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1972/05/11 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 物価等対策特別委員会 第4号
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1972/05/11 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 物価等対策特別委員会 第4号

#1
第071回国会 物価等対策特別委員会 第4号
昭和四十八年五月十一日(金曜日)
  午後一時四十四分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
 五月七日
    辞任         補欠選任
     中西 一郎君     玉置 猛夫君
    ―――――――――――――
 出席者は左のとおり。
   委員長          山下 春江君
   理 事
                玉置 猛夫君
                長屋  茂君
                竹田 四郎君
                田代富士男君
                中沢伊登子君
   委 員
                川野辺 静君
                嶋崎  均君
                塚田十一郎君
                西村 尚治君
                伊部  真君
                大橋 和孝君
                中村 波男君
                渡辺  武君
   衆議院議員
       発  議  者  松浦 利尚君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       小坂善太郎君
   政府委員
       公正取引委員会
       委員長      高橋 俊英君
       公正取引委員会
       事務局長     吉田 文剛君
       経済企画政務次
       官        橋口  隆君
       経済企画庁調整
       局長       新田 庚一君
       経済企画庁国民
       生活局長     小島 英敏君
       経済企画庁総合
       計画局長     宮崎  仁君
       大蔵大臣官房審
       議官       大倉 眞隆君
       通商産業省企業
       局長       山下 英明君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉本 金馬君
   説明員
       大蔵大臣官房審
       議官       岩瀬 義郎君
       通商産業省繊維
       雑貨局雑貨第二
       課長       矢橋 有彦君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊
 急措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する規
 制措置等に関する法律案(衆議院送付、予備審
 査)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山下春江君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る七日、中西一郎君が委員を辞任され、その補欠として玉置猛夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(山下春江君) この際、おはかりいたします。
 塚田十一郎君から文書をもって都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山下春江君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(山下春江君) 御異議ないと認めます。それでは、理事に玉置猛夫君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(山下春江君) 次に、
 生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案
 生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する規制措置等に関する法律案
 以上両案を便宜一括して議題といたします。
 まず、順次趣旨説明を聴取いたします。小坂経済企画庁長官。
#7
○国務大臣(小坂善太郎君) ただいま議題となりました生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 最近、世界的な原材料の一時的供給不足、過剰流動性等を背景として、わが国内においても、投機的な需要が発生し、これが一部の生活関連物資にも及んでおりまして、これらの物資の価格の高騰は、国民生活の安定にとって重大な脅威となっております。
 このような現下の情勢にかんがみ、政府としては、緊急輸入の促進、政府在庫の放出、商品取引所の規制、過剰流動性の吸収等の諸施策を行なっておりますが、これらのもろもろの行政措置にあわせて、これらを補完するものとして、自由主義経済における企業活動の自由との調整をはかりながら、行き過ぎた企業活動に対してこれを抑制する措置をとることは、当面の緊急課題でありまえ
 この法律案は、このような観点から、生活関連物資の価格の異常な上昇を招来するような買い占めまたは売り惜しみを防止するため、特定物資について、企業に対する立ち入り検査等を行なうとともに、買い占めまたは売り惜しみを行なっている者に対し、勧告・公表を行なう等の緊急措置を定めることにより、国民生活の安定に資せんとするものであります。
 次にその要旨を御説明申し上げます。
 第一は、特定物資を指定することであります。
 生活関連物資の価格が異常に上昇しまたは上昇するおそれがある場合において、買い占めまたは売り惜しみが行なわれまたは行なわれるおそれがあるときは、その物資を特別の調査を要する物資として政令で指定いたします。
 第二は、特定物資についての調査であります。
 指定された特定物資については、内閣総理大臣及び主務大臣は、その価格の動向及び需給の状況に関し、必要な調査を行なうこととしておりま丈
 第三は、買い占めまたは売り惜しみを行なっている者に対する勧告及び公表であります。
 すなわち、内閣総理大臣及び主務大臣は、特定物資の生産・輸入または販売の事業を行なう者が買い占めまたは売り惜しみにより、その物資を大量に保有していると認められる場合には、その者に対し、内閣総理大臣及び主務大臣の定める基準に従い適当と認められる売り渡し先及び売り渡し価格を指定し、期限を定めて、その特定物資の全部または一部を売り渡すべきことを勧告することができるとともに、その勧告に従わない者については、その旨を公表することとしております。
 第四は、買い占めまたは売り惜しみを行なっていると認められる者等に対する立ち入り検査等についてであります。
 内閣総理大臣及び主務大臣は、必要な限度において、特定物資の生産・輸入もしくは販売の事業を行なう者に対し、その業務に関し報告をさせ、またはその職員に、これらの者もしくは特定物資を保管していると認められる者の事務所・倉庫等への立ち入り検査を行なわせることができることとしております。
 このことにより、当該事業者の実態把握ができるとともに、自後の適切な措置が可能となると考えます。
 第五は、価格調査官の設置についてであります。
 すなわち、立ち入り検査等の職務を行なわせるため、経済企画庁及び主務省に価格調査官を置くこととしております。
 以上のほか、罰則等の所要の措置を定めております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願えいたします。
#8
○委員長(山下春江君) 衆議院議員松浦利尚君。
#9
○衆議院議員(松浦利尚君) ただいま議題となりました日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党四党提出生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する規制措置等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 最近における卸売り物価の上昇は、残念ながら田中内閣の無策ゆえに暴騰に一そうの拍車をかけ、日銀統計によれば一月の上昇率は前月比一・五%高、二月は前月比一・六%高、三月は前月比一・七%高としり上がりに騰勢が強まり、終戦直後を除けば戦後最高に達し、年頭初から実に上昇率は五・一%に達しております。
 この急激な卸売り物価の上昇が消費者物価に重大な影響を与え、統計局の発表によっても三月は前年同月比九%という異常な値上がりとなり、国民生活に深刻な打撃を与えています。
 この最大の原因が田中総理の的はずれな日本列島改造論から来る大型財政、金融の超緩和、そして巨額な過剰流動性にあることは明らかです。それが土地、株価の異常な高騰に拍車をかけ、投機とインフレ・ムードをつくり出しています。こうした中で、買い占め売り惜しみの投機商法が助長され拡大していることを何人も否定できません。大豆、木材、羊毛、生糸、綿糸、セメント、鮮魚から米、果てはガーゼ、植樹用樹木まで、ありとあらゆる物資がいまや買い占め売り惜しみの対象になっています。
 これほどまでに事態を悪化させ、しかもそれを放置してきた責任はだれにあるのでしょうか。それは数多くの提言にもかかわらず、それを実行しなかった政府行政主体に問題があることは言うをまちません。国民生活に直結する生活関連物資を安く買い占め、高く売り込んだり、あるいは買い占め売り惜しみによって高い利得を得る企業に対して、自由経済、資本主義経済だということだけで国民が容認するでしょうか。国民は価格が暴騰したからといって購入しないで済むものではなく、現物が不足しているからといって済まされるものではありません。こうした問題に対して、おのずからきめられたモラルとしてのルールを守らせること、すなわち、生活関連物資の買い占め及び売り惜しみに対する規制措置等を定めることにより、国民生活の安定の一助に資することを目的として、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な政府案との相違について御説明いたします。
 第一に、政府案にはありませんが、規制することを明らかにした生活関連物資については生産、輸入、販売業者に買い占め売り惜しみで不当利得をしてはならないとの義務規定を設けていることであります。
 第二に、政府案は特別調査物資指定の解除を認めていますが、野党四党案では認めていないことであります。
 第三に、政府案では勧告する場合「多量に保有している」場合としておりますが、野党四党案では「多量」は条件としていないことであります。
 第四に、政府案にはない売り渡し命令を定めていることであります。
 第五に、経済企画庁長官に主務大臣に対する資料提出、説明要求権を認めていることであります。
 第六に、都道府県知事に意見具申権を認めていること。
 第七に、政府に国会に対する報告と公表を義務づけていること。
 第八に、総理府に学識経験者による生活関連物資規制審議会を設けていること。
 第九に、総理大臣及び主務大臣の権限を都道府県知事に委任できることを認めていることであります。
 最後に、売り渡し命令に違反した者は二年以下の懲役または五百万円以下の罰金、虚偽報告、検査拒否をした者には一年以下の懲役または二百万円以下の罰金を課するなど、きびしい罰則を定めていることであります。
 以上が日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党四党提出の生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する規制措置等に関する法律案の趣旨でございます。
 何とぞ、十分な御審議の上、全会一致で野党四党提案に賛成されるようお願いいたします。
#10
○委員長(山下春江君) これより生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案について質疑に入ります。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
#11
○塚田十一郎君 お尋ねいたします。
 与党は時間の制限が相当ございますので、私に割り当てていただいた時間はおよそ一時間ということでございます。私も簡潔に要点をつまんでお尋ねを申し上げますから、御答弁も簡潔にひとつお願いいたしたいと思います。
 まず第一に、この法案がどういう事態を規制をしようという考えでいられるのか。そう申しましても何を聞いているかよくおわかりにならぬかと思うので、少しふえんして自分がお尋ねしたい気持ちを申し上げますが、幸い、最近、問題になっておる商社がいろいろな決算の結果を発表いたしました。そうしてその中で、木材で相当大きな利益を上げておるということも明らかになっております。そこで、あの商社が、大商社が木材についてあれだけの利益を上げるような結果になったあの過程においてこの法案を適用するような事態があったかという点についてお尋ねをいたします。
#12
○政府委員(小島英敏君) 現在、おっしゃるように、ピークに比べますと、木材価格は反落傾向を示しておるわけでございますけれども、昨年の八月以降ことしの一月ぐらいまで、非常な勢いで暴騰いたしましたが、しかも、その間にどの段階で買い占めがあったかということは、なかなか明確にはいまの段階でも立証は困難でございますけれども、おそらく当時の価格の上昇状況を考えますと、当然、当時この法律が施行されておりますれば、指定物資として指定したことになったであろうということでございます。
#13
○塚田十一郎君 私は残念ながらその認識が違うのでありまして、私は、おそらくこの法律が当時できておってもあの事態はこの法律では規制できなかった。それで勧告、公表というとこまではもちろんいけない、こういうように私は自分で思うんです。ということは、もしそうであるとすれば、この法律はなかなか、非常に物価の異常な上昇の事態をとらえて、政府が何か方法を考えなきゃならぬといって御苦心なさっておる点は、この法案提出の御趣旨として、気持ちはわかるのでありますが、しかし、この法案がかりに通ったからといって必ずしもああいう事態は規制できない。原因はほかにあるし、このような法律ができたからといって、政府が根本の対策を怠られてはならぬのではないかと、こう思っております。と申しますのは、私は、いろいろ私も及ばずながら調べておるのでありますけれども、木材があのように値上がりをしました事態というものには、一方、供給の側に、かなり、やはりこちらが考えるように幾らでも買えるという事態でなかったと承知をしておるのであります。一方、今度需要の側には、たまたま政府の住宅政策などというものもあって、あれはあの当時一政府のあの考え方をどこまでも突き詰めて、こういう事態、こういう政策でいったらば相当木材需要がふえるであろうということは私はわかったはずだと実は思うんですが、とにかく十分その手配ができておらなかった。商社のほうは、しかしこれは相当木材需要がふえるだろうからというので買えるだけ買ったと私は思うんです。そこで、その段階でこういう見通しで商社が買った場合に、この買い占めになるかどうかです、この辺、どうでしょうか。
#14
○政府委員(小島英敏君) あの状態で商社が買うこと自体は、それ自体で買い占めと断ずることはできないと思います。
#15
○塚田十一郎君 そこで商社が現地において買いました木材というものは、それが日本の港へ来るまでに三カ月ないし六カ月経過をするといわれております。時間がかかるといわれております。この三カ月ないし六カ月の間の事態、時期が、期間の経過が私は問題だと思うんです。この間に国内の需要増というものが原因してこう上がった。したがって、商社は何も自分で買い占めもしくは売り惜しみという気持ちで押えていなくとも、港へ入ったものをすぐ売っても、やはり相当な値段に売れたと思うし、したがって、利益が出てくるという結果が出たと思うんです。私は、したがって、この法律ができておっても、あの事態はほとんどこの法律では規制できない形ではないかと、こういうふうに思うわけですが、その点、いかがでしょう。
#16
○政府委員(小島英敏君) おっしゃるように、この法律があったとして、木材を指定物資として指定されたといたしまして、あるところに買い占めの事実があるからということが立証されて、そこで勧告までいったかどうかという点は、おっしゃるように、かなり問題があると思います。ただ、この法律は必ずしも勧告を出すことだけが目的でございませんで、その前に実態を正確に認識して、いまの情勢ですとなかなか一般的な調査権限しかございませんのを、この法律に基づいて最後は立ち入り検査までできますということをバックグラウンドにして、各関係者から資料を要求し、話を聞き、必要があれば立ち入り検査をするということでございますので、当時の状況を――これは一種の仮定の話でございますけれども、ああいうふうに値が上がってまいりました場合には、この法律で指定されれば、関係の業者から相当こまかい事情聴取がまずできるわけでございます。そういたしますと、当時としては、確かにおっしゃるように、木材自身が需給逼迫で、基本的に値上がりする事情があったわけでございますけれども、各商社別にいまの輸入の契約がどうなっていて、今後どんなテンポで物が入ってくるかというようなことが、当時は実はわれわれが農林省を通じて、林野庁を通じてそういう話をぜひ把握したいと言いましても、そういう実情がさっぱりつかめなかったわけでございます。ところが、そのために先行きについての需給見通しが非常にはっきりわからないために、新聞等でも大々的に書かれますし、一般的に木材の先行きはたいへんなことになるというムードが非常に一般化してしまって、それがまた仮需要というものを生んでますます値をつり上げる、そういう悪循環があったわけでございますので、もし当時において先行き等に、近い将来についてもそういう需給がかなり緩和し得るという見通しがはっきり役所のほうでつかまえられるといたしますと、これは最近やっておりますように、需給の見通し等について消費者情報等を公表するというようなことをいたしますれば、あれほど買い気をあおって、需給の逼迫、したがって木材価格の暴騰を生ずるということは、決して一〇〇%防げるとは思いませんけれども、相当程度やはり水をかけることができたのではないかというふうに思っているわけでございまして、必ずしもここに買い占めがあるからといって勧告をするということだけがこの法律の目的でございませんので、そういう意味では私はやはり当時からこの法律があればかなり効果があったのではないかというふうに思っておるわけでございます。
#17
○塚田十一郎君 話が、企画庁としてはなかなか各省に協力を要請したけど調査ができなかったというお話で、いまの企画庁と他の省との関係からするとおそらくそういうこともあったろうと私は思うんです。
