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1972/06/13 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 物価等対策特別委員会 第5号
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1972/06/13 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 物価等対策特別委員会 第5号

#1
第071回国会 物価等対策特別委員会 第5号
昭和四十八年六月十三日(水曜日)
   午後一時十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月三十一日
    辞任         補欠選任
     中沢伊登子君     村尾 重雄君
 六月一日
    辞任         補欠選任
     村尾 重雄君     中沢伊登子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山下 春江君
    理 事         玉置 猛夫君
                長屋  茂君
                竹田 四郎君
                田代富士男君
                中沢伊登子君
    委 員
                上原 正吉君
                亀井 善彰君
                川野辺 静君
                嶋崎  均君
                塚田十一郎君
                伊部  真君
                小柳  勇君
                中村 波男君
                渡辺  武君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長  小坂善太郎君
       官)
   政府委員
       公正取引委員会
       委員長      高橋 俊英君
       公正取引委員会
       事務局長     吉田 文剛君
       経済企画庁調整
       局長       新田 庚一君
       経済企画庁国民
       生活局長     小島 英敏君
       経済企画庁総合
       計画局長     宮崎  仁君
       水産庁次長    安福 数夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉本 金馬君
   説明員
       通商産業省繊維
       雑貨局雑貨第二
       課長       矢橋 有彦君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊
 急措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山下春江君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。
 まず、理事の補欠選任についておはかりいたします。
 中沢伊登子君の委員の異動に伴いまして、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(山下春江君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に中沢伊登子君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(山下春江君) 次に、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#5
○田代富士男君 前回の委員会で私が第一問だけ長官に質問したおりに、突如としてこの委員会が中断されまして、その引き続きということになるわけなんです。
 ちょうど小坂長官は、先週OECDの閣僚理事会に出席なされましてお帰りになったわけなんです。お疲れだったと思います。御苦労さまでございました。お帰りになりまして記者会見で、世界の主要国に共通する悩みは何であるか、インフレ問題であったと、そのために、会議の焦点というものが、各国が力を合わせましてインフレ退治をどうするかということで意見の一致を見たと、こういう記者会見の席上で第一番目に長官がお話をされております。これはもう、私も国民の一人といたしまして、これこそ現在の最大課題の一つじゃないかと私自身も確信しておりますが、問題のインフレ対策に対しまして、今後長官といたしまして、特にOECDの閣僚理事会に参加されてなおさらのことでございますが、このようにやっていきたいという、まず長官としての対策をお聞きかせ願いたいと思います。
#6
○国務大臣(小坂善太郎君) 私の主張につきまして理解あるおことばをいただきまして、まず感謝をいたします。
 ただいまお話しのように、いまOECDの参加国で一番問題としておりますのはやはりインフレの問題でございまして、昨年は経済成長の問題が主要議題となったわけでございますが、今年は非常に一致して各国ともに経済成長が成功しつつある反面、物価の問題が非常に深刻な問題となっておるという状況でございます。そこで、ただいまの御質問の、今後どういうかまえでいくかということでございまするが、やはりあの会議におきましても、インフレの問題は一義的にはその国の政府の問題である。しこうして、やはり世界的な、何と申しますか、コンサーテッド・アクションということばを使ったわけでございますが、一致協力したインフレ対策、お互いに共通の問題については情報等を交換しながらインフレ退治に邁進しようではないかということでございますが、やはり私は、わが国のインフレ対策の問題は、まずわが国として腹を固めて、何としても国民の最大の問題は物価の安定であるという気持ちで立ち向うべきであると考えておる次第でございます。その対策でございますが、やはり財政、金融のいわゆるポリシー・ミックス、それを適当にミックスしたプロパー・ミックスという形が必要だと思いまするけれども、何といっても需給の関係、これの中で、非常に需要が強くて超過需要がある、この超過需要をいかにして取り去るかということでございまして、そのためにはいろいろ機動的な手段を用いなければならぬと、かように考えておる次第でございます。現に政府といたしましても、物価対策の七項目を決定しているわけでございます。また、何といっても国民各位の協力をいただかなければならぬことでございますので、消費者情報の強化というようなことも努力をいたしておるわけでございますので、今後そうした面について一そう皆さまにお力をいただきつつ努力を傾倒してまいりたいと思っておる次第でございます。
#7
○田代富士男君 いま長官が、インフレそのものはその国の問題として解決をしていく問題であると、そういうふうに申していらっしゃいましたが、世界的な現在インフレの様相を呈しておるわけなんですが、これも私が言うまでもありませんが、巨額のドルが世界じゅうにだぶついている。その中で主要国の通貨がドルに対しまして変動しているという現在の通貨情勢というものが世界的なインフレというものを起こしている要因の一つになっているんではないかと思うんですね。こういうときに、長官も御存じのように、フランスがドルの信認回復をアメリカに要求したとも伝えられております。また、こういうときにありまして、お互いに情報の交換等をやって、この各国が力を合わせてインフレ退治をやろうと言っておりますが、相変わらず過剰のドル残高の処理をこのまま放置しているならば、今回問題になりました世界的なインフレというものをさらに助長するようなことになるんではないかと思いますね。また、通貨の問題等IMFで討議をされておりますけれども、これが行き悩みをしている。そういうわけで、通貨改革への意欲が失なわれてきたおりに、今回の長官が参加されましたOECDの共同声明におきましては、通貨改革は緊急の問題であるからこれも何とか検討しろというようなことが再確認されたということを長官もお話しなさっておりますけれども、これは注目をすべきことじゃないかと思います。しかし、一方では、この通貨問題につきましては、IMFのナイロビ総会までは、あまり発展的な面が見られないじゃないかということが一部に伝えられておるわけなんです。そういうことも、今回長官はOECDの閣僚理事会に参加されまして、どういうふうにこれを受けとめてきていらっしゃるのか、あるいは、通商面におきましては、今年の九月でございますか、東京におきましてガットの総会がありますけれども、その総会までに各国が意欲的に改革の具体案を提出しようというようなことも話し合いがなされているというようなことでございますが、ちょうどそういう世界各国の情報交換の補助とも言うべきOECDの閣僚理事会に参加されました長官の、いろいろお感づきになった点、その点に対しまして、わが国としてどうやっていくかという点につきまして見解を聞かしていただきたい。
#8
○国務大臣(小坂善太郎君) 通貨の情勢につきましては、コミュニケの中でも、「全般的に、国際収支の一そうの満足すべきパターンの達成のためおおむね適切である」という表現を用いまして、今日のフロートしている状況を判断しているわけでございますけれども、各国とも政府としては協力いたしまして、できるだけ早く安定した継続的な基盤の上に立った通貨制度の建設をしていきたいと考えておるわけでございます。そういう点も申したわけでございます。この点についてはイギリスのバーバー大蔵大臣は非常に積極的な発言をされまして、九月末までに閣僚レベルの会合を持つべきであるというような提案をされたわけでございます。御承知のように、九月中にCトゥエンティの委員が寄りまして相談をすることになっておるんでございますが、そういう事務的なものを越えて、早く責任のある閣僚レベルの会合を持つべしという提案があったわけでございます。しかし、それに対してはなかなかいろいろな見解があったのでございましょう、特に反論もなかったのでありますが、強い賛成論もなくって、結論的には、ナイロビの総会までには何とか形をつけたいもんだという程度のものでございまして、非常な期待はその点には見られなかったわけでございます。何といたしましても基軸通貨としてのドルが後退している現状でございまして、アメリカ自身もそこまでの自信が――交換性回復までの自信が表明しにくいというような情勢ではないかと思いますので、この点についてはその程度にとどまったわけでございます。また、過渡期における秩序ある為替相場の維持につとめるという点についてはみな同感でございまして、ことに過去十日間におけるドル売りの状況というものは、はなはだ現実的なことでなかったというふうな批判を加えております。これはフランスのジスカールデスタン蔵相等からもそういう意味の発言があったわけでございます。また、新しい貿易体制の確立を促進するためにこの秋に東京で行なわれまするガットの総会には、非常にみな多く期待をかけておったわけでございます。当初、この会議が持たれる前の現地の事務局の話では、まあ、ガットの東京総会は一つのお祭りではないかというふうな気分があったようでございますが、この会議の結果、東京総会にはひとつ案をみんな持ち寄って、そうしてこの貿易体制の確立を促進するように、新しいラウンドが始まるような、そういう話し合いのできる案をみなが持ち寄ろうじゃないか、そういうような空気になりまして、この点は非常に積極的な形が見られましたようなわけでございます。
#9
○田代富士男君 それで、まず国内の問題に移りたいと思いますが、きょうの朝刊を見ますと一斉に掲載されておりましたが、卸売り物価が何と十六カ月間連続して上昇の一途をたどっているというこの事実でございます。これはこのまま放置したならばどういうことになるだろうかと、おそらく心ある人々は心配しているんじゃないかと思うんですね。まあ、けさの新聞にもいわれておりましたが、日銀の十二日発表されました卸売り物価指数、四十五年度を一〇〇とした場合に一一一・二、そして前月に比べまして〇・九%の続騰というような数字があらわれてきております。卸売り物価は三月はたぶん一・九%ぐらいだったか二%を切れたと思いますが、そのような数字を示しておりましたが、その後、日銀の金融引き締め、こういう強化策がとられまして、四月にはそれが〇・五%というくらいの数字まで一応は下降線をたどったかのような面が見えました。しかし、いま申しましたとおりに前月比では〇・九%と、再びこのような上がり方をしている。昨年の二月以来十六カ月間にわたりまして、何といま申しますとおり一二・三%というような高い数字を示している。これは一がいに、消費者物価の指数と違いまして、このような卸売り物価の指数のこの上昇をどのようにとらえるのか。いまのOECDの会議の中心になったインフレの問題等がありますけれども、確かに景気の盛り上がりという面もあるでしょうし、工業製品の上昇によりまして輸入原料が高くなってきたという面もありますが、長官は、この十六カ月間にわたりましてこのような上昇を続けます卸売り物価の指数に対してどのようにお考えになっているのか、また、これをどのように今後経企庁長官として対処していくのか。その点から、国内の問題でございます。インフレはその国内でと長官おっしゃるとおりに、国内の一番の問題をまずお聞かせ願いたいと思います。
#10
○政府委員(新田庚一君) ただいま御指摘のとおり、日銀のきょう発表になりました卸売り物価指数、五月が〇・九で前年同期比一二・三上がっております。御指摘のとおり、三月までは五カ月一%以上の上昇を続けておったのでございます。四月の上旬、中旬と、これはフロートの影響もございますけれども、かなり投機的な動きが減少しましておったのでございまするが、その後、四月の下旬から五月中を通じまして、もう一度騰勢に若干転じておるというふうな状況でございます。五月の、けさ発表になりました上昇品目を見ますと、くず鉄あるいはセメントあるいは原油関係あるいは鉄鋼といったものが上昇の率の高いものになっております。一方、木材関係なんかはマイナスになっておりますが、そういった情勢でございまして、やはり基本的には経済の実勢が非常にまだ強い。一月−三月の過剰流動性の吸収、準備率の引き上げ、四月の公定歩合の引き上げと、一連の引き締め措置も組まれておったのでございますが、これを見ます限り、五月段階においては実体経済に真の影響はまだあらわれておらないというふうに判断せざるを得ないわけでございます。一方、海外物価も最近非常に高騰しておりまして、実質上の円の切り上げによってもなお吸収し切れないという面もございます。
 そういったことで、今後の卸売り物価の見通しにつきましては、必ずしも楽観できない状態でございますが、先般の金融引き締めの効果あるいは財政、公共事業の下期繰り延べといった一連の措置の効果が徐々に発揮して、卸売り物価の上昇率が逐次鈍化しているということを期待している次第でございます。
#11
○田代富士男君 いや長官、いま長官にお聞きしましたが、いま私が申し上げました実情に対して、またいま同じような説明を加えられたと思いますが、それに対して実情をありのまま、こういう状態でありますということは、だれしもそれを知ることはできるけれども、それをどのように今後対処していくか、これが問題だと思うんです。ましてOECDの閣僚理事会に参加されまして決意を新たにお帰りになった長官でございますから、特にいま前面にこれがまず差し迫ってきたんですから、長官はいかにお取り組みになるのかお聞かせ願いたい。
#12
○国務大臣(小坂善太郎君) 四月の上旬、中旬は、御指摘のように〇・一%わずかでございますが下がりましたので、非常にこれが決戦のきっかけになるのではないかというように期待いたしたのでありますが、まことに残念ながらその後騰勢は依然として続いておるわけでございまして、私といたしましてもまことに残念しごくに思っておるわけでございます。で、これに一番私が気にしておりますのは、実は設備投資が非常に状況が強いのでございまして、一−三月の設備投資は実に四十数%というたいへん大きな伸びを示しておるわけでございます。きのうも銀行協会でそのことを申したのでございますが、実は私どもの四十八年度の経済見通しではこれが一四%であるわけでございまして、異常な躍進というか、高騰というか、でございますので、何としてもこの意欲を少しそがなければならない。その中で一番大きなのは、やはり自動車産業の需要が大きいので、それにこたえるためにはさらに大きな設備投資をしなきゃならない。やはりものごとの勢いをそぐには傾斜的にどれかに見通しをつけてその設備を抑制するというようなことを考えにゃいかんと思いまして、実は割賦販売の頭金なども、これは景気問題ということでなくて、いわゆる公害とかそういうような、あるいは道路の容量に比して自動車のあまりにも多い状況とか、そういうものを考えて、少しこういう問題を自制することを考えてはどうかというふうに言い出したわけでございますが、結局それは景気調整に割賦販売を利用することになるからいけないというような話になってまいりまして、しかし、まあ設備投資そのものは、そういう行き方でなくて押えようではないかというようなことを、最近通産省のほうから行政指導をしていただきまして、大体そのような方向にまあなりつつあるわけでございます。要するに、需要が非常に強い。この需要をどこかで少し押えていかないといけないというふうに思うわけでございます。
 私は、日本の経済の将来を達観いたしております場合に一番憂慮にたえないのは、大量消費こそが大量生産を可能にする、それで日本は伸びていくんだといういままでの考え方をどこかで方向転換しなきゃいかんということであると思っておるのであります。で、いま、資源の有限性であるとかあるいは大量消費に伴う廃棄物の処理であるとか、そういうことから問題がだんだん国民的な課題になってきたわけでございますので、やはりそういう面からも国民全体の気持ちをそこに結集していただきまして、問題を深く掘り下げていただきまして、やはり日本というものの持ってる特性−資源がなくて人口が多くて領土が少ない、その中における日本産業のあり方はどういうふうにしたらいいんだということをみんなが考えていただくようにしないと、売れるからつくるんだ、そして金があるから買うんだと、そういう形だけでは私はどうにもならぬところへだんだん来ておるというような感じを持っておるのでございまして、きらわれても少しそういうことを言うて方向転換を考える以外にこのいまの状況を変える道はないんじゃないかというふうに思うのです。
 それからもう一つは、これ非常に常道でございますが、財政金融の面から全体の総需要を引き締めていくということであろうと思いますし、それを現にやっておるわけでございますが、なかなかそのきき目も、心理的な効果は別といたしまして、実際その効果があらわれてまいりますのは半年ぐらい先になるというふうに通常いわれておりますので、調整局長がいま申しましたように、そのうちにだんだんその効果もあらわれてくるのではないかと思うのです。しかし、一番直接にききますのは銀行の窓口の融資のあり方なんでございまして、その点については、日銀がまたさらに引き締めをやりだしましたので、だんだん効果があらわれてくるであろうというふうに考えておるわけでございます。
#13
○田代富士男君 まあいろいろ長官のお話を承りましたが、いままでの成長経済から福祉経済への転換をほんとうにこれは強力に推し進めていかなければ、いまのままだったらば行き詰まってしまうんではないかと思うのですね。
 いま卸売り物価のことでお尋ねしましたが、今度は、消費者物価の指数はどのくらい値上がりしているかということをちょっと調べてみました。これでいきますと、東京の二十三区の東京消費者物価指数五月度を調べましたならば、一カ年間で一一・六%上がっている。これはまあほんとうに最近ない数字が出ております。一説には、二十年ぶりの記録だと。これはありがたくない記録でございます。一一・六%という、こういうような値上がりをしております。だから、今年度の予算を見ましても、減税が三千三百五十五億円ぐらい計上されてありましたけれども、まあ、親子四人の年収百五十万円くらいの標準世帯の家庭で減税のためにどのくらいの保護が受けられるかといえば、約九千円前後じゃないかと思います。しかし、東京の二十三区を例にとりましても一一・六%上がっている、こういたしますと、どういうことになるか。まあ一一・六%ということは、年収百五十万円の標準世帯のうち家計費で百二十万円入ったとしまして、一一・六%上がった、ざっと計算しましたならば十二、三万円になる。九千円そこそこの減税で十二、三万円の出費増というような、これは考えられないようなこういう状態が現在の東京の二十三区に起きておる。特に長官も東京に住んでいらっしゃいます。長官自身、おそらく八百屋さんやそういう買いものにお行きになったことはないと思いますけれども、東京の生活の実態というものはこういう実態ですけれども、国民を物価から守る長官といたしまして、いま卸売り物価のことでお尋ねしましたが、消費者の立場から、この東京二十三区の消費者物価の一一・六%というこの二十年ぶりの異常なありがたくない記録に対してどういうお考えをお持ちであるか、お願いしたいと思います。
#14
○国務大臣(小坂善太郎君) 感想を申し上げるということになると、私はやはり田代委員と同じような感想だと申し上げるほかはないと思います。真に困ったことだと思っております。と同時に、多少違いますことは、そういうことについて責任を持つ立場におるのであるので、一そう深刻に悩んでおるというふうに申し上げたほうがいいと思うのであります。
 いまの消費者物価でございますが、いわゆる大企業の製品といいますか、耐久消費財とかテレビとか、そういうようなものはむしろ下がっておるものがあるわけでありますね。でございますから、毎日の物を消費する実感としては、統計にあらわれているよりもさらに値上がりがきついという実感がくるんではないかというように思うのでございます。これはやはり一番問題は生鮮食料品でございまして、ことに、季節的に暖冬の影響がございまして非常に早く野菜が出回った。そこでここへきて、四月、五月になって、ことにキャベツ等が早く出回ったために端境期になってきた。そこで一個が二百五十円も三百円もするようなキャベツが出てくるというようなことになりまして、それがちょうど消費者物価を計算いたしまする――十日、十日にやるわけで、五月十日というのはキャベツが三百円とかしたころの日に当たりましたもんですから、特にその影響が強く出たというふうにいわれておるわけでございます。今後キャベツ等は長野県のキャベツも出回ってくるわけでございますし、時期、時期によって出回る場所が違っているのは御承知のとおりでございますが、そういうものがだんだん出回ってくるので、この点はよほど今後は緩和されるんではないかと期待をいたしております。しかし、私は率直に申し上げまして、東京とか大阪というところはやはり知事の権力が非常に大きいわけで、知事さんが、一千万都民をあずかる立場から、あるいは生鮮食料品の需給については相当にやっぱり努力していただきたいというふうに私は思っている。で、近県とお話し合いを願って、それでもし、これは値段の点とか、あるいは、それじゃ東京へ送るが、引き取らなかったらそのときは補償するかとか、そういうような問題でお金が現に要るようになれば、これは政府のほうで、私はお話は幾らでもやりようがある、責任を持ちたいと思っているのでございますが、そういう努力をしていただかないと、なかなか私、経済企画庁の長官が埼玉県や神奈川県へ行って野菜の話をお願いするわけにもいきませんものですから、やはり現実にそこに行政をやっておられる責任者がもっとそういうことを真剣に考えて努力していただく必要があるというふうに思っておる次第でございます。
