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1974/07/31 第73回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第073回国会 本会議 第3号
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1974/07/31 第73回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第073回国会 本会議 第3号

#1
第073回国会 本会議 第3号
昭和四十九年七月三十一日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第四号
  昭和四十九年七月三十一日
    午前十時開議
 第一 外務委員長の選挙
 第二 特別委員会設置の件
 第三 田中内閣不信任決議案(楯兼次郎君外十
    四名提出)
         (委員会審査省略要求案件)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 外務委員長の選挙
 日程第二 特別委員会設置の件
 日程第三 田中内閣不信任決議案(楯兼次郎君
  外十四名提出)
 米内山義一郎君の故議員中村拓道君に対する追
  悼演説
 田中伊三次君の故議員谷口善太郎君に対する追
  悼演説
 離島振興対策審議会委員の選挙
 漁港審議会委員任命につき事後同意を求めるの
  件
 宇宙開発委員会委員任命につき同意を求めるの
  件
 社会保険審査会委員任命につき同意を求めるの
  件
 日本放送協会経営委員会委員任命につき同意を
  求めるの件
 日本電信電話公社経営委員会委員任命につき同
  意を求めるの件
 労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの
  件
 恩給、共済年金受給者の処遇改善に関する請願
  外百六十一請願
 懲罰委員会を除く内閣委員会外十四常任委員会
  並びに災害対策特別委員会外七特別委員会に
  おいて、各委員会から申出のあつた案件につ
  いて閉会中審査するの件(議長発議)
   午後三時十四分開議
#2
○議長(前尾繁三郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 外務委員長の選挙
#3
○議長(前尾繁三郎君) 日程第一、外務委員長の選挙を行ないます。
#4
○木村武千代君 外務委員長の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
#5
○議長(前尾繁三郎君) 木村武千代君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 議長は、外務委員長に有田喜一君を指名いたします。
  〔拍手〕
     ――――◇―――――
 日程第二 特別委員会設置の件
#7
○議長(前尾繁三郎君) 日程第二、特別委員会設置の件につきおはかりいたします。
 災害対策を樹立するため委員四十名よりなる特別委員会、公職選挙法改正に関する調査をなすため委員二十五名よりなる特別委員会、科学技術振興の対策を樹立するため委員二十五名よりなる特別委員会、石炭に関する対策を樹立するため委員二十五名よりなる特別委員会、公害の対策並びに環境保全の諸施策を樹立するため委員二十五名よりなる特別委員会、物価問題等に関する対策を樹立するため委員二十五名よりなる特別委員会、交通安全に関する総合対策樹立のため委員二十五名よりなる特別委員会及び沖繩及び北方問題に関する対策樹立のため委員二十五名よりなる特別委員会を設置いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
 ただいま議決せられました八特別委員会の委員は追って指名いたします。
     ――――◇―――――
#9
○議長(前尾繁三郎君) この際、暫時休憩いたします。
   午後三時十六分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時五十九分開議
#10
○議長(前尾繁三郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第三 田中内閣不信任決議案(楯兼次郎君外十四名提出)
          (委員会審査省略要求案件)
#11
○議長(前尾繁三郎君) 日程第三は、提出者から委員会の審査省略の申し出があります。右申し出のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。
 日程第三、田中内閣不信任決議案を議題といたします。
    ―――――――――――――
 田中内閣不信任決議案
  〔本号(一)末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#13
○議長(前尾繁三郎君) 提出者の趣旨弁明を許します。下平正一君。
  〔下平正一君登壇〕
#14
○下平正一君 私は、日本社会党並びに日本共産党・革新共同、公明党、民社党を代表して、ただいま議題になりました田中内閣不信任決議案について、提案の趣旨を御説明いたします。(拍手)
 まず最初に、本決議案の案文を朗読いたします。
  本院は、田中内閣を信任せず。
   右決議する。
  〔拍手〕
 以下、私は、不信任の主たる理由について、順を追ってその趣旨を明らかにしてまいります。
 田中総理、あなたは、庶民宰相を旗じるしに、自民党再建の旗手としてさっそうと登場したにもかかわらず、わずか二年にして、あなたの期待に反して、このたびの参議院選挙で、自民党は、改選議席数の半数さえも確保できず、保守合同以来かつてない大きな危機に直面しているといわれております。また、田中内閣にはいまや冷ややかなすき間風が流れていると取りざたされております。それは一体なぜでしょうか。あなたはそのことを静かに考えてみたことがありますか。あなたの最近の言動からは、いささかの反省も見られません。こうしたみずからを問い直して政治に当たるという、政治家として不可欠な態度が欠落しているところに、民意があなたから離れていく根本的な要因があると私は思うのであります。(拍手)
 この内閣不信任案は、無能力、無反省で、民主政治と国民生活を破壊し続けてきた、日本の政治史上最悪の総理大臣である田中角榮君に対する、国民の名による峻厳な告発状であります。(拍手)
 田中総理の悪政の数々、失政の数々は枚挙にいとまがなく、これを非難する適当なことばを見つけることにさえ困難をいたしております。私は、その中でも重要な数点にしぼって、ここに告発をいたしたいと思います。
 参議院選挙の結果は、あまりにも明白であります。国民の厳正かつ痛烈な審判と選択の結果は、自民党の徹底した敗北であり、田中内閣の施策に対する国民的拒否の表明であります。(拍手)したがって、選挙直後のこの臨時国会に対する国民の期待と要求は、当然のことながら、田中内閣に対する厳粛な反省を求め、その責任を明確にすると同時に、インフレ、物価、その他重要かつ緊急な課題について、真剣な討議を行ない、適時適切な対策を実施することであります。
 しかるに、田中総理大臣は、この国民の血の叫びを無視し、さらには、国会のよき民主的慣行を踏みにじって、院の構成だけの短期国会とし、所信表明すら行なわない態度に出、しかも、党内の多くの反対を押し切ってこれを強行したのであります。
 選挙中あれほど多弁であった田中総理が、今度の国会では貝のごとく口を閉ざして、とにもかくにも八日間の会期が一日も早く過ぎ去ってくれることをひたすら念じ続けているようでありまするが、この態度は、あなたのわがままとして断じて許すわけにはまいりません。(拍手)
 あなたのこの沈黙は、あなたの盟友であるニクソンの大統領弾劾問題における沈黙、また、隣国韓国において、大統領緊急措置を情け容赦もなく強行する朴大統領の沈黙と並ぶ、現代の恥ずべき世界三大沈黙といえるのであります。(拍手)この三つの沈黙が、いずれも人間の良心と理性に挑戦する沈黙であり、民主主義の原理を否定しているところに、問題の重要性がございます。
 さらに、山積した問題を放置したまま外遊しようとしておりまするが、これは外遊でなく、まさに国外逃亡であります。(拍手)
 このような田中総理の議会軽視、国民無視の民主主義を破壊する行動は、これ一つだけとっても、不信任に値する罪であります。(拍手)
 田中総理大臣に対する第二の重要な告発は、そのインフレ政策、物価つり上げ政策によって、国民生活を破壊した罪であります。
 田中内閣は、わずか二年そこそこの在任中、通算して卸売り物価は実に五一・六%、消費者物価は三六・二%に急上昇せしめたのでありますが、これは、敗戦直後の混乱期を除けば、実に平時の二十年分に相当するものであるといわれており、この意味で、田中内閣は史上最高の物価値上げ内閣であり、あなたは国民生活破壊の総理大臣であります。(拍手)
 すでにOECDの報告にもありまするように、日本は、先進資本主義国の間でも最高の物価高騰国であり、田中内閣によって、まさに物価高騰大国となったのであります。
 しかるに、田中総理は、参議院選挙のさなかに、物価問題は屋根の雨漏り程度とうそぶいているのであります。総理は、自由民主党総裁として、今度の選挙に一千億円近い資金を投入して、まさに金権、買収選挙を行なったとうわさされているのでありまするが、そうした自民党の諸君にとっては、暴騰物価は雨漏り程度で済むかもしれませんが、しかし、日夜額に汗して働き続ける勤労国民にとっては、まさに死活の問題であります。(拍手)インフレ、物価問題は、国民生活にとって一日一刻もゆるがせにすることのできない政治上の大問題であります。
 田中総理は、国民の声を聞くと言いながら、選挙中はこの物価、インフレの問題から逃げ通して、臨時国会でも施策の表明ができないとあっては、最重要課題であるこのインフレ、物価対策について、みずから無能、無策を表明したものといわなければなりません。(拍手)いや、実は不作為の無能、無策ではなく、石油、電力、運賃、鉄鋼、アルミ、セメントと、ありとあらゆる物価の底上げを行ない、あるいはこれからも行なわんとして、積極的に物価引き上げ、毒を食らわばさらまで式の国民生活破壊の行政を続けているのであります。しかも、これらインフレ、物価高騰の原因を、国際的なインフレ、労働者の賃金上昇になすりつけているのでありまするが、これこそ、盗人たけだけしいというべき態度であります。
 そもそも、物価の急上昇のきっかけをつくったのは、「日本列島改造論」の中に固有名詞で出ている二十五万都市の土地値上がりであり、当然の成り行きとして、続いて起こった木材、セメントなどの建設資材の値上がりであり、そしてあらゆる物価に波及したのであります。
 この物価値上がりの経過を見れば、物価を高騰せしめた元凶は、まさに田中内閣総理大臣その人であり、列島改造論であることは、明々白々たる事実であります。(拍手)
 田中総理大臣は、昨年から、国民に対して、物価を安定させる、責任をとるとまで約束してまいりましたが、まさに口頭禅に終わっているだけでなくて、高度成長政策を転換するという約束も全くほごにして、相変わらず七千キロの新幹線の建設とか、本四架橋の同時着工を唱えて、さらにインフレを助長しようとしているのであります。のみならず、大企業の買い占め、売り惜しみ、物価操作、やみカルテルなどの悪徳商法、反社会的行為を見て見ぬふりをして、ばく大な収益をあげさせ、その不当利得を税で吸収せよという国民的要求には、抜け穴だらけの会社臨時税法などで、千数百億円もの恩典を大企業に与えているのであります。
 土地はどうでしょうか。まさに土地は社会的不正義、諸悪の根源をつくり出していると言っても過言ではありません。大企業の不当な買い占め、不当なつり上げ、ばく大な収益、このことは一体何をもたらしておりますか。土地や株の値上がりによる不労所得が、社会に必要な物資、サービスを生産する労働者や農民の所得を上回るという今日の経済状態は、どんな理由づけをしようとも、正常な姿とはいえません。まさに、日本経済はギャンブル経済化しているのであります。
 インフレと物価高の荒波を最も強く受けているのは、低所得者、病人、生活保護世帯など、いわゆる経済的、社会的弱者層であります。これらに対して、田中内閣は何を一体したのですか。四十九年度予算で社会保障費を大幅に増加したというけれども、しかし、増加をしたのは、社会保険費、いわゆる武見予算といわれる医療費の増加だけであります。五〇%増しにしたといわれる厚生年金も、わずかに月額二千五百円、一日にして八十三円であります。生活保護世帯への給付をふやしたといいますが、これも一人当たり一日八十三円であります。春闘の際の弱者対策として出したインフレ手当も、月二千五百円、一日にすれば八十三円。田中内閣の社会保障は、たった八十三円の社会保障というべきであります。(拍手)
 一体、この物価高の中で、八十三円で老人や病人に何を食べなさいというのですか。血も涙もないということばは、このような政治に対していうことばではないでしょうか。田中内閣総理大臣の政治の中からは、憲法二十五条は完全に抹殺されてしまっているのであります。
 次の告発は、農政についてであります。
 過般の米価審議会を中心とする米作農民の激しい戦いは、労賃、生産資材の大幅値上がりに対して、農家の生活を守り、米の再生産を確保するための要求でありましたが、単に米作農民だけでなく、畜産、果樹、養蚕など、あらゆる農民の要求を代弁して戦われたものであります。同時に、日本農業の立て直し、食糧自給への農政転換の要求として受けとめるべき問題であり、これは、とりもなおさず、政府・自民党の農政に対する鋭い告発にほかならないのであります。(拍手)
