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1949/06/27 第7回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第007回国会 経済安定委員会 第27号
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1949/06/27 第7回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第007回国会 経済安定委員会 第27号

#1
第007回国会 経済安定委員会 第27号
昭和二十五年六月二十七日(火曜日)
    午後二時十八分開議
 出席委員
   委員長 圖司 安正君
   理事 小川 平二君 理事 金光 義邦君
   理事 志田 義信君 理事 多田  勇君
   理事 永井 英修君 理事 森   曉君
   理事 勝間田清一君
      福井  勇君    細田 榮藏君
      南  好雄君    竹山祐太郎君
      森山 欽司君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (朝日新聞販売
         部長)    中川 英造君
        参  考  人
        (毎日新聞営業
        局次長)    羽生能太郎君
        参  考  人
        (読売新聞営業
        局次長)    菊地美登里君
        専  門  員 円地與四松君
        専  門  員 菅田清治郎君
    ―――――――――――――
五月二日
 委員林讓治君及び高倉定助君辞任につき、その
 補欠として圖司安正君及び寺崎覺君が議長の指
 名で委員に選任された。
同日
 小野瀬忠兵衞君委員長辞任につき、同日圖司安
 正君が議長の指名で委員長に補欠選任された。
六月二十四日
 委員米原昶君辞任につき、その補欠として林百
 郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
五月二日
 事業者団体法の一部を改正する法律案起草の件
 公団の実情調査に関する件
 経済実体調査に関する件
 国土綜合開発計画に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 事業者団体法に関する件
    ―――――――――――――
#2
○圖司委員長 それではただいまより会議を開きます。
 この際前の小野瀬委員長にかわりまして、これから私委員長を勤めることに相なりました。はなはだ不敏な者でございますが、何分ともよろしく皆様方の御協力を得て大過なきを期したいと存じます。よろしくお願いいたします。
 これより事業者団体法の改正問題に関連いたしまして、日本新聞協会関係者より事情を聽取いたしたいと存じますが、特に現新聞販売機構に関する事業者団体法及び独禁法違反問題を取上げまして、この角度より参考人といたしまして、朝日新聞社販売部長中川英造君、毎日新聞社営業局次長羽生能太郎君、読売新聞社営業局次長菊地美登里君、この主君より参考意見を聽取いたすことといたします。
 ではまず中川参考人よりお願いいたします。
#3
○中川参考人 突然のことでありましたので、あまり深く研究して参つたわけではありませんが、ただいま委員長からお話がございました、現在われわれの関係しております新聞販売機構に関する独禁法の違反が取上げられておりまして、現在審判が続行中でありますが、この問題についての資料といたしまして、別に印刷したものをお手元に差出しておりますが、大体の概要を簡単にまず説明をさしていただきます。
 御承知のように現在の新聞の販売制度は共同販売と言いますか、戦時中の共同販売の形態が大体においてそのまま残つておりまして、いわゆる合売制度というものでやつておるわけでありますが、これが私的独占禁止法の違反としておるという疑いがあるというので、昨年の十二月二十八日付で、公正取引委員会から東京の朝日、毎日、読売、日本経済、東京といろ五社と、それから東京都内の二十三の新聞販売所に対して、審判開始決定書が通達されたわけです。大体この指摘せられた違反の要旨は、新聞社あるいは販売所側が相互に協定して共同の販売所と共通の販売地域を指定して、新聞の販売契約を締結しておる。それがために新聞の購読者は必ず一つの地域においては、一定の販売所から新聞紙の供給を受けなければならぬことになるので、これは事業者が共同して新聞の販路、顧客を制限することに、該当しているのだというような指摘があつたわけであります。