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1972/08/29 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第13号
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1972/08/29 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第13号

#1
第071回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第13号
昭和四十八年八月二十九日(水曜日)
   午前十時十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         森中 守義君
    理 事
                金井 元彦君
                杉原 一雄君
                内田 善利君
    委 員
                君  健男君
                斎藤 寿夫君
                田口長治郎君
                寺本 広作君
                林田悠紀夫君
                加藤シヅエ君
                沢田 政治君
                小平 芳平君
                高山 恒雄君
                沓脱タケ子君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  三木 武夫君
   政府委員
       公害等調整委員
       会事務局長    川村 皓章君
       環境庁長官官房
       長        信澤  清君
       環境庁企画調整
       局長       城戸 謙次君
       環境庁自然保護
       局長       江間 時彦君
       環境庁大気保全
       局長       春日  斉君
       環境庁水質保全
       局長       岡安  誠君
       厚生省公衆衛生
       局長       加倉井駿一君
       厚生省環境衛生
       局長       石丸 隆治君
       労働省労働基準
       局安全衛生部長  中西 正雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       科学技術庁原子
       力局次長     伊原 義徳君
       水産庁研究開発
       部長       松下 友成君
       通商産業大臣官
       房審議官     江口 裕通君
       通商産業省基礎
       産業局基礎化学
       品課長      高橋  清君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        井上  力君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公害及び環境保全対策樹立に関する調査(派遣
 委員の報告)(公害及び環境保全対策樹立に関
 する件)
    ―――――――――――――
#2
○森中守義君 ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。
 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。
 先般、委員会が行ないました有明、八代海における水銀等による環境汚染に関する実情調査のための委員派遣について、派遣委員からの報告を聴取いたします。御報告を願います。杉原君。
#3
○杉原一雄君 御報告申し上げます。
 森中委員長、原委員、小平委員、高山委員、沓脱委員と私は、七月十三日から十五日にかけて、熊本県を訪れ、八代海、有明海地域における水銀汚染の実情を調査してまいりました。
 社会福祉法人明水園、水俣市、有明町、三角町、熊本県庁に立ち寄り、水俣病患者、漁業関係者等の痛切な声を聞き、地方行政当局の対策、要望を聞いてまいりました。なお、その間において、水俣病患者の自宅を見舞うとともに、海上保安庁測量船「明洋」に乗船して海水、底泥を採取し、さらに日本合成熊本工場を視察するなど、短期間ではありますが、多角的な調査を行なってまいりました。海上における検体採取については、熊本大学武内教授の御協力をいただきました。
 調査の結果、感じたことを一言で言いますならば、当地域における水銀汚染の問題は、地域の社会的経済的生活に広範かつ深刻な衝撃を与え、大きな混乱を生じているのであります。したがって、これに対する中途はんぱな対策では、この深刻な事態を解決することは困難であります。
 私どもの行く先々で異口同音に訴えられましたことは、水銀汚染の直接原因は発生源たる企業にあることは当然であるが、今日の段階までこれを放置した政府や国会にも責任がある。政治や行政がいままで水俣病患者のために、あるいはまた沿岸漁民等のために一体何をしてくれたのか、というきびしい指摘でありました。
 五月二十二日、熊本大学水俣病研究班による第三水俣病の発表と、魚介類摂取許容基準の発表が沿岸住民に与えた影響には甚大なるものがあります。相次ぐ漁獲停止、市場における鮮魚の取引停止、販売売り上げ高の激減、旅館業における観光客の激減など、単に漁民だけでなく、地元の消費者、あんま業に至るまで、地元住民の生活は日を追って窮迫の様相を深めております。
 今回政府のとったつなぎ融資の措置等今後とるべき対策については、地元住民はそれはそれなりに評価はしながらも、その額、貸付条件において、被害額をてん補し当面の生活をまかなうにはあまりにも条件がきびし過ぎる。三%の低利であっても金利は金利であり、いわれもない被害をこうむった住民が元本、利子を返済しなければならないのは理屈に合わない。原因者が確定した際に損害を補てんするという形式論ではすまされない。いつになるかわからない原因者の確定まで、その間に借りた金を返さなければならないのか。政府の責任で借りた金が実質的にただになるようにしてもらいたい。そして、そのことを政府が明確に表明せよ。また、つなぎ融資の措置方針がきまっても、いまだに被害住民の手に届いていない。日日の生活に困っている人たちに一日も早く届くように、行政の手続をスピードアップし、貸付事務も簡単にしてもらいたい。
 被害者救済対策については、現行制度では限度があるので、当面並びに今後の事態の拡大に対処するために特別立法すべきである。
 魚介類の安全性については、汚染、非汚染海域の線引きは単純に行なえるものではないので、魚族の複雑な生態、汚染の実態などを科学的に調査し、住民の声もよく聞いて行なうこと。安全基準を徹底し、不安感を解消するために、汚染海域外の魚の安全宣言を早く政府は出し、そのPRを徹底すべきである。実際に消費者の口に入る魚が安全な魚であるように、魚介類の検査体制を早く整えること。安全基準の発表にあたっては、前回の例もあり、住民を混乱におとしいれることのないよう慎重に行なってほしい。
 発生源の究明については、常識的にはだれが考えてもすでに確定的と思えるのに、これからの調査の結果を待つというのは、いかにも手ぬるいのではないか。水銀を流した企業は直ちに操業を停止させ、今後、この種の企業についてはきびしく立地を制限すべきである。汚染企業の補償責任は免れないところではあるが、企業がつぶれては、被害補償を全うすることができなくなるので、政府は高度の政治的判断で何らかの企業対策を講ずべきではないか。
 水俣湾のヘドロの処理については、湾の締め切りに早く着手し、工事に伴う二次公害が生じないように工事方法を設定し、その方法については漁民の意見をよく聞くこと等の意見、要望が出されたのであります。
 最後は、水俣病の患者の救済について申し上げます。
 現在、熊本県下における認定申請数は千五百余名もおりますが、県の審査能力では二カ月に七十名ぐらいが限度であります。今後さらに申請する可能性のある人が千名以上にも達するということでもありますので、いまの体制では短期間にこれを行なうことは不可能であります。患者さんの代表の意見の中に、認定のための診断をしてもらいたくても地元ではできずに、わざわざ東京へ出向いた例もあるということであります。認定審査を早めるために、熊本大学等国立大学の医学部の医師の定員を増加し、水俣病の健康調査、診断の応急体制を整えてもらいたい。一県一審査会では十分に対応できないので、場合によっては複数の審査会の設置も検討されたい。全国的に患者が点在する可能性もあるので、患者の現住地の知事が認定できるように法律を改正してもらいたい、との意見も述べられました。
 水俣病治療研究センターの建設については、早くこれを発足すべきことはもちろんでありますが、患者や家族の一人一人の固有の事情にも十分思いをいたし、各家庭につくるような気持ちで血の通ったセンターを建設してもらいたいとの要望もございました。
 地元の人々の最も強い要望の一つに、病名変更の問題があります。「ミナマタ」という地域の名が病気の名についているために、単に水俣出身者ということだけで結婚を断わられ、就職を拒否され、あるいはまた下宿を追い出されるなどの例もある。いかに学界や行政上の障害があったとしても、水俣の人々にとっては自分から災いを招いたものではないにもかかわらず、さらにその上にこのような扱いを受けることはとても耐えられないことである。一刻も早く「ミナマタ」という名を病名からとってもらいたい。これが水俣住民の悲願であります。
 もはや陳情や検討の繰り返しの段階ではなく、一日も早く何をなすべきかを決定し、実行する段階であります。これが地元の人々の要望であると同時に、現地の人々のはだにじかに触れた私ども調査団の一致した実感であります。
 調査日程の中で最初に訪れた明水園には、二十八名の患者さんが入所しておりますが、その中には胎児性の患者さんもおります。スエ子ちゃんは、天使のような澄んだ美しいひとみで私ども一行を迎えてくれました。すでに手足の自由、頭脳の働きをほとんど奪われながらも、残された力を懸命に振りしぼって算数の計算式をつづる一光君。7+1=〇〇〇〇…、8+1=〇〇〇〇、――どの数とどの数を足しても、すべての結果はゼロでございました。水俣病には今日もなく明日もなく、すべてがゼロの世界であることを象徴的に暗示しているかのようでございました。悲惨な患者を救い、地域の住民が安心して生業を営むことができ、八代、有明の海を再び明るく豊かな海にするために、私どもは、政党政派を超越して問題解決に当たらなければならないことを痛感いたした次第でございます。
 簡単ではございますが、以上をもって報告といたします。
 なお、詳細な報告書を会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますので、委員長がよろしくお取り計らいくださるようお願いいたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(森中守義君) ただいま御報告がございました杉原君から、別途詳細にわたる報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(森中守義君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(森中守義君) 次に、本調査を議題として質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#7
○杉原一雄君 きのうの段階では三点にわたる質問を通告いたしておきましたが、けさの新聞報道で一点を追加いたしまして都合四点、第一点は、八月二十二日の東京都発表の大気汚染状況調査についての質問であります。引き続く第二点は水銀汚染についてでありますが、自後二回にわたる発表等をめぐっての質問であります。第三点は、八月二十一日、公害等調整委員会の年次報告を提出された件につきましての質問でございます。第四点は、けさの各紙が伝えるように、安全であると地域住民にも言い、われわれ国民にも納得させてまいりました美浜の、関西電力でありますが、原子力の第二号機がまた故障を起こしました。第一号機の故障については、現地を回って現地からの説明を伺っておりましたが、引き続き第二号機の故障をきょう発表を受けまして、現地を見、公害に関心を持つ私たちとしては非常に大きなショックを受けましたので、第四点を追加してきょうの質問を進めたいと思います。
 まず第一点の問題でありますが、先ほど申しましたように、東京都があらゆる機能を動員して大気汚染の状況について調査、発表したことは、関係官庁の御承知のとおりであります。そうした発表を基礎にして、まず第一番にお伺いしたいのは、光化学スモッグの発生源、つまり光化学スモッグの犯人はいまだに確定していないというのが通説であります。しかしながら、都発表の大気汚染状況の調査によりますと、われわれしろうとといえども、光化学スモッグの発生源は何であるかということが断定できるような気がいたしますので、この点は関係省庁ではどのようにお考えになっているか。とりわけ、環境庁が昨年この点について発表したこととは、最終的なトータルにおいては非常な違いがございますので、その点については、環境庁の昨年の発表と今度の発表との相違点について、調査の機構の問題か、あるいは客観的事実が違っているのかどうか、その辺のところを環境庁としても最終的には明確にしてほしいと思います。
#8
○国務大臣(三木武夫君) 杉原委員の御指摘のように、昨年度環境庁で大気汚染の状態を調査をいたしました。今年の東京都の調査結果の発表との間に、多少食い違う点があるわけであります。それは何かといえば、東京都の調査は当然に東京都自体の大気汚染に対しての調査でありますが、環境庁の場合は神奈川県、埼玉県、千葉県の、こういう東京都以外の周辺にもこの調査の範囲が及んでおるわけでございますから、汚染の寄与率というものが、そういう調査の地域にも違いがあるために多少の食い違いがあることは当然のことだと思うのでございます。しかし、大きな傾向として、大気汚染における発生源というものについてはそう根本的に違うというものでもございませんが、その数字等については事務当局から御説明をいたします。
#9
○政府委員(春日斉君) ただいまの件につきまして具体的なお答えを申し上げたいと思います。
 ただいま長官のほうからお話がございましたように、最も大きな東京都の調査と昨年環境庁で行ないました調査との相違点は、私どもは東京湾という、東京都と神奈川県、埼玉県及び千葉県を含む一都三県、これを目標にいたしたことと、東京都御自身は東京都のみを行なわれたことでございます。この理由につきましては、光化学スモッグと申しますのは、かなりの広い範囲において発生するもののようでございます。私どもこの東京湾の調査によりましても、光化学オキシダントというようなものは、一都三県あたりに向かってかなり広がっているというような結論を得ておるわけでございます。したがいまして、光化学スモッグというものを一つの目標といたしまして、私ども調査対象地区を選んだために食い違ってきたということが一つでございます。
 それから、この調査の目的でございますが、大目的につきましては、東京都の調査も私どもの調査も全く同じでございまして、私どもの調査につきましては、各種発生源から排出される大気汚染物質の年間排出総量の推移を、各種の入手可能な最も新しい学問に基づいたデータによって試算することを目的といたしたわけでございます。なお、その目的のところで昨年私どもは注記いたしておきましたが、排出総量の発生源別の排出割合が、直ちに実際に観測されます大気汚染への影響の割合を示すものとは必ずしも言いがたいのでございます。これは学問的ないろいろな論争がございまして、いまのところ、そういう寄与率というものが、必ずしも実際に観測される大気汚染の割合に全くぴったり一致するとは言い得ないというようなことを、最初から注記をいたしておるわけでございます。
 そこで調査結果について申し上げますと、汚染寄与率でございますが、一酸化炭素、COにつきまして、環境庁の調査結果では移動発生源が九三二%、東京都のそれが九四・六%で、これはほとんど差がないようでございます。炭化水素、HCにつきましては、環境庁の調査結果が移動発生源五七・四、固定発生源四二・六%でありますのに対しまして、東京都のそれが移動発生源六七・一、固定発生源三九・二でございまして、若干の差がここに出てまいります。あとで申し上げますが、これは排出係数のとり方によってくるわけでございます。なお続けて申しますと、窒素酸化物、NOxにつきましては、環境庁の調査結果が移動発生源三九・〇%、固定発生源六一%に対しまして、東京都のそれが移動発生源六九%、固定発生源一三%ということで、ここで東京都の御報告は、主たる発生源が環境庁のと逆になっている、しかも七対三と非常に大きな差ではないか、したがって犯人は自動車説濃厚であるという結論になりがちなんでございますが、この点は必ずしも私どもの調査とはそれほど変わってない。ということは、あとで申し上げます排出係数、エミッション・ファクターのとり方の問題でございます。これはあとで申し上げます。
 以上の調査結果について、光化学、大気汚染の主たる原因物質とされるHCとNOxの調査結果が環境庁と東京都とで異なる理由は、いろいろ私ども検討いたしておりますが、先ほども申しましたように、現時点ではっきり申し上げられますことは、調査対象地域が違うということ、これが一番大きいわけでございまして、東京都に比べますと、東京湾地域には固定発生源の占める割合がかなり多い。言いかえてみますと、東京都には大きな固定発生源が少ないということが何と申しましても一番大きい。
 その次には、先ほどから私申しておりますように、移動発生源の排出係数のとり方が問題であろうと思います。この移動発生源、これは自動車と飛行機に分かれると思います。飛行機の場合は、環境庁の場合でも東京都の場合でも、これは実測をすることはいまの段階では非常にむずかしいので、アメリカのデータを東京都も環境庁も同じようにとっております。
 それで、自動車の排出係数でございますが、東京都は、実際に即するような何かいい係数はないであろうかと、いろいろ検討されたようでございます。私ども昨年いたしましたときは、わずか二、三カ月の間にこれをまとめたものでございますから、当時得られた、学問的に最も当時といたしましてはすぐれた方式、すなわちフォアモードという走行形式を使いまして排出係数を計算いたしたのでございます。これは自動車工業会が行ないました係数に対しまして運輸省の交通安全公害研究所でクロスチェックをなさいました、その値の適合性が確かめられております数値を使ったのでございますが、私どももこの走行モードにつきましては、フォアモードよりもっと適合性のあるものを実は考えておりまして、それが従来から研究されておりましたテンモードというモードで、これがあとで出てまいりました。現在では、自動車の排出係数を使うときにはこのテンモードを使うことにいたしております。したがいまして、当時、昨年の八月の段階におきましてはフォアモードが一番新しいものである、その後環境庁もテンモードに移った、こういうふうにお考えいただきたいのでございます。
 ところが、東京都では実際に車を十八路線で走らせてみまして、各種の車種に応じて違うわけでございますが、走らせてみまして、そうして東京都に合ったような幾つかの走行モードをお考えになったようでございます。その代表的なものがPMモードと称するもので、その他もございますが、PMモードを最もたくさん御使用になっているようでございます。これは同時に、環境庁が当時はフォアモードを使っておった、現在ではテンモードを使っておりますが、現在使っているテンモードと東京都のPMモードを合わせて調査をなすっておるわけでございます。
 その結果を見ますと、いみじくも、当時環境庁は使っておりません、現在はしかし使っているテンモードと、東京都が実際に車を走らせておやりになりましたPMモードとは、ほぼ同一の数値を示しておる。ぴったり合っておると言っても言い過ぎではないぐらい合っておるわけでございまして、私どものテンモードの採用というものが、ある意味では東京都の御調査によって確かめられたという、こういった効果もあったように考えております。要するに、テンモードないしは東京都のPMモードのほうがフォアモードに比べて約一・四倍高く出る、こういう基本的な問題がございます。したがいまして、自動車の排出いたしますNOx等が寄与率が高くなるのは、これは当然なことでございます。
 それからまた、もう一つ考えられますことは、固定発生源の、主として大工場でございますが、固定発生源の寄与率の計算も、若干東京都の調査と環境庁の調査は異なっておりまして、その母集団のとり方、これは突き合わせを現在私ども行なっておるところでございますので、いまのところ何とも申せませんが、いずれにいたしましても、そういった各種の、むしろいまの段階では学問的と言っていいと思いますが、学問的なデータの採用のしかたからこのような結果が出ておるわけでございまして、私どもといたしましては、それほど驚天動地の食い違いがあったとは考えていないのでございます。
 いずれにいたしましても、東京都内に限って光化学スモッグを私ども考えるというよりは、もう少し広い区域で考えるということが一つの考え方。それから、東京都都内だけの寄与率というものを考えてみますと、確かに新しいモードを使えば七対三と、都内に限って言えばこれは言い得るのではなかろうか、そういうことを感ずるわけでございます。
#10
