くにさくロゴ
1949/03/27 第7回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第007回国会 予算委員会 第31号
姉妹サイト
 
1949/03/27 第7回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第007回国会 予算委員会 第31号

#1
第007回国会 予算委員会 第31号
昭和二十五年三月二十七日(月曜日)
    午前十時五十二分開議
 出席委員
   委員長 植原悦二郎君
   理事 尾崎 末吉君 理事 小坂善太郎君
   理事 小峯 柳多君 理事 苫米地英俊君
   理事 川崎 秀二君 理事 川上 貫一君
      淺香 忠雄君    天野 公義君
      江花  靜君   岡村利右衞門君
      奧村又十郎君    角田 幸吉君
      北澤 直吉君    小金 義照君
      高橋  等君    永井 英修君
      南  好雄君    山村新治郎君
      西村 榮一君    水谷長三郎君
      武藤運十郎君    中曽根康弘君
      深澤 義守君    米原  昶君
      平川 篤雄君    松本六太郎君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 池田 勇人君
 出席政府委員
        大蔵事務官
        (主計局長)  河野 一之君
 委員外の出席者
        專  門  員 小林幾次郎君
        專  門  員 園山 芳造君
        專  門  員 小竹 豊治君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第1
 号)
    ―――――――――――――
#2
○植原委員長 これより会議を開きます。
  昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第1号)を議題とし討論に入ります。討論は通告順によりこれを許可いたします。川崎秀二君。
#3
○川崎委員 私は民主党を代表いたしまして、ただいま討論の対象になつておりまする連合軍軍人等住宅公社の設立に関連しての予算案に対し、賛成をするものであります。
 終戰後、日本に駐屯をいたしておりまする連合軍人の宿舎が、その衛生施設も住宅の構造、その他等の條件から見まして、きわめて進駐業務を実行する上において適切ならざるものがあることは、早くからわれわれの認めておるところでありまして、今回これを見返り資金から充当して、新たに二千戸の建設をなすという案に対しましては、元来終戰処理費で支弁されておるものを、見返り資金をもつて充当するということは、占領の経過から見まして妥当ではないかと考えるのであります。もちろんこれは本質的な問題に深く入りまするときには、当然これは連合軍の国防費をもつて捻出すべしというような議論も成り立つかとも思いまするけれども、諸般の事情から見まして、民主党はこの予算に対しまして原則的に賛成をいたすものであります。
 しかしながら法律案第十七條に明記されております「連合国軍最高司令官の命令に基き」という文字がありまするが、これは著しく日本の自主性を害するおそれがありますので再建設委員会において採決をいたします場合におきましては、この文字にわれわれは同意することはできません。しかしながら趣旨には賛成でありますので、党を代表して賛成の意思を表明する次第であります。
#4
○植原委員長  次は西村榮一君に発言を許可いたします。
#5
○西村(榮)委員 私は社会党を代表いたしまして、本件に遺憾ながら反対するものであります。
 理由は、わが国の経済と社会生活の実情に即せざるという二つの理由でございます。私は現在のわが国の状況から考えまして、五十二億円の莫大な住宅建設の費用を支出する余力が、わが国に存在いたしまするならば、これは庶民住宅の方に充当すべきであつて、連合軍軍人のための住宅ということでありますならば、それは従来通り応急住宅の接收において支弁すべきであると思うのであります。同時に、これはわが国の国民経済、国家財政が負担する性質のものではないと私は確信いたすのであります。連合軍軍人の住宅は、当然連合国の軍事費として支出さるべきであつて、わが国の国民経済はこれを負担すべきものではないと考えるのであります。かりに一歩譲つてわが国が負担するといたしましても、この負担の方法は、終戰処理費をもつて負担すべきでありまして、見返り資金から支出すべきではない。もしもこれを前例といたしまするならば、将来終戰処理費をある程度まで抑制いたしましても――名目的には終戰処理費は押えられるけれども、しかしながら他の種目を通じて、いろいろな占領軍費というものが膨脹して行くという悪い前例をここに開くのではないか。かような点を考えますならば、占領軍に要するところの費用は、やはり従来の方針通り、これまた終戰処理費をもつてまかなうべきである。