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1972/06/15 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号
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1972/06/15 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号

#1
第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号
昭和四十八年六月十五日(金曜日)
   午後一時七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月六日
  委員津島文治君は逝去された。
 六月六日
    補欠選任        斎藤 十朗君
 六月十四日
    辞任         補欠選任
     大谷藤之助君     木村 睦男君
 六月十五日
    辞任         補欠選任
     木村 睦男君     大谷藤之助君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         渋谷 邦彦君
    理 事
                鍋島 直紹君
                船田  譲君
                辻  一彦君
                矢追 秀彦君
    委 員
                大谷藤之助君
                剱木 亨弘君
                源田  実君
                斎藤 十朗君
                永野 鎮雄君
                西田 信一君
                上田  哲君
                沢田 政治君
                中村 利次君
                星野  力君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
        官)      前田佳都男君
   政府委員
       日本学術会議事
       務局長      高富味津雄君
       科学技術庁長官
       官房長      進   淳君
       科学技術庁計画
       局長       長澤 榮一君
       科学技術庁研究
       調整局長     千葉  博君
       科学技術庁原子
       力局長      成田 壽治君
       環境庁水質保全
       局長       岡安  誠君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       内閣総理大臣官
       房参事官     杉岡  浩君
       原子力委員会委
       員長代理     井上 五郎君
       原子力委員会委
       員        武藤俊之助君
       文部省大学学術
       局学術課長    七田 基弘君
       水産庁調査研究
       部長       松下 友成君
       通商産業省公益
       事業局技術長   和田 文夫君
       気象庁観測部長  木村 耕三君
       建設大臣官房技
       術参事官     宮崎  明君
       国土地理院参事
       官        檀原  毅君
       消防庁防災課長  藤江 弘一君
   参考人
       日本原子力研究
       所東海研究所所
       長        山本 賢三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (地震対策に関する件)
 (原子力発電の安全性等に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(渋谷邦彦君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 議事に入りますに先立ちまして一言申し上げます。
 本委員会理事として長くその職責を果たされました津島文治君が去る五月六日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 ここにつつしんで同君の長年にわたる御功績をしのび、各位とともに黙祷をして御冥福をお祈りいたしたいと存じます。
 どうぞ御起立をお願いいたします。黙祷。
  〔総員起立、黙祷〕
#3
○委員長(渋谷邦彦君) 黙祷を終わります。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(渋谷邦彦君) 委員の異動に伴い、理事が二名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任は、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(渋谷邦彦君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に、鍋島直紹君及び船田譲君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(渋谷邦彦君) 次に、参考人の出席要求についておはかりいたします。
 本日、科学技術振興対策樹立に関する調査のため、日本原子力研究所東海研究所所長山本賢三君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(渋谷邦彦君) 御異議ないと認めます。
 なお、手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(渋谷邦彦君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(渋谷邦彦君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。
 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#10
○矢追秀彦君 最初に地震の問題について質問いたします。
 初めに建設省国土地理院に対して質問いたします。
 アメリカのコロンビア大学のラモント・ドハティ地質学研究所のクリストファ ・ショルツ博士から、地震予知に関する新理論で、関東地区は地震に先立つ膨張期に入っており、房総、三浦両半島で一九六九年から始まった土地の隆起が事実なら、私の理論から考えて、マグニチュード七以上の地震が数年以内に起こるかもしれない、といった警告の手紙が届いておりますが、このショルツ理論につきましてどのような考えをお持ちになっておりますか。特に、数年以内にマグニチュード七以上の地震が起こるという意見について、どうお考えになっておりますか。
#11
○説明員(檀原毅君) ただいまの御質問にお答えします。
 ショルツ博士の理論というものは岩石破壊の実験の結果に基づいて非常にまじめな学説でありまして、私も拝見しましたが、まじめに受け取ってよい説であると思います。それで、ただしアメリカのサンアンドレアス断層付近の地震とか、ソ連のカザフ地方、そういった場所で起こる地震に対しての適用例が多いようでありまして、そういう地震の特徴は、起こる場所が大体わかっている。それから大きさもマグニチュードでいいますと四から五というような地震が多いようであります。それから震源が浅い、いわゆる浅発地震でありますけれども、そういった特徴がございます。日本でも、ごく最近、地震学者から、宮城県北部地震――これは一九六二年でありますが、それから長野県北部地震――一九六八年、これはいずれも深さが零キロから十キロ、大きさも五から六というような内陸の地震でありますけれども、これに対してショルツ理論が当てはまるというような結果が出されております。ただし、三陸沖とか第二・十勝沖とか、そういう太平洋側の大きな地震については、まだ確かめるところまでいってないようであります。
 それで、房総半島の話でありますけれども、これは、彼の理論によりますと、そういった一連の隆起がもしダイラタンシーであるならば地震の縦波の変化があるであろうと、そういうことを調べたいというような提案でありましたが、日本ではまだやっておりませんので、そういう点はやはり今後その目で整理する必要があるだろうと考えております。ただし、M七とか数年以内ということは、私たちは数年以内ということは言っておりませんでしたが、彼もまだ、もし私の理論が当てはまるならというような仮定がありますので、この点はまだ今後の検討の余地があると思います。
#12
○矢追秀彦君 いま、今後検討の余地があると言われましたけれども、いまの房総、三浦半島のこの隆起については具体的に検討を加えて、どういうふうな形で、どういうところで報告をされるおつもりですか。
#13
○説明員(檀原毅君) 上下変動につきましては、すでに前々から測量をやっておりまして、これはいろいろそのつど連絡会が開かれまして結果を発表しております。で、私のいま申し上げましたのは、地震の縦波の変化を調べたいと、こういう必要があろうかということを申し上げたわけであります。
#14
○矢追秀彦君 もう一つは、昨年七月打ち上げられたアメリカのアーツ――衛星からの写真撮影によりますと、関東地方に二本の活断層が発見され、地震学によりますと活動期の断層の一帯は地震が起こりやすいということになっておるようですが、この発見された二本の活断層は地震と関係のあるものとお考えになっておりますか、この点を含めて、さっきのショルツ理論と加えて、はたして――関東に大震災か起こるというような話も出ておるわけですが、この点、どうですか。
#15
○説明員(檀原毅君) あの写真は昨年の十一月二十六日に撮影されたものでありまして、私たちは線形写像――英語でいいますとフォトグラフィック・リニアメントと呼んでおりますが、実際に活断層であるかどうか、それはまだ検討してみないとわからないと思うのでありますが、それで、さしあたってその地震との関連でございますが、これは私からお答えするより気象庁の方のほうがよろしいかと思いますが、一六〇〇年から現在までの歴史地震を含めました地震の震央の分布を書いてみますと、必ずしもその線上に乗っていない。それから最近の微小地震の観測がありますが、その分布を調べてみますというと、特に関連があるとは見えないようであります。ただし、大いに検討する価値はございますので、私たちの役所でいいますと、水準測量による上下変動とか、あるいは水平変動とか、そういったことを調べてみる価値はあると考えております。
#16
○矢追秀彦君 この問題について気象庁と、それから、たしか発表されたのは科学技術庁の資源調査会からだと思いますが、科学技術庁と、両方から御説明願いたいと思います。
#17
○政府委員(長澤榮一君) 資源調査会は、五月の二十二日、勧告の第二十八号というので、地球資源隔測の推進構想とその実施のための体制に関する勧告を行ないましたんでございますが、この勧告の起草の最中に、この調査会のリモートセンシング特別委員会が――これは委員長が和達清夫先生でございますが、ただいまの資源衛星のデータから、やはり関東南部に東西に走る写真線形があるということを見出しまして、植生面であるとか、あるいは川の流れ、道路などの地理的な事象とか、あるいは磁気探査、重力図、こういった関連を検討した結果、この線形が活構造線である可能性が高いと思われましたので、これを関係学会に、資料を添えて、今後検討していただきたいと、特にお願いをしたわけでございます。その後、各省にも説明会を開いたり、あるいは測地学審議会に御説明したりいたしまして、今後検討をお願いしたわけでございます。要するに、活構造線である可能性があるのではないか、こういうことでございまして、資源調査会は、活断層であるということをここで申してはおりません。
#18
○説明員(木村耕三君) ただいまの問題でありますけれども、地震がこの線に多いということは事実ではありますけれども、むしろそれよりも三十度ほど傾きました、明治年代に大森房吉先生の江戸川断層――江戸川地震帯と呼ばれた線上のほうに、むしろ数が多く出ておりますので、必ずしもこの線が地震が特に多いということは言えないかと思います。しかし、地震が多いか少ないかということは、活断層の場合、そちらのほうを専門に調べておられる方の話によりますと、活断層がありますと、大きな活断層は千年に一度ぐらい動くということでありますので、たとえば明治二十四年の濃尾地震のときの根尾谷断層のようなぐあいに非常に間を置いて起こる場合がありますので、地震がこの線で多い少ないということで、必ずしもここで大きな地震が起こるか起こらないかという判定はできないかと思います。
#19
○矢追秀彦君 気象庁に、もう一度お伺いしますが、先ほど申し上げたショルツ理論は、気象庁としては、どうお考えになっておりますか。
#20
○説明員(木村耕三君) お答えいたします。
 われわれも非常に興味を持っておりますが、ただ、ショルツ理論としては、つまり水が働くということをもとにしておりますので、非常に浅い断層では地震が起こり得ると思いますけれども、関東震災その他のような五十キロも深いところで断層に水がたくさん含まれているというようなことはちょっと理解しませんものですから、目下、十勝沖地震だとか、その他について調べております。まだそれらしいところは見当たりません。
#21
○矢追秀彦君 地震をはっきり予測することはなかなかむずかしいと思いますが、地震予知連絡会というのがございますが、この連絡会はどのような目的をもって結成され、現在どのような研究調査が行なわれておりますか。
#22
○説明員(檀原毅君) お答えいたします。
 地震予知連絡会は、目的は、いろいろな地震に関する情報を集めまして、それを検討し、あるいは交換し、連絡会を開きまして、そこで学問的な判断を加えるということが連絡会の目的でございます。
#23
○矢追秀彦君 この、国土地理院で出されている「地震とその予知」を見ますと、日本の地震はおもに太平洋岸に起こっておりますが、この太平洋岸に多い理由は、どういう理由ですか。それから、地震の前兆にどのようなものが考えられておりますか。
#24
○説明員(檀原毅君) 太平洋岸に多いという――この絵ではそうなっておりますが、理由はいろいろ考えられるわけでありますが、一つは、太平洋岸に、巨大地震という、マグニチュード八クラスの地震でありますが、これが圧倒的に太平洋岸に多いわけであります。その地震に伴いまして、余震が――これは七クラスの余震もたくさんありますが、そういった余震、あるいは前震もかなり大きいのがある。そういった一連の地震活動があるということが一つ。
 それからもう一つ、福島、茨城県沖とか、あるいは日向灘、こういうところは地震が多発しているところでございまして、そういった点が、日本海側とか内陸に比べますと、やや多く分布しているという結果になっていると思います。ただし、日本海側も、マグニチュード六とか七クラスになりますと、必ずしも少ないとは言えないと思います。
 それから、なぜ多いかということを、しいて申し上げますと、プレートのもぐり込み、いまの地震理論でありますけれど、それをまともに食らっている、それが太平洋側であるということを申し上げられるかと思います。
 それから地震の前兆でございますが、それはその「地震とその予知」にもいろいろ書いてございますが、私たちが現在、第一次、第二次の長期計画を踏まえまして、一応どういうものがよろしいかと――よろしいかといいますか、今後力を入れていかなければいけないかということにつきましては、重要性というのはいろいろ考え方があると思いますが、地殻の水平変動、これからひずみを計算することができます。これは明治と違いまして、最近は、光波測距儀によりまして非常にいい精度のものが得られます。これは刻々に、ひずみがどのくらいたまるかということが追跡できますので、たいへん重要な手段であると思います。
 それから上下変動、それから傾斜伸縮、それから気象庁でおやりになっております。大、中、小の地震――大はあれですが、小地震ですとか、それから大学関係でやっております微小地震、まあその他いろいろございますが、たとえばショルツ博士の言うような地震波速度の変化、そういったものも今後力を入れていくべきであると考えております。
#25
○矢追秀彦君 新潟大地震の前兆は、どういう前兆でございましたですか。それと、この南房総の土地隆起の曲線との比較、この点はいかがですか。
#26
○説明員(檀原毅君) 新潟大地震のときには、これは水準測量による上下変動がつかまったのでありますけれど、ざっとお話ししますと、場所は、このときの地震の震源が、震央が粟島南方でございますが、それの対岸の新潟県の朝日山地というところにたくさんありました水準点にあらわれた上下変動であります。これは、ざっと申しまして、一九〇〇年から一九五五年ごろまで、まあ五十五年間、約二ミリメートル、年にいたしまして二ミリメートルぐらいの隆起であったのでありますが、これが五五年から五九年にかけてプラス十ミリぐらいの非常に大きな隆起に変わった。その後、六四年六月十六日の地震まで、ほとんど頭打ちの状態になっている。そういった異常な隆起が数年前にあらわれております。これは私たちは一応の前兆と考えておるわけでございます。
 それから、現在の房総半島の中央部から南にかけての隆起との関連でございますが、これは新潟の場合とは、地震の場と申しますか、プレートがもぐり込んでいくところと、それからそれの後背の日本海側というところで、多少条件は異なると思います。したがって、新潟のタイプが必ずしも全部の地域の地震に適用できるとは考えられないのでありますが、房総半島の中央より南で、最近の六五年から六九年にかけて隆起を――これは小さな量でありましたけれども、隆起をした。まあ異常と言えば、その前の、年間の速度に比べますと、かなり大きいのでありますが、新潟ほどは大きくはなかった。それから、ごく最近の結果を見ますと、それがやや平常――と申しますのは関東地震後四十年間くらいの値でありますが、それに近づいているというような点で多少違う点がある。まあ上下変動だけ見ますと、そういう違いがございます。
#27
○矢追秀彦君 いま、少し関東大震災のときとの比較が出ましたけれども、現在のこの南房総の隆起との比較、もう少し詳しくお願いできますか、関東大震災との比較……。
#28
○説明員(檀原毅君) 関東大地震のときには、前には測量は明治に一回だけで、それで地震後一回ありまして、地震のときの、たぶん地震による大きな変動がつかまったろうと考えられておりまして、したがいまして、地震の前兆というようなものは何にもつかまっておらないわけであります。したがって、そういった前兆という意味では関東大地震と比較はできないのでありますが、それで、現在の房総半島の隆起でありますが、これは、関東大地震のときに中央部から南端にかけて非常に大きな隆起が見られまして、たぶんそのときにあの程度の巨大地震クラスのエネルギーが解放されたと私たちは考えております。したがって、その後五十年たちましたけれども、巨大地震にまではまだ発達していないであろう、ということは、最近のひずみ測量によっても確かめられております。ただし、いろいろな測量とか観測の網の目が荒いものですから、マグニチュード七クラスあるいは六クラス、そういう地震は見のがす――見のがすというよりも、網にかかっていないおそれはあるかと思いますが、さしあたって巨大地震が差し迫っているというようには私たちは考えておりません。
#29
○矢追秀彦君 気象庁もいまの考えと同じですか。南房総の現在のこの隆起の曲線ですが、いま、大地震はいまのところ考えられないというあれですが、どうですか。
#30
○説明員(木村耕三君) 私のほうは、短期予報と申しますか、起こる寸前になってその予報をする方法を開発するほうにつとめておりまして、国土地理院のような局地学的なのは私のほうの担当ではないと言っては言い過ぎかもしれませんが、まあ、われわれはそちらのほうじゃなくて、地震が起こる――小地震を観測しておりますか、その目的は、この地域で地震が起こっていないところがあぶないという関係で毎日の地震を押えておりまして、この地域では起こってないからこの地域はあぶないという見方で長期予報のほうもやっております。で、それで見ますと、関東から遠州灘沖にかけて、明治年間に比べると、非常に起こり方が少ないということで、警戒地域であるということは認めます。
#31
○矢追秀彦君 今後、この房総方面が地震予知観測強化地点になっておりますが、これに対しては、これからも観測を続け、あるいはまた、もっときちんと、観測体制等の強化が必要であれば、かなり力を入れなければいけないと思いますけれども、今後の見通しはどうですか。
#32
○説明員(檀原毅君) 南関東が観測強化地域に指定された理由は、先ほど申し上げました一九六五年から六九年にかけての隆起が異常であるということで、ある何らかの方法に異常性が認められた場合に、そこに観測を集中し、観測の、あるいは測量の期間を縮めるとか、測量の網をもっと小さくするとか、あるいは別の観測方法を投入するとか、そういった意味で観測強化地域に指定されておるわけであります。その後非常に多くの測量あるいは観測が行なわれておりまして、現在わかっておりますことは、先ほどのひずみで申し上げますと、大体十から二十マイクロストレーン、これは十のマイナス六乗、百万分の一を単位に取りましたひずみのあらわし方でございますが、十から二十の程度でありまして、破壊にはやはり数十から百マイクロストレーンぐらいは必要であるということで、さしあたって現在の網にひっかかっている大きなひずみのたまっているところはないのでございますが、ただし、何回も申し上げますように、網の目は荒いものですから、したがって、今後網の目をこまかにするとか、そういった方面をもう少し検討する――検討するといいますか、観測を進めていかなければいけないと思います。
#33
○矢追秀彦君 次に、総理府の中央防災会議にお伺いします。
 各省から来ていただきまして、ちょっと狭くなりましてまことに恐縮ですが、最初に、中央防災会議はどのような目的で発足し、四十七年度、四十八年度では会議を何回開かれまして、そのうち、この責任者が総理になっておりますが、総理は何回出席をされましたか、報告願います。
#34
○説明員(杉岡浩君) お答え申し上げます。
 中央防災会議でございますけれども、これは災害対策基本法が昭和三十七年に施行されまして、そのときに入れられたものでございます。それまでは、まあ災害といえば風水害、これをとりましても、建設省あるいは農林省あるいは運輸省あるいはその他関係省庁が、それぞれの責任と、それから権限において施行しておったわけでございますけれども、そういった関係省庁がばらばらになって施行するということが、やはり災害対策の一体性ということで、そういった災害対策につきまして、その基本的な方針、これをきめなければいけないということもございます。そして、その基本的な方針をきめ、さらに関係省庁が一体となって災害対策を推進するという要請があるわけでございます。したがいまして、その災害対策基本法を制定いたしましたときに、この中央防災会議が置かれたわけでございます。中央防災会議の会長は内閣総理大臣でございまして、それの委員が、関係の行政機関の大臣、それから関係の公共機関、それからさらに、その下に、その防災会議の性格上、事務局を置きまして、関係省庁の局長あるいは課長クラスを横につなぎまして、常時連絡をとりながら災害対策の推進に処理しておるわけでございます。
 そこで、その御質問の第二点で、ございますが、まあ中央防災会議が何回開かれた――その閣僚関係の会議は、昭和四十六年の五月に大震災の対策推進要綱、これを、大都市の震災対策要綱をきめましたときに、関係の大臣及び内閣総理大臣も出ましてきめたわけでございますが、そのほかの震災対策、まあいろんな災害対策といたしまして、風水害あるいは震災、あるいは最近問題になっております火山対策、こういったものが出てまいりまして、それを推進するために必要な関係の省庁の局長あるいは課長クラスのいわゆる局員会議ないしは主事会議というのを年に数回ずつ開いておるわけでございます。なお、さらにその担当者、これにつきましては、災害ごとに、たとえば、いま風水害の出水期を迎えまして、これに必要な関係省庁の連絡会議、あるいは火山対策、こういったものを問題があるたびに多く開催いたしておるわけでございます。
#35
○矢追秀彦君 ということは、総理大臣が出席をして行なわれた会合は、昭和四十六年の五月二十五日以降はないということですね。
#36
○説明員(杉岡浩君) 中央防災会議として閣僚会議を開いたのは、それでございます。
#37
○矢追秀彦君 そういう状態で、はたして中央防災会議としての責任を持った防災対策というのができておるのですか。閣僚会議……。この関係の局長さん等が集まられるのもけっこうですが、これも、いま年に数回と言われましたから、この間で二年間ですから、十回もまだ開かれてないという計算になりますよね。しかも、災害はいっぱい起こっているわけです。これでは非常にまずいと思うのですが、そういう場合、どこが要請するわけですか。総理大臣がやろうと言わなければ集められないのですか。皆さんのほうでは要請できないわけですか。その辺はどうなっておりますか。
#38
○説明員(杉岡浩君) 中央防災会議の閣僚の会議でございますけれども、これにつきましては、その三十七年に中央防災会議ができまして、その防災基本計画、これを定め、さらに、災害の対策の基本である、たとえば激甚災害の指定基準、こういったものを中央防災会議で定め、さらに、最近地震対策ということがその後必要になりまして、消防審議会、昭和四十三年に消防審議会のあれが出まして、これを受けまして、事務局に詰めまして推進要綱というものをつくる必要があるということで、それをつくります際に中央防災会議の閣僚会議を開いたわけでございます。中央防災会議は基本方針をきめるわけでございますが、実際われわれといたしましては、そういった、たとえば去年の風水害等におきましては、中央防災会議にかわるものと同様の中央災害対策本部、こういったものを総務長官を中心につくりまして、それを推進するというようなかっこうで、日夜各般の災害対策に努力いたしておる次第でございます。
#39
○矢追秀彦君 いままで行なわれた防災会議で、特に地震についての検討はどのようになされてきましたですか。議題にはどの程度上がりましたか。
#40
