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1972/09/14 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第16号
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1972/09/14 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第16号

#1
第071回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第16号
昭和四十八年九月十四日(金曜日)
   午後一時三十五分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         森中 守義君
    理 事
                金井 元彦君
                君  健男君
                杉原 一雄君
                内田 善利君
    委 員
                斎藤 寿夫君
                菅野 儀作君
                田口長治郎君
                林田悠紀夫君
                原 文兵衛君
                加藤シヅエ君
                沢田 政治君
                小平 芳平君
                高山 恒雄君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  三木 武夫君
   政府委員
       環境庁長官官房
       長        信澤  清君
       環境庁長官官房
       審議官      橋本 道夫君
       環境庁企画調整
       局長       城戸 謙次君
       環境庁自然保護
       局長       江間 時彦君
       環境庁大気保全
       局長       春日  斉君
       環境庁水質保全
       局長       岡安  誠君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       環境庁自然保護
       局鳥獣保護課長  仁賀 定三君
       水産庁研究開発
       部長       松下 友成君
       通商産業省基礎
       産業局化学製品
       課長       赤羽 信久君
       消防庁予防課長  永瀬  章君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公害及び環境保全対策樹立に関する調査
 (公害及び環境保全対策樹立に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(森中守義君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。
 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○杉原一雄君 各委員の皆さんも配布いただいておるわけですが、八月三十一日付環境庁からの「水銀に係る環境調査の取扱いについて」という文書と、「富山湾における水銀に関する魚介類調査の結果について」という二つの文書がございますが、それについてまず質問をしたい。
 これは、担当局は二つとも同じ局で、それがどの局なのか、まずお聞きしたいのですが、どの局がこれは出しているのですか。
#4
○政府委員(城戸謙次君) 環境庁の関係では、水質保全局の所管でございます。
#5
○杉原一雄君 二つともね。
#6
○政府委員(城戸謙次君) はい。
#7
○杉原一雄君 それでは「水銀に係る環境調査の取扱いについて」というこの文書について、読めばわかりそうですけれども、官庁関係の文書ですから、なかなかポイントはつかみにくいのですが、ポイントを押えて、簡単に骨組みだけ説明をいただきたいと思います。
#8
○委員長(森中守義君) 担当局長が参っておりませんので、ちょっとお待ちください。
#9
○政府委員(岡安誠君) 先般、水銀汚染調査検討委員会の中に設けられております環境調査分科会におきまして、水銀にかかる環境調査の取り扱いについて御審議を願い、その決定を見たわけでございます。この概要でございますが、まず前提といたしまして、先般来問題になっております全国的な水銀の汚染につきまして、環境庁といたしましては、関係省庁と協力をいたしまして、総点検的な調査をいたしております。その調査の内容は、魚介類のみならず、水質、底質、それから汚染源とみなされる工場につきましての操業の状態、物質の収支、その他すべてにわたりまして調査をいたすことになっております。その調査結果は、大体九水域につきましては九月一ぱいをめどにいたしておりますけれども、それ以外の水域につきましては、今年度一ぱいを目途に調査を終了するように指示をいたしております。
 そこで、そういうような調査が完了いたしました場合におきましては、それぞれそれに応じまして各都道府県において判定をいたすわけでございます。その判定の基準と申しますか、その基準となるべきものにつきまして、環境調査分科会でおきめいただきましたものを流すということになるわけでございます。ここに書いてございますとおり、とりあえずは魚を中心といたしまして判定をいたすということにいたしておりまして、ここにございますとおり魚を中心といたしまして、それぞれの調査結果を総合いたしまして、水域ごとに判定を下し、必要な場合には自主的な漁獲規制、または環境改善の対策を講ずるということにいたしております。
 魚の判定のやり方につきましては「記」に書いてございますとおり、魚介類の調査結果につきましては、同一魚種の全検体の平均値が、先般厚生省できまりました暫定的規制値をこえる場合には、これはアウトということになるわけでございまして、自主規制をさせる。それから水質、底質等につきまして調査をいたしまして、やはりそれらにつきまして環境基準、または底質につきましては除去基準をこえるような場合には、対策を講じさせるというようなことが書いてございます。
 なお、具体的な扱いといたしまして、たとえば魚介類はセーフである、しかし水質及び底質が問題があるというような場合には、一応魚のほうはセーフではございますけれども、アフターケアをいたしまして、至急に対策を講ずるというようなことがこの取り扱いに書いてある次第でございます。
#10
○杉原一雄君 確認しますけれども、九水域については九月末で一応総点検のうちの一部だけ完了する、残余の分は来年の三月末まで、そういうふうな理解のしかたでいいわけですね。
#11
○政府委員(岡安誠君) 九水域につきましては、やはり問題の水域ということになっておりますので、できるだけ早く結論を出すということから、九月末を目途に資料の提出を願いまして、私どものこの環境分科会で判定をいたすということにいたしております。それ以外の水域につきましては、それぞれ各県にお願いをしているデータにつきまして、それぞれの各県におきまして御判定を願う。しかし、九水域が非常に膨大な調査検体になるわけでございまして、第三者の委託というものも、そのほうに大部分がさかれますので、勢い来年の三月末ぐらいになるであろう。こういうように考えておるわけでございます。
#12
○杉原一雄君 その調査のことですけれども、「水銀に係る環境調査の取扱について」というこの文書によると、2の(1)ないし(2)ですけれども、水質あるいは底質、ヘドロその他のそうした調査はもう全部一応完了するという、こういう理解のしかたなんですか。その辺のところ、どうなんですか。
  〔委員長退席、理事内田善利君着席〕
#13
○政府委員(岡安誠君) おっしゃるとおり、私どもは、原則といたしまして、魚についての判定をする場合におきましても、水質並びに底質等につきましての調査をあわせて総合的に判定をするということにいたしております。ただ、富山湾につきましては、必ずしもすべての調査が完了いたしたわけではございません。しかし、その欠落しております部分がわりあい小部分でございましたので、先般とりあえず富山湾につきまして、魚介類につきましての判定をいたしたという次第でございます。
#14
○杉原一雄君 後段のところはあとで質問する予定でございましたが、いま申し上げているのは、全国的な問題として九水域ないしその他で水質なり底質の調査の問題、そのことについてのめどを、先ほどおっしゃった九月末とか、来年年度末とか、そういう時間設定、タイムリミットの点、そういう内容も含めたものだ、そういう理解のしかたでいいかどうかということをいまお聞きしたわけですが、大体局長がそれでいいというように判断をしておられるようですから、そのようにすなおに受けとめていきたいと思います。
 それから2の(2)ですが、これによりますと、こういうことですね。「1に該当しない場合は、魚介類の漁獲、販売は差し支えないものとする。」云々と書いてありますけれども、これは水質なり底質の問題が完全に所要の措置が行なわれていない、調査が行なわれていない場合をさすのだろうと思いますが、その場合に、「魚介類について定期的調査を行なう」と、こう書いてありますが、この定期の「定」はどういう程度に理解したらいいのですか。
#15
○政府委員(岡安誠君) なお、ちょっと申し上げますが、2の(2)に書いてございますのは、資料がそろわない場合ではございませんで、資料はそろいましたけれども、魚についてはセーフであった。これは自主規制をしないで、補獲、販売はよろしいわけでございますが、水質または底質のいずれかが、または両方が問題があるという場合でございます。その場合には魚の販売はよろしいけれども、たとえば底質からさらに溶け出しまして、水質をよごしたり、また、それが魚に影響を及ぼすことも考えられますので、アフターケアをする必要があるという趣旨でここに書いてあるわけでございます。そのアフターケアの問題で定期的調査を魚介類については行なえということがございますけれども、これは、魚の漁獲につきましてはシーズンがございます。そういうようなシーズン等を勘案いたしまして指示をいたしたいというふうに考えておりまして、これは水産庁とも相談をいたしまして、場所によりましておのおの異なってくるのではあるまいかというふうに考えております。
