んで、大いに勇気づけられて期待しておるのであります。私、直接関係者に会いましたけれども、ほんとうに齋藤大臣に感謝しております。
 そこでお伺いするのですが、大臣のこの熱意と気持ちは、九月十一日で、まだ一月以上しかたっておりません、いささかも変わりはないと思うのですね。ところがどうも、年末になってくる、それからいろいろ問題もあるのに、それが一歩も解決の方向のきざしがないというようなことから、先ほど言いましたように少しあせりぎみに労使ともなっておるのです。だからここで最初にお伺いしたいのは、この約束を大臣は具体的にどのように果たそうとしておるのか、まだ一月ちょっとですから、すぐおいそれと右から左になるものではないでしょうけれども、どういうふうに具体的に果たそうとされているのか、こういう問題について率直にひとつ、いまの段階であるだけに答えていただきたいと思います。
#64
○齋藤国務大臣 結核予防会並びに研究所等の問題について私は非常に関心を実は持っておるわけでございます。そこで結核予防会のほうでも再建計画を立てて現在やっておるわけでございまして、自己努力というもの、これはもう当然なすべきことであります。先般もお答えいたしましたように、ある程度の土地を売って、これも一つの原資に充てる、こういう方針をきめている、私はそれはけっこうだと思っているのです。そのくらいの努力も自分でするということは大事だと思います。そういう自己努力の上に国もできるだけの援助をしていかなければならぬ、こう考えておるわけでございます。先般金子委員に対するお答えをいたしましたあとに、さっそく島津さんはじめ責任者の方々全部を私招致いたしました。それで、財政再建計画、どういう点を一番望んでおるか、いろいろな問題について具体的に話し合いをし、検討をいたしてまいったわけでございます。
 まず第一に申し上げたいことは、結核研究所の運営については本年度一億五千万近い金を出しておるわけでございますが、大体これは運営費については三分の二ぐらいの補助になるわけでございます。明年度においては、この研究所については私は国が全額持つべきじゃないかと思っているのです。そういう考え方を持って、いま大蔵省の予算折衝に入っております。そして、私はこの問題は全力を尽くして実現をはかりたい、こういうふうに考えておるのが一つ。
 それから、研究所付属の療養所についても、土地を売却するとかいろいろな関係もありますが、国が療養所に対する補助をする、これはいままでやっていないわけでございますが、これも現在大蔵省に申し入れをして、いわく因縁のある、歴史の古い、しかも日本の結核撲滅の史上において非常に功労のあった結核予防会でありますから、この結核研究所の付属療養所については国は補助を出すべきである、こういうふうな強い考えを持って、これもいま大蔵省に折衝をしております。
 なおそのほかに、療養所その他の建設等にあたりましての医療機械等の購入とかいろいろな施設について、その計画を見ますと、実は相当の部分、市中銀行から金を借りてやるという面があったのです。市中銀行から金を借りれば、これは私が申し上げるまでもなく金利が高いですよ。これはやはり、日赤に対して年金福祉事業団が低利で金を貸すと同じように、こっちは医療金融公庫でございますから、ぼくは医療金融公庫総裁に電話をしまして、いろんな限度があってもかまわないから大蔵省と折衝しようじゃないか、来年は十億ぐらいは予定しよう、そのくらいのことをやらなければ結核予防会なかなか容易じゃないぞということで、日赤に対して年金福祉事業団が低利の金を貸し付けると同じように、医療金融公庫から低利の金を貸し付ける、こういう制度を考えようじゃないか、市中銀行からあまり金を借りないようにしようじゃないかということで、金融公庫総裁のほうにも連絡をし、さらに大蔵省のほうにも申し入れをしておるわけでございますから、具体的な金額がきまりますれば、そうした方向で今後とも努力していきたい、こう考えておるものでございます。
 そのほか、結核予防会については、BCG、ツベルクリンの単価の問題とか、それから健康診断料の単価の問題とかそういう問題もありますので、これも来年度の予算の際に、結核予防会がりっぱに再建できるように努力をいたしておるような次第でございます。
 一々申し述べるのもたいへんでございますが、私はほんとうに結核予防会だけは厚生省は真剣に取り組んでめんどう見ていかなければならぬ、あたたかい気持ちでめんどう見てやらなければならぬ、結核予防会がつぶれるようなことがあっては絶対ならぬ、こういうのが私の基本的な考え方でございまして、そういう考え方に基づいて私は、いま大ざっぱな話を申しましたが、今後ともきめのこまかい援助をしていくように今後とも努力をいたしたい、こう考えておる次第でございます。
#65
○枝村委員 療養所の補助というのは病棟建築の補助なんですな。――わかりました。
 研究所の運営費は三億二千六百万円、これは要求されておるのですが、これは自信があるというように言われました。いまの療養所の補助については、これは四億九千四百万円なんですが、一生懸命努力はするといま言明されましたが、いままでなかったことだけになかなか大きな大蔵省の壁があるというようなことを聞いておりますから、厚生大臣はひとつ全力を注いで、一命を賭して――一命を賭すというとこれは大げさですが、それくらいの気持ちで、あなたは厚生大臣にならぬ前から予防会の問題になると夢中になって予算を取りに行ったというのですから、今度は大臣という権威を持っているのですから、それを賭して、ひとつ満額獲得のために努力をしていただくようにお願いいたします。
 それから、少し時間がありますのでこの際ちょっとお伺いしておきたいのですが、現在の結核要医療患者は全体としてどうなっておるのか、全国的に。われわれの知っておるところによれば、十月十五日に発表された第五次結核実態調査によると、約八十二万人がおり、ますます偏在化が指摘されておるようです。それから四十八年中の新規登録患者が十二万八千人。ですから、昔のように亡国病としてどんどんはやってどうにもならぬというそういう時代は過ぎたにしても、依然としてやはりそういう患者がある。そして、死亡率がどうかわかりませんが、やはり死んでいく、こういうことば事実でしょうね、だれが答弁するか知らぬが。そういうふうに厚生大臣も認識されておるのでしょうから、この前の国会の答弁でも、結核は油断できない、そういうふうに言われたと思うのです。それだけに、いま結核予防会が国の援助がなくしてつぶれかかっておるということは、これはたいへんなことだと思っております。
 昭和四十六年の資料によると、結核患者の平均入院期間は、国立療養所で三百三十八日、予防会の結研療養所では百七十一日で、国立療養所の約半分で入院期間が済んでおる。ですからそれだけつまり早く社会復帰ができるようになっておる。このような予防会が経済的に苦しめられ、つぶれようとしておる。しかも土地を売らなければならない。それから不渡り手形が出てくるような傾向にある。土地を売っても、先ほど言いましたようにあと三年しかもたない。ですから、予防会は土地を売ったり何かして、手足を食いつぶして国民の結核医療につとめて、そのあげくの果てがつぶれようとしておるのでありますから、いま私がそういうことを厚生大臣に言わぬでも、釈迦に説法でよく知っていらっしゃると思いますだけに、私の一つの意見として強くいま言いました療養所の補助に対しても、重ねて言いますけれども、全力を払っていただきたいということになるわけであります。
 その次に二番目にお伺いしたいのは、最初も申し上げましたように、たいへん切迫しておりまして、労使ともに困り抜いておる。ですから、厚生大臣の発言は救いの神のような気持ちで受け取っております。たより切っておるということなんですね。ですから、この前の委員会で金子委員からお願いしたことに対して、大臣は、現地の調査も行こうというようにお答えになったと思うのです。いつ来るかいつ来るか待っているのですよ。そして調査に行かれるそのことが、そういうところにおる労使のすべての皆さんの心のささえとなって元気を取り戻して、明るい将来の展望とともに仕事に精を出していくという、そういうきわめて重要な意義がある。ですから、いま聞きますと、厚生大臣はまだ現地調査に行かれておらないようでありますね。代理の方が行かれたという話も聞きましたけれども、厚生大臣が行くということは、そういう大きな希望を彼らが持っているだけに、ひとつぜひ行っていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#66
○齋藤国務大臣 先般もお答えいたしましたように、現地に行くとはお答えしなかったと思いますが、現地を十分調査するということを申し上げておるわけでございます。これは、ほんとうに結核予防会の経営者の諸君、理事者の諸君も従業員の諸君も、お互いが結核予防会を守っていかなければならない、再建しなければならない、お互いに真剣に努力しなければならないと思うのです。国の援助だけにたよりっぱなし、こういうのじゃいけないのです。会長、理事長、理事の諸君、従業員の方々一緒になって、多年の日本の結核撲滅の歴史の上において大きな功績を果たしてこられた結核予防会ですから、土地をだんだん売っ払っていって、三年後にはなくなってしまう、解散してしまうんじゃないかということが絶対にないようにこれはしていかなければならないと思います。そうした自己努力の上に立って国もできるだけ援助をする、これが一番大事なことだと思います。私も、来年度の予算編成にあたりましては、この結核予防会の問題は全力を尽くす考えでございます。この機会に私もはっきりお約束を申し上げておきたいと思います。療養所の補助などもなかなか容易じゃないと思います。けれども、こういうふうな補助というものを前提としての再建計画が立つのですから、私としてもこれは全力を尽くすというふうにお答え申し上げておきます。でございますので、私が行くことがそう励みになるかどうかはわかりませんけれども、実は私もまだ現地に行ったことはないんです。ですから、行ってみたいという希望は持っています。けれども、ご承知のようにいまなかなか多忙をきわめておりますので、いますぐ、いっというわけにはまいりませんけれども、私も現地をおたずねしたい、こういう希望は十分持っておるということだけは申し上げておきたいと思います。現地へ行きまして、皆さん方の御苦労の姿を見、また御苦労のお話を聞いてもいいという希望は私は十分持っておりますが、いつおまえ行くんだ、こう言われても、いまちょっと日程が立て込んでおりますので、いつとは申し上げられません。しかし、現地にも私は行きたい、こういう希望を持っております。
#67
○枝村委員 ほんとうに心のささえでありまして、あなたが行くことは、これは向こうは心待ちに待っておりますから、いつ行け、こういうような要求は私もしておりませんが、その気持ちは十分わかりましたから、行ってもらいたい。委員会も先ほどの理事会で委員派遣もやりますから、その前に行かれたほうがいいでしょう。政局なかなか逼迫のおりからでありますだけに、齋藤厚生大臣として行ってもらいたいと私は思っております。
 引き続いて、最後に引き揚げ者問題について少し質問をいたします。昨年の三月三日ですか、本院の予算委員会分科会で、わが党の横路委員が、韓国、中国などからいまだに月々二百人近い人が引き揚げておる、こういう問題について問題を提起して、それぞれ政府の答弁をいただいておるところでありますが、時間がありませんから、いまそれがどういう実態にあるかということをお聞きはいたしませんが、ひとつこれは資料をあとから出してください。
 厚生省は四十四年に通達を出されて、都道府県知事及び指定市の長に対し、帰国に伴う援護についての指示をされておりますね。その内容は、私のほうから言いますが、帰国に伴う費用の負担は国がすべて行なうこと、二つ目は、身元引き受け人など帰住先のあっせんは自治体が行なうこと、こういうふうなものだと思うのです。ところで、これらの人々の現実の苦労は、何といっても帰住先がなかなかきまらないことです。きまっても、長い間外地におって、それこそ国籍が日本にありませんから、帰って親戚その他に身を寄せるにしても、たいへんな気苦労があると思います。特に第二番目として、子供は日本語なんか生まれたときから全然覚えておりませんので、この教育が必要なことを非常に痛感されております。ですから、国は帰ってからのことはすべて――先ほどの通達が出されましたすべて自治体にまかせるということではなくて、せめて帰住先がきまるまでの間の居住場所の提供とか、それから日本語の教育、再教育、これくらいのところは責任を負うべきではないかというのが常識的な要求なんです。この問題についてどういうふうにお考えになっておりますか。
#68
○八木説明員 先生御指摘の引き揚げ者の援護の問題でございますが、最近は集団的な引き揚げが終わりまして個別的な引き揚げがあるわけでございますが、実態といたしましては、やはり長年祖国を離れておられました引き揚げ者が、いかに祖国の生活になじみ、さらに社会復帰するかということが一番大きな問題であるわけでございまして、現実問題としても、何らかの形で肉親の方、親きょうだいなり御親類の方等がいるわけでございますので、そういう方々のところにまず復帰していただいて、そこで少しでも祖国の生活になじむということが大切なわけでございますので、現実にも何らかの形でそういう方がおられるわけでございます。ただ、現実に住宅問題等むずかしい問題があるかと思いますけれども、そういう面につきましては住宅のあっせん等を処置しているわけでございますし、さらに生活の援護あるいは職業補導等各県あるいは市町村等にお願いいたしまして、自治体におきますあらゆるバックアップ等を活用いたしまして、引き揚げ者の方々の援護の問題に取り組んでいる次第でございます。
 ただ、一番問題になりますのは、先生からも御指摘ございましたように日本語教育の問題でございまして、最近の引き揚げ者の方には日本語が話せないという方も多いわけでございますので、こういう点につきましては私どもも苦慮しているわけでございますが、文部省のほうにもお願いいたしまして、何とか考えられないかというお願いはしているわけでございます。非常に数は少のうございますけれども、東京都等におきましてはすでに日本語学級等ができているというような実情でございますが、さらに文部省等とも協議いたしまして努力してまいりたいというふうに存じておる次第でございます。
#69
○枝村委員 そこで、具体的にいま引き揚げ者の団体の方々から出されておりますいわゆる引き揚げ者のセンターをつくるということ、これに対して東京都は乗り気になっておるようでありますが、何しろ国がそれに対する援助の問題についてはいろいろ何かあってはっきりしないというところにあるようであります。そこで、この際思い切ってそういうものをつくって、希望する者は一定の期間内はそこに置いて、住居あるいは生活保障、医療とか日本語の教育、職業訓練などを総合的にめんどうを見て、そして自立して生活ができる、あるいはまた新たな住居を求めていかれるように、そういう施策を施してもらいたいと思うのです。そのための帰国者センターだそうでありますから、何らかの方法で援助をしてやれないものか、こういうことなんです。
 率直にいまの引き揚げ者の方々の意見を聞きますと、よそのある者と比較してものを考えて、非常に政治不信を持っておるのです。たとえば外交官とか商社の社員の子弟は、やはり同じように――日本語もどうか知りませんけれども、やはり同じような状態ですけれども、この人たちが帰った場合には、たいへんな処遇や待遇や、大学へ行くにもどんどん行かれるような、そういう取り扱いをしておる。この引き揚げ者というものは、帰りたくても終戦直後帰れなかった、ほんとうに苦労した人たちです。それがまた今度は帰るというのは、特別な事情があるから帰るのですからね。しかも日本の国籍はない人もある。帰化しようにもなかなかできぬ場合もあるそうですからね。そういう人たちをだれが救うかということになれば、政治の手以外にないと私は思うのです。ですから、いろいろ規制や何かあるかもしれませんけれども、この際厚生省が中心になってそういう人たちを救ってあげるということが一番大切だと私は思っております。今後サハリンから帰るのも、日ソ平和条約が締結されればふえるようであります。そういうように今後決して減ることはない、むしろふえると思うのです。そのためにも、やはりそれに対する措置、対応の政策、政治をやはりいま立てておく必要があろう、こういうふうに思っておるのです。ですから、ここで援助しますというような答弁はすぐできないかもしれませんけれども、何らかの方法で、いま考えられておる東京都の引き揚げ者センターの建設については援助するとかいうような方向でひとついろいろ検討して、期待にこたえるようにしてもらいたい、こういうのが私の要望ですが、いかがですか。
#70
○八木説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、長年御苦労された引き揚げ者の方がいかに社会復帰するかという面から申しますと、やはり出身地の地元の、しかも肉親の方がおられるところに帰るというのが一番大切なわけでございまして、国がそういうふうな引き揚げ者センターをつくるというのはいろいろな意味で一そういう面から申しましてさらに引き揚げ者の方が従来のように大量に引き揚げてくるということではございませんので、断続的にわずかずつお帰りになるというようなことから、そういうセンターの運営等の問題等についてもいろいろむずかしい問題もあるわけでございまして、先生いまお話がございましたように、現在東京都の引き揚げ寮等があるわけでございますので、せっかくの御指摘でもございますし、東京都とも十分協議して慎重に検討いたしたいと思います。
#71
○枝村委員 以上で終わります。
#72
○斉藤(滋)委員長代理 川俣健二郎君
#73
○川俣委員 時間が迫っておりますから端的に伺いますが、きょうはその数百二十六という病院がストに入っておるそうでございます。そこで、国会で決議されたり、あるいは現厚生大臣の齋藤大臣から国会ではっきり約束されたのがそのとおり実施されておるだろうかどうか。百二十六の病院のストの理由をちょっと拾ってみますと、国会で決議されたもの、大臣の答弁とかなり関係があるものですから、時間がないところでございますが、あえて確認だけしていきたいと思います。
 五つですが、一つは医療審議会の問題、二つ目は公的病院の病床規制、三つ目は地方の医療機関整備審議会の通達の問題、四つ目は国保の財政調整交付金のアップの問題、五番目は政管健保の弾力条項の発動、これは先ほど大原委員に大臣の見解を示されたそうですが、もう一度、健保の国会通過の際に約束したことをどのように受けとめておられるか、確認してみたいと思うので、あえて五つを申し上げたわけです。
 まず医療審議会でございますが、医療審議会の法令によりますと「委員は、医師、歯科医師、薬剤師、医療を受ける立場にある者、学識経験のある者及び関係行政機関の職員のうち」こういうように大臣が任命する者を法令で限定されておりますが、一体そうなっておるんだろうかどうか。あえて申し上げるのは、医療を受ける立場にある者、一番大事なんだが、その人が出ておるんだろうか。出ておるとすればあの人だ、あの人は一体医療を受ける立場の代表だろうか。二つ目は、薬剤師の代表が入っていないようだが、なぜ入ってないんだろうか。医薬分業もこれありで、これは大事な構成メンバーじゃなかろうかと思うのですが、その点を伺いたいと思います。
#74
○滝沢説明員 医療審議会の構成メンバーの問題につきましては、過去にもいろいろ御質疑を受けたわけでございますが、この医療審議会には医療機関整備部会と診療報酬部会とあるわけでございます。ただいま医療機関整備部会が実質的な活動をしておるわけでございまして、これは医療を受ける立場の方と申しましても、相当な医療についての見識を有している方々についてここ十数年来審議会が運営されておるわけでございます。したがいまして、具体的に委員の区分けについてでございますが、これについてはこの前の国会でも社労の山崎委員長からも御質問がございまして、医療を受ける立場というものに対していろいろ御見解はございましょうけれども、国保の代表あるいは婦人の代表、労災保険の関係、それから一般的な関係で新聞の関係の論説委員の方あるいは共済、健保、農民の関係で農協厚生連の方というようなことで七名、医療の関係では、確かに薬剤師はただいま入っておりませんで、やはり七名、これも診療所あるいは医療法人、日本医師会、県医師会、公立病院の関係、精神病院の関係、歯科の関係というようなことで入っていただいておりまして、特別利益代表というような形では考えておりませんので、この委員の構成については、ずっと運営してまいりましてほぼ適正なものであるというふうに考えておるわけでございます。
 法律には明文になっておりますが、薬剤師が入っていない、これはいま申し上げましたように、医療機関整備部会として活動しております現状におきましては、薬剤師さんの直接の関係が少ないのでございますので入れていないのでございますが、御指摘のように医薬分業等の問題が今後進展してまいることが予測されます段階においては、この問題は法定された明文でもございますし、検討する必要があるというふうに思っておりますけれども、現状の医療機関整備部会の運営上は直接関係がございませんので、任命しておらないというのが実態でございます。
#75
○川俣委員 薬剤師が必要かどうかという判断の論争をするんじゃなくて、法令に薬剤師を加えると書いてあるのだから、法令を改正する気持ちがあるのか、入れないという理由がどこにあるのかということを聞くので、大臣、これはどう思うのですか。
#76
○滝沢説明員 この点につきましては、実は整備部会と診療報酬部会があるというこの法のたてまえ全体からながめまして、その頭のところで薬剤師さんの問題が意識されて法文としては入っておるものというふうに理解いたしますが、現状では医療機関整備部会だけが動いておりますので、その点で、薬剤師さんというものを法体系全体の中では決して打ち消す必要がないんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
#77
○川俣委員 そうしますと、法令には薬剤師を入れると書いてあるから、医薬分業等の話もこれから出てくるであろうから、薬剤師を法令どおりに入れていくという方向で検討するという確認ができるのかどうか、どうです。
#78
○滝沢説明員 薬剤師さんの問題につきましては、先生の最初御指摘のように、医薬分業というような問題とのからみにおいて今後検討する必要はあるというふうに認識いたしております。
#79
○川俣委員 時間がないのですが、さっき局長が医療機関整備部会とこう言いますが、審議会には診療報酬部会を置く、こうなっておる。置くことができるでもなければ、努力規定でもない。置くという明文なんだが、これはどういうことなんだろうかね。置くと書いておる法律が要らないという意味なのか、法律を改正するのか。置くと書いてあるが、これは置かないのか。置かない意味はどういう意味なんですか。事務当局、かってな解釈をしないでくださいよ。
