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1972/05/31 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 議院運営委員会 第18号
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1972/05/31 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 議院運営委員会 第18号

#1
第071回国会 議院運営委員会 第18号
昭和四十八年五月三十一日(木曜日)
   午前十一時五分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         植木 光教君
    理 事
                桧垣徳太郎君
                宮崎 正雄君
                安田 隆明君
                山崎  昇君
                峯山 昭範君
                田渕 哲也君
                須藤 五郎君
    委 員
                嶋崎  均君
                橋本 繁蔵君
                柳田桃太郎君
                小野  明君
                工藤 良平君
                須原 昭二君
        ―――――
       議   長    河野 謙三君
       副 議 長    森 八三一君
        ―――――
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 二階堂 進君
   事務局側
       事 務 総 長  岸田  實君
       事 務 次 長  植木 正張君
       議 事 部 長  鈴木 源三君
       委 員 部 長  川上 路夫君
       記 録 部 長  西村 健一君
       警 務 部 長  江上七夫介君
       庶 務 部 長  上野山正輝君
       管 理 部 長  前川  清君
   法制局側
       法 制 次 長  杉山恵一郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○政府の諮問機関の取り扱いに関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(植木光教君) 議院運営委員会を開会いたします。
 政府の諮問機関の取り扱いに関する件を議題といたします。
 政府側から二階堂内閣官房長官が出席いたしておりますので、質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○山崎昇君 先般来、この選挙制度の改正をめぐりまして国内が異常な状態になったわけですが、幸いといっては少し評価し過ぎの点もありますけれども、両院議長の一応のあっせんもありまして、この国内をあげての反対が通って、選挙制度そのものについてはこの国会に提案されないことになりました。しかし、いずれ公選特別委員会なりで、かなり専門的な分野については検討されると私は思うのですが、この機会に政府の見解を一、二点、私は議院の運営をあずかる者として聞いておきたい。
 それは、先般、区割り委員会を設けましたが、この区割り委員会の性格が私的諮問委員会と、こうなっておるのです。一体この私的諮問委員会という性格は何なのか、これはきょうはまあ当該委員会でもありませんから、そう多くのことは申し上げませんが、この国家行政組織法第八条との関連で今日までかなりな議論を呼んだ問題であります。したがって、この機会に、一体政府はこの私的諮問委員会というものはどういう性格として考えておるのか、また、これはどういう効果があるだろうか、そういう点についてまず官房長官の見解をお聞きしたい。
#4
○国務大臣(二階堂進君) いま、先生からのお尋ねでございますが、私は私的諮問機関ということばが、はたして妥当かどうか。これは私のほうから申し上げますと、法律に基づく機関ではない、こういうふうに私自身は理解をいたしておるのでございます。
 そこで、国家行政組織法第八条にいう審議会等々と、いま御発言になりました諮問機関――法律に基づかない諮問機関との関係とはどう違うのかというようなお尋ねであったように理解をいたしますが、この審議会にあっては、合議機関そのものの意思が公の権限をもって表示されますのに反して、いまお尋ねのありましたような法律に基づかない機関、あるいは懇談会にあっては、合議機関としての意思が表明されることはなく、出席者の意見が表明されるというふうに理解をいたしておるのであります。したがいまして、懇談会とか、いま法律に基づかないような委員会というような、この懇談会等においては、出席者の意見の表明、または意見の交換の場であると、そういうふうに私は考えております。
