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1972/06/15 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 決算委員会 第12号
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1972/06/15 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 決算委員会 第12号

#1
第071回国会 決算委員会 第12号
昭和四十八年六月十五日(金曜日)
   午後二時三十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十五日
    辞任         補欠選任
     鶴園 哲夫君     小野  明君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         成瀬 幡治君
    理 事
                片山 正英君
                世耕 政隆君
                渡辺一太郎君
                小谷  守君
                黒柳  明君
                塚田 大願君
    委 員
                石本  茂君
                河本嘉久蔵君
                君  健男君
                斎藤 寿夫君
                中村 登美君
                温水 三郎君
                小野  明君
                片岡 勝治君
                杉山善太郎君
                鈴木  力君
                村田 秀三君
                二宮 文造君
                萩原幽香子君
                野末 和彦君
   国務大臣
       外 務 大 臣  大平 正芳君
       大 蔵 大 臣  愛知 揆一君
       運 輸 大 臣  新谷寅三郎君
   政府委員
       環境政務次官   坂本三十次君
       外務省経済協力
       局長       御巫 清尚君
       大蔵省主計局次
       長        吉瀬 維哉君
       大蔵省理財局次
       長        小幡 琢也君
       文部政務次官   河野 洋平君
       文部大臣官房会
       計課長      三角 哲生君
       文部省管理局長  安嶋  彌君
       厚生政務次官   山口 敏夫君
       厚生省社会局長  加藤 威二君
       運輸大臣官房審
       議官       原田昇左右君
       運輸省鉄道監督
       局長       秋富 公正君
       運輸省自動車局
       長        小林 正興君
       建設政務次官   松野 幸泰君
       建設大臣官房会
       計課長      山岡 一男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤 忠雄君
   説明員
       外務省アジア局
       外務参事官    大森 誠一君
       会計検査院事務
       総局第一局長   高橋 保司君
       会計検査院事務
       総局第三局長   桜木 拳一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十六年度一般会計国庫債務負担行為総調
 書(内閣提出)
○昭和四十六年度一般会計予備費使用総調書及び
 各省各庁所管使用調書(その2)(内閣提出、
 衆議院送付)
○昭和四十六年度特別会計予備費使用総調書及び
 各省各庁所管使用調書(その2)(内閣提出、
 衆議院送付)
○昭和四十六年度特別会計予算総則第十条に基づ
 く経費増額総調書及び経費増額調書(内閣提
 出、衆議院送付)
○昭和四十六年度特別会計予算総則第十一条に基
 づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額
 調書(その2)(内閣提出、衆議院送付)
○昭和四十七年度一般会計予備費使用総調書及び
 各省各庁所管使用調書(その1)(内閣提出、
 衆議院送付)
○昭和四十七年度特別会計予備費使用総調書及び
 各省各庁所管使用調書(その1)(内閣提出、
 衆議院送付)
○昭和四十七年度特別会計予算総則第十条に基づ
 く経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調
 書(その1)(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(成瀬幡治君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、鶴園哲夫君が委員を辞任され、その補欠として小野明君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(成瀬幡治君) 昭和四十六年度一般会計国庫債務負担行為総調書、昭和四十六年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外三件、昭和四十七年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)外二件、以上八件を議題とし、便宜一括して審議を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○小谷守君 大蔵大臣、予備費について御質問をいたしますが、御質問を申し上げる前に私は一つ要望を申し上げておきたいと思うのです。
 予備費は、申し上げるまでもなく憲法に基づく事後承諾議案でありまして、予算原則の例外をなすものでありますから、国会における予備費の審議は特に慎重でなくてはならぬと思いますが、それにつきまして十分な資料を御提供願わなければならぬと思うのであります。財政法三十五条二項によりますると、「各省各庁の長は、予備費の使用を必要と認めるときは、理由、金額及び積算の基礎を明らかにした調書を作製し、これを大蔵大臣に送付しなければならない。」、こういう作業があるわけでありますが、私がお願いしたいのは、予備費使用の閣議決定の前提となる資料、いま申し上げました積算の基礎を明らかにしたところの資料を、予備費使用決定のつど便宜当委員会の委員長あてに提出をされたい、このように思いますが、いかがでございましょう。
#5
○国務大臣(愛知揆一君) 予備費は国会の事後の御承認を願うわけでありますが、財政法の第三十六条によって、各省各庁が作製した調書と大蔵大臣の作製する総調書を提出をいたしておるわけでございます。さらにそのもとになった積算の基礎についての資料というお尋ね、御要請でございますが、これは御要請によりまして必要な資料を提出して、御審議を十分していただくということにつきましては政府としても何ら異存はないところでございます。
#6
○小谷守君 じゃあそれひとつお願いいたします。
 さて、最近の予算に計上されました予備費の状況を見ますというと、補正予算の段階で四十六年度には四百五十億円、四十七年度には七百億円減額されております。予備費は憲法八十七条の規定に基づいて、予見しがたい予算の不足に充当するものでありますが、最近のこのような傾向は、これは予備費という名目で補正予算財源を一時確保しておくと、そういう姿勢ではないか、そういう疑問を持ちますが、予備費を設けた趣旨に反するとお考えにはなりませんか、いかがでしょう。
#7
○国務大臣(愛知揆一君) 御指摘のように、四十六年度、四十七年度においては相当額の予備費を補正予算のときに減額修正しております。これは御指摘のとおりでございます。同時に、従来から予算編成に際しまして、予見しがたい事情が起こることを考えて相当額の予備費を計上しているということも事実でございますけれども、補正予算を組みます場合は、御案内のように、年度が、だんだん予算を執行して、期間がだんだん終末に近づくわけでございますから、補正予算を組みますときには、その残りの期間の想定をいたしまして、本予算編成のときよりは予備費については一そう、予見しがたい事情とは言いながら、さらに見通しがつきやすくなってくるわけでございます。そういう関係もございますから、本来の予備費の趣旨からいって、むしろ補正予算を組む機会があれば、その際にもう一度予備費の検討を洗い直して減額修正をするということがむしろ必要ではないかと、こう考えておりまして、そういう考え方のもとに、補正のときには予備費を減額修正するということをむしろ適当であると、こう考えてこういう措置をとっておるわけでございます。
 ところで、御質問の御趣旨をさらに私そんたくいたしますと、それでは予備費が最初から多過ぎるのではないかどうかという点が一つの問題点であろうかと考えますけれども、大体予備費については全体の一・五%前後とかいうようなところに大体の基準をおきまして、財政需要も年を追うごとに広がっておりますし、それから予見しがたい問題が流動的な社会情勢においてはともすれば広がりがちであるというようなことも考えまして、大体こうした一応の基準を置きながら、そのときの財政規模やあるいはさらにそれに対する政治的判断と申しますか、これを加えて予備費のワクをきめておるのが実情でございます。それで年度の進行に伴いましてそういった事情が、いま申しましたように、さらに見通しがやりやすくなるその時期とこれを見合わせて、減額すべきものは減額しておくと、こういうやり方が私は適切でなかろうかと、こう考えておるわけであります。
#8
○小谷守君 最近のこの当初予算の編成の状況でありますが、四十五年度以降予備費の増額のペースは一般会計予算の伸び率を数%上回っておる。予見しがたい予算の不足が政策的経費の比率を上回って増加する必然性というものはどうしても理解できぬのであります。さらに、補正予算の財源に予備費を充てるという理由には、当初予算の給与改善費が五%ぐらいしか見ていないということにも一つの原因があるのではなかろうか。大蔵省が提出しておられます租税及び印紙収入予算の説明書によりますというと、賃金上昇率を、四十六年度は一四%、四十七年度は一二%と当初見込んでおられるわけでありますから、その率で給与改善費をあらかじめ予算化しておくべきではないでしょうか。こういう点に私は予備費の取り扱いに非常にルーズな点があるのではなかろうか、こういう気がしてなりませんが、いかがですか。
#9
