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1949/12/23 第7回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第007回国会 本会議 第9号
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1949/12/23 第7回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第007回国会 本会議 第9号

#1
第007回国会 本会議 第9号
昭和二十四年十二月二十三日(金曜日)
 議事日程 第七号
    午後一時開議
 第一 自由討議(前会の続)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 青木国務大臣の統制緩和に関する報告
 検察官適格審査会の委員の選挙
 検察官適格審査会の委員の予備委員の選挙
    午後三時三十七分開議
#2
○副議長(岩本信行君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○副議長(岩本信行君) 青木国務大臣より、統制緩和について報告のため発言を求められております。これを許します。国務大臣青木孝義君。
    〔国務大臣青木孝義君登壇〕
#4
○国務大臣(青木孝義君) 統制物資の大幅整理につきまして、去る十九日、特に司令部からメモが参りまして、その結果、本日午後一時に、マツカーサー元帥並びに吉田総理大臣から、藏話の形式で、統制物資の大幅整理について発表に相なつておりまするので、皆様御承知であろうと存じまするが、統制物資の整理状況について御報告申し上げたいと存じます。
 昨年末以来、いわゆる九原則の線に沿いまして、政府は経済安定施策の実施に説意努力して来たのでありますが、各方面の協力により着々その成果を収め、重要生産資材の需給状況も逐次均衡を回復して参りましたので、今春以来、数次にわたつて割当統制の一部廃止を行つて来たことは、すでに御承知の通りであります。その結果、当初二百五十四品目を数えました指定生産資材は、百三十六品目に減少いたしました。加うるに、最近に至りましては、民間貿易の自由がますます拡大せられて、明年一月一日より、輸入も大部分民間にゆだねられることになりまして、かたがた物資の需給状況はますます好転することが予想せられますとともに、この際経済界の活動を極力自由ならしめることが適当と考えられますので、政府当局におきましては、統制品目の大幅整理を総司令部当局に懇請いたしておつたのでありますが、たまたま今殷、六十三品目について割当統制を廃止すべき旨の覚書に接しましたので、さつそく明年一月一日より実施すべく準備をいたしておる次第でございます。(拍手)
 なおまた、右に関連いたしまして、今回の割当統制廃止品目つきましては、経済安定上支障のない限り、価格統制、輸送統制、使用制限等、各種の制限も極力廃止するとともに、右の資材を原料とする製品につきましても、統制を改廃すべく研究をいたしております。このほか、さらに進んで、今回の統制廃止後もなお残存いたしまする約八十品目の生産資材につきましても、今後の経済情勢に即応いたしまして、できるだけ早い機会に統制を廃止したいと考えております。
 かような次第で、明年は国内の経済活動一段と自由活発となり、民間輸入も、経済界の動きに応じて最も効率的に運営せられることが期待できるのでありまして自由な経済競争を通じて、企業合理化が大いに促進せられるものと考えるのであります。政府といたしましても、右のような線に沿つて、ますます経済の安定を強化し、自由経済の完全な実現に向つてなお一層の努力を拂いたいと覚悟いたしておる次第であります。(拍手)
#5
○副議長(岩本信行君) ただいまの報告に対して質疑の通告があります。これを許します。上林山榮吉君。
    〔上林山榮吉君登壇〕
#6
○上林山榮吉君 御承知の通りに、われわれは――特にわが党は、官僚統制に反対をいたしまして、統制の撤廃を主張し、その後責任を持つて漸次これが解決に善処いたして参つたのでありまするが、今ここに大幅の統制撤廃が断行されたということは、国民とともに悩まされておつただけに、私どもは真に喜びにたえないところであります。(拍手)
 この際私は、統制撤廃後の政府の処置に関して、重要なる問題について、ただしておきたいのであります。まず第一に、この統制を撤廃したために、これが事務その他の点において、機構の改革を断行すべきものであると思うのでありまするが、これに対して政府はどういう考えを持つておるか。そのうちの経済安定本部並びに経済調査庁等の機構を、いかに整理するのであるか、私どもの所見をもつてすれば、経済安定本部が経済参謀本部的性格を持つならば、あるいは多少存置の理由もあるかと思うのでありますけれども、今日までのごとき機構であり性格であるならば、この際断固としてこれを廃止する段階に来ておるのではないか、こういうふうに考えるのであります。これに対する所見を、まず伺いたいのであります。
 第二に、君はこれをただしたいのでありまするが、これは、特に統制経済を主張した官僚、これを支持して来たところの社会党、あるいはこれに類似する民主党の諸君、これらの人々によつて、いかに多くの経済違反者を全国に出しておるかということを思うときに、私どもは、この際経済違反によつて検挙されているこの事件を、いかに慎重に取扱わなければならぬかという段階に来ておるものと考えるのであります。この意味合いから申し上げまして、私は、解釈的な法律論から行くならば、あるいは現行法によつてこれを処断すべきであると政府当局は言うかもわかりませんが、今日この最も根本の原因が解決された以上、われわれは、社会法学的な感覚によつてこの事案を取扱うべきであると考えるのであります。(拍手)こういう意味合いにおいて、少くとも経済事犯に対しては、これを軽減し、もしくは免訴すべき方向に持つて行くべきものである。(拍手)こういうふうに私は考えるのでありまするが、これに対する政府当局の所見をただしたいのであります。
 第三点については、木材あるいセメントなど、建築資材の統制撤廃によつて――建築制限令によつて国民が非常に影響を受けていることを思うとき、この際われわれは建築制限令を撤廃し――むしろこれを大改正して存置するというならば、單に建築に対して耐震、耐火あるいは災害の予防に対するところの指導督励をするような方向に政府は持つて行くべきであつて、今日のごとき、建築制限令は、私どもは思い切つてこれを廃止すべきものであると考えるのであるが、政府は、これに対していかなる考えを持つているか、私は第三点としてこれを申し上げたいのであります。(拍手)
 第四点といたしまして考えることは、流通秩序確立要綱に従いまして、いろいろと広汎なる機構があるのであります。私は、公団あるいは各省の地方の出張所、あるいは地方庁で扱つているところのこれらの経済事務、これらは一貫して、漸次整理の方向にわれわれは努力をいたして来ているのであるか、この段階において、広汎なるところの行政機構の再編成をやるべきではないか、こういふうに考えるのであるが、この点に対して、いかなる所管を政府は持つているか。(拍手)
 さらに私は、今度の統制の撤廃は、主として配給統制の撤廃でありまするが、残されておるとこるの価格の統制も、漸次あるいは急速に撤廃すべきものであると考えておるのであるが、これに対して、いかなるところの具体案を準備されつつあるのであるか。私は、この問題については、特に並行してやるべきものであるという建前をとる以上、どうしても並行して政府はこれが善処をせられなければならぬと思うのであるが、これに対する御所見を伺つておきたいのであります。
 さらに、流通秩序の問題に関連してわれわれが考えることは、統制撤廃によつて、金融政策にいかなる影響を及ぼすかという点であります。たとえば、統制物資を扱つている業者に対しては、金融業者は比較的優先的にこれが融資をいたしておるのでありまするが、もしこの統制撤廃によりまして、金融に狂いが来るということになれば、中小企業はもちろんのこと、一般産業に及ぼすところの影響が雄大であると考えられますので、この統制撤廃に並行して、金融処置について、いかに具体的に、急速に対策を講ずるか、この点が最も重要であると考えますので、私はこの点を強調いたしておきたいのであります。
 顧みるに、統制撤廃は、先ほど劈頭に申し上げましたごとくわが党の公約であります。われわれは、この公約を守るために、あらゆる努力、あらゆる権力と闘つて今日に参つたのでありますが、ここに大幅に統制が撤廃をせられ、さらに最後の段階には、統制を撤廃して、健全にして進歩的な自由主義経済によるところの国政の運行をわれわれに切望しておるのであります。政府は一段とこの問題に対して善処せられんことを私は切望して、重要なる問題についてのみの質疑を試みた次第であります。(拍手)
    〔国務大臣林讓治君登壇〕
#7
○国務大臣(林讓治君) 上林山君にお答えをいたします。このたびの統制が大幅なる撤廃につきましては、ただいま述べられた通りでありまして、政府といたしましては、行政機構全般にわたりまして、これを合理的ならしめるように、今後とも努力いたしたいと考えるわけであります。それぞれの問題につきましては、所管の大臣よりお答えすることにいたします。
    〔国務大臣青木孝義君登壇〕
#8
○国務大臣(青木孝義君) ただいまの上林山議員の御質問に対してお答えいたします
 まず第一点は、統制が漸次解けて行く、すなわち、この統制の解けるに従いまして、経済安定本部は不要ではないか、こういう御質問であると思いますが、御承知の通りに、すでに大分類に属しますところの統制は、先ほど申し上げました通り、私が関與してからも、大略三分の二統制が解けて参つたのであります。これは主として割当統制が解けて参りましたが、なお価格統制におきましては、半数以上の統制が残されております現状であります。これは漸次解けることを確信しておりますから申し上げるのでありまするが、かような状況でありまして、ただいまのところ、経済安定本部を性格的にかえるといつたような考え方は持つておりません。しかしながら、漸次統制が解けても、しかも日本経済全体にわたる総合計画であるとか、あるいはまた総合調整であるとか、そういつた事務は、依然として、たとい形がかわりましても、全体的な観点で残らなければならぬものではないかと考えておるのであります。この意味で、本日、特に統制が漸次撤廃せられまして、わが党が主張し、吉田内閣が施策のモツトーとして参りましたものを、ようやくはつきりと国民の皆様の前に示すことができて、そうしてわれわれの義務が果されて行くこの過程を、私は心から喜んでおるものであります。しかし、経済安定本部の問題については、ただいま申し上げましたように、その内容において相当に残るべきものがあると信じまして、一応お答えを申し上げておる次第であります。
 なお第二点の、木材の統制が解け、さらにセメントの統制が解けまして、もう一つ板ガラスについて統制がなお解けないものが残つておりますが、これも近いうちに統制が解けると確信いたしますので、建築に対する統制も当然撤廃さるべきであると考えて、このために大いに努力いたしたいと存じております。(拍手)
    〔国務大臣本多市郎君登壇〕
#9
○国務大臣(本多市郎君) お答えをいたします。
 行政機構並びに人員を合理的に縮減することは、政府の根本精神であるのでございます。ことに、統制の撤廃に伴う機構、人員の縮減ということにつきましては、ぜひこれの整理を徹底させたいと考えておる次第でございます。但し、今回の措置は、全面的な統制り撤廃にありませんで、一部種目の撤廃にありますので、その間の区分がまことに困難ではありますが、でき得る限り合理的に整理いたしまして、この精神を徹底いたしたいと考えでおるのでございます。経済安定本部の機構につきましては、ただいま審議会等においても審議中でありますが、さらに残つております事務もございますので、全面的にこれを撤廃するか、いかに統合するかというようなことにつきまして研究中であるのでございます。