これについて大体指摘せられた一定の地域で、一定の読者が一つの販売所からだけしか新聞の供給を受けられないということは、概括的にはその通りであります。ただそのほかに街頭売りというものがありまして、読者は好むならば、新聞の配達を受けないでも、みずからそういつた新聞の街頭売りによつて入手し得るという道はありますが、ただ販売所の区域が合売でありまして、大体それぞれ独占区域かあるという事実は認められますので、最初は法の適用をできるならば、円満に受けたいということで、同意審伏の申出をしたわけであります。しかしながらこれは当時の情勢といたしまして、本年の初頭のことでありまして、現在新聞社の一番主要な――何といいますか、資材といいますか、用紙の問題が近々のうちに統制が撤廃されるというような見通しが、実はその当時あつたわけであります。従つて新聞用紙の統制がはずされて、新聞の価格――現在は物価庁によつて査定されておるわけでありますが、この新聞の統制価格もマル公をはずされるといつたような見通しがありまして、このように新聞用紙あるいは価格統制が撤廃されれば、当然新聞社としても自由競争――全面的といいますか、そういつた販売競争というものは、より一層激化をするという意味で、現在の合売制度というものが長く維持できないといつたような見通しもありましたので、同意審決というふうに傾いておつたのであります。その後の状況は御承知のようにだんだんと事志と違うといいますか、新聞の用紙の統制はなかなか撤廃されそうにない。半年、一年先、それ以上の先になりそうであります。従つて価格の統制も早急にはずされそうもないということで、前提条件がある程度見通しにおいてかわつて来ましたので、新聞社側としましては、そういつた別の統制のはずされたあかつきにおいて、現在の区域問題ということについて、協定を破棄するというふうな計画書を出したわけであります。そういつた計画書は当局としては適当と認められないということで、同意審決申出を撤回しまして、新たにそういう事実関係について、あるいは法の適用について争うということになりまして、五月二十五日付で同意審決撤回上申書並びに答弁書を提出したわけであります。販売所側においても同様の弁解書を撤回して答弁書を提出して、一緒に現在争つておるわけであります。六月五日の日に第一回の審判が開かれまして、続いて二十一日に第二回、今月の二十三日に第三回、来月の七月十五日というふうに引続いて審判廷でこの問題の事実関係について争つておるわけであります。以上が現在取上げられております新聞の販売機構に関する独禁法違反事件の要旨であります。新聞社といたしましては、統制という問題につきまして、一方において先ほど申し上げましたように、用紙の統制を依然として持続せられており、そうして新聞の価格についても、厳重なる査定を受けておる。むしろ苛酷な査定を受けて、現在それが実行されております。そういつた反面におきまして、自由競争ということを、販売組織の上で独要されるということは、これは新聞の経営を根本から破壊することになるわけでありまして、これらのデリケートな現在の販売情勢といいますか、また新聞社の間における競争の激しさというものを――これは別に説明を詳しく申し上げませんと、理解がなかなかつかぬと思いますが、新聞社の競争というものはちよつと常識で考えられない徹底的な――いわばけんかといつていいくらいな販売競争の特質を持つております。そういつた販売の面において、現在ありますところの機構を変革するということによつて、猛烈な販売競争というものが必ずや起るであろう。そういつた場合にこれを償うべき価格、あるいは用紙の面での融通性がない。勢い新聞社の経営というものが破壊されるということになるわけであります。現在日本の新聞というものが――これはほとんど全部といつてもいいのでありますが、大部分の新聞社が自主経営をしております。かつては特定の資本家なり、あるいは特定の政党から資金の供給を仰ぎまして新聞の経営を維持しておつた。勢い新聞社の論調においても、そういつた政党もしくは資本といつたようなものの力に制肘れた言論というものが、かつてはあつた時代があつたかもしれませんが、現在においては大体において日本の少くとも有力な新聞社というものが、その経営面においては自主独立の立場を維持し得ているわけであります。こういつた独禁法といつたようなことから新聞社の経営を破壊されるということになりますと、勢いまたその新聞社の命をつなぐために別な資本に頼らざるを得たい。あるいは特定の政党の機関紙にならざるを得ないといつたようなことで、これは日本の健全なる輿論という面からしましても、この点については十分に御考慮を煩わしたいと思います。同時にまた独占禁止法というものは、一つの事由があつて制定されたもの違いないと思いますが、われわれ新聞社としましては、ひとり独禁法だけで拘束を受けているだけでなしに、例の物価あるいは用紙割当委員会といつたような別の政府の統制を受けているわけでありまして、受ける立場は一つであつて、政府が別々の機関において、これを法律によつて縛ろうとしている。