#15
○田代富士男君 長官、もちろん知事がやる仕事もあるかと思いますが、いまの話をすなおに聞きますと、長官も、おれも一半の責任があるけれども知事が悪いんだと、美濃部さんが悪いんだと言わんばかりの言い方のようにとれますよ、これは、端的にとりますと。
 それでいま一一・六%というような異常な数字が出ているけれども、長官おっしゃるとおり、十日単位の周期で調査をしているその時期にキャベツ等がその調査の対象となって異常な値上がりになったとおっしゃいますが、そういう野菜類を――キャベツとか、そういう調査の対象になりましたその時点でその調査の対象から抜きましても一〇・六%という二けたの数字が出ているんです。だから、いま長官は、その一番高いキャベツの時期に入ったんだからそういう数字が出ているとおっしゃいますけれども、それを抜いても一〇・六%の二けたの数字なんです。だから、これは簡単なもんじゃないと思うんです。この点、長官どうなんですか。キャベツは入ってなくても一〇・六%、この点はどうなんですか。
#16
○政府委員(小島英敏君) 先生おっしゃいますように、総合指数は一一・六でございますけれども、季節商品を除きました――いわゆる野菜とか生鮮魚介、それからくだもの、そういうものを除きました総合でも、五月の東京の数字は一〇・七でございます。ですから、基調的にやはり消費者物価が非常に上がり方が強くなっているということは事実でございまして、これは私どもの見解では、やはり卸売り物価が昨年の後半から上がり始めまして、特に初めのうちは木材あたりが中心だったのが、昨年末からことし一、二、三月あたりは繊維、食糧、雑品というようなものが卸売り物価上昇の中核になりまして、これがやはり非常に消費財的なものでございますので、その影響がいま非常に深刻に消費者物価のほうに波及しつつある段階であるというふうに思うわけでございます。したがいまして、やはりこの消費者物価を安定させる、上昇率を大幅に鈍化させる基本は、いかに早く卸売り物価をまず安定させるかということにあるというふうに思っております。
#17
○国務大臣(小坂善太郎君) いまの私の答えで、何か美濃部亮吉にすべての責任をかけたようにおとりになったようでございますが、そういう考えは毛頭ございません。ただ、私としては十分責任を感じておるけれども、生鮮食料品のごときは、特に行政当局において御配慮を願いたいと言ったわけでございます。幸いに東京都にも物価局が新設されるようでございますし、まあ、だんだん国の方針と同じように心配をしてくれるということになれば、これはたいへん私もけっこうなことだと思っておるわけでございます。
#18
○田代富士男君 いま長官が、東京都にも物価対策本部ができますし、御承知のとおりに、当委員会で大手商社を参考人に呼んで審議をいたしましたとおりに東京都議会でもやりましたが、もし長官に東京都議会へ出席していただきたいと言われた場合に、長官、出席されますか。
#19
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は国会においてこうやって御質問にお答えしておるんで、東京都は東京都の問題として御審議を願うのが適当であろう、私はそこへ出る必要はなかろうと、こう思っております。
#20
○田代富士男君 だから、それはまあ正式にはそういうことでございましょうけれども、東京都知事にもそういうふうに協力を願いたいというのならば、公式、非公式でも――やはりこの日本の政治、経済の中心地の東京ですから、やはり物価という点につきましてはそういうものを乗り越えて物価問題と対決していくというその姿勢がほしいと思うんです。それがない限りにはこれは解決できないのではないかと思うのですね。東京は東京、国は国、埼玉は埼玉、大阪は大阪、それじゃならないと思うのですね。
 そういう面で、いま一一・六%の急騰を続けているその中で、四十七年度の消費者物価総合指数に対する上昇寄与率の高い商品を私なりに調べてみました。そうしますと、これはもうすでに総理府からも発表されたと思いますが、上昇寄与率の一番高い物価は何か。一番がコンブです。それから二番目が大豆です。三番が納豆です。このように食料品の寄与率というものが最も大きいわけなんです。全体の四〇・六%ぐらい占めている。これは一体、コンブといい、大豆といい、納豆といい、われわれ庶民の生活には全部欠かすことのできない品物なんです。これが一番上昇寄与率が高いということは大問題じゃないかと思うんですね。で、一番高いコンブの値段を私は調べてみました。そのコンブの値段はこういう値段になるのです。コンブつくだ煮の価格の推移は、上級品と下級品とを比べますと、一キロ単価でいきますと、四十二年が一キロ三百八十円、四十三年が四百五円、四十四年が四百四十五円、四十五年が六百二十五円、四十六年が七百五円。同じ品物です。それから下級品の一キロ当たりの価格が、四十二年が百八十二円五十銭、四十三年百九十二円五十銭、四十四年二百十円、四十五年二百七十二円五十銭、四十六年三百十二円五十銭。こういうような値上がり方をしているわけです。どうしてこういうようにコンブ、大豆、納豆という、こういう庶民生活に欠くことのできないような品物が、五年間たたない間に倍以上の値上がりをしている。これに対して対策をしてきたと言いますけれども、対策をしてきたけれどもどうしてこのような倍の値段まで値上がりをささしめたか、その点に対して経企庁としてはどういうお考えでしょうか。
#21
○政府委員(小島英敏君) 私ども、実は最近の物価指数が発表になりますと、前の月に対して大幅に上がっているものはどうとか、あるいは一年前に対して大幅に上がっているものはどうかということはリスト・アップしまして毎月フォローしておりますけれども、いま先生がおっしゃいましたのは、おそらく数年前に対する上昇率ということでそういう三つの品目が出てまいったと思います。私どものほうでは実はそういう一年前と比較しておるものですから、コンブがトップというふうにはどうもなっておりませんで、したがいまして、コンブについて特に現在の段階で企画庁として、これは直接は水産庁でございますけれども、この前先生が御指摘になりましたような問題は、これは水産庁なり公正取引委員会なりで御検討いただいているわけでございますけれども、私どもはそういう観点から、大豆あるいは納豆につきましては、これはまさに最近急激に上がりましたために先生のほうのリスト・アップにも二位、三位になってきたんだろうと思います。これは全く昨年の後半以来の大豆の暴騰とそれに伴うとうふと納豆という末端製品の値上がりということになったわけでございまして、とうふのほうは、大豆の値段が下がりました結果、まあ、もとへ戻ってはおりませんけれども、多少値下がり傾向が出ておるわけでございますけれども、納豆のほうはどうも上がりっぱなしでさっぱり下がっていないということが統計上からもはっきりいたしております。この辺はどうもやはり個々の商品について、特に小売りについての指導になりますと、私どもといたしましては、コスト計算をしてみると、大豆が下がってくればこの辺まで下がるはずであるということは、これは毎々新聞発表もいたしまして、消費者団体にも懇談会等を通じて資料を流して情報提供をいたしておるわけでございますけれども、業者のほうの指導というものはどうしてもこれは農林省が直接の衝に当たるわけでございますので、農林省を通じてそういう行政指導を期待するということしかどうも企画庁といたしましては手がないわけでございます。
#22
○田代富士男君 いまの問題につきましても、そのようなくらいの――私ら経企庁としましては担当部外でございますからそこまでの指導はできませんと言われれば何にもできないわけなんです、これは。しかし、事実、いま申しますとおりに五年間で倍以上に値上がりしているんです。じゃあ個々の品物でありますけれども、だからこれに対しましてもっと責任を持って対処してもらいたいと思うんですね。だから、所管が違うんだと、それは。もちろんそれも承知の上です、私も。そういうことでインフレ対策等はできないじゃないかと思うんですね。だから、いまのインフレというものは私はいろいろな原因がからみ合っているんじゃないかと思うんです。だから、単純な金融政策等で解消するような現在のインフレの状態じゃないと思うんです。これをまず明確にしなくちゃならないと思うんです。そういうわけで、今後の対策というものもいろいろ多様化した対策を立てていかなくてはならないじゃないかと思うんです。その点、先日ですか、佐々木日銀総裁が、やるだけのことはもう私としてもやりましたよと、だから金融だけでは荷が重い、今後は総合政策をもっと進めていかなければ解決はできない、このことを政府に対しても私は進言していきたいという意味のことを言われております。そういうわけで、私は総合政策というものにはいろいろあるんじゃないかと思うんです。しかし、いろいろありますが、一つ一つ取り上げても時間もありませんが、その中でまず国民生活の安定のために、物価の安定のために総合政策の第一番目に力を入れるのは、強力なる輸入政策を打ち出すべきじゃないかと思うんですね――輸入の自由化。だから、御承知のとおりにバナナだとかナツミカンですね、グレープフルーツ、こういうレモン等の値段というものは一時は非常に高かったけれども、外国からの輸入によりまして一応は安定している。そういう意味で、いまも申し上げました備蓄のきくようなそういう生鮮食料品というものに対しましては輸入を拡大する。すなわち、総合政策の第一番目にそのように取り組むべきじゃないかと思いますが、いかがでございましょう。
#23
○政府委員(小島英敏君) 先生がおっしゃいますように、私どもも、いまの物価対策といたしまして、やはりこの基本は、先ほど長官申されました財政政策及び金融政策を通ずる総合需要の調整ということと、それからもう一つは、やはり供給をふやすということが基本でございますから、その際非常に問題のウエートの大きな輸入を極力ふやすということが一番やはりオーソドックスな物価対策であるというふうに思います。それで、御承知のように四月十三日に閣僚協で決定されました当面の物価安定対策、これは一種の総合政策でございますけれども、その中には二番目の項目といたしまして「輸入の積極的拡大」ということをうたっておりまして、資本及び輸入自由化の促進――ここはなかなかどうも資本自由化のほうは原則一〇〇%の自由化というものが五月一日から実施されまして、これは今後流通面等についてかなり効果が長期的に出てまいると思いますけれども、輸入自由化のほうはなかなか具体的な品目を決定するところまでまだいっていないわけでございます。
 ただ輸入の第二の項目といたしまして、割り当てワクの大幅拡大ということは、今回の総合対策のある意味で目玉の一つとして打ち出されたわけでございまして、前年度に対しまして輸入割り当てワクを三〇%以上ふやす。それから国内消費量が八%に満たないものは八%まで増ワクするということで、これは現在、肉をはじめとして、農林省を中心に個々の品目が大体この原則に沿って増ワクが行なわれております。
 それから輸入拡大の第三の柱といたしまして、特恵関税のシーリング・ワクを弾力的に運用するということでございまして、これは六月一日から百五品目につきましてシーリング・ワクの弾力的運用をはかるということで政令の指定が行なわれまして、こういうワクの拡大とか特恵関税の活用とかということもございまして、最近のやはり輸入のふえ方というものがたいへん顕著で、一日、二日前の新聞にも出ておりましたが、最近の輸入商品の額というようなものはほとんど前年同期の二倍近くになっているわけでございまして、特にその中で製品の輸入が顕著で、これは今後やはり消費需要が非常に強いさなかでございますので、製品輸入が繊維等を中心に大幅にふえてまいりますことが、今後のやはり消費者物価をかなりさます効果として十分期待できるというふうに思うわけでございます。
#24
○田代富士男君 そこで、輸入の問題についてでございますが、いま東京都の、上昇寄与率の一番高いコンブ、大豆、納豆等あげましたが、この中でコンブが現在は輸入制限品目の中に入っているわけなんです。しかし、このような上昇率を示しているわけなんですが、コンブの輸入に対してどのように今後取り計らっていかれるのか、ここらあたりまず水産庁からお聞きしたいと思います。
#25
○政府委員(安福数夫君) コンブの国内の価格との関係につきましては、先ほど御指摘になったところで尽きると思いますけれども、要するに、先ほどの答弁にもございましたように、コンブの価格を下げると申しますか、その場合にはやはり供給をふやしていくということが根本的な問題だろうと思います。それには国内生産という問題と輸入という問題があるわけでございます。国内生産の問題につきましては、われわれは従来から構造改善事業を中心といたしまして、いろいろ岩礁破砕なりあるいは投石なり、そういう形で国内のコンブ生産の量をふやすということについて積極的な手を打ってまいっているわけでございますけれども、必ずしも飛躍的な伸びが見られないというまどろっこしさはあるわけでございますけれども、主としてこの生産地域は北海道でございます。北海道の漁民のうち、沿岸漁民の所得のかなりの部分、ローカル的に、地域的に見ますと、かなりそれが過半数を占めると、こういう実態でもあるわけでございます。そういう関係もございまして、現在のところコンブの自由化ということは水産庁としまして沿岸漁民対策として割り切れない、こういうことにあることは御了解願えると、このように思うわけでございますが、四十六年度に、コンブのそういった価格の推移なり国内消費の問題、そういうものを踏まえまして、従来コンブの輸入がなかったわけでございますけれども、初めてコンブの輸入に踏み切った経緯があるわけでございます。その結果四十七年に輸入割り当てをしたわけでございます。その結果今日までに九百トンばかりのコンブが、主として中国からでございますけれども、入っているわけでございます。ただ、国内の生産との関係をどういうふうに見るかという問題がございますけれども、私ども、やはり国内の消費者価格、そういった問題の推移を十分注視しながら、先ほどの答弁にもございましたように、やはり国内消費の実態等を勘案いたしまして、今後輸入のワクを増大するという方向については、私どもそういう方向で対処してまいりたい、このように思いますけれども、やはり経過的に、これをすぐに自由化という形にまで踏み切れる段階ではないと、このように私ども考えている次第であります。
#26
○田代富士男君 四十七年度に割り当てが一千百トンあって、実質九百トンの輸入――中国産と北鮮のコンブが一部入っていたと思うんです。この実質九百トンでございますが、この輸入コンブにつきましては、小豆島のつくだ煮業者の方が広州の交易会に行かれまして、そのきっかけが輸入という結果になったわけなんですが、その輸入をする場合の窓口の問題でございますが、道漁連が窓口になっている。その窓口のために道漁連に二・五%の手数料が入っている。いまお話しのありましたとおりに、コンブ自身の絶対量が不足している。これで養殖ということも指導されたけれども、これは失敗です、正直に言って、いまやっていらっしゃいますけれども。だから、あとはもう輸入をする以外にない。それはなぜかといいますと、本来の輸入の目的というのは、国内産が少ないために、価格の抑制の目的で輸入をはかろうというのがそもそもの目的なんです。しかし、いま言うとおりに、道漁連が――私はコンブの問題で二回質問しておりまして、御承知のとおりに共販制度のからみがありまして、道漁連自身に問題がある。そこに窓口をしぼってくるということは輸入の目的を逸脱したことじゃなかろうか。だから、そういう輸入コンブにつきましては消費者団体でありますところの日本昆布協会や全国調理食品工業組合等にまかすべきじゃないかと私は思うんです。この点のお考えはいかがでございましょうか。だから、いまコンブが五年間でこういう高い値段、私はありのままの値段を示しまして、水産庁としてもそのとおりだと、五年間で倍以上になっている。これを安定さすという意味からも、私はもっと輸入は拡大すべきである。窓口を、道漁連でなくして消費者団体に切りかえるべきである。この点に対しては小坂長官、いかがでございましょうか。この問題についてお願いいたします。
#27
○政府委員(安福数夫君) 先生、十分実態については御承知のとおりでございまして、私が特に申し上げることはないと思いますけれども、先ほども申しましたように、コンブの生産は北海道がほとんどわが国の生産の中心を占めているわけでございます。この協同組合がそれを共販の対象にしていると、こういう問題をめぐりましていろいろ問題あることは私ども承知しておりますけれども、コンブの共販につきましては二十年代の後半にコンブの取引が非常に乱れたと申しますか、いろいろ流通経路をはさみまして問題が生起いたしまして、その経過として共販体制の強化という問題が取り上げられて今日に至っている、こういう経過をたどっているわけでございますけれども、協同組合は御承知のとおり、私が申し上げる必要ないと思いますけれども、協同組合の組織の原点と申しますか、それはやはり非常に大きな取引単位――経済が拡大いたしますと、それに対する零細な生産者の立場を擁護すると申しますか、そういう関係で共販事業を協同組合という形で行なう、これは協同組合の理論としましては当然でございますし、そういう形で、その上に乗っかった共販体制がとられているわけでございます。もちろん、協同組合の共販だということで何をやってもいいのだと、こういう問題では決してございません。本委員会におきましても、その問題について行き過ぎがあるのじゃないだろうか、こういう御指摘をいただいているわけでございますけれども、これはまた公正取引委員会のほうで現在それについての調査が行なわれている段階でございますのでそれは申し上げませんけれども、やはり公正な取引ということは当然その前提として必要でございます。われわれとしましても、そういった協同組合の共販体制が流通の問題に悪影響を与える、あるいは消費者価格を引き上げると、そういう結果として出ておると、それが非常に弊害であるというような問題につきましては、そういう事実がございますれば、われわれとしても水産庁のやはり流通関係に対する所管庁としましての措置はしてまいりたい、このように考えておりますけれども、そういう共販体制をしいている。それをバックに北海道という非常にわが国の生産の過半数を占めているそういう地域の問題がございます。その代表といたしまして北海道漁連がその窓口になっている、こういう実態。これがわが国のコンブのおのずから流通の一つのあり方を規定すると申しますか、そういうことになっていると思います。
 そこで、輸入との問題がそこでからみが出てくるわけでございますけれども、一つそういう長い歴史があり、その間にあるいは経済の情勢が変わる、あるいは流通の実態が変わる、消費の実態が変わる、こういう問題があろうと思います。そういった問題を踏まえまして、共販の体制についても少しずつの変貌はあると思います。いまのままでいいというふうに私ども考えませんけれども、そういう共販の実態についても改善の措置を講じながら、国内のコンブについて御指摘のような弊害が出ないように今後努力してまいりたい。そういうことで、輸入との関係についても、そういう国内の流通の一つのパターンをそこでつくっているわけでございますので、そこを一つの窓口とすれば、輸入についての特殊な商品でございますので、ことに混乱があっても困る、こういう一つの判断がその前提としてあるわけでございます。ただ、それについての手数量が三%という、これは共販の一つの手数料の料率としては三%というのが、輸入会社からの委託について取っているのが実情でございます。それが、私どものほうでも、御指摘があり、あるいは道漁連に対する一つの指導も加わりまして、先生がおっしゃったような一つの実績になっていると思いますが、この二・五%を、必ずしも必要でない経費、そういったものがあればさらにそれを詰めるということは十分指導してまいりたい、このように考えております。
#28
○田代富士男君 長官、いかがですか。
#29
○国務大臣(小坂善太郎君) 経済企画庁というところは、そういう個々の値段についていろいろ批判をする立場にございませんので、これは水産庁のほうにおまかせを申し上げているわけでございます。
#30
○田代富士男君 輸入の問題です。私がさっき言ったのは値段のことはなんですが、輸入をもうちょっと拡大すべきであるということを、そして物価の安定をはかるべきであるということを私は言っているわけなんです。だから、それも水産庁の管轄だ、それは別の管轄だと、そうなれば、物価を安定させようという点についてはこれは経企庁として取り組むべきでしょう。だから、インフレを解決するためには物価を安定さすのが第一だといま長官はおっしゃった。だから、その価格については水産庁であると。だから、このような輸入を拡大して、そして私はコンブの値段も申しております、五年前の値段と対比しまして。で、これに対して、これは水産庁だからとか、そういうわけにはいかぬということ、これは私知りませんぞと、こうなったら、もう経企庁はどういう使命があるかということを言いたいわけなんです。だから、こういうコンブの問題に対しては私はいま初めて言うわけじゃないです。長官も前に一、二回お聞きになったと思いますが、どうも水産庁自身のこの取り組みというものに対しまして私自身納得できない点があるし、何とか、コンブという一つの商品を取り上げて、物価の安定、またそういう国民の嗜好品でございますから提供しようというわけで、それには輸入を拡大する以外にないじゃないかということを私はいま質問しているわけなんです。その輸入をする窓口についての問題点もあると、それは長官からまず輸入に対する考え方を聞いて、それから私は水産庁に質問をしようと思ったけれども、長官の御答弁がなくして水産庁の答弁があったわけなんです。私は、長官いかがですかという物価の問題から質問しているわけです。その点、どうでございますか。
#31
○国務大臣(小坂善太郎君) 経企庁の設置法からいたしまして、これは御承知のように、全般の経済情勢についての分析をやり、その中における物価のあり方等について分析をしていくというたてまえでございますけれども、物価の問題、非常に重要だというので、今度物価局をつくっていただくと。これも本院のほうにいま法案が回ってきているわけです。そういう段階になりますと、物価の問題について、たとえばいま御指摘の商品についてどうしたほうがいいとか、あるいは、それについてどうなっておりますかというようなことを農林省に聞いたり、あるいはそれについてトレースしていって、最終的には総理の勧告権までいくと、こういうこともありますわけでございますけれども、現状においては実はそこまでいってないんで、これはお怒りの点わかりますけれども、私はこの正式の国会の場でそういうことを申し上げる立場にないということはひとつ御理解を願いたいと思う次第でございます。ただ、コンブという問題については、私も非常に妙な経験を持っておりまして、実は一九六一年にミコヤン副首相が参りましたときに、コンブを貝殻島周辺でもとれなかったわけなんです。ソ連人はコンブを食べない。この貝殻島周辺に出漁しておる零細な漁夫は、実に二百年から、それより先から父祖伝来の業として、北辺の海に非常に小さな船をあやつってコンブをとっておるわけでございまして、そういつう生活権をプロレタリアート擁護という意味でもって少し考えてもらいたいということを申しまして、たまたま公開の場であったもんですから、非常な大げんかになりまして、かなり激しくやり合ったんでありますが、帰る際に、まあいろいろなことがあったがコンブのことだけはわかったということを言い残して帰られて、それからあと貝殻島の安全操業がだんだんできるようになっていったわけでございます。それについては、高碕先輩その他の非常な御苦心があったわけでございますが、そういうことを考えてみますと、コンブは、輸入もそうでございますけれども、やはりできるだけその収穫そのものが安全にたくさんできるようにしていただくことが、私は日本の政治家として非常に望ましいことであるというふうに思っておるわけなんでございます。ただ、いま御質問の点については、実は私はいろいろ申し上げる立場にございませんので、これは農林大臣その他からお答えを申し上げるのが適当であると考えておる次第でございます。
