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1972/06/13 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 災害対策特別委員会 第5号
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1972/06/13 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 災害対策特別委員会 第5号

#1
第071回国会 災害対策特別委員会 第5号
昭和四十八年六月十三日(水曜日)
   午後一時十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     内田 善利君     宮崎 正義君
    ―――――――――――――
    委員長         松永 忠二君
    理 事
                古賀雷四郎君
                高橋雄之助君
                中村 英男君
                上林繁次郎君
    委 員
                梶木 又三君
                佐藤  隆君
                柴立 芳文君
                濱田 幸雄君
                八木 一郎君
                松本 英一君
                宮之原貞光君
                宮崎 正義君
                藤井 恒男君
                塚田 大願君
   政府委員
       消防庁次長    山田  滋君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
       常任委員会専門
       員        中島  博君
   説明員
       消防庁予防課長  永瀬  章君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○災害対策樹立に関する調査
 (派遣委員の報告)
 (雑居ビルの消防設備等の調査に関する件)
○小委員会設置に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(松永忠二君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。
 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。
 先般、当委員会が行ないました火山の噴火による被害並びに昭和四十七年の集中豪雨による被害の復旧状況の実情調査のための委員派遣についての派遣委員の報告を聴取いたします。古賀君。
#3
○古賀雷四郎君 桜島噴火による被害並びに昭和四十七年の集中豪雨による被害の復旧状況の実情調査をいたしましたので、御報告申し上げます。
 去る四月十六日及び十七日の両日にわたり、松永委員長、宮之原委員、内田委員、塚田委員及び私は、鹿児島県桜島地方における噴火による被害の状況並びに昭和四十七年災害において最も激甚な被災地であります宮之城湯田地区、川内川鶴田ダムの実情を調査してまいりました。なお鹿児島県では、自民党の川上為治先生並びに柴立芳文委員、社会党の鶴園哲夫先生がそれぞれ本調査団と行動をともにいたしました。以下、その概略について御報告申し上げます。
 まず鹿児島県庁におきまして、金丸知事、末吉鹿児島市長、西桜島村長をはじめ議会議長及び関係各部長より、桜島火山爆発に伴う災害の報告並びに川内川湯田地区の詳細な説明並びに要望等を聴取し、現地桜島に向かいました。
 桜島につきましては、いまさら申し上げるまでもなく、鹿児島湾のほぼ中央に位置し、霧島屋久国立公園内にあり、大隅半島とは溶岩によって接続している周囲約五十キロメートル、面積約八十平方キロの半島であり、霧島火山帯に属し、そのほぼ中央は北岳、中岳、南岳など千メートル級の火山複合体となってできたホマーテ型の活火山であります。有史以来しばしば爆発を繰り返しておりますが、特に大正三年――一九一四年の大噴火で世界的に有名になったものであります。もともとは完全な島でありましたが、そのときの溶岩が海を埋め、東側の大隅半島に接続し、半島となったものであります。また、昭和二十一年の大噴火の際には、黒神地区及び有村の二部落を溶岩、火山灰等により埋め尽くしております。
 鹿児島地方気象台の報告によりますと、昭和三十五年には四百回をこす爆発が繰り返され、三十八年には百三十回、四十二年にも百二十回、以後四十六年までに平均三十回と、ほぼ低下をたどったものの、四十七年には百回をこす爆発が起こっております。火山活動については、爆発回数は地震回数に正比例するわけであり、今後の観測については全く予断を許されない現状にあります。
 私どもの訪れました京都大学防災研究所附属桜島火山観測所の吉川、加茂両教授は――桜島火山活動の状況は、この数年間減少していく傾向にあったと考えられました。しかし四十七年九月に入り、連続噴煙活動が始まり、溶岩の移動を示すと考えられる地震が群発し、深部に発生する地震も観測されたとのことであります。昨四十七年十月二日の爆発は、この一連の噴火活動中、現在まで最も大きいもので、その爆発エネルギーは十の十八乗エルグと推定され、昭和三十年の爆発とほぼ同様であります。現在も溶岩移動を示す地震と、やや深いところで発生する地震、噴煙活動が繰り返されており、十月二日級の再爆発の可能性は十分あり、注意を要するであろうと説明しております。
