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1972/04/05 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 予算委員会第四分科会 第1号
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1972/04/05 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 予算委員会第四分科会 第1号

#1
第071回国会 予算委員会第四分科会 第1号
昭和四十八年四月五日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
昭和四十八年四月三日予算委員長において、左の
とおり本分科担当委員を指名した。
                上田  稔君
                梶木 又三君
                楠  正俊君
                高橋 邦雄君
                竹内 藤男君
                吉武 恵市君
                小林  武君
                田中寿美子君
                安永 英雄君
                矢追 秀彦君
                木島 則夫君
                塚田 大願君
    ―――――――――――――
   分科担当委員の異動
 四月三日
    辞任         補欠選任
     木島 則夫君     中村 利次君
 四月四日
    辞任         補欠選任
     小林  武君     阿具根 登君
     安永 英雄君     小野  明君
     田中寿美子君     羽生 三七君
     中村 利次君     藤井 恒男君
 四月五日
    辞任         補欠選任
     梶木 又三君     古賀雷四郎君
     阿具根 登君     佐々木静子君
     小野  明君     須原 昭二君
     羽生 三七君     田中寿美子君
     塚田 大願君     加藤  進君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    主 査         矢追 秀彦君
    副主査         楠  正俊君
    分科担当委員
                上田  稔君
                古賀雷四郎君
                高橋 邦雄君
                竹内 藤男君
                吉武 恵市君
                阿具根 登君
                小野  明君
                佐々木静子君
                須原 昭二君
                田中寿美子君
                藤井 恒男君
                塚田 大願君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  齋藤 邦吉君
       労 働 大 臣  加藤常太郎君
   政府委員
       総理府恩給局長  平川 幸藏君
       厚生大臣官房会
       計課長      木暮 保成君
       厚生省公衆衛生  
       局長       加倉井駿一君
       厚生省医務局長  滝沢  正君
       厚生省薬務局長  松下 廉蔵君
       厚生省社会局長  加藤 威二君
       厚生省児童家庭
       局長       穴山 徳夫君
       厚生省援護局長  高木  玄君
       労働大臣官房長  藤繩 正勝君
       労働大臣官房会
       計課長      大坪健一郎君
       労働省労政局長  石黒 拓爾君
       労働省労働基準
       局長       渡邊 健二君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 展子君
       労働省職業安定
       局長       道正 邦彦君
       労働省職業安定
       局審議官     中原  晁君
       労働省職業安定
       局失業対策部長  桑原 敬一君
       労働省職業訓練
       局長       遠藤 政夫君
   説明員
       厚生省児童家庭
       局母子衛生課長  島田  晋君
       労働省労働基準
       局補償課長    山口  全君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○主査及び副主査互選
○昭和四十八年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十八年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十八年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
  〔年長者吉武恵市君主査席に着く〕
#2
○吉武恵市君 ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。
 本院規則第七十五条により、年長のゆえをもちまして私が主査及び副主査の選任につきその議事を主宰いたします。
 これより主査及び副主査の選任を行ないますが、選任は投票によらず、主宰者の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○吉武恵市君 御異議ないと認めます。
 それでは、主査に矢追秀彦君、副主査に楠正俊君を指名いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
  〔矢追秀彦君主査席に着く〕
#4
○主査(矢追秀彦君) 一言ごあいさつを申し上げます。
 ただいま皆さま方の御推挙によりまして主査をつとめることになりました。皆さま方の御協力を得てその責務を果たしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 審査に入ります前に、議事の進め方についておはかりいたします。
 本分科会は、昭和四十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、科学技術庁、文部省、厚生省、労働省及び自治省所管を審査することになっております。