○国務大臣(愛知揆一君) 特に給与関係について言及されたわけでありますけれども、これは長い間の慣行で人事院の勧告というものが年度の途中、大体夏に勧告が出るわけでございまして、同時に政府が人事院制度の重要なことに思いをいたしまして、最近は人事院の勧告をまるのみにしております。本年度もわれわれといたしましては、人事院勧告が出ましたらばそれを尊重というよりはまるのみに実施の時期を含めましていたしたいと考えているわけでございますが、これは予算編成のときにはあらかじめ人事院がどうであろうかということを想定をして給与費の中に組むということは、これは予算の真実性といいますか、信憑性といいますか、そういうことから考えましても、各省庁の給与費の中に山をかけて計上することもできない。したがって、五%は少ないというお考えでございますけれども、一応五%は最小限度上がるであろうということを想定をしてこれを予備費の中に計上しておるということになっておるわけでございます。これは私見にわたりますけれども、むしろ予算編成のときに来たるべきこの一年度間における給与はこれだけ上げるべきであるというような人事院勧告というものが、時間的な要素も入れていろいろくふうをすることによって、いま御指摘になったような問題は基本的に解決ができるかと思っております、これは私見でございますけれども。しかし、そういったことをやります場合には、現在の慣行とこれを合わせますと、あるいはある一年度のときに二度勧告というようなことも必要になるかというようなこともございますので、なかなかそうはいうものの、実行上、予算というものと人事院勧告というものを適切にぴたっと一致させることが現状においては困難であるというような関係から、こういうふうな措置をいたしておるわけでございまして、ひとつそういったような点もあわせて、政府としても今後の問題としては検討課題である、こういうふうに考えておるわけでございます。
#10
○小谷守君 四十六年度一般会計予算の総則で政府の債務保証の弾力条項が初めてできたわけでございますが、これについて国会の承認を得るという手続をなぜおとりにならぬのか、特別会計の弾力条項につきましては、以前当委員会でずいぶん議論をされ、そうして財政制度審議会の検討の結果、弾力条項は予備費に準ずるということで承認案件とすることに相なっておるのでありますが、なぜ同様国会の承認案件として取り扱われないのか、その点はいかがでございますか。
#11
○国務大臣(愛知揆一君) この問題は公庫、公団といったような関係について、一般会計の予算総則第十一条によって政府が保証しております保証債についての弾力条項、これが御案内のように百分の五十に相当する金額の範囲内においてさらに増額保証することができるということにいたしておるわけでございます。こういった公庫とか公団のように、対象とする法人、それから弾力条項発動の要件、それから保証、または貸り入れの限度額を特別に決定する。そして国会の議決を経るわけでございまして、その範囲内で実行するものでございますから、あらためて弾力条項の発動の内容について国会の事後承諾を求める必要はない。制度としてもそうなっておりますし、また実行上もこれでよろしいのではないかというのが政府の見解でございます。なお、これも御案内のとおりであって、特別会計の弾力条項につきましては国会の事後承諾を求めておるんでありますけれども、これは歳出そのものの弾力でございますから、その性格上予備費の使用に準じまして国会の事後承諾を求めておるわけでございます。先ほど申しましたのは債務保証の弾力条項については前段で御説明申し上げたとおりでございます。
#12
○小谷守君 四十七年度の予備費支出の中で、沖繩県の福地ダムの建設費でありますが、これに二十三億円余が支出されております。その内容を簡単に御説明願いたいと思います。
#13
○国務大臣(愛知揆一君) 四十七年度沖繩の福地ダムの建設費として二十三億円が予備費から出ておりますことは事実でございますが、これには沖繩返還の時期、昨年の五月十五日を中心にいたしまして、また琉球水道公社と米軍の工兵隊との間の工事の委託関係その他、非常に緊急を要し、また複雑な経緯がございまして、二十三億円の予備費支出をいたしたわけでございますが、この関係は、できれば建設省のほうから、この内容の詳しい経緯を御説明願うことが適切かと思います。
#14
○政府委員(松野幸泰君) 福地ダムは、昭和四十七年の五月の十五日に、沖繩の復帰に伴いまして琉球水道公社より日本政府が承継し、残工事を沖繩開発庁において実施しているところであるが、承継直後においてわが国のダム構造基準によって検討した結果、余水吐きの減勢工及びグラウト工事等に新たに追加工事の必要が生じ、また承継に伴う清算と合わせて約二十三億円の予備費を使用したのでございます。
#15
○小谷守君 この福地ダムに二十三億を支出された中身については、私どもよく了承のできるところであります。ただ当初の予定よりも沖繩の復帰が早まった。沖繩は万般のこの復帰に対応する施策というものは、これはすべてこれに対応するところの予算でまかなわれておるのに、なぜこの福地ダムだけが、七月以降の予算しか計上されていなかったのか、これが第一の疑問です。第二の疑問は、復帰後調査したら十七億円の追加必要額が出たということでありますが、なぜ事前に調査しなかったか。米軍の資産でありますから、あるいは米軍の基地の中でありますから、調査がむずかしかったのか、あるいは調査しようとしたのに米側で拒否されたのか、その辺の事情をいま少し御説明を願いたいと思います。
#16
○政府委員(松野幸泰君) わが国のダム構造基準によって検討しました結果、新たに必要になった追加工事として流下した洪水を安全に河道に流すために必要な工事、それからダムサイド基礎の状況に応じてさらに必要になった基礎処理工事並びに異常洪水量を完全に放流するために追加新設する必要が生じたということですが、いわゆる米軍の一つの基準の工事というものと、わが国の建設省の一つの基準工事というものに対しては、相当の安全性などにおいて差がございまして、それを調査の結果、これが必要になったということになっております。
#17
○小谷守君 災害復旧関係についてお尋ねをしたいのでありますが、四十七年七月の豪雨による災害、これは災害発生から予備費支出までの期間が九カ月以上かかっておるという、こういう事例がかなり目立つのであります。申し上げてみますというと、環境庁の自然公園等施設災害復旧費補助金三千五百七十六万円、文部省の私立学校建物その他災害復旧費補助金二千九百十二万円及び厚生省の国立らい療養所施設災害復旧費七百三十三万、環境衛生施設災害復旧費補助金四億一千三百六十一万、国民健康保険診療施設災害復旧費補助金七千七百四十余万円、以上の五件は四十七年七月被災後査定を経て予備費使用決定を四十七年十二月十九日に行ない、四十八年三月末現在、災害発生から九ヵ月を経過した時点でなお全額支出未済である、こういう状況であります。災害復旧は、申し上げるまでもなく、最も緊急を要するものでありまして、そのために国会開会中も予備費の使用ができる経費の一つとされておるのであります。なぜこのような常識を越えるようなスローモーな対応しかできないのか。いまも私が五件の実例をあげましたが、それぞれ担当の省庁でその状況について簡略にひとつ御答弁を願いたいと思います。
#18
○国務大臣(愛知揆一君) 私からちょっと御説明申し上げて、それから各所管庁から詳細に経緯を御説明願うことにいたしたいと思いますが、まことに御指摘のとおりで、そういう点につきましては、今後こうしたことを起こさないように関係省庁と協力をしてやってまいりたいと思います。
 一例を申し上げますと、御指摘のとおり、四十七年六月、七月の豪雨が発生いたしました。学校の関係で申しますと、公立の学校分は直ちに現地調査ができ、そして予算の折衝がすぐ始まりまして、補正予算に計上をいたしたわけでございますから、比較的早く処置ができたわけでございます。ところが、いまお話のとおり、私立学校分につきましては、まずその当該地域が激甚災害の指定を受けませんと該地域における私立学校についての補助金の交付ということの対象になりませんわけで、したがって公立の学校に比較してこういう状況になっております。公立学校については現地調査がもう始まりている時期に、まず八月の十七日に激甚災害の指定がございました。そこで、現地調査が開始される時期も公立に比べてある程度おくれました。そして、予備費の閣議決定をいたしましたのが同年の十二月ということになりましたために、それから具体的な各個所ごとに交付申請が受理されて、そして三月に交付が決定された、こういうわけで非常におくれましたことを遺憾に思っているわけでございますが、基本はこの災害が激甚地として指定をされて、それから初めて私立学校の場合には国の補助の対象になるということになっておりますためにこうしたズレが生じたものと、大蔵省のほうではこういうふうに理解をいたしておる次第でございます。
#19
○政府委員(坂本三十次君) ただいま委員御指摘のように、その災害が起きてから九カ月もかかったということは私どもとしてもまことにこれは遺憾に存じておる次第でございます。
 なるほど環境庁のほうは、国立公園内の設備だとか復旧費だとか、そういうことでございまして、人命に直ちに関係があるとか激甚地であるとかないとか、そういうようなことによって、緊急度によってもこれがおくれたのかもしれません。山の中であるから調査がおくれたのかもしれませんが、しかしあんまりそういうことは言いわけにはならぬのでございまして、九カ月というのは非常に長くかかり過ぎたと反省をしております。今後とも各省庁と連絡をいたしまして、もっと早くするように努力をいたします。
#20
○政府委員(河野洋平君) 文部省の所管につきましては大蔵大臣がお答えになったとおりでございます。
 私どもといたしましては、ただいま環境政務次官からもお話がございましたように、文部省といたしましても、学校関係、つまり限られた年月にできるだけ十分な教育を施すためには、これらの災害復旧にはできるだけスピードアップをすることは当然のことでございまして、今後とも十分その点に留意をしてスピードアップをはかりたいと考えております。
#21
○政府委員(山口敏夫君) 先生御指摘のとおり、経費の性格上十分スピードアップで事を措置したいというふうに考えるわけでございますが、厚生省関係におきましては、診療施設等の七月の被災に際しまして、直ちに職員と患者の危険のないよう、また施設の運営に支障のないよう、応急の措置を講じた後、復旧工事の立案あるいは調査、さらに地元との調整等の関係の中で予備費の使用を決定いたしまして、多少そうした点におきまして御指摘のとおり時間がかかったという点につきましては、今後ともすみやかに災害復旧に関して適切な措置を講じたい。また、環境衛生施設等におきましても同様でございまして、現地調査を実施した上適正な事業費を把握し、その後財政当局との調整、予備費等の支出につきまして、十二月十九日の第一次分の閣議の決定、また二月二十日の第二次分等の閣議の決定がなされた後、関係事務の手続を行なった、こういうことが予備費の支出を行なうための期間を要したというわけでございまして、今後は先生のおっしゃるようないわゆる経費の性格を十分承知した上、早急に支出ができるように努力をしたいと思っておる次第でございます。
#22
○小谷守君 厚生省関係ですが、国立らい療養所施設、これは復旧の対象が国立の施設でありますから、ほかの補助事業並みに経費を支出するまでの期間がこんなに長いということは、どうしてもうなずけぬのです。ほかの補助事業の場合ならばほかの要因がいろいろあるということも考えられますけれども、国立施設の場合どうしてもうなずけぬ。