特に見返り資金から五十二億円を支出するということは、見返り資金を制定された当時の趣旨に反するのでありまして、昨年の四月、見返り資金の運用令が制定されたときにおける趣旨は、日本の通貨並びに経済の安定と、輸出を中心とするところの日本経済復興のために、対日援助費見返り資金というものが使用されるのであるという、使途が明確になつておるのでありまして、それから考えてみますならば、本軍人の住宅公社法案によるこの五十二億円の支出というものが、わが国の通貨の安定と経済の安定、日本経済の復興というところの見返り資金の目的とは、何らの関連性を持たないのであります。これを一片の法律の改正によつて、制定の趣旨と相反する使い道をいたしますならば、それは法律技術上可能であるかもしれませんけれども、かくのごときその時時の権力者の都合によつて、日本の法律を改正しなければならぬという、朝令暮改の悪例を残しますことは、これは遵法精神をなお培養いたしまして、民主主義の基礎を築かなければならぬところの、わが国現下の民主主義発展の過程において、悪き影響を與える。かくのごとき見地に立ちまして、結論的に申しますならば、わが国の経済と社会生活の実情に即せない。見返り資金の運用令に抵触する。同時にこれは連合軍の軍事費であるから、わが国の負担すべきものでない。以上三点の理由によりまして、本公社法案に対して、社会党は遺憾ながら反対するものであります。
#6
○植原委員長  北澤直吉君。
#7
○北澤委員 ただいま議題となりました昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第1号)に対しまして、私は自由党を代表して賛成の意を表せんとするものであります。今回の補正予算は、去る一月二十七日附連合軍最高司令官の日本政府あて覚書によりまして、連合国軍人等の住宅二千戸を建設することに関するものでありまして、このために今回新たに連合国軍人等住宅公社を設立し、この公社におきましては、その建設資金五十二億五千六百万円を米国対日援助見返り資金特別会計より借入れることとし、また建設した住宅の維持は、一般会計の終戰処理事業費より支出することといたし、しかしてこれら住宅は公社より連合国軍人等に賃貸し、これら軍人から公社が徴收する賃貸料一戸当り月平均七十四ドル、これはすべて見返り資金特別会計よりの借入金の元利支拂いに充当することになつております。そもそも昭和二十年九月二日、ミズリー艦上において調印せられました降伏文書においては、日本政府はポツダム宣言の條項を誠実に履行すること、並びに右宣言を実施するため連合国最高司令官またはその他特定の連合国代表者が要求することあるべき一切の命令を発し、かつかかる一切の措置をとることを約し、また天皇及び日本国政府の国家統治の権限は、本降伏條項を実施するため適当と認むる措置をとる連合国最高司令官の制限のもとに置かるることとなつております。しこうして右の規定に基きまして、同日発せられました総司令部指令第一号第十二項におきましては、日本国の軍及び行政官憲並びに私人は、本指令及び爾後連合国最高司令官または他の連合国官憲の発する一切の指示に、嚴格かつ迅速に服すべきこととなつております。また翌九月三日発せられた指令第二号第四部におきましては、日本政府は、連合国占領軍のための住居及び関連施設の建設の要求に応ずべきこととなつておりますので、日本政府といたしましては、占領軍用住宅二千戸の建設に関する今回の連合国最高司令官の指令に服すべきことは当然のことでありまして、もし万一これに反対するものありといたしますれば、それはポツダム宣言及び降伏條項の履行に反対し、占領軍に対する協力を拒否せんとするものであります。
 ただ問題は、今回の住宅建設資金を、一般会計の終戰処理費より支出しないで、対日援助見返り資金特別会計より支出する点にあるのであります。従来この種住宅建設は、すべて終戰処理費より支弁しておつたのでありますが、政府当局の説明によりますれば、終戰処理費にそれだけの余裕がなく、従つてもしこれを終戰処理費より支弁することといたしましたならば、当然昭和二十五年度一般会計予算を改訂し、増税その他により新たに五十二億五千六百万円の財源を確保する必要があります。もし今回の住宅建設費を終戰処理費より支出することを主張する者ありといたしますならば、それだけ増税を主張し、国民負担の増加を主張する者と言われても、弁解の辞はないのであります。また政府当局の説明によりますれば、終戰処理費より支弁する場合には、これによる建設住宅は日本の国有財産でありまして、米国の国内法制上、これを使用する米国軍人より賃貸料を徴收することができないとのことであります。よつてこの際臨機の措置といたしましては、財源に余裕ある見返り資金より支弁することとし、また公社をして住宅の建設維持に当らしめることによりまして、米国軍人等よりドル貨による賃貸料を徴收することとし、目下日本が最も希望しておりますドル資金の獲得、これによりますと、大体月十四万八千ドル、一年にしますと百七十七万六千ドルでありますが、このドル資金の獲得に貢献することが時宜に適するものと認むるのであります。