 九日の委員会において主査の報告を行なうことになっておりますので、議事を進める都合上、主査といたしましては、本日午前を労働省、午後厚生省、六日厚生省、七日午前を科学技術庁、午後自治省、九日文部省という順序で進めていきたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○主査(矢追秀彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○主査(矢追秀彦君) 昭和四十八年度総予算中、労働省所管を議題といたします。
 慣例では、政府から説明を求めるのでありますが、説明はこれを省略し、お手元に配付してある資料をごらん願うことといたしまして、直ちに質疑に入りたいと存じます。
 また、説明資料は本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○主査(矢追秀彦君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#8
○阿具根登君 先般、あるアメリカの高官が日本に見えまして、GNP世界第二位と日本は誇っておりながら、日本の住宅環境、労働者の生活環境は一体どうだ、こういう非常な皮肉を込めて攻撃されたことを大臣よく御存じだと思います。なおまた、田中内閣も、今日の置かれておる立場、経済情勢の中で、企業優先から福祉国家にならなければならない、福祉優先だということを叫んでまいりました。そして、一応いろいろ意見はございますし、まだ審査にも入っておりませんが、厚生年金や国民年金等も引き上げるということになっておりますが、労働者のサービス官庁である労働省が労災法について何ら前進の姿を打ち出しておらないのは一体どういう意味なのか。その点、大臣にまずお伺いしておきます。
#9
○国務大臣(加藤常太郎君) 日本の経済の成長に伴って、やはり当然国民の享有すべき福祉優先の問題、これは諸般の各方面にわたりますが、いろいろな問題を当然厚生省なり労働省も、御指摘のように、どんどんと進めていくのが当然であります。本年は特にその点に重点を置いて推進いたしましたが、御指摘のように、まだ私としても、不備な点も多々ありますので、今後、御趣旨をよく尊重いたしまして、大いに福祉の問題並びに労災保険の問題、その他諸種の改善については最善の努力をいたす所存であります。
#10
○阿具根登君 まあ、非常にわかったようなわからぬような御答弁でございますが、厚生年金はいままで平均二万円だった、それを五万円にすると倍以上になるわけなんです、現実は別としても、一応の考え方としては。そうすると、労災保険についてはほとんど前進を見ていない。それで、現行の労災補償は、先般の公害裁判の判決に見られるとおり、あるいは自動車賠償保険等において見られる補償に比較すれば非常に低額であるわけですね。そうすると、一番労働者の味方であるべき政府の労働省が、これが、他の災害、その他公害も交通事故もそうでございますが、非常な大きな差が出ておるにもかかわらず、まだそれに対する対策も立てておらないということに私は疑問を抱くわけなんです。だから、一体、これに対してどういう考え方があるのか。審議会にもうお出しになっておるのか。お出しになっておるとすれば、どういう考えで、どういう構想でお出しになっておるのか。そういう点をお伺いしたいと思うんです。
  〔主査退席、副主査着席〕
#11
○国務大臣(加藤常太郎君) 年金制度の問題は、賃金の水準の変動に応じましてスライド制を大いに採用して、今後勤労者の保護に最善の努力をいたす所存であります。しかしながら、給与の水準についてはいろいろもう少し向上させなくちゃならぬというような各方面の御要望もありますので、労災保険基本問題懇談会において検討中でありますので、だいぶん作業も進んでおますので、できるだけ早くこれが改善に向かって処置をいたしたいと思っております。
#12
○阿具根登君 スライドの問題をいま一つ、一点だけお述べになりましたが、スライドはたしか二〇%いま上がっておると思うんです。二〇%だとすれば、大体二年に一回なんです。しかし、物価の上昇はそれを二年間待つわけにいかない。だから、常識としても一〇%賃金がスライドした場合には労災保険もスライドするのだ、こうなからねばならぬと思いますが、その点、いかがですか。
#13
○国務大臣(加藤常太郎君) 政府委員をして答弁させます。
#14
○政府委員(渡邊健二君) 労災保険の給付及び制度の改善につきましては、先ほど大臣からもお答えを申し上げましたように、いろいろ問題があることはわれわれも感じておりますので、労災保険審議会にその全般的な検討をいまお願いしておるところであります。御指摘のスライド制の問題も問題点の一つといたしまして同審議会で現在御検討いただいておりますので、その結果を待ちまして私どもも検討してまいりたいと、かように感じております。
#15
○阿具根登君 そうお逃げになるだろうと思っておったのです。確かに審議会の意見は尊重しなければなりませんが、それ前に、労働省の姿勢がいかがでしょうかということでなくて、こうあるべきだと思うがいかがですかという労働省の姿勢をまず私ははっきりしてもらいたい。それに対して審議会がどういう考えをお出しになるか。それからもう一つは、労災保険の考え方が、失われた労働者の労働能力の補償と生活保障が大体主眼になっておるわけなんです。そうすると、一般の補償というのはこれに慰謝料や弔意を含めてあるわけなんです。だから非常な大きな額になってくるわけですね。今度の飛行機事故では一千八百万円、あるいは水俣チッソの場合も千八百万、こういうのが出ているわけなんです。そうすると、非常に大きな開きがある。ただ、労働省の考え方は、労働能力の損失に対する補償と遺族の生活の保障だけが考えられておる。その与えられた大きなショックあるいは気持ちの整理、こういう問題が一つも考えておられなくて、それは労使間にゆだねないで、そこにこういうギャップが出てくる。そうなってまいりますと、たとえば自動車損害賠償等の場合に、労働省が通勤途上の場合を労災保険で見た場合に非常な大きなギャップが出てくる。そうすると、何か労働省は、非常に冷たいのだというように私は見られると思うんです。こういう点に、私は一つの法の考え方がもう変わってこなければならない時期が来ているんではないか、こう思うんですが、その点はいかがでしょうか。
#16