#32
○田代富士男君 実は私はきょう農林大臣もお願いしたわけなんです。私はきょうの委員会が始まる前にこの物価委員会の理事の皆さんと話していました。ほんとうに政府はこの物価問題に対して熱意があるのか、こちらからどうしても必要だから出席してもらいたいという大臣あるいは水産庁長官その他要請しておりましたが、きょうは出席がない。だから、これで熱意があるのかと、きょうの理事会でも、まずその問題から、この物価委員会に入る前にその問題を取り上げようということが実は理事会で出たんです、真実な話を申し上げますと。そこで、農林大臣が見えていたならば私は農林大臣に聞きますが、農林大臣は御出席ない。まあ、そういうところの全般的に通じまして経企庁というものはあらゆる方向に監視をしていらっしゃる立場からお尋ねしているわけなんですから、長官の言わんとされることも私は了としておりますが、農林大臣を呼んでいるけれども、おいでになっていらっしゃらないわけなんです。
 そういうことで、いまソ連のコンブが出ましたけれども、このコンブにつきまして、この業界を見てみますと、どういう状態になっているか。現在品物が絶対的に不足であると。で、そういうわけで、この日本の加工業者というものは、日本でできたコンブでなかったならばこれは業界として製品化されないと、こういうような業界はおそらくコンブ業界以外にないだろう。日本に原料が不足しているならば輸入をしている、どの業界も。コンブ業界だけどうしてこのようにやらなくちゃならないのか、これがコンブの業界の加工業者の偽らざる意見でございます。だから、できるだけよい品をできるだけ安い値段で消費者大衆に提供することが、これは一番経企庁としてもここに重点を置かれるところなんです。そういう趣旨から言うならば、こういうようにいま話が出ておりますソ連コンブというものは良質で、そして向こうも日本に売りたいという意向が強い。それを拒絶するどういう理由があるんです。私はそれを言いたい。だから、きょうは長官見えてないんですけれども、いかがでございましょうか。そういう製品が不足しているならば、いまさっき私が実態を示したでしょう、東京のコンブの値上がりの状況を。全部の業界自身が望んでいるんです。どうしてそ輸れが実現できないのかです。輸出のワクを広げますと政策では言っているけれども、なぜコンブの業界のみに封建的な、前時代的なそのままで、どういう理由でこういうことをやっているのか。北海道漁連を守るためですと。しかし、そのために日本国じゅうの消費者の皆さまに高いコンブを売っていいものか。大きい立場で高いところから、大乗的な立場から見るならば、もっと目を開くべきじゃなかろうか。だからこの際、やはりソ連コンブの輸入というものに対しまして、これは水産庁としてもほんとうに真剣に取り組んでいくべきじゃないかと思うんですか。
#33
○政府委員(安福数夫君) 問題はやはりコンブの供給をふやすということでございます。先ほど先生から御指摘がございましたが、養殖コンブの技術、それが失敗したと、こういう御指摘があったのでございますけれども、確かにそういう地帯もあろうかと思いますけれども、養殖が非常に伸びて定着しているという地帯もだんだんあるわけでございます。そういったところでは非常に沿岸漁民の所得も非常に伸びて、むしろ過疎現象を起こしていたのがストップしたという非常にいい結果も出ているわけでございます。先ほど来申し上げておりますように、コンブにつきましては、北海道という非常に北方なところで、他の産業もないという、第一次産業が非常に優越している地域での産業でございます。ことにまた、それが地域的に限定されてくると、こういうこともございまして、そこでの沿岸漁民対策というものが一つの前提にあるわけでございます。道漁連という組織を守るためということでは、私ども、ものごとの判断はいたしておらないということは御了解を願いたいと、こう思うわけでございます。
 そこで、ソ連産コンブの輸入の問題でございますけれども、先ほど経企庁長官に、それについていかんという御質問があったわけでございますけれども、それについては先ほど来私ども申し上げたかと思いますけれども、四十七年に一千百トンのコンブの輸入が初めて行なわれたわけでございますけれども、この数量につきましては今後もこれを後退することなく、やはり国内の需給の一つの見通しなり、あるいは事業対策、そういったものを踏まえながら漸進的な形でふやしていくという、こういう傾向にあるし、われわれもそういうかまえでこの問題と取り組みたい。ただ、北海道漁民の一つの感情があるわけでございます。北方領土についての一つの問題があるわけでございます。そういう問題と経済の問題を、これを一緒くたにして申し上げるというのもどうかと思いますけれども、輸入にいたしましても、そういう漁民感情というものが非常に強く反映いたしておりまして、昨年の割り当てについても、中国、北鮮、そういうところからコンブが入ってくる、こういう実情に現在のところなっているわけでございます。数量につきましては、現段階であるいは批判を受けるような数字であるという御指摘があろうかと思いますけれども、われわれとしましては、やはりそういった問題も十分配慮しながら今後コンブの輸入については対処してまいりたい、このように考えております。
#34
○田代富士男君 いま、なかなか歯切れの悪いような答弁をされる理由もわからないわけではありませんけれども、現実にことしのコンブの生産量はどうですか。平均の年よりも三〇%ダウンしているというような、そういう状況が入っております。まあ、平年度の七十%くらいじゃないか。そうしますと、絶対量が足りない上に、ますます七〇%の出来高である。そうなりますと、まあ千百トンは下回らないけれども、逐次ふやしていくと言いますけれども、今後国内の物価安定をはかるために、輸入政策も、政府自身の政策をとっていくというような方針でございますし、そうしますと、今年度自身を考えましても、どのくらいのめどで今年度は輸入をはかろうとしていらっしゃるのか、お聞かせ願いたいと思います。
#35
○政府委員(安福数夫君) 本年度の生産の見通しでございますけれども、私ども、最終的な一つの数字をつかんでおりません。ただ、昨年度と比較いたしまして下回るだろうという予測は持っております。したがいましてただいま御指摘の輸入量をそれじゃどういうふうに考えるんだという問題でございますけれども、先ほども申しましたように、国内の消費の実態、消費量というものを踏まえまして私どもも輸入のワクというものを漸進的に伸ばしていくと、こういう一つの姿勢、これは政府としてのいまの非自由化の品目についての輸入の一つのものの考え方を、農林省だけの問題じゃなくて、関係各省と十分協議しながらきめているわけでございまして、それが本年度については必ずしも数字的にはまだ話し合いはいたしておりませんけれども、そういう国内消費量の何%かと、数%と、こういう形で輸入のワクをきめてまいりたいと、このように考えておるわけでございます。
#36
○田代富士男君 そうすれば従来と変わりないじゃないですか、その考え方は。特に昨年度よりも今年度は少ないわけなんです。じゃ一歩も前進しないということなんですか。いまのお話だったらば従来の考え方ですよ。一歩も前進しないということなんですか。その点、ちょっと明確にしてください。
#37
○政府委員(安福数夫君) そこのパーセントをまあ昨年度と全く同じパーセントにするかという問題は今後の問題として検討されるところであろうと、このように考えております。
#38
○田代富士男君 じゃ一貫してコンブのこの問題に対しては従来どおりの方針でいくという姿勢なんですか。それとも、これを改善していくと、消費者物価の安定のためにこのようにやっていきますという方針なんですか、どうなんですか。政府自身とすれば物価の安定のためには輸入できるものは輸入のワクも広げようと、いまさっきから話が出ているんです。しかし、水産庁の考え方はそういう考え方じゃないじゃないですか。食い違いがありまから、す、私の聞いている範囲内では。だ従来どおりと、改善しないのかするのか、どうなんですか。
#39
○政府委員(安福数夫君) 先ほど来申し上げましたように、まあ、輸入の問題については漸次輸入のワクを拡大していく方向であることは確かで、私どもそういう観点でこの問題と対処してまいりたいと、こういうことを考えるわけであります。ただ、水産庁といたしまして、必ずしも生産者サイドだけの立場で行政を進めているわけじゃございませんけれども、やはり生産者の問題と消費の実態と、そういうものを双方十分慎重に勘案しながら輸入のワクというものを考慮してまいりたいと、このように考えているわけでございます。
#40
○田代富士男君 きょうは割り当て時間がもうあまりありませんから、この問題は新たにまた討議しましょう、真剣に。そのつもりでこの問題は一応ここで保留しておきます。次回にやります。ほかの公取委員長等おいでいただいておりますから、これにかかっていたら時間がありませんから。
 次に、公取委員長にお尋ねしたいんですが、先日のこの委員会におきまして道漁連の田面参考人を招きまして質疑をいたしました。その時点で、各共販会に対しまして、どのようにコンブが販売されたかという資料を提出していただきたいと再三言ったけれども出なかった。それがやっと出まして私の手元へ参りましてここにあります、その販売先の。これを調べてみましたら、一つの大阪地区を例にあげますれば、大阪地区に共販会員等、ここにまあ道漁連からの資料によりますと、九軒ほどあります。これは大阪だけです。これは神戸だとか、そういうものは入っておりません。大阪だけです。このうちで、ほとんど大市水産の――大市水産というのは私が申すまでもなく道漁連の一〇〇%出資会社です。これは株式会社です。この占有率を見ますと、昭和四十三年が七二・八八、四十四年度が八六・二七、四十五年度が七四・四六、四十六年度が七二・八九、四十七年度が七三・一二という、七割から八割以上も大市水産だけで扱っている。また、大市水産と並びいま問題になっております松本商店、この二つの商店を合計いたしまして占有率を調べますと、四十三年度が九七・〇八、四十四年度が一〇〇%――この二つの店だけです、四十四年度は。四十五年度が九一・一二%、四十六年度が九四・三三%、四十七年度が九七・二八%。実に二業者で九割以上も占有している。これじゃ、この前から申しておりますとおりに、公正な取引が行なわれるわけがないことは明らかなんです。そういうわけで大阪のコンブ業者からコンブの共販制度に対する批判というものが出ているわけなんです。これに対して公取委員長、いかがでございましょうか。また、水産庁としてこのような指導をしていらっしゃるのか、水産庁にもお聞きしたい。片寄ったこういう取引、不公平な取引、これは水産庁の指導した結果です。こういう指導をしてきた。いや、こういう指導ではありませんと言うなら、どういう指導をしてきたのか、水産庁からお聞きしたい。まず、公取委員長からお尋ねいたします。
#41
○政府委員(高橋俊英君) たいへん法律的なお答えにしかなりませんが、漁業協同組合あるいはその連合会、これは一般的にもう私的独占禁止法の適用除外になっております。これは農業の場合でも同じですね。農業あるいは中小企業の場合でも同じですが、協同組合というものを、頭から適用除外になっております。その場合に、つまり大市水産という一〇〇%出資のこれは子会社に大きな部分を売り、加工させているといたしましても、それはほかの場合でしたら、他のこれが一般適用の除外でなければ、これは私的独占に該当すると思います。いわゆる独禁法で禁止しているものの中に、大きく分けまして、私的独占があり、それから不当な取引制限、不公正な取引方法、大体、競争を制限するという行為の代表的なものとしてこの三つをそれぞれの条文をあげて禁止しております。しかるに、この適用除外という分がありまして、その法律をもって適用除外されておるものについては、不公正な取引方法による場合とは、不当に価格を引き上げると――これは実際に適用した場合はありません、実例はございませんが、そういうふうなただし書きで、何でもやっていいんじゃなくて、そういう場合にだけは適用除外を受けないぞと、こうなっておるんです、その点は御承知かと思いますが。そこでいまの事例で申しますと、これは実は地域的であれ、全国的であれ、私は、この取り扱う量からいいますと、他の場合でしたら一社があるいは共同して行なった場合でも――ほかに要件がございます。常にシェアが高ければ直ちに私的独占になるわけではございません。現に七割以上のシェアを有する企業であっても、自然にそうなってしまった場合には、これは私的独占の適用を受けません。ですから、そういう事実認定についてもたいへん問題がございますが、要するに、故意に私的独占をはかった場合、これは法律でもって排除されなきゃならぬ。しかるに、それは、いま申しましたように法律上適用除外になるために、大市水産を使って――一〇〇%の出資の会社を使って、大量にそこに製品を扱わせる、つくらせると、あるいはもう一つの松本商店ですか、そちらのほうにも多く売ると、他の業者にあまり売らない。これは共同販売事業というものが、つまり適用除外として認められておるからです。共同販売事業そのものは、別に協同組合法によりましてそれは認められている行為であります。そういうことからいいますと、法律的にはいかんともなしがたい、私のほうの立場からいいますと。これはそういう農業協同組合であれ、先刻の連合会であれ、漁業の場合でも同じありまして、適用除外になっているものの私的独占行為は、われわれのほうの公正取引委員会の取り締まりの対象とならない。たいへん私は遺憾なことだと存じます。やっている実態につきましては、少ない、比較的まあ少ないといわれているものについて、独占的な立場でそれを製品化をはかって、一方的に、まあ自分のほしいままに売ってるという行為は好ましくありませんけれども、その共同販売事業が堂々と法律の上で認められている以上は、私どもとしては手がつけられないというふうな現状でございます。
#42
○政府委員(安福数夫君) 私ども一般論としてこれを行政指導しているわけでございまして、特別に北海道の漁連に対して、コンブの共販について大市水産なり御指摘になった松本商店にそういう売り方をしろ、こういう指導はいたしておらないわけでございまして、やはり協同組合の一つのものの考え方、それは何も沿岸漁業、漁民の立場だけの問題じゃございません。ある意味ではいろいろの形で協同組合というのは法律的に保護されているわけでございますから、そういった面で、ある意味では広くそういう社会との関係というものを十分配慮しながら共販事業についても十分慎重であるべきである、こういう立場で指導しているわけでございます。
#43
○田代富士男君 高橋委員長、委員長のおっしゃることはわからないわけではありませんけれども、これを国民が聞きますとがっかりしますよ。ほんとうに公取委員会というものはどういうものであるか。法があって法がないようなものである。
 それで私はお尋ねしますが、大市水産の場合は、協同組合法としての販売は委員長のおっしゃるとおりかもわかりません。しかし、不公正な取引の場合――これは公正な取引はされてないんです。不公正な取引です、これは。一〇〇%出資したところへ絶対数不足しているコンブを出せば出すほどもうかる。大市水産にそれだけ割り当てがいっても、これは協同組合法からいってだめだ、法の上からは協同組合法だから。しかし、ただし書きの、不公正な取引というところにはこれは問題があると思うんです。ただ、委員長、これはどうなんですか。松本商店はこれは協同組合と何にも関係ない。民間団体です。民間の株式会社です。大市水産も厳密に言えばそうです。協同組合の系列に入っている大市水産を抜いてみましょう。大市水産の扱った品物を大阪から抜きます。そうして残った北海道漁連の協同組合の系列に入ってない会社、それで出しますと、松本商店が扱った占有率が四十三年度は九〇%、四十四年度が一〇〇%、四十五年が六五%、四十六年が八〇%、四十七年が九〇%、ほかにコンブをほしいという人は金を出しても買えないんですよ。東京では売ってくれない。頼みに行っても売ってくれないんですよ。そうして特定なところに一〇〇%近くの占有率で売っている。これはどうなんですか。これでも公取として手がつけられないというならば、法改正から始めなければ、庶民の味方はどこにあるか。だれをたよりにしたらよいかということになるんです。だから、大市水産は別にしまして、松本商店の占有率はこれだけの占有率です。公取委員長が、輸入商品に対して二五%から三〇%のシェアを占めた場合には要注意であるというようなことも衆議院の物特で申していらっしゃいます。この松本商店の場合は株式会社です。同じ業者が大阪に幾つもあります。それがいま言うような数字です。この点はどうでしょうか。
#44
○政府委員(高橋俊英君) つまり問題は、共同販売事業というものがどこまで自由に行動できるか、ということです。共同販売というのは、つまり、各漁民がとったコンブをそれぞれ販売することは不利になるから――おそらくそういう理由でしょう。そういうことで、個々の取引をしないで、みな漁連にできるだけ集める。それは一〇〇%集めることはできませんけれども、法律の上でも漁民を完全に拘束することは水産業協同組合法で禁止されておりますから、漁民に一〇〇%売れということは強制できない。しかし、事実上は相当な大きな部分を漁連が一手に扱っておる。これは漁連に言わせれば、おそらく漁民のためであると、こう言うでしょう。だけど、そういうことがすべての協同組合法の全部について共通した考え方なんですね。協同組合法も認めた。それをある特定な共同事業もできるし、共同購入のほうもできる、共同販売。ですから、共同で販売してそれでみんなの利益をはかるんだ、こういうことなんです。それはこの場合に大市水産の場合ですと、これは一〇〇%。自分は加工段階までやっている。その加工段階をやる部分を、自分の手でやらないで、株式会社――前にはたしか一〇〇%保有じゃなかったと思いますが、いつの間にか一〇〇%の出資になっております。そして、いわば自分の完全な子会社みたいなものにして、そこに加工をさせておる。これは問題にならない。ですから、大部分の点については、もはやこの段階で、私的独占の点では法律的に免れるというふうな形になっております。松本商店の点については、私は問題が全くないとは申しません。他に買い入れの希望者があったときに、なぜ一社にだけ大部分を売ってしまうのかという点ですね。これははたして不公正な取引方法として取り上げるべきかどうか、たいへんデリケートな問題だと私は思います。その点についてなお十分検討してみたいと思いますが、しかし、さあ、さればといって、どういう販売をしなければならぬということについては、ちょっと私どもは口を出しかねる。むしろやはりこれは、こういう問題は一社にだけ、つまり自分の完全系列は別といたしまして、他の者に売る場合には、松本何がしにだけ売るというふうなことではなくて、もう少し公平な手段が考えられないか。そういう点について、これはできれば私は行政指導でおやり願うのが一番いいのじゃないか。こういうことは、一体法律そのものでこれはけしからぬとかなんというよりも、共同販売事業はけっこうだけれども、あまり行き過ぎて、独占的な、言ってみれば、一社にしか売らないとすれば、他の者を一切排除しているわけですが、そういうことは好ましくないと、これは指導する立場にある農林省のサイドで、私ども責任のがれをするのじゃありませんが、すべて法律でどうこうと言うんじゃなくて、こういう販売方法が好ましくない、これは言えると思うんです。そういうふうに指導されるのが一番いい解決法だと思っています。しかし、さればといって、そのために私どもは責任のがれをして、それがはたして不公正な取引方法と言えないかどうか、たいへんむずかしいだろうと思います。と思いますが、なお、そういう点については検討の上お答えしたいと思います。
#45
○委員長(山下春江君) ちょっと速記をとめてのださい。
  〔速記中止〕
#46
○委員長(山下春江君) 速記を始めてください。
#47
○田代富士男君 また時間ということでございますが、いま委員長がおっしゃることですが、道漁連が一社に売る、そういうことはないように販売方法を行政指導してくれたならばということでございますが、現実にいま松本商店の場合を例にあげました。大市水産の場合は協同組合云々とおっしゃるけれども、松本商店の場合は一〇〇%、九〇%扱っている。買いたい者が買えない。そうして今度は、そういう道漁連を中心とした生産者、それから問屋、そういうすべての者には誓約書まで書かされる。そういうわけで、いま御承知のとおりに、昨年の十月に北海道の堀田商店の堀田さんから、この道漁連のやり方については、堀田一美さんですが、不当な誓約書を書けと言われて、私はそういうものは書かないと言ったために協議会から除名されている。昨年の十月、それから商売をやっておりません。公取にこれは提訴してある。公正な取引が行なわれているとは言えないということを実態を出されているんです。また、私も二回にわたりましてその実態を申し上げました。不公正な取引ではないとこう言う。その堀田さんに対して、私が思うことは、公取委員会というのはほんとうに提訴した人の味方であるだろうかということ。堀田さんがこの前北海道の公取のお方にお会いしたら、道漁連と話をつけてください。そういうような、提訴した人よりも、私から言わすならば、道漁連の味方をされるようなそういうことをされたならば、一体どこに味方があるだろうかと思うんです。堀田さんの場合も昨年の十月です。大阪の大市水産の場合も、私は言いました、四月のときに。調査中でございます、調査中でございますと言うけれども、堀田さん自身が憤っています、公取委員会はほんとうに庶民の味方かどうかと。そうなりますと、法改正からこれは取り組まなくちゃならぬということになるわけです。だから、この堀田さんの問題に対しまして、現在、どのようなところまで進んでいるのか。
 また、それとあわせまして、私が前回の委員会で申し上げました散布漁協の三村仁太郎さん、昭和四十五年の六月にコンブを百六十七駄、浜売りをした。それだけです。それでコンブの漁業権を停止された。コンブの漁業権停止ということは、生活権を剥奪された。それと同時に、コンブと関係のないウニの漁業権も停止されている。いまだにこのウニの漁業権は停止されているという事実。これは生活権の問題です。この問題もこの前の委員会で明らかにしております。ウニの漁業権すらもまだ停止されている。このようなことで公正な取引が行なわれているか。だから私は、堀田さんの問題、これにつきましては公取委員会から、また、三村さんの問題につきましては水産庁としてどういう指導をしているのか。大阪においては、消費地の問屋に対する問題、生産地におけるところのこのような人間性を無視するような、そういう、指導官庁の水産庁として、これで指導監督やっておりますということは言えないと思うんです。きょうは、いま委員長から時間ですということでございますから、私は、これは解決するまで何回もこの委員会で――私は、水産庁が本腰を入れて共販制度ということ、そのもの自身に対しても、御承知のとおりに、十八億円の赤字が終わったならばやめようという約束をされていた。続いている。共販問題自身に対して内部からも改革しなくちゃならぬということから、水産庁としても、私は、真剣に取り組んでいるのか。私は、これが庶民の一人の人の声ですけれども、実現するまで、これは取り上げていきます。そういう意味で、堀田さんの問題につきましては公取委員長から、また三村さんのことについては水産庁から、ひとつお答え願いたいと思います。
#48
○政府委員(高橋俊英君) 大体、すでに御承知と思いますけれども、共同販売事業というのは協同組合の施設と解されるわけです。その施設についてその利用を漁民に、組合員――組合員でない者は別です――に対して強制してはならないという規定がちゃんとあるんです。これは罰則つきです。過料でありますけれども、強制してはいかぬですから。ですから、前にお話にございましたように、誓約書を取って、浜売りをしないというふうなことを漁民に約束させる、これはその法律そのものに違反する疑い――公正取引委員会の問題というよりは、協同組合法に書いてあるんですから、明文があるんですから、これは当然そちらのほうで取り締まっていただかなきゃならぬと、こう私は思います。
 それからもう一方の、堀田商店ですか、これらの問屋業を――問屋でございますが、それに対してやっぱり誓約書を書かないとかいう理由でこれを疎外する。疎外して、それとは取引しないというふうな差別扱いをする。これは私、事実についてはほぼ明らかになっておる。ただし、いろいろ先ほどおっしゃいました、この場所が違うんですが、厚岸以外にも――先ほど申しました三村とか申すのは場所が違います。そこで、そういう点についてもずいぶん詳しく公取は調査しておるのです。とことんまで、これは、所管であろうがなかろうが、その訴えがあるんですから、ずいぶん、北海道はたいへん人手が少ないんですが、やっておるのです。その結果を見ますと、事実と若干違うんです。ですから、そういう事実を私どもは完全に把握するまでやっておるわけです。というのは、漁業権を剥奪するなんということはできないと思うんですね。それを剥奪したとすれば、もう法律に違反しているわけです。それから、ウニについて停止したということはどうも事実のようだけれども、コンブそのものについては停止してないと、こう言っておる。これは四十五年の事実――四十五年のことでございますので、少し古いんです。そういうことで、事実そのものについて、公取としては厳正な立場から究明しておるわけでございまして、ほとんど、八・九分どおり、実は調査は済んでおります。したがいまして、堀田商店の場合については、これは、当然不公正な取引方法になるというふうになるのではないかという見地から私どもはいま取り扱っております。近いうちに結論が出せると思いますが、答えが違っておりましたらおわびいたしますけれども、事実の追及という点については決していいかげんにやっておりません。片側のサイドからでなくて、訴え側でなくて、すべての訴えられた側についても十分な調査をしております。そういう点は御了解を願いたいと思います。
#49
○政府委員(安福数夫君) ただいまの説明で尽きるかと思いますけれども、私ども、そういった漁業権を、組合の施設を利用しない、そういうことを理由に漁業権の行使を停止する、こういうことは明らかに協同組合法の二十四条の違反である、こういうことで、前の指摘もございましたし、その際も、そういうことは水産庁としての態度は明確にいたしまして道庁にその旨は伝えてございます。
 なお、この事実問題も、先ほど御指摘のように、コンブの問題については停止したというふうには私ども理解しておりませんけれども、ウニの漁業権の行使については停止しているということを承知いたしております。こういった点の、できるだけ早い撤回と申しますか、そういったことにはさらに今後十分な指導をしてまいりたい、このように考えます
#50
○中沢伊登子君 公取委員長が衆議院のほうに御用がおありになるようですから、私の質問、前後いたしまして、先に長官のほうにお尋ねをいたします。
 最近、ここ二、三週間に、新聞を拝見しまして主婦が一番びっくりしたのは、物価が非常に大幅に上がったという、数字でもって示されたことが一つ。それからもう一つは、日本の近海でとれる魚介類が非常に汚染をされて、一体何を食べたらいいのだろうかというようなことがあります。その二つが非常に大きなショッキングだったと思います。
 そこで、ことしの物価の見通しを小坂長官は五・五%とされておられました。ところが、最近のこの目ざましい物価上昇で、先ほども田代委員からいろいろ御質問がありましたけれども、今年度の物価上昇の見通しを変更しなければならなくなっていると思います。去る四月の予算委員会における私の質問に対しまして、やっぱりこの問題を取り上げましたときに長官は、いや、まだいろいろ政策もあるし急にその五・五%を変更する必要はない、こういう趣旨の御答弁をいただいておったわけですが、それからわずかに二カ月でございます。その間にこのような大幅な物価上昇になりましたが、いまは今年度のこの見通しをどのくらいに変更されるおつもりでございますか、お伺いしたいと思います。
#51
○国務大臣(小坂善太郎君) 最近の物価の上昇に関しましては、まことにどうも遺憾と言うほかはございませんわけでございまして、その後に、政府といたしましても、財政支出時期の調査ということで、上期の公共事業を五九・六にしぼるということをいたしました。私は、あれの決定につきましても、もう少し何とかならぬものかというふうな意見も述べたこともございましたけれども、やはり大勢でああいうことになりました。で、最近の情勢で、さらにこの中で検討すべきものがあるんではないかというふうにまた思っておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、財政の面から、また金融の面でも、なかなか、この二月初めの円のフロートの時期を契機といたしまして金融を非常に引き締めて金利を上げても、ユーロダラーのごときものがその意味で流入する心配はなくなったんだから、もっと引き締めたほうがいいというふうなことを考えたこともあったわけでございますが、だんだんそれの方向で、いま金融引き締めが行なわれ、また日銀の窓口指導も非常に強化されてきておるわけでございまして、こういうものの影響が出ることを期待をいたしておるわけでございますけれども、何といたしましても、この四十八年度の経済見通しにつきまして私が予算委員会でなかなかたいへんなことになったと申しましたことについて後ほどまたそれを取り消しましたような次第もございまして、極力、政府としてはその目的に沿うてこれが実現を期して努力するということ以外に申し上げないようにいたしておるわけでございますけれども、だんだん時期も二カ月を経過いたしてまいりまして、その間の情勢等も、正直に、これをあるがままに見てこれに対処する施策をとってまいらにゃならぬと考えておりますが、どのような形になるといま言いますことよりも、何としてもこの火を消さねばならない、この燃え盛る物価上昇の火の手をどうしたら食いとめることができるか、この点にもう専心いたしたいと考えておる次第でございます。
#52
○中沢伊登子君 とにかく本気でこの物価対策に取り組んでいただかなくてはいけませんけれども、いま常識で考えても、もう五・五%でおさまるはずはなかろうと思いますが、大体どれくらの見通しを立てておられますか。
#53
○政府委員(小島英敏君) 五・五%におさめますことは、おっしゃるように非常にむずかしくなっておると思います。ただ、先ほど来申しておりますように、私ども、最近の消費者物価の上昇は八割、九割までが卸売り物価の高騰の波及であるというふうに思っております。その観点からは、やはり卸売り物価を何としても安定に持っていくということが先決でございまして、まあ、金融引き締めや財政繰り延べの効果がこれから出てまいりますので、卸売り物価が安定いたします段階になりますと、経済全体の見通しとか消費者物価の見通しとかにつきましても、現在よりもやはりある程度見通しが立てやすくなると思います。そういう意味で、やはり現段階では、まだ、消費者物価がどのくらいになるだろうか――しかも、前から申しておりますように、この五・五%なり政府の見通し数字というものは、純粋の見通しではなくて政策目標を加味した数字でございますから、いずれにいたしましても、卸売り物価が安定した段階までは、少なくとも、どうも消費者物価の数字についてはじくということはいたしていないわけでございまして、長官が申されますように、現在はいかにしてこの火を消すかということに全力投球いたしておるということでございます。
#54
○中沢伊登子君 その卸売り物価の安定をするというのは一体いつごろになるのか、また、その安定をする自信がおありになるのか、その辺を聞かしてください。
#55
○政府委員(小島英敏君) 卸売り物価のほうは、過去の例から申しましても、非常に景気に対して弾力的に動く性格のものでございまして、したがいまして、現在まだ上がっておりますことは事実でございますけれども、この間行なわれました第二次の公定歩合引き上げ及び第三次の預金準備率の引き上げ及び窓口指導も一そう――けさの新聞にも出ておりますように厳格にていこうということでございますから、やはりその効果が近々出てまいるというふうに思います。それから、もし効果が出なければ、やっぱり政府としてはさらに次の手を考えるということも決してないことではないと思います。しかし、普通の考え方から申しますと、やっぱり金融引き締めというものは、直接は在庫投資の削減という面を通じて卸売り物価の引き下げに役立つと。これは比較的時期的に早くきいてくるはずでございまして、四月の上―中旬に〇・一%づつ下がりましたのはまさにそういうことだったと思います。もう少し長期的には、金融引き締めというものは設備投資の減額に影響してまいるわけでございまして、こちらのほうは、どうしても半年とか一年とか、かなり長期を要するわけでございまして、在庫投資の動きにつきましては、なかなか、統計が十分でないせいもありまして実態把握が非常にむずかしゅうございます。この間の企画庁で出しました一―三月の数字なども、どうも、われわれが思っておるのに比べて流通在庫があまり多くない結果が出ておりますけれども、その辺がほんとうに実態がそうなのかどうかということは、かなり問題があるわけでございまして、まだまだ、やはりこの流通在庫というものが、高いところで買ってしまったために、いま売り出すとみすみす損がいくということで持ちこたえているというものが流通過程にかなりあると思うわけでございまして、そういう面では、やはり金融引き締めというものは卸売り物価の引き下げに十分効果を持つものであると確信いたしております。それから、設備投資のほうはやっぱり若干の時間がかかりますし、財政需要の削減というものも、これもやっぱりある程度の時間はかかりますから、これらの点を加味いたしますと、そう遠くない段階で卸売り物価は安定していくんではないか、もしも安定しなければ、さらに次の手を考えざるを得ない、そういうふうに考えるわけでございます。
#56
○中沢伊登子君 もう一つの原因は、それは、企業がずいぶん大もうけをいたしましたね、そういったような、企業を大もうけさせるような政治をそのままにほうっておいて、そして物価が非常に大幅に上がったと。国民はその物価の上昇だけをもろにかぶって、これは社会的不公平ではないか、こういったようなことで、国民の気持ちはいまもう爆発をしそうでございます。そして、いま企業がずいぶん高いところで買ってしまったという点もございますけれども、木材みたいなものは、そういった大手商社は一番高いところで中小企業におろしちゃったわけですね。いま、木材なんかは下がって下がって、今度どこまで下がるかわからないというようなことで、ずいぶん中小企業の人、大手商社から木材を買った人なんというのは今度倒産をするのではないかと、こういうような心配も出ているわけでございます。その辺も十分かみ合わせて、一日も早く卸売り物価を安定させて、物価が安定しないことには、いま国民の生活というのは非常に恐慌を来たしているわけです。東京の物価上昇も昭和二十八年以来二十年ぶりに高騰だと伝えられておりますね。実は私も、うちに帰りますと日曜日は台所をやる一人の消費者なんですけれども、ちょうどいまから一カ月ぐらい前に私がキャベツを買いに行きました。先ほど田代委員からもキャベツの話が出ておりましたが、一個四百円でございました。主人と二人だけでその四百円ものキャベツを、何日間も置いておかなくちゃいけませんので、ちょっと驚いたわけです。それならばホウレンソウを買おうかということでホウレンソウを一わ取り上げてみました。これくらいなホウレンソウが一わ百六十円。ところが、この間の日曜日に今度私が買いにいきましたら、キャベツは一個百三十円に下がっている。ホウレンソウは一わ四十円に下がっているわけです。こういうふうにあまり乱高下がひどいもんですから、これではほんとうに消費者はたまったものではない。こういうふうに、私もつくづくと物価の乱高下、そして高いときにも、生鮮食料品を辞退してしまうわけにいきませんからやっぱり買わなくちゃいけない、こういうふうなことで、ずいぶん消費者の皆さんが困っていたことを私も十分味わってきたわけです。ですから、このごろ、市場に買いものに行って、買いもの済まして家に帰ってきてさいふをあけたら、どっかでお金を落としてきたのかしらんと思うほどだと消費者は嘆いているわけです。ですから、一方で大手商社が非常にもうけた、片一方ではそのあおりを食って物価の上昇だけをもろにかぶらされている、こういうことは社会的不公平だと言ってずいぶん皆さんが嘆いているわけですが、この辺で、ほんとうにインフレ予算の是正もしてもらわなくちゃいけないでしょうし、金融引き締めの問題やいろいろな問題を取り上げて一日も早く物価対策に本気で取り組んでいただかなければならないと思います。
 そこで、もう一つの問題は、最近の水産庁の発表された日本近海魚の非常に大きなPCBやあるいは水銀の汚染でございます。そうしますと、今度、私どもは魚を食べようと思っても、何だかこわくって、やっぱり魚よりも肉にしようか、鳥にしようか豚にしようかということを考えるわけです。ですから、これは魚屋さんの問題はまた――きょうここでは水産庁をお呼びしておりませんが――そうなりますと、次に値上げをするものは私は肉類だと思います。この肉類に対する手を打っていただいているかどうかをお伺いしたいと思います。
#57
○政府委員(小島英敏君) 肉につきましては、おっしゃるように、魚の問題がなくても、所得の上昇に伴って、たん白源として肉に対する需要が非常にふえつつあるということは事実でございまして、それに、いまおっしゃるように魚の汚染の問題が加わってまいりますと、一そうやはり肉に対する需要が強くなるだろうということは十分予想されるところでございます。したがいまして、先ほども申しました輸入拡大という政府の大きな柱でございますけれども、その中でも一番やはり牛肉にウエートを置いて、この前発表されましたように、本年度は前年上期に対して約三倍という七万トンの輸入をいたすことにしたわけでございまして、しかも、いままでの例ですと、どうも安い輸入肉が入りましても途中で国内産のものとまぜてしまって高く売られるということが間々ございましたわけでございますので、今度は指定店というものを大幅に拡大して、その店においては必ず輸入肉は輸入肉ということを表示して安い価格で売らせる。――コスト計算いたしますと、国内ものに比べて三割から五割は安く売れるはずでございまして、これは農林省が現在鋭意検討を進めておりますけれども、大体七月一日から指定店を通じて輸入肉を大幅に販売する。そのための広報と申しますか、PRも、現在企業庁もお手伝いして検討を進めておるところでございます。
#58
○中沢伊登子君 そういったようなことで、非常に国内のものが高くなると緊急輸入をされるわけですね。ところが、最近の世界的な天候の悪さ、こういったような中で国際的に食糧不足が伝えられておりますね。特にその中で、アメリカやカナダで生産される小麦、こういう小麦をソ連や中国が大量に買い付けておりますね。昨年もずいぶんたくさん買い付けました。そうしますと、もうそれだけで価格が上がってしまうわけですね。聞くところによりますと、カナダやアメリカの小麦が二・七倍にもはね上がっている、こういうことを伺っておりますが、そうすると、それをもう日本で輸入しても物価対策にはならない、むしろ輸入をして高いものを買わなくちゃいけない、こういうことになるもんですから、この輸入によって価格を下げようということは、もう昔話みたいなことになってしまっているわけですね。この辺は一体どういうふうにされるか、長官のお答えをいただきたい。
#59
○国務大臣(小坂善太郎君) 仰せのように、非常に小麦の価格が上昇いたしておりまして、いまソ連等は年度を越えた多年度の契約をやっておりまして、これはこの際において考えますと、非常に賢明な契約をしたということになると思うんでございますが、われわれも、今後の問題といたしまして、やはり商社輸入だけにしないで、国家的な見地からこれに加わって備蓄というものを考える必要があるというふうに考えておりまして、これは農林省等においても現実の問題として扱ってもらっておるわけでございます。実は、先般もシュルツ財務長官がOECDで演説いたしました際に、小麦はとにかく何とか作付はできる、大豆が心配だったがこれも何とかなった、トウモロコシが一番心配なんだがこれも何とかなるだろうということを申しておりましたので、私も実はあの演説を聞いて非常に安心した。しかし、ふに落ちぬのは、大豆の価格がどんどん上がっているのはこれはどういうわけだと、これは彼は答えてくれなかったわけでございますけれども、しかし、全般にやはりいいということではないんじゃないかというふうに思うわけでございます。小麦は、御承知のように、食管で黒字を出しておったわけでございます。今年度はそうかといって消費者麦価を上げるわけにいかぬ。これは政府の決定になっておるわけでもございませんけれども、その点ではむしろ政府が負担することになるのではないか、そのほうがよくはないか、これは私の私見でございますけれども、そのように思っておるわけでございます。いずれにいたしましても、そうした農産物の年度を越えた輸入計画というものはどうしてもこの際必要であるというふうに考えておる次第でございます。
#60
○中沢伊登子君 その大豆の話でございますけれども、予算委員会で私が御質問申し上げましたときには、おとうふ一丁に必要な大豆の量とか、あるいは納豆に必要な量とか、いろいろなことを、ずいぶん詳しいお話を伺いました。やがてとうふの値段も下がるだろうということでございましたけれども、ほんとうに下がってはおりません。やっぱりとうふが急に値上がりをした当時、三十五円か四十円でしたのが、いま平均六十円を下がらないわけですね。ですから、一ぺん上がったものはなかなか値段が下がらない、こういうことでございますが、その辺は長官もOECDの会議に出席されてこられたわけですけれども、やはり先進資本主義国の共通しているインフレの問題、こういうインフレの問題に対して、日本として、日本の立場から何らかの協力を要請されてこられたか。たいへん安心をしたようなお話をいま承りましたけれども、日本もたいへんインフレでいま困っているわけですが、何らかの協力を要請してこられたか。あるいはまた、日本は日本として何らかの提案をしてこられたか、この辺をお聞かせいただきたいと思います。
#61
○国務大臣(小坂善太郎君) お答えの前に、とうふの価格でございますけれども、一時私どもは非常に大豆の輸入価格が下がっておることを指摘いたしまして、その面で、私の接触した範囲ではかなり努力してくれましたけれども、一面から言うと、また、われわれ四時から起きてとうふをつくっておる、一般のベースアップが二割もあるのにわれわれのベースアップは考えないのかというような強い反論もございました。仰せのように、なかなか一回上がった小売り物価というものは下がりにくいわけでございますが、まあ生協方面でも非常に努力していただいておりますことは、私から申し上げるまでもなく、かなり安いとうふも出していただいているようなわけでございます。とうふとか納豆とかいういわゆる日本人の庶民的な食べものに対して、できるだけその価格が安定されますように努力したいと思っておるわけでございます。
 それから、今度のOECDの場におきましての一番大きな問題はインフレ問題でございまして、各国が自分らでとっているインフレ対策というようなものを述べたわけでございますが、その中で特徴的なのはやはり米英でとっておる所得政策であったと思います。それに対して賛同する国もあったりいたしましたわけでございますが、その際一番重要なことは、やはり国民の納得を得られるかどうかということでございまして、国民的な志向が、そういうあらゆる所得を凍結するような、そういうことを吸収し得る土壌にあるかどうかということでございまして、わが国の場合は残念ながらそういう状況にはないというふうに判断せざるを得ないと思うのでございます。そこで、まあいろいろな意見が出ました。たとえばフランスあたりでは、自然増収というものをやはりそのまま凍結するというような考え方を述べておりまして、たとえば景気調整基金というもの、自然増収があったらそれでもって政府のほうへ留保するというような構想を持ったりしておるようでございます。ドイツでは、景気付加税というような形で税を一〇%中央銀行に凍結する、そして、それでやはり全般の税を取ったらそれを政府が使うということを一時凍結するというような考え方。それからイギリスでは、タックス・デポジット・アカウント――何と申しますか、税務署にそういう税金が入ってくるとその勘定を置きまして、通常の利子をそのまま――税金を払うと税金に対して一般の利子分だけボーナスとして還元するというような、なるたけ税を入れて国庫へとめておくというような、そういう考え方を紹介いたしておったりいたしたわけでございます。
 それから、金融機関以外に全般にだぶついている金をどうして吸収するかという方法として、たとえば安定国債というようなものを出して個人消化の国債を持たせるというような考えを述べておるところもあったわけでございます。
 まあ、さようないろいろな考え方を述べており、われわれもわれわれの、ここでいろいろ申し上げているような考え方を紹介いたしたりしたわけでございますが、結論的には、やはり各国ともに経済政策の中でインフレ対策というものをハイ・プライオリティを持ったものにしようということをコミュニケできめたわけでございます。
 それから、超過需要の発生のために需要管理政策を強化する。要するに、国民の需要を野放図にしておかないでこれを管理する政策という考え方がもう一つございました。ただその場合、ドイツあたりで強く申しましたのは、それが統制になっては困るということを言っておりました。
 いずれにいたしましても、非常にインフレというものに対しては多種多様な政策手段が必要なんであって、これはやはり各国の国情に応じていろいろあると思うけれども、大事なことは機動的にこれをやるべきであるということのようでございます。
 なお、インフレが国際的な性格を持っておる。いまもう日本だけでなくあらゆる国がインフレで悩んでおる。ことに大国の責任ということを非常に申しまして、日本もその場合大国に入っておるわけでございまして、ことにヨーロッパの国は御承知のように非常に地域的に隣接しておりますものですから、大国がインフレであると小国がすぐにその影響を受けて非常に困る、だから国際協調も大いに必要であるが、特に大国側のインフレ防止の責任は重大であるというような意見が出たわけでございまして、私どもも非常にインフレという問題を国際的に考えようということが合意されたことを収穫と考えてきたわけでございます。
#62
○中沢伊登子君 たいへんいろいろなお話を伺わせていただきました。日本でも税の取り過ぎは、この間の発表では六千四百億円、こういうお話がございました。そしてまた、来年度の減税を一兆二千億とか一兆五千億にするんだとかずいぶん大きなことを言っておられましたけれども、やがてボーナスの時期が近づいております。そこで、この間テレビを見ておりますと、もう、あれが買いたい、これが買いたいというような話が一ぱい出てきたわけですね。そういうようないろいろな状態がいまあらわれておるわけですけれども、日本ではまだそれこそ買いたいものが一ぱいあると思います。それはクーラーも買いたいと言っている人もありますし、そしてもう住宅が手に入らなくなりましたね、地価の高騰や材木やセメントの不足というようなことで。そうしますと、週休二日制もやがて実施されるだろうという中で、自動車も買いたい――もう家を買えないから自動車を買うんだ、自動車をいま申し込んだら二カ月先でないと手に入らない、こういうような話で、買いたいものだらけでございますが、これがまたインフレに拍車をかけるのではなかろうかというような感じも私どもしておるわけでございますが、まずいろんなことをかみ合わせて、また税金の問題やそういった問題はまた違ったおりに一度議論をさせていただきたいと思いますが、きょうはまだビールの問題やいろいろございますし、時間も三時半ごろまでだと思いますので、これはこの程度にいたしますけれども、もう一つ向こうにいらした中でお伺いをしたいのは、最近の日本のあくどい商法が海外で非常に問題になっておりますね。そして、ヨーロッパに行っておられてその点ではどのようなお話を聞いてこられたか、どのように言われておいでになられたか、その辺はいかがでございましたか。
#63
○国務大臣(小坂善太郎君) 私に対して直接批判がましい話は聞きませんでございました、外交的な遠慮もいろいろあるのじゃないかと思いますけども。そこで、私の――向こうの人と話したという感じではなくて――感じでごさいますけれども、やはり最近の商社は国外においての非常な批判を十分かみしめまして、非常にその批判にこたえようとする意欲を持っておるという感じをいたしておるわけでございます。特に商社の中で倫理綱領のごときものをつくったり、あるいは海外投資行動基準というものをつくったり、いろいろ責任のある行動をしようということを言っておる際でございますのでありますし、しかも、いま御審議いただいております売り惜しみ買いだめというようなものを規制する法律、これも御可決いただく段階になりますと、私どものほうでも物価調査官というものをいろいろ訓練をいたしておりまして、これも各省――農林省、通産省等から非常な協力をいただきまして、国税庁その他からもいろいろ講師を招いたりして勉強をしてもらいまして、かなりお役に立ち得ると思います。内外ともに十分な反省資料を提供さすことによりまして海外における批判もないようにいたしたいと思っておる次第でございます。
#64
○中沢伊登子君 ちょうど公取委員長がお見えになりましたから、それでは長官に対する御質問はその程度にとどめさせていただきます。
 さっそくでございますけれども、公取委員長、最近またビールの値上げが話題になってきておりますね。ビールの業界というのは寡占業界でございますね。たった大手四社しかないわけですが、このビールの値上げというのが隔年にどこかがバッターになって値上げが行なわれております。どこかが値上げをしますと、一斉にほかのビール業界もこれに追随をして値上げをされてしまう結果になります。数年前に宮澤前経企庁長官が、値上げをしたビールは買わないように、こういうふうに申されたんですが、三日目でほかのビールが値上げをしてしまった、こういうような実例もございます。ですから、結局はビールの値段というのは管理価格になってしまうと言ってもいいのではないかと思いますが、そうして、そのビールやお酒というのは、大蔵省の許可をいただきませんと開業ができないわけです。そうして、この競争というのはたいへん激しいもので、なかなか免許もいただけないわけです。つまり、何か大蔵省かどこかで酒屋を保護しているようなかっこうになるわけですけれども、この管理価格ですね、そういうものに対して昨年は社会党、公明党、民社党三者で管理価格を規制するような法律案を提出したことがございますが、これは残念ながら消えてしまったわけです。そこで、そういったような管理価格に対して原価を報告させて、これは適正であるか利潤の取り過ぎであるか、そういうような方法をとってみてもどうだろうか、このように考えておりますが、このビールの値上げの問題について公取としてはどのように対処されますか、お伺いしたいと思います。
#65
○政府委員(高橋俊英君) まことに、ただいまおっしゃいますように、ビールのようなものは寡占であり、また過去の実績から申しまして、これがいわゆる管理価格の典型的なものの一つではないかと思われるわけでございます。これをどう扱うかということはたいへんむずかしい問題でございます。現実のところは、酒についても、これは酒税の確保という見地もありまして、それからまた非常に小さな酒屋がたくさんある。数からいうと、これは三千百くらいある。ビールの場合は四社。その点、片方は非常に数が多い。数が多いために合理化がおくれている部分がたくさんあって、原料の米代が上がれば、またいつか、二年か三年に一回は値上げをしないとやっていけない。よけいなことを言うようですが、酒のほうの事情を聞きますと、三千百あるうちの、普通に会社らしい経営をすれば、社長に社長らしい月給を払ったら、まず六、七割が赤字じゃないかというふうなことで、表面的には赤字は免れているけれども、実質的には赤字のものが圧倒的に多い。それは、酒税としてはやはり大事な一つの財源でございますから、これは何とかうまくコントロールしていかなければならぬということになるわけです。ビールの点でも、日本のビールは、私はどうもこんなところでよけいなことを申し上げるようですが、税金はずいぶん高いと思うのですね。高いからいいか悪いかは別ですけれども、一本百四十円の中に六十七円二十銭という税金が入っておってメーカーのほうからいえば、メーカーの手取り分よりもメーカーの払う税金のほうが多いんですから、これは相当なものだと私は思うんですが、しかし、さりとて、ここでビールを私は税を安くしたほうがいいということを申し上げるつもりはありません。一番困っているのは、公取の立場からいうと、そういうことではなくて、御承知のように、はっきり申し上げて、キリンだけが圧倒的に強いんですね。キリンだけがシェアがどんどんどんどんふえてきて、いまや御承知のとおり六割をこえておるという状態で、その分だけアサヒとサッポロが食われているわけです。それで、下のほうから新規に参入したサントリーが、サントリーのかつての、いままでのウイスキーの販売網とウイスキーの利益にものをいわせてじりじりと追い上げてきておる。その間に挾撃されましてこの二社は経営がきわめて苦しいことだけは率直に私は認めなければならぬと思うのです。公取の立場からいいますと、四社というのは寡占の限界であると、これ以上減ってもらっては困るわけですね。キリンが独走して最後に九〇%を占めるということになったんでは、もう日本じゅうキリンビールしかないというような、そういう競争のないような状態になることは私どもの最も好まないことでございますから、できれば、ほかの社にもっとふんばってもらわなければいかぬのですけれども、現実はその逆をいっている。そこで、新聞などでもすでに御承知のとおり、キリンについては相当な黒字が出ている。他の社は黒字を出した形にしておるが、私は内情は赤字寸前じゃないか。赤字かどうかよくわかりませんが、かなり苦しいと思う。そうしますと、この場合値上げを認めない――私どもがかりに値上げを認める認めないの権限を持ったとしましても――値上げをしない方向に持っていくというと、いよいよ苦しいものが二社ですね。サントリーは実はほかのほうでかせいでいますから、これはまだいいんですが、大きな赤字なんです。一本当たりで計算すれば最大の赤字だと思いますが、ビールの赤字が。もちろんそうです、販売量が少ないんですから。たいへんな宣伝広告費をかけているわりにはシェアが狭い。宣伝広告費をかけないほうのキリンがどんどん売れるという、まことに困ったことで、そちらのほうの利益は他社の宣伝によってよけい売れるというようなことさえ言われている。これが現実なんですね。だから、むしろ宣伝は押えているくらいなんであって、そのほかに、国税庁としてはやはりこれも考えまして、北海道に進出まかりならぬと、工場の新設を認める場合に。北海道までいくと今度はサッポロが食われてしまう。そういうことも考えまして押えているというふうな状態で、その点、私はこれはやむを得ないと思いますね。ある程度設備の面でこれを抑制していくくらいにしないと、この問題はなかなか傾斜の過度の独占にいく傾向はとめられない。そういうことで、いわゆる寡占管理価格のうちの最もむずかしい事例がここに出ているわけです。これを認めないとすれば非常におかしなことになるし、認めるとなると、非常な利益を上げているキリンにまでなぜ及ぶのか。キリンだけ押えるということをかりにやったら、キリンがもっと売れるということになってしまいますね。たいへん、どっちへいっていいかわからないということなんですが、私どもの公正取引委員会の立場からいうと、ある程度暗黙の追随行為がこれはあるわけですね。だけれども、協定としてはっきり認めるかどうかということになりますと証拠がないのです。証拠がない。同じものを売っておるもんですから、百四十円で小売り価格をきめたやつをそれを十円なり二十円なり上げるといえば、それで簡単にあとが追随してしまう。だれかが先発になってそれをあとを追いかけるというような形になるのですが、いまの私どもの方向としては手がない。いまお話しのような寡占管理価格、こういう典型的な管理価格の問題について検討をしろという点については、まさしく私どもも検討をいたしております。何らかの措置を講じて、いまおっしゃいましたディスクロージャーというふうな問題も一つの方法といいますか、かなり有力な方法ではないかと思いますが、まだその点は独占禁止懇話会にも何回かいまおはかりしてどうするかを検討中でございますので、いましばらくお待ちを願いたいと思います。
#66
○中沢伊登子君 もう時間が来てしまいまして、もう少し伺いたかったんですが、私きょうどうしてももう一つ伺っておきたい問題がございますので、そのほうに移らせていただきますが、先ほども田代委員からも出ましたけれども、この物価の委員会が何べんも開こうとして開けずに、まあ長官もお一人でございますからやむを得なかったかもしれませんが、ちょっと時期がおくれてしまったわけです。ですから、どうしてもこれ、きょうはひとつお答えをしておいていただきたいと思うのは、東京の主婦連から提訴された果汁の問題がございますね。先日裁判があったようでございますが、その内容をひとつお聞かせをいただきたいと思います。まず、それから伺いましょう。
#67
○政府委員(高橋俊英君) その内容をとおっしゃいましたのは、たいへんどうも申しわけないのですけれども、東京高裁の内容と考えていいですか。――これは非常に簡単な短い時間で終わっておりますが、両方から書面によって書類が、訴えを起こしたほうからと、起された私どものほうからの釈明書が出ておるわけでございますが、それらについて、これでよろしいか、つけ足すことはないかという程度の裁判長の――裁判長はこの場合は、公取の事件については御承知かと思いますが高等裁判所の長官が裁判長となりまして、他に四名、つまり合計五名をもって編成する特別の法廷でやることになっております。ですから、高裁長官が裁判長でございますが、それが訴訟指揮をされまして非常に簡単に終わった、内容的には何も申し上げることはないということでございます。
#68
○中沢伊登子君 主婦連というのは非常にまじめに物価問題に一生懸命で取り組んでいる団体でございますね。私らが女性同士としていろんな仲間にも入っていただこうと思っても、私どもは物価問題一本にしぼりますというくらい、この問題に一生懸命で取り組んでおられる団体でございまして、まあ、それをどうこう言うわけではありませんけれども、今度たまたま起こった無果汁表示の問題で一生懸命でやられたわけですけれども、この問題を一つ取り上げてみても、業界からの申し立てなら公取はお取り上げになるのか、消費者側からの苦情なら取り上げられないのか、こういうような感じを私どもたいへん強く受けたんですね。そこで、一体それならば消費者側からの苦情はどこで処理されるのか。消費者側にも不服を申し立てる資格が認められないのかどうか。これをいままでの行きがかりやメンツにこだわらずに、消費者側の不服申し立てに対しても一つの資格を与えてはどうかと、このように思いますが、いかがですか。
#69
○政府委員(高橋俊英君) この不服申し立ての内容そのものについては、すでに私どもは完全にお答えをしておると思いますが、御質問の趣旨が訴訟法上の論点であると思いますので、そういう法律上の点に問題をごくしぼりましてお答え申し上げたいと思いますが、ただいまの御趣旨のように、消費者であるから、あるいは消費者であるがゆえに不服申し立てができないというようなこと、こういう点については、それは全く違います。そうではございません。消費者であるから、あるいは事業者であるからということではないので、不服のある者は――ただ、書いてあるのは、条文の書き方は非常に簡単でございまして、他もそうでございますが、他の場合でも不服のある者は、ほかにも不服申し立ての別に法律がございますが、この場合は不服のある者は公取に申し立てができると、まず一次的にですね――ということになっておりますが、何も限定されておりません。しかし、この公正取引委員会というものの性格は、この種の事件につきましてはこれは行政事件の一環として扱うべきものと考えます。と申しますのは、すでに御承知のとおり、第二審が東京高裁であり、第三審は最高裁でございます。したがって、完全に第一審の役割りは果たしていると、われわれの行ないました審決がですね、第一審の裁判の裁判所と同格のものでなければならぬ、それ以上に若干扱われているわけでございます。といたしますと、その場合の私どものさばき方としては、行政事件訴訟法に認められているものでなければならぬと、こうなるわけです。原告適格、つまり原告の資格ありやなしやは、行政事件訴訟法に書いてあるところに従わなければならない。それは、この場合の訴訟は抗告訴訟というものでございまするが、行政事件訴訟法の第九条に「法律上の利益を有する者」ということになっておりまして、それが行政事件訴訟を起こすときの原告になれるということになっております。行政処分の取り消しを求める訴えでございますからこれは抗告訴訟ということになりますが、それの、だれがそういう資格があるか。「法律上の利益を有する者」というものは、行政庁の行なった処分などによりまして必然的に権利を具体的に侵害される、個別的に具体的に侵害される者ということになっております。これはたびたびの判例の示すところでありますし、いわゆる有力な学説によって支持されているものであります。異説はございます。異説はございますが、私どもは、最高裁の判例が幾つかあるものでございますから、それに従うことが最も適当と思います。といたしますと、この場合、ばく然として、たとえば消費者としてあるいは侵害を受ける、まあ自分の何かに、身体に障害を受けるおそれがあるかもしれぬというふうな理由だけで、つまり、消費者として、この不当表示を取り締まる法律の目的は消費者の保護でございますから、それで公正競争規約そのものも消費者の保護ということがちゃんとうたわれておるわけです。しかるがゆえに、消費者なるがゆえに原告適格ありかというと、そうはならない。その結びつきは直接には起こりませんので、具体的に権利を侵害されたと。――公害事件の場合なんかにはたくさん例があるわけでございます。具体的にその本人が被害をこうむったと。そのこうむった中にも、会社が行なったんではなくてこれは完全に国が行なった、公共団体が行なったということによって現実に被害を受けた、権利を侵害されたというふうな場合には、その処分の取り消しを求める資格があると思います、これは国民だれでも。私どもが言っておりますそこにある「一般消費者」というのは、ことばを返せば「一般国民」と同じことでございますから、一般国民だれでもが、被害のまあほとんど蓋然性があるかないかわからぬ程度で不服の訴えを起こすということは、行政事件を起こすということは認めるわけにいかない。これが行政事件訴訟法で法律上保護されるべき利益を有する者、いわばそれを裏返しますと、権利を具体的に侵害された者が原告の適格があると。これはかなりきびしいといいますか、実際の判例等を見ましても、相当厳格に解しているものと思いまして、私どもは、そういう裁判の中の第一審を担当する者のといたしましてこれに従うのが当然であるというふうに反論をしたわけでございます。内容的に主婦連の活動をどうこう言うのではなくて、むしろ内容的には主婦連の御期待以上のことを私どもはやったつもりでおります。
#70
○中沢伊登子君 こういうことが多少誤解があるかもしれません。そこで最近、公取に対して非常な不信感が実はあるわけです。そこでもう一つお伺いをしたいのは、景表法の権限を昨年の十月に地方自治体におろされましたね。公取に対して排除命令を依頼できることになったようでございますけれども、地方が行なった行政指導がどのようになっているか。本庁に対して何件ぐらい要請が来ておりますか、その点をお伺いするのと同時に、公取の本庁の取り扱ったものは、現在まで――昨年の十月以来今日まで何件ぐらいあったか、これをお伺いしたいと思います。
#71
○政府委員(高橋俊英君) 確かに昨年の十月からは都道府県のほうに指示権を含めた一部景表法の権限委任が行なわれました。何ぶん、その前からもちろん準備はいたしておりましたが、その職員に対する私どものほうの法律適用の、法律適用がこれが乱用に流れたら非常にいけないわけでして、どういうふうなものを排除するか。つまり、不当表示とか不当景品等についてどういうものをとめていくのかということについては十分訓練期間が要るわけです。そういうことに重点を置いてまいりましたが、しかし、すでにこれは十月以降だけで都道府県において行ないました指示が――指示というのはこちらの差しとめ命令みたいなものですが――それが三件ございますが、措置請求としてこちらに上がってきたもの、公取に措置を請求したのはまだ一件でございます。しかし、その場において注意をしてその行為を改めさしたもの、これは七百三十七件にあがっております。公取自身としましては、景表法の関係におきましては、排除命令を行ないましたのが十月以降三月までで十四件、それから警告という、これはもうはっきりした警告の形をとっておりますが、三百八十五件、合わせまして三百九十九件というのが昨年度の後半の実績ということになっております。
#72
○中沢伊登子君 ずいぶん一生懸命でやっていただいているとは思いますけれども、先ほどのお話話、本庁へ請求したのが三件と、それから本庁のほうで取り扱ったのが一件ですね。こういうことでたいへん実際に取り上げて排除命令を出されたのはわずかになってしまっておりますね。先ほど、最近公取に対して非常に不信感があると、こういうふうに申し上げましたのは、消費者がいろいろな事件を持って地方自治体に行っても、その問題は、また地方自治体と業界との何か結びつきといいますか、くされ縁といいますか、そういったものがあって、なかなか取り上げてもらえない。これは本庁からやってもらわなければだめですというような話があって、なかなかかゆいところに手の届くようにはしていただいていないと、こういうふうな苦情があるわけです。そこで、これは地方自治体に公取のほうがせっかくそういう景表法の権限をおろしていらっしゃるのに、そこら辺の連携がうまくいってないのではないか。せっかく法改正をしながら、それが十分に機能をしていないうらみがあるのではないか。そういうようなことで、ところどころで、最近の公取がどうも信頼するに足りないと、こういうような話を私どもはよく聞かされるわけです。これはたいへん残念なことでして、公取といえば私どももずいぶんここに期待をかけておりましたし、独禁法の番人だとか国民の良心だとか、こういうふうなことを言いながら、国会の中でも、最近は国家公務員の人数をふやさないんだと、こういうところでも、公取だけはもっと人数をふやしてくださいというふうなことを私どもも再三申し上げてまいったつもりでございますが、この辺でもう少し公取も元気を出して消費者の要望にこたえていただきたい、このように思いますが、いかがでございましょうか。
#73
○政府委員(高橋俊英君) 私どもとしては精一ぱいのことをしておるつもりでありますし、また、都道府県がまだふなれなために、それから、かねてからそれはたとえばそう言ってはなんですけれども、地元の問題を直接扱う場合に、とかく人情がまじるんじゃないかというふうな懸念もありまして、そういうことのないように、相当詳しい指導のしかたをして、書類までつくってやっておるんです。やっておりますが、まあ、この点につきましては、都道府県の問題については、いましばらくお待ち願いたいと。私どもは、まああと一年もすれば軌道に乗って都道府県が積極的に動いてくれるようになるんじゃないかと思います。また、私どもの公取は人数こそ少ないんですけれども、また能力が至りませんが、いろいろな御批判はあるにいたしましても、職員の一人一人をもう十分以上にこき使って――私としてはこき使っているつもりでありまして、まあ、至らぬ点がありますれば、いろいろと方法なども検討いたしまして、もっと迅速に、私の目標はできるだけ迅速に仕事をさばく。しかし、迅速にさばくといたしましても、いまのいろいろな審査事件につきましては、逆にまた審判請求を受けて延々としてこれが長引くというふうなこともありますので、やっぱり事実の認定その他には相当力を入れて取っ組まなきゃならぬ。その辺については、私どもはどうしても仕事に追われてといいますか、とかく御要望に沿えない場合があるかもしれませんが、そういうことがありましたら、どうぞ私どものほうへ御注意くださいまして、私どもできるだけの努力をさせていただきたいと考えます。
#74
○渡辺武君 経済企画庁長官に伺いますが、先ほどもほかの委員からも御質問がございましたが、第十二回OECDの閣僚理事会に御出席なさった点について、初めに幾つか伺いたいと思うのでありますが、この閣僚理事会の共同コミュニケを読ましていただきますと、インフレの問題はもとよりでありますが、エネルギー問題、あるいはまた食糧不足の問題その他、かなりいろんな問題が盛り込まれているわけです。しかし、一番強調しておりますのはやはりインフレーションの問題でありまして、まずそこのところを伺いたいと思うんです。
 初めに伺いたいことは、インフレ対策を各国の経済政策のいわば中心に据えるというようなことを最初に強調しているようですけれども、この点について、私はOECDそのものにも、いまの全世界的なインフレーションの大きな責任がありはしないかという感じがするわけです。なぜかと申しますと、OECDというのは、これは、いわばいままで主要な資本主義諸国の経済成長、これを重視して、一貫してその側面から議論を進めてきたという機構だと思うんですね。まさにその経済成長と歩調を合わせて各国のインフレーションが非常に激化してきているという点については、OECDとしてもきびしくみずからその点を検討すべきだったんじゃないかというふうに思います。特に、日本のように恒常的な黒字国、これに対しては、インフレ政策をとるべきだというような趣旨の勧告もいままでやられてきているわけでして、日本政府がその勧告に従ったか従わないかこれは別問題としても、やはり日本や西ドイツのような国が急速なインフレーションの高進に見舞われているというような点についていえば、やはりOECDそのものも責任を負うべき点があるんじゃないかと思うんですが、その辺の議論はあったのかどうか、まず最初に伺いたいと思います。
#75
○国務大臣(小坂善太郎君) そういう議論は、はっきり申しまして、ございませんでした。ただ、OECDが、お話しのように、経済成長ということを重視してまいりましたことはそのとおりでございまして、統計的に申しましても、一九七一年が成長率が三・三%で総合物価が五・三%である。これが七二年が五・九、総合物価が四・二、これが七三年の上期に至りまして成長率が八%、総合物価が七ないし九%というふうに非常に上がってまいりまして、これは総合的なものでございますけれども、ヨーロッパ大陸におきましては非常に大きな上昇になっている。またアメリカにおいてもそうである。日本もこれはもう言わずもがなであるということでありまして、何かこう経済成長が非常によくまいりました反面、一気に物価高の状況に見舞われた。これはもう事実であろうと思うわけであります。
#76
○渡辺武君 まさに一番問題にしなければならぬところを問題にしないで、しかもインフレ対策を論議するということになりますと、今度のやはり閣僚理事会のコミュニケに盛られているこのインフレ対策なるものは、これはかなりまゆつばものだというふうに最初から考えざるを得ないわけですよ。
 そこで次に伺いたいのは、この共同コミュニケの第二項に次のようなことが書かれております。「各国大臣は超過需要の発生を防止する必要性につき合意し、個々の事情に応じて他の分野においても積極的なインフレ対策をとる必要性につき合意した」といわれておりますが、非常に抽象的でわかりにくいわけですね。この点、どういうような意味なのか、おっしゃっていただきたいと思うんです。
#77
○国務大臣(小坂善太郎君) 「インフレ圧力がなお持続し、かつ強まっていることに対し関心を示し、現状において各国政府が物価上昇の抑制に経済政策上最高のプライオリティをおくことを強調した」。それに対して各国がそうだということを言ったということでありますが、物価対策は非常に重要である、こういうことでございます。
 なお、最初に責任論云々が出ましたけれども、経済成長もうまくいかないということではなおいかぬわけでございまして、現に経済成長に十分な成功を見てない国もあるわけでございます。そういうのがいいとか悪いとかいう批判を抜きにしてもOECDの加盟国各国としましては、この現状に対していかにすべきかということで知恵をしぼることはこれは当然のことであるというふうに考えておるわけであります。
#78
○渡辺武君 いまおっしゃった、インフレを重視するという趣旨のことは、これは、いまお読みになった第二項の前半でして、一番最後のほうに、つまり「超過需要の発生を防止する必要性につき合意し、個々の事情に応じて他の分野においても積極的なインフレ対策をとる必要性につき合意した」、これは一体どういうことですか。「超過需要の発生を防止する必要性につき合意し、個々の事情に応じて他の分野においても積極的なインフレ対策をとる必要性につき合意した」。もう少し詳しく御説明いただきたい。
#79
○国務大臣(小坂善太郎君) 要するに、一般的な需要と供給の関係を見まして、需要のほうが超過をしておる。こういう状況から物価の高騰が来るのであるから、その原因をきわめて、それの原因が財政的なものによるものであれば財政支出の点についてこれを緊縮し、金融的な放漫から来るものであるのであれば金融引き締め政策をとる。しかも、その他のいろいろなきめのこまかい、あるいは自由化であるとか、あるいは輸入の特恵関税によるシーリングのワクがあるためのものであればそれを解除するとか、あるいは全般的な消費態度に問題があればそれについて考えるとか、とにかくさような分野における問題を、それぞれの国にはそれぞれの事情があるんだから、それを検討し、かつ、それについてOECDというような一つの機関があるんだから、それに対してはその事情も述べ合い、お互いに知恵を出し合ってこの物価の問題について安定策をお互いに考究していこうではないか、こういうことであります。
#80
○渡辺武君 新聞報道によりますと、イギリスやアメリカがとっている賃金・物価凍結令ですね、あるいは所得政策というようなものを、これを今度のコミュニケに盛り込む予定であったけれども、しかし、いろいろ表現上も問題があるし各国の内情もあって、そうして先ほど私が読みましたような、つまり、他の分野においても積極的なインフレ対策をとることに合意した、という表現になったんだという報道もなされているわけですけれども、その点の真相はどうですか。
#81
○国務大臣(小坂善太郎君) 私の聞いておる範囲は、私は、コミュニケの作成はもう事務的に若い諸君にこれをやってもらった。実は午前五時までかかっていろいろとやってくれたわけでございます。イギリスもアメリカも御承知のように所得政策をとっておるわけでございます。で、これが非常に成功したという言い方をしておる人もありますけれども、アメリカの場合はこれはなかなかそう簡単にそのように評価できないんじゃないかという意見もございます。最近のアメリカの消費者物価というのは非常に上がっておることは御承知のとおりであります。そこで、そういうものも確かにその国の貴重な経験としてわれわれ受け取るわけでございますけれども、しかし、やはりその国には国としての風土があるわけでございまして、やはり国民全体がそういう政策をよく理解するかしないかということであるんですが、わが国の場合は、残念ながら政府と反対勢力との間にあまりそういう問題についての一致が見えにくいということは事実であると思うんでございます。ことに所得政策というようなことが、あるいは賃金の統制あるいは凍結というふうにすぐとられるような一般的な情勢でございますので、われわれとしてはそういうことは当然考えられぬわけでございます。ただ、ドイツあたりの意見は、先ほども御紹介しましたように、超過需要を押えるという考え方も統制ということにつながったんではだめだ、統制をやるというようなことになると、かえってすぐ物価は上がるんだというふうな、そういう見解を持っているわけでありまして、そういう点については、これがインフレ対策の決定版だという具体的なものはなかなか出ないわけでございますね。一般的に財政金融のポリシー・ミックスということは当然言えるわけですけれども、その上に、いま言うような個別的なその国の事情に応じた政策をお互いに考究するという以外はなかなか出ないわけなんで、そういう点からこういうコミュニケになったというふうに承知しておるわけであります。
#82
○渡辺武君 なお、重ねて伺って失礼なんですけれども、先ほどおっしゃった総需要管理政策といいますか、抑制政策ですね、その理論的な前提条件とも言えるようなものが、超過需要があるからだからインフレが起こるんだというところにあると思うんですね。先ほど長官もそのようにおっしゃったと思うんですけれども、この、何といいますか、総需要超過という立場ですね、これは近代経済学がもう久しい以前からいわゆるデマンド・プル・インフレーションということで主張していたその立場と同じことだと思うんです。しかし、このデマンド・プル・インフレーションというのは、理論的にも実践的にも間違っておったということはすでに歴史的に私は証明されていることじゃないかと思うんですね。これは近代経済学の本を読めばすぐ出てくる話なんですけれども、アメリカの一九五七年から八年にかけての恐慌のときに、従来ならば、恐慌のときに物価が下がるはずのところが、まさにその時期から物価が上がり始めている。卸売り物価指数でいえば一・四%、消費者物価指数でいえば二・七%の上昇が見られた。したがって、恐慌期に物価が上がるということになれば、まさに需要がずっと下がっているはずのところに物価騰貴が起こっているわけですから、したがって、デマンド・プル・インフレーションというのは、これは理論的にも実践的にも間違いだということで、その後アメリカの国内でインフレ論議が非常に盛んになって、インフレの原因について、いろいろ近代経済学者それなりの追求をし始めたというのが歴史的経験の示すところだと思うんです。OECDが依然としてこの総需要管理政策、その前提条件としてのデマンド・プル・インフレーションの立場をとっているということになりますと、私はこの共同コミュニケの実質上の有効性ですね、非常に大きな疑問を抱かざるを得ないと思うんです。
 ところで、なお申し上げさしていただきたい点は、アメリカのインフレ論議をその後の経過を見ておりますと、デマンド・プル・インフレーションではどうも説明がつかぬということで、その後あらわれたのがいわゆるコスト・プッシュ・インフレーション――コストといっても、特に賃金に重点を置いて、賃金が上がるからだからインフレが起こるんだと、こういう議論が横行してきたわけですね。そうしてその中から物価・賃金凍結令、それからまた所得政策というような政策が国の政策として打ち出されるに至ったというのがいままでの経過だと思うんです。ですから、このOECDの閣僚理事会で、まさにデマンド・プル・インフレーションの論議と同時に、いまのお話を伺いますと、やはりイギリス、アメリカなどでとっている物価・賃金凍結令や所得政策の問題が議論になっているということになりますと、おそらく主要資本主義国で構成されているこのOECDそのものが、従来の総需要管理政策から漸次賃金に対する統制という方向に移ろうという、そういう方向が今度の閣僚理事会で出されてきているんじゃないかというふうに考えられますけれども、その点、どうでしょうか。
#83
○国務大臣(小坂善太郎君) 全般的に超過需要の発生を防止しなければならぬということはあるんでありますけれども、インフレーションの原因をすべて総需要が過大であるため、と言い切っているわけでもないわけでございます。たとえば、各国は必要に応じて非常に多様な政策手段を適当に組み合わせて、しかも、機動的にやらなければならないということを言っておるわけでございまして、一方において超過需要の発生そのものを防止しなければならぬということと、それがすべてのインフレの原因であるということとは、これは別にわれわれも理解しておるわけでございます。多様な政策手段、たとえばそういうものの組み合わせ、プロパー・ミックスということばを使っているわけでございますが、そういう手段として財政金融政策のほかに、労働力の活用対策であるとか、貿易の自由化であるとか、寡占の対策であるとか、あるいは消費者保護政策であるとか、まあ、いろいろな点をわれわれ指摘しているわけでございまして、しかも、所得政策については、われわれは、いま申したように、わが国ではそういうことをとる事情にないということを言っておるわけであります。ドイツあるいはフランス等においてもさようなことを主張しておらないのであります。
 ただ、物価対策につきまして、もうわれわれはハイエスト・プライオリティというふうに考えるわけでございますけれども、国によってはまだ経済成長に問題がある、まだ失業が数多く存在している、こういう国もあるわけで、OECDの加盟国そのものが全部が全部日本のようないわゆる超完全雇用の状態にあって、そして非常に需要がふえておると、こういう状況でもないわけなんでございます。ございますから、われわれはアメリカやイギリスの所得政策をそのままとるべきであるということを考えておりませんけれども、しかし、全般的に言って、やはりアメリカ、イギリスの所得政策に学ぶべきものが多いという、そういう意見はありました。しかし、それだからOECDがいいとか悪いとかという議論をするわけではございません。
#84
○渡辺武君 このコスト・プッシュ・インフレーション論ですね、これは私は日本政府の物価対策の中にももうすでに久しい以前から取り入れられているというふうに考えざるを得ないんです。それは、政府の物価対策の中で特に強調されているのは、これは中小企業や農業などの生産性の低い部門、これが存在している。つまり、高生産性部門との間の生産性の格差があると。そしてその低生産性部門の中で賃金の引き上げが行なわれてこれが物価を押し上げているんだと、こういう議論ですね。これはコスト・プッシュ・インフレーションの日本的な私は特質だと思うんですね、そういう議論が出てきているというのは。ですから、総需要の超過だというふうに一方で言いながら、実際のところは、まさに物価値上がりで被害を受けている農民や中小企業や労働者にその全責任をおっかぶせて、そうしてそこで物価問題を解決しようということについては、私はコスト・プッシュ・インフレーションの反動的な立場と全くこれはもう同じ立場だというふうに考えざるを得ないと思うんです。本来、そういう立場を日本政府がとっている以上、これは私はこのコスト・プッシュ・インフレーションの必然的な帰結としての物価・賃金凍結令あるいはまた所得政策、そういう方向に現在は、それは確かに長官いま、やる気はないというふうにおっしゃっておられるけれども、しかし、本質的にはそういう方向を向いているんじゃないかと思いますけれども、どうでしょうか。
#85
○国務大臣(小坂善太郎君) ちょっと御質問の趣旨がよくわからないんですが、共産主義国のやるような考え方をとるつもりはございません。
#86
○渡辺武君 どういうことですか、それは。何をおっしゃろうとなさっているんですか、よく理解できません。
#87
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は御質問の意味がよくわからないので、私の意見を申し上げたわけですが、もう一度、たいへんおそれ入りますが、どういう点を御指摘になろうとしておるのでありますか。今日、生産性の格差というものが確かにあるわけで、そういう生産性の低い部門の生産性を上げるということは必要だとわれわれ考えているんですが、それが必要でないというふうに御指摘になっているんでございましょうか。その点を伺いたい。
#88
○渡辺武君 問題は、物価問題をいまここで議論しているんですよ、特にインフレ問題。私の申し上げたいのは、これはあとから申し上げるつもりでおったんで省略したんですけれども、現在のインフレの一番大きな根源、これはあの大商社の買い占めや、それから、あとから公正取引委員長にも伺いたいと思うんですけれども、セメントがやみカルテルで価格協定をやって引き上げたということにも典型的にあらわれておりますように、大企業のこの価格引き上げ、独占価格、これと緊密に結びついた大銀行あるいはまた日本銀行の放漫な金融政策、これが私は一番最大の根源だと思います。それに政府の公共料金の引き上げ、これらがミックスしてそうしてまさに現在の急速な物価の騰貴を生んでいると思う。ところが政府の物価対策は、ちょうどヨーロッパのほうでコスト・プッシュ・インフレーションという議論で、賃金の引き上げにインフレーションの原因をなすりつけているように、物価値上がりの犠牲者である農民や中小企業、これの生産性の低さやそこでの賃金の引き上げ、ここに物価値上げの原因をなすりつけて、そして農業、中小企業の近代化だとか、あるいは賃金についても、それとなく賃金抑制というような方向をにおわせるというようなところに政府の物価対策の一番私は重点があると思うんです。そういう立場をとっている以上、いまイギリスやアメリカでやっているような賃金・物価の凍結令だとかあるいはまた所得政策だとかという方向、これが政府の基本的な立場になるんじゃないかということを申し上げておるわけです。伺っているんです。
#89
○国務大臣(小坂善太郎君) ようやくわかってきました。要するに、われわれは低生産性部門の生産性を上げるということのために、予算をそういうものに支出するということをやっているわけでございまして、何も低生産性部門が悪いからどうこうと言っているわけじゃございませんので、そういうところの生産性を上げることが近代国家として必要である。結局、そういうことのために物価の上がってくる一つの要因があるんだから、そういうものを生産性を上げるために国家的な財政投資をしなきゃならぬ、こう言っておるわけです。したがって、配給機構の近代化とか、あるいは農業の近代化とか、あるいは中小企業の近代化とか、そういうことに金を出せと、こう言っているんであって、それが悪いという、それがあることが、それは望ましくありませんですね、生産性の低いものがあることは望ましくないんですが、それが悪くてそのために物価が上がっているんだからということを言っているんじゃないんでありますね、その点をひとつどうぞ誤解ないようにお願いしたい。そのために、現に配給機構が前近代的なものがあるために消費者物価が上がっているという点は私、いなめないと思うので、それをなくしなきゃならぬことであります。こう思っておるわけです。
 それから、いまの物価全体の上がってきている点は、やはりいま超完全雇用というような状態でございまして、求人と求職の状態が、有効求人倍率というのですか、それが一・六七ぐらいになっている。もう非常に求人のほうが多いという状況。そういう場面での全体の需用というものは、やはり物価を引っぱる、引き上げる条件になっている。それが購買力を非常にふやしておる。要するに、賃金の上昇というものがそのままでいけば購買力の増加になっている。それが物価を押し上げている。これはいなめないと思うんでございますよ。
 そこで、われわれが当面しているいま一番の問題点は何かと考えてみると、結局、われわれはいままでの生産中心といいますか、企業の生産力を上げることによって国力を増していくというやり方から、要するに、活力のある福祉社会をつくろう、国民の福祉を増進する社会機構に変えていこうという関頭に立っているわけなんであります。で、その福祉を増進する、国民生活を豊かにするということは何かといえば、国民の所得をふやすということなんです。国民の所得をふやすという形をそのままに見ると、所得がふえれば消費がふえるという形をそのままに見れば、それが物価を押し上げているということになるんだから、やはり消費態度というものですね、そういうものが変わるということがやっぱり必要なんじゃないか。しかし、それは一気に変わりませんでしょう。しかし、それがいまの物価上昇の一つの大きな原因になっている。われわれは、いま非常な物価高に悩んでいる。しかし、それはどういうことから来ておるかというと、やはり一つの過渡期である。国民の消費を上げていくという、それがある程度成功してきておるのでございますね。成功してきているが、その消費に伴う一つの生活態度といいますか、国民のリザーブする心といいますか、そういうものが、ちょっとこう全体とのバランスを失している、これが物価を押し上げている一つの原因である――これが全部とは申しませんよ、一つの原因であるということは言えると思うのであります。
#90
○渡辺武君 政府の政策の宣伝をどうも伺っているような気がしますが、一番問題の、独占価格、あるいはまた日本銀行あるいはまた都市銀行などのインフレ政策、政府の公共料金引き上げ、この点について一言もお触れにならない。まさに特徴のある御答弁だったというふうに伺います。
 時間がないので次に移りますけれども、各国のインフレ対策がいろいろ論議されたようですけれども、どういうようなインフレ対策を各国ともやっておられるのか、それから、効果を発揮したと思われるようなものはどういうような政策であったのか、これを伺いたいと思います。
#91
○政府委員(新田庚一君) 先ほど大臣から御説明ありましたように、最近の欧米のインフレの状況、まあ、インフレーションにもいろいろございますけれども、主としてデマンド・プルが中心になっておるということ、認識でございまして、現在はともかく行き過ぎた需要を押える政策が基本である。つまり、需要の総管理政策というものを基本としまして、それに各国の国情に応じていろいろ対策を組み合わしているというのが現状でございます。
 アメリカにつきましては、最近数次にわたる金融引き締め、公定歩合の引き上げと、いろんな需要の対策をとられておるのでございますが、一方、御承知のように七一年八月以降にフェーズ・ワン、フェーズ・ツー、現在フェーズ・スリーということで、物価・賃金の直接統制、これは逐次緩和されてきておりますが、そういったものを展開しておることは御承知のとおりでございます。
 それからイギリスでございますが、イギリスも昨年の十一月から三カ月間の賃金・物価の凍結を行ないまして、さらに今年四月から賃金・配当・家賃につきまして直接統制を並行してやっておるわけでございます。
 それから、フランスはちょっと変わっておりまして、これは伝統的な契約制度を活用しまして、七一年の九月から計画契約制度という制度、これは六六年以降存在しておったのでございますが活用されておらなかった制度でございますが、これは政府と個別企業あるいは業種ごとに協定を結びまして、年間の価格計画というものを設定して、そうして政府の承認を受けて値上げをするというふうな制度でございます。これがさらに、今年四月に期限が切れまして、年間価格契約制度というふうに切りかえまして、これを一定のアローアンス、業種ごとに平均の上昇率のアローアンスを設けまして、その範囲なら値上げしてもよろしいというふうにやや緩和されたかっこうで制度を運用しております。
 それから、西ドイツは、これは伝統的に直接統制という方式をきらいまして、最近特に物価の騰勢が著しいのでございますので、公定歩合を本年三回引き上げております、御承知のとおりでございますが。そのほか預金準備率の引き上げとか、さらに財政につきましても財政支出の抑制、それから景気付加税の強化、それから設備投資税の導入、それから安定国債の発行と、そういったいわゆる総需要対策を中心にして物価対策を展開しておる次第でございます。
#92
○渡辺武君 いまおっしゃった各国の対策ですね、インフレ抑制に効果があったと思われるのはどういう政策でしょうか。
#93
○政府委員(新田庚一君) これは各国とも現在いろんな対策を展開中でございまして、顕著にその効果があらわれたというところまではまだいっておらないと思いますが、アメリカにつきましてはフェーズ・ワンの効果がかなり出ておったところにフェーズ・ツーに移りましてやや騰勢がぶり返しておるという状態でございます。したがいまして、全体の効果は今後の推移を待つ必要があると思います。
#94
○渡辺武君 きょう各紙に発表されております五月の国際的な卸売り物価及び消費者物価指数の非常な急騰ぶり、これから見ますと、どうもいまおっしゃったようなさまざまなインフレ対策なるものが、これはもう効果を発揮しないとはっきり言って差しつかえないんじゃないかという感じがするんですね。私はその根源の一つ――一つですが、やはり総需要管理政策というような立場に依然として立って、いまのインフレーションの最大の根源、これを押えようとしてないというところにあるんじゃないかという感じがするわけです。
 ところで、質問を急ぎますが、企画庁長官、帰られての記者会見で、西ドイツのインフレ対策、これを推賞しておられたようでございますけれども、どういう点がすぐれているというふうにお考えになっておられますか。
#95
○国務大臣(小坂善太郎君) 西ドイツといえども物価高問題を解決したというふうには言えないと思うんでございまして、推賞と申しますか、問題点、幾つもあるわけだと存じますけれども、一つには、やはり非常に国民に対して政府の施策をよく納得させる努力をしている。これは、まあ私も政府の一員でございますが、どうも自分で省みてまだ足らざるところが多いと思っておるわけでございます。
 それから、やはり税というものについて、これの理論的な解明をしておる感じがいたしております。いまドイツ等でやっておりますのは、これは日本でずっと慣行的にやっておることでありますが、自然増収は必ずその次の施策に使っておるわけでございまして、これを相当税収等を凍結して購買力が増加しないような方向で考えていくという点が私は相当に見どころのあるところではないかというふうに思うんでございます。やはり物価を安定させるということを、やはりあの非常な第一次大戦後の天文学的なインフレーションを経験した体験からいたしまして、物価対策が非常に大事だということを身にしみて感じておるという感じがしております。
#96
○渡辺武君 いま長官のおっしゃった西ドイツのインフレ対策なるものですね、一九六七年の西ドイツで制定しました、経済安定及び経済成長の促進に関する法律、というのがございますけれども、これに非常に近いような感じがいたしますが、そう理解していいですか。
#97
○政府委員(新田庚一君) ただいまの御指摘の法律の運用でやっておるわけでございます。
#98
○渡辺武君 だとすれば、私はこれは長官が推賞されるというのは非常に危険な態度だというふうに考えざるを得ないですね。まず第一には、いま長官言われましたけれども、西ドイツは従来インフレを非常に神経を立てて抑制しようという努力は確かにしてきたと思うんですね。大体、まあ消費者物価指数が三%上がれば大問題という立場をとって、だいぶ日本政府よりもきびしい立場をとってきたと思うんです。それにもかかわらず、昨年は消費者物価指数五・七%、きょうの新聞に出ております、ことしの五月の前年同期に対する上昇率七・五%、もう明らかに失敗したということは事実によって証明されておるわけです。しかも、この経済安定及び経済成長の促進に関する法律というものの中身を調べてみますと、確かに長官が言われましたように、労働者や経営者、これに政府の政策を資料を提供してよくわからせるというようなことも第三条にうたってありますが、この点も私は、先ほど長官がほかの委員に答弁された、所得政策を実施するには国民的合意が必要だというような御発言と関連してみますと、非常に所得政策への方向を目ざしての措置かというふうにも考えられますが、何よりもこの西ドイツの法律で非常に危険なのは、これは議会できめるべき公債の発行だとか、あるいは税金の使途だとか税率だとか、こういうものを、これを経済安定だとか物価の安定だとかいうことを口実にしてそうして政府が決定できるというようなことをやろうとしている。ここに大きな危険性があると思うんですね。今度政府が出そうということが新聞にも出ておりますし、大蔵省から法律の要綱を私もらってありますが、経済安定に資するための財政金融に関する特別措置法案、これがこの西ドイツのいま申し上げた法案とウリ二つ――若干違ったところはありますけれども、非常に私は危険な方向だと思うんです。インフレを押えるためには、これは何よりも、先ほど申しましたけれども、やっぱり大企業の横暴ですね、物価の引き上げ、これをきびしく押えるということ、それからまた日本銀行やそれから大銀行の放漫な信用膨張政策、これをきびしく押えるということ、これが私は決定的に必要だと思うんです。同時に、政府の公共料金引き上げ、これを押えること。この点を抜きにしては、結局残るものは、これは議会を無視したいわば政府の非常大権みたいな権限を政府に持たせるということになっていくんじゃないかと思われますけれども、その点、どういうふうにお考えでしょうか。
#99
○国務大臣(小坂善太郎君) いわゆる経済安定法につきまして、実は私も帰ったばかりで、あまりよく存じておりませんのですが、まあ、出発前にいろいろ聞いておりましたところにつきましては私なりに多少意見はありますけれども、聞くところによりますと、大蔵省においてはこの国会に提案しないということでございますので批判を差し控えまして、出すときにいろいろ私の意見を入れたものを、もしそういうことが提案されるという時期があれば、私の意見も述べる機会もあろうかと思いますが、この際には批判を差し控えさせていただきます。
#100
○渡辺武君 ちょっと公取委員長、せっかくお待ちいただいているので、ほんの一言、二言。
 公正取引委員会が、セメントの価格協定ですね、これの破棄を命ぜられたということでございますが、従来の例から申しますと、ハム、ソーセージのあの価格協定の場合でも、価格協定そのものの破棄を命じられて、そうしてそれはおそらく取りやめになったんでしょうけれども、その価格協定によって引き上げられた価格は下がらなかったという実例があるわけです。今度のセメントの場合にもそうなる可能性が十分にあるというふうに思われますけれども、公正取引委員会として、この協定によって引き上げられたセメントの価格、これを引き下げさせる措置をおとりになるおつもりがあるかどうか、これを伺いたい。
#101
○政府委員(高橋俊英君) いまお話しの点はたいへんむずかしい問題と考えておりますが、従来の例では公取の協定破棄を勧告、いまは勧告をいたしまして実は相手方がこの勧告に応諾いたしません。そして審判を請求していますので、これからしばらく審判で争うことになっております。しかし、その問題が起きまして、価格協定について破棄をかりに審決をもって行なった――同意審決でもよろしゅうございますが、つまり、勧告に同意したという形であれ、同意しないで審判の結果審決を下した場合であれ、これはそれ相応の措置はとらしておるんです。というのは、こういう価格協定を行ないましたけれども、これは公正取引委員会の何々に反しますから、この協定は破棄いたしますということを十分に関係者にわからせるような措置をとらせることにしているんです。ただ、こちら側が一方的に命令しただけじゃありません。ですから、原則として、大きな問題になりますと、全国紙を使いまして、新聞にそういう文言――この文言についても、実は公取がそれを見まして、公取の職員が文言を直しまして、ここはこういうもので出しなさいというところまでやっておるわけです。ですから、価格協定を破棄いたしました、これからは各業者の自主的な価格でやりますからということを、新聞のみならず、もしビラを配っておれば、ビラをまた同じ範囲だけは全部やらせる。つまり、宣伝等を行なった後、あるいは取引業者に対しては一々書面をもってそのことを通知する。こういうふうな措置をとっておるんでして、単純にただ私どもが審決文を届けているというんじゃないんです。それによって、あくまで独禁法の目的は協定行為そのものがいけないということでございますから、価格を上げること自体――それぞれが需要が非常に強くて供給が少なければ原則的に価格が上がるわけでございます。こういう場合には、それ自体は別にとがめる根拠がない。それぞれが需給の原則によって上がった場合にはできないけれども、いやしくも協定をするというのは、競争をしていないわけですから、競争をしないことを、私のほうは、それは独禁法違反であるとしてやるわけです。したがって、その範囲にとどめているということになります。ただし、いまお話しのとおり、せっかくそういうふうに価格協定を破棄を命じましても、需要が依然として強いような状態が続いておりますと、それはそのままいってしまうということになりますから、価格が下がらないでバックしないというふうなおもしろくない現象がございます。もちろん、これがまたもう一ぺん協定をやったりして、下がるべきときに下げないという協定をしたということが明らかになれば、言ってみれば再犯だ、再び犯したというようなことでもっときびしい方法をとりますけれども、そういう協定がなくても価格が保たれている場合に、それを引き下げる命令というものはできない。それから、いまのところでは、それに対して確かに有効な措置はとれないといいますが、なおこの点は私どもは研究の余地がある。価格をある程度の時点までバックさせるのがいいのではないかという考えでおりますが、しかし、これはまだ一応の潜在的な考えにすぎませんで、表面切ってそこのところまで議論を詰めるところまで至っておりませんから、法律上もその点が可能ではないのかという考えもありまして、いまその点についてはまだ検討中ということでございます。
#102
○委員長(山下春江君) ちょっと速記をとめておいてください。
  〔速記中止〕
#103
○委員長(山下春江君) 速記戻して。
#104
○渡辺武君 価格についても考えていらっしゃるということで非常にけっこうなことだと思うんですが、私はその立場をひとつ前進さしていただきたいと思うんです。まあ、これは専門のあなた方のほうが御検討なさることでありますけれども、とにかくこの独禁法の第一条にもいろいろ前提条件はありますけれども、「一般消費者の利益を確保する」ということを目的の中にうたわれているわけですね。それで、とにかく消費者が一番問題にしているのは、価格協定で引き上げたかどうかということよりも、価格が上がったということですね。したがって、これを下げてほしいというのが私は一番問題にしている点であるし、事実価格が引き下がることが一般消費者の利益を確保する道になるんじゃないかというふうに思うんですね。で、そのほかのあれもありますが、時間ございませんからあとは申しませんが、その点に照らしても、現行独禁法でやれそうな感じがするんですね。価格協定で引き上げた価格を引き下げさせる、公正取引委員会自身が下げさせる措置を講ずるということはできそうな感じがするんです。しかし、もし現行独禁法でできないということがかりにあるならば、私はやっぱり現行独禁法を、独占価格引き下げもしくは排除のために役立つように法の内容を改正すべきだというふうに思いますけれども、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#105
○政府委員(高橋俊英君) まあ、独占禁止法につきましても、これは絶対不変の法律とは考えておりません。必要があれば必要に応じて改正するのが当然だろうと思いますが、いまの御指摘の点について、価格政策を保護する官庁のような感じになりますと、少しこれはまあ公正取引委員会の職分を離れるんじゃないかと思いますが、大いに関連のあるものについては検討さしていただくと、それは現行独禁法の範囲でできることを考えたいというふうに思っております、改正を直ちに考えるということではなくて。しかし、独禁法それ自体についても、まあ不十分な点があれば時代の変化に、要請に応じて改正すべきものでありまして、絶対これは改正すべきじゃないというふうにかた苦しく考える必要はないというふうに思っておりますが、いま御指摘の点については、価格協定を破棄した場合にそれが有効に働かない点をどうするかという点について一考を要する点があるという点は私どももいま議論をしておるわけで、しかし、まあ、いまお約束を申し上げるというところまでいっておりませんので御了解を願いたいと思います。
#106
○竹田四郎君 まず企画庁長官にお伺いしたいんですが、提案されている法律案というのは、内閣が提出したのは三月十日なんですね。参議院に付託されて参議院で本格的に審議を始める態勢になったのは四月二十六日です。五月十一日に一回審議をして、きょう二回目なんですね。もう今月の二十六日ということになれば、例の六十日間という期限が来るわけです。この間に私ども、長官が参議院の物特に出て答弁をするべきことを何回か要求した。しかし、長官はなかなかお出にならない。きょうも危うく流れる心配すらあったわけです。そうした点で長官は一体この法律というのは、あなた提案理由の説明のときには、すみやかに御賛同をお願いしますと、こう述べているわけですね。しかし、あなたの行動を見ていると、私はどうもこの法案はあなた自体がどうでもいいと、こういうふうな態度をおとりになっているような感じがしてしようがないわけです。しかし、世の中は物価問題についてはまあたいへんな騒ぎになっている。内閣でも物価対策というのは当面の最優先の対策だと、こう言っているわけです。どうも企画庁長官、物価担当の大臣として物価対策に対してあんまり熱意がない、こういうふうに私には感ぜられるわけです。それとも、もうこの法案というのは、いま役に立たない、こんなものどうでもいいんだ、ほかのことをやらなくちゃならないんだ、こういうふうなお考えなのかどうなのか、その辺の、まずこの法案に対する物価問題との関連において小坂長官の基本的な姿勢を私はちょっとお聞きしておかないと、たいへんに軽んじられているような感じを私は受ける。その点を明確にしておいていただきたい。
#107
○国務大臣(小坂善太郎君) この法案の審議につきましてはなみなみならない御熱意をいただきまして深く感謝をいたします。私は心から一日も早くこの法案が御可決をいただきまするように終始念願をいたしておる次第でございます。
 先般この委員会で御審議の最中、他の院における問題から審議が停止されまして今日に至りましたわけでございます。その間も、私、お呼びがあればいつでも出席させていただくように心がけておったのでございますが、本日お呼びをいただきまして、きん然として参った次第でございます。どうぞよろしく。
#108
○竹田四郎君 何回かお呼びしているはずなんですよ。そういう問題が大臣のところに声が届いていないというわけです、あなたが知らないというのは。そういうことでは、物価の問題もやはり同じですな。やっぱり下の声が上に届いていない。私はそう思うんですよ。しかし、いま、あなたが非常に熱意を持っているということでありますから、今後の審議についてはあなたは必ず出てこられるだろう、こういうふうに思いますから、その問題から本問題に入っていきたいと思うんですが、この点はひとつ再度長官に強く要求をしておきます。
 次に、お聞きしたいのは、この法案が急遽出されたというのが例の二月から三月にかけての総合商社の商品投機だったわけでありますが、いまも大規模に商品投機が行なわれているというふうな御判断ですか。それとも、大きな世論の反撃でそうしたものはかなり自粛されているという御判断ですか、どうなんですか。
#109
○国務大臣(小坂善太郎君) お答え申し上げまする前に、非常に大事なことでございますので、一身上の弁明をさしていただきたいと思いまするが、実は私の下僚がサボって私に問題を言わなかったとは思っておりませんのでございまして、他の院における発言に関連して委員会が審議が全部ストップしておったというふうに私は了解しておるわけでございます。実はこれはまだ今日においても続く情勢ではないか。これは原因は他の原因になったわけでございます。さように思いましたものでございますから、私も党人でございますし、党の関係の応援に要請を受ければ、もしこの委員会がなければ、行くのが私としては当然でございますので、その準備を実はいたしたわけでございます。しかし、この委員会が開かれるということになりましたので、その応援は全部取りやめましてこちらに参りましたのでございますから、決して私は委員会をないがしろにしたのではない。御要請があればいつでもきん然として参るという誠意のほどはひとつお疑いならぬようにお願いを申し上げておく次第でございます。
 それから投機の問題でございますが、率直に申しまして、先般来のこの委員会の審議は非常にパンチがきいておったというふうに私は思うんでございまして、これがかなり投機に走る者をして自制せしむる効果はあったというように思います。そこで私は、一時的にしろ、投機が遠のき卸売り物価が〇・一%にしろ、十日間の状況にしろ二回下がったということは出たと思うんでございますが、ただ問題は、非常に高いものを抱いている者がおるわけでございますね。それが、何とかして上がったところで抱いたものを放したいというような気分があるのではないか。これがなかなか、本来ならばもっと下がってもいいのを、物価を押えて、そのまま、卸売り物価の場合でございますが、押えておるという面があるんじゃないかと思うんでございまして、こういう問題は、金融が引き締まってまいりましたり利息が高くなってまいりますと、おのずから持ち切れなくなってくるということもあろうかと思いますが、それはなかなか雨がしみ通ってくるようなぐあいにだんだんぬれてくるわけでございますので、急な効果は出ない面もございますけれども、効果はあらわれてくるものであると、かように思っておるわけでございます。
#110
○竹田四郎君 非常に楽観的なお見通しで、けっこうなことだと思うんです。日銀総裁はもっときびしくこの現状を踏まえておられるわけですけれども、今回の投機の原因というのは、私は商社の行動、もちろんこれも一つの原因でありますけれども、大きなものは政府自体の経済の需給予測というものですか、これの大きな誤りだと思うんです。確かにいままでの生産第一主義から社会資本の充実という方向に財政が乗りかわっていく、そういうことの一つであろうと思いますけれども、住宅建築がずっと伸びている。しかし、予算の方向は伸びていっても、物のほうはちっともそういう方向に向けようともしなければ、向きもしない。こういうところに商品投機というものが発生してきた私は一つの大きな原因があると思います。経済企画庁というのはそういうことをやっていく役所じゃないんですか。物と金とがどう動いているか、そういうことを経済企画庁というのはあらかじめ企画をしてやっていくという役所じゃないんですか、どうなんですか、それは。
#111
○国務大臣(小坂善太郎君) 経済企画庁はまさに経済の企画をやるわけでございますけれども、なかなかこうしろという命令を下す能力はないわけでございます。閣議にはかってこれをきめるという場合には確かにそういうことはできます。しかし、実施官庁のごとくに、自分の省の決定はこうであるからこうすると、こういうことはなかなか持ってない役所であるわけであります。今日の状況につきまして、たいへんある方面に比べて私が間抜けであるようなお話をいただきましたのでございますけれども、実は私は非常に早くからこのマネー・フローが多過ぎるということはもう言っておるわけなんでございまして、ある意味では権限を侵すとまで非難をされた時期もございます。そういう点については非常に私は心配して言っておるのでございますが、いま申し上げたように、経済企画庁というものは、たとえば金利が安くて非常に金がだぶついておるからこれを締めるためにこうしなければいかぬという権限はない役所であるということを念のために申し上げておく次第であります。
#112
○竹田四郎君 経済企画庁の命令で、あるいは指示でやるということはあるいはないかもしれません。しかし、それは政府全体としてそういう方向に企画庁が誘導していく、それだけの任務は私はあると思うんですよ。それでなければ企画庁なんて要らないですよ、そんなものは。かえって景気の見通しとかなんとかいうようなものは、むしろ民間の経済研究所のほうがより的確な数値を出しておるわけですよ。でありますから、自分たちが実権がないから、予算を持ってないから、あるいは実施機関ではないからということは私は逃げ口上だと思うんですよね。経済企画庁だって政府の一つの機関ですよ。そういう立場では私は困ると思うんですけれども、最近いろいろな情報の中で、たいへん海外のインフレが日本の物価を押し上げているんだ、こういう論調というものが非常に最近多いわけです。実際海外のインフレが日本の物価を押し上げている――何といいますか、影響力といいますか、そういうものは一体どのくらいあると見ているのですか。
#113
○政府委員(小島英敏君) これ、日銀で作業したデータでございますけれども、昨年末からことしの一、二、三月ぐらいまでの間の卸売り物価上昇率の中で約二割が輸入価格の上昇によるものであるというふうな計算ができております。それから四月あたりはわりにその寄与率が少なかったのですけれども、ごく最近また、海外の穀物とか石油とかいうものが上がってきておりますので、最近またそれが二割ぐらいふえてきているという計算がございます。ただ一つは、やはり輸入価格が上がったこと自体の中に、何がしか、やはり日本の商社が海外で高値で買ったということが影響していることも事実でございまして、これは何%かということはちょっと計算しかねるわけでございます。
#114
○竹田四郎君 日本の商社が外国から輸入するものの価格の引き上げというようなことは私、だいぶやっていると思うんですよ。最近における日本の商社が外国の品物に対する取引への、何といいますか、関与度といいますか、こうしたものというものは急激にふえているわけですね。総合商社が行動基準というものを出したんですけれども、これは、海外での商社の活動、こうしたものとの関連はどういうふうに理解していいんですか。私は、海外においてもやはり日本の総合商社がそうした世界の物価を引き上げる、そうしたことについては自粛をしていく、この必要はあろうと思うんですね。これについては長官、日本商社というものはどうあるべきですか。
#115
○国務大臣(小坂善太郎君) 最近、特に国際協調ということをやかましく言っておるわけでございまして、商社も国際協調の精神に沿って海外においても行動すべきであるというふうに考えるわけでございますし、商社の中でも、何かそうした海外における倫理綱領というようなものも作成してお互いにそれを守ろうということを言っておるように聞いておる次第でございます。
#116
○竹田四郎君 たとえば日本の羊毛とか毛糸の上がった原因というもの、国内で。これはやっぱりオーストラリアにおけるところの当時の日本の買い付けのシェアというのは一般の新聞に四割、こういうふうに書かれていましたね。そして高値でどんどんどんどんと買いあさっているということであります。私の調べた点では、これは、通産省の人が来ていると思うんですけれども、たとえば原皮、これは、くつやあるいはかばんや、そういうものになる原料ですね。これはやはり二割から三割ぐらい製品でたしか上がっていると思うんですよ。ところが、この原皮の世界的な市場というのはアメリカのコロラド・ステアというコロラド州のところが世界的な相場の代表的なところだそうです。ここで日本の商社というのは年間の取引量の一体どのぐらいを買っていますか。
#117
○説明員(矢橋有彦君) 原皮それ自体は農林省の所管でございますが、私どもで承知しております範囲でお答えしたいと思います。
 日本はアメリカから、アメリカが全世界に向かって輸出をいたしております量の四〇%を購入しております。
#118
○竹田四郎君 これは私がある皮製品の会社で聞いたことですけれども、コロラドステアで年間取引される皮の量というのは四千万頭から五千万頭だと、こう言うんです。そのうち日本の野崎とか丸紅とか、こういう商社の買っているのは約半分だそうです。これでもって値段が、コロラドステアの値段というのは約倍になった。そして高くなったものが日本に入ってくるのは、そのうちわずかに八百万頭くらい、あとは韓国へ行ったり周辺の諸国に日本の商社が売りつけている、こういうことだそうです。だから、海外がインフレだ、海外がインフレだと、こう言うんだけれども、かなり日本の商社も海外のインフレに対して寄与しているといいますか、悪乗りしているといいますか、そういうことは私はあると思うんですね。こういう事態というものをやっておけば、まさにこの新聞報道でもありますように、デンマークでは、ここのシロクマの毛皮ですか、これの大部分というのは日本の商社が買い占めてしまう。そこの資源をすらなくしてしまう。これはそのほかにも最近非常に目立っています。カナダにおけるところの豚肉の大量買い付け、これも新聞報道に出ている。あるいはその他の木材においてもかつてそうだと思います。このような商社の行動というものが、私は、今度のこの法律で、そうした海外活動におけるところの商社のそういう行動というものがはたして規制できるかどうか。さらに、最近のこうした総合商社のあり方を見ますと、ただ単に丸紅の何々支店とか三菱商事の何々の支店という形を越えて、たとえばアメリカ三菱、アメリカ丸紅というような現地法人をつくることによって、ワールド・エンタープライズの方向を目ざしているわけでありますけれども、そういうような別法人にどんどん、どんどんしてきているわけですね。そういうようになった場合に、はたしてこの法律が一体適用になるのかならないのか。海外でうんと上げておいて日本へ持ってきて、そして日本の消費者に高いものを買わす。ますます日本の国内の物価が上がる。こういうようなことは今後どういうふうな態度でいくのか、この法律との関係は具体的にどうなのか、お尋ねしたいと思います。
#119
○政府委員(小島英敏君) この法律は、やはり海外における活動を直接規制するものでないことは言うまでもないわけでございます。ただ、調査の内容といたしましては、ある物が指定されて、どうも海外でたくさん買い込んでためておるような疑いがあるということがあれば調査はできると思いますけれども、かりに海外に別法人がある場合に、その法人に対して放出するような勧告をするということはできないということでございまして、やはり日本における親元の企業を通じて善処をさせるという間接的なことしかできないと思います。
 それからもう一つは、やはり海外における商社の活動というものが物価対策上マイナスばかりではないということでございまして、やはり外国には日本のような総合大商社というものがございませんから、日本の総合商社というものは非常にやはり大きな組織を持って各種の情報を収集して、こういうものがどうも世界的に上がりそうだということを早くキャッチをして、そこでどっと買いに出てしまうわけで、これが確かに度を越している面がございますから、海外の価格を異常に上げる一つのファクターになることはいなめないんですけれども、それじゃ、そういうことを何もしなかったらどうなるかというと、どうもやはり現実的に日本の国内においてこれだけ大きな国民所得を持ち、国民総生産があり、消費が非常に大きな規模になっておりますから、食糧にしろ繊維原料にしろ、現実に相当大量の需要があるわけで、そういうものをやはりかりに輸入が外国に比べて手おくれになった場合には、どうしてもこれはやはり供給不足を通じて物価騰貴になるということでございますので、やっぱり大きな商社がわりに先見性を発揮して、やや早目に、ほかの国よりも早目に買ってくれること自体は私はやはり日本の物価対策の上からプラスであると思うわけでございまして、程度問題で、この間やったような、羊毛にしろ木材にしろ、あまり急激に海外のひんしゅくを買うような形で買い急ぎをされることになるとマイナスになると思います。その辺のかね合いが非常にむずかしいところだと思います。
#120
○竹田四郎君 かね合いがむずかしいで、それで終わられちゃ困るんだよ。現実にこれから輸入をもっと多くしようと、こう言っているのでしょう。日本の国は資源がない、こう言っているわけです。どうしても、資源を入れてそれを加工して輸出をするというこの形は、経済体制がかなり変わってきても、これは私はそういう形というものはあると思うんです。そういう中で、国外でやられてそれが国内に高く入ってくる、こういうものをどう規制していくか。その規制の方法というものを考えてもらわなければ、今度は国内でこういう法律でぎゅっと締めれば、買ってくるときに高くなる。こういうことになるんじゃないですか。その辺にまで思いをいたさないと、資源のない日本としてはやはり国内物価を引き上げていく。それは長官、一体これは外交的にも、国際的にも問題になると思いますよ、新聞でも問題になっているんですから。これは長官に聞きたいです。長官、そういうことはそのままでいいんですか。どういうふうにしますか、具体的に。この法律の適用はないということになれば、どういうふうにしますか。そういうこと、今後起こりますよ、国内で締めていけば。
#121
○国務大臣(小坂善太郎君) よく、角をためて牛を殺すという例もございまするし、日本の経済の実態そのものが、局長申しましたように資源がない国であり、しかも、国民の所得は非常にふえて消費もふえておるわけでございますから、それはやはりそれを充足する品物は海外に仰がなければならぬという点は、いかに自給度を高めましても、ある限度においてはあるわけだから、これを否定するわけにはいかぬと思います。そこで、やはり先ほど私申し上げたように、国際協調ということが大事である。そのほどほどを心得てやってもらわなければならぬし、また、商社というものは相当な人材をかかえておるんでございますから、そのほどほどは彼ら自身においても十分考えてくれる能力があると思うんであります。それじゃこの間はどうした、という話があるかもしれませんが、そういうことは二度とせぬように国内においてもきびしい批判を受けているわけであります。
 それから、やはり一つの新しい方向としては、開発輸入というものをもう少し積極的にやる必要がある。日本のこれから食肉をふやしていくという点を考えましても、どうしても飼料の問題が重要でございます。そうすれば、そういう問題も開発して輸入するということをもっと進めていかなければならぬと思うわけでございます。それもやっぱりあんまり、あれやれ、これやれとこちらが指導するような形になると、これまたその国のひんしゅくを買うことにもなるわけであります。これはそういう限度を心得えて国際協調の精神によってやっていくということ以外にないと考えております。
#122
○竹田四郎君 抽象的で何を言っているかわけがわからぬですが、具体的に、さっきと同じように、私のほうは力がありませんから、ということと同じですね。通産省はこの問題をどういうふうに扱っていますか。現実にやっているんですよ。新聞で、「日本商社の豚肉大量買付けカナダの反発買う」というのは五月の二十七日の新聞にあるんですよ。過去はどうだったかという半年前のことじゃないんです。
#123
○説明員(矢橋有彦君) 私どもは、ただいま御指摘のございました諸品目の中で皮革の関係についてしか承知しておりませんので、その範囲で申し上げたいと思いますが、実はわが国で原皮の輸入を主として行なっておりますものが二十二社でございます。それらの範囲内では、いわゆる先生御指摘の三国間貿易ということで世界の需給秩序を乱すという行為はないようでございます。ただ、従前より韓国及び台湾向けには年間二十ないし三十万枚ずつの三国間貿易をしてきておりますが、これとても恒常的なものでございまして、いわゆる思惑的な行為ではないと、かように考察しておるわけでございます。これはあくまでも日本企業たる二十二社の範囲での問題でございまして、たとえばそれらの子会社的な外国法人がどのような行為をしているのかということにつきましては、はなはだ申しわけございませんが、私、よく存じておりません。しかしながら、もしもそのようなことであれば本社を通じて強力に指導したい、かように考えておるわけでございます。
 なお、先ほど来原皮の価格の上昇原因が日本の輸入増にあるという御指摘があったわけでございますが、私ども、その点につきましては、やはり基本的な原因と申しますのは、世界の原皮供給の中で約一三%を占めておりますアルゼンチン及びブラジルが原皮の輸出を停止をしたという事態が一方にあり、他方、世界の原皮の需要が年々着実に伸びている。その二つのことから生じた需給のギャップが主因であろうと考えておるわけでございます。ただし、その間、先高見込みということになりますと、どうしても商社が早く手当てをしようということで買い付けの競争という状況になりまして値上げに拍車をかけるという事態があることはおそらく事実だろうと思うわけでございます。具体的に申し上げますと、昨年十月が原皮のピークだったわけでございますが、そのとき私どもは、ただいま申し上げました二十二社全社を呼びまして、それぞれの輸入計画を聴取いたしまして、全体として日本の需要にマッチした量の輸入にとどめるように強力に行政指導を行ないました。そのせいだけではないと思いますけれども、原皮の国際相場は十一月以降漸落に向かいまして、四十七年の十月に、先ほど先生御指摘のコロラドステア一ポンド当たり四〇・五セントというものが、最近では二十一ないし二十二セントの線まで徐々に下がってきておるわけでございます。また、先般の平価の変動に際しましては、放置いたしますと実質的に日本の購買力が強くなるわけでございまして、それでまた原皮の値上がりにつながるような状況になってはいけないということで、それに際しましても、円平価の変動にかかわらず、従前どおり自粛をした輸入を行なうようにこれまた強力に指導を行なったわけであります。そうして最近月別の輸入成約高を見ておりますと、非常に落ち着いた姿に現実になってきておりまして、私どもの行政指導はある程度効果があったんではないか、かように考えておる次第でございます。
#124
○竹田四郎君 そこだけ行政効果があったってね、われわれの手に入るときのくつが下がっていないですよ。下がってますか。下がってないじゃないですか。それで、原皮はいま深川あたりの倉庫の中に寝ているわけでしょう。皮は余り過ぎちゃっているでしょう。そうして、それによって困ってるのはだれかといったら、中小企業と消費者でしょう。木材の問題だって同じでしょう。大量に買い込んだ。困ってるのは、あとの製材と一般の木材需要家ですよ。そこだけが効果があれば、それで通産省の政府の仕事は能事終われり、これじゃ困るんで、現実にそこが下がってきたならば、消費者の手元に行く分も下がってくれなければ何にもならないじゃないか。そのもうけは商社のもうけにだけ還元されているだけじゃないですか。どうなんですか。
#125
○説明員(矢橋有彦君) その点について御説明申し上げますと、まず原皮の段階と、それをなめしました革の段階と、それからその革を用いましてくつとかハンドバッグ等に仕上げます革製品の段階と、三通りあるわけでございますが、原皮につきましては、先ほども申し上げましたように、昨年の十月をピークといたしまして漸落になっております。しかしながら、革につきましては、十一月に原皮が下がったときから直ちには下がっておりませんで、これはストックの期間、あるいはなめすための製造期間、これが一カ月以上かかるわけでございますが、そういったことから、本年の二月が革の値段のピークでございまして、三月以降下がっております。それから、また一つ下の段階の革製品でございますが、これは革が下がれば当然下がってしかるべきものでございますが、この段階でもタイム・ラグがございまして、本年の三月がピークになっておりまして、三、四、五と三カ月連続して横ばいになっております。まだ下がるまでには至っておりません。しかし、これらは――繰り返しますようでございますが、ストックとか流通とかあるいは製造といったことにタイム・ラグがあるということから自然に出てくることではないかと、かように思うわけでございます。問題は、革製品、たとえばくつ等の価格の将来でございますが、大体くつの場合で申しますと、コストの中で五割程度が革の価格であるといわれておるわけでございますが、その革が下がれば、与件に変化がなければ当然下がるはずでございますが、ただ、たとえば人件費の高騰、それから副資材の高騰といったような値上がり、そういったものの値上がりと、革の値下がりとのどちらが勝つかということによって具体的に革製品の値段がどうなるかということがきまるわけでございまして、現状では、三カ月間続けて、従来はウナギ登りにのぼってきたものが、三カ月間連続して横ばいになったという段階でございまして、従来よりは事態は改善されたわけでございますけれども、将来につきましては、いま申し上げましたコスト・ダウンの要素とコスト・アップの要素とのどちらが強く影響するかということによってきまるわけでございまして、この段階で即断はできない、かように考えております。
#126
○竹田四郎君 大体その価格の構成比がわかれば、人件費がどのくらいかかって、革がどのくらい下がる、能率はどのくらいあるんだから、どのくらいになるのが当然だという計算は出るはずなんです。三カ月も横ばいにさせておくというのは一体どういうわけなんですか。なぜ横ばいになっているかあんた知ってますか、なぜ横ばいになってるか。理由知ってますか。これは国民生活局長、知ってますか、なぜ下がらないか。
#127
○政府委員(小島英敏君) どうも革製品について詳細に分析しておりませんので存じませんが、おそらく横ばいになっているとすれば、まだその原料としての革の値下がりが、やはり前に買った高いものを使われているというタイム・ラグが一つと、それから通産省の課長が言われたような人件費の上昇というものでバランスしているのではないかと推察いたすわけでございます。
#128
○竹田四郎君 もうやめますけれども、そうじゃないんですよ。くつ屋歩いてごらんなさいよ、あんた。くつのメーカーを、何て言っているか。やろうども上げやがったから今度はやろうどもをいじめてやろうと。だから、生産を落としているわけでしょう。だから、下がりっこないじゃないですか。そういう彼らのもうけのかけ引きでこちらの値段がいつまでもこう高いものを買わされているということじゃ困るじゃないですか。そういうことがあるんですよ、投機のあとには必ず。そういうものをぴしっと行政指導していくというのが政府の役割りでしょう、一つ一つそういうものを。そういうことを全然やらないで、金融を締めればそれでうまくいくだろうというぐらいの考えだから、ちっとも物は下がらない。
 それからもう二、三技術的なことを質問いたしますけれども、売惜しみとか買占めとかあるいは投機というのは、一体どういう基準でそういうことをきめるんですか。私は、たとえば先買いをするという問題も必ずしも犯罪行為じゃないと思う。ある意味では、需給を平均化させるという意味では必要な場合も私はあると思う。ですから、たとえば値段が安くなった、じゃあひとつここで少し買っておこうということで、それは上がるでしょう。今度高くなってきたときにこれを売るということで値段が下がる。そういうのが私は普通の買い占めなら買い占めであるべきだと思うのですよ。一体今度の場合に、売り惜しみ、買い占めということがありますけれども、一体何を基準に売り惜しみということを認定し、何を基準に買い占めということを認定するのか。その基準というものはどういうものですか。明らかにしないと、これはたいへんいろいろな意味で、さっきあなたがおっしゃったように、角をためて牛を殺すというような事態というものも私は出てくると思う。その基準というものを私は明確にしてほしいと思う。
#129
○政府委員(小島英敏君) おっしゃるように、この流通業者というものは、先行き上がりそうだと思えばある程度買い進むことは当然商行為の内容であろうと思います。したがいまして、政府提案の法律は、あるところで線を引いて、これを越えたら刑事的な訴追をするということを考えていないわけでございまして、経済的な効果に着目して、大体まあしいて基準とおっしゃられれば、その企業が従来の実績から見て、その物の購入量とか販売量とかいうものが多量に過ぎたりあるいは少量に過ぎたりすることがないかと。あるいは在庫量、手持ちの在庫というものが、従来のランニング・ストックの正常な水準から見て著しく多過ぎないかということが一応の基準になると思います。しかも、大きなところから小さい企業まで全部そういうことでやろうというのではございませんで、経済的な効果に着目をして、やっぱり放出をしてもらうことがその物資の全体の需給にかなり効果があるような、したがって、やはり大企業を中心に考えるということでございます。
#130
○竹田四郎君 どうもわからぬのですね。確かにこの二月――一月末から二月にかけての商品投機の問題というのが騒がれて、実際どの時点で買い占めをやったかというと去年ですね、大部分の買い占めは。一カ月か二カ月たって初めて、買い占めているらしい、けしからぬという世論がわき起こった。これは今度、何ですか、価格調査官というのをつくるんだそうですけれども、この価格調査官というのはそういうことをやるんですか。それ、わかるんですか、実際。私はね、この価格調査官を一体何人ぐらいつくって――おそらく専門、専門の商品というのはあるわけですよ。だれでも、たとえば農林省から出た価格調査官が倉庫あけてみたら肉が――肉ならいいんですけれども――ほかの農林省以外の品物があった、こうなったときにはおそらくわからぬでしょう。おそらく、その倉庫の中に何があるというふうに、専用倉庫ならいいわけですけれども、一般倉庫であったらそういうわけにいかぬでしょう。そしたらわからぬでしょう、これは。いまあなたが非常に抽象的に言ったんですが、だれが一体そういう判断をいつの時点においてするのか。おそらく、買い占めが終わってから、もうそろそろほかへ荷を移しちゃってから、からになった倉庫へ行くぐらいが関の山じゃないですか。だから、具体的に価格調査官というのは何名ぐらいで、どういう人をどういうふうにやるのか、これもわからぬわけです。おそらく商人に比べれば私はおくれをとると思う。ちっとも防げないと思う。どうなんですか、その点。
#131
○政府委員(小島英敏君) 価格調査官は、物資が指定されますと、その物資ごとに発令されるわけでございまして、現在私どもで考えておりますのは、まあ、物資の性格によって、非常に地方の通産局とか農政局あたりの人も含めてやらなけりゃいけないような場合もあるし、そこまでしないで本省中心でやれるものもありまして、品目によってかなりやはりでこぼこがあると思います。しかし、普通の考えから申しますと、たとえば縦割りの局、通産省なり農林省なりの縦割りの局というのは、まあ大豆なら大豆、木材なら木材についてマクロ的な需給とか輸入の状況とかというものについて非常に詳しい専門家がいるわけでございますから、そういうところからやはり当然若干名は価格調査官に発令をすると。それから同時に、そういう専門家というのは、物の需給については専門でございますけれども、企業の内部に入って立ち入り検査をするというような面ではこれはなかなか専門家でないわけでございまして、どういう物資が指定されても、共通にそういう立ち入り検査とか企業の内部的な調査とかいうことを中心に専門的にやる調査官というものが当然必要になるので、これは先ほど大臣言われましたように、先日企画庁で研修をいたしました。まあ、企画庁の調査官というのはまさにそういう性格だと思うんですね、物資別の専門家ではないわけで、どういう物資が指定されても共通に調査できるような調査官を育成しなければいけないと。それから、通産省にしろ、農林省にしろ、横割りの局には、同じような意味で、共通的な調査官というものを用意しておかなければいけないということでございまして、先日は通産省、農林省にも声をかけて、企画庁と合同で調査官の研修をいたしまして、約五十名が参加をして、いろいろ勉強してもらったわけでございますけれども、現在の段階では、企画庁としては五名から十名ぐらいの人員を価格調査官の候補者として考えております。各省は、やはり共通的な部分としては大体同程度のものを考えているのではないかと思います。そのほかに物資が指定されるごとに縦割りの専門家をやっぱり数名ずつ発令していくと、そういうことに相なろうかと思います。
#132
○竹田四郎君 私も時間気にしてるんですがね、そんなことでできるんですか。倉庫は日本全国どこにだってあるんですよ、いまの時代には。そして、あなたは特定物資をそのつどそのつど指定されるようなことを言うんですがね、いま木材とかあるいは綿花とか、こういうものに投機がなくなったかと思えば、まあ、この間野末君が大蔵委員会で示したように、百円札にいま投機が行っているわけですよね。百円札はここで言う日常関連物資かどうかこれはわからぬですけれどもね。このように、一つの物を押えたって、たったたったとほかへ行っちゃうんですよ、とてつもないところへ。それに、そんなやり方で一体追跡できるかというんですよ。何も追跡できないんじゃないですか。綱から逃げていきますよ。それは商人のほうが私どもより――あなたも含めて――ずっとすばしっこいですよ。そんなことできますか、あんたは。
#133
○政府委員(小島英敏君) 網から逃げようと思って売り出せば、それはやはり需給の緩和になるわけでございますから、マクロ的にはそれで効果があるということになると思います。
 それから、なかなか企業の中に入って立ち入り検査をするというのは、これは確かに非常にむずかしい面があるんで、研修をしたからといってすぐにエキスパートができるとはわれわれも思いません。経験を積み重ねていって、まあ、国税庁の調査官のようなエキスパートがだんだんできてくると思うんですけれども、ただ、立ち入り検査ができるということをうしろに控えておりますと、その前段階として、企業から報告聴取を求めるわけですね。原材料、どういうものをいつ買った、何月にはどれだけ買って、どれだけ売った、価格は幾らかというようなことを法律に基づいて報告を求めるわけでございまして、そういう場合に、やはりこの立ち入り検査がうしろに控えているのといないのとでは、企業から出てくる資料の信憑性というものが非常に違ってくるわけでございまして、立ち入り検査は最後の宝刀でございますけれども、そういうものを控えて、より正確な調査ができるというところに立ち入り検査のメリットがあるというふうに思います。
#134
○竹田四郎君 もうやめますけれどもね、立ち入り検査のメリットじゃ困るんですよね。そういうことじゃ困るんですよね。生活関連物資が買い占めや売り惜しみによって国民に大きな物価騰貴という迷惑をかけたり、経済の秩序がそれによって混乱したり、そういうようなことが出てくることが困るわけですよ。中小企業なんかの場合には、たいへん景気がいいようで、せっかく買い込んだけれども、いま深川の木場では製材業者が泣いているというんです。そういうような撹乱をするということが一番困るわけですよ、この投機問題は。そういうことにちっともならないんじゃないですか。あとづけだけぴしっとして、これもダミーか何かにやられて、小さな業者が犠牲になるのが関の山ですよ。問題の核心というのはちっとも調査できないじゃないですか。それができるというならば、これからお手並みを拝見いたしますよ。
#135
○政府委員(小島英敏君) 木材が例に出ましたけれども、昨年の八月ごろから非常に暴騰いたしまして、その過程で、私どもが林野庁を通じて、大手の商社がいまどういう契約をしていて、それが何月にはどれだけ入着するか。これは輸送期間が当然あるわけでございますから時間がかかるわけで、いま現在の輸入契約の残がどれだけで、入着が何月何月、ずっとわかるはずであるから、まずそういう実態を把握してくれということを非常に強く言ったわけでございますけれども、どうもやはり現在の体制では、林野庁からそういう要請をしても商社は応じてくれない。契約をしていつ入るというようなことはわかっているにもかかわらず、そういう実情把握ができないわけでございます。そうすると、政府としては、木材の国内にいつどれだけのものが入ってきて需給がどう動くかということがさっぱりその見通しがつかない。そういう状態で、非常にまあ、新聞等にも書き立てられて、木材が足らなくなる、足らなくなるというムードが一般化して、そのために木場の問屋さんは、これはいまのうち買わなければたいへんだというんで、ますます商社に注文を出すと、それから末端にいけばいくほどさらに話が大きくなって、あらゆる流通過程、小売りを通じて買いあさりムードが横溢してくる。それが結局みな大きな商社のもうけになってしまったということでございまして、もしこういう法律が当時あったといたしますと、商社に対して相当強く将来のそういう需給についての見通しが把握できるわけでございまして、そうすれば、役所として当然――現実には、当時すでに相当の輸入の契約が行なわれて入着するはずだったわけでございますから、そういう情報を国内に流せば、あのような、まあたいへんな買い急ぎ傾向というものは相当程度鎮静されたはずであるというふうに思うわけでございます。
#136
○竹田四郎君 きょうはやめます。
#137
○委員長(山下春江君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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