 大要以上の理由によりまして、本案に賛成するものでありますが、数箇の点につきまして希望を付したいと存じます。
 第一に、日本は終戰以来食糧その他物資の形で、年々米国より援助を受け、この援助物資の価格の合計額は、日本の米国に対する有効な債務となつておりまして、その整理は講和條約の際に行われるものと予想せられるのでありますが、対日援助見返り資金は、この対米債務とは関連はありますが、完全に日本の権利に移つておるものでありまして、この見返り資金は純然たる日本政府の資金であります。ただ見返り資金は対日援助物資の売却代金等よりなつておりまして、その見返りであるという関係から、いわゆるひもつきの資金でありまして、この見返り資金の運用については、総司令部の承認を受けることとなつておるわけであります。従いまして見返り資金の使用にあたつては、司令部が一方的に決定または指示するというようなことは、これを避けまして、司令部の同意を條件として、日本政府が自主的に決定することとし、見返り資金運用のイニシアチーブはあくまでも日本政府に確保することが必要であると思うのであります。第二に、連合国軍人用の住宅の建設は、本来ならば終戰処理費より支弁すべきものでありまして、見返り資金より支出することは、あくまでもやむを得ない例外的措置と認めなければなりません。もし今後この種本来終戰処理費でまかなうべき経費が、次々に見返り資金より支出することとなりますれば、実質的にはそれだけ終戰処理費の増額となるわけでありまして、終戰処理費節約の見地から見まして、おもしろくないのであります。見返り資金は見返り資金特別会計法第四條に規定しております通り、その本来の目的であります通貨及び財政の安定、輸出の促進、その他経済の再建に必要な使途に充当するよう、特に御考慮を要望いたします。
 第三に、見返り資金の使途については、昭和二十四年度の実績について見ますれば、本年三月十七日現在で、国債償還に五百七十八億一千万円、鉄道、電気通信等の公企業に二百七十億円、私企業に百九十二億五千五百万円、余裕金百七十一億七千二百万円となつておりますが、いわゆるドツジ・ラインの実行に伴いまして、大局的な見地から、今日最も国家的保護を要します農業方面、中小企業方面に対します見返り資金の使用は、決して十分であるということはできません。イタリアにおいては、米国援助見返り資金が相当程度に土地改良、その他農業方面に使用せられておる実例があります。また世界において最も資本主義ないし自由主義経済に徹しておりますアメリカにおいてさえ、連邦土地銀行、連邦中期信用銀行、生産信用会社、協同組合銀行、商品金融会社等の政府金融機関を通じまして、国家信用を背景として、一般金融機関のなし得ざる農業方面に対する救済的ないし保護的融資を行つております。またアメリカにおいては、現在農業保護の立場から、いわゆる農産物の支持価格制度を採用しておりますが、この制度のもとにおきまして、商品金融会社は、昨年の十月末現在で、農産物に対しまして三百十五億ドルを投資し、そのうち半額は農産物を買い上げ、他の半額は農産物に融資しておるのでおります。日本における国家資金の大宗であります見返り資金についても、農業、中小企業保護の見地から、これら方面に対します積極的融通に対しまして、一段の御考慮を拂われんことを政府に要望するものであります。
 また見返り資金特別会計法には、輸出の促進云々と特に規定してありますが、現在各国におけるドル不足のために、日本の輸出貿易はなかなか進展しないのであります。従いましてわが国の輸出増進のためには、日本品の買手側に対しまして、相当長期の信用を供與することが絶対に必要であります。特に最近重要性を持つて参りました印度その他に対するプラントの輸出にあたりましては相当長期の信用を與えることか要請せられておるのであります。このためには見返り資金を利用し、国際的な有効需要の増大をはかることが最も適当であると思われますので、特にこの点について御考慮を希望いたします。
 第四に、見返り資金の運用の速度について、政府当局のご注意を希望いたします。二十四年度においては資金の放出が、年度の後半、特に年度の終りに集中して行われましたために、金融上における効果は必ずしも十分でなかつたのでありますが、元来見返り資金は、援助物資の売却代金及び納税による一般会計よりの補給金よりなつております。すなわち国民の購買力の吸い上げによるものでありますから、これが適時に民間に還元されなければ、国民の購買力の圧迫となり、有効需要の減退となり、デフレ的現象に拍車をかけることとなるのであります。従いまして二十五年度においては、二十四年度の轍を踏むことなく、見返り資金の放出の速度を早めることとしまして、債務償還による購買力の国民還元の徹底と相まちまして、有効需要の増大に資するように、特別の御考慮をお願いいたします。
