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1972/02/28 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号
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1972/02/28 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号

#1
第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号
昭和四十八年二月二十八日(水曜日)
   午前十時六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 一月二十七日
    辞任         補欠選任
     加瀬  完君     和田 静夫君
     小林  武君     上田  哲君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         渋谷 邦彦君
    理 事
                辻  一彦君
                矢追 秀彦君
    委 員
                江藤  智君
                源田  実君
                永野 鎮雄君
                鍋島 直紹君
                船田  譲君
                上田  哲君
                森 元治郎君
                中村 利次君
                星野  力君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       前田佳都男君
   政府委員
       科学技術政務次
       官        伊藤宗一郎君
       科学技術庁長官
       官房長      進   淳君
       科学技術庁長官
       官房会計課長   高須 儼明君
       科学技術庁計画
       局長       長澤 榮一君
       科学技術庁研究
       調整局長     千葉  博君
       科学技術庁振興
       局長       田宮 茂文君
       科学技術庁原子
       力局長      成田 壽治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (昭和四十八年度科学技術庁関係の施策及び予
 算に関する件)
 (原子力開発及び原子力発電の安全性に関する
 件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(渋谷邦彦君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る一月二十七日、加瀬完君及び小林武君が委員を辞任され、その補欠として和田静夫君及び上田哲君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(渋谷邦彦君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。
 まず、前田科学技術庁長官から、科学技術振興のための基本施策について、その所信を聴取することといたします。前田長官。
#4
○国務大臣(前田佳都男君) 第七十一国会にあたり、科学技術庁長官としての所信を述べさせていただきます。
 最近におけるわが国社会・経済の発展はまことにめざましいものがございまして、科学技術がその原動力の一つであったことは、だれしもが否定できないところでございます。科学技術の発展は、社会・経済の高度化の基本的条件であるとともに、未知の領域を開拓し、人類の夢を実現するための不可欠の要素であります。
 今日、経済の国際化、社会の高度化・情報化が急速に進展するとともに、環境問題の早急な解決など、社会からの新たな要請が生じてきておりますが、このような情勢に対処し、豊かな社会を建設し、国民生活の充実をはかっていくためには、人間尊重の基本理念にのっとり、科学技術の一そうの振興をはかることが緊要でございます。
 このような観点に立ちまして、私は、昭和四十八年度において、次のような施策を強力に推進してまいる所存でございます。
 第一は、科学技術振興基盤の強化であります。
 わが国の科学技術を総合的、計画的に推進するため、科学技術振興基本計画の策定を進めるとともに、研究公務員の処遇改善、国内・海外研修の充実をはかる等、研究環境整備のための施策を推進してまいる所存でございます。特に、研究環境の画期的な向上を目的として、昭和五十年度までに概成することを目途に筑波研究学園都市の建設が進められておりますが、科学技術庁といたしましては、所管研究機関の移転、建設を進めるとともに、共同利用施設として新たに研究交流センターの建設に着手するほか、科学技術に関する総合調整官庁としての立場から、理想的な研究環境が整備されるよう、その建設に力を尽くしてまいる所存でございます。さらに、国民の科学技術に対する正しい理解を得ることが科学技術振興をはかる上で重要であることにかんがみ、科学技術全般にわたる普及啓発活動の一そう強力な推進をはかるほか、科学技術の望ましい適用をはかるため、テクノロジー・アセスメントの手法の開発と科学技術政策への導入について検討を進めてまいる考えでございます。
 第二は、国民生活に密接に関連する科学技術の推進であります。
 環境・防災・医療問題等、国民生活における諸問題の解決は現下の最重点政策課題の一つであり、これらの諸問題の抜本的、効果的な解決には、科学技術面からの寄与が不可欠であります。このため、ライフサイエンス、ソフトサイエンス、都市科学技術、防災科学技術、国土管理技術をはじめとする国民生活関連科学技術を一そう強力に推進する考えであります。特に、生命現象、生物機能を解明し、医療の充実、環境の保全等に資するとともに、今後の技術革新の芽となるものと期待されるライフサイエンスの振興に力を注いでまいりたいと考えております。
 第三は、原子力の開発利用の推進であります。
 近年における原子力発電、放射線利用の急速な実用化の進展、濃縮ウランをめぐる国際情勢の展開等にかんがみ、次の施策を重点的に推進する所存であります。
 まず、動力炉の開発については、昭和四十九年臨界を目標に高速増殖炉の実験炉の建設を、昭和五十年臨界を目標に新型転換炉の原型炉の建設を、それぞれ進めるとともに、これらに必要な研究開発を推進いたします。
 次に、核燃料対策につきましては、ウラン濃縮技術の研究開発の推進、国際共同濃縮計画への参加の検討、海外ウラン資源の調査及び探鉱開発の促進、使用済み燃料の再処理施設の建設等の核燃料対策を総合的に推進いたす所存であります。特に、遠心分離法による濃縮技術については、昭和六十年までにウラン濃縮工場を稼働させることを目標に、その研究開発を国のプロジェクトとして強力に推進する考えであります。
 また、原子力開発利用に欠くことのできない原子力施設の安全対策及び環境保全対策に万全を期する所存であります。すなわち、原子力委員会の機能強化、原子炉安全専門審査会の審査機能の充実をはかるとともに、放射性廃棄物処理処分の方策確立のために必要な調査研究を推進するほか、原子力施設の工学的安全研究、低レベル放射線の影響の研究を実施し、さらに原子力施設が多数立地する地域における監視体制の強化をはかる等、万全の措置を講じてまいりたいと考えております。
 さらに、核融合等、新しい分野の研究開発に力を注ぐとともに、原子力発電所等の立地の円滑化をはかるため、公共事業の促進等、原子力施設周辺地域の整備に関し必要な法的措置を講ずべく検討を進めるほか、原子力第一船「むつ」の実験航海を実施する所存でございます。
 第四は、宇宙開発の推進であります。