 特に注目しなければならないのは、南岳三合目付近まで噴石を飛ばした十月二日の爆発の際見出した捕獲岩は、溶岩中に熱作用を受けた花崗岩を伴っており、火山活動は、いままでとは異なった段階に入っているとも考えられます。また、昭和四十七年十月の噴火活動の最中、農作物に特に被害を与えた赤褐色の火山灰も昭和三十年当時から久しく見られなかったものであります。
 次に、地殻変動の観測から考えられることは、明治二十四年以来隆起していて、大正三年の噴火で沈降し、その後、隆起、昭和二十一年の溶岩流出で若干沈降した大崎の鼻は、県庁内の基点を基準とすれば、すでに昭和四十三年には明治二十四年のレベルまで回復し、一年間に約一センチメーターの割合で隆起している事実、そして桜島の北部が南部に比べて隆起の割合が大きくなっております。したがって、桜島全体が隆起しながら北上がり南下がりに傾動している事実から見て、姶良カルデラ全体の活動は大正三年の噴火前後の動きに似ているように思われ、桜島火山活動とあわせて考えておく必要があるとのことであります。地元桜島をはじめ、近隣の市町村は、降灰、噴石の落下、がけくずれ、亜硫酸ガスの噴出などによる多大の被害で物心両面にわたり深刻な不安の毎日を送っているものであります。
 県当局の報告によりますと、農業被害につきましては、西桜島村、鹿児島市及び対岸の垂水市を含め、温州ミカン、ポンカン、ナツミカン、ビワ等の果実類につきましては六億二千万円、大根、ナス、イチゴ、キヌサヤエンドウ、インゲンなどの野菜類二億三千五百万円、その他林産物関係といたしまして百三十万円余の多額にのぼっております。今後なお噴煙、爆発活動が続けば農作物は致命的な打撃を受けるわけであり、島の農業経営は全く危機に瀕するばかりでなく、地域住民の生命、健康にも危害の及ぶことは明白であります。
  これらの被害に対処するため、県におきましては、鹿児島県地域防災計画の実施細目を取りきめ万全の策をはかるべく大いに努力しているようであります。その内容につきましては、当面緊急を要する桜島島の島外への避難対策に重点が置かれた計画であり、そのほか被害想定、防災環境、避難所の設置等の応急対策並びに火山爆発予知対策、防災知識の普及、訓練の実施、地域住民の自衛体制の確立、器具等の整備がおもなものであります。ただし、大自然を相手とした対策であり、その苦悩についてははかり知れないものがうかがわれました。
 次に県当局の要望について申し上げます。
 まず第一は避難対策についてであります。桜島の火山爆発の際には、住民が島外へ脱出するため、港湾施設を四港、昭和四十八年度、四十九年度において緊急に整備してほしいこと。避難に際しては、ほとんどの方が船舶を利用しなければならない立地条件にあるため、集結地としての広場の確保、噴石の落下、降灰等から退避するため、堅牢な退避舎を設けること。陸路が地割れ、落石等により車両の通行が不能となり、海上が軽石、噴石落下等により般舶の航行が不能になった場合、ヘリコプターによる救助活動を行なうため、緊急避難用のヘリポートを設置すること。また、国道二百二十四号線並びに県道早崎――袴腰港線及び避難集結地へ通ずる市・村道の整備を急ぐほか、林道についても奥地からの避難道路として十分な活用ができるよう改良、舗装を進めること。小中学生の登下校時における安全を確保するため、通学路の周辺に堅牢な避難壕を設置してほしい。また、爆発の的確な予測が困難であるため、大爆発時における被害防止、人命の危害防止のためには早期避難が最も肝要であるため、予防避難が実施されたときは、これに要した経費について国庫助成を行なってほしい。
 第二に、激甚法及び天災融資法に定める措置の適用についてであります。降灰による被害については、その局地性及び反復断続性等の特殊性にかんがみ、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律及び天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法に定める基準に合致しない場合であっても、著しい被害を受けた公共土木施設、農地、農業用施設等農林漁業者、中小企業者等については、その適用が受けられるように特別の基準を定めるか、あるいは特別措置法において天災融資法と同様の救済措置がはかられるよう定めること。なお、貸し付け金の利率、返済期限、貸し付け限度額などについても特別の措置を講ずること。
 第三は、農業対策についてであります。降灰による農作物の被害を防止するため、果樹及び野菜に積もった降灰をすみやかに除去するためスプリンクラーを設置してほしい。また、被害地域における温州ミカン及び野菜のハウス栽培をはかるための施設を設けること。ミカンを降灰に強いビワに転換させるための、樹種転換対策をはかるとともに、爆発時において退避所を兼ねた集荷所を建設するなど産地施設を整備すること。爆発に伴う降灰は強酸性であり、作物の生育に悪い影響を及ぼし、果樹は落葉、落下、樹体は衰弱等を招くので、石灰散布等により酸度矯正を行なってほしいこと。
 第四は、民生対策についてであります。世帯更生資金、母子福祉資金、寡婦福祉資金等の貸し付け原資について国の負担割合を引き上げるとともに、貸し付け利子の軽減をはかること。
 第五は、火山爆発に備えて公立文教施設の整備を促進するため、学校建物等の改築の促進並びに住民が安心して避難できる堅牢な地区公民館を建設することとし、これに要する経費に対する助政について定額制を定率制として採択基準を緩和するなど特別措置を定めること。
