くにさくロゴ
1949/01/28 第7回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第007回国会 本会議 第15号
姉妹サイト
 
1949/01/28 第7回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第007回国会 本会議 第15号

#1
第007回国会 本会議 第15号
昭和二十五年一月二十八日(土曜日)
 議事日程 第十三号
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑(前回の続)
    ―――――――――――――
●本日の会談に付した事件
 文部委員長原彪君辞任の件
 常任委員長の補欠選挙
 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
 講和問題等に関する緊急質問(北村徳太郎君提出)
 講和問題に関する緊急質問(神山茂夫君提出)
 議員請暇の件
    午後一時三十分開議
#2
○仮議長(庄司一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○仮議長(庄司一郎君) 文部委員長原彪君より委員長を辞任したいとの申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○仮議長(庄司一郎君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。
     ――――◇―――――
#5
○仮議長(庄司一郎君) つきましては、この際文部委員長の補欠選挙を行います。
    ―――――――――――――
#6
○山本猛夫君 常任委員長の選挙は、その手続を省略して、議長において指命せられんことを望みます。
#7
○仮議長(庄司一郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○仮議長(庄司一郎君) 御異議なしと認めます。議長は長野長廣君を文部委員長に指名いたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
#9
○仮議長(庄司一郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。佐竹晴記君。
    〔佐竹晴記君登壇〕
#10
○佐竹晴記君 社会革新党を代表して質疑いたします。
 第一に、講和会議と自衛権の関係を承りたいと存じます。政府は、講和会議の早からんことを願望いたしますとともに、世界平和を説いて、自衛のための戰争をも放棄する旨を明らかにせられて参りましたが、最近に至り、総理大臣は、自衛権の行使は放棄するものでない旨を宣言せられまして、われわれに、いたくシヨツクを與えたのであります。もしそれ全面講和が締結せられ、国際連合の保障によつて、永世中立国としてその安全が確保せられますならば、自衛権行使の問題は、これを提議するの要はあるまいと存じます。従いまして、ここに特に自衛権の問題を持ち出しましたのは、全面講和の不可能であることを想定し、單独講和の際における、講和に加わらない国からの攻撃に対する自衛権の行使を放棄するものでない、という趣旨を明らかにしたものであろうという印象を強く與えたのであります。
 事実、われわれに入る幾多の情報によりましても、また当本会議における質疑応答の中に現われました国際情勢の逼迫感、あるいはまた、沖縄方面等に、ある使命を帶びて向うべき要員が、日本の行政機構の中にある職業安定所を通じて公募されつつある事実を総合いたしまして、わが日本の置かれておる現状は、好むと好まざるとにかかわらず、中間的、中立的存在を許すような、なまやさしい、そんな状態でではなく、東か西か、右か左かを決すべき重大なる段階に逢着しているのではないかという疑いを持たざるを得ないのであります。
 総理大臣は、仮定の上に立つてものは言わないと、はつきり述べられておりますので、右自衛権の問題も、まさか仮想、仮定の上に立つて言われたものではなく、わが日本の現実が、今やこの問題を招議しなければならない実情に遭遇しておりますることを告白して余りあるものではないかと思うのであります。はたしてしかりといたしますならば、総理大臣は、この際、日本の現段階における国際情勢の実態を赤裸々に国民に訴えまして、その決意を促すべき緊要なる時期ではないかと私は思う。何とぞ率直なる御所見を披瀝されんことを望みます。
 第二、政府の財政政策について伺いたいと存じます。
 まずその一として、大藏大臣は、来年度予算において、八百億に上る歳出の削減を断行し、国民責担の画期的軽減を行い、予算の均衡を確立したと誇称しておられますが、これは一艇行政費の節約によるものではなしに、価格調整補給金の削減等によるものでありまするから、たとえば肥料についてこれを申しますならば、この補給金の削減によつて肥料価格は大幅につけ上げられ、国民の過半数を占める農民は、この政応歳出の節減にまつて受ける利益よりもさらに大なる負担を肥料代金として支拂わなければならないのであります。負担軽減どころか、かえつて負担過重の苦しみをなめなければならぬことは申すまでもありません。ただに肥料のみではありません。これを全般的にごらんいただきましにて有効需要の減退いたしております現在、大蔵大臣の岱楽観するごとく、企業努力によつて物価に及ぼす惡影樺を防止し得たいときは、終局において消費者価格は高騰し、逆に国民負担の過重を招来すべきことは申すまでもないのであります。もし政府が、そうでないとおつしやいますならば、鉄鋼その他基本産業に対し昨年以来現に実施して参りました結果について、具体的事実に基いて詳細なる御説明をいただきたいと存じます。
 次にその二として、政府は、財政政策の臨調を財政と金融の適合調整に置くとおつしやつておりますが、本来政府の財政政策に協力すべき銀行は、現に貸出しの増加率を見るに、預金の増加率を上まわつて、預金に対する貸出しの割合は九〇%を越えるありさまであります。しかも、終戰以来引続いてのインフレ期においてはもちろんのこと、最近のように有効需要の減退いたしておりまする企業といたしましても、また勤労階級といたしましても、利潤や資本の蓄積は、ほとんど期待することのできない状態にあります。従いまして、貯蓄性預金の吸收のごときは、事実上これを期待することがむりであると私どもは思う。
 一昨年末までは、巨額の政府資金の散布超過がありましたので、ようやく預金増加の形を整え得たのでおりますが、昨年は、政府の資金散布超過は三百億にも満たなかつたので、たいへんに苦しかつた。しかし幸いに、証券市場を通じて、正常の金融ルートに上つていなかつた国民資金が銀行の預金として吸收されましたので、まずどうにか助かつたのでありますが、それでも銀行は、なおも常時八百億から一千億を日銀から借入れすることを余儀なくせられておつた実情であります。
 さらに、安定恐慌に対し最も抵抗力の弱い一日三百万円以下の中小商工業者に対する貸出しが金融全体の上に持つ比重を見るに、融資件数九六・二八%、金額において五六・九六%という数字を示しておりまして、銀行が終戰以来もうかつた莫大な利ざやを、来るべき安定恐慌に備えて社内に留保いたしておきますならば問題はないのでありますが、もしもこれを留保せず、さらに進んで経営の合理化もやらず、人件費、物件費にこれを浪費したといたしますれば、経営の基盤は著しく脆弱化いたしまして、すでに自主性を失つておるものと見るよりほかにはないのであります。もし政府の企図するところの、預金支拂準備金制度というものが強行されるようなことに相なりますならば、どんな事態を招来するでありましよう。まことに寒心にたえないと存じます。従いまして、銀行業者は今後にわかに硬化いたしまして、次第にその金融の主力を優良事業または緑故事業に集中して、自衛手段の方向に専念いたします傾きの出て参りますことは必然的であろうと存じます。従つて、蔵相が期待するがごとく、これを指導して、巨額の債務償滝金を銀行を通じて市中に還流せしめるがごごときは、はなはだ疑問と言わざるを得ないのであります。
 すでに銀行に多くの期待ができないとするならば、頼むところは何か。見返り資金と予金部資金でありましよう。その適時適正なる運用ということになりましよう。しかし見返り資金は、援助物資の輸入時期というものが明確でありませんために、適時を期することがすでにできない。また預金部資金にいたしましても、来年度において国債の償還金、地方貸付金並びに公団整理による回收金、さらに郵便預金の増加等を見越しまして、八、九百億の運用資金は期待することができましようが、これまた年間を通じての見込額でありまして、はたして政府の所期いたし実すがごとき金融債や祉債投資に対して適時適正の運用ができるかどうかということについては、多大の疑問を持たざるを得ないのであります。
 かように見て参りますと、大蔵大臣の財政政策の基盤をなしております点が根底より動揺し、はなはだ私どもは不安にたえないのでありますが、はたしていかん。もし、しからずとおつしやいますならば、ここに数字を示して詳細なる説明を願いたいと存じます。
 第三に、政府の経済政策について伺いたいと存じます。
 その一つとして、貿易の伸張と為替レートの問題を承りたいと考えます。日本経済の自立、日本経済の復興再建に、一にかかつて貿易の伸張にあるということは、私が申すまでもありません。政府は、二十四年度の予算編成にあたりまして、集中生産方式をとられ、飢餓貿易を唱え、あらゆる消費を押えて輸出物交の増産に挺身し、一切を貿易の振興に集中いたしまして、われわれに耐乏生活を求めたのであります。ところが、その結果はどうであつたか。成績は振わず、滯貨は山積して、心あるものをして憂慮せしめたのであります。しかるに政府は、今回その演説において、来年度における輸出入貿易の前途を非常に楽観せられまして、国民に対し耐乏生活を求め、貿易の振興を促すなどということは、すつかりお忘れになりまして、あたかも講和の基礎すでに成れりというがごとき楽観説であつたのであります。しかし、その楽観にもかかわらず、輸出貿易管理令の改正を余儀なくせらるるところの事態にぶつつかつておるということは、一体何を物語るのでありましようか。
 元来日本の経済政策は、生産の合理化と輸出の振興が中心となりておりますが、日本の産業は、技術白書にも明白でありますがごとく、英米のそれに比しまして、十年ないし十五年も遅れておるといわれておる。はたして現在、英米商品と太刀打もてきるであろうか。経営の合理化も進まず、金利また国際水準に対してはるかに開きのありますわが国の商品が、国際競争の圧力ははたして耐え得られるかどうかということは、多大の縣念なきを得ないのであります。ついで対中共貿易を期待することができるであろうか。さらにまた、東南アジア諸地域との貿易が、最近における国際情勢の險惡な空気のもとに、はたして予期の目的を達することができるであろうか。