 そこで、調査の問題に飛びましたので、ほんとは条文を順を追ってお尋ねしていこうと思ったんですが、三条の「(調査)」というところからひとつお尋ねをしてみたいと思うんです。ここには「内閣総理大臣及び主務大臣は、前条第一項の規定により指定された物資について、その価格の動向及び需給の状況に関し必要な調査を行なうものとする。」と、こう書いてありますから、この調査は、この調査が行なわれるためには、まず第一に特定物資という指定がある物資についてなされなければならないと。指定があったときに初めてこの調査を行なうと、こういうことに書いてあるのですが、これは私は非常におかしな規定だと自分では思うんです。政府が、ことに私は企画庁が国民生活の安定というものを考える立場からすれば、少なくとも生活関連物資というようなものについては、この法律があろうがなかろうが、調査をしておられなければならないし、また、それがやろうと思ったけどできなかったというわけには私はいかぬのじゃないか。私は、むしろこの条項を読んでみて、こういう考え方でいられたから、いままで当然調査をしておくべきものを調査をしていなかった、それが生活必需物資についても先行きの見通しが十分立たないままに、今日の需給のアンバランスからくる物価高というものが招来されたんじゃないかと私は思うんです。この第三条の規定というものは一体どういう意味のものなんですか。これがなければ調査はできないし、しないでいいというお考え方のものなのかどうなのか。それともただ一応念のために入れたという感じのものでしょうか、この点、どうでしょうか。
#18
○政府委員(小島英敏君) おっしゃるように、三条の調査は任意調査でございますので、こういう法文がなくても当然企画庁及び主務大臣といたしましてはそういう問題の物資についてはマクロ的な調査を中心として調査をしなければいけないことは言うまでもないわけでございまして、私どもも別に法律がございませんでも、この程度の調査は当然行政上の必要に応じてやらなければいけないし、現在でもできる限りのことをやっておるつもりでございます。ただ、先ほどの木材の例について申し上げたように、当時はどうも林野庁自身がそういう商社から十分な先行きのデータが取れなかったという状況でございまして、どうもやはりこういう法律が施行されて、三条の任意調査があり、さらに五条に、これは立ち入り検査までいく前の一種の強制的な報告聴取があるわけでございますので、こういうものをバックグラウンドにして、別にこの五条のほうの、もし従わなければ罰則がつきますというような報告聴取をそのまま第五条に基づき何々報告をしろということを言わなくても、三条の任意調査がございますと、ある程度三条に基づく要求であるということを言えば、全然何もないよりもやはり事業者からデータの聴取その他が非常にやりやすくなるということでございますので、三条はそういう意味のものも含めた任意調査であるというふうに思っております。
#19
○塚田十一郎君 これね、私、三条の「(調査)」というものを「この法律に基づく調査」というように狭く考えていられては、いま局長が、これがあれば、これに基づく調査だからと言って協力を求められると言われましたけれども、私はそういう考え方ではやっぱりいかぬのじゃないかと思うんです。ことに、さっきも申し上げましたように、少なくとも生活必需物資の、たとえば木材の場合には大部分輸入に仰いでおる日本の状況ですからして、輸入の大きな相手国の状況がどんなだかということ、それからして、さらに今度、需要については、これは一番大きくは住宅建築などが原因をしておると思われるから、住宅に対して政府がどういう政策をとっておるか、毎年毎年新しくこれくらいの住宅を建てると、さらにこれに対する金融の裏づけは、住宅ローンというものを非常に奨励をされて、おのずからこれは大体のことは何も商社に協力をしてもらわぬでもわかられると思うんです。ですから、私はこの三条ができたから、この三条の調査がこの法律を施行する上の調査であるというように狭く考えられずに、もっと大きく、生活関連物資の調査というものは少なくとも企画庁としては責任を持っておやりになっておられなきゃならぬし、また、それに対して関係の部課が十分な権限を持ってないとすれば、どういうぐあいにそれらの点を補強するなりなんなりしてやるかということをお考えにならないと、もともとこれは売り惜しみ、買い占めを押える法案ではなくて、物価の異常な値上がりを押えて国民生活を安定させようというねらいなんですから、ただ売り惜しみ、買い占めさえ押えられればいいというような狭い考え方にならぬでそれらの点をひとつお考えいただきたい。いまの企画庁の機構で、もしくは他の省の協力をかりてもそういう調査ができませんか、大きく見た需給状況の調査。
#20
○政府委員(小島英敏君) 先ほども申し上げておりますように、私どもはこの法律の三条がございませんでも、当然マクロ的な調査は本来の仕事としてやらなければいけないと思っております。現在でも、これは生活局だけでございませんで、調査局も一環でございますし、調整局も同じでございますけれども、企画庁自身として物資別のマクロ調査というものは当然ある程度やっておるわけでございまして、しかも、この段階では、この間も実は各省連絡して物資別の需給及び価格動向の調査というものをまとめまして、これは消費者に対する情報を流すという意図からまとめたものでございますけれども、基礎的にはもちろん物資を所管している省庁からのデータに基づいて共同してそういうものを調査するということになるわけでございまして、先ほど来お話が出ております木材に関しましては、確かに基本的に昨年末の暴騰というものはやはり木材に関する需給見通しの誤りということが最大の原因であったと思います。これは、昨年までは実は林野庁中心でそういう作業が行なわれておりましたが、昨年の経験にかんがみまして、今後は企画庁の非常に密接な協力を得てそういう木材に関する物資別の見通しを立てようということになって、現在会もできておりますので、今後はかなり企画庁も、そういう各省の行政の面に関与する、一種の見通しについてもタッチすることに相なるかと思いますけれども、十分企画庁自身でマクロ的な、各物資についてのマクロ調査というものは、これは本来の仕事としてやってまいらなければいけないというふうに思います。
#21
○塚田十一郎君 十分お気をつけいただくことにお願いをしまして、その点は打ち切りまして、次の問題に移ります。
 次にお尋ねしたいのは、この法律と物価統制令の関係がどういう関係になるのかということであります。と申しますのは、私も物価統制令――近年非常に不勉強でありまして、物価統制令というのは、物に統制価格があって、その統制価格を越えて売買をしたというような場合にあの法律が適用されるんだとばかり思っておったんです。ところが、今度よく読んでみると、あの法律の中に、買い占めまたは売り惜しみをやっちゃいけないという規定が一条あるんですね。あの法律は第一条に、「本令ハ終戦後ノ事態二対処シ物価ノ安定ヲ確保シ以テ社会経済秩序ヲ維持シ国民生活ノ安定ヲ図ルヲ目的トス」、やっぱり国民生活の安定をはかるというのが物価統制令の目的でもある。それと同時に、十四条に、「何人ト雖モ業務上不当ノ利益ヲ得ルノ目的ヲ以テ物ノ買占又ハ売惜ヲ為スコトヲ得ズ」とこう規定しておりまして、物価統制令にも売り惜しみ、買い占めを規制する法律があったということをようやく思い出したわけでありますが、しかも、物価統制令の場合には、いまのこの「買占又ハ売惜」に違反した場合の罰則がありまして、この三十五条に、「五年以下ノ懲役又ハ五万円以下ノ罰金」という罰則までついている。そうすると、同じように売り惜しみ、買い占めという状態を規制対象にしておられる今度のこの法律とこの物価統制令との関係が一体どういうことになるのか。いままではこの法律はあってもなきがごとくで、ほとんどこの法律にのっとって、たとえば売り惜しみ、買い占めという事態が出てきても規制はされなかった。あるいは売り惜しみ、買い占めという事態がここしばらく出るほどの物価高騰はなかったということかもしれません。しかし、今度とにかく売り惜しみ、買い占めを規制しなければならない事態があり得ると想定してこの法律をおつくりになったときに、この物価統制令とこの法律を、どっちを優先的にあれされるのか。あるいは、後法が前法を改廃するという法理論の一般原則で、この法律にできた範囲においてこの物価統制令の規定というものはもうこれは適用されないという考え方なのか、この辺をちょっとお聞かせいただきたい。
#22
○政府委員(小島英敏君) 物統令は、おっしゃるように三条、四条関係のいわゆるマル公をきめる部分というのは、現在大部分のものが解除されてまいりまして、アルコールの価格と浴場料金というものしか残っていないわけでございます。ところが、いまおっしゃいましたように、九条ノ二の不当高価格取引の禁止、それから第十条にございます暴利行為の禁止、それから第十四条にございます買い占め、売り惜しみ等の禁止、それらの規定はそういうマル公がございませんものについても一般的に生きているわけでございまして、現在までのところでも、たとえばダフヤの行為というようなもの、これは非常に評判の高い興行なんかに関してダフヤがまさに買い占めを行なって、それを定価の二倍にも三倍にも売るというようなことを行なった場合にはこの物統令に基づいて摘発が行なわれているわけでございます。そういう場合に、やはり物統令の本法と違います一番のポイントは不当性の問題ということが入ってくるわけでございまして、やはりこういう物統令に基づいて刑事的に訴追いたします場合には、暴利――まさにある線を越えて不当な利益であるという意味の暴利というものの判断、あるいは買い占め、売り惜しみというものについても、一般的な買い占め、売り惜しみではなくて、不当な利益を得るための買い占め、売り惜しみであると、そういう要件が必要になるわけでございまして、したがって、やはり相当はっきりした不当性というものが立証されませんと物統令をそのまま適用するわけにいかないということもございまして、現在までのところ十四条の発動というものは例がないわけでございます。本法の場合は、そこが実は行政措置を補完するための法律という一種の立場をとっておりまして、不当性の立証ということになりますと非常にこれはやはりむずかしい問題がございます。やたらに発動いたしまして行政訴訟を起こされますと負けてしまうおそれがあるというようなことでございますとなかなか摘発できないわけでございまして、本法はそういうシビアな行政訴訟等起こされる心配のない措置を前提にして組み立てられておりまして、あくまでも、不当でなくてもやはり大きな企業が大量の買い占め、売り惜しみ等を行なって、それによってその物の価格が暴騰して国民生活に悪影響を及ぼしているという事態がありますれば、この法律を発動して、要するに物資の最後の段階では放出を勧告する、聞かなければ公表をすることによって社会的制裁を加えるという一種の間接的な強制力によって物の流れを正常化させるというところにねらいがございまして、刑事的な訴追を目的とするものでないわけでございます。そういう意味で物統令というものは相変わらず生きておりまして、本法のうしろに控えていて、本法でやりまして――何もない場合に比べますと、むしろ本法が間に入って行政的に立ち入り検査等をやりますと、どうも極端な場合は、非常にどうもあそこは不当性が認められるのではないかというようなことが心証として得られますと、これは別途司法当局が物統令に基づいてあらためて訴追をするということも十分考えられるわけでございまして、そういう意味では二段がまえのかまえになっているということであろうかと思います。
#23
○塚田十一郎君 有名な物価統制令がダフヤを取り締まる法律になっていたとは知らなかったので……。ただ、この法律がむしろダフヤなんかを取り締まるということのほうがおかしいじゃないかと私は自分でわかります。というのは、さっきも申し上げましたように、一条には「国民生活ノ安定ヲ図ル」ということが目的になっておるんですからそれは別としまして、不当性の点について問題が、区別があるんだということでありますが、常識的に買い占めまたは売り惜しみ、しかも異常な物価上昇が起こっておるか、もしくは起こるおそれのある状況でこういう事態というものが行なわれるときに、買い占めまたは売り惜しみというような行為が行なわれるときに、当然不当性があるというような判断はできませんか。
#24
○政府委員(小島英敏君) やはり不当性ということを申しますには、かなりはっきりした、程度を越えてひどいものでないとなかなかやはり不当であるとは言えないと思います。社会的責任という意味では、最近の商社のような動きというものも確かに指弾の対象になり得ると思いますけれども、これは法律的に不当だときめつけることができるかどうかということになりますと、かなりやはり問題があるように思います。
#25
○塚田十一郎君 まあ、この辺にいたして、いよいよ法案に入りますが、そこで第一条に「生活関連物資」というものを考え方として出されまして、その中に一応の例として「食品、繊維、木材その他の国民生活との関連性が高い物資」と、こういうことをいわれたのですが、たとえば食品といえば肉類、魚類、野菜類、米、大豆、この辺はまあ大体そうじゃないかと思うんですが、飼料はどうでしょうか。
#26
○政府委員(小島英敏君) 飼料も生活関連物資の中に含めて考えております。
#27
○塚田十一郎君 次に、この「繊維」という概念の中には、綿花、綿糸、生糸、羊毛、毛糸、それから、それらのものからできる織物、この辺までは考えられるかと思うんですが、その織物をさらに加工して、一応でき合いの服というようなものになったときはどうですか。
#28
○政府委員(小島英敏君) まあ、服になりますとなかなか、柄もありますし、買い占めというようなことの対象になるかどうかという点で、かなりむしろそういうケースは少ないんではないかと思います。ただ、この間も法案をつくっております過程で問題になりましたのは、たとえばガーゼのようなものが、まあ最終末端製品ではありますけれども、しかもそのCPIのウエートなんかからいえばそれほど大きなものではございませんけれども、もし買い占め等の結果、価格が暴騰するというようなことになっているとすれば、これはやはり人間の健康に関連する物資でもございますから、生活関連物資の中に当然含めて考えていいんではないかというようなことを言ったわけでございまして、必ずしも末端製品を除くという意味ではございません。
#29
○塚田十一郎君 それでまあ木材が次にあげられていますが、ここにはおそらくセメントとか鉄材とか、そういうものも考えられるかと思うんですけれども、土地はどうお考えですか。
#30
○政府委員(小島英敏君) 土地はどうも一般商品と比べますとそのものの性格自身がかなり違いますし、それから現在行なわれつつあります政策の体系も異なっておりますので、これは別途の法律で、現在国総法を考えておりますけれども、そちらの体系で考えるということでございまして、この法律の対象としては土地は考えていないわけでございます。
#31
○塚田十一郎君 それでは次に第二条に入りまして、二条は特定物資の指定に関する規定でありますが、ここを読んで見ますと、特定物資の指定の行なわれる場合には、まず第一に「生活関連物資の価格が異常に上昇し又は上昇するおそれがある場合」、これが一つの要件それから「当該生活関連物資の買占め又は売惜しみが行なわれ又は行なわれるおそれがあるとき」、これが第二の要件。この物資に特定物資であるという指定が行なわれるためには、この二つの要件が要るという考え方であるかどうか、ちょっとお聞かせいただきたい。
#32
○政府委員(小島英敏君) おっしゃるとおりでございます。
#33
○塚田十一郎君 そうすると、実際問題としましては、価格が上昇しつつある場合、または上昇するおそれがある場合には、必ず買い占めまたは売り惜しみが行なわれるおそれがあると見ていいと私は思うんです、これはもう経済常識でございますから。だから、指定の場合の要件に、この第二の買い占めまたは売り惜しみの事実が出てきて初めて指定をするというのでなく、価格上昇の事実、または「おそれがある」という判断ができたらば、いち早く私は指定をされておくほうがいいんじゃないか。したがって、第二の要件を物資指定の要件にお加えにならぬほうがいいのじゃないか。これまで明らかに買い占めまたは売り惜しみの事実が出てきたということの認定がつかぬければ指定ができないというのではどうしても手おくれになると私は思うんですが、これはどうでしょうか。
#34
○政府委員(小島英敏君) やはり物によりましては、性格上買い占めの対象になり得ないものもあると思います。生鮮食料品なんかはかなり、特に野菜類なんかは明らかにそうでございますし、やはり保存のきくもので初めて買い占めの対象になるということもあると思いますので、やはり価格が暴騰し、「異常に上昇し又は上昇するおそれがある場合」というだけでは不十分ではないかというふうに思います。しかし、先生おっしゃるように、そういう場合にはなるべく早期に発動すべきだという御趣旨は私たちも同感でございまして、その意味でこの第二のほうの「行なわれ又は行なわれるおそれがあるときは、」というほうはかなり弾力的に考えていいのではないかというふうに思っております。
#35
○塚田十一郎君 そこで、そのいまの価格上昇にこの法律は「異常」なるという形容詞を一つつけておられるようですが、「異常」というのは一体どういうことなんですか。また、異常であるかないかという判断は何か基準があってすることができるか。それから同じく「異常」という感じでも、私は品物を扱っている業者の側の「異常」という感じと、それを買う消費者の側の「異常」という感じと、かなり受け取り方が違いがある。消費者はもう異常な上昇だと言っても、なにそんなことはないと事業者が言うかもしれない。その辺、どんな基準で御判断になるか、その辺をお伺いします。
#36
○政府委員(小島英敏君) おっしゃるように、「異常」というものが客観的にどの程度かということは非常に申し上げにくいわけでございまして、どうしてもこれはやはりケース・バイ・ケースに考えざるを得ないというふうに思っております。一律に前の月に比べて何%上がったら異常かというようなことをあらかじめきめてしまって、画一的に適用するというふうにはなかなかまいらないのではないかというふうに思います。それから、価格の上がり方自身だけでなくて、たとえば海外の原料価格が非常に暴騰した場合には、国内の価格がある程度激しい上がり方をしても、それがリーズナブルなものである場合もあるわけでございまして、この辺がやはりなかなか原因追及と申しますか、どうもやはり、国内的な上がり方がまさにアブノーマルであるという判断があって初めて本条の構成要件になるということでございますので、なかなかやはりケース・バイ・ケースに判断せざるを得ないということでございます。
#37
○塚田十一郎君 私はこの法律の、まあ法律自体のねらい、したがって、この法律の適用を受ける相手方からの感じとしては、買い占め、売り惜しみをしておったら勧告を受けて公表を受けると、こういう形ですから、その前段階、つまり生活必需物資が上昇の事実が出てきた、あるいは今後さらに上昇するおそれがあるといったときには、少なくとも私は指定までの段階はそんなにおっかなびっくりでなくて、あぶないと思ったら早く指定なさって、早く調査をされて、そうして適切に手を打たれるのでないと、なかなかこれ――この法律は、最後の勧告を受ける段階までいっちゃったら私はほとんど実効ないと思います。これはいまの四条規定をお尋ねいたしますけれども、勧告を受けそうになったらばぽんと売っちゃったらこれはどうにもならないと私は思うんですが。ですから、早目に手配して勧告までにいかないようにされることに重点がなければならないと思うので、したがって、あまり異常であるかないかというような解釈で指定に手間どられないようにひとつ御注意願うほうがいいんじゃないか、こういうふうに自分としては思いますが、いかがでしょうか。