 さあそこで、災害復旧につきましては、大蔵大臣から総括的に将来善処するということで誠意のある御答弁がありましたから、これ以上追及がましいことを申し上げたくありませんが、端的に、最近災害復旧事業というものは何となしにマンネリ化しておるのではなかろうか、こういう点についてはひとつ十分御反省を願って、特に査定までの間にかかる日数というものがかなり私はロスになっておるのでなかろうか、こういう点をひとつ、これからことしもまた災害のシーズンに入ろうとしておりますから、そういうときでありますだけに、特にひとつ御留意を願いたいと思うのであります。そして一体これはどこを直せばいいのか、災害復旧に対応する体制について、技術者の人員の問題だとか、いろいろな問題があると思います。こういう点について点検をしていただいて、このマンネリを早く改善をしてもらいたいと思います。この点を要望しておきます。
 次に、文部省のほうにお伺いをしたいと思いますが、四十七年度の特別会計予備費を見ますというと、文部省所管の国立学校の特別会計で「賠償償還及払戻金」としてて四千百万円が使用されております。これはどのような賠償に当てられたものでありますか。
#23
○政府委員(河野洋平君) 先生御指摘の四千百数万円という金額は、いわゆる千葉大学の付属病院におきます採血ミス事件の処理に当てられたものでございます。その内容について若干御説明、御報告をいたしますと、この事件は民事、刑事、医療法にわたって裁判が行なわれたわけでございますが、その民事訴訟につきまして、昭和四十七年三月三十一日に東京高等裁判所の判決が出まして確定をいたしました。これによりますと、損害賠償額は三千五百八十四万二千円、法定利息五百二十二万四千円を加えまして四千百六万六千円となったわけでございます。これを四十七年五月六日に原告側に支払った、この数字でございます。
#24
○小谷守君 損害賠償に要した経費につきまして、国は医師と看護婦に対して求償権があると思いますが、この求償権は行使されましたかどうか。
#25
○政府委員(河野洋平君) 求償権につきましては、民事の東京高裁の判決におきまして、医師及び看護婦の採血器の操作上の誤りを重大な過失と認定しておるわけでございますが、当該行為が求償権行使の要件としての重大な過失であるかどうか、及び求償権行使に当たっての医師及び看護婦の責任の割合などについては、さらに刑事事件審理の過程等をも参考にして判断をする必要がございますところから、求償権行使については刑事事件判決の理由をみた上で十分検討させていただきたい、かように考えておる次第でございます。
#26
○小谷守君 これは次官が御答弁になりましたように、採血に使われた器具は本来病人のたんを取り出す目的のもの、あるいは薬の噴霧に使うものであって、採血に使っていることは看護婦しか知っていなかった、医師は全然使い方も知らなかったというずさんさであります。その後どのような対策をおとりになったのでありましょうか。
#27
○政府委員(河野洋平君) 御指摘の問題にお答えをいたすわけでございますが、いずれにいたしましても、本件は国立大学におきまして、きわめて重大なミスを犯し、その結果、多大な御迷惑をおかけをいたした、人命にかかわる重大な問題を犯したということで、私ども一同深く反省をいたしておるわけでございますが、そこで、先生御指摘のように、こうした問題を引き起こしましたにつきましては、大学病院の管理体制そのものにも非常に問題があったというところを私どもも反省をいたしておるわけでございます。大学病院におきまして今日患者数がきわめて増加をいたしておりますこと、あるいは診療内容の複雑化、高度化等に伴います診療体制の整備のために関係職員をもっと増加する必要があるのではないかあるいは整備充実すべき部分がまだまだあるのではないか。そうすれば事故発生を未然に防げたのではないだろうかということ等につきまして反省をいたしておるわけでございます。今後とも管理体制の整備に一段と力を入れてまいりたいと考えております。
#28
○小谷守君 この事件では主任教授が責任をとってやめた、危惧も取り除かれたということのようであります。しかし、これだけでこのような事件が再び起こらないという保障はないのであります。これは国立大学付属病院の実態を見ますときに、理論を重視する傾向のあまり、大学病院では医師に実務的な採血方法を特に教育しておらず、かなりの医療行為が前からおります経験のある看護婦が行なっており、医師は確認すらしていない。大体確認しようにも使い方も知らなかったということでありまして、まことにおそるべきことと言わなくてはなりません。もはやこうなりますというと、一人の医師、一人の看護婦の問題ではなく、大学病院では医者のやるかなりの部分について事実上看護婦が代行しておるという実態でありますから、このような点についてもっと適確な指導を文部省はしていただかなくてはならぬと思います。
 私は千葉大学に限らず、いま大学の付属病院と言われるものに共通の問題があるように思われてなりません。それは何か患者をモルモットと間違えておるのではなかろうか、研究の道具のような感じ方でおるのではなかろうか、こういう心配がたえません。千葉大学の付属病院の場合は前には死亡診断書に故意に虚偽の事項を記入して、その地位を追われた教授があります。また、いま裁判中の問題でありますが、チブス菌事件、これは記憶に新しいところであります。特に千葉大学の場合は何か根本的に大学の病院の管理に大きな欠陥があるのではなかろうか、そういう点について、もっと深刻に反省をしていただかなくてはならぬと思いますが、いかがでございますか。町では乱診乱療、一番国民が信頼を寄せておる大学病院ではこの状況、こういうことでは救いようがないと思うんであります。ただ、この場で管理体制を改めるというおことばだけではなしに、具体的にどうするかということについて突っ込んだひとつ御見解をいただきたいと思うのです。
#29
○政府委員(河野洋平君) 確かに先生御指摘のとおり、大学病院の現在の体制というものが十分に地域の患者の方々に対してほんとうに安心していただけているかどうかということについて私どもも憂慮いたしております。もともと大学病院というものは、医療の、あるいは医学の教育、研究というものを追求をする、探求をしていくというところに一義的な意義を持っておる、こう考えている大学病院の関係者が多いものでございますから、どうしてもそこにウエートが置かれて、患者に対するサービスでございますとか、そうした点がとかく二義的に考えられがちでございます。しかし、大学病院はそれぞれ地域の医療センターというような役割りも果たしておるわけでございますから、教育、研究を充実させるということも必要でございますけれども、と同時に、多くの地域の患者の方々にも十分なサービスをするということは、これまた全く必要なところだと思います。
 そこで、文部省といたしましても、大学病院に対しましてできるだけ十分なサービスというものをするようにという指導はいたしておりますが、たとえば、非常にこまかなことでございますが、具体的な例を幾つか申し上げますと、たとえば窓口の受付事務におきましても、ただ単にいわゆる通り一ぺんのことではなくて、もっと地域の方々に対するサービスというものをまじめに考えてもらいたいということをお願いをいたしまして、指導いたしまして、受付事務に責任者を充当するよう配慮をしたり、患者の動静を短くするよう各種窓口の配置に配慮をする、あるいは案内係を配置する等、サービスにも心がけるように指導をいたしております。
 さらに、医療そのもの、あるいは医療のサービスそのものにつきましても、従来無給医局員と呼ばれる者は、研究生、専攻生などとして授業料を徴収した上研究、診療に従事をさせているもののほか、学内における身分が不明確な状態のままに診療にも従事させていたわけでございますが、こうしたことが診療上の責任の所在や処遇が非常に問題になってくる例が多いものでございますから、昭和四十二年度に臨床研究医の制度を設けまして、教官以外の者で大学付属病院の診療に従事する者のうち、一定の要件に合致する者を臨床研究医として受け入れて、これに診療協力謝金というものを支給してきたわけでございます。昭和四十五年度にはこの取り扱いをさらに改めて、非常勤の診療要員として医員制度を設けて実施をいたしましたし、昭和四十八年度はこの医員に支給する手当の日額を二千四百四円から二千六百六十円に増額をし、前年度同様三千三百人を配置をする等々改善策のために配慮をいたしておるわけでございます。
 今後ともそうした点、さらに充実をさせまして、責任体制あるいは地域医療のセンターとしての自覚をそれらに従事する人たちに持っていただくよう、さらに指導を強化してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#30
○小谷守君 大学病院の改革のためにはひとつ大胆な措置をとっていただきたいと思います。そうして、二度とこのような不幸な事件のために貴重な予備費を使うというふうなことがないように十分ひとつ御改心を願いたいと思います。
 これで終わります。
#31
○二宮文造君 予備費の審査にあたりまして、ただいまも小谷委員から総括的な質疑があったわけですが、私は、申し合わせの時間もありますので、若干本論からはずれるかもわかりませんけれども、心身障害者対策、この問題について関係各省の見解を伺いたい、このように考えております。
 心身障害者対策といいましてもなかなかこれはたいへんなものでして、健康の問題とかあるいは生活の問題とか、あるいは就職を含めた社会参加といいますか、社会復帰といいますか、そういう非常に広範な問題をかかえているわけですが、私きょうは心身障害者の足という問題に限って、非常に問題は小さくなりますが、非常に切実な問題が提起されておりますので、その点について若干お伺いしたいと思うんです。
 そこで最初に厚生省にお伺いしたいと思うんですが、身体障害者、こういうことばがはたして適切なのかどうか、ハンディキャップを持ったこれらの方々がいわゆる障害者手帳、こういうものをお持ちです。したがって、最近の調べでけっこうですが、身体障害者手帳を交付されている登録数といいますか、それがおわかりならお知らせ願いたい。
#32
○政府委員(加藤威二君) 身体障害者の手帳交付でございますが、百七十万三千八百七十七、これは現在私どものほうで身体障害者、おとなについて大体百三十万、子供を入れまして百四十一万ということでございまして、ちょっと食い違いますけれども、これは、手帳を交付いたしましてたとえばその方がなくなったとか、そういう場合になかなか返ってこないというようなことで交付枚数がだいぶ数が違いますけれども、一応交付しております数は百七十万でございます。
#33
○二宮文造君 そのうちで肢体不自由者と見られる方々の数は何名でしょうか。
#34
○政府委員(加藤威二君) そういう意味で、この手帳交付者というよりも実は実態でお答え申し上げますけれども、私どものほうでの実態調査によりますと、身体障害者の数百三十一万ということでございますが、そのうち肢体不自由者はその五八%にあたります七十六万人でございます。
#35
○二宮文造君 さらに、その中で非常に症状が重いといいますか、いわゆる重度ですね、重度で車いすが必要な方々の数は何名でしょうか。
#36
○政府委員(加藤威二君) いま申し上げます七十六万人のうち重度、いわゆる障害等級で一、二級でございますが、その一、二級の障害者の数が十四万でございます。その十四万のうち、車いすを必要とするという障害者は大体七万人というぐあいに推定いたしております。
#37