 さらに進んで貿易振興の上に重大なことは、為替レートに関する問題であります。一ドル三百六十円と決定せられた後、昨年の九月、ポンドの切下げによつて輸出産業に重大なる打撃を受けましたことは、いまさら申すまでもありません。しかるに現在は、昨年の九月の切下率をさらに下まわる実情を示しまして、第二次切下説すら国際的に流布せられております事情にかんがみまして、今日われわれは、貿易振興のためにレートを改正する必要はないかということを痛切に考えざるを得ないのであります。
 旧来、日本の輸出は繊維製品に重点が置かれておつたのでありますが、今や重化学工業品にかわつて参りました。従つて、今のレートでは、産業を合理化しても、競争の重圧に耐えないではないか。また外国新聞の伝うるがごとく、外資導入のためにも円レートが高過ぎて、これを改訂するの要はないか、切実に考えざるを得ないところの実情にあるのであります。これに反対いたしますものは、もしも改訂をするならば、米の輸入が高くなるというのでありますけれども、その割当を進捗いたしまして、本年度内のわく内に決定をいたしますのならばそれで済むし、またこれだけの問題でこの問題を片づけるわけには参りません。当初銀行や紡績業者の一部に、インフレになるからいけないと反対をいたしておつたものがありますが、最近におきましては、それすらもほとんどなくなつた事情がありますことは、私の申し上げる事でもないところであります。インフレは均衡財政で円を押えておるから、その懸念がないではないかと思う。従いまして、日本復興のかぎを握る貿易振興のめには断固為替レートを改訂すべきものであると考えますが、大蔵大臣の所見いかん。
 その二として、政府は、インフレは終息し、国民経済は安定したと言うておりますけれども、これははなはだ事実に反すると私どもは考える。まず、労働者、農民、中小商工業者は、いかなる事態にあるのでありましよう。大産業資本家、大金融資本家は、政府の施策のおかげによつて安定をいたしておるかわかりませんが、労働者、農民、中小商工業者の窮乏は、次第にその深刻さを加えておつて、配給物すらもこれを受け得ない実情にありますものは、その数が次第に増加しつつありますことは、前国会におきましても、当席において私が申し上げた通りである。政府といえども、これを否定することはできますまい。かくのごとく、労働者や農民や中小商工業者等を犠牲にいたしまして、一部資本化が安定したといたしましても、断じてそれは健全なる安定であろうということはできません。断じて楽観すべき事態ではないと私は思うのでありますが、政府の所見いかん。
 次いで、株価の暴落についてお尋ねいたしたい。経済界のパロメーターともいうべき株価が暴落し、国会における政府の楽観演説にもかかわりませず、なお低迷の域を脱しないということは、いかに経済界の実体が惡化しておるかということを物語つて余りあるものと存じます。しかも、最近の株価暴落は、経済界のデフレ状態を反映いたしておりますると同時に、事ここに至らしめましたところの政府の責任は重大であると私は思う。大蔵大臣は、今回の演説において、株価の憂欝は諸般の原因によるもであるとおつしやつた。しかし、その内容わ示さなかつた。はたしてその原因は何にあるとお考えになるか。
 一昨年秋以来の株価暴落は、明らかにインフレ的であり投機的であつた。従つて、これが大反動の起るべきことは予想されたにもかかわりませず、政府は、しいてこれを抑制しようともせず、逆に投機熱に便乗いたしまして、大量の株式増資を許したのであります。いな、奨励したのであります。すなわち政府は、企業再建設備は名目だけの借金でやつてはいけない、自己資金でやるべきだとおつしやつて、増資せよせよと勧めた。増資は、いわゆる余剰資本のあるところでなければやれませんので、わが日本のごときに至りましては、証券市場でこれを調達するよりほかはないでありましよう。そこで証券業者は、その増資株消化のためには株の景気の出るようにしなければならないので、その株価つり上げの工作がいろいろと講ぜられた。これは自然の勢いであります。
 まず伝えられたのは何か。為替レートは、三百六十円は切り下げられるのだ、インフレ景気がさらに出るのだ、株を買つておけば、もうかるのだと言つた。またいわく、今度のシヤウプ勧告案で税制は改革される、そこで費産の再評価が行われる、すると会社の資産は何倍にも何十倍にもなる、株を買つておけば何倍も何十倍もの財産を獲得することができるのだと、こう言つた。他面政府は、この宣伝に歩調を合せて株式民主化運動なるものを起し、ラジオまでも通じて、株を買え、株を買えとおつしやつた。
#11
○仮議長(庄司一郎君) 佐竹君に申し上げます。あなたの時間は、もうオーバーしておりますから……。
#12
○佐竹晴記君(続) もうわずかで済みます。こうなると、第一に動いたものは、利潤をあげ得ないで不景気にあえいでおつたところの中小商工業者である。株を買つてもうけようと、さいふをはたいてつぎ込んだ。地方の農家までも、たんす預金を投げ出した。労働者は、退職金を投げ出して、これを買えばもうかるとのみ信じて株を買つた。ところが、どうでしよう。この鳴り物入りで宣伝をいたしておりましたところの三百六十円レートの切下げは行わないと来た。シヤウプ勧告案の資産再評価をしても、五箇年間は社外に出すことはできぬのだ、こう来た。おまけに、株券を堀画したならば、一箇月内に名儀を書きかえろ、税金をとる、と来た。株熱に浮かされておりました血中が、びつくりぎようてんをしたのは当然であります。それに国内購買力はなくなる。物をつくれば損をする。貿易は振わぬというので、たちまちいや気がさして、株熱は一齊に冷却し、投売り、投売りが始まつて、暴落に次ぐに暴落、今日の惨状になつたのであります。かくて、大衆は大打撃を受け、泣くにも泣かれず、株には一ぺん懲りということになつて、株を通じての資本の蓄積は不可能に陥り、経済の復興に支障を来したのであります。私の言うところが真実であるといたしまするならば、政府の罪は重い。深い。その責任は重大であると考える。政府は、いかにその責任を感ずるか。将来に対する対策いかん。詳細に示したいと存じます。
 なおいろいろ承りたいと存じましたが、時間がありませんので、これをもつて打切リます。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
#13
○国務大臣(吉田茂君) 佐竹君にお答えをいたします。私が施政の演説の中において、自衛権を突然唱え出したのは、全面講和ができないという見通しからであろう――これは佐竹君の推測であります。私が自衛権の問題に論及しましたのは、戰争放棄によつて、あたかも日本の安全保障が危険になつたというようなふうに感ずる向きがあつて、しきりに安全保障ということが出ますから、武力によらざる自衛権は国家として存在するものであるということを申したたけであります。(拍手)
    〔国務大臣池田勇人君登壇〕
#14
○国務大臣(池田勇人君) 佐竹君の御質問にお答えいたします。
 まず第一点は、価格調整補給金を減らしたために、物価が土つて国民は非常に困つておる、こういうお話でございまするが、政府。歳出をできるだけ縮めることは、われわれの方針であるのであります。従いまして、前年度に比べましては、一般会計より特別会計への繰入れを千億円ばかり減らしました。その次に価格調整費を九百億円減らして、その金を減税と国債の償還と公共事業費に向けたのであります。しかして、物価はそのために決して上つておりません。(「肥料が上つておるじやないか」と呼ぶ者あり)国民負担は、中央地方を通じまして、農民におかれましては大体半分以下の負担になります。御承知を願います。肥料の問題につきましては、肥料は昨年中に二割五分上げました。しかし、まだ原価に持つて行つて足りませんので、どんどん肥料は上げて参りまするが、上つてもいいように米価をきめておるのであります。
 次に銀行の経営の問題についてでありまするが、銀行の経営は短調に行つております。預金と貸出率の割合で御心配のようでありまするが、預金を貸し出すよりほかに使う道かないので、ただいまのところは、そういう率になつておりまするが、決して心配はいりません。見返り資金、預金部資金の運用につきましては、財政演詮で申し上げだ通りであります。
 為替レートの問題につきましては、お話にもありましたように、ほとんどこのごろレートの問題がありません。これは結局、三百六十円が適当であつてこれを動かさなくてもいいという証拠であるのであります。各国ともこのレートで行くと私は見通しをつけております。
 次に株価の問題でありまするが、御承知の通りに、インブレをやめまして安定に向いますときには、どこかにしわが寄るのは当然であります。私は、そのしわが株価に寄つておるということを認識いたしまして、先般来いろいろな手を打ちまして株価上昇に努めておりまするが、最近また別の手を打ちましてどんぐ上つて行くような方法を論じたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣青木孝義君登壇〕
#15
○国務大臣(青木孝義君) 佐竹議員にお答えを申し上げます。佐竹議員の御質問は、政府が経済安定を買つておるが、農民及び中小商工業者の犠牲において大産業とか大金融資本の安定をはかつておるのじやないかという御質問であつたよ思います。政府は、国民経済全体の定定、健全化を念願として諸般の施策を進めております。企業の規模であるとか産業の種類によつて区別はいたしておりません。安定施策の影響を見ましても、補給金の削減とか、あるいは單一為替レートの設定等によつて、産業界全般にわたつて高度の合理化を要求せられている実情であります。ただ実際問題として、資本の零細な中小企業や少額所得の農業等が安定施策によつて受ける影響も広汎にわたり、かつ社会的な問題も含んでいるので、政府といたしましても、これらの問題について適宜対策を講じております。すなわち中小企業については、協同組合組織の普及徹底ということ、それから産業資金の増加拡大、企業集団による企業内容の強化、また農業に対しましては、農地改良であるとか利水、それから農業基盤の強化等に力を盡して、そのために極力見返り資金をも使用しようということに、せつかく努力中でございます。(拍手)
#16
○仮議長(庄司一郎君) 佐竹君よろしゆうございますか。
 世耕弘一君。