 さらに地方の問題つきまして、地方の出先機関等の整理でございますが、これも、統制の撤廃に伴う部分は当然縮減せられるのであります。また、ただいま発足いたしまする地方行政調査委員会議の決定に基きまして、地方の事務と国の事務とを敢然と区別されることによりまして、地方のすべての機関の整理も徹底するものと考えております。(拍手)
#10
○副議長(岩本信行君) 今澄勇君。
    〔「再質問、再質問」と呼び、その他発言する者あり〕
#11
○副議長(岩本信行君) 今澄君に発言を許しました。
    〔今澄勇君登壇〕
#12
○今澄勇君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま安本青木長官より報告のありました物資の統制解除について、二、三の点を御質問申し上げたいと思うのであります。
 大体、最近の統制撤廃は、常に政党の一つの大きな問題として、日本経済の実体と、わが国の経済の現状とにかんがみて適切なりやいなやということを抜いて論議せられておる傾向が、多分にあるのであります。われわれは、統制の方法が拙劣であるとか、官僚の統制が幾多の矛盾を持つておるとかいうような問題と、統制の本質並びに計画経済というものと混同してはならないと存ずるのであります。(拍手)今の日本の統制経済は、臨時中から継続されたところの戰時統制経済と誤り考えておるところの部面が多いのである。われわれが計画経済というところのものは、真に産業の発展、民生安定への妥当なる経済の運営を目的とするものを計画経済と呼んでおるのでございまして、戰時中行われておりましたところの数々の統制は、これはいずれも戰争への力を結集するところの統制経済、擬制された統制経済である。これは真の統制経済の姿でなかつたということを、この際明瞭にいたしておきたいのであります。(拍手)
 私がここに総理大臣にお伺いいたしたいのは、少くとも現在の日本の、これらのいわゆる経済施策、それに国会に諮つて、そうして運賃値上げ、あるいは経済問題その他の問題を、民主的な国会の意思に問うて行わなければならぬのである。常設の委員会である経済安定委員会、あるいは通産委員会等が設けられておるにもかかわらず、さきには、電力の料金値上げについて、これらの常設の委員会に諮ることなしに、この値上げを決定した。今また、これらの統制の撤廃は、なるほど法令上の権利義務からするならば、国会の同調を求める必要はないかもしれない。しかしながら、私どもは、今の民主政治の現段階において、真に民主主義を重んずるところの政府は、これらの委員会が国会に常設されておるということを忘れてはならないのであります。(拍手)
 われわれは、通産委員会において出された電力の値上げ問題については、通産、安本の両委員会の委員全員一致の決議をもつて、この電力料金の値上げは、実に非常に大きな誤りが多い、だから、このような粗雑な電力料金値上げはやめて、これは慎重に委員会において討議して、いろいろの各界の代表を入れて相談すべきものであるから、延期せられたいということが第一点、第二点については、常設のこれらの委員会が開かれておるのであるから、このような重大な問題については、それらの常設の委員会に諮られたいという二つのことを、民主自由党、民主党、その他各派の代表が一致してこれを決定いたしたのであります。しかして、このような通産、安本両委員会の決議を申し入れたにもかかわらず、電力料金の値上げは、突如として十三日に行われておるのでございますが、この統制撤廃の件についても、実に十数年間にわたつて続けられた、わが国の経済を自由経済に移そうとするようなかかる重大問題を、これらの委員会に一言半句の諮問も相談も説明もなくして突如として断行されるということは、内閣総理大臣は、それら常設の委員会を全然無視されるものなりやいなや、ここにあらためて御答弁を願いたいと思う次第でございます。(拍手)
 次に、このようないろいろの問題に関して政府の行いましたすべての政策には、いろいろ対外的な出迎もあつたでありましよう。しかしながら、この際国民を誤らしめてはならないことは、今日物価統制をはずす場合において、経済九原則というものが、占領下のわが国の政治に嚴然と示されておるということでございます。なるほど、この経済九原則の中には、第五項において物価統制計画の拡大強化、第九項において食糧供出制度の改善等々の項目があります。しかるに現政府は、これらの九原則、いわゆる現内閣のいうドツジ・ラインという線によつて、これらの中で、自分たちに都合のよいことは、これを強力に押し進めておる。たとえば、企業の合理化であるとか、あるいはその他大衆の犠牲において行われるべきところのものは、強力に、これらの九原則中の項目を忠実に実行いたしておるのでございます。いわゆる物価統制計画の拡大強化というこの項目については、それらの九原則の示すところと漸次隔たりを大きくいたしまして、ますます物価の統制がはずれて、自由経済になつて参つておるのであります。
 私どもは、今の世界の経済をながめてみて、世界が一つの通貨で治まり、世界通貨のもとにおける自由な国際通商、真に自由経済によるところの国際社会が現出されておるならば、私どもは、統制の撤廃についても、決して何らの理論的な反駁をなさないでありましよう。しかしながら、今日の世界の情勢から見るならば、この九原則の第五項が示しておるように、国際情勢からも、国内情勢からも、統制計画の拡大強化をいたさない限りにおいては、わが国の産業復興はその計画の目標を失い、わが国の民生安定をいたすことにできないという客観情勢にあるわけでございます。われわれは、この経済九原則の中で、物価統制計画の拡大強化という点を特に自由経済に向けられた現内閣においては、この九原則の第五項目は、ほかの項目から比べて、これは矛盾であり、これを実行することは、わが国の経済運営によろしくないというお考えを持たれたものであるかどうか。あるいは根本的には、経済九原則そのものの中には、かかる第五項があるということは矛盾であるか、経済九原則そのものの誤りであるかどうかということについて、安本長官の御答弁を煩わしたいと思う次第でございます。
 次に、戰争によつて、ある国が勝利者、他のある国が敗北者となつた場合には、両国の間に、支配と被支配、命令と服従の関係、別な言葉で言えば、新たなる権力が成立することは、古来珍しいことではございません。そうして、このような権力関係に基く支配や命令は、ややもすると、独断もしくは独善に陥りやすいものであります。また、長いものには巻かれろ的な、服従的な風習の抜け切れない国民は、この独善的な命令に対して、無批判的な服従もしかたがないと、あきらめがちなものでございます。さりながら、私どもは、平和主義とか民主主義とかいう立場に立つてみると、これほど望ましからざるところの関係はないのであります。
 現下のわが国の経済政策は、わが日本の復興と、経済的独立に向つて、経済閣僚が、信念的な、ほんとうに自信のある政策を行わなければならないのであります。われわれは、今日の経済状態から見て、すべての物資を統制から漸次はずして行こうというようなやり方で、このきびしい国際情勢と国内経済の問題を乗り切れるなどというような安易な言明をする安本長官は、はたしてわが国民のために、この国の経済をほんとうに独立経済にする自信があるかどうかとういことを疑う次第であります。(拍手)
 私は、先般の電力料金値上げについて安本長官にただしたところ、安本長官は、このような電力料金の早急な値上げは非常な弊害をもたらすであろう、それは将来改めたい、しかし、この際客観情勢その他によつて、この値上げはやむを得ないものとして実行したというのであります。しからば、そのような信念のない電力料金の値上げによつて、いろいろと障害が起り、産業別の問題が起る、あるいは地域的な産業壊滅の状態が起つたならば、安本長官は責任を持つかどうかということを、委員会においてただしたところ、安本長官はそのような責任は持ち得ないと言明いたしておるのであります。
 私は、今日このような物価統制の大幅なる撤廃をいたして、どの品目と、どの品目が時期尚早である、どの品目についてはどういう状態であるということは、あとで二、三の点をあげて説明いたしますが、矛盾と横着に満ちておるところのこれらの物資を統制のわくからはずして、もし経済の現状からして大きな反動が起り、生産に障害を来し――覆水盆に帰らずということがあるが、わが国の経済に甚大なる打撃を與えたならば、安本長官としては、これらのことを策定した責任をとるところの自信と決意があるかどうかということを伺つておきたいのであります。(拍手)
 さらに私は、統制の撤廃あるいは物価の設定というような価格の政策でございますが、これらの価格政策についてお伺いをいたしたいのであります。この統制の撤廃は、見方をかえて言えば、いわゆる経済九原則、ドツジ・ライン、現内閣の超均衡予算に盛られたところのあらゆる経済政策が、漸次有効需要を減退いたさせ、わが国のいろいろ生産物資については需要はある、需要はあるが、しかしながら、これを購入するところの資金的な力がない、それらのために、この需要は、ほんとうの需要としてはあるのにもかかわらず、姿を消して、いろいろのものが、生産過剰、あるいはストツク、滞貨の激増という状態に相なつていることに、御承知の通りであります。
 私どもは、そういつた観点から、日本の物価体系、あるいは重要基礎物資に対する自由販売品との関連、あるいは自由価格と、統制したところの主食糧その他との関連、その他のいわゆる価格政策については、全面的な政府の責任ある言明を、いまだ一度も私どもは聞いたことがないのであります。少くとも、石炭が余れば、あらゆる事情を押し切つて石炭を自由販売にする。その結果は、低品位炭はともかくも、六千カロリー以上の石炭は、やはり不足である。重要産業にまわらない。どうしても石炭を再統制しなければならないであろうという声が最近上つて来た。政府も、その声を知つておる。
 それらのものは、計画的な統制の撤廃ではない。いわゆる日本の計画経済の基本を定め、産業の五箇年計画、あるいは、それに基く大きな計画の中で、不必要な、摩擦の多いものを、漸次これを計画的にはずして行くというような統制の撤廃ではない。追い込められた政府が、もはやどうにもならなくて、一つの逃避口へ逃げ込む形、自由放任という姿にそれらの物資を放任して何らの政策等をも行い得ないという無責任な形に放置されてすべてが自由販売ということに相なつておることは、これまでの実情が非常によく証明をいたしておるところでございます。(拍手)
 われわれは、このような無責任な、政策の放棄、逃避口へ逃げ込むような統制撤廃というものは、わが国経済の全体を考えて見て、まことに寒心にたえない。これらの統制された物資と、統制されない自由価格品との間における全般的な物価政策というものについて、安本長官より、詳細な御説明をこの際承りたいのであります。
 さらにもう一点は、この経済統制のはずれておるところの物資を一目してながめて見ますと、農村関係の物資は、ほとんど入つておらないのであります。しかも将来においても、これらの農村関係のいろいろな生産物が自由販売になり得るような御言明も、また見通しも、なさそうであります。私は、日本の人口のまことに重要な部面を占めるこれらの農村の皆さん方は、おそらく、この統制撤廃の中から自分たちの生産物だけが除外されておることに驚くであろうと思うのであります。それのみか、他の一般的な商工生産についてのかずかずの品物が統制撤廃をされておるのに、農民には低米価をしい、しかもポ政令による食確法を施行して強制供出をいたさせようとするこの現実は、少くとも、全国農民を搾取し、全国農民の犠牲において自由販売をいたそうとする政府の政策を、端的に表わしておるものである。少くとも、この統制撤廃の陰には、泣くところの農民が、ものすごく忿懣の情を禁じ得ないということを、農林大臣は御承知であるかどうか。(拍手)