#80
○滝沢説明員 この点につきましては前にもお答えしたわけでございますけれども、確かに置くということになっておりまして、実情といたしましては、国民皆保険の今日では、診療報酬の問題は社会保険によるものでございまして、その社会保険の診療報酬が健康保険法等の法律によって中央社会保険医療協議会の審議を経て定められておる、このような仕組みになっておるわけでございます。そのためでございまして、今日の段階では医療審議会においては診療報酬に関して審議を願う余地が乏しいので、もっぱら医療機関の整備に関する事項について御審議を願うという形になっておるわけでございまして、置くというたてまえからいって、置かないならば改正したらどうか、先ほどの御見解にもつながるわけでございますが、この点につきましては、われわれといたしましては、今後情勢の推移によってはその問題も検討しなければならぬと思いますが、現状においては医療機関の整備部会だけの運営で参りたいと思っておる次第でございます。
#81
○川俣委員 大臣に聞きたいのだけれども、その他いろいろあるのです、いろいろあるのだけれども、国会できめるルールがあるわけだから、そのルールがきめられておるのを事務当局がやるのだけれども、いまのような局長の解釈では、何ぼ国会で法律をつくったって意味がない。置くと書いている以上は置けばいい。置かねばだめなのだ。それを、運営するとか会を開くとかというのは別だよ。これはどう思います。大臣、置くと書いておるものは置かなければだめですよ。どうなんですか。必要ないんだからつくらないのだという解釈なら法律は要らない。どうでしょう。
#82
○齋藤国務大臣 なるほど置くといえば置かざるを得ないと私も思います。どうもその辺私もはっきりしておりませんが、これはひとつ考え直さなければいかぬと思いますね。
#83
○川俣委員 どっちを考えるのか。
#84
○齋藤国務大臣 法令のほうを、必要がないのならやめるとか、置くと書いてあるのを必要がないなら置かないとか、その辺ははっきりしないといけませんね。ひとつ十分検討いたします。
#85
○川俣委員 だから、ストがあるのはそういうのが山積されておるからだ。
 それから、地方の医療機関の整備審議会の例の通達を、三十九年の四月一日の次官通達で出したものをもう一ぺん検討しなければならないんだが、いままでのいきさつ上……。滝沢政府委員が、検討いたしますと四十八年六月十五日、四十八年三月一日、四十八年六月二十三日、こういうように国会で約束されておる。一体そのとおりやっているのだろうか。
#86
○滝沢説明員 あの議事録等にもございますように、先生からの御質問もございまして、この通達の問題については検討したわけでございますが、確かに法律上は、不許可処分をなす場合のみ医療機関整備審議会の意見を聞けと、こういうことになっておって、実際の通達は、加算制度その他についても、必要に応じて、一般的な許可をする場合にも意見を聞くよう行政指導をしている通知が出ている、これは法律の趣旨よりもオーバーのやり方じゃないか、こういう御趣旨で、われわれも検討したわけでございますけれども、まあ医療機関整備審議会は基本的にはまた知事が重要な事項を御審議願う場所でもございますし、法律を定めるときに何もかも聞きなさいという書き方はおそらくできずに、やはり不許可という行政行為をするときのみかけろという、法制的な段階での字句であろうと思いますが、そういうふうに固まったものだと思います。しかしながら、実際の運営については、過去にいろいろ御指摘のあった中に、医師会が反対するあるいは医療機関整備審議会の運営が円滑にいかない、こういう内情的な問題の御指摘も含めていろいろございましたけれども、われわれとしては行政指導によってそのようなことのないようなことで、現状におきましては、この通知を特段たてにとっていろいろトラブルが起こるというようなことも顕著なものはございませんし、そういう意味で、この通知そのものの趣旨についてひどく誤解を受けている、あるいは運営上非常に困っているというような問題もございませんので、検討の結果といたしましては、現状の通知をそのままにし、もし運営上に問題があれば検討いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
#87
○川俣委員 ずいぶん違うものだな。いいですか、去年の六月ならまだ一年半もたっていないのだよ。あなたはこういうように答えている。「従来出しました次官通知等について検討の上、この医療機関整備は今後地域医療計画ということでわれわれは進めたいと思っておりますので、そういう趣旨にのっとって、各府県の医療機関整備審議会がうまく活用できるように通知の再検討をいたしたい、」、再検討したら別に支障がない、こうなったのか。
#88
○滝沢説明員 いま先生から御指摘の問題は、まさに私がさっきお答えしましたように、現状の通知にしておくことと決して矛盾するものではないと私は考えておりまして、地域医療計画というものが、われわれが正式のその通知を出せて地域医療計画を推進する予算の裏づけ等も確保できて、そしてそれが実行できる段階には、地域医療計画にその問題が肩がわりして、地域医療計画の観点から審議を願うというふうな方向に変わることな予測した意味でそのようなお答えをしているわけでございますので、いまもその気持ちには変わりございませんし、われわれはどうしてもやはり地域ごとの実情に応じた医療計画を立ててもらう、その一つの具体的なあらわれとして、僻地の医療対策について具体的に取り組みたいということでございまして、そういう関連において、この通知が具体的に整備審議会で御審議を願うように持っていきたい、こう思っております。
#89
○川俣委員 もっと単純なのだ。いいですか、きわめて単純になってくださいよ、局長、いいですか。ストライキをやるというのにはいろいろあるのだ、約束が守られていないというところがかなりあるのだよ。あなたの答えは、この通知の再検討をいたすということを国会で答弁しておるので、その通知を出し直す気持ちがあるのか、再検討してみたけれども出し直す必要はないんだというように変わったのかという端的な質問なんだ。
#90
○滝沢説明員 当面、地域医療計画を具体的に都道府県にお示しできる段階までは、これを出し直すということが必要でないというふうに私は結論として申し上げておきたいと思います。
#91
○川俣委員 きょうは時間がありませんから、それじゃ確認しておきますよ。私は昭和三十九年四月一日付の通達を出し直すべく再検討するという国会答弁をつかまえているんだが、しかしいまの局長のあれは、その三十九年四月一日付の通達を出し直すという意思はない、こういうように確認していいのかどうか、端的に答えてください。
#92
○滝沢説明員 出し直すという意思は現状の判断ではございませんが、地域医療計画の推進というお答えをしたこととの関連において出し直すような状態になることも予測されますので、それをとらまえて出し直す機会もあり得るということを含んで現状の判断を申し上げたわけでございます。
#93
○川俣委員 ちょっとわからぬ。大臣、どうもこういうものなんだな、官僚はやはり頭がいいから実に名答弁なさるけれども、やはりルール、約束したことは守るということをやらないといかぬと思いますよ。
 たとえば、あれだけいろいろと健保というのは何年もかかっていわく因縁のものがあったものを、けだしやむを得ないのだろう、やむを得ないけれどもこういう条件をつけようということで、一昨年附帯決議にこういうように決議しております。「公的病院の病床規制の撤廃及び差額ベッドの規制については、すみやかにその対策を講ずる」こう決議した。一体やっているんだろうか。
#94
○滝沢説明員 規制の撤廃について私からお答えいたしますが、この問題は確かに関係の皆さん、特に公的病院、自治体等の病院の関係者に、そういう規制のあることを撤廃しろという御意見があることは私も承知いたしておりますが、先ほど先生の御質問にもあり私もお答えしましたように、わが国の今後の医療供給体制の基本を確立するには、やはり地域的な医療計画というものを立てて、これに強力な政府の資金を投入するという形をとる必要があると私は信じております。
 そういう意味で、具体的にこの規制の問題については法律がございますので、その法律の趣旨から公的資金の投入というものを規制したという形の趣旨はそれぞれに当時あったわけでございますし、いまは情勢が、地域医療計画というものをしっかり踏まえるならば、単なるベッド数という問題でなくて、量より質の問題の転換も必要でございましょう。それから国公立の病院の使命ということに対する量より質、あるいは量も含めた問題もございましょう。規制の及ばない不足地区には積極的な病床の設置も必要でございましょう。そういうような地域医療計画の策定という段階において、この規制というものの趣旨というものが有名無実になると申しますか、実質的にそういうものの考え方を基本的に考える必要はなくて、別の計画という、まあ規制と申しますか、一つの基本的な考え方によって肩がわりできるならば、私はそういう時期がこの問題に取り組む一つの時期であろうというふうに思っているのでございまして、われわれとしては、現在の規制がございます以上、適正な運営をはかってまいりたいと思っております。
#95
○川俣委員 それでは、病床規制の撤廃は医療法七条の二の撤廃の法案を国会に出さなければならぬ。附帯決議を守ろうとすればこの法律改正を出さなければならぬので、その附帯決議を尊重するように事務当局がやっているかどうかのバロメーターは、来年に医療法七条の二を撤廃する法案を出す用意をしておるのかどうか、検討しておるのかどうか、それを確認すれば、あなたが附帯決議を尊重しておるかどうかわかるから。もしあなた方が出さなかったら、われわれは各野党に呼びかけて提案して、これはほかの委員に全部、与党であろうが何であろうが、附帯決議をした以上はこの法案を出さなければならぬ。検討しておりますか。
#96
○滝沢説明員 いまお答えいたしましたように、趣旨は十分了承いたしておりますが、地域医療計画というものの全体の強力な推進という問題を踏まえましてこの撤廃の問題を検討いたしたいということでございまして、地域医療計画の一つである僻地医療計画等に着手いたしておりますので、これらの実態を見きわめた上で取り組みたいと思いますが、現状の判断では、来年度は僻地医療計画を強化することについて党のほうからのお考えもいろいろ出てまいっておりますので、これらの関連において地域医療計画の充実をはかりたいと思っておりまして、この七条の二の撤廃という問題については、現状においてはそれとの組み合わせが十分できる見通しが立たない限り、私は法律上の手続として撤廃することについては困難であると思っております。
#97
○川俣委員 待てよ。すみやかに検討するということの附帯決議を実施するとすれば、医療法七条の二に手をつけなければだめなの。そうでしょう、大臣どうなんです。大臣は心ここにあらずの時間になったかもしれぬが、どうなんです。附帯決議というものを、国会の約束というのをそういうように思っておるのかな。それだったら何ぼルールをつくったってだめだよ。これは全然手をつけるあれはないというのはおかしいよ。これも検討の中に入れているというのなら別だ。こんなものは附帯決議とは全然関係ないのだ、それならちょっと認識不足だよ、それは。その程度で国保を通したのかな。それはちょっと問題だな。大臣、どう思います。これも含めて検討の材料にするというなら話は別だ。検討してみたらこれには手をつけなくても実質的にできるというなら別だよ。――大臣でなければだめだよ。
#98
○齋藤国務大臣 国会の決議は尊重するというのが私の基本的な姿勢でありますから、いますぐやれるかやれないかは別として、常に検討はしなければならぬ問題だと思います。
#99
○川俣委員 そうでしょう。局長、決議というのはそういうものですよ。
 それから先ほど大原委員のほうから大臣の考え方を述べてもらった政管健保の弾力条項、十一月一日からどのくらい大臣の権限を法律化しましたか。これを十一月一日から行なうというようにいま法律に定まる審議会にかかっておる。
 そこで大臣にちょっと聞きたいのは、国会との関係をあのときどういうように――文章にはなかなか出なかったかもしれぬが、文章に確認されたこと。大臣に答弁してもらう前に、事務当局は弾力条項を使う場合の手順を、手続を――これは事務当局の責務だ、どういうように判断しておりますか。それと現状の国会はこのとおり。こういうことの現実があるわけだ、このとおり。そうすると、現実の国会との関係をどういうように考えておるか。いつの国会にかけてもいいのだ、来年開かれるかもしれない国会に解散、選挙があるかもしれない、ところが弾力条項発動の大臣の権限のほうは絶対優先だから、ついでのときにかければいいのだと思っておるのか、その辺の感触を聞かしてもらいたい。
#100
○北川説明員 いわゆる弾力調整規定と国会との関係でございますが、これにつきましては昨年の健保法改正の際はもとより、その前廃案になりましたときの健保法改正の際にも、十分慎重な手続を踏んでこの規定は適用すべきものである、こういう御議論がございました。したがいまして、昨年の改正案の前のときとは違って、先般御審議いただきましたときには、この規定の適用につきましては、まず社会保険庁長官のほうから、財政の状況というものについてその収支不足が明らかになったときには厚生大臣に対して保険料率の変更を申し出るということが第一段階。それから第二段階といたしまして、大臣はそれに対して必要ありと認めた場合においては、社会保険審議会の議を経て、社会保険審議会の意見を聞いて変更ができるというようなことを御提案したわけでございます。
 ただ、いまお尋ねのとおり、非常に事柄が重要でございましたので、この問題は当院において「社会保険審議会ノ議ヲ経テ」というふうに修正をされました。なおまた、このように保険料率を変更いたしましたときは「速ニ其ノ旨ヲ国会二報告スベシ」ということで、締めくくりとして国会報告の義務が課されております。こういう事情で大体国会との関係は整理されておると思います。
 したがいまして、現在の状況を申し上げますと、社会保険庁のほうからの申し出がございまして、厚生大臣としては政管健保の収支が特に今回の診療報酬改定によって非常に悪化をしてまいりますので、それに対応するためにこの弾力調整規定を適用をして所要の料率引き上げを行なう、またそれに連動した国庫補助も行なうということで、現在社会保険審議会にその原案を諮問をいたしまして御審議お願い申し上げておるような段階でございます。
 なお、国会報告の件でございますけれども、これはただいま申し上げたとおりの法律の規定があるわけでございますから、しかもこれは当院の修正によってつけ加わったこともいま申し上げたとおりでございますので、審議会から答申をちょうだいいたしますれば、その結果によって保険料率の変更の告示を行なう予定でございますが、告示を行ないました場合には、すみやかに所要の手続を経て国会に報告をする、このように考えております。
#101
○川俣委員 そうすると、十一月一日が事務当局の期待だろう、十一月一日から実施するというのが。そうしますと、議を経て告示をして、告示と同時に国会に報告をして、そうすると十一月一日というのは実質的に無理だろうな。そういうように判断していいのか。それとも十一月一日に実施する、議を経なければ実施できない、それから告示をしなければ実施できない、国会に報告しなければ実施できないくらいに思っていますか。どう思っているか。
#102
○北川説明員 この実施の期日でございますが、諮問の中にも明らかなように、十一月一日からということでお願いをしております。十一月一日からということは、十一月分の保険料から適用するということでございますので、実際上の事務といたしましては十二月の報酬から十一月分の保険料は差っ引くわけでございますから、そういう意味合いで申しますと、いま先生がおっしゃいましたように議を経てということが、十月中と申しますときょうでございますけれども、きょうじゅうでなくとも十一月分の保険料からということであれば、いま申し上げました十二月の報酬から差っ引くということとの関係から申しますと、その辺のところは可能である、十一月にかかりましても不可能ではないということでございます。
 それからあとの国会報告の件でございますが、これはいま申し上げました条文から申しましても、先ほども申し上げましたけれども「政府ハ厚生大臣が前項ノ規定ニ依リ保険料率ヲ変更シタルトキハ速ニ其ノ旨ヲ国会ニ報告スベシ」こう書いてあります。したがいまして、「保険料率ヲ変更シタルトキ」というのは、いま申しましたように、議を経て答申をもらって、料率の変更のための所要の手続、告示を行なった、そのあと「速ニ其ノ旨」と申しますのは、まあおそらく、こういうふうに変更した、それについては、これこれこれこれの事情でこういった資料に基づいて変更したといったふうなことを明らかにして、だろうと思うのでございますが、そういうことで国会に報告するということでございますから、料率を変更したあとで報告をする、こういうふうに修正されました条文はなっておりますので、そのような運用をいたしたいと思っております。
#103
○川俣委員 大臣、次の委員会のことを理事会でいま検討しておるわけだ。それでその関係があるのだが、すみやかに国会に報告しなければならないということで、大臣、現実どうなるのだ。日程、スケジュール、それによって委員会を開く……
#104
○齋藤国務大臣 私はもうすらっと法律のとおりに措置する考えでございます。告示をしたあとに国会に御報告を申し上げる。
#105
○川俣委員 いつごろ。
#106
○齋藤国務大臣 告示をしてみませんと、これはいつといいましてもわかりません。
#107
○川俣委員 それから、時間がなくなりましたが、その話はまた理事会で少し検討したいと思います。
 国保の問題ですがね、一点だけですから。東北大会に大臣がお出になられて、かなりいいぐあいの話を、ごあいさつをされておりました。けっこうでございましたが、財政調整交付金ですが、いまこれはどこの自治体もそうだろうが、医療の無料化と高額医療と制度化によってかなり国保税が高くなって、たいへんに大騒ぎです。
 そこでいまの五%を、大臣のごあいさつがありましたが、この五%をアップする法律改正の用意をしておるか、そこだけ聞きたい。
#108
○齋藤国務大臣 国保の財政はもうお述べになりましたとおり非常に逼迫をいたしておりまして、この財政の基盤を強化するということは私は非常に大事なことだと思います。したがいまして、調整交付金の五%というのを率を上げるようにするか、あるいは額を上げるようにするかは別としまして、いまのような補助だけでは不十分である、私ははっきり申します。したがって、本年度においても補正ということになるのか、どういうことになるのか、この辺はわかりませんが、年度途中の診療報酬の改定、これに対処して国保の財政をどうするか、これは補正になるか予備金支出になるかは別としまして、何とかしたい、私はほんとうに強い決意を持っております。
 さらにまた来年度の予算においてもこの点を最重点に置いて、率の増率ということになるのか増額という形になるのか、そういう形は別として、いまのままで十分だとは思っておりませんから、財政の基盤の強化のためには最大の努力をいたすことをはっきり国会の場においてもお約束を申し上げたいと思います。
#109
○川俣委員 それから最後にもう一点ですがね、いまピンチに落ちた国保財政の結果、こういう弐さやかれ方がある。赤字にしておったほうが財政調整交付金が多く来るのだ、みすみす国保税を上げて黒字にしないで、赤字にしておこう、こういう動きが全国的にかなりある。それに対して、いや、そんなことはない、黒字であろうが赤字であろうが、計算上の交付金というのはどこそこの郡のどこそこの村に対する交付金は赤字、黒字にかかわらずやれるという仕組みになっておるのか。何%と、なるほどそういうささやきが裏づけになるような手続になっておるのか、この次の質問のためにその一点だけ事務当局から聞きたいのだけれども。
#110
○北川説明員 現在のこの調整交付金五%でございますけれども、これの交付のしかたは、先生も御承知のとおり財政力が弱い地方団体に対して交付する、こういうことで普通調整交付金を運用いたしております。
 そういうことでございますけれども、その普通調整交付金を交付いたしましても、結局、地方団体間のいろいろな財政の格差というものは非常に広がってくるということで、それを改善をするために、実は普通調整交付金ではない臨時財政調整交付金、今年度は三百五十億円でございますが、これを今年度は運用いたしまして、できるだけ先生がいま言われたような趣旨で公平な適切な配合をしたい、このように考えているわけでございまして、自後のことは、いま大臣から申し上げましたように、あらゆる角度から国保財政の健全化ということについて全力をあげたい、こういう所存でございます。
#111
○川俣委員 時間がありませんから、もう質問を要求しないで言っておきますけれども、だいぶ違うのだ。この臨時云々というやつは、さっき事務当局が説明してくれなかったが、なるほどこれは臨時云々という交付金があるから、地方によって赤字にしておいたほうが国の補助が多くもらえるんだという思想につながるよ。これはこの次の質問にしたいから終わります。
#112
○斉藤(滋)委員長代理 この際、午後二時まで休憩いたします。
   午後一時十二分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時三十一分開議
#113
○斉藤(滋)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続けます。坂口力君。
#114
○坂口委員 きょうは、交通遺児の問題をやらせていただく予定でありますが、大臣の都合がございますので、後半に回していただきまして、その前に一、二、現在のこの異常物価とその中にあえぎます年金生活者あるいは身体障害者等の問題を取り上げていきたいと思います。
 まず最初に、この身体障害者または児の問題でございますけれども、さきの七十一国会におきまして、いわゆる請願処理におきまして、医療費の無料化の問題がございました。その処理といたしましては、身体障害者の医療費については、いわゆる更生医療の給付で公費負担をしておりますが、心身障害者の一般疾病については、その医療費も心身障害者の福祉施策としまして公費負担をすべきである、こういう内容であったかと思います。総合的な医療保障施策の一環として行なうべきかについては、今後検討しなければならない問題であろうと思いますが、この身体障害者または児の問題におきまして、いわゆる五十年度予算の概算要求でどういうふうに反映されようとなさっているのか、この点をまず先にお聞きしたいと思います。
#115
○翁説明員 お答えいたします。
 ただいま御質問のございました身体障害者の医療費の公費負担につきましては、私ども身体障害者については、先ほど御指摘がございましたように、更生医療の面で一般的な更生医療、それから心臓疾患、あるいは人工透析という種類につきまして更生医療を行なっておりまして、その結果といたしまして、保険の裏づけを公費で見るということになっておるわけでございます。