    〔世耕弘一君登壇〕
#17
○世耕弘一君 私は、公正倶楽部を代表いたしまして、簡單に質問を申し上げたいと思うのであります。時間がありませんので簡單に申し上げますから、御清聽を煩わしたいと思います。
 私の最初に総理大臣に御質問申し上げたいことは、カイロ宣言並びに本年一月五日のトルーマン大統領のステートメントにおきましても、台湾は中国から盗んだ領土であるとう、かように言明されておるのであります。この点は、われわれは過去の幾多の歴史的事実におきましても、また内外の文献によつて調べてみましても、台湾が正当な條約のもとにわが国に所属したということは明らかになつておるのであります。私は、この際日本の名誉のためにこの誤りの是正を要求したいと思うのであります。総理は、この点について、いかなるお考えを持つておられるか、お尋ねしておきたいのであります。
 次に第二点でございますが、総理は武力なき自衛権を主張されております。私は、総理のお気持はよくうかがえるのでありますけれども、この点に関しま種々な誤解を生じておりまするから、具体的な説明を求める次第であります。一例を申し上げますならば、たとえば動物の自衛権ということを考えてみると、牛は角で自分を守り、馬はあと足で自分を守るという例がある。しからば、首相のいわゆる自衛権の実体は何を指すかと開きたいのであります。私の見解は、自分自身の実力によつて自分を守ることがすなわち自衛権であると考えております。人間に生存権があるごとく、同時に自衛権は当然あるべきだと思います。この点、総理のお考えは、私は適当なことと考えるのであります。この点に関しまして、なお碎いた御説明を願いたい。
 第三点は、ただいま問題になりましたが、全面的講和は、日本人といたしまして、みな要望するところであります。またわれわれの理想とするところであります。しかしながら、われわれは、今日形式論よりも実をたつとぶ。この意味において、早期講和を実質的に要望しておるのが日本人の国民感情ではないかと私は思います。この点に対して、総理の御善処が願いたい。
 なおまた、次に申し上げたいことは、永世中立という言葉がありまするが、実力を持つて初めて自衛ができるけれども、結局永世中立は、実力を持つて自衛すれども攻撃はせずというところに、いわゆる中立の観念が現われるものと私は考えております。ゆえに、無力の自衛権、無防備な中立宣言は、いたずらに侵略者に対して両手をあげるよりほかにないと私は思うのであります。現に第一次欧洲戰争においても、ベルギー、オランダの実例を見たら、諸君はよく御承知だろうと思うのであります。正義は力なりということは、有名なリンカーンの述べられたところでもありまするが、今日の講和問題が、いたずらにから念仏であつてはならぬということを、私は主張したいのであります。
 最後に総理にお尋ねいたしたいことは、この議場においても、軍事基地を貸しては惡いとか、あるいは貸すとか、いろいろな議論が述べられおるようでありますが、自分の屋敷内や近所に交番ができるとか、あるいは近くに警察ができるということは、何ら反対する理由は私は認められません。むしろ、ややこしい思想を持つ連中が、ややもすれば、かような明瞭な事実に対して反対するきらいがあることを、私は戒めておきたいと思うのであります。
 次に、吉田内閣によつて統制が次第に解除せられているという事柄に関し、その御努力に対しては私は敬意を表したいと思います。しかしながら、統制解除に伴うところのいろいろな犯罪の発生あることを予測しなくてはならぬ。どうぞ総理は、この点に思いをいたして善処されたいということをお願いしたい。なおまた、統制の根幹が主食問題にあるということに考慮を拂われんことを望む次第であります。
 以上で総理に対する質問を終りまして、大蔵大臣に二、三点お尋ねいたしておきます。
 ただいま佐竹君の質問に対して、大蔵大臣は、為替レートは動かす必要はないとおつしやつた。これは大蔵大臣の立場として、一応しかあるべきであると私は思います。しかしながら、今日のいわゆる滯貨物資のあり方等に関しまして、この実情から見て、外国貿易の対策に対して一考を煩わさなくてはならぬ時期であるということを、私はここに漸言しておきたいと思うのであります。
 第二点といたしまして、政府の金融対策は、金融資本家偏重のきらいはないか。この際政府は、産業経済の面に具体的なてこ入れを必要とすると私は考えるのでありますが、この点に関して、大蔵大臣はどういう構想があるか。
 第三点は金利引下げの問題であります。金利引下げの問題を大蔵大臣は声明されたと思いますが、はたして金利引下げによつて今日の行き詰まつた産業界が救済されるか。逆の結果が起きはせぬか。産業界には、現在一割ないし十割の高利が横行しておる。その裏を流れる形がかどういう原因であるかということを察知されて金利政策に手を打つべきである、私にかように言いたい。
 次に不換紙幣――インフレ紙幣から兌換紙幣に復帰するの見通しほどうか。
 第五には、現在の状況から見まして、通貨の数額は何億円程度が適当と思うか、すなわち将来の見通しいかん。
 最後に、二十五年度の国民所得をどの程度に見積つてこの予算を計上されたか。以上の点は大蔵大臣から御答弁が願いたいと思うのであります。
 次に法務総裁に御質問申し上げたいことは、超国家的な政党が日本に存在する場合――現在私はあると思いますが、政府はいかなる法令かうもつてこれを取締るつもりであるか。(「仮定のことは答弁できぬよ」と呼ぶ者あり)仮定のことではございません。これは事実であります。私は申しますが、野坂理論というのが最近やかましく唱えられた。私は、共産党の理論の中で、野坂理論は非常にいいと思う。ところが、最近それが是正されたということを聞きまして、実は遺憾に考えております。以上の点が法務総裁に対する質問であります。それから文部大臣に御質問申し上げます。私立大学と官立大学は、国家的見地から、現在においては同等に国家が取扱うべきである。かような建前から、国家予算の編成にあたつて、これを均等に分配するという考慮が拂われているかどうか、この点であります。私は、ここに江本を持ち出して来ましたが、最後に申し上げたいことは台湾の歴史でありましす。台湾の歴史は、御承知の通り西暦七一年の景行天皇の時代から台湾問題が取上げられておるようであります。台湾が中国に帰属されたのは、オランダとの国交の後であります。その以前に、浜田彌兵衛、朱印船、長崎の商人が寛永元年に出て、あの台湾の問題を処理したということは皆様御記憾になるでしよう。カイロ宣言並びにトルーマン大統領のステートメントにおいても、台湾は日本が盗んだということを宣言されておりますが、ただいま私がここに持つて参りましたこの著書は、エール大学の教授グリスオールドという人の書いた本でありますが、これによりましても、盗んだという言葉は出て参りません。なおもう一つは、これは御承知通りウエプスターのデイクシヨナリーであります。これほ世界的な名著であります。この著書によつて申し上げますると、日本は外国から與えられたということを書いております。ストールンという言葉は使つておりません。ギヴンという言葉を使つておるのであります。諸君は、台湾問題を、ただ簡單に考えておられるが、私は、この根拠ある文献、この根拠ある理由によつて、日本の名誉のためにこの誤りを是正してもらいたいという建前から、この本を持つて来たのであります。
 以上をもちまして私の質問を終ることにいたします。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
#18
○国務大臣(吉田茂君) 世耕君にお答えをいたします。
 台湾の帰属についての御意見は、まさにその通りであろうと思いますが、しかしながら、今日日本といたしては、ただちにその正是正を要求する地位に、不幸にしておらないのであります。いずれ独立を回復いたしました後において、適当な機会に、そういう是正をなし得る機会があらんことを希望いたします。(拍手)
 また武力なき自衛権についてのお尋ねでありましたが、これは、過日も私がここにおいて説明をいたしました通り、いやしくも国が独立を回復する以上は、自衛権の存在することは明らかであつて、その自衛権が、ただ武力によらざる自衛権を日本は持つということは、これは明瞭であります。しからば、その内容はいかに。これは、この間もここで説明いたしました通り、自衛権を行使するに至る状況――いかなる状況によつて自衛権をどう発動するかということは、まつたく外来の事情によることでありまして、その事情によつて、状況によつて、自然自衛権の内容も違うことと思います。また、全面講和は理想であるが、なるべく早く講和を希望する、これは私も御同意であります。全面講和は希望するところであり、かつ早期講和をわれわれは希望せざるを得ないのであります。ただお話の軍事基地云々のことについては、常にここで私が言明いたします通り、いまだ具体的交渉問題になつておりませんから、何らの照会を得ておりませんので、ここにおいて申し述べることは、差控えます。(拍手)
    〔国務大臣池田勇人君登壇〕
#19
○国務大臣(池田勇人君) 世耕君にお答え申し上げます。
 滞貨が相当できたから為替レートを下げてはどうかという御質問でございまするが、昨年九月ボンド切下げ当時、滞貨はふえて参りましたが、その後だんだん減つて来る状況に相なつております。しかして貿易は月々ふえて参つておりますので、為替レートを引下げる必要は全然ございません。
 次に、金融資本家偏重の弊があるというお話でございますが、金融資本家偏重の弊とは、内容がわかりません。産業貸本につきましては、十分その調達の円滑を期するよう努力いたしております。金利の引下げは、やみ金利がいかがであろうとも、またやみ金利が高ければ高いほど、できるだけ早い機会に、できるだけたくさんの引下げをするということが私の念願であります。最近二厘下げたのも、このゆえに基くのであります。
 次に、金本位制の復帰はいつかという御質問でございまするが、ただいま管理通貨制度をしいております。ただいまの状況では、いつ金本位に復帰するということを、ここにお答えする時期ではないと思います。
 なお通貨の適正な数量はどうか。ただいまの数量が適正と考えております。
 国民所得は、昭和二十五年度はどうなるか。ただいまりところでは、三兆二千五百億円と計算しております。昭和二十四年度は三兆七百億円でございました。(拍手)
    〔国務大臣殖田俊吉君登壇〕
#20
○国務大臣(殖田俊吉君) わが国の民主化のために極端なる国家主義の団体を禁止いたしますことは、団体等規正令第一條に明記しておるところでございます。さて、特定の団体をいかなる場合に具体的に解散をいたすかは、その第二條が七つの項目にわたつて明記いたしております。私どもは、この規定を厳重に励行いたして参るつもりであります。(拍手)