そうしてわれわれがこの公正取引委員の某職員にもいろいろと実情をお話し申し上げたのでありますが、公正取引委員会としては、ただ独禁法という法だけをもつてこれを守ればいいのであつてそれがために新聞社の経営が脅かされるということは別の問題である。あるいはそれによつて価格を改訂する必要が生ずる。あるいは価格を自由にしなければならぬという事情が生ずるとすれば、それは新聞社の問題であり、あるいは物価庁の問題であるということで、これは公正取引委員会の関知することではないということ言つておるわけでありまして、これははなはだわれわれにとつて迷惑千万な話であります。どうせ統制を受ける以上は、相互的に統制をするならまだわかるのでありまして、かつて戦時中に新聞公社あるいは新聞配給会というような新聞に対する統制機関がありましたが、この統制機関においては、用紙、価格あるいは機構といつたような、新聞社の総合的な運営という立場に立つて、あらゆる面から統制を加えておつたのであります。戦後いろいろと民主化されたような点がありますけれども、かえつて統制を受ける新聞社の立場に立つて見ますと、統制をする法律の番人がそれぞれ相互に関連を持たないで、個々に統制を加えておる。そしてまたその法を立法される場合、全然お互いの法律同士の関連性ということも、そう大して深く考えておられないで新聞社に対してこれを適用されるというふうな点について、非常な不満を持つておるわけであります。それからまたこの独禁法に規定せられております各条項を拝見しますと、現在これはひとり新聞社のそういつた事業だけでなしに、あらゆる業界に対してこれを厳密に適用しようとすれば、ほとんど日本の事業の運営というものが、窒息してしまうのではないかといつたような感じを持つております。これが全部が全部取上げられないということによつて、かろうじて各種の事業が運行されておる。これを厳密に取上げれば、につちもさつちも行かないのじやないかということになりますと、この法の権威という上から見ましても、法をつくつた以上は、その法があらゆる方面にもれなしに適用されなければならぬ。同時にまた適用することによつて、日本の経済あるいは事業の運行というものが、よりよく発展するようにはからつて行かなければならぬということも、この際われわれ独禁法というものに関連した立場で、その点もあわせて痛感しておるわけであります。
 なおその他の点につきまして、あるいは最近新聞販売機構だけでなしに、事業者団体法という面から、新聞の都内でやつております共同輸送という問題が取上げられておりますが、この点については後ほど別の参考人から詳しく申し上げることと思いますが、大体の概略をまず以上の通り申し上げて、御考に供したいと思います。
#4
○圖司委員長 それでは次に参考人毎日新聞営業局次長羽生能太郎君にお願いいたします。
#5
○羽生参考人 今の中川君の説明で、大体私がつけ加えるべき何ものもありませんが、あとに読売新聞の菊地次長が輸送会社のことについて申し上げることになつております。先ほどの新聞販売機構の問題について主だつたことを二、三、散漫になるかもしれませんが、申し上げてみたいと思います。これは先ほども私委員の方に私語申し上げておりましたように、私どもとしては、今のこの新聞販売の組織というものがよくないことは、十二分に知り抜いておるわけであります。その意味から、私どものコンモンセンスに訴えて、公正取引委員会のおつしやることはまことにごもつともです。しかし新聞社の習性、日本の新聞の発達過程、またあるいは日本人の習性その他の面から見て、用紙の面における、あるいはまた価格の面における統制というものをそのままにしておいたのでは、日本の新聞というものは結局崩壊して行くであろう。場合によつては崩壊しないまでも、さつき中川氏は非常によい意味のことを言われましたけれども、われわれの日常関係の深いインボデンという新聞班長の言われるように、ごろつき新聞であると、日本の文化というものは根本的に崩壊する、そういうふうな段階になつて来るということを、私どもは長い間の新聞人生活において経験を持つている。その意味から、価格の面における、あるいはまた用紙の面における統制というものがはずれて、自由活発に自分自身の今の独占禁止法の精神というものをくんだ方法で持つて行きたい、そしてしかも読者の満足されるような方法でやつて行きたいということは、私どもの念願であります。もう少し申し上げてみますと、日本の新聞というものは、日本全国の朝刊が千七、八百万部で、夕刊まで入れると二千万部の日刊新聞というものが発行されておるわけであります。結局われわれの先輩が七十年の間に、非常に急いで日本の新聞を発展せしめたと思うのです。