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1949/03/03 第7回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第007回国会 予算委員会 第20号
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1949/03/03 第7回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第007回国会 予算委員会 第20号

#1
第007回国会 予算委員会 第20号
昭和二十五年三月三日(金曜日)
    午前十時四十八分開議
 出席委員
   委員長 植原悦二郎君
   理事 尾崎 末吉君 理事 上林山榮吉君
   理事 小峯 柳多君 理事 圖司 安正君
   理事 苫米地英俊君 理事 勝間田清一君
   理事 川崎 秀二君 理事 川上 貫一君
   理事 今井  耕君
      淺香 忠雄君    天野 公義君
      江花  靜君    奧村又十郎君
      小淵 光平君    角田 幸吉君
      北澤 直吉君    小金 義照君
      小坂善太郎君    坂田 道太君
      高橋  等君    中村 幸八君
      永井 英修君    丹羽 彪吉君
      松浦 東介君    松本 一郎君
      西村 榮一君    武藤運十郎君
      北村徳太郎君    床次 徳二君
      中曽根康弘君    深澤 義守君
      米原  昶君    平川 篤雄君
      松本六太郎君    岡田 春夫君
      世耕 弘一君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 森 幸太郎君
        国 務 大 臣 本多 市郎君
 出席政府委員
        地方自治庁次長 荻田  保君
        大蔵事務官
        (主計局長)  河野 一之君
        大蔵事務官
        (主計局次長) 東條 猛猪君
        大蔵事務官
        (主税局長)  平田敬一郎君
        大蔵事務官
        (国税庁直税部
        長兼主税局税制
        課長)     原  純夫君
        大蔵事務官
        (主税局調査課
        長)      忠  佐市君
        大蔵事務官   
        (銀行局長)  舟山 正吉君
        経済安定政務次
        官       西村 久之君
 委員外の出席者
        專  門  員 小林幾次郎君
        專  門  員 小竹 豊治君
三月三日
 委員村瀬宣親君辞任につき、その補欠として床
 次徳二君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 昭和二十五年度一般会計予算
 昭和二十五年度特別会計予算
 昭和二十五年度政府関係機関予算
    ―――――――――――――
#2
○植原委員長 これより開会いたします。
 前日に引続き質疑を継続いたします。北澤直吉君。
#3
○北澤委員 本多国務大臣にお伺いしたいのですが、今回の税制改革の大きなねらいの一つは、御承知のように地方の財政を強化するということにあると思うのであります。申すまでもなく、民主政治の基礎を確立しますためには、地方の自治を強化するということは必要でありますが、そのためには、まずもつて財政の面から地方の自治を強化するということは、もちろんこれはけつこうと思うのであります。ただ問題は、日本の現在の実情から申しまして、今回のような地方税の改革というものが、その運営におきまして円滑に行くかどうかという点をわれわれは心配するわけであります。今回の税制改革によりますと、国税は相当程度に減税になる。政府の説明によりますと、国税におきましては、二十四年度に比べまして大体七百億円見当減税になる。しかしながら地方税におきましては、四百億円増徴になる、こういうような形になつておるわけであります。ところが地方自治体の徴税能力その他を考えますと、こういうふうに中央の税を下げて地方の税を上げると、いうことが、必ずうまく実施されるかどうかという点について、われわれは心配するわけであります。ことに地方におきましては、地方の自治が、ある程度行われているというものの、いまなお封建的の分子が相当にありまして日本の地方の自治の健全なる発達を阻害しておることは、これは何人も否定することができないことであろうと思うのであります。従いまして地方に、地方税として重い税金をかけるということになりますと、この地方の封建的な性質が税の面にも反映しましてなかなか税が予定通りに徴収されぬということを、われわれは心配するわけであります。特に地方には、相当ボス的な勢力がありましで、これが地方の自治体と納税者との間に介在をいたしまして、納税の円滑なる実施を妨げるというようなことも絶無ではないと思うのであります。こういう点から申しまして私は今回の地方税の改革というものは税制そのものとしましては、非常に合理的で、ほとんど理想に近いとも思うのでありますけれどもこれを、実際に実施する場合におきまして、そこにいろいろの問題が介在すると思うのであります。従いまして、私は今度の地方税制の改革につきましては、やはりある程度、時間に余裕を與えて、地方の実際の事情とにらみ合せまして漸進的に進むということがいいと思うのでありますが、まずこの点につきまして本多大臣のお考えを伺いたいと思うのであります。
#4
○本多国務大臣 御質問の趣旨はまことに、ごもつともな御心配であると思うのでございます。しかし今日までの地方税というものは、地方団体が財政運営をやる上において、あまりにきゆうくつなものであつたと考えられるのであります。戰前の地方税と国税との比率と、今日までの状態を比較してみますと、実に戰前七〇%以上を占めておつたものが、今回の改革によつて、ようやく三四%程度に地方税が回復して来る次第でありましてこれは国税に比較いたしまして往時において七〇%を占めておつたものが、日華事変、太平洋戰争、その後の状況によりまして、非常な圧迫を受けまして二〇%あるいは一〇%台まで地方税というものは減少して来ておるのでございます。それが昨年、本年、さらに今回の改革によつて、ようやく三四%程度まで回復して来るのでございますが、お話の通りに、今後の自治制を強化する、育成するためには、どうしても財源を與えることが先決問題であると思います。ただしかし、それが消化し得ないほどの財源を與えるということになりますと、お話のような弊害も生ずることと思うのでありますけれども、今回の程度のことでありましたなら、地方団体におきましても、今回の税制改革に非常な期待と熱意を持つておる次第でございますから、必ず支障なくやり得るものであると考えておるのでございます。今回の地方税の増徴は、標準税率をもつて算定いたしますと、四百億円が見込まれると思うのでありますけれども、これもシヤウプ氏の勧告にありました通り、従来、税としてとるわくを持たなかつたために、強制的あるいは任意的な寄付金として四百億程度のものが集められておつたというのでありまして、これが今度の地方税のわくの拡大によりまして、今まで四百億円に達したところの、寄付によつた金額は、おそらく百億円程度にとどまつて三百億円くらいは減少するであろうということがねらいでありまして、そうなりますと、四百億の寄付が三百億減少いたしますから、相殺いたしますと、百億の実質的な負担の増加にしかならないということも考えられるのでありまして、むしろ三百億、四百億というような多額な金額を、寄付等の手段によつて集めることが、かえつて負担の不均衡を来す結果になると考えられるのでありまして、法律に基いて財源を確保し得る道を與える今回の措置は、まことに適当ではないかと考えております。御心配の点もありますけれども、ただいま申し上げましたような点から、今回の地方税のわくの拡大は、さらにさらに拡大される第一段階であつてこの程度のことならば、現在程度の自治体において消化し得るもの、運営し得るものであると実は考えておる次第でございます。
#5
○北澤委員 これは後ほど大蔵大臣にもお尋ねしいのでありますが、日本の税制におきましては、予算に現われた税の収入の見込みと、実際の徴税額との間には、相当な開きがある。シヤウプ博士の報告書の中にもありますが、一九四七年から一九四八年の日本の予算におきましては、徴収歩合が、源泉徴収の方では九八%、課税額と実際の徴収額との比率が、申告納税においては五三%という数字が出ております。一九四八年、一九四九年におきましては、これが六三%、こういうふうになつておりまして、課税額と実際の徴収額との間には相当の開きがある。これは地方税におきましても、同じようなことが言えると思うのであります、課税額を見積りましても、徴収の実際においては相当程度とれない。そういうことで徴収の歩合というものが出て来ると思うのでありますが、今度の地方税の改革にあたりまして、地方税の徴収というものにつきまして、一体政府はどの程度の徴収歩合を見ておりますか。
#6
○本多国務大臣 税の徴収率にりきまじては、その税の性質によつてそれぞれ違いますので、見込みを立てております。たとえば八〇%捕捉して、さらにそれの八〇%確実に収入し得るというふうに、二段階に捕捉率と徴収見込み率とを立てまして、徴収額の見込みを立てておるような次第でございます。今日政府でも徴収見込み額につきましての研究、検討中でありますし、司令部方面との意見の相違する点もありまして今折衝中でありますが、詳しく必要でありましたならば、各税目ごとに政府委員から説明さしてもけつこうであります。まだ未定のものでありますけれども、方法としては大体そういう程度でありまして、特に徴収捕捉の確実な不動産等を対象とするものについては九〇%以上の捕捉、さらに徴税も相当高率の八〇%ないし九〇%の徴收ができるというふうに見込んで、見込み額を決定いたしております。
#7