    〔国務大臣高瀬荘太郎君登壇〕
#21
○国務大臣(高瀬荘太郎君) お答えいたします。私立大学と官立大学とは、教育の国家的重要性あるいは教育の公共性というような見地から申しますと、まつたく同様のものであります。けれども、その制度及び運営の見地から申しますと、それぞれ独自の性質と特色を持つものでありまして、従つて国家予算との関係におきましては、根本的に異なるのが至当だと考えております。私学の本領というものは、御承知のように、その独自の教育と学風をもちまして特色のある発展を期するというところにあるのてあります。それがためには、その財政的な基礎も十分に独立をはかつて、国家予算に依存するために生ずるようないろいろな制約を受けないようにするという、これが最も望ましいことであると私は信じております。(拍手)
#22
○仮議長(庄司一郎君) 世耕さん、よろしゆうございますか。――この際運輸大臣から、きのうの前田種明君の質疑に対する答弁に関し発言を求められておりまするから、これを許します。大屋運輸大臣。
    〔国務大臣大屋晋三君登壇〕
#23
○国務大臣(大屋晋三君) 昨日、本会議におきまして、前田議員の質問に対しまして私が御答弁申し上げました拿捕船に関連した事項中、最大の二十八大洋丸が一月二十六日返還通告を受けたように申し上げ才した。しかし、同船は、他の情報から、一応拿捕されたものと認定していたのでありますが、調査の結果、事実は、追跡はされたのでありまするが、拿捕されないで、下関に無事入港したことが判明いたしましたので、そのように御訂正申し上げます。(拍手)
#24
○仮議長(庄司一郎君) 北二郎君。
    〔北二郎君登壇〕
#25
○北二郎君 私は、農民協同党を代表いたしまして、総理、各関係閣僚に対して若干の質疑を行わんとするものであります。講和問題初め一般諸問題につきましては、すでに各党代表において盡されておりますので、従つ一私の質疑の範囲は、わが党の最も深き関心を有するところの農村経済、農家経営などに限定いたしたいと思います。何とぞ総理初め関係閣僚の率直な御答弁をようぼうするものであります。
 今や左右両翼の世界的争いの中に立つわが国は、国内もまた同様の争いが熾烈化しつつありますことは、すでに御承知の通りであります。講和條約を目の前にいたしまして、この大切な時期にあたりまして、吉田首相は、相かわらず年度の主張であられる、右に偏じた政治原則を振りかざして行かれるのであろうか。それでは、かえつて共産主義を育てる温床になるおそれなしとしないのであります。さりとて、私の問わんとするところは、例の芦田内閣のような無原則な中道政治の二とではありません。これはすでに明確に失敗であつたことは、おおうことのできない事実であります。しからば、この際、右と左、すなわち資本主義哲理とマルクス主義哲理の両者の最も調和されたところのすぐれた原則、管理によつて世を導かなければならないと同時に、これを裏づけするところの経済組織を用いなければならぬと思いますが、吉田首相は、この点明確な御答弁を願いたいのであります。万々吉田首相には、さようなことはなかろうと思いますが、政治を行うのに、原則とか哲理とかは必要はないなどとお考えになつておるはずはないと思いますが、もはや今日では、原則、哲理をかえて、時に応じて、出まかせに、うまく政治をやつて行くのでは、国民をして納得せし切ることができませんので、明確なお答弁をお願いしたいのであります。
 さらにまた、最近の政府のやり方でありまするが、敗戰によつて資本主義がまつたく行き詰まり、現在がその底であろとさえ言われておるにかかわらず、政府のあらゆる術策のうちには、姑息とさえ思われる方法をもちまして、この資本主義の牙城を守り拔かんと努力されておるかりように見えるのでありますが、この結果、国民は働くにも働かれず、従つて生産はきわめて減退し、しかも来年度の予算は、政治的に一番力の弱い農民に一切犠牲を負わしておるのであります。どこに国家復興の光がありましようか。総理及び蔵相のおつしやるところの生活の安定せるものは、一部資本家のみでありまして、全国四千万農民は言うに及ばず、都市階級においても、市民、中小商工業者に、深刻な生活苦に呻吟いたしているのでありまして、この点もあわせて総理の御構想をお伺いしたいのであります。
 私の質問の第二点は、政府の失業対策としての電力開発の問題でありますが、仄聞するところによりますれば、見返り資金の大幅制減によつて、政府のさきに示された全国三十三箇所の電源開発が、きわめて困難ということでありますが、これについて大蔵大臣にお伺いしたいのであります。
 言うまでもなく、日本の産業の再建も、文化国家としての内容の充実も、婦人の解放も、一にかかつて電力の潤沢度いかんにかかつておると申しても過言でなく、ことにわが党といたしましては、農民電化による農家主活の充実、農業経営の合理化を推進する立場からも重大な関心を有するものであります。また化学肥料の増産にいたしましてもしかりでありまして、全国農村は、政府の計画を聞くや、多大の期待に喜んでおるのでありますが、いま少しこの計画について、経済安定本部長官に具体的に示していただきたいのであります。
 次に通産大臣にお伺いしたいりであります。電力料金でありますが、さきに政府において決定いたしました料金の大幅引上げ、割当超過電力料金制度の新設は、たださえ逼迫しております家庭経済を恐怖に陥れているのであります。また農村の面でも、従来灌漑用電力に特設されてありました三割引制度の撮廃、あるいは需用電力量の算定方式の変更は、いわゆる機械揚水に依存する水田経営農家に致命的な打撃を與えているのでありまして、この点、政府のお考えをお聞きしたいものであります。
 さらにまた、失業すべき多数の労力を利用して、国内食糧自給のために大いに開墾事業を起すことであります。総理を初め世間では、日本は食糧の自給ができぬ国と、早くもこれをあきらめておるような空気が漂つておることを、私は常にめいわくに思つておるのでありますが、食糧のために費す年々歳々の巨額の失費を考え、その費用を国内開墾に用いることは、食糧政策の上からも、また失業対策の点からも、ぜひともこの際断行すべきであろうと信ずるのであります。日本における高丘地、山地の開拓すべき余地は、農法改良によつて、日本食糧の自給の可能性を十分に持つものであります。はたして首相に、これの決意ができておるかどうか。また農林当局におきましても、この関係において御答弁を願いたい。
 また農相ほ、しばしばこの壇上におきまして、国内食糧の自給度を高めると言われておりますが、しからば、いかなる方法によつて自給度を高めるのであるか、具体的にお示しを願いたいと同時に、これがために大いに畜産事業の振興をはかるべきであろうと思うのであります。これに対する来年度の畜産予算の大幅引上げを断行すべきであろうと思いますが、農相の所見いがん。また失業奉り労力利用の点につきましても、労相より御答弁を願いたいりであります。
 私の質問の第三点は、ただいまも触れました食糧政策の問題の基本的な問題といたしまして、輸入食糧及びこれと農村恐慌との関係についてであります。政府の来年度予算の提出を見ますと、予算帳簿の上では現われておりませんが、食糧特別会計価格調整費を洗いますと、来年度輸入食糧は、実に三百七十五万トンと決定されておるのであります。これは昨年に比較いたしましで百五十万トンの増加でありまして、食糧事情の著しい緩和になり、一応生活の明朗化が期待されるのでありますが、その反面、米作一本にたよる日本の農村は、見えざる影におののいていることもまた事実であります。
 その一つは、外国、ことに米国との比較における食糧の生産方式の問題でありまして、量大限に近代化され合理化された向うの食糧と、依然……。
    〔「時間だ」と呼び、その他発言する者あり〕
#26
○仮議長(庄司一郎君) お静かに願います。北君……(発言する者多く、議場騒然、聽取不能)
#27
○北二郎君(続) 依然搾取一本やりの日本農業との主産力の対決の時期は、近い将来に必ず来るのであります。現在すでに非戰災国である先方では、過剰生産の問題が大きく取上げられているのであります。従つて農産物価格も、これは世界的に低下し始めているのでありまして……。
    〔「時間だ」「降壇」と呼び、その他発言する者多し〕
#28
○仮議長(庄司一郎君) 北君に申し上げます。……(発言する者多く、聽取不能)
#29
○北二郎君(続) かかる波騒ぎを絶対量をさえ不足とする日本農村といたしましては、かぶらぬ道理がないのであります。不足すればこその統制でありまして、これが十分に入るとすれば……。
    〔発言するもの多く、議場騒然〕
#30
○仮議長(庄司一郎君) 北君に…。(発言する者多く、聽取不能)
#31
○北二郎君(続) もう少しです。
#32
○仮議長(庄司一郎君) 北君に中止を命じます。
    〔北二郎君発言を継続〕
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#33
○仮議長(庄司一郎君) ……執行を命じます。
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
#34
○国務大臣(吉田茂君) ただいまの御質問の各項は專門事項に属しますから、おのおのの主管大臣から答弁いたします。
    〔国務大臣池田勇人君登壇〕
#35
○国務大臣(池田勇人君) 北君の御質問の第一は、資本主義にも行かない、マルクス主義にも行かない、自分らの奉ずる中間主義がいい、こういうお考えでありますが、私はマルクス主義に反対すると同時に、ぬえ的の、中間的の考え方もいやでございます。資本主義、自由主義をモツトーとするものであることを、ここにはつきり申し上げます。(拍手)
 次に、今回の予算は農民にきつく当つていると言つておられますが、これは予算を十分御検討願います。今回の予算ほど農民に利益の予算はないと確信いたします。(拍手)その理由は、災害復旧においても、また減税におきましても、ごらんになりましたらわかると思うのであります。
 次に電源開発の問題で、どのくらい見返り資金から出るかと申しますと、今年度に百億円を予定し、すでに三十六億円出ております。来年度には百五十億円を見返り資金より予定いたしております。
    〔仮議長退席、議長着席〕
    〔国務大臣青木孝義君登壇〕
#36
○国務大臣(青木孝義君) 北君にお答えを申し上げます。