#5
○山崎昇君 その問題は、もうかなり内閣委員会等で議論があり、私の手元にあります資料だけでも、昭和三十六年のときにもかなり議論がありまして、当時の行政管理庁長官から参議院内閣委員会で、脱法的措置ではないかという議論等があって、たいへん疑問だから、いまあるものについては再検討しなさい、そして善処しなさい、今後こういうことはあまりやらぬように、それからやる場合には行政管理庁と協議をしなさい等々の通達が出されて、一時これらの問題はずいぶんなくなったと私は思っております。しかし、最近はまた自治省にもあり、あるいは環境庁にもある、あるいは防衛庁にもある。各省ごとに、言うならば私的諮問委員会とか、懇談会とかいう名目のもとに、事実上国家行政組織法の八条に該当するような内容で、機関の、言うならば意思というものが表明されておる、麗々しく答申だとか、あるいは内申だとか、意見具申だとか、さまざまな形でやられておる。これは官房長官がどう言おうとも第八条違反の疑いが濃厚です。したがいまして、内閣としては、三十六年以来もめておる問題でもありますが、このいまある審議会、あるいはこの懇談会等々につきましても、やはり今後再検討して、そしてこの国家行政組織法第八条の違反の疑いがあるんではないかと、国会でかなりな議論を呼んでおるわけでありますから、まずそういうことがないようにしてもらいたいのですが、ひとつ官房長官の見解を聞きたい。
#6
○国務大臣(二階堂進君) いまお尋ねのありましたような議論は、私も過去において、内閣委員会等で議論をされましたこと等についてはつまびらかに承知いたしておりませんが、こういう法律に基づくようなたくさんの審議会等がありまして、事実その中には十分役目を果たしておるようなものもありますし、また、重要な審議会等もありますが、そういう審議会等の性格とか、あるいは活動とかいうことにつきましては、いまおっしゃったような御意見もありまして、廃止をするものもありますし、また、そういうものをつくる場合に慎重でなければならぬわけで、こういうことは私も当然だろうと考えております。また、御発言になりましたような趣旨は十分尊重していかなければならないことと思っておりますが、しかしまた他面、当面するいろいろな問題がありますので、各省におきましても、先ほどお尋ねのありましたような、法律に基づかないような調査会とか、懇談会というものをつくられておることも事実でございます。しかし、そういうものをそれじゃ決してつくってはいけないかというと、国家行政組織法のたてまえからいってもそれを禁じてはいないと、こういうような解釈も私は一部に成り立つのではないかと考えております。そういう関係から、日本列島の改造の問題につきましても、百名近くの委員をもって懇談会等もつくられておりますし、その他各官庁におきましても、当面する重要な問題について、学識経験者とか多数の意見を聞いて参考にしたいということで、いまお尋ねにあったような調査会等もできておることも事実でございますが、たてまえとしてはいろいろ問題がある、お説のとおりでございますので、できるだけそういうものの設置につきましても慎重に対処すべきものであろうと私は考えております。
#7
○山崎昇君 そこで官房長官、いまあなたはいろいろ説明されました。しかし、五月の二十二日に「衆議院選挙区区割り委員会意見」というものが発表になりました。これを見ますとたいへん重要なことが指摘をされております。
 これは前後を省きますが、「審議会で作業に至らなかった区割について、報告書を補完する作業の委嘱を引き受けた」と、こうなっております。そうすると、選挙制度審議会は法律に基づいて、国家行政組織法の第八条に基づいて正式な審議会として発足をされておる。そこで審議をされて作業に至らなかった区割りを、私的諮問委員会で補完をするという意味で報告書をつくるのだ、こうなってきますと、あなたがどういうふうに強弁しようとも、この私的諮問委員会というものは脱法的なにおいがふんぷんとしてくる。なぜ、区割り委員会は、正式の審議会でやらなかったことを私的諮問委員会で補完をできるんですかね。私はこういう委員会の声明文を見ますと、ますます疑問を持ってくる。この点はどういうふうに官房長官が強弁しようとも、いま、政府はなるほど民間の意見を聞くとか美しいことばでは言われておる。だが実態は、国会に提案をして第八条の審議会とか、あるいは調査会とか、懇談会でやると、かなり野党等の反対もあるものだから、そういう脱法行為として私的諮問委員会だとか、あるいは省令だとか、こういう形で懇談会名目で重要な国家の意思が表明されるような内容について作業をされておる、これは私は許せないと思っておるのです。特にあなた方は、公正な、あるいは政府だけでやるとぐあいが悪いから、第三者の意見を聴取するのだと言う。もし、あの区割り委員会が存続されて、区割り委員会の報告書が出た場合に、あなた方はあれを修正しますか。ほとんど私は、第三者だとか、公正にやったとか、こういう名目で事実上選挙制度を左右するような内容になるんじゃないですか。こういう意味でいえば、この五月二十二日に出されました区割り委員会の意見というものはきわめて私は重要だと思う。これでもなおかつ、あなた方は国家行政組織法第八条に違反しないと言いますか、あるいは脱法でないと言いますかね、この点重ねて私は官房長官の見解を聞いておきたい。