 歴代内閣のもとで、農民切り捨て政策が続けられ、外国農産物の輸入増大による国内農業の圧迫が強まり、とりわけ、田中内閣の日本列島改造論によって農地の取りつぶしが行なわれ、耕作面積の異常な減少、専業農家、農業就業人口の急減で、日本農業はまさに後退と荒廃の一途をたどっているのであります。
 この結果、諸君御承知のとおり、昭和三十五年に八三%であった穀物自給率は四三%に半減し、米を除けば、その自給率は一〇%に満たないという現状であります。
 世界的な食糧危機、資源不足のもとで、もはや、安い食糧を自由に輸入することは、きわめて困難な状況であります。こうした国際的状況の中で、食糧の大部分を海外に依存をすることは、将来に大きな禍根を残すことは明らかであります。
 政府・自民党の諸君は、安全保障といえば、日米安全保障条約の堅持、自衛隊増強を異口同音に強調するのでありますが、食糧自給もできずして、何が安全保障といえるでありましょうか。農政の失敗を安易に消費者米価の値上げに転嫁することは許されません。農政を転換して食糧自給率の向上をはかることこそ、わが国が必要とする最大の安全保障の課題であり、国民に責任を持つ政治のあり方であります。農業を荒廃せしめた田中内閣の罪は、まことに重大であります。(拍手)
 さらに、中小企業の問題についてであります。
 大企業はインフレでぼろもうけをしているが、中小企業はインフレで倒産が続出をし、ことしに入っても、史上最高の倒産が続いております。特に、繊維の倒産、レイオフが行なわれ、経営者、労働者ともに、インフレの波にまさにのまれようとしております。
 政府は、中小企業振興を口では唱えておりますが、その本心は、大企業と一体になって、中小企業の自然淘汰を願っているのであります。
 そのことは、昭和四十九年度予算を見れば明瞭であります。中小企業対策費は、予算規模に占める割合がわずかに〇・六%、昨年も、その前年も同じく〇・六%台、まさに、田中内閣は、中小企業をコンマ以下にしか扱っていないことが歴然であります。(拍手)
 次の重要な問題は、目に余る金権選挙、企業ぐるみ選挙などの腐敗選挙、時代錯誤の道徳論を振りかざして反動教育を推し進め、教職員に対して権力的弾圧を加えている民主主義に対する罪であります。
 田中総理は、選挙中も、五つの大切とか十の反省などと言ってきましたが、東京の都心のまん中に三千坪の大邸宅をかまえ、その庭には、一匹数百万円ものコイを放っているとうわさされております。さらに、選挙の際には、五当三落という、果ては十当七落といい、新型ヘリコプターを飛ばして全国を叫び歩いた田中総理に、一体節約の道徳を語る資格があるでありましまょうか。(拍手)国民は大きな疑問を持っております。金権選挙を放任して政治を腐敗させた責任を、一体、田中さん、あなたはどうとりますか。(拍手)
 自民党総裁として公認をした糸山英太郎議員派の悪質な買収選挙違反は、その容疑が底なしのどろ沼の様相を呈し、すでに多数の逮捕者を出しております。公認した総裁として、この責任を感じませんか。少しも反省をしない田中総理の態度には、これが国民に向かって道徳を説いた同一人物かと、ただただあきれるばかりであります。(拍手)
 金権選挙、企業ぐるみ選挙の害毒はもちろん、定数のアンバランスの是正、その他、民主政治の基礎となる選挙の公明を期するため、緊急に改革しなければならない問題が、今次選挙においても明白になっているのであります。総理は、目下ほおかむりをきめ込んでおりまするが、これを持ち出せば、さきの小選挙区制問題のときのように、それなら小選挙区制だと、制度論にすりかえ、逆手にとって開き直る姿勢をちらつかせております。これは脅迫者の態度であります。居直り強盗の態度であります。一国の総理大臣の断じてとるべき態度ではないと思います。
 次には、外交の失政であります。
 国を守るということは、主権を守るということであれば、自衛隊の増強の前に、現実に日本の主権を侵害している韓国政府に対して、一切の援助を取りやめるなど、断固たる態度で対韓外交に臨むべきであります。
 現在も、身柄が事実上拘束状態にあり、また、過去の大統領選挙に関連して朴軍事政権から起訴されております金大中氏は、かつて、腐敗した朴政権をささえているのは、アメリカの軍隊と日本の円であると強調しておりまするが、このことばは、現在の韓国の状況を正しく指摘したものといえます。
 すでに、あの忌まわしい金大中氏拉致事件が起きてから一年を経過しておりまするが、当時、田中内閣は、時間をかけて筋を通した解決をすると言いながら、今日、経済援助という名のもとに、ファッショ政権の維持にきゅうきゅうとし、そこからまた新たな利益を得ているのであります。大統領非常大権をはじめ、一連の弾圧措置のもとで、韓国の民衆が血みどろの苦しみにあっているにもかかわらず、世界に冠たる悪名高い軍事政権に経済援助をとり続ける田中内閣の体質は、まさに朴大統領と同質であり、同罪であるといわなければなりません。(拍手)
 いま、政府が韓国に対してとっているような、相手国政府と人民間の隔たりを無視して、一方的に政府のみに加担をする形で行なわれている援助の姿勢は、他のアジア諸国に対しても共通のものであります。これに対する人民の反発は、昨年の総理の東南アジア歴訪時のあの激しい反日デモによって、いやというほど見せつけられたはずであります。田中内閣の、外交の上での誤りをおかした重大な罪であります。
 田中総理は、本年初頭の通常国会における施政方針演説において、結果について責任をとると、明確な態度を表明されました。このことは、確かにすべての政治家に問われることであります。昨年来の世界の諸国に見られる首班、指導者の交代の中に、まさにこうした民主主義原理の貫徹を見ることができます。
 ところが、田中総理のインフレ、暴騰物価に対する無責任きわまる対応、金権、企業選挙に見られる厚顔無恥な態度、沈黙が得だとばかり今国会で所信表明すらできない無能な姿からは、責任の片りんさえもくみ取ることができません。
 アメリカ議会におけるニクソン大統領弾劾審議において、フラワーズ議員は、私が一番気にしていることは、巨大化する政府が人民の自由を侵害しているのではないかということである、人民のための、人民によって設けられた制度は、一人の人間や一つのグループの政治的利益のためにつくられたものではないと述べております。また、共和党のバトラー議員すら、権力の誤用こそ圧制の本質であると、弾劾発言を行なっております。ここに見られるニクソン大統領弾劾発言は、海の向こうのアメリカ政治におけるできごとだけではなく、そっくりそのまま田中総理に当てはまることであります。(拍手)
 田中政治のこの二年間は、まさに田中角榮という一人の人間のための、あるいは自民党内の限られたグループのための政治でありました。(拍手)権力を誤用してきたのであります。それは、私が言うまでもなく、あなた方の先輩である三木副総理、福田大蔵大臣の辞任が何よりも証明をしているではありませんか。(拍手)
 われわれ国民にとって、このような無策、無能、そして徒党的な内閣が一日存命することは、一日だけよけいに国民的損失となり、不幸を増幅させることになることは、だれの目にも明らかであります。
 田中総理、あなたは、この際、選挙の結果に示された国民審判を率直に受けとめ、この二年間の政治的結果に対する責任のとり方に、いまこそ決断と実行で臨み、不信任決議を待たずに総辞職すべきであります。(拍手)
 以上、私が申し上げました数々の問題点は、細部において多少の異論はあっても、国民の選良として本院に在籍する者の、党派を越えてひとしく憂うるところであると確信をいたします。また、このような総理、総裁を持つことは、自民党にとっても不幸であります。自民党の良識ある諸君の積極的賛成を心から訴えまして、趣旨説明を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(前尾繁三郎君) 順次これを許します。
  〔江崎真澄君登壇〕
#16
○江崎真澄君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました田中内閣不信任決議案に対し、断固反対の討論を行なうものであります。(拍手)
 元来、内閣不信任案なるものは、実際に政権を担当する能力と資格のある政党が提案することによって、初めて意義づけられるものであります。(拍手)政権を託するだけの国民の信頼も得られず、また、その主義、政策において、とうてい現実の政治をになう資質も能力も備えていない野党が、この時期にあたって無理やり不信任案を出しましたことは、党利党略以外の何ものでもありません。(拍手)国民は、内閣不信任案をあまりにも簡単に政争の具としてもてあそぶ野党の諸君に対し、激しい怒りを覚えることでありましょう。(拍手)
 野党の諸君は、今回の参議院選挙の結果が、何かわが党政府に対する国民の不信を示すような言い方をされます。わが党は、なるほど、参議院において若干の議席を失いました。しかし、依然として衆参両院において過半数以上の勢力を確保しておることに変化はないのであります。(拍手)
 もとより、私たち自由民主党は、政府与党であります。責任政党であります。したがって、選挙に示されたところを、昨年末の異常物価等に対する国民のきびしい批判を表示したものとして、謙虚にこれを受けとめ、深く反省するとともに、党の近代化を進め、国民的信頼のもとに、自由主義社会の発展に資することを真剣に考えておるものであります。(拍手)
 しかし、全国区、地方区を通じ、その得票数、得票率は、わが党に対する国民の支持の大勢は決して変わっていないということを、ここにはっきりと申し上げることができるのであります。
 すなわち、わが自民党は、その得票数において、前回四十六年の参議院選挙に比べ、五百五十七万票も多い二千三百三十三万票を獲得したのであります。(拍手)また、地方区においても、三百三十万票を上積みすることを実現いたしたのであります。これは、確かに投票率が高かったことにもよりましょう。しかし、その得票率におきましても、全国区においては前回とほぼ同じ四四・三%を確保し、地方区においても、この多党化の時代において、自民系の票数を合算すれば、四一・九%を保つことができたのであります。(拍手)
 これに対して、いま自民党をあしざまにののしって不信任案を出されておりまする社会党の諸君はどうでありますか。何か勝ち誇っておられるようにさえ見受けられるのでありますが、諸君はほんとうにそれで良心に恥じないのでありますか。投票率がきわめて高かったにもかかわらず、社会党は、全国区の場合、前回よりも五十万票減票しておるじゃありませんか。(拍手)また、その得票率におきましても、二一・三%から一五・二%へと急落をしておるじゃありませんか。(拍手)また、地方区におきましても、三一%から……(発言する者あり)これは地方区です。三一%から二六%へと転落いたしておるのであります。(拍手)まさにその低落ぶりははなはだしく、今次選挙を客観的に見まするならば、社会党の長期低落傾向こそ大きな特徴と言えるでありましょう。(拍手)
 また、共産党に対しても一言申し上げなければなりません。諸君は、大都会においては、すでにして頭打ちの状況を示したのであります。特に東京都における得票率の著しい低下、共産党も、政治に関心の高い大都会では、ついに月おくれの雑誌のように魅力を失いかけておることを反省すべきであります。(拍手)
 これらの数字は、国民が決して大きな政治的変化を求めなかったことの一つのあらわれであります。自民党政権の交代を求めたものではなく、私たちは、自民党に対し、異常物価に対する厳粛な反省と、より適切にして強力な政策の推進を求めた鞭撻であると受けとめておる次第であります。私は、むしろ、国民のきびしい審判は、革新のかなめであると自負しながら、すでにして主体性を失ってから久しい社会党にこそ、鉄槌が下されたことを指摘しておくものであります。(拍手)
 さて、次に申し上げたいことは、野党が従来のような非現実的な観念論や無責任な政策を捨てない限り、とうてい実際の政治を担当する資格がないということであります。選挙を前にして、それぞれ連合政府綱領なる作文を発表されましたが、いずれも現実性のないまぼろしのようなものばかりであったのであります。
 国家として最も基本であるべき憲法に対する考え方、国の安全と防衛に関する政策、外交政策、政治経済の社会体制、すなわち、自由と民主主義等の基本において、マルクス・レーニン主義の共産党や、これと同工異曲の社会党、人間社会主義をいわれる公明党、民主社会主義の民社党が、根本において相いれないのは当然の帰結であります。
 このような性格の異なるそれぞれの野党が、連合して国政を担当できるわけがありません。そのことは、過ぐる参議院選挙におきましても完全に露呈されたではありませんか。野党間における政策論争は、いわゆる政策論争というものではなく、まさしく口げんかであり、ののしり合いさながらであったではありませんか。(拍手)
 また、社会党、共産党の諸君は、自由経済体制による経済の成長を否定しながら、社会保障は画期的に拡充をする、教育は飛躍的に振興をする、食糧はすべて自給する、消費者米価へのはね返りは忘れ捨てにして、生産者米価は六〇%以上も値上げをする、給料は大幅に引き上げる、現実の予算に比べて、数倍も金のかかるような架空の政策をおくめんもなく並べ立て、一方では、税金は思い切って軽くすると訴え続けたのであります。
 諸君、民主主義を生んだイギリスの政治は、政権担当能力のある野党が、平素からシャドーキャビネットを用意し、国民の考えが変われば、いつでもスムーズに政権交代を可能にいたしておるのであります。政府案に対しては、野党も必ず具体的な代案を国民に示し、政府と同じように国民の批判を受けるのであります。イギリスの民主政治が、与野党共同責任に立つ政治といわれるゆえんは、まさにそこにあることを知らなければならないのであります。
 以上申し述べましたとおり、このたびの内閣不信任案は、全く提案の資格すらない野党の根拠なき中傷であるといわざるを得ないのであります。(拍手)