○二宮文造君 さて、非常にこまかくなりますが、それじゃ七万人のこれらの必要とされる方々で、実際に車いすを持っていらっしゃる方は何人でしょうか。
#38
○政府委員(加藤威二君) 車いすを持っておられるのは、七万人のうちの二二%、約二万人でございます。
#39
○二宮文造君 こういうように数を伺ってまいりますと、百三十一万の方々のうち、特に肢体不自由者、この方々が七十六万人いる。さらに車いすを必要とする方が七万人、しかも実際に持っているのは二万人、二二%。
 その理由は、巷間いわれておりますのは、とにかく日本の生活構造というものが車いすの使用には不適当な生活構造になっている。建物の構造もそうですし、あるいは車道なんか高くなっている。これを渡るためには非常に腕力を必要として使用に耐えない。あるいは駅の構内等の設備も車いすの使用に耐えないような状況になっている。したがって、こういう方々が社会の中で行動をしようとしても、いきなり行動半径が非常に限定されてくるわけです。しかし、これらハンディキャップを持った方々もやはり社会の一員ですし、政治の一番大事なのは、こういう方々にもその行動半径を拡大する、そういうあらゆる施策が必要ではないかと思うのですが、現在お考えになっているような、また現に実施されている対策というものはどういうものがありますか。
#40
○政府委員(山口敏夫君) 先生御指摘のように、身体にハンデあるがゆえに精神的、肉体的、あるいは経済的なハンデを背負っている、特に重度身体障害者の方々の行動半径を拡大する施策というものは、積極的に推進をしていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。厚生省といたしましては、更生医療、補装具の給付、施設における更生訓練など、各般にわたり努力はしておるわけでございますが、特に、四十八年度におきまして、道路、公共施設の改善をはじめ、生活環境の改善、あるいは身障者の方々の福祉モデル都市制度を創設したりしておるわけでございます。しかし、何といいましても、十分な現状とは言えないわけでございますし、特に厚生省のみならず、関係各省の十分理解と協力をいただきながら、身体障害者の方々が健康な方と同様な日常生活が営めるように、今後とも中央心身障害者対策協議会等もございますが、そうした場を通じまして一そう努力し、また充実のためにつとめていかなければならない、かように考えておるわけでございます。
#41
○二宮文造君 いま御答弁がございましたように、たとえば車いすを持てば行動半径が広がる。しかし、またそれが受け入れられないような現在の状況になっているために、身体障害者の方々の行動半径が非常に狭まっている。これは何とか解決をしなきゃならない問題ですが、そこでこれらの身体障害者の方々にそれぞれの交通機関が運賃の割引制度を設けて多少なりとも優遇をしている面があるわけですが、現行制度をちょっと簡単に御説明いただけませんか。たとえば国鉄の場合、私鉄の場合、それから乗り合いバスの場合。
#42
○政府委員(秋富公正君) 現在、法律に基づきまして、日本国有鉄道運賃法におきましていわゆる身体障害者に対する割引がございます。現実の割引はその法律以上のことをしておるわけでございますが、それを申し上げますと、現在身体障害者手帳の交付を受けた身体障害者につきまして、介護者を同行しなければ旅行できない人につきましては、本人及びその介護者とも運賃及び急行料金について五割の割引を行なっております。それから単独で乗車・船できる身体障害者につきましては、片道百キロメートル以上の距離を旅行する場合に限りまして、運賃について五割の割引を行なっております。
 私鉄につきましても、これは同じように指導いたしておりまして、すでに昭和二十七年から国鉄に準じました割引を身体障害者について行なっております。
#43
○政府委員(小林正興君) 乗り合いバスにつきましては、指導によりまして、運賃認可の際に、事業者の申請上、普通運賃で五割引き、定期運賃で三割の割引を認可して実施いたしております。
#44
○二宮文造君 ただいまの鉄道監督局長の説明では、私鉄の場合は国鉄に準じてと、こういうようなお話でございますけれども、国鉄の場合は介護者を必要としない者は百キロ未満はだめですね。ところが、私鉄の場合は身体障害者手帳によって――まあ、私鉄では百キロ以上というのはそうないところもありますから、私鉄の場合はそういうキロ数の制限なくおおむね割引をされているのじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
#45
○政府委員(秋富公正君) 先生の御指摘のとおりでございまして、私鉄で百キロをこすという場合は、東武鉄道あるいは近鉄、名鉄というふうに非常に限られておるわけでございまして、少ないわけでございます。
 それから私ども概して準じていると申し上げましたのは、私鉄大手十四社について見たのでございますが、その十四社につきましても制度が多少それぞれ違っておるわけでございます。しかしながら、ある場合には国鉄以上に私鉄のほうがそういった措置を講じておるものがございますが、いわゆる急行券というような制度は逆に私鉄にはございませんので、そういった面では違っている。それからいわゆる単独の場合でも、通勤についても割引を行なっているというような制度をとっているところもございます。
#46
○二宮文造君 それで、この数字はおありになりますかどうか、最近の年度でいいんです。おわかりの年度でけっこうなんですが、それぞれ利用人員、それから割引というのですか、運輸省関係では減収額というふうにあげられているようですが、その金額。利用人員とそれから割引の額ですか、それがおわかりだったら御説明願います。
#47
○政府委員(秋富公正君) 昭和四十七年度、まだ概算でございますが、最初に国鉄について申し上げますと、国鉄は延べ人員で百七十六万人でございます。この割引額は約十億円でございます。
 それから私鉄について申し上げますと、これは大手十四社でございますが、四十七年度の利用人員が延べ四十二万人でございます。割引額は約五千万円でございます。
#48
○政府委員(小林正興君) 乗り合いバスについて申し上げますと、年間の最近一カ年の利用人員は四千四百三十一万人、これによる減収額は十二億八千万円と推定されています。
#49
○二宮文造君 そこで、私、国鉄の場合とそれから乗り合いバスの場合を単純に比較してみますと、国鉄の場合、これほど鉄道網が発達をしておりながら、国鉄の場合はやっぱりキロ数の制限がある。それからまたそのほかの理由もあるのでしょうけれども、百七十六万人で十億円。それから乗り合いバスの場合は、何と四千四百万人の人が利用して、それぞれの経営規模は国鉄より非常に小さいのですが、その乗り合いバスが十二億相当の身体障害者に対する割引を実行している。これはひとつ国鉄という大きな世帯、それから乗り合いバスという小さな経営主体、そういうものと比べてみますと、国鉄が身体障害者に対する割引といいますか、サービスといいますか、そういうものが少し度合いが薄いのじゃないか、こう考えるのですがね。この点はどうでしょうか。もっと正確に言いますと、百キロに制限をしている理由、これはもうこれほどまでに身体障害者の方々の行動半径というものがやかましく言われている時代、また強い要望がある時代に、介護者を要しない人が旅行する、その場合に百キロ以上でなければ割引がないというような、そういう制度はもう時代の要請には合わないのではないか、こういう意図が私にはあるから乗り合いバスと数字を比較してみたりするわけですが、なぜこれを制限しておかなければならないんだろうか。
#50
○政府委員(秋富公正君) 最初に申し上げましたように、現在の国鉄運賃法におきまして、法律の規定におきましては、いわゆる介護者を同行しなければ旅行できない場合に限っておるわけでございまして、その場合に、いわゆる普通料金につきまして、いわゆる運賃につきまして五割引きを介護者とそれぞれ行なうというふうになっておるわけでございますが、これを、この法律の規定をこえまして、介護者を必要とする場合には急行券についても割引を行なっておるわけでございます。それから、別に法律には規定がございませんが、単独で乗車・船できる身体障害者の方につきましても、片道百キロメートルをこえる場合には割引を行なうということで、法律の規定から申しますとそれ以上のことをしておるわけでございますが、しかし、先生の御指摘の、そういったいわゆる近距離のものにしないかという御指摘の点、いわゆるバスとか私鉄とかの問題も考えましたら、そういった利用者の問題もあるわけでございますが、現在の国鉄の財政状況から考えまして、私たちといたしまして、国鉄がこれ以上の負担を行なうということは非常に困難かと、ただ、輸送の面のサービスの改善ということにつきましては、極力今後も行なっていきたいと、かように考えております。
#51
○二宮文造君 これは本院の社会労働委員会、ことしの四月二十四日にそれぞれの参考人の出席を求めまして意見をお伺いした記録がございます。仲野さんという方がこうおっしゃっているんですね。「次は精神薄弱の人々及びその介護者の運賃割引の問題でございます。これは基本法の第二十三条の第二項で日本国有鉄道はこれをしろと書いてあるにもかかわらず、運賃値上げはばかっておりますけれども、精神薄弱者のために運賃割引をしようということはこれっきしも考えておりません。私は、この国会に出されておる運賃値上げ法案はどういうふうになるか私たちにはよくわかりませんが、万一通りますときには、必ずそのときに、私は罪滅ぼしとは申しません、当然の権利として精神薄弱者に運賃割引を身体障害者並みにしていただきたい。」、こういうふうな強い要望が出ております。いま、先ほどの国鉄の運賃法に基づいて、その法の制約以上に国鉄は割引をいまやっておりますと――制約以上のものができるのならですよ、できるのなら、いま要望が非常に強いんですし、しかも乗り合いバスの場合は四千四百万人の方が利用される。そして割引運賃を、何といいますか、利用されている。国鉄の場合も、この乗り合いバスに準じてやるならば、相当数これは利用度がふえますし、しかしそのための減収額というものは現在の国鉄財政の屋台骨をゆるがすような減収額にはならないと思うんです。やはり、先ほどくしくもおっしゃったサービスという問題ですね、特にハンディキャップを持っているこれらの身体障害者の方、それから、あとで答弁を求めたいと思いますが、精神薄弱者の場合、現行はどうなる、今後どうされるか、こういうことも含めて、この百キロ未満の問題について、やはりこの制限はお解きになる意思はありませんか。
#52
○国務大臣(新谷寅三郎君) 百キロ未満の扱いとか、それからいまお示しになった精神薄弱の方をどうするかとか、目の見えない方をどうするか、それからある一定年齢以上の老人をどうするか、それから乳幼児をどうするか。社会福祉ということから考えますと、これはいずれもそれぞれの理由がありまして、各々の交通機関におきましても考えなければならぬ問題だと思っておるんです。ただ、いま政府委員から申しましたように、それならばそれをどの程度まで国鉄自身の独力でやれるかということになりますと、これは非常にまた別の問題を考えなければいけない。運輸省としましては、そういう御意見も国会で再々出るものですから、まああらゆる角度から検討を加えておることは事実でございます。先般も予算委員会で御質問がありましたときにお答えしたんですけれども、そういった問題につきましては運輸省としてもこれは必要だと思います、いまの身体障害者、ことに重症の方だけということに限定してやっておるということはこれは問題だと思いますから、これをどこまで拡張するかということが非常に問題だと思うんですけれども、しかしそういったことは、やはり大きな意味で社会福祉、まあ福祉国家を前進させようというような意味で考えるべき問題だろうと思いますので、関係の他の省とも十分連絡をとりながら今後こういった問題が解決できるように積極的に考えていきたいということを御答弁申し上げたわけですが、端的に申し上げますと、財務当局が一般会計でそういった経費をお出しになって、そして足りないところを補なってもらうというような制度ができれば非常にありがたいと思います。