 第六は、治山治水対策についてであります。桜島においては、現在、通常砂防事業実施中の野尻川、持木川、長谷川については、爆発、降雨ごとに降灰、土石流により河床は埋没し、溢流して下流河道を全く埋塞する状態であり、堰堤をかさ上げする必要があるが、爆発ごとに繰り返して行なわなければならないので補助率を引き上げること。次に、野尻川、春松川、持木川、有村川の四河川における堰堤はすでに土砂等で埋まっているが、今後上流に堰堤を新設することは困難であり、堆積土砂を排除する必要があるので、新たに国庫補助事業として高率の助成をしてほしいこと。また、最近頻発する爆発に伴い降雨時における降灰の流出により下流保全区域の災害が増加していることから、今後、さらに事業実施を促進するため補助率を引き上げること。
 最後に、第七といたしまして、地震、火山活動の研究、観測体制の充実、強化についてであります。桜島は、現在、鹿児島地方気象台、京都大学、鹿児島大学の観測施設及び研究施設があるが、現在ではなお十分でないので、緊急に施設、設備を整備するとともに、所要の人員を配置するなど、地震、火山活動の観測及び研究体制を充実、強化することであります。
 いずれにいたしましても、地元住民の方々の御要望につきましては全く同感であります。しかも、わが国が持って生まれた宿命と申します火山国であり、明日を争う諸問題でありますので、これらの防災対策を早急に樹立するとともに、火山噴火対策につきまして早急に取りまとめる必要を痛切に感じた次第でございます。
 翌十七日、私どもは国道三号線を北上し、昨四十七年六月から七月にかけて前後三回の洪水に見舞われ、激甚な災害をこうむった川内川流域宮之城町湯田地区に参りました。
 昨年の鹿児島県下の豪雨による洪水の被害につきましては、そのほとんどが川内川水系流域市町村について発生いたしております。特に湯田温泉街につきましては最高毎秒二千二百六十立方メーターに及ぶ流量となり、川内川水位の急激な上昇と激流により、一瞬にして百二十一戸にのぼる家屋を流失したのであります。当委員会においては被災直後、現地の実情をつぶさに視察し、その結果に基づき数次にわたる審議において川内川改修計画の抜本的な改正及び降雨期における鶴田ダムを防災専用ダムとして切りかえ、貯水能力を高めるよう早急に実施する必要があることを指摘してまいりました。
 去る三月三十一日決定いたしました建設省の川内川水系工事実施基本計画によりますと、治水事業の沿革は、昭和六年から直轄事業として川内における計画高水流量を三千五百立方メーター毎秒とし、薩摩郡東郷町から河口までの区間及び隈之城川、平佐川の下流区間について築堤、掘削、護岸等を施工し、その後、昭和十八年九月の洪水により、二十三年から下殿における計画高水流量を三千百立方メーター毎秒とし、本川上流の飯野町から下流の大口市までの区間及び池島川、長江川、羽月川等の主要な区域について築堤、掘削、護岸等を施工し、菱刈捷水路の開削に着手し、さらに昭和二十九年八月及び三十二年の七月の洪水を契機として、昭和三十四年鶴田ダムを建設し、川内地点の計画高水流量を三千五百立方メーター毎秒にすることといたしております。その後、昭和四十四年以降、中・下流域において計画高水流量を上回ろうとする出水が頻発している現状から、昭和四十八年に川内地点における基本高水のピーク流量を九千立方メーター毎秒とし、そのうち鶴田ダム及び中流ダム群により二千立方メーター毎秒を調節し、計画高水流量を七千立方メーター毎秒とする現在の計画を決定しております。
 川内川水系における河川の総合的な基本方針としては、河川工事の現状、砂防、治山工事の実施、水害発生の状況及び河川の利用の現況並びに環境の保全を考慮し、また、関連地域の社会、経済情勢の発展に即応するよう九州地方開発促進計画等と調整をはかり、土地改良事業等の関連工事及び既存の水利施設等の機能の維持を十分に配慮し、水源から河口まで一貫した計画のもとに、しばしば水害の発生している地域についての対策を最重点として工事を実施するものとしております。特に保全については、本川上流部宮崎県えびの市及び鹿児島県大口市、栗野市、吉松町等の主要地区を洪水から防御するため堤防の新設、拡築及び河床の掘削を行ない、水衝部等には護岸を施行、また、屈曲の著しい菱刈地区には捷水路を開削。中・下流部においては、宮之城町、東郷町及び川内市等の主要地区を洪水から防御するため、既設の鶴田ダム及び中流ダム群により洪水調節を行ない、洪水の軽減をはかるとともに、堤防の新設、拡築及びしゅんせつを行ない、水衝部には護岸を施工するなどであります。
 なお、鹿児島県におきましても、川内川改修対策協議会が知事を会長とする総勢六十七名をもって昨年七月二十七日準備委員会として発足し、宮之城町湯田地区については被害の特殊性等を考慮し、被災者の方々の生活安定をはかり、復興への意欲を喚起させる意味をも含めて、昨四十七年十二月、総額一億七百四十万円の見舞い金を配付、また、湯田地区の復興への協力体制として、国及び町への協力組織として対策班の組織の発足により、湯田地区における河川改修計画のPR及び協力の要請、助言、復興計画の立案などにつとめる
 一方、被災中小企業者に対する災害融資として、二十八件、総額一億六千二百万円がすでに準備済みであります。なお、災害復興個人住宅については、湯田地区で七十九件が認定を受けております。移転先である宅地については、湯田地区の背後約三ヘクタールに造成を行ない、町の集団移転による復興への具体策を進めております。