 来年度の私どもの身体障害者についての医療費の問題につきましては、ただいま申し上げました更生医療の内容の充実ということを中心と考えております。一般的な身体障害者の医療そのものの公費負担につきましては、現在の医療保障制度全般の中においてなお今後検討を続けるということを考えておりまして、ただいまのところ、先ほど申し上げましたように、身体障害者につきましては更生医療を中心とした公費負担制度、こういうものを進めてまいりたいと考えておる次第であります。
#116
○坂口委員 検討もいろいろな段階があるだろうと思うわけです。去る七十一国会の請願処理の段階でございますので、それから半年たつかたたないかの間でございますから、その手順等の問題等もございますし、進みぐあいもいろいろであろうかと思いますが、この七十一国会の最後におきまして、一応この問題を今後検討していくということになっているわけです。いまお聞きいたしますと、五十年度予算においては非常にむずかしいというようなニュアンスの答弁であったというふうに思うわけですが、これは来年の予算に間に合う間に合わないは一応抜きにしても、この問題がどういう形で現在進行しているのかということについて、ひとつお話しをいただきたいと思います。
#117
○翁説明員 御承知のとおり、医療費の公費負担につきましては、ただいま老人について七十歳以上の老人の医療、それから小児につきましては、小児の慢性疾患、身体障害者及び小児につきましては、更生医療と育成医療というような面における公費負担制度があることは御承知のとおりでございます。それぞれの分野におきましてその範囲の拡大、老人につきましては年齢を六十五歳等に引き下げ、小児につきましては一般的な医療費の公費負担、それから、ただいま御指摘のございました身体障害者の公費負担制度、こういうような、それぞれ現在一部において行なわれ、あるいは自治体等で行なわれております医療費の公費負担につきまして、それぞれいろいろな形での要望あるいは具体的な自治体での実施状況というものがあることを承知しているわけでございます。特に身体障害者につきましては、御承知のようにそれぞれ身体障害の等級あるいは種類というようなものが現在法律でもきめられております。私どもといたしましては、その中で特に重度の身体障害児についてどのような形で医療費の公費負担というものを考えていくかということを中心に検討を進めていくということで、社会局に限って申し上げますならば、当該主管課を中心といたしまして、その面についての具体的な事例あるいは方法等について、いろいろと資料を集め、あるいは諸外国の制度等も十分参酌しながら研究をしているという段階でございます。
#118
○坂口委員 そういたしますと、要約いたしますと、社会局に限ってということばがございましたが、一般医療についても検討段階に入っていると、こういうふうに理解さしていただいてよろしゅうございますか。
#119
○翁説明員 受け取り方はそのとおりでけっこうでございます。
#120
○坂口委員 それからもう一つ、いつも問題になりますのは、身体障害者のいわゆる肢体不自由児のほうは、すでに更生医療、育成医療で公費負担がなされているわけでありますが、一方のいわゆる精神薄弱者のほうはなされていないわけです。この精神薄弱者のほうについて、どういうふうに来年度予算でお考えになっているか。われわれは精薄者のほうも肢体不自由児と同じように、これは生活苦あるいはまた医療費のかさむ中で悩んでいくことは同じであろうと思うわけです。この精薄者の育成医療あるいは更生医療の公費負担、こういった問題についてひとつ御答弁いただきたいと思います。
#121
○上村説明員 ただいまの社会局長のお話にもございましたように、育成医療と申しますのは、身体に障害のある子供の一般的な医療じゃございません。身体に障害のある子供が生活能力を得るための特別の医療でございます。たとえば先天性股関節脱臼のあるような子供に対しまして、手術をして、あとの障害を残さないようにするとか、あるいは口蓋裂のある子供に対して口蓋裂を縫い合わせて発声を可能にするといった、障害の除去、軽減を目的とした医療が育成医療でございます。
 精神薄弱児につきましては、先ほど来お話が出ております一般的な医療は別にいたしまして、身体に障害のある子供についての育成医療に見合うような医療は考えられないのじゃないか、むしろ精神薄弱の子供については、あるいは精神薄弱のおとなについては、その人たちが社会復帰するために施設で訓練をいたしますとか、あるいは通園施設に通って社会復帰の訓練をいたしますとか、そういったものが、何と申しますか身体障害児に対する育成医療に相当する社会復帰の手段ではないか、こういうふうに考えております。したがいまして、精神薄弱児をなおすための医療そのものは考えられませんので、来年度予算につきましては、そういったことについては考えておりません。
#122
○坂口委員 その育成医療、それから更生医療というもののいままでの肢体不自由児についての宗義からおっしゃるとそういうことになるだろうと思いますけれども、精薄者の場合も、治療というものをどういうふうな範囲内で考えるかによって表現は異なってきますけれども、しかしこの精薄者の場合もより社会に適応していくように指導するというようなことも含めれば、これは治療の範囲内に入ってくるのではないかと思います。いままでの肢体不自由児の場合の更生医療あるいは育成医療という範囲内で考えますと、少し意味合いが違いますのでちょっとお答えしてもらいにくいかもわかりませんが、もう少しそれでは公費負担という形で問わせていただきたいと思います。この精薄者の場合にも、私はいま申しましたように、その人たちが社会適応をしていくためのいろいろ精神科的な治療等も私は考えられるのではないかと思います。それから申し上げたいのは、精薄者の一般疾病についても、先ほど申しました肢体不自由児の場合と同じようにこの問題も今後検討されるべきではないかということをもう一つ申し上げたいわけですけれども、この一般疾病に至ります以前の問題といたしましても、精薄者には精薄者としての問題が私は精神科的にも含まれているのではないかと思うわけです。すべてが精薄者というのは何ら手を施すことのできない人格者であるという考え方というものは私はちょっとどうかと思いますが、どうでしょう。
#123
○上村説明員 さっき申し上げました育成医療というのは、肢体不自由児だけじゃございませんで、身体障害児全般の問題でございますから、たいて育成医療をやっておる、それと同じような意味で精神薄弱の子供をなおすといいますか、医学的になおすということになるのかあるいは教育学的になおすというんでしょうか、そういった事柄は、医療の給付ではなくて、先ほど来の繰り返しになりますけれども、その子供を精神薄弱児の施設に入れて治療、訓練をするとかあるいは私ども通園施設というのを普及するように一生懸命努力をしているわけでございますが、そこに通わせて社会復帰に必要な治療、訓練をしていくとかそういうことになるのじゃないかというふうに思います。
#124
○坂口委員 その辺の解釈の違いというものはあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、この精神薄弱者の問題が指摘されましてからかなり久しいわけでありますけれども、この精神薄弱者に対するそういう公費負担等の問題がいまなお旧態依然として進んでいないのが実情でございます。
 そしてこの問題、きょうあまり長くやる時間がございませんので、またあらためてやらせていただきますが、この精神薄弱者につきましてもう一つきょう議論をしなければなりませんのは、肢体不自由児につきましては国鉄等の割引制度というものがございます。しかしこの精薄者につきましては現在なおそれが認められていないという現実がございます。これはおそらく皆さん方のほうにも精薄者の親の会の皆さん方等から多くの意見が出ているであろうと思いますし、私どものほうにも多くの意見が寄せられているわけです。いままで国鉄のほうは財政的に非常に赤字であるというようなこともありますためか、新たに制度化することは困難であるという意見で今日に来ているように思うわけです。身体障害者、これは両方ともに行なうのが本意ではないかというふうに思いますが、この点につきましてひとつ意見を伺いたいと思います。
#125
○上村説明員 運輸省のほうからお答えいたします。
#126
○植村説明員 ただいまの件でございますが、国鉄におきましては現在精神薄弱者の、中でも一定の施設に入っておる者につきましては割引を実施させていただいておるわけでございます。先生の御質問は一定の施設に入っていない者も一般のその他の身体障害者と同様に割引をせよというお話ではないかというふうに考えるわけでございます。この問題につきましては、こういった割引措置の実施のやり方につきましては、一つはいわゆる内部補助、他の利用者の連帯責任というような考え方から、内部補助、いわゆる国鉄の責任において実施するというやり方が一つは考えられるわけでございます。現在の身体障害者につきましてはそういった方法で実施しているわけでございます。それから、もう一つのこういった問題の実施のしかたにつきましては、国の一般的な社会政策の中で実施するというやり方が考えられるわけでございます。
 内部補助でこういった問題について実施せよということにつきましては、本年十月一日実は運賃改定をやらしていただいたわけでございます。先般来、昨年から起きております諸物価の狂乱物価、それに伴います大幅ベースアップによりまして運賃改定を実施させていただいたわけでございますけれども、国鉄の財政状態はたいへんな状況になっておりまして、日夜われわれは頭を痛めておる状況でございます。しかも、これは通学定期も入るわけでございますけれども、そういった社会政策的な割引によります現在の割引総額というのは、国鉄一年間、四百五十億円をこえているような状況でございまして、現在の状況ではとてもこういった国鉄の責任において実施するということは非常に困難な状況になっているわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、やはり社会政策一般の問題としてこういった問題は考えていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
#127
○坂口委員 それじゃ国鉄のほうにお聞きをしたいと思いますが、いわゆる肢体不自由児の方のほうはいままで割引制度をおやりになっているわけでありますが、現在、一年間、一番最近のものでけっこうでございますが、たとえば四十八年度ならば四十八年度にこの割引等に要した金額、そういったものが、こまかいデータがございましたら、ひとつお示しをいただきたいと思います。
#128
○翁説明員 現行身体障害者の割引につきましては、ただいま御指摘ございましたように、国鉄につきましては、四十七年度の年度でございますが、利用人員が約百七十六万、割引の額が十億円でございます。
#129
○坂口委員 そういたしますと、いわゆる精薄者がもしも認められたと一応仮定しましょう。認められた場合に、精薄者の人数等から推しまして大体どれぐらいが必要だというふうに踏んでおられますか。
#130
○植村説明員 精神薄弱者の割引でございますが、これは運賃改定になっておりますので、最新のデータを持っておりませんけれども、四十七年度の価格によりますと、身体障害者と同じような割引をいたしますれば約六億円でございます。身体障害者の四十七年度の総額は十一億四千万円でございました。
#131
○坂口委員 それは、精薄者は大体何人ぐらいに見積もっておられますか。
#132
○植村説明員 約三十六万です。
#133
○坂口委員 肢体不自由児の場合とそれから精薄者の場合と、人数によってそれをそのままこの額にするということも、比較する場合に少しむずかしい問題もあろうかと思いますけれども、一応いまおっしゃった四十七年度の分、百七十六万人の利用で十億円ということですね。肢体不自由児の場合はかなり人数も多いと思うわけです。肢体不自由児の場合には人数は大体何人ですか。百万ぐらいございますか。
#134
○翁説明員 お答えいたします。
 正確な数字で申し上げかねるのは遺憾でございますけれども、肢体不自由児、身体障害者合わせまして、約百三十万でございます。
#135
○坂口委員 そういたしますと、百二十万の中で使われる人と使われない人とあるわけでございますが、一応百七十六万人の利用者があって十億田というのが出ておるわけでありますから、三十六万人の精薄者、このうちでまたお使いになる方があると思うわけでありますが、これは六億円という試算は少し高過ぎるのじゃないですか。
#136
○翁説明員 御承知のとおり、ただいまの身体障害者、肢体不自由児の現行の割引制度は重度の場合には一応国鉄のほうでおきめになった重い、身障の一級、二級程度に限られております。それからまた、介護人をつけて乗ることになっております。それから、軽い方の場合には百キロ未満については、割引をしないというようなことがございますので、これを精神薄弱者、あるいは精神薄弱児にどのような形で実施するかということによって国鉄側が試算される場合の額も、若干いろいろな要素によって分かれてくるのではなかろうかというように思われますので、御参考までに私のほうから申し上げます。
#137
○伊江説明員 ちょっと補足させていただきたいと思いますが、ただいま厚生省のお答えのとおりでございますけれども、かりに身体障害者と申しましても、ほとんど独歩できない患者の方だと思います。したがいまして、先ほど一般的な身体障害者の方で独歩できます患者さまと、それから介護者をつけなければ旅行できないという方との運賃の取り扱いが違っております。したがいまして介護者を要する方につきましては重症度の患者でございますので、たとえばリハビリテーションにお通いになる定期乗車券の割引、あるいは回数券、急行券そういったもの全部含めての割引額が相当に大きゅうございます。したがいまして、かりに精神の障害薄弱の方がほとんど独歩できませんので、この方々が全部介護人を供にしての通園なり、あるいは旅行なさるときの計算をいたしますと非常に高い割引額の適用になる、こういうことで先ほどの運輸省から申し上げました額になるわけでございます。
#138
○坂口委員 この問題で、そう時間をとったらぐあいが悪いわけですが、精薄者の場合には、それほど治療等で連日お通いになるというようなことは肢体不自由児の方に比べれば、これは私は少なかろうと思うわけであります。そういう意味で先ほど六億という試算はいささかオーバーな試算のような気もするわけでありますが、しかしそれは私も決して試算をしたわけではございませんで、一応お示しいただいたような六億円が、もしかりに要るといたしましても、これは国鉄が大きな赤字であることは私どももよく承知をいたしておりますけれども、しかし、それでもなおかつ、やらなければならない問題はどうしてもやらなければならないわけであります。現在国鉄の中でも非常に赤字であるけれどもやらねばならない問題はやはりそのままおやりになっているわけであります。ですからこの身体障害者あるいは精薄者の人たちについては、どうしてもやはり手を差し伸べなければならないという認識があるかどうかのこれは問題だろうと思うわけです。これは単なる金額六億だけの問題ではない。それでいままで判で押したように、これはできないというようなことできたわけでありますけれども、しかしいつまでもそういうふうに判で押したようにできないで突っぱっておれるような、そういうときではないと思うわけです。社会全体のあるいは政治全体の流れが弱い立場の人々に手を差し伸べる、そういう方向にどんどん進んできている現在、したがいまして、少なくともこの精薄者に対しましてもあたたかい手を差し伸べる割引制度の検討というものにぼつぼつ具体的に入っていい時期ではないか。その点何にも全然やる気がないとおっしゃるのか、いやもうぼつぼつ、いますぐにはできないけれども、いろいろの面で検討していく段階であるとお答えになるのか、その辺のところどうなんでしょう。
#139
○上村説明員 いまお話になりましたように、身体障害児、精神薄弱児、身体等を含めました心身障害者の福祉の問題につきましては、心身障害者対策基本法の中にもそういう努力規定があるわけでございます。私ども国鉄の事情もいろいろ伺っておりますけれども、かねてからこの問題につきましては実現するようにお願いを申し上げておる、こういう状況でございます。
#140
○坂口委員 運輸省のほうどうでございますか。
#141
○植村説明員 この問題につきましては、先ほど申し上げましたように国鉄の財政の状態がいろいろ極度に逼迫しているような状態でございまして、いろんな要求、実は社会政策的な要求もほかにもたくさん出てまいっておるわけでございまして、そういった問題含めまして、やはり国の社会政策の一環として、関係省と十分今後も詰めていきたい、こういうふうに考えます。
#142
○坂口委員 いつもこの問題出ましたときに、関係各省といろいろ検討を重ねていくという段階で終わりになるわけでありますが、それが具体的なスケジュールになかなかのってこないわけです。そこでこれはただこの委員会での答弁だけに終わるのではなしに、これはひとつほんとうに各省との連携のもとに、特に国鉄等も加わっていただいて、具体的にこれはどうするかという詰めをもうぼつぼつやってもらってもいいころだ。これはいまは精薄者の問題に限りましたけれども、もう少しワクを広げていただいて、これはほかの内部疾患の問題等もおそらく出ているだろうと思います。そういったすべての段階を踏まえた上でのこれは検討でも私はいいと思うわけでありますが、そういった段階に、もうどうしてもこれは入ってもらわないと、いつまでたったってそういうふうな答弁では困るとぼくは思うわけです。これは皆さんだけに申し上げていたのではありませんで、これは大臣が見えましたら大臣に言わなければならないことだろうと思いますが、一応その辺のところで御決意だけ伺って、次の問題に移りたいと思います。
#143
○上村説明員 先ほどお答え申し上げましたように基本法にも定めがございますので、その実現のために努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#144
○坂口委員 それ以上のお答えが出ませんのでやむを得ません。大臣見えましたら一言この問題に触れるといたしまして、次に移らしていただきます。
 これは年金のほうの問題でございますが、老齢福祉年金をおもらいになっている方があるわけでありますが、この老齢福祉年金をおもらいになっている方が、その近所にいわゆる国道ができるというような事例がございました。そこで国道ができるために、その屋敷の一部分が国道に取られる、こういったことはどこでもよく起こることであろうと思うわけです。現在、私のところに届いておりますのもその一例でございまして、これは三重県の亀山市の方から届いた問題でございますが、この方は河村権四郎さんという方でありますけれども、この方も老齢福祉年金をおもらいに九っている方です。今回そこに国道が建設されるということで、やはりその土地の一部を買い上げられた。そのときにそれに賛同なすったわけでありますけれども、その金額、この人の場合には六百万円ぐらいの金額になるわけでありますけれども、その時点でこの老齢福祉年金が切られてしまった。これは本人が好きこのんで売ったわけではないわけです。自分の地所として持っていたものを、公のものができるというので提供をした、それに対してそれが金銭にかえられた。その時点で福祉年金が切られるということが起こってくる。この人の場合はまだ六百万円でございますけれども、わずか六十万円くらいのところで、土地の一部を、ほんとの一部を提供しただけで切られたというケースも起こっているわけです。公的なものができます場合に、税金等も二千万円まで免除になっているわけです。こういうふうな制度下にありながら、老齢福祉年金が切られるというのはあまりにも片手落ちじゃないかという御意見が来ているわけで、私もまた、これはもっともだと思うわけです。この点につきまして御答弁をしていただきたい。
#145
○曾根田説明員 いまお話しのありましたように、土地収用等に伴って補償金が出た。その場合に、もちろん代替地の取得等の経費は控除されるわけでありますけれども、その場合でも剰余等があれば、先生御指摘のようにいまの年金法上はそれが所得とみなされる。これは確かに自分の自由な意思で処分したそれに伴う収入ではございませんので、税法でも特別の取り扱いをしておるようでありますから、所得とみなすことについて検討が必要ではないかというふうに考えておりますので、できるだけ早い機会に関係省庁と折衝をして御期待に沿うような回答を出したいと考えます。
#146
○坂口委員 大臣、いまちょっと質問いたしておりますのは、老齢福祉年金をもらっておみえになる方が、近所に国道が通りますために、その土地の一部を提供する、それによって何がしかの代金が入る、そうすることによって御本人の老齢福祉年金が切られる、こういう点です。これに対しまして、あまりにもそれは過酷ではないかという意見が寄せられておりますし、私もそれはもっともだということで、いまこの問題の質問をしておるわけです。今後この問題については検討を早急にする、そしてこういうふうなことが避けられるような方向にいくというふうな御答弁であったというふうに思うのですが、大臣に一言だけこの問題をお聞きして、次に進みたいと思います。
#147
○齋藤国務大臣 非常にむずかしい問題でありますが、ひとつ十分検討いたします。
#148
○坂口委員 大臣のほうが少し後退したような答弁でございます。決してむずかしい問題ではなくて、税金等も二千万円までは免除されるわけです。そういうふうな条件下にあるにもかかわらずこの福祉年金等が切られるというのは、これはちょっと理屈に合わないというふうにぼくは思うわけです。これはむずかしい問題じゃなしに、そのくらいの問題は片づける、こういう御答弁で返ってくるだろうとぼくは思ったのですが、これはいまも政府委員の方から御答弁がありましたので、重ねて申しませんが、ひとつ早急に御検討をいただいて、こういうふうなことが起こらないようにお願いをしたいと思います。
#149
○齋藤国務大臣 早急に検討をいたしまして解決をいたしたいと思います。
#150
○坂口委員 それでは、大臣がお見えになりましたので、交通遺児の問題につきまして質問をさせていただきたいと思います。
 先日の新聞あるいはテレビ等で交通遺児家庭の生活の実態調査が報ぜられまして、その現状に対しまして多くの人が心を痛められたであろうと思うわけであります。私もあの記事を拝見をして、非常に心を痛めた一人でございます。