 宇宙開発については、宇宙開発計画に基づき、昭和五十年度打ち上げを目標に、技術試験衛星I型及び電離層観測衛星の製作を行なうとともに、昭和五十一年度打ち上げを目標に技術試験衛星II型の開発に着手する所存であります。これら人工衛星打ち上げのためのNロケットについては、第一号機に引き続き、第二、第三号機の製作に着手するとともに、打ち上げ施設、追跡管制施設等の整備をはかる考えであります。
 また、国際的な地球大気開発計画に参加協力するため、気象衛星の開発に着手するほか、通信・放送等の実用衛星開発計画の策定に必要な調査及びこの計画に関連する長期ビジョン確立のための調査を行なうとともに、宇宙開発に関する国際協力を一そう強力に推進する所存でございます。
 第五に、海洋開発につきましては、海洋開発の総合的推進の要請にこたえ、海洋開発審議会において海洋開発推進の基本的方策について審議を進めるとともに、海洋科学技術に関する中核的推進母体としての海洋科学技術センターの機能の拡充・強化をはかってまいりたいと考えております。また、海中作業システムの確立を目的としたシートピア計画の推進、潜水調査船「しんかい」の運用をはかるほか、新たに水深六千メートルまでの深海での調査能力を有する潜水調査船の開発に関する調査研究を進める所存であります。
 第六は、研究開発一般の推進であります。
 これまで述べてきた措置と並んで、基礎的共通的な研究を進めるとともに、独創的な新技術の開発を促進するため、新技術開発事業を一そう強力に推進し、また、研究開発の実施にあたって必要とされる科学技術情報の増大に対処して、科学技術情報の全国的流通システム構想の整備をはかるほか、最近の資源をめぐるきびしい情勢に対処し、資源の総合的利用方策の確立を目ざして調査研究を進めてまいります。
 また、科学技術に関する国際交流の重要性が一そう増大していることにかんがみ、先進国との協力の拡充をはかるほか、アジア諸国をはじめ発展途上国との科学技術協力を進める等、国際交流の強化につとめてまいる所存でございます。
 以上、昭和四十八年度における科学技術振興施策の概要について述べてまいりましたが、これら諸施策を実施するため、昭和四十八年度政府予算案におきましては、科学技術庁分として、国民生活に密接に関連する科学技術等の研究開発のため約十四億円、原子力開発のため約六百二十七億円、宇宙開発のため約三百四億円、海洋開発のため約九億円等、総額一千八十三億円を計上いたしました。
 私は、科学技術振興の衝に当たる者として、その使命の重大性を十分認識し、いま申し述べました諸施策の実現を期して全力を尽くす決意でございます。
 ここに、委員各位の一そうの御支援と御協力を賜わりますよう、お願い申し上げる次第でございます。
#5
○委員長(渋谷邦彦君) 伊藤科学技術政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。伊藤政務次官。
#6
○政府委員(伊藤宗一郎君) ただいま委員長から御紹介がございましたように、先般来、科学技術政務次官に就任をいたしております伊藤宗一郎でございます。
 委員長をはじめ、委員各位の格別の御教導のほどを切にお願い申し上げる次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
#7
○委員長(渋谷邦彦君) 次に、昭和四十八年度科学技術庁関係予算について説明を聴取いたします。進官房長。
#8
○政府委員(進淳君) 昭和四十八年度科学技術庁予算案について。
 昭和四十八年度一般会計政府予算案におきまして、科学技術庁の予算案は、歳出予算額一千八十二億七千三百万円、国庫債務負担行為額三百四十六億一千三百万円を計上いたしております。これを前年度当初予算額に比較いたしますと、歳出予算額百九十三億二千四百万円・国庫債務負担行為額六十九億二千二百万円のそれぞれ増額となっており、歳出予算額はその比率において二一・七%の増となっております。
 次に、予算要求額のうちおもな事項につきまして、その大略を御説明いたします。
 第一に、科学技術振興基盤の強化といたしまして十二億九千二百万円を計上いたしました。
 これは、わが国における科学技術を長期的な観点に立って、計画的かつ総合的に推進するため基本的な計画策定の一環として行なう各種調査検討及びソフトサイエンスの振興をはかるため必要な経費並びに科学技術会議の運営をはかる経費として一億五百万円を計上いたしました。
 また、筑波研究学園都市の建設の促進につきましては、昭和五十年度までに概成することを目途に、計画的に推進することとし、国立防災科学技術センターの研究本館、無機材質研究所の無塵特殊実験棟及び共同利用施設として科学技術情報サービスと研究者の交流の場の提供を行なう研究交流センター(仮称)の建設に着手するなど、施設及び設備の整備に必要な経費といたしまして六億九千五百万円を計上いたしました。
 次に、科学技術普及啓発活動の推進につきましては、科学技術に関し、国民の正しい理解を深めるための広報活動として、科学技術映画の製作、テレビの放映、科学技術普及啓発資料の作成配布などに必要な経費として一億六千五百万円を計上いたしました。
 さらに、優秀な人材の養成確保をはかるため、国内及び海外への留学、研修、及び国際研究集会への派遣などに必要な経費として三億二千七百万円を計上いたしました。
 第二に、国民生活に密接に関連する科学技術の推進といたしまして、まず、特別研究促進調整費の活用をはかることとし、ライフサイエンス、都市科学技術、防災科学技術等の総合研究を重点的に推進いたしますとともに、不測の事態に対処し緊急に行なうべき研究の円滑な実施をはかるため必要な経費として十二億四千万円を計上いたしました。
 次に、ライフサイエンスの振興といたしまして、ライフサイエンスの本格的な振興方策の確立をはかるための調査費と、当面重要な研究課題について理化学研究所が行なう研究に必要な経費として一億二千七百万円を計上いたしましたほか、前述の特別研究促進調整費十二億四千万円のうちから相当の研究費を充当することといたしております。
 第三に、原子力開発利用の推進といたしまし六百二十六億五千七百万円と国庫債務負担行為額九十億一千万円を計上いたしております。
 まず、動力炉・核燃料開発事業団におきまして、高速増殖炉実験炉及び新型転換炉原型炉の建設を進めるとともに、高速増殖炉原型炉に必要な研究開発など、動力炉の開発に必要な経費として三百二十二億七千三百万円と国庫債務負担行為額四十五億四千万円を計上いたしました。また、同事業団の核燃料開発関係の業務といたしまして、遠心分離法によるウラン濃縮技術の研究開発に五十二億百万円を計上し、その研究開発を強力に推進するとともに、海外ウラン資源の調査、使用済核燃料再処理施設の建設の促進をはかるなど、動力炉・核燃料開発事業団に対する政府出資金と補助金を合わせ四百二十四億八百万円と国庫債務負担行為額五十一億一千百万円を計上いたしました。
 次に、原子力船「むつ」の開発につきましては、実験航海を行ない、その安全性及び性能の確認を行なうとともに、定係港の施設の整備などに必要な経費として、日本原子力船開発事業団に対し、政府出資金及び補助金を合わせ十三億二千四百万円を計上いたしました。
 また、日本原子力研究所におきましては、反応度事故実験装置の設置等により、原子炉施設の安全性研究を強力に推進するとともに、前年度に引き続きガス拡散法によるウラン濃縮技術、核融合及び食品照射の研究開発並びに各種原子炉の運転整備などに必要な経費として、政府出資金及び補助金を合わせ百四十四億九千四百万円と国庫債務負担行為額三十八億五千八百万円を計上いたしました。
 さらに、放射線医学総合研究所におきまして、前年度に引き続き医療用サイクロトロンの建設を進めるとともに、新たに低レベル放射線の影響研究等を行なうため二十一億五千三百万円を計上いたしましたほか、国立試験研究機関等における原子力試験研究、放射能測定調査研究及び民間に対する原子力平和利用研究の委託など、これらに必要な経費として十七億六千八百万円を、また、原子力委員会の調査運営、核燃料物質の借り入れ及び原子力関連の各種行政費等として三億四千百万円と国庫債務負担行為額四千百万円を計上いたしております。