 第一は、電力開発計画と失業の問題に関連しての御質問であつたと思います。電力開発計画についてば、かねてから本年度着工工事といたしまして、水力三十二箇地点、約四十九万キロワットであります。火力八箇所、約二十五万キロワツト及びそれに関連する送変電工事を取上げて、その所要資金として約百四十五億円を見返り資金に借入れ申請中でありましだが、昨年末までに、日本発送電会社に対して、本年度中約六十一億円の融通許可が與えられました。これによつて、水力は十四箇地点、火力六箇所等の工事が可能となりました。残余のものについても、本年度中にぜひ着工し得るように、融資許可についてせつかく努力中でございます。これらの工事が起動に乗れば、年間約千二百万人の労務を要することになつて、失業救済に役立つ点が大きいと存じます。
 なお肥料増産と電力の問題であります。肥料の増産は、国民食糧確保のため極力努めまして、重要な施策としてわれわれはこれを達成したいと考えておりますが、従来電力の配当にあたつても、極力この要請に沿うように考慮いたして参りました。第四・四半期の電力の全配当は、昨年同期に比べまして九六%でありますにかかわらず、化学肥料の配当は特に一一三%になつております。これは全国電気料金の改訂によつて、電力の配当量と生産コストとの関油が従来より一層緊密になつたので、できるだけ肥料の生産コストに影響與えないように留意することにいたしております。それから配当量についても所要量を確保するよう努めたためでありまして、その結果、第四・四半期の肥料の生産は順調に達成されると考えます。今後も同様の方針で、肥料の生産については重点的に取扱つて、供給力の可能なる範囲で所要電力を確保して参りたいと存じております。(拍手)
    〔国務大臣森幸太郎君登壇〕
#37
○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。食糧の自給力向上につきまして、農業生産の拡充につきましては、北君もお聞きくださいました通り、きのう、おととい、この議場においてお答えいたしたことでありますから、御承知を願います。(拍手)
#38
○議長(幣原喜重郎君) 星島二郎君。
    〔星島二郎君登壇〕
#39
○星島二郎君 私は、民主自由党を代表しまして、吉田総理大臣の施政方針の演説に関し、特に講和問題を中心といたしまして、在野の代表質問演説が国民にある程度の疑惑の念を抱かしめ、また連合諸国に対して誤解を抱かしめてはおらないかと思うふしがありますので、與党ぶ支持する内閣に対し、質問は一応とりやめておつたのでありますが、本議場を通じて、外務大臣たる総理大臣に対して二、三の疑点をただし、国民の前に、この重大なる問題について正しき理解を求めんとするものであります。(拍手)
 第一は今期国会におきまして、全面講和か單独講和かということが論議の焦点となつておりますが、日本の運命を決する厳粛なる講和問題を論議するにあたりまして、国際法の正しき解釈並びに慣例及び内外の客観情勢の冷静なる分析と省祭に基いてなされなければならぬのに、党利党略のために(「その通り」と呼び、その地発言する者あり)これを政争の具に供しておるごとき印象を與えておることは、われわれの深く遺憾とするところであります。(拍手)全面講和を希望することは、国民だれ一人異議はありますまい。しかし、終戰以来五年を経過いたしておりますのに、いまだその期待ができない現状にあたりまして、(「それは吉田内閣のせいだ」と呼び、その他発言する者あり)いわゆる單独講和という言葉が新聞にも出て参りましたが、これは用語の上に一般に誤解を生ぜしめるおそれがありまするから、ちよつと講義がましくなりますけれども、私に、一応この点について明快に説明させていただきたい。一体、單独講和とはいかなる意味でありますか。国際法上の正しい解釈に従いますれば、数箇国の国家が連合して戰争を現に継続しておる最中に、そのうちの一国が、連合共同の戰線から脱落して、敵国と講和を締結することを單独講和と申すのであります。(拍手)これは、第一次欧州大戰の際に、口シヤが当時の連合国の共同戰線から、脱落して、ドイツと単独講和條約を結んだ場合のごときは、最もよき、実例でありまして、(拍手)現在日本のごとき、ポツダム宣言を受諾し、全面的無條件降伏をいたし、戰鬪は完全に停止され、ここに四箇年半を経過しておる今日、單に講和の細目諸條件に、多くの国は調印するけれども、一、二の国が調印せないかもしれないというような場合を仮想して單独講和という言葉を濫用することは、はなはだ誤解を招くものであります。(拍手)第一次欧州大戰のベルサイユ講和條約の史実に徴しましても、当時の中国は、山東問題をめぐつて講和條約に調印しませず、また当時米国は、ウイルソレ大統領が提唱しました国際連盟に加入しませんで、條約を正式に批准したのは二箇年後のことでありました。それゆえ、ベルサイユ條約締結当初においては、いわゆる全面講和ではなかつたのであります。(発言する者あり)
 今回、わが国の場合はどうであるかと申しますれば、ポツダム宣言受諾以来すでに四箇年を経過しておるにもかかわらず、いまだに講和が完了しておらないのでありまして、(「保守反動だからだ」と呼ぶ者あり)かかる例は歴史にないと思うのであります。英米も、またソ連も、早期講和を望むと一応の声明はいたしておりますのに、何ゆえに今日まで講和が遅れておるかということは、(「吉田内閣の責任ではないか」と呼ぶ者あり)ある国が、四国外相金議において條約案を作成すべしとの方式論を固執するからであります。(拍手)何ら條約上の根拠なく、他の太平洋戰において重大なる役割を演じた諸国の権利を無視するもりとされておりますが、その主張の固執あるがゆえに、対日平和は手続論から一歩も前進していないのでありまして、野坂君がもし全面平和を主張するならば、それはソ連に向つてなされるがよろしい。(拍手、発言する者あり)日本人の要望として、ソ連に向つて叫びたまえ。断じて吉田内閣に叫ぶのは方角違いと言わなければなりません。(拍手、「情ないことを言うな」と呼び、その他発言する者あり)。
 今や世界の政局を見ますと、いわゆる冷たい戰争の渦中にあることは、何人もいなむことはできません。かかる情勢下におきまして、米国はもとより、最近のコロンボ会議における英連邦会議は、一月十三日の声明で、対日平和條約は早期に締結すべきであるとい点で、全般的に意見の一致を見ております。英国、オーストラリア、ニユージーラソド、インド、パキスタン、セイロン等の諸代表が、早期締結の発言をしたということであります。近くは台湾の国民党政府も対日平和の早期締結を要望し、またカナダ外相も、同じくこれを要望しております。かように、連合国におきまして早期平和の機運が力強くなつておることを忘れてはなりません。かくのごとく、多数の国々が対日講和を進めようとしておるときに、ある国が方式論を固執してこれを遅らせておるならば、これをあとまわしといたしまして、この際講和を促進しようという外電が年末報じられたときに、国民は、暗夜に一点の光明を認めて、俄然講和近づけりとの期待を持ちまして、喜んでこの新年を迎えたのではありませんか。(拍手)
 われわれは、終戰以来四箇年半、総司令部の好意ある取扱いと、吉田総理のいわゆる日々講和ということに心がけて、内において民主政治を確立し、経済自立へ長大足の進歩を見せた。対外関係におきましても、長年月にわたる鎖国状態から急速に国際社会復帰の機運となり、まことにこの点御同慶にたえません。しかし何と言つても、いま一歩これを進めて、占領状態に終止符を打つて独立国家となり、外国との交通が自由になつて、わが国民に新たなる給持と希望と気力とを與えて、進んで自己の運命を開妬しようとする機運を進める、この意味におきまして、一日も早く平和條約の成立せんことを切望するは、これわが国民一般の感情を代表するものと深く確信するもりであります。(拍手)
    [発言する者多く、議場騒然〕
#40
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に。
#41
○星島二郎君(続) そうなることが、日本復興のため多大の財的犠牲を負担しておるところの米国納税者の心情にも適合することと信ずるのであります。(拍手)一、二の国々を除きまして、連合国の大多数の国々は、すでに対日早期平和を希望し、早く日本の独立を回復せしめ、国際社会に名誉ある地位を與え、早く日本民族を世界の平和と文化の照沢に浴せしめようと企図するときに、ある国りために、いたずらに遷延するよりも、できる部分よりして行くという、すなわち多数講和と申しましよろか、ベルサイユ條約の一面から言えば、マジヨリテイ・ピースであります。このチヤンスを失わず努力していただくことは、国民の輿望に沿うゆえんであると信ずるりでありますが、総理大臣は、いかにこの点において感ぜられますか。
 連合国のうち一国でも対日中和に同調しない場合、いつまでも占領下の生活だ耐えるか、一、二国をあとまわしとしても、大多数の国々と早期講和するがよいか。これをすぐ、いわゆる單独と独断し、單独講和を主張する者は売国奴ででもあるかのごとき言を弄した人もありますが、(発言する者あり)大多数の国民の輿望にこたえるのが売国か、ある一国のために国民の心を裏切ることが賣国的か、大衆の判断にまかせたい。(拍手、発言する者多し)連合国の大多数が、日本の独立が回復し、国際社会の一員として光栄ある復帰を期待する機運が譲成せられ、国民もこの年こそはと喜んでいる際に、全面平和でなければならぬと主張して、燃えつつある火の中に冷水を浴びせて、独立の火を消さんとする行為こそ、わが国民を最期の占領下に閉じこめて、これを奴隷化する暴挙であるといわなければたりません。(拍手)
 ことに野坂君が、全面講和でなければいけないと出張するのは、米英両国の対日講和の提唱に、あろ国らが参加しないだろうということを予想して、日本人のある国に対する惡感情を防禁せんとする底意があるのか、しからずんば、日本人の対米感情を故意に惡化せしめんとする下心であると申さなければなりません。(拍手)これらの議論も、共産党の諸君が言われるのは、その性格上まだしもでもありますが、私は、民主党の北村君のごときがこれを言われるに至つては、はなはだその真意が那辺にあるかを疑うものであります。(拍手)私は、全面講和が困難の場合において、長期占領下より一日も早く独立し得て、自由なる国交の再開、自由なる貿易を振興し、一日も早く自主独立の日本の姿を見たいと思うのでありますが、総理大臣の御所信を開陳して、国民の前に明確にしていただきたいと思うのであります。(拍手)