 昭和三十五年後半ぐらいから、いわゆる高度経済成長下におきまして自動車産業が非常な発達を遂げました。一方におきましては、大気汚染でありますとか、あるいは騒音、振動等の公害問題あるいは交通渋滞等の問題が起こります一方におきまして、連日この交通事故者が出ました。戦後いままでその死亡者は三十万をこえたといわれておりますし、負傷者は一千万をこえたというふうにいわれております。また、親を失ったいわゆる交通遺児は十万以上にものぼったといわれております。しかも、こうして私がこの問題を取り上げさせていただいておりますこの最中におきましても、前の道路におきましては救急車が走っておりますように、あちらこちらで事故が多発をし、一日に平均して三十人もの交通遺児が生まれてくる状態にある現状でございます。おそらくいまも全国のどこかでそういった不幸な方ができているのではないかと思うわけであります。この交通遺児の問題につきまして、先日、交通遺児育英会のほうでおまとめになりましたものは、もう詳しく申し上げるまでもなく、大臣はじめ関係委員の方もごらんをいただいたことであろうと思いますが、かいつまんでその結果をここに申し上げまして、これからの議論の資料にさせていただきたいと思うわけであります。
 いわゆる交通遺児家庭は、父親をなくした家庭が九割、そうして母親をなくした場合が一割でございます。しかも、そのなくなった父親の年齢は、三十代が五〇%をこえて五四%を占めているという現状であります。四十代を含めますと、八〇%が三十代、四十代に集中しているという特異的な現象がございます。これは他の疾病等に比べますと、もちろん三十歳、四十歳でも他の疾病でなくなられる方もあるわけでございますけれども、三十ないし四十のところに八〇%もの山がここに一つできるというのは、これはほかの疾病等では考えられない特異的な現象ではないかと私は思うわけであります。ここにこの交通遺児問題の大きな問題がひそんでいると思うわけであります。
 しかも、そのなくなられた方は賃金労働者が五〇%近くを占めておりますし、農林漁業者を含め、あるいは自営業者の三〇%を含めますと、これもここに八〇%の数字を見るわけであります。そのあとに残されました人は母親と二人の子供というのが平均値として出されております。また、残されました母親の収入を見ますと、四万円台というのが最も多いところにありまして、一五・八%が示されております。わが国の常用労働者の平均月収は九万円弱といわれておりますから、ここにも非常な差が出ているわけであります。このあとに残された母親は、したがいまして、からだに非常な無理がきて、からだが弱い、病気がちという人が約三〇%、その三分の一近くを占めているのが現状でございます。また、もう病床についているという方も一%ございます。
 また、事故による家族構成の変化を、この調査の結果から見せていただきますと、子供を連れて実家に帰ったという方が約一〇%を占めておりまして、子供を親戚に預けたとか、あるいは施設に預けたというような人を含めますと一四%になります。実数で申し上げますと、全国のすべての交通遺児家庭についていえば、一万一千人の子供が母親の実家で暮らし、二千百人から三千人が親戚や施設に預けられて、五百五十人から八百人が養子として出されている、こういう数字がここに示されたわけでございます。
 そして、この交通遺児の悩みを聞いておりますが、これによりますと、精神的な悩みが約九〇%、経済的な悩みが約五〇%という数字が示されております。非常にきびしい経済状態であるにもかかわらず、経済的な苦しみもさることながら、精神的な悩みが九〇%ここで示されているというのは、まことに胸の痛む思いがするわけでございます。
 そして、高等学校、あるいは大学への進学の変更、退学、休学等が合計二〇%という数字で示されております。
 また、生活保護を受けておみえになります方を見ますると、七・九%でございまして、全国の保護率の一・三%から比べますと約六倍の高率になっております。
 また、あとほしい最小限の金額を聞いておりますが、その答えでは、あと三万円あったらというのが二七・一%、あと二万円あったらというのが二六・八%という数字が示されているわけであります。非常に苦しい中で、なおかつ大きな数字を言わずに二万円、三万円ということばを出されているところにも、われわれこの問題にもっと大きな目を開かなければならない点があろうかと思うわけであります。
 まずこういうふうな背景の中で質問をさせていただくわけでありますが、交通遺児に対しまして、いわゆる交通遺児育英会から奨学金が出されておりますけれども、この奨学金が出されます場合に、その家庭が生活保護を受けておりますと収入認定とはしないという一応の話があったというふうに聞いておりますけれども、全国あちらこちらでこれが収入の一つに入れられているという事実がこの調査の中でわかってきているわけであります。この点につきましてどのようなお考えをお持ちになっているのか、まずお聞きしたいと思います。
#151
○翁説明員 お答えいたします。
 ただいま御指摘のございました被保護家庭において交通遺児をかかえられた場合に、その交通遺児の方が奨学資金を受けている、これは生活保護上収入認定しないことになっているがどうか、こういう御趣旨だと存じます。全くそのとおりでございまして、私どもといたしましては、おおむね高等学校に通っておられる場合が多いわけでございますが、その場合、育英会からまいります奨学資金は遺児の育英資金として収入認定をしないという方針で都道府県を指導しているわけでございます。
#152
○坂口委員 そういたしますと、現在あちこちで収入認定されているという話が出ておりますのは、これは行政指導が行き渡っていなかった、こういうことでございますか。もしもそういうことならば、これは今回新しい通達等をお出しいただいて徹底して、全国にこれが行き渡るように、ひとつ配慮をしてもらいたいと思います。
#153
○翁説明員 私どもの指導がかりに不十分でありますならば、これは十分改めてまいらなければならないと思います。
 なお、収入認定をしないものにつきましては、すべて、毎年保護の実施機関でありますところの福祉事務所等に対しまして、ブロック会議あるいは通知等をもって個々に具体的な事例をあげて指導しておる実情でございます。
 ただいま御指摘のございました育英会のいわゆる育英資金がそのまま収入認定になったかどうかについては、なお私どものほうでも調べさせていただきたいと思いますけれども、かりにその他の収入があった場合合算をしてあるいはその収入認定を誤解されている点がないとも限りませんので、私どものほうの指導が不十分であります点は十分改めますけれども、なお誤解のないための指導を今後とも十分進めてまいりたいと存じます。
#154
○坂口委員 それからもう一つ、運輸省の外郭団体であります自動車事故対策センターがございますが、ここでは零歳から中学卒までいわゆる育成金としまして、一時金として六万円、月額の育成金でありますと五千円が貸し付けられているわけであります。この制度がなぜ育成金として貸し付けられているかということにつきましてはいまさら申し上げるまでもないと思うわけでありますが、この育成金の場合にもやはり生活保護の収入認定等なされているケースがあるわけであります。これはあとで返すものでございますから、これも私は納得のできないものだと思いますが、その点いかがでございましょうか。
#155
○翁説明員 御承知のとおり、生活保護の大原則の中に、自立更生を目的とする貸し付け金等については収入認定をしないという大きなワクがございます。ただいまお示しのケースにつきましても、当省といたしましては収入認定しない方向で指導しておりますけれども、これもなお誤解あるいは不十分な点がございますならば、今後十分改めてまいりたいと存じます。
#156
○坂口委員 この交通遺児の問題につきましては多くの問題がほかにあるわけでございますが、大臣、いま申し上げましたようなことがこの調査等からかなり全国的にあちこちで見られるわけでありますので、この点、今後こういうことがないように、ひとつ御配慮をお願いしたいと思うわけであります。ひとつ御意見を承って、そして次の交通遺児の問題に移りたいと思います。
#157
○齋藤国務大臣 交通遺児の方々についてのお尋ね、一家の働き手を失った場合、これはほんとうにたいへんだと思います。したがって、そういうふうな方々に対する育英資金の貸し付け、そういうものが収入認定される、どうも私、理解できないわけでございまして、どうもまだ十分趣旨が徹底していないようでございますから、今後は十分趣旨を徹底させるように努力をし、こういう方々にあたたかい扶助の行き渡るように努力をいたす考えでございます。
#158
○坂口委員 この育英資金の問題でございますけれども、この六年間で約二億二千万円になっているというふうに承っております。現在のこの交通遺児育英会の育英資金として要ります金が年に約六億円。そういたしますと、現在国から出ております、額は前年度は一億円というふうにお聞きをいたしておりますが、この六年間全部合わせましても二億二千万円で、だんだんと額がふえてきているわけでございます。
 そこで、こういうふうな非常に働き盛りの、と申しますか、子供たちが非常に小さな、小学校あるいは中学校ぐらいのときに父親をなくした、そういう家庭でありますし、急激に収入の道をなくしてそして生活保護の家庭にならざるを得ない、そういうお子さんでありますので、これはどうしても奨学金等を、額あるいはその人数等においても今後積極的にふやしていく責任があると思うわけであります。なぜなら、ほかの疾病等でももちろんおなくなりになる方がありますし、これと同じ結果が生まれるわけでありますけれども、自動車の場合は、まあ自動車に限りません、交通事故の場合には、これは非常な日本の高度成長下においてたいへんないわゆる交通行政の一つのひずみとしてあらわれたということにおきましては、いままでの単なる疾病における死亡とは違った意味をここに見なければならないと私は思うのであります。そういう意味で、この交通遺児育英会の奨学金制度に対して国はもう少し積極的に取り組むべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
#159
○翁説明員 生活保護の立場から申し上げますと、いまお示しの点は多く母子家庭ということになるわけでございます。最近の統計等から見ましても、保護世帯の約一割に近い数字が母子家庭になっております。その中で、ただいまお示しのように、交通事故によって父あるいは母親をなくされた遺児が多いということも十分想像されるわけでございます。保護の原則といたしましては、御承知のとおり、無差別かつ公平に困窮の状態に応じて保護するということにたてまえはなっておりますけれども、母子家庭ということ、特にその場合の自立更生というようなことを着目いたしまして、たとえば損害賠償金が入った際のいわゆる自立更生のために必要な経費を大幅に収入認定する、あるいは母子加算については御承知のとおりな加算制度を加える、それから資産の認定にいたしましても、社会通念上しかるべき範囲におきましては、たとえばカラーテレビ等は教育上必要であるということで、資産として認めるというような配慮をしております。なお、今後とも公平の原則の中におきまして、ただいま申し上げたような施策を進めていきたい、かように考えております。
#160
○坂口委員 あと時間が十分くらいしかなくなってしまったわけでありますけれども、ちなみに申しますと、四十九年の三月末現在で、この資金は三十五億一千万余が寄付として集められております。財界から十八億七千三百九十六万円、それから国民運動募金で十億三千四百二十二万円、それから公営の競技団体あるいは日本宝くじ協会等から四億八千二百八十八万円、政府補助金としまして一億二千万円という数字があがっているわけであります。それで今年度は一億円これにプラス去れたということでありますので、いままでに比べますと年々上がってきているとは思いますけれども、しかし、最近のこの狂乱物価等を考えますと、その中で非常に過酷な生活をしいられております家族、そのことを思いますと、どうしてもしの子供たちを高等学校あるいは大学に上げてやるためには、いままで考えられなかったような額がやはりここに必要になってくるわけであります。したがいまして、これは大臣からこの問題に対する積極的な意見をひとつお出しをいただきたいと思うわけであります。すべてが政府からの補助金でまかなわれているわけではございません。いま申し上げましたように、他の多くの浄財等が含まれてなされているわけであります。しかし、政府の補助金も、ただ浄財だけにたよるというのじゃなしに、これはやはり積極的な姿勢を示すべきだというふうに思いますが、いかがでしょう。
#161
○齋藤国務大臣 お述べになりましたこと、私もまことにごもっともだと思いますから、そういう方向で努力するように、これは総理府の所管でございますが、総理府のほうにもよく連絡をとりまして、努力をいたします。
#162
○坂口委員 総理府とはいいますものの、厚生省としましてもこれは非常に関連の大きいものでございますので、厚生大臣としての立場から、どうしてもこういったものについては深い理解を示すべきだということを申し入れてもらうべきだと弔うわけです。
 そのほか、交通遺児手当が、これは市町村段階でありますけれども、かなり出されているところがございます。出されていないところもあると聞いております。これの実情、そちらにわかっておりますか。
#163
○翁説明員 そういう手当があるということは承知しておりますけれども、中身の詳細については私ども承知しておりません。
#164
○坂口委員 手当があるということだけは知っているぐらいではたいへん心もとない話でありまして、これも厚生省の管轄じゃないのですか。
#165
○翁説明員 手当自体につきましては、市町村のそれぞれの住民対策の一環として行なわれているように承知しております。
#166
○坂口委員 所管としては……。
#167
○翁説明員 しいて申し上げれば自治省でございますけれども、民生関係で、厚生省ももちろん関係あることだと存じます。
#168
○坂口委員 こういうふうな方策もただ市町村段階にまかせておくだけではなしに、やはり厚生省としても態度を明らかにして、積極的に行政指導等も推進されるべきだと思うわけです。まあ境界線の問題で、こちらもわかりにくいということをおっしゃるかもわかりませんけれども、しかしこの交通遺児手当等の問題もすでにできてから久しいわけでありますし、もう市町村段階にまかしておく段階ではなしに、やはり国がこのことを真剣に取り上げて検討していかなければならないときに来ていると思うわけです。そういうふうな意味から、これは他の省との境界線上のものであるかもしれませんけれども、われわれのほうには少し関係が薄いので知らぬという態度じゃなしに、ひとつ積極的に取り組んでいただきたいと思うわけです。それからそのほか、たとえばこれも建設省等とのからみの問題であろうかと思いますが、公営住宅の優先入居の問題でございますとか、あるいはまた保育園への優先入所等の問題があろうかと思います。たとえば保育園等の優先入所の問題は、厚生省の管轄でありますし、やろうと思えば積極的にやれる問題であろうかと思います。やはりこういった家族は、残された人の中で、おもに母親でございますけれども、どうしても働かなければ食べていけない家庭でございますので、こういった点については格別の配慮をすべきだと思いますが、その点についていかがです。
#169
○上村説明員 先ほどお話しになりました交通遺児手当の問題、あるいは交通遺児について保育所優先入所というお話、その点だけではごもっともにも思うわけでございますけれども、私ども国の行政として取り組んでおります場合に、一つは父親のない子供について、その原因を問わず児童扶養手当あるいは母子福祉年金というものを支給することによってできる限りその生活の安定をはかっていきたい。つまり原因は一応のけまして、その置かれた状態に着目してやるべき筋合いのものじゃないか。
 それからもう一つ、保育所の問題でございますけれども、御案内のように保育所というのは、そのおとうさんなりおかあさんが働いておる、あるいはおかあさんだけでおかあさんが働かなければならないという事態に着目をして保育所に入れるわけでございますから、「保育に欠ける」という法律上の条文を適用いたしまして、そして保育所の定員に限りがあります場合にどれを優先するかというと、原因じゃなくて置かれた状態に着目して考えなければならないのじゃないかと思います。ただ実態問題として、交通遺児の場合にはおかあさんが残されて働かざるを得ない、しかも所得も低いという実態が多いと思いますから、保育所に入所する機会がほかの場合よりも多くなるというふうに考える次第でございます。
#170
○坂口委員 もうこまかなことを申し上げているひまがありませんけれども、原因をたとえのけたとしましても、交通遺児家庭というのは非常に過酷な層に当てはまる状態に多く置かれているということを先ほどから言うたわけです。したがって当然、この家庭についてはそういうふうな状態になりやすい家庭でありますから、その時点でまだそこまでは落ち込んでいかなくても、今後落ち込む可能性というものを非常に多く持っているということも考慮の中に入れて、当然そういった方向の中に入れていくべきではないかということを申し上げているわけです。
 それから、その前の交通遺児手当等の問題につきましても、いまお答えになりましたように、これは全体を含めての問題だと言われれば、確かに全体を含めての問題でありますし、母子家庭全体の問題でありますが、その母子家庭の問題全体がいま進んでいないわけです。ここで取り上げておりますけれども、はっきり申しましていままで進んでおりません。その中で、この交通遺児の問題は、同じ母子家庭の中の問題ではありますけれども、先ほどから述べておりますような非常に特異な立場にも置かれている、そういった面からこの交通遺児の問題を一番先頭にして、そして全体の母子家庭の問題に今後積極的に取り組んでいく方向に持っていってもらいたいということを言っているわけです。その点、もう時間が参りましたのでやめますが、この交通遺児に対します大臣の心からの、今後の方針等についての意見をひとついただいて、終わりにしたいと思います。
#171
○齋藤国務大臣 交通遺児の家庭の多くは母子家庭でもありましょうから、非常に生活も苦しいと思います。そういうわけでございますから、今日までできるだけの努力はいたしてまいっておるつもりでございますが、今後ともあたたかい手を伸べるように努力をいたします。
#172
○坂口委員 ありがとうございました。
#173
○斉藤(滋)委員長代理 田中美智子君。
#174
○田中(美)委員 まず最初に、車いすの問題について質問いたします。
 来年度の概算予算を見ますと、電動車いすを新規ということで生活用具として給付するというような計画が出ておりましたけれども、その計画と内容について、時間がありませんので簡潔に答えていただきたいと思います。
#175
○翁説明員 概算要求の中身といたしまして、リューマチあるいは重度の脊損の方に対する電動車いすの要求を出してございます。中身はまだ決定しておりませんので、概算ということで御承知おき願いたいのでございますけれども、数にいたしまして四百四十六台でございます。
#176
○田中(美)委員 これはどういう方に支給していただけるわけですか。
#177
○翁説明員 対象といたしましては脊髄損傷で頸椎を損傷されている方、したがいまして、手の握力の非常に少ない方、それからリューマチの疾患で、やはり手の筋肉が自由にきかない方、それから進行性筋萎縮症の方で、これも普通の車いすでは動きがとれないという方を対象としております。
#178
○田中(美)委員 大体何人ぐらいの対象者があるというふうに厚生省は踏んでいらっしゃいますか。
#179
○翁説明員 実は身体障害者全体についての数字が昭和四十五年の調査をもとにいたしております。五年に一回調査をいたしますので、それで来年、五十年にはある程度正確な数字が出ますけれども、要求段階におきましては、精密な数字が出ませんので、全体の対象者全員の数字を一応二千五、六百ということで考えております。
#180
○田中(美)委員 その二千五、六百という数字は一体どこから出されたのか、非常に疑問に思いますけれども、私の調査したところでは、普通の車いすではなく、電動車いすで大体二、三万の対象者がいるというふうに私は踏んでおるわけです。ですから、四百四十六台をどういうふうに分けるかということは非常に疑問な点だと思うのです。これを新規として取り上げたということは一つの非常に進歩だというふうに思うわけです。ただそのときに、なぜ生活用具であって補装具でないのか、その点を……。
#181
○翁説明員 ただいま御指摘になりましたまさにそのとおり、電動車いすにつきましては、これを補装具と考える考え方も確かにできるかと思います。ただ、御承知と存じますけれども、ただいまの段階での電動車いすの開発の状況が必ずしも完成された形になっておりません。開発されております会社等におきましてもいろいろな型式がございます。したがいまして、私どもといたしましては日常生活用具、このほかにもいろいろございますけれども、その一環としてまずこれを使うということに重点を置きまして、御承知のとおり補装具はまさに手足のかわりになるものでございます。そして対象者の方々が手足のかわりになり得るような状態に一日も早くする、した段階においては補装具として十分使っていただけるように持ってまいりたい。ただいまの段階では、日常生活用具としてともかくも予算的な措置をとることに重点を置いた、かように考えておるわけでございます。
#182
○田中(美)委員 初めから生活用具の中に入れないで、これはもともと補装具だというふうにおたくは考えられておると思うのです。ただ、当分まだあれでないからこちらにというふうに言われる理屈は、補装具というのはからだの一部なんですから、足が歩けない方にとっては、普通の車いすが全部補装具になっておるわけですから同じことなんですね。より手の動かない人というのが対象になるわけでしょう。だから手と足のかわりになるわけですね。ですから、からだの一部です。生活用具というのはからだの一部ではなくて、ふろおけだとかベッドだとか、家具の一部であったり、そういうものが生活用具なんです。ですから、初めの分類を誤りますと――ただ補装具にすると非常に数多く出さなければならない、そういう予算の関係があるならば、考え方というのはやはり補装具であって、その中で、まだ最初だからこれだけのところでやっていくのだというふうにきめないと、初めから別の項目の中に入れるとあとで非常に矛盾が起きるというふうに思うのです。ですから、ぜひこれを補装具のほうに入れる。せっかく新規でこういうことをやるわけですから、初めに出発点を誤りますと、よく言う話ですけれども、最初ボタンをつけ間違いますと最後まで間違えるわけですから、生活用具で出発すればもうおかしいわけですよ。義足や義手と同じものなんですから、それを生活用具に入れる、ふろおけと同じに考えるというのはおかしい。そういう点で、やはり予算の点というものがあると思いますけれども、補装具に入れておいて、それに条件をつけて、それをだんだんと取り払っていくという改善の方向に持っていくべきじゃないかと思うのです。この点について大庭はどうお考えになりますか。