○北澤委員 従来における地方税の徴収の歩合と、今回のように附加価値税とか、あるいは固定資産税とか、相当大幅な税率の引上げをした場合におきましては、私は徴収歩合には相当変化があると思うのであります。税率を上げれば上げるほど徴収歩合は惡くなると思うのであります。従来における地方税の徴収歩合の実積と、今度の地方税の大幅引上げの場合における徴収歩合との比較についてもし御研究があつたら伺いたいと思います。
#8
○本多国務大臣 お話の通り私どもといたしましても、税率が非常に高い場合、これは徴収率が滯納というような点において低くなる。そういう考えでその税率等も勘案して見込み額を立てるようにいたしております。
#9
○北澤委員 次に伺いたい点は附加価値税の問題でございますが、この税は、御承知のように世界においても今回日本で初めて試みられた新しい税制であります。これについてはアメリカ自体においてもいろいろな議論がある。この税が初めてアメリカの学者によつてとなえられたのは一九二〇年で、アダムスという人がとなえられたのが初めでありますが、現在においても、この附加価値税はアメリカ内においても、学者の間に相当の議論がある新しい税であります。こういう税を日本のようなところに初めて試みるというわけであります。従いまして日本の実情というも、のとこの附加価値税というものを見る場合において、この税が円滑に実施せられるかどうかということについて、われわれは心配するのでありますが、それについて本多大臣の御意見をまずもつて伺いたいと思います。
#10
○本多国務大臣 今回の地方税法の改正にあたりまして、シヤウプ氏の勧告せられたところの地方団体のとる税は、課税標準を捕捉するにきわめて容易なものである。そうして地方団体の財源として確実なものというような点から考慮せられておるのでありますが、この附加価値についても純所得を捕捉する場合に比較いたしますと、きわめて容易に附加価値というものは出て来るのでありまして、実質的な純益の捕捉よりははるかに容易であると思うのでございます。この附加価値というものの性格から来る外形的な課税標準なり、実質的な純益を対象としないという点においては、これは担税能力という点から考えますと、議論のあることと存じますけれども、地方団体が財源を確保するという点から行きますと、その地方団体内において一定の事業をやつた場合には、地方団体から間接的にいろいろな便宜を得るのでありますから、その得た利益に応じて課すという点に、附加価値のねらいもあるように考えられます。これはその地方団体から相当の便宜を與えられておりながら、純益がなければいかなる大事業をやつていても課することのできないという、事業税のような形体では、地方団体としての財源に確実性を欠くことになるので、こうしたものを勧告せられたことは、まことにこの場合適当であると考えておる次第でございます。
#11
○北澤委員 税制そのものとしましては、この附加価値税は合理的なものと思うのでありますけれども、先ほども申しましたように、日本の実情に即して一体どういう支障が起るかということを心配しておるわけであります。特に附加価値税につきまして心配いたしますのは、この附加価値というものを正確に捕捉するということに相当の困難がありはせぬか。たとえて申しまと、売買業、あるいは製造業というようなものについては、附加価値税の捕捉はある程度簡單にできると思うのでありますが、いわゆるサービス業、たとえば銀行業、あるいは運輸業、保險業、というものについては、なかなか附加価値というものが正確に捕捉することが困難ではないかと思うのでありますが、これについてはアメリカの学者なども、売買業、製造業については附加価値税の捕捉は比較的容易であるが、いわゆる補助的商業の銀行業、運送業等はなかなか補足に困難であるということを言つている学者もいます。これについて大臣の御見解を伺いたいと思います。
#12
○本多国務大臣 お話の通り、單なる手数料を収納するサービス的業態におきましては、その事業自体の範囲内において必ず増加するという面は、その事業者自体の計算においては生じないのでございますから、一般的な概念の附加価値という考えをもつて考えるのに必ずしも妥当でないような気もいたします。できるだけこれはやはり一つの課税の方法といたしまして、附加価値の計算と同じ方法をもつて計算をすることが容易なのでございます。そういう計算によつて附加価値税という一つの税法によつて、同じ算定のもとに課して行くということで負担の均衡は必ずしも失しない。こういうことで同一税法に含まれておるのでございます。但しその急激なる変更等も考慮いたしまして、ただいま御指摘になりました業態等に限つては、二十五年度に対して特別の附加価値の計算法、あるいはまた單なる手数等によるものについて一般の計算で課する場合、少しく妥当でなかろうと思われるようなものにつきましては、一種、二種、三種というふうに区別をいたしまして一種と二、三種の間には税率の逓減があるというようなことで、負担の均衡を得るように考慮されておるのでございます。
    〔委員長退席、小峯委員長代理着席〕
#13
○北澤委員 附加価値の捕捉ということが、業種によつていろいろと差があるという話でありますが、業種によつて附加価値というものは非常に違う。たとえば狹義の商業いわゆる売買業というようなものにつきましては附加価値が少いのでありますが、これがその他の製造業というようなものになりますと、非常に附加価値が多い。業種によつて附加価値が多いものと少いものとがありますので、私はもしこの附加価値の税率というものを各業種について一律の税をかける場合には、違う業種の場合においては不公平が起りはしないか、ただいまのお話では業種の違う場合にはそこにある程度の差を設けるということでありますので、それによつて不公平というものは救済されると思うのでありますが、附加価値そのもにつきましては、各業種について附加価値が少いもの、あるいは多いものがありますので、この点はどうぞ附加価値をかける場合においては、業種間の公平を失しないように、この上とも御考慮願いたいと思います。
 次に申し上げたいのは、この附加価値税でありますが、政府におきましては、附加価値税というものは一種の流通税というふうに考えまして、この附加価値税は他に転嫁される。附加価値税を納税するものは負担しないで、納税者が一応立てかえますが、ほかの方に転嫁される。たとえば倉庫事業者が附加価値税をかけられる場合におきましては、倉庫の保管料の値上げをして、保管料の方に転嫁する。あるいは船会社が附加価値税を納める場合におきましては、船賃の値上げをしてもらつて、その方に転嫁する。あるいは保險会社が保險料の値上げをして転嫁する。こういうふうにもし附加価値税というものが他に転嫁できるというものならば附加価値税に対する公平、不公平の問題は起きないのでありますが、今日の日本の状況におきましては、附加価値税というものは必ずしも転嫁できない。戰争中のように統制経済の時代でありますれば、保險業にしましても、倉庫業者にしましても、あるいはいろいろ価額におきましても、政府がマル公できめるという場合におきましては、この附加価値税の転嫁は簡單に行えますが、今日だんだん自由経済になつて参りまして物の売買というものが、実際需要供給の原則によつて行われるというときにおきましては、必ずしも附加価値税は転嫁できないのじやないか。転嫁できない場合においては、納税者がそのまま負担するということになりまして、そこにいろいろ納税上の公平、不公平の問題が起ると思いますが、政府におきましては、この附加価値税というものは他に転嫁できるというお考えなのでありますか、その点を承りたい。
#14
○本多国務大臣 附加価値税の定義の冒頭に、これは流通税であるということをうたつてあるのでありまして、これに転嫁される性質を持つていることは明らかでありますが、ただ取引高税あるいは通行税のように金額を個々の取引に明示して、別に計算して転嫁するというような転嫁の方法でなく、この附加価値税はちようど昔ありました営業税が営業経費として計算されたような方法で、これは全部の業者に漏れなくかかりますから、営業費的性質を持つてこれが結局転嫁されて行く。製造工場でありましたならば、絶対不可欠の営業費として生産原価に入つて行くというような関係で、私は転嫁されるものと考えております。でありますからただいまお話の通りに取引高税の場合の転嫁のように、一つ一つの取引についで清算されて、必ず乘つかつて転嫁されて行くという方法にはならないと思いますので、結局こうしたことはその企業の実態によることでありまして、その企業が吸収し得る場合には吸収されることになるのでありましようし、どうしても吸収できないという場合には、結局製品等の値上げというようなことになつて行くでありましようし、交通機関等の料金についても同じような方法で転嫁されて行くものであつて流通税的性質は持つておるけれども、交通税、取引高税その他の物品税等のように、全然別に乘つかる性質の流通税ではないと考えております。
#15
○北澤委員 大臣のお話によると、附加価値税は大体流通税の性質を持つておる。従つて原則としては転嫁し得るものであるというふうな御説でありますが、ここに問題があると思うのであります。御承知のように、日本としましては現在貿易振興、貿易優先主義であります。従いましてなるべく日本においては生産のコストを下げて国際貿易競争に勝つというふうにしなければならぬことは申すまでもないのであります。ことに最近におきまして南方その他におきましては、各国の競争が相当はげしくなつて来ておる。従つて国際貿易上におきまして、日本の貿易が勝ちを占めるには、どうしても日本における生産コストの引下げということが必要でありますが、もし今度のように附加価値税がかかりまして、これが転嫁されると、先ほど申しましたように輸出に直接関係のある船賃が値上りし、海上保險料、倉庫保管料、港の埠頭の使用料金が上るということで、附加価値税の結果、これがそういうふうな日本の輸出貿易のコストになるところの料金に転嫁されるということになりますと、私は日本の貿易振興という点から考えて、おもしろくないことでないかと思う。日本においてはなるべくこういうコストを引下げて、国際の貿易競争に有利な地位を占めることが、日本の貿易振興の最も大きなねらいでなければならぬので、この附加価値税をかけた結果、そういうふうな輸出のコストに影響する保險料、保管料あるいは運賃というものに転嫁されるということになりますと、日本の輸出貿易に一つのハンデキヤツプを與えるものであると思うのでありますが、その点に対します大臣のお考えを承りたい。