 その場合に、運輸省としては、それならどういうふうにこれに対してサービスの向上をするか、という問題はこれはやっぱり一つの大きな問題でございまして、非常にこれは経費がかかると思いますけれども、先般御承知のように、山手線のある駅で目の見えない方の事故があったわけです。こういったことに十分反省をいたしまして、早速これから対策を具体的に講じさせておりますが、できれば施設面、設備の面で、先ほどもちょっとお話になりましたが、車いすは、十分車いすでプラットホームにも行き、電車にも乗れるというような、そういう設備面の改善、これは非常に経費もかかりますし、たいへんな問題ですけれども、この設備面の改善については当然これは乗客に対するサービスとして国鉄も民鉄もバスも考えなきゃいけませんということで、早速国鉄に対しては全国主要な駅で車いすのままでプラットホームにも行けるように――一番問題はこれは改札口だそうです、改札口が狭くて車いすが入らないというような駅が多いようです。それの改善方を指示しております。私のほうは、こういった問題に対して運輸省の立場から積極的に取り組んでいきたいと思っておりますが、ただ割引の問題、いま申し上げたように、これからさらにさらに広がっていくであろうその運賃の割引を、国鉄といういま非常に財政で苦しんでおる国鉄の会計の中で全部これを負担していくというには、なかなかこれを引き受けられない限度があるんじゃないかと思いますから、これについてはさっき申し上げましたように関係省庁のほうで十分考えてもらいたい。私のほうは設備面であらゆる協力をし、努力をいたしますということを申し上げたわけでございます。大体そういう方針で進んでいきたいと思います。
#53
○二宮文造君 いませっかく大臣の答弁がありました。ただ、身体障害者の場合だけを考えるわけにはいかない。老人をどうするか、あるいはまた乳幼児をどうするか、こう問題をずっと広げますとおっしゃるような御意見も出てくるかもわかりません。しかし当面、非常に社会の要請になっているまた心身障害者対策基本法というのができてもう三年になります。その中には、法の中で「国民の責務」とかあるいは「自立への努力」とかずいぶんけっこうなうたい文句があるわけです。したがって、当面福祉対策を取り扱っている厚生省といたしましては、こういう身体障害者の方々の要望というのはそれこそ痛いほど耳に響いていると思うんです。ですから、確かにいま大臣が言われたように、国鉄でこれをかついでいくということは云々という答弁がありましたけれども、それでは障害者対策を直接つかさどっている厚生省のほうではこういう方面にまで、いわゆるいま当面問題になっております百キロ未満の制限を撤廃するというところにまでお考えがあるのかどうか、関係者の要望に対して厚生省としてはどういう姿勢で取っ組んでいらっしゃるのか。お金の問題はやり方一つでどうにでもなると思うんです。ただやる意思があるのかないのか、その方策を検討しているのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
#54
○政府委員(加藤威二君) 私どもといたしましては、身体障害者の福祉を所管しております立場といたしまして、先生御指摘のような公聴会等におきましても非常に強い要望がございまして、そして身体障害者の非常にいまの最近の要望といたしましては、やはり一般人と伍して社会生活を営んでいきたいこういう希望が非常に強いわけでございます。もちろん中には施設に入れて身動きもできないという重度の身体障害者の方もおられますけれども、少しでも動けるという方はやっぱり一般の社会生活で一般の人とできるだけ一緒に生活をしたいという強い希望がございます。そのためにはやはり行動半径もできるだけ広くしたいという希望が非常に強く出ております。その結果といたしましていま先生御指摘のような交通機関に対する割引の問題というものが非常に最近になって強い要望となって出てきております。で、私どもといたしましてはそういうそれが身体障害者の非常に強い関心、要望であり、その家族の強い要望であるということであれば、やはりその要望を実現することが福祉の線に沿っているというぐあいに考えております。
 そういうことで、まあいまの具体的な例でございますが、国有鉄道のほうでも非常に身体障害者の問題について最近御配慮を願っております。その点われわれも非常に感謝しているわけでございますが、この割引の問題につきましては、いまお話がありましたようにいろいろ制限があるわけでございますが、これはなるべく私どもとしても撤廃してもらいたい、こういう希望を持っております。
 それじゃ厚生省で予算を組んだらどうかというお話でございますが、私ども厚生省で要求して取れるという見通しがあればぜひやりたいと思いますが、法律にも書いてございますように、身体障害者の対策基本法にもやはり日本国有鉄道は身体障害者のために必要があれば割引をするようにつとめなければならぬ、こういう規定があります。したがいましてこれは私どもとしては何とか実現したいと思うんでございますが、それがこれはどの省がやろうともそれはかまわないと思うのでございますけれども、私どもといたしましても厚生省予算ということで要求して非常にそれが通る見通しがあればこれは要求するにやぶさかではございませんけれども、やはりいまの段階では法律にも一応「国有鉄道」ということが書いてございます。
 それから身体障害者の対策というものは、これは身体障害者ばかりではございませんが、老人対策でも同様でございますが、各省が協力してそれぞれの分野で福祉を進めていくということが理想だと思います。そういうことでなおこの問題につきましては国鉄とも話し合いをいたしまして、運輸省ともお話し合いをいたしまして、何とか実現のほうに努力をいたしたいというぐあいに考えております。
#55
○二宮文造君 法律に「日本国有鉄道は」と書いてあるから国鉄のサービスでそれをやる、埋め合わせをすべきだと、こういうふうな厚生省の解釈は非常に何といいますか、時代の要望をずらすような答弁のように私伺えてしようがないわけです。私もこの問題ちょっと調べておりますうちに、こういうことなのかと思って気がついたことは、私は割引だと思っていました。ところが割引じゃないんですね。バスだとか私鉄だとかいうものが運賃の申請の場合に、身体障害者等のこういう割引についてはいわゆる積算の根拠になるのだそうですね。だから、要するに身体障害者の方々の減免額は、これは一般社会人がこれをカバーしてきた、こういうかっこうになる。おそらく国鉄の運賃計算もそういうことで運賃計算をなさるのだろうと思う。しかし最近はバスだとかあるいは私鉄だとかは、その部門の経営状況が非常に悪化してきている。とてもじゃないが、こういう運賃改定の積算方法では身体障害者の方々の割引を、これをカバーするわけにはいかぬと、この減免の割引の金額はもはや国のほうで補償してもらいたいという声が、民鉄協会とかあるいは日本バス協会、こういうところでの異句同音な考え方です。
 一方では当該の身体障害者の方々は、自分たちの行動半径が広がるように交通機関、この割引をやってもらいたい、これは非常に要望が強い。今度は直接部門であるバスだとかそれからその私鉄のほうはもはやこれは国でそれを補償してもらいたい。ですから、先ほど私が申しましたお金の問題で解決することであって、厚生省のほうは予算がとれるならばそういうことも考えてもいいけれども、いまのところとれる見込みがないから、というふうな、非常に否定的ないまの御答弁、私はこの否定的な答弁非常に気にいらぬわけです。事情はよくわかっております。しかしいまの時代は身体障害者、このようなハンディキャップを持った方々を社会が何とかして援護し、抱え、一般社会人と同じように抱えていこうという時代の要請にあるわけでしょう。政治の要諦というのは私はそこにあると思うのです。ですから、お金で解決する問題ならそれはすべきじゃないか。政務次官、どうですか。これはやるやらないという言質はとりませんけれども、一政治家として、あるいは政務次官という制約があるかもわかりませんけれども、こういう時代の要請に対して、行政のあり方はどうすべきかということの御意見を伺いたいと思います。
#56
○政府委員(山口敏夫君) 二宮先生御指摘のように、大いなる時代の変革期の中で、福祉社会に対する国民の皆さんの決意と願いというものが十分そこにあるわけでございますから、当然その福祉を直接的につかさどる厚生省の立場といたしましても、先ほど局長の答弁にもございましたが、身体障害者の方々自身が、一般の社会人の方々と一緒に社会的責任を、また行動をはかりたいという気持ちでおる以上は、やはり行動の利便をより促進することによってこの社会復帰が促進されるというふうに理解しておる以上、そうした運賃はじめ交通機関の利用の点につきましても、財政面等も含めて、十分私どもで前向きに検討しなければならない、当然だと思います。と同時に、そうした施策の推進につきまして今後とも十分努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
#57
○二宮文造君 そこでね、もう一つ非常に切実な問題があるのです。といいますのは、こういう肢体不自由者の方が、からだの、健康の要請で病院へ通院をしなければならない、月に一回とか二回とか。ところがもうほんとに、同じ町の中のそういうところへ、医療施設に通うわけですが、どうしようもない。勢いやっぱりタクシーを使わなければならない。車いすにしても何にしても、いまのような交通ラッシュ、それから先ほど言いましたように道路の状況、そういうもので、もうとにかく自分一人で出歩けない。どうしても出なければならない、そういう場合にはタクシーを使わざるを得ない。これはもう身体障害者の方のいまは唯一の足だと、こう言っても過言でないぐらいタクシーに頼っている部面が非常に多いわけです。ところが御承知のように値上げでしょう。それから、乗せてくれないというんです。これはまた、こういうことを言いますと運輸省のほうもまた反論があるかもしれませんが、やつぱりやっかいでしょうね、運転手さんにしても。あの人たちはノルマ制ですから、非常にやっかいな面もありましょうし、また目につかない面もあるかもしれません。料金の問題、それから自由にそれを使い切れないという問題。特にお金の問題です。タクシーの値上げの問題。これはのべつまくなしにそのタクシー料金を割り引きしてくれとは言わないというんです。月に一回か二回、通院なら通院でもけっこう、そういう方法を講じて一回か二回かこのタクシーの割り引きが使えるようになると私どもは非常に助かるのですと、こういう意見があるわけですね。まあタクシーの経営も非常に楽じゃないようです。しかし、ほんとうにいわゆるその等級を限り、それからまた条件をつけ、そして福祉事務所かそういうところでチケットを発行するというような形をとりますと、そう乱発にもならないでしょうし、これらの方々の要望の最低限の要望、これが満たされる。これは非常に重要なことではないかと、こう思うのですが、この点はどうでしょうか。