#183
○翁説明員 ただいま御指摘がございましたように、確かに日常生活用具としては便器であるとかあるいは電動タイプライター、こういったものが入っておることは事実でございます。考え方の問題、確かに、おっしゃるようにこれを補装具と考えることもできないことはないと私は思います。ただ、現在の段階、私どもが考えましたのは、先ほども申し上げましたように、まだこの開発の状態が完成の時期に来ていない、それからいわば試みの時期ということもあろうかと思います。したがいまして、脊損あるいはリューマチ等の非常にからだの不自由な方がこれを手足がわりに使うのには、まだその開発の状況が至っていないということで、これを日常生活用具にしただけでございまして、そういった点につきましては今後の開発の状況、それからなお補装具にすれば予算で云々ということの御指摘がございましたけれども、これは補装具の予算も年々ふえておりますことでございますし、必ずしもそれだけにこだわったわけではございませんので、念のために申し上げておきます。
#184
○田中(美)委員 できないこともないならば、やはり補装具にすべきだし、それから、開発、開発とおっしゃいますけれども、いまのこういう電動車いすのほしい方というのは実際には働いていないわけですから、お金がないのがあたりまえの方たちですよ。そういうふうに考えますと、買う人がいないのにどうしてメーカーがつくりますか。買う人がいるようにしてこそ初めてメーカーが大量につくるわけなんですから、補装具になればこれはもうメーカーは手ぐすね引いて待っているわけですよ。そうなってくれば大量につくる。そうすれば安くもできるし、いいものもできる。これも地球で初めてつくるわけじゃないのですから。デンマークだとかスウェーデンなどというものは無償で全部くれているわけです。貸すのじゃないですよ。それも一台じゃなくて、家の中、それから外を歩くもの、それからつとめて会社でまたするのと、三台支給しています。それからイギリスなどでは、三輪自動車をそういう方にはちゃんと支給しているわけです。そういうことは厚生省は十分御存じなはずですから、それがまだ開発途上なんという考え方は、日本は社会福祉の点ではまさに開発途上国だということを厚生省がお認めになったということになると思うのです。日本はそうではないならば、スウェーデンやデンマークと比べて日本の国が豊かであるならば、こんな開発途上国のようなことを言ってもらっては困りますよ。大臣、その点で、時間がありませんので、補装具にぜひしてほしい、これについての考え方をちょっとおっしゃっていただきたいと思います。
#185
○齋藤国務大臣 日常生活用具にするか、補装具にするか、議論のあることは先ほど来申し述べたわけでございまして、田中委員の御意見十分承りましたから、十分検討いたしますが、まずはこういう種目の予算を取ることが先だ、こういうわけでその辺は御理解いただきたいと思います。
#186
○田中(美)委員 同じ予算を取るなら補装具で予算を取っておいて、補装具になれば全部に渡さなければならないわけですから、それに歯どめをつければいいではないか、同じことだというふうに思うのです。
 次に、大蔵省に言いたいのですけれども、大蔵省はお金ですが、お札を刷ることだけ考えないで、もうちょっと人間の血の通ったものの考え方のところにお金を使うというふうに考えていただきたい。ぜひこの新規のものは大蔵省が認めてほしい。厚生省がほんとうに知恵をしぼって、私にこういうふうに言われながらも一応新規でこういうものをやったということを、私は非常に高く評価をしているわけですけれども、大蔵省はこれを十分理解していただきたい。大蔵省の御意見をお聞きしたいのです。
#187
○梅澤説明員 来年度の予算につきましては、現在厚生省当局の御計画を私ども伺い始めたばかりの段階でございますので、本件のみならず来年度の予算について具体的にどういう処置をとるかということにつきまして、本日の段階できちんとした御説明は申し上げられないということをあらかじめ御了承願いたいと思いますが、先ほど来御指摘の問題につきましても、厚生省当局と十分協議をいたしまして、慎重に検討をいたします。
#188
○田中(美)委員 厚生省と大蔵省に申し上げたいのですけれども、きょう車いすの方がそこに傍聴に来ていらっしゃるわけです。彼は新堂さんという方ですけれども、ポリオで両手両足が子供のときになえているわけです。彼は「常臥せの歌」、永遠に寝ているという歌を書かれた。ずっと寝っきりで、すわることも立ち上がることもできないわけなんです。そういう方が電動いすに乗りまして、きょう豊橋からやってこられたわけです。廊下でも何でも自分一人で――八十に近いおかあさんがついているわけですけれども、いままででしたらしょってもらわなくちゃならないところを、彼はあれで自由に行かれる。そうして、頭は非常に飛び切りいい方ですので、口も十分ですから、これで買いものにも行ける。こういうことで、私自身は車いすにも乗ってみました。私のように動く人間にとっては、あまりに精巧で、ちょっとさわりますと動くわけですから、むしろ乗りにくい。力のない人のほうが――あごだけでもできるのです。手と足がなくても、あごだけでも、その人に向くように改造すれば、ちょっとこういうふうにすれば右にも行く、左にも行くというわけです。私は歩行者天国で自分でいろいろなものに乗ってみたわけです。先ほど二千五百六十六人が対象だ、この間伺ったときに四年計画でこれをというふうに厚生省はおっしゃっているわけですけれども、私が二、三万と言いましたのは、頸椎損傷の方が交通事故でいまどんどんふえているわけですね。こういう方だとか、脳卒中で半身だめでも片手だけ動くという方なんかもすごくいいわけです。筋ジスの方は早くこれに乗れば病気の進行がおそいわけなんです。あるいはリューマチの方とか、こういう方たちだけで二、三万。それから寝たきり老人というのが厚生省の統計で三十二万といっていますね。その中の何人が寝たきりでなくて車いすに乗って歩けるかということです。これは新堂さんも言っていらっしゃるわけですけれども、新堂さんはこの車いすじゃなくて、前に手で人に押してもらう車に乗ったときに、まさに彼にとっては原爆ができたよりも大きな驚きだった。寝ていた人が動き始めたということなんです。まして今度は自分で動けるわけです。これは新堂さん一人の問題ではなくて、二千五百人なんという人間ではなくて、寝たきり老人だけでも三十二万、そのうち何人使えるか、もうちょっと減ると思いますけれども、何十万という人が人権を回復できるわけです。せっかくこうした科学が進歩したものを、戦争のほうに使うのではなくて、こういう方たちのために使うということがほんとうの福祉国家ではないか。人を大切にするということは、元気でぴんぴんしている人だけを大切にすることではないと思うのです。寝っきりでそこへ行きたくても行けない人、庭へ出るにも出られない人が、あの車いすで、わずか三十万くらいのお金でもって人間としての喜びが格段に、天地がひっくり返ったようだといって、乗っている方は喜んでいらっしゃる。しかし三十万というのは自分では無理なわけです。やはり義足や車いすと同じように電動車いすを補装具に入れるということは、決して私の言っていることは無理なことを言っているのではないと思うのです。厚生省の方たちにいろいろお伺いしましたが、係の方たちがほんとうに涙ぐましい努力をしているということは、私はよくわかるのです。それは高く評価しているわけですけれども、それならば、最初のボタンをかけ違わないで、何とかして補装具に入れてほしい。生活用具に入れて、それからまた補装具に移すということは、非常にまためんどうなことが起きるわけです。ですからもう一度検討して、まだ来年度のことですから、何とかしてこれを補装具に入れる方向に行っていただきたい。そうして、新堂さんをよく見ていっていただきたい。もしあとであれでしたら、どうか新堂さんがああいうからだで廊下を自由自在に一人で歩く姿を大臣に見ていただけたら、ほんとうにしあわせだというふうに思うのです。深く心にとめて、補装具にしていただくことを、私としてみれば、もう要求するというよりも、いまはほんとうにお願いしたいという気持ちです。ぜひお願いしたいというふうに思います。
 いまの車いすの問題でもう一つは、坐位をとれる人でなければだめだとか、支給する人にいろいろ条件がついているのです。そういう切っていくやり方は、非常に障害者の心を傷つけるのですよ。せっかくいいものが、むしろ憎しみに変わっていくのです。だからそういう行政をなさらないで、数が少ないならそれをどうするかということは、やはりみんなが納得いけるようにしないといけない、新堂さんなどは坐位はとれないわけです。坐位というのはどういうことか。彼はああしていることがすわっていることなんですからね。ですからそういう点で制限をつけないで、その中でどういうふうにしてわずかの予算のものを分けていくか、そうして少しずつ予算を多く取っていくかということで、せっかくいいことをするのに、障害者の心を傷つけないようなやり方でやっていただきたい、これをひとつ御注意申し上げておきたいと思います。
  〔斉藤(滋)委員長代理退席、山下(徳)委員長
  代理着席〕
 次に高額医療費の問題をやりたいのですけれども、昨年の国会で、十月一日から三万円以上の医療費を保険にかぶせるということが通ったわけです。これで、一万点以上のレセプトの件数と実際に支給申請をして、それで何%が支給をもらったか、この数というのは、伺いましたのでは大体全国平均で七六%というふうに伺ったのですけれども、それでよろしいでしょうか。
#189
○山高説明員 先生のお話のとおりでございます。
#190
○田中(美)委員 それでは、平均が七六・六%ということは、約二四、五%の方が返してもらってないわけですね。そうすると一番低いところは何%ぐらいでしょうか。どこの県でしょうか。
#191
○山高説明員 県で申し上げますと、申請率の一番低いところは沖繩県でございます。その次は、大体低いところを申し上げますと、青森、東京、神奈川、鳥取、鹿児島、そういった県が比較的低いほうになっております。
#192
○田中(美)委員 昨年の国会のときに、共産党・革新共同はこの点を非常に追及したわけなんです。私たちは非常に心配したのですね。これで、北川政府委員と、こう書いておりますこの方と、それから厚生大臣との答弁した議事録がありますけれども、これを見ますと、「できるだけ早く償還をするということを事務的に配慮していくことによって、償還払いということによって、これは十分効用を発揮し得るのではないか、こういうように考えまして、一般的な処理としては現金の償還払い、こういう制度で確実に制度のスタートを期したい、」こういうことを言っているわけです。これは北川力さんですか。それから厚生大臣は「いままで健康保険組合、共済組合などにおいても大体こういうやり方で成熟しておるということを私は実は聞いているのです。健康保険組合なり共済組合でこういうことをやっておるということでもあるので、私はこれでいいのじゃないかという、こういう感じ、考えを持っているのです。」こういうふうに厚生大臣は答えているわけです。共産党・革新共同の寺前議員と私とが、沖繩の復帰前の療養費払いのところに、ほとんど一度払った現金というものが戻されていない、そのために、結局健康保険が復帰前の沖繩は黒字になっている、こういう療養費払いになるのではないかと、これを何べんも念を押して言ったのに対してこういうお答えがあるわけですね。
 それが、実際にふたをあけてみましたら、まだ満一年もたたないうちにひどいところでは、最低は沖繩というのは何%ですか。沖繩と青森は何%ですか。
#193
○山高説明員 沖繩は四五・四でございます。青森は六五、(田中(美)委員「東京は」と呼ぶ)東京は六四%でございます。
#194
○田中(美)委員 六四%なんということは半分もちょっとですしね。ことしの九月に共産党・革新共同で定員削減の問題で神奈川の社会保険事務所へ調査に行ったわけです。そこで伺ったものが四国・六%と、これは最低が四五%というお返事ですので、ちょっと違いますけれども、私が調査してきたところでは神奈川の平均が四四・六%とそういうふうに聞いたのです、あまり大した大きな覆いはありませんけれども。ということは、半分も支払われていないということですよ。これだと大臣のおっしゃったこととだいぶ違います。われわれが危惧したとおりになっている。これをどういうふうに改善できるのか、至急大臣が言われたとおりにできるのか、どういうふうに考えていらっしゃるのか、お返事いただきたいと思います。これは大臣からもお願いします。
#195
○山高説明員 ただいまお話しのように、高額療養費の申請率が低いということは、私どもとしては非常に残念なところでございます。
 昨年制度を改善以来、PRにつとめてきたわけでございますが、いまお話しのようなことでございまして、今後できるだけ周知徹底して改善をはかっていきたいというぐあいに思っております。
#196
○齋藤国務大臣 申請率がまだ十分でない点は遺憾だと思いますが、こういう新しい制度というものは、国民の中に定着していくにはやはりある程度の時間もかかると思います。しかし、こういうことでいいとは思っていませんから、今後とも十分そういう趣旨を徹底させるように努力をいたします。
#197
○田中(美)委員 制度を通すときには、健康保険組合などでやっているし、成熟しているからこれはだいじょうぶだ、こう言っていながら、今度通ってしまったら、新しい制度というものはなかなかすぐにはいきません、そうして今後周知徹底いたします、どうやって周知徹底するのですか。具体的に言っていただかなければ、いままでのとおりでは、三年たってもまだ新しい制度、まだ日にちがかかります、こんなことを言って、二年たったら時効になるのでしょう。申請しなければだめだというところも問題があるし、それから二年たったら時効になるのでしょう。知らない人はみすみすこれで、何万も金を払って、返ってくるものを知らないがためにもらわないでいる、こんなことはひどいと思いますよ。周知徹底と言って、どうやって周知徹底させるのですか。
#198
○山高説明員 この制度を知らなかったために申請しなかったというようなことがないようにしたいというのが私どもの念願でございます。周知徹底について具体的に申せというお話でございますが、何カ所かの社会保険事務所で申請していない人の実態を調べたわけでございます。その大部分は、病院では公的病院が主として高額医療が多いのではないかと思いますが、公的病院で六八・二%の方が申請してない、あるいは金額の面で申し上げますと一万円以下の場合の方がほとんど五〇%、そういうようなことがありまして、周知徹底の方法としては、少なくとも病院の窓口で医療費を支払うわけでございますので、公的病院を中心にいたしまして全国の病院にお願いして、病院の窓口で高額療養費の内容について説明したビラを被保険者の方に渡していただくとか、あるいは入院の際の注意事項としましてそういうことを言っていただくとか、あるいは施行後やがて一年になりますので、申請しなかった方にいろいろ事情があると思いますけれども、それはともかくとして、長期間請求のなかった被保険者の方に対しては、何らかの方法で通知をするとか、個々具体的にこまやかにそういった配慮をして徹底普及をはかりたいというぐあいに思っております。
#199
○田中(美)委員 いまごろになってまだ何らかの方法でと言って、これはもともと、一万件あれば外来はそのうちの二、三人だけですよ。ほとんどが入院なんです。ですからこんなにやりやすいものはない。現物給付にすれば、新しい制度であっても初めから患者さんたちの受給権というものは守られたわけです。それをこういうおかしな形にするから沖繩のようなことになって、いまから一生懸命やりますとしりぬぐいしても、幾らやったってできない、こういう形になるので、何としてもこれはやってもらわなければならないと思うのです。
 私は非常に不満に思いますことは、これは話しているとほんとうに腹が立ってくるわけですけれども、これだけ国会で注意をしたにもかかわらずだいじょうぶだ、だいじょうぶだ、そうしてやっておいて、やってから今度は新しい制度というものはと、まるでしゃあしゃあと言う大臣というのは、ほんとうにカエルの顔におしっこという感じがしたわけです。そうして私たちの受給権というものは守らないでおいて、何ですか、保険料だけはきっちりと給料から差し引いて、一銭残らず一〇〇%取り上げているじゃないですか。そうして支払うものはあれだけ注意したのにこういう現状にしておいて、保険料だけはどんどん上げて取っていく。それで今度は弾力条項で五%上げると言っているわけですね。これは五%上げるのですか、大臣に聞きたいのです。
#200
○齋藤国務大臣 五%ではございません。千分の七十二を七十七ですから、五%よりもっと下でございます。
#201
○田中(美)委員 七十二国会のときに千分の七十を七十三にするというのが、すったもんだして七十二になったわけでしょう。わずか千分の二ですよ。これを上げるのに国会の中でもう与野党ですったもんだして、われわれがまけたわけですけれども、やっと千分の二上がったわけでしょう。今度は千分の五上がるわけでしょう。それが国会にもかけられない、そしてかってに上がっていく。
 それで大臣に伺いたいのですけれども、公共料金はことしに入ってどれだけ上がったと思いますか。これは大臣にも責任があるのですから、自民党政府がやっているのですから、ことしになって公共料金を幾つ上げたか答えてください。
#202
○齋藤国務大臣 全体の数字は私もよく承知いたしておりませんが、電気、ガスその他、それから最近では国鉄とかそういうものが上がっておるわけでございます。それから医療費もある意味からいえば公共料金かとも思います。しかし医療費などというものは、御承知のように春季闘争で三二・九%の賃金が上がりましたために、医療に従事する方々の給与も払えない、こういう状態になれば上げざるを得ない、こういうことでやむを得ないものであると私は考えております。
#203
○田中(美)委員 閣僚にいて、いまこんなに国民が公共料金を上げないでくれと言ってこのインフレで苦しんでいるときに、大臣がたった四つしかあげられない。公共料金は十七上がっているのですよ。これだけ上げて、そして労働者の賃金がとかなんとか――医療の荒廃を招いたのは厚生大臣、あなたじゃないですか。ここまでひどいものにして、国の予算をちっとも出さないで、そして薬会社にごっぽりもうけさして、赤字にしておいて、労働者の賃金が上がるから――全体のワクを少なくして、そして人の賃金が上がったからそれがたくさん上がったなんということは言えないと思うのですよ。こんな話をしていますと時間がなくなりますけれども、閣僚でありながら十七のうちたった四つしかあげられないというような、そういうインフレに対する感覚ですから、国民は自民党政府に対する信頼を持たないのですよ。それで田中内閣の支持率が一〇%なんということが新聞に載る。そしていろいろな黒い霧問題が起きる。臨時国会を早く開けというのになかなか開かない。こんな状態では、国民の生活というものはこのままにしておいたらほんとうにどんなになるかというふうに思うのです。そしてあれだけ注意したものの、われわれの受給権さえ厚生省がむしろこれを侵していると言わなければならないのだと思います。
 次に移ります。次は乳幼児医療の無料化の問題ですけれども、六月の三日に、この乳幼児医療の無料化の問題というものが採択されているわけですね。これについてこういうことが書いてあります。乳幼児医療を無料にしてほしいということの請願について、「本請願の趣旨は」「考慮することを適当と認め」――「適当と認め」ですよ、「これを議院の会議に付して採択すべきものと議決した。」これは自民党も含め、各党全部が全員一致で採択したのです。その後どのような検討がなされているか、大臣にお伺いしたいと思います。
#204
○上村説明員 乳幼児の医療の無料化に関する請願も含めまして、第七十二国会で採択されました請願につきましては、厚生省から意見を付して総理府に送っておるわけでございます。それで厚生省としての意見は、前の国会でも答弁ございましたけれども、結論から申し上げますと、医療保障制度全般の問題とも深く関連するので、今後慎重に検討したいというのが結論でございます。
#205
○田中(美)委員 総理府に送ったというのは、ちゃんとこれに書いてあります。送っただけで今後検討したい、これどういうことですか。六月三日に議決したのですから、いままでの間にどういう検討をしてきたかと聞いているのです。
#206
○上村説明員 児童に対する医療費の公費負担、御案内のように育成医療もございますし、それから小児ガンとか慢性湿しん炎とかネフローゼなどの子供の難病対策も実施しておるわけでございます。したがって、同時に先ほど来話がございましたけれども、昨年の健康保険の改正で家族の給付率も引き上げられたし、高額医療制度も創設されたというところでございますから、いま直ちに一般的な子供に対する医療の無料化ということについて着手するつもりはございません。医療保障制度全般との関連で、慎重に検討したいということになるわけでございます。
#207
○田中(美)委員 そうすると、この採決はうそだということですか。趣旨は、考慮することを適当と認めているというわけですからね。そうだけれどもいまする気はない、こう言うのですか。それじゃこれは認めないということですか。
#208
○上村説明員 国会のほうで採択されました請願が国会から内閣に送られまして、内閣は厚生省のほうに回してまいりまして、厚生省で検討しました答えがいま申し上げたとおりになるわけでございます。
#209
○田中(美)委員 そうすると、国会で認めたことを厚生省は認めないということですか。
#210
○上村説明員 請願として採択されたものについて、厚生省で検討した結論がいま申し上げたことになるわけでございます。
#211
○田中(美)委員 それをもう一ぺん言ってください。
#212
○上村説明員 児童に対する医療につきましては、育成医療であるとかあるいは小児慢性疾患いろいろございますので、いま直ちに小児医療の無料化に踏み切るつもりはない、医療保障制度全般との関連で慎重に検討したいということになるわけでございます。
#213
○田中(美)委員 慎重に検討したいということは、この趣旨を尊重しないということですか、するということですか。一言で右か左か、大臣言ってください。これを尊重するかしないかということを言ってください。(発言する者あり)私が質問しているのですから、私に答えてください。
#214
○上村説明員 請願として採択されたものが内閣を通じて厚生省に送られてまいった、それに対して厚生省としては慎重に検討するという答えをしたということになるわけでございます。
#215
○田中(美)委員 それじゃ大臣は、これは尊重するということですね。
#216
○齋藤国務大臣 私は尊重するとかしないとかいうのじゃないのです。請願というのは、国会において皆さま方が国民の声を厚生省に伝えてくるわけなんです。請願はすべて政府を拘束するというふうなものではないということは、質問される田中委員も御承知だと思います。尊重するもしないもないのですよ。私は、こういう請願に対してはこういう意見ですということを申し上げておるだけです。