 次に、講和を締結した場合、各国との関係について、今かりに今日の世界の情勢から、対日講和に参加しない国が不幸にしてできた場合、講和を終了しない国とわが国との関係は今日よりも悪化し、原子爆弾でも飛んで来るのではないかというような恐怖の念を抱かしめる、いな、これをまことしやかに宣伝する人があると聞きますが、しかしこれは、一九四五年九月二日、ミズーリ艦上において、降服文書に、戰争をしていたすべての国々が調印をし、完全に停戰し、それが成立しておりますから、かりに講和不参加国があつたとしても、この協定が現存している以上、その国とは今日の状態と同様の関係が続くのであつて、その関係が悪化するということばないのでありまして、さような心配は無知から生ずる
 憂か、ためにする宣伝に乗つたものといわなければなりません。この問題につきまして、総理大臣の見解を伺つてみたい。
 次に領土問題についてお伺いしたいのでありますが、将来の日本国のあり方は、カイロ宣言、ポツダム宣言及びミズーリ艦上降伏文書によつて定められている原則に立脚すべきものでありまして、この確信の上に立つて、われわれは、終戰以来、最高司令官の指導のもとに日本の民主化と平和国家の建設に努力し、新憲法下幾多の革命的変革を行つて参りました。連合国最高司令官も、しばしばの声明において、いつでも平和條約を締結し得る段階にあることを声明し、認められておるのであります。(拍手)しかし、もしこれらの文書に規定された條項について完全な履行を怠つている者があるならば、それはポツダム宣言の第九項にある「日本国軍隊ハ完全ニ武装ヲ解除セラレタル後各自ノ家庭ニ復帰シ平和的托且生産的ノ生活ヲ営ムノ機会ヲ得シメラルペシ」、この義務、これは日本に対する義務でなく、連合国間の約束で、連合国が世界に対して公約したるものであります。(拍手)――――――――――――――――――――――野坂君の言うごとく、ポツダム宣言の嚴正実地を吉田内閣に迫る前に、なせソ連に向つて嚴正実施を叫ばれないか。(拍手)ソ連圏内に残留する近親の身の上を気づかうわれわれは、この同胞のために、ソ連に対して共産党としての努力をしたらよかろろと思う。
 なお野坂君が、日本が嚴正に実地すべき国際文書、その中にヤルタ協定をあげられておる。これは驚いたことで、ヤルタ協定は、世人の知る通り、一九四五年の二月、英米ソの指導者の間に秘密に締結され、四六年二月、モスコー、ワシントン、ロンドンで公表されました。きわめて少数の三国の指導者間のみに知られたことでありまして、日本がミズーリ艦上降服文書に調印した際は、だれも知つていなかつたのであります。(拍手)同文書に明記してありますのは、カイロ及びポツダム宣言のみであります。ヤルタ協定は三国間の協定でありまして、この協定の実施は、まつたく三国間の問題で、わが領土問題に対する唯一最高の指針は、ポツダム宣言第八項の「「カイロ」宣言の條項ハ履行セラルベク又日本國ノ主権ハ本州、北海道、九州、四国及吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セクルベシ」、こういう規定のあることを明らかにしておきたい。右諸小島については、わが国民は、昔から平和裡に、諸小島あるいは南千島等の島々――長い間平穏に暮しておるわが国のこの千島に対しまして、わが国の帰属に決定されることを期待し熱望しておるものであります。(拍手)従つて、ヤルタ協定は、米、英、ソの三国のことである。かかることであるにかかわらず、野坂君は、これを取上げて吉田総理に迫るごときは、まことに奇怪しごくと申さなければなりません。(拍手)
 次に安全保障に関する問題でありますが、平和問題に関連しまして、わが国の将来の安全保障をいかにするかということにつきましては、総理から政府の確信のほどを承りました。にもかかわらず、各党各派から各様の意見が開陳されまして、思想の混乱を来しておるような印象を外国に與えはしないかと懸念いたしたりであります。戰争を放棄し、軍備を持たない日本は、永世中立の立場をとるべきであるという主張が一部にあります。一応もつともな議論であります。今日世界で永世中立国は、ただスイス一国のみであります。前に永世中立国であつたベルギーも、戰争後、永世中立国たらんとしてもできないようであります。イタリアの講和條約を見ましても、ただイタリアの国連加入を連合国が支持する旨が記載されてあるのでありまして、かりにイタリアが永世中立国たらんとしても、今日の場合できないことと思うのであります。
 日本は、憲法第九條によつて、永久に武力による国際紛争の解決をせないことを宣言し、戰争を放棄し、一切の武器を捨てました。従つて、日本の安全保障問題につきまして、講和條約はいかにこれを取扱うか、お互い非常な関心を持つわけでございます。私は、外国の一部に、日本が再び侵略国になりはせぬか、こういう危惧の念を抱いておる者がまだありや、日本が全体主義、軍国主義のとりことならぬよ、な保障の意味で、いろいろな問題が論議されておることは事実であります。しかし、ようやく最近日本の真意を理解され、連合国間におきまして、日本の安全をどうして確保すべきかという点も、あわせ考えられるようになつた情勢を考えるときに、総理のしばしば明言された、わが新憲法の精神に徹し、平和を愛好する世界の輿論を背景とし、正義と秩序とを基調とする国際平和を誠実に希求し実施することが安全保障の第一の道なりという信念には、われわれ無條件に賛意を表するものであります。(拍手)この信念こそ安全保障の中核をなすものと信じます。單に中立的立場をとるのみで戰争の渦中より脱することはできません。それはベルギーの例をとつてみてもわかることであります。
 今日の国際世界は、国際連合のような平和機構ができまして、戰争を否認し、相互間の紛争を武力行使以外の方法によつて解決しようとする方向にあり、わが国を取巻く諸国は、みた国連の加盟国であるゆえに、今日まで連合国最高司令部がわが国にいたされたる好意を信じ、わが国も新憲法に徹し、将来国連参加によつて安全保障は得られるものと信じますが、これに対し総理はいかなる所信を持つておられまするか伺いないと思います。(拍手)
 戰後に、平和の受入れ態勢整備に関して伺つてみたい。ポツダム宣言は、日本の非軍事化と民主主義の徹底化を要求していますことは、いまさら申すまでもない。わが国の講和を招来し、国際社会に復帰せんとするならば、国内の民主化を一時に深めるとともに、経済的自立に向つて上下一致の大努力をせなければなりません。ポツダム宣言違反をあえてせる国あるを指摘せずして、故意にわが国政府の施策をポツダム宣言違反なりと言うに至つては、その国籍いずれにありや、疑わざるを得ない。(拍手)アメリカの対日援助に難くせをつけ、せつかくの外交導入に反対する者は、日本の経済の復興を妨害し、暴力革命を譲成せんとする底意ある者といわざるを得ない。(拍手)コミンフオルムの批評に屈従し、中共機関紙の批判のもとに叩頭屈従する人々こそ植民地的奴隷根性であり、(拍手)かかる人々が、いかに愛国を唱えようとも、国民は決して、それを信じません。(拍手)そういう行為こそ国を売るものであつて、野坂君か、さきにわれわれに向つて売国奴的な言辞を弄されたが、この売国奴の三字は、そのまま野坂君に返上する。(拍手)少数の独裁と恐怖政治をしかんとする一切の企図、陰謀に対して、わが国民は、自由と人格の尊厳を守つて一歩も譲らざることを信じて疑いません。(拍手)総理大臣は、その所信を盆濫し、輿論の喚起に資せられんことを望みまして、私の質疑を終わります。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
#42
○国務大臣(吉田茂君) 星島君の御演説に対して、一応私からして所感を述べます。
 私は、実は今日單独講和であるとか、あるいは全面講和であるとかいつて、しきりに議論をなす人の気持がわからないりであります。今日われわれの希望するところは、一日も早く講和ができて――連合国その他の国との間に戰争状態が存在しておる。国民は、これをもつてはなはだ遺憾とするのであります。ゆえに、なるべく早く早期にこの戰争関係を終了せしめて、日本が独立を回復して、世界の文明国、国際団体の一員として、日本が従来のことく国際の間に活動し得る状態を回復いたしたいと思うのであります。(拍手)これに反対するのが共産党諸君であるかもしれないが、国民はこれを念願してやまないのであります。(拍手)いわゆる單独講和といい、あるいは全面講和といい、あるいはいろいろな議論をなさるが、私から考えると、なるべく單独講和に持つて行つて、全面講和を妨げんと欲する共産党諸君が、いたずらに言辞を弄するものではないか。これは、私は日本国民の名において諸君に抗議を申すのであります。(拍手)われわれが、かつての日本国の輝かしき歴史を考えるときに――過去を考えてみるならば、再び国際団体に、立つ日があらば、必ずかつての輝かしき歴史を繰返し得ることと考えます。(発言する者あり)今日侵略主義を標榜しておるものは共産主義者であります。(拍手)いわゆるフアツシヨといい、あるいは全体主義といい、これはことごとく共産党諸君の唱導するところであります。かくのごとき政党が日本にあるということは、私のかつて一度も想像し得なかつたことであります。いわや、愛国の名に隠れて売国奴というようなことを言われる野坂君の心情がわからないのであります。(拍手)私は、星島君の言わるるごとく、どうか日本国が講和態勢を確立して、すなわち戰争放棄に徹底して、民主化に徹底して、共産主義化することなく、列国の信頼を得て、一日も早く国際団体に復帰する機会を得たいと思うのであります。(拍手)このためには、民自党ないしわが内閣は、全力を盡して、この点に国民を率いて邁進いたす覚悟であります。(拍手)これに反する諸君は、ここに私は明言いたしまするが、共産党諸君である。国民の名において、はなはだこれを悲しむものであります。(拍手)
#43
○議長(幣原喜重郎君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#44
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、北村徳太郎君提出、講和問題等に関する緊急質問、これをこの際許可せられんことを望みます。
#45
○議長(幣原喜重郎君) 山木君の動議こ御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 講和問題等に関する緊急質問を許可いたします。北村徳太郎君。
    〔北村徳太郎君登壇〕
#47
○北村徳太郎君 講和に関する問題は民族の運命を決する問題でありますから……。
    〔発言する者多し〕
#48
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に……。
#49