○説明員(杉岡浩君) 地震につきましては、先ほどお答えいたしましたように、昭和四十三年に消防審議会が、南関東にマグニチュード七・九、関東大震災と大体同規模の地震でございますけれども、これがあった場合の被害想定、あるいはその対策、こういったものを諮問いたしまして、それでその答申が出たわけでございますが、さらに四十六年にはロサンゼルスの地震があった。こういったものを調べまして、昭和四十六年の五月に、先ほど申しました大都市の震災対策推進要綱を定めたわけでございますが、そういった震災対策要綱、これは基本的な項目でございまして、さらにいろんな問題、具体的な対策が必要でございます。たとえば、この対策を大きく分けますと、いわゆる都市の防災学、そういったハード面の施設計画といったもの、それからさらには、震災があった場合に、関係省庁、いわゆる実働機関である関係省庁がいかに連絡し合って事業を推進するか、必要な対策を推進するかということでございまして、そういった個々の問題を、分科会をつくりまして、その個々の項目を検討いたしておるわけでございますが、それぞれのいろんな、たとえば自主防災組織をどうするか、あるいは災害の訓練、あるいは広報、あるいはたとえば火災対策はどうするか、こういったものを、関係省庁を中心にいたしまして年に数回の横の連絡会を開いて、いまそれをまとめつつある。もちろん、必要なものにつきましては、たとえば消防なら消防で必要な大都市の水槽整備といったようなもの、あるいは必要な無線の整備、あるいは建設省等におきましても、その必要な再開発、あるいは街路事業、公園事業、こういったような事業はもちろん推進しておりますけれども、さらに関係省庁に関係するところをいろいろと連絡し合って、さらにこれを具体的にし、スムーズに行なえるように、ただいま検討しておるわけでございます。
#41
○矢追秀彦君 いろいろ御説明になっておりますけれども、はっきり申し上げまして、四十三年に地震があった、それからいろいろ答申を受けて、先ほどからるる説明されておる大都市震災対策推進要綱、これをつくった、そのときだけやって、あと実際は何にも行なわれていないと、こう考えてもいいと思うんです、実際。現在職員は何名ですか、中央防災会議は。
#42
○説明員(杉岡浩君) 中央防災会議の事務局でございますけれども、これは総務副長官が局長で、関係省庁の局長、あるいは課長で構成されておるわけでございます。ただいまの先生の御質問は、狭義の意味の、さらに総理府の中に置かれる中央防災会議の事務局ということだろうと思いますが、これにつきましては、私以下十二名でやっております。
#43
○矢追秀彦君 わずか十二名では、私はもうほんとうの防災会議をきちんとやることは無理だと思うわけです。総理がやるような会合は、実際これ、二年開かれてないわけですけれども、そうでなくても、あとの会合がやられておるようですが、実際十二名で、しかもこれ、地震だけではなくて、火事から全部入っているわけですから、こういう弱い組織ではどうしようもないと思います。
 時間があまりありませんので、次ぎ、飛ばしますが、この震災対策推進要綱の中に非常にいいことが書いてあるんですが、一つは「国土の土地利用計画にたった人口、産業の適正配置等都市における過密を解消し、」、口が「建物の不燃化、オープンスペースの確保等耐災環境を整備した安全な都市を建設すること」、これは実際は絵にかいたもちであって、現在これにこういうことも含めた上での都市対策というのはどれだけ具体的に推進しておるのか、四十六年にできて二年たつわけですけれども、何らかの形で進展をしておるのかどうか。私は実際進展してないと思うんです。というのは、この閣僚会議も行なわれてないわけですから。この要綱ができて一年たって、どうであったと、四十七年度はどうであったと――まあ四十七年度の終わった時点、三月に終わったわけですから、いまごろぐらいもう一回開いて、そしてどう進んでおるか、この要綱がどれだけ進んでおるか、やはり全体的な立場で検討する必要があると思うんですけれども、これは全然会合も行なわれていないし、おそらく、私、これ、質問しなかったら、またその次、何か法律を変えるときだけ会合をやって、あるいはまた、大災害が起こればおそらくこれが開かれたと思うんですけれども、その点については、実際この要綱が、基本的な考え方に立った上で現在のいろんな政府の施策というのは行なわれておるのかどうか、私は行なわれてないと言いたいんですけれども、その点、いかがですか。
#44
○説明員(杉岡浩君) 中央防災会議の会合でございますけれども、この大都市震災対策要綱をきめまして、さらにそれを分科いたしましたこまかい計画を確定いたしましたときには、中央防災会議の閣僚会議が開かれることは当然でございますが、いわゆる災害対策の推進というのは、関係省庁の相互――それぞれの関係省庁、権限があるわけでございますが、それの横つなぎをする必要があるというときに開くわけでございまして、これ、実際われわれといたしましては、事務局会議をほんとうに、副長官を中心といたしまして相当の回数を開いておるわけでございますので、その点御了承いただきたいと思いますが、いまの大都市震災対策要綱の基本的な事項といたしまして、「国土の土地利用計画にたった人口、産業の適正配置」、それから都市の不燃化と申しますか、オープンスペースの確保ということでございますが、「人口、産業の適正配置」、これは防災だけではございませんで、いろいろな面からその都市のこういった面の整備が必要なわけでございます。すでにこういった対策といたしましては、たとえば首都圏整備法、あるいは近畿圏、中部圏といったような、それぞれの整備法もございます。あるいは過密過疎の解消ということで、過疎対策の基本法もございますので、そういった国土開発全体の流れでこれをとらえなければならないのじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、国土総合開発法も全面的に検討いたして、いま御審議をいただいておるわけでございますが、この建物の不燃化、あるいはオープンスペース等につきましては、これは関係省庁の事業、特に建設省の諸事業でございますが、たとえば具体的には、オープンスペースにつきましては、公園の五カ年計画を通しまして公園事業の推進ということでやっております。それから街路、あるいは都市再開発事業、こういったそれぞれの法律に基づきまして、こういった都市対策を進めておる次第でございます。
#45
○矢追秀彦君 いまの基本的な要綱の上から、これ、各省にお答えいただきたいのですが、相当の省がこの中央防災会議に入っておるわけでありますので、いま言った要綱をどう推進するかということで、どのように各省としてはされておりますか。四点、関係のないところは削っていただいてけっこうですが、一つは、地震に対してどのような研究もしくは対策をとっておられますか。それから一番目として、どの程度の地震ならどのくらいの被害が出そうだと、そういう目安を持ってどの程度の研究対策を行なっておられますか。次に、中央防災会議のあり方として、特に震災等の予算、震災対策等についての現状が万全であるか、不備であるか。不備であれば今後どのような点に力を入れて解決をしていく方向であるのか。大体その点について、ひとつ各省せっかくお見えでございますから、よろしくお願いします。
#46
○政府委員(千葉博君) 実はこれ、各省にまたがっておりますので、私のほうは科学技術庁の研究調整局として、全般の国立試験研究機関の研究の調整をいたしておりますので、そういった観点から、地震の研究につきまして、先ほど総理府のほうからお話がございました、答弁がございました要綱に基づきましての各省の研究の状況をお答えいたしたい、かように考えております。
 まず、地震、二つに分けまして、まず第一が地震の予知の問題でございます。これにつきましては、もう先生すでに御案内のとおりでございまして、これ、四十三年の閣議了解でございますけれども、地震の予知についての研究を進めようということで、政府といたしましては地震予知の連絡会議を設けて、それで各省、それから大学の専門の方がお互いに分野、分担を分けてこの予知の研究を進めていこうということで、自来ずっとこの研究を続けております。それで、基本的な考え方といたしましては、要するにまだ予知は学問的な段階である、そういった観点から、ひとつ学問的にこれを突き詰めていこうということで進めておりまして、その結果が、先ほどから国土地理院あるいは気象庁のほうで御説明がありましたように、もう学問としても相当なところまでいきまして、それで、先ほど話がありましたように、国土地理院で行なっております地表におきますひずみの精密な測定の技術が開発されてきて、これによってまず予知がある程度いけそうだ、さらにまた、先ほど気象庁から話がありましたように、地震のいろいろな観測によりまして、これもある程度の予知の方向がわかりつつあるというようないま段階でございまして、計画的には第二次のこの五カ年計画が今年度で大体終わりになってくるということで、この予知につきましては、やはり予知連絡会議で、一体どういう研究を第二段階として今後進めていくべきかという点を検討しておるのでございまして、そういった状況がまず一つあるわけでございます。それで、四十八年度におきましても約八千万円ほどのお金をかけて、この研究を、予知関係を進めるというような状況にあるわけでございます。
 それから第二が、震災の対策の研究でございますが、これにつきましては、これも関係各省の中で、特に建設省あるいは消防庁、この辺が中心でございますが、大震火災の対策の研究、これは消防庁がずうっと続けてやっております。それから、建設省も耐震の設計の問題、それから大震時における都市の防災に関する総合研究というような点も進めておるわけでございます。それで、四十八年には約二億近い金をかけていま進めておりますが、すでに四十三年以来いろいろと研究も成果をあげつつございますし、さらに総合的な研究といたしましては、関係各省集まりまして、科学技術庁の特別研究促進調整費を用いまして、三年計画で都市災害に関する総合研究、こういったものも進めておるわけでございます。そのほか、科学技術庁におきましては防災センターがございまして、地震の点につきましては、地震予知の分野におきましては、関係各省がなかなか手がつかぬような、金のかかるような分野、たとえば三千メーターの地の底に地震計を置いての精密な測定をするというような分野などにおきまして御援助をするというような観点で、学問的な地震予知の研究の推進にお役に立つようなことをやっております。
 それから、さらに震災対策の分野におきましては、もう御案内のとおりに、筑波に大きな起振機を置きまして、各省のいろいろな研究、たとえば球型のガスタンク、こういったものの耐震性の研究を推進するとか、あるいはプレハブ住宅の耐震性の問題というものをこの超大型の起振機にかけて研究を促進するというような、具体的な問題の研究の推進の手助けをするというような点を防災センターでいたしておるわけでございます。
#47
○矢追秀彦君 あと、各省で、もし補足があれば簡単にお願いします、時間がありませんから。
#48
○説明員(宮崎明君) 建設省では、特に耐震設計ということにつきまして最近特に重点的に研究を実施しています。従来、土木建設構造物につきましては静的設計法が主体でございまして、超高層ビル等、特定のものについては動的設計法も適用しております。構造物の用途、構造、あるいはその土地条件、形状等に関係しまして、普遍的に適応できるような設計法、新耐震設計法を確立したいということで、本年度も約七千万の研究費をもって重点研究に取り上げてやっております。これをできるだけ早く、ここ二、三年で取りまとめていきたいということを考えております。そのほか、いわゆる都市づくりそのものについての配置の問題、それから既存都市の再開発の問題、こういうことにつきましては、従来も都市防災ということでいろんな手法、あるいは対策についての研究をいたしております。
 それから、特に地震予知に関連してでございますが、国土地理院等で実施しています地殻のひずみの問題、基本測量といいますか、水準測量等の問題につきましては、これは正直言って、十分な予算といいますか、もう少し国全体に網目をかぶせて整理していくということが必要ですし、それから観測の頻度も縮めていくということが大切かと思います。
#49
○説明員(七田基弘君) 文部省のほうといたしましては、地震予知計画の一環といたしまして、現地測地学審議会で第三次地震予知計画を検討していただいております。この計画は、第二次地震予知計画の成果及び業績に基づきましてこれを改めまして御検討いただき、そうして第三次地震予知計画を策定しようということでございます。この測地学審議会は、地球物理学全体の立場に立ちまして、そういう方面から地震予知の問題の研究体制はどうあるべきであるか、あるいは地震予知の研究にどういうような施策が必要かということを御検討いただきまして、これを関係各省庁に御建議いただくということで作業を進めております。
#50
○矢追秀彦君 時間がありませんので、各省の方、まことにお呼びして答弁していただけなくて恐縮ですけれども、あと、次に一言だけ、避難場所の問題についてちょっとお伺いしたいと思います。
 これは中央防災会議、あるいは消防庁の方にお答えいただきたいと思いますが、東京都に例をとりますと、現在百二十一カ所避難場所が指定されておりますが、実際これは現実的にかなり無理があるのではないかと思います。一つは、たとえば夢の島は二百二十七万七千八百人収容人員と、こうなっております。確かにスペースとして二百二十七万人入ると思います、詰めれば。ところが、そこへどうして二百万人が移動できるのか。それから、たとえば日比谷公園、皇居前広場は、千代田区、中央区、墨田区の人が避難をすると。墨田区の人は日比谷までどうやって行くのか、かなり距離があるわけです。このように避難場所の設定が非常に何か地図の上でこうやって適当に人間を動かすということにすぎなくて、実際現実的にこれは無理があるのではないか。さらに、避難をする途中にあるガソリンスタンド、あるいはその他の有毒ガスを発生するような物質が置いてあるところ、そういったものがすべてまだ点検をされておりません。したがって、その途中でどういう爆発が起こるかわかりませんので、やはりそういった問題もきちんと点検をしてもらいたいと思います。また、この避難場所の中でまだ人家が建っておりまして、現実的に避難ができないようなところ、これは江戸川区の小松川地区、これなどはまだ家が建っております。それから、避難をしたところで、もし人間だけが集まって、それですぐ地震がおさまって帰れるならいいんですけれど、相当の被害の場合は、水、食糧が問題になってまいりますが、たとえば夢の島で、はたして水をどういうふうに供給するのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。ただ単なる観念的な避難場所であってはならぬと思いますので、現実に起こった場合、はたしてその避難場所で収容できるのか、収容してもどうなのか。途中はどういうコースになっているのか。その点をひとつ簡単にお願いします。
#51
○説明員(藤江弘一君) 各避難地の適格性につきましては、各地区に予想されますところの、大火災市街地の輻射熱理論に基づく人体への許容限度等を算定の基礎としておりますが、その場合に、収容人員の基準といたしましては、一応最大限一人当たり一平方メートル当たりということで考えられておりまして、その結果、御指摘のように、収容人員に対しまして避難人員が若干上回っている個所も現実にはあるわけでございます。ただ、東京都としては最大限に努力いたしまして現在のものが確保されているということでございますが、今後たとえば防災拠点の拡充等を推進することによりまして、さらに基準面積を確保するように指導してまいりたいと思っております。
 それから、食糧等の配給でございますが、これにつきましては、水道局からの給水車による配水、備蓄食糧の準備等があります。
#52
○矢追秀彦君 実際、いま東京で地震が起こると、それこそたいへんなことになることは、もう火を見るよりも明らかですので、ひとつ、いま私の指摘した点も含めて、もう一度総点検をし直して完備をしていただきたいと思います。
 最後に、大臣にお伺いしますが、地震予知連絡会、これも今年度は九億円の予算しかついておりません。萩原会長も年間三十億は必要だ、そうすれば五年後には長期予報に関してのめども立つと言われております。これに対する予算措置を今後どういうふうにされていくのか。また、会長以下、このメンバーのほとんどがパートタイムになっております。やはりある程度常勤のきちんとした――これだけ日本は地震の多発地帯でありますから、常勤が必要ではないかと思います。この予知連絡会の体制のあり方について今後どういうふうにされるのか。それから、先ほどから質問をしましたように、中央防災会議、昭和四十六年に最初やって、そのまま全然開かれていない。その後災害は相当起こっておりますし、地震がまた起こるかもしれないという南房総の隆起等を考えますと、やはり早急に中央防災会議は一度開かれたほうがいいのじゃないか、二年も休んでいるんですから。そういう点、大臣もメンバーの一人でございますから、その点について。それから、東京都で災害が起こると、これはもうたいへんなことになりますので、都市をどうしていくかということについてのお考えをお聞きして、時間がちょっとオーバーしましたので、質問を終わります、
#53
○国務大臣(前田佳都男君) 先ほど来、矢追先生の御質疑をずっと拝聴しておりまして、大きい地震による災害を憂うる非常に熱のこもった御質疑だと思って私拝聴いたしました。また、ただいまの御提言をまじえての御質疑でありますが、まことに重大な御質疑でございまして、ことに地震予知の体制並びにそれに伴う予算の問題等の御質疑でございますが、私くどく言う必要はございません。けれども、地震の予知を行なうためには、やはり地殻変動などの精密な観測データと、それから地震観測データが集積されることが必要であると思います。この前者につきましては国土地理院、後者につきましては気象庁、大学などで行なっているわけでございますが、現段階では、担当各省庁でのこれらの整備を行なうことが、先刻来、建設省の国土地理院の方だと思いましたが、これをもっと整備したいというふうなお話もございましたが、現段階では、この監督、各省庁での整備ということも必要である、もっと強化しなければいけないというふうに考えております。また、これらの観測によりまして得られたいろいろのデータを常時いつも総合的に判断する体制が必要ではないか、先生の御質疑もそういう点であったろうと思うのでございますが、この点につきましても、目下、先ほど文部省からもお答えをいたしましたが、測地学審議会という審議会がございますが、この審議会においても、こういう点も含めて検討中でございまして、その審議の様子も見守りつつ、私はともかく各省庁が研究した観測データというものが、ただばらばらであっちゃいけない、これをまとめて、そうして地震の予知に役立つように、そういう体制をとらなければいかぬという考え方のもとに、その測地学審議会の審議の様子等も見守りつつ検討していきたいと思うわけでございます。
 なお、中央防災会議が回数がほとんど開かれてないじゃないかというような御質疑でございますが、防災会議としては、開かれる回数は少なかったと思いますが、実は防災会議という名前はつけませんですけれども、この地震関係につきまして、閣議の席上、あるいはその閣議のあとにおきましても、ときどき、あるいは防災関係につきまして、あるいは予知関係につきましても、関係閣僚の間でよく話をしているということも、ただ防災会議が一向実績がないから無関心だというわけではございませんので、その点もひとつ申し上げたいと思うのでございます。実は先般も、地震の予知に関する公聴会がやはり国会でございまして、そのあと実は私、関係閣僚の中央防災会議を主宰といいましょうが、お世話しているところの総務長官並びに気象関係の仕事を担当している運輸大臣等にも私の意見をいろいろ申し上げまして、そうしてこの体制を早く整備すべきではないかということも提言をいたしました。と同時に、事務的ベースにおいても、関係の担当部局に対してもそういう要請を実はいたしました。この地震というものはいつやってくるかもわからない、非常にみな不安があるのでございますから、何としても予知をするということ、そして、万一起こった場合には、どうして災害を防ぐかということについて真剣に取り組んでいきたい。特に東京都の問題は、非常に人口の密集といいますか、非常に込んでおる地域でありまするが、災害の場合の事故ということを想定しますと、ほんとうに寒気がするような気がいたしますが、この点につきましても、私いま、夢の島をどうするとか、こうするということはお答えできないわけでございますが、建設大臣とか、あるいは関係閣僚に、よく先生の御意思並びにこの委員会の空気というものをよくお伝えいたしたいと考えております。
#54
○委員長(渋谷邦彦君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#55
○委員長(渋谷邦彦君) じゃ、速記を起こして。
 この際、山本参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は御多忙のところ、原子力問題に関しまして、本委員会に御出席いただきましたこと、まことにありがとうございました。
 なお、御意見の聴取につきましては、質疑応答の形式で行ないたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 質疑を続けます。
#56
○辻一彦君 きょう私、一つは浜岡の原子炉第二号炉、この問題の審査経過等について、もう一つは原研のあり方について、二点ほど質問したいと思います。若干沖繩の問題についても触れたいと思います。
 第一に、浜岡二号炉の審査経過につきまして、きわめて簡単に要点だけちょっとお願いいたします。
#57
○政府委員(成田壽治君) 中部電力の浜岡二号炉につきましては、去年の二月に電調審を通りまして、電源開発計画に組み入れられたわけでございます。その後、去年の九月の二十九日に二号炉の設置許可申請、すなわち規制法二十六条による変更許可申請がなされまして、十月の十一日に安全審査会で第九十三部会を設置しまして以降、部会あるいは安全審査会等で検討してまいって、そしてその間約二十七回にわたってグループの部会、あるいは合同会議、審査会八回等二十七回の審査の会合を持っておったのであります。それから現地調査等も三回ほどやりまして、そして今年の五月の四日に部会の報告書を決定して、五月の十二日に安全審査会において審査会の報告書の決定となっております。そして、原子力委員会は、この安全審査会の報告を受けまして、五月二十二日及び二十九日の二回にわたって審議を行なって、五月の二十九日、内閣総理大臣に対して原子炉規制法第二十四条第一項の許可の基準に適合しておるという旨の答申を行なった次第でございます。それに基づきまして、通産省から規制法による同意をもらいまして、六月の九日、総理大臣の名前で許可書が交付されております。
#58
○辻一彦君 いままでの国会で、特に春以来公聴会問題がずいぶん論議をされました。衆参両院を通して本委員会で論議をしましたが、あれだけ公聴会を開くべしという意見があり、要領がまあ五月二十二日にまとまった。そういう中で、浜岡の二号炉になぜ公聴会をやらずにやったのか。まあこれは五月十日の衆議院の科学の委員会においても強い要求がありましたが、こういう国会における要求を無視してやるかけ込み認可のやり方ということは納得ができない。この点について大臣いかが考えるか、伺いたい。
#59
○国務大臣(前田佳都男君) ただいまの辻先生の御指摘でございますが、公聴会の開催のわれわれの考えております趣旨は、原子炉安全審査会が調査、審議するにあたりまして、当該公聴会におきまして陳述された意見を参考とすることができる時期に開催されなければならないということになっておりまするが、浜岡の場合は、すでに原子炉安全審査会が審査を終えまして五月十二日に審査会の答申を得ておりまするしいたしまする関係上、もうすでに安全審査会が終わりました段階、その後におきまして、この公聴会の開催要領というものをきめたわけでございまして、その点、特に浜岡二号をかけ込んでこれを処理したとか、答申したとか、そういうわけではないのでございます。
#60
○辻一彦君 まあ、そういう言い方はあると思いますが、五月の二十二日に公聴会の要領が発表された。五月の十土日に安全審査会、二十九日に原子力委員会で認可と、こういうように二十二日をはさんでおるんですね。原子力委員会に、長官がやろうと思えば、指示をして、安全審査の結論を出すのを若干待って、いろいろな聞く機会は、やろうと考えれば幾らもできたはずなんです。それをですね、それはもう安全専門審査会の自主性にまかしてあるから全然関係がないんだ、こういうやり方は、これだけ住民の声を聞けという声の大きい中で私は理解ができないが、重ねて、そういう住民の声に背を向けたんじゃないか、この点についてどういうようにお考えになるか、お伺いしたいと思います。
#61
○国務大臣(前田佳都男君) 私も、辻先生がお尋ねのような、そういう疑いというか、持たれることは、私としましては非常に残念でございまして、全然そういう浜岡を逃げ込み、かけ込みでこれを措置するためにこういうスケジュールが――段取りが非常によくいっておるじゃないかというふうにお考えになるかしりませんけれども、全然そういう意図はございません。原子炉安全審査会というものの自主性、独自性というものを尊重いたしまして、特にわれわれがこういうようにしなさい、ああいうようにしなさい、いつごろしなさいというような、そういう指図なんかすると、またこれ、たいへんでございますので、そういうことをしないで、ほんとうに自主性にまかしておる、自然の姿でこういうふうになったわけでございまして、その点、どうぞわれわれの真意をひとつおくみ取りいただきたいと思います。
#62
○辻一彦君 私は、以下二時間の中で、住民の声を聞かなかった非民主的なやり方がどういう問題点を持つかということを、具体的な事実で明らかにしたいと思います。
 今回のこの安全審査の特徴は、この原子炉安全性の結論とともに、通産省から環境についての報告があり、これを検討されたということが今回の一つの特徴であると思いますが、この点はどうですか。
#63
○政府委員(成田壽治君) まあ、原子炉の安全性について、安全審査会の答申を待って、安全審査会の結論によって判断しているわけでございますが、環境、温排水等につきましても、今回は通産省が環境、温排水の影響その他環境の調査をやって、原子力委員会としても、五月二十二日、五月二十九日の二回にわたって通産省からその調査の報告を聞いて、その上で、二十九日、二十四条の基準に適合する旨の答申を行なったのであります。そういう意味におきまして、通産省の温排水その他の環境の調査の結果を委員会として聴取したというのは、従来以上に非常に例のない慎重な扱いをやったということは言えると思います。
#64
○辻一彦君 大臣に重ねてお伺いしますが、四月七日に私は予算の分科会において環境審査のあり方について論議をしました。そのときに、環境庁や通産省等の意見を聞いてやる新しいやり方を考えたいと、こういう御答弁がありましたが、その御発言の内容は五月二十九日の原子力委員会の中に反映をされているかどうか、その点、いかがですか。