 これらの農村経済と、わが国全体の経済とを比べて見て、私は今日農村経済が特別に粛正を與えられておることを認めるものである。しかも、それらの農村の品物は、権力による供出や統制価格で縛りつけて、ほかのもののみを解除せざるを得なかつた現内閣の政策は、まことに場当り的なものである。そうして、国家全体の経済の計画の上に立つたところの統制撤廃でないということを雄弁に物語るものであると思うが安本長官の御見解はどうでございましようか。
 さらに、三百六十円の為替レートでございます。少くとも、日本のいわゆる超均衡予算がねらつておるところのものは、三百六十円の為替レートの維持である。この為替レートに、ポンドの切下げがあつても断じて変更することはないということを、大蔵大臣は言明しておられる。われわれは、このような日本の為替の背景をなす金融政策その他のものについても、大蔵大臣に伺いたいことを申し入れておつたのでありますが、大蔵大臣の姿が見えないようであります。われわれは、この三百六十円の為替レートの維持は、結論から申すと、このようないわゆる自由放任の経済を、このような無計画的な姿において行うならば、維持することは困難であろうということであります。われわれは、これらの三百六十円のレートは、こういつた統制を撤廃して、漸次これらのものを自由市場に流し込むならば、必ずやこの三百六十円レートの維持ができなくなるであろうと考えるのであるが、これに対して、大蔵大臣が見えないから、安本長官の見解はいかがであるか。
 さらに、このような三百六十円レートのもとで、わが国の経済を安定させなければならないにもかかわらず、この統制解除というものは、コスト計算、原価計算というものを認めないのである。すなわち、その製品の原価によるそれらの品物の品物の値段を認めないというのが自由競争場裡の原則である。さらば、こういつた状態のもとにおいて、弱小企業あるいは中小企業者の製品は……
#13
○副議長(岩本信行君) 今澄君にちよつと申し上げます。申合せの時間が参りましたから、簡單に結論をつけていただきます。
#14
○今澄勇君(続) 中小企業者の製品というようなものは、おそらく対抗できないであろう。そこで、原価計算によらざれば、つぶれることを必然としておるところの中小企業並びに弱体企業は、ばたばたここに倒産し、破産して来ると思うのであります。これらの日本の不況化の現実において、さらに加えて倒産、破産されるこれらの産業、その産業の従業員、それらのものをひつくるめて、日本の現経済態勢を維持して行く自信がおありであるかどうか。しかもまた、三百六十円の為替相場によつて救つて行かなければならない、協同化して、輸出に力を強く押してやらなければならない中小貿易業、中小貿易工場を、いかような手段をもつて救うことができるか、通産大臣の御見解を承りたいのでございます。
 さらに私は、いわゆる企業の合理化であるとか、その他勤労大衆並びに農民、中小商工業者の負担において行われるところのものは勇敢に行つておる現内閣が、少くとも一般勤労大衆の生活に関係する問題については、事ごとに関係方面の意向を云々して、越年手当その他の手当についても、必ずこれらの問題は、非常に制約された、不遇なる姿において、強引に押し切られるのであります。これらの問題からして、このいわゆる統制物資の撤廃は、結論においては大衆に非常な迷惑をかけ、その自由は、一部の持てる特権階級の自由である。あすの再生産の要素をもつて働かなければならないものが、非常に困窮するところの生活をいたすであろうということは、すでに石炭においても、これら一部の石炭が値上りを開始しておる。電力においても、これを自由に供給することができないで、この電力の統制したいろいろの割当が問題を起しておる。現政府は、このような統制すべき品物、わが国の経済から見て、断じて計画の大わくは持つておらなければならぬところのその計画の大わくと、今次撤廃されたこれらの品物と、さらにこれから次ぎ次ぎと撤廃されるところの品物との関連と、わが国計画経済をほんとうに放任して、自由なるものに将来持つて行くつもりか、それとも、わが国の経済は大わくの計画のもとに置いて、下要なるものが漸次統制をはずされて運営されるものかについての根本的理念を、安本長官に明らかにしてもらいたい。
 最後にもう一点、通産大臣に伺いますが、麻、サイザル麻、マニラ麻、苧麻、羊毛、牛革、落綿、あるいはゴム、生ゴム、あるいにゴム制品の中間生産品、鉄鋼に二次製品等は、現在の状況のもとにおいては、需要がありながら購買力がないという点、輸出の適格品の原料材であるという点、絶対の供給量が不足しておるという点、以上のいずれの点から見ても、これらのものの統制を急速に撤廃するならば大きな混乱を起すであろうことを、われわれは必然的なるものとして予見いたしておるが、これに対して、絶対に経済の混乱するおそれはないという御言明ができるかどうか、責任ある御答弁を願いたいのであります。
 もう一点、これは本多国務大臣に聞きますが、これらのいわゆる統制撤廃の結果、経済安定本部の定員を二割減らすというこの間の打合わせは、このような統制の撤廃を想像しておらなかつたときの発言であると申されておりますが、こうした統制の撤廃を前提とするならば、経済安定本部は、どの程度にこれを縮減なさるおつもりであるか。明確なる数字をここで御答弁願うとともに、それらの大きな失業問題、あるいは整理された人々の職場転換の問題等について責任ある御答弁をお願いして、私の質問を終る次第であります。(拍手)
    〔国務大臣林讓治君登壇〕
#15
○国務大臣(林讓治君) 今澄君にお答えをいたします。わが国の経済が、今後国際経済の一環として繁栄するためには、各業界の合理化による実力の培養が必要でありまして、そのためには、不必要な統制は極力これを緩和して行くべきものであろうと考えるのであります。さらに産業の安定、経済の復興によりまして、失業の問題はおのずから解決し得べきものと考えておるわけであります。
    〔国務大臣青木好義君登壇〕
#16
○国務大臣(青木孝義君) ただいまの今澄議員の御質問にお答えを申し上げます。
 今回の統制の撤廃に関しまして、特に九原則の第五條目に、統制を強化するというような條項があるのでありますが、これに反しはしないか、こういう御質問であります。この点につきましては、御承知の通り、今日の日本の経済状況は、もちろん吉田内閣がその組閣当初から今日までやつて参りました施策が、全体として見て、その施策の全体を通して、きわめて合理的に進行しておるものと増えております。(「ノーノー」拍手)なかんずく、この九原則のうちの第五條に、たとい統制を強化するという一つの條項がございましようとも、経済は生きものであります。しかも、全体の経済から判断してこれが運行をはかるということでなければ、国民の生活の実態にも沿わないし、かつまた日本経済の復興・再建にも沿わないものと考えますので、わが党が主張して来た統制の撤廃、すなわちこの本然の主張に基きまして、吉田内閣が漸次統制を撤廃して行くということは、これは九原則の全体から見れば、必ずしも矛盾しないという結論になると、私は信じております。
 それからまた、さらに第二点として価格放棄の問題でありますが、われわれは、経済安定本部、物価庁等におきまして、価格の全体がどう動いているかということを、ともかくも前提として、この統制を考えておるのであります。従つて、統制が大幅に解かれた、こういう事態から、ただちに物価全体及び経済生活の全体に及ぼす影響が無視されておるということはないのでございまして、これらの観点を総合して今回のこの統制の撤廃が行われつつあるということを御了承願いたいと存じます。
 ことに、御承知でもあろうかと思いますが、この二十四年度の当初予算、さらに補正予算が成立いたしまする当時におきましても御答弁を申し上げたと存じますが、物価全体としては、物価体系をくずさない、しかし、その価格全体におけるでこぼこは、これを全体として調整しながら、価格体系をぐずさなくても実行できる限度をわれわれは目安として今日までやつて来ておるのでありまして、決してわれわれは自由経済という放任的な態度をとつておるわけではないということを、はつきりと御了承願いたいと存じます。
 なおまた、今回の統制緩和、撤廃は、主として生産施策に基きまして、生産資材の統制を廃止して、これに伴つて、漸次消費物資について、統制を解いて行きたい、こういう考えでございます。そこで、農産物についても、主要食糧等につきましては、御承知の通り絶対量が足りない、こういう観点から見ましても、今日これについての統制を緩和するということはいたしません。また麻であるとか、あるいはまた繁栄であるとか、そういつたもの等の統制は、すでに廃止いたしておりますので、御承知の通りであります。さらにまた、そのほかに、経済安定本部が取扱つておりまする、外国から輸入いたしますところの原材料等、これらについても、一月一日から民間の貿易が開始せられて、輸入が起つて参ります場合においては、今後考えなければならぬ問題はあると思いますが、ただいまのところ、輸入物資等につきましては、統制をはずしてはおりません。かようなわけで、全体として見て、決して自由放任的に取扱つていないということを御了承願いたいと存じます。
 それから最後に、先ほど上林山議員から御質問のあつた中で、私がお答えしなかつた点をお答え申し上げます。経済調査庁を整理する意思はないか、こういう御質問であつたと思います。私は、ただいまのところでは、さような点は考えておりませんが、なお今後十分検討いたしまして、これについて善処いたしたいと存じております。また価格統制については、先ほどちよつと触れましたように、割当統制が廃止されて参りますれば、論理的には必然に、価格統制もこれが解除されて行くという結論になるのでありますが、価格の点につきましては、なおとどめてあるものが相当な値に上つておりまするから、今後検討いたしまして、漸次解いてよいと確信いたすものについては価格統制も解除して参りたいと存じておるものであります。
    〔国務大臣森幸太郎君登壇〕
#17
○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。今回の統制撤廃は、農村において、その生産物に対しての実現がない、ひとり農村だけがこの統制強化のもとにある、いわゆる農民は、この統制によつて非常な圧迫を受けているのではないか、というような御感想をお話になつたのでありまするが、決して私はさような考えを持つておりません。今日の農業生産をいたしておりまするものは、主として食糧の問題であります。この食糧の今日の段階におきまして諸君も御承知の通り、自給自足のでき得ない今日の場合におきましては、これは相当の統制を継続せねばならないのであります。今後わが国が自由貿易を許されるようになりましても、やはり消費者と生産者というものの調節、またその価格等の点から考えましても、この消費者と生産者の相互関係より見ましても、相当の統制をもつて行かなければならぬのではないか、かように考えておるわけであります。今回統制をはずされたものにおきましては、その生産物が国民生活の上において統制をする必要がないという観点から、統制を撤廃いたされたのでありまして、私は、農産物について特に統制を強化して残しておくということは、今日の食糧事情からやむを得ないことと御承知を願いたいのであります。(拍手)
    〔国務大臣稻垣平太郎君登壇〕
#18
○国務大臣(稻垣平太郎君) 今澄君の御質問にお答えいたします。
 中小企業の維持と統制の問題を取上げられたのでありますが、これは私、根本的に、別に切り離して考えるべきものだと存じております。中小企業の対策を検討しなければならぬことは、もとよりでありますが、かりに中小企業が、ある意味において非常に原価の高いものにつく、あるいはまた非常に品質の惡いという場合におきまして、統制価格によつて、あるいは統制割当によつてこれが維持されるということになりますれば、その一、二の企業者は、非常にそれがために幸福でありますけれども、日本経済全般に対しては、これは全大衆に不利益を與えることになると私考えるのであります。従つて、中小企業対策と、この価格あるいは割当の統制ということは、別問題にお取上げ願うことがしかるべきではないか。これは今澄さんも御承認くださることと存じております。