#16
○本多国務大臣 お話の点は今までも他の税でちようど同じ関係にあつたろうと存じます。たとえば廃止された物品税――物品税は全部廃止されたわけではありませんけれども、廃止された部分についてやはり負担をしておる。取引高税を負担しておるというようなもの、さらに事業税を負担しておつたという関係で、結局は製品、輸出品等にそれが転嫁されておつたことと思うのでありますが、それが今度附加価値税というものにかわつて来ると考えれば、そう事情の変化はなかろうと思いますが、いずれにいたしましても、税制の根本的改革でありましてこの程度のことはあらゆる産業の存立の前提要件として、今後は考えて行くほかはないと思つております。
#17
○北澤委員 従来も事業税、物品税あるいは取引高税等あつたのでありまして、これが他の方面に転嫁されておつたということはお話の通りでありますが、今回の税制の改革としましても、いろいろの面におきまして非常な改正改善を加えられておるのでありますが、どうも日本におきまする輸出の振興という点には、あまり考慮が拂われてないと思うのであります。外資の導入という点につきましては、相当程度の特殊の考慮が拂われるようでありますけれども、今日日本の最も大事な輸出貿易の振興、こういう大きなねらいをもつてそれが統制改革の面にあまり現われておらぬ、私はこう思うのであります。ただいまのお話のように、こういう附加価値税というものが、もしそういう輸出品のコストの方に転嫁なれるということでありますならば、私はむしろ所得税をもつと上げてこういう附加価値税をもつと減らして、そうして輸出の原価に転嫁されないようにすることが、私は日本の貿易振興に必要だと思うのでありますが、それに対して大臣のお考えを伺います。
#18
○本多国務大臣 この点はまことに重要な点であると思うのでありますが、今回の地方税の改革は、さいぜんも申し上げた通り、まず地方自治団体の財源を、確実な課税対象によつて確保するということに、力が注がれておるのでありまして、附加価値税にしましても、実は課税標準でありまして、最高の制限はありますけれども、それよりも安く税金をとるということについては、制限がないのでございます。従つてその自治体々々々におきまして、そういう輸出を阻害する――ある産業の発達を阻害するというようなことがない程度に、財政状態とにらみ合せて考慮されることもできようかと思います。しかしただいまのお話の点は、何といいましてもこの地方税の上に立つて、国策的立場から輸出振興の対策等については手が差延べらるべきものではないかと思います。そうでなければ解決困難ではなかろうかと考えております。
#19
○北澤委員 ただいま申し上げましたまうに、結局この附加価値税というものが他に転嫁される。特に輸出品のコストの方に転嫁されるということなにりますと、日本の輸出貿易振興上に重大な関心を持つのでありますが、その点につきましては、なるべくそういうふうな輸出貿易に障害を與えないように、今後とも御研究願いたいと思うのであります。
 次にお伺いしたいのは、地方税の中の固定資産税の問題であります。政府の固定資産税による税収の見込みは、大体五百二十億ということであります。地方税全体で千九百億、そのうち附加価値税が四百四十億、市町村住民税が六百億、固定資産税が五百二十億というような見積りになつておりますが、この五百二十億の固定資産税の見積りにつきましてはいろいろ問題があると思うでごごいます。もしその政府の原案と申しますか、固定資産税に関する原案によりまして、二十五年度において土地家屋の賃貸価格の千倍を課税標準にする、こういうことになりますと、われわれの計算によりますれば、どうもこれは五百二十億を少し上まわるのではないか。もし賃貸価格の千倍にして、これに所定の税率をかけることになり、そうしてこの税率そのまま徴収するということになりますと、これは相当程度に五百二十億を上まわる。先ほど申しましたように税の徴収歩合、課税額というものと実際徴収額との間に開きを認めて、徴收歩合というものが相当惡いという見込みならばそれでいいのでありますが、もしその徴收の歩合がよくとれるということになりますと、私は五百二十億を相当上まわつてとり過ぎはせんかというような心配を持つのでありますが、この点について大臣のお考えを承りたいと思います。
#20
○本多国務大臣 ただいまお話の固定資産税につきまして、土地家屋につきましては捕促も容易でありますし、またそれに対する徴税も相当確実にやることができると思いますが、この徴収率は相当高いものを見積つてよかろうと考えております。但しその他の固定資産、償却資産につきましては、極力努力いたしましても、なかなか完全な捕促は困難ではないかと思つておりますので、その捕促率並びに徴収率等については、相当緩和した見積りを政府としては立てておる次第でございますが、それによりましても、ただいまお話の通り、土地家屋の倍率を千倍ということにいたしますと、予定収入額よりも相当上まわる見込みになるのでございまして、そこまで倍率を上げる必要はなかろうと考えておるのでございます。この倍率につきまして、いまだ政府の意見も司令部等との折衝のために、最後的な決定に至つておらないのでございますが、八百倍くらいのところで大体予定収入を達するのではないかということで、ただいま折衝と研究を続けておる次第でございます。
#21
○北澤委員 この固定資産税につきましては、われわれの計算によりますと、土地家屋から上る税収が全体の固定資産税の三分の二、それから土地家屋以外の事業用資産から上る固定資産税が三分の一といふうにわれわれは見るのであります。そこで土地家屋以外の事業用資産というものは、大体これは法人の所有だと思うのであります。そうしますと、固定資産税の三分の一は法人にかかる、こういうふうにわれわれは見るるのでありますが、そうすると、法人企業、大企業というものにはこの固定資産税が相当重くかかつて来る、こういうふうなことをわれわれは心配するのであります。ここに、あるところで調査しました一つの資料がありますが、たとえば紡績会社の例をとりますと、固定資産税というものが、これまでに比べて、ある会社では七、七二倍、ある会社では六、四八倍、ある会社は六、六七倍というふうに、六倍から七倍に上つておる。それから金属工業に例をとつてみますと、これが六倍、化学工業に例をとりますとこれが六倍、一番ひどいのは私鉄――地方の国有鉄道以外の私鉄でありますが、このある会社の例を見ますと、これは二十五倍くらいにふえておるというようなわけで、固定資産税が事業の種類、特に法人企業に相当高くかかつて来るというふうにわれわれは見るのでありますが、この点を政府はいかにお考えでございますか。
#22
○本多国務大臣 ただいまの御比較は従来の土地、家屋税と固定資産税との御比較であるかと思いますが、今回の税法は中央と地方を通じての一貫した改革でありまして、それぞれ廃止軽減された他の税と総合的に計算して負担の増減を考えてみますと、ただいま御指摘のような種目についても、そう極端なる増税にはならないと考えております。
 さらにこの場合申し上げておきますが、この法人を主とする償却資産の見積りにつきしては、すでに資産再評価税法等におきましても、企業の再評価の進行状況とにらみ合せまして、一定程度までは行くものであるというふうに押えて、それに対する捕促率、さらに徴収率というものを見込んで計算しておるのでございますが、大体その固定資産の償却財産の見積額は、一兆三千万億ぐらいに達するということを、ただいま研究の過程でありますけれども、そういうふうに見込んでおる次第でございます。
#23
○北澤委員 この固定資産税につきまして、先ほども必要以上にとり過ぎはせぬかということを申し上げたわけでありますが、ここに一つの例を申し上げますと、九州の八幡市の場合であります。あそこには八幡製鉄所という大きな事業があります。八幡市の場合を考えますと、八幡市の管内の固定資産を見ますと、八幡製鉄所が大体半分だということであります。それで政府の今度の地方税の案によりますと、八幡製鉄所は固定資産税として大体四億円を納めることになる。そうしますと、八幡製鉄所以外の八幡市の土地家屋、事業資産というものが同じであるとしますと、八幡市全体で八億円の固定資産税が上る。ところが八幡市の歳出、市の財政から申しますと、昭和二十四年では、大体七億一千万円、従つて二十五年度におきましても大雄八億円見当、そうすると八幡市の財政というものは、全部固定資産税だけでまかなえる。ほかの住民税も何もいらないというふうなことになる。これは非常に極端な例でありますが、そういうことになるわけであります。もし政府のお考えのように、固定資産税と市町村の住民税というものが、大体半々というお考え方から行きますと、八幡市の場合におきましては、市の財政は全部固定資産税だけでまかなわれる、ほかの住民税はとらなくてよい、こういう極端な場合もあるのでありますが、私はこれは固定資産税というものが、ある場合にはどうしてもとり過ぎるという一つの例であると考えますが、これに対して大臣はどう考えられますか。
#24
○本多国務大臣 八幡市の例をお話になつたのでありますが、そうした事例は、今後山間等の大きな発電ダム等を持つておる村などにも、生じて来ようかと思います。そうした場合にやはり標準税率で査定をし、そうして標準需要額を査定いたしまして、それで計算をし、残つた部分はその関係町村に、関係の程度に応じて按分する方法でこれを分配して行きたいと考えております。
#25
○北澤委員 最後に結論といたしまして、先ほど申しましたように今回の地方税の改革というものは、非常に合理的に、しかも世界でもこれまで試みられたことのない新しい性質の附加価値税、しかもこれにつきましてはアメリカなどにおきまして相当議論もある新しい税を、この事情の相当違う、しかも経済的には英米と比べて相当遅れておる日本において実施するということでありますので、この新しい地方税を日本において実行するにつきましては、いろいろの点において、いろいろりもつと堀り下げて研究をすべき問題も非常にあろうと思うのでありますが、どうぞ政府におきましては、こういうことを今後とも御研究くださいまして、御善処あらんことをお願いいたしまして、私の大臣に対する質問はこれをもつて打切ります。