#217
○田中(美)委員 それでは、いま国民の声と言われましたね。これは二十四万の請願書がきているのですから、この国民の声が自民党の議員も含め全員一致で厚生省にきているわけでしょう。国民もたくさん来ている。それからこれは議院も採択している。ですから尊重してほしいわけですよ。尊重しているのですかと聞いているのですから、その答えを言ってください。
#218
○齋藤国務大臣 請願の趣旨については私どもは十分検討をいたします、そう申し上げているのですよ。
#219
○田中(美)委員 それじゃそうしてください。
 その次は弱者対策のことについて伺いたいと思うのです。けさの朝日新聞に、生活保護の問題とか年金の問題について検討会をやられたということが出ていたわけですね。そして特に福祉年金について、来年一万円ということになったがこれを上積みしたいというふうなことが新聞に出ているのですけれども、この点についてちょっとお聞きしたいと思います。
#220
○齋藤国務大臣 福祉年金のあり方、性格――来年の額というのは一万円でございますが、検討をしておるわけでございまして、上積みするなどということはいまのところ考えておりません。はっきり言っておりません。
#221
○田中(美)委員 それでは検討したというのは、どういうことを検討したのですか。
#222
○齋藤国務大臣 弱者救済の問題になりますとこういういろいろな問題がありますからみんなでひとつ研究をしましょうや、こういうことを言っているだけです。検討の中身について、こういう結論が出たなんということは言っておりません。
#223
○田中(美)委員 しかしこれは緊急課題ですよ。長い将来どうしようかということじゃないでしょう。いまあなた方の出した案というのは、一万円という線が出ているわけですね。これは発表されているわけですよ。これについて、いま緊急にこういう閣議をやった。そして新聞ニュースによりますと、田中首相が弱者救済を考えてほしい、罪滅ぼしか何かわかりませんけれども、何かゼスチュアかわかりませんけれども、こういうことを言っていったのを受けてやったというふうに新聞に書いてあるわけです。ですから、どういうことが語られているのか、これは非常に少ないから上積みしなければならないとか、それともこのままでいいとか、どういうことを話し合ったかということをお聞きしているのです。ぜひ上積みしてほしいから言っているわけですよ。
#224
○齋藤国務大臣 現在の物価、経済、そういう状況に即して経済的に弱い人たちの生活を守るためにこういう検討の項目があるということを新聞が書いただけでありまして、その中身をこうするああするなんということは何にもきめておりません。
#225
○田中(美)委員 それじゃ早急にきめていただきたいのですけれども、この間三%生活保護が上がりましたけれども、三%というのは去年の三%ですからね。実際にはこの春からすれば二%くらいなんですよ。それで一カ月に千五百七十円ですよ。千五百七十円というのは正しいですね、大体標準四人世帯で。
#226
○翁説明員 生活保護のアップにつきましては十月一日に米価の改定に伴う分といたしまして三・一%の引き上げをいたしたわけでございます。額といたしましては平均標準四人世帯で大体そのくらいの額になろうかと存じます。
#227
○田中(美)委員 一日じゃなくて一カ月に千五百円ぐらい上がって、これはお米だけじゃないですよ、ものすごく上がっているのですから。ですからもうちょっとこの生活保護というものを上げていかなければ、もうほんとうに飢餓状態になっているわけですからね。
 それから、いま一人暮らしのお年寄りの中で六人に一人が孤独死をしているのです。孤独死というのは、だれもいないところでだれからもみとられないでたった一人でこの世を去っていくのです。それが六人に一人もいるのです。こういう方たちに対して、やはり今度の社会保障審議会でも大臣は十分御存じのはずですけれども、社会保障審議会の答申、これには「拠出制年金制度の発足が遅れたために、これに加入する機会を与えられなかった人々である」だから「福祉年金に生活保障的色彩を加味することは、現下の要請であろう。」ということを社会保障審議会がもっとこまかく、ぜひ上げろ、一万円では少ないんだということまで書いているわけですね。ですから、これを十分に尊重して、少しでも多く上積みをしてほしい。私は各新聞を見ましたけれども、東京新聞では一万三千円になるんだというような書き方さえしてあるところがあるわけです、そのニュースがどこから出たかは大臣はおっしゃらないのですけれども。ぜひこの審議会の意見というものを尊重してこれの上積みをしていただきたいということを申し上げたいと思います。一言、それについての大臣の考えをお聞かせ願いたいと思います。
#228
○齋藤国務大臣 田中委員の老齢福祉年金の上積みについての御意見、御希望、よく承りました。私どもは社会保障制度審議会の答申というのは常に尊重するというたてまえでございますから、今後の一つの大きな研究課題であることは確かであります。しかしながら、現在七千五百円を一万円というのですから、やはり来年は相当上がるわけでございます。ということもやはり理解しておいてもらわぬと困る、こう思うわけであります。
#229
○田中(美)委員 これで弱者対策はやめようと思ったのですけれども、ちょっと聞き捨てならないことばがあるものですから、もう一度ぶり返しますけれども、七千五百円を一万円に上げた、これが大きいという考え方は、いま物価というのは一年間に三〇%も上がっているのですから、七千五百円が一万円に上がったということは実質的には何が買えるかといいましたらちっとも上がってませんよ。現状を維持するより、むしろ実質的には下がっていると考えられるんです。
 大臣は、新幹線の食堂の中のカレーライスは幾らか御存じですか。
#230
○齋藤国務大臣 近ごろ新幹線に私乗っておりませんので存じておりません。しかし、御承知のように、本年度は五千円から七千五百円、昨年の四月は三千三百円、五千円、七千五百円、一万円と、こうなるわけでございまして、昨年に比べれば三倍近くに来年はなるわけですね。そういうこともやはり考えておいていただきたいと思います。
#231
○田中(美)委員 そのおことばの中には、年金というものを生活保障的な色彩の加味が全くないから三倍だなんだと言うんですよ。十円を十倍したって百円ですよ。三倍なんて、そんなものじゃないです。それは新幹線の中のカレーライスを知らなくたって悪いとは言いません。しかし、カレーライス一ぱい五百円しているんですよ。一食に五百円しているんです。それで千円を三千円にして、これを五千円にして、五千円を七千五百円にして、一万円にした、何倍にしたなんという感覚はおそれ入ります。一万円でどうしてお年寄りが生きていかれますか。だから孤独死をしていく人があるんですよ。福祉国家なんて、ほんとうにインチキですよ。福祉国家というものは、やはり障害者が人権を認められ、働くこともでき、そうして憲法二十五条が保障されることだし、お年寄りがちゃんとした年金だけで食べていかれる、こういうことが保障されてこそ初めて福祉国家というのである。日本はとんでもない福祉国家ですよ。こんな福祉国家は世界で最低ですよ。まあこれはあなたにあれですけれども、これについては国民が診断を下すと思います。強い怒りを持って、むしろこれはお願いというよりも抗議をしたい、こういうふうに思います。
 その次は、ろうあの方たちの問題ですけれども、耳の聞こえない方というのは、やはりテレビを見たり映画を見るということが大きな楽しみなんですよ。人との話というのは非常にできないわけですから、筆談したりなんかして交流が非常に少ないんです。ですから、テレビを見るということ、映画を見るということは大きな喜びなんです。再びというよりも、もうほんとうに人間として生きていく上の必需品なんですね、テレビを見る、映画を見るということは。人間らしくなるためにこれは非常に大事なことだと思います。それでNHKにぜひ字幕を入れていただきたい。これを全部と言いませんけれども、一部分に字幕を入れていただきたい。ろうあの方たちの見るものに入れていただきたいと思うのですけれども、これは検討しているということを私は新聞ニュースで見たわけですけれども、いまどのような検討をなされ、そしていつごろこういうものが実現するのか。これがもし検討されているならば非常に朗報だと思いますので、これをどういう経過で、今後どういうふうな方向を向いているのかをぜひお聞かせいただきたい。
#232
○翁説明員 テレビの画面に字幕が入る、これがろうあ者の方にたいへんな喜びであり、理解を深めるものである、おっしゃるとおりだと思います。かつては吹きかえがない時代には洋画はほとんど字幕が入っておったわけでございますが、最近は吹きかえが進みましたために、いま御指摘とは逆の方向にきていることも事実でございます。聞くところによりますと、NHK等で音声をテレビの字幕にかえる研究が進められている、まだ完成しているわけではございませんけれども、というようにも聞いております。ただ、これも御承知のとおり、それぞれテレビには自主的な番組編成権がございますので、こちらのほうでこうしろ、ああしろと言うことは無理でございますけれども、いまおっしゃいましたように、ろうあ者の立場に立った一定番組、たとえば教育番組等の一部にこういったことが実現できるような何らかの話し合いというものを進めてまいりたい。いつどういう方法でなるということについてはただいまの段階では申し上げられるまでに至っておりませんけれども、少なくとも一定の時間帯にそれができるようなそういう方向で今後進められることを熱望しておりますし、またそういう方向で努力してまいりたいと考えております。
#233
○田中(美)委員 そうすると、全然めどというのはないんですか。だいぶこれをろうあの方たちは期待して待っているんです。もうすぐできるんじゃないかというふうに言っていらっしゃるのですね。ですから、そういう期待を持って、まだかまだかと待っているのにいつかわからない。大きなめどでもわかれば、やはりそれを楽しみに待つということができるわけです。ですから、全く雲をつかむような、いずれはというふうなことでは、あまりさびしいんじゃないかと思いますけれども……。
#234
○翁説明員 御承知のとおり、NHKだけに限って申しましても、番組の編成は大体四半期以前になされております。したがいまして、いまこの段階でいつということを申し上げかねるのは、先のことであろうということで申し上げたわけでございますけれども、決して長い時期そのままでいるということではなくて、かりにある時期を希望的な観測で申し上げて、そうでなかった場合の影響等もまた考えて、われわれといたしましては、できるだけ地道な努力をいたしたいということで申し上げたわけでございます。なお、この点については、NHKにも近くお話をいたしまして、御趣旨のあるところは十分伝わるようにいたしたいと思います。
#235
○田中(美)委員 やはり私は、政治というのはガラス張りでなければいけないと思うのですよ。ある時期を定めてそれがだめだったら心を傷つけるからと、こういう考え方はいかにも一見配慮しているようですけれども、いまこういうふうに努力をしているんだということをいって、大体いつごろまでにやるというつもりでいるんだ、しかしそれは、こういう努力の経過というものを全部ガラス張りにして、そうしてここでどうしてもできなかったんだ、だからいまこういうふうにしているんだといえば、かえってそのほうが人の心を傷つけないというふうに私は思うのです。何でも秘密主義にしている。それが何となく漏れて、いまの大臣のあれじゃありませんけれども、何にもきめていないというが、この一万円をこす額さらに上積みの意向ということが朝日新聞から――毎日だけです、載っていなかったのは。みんな載っているわけですね。大臣は知らぬ存ぜず、こう言われましても、これはだれが見たって、国民は、何だろう、じゃ上積みされるらしいとこう思っていますよ。そういうことですから、やはりもうちょっと、どういう過程で、こういう意見も出ている、何とかして上積みしたいと思うけれども、いま検討しているんだ、こういうふうに国民に知らせていくのが政治だと思うのです。ですから、いつごろにこれがなるか、こういうめどで努力、ものをやるのに計画がないわけじゃないのですから、計画は全部隠しておいて、そしてある日突然できたときに恩着せるのだ、こういうことは、まるでクリスマスのときの子供を喜ばしてやろうというふうなそういうお遊びとは違うのですから、意表をついて喜ばせると、こういうことではなくて、やはりこういうふうに政府はやってくれているんだということが政治全体に対する信頼感になるし、それでどうしてもやむを得なかった場合、いろいろまだ技術のこういうところで、隘路でひっかかったのだ、こういえば、ろうあの人たちはわかるわけですよ。ですから、そういうガラス張りにきっちりとした返事をしていただきたいのです、いつごろにこれがなるかということを。これは答えられないわけですか。
#236
○翁説明員 先ほども申し上げましたように、番組編成権を持っておられる局が相手でございますので、私どものほうからいつということを明示することはいかがかということが一つと、それからもう一つは、技術的な点についてまだ私承知していない点もございますので、今日の段階で明確にいつということを申し上げかねる。まことに残念でございますが、以上でございます。
#237
○田中(美)委員 早急にこれはNHKにも強く話をしまして、早くやっていくような努力をやっていただきたいと思います。
 それからもう一つ、自治省に伺いたいのですけれども、選挙のときの政見放送ですね。これに何とか字幕を入れていただきたいというように思うけれども、このほうの努力はどのようになっていますでしょうか。
#238
○秋山説明員 テレビによる政見放送に字幕を挿入するというお尋ねでございますが、御承知のとおり、テレビによる政見放送の時間は四分三十秒でございまして、話すスピードに合わせまして字幕を全文挿入をするということは、これはきわめて不可能であろうというぐあいに考えられます。また、かりに要約をするといたしましても、短時間の間に的確な要約を完成し、しかも字幕に入れ込むということが、非常にむずかしい問題点をかかえると思うのでございます。いずれにいたしましても、この問題につきましては、実施に当たりますところの放送関係者の技術的な問題ということが、非常に大きな問題点の一つになろうかと思いますので、この放送関係の方々とも十分慎重に相談をしながら検討をする必要があるのではないか、このように考えております。
#239
○田中(美)委員 それは、全部をのせるということは、普通の洋画でも、昔あった字幕というのは実際よりずっと短く要約されているわけですね。ですから、全部をのせろというふうでなくて、やはり、ものの考え方をむずかしい設定をしておいて、そしてこれはできないからやめる、こういうことを考えないで、どうやってやろうかという観点から考えていけば、この程度ならできるんじゃないか、この程度ならできるんじゃないかというふうに考えれば、要約というのは初めから出してもらって、どうせ政見放送というのは、その場に考えてものを言う人というのはまあないというふうに思うのです。こういうことになれば、そうでないようにあらかじめきちっと要約を出してもらうということは可能なわけですから、それも中数を出せる程度の字数にして、何字までということを、要約を候補者に書いてもらえばよいわけでしょう。そうすれば、全部をのせようなんというようなむずかしいことを考えて、だからできないからお手上げだと、こういうふうに考えないで、短く要約をしたものを、公平にするなら、やはり本人にしてもらうのが一番いいわけですからね、これをやっぱりのせていく、こういう努力をしていただきたいというふうに思うのです。ですから、むずかしい設定でだめというのではなくて、これならできる、これならできる、そしてやってみて、そこにそごがあればこれを徐々に改善していくというふうにしなければ、いまいるろうあ者にすぐに間に合わせるということを考えないと、将来将来と、こう考えていたら、いつもいまの人たちというものは置いてけぼりになるのだと思います。これも放送関係の方と十分に相談をして、早急にやっていただきたいというふうにお願いしておきます。
 それから、もう一つあります。これはやはりろうあ者の問題ですけれども、フィルムライブラリーの予算が、来年度概算予算の中に三百九十万というふうに書かれていましたけれども、これはそのとおりでしょうか。
#240
○翁説明員 おっしゃるように、来年のことでございますので、現段階できまったというわけではございませんけれども、大体そのような考え方でおります。
#241
○田中(美)委員 このフィルムライブラリーというのは、これはやはり字幕をつけた、ろうあの方たちが楽しみに見るものですね。これに対する欲求というのは実に強いんです、ろうあの方たちというのは。これはほんとに楽しい。私たちは、ついつい仕事があってもテレビに見ほれてしまうわけですからね、それほどみんなの生活の中に入っているんです。ですから、ろうあの方たちというのは、字があるからいいじゃないかということで済まされないんです。東京都では、もう約千六百万近い予算を組んでいるわけです。ですから、国の予算が一つの県の五分の一しか予算がない。東京都の千六百万近い予算だって、劇映画は六本しかできないんですよ。それで年に二十回ぐらいの巡回映画しかできないんです。わずか六本しかできないんですからね。普通のテレビはみんなもう先ほどおっしゃったように声が入っちゃって、見えないわけでしょう。そうしたら一体何を楽しむんですか。そういう点では、ほんとに気の毒というものじゃなくて、ひどいというふうに私は思うのです。皆テレビも何もなかったときと違うんです。やっぱり人間の欲求というものは社会の変化によって変わるわけですから、まわりの人はみんなテレビでドラマを見てこれを話題にして話しているときに、自分たちだけはそういうものが一切見られない。同じものが見られなくても、せめて何か自分たちも一緒に仲間に入れるものという意味では、このフィルムライブラリーの欲求というものは、まさに必需品なんですね。単なるお遊びだとか、そういう花を添えているものではないんですよ。どうしてもなくてはならないものなんですね。ですから、東京都でこれだけ予算を組んでいるのに国の予算がわずか四百万を切るというような、そんな少ないもので一体何をするつもりか、この三百九十万というのは何をするつもりですか。
#242
○翁説明員 こういった福祉のサービスを国なり都道府県なり自治体がどういう範囲でやるかというのは、それぞれ問題があろうかと思います。したがいまして、東京都がしかるべき予算を組んで、公民館あるいは学校等に貸与して、ろうあ者の方に見ていただく。自治体としての福祉サービスとして非常にけっこうなことだと思います。国がこういったものをやるという場合に、おのずから国としての立場があろうかと思います。したがいまして、私どもといたしましては、こういったものを全部やるという考え方ではなくて、国には国立の機関がございますから、これがひとつ実験的な意味でこういったエッセンスをたくわえておく。必ずしも長い劇映画でなくてよろしいかと思います。そういったものを国の立場で、長くなくても教育的な効果のあるもの、こういったものを府県を通じて貸し出す。県によっては東京都のようなことができないところもございますから、そういった意味で私どもとしては、おっしゃるように予算の額というよりも国のあり方としてどうあるべきかということで一応考えておる、かように申し上げたいと思います。
#243
○田中(美)委員 ということは、中身というものはあまり考えないで、国としてはこれは大事なんだということを示すために金をちょっとだけ出すということですね。全くそんな、私はそれでもやらぬほうがいいとは言いません。しかし、人を食った話ですよ。それは三百九十万でもないよりはいいですけれども、やはり大事だと認めたら、それがある程度大事らしいような予算というものを組まないと、障害者の問題というのはほんとうにもう添えものみたいに、ちょいとくれてやるというような、ここの中に非常に国の姿勢というものが出ていると思うのですよ。
 最近は障害者の権利意識も強くなりましたし、みんな団結して戦いますし、われわれと一緒にがんばってますから、それに対してちょいと口封じのようなつもりで出す、こういう出し方をするということは、やはり非常に障害者にとってはばかにされたんだというふうな感じがするのですよ。あまりにも少な過ぎる。この点を最後に私としてはやはり抗議をしたいというふうな感じがしますけれども、来年度これを大幅にろうあ対策というものをとっていただきたい。これで質問を終わります。
#244
○山下(徳)委員長代理 石母田達君。
#245
○石母田委員 私はいまの問題に引き続いて、ろうあ者の問題について質問したいと思います。
 ただ、質問を始める前に私は委員長にお願いがあります。それは、きょう、その問題で文部省の関係者をここに政府側として出席するように要請しておりましたが、文部省のほうの事情で課長補佐しか出られないということでございます。委員部の意見も聞きましたところ、そうした課長補佐がここに出るというようなことの先例がないということでもございますので、私のほうからお断わりしました。こういう問題については、ぜひ国会というものを尊重して、こういう軽視するような行為のないように、委員長のほうからも十分注意を願いたいというふうに思います。
#246
○山下(徳)委員長代理 はい。
#247
○石母田委員 そういう関係で二つの問題について質問したいと思います。
 私どものほうの共産党・革新共同議員団で、実はこの閉会中、国会議員のいないところについてのいろいろな住民の要求を聞くということで視察をし、私は、石川県と栃木県その他全体で二十二県を回ってまいりました。そういうことで、私が栃木県に参りましたときに、ろうあ者の団体の方々から陳情を受けましたことがございます。
 その一つが、いまこのろうあ者の点については田中議員からるる述べられたとおり、非常に情報といいますか、そういうものの点で熱望しているわけでございますね。私もあることでろうあ者の方に実は連絡があったのですけれども、電話が通じないのですね。一々本部のろうあ協会のほうを通じないと連絡できないということを見まして、あらためてこういう方々がどんなに御不便をなさっているかということを痛感したわけであります。そうした方々から、実は模写伝送写真というのですか、これが開発されておるということを聞いて、ぜひこれを補装具か何かにしてほしいという陳情があったわけでございます。
 私もこちらへ帰りましていろいろ聞いてみましたところ、確かにそういうものがあるということがわかりまして、厚生省のほうでは、テレメールというのですか、これは日本電気でやっているものですね。これは工場と工場の間でこうしたものを電話でファックスみたいな形で送る、それをまたそっちで受信して入れる、こういうことなんですね。これをろうあ者の方々にも利用したらどうかということで、いま開発を考えられているということなんですけれども、その辺の事情についてまずお尋ねしたいと思います。