#16
○杉原一雄君 そうすると、大体わかりましたけれども、その「定期」という意味は、一カ月に一ぺんずつやる、そういう機械的なものではないかという理解のしかたでいいわけですね。
 それでは次に、先ほど局長が触れられたわけですが、富山湾における水銀に関する魚介類調査の結果についての発表があるわけですね。そこで、その中で幾つかの問題点を明らかにしていきたいと思いますが、「環境調査は未だ完結していない」という「環境」という意味は、水質なり底質なり、いろいろあると思いますが、「最終的な判定を行なう」というこの目標が、先ほどの総括的な判断に従って九月末ということになるわけですか。それとも、もう少しその辺のところは弾力性を持って理解していいのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
#17
○政府委員(岡安誠君) 実は、富山湾につきましての調査の欠落でございますが、これは河川部分についての調査が抜けているわけでございます。富山県のほうといたしましては、まず魚、それに海域の水質、海域の底質の調査をいたしまして、その結果を私どもに届けたわけでございますが、これから河川につきましての調査を実施するということでございます。そこで私ども、なるべく急ぐようにという指示はいたしております。間に合えば九月末までには総合的な判定ができるかと思いますが、私どもは、できるだけほかの九水域と同じように、九月末までには富山湾につきましても最終的な判定ができるようにいたしたいと考えております。
#18
○杉原一雄君 そうしますと、ここで問題は、底質あるいは水質が完全に調査結果がまとまっていないということになるわけですから、そうしたものが水銀を多量に含有しているとか、いろいろ問題等があるわけですが、その魚と底質なり水質との関係ですね。それが、どういう機構といいますか、メカニズムそのものがどういう因果関係を持ってきているかということ、これはもとに戻るような話なんですけれども、その辺のところは一般の人たちに説得する場合に、理解できるような形で御説明をいただければいいと思うのですが、とにかく水質あるいは環境がまだはっきりしていないのだ、しかし魚はだいじょうぶだと、こういう環境庁の発表ですから、はっきりしていないところと魚との関係がこういう点でまだ心配されるというようなことなど、因果関係というのですかね、その辺のメカニズムを明らかにしてほしいと思います。
#19
○政府委員(岡安誠君) 御答弁の前に申し上げておきますけれども、富山湾につきましては、繰り返しになりますけれども、富山湾の海の水質、それから海の底質につきましてはすでに調査が完了いたしております。水質、底質等につきましても、きわめて微量にしか水銀を含有していないということがすでに明らかになっております。問題は、河川の調査をしておりません。したがって問題は、河川がかりに汚染をされた場合には、それが海に拡散をいたしまして、それから魚介類に影響を与えるという間接的な問題が解明されておらないということでございます。
 そこで御質問の、では底質と魚との関係はどうかということでございますけれども、これにつきましては、先般底質の暫定的除去基準を明らかにいたしたのでございますけれども、その考え方は、水銀によりまして汚染された底質があるといたしますと、それが波浪や潮汐などによりまして自然的原因で攪拌浸透されまして、底質中に含まれております水銀が水中に溶出します。その溶出された水銀が拡散混合して水の中に混在をすることになります。その混在した条件の中で魚介類が生息するわけでございますが、また一方魚介類は、水中の水銀を直接または食物連鎖によりまして体内に蓄積をするということがございます。問題は、私どもは、どれくらいの水銀が底質に含まれていた場合には、どれだけ溶出するかということをまず考えます。溶出された水銀につきましては、それがどれだけ魚に蓄積をされ、濃縮をされるかということを考えるわけでございます。その上限といたしましては、先般厚生省がきめました魚介類につきましての暫定的な基準値というものがございます。トータル水銀で〇・四PPM、メチル水銀で〇・三PPMというものがございます。それを上限にいたしまして逆算をして、安全の限界は何かということをきめているわけでございます。
#20
○杉原一雄君 局長ね、こちらにいただいている文書では、川がまだ十分調査ができていないという形にはなっていない。つまり、「水質および底質等も含めて総合的に判定することが必要である。したがって」云々と、こう書いてあって、いまの局長の答弁だと、この文章には欠落しているものがあるのじゃないか。富山湾に関する水質、底質については、調査の結果だいじょうぶだという表現はこの中には欠落しているように思われるのですが、それは別に悪意があってなされたものではないと思いますが、いまおっしゃったことを確認する意味において、それはどうなんですか。
#21
○政府委員(岡安誠君) おっしゃるとおり、この調査の分科会の判定の文章の内容には、河川部分について欠落しているとは書いてございません。正確には、繰り返しますけれども、富山湾の海の水質並びに底質のデータはあったけれども、河川に関する資料がまだ整っていないからと書くべきでございます。そういたしますと、私どもは新聞その他に発表する場合に、海の水の状態並びに底質の状態を当然公表すべきだというふうに考えるわけでございます。公表してもよろしいのですけれども、それは実は配慮いたしましたのは、富山湾の水並びに底質は非常にいい状態でございますと、その部分だけ先に出しますと、いかにも誤解を与えるということもおそれまして、川の部分の資料がそろいましたならば、それをあわせて公表をし、それで判定を下すということのほうがよかろうということで、多少遠慮いたしまして書かれているというのが実情でございます。
#22
○杉原一雄君 その次に、発表されている別表のことなんですけれども、この別表の中で、ぼくらしろうとだから特にわかりにくいのですが、わかりにくいというより、非常に問題があると思われることは、水銀量の多い魚と少ない魚と非常にあざやかに分かれてくるわけなんです。特に多いのは、この表にあるとおりですが、あるいはタチウオだとか、それからサバ、ブリ――ブリなんかも、特に私わかりにくくなってきたのですが、カマス、テングサ、サバなど、こういうのがあるわけですね。しかし、基準より以下であることにおいては環境庁の判断は私けっこうだと思いますが、ただ今後の勉強なり、ものを考える場合に必要でありますから、同じところに生息していて、どうしてこういう魚が多くて、その他の魚が少ないのか、こういうことなんです。松下さんか局長か、どちらでもいいですが、きわめて専門的なことになりますが、何か関係があると思うのですね。その辺のところを、魚の生態を含めて御説明いただければありがたいと思います。
#23
○説明員(松下友成君) 魚種によって、また生息場所によりまして、水銀の含有量にどうしてこのような違いが生ずるのか、率直に申しまして、まだ私どもも十分解明しておらないわけでございます。先ほど環境庁のほうから御説明ございましたように、一つには、えらその他から直接入るものと、それから、食物連鎖を通りまして下から入る分があるということは推定できるわけでございますけれども、それが、たとえば魚の食べるえさによりまして、えさの種類と申しますのは当然魚の種類によって違うわけでございますけれども、そこら返がどういう関係で、どういうメカニズムで蓄積してまいるのか、実はまだ私どもも十分つかんでおりません。そういった点も含めまして、魚類の水銀の蓄積機構ということで、現在水産庁の関係の水産研究機関を動員いたしまして、いま鋭意検討を進めている段階でございます。
#24
○杉原一雄君 ということなんだから、これ以上質問しても始まりませんが、特に富山湾、なかんずく氷見などは、これからブリで商売しますからね。これはブリの最高は〇・三六八ですね。ブリという魚は富山湾にはふだんおらない魚ですから、これから来るわけです。特に十一月ごろ盛んに来る魚ですが、常識的にわれわれ考えた場合には、そのヘドロのところに寄りつかないような魚なんですけれども、その辺のところ、ちょっと大衆に説明しにくいのじゃないかと思うのですが、事実があった、事実はそうである。だがしかし、これは一体どうしてこうなるのだということを聞かれるとわからなくなってくるわけで、今後の漁業のあり方の問題とも関連してくるわけですが、その辺のところはどういうふうに理解したらいいですか、それだけ抽出して考えてみた場合に。
#25
○説明員(松下友成君) ただいまも申し上げましたように、いま鋭意そういった蓄積の機構、原因等につきまして研究を進めているわけでございますけれども、一方現実的に水銀の含有量の調査結果は判明してまいりますわけでございまして、その結果につきましては、ただいま環境庁のほうから御説明がございましたように、適宜自主的な規制措置その他を講じてまいる必要があろうというふうに思っているわけでございます。
#26
○杉原一雄君 そうしたこととも関連して考えられることは、水俣の場合、網のようなものを張って魚を外に出さないようにする方法が最近検討されつつあるというふうに理解しておりますが、その辺のところはどうでしょうかね。いわゆる水質、底質の問題とからめて、それが万全の策なのかどうか。私はブリの問題を考える場合にちょっと疑問になってきたわけですが、全く専門的でぼくはわかりません。局長なり松下部長等で、そうしたことについて何かとりあえずの見解があればお聞きしたいと思います。
#27