 第五に、住宅建設のための見返り資金よりの借入金五十二億五千六百万円は、連合国軍人よりの賃貸料によりまして、十二箇年をもつて元利を償還する計画になつておりますが、この期間以前に占領軍が日本を撤退する場合には、占領国軍人よりの賃貸料でもつて元利を償還することは不可能となりますので、占領軍撤退後といえども、これら住宅の利用方法あるいは借入金の償還財源については、政府におきましてもあらかじめ御考慮になることが必要であると存じます。以上をもちまして私の賛成討論を終ります。
#8
○植原委員長 米原昶君。
#9
○米原委員 私は日本共産党を代表いたしまして、ただいま上程されました昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第一号)に対し、反対の意を表明するものであります。
 この予算案は、総司令部の指令に基き、政府の全責任において提出されたものでありまして、先日来の委員会の質疑応答によりまして、これが政府の全責任において出されたものであるということは、明らかになつておるのであります。ただいま自由党の北澤君の言いましたことく、この予算案に反対することが、ポツダム宣言に違反するがごとき言辞は、まつたく奴隷的な根性を発揮したものとわれわれは断ぜざるを得ないのであります。われわれとしては、これが政府の全責任において出されたものであるということが明らになつた以上、その見地からこの予算案に対して、われわれの見解を表明せんとするものであります。
 先ほど西村君からも指摘されましたが、従来終戰処理費から出ていたものが、このたび見返り資金から出されるというところに、私は野大なる問題があると思うのであります。見返り資金の根本的な性格については、本委員会でもしばしば議論を重ねて来たのでありますが、このたびの予算案の審議にあたつて、非常に明瞭になつて来ましたことは、ただいま北澤君も指摘しましたが、援助資金は有効なる債務であるが、これを見返りとするところの本見返り資金は、これは明らかに日本側のものであるということであります。従つてこの見返り資金の運用は、あくまで日本政府の自主性においてなされなければならない。そのイニシァチーブは、あくまでも日本政府のものでなければならないということは、明らなことだと思うのであります。しかるに現在までにおける見返り資金運用の経過を見ますと、はなはだその自主性を欠いておると言わざるを得ないのであります。しかも最近におきまして、一昨日通過した見返り資金法案の修正案でありますが、これがさらに参議院において、新しく修正される意向があると聞いておるのであります。それによりますと、この見返資金特別会計法の第四條の第二項でありますが、援助資金は連合国最高司令官の指定する目的または計画を遂行するに必要な使途に充てるため使用することができるというような修正案が参議院において出され、これがほぼ通過されるということをわれわれは聞いておるのであります。かようなものが再び衆議院に返つて来ようとしている。こういう状態にあることを考えまするならば、現在までの見返り資金をわれわれが論議して来て、これはあくまでも日本政府のイニシアチーブにおいて運用されるべきだという、この根本精神が、再びこの点においてくつがえされるものであるということを、われわれは危惧するものであります。しかも見返り資金の基本的性格のみならず、実際に運用されている実情はどうかということを、一昨日の委員会でも私は質問したのでありますが、その資金の投資條件の具体的に現われておるところを見るならば、きわめて苛酷な、これが日本政府のイニシァチーブによつて與えられたものとは思えないようなものが、明らかに出えおるのであります。こういう形で日本の産業が、この見返り資金を通じて、外国資本に隷属するような形になつて来つつあるとを、われわれは非常に危惧するものであります。しかも最近の国際情勢及び日本の国内情勢からしましても、外電の伝うるがごとく、日本の産業経済の構造が軍事的性格を帶びつつあることも、疑うことができないのであります。もちろん單純にこれが平和産業であつて、これが軍需産業であるというように規定することは、非常に困難ではありますが、現在のようにいわゆるデフレ的な経済の性格が強くなつて参りまして、そうしてそれに対して、一方では有効需要の増加というようなことが非常に叫ばれている。この形でありますが、勤労大衆の生活が非常に低下しており、そうして低賃金、低米価に基くところの、いわゆる資本主義的な資本の蓄積が行われている。こういう形でこのデフレ政策を修正して行くという行き方は、單純に平和産業の拡大という意味を持たないのであります。かつて昭和恐慌の時代におきまして、あの井上緊縮財政から高橋財政に転換し、それがあの満州事変のきつかけとなつた。あの時代のことをわれわれは思い出さざるを得ないのであります。