#248
○翁説明員 ただいま御指摘のとおり、工場間の意思の疎通をより正確に、書くものが相手にそのまま伝わるというような形の機器として開発されているのが、ただいまおっしゃいましたテレメール、その他名前はいろいろございますけれども、そういったものでございます。これがろうあ者の方にとって、口のかわりに手記がそのまま相手に正確に伝わるという意味において非常に効果があるのではないかということで、私どもといたしましても国立の聴言センターにこの機械を設置いたしまして、その利用の範囲、利用のあり方、こういったものを研究をするということを進めたいとただいま考えている次第でございます。
#249
○石母田委員 それをぜひ促進していただきたいのですが、その際、テレメールしかいまカタログがないということで、私の手元におたくのほうからこのテレメールが来ているのですが、その他のもののカタログとかそういうものは御存じですか。
#250
○翁説明員 お示しのあったようなものについて、たとえばほかのメーカーにもあるということを承知いたしております。
#251
○石母田委員 まだそのカタログはないわけですね。聞いていませんか。
#252
○翁説明員 私の手元にございませんけれども、あると思います。
#253
○石母田委員 これはあなたが知らないのです。来てないのですよ。あなたのほうでいまこれしかないということなんで、ここにあるテレメールだけを使うのかというふうに聞きましたところ、先ほどあなたからの話があったように、テレメールだけを使うというふうにきめてないということで、私も若干安心したわけですが、それは、私はきのうそのろうあ者の団体からも言われましたので、実は松下電器のパナファックス二〇〇〇というものと、それから日立のろうあ者用ファックスシステムというもので、これは機械の名前を正式に言うのはどうか知りませんけれども、この二つの本社の方々に来ていただいていろいろ聞いたのです。そうしますと、私はどれがいいというようなことを申し上げるつもりはないけれども、これを選ぶ場合に、このテレメールだけに固執しないで、こういうところのほうも全部とって、そしてぜひ検討していただきたい、こういうことなんです。その中で特に注意していただきたいことは、このナショナルのパナファックスとか日本電気のテレメールというのは、もともとろうあ者用ということでつくられたものではないわけです。先ほど言ったように工場間やその他のものにつくられたものをろうあ者用にも転用できるというものですね。この日立の話は、これは耳の不自由な方の電話ということで、ろうあ者用としてつくられたものだ、こういうことなんです。しかもこれが現実に群馬県の高崎市の福祉事務所で実際に使われている、こういうことが私どもの調べでわかりまして、そしてそこの福祉事務所あるいはこれは四つついていまして、会長の家と、副会長二人おるのですが、そこに通じておるわけなんです。これは先月あたりから使ってまだ間もないのですけれども、そうしたときの一体電話料というのはどうなのか、あるいはまた使ってみてどうだろうかということをお尋ねしたら、非常によろしいということなんです。それでこれは電話の回線をそのまま使えるわけですから、そういう意味では新しく専用線をつくるというようなものではない。しかし、これは何か二百万近くもするという非常に高価なものですから、なかなか普及においてはたいへんなことだと思います。しかし、こうした問題を考えて検討していただきたい。特に私は、いまから皆さん方が、厚生省がテレメールかどうか知らぬけれども、それを国立聴力言語障害センターですか、そのところでやってみるということなんですけれども、少し立ちおくれていやしないか。現実にそういう福祉事務所が使ってやっているわけなんですから、そういうところを十分検討していくべきじゃないかというふうに思いますけれども、その点についてお答え願いたいと思います。
#254
○翁説明員 まことにおっしゃる点ごもっともと存じます。特に国立の機関に置く機器でございますので、初めから一社にするような考えは毛頭ございません。お示しのように、現に高崎市の福祉事務所でやっておられる実情等も、早急に実態をわれわれ自身で把握いたしまして、来年設置を予定しておりますけれども、これまた来年のことでございますので、いまからとやかくのことは申し上げかねますけれども、いずれにいたしましても、ろうあ者の方々の意思の疎通機関として有効適切なものであるならば、実用に役立つ方法でわれわれとしては少しでも前進させていくということで努力いたしたいと思います。
#255
○石母田委員 大臣にその点について再度お願いしたいのですけれども、いま高崎市を身体障害者福祉モデル都市に指定されて、そのうちの一つの事業としてこれをやられたというふうに聞いておるのです。これをいま全部補装具にしろということはやはりかなりいろいろ検討しなければならぬ問題がありますので、とりあえずことしは十七カ所ですか、身体障害者福祉モデル都市というようなものが出されておるわけですけれども、そうしたセンター的なところに、こういうものを検討されて、現実に使われているというのが一番いいけれども、検討してこうしたものを置くというようなことで、こういう御不自由な人たちの非常に熱望しておることでございますので、政府としてもぜひそういう点を検討してもらいたい。私は高崎市の問題についても近く視察に参りますので、できればそれと一緒に同行してもらってもいいと思うのですが、ぜひこれを大臣のほうでも政府部内で促進されるように御検討願いたい、こういうことを要望したいと思います。
#256
○齋藤国務大臣 身障者モデル都市は各府県に一カ所ずつ、まずさしあたり全国につくっていきたい、こういう構想で始めておるわけでございまして、高崎がどういうふうに利用しておるか私もよく存じておりませんが、ろうあ者の喜ぶことでもございますし、十分そういう問題は頭に描いて検討をするようにいたしたいと思います。
#257
○石母田委員 これは国立聴力言語障害センターから出ている予算要求に基づいて二百万となっているのでしょうけれども、これは購入費だけですか。
#258
○翁説明員 そのとおりでございます。
#259
○石母田委員 その点についても、購入費だけではやはりこれは開発ということになりませんので、この点にもう少し予算の面でも検討するように、これまた大臣に要望しておきたいと思います。
#260
○翁説明員 ただいま申し上げました購入費と、それから必要な資料作成費も入っておりますけれども、なお値段その他の点についてまだ予算が確定いたしておりませんので、御趣旨は十分検討させていただきたいと思います。
#261
○石母田委員 それからもう一つの問題は、実は文部省がいないので、これは厚生省だけに要望する事項になりますけれども、恥ずかしいことながら、私もろうあ者の団体から聞いて知ったことなんですが、いわゆる伝達方法が口話によるものと手話によるものと二つあるわけです。厚生省のほうは、手話というものの普及といいますか、それからこれの通訳者の養成などについても一定の予算の援助などを行なっておるわけです。文部省では教育としてはこの手話を採用しない、こういうことになっているんだ。そういう点で特に中途ろうあ者あるいは子供たちもそうですけれども、教育では手話は全然受けておらぬ。そして急に手話がかなり普及しているもんですから非常に戸惑う。このことについて何とかして政府部内で統一した行政的な処置が必要じゃないか。もっとはっきりいえば、教育の中にもただ口話というだけではなくて手話というものについての、正科にするかどうかは別として、いろいろ予備的なものをやっていってほしい、こういうことがだいぶ長い間要望になっているんだけれども、なかなかそういうわけにいかない。私もこちらへ帰りましていろいろ文献その他のいきさつを聞いてみましたら、これは学者の中でも手話方式に対するかなり強い批判もあっているんだそうです、国際的にもいろいろあるそうですけれども。厳密にいうと、手話という問題についても正確さを欠くとかあるいは語彙が少ないとかと、いろいろのことがあるでしょう。しかし現実に国が予算の一定の補助も行なって普及しているというものが、文部省でしぼられてこれは採用しない。文部省に聞いたら、採用しないという方針ではないけれども実際には採用していない、こういうことなんですね。これは私は厚生省という関係から見ても、ぜひこの問題について手話方式の行政の点での統一したことをやって、ろうあ者の方々の要望にこたえてもらいたい、こういうことを文部当局にも聞き、皆さま方にも要望しようと思ったんですけれども、厚生省の方しかおりませんので、そのほうから一応お答え願いたいと思います。
#262
○翁説明員 いまおっしゃいましたように、教育の問題として口話と手話、長い間論争があったようにも伺っております。口話の場合には教育に非常に手間ひまがかかりますと同時に、しかしながら伝達の手段として一度これを修得いたしますと、相当の広い範囲と、そして正確な理解が行き届くという点で、おそらく教育としては口話をとっているものだろうと存じます。ただ厚生省といたしましては福祉の立場から、やはり敏速にわかってもらう。それから通訳をいたしますにいたしましても、比較的短期間で養成ができる。そしてろうあ者の方に、要するに要点がわかってもらえるという点の利点をとらまえまして、実際上の要望と、それからもう一つは、申し上げましたように、伝達をすみやかに中身を完ぺきに伝えるという意味において手話の養成をいたしております。現実に各府県に補助金も出しておりまして、今後ともこの点についてはやはり生活の手段として必要だということに着目して進めてまいりたい、かように考えております。
#263
○石母田委員 厚生省の意見はわかりましたので、大臣にこの点についても――文部当局にはまたいろいろの言い分も主張もあると思います。しかし現実に厚生省の側としては、予算を地域活動対策費ということで、手話奉仕員の養成ということで聴覚障害者等のコミュニケーション手段として欠かすことのできない手話の奉仕員を養成する、こういう見解から予算も出しているわけですね。国でそうしたものでありながら文部省当局がそうしたことを採用していない。それでろうあ者の方々から厚生と教育が断絶しているじゃないか、こういう疑問が出るのはこれは当然のことだと思うのです。そこで、厚生省は厚生省でやっているんだからいいんだというんじゃなくて、ぜひそういう文部省当局とも協議して、政府部内でこうした口話、手話というような問題でのどっちかにしぼれということを要求しているんじゃありませんけれども、そうしたろうあ者の方々からの切なる要望にこたえるような統一したものを出せるように、ぜひ大臣が先頭に立ってそうした努力をしていただきたい、こういうことを大臣に要望したいと思います。
#264
○齋藤国務大臣 まあどちらに統一するか、私もいろいろ問題はあると思います。それぞれの行政目的というものがありますから、困難な問題はあると思いますが、十分文部省とも話し合いをしてみたいと思います。
#265
○石母田委員 ちょっと、ことばの使い方でしょうけれども、どちらに統一するかというのは、私が言っているのはそうじゃなくて、厚生省がこういう手話方式というものについての一定の普及もはかっているわけですね。ですから、厚生省としては手話方式も必要だ、欠くことのできない手話方式を養成するということでやっているわけでしょう。その立場から、文部省が口話だけに一本にしぼるということが妥当かどうかということについてぜひ大臣のほうにも努力していただきたい、こういうことなので、再度その点お伺いしたいと思います。
#266
○齋藤国務大臣 でございますから、文部省とも十分ひとつ話し合いをいたしてみたい、かように考えております。
#267
○石母田委員 文部当局が来ておりませんので、私はこれで質問を終わりまして、文部当局に対しましてはいずれ日を改めてこの問題について質問したいと思います。
 終わります。
#268
○山下(徳)委員長代理 小宮武喜君。
#269
○小宮委員 厚生大臣は、ことしの二月と十月の二回にわたって通算三六・三%の医療費の値上げを行なっております。そのために生じた政管健保の赤字を解消するため、十一月一日から保険料率を〇・五%引き上げんとして、ただいま社会保険審議会に諮問しておりますけれども、この社会保険審議会の審議の状況と、十一月一日からの実施が可能かどうかという見通しについて、ひとつ所見を承りたいと思います。
#270
○齋藤国務大臣 先般社会保険審議会に対しまして、今回の診療報酬の改定に伴いまして保険料率を千分の七十二から七十七に変更するための御意見を求めておるわけでございます。今日まで慎重に御審議をいただいておりますが、私としては今月中に何ぶんの御意見を出していただくようにお願いをいたしてございます。したがって、十一月一日からこの告示をするというふうにいたしたい、こう考えております。しかし、そうは申しましても審議会のことでございます。私それほど強い強制力は持っておりませんので、いろいろな諸般の事情を話しまして、今月中に答申を出していただくようにということをお願いしてございます。
#271
○小宮委員 小さい問題については時間がございませんから次に進みますけれども、政府も今年度の物価上昇率を一五%以内に押えようということで努力をしておられるようでございますが、現在の物価上昇の現状から見て、私は一五%に押えるということは非常にむずかしい、こういうふうに考えます。しかし、それはいろいろ見解の相違もございますが、かりに政府が努力目標としてきめてあるところの一五%の物価上昇が実現したとした場合にでも、さらに来年の医療費の値上げが必然的に出てくるのではないかというふうに考えますけれども、来年の医療費の引き上げについてはどのように考えておられるのか、その点ひとつ大臣にお答えを願います。
#272
○齋藤国務大臣 最近物価のほうも鎮静化してきておりますが、十月は米価、国鉄運賃値上げ等によりまして、前月に比べまして少し上がっております。そこで、私ども政府としては、来年の三月に前年同月比一五%程度にとどめるように諸般の努力をしたい、こういうわけでございます。年度間の平均を一五というのではありません。来年の三月における消費者物価指数を、前年同月に比して一五%程度にとどめるように努力をしたい。なかなかこれは容易ではないということもいわれておりますが、政府としてはもろもろの努力を払いまして、そういうふうな目標に達するように努力をしたいということを申し上げております。
 そこで、来年はどうなるのか、診療報酬改定が行なわれるようになるのか、これはいまのところ見当がつきません。医療費というものは、私どもは御承知のように、人件費、物件費というものを頭に描きながら考えていかなければなりませんし、医学の進歩、そういうことも十分頭に描いて、それにふさわしい評価が行なわれるように、診療報酬の改定はされなければならぬわけでございます。
 そこで、来年の経済の見通しもまだ立っておりませんし、来年の賃金がどの程度になるのか、これは私は見当がついておりません。でございますから、私はいまのところ、来年また医療費の改定を行なうのかと言われましても、その時点における事態に対処して考えるべきものであって、いまから予測することはきわめて困難である、こう申し上げざるを得ないと思います。
#273
○小宮委員 大臣は、今度の十月一日からの医療費の値上げにあたって、日本医師会との非公式な折衝の際、来年の人事院勧告が出された段階で医療費の再引き上げを検討するというような言質を与えておるといううわさが流れております。また、そのために、医師会側でも来年秋の医療費の再引き上げは既定の事実として受けとめておるということを聞き及んでおるわけです。したがいまして、これは大臣が答弁される場合は、来年のことはまだわからぬと言われることもわからぬでもないですが、何か今度の十月一日からの医療費の値上げの際にそういうようなものがあったのではないか、こういうことを私はうわさで聞いておりますから、それはうわさではあっても、私はそういうことはありませんと習うかもしれませんが、これはやはりいま非常に日本医師会でもそういうように受けとめておるから、私はこういうようなことを質問しておるわけですが、この点についてはそういうようなことはないというように断言できますか。
#274
○齋藤国務大臣 そういううわさを小宮先生がどこからお聞きになったのか私も存じませんが、どうしてそんなうわさが出るのか私わかりません。そんなことは何もありませんよ。来年は来年の経済の事態に即してものを判断すべきものであって、いまからどのぐらいになるか、私第一見当がつきませんよ。見当がつかないのに、私が来年はまた必ず上げますよ、とんでもない話だと思います。小宮委員はさようなうわさは信じなさらぬと思いますが、はっきりとお答え申し上げておきます。
#275
○小宮委員 それでは、今年度の物価上昇率が、閣議で協議した場合も、一五%に押えるということは非常にむずかしいということで、一応一五%を努力目標ということで定めたと伺っておるわけです。そうなりますと、それなら一五%の物価上昇があった場合に、来年さらに医療費の値上げをやるのかということを聞きたいのです。その場合は、もう大臣も内閣改造で、おるかおらぬかわからぬのでそこまでは言えぬと思いますけれども、やはりわれわれが一番心配するのは、この一五%の物価上昇があった場合には、来年もまた医療費の値上げがあるのじゃなかろうか。そうなりますと、必然的にやはりまたいまの政管健保の保険料率の引き上げも出てくるのではないかというのが、われわれの非常に心配しておるところなんです。だからその意味では大臣も、それはもう私がやめたあとのことだから私はそういうようなことは考えておりませんと言うかもしれませんが、大体そういうようなことを非常にわれわれ心配しておるし、国民も心配しておるものですから、そういうことで質問したわけですが、それは大臣と私の水かけ論になるかもしれませんので、その問題はそれぐらいにしまして次に移ります。
 今度の政管健保の保険料率の引き上げに関連して、国民健保、日雇い健保、これらも私は、いま現在赤字をかかえておるので、それがさらに赤字がふえてくることは明らかですから、当然、国民健保、日雇い健保の保険料の値上げが必ず出てくるのではないかというふうに考えますが、その前に、国民健保と日雇い健保の四十九年度の赤字について、累積赤字でけっこうですから、幾らになるのか、その点をひとつ御説明願いたい。
#276
○齋藤国務大臣 ちょっとその前に……。
 来年の三月の消費者物価指数の幅を前年同月に比べて一五%にとどめるように努力したいということは、診療報酬とは関係ないことなんです。来年度やるかやらぬかという問題は、来年の春の闘争において賃金闘争がどの程度のことできまるかというのが問題なんで、三月の消費者物価がどうなるかということは診療報酬とは関係ない、こう御承知願っておきたいと思います。
#277
○北川説明員 四十九年度につきましては、いま先生御指摘のように、十月から一六%の医療費の引き上げがございますので、この辺は実は四十九年度どれくらいの赤字になるかということは、いまのところはっきりわからぬわけでございます。ただ四十八年度は、最近ほとんどまとまっておりまするけれども、累積赤字といたしましては、市町村の場合に約八十二億程度、組合の場合に大体三億八千万程度になるのではないかということでございます。
#278
○小宮委員 日雇いは。
#279
○山高説明員 日雇労働者健康保険の赤字でございますが、累積赤字は二千百七十八億でございます。
#280
○小宮委員 いま大臣も消費者物価の上昇率と診療報酬の問題は別個だ、なるほどことばは別個なんです。しかしながらいま言われたように、たとえば今度の政管健保の料率の前回〇・二%引き上げたものも、厚生省が賃金上昇率を一六%に見ておったのが、実質的には三〇%くらい上がったということで、そのための保険料の増収によってまかなってきたわけです。また現在も今度の予算では、厚生省としては来年の賃金上昇率を大体一九・三%くらい見ておるようですが、それがやはりまた三〇%くらいに賃金の額が決定すると、また保険料の自然増収があるから、そういうようなことを考えておられるわけですが、実際現実には、大臣も社保審に諮問する場合も、物価が上昇したので診療報酬の値げをいたしたいということを言っておるわけですよ。したがって、その物価上昇の問題と診療報酬の値上げの問題は別だといっても、これはやはり表裏一体のものなんです。
 そこで、今回の政管健保の〇・五%の引き上げについても、私は、そうなれば物価問題はやはり政府の責任にある、だから政府の責任においてこの政管健保の赤字の措置を政府は講ずるべきだ。少なくともいままでは二年に一回か一年に一回の引き上げが、今回は、こういうような物価狂乱の中で、一年に二回という異例な引き上げを行なったわけですから、そのためには、いま言うように、ことしの三月のベアで大体非常に増収があったけれども、もうそれでまかなったけれども、今度の十月のは明らかに物価上昇によって再引き上げをやったわけですから、その意味では私は、そういうような物価上昇の責任は政府にあると言いたいのです。したがって、そうであれば、政府の責任を国民に転嫁するということでなくて、政府が少なくとも二月と十月分の値上がりによる赤字分を、全部とは言わないまでも、少なくとも十月分ぐらいのこの赤字に対しては、政府が、今年度に限ってでもけっこうですから、やはり思い切った財政措置をやって、〇・五%の保険料率の引き上げというのはやはり最小限度にとどめるべきである、私はこういうように考えるのですが、大臣の所見はどうですか。
#281
○齋藤国務大臣 ことしなるほど年二回、確かに年二回でございますが、二月の改定は、御承知のように、本年になってからの原因ではありませんで、昨年の十一月の医業経営の実態に即して、診療報酬の改定をせざるを得ないだろうということで、去年の十二月に諮問をいたしまして、去年の十二月三十一日に答申が出て、それを本年の一月から実施するか二月から実施するかというので支払い側と医療側の意見が割れておったのでございますが、支払い側の意見を尊重して二月一日、こうしたわけでございます。すなわち、二月の改定は、過去二カ年間の実績を踏まえ、昨年の十一月現在の医業の実態ということに即してやったわけです。ところが、その後の春の闘争で、いわゆる三二・九%という給与の引き上げがあった。そういうことになりましたために、特に病院等における医療従事者の給与、これの支払いが非常に困難になってきたという事態を踏まえ、そして人事院勧告が出たその時期を見計らって十月実施に踏み切ったわけでございます。私、言いわけするわけでも何でもありません。しかし、年二回やったことは確かでございます。年二回やったことは確かですが、それにはそれぞれの原因というものがあってこうなったのだ、こういうわけでございます。
 そこで、こういう人件費が上がったので、お医者さん方の俸給や看護婦さん方の俸給が払えなくなるという事態になりましたので、十月一日から一六%の診療報酬の改定をしたわけでございます。