 それから、大藏大臣がおられないので、先ほど御質問がありましたが、ちよつと私にも関係があるので申し上げます。三百六十円のレートを維持するために、統制を続けて行くことが必要ではないかという問題は、これはある意味から申しますと、国際的にゆゆしい問題を起すと私は思うのであります。日本の商品が非常に原価が安くて、ダンピングが行われる。今日も電報にありましたように、アメリカあるいは英国の紡績業者が、日本の紡績策を調べる、ダンピングが行われる、こういつたようなことを言つております場合に――これは紡績の例でありますが、日本の統制価格が、統制によつて、すべて同じようにサブシヂイしておる、補助してやるという問題は、これは日本にとつてゆゆしき問題だと思います。従つて、三百六十円のレートを維持する、しないという問題が、統制によつて左右されることは、私は根本的に反対であります。(拍手)
#19
○副議長(岩本信行君) 先刻の上林山君の質疑に対して答弁のため、法務総裁より発言を求められております。これを許します。殖田俊吉君。
    〔国務大臣殖田俊吉君登壇〕
#20
○国務大臣(殖田俊吉君) 先ほど上林山議員から、統制を撤廃された品目につきましての統制違反事犯をいかに処置するかというお尋ねがあつたのでありますが、すでに起された事犯が、撤廃によりまして、ただちに犯罪の成否に影響を及ぼすことはないのであります。しかし、すでに係属中の事犯につきまして、検察庁が起訴、不起訴の処分を決定する場合、または裁判所が裁判をいたします場合には、相当に事情を考慮されるものと考えております。まだ検挙されておりません事犯の捜査につきましては、それが惡質または重大なるものでない場合には、あえて追究するかどうかを十分に考慮して善処いたしたいと考えております。(拍手)
#21
○副議長(岩本信行君) 中曽根康弘君。
    〔「本多国務大臣の答弁がない」と呼ぶ者あり〕
#22
○副議長(岩本信行君) 今発言を許しましたので、適当の機会に答弁していただきます。
    〔中曽根康弘君登壇〕
#23
○中曽根康弘君 私は、民主党を代表いたしまして、ただいまの統制撤廃の問題に関して、関係大臣に質問をいたしたいと思います。
 このたびの指定生産資材割当規則を中心とする一連の統制撤廃に関しては、私は、ある程度の経緯を実は表するのであります。御存じのように、今回の統制撤廃によつて、まず第一に、国家財政の負担がかなり軽減されるであろう、第二番目に、今まで統制あるがゆえに流通を阻害されておつた部位が、かなり打開されるのであろう、第三番目に、統制あるがゆえに、統制にからむいろいろな犯罪、そういう暗黒面が、社会からある程度払拭されるであろう、こういう、いい結果を反面生むと思うのであります。しかし、この統制撤廃の問題については、重大な問題が内在していると思うのであります。この統制撤廃については、明暗二つのものが織り交ぜてある。そこで私は、この暗に属する部分、暗い方面について、政府がいかなる政策を持つているか、お聞きしたいと思うのであります。
 御存じのように、政府が現在やつている財政政策というものは、どういう基本的な政策に基いているかということを反省すると、池田財政のねらいというものは、今年の四月、予算委員会その他で説明されましたように、日本経済を資本主義的な原則によつて再建しよう、荒れはてた日本経済に資本主義の温床を整備しよう、こういう原則であつたと思うのであります。そのために、実は冷酷無情な資本主義の原則を、この荒廃した日本経済に適用した。そこで、かなりのゆがみと、大きな犠牲が、ある部面にできているのであります。
 御存じのように、池田財政のねらいは、たとえば三百六十円レート、あるいは六千三百円ベース、あるいは一連の農産物に関する低価格、こういうものによつて国民生活を圧縮する、それによつて輸出力を増大して、しぼり出し、これを外国に売つて、それによつて、さらに輸入を促進して、生活水準を高めよう、こういう野心的なねらいであつたと思うのであります。このねらいは、ある程度成功した。御存じのように、労働の生産性は向上し、物価や賃金は横ばいし停滞している。これは成功の部面であります。
 しかしながら、このような生活圧迫、言いかえれば、昨年の七割増しの所得税をとるとか、あるいは労働者の賃金を釘づけにするとか、低米価を強行する、こういうことによつて、なるほど、ある部面では輸出力が出て来たけれども、その反面、大きな被害や犠牲者というものが、ここで裏にはあらわには出ていないけれども、あるのです。それがいかになつているかということを、われわれが一番問題にしなければならないのであります。
 池田財政というものは――今まで日本のインフレーシヨンというものは、コンシユーマー・インフレーシヨンであつた。つまり、インフレで暖まつておつた。そして、暖まつて膨脹した日本経済を、冷蔵庫に入れて凝縮させた。ここまでは、なるほどやつた。しかし、凝縮した結果は、からだが縮かんで、毛細血管に血がまわらなくなつた。動脈硬化の状態にある。どこにそれが一番出ているかというと、農付であり、中小企業であり、勤労者である。歴然としてここに出て来ておるのであります。こういうような大きなゆがみを持つて来た。そのまま今日本経済は国際経済に突入しようとしている。御存じのように、伝えるところのローガン構想というものは出て来ておる。このローガン構想によつて、荒廃した、ゆがみを持つた日本経済が、国際経済の冷たい嵐に突入しようとしている。ここに問題がある。ここに、今や統制撤廃というものが、実は出て来ておるのであります。
 しかも、現在出て来ている経済状態はどうなつているかというと、滞貨は輸出入一千億円ある。売出金は約六百億円ある。政府が、かりに、見返り資金や、預金部資金や、あるいは復興金融金庫の回収金を出せば、九百億の金が出る。見返り資金だけでも六百六十億程度の金がたまつておる。これが出ない。こういうところに、現在の一億のモラトリアム状態が出ておる。これが普通の自由経済や正常な景気の運行状態で起つておつたなら、これは当然銀行の取付に行くところなんだ。しかし、それが行かないということは、連合軍最高司令官の権威と信用によつて辛うじて保たれておるからである。これが安定だと言うことは、実におめでたい限りである。他人の力によつて辛うじて保たれているのが日本の現状であるのであります。
    〔副議長退席、議長着席〕
 こういうふうな状態のもとにおいて、私どもが一番心配しなければならぬのは、はたして民自党が言うような、自由経済のそういうような政策をそのまま伸ばして、日本の生活の向上や再建ができるか、という問題なのであります。この問題は、超党派的な問題として私は心配しなければならないと思うのであります。(拍手)
 どうしてそういうことを言うかというと、言いかえれば、勤労者や中小企業者や農村というものを、かなり圧迫している。かなりのゆがみが出ている。そこで、国際経済へ突入さして、あるいは経済的な合理性からは、ある程度納得しても、社会的な副作用やその他によつて必ず破綻するという危險性が出て来ているからであります。言いかえれば、なるほど統制を撤廃した。民自党の諸君は、自由経済を公約して来られたので、公約を実行されるという努力を懸命にやつたことは、私は敬意を表する。しかし、ここに出て来た統制撤廃というのは、からだを萎縮させて、買いたいのだけれども、がまんさせる。圧縮させる。言いかえれば、買いたいのだけれども、金を諦めて出させない。従つて、余つてしまつた。拡大再生産ができて来て、物が増産されて来てそうして物が余つたというのではない。生産は、かなり上昇している。しかしながら、もう停滞している。そこで、圧縮して、買いたいのだけれど、買わせない。そういう状態で今の統制撤廃が行われているというところに問題がある。(拍手)
 そういう観点から、私は、民自党の各大臣に対し、次の四点について質問をしたいと思うのであります。
 まず第一は、このような一種のモラトリアム状態、不景気の状態というものを、いかに打開するか。なるほど、統制撤廃ということはやつた。しかし、この背景にどういう見通しがあるかということを聞きたいのであります。御存じのように、有効需要の振起ということは、直接には来年度予算に関係しておるのであります。政府は、来年度予算を今明日くらいに出すとか新聞に報ぜられておるのでありますが、そこで、来年度予算、つまり二十五年度の財政の規模について私は伺いたい。それによつて、来年度の景気がどうなるか、この統制撤廃の影響がどどうなるか、この統制撤廃の影響がどうなるかということを私は検討することができると思うのであります。
 そこで、青木安本長官に数字をもつてお答え願いたいと思うのでありますが、最近の新聞によると、ヴオリーズ陸軍次官が、来年の日本のエードというものは大体三億八千万ドル程度だと言われている。来年度予算について、一体幾らを基準にして、見返り資金あるいはアメリカよりのガリオア、イロアのエードというものを計上しているか、それが第一点であります。
 第二点、来年度の国際状態が多分に機微な状態になつて来ているので、終戰処理費の大幅な削減ということが言われておる。これは国内の有効需要、財政負担その他にかなり響くと思うのであります。この終戰処理理費は、これは一体どの程度になるか、これが第二点。
 第三点は、債務償還をどの程度やるかという問題であります。債務償還というのは、実はデフレの原因になりておる七千五十億程度の債務償還をやると言われておるのでありますが、具体的にどの程度の債務償還を構想されているか。
 その次は、来年度の補給金の見通しは、どの程度の額を與えるか。そうして、さらに来年度の財政投資、つまり特別会計を中心とする財政投資というものは、どの程度行われるか。伝えられるところによると、今年度とほとんどかわりないと言われている。公共事業費は一千億程度出るけれども、特別会計に対する財政投資は、かわりないと言われているのであるが、これはどの程度であるか。この諸点について、青木安本長官の、明確な、数字をもつての御回答を願いたいと思うのであります。これによつて、私は、現在の不景気、現在のモラトリアム状態が、来年度いかに展開されて行くかという見通しをつけるのでございまして、統制撤廃の重大なる背景になつておらなければならない問題であります。
 その次にお伺いいたしたいのは、やはり来年度の景気の見通しの要素でありまするが、はたして貿易協定がどれくらいになるかという問題であります。日英貿易協定ができたが、そのほかの諸国に対する貿易協定ができる見通しのもの、できつつあるもの、それがどれくらいになつているか。特にアメリカ圏から東南アジア圏に貿易対象というものが転換されておりまするが、その程度は、どの程度になるかということを、私は明確にお尋ねしたいと思うのであります。
 そのうちで、特に私は、青木安本長官に正確にお答え願いたい。稲垣さんでもけつこうでありますが、最近、中共方面より開らん炭が入つているという状況であります。これは、第三国人あるは外国人を経由して入つているという状態でありまするが、来年度、中共貿易はどれくらいになるか、これが日本の設備あるいは生産財方面に対して非常な影響を持つているのでありまして、大体有効需要の振起というものは、国家財政によるもの、貿易の面から来るもの、この二つが大きな問題であります。そこで、中共貿易については御親切な答弁を承りたいと思うのであります。そうして、以上のようなものを集計して、来年度の国民所得がどれくらいにかるか、生産指数がどれくらいまで膨張するか、このことを結論的にお伺いしたいと思うのであります。