 最後に訪れました鶴田ダムにおきまして、岡島九州地建河川部長は、ダム操作規則を改正し、雨季の六月十一日から八月三十一日までの間、ダムの最低水位を従来の百四十六・五メートルから、ダムの安全保持上必要な最低水位であります百三十一・四メートルまで下げて洪水調節容量を増すとともに、さらに、九州上空に梅雨前線が張り出し始めた場合、直ちに予備放流を行なう等によって十分な調節の確実性を期することにいたしております。また、これによって発電している電源開発の発電等についても必要な措置をとることにしております。地元住民の方々はダムをからにせよと強く要望していますが、水位を百三十メートル以下に下げるとダムの安定のために問題が発生する危険があるとの説明がありました。また、この水位であっても、昨年以上の大雨が降った場合、現在の川内川の改修状況では再び洪水のおそれは十分あり得るので、改修の促進が必要である旨、説明がありました。また、鶴田ダムの水位を下げて防災専用ダムとせよという主張は流域住民の長年の要望でありますが、ダム建設の際、電源開発が工費の約六〇%弱を負担し、九州南部の電力供給上重要な位置を占めているところから水位低下はなかなか実現しない現状にあるわけでありまして、昨四十七年七月の災害後の緊急措置として約一カ月水位低下を実施したので、国はこの分に対して四千五百万円の支払いを決定しております。一方、ダム操作ミスが災害の主たる原因であるという被害者の考え方には根強いものがございます。水位低下問題とは別に、国家賠償法による要求もあるかに聞いております。
 最後に、本調査で強く感じましたことは、湯田地区の災害は川内川改修の立ちおくれにあると思われます。ダムにより洪水調節の効果があるのは明らかだが、現在の操作規定における治水機能では万全とも言えぬので抜本的に再検討すべきであると考えます。川内川改修の促進、また、ダム操作規定の改定にあたり被災者の立場に立って配慮すべきで、かかる災害に対しては、国はもちろん、関係者相互、十分に誠意をもって対処し、所期の目的達成をはかることが必要であるということであります。
 補償問題については、県当局の説明によると、見舞い金で一応解決したとしておりますが、地元においては依然として補償要求の声があります。したがって、さらに地元住民の方と意思の疎通を十分はかるべく今後努力する必要がございます。なお、ダムにおける操作のミスがすべての責任であるという考え方に対しては、すべてこれが正しいとも思えないので、地元の方々に理解してもらうよう格段の努力をいたすべきだと考えるのであります。いずれにしましても、最優先しなければならないのは地域住民のとうとい生命であり、貴重な財産であることを強く肝に銘ずるべきであろうと存じます。
 以上で報告を終わりますが、問題が複雑多岐にわたるため、なお具体的な対策等につきましては、各委員の御質問を待つことにいたしたいと存じます。
 最後に、今回の調査に御協力をいただきました関係の皆々さまに深く感謝の意をあらわし、簡単ではございますが、報告といたします。
#4
○委員長(松永忠二君) ただいまの報告に対し質疑はございませんか。――別に御発言もなければ、派遣委員の報告はこれをもって終了いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(松永忠二君) 次に、小委員会の設置についておはかりいたします。
 理事会において協議いたしました結果、桜島等の火山活動による災害並びに個人災害に対する救済措置等について調査検討するため、小委員六名よりなる桜島等の火山活動による災害及び個人災害等の対策に関する小委員会を設置することとし、小委員の会派割り当ては、自由民主党二名、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党各一名とすることに意見が一致いたしました。
 右理事会申し合わせのとおり小委員会を設置することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(松永忠二君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、小委員、小委員長及び副小委員長の選任は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(松永忠二君) 御異議ないと認めます。
 それでは、小委員に古賀雷四郎君、柴立芳文君、宮之原貞光君、宮崎正義君、藤井恒男君、塚田大願君を指名いたします。また、小委員長に柴立芳文君を、副小委員長に宮之原貞光君を指名いたします。
 なお、小委員の辞任の許可及び補欠選任並びに小委員会から参考人の出席要求があった場合の取り扱いにつきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(松永忠二君) 次に、雑居ビルの消防設備等の調査結果につきまして政府から報告を聴取いたします。山田消防庁次長。
#10
○政府委員(山田滋君) 複合用途ビル、いわゆる雑居ビルでございますが、これの火災によりまして、たいへん被害者が多く、いわゆる大阪における千日ビル火災によりまして、たいへん私どもも、消防関係者として衝撃を受けまして、問題を消防の原点に返って努力をしようということで、今日までやってまいりました。
 実はお手もとにお配りいたしました調査概要でございますが、これはちょうど昨年の五月十三日に千日ビルの火災がございまして、その直後に通達を発しまして、全国の十三都市にとりあえず調査を依頼いたしたわけでございます。現地の消防機関が早急に努力をいたしましてまとめたものでございまして、この資料に基づきまして、私どもはその後の施策を展開いたしておる次第でございます。したがいまして、今日御説明を申し上げるにしては若干資料が古いんでございまして、その点、申しわけないと存じますが、現在、その後の状況につきましては、消防設備等を新しく設置しようとする場合の融資制度の運用等に関連いたしまして調査をいまいたしておりますので、それがまとまりますれば、さらに新しいデータができるということでございまして、その点ひとつ、あしからず御了承いただきたいと存じます。