#58
○政府委員(小林正興君) 大都市の一般的な交通は、御承知のとおり鉄道、バスというもので大量輸送をやっておるわけでございますが、ただいま御指摘のような身体障害者その他老人等につきましてはなかなか利用がしにくいと……。
#59
○二宮文造君 いま私、老人は言っておりませんよ、あまりワクを広げないでください。
#60
○政府委員(小林正興君) はい。かといって、自家用車も簡単に持てない身体障害者の方も多いと思うわけでございまして、そういった身体障害者の方にとりまして、ドア・ツー・ドアのタクシーというものは非常に便利な乗りものかと思うわけでございます。ただ、バスと違いまして御承知のように一回の輸送の単位というものは非常に限られておるわけでございます。したがって、従来のバスでとっておるような方式でやりますと、バスは四千四百万という大ぜいの方に割り引きを実施されておるわけでございますが、これは全体の輸送量から申しますと、パーセンテージでは一%を割って、はるかに割って、わずかな数字でございます。したがって、一つの運賃制度の中でこれをこなすこともできるかと思うわけでございますが、タクシーは、そういった点からバスと同じような制度ができないと。したがって、この問題につきましてはやはり社会福祉の観点から、そういった運賃負担をどうするか、国としてどうするかというようなことをいろいろ検討いたしませんと、バスと同じような割り引き制度を直ちに実施するということは非常に困難かと思います。
#61
○二宮文造君 よく私の質問の趣旨を聞いて答弁してください。私は、乗り合いバスと同じような制度ということは言っておりません。最低限月に一回でも二回でも、あるいは条件をつけて、通院のために必要だとかそういう条件をつけ、回数を制限し、しかもそれを手帳でオープンにするんじゃなくて、福祉事務所等でチケット制にすればそんなに乱発にもならないし、そして、しかも切実な要求には最低限こたえることができるじゃありませんかと、そういうこともお考えになる必要がありませんかと、こういう質問なんです。何も乗り合いバスのように手帳を見せればそのまま割り引きにしろとか、こういうことはタクシーの経営規模というのはわかっておりますから、私、そんなやみくもな質問はしていません。最低限、そして、しかも、最低限の要望にこたえられる。これはひとつ行政を担当する方とすれば、これくらいのやっぱり血も涙もある考え方というのが立たなければ世の要請にはこたえられませんよ。もう一度答弁してください。
#62
○国務大臣(新谷寅三郎君) 二宮先生おっしゃったことよくわかるんですよ。それでこのタクシー問題は、金額の問題よりもやり方が非常にむずかしい点があるんですね。ですからいまちょっとあなたが御意見としておっしゃった福祉事務所から何かチケットでも出したらどうかと、これも一つの御意見だと思うんです。それでこの点についちゃ、実は私どものほうでも交通機関に関連して、社会福祉のためにどういうふうなことをしたらいいかということを考える中で、いろいろ各交通機関について検討してみましたがね。タクシーは一番むずかしいんです。これは方法論がむずかしいので、これはしかし結論としちゃ何かやっぱり考えないとおっしゃるようにまずいと思いますね。
 ですから私はここで他の官庁の方の前で、どうしようこうしようということを具体的に言うのは行き過ぎだと思いますから言いませんけれども、この交通機関だから運輸省で世話しろということだけではなしに、それをもう少しやっぱり政府全体としましてね、社会福祉というものを考えて、そういう心身障害者その他社会がみんなの力で援護しなければならぬというような者に対しましては、それにふさわしい方法と、やっぱり財源措置というものを考えていったほうがいいと私は思っているんです。これはすぐできる問題もありますが、またすぐできない問題もありますので、先般来、関係の大臣ともこういった問題について次の予算編成期にはぜひ考えようじゃないかというようなこともいっておりますので、特に私は個人としちゃいろいろ研究しましたが、一番むずかしいのはタクシーです。これはおっしゃることは、この趣旨においては私も同じ方向を向いているんですが、やり方について非常に問題がありますので、少し研究をさしていただいて政府の内部でもそういった問題について積極的に取り組んでもらうように私も努力をいたしますから、もうちょっとこれは結論を、具体的な結論を出すことはもう少し待っていただきたいと思います。
#63
○二宮文造君 申し合わせの時間がきました。私も、ただいま運輸大臣から前向きの答弁が出ました、しかし、まだ実った答弁じゃありませんけれども、時間をかせということでございますし、また先ほど厚生省の政務次官のほうからも、この問題については前向きに検討しなければならぬということがありましたから、あえて答弁は求めませんけれども、当面切実な問題はこのタクシーの問題です。それからもう一つ、それと同じように、身体障害者の方々がむしろ恨みのことばに変わっていますのが百キロの制限の問題です。この二つの問題について早急に善処されることを期待しながら、私の質問は終わりたいと思います。答弁は要りません。
#64
○塚田大願君 私は、外務省の予備費使用で、ベトナム難民救援費補助金の問題についてあらためてお伺いしたいと思うのでございます。これは、前回にもお伺いしたのでございますけれども、まだいろいろ問題が残っておりますのでお伺いするわけでございます。
 御承知のようにベトナム難民救援補助費は二億九千九百七十万円、約三億円が昭和四十七年八月に閣議で決定されて、今日では全額支出済みということになっております。この問題でありますけれども、私は前回この補助目的について御質問申し上げました。一体この救援物資というものがどこへ行っているんだ、解放区のほうに行っているのか、それとも占領区だけに終わっているのかという御質問を私いたしました際に、外務省は、いろいろやっておるんだけれども、なかなかああいう状態なんで十分その目的を達し得なかった部分は、これはやむを得なかったのではないかと思います、こういう御説明が当時ございました。これは議事録にも中江説明員から言われておることがちゃんと載っておりますが。
 そこで、私、あらためてお伺いしたいのでありますけれども、やむを得なかったというのはどういう意味なのか。つまり、解放区を除外した差別的な援助を最初から前提としてこの補助金が出ておったのかどうか。それとも、最初は解放区を含めたいわゆる人道的な立場を前提にして補助金は出した、しかし結果においてうまくいかなかったんだと、こういうことなのか。その辺、もう一つ明らかにしていただきたいと思うのであります。
#65
○説明員(大森誠一君) 昭和四十七年度の南ベトナム難民救済緊急援助につきましては、昨年四月以降の南ベトナムにおける戦争の激化に伴いまして約百万人の難民が発生いたしましたため、南ベトナム赤十字社が日本赤十字に対しまして難民救援について援助を要請してまいったわけでございます。これを受けまして日本赤十字社は緊急援助を実施することを決定いたしまして、このために必要な補助金の交付方を政府に対して要請があった次第でございます。政府といたしましては、南ベトナムにおける難民の窮状等にかんがみまして、人道的見地から同国における難民を救済して民生安定に寄与するために南ベトナムに対して食糧、医療品等を送る日本赤十字社の事業に対しまして補助金を予備費から支出することに決定いたしたわけでございます。したがいまして、本件、日本赤十字社の南越難民救援事業につきましては、ベトナム共和国赤十字社が現実的に活動可能であった地域の難民が対象であったというふうに理解しているわけでございます。
#66
○塚田大願君 そのことはあとにもお聞きしますけれども、この前もそういう答弁をしておられるわけですね。南ベトナム、可能な範囲で南ベトナム赤十字社が援助し得る地域に関する限りとか、可能な範囲であるとか、いろいろ抽象的に言われているんですが、私が質問しておるのはそのものずばりで、一体この地域というのは解放区も含めて政府としては補助金を支出したのか、それとも、もう解放区というものは最初から除外して、わかっているにもかかわらず占領区だけを対象にして支出したのか、こういうことなんです。
 と申しますのは、もし解放区を除外して差別的な援助を最初から予想していたとすれば、これはこの補助金支出の人道的見地云々というのと全く反するわけですね。したがって、そうなると、これは政府の責任は私は明らかだと思いますし、大蔵省の予備費の使用の査定のずさんさというものが明らかになってくる。また第二の、最初はしかし人道的な立場で解放区を含めて支出した、しかし結果においてそうはうまくいかなかったんだというならば、その分の一体解放区あての救援物資というのはどこへ行ったのか、どうなったのか、その実情について外務省や会計検査院はちゃんと検査をされたのかどうか、調査されたのかどうか、そのことをお伺いしたいわけであります。そういう意味で、私は、外務省がこの予備費を使うにあたってどういう判断をされたのかということを、まずお伺いしているわけであります。
#67
○説明員(大森誠一君) 先ほど申し上げましたように、政府に対して日本赤十字社から要請がございまして、それに対して予備費を支出したわけでございますが、それを受けておりますのは南ベトナムの赤十字社からの要請でございます。政府といたしましては、南ベトナムにある住民、その南ベトナムの住民で難民となった者に対して人道的な立場から緊急な援助を行なう、こういう趣旨からこの支出を行なうことに決定した次第でございまして、その際には、ただいまの経緯にかんがみまして、南ベトナムの赤十字社が現実に活動可能な地域、そこの難民となっている住民に対してこの人道援助が行なわれるというふうに理解している次第でございます。
#68
○塚田大願君 繰り返しの答弁ですが、そうしますと、この南ベトナム赤十字社が援助をし得る活動可能な範囲ということになりますと、これは大体占領区というふうに聞こえるのでありますけれども、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#69
○説明員(大森誠一君) ただいま申し上げましたように、私どもは南ベトナム共和国の赤十字社からの要請を受けた日本赤十字社に対して緊急援助費としての予備費支出を行なったわけでございますけれども、私どもとしましては、それが南ベトナムにある住民、その住民で難民となっている者、これは必ずしもいわゆる南ベトナム政府が支配している地域とか、あるいはその他地域とかいうことにかかわらず、ともかく難民となっている気の毒な方々、その南に現に生活しているその住民に対してその援助が行き渡るということを念頭に置いて支出に応じた次第でございます。
#70
○塚田大願君 南ベトナム赤十字からの要請で援助をしたと、こうおっしゃるわけですが、しかし、その南ベトナムの赤十字社の活動している範囲、それを明らかにしないで、ただ要請があったから金は出せばいいだろうということでは私は済まないんじゃないかと思うんですね。やっぱり南ベトナム赤十字社が活動し得る範囲というのはどういう地域なのか、一体その中に解放区も入っているのかどうか、そういう解放区の難民も含めて、全体として難民がどういう状態であると、百万人の難民の内訳はこうだ、そういうことをはっきり突き詰めてから、やはり補助金というものは支出をすべきものじゃないかと私は考えるんですが、その辺、もう一回御答弁願いたいと思います。