○政府委員(岡安誠君) 実は水俣湾につきましては、先生おっしゃるとおり、現在漁業団体からの要望に基づきまして、県のほうで水俣湾の入口に網を張りまして、水俣湾内に生息すると魚と八代海その他との流通を断つということを考えているようでございます。もちろん、まだ水俣湾につきましての魚介類、水質等の最終的な調査は出ておりませんけれども、一般的に水俣湾の魚は汚染されているという感じを持っております。そのために水俣湾の魚が流通をいたしますと、八代海また有明海の魚にも影響があるということを漁業者の方がおそれまして、ともかくも水俣湾とそれ以外の海域を遮断してもらいたいという要望があって、県がそれを承知をしてそういう事業を行なうというふうに聞いております。
 私、専門家ではございませんが、魚につきましては必ずしも広範囲に回遊するものばかりではないようでございますけれども、かりに広範囲に回遊する魚があり、またその魚が汚汚海域に一定期間滞留をするというようなことになれば汚染をし、汚染した魚がほかにまた動くということにもなり得るわけでございます。それらにつきましては、海域の実態並びに魚の性質等を勘案しまして、水俣湾のような措置が必要なところも出てくるかもしれません。それらはやはり具体的に判断をし、対処をしなければならないというふうに考えております。
#28
○杉原一雄君 それでは、その問題はそれぐらいにいたしまして、次の問題ですけれども、九月十二日に運輸委員会との連合審査会がございまして、長官が御都合が悪くて出席できなかったわけですけれども、そのときに運輸大臣なり国鉄総裁とのやりとりの中ではっきりしてきたことが幾つかあるわけです。特に環境庁の勧告により、鉄道公害、騒音は八〇ホンをもって目標とする、こういう発言が実はあったので、きわめて重大な発言だ。私は過去のことを知らなかったからですが、そのことについて長官が九月の八日、金沢で記者団会見をされて、新聞の一部ですけれども、すべてこれが正しいかどうか、次官から若干訂正があったわけですが、「新幹線の騒音公害に対する暫定指針はあるが、環境基準はないので、中央公害審でいま審議しており、年内には環境基準を決める。八十ホンは高すぎると思う。新規着工の五線はもとより既設の東海道新幹線も新基準に合うよう国鉄に改善要求することになる。」、こういうことになっておるわけで、特に私、ほかのどこかの新聞で六〇ホンということばが長官の口から出たように思って、そのことを含めて申したら、坂本次官は、わしは横におって聞いておったので六〇ということはおっしゃらなかった、こういうことなんですが、いま読み上げた程度のことは間違いなくおっしゃっただろうと思いますが、どうでしょう。
#29
○国務大臣(三木武夫君) いまの趣旨のことを記者会見で申しました。
#30
○杉原一雄君 そうしますと、八〇ホンは高過ぎるということですね。だから、このことについて環境庁長官から、国鉄なり運輸大臣等に、その後何らかの指導とか勧告をなさったのかどうか。
#31
○国務大臣(三木武夫君) すでにこの音源対策として暫定的に八〇ホンということを、運輸省に対して昨年の十二月、八〇ホン以下にするようにという勧告をいたしたのであります。しかし、これでも新幹線の騒音というものは非常に生活に支障を来たすということで、たいへんに陳情が、全国的に新幹線の沿線地帯から多いのであります。したがって、運輸省に対しても八〇ホン以下にせなければならぬということで、打ち合わせをいたしておるわけでありますが、いずれにしても、この環境基準というものを正式にきめて、そしてそういう線に沿うて今後新幹線の計画も次々に行なわれておるようでありますから、そういう基準に沿うて新幹線の騒音対策というものを考えてもらいだいと思っておるわけで、八〇ホン以下になるということは、すでに運輸省に対してもしょっちゅう連絡をいたして、技術開発などについて十分な注意を喚起いたしておる次第でございます。
#32
○杉原一雄君 当日のやりとりの中で、私が特に毎日新聞の九月十二日の記事を中心にしながら、新しい新幹線五つについて国鉄は公害防止の対策をとっているということが大きく書いてありましたので、それを取り上げて、これはほんとうなのかと言ったら、それは新聞社が勉強して書いたので、そこまでまだ結論が出ていないのだと、こういう話でございますが、しかし、これらあたりを見ますと、あるいはこの新幹線の片側二十メートルの幅のある緑地帯といいますか、そういうものをつくっていくとか、さまざまな構想が出ております。こういう点ではやはり国鉄なり運輸省が、かなりこれからの対策として一生懸命やろうという努力の姿が見えるわけです。たとえば二重スカートなんていいまして、音が外に漏れないように防音壁を建てる、スカートをつけるとかというようなことを書いておりますが、この間のやりとりの中で必ずしもこれは確定的のものではないという話でございましたので、私はここで長官にがんばってほしいのは、この計画どおりとは言いませんけれども、この計画の中に、かなりいま心配される騒音とか振動とかそうした問題が、八〇ホン以下にぐんと押えられる可能性が出てくるのじゃないかというふうに思いますので、こんなことを長官にあえて注文つけるのはどうかと思いますけれども、いまおっしゃったような理念の上に立ってひとつ御努力をいただきたい。
 私、けさ宿舎からこちらに来る途中、いつも弁慶橋のところを通るのですが、きょうは一体、騒音は幾らだろうかと思ってあそこのあれを見ておりますと、六六。六六でも、歩きながら、これはかなりやっぱり耳ざわりだなと思っておりますし、この間の答弁なんかによりますと、そういう騒音が生理学的に人体にどのような影響を与えるか等々については、世界的に明らかでないなどというようなことで逃げておられますけれども、そんなむずかしいことは私らわからぬですよ。やはりただ、六六ホンでもけっこう私たち生活する者にとっては大きな影響を与えます。だから、いま八
○ホンと言わないで、一生懸命縮めるような努力をしてもらいたいと思うのです。
 そこで今度はひっかかってくるのは、昭和四十六年の五月二十五日の「騒音に係る環境基準について」という閣議決定が実はあるわけです。これは先般も申しておったのですけれども、あるいはAA地区というのは、療養施設等が集まっているところですけれども、これは昼間は四五、朝と晩は四〇ホンというようなことで、かなりきびしい基準を出しております。ただ、ひっかかってくる最後の問題は、その第八に「環境基準の適用除外について」、「本環境基準は、航空機騒音、鉄道騒音および建設作業騒音には適用しないものとする。」という、ここの第八がひっかかってくる。でありますから、長官の就任は日が浅いわけですけれども、やはり、役所としては引き継がれているわけですから、この第八を適用除外として別項を起こしている理由。航空機騒音あるいは鉄道騒音等についてですね。建設騒音はわかります。これは一時的ですから。
 そうした理由をまず環境庁はどう理解されて、いま環境庁長官がおっしゃるように、そういうものを踏まえながらも、なおかつ八〇以下に落としていこうという姿勢、かまえがいま長官の発言の中に明確に出てきておりますが、望むらくはこの第八が抜けて、それぞれがみな規制対象になるというような方向に私は期待をするわけです。でありますから、ここに並べられている環境基準から申しますと、AA地区もA地区も、B地区は一番寛大な基準でありますが、一番寛大になところでも六〇、これは昼間です。朝晩は五五、夜間は五〇と、こうなっているわけですから、これがまともな基準だと思うのです。いまのところ。そう考えると、第八がどうして適用除外になるか、そのことを明らかにしていただくと同時に、これを除外からはずして、先ほど申し上げたAAあるいはA地区、B地区、こういうところの基準どおりにこれを適用することができないものかどうか、それは技術の問題なのか、もっと高い政治的な判断なのか、その辺のところをひとつ環境庁の立場から明確にしていただきたいと思います。
#33
○政府委員(春日斉君) 御指摘のように、四十六年五月二十五日の閣議決定によりますと、騒音に係る環境基準の設定の第八の中で、鉄道騒音、航空機騒音、建設工事騒音、これが除外されておるわけでございます。その理由につきましては、建設工事騒音については、先生も御指摘のように、これは一時的なものであるからということで理由はわかるとおっしゃったのでございますが、鉄道騒音、航空機騒音につきましても、ややそれに似た理由があるわけでございます。
 私ども、この閣議決定の前に、いろいろ生活環境審議会、当時はそう申しましたが、厚生省の生活環境審議会の騒音環境基準専門委員会等で論議されました、何ゆえに航空機あるいは鉄道騒音を除外するかという論議を振り返ってみますると、騒音のうち、いわゆる工場騒音や道路交通騒音という定常的に発生する騒音とやや違う点がある。それは航空機騒音や鉄道騒音というものは間欠的あるいは衝撃的ということで、定常的にずっと継続的に音が続くものではない。一定時間のみに発生する騒音ということでやや違うのではなかろうか、こういった指摘がされておりまして、通常の騒音に適用される、いわゆる生活環境に影響を及ぼす、いわゆる環境基準の設定の趣旨からはやはり除外視すべきではなかろうか、こういう当時の専門委員会からの答申があったわけでございます。
 また、私ども考えてみまするに、鉄道騒音、航空機騒音になりますると、その測定方法というものがかなり一般の定常的な騒音とは違うわけでございます。たとえば、先生が先ほどお話しになりました、ある市街地におきます騒音が六六ホンであると、こうおっしゃいますのは、これはほぼ定常的に六六ホンを前後とした音が続くわけでございますが、航空機騒音、鉄道騒音というのはごく限られた時間でございますね、これは定期的の場合が多いわけでございますが、いわゆる間欠的に音がするわけでございまして、単にピーク時の音をはかるだけで通常騒音と同等に評価するということは、むずかしいのではなかろうかと思っております。したがいまして、その測定及びその騒音の評価というものも、やはり通常騒音とは異なるがゆえに、私どもは通常の騒音に係る環境基準からは除外視しよう、こういうことでございます。