#8
○国務大臣(二階堂進君) ただ、まあいろいろお尋ねがありましたような議論もあろうと思いますが、私どもは脱法ではないというふうな見解をとらざるを得ないと思っておりますが、委員会の方々の御意見は、その「報告書を補完する作業の委嘱を引き受けた」と、こういうふうに委員会の委員の方々の意見はなっておりますが、総理が、私的とおっしゃいますが、そういう学識経験者の意見を聞いてそうして参考にいたしたい。私は、これは先ほどから述べておりますとおり、国家行政組織法に違反するものでもないし、できるものと思っております。むしろ個々の意見を一人一人聞く場合もありましょうし、また、多くの方々が一堂に会合して、そうして意見を述べられるということもあり得ると私は考えております。そういうつもりで、そういう考え方で委員の方々に意見を出していただきたいということを申し上げて御委嘱を申し上げたのでございまして、まあ、いろいろ議論はあろうかと思いますが、私は組織法第八条に違反をしておるというような考えは持っておりません。
#9
○山崎昇君 持つ持たないと言ったって、あなた方から任命されて、その委員が集まって出された結論が、この委員会意見として出されます。いま私が読み上げましたように、審議会で作業に至らなかった区割りについてとの報告書を補完するなんという権限はどこにもありませんよ、この委員会に。一体だれがそんな、正式に出された選挙制度審議会の報告書が、どうもここの辺がぐあいが悪い、あるいは抜けておった、そういうものを、私的な諮問委員会で何で委員が補完する権限がありますか。私は、こういうことから考えても、この区割り委員会そのものがやはり問題点を持っておるが、特に重要視をしなければなりませんのは、区割り委員会自身がこういう見解を示しておる。さらに総理大臣の発言を、五月の二十二日、これまた「区割り委員会の意見に対する総理大臣発言(結論)」として、私どももらいました。「委員各位の御意見は承知いたしました。各位の真意を忖度し区割り委員会は本日を以て廃止いたします。」、これが総理大臣の公的な発言ですね。とすれば、先に読みました区割り委員会の、この報告書を補完するという作業委嘱を受けたということを区割り委員会が述べておる、これを田中さんは承知で、世の中からずいぶんいろいろな批判をこうむったものだから廃止をしたというかっこうになっておる。だから、あなたはどういうふうに強弁しようとも、正式な法律上の制度審議会でやれなかったものを補完するなんというような作業をやる権限は、この私的な諮問委員会にはない。もし、あなた方がそれでもやらせようとすれば、私は国家行政組織法第八条の違反だと、これはやっぱり内閣が重大に受けとめまして、今後こういう私的諮問委員会だとか、もし意見を聞くというなら個々に呼んで意見を聞いたらけっこうです。さっき話が出ました日本列島改造の場合には、多くの方々が文書で、個人で総理大臣に報告書を出しておるじゃないですか。それならそれで私は、ともかく結果は別として、民間の方々の意見を聞いたということはあり得る。しかし、集まって議論して、そこで一つの方向を見出して委員会の結論として出される、こうなってくるというと、これは国家行政組織法のこの解釈にありますように、事実上行政機関的な運営になってくる。これは官房長官がどう否定されようとも、私は納得することができない。いずれこれは、専門であります内閣委員会等で私は議論になると思うが、少なくとも参議院を運営する私どもとしては、こういう形のもので、そして国を、あるいは選挙制度といいますか、議会制度の根本にわたるようなことを、こういう簡単な私的諮問委員会の答申だとか、あるいは意見を尊重したとか、そういう形でやられることについては、私ども納得できないものですから、院の運営上あなたにお尋ねしておるわけです。
 そういう意味で、もう一ぺんお尋ねいたしますが、将来こういうことをやらぬようにですね。それからいま二、三指摘いたしましたが、たくさんの私的諮問機関というものがございます。そしてこれらから意見が出ますというと、事実上それが行政機関の意思みたいなかっこうで反映されてきているじゃないですか。個々の意見を聞いたなんていうものじゃありません。どうか、そういう意味で重ねてお尋ねいたしますが、このいま各省にあります私的諮問委員会については、ひとつ再検討してもらうと同時に、それから国家行政組織法の八条による審議会、山ほどあります。きょうは一々申し上げませんが、その中には有名無実なものもあるし、活動しているものもある。そういうものを私はもう少し内閣としては検討を加えて、そして、ほんとうに民意なら民意を吸い上げるような形に直してもらいたい、こう思うんですが、重ねてひとつあなたの見解を聞いておきたい。