 次に、この臨時国会において政府が所信表明演説を行なわないことを、不信任の理由の一つにあげておられるのであります。
 この国会は、国会法第二条三の規定に基づき、参議院の構成を目的として召集された臨時国会であります。法案の提出、その他特に必要な事情がない限り、政府の所信表明等は行なわないのがたてまえであることをよく認識されたいのであります。(拍手)政府の当面の施政方針とその具体的内容、特に物価問題等に関する考えや進め方は、会期百八十五日間という、まさに半年以上に及ぶさきの長期国会において十分論議し尽くされたところであります。しかも、続く選挙戦におきまして、最も具体的に、政府及びわが党の政策をくまなく全国民に訴えてまいったのであります。その後わずかにして十七日間を経て召集されたのが、この臨時国会であります。新たな法案も提出しないのに、所信表明の必要がどこにあるかと申し上げたいのであります。(拍手)政府及び党は、常に公約した政策は、その財源の見通しをはっきりと立て、責任をもって実行する段階において初めて所信を表明することこそ、責任ある政党の態度であります。(拍手)
 公務員給与の改善にいたしましても、国家公務員、地方公務員、国家、地方の財政合わせて二兆二千億円の巨額にのぼるのであります。これをわずか数日間のうちに片づけようというのは、それこそ無理というものであります。人事院勧告をそのままに実行するかどうか、それこそ財源の問題と十分にらみ合わせ、その可能性をしっかりと確かめた上においてすみやかに実行することこそ、わが党の態度であることを申し上げておきたいのであります。
 次に、物価問題であります。
 野党の諸君は、口を開けば、物価の問題は田中内閣の責任のように申されますが、昨年末の異常な物価高は、世界各国共通の悩みであります。先ほど私が例にとった民主主義の先進国イギリスにおいてすら、物価高を背景にして非常事態宣言をしたではありませんか。内閣が更迭するほどだったではありませんか。イタリアの政変はどうです。かれこれ……(発言する者多し)それくらい世界的な悩みになっておるのです。かわれと言われるが、日本の場合は、政権交代の能力が残念ながら諸君にはないということです。
  〔発言する者多し〕
#17
○議長(前尾繁三郎君) 静粛に願います。
#18
○江崎真澄君(続) 要するに、石油戦略をはじめ、輸入価格の急騰等物価高は海外要因が五〇%近いといわれるのであります。しかし、私たちは、国内要因による物価騰貴については、その原因にメスを入れ、全力を集中して抑制をしてきたのであります。その結果をごらんなさい。異常物価は着実に鎮静し、最近の消費者物価の動向を見ましても、基調においては、明らかに安定の方向をたどっておるのであります。
 諸君、石油価格の急騰や春闘による大幅賃上げ等に伴う後遺症的処理である電気料金であるとか運賃、米その他基礎的物資の価格の手直しが一巡すれば、合理的価格体系のもとに、物価を長期的に安定させることを責任をもって主張いたしておるのが、われわれ自民党であります。(拍手)
 また、一部の野党は、政府に向かって物価高の責任を追及しながら、一方においては、大企業に働く労働者諸君を扇動し、官公労の労組諸君を語らい、長期ストをかまえて、賃金、物価の悪循環を必然とする生産性無視の超大幅賃上げを推進いたしました。それは一体だれでありますか。(拍手)国民生活を破壊するあの違法ゼネストによって延べ一億八千万人の足をとめ、物をつくり出して需給バランスをとり物価を下げなければならぬというときに、国民無視のゼネストをして、経企庁積算によれば、七千億の国民総生産を減産に追いやった政党は、一体どこの政党であるか、反省をされたいのであります。(拍手、発言する者あり)
 国民は、物価高のコストプッシュの引き金を引いたのは、社会党の諸君であり、共産党の諸君であることをよく知っておるのであります。国民をだますことはできません。国会において政府を罵倒することはできても、国民を欺くことはできないのであります。(拍手)さればこそ、野党第一党の社会党に対し、国民は大幅減票の鉄槌を諸君に加えたじゃありませんか。この反省がない限り、諸君は政権に近づくことは永遠にできないであろうと予言をいたしておくものであります。(拍手)
 なお、野党は、政治資金の問題に論及しておりますが、昭和二十四年八月以来、選挙制度審議会が英知を傾けて、数々の答申をしてきました。第七次選挙制度審議会におきましても、その報告を出されておるのであります。すなわち、政党本位、国民本位の選挙というものは、選挙政治資金、選挙区制度、定数是正、この三本の柱の改善が必要であることは申し上げるまでもありません。政府・自民党は、この第七次審の報告を尊重し、これに基づいての改善案の準備に着手しました。私は、当時自治大臣でした。ところが、原案作成のテーブルにすらつかさないような運動を展開したのは、一体何党の諸君でありましたか。反省をされたいのです。(拍手)
#19
○議長(前尾繁三郎君) 江崎君、申し合わせの時間が過ぎましたから、ごくごく簡単に願います。
#20
○江崎真澄君(続) 議会制民主政治は、国会に提案をして十分論議を尽くすことであるということを、この際、強く申し述べておきます。
 結論を急ぎます。
 田中内閣は、成立以来満二カ年余にすぎませんが、この間における治績は、歴史に残る大きなものがあります。
 組閣後間もなく、戦後重要課題の一つであった日中国交正常化の大偉業をなし遂げ、アジアの安定と繁栄に大きく貢献をしたのであります。また、田中総理のきわめて旺盛にして精力的な海外訪問、首脳外交は、ときに北方領土の返還を求め、日ソの平和条約の推進を促し、ときに資源獲得の外交を進め、国際親善に役立つなど、きわめて大きな成果をあげておるのであります。(拍手)また、内政におきましても、物価の安定に全力を傾け、着々とその実効をあげておるではありませんか。一方においては、五万円の年金を実現し、二兆円の減税を実行し、教育振興のための人材確保法の制定……
#21
○議長(前尾繁三郎君) 江崎君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単にお願いします。
#22
○江崎真澄君(続) 地価安定と国土の有効利用のためにする国土利用計画法の制定等、次々と大きな成果をあげて今日に至っておるのであります。
 ただいま上程されております内閣不信任案は、間もなく圧倒的多数をもって否決されるのであります。(拍手)これは、とりもなおさず、わが田中内閣が圧倒的多数で信任されることを意味しておるのであります。(拍手)どうか、首相をはじめ関係閣僚は、自信を持って邁進してください。
 ここに、何らの理由もない不信任決議案に断固反対して、私の討論を終わるものであります。(拍手)
#23
○議長(前尾繁三郎君) 田邊誠君。
  〔田邊誠君登壇〕
#24
○田邊誠君 民主政治の基本は選挙にあります。狂乱物価のもとにおける参議院第十回通常選挙の結果、国民は、田中政治に対して、明らかにノーの意思を表明いたしたのであります。
 私は、ここに日本社会党を代表して、深い憤りと大きな怒りを込めて国会を見守っておる国民とともに、田中内閣不信任決議案に対して賛成の討論を行ないます。(拍手)
 一昨年七月、田中内閣の登場は、長期にわたる官僚型保守政治に怨嗟の念を深くしていた国民にとって、暗いトンネルから抜け出たときの太陽のごとく強烈なまぶしさを覚えさせるに十分でありました。しかし、それから満二万年、次第に光になれた国民の目に映じた田中内閣の正体は、全く期待を裏切ったばかりでなく、国民の求めるところをことごとく踏みにじった、かつてない反民主主義性格を持った戦後最悪の内閣と成り下がったのであります。(拍手)
 われわれが田中内閣を不信任しなければならない最大の理由は、何といっても、国民の命と暮らしを破壊してきたその失政にあります。
 今日、国民は、とどまるところを知らない物価高、企業公害、交通災害の中で命をすり減らし、暮らしへの限りない不安をかかえて呻吟しています。しかも、その原因が、大商社の買い占め、売り惜しみに象徴されるように、大資本中心の経済の仕組み、さらに、この大企業との密着からくる保守政治の本質からきていることを知らされた現在、一〇%台に下がった世論調査に示されたとおり、もはや、自民党政治に対する国民の不信が決定的段階にまで来たことは、理の当然といわなければなりません。(拍手)
 物価、公害は、台風が来てかわらが一、二枚飛び、雨漏りがしたり、といにごみがたまったのと同じだ、すぐ修理できると演説されるような総理の無神経きわまる感覚では、今日、地価の高騰、資材の値上がりの中で、マイホームの夢を見ることもできなくなった庶民の苦しみを全く理解しないと言われても、抗弁の余地はないと思うのであります。(拍手)
 田中総理が政権を担当してきたこの二年間で、卸売り物価は五一・六%、消費者物価は三六・二%も急騰いたしておるのであります。しかも、これに対して、大企業、大商社の利益が膨大なものになっている事実も明らかであります。わが党の推進によって成立したインフレ利得吸収のための会社臨時特別税法が、あの自民党の骨抜きにもかかわらず、三月末の申告で、もうけ過ぎに対するところの税額は六百十二億円にのぼり、先取り、便乗値上げの大きさを裏づけているのであります。
 しかるに、田中内閣は、新価格体系への移行と称して、行政指導による高値容認、なしくずし値上げの態度をとり、物価は鎮静しているという宣伝のもとに、物価抑制の基本的な政策の柱である原価公開や大企業製品の価格引き下げ等の独禁法の改正、寡占価格規制などには全く触れず、一方では公共料金等の空前の値上げラッシュを行なおうとしておるのであります。これでは、今年度後半に政府主導型の物価暴騰が再発し、国民生活を根底から破壊し、インフレの高進が社会不安をさらに激化させることは必至であり、田中内閣の責任は、まことに重大といわなければなりません。政府のいう新価格体系への移行とは、要するに、財界の意向を受けた政府が、価格の引き上げを認めることによって、大企業、大資本の高利潤を確保しようとするものにほかならないのであります。
 しかも、田中総理は、物価対策に無策無能であることが国民の前に明らかになるにつれて、選挙の最大の争点である物価問題に対する対策を避けて、道徳教育を宣伝するなど、話題を故意にそらし、選挙中から、この臨時国会を、物価、生活国会にすることを回避しようとたくらんでまいったのであります。
 さらには、大企業の土地買い占め、地価暴騰の引き金となった日本列島改造論について、発想の転換をすると言いながら、その舌の根もかわかないうちに、物価抑制措置は何ら講じないまま、昭和六十年までに全国七千キロの新幹線、本四架橋の建設を行なうと発言し、さらに、排気ガス規制の延期や大阪空港の残置発言など、列島改造計画により、再び大企業中心の高度成長の方向を明らかにしているのでありまして、節度ある経済対策を忘れた、全くの暴論といわなければなりません。(拍手)
 政府が、ほんとうに安定成長の路線に切りかえ、省資源型産業構造に移行することによって、真に福祉型経済に転換させようとするならば、財政金融政策の根本的な転換をはかり、長期計画を洗い直し、大企業本位の公共事業計画を削減するなど、長期展望のもとに抜本的な対策に早急に取りかかり、この前提に立って、公共料金の値上げを押え、土地や物資の買い占めによって、もうけをたくわえているインフレ加害者の負担で、インフレ被害者を救済し、生活防衛をはかることが断じて必要であります。
 しかし、値上げを認められた大企業や財界から膨大な政治献金を受け、大資本本位の開発と列島改造再編を企図し、国民生活をさかなでする値上げ政策を続けている田中内閣には、とうていこれを断行する意思も能力も持ち合わせていないと判断せざるを得ないのであります。(拍手)
 地価上昇は、昭和三十年から昨年三月までに、六大都市で二十九倍、全国市街地で二十三倍となり、物価指数倍率二・八倍やGNP倍率十三倍をはるかにこえています。その結果、大企業、商社の所有する土地の含み資産は、東証一部上場会社五百八十九社だけで、驚くなかれ、七十三兆円になっておるのであります。しかも、この含み資産の多いぼろもうけ企業が、軒並み値上げを敢行いたしておるのであります。
 このような大企業の横暴なふるまいには目をつぶる一方、公務員賃金の引き上げに対する人事院勧告さえ直ちに実施せず、言を左右にして引き延ばし、あまつさえ、公務員労働者の労働基本権を踏みにじり、日教組の計画的な弾圧をはじめ、憲法に規定された当然の基本的権利すら剥奪しようと企図しているのであります。まさに、民主主義否定、働く国民の犠牲の上に立った独占奉仕そのものの姿勢であることを告発しなければなりません。(拍手)
 今日、世界各国の政治危機がいわれているときに、政府の失政の中に、必ず物価値上がりの要素があるといわれておるにもかかわらず、ヨーロッパの二倍以上の物価高騰の中にあってもわが国の政治交代が行な、れないのはなぜかという疑問がありました。したがって、わが国では経済問題で内閣は倒れないという通説があったのであります。
 しかし、今日は違います。今回の参議院選挙で、いまだかつてない七三・二%という高率の投票に示された国民の意思は、まさしく物価値上がりの怒りを投票でぶっつけ、その責任を政府はとるべきであることを明らかにいたしたのであります。(拍手)
 田中内閣を弾劾するもう一つの重要な要素は、民主政治の危機に対する国民の自衛意識からであります。
 昨年、田中総理は、民主政治のよってくる基盤そのものをくつがえさんとする小選挙区制の国会提案を行なわんとし、そのための通年国会を主張し、百三十日もの大幅会期延長の暴挙を強行したのであります。ところが、今回の参議院通常選挙後の国会においては一転し、十五年も続けて行なわれてきた所信表明を拒否し、緊急質問も認めず、みずからの意思表示を回避し続けてきたのであります。選挙に示された国民の国政に対する願いを、国会の場で何一つ論議せず、ひたすら口を閉ざして逃げ切ろうといたしておるのであります。まさしく、その行為には天地の差があります。