○政府委員(渡邊健二君) 労災保険の考え方は、先生御承知のように、労働基準法に基づきまして使用者に課せられました使用者の無過失賠償責任、これを保険で担保するということから発足をいたしましたわけでございまして、その後数次の保険法の改正によりまして給付は基準法の災害補償の水準よりも上回っておりますけれども、基本的には、先生御指摘のように、やはり労働災害によって失われました労働能力並びに遺族の被扶養者利益をてん補する、こういう考え方の上に立っておることは事実でございます。しかしながら、最近、無過失賠償責任につきましてもいろいろ新しい考え方が他の部面で出てまいっておるわけでございます。そこで、労災保険につきましても、いままでの考え方でいいかどうかというようなことも含めて検討する必要があるわけでございますが、ただ、根っこでございます労働基準法の考え方等々の関連もあるわけでございます。そこで、先ほど労災保険審議会で制度全般について検討をお願いしているということを申しましたのは、
  〔副主査退席、主査着席〕
そういう基本的な考え方から含めまして、この際もう一度手直しをすべきじゃないか、こういうことで、いま全般的な検討を審議会でやっていただいておるわけでございますので、その中では、先生御指摘のような基本的な考え方も含めまして御検討をいただくことに相なっておるわけでございます。
#17
○阿具根登君 わかりました。
 それでは一、二例を示してお伺い申し上げたいと思うのです。これはことしの三月九日、つい一カ月前に起きました三井砂川の落盤災害によってなくなられた方が遺族補償年金を幾らもらっておるかという問題です。これは遺族が三人から四人おられる方で大体年金が六十万、月五万です。で、遺族が奥さん一人の場合は二十二万五千百三十二円。これ月じゃない、年にです。そうすると、月に二万円にならなんです。こういうことでいいかどうか。たとえ奥さん一人であっても、四十九歳になる奥さんが月に一万七、八千円――主人を失ったその後の生活をしていくのに一万七、八千円でめし食っていけるかどうか。こういう非常な低額の遺族補償年金になっておるわけなんです。だから私は前段であれだけのことを申し上げたわけなんです。こういうことこそ救わねば、厚生年金が五万円と言っているのに――労災年金は政府が出す金じゃないんです、これは。これは会社から取ってやるやつでしょう、災害が起きた場合に。それをなぜこんな二十万ぐらいの年金をつけるのか。まことに私は情けないのです。だから前半の問題を申し上げたんですが、そうすると、厚生年金の半分もない。こういうことで労働省の労働行政が行なわれておるということは、私は労働省に非常に近く出入りしております関係上、特に残念に思うんですが、こういう問題についてはいかがですか、大臣からひとつお答え願いたいと思います。
#18
○国務大臣(加藤常太郎君) 御指摘のように、いまお聞きいたしましてこれは大いに考慮して対処しなくちゃならぬという考え方が、私といたしましても、御指摘のように同感でありますので、これに対しまして審議会でいろいろの問題も研究いたしておりますけれども、審議会の意見を無視するわけではありませんが、省自体といたしましても、かような問題に対しまして具体的に、ただ当面だけでなく、この場でというだけでなく、誠意を持って大いによく研究して、ただ研究だけでなく、何らか改善の方向に持っていくように、審議会のほうとも御相談いたしまして大いに善処いたします。
#19
○阿具根登君 田中内閣の中では一番歯切れがよくて一番決断力と断行、実行をやられると聞いておった労働大臣としては少し歯切れが悪いようですけれども、しかし、大臣がそのくらい言われる以上は相当おやりくださるだろうと期待いたしまして次に移っていきます。
 これは局長さんのほうでけっこうなんですが、最近じん肺が木材業者とかタオル製造業、活性炭、たまには清掃業に従事する者までじん肺になった例が出てきておる。ところが、現在は鉱物性の粉じんに限られておるわけなんです。だから、業務上の疾病だとして補償の対象にはこれはなります。なりますけれども、じん肺法の適用がなければ、健康診断の義務づけもない、配置転換の勧告を行なうこともできない、こういうことになってまいりますので、じん肺の定義の中に有機物粉じんも含めてこういうやつを救っていくんだ、同じじん肺でありながら鉱物性の粉じんでなければできぬというのがいまの考え方ですから、同じじん肺が、数は少なくともそういうのが出てきて、いま申し上げましたように、配置転換もできなければ転換料ももらえない、定期的に健康診断することも義務づけられておらない、こういうことがございますので、これはたいしたことはないので、じん肺の定義ですから、これはできると思うんですが、いかがでしょうか。
#20
○政府委員(渡邊健二君) じん肺法におきましては、先生よく御承知のとおり、じん肺というのは、鉱物性粉じんを吸入することによって生じたじん肺及びこれと肺結核の合併した病気ということに相なっておるわけでございます。したがいまして、いわゆるそれ以外、鉱物性粉じん以外の有機粉じん等はその対象になっておらないわけでございますが、この有機粉じんによります有機じん肺の取り扱いにつきましては、医学上いろいろ議論があるところでございますが、労働省といたしましてはその実態を把握いたしまして、御趣旨の点について十分に検討してみたいと、かように考えておるところでございます。
 なお、例としてあげられました中の活性炭製造などにつきましては、これは炭素製品といたしまして、じん肺法の施行規則におきまして、これはじん肺法を適用しているわけでございます。それからなお、じん肺法の適用はございませんが、製材だとかタオルだとかいうようなことで有機粉じんが多い職場につきましては、これは安全衛生規則などによりまして、粉じんの発生抑制のために局所排気装置を設けることを義務づけるとか、その他環境の改善、疾病の予防等についてはいろいろの処置につとめておるところでございます。
#21
○阿具根登君 先般栃木の古河の足尾銅山が御承知のように閉山になりました。私、現場に行ってみたんですが、閉山になって山を去る人の健康診断をやった。ところが、一応じん肺にかかっている人を調べてみますと、百四十四名の人がかかっておる。いわゆる三分の二はじん肺の症状がある。こういうことなんです。そうして、そのうちの四の人は長期療養で保障されておりますが、二、三の人は保障がないわけなんですね。三の人は配置転換で転換料がもらえるだけ。ところが、現在までそういう鉱山なりあるいはこれは石炭山でも一緒です。その山がある限りは配置転換をやって、粉じんの少ないところで、そうして生活を保障しておるわけなんです。ところが、山がなくなってしまうと、今度は失業したその人たちを雇うところはどこもないんです。胸に傷があってこの人は人並みの仕事はできないんだということを判定されておる。三年たったら会社は責任がない。しかも会社は閉山になっておる。そうすると、国はもう四症度だけは見るけれども、二症度、三症度は見られない。ところが、雇うほうの人は、肺に傷があって永久になおることのない病気を持っておる人を雇うわけがない。それだからこの人たちはどこにも行く先がない。この問題が私のきょうの質問の中心になるわけなんですが、一体政府はこれに対してどういう今後対策を立てていかれるのか。これは炭鉱も鉱山も他のところも一緒です。山を去りあるいは自分の職場を去ったならば、この人たちの就職というものはほとんどないと思っていいわけなんです。これをどう救うていくかという問題について局長のお考えを承っておきます。