○杉原一雄君 私の質問、数字等は、結局のところ、むずかしいと言われている光化学スモッグの犯人はだれかということを突きとめることが、とりあえず行政上の手だてとしては非常に大事なことではないかということでこの問題を提起しておるわけですが、いま主として東京都の発表と環境庁の昨年の発表との相違点、その点について局長から非常に懇切丁寧な答弁が実はあったわけですが、かりに東京都という地域に限ろうと、大阪という地域に限ろうと、それぞれのところに起こる光化学スモッグの発生の原因は、若干の違いはあっても、やはり主犯はだれかということぐらいは突き詰めねばならないし、それなくして対策は立てられない。
 でありますから、二十三日の各紙の伝える東京都の発表とあわせて、ここにも「朝日」が出しているのでありますが、これによりますと、大阪は工場が主犯だ、なぜかなればということでN〇xのパーセンテージとトン数とを比較して、八〇対二〇だ、固定のほうが八〇だというような発表もあわせてありますから、これによりますと、これは大阪は大阪、東京は東京、こう言わざるを得ないわけですが、東京に限る限りは、大体東京都の発表ないしこれを見たマスコミ等の判断は、車に主犯を置いているというふうにとらえていいのではないだろうかというふうに思うのです。
 その辺の判断を後ほど実ははっきり聞き、かつまた、それに対する対策を聞きたいとは思いますけれども、それと同時に、これは全くジャーナリストらしい言い方をして申しわけないのですが、夏、たいへんなレジャーブームで東京都ががらあきになって、そのかわり、私は北陸ですが、北陸、東北、北海道等には押せ押せの車が国道等を走ったということ等から、光化学スモッグが東北の一角に起こったというような報道がなされておりましたから、そうしたこと等から考えると、やはり光化学スモッグの主犯は車である、主犯は複数かもしれませんが、この際、主犯の主たるものは車だという結輪を出すのが、われわれしろうととしてはきわめて当然の結論のように思います。
 でありますから、そのことについての環境庁としての考え方、もしその車であるということに皆さんの意見が一致するならば、少なくとも東京都にひんぱんに起こるこの光化学スモッグ対策をどうしたらいいんだと、まあそれは仮説になるかもしれませんね、私の場合は仮説じゃなくて、それがそうだと思うのですけれども、それに立って対策と申しますか、そういうものを後ほど明らかにしていただきたいと思います。でありますから、東京都のこの発表は、かりに裁判の場合の原告側の訴状の位置とするならば、これは主文として、別な傍証として塩釜等に夏の民族移動の時期に起こった問題等をあわせ考えた場合に、一体だれが犯人かということを一応、きょうの場できめることはきわめて困難だろうが、推定できるのではないか。その辺のところ、判断をまずお聞きしたいと思うわけです。
 同時にもう一つ、これは光化学スモッグと直接的関係があると思うけれども、パーセンテージが非常に違うと思うのですが、調布の市長が先頭に立って、インターチェンジの使用禁止ということでたぐいまれな実力行使を実はやったわけですが、このことのよしあしを論ずるよりも、事ここに至るまでいわゆる車の公害という問題、それはスモッグ公害もありましょうが、その他のいろいろな公害があるわけですが、東京都の一角でこのような実力行使が行なわれたという、この現象面を私は政治家としては重要視したいと思うのです。そういうこと等々を腹に踏まえて、いま申し上げました、犯人はだれかということをもう一度突っ込んで環境庁当局の判断をいただきたい。
 同時に、いま局長がはからずも、それは車であると同時にまた飛行機であるというようなこともおっしゃっている。飛行機の場合は、なかなか光化学スモッグの原因は飛行機だと断定しがたい、立証することも困難だと、こういうことでありましょうが、これは国会議員のほうへ全部来ていると思いますが、大阪の吹田市の岡田牧得という方から、非常に薄いパンフレットでありますが、来ております。この人の考え方は飛行機だと断定してるわけです。その根拠は、油を使うのは五五%飛行機だ、そうしてまたスモッグ現象の起こるのは主として飛行機の通路、空港周辺だ、これは非常に素朴な判断資料でしかないと思いますけれども、こうしたところにも一つの民間人のはだで感じた訴えが出てきておりますので、こうしたことをも踏まえて、いま私は時間がありませんからはしょって申しますが、光化学スモッグの主たる犯人はだれか、この一つの想定、私が考えるように、これが東京都が訴えているように車だということになれば、とりあえずこれに対する対策はどうあるべきか。これは環境庁だけの問題ではございませんが、事ここに至れば長官の判断と、長官が各行政庁に対する勧告等を含めて必要になってくると思いますが、そうしたこと等についての最終的な答弁を第一項の問題についていただければ、一項の質問はこれで終わります。
#11
○政府委員(春日斉君) まずこの夏、民族大移動とも言われておりましたお盆の期間の東京、大阪等では光化学スモッグが発生いたしませんで、むしろ仙台の塩釜等に発生した。これについての一つの判断を杉原先生お問いいただいているわけでございますが、確かに八月中旬におきます東京、大阪、仙台のオキシダント濃度を見てみますと、東京、大阪で十四日からだんだん低下してまいりました。以降十九日までこの低い状態が続いたのに対しまして、仙台ではこの期間中あまり変化がございませんでした。ところが、十七、十八日に非常に高い値となりまして、東北地方として初の光化学オキシダント注意報が発令された。これは塩釜なのでございます。
 これらの原因として、一つは月おくれ盆、いわゆる十三日から十六日の月おくれのお盆の間に、東京、大阪の大都市では車の通行が非常に減り、工場が休みとなったのでございます。私ども調べてみますと、たとえば車の渋滞比率を見ますと、四十八年七月の平均を一〇〇といたしますと、月おくれのお盆前は実に渋滞率が一一二%、十三日から十六日のお盆の間は二二%と、五分の一になっておる。渋滞時間も五分の一くらいに減っております。それから工場の操業も半分近くにお盆の間は減っておる。燃料の使用も半分近くまで減っておる。こういうようなことがございますが、要するに車の通行が非常に減った、渋滞が減ったということは事実でございまして、このために汚染物質の排出が減少したのでないかと思います。他方、仙台の塩釜で高濃度が出たことにつきましては、実は詳しい資料がまだございませんので詳細は必ずしも明確ではないのでございますが、ともかくそういう報告があったことは事実でございます。
 なお、もう一つの理由といたしましては、十三日を境にいたしまして気象条件が大きく変わりまして、東京、大阪などでは南寄りの風が非常に強かった。したがって大気汚染が起こりにくくなったことも大きな理由の一つであると思うのです。
 したがいまして、私ども、先生の御指摘のようにすなおに考えれば、確かにこの民族大移動のお盆中には東京にスモッグがなくて東北に起きた、これすなわち車主犯説というところにスムーズにいきたいのでございますが、学問的に申せば、それはちとまだ無理な段階ではなかろうかと思います。ただし、これは行政的あるいは政治的な判断としては、私ごとに行政的な判断としては、必ずしも学問的に車主犯説が確認されなくても、やはりそういった方向に重点を置いて考えるのは当然ではないか、かように考える次第でございます。
 第二の問題といたしまして、先般の調布のインターチェンジ問題につきまして、地域住民の環境を保全するという観点から調布市並びに市議会がインターチェンジの封鎖を行なわれた。これについてどう考えるかというお話でございますが、私どもは中央高速道路調布インターチェンジ問題につきましては、かねてから話し合いによって円満に解決してもらいたいということを、関係機関に対して要請してまいったところでございます。かような事態に至ったのはまことに遺憾でございすして、今後も話し合いによって問題の解決をはかるように関係機関に要請してまいるつもりでございます。
 ただ、この調布市及び市議会がおとりになった、まことに遺憾ではございますが、閉鎖の問題につきましては、やはりその基本に大気汚染、さらに光化学スモッグということ、さらに騒音の問題、これが重複してあったことはいなめない事実でございまして、これもやはり行政的な判断としては、単なる学問的な判断以外に当然なければならぬと考えておる次第でございます。
#12
○国務大臣(三木武夫君) 調布のインターチェンジの問題で高速道路が地域住民との間に摩擦を生じて閉鎖をするというような事態、これはいろんな問題を含んでおると思いますが、環境庁にも、先月の末に市会議長から閉鎖をしてもらいたいという陳情があった。そこでわれわれとしては、市会議長にも、大気汚染、騒音に対しては法律の規制があるのだから、調査をして、それをこえておるときには東京都の公安委員会で交通の規制というものを要請をできることになっておるので、そういう手続をとる道があるということを申したわけでございます。建設省に対しても、関係機関との間に、こういうものが直接力でぶつかるというような方向でなしに、話し合いで解決ができるように指導をしてもらいたいということを申したわけでございます。
 こういう問題は今後も起こり得ると思うのですが、ああいうすぐに地域住民との間に実力行使というような事態に至らぬ前に、道路公団としても地元の自治団体との間に話し合いをして、こういうふうにして大気汚染とか騒音の問題は解決をしたいんだということをよく説明をして納得を得るということでなければ、ああいう事件が次々に起こるということは、その高速道路を利用する人々に対しても、地域住民に対しても非常に不幸なことでございますから、今後ともそういう方向で、関係する官庁に対してわれわれとしても強く指導をしていきたいと考えております。
#13
○杉原一雄君 実はそういうことだけでなしに、局長の表現をとれば、学問的には車だの飛行機だの、あるいはそうでない固定発生源というふうに断定的なところまでなかなかいきかねるということですが、二十二日の東京都の発表に関する限り、かりにこれを東京都という範囲に限ったといたしましょう、限ったとしましても、その範囲を限った中で、日本一光化学スモッグの発生している東京都ですから、この光化学スモッグ、特にかわいらしい子供たちが最大の被害者でありますので、この問題を一日も早く解決するという判断に立って、とりあえず東京都の資料あたりを非常に大事にし、十分検討した上で、とりあえずの対策が示されるべき時期にきているのじゃないか、これは環境庁だけの仕事じゃございませんで、通産局等も非常に大事な役割りを果たすわけですから、車に対する直接規制など積極的な手を打たれるべきときではないだろうか、こう思って、私はそういうことを期待しながら実は質問しているわけですけれども、学問的にどうだのと局長が逃げるわけですが、それはそれなりの理由があるでしょう。しかしながら、東京都の発表は、やはり多くの都民あるいはこのことに関心を持つ人たちはすなおに受け取っております。
 そのことが具体的に、大新聞ということばがあたるかどうか知りませんが、日本の大新聞として指折り数えられる各紙が口をそろえて社説で論陣を張っているわけですが、論陣は期せずして大体一致しております。それはどういうことかというと、犯人は車だということです。もちろん七対三でありますから、固定発生源が、東京都でいえばじんかい処理場もその中に入っているように、これはまた別な報道で報道されているわけですから、一〇〇%でないことはよくわかる。しかしながら、主犯は車だということについては常識的におそらく皆よく了解しておると思います。ということになると、やはりそれに対する規制の方法というものは、長官がすでに日本版のマスキー法という提起の中から、五十年の四月までには、アメリカがどうあろうと車の規制をやりたい、排気の規制をきびしくしたいということを、これはずっと前に六月時点でおっしゃっているわけですから、そうしたことをも長官も忘れてはおいでになるまいから、いま二十二日の東京都の発表に対して、すなおに環境庁もそれを受けとめていただいて、それじゃこれから何をするかということを検討していただきたいと思うのです。
 しかも、各新聞社等はきわめて具体的です。もうこの段になって、環境庁に期待するの、通産省がんばれのという社説は一つもない。みんな具体的に出てきております。中古車は最も排気ガスをよけい出すからこうだとか、車の通行制限の問題とか、駐車制限の問題とか、そうした問題を皆具体的に提起しております。私はこうした各社の提起をすなおに受けとめて、この問題に関心のある一人として、なるほどそうだな、ここに問題解決の道があるなと。しかしこれは困難だ、各社とも最後には言っておる。なかなか実現はむずかしいから、東京都ひとりでやれやれと言ってしりをたたいても始まりっこないから、中央官庁もその点を十分認識し、かつ歩調を合わせながら問題解決に努力していただきたいということを、社説のまとめとしてたいてい書いているわけなんです。
 こうしたことを、私は別に調査機関も持っておらなければ測量する能力もないわけですから、東京都の発表、環境庁の昨年の発表、そうしたものを基礎にしながら政治家的な判断を実は下しているわけですから、その辺のところを、長官として現時点で言えることも言えないこともあると思うけれども、排気ガスのこの種の発表のあった時点でございますから、ここで国民に向かってやはり一つの方向づけといいますか、年次的な、こういう方向も考え得るという程度で私はいいと思います。いまの調布のようなお話はそれでけっこうですが、私はそれは一つのほんの一角の問題だと思っております。そういう点でもう一度認識を新たにして、どちらからでもいいから明確にひとつ答えていだきたいと思います。
#14
○国務大臣(三木武夫君) 東京都の調査を見ましても、炭化水素あるいは窒素酸化物、大体移動発生源と固定発生源で七対三くらいの割合になっておるわけですから、移動発生源といえば一番主たるものは、飛行機もございましょうけれども、自動車であるということでございます。したがって、これはいま杉原委員も御指摘になりましたように、根本的には自動車の排気ガスに対してきびしい規制を行なうということが根本のことでございます。そのためにいわゆるマスキー法も、これはアメリカがどうあろうとも、日本は予定どおり実施いたしたいということを申しておるわけでございます。その間の暫定期間としては、排気ガスに対するいろいろな規制を行なっておることも御承知のとおりであります。
 ただ問題は、交通規制の問題でございます。これはなかなか実際問題として、ある部分的な規制というものは可能ですけれども、全般的に交通規制というものを大きく取り上げて、これを有効に実施し国民生活の現状等も踏まえてやることには、なかなかやはり困難があることは杉原委員も御推察願えると思うのですが、いま警察庁との間にこの問題を、何からでも実行できることはないか、自動車の排気ガスが光化学スモッグの大きな原因であることはいろいろな調査の結果でも明らかでありますから、全面的にいま自動車というものを国民の生活の中で禁止的な規制を加えることは不可能なことはわかっておるんですが、いろいろなこまかい面からでも、いわゆる交通規制、自動車というものに対してこれを規制を加えるような方法、しかもそれは国民生活の混乱を起こさないで、また実現可能な方法は何かということで話をいろいろと詰めておるわけでございます。
 いまここで、こういうふうにするということを申し上げる段階にはまだ達していないわけでございますが、こういう環境庁、東京都の調査の結果を踏まえて、自動車に対しては何らかの規制を加える必要があるということを感じて、この具体的方策について検討を加えておるというのが現状でございます。
#15
○杉原一雄君 次は大きい第二点で、先ほど御案内した水銀汚染のことですけれども、すでに七月二十三日、それから八月十三日の九水域に対するところの調査の結果が発表されたわけです。これについて重ねて当委員会において、その調査の結果についての考察、判断を一応まず報告を受けかいと思います。
#16
○政府委員(石丸隆治君) われわれのほうでは、市場に流通いたしております魚につきまして、いろいろ検査を行なって、その検査結果を発表いかしておるわけでございますが、現在までの段階におきまして、九水域の関係県から報告がございまして、われわれのほうで集計いたしました結果について御説明申し上げたいと思います。
 産地市場におきまして流通しております主要魚種につきまして、合計千十二検体の検査を行なっておりますが、いずれも現在までの段階におきましては規制値以下の値を示しております。それで、総水銀値の平均を申し上げますと、水域別に見まして最低が〇・〇三、最高が〇・二一PPMという値を示しております。なお、これら千十二検体のうち三検体につきましては、総水銀値が基準値をこえているものが三件ございました。
 この三件について御説明申し上げますと、熊本県八代海のハンタ、これはベラ科の魚でございますが、その魚で総水銀値が二・二六PPM、富山県の魚津海域のタチウオが総水銀値におきまして〇・四三PPM、それから氷見海域のサバが総水銀値〇・四九PPM、これら三検体が総水銀値におきまして基準値をこえておりましたが、さらにこの水銀の性質を調べてみますと、メチル水銀について申し上げますと、八代海のハンタが〇・一五PPM、魚津のタチウオのメチル水銀が〇・二PPM、氷見海域のサバのメチル水銀値が〇・二九PPM、こういう値を示しておりまして、暫定基準値に照らし合わしてみますと、メチル水銀値におきましてはこの基準値以下でございまして、現在までわれわれの手元に集まっておりますすべての検査値が、暫定基準値以下の値を示しております。
#17
○杉原一雄君 いまおっしゃったのは、主として八月十三日のですか。
#18
○政府委員(石丸隆治君) 八月十三日までに集まったもの、すべてでございます。
#19
○杉原一雄君 七・二三の発表との関連はどうなりますか。
#20
○政府委員(石丸隆治君) 七月二十三日の分を含めまして、総合計で発表いたしております。
#21
○杉原一雄君 そうですか。それではついでですから、発表の形式の問題ですね、ぼくは国会議員なんですけれども、こういうのを一枚もらっているわけですよ。ここの議員の皆さんもみなもらっていると思いますが、これを見て、平均が〇・幾ら幾らであるからああだいじょうぶだ、ほっとしたと、これ言えますか。いまおっしゃったような総水銀だから別に問題はないと思いますが、私の県は二水域とも総水銀量では〇・四三、〇・四九の魚が出てきているわけですね。そういうことはこの表には出ていない。ところが、ここに記者団もおりますが、いなかの新聞にはそういうことは書いてないんですよ。おたくのように平均が〇・〇九PPMでありますなどとはあまり書かないで、タチウオが〇・四三だということが大々的に書かれているわけです。ところが、ぼくはわからない。聞いてみてやっとわかる。こういうことでいいんですかね。
 国会議員は自分だけが納得すればいいものじゃないんです。やはり地域に帰って、住民の不安なり質問に答えるだけの必要があります。これは私たちの義務だと思う。ところが、私たちはみずから手を下して調査できません。そうすれば、皆さんからいただいたこういった資料を頼りにして、いやこれに書いてあるんだから心配なかろうねでは済まされないでしょう。だから、もっとこの発表のときには、記者団会見なんかをなさる場合にはこれに付属した資料は出されていると私は信じます。ぼくが役人ならそうしますね。
  〔委員長退席、理事金井元彦君着席〕
そういうのがありますならば、これはいま口頭説明をされたわけですが、最高はこうで最低はこうだということなど、あるいはタチウオがどうだ、サバがどうだというような点が出ましたけれども、これにはサバもタチウオもスズキも、何も出てないんです。そういうのを出すとたいへん膨大な資料になるのですか。だから発表できないのですか。私らはこれだけでは、国民を代表し県民を代表してなんて、県へ帰っても何も説明できませんよ。その辺のところ、どうでしょうね。今後こういうやり方をやっぱり続けられるのかどうか。これはほんとの末端の手続、末梢的な問題ですから、こういうところで言うのもどうかと思いますが、一応今後のことをもっと考慮してほしいという気持ちを込めて事情を聞きたいと思います。
#22
○政府委員(石丸隆治君) ただいま先生御指摘の資料でございますが、われわれのほうで新聞クラブのほうに渡しました資料を先生のほうにお届けしたものだと思います。それで、この記者発表の段階におきまして、やはりただいま先生御指摘のような質問が新聞のほうからございまして、それでその原表を送りまして、ただいま申し上げたような値につきまして御説明申し上げたわけでございます。その点、先日の新聞発表の資料が必ずしも十分な資料でなかったという点につきましては、先生御指摘のとおりでございまして、今後の発表につきましては、ただいま先生御指摘のような点につきましても十分配慮を払いまして、今後処置してまいりたいと思います。
#23
○杉原一雄君 そこで、今後のことなんだが、それはいまのところは七月二十三日、八月十三日、第一次、第二次と、こうなりますから、第三次と、もっと突き進めていけば、大体もう何回繰り返せば、自信を持って、魚を食べる人、魚をとる人、そういう人に対して、各水域おのおの差がありましょうけれども、熊本はだいじょうぶ、長崎はだいじょうぶ、あるいは富山はだいじょうぶ、福岡はだいじょうぶという、そういうような発表ができる時点は、目途としていつを置いていますか。
#24
○政府委員(岡安誠君) いま厚生省からお話がございましたのは、産地市場におきます魚の状態を検査しまして、それを随時発表いたしておるわけでございます。私どもは全国の問題の地域につきまして、いま環境調査をいたしております。特に問題の九水域につきましては、九月末を目途に魚その他の状態を明らかにいたしたいというふうに考えております。その際、魚の調査のみならず環境調査もあわせてやっておりますので、漁場等につきましてすべての資料がそろいますならば、今後この地域におきます漁労についての見通しは明らかにできるというふうに考えております。
 ただ、調査の結果いかんによりましては、今後ともやはり産地市場におきますチェックを継続する必要があるという場合も起こってくるというふうに考えております。したがって今後、厚生省とも御相談いたしますけれども、水域の実態のいかんによりまして、産地市場におけるチェックを終了するところ、さらに継続をするところというふうに、ふるい分けをいたしまして、常に安全のチェックはいたすというようなつもりでございます。
#25
○杉原一雄君 そのめどは立たないわけですか。
#26
○政府委員(岡安誠君) 問題はやはりその水域におきます現状と、それから現状の中には過去において汚染された現状も入るわけでございます。
  〔理事金井元彦君退席、委員長着席〕
たとえばヘドロ等につきまして、しゅんせつ、埋め立て等をする必要があるというようなところが出た場合には、そのしゅんせつなり埋め立てが完了するまでは必ずしも安心ができないというような事態も発生するかもしれません。そういう場合には、やはり産地市場におきますチェックを継続する必要があるのではなかろうかというふうに考えておりますが、それらの判断は、現在環境庁に設けております水銀汚染調査検討委員会の環境分科会がございますが、その分科会の専門の先生方の御判断を仰ぎまして決定をいたしたい、かように考えております。
#27
○杉原一雄君 それでは九水域ということで、当面の大きな問題ですから行政努力もそこに焦点を合わせておられるけれども、九水域以外のところで問題地域、問題水域というものがいまのところは皆無と見ていいのか、また、クエスチョンマークのつくようなところがあって、そこに対してはこれこれの監視体制をしいているといったような事例等があるのですか、ないのですか。その辺のところはいかがですか。
#28
○政府委員(岡安誠君) 全国調査は現在いたしております。とりあえず九月末までに急ぎまして九水域につきましての判断はいたしますが、それ以外の地域につきましては、全部完了いたしますのがおそらく年度末ではなかろうかというふうに考えております。その時点になりますれば、先生おっしゃるとおり九水域以外の地域につきましてもある程度判断はできますが、現在は調査中でございまして、ちょっと判断をいたしかねるということでございます。
#29
○政府委員(石丸隆治君) 問題の九水域につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、産地市場の段階でわれわれのほうで魚介類の検査を行なっておりますが、そのほかの水域につきましては、流通段階の市場におきまして、全国各都道府県におきまして、いわゆる消費市場におきます魚介類の検査を現在強化をはかっておる段階でございまして、われわれといたしましては、この暫定的規制値をこえる魚介類を流出させないような努力を払っております。
#30
○杉原一雄君 それでは、このあとは通産であろうと思いますが、先般、水銀問題の最高責任者は三木環境庁長官ですが、それで閣議了解を得て発表された内容等によりますと、発生源は水銀を使用する化学工場、そういうことで来年の九月まではクローズドしてしまう、閉じ込める。その体制を整える。あとは極力五十年の九月まで隔膜法を採用させる、こういうことでありますが、ただ、世論が非常にきびしいものですから、行政の指導より前に進んでいる向きがあるのではないか。たとえば県とその工場との公害防止協定、市と工場、企業との防止協定等々で、住民運動を背景にして詰めている段階があると思うんですね。そういうこと等、これはおくれたところに対する一つの激励にもなり、また行政面では一歩前進の面をみずから切り開いていくことになりますから、そうした水銀使用工場についての汚染源対策と申しますか、その辺のところを調査点検して、現状ただいま三木環境庁長官が最高責任者になっているそこの対策を上回っている点、そしてまた逆に「極力」ということを最大限に悪用して下回っているような、遅々として進まないというようなそういう状況等、現状はどうなっているか、このことを明らかにしてほしいと思います。
#31
○国務大臣(三木武夫君) 私、責任を持っておる者として、先般の水銀等の有害物質に対する対策の連絡会議で一応のめどをきめたわけですが、これだけのやはり水銀の汚染に対して全国的な問題を提起しておる時期でありますから、その予定された時期をもう少し早めることはできないかということで、化学工業界の代表者も呼びまして、クローズドシステム化、これを来年の九月までというのを本年度の十二月末までに繰り上げて実施できないかということを話をしたわけでございます。そうしたところが、化学工業界としても、こういう各地における水銀汚染の問題が、非常に各地の地域的な紛争も呼び起こしておるわけでありますから、極力御趣旨に沿うように、十二月末を目標にしてクローズドシステム化を実施できるように工業界としてやってみましょうということでございます。そういたしますならば、予定よりも相当時期を繰り上げられて、そしてクローズドシステム化が実施できるということになるわけでございます。
 それから隔膜法への転換については、昭和五十年の九月までに極力転換をはかるということであったわけです。しかし、その「極力」というのが、連絡会議をいたしましたときには五〇%ぐらいということであった。五〇%というのはいかにも、昭和五十年ですから、それはもう少しやはりでき得べくんば五十年の九月までに全部切りかえるぐらいの目標でやれないかということで、現在は、五十年の九月までに三分の二は転換をはかろうという計画を企業側で立てている段階でありまして、その三分の二をできればもう少し、できるだけ隔膜法に転換をして、水銀の汚染の懸念というものを根本的に除去していきたいということで、通産省とも相談をして、きめられたタイムスケジュールをできるだけ早目に実施したいという、強力な指導を行なっておる次第でございます。
 詳細は通産省から説明をいたすことにいたします。
#32
○説明員(高橋清君) 全体につきましては、ただいま長官から御説明申し上げたこと、全くそのとおりでございまして、通産省といたしましても、水銀対策会議で過般きまりました線よりもさらにこれを強力に進めるという観点から、その後鋭意努力してまいりました。また関係企業も、その後諸般の事情から深く社会的な責任を痛感しております。したがいまして、いま長官から御説明申し上げましたような方向にさらにこれを強力に実現するために、たとえば来年度の予算等におきましても、金融、税制面等のいろいろな行政指導も現在講じておりまして、こういった面も来年度の予算等におきまして実現をはかりまして、長官から御説明申し上げましたように、強力にこれを実施していきたいと思っております。
#33
○杉原一雄君 通産のほうね、いま長官が最高責任者としての非常な努力をされた経過をお伺いして、非常に心強く思っているわけですが、私、なまのデータとして、どこどこの企業は企業努力でいまここまで進んでいる、そういうようなものがもしここで御披露いただければ、それは他社に対しても、私どもまた出る幕ではないですけれども、事と次第によっては、企業とぼくら、ときおり訪問していろいろ事情を聞く場合もありますから、激励する資料にもなると思うのですけれども、そうした企業努力ないし地域の住民の要求等がお互いにぶつかり合って、ある程度の協定書を結ぶというようなところまで至っている工場があるのじゃないかと推測されるわけですが、そういう具体例等があればお示しいただきたいと思います。なければいいですよ。
#34
○説明員(高橋清君) 苛性ソーダの設備につきましては現在約三百八十万トンほどございますが、そのうち水銀法が約三百六十万トンでございます。なお、隔膜法は現在約十七万トンほどでございますが、この約三百六十万トンございます水銀法の設備を逐次スクラップ化してまいりまして、他方、隔膜法につきましては昭和五十年九月末までに大体約三百万トンほど、正確に申しますと三百十二万一千トンでございますが、約三百十万トンを建設するという計画でございますが、この計画は、実は関係企業三十六社、四十九工場でございますが、これに逐次当たりまして、各社とそれぞれ協議と申しますか、いろいろ相談いたしまして各社の計画を積み上げましたのが、この三百十二万トンでございます。したがいまして、必要であれば先生に御説明申し上げる資料等を提出してもよいと思っております。
#35
○杉原一雄君 それでは第三点に移りますが、公害等調整委員会の年次報告、昨年の七月一日から発足して今年の三月三十一日まで、一応われわれは手元に年次報告書を実はいただいております。この年次報告について概括的に、まる一年間になっておりませんけれども、その間の扱いについて報告をいただきたいと思います。
#36
○政府委員(川村皓章君) 先般、八月の二十四日に国会に提出いたしました四十七年度中における公害等調整委員会の年次報告の概況につきまして、御説明を申し上げます。
 まず第一は、公害紛争の処置に関する事務でございまして、当委員会に直接係属いたしました事件は二十一件、この申請者の数は四千八百九十五名であります。そのうち、終結をみましたものが事件で二件でありますが、その解決をみた対象人数は千三百九十一名であります。
 第二番目は、地方公共団体における公害紛争の処理状況でございます。これは公害紛争処理法が施行されまして以来、受理した件数は五十件でございまして、この申請者は人数で六千三百四十四名でございます。うち終結をみました事件は二十九件で、人数にいたしまして千二百二十九名であります。
 その次に、地方公共団体における公害苦情の処理について、公害等調整委員会はこの公害苦情の処理につきまして指導、助言、協力等をいたしてございますが、この苦情件数は七万六千百六件、処理が六万二千五百件であります。一方、これらの苦情の処理に当たる公害苦情相談員の人数は、四十八年四月一日現在で三千二百二十一名が置かれているということであります。
 次の第四点は、これは土地利用の調整面に入りますが、鉱業法に基づきます鉱区禁止地域の指定に関する事務でありまして、処理手続を進めたものは十八件でありまして、そのうち処理を完了いたしましたものは二件でございます。
 その次は行政処分の異議の裁定でございますが、係属した事件は四件であり、そのうち二件については申請理由なしとして棄却の裁定をし、その他の二件は目下審理中でございます。
 最後に土地収用法に関する意見の申し出の問題でありまして、係属しました件数は十一件でございますが、そのうち七件につきましてはすでに回答済みであり、その他の四件については目下審査中でございます。その他、採石法による通商産業局長の決定について承認を求める事案が二件係属をいたしまして、一件については不承認、一件については承認を与えております。
 以上が年次報告の概要でございます。
#37
○杉原一雄君 私も報告書を見た結果、第一印象は、あまりにも少ないなあということですね。これほど各地に問題がふき上がっておって、極端に言ったら日本が沈没すると言う人さえおるわけですが、別の表現をとれば日本は公害列島だといわれておるのにもかかわらず、せっかくのこの機関が、いま処理されたのは何件という件数など、耳を疑いたくなるくらいな少数ですね。こうしたこと等を非常に私は、心配というよりも、これでいいのかどうかということを実は感じておるわけです。
 そういうことはそれとして、当機関は、これを調査するとかそういう機能はないわけですか。実態調査。
#38
○政府委員(川村皓章君) 私どもが具体的事案の調停なりあるいは仲裁なり、場合によりましては裁定なりを公害について進める場合に、本来、両当事者において御準備いただくそれぞれの資料は別として、私どもが具体的な職権によって調査することができることになっております。そのための予算も持っております。
 これは主として一般に公害の問題は被害者のほうが、いわば訴訟でいいますと訴訟能力が低いというような問題がございます。また、期間が長引きますと、それだけ被害者がいわばよけい苦しむ立場にもございます。その点を特に制度上考慮いたしまして、ある意味で訴訟能力を対等にし得るように、私どもが職権でもっていろいろ事実を調査をいたしまして、これらを足して差し上げるという機能を持っております。そのための調査もできることになっております。念のために、三十名以内の専門調査員を置くことができるということもついてございます。
#39
○杉原一雄君 では、ただいま伺った範囲内では、日本列島はどういう形で公害に侵されているかということを調べる機能なりは、それはいまのところはないんだ、またそれが任務じゃないと、こういうふうに理解していいわけですね。
#40
○政府委員(川村皓章君) ただいま杉原先生の御質問は、いわば公害等調整委員会に係属した事件の調査能力ということで御質問がございましたので、事案についてのお答えを申し上げました。
 ただ、もう一方、先ほど概況で御報告を申し上げましたように、地方公共団体が行なっております苦情の処理についての指導等をやるということを申し上げましたが、過去に全国の、まあ日本列島と申しますか、汚染度を新聞等で出した経過がございまして、そのときに、それらの汚染度とは何かというデータの中に、各県別の公害苦情件数がいわば人口比との関係で使われた経過がございます。そういう点から考えて、地方公共団体が行なっております公害苦情の件数等を通じて、ある意味で、汚染がどの程度進んでいるかという見方でございますと、県別にもデータがわかることになっております。
 関連いたしまして、公害苦情の最近の動きについて特色を三点ばかり申し上げておきたいと存じますが、まず第一点は、全体といたしましてはここ二年間ぐらいで公害苦情の件数は倍増いたしておりますが、この増加傾向はごく最近、若干鈍化をしているということであります。具体的に対前年増加率で申し上げて、四十四年度は四一%、四十五年度は五五%、四十六年度は一九%という結果であります。
 それから第二点は、公害の種類によりまして若干動きが違っておりまして、騒音、振動及び悪臭に関する苦情が多くなってまいっております。すなわち、これらの三つでの苦情の数が全苦情の中の五七%を占めておりますし、さらに大都市では特に騒音に関する苦情が非常に多くなっております。
 それから第三点は、地域差が相当著しいという問題であります。東京都、大阪府、愛知県、兵庫県、埼玉県の上位五県で全苦情の約四九%を占めております。人口当たりで見ましても、東京、大阪等の多い県は、福島なり鳥取なりの少ない県の六ないし七倍の多くの公害に関する苦情がございます。この辺の状況は、一応そういうことでこちらは把握をいたしております。
#41
○杉原一雄君 いまの局長の報告によりますと、最近の問題、あるいは騒音とか振動とか悪臭とか、公害対策として非常にむずかしい問題が当局に持ち込まれているというような事実が明らかになり、その調整委員会等を通じて見た、日本列島の公害の全体像は把握できなくても、ある程度特徴的なものがつかまれるような気もします。ただ法律的に与えられた任務というものは限られておりますから、そう広範な調査機能を発動したり、また局を離れて現地指導するということは不可能でございますから、その限度、リミットを十分理解しながらこういう質問をしているわけですけれども、今日までお仕事を進められる上において、調整委員会の機構とかあるいは能力とか、そういう面については完璧ですかどうか。
 それから私、先ほど非常に少ないと言ったことは皮肉な言い方をしたわけですけれども、少ないという中には、いろいろ告発者の能力の問題もありますけれども、やはり信頼度の問題が出てくるんじゃないか。それからけさの報道によりますと、チッソ水俣の場合、直接行動によって工場閉鎖をしていた皆さんが、沢田知事にあっせんを依頼するということで、きょう知事にお願いに上がるだろうという記事がここにございますが、そう
 いう直接交渉、直接行動、そうしてまた第四者か第五者か知れぬけれども、そうした人にお願いをするという形で問題を運んでいく。あるいは裁判に持ち込む。いろいろなケースがございますが、得てして私たちの知る限りにおいては、直接交渉をする側のほうがかなりの、まあ成果ということはどうかと思いますが、告発者にとっては満足のいくような方向で話が落ち着いていく、まとまっていくというケースをたくさん知っているわけです。
 そういうこと等を考えると、調整委員会が法律的にその存在を確認されて一年を経過したわけですが、今後いよいよもって多発する公害に対する被害者擁護の立場に立って考えた場合は、委員会そのものの、先ほど言った機構なり能力なり、そういう点についてまだ局長の立場で不十分なところがあるかどうか、率直に御意見を伺いたいし、その問題の最高責任者である長官もきょうおいでになりますから、そうした点、もしあるならばひとつ御披露をいただきたい。私の問題の発想は、あまり皆さんの役所の門をたたく人が少ない。思ったわりに比較して非常に少ないということから、こういうことを私は差し出がましい質問をしているわけですが、局長、率直に言ってどうでしょうか。
#42
○政府委員(川村皓章君) 先生のお尋ねはたいへんむずかしい事柄でございます。まず公害等調整委員会の機構は、先生御存じのとおり委員長及び常勤、非常勤の委員がそれぞれ三名、計七名で構成されておる行政委員会でございまして、定員で局長以下三十七名の事務局が付置されております。それで昨年の七月以降、機構改正によりまして公害等調整委員会が発足をいたしまして、大まかにいいますと、公害紛争の処理という問題と、もう一つは土地利用の調整に関する事務と二通りを扱っております。しかしながら、何ぶんにも短かい期間でございますので、長い目で見てこれがどうかという問題は、やや結論を出すのは少し時間が不足かと考えております。
 ただ、先ほど御質問の中に、公害の事案ということは相当多発しておる。しこうして、その中で被害者の、ある意味で保護に当たるような公害等調整委員会の機能が十分に果たされるかどうかという問題につきまして、率直に感じております点は、最近、特に年次報告を出しましたその範囲以降の問題におきましても、いわば公害でこちらに申請してまいった事案の中に含まれる申請者の数、ある意味では被害者の数と考えて差しつかえございませんが、これが非常に多数になってきております。たとえば大阪空港騒音の事件が最近きておりますが、これもすでに申請者が約五千をこえたというかっこうであります。そこでこれらを実際に処理していく上で、多数になればなるほど、それだけに一種の集団処理を実際的に行なっていかないと、公害紛争処理法で期待されておる、いわばある意味で迅速適正にという期待の要請にこたえ得るかどうかという問題が現実に出てまいります。先般の水俣病患者の調停が四月の末にでき上がった一つの例を見ましても、これも人数はたまたま一番最初に申請のございました三十名でございましたが、これを個別一人々々で調停を成立せざるを得なかったというような経過で、それだけに非常な手間を要するわけであります。そういう観点に立ちますと、多数になればなるほど、それをどう具体的に処置していくかという何らか方策の検討をしない限り、現在の事務局の体制でこなせるかどうかという問題は、率直に危惧いたしている点でございます。
 なお、直接交渉の問題が先ほど御意見の中に出ておりますが、私どもといたしまして、実際に当事者間で直接話がつくということは、別にこれは否定さるべき問題でもない。別に直接交渉がいいの悪いのという問題はございません。ただ、現実に両当事者における話し合いが何らかの形で行き詰まりができて、いわばそれが第三者のところにいくという形は一般的に十分考えられるところでございまして、そのために水俣の漁業補償の問題も、あるいは沢田知事のごあっせんというかっこうにいま話が進んでいるのではなかろうかと思います。
 私どもといたしましては、本来申請を受けて立つという基本的立場がございまして、私どもが、いわば俗に申しましておいでおいでをするわけにはいかないたてまえになっておりますので、いわば制度自体をできるだけ知っていただく必要はあろうと思いますが、実は受動的な立場にございますので、その点につきましては特に意見を申し上げる立場ではございません。
#43
○国務大臣(三木武夫君) 杉原さんの御質問になっておる点、わりあい持ち込まれる案件が少ないではないかといういろいろ御批判もあったわけであります。私はやはりこの調整委員会の機能をもっと強化する必要があるという意見でございます。
 これは調整委員会ともよく相談してみたいと思うのですが、各地方で公害とか環境の問題に関しての地域の紛争というものが、次第にそういう紛争というものはふえてきつつあるという状態であります。それが両方が力でぶつかるような形というものは、地域社会の安定を害する場合も非常に多いわけでありますから、調整委員会のような機能を強化して、そういう公害問題に対する地域社会の不満であるとか、あるいはまた苦情であるとか、それを処理できるような能力を持って、ただ申請ばかりじゃなしに、問題によったらみずから乗り出していけるようなそういう機能を持って、公害問題からくる地域の紛争、それがまた地域社会の平和を害しておる面も非常に多いわけでありますから、調整委員会というものをもっと強化させて、そして公害とかあるいは環境の破壊などからくる地域の紛争というものを、もう少しやはりこれを調停できる能力を調整委員会が持つように持っていくことが必要ではないか。こういう点で、これは調整委員会ともよく相談をして、そして機能の強化の問題についてこれは取り上げてみたいという考えを持っておることを申し添えておきたいと思います。
#44
○杉原一雄君 実は先ほどから持って回った言い方をしているわけですが、そうならざるを得ないわけですけれども、かりに年次報告の六五ページのところに図の7が出ているわけですね。「公害苦情件数の都道府県別分布図」、これで見ますと、白のところは非常に少ないということなんですね、五百未満と書いてある。非常に少ない県の中に私の県が入っておるわけですよ。私の県はカドミでもたいへん有名な県でございまして、最近また水銀で有名になりまして、これもマスコミにいわせると公害デパート県といわれている県なんです。あまり光栄な名前じゃないのですが、水俣病の名前のように、変えてもらわなければならぬくらいですがね。だが、結果的にこの表に出ると白になるわけなんです。そこにやはりおたくの委員会の動きといま環境庁が心配しておる動きとの非常に大きな開きが出てきておる。これを詰める。それが長官のいまの言明の中に出てきておるので、長官の決意を非常にぼくは多とするわけです。
 それでは、委員会も遠慮なく長官のいま言われた、玄関を出て手を差し伸べるというところまで意欲的に出れるような、体制と能力と法的な整備をひとつやっていただくようにつとめていただきたい、こういうふうにぼくは思います。
 それでこの問題に対する質問は一応終わります。
 第四点は、けさ新聞を見て思いついての質問ですから非常に失礼でございますが、新聞の前文に書いてあるところ、これは朝日新聞でありますが、ほかの新聞もみなきょうは大々的に取り上げているわけですが、まとめの前文が少しありますので、その前文のところを読んで関係省庁の皆さんからこれに対する報告をいただきたいと、こういうことです。
 大見出しは「またも故障原子力発電 五基のうち四基までが」と。「今度は美浜二号電気回路」こうあるわけです。そこで、「発電用石油の供給不足を乗り切る切り札として電力業界は原子力発電に期待をかけているが、二十八日」きのうです。「関西電力美浜二号機が故障した。同美浜一号機は事故で現在、修理中である。」これは私たちことしの春現地調査をしてまいりました。「一方、東京電力福島一号機は定期点検中に事故があり、十九日に復旧したばかり。また、日本原子力発電(原電)の敦賀原子力も、米原子力委員会の出力削減命令にならって、二十七日から自主規制をしている。」これも現地を見てまいりました。「わが国には現在五カ所、百八十二万三千キロワットの原子力発電所があるが東海一号機を除く四カ所百六十五万七千キロワットが不調で原子力発電の将来に暗雲がかかってきた。」
 こういう前文で報道されているわけですから、これだけ私申し述べればあとはおわかりだと思いますが、まず第一点として、美浜の二号機のこの故障ですね。一号機の故障についても説明を現地で聞きましたが、私しろうとでもどうも納得できない。納得しないままに帰ってきておるわけです。ところが今度は二号機がまた故障を起こしたと、こういうわけですから、二号機の故障の原因ですね、何がそういう故障を起こしたのか。その点、科学技術庁か通産省か、いずれか知りませんが、原因の点を明らかにしてください。
#45
○説明員(伊原義徳君) ただいま先生御指摘の点は、まず第一に美浜二号炉の故障事故の現状、それからそのほかに現在原子力発電所が全般的にどのような運転状況にあるかと、こういうことかと思います。
 第一点の美浜二号炉につきましては、昨八月二十八日の十三時四十六分に事故が起きまして、原子炉が停止をいたしました。この原子炉は計画出力が五十万キロワットでございますが、当時計画出力で五十万キロワットで運転中でございましたが、この原子炉の熱を取り出すための冷却、これを水で冷却しております、その水を循環いたしますポンプ、これが二台ございますうちの一台が流量が減ったと、こういう信号が出まして、原子炉は自動的に停止いたしました。その原因につきましては、福井県に科学技術庁の連絡調整官事務所がございまして、その連絡調整官、それから通商産業省の検査官、それから福井県の原子力対策室の係員、との三名が午後四時から八時ごろまでかかりましていろいろ調査をいたしまして、その結果、ただいままでに判明したところは次のとおりでございます。
 まず、この原子炉の定期検査というものが九月の中旬に予定されておりましたので、その関係の保守作業をやるということで、五名の作業員が原子炉の格納容器の外側にあります通称アニュラス部、アニュラスと称しております部分に入りまして調査をしておりましたところが、電気回路の短絡が生じましてアークが飛んだらしい。そのために作業員のうちの一名がやけどを負いまして、ただいま入院中でございます。全治二十日間程度でございます。アークが飛びまして作業員の一名がやけどをいたしますと同時に、このアークによりまして電気回路にふぐあいが生じまして、そのため原子炉が自動的に停止をした、こういう状況でございます。
 なお参考までに、先ほど御指摘の百八十二万三千キロワットの合計五基の原子炉、原子力発電所は、御指摘のように一部とまっておるところもございますが、現在、合計出力八十七万四千キロワットの稼動でございますので、ほぼ五割の稼働をいたしております。
 以上でございます。
#46
○杉原一雄君 そこまでおわかりならば、それなら美浜の二号機は、修復して稼働するのはいつごろになりますか。その辺のところの報告はありましたか。
#47
○説明員(伊原義徳君) ただいままでの調査によりますと、機械関係には大きな損傷はございませんので、これはもちろん調査の結果を待たねば確定的なことは申し上げられませんが、私どもの見通しといたしましては、数日で回復できるものと考えております。
#48
○杉原一雄君 現地を見てきた者としては非常に残念なんですよ。一号機の故障のところも、故障の原因等の説明もあり、ぼくらも洋服をみな脱いだりいろいろ鉄かぶとをかぶったり、あらゆる向こうの指示される姿で中へずっと入り込んで現地を見てきたわけですけれども、そのときの説明によりますと、一号機はこういうことでこういうことになりましたけれども、その他は絶対に心配ございませんと、こういう説明を聞いて、ぼくはしろうとですから黙って引き返してきたわけですよ。ところが、こうした問題がまたもや起こってくるわけでして、何かこう心配になるわけですね。
 地元では、新しくつくろうというところにはそれで訴訟を起こし、あるいは実力行使で反対運動も盛んに起こっているわけですから、こうした事故が起こると一そうそうした動きに拍車をかけるわけで、その辺のところは、やはり科学的にも技術的にも行政的指導の面からもだいじょうぶだというようなことを言い切れないような状況にいま立っているような気がしますが、行政指導をなさる立場に立つ方々は心を新たにして、まあ努力をするということばに尽きるかもしれませんが、大衆が信頼の置けるような何か保障は得られないものですかね。私自身がまず疑っております。第一号機でもうはや完全にその説明がうそであったことになりますから。これは国民だれだってそうだと思うんですがね。その点は皆さんのほうから何かの保障がされなければ、今後こうした企業の前進はむずかしくなるのじゃありませんか。
 敦賀のほうもいまとめているわけでしょう。ゼネラル・エレクトリックとの関係等もあったりして、とめているわけですから、こうした点、今後どうしますかね。いま電気が足らない足らないといっているときでもあるし、消費者の立場からも、いろいろな立場から考えると、非常に私たちむずかしいところへぶつかったような気がしますが、やはり行政当局の立場として、これを切り開いていく、活路を開いていく努力の一つの目標といいますか、そういうものを、国民に安心を与えるような言い方ができたら、この委員会を通じてやっていただきたいし、最後に環境庁長官も、各省庁に対する勧告なり、また国民に向けての見解表明があってしかるべきだと思うのですがね。
 ついででございますけれども、同じきょう科学技術館から天然ウランが盗まれたという報道が出ているわけですね。このウラン棒の人間に与える被害といいますか、そうした問題等については、これを読んでいる限りはたいしたことないのかなというような印象を受けますけれども、ただ天然ウラン棒が盗まれたというだけでも、この辺の知識の弱いわれわれは、さあたいへんだと、こう思うわけですね。そういうこと等もありますから、アレルギー症だと言えばそれまでのことだけれども、現実にこういう問題が次から次と起こっている限りは、単なるわれわれの心理的動揺じゃないのじゃないか。ものそのもののやはり科学的な一つのきちんとしたものを、信頼の置けるシステム、行政指導、それぞれ一切がっさいの面でかなりの手おくれがあるような気がしてたまらないのですが、これは国民の偽らざる心境をぼくは代表していると思います。
 そういう心境、不安に対して明確に答えていただくことを私はこの委員会を通じて特にお願いして、実はきょうは質問を終わりたいと思うのですが、その辺のところをよろしくくんで御答弁をいただきたいと思います。
#49
○説明員(伊原義徳君) ただいま先生の御指摘のうち、まず天然ウランの紛失、盗難事故につきましては、紛失いたしました天然ウランの量は一・九キログラムでございます。天然ウランと申しますのは、御承知のように非常に放射線の出る量が少ないものでございます。かつまた、いわゆるその核分裂の連鎖反応を起こすということが非常にできにくいものでございます。したがいまして、この程度の、しかも金属になっておりますウランは、人間が手で持っても全然危険はないものでございます。私どもといたしましては、しかしながら、こういうものが盗難にあったということはたいへん残念に思っておりまして、この関係は十分関係者にも注意をいたすことにいたしております。
 それから次に、原子力発電所で事故が頻発する、この原子力発電の安全性についての国民の不安という御指摘がございましたが、この点につきましては、関係行政当局におきまして、まず原子力発電の実用化については安全性が最大の重点であるという認識を基本といたしておりまして、法律上の規制及び一般の地元の方に対する御説明などは全力をあげてやっております。
 一つここで申し上げられますことは、原子力発電所の事故というのがたびたび新聞に報道されるわけでございまして、これは事実そういうことでございますが、この原子力発電所のいままでの運転実績を見ますと、原子力発電所の外に影響な与えたような事故は、いままで一度もございません。これはわが国だけではなく、世界的に数百基の原子力発電所が運転中あるいは建設中でございますが、それらを含めまして、原子力発電が熱地の周辺に影響を及ぼしたという事例は一件もまだございません。また今後とも、そういう周辺に被害を及ぼすような事故はあり得ないように、その設計の審査から検査、運転の指導等を十二分に行なってまいる所存でございます。
 エネルギーの危機を唱えられております現在、私どもといたしましては、原子力という新しいエネルギーが絶対安全なエネルギーであるということに確信を持ち、かつ発電所周辺の方々にも十分その理解をお持ちいただきたいと思って努力中でございます。
#50
○国務大臣(三木武夫君) 今後の電力の需給関係から見て、原子力発電にエネルギー源をだんだんと比重をかけていかなければならぬことは明らかでございますから、何ぶんにも新しい産業だけにいままでの経験も乏しいわけでありますので、今度の事故などでアメリカのGEにも調査団を派遣するということでもありますので、そういう国際的ないろいろな原子力発電に対するいままでの経験も生かして、安全性の確保ということに対しては一段と用意周到に発電所の運営をやっていかないと、何ぶんにも新しいだけに、経験が乏しいだけに原子力発電の立地というものにもいろいろな問題が起こってきて、将来、原子力発電の日本のエネルギー源を比重をかけていくということを困難にいたしますから、安全性の確認ということについては、われわれとしても今後とも科学技術庁とも十分な連絡をとって、この問題を真剣に取り組む必要があると考えております。
#51
○小平芳平君 私は初めに、当委員会の冒頭に報告のあった委員派遣の報告について、若干質問をいたしたいと思います。
 政府の各機関におきましても、本日の委員派遣の報告を受けるまでもなく、熊本県あるいは各関係の市町村等からたくさんの要望、陳情が出ております。また、三木長官は直接現地へ行かれたときもどのような陳情を受けられたかということも、県の資料に出ております。したがいまして、いまさらあれこれと私から説明申し上げるまでもなく、また政府当局におきましてもそう詳しい説明は必要ありませんので、かねがね要望のあった、陳情のあった点についてはこういう措置をとりました、あるいはいつごろまでにこういう措置をとりますというような御答弁をいただければ幸いだと思います。
 最初に、私たちが当委員会で派遣されて参りましたのは、直接には五月二十二日発表の熊本大学研究班の第三水俣病が発見されたという報告、それからその後の水銀、PCB等の汚染の現状の発表、あるいはすでに第三水俣病の死者が発見されたという発表等々、その現地の住民、漁民あるいは消費者は追い打に追い打ちをかけられたというどたんばにあったのが、私たちの現地に参りました現状でありました。
 政府も、その第三水俣病の発見という報告、それに基づいていろいろな措置をとられていると思いますが、八月十七日には、これは環境庁の機関になるわけですが、水銀汚染調査検討委員会健康調査分科会では、第三水俣病の容疑をかけられている十人のうちの二人を検診したところ、二人とも現段階においては水俣病ではないというふうな発表を報道で知っておりますが、この点はいかがですか。
#52
○政府委員(城戸謙次君) 水銀汚染対策の推進でございますが、これにつきましては水銀汚染対策推進会議を設けまして、第一回会議を六月十四日、第二回会議を二十五日に開きまして、それぞれ項目について政府部内で行なうべきことをきめて着々やっているわけでございます。
 ただいま御指摘ございました第三水俣病の二人の関係でございますが、この問題は、実は私どもが環境庁としまして健康調査と環境調査をやりますために、水銀汚染調査検討委員会というのを設けております。この中の健康調査分科会で検討されたことでございます。いまおっしゃいましたように、八月十七日に第一回の健康調査分科会を開いております。その際、その前にございました七月二十一日の第一回の検討委員会で委員からの要望もございましたので、熊本大学医学部の十年後の水俣病研究班によります研究結果の報告がございました。その研究結果の報告に関連いたしまして、いま御指摘ございました二例につきまして特に議論が集中しまして、この武内先生からの報告と並行しまして、特に熊本大学の第一内科の徳臣教授からも報告が行なわれまして、双方の診察結果を合わせまして、結局、結論としましては現時点では水俣病の疑いがないということになったわけでございます。
 環境庁としましては、水俣病に関します専門家の意見でございますから、この二例の診断につきましてはもちろん意見を尊重してまいりますが、現在まだほかの八例も残っているわけでございますし、健康調査なり環境調査、これは従来どおりの方針で進めてまいって、総合的な環境汚染なり健康問題の評価をしていきたいと、こう考えておるわけでございます。
#53
○小平芳平君 それは、従来の方針どおり環境調査、健康調査を進めていくという点は当然だと思います。
 ただ、長官にお尋ねしますが、熊本県知事に出された報告では、正確にはこの報告書に書いてありますが、「定型的水俣病と全く区別できない患者が五名あり、一応水俣病と同様とみられるものが三名」こういうふうになっているわけです。ところが、今度政府機関のほうではそのうち二名は現時点では水俣病でないということは、一体政府はどういう姿勢で取り組んでくれるのかということを、非常にふらついているんじゃ困るじゃないかという感じを、われわれ周辺にいるしろうとは受けるわけです。いかがですか。
#54
○政府委員(城戸謙次君) いまの問題でございますが、これにつきましては、武内調査班で診察されましたのは、一年あるいはそれ以上前でございます。ところが、この二例について特に患者からの希望がございましたので、七月下旬から八月上旬にかけまして二十日間、熊本大学の第一内科に入院されまして、徳臣教授そのほか、ほかの大学の先生方によって相当大規模な診察が行なわれております。その一番新しい診察結果をもとに、武内先生のほうと、そのほかの分科会の先生方が御検討いただきまして、学問的に現時点では水俣病の疑いないと、こういう結論を出されたわけでございまして、私ども、これは正しいものと思っておるわけでございます。
 それからなお、研究班のほうの報告でございますが、これは水俣病であると断定しているんじゃないんだということは、その席でも武内先生その他からお話あったわけでございまして、その辺、先生お持ちでございますが、この報告書の研究の内容自身がやや仮定の上に立っての指摘でございますので、問題点の指摘だと、提起だと、こういうぐあいに私ども考えておるわけでございますので、先ほど申し上げましたように、健康調査、環境調査合わせまして、今後の全体的な評価をしていきたい、こう思っておるわけでございます。
#55
○小平芳平君 そうすると、第三水俣病が発見されたという報道あるいは報告があったということは、それは仮定の上のことであって、現実に存在しているということではないということですか。
  〔委員長退席、理事杉原一雄君着席〕
#56
○政府委員(城戸謙次君) これは報告書にも書いてございますように、「定型的水俣病と全く区別できない患者が五名」と、それから「一応水俣病と同様とみられるものが三名、さらに水俣病の疑いと同じようにみられるものが二名あって」と、こういうことで書いてございますが、これは「疫学的調査から有明地区の患者を有機水銀中毒症とみうるとすれば」と、こういうことになっていまして、前提が立った上で、そうなれば第三水俣病ということになるということを指摘されているわけでございまして、その席でも、自分のほうで水俣病であると断定しているわけではないということを何度も申しておられます。
#57
○小平芳平君 それは、疫学調査が必要だということは前回の委員会でも指摘した点でありますので了解しておりますが、要は、こうした熊本県からの要望にも、専門医療機関あるいは治療法の解明、そういうものがないままに現在の混乱が起きる、その原因がそういうところにあるのじゃないか、どうしてもっと熊本大学に、あるいは県を中心に、あるいは熊本大学を中心にこの治療法の解明なり、あるいは認定作業を進めるについても、認定申請を出すお医者さんすらいなくて認定申請が出せなくて困っているということが報告にもありましたが、そういう点の取り組みがどうして国としてもっと進められないのか。いかがですか。
#58
○政府委員(城戸謙次君) いま御指摘の問題につきましては、私ども水俣病に関連いたしまして現地にセンターをつくる、研究あるいは治療の中心となりますセンターをつくる、こういう方向で現在、その準備をされます専門家の委員会をつくるという人選をいたしておる段階でございます。なお御指摘のように、認定等にあたりまして十分なる検診がなされていない、その能力がないという点につきましては、設備の面、また人的な協力の面、こういう両面で現在一そう強化しますようにやってまいりたいと思っております。
#59
○小平芳平君 では具体的に熊本大学の定員が増加されますか。あるいは保健所なりどこかの定員が増加されますか。
#60
○政府委員(城戸謙次君) これは、定員の問題いま御指摘でございますが、きのうも実は県のほうともいろいろ相談いたしておりまして、どういうぐあいにやればうまくいくか、たとえば審査会の委員が少ないのじゃないかという御意見も中にございますが、きのうの県の検討でありますと、やはり審査会のメンバーというよりも、むしろその前の検診の場合の先生方の協力体制、こういうものに問題があるので、そういうほうから強化していくというほうがいいのじゃないかというような県の御意見でございまして、こういう点を踏まえまして、私ども県と相談しまして、いまのような人的な診断をなさる先生方の協力体制、これをつくりあげていきたいと思っておるわけでございます。
#61
○小平芳平君 そうすると、町のお医者さんをふやせばいいということですか。もっと具体的に、他県にいる者が熊本県へ申請を出すような点とか、あるいは一県一審査会でいいのかどうか、それを二つにふやす必要があると考えるがどうかとか、そういう具体的な要望が出ているでしょう。これについてはいかがですか。
#62
○政府委員(城戸謙次君) 審査会を一県に二つ置くということは、これはいろいろ問題がございますが、そういう問題、あるいは中央でやってもらいたいというような問題、いろいろな問題を含めまして県ともいろいろ相談しているわけでございます。現在公害健康被害の補償法が提案されておりますので、もしその審査会のメンバーなり審査の体制を変えるのであれば、この際のほうがいいというので県にも聞きましたが、審査会のメンバー自身をふやすというような形よりも、むしろその前提となります、各種の検査を行ないますような専門医をできるだけ協力体制をつくっていくほうが先決じゃないか、こういう御意見でございました。もちろん関係の一般の医者だけの診断ということでもまいりませんので、やはりこの問題については専門医の協力ということが必要だと思います。県内だけでなしに、関係県あるいは関係大学、近くの大学から御協力いただけるようになれば一そううまくいくのじゃないかと思いますが、こういう点、いろんな可能性を含めまして県と協議している段階でございます。
#63
○小平芳平君 三木長官、要するにこの認定の問題でいまそういうような問題がある上に、今度は認定機関自体にそういう行き詰まりがきている上に、今度は先ほどの熊本大学の報告とそれから環境庁の健康調査分科会の結論というような点もあわせて、もっと治療法の解明なり、診断基準自体もこれでちゃんといけますか。健康調査分科会のほうと診断基準に対する争いがあるのかないのか。これは城戸局長から一言答弁してください。診断基準はいままでどおりで変わりないとすれば、究明すべき点は国がもっと積極的に、責任をもって治療法の研究をはじめとする研究を進めなくてはならないと思うのですが、いかがですか。
#64
○国務大臣(三木武夫君) まあ水俣病、神経に対する疾患というのは、なかなかなおりにくいことが医学界の常識になっています。そういうことで水俣病もなかなか不治の病のような感じを持っておるわけでありますが、しかし、医学も進歩するわけでありますから、治療方法がないというようなことでは患者も救いのないことであります。したがって、研究治療のセンターを置きたいというので、予算の要求をいたしておるわけでございます。そして水俣市に置きたい。そこへ主として熊本大学の協力を得て、そしてこの水俣病に対する治療、あるいはまた水俣病それ自体に対するいままでわかりにくいような点を解明をする、そのセンターにしたいということでございます。そういうことで水俣病というものが、いま持っておる苦痛を根本的になおらないまでも、その苦痛を軽減できるような治療の方法というものを考えていきたいと考えておるわけでございます。
 それからまた、検診については、これは不知火海沿岸に広範な健康調査をやっておるわけでありますから、その最終的な検診の場合に専門医が足りないことは事実でございます。ここで国立大学とか国立療養所の医者の協力を得て、中央からも協力しよう、そういうことでこの検診の速度を速めたいということをやっておるわけでございます。
 先般の環境庁における健康調査分科会、それは武内教授もその中に加わっておるわけですから、私は正直な感じが、現在の段階では水俣病とはいえないという報告を聞いて、よかったなあと思ったんですよ、実際は。みなやはり水俣病でないという診断を受けるというまでは、本人にとってもたいへんに不安があるわけですからね。したがって、ああいう分科会で結論が出て、患者の人たちにもよかったなあという感じを受けたわけでございまして、そういう現在の段階ですから、これは患者に対しては今後も健康診断というものを継続しまして、そして不安のないようにすることは必要だと思いますけれども、水俣病という疑いが現在の段階で晴れたことを、患者のために非常に私はよかったという感じを受けたわけでございます。
#65
○政府委員(城戸謙次君) ただいまの水銀汚染の調査検討委員会、この中の健康調査の分科会でやりますことでございますが、これは実は健康調査の計画だとか実施だとか、調査結果の解析、こういうことをやってもらうのでございまして、当然健康調査の方法については相当の御論議をいただくわけでございます。
 ただ、御指摘の診断の基準ということでございますが、この点に関しましては、これは一つの臨床医学上の問題でございまして、これをできれば、ある程度基準的なものをまとめ上げたらいいという御指摘は各方面からあるわけでございますが、この段階でこれを何か一つの文章につくり上げるということまでは、現在の段階では考えておりません。ただ、出ました健康調査の結果については当然評価をしていく必要があるわけでございまして、そこには当然水俣病についての臨床的な概念でもって御診断をいただく、かようになろうかと思っております。
#66
○小平芳平君 城戸局長は、すでに大石長官のころの経験があるじゃないですか、疑わしきは救済するという。ですから、いま三木長官がおっしゃるようにそれはそのとおりならば、私たちも派遣委員一同もちろん何よりの喜びですが、はたして最終的結論がそういうことになるのかならないのか、そういう点、なお問題点があるわけでしょう。ですから、私も別にお医者さんでもないし、そういう専門知識がありませんから、専門医がそういう結論だとおっしゃることに対してとやかく申すわけではありません。申すわけではありませんが、将来の問題点というものは十分踏まえて取り組む行政の姿勢が必要だということを申し上げているわけです。
 そこで次に、先ほどの報告にもありましたが、水俣病という病名を変更してほしい、新潟県で起きた病気に水俣病という名前をつける、今度はどこかで起きた病気は第四の水俣病だ、別の県で起きたら第五の水俣病だ、こんなことはおかしいじゃないですか。地元の方々としては、先ほどありましたように、結婚が破談になるとか、下宿を断わられるとか、就職がうまくいかなかったとかいうことが起きているということ、そういう点は十分もう御承知のはずですから、病名変更についてはまた昨年の国会にも請願が出たことでもありますので、どうなりましたか。
#67
○政府委員(城戸謙次君) 病名の問題につきましては、前からいろいろ御意見ございまして、一方では病名を変えてくれという、いま先生の御指摘のような点もございます。ただ他方で、水俣病という名前を変えることについては、水俣病問題の重大さということを背後に隠してしまうということで適当でないという御指摘もあったわけでございます。特に、民事上の紛争を少なくとも解決するまでは、そういうことでは困るという御指摘の方もございました。この点を踏まえまして、今後新しい法律もできることでございますから、政令で病名を指定します段階までに検討してまいりたいと思っております。
#68
○小平芳平君 検討するということはどういうことですか。変更するのですか、しないのですか。
#69
○国務大臣(三木武夫君) 私にも陳情はしばしばあって、水俣の地域の人たちが、いつまでもこう水俣といったら水俣病ということで、いろいろ社会生活にも支障を来たすからという、もっともな点が多いと思うのですが、ただ、この水俣病という一つの病名が国際的な用語にもなっておるわけなんです。そこに、こちらのほうでこれを変えるからということで、水俣病という国際世論にもなっている病名がそんなに簡単になくなっていくかということについては、そこにも問題があるし、また専門家の間にもこれがいろいろ議論があります。
 しかし、その初めは遺伝をしたり伝染病であるというような考え方、こういうことから水俣病の解明というものがなかなかおくれておった時期に、これは水俣地域にはずっともう子孫にわたるまでこういう病気の後遺症が残るのだというような感じもあって、そういう全国民的な理解もまだ足りないと思うのですが、これはセンターをつくって、そうしてこの病気に対しての解明、病気それ自体あるいは治療の方法についても取り組んでいきたいというので、水俣病自体からくるいろいろな誤解というものは自然に解消されていきますが、これは一つの医学上の国際的な用語になっておりますので、ここで気持ちとしては、私はもう水俣の人たちは変えてもらいたいと思うことはもっともだなあと思うのですけれども、そういういろいろ学問上の用語にもなっておりますので、これは専門家ともよく今後相談をいたしまして、そういうことが可能ならば変えたらいいと思うのです。地域の人たちは非常に迷惑をされておるのですが、しかし、そういう簡単にいかない事情も御了察を願って、今後専門家との間にこれは研究をいたしてみたいと思います。
#70
○小平芳平君 私は個人としては、そういう両方の御意見のあることは承知しております。ただ、私たちが現地へ行きまして実際の被害者の方の陳情を受けましたときには、そういうようななまぬるい陳情ではなかったのです。それはもっと実際の委員の方にお聞きいただければわかるのですが、もっと激しいものでした。ですから、長官がまあむずかしい事情があるとおっしゃるが、それならばもう少しああした被害者の方に了解していただけるような、また、これこれしかじかだからということがもう一つ説明がなされないことには、ただむずかしい点があるからというだけでは無理だと思うのです。ですから、私はそんなむずかしいことはあまりないと思うのですが、まあ行政当局の話では。しかし、国際的な問題とかそういうことならば、もっと直接の被害者の方に了解していただけるような方法、措置が必要だと思いますが、いかがですか。
#71
○国務大臣(三木武夫君) 変えることが、いま言ったように水俣病ということで世界的にいま有名になっておるわけでございますから、そういうことで日本だけで変えても、水俣病というのが医学上のことばとして残るということでは意味がないですから。私も地元にそんなに強い要望があるわけですから、変えられたら変えたらいいと思うのですよ。しかし、それはいま医学上の専門的用語になっておりますので、専門家との間にもよく相談をいたしまして、それが変えられて、医学上のそういう用語までも、それがみながそういう新しい病名を使えるようなことが、こういう手続をとればできるんじゃないかということならば、努力をしてみたいと思う。地元の人にもこのむずかしさということは言っておるんですよ。しかし、そういうむずかしさがあっても何とかならぬかというのが地元の人の要望だと思いますので、それはその気持ちはよくわかりますが、少し今後研究をさせていただきたいと思います。
#72
○小平芳平君 局長。
#73
○政府委員(城戸謙次君) 私から特につけ加えることはございません。
#74
○内田善利君 関連。私は別名でもいいから、医学関係でつけられなくても、別名でもいいから別の名前をつけたほうがいいと思います。
 それともう一つは、これだけ五月二十二日以降、政府も行きますし、政府の各省庁も行きますし、また各政党、また各委員会、水俣に行ったわけですが、その後の国の施策、国の対策、そういうものが全然私は感じられないんです。県は総合予算で本年度は水俣病関係予算として十六億三千八百万円、そして六月の補正予算で七億と使っておるわけですが、国は五百万円しか使っていない。この事実からも、私はもう少し国としても対策を講ずべきじゃないか、このように思うわけです。それと、政府はもう少し水俣病に対して政治責任というものを感じて施策を講ずべきじゃないか、このように思うわけです。
 もう一つは、小さい問題になりますけれども、明水園の子供たちが学校に通っておるわけです。非常に苦しい通い方をしておるわけですが、特殊学級をつくってほしいという希望があったわけですが、これに対してはどのような対策を講じられたのか。
 それともう一つは、水俣病治療研究総合センターを設置すると、長官も現地に行かれまして約束をされておるわけですが、これもどのようなめどになっておるのか。これなどは早急に対策を講じ、早く現地の要望をいれてあげるべきであると、このように思います。
 それと、先ほど小平委員からも質問があっておりましたが、認定審査の迅速化ですね。十八県にわたって千五十三名も申請患者がおるわけですが、それに対して、まだ申請をしたい、公害認定のための診断を受けたいという人があっても、現地の医者ではなかなか診断をしてくれないということで、わざわざ東京までやってきた人もある、そういう実情でございます。二カ月に七十名程度では、いまの千五十三名はとうてい消化できない状況にある。今度公害補償法案ができれば十名が十五名の委員になりますけれども、これでもまだ消化されない。そういう実情ではないかと思いますが、これに対しても早急に施策を講じなければならない。国の責任としてどのように感じられておるのか。
 以上感じましたので、関連質問で失礼でございましたが、お願いしたいと思います。
#75
○政府委員(城戸謙次君) ただいまの予算の関係、これはいままでの分でございますので手元に資料ございませんが、たとえば今度の予備費でも健康診断の関係で六千二百万余り。それから健康調査の機器の整備費ですね、四千八百万余りの予算があるわけでございまして、この中の相当部分が熊本県はじめ関係県に行くわけでございまして、現在まで確かに国の支出面で十分でなかった点はございますが、今後は相当責任をもって私どもやれると思っております。もちろんこのほかに、研究費等も相当額水俣の関係では支出されておる、わけでございます。
 それからセンターの関係でございますが、これは先ほど大臣からもお話がございましたように、現在準備を急いでおる段階でございまして、至急にこのための専門家を集めました委員会をつくりまして構想を練ってまいりたいということでございまして、ぜひ来年度から予算ができるようにしていきたいと思っておるわけでございます。
 それから認定等の迅速化の問題でございます。これにつきましては、いまもお話がございましたように委員の数が十五名でいいのかという、これは新しい法律による委員の数でございますこともございますが、この点につきましては、県のほうでも、審査会の委員の数はそれ以上ふやすということではかえって運用上むずかしい問題がある、むしろ専門家によりまして検査の体制を確立しする、こういうことで認定の迅速化をはかっていきたい、こういう御意向でございます。
 それから明水園の問題でございますが、これはまだ実はその後どこまでいっておりますかチェックしておりませんので、後ほど厚生省なり文部省系統のほうと御相談いたしまして先生のほうに御返答申し上げたいと思います。
#76
○内田善利君 病名変更は。
#77
○政府委員(城戸謙次君) 病名につきましては、先ほど来大臣からも御答弁ございましたように、今後の問題として検討いたしたいと思います。
#78
○内田善利君 別名ではだめなんですか。
#79
○政府委員(城戸謙次君) いま別名ではというお話でございますが、いずれにしましても、名前を変えても、むずかしい名前はそれは何だと、これは実は水俣病のことだと、こういうことは当分残ると思います。これはまあやむを得ないと私思うわけでございますが、しかし、私が最初に申し上げましたのは、少なくとも今度は新しい公害健康被害補償法によりまして政令で指定するわけでございますから、その際に政令上の名前だけでも変えられるかどうかという点について検討したいと、こう申し上げておるわけでございます。大臣から、その点と医学上の名前とがちぐはぐになるということについての問題点があるということを御指摘あったわけでございまして、こういう問題、いろいろ可能性があると思いますが、全体的にもう少し勉強してみたいと思っております。
#80
○高山恒雄君 関連。大臣ね、この病名を変えるということは、国際的にも非常に問題だという話も私たちも聞いております。ところが、日本の国内においては、水俣病という病名をつけたために非常にこの地域住民に悲劇が起こっておる。これは、この悲劇は避けなくちゃいけませんよ。いかに医学的に今後発展しようとも、これは国際的なそういう問題はあるにしても、せめて国内だけでもその最善の努力をして、地域住民にこたえてやるという姿勢がなければ私はいかぬと思うのですよ。いろいろな悲劇を聞きました。これはもう一生の問題ですからね。したがって私はお聞きしたいのですが、他に病名を変えたという事例があるようなお話も聞いておるのですが、国際的にそういうことはあるのか、ないのか。あるならひとつお聞かせ願いたい。あるならば、日本政府として努力すべきだと思います。どうですか。
#81
○政府委員(春日斉君) 所管外でございますけれども、たとえば、かつてらい病というのはハンセン氏病というような事例はございます。それからまた日本脳炎という病気がございますが、いかにもこれは日本にだけあるような病気のようでございますが、これは東南アジア全般にある病気でございまして、日本脳炎と名がつくがゆえに日本人がある意味では迷惑しておるのかもしれませんが、そういったものを変えようという動きは、いまのところないわけでございます。
#82
○国務大臣(三木武夫君) 日本脳炎、変わってないの。
#83
○政府委員(春日斉君) 英語で申しますと、ジャパニーズ・B・エンセファライティスと申したのですが、そのBというのは、AがなくなってしまったのでBは必然的に抜こうということで、現在では英語ではジャパニーズ・エンセファライティスと、こうなっておりまして、やはり日本脳炎は日本脳炎ということになっております。まあ、あまり御参考になりませんけれども、絶対に変えられないことはないにいたしましても、一方では学問的な問題でございますので、この点は非常に慎重かつむずかしい問題ではなかろうかと思います。
#84
○小平芳平君 高山委員から指摘されましたように、長官、悲劇は避けるべきだ。その努力がなされないことには何のための政治かということになるということは、よくひとつ基本姿勢として持っていただきたい。
 それからもう一つ漁業者、鮮魚商ですね、それから関連の観光業者に対する補償ですね、融資。これも天災融資法に準ずる措置をとるんだというふうなことは再三答弁されておりますが、現状どうなっておりますか。
#85
○説明員(松下友成君) 漁業者に対する融資補償の点でございますけれども、去る七月二十四日閣議決定をいただきまして、その線に沿いまして水産庁としては、現在各県に融資に関します具体的な細目につきまして連絡をしてございます。関係二十県でございますが、まだ県のほうでは具体的な措置をとっておらないというふうに聞いておるわけでございます。
#86
○小平芳平君 お金は県までいきましたか。あるいは漁業者までいきましたか。それはまたいついくのですか。
#87
○説明員(松下友成君) 県のほうに早急にそういう措置をとるように指導しておるところでございます。現在まだ県のほうでそういう措置をとっておらないというふうに聞いておるわけでございます。ただし、国のほうといたしましてはいつでもとれるような状態になっております。県のほうにすみやかにそういう措置をとっていただくように、いま水産庁といたしましても要請しておるわけでございます。
#88
○小平芳平君 それは非常に手ぬるいことであって、一つも漁民のきびしい実情を承知をしておられないのじゃないかとさえ、こっちは考えたくなる。実際上この融資措置は、水産庁からいただいた資料によると、利子補給のこと、あるいは返済のこと、結論として原因者が明確になったときは当然原因者負担となるのであって、形は融資であっても実際上は利子も元金も返す必要のないお金だと、こういうふうに了解してよろしいですか。
#89
○説明員(松下友成君) そのとおりでございます。
 なお補足いたしますと、県のほうでもいろいろ被害の区域の認定、そういった点でいろいろ御検討なさっているのじゃないか。そのために若干時間がかかっておるのじゃないかというふうに思うわけでございます。
#90
○小平芳平君 三木長官、先ほど別の問題で、実力行使のような事態の起きるのは好ましいことでない、そういく前に打つべき手があるはずだという答弁をなさっておられましたが、こうした漁民も各地で企業に押しかける、港を封鎖するということが起きているわけです。先ほど出たお話の中でも、チッソの問題は、補償問題が知事のあっせんでどうこうというようなお話が出ておりました。やはり国の対応策がおくれるというところにきわめて大きな原因があり問題がある。それは直接漁業補償に三木長官が介入していくわけじゃないかもしれませんが、もっと政府の姿勢、迅速な姿勢というものが必要だ、こういうふうに思います。いかがですか。
#91
○国務大臣(三木武夫君) 小平委員の言われるとおりだと思います。私も金はとつくの昔に――いま県として漁業者のいろいろ調査をしなければならぬでしょう。しかし、渡るものは渡っているというふうに私も感じておったわけですが、これは今後督促をいたしまして、やはり困っておる人たちが多いわけですから、これはいますぐに迅速な措置をしなければ、それだけの政府が措置をとったことが末端にその施策は届いていかないわけですから、その地域の人たちには、そういう非常事態とも言うべき事態ですから、今後もう少し政府のきめたことが迅速に行なわれるように私どもも注意をいたします。
#92
○小平芳平君 よく伝えてください、三木長官の言われたことを。
 それから総額どのくらい用意しているんですか。
#93
○説明員(松下友成君) 総額、漁業者に対しまして三百二十億円を予定しております。
 なお、ちょっと補足させていただきますと、原因者が明確になったときは当然原因者負担、元本金利とも原因者負担でということになっておるということでございますが、若干舌足らずの点がありますので補足させていただきます……。
#94
○小平芳平君 原因者負担でいいわけでしょう、元本金利とも。
 そこで三百二十億というお話は、当時二百五十億のつなぎ融資ということが伝えられていたわけですが、漁民の率直な感じとして、これはけた違いじゃないか、二百五十億とか三百二十億というのではゼロが一つなり二つなり、けたが違っていやしないかという率直な感じを漁民は受けておりましたが、そういう点については、総ワク三百二十億というものはどういう性格のものですか。
#95
○説明員(松下友成君) この数字につきましては、県のほうに照会いたしまして県のほうの実情調査の報告をいただきまして、それに基づきまして算定いたしまして、集計した結果が三百二十億ということになった次第でございます。
#96
○小平芳平君 ですから、もっとふえたらふえるんですね。
#97
○説明員(松下友成君) 県のほうのいろいろ事情その他を伺いまして、大体三百二十億円であれば関係二十県に、それぞれ配分額が異なりますけれども、県のほうに大体この点で御了承いただけるというふうに私どもは考えているわけでございます。
#98
○小平芳平君 ですから、それでおさまればそれでいいし、今後また新しい補償問題が起きてきたら追加していくわけでしょう。ある時点のことを言っているんでしょう、いまは。
#99
○国務大臣(三木武夫君) いまの点は、水産庁としては県と相談をして、一応のワクは、資金繰りもありますからきめなければならぬですが、当然に漁業者の補償問題が片づくまでのつなぎ資金として救済の意味を持つわけでありますから、必要に応じてその金額は増加していくことは当然でございます。
#100
○小平芳平君 どうも三木長官にお尋ねしたほうがよさそうで、三木長官、漁業者以外の関連業者ですね、熊本県の場合は観光地のいろいろな業者の陳情がありましたが、そういう点についてはどのような御検討をされておられますか。いかがですか。
#101
○国務大臣(三木武夫君) 熊本県の場合は、たとえば漁業の取り扱い業者、加工業者、熊本県は観光業者、観光旅館などこれも加えまして、そうして低利な資金を供給するということになっておるわけでございます。漁業関連産業に対して低利資金を融資するということになっておるわけでございます。
#102
○小平芳平君 では、水俣病のことについてはまだ数多くの問題点がありますが、きょうはこのくらいにいたしまして、別の問題で通産省に伺いますが、休廃鉱につきまして、私たちは各委員会で休廃止鉱山による鉱毒被害についての各地の問題点を取り上げて、そうして政府が対策を強力に進めるべきだということできたわけですが、国が三分の二、県が二分の一、そういうようなことで防止工事をやるということから一歩も進んでいないわけですか、いかがですか。
#103
○説明員(江口裕通君) 休廃止鉱山対策につきましては、御指摘のように、たびたび御審議をいただきまして御検討をいただいたところでございますが、それに関連いたしまして、先般、金属鉱業等鉱害対策特別措置法というものが制定されまして施行されておるわけでございますが、この法律は、鉱害防止義務を有する採掘権者または租鉱権者という者に対する措置でございます。休止しておる場合は別といしまして、廃止鉱山、すなわち鉱業権を持っておりません、鉱業権のなくなっておりますところについての措置というものは、この法律の対象外ということに相なっております。したがって、休止鉱山の場合についてはこの新法が適用されるということになるわけでございます。
 それからなお、従来、休廃止鉱山対策につきましては休廃止鉱山鉱害防止補助金――これも御高承のとおりでございますが――というものが県に対して補助金として出されております。予算額は、四十七年度におきましては約二億三千万円程度でございますが、四十八年度におきましては七億という数字を計上いたしております。まあ金額的にはかなり充実いたしてまいったというふうに考えております。
#104
○小平芳平君 そういうふうに全然進んでないじゃだめなんですよ。この新しい法律では積み立て制度をとるわけでしょう。それも保険制度になっているわけでなくて、将来被害が起きたときの積み立てをその企業がしておくというわけでしょう。
 私が具体的にきのうそちらへ申しました点を明らかにしていただきたいと思いますのは、岩手県の松尾鉱山、それから静岡県南伊豆町の一条川、青野川の両流域のカドミウムあるいは銅による汚染、こういうものはどこが資金を出して鉱毒防止をやりますか。
#105
○説明員(江口裕通君) まず御指摘の松尾鉱山でございますが、松尾鉱山につきましては、これは日本屈指の硫黄鉱山でございましたことは御承知のとおりでございますが、四十七年以来会社がつぶれておりまして、現在鉱業権はないわけでございます。ただ、しかしながら、この松尾鉱山につきましては、政府といたしましても環境庁を中心といたします北上川清流化対策関係各省連絡会というものがございまして、その中で総合対策の一環として対策が講ぜられておるということに相なっております。さらに現地におきましても、地元の関係機関で構成されております北上川水系水質汚濁対策連絡協議会というものがございまして、ここで鉱害対策が講ぜられておるわけでございます。
 具体的にどういうことをやっておるかといろことを申しますと、それに対しましては、一応通産省のほうからは先ほど申しました補助金というのを県のほうに支出いたしまして、岩手県の事業として各種の排水工事あるいは覆土工事というものが行なわれております。それからさらに、河川管理者という立場から建設省にもお願いいたしまして、建設省のほうでいわゆる炭酸カルシウム等を投下いたしまして、中和作業、中和工事というものがはかられております。大体そういう状況でございます。
#106
○小平芳平君 南伊豆町は。
#107
○説明員(江口裕通君) 失礼いたしました。
 南伊豆につきましては、たいへん恐縮でございますけれども、地点がややさだかではないわけでございます。一応御指摘の点から私どもでいろいろ考えて推定させていただきますと、一条川とそれから青野川の流域というこの両河川の流域に、現在厳密に申しますと五鉱山があるというふうに了解しております。名前を申しますと、小松野鉱山、それから南中、奥山、青野、それからもう一つ一条鉱山という、この五鉱山というふうに了解しておるわけでございますが、この大部分は現在休廃止になっております。それの関係かどうかはさだかにはわかりませんが、若干土壌汚染等の事例があるのではないかというふうに聞いております。
 この点につきましては、現在まで調査をいたしましたところにおいては、そういう数字は必ずしも出ておりません。保安監督部のほうで去年の二月、それから去年の七月、それからことしの七月、三回にわたりまして排水等の調査を行なっておりますが、これによりますところでは、いまのところ基準値を上回るようなデータは出ておらないということでございます。
#108
○小平芳平君 そんなのんきなことを言っていてどうなんですか、一体。この一条川流域では二十五ヘクタールの土地が全然たんぼをつくってないじゃないですか、現状は。行って見てごらんなさい。全然たんぼつくってないんですよ。ただ荒れ地にしているんですよ、二十五ヘクタール。それからもう一つの青野川流域のほうは、高濃度の銅汚染が出たというところから、河川改修も含めて合計九十ヘクタールという農地をつぶそうということで事業を起こそうとしているじゃないですか。しているんです。ですから、この点は通産大臣のいるときにもっとはっきりといたしますが、また土壌汚染の関係の各官庁の意見も尋ねますから、ひとつ関係官庁は調べておいていただきたい。
 それから一言だけ通産省に。こうした五つの鉱山が山奥にあった。いまは鉱業権者もない。あるいは松尾鉱山はもうすでに閉鎖になった。そうした鉱山は大体国が、特に通産省が許可をしたり監督したりしてたわけなんだ、鉱毒だけを地元へ押しつけるというのはおかしいじゃないかということは、各県の要望にも再三出てきていることだし、私たちも声を大にしてもう再三各委員会で言っていることですが、それは御存じですか。そういう意見のあることをあなたは御存じですか。
#109
○説明員(江口裕通君) 存じております。
#110
○小平芳平君 知っていたら、ちゃんとそれに基づいて対策を立ててほしいと言っているわけです。
 それからもう一つ。もう時間がきてしまいましたから、労働省に。
 山形県の米沢市でジークライト化学礪業というのがある。ここではじん肺病がきわめて多発している。監督署の調査によれば、従業員が現在七百四十九名、管理区分二の人が四十七名、管理区分三の人が五十一名、管理区分四の人が三十二名、百三十名のじん肺患者が発生している。三十七年以降約十年の間に十二名の死亡者が発生した。なおかつ退職者数十名の追跡調査がなされておらない。こういう現状ですか。
#111
○政府委員(中西正雄君) 大体そのようでございます。
#112
○小平芳平君 こういうことは異常発生と思いませんか。
#113
○政府委員(中西正雄君) 発生率としましては、全体の労働者数から見ますと非常に高い率であるというふうに思います。
#114
○小平芳平君 そういうふうに高い地域を労働省はわかっていて、どういう処置をとったか。つまり環境調査が私は問題だと思っていまこの委員会で申し上げているわけですが、まず、労働省はどういう処置をとられたか。環境庁はどういう環境調査をやられたか。以上二点について。
#115
○政府委員(中西正雄君) この工場に対する監督指導といたしましては、昭和三十八年にこの事業場を衛生管理特別事業場に指定をいたしまして、局所排気装置の設置とか、あるいは健康診断の実施、さらに防じんマスクの使用等につきまして、継続的な指導を実施をいたしました。その結果、順次局所排気装置等が設置されまして、作業環境が従前に比べますと相当程度改善されたのでございます。その後、昨年までに粉じん対策に関しまして四回の監督指導を実施いたしております。本年は、七月九日と八月二十三日の二回にわたりまして局署合同の監督指導を実施いたしまして、その結果、衛生管理体制の確立、あるいは衛生委員会の効果的な運営、さらに局所排気装置の点検制度の確立等々につきまして指示をいたしました。その結果、同工場では作業環境の総合的な改善につきまして検討する模様でございますので、当局としましては、今後その実施について強力に指導してまいりたい、このように考えております。
#116
○小平芳平君 環境庁。
#117
○政府委員(岡安誠君) いま板谷鉱山のお話だというふうに伺ったのでございますけれども、これは休廃止鉱山でもございませんので、実は私のほうでは調査はいたしておりません。
#118
○小平芳平君 いやそういう趣旨ではなくて――じゃあ、きょうはこれで質問を終わりますが、いいですか、ある職場があるわけです。しかもこのジークライトという職場は住居地のまん中にあるわけです。しかも谷間にあるわけです。その職場においてそういうようなじん肺が異常発生したということは、その環境が問題じゃないか。で、環境が問題だというところから、市なり県が環境、住民の健康調査をやっているんです。ですから、休廃止鉱とは関係ない問題です。
 私が結論として申し上げたいことは、労働省がそういうことがわかっていたら、もっと市なり県なり環境庁なり厚生省なりに労働省が連絡をとるべきだということを言いたかったわけです。それだけの、職場においてこういうものが発生しているということを市が全然知らないで、びっくりして健康調査をやっているような状態ですから。その点、労働省よろしいですか。
#119
○政府委員(中西正雄君) 結果的に見ますと、まさに先生のおっしゃるとおりでございます。当然、そういう状況を関係機関に連絡すべきであったというふうに考えます。どうしてそういう連絡が行なわれなかったかというような点につきまして考えてみますと、労働省としましては、数年来、鉱害問題の重要性にかんがみまして、労働災害の防止対策を通じまして鉱害の防止にも積極的に寄与したいということで行政を進めているわけでございますが、それ以前におきましては、直接の所管ではありません鉱害問題についてはそれほど深い関心がなかったということは事実でございますし、また板谷地区の場合に、はたして屋外に飛散されている粉じん濃度からして、それが一般住民に被害を与える濃度であるかというようなことについても、現地としてはおそらく心配がないというふうに判断していた。その結果が関係機関に連絡をしなかったということになったんだろうというふうに考えられます。
#120
○政府委員(加倉井駿一君) 私のほうの情報といたしまして、板谷地区にけい肺患者が多発しているという情報のもとに、山形県の衛生部が板谷地区の住民検診を実施いたしております。大体板谷地区の住民の方々の総数千百名でございますが、そのうち二百五十一名につきまして結核検診の一環といたしまして住民検診をいたしました。その結果、有所見者が三名発見されております。そのうち一名の方はすでに昨年けい肺のために山形の労災病院に入院されておりますが、残りの二人の方をけい肺の疑いということで調査いたしました結果、この二人の方は昭和三十二年あるいは三十三年から同鉱山に勤務をされておりまして、現在一応けい肺ということで地方じん肺診査医の診定のもとに、米沢の労働基準監督署で補償法の適用の有無につきまして検討中でございます。したがいまして、いま御指摘の問題につきましては、住民につきましてはかなりの高率におきまして健康診断を実施いたしました結果、鉱山と関係のある方三名につきまして有所見者ということの発見がございました。その他の住民の方にはけい肺がないという結果が出ております。そういう連絡を受けております。
#121
○内田善利君 私は、きょうは原子力開発の問題について質問したいと思いますが、先ほどの杉原委員への答弁の中には、環境に被害を及ぼした経験はないということなんですけれども、ところが報道は、原子力発電所の事故を何回となく伝えております。そういった中で、国民は、はたして原子力発電は安全なのかどうか、安全であるという保障はあるのかどうかと。私は、安全であるということであれば何も開発に反対するというようなことはないんじゃないか、このように思うわけです。その安全であるという保障の問題、それから、もし安全であるとはいえないということであるならば、どうしてこんなに原子力発電所を次から次へと建設を急いでおるのか。昨日の新聞によりますと、閣議で田中総理は強力に推し進めるという発言をしておられますが、はたしてそういう姿勢で国民は納得するのかどうか。私がきのうの新聞を読む限りでは、これでは国民は納得しないなと、そのように思ったわけですが、まだ含みがあれば、閣議に出ていられた副総理の三木長官にお伺いしたいと思います。
 こういった問題を中心にして私は質問を進めていきたいと思いますが、まず最初に科学技術庁にお聞きしますけれども、原子力発電所は絶対に安全であると言えるかどうか、まずお聞きしたいと思います。
#122
○説明員(伊原義徳君) 原子力発電所の安全性につきましては、二つの点からこれを見るわけでございますが、一つは、まず平常運転をいたしておりますときに環境への影響がどうであるか、いま一つは、万々一の事故というものは起こるか起こらないか、それによって環境に影響があるかどうか、こういう二つの観点があるかと思います。
 まず、そのあとのほうでございますが、重大な事故が起きるかどうかということにつきましては、これは当然、原子炉製作者及び設置者のほうでそういう事故が起こらないという設備をつくるわけでございますが、政府の側といたしましては、その安全性の審査というものに万全を期しまして、原子力委員会のもとに原子炉安全専門審査会という組織を設けまして、一方、通商産業省では原子力発電技術顧問会というものを設けまして、その両者におきましてこの安全性の審査、特にそういう重大な事故が起こる可能性が絶対ないようにという審査をいたしておるわけでございます。そういう審査をいたしまして、その結果、絶対にそういう重大な事故が起こらない、あるいは万々一起こっても周辺に与える影響は十分少ないという判定をいたしまして、その結果初めて設置が許可をされるわけでございます。なお、設置の許可に引き続きまして、設計、工事方法、そういったものを十分チェックいたしますし、また検査も十分いたしておりますので、そういう観点からそういう重大な事故はまず起こらないということで、科学技術庁と通産省とで協力して十分にこの安全性を監督いたしております。
 いま一つの、平常運転時に周辺に与える影響はどうであるかということでありますが、これは原子力発電の特色といたしまして、発電の結果、発電所の中に放射性物質がたくさん生じてまいります。こういう放射性物質は厳にその原子炉装置の中に閉じ込めておくという設計になっておりますので、環境すなわち大気中あるいは水の中に出てくる放射能というものは実際上無視し得る程度である。
 さらに具体的に申し上げますと、放射線の人体に対する影響につきましては、国際放射線防護学会が世界的にこの問題を検討しております。ICRPと略称しておりますが、この委員会の勧告がありまして、この値以下であるならばまず人体への影響は無視できるであろうという値がございます。この勧告を日本政府でも十分検討し、かつ尊重した上でその許容基準を法制化いたしております。この数字はいろいろございますが、簡単に申しますと、周辺の公衆に対して一年間に五〇〇ミリレムという数字をこえないという数字がございます。それに対しまして、現在の原子力発電所がどの程度の放射性物質を周辺に出しておるかと申しますと、発電所の周辺に周辺監視区域というものが設けられておりまして、そこで常時放射能の測定をいたしておりますが、その値で申しますと、大体先ほどの五〇〇ミリレムに対しまして二けた以上少ない放射能しか大気中並びに水の中に放出されておらないというのが、大体いままでの実績でございます。
 なお今後とも、この放射能をできるだけ環境に漏らさないという基本的な考え方をもとにいたしまして、強力に事業者を指導いたしておりますので、今後とも平常運転における放射能の環境への放出はきわめて少なく押え得るものと確信いたしております。
#123
○内田善利君 まあ平常運転時は影響はない、特に出てくる放射能は無視し得る、五〇〇ミリレムの二けた以上少ないということですが、やはり出てくる放射能はないわけでは私はないと思うんですね。やはり環境に放射能は出てくる。無視し得るということが問題であろうかと思いますが、これが微量であっても、周辺地域は人体に長期間被曝するわけですから、その間の影響はないという証拠はあるのかどうか。
 それと、事故が起こった場合に環境に与える影響はないのかどうか。いままで、ことし、去年だけでも相当事故が、あとでお聞きしますけれども、起こっておるわけですが、そういった事故が何回も何回も出ておる。それが、いままでは環境に与える被害はなかったかもしれないけれども、今後絶対にないという保証をお聞きしたいと思います。
#124
○説明員(伊原義徳君) 先ほどの、たとえ微量であっても放射能が外に出れば影響があるのではないかという御質問につきましては、実は御承知のように、現在この地球上には自然放射能というものがございまして、大体私ども、これは場所によっても違うわけでございますけれども、毎年一〇〇ミリレム程度の放射能は受けておるわけでございます。これは原子力の開発を行なう以前から、ずっと昔から放射能に人類はさらされておるわけでございまして、一つには地下の鉱物資源から出てくるもの、一つには宇宙線から出てくるもの、あるいは一つには食べものを摂取いたしますその食べものから人体に、人間のからだの中自身に放射能を持っている、そういったものを合計いたしますと、場所によって違いますが、一〇〇ミリレム程度、たとえば関東地区では七、八〇ミリレム、それからたとえば関西のほうにまいりますと、特に花こう岩地帯では一三〇ミリレム、それから米国のデンバーあたりでは三〇〇ミリレムから四〇〇ミリレム、さらにインドのケララ州では二〇〇〇ミリレムというふうな高い自然放射能の地域もございます。こういう自然放射能の差が、はたして人類にどの程度影響を与えておるものであろうかということにつきまして、わが国はもちろん、世界的にもその研究を進めておりますが、いままでのところはその自然放射能の差による有意の差というものは認められていないということでございます。
 で、自然放射能というのはそれだけばらつくのに対して、原子力施設から出てまいります放射能は、その自然放射能のばらつきよりもずっと少ない率でしかふえないわけでございます。したがいまして、私どもの持っております現在の知識では、自然放射能のばらつきよりもずっと少ない放射能の放出であるので、専門の方々も、無視し得る程度と、こういう御認識であるわけでございます。
 それから事故があった場合の御質問でございますが、たびたび原子力施設で事故がある。これは新聞で報道せられておりますけれども、この事故と申しますのが、実は原子力施設が安全側にいくための機械の動作、たとえば先ほども御説明申し上げましたが、昨日の美浜の二号機の事故と申しますのは、系統の中にふぐあいがあったときにすぐさま原子炉をとめる、原子炉が自動的にとまる、これが事故として報道せられておるわけでございますので、ほかの事故につきましても、事故と申しますのが、原子力施設が安全側にとまるということで起きておるものが大部分である、こう御理解いただければと思います。
 なお、理論的には非常に重大な事故は起こり得るであろうということで、先ほど申し上げました安全専門審査会で斯界の御専門の方々に十分の御検討をいただいておりまして、全く技術的には起こることが想像できない、そういうふうな事故についての解析までもいたしております。その場合でも、周辺の公衆に重大な影響を及ぼさないということを見きわめました上で設置が許可されている次第でございます。
#125
○内田善利君 この事故があった場合、自動的にとまったきのうの美浜の例は別として、その前にも六月の二十五日には東電の福島原子力発電所で、これは貯蔵庫から屋外へ出ているわけですね。これは基準の百倍の濃度だったということなんですけれども、こういうことはあまり答弁の中には入ってこないように思いますけれども、こういった事故が何回も何回も起これは、やはり国民は不安になるわけです。そして今度は、地元にそういう発電所ができてくるということになれば、いよいよ地元の方々は不安になるわけですね。私たちでも、一体原子力発電所は安全なのかな、どうなんだろうという疑問を持っているわけですが、まして、いまから発電所ができるという地域の住民は非常に不安に思うわけですね。そういった不安に対して、どうやってそれの安全性の保証、これを言っていくかということですね。いままで全然事故がなければ、昭和二十八年、平和利用ということからアメリカから日本が特許を買ってきて始めたときから事故がなければ、私たちはこれも安心するし、地域住民の方も安心して受け入れると思うのですけれども、このように事故が多ければ、安全だ安全だと言われても、安全ではないじゃないかという不安が起こってくるわけですね。
 ちなみに、昭和四十七年の事故をおっしゃっていただきたいと思うのです。
#126
○説明員(伊原義徳君) 先ほどの先生の御意見まことにごもっともでございますが、先ほどの御指摘の東京電力の福島の事故でございますか、これにつきましては確かに放射性物質が建物の外に漏れたわけでございますが、これは広大な敷地の中の建物でございまして、そこは一般公衆が近づくところではございませんで、むしろ従業者に対しての影響がどうかということが問題になってくる区域かと思われます。
 事故の人体への影響は、従業者に対しての被曝、それから一般公衆に対しての被曝、この二つに分けて御説明したほうがわかりやすいかと思いますが、従業者は放射能をどれだけ受けたかということが毎日毎日記録にとどめられておりまして、非常に精密な規制のもとに記録がとどめられておりますので、従業者としてどれだけの被曝があったかということが常にわかるようになっております。もし非常に多くの放射線を受けたような場合には配置がえをするということになっておりまして、必要以上の放射線を受けないという管理がなされております。
 ちなみに、東京電力の福島発電所の放射性廃液漏洩事故につきましては、従業員に被曝はございませんでした。幸いなことにございませんでした。このような状況でございますので、従業員に対しての被曝も、いままでの事故で非常に大量の被曝を受けたということはございませんし、まして一般公衆にそういう被曝を与えたということはございません。
 しかしながら、先生御指摘のように、一方、周辺の住民の方に不安があるというのは、これは事実でございます。これは私どももその事実は十分考えまして、周辺の皆さま方に、原子力施設というものの安全性というものを従来ともいろいろ御説明をしてまいりましたし、今後ともさらに十分御説明を申し上げる。たとえばその一つとして、公聴会を開いて地元の方々のなまの御意見を十分お聞きしたい、こういうふうなことも原子力委員会としては考えております。御指摘のように、事故が多いということで不安を与えておるという事実を踏まえまして、これはその周辺に影響が出てはおりませんけれども、影響を受けるのではないかというおそれを地域住民の方々が持っておられることも事実でございますので、その辺は十分今後とも御説明を申し上げ、御理解をいただくことに努力をしてまいり、かつ原子力施設者に対する監督もさらに十分強化してまいりたいと思っております。
#127
○内田善利君 幸いに作業員に対する影響はなかったということですが、中レベルの廃液は放射能も強いのだし、これも国際原子力機関が、中レベル以上の廃液を環境中に放出するのは危険である、このように報告しているわけですが、こういった中レベル廃液は、廃液貯蔵庫の地下に埋蔵しておるその貯蔵タンクに永久保管するというふうになっている危険な廃液なんですが、これがやはり外へ出た。これがもし従業員に被曝をしておればたいへんなことだと思うのですね。幸いに従業員には被曝はなかったということですからいいですけれども、こういったことがたび重なって起こってくることは危険だと思うのですね。また、そういう被曝をした従業員は配置転換をしていくというようなことですけれども、レントゲン写真を写しているお医者さんがやはり放射能による被害を受けておられる。そういう事実から、ほんとうに安全であるという保証は私はないと思うのです。
 そういうことから国民も非常に不安に思っているわけですが、そういうときに、きのうの閣議では田中総理が、そのまま読みますけれども、「反対運動は、国民の多数の意思かどうか疑問である。こうした反対運動の実態を十分見極めたうえ、やらなくてはならないことは、決断すべきだ」と、このように言っておられるわけですが、こういった住民が不安に思って建設に対して反対運動を起こしている、こういう方々に対して権力で押えるような、断固として建設を推進するんだというようなことでは国民は納得しないんじゃないかと思うのですね。やはり安全性、これを地域住民の方々に納得させていかなきゃならない、このように思うのですけれども、きのうの閣議の田中首相の発言は、反対運動は、国民の反対の多数の意見かどうか疑問だと、こういった趣旨の発言があったわけです。三木副総理にお伺いしたいのですけれども、これはやはりこういった姿勢ではなくて、先ほど言いましたように、何が何でも建設するという行き方じゃなくて、やはり安全なんだ、そしてこういうことで電力が要るんだというような説明がほしいと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
#128
○国務大臣(三木武夫君) 閣議でそういう発言があったことは事実でありますが、これはいまの日本のエネルギー源というものは石油にたよっておるわけですが、石油の資源も限界がありますし、いつまでも無制限に日本が世界の石油の大部分を輸入していくことは不可能でありますから、原子力というものの、原子力発電に日本のエネルギー源が相当ウエートを置いておかなければならぬということはだれの目にも明らかです。それが、原子力発電というものはなかなか遅々として進まない、だからこれを促進するように努力をしてもらいたいという趣旨の発言が科学技術庁長官に向かってあったことは事実でありますが、それは何でも権力主義的に原子力発電を進めていけというようなことは今日の時代でできることでもありませんし、安全性の確認ということを踏まえて、そして原子力発電の促進をはかれというのが趣旨でございまして、安全というようなことは第二義的にして、原子力発電の建設を促進するようにというような指示を、そういうむちゃな指示を総理大臣ができるわけではないわけでございまして、いま言ったような趣旨によるものでございます。
#129
○内田善利君 多数の意見かどうか疑問だ、やはり推進すべきだということなんですが、石炭エネルギーから石油エネルギー、そして石油エネルギーから原子力エネルギーと、これは私はよくわかるわけですけれども、石油資源もあと三十数年と言われておる現状でございますが、やはりまだ三十数年は石油資源もあるのだし、非常に原子力発電建設を急ぎ過ぎておるのじゃないか、特に経済開発という、日本列島改造論というようなことから、非常に原子力開発を急ぐあまり、人間優先、健康優先ということがおくれているのじゃないか、きのうの発言からそういう姿勢を私は感ずるわけです。
 現在、経済開発という、電気がとまってもいいかということばがありますけれども、私は人間に危害を与えるよりは電気がとまったほうがいいと、これは私の私見ですけれども。と申しますのは、現在の電力の使い方は家庭電気はごくわずかなんですね。民生用は外国に比べましても、アメリカが三四・六%、イギリスが三九・五%、西ドイツが三四・五%、フランスが三二・三%、そういう実情です。日本は二〇・〇が家庭用の電気を使っているわけですが、鉱工業用経済開発のための電気は日本は五五・四%と、これは昭和三十八年度ですが、順を追ってまいりましても、そんなにパーセントは変わらない。そういう実情で、アメリカでも三一・〇、イギリスでは三六・一と、こういう状況でございます。
 だから、どうしても原子力開発を急ぐということであれば、こういった鉱工業用経済開発のために急いでいるのじゃないか、このように思うわけですね。昭和四十六年度では主要家庭電気器具の普及率は冷蔵庫で九五・七%、テレビで九七・九%、こたつで九二・七%、洗濯機で九三・八%、扇風機は一二二・六%というふうに、もう普及率はほとんど高くなって、そういった電気を家庭で必要とするということはもう頂点にきておる、あとはやはり開発用に使う必要で開発が行なわれているのじゃないか、そのための原子力発電を必要とするというのではないかと、このように思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。通産省もあわせてお聞かせ願いたいと思います。
#130
○説明員(井上力君) ちょっと資料が手持ちでございませんので、補整的に御説明させていただきますが、先生のおっしゃいましたいわゆる家庭用の電力が日本の場合に非常に少ないというお話でございますが、これは各国で料金の種別のつくり方、あるいは統計のとり方というのが違っておりまして、日本の場合でも、いわゆる民生用というふうに考えますと、おそらく四割何分というようなことになろうかと思います。
 それからもう一つの点でございますが、家庭用の電力の伸びというものはむしろ工業用を上回る程度の伸びを示しておりまして、家庭用の電気器具の普及率、いま先生のおっしゃいました程度の、これらのものが次第に大型化していく、あるいはたとえばクーラー等の非常に大電力を食います家庭用の器具が普及していく、こういうような状況でございまして、最近いわゆる省エネルギーというようなことで電気の合理的な使用というようなことを進めておりますけれども、やはり生活水準の向上をはかるためには、どうしても電気の使用というのは押えつつもやはりふえていくということでございまして、新しいそういった省エネルギー政策の展開によりまして何がしかは押えられるかとは思いますけれども、全体的にいいますと、世界的に電力の需用というのはほかのエネルギーに比べましてその伸び率が非常に高いというのが現状でございまして、あながち大工場の電気ばかりで電気が伸びていくのではないということでございます。
 また、こういった工場でつくられます品物も、つくられた暁には道路の工事あるいは橋梁の工事等に使われます鉄鋼だとか、あるいは家庭用のアルミサッシのアルミだとか、そういったところに回ってくる品物を鉄工所がつくっているということが多いわけでございまして、やはり経済といいますか、国民生活の水準の向上をはかっていくということのためには、省エネルギー化ということはもちろん進める必要はございますけれども、電力という形で使われますエネルギーは、かなりの増加率をもって伸びていくというのが実情ではないかというふうに想定されておる次第でございます。
#131
○内田善利君 いま私は家庭用と言いましたが、民生用を言ったわけですから。家庭用とわざとわかりやすいように、二〇%、昭和三十八年度でですね。そうして昭和四十六年度の現状をいま言ったわけです。これは民生用ということで申し上げたわけです。そして伸び率ですけれども、伸び率は昭和四十六年度で頭打ちになるのではないかということを言ったわけですね。
 それと、伸び率は昭和四十六年度で、間違いはないと思うんですが、総需要が一二%、民生用が一〇・四%、大口電力が一二・三%、そういうふうに伸び率は大体同じようになっているわけですね。それともう一つ、経済開発という面に重点が置かれているんじゃないかという一つの私の見解としては、家庭電灯用が一キロワット当たり十二円七十五銭、平均値ですね。それに対して大口電力料金が五円八十七銭と、こういったことも一つの私はファクターになっているのじゃないか、このように思うんですが、私が申し上げたいことは、原子力発電にあまり急ぎ過ぎておる、それは経済開発に重点を置いてやっているのじゃないか。電気が確かに必要になってきていることは私も認めますけれども、それを、クーラーとかその辺の家庭生活の需要が多くなったということに名をかりて、経済開発のほうの理由、これを薄くしているんじゃないか、このように思うのです。そういったことで原子力開発の促進が経済開発ということに重点を置いているんじゃないか、こういうことでいま質問しているわけです。
#132
○説明員(井上力君) 先生の御質問がたいへん広い質問でございまして、おそらくは通産省全部あるいは国全部をカバーする政策全部にかかわるような問題のように思いますので、私の立場からはどうも的確にお答えができかねるわけでございまして、私のほうから、エネルギーいわゆる電力担当というほうからの意見ということで申し述べさしていただきたいと思います。
 電力の開発あるいは供給というものを所管しております私どものほうといたしまして、いろいろ考え、あるいはいろいろ作業をし、あるいはいろいろ想定をしということをやりました範囲内では、先ほど私が申し上げましたようなことであるわけでございますが、ちょっとこまかい点で恐縮でございますけれども、私が民生用と申し上げましたのは、いわゆる工場の生産ということでなしに、国民の家庭の中の生活あるいはその周辺の生活と言いますか、そういったようなものを含めて民生用と申し上げたわけでございまして、先生のおっしゃる二割というのは、たぶん料金制度でいきますと電灯用の電力ということだろうと思いまして、そういう点では確かに二割でございます。
 で、いまの産業用重点で電気の需要が非常にふえているんではないか、産業経済活動があまり活発化し過ぎるためにそういうことになっているんじゃないか、こういう御質問のように伺いますが、ちょっとその辺のことに関します意見というのは、私の立場からは申しずらいわけでございますが……。
#133
○内田善利君 三木長官にお伺いしたいと思うのですけれども、この点はどうなんでしょうか。
#134
○国務大臣(三木武夫君) 経済開発の問題でありますが、内田委員の御指摘のように人間の健康を守るか電力をとめるかと、そういうふうに私はものを考えないのでして、そういうことであるならば政治も要らないのじゃないかというようなことで、何かそこの間に一つの、人間の健康を保持しながら産業の発展もしていかなきゃならぬわけでありますから、それを両立させようといって苦労するところに政治というものの役割りがあるのではないかというふうに考えるわけでございます。
 経済開発の問題を、これはストップしていいということにはならぬわけだ。これは人間の進歩、人間の生活、人間の欲求、いろいろ進歩していくわけでありますから、それは経済は発展しなきゃならぬ。むろん経済の発展に対しての速度には問題があります。いまのようなこういう経済成長率というものがずうっと永久に続いていって、GNPが世界で一番なんというようなことは、そういうことは、数字の上ではそうなるかもしれぬけれども、そういうことになれば人間というものは生きておられるかどうか疑問になってくるわけです。人間の生活環境との調和がはかられなければ、経済成長のために生きておるわけじゃないんですから、人間はみな、しあわせになろうという手段として経済成長があるわけですから、経済成長と人間の福祉と、目的と手段を取り違えちゃいけないので、一〇%、一二、三%の経済成長がずっと続いていくというようなことは、これはやはり何らかの社会的な矛盾が起こってくる。計画的に経済成長は下げなければならぬ。資源の問題にしたって、無制限に日本だけが世界の資源を確保できるという保証はありません。
 公害の問題一つをとらえても、これだけでやはり問題が起こっておるわけです。公害というものは累積していくわけです。われわれは、水銀の問題にしても累積された汚染の問題に悩まされておる。これ以上汚染が負荷していって公害対策なんかがはかられるわけはないのでありますから、やはりどうしても、経済開発は必要でありますが、それにも限度がある。その速度に対しては問題がある。経済開発というものを否定するわけにはいかぬわけでありますから、その間に――いま内田委員が御心配になるのは人間の生活環境とのバランスというものを失するのではないか、そのことが健康にも害を与え、あるいは国民生活の安全性というものに対してもおびやかす、そういうことを御心配になるわけでありましょうから、政府としては、そういう経済開発と国民生活の環境、よい環境を保持するということの間のバランスをどうとっていくかということが自民党の政治の勤務評定に私はなると思うのであります。
 そういう点で、問題を健康か開発かと、二者択一みたいに考えるということはわれわれの考え方ではない。やはりそれを両立させたいという、そういう点で今後努力をしていきたい。だから、いまの発言にしても、むちゃくちゃに原子力発電を推し進めるというようなことは、総理大臣の立場としてそういう発想があるべきはずではない。やはりいま言った安全性の確保であるとか、あるいは健康の保持とか、そういう人間の社会生活とのバランスを維持しながら原子力発電を推進せよというのが趣旨であったと私は申し上げておるのであります。そういうふうにこの問題を考えていきたいと思います。
#135
○内田善利君 私も極端な言い方をしたわけですけれども、やはり国民、人間優先という立場から安全確保優先、そういう立場から経済開発はしていくべきじゃないかと、このように思うわけです。国民の健康を害してまで経済開発をするということはこれはいけない、このように思いますからそういった質問をしたわけですが、新聞報道を見まして、どうも田中総理の発言は、何としてでもやるんだ、そういうふうに受け取れる発言でありましたので三木副総理にお聞きしたわけでございますが、この原子力開発がまだ完全に安全だという保証はないわけでございますから、この点、たび重なる事故等も合わせて、この開発には、特に原子力開発には慎重でなければならないと、このように思うわけでございます。
 それから次にこまかい問題に入っていきますが、今回伊方町の住民から田中総理に出された原発設置反対の行政訴訟、これはどういう内容なのか、簡単にお願いしたいと思うのですが。
#136
○説明員(伊原義徳君) 伊方の四国原子力の施設につきまして、行政不服審査法に基づく提訴がことしの一月にございまして、それが一応却下されまして、それに対しまして今度は行政事件訴訟法に基づきまして、総理大臣の設置許可行為について問題があるという趣旨の提訴がなされたと聞いておりますが、まだその訴状を手に入れておりませんので、詳細はまだ不明でございます。詳細が判明いたしました段階で御説明を申し上げたいと思っております。
#137
○内田善利君 私はやはり原子力開発の安全性ということを検討されて、国民にもっと知らしていくべきじゃないか、このように思うのです七ほんとうに安全なのか。それから安全審査の審査体制ですけれども、これはどういう体制になっているのですか。審査委員は三十名で調査員は十五名ということですが、どういう体制になっているのですか。
#138
○説明員(伊原義徳君) 原子力施設、特に原子炉の設置を許可いたす場合には、これは内閣総理大臣が設置を許可いたすことになっております。内閣総理大臣は設置を許可いたします場合に、その許可の基準に適合するかどうか、これは原子炉等規制法という法律がございまして許可の基準というのがございますが、その許可の基準に適合するかどうかにつきまして原子力委員会にこれをはかる、こういうことになっております。
 原子力委員会は、その許可の基準の中でも特に一番重要な問題でございます安全性につきまして、斯界の権威者からなる安全専門審査会というものを設けまして、そちらに安全性について諮問をいたします。その構成は先生御指摘のように三十名でございまして、これは各専門分野の最高の権威者で、しかも中立的な立場におられる方々にお願いをいたしておるわけでございます。なお、審査事項の中の特定の問題につきまして、さらに調査員をお願いして詳細な検討もできるようにいたしております。
 なお、この安全性の問題は通産省のほうの電気事業法でも非常に問題でございますので、同様の安全性のための顧問会というものが設置されて、慎重な審査が行なわれておると理解しております。この安全性の審査につきましては、日本の中でいろいろ安全性の実験などをやって確かめると同時に、世界各国の安全性についての資料、知見も十分収集いたしまして、世界の技術の一番の先端の知識をもって十分に安全の審査をいたしております。
#139
○内田善利君 そういった安全の審査をされているわけですけれども、それにもかかわらず事故があのように起こっているわけですが、この事故の責任はどこが持つわけですか。
#140
○説明員(伊原義徳君) 先生の御指摘の事故の責任ということでございますが、これは事故の種類による点もあるかと思われますが、一義的には設置者、たとえば原子力発電所でございますと事業者、電力会社が責任を持つことになるかと思います。ただし、これは法律に基づく規制、監督が行なわれておるわけでございますから、そういう意味での監督責任というものは当然監督の省庁にございます。
#141
○内田善利君 定期審査が年一回ですか、行なわれているわけですが、この審査基準はあるのですか。
#142
○説明員(井上力君) 定期審査は、通産省におきまして電気事業法という法律に基づいてやっておりまして、これには基準となる技術基準がございます。
#143
○内田善利君 科学技術庁は審査してないのですか。
#144
○説明員(伊原義徳君) 先ほど申し上げました原子炉等規制法の定めによりますと、原子炉の設置の許可は内閣総理大臣がいたしますが、特に発電用の原子炉あるいは船舶用の原子炉につきましては規制法から適用を除外をいたしておりまして、原子力発電所発電炉につきましては、電気事業法のほうにその設計、工事方法の認可、検査などはゆだねておるわけでございます。ただ、規制法では、運転に関しまして保安規定というものを設けることに定めておりまして、この保安規定によりまして運転上の安全性が確保されておるかどうか、これは内閣総理大臣のほうでチェックをいたす、こういうたてまえになっております。
#145
○内田善利君 その現在の技術基準ですけれども、これはいつつくられたのでしょうか。
#146
○説明員(井上力君) ちょっといま正確にはわかりませんが、新しい電気事業法ができましたときでございますので、三十九年か四十年だったと思いますが……。四十年六月十五日付でできておりまして、改正が四十五年九月に行なわれております。
#147
○内田善利君 私はなぜこういうことを聞くかというと、とにかく事故が起こるから、その事故の起こらないように体制ができているのかどうか。技術基準が昭和三十九年につくられて、その後改正を一回やっておるわけですけれども、そういった技術基準が、日進月歩するアメリカの原子力開発、そういったものとマッチして、私は次から次にその技術基準は改正されていくべきじゃないか。そのように思うんですね。事故をなくして国民に安心させるという立場から、基準の改正、これは次から次に技術の日進月歩とマッチしていくべきじゃないか、このように思うから御質問しているわけですけれども、一回しか改正されていないでしょう。
#148
○説明員(井上力君) 失礼いたしました。改正は四十四年八月と四十五年九月の二回行なわれておりまして、それから先生御指摘のように、技術基準につきましては絶えず新しい状況に応じて見直しをし改正していくということが必要なことは申すまでもないわけでございまして、最初に先生に御指摘を受けましたように、最近非常に、人身事故等にはなっておりませんが、事故がいろいろございますので、そういう状況にも見合いまして、現在の技術基準の再検討という作業を省内で進めております。
#149
○内田善利君 時間がまいりましたのですが、あとまだたくさん質問したいと思ってきたのですけれども、この許可申請についても、この許可する場合でも私は通産省に科学技術庁から報告されるときに、環境庁長官も環境汚染という立場からやはりタッチして、許可なされたあとどうやっていくべきかということについて長官もタッチされるべきじゃないか、このように思うのですが、この点はいかがでしょうか。長官にお願いしたいと思います。
#150
○国務大臣(三木武夫君) 原子力発電は環境に対しての影響力を持っていますから、安全性という技術的な問題について環境庁が介入するのはどうかと思いますが、しかしいま、温排水の問題にしてもいろいろな環境に対しての影響力を持ちますから、どうしても全部が全部環境庁の長官と連絡をとらなきやならぬということは現実的ではないと思いますが、環境に与える影響という点においては環境庁との間に連絡をとる必要は私はあると思います。
#151
○内田善利君 最後に、やはり環境汚染という立場から、環境庁も十分環境の汚染が起こらないようにしていただきたいと思いますが、原子力基本法に成果の公開というのがありますけれども、私は、原子力開発についてはもっと国民に公開していただきたい。今度、九月の十八日に公聴会が開かれるようですけれども、十分納得のいく、民主的なといいますか、地元住民が納得のいくような開発ができるように、今度公聴会が開かれるのは非常にいいことだと思います。これはどのような形で開かれるわけですか。一言お聞きしておきたいと思います。
#152
○説明員(伊原義徳君) 御指摘の公聴会につきましては、いろいろな場合に開くことを考えておりまして、たとえば新しい原子炉の型をつくる、新しい炉型が設置される場合、あるいは大規模に集中して設置される場合、それから特に都道府県知事から要請がある場合、こういうふうな場合に開催するということでございまして、今回、九月十八、十九両日に開催いたしますのは、東京電力の福島第二発電所についての公聴会でございまして、これはただいま一号炉について安全審査を行なっておるところでございますが、その安全審査に地元の御意見を反映させるという目的で、安全審査の途中で公聴会を開くことになっております。これは原子力委員会が主催をいたしまして、地元の利害関係人から御意見をお伺いする。福島県にも非常に御協力をいただいておりまして、福島市において開催をいたすことになっております。
#153
○加藤シヅエ君 産業公害についてのいろいろの御質問のあとをうけまして、私は、環境保全並びに自然保護につきまして少し質問いたしたいと思います。ことにその中で、鳥獣の保護、植物に対するいろいろの行政のあり方というようなものについて、わかりませんのでいろいろ教えていただきたいと思いまして伺うわけでございます。
 最初に伺いたいのは、監視員制度というのがあるということを伺っておりますけれども、この監視員制度というものの人員がどのくらいで、構成はどうなって、任務がどうなっておりますか。また、監視員というのはやはり一つの技術者であろうと思います。その技術的な背景というようなものを、どういうふうにして採用なさるのか、それからいろいろの勤務条件、そういうようなことについて伺います。
#154
○政府委員(江間時彦君) お答えいたします。
 自然保護に関係いたします監視制度につきましては、大ざっぱに分けますと、国立公園関係の監視制度と、それから鳥獣保護に関係する監視制度の二つの体系がございまして、まず最初に国立公園内の管理体制でございますが、現在二十六カ所国立公園がございますが、そこに十カ所ほどの国立公園管理事務所というものを設けております。単独駐在の人も別におりまして、現在七十一名のものが配置されております。で、自然保護のための監視、国有財産の管理あるいは利用者の指導、そういうふうな業務をやっております。現在のところまだ十分な人員が得られているとはわれわれのほうは考えておりませんで、これらの増員をはかってまいりたいと思っているわけでございます。このほか、人が非常にたくさん出ます季節におきましては、季節的に臨時に管理員を雇い上げるというようなこともいたしております。以上が、いわゆる国立公園内の監視制度でございます。
 なお、これとの関連で高山植物等の監視がございますが、高山植物の保護ということにつきましては特別にわれわれ監視に力を注いでいるわけでございまして、まあこういう技術的な問題等いろいろなむずかしい問題もございまして、原則として管理員は、大学で林学であるとかあるいは農学であるとかそういうふうな専門教育を受けた人たちがこれに従事いたしております。現在は公務員試験に合格した者の中から採用するということでございます。なお、これと関連いたしまして、国有林につきましては、営林署に担当地区の職員が配置されておりまして、こういう方々とも連携を保ちながら監視に当たっております。
 次に、第二番目の鳥獣保護関係の職員のことでございますが、これは大ざっぱに言いますと三つの系統の職員がおります。
 まず第一は特別司法警察員制度でございまして、これは原則として都道府県の職員でございます。現在、千二百四名ほど設置されておりますが、特別司法警察員として取り締まりに当たっております。第二番目は鳥獣保護員制度でございまして、これは「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」の規定に基づきまして鳥獣事情に詳しい民間の方、現在二千七百五十四名おられますが、こういう人々に対して都道府県知事が鳥獣保護員、これはいわゆる非常勤職員制度なんでございますが、こういう方々に対して委嘱しまして保護管理に当たっていただくということになっております。それから第三番目は、いわゆる国設、国が設けておる鳥獣保護区というものがございますが、ここにも管理員を置いております。これは国設鳥獣保護区というものに対しまして環境庁長官が、民間人、現在百八十二名おられますけれども、鳥獣保護区の保護管理に当たっていただいておるということになっておりまして、これらの方の数もわれわれ十分とは思っておりませんが、できるだけこういうスタッフを充実してまいるということが非常に重要なことだと思っております。
#155
○加藤シヅエ君 いまのお話を伺っておりまして、まず第一に国立公園との関係でございますけれども、これは地方自治体といろいろ仕事の上で密接な関係があることだと思いますけれども、その関係はどういうふうになって――全然単独でやるのですか、それとも自治体のほうからも何かそれに見合うような委員が出て、一緒に協力するという形でございますか。
#156
○政府委員(江間時彦君) 国立公園内の管理につきましては、考え方としては、できるだけ国が設けております管理員を通してやるということでございますが、現実には都道府県におきましては、事実上これを同様な種類の監視員を置いておられるところもございまして、こういう方々と現実には協力しながら仕事をやっているということになります。
#157
○加藤シヅエ君 高山植物の保護もこの監視員のお仕事だと思いますけれども、また、そこへ新しい植物を植えるというような場合、そういうような場合に、私、地方でいろいろなところでいろいろなものを見ますけれども、全然その土地に合うか合わないかということに関係ない、そういう知識のないような植え方をしていて、非常に成績が悪いというようなことを見ます。あるいは、この植物は非常に古い年数のかかったりっぱな植物であって、土地の人が非常に大切にしているものであって、そこに何かの開発事業が起こった場合には、そういうものは特に助けて大切にしなければならないというようなこと、そういうようなことに対しての配慮というものが、どういうふうな手続でどういうふうなプロセスで行なわれるのでしょうか。この二点を伺います。
#158
○政府委員(江間時彦君) 先ほど申し上げましたように、国立公園内の管理というのは、原則として国が設けております管理員によって行なわれているわけでございますが、具体的にはやはり地元の方とよく協調を保ちながら仕事を進めなければならない。いま先生が御指摘になったようなそういうような問題も間々あろうかと思いますが、ともかくわれわれといたしましては、こういう国が設けております管理員に対しては十分なる素養を要求する、また地元の方とも十分連絡をとりながら地域社会と密着しながらやっていくということは、常々からそのような指導でやっておりまして、具体的にそういうことの起きないように十分注意したいと思うわけでございます。
#159
○加藤シヅエ君 ことに開発の場合に、非常に自然保護の見地から大切だと思われるような植物が遠慮会釈なく伐採されてしまうケースが非常に多くて、これはもうその土地の人はもとより、外部の人もたいへん心を痛めることだと思いますし、こういうような建設省の計画に対して、この監視員の方え方というものがどういうふうにそこでもって接触があって、またどのようにその意見が通される道があるのでしょうか。
#160
○政府委員(江間時彦君) 開発との関連でございますが、国すなわち環境庁以外の省が実施する仕事につきましては、国立公園内のことは協議をしてまいります。民間の方が国立公園内の開発に関係してくるというような場合には、われわれの許可を求めてくるということになっておりまして、そうしたことにつきまして管理員は許可を受け付けて、そして意見をつけてわれわれのところへ進達してくるということになりまして、現地の管理員の仕事というもの、あるいはその判断というものがわれわれに十分生かされるという仕組みになっておるというふうに考えております。最近、おっしゃいますようにいろいろな方面で開発と自然保護というものが競合いたしておりまして、われわれも心を痛めておる次第でございまして、ともかく開発によってわれわれの自然が侵されることのないように、われわれ十分守ってまいりたいという決心を固めておるわけでございます。
#161
○加藤シヅエ君 いまの局長の御答弁は、まだたいへんもの足りなくて、具体的にほんとうにうまくとどめを刺しているかどうか、私非常に疑問に思っておりますけれども、それはまた個々の場合に伺わなくてはなりません。ことに監視員のほうからそういうような意見が具申されたような場合には、環境庁としてそれを強くそういうものを保護するという立場、ことに今回は三十日の猶予期間というようなものも法律で新しく認められましたのですから、それを十分に利用されて、かけがえのないような自然の財産をかってに開発の名目でもって破壊してしまわないように、もっともっと強力な行政指導があってほしいと思います。さらにまたほかの機会にこのことについて詳しく伺いたいと思います。
 先へ進みますが、最近の鳥獣保護の問題での監視員についてお話がございましたのですけれども、千二百四名、これは民間人を頼むとおっしゃいましたね。
#162
○政府委員(江間時彦君) 重ねて申し上げますと、特別司法警察員というのが、これは都道府県の職員でございまして千二百四名。それからこれは民間人に都道府県知事が委嘱いたします鳥獣保護員、これが二千七百五十四名、それから別に国設鳥獣保護区管理員、これは環境庁長官が民間人に委嘱する制度でございますが、これは百八十二名ということになっております。
#163
○加藤シヅエ君 そこで民間人を委嘱いたします鳥獣保護員だけにいま例をとって伺いたいのでございますが、これはその県によって勤務条件やあるいは手当というのが違うのかもしれませんが、私聞いたところ、年間五十日間の出勤で、一日八時間労働で一日大体八百円、東京では一千円ぐらいの手間をもらっている、そんなようなことでございますか。
#164
○政府委員(江間時彦君) 都道府県ごとに若干の差はあるようでございますが、大体年間にいたしまして、平均的に見ますと四十日間仕事をした、その間に大体支給されるものが六万円程度だというふうに承知いたしております。
#165
○加藤シヅエ君 私が問題にいたしたいのは、この民間から委嘱される方々でございますが、これがややもすればハンターの方が委嘱される。それはハンターの組織というのが非常に古い組織でなかなか強力な組織でございますから、自治体と密着しているように感じられます。そういう中から気やすく頼むというようなわけで頼まれてくる。そういう方たちが、ハンターがこういう鳥獣保護員になるということは、少し悪いことばで言えば、どろぼうがどろぼうをつかまえるようなことになるんじゃないかしら。現実はそういうふうになっているらしいんです。それでそういう記章をつけてどんどん入っていって、それでハンターの仕事もやるし、ハンターを非常に保護してしまう。違反を犯したって見のがしちゃう。いろんな禁猟ときめられている鳥がそこでもって死骸になっていて、それを糾明したって、いやこれは犬がくわえてきたんだからしかたがない。犬がくわえてきたって言えば何でも殺せるんだそうですね。
 そういうふうな状態について、いつまでもこれをほっておいてよろしいのですか。だんだん野鳥の保護なんということは国際条約によって法律化されて非常に厳密にこれは守っていかなくちゃならないときに、こんなルーズなやり方が現在やられていて、それでよろしいのかどうか。もしよろしくないのでしたら、環境庁としてはこれをどういうふうに改善していこうという御計画を持っていらっしゃるか、それを伺いたいと思います。
#166
○政府委員(江間時彦君) おっしゃいますように、確かに鳥獣保護員の方の大多数はハンターもやっていらっしゃるという、非常に二律背反的な面があるという事実は、私も率直に認めざるを得ないわけでございます。ただ現実聞いてまいりますと、どうもそれ以外の方はあまり鳥獣そのものについての知識が十分におありにならない。また、そういう知識のおありの方がほとんどおられないというような実情もございまして、また、ハンターがすべて鳥獣をとることばかり御熱心なという面だけではないようでございまして、やはり保護しながらハントをするという要素もおありのようでございます。
 確かにおっしゃるような懸念なり何なりということは私も感じるわけでございます。おそらく私は将来の方向としましては、ハンターだけが鳥獣保護をおやりになるというのではなくて、ハントを全くおやりにならない方もその中に入られて、そして一定のバランスを保ちながら監視が十分できるというふうに考えませんと非常にいけないというふうに私も思うわけでございます。
#167
○加藤シヅエ君 鳥獣を保護するには、鳥獣に対する知識がなければ保護のできるわけがないのでございます。この節は野鳥ブームといわれるくらい、野鳥についての知識を求めるしろうとの方が非常に多くなっております。けれども、その方たちでも、山で飛びかっている鳥を見て、これは何の鳥だとか、あの鳴き声は何という鳥だということを確かめるとか、あるいはこれはとってはならない鳥だとか、これはとってもいいとか、その区別をつけるなんということはこれはなかなかむずかしいことで、一朝一夕ではできないので、おそらくハンターの方でも、ハンターという資格はわりあいに簡単にとれるらしいので、そういうような資格をとった方がまた簡単に鳥獣保護員なんかになってかってなことをやられたのでは、これはいつまでたっても結果はよろしくないと思います。
 ですから、私はこの鳥獣保護員というようなものをだんだんに養成するというようなことも、役所としてこれから考えていただかなくちゃならない。それから、いないとおっしゃいますけれども、いまは鳥類保護連盟とか野鳥の会とかいう非常に大きな、専門知識を持った方が集まりあるいは専門知識を持とうと思って絶えず現地でいろいろ視察して勉強している方たち、そういう方たちの中で有志に頼まれる方が相当あると思うのです。けれども、それを少しも試みていらっしゃらないでハンターにばかり依存していらっしゃるから、ハンターでない方が保護員になった場合には、少数になって非常に苦しいような立場に置かれて、ことに犬がくわえてきたと言っちゃそんなことをやっているのを、それを一々とがめだてするというものもあまり気持ちのいい仕事じゃないだろうと思います。そういうようなことを考えていたださましたら、むしろハンターでない方で、そして野鳥の会やなんかに委嘱して、各府県にこれは散らばって一ぱいありますから、そういう方の中から推薦してもらいたいくらいのことの協力をお頼みになるほうがいいんじゃないか。そういうふうにしてだんだん変えていきたい。この点についてどうお思いになりますか。
#168
○政府委員(江間時彦君) 都道府県におきましても、また国におきましても、この種の関係の講習会はやっておるところでございまして、実際にできるだけ大ぜいの方にこういう関係の知識を持っていただいて、その保護に当たるということが必要であろうと思います。先生の御指摘、たいへん大切ないいポイントをついておられると思いまして、私のほうも十分この点、将来の問題として考えさせていただきたいと思うわけでございます。
#169
○加藤シヅエ君 では局長、今度さっそく、予算をいま考えていらっしゃる時期ですから、その中に少しそのくらいの予算も考えてごらんになったらいかがでしょうね。
#170
○政府委員(江間時彦君) 御指摘でございますので、できるだけ検討させていただきたいと思います。
#171
○加藤シヅエ君 もうちょっと伺いたいのでございますが、もう一つは、鳥類の問題についてはさっきも申し上げたようにいろいろな専門知識が必要である、これは一朝一夕でもって、ただ鳥がかわいいからというようなことでほんとうの鳥獣保護ということはできないわけでございます。また、環境庁という新しいお役所でも鳥獣の保護にばかりそんなにかかっているわけにいかないので、これはやはりいろいろの環境庁がやらなくちゃならない仕事でも、民間にその事業を委託してやってもらうという事業が幾つかおありになると思います。
 そういう事業のことについて私ちょっとここで取り上げたいのでございますが、鳥獣保護の定点調査、それから野鳥の森の調査、それから干がたの調査、それから実績発表、こういうような事業を民間に委託していらっしゃるんです。その予算が五年間も全く上がらないで、非常に貧しい、きびしい予算で非常にむずかしいたくさんの仕事を委託していらっしゃる。委託されたほうの民間団体では、これはどうしても御協力しなければならないと思うし、また非常に意欲的ですから、それをお引き受けいたしますけれども、またその民間団体が、決して金持ちじゃなくてたいへん貧しい財政でやっている。そこへもってきて、官庁のほうでは五年間も一回も値段を上げない。単価も上げない。人件費も高いのに、それから旅費その他の費用も上がっているのに、五年間全然上がらないようなことで頼んでいらっしゃるらしいのでございますが、ことしはどれくらいこれを上げるように考えていらっしゃいましょうか。
#172
○政府委員(江間時彦君) 御指摘のように、われわれは若干の専門的な調査につきましては外部に委託調査をお願いしておるわけでございます。ただ、この種の関係の方は一般的に非常に熱心な方でいらっしゃいますので、あまり金のことをかまわずに受託していただけるということに甘えまして、過去におきましてその単価が全く据え置かれておったということも事実でございます。まことに申しわけないと思います。
 来年度におきましては、予算単価というのはやはり横並びの関係もございます。われわれが調べてみました結果、確かにこの種の単価というものはほかに比べて低めであるということもわれわれは十分わかりましたので、できるだけ正常な単価に引き上げるように来年度はがんばってまいりたいと思っております。
#173
○加藤シヅエ君 ことに千がたの調査ということは、これは今後方々の外国との協定からいいますと、干がたがだんだんなくなって狭められていく、状態が悪くなるというようなことは、これは日本としても決して外国に対して誇ることもできない、むしろたいへんに恥ずかしい状態でございます。この千がたの調査というのはこれはたいへん専門知識を要することでございますし、実際そこに行って千がたのどろをほじくり返して、下にどんな生物が生きているか、鳥のえさがどうなっているかということまで調べる。しかもそれは学問的知識を必要とするので、大学教授なんかも頼まれていらっしゃる。あるいは公立の大学の教授の場合もあるでしょうし、私立の大学の教授の場合もある。教授でない場合もある。やはり専門知識のある人。いまはこれに日当四千円を払っていらっしゃるということですね。
 日当の四千円というのはもう全くひどいお手当でございまして、こういうのは、やはりそういう知識に見合うような日当を払うべきだと思います。また、そこでもって調査したものが、たとえば四日間調査したとか、あるいは一週間調査したからそれだけの日当を払っておるというのではなくて、調査した結果をまとめて報告書をつくるのにまた何日かかるかわからないわけです。そういうような費用というものは、やはり何らかの方法でそこに見込んであげてくださらなければ、委託された方は自腹を切ってこれをやっていかなければならないという羽目に立たされるわけでございます。また、それに付随して、そういうような保護団体はいろいろの事務所の費用というものもどうしてもかかってくるわけです。そういうものはお役所の予算では全然算出するような基礎がないみたいで、幾らお願いしてもこういうものはなかなか算定してくださらないのです。
 それで私考えましたのには、今後だんだんこういう仕事は要求が増してきて、これはどうしてもこの要求に対してこたえてもらわなければならないし、こたえるのは、こういう貧しい中で一生懸命勉強している民間の団体ですから、こういうような団体で、しかも歴史のあるような団体に対しては補助金というようなものを別に考えてくださったらどうでしょうか。予算のとれない面は補助金のほうで考える。これは長官にもぜひお話しになって、そういうものを政治的にでも取っていただく。今度の予算の機会にでもこれをぜひ主張していただきたいのです。そうでないと外国との協定がだんだんふえていくのに、国内の状態がこんなことでは少しも受け入れ態勢ができていかない。これではたいへん困ることでございますので、ここのところは局長うんと踏んばっていただかなければならないし、きょうは長官もいらっしゃいませんけれども、長官にもぜひそのことを伝えていただいて、今度の予算の面からこれをひとつ実現していただきたい、いかがでございましょうか。
#174
○政府委員(江間時彦君) 確かに鳥類の関係の仕事は最近国際性が増してまいりまして、主要な国との間で渡り鳥に関する条約などを結ぶというような趨勢になっております。そういうこととの関連もございまして、確かにわれわれまだ十分な知識を持っていない、調査を必要とする、民間にお願いせざるを得ないというようなこともございまして、従来われわれがお願いしておりました調査費というのは確かに十分でなかった。先生おっしゃいますように、報告書の点であるとか、あるいは団体の維持関係の経費、そういうのは一挙にどこまでいけるということはお約束できませんけれども、私のほうといたしましては、できるだけ従来の単価をふやすとか、あるいは別の方法でこういう団体が十分な仕事をやっていただけるように配慮してまいりたいと思っております。また、おっしゃいましたことは長官にもよく伝えさせていただきます。
#175
○加藤シヅエ君 これで終わります。
#176
○理事(杉原一雄君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十一分散会
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ソース: 国立国会図書館
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