 しかし、その底に流れる思想は いずれの場合も、議会制民主主義を否定する立場において共通しているといえるのであります。(拍手)多数の上にあぐらをかいていられるときは、通年国会で自己の思うように悪法をも押し通す。保革伯仲して、造反をおそれるようになれば、国会の審議は行なわない。まさしく一党独裁、ファッショ政治そのものの本体を明らかに示したものと断ぜざるを得ないのでありまして、天人ともに容認できません。(拍手)
 三九・五%の得票しか得られなかった自民党政府にとって、いまこそ、謙虚に野党の主張も聞き、その考えも取り入れた国会の論議と話し合いの政策実施をはかるとともに、民主政治の基本に照らして、今日ほどこの民主国会の場所におけるところの論議が要請されるときはないにもかかわらず、その道を避けて通らんとすれば、戦後三十年間積み上げてきた議会制民主主義は、もはや回復できない奈落の底に突き落とされるであろうことを警告いたします。そして、このような一刻も猶予を許さない事態の中から、独裁者の道を歩む田中内閣への覚醒のむちを打たんとするものであります。(拍手)
 いまこそ、国政に携わる者は、静かに立ちどまって、日本の行く手を見詰めなければなりません。
 今回の参議院選挙において、政府・自民党は史上空前の金権選挙、企業ぐるみ選挙を繰り広げ、金力と権力による強権政治が、田中自民党政治の本質であることを国民の前に暴露したのであります。そして、国民の怒りとおそれの叫びによって敗れたのであります。したがって、田中総理の列島改造を頂点とする政治戦略体制は、内外の総反撃によってもろくもくずれ去ったというべきでありましよう。
 戦後の保守党内閣の中でも、最も忠実に財界への奉仕の姿勢をとってきた田中内閣にとって、高度経済成長による資本主義延命対策が、逆に保守永久政権にピリオドを打つ引き金となった今日、田中総理とその内閣のとるべき道はただ一つであります。国民の手にその主権を戻し、国民の名において新しいにない手に政権の座を明け渡すのみであります。(拍手)
 田中総理、あなたは、いま、国民の主権の行使によって、猪突猛進する前面をふさがれました。しかも、自民党内の造反と、財界の保守政権に見切りをつけようとする言動のあらわれによって、その退路も断たれようとしております。
 総理は、選挙中、しばしば、自分の言動を行き過ぎというなら、三国峠を越えて、八十四歳の母の待つ新潟に帰ると言われたとのことであります。その言やよし。いまならば、あなたの母堂の待つ郷里に通ずる上越国境の三国峠は、まだ開かれておりましょう。みずからの退陣によって進退を決し、有終の美を飾ることを、国民の願いを込めて、私は強く勧告をするものであります。(拍手)
 最後に、自民党の諸君、ニクソン弾劾における与党議員の良識ある投票のごとく、真に日本の政治の将来のため、この際、勇気をもってこの不信任案に賛成されることを期待してやまないのであります。
 以上をもって私の賛成討論を終わります。(拍手)
#25
○議長(前尾繁三郎君) 米原昶君。
  〔米原昶君登壇〕
#26
○米原昶君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、賛成の討論を行なうものであります。
 まず第一に、不信任の理由として指摘しなければならないことは、田中内閣が、さきの参議院選挙で示された国民の厳粛な審判に挑戦し、民意に基づいて政治を進めるという議会制民主主義の基本をまっこうから踏みにじって、強権的政治姿勢を露骨に示したことであります。(拍手)
 田中総理、あなたは、選挙直後の記者会見で、国民の審判は冷厳に受けとめるとか、謙虚な気持ちで話し合いによる国政の運営に当たりたいなどと、まことにしおらしい言明をいたしました。ところが、報道によれば、一昨日の自民党の議員総会では、これとは全く逆に、政府、多数党の言い分を通して、国会運営にけじめをつける必要があるなどと称し、選挙で示された国民の審判に対して、これを受け入れる一片の誠意もない態度を示しているのであります。(拍手)
 政府・自民党は、参議院選挙後の臨時国会は、参議院の構成をすることが中心で、政府の所信表明は義務づけられていないなどと強弁しているが、言うまでもなく、選挙後の国会で、政府が選挙に示された国民の審判にこたえて所信を明らかにし、国民が解決を求めている緊急課題について十分な審議を行なうことは、昭和三十四年、国会法改正以来の慣例であるだけでなく、議会政治の基本であり、政府とその与党の当然の責務であります。まして、選挙後、冒すます急を告げる物価問題、損害二千八百億円をこえる災害問題など、国民生活にかかわる緊急課題は、今日その解決に一刻の猶予も許されないのであります。
 ところが、田中総理と自民党は、今臨時国会に向けられた国民の広範な世論を全く踏みにじり、不当にも、会期をわずか八日間とすることを強行議決した上、国民が強く要求してきた物価集中審議はもとより、所信表明、緊急質問をはじめ、一切の実質審議を頑強に拒否する態度をとり続けたのであります。
 田中総理や自民党は、こうした問題に対して、長い国会が終わって、いまは行政に時間をかすことが大事だなどと言っております。しかし、これは全く言いのがれであり、国民を愚弄するものといわなければなりません。そもそも、行政に時間をかすなどと言うが、国民は、ほかならぬ田中内閣の反国民的行政そのものに対してきっぱりと審判を下したのであり、現に行なわれている公共料金値上げなどの行政自体を、根本的に転換することを強く要求しているのであります。(拍手)
 また、田中総理は、昨年の国会では、反動法案をゴリ押しするために、憲法、国会法をじゅうりんした通年国会の構想を叫び立て、今度の国会では、国民のきびしい審判の前に、審議抜きで国会を早々に閉会しようとしているが、このような態度こそ、まさに国政と国会を私物化するものであり、議会制民主主義を根本から踏みにじるものといわなければならないのであります。
 今臨時国会をめぐって露呈されたこのような反国民的態度こそ、田中内閣が、選挙で国民のきびしい審判を受けた大企業優先、国民生活無視の政治について、何ら反省する意思も能力も持ち合わせず、もはや国民から完全に遊離した存在にすぎないことを明白に示すものであります。(拍手)
 第二に重大なことは、国民が緊急に解決を求めている国民生活の危機、とりわけ、物価問題に対する田中内閣の冷酷きわまる反国民的態度の問題であります。
 田中総理、あなたは、選挙中、国民の最大の関心事である物価問題について、いまの物価問題は、台風でかわらが飛んで雨漏りがした程度などの発言をおくめんもなく繰り返しました。国民生活の実態からおよそかけ離れたこのような認識しか持ち得ない田中内閣に対して、国民がきびしい審判を加えたことは、当然過ぎるほど当然であります。
 しかるに、政府・自民党は、この国民の審判など全く足げにし、国民に挑戦して、政府主導のもとに、大企業本位の物価値上げを次々に容認し、狂乱物価へ一そう拍車をかけているのであります。石油、電力、鉄鋼などの値上げに続いて、選挙後直ちに、私鉄、洗剤、アルミ、セメントなど、一連の公共料金、基礎物資価格の値上げを強行し、さらに、ガス料金、国鉄運賃、消費者米価などの大幅値上げ認可をたくらんでいるのであります。
 新価格体系の名のもとに、政府と大企業が一体となって推し進めているこのような物価の法外な引き上げのもとで、勤労者の家庭はとめどもない生活不安に脅かされ、とりわけ、生活保護世帯、老人、母子世帯などの窮状はまことに深刻なものがあります。また、総需要抑制の名による犠牲の転嫁によって、中小企業や農業の危機はますます深刻の度を加え、毎月一千件になんなんとする中小企業の倒産が続いているのであります。
 総理は、このような物価問題についても、政策準備のためにしばらく時間をかしてほしいとか、準備ができてから臨時国会を開けばよいなどと言っております。だが、もしほんとうに準備がないというのであるなら、現在政府が行なっている公共料金の引き上げなどは、何ら正当な根拠もないままに、全く無準備のままに行なっていることをみずから暴露したものといわなければなりません。(拍手)
 もはや、このような田中内閣こそ、国民生活の最も残酷な破壊者であり、国民の利益と両立し得ない存在であることは、いまやだれの目にも明らかであります。(拍手)
 第三に、外交問題について見ても、田中内閣の責任は重大であります。
 政府は、韓国軍事政権に対しては、事件発生後ほぼ一年になろうとしているのに、金大中事件について何一つ解決しようとせず、最近では、二人の日本人学生に対する軍事裁判問題さえ発生しているのに、田中内閣が主権国家としての正当な措置を何一つとろうとしていない事実など、国の進路にかかわる重大な問題について、国民の不安と疑惑は、かつてなく強まっているのであります。政府がこれらの問題について何ら具体的、積極的対策を講じていないことは、断じて許すことができないのであります。
 最後に指摘しなければならない問題は、田中総理の選掌中のさまざまな発言問題についてであります。
 教育の反動化、国会運営の改悪、列島改造計画の強行などの発言に示された露骨な高圧的政治姿勢の問題、わけても、国政の根本にかかわる重大問題として黙過できないのは、総理が高知市で演説した際、明治から百年の今日、四十五カ国を相手にして戦いができたのは教育の成果であるなどと言い、日本軍国主義による侵略戦争に対して公然たる賛美論を展開したことであります。さらに、総理は、山形市で演説した際、海外に出る道を断たれ、自分たちが働いた製品も受けられないような情勢をつくられたとき、四十五カ国を相手についに戦いをいどんだとも述べ、侵略戦争賛美論をさらに露骨に展開したことであります。
 田中総理のこれらの発言は、侵略戦争を二度と繰り返さないという反省の上に立って、わが国再建のために取り組んできた国民の努力を踏みにじり、国の進路を誤らせるものであり、現行憲法の前文、すなわち、「政府の行鳥によって再び職事の惨禍が起ることのないやうにすることを決意する」という精神を、まっこうからじゅうりんするものにほかならないのであります。(拍手)
 このように、侵略戦争を肯定する総理の存在が、現行憲法のもとではたして許されるでありましょうか。総理は、一体、この国際的にも重要な発言をそのままにして、今秋の一連の外遊などに出かけることができるとでも思っているのでしょうか。この一事だけをもってしても、総理は直ちに辞任すべきであると私は強く主張するものであります。(拍手)
 さらに、田中内閣の反動的本質を露骨に示した問題として、今回の選挙にあたり、積年の自民党の悪政に対する国民の批判を力づく、金づくで押しつぶすために、財界、大企業と一体となって、金権選挙、企業ぐるみ選挙を進めてきた問題があります。
 田中総理みずから、かつてない規模と露骨さで推進してきた金権選挙の醜悪な実態は、自民党議員にかかわる大規模な買収、供応を中心とした腐敗選挙として、その一端が明るみに出されつつあります。
 本来、言論で争うべき選挙戦が、買収、供応等、金力によって踏みにじられることは、主権在民、議会制民主主義というわが国政治の基盤を根本から破壊する、許しがたい反国民的犯罪といわなければなりません。(拍手)
 だが、田中内閣の罪悪は、ただ以上にとどまるものではありません。田中内閣が政権を担当して以来二年間、その悪政の数々は枚挙にいとまがないのであります。その結果、いまや、自民党の得票率はすでに四〇%を割っており、田中内閣、自民党は、すでに国民の痛烈な不信任を受けているものであることを銘記すべきであります。
 田中内閣が一日長く存在すれば、国民の不幸と苦しみはそれだけ一そう悪化していくのみである、このことはいまや明白であります。
 田中総理は、あなたに残された道は、いまや直ちに政権の座を去ること以外にはないのであります。
 私は、国政革新を願う広範な国民とともに、田中内閣の即時退陣を要求し、本決議案に対する賛成討論を終わるものであります。(拍手)
#27
○議長(前尾繁三郎君) 松本忠助君。
  〔松本忠助君登壇〕
#28
○松本忠助君 私は、ただいま提案されました田中内閣不信任決議案に対し、公明党を代表して、賛成の討論を行なうものであります。(拍手)
 さきの第十回参議院議員選挙は、単に三年ごとに行なわれる定期的な国政レベルの選挙でなく、七〇年代後半の政治路線を決定する重要な意義を持つものであったことは、あらためて多言を要しないものであります。
 すなわち、激動する世界経済を背景に、わが国の経済は前途の多難が論ぜられ、昨秋以来の物価狂乱、悪性化するインフレの中で、国民生活は深刻な不安に襲われ、破滅の一途をたどりつつあるのであります。その中にあって、国民は、みずからの主権によって明快なる回答を与えたのであります。その一つは、参議院選挙史上最高の七三・二%の投票率となり、その二は、開票の結果、自民党が三割政党に転落したことであります。
 この自民党敗北の冷厳な事実と、選挙期間中にマスコミによって行なわれた世論調査の結果は、いずれも田中内閣の支持率が二〇%前後であったことを思い合わせ、国民の意思は田中内閣を信任していないということを、政府・自民党は十分に認識すべきであります。(拍手)
 以下、田中内閣のすみやかな退陣を要求し、田中内閣不信任決議案に賛成する理由を明らかにするものであります。
 第一に、田中内閣は、インフレ、物価問題、あるいは弱者救済という、現在、国民が最も要求する政治課題に背を向けるだけでなく、選挙前から、靖国神社法案、小選挙区制、刑法改正等、一連の反動化体制に加え、教育問題をもってみずからの失政に対する国民の追及をかわし、同時に、教育への権力介入をはかろうとした反国民的姿勢であります。