#22
○政府委員(渡邊健二君) じん肺法によりましてじん肺の健康管理区分が分かれておりますけれども、その健康管理区分四という人はこれは療養を要するということになっておりまして、四以下の一、二、三の方々につきましては、確かに、粉じんを吸入してそれによるところの所見が見られる人ではございますが、まだ療養を必要とするに至らないと、こういうふうにされておるわございます。したがいまして、これら一、二、三の管理区分の方につきましては、じん肺法によりまして所定の健康診断の励行を使用者に義務づけるとか、あるいは、必要に応じて作業の転換をさせるとか、あるいはその場合の転換手当の支給などもすることに法律上規定されておるわけでございまして、そういう意味の健康管理の規定は行なわれておるわけでございます。
 なお、離職後につきましては、従来は、先生おっしゃるとおり、特にそういう健康管理についてもそれがはずれることになっておったわけですが、昨年労働安全衛生法が制定されまして、それによりまして、離職後の方についても、必要な方につきましては健康管理手帳というものを渡しまして国が健康管理をすることになりましたが、じん肺につきましても、管理区分三の方につきましては、今度から健康管理手帳を交付いたしまして、雇用されていなくても国が健康管理を引き続き実施することにいたしたわけでございます。
 なお、御指摘のように、そういう方が離職された場合についてはなかなか再就職も容易ではないではないかという点は、確かにそういう事情があるわけでございまして、私どもも、こういう方につきましては健康状態を十分に考慮をしながら職業のあっせん等につきまして関係行政機関と協力いたしましてできるだけ進めたいと、かように考えておるわけでございます。
 なお、こういう方々に対しましても労災から何らかの保険給付を行なうべきかどうかという点につきましてはいろいろ議論があるわけでございますが、従来は、まだ疾病が療養を要するに至らない方々、これにつきましてはそれに対して保険給付をするというたてまえにはなっておらないわけでございますが、先ほども申しましたとおり、現在、労災保険につきましては保険審議会で全般的な検討をいまお願いをいたしておりますので、その一環といたしましてこれらの問題も検討していただきたいと、かように考えておるところでございます。
    ―――――――――――――
#23
○主査(矢追秀彦君) この際、分科担当委員の異動について報告いたします。
 ただいま梶木又三君が委員を辞任され、その補欠として古賀雷四郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#24
○阿具根登君 局長、手帳を配付されて、健康管理を行なうと、それはけっこうなんです。しかし、本人が仕事がない。また、皆さんの御努力によりまして仕事をしても、この人は一人前の仕事ができないんです。そうすると、一番みじめな仕事をしていくわけなんです。それで冒頭申し上げましたように、この法の精神というものは、労働省の精神が先に走っておるのは、労働力の低下消滅に対する補償が私は第一義に言われておると思うんです。そうすると、管理四の人は労働力がもうゼロになった。ゼロになったから長期療養をしなければならないということで労働を認められておらないわけなんです。だから、この人は長期に国がこれは見ていく。そうなってくるわけです。そうすると、かりに管理三の人は労働力が半分だ、五〇%しかないんだ、だからあなたは粉じんのところで仕事をしたらすぐ労働能力がゼロになりますよ。管理四になりますよ。だから、いまなれておる自分の仕事場を、粉じんがないところに、軽作業に回されるわけなんです。もちろん賃金も安くなります。そのかわり配置転換の手数料は一カ月分もらえる。ところが、私が言わんとするところは、その人は労働力がもう半分になっておるんだと、そうすると、じゃ一般に雇う人も、あなたの労働能力は半分しかないんだから五〇%賃金を払いますという人はいないんです。また、そういう判定もつけにくいでしょう。だから、管理四が一〇〇%労働力がなくなっておるから長期療養を認めたと言うならば、管理三は五〇%しか労働能力がないんだから、あとの五〇%は国が見ます。管理二の場合は労働能力が七〇%しかない。あとの三〇%は人よりも持てない。そんならその三〇%が国が見るんだ。一〇〇%ないところは一〇〇%いま見ておるんだから、五〇%しか労働能力がないならば、この五〇%は当然これは長期療養者に準じて見なければならぬ。また、七〇%労働能力がある、これを管理二と見るならば、管理二の人に対してはあと三〇%国が見るんだと こうしなければ私は親切な法律じゃないと、こう思うんです。だから、これは私は審議会でも認められると思う、労働省がその気にさえなれば。そういうことでもしてあげねば、たとえ山がつぶれなくても、その人はやっかい者扱いです。山で働いておる人も、坑内で働いている人は人が足らないけれども、坑外は余ってしようがないんだと、こういうことを言っておる。そうして、坑外におる人はほとんど身体不自由者の人かあるいは不幸にして主人がなくなった奥さんか、そればかりで困っておるというのが現実で、やっかい者扱いなんです。だから、そういう場合でも、この人は五〇%の能力は職業病でなくなったんだから、あとの五〇%は国が見ますと、こういう私は考え方は、決して今日の状態から見て、これは先ばしったとか何とかという問題じゃ私はないと思う。これは大臣、特に大臣にお願いしたいんです。きょうはあまり時間ないから非常に私は要点だけ申し上げておりますから、大臣もそのつもりで、やれることはやれると、やりましょうと、それは無理なら無理と、はっきり言ってもらって論争したいと思うんです。
#25