#26
○小峯委員長代理 ただいま本多国務大臣からの申出で、関係方面の用向きで総理と至急連絡があるそうですから、本多国務大臣に対する質問は保留していただきたいということであります。
 これにて休憩いたします。午後は一時から再開いたします。
    午前十一時三十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十分開議
#27
○植原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 質疑を継続いたします。上林山榮吉君。
#28
○上林山委員 本多国務大臣に地方税に関連いたしまして、質疑をいたしたいと思います。
 御承知の通りに取引高税、あるいは織物消費税、あるいは物品税、地方税においては農業事業税、こういうようなものを廃止あるいは税率の軽減、こういうことをやつて来たのでありますが、言うまでもなく、惡い税種の整理、あるいは税率の変更による税の軽減、こういつたような問題を解決することは当然のことではありますが、それよりもさらに一層考えなければならぬことは、国税、地方税を通じての税制全般の改正こういう点から地方税というものを考え、税制全般を考えなければならぬのでありますが、この際において本田国務大臣は、国税の方においては御承知の通り相当の軽減をはかつておるが、地方税にその結果がしわ寄せられて、約四百億以上の増税となる。この事実に対してどういう見解を持つておるか。いわゆる税制一般の改正、国税、地方税を一体としての改正であるから、四百億円程度の増税はやむを得ない。このしわ寄せばやむを得ない。こういうふうにお考えになつておるのであるか。まずその点を私お伺いいたしておきたいのであります。
#29
○本多国務大臣 今回の国税、地方税を通じての改革は、根本観念におきまして、国税の税源を、地方財政の財源確保のために委讓するという考えで成立つていると思います。従つてしわ寄せのために地方税が増額されるというわけでなしに、地方税も、国税もともに同じ国民の負担でありまして、国税が軽減されただけは、やはり地方民の負担の軽減でありますから、税種の委讓はいたしませんけれども、税源において、それだけ委讓したものであると考えております。今回地方税がたいへんに増額されるように一般に伝えられておりますけれども、これは当らないのでありまして、地方税は原則として標準税率になつております。この標準税率と制限税率を法定いたしまして、その制限税率以上にとる場合には許可を要するのでありますけれども、標準税率以下にとる場合には、地方の財政需要と勘案いたしまして、地方の自由ということになつております。従つて今日までむりな寄付等によつて集めていたその金を、今度は合法的に集め得るわくを與える意味のものでございまして――もつとも本年限り固定資産税においては定率でとらなければならぬという、本年限りのただ一つの例外はあ、りますけれども、原則としてはそういうふうになつておるのでございまして、決してしわ寄せのために地方が犠牲を受けるわけではないのであります。そのことはシヤウプ博士の、地方の行政事務を現状のままとしてさらに財源を與えなければならぬということになるのでありまして、中央で減税をいたしましたその犠牲、あるいは中央で今日まで支出いたしておりましたそのかわり財源を得なければならないために、増税されるとか、中央の事務が、さらに地方に委讓されるために増税をしなければやり切れぬという意味のものではないと考えております。
#30
○上林山委員 御承知の通りに、国税において実質上九百億円の減税をなし、あるいは税種の整理、ひいて税率の整理をやつたわけでありますが、先ほど申し上げたことく、四百億円が地方の増税になつた。そこで全体としてはもちろん五百億円の減税ということになるのでありますが、私はこれを課税あるいは徴税という点から地方の実情に合せて考えてみる場合に、所により人によつて相当の増税になるところがある。こういうふうに考えるのでありますが、これに対してはただいまの御答弁のごとく、標準以下にとり得る制度であるから、自治体の自主的な課税、徴税によつて調節ができるのであると、こういうふうに野放しにしておつて、はたしてそれが地方の実情に適した課税、徴税になるのであるかどうか。この点は愼重に考えてみなければならぬと思うのでありますが、單なるしわ寄せでないということは、私どももある程度了とするけれども、実際的にこれを考えると、さらに矛盾が生じて来る。この点については本多国務大臣としてはどういうふうに調節をはかり得るか。この点を私は伺つておきたいのであります。
#31
○本多国務大臣 地方が適正程度の徴税を果さないために、その施設を怠つたというような場合があるといたしましたならば、これは平衡交付金法におきまして、国家の要請する適正規模の行政施設を行わないこと、さらにそれに相当する支出をやらないこということにかんがみまして、財政調査委員会の決定によつて、それぞれこれを是正するの道がとられるようになつているのでありまして、地方がその施設を相当程度に維持しているにかかわらず、減税するという場合には、これはその低率でとるという場合には認められるのでございます。
#32
○上林山委員 大まかな立場から考えて平衡交付金によつて地方の財政を調節する、ひいて標準税率以下の課税、徴税ということによつて調和がはかり得ると、こういうような御主張に対しては、抽象的にはわれわれもこれを了といたしますが、これを実際から見ますと、とれるだけは標準税率をとる、こういうことになり、その標準税率をとらないところは平衡交付金を交付する場合の基礎にして考えるのである。こういうふうに行政処置を実際としてやるのであるから、抽象的な解釈は国務大臣の言われる通りであるけれども、実際上の運営は、ただいま申し上げるごとく、標準税率は必ず地方の自治体はとるのであります。この実際問題を平衡交付金を交付する場合にどういうように調節をはかるか。あるいはまた標準以下にとり得るその財政基礎をどういうふうに見て、その調和をこの程度でいいじやないかというところまで行政処置をやるものかどうか。これをやらなければ、実際問題としては政府に、あるいは官僚に、地方の自治体が平衡交付金の制度を通じて左右される、こういうのが今日の実情であります。この点をどういうふうにお考えになつているか。私はさらに明快な御意見を承つておきたのであります。
#33
○本多国務大臣 ただいまのお話でありますと、政府が一定税率まで必ずとらなければならぬというようなことにすることが、これは地方自治体に対する行き過ぎた干渉になることと思うのでありまして、地方自治体もそれぞれ適正規模の行政運営をやるために、必要な経費は必ずとることと存じます。その程度を強制するということは、ただいま申し上げました平衡交付金法による調整の権限は保留しておきますけれども、まつたく地方の予算の編成を法律をもつて強制するようなところまで行くことは、行き過ぎであると考えております。従つて今回の程度のことで、自治体の適正な運営をやつて行けることと確信しておるのでございます。
#34
○上林山委員 これは見解の相違というところで私とどめたいと思うのでありますが、実際は私どもの言うのが、実情に合つた今日の行き方であると思つておりますので、この点はよく御調査になつて決して政府が極端な平渉になるような結果にならないように、ひいてあなたの言われる標準以下の税率でとつてもいいという自治体の財政状態であるならば、それを何らかの調節機関によつてこれが是正をはかる。こういうような方向に進まなければ、この地方税制度の円満なる運行はとうていできないと私は考えておる。この点はもう少しく政府は実情に即した調査とこれが対策を講じなければ、とうてい所期の目的は達し得ないということを、自信を持つて言い得ることは、まことに私ども情ないのであります。この点は、政府においてさらに一段の努力を要望いたしておきます。
 そこでそれならば国税、地方税を通じて大まかな線においては減税になつておることを私も率直に認めるが、先ほど申し上げたことく、地方税制においては、所により人によつて相当の増税になる所がある。こういう見解を持つておるのでありますけれども、国務大臣はその点はあまり触れていないようであります。そこで具体的にいろいろな調査をした資料によつてこれを見てみますと、所得が七万円あるいは扶養家族にして四人の場合、地方税、国税を通じてこれは無税である。あるいは同じ趣旨において八万円程度まで無税である。こういうようなことを出しておる表があるが、これに対して大蔵大臣でない国務大臣である本多さんは、どういうようにお考えになるか。地方税、国税を通じてどの程度の所得のあるものが免税になつておるか、これを私は国民に議場を通じて知らしめる責任があると思う。單なる抽象的な論議ではいけないと思いますので、この点をはつきり答弁願いたいのであります。
#35
○本多国務大臣 お話の通り、地方によりあるいは納税者個々につい、て旧法と今回制定しようとしておりまする新法と対照いたしますと、相当の税額の変動があります。これは根本的には、かく改正することが負担の均衡化のためであるという根本観念をもつて御説明申し上げるほかはないと思います。それによつてこそ負担の均衡化、税制の根本的改革が行われるのである、かように御了承願いたいと思うのであります。しかしそれにいたしましても、あまりに極端なる変動があるということがございましては、これはむりでありますから、その辺は極端なる変動の点は調整するように勘案いたしておるのでありまして、ただいまのところお話のように、中央、地方を通じて計算いたしますと、極端なものは現われて来ないと考えておりますが、ここに自治庁において調製いたしました資料がございます。その資料によつて一般に多く認められる納税者を標準にとつて、旧税法と新税法とによる中央、地方を通じての負担がどういうふうに動いて行くかということを、政府委員をして説明申し上げさせたいと存じます。
#36
○上林山委員 政府委員の説明の前に、私が希望したいのは、中央、地方を通じでの税の負担が大まかにどうなるかという点と、さらに免税点はどれだけの収入があるものが無税になるか、この二つの点を特に重点を置いて説明願いたいと思います。