#65
○政府委員(成田壽治君) 四月七日予算分科会でいろいろ御審議ありましたが、われわれは、あのとき、公聴会の開催の一環として公聴会をやって地元住民のなまの声を聞きますと。原子炉の安全問題だけでなくて、温排水その他環境問題、当然大きな要望事項として出てまいると思います。その場合に、原子炉の安全性につきましては、原子炉安全審査会に、そういう意見があったということを反映させて審査させる。そして温排水等の環境問題につきましては安全審査会の所管外のことでありまして、これは環境庁、通産省等の、法体系の問題としてはそういう形になりますので、特に通産省では、環境、温排水の調査をいろいろ検討する調査会等の形で持ちたいと言っておりますので、通産省の調査の結果を聞いて、その段階でまた地元の環境に対する意見も反映させて、そして検討してもらう、そういう考え方で今後やることになるであろうというふうな答え方をしておると思います。これは、公聴会を開催して、安全問題以外に環境問題等も地元の意見として出た場合のやり方として、そういう形で考える、原子力委員会は環境庁、通産省の、まあ上に立つといいますか、そういう関係官庁に対して協力を要請して環境問題等についても調査してくれ、あるいは調査した結果を原子力委員会に連絡してくれというような協力を要請して、そういう形で今後処理していきたいと、公聴会開催の一環としての言い方として、お答えしていると思います。
#66
○辻一彦君 まあ、その問題は具体的にこれから伺います。
 いま局長答弁によれば、安全審査の内容は、いわゆる原子力委員会において安全審査の内容と同時に、今回は通産省報告による環境問題についての論議が原子力委員会で行なわれた、こう確認していいですね、それは。大臣、これは新しい一つの分岐点になると思うんですが、環境問題について原子力委員会は論議されたと、こう理解しますが、それでいいですか。
#67
○政府委員(成田壽治君) 環境問題については、五月の二十二日、二十九日に二回にわたって通産省の調査結果を原子力委員会として聴取したのであります。
#68
○辻一彦君 安全性の問題は別の機会に譲って、環境問題、なかんずく、その中心に温排水の問題があります。これは、これからのわが国における沿岸漁業の将来を考えると非常に大きな問題になってくるであろうと思われます。そういう点で、温排水にしぼって問題を取り上げてみたいと思います。
 そこで、まあ通産省が御苦心されたわけでありますので――通産省、見えてますね、ひとつお伺いをしたいと思います。温排水は、一つは、どう拡散するかという問題と、拡散した温排水が水産資源にどういう影響を与えるかという、この二点があると思うのでありますが、ごく簡単で、時間の点で簡単でけっこうでありますから、検討の要点だけをこの二点について報告をいただきたい。
#69
○説明員(和田文夫君) 浜岡原子力発電所の二号機まで増設いたしますと、毎秒約八十トンの温排水が出てくるわけでありまして、われわれが、いろいろな従来用いられている比較的実態と合うと言われている機器を用いましていろいろ検討した結果、拡散範囲、これは摂氏で温度が二度上昇する範囲でございますが、その範囲は、放水口から約千五百メートル、条件によってはもっと少なくなりますが、大体いろいろな安全サイドを考えましても約千五百メートル以内の範囲に入る、こういうふうに推定されます。
 それからもう一つの御質問でございますが、この温排水の水産資源への影響がどうか、こういう問題でございますが、この温排水は、放水口におきましては、表層の水面より約七度ぐらい高くなると、こう予想されますが、大気中に熱放散等がありますので、急速に冷却されながら、海面の表層約二メートル程度、深さ二メートル程度の範囲で広がる二度Cの範囲が、さっき申し上げたような千五百メートル程度と、こういうことでございまして、浜岡前面のいろいろな漁業をいろいろ調べてみますと、シラスの漁業がおもでございますが、これは海岸線から約千五百メートル付近が主として行なわれておりますが、このシラスの漁業と申しますのは、遠州灘沿岸から駿河湾にわたって非常に広い範囲で行なわれておりますので、さしたる影響はないじゃないか、こういうふうに考えております。それから、沖合いの深いところで、イセエビでございますとかアワビなどの、いわゆる海底に住む生物の漁業も行なわれておるわけでございますが、これにつきましては、温排水が、さっき申し上げたような表層から比較的狭い範囲にとどまりますので、これについてはほとんど影響がないんじゃないか、こういうふうに推測しております。
 なお、この拡散範囲あるいは漁業に及ぼす影響等につきましては、運転後いろんなモニタリングをやることを考えておりまして、これによって、もし当初の予測と違えばまた別に対策を考えていく、こういうふうに考えております。
#70
○辻一彦君 ちょっと念のために、これは通産省のほうからもらった資料ですが、数字でこれ、発表されておるのを確認しておきますが、夏期においては何メーターですか。
#71
○説明員(和田文夫君) 夏期におきましては二度Cの上昇範囲が沖合方向に千三百五十メートル、それから海岸方向に、これは片側でございますが、片側に千三百二十メートル、こういうふうに予測しております。
#72
○辻一彦君 冬のほうは大体似たような千三、四百メートルという数字が出ております。そこで、いままで温排水の拡散問題が論議されたときには、大体一度差を多くの場合にいろんな論議がされておりました。今回の場合に二度差におさめている。これは一体どういう理由か、この点、いかがですか。
#73
○説明員(和田文夫君) 御承知のように、海水の温度は、自然の状態におきましても、一日のうちで二度C以上変動する場合が多いわけでございますので、その自然の変動幅程度を考えれば一応いいんではなかろうかと、こういうことが一つと、それから、これは測定技術的な問題でございますが、あとでいろいろモニタリングやなんかでチェックする場合においても、一度Cというのは非常に測定の誤差が大きくて、この辺が一つ問題があるということで、一応われわれのほうといたしましては二度Cの上昇範囲で事を考えたわけでございます。
#74
○辻一彦君 そこで、二度差でおさめられるか一度差を考えなければいかぬかということは、水温がどういう水産物に与える影響があるのかと、こういう点を若干やはり論議をしなければならないと思うんです。通産省が計算しているこれを見ると、二メートルの厚さで温排水が帯あるいはかたまりになって流れていく、こういう大体計算になっていますね。そうなれば、二メートルの厚さの帯あるいはかたまりの温排水というものが動いていけば、これは一度差においても検討を要する問題である、影響を考えなくちゃならない、こう思います。そこで、若干交錯するとは思いますが、そういう意味において、魚と水温の関係は、厚さ二メーターで温排水が帯やかたまりになって動くとすれば、一度差にまで考えるべきでないか、検討すべきではないかと思いますが、この点はどうですか。
#75
○説明員(和田文夫君) 魚のいろんな状態と温度との関係は非常に明らかでない点が多うございまして、まあ、今後いろんな研究をすべき問題が多々あると思いますが、まあ、さっき申し上げたような自然変動も相当あるだろうと、それからあとのいろんなチェックをする場合の設定の問題もあるということで、一応二度差で考えているわけでございます。
#76
○辻一彦君 じゃ、それについてあとで質疑を進めてまいりましょう。
 従来、大体一度差で問題が取り上げられてきたのが普通なんですが、この二度差という線を引かれたのを見ると、これはあなたのほうから記者団に出された資料と同じでありますが、(資料を示す) 夏においてはこの外側の黒い線がいわゆる二度差になっていますね。冬においてはこの外側の黒い線。ところが、ここに赤い線が入れてあるんだが、これは通産で出されている線であるけれども、これは漁業消滅区域、千二百メーター半径の、になっていますね。従来一度差で論議をされなくちゃならないものが二度差におさまっている千三百メーターというのは、ある面においては、漁業消滅区域のこの半径とほぼ似ているように私は思われますけれども、そういう点で、一度差における検討を避けて、漁業消滅区域のここらにおさめようとした考えがないのかどうか、この点、どうですか。
#77
○説明員(和田文夫君) この漁業消滅区域は、先生御指摘のとおり、一号機のときにやった漁業消滅区域でございますが、これとの関連ということを考えていることは全くございません。それで、漁業消滅区域につきましても、計算条件――これは実際に運転してから測定してみないとわからないわけでございますが、計算の拡散係数やなにかの取り方によりましては、特に沖合い方向等は、二度差におきましても、もっと非常に、さっき申した数字より小さい推定数字も出ておりまして、従来の漁業消滅区域が大体千二百メートルの円形でやっておりますが、これとの関連で二度差ということを考えたと、こういう事実は全くございません。
#78
○辻一彦君 それでは、まあ温度一度差のところまで考えたとすると、水温との関係、いわゆる水産資源との関係を考えなくちゃならないと、こういう点で、先ほどお話がありましたが、遠州灘における最大の漁獲物、これはシラスであろうと思いますね。大体、通産省は、遠州灘でシラスが年間どのぐらい水揚げがあって、その額はどのぐらいあるか、そういうことを見当つけておられますか。
#79
○説明員(和田文夫君) 浜岡付近の、これは漁業権消滅あるいは補償の対象になっている七漁協の合計で、シラスの漁獲量が、これ、トンでございますが、四十五年で七千八百三十二トン、四十四年は五千六百二十九トン、それから四十三年は一万五トン。静岡県全体では四十五年は一万一千トン程度、それから四十四年が八千トン、それから四十三年が一万三千三百トンというような数字がわれわれの調査の結果出ております。
#80
○辻一彦君 まあ、一万一千トンとか一万二千トン、七千トン、大体そういう数字で、これはかなりな金額になりますが、金額も見当つきますか。
#81
○説明員(和田文夫君) 金額はいまちょっと……。
#82
○辻一彦君 はい。まあ、これは数字はいろいろあろうと思いますが、七億とか八億、あるいは場合によれば十億という、これは数字に大体なると思います。そこで、シラスが非常に大事な水産物ですが、ここでシラスと温排水との関係はどうか、この中にデータが出ておりますが、ごく簡単にどう考えておられるか、伺いたいと思います。
#83
○説明員(和田文夫君) さっきちょっと申し上げましたが、シラスにつきましては確かに浜岡の前面でも盛んにとられているようでございますが、さっき申し上げた非常にばく大なトン数の水揚げがありまして、これは静岡県の駿河湾西部から遠州灘付近にかけて非常に幅広くとれているようでございます。特にシラスの産卵場でございますが、産卵場は、いろんな水産庁の出先等の調査によりますと、遠州灘付近では天龍川の河口からむしろ西側の海域がおもになっているようでございまして、そういう点から判断いたしまして、その浜岡原子力発電所の温排水が大きな影響を及ぼすことはない、こういう判断をしたわけでございます。
#84
○辻一彦君 私は、この報告書、ありますね、これに出されている。二四ページに、中部電力が昭和四十四年十二月、昭和四十五年の十一月に行なった実験結果は次のようだと、こういって、シラスは「明らかに温水を好むことが確認されている。」、こう結論づけられておりますね。これはあれですか、ここに出ておりますが、どういう論拠でこういう結論が出たのか。まあ、時間の点がありますからそんな詳しいことは要りません、要点だけでけっこうです。
#85
○説明員(和田文夫君) この報告の中にも入れてありますが、この図にありますようなものに温水と冷水をそれぞれ分けて流しましたら、シラスが明らかに温水域に非常に寄ったと、そういうことから想定した結果でございます。
#86
○辻一彦君 まあ、通産省に魚のことをあまり聞くのはお気の毒にも思うのだけれども、あなたのほうでお調べになって責任を持って出されたレポートだから一応通産省にいまお伺いするわけです。非常に技術的になれば、水産庁が見えておりますから、お伺いします。
 そこで、ここに私は、おととい静岡の水産試験場へ行って焼津でもらってきた資料がありますが、見てみると、四月から三月にわたる一年間の遠州灘の水温分布がずっと詳細に出ている。これを見ると、参考に言いますと、四月は遠州灘で十四度C、五月は十八度C、六月は十七度C、七月は二十二度C、八月が二十七度、九月が二十五度、十月二十二度、十一月十九度、十二月が十五度、一月十六度、二月十四度、三月十四度と、大体こういうように水温がずっと分布しておりますね。そこで、通産省が中部電力を通して実験されておりますけれども、十度というような冷水は、こういう冷たい水は、遠州灘に一つもない。シラスは住んでいない。そういうものを、二十五度Cの温水と、シラスが遠州灘に住んだこともないような十度の冷水と比べて、そこであたたかいほうに魚が行ったから温水を好むと、こういう断定をされているけれども、一体これはどうお考えになりますか。
#87
○説明員(和田文夫君) さっきちょっと申し落としましたが、この実験と申しますか、これは中部電力がやった実験ではございませんで、東海区水産研究所と愛知県水産試験場の指導のもとに、愛知県の渥美郡の赤羽根漁業組合とでやった試験でございまして、その点、まあ、漁業の専門家がやった試験でございますので、先生いまおっしゃったこともございますが、いろんな実験の水温等は、結果を見るのに最適な温度でやったのじゃなかろうかと、われわれは推測いたしておる次第であります。
#88
○辻一彦君 あなたの出されている資料の二四ページに、「中部電力が昭和四四年一二月および四五年一一月に行なった実験結果は次のとおりであり、」云々として、あとは全部書いてあるのじゃないですか。これは中部電力がやったのと違いますか。
#89
○説明員(和田文夫君) ちょっと言い間違いまして、失礼いたしました。
 実験は中部電力がやったわけでございますが、さっき申したような水産研究所あるいは水産試験場、あるいは漁業協同組合等が協力のもとに中部電力がやった実験結果でございます。ですから、そういう、何度の水を与えて実験するかというようなことは、おそらく指導者等の御意見を仰いで、もちろんやったことと思っておりますので、われわれとしては、そういう専門家が適温と考えた実験だろうと思っております。
#90
○辻一彦君 しかし、常識的に考えて、遠州灘に十度というような水温が一年じゅう各月を調べてもないのに、十度と二十五度を比べて――二十五度というのは、いわゆる夏シラスの、九月から十月にかけての漁のとれるところですよ。そういう温度と、そして十度と比べて、これなら二十五度のがいいのがあたりまえ、そっちに寄るのがあたりまえ。それでもって、温水を好むとか、あるいは温水の影響がないというような確認をされるということについて、どう思われますか。科学的ですか、これは。十度――遠州灘にないですよ、残念ながら、ずっとあの駿河湾一帯見ても、一年間に十度という温度は。
#91
○説明員(和田文夫君) これは、先ほど申し上げましたが、こういう水槽の中で、十度の水と、おっしゃるように二十五度の水を横から入れまして、そうすると、比較的早く混合いたします。そこの温度勾配の、温度が連続的に変化する、そこでシラスがどっちを好むか、こういう実験でございますので、十度と二十五度の水が隣合わせにあって、それで二十五度のほうに行った、そういう実験ではないと思います。
#92
○辻一彦君 静岡の水産試験場、これは、シラスは日本で一番よくとれるところですから、大体一番専門的にいろんなのを調べておりますね。そこで、場長や担当に会っていろいろ聞いてみると、最適温は十八度と言っているのですよ。それは、春のシラス、五月に一番よけいにとれるところが大体最適温になるから、十八度Cですね、十八度と二十五度と並べてみたら、シラスはどっちへ動きますか。どう思います。――じゃ、これは水産庁いませんか、水産庁。
#93
○説明員(松下友成君) 実は、この二号機の影響に関してでございますが、私どもといたしましては、原子力委員会におきます安全審査の段階において通産省から参考資料としてこの環境に関します御調査が提出されたということを聞いた次第でございまして、実は、先月末にその旨通産省のほうから連絡を受け取った次第でございます。地元の漁業者その他も自主的におやりになる、調査をおやりになっているということは聞いておりますが、内容そのものについてはちょうだいしたばかりでございます。
#94
○辻一彦君 まあ、魚については本家本元の水産庁が知らないような調査をやって、これで漁民の信頼やそういうものが得られると思うのか、非常に問題がありますね。で、データを調べると、中部電力は、愛知水試の協力を得て――いま部長御発言のように――あるいは愛知漁協の協力を得て実験をしたというけれども、なぜ一番地元の遠州灘をかかえている静岡県の水産試験場の意見を聞かないのか。いろいろなデータが一ぱいある。私、見てみると、これは通産省のデータとずいぶん違うデータがある。これを一体お調べになったのかどうか、その点、どうですか。遠州灘にはシラスがとれる……。
#95
○説明員(和田文夫君) 確かに実験は、東海区水産研究所あるいは愛知県の水産試験場等の指導のもとに行なったわけでございますが、われわれのほうといたしましては、焼津の水産試験場等にも意見を聞いておりまして、おそらく重大な影響はないだろうというような御返事を得ておる次第でございます。
#96
○辻一彦君 いや、私はおとつい焼津の水産試験場、県の試験場へ行って、場長や係の人を全部呼んで詳細に調べてきておるのですよ。なるほど、中電さんは電話で一応お聞きになった、そうしてその次に、何かシラスのデータはないかというので、一九六九年九月に水産海洋研究会の発行した会報「水産海洋研究会報」というのがある、これのコピーを持っていかれた、それはは聞いていますよ。それだけのことでわかりますか。しかも、この中に書いてあるデータを見ると、これは御都合の悪い数字がありますよ、ずいぶん。それは一つも出ていない。全部都合の悪いデータは、これは私は落としているように思えるけれども、この点、じゃどのくらい地元の静岡の水産試験場のデータを生かされたのか、それをひとつ、お調べがあったら聞かしてください。
#97
○説明員(和田文夫君) さっき申し上げましたシラスの生態でございますとか、あるいは産卵場の分布でございますとか、そういうのが、静岡県関係の水産試験場の意見を伺いまして調査した結果でございます。
#98
○辻一彦君 温排水が問題になれば、水温とシラスとの関係が一番重大な問題ですよ。そうすれば、どういう温度にシラスが反応するかということが一番大事なんです。それが私は、その程度のデータをもっていまのような御答弁では、私はこの内容は納得できません。
 そこで、十八度Cの最適温、五月に一番このシラスがたくさんとれるところは、年間で遠州灘で五月、その水温が十八度、だから、シラスにとっては、カタクチイワシの稚魚をとっては一番適温である、こういうように、これは漁民も水産庁のほうも言われている。そこで、その十八度の適温の五月に、一度とか二度だとか高い温排水の帯と厚さのかたまりが流れてきたときに、シラスがどう反応するかと考えるか、この点、どういうようにお考えになりましたか。
#99
○説明員(和田文夫君) 先生のおっしゃるような場合に、シラスが実際にどういう反応をするか、われわれもしかとわかりませんが、マクロ的に言いまして、温排水の影響範囲が非常に少のうございますし、それから漁場のほうは、さっき申し上げたような広い漁場でございますので、全体的に大きな影響を与えることはない、そういう判断をした次第でございます。
#100
○辻一彦君 私は、浜岡のこれは御前崎という漁村に行って、漁民のかなりの人に会っていろいろ体験を聞いてみたのですね。そうしますと、浜岡の漁民が言うには、遠州灘で潮境という現象があるというのですね。潮境。どういう現象であるか、通産省あるいは水産庁、聞いておられますか。了承されているものであれば、ひとつ伺いたいと思います。
#101
○説明員(松下友成君) いまの先生のお話だけではちょっと判断いたしかねますけれども、おそらく沿岸流と黒潮との潮目のことであろうというふうに考えております。
#102
○辻一彦君 そこで、いま通産省、そんな詳しいことを御存じないのは無理ないと思いますね。そこで大事なのは、黒潮のあたたかい流れ、これが遠州灘に、あるときには接岸し、あるときには離れていく、流れてくる、そこへカツオとか魚の群が行くと、壁があるように温度の前に魚の群がたたずんで、思わぬ漁獲があるということがときどきあるというのですね。これは目に見えないけれども、温度の壁が魚によっては、あるということですよ。魚というのはそのぐらい水温に対しての敏感さが、ある一面においてあるのです。こういう事実を考えたならば、二メーターとか何メーターの厚さの温水の固まりが流れてきたときに、そのときに一体シラスがどう反応するかと、こういうことも考えなくちゃならぬのじゃないですか。科学的なデータをそろえて、心配がないという判断をするには、こういう問題についての検討をし、私はその分析と結論が必要だと思うが、そういうことをされているのかどうか、その点、どうですか。
#103
○説明員(和田文夫君) われわれのほうとしては、実は先生おっしゃるように、魚の専門ではございませんで、いろいろなところのデータをいただいて調べているわけでございますが、カタクチイワシの最適温度と申しますか、それが愛知県の水産試験場あるいは広島県の水産試験場等のデータですと、約二十度から二十五程度になっております。その前後相当の温度範囲では満足に生育するというようなデータが、これは温度プリズムの実験の結果出ておるように伺っております。
#104
○辻一彦君 その話は、さっきも一応はっきりしたと思いますが、一年で一番魚の卵がかえって、たくさんとれるときが一番温度がいいはずなんですよ。それは五月なんです。だから、五月の十八度というのは、大体現地や静岡の水産試験場等で調べれば、これは最適温度なんです。幅はありますよ、そればいろいろ。十五度から二十五度という幅はあるでしょう。夏シラス、秋にとれるのは二十四、五度ですから、幅はあります。しかし、最適水温というのは十八度を中心にしているということは、私は一応はっきりしていると思うのです。
 そこで、いまの質問に対する御答弁がないが、このデータによると、「しらすは水深二〇m前後の所に多くみられ、その漁業も浜岡周辺においては主として沖合い一五〇〇m附近より沖で行なわれている。」と、こう書いておりますが、これは問題ありませんか。
#105
○説明員(和田文夫君) おっしゃるように、千五百メートルのところから沖で行なわれておる、ここに問題がありまして、さっきの御答弁のときもお答えいたしましたが、千五百メートル付近が一番主力のようでございます。われわれのほうといたしましても、最終報告書においては、その辺を直して報告書をつくっておる次第でございます。
#106
○辻一彦君 この沖合い、どこでシラスがとれるか、温度はどうかということは、シラスの漁場を一応きめる重大な問題で、あんた、いま、もしそんなのを簡単に直して、それを知らずに原子力委員会がそのままうのみにしておったならば原子力委員会の責任であるし、また、それは私が現地の漁民に、これは一体おかしいじゃないかと、問題ないかと聞いて、漁民がいろいろ問題を現地の中電に持ち込んで、中電が通産省に走り込んで、その結果数字が直されたんですよ。その数字が直されたいきさつについて、通産の独自の判断で分析の結果修正されたのかどうか、その点、どうなんです。
#107
○説明員(和田文夫君) うちのほうで、電気事業法の八条に基づく許可という行政処分がございますが、これをする前に地元の意見をいろいろ聞きに参っております。そのときに、地元の漁業関係者からそういう意見がありまして、直した次第でございます。
#108
○辻一彦君 いつ訂正されたか。
#109
○説明員(和田文夫君) 本月の九日に直しております。
#110
○辻一彦君 これは原子力委員会の結論が出たあとですね。
#111
○説明員(和田文夫君) さようでございます。
#112
○辻一彦君 この問題は、私はまとめて原子力委員会に伺いたいと思いますから、あとに保留しておきます。
 そこで、現地で見ても、五百メーターから三キロという範囲に、好漁場というか、シラスの非常によくとれるところがあると、こういうことで、千五百メーター沖合いというのは、温排水の分散する範囲はシラスに影響がないという数字と合致をしているが、これを訂正されたという事実だけ私は受けとめておきます。この問題についてあとで触れます。
 そこで、シラスの水深が「二〇m前後」と、こう言われておりますが、これについては、これは問題ありませんか。
#113
○説明員(和田文夫君) この部分の、さっき御指摘がありました「しらすは水深二〇m前後の所に多くみられ、その漁業も浜岡周辺においては主として沖合い一五〇〇m附近より沖で行なわれている。」と、そこの三行を実は直しておりまして、その「水深二〇m前後の所」も直しておりますが、われわれといたしましては、「二十m前後」という数字は、たしか焼津の水産試験場に伺った数字でございます。
#114
○辻一彦君 じゃ、何メーターに直されたか、まずその数字を聞かしてください。
#115
○説明員(和田文夫君) 改訂と申しますか、直した分においては、水深の記述がちょっとはっきりしない点がありますので、それを一応取りまして、水深の記述はしておりません。
#116
○辻一彦君 訂正していないんですね。
#117
○説明員(和田文夫君) 水深については、直した文章におきましては、何メートルと書いてございません。
#118
○辻一彦君 じゃ、何メーターというのを書いてないということは、水深はなくなったんですか。
#119
○説明員(和田文夫君) この報告書の上では、水深の記述がなくなった、こういうことでございます。
#120
○辻一彦君 いま、焼津の試験場で二十メーターと言われましたが、なるほどありますよ。これはいま言ったけれども、昭和四十四年の一月の二十七日に、静岡の新居町ですか、水産会館で行なわれたカタクチイワシ、いわゆるシラスに関するシンポジウムで、水産海洋研究会、静岡県の水産試験場、これは東海水研からも出ておられるんですね。このあとにそのシンポジウムのまとめがあるが、いわゆる討論の中で、漁民から、年によって好漁場は浅海、水深五メートル前後にできたり、深いところでは二十メートルにできたりするが、このような潮の流れは、海流はどうなっているかと――そしてこうある。さらに年によっては海底にいるときもあるが、また別のときには浮き網ばかりでとれる年もある――浮き網というのは、表面に出てきて網を投げてとるというようなことであろうと私は思いますが、表面にシラスが上がっておるというのですね。これは水産試験場のシラスのために行なわれたシンポジウムのデータだけれども、これを持っていかれて、これを使われて、私は、御都合のいいところだけ取り上げられたと思いますが、違いますか、どうですか。