○政府委員(渡邊健二君) 管理区分三の人につきましては、配置転換が法律上規定されておるわけでございますが、この趣旨は、先生も御承知のように、必ずしも労働能力がどれだけ減少したからということよりは、むしろ粉じん職場にそのまま引き続き就業させておくと症状が増悪すると、こういうことで、健康管理的な観点から粉じん作業から他の職場に配置転換せいという考え方になっておるわけでございます。しかし、それらの方々の中には、個人によっていろいろな差があると思いますが、労働能力がある程度低下しておられる方もあると思います。それも一般人以下に低下しておるかどうか、その辺は個々によって非常に違うわけでございますが、現在のじん肺法、あるいは労災法におきましては、これらの方々の労働能力低下程度を明確に幾ら幾らだというふうな一つの判断をしておるわけではないわけでございますので、この辺が、労災の何らかの保険給付をするかどうかという点の一つの問題点に相なるわけでございます。そこで、先ほども申し上げました保険審議会で全般的な検討の中で一環として考えていただくと、かように申しましたのは、それらの点も含めまして、こういう方々を今後どういうふうに考えていくか、単にじん肺法上の健康管理面というだけじゃなくて、それらの労働者の稼得能力あるいは生活、そういうものをどう考えていくか、この辺も今回の労災保険全般の見直しの中でもう一度考え直してみようと、こういうことでいま検討がされておるわけでございます。
#26
○阿具根登君 この問題については、いまの局長の答弁では私納得できません。たとえばレントゲン所見によっても、管理四はどこをどこまでじん肺にやられておる、あるいはけい肺にやられておるということで、ここまで来たらばこれは管理四で仕事はできませんぞと、こうなっておるわけなんです。そして、これは長期療養しなさいと。管理三の場合は、どこまで肺が不足しておるということで、管理三となっておるわけです。ということは、常人の人とどれだけ違うかわからないと局長おっしゃったけれども、わからないなら管理三になるわけないんです。わかっておるから管理三になっておるわけなんです。科学的にちゃんと管理三はどれだけの症状があるから管理三だと、管理二はどれだけの症状があるから管理二だと、管理一というのはほとんど常人と変わらないけれども、これは進行するおそれがあると、だから、この場合でも、もしもこれに結核がついたならば、これは管理四に一ぺんに飛ぶんです。そこまで親切にしてあるのが、なぜ管理三が常人とどこも変わらぬかわからぬとか、いろいろあると、こういうふうに言われるなら、科学的に研究されて、そうして数回ここでもまあ論争に論争を重ねてでき上がって、そうして、このじん肺法というのが何回も改正に改正されてきて、そして管理二、管理三、管理四ということをきめておるやつが、常人とあまりどこが違うかわからぬというなら、管理三の意味がないわけです。これは常人のように仕事できないから、管理三になっておる。常人であったら粉じん作業もできるはずです。できない。そして重労働できないと、だから、軽作業の空気のいいところに持っていきなさい。ということは、常人よりも労働力が低下しておるということを認めるのが管理三なんです。それを常人とどこが違うかわからない審議会にまかせるんだというのは、あまりにも無責任だと私は思うんです。これはいかがですか。
#27
○政府委員(渡邊健二君) 確かに管理一、二、三につきましては、それぞれじん肺の程度が法律によって、規定されておるわけでございます。しかし、その症状の程度と労働能力がどうなっておるかということを直ちにそれからは必然的な結びつきで出てくるわけでございませんので、また、作業の転換につきましても、特に軽作業といっているんじゃなくて、要するに、常時粉じん作業に従事している者は、その者を粉じん作業以外の作業に転換させろと、これはその職場に置いておくとむしろ病状が増悪すると、こういう点に主たるねらいがあるわけでございまして、そういう病状の悪化を防ぐと、こういう点にねらいがあるわけでございます。まあしかし、その中には確かに先生がおっしゃいましたように、軽作業しかつけないような人もあると存じます。したがいまして、それをどういうふうに取り扱うか、管理区分だけでやるのか、また、あるいは同じ管理区分の中でも、いろいろな別個の基準によりまして労働能力喪失程度をまた別個に判断することになるのか、まあ、いろいろそういう判断につきましてはなお検討を要する問題があるわけでございまして、現行のじん肺法から直ちにそういうものが出てくる仕組みになっておりませんので、そういう点を含めまして御検討をいただいているということでございます。
#28
○阿具根登君 現行法でそうなっておらないから、私はそうすべきだと主張しておるわけなんです。それから、粉じん作業場で作業をすれば悪くなりますよということは、それだけあなたの肺は悪いからということなんです。それがなかったら、粉じん職場で仕事できるわけなんです。それだけあなたにはもうハンディついておる、あなたは常人でありませんよという診断をされておるわけなんです。じゃなかったら、自分がなれた職場を安い賃金の軽労働に移るわけはないですね。だから、あなたは基本的な考え方を間違えておられる。もう管理三というのは、このままでおったら管理四になって、あなたは長期療養、一生仕事はできませんよと、だから、いまのうちに空気のいいところの仕事のまあ軽作業になるべく移ってくださいと、そのためにはまあ支度金も要るでしょう、一ぺんに給料が下がるからというとこで、金までつけてよそにやるということは、あなたのからだは一般の人と違いますよと、無理すればあなたは管理四になって一生仕事できませんよと、そうすると、常人とうんと差がついておるということなんですよ。それを、何かむずかしいからだめだと、審議会にかけなければだめだというその考え方が私は間違っている、この管理区分に対する考え方が違うと私は思う。何のために一、二、三、四とつけておるか、何のために四は長期療養なのか、一生仕事ができないんか、何のために三は仕事をかわらにやならぬか、何のために二は警戒しなさいと、一年に何回健康診断を受けにゃなりませんよと、こういう区分をつけておるかということなんです。これは専門家が全部レントゲンで見て、そうして診断してやっている。実際それじゃ管理三の者を抗外の重労働につけてみなさい。たとえば、肺活量が常人の人が三千あった、その人が千五百あったと、その千五百しかない人に重労働させて、常人三千ある人と同じ仕事ができると思いますか。できないんです、絶対。だから管理三というのは常人の仕事ができないんだと、だからそれを、私は五〇%ここで主張しておりますが、それを医者の立場で、あるいは六〇%かもしれない、あるいは四〇%かもしれないけれども、考え方としては、この人は常人でない、一〇〇%労働力はなくなっておらないけれども、相当労働力が低下しておる。それならその差額は国が見るべきだというのがどこが矛盾しておるかと、これは大臣、ひとつ人間的な立場であなたから、私が言っているのが正しいのか、局長が言っているのが正しいのか、あなたの考え方を、またこれは審議会でどう結論を出されるか知りません。しかし、この問題は最後まで私は論争していきます。大臣のお考えをひとつお聞きします。
#29