#38
○政府委員(小島英敏君) 私もおおむねそのように考えております。非常に貴重な御意見であると思います。
#39
○塚田十一郎君 それでは次に第四条に行かしていただきます。
 そこで、この四条ではまず第一に勧告を受ける人をきめております。「特定物資の生産、輸入、又は販売の事業を行なう者が」と、こうあります。輸入をする者はまず大体商社だなということはわかります。販売をするというのはそういう物資のまあ、俗にいわれている問屋さん、一次問屋、二次問屋ということかと思うわけですが、「特定物資の生産をする者」というのは一体どういうことだろうか。そこで、その「生産をする者」という中に、たとえば羊毛、綿糸が指定をされているという前提があったらば、紡績業者、これが「特定物資の生産をする者」ということになるのか。もちろん、できた織物が特定物資で指定を受けていれば紡績業者がなろうかと思うのですが、その辺の関係はどうなっておりましょう。
#40
○政府委員(小島英敏君) たとえば、セメントという例がいいか悪いかわかりませんけれども、そのものが指定されました場合に、セメントの製造業者がつくったままでいつまでも値上がりを目的として製品在庫の形でかかえているというようなケースを排除するために「生産」というのが入っているわけでございます。
#41
○塚田十一郎君 そうすると、これは仮定の話で、おそらくそういう事態は出てこぬと思うのですけれども、羊毛とか綿花が指定をされて、毛織物、綿織物が指定されないという事態は出てこぬと思いますが、かりに羊毛、綿花だけが指定されて、織物が、綿織物、毛織物が指定されていないと紡績業者はかかりませんか。ということは、紡績業者が自分の工場で原料に使うために持っておる、それが普通の常識を越えてかなり大量に持っているというときに、これは適用されますか。
#42
○政府委員(小島英敏君) その場合はメーカーは入らないわけでございますから、対象にならないわけでございます。
#43
○塚田十一郎君 同じようなケース――蛇足になるかもしれませんが、たとえば生糸が特定物資に指定されておる、この場合の製糸業者はどうですか。さらに、かなり大きく養蚕の事業を行なっている者があったらどうですか、入りますか。
#44
○政府委員(小島英敏君) ちょっともう一回お願いいたします。
#45
○塚田十一郎君 生糸が特定物資に指定されているという前提があると、その場合の製糸業者、繭から糸をつくっている業者、それからしてさらにそのもう一つ前の段階の蚕を飼って繭をつくっておる者は入りますか。「特定物資を生産している者」という概念に入りますか。
#46
○政府委員(小島英敏君) 生糸としては製糸業者は当然入ると、この「生産」というところで読むことになると思います。それから、養蚕業者は入らないと思います。
#47
○塚田十一郎君 それじゃ同じような概念で、肉類が非常に上昇してきて特定物資になったという場合に、放畜業者まではそれはいかないと、それから、魚類が非常に上がってきたというときに漁業者まではいかないと、木材が上がったから山で木を植えて林業を営んでいる者まではいかないと、こういうように解してよろしゅうございますか。
#48
○政府委員(小島英敏君) 木材を製品在庫の形にして持っていれば入るわけでございますけれども、一般的に植林業者というような形では入らないということでございます。
#49
○塚田十一郎君 次に、もう一つ、この勧告の対象になりますためには、「事業を行なう者」という制限があるわけです。事業として、事業を行なうために持っているのではなくて、事業をやっていない者が買って持っていたらどういうことになりますか。
#50
○政府委員(小島英敏君) やはり事実認定の問題でございますけれども、一回限りでしろうとが持っているというようなものは入らないというふうに思います。
#51
○塚田十一郎君 それでは次に、勧告の対象になるような状態、この状態は、この四条によりますと、「買占め又は売惜しみにより当該特定物資を多量に保有していると認めるとき」、こういうときと規定されております。そこで、これをすらっと読んでおりますと、「保有している」というのは一体どういうことだろうか。「保有」という以上は、所有権を持っていて、それをある期間やはりそのままにしておく、こういう状態がなければならないかと思うのですが、その辺、いかがでしょうか。
#52
○政府委員(小島英敏君) これは所有という意味で「保有」ということばを使っているわけでございます。
#53
○塚田十一郎君 その期間はどうですか。持っているというだけですか。たとえば、買い占めただけであるのか、買い占めただけでなしに、やっぱりある期間持っているということで「保有」という形が出てくると思うのです。買ったらすぐに「保有」というわけにはいかぬと思うのです。売り惜しみだって同じことでして、当然売ろうと思えばもう売れる時間的なあれがあって、それを売らずに持っていると……。
#54
○政府委員(小島英敏君) 法律的には「保有」ということばには必ずしも期間は必要ないと思いますけれども、ほんとうに一時期非常に多量に持っているというだけでは、実際問題としてはこの法律の勧告の対象にならないということだと思います。
#55
○塚田十一郎君 そこで、先ほどの木材の例で一つお尋ねをいたしますが、さっきもちょっと申し上げたように、私は商社が木材であんなにすごくもうかったのは輸送の途中の期間が問題だったと、こういうように思うわけです。そこで、その保有の形態ということが問題になってくると思うのですが、たとえば貿易商社が先行き見通しをつけて、ことしはだいぶこの物は品不足になる、したがって上がるだろうという認定で買い付けをする。これは買い付けをしてくれること自体は、むしろ国民の立場からも政府の立場からもこれは非常にけっこうなことで、やってもらわなかったらそれこそたいへんなことになるという場合は幾らもあり得ますね。そこで買ったと。買ったものを外国にそのまんま置いておったと、つまり国内には持って来ていない。これは「保有」になりますか。
#56
○政府委員(小島英敏君) 法律的には「保有」だと思いますけれども、これは事実問題としてチェックできるかどうかということになるといろいろ問題はむずかしいのじゃないかと思います。
#57
○塚田十一郎君 それではさらに、船積みして航海の途中にある、あるいは、持ってきたけれどもまだ植物検疫が済まないで、保税倉庫に入れられたままになっている、この事態はどうでしょうか。
#58
○政府委員(小島英敏君) 全く需要家の委託を受けて契約したような場合は別だと思いますけれども、一応商社の名において買い入れた以上はやはり商社の保有だと思います。
#59
○塚田十一郎君 そうすると、さっき申し上げたように、三月も半年もかかっているとすると、これはやはり売り惜しみだとか買い占めだとかいってこの法の適用を受けますか。その時点では売ろうにも売れないというのがむしろ常識ではないでしょうか。
#60
○政府委員(小島英敏君) これはもう常識で判断して実際に売ることが不可能であると思えば、期間的に多少長期間保有していても、当然この勧告の対象にはならないというふうに思います。
#61
○塚田十一郎君 それでは、いままでの御答弁を総合して、ある業者、たとえば貿易商社がある商品を買ったと、輸入してきたと、それがもう売れば売れる状態になっておるのにかかわらず、まだ値上がりするだろうということを考えて持っている場合、これがこの適用を受ける状態だと、こういうふうに考えてよろしゅうございますね。
#62
○政府委員(小島英敏君) まさにおっしゃるとおりだと思います。ただ、それも商売というものはある程度そういう要素が一般的に認められていることだと思いますが、やはり程度問題で、度を越せば本法の対象として勧告対象になるということではないかと思います。
#63
○塚田十一郎君 先ほどちょっとこの「保有」という概念の中には所有権を持っておるということである、したがって、商社が委託を受けて買っておるという場合にはこの適用はないと、こう言われました。いろんな商品の中にこういうものがあるということを私も聞いて承知をしておるんですが、たとえば羊毛のようなものを現地で買い付けると、そうすると、価格変動が非常に激しいもんですから、今度のように上がる場合ばかりでなくて下がる場合も考えられるから、たいていの場合には、商社としては買い付けると同時にこちらで先物を売っておくと、そういう形になっておったらば保有しているという状態と認められますか。
#64
○政府委員(小島英敏君) 先物で売りましてもやはり保有には違いないと思います。
#65
○塚田十一郎君 さて、先物で売っていると保有だと言われて、売り渡し先及び売り渡し価格を指定して放出させられた場合に、自分が契約したものの実現ができなくなるが、どうでしょうか。
#66
○政府委員(小島英敏君) 法律的に「保有」ということで申し上げたわけでございまして、実際上そういうケースがあった場合に勧告の対象とすべきかどうかということは、これは別途の判断だと思います。
#67
○塚田十一郎君 結論を……。
#68
○政府委員(小島英敏君) 「保有」には違いございませんけれども、先物で売っておりますれば、要するに、その売り先がきまっているわけでございますから、それを排除してどっかへ売りなさいという勧告の対象にはなり得ないということだと思います。
#69
○塚田十一郎君 それでは、今度こういう形があるというように承知いたしておりますが、普通の場合には、商社が原材料を買って、そのままそれを材料として使う業者に売り渡すと、したがって、この場合にはいいんですが、商社が買ってはきたけれども一たとえば生糸でいいますと、生糸を買ったけれども、商社がどこかに委託加工をして、そうしてそれを織物にするつもりで持っておると、だから、商社が持っている場合というのは、生糸のままで売ってもうけようというつもりではないと、委託加工をして、それを織物にしてからということであれば、ある期間持ってなきゃならないと思いますし、そうすると保有という状態がそこに出てくるが、その場合にこの規制を受けるか。実際にはそういう場合が非常に多いらしいんでして、糸を買ってどっかへ預けて織らしておる、織物にして売るつもりでおる。もちろん、この場合でも、その糸と絹織物が同時に特定物資として指定されていれば、多少その間のめんどうはなくなると思うんですが、それが一方だけなっていた場合、そういう状態であるとどうなりますか。
#70
○政府委員(小島英敏君) 糸だけが指定されております場合に、いまのようなお話で、織物にするために委託されている場合でしたら、これはそもそも保有はしておるかもしれませんけれども、「買占め又は売惜しみにより」というその目的がないわけでございますから、この対象にはならないと思います。ただ、その場合に、織物のほうも非常に暴騰、価格が異常に上昇していて、織物として買い占めをする、あるいは売り惜しみをするという目的があるとなりますと、これは織物のほうも指定されている場合には、やはり一括して考える必要があるんじゃないかというふうに思います。
#71
○塚田十一郎君 次に、買い占めといいましても、売り惜しみといいましても、その行為の裏には、そういう行為をしようという動機には、やっぱり持っていてその間にもっと値が上がるだろう、もうけてやれという意図があってのことだと思うのです。また、そうであるからしてこれは規制の対象になろうかと思うのですが、持ってはいるけれども、まだ元値までは値段が上がっていない。だから、もうちょっと上がるまで待たないと、売るは売ってもいいんだが、損をしてまで売らなければならないということはないという考え方で持っていたという場合があったらばどうでしょうか。私がこのような質問をいたしますのは、ある時期、材木についてこういう事態があったということを聞いております。なるほど、揚げて積んであるけれども、高い値段で輸入しておるものだからまだそこまでは値が上がらない。だから、損をして売るわけにはいかない。売れと言うならば政府が補償してくれますかというような発言が業者からあったと聞いております。ことに去年までは商社は、ことにソ連材などには、輸入価格が相当高くて、国内の消費者価格、販売価格が安くて、商社が非常に苦労をして、むしろ逆にソ連に行って、おれのほうでは売れないが、もうちょっと値引きをしてくれんかと言って交渉をしていた事実があるはずなんです。まあ、これは非常に仮定の場合でありますが、つまり、まだもうからないから、せめて妥当な利益になるところまでは持っているんだという場合はどうなりましょうか。
#72
○政府委員(小島英敏君) これはやはり対象とし得ないと思います。業者であれば当然ある程度のマージンを前提にして売りたいという気持ちを持つことは当然でございますので、欠損を前提として売れということは政府としても申せないと思います。
#73
○塚田十一郎君 そこで次に、ここにも「多量に保有している」という非常にやっかいな表現があるわけで、「多量」というのは一体どういうことか。ことに多量であるかないかという判断は私は立場によって違うと思うんですね。たとえば大豆が輸入業者から一次問屋、二次問屋と行く。一次問屋も二次問屋も、さっき申し上げたように「販売の事業を行なう者」として規制を受けるが、やはり「多量」という概念からいっても、おのずから違いが出てくると思いますが、その辺一体、この「多量」というような判断をする場合の基準とか感じをどこに置いておられるか、それを一つ伺いたい。
#74
○政府委員(小島英敏君) やはり本法の目的は、先ほど申しましたように、刑事的に訴追をするんでなくて、その物の需給に影響を及ぼすことによって値をさますということが目的でございますから、零細企業が、かりにこの自分のところのふだんのランニングストックに比べて非常にたくさん持っているといたしましても、これを一々本法の対象として考えるということは考えていないわけでございます。やはり相当大きなところが持っていてそれを動かすことによって需給全体にある程度の影響を及ぼす、つまり、そういう経済効果に着目した法律でございますので、その意味で「多量」ということばを特に入れているわけでございます。
#75
○塚田十一郎君 そこで、特定物資を生産、輸入または販売をすることを事業としておる者が買い占めまたは売り惜しみ行為があった場合に、しかも、この特定物資をある期間多量に保有しているという場合に、売り渡し先及び売り渡し価格を指定して期限を定めて売り渡しを勧告するというんですが、これがまた私はなかなかめんどうなことじゃないかと思うんです。一体売り渡し先及び売り渡し価格というものはどういう基準でおきめになりますか、簡単でけっこうですが教えていただきたいと思います。
#76
○政府委員(小島英敏君) この基準につきましては特定物資ごとに定めることにいたしております。この基準は総理府と主務省の共同告示という形を形式的には考えておるわけでございまして、いま御質問の基準の内容でございますけれども、第一にやはり実需者または実需者の団体を指定するということを原則といたしております。ですから、まあ、大豆の例で申しますと、たとえばおとうふ屋さんの製造業の組合というようなところを考えるというような意味でございます。その場合に、特に物資別に基準を設けます意味といいますのは、ある物資がある物を原料としてそれを使って加工あるいは製造をされる業界というものがたくさんある場合に、各相手先の業界が同じようにその原料が不足しているというような場合には、これは各業界に平均的にやはり渡るように渡さなきゃいけませんし、ある特定の業界だけが特にこの原料が不足しているというようなことが認められれば、その業界に対して特に手厚く渡るように考えるという必要がございますので、その辺をこの基準ではっきりさせるということが一つございます。それからもう一つは、同じような意味で、地域的な問題がございまして、全国一律にどうも不足しているという場合と、ある特定地域が特に不足の状況が激しいという場合には、その地域に重点的に渡るように指定するということがございますので、この辺をやはり基準で定めるということでございます。それから、個々の業者とか業者団体等に配分いたします場合には、当然取り扱い量とか在庫量等を勘案しながら行なう、これはまあ当然のことでございますけれども、これらの点を、この売り渡し先についての基準に関しましては内容とするということになるかと思います。それから、売り渡し価格につきましては、これもなかなか明確な基準というのはむずかしゅうございまして、勧告を受けます個別業者ごとに当該個別業者が取得した当該特定物資の取得価格を基礎にいたしまして、諸掛かり及び相当な利潤等を加えて定めるということが原則でございますが、その場合に、もし海外の価格がその後非常に上がってしまっているような場合には、当然この再取得価格というようなことも一つの参考資料として考えなければいけませんし、この辺はやはりケース・バイ・ケースで基準を定めるということになろうかと思います。
#77
○塚田十一郎君 そこで、まあ売り渡し先、売り渡し価格をきめて、ここへ売り渡しなさいと基準をきめて勧告が出たと、ところが、勧告を受けた相手方は、たとえばこれは売り渡してもけっこうですが、この価格では困りますと、もっと高い価格で売らしてくれませんかというような異論が出て、勧告どおり売り渡しにがえんじないという場合があろうかと思うんです。そのときにも、すぐにもう、これは勧告をしたんだから聞かなければ公表だと、こういうことになるのか、また、その勧告を受けた者の相手方を聞いて政府側に再考慮をされるぐらいのあれはあるのか、その辺はどうでしょうか。
#78
○政府委員(小島英敏君) 一度勧告いたしました者が、業者のほうが、それでは値段が低過ぎるからといって言ってきた場合には、これはまた一々そういうことに応じて考え直すということになりますとなかなかきまりがつかないということもございます。ですから、役所といたしましては、やっぱり詳細な調査をし検討をして合理的と思われる水準で勧告するわけでございますから、もうそれをやはり原則に考えてまいりたいということでございますけれども、万一例外的にやはり役所が判断した内容に事実誤認等があるということがはっきりいたしますれば、これは業者の指摘によって考え直すということがないとは言えないと思いますけれども、そういうことがない限りはやはり原則として初めの水準を守るべきものじゃないかというふうに思います。
#79
○塚田十一郎君 普通一般の行政処分には、その処分を受けた相手方が不服の場合には訴えを起こす、あるいは再審査の請求をするというような救済措置が与えられておることは御承知だと思うんです。この場合、いまおっしゃったようなあれだと、いや、おれのほうが十分考えてこの値段をきめたんだから、値段ぐずぐず言ってもだめだよと、したがって公表だということになると、処分が切り捨てごめんというようなきらいを起こすんじゃないかという心配をするんですが、その辺どう思っていらっしゃいますか。
#80
○政府委員(小島英敏君) やはり命令を出しますとか、その命令に聞かなければ罰則ということになりますと、これはおっしゃるように行政訴訟の対象になるわけでございますけれども、勧告というこれは法律効果を生じない措置でございますので、現在の行政訴訟の対象には、この程度の措置でございます場合には、ならないというふうに考えております。ただ、おっしゃるように切り捨てごめん的になっては困りますから、これはやはり初めの勧告をします場合には十分役所といたしましても慎重に各種のデータを調査をして合理的な線を出さなければいけないということは言うまでもないことだと思います。