#121
○説明員(和田文夫君) 初めの記述の「水深二〇m前後の所に多くみられ、」というのは、水深が二十メートル前後のその位置の海面から二十メートルのところに住んでいると申しますか、魚がいるという意味じゃなしに、海面の深さが二十メートル前後の深さの海面にいるという意味でございます。
 それで、先生がおっしゃるようないろんな水産試験場のあれのうちの都合のいいところだけとったというつもりは毛頭ございません。
#122
○辻一彦君 まあ、こうやって記者団にも発表され、私は、これはこんなデータじゃ話にならぬから、もっと詳しいのを出すようにと言って、何日かかかって持ってこられた。おそらく、もっと原文があると思うんですね。これはあとで要求しますが、これの中に「しらすは水深二〇m前後の所に多くみられ、」、こういって、「その漁業も浜岡周辺においては主として沖合い一五〇〇m附近より沖で行なわれている。」というようにして、温排水が拡散する範囲、またその厚みですね、いわゆる温排水が出るところからはかなり厚い厚さで、七メーターとか六メーター、それでだんだん二メーター前後になっていく、そういうところでは影響はないというデータを例証するために、私は、この沖合い何メーター、そして水深何メーターというものが限られたと思うんですよ。これから出てくる結論というのは、温排水は拡散しても影響はないということなんですよ。それはシラスの問題については重大なポイントを全部直さなくちゃならないというようなずさんな私は調査だと思うんだけれども、その点、どう思いますか。
#123
○説明員(和田文夫君) 確かに「沖合い一五〇〇m附近より沖で行なわれている。」という記述は、われわれのほうの誤った認識がございますので、訂正いたしたわけでございまして、この点については非常に遺憾に思っている次第でございます。
#124
○辻一彦君 これは水産庁に聞きたいんだけれども、水産庁も見たばかりで十分相談をやってないと言われれば、いまここで水産庁の責任を聞いてもちょっと無理だと思うんで、通産省にはちょっとつらく当たるかわからぬが、これはかんべんしていただきたい。だれかに聞くものがなければ審議できないんですから。
 そこで、卵の産卵場が水深二百メーターから沖合い、十八キロですか、こういうように言っておりますが、これはどうですか。そんなところだけに限定されますか。なぎさや浅いところにはもう産卵は全然関係ないと、こういう大体あれが出ていますが。
#125
○説明員(和田文夫君) われわれのほうといたしましては、先ほどから申し上げているように、魚のほうが専門ではございませんので、そういう専門家の調査結果、その部分につきましては、水産研究所の調査データから引用さしていただいたわけでございまして、東海区の水産研究所のほうにも問い合わせて、大体いいだろうと、こういう御回答を得ている次第でございます。
#126
○辻一彦君 沖合いに産卵場がずっと――なぜあるというのは、それはわかりますよ。しかし、温排水の影響はないということを証明するために、なぎさや浅いところは産卵に関係ない――だから、沖合い六百メーターのところに、秒八十トンの温排水が出る、その冷却水を取り入れる取水口をつくっておるんです、沖合い六百メーターのところに。もし産卵場がかなりなぎさのほうに近くなれば、そこらにかなり大量のシラスの卵が浮遊する、それを毎秒八十トンで吸い上げれば、復水器というか、熱いところを通るんですから、影響が出るのは、これは北海道で大規模な実験をやった結果明らかですね。そういうことを証明するために産卵場というものが出されているんじゃないですか。それは浅いところにないですか。私が静岡県の水産試験場で聞いた話では、沖合いにももちろんあるが、浅い、特に取水口の五百メーターからいわゆる三キロぐらいという、そういういわゆる好漁場といわれるところには産卵や卵が多いという。それは当然取水口から引き込まれるでしょう。その点はどうなんです。
#127
○説明員(和田文夫君) 東海区の水産研究所に伺ったところでは――先生のおっしゃる取水口は沖合い六百メートルのところでございます。水深が非常に浅いところでございますが、そういう浅いところには産卵場はないだろうという御回答を得ている次第であります。
#128
○辻一彦君 これは、取水口が六百メーターにありますから、卵が五百メーターのところになくても、六百−一キロのところにあれば動いてくるのですよ、浮遊卵というのは、どんどん波に運ばれてくる。私も、何百メーターまで卵が動くかって、こういうふうには言いませんよ。しかし、その近くで産卵がされていれば、当然波に運ばれて浮遊卵が出てくる。それは取水口から吸い上げられてくる、秒八十トンの水によって。こういうことを考えるときに、産卵、卵には全然影響なしという、これは科学的であるかどうか、これはどうです。
#129
○説明員(和田文夫君) 冒頭に申し上げましたが、これも水産関係のところから得たデータでございますが、産卵場も、遠州灘周辺では天龍川の河口から西側がおもになっている、こういうことで、ここで産卵されるものは非常に少ないんじゃなかろうか、こういう推測をしているわけでございます。
#130
○辻一彦君 では、東海水研と地元静岡水試の意見が違いますから、あとで確かめることにしましょう。
 で、私は、この三つの例を見ても――シラスと水温、それからシラスのいわゆる取れる水深あるいは卵ですね、そういう三点を見たときに、この調査の結果は、水産サイドから見たときに、科学的な例証にずいぶん欠けているところがある、こう思いますが、これはどう思いますか。
#131
○説明員(和田文夫君) こういう環境の報告書をつくったのはこれが最初でございまして、われわれふなれの点がありまして、われわれとしては最大の努力をいたしましたが、今後、より正確なデータを集めて、幅広くデータ等も集めまして、よりよいものにしていきたい、こういうふうに考えております。
#132
○辻一彦君 第二に、肝心の静岡の水産試験場の意見やデータが遠州灘と書いている、シラスの一番実験をやっている、ここのデータはあまり使われていない。そして、のみならず、手に入れられた静岡水試のデータは都合が悪いところは故意に欠落をしている、こういうふうに私は思いますが、こういう点についてどう思いますか。
#133
○説明員(和田文夫君) われわれのほうといたしましては、先生のおっしゃる静岡県の水産試験場でございますか、そういうところに意見も伺っておりますし、東海区の水産研究所の御意見も伺い、データもちょうだいいたしておるわけでございます。別に故意に都合のいいデータだけとって、都合の悪いデータは抜かしたとかいう、そういう考えはございません。
#134
○辻一彦君 故意に欠落したのでなければ、目に触れなかったのかもわかりませんが、正確なデータに欠けていると指摘せざるを得ない。
 そこで、大臣、おひまそうだけれども、どうですか、地元の漁民、地域住民の声を聞けと、私たちは公聴会を開けと再三言ったけれども、こういうことは少なくも地域住民の声を率直に聞く姿勢とやり方があれば、これは事前に幾らでもこういう間違いというか足りないところを補うことができるはずですよ。声を聞かなかった結果、こういうデータ、原子力委員会はめくら判を押しているけれども、どう思いますか。
#135
○国務大臣(前田佳都男君) 先ほどから、シラスを中心といたしまして、いろいろ温排水の問題等のやりとりといいましょうか、辻先生との問答を実は拝聴しておりました。いろいろ通産省の技術長の説明の点でも少し十二分に説明ができなかった点があるかと思いますが、私は、しかし原子力委員会は、別に格式ばって言うわけじゃございませんが、原子力委員会設置法第五条に基づきまして、関係行政機関の長に対して資料の提出、意見の開陳その他必要な協力を求めると、こういう立場から通産省にこの温排水の問題環境問題について意見を正式に求めたわけでございまして、従来は、通産省の意見も正式には――いわゆる正式といいましょうか、聞いていなかったと思うんであります。今回、正式に、調書と申しましょうか、書類も取ったわけでございまして、先ほど技術長が話しいたしましたように、初めてこういう調書をつくりましたので、いろいろ不備な点もあったというふうにお話があったようでありますけれども、私、その点は良心的に調査をしたというふうに確信をしております。別に作為的な、数字をわざと落としてみたり、そんなことは毛頭していないというふうに私は信じておるわけでございます。その点、私、温排水の問題、環境問題についてはまだまだそれはいろいろ勉強しなきゃいかぬ面もございます、今後も公聴会を開催いたしました場合に、ございますが、今回はとにかく前の場合よりはむしろ前進しておるんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
#136
○辻一彦君 ある意味で、私は、通産省がそういう努力をされたことは、それはわかると思います。しかし、中身にずいぶん問題があるから、これは日本の沿岸漁業のために、こういうものを審査してパスさせておったんじゃ、将来の日本の水産のためにも大きな問題がある。だから指摘せざるを得ないわけです。
 そこで、まだ問題がある。通産省に少し伺いたいが、温排水の拡散問題ですね。こういう、いまの水温とのいろんな関係から推して、あるいは潮境、いろんな点から推して、二度差じゃなしに、一度差の温排水のかたまりや帯がどう拡散するかということまで私は検討する必要があると思いますが、どうお考えになりますか。
#137
○説明員(和田文夫君) 先ほど申し上げましたように、一度差になりますと、非常に自然の海水の温度変化の、何といいますか、範囲内に入る可能性もございますし、あるいは測定の誤差等も考えまして、一度差がいいのか、二度差がいいのか、今後検討すべき問題とは思いますが、いまのところ二度差でやっていいんじゃなかろうか、こういうふうに考えております。
#138
○辻一彦君 この測定がむずかしいとか言われるけれども、通産省は、福井県の美浜原子炉に、九月の七日あるいは八日、それから九月の十六日、こういうように実際お見えになって、温排水を実測して、一度温度差がどのぐらい拡散するかということは、こういうデータをみずからつくっておられるわけでしょう、こういうように。(図を示す)こういうようにですね。そうすれば、これは実測ではないですよね。浜岡の原子炉、湯は流れているんじゃないから。しかし、こういうふうにして、みずからおはかりになって、これだけの資料をつくっておられるならば、一度差についても検討すべきだと思う。これはどうなんです。
#139
○説明員(和田文夫君) 先生御指摘のように、昨年の九月に三日にわたりまして、われわれのほうの委託によりまして、実際の運転している美浜の原子力発電所につきまして温度変化を調べているわけでございますが、そのとき実際に測定したその経験でも、一度というのは非常にむずかしいということを得ておりまして、初めてこういうことをやったもんですから、一応いろんな温度についてやってはおりますが、一度差をはかるのは非常にむずかしいということを得ております。
#140
○辻一彦君 ちょっと、何かはっきりわからないんだが、いろいろやっておられるというならば、一度差は、なぎさ線から、あるいは沖合い何メーターに拡散すると計算されているか、伺いたい。
#141
○説明員(和田文夫君) 一応、二度の計算をいたしました同じ考え方で計算をいたしておるわけでございますが、一応の計算結果では、一度Cの上昇範囲が、夏季におきまして沖合い方向に千八百七十メートル、海岸方向に二千百六十メートル、そういう計算結果を得ております。
#142
○辻一彦君 この一度差の計算を、これは私ほかにいろいろ聞くと、中電へ行ってこういう計算をしているということを聞いているんだが、そういう事実があるのかどうか。また通産省は、こういうデータを一体自分で全部分析調査をしてやっておるのか、中部電力に頼んでやっておるのか、どこまでやっておるのか、その点はどうですか。
#143
○説明員(和田文夫君) ただいま申し上げました数字は、中部電力が電力中央研究所に委託をいたしまして、電力中央研究所の指導を得まして、自分のほうで計算機で計算した結果でございまして、その指導等につきましても、われわれあとからお話を伺ってチェックはいたしておる次第でございます。
#144
○辻一彦君 まあ、表現はいろいろありますけれども、いまPCB、水銀、いろんなことが問題になってきている。公害源の企業を明らかにすべきということが国会でもこれだけ論議されている。その中で、温排水がある意味においては熱公害といわれ、熱汚染による熱公害と考えなければならない。公害源の中電にそういう調査を依頼をして調べておるような通産省のこの環境問題の調査の姿勢というか、かまえ、これは一体どう考えますか。
#145
○説明員(和田文夫君) これは計算機で計算いたすわけでございまして、ですから、そのプログラム等が正しければどこがやっても同じでございますが、先生おっしゃるような一般的には御疑念もあろうかと思いますので、今後はわれわれのほうで、できれば予算等もとりまして積極的にやっていきたいと思っておりますが、いまのところ、まだその手当てもございませんので、やむを得ずしてそういう方法をとっております。
#146
○辻一彦君 私は、それは一回計算機を回すと八十万かかかるということも聞いていますから、簡単ではないけれども、これは、チェックをしなくちゃならぬ企業にそんなことをやらしておって、それはコンピューターだから、はじき出せば同じ数字が出るかもわからないが、私は、そういう資料を集める姿勢としては非常に問題があるんで、これは直ちにこれからひとつ変えてもらいたいと思います。まあ、そういう確約でありますから受けとめておきましょう。
 そこで、いま通産のほうから、一度差の場合には千八百五十から二千百、夏は千八百から二千三百メートルという、こういう一つの図形が出されたんですが、この中に現実の温排水が拡散した場合におさまると考えるかどうか、その点、どうですか。
#147
○説明員(和田文夫君) これも四季によりましていろんな拡散係数、これは相当安全サイドをとりましてやっておりますので、ごく特殊の海象条件でない限り、この中におさまるんじゃなかろうかと、こういうふうにわれわれは想定するわけです。
#148
○辻一彦君 これは何枚かの図面を合成して、なぎさ、沖合いと、そして海岸べりに、大体拡散図を出したと思うんですが、何枚の図を合成してデータを出しておりますか。
#149
○説明員(和田文夫君) 拡散係数、それぞれ安全サイドをとった二枚の図をつくりまして、それを全部包含する範囲をとっております。
#150
○辻一彦君 まあ、二枚で、こっちとこっちを図面を二つ描いて、それでおさまると、こういう楕円形の図面の中に入るという大体考えのようなんですね、この図面の中に。これは一度差ならば、このワクを越えて、こう拡大するはずですね。
 そこで、福井県のいわゆる丹生の原子炉、美浜の原子炉で通産省自体が実測された温排水の拡散図表を見ると、一度差を見ると、五枚の図がある三万ですか、四万キロの一号炉の原子炉であるけれども、この九月の七日には一・一キロ、〇・五。それから時間が違うと、午後になると〇・七キロに一・七キロ。それからこれはみんな図面が違うですね、これはかなり大きい。沖合いに一・一キロ、横に一・六キロ。形が全部、赤線で見れば違うんですね、こういうように。(図を示す)これは一・四キロに一キロ。それからこれは一・一キロに〇・七キロ。こういうように通産省自体が調べられたデータも、きわめて形がくずれているというか、そんなかっこうのいい形におさまっていない。それから、環境庁が飛行機をもって赤外線でやっている。それを見ると、これもやはり九月の七日、通産と一緒に行って調べたはずだが、この飛行機の赤外線の温度によって調べたものを見ると、これは午前と午後によってこういうように形が違っている。(図を示す)違っていますね。これは幅一・九キロに一キロ、一・四キロに〇・九キロと、こういうようになっている。それから県の水産試験場がかなり詳しい数字を出している。それを調べてみると、これは七月の二十九日にやっている。これを見ると、三十四万キロで、沖合い千五百メーター、あるいは千七百メーターというようにいろんな形で形がくずれて拡散をしている。かっこうよく、いま言われたような図面の中に、どれを見ても、おさまりそうもないが、一体この温排水のこういう拡散の実測の点から推してどういうようにお考えになるのか。
#151
○説明員(和田文夫君) 美浜の場合は、先生おっしゃるようなデータが出ておりますが、それも、さっき申し上げたような一度水温の上昇ということで、ちょっと測定に問題のある点もございますが、あの地形は、先生御承知のように、非常に特殊な入り込んだ地形でございまして、浜岡等の、わりに直線的な海岸が伸びておる地形と、そういう点で全く違うと思います。それで、われわれのほうといたしましては、計算といたしましてはいろんな条件を入れて相当拡散筋囲が広くなるような拡散係数を横、縦両方考えまして、それの両方を含む範囲を、一応さっき申し上げたような一体千五百メートル程度になるだろうというようなことで申し上げてますんで、先ほど申し上げたようなごく特殊な海象条件でない限り、大体あの範囲に――あの範囲一ぱい広がるという意味ではございません。あるときはあの範囲を越えるものと、そういう広がり方は別でございますが、あの範囲の中におさまるんじゃなかろうかと、こういうふうに考えている次第でございます。
#152
○辻一彦君 じゃ、この問題についてはもう一つ伺いたいと思います。
 美浜は特殊な海域である、遠州難は半無限大の海域である、違うということですね。これは自然の条件が違いますよ、確かにね。そこで私は科学技術庁に、この間、美浜で七十四万キロ――一号炉がダウンして二十四万、二号炉五十万で、合わして七十四万キロ、これが科学技術庁の計算方式では一体どうなるか、四月七日に資料提出を求めた。それによると、海域、面積では一・九平方キロに拡散をするということですね。これを大体かっこよくするというか、楕円形か、半径にすれば、沖合い一・一キロになるというのですね。いま、通産省に私は一応似たような計算方式で七十四万キロを解析した場合に、どのぐらいの解析になるかということを聞くと、約二平方キロメートルという数字ですね、二平方キロメートル。美浜で若干広がるとしても――まあ、広がるということもあり得るでしょう。ところが、この科学技術庁計算の一・九平方キロと、通産省計算の二平方キロは、海域拡散する面積においてはあんまり差がない。ところが、環境庁がそのときに――三月十二日ですが、そのときに飛行機を飛ばして実測をしている。三月十二日に環境庁が赤外線ではかっている、実地にですね。(図を示す)赤線が午前で、青線が午後。潮の流れによってこう変わっておるのですね。この海域を計算すると、環境庁は二・三平方キロだと言っていますね。二・三平方キロ。面積にすると、あんまり違わぬのですよ、二キロと二・三平方キロというのは。しかし、沖合いにどう一番広がったか、幅がどうなったかというと、かっこよくすれば、一・一キロだが、この長さは二・二キロ、倍に拡散をしておるんですよ。倍に拡散をしている。こういう、あなたのほうの計算でやられても、科学技術庁が計算しても、まあ、和田方式か、電力中央研究所でやれば似た計算方式になると思うけれど、面積からいうと、ほぼ同じですね。しかし、飛行機で実測すると、倍の距離が出ているという、この事実がありますが、これは認められますか、どうですか。
#153
○説明員(和田文夫君) われわれのほうもそういうデータをいただいておりまして、これはまあ実測結果でございますから、それはすなおに実測結果として受け入れるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、美浜の地形は、何といいますか、浜岡等に比べれば、ごく特殊な地形でございますので、いろんな海流等によって、いろんなかっこうが出てくるということは予想されるところでございます。それから航空機の赤外線法におきましても、まあ、ある程度の温度測定に等差があるというふうにわれわれのほうも聞いております。
#154
○辻一彦君 どんな精密にはかったって、若干の誤差がありますよ、これはね。あなたのほうで計算されているのだって、温度差を〇・一度か二度でやれば距離はうんと変わっていくはずですね。そういう誤差はみんなあります。しかし、いま、福井県の美浜の原子炉のある丹生海岸と、それから遠州灘は条件が違うと言われる。それは違う。しかし、この計算をして、皆さんが出された計算に、実測は大きくゆれている。あるときには東にゆれ、あるときには西にゆれ、もっとまん中のほうが多く広がっている。なかなかかっこよくワクに入らないということは、これは通産省が計算されたのにもやっぱり出てくると思うんですよ。こういういわゆる和田方式に批判されるべき、二次方程式を解いた場合のゆれというものがあるということですね。あるいはこっちへいき、こっちへいく。これがあるということは、これは私は科学的にはっきりしていると思うが、これはお認めになるでしょう、どうですか。
#155
○説明員(和田文夫君) それはそのときの海流等の状況によりまして、おっしゃるようなゆれがあることは、もうもちろんでございます。
#156
○辻一彦君 それじゃ、遠州灘と福井県の丹生海岸は違うけれども、東海村のあの海岸、東海村の海岸、原子力発電所があります、あの海岸と遠州灘と比べたときに、半無限大の海域として、非常に私は似ていると思うんだけれども、これは全然違いますか、どうですか。
#157
○説明員(和田文夫君) 海岸の形態といたしましては確かに似ていると思いますが、まあ、潮の流れ等が違う点があるかと思うのでございます。一般的には似ている地形であると考えます。
#158
○辻一彦君 東海村の十六万五千キロワットの発電所を、いろんな人が実測をしている。各大学の先生方、たとえば東海大学の岩下教授あるいは日本原子力株式会社の大西さん、こういう人が実測をしていろんなデータを出していますね。(資料を示す)これを見ると、遠州灘と似ているといわれる東海の温排水の拡散においても、これは形がいい、なかなかまるくなっていますね。ちょっと遠いから見えにくいかわからないけれども、これは十六万五百キロワット、秒十トンほどの水を流して五百メーター一度差で拡散していますね。それからこれは、日によってこういう形に、七百メーター、全然違った形に飛び出している。あるいはこれはもっと、一千メーター、全然三角形のような形になって伸びている。東海村や遠州灘と似ているところにおいても、このようにゆれがある。丹生海岸だけではない。これは具体的な実測の結果ですけれども、これ、どう思われますか。これは私、事実だと思います。
#159
○説明員(和田文夫君) 東海村の、先生いまお示しになりましたのは実測データでございますので、それはそのとおりだろうと思います。先ほど来申し上げておりますが、浜岡の場合、これは予測でございますので、さっき申し上げたような、あとから設置後運転を開始いたしましたら、いわゆるモニタリングと申しますか、初めの予測と合っていたかどうか十分チェックするということは考えておりますが、いまの予測の段階では、さっき申し上げた範囲が、いろんなかっこうのゆれを考えまして、ゆれを考えて――その範囲一円に広がるという意味じゃございませんで、ゆれを考えた、そのゆれの幅がその中におさまるであろう、こういう予測の一番外側をつないだような円でございます。
#160
○辻一彦君 いや、和田方式による解析の中にそういうゆれがあるということは、それはあなた、確認されておるんでしょう。かっこうはちゃんと、楕円形、なかなか実測はならない。実際はこうゆれていくという。そして丹生の特殊海岸だけの条件ではなしに、東海村においてもこのようなゆれがあるとすれば、遠州灘においても、もちろん予測ですが、こういうゆれがある。とすれば、この形のいい楕円の中に入るということは、実測の点からいろいろ全部のデータを調べて、私は言えないと思う。通産省がなるほどコンピューターをはじく段階は非常に精密ですよ。しかし、その前にいろいろな前提条件を十分考えなければ、なんぼ、一回計算するのに八十万のコンピューターを使ったって、最後に正しい数字が出されるとは限らない。そういうことが東海の、あるいは丹生の、しかもそれはみな、通産省自体が、科学技術庁が、あるいは福井県が、あるいは環境庁が調査をした実測の中から、そういうことが私は引き出せると思うんです。このことは私は認められなければならぬと思うんですが、どうですか。
#161
○説明員(和田文夫君) これは確かに予測でございまして、先生がおっしゃるように実際にやってみたら、いろんなそのときの気候条件等によりまして、相当かっこうも円形に、もちろんならないと思いますし、われわれのほうといたしましては、そのいろんな条件のもとのゆれを考えまして、その一番外側の包絡線と申しますか、それがその範囲に大体おさまるだろうと、そういう考えでやっておるわけでございます。
 それから拡散係数等につきましても安全サイドを取りまして、一けた悪くしたような数字でも計算いたしまして、それをも含むような範囲をとっておりますので、大体その範囲に入るんじゃなかろうか、こういうふうに予測しております。
 それから、先ほど来申し上げましたように、運転開始後は実際に測定をいたしまして、その範囲がどうおさまるか、そのチェックをすると同時に、それによってまた違った影響が出ますれば、その影響に対処する方法も当然考えにゃいかぬ、こういうふうに思っております。
#162
○辻一彦君 まあ、おさまるだろうというけれども、実測してもおさまらぬ、形が違うし、東海を調べても違うし、どんな点から見ても、なかなかその中におさまらないということが実際の結果として出ている。まあ、将来の話ですからおさまるだろうと、それはおさまらないといっても問題がありますが、具体的な事実のこのデータをずっと並べて見たときに、私はこの中になかなかおさまらない、そういうことが言えると思う。
 そこで、一度差ということも考えなくちゃならない。設定された二枚の図面の中にはなかなか十分におさまるとは言い切れない。こういうふうにして、温度の拡散のみならず、この点から言えば、千八百五十メーター、横二千三百メーターという範囲は、場合によればもっと違った形に広くなることは具体的な例から言えると思うんですね。そうすれば、そういう温排水がもっと違った形で遠方に大きく拡散する。その中で水温や水深において通産省がいろいろ調べた点においては問題がいろいろとあって訂正をしなくちゃならない、こうなってくると、これはどうですか、ここでシラスに影響はほとんどないという結論が引き出されておりますが、この結論、通しますか。
#163
○説明員(和田文夫君) 先ほど来から申し上げておりますが、シラスの漁場は非常に広い範囲で行なわれておりまして、ですから確かに浜岡の沖合いについては影響はあるかと思いますが、この全体のマクロ的で考えますれば、さしたる影響はない、そういうことでいろんな関係漁協等も大体話がつく方向で折衝しているのが現段階でございまして、われわれとしては大きな影響はない、こういうふうに考えておる次第でございます。