 この調査対象は消防法施行令に書いてあります、そのカッコの中にございますが、劇場、映画館、演芸場、公会堂、集会場、キャバレー、ナイトクラブ、遊技場、待合、料理店、飲食店、百貨店、旅館、ホテル、宿泊所、トルコ浴場、サウナ浴場等を含みますいわゆる複合用途の防火対象物でございまして、不特定多数の人が出入りする非常に危険の多い施設につきまして、地下の階−地階を除きましたいわば五階以上の施設につきましての調査でございます。
 調査の内容は、その(4)に書いてございますように、主たる消防用設備と防火避難施設の設置状況、それからその維持管理がどう行なわれておるか、そういう運用面の状況、両方をとったわけでございます。
 別紙の表をごらんいただきますと、調査対象物は十三都市合わせまして二千五百五十七件にわたっておりますが、消防用設備等につきましては、避難器具と誘導灯、自動火災報知設備、大きく分けましてこの三つでございますが、そのそれぞれの細目が書いてございますが、Aと書いてありますのは設備の関係でありまして、Bがその管理運用の関係を調査いたしたものでございます。たとえば避難器具で申し上げますと、設置数が足らない、避難器具の法定の設置数が不足しておるというものが、右の計の欄にございますように四百七十、これはいろいろな原因がございますが、設置の場所がないという場合もあるようでございます。それから位置の不良。それからBのところで障害物の放置、破損――せっかく避難器具を設けましても、その前に障害物を置いて実際使えなかったり、あるいは千日ビルの例にございましたように、救助袋に大きな穴があいておるというふうな破損等、そういったような管理の悪いもの、それを百八十七というふうに集計いたしました。それから誘導灯につきましても、これは比較的設置数の不足が大きく出ておりまして九百八十六件でございますが、これは、その後、比較的設置しやすい対象のものでございますので、この数字よりは改善されておるということを確信いたしております。それから表示板とか電球の破損等、こういう運用状況、これもまあ相当数の欠点がございますが、自動火災報知設備につきましては、特に障害物の放置等によるこの運用の悪さというのが四百九十六件というふうに出ております。
 その次の共同防火管理というのは、雑居ビルはそれぞれ管理者の違う部屋が連なっておるわけでありますので、そういうものは共同防火管理の体制をとらなければいけないというふうに義務づけられておりまして、協議会をつくり、統括防火管理者というのを選任いたしまして、統一的な意思のもとに防火管理に当たることになっておりますけれども、これはまだ制度に習熟していないという点もあるかと思いますが、そこの数字にありますように非常に不備でございまして、七百九十件というのが協議会をつくっていない。それから避難訓練をまだ実施していないというのが七百四十三件、これはやはりそれぞれ営業が、時間も違ってみたり、全く資本系統その他もまちまちのものが入っておるということで、どうも全体としての共同意識といいますか、そういうものが不足をいたしておりまして、これにつきましては、現地の消防機関が最もいま苦心をいたしましてこの指導に当たっておるところでございます。
 それから、それ以下のところは、消防関係というよりはいわゆる建設省の基準、建築基準法の関係になるのでございますが、建築施設につきましては、特に避難階段がどうなっているだろうか、あるいは防火区画がどうなっているだろうか、それを調査いたしまして、上の避難階段につきましては、位置、構造が適当でない、たとえばせっかく避難階段があっても幅が狭いとか、いろいろそういう点があると思いますが、そういうものが二百四十三件。それから、やはりせっかく避難階段をつくりましても、踊り場のところに大きなものを置いたりなどいたしまして、障害物を放置しているというようなものが、この調査の段階で四百八十四件というふうにあがっておりまして、こういうものは消防署の査察の段階で注意をいたしまして、さっそく、どけることができるわけでありますけれども、まあやはり防火、防災意識の高揚ということが前提になると思いますけれども、こういった不意に調査いたしますと、こういう結果が出てまいります。それから防火区画につきましてもごらんのように、やや細分いたしておりますが、面積が適当でない、まあ千五百平米単位に防火区画を設けるというものが二千平米ぐらいになっているとか、そういうふうなものが百八十八件。それから防火ダンパーのないもの。それからダクトまわり等の埋め戻しが十分でない。ちょうど、この例は雑居ビルではございませんが、先般の北九州の済生会病院等におけるいわゆる埋め戻しのできていなかったというふうなもの、こういうものによるところの災害であったわけでございますが、これがやはり相当ございます。それから防火戸、シャッターの構造が悪いとか、よく締まらない、防火戸、シャッターの機能が不良、それから障害物の放置、こういうふうなごらんのとおりの数字になっておりまして、現状は、これらわが国における代表的な都市について早々の間に調べた数字でございますけれども、やはり全体の傾向を類推させるに足るのではないか、かように存じております。