 そこで私ども、騒音に係る環境基準が検討されました当時を振り返ってみますると、当時、航空機騒音とか鉄道騒音等につきましては、ただいま申しましたように測定方法あるいは評価方法、人への影響、生理的な影響、こういったものも非常に未解決な点が多かったので、検討を重ねてまいったのでございますけれども、だんだんにこういった特殊な騒音に関する研究も内外において積極的に進められるようになってまいりました。御承知のとおり、航空機騒音につきましては四十六年の十二月に暫定的な指針が示されたわけでございます。いわゆる勧告でございますが、そのときには航空機騒音の国際的に統一された評価単位、WECPNLというような評価方式も出てまいりました。それを取り上げることによって、暫定的ではございますが、指針が出たわけでございます。したがいまして、航空機騒音につきましてはできるだけ早く、航空機に関する環境基準、こういったWECPNLというような国際的に評価された方法でもって行なうことが可能になったわけでございますので、これは早急に設定をいたしてまいりたいと考えております。新幹線のような場合には、なかなかWECPNLに匹敵するようないい評価方法はございませんけれども、やはりこれも暫定の方法でもって、暫定的な指針にいたしました。したがいまして、これもできるだけ早い機会に新幹線に係る環境基準というものをつくってまいると、かように考えておりまして、いずれも中央公害対策審議会におきまして審議をお進めいただいている、その結論を待っておる、こういう段階でございます。
#34
○杉原一雄君 経過はわかりました。しかしながら、これからの行政努力を必要とします。特にお願いしたい。
 それで、中公審の答申待ちということなんだけれども、作業には目標設定がされていると思いますが、ずっとお待ちになっているのですか。それとも何かテンポを早めて、結論を早く出すというようなタイムリミット等を置いてやっているのですか。その辺はどうなっていますか。
#35
○政府委員(春日斉君) 航空機にかかります騒音の環境基準につきましては、本年度中にできると思います。鉄道騒音に関します環境基準、鉄道と申しますか、新幹線に関する環境基準につきましては、長官から本年度中にやるべく強い指示を受けておるのでございます。この点は、先ほど申しましたように測定及び評価の単位と申しますのが、なおはっきりいたしていないという技術的な問題がございますので、ややおくれる可能性がある。その辺を御了承いただきたいと思います。
#36
○杉原一雄君 この間の連合審査のときもちらっとにおわしたわけですが、深く紹介をしなかったわけです。新幹線との関係で、普通の列車の問題でございましたから。十二日の質問にあたって、十一日ぼくはいなかにおりましたので、はからずもいなかの新聞が、私の隣の町の小学校が鉄道から七十メーターしか離れていないということで、北陸本線では臨時を合わせて往復四百本、高山線が五十六本になるということで、校舎の窓の外では八五ホン、窓の中では六〇ホン。文部省の学校環境基準が五五ホンということになっておるわけで、それをはるかに上回るような列車の騒音があるわけでございます。校長がおらないで、教頭といろいろ話をしながら、しばらく学校でお茶を飲みながら実態を見ておったのでありますが、ぼくも教員をしたことがありますが、これはやっぱりかわいそうですよ。これは新幹線と同様、鉄道という範疇に入れて問題を逃げることになると、えらいことになる。自主防衛の立場から窓ガラスをどうするかとか、防音壁をどうするかとか、緑地帯をどうするかとか、いろいろな自主防衛の方法はあると思いますけれども、おしなべてPPPの原則等からいえば、これは運輸省、国鉄公社の責任の問題になってくるわけで、その辺のところはやはりぴしっとした、いま言った鉄道公害、騒音の問題等がきまってこないと責任追及の点がふやけてくると思うんです。
 いま局長がおっしゃったようなことで、第八の、これを適用除外する第一段として、あるいは航空機騒音はどうあるべきか、新幹線はどうなければならないかという、来年の三月三十一日という期日を示されたわけですが、その辺に向けての精力的な努力をいただいて、それぞれの事業、それぞれの機関がこれに応ずるように、やはりリーダー・シップは環境庁にあるというふうに私は思わざるを得ないわけで、その点特に環境庁長官の御努力を期待したいと思うわけです。
 この間、ソ連の百六十八歳のお方が大住生をされた。この方はどうしてこんなに長生きをしたかということを述懐しておられるわけですが、きわめて私、含蓄に富んだことばだと思います。澄んだ空気、美しい自然の水、絶えず働くこと、節度ある食事と、こうあるわけです。働くこととか節度ある食事というのは、これは自分のセルフコントロールでできる問題です。できない問題は空気と水の問題。いまのように騒音などのときは、これは外からくる問題であります。でありますから、百六十八歳まで私も長生きしようとは思いませんけれども、そこに私は今後の人類の進むべき方向を、百六十八歳の大住生を遂げられたこの方が示唆していると思います。そういうこと等も含めながら、長官も先ほど八〇ホン以下に詰めるという努力を明らかにされたわけですから、ぜひともそういうことで御奮闘をいただきたい。このことを最後に申し添えて、私の質問を終わります。
#37
○加藤シヅエ君 私の質問は、九月の二日の新聞に報道されました問題でございますが、「捕獲禁止の海鳥二千羽」 「練習船、冷凍で持帰る」「北洋で「死んで網にかかる」」と、こういう題で出ておりまして、函館からのニュースでございます。
 北洋のサケ・マス資源調査に出かけた北大水産学部の練習船など三隻が、日米渡り鳥条約で捕獲が禁止されている海鳥の死体約二千羽を冷凍にして、八月三十日までに函館港に持ち帰っていることがわかった。警察方面が狩猟法違反の疑いもあるとして一日、関係筋から事情聴取を始めた。調べによると、海鳥を持ち帰ったのは、北大水産学部の練習船おしょろ丸、北星丸、それから歯舞漁港船籍で水産庁委託研究船の第二十一はぼまい丸の三隻。いずれも六月初め水産庁職員や北大教官、研究生が乗り込み、サケ・マス資源調査に出かけた。それで、これらの船がそれぞれ何羽、何羽とってきたと。
 調べに対して各船の関係者は、海鳥を研究している北大水産学部大学院学生某氏から頼まれた。サケ・マスの流し網にひっかかったウミガラス、ウミスズメなどの海鳥の死体を集め、冷凍にして持ち帰った。生きているのを捕獲したのではなく、海鳥の習性としてエサの魚を追って海に突っ込んで死んで、網にかかったものを集めたと話している。
 この事実が明るみに出たのは、持ち帰った海鳥の数が多いため、北大水産学部では、函館市内の小中学校にはく製にして教材用に贈ろうと計画、道庁支庁に相談を持ちかけたことからわかった。同支庁では、悪意はなかったものと認めてはいるが、海鳥の中には、はく製にすると数万円もするウミオウムなども含まれており、たとえ死体であっても、誤解を招く原因になるので、もっと慎重にしてほしかったと。それで、まだこの時期には、冷凍にされた海鳥は船の中に置いてあると、こういう記事でございます。
 私がこのことを問題にいたしたいのは、昨年、日米渡り鳥条約ができたばかりでございまして、昨今は、鳥獣の保護という問題は非常に世論が盛んになってまいりまして、そういう考え方はだんだんと成長しつつある時期であると思いますけれども、私が野鳥の問題とか、鳥獣の保護あるいは動物の保護というような問題を取り扱っております経験から申しますと、まだこういう生物の生命を守るとか、あるいは渡り鳥条約にちゃんとはっきり明記されている鳥の取り扱いに対して慎重さを欠いているとか、いろいろの問題が次から次へ起こっておりまして、こういう機会に一応ここに問題にして、これをすっかり明らかにしてまいりたい、そうして今後どういうような扱いをしたらいいかというようなこともはっきりしてまいりたい、こういうような考え方から質問するわけでございます。
 特に、ここにも書いてございますように、このことは関係した学生たちが悪意でしたことではなかったということは、これは十分に了解されます。ですから、私もそれを責めるというような意図は全然ございません。けれども、いやしくも大学生でございますから、悪意がなかったというだけでは少し足りないのではないか。これは日米渡り鳥条約のリストの中に載っている鳥であるぐらいの認識だけは持っていてもらいたい、こういうふうに考えたわけでございます。
 それで、まず質問いたしたいのは、この日米渡り鳥条約の中の第三条の二のところにある「渡り鳥の狩猟期間は」云々ということがございますけれども、この渡り鳥の狩猟期間というのは、この場合、いつからいつに設定されているのでございますか。
#38
○説明員(仁賀定三君) 昨年調印いたしました日米の渡り鳥保護条約では、いま先生が御指摘になりました狩猟期間は、各条約国がそれぞれ決定することができるということになっております。それの一項で「各締約国の法令により、補獲及び採取の禁止に対する例外を認めることができる。」ということになっておりまして、一項の(C)で「2の規定に従って設定される狩猟期間中」ということになっております。
 私どもの国内法で、現在、狩猟期間は、北海道につきましては十月の十五日から、内地につきましては十一月の一日から、そして両者とも終わりは二月の末日ということになっております。
#39
○加藤シヅエ君 そういたしますと、これは九月ですから、狩猟期間の前ですから、そうすると、不法に捕獲された鳥と、こういうことになるわけですね。
#40
○説明員(仁賀定三君) いまの狩猟期間の期間外であるということは、先生の御指摘のようなことかと考えます。で、この条約で取りきめておりますのは「渡り鳥の捕獲及びその卵の採取は、禁止されるものとする。」ということで、例外的に先ほどのような例、それ以外の例もあるわけでございますが、原則的に渡り鳥の捕獲が禁止されるということになっております。
 私ども話し合いました過程、また国内の法律でも同じ取り扱いをしておるわけでございますが、捕獲という解釈は、生きたものをつかまえて、自分の支配下に置くということに解釈いたしておりまして、今回の案件につきましては、生きたものを捕獲する目的で捕獲したものではないというふうな見方をいたしております。したがいまして、条約の違反あるいは法律の違反かという御質問につきましては、本案件につきましては、そういった解釈からいきますと、死んだものを拾得したということでございまして、これらの違反という形にはならないかと考えております。ただ、先生もいろいろ御指摘なさっていただいておりますが、私どもその辺の取り扱いは法律上また条約上もそうでございますが、指導としては、できるだけ適切な形に行なわれるように指導はしてまいりたいと考えております。
#41