#10
○国務大臣(二階堂進君) 最後にお述べになりました法律に基づく多数の審議会等の整理あるいは統合等については、十分意見を尊重してまいらなければならぬと思っております。それから区割り委員会等に関連するいろいろな各省大臣がつくっております調査会であるとか、あるいはいま問題に指摘されておりまする区割り委員会等々というようなものにつきましても、慎重に、そういうものをつくるかつくらないかということについては慎重に対処すべきものであるとは思います。しかしまた、いま理屈を申し上げるわけじゃございませんが、当面する多くの問題がありますし、広く民意を反映するようにという強い、また国会等の御意見等もありますから、行政の任に当たっておる者は、そういう各界各層の方々の意見も、一人一人もあるし、また多くの方にお集まり願って、あるいは文書なり、あるいはその場で意見を述べていただくということも、私は、当然これは行政の責任者としてはやってもいいことではないかと、かように考えております。なおまた、区割り委員会等につきましても、総理から、いままでできなかったものを補完してまとめてくれというような発言があってお集りを願って意見を求めるというたてまえにはなっておりません。しかし、区割り委員会の方々は、補完的作業を進めるために委嘱を受けたと、こういうふうにおっしゃっていますが、総理は最初から、そういうものができ上がってないからさらに詰めて補完的仕事をやってくれというような意思がなかったことだけは、総理の発言を見てもおわかりくださることと存じます。しかし、いずれにしましても、いまいろいろな法律上の問題は、私は詳しくもございませんが、いずれまた内閣委員会等でいろいろお尋ねもあろうかと思いますが、いまお尋ねになりましたようなことは、十分今後頭によく入れて対処していかなきゃならぬ問題だと心得ております。
#11
○須藤五郎君 いま山崎さんが述べたことは、私は当然なことを述べていると思うんですね。私も全面的に支持したいと思うんですが、ただ一言、私この際言っておきたいのは、従来、各種審議会ですね、審議会の任命のときにも、私たちいつも人選について大きな疑惑を持つんですね。というのは、自分たち権力者の都合のいい人ばかし任命しているが、要するに学識経験とか公平無私の人を選ぶということが口先だけであって、その実、内容を検討すると、すべてそのときの権力者に都合のいい人ばかし私はよってくるような気持ちがしてしようがないんですね。特に今度の小選挙区制の問題に対するいわゆる私的諮問委員会なるものは、そういうにおいが非常に強いということを私はこの際言っておきたいんです。ああいう重大な問題は、だからああいう私的諮問委員会などという、そういう形でやるべきものじゃないということですね。やるならばもっと大きな場で意見を求める、少なくとも国会の承認を得るとか、そういう形をとらなければ私はうそだと思うんです。
 で、この際、私は最も公平な諮問委員といえば、これは国民だと思うんですね。だから、なぜこの前の総選挙のときに、こうこうこういうことをやりたいと思うということを、あなたたちの選挙の問題としてなぜ出さなかったか、そうして国民に批判をしてもらうべきじゃなかったかと思うんですよ。ところがそれは全然隠しておる。それから本会議の施政方針演説にもそれを隠しておる。そうして突如としてああいうものを出してきて、そうして私的諮問委員などを集めて、自分たちの都合のいい人間ばかし集めて、そうしてそこで諮問させる。そうしてその諮問の結果がいかにも公平無私なもののごとき形を装って、そうしてやろうとする。そういう意図はぼくは絶対反対なんですよ。だから国民も反対したと思うんです。だから、ほんとうにやるというなら総選挙で争ったらいいじゃないですか、その問題を掲げて。私はそれが一番正しいあり方だと思うんです。その点政府の意見を私は聞いておきたいと思うんです。
#12
○国務大臣(二階堂進君) いま、委員の選定は都合がいいような人ばかり出しておると、こういうことでございますが、私どもはそう考えておりませんし、今回委嘱を申し上げたような方々は、もう歴史的に申し上げますと、二十四年以来ずっと関係したり、勉強したりしてこられた方々でもありますし、何も一党一派に偏して意見を出されるような方ではないと私は確信をいたしております。しかし、須藤さんのほうでどうもそうだとおっしゃれば、考え方の違いであると申さなければなりません。しかし、いずれにしても、人選等については公平な立場の人、中立的な立場の人ということも当然考えていかなければならぬことであると思っております。まあ、これらの問題につきましては、私はやはり繰り返してここでいろいろなことを申し上げる考えはございません。が、しかし、国会の場というものは一番国民の意見を代表する場でございますから、国会において、問題につきましていろいろ御審議を願い、意見を述べていただく、また公聴会その他もございますから、そういうときに関係された方々もお呼びいただいて意見を述べていただくということが、一番正しく世論を反映する道ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