 これにつきましては、私どもやはり何とか、さっき申し上げたように心を新たにいたしまして、この問題に取り組んでいきたいということで、その後若干の措置をとってまいりました。お許しをいただきましてちょっと申し上げたいと存じますが、昨年の六月に消防審議会をさっそく開きまして、問題点の検討をいたしました。その結果、十二月に消防法施行令の改正をいたしました。いわゆる政令の改正をいたしました。そこで、防火管理体制の強化を一つ大きく取り上げまして、その内容は、特にこの雑居ビルにつきましては、いまの不特定多数の人の出入りする、そういう用途に使われておる雑居ビルにつきましては、従来は五十人以上の収容人員について防火管理者を選任しなければならないというふうになっておりましたが、それを三十人以上というふうに基準を強化いたしました。それから防火管理者自体の資格、あるいはその責務の内容の強化をはかりました。それからもう一つ、雑居ビルにつきまして規定をいたしましたのは、共同防火管理を行なわなければならないという、この対象の範囲でございますが、これを、特にそういった不特定多数の出入りするようなものにつきましては三階以上の建物について共同防火管理を行なうようにいたしました。従来は五階以上でございました。そういうぐあいに基準を強化いたしました。それから設備の関係では、代表的なのはスプリンクラーでございますが、スプリンクラーが消火設備としては非常に有効であるということで、ぜひこれを普及いたしたい。しかも、こういった建物につきましては、なるべくその範囲を広げてまいりたいと存じまして、この際、この昨年の政令改正によりまして、不特定多数の人が出入りするような、まあ二階以上でございますが、平家以外の防火対象物で延べ面積が六千平米以上のものにはすべてスプリンクラーを設けるという規定をいたしました。それから、この雑居ビルにつきましては、やはりこういった不特定多数の人の出入りする部分でございますが、それに使われている床面積が三千平米以上であればスプリンクラーを設けると、そのように従来の規定からいたしますと格段の強化措置をはかりました。それから自動火災報知設備につきましても規制を強化いたしました。また、避難器具につきましても、従来のいわゆるペンシルビルで階段が一つしかないというふうなものは極力これは避けなければならないのでございまして、三階以上のもので直通階段が二つ以上ないもの、しかも収容人員が十人以上という場合には必ず避難器具を置くという義務づけをいたしたのでございます。それから過去の建物に消防法は残念ながら従来スプリンクラー等をさかのぼって適用いたしておりません。これはいろいろ経済情勢その他と関係もございまして、一挙にわれわれの理想どおりいかないのでございますけれども、自動火災報知設備については、ぜひこの際、過去の建物にさかのぼって適用いたしたいということで、その点を改正いたしました。現行の既存の防火対象物につきましても、遡及適用することにいたしました。
 そのような政令の改正に合わせまして、今回六月一日に消防法施行規則の改正をいたしました。これは省令でございます。それは、その政令を受けましてもう少しこまかい問題を取り上げたのでございますが、たとえば一例をあげますと、管理面では、従来その消防計画というものを防火管理者がつくりますが、その消防計画をつくればいいということになっておりましたが、それを今回、消防機関へ届け出を義務づけました。それから千日ビルで御存じのように、夜などで工事をいたしておりまして工事中の過失災害というのが非常に多いわけでございまして、そのときに、どうしても従来は防火の管理が十分に行なわれておりません。そこで工事中の防火対象物においては防火管理者が必ず立ち会う、あるいはその代理者が立ち会うということの義務づけをいたしました。それから雑居ビル等におきましては、避難訓練は年二回以上行なうということを義務づけいたしました。そういったように、こまかい点でございますが、防火管理面においての規制の強化とか、同時にまた、設備面におきましても政令を受けましてこまかい規定をいたしたのでございます。
 そういった法令面の措置というのは、これはやはりわれわれとして当然はかっていかなければならないし、ぜひこれは守っていただきたいわけでございますが、なかなか実際面におきましては、御存じのように、消防の予防行政というのは、われわれが笛を吹いても踊らない、せっかく舞台をつくっても踊らないというのが、非常に私どもは心から残念に存じておるのが現実でございます。そこで、何とかせっかく水ぎわへ連れて行って馬に水を飲んでもらわなければ意味がないのでございまして、その意味の努力をどうしたらいいんだろうかと実は心を砕いているのでございますが、その一つの措置といたしまして、実際の行政措置として、今回、防火対象物に対する予防査察を一そう徹底をするという通達を出したのでございますが、その中で特に新しい試みといたしまして、こういうふうに不特定多数の人の出入りする施設につきましては、それが法令に適合した設備を備えておって防火管理の状況もよろしいというものにつきましては良というマークを表示させるということにいたしました。また、消防機関が何回も査察をして措置命令、強制措置の命令を発してもなかなか行なわないと、もう告発寸前であるというものにつきましては、報道機関等に公表をする、公表をして世の中の関心を高めていくと、また、その当事者の努力を期待するという、表示と公表という制度をとることにいたしました。これは現在、各都市でそれぞれ創意くふうをこらして実施しようと努力いたしております。御推察のとおり、それぞれその地域社会の特性がございまして、なかなかしゃくし定木にまいらない点もございます。そういう点につきましては消防機関が中心になりまして、その地域の実態に即応して、まあ基準としては全国的な基準を用いながらいま努力をいたしております。現に、先般、新聞に出ましたが、東京におきましては、ホテル、旅館につきましてはすでにこの表示制度を実施いたしました。また、悪いのも公表いたしておるのでございます。それが皮切りになっておりまして、その他大都市等で今後行なわれてまいると存じます。それから、そういった措置にあわせまして、実は私どもで今回非常に痛感いたしておりますのは、この消防の設備をせっかく設置いたしましても、その後の維持管理が悪い、つまり保守が悪いということのためにせっかく設置した意味がない、火事が起こりましても、たとえば自動火災報知設備が作動しないとか、煙感知器が作動しない、そういった点、あるいはまた救助袋に穴があいておるというふうなことでは全然意味がございませんので、そういう保守の体制を確立しなければならないということで、消防設備等の保守体制をいかにすべきかという点につきましていま検討を進めておる段階でございます。これはできれば私どもは法令の改正をいたしたい、なるべく近い国会に御相談申し上げたい、そういう努力をいたしております。