#81
○塚田十一郎君 これはね、法律効果を生じないと言われますけれども、法律効果を生じないし、実質上はもう相手方に対して何ら勧告を受けても平ちゃらなんだというような状況では、これは勧告は意味をなさないのでありまして、私はこの勧告が出て、聞かなければ処分をするぞと、公表をするぞという一連の行為はかなり私はこれは勧告を受ける者の相手方からすれば私権の侵害という感じが出ると思うんです。したがって、いや、値段をもうちょっと考えてくださいと言ってもなかなか十分話し合いに乗らない、それで聞かなければすぐに公表だと、何にも訴えるべき手段も場所もないということではかなり私は問題が起きるんじゃないかと思いますが、その辺どう考えていられましょうか。
#82
○政府委員(小島英敏君) まあ、価格の水準をきめます場合には、当然相手の業者のコストとかそのほかの先ほど申しました適正利潤あるいは再取得価格等、あらゆるデータを十分に精査をしてきめるということが当然でございますので、そのような、先生のおっしゃるような意味での役所の独断で恣意的な水準の価格になりませんようにこれはやはり十分気をつけていかなければいけないことは当然だろうと思います。
#83
○委員長(山下春江君) 塚田委員、ちょっとお待ちください。
 ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#84
○委員長(山下春江君) 速記を起こして。
#85
○塚田十一郎君 それじゃ結論というわけにいきませんが、もう一つで、この問題の打ち切り時点で終了をさしていただきますが、勧告を受けたと、しかし、受けたけれども価格が気にいらない、そこで勧告をされた場所へではなくて、好きなところへ売っちまった、値段ももちろんそういう事態であれば指定された価格ではないと思います。そのような事態が生じた場合に、これ、公表の対象になるかどうか。ということは、これ、勧告を受けて処分をされると、聞かなければ公表されるというのは、物を離してもらいたい、物を持っている状態は困る、こういう感じが私は基本にあるだろうと思う。したがって、勧告を受けたけれども、受けた場所でなしにほかへ売ってしまったという事態になると、やっぱりそれは勧告には従わなかったが保有しているという状態はなくなってしまいますよね。この場合は、言うこと聞かなかったからといって公表するのか、もう離してしまったんならやむを得ないからといって公表をしないのか、どうでしょう。
 これで終わります。
#86
○政府委員(小島英敏君) やはり勧告に従わなかったということにおいては同じでございますので、これは公表せざるを得ないというふうに思います。
#87
○塚田十一郎君 それじゃもう一つ。
 その場合にどう言って公表されるんですか。こういうぐあいに勧告したが、勧告に従わないのでこういう処分をしたと言って公表されるわけですか。
#88
○政府委員(小島英敏君) 行政的に申しました同じ価格で売った場合と、それからもっと高く売った場合とかいろいろあると思いますから一がいに申せませんけれども、やはりそういう事実を公表するということだろうと思います。
#89
○塚田十一郎君 御承知のようにまだ四条までしかやらないんですが、おそらく野党の委員の方々からも御質問があろうと思います。野党の委員の方で質疑が十分尽くされればもうこれ以上の時間をいただこうと思いませんが、もし野党の委員が質疑を終わられた段階で、なおこういうことを尋ねたいという問題が残りましたら、ひとつ理事会におはかりいただきまして次回に再考慮をお願い申し上げたい。これで打ち切らせていただきます。
#90
○委員長(山下春江君) はい。
#91
○竹田四郎君 企画庁長官にお聞きしたいと思います。
 ここ数日来、総合商社の三月決算の実情というものが出ているわけであります。たいへんぼろいもうけをしているということがわかるわけです。まあ、計上利益にいたしても、丸紅、伊藤忠、こういうのも倍あるいは倍近く利益を得ているわけです。それから安宅産業ですか、こういうのにいきますと、もう四倍近くも前期比の利益を得ているわけです。しかも、これは新聞が各社に聞いたところを総合しての記事であろうと思いますけれども、総合商社九社の一番問題になった木材、これだけで九社がもうけた利益というのは二百三十一億だと、こういうわけですね。
 一方では、うちを建てたいという庶民がたいへんあるわけであります。これはもう半年近く前から、契約の際に金額は入れないで建ててくれと、できてからひとつ値段は相談だと、こういうような形で、家の木材の値上がりがそういう形にすらなっている。最近ではそういう形で住宅の建設もどちらかというと控え目にならざるを得ない。その上、最近ではセメントが足りない、骨材がものすごく値上がりをするということです。この前も参考人を呼んだお話では、ブロック業者などはセメント一袋千五百円も出さなければ手に入らない、こうした状態なわけです。
 そうした中で、これは総合商社だけじゃないと思いますけれども、特に注目されているのが総合商社ということで総合商社だけの決算状況が出ていると思うんですけれども、これは鉄鋼会社にしてもほかでも同じだろうと思うのです。非常な、異常なもうけ。一方では国民が非常な悩みをかかえている。こういうのが一体正常だと政府は思っているのかどうなのか。私は、こういうのはまさに一方の国民をいじめて、もうけのためなら何でもやってもいいんだ、どんなに高く売ってもいいんだ、どんなに多く買い占めをしてもいいんだ、こういう考え方でなければこんなばかなことは私はできぬと思うんです。これについて長官は、決算が出てからのここ数日の新聞を見てどのような感想をお持ちになっているんですか。
#92
○国務大臣(小坂善太郎君) 決算を見てどう感じたかということでありますが、いまだかつてない大幅な利益を商社その他が得ておるということは、いかに日本経済の好況を反映したとはいいながら、ちと度が過ぎておるのではないかというふうに思うわけでございます。
 そこで私どもは、市場メカニズムというものを前提としてそこに公正な競争が行なわれ、需給の関係が調整されていくという限り、そうした大きな利潤というものはないというふうな考え方を持っていままできたわけでございますが、どうしてこういう状況になったんだろうかということをあれを見ながら考えてみたわけであります。
 まず第一に言えることは、一つのモラリティ――道徳と申しますか、企業をやっている者が、やはり企業というものは一つの社会的なファンクションであって、その自分の企業活動というのが社会の一つの構成員として適当な行動であるかどうかということの考えのもとに、その行動をみずから規制するという点が忘れられているのではないかということが一番あれを見て感ずるところでございますが、もう一つ、これは別な観点から申しますと、いままで経済の成長ということを考えてまいったわけでございますが、国民経済の成長から国民福祉の充実というほうへ転換してきているわけです。この大きな転換が一つの問題点ではないか。これはどういうことかと申しますと、国民福祉を充実するために住宅やあるいは公共投資を非常に活発にするということで、そこに住宅需要等もいままでにない大量のものが出つつある。公共事業もしかりである。そこに要する鉄材であるとかセメントであるとか、あるいは木材であるとか、そういうものの需要が非常にふえた。それが木材の異常な騰貴を呼び、セメントの不足を呼び、そこへ持ってきて暖冬によって工事が非常に進んだということによってこういう異常な状況が出てきている。これは最近の一月以降、十二月後半から特に顕著になってきた。こういうことでございまして、政府の不況対策ということもございましたけれども、やはり全体の経済の大きな転換で需要が非常にふえて供給との間にズレが出てきている。これがいまの異常な高値を呼んでいる一つの原因であるが、それに対して企業の経営者というものが社会的な責任を自覚しないで、もうければいいんだというふうな考え方に立って行動したところにやはり問題があるのではないかというように感じておるわけでございます。幸いに、非常に健全な世論の指摘等もございまして、企業それ自身の社会的責任の再確認、商社等においてもその行動基準というものをつくるというような動きがございまして、一応そういう点についての反省は出てきているわけでございますが、これはどう認識するかといったら、まさにアブノーマルな状態であるというふうに認識すると申し上げておいていいと思います。
#93
○竹田四郎君 政府も若干自分の責任も感じているような発言もちらっといま一言、二言あったわけですけれども、国民の大多数をこのような苦しみに追い込めておいて、あとから話を出しますけれども、たとえば、うちが建っても、衛生陶器を買い占めしていると、こういうことで、家はできたけれどもトイレはできない、まあ、こういうことも現実にあるわけです。そういうような国民を苦しみに置いといて、片っ方だけが膨大な利益を確保している、こういうものをそのままで放置しておくということは私はできないと思う。まさに暴利取り締まりを私はここでやるべきだ。こんなに多くの利益を得ているのを、いままでと同じような税金でその利益を商社がふところへため込むということなんて、私はもってのほかだと思うんですよ。いま福祉社会へと国民全体の世論が動いているときに、自分だけもうけりゃいいと、こういうことじゃ困ると思うんです。私は、これはもう税金をかけてその利益というのは当然吸い上げるべきだと思うんですが、これは長官、どう考えますか。
#94
○国務大臣(小坂善太郎君) 利益を吸い上げてこれを国民福祉のために使うという考え方はいいと思うのですが、じゃあ、どういうふうにしてやるかということでありますが、御承知のように、個人の場合は累進税率がありますが、企業の場合はこれは一定の法人税というものがあるわけですね。私はまあひそかに考えておるのですが、やっぱりこういう事態に対しては、何か制度的な企業の場合も累進の税率が考えられないかということであります。ところが、企業というものはいろいろ大中小いろいろあるわけでございまして、その資本金の高、あるいはその構成そのものですね、あるものは非常に他人資本が多くて自己資本が少ないとか、いろんな形態があるわけなんで、それに応じた何か一つの体系ができないかというふうにも考えます。それからもう一つは、株とか土地とかいうものの移転、これは、いわゆるキャピタルゲインと言われているものは、国際的に、そういうものは価値を生まないんだから国民所得の中にも入れるなということになっているわけです。ところがこれ異常に多いんです。多いわけですね。そういうものに対して、付加価値を生まない所得に対しては何か別にこれを吸収することが考えられないかというようなことは、ひとつ来年度の税制調査会にお願いしてよく御検討してもらえないか。しかも、現実にもその所得は本年あるわけなんだから、その適用をさかのぼって適用してもらうということにすることはどうかというふうに思うのであります。まあ、社会的な公正といいますか、社会的な連帯性といいますか、そういうものが失われた社会というものは、これ、なかなか、健全でないわけでございます。健全な社会を取り戻すために、国家の持っている強制獲得権といいますか、そうした権力といいますか、そういうものはそういうものに使うべきであるというふうに考えるものであります。
#95
○竹田四郎君 そうしますと、来年度の税制改正の中において、こういうような日本の国民を苦しめる、そして利益を獲得しているというようなこうしたものについては、来年度はひとつさかのぼって税制改正でそれを吸収していくと、こういうふうに承ってよろしゅうございますか。
#96
○国務大臣(小坂善太郎君) それは小坂個人の考えでございますが、私個人としては――個人の考えを公の場で述べて意味はないじゃないかと言われればそれまででございますけれども、私の考えを率直に申し述べて、ここで申します以上は、さようなことをお願いしたい、こう思っておるわけでございます。
#97
○竹田四郎君 主税局からお見えだと思うんですけれども、きょうは、ほんとうは大臣に出てきてもらいたいと思うところでありますが、大臣が出られないということでありますから代理で出てきてもらったわけであります。主税局のほうでは、一体、この事態というものをどういうふうに受けとめていますか。
#98
○政府委員(大倉眞隆君) ただいま御指摘がございました新聞に報道されております利益状況を見ますと、私どもとしても、率直な感じとして、これはやや異常な利益であると申さざるを得ないという感じを持っております。実際の申告は、御承知のとおり、まだ出ておりません。今月末が申告期限でございます。実際に申告が出てまいりました段階で、公表の数字とどういう関係になりますか、中身を国税庁に十分検討してみてほしいと思っておりますが、今後の対処策といたしましては、ただいま竹田委員の御質問に対して小坂大臣からの御答弁がございました。法人税の問題につきましては、大蔵大臣も何回か他の委員会でお答えいたしておりますように、方向としてはその負担を引き上げるという方向で四十九年度の税制改正に臨みたいということを申しておられます。私どもの事務当局といたしましても、なるべく早い機会に税制調査会の審議を開始していただいて法人税の負担の問題を御議論いただくつもりでおります。ただ、その場合に、ただいま御指摘のような、幾つかの点があったと思いますが、一つは、累進的な課税あるいは超過利得税的な課税ができないか。もう一つは、こういう異常な――異常であると言わざるを得ないと思いますが、こういう異常な利益については、あとからさかのぼって課税できないかという御指摘であるように承りましたが、第一段の問題につきましては、従来から、竹田委員よく御承知のとおり、一般論といたしましては、生活の単位というものが、個人的事情はあるにせよ、とにかく、全体としてほぼ共通である場合、個人――自然人につきましては累進課税という観念が成り立ち得るけれども、そういう共通の尺度のない法人というものについては、なかなか累進課税という観念が取り入れがたいというのが従来からの考え方であるということは御存じのとおりでございます。その意味で、おも立った諸外国におきましても法人税というものは比例的に負担を課するのが通例でございます。ただ、そういう抽象的な考え方はともかくとして、何らか累進課税という方式はとり得ないのかどうかという点は、やはり、今後、来年度に向かっての御検討の中で、そういう強い御意見があるということをもちろん御紹介申し上げて、税制調査会としてのいろいろな角度からの御検討をお願いしてみたいと、かように考えております。
 ただ、さかのぼって課税するかどうかということにつきましては、これは、もちろん政治的な御判断を最終的に必要とすると思いますが、通常の税法の考え方としては非常に異例なことになろうと思います。必ずそういうことができるということをいまお答えできない立場に私としてはございます。通常、増税は遡及してはやらないという考え方のほうが少なくとも従来は強かった。遡及して重課するということができるかできないか、本日のこの御意見があったということはもちろん御紹介申し上げますが、これについての結論がどうなりますか。それにつきましてはお答えを保留させていただきたいと思います。
#99
○竹田四郎君 これだけ世間を騒がしておいて、これだけもうけをしたのを、ここで国民が私は許せるとは思えないんですよ。いまのような形での返事しかあなたはできないと、こう言うんですけれども、これでは、苦労したのは、苦労しっぱなしですよ。うちを建てようと思ってせっかく汗水たらして金ためたのが、ここでもうどうにもならないと。それで、一方にはうんともうけられてしまう。ですから、私は、ことしの税制の審議のときにもそういう趣旨のことは言ってあるはずなんですよ。たとえば、もっと早く前取りをしろとか予算委員会で私は言っているはずなんです。これは小坂長官が大蔵大臣の代理をやっているときですね、私はそのことを言っているはずなんですよ。いまもって何にもしてない。片一方にはこうもうけさしておる。こういう事態の中で、政府の出したような売り惜しみの法案なんかを出したところで、先ほどの答弁を聞いててもあやふやなんですよ、まさに。あんな調子で商人と対抗して対抗できるものじゃないと思うんですよ、私は。だから、もうけたものは、それはがっぽりあとで取ってしまう。そんな悪いもうけをしたのは取ってしまう。こういう形を明確に出していかなければ、世論が一つの商品で騒いでいれば、ほかの商品でどんどんどんどん同じことやっているんですよ。幾らもうけたってあとで取られるんだぞということになれば、そんなむちゃなもうけはできないということになるんです。おそらくこの利益だって、隠しに隠して、やっと隠しおおせないものがこれだけ出たということだろうと思うのです。だから、いろいろな引き当て金、準備金にしてもおそらく目一ぱいに組んであるでしょう。それをいままで大蔵省も目をつぶってそういうものを認めてきたわけですよ。ですから、この問題についても、まあ、きょうは答えられないにしても、相当な措置を私は特別に打ち出すべきだと思うんですよ、特例法として。ただ勧告、公表する程度のもので、もうけたのはそのままもうけっぱなしということであれば、こんな不公平なこと私ないと思うんですよ。まあ、小坂長官は個人的意見でさかのぼってもそういうもの取りたいと言うから、私はその見識は不十分ではあるけれどもいいとは思いますけれども、これはやはり長官、あなたの考えを政府の考え方にしなければいかぬと思うんですよ。田中首相が言っているのは、わずか法人税率を一、二%上げるという程度のものでしょう。私どもは少なくとも西欧並みの水準に上げろと言っているわけですが、一、二%上げるだけでしょう。そんなことじゃどうにもならぬですよ。ひとつ長官、あなたの御意見は私満足だとは思いませんけれども、そういう方向というのは悪いことじゃないと思うんですよ。これはひとつ政府の考え方に――小坂善太郎個人の考えじゃ困るわけですよ――政府の考え方にこの考え方をのぼしてもらわなけりゃ困ると思うんですがね。あなた個人の考えだということでここでごまかすつもりはないんでしょうけれども、逃げの手を打っているような感じがするんですが、どうですか、政府の考え方としてさっそく閣議に出してもらって、そういう方針で来年はいくという方向づけをしてもいいと思うんですが、どうですか。
#100
○国務大臣(小坂善太郎君) 大蔵省のおっしゃった、遡及してやるという考え方はむずかしいことはもう百も承知して言っているわけでございますが、どうも現状を見ておりますと、ああした報道がそのまま国民にどういう考えを持たせるかということについて非常な憂いを持つわけでございまして、そういう点で申しておるわけでございまして、竹田委員は、どうもあんまり賛成でないがまあ賛成だというようなお話でございましたが、そんな程度じゃ私も困るのでありまして、たいへんな決意で言っているわけでありますから、どうぞ党は違ってもいいことはいいというふうにはっきり言っていただかないとぐあい悪いと思います。
 それから、いまの状況は、そういう一部にもうけているのがあると思いますけれども、やはり全体の需要が非常に大きいわけでございますね。まあ、大体超完全雇用であって、二月末の有効求人倍率というのは一・六七というこの制度始まって以来の高さ。三月になって一・六四になったから、それじゃ有効求人倍率というのが下がったからちっとは景気は後退したのかというと、そうじゃなくて、あんまり求人が多くて、申し込んだってとても割り当てがないと思うから求人が減っているという状態。そういうものを反映して非常な需要が起きているわけでございますね。でございますから、今度の春闘に見られるような、一八%から一九%ぐらいの賃金のアップがある。私は企業だって決して経営楽じゃないと思います。週休二日制をやらなければならない。非常に高い賃金、俸給も支払わなければならぬ。そういう際で、やはり何か非常に企業全体がばかにもうけているような、そういうふうには私は思わないのです。で、欧米並みの四〇%、四一、二%に早くしろとおっしゃいますけれども、そういうふうにすることが私は必ずしもそれでいいんだというふうには思わない。日本の経済そのものを殺してしまったんでは、お互いのよりどころを失うわけでございますから、やはり日本の経済というものは健全に発展させていかなければならぬ。それはお互いの生活の基盤を健全にするということ。ただ、その異常な点をやはり勇断をふるって押えなければいかぬ、こう思っているわけでございます。
 それから、この法案にお触れになりましたけれども、先ほど塚田委員から非常に鋭い、精緻な分析がございまして、いろいろお答えを申し上げておったわけでございますが、あの中で、たとえば売り渡し命令というようなものを出した場合にはもっと、いま答弁に苦しんでいるというような話もございましたけれども、それこそ行政訴訟になっていった場合に、どうにも上げも下げもならなくなってしまう問題があるわけでございまして、そういう点からいうと、私は政府案というのは実情に最も即してつくられておると、かように考えておることを申し上げておきます。
#101
○竹田四郎君 私の最後の質問には答えてくれなかったわけですけれども、私はあなたの言うのが全部悪いと言うのじゃないんですよ。評価はしていますよ。評価はしているから、私としてはまだこれでは不十分だと、あなたのお考え方では不十分だと。不十分だけれども、まあ、これを早く政府の意思決定にして、そして来年度の税制においてことしのもうけ分をひとつ吸い上げてくれと、こう言っているわけですよ。だから、あなたの言っていることが全体的に悪いと私は言っているわけじゃない。私よりも消極的だと言っているだけです。その最後の、ひとつこういう問題閣議に出して方向づけをしてもらわなければいかぬと思うんですけれども、あなた、それをやっていただけますか、いただけないんですか。ただ、あなた個人の見解だと言われたから、私としてはそれが非常に不十分だと言う。小坂国務大臣としての見解として閣議に出してくれなければ、いや、あれは個人的な見解だったからということじゃこれは困るんですよ、国民は。あなたがただ一衆議院議員という肩書きだけならば、それは私の個人の考え方だと言われるのもけっこうです。少なくとも田中内閣の重要閣僚の一人として連なっているわけですから、個人の考え方でありますと言われるんじゃこれは困る。その点を私は特にはっきりさせておいていただきたい。
#102
○国務大臣(小坂善太郎君) 御承知のように、閣議で決定するという前に、税の問題その他は税制調査会の決定を待って閣議で決定するわけですから、私の考え方については、これは税制調査会に申し入れるつもりでございます。また、そのことは、それを待つまでもなく、大蔵省から大倉さんが出ておられましてよく聞いておられるわけでございますから、これはもちろん伝わると思って申しているわけでございます。ですから、手続の問題としては、閣議で決定をするという前に税制調査会に申し入れて、税制調査会でいろいろ議論をしてもらって、その結果閣議で決定されるということになるわけでございますので、閣議で決定されるように私も私なりのできるだけの努力をしたい、こう思っているわけでございます。
#103
○竹田四郎君 大倉審議官に聞きますが、いつまでもこういうものを放置しておくという形じゃ国民は承知しないと思うんですよ。これからだって次から次にいろいろな問題が起きてくるわけですよ。セメントが足りないと言っているそのすぐ裏から、今度は骨材の猛烈な値上がりがいま始まっているわけです。次から次へと起きているんですからね。ただ世論の反撃を避けるために、その反撃されている品物ははずれるかもしれぬけれども、そのほかの品物で同じようにやっているんですよ。ですから、いつまでも税制調査会の開かれるのを待って――いつ開かれるのか知りませんけれども、これは早くやってくれなければ国民はおこりますよ、ぼやぼやしていたんでは。一体あなたはどういうふうに言うつもりですか、税制調査会へ。いつの税制調査会でそれをはっきりさせるつもりですか。
#104
○政府委員(大倉眞隆君) 先ほどもちょっと申し上げたかと存じますが、四十九年度の税制改正につきましての税制調査会の審議は例年よりも早く開いていただいたらどうかということを私どもも考えており、大蔵大臣もその趣旨の御答弁を申し上げておると思います。その意味で、なるべく早い機会に御審議が始まると思いますが、通常の例で申し上げましても、次の年度の税制改正を御審議いただく最初の会合に、たとえば数字で申し上げたほうがもっとはっきりすると思いますが、今度は四十九年度税制改正を御審議いただくわけですが、その最初の機会に、四十八年度の税制改正について国会でどういう御論議があったかということを私どもの手元でまとめて御報告申し上げます。それをベースにして審議を開始していただいております。今回もほぼ同じやり方を考えておりますので、先ほども申し上げましたように、本件に限りませず、所得税につきましても相続税その他につきましても、大蔵委員会を中心にいたしましてずいぶんいろいろの御論議をいただいておりますから、これらをまとめまして御報告し、それを土台にして審議を開始していただくと、こういう日程を予想しておるわけでございます。
#105
○竹田四郎君 いつ、どのようにあなた、報告するつもりですか。その機会はいつですか。その税制調査会でやるというのはわかり切っているのですけれども、一体いつにその税制調査会の最初の会合を開くんですか。いつまでもぐだぐだしていると国民はおこりだしますよ。こういう、片っ方でうんといじめられていて、片方ではうんともうけているんですから、こんな不公平なことがいつまでも続くというふうに国民は思うですよ。ですから私は早く方向づけをしなさいと、こう言うんですよ。どのぐらいのつもりで税制調査会を、いつから始めるくらいか、その辺を明確にしてもらわなければ、またずるずるずるっといっちゃうというふうにしか国民はとりませんよ。その辺を明確に出して、あなたはそれに対してどういう報告をするのか、はっきりその態度をしてほしいですよ。
#106
○政府委員(大倉眞隆君) 御質問は二点あると思うのでございますが、第一点のいつ開くかということにつきましては、実はまだ確定的な日取りをきめておりません。しかし、事務当局の気持ちといたしましては、おそくとも来月早々には開いていただきたいという気持ちをいま持っております
 それから、第二点の、どういう報告をするのかということにつきましては、国会での審議事項の要旨というような――ちょっと正確な標題を覚えておりませんが、そういう標題をつけました資料で、税目ごと、項目ごとに、こういう御審議がありましたということを報告する例になっております。
 なお、従来の提出資料は、大蔵委員会の専門調査室でございましたか、そちらにはそのつど一部ずつ差し上げるようにしておると思います。
#107
○竹田四郎君 ぜひその点は、少なくとも小坂長官の言った程度ぐらいのものは来年度の税制改正の中に織り込むということを早く方向づけをひとつしていただきたいということであります。
 それから、小坂長官にお聞きしたいと思うんですけれども、あなたもこの最近あらわれてきているところの決算を見て、まあ、ノーマルじゃない、アブノーマルだと、こういうふうに言っている。小坂長官として一体どのくらいの利潤ならば適正だと、こういうふうに思っていらっしゃいますか。
#108
○国務大臣(小坂善太郎君) 従来、会社が資金を集める、他人資金を集めるわけです。会社の自己資本といえども株式の応募が可能な程度の配当をしなければならない。で、配当は大体一割――いまのことですから、一割二分くらいしないとなかなか優良会社と言われぬのでございましょうし、それくらいの配当が可能なような利潤というものは必要なんじゃないでしょうか。私もそういう会社の個々のものはよく存じませんが、大体においてそういうふうに思っております。
#109
○竹田四郎君 配当率はまあいろいろな証券市場の点できまるだろうと思うんですが、会社の利益率は大体どのくらいを、あなたはアブノーマルだと言うんですから、ノーマルとなれば、会社の利益率はどのくらいだ、必ずしも全部が配当によって規制されるわけじゃないでしょう。もういろいろな形で利益の留保というのは行なわれるわけですよ。配当だけで利益率がきまるわけでは私ないと思うんですよ。どのぐらいが適正だというふうに判断しておりますか。
#110
○国務大臣(小坂善太郎君) まあ、非常にむずかしい問題で、これはもういろんな業種があるわけでございますし、まあ、もともとこの業種はもうからぬ業種とされておるのもあるし、これは非常にもうかる業種だとされておるのもあるし、これ一がいに全般的に幾らというようなことを、ちょっと私はここで申し上げにくいと思います。
#111
○竹田四郎君 少なくとも、ここに決算で出てきて、新聞で書かれているいわゆる総合商社の利益率というのは少なくともあなたはアブノーマルだと言ったんだから、大体、それは一つのさっきの言うような一割二分という明確な数字にはならないかもしれない。おおむねの幅というものは、ノーマルな幅というものはおのずと私はあると思うんですよ。そのくらいのものはアブノーマルと言う限りは、大体どのくらいの利益率がノーマルだということは頭にあるはずだと思うんですがね。だからこそアブノーマルだということが言えると思う。どうですか。もちろん、それは業種によって違うと思いますから、一般的に言わないで、この大手の商社の利益率というのは大体どのくらいが適正か。
#112
○国務大臣(小坂善太郎君) まあ、「大手の商社」のということでだいぶ範囲が狭まってきたわけでございますが、まあ、なんでしょうね、木材でもって非常に短期間に何十億というような、これはまさに異常利益だと思います。そういう異常な利益をあげた時点をとらえてアブノーマルであると、こう申し上げているわけであります。
#113
○竹田四郎君 これからあなたは閣議でもあるいはその他のことにおいても、税制問題について言っているわけですけれどもね、それから今後におけるところの、あなたの先ほどの発言から見ましても、国民福祉を優先してやっていかなくちゃならぬと、こう言っておるわけですからね。こういうような形で企業に利潤を取られていくということになれば、これは福祉の問題というのはおのずと後退をしてしまう、こういうふうに私は思うんですよ。少なくとも日本の経済をあずかっているところの、企画面をあずかっている経済企画庁としては、業種別ごとぐらいに、あるいは企業別ぐらいに大体標準の適正利潤率とかいうようなものは大体の見当はつくでしょう。そういうこともつかないで、民間設備投資をどうするんだとか景気をどうするんだというようなことをお考えになっておるわけですか。そうすると、経済企画庁というのは大体たいへんお粗末な経済庁だということになるわけですがね。大体のものはあるんでしょう、経済企画庁としては。ないんですか、そういうものは全然。
#114
○政府委員(新田庚一君) 法人所得として経済見通しでも一応、四十七年度としまして一七・七%という数字をはじいております。これは鉱工業生産とかあるいは卸売り物価の動向とか、あるいは雇用者所得の動向、そういったもので一応マクロ的に計算したものでございます。御承知のように、法人所得の伸び、これは景気の局面によって非常にブレがあるわけでございまして、それでたとえば四十一年、二年、三年あたりの景気回復期におきましては、法人所得の伸びが三二、三%という数字になっております。きのうあたりから発表されました決算が、この法人所得ベースでどの程度になるか、これの突き合わせができておりませんけれども、そういった線から見るとかなり高いという感じがいたします。精密に何%が適正であるかという点、これはこういったマクロの所得の動きにつきましても、先ほどの景気の局面との関係もございますし、特にミクロの業種別になりますと、資産構成その他の相違から、適正利潤率というものが幾らかという点の御質問にお答えすることは非常に困難かと思います。
#115
○竹田四郎君 そういうものがわからぬでモラルがあるとかないとかそんなことは言えないじゃないですか。おおよその基準というものが――もちろん業種により資産構成によって違うわけですけれども、おおよそのめどというものがあって初めてそこにノーマルだとかアブノーマルだとか、あるいはモラルがあるとかないとか、そういうようなことが言えるわけでしょう。そういうものなしに、もうけ過ぎだとかもうけ過ぎじゃないとかそんなことは言えないでしょう。そういうものは企画庁としていままでも調べたことがないわけですか。大体適正な成長率、その成長率の中で大体法人の利潤率はどのぐらいが確保されると、そういうモデルをつくっておやりになったことがないんですか。
#116
○政府委員(新田庚一君) 大体過去のたとえば売り上げ高利益率ですと、先ほど申し上げましたように、景気の循環によって違いますけれども、どの業種がどの程度の利益率かという点は、これはたとえば日銀の「主要企業経済分析」あたりからの過去の数字のトレースによってある程度の見当はつくわけでございますが、ただ、いままで発表されました数字からこれに突き合わせるような数字がまだ出てきておりませんので、的確にこの程度多いとかいうふうな判断はできないのでございますが、まあ、感じとしてはかなり大きいということは言えるかと思います。
#117
○竹田四郎君 そういうものが出てこなければ、実際今度の法案に対する異常な買い占めだとか売り惜しみだとか、そういうようなものは具体的に出てこないでしょう。そうした一つの大まかな基準があって、たとえば純利益が五%なら五%だと、その前後のものだという形でなければ、幾らどんなことをしようが、やっぱり企業を中心の、企業優先の経済体制というものになって、福祉の充実なんというのはちっともあらわれてこないじゃないですか。何にも尺度なしでやっているということじゃないですか。経済企画庁がそんなんじゃ私は困ると思う。長官、そういう中ではたしていまのような混乱した経済というものが、福祉中心の、福祉充実の経済へ持っていくことができますか。企業はもうかってくる。もうかってくればその金で当然投資もするでしょう。景気もよくなるでしょう。利潤も高くなるでしょう。そうしたらその方向へ流されちゃうじゃないですか。そういうことについて長官は、そういうものをつくらなくてもいい、そういうモラルの基準というものはなくてもいい、こういうふうにお考えなんですか。大体そういう目安というものはつくるべきであるというふうにお考えですか、どうですか。
#118
○国務大臣(小坂善太郎君) 企業のいろんな業態によって、どの企業はどのくらいの利潤が適正であろうかというようなことは、これは戦争中にちょっと手がけたことがございましたけれども、実態はうまくいかなかったわけでございます。私どもは、それはちょっとやるべきでないし、やってもそれはできないというふうに思っておるんで、結局適正な競争によって利潤率というものが適正なところへおさまるし、そしてそれぞれの適正な企業の形というものがおのずから定まってくるというふうに思っておるんで、まあ、公取委員長そばにいますけれども、私はそういう意味の寡占というものをつくらせないようにすることが一番今後の問題だというふうに思っております。ところが、いまの商社活動で私がアブノーマルと言いましたのは、やはり数少ない商社が非常に大きな経済力を持ってあらゆるものに手を出している。土地の買い占めもやっておるというそういう状況を前にいたしまして、こういうものは、まさに本来投機などはやるべきものでないと思いますが、それにまで手を出しておるとすれば、そういうことはこれはモラルの問題として締めていかなければならぬというふうに思っているわけでございます。私は先ほどかなり税制について思い切ったことを申しましたのは、いまみんながその方向に走っているわけです。どうしてもこの勢いをとめてしまわなければいけない。それはいま竹田委員とその点は私は同じように考えるんですけれども、いまの利潤をそのままにしておけば投資に向けていくんだ、もう現に機械受注が非常にふえている。これは民間設備投資にまともに行くと、こういうことになるとまたもとの形に戻るおそれがあるから、これはここでばっさりととめてしまう。さかのぼるというのはまずいけれども、今度国会で御審議願っている国土総合開発法ではやはり土地の問題でそういう考え方を新しく入れているわけですから、その異常な事態に対処するためには税でもってこれを防ぐのが一番いいんじゃないか。そして、出てきた税でもって公共投資なり公共福祉増進なりのほうに行くという大政策といいますか、一つの大きな網を打たなければいかぬのじゃないかというふうに思っておりますわけでございまして、経済企画庁というのはあまり個々のこまかいあれはいままでやっておりませんし、そういう統計はないわけで、全体のマクロの経済の動きというものをとらえて見通しを立てて経済計画を進めているわけでございますが、しかし、それと別の問題といたしまして、いまのみんなわあわあと非常な過剰流動性から出てきた投資意欲というものを少しさます必要がある、こういうふうに私は思っているのであります。
#119
○竹田四郎君 それではその問題はその程度にしておいて、企画庁の長官にさらに伺いますけれども、いまも過剰流動性ということばが出たのですが、この過剰流動性というのは、二回にわたる預金準備率あるいは公定歩合の引き上げ、そういうようなことで、過剰流動性の動向というのは、これはなかなか数字ではつかめないでしょう。過剰流動性の動向というのは大ざっぱにどんなふうになってきていますか。
#120
○国務大臣(小坂善太郎君) 大体過剰流動性の問題は、申し上げておりましたように、四十六年、七年合わせて外為の散布超で六兆円、銀行の貸し出し増で三十五兆円というようなことであるわけです。これは平均の年に比べてそれだけふえているというわけではございませんが、平均から見ると、やはり両方合計して約三十兆円ぐらいふえているんじゃないかと思いますが、どのくらいふえたとか、どのくらい過剰流動性かと言われると、これは私にはよくわからないわけですが、まあ、そういうものがあるということは現実でございますが、いま貿易収支の面から見ますと、非常にこのところ輸出が減り輸入が伸びておるわけでございます。最近、外為の揚げ超は非常に顕著になって、本年になってから四月には約三千億の揚げ超になって、五月になってからこの十日間で約千億揚がっているというふうに聞いておるわけでございます。その意味の過剰流動性はいま非常に早い速度で収縮をしているというふうに言えると思うのでございます。それから、銀行の預金準備率の引き上げを二度やりましたり、それから公定歩合〇・七五引き上げたり、それから銀行の貸し出しを一六%前年度の同月に比して減らしたり、土地投資に対しての窓口規制をやったり、そういうことをいろいろやっておりますもんですから、だんだんそういう状況はあらわれてきているというふうに聞いておりますが、詳しくは専門員のほうからお答えします。
#121
○竹田四郎君 それはあとで資料で出せたら出してほしいと思います。できますか。
#122
○政府委員(新田庚一君) 過剰流動性の動向でございますけれども、これは過剰流動性の範囲、それから、どういった指標をその動向を見る場合使うかと、いろいろ議論はございますけれども、ごく常識的には、過剰流動性の範囲を企業個人の保有する現金通貨と預金通貨の合計、それのGNPの対比ということで、いわゆるマーシャルのkではかっているわけでございます。それからもう一つは、企業の手元流動性の数字、これは日本銀行の短期観測の数字がございまして、その動向で大体の推計をするという二つが常識的な方法かと思いますが、実はこのマーシャルのkにつきましては、これは御承知かと思いますが、GNPとの対比でございまして、GNPが現在のところ、十月――十二月までしか出ておりませんので、したがいまして、時点としましては四十七年末としまして、マーシャルのkが三八・二になっておるということでございます。ただ、これはたとえば四十年当時から四十五年まで大体三〇%ぐらいで推移しておったのが四十七年末に三八に上がっておるということでかなりふえたわけでございます。したがいまして、このあとの動向は、これは、GNPが、これは今月末かあるいは来月初旬ぐらいに一月――三月が出ると思いますが、そういったGNPの動きとマネーフローとの関係で統計的には出てくるということでございまして、現在におきましては四十七年末の数字しかないわけでございます。で、短期観測のほうの数字としましては、ちょっといま手元に数字がございませんが……
#123
○竹田四郎君 局長、あとで出してください、時間ないから。
#124
○政府委員(新田庚一君) ごく最近の時点では、一月――三月で一・二二が四月以降一・一九に若干下がっておるということでございます。
#125
○竹田四郎君 時間がないから次に移りますけれども、通産省の方、来ておりますか。これは首都圏を中心とする、先ほどちょっと話に出しましたが、衛生陶器、メーカーのほうはたいへん生産のほうに馬力を入れている、こう言っているわけです。しかし、末端の管工事をやっている者から言えば、お客さんの注文で、とにかく東京を越えたはるか北の群馬県とか栃木県まで行かないと手に入らぬ、こういう状態だと、こういうふうに言われているんですが、一体これはほんとうにメーカーがたくさんつくっているのか、それを内需としていままでの需要に応じて出しているのか、あるいは話に聞きますと、内需に回さないで輸出しているというような話もあるわけですが、そういうことが非常に国内における衛生陶器の末端における需要を満たしていない、こういうことですが、これは一体どうなんですか、幾ら家をつくったってそこができなければどうにもならぬわけですよね。さっきのようなたいへん高い木材を買わされて家をつくって、その末今度はトイレができないというのじゃ、これは幾ら家だけできたって生活できないわけですよね。その実情というのは、一体どこでそういうふうな品不足を招いているのか、その点をはっきりひとつ御答弁いただきたいし、それにどう対処していくのか、同時にお答えをいただきたい。
#126
○説明員(矢橋有彦君) まず、衛生陶器、特に御指摘の水洗式の便器の需給の状況及びこれに対する対策につきまして申し上げたいと思います。
 まず需給の現状でございますけれども、出荷のほうは非常な勢いで伸びております。具体的に申し上げますと、ことしに入りまして一月には前年比で五二%ふえております。メーカーからの出荷でございます。それから二月には一二%増加しております。以上は通産省の行なっております雑貨統計に基づく公的な統計でございますが、その後のものにつきましては公的統計がございませんので、メーカーに対するヒヤリングを行ないました結果でございますが、三月以降も引き続き出荷は非常に旺盛でございまして、前年に対しまして三割以上の伸びを示しておる。そしてメーカーはフル生産を行なっているという事情でございます。他方、受注のほうはこの出荷を上回りまして非常に活発でございます。具体的には、最近の受注は前年に対しまして五割の増というふうに考えられておる次第でございます。そして、それに伴いまして、在庫でございますが、メーカー段階での在庫は、通常は生産の二カ月分ぐらいが適正と考えられているわけでございますが、現状では〇・七カ月分しかないということでございます。
 なお、衛生陶器の流通は、メーカーから特約店、特約店から二次問屋、それから二次問屋から管工業者等のいわゆる施工業者といったルートをたどるわけでございますが、いま申し上げましたような意味での流通段階における在庫はほとんどないという状況でございます。
 そして、このような最近の需要の強い伸びは何によってもたらされたかということでございますが、昨年秋以降住宅の建築着工面積が非常に伸びております。二割ないし三割伸びておるわけでございますが、それらがちょうど完成の時期に差しかかっておるということが原因かと考えるわけでございます。
 次に、これに対する対策でございますが、この商品につきましては、原料はほとんど国産でございまして、その面からの生産の制約要因はないわけでございますが、設備的に申しまして目下、先ほども申し上げましたように、メーカーは全部フル生産の状況にあるわけでございます。したがいまして、これに対処する方策といたしましては二つしかないわけでございます。一つは、増設を促進することでございます。これは、しかしながら、設備投資の懐妊期間がございますので急にはまいりませんが、すでに予定されておりますところの増設計画を繰り早めるといったようなことを促進したいと考えておるわけでございます。それからもう一つ、同じ衛生陶器と申しましても、水洗用の便器のようにきわめて需給がタイトのものと、比較的そうでないものとあるわけでございまして、需給上余裕のある品種からの生産の転換を指導したい、このように考えておる次第でございます。
 それからいま一つ、蛇足かもわかりませんが、その間に買い占めないしは売り惜しみといったようなものがあったかなかったかということでございますが、まず買い占めにつきまして申し上げますと、たとえば大手商社等による大がかりな買い占めといったものはないものと思っております。と申しますことは、先ほども申し上げましたように、流通経路がメーカー、特約店、二次店、施工業者といったルートをたどっておりまして、このルートが比較的固定をしております。したがいまして、たとえば大商社等がこれに横から参入するというチャンスが少ないということと、いま一つは、商品の性格から申しまして、非常にかさばるものでもございますし、また破損といった心配もあるものでございますので、いわゆる買い占めといったものはおそらくないんではなかろうかと、このように考えておるわけでございます。
 それからもう一つ、売り惜しみにつきましてはどうかと。これもさだかでない点はございますけれども、先ほども申し上げましたように、特約店、二次店ともに在庫はほとんどないというのが実情のようでございます。これをもとにして考えますと、売り惜しみもないと言えるんではないかと思うわけでございますけれども、ただ、先生御指摘のように、たとえばけさの新聞情報その他、あるいは売り惜しみの事実があるんではないかというような論調も新聞に出ておるわけでございまして、その点につきましては、今後詳細に調査をしたい。もしそのような事実があれば、先ほど申し上げました二つの対策に加えまして、そういうものについての排除ということも対策の一つとして加えなければならない、かように存じておる次第でございます。
#127
○竹田四郎君 これを取り上げたのは、長官、一つの一般にこう言われている、たとえば木材だとかセメントだとか、そんなことをたたけば片方でこういうのはずっと起きておるんだと。私はこの中にはおそらく売り惜しみもかなりあると思うのです。まあ、大手商社かどうかはこれはわかりません。小さな業者かもしれません。売り惜しみはあるだろう。だから、こういう問題はどうなんですか、緊急に輸入をしていくというわけにはいきませんか、その点は。
#128
○説明員(矢橋有彦君) 現在、最近の輸入の状況でございますけれども、非常に少量でございまして、たとえば昭和四十六年でございますと、トン数にいたしまして、三十ミトン、わずかに。それから四十七年には輸入がふえたと申しましても百三十九トンということでございます。大体年産、水洗式の便器だけで五万トン程度の需要がある商品でございまして、現状では輸入は非常に微々たるものでございます。そして次に、これを急にふやすことができるかどうかということでございますけれども、非常にバルキーなものでございますので、運賃の問題その他勘案いたしますと、なかなか輸入しにくい。そしてまた、従来あまりたくさん輸入しておりませんので、急に輸入しようと思いましても、いわゆる取引上のチャネルがない、こういうことから、急に輸入の増加によってこれに対処するということは実際上きわめてむずかしいことかと考えるわけでございます。
 それから次に、輸出を抑制する方法がこれに付随してあり得るわけでございますが、この輸出も二千トンに満たない程度の輸出しかございません。しかも、それが年々減少しつつあるわけでございまして、この面からも、たとえば輸出を抑制して国内の需給の緩和を行なうという手だてにも乏しいというふうに考えておる次第でございます。
#129
○竹田四郎君 どうも聞いていてたよりがない。どうにもしようがないと、増設するにしたって、そんな急に増設することができるわけでもない。非常にたよりのない返事なんですが、これはもう少し何とかぼくは方法はあると思うんですね。こういうものというのは世界的にできているものですから、日本一国だけが特殊なものだというわけではない。まあ、特殊なものもあると思う。何かそういう点で非常にたよりがなくてしようがないのですが、これはもう少し研究してみてください。
 それから、私の受け持ちの時間はないですから、ひとつあと資料で出してもらいたいと思いますけれども、大蔵省の銀行局来ていると思いますが、たとえば信託銀行が不動産業に貸し付けた貸し付け金の残高というものはものすごいわけですね。昭和四十五年六月を一〇〇として、昭和四十七年十二月、倍率十一倍貸し付けているのですね。信託銀行というのはまさに不動産屋に対する資金供給もとだと言ってもいいくらいなわけですよ。これが具体的にどういうところへどのくらい貸し付けているか、どういう信託銀行はどのくらい貸し付けているか、ひとつ詳細な資料をこの次までに出していただきたい。これお願いをしておきたいと思います。
 もう少しいろいろ詳しく聞きたいのですが、時間がございませんが、それから、ここで長官に特に私、お願いしておきたいのですが、この前の委員会で、セメントがないと言っている。鋼材も最近の出回りは、価格は何か下げたようですけれども、たいへん鋼材の入手が困難になっておる。骨材は上がっている。こういうことになりますと、都市の近郊――三大経済圏の近郊というのは、おそらく中・小学校の新設、増設というものがたいへん急を要しているわけです。子供たちはいまプレハブ校舎にいるわけです。早くそういうぴしっとした校舎に入りたいという希望があるわけですよ。これには特に資材を政府のほうから指示して回して、計画どおりに学校が建てられるように私はすべきだと思うんですよ。これひとつ要望しておきますからね、資材がそういう方向に回って、どんどんと不足な学校が、計画されているものが建っていくように、資材を回すように、経済企画庁やっぱり各省にこう指示して回すようにしていただきたいと思うんですが、これ一つの要望で丸
 それから、公取委員長お見えになっておりますから、この前私事務局長までに課題に出してあるA重油の価格ですね、これがほとんど統一された価格になっているわけです。しかも、A重油というのはいまの公害防止の中で非常に貴重な扱いになっているわけです。お調べいただいたと思うのですが、一カ月くらいかかっているわけですよ。その結果一体どういうふうになっているか、その点の御報告をひとつ願いたい。
#130
○政府委員(高橋俊英君) A重油の価格は、いまのところ、その価格の決定について結局私どもが問題とするのは、価格の協定が行なわれているかどうかということでございますから、それについてそういうことが手がかりがあるかどうかまだ調査中でございまして、本来その疑いをもって立ち入り検査をするという段階にはまだ至っておらない。なるほど、おっしゃるように、価格がある程度似たものになっているという点はまあ否定できないと思っております。こういうものについて協定のようなものがあったかどうかを目下厳重に調査をしておるという段階でございます。
#131
○竹田四郎君 まあ、私の言ったのはもう一カ月前ですよ。いつまでもそれが結論が出ないというようなことなら、これはそういうことをやっているのを助けているというみたいに私は思わざるを得ないのですよ。もう少し敏速に公取は公取として動く態勢をつくってくださいよ。人が足りなければ人を多くしたらどうですか。もっと機敏に動かなければ商社なんかに全部やられちゃいますよ。何にもならないですよ、どんな議論したってね、のろのろのろのろしていたんじゃあ。このことを強く公取委員長に要望して、私、時間ありませんからきょうは終わりますけれども、もう少し明確にその辺はしてくれないと困ります。
 以上要望して私は終わります。
#132
○説明員(岩瀬義郎君) 一つだけ、いま先生の御指摘の点は資料で提出しろということでございますので、後日御説明いたしますが、若干ちょっと私のほうから弁明さしていただきますが信託銀行の不動産業向けの貸し付けでございますが、これは一般の全国銀行の貸し付けの伸び額に対しましてやや下目に出ております。ただ、先生の御指摘の点は、信託銀行に銀行勘定と信託勘定とございまして、私どもいま申し上げました数字は、両方合わせましたところの信託銀行全体の貸し出しの伸び率、これは大体全国銀行の貸し出しの伸び率よりやや下目でございます。ただ、御指摘の銀行勘定だけを抜き出しましてとりますと、それは先生の御指摘の大体数字になっております。ただ、銀行勘定と申しますのは、最近不動産貸し付け……。
#133
○竹田四郎君 あとでいいです。資料として出してください。
#134
○説明員(岩瀬義郎君) 伸びてまいりました。そういう点でございます。ちょっとよけいなことでございましたけれども。
#135
○竹田四郎君 ちょっともう一点、せっかくお見えになったから。
 信託銀行に不動産部なんというのがあるんですがね、そういうのをやめさせたらどうですか。
#136
○説明員(岩瀬義郎君) これは、具体的に申しますと、信託業務というのがそもそも始まりにあったわけでございます、これは戦前から。それで、昭和二十四年でございましたか、銀行業務が認められまして、あらためてそこで銀行業務に兼営させて信託業務を認める、こういうかっこうで信託銀行になったわけでございます。
#137
○竹田四郎君 信託じゃないよ。売買しているんだよ。
#138
○説明員(岩瀬義郎君) ところが、実態を見ますと、信託銀行の不動産業務というのはかなり信頼が置ける業績を持っておりまして、かなり有能な鑑定士等をたくさん持っておりますので、われわれから見ますと、信託銀行の不動産部門というのは堅実かつ国民の方々からも信頼をされておるというふうに考えております。したがいまして、ここで信託部門の中から不動産部門を、不動産業部門を取り除くということについては、これは制度の問題でございますので、慎重に考えなければいけませんけれども、かなり国民の中に定着しておる、信頼されておるものでございますので、なかなか最近の動向だけで判断するのはやや問題があろうかと思います。
#139
○委員長(山下春江君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#140
○委員長(山下春江君) 速記を起こしてください。
#141
○伊部真君 まず、私は通産省に苦言を呈しておきたいと思うのでありますが、実は、通産大臣は私の本会議での質問に対しての答弁を衆議院の物特のほうで訂正されているわけですよね。これは小坂長官との説明の食い違いがあるということで訂正をされておるというふうに私は議事録で見たのでありますが、これは大臣が来てからでないとほんとはいかぬのですけれどもね。それなら私は、この参議院の物価特別委員会にまず来て、前後になってもかまいませんから、きょうは進んで来られてその弁明はしておくべきだと思うんですよね。われわれのほうの答弁に対して不十分であったという表現でありますが、明らかにこれは内容を違えておりますよ。そういう違えた答弁を訂正するのに、衆議院のほうの委員会でやって、ここへ出てこぬというのは、私は、きょうはほかのほうの都合があったということで私もやむを得ぬとは思いますけれども、これは私、筋道として非常に遺憾だと思います。お伝えをいただきたいと思います。
#142
○政府委員(山下英明君) 御指摘の点は、私も大臣からきょう午前中とくと聞きまして、所用でどうしても出席できないけれども、もし伊部先生の御質疑があればとくとその旨を御了解をいただくよう答弁しておいてくれと、こういう指示を受けております。もしお差しつかえなければ答弁いたします。
#143
○伊部真君 それでは、最終的な結論というのは大臣が来られてからでないと無理かと思いますけれども、この間の本会議での質問に対して大臣の答弁というのは、マージンの問題に対してはかなり制度的にも法的にも考えなければならぬという意味のことを言われておったんですが、その後わが党の松浦委員の質問に対して、これについて不十分であったので訂正するということで訂正されておるわけですね。私は、マージンの中身のところでまた議論をせなければいかぬと思いますけれども、問題は、今日の商社の問題を見ても、あるいは物価騰貴の問題にしても、価格、その中の大きな部分であるマージンの問題について何らかの規制をするか、もしくは、規制でなければ、ある程度の指導基準というものを持って、ものさしがなければいかぬのではないか、それを否定されたのでは、私は、どうしてこれから物価騰貴に対する指導というものを、行政面であろうと何であろうと、指導というものが行なえるのか非常に疑問なんでありますが、その意味で行政面で何らかの指導をしたいというふうなお話もありましたけれども、具体的に何を尺度にして指導されようとするのかお聞かせをいただきたいと思います。
#144
○政府委員(山下英明君) 流通の形態、取引の実情及びその流通過程における価格につきましては、私どもは、その商品、その取引の形態に応じて行政を指導をしていくというのが方針でございます。その際に、政府のほうでは、ある指針あるいはガイドライン、あるいは個別の場合には適正マージンの幅というようなものを指示することもございます。しかし、原則は当事者間の意思の合意、契約、そういうものにまかせますとともに、御承知のとおり、個別法におきましてある程度政府が権限を持っておるものもございますが、一般的には、特に問題になっております商社の取引の大部分につきましては政府が価格に介入する根拠を持っておりません。昌頭御指摘の中曽根大臣の衆議院の委員会における訂正発言におきましても、その点を主として言っておられますので、その際に、行政指導によってその正常化をはかるのみならず、また、もしこの法律が通過いたしました場合には、この法律の実施に関しては第四条の売り渡し価格を指定して在庫の売り渡しを勧告したり、あるいは第五条によって、買い占めあるいは売り惜しみの疑いがある場合には立ち入り検査することなどによって不当なマージンを是正していく考えを申し述べたものであります、と申しておりますのも、そういった線に沿った訂正発言だと思います。
#145
○伊部真君 衆議院での議事録を見ますと、こう出ているわけです。「一定の限度を逸脱した大幅のマージンについては、情勢により行政指導ないしはこの法律の発動によりまして、これを規制する必要があると思いますが、これは、この法律の制定を待ちまして、運用を行ないまして、推移を見たいと思う次第でございます。」ということを参議院の本会議で答弁をしたということなんです。私は、いまのようにこの法律の適用物資に限ってのマージンだとか価格の問題を質問したのではなしに、一般的な問題として私、本会議での質問をしたわけです。したがって、この法律の発動に限定をしないで答弁もまたそういうふうに私は受け取っているわけです。だから、これは明らかに一般的な商取引の場合の指導基準というものがかなり積極的な姿勢で出るものだというふうに期待をしておったところです。ところが、それが、この答弁は不十分で誤解を招くということで、内容を変えて答弁をしているわけです。これは一番大事なことは、「従来どおり、行政指導によってその正常化をはかるのみならず、」という表現が中心になっておるわけです。明らかにこれは違うんですよ。ですから、これは私としては心外なのは、参議院で答弁したのを衆議院の委員会でそれを訂正して、そのままになっているというところが私は問題だと思います。これは後刻にこの問題については保留をしておきます。私は納得したわけではありません。
 次に、先ほど塚田委員のほうからもありましたけれども、この物価騰貴の問題、あるいは売り惜しみ、買い占めの法案の適用は、一番大事なことはやっぱり早く手を打つということだと思う。これは私も同感だと思うんです。その意味ではかなり鋭敏にこれを注目をしなければいかぬと思います。配慮をしていかなければいかぬと思います。そういう意味で考えてみますと、商社の最近の状況、これを私は調べてみると、この半年、一年前に通産省として手を打つべき、あるいは関心を払うべきことがあったんではなかろうかというふうに思うのです。先ほどわが党の委員もお話がありましたが、できるだけ重複を避けるようにして申し上げますが、今期の三月の大商社の決算状況、これは前期に比較をしますと、売り上げにおいて二割の増ですね。大体二割の増です。そして利益、いわゆる裸利益ですが、税金を引き、あるいはそれ相当の引き当てを引いたもの、これを前期に比較をすると、これも三割からの増になっているわけです。ただ私は前期と比較をしたというだけでは済まされぬと思います。それでは前々期はどうなのか。いわゆる三月期、同じ決算期でやっぱり見るのが妥当だと思うんですが、四十七年の三月の決算がこの六商社だけでも利益は、裸利益で百八億だったんです。それが四十八年の三月には二百五十億をこえているわけですよ。この傾向はいまに新聞に出されたから出ていることではなしに、この傾向はもう四十七年の九月決算のときに出ているんですよ。それは売り上げは四十七年の三月の決算のときの九兆一千億と、それから九月の九兆八千億というのはそんなに変わらない。変わらないのに、利益だけは、百八億に対して九月の決算は二百十六億、三月の決算が百八億に対して四十七年の九月の決算は二百十六億、大かた倍になっているんじゃないですか。倍越えているじゃないですか。これは私は異常だと思うんです。その決算までの間は大体百億前後の収入だったのが急に四十七年の九月から倍になっている。そして四十八年の三月、これがまた三割も四割もふえているという。このときから土地、株で大商社はたいへんな大もうけをしているというふうに見るべきではないか。その場合に通産省としては商社の異常な商活動に対して注目ができなかったのか、売り上げが一緒で利益が倍増になっているという問題に対して。しかも、そのふえ方が、商社のうちで、特に株や土地を扱った丸紅だ、あるいは伊藤忠だとか日商岩井、こういうところに非常に顕著に出ているということ、こういう状態ではほんとうに鋭敏に物価騰貴に対して先取りをするとか、早く手を打つということができなかった、できないのではないかと思います。過去においてできなかったものがこれからできるということの保証がないと思いますが、その点について御意見を伺いたい。
#146
○政府委員(山下英明君) 御指摘の点は私どももその通りと思っております。といいますのは、四十七年の下期、つまり昨年九月決算においてすでに顕著な数字上の徴候が出ておりまして、今回三月期決算が一般に四十七年下期と比べて十数%アップとか、二十数%アップということを言っておりますが、全体の徴候を見ますときには、徴候が出てきたのは四十七年の上期の決算で出てきております。つまり九月末で出ております。全体として見るときには少なくとも四期を通じて見るべきである。そうすれば四十七年の上期下期と増加が続いておる、こういう状態でございます。なぜ早く気がつかなかったかという点につきましては、私どもも反省をいたしておるところでございまして、営業報告が出るのは、去年の例でいえば十一月でございますが、そのころにはわかっておったわけでございますが、実際に経済の政策の方針を立てるときと、それと実際の動きと表面に出てきた数字と、その深層を動く数字、この辺が非常にむずかしい問題だと思いますが、実際には、御承知のように四十六年八月十五日のドルショック以来諸般の政策を実施して去年の七月にようやく金利引き下げの一巡が終わった、実際にはそういう政策をとってきたそのころに、もうすでにこういった余剰資金、過剰流動性による商社活動が進んでおったということでございまして、そこで急遽方向転換せざるを得ない、こういうタイム・ラグの点につきましては、今後の政策面でも反省すべき一つの点だと思っております。
#147
○伊部真君 これは、これだけ顕著に異常な状態が出ているのに気がつかないということで、ほんとうに将来の物価騰貴に対する手が打てるのかどうかということが心配であります。
 そこで小坂長官にお伺いいたしますが、私がいま申し上げましたように、大商社というのは今日では輸入物資の羊毛の場合あるいは綿花の場合は独占をしているわけですし、あるいは木材の場合にも六割から七割ということになりますから、ほとんどシェアの独占という状況が強まってきておるわけです。したがって、この商社の動きというものは、私はかなり注目をしないと、あるいは警戒をしないと、価格操作あるいは市場を支配をするというようなことが心配になってくると思うのです。そういう意味でこれは当然ほかの企業とは違った目で注意を払わなければいかぬと思うのでありますが、そこで先ほど申し上げたように、三月決済に非常に大ぼろもうけだというふうにいま騒いでおりますけれども、確かに物価騰貴との結びつきが非常に顕著に出たからこうですけれども、実際の大商社のもうけ過ぎというのは、ことしの三月期決算じゃなしに、九月期決算で出てるんですよ、ほとんどは。前年同期の九月決算と比較をしたときにもう異常なものが出ているんです。むしろ九月決算と三月決算と比較すると、その上がり幅というのはわりあいに軽微なんですね。それは企業によって違いますよ。企業によって違うけれども、六商社を対象にした場合は軽微なんです。こういう場合に、これは将来のこともありますから言いますが、手の打ちようがありますか。そして、こういう状態に対してどのように指導すべきだというふうにお考えですか。
#148
○国務大臣(小坂善太郎君) 従来、商社というものに対する注目のしかたが少なかったということは言えると思うのでございます。最近公取委員会においても、商社の問題、いろいろ手がけられておると聞き及んでおりますが、従来公取の活動というのは大体メーカー中心だったわけです。こういうことは、結局、全体のこの見る目が、商社というものは日本の必要な貿易をやってくれる、すなわち、資源のないわが国が、資源を入れこれを加工して輸出する、この営みの重要な部分を受け持っているんだという、そういう認識で、やはりこれの及ぼす影響、特に価格面についての影響というものはまあ等閑視――ことばは適当かどうかわかりませんが、やや等閑視されるきらいがあったのではないかというふうに反省をいたすわけでございます。ただ、いまの決算の比較でございますが、昨年の三月期というのはこれは不況期でございまして、まあ、それに対してこの九月期決算というものはやはり不況からの立ち直りということで、通産省のほうもそういう目でごらんになったんではないかと思いますが、大いにいまの御指摘の点は今後戒心すべき点であると考えます。
#149
○伊部真君 私は一般的な面では長官の言われることは理解をするわけです、一般的好況期、不況期という意味ではね。ただ私は、この内容を見てみますと、各商社によってまちまちなんです。特に伊藤忠あるいは日商岩井、住友の場合なんかは明らかに倍になっているわけですよ。倍を越えているわけですよ。たとえば伊藤忠の場合は、四十六年の九月決算のときには二十一億の純利益だったのが四十七年の九月のときには五十二億の裸利益になっているわけですね。一般的に商社全体としてやったときには八割ぐらいの増加であるけれども、顕著にここに伊藤忠の場合はこう出ている。あるいは日商岩井の場合でも、七億であったのが十四億という、で、三菱や三井物産なんかと比較をすると相違が出ているわけですよ。ですから、ただ景気の波動というもの、それはまあ私は認めないわけではありませんけれども、そういう目で見るべきではなしに、その商社が扱っている品目によってかなりその利益の出方が違うということですね。食料だとかあるいは木材だとかいうふうな、シェアの大きい商社に限ってそれが大きいということ、これはやっぱり一般的な好況の波のせいに私はできないことだと思います。したがって、その食料だとか木材というふうな、ほんとうにまあわれわれ庶民にとって、国民にとって欠かすことのできないものを扱っている者に対して、そういう異常な状態があった。売り上げがふえているんならこれは私もあまり言いませんよ。売り上げが同じようにやって利益がどんどん増えているというのはマージンの問題ではないかというふうに思うのですね。この点はやっぱりそういうふうに安易に評価をなさらないで、やはり具体的な内容を個々の商社について点検をして、何が原因でそうなったかということに注目をせなければいかぬと思います。そういう意味で長官のほうにもひとつ注意を促したいと思うんでありますが、同時に、こういう状態に対して、いま提案されましたこの法案で事実上それがブレーキになるかどうかですね。もちろん、私は物価騰貴の問題については一つがきめ手ではないと思います。それは過剰流動性の問題もありましょうし、あるいは金融、税制その他全体の問題もありましょう。特に私は生産活動のブレーキというものも考えなければ、やっぱりこの問題、ここだけでというのは無理かもわかりません。しかし、この法案が出されてほんとうにこういう問題に対して、国民が期待しているのはここですからね。国民が期待しているのは、途中で、どっかで物が高くなるということに対して政府のほうで何とかならぬかというのが要望で、そのために私はこの法案が出ているんだと思うのでありますが、ほんとうにこれでとまるでありましょうか。先ほど塚田委員も言われましたけれども、事実上の問題として、これでとまるでありましょうか、あるいはこれでブレーキになるでありましようか、そういう自信がおありかですね、ひとつ御見解をいただきたいと思います。
#150
○国務大臣(小坂善太郎君) 伊部委員仰せのように、この物価の問題というのは非常に複合的な各種の点から攻めていかなければならぬと私どもも思っておるわけでございますが、この御審議をいただいておる法案はその一つと考えておるわけでございまして、この法案の一番のみそは立ち入り検査でございます。従来行政指導でできなかった点をオーソライズしていただくのは、法律によって物価調査官が立ち入って検査をすることができるという点、そして検査の結果、放出を命じました者に対して、虚偽の報告をしたり、あるいはそれに従わなかった者については、その事実を公表して、これは政府の公表でございますから、したがって社会的な制裁も大きいという点で、物が出てくるであろうし、まあ、いま御指摘のような中間で非常に高いものになるという点がよほどこの法案によって改善されるであろうと、こう思っておるわけでございます。この法案を出せばもう物価がすべて安くなるのだというふうな、そこまでのことは実は言い得ないと思うのでございますが、従来のものでなし得なかった、政府のそういう取引の売り惜しみ、買いだめというな問題に対しての一歩介入ができるという点、この点を評価お願いいたしたいと考えておる次第でございます。
#151
○伊部真君 私はそうであればいいと思いますけれどもね、ただ、世論がわいて、何かせないと政府としては国民に対して言いわけがならぬという程度の法律提案なら私は困ると思うのですよ。事実私がそう感じるのは、先ほどもあったように、これだけ異常な状態というのは、もう去年の九月期決算のときに大体出てきておるのに、それが通産省のほうでも気がつかないし、これはたいへん問題だなという問題意識もないというのに、この法律案で立ち入り検査いまやったとして、それが手おくれでないということが言えるんでありましょうか。事実問題は、二月から三月のときに大豆が上がり、とうふが上がり、綿糸が上がり、生糸が上がって、もう小売り値段は下がらないのですよ、一たん上がったやつは。そうなってくると、物が上がってしまったあとで立ち入り検査がもしもいまごろから発動したって、私はそれが効果があるとは思えないですよ。それなら、よほど商社は、これは犯罪的なものだぞよという意識をあらかじめちゃんと教育をするということ、そういう意識を植えつけるようなやはり力というものを持たなければ、表現としてはあまりよくないかもわからぬけれども、やはり犯罪行為としての意識を持たすということ、これはやはり社会的な制裁というのは、ただ公表というのじゃなくて、そういうところになければならぬと思うのです。それはここで意見の問題でありますから、またそれは譲るといたしましても、私はどうもいまの長官の答弁によって、まあ、ある程度の物価高騰がこれによって押えられるという安心ができないものですから、どうもそういう点ではこの法案は非常に力の弱いものだという気がいたしますが、その点、もう一度お答えをいただきたいと思います。
#152
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は、やっぱり伊部委員も仰せられたように、こういう民主主義体制というものはやはりどうも時期がおくれていくといいますか、すばやい者がこういう法律ができるころには抜けてしまうというようなおそれは私も感じるわけでございます。そこで、実はいまの何かもうけるのがあたりまえのような雰囲気を遮断するには、法律はあとでできてもそれは遡及するんだよというぴりっとしたところがないと、なかなかこれとまらぬのではないかと思っておりますわけでございます。で、この法案が非常になまぬるいではないかという御指摘もございましたわけでございますけれども、私どもはやはり法律、命令というところまでいき、それに違反したら罰則を科するぞといいますと、塚田委員の御質問の中でいろいろな想定問答があったわけでございますが、どうも命令を出す以上は必ず行政訴訟がくると、行政訴訟を起こされても絶対に勝てるんだというふうなことを考えてまいりますと、またさらに慎重にかまえにゃならぬ、その間に時期を失するということがございますので、まあ、この程度で社会的制裁じゃ弱いじゃないかという御疑念もあろうと思いますけれども、いつでももうできるだけ機敏に入っていって調査して、結果が悪けりゃ公表すると、さなきだにこの世論のわいているときでございますから、どこどこじゃこういうものを買いだめておったというふうに言われることが、もうそれは罰金の二百万や三百万納めるとはまるで違った大きな制裁になるというふうに考えまして、それは御不満の点もあろうかと思いますけれども、現状においての、これはなかなかよく――自分で出しておいてこんなことを言うのは恐縮でございますが、よく考えた案じゃないかというふうに思っておる次第でございます。
#153
○伊部真君 これは意見でありますから、もう言い合ってもしようがないと思いますけれども、野党案を私が評価をすると、公表して後のことがあってるわけですから、何も野党案であったら調査ができない、あるいは公表ができないというわけじゃありませんから、私は片っ方の案ならすばやくできて、片っ方ののほうは非常に手間どるということの議論にはならぬと思います。それはまあそういう意味で十分な上に十分な処置というのが私たちの考え方でありますので、そういうふうに御理解をいただきたいと思うのであります。
 そこで、もう一つ私心配なのは、前の、商社の代表者を喚問しての衆議院での物価の特別委員会のときにいろいろ質問がかわされたわけですね。その中で日商岩井の社長がこういうことを言うておったように思うんですが、平常の木材のマージンというのはどれくらいだったかと言ったら、大体二%から二・二二%ぐらいだったと、最近はどうだと言ったら、一二%だと、大体そういうふうになっておりますというようなことを言うておったと私は記憶しておるんですけれどもね。そうすると、そのマージンというのは、それじゃ取れるときは何ぼ取ってもいいのか。で、あの社長の言い方からすれば、損をしたときもありますからと言いますけれども、損をしたときはほかのほうで利益を生んでそれは均衡を保って処置をしているはずですよ。まあ、いずれにしても、少し損をして、あのときのぼくは計算をしてみましたけれども、ちょっと四億か五億の損をしておいて今度は百億からの利益を追求するということでつじつまを合わせてそれが妥当性があるというようなことは私はどうも納得ができないわけです。しかし、いずれにしても商社のことでありますけれども、そう考えますと、マージンというもの、その内容というものは当然限度というものがあると思うんですよ。したがって、私はその意味では何らかの指導基準というのはできるのではないか。むずかしいことは私もよく承知の上です。しかし、何らかの指導基準がないと、その問題についてのやはり指導というものができないのではないか。いまの日商岩井の社長の言い分からいったら、もうかるときともうからぬときがあるからしようがありませんと、こう言えば、いまのあの雰囲気の、あの委員会でさえそうなんですから、そうしたら、今後政府のほうで、問題が起きたと言われたときに、もうからぬときは政府は補償してくれますかと言うたらそのまま黙って帰るというようなことになりはせぬか。それじゃ何にもならぬわけですね。そういう意味では、このマージンの異常な状態に対してどういう打つ手があるんだろうか、その点をひとつお聞かせをいただきたい。
#154
○政府委員(小島英敏君) 先ほど来お話に出ておりますように、利益率に関しましては二つの考え方がございまして、一つは、総資本に対する利益率とかあるいは資本金に対する利益率とか、これはなかなかやはり一般的な基準というものは、過去の実績の上の平均はもちろん出ますけれども、どのくらいであるべきかということはなかなかむずかしいわけでございます。もう一つの利益率はいまおっしゃるマージンでございまして、これは売り上げ高利益率と申しておりますけれども、これはまさに商品の性格によって非常に幅のあるものでございます。つまり、単位当たりのマージンは非常に狭いけれども回転率の高い物資でございますと、低い売り上げ高利益率に高い回転率がかかって先ほどの総資本利益率が出てまいるわけでございまして、回転のあまり早くないものにつきましては、個々のものについては非常にマージンの幅が高い。まあ、宝石なんというのがその一番典型的な例でございましょうけれども、マージンは高いけれども回転率が少ないから、そこで全体として調整されると、そういう関係があると思います。したがいまして、マージンと称します売り上げ高利益率につきましては、これは全く各商品別に性格がかなり違うものであるということであると思います。その意味で、この法律に出ております、たとえば勧告する場合に売り渡し価格を定めるという場合には、これはやはりその品目について将来、過去からの平均的なマージンというようなものを当然参考にいたしまして勧告価格をきめるわけでございまして、ただそれだけでなくて、やはり先ほど申しましたように、そのときのたとえば海外の再取得価格が非常に上がっているとしますとやや高目にマージンを見るということになるかと思いますので、一がいに何%ということは言えませんけれども、かなりそういう意味で、個々のものにつきましては、当然これは将来この勧告を出します場合には、そういう大体この辺が適正であろうというものをはじくということは予定しておるわけでございます。
#155
○伊部真君 私もそのとおりだと思うのです。別に、なべてどの品目もどの程度がよかろうというようなそんな大ざっぱなことでは私はできないと思います。むしろ流通段階に応じて小売り、卸――まあ流通の機構そのものもメスを入れなければいかぬとは思いますけれども、やはりそれに応じてだと思うのです。ただ、私が具体的な問題だと申し上げたのは、同じ品目で、木材の場合には、日商岩井は同じ企業が二%のやつが一二%平気で取っているということ、このことが私は非常に問題だと思うのですよ。やはり何かの基準があればこれは異常だということはすぐ尺度でわかるわけでしょう。だから、決算で尺度を見ていくという方法もあるし、それからマージンの状態についても、基準、尺度があれば、その企業で大体大きくはずれているということになれば、その企業の従業員諸君もやっぱり考えなければいかぬようになってくるだろうし、そこら辺が私は大事なことじゃないかと思います。そういう意味で私、マージンなんかについて指導基準というものが何とかつくれないものだろうかと、ただ売り渡し価格のときにそれで指標にするというだけでは私は解決にならぬので、やはりマージン全体に対して――まあ、全部を一ぺんにやれといってもそれは無理ですが、しかし、できるところからやはりやっていくという姿勢が出ないものだろうか。非常にむずかしくても私はそういうことを考えるべきではないか。私は、国鉄問題なんかを議論していても、一番ふしぎなのは、しろうとだからわからぬのがあたりまえだと言われればそれまでですけれども、公共料金というのはもうほとんどみな原価計算主義ですよね。原価計算主義だけれども、この商社の売り上げは全部、販売価格のパーセンテージより売却に対するパーセンテージで見ているでしょう。そうしたら、販売価格を上げればもうかるという仕組みですよ。だから私は青森のリンゴ園をつくっているお百姓さんの家に行ったら、このごろはデリシャスをつくれ、あるいはスターキングをつくれとやかましく言う。あれはそんなにうまくないのだ、やっぱり国光のほうがうまいと思うんだけれども、東京の人は、あれをつくれ、つくれと言っている。私は、家庭の主婦がそれを要求しているもんではないと思います。ただ、やっぱりスターキングのほうが高いから、どんどんそれを途中の者が宣伝をしてできるだけ消費者に高く売りつけるような政策が出てくる。やっぱりその場合には国光がすたってスターキングが栄えていくんですよね。これはやはり社会的にも私は問題だと思うんで、そういう意味で考えると、しようがない、売却の価格に対してパーセンテージをとるのは自由主義の原則からいってやむを得ないのだということだけで片づけられたんではいかぬと思うんです。やっぱりそれに対して必死な抵抗を行政のほうでもしていかなきゃいかぬのじゃないか。そういう意味で何らかの具体的な指導基準というものを出すべきだと私は思いますが、その見解をいただきたいと思います。
#156
○政府委員(小島英敏君) 一つの木材なら木材にいたしましても、商社が需要家からどのくらい買ってくれということを頼まれて海外で買い付ける場合、これは比較的売れ行きについて安定しておるわけでございますから、この場合マージンは比較的少ないわけでございます。普通の状態ですと、木材の場合はどうか、必ずしも私、詳しくございませんけれども、一般の物資につきまして、そういう形で商社が海外の取引に関与しているケースがかなり多いわけでございます。ところが、同じものにつきましても、非常に海外の値動きが激しくなってきたような場合には、なかなか、メーカーといいますか需要家自身がそういう不安定な取引に資金力その他から応じられなくなりまして、この場合には商社が自分の責任において、売れ行きがどうなるのかということを別にして自分の責任で買い付けてしまう。それから国内に持ってきてそれをまた需要家との間の取引で値段をきめて売り払う。そういう形が同じ物資についても形態が固定しておりませんで、かなり動いているというのが実情であると思います。その場合には、どうしてもある場合には非常に商社のマージンが高くなり、ある場合には、いいと思って買ってきたら国内で価格が今度は暴落して赤字が出るということもあり得るわけで、非常に変動するわけでございまして、その意味では、なかなかやはり一つの商品について、おっしゃるように、マージンを、これが適正であるということを出すということ自身が非常にむずかしいという事情があると思います。
#157
○伊部真君 これは押し問答をしてたって、時間を食うばかりでしようがないのでね、ほんとうは私が聞きたいのは、やる気があるのかどうかということですよ、取り組んで。むずかしいのはわかりますよ。しかし、わりあいに取り組みやすい国内の部分もあるんじゃないか。そういう問題に対してやはりやる気があるのかどうかということが問題だと思います。私は、非常にむずかしい問題がある、むずかしい問題があるというのはぼくらも承知しているのですよ。そのことを聞きたいのじゃなくて、ほんとうにやる気があるのかどうかということだと思います。もうこれはどうもいまきょうは答えを求めてもなかなか答えが返ってこぬようでありますから、これは後の機会に大臣来られてからまた伺っていきたいと思います。
 次に、時間がなくなってきますから、進んでいかなきゃならぬと思うのでありますが、昨日でしたか、大手商社の「行動基準」というのが出ましたですね。私はこの「行動基準」を見て非常な怒りを覚えるんですよ。少なくとも世論、国民が批判をして何らかのやはり具体的な反省とそして行動の基準というものが、行動範囲というものが私は出るというふうに期待をしておったのです。私は、またそれだから、あの商社の幹部が、代表者が表明して言った意見というのは、国民がそれなりに受け取ったと思うんでございますが、出た内容は、私に言わせれば、新入社員の心得帳みたいなものですよ、あれは。今日の物価高に対して、国民に与えた影響と被害に対して、商社は何の反省がありますか、ここに。そうしてこれから具体的にこれをどう改めるということがありますか。少なくともそういう内容がないじゃないですか。特に私は記者会見のときに、これが発表されたときに、水上さんですかがこれに言われたことばというのは全く反省というものがないというふうに言わざるを得ないんです。たとえば木材のもうけ過ぎに対する質問に対して会長は、一がいに不当だとは言えないというふうに答えているし、そしてこの記事には、これでは現在の商社の
  〔委員長退席、理事長屋茂君着席〕
行動が変化をする可能性は非常に薄いというふうに感じたということを報じているわけです。これに対して私は長官の御感想をひとつ承りたいと、こう思います。
#158
○国務大臣(小坂善太郎君) 商社の行動基準というものが発表されたのを私も拝見いたしまして、非常に抽象的であると思いますけれども、それでもいろいろ競争相手同士で、自分のところのことを秘匿しておりました商社が、一応寄ってその行動の基準をきめたということそのことは歓迎すべきことだと思います。しかし、細部にわたりましてこの行動の基準が具体性を欠いているという批判がございまするが、具体的に商社が世のいままでの批判に対してどうこたえていくかということは今後の問題でございまして、それを十分注意したいと考えておる次第でございます。終始注視したいと考えておる次第でございます。
#159
○伊部真君 私は、今回の物価高騰の、国民の非常に大きな被害と困窮あるいは怒りというものはたいへんなものだと思うのですよね。それに対するやはり行政上の反省あるいは業界は業界としての反省というものがあって、それから将来の具体的対策というものが織り込まれなければ私は国民に対する弁明にはならぬというふうに思うわけです。その意味で考えますと、この文章の中には具体的な、こういう点が反省されるとか、あるいは将来は行動基準について、何でもやってもいいと、どれだけもうけてもいいというやり方に対して、具体的にこれは改めなければならぬという内容がないということですよね。私は国民が期待しているのはそれだと思うんですよ。
  〔理事長屋茂君退席、委員長着席〕
被害はそれで受けたんですからね。しかも、物価高騰の顕著にあらわれておるのはほとんど商社が独占的に扱っているような品物に集中しているわけですからね。で、私は当然、行政面でもその反省がしばしば国会でも答弁の中にありましたから不十分であろうとも少しはあると思うのです。流動性の問題にしても、金融の問題にしても、税制の問題にしても、やはりあると思うのですが、しかし、不十分さがあってもやはり具体性というものがあるのに、商社の場合には一つも具体性がないじゃないですか。それを今後の行動に期待をするなんというふうなことだけでは、あるいは注目をするというだけでは私は国民は納得せぬと思いますよ。商社がもうけ過ぎたやつを何らかの形でやはり謝罪をすべきだし、何らかの形で私は国民が納得するような言いわけをちゃんとせなければいかぬと思いますよ。それは行動基準をきめるということだから、黙っておって一応は聞いたと思うのでありますが、これでは私は裏切られたと思うのでありますが、そうお感じになりませんか。
#160
○国務大臣(小坂善太郎君) 私はやはりこの「行動基準」をつくったということそのことは評価いたしますが、それだけではいかぬと思いますし、これはやはり行動によって示してもらいたいと考えるわけでございます。先ほど木材の問題がいろいろございましたのですが、木材は確かに非常に短期間の間に先ほど二割が十二割というお話がございましたけれども、あるいはものによってはそれ以上ではないかというふうにも私は感じておるわけで、そういう点などは、やはりそのもうけを社会に環元してもらうことが必要だと思っているんです。しかし、それに関連しまして、私はさかのぼっての累進課税という大きなことをどんと言ったわけでございますが、そういうのとの関連においてそういうふうに吐き出させるということであるならば、木材を下げますよというところまで行動してくれるとこれは非常にけっこうだと思うのでありますが、私どもの気持ちのラインはそういう気持ちのラインで考えますが、具体的にはひとつぜひ現実にそうした気持ちが実りますような方法を考えてまいりたい、こう思っている次第でございます。
#161
○伊部真君 いや、これは私は非常に遺憾だと思います。こういう内容については不十分であるし、この程度ではやはり国民は納得しないだろうということを政府のほうで私は意思表示があってしかるべきだというふうに思ったんですが、どうも商社のほうへのあまり配慮が大き過ぎるような感じがいたします。もう時間がありませんから、私、内容について触れることができないのでありますけれども、一括して私は質問をいたしますのでお答えをいただきたいと思います。
 いろいろありますけれども省略をして、一つは、先ほどもありましたが、「多量」という範囲というもの、これは業種、物資によってもいろいろこの基準が違うと思いますけれども、この点についてのやはり目安を何らかの形で明らかにすべきではないのだろうか。その状況に応じてということだけでは済まされないのではなかろうかというふうに思いますし、それからもう一つは、生活関連物資の指定というものは具体的にどういうふうな方法で指定をされるという、その手続なりその対象というものについてどう考えるのかということ。
 それから、今度の提案の中に、物価対策に対する総合的な資料を一本で責任官庁である経済企画庁のほうに集約をするということが必要ではないかと、そういう意味で野党側のほうの案にはそれが盛られているわけですけれども、政府案にないというのは、それは現在もそういうふうに行なわれておるし、支障がないという意味でそれを入れてないのかどうかという点についてお聞かせをいただきたいと思います。
 ほかにありますけれども、時間がまいりましたので、私の質問はいまの点をお答えをいただいたことで終わりたいと思います。
#162
○政府委員(小島英敏君) 第一の「多量」という点でございますけれども、これはやはりその企業の過去におけるいわゆる適正在庫と申しますか、出荷に対して何%ぐらい持っているか、あるいは何カ月分持っているかという数字が当然ございますので、そういうものをめどにして、著しくそれを越えていれば「多量」ということになるわけでございます。一般論はそういうことでございますけれども、先ほど来申しておりますように、非常に零細な企業等につきましては、その割合が非常に多くあっても、経済的な効果があまり期待できないということで、これは行政の効率性という観点も加味されているわけでございますけれども、大体やはり経済的効果の大きなものが期待できる相当大規模な企業について中心として考えるということでございます。
 それから、指定の手続でございますけれども、これはあの法案の第二条にございますように、「価格が異常に上昇し又は上昇するおそれがある場合」というのが第一の構成要件でございまして、第二は、「買占め又は売惜しみが行なわれ又は行なわれるおそれがあるとき」ということでございますので、やはり先ほど御説明申し上げましたように、価格の動きというものが第一義的に重要でございまして、最近、この法律でなくとも、私ども卸売り物価、消費者物価両方につきまして、全品目について、前月に対してどれくらい上がっているか、あるいは前年同月に対してどれくらい上がっているかあるいは下がっているかというものを網羅的に調べております。そういうものを参考にいたしまして、やはりどうも「異常」が何%かということはなかなか一律に申し上げにくいのですけれども、「異常に上昇し又は上昇するおそれがある」物資ということはそこで一つ出てくるわけでございまして、その中で、そのものの性質上、これはどうも買い占め、売り惜しみの対象になるようなものではないというようなものはもちろんはずれるわけでございますし、それから、ほかの法律によってより強い規制が行ない得るようなものにつきましては、これはこの法律の対象からはずすということになって整理されているわけでございます。そういうことで、物資の指定に関する政令、これは関係各省ともちろん御相談した上で、内閣の合意を得て物資指定のための政令を出すという手続になるわけでございます。
 それから第三の情報の点でございますか、一元的に云々とおっしゃいましたのは。
#163
○伊部真君 いわゆる在庫量その他の資料を報告させるというところは、私はやはり各省の中で経済企画庁なら経済企画庁一本のところで統一をすべきだと、そういう意味で四党案のほうに出ているわけですが、それが必要でないというのはどういうことだということです。
#164
○政府委員(小島英敏君) これはやはり各物資につきましては、物資所管官庁が第一義的な責任を持っているわけでございます。そういうことで、この法案におきましては、内閣総理大臣の補佐としての企画庁長官、その事務局が企画庁でございますが、これが加わりまして主務官庁と一緒に調査をいたし資料を徴収するわけでございます。したがいまして、野党案の場合には、「又は」ということで企画庁独自でもできるし主務省独自でもできるということになっておりますから、この場合は主務省に対して企画庁が資料を要求するということがあり得るわけでございますけれども、政府提案の場合には、たてまえとしても両方一緒に調査をいたすわけでございますから、特に一元的に企画庁に集めるという必要がないということでございます。
#165
○田代富士男君 ちょうどいま五時でございまして、そろそろ夕飯の時間でございます。皆さん方全部おなかもすいていらっしゃるかと思いますが、国民生活に大事な問題でございますから、引き続きお願いをしたいと思います。特に時間の関係もございますから、私はきょうは三つの点から質問を行ないたいと思います。
 第一は、国民の生活の安定のために輸入政策を強力に推し進めていったらどうかという問題点。第二の問題点は、きょうも当委員会で問題にされております総合商社の根本的な体質の問題でございます。第三点は、現在国民の皆さん方が生活苦に悩んでおりますこの原因はどこにあるか。この三点から、時間があればあらゆる角度からと思いますが、時間もありませんから、端的な質問をしてまいりたいと思います。
 で、まず先日当委員会におきまして、長官は輸入政策につきまして、輸入政策を積極的に活用することとし、このため生活関連物資を中心に関税率の引き下げや輸入割り当てワクの拡大や輸入自由化の推進をはかるとともに、流通機構の合理化競争条件の整備によりまして輸入政策の効果が消費者に十分あらわれるように、こういう輸入政策を積極的に活用していくという旨の所信表明を長官はおやりになりました。
 そこで、国民生活安定及び向上の観点から輸入制限品目、たとえば牛肉だとかハムだとか、まあ、その他ございますけれども、そういうものに対して低価格による安定した、また将来の発展可能性などに基づいた保護の基準及び保護すべき必要な期間も明確にいたしまして自由化というものを推進すべきではないか、このようにして国民生活の安定のために強力なる輸入政策を打ち出すべきであると、私は、長官の所信表明とともに、そのように希望するんですが、まず最初にこのことに対する長官のお考えをお聞きしたいと思います。
#166
○国務大臣(小坂善太郎君) お答えを申し上げまするが、日本以外の国でできているもので安いものがございますれば、やはり国民生活の見地から見まして、それをできるだけ輸入すべきであるというふうに考えておりますわけでございまして、御承知のように、昭和四十年には自由化しておらない品目が百二十二あったわけでございますが、今日ではこれが三十三品目になりまして、その中で農産物の関係が二十四あるわけでございますが、この率はフランス以上に自由化されているということになっているわけでございます。しかし、一方において国内の生産者のために保護を与えなきゃならぬようなものもございまして、残っておる品目をさらに自由化を進めるということは、なかなか、ことに農産物の場合において困難がございます。そこで、先般の四月十三日の物価対策閣僚協議会においてもきめましたことでございますけれども、特に輸入自由化していないものについてはワクの拡大を考えておりますわけでございまして、原則といたしまして、前の年に比べて三〇%以上このワクを拡大する。しかも、国内消費量の八%に満たないものについては八%まで拡大すると、さようなことを決定いたしたわけでございます。ことに牛肉が非常に高いわけでございますので、牛肉につきましては前年度これを七万トン輸入しておりましたわけでございます。上期に二万三千トン輸入しておったわけでございますが、今年度は上期にこれを三倍にして七万トン輸入する。さような措置をとりましたというわけでございますので、まあ、さような点で一歩問題を進めておりますることを申し上げておきたいと存じます次第でございます。
 さらに、この輸入に関連しまして特恵関税のシーリング・ワクの弾力的運用、そういう点もこの閣僚協議会においてきめましたわけでございまして、さような方針を進めてまいりたいと存じておる次第でございます。
#167
○委員長(山下春江君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#168
○委員長(山下春江君) それじゃ速記起こしてください。
 暫時休憩いたします。
   午後五時十八分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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