 これを端的に象徴するものは、物価はいつでも下げられる、急ぐと混乱するので、時間をかけて云々、こううそぶき、あるいは、物価や公害は雨漏りのようなものと、まさに国民の苦衷を愚弄するかのごとき田中総理の発言であります。また、教員は聖職か、労働者かと、二者択一論を押しつけ、あえて国民世論の分断、対立をはかり、五つの大切、十の反省を唱えて父兄の歓心を買わんとし、ついには、みずからの暴言に酔い、教師宣誓の実現云々までエスカレートして、教育の国家統制への策謀を着々と進めるに至ったことであります。
 心をたずねて一万里と言った田中総理の四万キロ遊説は、歴代自民党総裁の選挙遊説では、その距離において不倒の記録といえるでありましょう。しかし、その遊説の内容は、国民の求めるものにこたえないのみか、国民の求める焦点をすりかえ、そうしてきたことは、選挙によって国民が明瞭に不信と不満をその回答に示したのであります。(拍手)
 一国の総理にかける国民の期待は重く、それだけに、総理はみずからの発言に重い責任を持たなければならないと思うものであります。(拍手)総理が真に国民主権を尊重し、自己の責任を自覚するならば、物価に対する怒りを込めて田中内閣に鉄槌を下した国民の審判を謙虚に受けとめ、国民の前にその所信を明らかにすべきであります。(拍手)それすらやろうとしない田中総理の態度は、国民の主権と意思を踏みにじるもはなはだしいといわねばなりません。
 第二に、選挙史上最大の汚点を残した金権、企業ぐるみ選挙を指揮した田中総理こそ、民主主義の破壊者であるというべきであります。
 五当三落から十当八落にエスカレートした金権選挙、企業ぐるみ選挙が、勝つためには手段を選ばないよごれ切った選挙として自民党に痛撃を与えたことは、国民がみずから主権の尊厳を守ったものとして、われわれは高くこれを評価するものであります。
 今回の参議院選挙に、自民党が財界から金を吸い上げてばらまき、さらに、企業組織や系列会社、下請企業に強圧を加える企業ぐるみの選挙運動と、民主的手続を経て行なわれる労働組合の選挙運動を同一視して、みずからの非をおおい隠そうとする田中総理の発言は、ものの本質の立て分けをわきまえないものというべきであり、しかも、堀米中央選管委員長の発言にまっこうから挑戦した行動は、みずから民主主義の破壊者であることを証明しているのであります。(拍手)
 三木副総理、福田大蔵大臣が、その辞任にあたって、田中総理の政治姿勢、選挙姿勢を批判し、三木氏が、大企業と自民党の癒着解消のためにも、企業献金は禁止し、個人の献金を中心に改めるべきであると基本見解を述べていることは、金で癒着した自民党と大企業のこれまでの関係を明らかに証言するものであります。
 第三に、田中内閣及び自民党は、選挙期間中に、わが公明党が提出した誠実な公開質問に対し回答を拒否したことは、政府・与党としてその無責任きわまる態度は、断じて許すことはできないのであります。(拍手)
 わが党が、六月十五日に提出したインフレ被害者を守るための緊急提言は、現在、国民からひとしく求められている緊急かつ最大の政治課題であるインフレ、物価問題の解決であり、インフレによる被害者の救済と社会的不公正の是正であり、なかんずく、すでに社会的、経済的に弱い立場にいる人の中で、インフレ被害の甚大な人たちを救うことが何よりも急務であることから、二十二項目にわたる提言をいたし、これを公開質問としてその回答を求めたものであります。
 また、六月二十五日には、目に余る金権、企業ぐるみ選挙、政治資金規制等の公約要求、さらに、独占禁止法の改正強化及び公共料金問題等の制度の改善などに関する公開質問をいたし、回答を求めたのであります。
 これらの提言や質問は、当面する国民生活の窮状に立ってその生活安定を求め、社会的不公正を是正して、国民の政治に対する信頼を取り戻すためにきわめて緊急な、かつ限られた問題であり、政府・与党としては、選挙中といえども誠意をもって回答すべきであります。しかるに、何らの回答を示さず今日に至っていることは、国民の切実な要求を代弁したわが党の誠実な提言や質問を完全に無視した行為であり、断じて許すことはできないのであります。(拍手)
 第四に、選挙後今日まで田中内閣がとってきた問答無用の態度は、国民の審判に対する居直りであります。
 国民が、いま田中総理に要求していることは、従来の田中政治からの転換であります。去る九日、自民党本部において党総裁として選挙後初めて記者会見をされました。そのときの姿勢は、選掌中の高姿勢から一転して、話し合いの政治を強調する低姿勢でありました。国民は、その姿勢から、国会における田中総理の今後の政治運営についての所信表明を当然としていたのであります。
 しかるに、この国民の要求は完全に裏切られ、田中総理の横暴により、ついに今国会は所信表明演説もなく、また、物価問題を中心とした緊急質問も行なわせず、さらには、公務員給与法改正案の今国会における成立を求めても、法案提出をなさず、ついに本日閉会をせんとしているのであります。
 それのみか、政府は、選挙終了を待ちかまえて、私鉄運賃、路線トラック料金の値上げを認可し、さらに、砂糖、洗剤、セメント、アルミなどの価格凍結品に対し次々と値上げを了承し、秋に向かって国鉄運賃、消費者米価、都市ガスなど一連の公共料金値上げが、これまた問答無用のままで行なわれようとしているのであります。
 すでに、勤労者の家計はばく大な赤字を背負わされ、国民生活は日増しに不安を増大し、破綻の一途をたどっております。この現実を無視している田中総理の態度と、大平蔵相の、消費者米価の引き上げは総需要抑制に反しないという暴言など、これらはまさに国民に対する挑戦であります。
 田中総理は、二十九日の自民党両院議員総会でも、この臨時国会では所信表明はしないと述べております。この総理の発言こそ、議会制民主主義を破壊し、一党独裁をもくろむ以外の何ものでもないのであります。(拍手)
 憲法の前文に、「そもそも國政は、國民の厳粛な信託によるものであって、その權威は國民に由來し、」云々とあります。この日本国憲法の国政に関する基本精神を、総理、あなた自身はいかように解釈されるのか。あなたがもしこの憲法の精神をわきまえておられるならば、この重大な時局にあたっての参議院選挙後の臨時国会では、われわれが要求するまでもなく、また、その会期の長短にかかわらず、一国の総理として、国民と憂いをともにし、みずから所信を述べることは、きわめて当然のことではございませんか。(拍手)国民の厳粛なる信託によって新しい参議院の構成ができ、しかも国民の審判は、田中内閣の政治路線に反省を求めていることは明らかであります。このときにあたり、国民の意思を尊重して、今後の施政方針を国民の前に明らかにすることは、国政担当者として当然の責務であります。
 ただいま、るる申し上げましたところの今回の田中総理の言動は、国会を私物化するもはなはだしく、断じて許すことはできないのであります。(拍手)
 以上申し上げました四点から、もはや田中内閣は政権担当の能力を喪失したものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 二年前の七月七日、田中総理は、コンピューターつきブルドーザーといわれ、国民のかっさいを浴びて登場したのであります。しかし、いま静かに胸に手を当てて考えてみるとき、そのコンピューターは狂い、ブルドーザーは、建設のためのものではなく、国民生活破壊のものと判明したのであります。田中総理は、時の流れを察知し、自己のみの論理のゴリ押しをやめて、すみやかに退陣の決意を固められるよう強く求めて、賛成の討論を終わるものであります。(拍手)
#29
○議長(前尾繁三郎君) 玉置一徳君。
  〔玉置一徳君登壇〕
#30
○玉置一徳君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま提出されました田中内閣不信任案に賛成の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 われわれは、臨時国会が開会されてから今日まで、院の構成以外は何もやらないという田中内閣・自民党に対しまして、五党国対委員長会談を提唱し、打開の糸口を見出すことにつとめるとともに、また、物価問題など当面の国民的課題について緊急質問を要求し、さらに、七月二十六日には、政府並びに国会に対し人事院勧告が行なわれたのを機会に、国会を短期間でも延長して、物価高にあえぐ公務員の給与改定を行なうことを主張し続けてまいりました。
 このように、国会運営を正常な軌道に乗せようとするわが党はじめ各野党の努力に対しても、政府・自民党は全く耳を傾けることなく、所信表明はもとより、一切の審議を拒否し続けてきたのであります。
 そもそも、われわれが参議院の半数改選という国民の洗礼を受けたあと、従来の慣例にのっとり、田中内閣に今後の施策を聞くための総理の所信表明を求めることは、当然ではありますまいか。また、物価狂乱、インフレのさなかにあって、衆参両院の予算委員会を開き、国民最大の関心事である物価問題の集中論議を行ない、物価安定への道を模索することも、選良として国民の負託にこたえる議員の当然の責務であります。
 さらに、総需要抑制という名のもとに、金融の引き締めに泣き、倒産にあえいでおる中小企業の救済と、一貫せぬ政府の農業政策の犠牲になって希望を失っている農民のため、明日への施策を問いたださんとするわれわれの要求も、これまた当然といわなければなりません。
 このような国民の最低の要求にも目をつぶり、何の審議もさせないとする田中総理のかたくなな態度は、全く国民を冒涜し、議会制民主主義をみずから破壊する、権力思想のあらわれ以外の何ものでもありません。わが党が田中内閣不信任案の共同提案者となり、その退陣を迫るに至ったゆえんであります。
 次に、田中内閣不信任の理由について申し上げます。
 わが党が田中内閣を不信任する第一の理由は、田中総理のあまりにも権力的な政治姿勢についてであります。
 田中総理は、二年前、平民宰相として、国民大衆の大きな期待をになってさっそうと誕生したのでありますが、日のたつにつれ、随所に権力的性格を露骨にあらわしてきたのであります。日本列島改造論への異様なまでの執着といい、当時、自民党内では、殿さま御乱心といわれた小選挙区制の突如たる提案といい、提案したものは、会期も全く無視して、いわゆる通年国会を強引に強行せられた昨年の通常国会といい、また、今回の所信表明の強引な拒絶など、その事例は枚挙にいとまがございません。長期展望のない、思いつきの権力的な政治は、人の意見を聞く耳を持たない独善政治におちいりやすく、田中総理は、最後にはどんなことをしでかすかわからないという不安を識者に持たせ、果ては、おもむくところ、競争者や相手方を抹殺しようとする独裁政治、金権政治につながるおそれが多いことは、ウォーターゲート事件の推移を見るまでもありません。
 先般の参議院選挙において、田中総理の派閥金権選挙の強引さが党の内外からきびしく批判されたことは、きわめて当然のことであり、三木前副総理、福田前大蔵大臣等、田中内閣の支柱ともいうべき最重要閣僚の辞職も、これが原因と思われるのであります。参議院の市川先生や青島さん等の高位当選も、金権選挙に対する国民大衆の反発のあらわれであり、金のかからない選挙は、いまや国民の合いことばとなり、選挙法の改正は、わが政界に与えられた緊急に解決すべき政治課題となっていることに私たちは深く思いをいたさねばなりません。
 かくして多数の国民を政治不信に追いやっている最大の元凶が、田中総理の権力的金権政治にあることを、総理自身、心から反省しなければなりません。
 いまや、半数改選の参議院選挙が終わり、国会が新しく構成された時点において、選挙での国民の審判にこたえ、田中総理が所信表明演説を行ない、国会の審議を通じて国民に語りかけ、訴え、協力を求めることは、民主主義の政治としては当然のことであり、むしろ進んで行なうべきでありましよう。
 三十三年国会法が改正されましたが、以来五回の参議院選挙後の臨時国会では、例外なく所信表明が行なわれたではありませんか。特に、前々回の四十三年八月、前回の四十六年七月には、今回同様何も案件はなかったのでありますが、佐藤前首相は所信表明を行ない、代表質問を受けている事実を、この十年間常に党あるいは政府の要職にあられた田中総理が知らないとは言えますまい。しかも、選挙後、田中総理は、野党の意見を謙虚に聞くと言っておられたのであります。しかるに、今回のような、独善的な権力思想で、一切のものを避けて通ろうというようなかたくなな心がまえでは、少なくとも向こう三年間、与野党接近する参議院をかかえて、国会を乗り切ることは容易なことではありませんし、あまりにも独善的なやり方は、いつかは、みずからの党内から造反者を誘発することになるでしょう。
 かような意味から、国民の理解と協力を求めて、多難をきわめる時局を解決することなどは、全く期待すること不可能であり、今後多難な国政担当の資格など、全くないと断ぜざるを得ないのであります。
 われわれが、田中内閣を不信任する第二の理由は、田中内閣の経済政策の破綻であり、現下最大の政治課題であるインフレ克服の資格条件の欠如であります。
 二年前、田中内閣が発足するや、総理の一枚看板ともいうべき日本列島改造論をぶちまくり、公共事業を中心とする大型予算を編成されたのでありますが、超緩慢な金融政策と相まちまして、必要以上な余剰流動性を生み出し、土地をはじめ食料品、原料、資材等の買い占め、売り惜しみの横行をもたらし、異常な物価騰貴を誘発して社会を混乱に導いたのであります。
 続いて起こりました昨年秋の石油ショックには、これに対応する政府の積極果敢な施策の遅延と欠如のため、今日の物価狂乱時代を現出し、わが国の経済と国民生活を不安のどん底に追いやったのであります。
 ことしの六月の物価にも見られるように、卸売り物価が対前年同月比三五・三%高、消費者物価は同じく二三・四%高であるなどは、わが国の歴史にいまだかつて想像すらできなかった物価高でありまして、国民大衆の生活を極度に圧迫するに至ったのは、想像に絶するものがあると思います。