#37
○荻田政府委員 国税、地方税を通じます免税点のことについて私から申し上げたいと思います。なお各所得別の負担につきましては、大蔵省の方より総合いたして御答弁いたすことにいたします。
 免税点につきましては、国税所得税におきましては、今おつしやいましたような七、八万円程度で、扶養家族の四人ある者は免税でございます。ただ地方税におきましては、やはりそういう人に対しましても市町村民税がかかりますから、免税にはなりません。しかしその場合も、国税の所得税がありませんものにつきましては、所得割の方は課税されません。均等割だけが課税されます。均等割は、大都市におきまして八百円、中都市におきまして六百円、そのほか四百円でございます。なおそのほかにこれは直接または間接になると思いますが、地租、家屋税、新しい固定資産税の負担が住居につきましてかかりますので、その程度の負担はございます。
#38
○原(純)政府委員 ただいまお尋ねの国税、地方税を通ずる負担につきましては、資料を用意いたしておりますから、後刻差上げたいと思います。簡單に申し上げますれば、六万円の給與所得者、独身でありますればまず動きはない。現在七千三百八十八円、それがやはり七千二百五十九円と百円かそこらしか下らぬというようなところから、各階級別の一応の想定を設けましたものを差上げたいと思います。
 それからどこまでが免税点かということにつきまして、お尋ねの趣旨は、国税で軽くなつても、固定資産税を含みました地方税で重くなるということでありますので、固定資産税あるいは附加価値税まで入りました意味におきましては、土地、家屋を持つておりますと、どうしてもかかりますから、それは免税点というものはないというようなことになりますが、免税点のお話で参りますれば、所得税がかからない限界はどこかということが一つ、それに応じて地方税の住民税の所得割部分が、国の所得税がなければ地方税の方もないというようなことになりますが、これも別途お主力に所得税の課税最低限という表を差上げることにいたしておりますから、これによつて御承知願いたいと思います。大体を申し上げますれば、要するに基礎控除が二万五千円である。さらに扶養親族が一人ふえますれば、それに応じて一万二千円ずつふえて参ります。それですから、二万五千円に、扶養親族がかりに四人であるといたしますと、四万八千円加わるわけであります。それで七万三千円というものが課税の最低限、ただいまお尋ねの免税点というようなことに相なるわけであります。詳しくは表をもつて資料で申し上げたいと思います。
#39
○上林山委員 国税、地方税を通じてどういうふうに国民の負担はなるかということを、正確に私どもは国民に徹底せしめる必要がある、こういうふうに考えますので、この点はさらに政府においても具体的な方法を講じていただかなければならぬと考えるのでありますが、さらに続いて私はこの際国務大臣にただしてみたいことは、地方税改正中の固定資産税でありますが、固定資産税は、先ほど北澤君の質問の中にも、いろいろ困難な事情がある、ものによつては数倍、ものによつては二十数倍になるものもある、こういうような御主張があつたようでありますが、これをさらに一歩進めて調査してみますと、例を船舶税にとつてみますと、二十三年度の船舶税が固定資産税になるというと、三二・七倍、こういうような非常に高率な税金になつて来る。こういうことになりますと、これからは新しい船をつくるということはとうていできない。新しい船をつくらなければ、これは貿易の振興を口にとなえても事実できないことになる。ことほどさように重い税金になる。こういうように考えておりますが、この固定資産税に対する本多国務大臣の考え、特にこの船舶税が国定資産税に切りかえられたために、二十三年度に比して三二・七倍になる。こういうことについて單に税制という狹い範囲のみではなく、広く日本の産業、あるいは貿易、こういうことと関連して、どういうようにお考えであるか。これでやつて日本の貿易、あるいは日本の船会社が相当のバランスをとつて外国と競争ができるか。この点に対しては、私は單に税を所管しておる大臣というのみではなしに、広く国務大臣としてこの問題に対してどういう見解を持つておられるか、私は特に北澤君に対する御説明では満足をしませんので、特にそのうちの一番税率の高いこの一つの例をもつてさらに再答弁を要求しておる次第であります。
#40
○本多国務大臣 固定資産税の税額につきましては、土地家屋についてただいまのところ、まだ税率も倍数税率が確定いたしておりませんので、何倍になるかということも正確には申し上げられませんが、二倍以上三倍くらいにはなると考えております。その他の償却資産につきましては、従前の外形的には財産税的な性質を持つた新税でありますので、元の何倍になるかということは対照ができないのでございます。これにつきましては、それぞれ評価の際に評価基準というものを定めたいと思つております。ただいま御指摘の船舶等につきましては、特に減価償却の進んだ古い船と新造船との間には、帳簿上の価格にも格段な違いがあるのでありまして、これらを調整するためには、トン当り、あるいはその他いろ、な観点からの評価基準によつて調整をはかりたいと考えております。大体以上であります。
#41
○上林山委員 本多国務大臣は就任早々であられるので、この問題に対して非常に御苦心であろうと考えるのでありますが、政府が現在交渉中である原案、その原案に従つての計算であり、しかも二十三年度の船舶税を基礎にしての計算であります。でありますので、これは相当愼重に広くお考えにならなければ、私どもは單に抽象的な御答弁ではどうしても解決されないのじやないか、こういうふうに考えるのであります。でありまするから單に税の範囲内のみでなく、広く産業の開発、特に外国との正規の競争、こういうようなことができるためには、最初税制をつくるときに、よほどお考えにならなければ、非常なる損害を国民が受けることになるのでありますから、私はこれ以上この問題の追究はいたしませんが、具体的にもう少し御研究になつていいのではなかろうか、こういうふうに考えるのであります。
 そこでわれわれがこの議場を通じて政府に、あるいは党内において強く要望いたしておりまするところの最初の原案である、あるいはシヤウプ勧告案であるところのあの地方税制の改正、なかんずく附加価値税、あるいは住民税、固定資産税、これらに対する中間のいろいろな報告も聞くのでりますが、残念ながら、今日またこの議場にわれわれが希望する程度の法案が出ない。これは政府の努力もさることながら、われわれはまことに遺憾に思つておるのであります。われわれが希望する、たとえば附加価値税、固定資産税、住民税の税率の軽減、この問題はどの程度に進んでおるか、本多国務大臣の御努力もわかるが、しかしこれは内閣全体の仕事でなければならぬと思うのであります。そういう意味合いにおいてこういう重要な問題については、吉田総理が陣頭に立つて解決するところの熱意を示してもらわなければ、本多国務大臣としても非常に御苦労であろうと考えるのでありますが、この最後の段階に至つて政府はどういう努力をされておるのであるか、私どもは地方税を少しでも軽減するという立場から、これを強く主張しておるのでありますが、これに対するその後の経過、あるいは午後からまた総司令部に行かれるのではないかと考えておるのであるが、現在のその交渉経過はどうなつておるか、率直に御発表が願いたいと思うのであります。
#42
○本多国務大臣 前もつて一言いたしておきますが、今回の固定資産税の中に対象になる船舶、この船舶の分の固定資産税と、旧法の船舶税と対照して、これを論ずることはむりであると考えております。さいぜん申し上げました通り、船会社全体としての税負担を総合的に勘案いたしたい。その点からいたしますと、船会社にしても、あるいは電鉄会社等にいたしましても、極端な負担の増加にはならないと考えております。さらに今日までの折衝の経過並びに今後の折衝でありますが、これは政府部門における意見と、総司令部側の意見とが一致しません点は、御指摘の附加価値税の税率、さらに市町村民税の中の所得税の一定パーセンテージを持つて課する所得割、それから国定資産税の中の土地、家屋の倍率、さらにまた税率、こういうところに主要なる点は集中されて、交渉をやつている次第でございます。その交渉が今日まで行き悩んでおります事情につきましては、これはシヤウプ氏が、たとえば附加価値税につきましては四百二十億程度を確保しなければならぬ。四百二十億程度を確保するについては、附加価値税の対象である附加価値の想定数を出しまして、それに対する課税見込額、徴収見込額を立てまして、計算したその見込額が、つまり四百二十憾という額に達するか、達しないかということにつきまして、双方に見込みの相違があるわけであります。この点につきまして、先に大蔵大臣がこの委員会の席上におきましても、附加価値税の税率は、一種について標準税率を百分の三・五くらいにしたい、二種、三種については二・五くらいにしたいということを述べておられましたが、やはりそうした線をもつて交渉をいたしている次第でございますが、そこまで下げると予定収入が疑わしくなるのであろうという点が、どうしても承認を得るについて困難の原因となつている次第でございます。また固定資産税の倍率につきましても、実は土地家屋の倍率でありますが、土地、家屋の中で田畑を別にいたしました山林、宅地であります。この宅地について、やはり千倍ということになつておりますが、千倍では、今日のわが国の時価と考えられているものよりも高くなるであろう。時価と考えているものよりも課税標準の決定が高いということになれば、これ一つで一般地方民の人たちはむりな税であるという観念を持つであろう。さらに徴税には中央に比較して弱体である地方団体が、この税を確保する上において、課税標準等に常識上むりだというような要素があつたのでは、実行が非常に困難になるであろうという点から、特にこの倍率の引下げを交渉中であります。政府といたしましては、八百倍くらいまで下げても、シヤウプ氏の言われる五百二十億という固定資産税の予定収入は、得られるものであろうという計算のもとに、折衝をいたしているのでございます。またこの土地、家屋以外の償却資産につきましては、償却資産自体を一体幾らに見積るかということが問題でありまして、これは政府といたしましては、資産再評価税のその課税標準、その課税対象とも数字を合せまして、一兆三千億くらい固定資産になるであろうということで、これに課税率、徴収率というものを算定して、折衝しているのでありますが、この点についてもやはり政府の計算では、少しく見込額を下まわるおそれがありはしないかということで、やはり一致点に到達しないでいるのでございます。今日までまだ他にもたくさん折衝いたしました点はありますが、折衝の結果、政府の意見のいれられたものもあり、結局残りました主要なものは三点でありましてこれについてさらに折衝を続けておりますが、吉田総理におかれましても、でき得る限り新税は国民の納得する税法に仕上げて提案をしなければならぬ。非常に総理自身も強い関心を持つておられまして、私が申し上げるわけには行きませんけれども、総理においても私の交渉以外に最善を盡しておられると信じております。さらにまた総理は今後もなお引続いて、最後的決定に至るまで努力されるということを伺つております。