○加藤シヅエ君 いま仁賀課長の御答弁で、死んでいるものを拾ってきたので、生きているものを捕獲したという範囲には入らないという解釈なんでございますけれども、これは鳥獣保護全般にわたって非常に問題になることで、特にこの三条には、これは非常にいろいろに解釈されるように思いますけれども、「渡り鳥の捕獲及びその卵の採取は、禁止されるものとする。」として、その次に「生死の別を問わず、不法に捕獲され若しくは採取された渡り鳥」云々と、こう書いてあるわけでございますね。「生死の別を問わず」ということばがその次に入っているのは、これは何にも意味をなさないわけですね。死んだものの場合には全然意味がないということでございますか。
#42
○説明員(仁賀定三君) この条約で「生死の別を問わず」と書いてございますのは、この読み方でございますが、その前にマルで一応切れまして、「生死の別を問わず、不法に捕獲され若しくは採取された渡り鳥」云々となりまして、不法に捕獲または採取されたというところにつながりまして、それから「それらの加工品若しくは一部分の販売、購入及び交換も、また、禁止されるものとする。」ということがございます。それで加工品、一部分の販売等も禁止されておるわけでございますが、これらはすでに死んでおるものだということでございまして、生きているものについては、捕獲したもの、それを不法に加工したものは、たとえ現状が死体であっても、それは禁止されるということに解釈いたしております。あくまでも前段に「不法に捕獲され若しくは採取された」という行為があったものについて、それ以後の物件については加工品という形まで全部押えるという解釈でおります。
#43
○加藤シヅエ君 これは、こんな場合は理解いたすといたしましても、ふだんの一般の鳥獣の場合には、狩猟期間中にとってはならないときめられた鳥も、けっこうあちらこちらでとっております。それはハンターの数が多くて、ハンターが非常に、率直にいえば未熟なために、その鳥が何の鳥であるか見分けがつかなくて、飛んでいれば三連発、五連発で打つ。どんなへたなのでもたいがい打ってしまう。そうすると、犬がそれを拾ってくる。拾ってみたら、それはとってはならなかった鳥であったと気がついても、それを今度は監視員がいっても、この間も問題にしたのですけれど、犬が拾ってきました、死んだものを拾ってきましたといえば、もう死んでいるものに対しては何にも法律は規制しないということになってしまう。そこにたいへんな抜け道があって、これは将来考えていただかなくちゃならないというふうに私は思っております。そういう抜け道ができているということは、たいへんおかしいと思います。
 それで、ここに特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律というほうでもって、第五のところに「その他」、「罰則」というのがあるのでございますけれども、この罰則というのは、「所要の罰則を規定するものとする」というふうに書いてあるのですが、それはどういうことになるのでございますか。罰則はどんなふうに規定されておるのでございますか。
#44
○説明員(仁賀定三君) いまのお話は、特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律の罰則だと存じますが、これにつきましては、特殊鳥類の譲渡等は原則として禁止いたしております。そして、環境庁長官の許可があった場合に特例的に認めております。これらに違反したものにつきましては、各種の条項がございますが、一年以下の懲役または五万円以下の罰金、あるいは六カ月以下の懲役または三万円以下の罰金、あるいは三万円以下の罰金と、内容によりまして分かれております。
  〔理事内田善利君退席、理事杉原一雄君着席〕
#45
○加藤シヅエ君 次に、私はいま新聞で読み上げました問題について、この事件が問題になったと思いますのは、日米渡り鳥協定の場合には、地域、地域というものが、「日本国については、日本国の施政の下にあるすべての地域」というふうにきめられているわけでございます。こういうような練習船が海の外へ出て行って、どのくらい遠くまで行ったのかわかりませんけれども、そういうふうな場合には、地域ということに全然関係がないということにもしなるとすると、そういうところに住んでいる習性のある渡り鳥で、しかも協定の中にはちゃんとリストに載っているという鳥は、全然放任されてしまうという、こういうことになるわけでありますか。
#46
○説明員(仁賀定三君) 私ども、条約は具体的には国内法で担保されるわけでございますが、国内法の運用の考え方といたしまして、公海中にある場合のお話でございますが、これにつきましては、日本の船は日本の領土という解釈で、日本の船の上で不法捕獲をした場合は国内法、日本の国内で不法捕獲したという解釈で、いわゆる船は日本の領土という解釈で法律を適用してまいっておるのが現状でございます。
#47
○加藤シヅエ君 そういたしますと、どんなに遠くに行っていても、やっぱり禁止されているものは禁止の条項の中に入るわけでございますね。それで、そうなってまいりますと、これは死んで網にかかるというところにたいへん問題がございまして、この鳥を大学で解剖して胃袋を調べてみると、結局、船でとろうとしているその魚を食べている鳥であるということが、いままでの解剖でみんなわかっているわけでございますね。そうしますと、流し網とかというのをかけておいて、そうしてその網にひっかかって死んでいたからつかまえてきた、こういうことになると、こういうことがいつでも繰り返されるであろうということが想像されるわけでございます。
 そういたしますと、いまあげました三つのウミガラス、ウミスズメ、ウミオウムというような鳥の中で、ウミガラス、ウミスズメというのは相当たくさんいるというようなことを聞いておりますけれども、ウミオウムというのはわりあい珍しい。そんなに数がたくさんないというふうにも聞いているわけでございます。それで、なるべくこの協定の中にリストされているような鳥は、将来ともとらないような方法を講じたいと私どもは考えるわけでございます。ですけれども、これがお魚とろうと思うと向こうから飛んでかかってしまうんだということになると、どうやってこれを避けることができるか。
 私は、この流し網というのがどういうことになるのか、知識がないので、水産庁のほうから、流し網というのはどういうやり方でとるのか、夜のうちにかけておいて朝になってとるとか、そういう詳しいことをまず聞かしていただきたいと思います。その上で、これをどうやって避けることができるかということを考えなくてはならないと思います。
#48
○説明員(松下友成君) 現在、北洋で用いられておりますサケ・マスの流し網でございますが、基準の一反当たりの長さが、海中で約四十五メートルございます。それから、たけと申しますが、幅が大体六メートルぐらい。ですから、こう平たい布のような感じでございまして、四十五メートルの六メートルぐらいでございます。それを通常、海域によって異なりますけれども、大体三百反前後つなげてずっと一列に流すわけでございます。そうしますと、全長大体十二キロから十五キロ程度になるわけでございます。それを張っておきますと、大体網を入れますのが夕方でございますけれども、張っておきますと夜間にサケがそれにかかるわけでございます。で、明け方ごろそれを引き上げて漁獲するわけでございますけれども、その際に海鳥が混獲されるということが起こるわけでございます。
#49
○加藤シヅエ君 技術的なことは私にはわかりませんけれども、その流し網をかけるたびに海鳥がかかって、こういうふうに死んでしまうということが繰り返されるということになると、その漁法を変えるよりほか方法はないということになるのではないか。もしそうならば、その漁法を何とか変える方法はあるものか、ないものか、それもちょっと説明していただきたいと思います。
#50
○説明員(松下友成君) 現在用いております流し網でございますが、これは非常に長い間歴史的な経緯を経て、現在のような仕様と申しますか、規格になっておるわけでございまして、漁獲の効率あるいは漁業の経営の安定といったような観点からいたしますと、非常にこれはもう単一化されておりまして、非常に効率的なサケ・マスをとる漁具であるということが言えると思うわけでございます。
 このために、先生ただいま御指摘のように、ほかの漁具なり漁法に変えることは可能かという点でございますけれども、これを変更するということになりますと、現在流し網の漁業に従事しております漁業者に対しまして、非常にばく大な経済的な負担と混乱を与えることになるわけでございますが、ただ単にそれだけにとどまりませず、わが国の沖合いのサケ・マス漁業のあり方そのものにも重大な影響を与えるということが考えられますので、現時点では、この流し網漁法を変えるということはきわめて困難であるというふうに私どもは考えております。
#51
○加藤シヅエ君 その問題は、やはり研究課題として研究していかなくてはならないことだと思いますけれども、いまここの委員会で、これ以上私はそれについては伺いません。
 その次に伺いたいことは、このたびの問題について、環境庁としては、この鳥の死んだのを持って帰ったことに対して、どういう処置をおとりになりましたか、それを聞かしていただきたいと思います。
#52
○説明員(仁賀定三君) 私どもといたしましては、そういう事実を聞いた以後、道庁を通じまして事実関係を明らかにいたしました。と同時に、これは大学の先生のほうから自主的に学生を連れられまして、私どもの部屋にお見えになりまして、その席上で私どももいろいろとその事実につきまして聞くと同時に、たとえ法律上は不法な捕獲でないにしても、いろいろとこういうふうに保護の思想の高まっている中で、この種のことをやられる場合には、事前に当庁に御連絡いただきたいというふうなことを大学のほうにもお願いいたしました。と同時に、今回の物件につきましては研究に専用的に使う、研究以外に、それをたとえば売るとかそういうふうなことの絶対にないようにというふうなことを、先生並びに学生にいろいろと話をいたしました次第でございます。
#53
○加藤シヅエ君 私、この問題についてきょう伺うつもりでございましたから、大体一応これで伺ったわけでございますが、ある問題は非常に未解決のままだと思いますけれども、やむを得ないと思います。