#71
○説明員(大森誠一君) 政府の予備費が支出されました対象は、あくまで日本赤十字社でございまして、この日本赤十字社が行なう事業に対しまして政府としては予備費を支出したわけでございます。
 なお、ただいま先生御質問の点でございますが、当時非常なまだ戦乱の状態にございまして、おそらく日によっていろいろ、いま私が申し上げました南ベトナム赤十字社が現実に活動し得る範囲というものは絶えず動いていたというふうなのが実態ではなかったかと考えております。
#72
○塚田大願君 最初のほうの御答弁ですが、日本赤十字社から要請があったんだと、それは政府はあまり知らない、日本赤十字社が責任を持っているんだと、こういう言い方は私はこれは通らないと思うんです。それから、当時の南ベトナムの状況というのは、確かに戦争のさなかでもありましたから、なかなかそう具体的に状況というものはわからなかったかもしれない。しかしながら少なくとも、わからないから出すというんではなくて、わからなかったらやっぱり追及して、はっきり、少なくとも一定のめどをつけた上で出すと、これが責任ある政府の私、やり方ではないかと思うんです。しかしこんなことをどうもコンニャク問答で、一つも明快な答弁がございませんから、次に進みます。その中でもう少し明らかにしたいと思うんです。
 二番目には、これはこの前に救援物資の支給のしかたについて御質問いたしました。そしてまず第一に、支給される場所が一体どうなのか、どういうところで支給しているんだと、こういう質問をいたしましたところ、答弁では、南ベトナムには三百五十一カ所の難民収容所がある、それに対して南ベトナム赤十字社がこういった支部を通じまして支給しておりますと、こういうふうな御答弁があったんです。南ベトナム赤十字社の支部を通じて三百五十一の難民収容所に物資を支給しておる。しかし、じゃどういう方法で、どういうルートで支給されるのかという点については明らかではございませんでした。
 そこで、御質問申し上げるわけでありますが、つまり私が聞きたいのは、なるほどこれは間違いなく南ベトナム赤十字社から物資――日本の赤十字社から南ベトナム赤十字社、そして南ベトナム赤十字社から配給される、こういうことでございましょうけれども、南ベトナム赤十字社から難民に物資が直接渡されておるのか、それとも南ベトナム赤十字社はサイゴン政府、あるいは米軍その他の軍隊を使って難民に物資を渡しているのか、その辺の具体的なルートですね、具体的な状況、これはどうなんでしょうか、この点を聞かしてください。
#73
○説明員(大森誠一君) 南ベトナムの赤十字社は南ベトナム政府ないし軍と独立した行動を行なっておりまして、この救援物資につきましても南ベトナム赤十字社から直接難民に支給されたと承知しております。
#74
○塚田大願君 ところがこのことを私はこの前聞いたのです。いろいろ新聞その他、雑誌、あるいは単行本、たくさん出ていますね。そういう方々の現地の状況を報道した文書によりますと、大体ほとんど全部が、ほとんどでなくて全部が難民への物資の支給はサイゴン政府や軍隊の手を通じて行なわれていると書いてあるんです。そしてその中で汚職、ピンはね、横領、数限りなく行なわれている。これはもうどの文書でもそのことは一ぱい書いてあります。これはもう私一々資料をきょうは持ってきませんでした、あまり膨大なんで。これは外務省よく御存じだろうと思います。たとえば一例をあげましょう。亀山旭さんなんかの「ベトナム戦争」という岩波新書版、あるいは最近は本多勝一さんなどが出されました非常に分厚な「ベトナム戦争」、こういうものを見ましても全部そこには軍隊と政府による汚職、腐敗、もうみんな物資は大かたそっちへ入ってしまう、難民の手にはほとんど渡っていないということを繰り返し繰り返し言っていますよ、写真その他の報道でも。だから私聞くのです。外務省そういうことを知らないとすればおかしいことなんです。
 そこで私この間外務省に資料要求をいたしました。一体どういうふうに外務省はこの状況を把握しているのかということで資料をいただきました。これを見ますと、たとえば日本赤十字社から外務大臣への要請、あるいはその前提になりました南ベトナム赤十字社から日本赤十字社あての要請、特に南ベトナムの赤十字社の書簡を見ますと、とにかく非常に南ベトナム赤十字社はよくやっているということがたくさん書いてあります。そうしてどのくらい物資がほしいのだということが書いてある。しかし実際に難民に渡ったのか、渡っていないのかということについては一つも証明はありません。たとえば、非常に抽象的なんです、南ベトナム赤十字社は非常に精力的にがんばっていますとか、これこれの物資は何々地方委員会に渡しました、地方委員会ですよ。それでは地方委員会から難民にほんとうに渡ったのかどうかということは一つも書いてない。ただ南ベトナム赤十字社中央委員会、地方委員会がよくやっていますということだけなんです。どうやって難民に物資が渡ったのか、どのくらい渡ったかということは一つも書いていない。その他赤十字社の総裁は何とかの式典に出たとか、そんな儀礼的なことしか書いていないですよ。何にも私が聞きたいところは一つもないんです。
 おまけにもう一ついただいた資料の中ではっきりしましたのは、ここだけはわかりました、つまり「軍管区と南ヴィエトナム赤十字地方支部との関係」という文章がついておりましたけれども、こういうふうになっているのですね。「南ヴィエトナム赤十字発日本赤十字社宛援助要請書簡に記載されている南ヴィエトナム赤十字社地方支部は軍管区区分によっているが、」――つまり、ベトナムには市町村というふうな行政区分と軍管区による区分が二つあるというのです、南ベトナムには。そうして南ベトナム軍管区は大体四つになっておる。南ベトナム赤十字社の組織はこの軍管区組織によってつくられている、こう書いている。だとするとこれはおかしいのです。普通われわれの常識から言えば行政区分である、日本の場合には、そうでしょう。そうあるのが普通です。ところが南ベトナムの場合は赤十字社は軍管区の組織になっておると、こういうことです。ただここに書いてありますが、軍と赤十字社は何ら関係がない。しかし、軍と赤十字社は何ら関係がないとは言ってますけれども、この証明は何もありません。とにかく組織が軍管区になっているということだけは明らかである。こういう資料を、外務省からいただいた資料を見ましても、私はこの一般の民間の方々の報道されておる事実を裏づけておるんじゃないかというふうに考えられますから、私はこの点をお聞きしておるんです。しかし、いまの政府の答弁によりますと、赤十字社から難民に直接に渡ってますと、こうおっしゃるんだけれども、実際あなた方は、その点を具体的に調査して確信を持っておっしゃっているのかどうか、その点もう一度お伺いしたいと思います。
#75
○説明員(大森誠一君) ただいま先生御指摘のように、南ベトナムにおきましては、行政区分と軍管区による区分と、この二つの区分がございますけれども、これはいずれもいわば行政的な区分けだというふうに観念できるものでありまして、南ベトナム赤十字社は現状、軍管区の区分を用いて、その活動を分けて行なっているということでございまして、その軍管区の区分けに従ってその活動の範囲を定めているということは、その軍管区もしくは軍の活動と直接の関係はないわけでございます。
#76
○塚田大願君 だから直接の関係がないとおっしゃるなら、ほんとうに、もうちょっとその救援物資が赤十字社から直接に難民に渡っておるということを証明する資料をいただかなければ、私は納得できない。
  〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
私どもが見る資料というのは全部それに反する資料だ、一般の報道は。全部それに反している。亀山さんにしても、本多さんにしても、その他の、もういろいろ雑誌などに寄稿されておる、現地を視察してこられた方々の報道は全部そういう形になっている。だから、何じゃないですか、私はこの前、毎日新聞の報道を取り上げまして質問をしたわけです。
 そこで問題、では次に発展させますけれども、この毎日新聞の四月三日の報道というのは、IOG、つまり国際赤十字インドシナ救援グループですな、これに対する五億円の援助をことしやられた、四十八年に。この問題について当時毎日新聞は全く解放区では全然この五億円の救援活動が行なわれてないと、こういうふうに報道されているから、そのとき私はやはり質問をしたんです、この問題で。そしたら、そのときには外務省はこういうふうにおっしゃったんですよ。これは中江説明員です。「ただいま御指摘の新聞報道は私どもも非常に注目をして読んだわけでございまして、もしここに報道されていることが全くこのとおりであるとすれば非常に遺憾なことだと思います。で、目下こういう事情がほんとうに南ベトナム全域について全くこういうことで救援活動が阻害されているのかどうかという点については慎重に調査しておる段階でございます。」、こう言われたわけであります。四月六日の質問においてこういうふうに答弁されました。
  〔理事小谷守君退席、委員長着席〕
私、ここでお聞きしたいのは、外務省はその後慎重に調査しておる段階だとおっしゃったんだから、もう調査が済んだころだと私は思うわけですが、その調査はいつ、どのような方法で行なわれたのか、そしてどういう結果が生まれたのか、この点についてお伺いしたいと思います。
#77
○説明員(大森誠一君) 外務省といたしましては、ジュネーブにございます国際機関、日本政府代表部を通じまして、IOGに対してインドシナ地域における救援活動の状況につきまして照会を行ないました結果、その活動状況につきまして次のような報告を受け取ってございます。
 これは四月末現在の実績でございますが、総額は百八十七万六千ドル。内訳を申し上げますと、北ベトナムにつきましては医薬品、食料品等十一万三千ドル、南ベトナムにつきましては同じく医薬品、食料品等百三十五万五千ドル、いわゆる南越臨時革命政府につきましては医薬品、食料品等六万五千ドル、カンボジアにつきましては医薬品が九万七千ドル、ラオスにつきましては医薬品、トラック等十九万四千ドル、ラオスにおけるいわゆるパテトラオ、この地域につきましては医薬品が五万二千ドル、以上が内訳でございます。
 なお、北ベトナム及び南越臨時革命政府関係につきましては、現在さらに次のような救援事業計画がIOGとの間で協議計画されております。すなわち、北ベトナムにつきましてはプレハブ住宅約六百四十五万ドル、南越臨時革命政府につきましては移動診療車約二百七十四万ドル、以上のような報告を受けております。
#78
○塚田大願君 私の質問に答えていただけないで困るんですけれども、私がいま質問をいたしましたのは、要するに、このIOGに対する五億円の日本の援助金が実際には解放区に渡ってない。で、国際赤十字社の方々が各国から集まっておられるわけですから、解放区に入ろうとしてもサイゴン政府軍からうしろから鉄砲で撃たれる、危険でとっても行けない。まあようやく潜伏していって医療活動などをやっているけれども、むしろいま救援が必要なのは解放区だと、非常にマラリヤとか、トラコーマとか、結核とか、らい病とか、たいへんひどい状態にある。ところが、そこには手が届かない。やろうとしてもサイゴン政府軍から発砲を受けるという事実が二件もこの時点であったと書いてあるのです。そしてこういう事態が起こって、西ドイツとカナダの代表が引き揚げてしまった、憤慨して、こういうサイゴン政府のやり方に対して。こういう報道なんです。だから、外務省はこの記事については非常に関心を持って読んだ。だから、いまこの実態を調べておると、こうおっしゃったんだから、私はいま聞いているのはこの実態なんです。一体金がどうなって、物資がどうなって、プレハブを幾つつくったというふうなことではなくて、実際にこの解放区に日本のこの五億円の金が届いているのかどうか、もちろん全部じゃありません、全体としての五億円でしょうけれども、そのことを私はお伺いしているのですが、その辺どうでしょうか。わからなければわからないとおっしゃっていただきたい。調査してなかったというんだったら調査してなかったと率直にひとつ答えていただかなければ決着はつかないと思うのです。
#79
○説明員(大森誠一君) IOGの活動につきましてはただいま御説明したとおりでございますが、わが国が拠出いたしました五億円の拠出金につきましては、これが直接IOGの勘定に払い込まれております。したがいまして、先ほど申し上げましたような四月末現在における実績ないしは現在計画されている事業等のうちどの分がわが国拠出の五億円に相当するかどうかということについては、これは明確な区分のしようもない問題かと存じます。ただ、ただいままでのところ、実績の数字などを勘案いたしますと、やはり和平協定が一月に署名された後も、地域によりましてなおある程度の混乱が残っていましたために、IOGの活動が必ずしも十分でなかったというような点は認められるところでございますが、昨日パリにおきましてさらに一月の協定を明確に実施するとの取りきめができましたことにかんがみまして、今後IOGの人道的な救援活動が効果的に行なわれ得るような状況ができるだけ早く定着するよう、私どもとしては期待しているわけでございます。
#80
○塚田大願君 期待はもちろんけっこうです。当然そうあるべきだと思いますが、私がいまこの決算委員会で質問しているのは、いままでのこの実態はどうなのか、日本の五億円の援助金が、補助金がどうなったのかということ、もちろん私は、日本の金だけが別に援助物資に使われているとは思っておりません。この時点でも国際赤十字社に寄せられた各国の援助金は四十五億です。そのうち日本の赤十字社から五億円送られたと、こういうことであります。いまのお話を聞きますと、この調査が非常にあいまいだ。そして結局、私の質問に対してこれは否定なさらないわけですね。つまりこういう解放区にほとんど行ってないというこの事実については、外務省は否定されておらない。にもかかわらず、先ほどから何回もおっしゃったけれども、南ベトナム赤十字社が活動し得る地域においては、これは活動、その分配が行なわれておるとか、あるいはこの間もあらゆる地域をカバーして、これには南ベトナム臨時革命政府の支配地域に対する援助計画も含まれておりますというふうにいろいろ口では言われておるのですけれども、事実については否定されておらない。
 そこで、もう時間もきたようでありますから、私最後に、大平外務大臣にお伺いしたいのでありますけれども、要するに四十七年度の場合でも、四十八年のこのIOGへの援助にいたしましても、要するに十全ないわゆる赤十字活動というものが前提とされないで、占領区への援助というものが実態だとすれば、私は、これはしかも本年度に入ってから、ただいまおっしゃったように、ベトナム協定も成立をした。その後もなおかつこのような差別的な活動が行なわれたとすれば、私はこれはやはり重大な問題だと思いますね。で、この間大平外務大臣は、私の質問に対しまして、ベトナム和平協定は順守されなければいけない、尊重されなければならないということをやっぱり繰り返しておられた。これは当然だと思うのですが、しかし、いまなおかつこの救援物資というものが、援助というものが公平に行なわれていないとすれば、非常に重大な問題である。
 したがって私は、ここでひとつ提案をしておきたいのですけれども、もしかりにいままでの解放区に渡る分が解放区に渡ってないでなおかつ残っているとすれば、私はこれをやはりあくまでも――もちろん腐ったものはしかたないと思うのですが、保存可能なものはあらためて、この時点でもけっこうでありますから、その初期の目的を達成するようにひとつ努力される必要があるであろう。その方法といたしましては、私はいままでのサイゴン政府というものは、これはあまり信用はできないと思う。で、むしろ私は、たとえば仏教徒の組織であるとか、あるいは自治会であるとか、あるいは学校であるとか、こういういわば民間の組織を通じて難民に行き渡るように、もちろん赤十字社が責任を持っているわけでありますから、軍隊とか政府機関などを通ずるのではなくて、民間のそういう手を通じていけば、私は解放区にむしろ流れていくといいますか、渡る条件も非常に強いのではないか。しかし、政府の手ではこれはもうほとんど渡らないということは事実でありますから、こういう努力を、これはまあ一つの思いつきといえば思いつきでありますが、こういう努力を政府がなさる必要があるんではないか。
 で、特にパリ再会談も行なわれまして、昨日は和平協定実施に関する共同声明も発表され、また臨時革命政府に対してはすでに八ヵ国が外交を始めたと、大使も派遣したと、こういう事態でありますから、私はやり方ひとつではせっかくのこの救援物資を解放区にも公平に渡す、いわゆる人道的立場というこの政府の説明を実践することが可能だと思うわけであります。その点についてひとつ大臣の所信をお伺いしたい。もしそれができないとすれば、私はやはり、この日本政府の姿勢というものが、サイゴン政府の人さらい作戦に対する政治的協力である。もっと言えばベトナム協定に対する侵犯であり、内政干渉だと言っても差しつかえないのではないかと思う。そういう立場から私は、この援助、補助金の当初の目的をあくまでもひとつ達成するように外務大臣として努力していただきたいと、このことに対する答弁をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
#81
○国務大臣(大平正芳君) いまるる難民救援につきまして御批判をいただいたわけでございます。塚田さん、たいへん潔癖でございまして、解放区、難民等につきまして、非常に歴然とした形態においてあるにかかわらず、それを顧みないで何か特定の政治目的に偏向した処理がなされたかのような印象を受ける御批判があったのでございますが、申すまでもなく、ベトナムの地帯のことは私どももよくわからないのでありまして、どこが解放区であり、どこがサイゴン政府の支配地域であるのか、それは固定しておるのか、移動しておるのか、そこにおる人が一体解放勢力の信奉者であるのか、そうでないのか、それが判然としないところにベトナム自体の性格というものがあるように思うのでありまして、あなたが言われるように、潔癖に問題が処理できるような事態に早くなっていただかなければなりませんし、そうして公正な行政が行なわれるような事態を招来すべくわれわれといたしましても協力しなければならぬと思うのでございます。
 それから第二に、日本政府の立場でございますが、日本政府がなまの現場におきまして、あなたが言われるような区分をこの目で見定めた上で、大事なこれは税金でございますので、適正に救援目的に合致した処理をするのが一番ベストだと思うのであります。けれども硝煙の地でございまして、そういうことをやること自体が不可能でございまして、しからば、事態が平穏になりまして、また事態が明確になりまして、そういうことを実行できるような段階になるまでそれでは人道的救援活動というものを一応御遠慮すべきかどうかという選択は、確かに政府にあるわけでございますが、政府といたしましても、そういう事態を前にいたしまして手をこまねいておるわけにもまいりませんで、何か手だてがないものかということを考えた場合に、公正な立場で人道的な活動として国際的な成果を持っておる国際赤十字並びにその下部機構、そういったものを信頼してそれの能力の及ぶ範囲でわれわれの意図を実現していただくということを選択したとしても、それは塚田さんにおかれましても御理解をいただける筋道であろうと思うのであります。
 しかし第三に、しからばこの国際赤十字社というものが十分期待にこたえる能力を持っておるかどうかということでございます。人間がつくりました組織でございますので、間然するところなく処理能力を持つということはたいへんむずかしいことだと思うのでありますが、こういう機関を御信頼して、そしてそれの救援活動に応分の拠出をするということにつきましては、あなたが言うように、完全ではございませんけれども、日本政府の選択といたしまして、それ以外にチョイスがあれば格別、そういうことをやりましても、あながち私は非難さるべき筋合いのものではなかろうと思っております。
 第四の問題として、最後に御指摘になりました。しかしながら大切な国費を拠出いたしておるわけでございますから、救援目的に合致したようにこれが充当されるように国際赤十字社を督励し、問題点を指摘して公正に配分ができますように努力しなければならぬことは御指摘のとおりでございまして、中間的にただいままでの難民救援運動というものについての御報告はちょうだいいたしておりますけれども、今後一そうこの活動が公正にまいりますように実態に適した姿になるように万全の御努力を願えますように、私どもといたしましても国際赤十字社に御注意を喚起して、御趣旨に沿いたいと考えております。
 第五番目に、事態はパリの新たな協定の締結によりまして、和平の定着の度合いが深まってまいりましたことは、御同慶にたえないわけでございまして、先ほど大森君からも申し上げましたとおり、この新たな協定もあわせて現協定とともに誠実に実行されまして、事態が定着の方向に行ってまいりますことは、これからのわれわれの援助というものにつきまして明るい展望をもたらすと思うのでありまして、こういうこの協定の忠実な順守ということ、私どももこれを尊重しなければなりませんし、またそれを踏まえた上で、それの平和の方向に定着してまいりますように、日本政府といたしましても応分の協力をいたしてまいりたいと考えております。
#82
○塚田大願君 一言だけ。
 まあ、大臣からいろいろ比較的――比較的と申します――前向きの姿勢も出ましたから、一応きょうのところは私も了承しますけれども、しかし私はこの問題はこれからも問題が、やはり重要な問題でございますから、あくまでも私はこれを追っていきたいと思っておりますので、ひとつぜひ大臣もより積極的な立場で、いま最後におっしゃったこのベトナム協定の成功のためにひとつ努力されることを望んで私、終わります。どうもありがとうございました。
#83
○委員長(成瀬幡治君) 本日の国庫債務負担行為及び予備費関係計八件の質疑はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会をいたします。
   午後四時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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