 その間、悪徳商人の物の買い占めや売り惜しみが相も変わらず横行し、産業間、企業間、階層間の格差はますます拡大し、社会の不平不満を醸成しつつあるのであります。
 また、この間、農業、漁業や中小企業の深刻な経営難については前述したとおりでありますが、さらにその上、電力料金の値上げに始まり、消費者米価、国鉄、私鉄運賃など、いわゆる公共料金主導型の物価の値上がりが予想されるのであります。よほどの準備がなされない限り、これらの値上がりが相互に関連して、全面的な物価の高騰が、再びわが国の国民経済と国民生活を収拾のつかない破局に導くことは、けだし避けがたい状況であります。
 冒頭にも申し上げましたとおり、現下政治の最大の課題は、国民生活を圧迫しているインフレの克服であります。政府は、これに対し、総需要抑制の一本やりで立ち向かっておられますが、打ち続く公共料金の値上げ等が他の物価の値上げに波及させない方策は、何らとられておらないではありませんか。
 石油ショック以来、わが国のエネルギーやその他資源の安定確保の方策が着々と打たれているとは、どうしても考えられません。予想される産出国の将来の値上げに対し、国内物価への波及の歯どめについても、法制上、財政上の準備がなされているとは、遺憾ながら思えないのであります。これでは、国民に、田中内閣を信頼せよとは、おせじにも言えないではありませんか。インフレの克服は、いかに巨大なる権力と政治力をもってしても、一党一派でなし得るものではありません。財界はもとより、労働組合、特に、消費者である国民大衆の理解と協力を得ることにより、初めて可能であります。ましていわんや、国会、特に野党の協力なしでは、実効をあげることは不可能といわねばなりません。野党の条理を尽くした要請をかたくなに拒否し、せっかくの国民の理解と協力を得るチャンスを放棄するような政治姿勢では、とうてい、現下インフレの克服をなし遂げる資格と条件はないと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 われわれが田中内閣の不信任案に賛成する第二の理由であります。
 最後に、われわれが田中内閣成立以来憂慮を深くしていることは、田中総理の挑戦的言動と態度であり、必要以上に左右の全体主義勢力台頭の機運を助長する傾向にあることであります。
 左右の全体主義勢力を排除し、真に平和な生活を確保するためには、政治の面においては、議会制民主主義を堅持することであり、経済の面では、産業民主主義に徹底することであり、社会の面におきましては、高度福祉国家の建設を推進することが必要欠くべからざる前提でございます。これこそ、人間の尊重と自由の擁護に徹した政治運営のかなめでもあります。今次臨時国会の自民党田中内閣の政治姿勢は、このような正しい政治運営とはほど遠いものといわざるを得ません。
 いまや、わが国は内外ともに文字どおり重大な政治危機に直面しております。そして、田中内閣がその政権に固執する限り、政治危機は一そう増幅拡大され、事態の収拾がますます困難になることが予想されるのであります。
 いま国民が心から望んでいることは、一日もすみやかにこのような政治の混迷から脱却し、建設的な革新中道政権が出現して、インフレの克服、物価の安定など、国民的諸懸案の解決へ、国民の理解と協力を求めて全力を尽くすことであります。
 われわれは、以上の理由により、国民の名において、田中内閣に対する不信任案に賛成の決意を表明するものであります。(拍手)
#31
○議長(前尾繁三郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行ないます。本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
  〔議場閉鎖〕
#32
○議長(前尾繁三郎君) 氏名点呼を命じます。
  〔参事氏名を点呼〕
  〔各員投票〕
#33
○議長(前尾繁三郎君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――開鎖。
  〔議場開鎖〕
#34
○議長(前尾繁三郎君) 投票を計算いたさせます。
  〔参事投票を計算〕
#35
○議長(前尾繁三郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
  〔事務総長報告〕
 投票総数 四百六十二
  可とする者(白票)       百九十七
  〔拍手〕
  否とする者(青票)      二百六十五
  〔拍手〕
#36
○議長(前尾繁三郎君) 右の結果、田中内閣不信任決議案は否決されました。(拍手)
    ―――――――――――――
 楯兼次郎君外十四名提出田中内閣不信任決議案を可とする議員の氏名
      安宅 常彦君    阿部 昭吾君
      阿部 助哉君    阿部未喜男君
      赤松  勇君    井岡 大治君
      井上  泉君    井上 普方君
      石野 久男君    石橋 政嗣君
      板川 正吾君    稲葉 誠一君
      岩垂寿喜男君    上原 康助君
      江田 三郎君    枝村 要作君
      小川 省吾君    大出  俊君
      大柴 滋夫君    大原  亨君
      太田 一夫君    岡田 哲児君
      岡田 春夫君    加藤 清政君
      加藤 清二君    勝澤 芳雄君
      勝間田清一君    角屋堅次郎君
      金瀬 俊雄君    金丸 徳重君
      金子 みつ君    川崎 寛治君
      河上 民雄君    木島喜兵衞君
      北山 愛郎君    久保 三郎君
      久保  等君    久保田鶴松君
      小林 信一君    小林  進君
      兒玉 末男君    上坂  昇君
      神門至馬夫君    佐々木更三君
      佐藤 敬治君    佐野 憲治君
      佐野  進君    斉藤 正男君
      坂本 恭一君    阪上安太郎君
      柴田 健治君    島田 琢郎君
      島本 虎三君    嶋崎  譲君
      清水 徳松君    下平 正一君
      田口 一男君    田中 武夫君
      田邊  誠君    多賀谷真稔君
      高沢 寅男君    高田 富之君
      竹村 幸雄君    楯 兼次郎君
      塚田 庄平君    辻原 弘市君
      土井たか子君    堂森 芳夫君
      中澤 茂一君    中村  茂君
      中村 重光君    楢崎弥之助君
      成田 知巳君    野坂 浩賢君
      芳賀  貢君    馬場  昇君
      長谷川正三君    原   茂君
      日野 吉夫君    平林  剛君
      広瀬 秀吉君    福岡 義登君
      藤田 高敏君    細谷 治嘉君
      堀  昌雄君    松浦 利尚君
      三宅 正一君    美濃 政市君
      武藤 山治君    村山 喜一君
      村山 富市君    森井 忠良君
      八百板 正君    八木 一男君
      八木  昇君    安井 吉典君
      山口 鶴男君    山崎 始男君
      山田 耻目君    山田 芳治君
      山中 吾郎君    山本 幸一君
      山本 政弘君    山本弥之助君
      湯山  勇君    米内山義一郎君
      米田 東吾君    横路 孝弘君
      横山 利秋君    吉田 法晴君
      和田 貞夫君    渡辺 三郎君
      渡辺 惣蔵君    青柳 盛雄君
      荒木  宏君    諫山  博君
      石母 田達君    梅田  勝君
      浦井  洋君    金子 満広君
      神崎 敏雄君    木下 元二君
      栗田  翠君    小林 政子君
      紺野与次郎君    柴田 睦夫君
      庄司 幸助君    瀬崎 博義君
      瀬長亀次郎君    田代 文久君
      田中美智子君    多田 光雄君
      津金 佑近君    津川 武一君
      寺前  巖君    土橋 一吉君
      中川利三郎君    中路 雅弘君
      中島 武敏君    野間 友一君
      林  百郎君    東中 光雄君
      平田 藤吉君    不破 哲三君
      正森 成二君    増本 一彦君
      松本 善明君    三浦  久君
      三谷 秀治君    村上  弘君
      山原健二郎君    米原  昶君
      新井 彬之君    有島 重武君
      石田幸四郎君    小川新一郎君
      大久保直彦君    大野  潔君
      大橋 敏雄君    近江巳記夫君
      岡本 富夫君    沖本 泰幸君
      鬼木 勝利君    北側 義一君
      小濱 新次君    坂井 弘一君
      坂口  力君    鈴切 康雄君
      瀬野栄次郎君    田中 昭二君
      高橋  繁君    竹入 義勝君
      林  孝矩君    広沢 直樹君
      伏木 和雄君    正木 良明君
      松尾 信人君    松本 忠助君
      矢野 絢也君    山田 太郎君
      渡部 一郎君    安里積千代君
      池田 禎治君    内海  清君
      小沢 貞孝君    折小野良一君
      春日 一幸君    河村  勝君
      小平  忠君    小宮 武喜君
      佐々木良作君    玉置 一徳君
      塚本 三郎君    永末 英一君
      宮田 早苗君    和田 耕作君
      渡辺 武三君
 否とする議員の氏名
      安倍晋太郎君    足立 篤郎君
      阿部 喜元君    愛野興一郎君
      赤城 宗徳君    赤澤 正道君
      秋田 大助君    天野 公義君
      天野 光晴君    荒舩清十郎君
      有田 喜一君    井出一太郎君
      井原 岸高君    伊東 正義君
      伊藤宗一郎君    伊能繁次郎君
      石井  一君    石田 博英君
      稻葉  修君    稻村佐近四郎君
      稲村 利幸君    今井  勇君
      宇田 國榮君    宇野 宗佑君
      上田 茂行君    上村千一郎君
      植木庚子郎君    臼井 莊一君
      内田 常雄君    内海 英男君
      浦野 幸男君    江崎 真澄君
      江藤 隆美君    小川 平二君
      小此木彦三郎君    小沢 一郎君
      小澤 太郎君    小沢 辰男君
      小渕 恵三君    越智 伊平君
      越智 通雄君    大石 千八君
      大石 武一君    大久保武雄君
      大竹 太郎君    大西 正男君
      大野  明君    大野 市郎君
      大橋 武夫君    大平 正芳君
      大村 襄治君    奥田 敬和君
      奥野 誠亮君    加藤 紘一君
      加藤 六月君    加藤 陽三君
      海部 俊樹君    梶山 静六君
      粕谷  茂君    片岡 清一君
      金丸  信君    金子 一平君
      亀岡 高夫君    亀山 孝一君
      鴨田 宗一君    唐沢俊二郎君
      仮谷 忠男君    瓦   力君
      菅野和太郎君    木野 晴夫君
      木部 佳昭君    木村 武雄君
      木村武千代君    木村 俊夫君
      北澤 直吉君    吉川 久衛君
      久野 忠治君    久保田円次君
      熊谷 義雄君    倉石 忠雄君
      倉成  正君    栗原 祐幸君
      黒金 泰美君    小泉純一郎君
      小坂善太郎君    小坂徳三郎君
      小島 徹三君    小平 久雄君
      小林 正巳君    小宮山重四郎君
      小山 長規君    小山 省二君
      河野 洋平君    河本 敏夫君
      國場 幸昌君    左藤  恵君
      佐々木秀世君    佐々木義武君
      佐藤 榮作君    佐藤 孝行君
      佐藤 守良君    齋藤 邦吉君
      三枝 三郎君    坂田 道太君
      坂村 吉正君    坂本三十次君
      櫻内 義雄君    笹山茂太郎君
      志賀  節君    椎名悦三郎君
      塩川正十郎君    塩崎  潤君
      塩谷 一夫君    篠田 弘作君
      澁谷 直藏君    島田 安夫君
      島村 一郎君    正示啓次郎君
      白浜 仁吉君    菅波  茂君
      鈴木 善幸君    住  栄作君
      瀬戸山三男君    關谷 勝利君
      園田  直君    染谷  誠君
      田川  誠一君    田澤 吉郎君
      田中伊三次君    田中 榮一君
      田中 角榮君    田中  覚君
      田中 龍夫君    田中 正巳君
      田中 六助君    田村  元君
      田村 良平君    高鳥  修君
      高橋 千寿君    高見 三郎君
      竹内 黎一君    竹下  登君
      竹中 修一君    谷垣 專一君
      谷川 和穗君    千葉 三郎君