○国務大臣(加藤常太郎君) じん肺法によりまして、一、二、三、四のいろいろの区分を設けまして、いま局長から答弁いたしましたのも、専門的にいろいろそうだというような意見を申し上げたのでありますが、やはり労災保険のいろいろ対策につきましては、やっぱり業務と疾病との因果関係でありますから、そういうように一、二、三、四の方も、やはり業務上における疾病であることは間違いないのであります。特に、やっぱり人間の体質からいきまして、何といったっても肺活動が健全でなければ健全な就業はできません。そういうので、局長の答弁も、いま審議会でやっておるから当局が断定的な意見を申し上げるのは遠慮したと思いますが、いま質疑応答を見まして、私の考え方もややここで固まりつつありますが、ここでしからば、すぐに断定的な方針については申し上げることを差し控えたいと思いますけれども、阿具根議員はそういうほうの専門で、やっぱり現地のいろいろなことを御調査なさっての、確信を持った御意見と思いますので、御趣旨の線に沿うように対処いたすことをここで申し上げます。
#30
○阿具根登君 大臣からお答えいただきまして非常に意を強くしましたが、よろしくお願いいたします。
 時間が来たそうですから、口早でまことに要を得ない質問ばかりになりましたが、最後に、これもなかなかむずかしいのですけれども、私の意見を一つ聞いてもらいたいと思うんです。たとえば、CO患者あるいはじん肺患者、長い間これはなおらない病気で病院におるわけなんです。ところが、たまたまガンが発生したと、そしてガンでなくなったと、ところが、その人はガンで死んだのであるから労災の適用は受けれませんと、これが通常でございます。たまたま岡山で一件、この人はじん肺で死んだんだという診断書が出た。そうしてお医者さんのほうからこれは解剖さしてくれと、解剖してみたらガンがあった。そして解剖したらガンであったから、あなたはガンでございます、じん肺じゃございません、労災の適用はなりませんと、こういう診断が下されたわけなんです。それで、労働省ともいろいろ話し合いまして、これはじん肺で長い間苦しんできて、そうしてガンになって死んだんであるが、ガンが原因であったのか労災適用のじん肺が原因であったのか、これは両方だ。直接の死因はガンであったかもしれぬけれども、その死因につながる長い問の過程はこれはじん肺であったんだということで、かろうじてこれは労災になったと思います。ところが、現在のところ、この審議会でも論争いたしましたけれども、じゃガンは早期発見、早期治療――早期発見して早期治療すればガンはなおるんだということが言われておるわけなんです。ところが、じん肺やCO中毒患者になって長い間病床に伏しておる人は、たとえガンが発見されても手術する体力はもうない。その体力がないようになったところにガンの繁殖というものは非常に猛烈な力で進む。私は医者じゃないですから断定的には申し上げられませんけれども、常識としてそう言えると思うのです。そうなってくると、ガンというものは、これは職業病の中途でガンになっても、これはガンのために死んだということは言えないじゃないか。だから、これは当然労災の適用をすべきだ。いまの憲法では、疑わしきは罰せずということがあります。それを裏返して、公害では、疑わしきものは公害にしなさいということを言っておるのに、労働省のほうはそれはまるで逆。一方にけい肺があり、一方CO中毒で長い間ベッドにおった人でも、ガンで死んだら、あんたの死因はガンだから労災じゃありません。こういうことが許されるかどうか。ところが、審議会で、ある専門家の方が、じゃ、阿具根さん、あんたの言う論でいくならば、老衰で死んだ人もじん肺やCOになっておったならばこれは労災ですかと、こう言われたんです。それで私、そのとおりです、と。じゃ、あなたは専門家方ばかりだけれども、老衰は幾つからが老衰と断定できますか。九十で死んでガンで死んだ人もおりますよ。六十数歳で死んで老衰で死んだ人もおります。老衰というのは何を判定しますか。年をとってからだの衰弱でしょう。そうすると、たとえば六十五で老衰で死んだ人がじん肺であった。その人がかりにじん肺でなかったならば七十まで生きれたかもしれない。生きれないと断定できますか。こういう論争をやってたな上げになったわけなんです、これは。ところが、往々にして今日出ておるのは、もうやせさらばえて、ガンになって、ガンが見つかったときはもうどうにもならない、もうからだの抵抗力はほとんどないんですから。そういう人たちもガンで死んだからあなたは労災の適用できませんということで泣いているのがたくさんおるわけなんです。当然こういうのは労災を適用しなければならぬと私は思うんですが、もう私の時間がだいぶ過ぎていますからひとつ簡単にお考えをお示しください。
#31
○政府委員(渡邊健二君) COやじん肺で長期療養をされておられます方には、その過程において他の疾病を併発されることがしばしばあるわけでございます。で、こういう疾病につきましては、労災保険の考え方で申しますと、当初の業務上の疾病と相当因果関係が認められますものは業務上の疾病として補償し、そのためになくなられれば、その業務上の死亡ということで取り扱うわけでございますが、当初の業務上の疾病負傷と因果関係が全く認められないものについては、労災保険のたてまえからこれは補償することはむずかしいわけでございます。そこで具体的な場合に、その併発いたしましたいろいろな疾病が業務上の諸疾病と因果関係がどれだけあるかという認定に相なるわけでございますが、これにつきましては、医学的判断に基づきまして、その競合的な因果関係も含めましてその因果関係を判断をいたしていただきまして、専門家に判断いたしていただきまして、それによりましてできるだけ公正な取り扱いをいたすようにつとめておるところでございまして、今後とも御趣旨のような点も十分含んで考えまして、競合した因果関係も含めまして、それらの判断は医学的に公正にやってまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
#32
○阿具根登君 もう私の時間ずいぶん過ぎましたのでこれで終わりますが、できれば審議会の場に一ぺん私をお呼びいただきたいと思います。この問題はペンディングになっておりますから、一応私は医学者じゃありませんけれども、しかし、自分が見ている範囲内で相当な人がガンでなくなって、そしてみじめな生活をしておる。医学的な立場と、それから私どもの置かれておる立場から見る場合に、一体どう解決するかという問題について、私は医学者でございませんから断定はできません。しかし、私が立ち会っておる関係におきましては、ほとんどこれは労災で救済しなければならないというものが大部分でございますので、ひとつそういう点、お取り計らいをお願いいたしまして私の質問終わります。
#33
○小野明君 私は、失業対策事業につきましてお尋ねをいたしたいと思います。