結局新聞界において競争が大きな要素になつておる。あなた方の方でよく接見されておる新聞評者の競争をごらんになれば、よくおわかりだろうと思うのですが、新聞社の人は朝から晩まで、編集であろうと、工場であろうと、私ども営業であろうと、コンペテイシヨン、自由競争という問題は、頭の上から足の先までしみ込んでおる。その意味から、新聞の場合においては、ちよつと話すととんでもない方向に行つて、先般も実は新聞用紙割当委員会で、新聞の用紙をどういうふうにすれば最も公正に割当ができるかという一つの理想から、考え方としては非常にけつこうな考え方で、新聞の中に刷り込んで、あなたは毎日新聞を今読んでいますけれども、朝日新聞にかわる意思はありませんか、読売新聞にかわる意思はありませんかというようなことを調整する意味から、各新聞に、今読んでおる新聞をかわりたい希望のある人は、これでもつて一つの会をつくつてそこに投書してもらうと、自分自身の希望する新聞を入れてあげますよというような、一つのユートピアでもつてやつたことがある。新聞購読調整委員会でございますか、そういうものでやつたわけです。ところが私ども現場におるものとしては、そんなことをしたら新聞社はたいへんなことになつて、読者にかえつて迷惑になることだから、おやめになつた方がよいということを口をすつぱくして言つたつもりですが、遺憾ながらそのユートピアに負けましてそれで実行されたわけです。その新聞に刷り込んだものを切り抜いて、それを読者に配達してみたり、あるいは全然架空な読者のそういうカードがたくさん出てみたりして、結局得るところは泰山鳴動ねずみ一匹で、何千何万という投票があつた中から有効投票と認められたものはわずかで、読者の意思にかなうようなことは少く、おそらく新聞読者としてもえらい迷惑であつて、あなたはこれを読んでくださいといろいろ競争的なことを言つて、そこに日本のカルチユアの低さ、われわれ新聞営業人のカルチユアの低さを私ども反省するものの、結局競争が非常に習性になつておる。新聞社の場合においてそういうことになつて来たということは、そういう競争というものが根本的な大きな性格になつておる。競争をやれというなら、そういうふうな非常に矛盾したことでずいぶんやりながら、その矛盾したことに自分自身で苦笑しておるのですけれども、結局そういうふうな競争になつて来た場合においては、営業方面における競争というものが、非常に深刻化されて来て、そうして日本の経済が今日の状況で、広告の収入の面からもよくないし、そういう面から新聞の編集の方にまわす経費が非常に少くなつて来るという、その辺を憂えて、私どもとしては、こういうふうにある意味においては新聞社の死命を制するような大きな問題だということについて、各新聞社歩調を一緒にして公正取引委員会に今争つておる次第です。そういうふうに現実の面と、それから私どもの考えている面とがそういう食い違いを生じておるという、その辺のことをよく御了解願つたらありがたいと思います。思いついたことだけを……。
#6
○圖司委員長 では読売新聞営業局次長菊地美登里君にお願いいたします。
#7
○菊地参考人 私は販売機構の問題でなしに、新聞を輸送しております新聞輸送株式会社というこの会社が、最近公正取引委員会の第三課の審査の対象になりまして、事業者団体法に違反しておるということで、今調査中でありますが、それについて私の考えておりますことを申し上げたいと思います。
 新聞輸送株式会社というのは、たしか昭和十九年の二月だと思いましたが、そのころ当時の自動車輸送の統制法ができまして、それによつて各新聞社が所有し、あるいは事業者が持つておつた新聞輸送の機構を統合させられた。そうしてしかたなく、そういうカタログしかなかつたために、株式会社という形体だけをとりまして、東京におきましてこの朝日、毎日、読売、東京新聞、それから日本経済、この五つの新聞社だけしかなかつたのですが、この五つの新聞社が集まつてつくり上げた会社で、当時の資本金は五十万円、現在の資本金は増資しまして五百万円になつております。それでこの会社は御承知のように東京で発行しておりますこの株主の五つの新聞社の輸送をやつておることはもちろんでありますが、その他の新聞社の輸送も全面的に引受けてやつているわけであります。これはその新聞によつて輸送を拒否するとか、あるいはそれに営業を與えないというようなことでなしに、いずれの新聞の輸送でも引受けてやつておるわけであります。ところがこの会社の株の所有状態が、成立の当時五つの新聞社がありまして、これが共同で経営したために、現在五つの新聞社がその全株を持つておるわけであります。そこで公正取引委員会でいう二つ以上の事業者が共同の利益を目的としてそういう団体行為をしておる、それがこの事業者団体法の五条の九項にあてはまるのである、これは事業者団体法に違反する最も典型的な団体である、そういうことを指摘しておるわけであります。