      地崎宇三郎君    中馬 辰猪君
      塚原 俊郎君    坪川 信三君
      戸井田三郎君    渡海元三郎君
      登坂重次郎君    徳安 實藏君
      床次 徳二君    中尾 栄一君
      中尾  宏君    中川 一郎君
      中曽根康弘君    中村 弘海君
      中村 寅太君    中山 利生君
      中山 正暉君    永山 忠則君
      灘尾 弘吉君    楢橋  進君
      二階堂 進君    丹羽喬四郎君
      丹羽 兵助君    西岡 武夫君
      西村 英一君    西村 直己君
      西銘 順治君    根本龍太郎君
      野田 卯一君    野田  毅君
      野中 英二君    野原 正勝君
      野呂 恭一君    羽田  孜君
      羽田野忠文君    羽生 田進君
      葉梨 信行君    萩原 幸雄君
      橋口  隆君    橋本登美三郎君
      橋本龍太郎君    長谷川四郎君
      長谷川 峻君    旗野 進一君
      八田 貞義君    服部 安司君
      浜田 幸一君    濱野 清吾君
      早川  崇君    林  大幹君
      林  義郎君    原 健三郎君
      原田  憲君    廣瀬 正雄君
      深谷 隆司君    福田 赳夫君
      福田 篤泰君    福田  一君
      福永 一臣君    福永 健司君
      藤井 勝志君    藤尾 正行君
      藤波 孝生君    藤本 孝雄君
      藤山愛一郎君    船田  中君
      古屋  亨君    保利  茂君
      細田 吉藏君    本名  武君
      前田治一郎君    前田 正男君
      増岡 博之君    松浦周太郎君
      松岡 松平君    松澤 雄藏君
      松永  光君    松野 幸泰君
      松野 頼三君    松本 十郎君
      三池  信君    三木 武夫君
      三ツ林弥太郎君    三原 朝雄君
      三塚  博君    箕輪  登君
      水田三喜男君    水野  清君
      湊  徹郎君    宮崎 茂一君
      宮澤 喜一君    武藤 嘉文君
      村岡 兼造君    村上  勇君
      村田敬次郎君    村山 達雄君
      毛利 松平君    粟山 ひで君
      森  美秀君    森  喜朗君
      森下 元晴君    森山 欽司君
      安田 貴六君    保岡 興治君
      山口 敏夫君    山崎  拓君
      山下 元利君    山下 徳夫君
      山田 久就君    山中 貞則君
      山村新治郎君    山本 幸雄君
      吉永 治市君    早稻田柳右エ門君
      綿貫 民輔君    渡部 恒三君
      渡辺 栄一君    渡辺 紘三君
      渡辺美智雄君
     ――――◇―――――
#37
○議長(前尾繁三郎君) この際、暫時休憩いたします。
   午後六時九分休憩
     ――――◇―――――
   午後七時四分開議
#38
○議長(前尾繁三郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
#39
○議長(前尾繁三郎君) 御報告いたすことがあります。
 議員中村拓道君は、去る五月二十八日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 同君に対する弔詞は、去る六月二日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
  〔総員起立〕
 衆議院は議員正五位勲三等中村拓道君の長逝を
 哀悼しつつしんで弔詞をささげます
    ―――――――――――――
 故議員中村拓道君に対する追悼演説
#40
○議長(前尾繁三郎君) この際、弔意を表するため、米内山義一郎君から発言を求められております。これを許します。米内山義一郎君。
  〔米内山義一郎君登壇〕
#41
○米内山義一郎君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員中村拓道君は、去る五月二十八日逝去されました。まことに痛惜の念にたえません。
 私は、議員一同を代表し、つつしんで哀悼のことばを申し述べたいと存じます。
 中村君と私とは、旧制青森中学校の同級生で、いわば幼なじみでありました。自来、君と私とは期せずして同じ方向を目ざすことになり、戦後、時を同じくして青森県議会議員に初当選し、また、近年は同一選挙区の本院議員として、ともに議席を占めることになりました。その間、互いに政治的立場を異にし、党派の違う世界で、ときには莫逆の友として、ときにはよき政敵として不即不離の仲にあり、相ともに、国民生活の安定と郷土の発展のために、今後の健闘を誓い合ってまいりました。
 しかるに、去る四月、あれほど元気だった中村君が病を得て入院され、わずか二カ月を出ずして卒然として幽明境を異にされようとは、全く思いもかけなかったことであります。
 いまや、君の慈愛あふれる温顔に接することも、語り合うこともできません。私は限りない悲しみに胸のふさがるのを覚えるのでございます。
 中村君は、明治四十四年四月、青森市にお生まれになり、旧制青森中学校を経て、青森師範学校を御卒業になりました。そして昭和五年から県下の小学校で教鞭をとり、次代をになう子供たちの教育に若い情熱を傾けられたのであります。
 中村君が奉職した小学校は、いわゆる南部おかと呼ばれる地方にあり、当時生活が苦しく、ヒエやアワを主食とする農家が多かったため、昼食の弁当も持たずに休み時間を校庭の片すみで過ごす学童が少なくなかったのであります。
 中村君は、当時の模様を述懐して、「ほんとうに胸を締めつけられる思いがした。ときには運動競技で、ときには学芸会を開くなどして、何とか校内に明るさを取り戻そうと試みたが、何としても生活に深く根ざしている問題だけに、いかんともしがたかった。」と語っておられるのでありまして、これが、後に中村拓道君が政治の道へ進まれた動機となったことは、想像にかたくないところであります。(拍手)
 昭和十六年、中村君は約十年間の教壇生活を離れて県庁に入り、各地方事務所長を歴任して、地域住民の生活の実態をつぶさに体得されるとともに、戦中戦後の困難な時期にあって、物心両面にわたり、住民福祉の確保に心血を注がれたのであります。
 かねて、政治の道に進み、教育と暮らしの問題について、自己の理想を県政に反映させたいとの念願を持しておられた中村君は、昭和二十六年、青森県議会議員に立候補して当選、以来連続四期にわたって在職し、教育施設の拡充をはじめ、県民の生活に密着した諸問題と真剣に取り組んで着々と成果をあげ、昭和三十六年には県議会副議長に推されるなど、地方政界に重きをなしておられました。
 やがて、昭和四十年、八戸市民の衆望をになって市長に就任された君は、いち早く土木建設工事の請負制度の改善、市民相談室の新設と“歩く市長室”の開催を断行され、また、農漁業とマッチした公害のない都市づくり、あるいは保育所等の福祉施設の充実のために尽力されて、多くの業績を残されました。
 とりわけ、中村君の市長在任中の業績として特筆すべきものに、学校給食の全面実施があります。当時、八戸市においては、都市部の給食はすでに実施されていたのでありますが、中村君は、あらゆる困難を克服し、新たに大規模な給食センターを設置して、これを山間部等の僻地の小中学校にまで及ぼし、市内の全学童が漏れなく給食を受けられるよう措置されたのであります。これは、当時としては、きわめて画期的なものでありまして、かつて君が小学校訓導時代に味わった農村の貧困を追放する悲願が実ったものとして、まことに意義深いものがあります。(拍手)
 八戸市長を辞任されて間もない昭和四十四年十二月、第三十二回衆議院議員総選挙が行なわれました。君は年来の抱負を国政を通じて具現すべく立候補し、国民大衆と直結する政治を切々と訴えられたのでありますが、これが郷里の人々の強い共感を呼び、みごと初当選の栄冠を獲得されたのであります。(拍手)
 本院議員となられた君は、均衡のとれたわが国の発展と豊かな国民生活を築くために、国政のあらゆる分野にわたり大いに研さんを積まれ、機会あるごとに国民各界各層の切実な意見に耳を傾けて、これを国政の上に反映されました。
 特に文教、社会保障の分野においては一家言を持しておられ、自然と親しみ、人間愛豊かな次代のにない手を育成することを教育の基調とし、自立の精神と国際的視野を兼ね備えた人間形成をはかることに苦心画策され、また、物質的繁栄のひずみを是正するため、社会福祉の充実と、社会保障制度の拡充に大いに力を注がれました。
 そして最近は、社会労働委員、あるいは沖繩及び北方問題に関する特別委員会理事として御活躍になり、特に、出かせぎ問題と北洋漁業の安全操業、北方領土の返還問題と取り組んで、長期的展望に立っての解決策と、当面の具体策の両面から、その実現に一歩一歩前進を期しておられたのであります。
 中村君は、「春風をもって人に接し、秋霜をもってみずから戒む」このことばを終生の人生訓としておのれをきびしく律してこられました。そして「清潔な政治、誠実な政治を行なうことが政治の原点である。心と心が触れ合う国民との深い対話が政治をよりよくさせる。」と、常日ごろ、周囲の人々に語り、みずからもこれを実践してこられたのであります。(拍手)
 中村君が前々回の衆議院議員総選挙に立候補された当時の東奥日報に、次のような記事が載っております。
 「八戸市糠塚古常泉下の長者山の麓に中村拓道さんの自宅がある。柱、土台は半ば朽ち、いかにもみすぼらしい門がまえだ。四畳半の狭い自室も、家具の配色こそ調和がとれているが、飾り気はおよそなく、この人の清潔感は全身、いや部屋のすみずみまであふれている感じだ。」
 この記事は、中村君の人柄を端的に物語っております。そしてこの家屋に、君を慕う多くの人たちが訪れ、常に家じゅうがなごやかな雰囲気に包まれていたのだと聞いております。また、支持者の中には、おれ、おまえと呼び合う長年の知己も多く、農漁民、中小企業経営者や、四十歳前後の昔の教え子から二十代の若者に至るまで、支持層もきわめて広範囲にわたっていたとのことでありまして、そこに、おごらず、高ぶらず、大衆を引っぱるより、みずから大衆の中に飛び込んでいく中村拓道君の姿勢が如実に示されていると申せましよう。
 御年六十三歳、地方政界において長い政治経験を積まれた中村君が、いよいよ国政の場において大成への道を踏み出されて四年六カ月、雄図半ばにして急逝されましたことは、まことに痛恨のきわみであります。
 現下、わが国内外の情勢は複雑な様相を呈し、国民の国会に寄せる期待と要望がますます多様化している今日、透徹した洞察力のもとに、国民大衆の心を的確にとらえて、これを政治に反映された大衆政治家中村拓道君を失いましたことは、本院にとっても、国家にとっても、この上ない損失であると申さなければなりません。(拍手)
 ここに中村拓道君の生前の功績をたたえ、その人となりをしのび、心から御冥福をお祈りして、追悼のことばといたします。(拍手)
     ――――◇―――――
#42
○議長(前尾繁三郎君) 御報告いたすことがあります。
 議員谷口善太郎君は、去る六月八日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 同君に対する弔詞は、去る七月十二日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
  〔総員起立〕
 衆議院は多年憲政のために尽力された議員谷口善太郎君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます
    ―――――――――――――
 故議員谷口善太郎君に対する追悼演説
#43
○議長(前尾繁三郎君) この際、弔意を表するため、田中伊三次君から発言を求められております。これを許します。田中伊三次君。
  〔田中伊三次君登壇〕
#44
○田中伊三次君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員谷口善太郎先生は、去る六月八日逝去せられました。
 谷口先生は、昨年四月、象牙海津共和国の首都アビジャンにおいて開催せられました列国議会同盟春季会議に派遣されましたが、帰国後、おからだの調子が悪くなり、入院加療を続けておられました。しかし、その後は小康を得られ、本年三月には、京都府知事選挙の応援にも立たれたほどでありますが、やはり御無理がたたったのでありましょう、去る六月、病勢にわかにあらたまり、ついに七十四歳の生涯を閉じ、不帰の客となられました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。
 ここに、私は、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、つつしんで哀悼のことばを申し述べます。
 谷口先生は、明治三十二年十月、石川県能美郡辰口町にお生まれになりました。
 白山山系の山並みのふもと、百戸ばかりの小さな部落で、わずか三反足らずの農地を耕しておられた御両親の御生活は、決してお楽なものでなかったようでありますが、谷口さんは病弱のおとうさまをよく助けて孝養を尽くされ、小学校四年生のときには、茶わんを焼く近くの陶器工場に弟子入りをされたほどであります。
 しかし、谷口さんは、わきいずる勉学の志を押えることができず、大正十年、京都に出て、まず学資を得るために清水焼きの工場に就職をされました。そして、ろくろを回しながら、勉学の道にいそしまれたのであります。