#164
○辻一彦君 私が漁民の皆さんに会ってみると、そんなことではないですよ。もっと意見をよく聞かれたら具体的な事実が出てくるでしょう。この影響はないという結論は、水深や水温の関係からいろんなことをみんなお並べになって、拡散の範囲は千三百メーターということにとどまるという、そういう結論として、シラスに影響があまりないという結論になったんですよ。前提の条件が幾つかくずれているときに、これは当然この調査をやり直し、計算をやり直して検討し直す必要があると思うけれど、それはどう考えるんですか。やらないんですか。
#165
○説明員(和田文夫君) まあ、運転の段階になりますと、さっきから申し上げておりますように実測等もいたしますので、それで非常に違った結果がもし出るようなことがあれば、それはその事態で考えにゃいかぬと思います。それから、われわれ仄聞するところによりますと、関係の漁業組合のほうの調査、この調査経過ははっきり存じませんが、その報告等によりましても、漁業に影響を、浜岡漁協を含めた温排水の漁業に及ぼす影響範囲はほぼ千五百メートルの範囲におさまるものと考察されるということが、浜岡の東側でございますか、東側の五つの漁業協同組合の、今回の増設計画に関する調査報告書でも書いてあるようなことを仄聞いたしております。
#166
○辻一彦君 まあ、それはそのデータがあればひとつ出していただきたい。調べてみましょう。しかし、みずからこれだけ調べて出されたデータに確信を持って答えができないときに、こんなあなた、仄聞するような、そんな聞くような問題をもって、この変わってくる条件を補おうというのは、私はそれは言えないと思う。これは、通産省の責任でこれだけの調査をされたんなら、もう一ぺん計算をし直して再検討すべきじゃないですか、どうなんですか。
#167
○説明員(和田文夫君) われわれといたしましては、現在与えられたような条件のもとで最大限の努力をいたしましてこの調査をしたわけでございますので、いまの段階でこれをやり直すつもりはございません。ただ、これはあくまで予測でございますので、さっきから申し上げたような、自信がないとかあるとかという意味じゃございませんで、自信はもちろん持ってますが、実測の結果が非常に違った結果が出れば、それはそれなりにまた考え直さにゃいかぬだろうということを申し上げているわけであります。
#168
○辻一彦君 じゃ、ひとつ武藤原子力委員長代行にお伺いします。武藤さんは五月二十九日、原子力委員令を主宰をして、この通産省の環境報告を受けとめられて御論議になって、心配がないという結論を出されておる、こういうふうに私は聞いておりますが、原子力委員会はどういう審議をしたのか、御報告をいただきたい。
#169
○説明員(武藤俊之助君) 最初に申し上げておきますが、われわれ総理から諮問にあずかりますのは、原子炉規制法に掲げております設置許可基準に関してでございます。しかし、われわれといたしましては、それに関して非常に密接な関連のある事項に関しましては無関心でおれません。で、今回特に温排水のことに関しましては、通産省から係官の方に来ていただきまして、その資料の概況報告が第一回目にありました。それから第二回目の二十九日には詳細報告を承りました。その結果、二、三いろいろ質問がございましたけれども、その段階では重大なる疑義は持ちませんでした。それで、それとあわせまして考えた結果、この前項の規制法による答申をいたしたようなわけでございます。しかし、いま問答をいろいろ伺っておりますというと、いろいろ御批判があり、そういう批判にたえ得る調査結果をぜひ所管の通産省で今後おやりいただくように、これは私個人として強くお願いしたいと思っております。
#170
○辻一彦君 五月の二十九日に開かれた原子力委員会の議事録というものを見ると、出されたものはこれだけのものですね。何か二、三行載っておりますね。「環境調査について通商産業省担当官から説明を聴取した。」、これは、出席者を見れば、児玉原子力発電課長が出ておりますから、まあそういう説明があったんだと思いますね。これだけ論議をすれば、いま通産省が具体的にも、もうすでに数字を訂正されている幾つかの点があった、問題点がたくさんあって。そういうことを何の疑義もなしに御承認になる。これは一体原子力委員会としてどうなんでしょうか。
#171
○説明員(武藤俊之助君) 先ほど来たびたびお話にございますように、たとえば温度の拡散を予測いたします場合には、電中研の計算方式でございます。その計算方式と申しましても、式はございますけれども、そのバウンダリー・コンディション、つまり境界条件をどう入れるとか、それから拡散係数の値をどう入れるか、一応通産省でおやりになったのを拝見いたしますというと、相当ある期間にわたった潮流の観測結果をもとにしてある値を入れられたというふうに承りました。そういういろいろ仮定が入っておりますので、予測はあくまで予測でございまして、正確ではないと思っております。第一、二次元問題として取り扱っていらっしゃいますから、まあ拡散の二次元的な広がりに比べて深さのほうがわりあい浅うございますから、まあそれは近似的に許されるだろうと。ですから、おおむね妥当という判断をしただけでございまして、ディテールに入ってのあれは、その段階ではなし得ませんでした。それから第二に、そういうあいまいさを補完する意味で、あとで運転前後のモニタリングをおやりになる、そこで実験的にそれを確認するということをおやりになれば、両方相まって実際の稼働期には相当正確なデータが得られるんではないかというふうに判断いたしまして、先ほど申し上げましたような経緯で一応答申したわけでございます。
#172
○辻一彦君 武藤先生は物理の御専門と聞いておりますから、拡散の三次元は全部御存じだろうと思いますけれども、和田方式――電力中央研究所でやっている、そういうものが、形は、あの潮流は調べてでしょう、データをコンピューターに入れる。しかし、それは平均的な形でかっこうよく出ますね。しかし、実際に何日の午後、午前、時間によって、潮と風によって形がみな変わってくるというのが実測の結果でしょう。そうすると、この形のいいのだけを入れても、その場所からはみ出していく。こういう事実ですね。こういうものは具体的にいままであったわけですが、これがこの千三百メーターの漁業消滅圏におさまらない、もっと広がっていく、そうすれば当然水産資源に影響がある。こんな問題が、まあ通産省の中でも欠けているけれども、論議が。そういうことを原子力委員会はなされずに、通産省の出されたデータを、五月三十日の毎日新聞を見ると、通産省の環境審査の結果を検討して承認したとあるし、三十日の朝日には「通産省の出した結果をそのまま信用し、同炉が環境に及ぼす特別の影響はないものと判断した」というのですが、こういう御判断で原子力委員会は結論を出されたのか、どうなんですか。
#173
○説明員(武藤俊之助君) おおむね妥当だと判断いたしました。で、それ以上はございませんでした。
#174
○辻一彦君 大臣にお伺いしたいけれども、四月の七日、参議院の予算分科会において私の質問に対して前田長官は、科学技術庁、原子力委員会が環境問題も審査をしなくてはいけないが、いままでなかなか手が及ばない、そこで一般環境については環境庁、公害汚染については通産省に調査をしてもらって、それを報告を求めて、原子力委員会としては一段高い段階に立って、立場に立って独自の判断をする、こう答弁をされている、国会で。一体、いま原子力委員会のやったこの判断は、一段高いところにおいて、しかも独自の判断をした内容であるかどうか、この点、大臣どうですか、国会答弁に対して。
#175
○国務大臣(前田佳都男君) 先ほど来の通産省の技術長との間の問答をずっと聞いておりましたが、いろいろ途中で、率直に言いますと、答弁がとちった点も何回かあったように私は思っております。これは私、通産省がまだこういう問題について、わりあい――張り切って今度はやってもらったつもりであります。しかし、まだなれない点といいましょうか、その点でとちったのではないかと、私はそういうふうに考えております。そうして、調査は別にそういうデータを特に都合のいいものだけを選んだというふうには考えておりません。良心的な調査をしてくれたものだと私は思っております。先ほども申しましたように、従来は通産省の意見も正式には聞かなかったわけでございまして、今回は正式にそういう調書といいましょうか、そういうものをとったわけでございます。それから通産省として調査させるにあたりましても、原子力委員会の環境安全専門部会に温排水分科会というものをつくりまして、そこできめましたアイテム、これは中間報告でございますが、そのアイテムに基づきまして通産省に検討をしてもらったというわけでございまして、その点におきましても、私は前進をさせたものだというふうに解釈をしておるわけでございます。
#176
○辻一彦君 いや、私の質問しているのは、大臣が、原子力委員会は一段高い立場に立って独自の判断をすると言われたけれども、いまの武藤原子力委員長代行の御発言を聞くと、一段高いところにもあまり立っていないし、独自の判断をない。通産省の報告を、極端に言えば、判をぽんと押したのでしょう、めくら判を。御討議になっていない。これは一体、この原子力委員会のあり方は長官の国会答弁と著しく違うと思うが、この点、どうですか。
#177
○国務大臣(前田佳都男君) その一段高い視野においてものごとを決定いたします、と、高いか低いかというふうなお尋ね、高くないじゃないかというふうなお尋ねだというふうに私は解釈をいたしますが、通産省に、原子力委員会設置法第五条に基づいて、こういうものを調べてくださいという、そういう要望をいたしました。それに基づいて正式な調書をとって、その上に立って、そうしてわれわれは判断をした。その意味におきまして、どの程度――高くなかったかどうか知りませんけれども、そういう高い立場において、通産省の上に立って判断をした。と同時に、私は公聴会の、現在、要領、先生も御承知のとおり、公聴会開催要領というものをきめました。また、公聴会というものの実施後におきましては、原子力委員会が、通産省にやはりこういうものを調査をさせます、しかし、その上に立っていろいろ――上というか下というか、まあ下じゃありませんけれども、判断をするにあたりまして、われわれの相談相手といいましょうか、別にわれわれのほうでやるわけじゃございませんけれども、そういうふうなものも考えてみたいというふうに考えておるわけでございます。
#178
○辻一彦君 私、大臣が御答弁になった中身は、一段高いところというのは――いま、通産省はそれは初めてだからいろいろ努力をされたでしょう、中身は問題ありますが。しかし、そういうのを見てね、もう一段高いところから判断をし、独自の判断をするというのが原子力委員会のあり方だということですよ。あれは、あの予算委員会の分科会はその場のがれの答弁ですか、どうなんですか。
#179
○国務大臣(前田佳都男君) 高い立場に立っての判断じゃないというふうな御指摘かと思いますが、先ほども申し上げましたように、こういうものを調査しなさいと言うて通産省にこう指示をし、そして、通産省でもそれをとって、そうしてそれを判断する。従来は、ただ正式にそういう要望もしていないという意味におきましても、どの程度高くなったかどうか知りませんけれども、少し高い姿勢にはなったということが一つと、それから公聴会実施後――今後公聴会を開催するわけでございますが、公聴会開催の場合におきまして、いろいろそういう意見が出たものにつきましても、とにかく通産省にもそういう調査を要求すると同時に、その出てきたものを判断する場合にも、原子力委員会の相談相手と申しましょうか、そういうようなものもつくって、そうしてその判断、やっぱり高い立場で判断をしたい。一向高くないという御指摘かと思いますが、私の気持ちはそういうことでございます。
#180
○辻一彦君 そんなことを聞いてはいないんですよ。公聴会をやれと言えばやらずにおって、それで公聴会で聞くというのは、もってのほかでしょう、大体。国会で、足りないところがあればそれを補うだけの高次の段階に立って判断をする、それが原子力委員会だと、こう言われた。私は原子力委員会に環境審査をやりなさいと言ったでしょう、環境審査会を設けて。それに対して、それができないから通産や環境でそういう調査をして、原子力委員会は一段高いところで独自の判断をすると、こういう答弁ですよ。それがですね、中身を見れば、まあ二、三のこまかい点についての疑義があったということで、そのまま承認をされている、原子力委員会は。いまの御答弁によればですね、この記録を見ても。しかし、現実にこの数字を見れば、いま直さなければならないと、六月九日に。原子力委員会は五月二十九日に結論を出しているんですよ。六月の九日に通産省は数字を直しているんですよ。そういうことが何も判断されずに、うのみにされたという、そういう点、一体原子力委員会のあり方はどうなのか。国会答弁によれば、そういうことについて十分高いところからいろいろな判断をするべきなんじゃないですか。国会答弁の責任において、大臣、一体これ、どう処理されますか。原子力委員会はこれをうのみにされて、あとで変わったと、それでけっこうだと、こういう結論でいいんですか。
#181
○国務大臣(前田佳都男君) 私は、別に通産省から出たものをそのままうのみにしたというわけではございません。それを見て、やっぱりわれわれの原子力委員会として判断したわけでございまして、別に、そのままうのみという、その解釈の問題でございますが、その点は、辻先生、うのみという、そのままのんでしまったというわけじゃないということをひとつ御理解いただきたいと思います。
#182
○辻一彦君 いや、くどいようですが、武藤先生のお話を聞けば、通産省の資料というのは大体間違いないだろうということで信用していったんでしょう。そうすれば、それは何と言うんですかね、いろんな表現がありますが、うのみみたいなものでしょう、言うならば。これは明らかに、そういう問題点がはっきりしたら、環境問題について原子力委員会はやっぱり審査をやり直すべきじゃないですか、長官は原子力委員会の責任者ですよ。国会の答弁における責任と、そうして原子力委員会の最高の責任者として、この環境に限ってまず審査をやり直すことについてどう考えられるか、伺いたい。
#183
○政府委員(成田壽治君) 原子力委員会が環境審査をやるべきであるという、そういう御意見、前からいろいろ聞いておりまして、われわれも検討して、環境安全審査等も原子力委員会の中に専門部会をつくっていろいろな検討をやっております。それで、先ほどから御指摘ありましたが、五月の二十二日の原子力委員会決定によりまして、公聴会の開催要領というものをきめましたか、これによって今後公聴会を実施してまいりますと、地元から、当然、原子炉の安全問題だけでなくて、温排水等の環境問題が出てまいる、この地元の意見を反映させるために、通産省の環境調査の顧問会等で十分検討してもらって、それを原子力委員会がもらって、そうしていろいろその結果を聞いて、そうしてその際、大臣いま言われましたように、専門家にも入ってもらって、その結果をチェックするようなたてまえをいま考えておるところであります。したがいまして、環境審査のあり方、これは環境庁なり通産省が一次的に法律的な責任がありますので、十分調査してもらいまして、そうして原子力委員会が原子炉の安全だけではなくて、いろんな総合判断する一環としまして、そういう実施官庁の調査結果を、まあ原子力委員会の場合もその筋の専門家にチェックしてもらって、そうして原子力委員会が判断してまいりたい、これはわれわれは公聴会実施の一環として……。
#184
○辻一彦君 いや、時間がないから……。それはね、公聴会は先の話ですよ。それは、やりなさいという公聴会もやらずにおって、そうしていま公聴会の話を引き合いに出してこの答弁をのがれようなんて、そんなことはだめですよ。
 長官、あなたに聞きますよ。原子力委員会の最高責任者として、これだけの問題がやっぱりあれば、環境に対して再審査をするのは当然じゃないですか。このままにしたら、これは浜岡の人たちがこんなのを聞いて、ああけっこうな審査だったってだれだって思わぬですよ、これだけの問題があれば。やっぱり、さっき武藤代行がおっしゃられたけれども、科学的な批判にたえる中身でなければ、コンセンサスも信頼も出ないのですよ。それ、一ぺんやり直す必要があるでしょう、大臣、どうですか。
#185
○国務大臣(前田佳都男君) 部分的な問題といたしまして、漁業補償等、補償問題等として解決できるものというふうに考えております。
#186
○辻一彦君 そんなばかなことがありますかね。これだけの時間をかけて、一番最初に大臣は、今度の原子力委員会の二十九日の一番特徴は、局長も、環境問題について通産省が調べた結果を論議をして、それを環境についても審査をしたというか、検討したと、これは五月二十九日の一番新しい原子力委員会のあり方だったんですよ。その中身に問題があるのに、そんなものは漁業補償だけで解決できると、そんな問題じゃ私はないと思う。そんな答弁じゃ納得できない。どうなんですか。
#187
○説明員(武藤俊之助君) いまいろいろお話を伺っておりまして、確かに通産省でおやりになったように、マイナーのモディフィケーションが必要であるということは、いまここで初めて拝聴いたしました。しかし、この程度の変化ならば、おそらく私は漁業補償で解決できる範囲の程度の、先ほどのおことばをおかりいたしますけれども、フラクチュエーション、ゆらぎだと思います。
#188
○辻一彦君 いや、金でそれは解決できるという、そういうものじゃないですよ。それば最終的に漁業の消滅圏からかなり出れば、何千メートルか出れば、それはある経済的な条件によって検討しなきゃならぬかもわからない。しかし、一番原子力問題についての最高の権威である原子力委員会が、そういう問題を、あとで、いや違っておったのだからお金で補償すれば問題が解決できるでしょうと、そんなものではない。科学的に、あなたが言われたように、批判にたえる中身を原子力委員会、出さなければ、こんなもの、日本の国民の皆さんが、地域住民は信頼できないですよ。信用されないですよ。原子力委員会の権威において、どうお考えになりますか。
#189
○説明員(武藤俊之助君) いまこの浜岡地区に関します限りは、私は前言を繰り返すわけでございますが、計算結果の修正というのは、わりあい初期の、マイナーのモディフィケーションと考えております。したがいまして、十分漁業補償の点で、しかるべく解決できるものと見通しております。
#190
○辻一彦君 いや、それは私は納得できない。こういう温排水の問題が、沿岸漁業にあまり影響はないという形で済まされるならば、広範なところで火力発電所、原子力発電所がつくられていく。その沿岸漁業に与える影響というものは非常に大きいはずなんですよ。それがこういう中身の審査で済まされるとするならば、これは日本の水産、沿岸漁業の点からも、私は問題があるし、また原子力委員会がそういうものについて、いろいろな批判に十分データをもって答える、また、そういう中身でなされなければ、これからの原子力委員会の権威にも関係してくると思うのです。あえて、私はそういうことでは納得できない。大臣、どうなんですか。
#191
○国務大臣(前田佳都男君) 権威を失墜するなというふうな先生の御指摘でございますが、私もそのつもりで原子力委員会の運営をはかりたいと思いますが、この問題につきましては、武藤委員からお答えいたしたとおりでございます。
#192
○辻一彦君 私は、もう一つ、どうしても触れなければならない問題があるので、あと三十分ほど時間がほしいので、残念ながら、きょうはこれでこの問題を打ち上げますが、これは納得できませんよ、いまの御答弁では。次回に、続いてこれは論議をしたいと思います。まずこの原子力委員会の結論では私は納得できない、再審査を要求すると、これだけはっきりしておきます。
 そこで長官、公聴会の問題は、いままで言われておりましたが、やれという公聴会はやらずにおいて、御都合が悪くなると公聴会のお話を引き合いに出されておるけれども、公聴会をやって、地元住民、地域住民の声をもっと聞いていく、そういうかまえがあれば、こういう問題は事前に全部指摘をされたはずなんですよ。住民の声を聞かなかった場合にどういう問題があるかということが私はおわかりになったと思う。それが第一。
 第二は、やはり公聴会でも、陳述だけして終わり、あとは全部審査が終わっちゃったあとに何か報告書を書いて出す、そんなものでは中身がない。きょうやはりこれだけの、二時間の時間をかけて論議をする中で、温排水のいろいろな問題点というものが、漁業との関係がいろいろ私は明らかになってきたと思う。そういう意味で、公聴会は私はやらなくちゃいかないし、やらなかったという問題はあるし、また、民主的な住民本位の公聴会を開くという、そういうために公聴会の開催要領をやはり私は民主的に変えていく必要があると思うけれども、この二点について、簡単でけっこうです。聞いたことを答弁してください。
#193
○国務大臣(前田佳都男君) 公聴会の私たちが決定いたしました開催要領は民主的でないというふうな御指摘かと思います。しかし、辻先生まことに、これじゃ前進してないじゃないかという御指摘かと思いますけれども、ここまで前進した私たちの熱意もひとつ買っていただきたいと思います。これは率直に申し上げます。こういう公聴会というものに踏み切るまでに、非常に決意をしたんだということもひとつ評価をしていただきたい。わずか一センチぐらいの前進じゃないかというふうにお考えになるかとも思いますけれども、とにかく、こうして公聴会に踏み切りまして、そしてなまの声を聞きたいという姿勢に変わったという点を、民主的な考え方になっておるのだということを、ひとつ、むしろ御理解をいただきたいと思うのでございます。
#194
○辻一彦君 まあ公聴会、一年余いろいろの論議を経てレールには乗りましたがね。何を乗せて走るのか、中身が非常に問題があるので、これはまあ時間がありませんから、こういう公聴会――住民の声を聞くことが大事だということと、そうして、もっと質疑なんかを公聴会の中でやって、問題点が明らかにならなければ、ただしゃべるだけ、意見陳述だけでは、これは理解が広まらないということを指摘しておきましょう。
 そこで、環境庁の局長見えておるのですか。――私、原研の問題で二、三十分大至急でやりたいことがあるのですが、一言伺いたいのは、六月二日に参議院の本会議において、佐藤総理大臣は、私の漁業白書の質問に答えて、温排水の問題は、環境庁、通産省、科学技術庁、水産庁、いろいろあるが、環境庁が中心になって扱うということを参議院本会議で総理は言明をしている。そうして、また大石長官は、この四月、予算の分科会において、これから環境庁は積極的に取り組むということで、各省庁温排水連絡会というものをこの環境庁につくられた。そうして、それは前の木内長官もそういう方向でいこうということを答弁されている。いつの間にか、環境庁の温排水連絡協議会ですか、中身が基準だけを考えるような委員会になっているんじゃないか。環境庁は、私はアメリカがいわゆる国家環境政策法によるように、しっかりした環境レポートをつくって、環境の問題についてしっかりした調査と発言を私はすべきであると思いますが、いつの間に、内閣総理大臣がかわったらこういう方針が変わったのか、このことをちょっとひとつ伺いたい。その点について大臣からもお伺いしたい。簡単でけっこうです。詳しい時間、長い時間ありませんから。
#195
○政府委員(岡安誠君) お話のとおり、温排水の問題につきましては、環境庁、水質汚濁防止法の施行という立場におきまして、私どもやっておるわけであります。私どもは、先生のお話のとおり、前々から各省連絡会議を開けという御要望がございますけれども、事実温排水問題につきましては、環境庁だけで解決するわけにまいりません。特に魚の面の影響等につきましては、水産庁の御意見、また通産省の御意見等も伺わなきゃならないわけでございまして、まあ従来は、やはり私どもも予算の執行並びに先生のおっしゃるとおり、排水基準の設定ということを中心にいろいろな相談をいたしてきております。私ども、まあ非常に作業がおくれているということは申しわけございませんが、とりあえずは、やはり排水基準をつくるということが先決であるということで、そういう運用をいたしておりますが、将来の問題といたしましては、やはり環境アセスメントという、そういう立場から、私ども温排水問題には取り組んでいきたいと思いますし、連絡会議もそういう方向で私どもは運用いたしたい、かように考えております。
#196
○辻一彦君 まあ、この環境問題は、昨年以来からかなりな論議をして、総理の答弁もありましたし、各省の長官、大臣の答弁もそれぞれありました。だから短い時間で、いますぐこれを詰めてしまうわけにいきませんから、次回にひとつこの問題は論議をしたいと思いますが、私は、本格的な日本の環境破壊やいろいろな問題を考えると、少なくもアメリカがやっている程度の環境に対する対策を環境庁が中心になってやるということが大事だと思うのです。そういう点も、大臣、ひとつ検討してください。次回にお伺いすることにします。頭がかわったって、私は政府の方針は簡単に変わらぬはずだと思いますから。
 そこで、この問題はこれでひとつ打ち上げて、あと日本原子力研究所の若干の問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 山本参考人、お見えになっておりますので、たいへん忙しいところ恐縮ですが、原子力研究所の中島篤之助さんが、岩波「科学」の論文に掲載されたその問題について、いろいろ処分問題といいますか、起きておりますが、事実の経過を簡単にひとつ御報告いただきたい。
#197
○参考人(山本賢三君) ただいま御指摘になりました中島君の論文というのは、岩波書店の「科学」の二月号という、その雑誌に出ている論文でありまして、「原子力施設の事故例について」ということで、この内容そのものは、まあ非常に学術的といいますか、学問的というよりかは、従来の事故例をいろいろと紹介されています、外国や日本の原子力研究所のことにつきまして。それで、それについての所見を述べているというので、まあ学術論文というのとはちょっと次元が違う問題だと思います。
 先ほど辻先生から、処分問題という、広い意味で処分ということばが当てはまるかどうかは別としまして、私ども原子力研究所では、大体世の通例にならっていると思うんですが、就業規程による処分というのは、一番軽いのは戒告、それから減給、停職、それから免職。厳重注意というのは、いわゆる、私どもとしては、処分というような、就業規程による処分というものではないわけでございまして、なぜそういうように至ったかということをちょっと簡単に説明さしていただきますと、おおよそ五点にしぼってもいいんではないかと思うんです。あまりあらさがし的な個々の表現なりちょっとした思い違いというものをまあ指摘していうよりかは、もうちょっと基本的に考えて、まあ読んでいる人に誤った印象を与える、あるいははっきりと事実と違っている、そういうことにつきまして、まあその結果として原子力研究所がいろいろの意味で誤解を受け、ないしは信用を失墜するとかというような、信用失墜といいますか、信用を失う、そういうようなことになるおそれがございますので、御当人に注意をする、厳重に注意をするという趣旨の、そういうものでございます。
 中身をちょっと説明さしていただきますが、主として原子力研究所のJRR3という研究三号炉というものの燃料破損事故に関しているところが大部分でございまして、全体でほぼ五点にしぼると言いましたが、そのうちの四点がそこに入っております。
 順序不同で申し上げますけれども、たとえばこういう文章があるわけです。「故障したままの原子炉を用いて脳腫瘍の原子炉治療が強行され、その結果、燃料の大破損が生じ、つづいて従業員の大量被曝が生じ、」というようなことが書いてあるわけです。これは、その経過的に見ますと順序が逆なんでありまして、燃料の大破損が先に生じているんで、それが四十四年の一月の二十九日でございます。それで、あとで脳腫瘍の治療というのを行なっているんですが、三月の六日でございますから、これは何か、故障したままで非常に強行して、さらに大破損を生じたというのは、だいぶ事実と違っていると思うんです。それから、大量被曝が生じたということにつきましても、どれに該当するのかよくわからない。私どもとして、どう解釈していいかわかりません。たとえば、内部被曝をしているんですが、これは全然別の問題でございまして、それも大量でございませんで、内部へ、からだの中に入るわけでございますから、これが適当に生理的に排せつされるかもしれませんが、かりにそれが全部永久に残ったとして、その人の一生の間に三十ミリレムでございますから、非常に少ない――非常にとは言いませんが、現在天然にあります普通の自然の放射能が私ども百ミリレムを一年間に受けているのですから、一生の三十ミリレムというのは大量とは言えない。それからもう一つ別に、大量に該当するかもしれない被曝というのがありますが、これは全然別の作業で、関係者がやや計画的にと言ったほうがいいのですが、受けた例があるわけです。この作業は脳腫瘍の前の話でございまして、それは大量に相当しないわけです。そういう点が誤っているんではないか。
 それから第二番目には、文章を途中抜いて申し上げるので、前後の事情を十分説明できませんが、「原子炉の安全運転について最高の発言権を持つべき原子炉主任技術者までが、一般職制によって沈黙させられるにいたった。」、こういうことが出ております。御承知のとおり、原子炉の主任技術者というのは非常に高級なる、高度の資格試験を受けまして、原子炉の安全のために、それを保つためにいる技術者でございまして、最高のいろいろの判断をその人にゆだねるわけでございます。ですから、主任技術者当人としましても、法令的な義務というと大げさかもしれませんが、外部の力によって沈黙させられるということは、その人にとって法令の義務を怠るようなことになる。それから一方、原子力研究所がそれを沈黙させたとなりますと、その責任者である理事長として、はなはだこれは問題になるわけで、事実はこういうことは一切ございません。これは非常にはっきりしております。こういうことが原子力研究所としましてはたいへん事実に反している一つの大きなことであろうと思います。その二点が……。
#198
○辻一彦君 ちょっと御発言中ですが、時間を切ってくれませんか。
#199
○参考人(山本賢三君) あと簡単にいたします。
 あと、それに関連しまして、たとえば燃料の、正確に申し上げられませんが、たとえば、「一次燃料をただの一度も解体して調べたことはなかった。また二次燃料納入後、原子炉に装荷するまで一年以上も期間があったのに、所内での検査や試験は行なわれなかった。」とありますが、一次燃料を解体して調べたことはなかったというのは、それは調べる必要がないというふうに私たちは判断し、製作のときのデータに基づいて、わざわざ解体するということはしないわけです。それから二次燃料納入後一年以上もあったのに、何にも試験をしなかったと書いてございますが、これは所要の試験をしております。それが第三点。
 それから第四点は、やや技術的でございますが、この論文に第八図ないしは九図がございますが、これがやはりたいへん引用が不適当でございまして、燃料破損のために急激に原子炉の中の放射線のレベルが上がったようになっておりますが、そうではないということ。
 それからもう一つ最後に、「保健物理部の活動」というところで、「保健物理と安全管理」という、そういう刊行物が出ておりますが、そこには、最近になって「このような事故例が記載されなくなっている。」、これは事実されてないんでございますが、実は、それを読んでいただきますと若干解説的なものが記載されておりまして、他の刊行物に詳しいものは譲ると書いてある。それを見てくれと書いてあるので、これを見ると記載されなくなって、急に原研が事故例を隠したかのごとき印象を与えるわけです。そういうことで、非常にこれは表現として不適当で、誤った印象を与える。
 おおよそそういうところでございます。
#200
○辻一彦君 詳しく一問一答でやるといいんですが、ちょっと時間があまりないようですから、私も簡単に要点を申し上げますから、ひとつ簡潔に御答弁いただきたいと思います。
 一つは、いまずっと五点を伺いました。きのうもお見えになって、大体伺いましたが、私いただいたこれをゆうべずっと読んでみました。そこで若干指摘してみたいと思うんですが、一つは資料の問題。「保健物理と安全管理」の(7)というのがついておりますね。これは、原研では、Mという非公式レポートと、Mのない公式レポートがありますね。そこでMのないのは公式レポート、そのほうには載ってないけれども、Mの非公式レポートには載っているということですか。ごく簡単に。
#201
○参考人(山本賢三君) 原研にはJAERIレポートというのがありまして、これは非公開と公開というのがございます。非公開というのは、まだ夫熟なる資料でございまして、これは普通非公開で、限られた所内用ということになっておるわけであります。公開というのは、非常に広く、そういうものであります。
#202
○辻一彦君 Mのない公式レポートに事故例は載っていますか。
#203
○参考人(山本賢三君) はい、載っております。非常に詳しくすべてというわけではございませんが、おおよそのことはそちらに出ております。
#204
○委員長(渋谷邦彦君) 参考人に申し上げますが、委員長から指名があったときに御発言をいただきたいと思います。
#205
○辻一彦君 これは、原研が書類刊行の方式を変えられたという点ね。そこで簡単には、Mのない公式レポートに出ているけれども、それを見て、おそらくあまり載らなくなったんじゃないかと、こういう点だろうと思うんですね。だから、非公式の、Mがあった、それがどのぐらい部数が各研究室に確実に配布されているのかどうか。これはどのぐらい配布されています。
#206
○参考人(山本賢三君) これは場合によるんでございまして、公式に公刊するものは数百部でございます。それからJAERI−MのMというのは、普通数十部、ただし、これは予算の関係で数十部でございまして、特にたくさん刷りたいというときにはたくさん刷る場合がございます。
#207
○辻一彦君 まあ、数十というのは正確に言えば幾らかになるんでしょうが、そういう非公開レポートが全部の研究室等に配布されていないとすると、ちょっと目にとまらないですね。それは、それがあったんだから見ればいいということにはなろうと思いますが、そういう点で、Mのない公式レポートを見て、どうも事故例が出ていないんじゃないかという批判が出たと思うんですね。
 そこで問題は、日本原子力研究所が日本の原子力安全センターとしての役割りを果たしてもらわなくちゃいけないということが、この文派から見ると一番大事なところなんですね。だから、それを見れば、私はここだけを取り上げて――処分であるかどうかはあとで伺いますが――この対象にするには少しいろいろの問題があるんじゃないかということですね。
 それから次に、脳腫瘍云々の――これはなるほど日時からいくと逆になりますし、前後の文派を読んでみると、ちょっとわかりにくい感じが確かにします。ここで指摘されているのは、一九六八年の四月に、当初に燃料棒の破損が起きて、十月に三回、十一月に二回、こういうのを放任をしていたために、最後に七回目に大きな破損が出たと、だからこういうことを十分教訓として考えて早目に対策を立てなくちゃならないという教訓を学べというところに、やっぱりこれは力点を置いて読まないと、この論文の趣旨は私は生かされないと思うんですね。
 それから燃料棒の問題がありますね。これは一次燃料棒はカナダ製で、二次燃料棒は国産であると。そうなれば、ここでは解体をしなくてもいいということでありますから、施行検査なんかをやったから必要はないということでしょうと思いますが、しかし、もし二次燐料棒を国産でやるんだから、もとのモデルである一次燃料棒をカナダ産でやったときに解体をするとか、いろいろなことを調べておれば、そういう問題について心配というか、事故が起きることがなかったんじゃないかというところに、この論文の力点を置かにゃいかぬし、そうすると、解体をすべきであったか、しないほうがいいかということは、これはかなり私は学問的な見解が分かれるところだろうと思うんですね。
 それから試験云々というのがありますが、これも、たとえばオートクレーブという、煮沸試験とか、こういうものをやってあったならば、もっとその事故が起きる割合が少ないというか、心配がなかったんじゃないかとか、そういうことを、ちょっとこれ、見ると、ことばの足りぬ点もありますが、そういう点、私は大なほうに力点を置いて読むということが、この場合に大事でないかと。
 それから、原子炉主任技術者云々がありますが、これは私は当時のことを詳しくは知りませんが、いろいろな、新聞だとか状況を見ると、当然燃料棒がある程度折れてたために大きな破損が起きたと。そこで、職場新聞でこの問題を、いつまで広がる、というか、大きくなるか燃料棒破損、というような見出しで新聞が出されたと。そこで、停職三ヵ月一名、配転二名という、そういう処分が起きた、そういう空気がいろいろ職場をおおっている中で、発言したいこともやはり押えられたんではないかという、そういう背景が私はここに書かれておるように感ずるんだけれども、まあそれは主観的な、あるいは見解の相違という点がかなり出てくるように思うし、それからその図もよく右左比べて見ました。しかし、その中に説明がついていますね。この右のほうの図が放射能レベルが上がったという説明になっておりますが、これも、ここにちゃんと説明で、運転に伴うコバルト六〇などの誘導放射能の増加では説明ができないので、燃料破損の影響であると考えるというように、こう出ておるのですね。だから、コバルト六〇が五年間にだんだん数がふえていくという、それは認めながら、それだけでは説明し切れないから、その破損の起きた結果じゃないかという見方をしていますね。こういうことは、私は、どうもかなり専門的に論議もされる中身のものでないか、見解によってはいろいろ意見のあるところでないかと、こういうように思うんですが、そういう点から見て、この中で非常に事実と相違をして読者に誤った印象を与えて原研の名誉と信用をそこなったと言われるのはどれかということを、ちょっと言ってみてください。
#208
○参考人(山本賢三君) ただいま、最後のお話からお答えを申し上げますと、そこなったという――信用、名誉をそこなったというのではなしに、そこなうおそれがあるということでございまして、もしそこなったとすれば、これはもう少し問題が大きいと思うんです。
 一番最初に戻りまして、原子力施設の安全性を大いに強調されている論文の趣旨というその全体をつかめという、私はそれ、たいへん教訓的であり、特に原子力に携わっている人間として、安全性については少しもゆるがせにしてはいけないという意味で、著者のその趣旨については私よく理解しているつもりでございます。
 まあ、あとは多少やはり技術的な問題になろうかと思うんで、多少見方に違いがあるとは思うんでございますが、特に私は、原子力の問題というのは、特に著者が科学者である、それから原子力研究所の所員でございますから、なるべく、これはできるだけ正確に書いていただきたいという点を、今後の問題としても当人にそれを非常に私希望しているわけです。そういう点で、厳重注意というのはそういう趣旨でやっているんでございまして、まあよく学問の自由とか、そういうものに結びつけるような見方があるかもしれませんが、そういう種類のものとは違うと。
 それから、燃料棒につきましても、たいへん技術的な御質問でございますが、おっしゃるとおり、燃料について、もっと解体して調べるとか、そういうことは一つの提案でございますので、これは、原子力研究所内で、むしろこの試験方法についてこういうことをすべきであるということを提案してくだされば、私ども科学技術的に十分討論し、所内で、よければそれを取り上げるということでございますが、この時点でしなかったことを、それがその破損にかかわっているというように言われているわけでございまして、いささかそういうところで、読む人の印象として、やるべきこともやらなかったじゃないかというようにとられるのがやはり誤解を生む一つの原因ではないかというふうに考えております。
 それから資料は、まあ先ほどJAERI−Mレポートという――Mというのは、小さいmと大きいMがありまして、大きいMのほうは公開しているわけでございます。それから、安全委員会というのがありまして、労使半々でできております委員会がありまして、当時、そこで技術的内容についてはかなり詳しく組合の人にも説明してあります。
 まあ大体そういうことです。
#209
○辻一彦君 まあ、時間が迫りましたが、原子力研究所と科学技術庁、原子力委員会の関係はどうなりますか。局長、簡単に一言……。
#210
○政府委員(成田壽治君) この問題については前から……。
#211
○辻一彦君 いや、監督関係はどうなりますか、それだけでいいです。
#212
○政府委員(成田壽治君) この問題は原研内部の内部規律の問題として、就業規程によって承知しているというふうに考えております。ただ実情は詳しく聞いております。
#213
○辻一彦君 そこで、まあこれはかなり見解も分かれるし、むずかしい問題です。山本先生ね。しかし、一つの論文というものを――私も化学をやったことがありますが、まあいろいろ取り上げてやれば、やっぱり、こう、ミスが出てきますし、それからまた、論文であれば見解の相違点もあるのは、これはまあ当然と思うんですね。そこで、全体の論文の流れ、どこに力点を置いているかということを見るのが大事で、その一部のところを取り出して、そういうのが、論争とか、そういう場に移されずに、処分の――またこれは処分でないと言われているけれども、広義の処分に入ると思うのですが、そういう形で処理をされるということは少しどうだろうかと、こういう感じが私一つするんですね。それで、そういう点があれば、指摘をして、訂正を要求することもできるでしょうし、また、学問的に見解の分かれる点は、論文によって論議も、論争もできる。そういうことが第一段階で大事であって、それを飛び越えて、この処分形態というのは、ちょっと権力的な感じを私は持ちますが、そこを原研の――原子力基本法の自主・民主・公開という、そういう民主という原則もありますが、そんな点から考えて、原研のあり方としてどうお考えになりますか。簡単でけっこうですから。
#214
○参考人(山本賢三君) 御趣旨はたいへんよくわかるのでございますが、私は、これは小さい問題で、普通の意味でいう処分ではないという、これは十分に慎重に審議をした結果、厳重注意というのが適当であろうと考えたわけでございます。研究所として判断いたしました。実は、その厳重注意というのとは全然独立に、五月の初めに――五月十一日だったと思いますが、私は東海研の所長として、御当人を呼びました。で、これはもう二人だけの間で話ができる、まずそういうことであり、私は、そういう科学技術者の先輩としてもそうでございますが、御当人に注意はしたこともございます。で、そのときには、御当人は、一応はいまのような問題をお話ししましたけれども、その場では承服しなかったように思うのです。まあ、とっさのことでございますから、そう簡単には、間違いましたとは言わないにしても、あとで調べてくれればいいと思ったわけです。で、両人の対話の間では、もちろん、もし間違ったところがあれば正すのにやぶさかではないがということばも途中にはあったことを記憶しておりますが、全体として、私が指摘したようなことが直ちに理解できなかったように思うのですが、御当人は理解できなかった……。
#215
○辻一彦君 経過をちょっと聞き、私も、おとついですか、衆議院の委員会で局長から報告があったのをちょっと聞きました。それを総合して、五月の十一日に所長がそういうお話しになって、二十二日にすでに懲罰委員会が開かれていますね。そして、二十一日に、二回の懲罰委員会において答申が出されて、六月五日に理事会決定と、こうなっておる。だから、五月の十一日から委員会が開かれる前に十日ある。この問題は、呼んでそれをなさったときには、まだ十分わからない点もあるだろうから、若干時間をおいて、もう少しそういう話をして、ある程度考えてみるとか、そういう段階を踏むべきでなかったか。しかも、処分ではないと言われますが、これは私は組合関係に電話を入れていろいろ聞いてみましたら、六月十日、日曜日に、労務担当の村上理事から電話で、処分することになったから含んでおいてくれというお電話があったということですね。それからまた、執行部が村田副理事長に電話をすると、出られずに、山本所長が出られて、懲罰と答申が出たので理事会決定した、あすかあさってあたり処分を出す、こういう電話であったというように電話で聞きました。そこで、このいわゆる懲戒から始まって四段階の――それには当たらないかもしれないが、皆さんの頭の中には処分という概念の中にとらえておったように私は思うのですが、その点はどうなんですか。
#216
○参考人(山本賢三君) 村上理事が話されたことについては私は知らないのでございますが、私が組合の中央執行委員長に電話したときには、執行委員長のほうから、処分というようなことを聞いたがということに対する私の返事の電話だと思いますが、これは広い意味では処分というものかもしれないけれども、原子力研究所としては処分ではないというようなお話をしたはずでございます。つまり、厳重注意というのは、履歴に残るわけではありませんで、当人の不利益になるものではない、要するに、注意ということです。私なども厳重注意を受けたことがあるわけで、別の件で受けたりしております。そういうのは、ずいぶんたくさん原研の中にいるのでございまして、それから村上理事も厳重注意を受けたはずです。
 それで、実は、御当人にこう注意をして十日以上余裕があったということでございますけれども、あとでそのあやまちを直していただくことはたいへんけっこうであり、私のほうとしてもそれが望ましいのでございますが、そうであろうとなかろうと、すでにこういう非常に誤解を与えるような論文を書いたということについては、もうすでに事実でございますから、それはまた別の問題に私なると思うのです。
 それから、調べる余裕ということにつきましても、これが外部の人なら別でございますが、同じ研究室の中でございますから、関係者に聞けばすぐにわかることで、もっと早くそういうことにお気づきになることを私は切望しているわけです。
#217
○辻一彦君 大臣にお伺いしますが、これは、原子力研究所は原子力研究所がやっておられると思いますが、しかし、広範な指導監督権は当然科学技術庁にいろいろ私はあると思うのですね。その点で、先ほど私も指摘をしておきましたが、ある面においては見解の相違点というのがあるように思います。だから、こういう点をもう少し論争の場に移すとか、あるいは論議をするとか、まあすぐ十日間ぐらいで懲罰委員会にかけてしまおうという、こういう行き方は、私は原子力研究所が、自主・民主・公開という基本法の三原則ですね、特に民主的に運営をされ、しかも研究者の自由な雰囲気と創意によって研究が進んでおるという点から推して、こういう権力臭の強いやり方については、やはり考えてみる必要があると思いますが、この点、大臣、その指導監督の立場から、どういうようにお考えか。時間があまりありませんから、
 この点は、きょうはこの程度にとどめざるを得ないと思いますが、お伺いいたします。
#218
○国務大臣(前田佳都男君) 私、先ほど、辻先生と山本先生の間の問答を実は聞いておりまして、学がありませんので実はわかりません、率直に言いまして。しかし、とにかく、研究員の方が勉強していただくというのは非常にけっこうなことだと思います。また、発表もけっこうでありますが、ただ、やはり原子力研究所という一つの組織でございますから、その組織にはやっぱりそのオルガニズムといいますか、その組織の就業規則という――規程ですか、就業規程というものがあるわけでございまして、その規程というものに準拠して考えていただかなければしょうがないのじゃないか。しかも、この中島研究員に対する処置は、私が聞いたところによると、これはまあ懲戒ではございませんで、いまも山本理事長が話しておりますが懲戒ではないと、厳重注意であると。厳重注意も、しかし、懲戒的な注意じゃないかという辻先生の御指摘であったように思うのでありますが、まあいずれにしましても、もちろん自主・民主・公開でありまするが、やはり組織人として、その発表のやり方とかいう点には、その点はよく心得て組織というものを考えていただきたいと私は思うのです。別に、せっかく研究した成果をじゃまする、チェックするという意思はございませんけれども、その点はそういうふうに考えております。
 それと、私は、まあ、こうしてとにかく何か口頭で注意された、その事実は知りませんけれども、その間、注意されて、もう少しいろいろよく問答して、こういうのが表にオープンにならずにいく方法が、もっと発表する前でも、いろいろ――原子力研究所でいろいろな、まずい点というか、こういう点はこうすべきである、あういう点はああすべきであるという点があれば、発表してやることもけっこうでありますが、それまでに所内において大いに討論をするといいますか、フリートーキングを、学者先生もあるようでありますから、ひとつ、うんのうを発揮してやっていただきたいと、私は希望として思います。
 日本原子力研究所は原子力のメッカでございますから、その意味において十分機能が発揮できるようにということを、私はひたすら念願しておるわけでございます。
#219
○辻一彦君 私は、研究所の山本さんに、ちょっと資料要求だけして終わります。
 研究所の所員の中島篤之助さん、大野善久さん、福田雅明さんの三氏が、協定によって四号昇給が、ここ数年間三号でとまっておったという事実があるか。なければいいが、あれば、なぜその三名だけが――、これは安全性について特に積極的な発言をしている活動家であると思いますが、その理由は何か、これを資料によって提出していただいて、後日論議したいと思います。
 終わります。
#220
○中村利次君 私は、エネルギー危機について、これはたいへんに深刻な危機感を持っているのです。ですから、予算委員会でも、あるいは通産省の設置法一部改正案でも、そのことを中心にして政府に質問をしてまいりましたけれども、このエネルギー危機の問題は、これは選択であり、もう一つは、科学技術をどう動員するのか、できるのかということに尽きると思うのですね。油にしても、これは要らない、使わないというんだったら、問題は深刻ではない。いま二億三千から二億五千万キロリッターぐらいの油を使っているのでしょうけれども、原油の輸入をしているのでしょうけれども、これがやはり中東の油にいま八〇%を依存しているわけでありますから、そのうちの六〇%・二〇%で、一%以上あるいは二%以上の高硫黄分の油に依存せざるを得ない。中曾根通産大臣の御答弁によりますと、大体十年ぐらいのうちに中東依存を七〇%ぐらいにしたいという御答弁がございましたけれども、それがかりに成功したとしても、七〇%の中東依存をせざるを得ない。資源的にもたいへんな不安がある。これは私は時間が少ないですから、こまかく質問をするあれはありませんけれども、そういう中で、国民が必要とする必要最小限度の石油を確保せざるを得ない。大気汚染をなくしながら、それを使わなければならない。――要らないというので、自動車にも乗らない、あるいは灯油も使わない、耐乏生活を国民が合意してやってくれるならいいですよ。電力にしたってそうですね。電力危機の問題はたいへんにこれは深刻です。国民の皆さんが、いやいや、もう電力は使わないんだとおっしゃるなら、何らわれわれはこういう議論をすることないんですけれども、そこにやはり選択の問題が起きてき、科学技術の問題が起きてくると思うのですよ。そういう意味から質問をしますけれども、これはエネ調が長期計画をお立てになって、それを受けて原子力委員会として、やはり昭和五十五年には三千二百万キロワット、六十年には六千万キロワット、六十五年には一億キロワットの原子力発電の開発をしなければならないと、こう言っておられるわけですけれども、なぜしなければならないのか、そこら辺からまずお伺いしたい。
#221
○国務大臣(前田佳都男君) ただいま中村先生から、このエネルギー危機をどうするかという非常に憂国の至情に燃えたような御質問のように私思いますが、実際、電力需要の予想の伸び率は毎年一〇%程度だというふうに私は聞いておるわけでございます。ところが、電源開発調整審議会の電源開発長期計画におきまして、四十七年度に着手を予定しておりまする発電設備は千二百万キロワットでございます。そのうち電調審で決定されましたのは、何とその予定の三分の一でございます。ほんとうに数年後に需給計画にそごを来たすのじゃないかと。ことに関西地区あたりは、この夏は非常な危機が来るのじゃないかと。ことに、電気洗濯機とめなさい、電気冷蔵庫とめなさいと言うて、それで納得できるような時世じゃないと私は思っております。何としても電力というものを開発しなければいけないんだと、これは全国民の悲願であると私は思うのです。
 ところが、実際さて発電施設をつくるということについては、なかなかいろいろな障害があるわけで、この点は私も非常に憂慮しておるわけでございますが、先生御存じの予備率にいたしましても、四十七年度の供給予備率は七・八%、それから五十一年の予想供給予備率は二・一%ぐらいになるだろうというふうな話で、二・一%というような予備率では、ほんとうに夏なんか、あるいは冷房装置、エアコンデションを使うのでたいへんでありますけれども、たいへんなことになる、世の中がやみになると私は思うのでありまして、適正な予備率は大体八ないし一〇%であろうというふうに私は聞いております。このような電力危機に対しまして、ことに現在の電力は、ほとんど七、八割程度が石油に依存しておるわけでございます。この石油問題を私からちょうちょう申し上げる必要もございません。ほんとうに世界的な問題であるOPECとメジャーの対立の問題であるとか、いろいろな大きな問題がございます。ことに日本は、石油資源を九九%外国から輸入しておるという関係で、たいへんな問題である。この問題をほんとうにみんなよく認識していただいておるんだろうかと思いまして、私も非常にその点を憂えておるのでございます。
 そういう状況下におきまして、私、我田引水じゃございませんけれども、原子力発電というものに対する期待が高まってきておるというふうに思うのです。科学技術庁といたしましては、環境安全対策、核燃料対策、立地確保対策というふうなものをとにかく極力精力的に推進して、この期待にこたえるようにしたいというのが私の考えでございます。
#222
○中村利次君 電力危機の問題は、私は後ほど具体的に取り上げて質問をしたいと思いますけれども、いま長官から、エネ調あるいは原子力委員会で発表したこの原子力の開発はやはり必要なんだということですけれども、それと同時に、私は、必要でありましょうけれども、必要だからこういう開発長期計画を立てられた。ですけれども、私が質問しておるのは、はたしてこれは、その実現の可能性があるのかどうか。少なくとも国民のために長期計画をお立てになって、これだけの原子力開発が必要だということになりますと、かくかくしかじかの裏づけをもってわれわれとしてはこれを達成するのだというものがなければならないのですが、どうも私のいまの判断からいきますと、安全性の問題環境の問題、住民パワーの問題等々から、たいへんにこれはむずかしいことになりはしないのか。ですから、それとは別に、結果としてエネルギー危機がどういう形で出てくるのかということは、長官がいまお示しになった予備率の問題は、私の承知するところとはだいぶ違いまして、だいぶそれは楽観的な、まあまあわれわれが計画している程度は何とか立地問題も解決するであろうという希望的な数字だと思うのです。そんなものじゃなくて、私の少なくとも承知するところでは、もっともっとたいへんに深刻なことだと思うんですがね。ですから、こういう計画をお立てになって、その実現性、可能性についての見通しをどうお考えになるのか、お伺いします。
#223
○政府委員(成田壽治君) 原子力委員会が昭和六十年度六千万キロワットの原子力発電計画を立てていますが、この達成は非常にいろいろな問題があります。具体的な問題としましては、一つは、地元の反対運動等による立地難でございます。これは、先ほども指摘がありましたように、原子炉の安全性に対する不安感、それから温排水等の環境保全に対する地元の反対、こういう点がありまして、安全性の追求に関しては最重点で、原子力委員会としても、予算も相当増加して、原研その他の機関を通して重点的に進めております。
 それから環境につきましては、先ほども辻先生からいろいろ御指摘ありましたが、非常にスタートはおくれましたが、いま環境庁等を中心にいろんな調査基準をつくってやっていく、その他原子力委員会としても取り上げざるを得まいという状態、そういうことでございます。
 それからもう一つは、地元の反対としては、原子力発電所が来てもあまり地域的なメリットがないという問題でありまして、この点につきましては、現在衆議院に電源等周辺地域整備法という法案の御審議を願っておりまして、あれにつきましてもまだ弱いんじゃないかとか、いろいろ問題があるようでございますが、あれが成立さしていただきますと、地元地域開発との関連では相当な前進があるんではないだろうかというように考えます。
 それからもう一つの問題は、この六千万キロワットを達成するために燃料が十分に確保できるかという問題でございます。この点につきましては、ウラン資源、天然ウランについては資源的にまだ問題ないようでありますが、濃縮ウランについては、一九八〇年、昭和五十五、六年になると供給余力が世界的に足りなくなるという事態もありまして、いま日米原子力協定を国会に提出してその改定をお願いしておりますが、また同時に、濃縮ウランの国際的な共同工場をつくる計画に対する検討、それから動燃事業団を中心とする濃縮ウランの国産化の研究開発の推進、そういういろんな施策をとっておりますが、実現性は相当馬力をかけないと、なかなかめんどうな事態というふうに考えております。
#224
○中村利次君 実現性はたいへんに困難というようなお答えでございました。結果として起こる電力危機について私は少し聞きたいと思いますが、少なくとも、電力というものは、いまやって、いま間に合うものじゃないんですよ。水力の場合は、これはたいへんなあれですけれども、火力であろうと原子力であろうと、少なくとも数年を要する。いまはたいへんに危機感を持って言われておりますが、大体このままのベースでいっても昭和五十一年から五十二年には、これはもう予備率がマイナスになり、非常にいい見方をしても、少なくとも五十一年には予備率は一%。一%前後といいますと、これは長官もおっしゃいましたけれども、予備率なんというのは八%から一〇%なければ、これは需要をスムーズに満たすことはできません。それが五十二年には相当、希望的な見方をしても大体三・九%、三%前後、困難であるという見方をしますと五%前後ぐらいの予備率赤字、こういうようになった場合どういう事態になるかを私はお伺いをしたい。
#225
○政府委員(成田壽治君) 電力はエネルギー源の最も大事な形態でありまして、しかも非常に国民生活が合理化され、あるいは公害対策上も、いろんな形のエネルギー供給形態がありますが、電力による形態というのは非常に伸び率も高く、したがって、電力が原子力なり火力発電が計画どおりいかなくて、そして予備率が五十一年にはマイナスに転ずるというような事態は、これは経済、産業の運行ができないだけでなくて、われわれ国民生活にとっても非常なる重大な支障を来たして、社会的な不安その他いろんな深刻な問題が出てまいるんじゃないかというふうに考えております。
#226
○中村利次君 これは、いま日本の産業自体が非常に多エネルギー消費型の産業であって、これは各界から改革をしなければならないというのが提唱されておりますから、産業用電力の場合は、一応これはいろいろありますけれども、ここでは私は対象にしませんけれども、国民生活の上にどういう影響があるか。いま大体議論をされておりますのはこれは、こうでしょう、放射能の人体への影響については、これははっきりわかっていますか、わかっていませんか。
#227
○政府委員(成田壽治君) われわれの立場からすると、大体大部分はわかっておると思います。ただ、非常に低レベルの放射線が長い世代にわたって遺伝的にそういうものか――これはいろいろ少数意見もありまして――どうかという問題、これも国際的な基準等では一つの解明がなされておりますが、そういう異論もありますので、この点を大いに長い時間をかけて検討しようというプロジェクトも進めております。
#228
○中村利次君 私は、いつもこの科技特では、科学者は可能性がそれが百万分の一であろうと百兆分の一であろうと可能性を否定できない――これは科学者は当然ですよ、しかし、少なくとも行政の責任のある人たちはそういう科学者みたいなことを言ってもらっては困るということをいつも言い続けてまいりました。いま原子力局長がお答えになったのは、科学者の中のきわめて慎重な方たちがそういう説を唱えておるのです。そうですよ。これは、たとえば原子力学会における今年の菊池論文を見ても放射能の人体に与える影響というものは明らかにされておるとしてますよ。どうですか、この点は。
#229
○政府委員(成田壽治君) 人体に対する影響、仮想事故の確率の問題等、これはゼロであるという科学的な論拠はまだないようでございますが、非常に少ないものであるということは十分いわれておるところであります。
#230
○中村利次君 放射能が人体に対してどういう影響を及ぼすのか、これは明らかにされているのですよ。ただし、原子力発電の場合どういう影響があるかということは、これはまた別次元の問題ですよ、別次元の問題。これらの安全性については徹底的に追求をしていかなければならないのは当然です。そのかわり、やはり専門家、科学者の専門的立場からは、たとえば原子炉にしましても、管理が正しく行なわれていて、それから基準が守られているならば、これはやはり安全性については問題がないと、こういうのが大体科学者の通説であると思うのですけれども、これは間違いですか、正しいですか。
#231
○政府委員(成田壽治君) 大体そのとおりだと思います。
#232
○中村利次君 やはり問題なのは、いま国会でもたいへん議論になっておりますように、仮想事故の問題ですね。仮想事故の問題。これは、仮想事故ということは、いま申し上げましたように、管理が正しく行なわれて、基準が完全に守られておれば、これは問題はないんだけれども、仮想事故が起きて放射能の管理が不可能になった場合、この場合、やはり周辺地域に、あるいは住民に及ぼす影響、これがどうなのか、こういうことがいまたいへんな問題になっておると思うのですが、これは、漁業問題だとか水の問題、いろいろありますけれども、まず少なくとも安全性の問題については、これがやはり現在のポイントだと思うのですが、そういう点についての仮想事故の可能性についてはどういうぐあいにお考えですか。
#233
○政府委員(成田壽治君) 御承知のように、原子炉の事故は、重大事故とか仮想事故、二つの事故を想定して、安全を確保するようなかっこうになっております。重大事故につきましては技術的な見地から見て最悪の場合には起こるかもしれないというような事故を想定しており、仮想事故については、重大事故を越えて、しかも技術的な見地からは起こることは考えられないというような事故を仮定をしまして、その場合の放射能等が人体に重大な影響のないような形で安全性が考えられておるのであります。それで、この発生確率につきましてはいろんな議論があって、わからないんでありますが、ただ、重大事故については、これは国際的な計算、学者等が言っているのは、大体百万分の一年といいますか、百万年に一回というような、国際的に通念的にそう言われております。したがって、仮想事故はまたさらに確率が非常に少ないんでありまして、そういう意味で、仮想事故、国際的な通念から言われている仮想事故の確率というのは非常に少ない、確率論としては少ない計算になっております。
#234
○中村利次君 原子炉に関して、いま局長がおっしゃった重大事故、事故例はこれは正確かどうか知りませんけれども、「原子力ポケットブック」が正確だとすれば、これに載っかっているんでは、一九五七年のウインズケールですか、これが二百平方マイルを汚染をして、そして牛乳の出荷停止をやったという、これは相当の規模の事故ですね。それから六一年に、これはアメリカで南三マイルの汚染があったと、この二件だけ載っかっていますけれども、このほかにございますか。
#235
○政府委員(成田壽治君) これは初期の段階、非常に管理体制も悪い、また、もう防御設備も十分でないときの事故がいまおあげになった。その後そういう重大事故的なものは発生しておらないと思います。発電炉についてはそう聞いております。
#236
○中村利次君 おっしゃるとおりですね。初期のころですね。その後、作業ミスによる事故は起きています。これは相当起きていますね。作業者の死亡者も出ておるんです。で、問題なのは、やはりここで国会レベルでわれわれが問題にしておるのは、作業ミスなんていうのは、これはもうあらゆる職場で、これ、あることですね。死亡もあれば、けがもある。負傷もある。問題なのは、国民に対する影響がどうなのか、地域住民に対する影響がどうなのかということになるんですけれども、これは、現在では何回言っても同じですけれども、管理が正しく行なわれて、基準が正しく守られておればその心配はないとされているんですけれども、これが誤りなのか、正しいのか、もう一回再確認をしたいと思います。
#237
○政府委員(成田壽治君) 現在、発電炉の安全審査は、厳重な立地審査指針、法によって審査され、また、許可されたあとにおきましても厳重な保安規定等の基準によって運用されるようになっておりますので、厳重なそういう管理体制のもとにおいてはそういう事故は起こらないというふうに考えております。
#238
○中村利次君 そうなりますと、これは仮想事故ということになるんです、やはり。放射能の管理が不可能になるような事故を仮定をして、その確率があるのかないのか、これは学者議論からいけば、あるんです、これは。まあ局長は大体通説は百万分の一というようなことをおっしゃいましたけれども、これはやはり原子力学会で発表された菊地論文によりますと、そういうはっきりした実績による統計はないと、しかしながら、科学者が言っておるのはこうだああだというのは、ほかにもいろいろ言われております。菊地論文によりますと、オットウェイ・アードマンは、この確率は百兆分の一パー年であると。一つの原子炉について百兆年に一回のこういう仮想事故というものは起こり得る。こうなりますと、これはゼロだということ、百兆年先のことまでその確率をわれわれが国会の場で議論をするなんていうのは、これはばかげた話ですから。そんなことを言ったら、飛行機にも、これ、全然乗れませんよ。新幹線にも乗れませんよ。日常茶飯事みたいに交通事故を起こしている車なんか、これは乗れっこない。ですから、百万分の一であろうと百兆分の一であろうと、とにかく仮想事故の問題はそれほど問題にするには当たらないんだが、しかし、やはり学者論としてはこれをやらざるを得ないというとろに、私はやはり、これは安全性の追求に対する真剣さがあると思うのですよ。ですから、私に言わせると、そういう追求が行なわれておるのに、なぜ原子力の開発というものが深刻なほど立地難におちいっておるのか。いかがでしょう、こういう点は。
#239
○政府委員(成田壽治君) 確率論からしますと、先生御指摘のように、非常に、まあきわめて少ないと、これはいろいろ学者も……。ただ、ゼロではないということをどう考えるかという問題と、仮想事故として事故が起きた場合にはやはり相当な影響が、社会、周辺住民に大きい影響がある。確率論としては非常にゼロに近いほど少ないのでありますが、そういう見地から非常に安全には安全をはかるべきだという考え方、それからやはり原子力の歴史が浅くて、まだ実験的なデータによって十分その事故確率等も出ておらないという点、そういう点から来る地元の不安感という、そういうことで、かなり社会的な不安感という点も大きな影響があると思います。これは、科学的な問題と、そういう社会的な不安感に対する対策という、いろんな面からやはり問題の解消につとめていくべきだと考えます。
#240
○中村利次君 これは、あらゆる安全性あるいは汚染公害の問題は、汚染をなくする科学技術の開発、それから安全性を追求する絶対的な科学技術の開発、これ以外にはありません。ありませんけれども、そういうものを絶対的なものとして進める一方、片面では、私は選択があると思うのです、選択が。たとえば、これはごみ戦争でもそうですけれどもね、杉並区の高井戸には絶対にごみ処理工場はつくらせないんだ、夢の島に運んでいくんだ、江東では区会議員がピケを張ってでも通さない。結果として杉並では、これはたいへんなごみ公害が起きちゃった。これは何びとといえども解決できません。どうするんだ、解決できませんよ。できなかったんだ、また。合意によらざるを得なかった。選択によらざるを得なかった。石油危機にしろ、あるいは電力危機にしろ、全くそのとおりでありまして、もちろん、高硫黄分の油をたいて大気汚染をやる、たれ流しをする、とんでもないことですよ。そういうのがやはり産業レベルであったからこそ住民パワーがいま全くたいへんなものになっていて、私は率直に言って、その中には相当これは、お互い厳戒をしなきゃいけないけれども、党利略に使われているものもないとは言えないと思う。しかし、少なくとも私は、国民の合意というのは過半数、最悪の場合でも絶対過半数の合意がなければこれは何もできないと思うのですけれどもね。この選択の問題について、これは電力危機等とも重大な関係がありますから、たとえば予備率がゼロになった、あるいはマイナスになったという場合ですね。いま私どもが議論をしているのは、確率の非常に少ない重大事故であり、確率が百万分あるいは百兆分の一といわれるこの仮想事故、それと比較して、予備率がマイナスになって――これは現実の問題来るんですから、そういう事態が。なって、その場合の社会混乱と人命に及ぼす影響、この点についていかがです。
#241
○国務大臣(前田佳都男君) 予備率の低下の見通しにつきまして私の見通しが甘いじゃないかという中村先生の御指摘でありますが、私も実は自分の手元にあった資料で申し上げましたので、あるいは甘いのかもしれません。先生のほうが専門家でいらっしゃるので、あるいは先生のほうが見通しが正確かと思います。とにかく、予備率が低下することはこれはたいへんなもので、それは確かに予備率が低下して、電力がそういうふうに不足してきた場合には、社会的な混乱というものは、ほんとうに私はもう想像を絶するものがあるというふうに考えます。また、仮想事故、重大事故の問題につきましても、先ほど来局長もお答えを申し上げたわけでございますが、発生する確率というものは少ないということも、私、そういうことだとは思います。ただ、原子力行政は、とにかく安全と、一に安全、二に安全、三に安全と申しましょうか、とにかく安全ということに力点を置きまして、とにかく皆さんに安心をしていただくようにということで実は努力を重ねておるのがわれわれの姿勢でございまして、放射能の排出にいたしましても、安全性というものが確保はされておりましても、科学的に見て、しかしアズ・ロー・アズ・プラクティカブルと申しましょうか、できるだけ低く、できればもう、なくしてしまいたいというぐらいの熱意を込めて――実はそのとおりいってないじゃないかというふうにおしかりをよく受けておるのでありますが、とにかく一生懸命にいまやっておるつもりでございます。その意味におきまして、あるいは立地指針等におきましても、原子炉立地審査方針というのがございまするが、この立地審査方針にも、重大事故、あるいは仮想事故というふうなことも想定をいたしまして、実は立地をいたしておるというわけでございまして、その点についても、なるほど何万回に一回ぐらい起こるじゃないかというようなことでありますけれども、しかし、私は現在、いろいろな障害に際しておる問題を、そういう問題、それも、それは一部にあるかもしれませんけれども、その仮想事故がどうなって、障害、立地がスムーズにいっていないというふうなものばかりではないというふうに考えておりまして、もちろん、電力危機というもの、まあエネルギーの危機というものを克服するために、いろいろそれは御協力いただかなければいけない、理解をしていただかなければいけない、それはもう私は切望いたしまするけれども、そういう――まあ先生も別に、そういう心配をしなくていいんじゃないか、電力が必要だ、というふうに――そういう意味じゃないと思いますけれども、そんな姿勢じゃなくて、とにかくみんなの理解と、やっぱり協力を得つつ、そうして安全性ということに力点を置いて進めていきたいと。それはまあいろんな、大ぜいの人のうちでありますから、いろんな意見はあると私は考えます。しかし、私はとにかく良心に恥ないように、とにかく安全ということを守りつつ、われわれの姿勢というもの、行政というものを進めていきたいというふうに考えておりますので、まあどうぞそういう点を御理解をいただきたいと思います。
#242
○中村利次君 私は、これは時間がたっぷりあればですよ、それは、安全性の問題から、あるいは重大事故、仮想事故の問題から、あるいは何ですか、海から水から、その他の環境問題について、こまかく私は質問をし、それから議論もしたいんです。しかし、限られた時間ですからね、これは恐縮ですけれども、簡潔にひとつお答えいただきたいと思うんですが、いま私が申し上げておりますのは、やはり国民のために、国民とともに、どう選択をするかということに究極はなっていくと。ただし、それは、こっちのほうはいいかげんにして選択をするということでは絶対ありませんよ。それはもう、環境保全にしろ、あるいは安全問題にしろ、徹底してもうやらなくちゃいかぬが――いかぬがじゃないですね、いけない。その中でどういう選択をするか、国民が。ですから、私が申し上げているのは、石油が要らない、電力が要らないというなら問題は簡単なんです。要るんです。要ると言っているんです。ですから、予備率が赤字になった場合に生ずる事態はどうなんだ、重大事故、仮想事故と比較をして。そういう率直な議論をして、あるいは御答弁をいただいて、国民にこの選択をしていただく、そういう参考にする必要がこれはあると思うんですよ。私は、少なくとも予備率が、それは三%、五%になったって、これは重大な問題ですから、五十一年、二年には赤字になると言ってるんですから、なることはもう明白ですから。その場合に、通産大臣に質問をしましたところが、これは計画停電をする、いわゆる、まあ工場から停電をする。これは国民にとっては、工場から停電をされる場合にはそれほど重大な社会問題にならないかもしれない。しかしですよ、しかし、そういう予備率が赤字になって、やむを得ないでやる工場からの計画停電というものは、ぎりぎりですよ。それは、でしょう。その場合、幾ら技術が発達をしたと言っても、発電所で不可抗力の事故が起こる可能性は否定できない。これは、仮想事故や重大事故の比率じゃありません、現実の問題として。そうなりますと、サイクルが下がる、電圧が下がる。そういう可能性があるかないかをお伺いしたい。
#243
○政府委員(成田壽治君) まあ、そういう五%あるいはそれ以上の予備率のマイナスになった場合は、電圧が下がり、また産業用だけでなくて、生活上の電力も不足して、重大な社会的な混乱を起こすことになると思います。そういう意味で、そういう事態にならないようにするためのいろんな方策を努力すべきものと……。
#244
○中村利次君 それは、そういう事態にならないような方策をというのは、私は、失礼だけれども、無責任議論ですよ。私が言っているのは、現実に予備率がゼロになり、赤字になるということは、いまの時点で、これは空理空論じゃない。空理空論じゃないんですよ。現実にそうなるということははっきりしている。なった場合ですよ、なった場合どうかということも、これは技術論ではっきりしているんですよ。私がいま申し上げたように、サイクルの低下があった、電圧の低下があったという場合、どういう事態が起きるか。水道が出なくなったとか、あるいは水洗便所が使えなくなって、どうもえらいことになったとか、あるいは電車が走らなくなった、あるいはのろのろで――いままあ順法闘争をやっても上尾事件みたいな、ああいう社会的に重大な問題が起きる。私は、そういう事故が起きた場合どうするかよりも、もっと深刻に、あるいはパン屋さんでパンが腐っちゃったという、そういう問題よりももっと深刻な、たとえば病院で手術ができなくなる、手術中の患者がそういう事態のために死亡をする、こういう事態に対して――これはピーク時の話でありますけれども、そういうことが現実に起こる。そういうことに対してはどういう責任をとるんですか。
#245
○説明員(井上五郎君) 中村先生の御心配と申しますか、御指摘について、私も前歴から申しますと全く同感と申しますか、さような事態が起こらないとは言いかねるような心配をいたしております。どういう責任をとるか。私ども原子力委員としては、原子力の推進というものが必至であるし、昨年改定をいたしました長期計画はぜひ実現をすべき責任を持っておると思います。しかし、原子力委員会は、ひとり原子力委員会だけの責任をいかに考えてみましても、こうしたことは、やはり国民のコンセンサスと申しますか、あらゆる階層の納得の上にのみ可能なんでありまして、ひとり原子力委員会がいかに安全だけを強調いたしましても、先ほど前田大臣並びに成田局長からお話が出ておりますように、理論的なゼロということは、なかなか申し上げかねます。したがいまして、実際、行政上これはだいじょうぶであるというわれわれの判断のもとにおいて一つの決定をしていくわけであります。それに対しまして、やはり一部に御不安があるということから、先刻来御指摘がありましたように、なかなか電調審で考えておるような達成率ができないどころか、むしろそれが年々低下しておるということについて私ども非常に心配をいたしております。御指摘のような点については、私どもも微力ながらぜひ努力をいたしたいと思いますが、いかなる責任をとるか、これは原子力委員が辞職をしたってとれるような、そんななまやさしい問題ではございません。さような意味におきましては、国会をはじめ、あらゆる階層におきましての国民的なコンセンサスが得られるように、私どもの微力をぜひ皆さま方も応援をしていただき、そうした御指摘の事態が起こらないような、ぜひ努力をしなければならない、かように考えます。
#246
○中村利次君 これは、御努力の意図、意欲というものはよくわかります。これは絶対にそうであってはいけない。ところが、まことに酷のようでありますけれども、私がいま問題にしているのは、決してこれは仮想の問題でもなければ仮定の問題でもない。いわゆる重大事故が起きた場合にはどうするかとか、仮想事故が起きた場合にはどうするかとかいう、そういう問題じゃないんです。現実に来る。現実に、もう三年、四年先には必ず来る。その場合、何と言うんですか、われわれがここで議論をしているいろいろな想定と比較をして、どちらが国民にとって決定的な打撃を与えるのか、人命を含めた。これは戦後の電力不足時代にそういうことがあったんです。もう現実にあったんですよ。現実にあって、人命をなくした人たちがいるんです、これは。これはこのままでいきますと、いまの非常に多様化した国民感情の中で、どういうことになるか、人命がどれほど失われ、あるいは社会混乱がどれほど起きるか。これは私は、順法闘争における上尾事件なんというのは、あんなのは、そういうあれに比べますと、ほんとうにごみみたいなものじゃないか。これが長期にわたって続くんですから。上尾事件は、正常なダイヤ運転をすればこれはおさまります。ところが、いまこの立地問題が国民の合意を得られなければ、これは昭和五十一年とか五十二年に、国民の皆さんも、これはとんでもないという認識になって、さあそれは安全と環境を保全しながらやらなきゃいかぬと、こういうことになったって、これは間に合わないんです、数年先になっちゃう。こういう事態についてのやはり国民の選択――これは合意が前提ですけれども、国民の選択というものがなぜ行なわれないのか。これは、原子力委員会としても、あるいは行政府の長としての、私は科技庁の長官の御答弁を承りたい。
#247
○国務大臣(前田佳都男君) 先刻来、中村先生の、過去における電力不足のときのその体験といいましょうか、そういうことを踏まえての憂国の御発言に私全く感銘をいたしました。くどいようでありますが、とにかく、原子力発電といいますか、原子力につきましては安全性ということを堅持しながら、守りつつ国民の理解と協力を得るように努力をいたしまして、そうしてエネルギーの確保のために全力を尽くしていきたいと、はなはだ抽象的な答えじゃないかというふうにお考えになるかもしれませんけれども、私たちはその精神で鋭意努力を尽くしていきたいということを申し上げてお答えといたしたいと思います。