 第四に、宇宙開発の推進につきましては、宇宙開発計画に基づき、ロケット及び人工衛星の開発を中心とし、これらに必要な経費として三百三億五千八百万円と国庫債務負担行為額二百五十六億三百万円を計上いたしました。
 まず、宇宙開発事業団につきましては、宇宙開発計画に基づくNロケット及び技術試験衛星1型、同II型、電離層観測衛星の開発を進めるとともに、種子島宇宙センターに建設するNロケット打ち上げ施設の整備、筑波研究学園都市に建設するロケット及び人工衛星の開発試験施設の整備並びに人工衛星の追跡管制施設の整備を行ないますほか、新たに地球大気開発計画(GARP)の第一次全球実験へ参加、協力するため静止気象衛星の開発に着手するなど、これら事業に必要な経費として同事業団に対し政府出資金、補助金を合わせ二百九十三億二千五百万円と国庫債務負担行為額二百五十六億三百万円を計上いたしました。
 次に、航空宇宙技術研究所の宇宙開発関連研究として、新たに人工衛星の三軸制御の研究を開始するなど、宇宙開発の基礎的、先行的研究を行なうに必要な経費として六億六千八百万円を計上いたしております。
 第五に、海洋開発の推進につきましては、まず、海洋科学技術に関する試験研究の推進、大型共用施設の設置及び運用、人材の養成等を行なう機関として設置された海洋科学技術センターにおいて、高圧実験水槽を前年度に引き続き建造するほか、新たに潜水技術者の研修訓練事業を開始することとし、これに必要な施設の整備を行なうなど、同センターに対し、政府出資金、補助金を合わせ五億九千七百万円を計上いたしました。
 また、海中作業システムを確立するため、海中作業基地による実験の準備、潜水調査船「しんかい」による大陸棚資源の調査を行なうほか、新たに水深六千メートルまでの深海における調査能力を有する深海調査船の開発に関する研究を開始するなど、これらに必要な経費として三億三千百万円を計上いたしました。
 第六に、研究開発一般の推進といたしまして、新技術開発の推進、科学技術情報流通の促進、国際交流の促進及び資源の総合的利用方策の調査並びに試験研究機関の整備として百二億九千四百万円を計上いたしました。
 まず、新技術の開発につきましては、新技術開発事業団に対する政府出資金^補助金を合わせ十一億二千七百万円を計上することにより、研究開発委託契約限度額を二十二億円に引き上げるなど、その業務の拡充をはかることといたしました。また、このほか、発明実施化試験費の補助金につきましては三千四百万円を計上いたしております。
 次に、科学技術情報流通の促進につきましては、日本科学技術情報センターにおける内外科学技術情報の収集、整理、提供業務の充実をはかるとともに、新たに広島に中国支所を設けるなど、これら業務に必要な経費として政府出資金、補助金を合わせ十三億一千三百万円を計上いたしました。
 また、このほか、科学技術情報の全国的流通システムの具体化計画の策定などに必要な経費として一千七百万円を計上いたしております。
 次に、国際交流の促進につきましては、経済協力開発機構に所属する原子力機関の共同研究への参加、外国技術者の招聘、二国間の科学技術交流の拡充等をはかるため一億三千八百万円を計上いたしました。
 次に、資金の総合的利用方策の調査につきましては、水資源の広域的多面的な循環システムの開発に関する調査等、資源調査会を中心とする調査を実施するとともに、資源調査所における基礎的調査の充実をはかるため一億六千五百万円を計上いたしております。
 最後に、試験研究機関の整備強化につきましては、七十五億円を計上いたしましたが、これは、当庁附属試験研究機関のうち、航空宇宙技術研究所の二次元風洞の整備、金属材料技術研究所及び無機材質研究所の研究機器の整備、並びに国立防災科学技術センターの地震防災の研究等、各種研究の実施及び運営に必要な経費のほか、理化学研究所の研究運営等に必要な政府出資金及び補助金であります。
 以上、簡単でございますが、昭和四十八年度の科学技術庁予算案のうち、重要項目につきまして、その大略を御説明いたしましたが、このほか、一般会計予算総則におきまして原子力損害賠償補償契約に関する法律第八条の規定による国の契約の限度額を三百七十五億円にいたしますとともに、また、動力炉・核燃料開発事業団法第三十四条の規定により、政府が保証する借り入れ金等の債務の限度額を四十四億円及びその利息に相当する金額とし、これを使用済核燃料再処理工場の建設資金の一部に充てることといたしております。
 以上でございます。
#9
○委員長(渋谷邦彦君) 本調査について御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#10
○辻一彦君 きょうは、長官の所信表明に対しては一、二点だけポイントだけをお伺いして、別の機会に詳しくお伺いをいたしたいと、こう思います。
 二月の二十三日に、ある新聞に、原子炉の安全上の問題点について事故の分析結果が出され、それに対して二月の二十四日付で科学技術庁原子力局の見解が出ております。きのう午後、私、ちょっとそのコピーを見たものでありますから、事は原子炉の安全審査に対する疑問点であり重要な点であると、こう考えまして、緊急に若干の質問を行ないたいと、こう思うわけであります。
 科学技術庁が出された見解がありますが、これを見ますと、今日の原子炉の安全審査についての論議でありますが、この中に、「現在の評価はTID−一四八四四に代って一九七〇年に出された軽水炉に関する安全指針によって行なわれており、最近はTID−一四八四四で計算された例はない。」と、こういうように出ております。私は、本委員会で、昨年の三月であったと思いますが、安全と距離という観点からこのTID−一四八四四についてはかなり論議をした記憶があります。それはまあ別として、ここに出されたその見解の「最近はTID−一四八四四で計算された例はない。」と、このことは間違いないかどうか、その点をまず局長からお伺いしたいと思います。
#11
○政府委員(成田壽治君) 日本におきましても、また、アメリカにおきましても、従来のTID―一四八四四だけによって計算して安全審査をやっている例は、アメリカにおいては一九七〇年に新しい審査指針セーフティガイドが出ましてそれによってやっておりますし、日本におきましても日本の安全立地基準等アメリカの新しい基準に非常に近い内容のものでやっておりますので、最近はTID−一四八四四だけによるものはないというふうに思っております。
#12
○辻一彦君 じゃ、次に、一九七〇年に出た軽水炉の安全指針セーフティガイドというのがありますが、一体その何項で現在安全審査が行なわれておるか、この点どうですか。
#13
○政府委員(成田壽治君) 一九七〇年十一月にできました安全指針の第三項、第四項によって行なわれていると聞いております。
#14
○辻一彦君 ナンバー三、ナンバー四というのは、それぞれ、PWR、BWRについての項目であると思いますが、具体的に計算できる内容ではないように中身を見ると思いますが、その点どうですか。
#15
○政府委員(成田壽治君) 具体的には、その後の技術の進歩によって新しい工学的な安全施設がいろいろつくられ、また、その安全性が実証されておりますので、たとえばスプレーとかフィルター等の工学的な安全施設の効用と効果、放射能が放出されるのを除去低減するための工学的な効果というのは十分取り入れて、たとえばフィルター等につきましては、アメリカでは九〇%ないし九九%の除去率であるというふうに聞いておりますが、そういう新しい工学的な安全装置のほうの効果を取り入れて、そして実際そのつど具体的な内容によって審査しているというふうに聞いております。
#16
○辻一彦君 私は、きょうは、三十分という時間で、非常に時間がないので、質問の要点だけ答えていただけばいいと思います。ゆうべちょっとセーフティガイドの三、四項を拾い読みしましたが、あの中身では具体的に計算されるには具体性はなかなかないのではないかと思います。