○北村徳太郎君(続) 従つて、事は重大である。これほど重大な問題を取扱う場合に、この議場の光景は何事であるか、諸君は講和問題を何と考えておるか、民自党の諸君にお尋ねしたい。
 ただいま星島君は、講和問題に関して、これを党利党略に用いてはならぬという言葉がございまして、これは当然であります。私は、そういう言葉をみだりに使いたくありませんけれども、由来きわめて――――な民主自由党の諸君が、というよりは吉田総理が、もし国会を尊重して、国会において、反対党の意見に対して……。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#50
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に願います。
#51
○北村徳太郎君(続) これを忠実に聞く態度があるならば、かようなことはなかつたであろう。
 私は、第一問題になります点は、講和に関して……。
    〔「懲罰々々」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
#52
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に願います。
#53
○北村徳太郎君(続) 私は、先般の質疑において、たとえば共産党が、先般のコミンフオルムの問題を中心として、新たにその性格を暴露した。従つて、これはいわゆる向ソ一辺倒ではないか。すなわち、ソ連依存の態度を明確にしたのではないか。これに対して、講和問題を中心とするがゆえに、この問題に軽々しく論ずるわけに行かぬ。そこで、これに対する政府の態度にどうであるかということを質問するとともに、同時にまた、一方においては米英依存主義、他方においては向ソ一辺倒の傾向が強い。これに対し、はなはだしく――を呈する傾向がある。(発言する者多く、議場騒然)それでは日本の前途に対して非常に重大な影響を及ぼすその点に対して、われわれはソ連依存主義でもないし、また米英依存主義でもない。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#54
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に願います。
#55
○北村徳太郎君(続) ある一国に依存するという態度ではないのであります。従つて、この問題について首相の明快なる答弁を求める。これは、私は野党として、責任のある総理大臣から、かかる問題について、きわめて明快なる答弁をさるべきよい機会を與えたのである。それにもかかわらず、これには答えようとしない。すなわち、野党の質問に対して、これをまじめに聞こうとせず、またこれに対して、まじめな答弁をしなかつた。かようなことをあえてしておいて、いまさら星島二郎君を立てて、やおちよう演説によつて、これを何とかしようというのは、(拍手)まさに党利党略と言うほかはないりでもる。(発言する者多く、議場騒然)私どもは、かような態度こそ実は民主的な態度とは言えないと思う。また、真に国会を尊重するならば、何ゆえに国会における質問に対して明快な答えを避けたか。この点、首相の国会軽視の風がたまたま今回現われて、遂にやおちよう演説しなければならなくなつたのではないか。この点について……(発言する者多く、聽取不能)
 第二に、全面講和であるかどうかというような問題に関しても、問題の提起者は政府自身である。この問題が首相の施政方針演説の中に出て来たのであります。従つて、問題が提起されて、国会でこの重大な問題取上げて論ずるのは、むしろ当然である。但し私どもは、共産党の言うところの全面講和とは意味が違う。共産党の言うところの全面講和は、これは元来全面講和にならない。そのことは申すまでもないのであります。ただ、先ほど星島君は、マツカーサー元帥のしばしばの声明という言葉を引かれたのでありますが、連合国を代表するところの最高制令官たるマツカーサー元帥ほ、日本は太平洋のスイスたれということを声明しておるのである。われわれは、どこまでもこの線に沿いながら、日本憲法の明示する、戰争を放棄して、どこまでも平和主義をもつて一貫するという立場において、全面講和でなければならぬという点を主張しておるりであります。(発言する者多く、議場騒然、拍手)かような問題こそは、ここで諸君ががやがや言う問題ではない。これは民族の運命にかかる大問題である。(発言する者多く、議場騒然)静かにお聞きなさい。――静かにお聞きなさい。演説を妨害するがごとき態度は何事であるか。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#56
○議長(幣原喜重郎君) 静かにして――お静かに願います。
#57
○北村徳太郎君(続) 私は、今日講和問題がようやく全国民のきわめて重大なる関心事となつたことを注意しなけれげならぬ。かりて青白きインテリと言われた学者層が、東條暴政に対して抗議することができなかつた。ところが、今や日本の学者層は、この問題を取上げて、敢然として立ち上つておる。すなわち、諸君がいかに目をおおい、耳をおおわんとしても、全国の最も良心的な学者は、みな日本の前途を憂えて、全面講和でなければならないということ主張しておることは、皆さんの御承知の通りであります。かような問題こそ、学界、言論界あるいは国会等を通じて十分に論議すべきである。しかるに、これに対しまして、とかくこういう――を演ずるというようなことは、実に言語同断といわなければならない。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#58
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に願います。―――静粛に願います。――静粛に。
#59
○北村徳太郎君(続) 講和問題は、日本民族の運命に関する重大問題であります。従つて、これを論ずるこの国会が……。
    〔離席する者多く、議場騒然〕
#60
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に――着席してください。
#61
○北村徳太郎君(続) 何のために日本憲法は戰争を放棄したりであるか。これは八千万の……、(議場騒然、聽取不能)において、世界に向つて平和主義を宣言したのである。私どもは、この平和のために再び戰争をやつてはならない、再び戰争をやつてはならないという大きな理想のもとに憲法を制定したはずである。従つて、風向き次第で、この理想を引きしたり放棄したりすべき筋合いのものではない。私どもといえども、講和の一日も早からんことを望むことにおいては間違いがない。けれども、さよう政治的な独立を考える前に、われわれは精神的な独立を考えなければならぬ、かような重大な、民族の運命を決する問題において、いかに精神的自由を欠いておるか、かような点において、いま少し冷静にものを考える必要があるということを思うのであります。(発言する者多く、議場騒然)この状態は何事であるか。まことに民主自由党の諸君に対して私は遺憾に思う。(発言する者多く、議場騒然)これは民族の運命を決する問題です。これほどの重大な問題であるから――これほどの重大問題であるにもかかもらず、十一月十一日に…(議場騒然、聽取不能)……出ておるが――皆さんお聞きなさい。
 私は、日本の民族の名誉において、講和が一日も早く来ることを望んでおる。しかるにへ総理大臣の不用意千万たる発言のために、オーストラリアのエヴアツト外務大臣は何を言つたか。(拍手)エヴアツト外務大臣は、日本が今なおかような考えでおるならば、日本の外務大臣がかようなこと言つておるならば、英連邦と米国とが協議をしなければならぬと言つておるではないか。これを国民の側に転嫁して、外務大臣自身がまことに不謹慎千万なことを言つておきながら、それにもかかわらず、その責任を国民に転嫁するがごときは何事であるか。実に言語道断と言わざるを得ないのであります(拍手)
 私は、この問題に関しては、もつと冷静をとりもどして、民族の将来の運命を考えて、われわれの大きな理想に向つて、どういう困難があつても、これを突破することを誓うものであります。この意味において、先ほどの星島君の演説はまことに遺憾に思う。われわれに、今日本において、共産党による冷めたい一つのとびらが開かれたと同時に、また今の星島君のような演説を通じてうかがえるような、ある国だけに、あるいはある国家群だけにたよろうとするような卑屈な精神がある限りは、ほんとうの全面講和に向つてのこの努力というものが続けられないのである。この点が実に遺憾にたえないのであります。(拍手)
 私は、この意味において、星島君の御演説には大体反対の点はございません。けれども、これを党利党略に使つたというような点は言語道断である。これは、むしろ星島君に返上しなければなりません。それから、われわれの全面講和は共産党の諸君とは違う。この点は、先ほど明らかにした通りである。これらについて誤解があつてはならぬから、一言注意をいたしておきたいと思うのであります。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
#62
○国務大臣(吉田茂君) 北村君の御演説に対しては聞き足りない点が多くありますから、いずれ速記録を見てお答えをいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
#63
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、神山茂夫君提出、講和問題に関する緊急質問をお許可せられんことを望みます。(拍手)
#64
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#65
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
    〔発言する者多し〕
#66
○議長(幣原喜重郎君) どうか静かにお聞きください。
 講和問題に関する緊急質問を許可いたします。神山茂夫君。
  (神山茂夫君登壇)
#67
○神山茂夫君 星島君のに対する質疑を聞いておりますと、吉田総理に質疑をなさつたのか、わが野坂君に対してなさつたのか、言いかえれば、野坂君を総理とお認めになつて質疑なさつたのか、まことに奇怪な発言があつたのであります。私は、星島君や野坂君でない吉田君に若干の質疑をしたいのであります。