これはなるほど法から見ますればその通りでありますが、しかし現在の販売機構と同じに、この輸送会社の自動車の輸送における燃料のガソリンというものが、一面におきまして統制されておるわけであります。そしてこの統制されておりますガソリンは、法の命ずるままにこの会社を解体して、各新聞社が所有しあるいは他の事業者にこの運営をまかせるということになりますと、このガソリンの使用料の確実性といいますか、これをつかむことが非常に困難だ、そのために当局はガソリンの配給という面において困難を感ずる。それからもう一つは、そういうことのために敏活を要する新聞の輸送等について、非常に新聞社自体としても困難を感ずる。ところが現在新聞のみ輸送するという建前になつておる会社でありますので、ガソリンを配給しましても、そのガソリンが他へ流用されるという心配は一つもない。そして自動車が輸送したキロ数というものは正確に把握できるのでありまして、そういう面におきまして、現在の物資の貧困な現状におきましては、この会社の持つ意義というものは大きなものであります。それから各新聞社が新聞の輸送を共同でもつてやつている。おのおの新聞社がおのおのの自動車をもつて輸送する場合には、たとえてみますと、ここから上野の駅まで行くという場合に、かりに五つの新聞社があれば五台の自動車がそこへ行かなければならない。ところがこの会社によつて運営する場合には、その積載量の範囲において、一台あるいは二台で済みますから、非常に大きな利益がある、そういうような点で、設立もされたわけでありますが、今日これが団体法に抵触するということで審査の対象になり、そうして定款にあります株式の譲渡の制限、あるいは所有の制限、こういうようなものも撤廃せよ、こういうことを言つて来ているわけであります。しかしこういう株式の譲渡、所有の制限を撤廃することになりますと、これを完全に公開しなければならない。完全に公開しますと、何人がこれを持つかはわからない。そうしますと重要な使命を持つている新聞の輸送の責任が、何人かによつて掌握される。それが新聞社の望む人であれば幸いでありますが、逆であつた場合には、少くとも東京で発行される約六百万以上の新聞の輸送が、完全にとまる危険もあるわけであります。そういうような意味で譲渡、所有の制限を設けたのでありますが、ただ私として考えますことは、こういう日本の貧困な国民経済の状態において、どういう立法の精神によつて法が制定されたかはよくわからぬけれども、現実のわれわれから見ました問題としまして、この程度の経済行為をする事業会社というものが、それが一一法に抵触するということで、大きな利益、ことにこれはただいま申し上げた輸送の面からする利益ばかりでなく、この利益というものを捨てることになりますと、さらに輸送面から来る高騰が新聞の製作費に加わりまして、新聞の価格を上げなければならぬ、そういうような面も考えられますので、典型的に団体法に抵触するものであるということはよくわかるのでありますが、われわれ現実の問題を承知しているものにとりましては、まことに納得のいかない法律だと考えているわけであります。
 以上で私の公述は終ります。
#8
○圖司委員長 以上をもちまして参考人の意見の聴取を終ることにいたします。この際参考人に対しまして御質疑があればこれを許します。
#9
○南委員 新聞の販売の面においては競争にならぬように思うのですが、いかがですか。
#10
○中川参考人 現在は用紙の統制につきましては、半ばはずされておるようであります。これはいわゆるわく外紙というものであります。通称仙花と言つております。この仙花紙を使用することによつて、現在の統制紙以外の紙を使つて発行部数を増す。あるいは御承知のように東京においては三社が夕刊を出しておりますが、これは全部統制外の仙花紙をもつてやつております。そういう面から行きますと、ある、程度用紙の量の面における統制というものは、ある意味でははずされたように思います。価格の面におきまして非常に大きな格差がある。これがやはり新聞社の経営面から見ますと、そういつた仙花紙を使つてやる場合に、必ずしも経営的に成立たない場合がある。そうしますと、価格の面で経営的に制約を受けるし、それからもう一つは価格の統制というものがあるわけなんです。これがやはり新聞社の新聞政策に関する実際のデータとなります。また別に販売店の配給手数料というものも、詳細に三千八百円ベースでいろいろ検討して、現在一部十六円という配給手数料をきめております。そういつた一つのむしろ用紙という面よりか価格の面におきまして競争をする。