 せっかく長官がおいででございますから、一言御所見を伺いたいと思いますが、鳥獣保護の問題については、先ほど最初に申し上げましたように、全体に世間で重要視している、関心が高まっているということは事実でございますけれども、まだまだその高まり方もごく一部の方たちのやっていることで、全体からいえばたいへんに足りないということでございます。それから、申しにくいことでございますけれども、国会議員の先生方や政治家の方々、閣僚の方々も、たいへんにまだ認識が足りないと私は思います。
 いま、動物の保護及び管理の法案が参議院の内閣委員会にかかっておりまして、これは衆議院のほうでも全会一致でもってきめてくださいましてこちらのほうに参ったわけでございますけれども、ここまでくるのに並々ならぬ困難があったわけでございます。諸外国ではもう当然何百年も前からできている法律であるにもかかわらず、日本では、今日の現段階になりましてもまだまだ非常に御理解が薄い。ことに私非常に驚きましたことには、三木長官のおいでになります内閣におきましても、まことに御認識が低うございまして、私は、この動物の保護というものを一括して環境庁のほうでやっていただきたかったのでございますけれども、今度の法律の中には、野生の動物に限ってなくて、飼い犬、飼いネコ等が入っているので、それは環境庁のほうでは扱えないということでございまして、それでやむを得ず総理府の扱い。総理府の扱いでございますから内閣委員会に出ている。内閣委員会というのは防衛二法その他で与野党の攻防戦のたいへんに激しいところ、そこへ動物の管理及び保護なんというような法律がぬっと出てくると、たいへんに場違いだというようなことで、この法律を通すために長い長い間ほんとうに苦労しているわけなんでございます。
 ようやくこの間、衆議院のほうの内閣委員会で、おかげをもちまして皆さまの御了解を取りつけて、たくさんの委員の先生たちが特別のお骨折りをしてくだすって、そこまで取りつけてくだすって、それで満場一致で決定いたしましたときに、総理府長官のごあいさつがあったわけでございますね。何ておっしゃるのかしらと思って、たいへんいい法律ができた、一生懸命にやってあげましょうぐらい言ってくださるのかしらと思って私は傍聴していたのですけれども、万やむを得ずこの法律ができましたという、こういうごあいさつが正式にあったのです。私は、これはもうとてもいただけないことで、諸外国の人がこれを聞いたら、日本の内閣というのは何という、これはやはりアニマルの中に属しているのじゃないか、人間じゃないじゃないかというような、そんな認識じゃないかというふうに悪くとられるおそれもあると思うのでございます。
 長官は、自然保護、それから鳥獣保護、そういうようなことを特にお取り上げになっていらっしゃるのでございますから、まず閣内から、もうちょっとこういう問題について熱心にしていただきませんと、これは公害とか自然環境保全ということと切っても切れない問題であるということの、その認識のもとにおいて私は一生懸命やっておりますので、長官もどうぞひとつ御所見を述べていただきたいと思います。
#54
○国務大臣(三木武夫君) 加藤さん、いろいろと御指摘になりましたように、人間自身も生態系の一生物であります。人間だけが生きたらほかのものはどうでもいいんだというようなことでは、そういうものの考え方では、これは人間の社会でも成り立たなくなっていくに違いないわけです。また、国民の情緒の上からいっても、鳥やけものというものが何もいないような世界というのは考えられません。そういう点で、われわれは鳥獣との共存関係というものをやはり維持していくことが、これはわれわれの一つのルールだと思うわけでございます。また人間生活の感情、情緒という面からいっても、そういう生物の存在は欠くべからざることでありますから、法制の上においてもいろいろと整備をいたさなければならぬし、機会あるごとに国民の意識の中に、いま猟師のお話もありましたが、そういう点で、みながそういう鳥獣を保護していくのだという精神が国民全体の中にないと、法律ですべてを規制するというわけにもいきませんから、今後、御注意がございましたので、内閣はもとより、機会あるごとに鳥獣の保護というものに対しては、われわれもそういう機運を高めるように努力いたします。
#55
○理事(杉原一雄君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#56
○理事(杉原一雄君) 速記を起こして。
#57
○内田善利君 私は、直接公害問題ではないかもしれませんが、別の委員会で質問すべきかと思いますけれども、やはりこういう工場災害というようなものは二度と起こってはならない、そういう立場から、きょうはこの点について質問したいと思います。
 それは八月十二日午後十一時十分、大分市の住友化学の大分製造所の製品倉庫から出火した事件でございますが、その前にはこの住友化学では毒ガスが流出した事件がありまして、周辺の住民が千数百人被害を受けたということで、大分県からは公害罪法で告発されておるわけですけれども、約二カ月間全面操業停止処分を受けて、七月九日操業開始したばかりのところに、こういった火災事故が起こっておるわけですけれども、いまだに原因が不明だというようなことでございます。こういった工場災害、特に火災、特に最近は石油化学製品が非常に開発されてまいりまして、こういった危険を防止するという立場から質問してまいりたいと思いますが、まずこの火災の原因、これは現在どのように検討されておるのか、消防庁にお聞きしたい。
#58
○説明員(永瀬章君) 大分の住友化学大分製造所の火災の原因につきましては、現在、現地の大分市消防本部と警察と合同で調査をいたしておりますが、現在のところ、まだ原因につきましては確定いたしておりません。と申し上げますのも、実はこの火災が住友化学大分製造所の製品倉庫でございまして、非常に大きな倉庫でございまして、六十メーターに七十七メーターという大きな四角の倉庫に、さらに十二メーター五百に四十六メーターというものがくっついた一つの倉庫で、五千四百平米ぐらいある非常に大きな倉庫でございます。この一角から火が出ましたが、いろんなものが入っておりまして、現在、そのどこにどういうものが事前に置かれていたかということの精査に非常に手間どっておる、そういう関係で特に時間がかかっている状況でございます。
#59
○内田善利君 その状況につきましては通産省のほうからお聞きしたいと思いますが、火炎の高さは百メーター以上、そして十数時間燃え続けたということで、周辺の住民の方々は避難をされたわけです。私も行ってみましたけれども、倉庫の鉄パイプ類が非常に溶けて曲がっておるわけですね。これなどを見まして、相当高温を発したのじゃないか。農薬ということですけれども、そういった薬品の燃焼による高温により、ああいう鉄パイプが曲がったのじゃないかと思いますが、大体温度は何度ぐらいに上がったのか、おわかりでしょうか。
#60
○説明員(永瀬章君) まことに申しわけありませんが、私、まだ現地を見ておりませんので、さだかなことは申し上げられませんが、先生のお話によりますと、構造物である鉄材がかなり曲がっているというお話でございますので、そういたしますと、私、状況から推察いたしますれば、やはり千二、三百度までは上がっていたのじゃないかと考えますが、一般に火災の最盛期にはその程度の温度まで、もう少し高い温度まで上がることがございます。中に入っておりましたのがほとんどが有機薬品類でございます。かなり燃えやすい、燃えやすいと申しますか、火がつきやすいという意味じゃなくて、木材だとか紙だとかいうようなものと同じように、よく燃えるものでございますので、そういう温度が上がったと思います。さらに、先ほど申し上げました六十メーターに七十七メーターという大きな建屋でございますので、外からの消火が、水をかけましてもまん中に届きません関係で、中央部はほとんど水をかけられない状態で、ほとんどこの倉庫には消火活動をしておりませんので、そのような温度に達したものと私ども思っております。
#61
○内田善利君 工場内の消防体制ですが、参りましてお聞したのですけれども、化学消防車というのですか、化学車は一台しかない。一台では足らないのじゃないかと、そういうように考えましたのですが、今度の場合のような火災であれば一台では当然不十分なんですが、ああいった化学車は一台でいいのかどうか、消防法を読んでみましたけれども、そういうことが書いてありませんし、書いてあるのかもしれませんが、私一人では理解ができなかった。教えていただければよかったのですけれども、一人で読んだ範囲では理解できなかったのですが、どういうふうな算定方法によって消防車一台になっているのか、この辺お聞きしたいと思います。
#62
○説明員(永瀬章君) 消防法の中で規定いたしておりますものに、危険物がございます。これは石油類をはじめといたします非常に引火しやすいもの、また非常に発火しやすいと申しますか、燐のような発火しやすいもの、さらに燃焼を助けます酸素を出すようなもの、または火薬ほどではございませんが、火薬に類するような燃え方をするものなどが消防法上、危険物として規制されております。この危険物に対します規制の一環といたしまして、自衛消防組織を置かなければならない施設というものが規定されておりまして、それの内容といたしますと、貯蔵いたしますもの、施設に対しましては設置の対象といたしておりませんが、製造をいたしましたり、あるいは取り扱いをいたしますものに対しまして設けさせることにしております。
 その設け方は、実は危険物の品目ごとに基準数量がございまして、その取り扱い量を基準数量で割る計算をしばしばこの規制の中でやっております。そういう割り算をやりますと、倍数というのが出てまいりますので、この倍数が三千倍以上の取り扱い施設に対しまして自衛消防組織を要求いたします。
 自衛消防組織は、化学消防車と人員五名で構成することになっておりまして、さらに十二万倍以上あるいは二十四万倍以上、四十八万倍以上というランクがございまして、先ほど申し上げましたそれらのランクに従いまして、二台、三台、四台という消防車の設置が義務づけられているわけでございます。