#43
○上林山委員 答弁はいりませんが、最後に一つ申し上げたいことは、先ほど固定資産税中の船舶税が、固定資産になつて三三・七倍になる、これは船舶税を基礎にするのは不合理であると政府は考える、こういう答弁でありますが、合理、不合理は御研究の上で御発表になることにしていただきまして、私の希望するところは、少くともこれでは新しい船がつくれない状態になる。今までかりに三十何名を乘せておつたものが、九十何名乘せなければその採算が合わない。こういうような形に非常に響いて来るのでありますから、これはその額がはたして日本の産業あるいは貿易にどういうふうに影響するかというところに、キー・ポイントを置かれたい。こういうふうに修正を私どもは希望しているのでありますから、その点御研究を願いたい。こういうふうに私ほ希望をいたしておきます。
 なおまた地方税のわれわれの希望する線までの改正のために御努力をされておりますが、これは私どもはできるならば、この予算に早く間に合うように出してもらいたい。国税とは違うけれども、平衡交付金とは違うけれども、関連事項であるから、早くこの議会に出してもらいたい。こう考えるけれども、しかしこれがもう一週間あるいは二週間置いたならば、もつと国民が希望するような地方税制の改正ができるという見通しが政府にあるならば、私どもはあえてそうした形式的な論議にとらわれる必要はない。こういうふうに考えられます。腰を落ちつけて、ひとつ地方税制の改正に努力をしていただきたい。吉田総理を陣頭に立てて、さらに一層の努力を私は希望するのであります。これだけを申し上げまして、本多国務大臣に対する質問を終りたいと思います。
#44
○植原委員長 この際議事進行について発言を求められております。中曽根康弘君、議事進行について発言を許可いたします。
#45
○中曽根委員 きのう私は大蔵大臣の発言問題並びに現在の経済の諸問題について質問をするために、内閣総理大臣、大蔵大臣及び農林大臣の出席を求めておつたのであります。本朝来私はお三方の出席を待つておつたのでありますが、いまだに総理大臣と大蔵大臣は姿を見せない。農林大臣だけはお出でになつたけれども、私の農林大臣に対する質問は農業課税の問題であつて、大蔵大臣と同時に聞かなければならない問題であります。そこで大蔵大臣については、二時になつたらここへ出るというので、私は待つているのですが、二時二十分過ぎてもまだ出て来られない。大蔵大臣と総理大臣は今どこにいるのか、何時何分に現われるのか、委員長の職権を持つて調査していただいて、御回答を願いたいと思います。
#46
○植原委員長 いずれどこにおりますか、取調べてお答えいたしますが、御承知であるごとく、一つのからだでなかなかそこら中に用があるので、時間をその通りに嚴格に守らなければならない、そのことは、大臣においても痛感されていると思いますけれども、国事多端の折から、中曽根君御自分で約束したことも、時間通りに行かないことを議会内においてお認めのことと思いますから、いずれどこにおるか聞きただして御返事はいたしますが、御承知の通りまだ出席されておりません。
#47
○中曽根委員 総理大臣がどこへ行つておるかということを私ひそかに調べてみたら、総理大臣官邸におつたのだけれども、外務大臣官邸に帰つたというのであります。これは一体何のために帰つたのか知らない、外国人に会うために帰つたのかもしれない、あるいは犬ころを抱きに帰つたのかもしれない。しかし予算委員会の権威を高めるために各大臣の出席を嚴格に要求されることは、植原委員長がこの委員会の冒頭に宣言されたことである。総理大臣がもしそんなことで帰つたとするならば国会軽視もはなはだしい。私はそういうことをある程度調べた上で申し上げているのであつて、予算委員長においてはこれをしかるべく御善処願いたい。
#48
○植原委員長 予算委員長はでき得るだけ政府と議員の間に立ちまして、議事がなめらかに進行することに努めております。総理大臣が外務大臣官邸に参られたことは、決して国務を怠つておることと考えておりません。総理大臣には内外にわたる一切の国政を処理してもらわなければならない。外務大臣官邸において特殊な人に会うことも国政の一部であると考えております。今日の国情において首相官邸から外務大臣官邸に行つたから国務を怠つたというように私は考えておりません。総理大臣は一人で各方面の質問に答えたり、国政全般にわたつて処理いたさなければならないのに、からだは一つしかありません。すべての人の御満足するように時間を守られればよろしいけれども、人間としてほとんど不可能であるということは中曽根君よく御存じだろうと思います。総理大臣が何のために首相官邸から外相官邸に行つたか、決して私は私事でないと思いますから、いずれ取調べた上にお答だいたします。
#49
○世耕委員 議事進行について……
#50
○植原委員長 議事進行についてならば発言を許します。
#51
○世耕委員 総理大臣が御多忙であることはよく了承しております。御多忙であるからこの機会において私はこの間外務大臣の兼任を解きなさいと言つた。総理大臣が病気で寝ていることは外務大臣も寝るという結果になる、そのために国務が非常に遅滯せぬかということを警告を発しております。
 なお聞くところによれば、大蔵大臣が重要な国策の立場にある通産大臣を御兼任なさつた。むろんそういうふうな兼任なさることは御自由でございますけれども、国務の澁滯がそういうところから現われて来ることを私は指摘しておきたい。ことに二百数十名の代議士を持つ自由党の中に人士は多士済々であります。何をもつて兼任されなければならないか、しかも官僚の大臣において兼任をしなくちやならぬということは、私は自由党本来の立場からいつても何か御意見があつてしかるべきだと思います。この意味において特に議事を進行する上においては兼任をなるべく解かれて、すみやかに軽身でお立会いのことを希望してやまないのであります。
#52
○植原委員長 世耕君の議事進行に関する御発言は相当価値のあることと思います。よつてその通り政府に伝達いたします。――松本六太郎君。
#53
○松本(六)委員 農林大臣にお伺いいたしたいのでありますが、先般来本委員会におきまして、他の諸君からもいろいろ農村の今日の難局打開の問題については御質問がありましたが、私のお聞きしました範囲においては、核心に触れたような御答弁は聞いておらないのであります。私はこの機会に今回の税制の改正等をめぐつて、農村の置かれておる現状に対して、はなはだ抽象的な言い方ではありますが、大臣はどういう施策をもつて深刻なる農村の窮状を打開しようとせられておるのでありますか、大体大まかなあなたの農村の振興に対する構想についてまず承つてみたいと存じます。
#54
○森国務大臣 お答えいたします。この種の御質問は再々承りましてお答えいたしておつたのでありますが、大まかに私の考え方を申し述べますれば、今日の農業経営の上におきまして、最も憂慮されますことは、農業生産物の価格の推移であります。いわゆる農業経営のバランスがうまく持つて行けるかということを、まず第一に考えなければならぬと思つております。しかし今日は幾たびも繰返しました通り、主食食糧は配給の統制をいたしておりますので、今日の段階におきましては、杞憂するような大きな変動はないと考えるのでありますが、しかし生活必需物資の価格いかんによつては、さらに農産物の価格に対する影響も大きいのでございまして、この点に特に考慮を拂わねばならぬのであります。
 次は今日農村で一番困つておりますのは金融の問題であります。この金融は担保力の欠乏いたしましたことと、農地の担保力というよりも、農業自体に対する信用の担保力の低下と申しますか、非常に金融が逼迫いたしておりますので、事業を行おうといたしましても、金がないという状態でありますから、政府におきましては、長期のできるだけ低い利息によつて金融の道を考慮するということが、さしあたり重大な問題と考えておるのであります。しからばそういう場合においてどうして金融の道をつけるか、こういう段階に入りますと、今申しましたような今日の農業の状態でありますから、協同組合が真に協同組合としての信用を高め、農業者のための組合としての活動のできるように、協同組合の育成をいたして行くということが自然そこに重大化して来る、かように考えておるわけであります。
#55
○松本(六)委員 農産物の価格の維持、つまり生産資材もしくは農民の生活資材と農産物との価格の均衡を得るような政策をとることが一つ、さらに今日の金融難を打開することが一つと、もう一つは今のお話によれば、協同組合の育成強化によつて自発的に農村が更生するような方途をとりたいというお話でありましたが、そこで私はその第三番目にお話のありました協同組合に対する今日の施策ということに対してお伺いをいたしたいと存じます。
 本年度の農林関係の予算を見ますと、農村の振興費というものが八千三百万円計上せられております。この仕事の内容は具体的にはどういうことをなさるのでありますか、これをまずその前に伺つておきたいと思います。
#56
○森国務大臣 御承知の通り、任意組合に対しましての補助金の交付が禁止されておりますので、協同組合が生れまして、まだ二年でありますが、この経営の上においての指導者も当事者等に対する組合経営の技術の注入ということに力を入れたい、このためにかように経費を見積つておるわけであります。