 そこで、それは全部国が持て、これも言い方によってはそういう御意見もあろうかと思います。しかし、医療というものは、国民皆保険によって、みんなで保険料を出し合ってやろうじゃないかということから始まり、特に政管健保は去年の改正によって国は総医療費の中の一〇%は定率で補助をいたしましょう、それからさらに料率を少し上げるときには国も必ず持つようにしましょう、こういうわけなんです。でございますので、今回の収支を見ますと、大体四〇%やはり国が持つのです。労使はそれぞれ三〇%ずつなんです。でございますから、去年法律が通る以前の診療報酬改定というのは、まるまる労働者と事業主だけで持っておったのですね。それが今度は非常に変わってくるわけなんです。
 そういうわけで、医療というものはやはり保険ということでやっておるわけでございますから、その直接の原因、今回の直接の原因はいわゆる賃金が三二・九%上がったということなんです。だから払えなくなったのです。それをみんな国が持てというのは、私は筋が通らない、やはり保険である限り。しかし今度は、法律改正によって、国が四〇%持とうというわけですから、三〇%ずつ持っていただきたい。そう無理なことをお願いしているわけではないと私は思うのです。これはもう賢明なる小宮委員、十分御理解をなさっていただける。二年前なら、ほんとう言うと、こんなことなかったのです。国が四〇%持ったり定率一〇%を持つ、そんなこと昔はなかったのです。今回初めて国が四〇%持つ。これはやはり昨年御協力いただいた健保法というものをしみじみ私は感謝を申し上げます。
#282
○小宮委員 いま大臣が言われるように、ことしはベアが三二・四八%もあったということで、これは健保財政は非常に潤うたわけですね。そうすれば、私は非常に来年のことを心配しておるわけです。だから、ひとつまた来年の賃上げについても、そのときは大臣がもう閣僚でおらぬものだからちょっと困るけれども、少なくともやはり賃上げをまたことしぐらいに、やはり三〇%以上の大幅賃上げをするように、大臣はひとつ努力をしてもらいたい。そうすれば、健保財政は、そのことによって潤うて、またわれわれからこの委員会でいろいろ追及されぬでも済むわけですから、そのような意味でひとつ大臣は来年もまた大幅賃上げが獲得できるようにぜひ努力をしてもらいたい。
 それからもう一つ、国民健保の保険料を今度の政管健保の引き上げに関連して上げるかどうか。上げないなら上げないではっきりしてください。
 それから、日雇い健保については、前七十二国会で提案をされて、衆議院を通ったけれども参議院で廃案になったといういきさつがありますが、あの日雇い健保はあのままの内容で政府は提出するかどうかはよくわかりませんけれども、いずれにしても、あの料率の引き上げ程度で済むのかどうか。
 この二つの保険料の引き上げをどうするのかという問題についてもひとつ御意見を聞いておきたい。
#283
○北川説明員 国民健康保険の財政問題につきましては、先ほど大臣からも申し上げたと思いますけれども、非常にきびしい状況にあると思います。これは十月の診療報酬改定前の状況を見ましても、老人が非常に激増しておるということ、しかも老人医療の無料化ということ、また高額療養費制度が取り入れられてまいりましたこと等によって、非常に財政状況は憂慮すべき状態でございます。そういう状況に加えて、この十月から診療報酬改定があったわけでございますので、実は市町村におかれましては、この春にみな相当大幅に保険料の引き上げをやって、大体ことしは三百五十億円という臨時財政調整金まで予算化されましたので、そういうものを適正に配分をすれば大体収支がまかなっていけるのじゃないかという見通しだったわけですけれども、いまのような状況でまいりますと、改定時期が十月で六カ月問の影響がございますので、本年度においてもこれは相当大きな影響があると思います。これをどういうふうにするかということになりますと、やはりこれは国民健康保険も保険でございますから、できるだけ保険料で手当てをしていただくということが基本であろうと思いますけれども、ただ従来も、この診療報酬改定の際には、いわゆる特別療養給付費補助金ということで、保険料、診療報酬改定の際のショックをできるだけ緩和するということで、そのつどいろいろな形で手当をいたしておりまするから、そういう意味合いでは、片方においては保険料の引き上げということをできるだけお願いをいたしますと同時に、片方においてはいま申しましたような意味合いで、国としてもできるだけの努力をしていかなければならぬだろう、このように考えております。
 それから、日雇い健保でございますが、これももちろんいまおっしゃったように医療費の改定の影響があることはもう間違いございません。ただ、日雇い健保の当面いたしております問題は、何と申しましても、先般は本院で全会一致で改正法案を御承認いただいたのですけれども、残念ながら参議院段階で廃案になりましたので、まずこの前回の改正案によって、日雇い健保だけがいま家族が五割給付というような低水準にあるわけでございますから、これを一刻も早く一般の健保並みに給付水準を高める、このことを早期に実現をしたいと思っております。
 でございますから、まあ今度の保険料引き上げ、日雇い健保についてどうするかというお尋ねでございますが、これは当面そういった改正案ということをまず先にできるだけ早く処理をして、その後の財政状況を見守りながら、日雇い健保の根本的な改正ということも念頭に置きつつ考えていくべきじゃないか、このように考えております。
#284
○小宮委員 まあ、大臣や局長がどう言われようとも、また来年の秋は医療費の値上げが必然的に行なわれる。そうなりますと、また政管健保の料率の引き上げが行なわれる。そうしますと、いま弾力条項は〇・三しか残っていないわけですから、これを食いつぶしてしまう。それで来年はさらに健康保険法の改正というものがまた出てくるのじゃないか。しかし、この点については、大臣がおられればいいんだけれども、私たちは大臣が残留するように期待をしておるけれども、どうなるかわかりません。厚生大臣も、この前だれかに話した内容を聞きますと、もう私の懸案事項は全部片づいた、せいせいしたというようなことを言ったとか言わぬとかという話も聞いておりますけれども、それは別として、そういうような問題は、来年、次の厚生大臣になる人は必ずまた健康保険法の改正という大きな問題を背負うことになるのではないかということが私の意見ですから……。
 それはそれとして、中医協がこの十月一日から一六%の医療費引き上げを了承するにあたって、五つの配慮事項がついております。すなわち、公的病院の建設整備の費用、看護婦養成、僻地医療、救急医療等に関する特別の費用は、診療報酬でまかなうのは適当でないということ、第二点は、差額ベッドや患者負担の付き添い看護婦の必要がないようにすべきであるということ、第三点は、歯科の差額徴収を撤廃するよう善処すること、第四点は、医療費の値上げは医療保険財政に影響が大きいので、特に国保、日雇い健保などに配慮して国庫負担による特別措置を講ずること、第五点は、適正な診療報酬の算定に必要な資料を整備するための機構の設置、この五点があげられておるわけですが、この五つの配慮というのは私はもっともだと思うのです。財政が赤字になるからやはり診療報酬を上げていく、または保険料率を上げていく、これでは、国民の生活は物価に加えてますます苦しくなるわけでございますから、もっともな意見と思いますので、この配慮事項に対する厚生大臣のそれぞれの項目についての所見をひとつ聞いておきたいと思います。
#285
○滝沢説明員 公的病院の建設整備の費用、これはすでに補助金を設定いたしまして補助いたしておりますが、最後に、「十分な公費負担を考慮すべきこと。」こういう点について御不満があるというふうにとるならば、すでに実施している補助制度について一そう強化していくことを検討しなければならないと思うのでございますが、特に僻地医療等については、この点を踏まえましてそれぞれ所要の改善をはかりたいと考えております。
 なお、看護婦養成につきましても、すでに民間を含めまして養成費の運営費を出し、設備の整備につきましては公立等に対して補助を実施いたしておりますし、救急医療等につきましても、公的病院、日赤、済生会等についてそれぞれ活動の実績に応じまして特定な診療部門に対する配慮を補助として出しておるわけでございまして、今後もこのような問題は、御指摘をまつまでもなくわれわれとしてすでにやっておることもございますが、一そう御趣旨に沿うように努力いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
#286
○小宮委員 この問題についてまたいろいろ私の質問なり意見を言うと時間がかかりますので、これはまた別の機会にやるとしまして、国民はやはり最近の異常な物価高に加えて、しかも診療報酬の値上げあるいは保険料の値上げというようなことで、ダブルパンチを受けて非常に苦しんでおるのです。したがって、そういうような中で被保険者、国民から吐き出させることばかり考えぬで、やはり国民に対して還元することも政府はひとつ考えるべきじゃないのか。その点で私がひとつ特に要請をしたいのは、先ほどから申し上げましたように、日雇い健保の問題ですね。これはいま言うようにこの前廃案になりましたので、家族に対する給付は五割なんですね。だから少なくともあの法律案をひとつ早急に、できれば次の、十一月下旬に予想されておる臨時国会にでもあの法律案を緊急に提出してもらいたいということがまず一点。
 もう一つは、国民健保は三万円以上の高額医療費負担制度がまだ適用されていないのです。これは来年の十月からというような話も聞きましたけれども、こういうような事態の中で、この国民健保の高額医療費負担制度の問題についても、ひとつ日雇い健保と同じく臨時国会にでも提案をしてもらいたいということを特に考えておるわけでございますが、これに対してひとつ大臣の所見をお聞きします。
#287
○齋藤国務大臣 日雇い健保につきましてはできるだけ早くその成立をはかりたい、かように考えておるわけでございまして、でき得るならば次の国会に提案をして早期成立を期したい、こういう念願に燃えておるものであります。
 それから国保の高額医療制度については、最初、来年の三月、十月ということで三カ年間計画で実はやるわけにしておったのです。ところが非常に住民の要望が強いものですから、五十年度までというようなことをやめまして、二年計画でやってしまおうというようなことでございまして、本年度中に全部完了する予定にして予算措置を講じております。
#288
○小宮委員 そうすると実施はいつになりますか。
#289
○齋藤国務大臣 これは、本年度は二回に分けてやることにしておりまして、本年度中、四月にやるものもあり、十月にやるものもあり、二回に分けております。したがって、来年の三月までには全部済むという計算で予算措置も講じておるわけでございます。厚生省は国保については三年計画を二年計画に縮める、こういう努力をしておることも少しはほめて、理解してもらいたいと思います。
#290
○小宮委員 私は、日ごろから厚生大臣にはやはり敬意を払っておるのですよ。だから大臣も、次の内閣改造でかわられるかしらぬけれども、ひとつ最後の置きみやげにできるだけのことは、まだまだそういうような問題、懸案事項が残っているわけですから、ひとつ国民が喜ぶように、齋藤厚生大臣がおるときは非常によかった。今度の厚生大臣はあかんと言われるように、厚生大臣に最後のひとつごふんばりをお願いしたいと思う。
 それから次は、国立病院の問題でちょっとお聞きしますが、長崎県の対馬の美津島町に国立病院がございますが、定員は四名にもかかわらず、現在二名しかおりません。そうしてそれが外科と内科の先生だけです。対馬は人口七万といわれておりますけれども、この七万の対馬の中に眼科、耳鼻咽喉科の先生が一人もいないのです。そのために、この島の人たちは、眼科だとか、耳鼻咽喉科に必要のある場合は福岡まで行って、福岡で入院治療をやっておるわけです。そのために非常な、ばく大な出費を余儀なくされておるわけです。これは僻地医療の問題はいろいろ取り上げられております。しかし、こういうような対馬の人たちの声というのは、国立病院が美津島町にあるのですから、したがって、何とかひとつ国立病院にそういうような眼科、あるいは耳鼻咽喉科あたりを設置してもらえぬだろうかというのが島民七万の切なる希望なんです。しかもこれは国立病院ですから、その意味でそういうようなことについて、厚生省としてひとつ検討してもらいたい、配慮してもらいたいというように考えるわけですが、その点、厚生省の所見はいかがですか。
#291
○滝沢説明員 先生御指摘のように、対馬病院は医師の定員は四名でございますが、四十九年九月一日に産婦人科医師を一名採用いたしておりますので、先生の御存じになっているのよりその後一名ふえておりまして、四名中三名が専任、それから一名結核の医療のために現地で開業しておられる方を非常勤としてお願いしておりますので、一応医師は四名おるということでございます。いま内科、外科、産婦人科で、内科のうち結核もやっておりますが、耳鼻科、眼科というような特殊の診療科について、八十三床のこの病院に設置することの御希望でございますが、この点につきましては、長崎県でございますけれども、実質応援は福岡からいたすことが一番便利でございますので、今後僻地、離島の医療対策の一環として、国立病院も医師の定員、予算上の措置等によりまして、できるだけ、毎日おるという実態にすることは、非常にこういうところは困難だと思いますけれども、できるだけそのような小さな診療科についても配慮をしていきたいと思いますが、もう一つ問題は精神科の問題が実はあるわけでございまして、これもわれわれ十分承知いたしておりまして、精神科の収容施設をつくることも将来にわたって検討いたしたいというふうに思っております。
#292
○小宮委員 いつも検討する検討するというけれども、その検討はいつになったら実現するのか。もうこれはいままで何年となく聞きあいておるわけです。したがって、いまの産婦人科の先生というのも、これはどこの人か知っておりますか。日本人じゃないのですよ。日本の国立病院に日本人でない韓国のお医者さんが産婦人科の専門医として来たわけですよ。外国人を連れてきて、それで定員は三名になっております、これは各地方自治体の診療所なら話はまだわかるのですよ。少なくとも国立病院に韓国の医者を連れてきて、それで定員が四名のうち三名になっております、恥ずかしくてそんなことをよう言われますか。韓国人ですよ。御存じですか。ほくはそれは知っておるのです。韓国人だから、厚生省が招聘をして、そして定員をふやしたというふうに考えてみた場合に、これはどうかな、まさかそんなことをするはずはない。日本の国立病院だから当然日本の専門医が来るものというふうに考えておったから、私は二人という表現を使っただけの話で、韓国人ですよ。御存じですか。それでは産婦人科の医者が来た。来たけれどもあそこは病床が七十病床しかありませんので、産婦人科でお産する場合に、病院に入院してお産しようとしても病床がないわけですよ。だから病床もふやしてもらわなければいかぬわけです。
 それからもう一つは、四名確保しておるといっても、それはある期間を限ってしかこないのです。医師不足はわかりますよ。だから根本的な医師不足をどうするのかという問題からまた論議しなければいけませんが、それはまた別の機会にやるとして、やはり早急に定員四名は、産婦人科も韓国の人でもかまいません。だからそれなら眼科、耳鼻咽喉科も、ほかにまた韓国の人がおらぬか、台湾の人がおらぬかさがしてでも早急に定員を充足してください。それが政府の責任でしょう。国立病院ですよ。局長、どうですか。
#293
○滝沢説明員 もちろん満州医大を出た方であることは私承知しております。りっぱな医師であると思いますし、法務省も離島、僻地に限って国外からの入国を認める仕組みになっておりますので、たいへん残念ではございますけれども、国立対馬の場合もその医師を現在迎えておるわけでございます。定員が四名でございますから、今後眼科、耳鼻科等を設置するとなりますと、おそらく医師が外来だけを見ておるということについてはなかなか満足しないと思いますので、八十床範囲の中で各科をそれぞれに用意するということについてはやはり相当の準備をしなければならない。したがって増床計画というようなものも考えなければなりません。御指摘のように、またこの産婦人科の医師のようにりっぱな医師であれば、日本の医師免許証を持っておる方であれば、私はこれを迎えて内容を充実することにやぶさかではございませんが、ただ定員法の関係あるいは病床の運営上の問題等を考えまして、眼科、耳鼻科を入院患者まで含めて機能を充実することは当面すぐには無理だと思うのでございますが、外来等の取り扱いにつきましては日を定めて福岡地区からの応援等を考慮し、なお適切な人材があれば採用につとめて、そして病床の増についてはなかなか早急にはまいりませんけれども、外来からでも実施するというふうにしまして、あそこの地区の市町村長さんが何回も来ておられましてかなりこまかい事情をお聞きいたしております。われわれとしてもできるだけ対応したいという気持ちでやっておりまして現状の程度でございまして、この点につきましては今後とも国全体の僻地離島対策の強化が一つの重要な施策になっておりますので、これに呼応いたしまして離島僻地にある国立病院の強化もあわせてはかっていきたいというふうに考えております。
#294
○小宮委員 まあ国会答弁のときだけ非常に前向きで答弁されるんだけれども、それが終わったらもうあとは答弁しっぱなしでなかなか実現できないというのが今日の政治の実態なんです。もう一つこの病院で問題になるのは、この対馬の国立病院というのはもともと陸軍の衛戌病院をここに移築をしたわけです。だから病棟は全部もう老朽化しておるのです。私も行ってみました。だから、そういうような病棟の老朽化の問題にしてもやはり早く何とか新築してほしいという陳情がたびたびあっておるわけですが、それはなかなか厚生省も取り上げてくれないということでこぼしておるわけですが、そういうような意味ではほかの面、経済的なメリット等いろいろありますけれども、少なくとも人命を預かる病院というところは、そういうような経済的なメリットは抜きにしてでもやはり厚生省としては病棟の新築ということをぜひひとつ考慮してもらいたいというふうに考えますが、いかがですか。
#295
○滝沢説明員 対馬病院の整備につきましては先生御指摘の病棟が二個病棟、これはちょうど三十五、六年ごろの整備でございますから、十数年たっておるわけでございまして、保安度も三千点を割るというような状況でございまして、来年度の離島僻地にある小さな国立病院の一つとしての整備の予算の一番先に掲げてこれを要求いたしております。ぜひ実現をはかっていきたい。まあしかし現状の国立病院の整備の常識からいきますと、この二個病棟を整備するにはどうしても二年はかかるというふうに考えておりますので、単年で全部やることは無理だと思いますが、二年がかりで建てかえたいというふうな計画にいたしております。
#296
○小宮委員 最後に一言だけ質問しておきます。
 これは一昨年、食品衛生法の一部改正の法律案が本委員会で可決された際、附帯決議がつけられておるわけです。その内容は、「加工乳の制度について、さしあたり、微量栄養素添加の禁止、表示事項の改善、その原料となる濃縮乳の規格化等の措置を講ずるとともに、三年後を目途に、生乳の混入割合を七十パーセント、原料は生乳と濃縮乳のみとすること。」となっておるわけですが、この問題はまだ三年にはなっておりませんけれども、藩閥聞くところによれば、生乳の供給とも関連して実施が非常にむずかしいということを承っておりますので、すでに二年たっておるわけですから、そういうような意味で、簡単に、この実現が可能かどうか、現状はどうなっておるのか、また今後どういうふうに考えておられるのか、これはひとつ農林省のほうから御説明願いたい。
#297
○鴻巣説明員 お答え申し上げます。
 農林省といたしましては、酪農振興の観点から、やはり従来から飲用牛乳は極力なま乳でまかなうというのが基本であると考えております。したがいまして四十七年の六月に当委員会で決議されました加工乳についての附帯決議を十分完全に尊重して進めていかなければならないというのが私どもの基本でございます。そこで私たちとしては、その後、附帯決議をいただきましたあとで、牛乳の、特にこれからまいりますと大体北海道あるいは九州、遠隔の農業地帯から大都市地域への牛乳の輸送をはからなければ生乳で需要をまかなえないという現状でございますので、私どもとしては四十一年度には、牛乳の輸送施設リース協会というのがございますが、そこに国から一億五千万、さらに四十七年度は三億円を出資いたしましてタンクローリーあるいはクーラーステーションをつくる、あるいは北海道の農協乳業株式会社に四十八年度に四億円を出資いたしまして濃縮乳をつくる工場、四十八年には根釧の工場、四十九年には北見の工場をそれぞれつくったわけでございます。そして濃縮乳を五十年には生乳換算で五万一千トン持ってくるという計画をやっておるということでございます。しかし東京あるいは大阪あるいは名古屋というような大都市近郊では、人口は一方では集中する、他方ではそのあたりの牛乳生産は停滞ないしは減少ということで、当時附帯決議をいただいたときに比べて残念ながら近年ますます需給のギャップが開いてくるという状態でございますので、私どもとしては附帯決議の趣旨を五十年六月から完全に実施するにはいままだ生乳の供給体制そのものが十分整ってないという点がきわめて遺憾でございますが、今後とも極力生乳で飲用牛乳をまかなうということを基本に努力をしてまいりたいと思っております。
#298
○小宮委員 それではやはりいま農林省としても附帯決議の趣旨を尊重してその実現に向かって努力をしておるというふうに理解していいですね。
#299
○鴻巣説明員 私どもは、ただいま申し上げましたように、やはり飲用牛乳は極力生乳でまかなうというのが基本でございますから、四十七年六月にいただいた附帯決議を十分尊重して努力をしていきたいというのが私どの基本的な態度、方針でございます。
#300
○小宮委員 質問を終わります。
#301
○滝沢説明員 先ほど私先生の御質問の中で残念ながらということばを使って外国人の医師の問題にお答えしました趣旨について、ことば足らずで誤解を招くおそれがある心配もございますので、気持ちを率直に申し上げておきたいと思いますが、本来国立病院は日本人の医師でまかなうべきものと思うのでございますが、医師の不足のおりから、最小限許される離島僻地の国立の病院について外国人の医師を採用しているのでございますことの意味をもって残念と申し上げたのでございますので、その辺趣旨の誤解のないようにお願いしていただきたいと思います。
#302
○山下(徳)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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