 第二番目に関係大臣にお伺いいたしたいのは、先ほど申し上げましたように、中小企業、農村、勤労者の犠牲において、ある程度毛細血管に結滞が来ながら、国際経済に参加しようとしておる。ところで、一番大きな問題は農村の問題であります。御存じのように、日英通商協定が三億九千万ドルできた。アメリカ圏から東南アジアに転換しているということは喜ばしいことなのであります。しかし、あの日英通商協定によつて、われわれは機械や雑貨や化学製品を出す。彼から入るものは何であるかと言えば、これはゴムとか、あるいは一部の石油、あるいは鉱産物、こういうものしかない。われわれの貿易が伸張すればするほど、返つて来るものは農産物以外にはないのである。ここで、来年度は農業の危機であるということが言われておる。そういうときに、日本国内経済に、他の一面では統制撤廃が行われているのであるが、農村に対する政策はどうなるかということは、全国四千万農民の最も聞きたいところであるのであります。(拍手)
 そこで、具体的に農林大臣にお聞きしたいと思いますのは、御存知のようにバリテイというものは、ある程度公定価格を基準にしてやつている。米価は四千二百五十円の低米価ですえ置いて、公定価格の基礎になつているパリティの品物が、これが統制撤廃によつて、おそらくある程度上ると思うのであります。米価だけすえ置かれて、ほかのものは上る可能性がある。こういうときに、米価の算定について、農林大臣はいかなる腹案を持つてやられるか、いかなる米価に修正するか、この基本的政策をお伺いしたいと思うのであります。(拍手)
 農村問題について、同時にお伺いしたいのは、国際小麦協定に参加するという情報があつたのでありまするが、最近これが、やや停滞しているということを聞いております。この国際小麦協定に加入するかどうかという問題も、またこれは重大名要件であります。この間の情報を農林大臣よりお聞きしたいと思うのであります。
 最後に、御存じのように、蚕糸の安定という問題は、日本国民経済にとつて、特に輸出の問題について重大な問題であります。伝えられるところによると、いわゆる蚕糸公社案というものによつて蚕糸価の公定をやろうとしておる。しかし、独占禁止法その他によつて、これがある程度停滞しておるという話でありますが、日本の生糸の輸出を増大するためには、まだ日本の養蚕農家を安定させるためには、どうしても蚕糸の安定という措置が必要であります。この蚕糸業及び蚕糸価格の安定という問題について、政府はいかなる対策か進めて、いかなる段階にあるか。
 それから最後に、木材の統制撤廃によつて、おそらく木材に対する有効需要は、ある程度上ります。一千億円の公共事業費が認められれば、一千億円の資金百億程度が認められれば、木材に対する需要は、かなり上ります。この木材に対する需要が上つた場合に、濫伐その他の危險性が出て来る。ここで建設大臣との関係が出て来ると思うのでありますが、この木材に統制撤廃後の森林資源の保護というような問題に対して、内閣はいかなる対策をお持合せか、その点を最後にお聞きしたいと思うのであります。
 第三番目にお伺いいたしたいと思いますのは、拡大再生産の問題であります。ただいまのように、自由経済によつて自由放任にした。これはそのまま停滞するということである。現在程度の有効需要というものは、回復すべき日本国民経済の有効需要より、はるかに低いものであります。ここで自由経済にもどすということは、期待すべき、回復すべき日本国民経済に有効需要より、はるかに低い。しからば、この低い有効需要から高い有効需要にいかにして持つて行くかということが、第三番目に最も重大名問題であるのであります。このような回復というものは、実は自由経済からは出ないのである。
 先ほど上林山君は、経済安定本部を廃止せよと言つた。しかし、二十世紀のこのまん中の現代において、経済的企画官庁を廃止せよと言うのは、アダム・スミスの時代に帰れと言うことである。こういうような時代錯誤的な政策は、これは良識ある者としては、とれないと思うのであります。この現代の自由経済の悲劇あるいは失敗というものが、どこへ出て来ておるかというと、株価の低迷というところに来ておる。このような、六箇月に及ぶ株価の低迷というものは、自由党が一番期待しておつたものについて、まつ先にここに没落が来たということであつて、自由経済の悲劇にほかならないのである。この株価の低迷というものを、いかにしてまた上げて行くか。この問題は、兆基資金をどういうふうにして供給するかという問題になるのであります。
 最近、いろいろ目前的な対策がとられている。目前的な対策の中に、伝えられるところによると、株式市場と資本市場との愛だの調整機関を必要とする。たとえば証券投資会社をつくるというような構想も言われておる。あるいは見返り資金を動員して、てこを入れるということも言われておる。あるいは日本銀行に対する担保の中に株式を認めるというような構想が進められている。これらの問題が、現実にいかに打開されつつあるかということを、私はまずお聞きしたいと思うのであります。
 われわれが最も寒心を持つておる問題は、この年末から来年の三月にかけての問題であります。ただいまの日銀券の発行他は、御存じのように約三千八十五億円である。昨年度は、三千五、六百億円程度で年越しをやつた。現在は、それが三千八十五億円であります。この年末金融をどうするかということは、今までいろいろ質問はあつたのでありますが、これでまずわれわれが心配しなければならないのは、一月から三月にかけて、どういう対策が行われるかということであります。
 御存じのように、一月から三月にかけて、約千六百語十億円の税の徴收が行われる。これに対して、いろいろ食糧証券その他によつて金が出る。差引すると、約千億程度の吸上げ超過になる。この吸上げ超過に対して、政府は、たとえば見かえり資金を出すとか、あるいは預金部資金を動員するとか、いろいろな手を打たれておるようであります。特に、この一月――三月の資金問題、金融問題というものは、いままで営々として再建してきた日本国民経済が、この瞬間にどうなるかという重大な問題を内包しておるのであつて、私は安本長官に対して、いかなる有効な具体的政策をやるかということをお聞きしたいと思うのであります。
 私は冒頭に、今度の政策というものは、中小企業と勤労者と農民の犠牲において、日本経済を資本主義的な原則で整備しようという政策であると申し上げました。農村の問題については先に申し上げ巻いたが、われわれが最も寒心を持つておるのは、中小企業と勤労者の問題であります。この中小企業の問題というのは、この統制撤廃とも関係があるのであつて、統制撤廃というのは何であるかといえば、それは能率化ということであります。合理化ということであります。この合理化によつて、一番適応しやすい正確を持つておるのは何であるかというと、それは大企業であり、大産業である。ただいま行われているいろいろな合理化――統制撤廃その他の合理化によつて、間接的に大きな被害を受けておるのは、実は中小企業であります。
 御存じのように、たとえば現在大工業の合理化というものは、下請をたたくとか、あるいは不能率な工場を閉鎖するとか、労働者の首を切るという原始的な合理化が行われている。機械を入れるとか、技術を改善するとかいう合理化ではない。従つて、この統制撤廃を中心とする合理化がこのまま押し進められるということは、下請その他の中小企業がますますたたかれるということになるのであります。従つて、このような統制撤廃による合理化を行うとすれば、当然その反面に、中小企業に対する保護育成政策というものが行われなければならないのである。その保護育成政策というものは、一部分、稻垣商工大臣も考えられておるようであります。
 たとえば、朝日新聞の十四日付のものによりますと、見返り資金十五億円を十五箇月間に出す、こういう構想もある。あるいは日銀の別わくを、三十一億あつたのを、もう一億ふやすという構想もあるということを聞いておる。しかし、これらの手によつて現在の中小企業の苦難が除かれると思つたら、とんでもない間違いであります。こういうような、姑息的な、小さな政策によつては、絶対に日本の中小企業の打開ということはできないのであります。
 もう一つは勤労者の問題でありますが、この間から、国鉄あるひは一般公務員が非常なる攻勢を展開したように、特に日本の重大な問題として考えなければならぬのは、来年度における公務員の給料の單価の問題であります。現在の單価六千三百七円をそのまま継続してやるということになれば、勤労者に対する重圧というものは、さらに出て来るのである。最近の新聞によると、税金その他によつて軽減するということを言つておるけれども、他面においては、統制撤廃によつて物価が上昇する。補給金の撤廃によつて物価が上昇する。この差引によつて、結局中小企業や勤労者に対して、さらに多くの重圧がかかるということを、われわれはここに予想しておるのであります。
 このような問題を明確にしないで、ただ統制撤廃、統制撤廃と言つて祝い酒をふるまうようなことは、ヒロポンを注射するにひとしいのであります。(拍手)このような、ヒロポンを注射することによつて目前を陶酔して、そうして中小企業を一時の陶酔にひたらせるというようなことは、民主自由党としては絶対にとらないところであると思うのでありますが、もし、われわれが今予想しておるようなことを、あなた方がやつたならば、言いかえれば、強盗が人の首を縛めて、それをゆるめて、助けてやつたと恩をきせるようなことになる。こういう政策が行われないことを期待して、関係各大臣の答弁を要求するものであります。
    〔国務大臣青木孝義君登壇〕
#24
○国務大臣(青木孝義君) ただいまの御質問に対してお答えをいたします。
 まず第一に、本国会に提出されます予算書について見ていただきたいと思いまするが、その数字は、おそらく御承知であろうと存じますが、見返り資金におきましては千五百八十一億円であります。本年度は千五百八億円であります。さらにまた、終戰処理費が千九十億円で、昨年度よりも百数十億円減つておる状態でございます。それから債務償還につきましては約七百三十億円、これにエード・ファンドより五百億円という見込みでございます。それからまた、価格補給金につきましては、御承知の通り大体約九百億円、鉄道繰入れについては四十億円、通信への繰入金百二十億円ということになつております。大体そういう見込みでございます。正確には、提出いたしましてからの数字について御了解を願いたいと存じます。右のような次第でございまいて、来年度におきまする一月から三月、さらに来年度におきまするところのわれわれの見通しといたしましては、今日すでにしばしば新聞等にも出ておりますけれども、一月から勤労所得税に対する減税も行われますし、またその他、吉田内閣としての施策も発表いたす段取りになつておりますけれども、その内容におきまして、物価は大体において横ばいになつておりますが、これに伴いまする生産指数は、来年度においては大体二割ぐらい上昇するという見通しをつけれおる次第でございます。それからさらに、こまかい点についてというお話でございましたけれども、私の存じておりまするところでは、この四月以来、統計の上で、CPIで示されておりますのは、四月を一〇〇といたしまして、御承知の通り九月が九九・二、それから内閣統計局の統計から申しますと、本年一月を一〇〇として計算いたしますと、一〇二・九であつたかと記憶をいたしておりますが、これまでの経過においては、十月において一〇二・九という数字を示しております。このような状況で参りまして、予算全体として切り詰められておりますことは御承知の通りでありますが、それとともに、来年度におきましては、約七百億ほどの減税が行われろものと信じておりますので、生産の上昇と、日本国民の生活一般というものを考えてみまして、大体来年度においては、今年度よりも多少よくなるという見通しをつけておる次第でございます。
    〔国務大臣森幸太郎君登壇〕
#25
○国務大臣(稻垣平太郎君) お答えいたします。
 米価の決定につきましては、今日パリテイ指数を根拠といたしておるのでありますが、二十五米穀年度における主用食糧に対する価格決定におきましては、諸物価の高騰等を勘案いたしまして、適当な時期にこれを定めたい、かように考えております。