#57
○松本(六)委員 ただいま大臣の御指摘になりました農村の更生、あるいは振興というようなものは、協同組合の活動に期待する面が非常に大きいということは、議論の余地はないと存じます。われわれは強くその点に心をいたしておるわけでありますが、しかし協同組合が任意的に発足したものであり、民主的な性格を持つたものであるということは申すまでもないのでありますが、今日の日本の協同組合の現状は、発足いまだ多くの日子を持つておらないにかかわらず、もはや行き詰まりを来しておるというのが現状であります。これは農村の経済力が極度に窮迫したというところに、その最大の原因があるわけでありますが、このままにいたしておきますならば、せつかくのわれわれ、の大きな期待を持つ協同組合の将来は、まことに憂慮すべき状態にあると申さなければならぬ。そこでこの事業を行いまする組合にまで政府が助成をするということは、りくつの上からも困難でありましようが、今日この組合を育成し、もしくは農民の組織を強化するということは、まず教育の面から始めて参らなければならぬ。さような仕事をやる力が、農村自体にはないというのが実情であります。そこでこの教育指導をやりまする団体に対しては、何らかの形で政府はこれを保護育成する方途を講じなければ、根本的なる協同組合の発展、もしくはそれによる農村の更生なり、振興なりは期待されないというふうに、われわれは痛感いたしておるのでありますが、これは原則的には助成とか、補助とかいうことは困難であるとしても、何らかそこに方法があると思うのであります。そういう点につきまして、たとえば政府が行おうとするこれらの仕事の一部を代行せしめるとか、委託するとか、いろいろ方法もあり得ると思うのでありますが、かような点について大臣のお考えを伺いたいと思います。
#58
○森国務大臣 御質問の通り、協同組合が発足して二年余でありますが、しかも経営難が叫ばれておることは、実は農業会が農業協同組合に資産等の引継ぎをいたしたいというようなことに、相当原因があるのではないかと考えておるのであります。協同組合がほんとうの必要に追られまして成立いたしましたところにおきましては、そういう悩みもないのでありますが、全部そうであるとは考えられません。農業協同組合をつくりながら、そのつくつておる細胞であるところの農業者が、自分の協同組合という観念に乏しい向きが相当あるのであります。自分の組合でありながら、その組合というものに対して、自分の組合だという気持が非常に薄いという点があるのであります。極端な例を申し上げますと、自分の組合に金を預金しないで隣の銀行へ預けてみたり、あるいは郵便貯金にしてみたりというように、まつたく自分のつくつておる組合という観念の薄いような協同組合もいくらかあるのであります。従いましてこういう組合をほんとうの軌道に乘せるにつきましては、相当の年数も要すると存じますが、そういうひまをかけておられる場合でないのでありまして、できるだけ正常な協同組合の発達を促して軌道に乘せたい、かように考えております。つきましては、近く法律をもつて御審議を願うことになつておりますが、信用事務をとる組合と、販売、購買の両組合を連合して一つにいたしまして、そうして中央においては信用連と指導連と販購連と三つにし、地方においては指導連と信用連と購連と販連と四つの形に持つて行きたいと思うわけです。ただ販売組合、購買組合といいますと、事業組合でありますから、指導を併置することは許されない事情にあるのでありますが、最も組合の発達に力をいたすべきところの指導組合が、はなはだ基礎が薄弱でありまして資金等の面におきましても困難な状態であります。最も活動せねばならないところのこの指導連が、資金等の関係、自己資産等の関係で活動できない、こういう点があるのでありますが、今後協同組合の指導方針といたしましては、自己資産の増加ということをはかりまして、そうして組合が自分の力で信用を高めて行くというふうに指導して行きたいと考えておるのであります。またこの指導連におきましては、技術員等を設置いたしております。今農林省におきましては、農業改良普及事業といたしまして、大体五箇町村に四人の指導員があるのでありますが、もう一歩前進いたしますれば、各町村に一人ずつ配置されるのでありまして、むしろこういう指導者は国の力によつてこれを設置する、そうしてこの指導網と指導連は相まつて行くということが、実際の上から申しましても妥当ではないか、かように考えておるのであります。今後協同組合育成の上におきましては、あらゆる角度からその健全な発達を期待いたしたいと考えておる次第であります。
#59
○松本(六)委員 次に農村の今日の経済難と申しますか、窮状は非常に深刻なものがあります。昨日来大蔵大臣の中小企業に対しまする談話につきましては、本委員会で相当これが重視せられまして問題となり、委員各位から痛烈な御質問等がありました。たまたま大蔵大臣の談話が中小企業を対象としての談話でありましたから、従つてそれに対する質問も中小企業を対象としての質問が行われておつたわけでありますが、私は農村の現状、農村に対します国の施策、これも中小企業とやはり同じ線上に今日は立たされておる、かように考えておるのであります。むしろある意味においてはそれ以上深刻なる実相にあるわけであります。今日農村においても、やはり税金の過重なために自殺をしておるというような者も、至るところに見受けられる。さらにまたもはや農業には耐えられないで、父租伝来の土地を捨てて他に転じて日雇い労働者等に落ちて行くというような者もある。そういう非常に深刻な立場に今日立たされておるのでありますが、この現内閣の財政政策並びに経済政策の一貫したものを見ますと、中小企業と同様に、農村に対しましても、やはりこの実情に即してこれを振興し、もしくはこれを救済して行くというような政策が見受けられない。金融の面においてしかり、税制の問題においてしかりであります。私はこの場合農林大臣は日本の農村を背負つて立つておられるのでありますから、かような農村の難局に目をおおい、耳をおおつておられるべきではない、かように考える。従つて今日の農村の金融問題、もしくは肥料の値上りに対する対策、あるいは本年度の米価に関する問題、さような諸問題について相当突き進んだ適切なる抱負なり識見なり、もしくは実際に実行できる政策なりをお持合せでなければならぬと考えます。たとえば農村が――大蔵大臣の言をかりて申しますれば、農村は税金の一面で非常に楽になる。従つて農村経済は税金の面を通じて相当経済的に向上するというようなことで、常に楽観的なことを申しておられる。しかしわれわれの調査によれば、まつたくそれは反対でありまして、肥料の値上り――本年の七月、八月に至りますれば、約七〇%の肥料の値上りを見るわけであります。補給金の減額により、その他電気料金の値上り、さようなものによつて、この値上りいたしまする金額は、大体二百三十七億とわれわれは推定をいたしておる。そこでそれと対照的な、それならば農民の収入のふえる部分、米価の――二十五年度にとれる米の値上りは、一体金額にしてどのくらい上るかと申しますれば、これは大体五%の値上りであるということでありますから、約九十億円であります。また減税の面を見ると、国税においては約百三十億円の減税となりますが、一方地方税の方において増加いたします部分は、大体われわれの推計によりますれば、約百八十六億程度の農村の持つ地方税の増加が見込まれるのであります。これを大体肥料の値上りと、それから国税において減ずるもの、地方税において増加されるもの、米の値上りによる増収、これら四つを対比いたして差引いたしますれば、約二百余億円という農村の負担が重くなる。あるいは収入が減ずるという結果になるのであります。これに対して農林大臣は一体本年度のこの農村のアンバランスをいかにして調整しようとお考えになつておられまするか。この点をお伺いいたします。
#60
○森国務大臣 こまかい数字をあげての御質問でございましたが、ただいま数字を持つておりません。従つてその数字が正確なものであるかどうか、私は考えられませんが、農村の経営をどうかして維持して行きたいということに、あらゆる施策をやつておるのであります。金融の面におきましても、あるいは税制の問題におきましても、何ら措置がないという御意見がありましたが、金融の面におきましては、御承知の農林中央金庫を通じまして、三百二十億円のわくを準備せんといたしておるのであります。そのうち預金がありますが、そういたしましても百六十億円というものが中央金庫を通じて融通することができるのであります。また税制の内容については大蔵大臣によくお尋ねを願いたい。また地方税についても今、本多国務大臣がお答えいたした通り折衝中でありまして確定いたしませんが、できるだけ農村の負担を軽減いたしまして、そうして農村の金融の緩和に努力いたしておるのであります。私の承知いたしておる範囲におきましては、今回の国税の整理、地方税の整理によりまして、農村の負担は昨年に比して二・七の減額になるということが予想されておりますので、これはシヤウプの勧告案に基いた考え方であるが、決して農村を苦しめて行くというようなことは考えておりません。なるほど肥料も七月から七割の価格の増騰することが予定されておりますが、これは二十五年生産の米の価格によつて盛られるのであります。本年一月あるいは三月に合計いたしまして、三割五分の肥料の価格が原料、コークス等の値上りによりまして上りましたが、これは六月にバツク・ペイをいたしまして、農村に返すことになつております。従つて二十五年の産米の価格、農産物の価格は、この秋において決定するわけでありまして、肥料の価格の上ることは、従つて米の価格がそれだけ指数が上つて行くことになるのでありまして、それだけが必ず農村の負担であるということは――一部においては自家消費のために価値が高まつて行くことは考えられますが、全部が農村の負担であるとは言えないと考えておるわけであります。
#61