 したがいまして、大分製造所の場合、危険物施設に着目いたしまして、この自衛消防組織の義務が出てまいるわけでございますが、十二万倍に達しません。三千倍以上ではございますが、十二万倍をこえません関係で、一台でよろしいという計算になっております。
#63
○内田善利君 それでは、住友化学の大分製造所は一台でいいわけですね。
#64
○説明員(永瀬章君) 一台でよろしいということになっております。
#65
○内田善利君 法律の上では一台でいいかもしれませんけれども、実際このように石油化学製品がふえてまいりまして、特に住友化学製造所は、私はどんな目で見ても、法律がいつできたのか知りませんが、一台では不十分だと思いますね。そういったことで、法改正をしていただきたい。
 これは私たちがする立場にありますけれども、ぜひひとつ法改正をして、このように危険物が出回ってまいりますと、どうしても自衛消防体制も必要だと思います。そういったことで、この計算のしかたを変えていただきたい、そのように思うわけですが、あんな大きな化学工場で燃え出したら、化学消防車一台ではどうにもならないと思うのです。また消防署から消防隊がやってまいりましても、何か連絡が悪くて、門衛のほうがそんなことは聞いていないといって、しばらくは門をあけなかった、入れなかったというようなこともありまして、現場にかけつけるのがおくれたということもあります。それから工場内の消火せんが少なくて、各工場からも化学消防車が来たそうですけれども、消火せんが少ないためにどうにもならなかった、こういうことも聞いております。
 そういうことでは日本全国の化学工場、特に石油化学工場は、こういった対策を調査していただきたいと思うのですけれども、消火せんも足らなかった。それから海水を取るのに、ホースの長さが不足したために放水ができなかった。そういうものもあったそうです。これでは何のために現場にかけつけたかわからない。こういうことになるわけですが、ひとつ消防体制をもう少し、特に自衛消防組織、特に石油化学工場におけるこういった体制については一考をしていただきたい。そうして直ちに対策を講じていただきたい。このように思いますが、いかがでしょうか。
#66
○説明員(永瀬章君) こういう化学工場の消防体制という問題につきましては、私ども鋭意頭を悩まし続けてまいっておるところでございますが、実はこの危険物の規制と申しますのが、工場の中にいろいろな製造施設があります。またタンクがございます。倉庫がございます。それぞれのタンクとか倉庫とか製造施設とかいうものが、一般的に平常時を考えますと、同時に発災するということがかなり確率的には考えにくいものでございます関係で、それぞれの施設ごとに対象として考えまして、その最大の施設、これに対応する消防施設というものを規制上考えておりますが、ただ今度のような場合に、倉庫が先ほど申し上げました六十メーターに七十七メーターという膨大な倉庫でございますと、これはどうにもこうにも手のつけようがございませんので、このような倉庫を小さく分割させていく、そして事が起きましても、小さな消防力でと申しますか、一般の消防力で消し得る体制というようなことも考えなければなりませんので、そのような倉庫の大きさあるいは施設の大きさというものも、規制の中で何とかできるように考えてみたいと思っておりますし、また、それとあわせまして、さらに先生おっしゃいます施設の中の全体のかまえ、規模としての規制というものも考えてまいりたいと思っておりますが、これも数年来検討いたしておりますが、なかなかいろいろな問題がございまして、まだ成案を得ていない状態でございます。私どもも前向きの姿勢で検討は続けてまいりたいと考えております。
  〔理事杉原一雄君退席、委員長着席〕
 それに関連いたしまして、先生おっしゃいました、いろいろ構内におきますところの消防体制、あるいは周囲の工場その他との関連体制というような問題もまだ多少残っております。
 先生おっしゃいました入門拒否の問題につきましては、私どもいろいろ調査いたしましたが、これは拒否の事実はございませんで、ただ従来から中に入りますときには、一般に化学工場の中に入りますときには門で守衛と連絡をして、どの辺がどうなっている、そしてそこには毒性のガスが出るか出ないか、水をかけたらどうなるかという情報を得てから入るように、消防隊員のほうの安全もございますので、そのような連絡をとらせながら入らせておりますので、調べますと、門を入りまして、守衛の前でとまって連絡をしたという事実はございますが、拒否を受けた事実はないようでございます。
 また、構内消火せんにつきましても、これはできるだけ多くを設けさせたほうがよろしいのですが、非常にたくさんのものが入ってきますと、それをまかない得るだけのものとなりますと、なかなか施設的にも手の届かないところになってまいりまして、今回の場合、幸い岸壁がございましたので、その岸壁に、長期戦をかまえまして途中からそちらのほうに移動をして、ふんだんにある海水を使ったということでございまして、多少、中に先生御指摘の消防ホースの積載量が少なくて本数が不足したという事実があるのかもしれませんが、ここまでは私ども報告は入っておりません。
 しかし、構内の消防体制、これにあわせまして、さらに現在行なわせておりますのが、一社で持っておりましても、なかなかこれは化学消防車をはじめとする消防体制は持ちにくいものでございますので、周辺の工場との応援協定を結ばせまして、ある社で火災がございますれば、それに対しまして周辺の協定の工場から応援にかけつけるという仕組みをとっております。今回の場合も、付近の昭和電工、九州石油、新日本製鉄、ここからそれぞれ応援の車が入ってきております。消防団の車よりも、こういう車のほうが化学的な能力は高うございます。消防団のほうは水を出す能力は相当持っております。そういうような両方相まって消火体制を立てていく、かような考え方を持っておりますが、運用その他につきまして、より防災体制の整備をさらにはかっていきたいと考えております。
#67
○内田善利君 化学消防車にもいろいろあるはずですけれども、やはり製造工程の場所に従ってどの化学消防車を使わなければならないかとか、ここは高発泡車の化学消防車というようなふうにしなければならないと思うのです。同じ化学消防車でも一台では単純で、製品の状況によってそういう配置をしなければならない、このように思うのですけれども、この点はいかがですか。
#68
○説明員(永瀬章君) 御指摘のとおり、対象の薬品類の性質によりまして、使います消火薬剤も有効なものは変わってまいるわけでございます。しかしながら、消防車となりますと、積めるのが、いま一般に積んでおりますのが、実はあわを出します化学車であります。これは水と薬剤をまぜまして、そうして放射するときにあわにする、いわば石けんのシャボン玉のあわのような、もっと小さいあわでございますが、そういう形で出すものでございまして、これはもう上をおおって油類に適当でございます。そのほか現在工場が持ったり消防が持ったりいたしておりますのは粉でございまして、しかしこの粉の場合は、一ぺんにぱっと消えますけれども、そのかけたものの持続性がございませんので、さっと消せるというときに使うことになります。しかしながら、消防車にそういう多種類の、そのほかございますが、多種類のものを積むということがなかなか困難でございますので、危険なものに対しましては、あるいは発災可能性が高くて、発災したときにかなり拡大するというものに対しましては、消防車で行なうよりも、むしろその装置に消火装置をつけさせまして、その固定的な装置で消すという考え方を従来からとってきております。そちらのほうの義務化の内容を、現在義務をつけておりますところの内容をさらに検討いたしまして、現在のもので不足するところはさらに改正を加えて、万全を期するという方向の検討をいたしたいと考えております。
#69
○内田善利君 この倉庫の隣にLPガスのタンクが二基ありました。それからもう一方の片側には、ニトロトルエンのタンクがたしか二基ございました。両方とも非常な危険なタンクだと思うのですが、こういった危険物、両方危険物ですね。LPガスは高圧ガス取締法によるわけですか、そういった危険物がとにかくあって、それから住居は十メートル以上離れてなければならない。この法律は適当でしょうか。これは十メートルでいいものかどうか、こう思うのですけれども、万一あのLPガスに引火していたらたいへんなことになったのじゃないか、あるいはニトロトルエンのほうに引火していたらたいへんなことになったのじゃないかと思うのですが、あの十メーターというのは適当なんでしょうか。
#70
○説明員(永瀬章君) 先生お尋ねのLPガスのほうは通産省の所管の法律でございまして、これの数値については別でございますが、消防法の対象となりますところの危険物施設、いま御指摘のタンクでございますが、この場合は敷地の中に、そのタンクの周囲にとるべき空地が規定されております。非常に小さいものでございますと三メーター、だんだん大きくなってまいりまして、たとえば九州石油にありますような、あるいはもうちょっと小さいのですが、原油タンク、あるいはあそこの製品タンクというようなものになりますと、直径または高さの大きいほうを周囲にとらなければならないという規定になっております。したがいまして、非常な小さなものの場合には、民家への距離の十メーターが実質的にきいてまいりますけれども、大きなものになりますと敷地内に、いわゆる敷地境界線よりも中の部分に十数メーターとか、あるいは大きなタンクになりますと、十五万トンタンクになれば七十メーターぐらいございますが、中へ七十メーター入らなければならないということに相なりまして、民家との距離の十メーターという数値は、非常に小さいものに対してだけ実質的には働くようになるわけであります。しかしながら、この民家との距離が十メーターでよろしいかどうかということは、かなりいろいろ問題がございますので、現在それにつきまして検討を続けております。そのような状況でございます。
#71
○内田善利君 通産省の方に聞きますが、この燃焼した製品倉庫にあった薬品は、私は十七種類と聞いておるのですが、これは幾らあったのか、全部言っていただくわけにはいかないと思いますが、その中で自然発火点ですか、引火点の非常に低いのがあれば、どの程度であったのか。私は、原因がわからないということで、自然発火点あるいは引火点、こういったものが何度ぐらいのものがあったのか、その辺をちょっとお聞きしてみたいと思います。