 小麦協定の問題でありますが、まだ決定いたしたわけではありませんが、大体日本もこの小麦協定に参加でき得るような情勢であります。
 蚕糸対策についての質問でありましたが、生糸価格を安定させることは、ひとり内地の市場のみならず、海外においても非常にこれを要望しておりますので、政府におきましては、蚕糸の価格を、ある程度の幅を持たして安定させたいということを考慮いたしまして、目下その施設に対して検討を加えておるわけであります。
 木材の全面的統制を撤廃いたしましたがために、森林の濫伐が心配せられるではないかという御質問でありましたが、森林のうち国有林におきましては、国家がこの施薬方針を定めて行つて行くのでありますから、その心配はもちろんありませんが、民有林におきましても、それぞれ施業案を定めまして、そうして一定の計画のもとに森林の経営を行わしめるような指導をいたしておりするから、この統制撤廃のために森林が荒廃し過伐されるというようなことは、おそらくない、またさようなことのないように指導いたしたい、かように考えておるわけてあります。
    〔国務大臣稻垣平太郎君登壇〕
#26
○国務大臣(稻垣平太郎君) 中曽根君にお答えいたします。
 貿易協定の数字的な内容を示せというお話てありましたから申し上げますが、まずトレードプランの決定いたしておりますもの、いわゆる金額的に決定いたしておりますものは、スターリング・ブロツクとの日英協定よる輸出が一億二千七百四十万ドル、輸入が一億五十四百万ドルであります。シヤムが輸出入とも三千万ドルであります。オランダが輸出五十万ドル、輸入六十万ドル、インドネシアが輸出六千五百万ドル、輸入二千三百万ドル、スエーデンが両方とも五百三十万ドルであります。それから日韓の間は、輸出が五千百万ドル、輸入が三千万ドル、仏印が輸出一千三百万ドル、輸入一千二百万ドル、ウルグアイが輸出入とふ五百万ドル、フインランドが輸出入とも二百五十万ドル、西ドイツが輸出入とこの中で、日、タイ、日蘭は期日が切れましたので、これを更改する予定に相なつております。これをトータルいたしますと、輸出が三億九百七十万ドル、輸入が二億七千二百四十万ドルの通商協定であります。なお、貿易協定は成立しておりますけれども、トレード・プランというものについては、品種目はきめております。ベルギー、メキシコ、ブラジル、ウルグアイ、チリー、ヴエネズエラ、ペルー、コロンビアといつたような地区にづきまして、これらの国との間にも、なお協定のみでなく、トレード・ブランをも締結するために、目下交渉いたしておるようなわけであります。そのほか、コマーシャルの協定ができておりますところはございますが、これは一々申し上げることを省きます。以上のような次第であります。
 なお御質問の、中共との来年度の貿易額はどのくらいになるかというお話てありますが、これは来年度、中共との貿易が間接にありましても、これくらいになるかということを申し上げることは非常に困難だと存じます。本年度において、広東へ中共軍が迫ります前の香港貿易は、八月におきまして、大体輸入が――われわれの方への輸入が一千七百万ドル、輸出が二千四百万ドルでありました。この二千四百万ドルの大半は奥地に入るものと想定されます。そういつたようなことから想定していただきたいと存ずるのであります。なお中共貿易につきましては、いろいろいろも申し上げることでありますけれども、根本的には司令部のポリシーに従うということでありますが、実際的にはいろいろな面で取引が行われておりまして、最近も開らん炭の輸入が行われておるような次第であります。私は、この取引は、大体において三国貿易あるいは四国貿易といいますか、とにかく多角貿易によつて行われ得る可能性が多いのではないか、またそういうような方向に持つて行くべきではないか、かように考えております。
#27
○中曽根康弘君 ただいまの……
#28
○議長(幣原喜重郎君) ただいまの中曽根君の御質問は、先刻の御質問中、すでにもうお約束の時間が過ぎておりますから、再質問はできません。
#29
○中曽根康弘君(続) この席で簡單にお願いします。御答弁漏れのところがありますから……
#30
○議長(幣原喜重郎君) それでは、ごく簡單に。
#31
○中曽根康弘君(続) ただいまの御答弁の中で、答弁漏れがございました。
 まず第一は、輸出入の来年の額の見通しであります。
 それから第二審目に、私が農林大臣にお聞きしたのは、バリティをやめるかやめないかという問題なのであります。この点については、適当なときにきめるという答弁であつて、バイテイをやめるかやめないかということは、全農民の一番大きな問題である。
 それから、木材統制の撤廃のあとで、森林資源を保護するために法的措置をやるかやらないかという問題を聞いておるのです。その点が漏れておりました。
 それから最後に、稻垣さんに中小企業の金融対策をお聞きしたのでありますが、この点についても御答弁がないのであります。なるべくごまかしのないように御答弁願います。
    〔国務大臣稻垣平太郎君登壇〕
#32
○国務大臣(稻垣平太郎君) お答え申し上げます。何か私がごまかして答弁しないというようなお話でありますが、私は、ごまかしたのでも何でもありません。はつきり通商大臣という御指定がなかつたように記憶いたしております。
 今の中小企業の金融対策でありますが、これについては、先ほども中曽根君自身がここでお読み上げになつたように、よく御存じのように思うのであります。ワーキング・キヤピタルに対するものといたしましては、運転資金としては、従来二十三億出でおりますが、年末になお八億を増す、場合によればなお一億を増すということで、緊急運転資本に対する手当を考えておるようなわけであります。設備資金に対しましては、最近において、見返り資金から一・四半期三億円を出す、この三億円は、それぞれの金融機関に出しまして、金融機関がこれを倍にして、言いかえれば、三億ならば六億という形にいたしまして貸付けを行つて行く、大体これは、資本金三百万円以下、従業員二百人以下の工場に対して貸付けを行うことにいたしたい、その金額は最高三百万円程度にいたしまして、見返り資金の分は年利七分三厘という形で行いたい、かように考えておるわけであります。これは、その期間を十五箇月、一億ずつ続けるつもりでありますから、大体最終的には、これが倍に働いて行くということに御承知を願いたいと思うのであります。また、商工中金の定款変更による資本金の増額、あるいはまた商工債券の発行その他については、目下立案中であります。
 輸出入の額は、私に御質問になつたのではないと存じますが、これは安本で裁定されるものと存じますが、今年大体五億ドル程度で予定いたしておりましたので、もちろんこれを上まわる程度に私は行くものと考えております。
#33
○議長(幣原喜重郎君) 森農林大臣にも再質問がありましたが、森農林大臣は退席されておりますから、次の機会に答弁を求めることにいたします。
 また、先刻の今澄君の御質問に対し本多国務大臣より答弁があります。
    〔国務大臣本多市郎君登壇〕
#34
○国務大臣(本多市郎君) 先ほど今澄君より、経済安定本部の職員の縮減について御質問があつたのでありますが、定員法の上において、この安定本部の職員の数を何名にするかという改正案は、実はまだ決定しておらないのであります。従つて、今回の統制撤廃等に伴いますところの事務の減少、さらに今後の状況等も見通しをつけまして合理的に決定いたしたいと考えまして目下研究中でございます。
#35
○議長(幣原喜重郎君) 米原昶君。
    〔米原昶君登壇〕
#36
○米原昶君 私は、日本共産党を代表いたしまして、今回の統制撤廃に関し、林副総理並びに青木安本長官に対し若干の質問を行わんとするものであります。
 政府は、今回の統制撤廃にあたりまして経済が安定したとか、自由競争による経済の正常化、国際経済への参加というようなことを言つておりますが、はたして日本の現在の経済が安定しておるかどうか。最近における株価の暴落、滞貨の激増、売掛金の増大、中小企業の破滅状態、さらに大衆生活の破綻の状態を考えるならば、経済が安定しておるということは絶対に言えないはずであります。要するに、恐慌が顕在化して、インフレが滞在化したにすぎきないのである。これはまさしく、米英を筆頭とする世界資本主義の恐慌を日本に転嫁せしめて、わが国の経済を危機に陥れつつある現状だということであります。そういう状態の中において、政府は日本経済の自立化ということを言いながら、事実は、日本の経済はますます自立化を失い、政府は一路日本経済の買弁化と軍事化の道をたどりつつあるのであります。
 そういう状態の中で、政府は、来年一月一日より輸入民間貿易をやると言つておりますが、この輸入貿易、いわゆるローガン構想に基く輸入貿易は、どういうものであるか。この結果、食糧三百七十万トンの輸入を初めとして、厖大なる物資が、わが国に怒涛のごとく流れ込んで来る。その結果、不急不用品の押しつけ、さらにわが国の民族産業と競合するところの大量の物資が流れ込んで来ようとしておるのであります。
 こういう形で、世界資本主義の恐慌が、わが国の経済に転嫁されようとしておる。そういうときに、この統制撤廃が行われようとしておるところに、重大な意味があるとわれわれは考えるのであります。こういう前提において、この統制撤廃が行われる。そこに政府のねらいがどこにあり、どういう結果になるかということは、おのずから明らかであろうと思うのであります。もし統制撤廃による自由競争云々ということを言われるならば、この自由競争というものは、まさしくわが国の産業資本、中小企業、そうしてわが国の農業を━━━━━━━圧迫し、━━━━━━━━破壊せんとするものであると、われわれは信ずるのであります。
 そこで、第一に私は林副総理にお尋ねしたいのでありますが、最近の株価の暴落、滞貨の増大、売掛金の増大、中小企業の破滅、大衆生活の破綻のこの現実の事実、この現実の事実を見ながら、政府は、これに目をおおつて、依然として日本の経済は安定しておる、こういうふうに考えておられるかどうか、この点を第一に聞きたいのであります。
 第二に、この統制撤廃によつて、さらに来るべき輸入貿易によつて、日本の平和産業を中心とする民族産業は非常な恐慌に襲われるでありましようが、これに対して、政府はいかなる保護措置を講じようとしておるか、いかなる対策を講じようとしておるか、この点について、青木安本長官の見解を聞きたいのであります。
 第三に、統制撤廃によつて自由競争を促進し、企業か合理化を行い、輸出の能力を増大する、こういうふうに政府は言つておるのでありますけれども、今や日本の企業に、はたして合理化の余地がどれだけあるかということであります。大企業すら、もうすでに合理化の余地はないということを、みずから言つておる。たとえば日立製作所のごときも、もう一割以上の合理化の余地はない。労働強化、首切り、低貸金こういうやり方を、さらにこれ以上強行し、労働者に奴隷的状態を押しつけることなくして、企業合理化は不可能だということを言つておる。政府は、いかなる産業合理化方策を考えておられるか。労働者を圧迫することなき産業合理化方策を考えておられるかどうか。この状態において、統制撤廃が可能かどうか。この点を聞きたいものであります。
 第四に、統制撤廃に次ぐところの補給金の廃止、この分を企業に吸収させるということを政府は言つておるのでありますが、そういう合理化の余地もないような状態で、はたして吸收させることができるか。その結果は、消費者価格への転嫁、消費者価格のつり上げよりほかないのでありますが、もし価格のつり上げが行われたとしましても、現在のような購買力の低下した状態で、これは必然に国内滞貨を増大するよりほかないのである。いかにしてこれを吸收することができるか。いかなる吸收の見通しを持つておられるか。安本長官の説明を承りたいのであります。