○松本(六)委員 次に農産物の供出に対する報奨制度の問題でありますが、今日農業協同組合、町村における單位組合、さらに道府県の購買連合会等が持つております報奨物資が消化されないために、非常な金融難、経営難に陷つている実情であります。大体その数は全国的に正確な数字とは申しかねますけれども、十二億ないし十五億円に上るといわれておるのであります。これはどうしてそういうふうに報奨物資が消化されないで農協が非常な苦しみをしておるかと申しますれば、一つには繊維に対する税金がまだ撤廃にならなかつた当時の価格、さような元の高い価格で受入れておるという原因が一つであります。しかしながら最もおもなる原因といたしましては、農民が経済的にほんとうに行き詰まつて、報奨物資すらも受取ることができないというのが実情であります。さようなことで今日十数億に上る報奨物資――主として繊維製品でありますが、これを各協同組合が抱き込んで何とも方法がつかないといつて悲鳴をあげておる実情であります。これに対して先般来われわれの方にも相当各方面から陳情に参つておる。おそらくは大臣もこのことは直接それぞれの方面からお聞きになつておると思うのでありますが、この問題については現在のさような問題をいかにして解決するかということが一つ。さらに今後における報奨制度というものを今日のような制度を続けて行かれるかどうかという点が一つであります。これについてまず前段の今のさような農協が非常に苦しんでおるという問題を、何とか政府が援助をして、解決をしてやらなければならぬのではないか。私どもはぜひそういうふうに大臣に御配慮を願いたいと考えますが、これについてお答えを願います。
#62
○森国務大臣 この問題はまことに重大な問題でありまして、大蔵省、通商産業省、農林省並びに全購連等と協議いたしましてすみやかにその処置をつけたいと目下努力をいたしておるのであります。米、かんしよの報奨衣料、自転車、その他いろいろな雑品を加えまして四十七億六千百万円の物資が見返り物資として出ておるのであります。しかしこれは府県によつて違いまして、商工団体あるいは農業団体等によつてそのわけ方はいろいろありますが、その当時こういう農業関係の報奨物資は、協同組合にすべてまかすべきものであるという皆様の強い御意見もあり、またこれは必ず農業者に行くのであるから、農林省といたしましては、できるだけ協同組合に取扱わさした方がいいという意見もありましてこの問題の解決に当つたのであります。しかし事実としては各府県はそれぞれ異なつておりまして、商業者団体、協同組合等にいろいろな歩合によつて配分されておるのであります。これらの報奨物資は、一月から取引高税が廃止され、また消費税が一部減税されたために、その価格が現在の市価より高いのであります。これらの中にはすでに農業者の手に渡つてしまつておる物もありますし、またその配分が遅れておつて、市場の物が安くなつたがために、これらの物は高いから買わないというふうなことで、非常に問題が複雑化いたしまして、農業協同組合の発行いたしました手形の割引が、期限が来ても割引できないために、卸問屋等は非常に難澁をいたしておりまして今や破産せんとする状態にあるのであります。もしもその問屋筋においてこの債権を執行いたしますと、協同組合は破産しなければならない。従いまして協同組合がつぶれるか、問屋がつぶれるかというせとぎわに立つておりますので、この問題の解決は非常に重大な問題として取扱つておるのであります。ただいまこの問題の処置の進行中でありますから、はつきり申し上げることはできませんが、問屋の方におきましては、ある一定の品物に対しては、売れなければ残つただけこつちが引取ろうというような考えもあるのであります。また放出物資に対しては、ある程度割引ができそうに公団の方との交渉はできているのでありますが、その他の雑品については、まだいずれとも解決がつかないのであります。とりあえず手形の執行を延期するということが何をおいても急務でありますので、これを六十日間さらに延長するということの了解を求めて、その間に処置いたしたい、かように考えておるのであります。そういたしますと、農村に見返り物資として行く物が全然行かなくなつてしまう。すでに渡つておるものは別であるが、渡つていないものは、問屋がその価格において引受けた場合に、問屋にその物資を返してしまうと、農村においては裏づけの物資が手に入らないということになりますので、できるだけこれを現在の市場価格と似たようなものにして、農村の方に配給いたしたいという考えで、今三省寄りましていろいろその妥結案について折衝を進めておるのでありますが、まだ結論に達しませんから、ああだ、こうだということは申し上げかねる次第でありますが、すみやかにこれらの問題を解決いたしたい、かように考えております。こういうふうな現象の起りましたことは、今申しましたように農村において金融の逼迫しているという点もありますし、それからまた物が安くなる、税金が廃止されるというような観念が商売人ほどにはなかつたという点もありますが、いずれにいたしましてもこういう結果を見ましたことは、まことに遺憾なことでありますので、政府は何とかして円満に解決をいたしたいと努力いたしております。なお明年度に対する見返り物資をどうするかという御質問でありますが、これもまだ決定的になつておるわけではありませんが、今までは農村の希望としては、原反でぐれというような希望が相当強いのであります。それで本年はおもに原反を配給したわけでありますが、これを衣料切符等によつて選択を自由にする、いわゆるフリー・クーポンにしまして自由に選択させるという方法をとることが、その農家の経済事情にも合い、また希望に応ずるやり方ではないかと考えまして、目下その実行方法について研究を進めているわけであります。
#63
○松本(六)委員 もう一点伺いたいのでありますが、農村の諸問題と申しますものは、非常に広汎にわたるのでありまして、これは何かやればそれでただちに農村がよくなるというわけには、むろん参らぬのであります。しかし今日の農村の最も困窮をいたしております原因は、先ほど大臣も御指摘になつたように、価格政策の面、税金の面、それからもう一つは農村における協同運動の未成熟な点というようなことに帰するのでありますがうさらに私はもう一つの大きい問題は、生産力の問題だと思います。本年度の予算の面におきましても、昨年よりはいささか土地改良の予算も増加いたしておりますけれども、日本の今日の農村の要請にこたえるには、あまりにも微々たる額でありまして、これではとうてい日本の農村の復興も、生産の増強も期待できないと思うのであります。そこで私はこの予算の面におけるいわゆる土地改良費を、今ただちに増額するというこができないにしても、せめて先ほど大臣も触れられましたように、相当多額の資金を導入いたしましてこれによつて基本的な生産手段であります土地改良に全力をあげなければならないと思うのであります。
 もう一つは畜産の問題であります。長い間の戰争のために、ほとんど収奪農業、掠奪農業を続けられて参つてもはや地方は減耗その極に達しておる。これを復活いたしますのには、土地改良とともに、一方における畜産の積極的な振興、もしくは導入でなければならぬが、これに対してもまことに見るべきものがない。一例をあげるならば、畜産振興の要素である飼料につきましても、飼料公団が廃止になりましたことは、これは国の政治体系としてはわれわれも賛成でありますけれども、そのあとをどうするかということについては、はつきりした飼料政策の見るべきものがない。畜産振興に対しての資金の問題、それと相並んで飼料政策をどうするかという問題につきまして、大臣の御所見を承つておきたいと存じます。
#64
○森国務大臣 家畜を農家が導入することが必要であるということは、論をまたないのでありますが、戰争中家畜に食わすものを人間が食べてしかもその家畜を人間が食つてしまつたのでありますから、非常に家畜というものは減りました。しかも肥料につきましては、化学肥料に依存した結果、土地は酸性土壌と化しまして、化学肥料の肥効率が下つておるというような土地まで出て参りまして、土地はまさに荒廃しかけております。こういう情勢のもとで増産を考えましても、とうていでき得ないのでありまして、良農は土地を肥やすと申しますが、この地方の回復ということが最も重大な増産の道と考えておるのであります。それには申すまでもなく、家畜を導入することであります。しかし家畜と申しましても、一様に大きいものを持つて来ることは、農業経営の規模等によりまして、必ずしも全般に向くものではありません。従つて政府といたしましては、有畜農業と一口に申しますが、その農業経営の規模によりまして、牛、馬を飼い得る農家もあります。また豚でけつこうな農家もあるし、あるいは鶏でけつこうな、あるいはやぎとかめん羊でもこれが農業経営の一環として、有畜農業の成績を上げる家畜として考えられる場合もあります。その農業経営の規模に相応する家畜を取入れまして多角経営化するとともに、地方の維持回復に努力したいと考えて、二十五年度予算におきましても、その方針で政策を進めておるわけであります。ところで今御質問のように飼料がないではないかということであります。何分今日は、先ほど申しましたように家畜の飼料を人間がちようだいいたしておるような状況でありますので、十分な飼料も與えない、従つて家畜は増産できないことになるのでありますが、飼料は相当海外からの輸入はもうできておるのであります。しかし海外輸入に依存しておつてはならないので、牧野法を改正いたしまして、牧野の維持保護、また国有牧野の開放等によりまして飼料の道を開く、また今回さつまいもあるいは裏つけばれいしよ等の買上げをいたさぬことになつて、自由にいたしましたので、飼料畑の増反等をしてこれがある程度緩和し得られることを考えておるのであります。飼料配給公団を廃止いたしましても、あらゆる飼料を確保いたしまして、民間企業の形においてこれが適当に配給のできるような措置を、公団にかわつてづけたいと考えておるわけであります。いずれにいたしましても有畜農業の奨励によりまして、地方を回復し、ほんとうの増産に向くようにいたしたいと考えておるわけであります。
#65
○松本(六)委員 これをもつて終ります。
#66
○植原委員長 本日はこれにて散会し、明日は午前十時より開会いたします。
    午後三時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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