#13
○山崎昇君 これはきのうは私は質問の内容については通告しておりませんが、参議院の運営に関することですからもう一言だけつけ加えて質問しておきたいと思いますが、私どもやっぱり参議院の運営というのが、根本的には憲法の条項に従って、それを受けて国会法なりあるいは規則なり慣例なり、いろいろなものがありますが、そういうものを受けてやるわけである。ところが今度のこの増原さん問題が、あらためて憲法について内閣の態度というものを私はやはり一つの問題点として提起されていると思う。私は、増原さんの内容そのものが事実とか事実でないとかいうことはきょうは触れません。これはすでに専門委員会である内閣委員会等々で今後議論される問題でありましょうから、それを触れませんが、一、二点聞いておきたいと思う。
 その一つは、特に増原さんは参議院議員でありますから、これは私はまことに残念だと思っております。というのは、何も新聞記事だけで私ども論断しようと思いませんが、どの新聞を見ましても、あるいは、とりわけきのうの朝日の社説なんぞに至りましては、憲法感覚では失格でないかとさえきめつけられておる。私は、一国の大臣や議員が憲法感覚で失格だなんぞという報道をされるに至っては、やはり放置されない問題を含んでいるのではないだろうかと思います。そういう意味では、一体、内閣はその大臣だけ首切ったらそれでよろしいのだというような態度のようでありますが、私はそれだけで済まされない内容を含んでおるのじゃないか。一体、こういう者を任命した田中内閣はどうなっているのだろう。あるいは内閣は連帯をして国会に責任を負うという憲法の条項からいけば、こういう問題を出したということについて一体内閣はどういう責任を負うのだろうか、私はやっぱり筋道だけはきちんとしておく必要があるのじゃないかと考えるわけです。そういう意味で、官房長官に、今度の増原問題というのはきわめて――しゃべったとかしゃべらぬとか、あるいは天皇を政治的に利用せんとしたとか、事実関係についてはもちろん今後いろいろな角度から検討されるでしょう。あるいは内閣と天皇との関係、あるいは天皇陛下の権限にわたる問題等々についてもいろいろ議論があると思うが、それはひとまずおくとしても、私は重要なことが一つ提起をされておるのじゃないか。それは一つには、政府は、もう十何年も前から、憲法については最高に守らなければならぬ内閣がほとんど憲法記念日等については無視をしている、何もしない、こういうことにひとつはつながってきているのではないだろうかというふうにも考えます。したがいまして、内閣としては増原問題についてどういうふうにお考えになっているか、基本的に憲法に対してどういう考え方を持たれるのか、まずそれをお聞きしたい。
 それからあわせて、私どもよくわかりませんが、新聞を見ますというと、内奏だとか、御進講だとか、新聞によりましていろいろ報道が違います。一体、これはどういう根拠に基づいてこういうことがなされるのか、内奏というと何か私は旧憲法時代のことが思い出されてくる。一々統治者である天皇陛下に対して奏上する、そんなようなことがやはり思い出されてくる。あるいは御進講というのは一体どういうことなんだろうか、各党でもいろいろ議論がなされているようでありますが、いずれにいたしましても、これは法的にも何のあれもない。しかし、事実上やられておって、こういう問題が提起をされてくる、こういうことは私は憲法を守る、特に議院の運営という立場から、官房長官のきちんとしたひとつ見解を聞いておきたい、こう思います。
#14
○国務大臣(二階堂進君) 実は、ここに来る前にいまの話、御質問のあれは何も承っておりませんでした。したがって、私もここで初めていろいろな意見を求められるわけでございますが、多くを申し上げたくはございません。ただ、ああいう増原さんの御発言があって、そうしていろいろな増原さん自身の申されておりまするとおり、私の説明が意を尽くさなかったため誤解を与えたことはまことに申しわけなく、その際、責任を負って辞職をいたします、こういうことを言っておられるものでございまして、内閣といたしましても適当ではなかった、ああいう発言をされたことは適当ではなかった、かように考えております。この際、私からかってなことを申し上げますが、まあ、いまこの段階で私は多くを申し上げたくはございませんので、お許しをいただきたいと思います。
#15
○委員長(植木光教君) 他に御発言もなければ、本件につきましては、本日はこの程度といたしたいと存じます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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