現在のこういう疲弊困憊しているところの、また深まりつつあるところの恐慌のもとで、これがほんとうに勤労大衆の生活を高めるという方向に政策を転換して行くのでなくして、單に有効需要の増大という方向に行くならば、その産業の方向は必ず軍事的な潜勢力を増大する方向に行かざるを得ないのではないか。このことが最近現れているいろいろな点に、この産業の方向が出ているのであります。そういうところに見返り資金が使われて行くという傾向を持つているがゆえに、また見返り資金が実際に投資されている私企業の状態を見るならば、これがいつでも軍事産業に転化するような方面に使われている、軍事的潜勢力の拡充ということは、やはりいなめないのであります。そういう傾向があるところに、この進駐軍関係の住宅二千戸の建設にこの見返り資金が使われるということは、少くとも健全なる常識を持つた国民ならば、非常な疑惑を感ぜざるを得ないのであります。先日INSのジョン・リッチ特派員が指摘しておりますように、今度の住宅二千戸の建設は、進駐軍が日本に――おそらくこの資金が償却される期間は十二箇年というのでありますが、その間日本に滞在するであろうということを示唆するものであるというような記事を載せておりますが、国民の全体としましてもそういうことを感ぜざるを得ないのであります。そういうような常識をもつて考えるならば、そういうふうに感ぜざるを得ない。一方では講和條約が間近いというようなことがいわれているにもかかわらず、こういうときになつて終戰処理費からでなくて、新しく見返り資金から二千戸の進駐軍住宅をつくるために使われるということは、どうしても国民の常識として考えられないのであります。少くとも公正なる、そうして早急なる講和を望むすべての日本人は、こういう今度の予算案に対しては、遺憾ながら反対せざるを得ないのであります。また一昨日の質疑におきましては、この住宅の家賃が、将来そういうように長く進駐軍がいるのでなくて、将来講和條約が結ばれ、進駐軍が撤退する場合には、どうなるかという質疑に対して、大蔵大臣はその場合にはどうなるか、はつきりこれに対する対策というものを一言も話しておられない。こういうことではほんとうに政府が責任を持つて出された予算と、われわれは考えることができないのであります。そういう意味において、われわれはこの予算案に対して絶対に反対するものであります。
#10
○植原委員長 松本六太郎君。
#11
○松本(六)委員 私は農民協同党並びに国民協同党の両党を代表いたしまして、本案に対しまして條件付をもつて賛成をいたしたいと思います。
 先般来本委員会における各委員の質問、並びに政府当局の答弁等によつて明らかになりましたことく、この計画は必ずしも完全なものであり、また理想的なものであるということは言えないのであります。見返り資金の性質から申しましても、はなはだ遺憾な点がある。さらにまた公社の性格並びにこれが運営等につきましても、われわれ十分承服し得ない点が数点あるのであります。かような点につきましては、将来これらの運営にあたりましては、政府は最善を盡して、万違算のないようになされんことを、まず一点希望をいたすのであります。
 さらにいま一つは、先ほど北澤君も御指摘になつた点でありまするが、見返り資金の運用が今日までなされておる点にかんがみて、われわれははなはだ遺憾の点を多く発見しておるのであります。その第一は農山漁村並びに中小企業等に対しまする本資金の運用というものは、まことに寥々たるものであつて、何ら見るべきものはないのであります。これはすべからくこの見返り資金の運用につきましては、もちろん日本の産業の復興と申しますれば、幾多の問題はありまするけれども、今日最も危機に瀕し、しかも日本の産業の根幹的な性格を持ちまする農業、漁業ないし中小企業等に対しまする見返り資金の運用というものは、積極的にこれをなさるべきであるというふうに考えるのでありまして、この点について政府はすみやかにさような方途に出でられんことを希望いたすものであります。
 かような意味合いからいたしまして、この計画は必ずしも万全と申すことはできないし、多くの遺憾の点を含んではおりまするが、今日のわが国の国際的な立場において、しかもまた緊急を要する問題といたしまして、われわれは本案に賛成をいたし、今後の運営、運用等について、政府は最善を盡されんことを希望いたすものであります。
#12
○植原委員長 これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#13
○植原委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。(拍手)
 なお委員会の報告書作成については、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○植原委員長 異議なしと認めます。よつてさように決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午前十一時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト