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1972/04/20 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
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1972/04/20 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号

#1
第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
昭和四十八年四月二十日(金曜日)
   午後一時六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         渋谷 邦彦君
    理 事
                辻  一彦君
                矢追 秀彦君
    委 員
                大森 久司君
                永野 鎮雄君
                鍋島 直紹君
                船田  譲君
                上田  哲君
                沢田 政治君
                和田 静夫君
                星野  力君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       前田佳都男君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      進   淳君
       科学技術庁原子
       力局長      成田 壽治君
   説明員
       原子力委員会委
       員        山田太三郎君
       通商産業省公益
       事業局原子力発
       電課長      武田  康君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (原子力発電の安全性等に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(渋谷邦彦君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。
 質疑のおありの方は順次御発言願います。
#3
○辻一彦君 私、この間の四月七日の分科会におきまして、環境をめぐる審査の問題等について若干質問しましたので、きょうは、環境と並んで重要な安全性の問題について若干の質問を行ないたいと、こう思います。
 安全性の問題は、言うまでもないことですが、平常時、事故時においての問題がございます。最近、学者の方から、事故時における安全性、いわゆる仮想事故においての災害評価の問題についての論文等指摘もされておりますが、藤本論文あるいは菊池論文というのがそれであると思います。また、原子炉の立地を予定されている地域住民あるいは広範な国民の中にも大きな関心と不安は、やはり事故時における災害といいますか、安全性というものがどういうように確保されるか、こういうことが非常に大きな問題になっている、こういうふうに思っております。私は、必ずしも原子力委員会のいままでのあり方が、広範な国民あるいは地域住民のこういう不安に十分こたえていたというようにはなかなか言えないのではないか、こういうふうに思うわけです。
 そこで、前にも問題になりましたが、早稲田大学の藤本教授が日本の災害評価における甘さを指摘をし、また、前の原子力委員であり、原研の理事長でありました菊池さんが、仮想事故における災害評価、これがダブー視されて十分な評価がされてないんじゃないか、こういう指摘をされております。この二つの点について原子力委員会がどういう見解を持っておられるか、まず、これを一応お伺いいたしたい、こう思います。これは局長からでもいいです。大臣から御答弁いただけるなら大臣から……。
#4
○国務大臣(前田佳都男君) ただいま辻先生から御指摘の安全性の問題は、申すまでもなく、原子力発電の大前提でございます。これにつきまして地域住民の方が非常な関心をお持ちになる、これはほんとうにそのとおりでございまして、私たちといたしましても、あるいは不十分じゃないかという御指摘があるかと思いますが、とにかく原子力行政の中心は安全性の確保ということに前提を置きまして、それがために一生懸命いま努力いたしている次第でございます。
 ただいま御指摘の藤本論文でございますが、藤本論文につきましては、詳しくまた局長からも項目ごとに御説明、意見を申し上げたいと思いますけれども、私から最初に概括的にお話をいたしたいと思います。
 まず、安全審査につきましては、平常時の安全を確保するということはもちろんのことでございますが、事故時におきましても、周辺の公衆に対しまして放射線被害を与えないことを基本方針といたしておりまして、原子炉安全専門審査会というこの機構におきましては、技術的には生ずるとは考えられない仮想事故を想定した場合でも、工学的安全防護施設の作動によって周辺公衆の安全が確保できるようになっておるということを確認した上で、安全性の面から許可するということにいたしておる次第でございます。私があれこれ申し上げなくても、もう専門でいらっしゃる先生はよく御存じでありますが、藤本論文についてはそういうことを概括的に最初に私はお答えいたします。
 次に、菊池論文でございますが、発生確率の低減につきましては、原子炉の設計、施工、運転の各段階におきまして、安全余裕のある設計、きびしい品質管理、厳重な検査、監視など、現在の最高水準の技術的知識や経験をもちまして事故確率低減のためにあらゆる努力を払っておりまして、今後ともこの姿勢を堅持する方針でございます。災害の評価につきましては、原子炉の安全審査におきまして、技術的には考えられない原子炉として放射性物質の放出量が最大となる事故、仮想事故を想定いたしまして災害を評価いたしまして、この仮想事故時にも周辺公衆に著しい放射線災害を与えないことを求める立地審査方針に適合することを確認しておるわけでございます。したがいまして、実際の原子炉はその出力に見合いました工学的安全施設を有しておりまして、このような立地基準に適合することを確認した上で許可されておるものでございます。
 なお、菊池先生は原子力分野のパイオニアというか、先達者でございまして、この菊池先生が御指摘されるように、安全確保のためには不断の努力、絶えざる努力、もうこれでいいということではなくて、絶えず努力しなければならないものでございまして、今後の原子力利用の進展に応じた安全研究の推進などによりまして安全対策の充実を鋭意はかってまいりたい所存でございます。
#5
○政府委員(成田壽治君) まず、藤本論文の考え方、これに対する原子力局等の考え方を逐次述べていきたいと思いますが、藤本論文におきまして、事故解析に対する姿勢の問題として、原子力委員会の行なう安全審査は住民の安全という見地に立っておらない、そして設置者、電気事業者がみずからの利潤のために行なったエンジニアリング的な安全解析をほとんどそのまま流用しておるという御指摘がありますが、これにつきましては、いま大臣も言われましたように、立地指針あるいは安全審査の最大の考え方は周辺住民の安全確保という見地をとっておりまして、決して電力会社から出てきた解析をそのまま、うのみにしておらない。いろいろな基準に照らしまして、そして不適切な安全解析評価がある場合には、これに対してきびしい解析評価を行なって直すように指示をして、そして申請等の修正、訂正を行なって、その上で判断をしてやっておるわけであります。
 それから、論文におきましては、仮想事故の想定においては、これはこのような仮想事故というのは、概念上、手続上のものとされて、現実に発生するというような考えに立っておらないという批判がありますが、この点につきましても、仮想事故というのは、単なる概念上の、観念上の事故として扱っておるのでなくて、実際万が一起きた場合にどういう措置をとるべきか、起きた場合に周辺住民の防護の見地からどうやるべきかという、非常に厳重な考え方をとっておるわけであります。たとえばECCSとか、あるいはスプレーとか、あるいはフィルター等、平常時の通常運転においては必要でない、仮想事故の際にのみ機能するような安全装置を、多重性といいますか、独立性、一つが働かなくとも別のものが働くような多重性、独立性を有するような施設をつけまして、そうして万が一の仮想事故の事故に備えてそういう防護装置をとらしておりまして、決して、観念的な、概念的な事故として扱っておるにすぎないという点は当たっておらないじゃないだろうかというふうに考えておるわけであります。そうして、その防護装置の作用によりまして、万が一事故があった場合の放射能も、十分立地審査指針の目安線量を十分下回るというような、そういう計算をやりまして、その上で安全でだいじょうぶであるということで初めて許可をしておるのであります。
 それから、藤本論文におきましては、仮想事故時の放射性物質の大気放出量の推定が日本の場合は非常に少なく考えて、スプレーやフィルター等のあるアメリカ――でもあるのでありますが、アメリカの評価よりも非常に大事故の確率を減らして考えておるという御指摘もありますが、この点はよくいろいろ検討しないといけませんのですが、アメリカの原子力委員会の仮想事故の解析の手法も、最近のフィルター、スプレー等の新しい工学的な安全装置の働きを十分取り入れておりまして、日本と大体同じような考え方に立っておるのでありまして、決してアメリカではそういう機能を考えておらないというような考え方は、現実にはアメリカの場合に当たっておらないのじゃないかというように考えるのであります。
 それから、論文におきましては、仮想事故時における農作物の汚染に対する内部被曝等の評価が原子力委員会の日本の安全審査では考えておらないというような点も指摘しておりますが、これにつきましては、日本の原子力仮想事故の場合に、農作物の汚染に対する内部被曝等の評価は安全審査では評価しておらないのであります。これは、外部被曝や呼吸による被曝事故の発生のように発生と同時に退避しない限り避けることができないものでありますが、農作物による汚染の場合は非常に被曝が時間的な余裕があって、事故の影響が発電所の外部に及ぶ場合には原子力の災害応急対策が発動される。これは防災基本法によって発動されますので、その間時間的な余裕が十分ありますので、その間に、たとえば一般住民の退避とか、あるいは立ち入り制限とか、汚染飲食物の摂取制限とか、そういう適切な措置を行なう態勢がとられておりますので、農作物の汚染に対する内部被曝の評価は、一般の内部被曝やあるいは外部被曝、呼吸による被曝等と違う扱いをしておるのであります。
 それから、原子力損害賠償金額は原子力の事故の際の被害に対して非常にいま考えると少ないじゃないかという御指摘もありますが、これは、現在原子炉の場合には原則として六十億円の損害賠償措置をとらせておりますが、しかし、この六十億は、これはアメリカや外国のように有限責任ではないのでありまして、これで補てんし得ない場合には国が予算等の措置によって、それ以上の損害が出て事業者に支払い能力のない場合には、国が事業者に対して必要な援助を与えるという損害賠償法の規定もありまして、決して被害者保護に欠けるという点はないというふうに考えておるのであります。
 それから、仮想事故の評価に対しての目安線量全身二十五レムというのは急性障害しか考慮していないじゃないかという御指摘もありますが、この点は、論文における指摘が、アメリカにおきましては年間〇・一七レムという値をアメリカではとっておるが、とありますが、この〇・一七レムというのは平常時被曝に対して勧告したものでありまして、事故時の目安ではない、〇・一七レムというのは、五レムというICRPの遺伝線量等の基準、これを三十年で割って一年間〇・一七レムということを出しておるのでありまして、これは平常時被曝に対してのアメリカでの勧告でありまして、事故時の目安線量ではない、その点は誤解があったんではないだろうかというふうに考えておりまして、この藤本論文に……。
#6
○辻一彦君 時間が限られているので、詳しく聞きたいですけれども、簡潔にやってください、かまいませんから。
#7
○政府委員(成田壽治君) 藤本論文に関しましては、おもなる考え方、これに対するわれわれの考え方は以上であります。
 ただ、この藤本論文に対しても、地元関係にいろんな影響もありますので、学者の一部の方がこれに対する反対の考え方の論文を岩波の「科学」六月号に近く掲載するというふうに聞いておりまして、まあ原子力委員会としては、それらの各方面のいろいろな考え方を見て、原子力委員会としての考え方を、ある時期にとることになると思います。
 それから菊池論文につきましては、大臣から御説明がありましたように、菊池さんの考えは、火力発電よりも原子力発電が安全性においても事故の評価においても非常にすぐれておるので、原子力発電の推進というのは必要でありますが、やはり大衆の不安、パブリック・アクセプタンスの見地から考えると、やはり事故の確率ゼロにはできないということになれば、原子力発電の規模に対して出力制限の必要があるかないか検討する必要があって、学術会議にそういう一つの委員会でもつくって検討したらという御提言でありますが、われわれは、原子力発電が火力発電と比べて、安全性においても、あるいは事故時の評価においても、すぐれておるという考え方はわれわれも同様でありますが、ただ、出力制限の必要があるかどうかという点につきましては、われわれの考え方は、先ほど言いましたように、まあ大容量の場合は大容量の発電所に即した安全装置、事故の場合の工学的な安全装置が十分とられておるかどうかという点をケース・バイ・ケースで検討しておりますので、大きいから不安があって出力制限をする必要があるという考え方は、一がいにそのまま言えない、むしろ、出力制限と関係なく、その炉ごとに安全であるかどうかという評価をやっておりますので、そういう考え方をとっておりますが、この点についてもいろいろ今後原子力委員会で考え方として検討していくことになっております。
#8
○辻一彦君 まあ、いまの説明、一応伺いましたが、これについては私は深くきょうは入ることはできないと思います。そこで、別の機会に詳しく取り上げることにいたしたいと思います。
 で、伺いたいのは、このTID方式というのが、以前にアメリカがこれをもとにしてやっておった、これは出発点であったわけですね。しかし、いま、まあ再三言われておるように、このセーフティガイドを使って評価をしていく。そこで、去年の十一月に認可された東海二号、福島六号、これに対する日本の原子力委員会の災害評価と、そしてAEC、アメリカのセーフティガイド方式によって次の三点について評価した点を、比較のために発表していただきたい。一つは、炉内におけるいわゆる内蔵量、まあこれは第一の出発点であると思いますね。第二は、格納容器から漏洩の可能な量、第三は、大気中に放出される量、この三つについて、日本の方式とアメリカの現在使っているセーフティガイドによってどういう数字が比較されるか、これをちょっと簡単に報告を願います。
#9
○政府委員(成田壽治君) 災害評価の比較を述べますと、日本の原子炉安全専門審査会で見ますと、格納容器内に放出される量が大体五〇%という考え方であります。そして、無機沃素が格納容器内に浮遊する量、それ以外は、いろいろ表面とかに吸着するわけでありますが、これがその五〇%という計算になると思います。それから、スプレーでも除去されないような無機沃素の量、これはさらにその二・九%という計算になっております。したがって……。
#10
○辻一彦君 数字だけでいいです、三点についての。
#11
○政府委員(成田壽治君) そういう計算。それからフィルター効率九〇%等を考えますと、沃素一三一のキュリー数が、この前も御説明しましたが、二万六千キュリーが放出になるということの事故解析をやっております。アメリカのセーフティガイドによりますと、いろいろ途中の計算の違いはありますが、結論としましては、フィルター効率九〇%あるいは格納容器から漏洩可能量二五%等の計算がありまして、十二万キュリーという値が沃素一三一の中に出てまいっております。
#12
○辻一彦君 そこで、途中の過程は時間がないから簡単にして、結局、放射能が原子炉の中に一ぱい詰まっているわけですが、その値は、出発点としていつでも、日本もアメリカも一億六千百万キュリー。これはそちらからいただいた数字ですね。第二に、いま格納容器からの漏洩可能量は、日本の場合は九百十万キュリー、アメリカが四千三十万キュリー、これが、さっき局長から説明のあったいろいろな過程を通して大気中に出るとすると、ヨード一三一は日本では二万六千キュリー、アメリカのセーフティガイド方式では十二万キュリーになっている。TIDというのを厳密に適用すると、これは藤本さんが計算しておりますが、二十一万キュリーになっておりますね。
 そこで、いずれも出発点が一億六千万キュリーというところから出発をして、そして空中に放出されるヨードの量は、日本の場合は二万六千キュリー、アメリカは十二万キュリーという、この計算の違いは一体どういうところから起こっているのか、時間の点がありますから、要点だけでけっこうですが、なぜ、いわゆるアメリカの放出放射能よりも日本の場合は四・五分の一の数になるのか、非常にむずかしい専門的なことは別として、ごく概括的に説明してもらいたいと思います。
#13
○政府委員(成田壽治君) 日本の場合は、沃素が格納容器内に浮遊する量五〇%、残りは表面に吸着するという仮定をとっております。それから、スプレーで除去されるものが九〇%以上の効率を見込んでおりますが、セーフティガイドにおきましては、この間の仮定はないわけでありまして、そして格納容器からの漏洩可能量というのが二五%という、そういう非常に途中省略したような値で二五%、そこからフィルター効率等も考えて計算をしておりまして、その違いが仕上がりの違いとして大きく作用していると思います。
#14
○辻一彦君 これは、出発点が同じで、そしてアメリカの大気中に出る量よりも四・五分の一日本のほうが小さい数字であるということは、いろいろな見方がありますが、ある一面から見ると、アメリカの場合は工学的な安全性というものがいろいろあるけれども、いわゆる最大の仮想事故のときにはあまりそういうものが動かないと、こういうような判断によって、きわめて辛く数字を見る、そういう結果十二万キュリーになっておるが、日本の場合は、その安全度の見方がある意味においてはアメリカよりも甘いと、こういう結果四・五分の一になっているのじゃないか。その点、一体どちらが辛く見積もっているのか、その点はどうですか。
#15
○政府委員(成田壽治君) スプレーの問題、あるいは浮遊量の割合の問題、これは日本の安全審査会の考え方でやっておるのでありまして、アメリカのセーフティガイドでは、そういう間の仮定はとっておらないということであります。したがって、われわれは日本の考え方が、これが、工学的ないまの安全装置の機能から考えて、より適切なんではないかというふうに考えておるのであります。
#16
○辻一彦君 より適切と言われるけれども、出発点が同じ数字で、出るのが四・五分の一ということは、どちらが安全度を、じゃ辛く見ているのか、甘く見ているのか、それはどうなんですか、きわめて簡単なことですが。
#17
○政府委員(成田壽治君) この限りでは、スプレーとか、いろいろな新しい、アメリカで入れてない要素を入れておりますので、日本のほうが低く出ておりますが、ただ、アメリカの場合も、格納容器、スプレー効果がないとした場合、あるいはあるとしたときの被曝量というのが、そのあとの段階でまた評価する場合もあるようでありまして、一がいに、どちらがきつい、きつくないとは言えないのじゃないかというふうに考えております。
#18
○辻一彦君 ふくれているというお話だけれども、これはことばをかえて言えば、その段階においては、アメリカよりは辛くない、甘いということを私は言えると思いますね。そこで、安全度を見れば、安全性という点から言えば、いろいろな安全装置がたくさんあっても、そういうものはなるべく動かないというか、これを辛く見るほうが安全度合いが高いと、こういうことは私一つ言えると思うのです。
 そこで、アメリカは、その原子炉の周辺に、さらに安全性を考えるために、いまの低人口地帯という考え方をずっと持っておりますが、低人口地帯とは一体どういうように考えておられるか、簡単に考え方を局長に伺いたい。山田原子力委員には、あとで問題があったときにお伺いしますから。ちょっと、きょうは行政的な問題もありますから。
#19
○政府委員(成田壽治君) アメリカの場合、米国における原子炉の敷地基準の低人口地帯、これは、排除区域がありまして、そのすぐ外側の区域で、この区域の住民数が最大想定事故のときに、住民を撤去させ得るか、またはそれにかわる防御措置がとれる程度でないといけないという考え方、そこから低人口地帯という考え方が出ております。そうして、この地帯の外側の境界線上の点にいる個人が、全身に二十五レム以上の放射線量または沃素の被曝によって甲状腺に三百レム以上の放射線量を受けることがないようないわゆる広さという、広さの概念としてはそういうことになっております。
#20
○辻一彦君 この問題はこれから少しお尋ねをしたいと思います。
 で、しばしばこの委員会でも論議をされたように、アメリカは、当初は昭和三十七年にTID一四八四四方式ということで出発をしたわけです。しかし、技術がいろいろ進歩するに従って、この距離というもの、安全は距離であるという考え方から出発しましたが、この距離をだんだんと縮めてきた、これは事実だろうと思うのです。そこで、ちょっと例をあげてみますと、最初は原子炉の出力に応じてかなりな大きな距離をとった。たとえば三十万キロワットならば、低人口地帯は十六キロ、五十万キロワットならば二十一キロ、八十万キロワットならば三十キロワットというように低人口地帯をとり、人口が密集するところはさらにこれの一・三倍の距離をとって、ここから出発をした。いまいろいろとこの距離は縮まっておりますが、最近アメリカで認可された百万キロワット以上の原子炉、私は資料をいただきましたが、たとえばP型で、ワットバーというんですか、ウォットバーというんですか、それからマクガイアー、B型のフェルミ、それからニューボルド、これは、それぞれ低人口地帯を現実にアメリカのAECの評価の中でどれだけとっていますか。
#21
○政府委員(成田壽治君) ちょっといまデータをさがしておりますので、後ほど……。
#22
○辻一彦君 じゃ、私、ほかのほうでいろいろ調べたので、申し上げて、間違っておったら、また直していただきたい。
 ワットバー、これは百万以上ですね、百十六万九千キロワットですか、三マイル、五キロですね。それからフェルミがやはり三マイル、五キロ。ニューボルドは五マイル、八キロ。マクガイアーについては、まだ私は資料がありません。わかったら知らしていただきたい。
 こういうように、五キロから八キロという低人口地帯を今日なおアメリカが百万キロワットクラスのいわゆる原子炉の評価においてもとっている、こういう事実があるわけですが、この点、局長、どうですか、これは事実として認められますか。
#23
○政府委員(成田壽治君) いまわれわれのデータは、非居住地域だけの距離のデータしかないのでありまして、低人口地帯の距離のデータはありませんので、ちょっと正確な御答弁ができないのは非常に残念であります。
#24
○辻一彦君 これはアメリカのAECの安全審査書を調べたんですから、この数字は私は間違いないと思います。そこで、私の指摘したいのは、アメリカは、安全は距離だという点から出発をして、当初はかなりな距離をとった。しかし、いろいろな技術の開発に従って、その距離を縮めてきた。しかし、それでも、いま百万キロワット以上のP型B型いずれを見ても、五キロから八キロという低い人口地帯の距離をとっておる。これは事実として私は指摘できると思うのですね。私は、この中で、アメリカも同じ災害評価でいろいろな計算をしていると思いますが、なお余裕を持って原子炉の周辺にそういう低人口地帯を設置しているというこのアメリカの考え方について、安全ということを考えた場合にどう考えられるか、この点、ひとつ伺いたい。
#25
○政府委員(成田壽治君) アメリカの場合の立地、敷地基準によりますと、低人口地帯、そういう考えをとっておりますが、日本の場合は、御承知と思いますが、非居住地域、低人口地帯、これは両方とも発電所の敷地の中に入るような境界線をとらせて、そして立地をやらせておりますので、その点はどちらが安全上きついかというのは、一がいに言えないんじゃないかというふうに考えています。
#26
○辻一彦君 それじゃ、非居住地域、五百から八百メーターをとっておられると思いますが、前に、美浜二号五十万、三号八十二万、高浜一、二号それぞれ八十二万、大飯一、二号百十七万、これは私、資料提出を求めましたら、低人口地帯は全部敷地内五百ないし八百メーター内におさまると、こういう資料が出されておりましたが、そのとおりですか。
#27
○政府委員(成田壽治君) そのとおりと思っております。
#28
○辻一彦君 それでは、去年の十一月に認可をした東海二号百十万キロワット、福島六号百十万キロワットは、一体低人口地帯は何メーターになりますか。
#29
○政府委員(成田壽治君) 具体的な計算はいま手元にありませんが、敷地内に福島も東海二号も入っていることは確かであるのであります。
#30
○辻一彦君 参考のために、その敷地はおよそ半径何メーターになっていますか。こまかい数字はいいですから。
#31
○政府委員(成田壽治君) 福島第六号は六百五十メーターであります。それから原電東海二号が五百四十メーターというふうになっております。
#32
○辻一彦君 低人口地帯というものは、なるほど名前は、日本も低人口地帯がある、アメリカもあると、こうなっていますが、百万キロワット単位で言うならば、アメリカは現実に五−八キロをもって低人口地帯とし、日本は五百から八百メーターをもってしている、この事実はまあ明らかになっておると思います。そこで、アメリカの原子炉の事故として、SL1の事故というもの、これは宿直員三人が全部死んでしまったという、かなり大きな事故ですが、ごく簡単に、このSL1の事故の災害と、そのSL1の事故から一体どういう体験をアメリカは引き出しているか、これについても、もし考えておられたら、ちょっと聞かしてください。場合によっては原子力委員のほうから。
#33
○説明員(山田太三郎君) 先ほどの非居住区域と、それから低人口地帯のお話ですが、確かに辻先生御指摘のようなことになると思いますが、しかし、その場合のアメリカの低人口地帯、あるいは非居住区域における被曝線量は幾らであるかという、これは三百レムではないわけであります。三百レム以下であれば適当にとれると、そういうことになっております。それで、まあアメリカの人に聞いてみたわけですが、じゃ、そうやって非居住区域というものをつくったら、そのあとは一体何をするんだと。何もしないんです、これはどうも自分たち矛盾を感じておるけれども、そうだと、こういうふうに言っておりました。
#34
○辻一彦君 SL1……。
#35
○説明員(山田太三郎君) それから次に、SL1の話でございますが、SL1の事故は、あの中におりました人が――これは詳細はまだわかっておりませんが、中央の制御棒を動かしたのではないかということで臨界になったというふうになっております。それで、そこにおりました三名の人がみんな死んでしまった。しかし、この建物は特別コンテナみたいなものではなかったんですけれども、この炉内、炉室内における放射能レベルは非常に高かったけれども、意外と外へ出るものは少なかったというようなことがわかったというふうに私は覚えております。
#36
○辻一彦君 このSL1の事故例をずっと詳しく報告しているのを見ますと、三人が全員死亡して、「のちにこの事故は激烈な爆発を伴なったことが明らかになった。すなわち全重量一三トンにおよぶ原子炉容器は約二〜三フィート飛びあがり、そのため蒸気ノズル、給水管およびすべての付属管が切断されており、」云々と、ずっとこうありますね。そして、これだけの事故が、これは燃料棒数百本のうちの一本程度が破損した内容のようですが、この事故がいわゆる広範な大衆に被害を及ぼさなかった唯一の保障は敷地の広大さにあったということがここに言われておりますね。これはアイダホの国立原子炉の実験所ですから非常に大きいですね。これは(図を示す)非常に小さいですが、たとえば茨城県東海村にこれを当てはめてみると、この北浦から房総から東海を含むぐらい、これが大体アイダホの実験所になっている。このぐらいこのアイダホの実験所というのは大きい。結局、SL1が大きな事故を起こしながら広範な範囲に被害が出なかった、食いとめられたということは、これは、こういう敷地の大きさということが、広大さということがこの保障になったんだと、こういうことが一つ言われておりますが、ここから私は考えて、アメリカが、いまなお原子炉の排除区域というのは、これは一キロか、何百メーターか、日本と似たような範囲でしょう。しかし、その周辺に、いまなお低人口地帯というものを、万一を考えて、これを設けるというのは、やっぱりこういう体験から学んで、今日もやはり低人口地帯というものが必要であると、こういう考え方を私は持っておるのじゃないか、こう思いますが、この点、どうですか。局長いかがですか。
#37
○政府委員(成田壽治君) アメリカの低人口地帯と日本の低人口地帯、概念がかなり違う点でありまして、ただ、アメリカの場合は、事故があった場合に住民を退避させ得る範囲という概念でやっておるのであります。日本の場合は、構内に低人口地帯をとっておりまして、そういう意味では、まあ退避するということなく、常時おっても問題にならぬように、そういう線でとっておりまして、そういう意味では、まあ日本の場合に、アメリカの考え方が適当であるという考え方は、われわれのほうの考えからはとっておらない。そうして、むしろ防災計画等において、先ほど言いましたように、さらに問題があった場合には、住民の退避あるいは飲食物の摂取制限等、そういう方法で考えておりまして、決して、低人口地帯というのを境界線の外等に設けることは、この日本の立地基準によっては必要がないというふうに考えておるのであります。
#38
○辻一彦君 これは一昨年の十二月だから、だいぶ前になりますが、科学技術庁から出してもらった日米立地基準の比較表がありますね。この中にはっきり、3に「低人口地帯」として、「甲状線(成人)に対して三〇〇レム、全身に対して二五レムを超えるような地帯」とあって、「(適切な措置を講じうる環境にある地帯)」と、アメリカも同じように書いてありますね。これはいずれも、あれでしょう、低人口地帯というのは、いざというときに逃げ出すことのできることを言うわけでしょう。低人口地帯の概念が、これはアメリカと日本と違うんですか、同じように書いてありますけれど。それはどうなんですか、念のために。
#39
○政府委員(成田壽治君) 日本の低人口地帯の概念は、著しい放射線障害を与えないために適切な措置を講じ得る環境にある地帯ということであります。したがって、時間的な問題は別としまして、そういう退避等の措置もあり得る概念でございます。
#40
○辻一彦君 アメリカも「(適切な措置を講じうる環境にある地帯)」と、こうありますね。だから、低人口地帯の考え方というのは、事故が起きたときに逃げ出せると、簡単に言えば、そういう範囲のことを言うわけでしょう。非居住地域になれば、これはいざという場合に逃げ出せないかもわからない、だから人が住まないようにするというわけですから、低人口地帯の概念は、日本もアメリカも同じじゃないですか、違うんですか。
#41
○政府委員(成田壽治君) アメリカの場合は、三百レム以上の放射線を受けることがないような広さということであります。それで、日本の場合は、距離のその範囲を判断目安として三百レムを用いて、放射線災害を三百レム以内というような考え方をとっておりまして、そういう意味では、まあ向こうは住民を退避させ得る、あるいはそれにかわる防御措置をとる程度ということでありますが、何時間とか、あるいは具体的な概念は違うかもしれませんが、かなり似たような考え方もとられておると思います。
#42
○辻一彦君 いや、あなたのほうで出された資料は、もう全く同じですよ、表現がね。だから、要するに、低人口地帯という概念は同じであるが、アメリカは念のために周辺に五キロか八キロの低人口地帯をなお設定している、日本は敷地の中に、もう計算でいいのだから、もうだいじょうぶだと、こういう考えを持っているということでしょう。これは、低人口地帯ということを、もし厳密に、アメリカのようにわが国に適用した場合に、様子が非常に私は変わってくると思う。たとえば、しばしば指摘しましたが、苦狭湾で大飯原電や、高浜原電、周辺五キロからちょっとのところには、夏は、土曜、日曜は何十万の海水浴客が、お客さんがいる。もしそれを低人口地帯として指定をして、こういうところはなるべく避けたほうがいいということになれば、これは、設置の基準というか、私は現実的な判断というのは変わってくると思うんです。しかし、低人口地帯、日本の場合には、敷地内八百メーター以内におさまっちゃうから、外に土曜、日曜に何十万海水浴のお客がおったって、そんなことは計算したら心配ないから安全だと、こういう結論が出ておるんでしょう。だから、低人口地帯をどのぐらい見るかということによって私はずいぶん変わってくると思う。そういう意味で、アメリカは自分で開発した技術の上に立って、なお低人口地帯をこれだけ設定しているということは、まさに安全度に対する余裕を何とか多く見ようというあらわれであるし、日本の場合は、先ほど十分その安全について余裕を見る、こういう答弁が大臣並びに局長からありましたが、敷地の中ぎりぎりに低人口地帯が入っちゃえばそれでいいと。私は、それでは余裕度を安全においてどう見ているかということについては非常に疑問に思いますが、その点、先ほど十分安全度に余裕を見ると言われたことを、低人口地帯が八百に全部おさまっちゃって、アメリカのようなことを見てないということは、その関連は一体どう考えるんですか。
#43
○政府委員(成田壽治君) 仮想事故、技術的には考えられないような事故を仮定しまして仮想事故をつくり、そして低人口地帯という制度を導入しておるのでありますので、日本の場合、仮想事故を想定して、構内に入るような低人口地帯をとっておりますので、十分安全余裕がとられておるというふうに考えられるんであります。ただ、先ほど言いましたように、農作物の影響等につきましては、その外の地点における問題としては、防災計画等によって、まあ最悪の場合、万が一の場合に摂取制限とか、あるいは立ち入り検査とか、いろんな措置は、万が一の制度として防災体制がとられておりますので、安全体制としては十分確保されているというふうに考えておるのであります。
#44
○辻一彦君 あなたは先ほど藤本論文に対して、仮想事故はあり得ないようなことに考えているんじゃないかという批判に対して、現実に発生する想定に立ってないという批判があるが、それに対して科学技術庁としては概念上ではないと、観念的ではないと、こういうことを言っておられるんですね。いまはまた、あり得ないということという、そうしてそういうことを前提にして、あまり周辺のことはそう考えぬでもいいと言われた。これは矛盾しているとお考えになりませんか、言われていることが。
#45
○政府委員(成田壽治君) 私が先ほど、仮想事故が単なる観念上の事故でなくて、実際の措置としていろいろとられておる概念であると言いましたのは、格納容器内のスプレーとかフィルターとか、あるいはECCSとかいうような万が一の事故の際働くような装置をつけさせておると、そういう意味で、単なる想定上の概念的な措置でない、そういう意味でございます。それから、敷地の大きさも十分織り込んでそうして考えておると、単なる観念的な仮想事故でないという意味で申し上げましたのは、そういう意味でございます。
#46
○辻一彦君 どうも都合のいいときには概念的じゃなく、観念的ではないと。しかし、都合の悪いときには、どうもあり得べからざることなんだと、こういうまくらことばが必ず出てくるように私思いますが、それはいいとしておきましょう。
 そこで、アメリカでは当初TID方式によって、安全は距離という考え方を打ち出したと。日本には初めから、安全は距離という考え方が欠けておったと思いますが、この点、どうですか。
#47
○政府委員(成田壽治君) 先ほど藤本論文でも問題になりました当初の原産の損害賠償の計算等、これは、格納容器だけしかない時期の、こういう場合はやはり距離という観念でいろいろ考えられたんでありますが、その後、スプレーとかフィルター等の工学的な安全装置の研究開発がなされ、その性能も十分実証されるに至りましたので、そういう意味で、距離だけによらない考え方が非常に入ってきておると思うのであります。そして、そういう意味では、距離も、構内の広さをとる問題、あるいはその他集団線量二百万人レム以内というような考え方もありますが、距離の考え方もある程度あるんでありますが、ただ、いまや距離だけでなくて、公衆の安全を保護するためには安全防護措置との関連で十分考慮するという一つの技術進歩の結果としてそういう考え方がとられるに至った、これは日本だけでなくて、アメリカあるいは外国等においても取り入れられている考えだと思います。
#48
○辻一彦君 いや、私は、最近におけるそういう変化は、先ほど言いましたように、わかっていますよ。肯定します。しかし、アメリカの立地基準が出たのは昭和三十七年、日本の立地基準ができたのは昭和三十九年。わずかに二年の差において、二年後にできた。そのときに、もうすでに出発点からわが国の場合にはアメリカの考えるような、安全は距離という、こういう点が欠けておったのではないか、こう思うんですが、この点どうですか。
#49
○政府委員(成田壽治君) 先ほど言いましたように、距離という概念も当然取り入れられておりますが、ただ、それだけでないということを申し上げておるのであります。そうして、その距離の概念は、構内の敷地の広さをとる場合、あるいはその他いろんな点で、また反映されておるというふうに考えております。
#50
○辻一彦君 いや、日本のどの原子炉の審査基準も、敦賀以来、ずうっと初めから見ても、アメリカのいわゆる安全は距離という方式は取り入れられていない。いませんよ。これはもう、基準の三つ目が違うんですから、国民線量で計算しているんだから、被曝線量で計算しているんですから、アメリカの距離の考え方は入ってないんですよ。初めから入ってない。そこで私は、アメリカの基準ができて、技術が進歩して、かなりの段階で距離というものが変わっていったんならわかるけれども、アメリカの基準ができたたった二年あとに、まだ当時アメリカはかなり距離の問題を厳密に計算をしておった、そのときに、もうすでに日本が当初から、安全は距離というこの条件というものを立地基準の中で欠落させている。ここに私は一つ問題点がある、こういうふうに思うんです。この点、どうなんですか。
#51
○説明員(山田太三郎君) この立地基準ができましたのは六二年でございますが、その次の年に私は、日本に軽水炉の安全審査を導入するためにアメリカに調査に参りました。そのころから、すでにこのTID方式ではだめであるということが彼らの仲間ではわかっておったわけであります。その後のものも、だんだんといろんな工学的安全装置の影響を考慮していくのが正しいという考え方で、ずっと変わっておるわけでありまして、その過程において日本の安全審査が入ってきたわけでありますからして、向こうの距離プラス技術因子というものが入るのは当然であると思います。
#52
○辻一彦君 それは、時間がかなりたってあとならわかりますが、三十七年にアメリカは基準をつくって二年後でしょう。そうして十一年たった今日でも、まだ五キロから八キロの低人口地帯というものを念のためにつくっている。日本は初めから敷地の中に全部入るという計算で、これはできてなかったじゃないですか。こういう点で、これはいままで何回も繰り返したことですから、これ以上は申し上げませんが、百万キロワットのクラスでも、アメリカは万一を考えて、周辺にかなりな低人口地帯を置いておるというこの事実ですね。そうしてわが国は、人口の密度等を考えれば、アメリカの人口密度と日本の人口密度というのははるかに違う。むしろ、アメリカの言うような低人口地帯は、日本がもっと、ある意味においては、厳密に、また厳重に設けて、安全に余裕をとるのが、日本のような人口の密度の高いところのあり方でないか。そういう点が初めから欠けている。だから、仮想事故の災害評価は、何か原子力委員会の中でダブー視されて、十分な評価をされてない、そういう批判が出るんじゃないかと私は思うんですね。
 それで次に、それではドイツのこの状況というのは、アメリカと違って、人口の点から言えば、かなり日本に近い形になっておりますね。ドイツにおいて、どういう基準あるいは設計基準、安全対策、こういうものがなされているか、これを見ると、これは皆さんのほうが調査に行かれた、かなりいろいろ報告が出ていますね。また、第四回のジュネーブの原子力の平和会議の論文集を読むと、西ドイツにおいてはアメリカの技術をもとにしながら、かなりこの基準の強化ということをドイツとして独自の開拓をやっている。大まかに言って、どういう点が特徴的であるか、その点、いかがですか。
#53
○政府委員(成田壽治君) ドイツとヨーロッパの基準等について、去年調査に行っていただいた方もあるんでありまして、その結果を見ましても、手続はいろいろはっきりしておりますが、具体的な審査基準というのはどういうふうになっておるかというのは非常にはっきりしておらないんであります。連邦政府では、立地基準とかあるいは事故の損害基準とか安全審査基準はまだ完成しておらない。いま原子炉安全委員会で軽水炉のデザイン基準というのを検討中であるというふうに聞いておりまして、完成されたというふうにはまだ聞いておらないんであります。それで、現在までの、従来の安全審査は大体アメリカのAECの基準を参考としてケース・バイ・ケースで行なってきているというふうに聞いております。そして、新しい軽水炉のデザイン基準というのはいま作成検討中であって、それがどういう内容になっておるかというのは、まだ具体的な情報を得ておらないのであります。
#54
○辻一彦君 山田原子力委員、被覆温度についての制限ですね、燃料棒の。それから飛行機の衝突に対する対策、それから格納容器の二重化、球型鋼鉄製の問題、それから設計基準の点において、年当たりの許容数量ですね。この四点について、ドイツの特徴、ありますか。
#55
○説明員(山田太三郎君) いま頭に残っておりませんのですが、まず最初の燃料被覆温度の件でございますが、これにつきましては、西独のやり方は、むやみにたくさんなセーフティファクターを混入するということよりも、実際において確かめられた、あるいは理屈からそうなりそうだというものをとった計算をするということによって、アメリカが現在千二百何十度ですが、まあ八百度程度というようなことになっておると思います。しかし、これは実証されたものではございません。
 それから、その次に御指摘になりました格納容器の二重化の問題でございますが、これにつきましては西独の非常に特徴的なことでございまして、アメリカの軍用飛行機が非常に落っこちるということがありまして、まず確率的な問題からいっても、ある場合には飛行機の落下を考慮せざるを得ないというようなことが頭の中にあるようでございます。まあ、そのような意味で格納容器の二重化というようなことが進められておると思います。しかし、これはヨーロッパ全体の傾向でございませんで、西独のきわめて特徴的な点でありますし、そのお国柄が出ておるというふうに考えられると思います。
 それからもう一つ、何でしたか、四つ言われた問題。
#56
○辻一彦君 あと、設計基準。
#57
○説明員(山田太三郎君) 設計基準というお話はちょっとわからないんですけれども、設計基準というお話はちょっとお答えしかねますが、先ほどの原子力局長のお答えと似たようなことになりますが、私がおととしあたり西独へ行きまして、原子炉安全研究協会ですか、そこのメンバーといろいろお話をしたときに、立地基準は一体西独にはあるのかというお話をいたしましたら、それはないと、そういうものをつくると、あとで窮屈になるかもしらぬから、それはもうケース・バイ・ケースでやるんだと、しかし設計――日本でありますようなデザインクライテリアンといいますか、それはつくっておりますというお話でございました。
 もう一つ抜けておるように思うんですが、先生何でございましたかな。よろしゅうございますか。
#58
○辻一彦君 まず第一の燃料棒の被覆表面の温度ですか。これはアメリカが暫定二千三百Fにきめましたね。大飯原電はそれよりも大事をとって二千百五十度と、まあ大飯原電の安全審査が認可されたときには、これが原子力委員会の一番の説明の、安全度を言うところの一番最初の説明事項だった。ところが、すぐその後アメリカは千八百五十度というように、ずっとこの温度を落とした炉が提案をされている。この中で、ドイツの場合は千六百五十度Fですね。九百度C。千六百五十度。これは、まあいま言ったように、いろんな取り方がありますが、燃料棒の場合に、まあ日本が二千百五十度で非常に下げておるかのように言いましたが、現実にいまアメリカで、あの原産新聞を見ても、全部出されているうち、この二千度を割っている数字がかなり多いですね。現に、ドイツで千六百五十度、こういうまあ温度がとられている。これを見ると、私は、もし温度の点で言うならば、ドイツというものはいろんな状況の中でかなりきびしい方向を出そうとしている。一つ。
 第二は、飛行機の問題でありますが、いまこれはまあ皆さんの報告書があるから、そのままのことですが、現在十三トンの飛行機が〇・三マッハで原子炉に衝突した場合にどうなるか。その場合のそれに耐え得るいわゆる格納容器を考えている。ところが、さらに現在これを二十六トンの飛行機、〇・六マッハに引き上げるという意向がある――これはファントムなんですね。ファントム戦闘爆撃機ですが、その場合に静加重で約一万トン以上に耐えねばならぬと。そこで、鉄筋コンクリートは一・二メーターの厚さが必要で、場合によれば、経済性から言えば地下に入れたほうがいいだろうと、こういう論議がもうすでになされている。これは、なるほど西ドイツの空はアメリカの軍用機がたくさん飛んでいるということもあるでしょう。しかし、飛行機がもしも激突をしたならば、それに対するだけの対策はとらにゃならないという点で、場合によれば一メーター二十センチ、そんな厚いのをつくるなら地下につくったほうがいいだろうと、こういう論議がなされ、そしてビープリスのBはかなり厚いこういう格納容器を持っているわけですね。そういうことが現実にいまなされているということがありますね。
 それからさらに――まあそれは格納容器の点がそうでしょう。それから山田委員に伺いたいんですが、日本の原子炉の設計基準は、たしか許容基準の五百ミリの十分の一程度と、こういうように以前にこの委員会において聞きましたが、そうなんですか。その点、どうですか。
#59
○説明員(山田太三郎君) その平常時被曝の基準でございますね。
#60
○辻一彦君 ええ。
#61
○説明員(山田太三郎君) 平常時被曝の基準につきましては、ICRP自体は去年の暮れにもう一ぺん五百ミリレムでいいかどうかという再検討をいたしました。その結果、それで変える必要はないという結論に到達しております。したがって、基準といたしましてはICRPは依然として五百ミリレムというのをとっている。ただし、アメリカの例で、ICRPはアズ・ロー・アズ・プラクティカブルと、できるだけ、可能な限り少なくするという原則を数字であらわすのを規則に入れたわけでございまして、それが五ミリレム、すなわちICRPの百分の一、これはデザイン、設計上そういうふうにするという案を出しました。もちろん、これには時間的に若干変わってもよろしいという考え方が入っておりますけれども、簡単に申し上げますとそういうことでございます。日本におきましてこれをどういうふうに考えるべきかということにつきましては、現在原子力委員会の持っております環境安全専門部会におきましての環境放射能部会においてその数字を出すべく検討いたしております。大体アメリカと同じ線にまいるわけなんですが、現在、やや技術的で申しわけないのですけれども、アイオダインの点で五ミリレムを守るということはなかなかむずかしいということが起こりまして、目下専門部会では苦慮しております。これは何も日本だけ苦慮しているわけではございませんで、アメリカでもその点について非常に問題があるようでございますが、大体においてアメリカと同じ線の五ミリレムというところに到達するという結論を出してくれるものと考えております。
#62
○辻一彦君 ちょっと念のために伺いますが、一昨年の十一月の十七日に参院の委員会において、山田委員の答弁では、設計上は大体十分の一ぐらいに考えていると、だから五〇ミリレムということだったですね。それを五ミリレムに設計基準をきめるということですか、大体。
#63
○説明員(山田太三郎君) 先生のおっしゃるとおりでございます。当時非常に問題になっておりましたホフマン、タンブリンの問題は、これまた十分の一という話がございましたので、そういう方向で考えておったわけでございますが、現在では、運転の実績等から見ましても、まず百分の一近くできるんではないかということもあわせまして、環境専門部会でそういう答申を出してくれるというふうに考えております。
#64
○辻一彦君 それは新しい確認ですから、承っておきます。
 そこで、先ほどの飛行機でも、日本の軍用機の自衛隊の上空制限は三百メーターだったのを、この前六百メーターに引き上げたですね。六百メーターの上空までは――以下は飛んじゃいかぬけれども、それ以上はいいということですね。ドイツの場合は、これはそういう制限とは別に、激突してもそれに耐えられるためにどうするかという論議をし、かなりそういう強化をしている。こう見たときに、私は大臣に伺いたいのですが、どうですか、まあそのこまかいことは別にして、ドイツはアメリカの軽水炉の技術を導入したけれども、ドイツの国情をいろいろ考えて、かなりきびしい方向を具体的にいま打ち出しつつある。現実にきちっと並べられた基準というものにはまだなっていないにしても、現に、その設計基準であるとか、具体的につくっていく中では、こういうかなりきびしい基準を当てはめている。そういう点について、日本はアメリカ並みにという、アメリカ並みだけをやっておればいいだろうという、こういう考え方が非常に強いけれども、ドイツのこういうやり方について、長官、どう考えられますか。
#65
○国務大臣(前田佳都男君) この原子炉の立地につきましては、相当現在でもきびしくやっておるつもりでございます。しかし、辻先生から非常に該博な知識に基づかれまして米国並びにドイツと比較していろいろ御指摘をいただいた点、それぞれの事情があると思いますけれども、十分貴重な御意見としてわれわれのほうで検討したいと思っております。
#66
○辻一彦君 まあ、貴重な意見として聞かれるだけでは困るのであって、ドイツは一平方キロ人口密度二百三十三人でしょう、この間の国連の統計で。日本は二百七十人ですね。だから、密度からいえば西ドイツよりもこちらの日本のほうが高いのですね。だから、ドイツが人口密度も高いし国土も狭い、こういうことで、いまこういう安全対策あるいは基準を強化しつつある中で、それは聞いているだけじゃなしに、私は、ドイツ以上のきびしさというか、安全対策というか、基準を強化する必要があると思うのですよ。そういう点から言えば、私は、ドイツよりも日本がまだ甘いと思うのです。そういうことについてどうお考えになるのか、それを長官にちょっと伺いたい。
#67
○国務大臣(前田佳都男君) ただいま申し上げましたように、まあそれぞれの事情があるのだとは思いますけれども、具体的に私も、それが数字がどういうふうに妥当であるか、直ちにお答えはできませんけれども、とにかくきびしい態度で臨みたいと考えております。
#68
○辻一彦君 この問題は、もう一つ伺ったあとで論議をしたいと思うのです。
 三つ目に、カナダの問題です。日本では、先ほどの距離の問題よりも、結局一つは、個人が事故のときに受ける、まあ放射能が舞い上がって出てきて受けるその被曝量と、もう一つは、国民遺伝線量というか、積算値ですね。集団が全体として受ける放射能が遺伝的に世代にどういう影響があるかという、こういう一つの基準、目安があるわけですね。で、アメリカはこの国民線量という積算値という考え方をとってないのですが、なぜ日本がこの概念を導入したのか、この点についてはどうですか。
#69
○説明員(山田太三郎君) はっきり覚えてなくて申しわけないのですが、たぶん、日本へサバンナでしたか、原子力船がやってくるというようなことがあったときにアメリカが提案した数字、そういうのの中にそういうものがあったというふうに聞いております。
 で、先ほど辻先生が、日本の基準は不届きであって、距離がないとおっしゃいましたが、まあアメリカよりも一つよけいに積算の線量というものを考えておる点は、これは評価していただいていいんじゃないかというふうに思います。
#70
○辻一彦君 山田委員が一昨年十二月の十六日に内閣委員会で御答弁になっている――これはサバンナ号は日本じゃないですよ、ロンドンですよ、あなたの言っておるのは。これは重大な、こういう基準を内田安全会長自体がそういうことにされておりますが、そのときにも私はいろいろ指摘したけれども、アメリカよりも国民線量が入っているので評価すべきだとおっしゃるけれども、じゃ一体、カナダの目安の国民線量は幾らですか、基準とされている。これは、いろいろあなたが言われる国民線量、カナダは幾らとっているのですか。
#71
○説明員(山田太三郎君) カナダは百万人レムだと思います。しかし、この際に日本人が一億であって、カナダ人が二千万人であるということを同時に御考慮願います。
#72
○辻一彦君 じゃ、西ドイツは幾らですか。
#73
○説明員(山田太三郎君) ドイツの、政府ではございませんが、原子炉安全研究協会と呼ばれるべきものが、内規で考えておりますのが百万人レムでございます。
#74
○辻一彦君 カナダが目安として百万人レムをとり、ドイツがやはり目安として百万人レムをとっている。わが国は二百万人レムですね。倍の目安になりますね。なるほど人口はほかの国よりも、カナダや西ドイツに比べては多いでしょう。しかし、それならば日本人が民族的に過去に受けた放射能の積算値というものは全然考慮していないのですか。
#75
○説明員(山田太三郎君) いまの値は、あるかないかわからないというような事故でございまして、平常的に積算されてくるものであるということではございませんので、考慮されておりません。
#76
○辻一彦君 あるかないかわからない事故とおっしゃったって、あなたさっきから、あるかないかわからないんじゃおかしいんじゃないかと言うと、現実的に――概念的でない、十分考えているというお話だし、都合が悪くなると、あるかないかわからない事故だから考えていない――それは非常に矛盾しているじゃないですか。私の言っているのは、原爆という大きな放射能を日本の民族というものは集団としても受けておるわけでしょう、ある程度。そういうことを、カナダやドイツが百万人レムに対して、日本は、基準で言えば――まあ基準というか、目安で言えば、倍ですよ。二百万人レムですね。そういうことを考える中に、民族が体験した相違ですね、この線量というようなことは全然考慮されていないのかどうか、その点、どうですか。
#77
○説明員(山田太三郎君) いまのようなお話がございましたけれども、日本の場合におきましては、二百万人レムをきめました際においてはそういうものは考慮に入れておりません。
#78
○辻一彦君 私はもう一つ申し上げたいのだが、それでは東海原子炉二号は何万人レムを割り当てておりますか、目安として、これに。最大想定事故の場合に。
#79
○政府委員(成田壽治君) 東海二号炉の場合は二十万人レムということになっております。
#80
○辻一彦君 じゃ、東海の同じく最近承認した研究炉の場合は何万人レムですか。
#81
○政府委員(成田壽治君) 原研のNSRRの研究炉のことだと思いますが、いまちょっとデータを調べております。
#82
○辻一彦君 これは、審査報告書を見れば五・八万人レムになっていますね。で、東海には、一連の、再処理プラント、動力試験炉、それから研究炉二号、三号、四号とありますね。こういうものを、それぞれ最大事故、仮想事故が起きた場合にどうなるかという検討は、研究炉についてもされていますか。
#83
○政府委員(成田壽治君) 東海の研究炉はいろいろありますので、東海二号炉の場合、あるいはNSRRの許可の場合、個々について検討を行なって、全体としてどのくらいになるかという点の検討を行なって審査しております。
#84
○辻一彦君 研究炉の二号炉、三号炉、四号炉については、これは国民線量の概念の入る前だったので、これはこういうぐあいに入っていないでしょう。されているのですか。
#85
○政府委員(成田壽治君) 原子炉としてNSRR等の規制法の許可を受ける場合については検討しておるわけです。
#86
○辻一彦君 それはよくわかっている。ただ、東海にはたくさんの研究炉があって、二号炉、三号炉、四号炉とありますね。これについては国民線量の概念は入れていないでしょう。どうなんですか。
#87
○政府委員(成田壽治君) 個々の研究炉についてもそういう検討を行なっておるのであります。
#88
○辻一彦君 行なっていますか。私、原研へ聞き合わせたのでは、二号、三号、四号炉ははっきりしてない、こう電話で聞きましたが、これは出ていますかね。
#89
○政府委員(成田壽治君) 過去の研究炉については、いまちょっとはっきりしないのでありますが、最近の研究炉については行なっておるのであります。
#90
○辻一彦君 いや、私の言っているのは、最近のはもう何回も聞いてわかったから、前にどうだったかということを言っているんですよ。これはやられていませんよ、私調べましたら。そこで、一つの、東海二号、百十万キロワットに最大仮想事故が起きた場合には、二十万人レムを一応割り当てているわけですね。二十万人レム、仮想事故の場合には。そうしますと、百万人レムとか二百万人レム、三百万人レムというのは、私はその目安として非常に重大な意味を持ってくると思いますが、この点、局長どう考えますか。
#91
○政府委員(成田壽治君) まあ、二百万人レムというのは、この基準をつくる場合、ICRP等の考え方から、あるいは放射能の割り当て、いろいろな自然放射能、その他検討して出ておると思いますが、ただ、なるたけそれ以下に、少ないほうがベターなんでありまして、福島あるいは東海二号炉の場合も、はるかにそれより少ない値になるようになっておるのであります。
#92
○辻一彦君 いや、その一つの炉は、それは二百万より小さいですよ。しかし、目安線量を、ある限界というのを百万に置くか二百万に置くか。それは、一つが一万とか二万とかという最大事故の場合の線量なら別として、一つの原子炉が二十万人レムというような、こういう周辺の人口というのを考えた場合に、この仮想事故の場合に考えざるを得ないとなってくれば、たくさん原子炉が集中して、それが一ぺんにそういう事故を起こすということは、普通ではそれはなかなか考えられません。しかし、目安の基準として、幾つかの原子炉があれば、そういうものが万が一にも全体的な事故が起きたときにそれに対処するような目安を考える必要があるんじゃないか。そういう点で、百万と二百万と三百万というのは私は非常に違うと思う。これは、内田原子炉安全専門審査会の会長が前にこの問題についてこの委員会に参考人として来ていただいたときに、百万でも二百万でも三百万でもたいしたことはありませんと、こういう御答弁をされたんですね。山田原子力委員は、たしかカナダの百万に近いような数字と考えていただけばいいと、こういうことで、百万、二百万、三百万についての概念が、もうほとんど私ははっきり考えておらないように感じたのだけれども、いま一つの原子炉に二十万人レムという、これだけ、東海のような、人口がかなりあって、そういうところで仮想故事の場合に、いままでの五万や六万レムじゃなしに、二十万人レムというのを割り当てていくということになった場合に、私は、目安の百万、二百万というのは非常に大きな問題にこれからなってくると思う。現にドイツが百万人レム、カナダが百万人レム、これをとっている中で、日本の二百万人レムというのは、私は、目安としては大きい、もっとこれを基準としても下げるべきであると思いますが、この点、どうですか。
#93
○政府委員(成田壽治君) 集団線量の考えとして、二百万人レムを目安としてやっておりますが、まあこの場合も、アズ・ロー・アズ・プラクティカブルの原則といいますか、なるたけ少ないほうがいいのでありまして、したがって、原子力施設の場合、五〇〇ミリレムの基準の目安に対して、実際は五十分の一である一〇ミリレムあるいは二〇ミリレム等になっておるのと同じ考えで、個々の場合についてはなるたけ低くするように努力していくという方針でありますので、目安の二百万人レムを、まあ目安として適当でないという考えは、いまのところはとっておらないのであります。
#94
○辻一彦君 いまのところはとっていなくても、カナダや、日本以上に人口の稠密する西ドイツが目安百万をとっておるときに、日本はそれと同等、あるいはそれ以下に下げるべきじゃないんですか。その点、どうですか。
#95
○政府委員(成田壽治君) まあその問題は、原子力委員会あるいは安全審査会等で十分検討しないといかぬと思いますが、人口密度の問題その他を考えまして、日本が二百万人レムを目安の基準としてさらに引き下げるかどうかという問題は、今後検討しないといけない問題だろうとは思いますが、いまのところ、実際の個々の発電所の場合の集団線量を二十万レムとか、極力低く押えるという方針によって、まあ十分対処できて問題ないというふうに考えています。
#96
○辻一彦君 いや、そういう言い方をすれば、五〇〇ミリレムだっていいのですよ。それをいま設計基準では五ミリレムに――この前までは五〇ミリレム、さらに十分の一の五ミリレムに設計基準を下げる、そういう線を置いて、さらにそれより下に下げる努力をするという、それが目安なんですよ。そうすれば、国民線量だって大きなところに置いといて、なるべく押えるのではなしに、それをもっとドイツ並みに、あるいはそれ以下に下げて、さらに小さくするという努力をするのが本筋じゃないですか。その点、どうですか。
#97
○説明員(山田太三郎君) この値は、国民全体の人口に対してどういうふうになるかということが問題でございます、先ほど申し上げましたように。その意味では、日本の場合が特に多いということにはならないと思います。
 それから、先ほど先生は、ドイツが人口密度が少ないというお話でございましたが、これは若干事情が違うかと思います。ドイツにおきましては、原子炉の置ける場所は、ライン川とエルベ川の周辺に限られます。したがいまして、何といいますか、非常に狭い範囲、そういうところは人口の非常に多いところでございまして、日本とはだいぶ事情が違うというふうにお考えいただきたいと思います。
#98
○辻一彦君 いや、これは福井の知事を団長とする二十二名が、エルベ、ライン川、みな見に行ってきましたよ。この間委員会で読み上げたけれど、福井のお医者さん、医師会の会長さん、これが行かれて、そしてライン川一帯を見て、ラインに集中していると言うけれども日本のあれと比べたらラインというのはまだまだ広大だと、こういう体験を新聞に出していましたね。だから私は、厳密な人口密度比較は別としても、ドイツと日本とは、もう人口の全般の点からいえば、国民線量、こういう規模からいえば、やはり同じような稠密さを持つと思うのですよ。そういう中で、私は、国民線量はドイツ並み、あるいはそれ以下に――日本がいかなる国よりもきびしいということを言い得るなら、下げるべきじゃないのですか。長官どうですか。
#99
○国務大臣(前田佳都男君) 先ほど辻先生と当局とのやりとりをずっと聞いておりまして、とにかく、現在のこの立地方針というのは、目安でございますが、この目安ではございますけれども、実行の面といいましょうか、現実の面においては極力これを低く押えておるというのが実態のようでございます。それぞれ、ドイツ、日本とは実情が違うと思います。したがって一般的にどうだということは言いにくいと思いますけれども、とにかく、できるだけ低くしていくという努力をするという姿勢は、われわれも今後ともとっていかなければいかぬと、そういうふうに考えております。
#100
○辻一彦君 それじゃ、いままで世界のいかなる国よりも、日本の審査の基準、立地基準はきびしいということを再三言われていたけれども、私があげたアメリカ、ドイツ、カナダに比べて日本がいかなる国よりもきびしいと言えますか。長官どうですか。
#101
○政府委員(成田壽治君) まあ、制度あるいは基準の内容が違いますので、一がいに比較して、日本がきびしいとか、きびしくないということは一がいには言えないと思いますが、日本の実際の基準は、原子力をやっております先進国の間ではきびしいほうの国の一つと言えるのではないかと思います。ただ、一がいにこれは近いといって比較できませんので、これは総体的に考えての判断でございます。
#102
○辻一彦君 それじゃ、きびしいうちの一つではあるけれど、世界一きびしいとは言えないということは認めますか。
#103
○政府委員(成田壽治君) 先ほどありましたように、非居住区域、低人口地帯、あるいは集団線量の考え、いろいろな要因が違いますので、最もきびしいとか、総合的にはなかなか比較できない問題だと思いますが、ただ、考え方としては、日本は非常に人口密度も高いんでありまして、極力きびしい基準、運用に持っていくように、いろんな研究開発あるいは個々の審査においても、そういう姿勢で臨んでいることは確かに言えることだと思います。
#104
○辻一彦君 その努力と方向はよくわかります。わかりますが、いままでしばしば、世界のどの国よりもきびしい立地基準をもって臨んだと、こう言い切られておったが、この三つの例を見て、世界のどこよりもきびしいと言えるかどうか、その点はどうですか。
#105
○政府委員(成田壽治君) これはまた繰り返しになりますが、航行、飛行機の制限問題あるいは集団線量の問題、いろいろ事情が違いますので、簡単に比較はできないと思いますが、まあ非常にきびしい態度で個々の審査あるいは安全性研究の追求等に臨んでおるということだけは言えると思うのであります。
#106
○辻一彦君 長官、どうですか、あなた政治家として、私も専門的に詳しいことはわからないけれども、しかし、常識的に考えても、これだけのデータをそろえてみれば、よその国よりはきびしくて、もう心配ないということは言えないと思う。やはり、ある場合にはアメリカのきびしさに接近し、ある場合にはドイツのきびしさに、ある場合にはカナダのそういうきびしさに接近して、より日本がもっとほんとうに名実ともに世界で一番きびしい基準を持つようにならなくちゃいけないと思いますが、そういう方向には努力をしてもらわなければならないが、これだけ並べてみて、長官、いまあなた政治家として、どうですか。私は、いかなる国よりもきびしいとは言えない、このことだけは認められると思うのですが、どうですか。
#107
○国務大臣(前田佳都男君) そのきびしさにおきまして日本が世界一である、そういうことは、世界一か世界二か世界三か、その点は私ども具体的にははっきりと申し上げられません。しかし、たびたび辻先生からきびしく御指摘のとおり、これでよろしいんだというその姿勢自体がいかぬのでありまして、常にその被曝線量を下げるようにつとめていく、それが必要であるという点においては、全く先生と意見は同じでございます。
#108
○辻一彦君 まあ、これは法案のかかっているような委員会だったら、こんなことは答弁になりませんよ、実際は。この委員会は法律案を持たずにいつもいるから、いつも時間切れになって話が決着がつきませんが、これだけの中で少なくも世界一のきびしさがないということは明らかですよ。だから私は、アメリカの例、ドイツの例、イギリスの例を十分検討して、立地の基準、設計の基準その他について再検討をする、するかどうか、その意思があるかどうか、それだけ聞かしてください。長官どうですか。
#109
○国務大臣(前田佳都男君) ただいま御指摘の点等を踏まえまして、今後こういう点についても十分検討してまいりたいと思います。
#110
○辻一彦君 そこで、こういう基準でいろいろ審査をされて、絶対安全であるという結論が出ておりますが、しかし、立地予定地のいわゆる地域住民にとって、あるいはいろんな話を聞く、関心を持たれ、国民にとって、やはり環境や――前回環境の問題に触れましたが、きょうは安全問題に触れましたね。環境や安全の問題について、やはりまだ広範な不安が払拭し切れない、あるということは、これは私はいなめない事実だと思うんですね。そこで、こういう環境、安全についての不安が国民の中にある以上、私は、安全審査のいわゆる内容について、すべてを国会に提出されて、国民の代表としてわれわれはこれを知る必要があると思いますが、この点について、長官、どう思われますか。私は安全審査の一切の資料を国会に提出さるべきであると思います。あとで委員長からひとつこのことをはかっていただきたい。
#111
○国務大臣(前田佳都男君) 委員会から審査または調査のため必要な報告または記録などの提出をお求めになった場合は、その審査や調査の目的が達せられるように、そういう資料は提出いたしたい、そういうように考えております。
#112
○辻一彦君 じゃ、局長、伺いますが、この安全審査には、それぞれの審査段階でどのような書類と資料が出されておるか、あげてください。
#113
○政府委員(成田壽治君) 安全審査の申請がある場合には、規制法に基づきまして、申請の事項、それから添付書類等が規則によってきまっております。したがいまして、それが全部申請書と一緒に出て、そしてそれが審査の対象になっておるわけであります。その間、また審査のため必要な場合は追加資料の要求等があり、相当なボリュームになるような資料の提出も行なわれておるのであります。
#114
○辻一彦君 ちょっとわかりませんね。読み上げてみますが、まず一つに企業の申請書ですね。ありますね、これは。第二に付属文書。付属文書、これ、ありますね。三つ目に審査資料。いわゆる、いま言われたように、必要に応じて出される追加資料、審査資料ですね。四つ目に議事録。ありますか。五つ目に報告書がありますね。これはまあ、報告書は一応出されておりますね。このほかにありますか。
#115
○政府委員(成田壽治君) 大体資料としては御指摘のとおりでありますが、ただ、安全審査会の議事録というのは、個々の先生がどう言ったという議事録の形ではないのでありまして、ただ、審査の概要としての記録は残しております。
#116
○辻一彦君 まあ、この議事録は、とるかとらぬかは前にもいろいろな論議があって、どうも改善がまだされてないようですが、この問題はまああとにします。
 そこで私は、いま、長官答弁のように、必要な資料は出すということでありますが、一、企業の申請書、二、付属文書、三、審査の資料、四、議事録、五、報告書と、このほかに安全審査にかかわる資料を、原子力基本法の公開の原則に従って、国会にひとつ出していただきたい。できますかどうか。
#117
○政府委員(成田壽治君) これは、どの炉についてということか、はっきりしないのでありますが……。
#118
○辻一彦君 日本で百万キロワットをこえる原子炉、だから、P型、加圧水型では大飯の原子炉一号炉――大飯の二号炉でいいですね。それからB型では東海二号、福島六号。出せますか。
#119
○政府委員(成田壽治君) 参考資料の範囲がどの程度であるか、ちょっとはっきりしないのでありますが、まあ申請書あるいは添付書類、審査の概要等については、御指摘のように出したいと思います。
#120
○辻一彦君 その参考資料と言われたのは、審査の段階において必要に応じて出てくる資料ですね。そうですか。
#121
○政府委員(成田壽治君) 参考資料の範囲がはっきりしないのでありますが、審査の場合に必要な資料がどの範囲まで入るのか、ちょっとはっきりしないので、もうちょっと具体的に当たってみたいと思いますが、御趣旨になるたけ沿うように提出したいと思います。
#122
○辻一彦君 そうしますと、いままで、商業上の秘密、企業の機密という名において、そういうものにかかわるところは出されないという見解が委員会でずっと述べられていましたが、きょうのいまの答弁では、こういうものも全部含めて提出されるということですか。その点、いかがですか。
#123
○政府委員(成田壽治君) まあ、資料の公開というのは、これは原子力基本法でもうたっている考え方でありまして、これは役所においても、近くまたそういう制度をつくりたいと思っておりますが、ただ、企業機密の問題がありますので、この点の扱いはもうちょっと慎重に検討させていただきたいと思います。
#124
○辻一彦君 その企業機密というのは、慣例上、政府の中には企業機密はありませんね、機密事項としては。慣例上企業機密といわれておりますが、原子力委員会――政府はその企業機密を御存じなんでしょうね。どうなんですか。
#125
○政府委員(成田壽治君) 企業機密の範囲でございますが、ただこれは、企業側がこれを知らせたくないという意味の企業機密というのは、そういう概念はとっておらないんでありまして、やはり技術導入との関連とか、あるいは工業所有権の提出前の状態とか、合理的な法律的な根拠のある企業機密に限定して考えていきたいというふうに考えております。
#126
○辻一彦君 法律的にその商業上の機密がどういう根拠があるのか、あれば伺わしていただきたいし、それから、企業機密といえども原子力委員会は審査の段階においてそれを提出させるんでしょう。知っているんでしょう、政府は。知っていないんですか、知っているんですか、どうなんですか。
#127
○政府委員(成田壽治君) 安全審査の場合、まあ企業機密に属することが載っていない場合で、安全審査の場合にどうしても必要な場合は、それは別添として提出させている例があるのであります。
#128
○辻一彦君 国益、人権、国民の生存権、安全に重大な影響を与えるものは、当然行政権のもとに追随されるべきであると思いますが、どうですか、この点、長官いかがですか。――もう一度申し上げましょう。国益、人権、国民の生存権、まあ言うならば、原子炉であれば安全性ですね、こういう重大な影響を与えるものについては、行政権は、それは機密であるといっても出させる権利があるでしょう。行政権のもとに追随すべきでないか、その点、どうなんですか。
#129
○国務大臣(前田佳都男君) その資料を提出を求めなければ安全性が確保できないというふうなときは、要求いたします。
#130
○辻一彦君 いままで必要な場合には出さしておったわけですね。いかがですか。
#131
○政府委員(成田壽治君) そのデータがないと安全審査ができない場合には、まあ企業機密に属することも提出させている例があります。
#132
○辻一彦君 じゃ、行政権に追随するその内容というものは、それはもちろん私は国政調査権の範囲に及ぶと思いますが、どうですか、その点。
#133
○国務大臣(前田佳都男君) 私も、まあ長官になる前にずっとこの議員をやっておるわけでありますが、その間、国政調査権というものの範囲といいましょうか、これを私もいろいろ勉強いたしましたけれども、国政調査権というものも、まあ広くなければいかぬ、その点は私も同感でございますが、しかし、国政調査権の範囲というものもそんなに無制限でもないというふうに思うんでございまして、やはりケース・バイ・ケースで、一般論としてそう言えないと思うんです。
#134
○辻一彦君 まあ無制限でない、それはね、議員の点では、行政権と立法権、国政調査権がどこか交差する点がありますよ。そういう意味では無制限でないかもわからないですね。しかし、国会において、院において、もしくは委員会において、そして今日の参議院の慣例によれば、委員が要求すれば、特別な問題がなければ特別の手続を経ずして、それを大体委員会の資料要求として認めるというような慣例になっていますね。そうすれば、それを拒否する根拠というのは、やっぱり法律的な裏づけが、国会法と、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律というのがありますね。これ以外には国政調査権を拒む理由は私はないと思うのですが、その点はどうでしょうか。
#135
○国務大臣(前田佳都男君) 先生御指摘のとおりであります。
#136
○辻一彦君 それでは委員長からおはかりをいただきたいが、国民にこれだけ環境や安全について不安がある、われわれは安全審査がどういうふうにされているかということを国民の代表として詳しく知らなくっちゃならない、こういう観点から、私は、国政の調査権によって、安全審査にかかわる一切の資料を国会に提出をしていただきたい。委員長から確認をお願いします。
#137
○委員長(渋谷邦彦君) ただいま辻委員から要求のありました原子力安全審査にかかわる資料の提出について、政府側の確答をお願い申し上げたいと思います。
#138
○国務大臣(前田佳都男君) ただいまの御要求に対しましては、でき得る限り協力をいたしたいと考えております。
#139
○辻一彦君 でき得る限り協力なんて、そんななまやさしいものじゃないですよ、この問題は。いつ具体的に出していただけるか、そしてそれは、中身について、先ほど確認した内容について、表題も全部申し上げて確認をしたのですから、それをいつ出していただけるか、これをひとつ御答弁いただきたいと思います。
#140
○政府委員(成田壽治君) まあ、いつの時点に出せるかというのは、もうちょっと検討して――いまそろっているかどうか検討してみないとわかりませんが、御趣旨に沿って、できる限り早く出すように、全力を尽くして出したいと思います。
#141
○委員長(渋谷邦彦君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#142
○委員長(渋谷邦彦君) それでは速記を起こしてください。
#143
○辻一彦君 じゃ、まあ具体的な時期については、なお理事会でも御相談をして期日をひとつきめてお願いしたい。ここまで確認したことでありますから、あまり前のようなちゃちなことをやらぬと、もうこれだけ国民の世論が、やっぱり内容を知らなくちゃ安心ができぬと言っておる、この国民的な世論の背景もこの国会審議とあわせて考えていただいて、ひとつ、きょうの結論、確認を間違いのないようにぜひやっていただきたい。重ねてですが、大事なことでありますから、長官、もう一度御答弁をお願いします。
#144
○国務大臣(前田佳都男君) 御趣旨拝承いたしました。
#145
○辻一彦君 じゃ、私、最後に公聴会の問題を、もう一つだけ申し上げておきます。
 四月の七日には、長官は分科会で、公聴会は今度は新しい原子炉の申請があればやると、こういう御趣旨の答弁であったのですね。時間がないのでこの問題については十分触れることができなかったので、若干私はここに取り上げたいと思うのです。
 私は若干のいきさつを、経過を申し上げておきたいのですが、四十六年の十二月に、大飯の原子力発電所百十七万キロ二基が審査中、国会で、われわれは国会の附帯決議に基づいて公聴会を開けと、こういう論議をして要求をしました。そのときには、当時の木内長官は、国会決議は公聴会等の手続を経てとあるから、「等」だからやれとは書いてない、こういうことで、まあ最終的には、法律に書いてないのだから、あとは行政府の長の裁量であると言って逃げ切られたのですね。
 それから四十七年の三月六日に大飯の原子力発電所について安全審査の結論が出た。三月六日であります。三月八日は衆議院、十日は参議院において、同じく委員会で公聴会を開けという要求が強くなされた。そのときは、再度、法律に書いてないからこれ以上のことは長官の裁量であると、こういうことですね、答弁。これは委員会が何回もストップをして、何回も理事会も理事懇談会も、二カ月にわたってやったんですが、こういう論議だった。
 第三に、四十七年三月二十四日に、有沢委員長代行が、この公聴会については審査会の結論が出る前にやるべきなんで、出てしまったのでどうも困る、だからこの次は出る前にやりたい、出る前にやるべきだと、こういうことだったですね。
 そして第四に、四月になって、昨年の四月ですが、五度ぐらい理事会と理事懇談会を開きました。委員長は当時の委員長でありますから、もうここの委員の皆さんも御存じのとおりであります。そして、この論議をいろいろとやりました。そのとき、井上官房長、成田原子力局長は再三この理事会や懇談会に出られたのですね。そこの論議の中で、この審査会の結論が出たあとでは行政的にどうもむずかしいと、で、公聴会は今後やるから、今回は大飯は説明会に何とかしてとどめさしてほしいと、こういうことですね。これは、委員会の決定、それから理事会、理事懇を開いて再三、与野党を問わず、公聴会を開くべきであるという一致した理事会の意向にやはり反して、こういう形で並行線をたどったわけなんですね。
 五つ目に、そのときに私は、若狭湾のような原子力は、ここの発電所は九つできて、六百万キロワットをこえるという大型化と集中化が行なわれる、こういう中でいま公聴会をやらずして一体いつどこでやるのか、こう言って、いろんな形で追及をしました。そのときに、この福島が――若狭湾だけじゃない、いや福島がありますと、福島には、大型原子炉が集中化するのは一局部からいうと若狭湾以上ですと、福島がありますと、これは原子力局長、あなたが私に言われたことばだし、委員長みなお覚えだろうと思いますが、このことはあなた忘れておられないと思いますが、覚えていらっしゃいますか。どうですか。
#146
○政府委員(成田壽治君) 私の発言が去年の何月であったか、ちょっと忘れましたが、私は、公聴会開催については、木内長官が申し上げましたように、今後の申請のあるものについてという考え方で申し上げておったと思います。したがいまして、福島第二の第一号炉の――去年の九月だったと思いますが、申請の初期の段階で公聴会を行なわれる場合は行なわれるのが望ましいという考え方をとっておりまして、福島について公聴会を行なうという形で私は申し上げたとは思っていないのでありますが、あるいはその申し上げた時点において、今後申請あるものの一つとして福島があるということは申し上げたかもしれませんが、そういう意味で申し上げたのではないと思っております。
#147
○辻一彦君 いや、そういう答弁じゃ私は納得できませんよ。いまかなりな、いきさつを申し上げて、最後の詰めで、若狭湾の大型・集中化というものを、じゃ除いたらどこに一体例があるんだと。ここで公聴会をやらなかったらもうやれなくなっちゃうのじゃないかと、こう言ったときに、いや福島はもっと若狭湾よりも一局部についてなら集中をすると、福島はありますよと。だから、少なくも、いま大型・集中化というならば、私はこれは福島でやるべきだと思うのですよ。そういうことをあなたはどこで言ったかというと、それは五回あった理事会の中で、私のメモがありますが、ただ福島のいつどこでやりますとは、それは言っていませんよ。しかし、若狭湾のかわりに、若狭湾で大飲原電はできないけれども、今度はもっと集中する福島があるから、そこはありますと。これは大飯がやれないから次は福島ということを意味していると私は受け取っていますよ。おそらくそのときの理事の皆さんもそうだと思うのですね。
 そこで、五月の二十六日に、木内長官は、二カ月この委員会が公聴会のためにストップして、そして会期末になってストップしたままでもいかないだろうからと、こういうことで長官の答弁を求めて、そのときに互いに歩み寄りによって、今後必要な場合に、大型・集中化の場合には公聴会を開く、公聴会を開くことを検討すると、こう言われたのですね。そして中曽根長官になり、前田長官になって、長官はこの間衆議院、参議院を通して、公聴会は開くと言われたんですから、もう必要ならばというのは終えてしまったんですね。あとは大型・集中化の場合ですよ。そうすれば、もういま福島の原子炉、私は、言うならば東海二号ですね、この間十一月に結論が出ました。それから福島六号、百十万でしょう。B型の原子炉としては日本で最大の、初めての百十万キロワットが東海と福島六号にやられるときに当然公聴会を開かれるべきであったと思いますが、これは国会が総選挙前で休会で、われわれも残念ながら忙しくてそういう時間がなかった。福島も大飯も、もうこれは審査の初めから何もそういう公聴会なんかなしでしょう。そして十一月に結論が出て、いま福島第二発電所の一号炉百十万キロワットについて審査中なんでしょう。これで公聴会をやらなかったら一体どこでやるのですが。いままでのいきさつを長官よくお考えになって、私は、この福島の第二発電所――六つも発電所が出ているのでしょう。第一発電所は六つあるのですから、七つ目ですよ。しかも百十万、沸騰水型としては日本で最高の原子炉がつくられる。大型・集中化の若狭湾と並ぶ典型的な例が福島で行なわれようとしている。これに公聴会を私は開くべきであると思いますが、どうなんですか。
#148
○国務大臣(前田佳都男君) 簡単にその先生の御指摘の点をもう一ぺん復唱いたしますと、福島二号炉について公聴会をやるべきじゃないかという御質問だろうと思いますが、公聴会につきましては、御趣旨を体しまして原子力委員会でその公聴会のあり方等につきましていろいろ現在詰めております。早く詰めろ詰めろということで詰めておりますが、別に逃げる意味じゃございませんけれども、もう少し詰めるところがございますししますので、いましばらく――決して長くは待たせません。いましばらく、具体的にどうするかという点をお答えすることをお許しをいただきたいと思います。
#149
○辻一彦君 福島の第二発電所の一号炉に、もう少し待って公聴会をやるのですか、やらないのですか。
#150
○国務大臣(前田佳都男君) したがいまして、先ほど申しましたように、別に具体的に、福島をどうする、ここはどうするというのじゃなくて、とにかく公聴会のあり方というものを、どういうあり方をして、どういうふうにするかという手続をいま詰めておる最中でありまして、もう少し――決して長くはお待たせいたしません。それができましてからお答えを申し上げたいと思います。
#151
○辻一彦君 もう一年たっていますよ。去年の三月にストップして、二カ月この委員会は休んだのですからね、そのために。一年たってまだ手続をどうするかどうかわからない。こんなことで納得できませんよ。これはほんとうに法律がないから、時間が来ればやむを得なく終わっていますけれども、一本法律があったら、こんなことは絶対終わるわけないですよ。いつ、じゃ手続をちゃんとして、公聴会をやるめどをつけるのですか、はっきりしてください。
#152
○国務大臣(前田佳都男君) あと少しく詰める点がありますので、連休が明けまして五月一ぱいというふうに考えております。
#153
○辻一彦君 五月一ぱいにめどをつけて――じゃ、いつやられるのですか、公聴会は。
#154
○国務大臣(前田佳都男君) いつ公聴会を、どれにやるということの前に、公聴会のあり方につきまして五月一ぱいぐらいに、そのはっきりしたやり方等について原子力委員会としての決定をいたしたい、さように考えておるわけでございます。
#155
○辻一彦君 一つは、五月一ぱいでそれを出されるというめどが一つついていますけれども、これは延びればいいというものじゃないですよ。これだけ全国的に環境や安全についての批判が高まって住民運動が起こっている。あの柏崎の小林市長でも、公聴会なんかうしろ向いたらだめだって、やりなさいと原産会議で言っているでしょう。公聴会をやって、もっと公開論争を起こして、積極的に住民や国民の参加を求めない限り、そんなコンセンサスは出ませんよ。うしろ向けば向くほどこれは反擁と批判が強くなる。原子力委員会の権威は失墜するし、不信感が増大していく。そういう原子力行政のあり方について長官どう思いますか。
#156
○国務大臣(前田佳都男君) 国民のコンセンサスを得るためにも、そういううしろ向きの姿勢はとりたくはないという考えでございます。
#157
○辻一彦君 じゃ、これで終わりますが、五月末、これをひとつ確認しておきますから、間違いないように、十分論議をして、そしてその公聴会のあり方は、内容をどうするかは、これはまた別の機会に十分論議しなくちゃならぬと思います。形式的なものになっちゃ、やったってあまり意味がない。十分公開論争が環境や安全性について論議され、資料が公開をされて、国民の前に、そういう問題がやっぱりみんなに理解されるという、そういう公聴会をぜひ実現をさしてもらいたい。そのことを、私は、手続を検討される中に十分含まれるように要望して、質問を終わります。
#158
○矢追秀彦君 当委員会でもずっと問題になっております原子炉の安全性という問題でありますが、私は、先ほど来もいろいろございましたが、この安全審査のあり方、安全審査の体制について、特に質問をしてみたいと思います。
 まず、現在安全審査委員及び調査委員は何名おりますか。また、その調査委員、審査委員を選ぶにあたっては、どのような方針で選ばれておりますか。さらに、時間を節約する意味で申し上げますが、審査委員と調査委員はどのような違いがありますか、その三点をお伺いします。
#159
○政府委員(成田壽治君) 原子炉安全専門審査会の審査委員は、会長を含めまして三十名になっております。それから審査会の調査委員は、現在十五名の専門委員が任命されております。
 それから、この審査委員等の任命、どういう選び方をするかという点につきましては、まあ、原子炉の安全性を審査するためには、関係の各分野の専門家、最高権威を網羅して、いろいろな角度から安全性の審査をやってもらう必要がありますので、いろいろな専門分野を分けまして、たとえば原子炉工学とか、核物理とか、あるいは燃料工学とか、あるいは伝熱工学、構造力学、耐震の地震の問題とか、土木工学、化学、放射能医学、保健物理、地震、気象と、いろいろな分野にわたりまして専門の人を選考しまして、そして総理大臣の任命になっております。それで、実際の人を選ぶにつきましては、科学技術庁長官が任命するにあたっては、原子力委員会に実際上はかりまして、原子力委員会の先生方の承認を得て、そしてこの人が適当であるという形で、審査会の審査委員の任命は総理大臣の名前で行なわれております。
 それから、専門委員につきましては、これは審査会の決定によってこの制度を設けましたのでありまして、まあ実際審査会からこの人をという推薦がありますと、それを検討しまして、原子力局長の委嘱という形でやっております。そして、安全審査会は、先どほ言いましたように、原子炉の安全審査のために各分野の専門家を網羅しておりまして、調査委員のほうは、いろいろな手伝いといいますか、そういう専門審査会のいろいろな下部的な仕事の調査をやって、そして審査会の仕事の手伝いをするという形の調査委員でございます。
#160
○矢追秀彦君 このメンバーを見ますと、先ほどいろいろな人が網羅されていると言われておりますが、先ほど来の質問でも、非常に立地ということがこれから問題になってまいりますし、また、国立公園の中に原子炉をつくることについては反対であるという強い姿勢を示しておる地域もございます。したがいまして、やはり環境問題に関する専門家というのも入れる必要があると思いますが、現在、調査委員の中にも、また審査委員の中に、そういった人はいないと思うんです。特に役所関係でいいますと環境庁が全然入っていない。また、そういう人たちも入っていないと思いますが、その点についてはどのようにお考えですか。今後そういったことを加えるお考えはあるのかどうか、この点をお伺いしておきます。
#161
○政府委員(成田壽治君) この審査委員のメンバー、あるいは調査委員のメンバー、環境の専門家がおらないではないかという御指摘でありますが、まあ原子炉をめぐる環境放射能の問題等につきましては、これは各分野に分かれまして、いろいろな専門家、環境放射能の専門家は網羅されておるのであります。放射能医学の先生とか、保健物理、あるいはいろいろな地震、気象、その他。ただ、その他にわたりまして、最近の温排水あるいはその他の環境関係の人があるいは少ない、おらないという御指摘は、この安全審査会の中ではそういうことは言えるんでありますが、安全審査会は、審査委員あるいは調査委員を含めまして、もちろん環境放射能を含めまして原子炉の安全、周辺環境放射能の安全、そういう仕事をやる審査会でありますので、こういうメンバーになっておるのであります。
#162
○矢追秀彦君 安全審査会の業務の内容ですが、まずこれについてお伺いしたいと思います。
#163
○政府委員(成田壽治君) 安全審査会の委員は各分野の専門家でありますが、実際電力会社から申請が出てまいった場合には、原子力委員会からこの申請について安全審査を検討してくれという委員会からの委嘱があったものについて安全審査会の中で部会をつくりまして、そうしてこの一つのこの炉についてはいろんな角度から検討するための部会をつくって、そうしてまあ半年あるいは一年等の長い期間をかけまして、いろんな角度から部会を主体に安全審査の検討をやってまいるわけであります。そうして委員会に中間報告をするとか、あるいは部会の結論が出た場合には安全審査会に報告をして、安全審査会全体の審査を何回かやりまして、そこで安全であるという結論が出た場合には原子力委員会に答申をするわけでありまして、そういう意味では、安全審査会は原子力委員長の指示があった場合において原子炉にかかわる安全性に関する事項を調査審議する、これは委員会設置法の第十四条できまっておりますが、そういう部会の形をとって慎重に検討して、そうして安全審査会全体の総会ではかりまして、そして許可するか、安全上オーケーかどうかという結論を出して、原子力委員会に答申をするという仕事をやっております。
#164
○矢追秀彦君 その答申から、今度は許可をどこでして、その許可がおりたあとはどのようになっているか、そのプロセスをちょっと説明していただきたい。
#165
○政府委員(成田壽治君) 原子炉安全専門審査会から、原子炉の安全審査について問題ないという答申が出た場合には、これは原子力委員会に報告をするわけであります。そうして、また、安全審査会は原子炉の安全性だけの審議事項でありますが、原子力委員会としては、総合的にいろんな角度からまた検討しまして、そうして原子力委員会の検討の結果、問題ない、許可していい、規制法に基づく許可基準に該当しておるという場合には、原子力委員会が総理大臣に答申を出すわけであります。そうして、総理大臣が原子力委員会の答申を受けて、設置許可、規制法二十三条による設置許可を事業者に対して出すわけでございます。その場合、規制法第七十一条によって、通商産業大臣の同意が必要になっておりまして、通産省も問題ないということ、原子力委員会からも許可すべきであるという答申によって、初めて総理大臣の許可が出るわけであります。そうして、許可をもらいましたあとは、工事計画の認可――これは電気事業法の法律の規定によって、通産省が工事計画の認可、それから使用前検査等の事前の認可検査等を行ない、そうして運転開始ということになって、運転計画の届け出、そういう届け出は内閣総理大臣と通産大臣と両方に事業者から出て、そうして運転に入るわけでございます。
#166
○矢追秀彦君 許可がおりてから通産省に移るわけですが、通産省せっかくお見えですから、これもまとめてお伺いいたしますけれども、通産大臣の同意、許可から認可がおりて、その後の、いろいろございますけれども、その場合の審査の基準ですが、それにはどのようなものがありますか。一つは、通産大臣が許可に同意するまでの審査の基準、それから許可がおりてから通産省が認可するまでの審査の基準、それからその次は、原子炉が実際に運転をされてからの安全審査はどのような形になっておりますか。まず、その三つをお伺いしたいと思います。
#167
○説明員(武田康君) ただいまの審査の基準でございますけれども、通産省の審査は電気事業法に基づいて行なわれております。それで、実は先ほど原子力局長からお話がございました原子炉等規制法によります許可と並行いたしまして、電気事業法による許可が行なわれるわけでございます。その際、技術的な問題等につきましては、通産省の中でも顧問の先生方をお願いをしておりまして、その方々に伺うことになっておりますが、通産省における審査が済みますと、同時に実態的には、原子炉等規制法に基づき、安全審査会が審査なさっていることについても私ども情報を得ておりまして、それで同意をいたすわけでございます。それから、そういたしますと許可が終わるわけでございますが、そのあと工事計画の認可がございます。で、工事計画の認可もまたやはり電気事業法に基づいて行なわれるわけでございますけれども、その際には、許可をされたところに従っているというのが一つの判断基準でございまして、それからまた、設備的な面で申し上げますと、設備の技術基準というのがございまして、その技術基準に合っている、これが第二の基準です。それからもう一つ、電気の供給確保というような観点から適切な設備になっていると、これらの基準があるわけでございます。
 で、そういった三つのものに適合しておりますと工事計画を認可いたしまして、今度は、その次には工事に入るわけでございますが、終わったところで、先ほど原子力局長からお話のあったような使用前の検査、それが全部済むと動き出すわけでございます。そういった検査の際には、一つは、先ほど来の許可あるいは認可の内容に適合した設備にでき上がっているというような、許可から引き継いだ基準が一つございまして、それから、先ほど、工事計画認可で技術基準があって、それに合っているということを申し上げましたが、やはり検査の結果でも、それに合っていなければいけないわけでございます。で、それに合いますと、運転してもいいと、こういうことになるわけでございますが、運転に入りましてからも、やはり毎年一度チェックをするというようなことになっておるわけでございます。これを定期検査と称しておりますが、このときにおきましても幾つかの補修などが行なわれるようなケースもございますが、定期検査、一月なり二月なりとめましたあとにおきまして、使用前検査において十分なその安全性が確保され、性能もそうだというようなことを確認していると同様な意味の確認が行なわれておるわけでございます。
#168
○矢追秀彦君 いまの定期検査の基本になる審査基準というものは現在ございますか。その技術基準はいつつくられたもので、今日まで何回改定をされましたか。
#169
○説明員(武田康君) 先ほど、工事計画認可と検査に関連いたしまして、技術基準ということを申し上げましたが、技術基準の設備的な面で一番ベースになりますものは、発電用の原子力発電所に関します技術基準でございます。これは、昭和四十年、ちょうど電気事業法が新しくなりましたあとに、その省令でございますので当然でございますが、そこで制定されまして、そのあと二回改正されております。最後の改正は、たしか昭和四十五年の秋、九月か十月だったかと思っております。
#170
○矢追秀彦君 一番新しく改定されたのは三年前でありますから、この三年間でもかなり技術が進歩しております。アメリカの場合は、かなり技術基準あるいは審査基準というものがどんどん改正をされておりまして、だんだんシビアなものになってきておるわけです。日本の場合もやはりアメリカと同じように、かなり技術の進歩もされておるわけでありますから、この三年前ではもう古いのではないか、こう考えるわけですが、その点はいかがですか。
#171
○説明員(武田康君) 御指摘のとおり、技術は時時刻々進歩するものでございますし、また、新しい機械といいますか、一部の装置といいますか、そういうものが導入される場合等もございます。したがいまして、先ほど申し上げましたような技術的な基準というのは、新しい時代に――時代といいますか、新しい技術の進歩に応じまして逐次変わっていくべき性質のものでございまして、先ほど二回と申し上げました改正も、そういうような趣旨から行なわれたものでございます。
 それから、それではごく最近どうなのかということでございますが、やはり先生御指摘のように、いろいろ新しいことは出てきております。ただ、先ほど申し上げました通産省令できまっており技術基準を構成いたしますような要素につきましては、大体基本的にあまり変わっていない。実は、その省令になっております技術基準のほかに、先ほども御議論があったようでございますけれども、たとえば立地の指針とか設計上の基準であるとか、これは、基準ということにつきましての英語、日本語の読み方はいろいろあるようでございますが、そういうものもございますし、また一方、民間ベースで、標準化といいますか、少なくともここまでやろうというような自主的な基準等も時々刻々新しくなっている部分がございます。そういったものが設備のベース的なものとして固まり、かたがた、そういうことでそれを省令の基準に定めましても、何といいますか、技術の進歩をそこなわなく、かつ、最低といいますか、安全の確保が十分できるというようなふうに固まってまいりますと、省令としての技術基準の改正が行なわれるわけでございます。そういったような意味で、私どもも、省令をよりいいものにしていくというような検討は常時続けているわけでございます。
#172
○矢追秀彦君 原子炉にもしミスが起こった場合は、責任はどこになりますか、炉に限りますけれども。設計あるいは建設時、技術上、まあいろいろあると思うんですけれども、どの場合はどの省で、どの場合はどこなのか、あるいはどこがこれが問題なのか、そういう点はどういうふうな基準で判断をされておりますか。
#173
○政府委員(成田壽治君) 発電炉につきましては、科学技術庁が原子炉等規制法によって許可をし、また、その保安規定の励行等の責任を持っておりまして、そういう意味では科学技術庁の責任になるわけでございます。それから、同時に通産省が電気事業法の許可をやっておりますので、定期検査もやっておりますが、そういう運用の問題等につきましては、これは通産省も同様な責任があるわけでありまして、したがって、法律は違いますが、科学技術庁と通産省と大体共同の責任にあるというふうに言えると思います。
#174
○矢追秀彦君 それでは事故の問題に入りますけれども、いままでの原子力発電所関係の事故を報告していただきたいんですが、その中でどういうような系統の事故が多いですか。昨年度でもけっこうです。
#175
○政府委員(成田壽治君) 原子炉の事故関係が、昭和三十八年から三十三件になっております。それで、去年一年間の事故を見ますと、四十七年度中に商業用発電炉、事業者の発電炉に関して発生した事故は四件になっております。このうちの三件は、変圧機の絶縁不良、あるいは二次母線の絶縁不良、あるいは燃料取りかえ装置のチャックの不良によるものでありまして、これらは原子炉の安全性に重大な影響を及ぼすものではありませんが、製作の不良あるいは保守の不完全が原因と見られて、科学技術庁及び通産省、政府としても今後十分に製作や保守の管理につとめて万全を期したいというふうに考えております。
 それから四件のうちの一つは、美浜の蒸気発生器細管の漏洩事故がありまして、これは原子炉の重大な機能を預かる機器の事故でありますので、非常に重要な問題でありますが、これにつきましては三月中旬から定期検査が通産省において実施されておりまして、十分な見直しをやって事故の再発の防止がはかられるということ、再発の防止のための措置がとられております。この事故は、幸い、いずれも放射線被曝あるいは人的障害は発生しておりませんが、四十七年度中に商業用発電炉で四件の事故があったということは非常に遺憾に思っております。
#176
○矢追秀彦君 時間がありませんので、あと次の質問者がおられますので、この問題だけはっきりして、きょうはこの程度にいたしまして、あとまた続いてやりたいと思いますが、昨年の八月十七日のJPDRの冷却水が漏れた事件ですね、一次冷却水が漏れた事故。これが非常に炉の設計にも問題があるということがいわれておりますが、これについては、科学技術庁としてはどのような掌握をされておりますか。もし設計ミスであるとすれば、どこの責任になるのか。
#177
○政府委員(成田壽治君) JPDRのヘアー・クラックの問題、これは去年そういう事故がありまして、その間長い期間をかけまして、原因が何であるかという問題を、調査委員会をつくりまして、JPDR配管クラック調査委員会というのを原研内部に設置しまして、そしてその原因を調べてまいったわけでございます。
 それで、原因としましては、配管の溶接接続部分に非常に応力がかかる、そしてその応力のためにその部分にヘアー・クラックが発生したということでありまして、これは昭和三十一年ごろ製作した相当古い形の炉で、しかも実験研究用の炉でありまして、そういう溶接部分が応力の繰り返しによって亀裂が生ずるという事故――原因はわかったんでありますが、これがそのまま現在の商業炉に同じような問題はないかという点も十分検討して、これは非常に溶接技術のまだ十分でない古い形のものであり、また試験的な炉であって、商業炉と違う構造のものでもあるということで、商業炉については同様な心配はないだろうという結論も出ております。
 ただ、この事故によってまたわかったことは、仮想事故等において配管が一時に破断するという仮定事故を置いておりますが、こういう事故から見ましても、一時には来なくて、いろいろじわじわと亀裂その他が出てくるという現象も、この結果つかまれておりますが、JPDRの原因については、そういう溶接部分の応力が非常に強くかかりまして、その繰り返しによってヘアー・クラック、亀裂が生じたという結果が、最近調査委員会の報告として出ております。
#178
○矢追秀彦君 古い昭和三十五年の建設だから、いまだいじょうぶだなんて言われますけれども、では、現在こういうふうな問題はどこでチェックをされますか。実際、建設の前に安全審査会でここまでのチェックはできますか。私は、安全審査会、最初の段階ではできないと思います。要するに、基準の中には、そういうこまかい材質がどうだとか、そういうことの基準は入っておりません。これはまた次回にこの問題を詰めてみたいと思いますけれども、そうすると、通産省の段階に入ってのところになると思うんですけれども、はたしてそこまでのチェックが現在のそういった基準で可能なのかどうか。もし可能でないとすれば、その辺をきちんとしなきゃいけませんから、それはどういうふうな形でされようとしておるのか。本日はこの程度で終わりたいと思います。
#179
○政府委員(成田壽治君) 科学技術庁の安全審査におきましては、いろいろ全体の機能、構造等を検討しておりますが、こういう具体的なケースについては、むしろ通産省の工事計画の認可、あるいはその後行なわれますところの定期検査によって厳重にチェックされますので、予防的、早期に発見することも定期検査等によっては可能であるというふうに考えております。
#180
○説明員(武田康君) 最初の許可の段階におきましては、基本的計画といいますか、非常に大事なところにつきまして、いろいろ安全審査の先生方がお集まりになって、これでいいだろうという答えをお出しになるわけでございますが、いま原子力局長が申されましたように、工事計画認可以降、つまり具体的なものをつくるということになりますと、私どものほうに安全の守り役が回るわけでございます。
 それで、先ほど技術基準のお話を申し上げましたが、先ほど申し上げましたような技術基準、それから民間のもあるということを申し上げましたが、たとえばアメリカの機械学界の基準、これは日本にも相当するような基準、民間基準がございます。そのほかに、顧問の先生方、これも原子力に関連いたします各界の先生方にいろいろお願いしているわけでございますが、ほぼ個別的な問題になりましてむずかしい問題につきましては、先生方の御意見を十分いただき、検討していただきまして、そういったものみんなを組み合わせまして、事故の未然防止といいますか、安全の確保につとめているわけでございます。
 で、先ほど原子力局長のほうから事故例等のお話がございましたが、そういったものもすぐ基準ということにならないまでも、先生方の御意見を伺い、検討をしていただく段階では、当然経験として織り込まれるわけでございまして、時々刻々新しい技術を入れて安全の確保につとめているわけでございます。
#181
○矢追秀彦君 最後に長官に一言伺って終わりますが、いま言われたように、原子力局長の答弁だと、年一回の定期検査で発見されるだろうと。これではもうおそいわけですよ。その前に起こる可能性があるわけです。やっぱり、つくるときにきちんとしなければいけないわけです。ところが、安全審査会というのは大ざっぱであって、こまかいことはしない。通産省でもやられるおつもりですけれども、実際もう科学技術庁長官が認可し、総理大臣が許可したものを、あと通産省でそこまでやって設計変更だとかなんとか、なかなかできないわけですよ。現実問題としては、そこは素通りしちゃっているわけですよ。だからこんな書物まで――社団法人日本電気協会から「原子力発電所建設の品質保証の手引」なんて、こんな本が民間のほうから出されて、こんなのが参考書みたいになっているわけですね。こんなのは政府がきちんとすべきだと思うのですね。こういう問題を含めて、また次回にきちんとやりたいと思いますけれども、ちょっと私は、安全審査会のあり方、さらにその後の通産省がこういうことをチェックするあり方についてはまだまだずさんな点が非常に多い、こういう指摘をしたいのですが、その点に対する長官の所信だけ伺って、質問は、きょうはこの程度でやめたいと思います。
#182
○国務大臣(前田佳都男君) ただいま矢追先生御指摘の安全審査、安全審査の最も重要な機能を果たすべき原子炉安全審査会の機能を充実しなければいけない、全くもう御指摘のとおりであります。世界の情勢、学界の方向、そういう点も常に勉強いたしまして、独善におちいらないように、もうこれでいいんだというふうな安易な気持ちにおちいらないように常にチェック、レビューということが必要であると思いまして、そうして安全性の確保ということに全力をあげなくちゃいかぬという姿勢で今後取り組みたいと思います。
#183
○星野力君 私、先日の予算分科会で前田長官の、東海村の核燃料再処理工場の排気、それから排液の中の放射性物質などについてゼロへの挑戦という御抱負を承ったわけでありますが、時間が短かったので、さらにその点について質疑し、さらに私も公聴会の問題について質疑すると同時に、要望を述べたかったのでありますが、二十分の質問時間ということになりましたから、そうそうもやれないと思います。そこで、はしょりながらお聞きしたいと思います。
 まず、再処理工場の現在建設中のあの計画では、再処理工場から大気中に排出される放射性ガスの量、それから海中に排出される、吐き出されるところの放射性物質の量がどの程度のものか。あわせて、原子力発電所、まあ規模は百万キロワットなら百万キロワットでよろしゅうございますが、そこから出るそれらの量はどうか、お聞きしたいと思います。
#184
○政府委員(成田壽治君) 現在、東海地区で建設中の再処理工場、パー・デー〇・七トンの能力の工場でありますが、ここから排出する気体放射性の廃棄物は、クリプトン八五が主たるものでありまして、これは一日当たり八千キュリーということになっております。その他、トリチウムが若干、ヨード、ゼノン等がありますが、クリプトン八五が、気体ガスとしては一番大きいのであります。それから液体廃棄物としましては、パー・デー〇・七キュリー、これは、トリチウムを除いた液体、たとえばルテニウムとかコバルト、セリウム等の廃棄物でありますが、これがパー・デー〇・七キュリーということであります。それからトリチウムは、従来はあんまり問題が少ないといわれておりますが、最近いろいろ問題にもなっておりますが、これがパー・デー百四十キュリーということで、これは昭和四十四年の再処理施設安全審査専門部会の審査の場合の値でありまして、これによって十分安全が確保されているという答申が出ているときの値でございます。
 それから発電所でありますが、これは先ほどいろいろ、たとえば気体の放出量は年間で五百ミリレムが法的基準でありますが、これが五ミリレムとかあるいは十ミリレム等の非常に低い、発電所の場合、値でございます。それから液体の放出についても、トリチウムを除いて年間で五キュリー内外の値というふうに見られております。これも、気体、液体とも、排出許容基準に比べると何十分の一という低い、現在は値になっておるというふうになっております。
#185
○星野力君 原子力発電所から出るそれらの物質の量は許容量基準から比べるとはるかに低いと、こうおっしゃいますが、原子力発電所からの廃液、排水が不安を持たれておる、先ほど来論議もあるわけでございますが、再処理工場から出るそれらは、それの何十倍、何百倍という量になるのだということでございますね。
#186
○政府委員(成田壽治君) 再処理工場から出る気体、液体の値、これは当然許容基準をはるかに下回っておりますが、原子力発電所の排出放射能の低減化のためのいろんな装置が活用されて、非常に発電所の場合は、実際は低い値になっておりますので、それに比べますと、再処理のほうはまだその何倍というような値になっている状態――これは各国とも、発電所と再処理の比較をした場合は、そのような状態になっておると聞いております。
#187
○星野力君 先ほど申しましたように、長官はゼロへの挑戦ということを言われた。その言やまことにけっこうでございますが、どうなんでしょうか。長官のその御発言は努力目標である、いわゆる努力目標であって、少しでもそれに近づけばいいと考えておられるのか、それとも、そう遠くない時期にその実現を目ざしておるという現実的な目標なんでしょうか。
#188
○国務大臣(前田佳都男君) ちょっとくどいようでありますが、この再処理工場は、その設置につきましては安全審査で十分安全性が確保されるという方針に基づいて設置が許可されておる。工事につきましても、安全性の確保に、施設の検査等、あるいは工事の方法の認可等につきましても、安全性の確保という点から工事の認可もいたしておる。また、放射能物質についても、ICRPの基準に照らしましても十分低く、かつ、その安全性は十分確保されてあるというふうな確信はしておりますが、とにかく一般の原子力発電所よりも相当濃度の高いものが出るわけでありますから、これでもう、ICRPよりも低いから安全でありますというその姿勢がいけないのだと。とにかく、私はもう、こんなものはアズ・ロー・アズ・プラクチカブルというよりも、ゼロに向かってこれは強硬な姿勢でいかなければいかぬという、私は相当強くそういう姿勢を打ち出したことは事実であります。ただ、その姿勢が、その私の気持ちが、意欲というものが実現できるかどうかという、ただいまの星野先生の御質問でありますが、これは私は、何年何月にこれができるかと、そんなことは先生はおっしゃってないと思いますけれども、そういうことははっきり私はお答えができません。しかし、いつも原子力行政については、もうすべて私はそういう姿勢でいかなければ、これで安全だというふうな安易な気持ちになっちゃいかぬという意味で、特に再処理工場についてはその感を深くいたしますので、強く私はその考え方を述べたわけでございます。
 そして、実はわれわれは技術には弱い、科学には弱い者でありますが、ちょうどきのうも東京大学の木村教授ですか、を私のところへ呼びまして、最近原子力学会で研究発表されておるその点についても、私は私なりに、その先生に来ていただきまして、いろいろ話を聞き、さらにしっかりやってほしいということをお願いをして――はたしてそれがどの程度効果があるかどうか知りません。しかしながら、もうじっとしておれないんだということで、私はきのうも、ちょうどいまごろ二人で話をしていたわけでございまして、また、これもいろいろ批判があります。アメリカのGEで何か発表したのがあると、これはもうたいしたものじゃないんだという話もございますけれども、しかし、そう疑う前に、とにかくアメリカへ行きなさいと言って、これも行かすつもりでおります。そうして、できるだけ、これでいいんだとか、いやこれは予算がかかりますとか、そういうことを言わないで、とにかく、もうゼロへ向かって挑戦するというくらいの心意気でいかなければいけないじゃないかというのが私の気持ちでありますので、その点、どうぞ御了解いただきたいと思います。
#189
○星野力君 長官、いまも言われましたけれど、許容量以下だからこれはだいじょうぶだということを言われますけれども、その許容量という概念が学問的にもゆらいできておるというんじゃないかと思うんです。ゼロへの挑戦と言われるからには、放射能というものはすべて有害であると、こういう認識に立ってのことだと私は承っておるわけでありますが、いまの大臣の御発言でも、まだはっきりいたさないんですけれど、何かのめどがおありでしょうか。たとえば、外国のクリプトン八五除去の技術の開発を待っておるというようなことでは、これはいつになるかわからない。いろいろやられてはおるようでありますが、そういうものを待機しておるということではないと思うのであります。また、実験に成功しましても、それをプラント化するにはそれなりの金と時日がかかるわけでありますが、それらのことを考えながら、いつの、何年の何月とは言いませんが、めどというものをお持ちなんでしょうか、どうでしょうか。
#190
○国務大臣(前田佳都男君) たいへんむつかしいお尋ねでございますが、別に何年何月というわけじゃないけれども、およそのめどはどうかというお尋ねでございますが、残念ながら、そのめどというものは具体的にはお答えはできないのはまことに残念でございます。しかし、世界の動向とか、日本並びに世界を通じて、いろいろな学会の勉強とか、そういうものを極力もう取り入れるような姿勢でいくということが私は必要じゃないかと、そういう意味で申し上げたのでありまして、どうぞその点、御了解いただきたいと思います
#191
○星野力君 この問題では、御承知のように、新聞に非常に、はでに扱われまして、五十年一月に操業開始する再処理工場に新しいクリプトン八五などを除去する技術が利用されるんだというふうにまで報道されておるので、国民は非常に誤った考え方を持っておると思うのであります。いまのようなお話ですと、努力はするけれど、実際には遠い将来のことだということだろうと思うのでありまして、関心のある国民としては、何だということにもなりかねないと思うのでありますが、実情はそういうことだろうと思います。
 これは別の問題ですが、もう日本の原子力発電所からは使用済みの核燃料が出始めているだろうと思うのでありますが、それらの核燃料は、どういうふうに現在処置されておるのでございましょうか。
#192
○政府委員(成田壽治君) 原子力発電所から出ますところの使用済み燃料の問題だと思いますが、現在稼働中の発電所が五基ありまして、これによって四十七年度末までに使用済み燃料が三百八トン、これはウラン重量にしまして発生することになっております。このうちで、原電の東海一号、コールダーホールでございますが、これと原電の敦賀の燃料は、おのおの二百五十八トン、それから九トン、この二つはイギリスのウインズケールの再処理工場に輸送しております。しかし、動燃の東海の再処理工場が五十年の一月から稼働するということになりますと、それ以外の発電所、今後どんどん使用済み燃料はふえてまいりますので、その今後の発生する使用済み燃料は東海の再処理工場で再処理をする、そういう仕組みになっておりまして、いま、そのために建設を急いでおるところでございます。
#193
○星野力君 現在は外国へ送って再処理をやってもらっておるということなんですが、そうしますと、五十年一月にどうしても操業しなければならぬという差し迫った理由というのは、あるんでしょうか、ないんでしょうか。
#194
○政府委員(成田壽治君) 原子力発電所計画、まあこれは、計画どおり発電所が建設、運転されるとしますと、使用済み燃料が毎年どんどんふえていくわけでございます。昭和四十八年から五十二年までの合計では、使用済み燃料が千八十六トンということに、累増量としてなるわけでございます。したがって、これを処理するためには、なるたけ早く日本の国内における再処理工場が稼働しないと、この主要な使用済み燃料からプルトニウムその他ウラン等の燃料を再生産するためには、国内の工場が早く動かないと、外国へ持っていくとか、いろいろなロスが出るわけでございまして、そういう意味で、昭和五十年の初めごろから動かないと、発電所から出た使用済み燃料が、ただいたずらに累増していくという状態になって、燃料サイクルの効率的な展開ということが、非常にそういう見地からは大きなロスになるという考え方でございます。
#195
○星野力君 早く国内につくらないとロスが大きくなる、こうおっしゃるんですが、ロスというのは、私は企業採算ということではないかと思うんです。企業採算の立場からすれば、それは早いにこしたことはないと思うのでありますが、先に進みますが、専門家の意見では、使用済み核燃料からの廃棄クリプトンなど、ともに現在でもいまの計画より薄めることができる、そういう研究成果も出ておるが、それが今度の計画の中には取り入れられておらないということを問題にしておる向きもあるわけですが、そうなりますと、そういう研究成果が出ておるのに、なぜ今度の設備に取り入れられないのか、これも結局採算主義の立場からそうなっておるのではないかという疑問を持つわけであります。また同時に、それは長官が言っておられるところのゼロへの挑戦という思想からどういうことになるか、まっこうから矛盾するのではないかと思うんですが、その辺、いかがでしょうか。
#196
○国務大臣(前田佳都男君) その点は、ゼロへの挑戦ということを、ただ吹いているだけではなくて、ゼロそのものにはなりませんけれども、その辺の、具体的にある程度計画を進めておるという点を局長から御説明いたします。
#197
○政府委員(成田壽治君) 再処理工場からの放出量の低減化に対する技術開発、これは動燃その他非常に原子力予算で馬力をかけてやっておるところでございます。先ほど申し上げましたが、液体廃棄物を一日〇・七キュリー出ると言いましたが、現在動燃で、液体の廃棄物の放射能の低減化蒸発濃縮試験を行なって、これは二億円程度の予算を今年度からつける、〇・七キュリーが〇・一キュリー、七分の一くらいに低減できるという大体自信を得て、これを五十年一月の稼働に十分間に合わせようという、これが一つの低減化の大きな成果になっております。ただ、御指摘の気体廃棄物のクリプトン八五につきましては、溶媒抽出法とか、あるいは液化蒸留法とか、いろいろな方法がありまして、この前新聞にも出ておりましたが、東大教授が考えておるセルローズ隔膜による方法、いろいろな研究を、これは動燃の予算あるいは局の委託費予算等でいろいろな研究をやらせておりますが、ただ、この研究の成果が、クリプトン八五の回収の成果が五十年一月の操業に間に合うという、まだ十分自信ある成果に至っておらないのでありまして、これも操業後におきましても十分低減化できるという、回収できるという自信がついたら当然早急に取りつけさせる、そういう考え方でございます。
#198
○星野力君 このクリプトン八五の分離除去ということは、外国の商業経営のところでも、ある程度の成果は見ているように聞いておりますし、また、クリプトン八五を含めて、動燃事業団と原研との三年にわたる共同研究の結果、成果をあげておる、せっかく成果をあげながら、研究者、技術者のそういう努力にこたえてもらえず、今度の再処理工場においてはその実行が放棄されておることは重大である、こういう問題提起も行なわれておるのでありますが、その点、どうなんでしょうか。
#199
○国務大臣(前田佳都男君) 実は、ただいま星野先生からそういう御指摘をいただきましたけれども、そういう事実はないというふうに確信しておりまするが、いい技術があれば取り入れたい。きのう私は東大の木村教授に来てもらいましたのも、このクリプトン問題で、ぜひひとつ急いでやってもらいたいということを激励したわけでございます。
#200
○星野力君 長官から、そういう事実はない、こうはっきりおっしゃられると、それじゃ私も資料に基づいて意見を申し上げなければならないわけでありますが、いま注意されまして、もう大臣は退席なさるということで、腰を浮かしながらお聞きしてもらっても、どうも議論にならないようでございますから、私はこのあと、次に続けることにしまして、きょうはこれで引き下がります。
#201
○委員長(渋谷邦彦君) 他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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