 それからなお、私どもはこの維持管理の問題もございますが、やはりその設備を早く設置させる、スプリンクラーであるとか自火報等を設置させるために側面的に金融措置等の援助を講じながらはかっていきたい、かように存じまして、環境衛生金融公庫であるとかあるいは中小企業金融公庫、そういった融資ワクを、従来ももちろんございましたけれども、四十八年度は相当大幅に拡大をする予定でございます。同時にまた税制面におきまして、先般、地方税法の一部改正によりまして、この不特定多数の人の出入りする防火対象物につきましては、そういった家屋等につきましてスプリンクラーとか自動火災報知設備等を設置した場合には、その設備の価格に相当する額を家屋の価格から控除いたしまして、その額を課税標準とする、そのように不動産取得税でございますが、課税標準の特例を設けるように改正を行ないました。これはやはりそういう設備を設けやすいように税制面から援助をすると申しますか、応援をするといいますか、そういうことにいたしたわけでございます。
 その他、建設省方面におきましても、千日ビル以来、建築の面におきまして防災安全ということに相当な配慮を加えつつありまして、私どもと緊密に連絡をとりながら、私どもとしてはぜひ新しい立場で建築基準法の改正をしていただきたいということをいろいろ申し上げておりますし、また建設省としてもそういう方向で研究を進めておりますので、これはいずれやはりそういった改正という問題が表面化してまいると存じます。
 今般、特にこういった施設の火災につきまして一番問題になりますのは煙の問題でございますが、この煙対策というのが非常に従来ややおくれていると思います、率直なところ。そこで煙の場合の消火活動の器具を開発するとか、あるいは、いわゆる避難通路を煙から守るための排煙の問題、また煙そのものの性状の研究、そういったものにつきまして、これは消防研究所とそれから建築研究所等が一体になりまして、現在早急にこの実際的な効果のある結論を出すように努力を進めておる次第でございます。
 以上いろいろ申し上げましたが、現在の雑居ビルの実態に関連いたしまして、私どもとして鋭意努力をいたしてまいりました概略でございます。
#11
○委員長(松永忠二君) ただいまの報告に対し質疑のある方は順次御発言を願います。――御質問ありませんか。
 一、二ちょっとお聞きいたしますがね。いまお話のあった、このごろ消防研究所と建築研究所ですか、火災の実験をやっていますね。たとえば、いまお話しになったように、誘導灯が従来まだ効果がない、あるいはまた避難階段というのはもう外へつけなきゃだめだというふうなことも出ていますね。一体この研究というのは大体いつごろまとまるものなのか、その点を一つと、それからもう一つ、いまお話しになった、建築基準法で問題になるような避難階段の「位置、構造の不適」だとか、あるいは「防火区画面積の不適」その他の下のところは、一体、建築基準法で許可になっているそれとはどういう関係があるのか、それ以前につくられたものなのか、基準法でそれを認めて。違反建築をしているのか、その辺の点はどうなのか、その二つの点をひとつちょっとお答えをお願いいたします。
#12
○政府委員(山田滋君) ただいまの御質問ございました研究所の実験でございますが、これは実はいろいろこのところ数回連続いたしまして行なっておりまして、まだその第一回の詳細な結果は出ておりません。そこで今後どういうふうなかっこうで進んでまいるか、これは主といたしまして建築研究所が中心になりまして、消防研究所が特殊なその一部門を受け持って研究をいたしております。たとえば風を吹き込みまして、その結果、煙がどういうふうに排除されてくるのか、そういうふうな問題をやっているわけでございますが、全体のスケジュールは建築研究所で練っておりまして、実は私どもはいまここではっきりいつまでということを申し上げられる資料を持っておりませんので、私もあらためて確かめましてから御報告申し上げます。
 それから建築基準法の関係でございますが、これはいろいろあるかと思います。実はここに詳細な個票等は持っておりませんので、どういうものが入っておるのかでございますが、おそらく従来の法令改正以前のもので既存不適格といいますか、そういうものは相当あるんじゃないかと思います。したがって、まあ建設省の問題でございますから私から申し上げるのはおかしいのでございますが、建設省としても、建築基準法の十条というのがございまして、それで問題のある施設につきましては特別に措置命令を出して、特に危険なものにつきましては固々に指導をして危険を排除していく、そういう措置をとるようにいまいたしておりまして、法令改正をしなくても、とりあえずそういう措置でいきたい、こう申しております。
#13