 予算書を見ますと、失業対策事業で労力費単価として四十八年度一千四百五十円八十四銭と、これが計上されております。大臣、よろしいですか。それで、この計算でいきますと、二十二日就労いたしますと三万一千九百十八円四十八銭、前年度に比べますと百六十八円八十三銭と、まことに数字が小さいわけでございますが、一三・二%の引き上げにしかなっておらない。この予算につきましては大臣もかなりウエートを置かれて大蔵折衝等をなさったのではないだろうかと思います。それにいたしましてもあまりに上がり幅が少ない。この辺のことにつきまして大臣の御見解をまずいただきたいと思います。
#34
○国務大臣(加藤常太郎君) 失対賃金の問題につきましては、いま小野議員からも御指摘のように、まあ、いろいろな立場から、御承知のように、昨年末から本年初頭にかけまして、内部的な事情でありますけれども、この問題に対して私の熱意を傾けて、やはり、内輪なことでありますが、大蔵省の承認という問題に対しましては相当な努力はやったんでありますが、いろいろな関係上、一三・二%に上げることに対しましても、私の就任当初でありますけれども、労働省としては最重点項目に準ずるような気持ちで折衝いたしまして、いまお話しのように一三・二%まで持ち込んだんでありますが、本年度はもうこれで決定いたしたのでありますが、これに対しましては、相当今後ともいろいろ努力いたしますことは、これはもうお約束できると思いますが、これで満足しておるかといえば満足いたしておりません。しかし、諸般の事情上、この程度でしんぼうせざるを得なかったという結果になりましてまことに申しわけないのでありますが、最善の努力なり処置はいたしたつもりであります。
#35
○小野明君 まあ、政府は今度の四十八年度予算で、大臣も御承知のように、国民生活優先、福祉予算、福祉第一年であるというような宣伝をなされております。ところが、一番底辺にあります労働者の賃金が、月わずかな、一日当たりで一千四百五十円八十四銭と、こういうことで、政府のうたい文句とはあまりにもかけ離れておる。それは大蔵との折衝等で大臣もかなりの御努力をなされたとは思いますけれども、あまりに違い過ぎるんではないか。この辺が、さらに私は強い決意でもっと引き上げていくという今後の御努力もあわせてなさらなければならないんではないかと、こう思います。
 具体的に問題点をあげますが、生活保護基準というのがあります。これは大臣、もう御承知のとおりであります。生活保護基準よりもこの賃金が低いわけですね。これは予算の上がり方から見ますと、生活保護基準はここ十年来見ますときに大体一四%近く上がっておる。そのたびに、失対賃金だけは生活保護基準よりも上がり幅が少ない。特に、この三年間を見ますと、生活保護基準は一四%上がっておりますが、失対賃金に至っては一三%、マイナス一%である。ことしはわずかに、いまの大臣の懸命な御努力をしたけれどもということで、〇・二上がりまして一三・二%しか上がっていない。一体、この生活保護基準よりも上がり幅が少ない、国民生活の最低を規定をしております生活保護基準よりも失業対策に働く労働者の賃金が低いと、これは一体どういうことなんですか。(「委員長」と呼ぶ者あり)これは私は大臣に尋ねておるんですから。それは局長は部長か課長か言わなくても、生活保護基準より失対に働く労働者の賃金が低いということぐらいは、これは大臣が答えにゃいかぬですよ。その辺についての見解をいただきたい。
#36
○国務大臣(加藤常太郎君) 生活保護基準と失対の関係は、これはまあたてまえが別個のものでありますが、しかし、賃金そのものを比準いたしますと、これを例にとることも万やむを得ぬと思いますが、この問題に対しましては、ただいま小野議員から御指摘のように、本年だけでなしに、今後ともこれに対しまして、先ほどからも申し上げましたように、最善の努力をいたしますことはこれはもうやぶさかでありません。特に、本年度につきましては従来にない熱意を傾けたんでありますが、失対事業賃金の審議会のほうの答申の最高にわれわれもこれを持ち上げたんでありますが、基準そのものが違うといえども、金額の点から見ると、そういうように比較対照することもこれは常識上あると思いますが、これも内容を申し上げることは、なかなか、この席で申し上げかねるんでありますが、いまの生活保護基準の問題も、これは一つの参考としていろいろ交渉いたしたんでありますが、基準そのものが、性格そのものがこれを比較対照する論議の標準とならないという一つの歯がゆい点がありますので、この点につきましては、いま、私の意見はこうでありますが、専門的なことについては政府委員からひとつ答弁させます。
#37
○政府委員(桑原敬一君) 失対賃金のきめ方が一応失対法にきめてございまして、それによって私どもは作業していくわけでございます。御承知のように、失対賃金のきめ方は、失対で働いておられる就労者と類似の民間の労働者の賃金を調べまして、それによってきめてまいるわけでございます。したがって、生活保護、いわゆる所得保障をやります生活保護のきめ方と違うもんでございますから、いきなりそれを比較することは非常にむずかしいということでございます。したがって、民間の類似の労働者と申し上げますと、建設関係の労働者の通勤の方々の賃金を調べるわけでございます。それによって作業いたしまして、賃金審議会の意見を聞いて、先ほど申し上げました一三・二ということになりますので、生活保護が何%だから失対賃金をそれにしなければならぬという意見になっておりません。法律的な原則がございますので、それによって私どもはやってまいっております。
 ただ、参考までに申し上げますと、結局生活保護は所得保障でございますので、世帯によってきめられております。私どもが毎年やっております調査によりますと、大体失対は二人程度の世帯になっておりますが、その方々の世帯の収入は四十七年度で四万円をこえる額になっておりまして、二人世帯の生活保護基準よりも高いと、こういう結果になっておることを申し添えます。
#38
○小野明君 きめ方が違うという御議論ですが、それは納得できないですね。これは憲法二十五条ですか、すべての国民は健康にして文化的な云々という規定がありますが、この条文を生かすために生活保護という最低基準のものがきめられてきておると思うんです。――これでも問題にならぬけれどもね。それはそういう所得保障というきめ方でいっておるんだけれども、それじゃ失対の賃金のきめ方が異なるからこれはこれでいいんだと、こういう言い方は私ども絶対に納得ができないんですね。たとえば生活保護の二人世帯を見れば、多少は上になっておるところもあります。東京都の一級地の場合四万二千八百七十円ですか。まあ、一人を見た場合にはほぼとんとんの数字である。私は、きめ方が違うからというこの議論は納得ができない。