たとえば現在では一つの販売所が全部の新聞を配達しておりますから、これはたとえば朝日新聞なら朝日新聞だけを専売店が配るということになれば算術的に考えれば、現在主として三社の店が共販に入つておりますが、区域が三倍になるわけです。そうすると人件費とかその他の面において算術的に見れば三倍、実際面から言えば三倍もかからぬわけですが経費がかかる。それ以外に今度は競争ということになりますと、新聞をとつたりとられたり争奪戦があるわけです。あるいは値引まで競争するとか、あるいは景品をつけるとか、あるいは無代で見本として入れるというような、別な競争費というものはほとんど制限がないわけです。そういつた点で、現在の価格の統制というものが半面にあつて、それからまた片方で競争販売をすると言われてもできなければ競争することにしても、実際は競争にならないからいいじやないかということを、専売店の方でも言われるわけです。こういつた点からすれば、そういう独占をするという協定をしないと、その協定さえなくなれば、実体において独占をしていようがどうであろうが、そのことは問題外だというふうな立場に立つておられるのです。しかしながら新聞社の競争というものは、そろばん勘定を度外視した競争に突入するわけです。そうすると大多数の販売店というものは競争できないから競争しないということでじつとしておりますが、特定の販売店が自分で競争をしかけることは明らかなことです。そうすると相手方の店が黙つていません。また新聞社同士におきましても、大多数の新聞社が競争をしたくない、ところがある一社がそろばんを度外視して競争をしかけるということになると、黙つてはいられぬというので、経営というものの採算を度外視した競争というものが必ず起るであろうそういつた場合には収拾がつかないことになります。もつと自然な形でだんだんと統制が緩んで来る、また自然な条件に当てはまつた競争というものが自然に起つて来るということの方が、実際上われわれとしては望ましいわけであります。今急に堰を切つたように、きようから競争だから、今までの販売組織のわくをはずしたのだという宣言をすると、各所にいろいろな一種の宣戦布告状態が起つて来るということを恐れて、いらぬおせつかいをしてもらわぬ方がかえつてうまく行くであろうという方が、われわれの真意であるわけであります。
#11
○南委員 新聞の値段の統制におけるいろいろの意見があるので、むしろはずせばよいという意見の方が強いのですが、実際はなかなかはずせないので、むしろはずした方がよいのですか。
#12
○中川参考人 はずしてもそうべらぼうには……。
#13
○羽生参考人 今の中川さんのお話のように、結局新聞の価格の問題は決定的な要素なんです。そして私が先ほど申し上げたように、新聞紙の習性ということから、そういうことになることはわかりきつているものですから、私どもここへ来ているわけです。
#14
○南委員 むしろ私たちは新聞などというものは、ほんとうはゆがめられざる公正な世論の反映が一番大事なのであつて、そういう意味合いにおいて、公正な競争のもとにおける大きな新聞が、日本のすみずみまで読まれることが望ましい。つまり競争を恐れるのあまり、現状のような状態のもとにおいて、小さな新聞、いわゆるごろつき新聞が目にあまるほど地方にできておりまして、弊害の方がむしろ閉口しているのであつて、われわれは弱い立場にありますものですから、強制的にいろいろな広告を載せられて、何千円も毎月とられるというようなことは、私自身だけではなく、しばしば聞くのでありますが、そういうふうなことを考慮しあいまして、あまりに皆さんの意見のように闘いは熾烈だというて、公正なる競争を恐れるのあまりにおやりにならぬよりも、フエアのプレイでやつていただいて、どこかに一つ締めくくつておいていただいて、締めくくりにおいて競争をやつていただくということの方が、インボーデト少佐の言われたごろつき新聞の退治にたいへん役に立つのではないか。読みたくても読めぬという人が大分あるのです。これは東京市内においてもそうなんです。今はどうかしれませんが、われわれは少くとも御出席の三社の新聞を読もうとしても、それはぜいたくだと言われておりますから、一つでも読んでいましたらけつこうですが、そういうことを言われて、三べんぐらいけられております。最近はあきらめておりますから、町で買つたり、友達の記者から送つてもらつたりしていますが、まだそんな状態にあるとは私ども考えませんけれども、これでは輿論の公正なる振起にも役に立たぬのではないかという気がするのです。
#15
○圖司委員長 それではこの程度で今日の委員会は散会して、あとは懇談会に入りますから、自由にお話し願います。
    午後二時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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