 第五は、この統制撤廃に基く公団の廃止の問題でありますが、それによる行政整理の問題については、すでに他の諸君からも質問がありましたから、その点でなく、公団廃止の行われる場合に、今までの例を見ましても、今まで公団が腐敗と不正の巣であるということは、すでに明らかなものとなつておるのであります。これを廃止する場合に、今までのようなやり方で、またもや、その赤字の穴埋めを国民の税金に転嫁するつもりであるかどうかということを、私は聞きたいのであります。これを徹底的にやるならば、おそらく、その赤字は数百億円に達するでありましよう。それを再び国民の税金に転嫁するつもりであるかどうか、この点をはつきり説明してもらいたいのであります。
 第六に、この統制撤廃によつて物価高は必至でありますが、その結果における労働者の貸金ベース――先日の国鉄の裁定問題にあたりまして、政府は賃金ベースはかえないと言つております。しかし、この統制撤廃の結果、必ず物価は上るものと信ずる。先行きは物価は下つて行くということを言われるかもしれないけれども、現在の状態のもとで、さしあたりでありますが、さしあたり上るところの物価に対して、賃金ベースを改訂する用意があるかどうか、これを聞きたいのであります。
 最後に、このやり方で進んで行くならば、強大なる外国資本に、日本の資本は圧倒されると思うのでありますが、この点について、政府はいかなる見解を持つておられるか、これを質問いたします。(拍手)
#37
○議長(幣原喜重郎君) ただいまの米原君の発言中不穏当の言辞がありましたならば、速記録を取調べの上、適当の措置をとることといたします。
    〔国務大臣林讓治君登壇〕
#38
○国務大臣(林讓治君) お答えをいたします。現在最も必要なことは、各業界の自力の培養にあることと考えます。そのためには、不必要な統制は、支障のない限りこれを撤廃すべきものであると、私どもは考えておるわけであります。また、各業界が自己の実力を回復してこそ、貿易の振興も可能でありましようし、真の経済の繁栄を招来することができると考えておりますからこのたびの統制撤廃が各級産業に危機をもたらすということはないと、私どもは考えておるわけであります。さよう御了承をお願いします。
    〔国務大臣青木孝義君登壇〕
#39
○国務大臣(青木孝義君) 米原議員にお答えを申し上げます。
 統制緩和によりまして、経済の正常化の招来を期しておるのでございますが、その結果といたしまして、合理化が必至でありますことは御承知の通りであります。その正常な合理化を助けるという措置にいたしましても、たとえば中小企業に対しましては、年度末、来年度にわたりまして、エード・ファンドの一部をこれに支出するとか、あるいは預金部資金を一部運営するとか、そういう措置を講ずる所存でございますので、その点、御了承を願いたいと存じます。
 なお企業の合理化につきましては、経済の正常な基盤のもとで、自由競争によつて、個人の創意、くふうというものを極力生かしまして、そうして合理化を進めて参りまするし、その本旨によりまして、企業の合理化によつて起る不必要な混乱を防止するということのために、いろいろ金融的な措置をいたしておる次第でございます。なお最後に、いろいろと御質問になりましたような、あるいは御意見のような点につきましては、根本的なイデオロギーの相違に基く御批判からかと存じますが、日本経済の進んで参ります過程において、はたして現在の経済が崩壊の過程をたどつておるかどうか。これは現実について十分御了承を願いたいと存じます。
#40
○議長(幣原喜重郎君) 河野金昇君。
    〔河野金井君登壇〕
#41
○河野金昇君 私は、新政治協議会を代表いたしまして、同僚諸君が大分質問しておられまするから、簡單に要点だけを質問いたしまするが、答弁はなるべく御親切に願いたいと思います。
 今年石炭の統制をお解きになつたのは、石炭が増産されたのではなしに、結局四千二百万トン予定しておつたものが、四千万トン程度のときに、もう余つて来た。こういうようなことで解かれたのでありまするが、それは、要するに需要が減つたからである。すなわち、日本の産業が、安本長官が最初予定しておられたものよりも縮小しておつた結果であろうと思います。今度いろいろな一連の統制をお解きになつたのでありまするけれども、はたして生産が増加されて、こういういろいろな統制をお解きになるのか、その点を、はつきりと、承りたいのであります。おそらく当初予算をお組みになるときに計画を立てておられたことであろうと思います。木材なり、あるいはセメントなりに対して、昭和二十四年度はどれだけの生産が必要であるかという予定を立てておられたと思います。その予定と、現在の生産状況というようなものを、数字的にお示しを願つて――安本長官のおつしやるよに、日本の経済が安定して、物が余つて来たから統制をお解きになるというのでありますが、はたしてそうであるかどうかということを、数字をもつてお示し願いたいと思うのであります
 民主党の諸君は選挙のときに、統制があるから役人が多い、だから統制を撮廃し、行政蛯理を断行して減税をするということを、約束しておられるのであります。本日の夕刊を見ますると、明年度の予算が閣議で決定したと伝えておるのでありまするが、今日新たに統制をお解きになることによりまして、おそらくまた行政整理、税金の問題も出て来ると思います。本日御決定になつたと伝えられるところの予算案を、また修正なさる御意思があるかどうか承りたいと存じます。
 それから森農林大臣にお聞きしたい点は食糧の問題でありまするけれども、昭和二十四年度の二合七勺の配給を維持するためには、当初二百十九万トンの輸入食糧を計画されておつたようであります。それが以外にも、二百九十万トンくらいのものが輸入されたということでありまするが、来年度は、さらにこれが増加して、三百七十五万トンくらい輸入されるということなのであります。これを日本の米に換算すれば、約二千五百万石なりでありまするけれども、それほどの米を輸入すれば、日本の食糧は相当余つて来やしないかと思うのでありまするが、こういう時代に、先日突如として政府がおとりになりましたところの、食確法をポツダム政令でお出しになつたことと、これは矛盾しておるのでなかろうかと思うのであります。来年度三百七十五万トンからの食糧を輸入されるならば、もはや私は、供出制度なんかは、これを維持しておく必要はなかろうと思うのでありまするけれども、その供出制度をどこまでも維持してお行きになる考えかどうか。
 民自党の諸君は、米の供出後の自由販売すらお唱えになつたのであります。それは、輸入食糧が二百十九万トンの予定のときにお立てになつた案であります。来年度三百七十五万トンの食糧が輸入されれば、これは相当方向をかえて来てもいい問題であろうと思いまするが、森農林大臣の、これに対するところの御意見を承りたいと思います。
 先ほど来、農村の統制が一つも解かれておらないという議論が、他の議員諸君によつて述べられたのでありまするが、私もさように思います。農民に対して種菜をつくれつくれと言つておるが、その油脂は完全に統制してしまつて、全部取上げてしまつておるのであります。今日、来年の一月一日から、いろいろたくさんの統制をお解きになるならば、農民にも、一つくらいの統制を解いてやつたとて、決してそれは間違いではなかろうと思いますが、油脂の統制は、いうまでもおやりになる意思があるかどうか、承りたいと思うのであります。なお肥料のごときも、もう生産が非常にふえて来ておるのでありまするけれども、こういうようなものも、もう解く段階ではなかろうかと思うのでありますが、森農林大臣の御所見を承りたいと思います。
 稻垣通産大臣がおられまするけれども、明年、羊毛が二十二万俵輸入されることになつておるそうであります。そうして、この大部分が内需要に向けられるということなのでありまするけれども、この羊毛並びに毛の製品などに対する統制の問題に対して、具体的にお示し願いたいと思うのであります。
 いろいろ質問したいことはございまするけれども、この辺でやめまするが、政府の親切なる御答弁を要求いたします。
    〔国務大臣青木孝義君登壇〕
#42
○国務大臣(青木孝義君) 河野議員にお答え申し上げます。御承知かと存じまするが、今年度は、電力の関係で、八月はちよつと落ちておりますけれども、全体の生産は上昇いたいしておりますることは、おそらく河野議員も、新聞等で御承知であるかと存じます。御承知の通りに、われわれは、今物価とか生産の面を考えておりまするので、一般的政事から申しますると、生産は、四月から八月まで、その間八月の関係が落ちておりまするが、今日のところまで見ますると、大体少しずつ上昇いたしております。特に物価関係におきまして多少上げられたものもございます。そういうものにつきましては、なお物価体系そのものをくずさずに、個々の産業によつて吸收しておるというような関係を見まして、大体におきまして、物価面におきましても、生産の面におきましても上昇しておりまするし、特に昭和七年から十一年、これを一〇〇として見た場合におきましては、それに対して大体八〇%程度に上つておるということを示しておる状況でありますので、御心配のない程度に上つておると思つております。
    〔国務大臣森幸太郎君登壇〕
#43
○国務大臣(森幸太郎君) 河野さんにお答えいたします。
 輸入食糧を三百七十五万トンも多く予定いたしておつて、日本の食糧事情が非常によくなるのではないか、従つて、日本の食糧事情から見て、食確法をボ政令で出すというようなことは、はなはだ矛盾ではないか、こういう御質問がありましたが、今日、外国の食糧輸入は一応計画はいたしておりますけれども、この食糧が必ずしもその通り輸入が実現するかしないか、これは一つの予定であるのであります。従つて日本の食糧は、しかも御承知の通りに、天災等が年々繰返されるということを考えますと、計画通りの確保ということについては十分なる寒心を持たなければならぬのであります。従つて、人口の増加と食糧の確保ということは、相まつてこれを勘案いたして行かなければならぬのでありまして、今日輸入食糧が相当量計画されておるからと申して、これで日本の食糧を安易に考えてはならないのではないか、かように考えられるわけであります。食確法のポ政令によりましたことについては、さきにこの席でお答えいたした通りであります。
 なお菜種の問題についてのお尋ねでありましたが、菜種は裏作として最も重要な作物でありまして、しかも従来、菜種というものは民間の農業者に保有を許さなかつたのでありまして、全部を供出せしめておつたのであります。しかしながら、今日油脂原料等の事情から考えましても、ある一定量――はつきり数字はここで申しかねますが、いわゆる生産額の六五%程度のものを供出してもらいまして、その残りは生産者農家に自由に保有させる、こういう制度をとつて行きたいと考えておるのであります。
 肥料の統制も、もはや今日の肥料事情から撤廃してもよいのではないかという御質問でありましたが、化学肥料につきまして統制いたしておりますことは、輸入肥料と、化学肥料の生産の事情のために、現在米価というものを画一的にいたしておりまする以上、肥料というものも、これに関連をいたしまして、統制をせなけれほならぬのであります。ただ、今日やつておりまする肥料の統制の形式が、必ずしも完全とは考えておりません。これは、その実際に合うように修正をいたして行きたいということは申し上げるまでもないのでありまするが、この肥料の生産状況の進捗に伴いまして、化学肥料の統制もおのずから撤廃する時期もそう遠くないのではないか、かように考えておるわけであります。
    〔国務大臣稻垣平太郎君登壇〕
#44
○国務大臣(稻垣平太郎君) 御質問の原毛の輸入についてでありますが、原毛は指定輸入に相なつております。大体摂州から二十五万四千こうり、チリーから五万こうり程度入つて来ることに相なつておるのであります。日本の毛の紡績工場のキヤパシテイから申しまして、大体これが入つて参りますと、六、七十パーセントの運転ができるかと思つているのであります。内需向けは、大体そのうちの二十万こうり程度、あとは輸出向けということに相なろうかと思うのでありますが、こまかいことは、なお今後安本との間に打合せを遂げて発表するつもりでおります。