#72
○説明員(赤羽信久君) この倉庫にありましたものが全部で千五百七十八トン、大分類しまして、品種が五十二品種のものがございました。その中のものにつきまして、引火点をいろいろ調べてみましたのですが、比較的引火点の高いものばかりでございまして、常温で引火するものはございません。なお、その中から低いものを選び出してみますと、パラジクロールベンゼン、これは十六トンにすぎませんが、六十五・六度でございます。それからナフタリンが百十五トンございまして、これが八十度Cでございます。そのほか大体百度から二百度以上のものが多うございます。
#73
○内田善利君 この中で六十五・六度が一番最低のようですが、一緒にあることによって自然発火するというようなことはないのか、一緒に倉庫の中にあることによって、その蒸気等が原因になって自然発火することはないのかどうか。電気系にも異常がなかった。それから倉庫のほうも、四時か五時にはもうかぎをかけてしまったというようなお話をしておられましたが、何もわからなければ、この中にあった五十二品種の中から自然に発火するようなものはなかったのかどうか、この辺疑問を持つわけです。この点はどうでしょう、いまの点。
#74
○説明員(永瀬章君) 自然に発火するものは、私ども見まして、性質からしますとないように思いますが、先生御指摘の二種類以上のものが重なり合いまして発火するという可能性につきましては、現在いろいろ消防側とか企業側、その他で調べておりますが、現在のところ、はっきりしたところのものが実はつかめておりません。特に、出火をした場所と思われますあたりに、一度出荷いたしまして、受け取った先でいろいろな意味のクレームがつきまして、返ってきた返品があったと思われる位置付近が疑わしい位置になっております。ところが、この返品されたものが、どういうものがどういう経緯で返ってきたのかという帳簿が倉庫の中にあったために焼けておりまして、それを現在、記憶をたどりながら一々引っぱり出させている状態でございますが、その中にも、いままでのところ、何と何が混合すれば火災になるかという点について、これとこれならこうなりそうだというところまでは突きとめられておらないわけです。
#75
○内田善利君 きょうはもう終わりたいと思いますが、これらの五十二品種の中で、いぶっている間、不完全燃焼の間に有毒なガスが出るとか、あるいは、完全燃焼させたのだろうと私は思いますけれども、完全燃焼した場合には亜硫酸ガスとかあるいは炭酸ガスとかが出ると思いますが、いまもおっしゃったように六十五・六度の引火点のパラジクロールベンゼンですか、これなどは塩素ガスが発生するわけです。こういった有毒ガスが周辺の住民に被害を与えるというおそれがあるわけですけれども、私の知っている範囲では、その中で一番危険な有毒ガスを発生するものと思うのですけれども、こういったものは別に保管するとか、そういう配慮ができなかったものかなあと、こう思うのです。幸いにして被害者はあまりなかった、重症の方なかったようですけれども、こういった配慮がほしいのじゃないか。製品の倉庫の貯蔵のしかた、こういった点、通産省はどのようにお考えでしょう。
#76
○説明員(赤羽信久君) 今回の火災が、発見にもいろいろ手落ちがございましたが、そのあとでも、御指摘のように倉庫が大き過ぎること、それから避難を解除して帰ってきたあとで、火勢が弱まったためにかえって住宅地域に有毒なガスが流れていったと、そういった何といいますか、運営の面でかなりまずい点があったために、なお被害を外へ出してしまったのじゃないかと思われます。
 こういうことにつきまして考えてまいりますと、化学品の中で高圧ガスあるいは消防法のほうで御指定いただく以外のものにつきまして、ふだんはあまり引火点も高くないので特別な対象にはしていないものが、いざ火が出た場合には量が多いために大火事になる、そうしてそれが分解したガスが周辺に被害を与える、こういう問題がやや取り締まりの間にあるということがはっきりしたわけでございます。もちろん、これは消防法の対象としてはかかっているわけでありますが、そのようなものにつきましては、何といっても物理的な面よりは人間的な管理の面が非常に重要ではないかと、われわれ認識したわけでございます。
 そこで全国的に、このような燃えると有毒ガスを出すようなものの倉庫がどのくらい使われておって、どういう現状にあるか、その問題点を現在調べ上げるべく準備しておりまして、近く着手できる予定でございます。その結果、まとまりました問題点を集約いたしまして、消防庁のほうと御相談した上で、両方のそれぞれの持ち分から新しい指針をつくって、監督指導をしてまいりたいと、そういうふうに考えております。
#77
○内田善利君 八月の二十六日には旭化成の延岡工場でニトログリセリンが爆発して、婦人の作業員が二人けがしておりますね。これはわずか十ないし二十グラムのニトログリセリンが、木製の運搬車に付着していたものが爆発してこういう事態が起こったわけですけれども、映画にありましたですね。「恐怖の報酬」ですか、あれはニトログリセリンだったと思いますけれども、このニトログリセリンは、落としただけでも爆発する、こういうものを取り扱う場合には相当注意しなければならないと私は思いますけれども、たまたまこういった二人のけがだけで済みまして、大事故に至らなかったと思いますが、こういった危険物の取り扱いですね、七月の七日には出光石油化学の徳山工場から火災が発生して死者が一人出ておりますが、こういった工場の火災。
 それと、今度東京消防庁から「危険物と災害」という白書が出ておりますけれども、これにもタンク車とかあるいはタンクローリー車の激増によって、それに輸送距離が非常に長くなった、そして内容物も非常に石油化学の発達によって危険性のものがたくさん白昼道路を通っておると。しかもそれが毒物、劇物あるいは危険物、高圧ガス、そういったようなものがわれわれの周辺をどんどん動いているわけですが、私は、こういった危険物が、何台のタンクローリーによって、また、どういう品物が動いておるのか、これは調査して明らかにする必要があるのじゃないかと、こう思うのですが、この際、そういった試みは消防庁のほうでございますか。
#78
○説明員(永瀬章君) 全国を走っておりますタンクローリーの数は、これは、そのタンクローリーが危険物の施設でございまして許可を必要といたします関係で、私どもではそれを毎年実は調査いたしておりまして、数は一応押えておりますが、昨年の三月三十一日現在でタンクローリー、これは全国で二万五千三百九十六台ございます。
 この中身はどんなものを運んでいるかというところまでは、こまかく手元に資料を持っておりませんが、大部分がガソリンその他の引火性の液体類でございまして、大体、数字は確かでございませんが、六、七割から八割ぐらいが引火性のもので占められていると記憶いたしております。
 また、その取り扱いにつきまして、必ずしもきちんとやっているとは限りませんので、法令改正を、昨年でございましたか、やりまして、国家試験を受けて免状を持った者、これは危険物取扱者免状と言っておりますが、それが同乗しなければならない規定を最近に法改正で入れました。しかし、それだけではまだちゃんとやってくれるかどうかが不確かでございますので、車をとめて検査する権限をつけまして、年に数回、路上を走っているのを、警察の御協力を得まして、とめて検査いたしておりますが、現実的に申し上げますと、まことに申し上げにくいのですが、中には、きちんとした資格者でなかったり、あるいは漏れが多少あったりというようなものが見つかっておりますので、見つかった場合には、それを改修あるいは適法にすることを、タンクローリーの所有者あるいは経営者にそれぞれ指示することにいたしておりおす。
 まず、そのような形で、タンクローリーの安全性につきましては万全を期するよう努力はいたしておりますが、今後とも一そうその安全性の確保につきましては努力をいたしたいと考えております。
#79
○内田善利君 これは、いまは消防庁のほうですから危険物だけの調査であるわけですが、そのほか、劇物、毒物が各工場から、昨年も三井東圧化学でタンクローリー車がバルブが抜けて、付近の住民千人ぐらい被害を受けたことがありますけれども、そのときに大牟田の消防署からお聞きましたところでは、記憶が確かじゃありませんが、八台ぐらいで毎月何回か往復して各工場に持って行っているわけです。その中にはアニリンとかその他の毒物、劇物が入っておりまして、私は、そのときから、非常にこれは危険であると、このように考えたわけですが、毒物、劇物の場合は厚生省によって毒物及び劇物取締法、危険物については消防庁、また高圧ガスについては通産省、それから火薬類取締法による火薬類の取り締まりと、このように非常に法律によって複雑になっているわけです。こういった一切のタンクローリーで運んでいるものは、消防庁が一切権限を持って取り締まることができるというような、何かのそういった一元化ができないものかと、このように思うのですけれども、この点最後に三木長官に御見解をお聞きしたいと思います。
#80
○国務大臣(三木武夫君) 内田さんの御指摘のように一元化することが一番いいわけですが、なかなか、それぞれ沿革があって容易でないと思いますが、もう少し連絡を緊密にして、一元化に近い目的を達成するように努力をするよりほかないと思いますが、御指摘の点は、確かに防災の点からいって問題のある点でありますから、関係各省庁とも十分な連絡をとることにいたしたいと思います。
#81
○内田善利君 非常にむつかしい点があると思いますけれども、石油化学製品がたくさん開発されてつくられてきた上に、こうしてわれわれの周辺を動き回っておりますので、災害が起こらないように、そういった観点から要望申し上げたわけであります。
 以上で質問を終わります。
#82
○委員長(森中守義君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会します。
   午後三時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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