○上林繁次郎君 一つだけ聞いておきたいのですがね。まあ、この報告によりますと相当不備な点があるわけですね。これは不備な問題についていままでにやはり相当な査察等を行なって、それで指摘してきているはずだと思う。ところが、相変わらずこういうふうに不備な点があるということです。いまお話を伺っていると、これではまずいというのでいろいろ考えている、こういうことなんです。予防に対していい発想ができ上がったとしても、また、それを徹底したとしても、また同じようなことが繰り返されるんじゃないかという心配があるわけですね。そこで、こういったものは、こういう不備が指摘される、いままで何回も何回も指摘されながらそれが整備されないという、その辺の原因をはっきりさせなければ、幾ら考えてもこれはイタチごっこみたいなものだと、こんな感じがするのですね。そこで、指摘されつつもこういう不備があるというその根本的な原因、それはどういうところにあるのかという点ですね、その点をどういうふうにとらえておられるのか、ひとつお答えを願いたい。
#14
○政府委員(山田滋君) これは先ほども私が申し上げましたように、消防機関としてはまことに一生懸命取り組んでいるわけでございまして、ただ、一つは、従来やはり警防活動といいますか、火事が出た場合の応急サービス行政といいますか、そちらのほうに相当忙殺されておりまして、最近は非常にその予防行政が幅と厚みを増しておりますので、人員を振り向けて予防行政の拡充強化をはからなければならないということはいわれておりながら、現実はその予防要員が少ないわけでございます。予防査察をするにつきましても、まあ東京消防庁のごときは専門の予防要員を設けまして、区画をきめまして、警防関係とは全然違った勤務態様でやっているわけでございまして、これは比較的、一万数千名もあるような東京消防庁であれば何とかかっこうがつくわけでございます。それでも十分とは思っておりません。ところが、その他の都市なり市町村に参りますと、非常に予防関係の、一つは専門家もそう多くはないし、また一人でもう何百軒と受け持たなければならぬというふうなことで、守備範囲が広くてとても手が回らない。したがって、一年に一ぺんぐらいしか回れない。そこで、せっかく指示をしながらも、その次に来たときには相当な間隔があって、間が延びてしまって、何といいますか、改善しようとする立場からしましても、そんなにせっつかれないというふうな事態もあるんではないかと、かように思います。
 問題は、そういうことでこちら側の事情もございますが、やはり基本的には国民の防災意識といいますか、みずからの施設なり生命というものをみずから守る、そういう基本的な観念について、なお私はPRも不十分でありますし、また自覚が足らないという点があるんじゃないか。せっかく消防機関がやかましく言うから、やむを得ず設備をするんだ、そういう風潮がやはりまだ相当ございまして、私はたいへん残念に思っております。これはしかし、ほんとうは自分たちの身を守るためのものであって、そういう消防から言われる前に措置すべきだ、そういうふうな点があるんじゃないかと思います。したがって、そういうふうな意識の点のギャップ、そういう点が基本的な問題であろうと思います。それらをどう改善すべきかということにつきまして、たいへん私どもも日ごろから苦慮いたしておりますが、やはり私どもの立場としては予防要員の拡充、強化をいたしまして、しかも質を向上さして、できる限り重点的に危険な施設からシラミつぶしに問題を取り上げていく。しかもまた、いままでのようなややゆうちょうなやり方でなくて、措置命令とか告発とか、そういう強い態度で臨んでいかなきゃならぬ。反面また、表示制度とか融資のあっせんとか、そういうふうなやわらかい態度でその設備の促進ということをはかっていかなきゃならぬ。両面のまあ行動をとっていかなきゃならぬのじゃないか、かように存じておりまして、現状につきましては、いろいろ御指摘ございますように、十分とは私ども考えておりません。したがって、たいへん努力目標は高いのでございまして、それに対する努力というのは相当私どもは真剣にいたさなきゃならぬ、かように存じております。
#15
○宮崎正義君 一言だけお伺いしたいんですけれども、無窓建築なんかの防火体制といいますか、それから無窓建築に近いもの、そういうようなことの取り上げ方というのはどんなふうに考えておりますか。
#16
○説明員(永瀬章君) 無窓建築または無窓階と申します窓のない建物あるいは窓のない階に対しましては、一般の窓のあります階よりは消防用設備の設置の義務を強化いたしております。たとえばスプリンクラーなどを設けます場合にいたしましても、窓のあります四階ないし十階であれば千五百平米でいいのが、地階だとか無窓階、この無窓階には窓の開口部の面積が一定以下の非常に窓の少ないものを含んでおりますが、それはたとえば千平米から設けなきゃならないというように、規制の上できびしい規制にいたしております。
#17
○宮崎正義君 実際、過去にも事故があったことがあるんですが、どれくらいつかんでおられますかね、その無窓建築あるいは無窓に近いもの、こういったものの建築物の消火施設等に対してどの程度の掌握のしかたをしておりますかね。
#18
○説明員(永瀬章君) これは消防用設備の規制が消防法に基づきましてございまして、いま先ほど申し上げましたような内容は、消防法施行令で基準がきめられております。これらの施設の消防用設備の設置の状況を常に査察することになっておりまして、現地ではそれを把握いたしまして、そして不備なところは指示をいたしておりますが、ただ、非常に小さな建物あるいは工場関係の、中の作業がそう危険物を使うなどというような危険ではないものは多少落ちているかもしれませんけれども、不特定多数を入れますような施設については、これは十分にまずそのほうから把握する努力をいたしているはずでございますが、現地では十分つかんでいると思います。
#19
○委員長(松永忠二君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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