 そこで、それでは、一昨年の六月に緊急冷却装置の問題がありましたですね。それから一昨年の九月に国家環境政策法の発効によって環境上いろいろレポートがつかなければアメリカでは原子炉認可がなかなか出ないと、こういうふうになっておると思います。そこで、一昨年六月あるいは九月以降、百万キロワットクラスの原子炉でアメリカで認可された原子炉は幾つあるか、これをお尋ねいたします。
#17
○政府委員(成田壽治君) 具体的に何基あるか、いまちょっとデータで調べておりますから、後ほどお答えいたしたいと思います。
#18
○辻一彦君 それじゃ、数はあとで調べてもらっていいですが、一番新しく認可された百万キロワットの二つ、最新の日付の認可された二つのもの、これについての最大仮想事故の事故解析を原文でいいからすぐ入手できますか。
#19
○政府委員(成田壽治君) さっそく手配して取るようにして御提出したいと思います。ただ、アメリカの例でありますので、あるいは時間その他また御相談してそのように努力したいと思っております。
#20
○辻一彦君 去年三月二十四日に、私、AECの原子炉規制部長等の証言内容等について資料を要求して、そのときに、アメリカの大使館を通して早急に手に入れるという御発言がありました。今回も、これは大使館を通して直ちに原文を入手できるようにしてもらいたいと思いますが、そのために何日間ぐらい必要ですか。
#21
○政府委員(成田壽治君) 具体的に申し上げるまだ自信がないのでありますが、ただ、非常に部厚い資料でありますと、これはコピーを大使館の職員にやってもらうのですが、プリント代金等も相当かかるようでありまして、その点も当然用意してやらないといけませんので、極力早く御提出するということでお願いしたいと思います。
#22
○辻一彦君 いや、膨大なものでなくていいですよ。仮想事故における事故解析の過程が明確にわかる点で、そういうものを日本の場合とすぐ比較のできるものであればいいと思うので、それを原文でいいからすぐ大使館を通して飛行機で送らせて手に入れるようにしてもらいたい。十日間でできませんか。
#23
○政府委員(成田壽治君) 問題の個所だけ限定するならばそれほど時間がかからぬと思いますので、そのように努力したいと思います。
#24
○辻一彦君 次に、最近わが国政府が認可した東海二号、福島六号の仮想事故の事故解析、これを――ここに安全審査の報告書が来ておりますが、この程度では結果しかわからないので、出発点からどういう安全度を見て解析をしたか、それがアメリカと比較して明確にわかるように、それについての二つの事故解析を、これは詳しいものが必要と思いますが、それを出してもらいたいと思いますが、できますか。
#25
○政府委員(成田壽治君) 日本の最近の許可をしました二つの炉につきましては、二つの想定事故の解析資料で御説明したいと思います。
#26
○辻一彦君 いや、御説明じゃなしに、だれが見ても専門家が見ればすぐわかるような資料として出してもらいたい。これはもうすぐ一週間ぐらいでできますね。どうですか。
#27
○政府委員(成田壽治君) 早急に資料として提出したいと思います。
#28
○辻一彦君 じゃ、早稲田の藤本さんが事故解析の結果を一部新聞に報道され、科学技術庁の見解が出ておりますが、その詳細はいまの二つの資料の提出を待って論議をいたしたい、こういうふうに思います。ただ、これは「科学」の二月号に同じく藤本論文が出ておりますが、その中で、一点だけ、ヨード一三一の大気放出における問題点が出ておりますので、このことをちょっと具体的に伺いたいと思います。時間的に、資料を頼んだのですがちょっと間に合わぬようでありますが、私のほうにも調べたのがありますから、それを援用して質疑をいたしたいと思います。
 政府の安全審査専門委員会がやったところの報告書があります。あるいは公表された報告書のコピーがありますが、それらをずっと見て、仮想事故における大気の中に出るいわゆる放射能を帯びたヨード一三一に非常にばらつきが多い、こういうように思うのですね。これは原子力局のほうで科学技術庁が出したところの安全審査報告書によれば、たとえば美浜の百石炉は、仮想事故における大気への放出量は、ヨードが五〇キュリー、それから高浜一号は一、四三〇キュリー、それから敦賀の改定した三五万キロワットのほうは八、五〇〇キュリー――資料は来ているんですか、局長。
#29
○政府委員(成田壽治君) ええ、いまちょっと簡単なものを……。
#30
○辻一彦君 出たら出してください、私に。頼んだのがあるならば。
#31
○政府委員(成田壽治君) いまこれはペン書きしたものでございますが……。
#32
○辻一彦君 それから大飯一号炉は一、一六五キュリー、女川は一万二、三〇〇キュリー、浜岡は一万二、〇〇〇キュリー、福島六号は二万六、〇〇〇キュリー、東海二号は二万六、〇〇〇キュリー、こういう数字がこの報告書をざっと拾って見たところにあるわけでありますが、それに大体間違いありませんか。
#33
○政府委員(成田壽治君) 私が持っているメモに、いま先生が御指摘した炉が載っていないのもありますが、載っている限りでは、私の持っている大まかな計数でございますが、正しいようでございます。
#34
○辻一彦君 私は、こまかい端数は別として、きょうはちょっと大まかな論議でいきたいと思います。
 そこで、まず第一に、この数字の中から、女川、浜岡は一万二、〇〇〇キュリーのヨード一三一が仮想事故の場合に放出される、福島六号、東海二号は二万六、〇〇〇キュリーが同様に放出される、このことは間違いないですね、念のために。
#35
○政府委員(成田壽治君) 女川とそれから福島六号は私のメモには載っておりませんので、はっきり言えませんが、たぶん正確じゃないかと思います。
#36
○辻一彦君 東海はいいですね、二万六、〇〇〇は。
#37
○政府委員(成田壽治君) 東海二号につきましても、まだこれでは載っておらないわけであります。敦賀と、福島一、二、島根等が私のメモでは載っております。
#38
○辻一彦君 福島六号は二万六、〇〇〇、間違いないですね。
#39
○委員長(渋谷邦彦君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#40
○委員長(渋谷邦彦君) 速記を起こして。
#41
○政府委員(成田壽治君) 福島六号のデータは、私の手元にいまないのでございます。
#42
○辻一彦君 技術庁が私どもに出されたそれぞれの福島と東海の末尾に、二・六掛ける一〇の四乗キュリー、だから二万六、〇〇〇キュリーと出ておりますから、これは間違いない、確認いたしたいと思います。
 そこで、一つは、美浜の一号が五〇キュリーという放出量があるのに、その隣の敦賀は同じように三五万キロワット程度でありますが八、五〇〇キュリーというこの開きは、まあ専門的なことはきょうやっても時間がありませんから、ごく要点だけでいいですが、なぜこれだけの大きな開きがあるのか、この点どうですか。
#43
○政府委員(成田壽治君) 美浜一号は、御承知のように、PWRであり、隣の敦賀はBWRでありまして、BとPの炉の炉型の違いから、ヨウ素の放出量の違いが、まあ大まかに言うとその違いが出ていると思います。
#44
○辻一彦君 それでは、Pのほうは数が低くて、Bのほうが大きいということでありますが、女川、浜岡、福島六号、東海二号、いずれもこれはBWRになりますね。
 そこで、じゃ、戦後における原子炉の一番大きな事故に、一つはウインズケールの事故があります。もう一つは、アメリカのSL−1、これは宿直員が三名死亡したという事故がありますが、ウインズケールの事故のときに大気中に出たヨードの量は、およそ幾らですか。
#45
○政府委員(成田壽治君) いまちょっと手元にありませんので、これも即刻調べてお答えいたしたいと思います。――この資料によりますと、二万五、〇〇〇キュリーというふうに出ております。
#46
○辻一彦君 私のこの控えには二万キュリー程度と出ておりますから、いまの局長の言われた二万五、〇〇〇キュリー、その二万五、〇〇〇キュリーが大気中に放出されたときに、ウインズケールにおける被害の状況というか、それは、どういう状況でしたか、大まかに。