#45
○議長(幣原喜重郎君) 岡田春夫君。
    〔岡田春夫君登壇〕
#46
○岡田春夫君 簡單に、数点にわたりまして御質疑をいたしたいと思います。
 先ほどの青木安本長官の演説その他御答弁によりますと、今度の統制撤廃の大きな理由は、過剰生産になつている資材がある結果、こえによつて統制を撤廃しても混乱を起さないであろうという観点に立つての答弁でございました。また、そのあとにおいて、河野金昇金の質問に対する御答弁によりましても、最近は生産が漸次回復しつつあるという、きわめて楽観的な、手放しの楽観論をお述べになつているのであります。
 しかしながら、安本長官のもとにおいてつくられている資料を見てみますると、本年九月の生産の実績は、戰争前に比較いたしまして、いまだに七十二%にまでしか回復いたしておりません。すなわち、戰争前の状態にまで生産がもどつておらないにもかかわらず、しかもなお過剰生産の現象が起つているという現状であります。すなわち、物は買いたくとも金がないという不景気一の現象が明ぢかに現われているのであります。物は買いたくても買えない、このような過剰生産の状態は、明らかに吉田内閣が、ドツジ・ラインの政策を――大資本家本位に、労働者、農民、中小商人の犠牲と收奪の上において大資本家の擁護を行わんとした、その政策の現われであると申し上げても、これは誤りでないのであります。
 そこで、今度の資材の割当統制の廃止は、今までは官僚統制によつて、大資本家の利潤追求を擁護して来たけれども、今度の統制撤廃によつて、大資本家、財閥は、長い間官僚統制の擁護によつて利潤の獲得をいたして参つたのを、今やまさに、みずからが公然と表面に出て、みずからの手によつて利潤の獲得をせんとする具体的な現われであります。すなわち、みずからの手によるカルテル化を促進せんとするものであります。今度の統制撤廃は、明らかに大資本家、財閥のみの自由であつて、勤労大衆に対しては、飢餓の自由を與えるものでしかございません。この点は明確であります。
 しかも、その結果、大資本家、財閥としては、先ほどの民自党の御質問にも、今までやみ取引によつて裁判ざたになつているようなものまで釈放してやれという御質問がございましたがこの点をもつても明らかなように、やみ取引を合法化せんとするものである。あるいはまた、高い独占価格をつくらせて、大資本家、財閥に利潤の獲得を與えんとするのであります。のみならず、この統制撤廃に対する総理の談話を見ましても、民間輸入を来年の一月から実施する運びになつているので、これとにらみ合せて、今度の統制撤廃を行うのであると言つておられますが、これは明らかに外国商品、外国資本、外国商社、これらの外国資本等によつて日本の経済が危機に瀕することを明確にいたしております。すなわち、日本経済の植民化がこれによつて促進され、また單独講和の地ならしの具体的な方策がこれによつて実行されつつあると、われわれはいわざるを得ません。このような観点に立つて、次の三点にわたつてお伺いをいたしたいと思います。
 まず第一に、労働大臣、通産大臣、農林大臣にお伺いしたいことは、今度の統制撤廃によつて、低貸金によつて苦しんでいる労働者には、今後ますます莫大なる失業の危機を與えるでありましよう。この点は、安本長官が、今度の統制撤廃は明らかに企業の合理化であると言われている点から申しましても、失業者はますます増大するばかりであります。あるいは、また低米価によつて農民は苦しんでおりますが、今度の統制撤廃によつて、はさみ状価格差の拡大により、農村経済はますます恐慌の危機にたたき込まれます。中小企業の拡大により、農村経済はますます恐慌の危機にたたき込まれます。中小企業は、今度の統制撤廃によつて没落の危機に瀕することになるのであります。(「ノーノー」)こういう点に対して、関係三大臣の所見並びにその対策をお伺いいたしたいと思います。
 第二の問題は、帝国主義戰争の基礎になつておりました独占資本の支配を、これを解除して、日本の経済の民主化のために、過去四年間にわたりまして、独占禁止法あるいは集排法が行われて参りました。これらによつて日本の経済の民主化が進められて参つたのでありますが、今度の統制の解除によつて、山辺にカルテル化が促進され、日本の経済の民主化が妨害される結果を招くことは、火を見るよりも明らかであります。こういうカルテル化が進められることについての対策を、安本長官あるいは通産大臣からお伺いいたしたいと思います。
 最後に、統制撤廃によつて、先ほど安本長官も御答弁になつておりますけれども、価格統制の撤廃が続いて行われる可能性があるわけであります。ところが、この価格統制の撤廃によつて、価格が下るのではなくて、逆に価格が上る可能性がだんだんと現われて参つております。その点は、あらためて申し上げるまでもなく、東京地方経済調査庁の調査によりましても、昨年の十一月と本年の十一月における野菜物の価格の調査をいたしました場合において、統制撤廃後の本年の十一月は、統制中のやみ価格の大体倍、九九%の値上げになつているのであります。こういう事実を見ましても、今度の統制の撤廃を通じて価格統制を撤廃されるということは、吉田内閣は低物価政策を放棄されるというお考えであるかどうか。こういう点についてもお伺いをいたしたいと思います。
 いろいろの点につきまして、まだお伺いをいたしたいのでありますが、以上簡單に質疑いたしまして、私の質問を終る次第であります。(拍手)
    〔国務大臣青木孝義君登壇〕
#47
○国務大臣(青木孝義君) 岡田議員にお答えを申し上げます。
 第一に、この物資の統制撤廃につきましては、物資の需給の均衡を得たものから准じこれを実施して行くという考えでやつております。しかしながら、民間輸入の再開によりまして、物資の需給はさらに好転を予想せされますので、今回大幅に統制の緩和を実現いたしたことは、こうい理由に基くのでございますが、需給が均衡を得て、統制が廃せられますと、経済の正常化を招く。品質の向上等によりまして、需要者の得るところは少くないと存じます。もちろん、自由経済におきまする独占の弊害を防止するにつきましては、御承知の通り、経済民主化の線に沿いまして、独占禁止法、事業者団体法等によつて措置をいたしておる次第でございます。
 それからなお輸入の増大でございますが、輸入の増加は、植民地化することの心配はないか、こういう点でございますが、私どもの考えるところによりますれば、民間輸入の再開によつて貿易の自主性が與えられて、貿易の増大によつて、わが国の経済の自主性が向上することになりますので、わが国経済の自立に向つて前進しつつある、こういうふうに考えておる次第でございます。
 なお、野菜等が上つておるかどうか、こういうことでございますが、野菜等につきましては、御承知の通り、季節的に多少変動いたすことはやむを得ません。しかしながら、全体から見まして、選択して買うことができるし、またこれについて、むだがなくなるというような点から考えましても、結局今日の状況が最もいいのではないかと私は考えております。
    〔国務大臣鈴木正文君登壇〕
#48
○国務大臣(鈴木正文君) 今度の統制の撤廃は、さらに全面的の統制経済から、新しい自由経済への転進の一環でもありまして、私どもの考えといたしましては、物が絶対に不足しておる際と違いまして、この程度まで物の存在が豊富になつて来た――十分ではないにしても、ここまで来た場合におきましては、統制を撤廃するということは、やみ物価及びマル公から自由価格への切りかえの過程及びその後の過程におきまして、消費物資の価格を大体において引下げるという方向をねらい得ると考えておるのでございまして、この点におきまして、実質賃金の点から言いましても、少くともこの角度からだけでは心配がない。むしろ将来大いに望みを持ち得ると考えております。同時に、自由経済への活発な運行によりまして、企業の問題、組みかえの問題、あるいは統制の撤廃によつて不要になる機関の閉鎖等はありますけれども、国民経済全体といたしましては、決して雇用力を落すのではなくして、高めるゆえんであると考えております。(拍手)
    〔国務大臣稻垣平太郎君登壇〕
#49
○国務大臣(稻垣平太郎君) 中小企業等統制の問題につきましては、先ほど今澄氏にお答え申し上げましたように、私は、中小企業の対策の問題と、統制のわくをはずすという問題は、おのずから別だと考えるのであります。これを混同して考えることは、まるで経済的の問題ではなくて、経済問題を社会問題へ持つて行くものだと私は考えております。
    〔国務大臣森幸太郎君登壇〕
#50
○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。岡田さんは、統制を撤廃すると物価が必ず上るんだ、この前提のもとに議論されまするが、私は統制を撤廃して物価が上るということは考えられぬ。今後自由の立場において、需給の関係によつて市価が定まるのである。従つて、米価を定める上におきましても、この生産資材の価格によつてこれを定めて行くということにすれば、決して御心配くださるようなことはない、かように信じております。(拍手)
#51
○議長(幣原喜重郎君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#52
○議長(幣原喜重郎君) 検察官適格審査会の委員吉田安君が辞任せられました結果、委員に一名の欠員を生じましたので、この際検察官適格審査会の委員の選挙を行います。
    ―――――――――――――
#53
○山本猛夫君 検察官適格審査会の委員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
#54
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議を採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#55
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて動議のごとく決しました。
 議長は福田繁芳君を検察官適格審査会の委員に指名いたします。(拍手)
     ――――◇―――――
#56
○議長(幣原喜重郎君) ただいま福田繁芳君が検察官適格審査会の委員に指名せられました結果、予備委員に一名の欠員を生じましたので、この際検察官適格審査会の委員の予備委員の選挙を行います。
    ―――――――――――――
#57
○山本猛夫君 検察官適格審査会の委員の予備委員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
#58
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に議異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#59
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて議長は大西正男君を福田繁芳君の予備委員に指名いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#60
○山本猛夫君 自由討議は延期し、明二十四日帝国より本会議を開くこととし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
#61
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#62
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後五時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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