#248
○中村利次君 私は任期があと四年ありますからね。ですから、もしそういう事態が起きた場合は、これは会議録をちゃんとたてにとって責任を追及しますよ。これは所管の通産大臣にしたって、私はそのとおりだと思う。これはここで、いわゆる、努力をいたしますとか、そういうことにならないように、というのは、これはまことに、まあそれ以上のことはおっしゃれないんでしょうけれども、それでは解決しないほど事態は深刻でしてね。それで、これは何も仮想やなにかじゃなくて、現実の問題として起こり得る。そのときに国民の選択を求めたんではすでにおそ過ぎる。どうにもしようがない。これは石油の問題だって、そうですよね。中東の紛争によって石油が入らなくなった、長い輸送の中で何かのあれで入らなくなった……。これもやはり順法闘争で、埼玉県ですか、栃木県ですか、あの冬の寒いときに灯油がなくなったら国鉄職員には灯油を売らないという、いわゆる不売同盟を何か業者の方が結んで、えらい問題になったことがある。そういう事態が現実に起きているんです。そういうなまはんかなことではないということを私は非常にきびしく申し上げておるのですが、もうこれは約束の時間がありますから次に移りますけれども、そこで何とかしたいということで、その一つの手段として公聴会をお考えになったと思うんですよ。そのとおりですか。
#249
○政府委員(成田壽治君) 原子力発電の推進のために、国民の、地元住民の理解と協力を得るための手段として公聴会制度を原子力委員会がつくることに決定したのであります。
#250
○中村利次君 それで、いろいろお伺いしたいことがいっぱいありますが、もう時間も残り幾らもございませんから……。その中で、意見陳述者は地元利害関係者、こういうことになっておりますけれども、こういうぐあいに限定をされた理由はなぜですか。
#251
○政府委員(成田壽治君) この公聴会は、やはり発電所を設置する地元のなまの声を聞くことに主眼を置いておるわけでありまして、そういう意味では地元の利害関係人を重点、最優先で考える。これは希望者が非常に少なければ別ですが、非常に希望者が多いだろうと思いますので、そういう地元の利害関係者ということ。ただ、地元の利害関係者という範囲はかなり弾力的に、やはり地元にいろいろ関係のある人は、何もそこに実際住んでない人でもかなり弾力的に考えてはおりますが、地元のなまの声を聞きたいというのが主眼でございます。
#252
○中村利次君 たとえば弁護士だとか学者、そういう人たちは、これはそこの利害関係者であればともかく、そうでなければ入らないということになるわけですね。それはなぜでしょう。
#253
○政府委員(成田壽治君) 考え方としましては、地元のなまの声を聞くため、したがって、いつも同じような弁護士の方が中央から行くという形は、まあ望ましくないんじゃないか、そういう考えから多少弾力的に考えていますが、地元の利害関係者に限りたいというふうに考えております。
#254
○中村利次君 私は、当初、この公聴会が国会の議論になったころから、公聴会の持ち方、ありようについてはこれは重大な問題があるということを申し上げてきたんです。確かに、いまの御答弁では私は完全に納得はいたしませんけれども、これは私はそのころから申し上げておりましたように、安全性の問題等は、しろうとがわかることじゃないんですよ。だから、地元利害関係者を意見陳述人とされるということになりますと、地元の利害についての、いわゆる公聴会で地元の意向をお聞きになる、そこに弁護士、学者が入って、いわゆる外人部隊で、何というんですかね、公聴会がどうも地元から離れたような妙ちくりんなものになるという、そういうことにはしないという意味ですか。
#255
○政府委員(成田壽治君) 地元から遊離したような、どこでも同じような、いろんな批判的な意見の専門家がただ集まるような形のものは望ましくない。地元のなまの声を聞くための制度でありますからということでありますが、ただ、先ほど言いましたように、安全性の問題等は地元住民で十分わからぬところがほかにもあるかもしれないと思います。その場合には、そういう地元と非常に連絡のある、あるいは学者的な人も、常時連絡指導に行ったりするような人があったら、それは地元利害関係人として考えてもいいんじゃないかというふうに弾力的に考えたいと思っております。
#256
○中村利次君 私が申し上げているのは、安全性の問題については、私はこれは国レベルで専門家を集めて、やはり地元あるいは国民の皆さん方に納得をしていただけるような、安全審査に役立つような、そういうものであるべきであるということを言ってきたんですね。ですから、これは私は、地元でやる公聴会の中へそういう地元の利害関係のない学者とか弁護士の先生方が公聴会の中に代弁者としてお入りになるのはきわめて不適当だと。ところが、質問をしてみますと、まことにこれは、どっちを向いているんだかわかりませんね。これが正しいと思ってこういう要領をおつくりになったのか、あるいは国会対策としておつくりになったのか、さっぱりわからないんですが、どうですか、根性は。
#257
○政府委員(成田壽治君) 先ほど言いましたように、地元利害関係民のなまの声を聞くのが主眼でありまして、ただ、絶対そこへ住んでいる人だけという意味でもないという意味でございます。たとえば、安全性の問題でも、やはりあの周辺には地層的な断層があるとか、あるいは地震の心配があるとか、いろいろな地域的な問題も、不安感もあると思います。そういう場合は、また、そういう地元に関係のあるそういう方面の学者も、希望があれば考える場合もあるんじゃないかという意味でございます。
#258
○中村利次君 まだ私は、これについても、公聴会のあれについても、一ぱい質問を用意してまいりましたけれども、いま、もう時間だというような御通告がございましたから、これでやめますけれども、また次の機会には質問をさしていただきますけれども、私は最後に、いつも申し上げていることをもう一回だめ押しをして質問を終わりますが、とにかく行政の責任を持っている方は、学者と違った、国民のために――学者なんというものは、これは失礼な話だが、国民のためになろうとなるまいと、自分の学説を、可能性を追求する、これは人類のやはり進歩につながるのですよ。しかし、少なくとも現実の問題として、生きた国民をかかえて、そして行政の責任を持っている方が学者みたいなことを言い、あるいは自分のつくった要領等についても、ふらふら腰で、どっちを向いているのだかわからないような、そういう姿勢では、国民は断じてついていきません。そういう姿勢こそが、私は、今日の立地難、あるいはその他いろいろな問題につながっておると思うのですよ。もっとしっかりしていただきたいということを要望して、きょうはこれで質問を終わらしていただきます。
#259
○星野力君 私は、時間が非常に短いので、それで簡単な問題を二つだけお聞きしたいと思います。
 一つは、原子力局の庶務室長が銀座かいわいで非常に高いジョニーウオーカーなどを飲んで何千万円かその請求書を監督下の団体に回したというあの事件でございます。長官にとっても局長にとっても、これははなはだ寝ざめの悪い事件だと思いますが、起きたことばいたしかたございません。今日ではもう、さして珍しい事件でもございませんし、私、週刊誌的な興味はございませんけれども、こういう事件が重なったりしますと、科学技術行政の上にいろいろ大きな影響がありはしないかと思うのでお聞きするわけであります。もちろん、大臣、庁内に対しては今後こういうことを起こさない処置をとられたと思いますが、いかがでございますか。
#260
○国務大臣(前田佳都男君) いま星野先生から御指摘を受けまして、私も非常に残念しごくでございます。実は、科学技術庁が発足いたしましてまだ十七年でございます。この十七年でわれわれはこれから科学技術行政を推進する、そういう大きい使命を持っております。全庁員が張り切って、実はいま私は私なりに一生懸命にやっているつもりでございますが、たまたまああいう事件が実は発覚いたしまして、私ば非常に残念しごくそのものでございまして、その翌日であります、全庁員を一堂に集めまして、厳重に注意をいたしました。今後こういうことをやったら承知しない、われわれの歴史を一人の不届き者によって傷つけられたということを私は実は熱情を込めて話をしたわけでございます。これにつきましては目下司直で調べておりますので、詳細はお答えすることはできませんけれども、本人は直ちに起訴されましたので、すぐに休職処分に付しまして、その後の情勢を見まして処分をいたしたいというふうに考えております。
#261
○星野力君 事件の詳細の内容を別に知りたいと思いませんが、また熱情をもって訓示なさることも、処分なさることも、これ、当然と思いますけれども、一体こういう事件の起きる要因というのがどこにあるか。心がけのよくない人は、科学技術庁以外の官庁でもこれはあり得ない問題ではございませんが、あの事件を報道などで見ますと、庶務室長という地位が相当大きな権限を持っておるように見受けられるんですが、機構の点からも、これは考えていくことがありはしないかと思いますが、どうでしょうか。
#262
○政府委員(成田壽治君) 原子力局の庶務室長、これは政策課の課長補佐でありますが、権限的には、文書の受付あるいは送付、あるいは官房の会計に対する支出の請求、あるいは一般の局内の取り締まり等、権限的にはそれほど強力なものではないと思いますが、ただ、長いこと、昭和三十九年からそういう仕事をやっておるとか、非常にベテランであり過ぎた点もあって、ああいう問題と関係が出てきたのではないかというふうに考えています。
#263
○星野力君 ベテランであることばけっこうなんで、ベテランであり過ぎるということはないことと思うんであります。やっぱり、これは何か機構、庁内の規定などの上で考えることがありはしないかと思います。あの監督下の団体の中の大ものであったところの分析化学研究所、あれは一体どのような仕事をしておる組織であるか、また、科学技術庁との関係はどのようなものであるか、これはごく大ざっぱでけっこうでございます。
#264
○政府委員(成田壽治君) 今度の問題の相手方と目されておりますところの日本分析化学研究所、これは昭和四十二年の三月三十日、財団法人日本分析化学研究所として科学技術庁の許可によって発足した団体であります。そして、この仕事としましては、科学技術庁の委託による放射能の測定調査、これが四割近い仕事を占めているんじゃないかと思います。その他、最近の水質等の公害関係の分析、これも、日本としても非常に権威ある分析研究所でありますので、公害関係の分析の委託も受けております。それから三番目としては、残留農薬分析。これは、農薬、これも公害関係でありますが、そういう仕事もやっております。それから四番目としては、いろんな鉱物、岩石等の化学分析。それからその他一般の人たちの依頼分析をやっております。それから、分析化学を基礎としたいろんな技術指導とか、地方公共団体等の関係者に対するいろんな指導とか相談とか、あるいは企業に対する相談、そういう仕事をやっておりまして、化学分析としては非常に日本としては最高の権威ある機関と一般的に見られておった団体でございます。
#265
○星野力君 そのような権威ある研究所であるだけに問題だと思うんであります。科学技術庁の委託費や補助金というよえなものが出て、それで仕事をしておるという関係が大きかったと思うんでありますが、まあ科学技術庁の予算から出る、そういう経費がそうたいした額ではあろうと思えないんですが、それにしてはずいぶん高い利子を払ってそういう仕事をやっておったというふうにも感ぜられます。ここの責任者はどういう方でございますか。
#266
○政府委員(成田壽治君) 財団法人分析研の理事長は木村健二郎さん、これは東大の名誉教授で、非常に化学の大家で、東大の名誉教授、非常にりっぱな学者でございます。それで、職員数は七十人ぐらいでありまして、それで今度贈賄容疑として逮捕されました浅利何がしは、ここの専務理事でありまして、これも非常に有名な分析屋で、まあ学歴もないんでありますが、東大の理学博士をもらい、非常に分析の大家として国内的には非常に有名な方であったわけでございます。四十六年度の収支決算額、まあ決算の額ですが、事業規模でありますが、二億三千万円ぐらいの事業をやっております。
#267
○星野力君 木村健二郎教授といいますと、先般クリプトン八五の問題で大臣が非常に期待しておられた方と同じではないかと思いますが、こういう、この分析科学研究所をはじめとし、そういう、今度関係したような組織はもちろんですが、いろいろな監督下のそういう機関に対しての今後の監督指導という問題もあろうかと思いますが、その辺についてお考えになっておられますか。
#268
○政府委員(成田壽治君) 従来も、この委託費、科学技術庁が出す場合には、補助金等の法律によって、厳正にやっておったつもりでありますが、こういう事態に関連しまして、今後はさらに一そうに、委託費の査定なり、また実際の監査におきましても、十分役所の委託費の趣旨に沿って行なわれておるか、十分に強化して監査して、そして二度とこういうことのないようにしていきたいと思います。また、組織体制の建て直しについても、やはりこれは科学的に公正な分析をやるべき研究所でありますので、一部のものの自由になるとか、そういうことでは非常に所期の公益法人としての仕事はやれませんので、組織体制の建て直しをやって、さらに厳正な分析、検討をして、りっぱな仕事をさしていきたいと考えております。
#269
○国務大臣(前田佳都男君) ただいま星野先生御指摘の木村という姓は同じでございますが、人が違いますので、誤解のないように……。
#270
○星野力君 お人が違ったのなら、私、失礼なことを言ってしまったと思いますが、それは訂正します。
 日本分析化学研究所、七十人ほど所員がおられるということでございますが、先ほど申された浅利専務理事、この人を中心にして運営されておるところだと、こう聞いております。浅利氏は、いま局長もお話しになったように、原潜の佐世保その他入港時の放射能測定調査では非常に活躍された方でありますし、こういう人を事件に巻き込んでしまって、今後こういう仕事の上に差しつかえはないものかどうか。横須賀に、アメリカの原潜の出入も非常に多くなってきておりますし、また、沖繩の海が、原潜からの放射能、特にコバルト六〇によって汚染され、その価が非常に高いものになっておるということが報道され、きょうの新聞では、またそれが誤りであったというような訂正報道も出ておりますが、どちらにしても、科学技術庁、こういう問題受け持っておられて、これからはこの方面でもたいへん忙しくなると思うんでありますが、その辺の手当てはだいじょうぶでございますか。
#271
○政府委員(成田壽治君) 御指摘のように、分析化学研究所は非常に重要な国家的な仕事をやっておるわけであります。これは、原潜の場合、あるいは核実験等の影響放射能の分析、各府県から、県の衛生研究所で採取した水とか、ちりとか、魚とか土壌等の分析がここで、それから原子力軍艦は寄港地においてやっておりまして、そういう意味で、この仕事が今度の問題によって非常に種々妨げられ、また、世間の信用を失うということになっては国家的にも非常に重大な影響を来たしますので、この事件の真相が早くわかり次第、この体制の強化、建て直しをやって、そしてさらに、まあ従来も分析としては非常に公正であったと思いますが、さらにりっぱな仕事をやって国民の信用を回復するようにしたいと、そういうふうな指導をやってまいりたいと考えております。
#272
○星野力君 分析化学研究所の仕事については、放射能の測定調査のほか、いろいろのことをやっておられるということ、先ほどお話ございました。この仕事に新しく、核兵器不拡散条約――この条約に私たちの党は反対でございますが、政府は早晩批准手続を進めるように聞いております。この批准を進める場合には、条約第三条の保障措置をやらなければならぬ。そのための核物質の管理システムをつくる作業、これをこの日本分析化学研究所にやってもらうことになっておったということを聞きますが、そうでありますか。
#273
○政府委員(成田壽治君) 非拡散、NPTの条約の批准については、まだ政府としても何にもきまっておりませんので、これに日本が批准して入るという前提でIAEAの分折をどこでやるかとか、そういうことば何らきまっておらないのであります。ただ、核物資管理センターという、これは日本で財団法人をつくって、これがいろいろな査察保障措置の仕事を政府と一体となってやることになっておりまして、ここを中心に、将来の査察に伴ういろいろな分析とか、あるいは保障措置のいろいろな仕事、ルーティンワークはここを中心にやらしたいと考えておりますが、その下での化学的な分析をどこまでやるかということは、何らきまっておらないのであります。
#274
○星野力君 核不拡散条約を批准するということは、政府としても、もうそう隠してはおらない問題だろうと思いますが、結局、それをやるとすれば保障措置に伴う準備を農めなければならない。それをここでやってもらおうという心がまえはお持ちのことだったと思います。それだけに、今度の事件はやはり重大な影響を持つと思うのであります。先ほども申しましたように言語道断の事件ではございますが、残念ながら特に珍しい事件ということでもないのでありますけれども、科学技術庁の場合は、その影響するところが非常に重大であるということを私心配するわけであります。そういう意味で、訓示もよろしゅうございますが、さらにこういうことを絶対にもう起こしてはいけないというような制度の上からの保障というようなこともひとつ考えていただいたらいいんじゃないかと思うわけでございます。
 時間がはんぱになりましたが、この問題、これで打ち切りまして、もう一つ、日本学術会議の問題についてお聞きしたいのであります。
 日本学術会議の活動は、総会とか委員会といったような審議活動が主でありますが、予算が少ないために、それもきわめて不十分にしかやられておらないということを私たちしばしば会員の方々からお聞きするわけであります。学術会議がまとめた資料をちょうだいしましたが、これ、少し古うございますけれども、昭和四十四年度の会議費用というものを見ますと、学術会議のほうで一応のこの理想としてあげた金額が八千六百八十三万三千六百七十円、これだけあると一応審議活動の運営ができるという金額でありますが、実際に使用できる予算額としては半分以下の四千二百七十六万二千七百九十三円、延べ四百十六回分の会議の費用であります。この予算に対して実際の使用状況は、五千百九十万二千六百五十五円、会議を三百五十回やっております、四百十六回でなしに。金額にして差し引き九百十四万赤字になっておると、こういうふうになっております。九百十四万円というものは、結局、会員あるいは出席される委員、それらの方々の手弁当というわけでありますが、これではいけないと思います。まあ、長官としても直接の所管ではないでありましょうが、科学技術行政の元締めである長官も大いにこれは関係のある問題、そういう立場の国務大臣ということで、ひとつこの問題をお考えいただきたいと思うんですが、いかがですか。
#275
○国務大臣(前田佳都男君) 日本学術会議の予算の問題でございまするが、私直接の――そんなことを言って逃げるわけではございませんけれども、直接の担当じゃなくて、これは文部大臣がやっておりますので、私、一般論としてお答えしたいと思います。
 科学技術者優遇と申しましょうか、処遇的にも優遇をしなければいけない、また、科学技術のいろんな諸団体等についても、いろんな会議をやったり、あるいはいろんな打ち合わせをやるとか、そういう費用あるいは研究費等につきましても少しでも多くしたいという熱意に燃えて、実は私、就任以来――去年の十二月二十二日に就任したわけでございますが、したがって、今年度予算は私直接にはタッチしておりません、編成には。しかし、今後においてもできるだけそういうふうなものもふやしていくべきであるというのが私の一般的な考えでございまして、いま学術会議がどうである、こうであるという、文部省の言っておることは私知りませんけれども、その点は私の科学技術についての考え方でございます。
#276
○星野力君 また新しい年度の予算の編成時期もやってくるわけでありますが、大臣、いま言われたような立場で、これは抽象的な立場でなしに、具体的な政策を貫くという姿勢で、ひとつ関係のある国務大臣として御努力願いたいと思うのです。
 学術会議の事務局の方、お見えになっていらっしゃると思いますが、少しみみっちいようなことをお聞きするわけでありますが、会議に出席のため、地方から上京なさる場合の会員の、あるいは議員の旅費支給というのはどうなっておるんでしょうか。私たちよく聞くんでありますが、遠方から会議のために上京される方、その中には年配の方もおられる。がしかし、財政の関係でグリーン車の切符をお渡しすることもできないし、A寝台に乗ってもらうこともできないんだ、こういう話ですが、そうでございましょうか。
#277
○政府委員(高富味津雄君) お答え申し上げます。
 私たちのほうは、まず、委員会等の出席ということになりますと、予算が出ますと、年度当初運営審議会で決定されまして、総会が二回、部会が何回、各委員会が何回というふうにきめていくわけでございますが、年度当初でございますから、まだ不確定な要素がございまして、また、先生方大いに会議をされるという面も出てまいりますものですから、最初はどうしましても大事をとりまして、グリーン料金はひとつ御辞退願いたいというふうに、またこれも運営審議会で決定していただきまして、上半期だけはとりあえずグリーン料金は今年度は御辞退していただくということにしているわけでございます。四十六年度あたりは、ずっとグリーン料金は支払ってまいったわけでございます。
 それからあと、A寝台の件でございますが、これは旅費規則で宿泊料として出しておりますので、寝台料金より高目でございますから、これはそのように御了解願いたいと思います。
#278
○星野力君 まあ、お聞きのようなことでグリーン車は乗れない。それから都内居住者の交通費も支給されておらないというのか、もらっておらないというのか、とにかく出ておらぬ。在京の国立大学教授など国家公務員の場合は、ほんとうにタクシー代も自分で出さなければならぬというようなこともしばしば聞くことでございます。間違っておったらあとでお答え願いたいと思います。
 時間がございませんので、お許しを得て、あと二、三分。
 会員手当、委員手当というものが予算の中にございますが、あれはどういう人に支給しないのでしょうか。
#279
○政府委員(高富味津雄君) 会員手当は、これはうちの会員先生は特別職でございますものですから、特別職の職員の給与に関する法律によりまして、学術会議の会員には公務員の方には会員手当を支給しないというふうに法律上なっているのでございます。それで、公務員といいますと、国公立の先生には会員手当は支給しておりませんです。
#280
○星野力君 まあ、いまおっしゃった特別職の職員の給与に関する法律ですね、それの十四条かの二項ですか、日本学術会議会員……。
#281
○政府委員(高富味津雄君) 一項でございます。一項の最後の二でございまして、日本学術会議……。
#282
○星野力君 というような規定だろうと思います。だから、私立大学の教授が会員である場合には、これは支給される、こういうことになると思うんですが、まあ国立大学の教授であろうが国家公務員であろうが、学術会議の会員として会議に出る、委員会に出る、まあ言ってみれば余分の仕事をしておるのだし、まあ普通の常識から考えると、これは出してもいいのじゃないかと考えられるんですが、会員は二百十名でございますね。そのうち支給されない人が、そうなると、かなりおると思うのでありますが、予算を見ますと、会員手当として四十八年度は千五百四万五千円計上されております。これが一体どういう基準で支給されるのか。会議に出席した人に一回幾らというふうに支給されるのじゃないか。私、時間がありませんから、みんなまとめて言ってしまいますが、それが二百十名に対する会議出席手当として組まれておる。実際は二百十名にやるわけじゃないんですね。相当数やらないわけです。それが四十八年度だけでなしに、四十七年度も四十六年度も二百十名として組まれておりますが、現行の法律では支給できない人が相当その中におる。当然残る。それを承知で毎年そんな予算を組んでおるんだろうと思いますが、そういうことでございますか。
#283
○政府委員(高富味津雄君) お答え申します。
 会員手当の予算は、手当が毎年少しずつ増額になりますものですから、それで若干の変動はございますが、これは各期ごとに、先生の、要するに会員手当を支給できる先生と、できない先生との比率が、だいぶ昔より変わってきましたんですが、その辺があまり手を入れてありませんものですから、大体同じような金額でございます。ただ、これ、三年ありますが、三年の間にたいぶ会員手当の支給を受ける資格ができてくる先生が――というのは定年近くの先生が多うございますから、逐次ふえております。
#284
○星野力君 もう一問です。
 いまの答弁、おかしいんでしてね。会員資格を新たに取る方々が三年の間におられるのは事実でしょうし、一方、会員資格を失う、国家公務員でなくなる方だっておられるだろうと思うんです。いまの御答弁では、私の質問に対して十分答えておられないと思うんでありますが、時間がないから、きょうはこれでやめます。またあらためてやろうと思いますが、私が申し上げたいのは、これは大臣、いまお聞きのような状態なんですよ。年配の遠方から来られる老学者、グリーン券も、グリーン車にも乗れないという状態で学術会議の仕事に参加しておられる。学術会議、これは日本の最高の学者がここに集まっておるべきところであります。それがそういう状態。学者は何も金持ちじゃないわけであります。いま言いました、先ほど出ました昭和二十四年の特別職の給与に関する法律、あの中に一行、日本学術会議会員等とかなんとかというのがあるのですが、昭和二十四年といいますと、あのドッジ・ラインの時代ですよ。この法律に限らず、けちけちした法律のたくさんできた時代でありますが、私、今日こんなものは再検討しなければいけないと思うんですよ。日本の学術の発展を望む上からでも、こういう点はひとつ考えていただきたいと、科学行政に関係のある国務大臣として、これは大臣にひとつお願いしておきますが、御感想いかがですか。
 私、これで終わります。
#285
○国務大臣(前田佳都男君) ただいま、先生と事務局長との問答をいろいろ聞いておりまして、その様子並びに先生のいまの御発言、その点を関係大臣にもよく話をいたしたいと思います。
#286
○委員長(渋谷邦彦君) 他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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