 しかし、世界恐慌の荒波は、当時のわが国にも襲いかかり、わが国経済社会を押し流し、谷口さんの血と汗の結晶であった二百円という貯金さえも、銀行の破産とともに烏有に帰してしまったのであります。
 当時、谷口さんの同僚の職人の中には、同業組合を組織しようとする動きもあり、一方では陶磁器従業員の労働賃金が大幅に切り下げられ、失業者は続出し、過酷な労働条件は言語に絶するものがありました。
 このとき、谷口さんは、この窮状を救う道は労働者の団結をおいてほかにない、すべからく労働組合をつくって戦わなければならないと決意され、大正十一年、日本労働総同盟に加入するとともに、京都陶磁器従業員組合の結成に力を尽くされたのであります。谷口さんは、その生涯をかけた労働運動の第一歩をここに初めて踏み出されることになったのであります。そして、共産党宣言やマルクス資本論などについて学習を重ねられる一方、大正十二年一月、日本共産党京都支部結成とともに入党され、今日に至りました。
 自来、今日まで五十有余年の長きにわたり、谷口さんは一貫して日本共産党に所属をせられ、ひたすら党の発展のために刻苦勉励、きびしい実践活動を通じて社会改革を目ざし、みずからの政治信念を貫き通されたのであります。
 申すまでもなく、戦前、戦中における社会運動なるものは、きわめてきびしい制約のもとに行なわれ、谷口さんもまた激しい弾圧と検挙を相次いで受けられ、特に、昭和三年の三・一五事件の大検挙のおりには、獄中で肺結核におかされ、一時は危篤状態にまで追い込まれ、仮出獄となりますや、自宅監禁のきびしい状況のもとにおいて病と戦われたのであります。
 ここに特筆すべきことは、先生は、病と戦いながら、「日本労働組合評議会史」という著名な書きものを執筆されたばかりでなく、プロレタリア文学に打ち込み、「清水焼風景」という有名な書物も発表されたのであります。谷口さんのごとき、何ものにも屈しない正義感と燃えるような情熱があってこそ、初めて常人ではなし得なかったことをなし遂げることができたものだと信ずるものであります。(拍手)
 谷口先生のこの努力と熱意は、多くの人々に深い感銘と共感を与え、やがて行なわれた昭和二十四年一月の総選挙では、京都府第一区より、選挙民の絶大な支持を得て、みごとに初当選をされました。自来、本院議員に当選すること前後六回、在職実に十五年四カ月の長きに及び、本院議員として尽くされた業績は、まことに大なるものがありました。(拍手)
 谷口先生は、日本共産党を代表して、幾たびかこの本会議の壇上にお立ちになり、また、予算委員会その他の委員会において、しばしば真剣な政策論争を展開されております。しかも、その演説は、淡々たる語調の中にも、先生独自の風格がにじみ出て、感銘まことに深いものがありました。
 先生は、昨年の三月、昭和四十八年度総予算の討論のため、この壇上にお立ちになったのでありますが、それが谷口先生の本会議最後の登壇となったのであります。そのとき、先生は、「働く国民の福祉の向上こそ、真に民主的な経済政策の基本である。それは、内需の拡大につながり、対外的には日本経済の安定と均衡の道にもつながるものである」と述べられ、その信念の上に立って、日本共産党の政策の基本をしっかり御主張になったことを記憶いたします。これは、谷口先生が幼少のころからあらゆる艱難、苦労に耐え抜いてこられた、先生の実感から出た叫びであったということができると思うのであります。
 谷口先生は、党にとってかけがえのない御存在でありました。昭和三十六年以来中央委員、四十三年には国会議員団副団長、四十五年には国会議員団衆議院議員団長に推され、積極的な議会活動を推進してこられたのであります。
 特に、最近は、党の議案審査の総括責任者として、各種の法律案等に対して徹底的な検討を身をもって加えられたのであります。そのために夜通しなさったこともしばしばあったと承っておりまして、日本共産党が今日あるのは、谷口先生の献身的な努力に負うところきわめて大なるものがあったと、私は信じて疑わないのであります。(拍手)
 谷口先生は、その著書、「つりのできぬ釣師」の中にこういうことを書いていらっしゃいます。
 「自分は、色紙などを頼まれると、近ごろはよく「不封己」と書いている。杜甫のいう「道を守って己を封うせず」の一句だが、共産主義者たる者、利己心があってはならないという意味である。つらい、苦しい、おれだけがつらい目を見ているのではないかと思うこともある。こんなことを思うのは、心のどこかに「己を封うする」思想が残っているからではないか。私は、このことばで自分の身を常に引き締めている。」
 皆さん、この文章をよくよくかみしめて拝見いたしますと、谷口先生の高い人間性がありありとうかがわれ、私たちの胸をいたく打つものがあります。この意味で、谷口さんは、りっぱな人生哲学を持ち、豊かな人生観、世界観の持ち主であったと私はかたく信ずるのであります。(拍手)
 私は、谷口先生の信奉される社会思想や政治理念に対しましては、遺憾ながら相いれないものがあったのでありますが、しかし、芸術に親しみ、漢詩を愛し、文学に造詣のまことに深かった谷口先生の豊かな人間性とその真摯な政治姿勢に対しましては、常に限りない敬意を払って今日に至ったものであります。(拍手)
 “谷善さん”、ときには、“善さん”と人々から愛称せられ、だれからも慕われた谷口さんは、いまはなく、もはや再びお目にかかることはできません。まことに痛恨のきわみであります。
 ここに、谷口善太郎先生の生前の御事績を回顧し、その御人となりをしのび、心から冥福をお祈りして、追悼のことばといたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 離島振興対策審議会委員の選挙
#45
○議長(前尾繁三郎君) 離島振興対策審議会委員の選挙を行ないます。
#46
○木村武千代君 離島振興対策審議会委員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
#47
○議長(前尾繁三郎君) 木村武千代君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#48
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 議長は、離島振興対策審議会委員に大橋武夫君を指名いたします。
     ――――◇―――――
 漁港審議会委員任命につき事後同意を求めるの件
#49
○議長(前尾繁三郎君) おはかりいたします。
 内閣から、漁港審議会委員に菊田隆一君、佐藤肇君、瀬尾五一君、高木淳君、上杉武雄君、村田安藏君、吉村宮一君、近藤元次君及び上釜孝君を任命したので、その事後の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#50
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 宇宙開発委員会委員任命につき同意を求めるの件
 社会保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
 日本放送協会経営委員会委員任命につき同意を求めるの件
 日本電信電話公社経営委員会委員任命につき同意を求めるの件
 労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
#51
○議長(前尾繁三郎君) おはかりいたします。
 内閣から、宇宙開発委員会委員に網島毅君及び八藤東禧君を、社会保険審査会委員に黒木延君を、日本放送協会経営委員会委員に加藤多喜雄君、鈴木俊三君及び宮脇朝男君を、日本電信電話公社経営委員会委員に大野勝三君を、労働保険審査会委員に大竹政男君及び高橋展子君を任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。
 まず、宇宙開発委員会委員及び日本電信電話公社経営委員会委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#52
○議長(前尾繁三郎君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えるに決しました。
 次に、社会保険審査会委員、日本放送協会経営委員会委員及び労働保険審査会委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#53
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 恩給、共済年金受給者の処遇改善に関する請
  願外百六十一請願
#54
○木村武千代君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、本日委員会の審査を終了した恩給、共済年金受給者の処遇改善に関する請願外百六十一請願を一括議題となし、その審議を進められんことを望みます。
    ―――――――――――――
  〔請願の件名は本号(一)末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#55
○議長(前尾繁三郎君) 木村武千代君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#56
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 恩給、共済年金受給者の処遇改善に関する請願外百六十一請願を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
  〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
#57
○議長(前尾繁三郎君) 各請願は委員長の報告を省略して採択するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#58
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
     ――――◇―――――
 委員会の閉会中審査に関する件
#59
○議長(前尾繁三郎君) おはかりいたします。
 懲罰委員会を除く内閣委員会外十四常任委員会並びに災害対策特別委員会外七特別委員会から、閉会中審査いたしたいとの申し出があります。
    ―――――――――――――
  〔各委員会閉会中審査申出案件は本号(一)末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#60
○議長(前尾繁三郎君) 各委員会から申し出のあった案件中、まず、内閣委員会の申し出にかかる内閣法等の一部を改正する法律案、及び内閣法の一部を改正する法律案は、団委員会において閉会中審査するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#61
○議長(前尾繁三郎君) 起立多数。よって、さよう決定いたしました。
 次に、建設委員会の申し出にかかる宅地開発公団法案、建築基準法の一部を改正する法律案、都市再開発法の一部を改正する法律案、及び大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法案は、同委員会において閉会中審査するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#62
○議長(前尾繁三郎君) 起立多数。よって、さよう決定いたしました。
 次に、ただいま閉会中審査するに決定いたしました案件を除く他の案件について、各委員会において申し出のとおり閉会中審査するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
     ――――◇―――――
#64
○議長(前尾繁三郎君) 諸君、第七十三回国会は本日をもって終了いたします。
 酷暑のおり、諸君の連日にわたる御精励に対し、ここに深く敬意を表する次第であります。
 諸君におかれましては、一そう御自愛の上、御健闘あらんことを切望してやみません。(拍手)
     ――――◇―――――
#65
○議長(前尾繁三郎君) これにて散会いたします。
   午後七時三十九分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  田中 角榮君
        外 務 大 臣 木村 俊夫君
        大 蔵 大 臣 大平 正芳君
        文 部 大 臣 奥野 誠亮君
        厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君
        農 林 大 臣 倉石 忠雄君
        通商産業大臣  中曽根康弘君
        運 輸 大 臣 徳永 正利君
        郵 政 大 臣 原田  憲君
        労 働 大 臣 長谷川 峻君
        建 設 大 臣 亀岡 高夫君
        自 治 大 臣 町村 金五君
        国 務 大 臣 内田 常雄君
        国 務 大 臣 小坂徳三郎君
        国 務 大 臣 二階堂 進君
        国 務 大 臣 西村 英一君
        国 務 大 臣 細田 吉藏君
        国 務 大 臣 毛利 松平君
        国 務 大 臣 森山 欽司君
        国 務 大 臣 山中 貞則君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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