 星島君の講義を承りましたが、ああいう講義は、どこかの新制中学でこそふさわしく、国会には、まつたく笑うべきお話であります。いわんや、その中には事実に反した数々の発言があつて、たとえば全面講和の問題は、野党側、特に共産党から言い出したという意味の発言がありますけれども、しかし、諸君が冷静に、第六国会における総理の施政演説及び各委員会における発言の記録をごらんになれば、單独講和あるいはそれに近い表現は、ほかでもなく吉田総理その人がお使いになつている。従つて、そのしりを、わが党の、しかも野坂君に持つて来るがごときは、まつたくお気の毒なことであります。(拍手)しかも、第六国会におきましては單独講和の問題を出しながら、第七国会においては、一言も單独講和に油れ切らないではないか。施政演説そのものにおきましても、全面講和を望むといみじくも言つているではないか。このことの中には、世界の情勢が、第六国会で吉田君が考えたような方向ではなくて、逆に彼らに不利な方向になつているのではないか。いわんや、国内における講和問題が、吉田君の意図に反して、気の毒なことに、民主野党派以下すべての党が全面講和を言い出したではないか。一たび国民の中に入つてごらんなさい。あらゆる講の人々、ことに知名の学者、学盡経験者、さらには財界の有力者までも、全面講和でなくてはやりきれないと言つておるではないか。この現実を何と見るか。
 しかも問題は、單独講和か全面講和か、この問題にあるのではなくて、その問題の内容そのものにあるのであります。しかも、この点につきましての総理の発言や、今までの見解、これらのものは、すベて便宜行われておるところのなしくずしの講和、国民生活を日に日に引下げる。労務者の貸金を下げる。首切りはやる。農民には四千二百五十円の低米価で強制供出を押しつける。税金はますます重いのだ。この現実の上に、実はなしくずしの講和のみが行われておる。従つて、單独講和か全面講和かという問題は、われわれといえども……。(発言する者多し)に最近におきましては、全面講和、これが即時あらゆる国々との公正な形で結ばれることが必要である。これに対して、現在のなしくずしの講和を法律化するにすぎない單独講和や、さらには戰争の終結宣言のごときは、笑うにたえたる事態なのであります。(拍手)すでに本年の年頭の時におきまして、マツカーサ一元帥その人が、事実上の講和が達成したという意味の発言をしておられますが、総理の見解も、終始この上に立つておる。従つて問題は、将来起る何らかの問題ではなくて、今日国民そのものが解決しなければならない日常の問題と結びついておるりであります。
 星島君の講義の内容を、もし私たちに時間があれば、徹底的にここで粉碎したい。(発言する者多し)しかし、時間がありません上に、この猛烈なやじであります。(発言する者多し)そこで、私は要点だけを申し述べて総理にお聞きしたい。今星島君は、ソ同盟が講和方式を問執して、これが講和を妨げておると言つた。(発言する者多し)しかし諸君、かにしていてもらいたい。ポツダム宣言の基礎精神、モスクワにおける外相協定、これらの精神は一体どこにあつたのか。これは四箇国の相談の上での講和問題の処理を明白に意図しておるのではないか。また講和、の促進が、ソビエト同盟及び新中国から行われておるのは、星島君は知るまいが、総理は知つておるに違いない。いやしくも外務大臣であるならば、私がこれから述べるデータ、日附と伴名くらいは知つておるに違いない。
 一九四八年九月二十三日、極審委員会におけるがニユースキンの発言を知つておるか。一九四九年五月二十三日、バリ四箇国外相会議におけるヴイシンスキー代表の発言を記憶しておられるか。さらに一九四九年十一月六日、マーレンコフの演説の内容を知つておるか。これを聞きたい。もしも総理がこれを知つておるならば、また外務大臣がこれを知つておるならば――彼らは知つておるに違いない。ソビエト同盟及び新中国こそ日本の早期講和の締結のために終始一貫願つておるのは明らかな事実であります。(拍手)今日講和を妨げておえうのは、ソビエト同盟の存及び全世界の社会主義的、人民主義的勢力の存在そのものではなくて、それに対立する世界の一部の帝国主義的勢力の政策、このものこそが日本に対する全面講和を妨げておることは、今や事実が立証しておるのではないか。(拍手)
 その次に、領土問題について総理に聞きたい。領土の問題について、星島君は、ヤルタ協定のことをお忘れになつたというよりも、意識的に無視するふうな発言をされた。これに対して、総理は何も答えていない。しかし、ヤルタ協定について云々する限り、ポツダム宣言をひつぱり出すだけではなくて、ポツダム宣言の文章の上にもそうでありますが、せめては降伏直後に出ました英国の伺の対日方新、いわゆるトルーマン方針といわれておるものの一節ぐらいは思い出したがよろしい。そこには書いてある。日本国の主様な本州、北海道、九州、四国並びにカイロ宣言及び米国がすでに参加しまたは参加することあるべき協定による、と明白に書いてあるではないか。(拍手)ヤルタ協定がこの中に含まれることは明らかな歴史的な事実である。また、四九年八月に出ました対白書、この一節を今読むことは避けますが、この一節を諸君が見られるならば、ソ連との戰時における協力から、また高価なな対日戦役からヤルタ協定が生じたという前提の上にアメリカの対外政策が進められておることは、明らかな事実ではないか。この明々白々たる事実を、星島くんは知らなくてもよろしい。だが、外務大臣は知つておるに違いない。この点について聞きたい。
 さらに、ソビエト同盟の憲法が改正された場合、英米がこれを高価に見積つておる事実、この事実こそ、ヤルタ協定に基く領土問題がずでに国際的に解決されていることを冷酷に証明しておるではないか。(「千島をとられてもいいのか。」と呼ぶ者あり)この問題を考えろことなく、いたずらに千島々々と騒ぐ諸君は、かつてヒトラーがドイツの国境問題をとらえて、あの世界戰争を発した手と、まつたく同じことだということを知らなければならない。(拍手)
 引揚げについて、星島君が何らかの発言をした。引揚げ問題について、総理及び外務大臣にはつきり聞いておきたい。外務省は三十七万という基本数字を出しておるが、この数字そのものを立証つする根拠を国会に提出してごらんなさい。この根拠は、すでに昨年中において、外務省において焼き捨てられたといううわさがある。こういう事実がなければ、ここに出してごらんなさい。出さなければ、この焼いたということの裏づけになるのであります。われわれは、必要であるならば、この事実について国会に証人を出す用意がある。外務大臣は、この事実を知つておるか知らないか、この点についてお聞きしたい。
 さらに星島君がポツダム宣言を論ぜられたのは大いにけつこうであります。大いにけつこうだ。けつこうであるが、それならば、第九條だけではなくて、ポツダム宣言の全精神を見て言つてもらいたい。ポツダム宣言には何と書いてあるか。われわれは日本を奴隷化せんがために来にあらず、と書いてあるではないか。ポツダム宣言には書いてあるではないか。日本を日軍事化し、日本を民主的に再建する、と書いてあるではないか。
    〔発言する者多し)
#68
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に。
#69
○神山茂夫君(続) さらに書いてあるではないか。日本に民生的な人民政府ができるならば、民主的な政府ができるならば連合軍は退する、と書いてあるではないか。たまには星島君も思い出されるがよろしい。総理はこれを知つておられるかどうか、一言お聞きしておきたい。
 安全保障の問題につきましても、言うべきことはたくさんあろます。しかし、前国会におきまして、総理その人が、ある場合にこういう発言をしておられる。一部的な集団保障もやむなしというような発言をしておる。これに比べますと、星島君すべての大国を含む安全保障を言われるのは、まことに星島君のためにも、民事党のためにも、総理のためにも、おいすべきことであります。なぜか。現実そのものの圧力だ。国民の圧力だ。この圧力の前に、らが言つた集団的保障、あるいは軍事協定、あるいは特定の国との軍務同盟などという寝言が言えなくなつたではないか。しかも、この裏返しとして、一方では自衛権の問題を出しておる。自衛権の問題を出しておる。諸君、私はここで、りくつを言う必要はない。第六国会で吉田総理がした自衛権問題に関する発言と、今回の施政演説における自衛権問題についての発言と同じか。違うのであります。かつては自衛権を認めないと言つた。それが、今では自衛権を認める見地に立つておる。この変化は何によつて生れたか、吉田総理に聞きたい。
 しかも、ここで諸君に訴えたいのは、施政方針の中で、総理は、東洋の平和、東洋の平和と、二言目に言つておる。あの、東洋平和のためならば、という歌を思い出さないか。(発言する者多し)また日本の軍が、かつて満州に侵略して行つたときに、自衛権々々々の名前によつて侵略して行つた事実と、今日の東洋平和の其とは、緊密に結びついておることは明らかではないか。ただ違う点は、かつては日本は、あれでも独立国であつた。今日においてはどうなるのか。まさに問題はここにあるのであります。今日の世界情勢の中における日本のが、極東における防共基地といわれておることは、諸君だれでも知つておるではないか。あの防共々々という宣伝によつて、実は日本の軍閥が侵略して行つたことを、諸君といえども忘れてはおるまい。平和の受入態勢をつくると星島君は言つておる。けつこうだ。しかし……。
#70
○議長(幣原喜重郎君) 神山君、時間が参りました。
#71
○神山茂夫君(続) まただ。横暴だよ。なぜ途中で注意しないのだ。(発言する者多し)それでは、党の方でもおりろと言いますから、おります。これが、あなた方の正体です。(拍手)
    〔発言する者多し〕
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
#72
○国務大臣(吉田茂君) 速記録を見た上でお答えいたします。ほとんど聞きとれなかつたものでありますから、答弁ができないのであります。(拍手)
#73
○議長(幣原喜重郎君) 先刻の北村君及びただいまの神山君の発言中不適当の言葉があれば、速記録を取調べた上、適当のをとることといたします。
     ――――◇―――――
#74
○議長(幣原喜重郎君) おりいたします。議員戸叶里子君より、米国における政治の実際見学のため、二月二日から五月二日まで九十日間請の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼者もり〕
#75
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後三時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト