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1972/08/31 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第14号
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1972/08/31 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第14号

#1
第071回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第14号
昭和四十八年八月三十一日(金曜日)
   午後二時七分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         森中 守義君
    理 事         金井 元彦君
                君  健男君
                杉原 一雄君
                内田 善利君
    委 員
                菅野 儀作君
                田口長治郎君
                寺本 広作君
                林田悠紀夫君
                加藤シヅエ君
                小平 芳平君
                高山 恒雄君
                沓脱タケ子君
   委員以外の議員
       発  議  者  塩出 啓典君
       国 務 大 臣
       環境庁長官    三木 武夫君
   政府委員
       環境庁長官官房
       長        信澤  清君
       環境庁長官官房
       審議官      橋本 道夫君
       環境庁企画調整
       局長       城戸 謙次君
       環境庁水質保全
       局長       岡安  誠君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       厚生省環境衛生
       局食品衛生課長  三浦 大助君
       農林省農蚕園芸
       局植物防疫課長  福田 秀夫君
       農林省畜産局審
       議官       下浦 静平君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○公害健康被害補償法案(内閣送付、予備審査)
○瀬戸内海環境保全法案(塩出啓典君外一名発
 議)
○参考人の出席要求に関する件
○公害及び環境保全対策樹立に関する調査
 (公害及び環境保全対策樹立に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(森中守義君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。
 理事の辞任につきましてはおはかりいたします。
 菅野儀作君から、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(森中守義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(森中守義君) 御異議ないと認めます。
 それでは理事に君健男君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(森中守義君) 公害健康被害補償法案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。三木環境庁長官。
#6
○国務大臣(三木武夫君) ただいま議題となりました公害健康被害補償法案について、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。
 経済の急速な拡大と都市化の進行の過程におきまして、環境汚染の進行には著しいものがあり、大気の汚染や水質の汚濁による健康被害の発生は重大な社会問題となってきております。昨今相次いで終結を見るに至った四大公害裁判は、これら公害による健康被害の深刻さと問題解決の困難さを如実に物語るものであります。
 このような深刻な公害による健康被害者を救済するため、政府におきましては、昭和四十四年には「公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法」を制定し、当面の緊急措置として医療費等の給付を行なうという行政上の救済措置を講ずるとともに、昭和四十七年には、事業者の公害にかかる無過失責任を明らかにする法律を制定し、民事上の見地からも、被害者を救済する措置を講じてまいったところであります。
 しかしながら、健康被害救済特別措置法におきましては、逸失利益に対する補償がないなど給付の内容が限定されており、またいわゆる任法におきましては、民事訴訟の手段により損害賠償を求めるものであるためにその解決にはかなりの労力と時日を要するという問題があり、被害者の救済に万全を期するとはいいがたい現状にあります。特に、原因者が不特定多数で、民事的解決にゆだねることがきわめて困難と見られる都市や工業地域における大気の汚染による健康被害者の救済の問題は、当面すみやかに解決を必要とする課題となっております。
 このような事態に対処して、今回、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる著しい大気の汚染または水質の汚濁の影響による健康被害に対して補償等を行なうことにより、健康被害を受けた被害者の迅速かつ公正な保護をはかるため、公害健康被害補償法案を提案した次第であります。
 以下、この法律案の内容を御説明申し上げます。
 第一に、救済の対象となる者の範囲でありますが、政令で定める地域において政令で定める疾病にかかっている等一定の要件を満たすものとして都道府県知事等の認定を受けた者及びその遺族等としております。
 第二に、給付の種類でありますが、療養の給付、障害補償費、遺族補償費、遺族補償一時金、児童補償手当、療養手当及び葬祭料の七種類の補償給付を行なうこととしております。
 まず、療養の給付は、公害医療機関において現物給付として行なうことを原則としており、療養の給付を行なうことが困難であると認める場合には、療養の給付にかえて、療養費を支給することができるものとしております。
 なお、療養の給付及び療養費については、従来健康保険等が負担していた分も含めて負担することとしております。
 次に、障害補償費は、指定疾病による障害を受けている者に対して、その障害の程度に応じて労働者の賃金水準その他の事情を考慮して定める額を支給することとしております。
 次に、遺族補償費は、指定疾病に起因して死亡した者の遺族に対して、労働者の賃金水準、死亡した者が死亡しなかったとすれば通常支出すると見込まれる経費その他の事情を考慮して定める額を支給することとしております。
 なお、遺族補償費を受けることができる遺族がない場合には、一定の者に遺族補償一時金を支給することとしております。
 次に、児童補償手当は、指定疾病による障害が一定の程度にある児童を対象として、療養手当は、被害者が指定疾病にかかっているために医療を受けており、かつ、その病状が一定の程度にある者に対して、また、葬祭料は、被害者が指定疾病に起因して死亡したときにその葬祭を行なう者に対して支給することとし、これらの補償給付の額は政令で定めることとしております。
 第三に、補償給付の支給の実施機関でありますが、救済の対象となる地域として政令で定める地域の全部または一部を管轄する都道府県知事等が認定及び補償給付の支給の事務を行なうこととしております。
 第四に、都道府県知事等は、被害者の健康を回復させる等被害者の福祉を増進し、及び指定疾病による被害を予防するために必要な公害保健福祉事業を行なうこととしております。
 第五に、本制度に必要な費用についてでありますが、まず、ぜんそく等の非特異的疾患に係る被害者に対する補償給付の支給に要する費用につきましては、大気汚染防止法に規定するばい煙発生施設等を設置する事業者から、その汚染負荷量に大気の汚染の状況に応じた地域の別に定める料率を乗じて得た金額として徴収した汚染負荷量賦課金を充てるほか、別に法律で定めるところにより徴収される金員をもって充てることとしております。
 次に、特異的疾患に係る被害者に対する補償給付の支給に要する費用につきましては、大気汚染防止法に規定するばい煙発生施設もしくは特定施設または水質汚濁防止法に規定する特定施設を設置する事業者から徴収する特定賦課金を充てることとしております。
 また、公害保健福祉事業に要する費用につきましては、その二分の一を事業者から徴収する賦課金等をもって充てることとし、残余の二分の一につきましては、国と都道府県等とが折半して負担することとしております。
 さらに、認定及び補償給付の支給に関する事務の処理に要する費用につきましては、国と都道府県等が折半して負担することとしております。
 第六に、賦課金の徴収及び納付に関する機構でありますが、汚染負荷量賦課金及び特定賦課金の徴収を行なうとともに、都道府県等に対する納付金の納付等を行なう組織として、特殊法人である公害健康被害補償協会を設置することとしております。
 第七に、不服申立てについてでありますが、被害者である旨の認定または補償給付の支給に関する処分に対する審査請求事件を取り扱わせるために、委員六人をもって組織する公害健康被害補償不服審査会を設置することとしております。
 第八に、この法律は、公布の日から起算して一年をこえない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 第九に、この法律の制定に伴い公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法は廃止することとし、これに伴う経過措置を講ずるほか、所要の経過措置を定めることとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに、御可決あらんことをお願い申し上げます。
#7
○委員長(森中守義君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 本案の自後の審査は、後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(森中守義君) 次に、瀬戸内海環境保全法案を議題といたします。
 発議者参議院議員塩出啓典君から趣旨説明を聴取します。塩出君。
#9
○委員以外の議員(塩出啓典君) ただいま議題となりました瀬戸内海環境保全法案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
 瀬戸内海は、その大半の海域が自然景観に恵まれ、国立公園として指定され、国民保養の地として国民から広く親しまれてきたところであります。また、従来より、瀬戸内海全域が好漁場を形成し、浅海養殖業の発展とともに、その漁獲量はわが国の浅海養殖業全体の五〇%を占めるに至っております。
 しかるに、政府の高度経済成長政策の推進のもとに瀬戸内海沿岸地域には二十余拠点の臨海工業地帯が形成され、沿岸地域の都市化と重なって、瀬戸内海全域の水質は極度の汚濁状況を呈しており、とりわけ大竹、岩国、伊予三島、川之江の沿岸、三田尻湾、大阪湾等の海域の汚濁は最も悪化しており、学術調査によれば、その汚濁は回復不能の状態に近づきつつあるとまで言われております。と同時に、赤潮の発生は、年々その規模を拡大し、発生頻度が高まり、魚の大量死、異臭魚、奇形魚等の発生や養殖業の壊滅等水産資源に多大な被害が生じてきております。
 このまま汚濁が進行すれば、生態系の破壊はもとより、自然環境の破壊により国立公園としての美観的価値も大きくそこなわれることは必至であります。
 瀬戸内海の環境保全は焦眉の急を要する問題であるにもかかわらず、現行水質汚濁防止法等の法律に基づく瀬戸内海環境保全対策の策定及び実施は、沿岸の各府県が独自に行なっているため、瀬戸内海全域の環境浄化は一向に効果をあげるには至っておりません。
 以上の実態からみて瀬戸内海の環境保全をはかるためには、瀬戸内海全域を一体的にとらえ、地方公共団体のワクをこえた公害防止対策、埋め立て及び工場立地規制、都市改造その他環境保全上必要な対策を総合的、多角的に、かつ、強力に推進することが何よりも不可欠でございます。すなわち、瀬戸内海の水質汚濁の現状とその広大な面積等の自然的条件を考えれば、その環境保全については、長期的展望かつ広域的視野に立った国家的事業として遂行を期さなければ、効果をあげ得ないと考える次第でございます。
 以上の観点から、瀬戸内海環境保全計画の策定及びその実施に係る財政上等の援助、排水基準の強化、埋め立て等の規制その他瀬戸内海の環境を保全するための施策を総合的に推進するための本法案を提案いたした次第であります。
 以下、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、総理府に瀬戸内海環境保全本部を置き、かつ、瀬戸内海環境保全長官は環境庁長官たる国務大臣をもって充てることにより、瀬戸内海の環境保全を総合的かつ一体的に推進できるようにいたしております。
 第二に、瀬戸内海環境保全計画は、瀬戸内海の水質を近時の工業化及び都市化に伴って汚濁する以前の水質に回復させる等のために、瀬戸内海環境保全本部が立案するものとし、その決定に際しては、内閣総理大臣が、関係行政機関の長に協議するだけでなく、関係地方公共団体及び審議会の意見をきくものとして、他方の実状に即応した保全計画が策定できるようにいたしております。
 第三に、瀬戸内海環境保全計画に基づく事業に対しましては、他の法令の規定にかかわらず、特別の負担、補助等の援助をするものとして、その実施を推進するようにいたしております。
 第四に、瀬戸内海水域に排出される排出水に係る排水基準は、従来の濃度規制方式のほか、瀬戸内海の環境容量に対応した総量規制方式の採用により、瀬戸内海の自浄能力の範囲内に水質の汚濁を押えるようにいたしております。
 第五に、瀬戸内海水域における水質が環境基準をこえ、またはこえるおそれのあるような事態に至ったときは、内閣総理大臣は、特定施設を新設する特定事業場からの排出水について、一般よりきびしい排水基準を定めて、実質的に工場立地規制ができるようにしております。
 第六に、瀬戸内海の海域における埋め立て及び干拓を規制して、埋め立て及び干拓による環境の破壊を防止できるようにしております。
 以上が、本法律案の提案理由及びその内容の概要でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
#10
○委員長(森中守義君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 本案の自後の審査は、後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#11
○委員長(森中守義君) 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 公害健康被害補償法案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○委員長(森中守義君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○委員長(森中守義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#14
○委員長(森中守義君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#15
○高山恒雄君 先ほど委員長からお話がありましたように、大臣に先に質問してくれということですから御質問申し上げたいと思いますが、実は私はきょうは、この奇形魚の調査からいろいろ考えまして御質問申し上げたいと思って立ったわけですが、大臣の御用件で時間がないようでありますから、詳しいことは申し上げないで端的にひとつお聞きしたいと、こういうふうに考えております。
 今回、水産庁が報告されました奇形魚の調査は実施は、非常に困難をきわめた中に、多少の基準に不備があったにしても、私はこの努力に対しては敬意を表したいと思うのであります。この資料を見ますと、養魚等における奇形が多数出ておることがまず明らかになっております。それから山形県等における、赤川水系ですか、ここらではウグイという魚ですが、多いときにはこの半数以上が骨曲がりになっておる、こういうことを報告されております。その原因は農薬等の影響だと、こういう結論も出ておるわけであります。
 したがって、大臣も御承知のように、四十六年以降危険な農薬については廃止になりましたけれども、しかしまだまだ農薬の残留と申しますか、これは多くあると見ざるを得ないのであります。特に長崎県の橘湾で、まき網でとったものでありますが、イワシの腹が黄変してしまった。しかもその数量が十二万三千四百箱もそういう状態になっておった。したがってこれは全部飼料用として出荷したのであるというようなことが明らかになっております。これらの問題を考えますときに、日本の海域における、あるいはまた河川等における汚染等は、多くの公害としてまだ残っておるのではないかということを私は考えるのであります。
 そこで、御承知のように今週の初めでしたか、実は愛知県下において養豚の奇形児が増大しているということがテレビで放送されました。これは何からこういうことが起こっておるのかということについては確実な放送ではなかったですが、これに対して地方の獣医師会ですか、室畜医師会と申しますか、そういうところでさっそく研究に取り組みたいというような報道がなされたのであります。私はこういう点を考えますと、これはまたぞろ政府はこれについて何にも手をつけてない。そうして養豚に多くの奇形児が出ておるというようなことになって、地方の獣医師会で研究されてそれが直ちに発表される、こういうことになった場合、御承知のように肉については何らの基準もなされておりません。農産物については多くの規制をされておりますけれども、肉には何の規制もないわけです。これがもし、そういう研究の結果が報道されて公害であるということになれば、これは私はたいへんだというような感じがするわけです。
 そういう意味で大臣にお聞きしたいのでありますが、早急に農薬だけじゃなしに、工場排水のたれ流しもまだ不十分な調査でありますから、いろいろな関係はありましょうけれども、私は残留農薬の被害に対してもっと積極的に取り組むべきではないか。それと同時に、魚の奇形というものに対する実態調査をされたというような状態において、養豚の奇形というのは一愛知県だけなのか、あの地方だけなのか、あるいは全国的にやはりそうした奇形の養豚が出ておるのかどうか、こういう点を積極的に政府は進める必要があるのではないか。
 きのう、多少私は専門家の方にお聞きもしたのですが、三頭ほど愛知県から取り寄せて研究をした。その結果は、養豚の飼養場の不備であるというようなことの結論が出ておるようであります。これはしかし何の発表もしてないわけですからね。こういう点の、中央でやっておる事実と、地方で起こっておるその事実に基づく報道、放送による市民の不安と申しますか、そういうような点はこれはもう重大だと私思うのです。したがって、そういう面に対して環境庁なり農林省なりにおいていろいろ検討をする必要があるのではないかということを私は感ずるわけであります。この点については大臣はあるいはテレビ等においての報道を十分御承知でないかもしれませんけれども、見解をひとつお聞きしておきたいと思うのです。
#16
○国務大臣(三木武夫君) かつて瀬戸内海を私視察したときに、いわゆる奇形魚をたくさん持ってこられた。非常に背骨の曲がった魚類を拝見をしたわけですが、宮崎県ではやはり奇形の子牛が出ておる。御指摘の愛知県では奇形の子豚が出ておる。私はかなりこれは重大な問題であると思う。このことは、一般の国民の食生活に関係をすることでございますから、したがって畜産局、水産庁とも連絡して、この原因は徹底的に究明をいたしたいと思っておるわけでございます。
 いままでは奇形の魚にしても動物にしても、偶発的なように考えておったのですが、偶発的なものじゃない。やはり奇形魚でも、汚染をされた海域に奇形魚が出ておるわけですから、そこはやはり工場排水とか農薬などの影響だと考えなければならぬわけで、環境庁としても農薬の登録基準というものを制定したいということでいま研究を重ねておるわけであります。そして、農薬に対する一つの規制を行ないたい。しかし、こればかりは環境庁だけではいま言った動物、魚類などに対する奇形の問題は解明できませんから、これは重大な問題でありますので、畜産局、水産庁とも連絡をして、徹底的にこの原因の究明をはかりたいと考えておる次第でございます。
#17
○高山恒雄君 大臣よく御承知のようでしたが、そこでいま大臣もおっしゃったように、登録制で大臣の認可を得るということになっています。その基準も出ておることも私も承知いたしておりますが、抗生物質を使っておるかどうかという点では、飼料は全部これは施行令できめておりますから、その幅も法律では十分に解明してありません。それでわれわれにちょっとわかりにくいですけれども、私はここで大臣に申し上げておきたいことは、この安全の確保が、たとえば豚の場合いろんな配合飼料がございます。それに対してはもう完全に医学的にも証明された飼料であるのかどうか、抗生物質がかりに入っておってもだいじょうぶであるのかどうか、こういう点があまり一般にわかるような状態になってないわけですよ。
 これは特に特別のものを配合した場合のみ大臣の認可制になっておる。それはその基準にまかせてある。そうして配合飼料商社は日本には八十社がある。そこにもってきて全農が取引をやっておる。全農の取引をやっておる場合は、各県に配合施設というものを持っていろいろやっております。なおまた商社の場合も全国的に網羅しておりますが、これは結果的には、原料の価格の安いものを、しかも量目でキロ数による販売をやっておりますから、そういうものを多量に含めて販売をする。その基準の幅もありますからね。こういう点は非常に私は重大だと考えておるわけです。幸いにしてこの養豚の調査をされた結果が、いま言うとおりに飼育場の不備であったという点で解決がつくならばいいですが、もし肉にそういう危険性があった、しかも飼料からくる奇形児が出ておるんだという事実が判明した場合、これはまた国民はたいへんだと思うんですね。
 私は政府にお願いしておきたいことは、飼料面その他の認可制度の一部のそういう問題じゃなくて、もう一ぺん飼料の基準について、抗生物質を使用しておるならば、その細目にわたって再検討をする。そうして医学的に見ても決して間違いはない、こういう自信の上に立ってやる必要があるのじゃないか、こう思うのです。この点ひとつ大臣、これは私の希望をいま含めて申し上げておるわけですが、お願い申し上げて、また見解をお聞きして、私の大臣に対する質問は終わりたいと思います。
#18
○国務大臣(三木武夫君) 私も高山委員と同じような考えを持っているわけです。安全性の確認ということに対して政府の行政全般に、いままでも手をつけておるのですけれども、もっと徹底してやる必要がある。あるいは新しい化学物質も次々に生まれてくるわけです。通産省でも新しい立法をこの国会に、新しい化学物質に対しての許可に関する規制の法律を提案をしておるようでありますが、通産省に限らず、厚生省においても食品とかあるいはまた医薬品などもございますし、あるいは農林省でもいろいろ農薬などの関係もありますし、全般にわたって国民生活に影響するいろいろな物質の安全性の確認ということについては、来年度の予算などにおいても各省においてもう一段とやはりきびしく、この問題を行政の上から追及していくということが必要である。これはわれわれとしても、強く各省とも連絡をとってそういう行政を一段と強化していきたいと思っておる次第でございます。
#19
○沓脱タケ子君 それでは大臣に時間の制限があるようでございますので、私は先日水俣、有明の実地調査に参加をいたしました者の一人といたしまして、この件に関してごく若干質疑を行ないたいと思っておるわけです。一昨日の質疑の中でも、地元住民の各層から出ております諸要求につきまして全般的に触れられておりますので、ごく二、三点にしぼってお聞きをしておきたいというふうに考えております。
 まず第一は、一昨日の質疑にも出ておりますが、水銀の汚染調査検討委員会健康調査分科会の結論として、第三水俣病の疑いのある患者といわれておる二人がシロと結論が出た。このことにつきまして、一昨日の質疑の中では長官は、ほんとうにほっとして喜んでおるんだというふうに率直に言っておいでになりましたけれども、私も確かに、いまのこの公害総汚染といわれておる日本列島の中で、被害者が一人でも少ないということを心から願っておる者の一人でございますけれども、しかし今回のシロの結論の発表、これをほんとうに手放しで喜んで、安心して魚も食べられるという客観情勢かどうかという点につきますと、これはたいへん多くの疑問を持っているというふうに思うわけです。
 したがいまして、その点についてまずお聞きをしておきたいと思うのですが、長官にお伺いをいたします前に、水銀汚染調査検討委員会、この委員会の持つ目的と任務、その点について先にお聞かせをいただきたいと思うのです。
#20
○政府委員(城戸謙次君) 水銀汚染調査検討委員会でございますが、これは私どもが現在関係名省と協力してやっております環境調査と健康調査、この二つの調査がございます。この計画、実施、調査結果の解析、汚染源の究明、こういう問題、いずれも専門的な立場からの知識が必要でございますので、そういう面につきまして検討していただくというために置いているものでございます。
#21
○沓脱タケ子君 この設置要綱によりますと、「任務」のところにこういうふうに書かれているんですね、「委員会は、水銀汚染に係る環境調査及び健康調査の計画、実施、調査結果の解析、汚染源の究明等について専門的な立場から助言、指導を行なう。」この助言、指導というのはどこへ行なうのですか。
#22
○政府委員(城戸謙次君) これは実は表現がちょっと悪いわけでございますが、1の「設置」のところとにらみ合わせていただければわかりますが、これは環境庁に対して専門的立場から御意見をいただく、こういう意味で書いているものでございます。
#23
○沓脱タケ子君 そういたしますと、先日シロという判定の出ましたあの有明町の二人というのはは、環境庁から検討を御依頼なさったのですか。
#24
○政府委員(城戸謙次君) これはいきさつをちょっと申し上げたいと思いますが、この調査検討委員会の分科会が開かれましたのが今月十七日でございます。これは、先月の二十一日に親委員会の検討委員会そのものが開かれまして、その際に委員からの強い要望がございまして、熊本大学医学部の十年後の水俣病研究班によります研究結果がまだ正式に報告されていない、その報告書を取りまとめて至急委員会に報告してもらいたい、こういう要望があったわけでございます。その要望に基づきまして審議が進められたわけでございます。
 その際、当然その中に十名の患者の疑いがあるというような方々が報告されておるわけでございますが、その報告に関連いたしまして、お二人の例につきましては特に患者側から希望がございまして、本年の七月下旬から八月上旬にかけまして二十日間、熊本大学の第一内科に入院しまして徳臣教授その他ほかの大学の先生方からも診察が行なわれてきましたが、双方の診察の結果をもとに、この二人につきまして議論が集中したわけでございます。その結果、現在の時点では水俣病の疑いはないという結論が出たわけでございまして、その際特に要望がございましたのは、この二人の例につきまして患者側から強い希望で診察しましたが、まだその診断の結果というものは患者にも知らされていない。これについては患者としても非常に心配をしておるから、早く本人に知らせなければいかぬ。そういうところがございましたので、大多数の委員さんは、それじゃやはりこの際人道的見地から結論を早く出すべきだということになったわけでございます。
 もちろん、環境汚染等の調査もされているわけでございますから、それを待ってきめたらいいではないかという意見もあったわけでございますが、この委員会の経過としましては、そういうことで二人の方につきましては切り離して結論を出された、こういうことでございます。
#25
○沓脱タケ子君 そうしますと、二人の患者さんから強い御希望があったということを前提にいたしまして、その検討委員会の健康分科会で二人の患者さんの検討をするということは、環境庁も御承認の上で進められたということでございますね、いまの御説明では。そうしますと、そういう状況で出されたいわゆるシロという結論、これは環境庁の結論として受け取ってよろしいですか。
#26
○政府委員(城戸謙次君) これにつきましては先ほどお話しましたように、二人についてはそういう結論が出されたわけでございますから、二人につきましては、これは私ども全くそれを尊重していく立場にあるわけでございます。ただ、そのほかの八つの例につきましては、まだ何ら具体的な審議がなされているわけではございませんし、もちろん今後の環境調査、健康調査を待っていろいろな問題が出てくるわけでございますから、こういうものを含めまして総合的に評価をしていかなければならない問題である、かように考えております。
#27
○沓脱タケ子君 そうしますと、いまの問題のお二人のシロという結論は、環境庁の公式見解として受け取ってよろしいわけですね。
 それで、私はなぜそのことをずっとお伺いしておるかといいますと、これはああいうふうに新聞報道されますと、客観的には環境庁結論、報道機関でも環境庁結論というふうに扱かわれていますし、国民もそういうふうに受け取っているわけですけれども、念のために確めたいと思って申し上げておるわけで、そういうふうに受け取ってよろしいわけですか。
#28
○政府委員(橋本道夫君) いま御質問のポイントでございますが、局長が御説明いたしましたように、検討委員会としてそのような結論が出たということでございまして、私どもは、その二名について結論を出してくれということを特に申し上げたわけではございません。しかしながら、あれだけの範囲の専門家は、日本国内はもちろん世界的にも集められない最高の専門家のグループを集めまして出された意見でございまして、学問の討議上最後の結果として報告されたということでございますので、環境庁としてで二名につきましてはまずシロである、現在の時点ではシロであるということにつきましては、その結論は尊重して、そのとおりに考えております。ただ、有明の全体の問題について結論が出たというぐあいには私たちも考えておりませんし、いま局長の申しましたように、八人の者についてはまだ結論も出ていないというぐあいに考えております。
#29
○沓脱タケ子君 そこでお二人の患者さんたち、シロと出たのだから患者さんではないのですが、該当者ですね、二人の該当者がシロと出たということで、それが環境庁結論だと、いまの尊重するという御意見が環境庁結論だというふうに判断ができるわけでございますが、そういう報道がなされてから、特に地元ですね、国民の中での反響というのはもちろんありますが、特に地元ではどういう反響が起こっているか、その点はどうでしょう。
#30
○政府委員(城戸謙次君) 地元の反響ということになりますと、むしろ私どもより先生のほうがお詳しいかもしれませんが、一般的に私は、二人の問題についてけりをつけたということにつきまして、特に批判はないのじゃないか。むしろ、ただ二人について結論をつけたということをめぐりまして、ほかの八名についてもうやむやになってしまうのじゃないかという面はあると思いますが、これは私どもは絶対そのように考えていないわけでございます。その辺は明確に区分してお考えいただければ、そう混乱は生じないのではないかと思っております。
#31
○沓脱タケ子君 環境庁としては二人の問題についてだけこういうふうにお認めになっておるということの御意解で、よくわかるのです。ところが、第三水俣病の疑いが提起をされて、たいへんだということで大問題になって、私どもも現地調査に参加をさせていただいたわけなんで、そういう今後の趨勢というものがきわめて国民の注目のまとになっている。特に現地ではこの問題については深い関心を払っているというやさきでございますから、二人に限ってだというふうにおっしゃっておられますけれども、これは第三水俣のあるやなしやという重大な問題にかかわる大きなポイントになろうかと思うわけでございます。
 そこで反響の問題を特にお伺いをしたわけですけれども、私どもの若干うかがい知るところでは、こういう状況が出ているんですね。
 一つは、判定をされた二人の方々は、シロだということでほっとなさったという点があろうかと思います。しかし、たとえばその患者さんにしても、十人なり十数人なりの専門家の皆さん方が、そろってシロだといって断定をしてくださったのだったら全く安心できるけれども、何人かの先生方で、まだ疑点が残る、疑いが残るというふうな状況の中で、ほんとうに手放しで安心できるのだろうかという点はあろうかと思いますし、今度の判定の対象になっていない方々としても、当然そういった点があろうかと思います。
 それからもう一つは、幾つかの反響の起こっておる内容を申し上げておきたいと思いますけれども、たとえば熊本の県議会の公害特別対策委員会ではこういう意見などが出ているそうですね。熊本大学の医学部でいま混乱があるから、正常化を申し入れるべきだというふうな論議さえ呼んでおる。そういったものを受けられて、そして熊本大学医学部では、環境庁結論支持という態度表明を教授会がした、あるいは今後研究発表する場合には学部長とか学長の承認が要るだとか、これは論評はいたしませんけれども、必ず論議を呼ぶに違いないようないろいろな状況というものが起こっている。さらには、第二次の水俣の研究班に対しては、これで県費で二年にわたって研究を重ねていただいた経過になっておるようですけれども、今後はこの研究班ではなくて、調査費は学部長を通じて出すというふうな形で、客観的には、二年間の苦労をして調査をされた研究班の成果がむしろたな上げされそうな状況さえ生まれているというふうな、非常に大きな反響が起こってきていると思います。
 それからもう一つ大きな変化といいますのは、企業の姿勢が変わってきている。これは汚染源だというふうに断定をまだ県もしておらないようですけれども、その汚染源とみなされる一つの企業である三井東圧、これは姿勢がたいへん変わっております。今年の六月にで、水銀にたれ流しを認めて四県の漁民に対しては十五億の補償を支払っている。ところが、この八月二十八日、熊本の鮮魚商の約千名の皆さん方が要求を持って三井東圧と交渉したようです。そうしますと、基準以上のたれ流しはしていないと言って一切交渉に応じなというふうなかたくなな態度に、わずか二カ月の間に変わってきているというふうな状況も、反響の一つのあらわれでございます。
 またもう一つ、一般的に言いますならば、環境庁結論がシロを支持する立場に立ったからといって、国民が魚を安心して食べられるかというと、これはそういうふうに簡単には結論が出ない。環境庁が、いまもお聞きしたように、二人についてだけのシロは支持するという立場であって、第三水俣病全体についての評価ではないんだというふうにおっしゃっておられますけれども、客観的には、私が三つ四つあげましたような波紋を起こしてきていることは事実でございます。こういう波紋が起こってきているというのは、社会的な問題になってきているわけですが、こういった点についてどういうふうに対処なさるおつもりなのか。これをちょっとお聞きをしておきたいと思うわけです。
#32
○政府委員(城戸謙次君) 私ども、先生おっしゃるようなことまで読めませんでしたが、この検討委員会自身の結論の持って行き方というのは非常に注目をあびているということは、十分承知いたしておったわけでございます。ただ、この二人のケースにつきましては、さっきもお話しましたように、特に患者さんが熊大のほうに行かれまして、研究班だけでなしに、ほかのほうの先生方、あるいほかのは大学の先生方を中心に見てもらいたいという要望があって、しかもその診断も相当期間保留してあるということでございますから、結果をどうしても発表しなければならぬということでございましたので、そういうようないろいろな意味での影響は若干出るということは前提としながらも、これはやはり委員会の諸先生方の意見がそうであれば、それでいたし方ないと、こう思っておるわけでございます。
 さっき先生から、二人の方についてはまだ十分なる大鼓判を押されていないという不安を御本人たちが持っておられるのじゃないかということでございますが、これは決してそうでないと私は思っております。この点につきましては橋本審議官のほうから補足をさせていただきたいと思っております。
 なお、今後こういうようないろいろな反響に対処するということでございますが、これは私ども何としても環境調査と健康調査を早く仕上げまして、それで全体の完全な評価をする。これがシロと出るかクロと出るか、それによってすみやかに対応できるように、ともかく環境調査、健康調査を至急結論を出す、これが一番大事なことだと思っておるわけでございます。それ以外にまた今後に対処できる方法はないと、こう思っております。
#33
○沓脱タケ子君 そうしますと、発表したら若干の波紋は起こるであろうということを予想しながら、検討委員会では発表するというからしょうがないということで、波紋が起こるということを認めながら環境庁がお認めになった。しかし事実は、二人のシロという結論については尊重するということであって、第三水俣病全体についての評価は今後の課題なんだという点は、きっちりやはり環境庁としては公式発表なり公式表明なりなさる必要があると思うのです。どうですか、それは。
#34
○委員長(森中守義君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#35
○委員長(森中守義君) 速記を起こして。
#36
○政府委員(城戸謙次君) その点につきましては、私機会あるごとにそういうぐあいに言っているわけでございまして、決してこの席だけで申しているわけではございません。あくまでそういうことで、私ども全体の企画としましては、環境調査をやり、必要なところには健康調査をやって、その総合評価をしていく。これを一連の計画としてやっていくということが、この検討委員会に与えられた一番大きな仕事であったわけでございますが、その当初におきまして、委員会の運びとしまして、どうしてもこの二人のケースについて議論をきめなければと、そういう動きになってきたわけでございますので、その点、私どもそういう誤解がないように今後とも努力してまいりたいと思っております。
#37
○沓脱タケ子君 誤解がないようにって、現に波紋が起こっているということを申し上げたので、私は現地にその後行ってないのだからもっと具体的な波紋があるかもわからないけれども、いま捕捉する範囲でもこういった波紋が起こっている。これはやはり国民が安心して、環境庁がどんどん施策を進めていってくださっているということについて信頼できるという立場にならないですよ、波紋を起こしているということは。したがって、私はこういった点については、いま区分けしておっしゃった内容ですね、二人のシロについては支持するのだ、しかし全体の評価はまだなのだということをおっしゃっておられるのだから、これは長官、はっきりと態度を表明なさるべきだというふうに思うのですが、その点はどうでしょう。
#38
○国務大臣(三木武夫君) 二人の問題は、政府委員からも説明をいたしましたように、水俣病の疑いをかけられたのですから、早くひとつ自分の結論を、もっとちゃんとした結論を出してもらいたいということで、二十日間にわたってみずから進んで熊本病院に入院をして精密な検査を受けたわけです。そして、その臨床の結果を踏まえて検討委員会で一つの、これは徳臣教授のところでいろいろと精密な検査をされたわけですが、徳臣教授ばかりでなしに、熊本大学の第三水俣病を指摘された武内教授もそこにおったわけです。そして、みな一流の専門家といわれる人々がここでその精密検査を踏まえて結論を出して、本人とすればたいへんによかったということで、水俣病の疑いというものを持っていることは日常の生活にも不安ですから、そういうことでたいへん喜ばれたわけです。
 しかしそのことが、第三水俣病があるという指摘全般は、二人はシロになって本人のためにも非常によかったと思うのですが、これでもう全部がシロになったというものではないわけですから、そのために有明湾一帯に広い健康調査をいまやっているわけですから、その結果を待って、これが一つの第三水俣病に対しての、そういう広い症状というものが起っておるかどうかということに対する結論が出るわけですから、われわれとしても機会あるごとにそれを申しておるのですけれども、そういう誤解を与えるとしたならば、説明の足らない点もありますから、今後もそういう点に説明を加えていきたいと思うのでございます。そういうことによって早く全般の人々に対して、不安を持っておる人が多いでしょうから、健康診断を広く沿岸の漁民を中心として行ないまして、結論を出したいと考えておる次第でございます。
#39
○沓脱タケ子君 学者の意見に私はかれこれ意見を述べようと思っていないのです。学者の結論によって、国民生活に一定の影響を及ぼすという点を重視しなければならぬということを特に申し上げたいと思うているわけですが、そういった波紋が起こってきておるというふうな問題と関連をいたしまして、いま御説明の中にもありましたように、環境調査、健康調査等を進めているのだから、その結論を待って最終結論は出していきたいのだと、これは当然のことだと思う。
 私は医者の端くれだから特に思うのですけれども、このシロという結論については学者の中で異論があるという状況の中で、しかも、特に水質汚染を中心にする慢性中毒症というふうなものを検討する、判断をするという場合に、いわゆる環境調査も健康調査も終了しない先に結論を出したのは早計ではないかと言われておる学者の見解というものもあるわけですから、こういった点はやはり一つの問題点であろうと思うのです。
 さらには、健康調査分科会の中で賛否両論があったということは、報道によっても明らかでございます。したがって、こういうふうに賛否両論があり、しかもシロだということで署名をされた学者の中にも、しかしもう一ぺん患者をみてみたいと言われておる先生方もおられるというのも事実です。これは長官は御承知かどうか知りませんがね。そういうふうな疑いを残したままで結論を出すということは、やはり早計ではないかというふうに心配をいたします。
 さらには、報道されるところによりますと、医学的な見解の中に重大なやはり不一致があるんだというふうにも報道されている。これはいろいろな報道を私どもも拝見いたしておるわけですけれども、報道によりますと、たとえば神経内科の見解――その見解はいいとか悪いとかじゃないんですよ、神経内科の見解、それからたとえば二年間なら二年間慢性水俣病を研究してこられた研究班の見解に、一致しない違いがあるということがこれは明らかに報道されている。
 特に言われているのは、私ども心配だなと思いますのは、神経内科と言われておる先生方の御意見では、神経症状が中心で判断の基準にされておる。ところが、研究班の先生方の御意見の中には、いわゆるハンターラッセルというのですか、判断の基準にされているハンターラッセルの症状が全部そろうという状況までいってわかるような患者というのは、治療がきわめて困難になった状況で発見されるんだ、それではなしに、慢性中毒患者の比較的軽い段階でどのように発見をするかということがいまきわめて大事だ、そういうことを中心に新しい所見の提起というような問題もなされているやに、これは報道でございますが、報道されております。そういうふうな医学上の重大な見解の違いというものが残されたままで結論を出しておるというふうな点については、非常に心配を感ずるのです。
 さらには、神経症状というものはわりあいに短期間の間に出たり引っ込んだり、消長が多いそうですけれども、眼科、耳鼻科の変化というのは比較的固定的だ、ところが、そういった固定的な症状が今度の判定には軽視されておるというふうにも報道されております。私は、そういうふうな状況のままで学者の見解の違いがあるのは当然でございますのでそういう疑いを残したままで、特にこういう重大な疾病の判断に疑点を残したままで結論を出すというふうなことは、早計ではないかというふうに考えるわけです。
 したがって、ほんとうに地元の住民の皆さん方も信頼ができ、国民全体としても信頼ができるという姿を環境庁がお取り戻しになるということは、いま非常に大事じゃないかというふうに考えるわけです。少なくとも、学者の見解の違いが幾つもあるというふうなままで、そのままで出された結論を環境庁が支持するというふうな形だけを早計におとりになるのではなしに、あらゆる関係の学者の皆さん方が持っておられる見解の違い、意見、もう少しこういう角度で検討してほしいとかいろいろ意見出ていますね。私がいま申し上げただけでも三つや四つあるわけです。そういうあらゆる見解を取り入れ、しかも環境調査や健康調査がいま進められているわけですから、そういう結果が出たところで十分に再検討をするということが必要ではないかというふうに考えるわけです。そうしますと、いまの科学で判断できる、集約された一番高い水準での結論というものが出てくるのじゃないかと思いますし、そうなれば、地域住民もあるいは国民全体も信頼できるのではないかというふうに考えるわけです。
 特に私はこのことを申し上げておりますのは、大体どんな病気でも、歴史的にたくさん症例があって解明をされるわけなんですけれども、このメチル水銀中毒というのは、いわゆるハンターラッセル症候群といわれているのはいわゆる劇症であって、魚から微量に慢性中毒になったというような患者というのは、日本が最初じゃないか。世界でも類例のないというふうなものを判断をして、国民に安心を与えなければならない、必要な対策をしなければならないという段階では、軽率な判断というのはきわめて危険だ。
 そういう点で、特に私は長官に御意見をお伺いをしたいと思うのですが、いまはこの二人のシロというのは出ておりますけれども、しかし、疑いを残したままの形になっておることは客観的事実です。したがって、そういった点について、いま進めておられる環境調査、健康調査の結果が出そろった上で、しかも関係の学者の方々、専門学者の皆さん方の御見解を全部取り入れて、再検討をなさるおつもりがあるかどうか、御見解をお伺いをしたいわけです。
#40
○政府委員(橋本道夫君) 大臣が御答弁なさいます前に、かなり医学的な問題を御指摘ございましたので、その点につきまして前もって若干の御説明を申し上げておきたいと思います。
 あの二人の患者さんが熊大の研究班で検診をされましたのは、昨年の七月から八月にかけてと、十月と、この二つの時点でございます。その時点で所見があったということにつきまして、研究班の先生方は何ら批判をいたしておられません。研究班の先生方が、おっしゃったような議論を出されましたのは、七月の末から八月にかけて二十日間にわたり熊本大学に入院をしまして、非常に多くの専門の先生方がお寄りになって、二十日間ずっと患者を何度も何度も観察し、何度も何度も測定をしたデータを基礎にしてお出しになった結論でございまして、そういうことで、御意見は非常に慎重でございまして、現時点では水俣病の疑いはないということをおっしゃっておられます。四十七年の時点で研究班の方々が見られたときの診断が間違っているというようなコメントは、一切いたしておられません。また、将来何もないということもおっしゃっておられません。また、学問的な研究要素があるということは、これは全然否定しておりません。そういうような状態のもとにおっしゃってございます。
 また、この水俣病が、それでは臨床的に診断ができるかどうかという問題でございますが、これは阿賀野川の水俣病が初めて発見されたときのことを思い出していただければありがたいと思いますが、あの時点では、汚染源があるかないかもだれもわからないときに、椿教授がそれを診断されたわけです。これは特異的な疾患でございまして、アルキル水銀中毒のものは臨床的にも診断ができるということが、そのあとでコンファームするための汚染の事実とかそういうものができたわけですが、あくまでも阿賀野川の場合には、専門家の椿教授という方が、アルキル水銀中毒であるということの診断からすべてが始まっておるということでございます。
 それからもう一点、非常に論争になりますポイントは、熊本大学の武内教授がおっしゃっておられます加齢性の、遅発性の水俣病、慢性の病気であって、慢性の水銀中毒と老人性の変化と、その境目のようなもので、いずれの側にとるかというようなところ、これは非常に研究領域のことです。あらゆる疾病につきまして研究領域の論争がつきまとうということは、これはいわゆる医学を修める者としては、当然そういうものがすべての疾病にあるというぐあいに存じております。
 また、医学の中におきましても、基礎医学的な部門がある、臨床の部門にもいろいろな部門がある。その部門ごとに、同じ医学ではございますが、判断、アプローチのしかたが違う、あるいは研究領域の距離の持ち方が違うということがあるわけでございますが、一人の患者さんが水俣病の疑いがあると言われて非常な不安を持つことは、これは当然のことでございますし、その患者さんから臨床医として持ち込まれましたこの熊大の神経内科において、二十日間の専門家の診断をもってなおかつ診断ができないというならば、あらゆる水俣病は診断ができないということにつながるわけでございます。
 そういうことで、研究要素としては慢性中毒と老齢化現象との間にこれをきわめる要素があるということは、これは事実であります。しかし、それをもってこの臨床診断に対して再考をうながすというところまでの要素にはいかないということは、臨床医学としては当然言い得るのではないだろうかというぐあいに、医学の上では――私はずっとこの議論を聞いておりして、私は臨床の専門家でもございません、しかしながら、学問の扱い方としては、学問と行政との関係ということになりますと、私はそれは社会的には受け入れらるべきことではないか。
 そこの先生方の中で、慢性の遅発性の水俣病を最初に指摘し、それで診断まで下されたのは椿教授であります。これは阿賀野川の患者がありまして、そのうち四十三年ころになりまして、あとで遅発性の問題を出されたわけです。そういう意味で、椿教授はその点においては精通しておられるわけです。また、そこの場所でフィルムを出されまして、診断のときに非常に重要なきめ手になるポイントの写真をすべて出されました。一つは歩行障害があるかどうかということについての写真、一つはいろいろ手の共同運動の問題ですね、神経の運動障害があるかどうか、そういうところの状態をつぶさにわかるようなフィルムもずっと出されて、それがきめ手になりまして、あのような患者があった場合に熊本の審査会では患者と認定されますかという御質問に対しましては、熊本の方は、あのような場合には認定をしないということがあったわけです。研究の要素としては、これは研究要素があるということをおっしゃったわけであります。
 そういう意味におきまして、医学と行政という立場では、あの二人の患者さんの結論に対してさらに今後再検討するということはないと思いますが、学問として、慢性の疾患、慢性の中毒と老齢化の間の問題はどういう問題かということにつきまして、今後研究を大いに進める必要があるというように考えているわけであります。
#41
○沓脱タケ子君 ちょっと長官のお答えをいただく前に、いま橋本さんが言われたので、私が申し上げている筋がちょっと違うので申し上げておきたいと思います。
 私は医師が診断をし診断をつけたこと、あるいは見解の相違、そういうものについて異論を少しもはさもうと思っているわけではありません。専門家の学者の先生方が集団で結論をお出しになって、しかも行政的にこれが扱われているというところに問題があるから、しかも前段で申し上げたように、社会的影響を相当な速度で起こしてきておるというふうな問題があるから申し上げているのであって、熊大に入院をされて水俣病でないとかあるとかいうことの診断をお下しになるのは、これは何にも異論があるはずがありません。そのことを申し上げておるのではないのです。そうではなくて、そういった土人の患者さんをテーマにして、しかも長官が委嘱をされた委員の皆さん方が御検討になって、それが全員が一致した見解という形で出ているのではないから、それを行政的な形で発表するというふうなことは早計ではないかということを申し上げている。そういう意味ですよ。
 だから、異論があるということについての、これは私は直接聞いているのではありませんからね、報道による部分だけを特にとらえてみたわけです。というのは、学問論議をしようというふうに考えていませんので、特に報道による異論ですね、意見の違いというふうなものが、報道されている内容でもこれこれある。学問的に見解の違いというものはここで申し上げるつもりはないのです。報道されているのでも違いがある。特に、疫学的調査が済んでいない段階で発表するということには問題があるというふうなこと、これは報道されていますね、そうでしょう。それから、医学的な重大な見解の違いもあったのだというのも報道されていますよ。うそだと思ったら、その報道の記事を私は持っていますから。そういうふうなことが報道されている。そういう状況で行政的に診断の結果を発表するということは、当然政治的影響を及ぼすのだから、そういうふうなことを環境庁がお認めになっていいかどうか、むしろそれは慎重にやるべきではないかということを申し上げているので、そういった点は、多くの疑いを残したままで結論を出し、これを環境庁結論とするというふうなやり方、これは再検討するべきではないかということを申し上げているのです。その点お間違いのないように、念のために。
#42
○国務大臣(三木武夫君) 環境庁の立場は、黒を白と言わんならぬ立場はいささかもないわけです。それどころか、むしろ潜在的な水俣病患者というものを、広範な健康診断の結果、そういう人を顕在化して治療等救済の手を差し伸べたいというのがわれわれの立場ですから、したがって、この二人の人を特にシロにしなければならぬという必要は何にもないわけです。
 ただしかし、本人が、自覚症状がないんでしょうね、みずから希望して、よく診断をしてもらいたいということで二十日間も入院をさせて、椿博士を中心として、水銀問題に対しては最高権威のある人たちが長時間、診察の結果をもとにしていろいろとディスカッションされたのでしょう、そして、分科会としての結論を出したわけですから、特に環境庁がこれを尊重するとか、何か特に言う必要もない問題なんだと私は思うんですよ。ただしかし、聞かれたからでしょう、聞かれればそれは尊重すると、こう言わなければ、ほかにそれだけのまた権威のある一つの水銀問題の専門家の会議といっても、ちょっとなんですからね。おも立った人はみんな集まっておるわけですから、それを尊重するということを言ったわけでありましょうが、そういうことで本人自身もたいへんに喜んでおる、その二人も。水俣病であるというような疑いをかけられたものが、そういう最高の権威の人が寄って、現在の段階では水俣病とはいえないという結論が出て喜んでおるわけですから、特にそういう結論が出たのに、まだクロだといっていつまでもこれを置いておくということが、私は本人のためにいいとは思わないんですよ。
 したがって、しかし、そのことが、全体がもうシロになったんだという誤解を与えるとしたならば、それはよくない。これはやはり有明湾全体の沿岸住民に対する健康診断、環境の調査もいたしまして、全体としての結論は出さなければならぬ。しかし、二人については私はよかったと思うんですよ、本人が喜んでいるのですから。それをまだ待てと、お前はクロだと、そういうことは私は行政の姿勢としてもいいとは思わないんですよ。しかし、そのことが全般に対してこれはもうシロであると言い切れるわけではない。ただしかし、二人については、私は県とも連絡をとりまして、今後の健康というものに対して、健康管理というのですかね、そういうことで現在の段階では水俣病としての症状はないという結論でありますから、今後はやはり健康管理については気をつけていく必要がはると私は思っております。
#43
○沓脱タケ子君 私はね、二人の方が水俣病でないという判断を受けた、そして本人が喜んでおられる。これはたいへんけっこうだと思うんですよ。そのことを申し上げているのじゃないんです。そういうことを、先ほどから環境庁みずからおっしゃっておられるように、全体としての結論が把握できない段階で軽率に、長官が御任命になった委員会の結論だということでそれを発表して、行政的にこれが発表したようにやはり運用されていますからね。そのことによって政治的影響、社会的影響を及ぼすというふうなことが現実に起こっておるわけだから、そういった扱いについては、これは委員会は当然環境庁が事務局を握って運用を進めておられるのでしょう。そういうところでの結論の扱いというものについては慎重を期さなければならないと思うのですけれども、その点どうですか。
#44
○政府委員(城戸謙次君) ただいまの点でございますが、これは御説明のとき言いませんでしたが、発表いたしましたのは分科会の分科会長自身でなさったわけでございます。これは委員会の分科会の中でもいろいろ議論がございましたのですが、やはりあれだけ五時間近くも議論しましてやったことを、そのままそれじゃ発表をおくらすことになっても、どうせ表に出るのだ。表に出る以上、正確に発表すべきじゃないかというのが委員会の大体の御議論でございまして、委員長みずから発表された。私ども別に何も立ち会ったり何かしたかっこうではございません。そういうかっこうの発言になっているわけでございます。
#45
○沓脱タケ子君 いや、そういうかっこうの発表だから環境庁は関係ございませんと、あなた方の立場はそれで済むのですよ。しかし、そういう発表には、それじゃ環境庁はどうかといったら、先ほど前段で聞いたら、環境庁の結論として尊重する、と。環境庁結論と国民は思っていますよ。報道もそうされているのです。そうしてそれが政治的社会的影響を及ぼしてくるのです。だから、そういうふうに影響の及ぶものの発表等の扱いについては、環境庁が慎重に責任を持たなければならんのじゃないかということを申し上げている。かってにやったのだから直接関係ありませんでは済みませんよ。済まないということを前段で申し上げておる。その点を慎重に扱うべきではないかと言っているのですよ。
#46
○国務大臣(三木武夫君) いま沓脱さんも二人はよかったと言われるわけですから、私もたいへんよかったと思うのですが、そのことが、全体がもうシロだというような誤解を与えるとするならば、これはよくないことで、われわれは、いまいったような有明海沿岸に対しての環境調査あるいは健康調査というものを、今後この問題を促進いたしまして、そうしてまた企業に対しても原因者の究明をやるということをお約束しておるわけですから、これをきびしく追及をいたしまして、その二人の問題というものがそういう企業の公害防止というものに対する姿勢に影響したり、あるいは有明海沿岸全体が大したことでないんだというような、そういうふうな早まった結論を下すような空気を与えないように、今後われわれとしても気をつけてまいりたいと思うのでございます。二人とはこれは別の問題であるということでございます。
#47
○委員長(森中守義君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#48
○委員長(森中守義君) 速記を起こして。
#49
○沓脱タケ子君 それでは、あと時間もわずかでございますので、もう一点だけお伺いしておきたいと思いますが、これは現地へ参りまして、県知事もあるいは水俣の市長からも、あるいは関係住民からも患者さん方からも切実な要求として出されていた水俣病の認定業務の促進の問題についてでございます。
 この問題については従来から国会でも再三論議されましたし、一昨日も質疑が出ておるわけでございますが、県当局からも六月には具体的な要望も出ておるという中で、一昨日もちょっと御答弁を伺っていたのだけども、具体的にちょっと理解ができないわけです。その点で促進方、特にいま千六百人余り認定審査希望の患者さんが滞留しておるということでございますが、こういった点の打開について、これは県知事が手をあげて、環境庁にお願いに来ているわけですし、環境庁としてはこれの打開についての具体策を何らかお持ちになっておられるのかどうか。昨日の話を聞いてもちょっとよくわかりませんので、その点についてお伺いしたい。
#50
○政府委員(橋本道夫君) いま先生から御質問のございましたのは、熊本におきまして、水俣病の患者の認定という点で現在千八百余件の認定患者がたまっていて、まだはけない。それをぜひとも早く促進するには一体どういうぐあいに考えておるかということを、もう少し具体的に言えという御質問だと思います。
 この点につきましては、現在、水俣病の患者の現地の実情をいろいろ聞いてみますと、今後の問題も含めまして実は二手の患者さんがあるわけでございます。一種類の患者さんは、自分がどうも水俣病ではないか、あるいは人からあなた水俣病ではないかと言われて、お医者さんのところに行って見てもらって、水俣病だということで、あるいは水俣病の疑いということで認定審査会に出してこられたという方と、それからもう一つは、これはまだ現在の段階ではその段階にきておりませんですが、第三次検診というものが終わって、そして認定審査会に出てくるというのと、二つあるわけでございます。
 この中で、第三次検診の終わった方といいますほうは、これは今後の問題でございますが、そのケースにつきましては、専門家のスクリーニングから検査のデータからすべてそろっておるわけでございます。そういうことで、その点になりますと、認定審認定審査会だけの審査をどう進めるかということになるわけでございます。
 ところが、現在千八百人ばかりおられるという方の状況をよく伺いますと、この方々は前段に申し上げた方々がほとんど大半でございまして、そして、その方々の認定審査会に出してこられた資料だけでは認定審査会の先生方は診断できませんで、それに対しての必要な検査、いろいろこまかな各科の専門別の検査というものが要るわけでございまして、そういうことで、いま水俣の市民病院に検診センターというのが設けられまして、それに若干の研究費等も昨年来出し、厚生省の研究費等も出してできたわけでございますが、その市民病院の先生方が検診センターのほうに幾ばくかの日をさいておられるという状態でございます。
 それで、そこに熊大からも援助に来られますが、非常に限りがあるということと、もう一つは、検査をする上において、レントゲンの検査技師、あるいは分析等をやります試験検査の技師、このパラメディカル・ワーカーというものの能力がございまして、その一番最後に申しましたレントゲン検査、試験検査の人というのは、市民病院の方が労力をさいて働いておられるというように承っておるわけでございます。そこの検査で、大体一人の患者さん当たり少なくとも二回から三回、お医者さんの診断が要る……。
#51
○沓脱タケ子君 ちょっと時間がないから、その辺はよく知っているのです。だから医師並びに必要な専門家、それが足らぬわけでしょう。足らぬからできないというのは一昨日報告されているんです。それを強化するんだと言うから、どのように強化するかということを具体的に聞きたい。
#52
○政府委員(橋本道夫君) これは周辺の大学病院と、それから国立病院にお願いして、そして専門医を派遣していただくということを進めておりますが、なおかっこれだけでは非常に促進ができないということで、私どもは現地のほうの情勢ということに対しまして、時間を見て現地のほうに参りまして、どういうぐあいにして促進できるかということをもっと詰めてやってみたいと思います。県の方には、こちらに来ていただきましていろいろ事情は聞き、お願いはいたしました。けれども、こちらでお願いしただけではなかなか促進できないということでございますので、いずれ現地の大学病院の方とかあるいは国立病院の方のほうにも直接接触をしなければならないのじゃないかということで、現在努力をしているところでございます。
#53
○沓脱タケ子君 私ども現地調査に行ったのは、七月十三日から参ったのです。一カ月半の間に、あの当事は千六百名余りだったのですが、いまおっしゃった千八百名、どんどんふえているわけですね。解決するのじゃなしに、よけいたまっているわけです。一カ月半たつけれども体制は少しも進んでいない。そこにやっぱり問題がある。
 私は簡単だと思っていないのです。というのは、神経内科とか水俣病に精通できるような先生とか技術者というのは、たくさんいないわけでしょう、客観的には。簡単な仕事ではないということはようわかった。ようわかった上で申し上げている。簡単じゃないからといって、検討するとかむずかしいとかいって済まされる段階を越しておりますね。だから具体的にどうするのだということをお伺いしているのであって、いま国立病院の話が出ましたけれども、ちょっと聞いてみたら、国立病院をあまり運用されているようじゃないですね。水俣病の疑いの患者は二名ぐらい来たことはあるけれども、さっぱり来ていませんという話ですよ、私の聞いたのでは。国立病院、具体的にどうしようというのですか。私はやはり熊本県下にある公的医療機関、大学、すべてを網羅して、医師並びに専門家を結集して、早急に解決をする体制というものを整えなければなららいだろうというふうに想像するのですけれども、具体的に進んでいないから聞いているのです。
 いまおっしゃった国立病院やら大学やら言うけれども、大学だって新たに陣容がふえるということでもあれば、これは促進の一助になるでしょう。国立病院だって体制が新しく、たとえば神経内科ができて、そこヘスタッフが整って、それの検査体制もつくってということに、そういうふうに進めていますということなら、なるほどということで納得はしやすいですよ。いまから話しするというような話でしょう、いまの現地へ行ってというのは。違うのですか。もっと具体化していますか。具体化していたら、それを聞かしてください。
#54
○政府委員(橋本道夫君) 現地に行きましていろいろお願いしたいということは今後の問題でございますが、いままで働きかけたという点におきましては、国立病院あるいは県にお願いいたしております。
 大学病院の点につきましては、いま先生の指摘がございましたような、人員云々というような問題も私どもは実は考えておりまして、ある程度の議論を地元の県のほうと一度してみたのですが、現在のところはやはり一つの不調でございます。これをどういうぐあいにしてやるかということは、大学の自治の問題もございますので、なかなかその点はむずかしい問題もあるということでございますが、その話は、この一カ月余りの間にかなり真剣に突っ込みましてやっているところでございます。そういうことで、派遣をいたしてもらうということでさらに促進をいたしたい、こういうふうに思っております。
#55
○沓脱タケ子君 大学は簡単じゃないということですよね。これは大学の自治の問題もあって、教授がよしと言ったって、その教室の先生が簡単に動ける態勢にもないし、動けないだろうと思う。そういう問題はつきまとうと思いますよ。
 もう一つ、いま橋本さんがおっしゃった国立病院ですが、国立病院も協力をしてもらおうと思ったら、環境庁だけ走っていてもあかぬでしょう。厚生省には頼みましたか。その辺はどうです。
#56
○政府委員(橋本道夫君) 厚生省のほうには、これはお願いいたしております。もうすでに一ヵ月以上前から私どものほうからも参りましてお願いもし、また向こうからも協力をしようというような御返事を得ております。また検討委員会のほうにも、国立病院との関係も深くしょうということで、国立東京第一病院の副院長さんもこの検討委員会に加わり、国立病院の中での体験も強めようということをやっているわけでございます。ただ、現実におきましては、国立病院の先生方はほとんど水俣病の患者を見ておられないというような現状があるということは、事実でございます。
#57
○沓脱タケ子君 時間がありませんので、要望だけしておきます。
 国立病院と接触を保っておるというので、私はこの点は非常に大事だと思うのです。特に熊本の国立病院ですね、ここに陣容を強化してもらって、神経内科でも設置をして、必要な専門家も配置をするというような定数増も、これは厚生省とも折衝して急速に強化をするということなどを行なって、少なくともいまのままでほうっておくというのでなくて、促進方に具体的な実績のあがるような、実効のあがるような施策を早急に要望しておきたいということを申し上げて終わります。
#58
○高山恒雄君 私、農薬の問題で聞きたいのですが、四十六年以後禁止しました農薬の残余滞貨というものがあったはずです。それをどう始末をして、現在もまだ滞貨として残っておるのかどうか。残っておるものについては、従来からとっておるコンクリートに詰めて固化して埋めるとか、海中に沈めるとか、こういうような方法をとっておるという話は私も聞いておりますが、したがって、その滞貨の数があればそれをお聞きしたい。なおまた、そのやっておられる方法で残余滞貨があるならば、どの程度あって、いつごろまでにそれが終わるのか、これをひとつお聞きしたい。
#59
○説明員(福田秀夫君) 四十六年以来、製造、販売を禁止し、使用を禁止しました農薬としましては有機塩素系殺虫剤があるわけでございますが、禁止しました当時から、それをどのように処理するかということをいろいろと専門家とも協議してまいりましたが、まず小規模に埋めよう。その埋める場合には、毒物劇物取締法にあります毒劇物の処理の基準にそむかないような方法で埋めることを指導してまいりましたが、そのような方法では処理がはかどりませんので、四十七年度に農薬安全処理対策事業という事業を起こすことにいたしまして、そういう農薬安全処理対策事業というのを始めました。
 これは、そのような不安な農薬が長く放置されますことは、不当に使用されたり、あるいは災害等によって流出する等々いろいろ問題があると思いましたので、そういう事業をすることにいたしました。これはまたデこの場合もいろいろ専門の方と、どのような処理をしたらいいかということを検討したわけでございますが、結局、鉄筋を入れましたコンクリートのワクで囲って埋めるという方法しかないだろうということで、そういうことで予算の要求をいたしまして、予算の補助をいたしましてそのような処理をしていくことにしたわけでございます。
 その処理を始めるにあたりまして、都道府県あるいは農薬メーカー、農業団体等々から、その時点、四十六年末において不要農薬としてありますものの量を調べましたところが、六千九十九トンございました。それを四十七年度中、ただいま申しましたような予算補助をいたしまして処理をしてまいった結果、五千八百二十九トンが処理を完了いたしました。あと残っているもののうち、二百五十トンは輸出をする契約が済んでいるので、これは処理をしなかったということになっております。それからなお進行中のものが二十トンあるというようなことに、四十七年末に取りまとめができたわけでございます。
 この二十トンにつきましては、なぜ四十七年度中に終わらなかったのかということを調べたわけでございますが、それを処理してコンクリートの施設をつくって埋めようとした場所が、その後のいろいろな土地の利用計画が変わってまいりまして、そこに処理することができなくなったので別のところに移すというような話になって、四十七年度中に終わることができなかったということでもって、この二十トンが実はまだ終わっておりません。そこで、その二十トンにつきましては、そのものを、何といいますか、あくまでも追跡するという意味におきまして、厳重な管理のもとにいま保管させておりまして、これは四十七年度に行ないました処理対策事業と同じような方法で処理をさせる。その処理が終わるまでは厳重にその実態を見守っていきたい、このように考えております。
#60
○高山恒雄君 長くかかっていますね。それで、この二十トンというのは未了だという話ですが、これは一カ所に滞貨してあるわけですか。それとも散在していますか。その点でどうです。
#61
○説明員(福田秀夫君) 三トン、十四トン、三トンと、三カ所に分かれております。
#62
○高山恒雄君 それと同時に、もう各都道府県に残っていないと断言のできる調査は、終わっておるわけですか。その点はどうです。
#63
○説明員(福田秀夫君) この処理を行ないます前に、ただいま申しましたように都道府県あるいは農業団体、農薬メーカー等から調査いたしまして、これはそれぞれの持っておるものでなくて、たとえば都道府県は、自分の県の中にある農業団体の持っておるのもメーカーの持っておるのも全部報告せよ、それとは別に、農業団体は農業団体で報告せよ、メーカーはメーカーで報告せよというぐあいに、重なるような報告をとりまして照らし合わしたところが、数字的に最終的に合いましたものですから、スタートは六千九十九トンということで予算措置をしたわけでございまして、その後その途中におきましても、現在進行中の状態を報告せよということで報告させましたし、四十七年度末にまた同じように各方面から報告をとりましたところが、ただいま御説明いたしましたように二百五十トンと二十トン、合わせて二百七十トンが未処理で残っているということになっております。
 その間、その途中で処理をしている状況等の報告をとる場合に、処理の進行形の状況を写真にとって送ってよこせとか、そういうこともいたしましたし、それからまた地方農政局へ通達を出しまして、処理現場を確認せよというような通達を出しまして、確認に行ったときにその報告を求める。報告様式等も全部統一いたしまして、次のような様式でもって報告してこいというようなことをやりまして追跡しておりまして、ただいま申しましたような報告になっておりますので、そうであろうと思っております。
#64
○高山恒雄君 あとの処理は、いつごろまでに終わる予定なんですか。
#65
○説明員(福田秀夫君) 実は福島県にあります三トン、これで九月末の予定で処理が終わるということを聞いております。それから福岡県にも三トンございますが、これも九月末に処理が終わるというふうに聞いております。京都府に十四トンございますが、これは都市計画の問題がございまして、都市計画後になるという話で、少しまだ残るような状態でございます。
#66
○高山恒雄君 この京都府の十四トンですね、これはあなたもおっしゃっておるように未定ですが、いつごろということもきまっていないようですが、速急にこれは促進してやるべきじゃないかという私は見解を持つわけです。この点、私の希望として申し上げておきます。
 次に移りますが、農薬の使用による農作物や土壌の汚染の防止ですね、あるいは作物の残留対策の調査事業、これは継続して農薬の残留性について調査を行なうということで、四十八年度は十四種にこれを広げてやる、こういうふうに言っておられます。そこで、この残段性の科学的資料を整備するにあたって公害白書によると、わが国では大体使用されている農薬は、有効成分の種類にしても三百以上あるというわけですね。これは環境庁が出しておる資料だと思いますが、その中で十四ぐらいの調査をしてみても、私はたいした効果でないと思いますね。どうしてこれがこれだけおくれておるのか。もっと農林省としては関係者が促進してやるべきじゃないか。特にデ最近の有機塩素系の化学物質の殺虫剤にこれらはまだ使用しているのでしょう。したがってこういうものの、一部禁止したにしてもまだ残っておると思うのですが、どうして日本の場合はそういうことがおくれておるのか。この点をお聞きしたいのですがね。
#67
○政府委員(岡安誠君) いまお話がございましたとおり、現在、農薬につきましては三百種類をこえるような農薬がございます。もちろんその農薬の中で、きわめて安全であるという農薬も相当あるわけでございまして、問題はやはり検査をしなければ最終的に判断はつきかねますけれども、構造式その他からいいまして特に検討を要するものというのがございます。それらの点につきまして、私どもはこれを計画的に検査をする。これは登録を更新をする場合にチェックをするための材料を得ているわけでございまして、四十七年度までにすでに五十農薬につきましては調査をいたしております。すでに完了農薬が三十五、継続が十五ございます。
 先生おっしゃいました十四と申しますのは、四十八年度において新規八、継続六ということになっておるわけでございまして、私どもは先生おっしゃるとおりなるべく早くやりたいと思っておりますけれども、これはいろいろ作物の組み合わせもございます、地域の問題もございまして、全国の都道府県にお願いをいたしましてやっておる関係もあって、能力の点もございます。私どもで大体五十一年度までに、あぶない農薬につきましては約八十七農薬考えておりますけれども、それは完了いたすというような段取りで進めております。その間におきまして登録の変更申請があったものにつきましては、私どもに専門の委員会を設けておりまして、随時手元の資料によりましてチェックをいたすというようなことで現在処理をいたしておるという次第でございます。
#68
○高山恒雄君 それで、そういうふうに報告も出しておられますから、信頼をしないわけじゃないのです、私は。あなたもいま言われたように、十四種追加してやることにしていますね。そのくらいしかできないのかということをわれわれは不思議に思うのですよ。速急にやらなければいかぬということを認識しておられながら、どうして十四種しかできないのかというような考え方を持つのですが、特に日本の立ちおくれですね、アメリカにしてもカナダにしても、二百品目からあったものを、百四十も完全にこの残留許容量というものを規制していますね。日本の場合はなかなかそれが進まないのですね。これを速急に全力を注いでやるべきじゃないか。問題が表面に出てきて、残留農薬としてまだこういうものに残っておるというようなことがまた出てくると、これは大きな問題ですよ。だから速急に、年間十四種というふうなことでなくてやるべきじゃないかということを私は申し上げたいのですが、その点どうですか。
#69
○政府委員(岡安誠君) おっしゃるとおり、これは一日も早く私どもといたしまして、総点検の一環でもございますので、完了いたしたいというつもりでございます。しかしこれは、問題は予算の制約その他というよりも、先ほど申し上げましたとおり物理的なネックというものがございます。これでそれぞれ農薬ごとに作物のいろいろな組み合わせをやりますと、百数十種類の組み合わせになるわけでございまして、それを各都道府県の農業試験場にお願いをいたしまして検査をするというかっこうでございますので、私どもは現在の能力一ぱいにやっておるつもりでございます。でも、御指摘のこともございますので、さらに能力があり次第、スピードを上げるように努力はいたしたいというふうに考えております。
#70
○高山恒雄君 それから、そういう試験をやっておられるということの事実の上に立って、新しい農薬の発見によって許可されるという場合は、業界がいろいろ研究したその資料に基づいてやられることは当然だろうと思いますが、しかし、それだけでは危険じゃないかという不安をわれわれ個人としても持つわけですよ。したがって、現実にはその業者の資料のみにたよっておられるのか、政府として再試験をして、これなら安全だと。しかし期間はかかりますよ、許可するのについては相当の期間が私は要ると思いますが、そのくらいのつまり自信のある認可制を適用してはどうかと考えるのですが、そういう取り扱いについての認可制をどうお考えになっておるのか。この点ひとつお聞きしておきたい。
#71
○政府委員(岡安誠君) 実は、農薬の登録業務で現在農林省がやっております。登録のしかた等につきましては、防疫課長がおりますので防疫課長のほうでお答え願うことにいたしておりますが、私どもといたしましても、当然その登録の際に、公正といいますか、十分な資料がなければならないと思っておりまして、メーカーの資料のみでなくく、特定の第三者機関といいますか、大学その他の試験データを添えるというようなことを私どもは希望いたしておりまして、実はそのようになっておるというふうに考えております。
#72
○高山恒雄君 最後にはこれはやっぱり環境庁長官のなにを求めるということに、法律はなっていますな。したがって私は、むろん農林省がやるのには間違いないのですけれども、これは農林省にもお聞きしたいのですが、この許可の実態ですが、ただ業界の資料に基づいて認可されるのか、あるいはまた、ある程度の試験をしてこれなら自信が持てるという、政府自身でやっておられるのか。従来はほとんど業界の資料に基づいてやっておると思うのです。私はここに問題があるのじゃないかというような心配をするのですが、事実はその点どうなっておるのですか。
#73
○説明員(福田秀夫君) 業界の資料だけで登録するということはやっておりませんので、登録に必要な資料は、毒性、残留性、薬効、薬害、この毒性につきましては急性毒性とか慢性毒性、魚に対する毒性等の資料を要求しておりますが、それは全部、原則として公的機関のつくった資料でなければならないと言っております。そのようにまた取り扱っております。
 ただいま原則としてと申し上げましたのは、たとえば、アメリカですでに登録になっている農薬がございまして、そのものを日本へ申請した場合、アメリカの資料というのがアメリカの民間でつくった資料であっても、アメリカの合衆国のFDAがこれを認めてあるものであればそれでもいいだろう、あるいはWHOやFAOでもってすでに公認されたような資料であれば、そのオリジンがどこであってもいいだろう、そういうこともございますので原則としてと申し上げましたけれども、わが国の政府としては、公的機関の資料でなければならないということにいたしております。いずれにいたしましても、それらの資料が出てきた場合に、その御検討を、環境庁のほうでつくっておられます委員会、農業資材審議会の小委員会になりますけれども、そこで御検討願って、その御判断に基づいて登録をするか、しないかをきめることにいたしております。
#74
○高山恒雄君 それから、先ほど私は養豚の奇形の問題で、大臣の考えを細部をお話ししないでお聞きしたのですが、飼料の問題ですがね。先ほど申しましたように、この飼料については、私はどうしても納得がいかない点が一つあるのです。大臣としては登録基準によってこれを認可するということになるわけですが、したがっていよいよ施行するにあたって、その基準もきまっておるはずだと思うのですよ。そういう点は変更になる場合もあると思うのですが、現在お聞きしたいのは、抗生物質を使っておるのかどうか、この点はどうですか。
#75
○説明員(下浦静平君) お答え申し上げます。
 先生の御質問、いわゆる飼料添加物についての御質問と存じますが、飼料添加物につきましては、最近、家畜の成長促進でございますとか、あるいは健康の維持増進ということを目的といたしまして、抗生物質、それからコクシジウムでございますとかロイコチトゾーンというような病気でございますが、そういったような病気によります生産性の低下防止のための動物用の医薬品、こういったようなものが一般的に添加をされております。それからいわゆる飼料添加物の中にはビタミン類でございますとかミネラル類でございますとか、あるいはアミノ酸類、抗酸化剤等がございまして、四十七年度におきましてのこれら飼料添加物の総使用量は約六万二千トンでございまして、これは希釈された形の重量でございますが、配合飼料中に占めます割合は〇・四%ということにななっております。
#76
○高山恒雄君 それで、法律の基準を見ますと幅がございますね。その幅に基づいて配合をするのだろうと私は思うのです。ところが、きのうの話では八十何社の商社があるということですね。この八十何社の商社の中で、全部を統一されたとはいえないと思うんです。しかし、法律の幅ではやっておるのだろうということは想像つきます。ところが、それはどういう配合で、どの商社がどういう飼料をつくっておるのかという実態調査ですね、それは年間に何回かやっておるのか。そういう資料に基づいて、これはひどいじゃないかとか、あるいは営利主義にこういうやり方はしてはいかぬという注意を与える機関があるのかというと、ぼくはないのじゃないかというような気がしていますが、そういう点は一体どうなっているんですか。
#77
○説明員(下浦静平君) 動物医薬品につきましては、先生御承知のとおり薬事法の規制を受けておるわけでございます。それで、先ほど申し上げました一般的な飼料への添加でございますが、これは薬事法の基準以下の、何といいますか、分量につきまして添加がなされておるという量でございまして、それからさらに、病気の予防でございますとか治療でございますとか、そういったようなことのために需要者のほうからの委託を受けまして、医薬品等の添加をいたしまして製造をされる飼料がございます。委託配合飼料と称しておりますが、これはいわゆる薬事法の規制の対象になります量のものが含まれるということでございまして、このあとのほうの委託配合飼料でございますが、これにつきましては、獣医師の処方せんまたは指示によりまして添加をするというようなことにいたしておるわけでございます。なおこの飼料添加物につきましては、昭和四十五年から飼料添加物公定書というものを農林省におきましてつくりまして、行政指導といたしまして指導をいたしておるという現状でございます。
 それからなお、その検査の関係でございますが、これは国の検査機関が全国に六カ所ございます。さらに県の段階でそれぞれ検査機関がございます。これらの検査機関によりまして随時、配合飼料につきましての検査が行なわれておるという現状でございます。
#78
○高山恒雄君 それで先ほどもちょっと私申し上げたように、今週の初めにテレビで放送しておりました愛知県蒲郡地域の豚の奇形ですね、この奇形に対する検査ですが、何か三頭ほどこちらにもらって検討したという話を私は聞いておるのですが、どうですか、飼料からくるものはない、飼料は絶対安全性を確立しておる、したがって、抗生物質であろうとも医学的にも証明ができると、こういう自信を持って言えますか、政府は。そういう点がわれわれは聞きたいんですね。
 もう一つ、いま検査の方法でちょっと答弁がございましたが、六カ所でそういう検査をしておるということですが、何しろ全農と商社の八十何社というものがあって、競争でやっておるわけです。むろん委託もございましょう、その地域によってはいろいろ異なるものが必要でしょうから。そういう状態の現実において、もっと的確な飼料に対する科学的な研究に基づく、この実施しておる実態を政府としては掌握する必要がある。場合によっては、これに異物の混入は禁止するということになっておりますから、そういう状態があるのかないかも確信を持って言えるような方法になっておるのか。それは確信が持てると、こうおっししゃるのか。その点お聞きしておきたいと思うんですよ。
#79
○説明員(下浦静平君) 前段の御質問でございますけれども、愛知県下で問題となっております豚の関節炎症状を呈します病気でございますが、これにつきましては、先生のお話にもございましたように、農林省の家畜衛生試験場におきましてその原因究明を行なっております。ただいままでのところの行政鑑定の結果では、細菌性のもの、コリネバクテリウム、ブドウ状連鎖球菌等でございますけれども、そういった細菌性の感染によるものが主体でございまして、飼料との関係よりも、むしろ飼育環境等に原因があるものというぐあいに考えられる次第でございます。
 飼育環境と申し上げましたけれども、これは最近では、ふン尿の処理等がございまして、豚舎の床でございますが、コンクリートを張ったような構造が非常に多くなってきております。それから飼育密度というものも、非常に多頭化が進んできておりますので高くなってきている。あるいはまた、寒冷によりますストレスみたいなものも起こりやすいというようなこともございます。さらに、これも省力管理というものが非常に進んでまいりまして、そういうことからいたしまして、従来は敷きわらを使っておりましたものがだんだん使われなくなってきたというようなこともございます。そういったようなことからいたしまして、こういったような関節炎症状を呈するようなものが散発している傾向が見られておるわけでございますが、特定の飼料との結びつきというものは認められていないというのが、現段階の一応の結果でございます。
 それから後段の御質問でございますが、先ほど全国六カ所と申し上げましたが、北から申し上げますと、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡、こういうぐあいに、農林省の出先でございまして肥飼料検査所というのがございます。個々のこの検査機関によりまして、工場への立ち入り検査、披キ取り、それから分析というようなものを行なっておるわけでございますが、さらにその結果で、何と申しますか、公表すべきものは公表する、こういうような仕組みをいたしておるわけでございます。確かに御指摘のように、配合飼料の生産量でございますが、これは年々非常に規模が増大してきておりまして、なかなか手が回りかねるというような点もございます。私どもといたしましては、さらに努力をいたしまして、この検査体制の整備というようなことに心がけてまいりたい、こういうぐあいに考えております。
#80
○高山恒雄君 これはあなたも御承知かもしれませんが、この間の放送の結論的なものは、愛知の獣医師会が検討するということが放送されましたね。
  〔委員長退席、理事杉原一雄君着席〕
そういう結果に基づいて飼料だということにかりになったとすると、これは大きな社会問題です。そうすると、肉自体にも欠陥があるのじゃないかという結論が出ると、これはまた第三水俣病以上の大きな影響が出るという心配をわれわれするわけですよ。どうですか、そういう披き取り検査もやっておる、したがっていろんな委託もあるので、異物の混入ということは禁止されておるからそれはないと思うけれども、実際問題として、飼料からそういう奇形児ができるとか肉に重大な影響を与える公害は、絶対発生するようなことはないと確信を持って言えますか。そういう点ひとつお聞きしておきたいと思います。
 私は、豚を飼っておるところにも行って一ぺん調べたことがあるのです。おっしゃるように、最近は飼育方法は変わっております。変わってはおりますが、しかしもう結果的には、御承知のように販売をするということはキロ即代価ということになるわけですからね。何でもいい、太らすということがやはり大きな重点になっておるわけですよ。したがって、いろいろ養豚場の改革もやっておるようでありますけれども、私はそうした今日の流れの中で、いまのままではいかぬというような心配をするのと同時に、先ほど大臣にも質問しましたように、日本には肉自体の規制が何もない。ところが、御承知のように野菜等においては、この環境六法にも書いてあるように、ゴボウからニンジン、ダイコンに至るまで全部規制したわけですよ。やらないでいいかというと、これはやはり肉もやっておくべきじゃないかということを私は考えるわけですが、大臣もその点はおくれておる、考えるとおっしゃっていますが、事務局としてもそういう点には深い関心と熱意を持っておられるのかどうか、あなたにもひとつ聞いておきたいと思います。
#81
○説明員(下浦静平君) ただいまの御質問の前段の、飼料の安全性につきましてのお尋ねでございますが、一〇〇%絶対安全かと、こういうお尋ねといたしますと、私はそうは言い切れない面があると思います。たとえば家畜の飼料のたん白源でございますけれども、ボーンミールでございますとか、ああいったものを使いますが、たまたまそういったようなものから牛の炭疽病みたいなものが実際起こる可能性があるわけでございます。過去におきましてもそういう事例がたまたまあったというようなこともございますので、一〇〇%全く安全であるということは言い切れないと思いますけれども、現在のところは、私は、いわゆる配合飼料からの、ただいま御指摘のような心配はまずないと言っていいのではないかと思っております。
 それから肉の関係でございますが、これは実は厚生省のほうの所管になっておりますので、厚生省のほうにもひとつ先生からお尋ねをいただきたいと存じております。
#82
○高山恒雄君 厚生省だけれども、殺すまではおたくのほうでしょう。
#83
○説明員(下浦静平君) いや……。
#84
○高山恒雄君 わかっておるんですよ、私はわかっておるんです。したがって、屠殺場の設備基準、内臓分離、水洗、こういうものの法律はあるわけですな。これは厳重にやっておられることはよくわかっておりますよ。けれども、最近の魚にじましても問題が起こっておりますように、奇形児はさることながら、内臓等においてはかなりのPCBがあるというようなことも言われておるんでしょう。したがって私は、そういう面における研究をやはり何回かやるべきだ、こういうことを申し上げておるのであって、むろん細部における肉自体の検討は、これは衛生法に基づいてやってもらわなければいかんけれども、あなたのほう自体としても、屠殺場におけるところの分離と水洗と、そういう問題ではなくして、たまには実験調査ですね、そういうものをやる必要があるのじゃないかということ、私は基準をつくるべきだ、こういうことを申し上げておりますが、これは答弁はあとでよろしいです。
 それから時間がありませんから申し上げたいのですが、いまの食品衛生上から、厚生省としてそういう基準を私はやはりつくるべきじゃないか、こういうふうに考えますが、それには、最近の和牛の奇形児というようなこともよく言われております。これは前回の参議院の農林水産委員会で質問があったと思いますが、あるいはまた流産が激しいとかいうようなことも言われておりますね。それで何かの異常があるのじゃないかという質問がこの間もなされておりますが、そういう面から見て、やはり肉に対する、同じ牛であってもこれは内容的にはだいぶ違うと思うのです、たとえば九州で育成された牛、あるいは中部圏で育成された牛、東北圏で育成された牛、いろいろ違うと思うのです。したがって、そういう内容的なものを調査をして、基準的なものをつくる必要があるのじゃないかという私は考え方を持つのですが、厚生省としては衛生法に基づいてそういうことをやる意思はあるのかないのか、お聞きしたい。
#85
○説明員(三浦大助君) 食肉の検査につきましては、と畜場法に基づきまして屠畜検査員の検査を受けて、検査に合格しなければ食用に供することができない、こういうことになっておるわけです。この場合、疾病等が発見された場合には、それを廃棄等の処置をするということになっております。
 これはこれでいま厳重にやらせておるわけでございますが、なお一方、食品汚染という問題が出てまいっております。特に、先ほどちょっと先生からございましたPCBということでございますが、PCBの問題につきましては、昨年の八月、PCBの暫定基準をつくりましたときに、肉の規制値もつくってあるわけでございまして、今後実態を調査しながら、考えられる食品汚染には対処できるように、順次調査し、基準をつくってまいりたい、こういうふうに考えております。
#86
○高山恒雄君 それはもう現に取りかかっておる、こういうことですね。
#87
○説明員(三浦大助君) 昨年八月のPCBの基準以来、順次取りかかっております。
#88
○高山恒雄君 その問題はそれでわかりました。
 次にお聞きしたいのですが、これも食品衛生法に基づく問題ですが、家庭用としての洗剤ですね、洗浄剤。この問題は一応法律的には問題はないようでございますけれども、集団給食等における専従炊事婦と申しますか、そういう方の手が荒れるとか、あるいは皮膚病的な異常な現象が起こってきておるとか、こういうことがよく新聞なりテレビでも放送されるんですよ。したがって厚生省としては、全くこれこそ多くの多様化しておる種類があるわけですが、これの検査を精密にやって、現状では異常がない、したがってそういう専従炊事婦等の異常体質のためにそういうことになるのであって、実際は普通はそうならないんだということなのかどうか。その点をひとつお聞きしたいと思います。
#89
○説明員(三浦大助君) 現在使われております洗剤は、一般にアルキルベンゼンスルフォン酸を主成分とするものでございまして、この安全性につきましては、昭和三十七年の食品衛生調査会におきまして、中性洗剤を野菜、果実あるいは食器、こういうものの洗浄の目的からはなはだしく逸脱しない限り、健康をそこなうおそれはないと、こういう結論、御答申をいただいているわけでございます。ことしの四月に、これらの洗剤につきまして成分規格あるいは使用基準、特に有害な色素や漂白剤の混入を禁止いたして、使用の基準をきめたわけでございます。
 しかし、そう申しましても、中性洗剤というものは一般に非常に脱脂能力が強い、つまり脂肪を取ってしまうという性格がございます。したがって皮膚の脂肪を取るということは、これは避けられないわけでございます。特に先生いまおっしゃいました給食施設の専従者のような、長時間使用いたしますと、どうしても手の荒れる場合も起こってまいります。このために厚生省といたしまして、業界に対しましても、適正な濃度で手袋等をはめて使うように表示をしておきなさい、こういう指導もしておりますし、また都道府県に対しまして、一般国民に対しましてもそういう使い方の指導ということは指示してございますが、今後一そう強力に指導してまいりたいと思っております。
#90
○高山恒雄君 私も先ほど申しましたように、法律から見れば、あなたのおっしゃるように確信が持てるのじゃないかと思うんです。しかし現実には、あなたのおっしゃるようにあれだけの脂肪を取ってしまうというので、専従的な炊事婦等においては相当の人が出ております。私も現実に見ております。したがってその予防対策としては、あなたのおっしゃるように手袋をはめるならはめるとか、これは労働省になるかもしれませんけれども、一つの公害として、やっぱりそういうものを会社から支給させるようにしてやらすとかいうふうにならないと、これはたいへんなんですよ。だから、それは労働省とも相談をして、もっと徹底させて、その専従婦等においてはこういうものが必要であるということを、懇切丁寧に私は国民に知らす必要がある。こういうふうに考えるのですが、その点はさらに強力にやるとあなたはおっしゃるから、特にそういう面に対して御留意願いたい、こういうふうに考えます。
 終わります。
#91
○理事(杉原一雄君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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