#47
○政府委員(成田壽治君) これは三レム以上の被爆者が十四名で、それから二百平方マイル以内の牛乳の出荷が停止措置をとっております。これが被害の大きい点だと思います。
#48
○辻一彦君 二百マイル以内は、何ですか、もう一度……。
#49
○政府委員(成田壽治君) 牛乳――ミルクの出荷停止でございます。
#50
○辻一彦君 幅十五キロ、長さ五十キロにわたって農作物が汚染をし、牧草が汚染をして、それを食べた牛の牛乳が一・五カ月――一カ月半にわたって廃棄をされた、そのための被害額七万ポンド、当時の二十一年前のお金に直して七千万円と、補償費だけがですね、こう一応いわれておりますが、まあミルク等による汚染はいま答弁があったわけです。
 そこで、ウィンズケールの原子炉は、ずっとこれはプルトニウム生産をねらいにした小さな原子炉でありましたし、いまの東海あるいは福島は、二〇万キロワットの非常に大きな原子炉でありますが、しかし、いろいろな技術の変化によって変化があるということは当然であります。しかし、ウインズケールの原子炉が事故を起こして大気中に二万五、〇〇〇キュリー放出された。それによって、いま言ったような被害が起き、幅十五キロ、長さ五十キロにわたっての牧草等の汚染があったと。それに対して、政府が出している安全審査報告書の中身に明確にあるように、福島六号、東海二号炉、いわゆる一一〇万キロワットのBWRにおいては、二万六、〇〇〇キュリーのヨードが最大事故の場合には放出されると、こういうようになっていますね。この結果を比べ合わせて、二万六、〇〇〇キュリーが出るという安全審査の結論は、安全と思われるかどうか、この点いかがでしょうか。
#51
○政府委員(成田壽治君) ウインズケールの場合の二万五、〇〇〇キュリーに近いものが東海二号の沃素の大気放出量として仮想事故の前提にはなっておりますが、われわれは、仮想事故というのは、実際は技術的には考えられない事故、それをまあ安全をとって、もしも起きた場合はこれは当然災害措置等の対策をとっておるのでありますが、われわれは、いまの段階では仮想事故として想定しておりますが、それは技術的には考えられない事故を万が一想定してやっておるわけであります。
 そして、英国のウインズケールの場合は、これは非常に古い炉でありまして、そういう意味で安全装置等も十分でないということで二万五、〇〇〇の沃素の放出になった事故が起きたのでありますが、われわれのいま日本でつくっておりますところの炉においては、まあ仮想事故の前提としては計算しておりますが、それは技術的には考えられない、ただ万が一にそういうことがあった場合にはどうするかというまた災害措置も考えてやっておるわけでありまして、ウインズケールの場合に事故が起きたから、この場合も将来可能性があるとか、あるいはそういう蓋然性があるということは、ちょっと言えないのじゃないかと思います。
#52
○辻一彦君 時間がないから、詳しくは踏み込めませんが、ウィンズケールは古い原子炉だ、これはまあ当然です。しかし、事故が起きて煙突から大気中に出た、あるいは原子炉から外に出た量が二万五、〇〇〇キュリーということは、これも私は推定でありますが事実であると思うのですね。それから安全審査専門委員会がいろいろな角度から審査をして、最大の悪条件において起こった場合にこれだけの量が出るという計算をして、その計算した量が二万六、〇〇〇キュリーと。これも皆さんが審査された結果であるから間違いないと思うのです。それが、あり得べからざる事故であるから、そんなものは別だという。これは、安全審査専門委員会がいろいろな角度から最悪の条件を、たとえば大きな地震が起きて冷却水のパイプが破断するとか――これはないとは言えないことですね、そういうことを想定して、そしてその場合に一番悪い条件で二万六、〇〇〇キュリーが出ると、こういう結論を審査の結果出したので、それはあり得べからざることであると、こういうことによってこの問題をすりかえるということは、私は安全審査として許されないと思いますが、その見解はどうですか。
#53
○政府委員(成田壽治君) 私は仮想事故の前提としてこれを使ったということで、あり得べからざるケースとしてという意味でもしもそうおとりになったら、私の言い方がまずかったと思いますが、ただ、仮想事故で、まあ技術的には考えられない事故、それを技術的に採用しまして、その場合にどうするかという災害措置等の方法も当然考えているわけでございます。そういう意味で申し上げたのでございます。
#54
○辻一彦君 しかし、それは非常に矛盾がありますよ。昨年の三月、私は、保険の問題ね、いわゆる被害が起きた保険の問題についてかなりな時間を費やして追及したときに、起こらないんだからそういう計算はできないということで、保険や賠償についてはあまりお考えになっていないような御答弁があったわけですね。しかし、いまのによると、そういう災害のときにはそれを計算をして保険のことを考えるという矛盾がありますが、これは別として、最悪の条件を考えて、そして仮想事故というものが計算をされる。その場合に、これだけの二万六〇〇〇キュリーが大気中に出ると。これが環境にどういう影響を与えるか。おそらく、これは、人体の直接被爆というよりも、むしろこの場合には農産物の汚染によって野菜を人間が食べる、あるいは牧草を牛が食べてミルクになって人体へと、こういうコースをまず考えますが、人体被爆の問題も私はあると思いますね、計算すれば。しかし、こういうことが環境上安全審査の中でわが国においては何ら考えられずに審査が進んでいる、このことについて私は非常に問題ありと思いますが、この点ひとつ局長なり大臣の見解を伺いたい。
#55
○政府委員(成田壽治君) 二万六、〇〇〇キュリーの問題でございますが、これは、ただ、ウインズケールの場合と、東海二号の煙突がどのぐらい高い――まあ最近は非常に高くやっておりますので、拡散の範囲等も、同じ二万キュリーでありましても、また影響の範囲はかなり違うと思います。
 それから沃素の場合は、牧草とかそういうのに影響が非常に大きいと。それで、英国の例のように、牛乳の出荷停止等の措置をとっておりますが、われわれの場合は仮想事故として東海二号に二万六、〇〇〇キュリーの前提を置いておりまして、これは理論的に技術的には考えられない事故でありますが、もしも起きた場合のためには、防災計画による緊急措置等も、公共団体を中心に、これは万が一のためでございまして、原子力の場合はあり得ないようなケースでもあるという万が一の場合の措置を十分考えておるのでありまして、これは防災措置の問題として考えておるわけでございます。
#56
○辻一彦君 まず、第一に、それじゃ、各自治体等における具体的な防災計画を提出をいただきたい、各原子力基地におけるですね。――出せますか。
#57
○政府委員(成田壽治君) 原子力発電所があります福島あるいは福井県等において、県市町村等が中心になって防災計画をつくっておりますので、これをまとめて提出いたします。
#58
○辻一彦君 大臣にお伺いしたいのですが、わずかの時間でこの問題は深く入れませんが、従来から、わが国において環境に対する問題が非常に問題ありということをこの委員会でしばしばそれぞれの委員から指摘をされておりました。いまこれを見ても、仮想事故、最大の悪条件における事故では、二万六、〇〇〇キュリーのヨード一三一が出て、そして広範な地域に汚染があることが仮想事故が起こればあると。そうすれば、私は、安全審査の中身ですね、こういう問題についても審査をすべきであると思いますですね。この点についてどうお考えですか、大臣。
#59
○国務大臣(前田佳都男君) ただいま辻委員のたいへん深い研究に基づきまする質問並びにやり取りを実はずっと拝聴しておったわけでございますが、この問題は非常に重大な問題である、万一の事故ということも十分想定いたしまして、安全審査の場合はそういう点も十分研究し検討しなければいけないというふうに考えております。藤本教授の論文が出ましたとき、私もこれはたいへんだと思いまして、実はすぐに事務当局を呼びまして検討を命じたわけでございます。しかし、実は、そのときは、まだ新聞に出ておる程度のことしかわからないという私に対する説明でございまして、いずれ、雑誌の、「科学」とかいう雑誌に出るそうでありますから、そのときにさらにもっと検討しようということであったのでありますが、その間、「原子力特報」とかいうパンフレットがございますが、そこから急いでこの問題についての見解を問われたというわけで、原子力局で、一応の、まあそういう質問が多いから、それについての見解といいましょうか、そういうものを出したようでございます。この問題も、非常に大事な問題でありますから、さらに私は原子力局に徹底的に検討するようにいま命じておるわけでございます。
 原子力発電につきましては、安全ということに力を従来からも注いできたと思いますが、もちろん安全の上にも安全といいましょうか、一生懸命に万一のことも考えてそういう施策を講じなければいけない、考えなければいけない、そういう姿勢でいかなければいけないということと、それから地元の理解と協力を求めるというふうな姿勢で臨みたいと考えております。
#60
○辻一彦君 いまの大臣の御発言は、非常に重大な問題である、安全審査会におきましても十分研究し検討する必要があると、こういう御答弁であったわけですね。それでは、福島六号、東海二号炉においては、この審査が欠けておりますが、私は、そういう観点からいえば、再審査の必要ありと見ますが、この点どうですか。
#61
○国務大臣(前田佳都男君) その問題は、実は、私、まことに残念でありますが、私の就任が昨年十二月二十二日でありまして、その当時のいきさつは存じておりませんし、その点は政府委員から答弁をいたしたいと思います。
#62
○政府委員(成田壽治君) その点につきましては、従来も、仮想事故としまして、当然、まあ仮想事故の考え方の問題でありまして、安全審査会においても、そういう福島六号、東海二号は二万六、〇〇〇キュリーの沃素濃度、これを仮想事故の要件として、そして軽居住地域、低人口地域等の境界等もきめておるのでありまして、そしてそれがもしも起こり得ないと考えられるような仮想事故が起きた場合は、それは防災等の緊急措置の問題と、そういう考え方で従来やってまいっておりますので、われわれは安全審査をやり直す必要はないというふうに考えております。
#63
○辻一彦君 いや、さきの質疑を通して、短い時間でありますが、二万六、〇〇〇キュリーのヨードが出た場合にどういう環境上に汚染が起こるかということは、計算がされているだけで、検討されていないということが明らかになったと思う。だから、その問題が重大であり、今後十分研究し検討する必要ありというならば、この問題について審査をやり直す必要が当然あるんじゃないか、私はこう思いますが、局長、その点いかがですか。
#64
○政府委員(成田壽治君) 二万六、〇〇〇キュリー出た場合の影響等も、これはまあ具体的な地点によっていろいろ違うのでありますが、そういう意味の仮想事故という前提で計算しておるのでありますから、われわれは、その影響がどうという調査は安全審査会においてやる必要はなくて、それは、そういうことがもしもあるとしたら、先ほど言いましたように、災害措置の問題として、地方公共団体等と十分相談をしてその方向で対処していくべき問題だというふうに考えています。
#65
○辻一彦君 時間がないので打ち切りますが、防災対策の対象と言われるけれども、防災対策を立てるなら、どういう汚染があり、どういう範囲にどう広がるかという検討がなければ防災計画は立たないのですよ。そうすれば、その基礎には、安全審査専門委員会においていわゆるヨードが出れば一体どういう範囲の汚染がありどうなるかという検討なしに、地方自治体がどうして防災計画が立てられますか。そういう意味で、私は、時間がありませんから、三十分を守らなければいけませんのでやめますが、これは再審査の必要がありと要求をしておきたいと思います。この論議はいずれあとのまた適当な委員会において十分ひとつ資料の提出を待ってなお論議をいたしたいと思います。
 資料公開、公聴会の問題、それから長官の国防会議に対する見解等、私は尋ねたい点があるのでありますが、三十分という時間ではどうにもならないので、この問題は次に保留して、私の質問を終わります。
#66
○矢追秀彦君 質問時間が十五分でありますので、濃縮ウランの問題について少し伺いたいと思います。
 このたび、AECから、濃縮ウランの供給契約についての新しい基準をわが国に提出してきた、こう聞いておりますが、その内容について御説明をいただきたいと思います。
#67
○政府委員(成田壽治君) アメリカの原子力委員会が、一月の十九日、アメリカの国会原子力合同委員会に対して、新しい濃縮ウランの基準をこういう形でとりたいというので承認を求めて国会に提出になっております。現在、アメリカの国会で、公聴会の開催が近く行なわれるようでありますが、いろいろ審査中と聞いております。
 そのおもなる内容としましては、まず、初装荷用の濃縮ウランについては、引き取り時期の八年前までに契約を締結すること。現在は、引き取り時期の二、三年前に契約を締結するのが現行の方式でありますが、それが八年前ということになりますと、電調審の計画もきまっていない、その立地地点の話も十分ついていないという段階で契約をしないといかぬという点であります。
 それから第二の点としては、初装荷用の濃縮代金の三分の一を前払い金として三年間にわたって払えということであります。これも、現行は、前払い金というのは必要ないということになっておりますが、三分の一の前払い金を取るということであります。
 それから第三番目としては、取りかえ燃料につきましては、常時、将来にわたっての十年間の必要数量を確定しておけということであります。これも、現行は五年程度でありまして、非常に長い契約の約束を保証させるということであります。
 それから契約の過怠金といいますか、途中で約束を破った場合には金を取るという、契約解除の場合の金が、たとえば五年以内なら七五%を取るという、非常にきつい条件になっております。
 ただ、アメリカ当局は、新しいこの方式は、これから世界の各国の濃縮ウランの需要に備えるためには、新しい工場の新設、増設等をやる必要があるので、そのためには、工場をつくるには八年も前から契約金を取って確定していないと、需要にマッチした供給能力をつくれないと、そういう商業ベースの新しい方式であるという説明を加えております。
#68
○矢追秀彦君 これの今後の見通しでありますが、議会のほうの了解が通れば、もう直ちに実施ということになってくるわけですか。その前に話し合い等は行なわれる余地はあるのかないのか、その点はどうですか。
#69
○国務大臣(前田佳都男君) ただいま原子力局長から御説明したとおりの内容でございますが、この内容は、相当きびしい、きつい内容であるわけでございまして、はたして現在のわが国の原子力発電の設置等の状況から、こんなきびしい条件でいけるのかどうかという点をわれわれは非常に心配しております。
 それに対しましてわれわれはどういうふうに考えてどういう措置をとろうとしておるかということを御参考に申し上げたいのでございますが、この間、二月の中旬、アメリカの上下両院の合同原子力委員会――JCAEと言っておりますが、その委員長のプライス、ハンセン、ホスマー、その三人が参りましたので、そのときに、こういうきびしい条件じゃ困るというふうなことを申し入れをいたしております。また、三月の五日に東京で開かれる予定でございますが、日米原子力会議というものを開くつもりでございますが、その場で、米国の原子力委員会の委員にさらに申し入れをしたいというふうに考えております。それから三月の七日、八日に、JCAEすなわちアメリカの上下両院の合同原子力委員会の公聴会が開かれる予定でございまして、その会議に日本の産業界の代表がわが国の実情を訴えて米国に働きかけたいと、そういうふうに考えております。
#70
○矢追秀彦君 まあいろいろお考えになっているようですけれども、これが少しぐらいゆるまる可能性というのはあるのですか。その見通しはどうですか。
#71
○政府委員(成田壽治君) われわれが接している限りで判断しますと、やはり基本的な事項はかなり向こうとしては強い態度でおるようでありますが、ただ、これも、実際具体的に当たり、また、公聴会の結果を見ないとわかりませんのですが、たとえば八年前というのが、あるいは若干の短縮になるかどうかという点の弾力性はあるように聞いております。それで、いま、ヨーロッパ諸国も、日本も同様、各電力業界、関連業界等で慎重に検討して、公聴会等で外国の消費者の意見も十分反映させて改善を迫ろうということになっておるわけでございます。
#72
○矢追秀彦君 先ほど問題点は一応出されましたけれども、八年前までの契約ということがわが国に大きな影響を及ぼしますが、もう一つは、契約の解除にしても、特に料金ですね、上限の料金額は廃止するということで、こうなりますと、かなり負担が大きくなる。要するに、値上がりはもう必至であると考えるわけです。この辺が、日本の電力業界、これからの原子力発電所の、いろいろな環境問題も出てきておりますし、そこへもってきてこれが来ると、原子力発電所というもの、あるいはこれからのわが国の原子力エネルギー政策には相当の変更が出てくるわけでございますけれども、特に料金の問題はどういう影響が出そうですか。実際にこの上限が廃止されると必ず上がると私は思いますけれども、その点の見通しはどうですか。
#73
○政府委員(成田壽治君) 今度の方式では、上限料金制が廃止になって、現在はSWUキログラム三十二ドルというような上限制がありますが、廃止になっておりまして、それで相当近い将来にいま三十二ドルが三十八ドル半ぐらいになるのではないかとすでにそういう情報も得ておりまして、これはアメリカの物価あるいは労賃等の上昇等によって相当上がっていくことが考えられるのであります。そういう意味で、原子力発電が大きなウエートを占める場合に、このウラン濃縮代というのはかなりのウエートを占めますので、料金のはね返りというのは非常に憂慮されるところで、これはまあ今後の料金問題に対しては今後いろいろ折衝等を続けていかないといけないと思いますが、そういう意味でも、今度一万トンのストックパイルを買ったというのは、これは現行の安い料金で今後ずっと使えるという意味で、そういう意味のメリットはありますが、これは一時的な問題でありまして、料金に対するはね返り等は非常に憂慮しておるところでございます。
#74
○矢追秀彦君 先ほど、アメリカがこういう態度に出てきたのは経済性の問題があると言われましたけれども、それだけではなくて、アメリカが原子力関係についてはやはり大きな力を世界で持ちたいというそういうことがあるのじゃないかと思うのですが、その辺はいかがですか。
#75
○国務大臣(前田佳都男君) 矢追委員御指摘の気持ちがあるかどうか、それはわかりませんけれども、とにかく供給の多角化というか、それをはかるように、国際濃縮計画とか、あるいは濃縮の技術の国産化であるとか、そういう点にやはりわれわれは取り組んで、だんだんと濃縮ウランについても技術開発を自主的に開発するという方向にわれわれ精力的に今後進めなければならぬということを考えております。
#76
○矢追秀彦君 結局、最近のアメリカの対日政策、特に経済面においては、ドルの切り下げ、また実質的な円の再切り上げということになってきたわけですが、ずっといろいろな動きから見ますと、その一環としてこういう濃縮ウランについても同じような傾向で出てきておる。そういうふうに、アメリカの経済政策の大きな転換、さらにその上にアメリカが核の面では優位をとっておきたいという、それが私はもう十分感じられるわけであります。そうなりますと、先ほどいろいろ手を打つとおっしゃいましたけれども、ただ単にこういう産業界の代表を公聴会に送るとか、来た人にいろいろ言う程度ではだめであって、もっと政府としてきちんと、これはまあ議会にかかっておりますからちょっとむずかしいかと思いますけれども、原子力委員会――AECのほうにはかなりのことが言えると思います。その点、もっと強い態度、強い姿勢で米側に説得をするなりあるは働きかけはできないものかどうか。先ほど長官の言われたことは全面的に悪いとは申し上げませんけれども、何か弱いような気がするのですが、その点はいかがですか。
#77
○国務大臣(前田佳都男君) 現在の時点におきましては、われわれ、先ほど申し上げましたような方法で、また、事実上米国の上下両院の合同委員会というのは非常に実権といいましょうか、われわれの知るところでは非常な力を持っておるようでありまして、その意味において、この間プライス委員長、ハンセン、ホスマーの三君に対しましてもこの点は相当強く言い、まあどの程度の反応があったかわれわれもわかりませんけれども、はっきりは言えませんけれども、とにかくこういう問題は日本だけじゃないと、アメリカの電力業界だって同じような問題があるのじゃありませんかということも実はざっくばらんに話をいたしました。アメリカだって原子力発電の稼働をするまでに相当時間がかかっておるようでありまして、その点が同じような問題があるのじゃありませんかといって相当強く述べたつもりでございます。が、さらに強く、これじゃ困るのだということをさらにあらゆる機会を通じて向こうに意思を伝達したいというふうに考えております。
#78
○矢追秀彦君 先ほど長官の所信表明でもありました、結局、昭和六十年までにウラン濃縮工場を稼働させることを目標に特に遠心分離法の場合はやるということでありますけれども、もしこれがかりに今度の新基準になってしまった場合、こういうふうな調子では、ほんとうのその間の供給がないわけですから、また、電力会社としても負担が大きいからできないということになれば、いろいろな問題が出てくると思いますけれども、その場合の対策というのはどうされますか。もしかりに国でそういうことが買うことができるのかどうか――ためておくことがですね、その点はとうですか。
#79
○政府委員(成田壽治君) 御指摘のように、日本が、自主開発、濃縮ウラン工場をつくる、これもうまくいっても昭和六十年ごろまでに稼働ということで、かなり先でございます。その前の段階は、アメリカと、あるいはフランスと、具体的な話も検討会をやっておりますが、外国と共同で濃縮工場を外国の適地につくるという構想も進められておりまして、これは日米、日仏等の検討もやっております。そういう意味で、大臣おっしゃったように、濃縮ウランの供給源の多様化というのを、これはもちろんアメリカにも相当依存しないといけませんのですが、そういう方向で日本の国産化工場ができるまでのいろいろな手を打って、入手の多様化を進める方向でいろいろな対策を検討しておるわけで、また、実際にいろいろ政府も予算を出していろいろな調査の助成等をやっておるわけでございます。
#80
○矢追秀彦君 もしかりにこの基準が通った場合、いま申し上げたように、これからの要するに原子力発電所の建設計画が大幅な変更をせざるを得ぬと思いますけれども、先ほどからずっと辻委員が議論されたように、安全性の問題もありますし、それから環境問題もあります。そうでなくても反対の強いところへもってきてこういう問題が出てきた場合、やはり根本的に原子力発電所というものをわが国としてはもう一度洗い直してやり直さなくちゃいけないのじゃないか、ここまで考えるわけですけれども、その点はいままでの計画をそのままお進めになりますか、それとも、事態の変更によってはその点も考慮されるかどうか、その点をお伺いして、時間ですから、終わりたいと思います。
#81
○国務大臣(前田佳都男君) 矢追委員のたいへん御心配をいただいた御質問でございますが、われわれといたしましては、御指摘の点、原子力の安全性、環境の調和という点に力点を置き、さらに供給源の多角化といいましょうか、そういう点を考えつつ、原子力発電というものを進めていきたいというふうに考えております。
#82
○矢追秀彦君 そういうのじゃなくて、いま非常に問題が起こっておるわけでしょう。だから、そこへもってきてウランの供給がもしかりにこういうきびしい状態になった場合、とうていわが国としてはこれに対応できないと思うのですね。そうすると、いま言われた、対応して考えていきたいじゃなくて、これからずっと、この間まで計画ができていますよね、それが全部変更しなければならぬと思う、その辺の変更はされるのかどうかと、この辺を伺っているわけです。
#83
○国務大臣(前田佳都男君) 現在の段階においては、まだ変更する必要はないという考え方のもとに強力に進めていきたいと、あらゆる努力を尽くして進めていきたいというふうに考えております。
#84
○星野力君 私は、昨年暮れに設立許可になった三つの原子力発電所の問題について、特に愛媛県の伊方原子力発電所についてお聞きしたいのでありますが、昨日資料を請求いたしたばかりで、まだ入手いたしておりませんし、きょうはわずか十分でございますから、資料を入手した上でまたの機会に具体的にお聞きしたいと思います。
 きょうは、ほんの二、三の点を主として大臣にお聞きしたいのでありますが、伊方の原子力発電所については非常に激しい反対運動が起きておりますことは、御存じだと思います。農民や漁民あるいは一般住民からそれぞれ反対が起きておりますし、また、科学者の側からもいろいろの反対や議論が出ております。たとえばあの建設予定地が顕著な地震地帯だというだけでも立地条件としてはきわめて不良であると、こういう意見も出ておりますが、大臣、それらの事情を御存じのはずだと思います。なぜこういう状態の中で設立を許可されたのか、反対者の主張を十分考慮された上でのことかどうか、まずその点をお聞きいたしたいと思います。
#85
○国務大臣(前田佳都男君) 伊方の発電所につきましては、昭和四十七年の五月十二日に原子力安全審査会の伊方部会というものの審議を経まして、十一月の二十九日に総理大臣が許可をいたしております。それに対しまして、本年の一月二十七日、伊方発電所原子炉設置許可取消処分の異議の申し立てが出ております。その異議の申し立てば行政不服審査法に基づく異議の申し立てでございますが、その点につきましては当庁といたしましても目下慎重に検討しておる最中でございます。
#86
○星野力君 いま大臣からもちょっとお話がございましたが、用地の問題につきましても、なお十数人の地主が土地買収を拒否しております。ある者は裁判を起こしておりますし、他の者も裁判を準備しておるという状態であり、また、海面の埋め立てにつきましても、いまお話のありましたように、行政不服審査法に基づく審査請求がなされ、さらに埋め立て中止の仮処分の申請も出ておると思います。それから発電所の揚水につきましては、保内町の町民が、審査報告書の水の需給推定は虚構である、でたらめである、町の揚水量だけでもすでに限界に達しておる、その上原発に取られたのではたいへんだということで、ここでも激しい反対運動が起きておるわけでございます。その上に、先ほども申しました科学者の側からのいろいろの反対議論、そういうものも出ておりますが、私は、こういう状態では、少なくとも発電所建設工事は、現にそういう反対の中で建設工事が強行されておるのでありますから、少なくとも工事を中止させるべきではないかと思うのであります。揚水の問題一つをとりましても、これは決定的な障害になる問題ではないでしょうか。その点についてどうお考えになりますか。
#87
○国務大臣(前田佳都男君) ただいま、この異議の申し立てにもございます土地の問題並びに揚水の問題、漁業権の問題が、裁判中のものもございますし、いろいろ係争中であることは、よく存じております。これらにつきましては、私が着任する以前からの問題でございまするけれども、これを許可するにあたりましては原子力局におきましても相当地元ともよく打ち合わせ等をしたようでございます。その点につきましては原子力局長から御答弁をいたしたいと思います。
#88
○政府委員(成田壽治君) 土地の問題、工業取水の問題、あるいは漁業権の問題等、問題が多々ありまして、この点は県あるいは関係市町村長等と十分いろいろな検討をやりまして、安全審査会の答申も出ましたので、原子力委員会並びに政府として許可を出したわけでございます。特に問題の取水の問題につきましては、これは県等のいろいろな調査を聞きまして、たとえば十年に一回の渇水期におきましても大体平均三万三千トンのパー・デイの供給力があると、そして最低の場合でも一万六千トンという供給余力があるというデータになっておりまして、それから需要につきましても、将来の需要増加を織り込みましても大体パー・デイ一万トンであると。それで、今度の伊方発電所の工業取水は、パー・デイ千トンと、最大の場合でも千五百トンということでありますので、われわれ、県あるいは保内町等のいろいろなデータからしまして、需給上もまあ問題ないというような検討の結果、この水の問題については、一部にいろいろな異論がありますが、そういう意味で需給上問題ないだろうと。それからもう一つは、全体の需給の問題としては問題はなくても、これは地元の町民等にも非常に重大な社会的あるいは心理的な影響がある問題でありますので、われわれは、許可に際しても、局長名で、知事、保内町町長、それから電気事業者に対しても、取水の問題については慎重に地元と接触をして適切な措置をとるようにというような、念のためそういう注意の要望も出しておりまして、われわれは、需給上はデータによって問題ないという結論を得ておりますが、ただ、実際上、いろいろ保内町の方々の問題もありますので、地元等の県知事あるいは町長、事業者等に対してその点の十分の配慮をするようにという要望も一緒に出しております。
#89
○星野力君 大臣も局長も事前に十分地元とは打ち合わせを行なっておると、こう申されておりますが、実はその点が十分でなかったためにこういう問題が続発してきておるわけでございます。しかし、その点については、さらに他の機会に具体的にお聞きします。
 時間がもうまいりましたが、総理に対していまこの問題で異議申し立て書が出ておりますですね。その異議申し立てに対してはどういうふうに御処置なさる考えか、それだけ一つお聞きしておきたいと思います。
#90
○国務大臣(前田佳都男君) この異議申し立てば、行政不服審査法に基づく異議申し立てでございまして、当庁におきまして原子力局において十分その異議の申し立ての内容を審査いたしまして、また、原子力委員会にも連絡をし、そうして内閣総理大臣にこれをわれわれのほうから上申をして、内閣総理大臣の決定を待つと、そういうふうにいたしたいと思っております。
#91
○星野力君 異議申し立て書に対して慎重に御検討なさるのはもちろんけっこうでございますが、検討中にもどんどん建設工事は進められておると、そういう事態でございます。なるべく早く結論を出していただきたいと思いますが、大体いつごろ結論が出ますですか。
#92
○国務大臣(前田佳都男君) 相当詳細にわたる異議申し立てでありますので、にわかに――にわかにではございませんけれども、そう簡単にそれの結論を出すというわけにもいかぬと思います。相当慎重に検討せにゃいけませんので、大体三カ月程度かかるのではないかというふうに考えております。
#93
○星野力君 三カ月程度と、こういう御答弁でございますが、その間にも工事が進められておりますし、検討されていずれもこれは重要な問題を含んでおると私は思うのでございます。その期間中でも工事を中止させるお考えはないかどうか、お聞きしたい。
#94
○国務大臣(前田佳都男君) 行政不服審査法の異議の申し立てがございます場合、その処分の効力、執行、手続の続行を妨げないという、そういう規定に相なっておりまして、いまのところそれを中止する考えはございません。
#95
○委員長(渋谷邦彦君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。本日はこれにて散会いたします。
  午前十一時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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