 さらに、部長が言うのは、職種が似ておる業種から比べてきめてきたと、こういうふうにおっしゃるわけですが、ここに「労働大臣官房統計情報部」、「四十七年八月分」というのがあります。これは「屋外労働者職種別賃金調査結果報告」、労働省のものですよ。まあ、百歩譲ってこれから見ましても、あなたの言うきめ方論からいっても、これから見まして、重作業人夫にいたしましても一人一日平均で二千五百五十九円、これは二種、三種が当たると思いますが、軽作業の人夫、男で見まして二千三百六十五円、失対賃金は一千四百五十円八十四銭、これほどの開きがあります。この作業種別からいきましても、こういうふうに開きがあるのは、これは一体どういうことですか。
#39
○政府委員(桑原敬一君) 屋外職賃を基礎にいたしてやるわけでございますけれども、結局、失対就労者はいま六十歳以上の方が半分以上おられますし、重作業人夫というのはもうほとんど微々たる数字になっております。特に軽作業人夫も女子がもう大部分だというようなことで、その辺のやはり加重平均をして私どもはきめておるようなわけで、その数字と直ちに比較ができないという事情になっております。
#40
○小野明君 あなたいま言われて私は聞き間違いかしらぬが、失対のほうは六十歳以上と言うんですか。平均はいま何歳ですか。
#41
○政府委員(桑原敬一君) 平均は約六十歳でございます。五十九歳何カ月ということでございます。
#42
○小野明君 そうでしょう。そうすると、そこには上下ずっと広がっているものがあると思います。失対は一、二、三種と、こういうふうに分かれておりますわね。そこで一番低い二、三種を見ましても、軽作業人夫、ここを見ましても、それよりも千円近く低いじゃないか。これは、年齢が多少高いから、作業能率、それを見ましても、千円も開くというのは、賃金のきめ方がこれは誤りではないか、非常に問題であるんではないか。このトータルを見て、失対の労働者の賃金というのは、このあなたのほうから出した資料から見てもこれは低い。あたりまえだと、こういうふうにあなたは強弁されますか。
#43
○政府委員(桑原敬一君) お手元の資料を私ども見ておりませんのであれでございますけれども、私ども同じ資料で作業したはずでございますが、私ども失対賃金をきめます場合に、モードといういわゆる――たとえば土工あるいは軽作業の就労者の一番たくさん同じ賃金をもらっている方を集めまして、それを、一番山になっているところをモードと申しますけれども、その数字をとらえて計算をするわけでございますけれども、たとえば軽作業人夫の女子の方は、私どもの資料ではモードは八時間換算で約千二百五十円程度でございます。土工は千八百円、こういうふうになっておりまして、そういうものを加重平均いたしております。お手元の資料と比較できませんけれども、私どもは、一番たくさん支払われている最頻値のモードをとらえて計算をいたして平均を出すわけでございます。
#44
○小野明君 いまの点は納得できぬなあ。あなたはどういう資料を持ってきておるんですか、私はこういう資料だが。千二百五十円という数字はね、軽作業の人夫女でも千五百十七円というトータルが出ておるんですよ。――あなたのその資料の名前を言ってくださいよ。軽作業の女でもこういう数字が出ておる。あなたはどこからその資料を持ってきておるんですか。
#45
○政府委員(桑原敬一君) いまお手元の資料は、おそらく八時間換算をしない前の数字とか、それから算術平均の数字とかいろいろ出ておりますので、一がいに比較できません。私どもの数字の基礎は全くそれと同じでございますけれども、その出ておる数字をなまに比較するわけにはいかないということを申し上げておるわけでございます。
#46
○小野明君 そうすると、あなたのほうのいま言われた千五百円というのは、どういう要素を加えて千五百円という数字になるの。この二千五百円というところはね、これをどういうふうに計算をし直したらそういう数字になるんですか。
#47
○政府委員(桑原敬一君) その二千五百円というのは、おそらく土工だと思います。土工になりますと、おそらく、失対就労者の中で、全体の十三万人の方の中では非常に少ないウエートになっておりますから、その二千五百円が非常に小さく影響している。それから軽作業人夫の女子が非常に多うございますから、その方たちのウエートが非常に大きく影響してきて、最終的な賃金の平均が、先ほど申しました千四百五十円になる、こういうことになります。
#48
○小野明君 土工の場合は二千九百七十二円なんです。私の言うのは軽作業男なんだ。――これを、この数字を見なさいよ。――この資料だ。
 それでは次に行きますが、賃金が少ないので、失対事業に働く労働者の、大臣、通勤交通費の負担が非常に大きくなっておる。公務員の場合は、御承知のように、人事院勧告でも、通勤交通費というやつは別ワクで処理されております。あるいは民間の労働者もそうです。ところが、失対の賃金に限って交通費は賃金の中に入っておると、こういう考え方になっておるようですよ。これは御承知と思います。ですから、この交通費というものを一般労働者のように新しく賃金から取り出して制度としてつくり出すと、こういうことはできないものですか。考えられないものですか、大臣。
#49
○国務大臣(加藤常太郎君) これは審議会でもこの一三・二%の算出のとき、金額そのものを決定するときに、大体交通費とかいろいろのものを積み重ねて基礎にしてそれが、額が出たのでありまして、ほかのは別に、民間その他においても交通費が出ておるから小野議員から言うようにこれは別途にしてくれぬかと、こう言われましても、もうその基礎のもとに暫定予算のほうもそれで通ったというようなかっこうで、いまここで事情その他を考えると、何とか、私の意見としては一三・二%も必ずしも満足でないと、何かそこに実質的にやれるものがあればこれを追加するというような気持ちはありますけれども、交通費としてそいつを出すということは、これ基礎がきちっときまって、本予算はまだ通ってませんが、暫定もその基礎のもとにできておりますので、この点はここで必ずしも満足いたしておりませんから何とか考慮したいという気持ちはありますが、交通費といいますと多少難点があると、困難があるという感じであります。
#50
○小野明君 いまの予算の中で、それは労力費とかいうことで計上されてありますよ。しかし、御承知と思いますが、一般の勤労者は全部交通費というのは別建てになってますね。そこで、近い将来、この交通費というものを考えられないかと、いまバスもあるいは電車も、今度は国鉄も値上げ提案しておるようですが、国鉄に乗って行くというようなととはないにしましても、そういう民間経営の交通機関あるいは公共交通機関の値上がりが激しいわけですよ。ですから、たまり場まで行くのに相当な金がかかる。それを一般勤労者のように交通費というものを考えられないのかということなんです。それはどうかと。
#51
○政府委員(桑原敬一君) 交通費の問題は前々から御議論になっている問題でございますけれども、類似の労働者の建設あたりの実態を見ますと、必ずしも交通費というかっこうで日雇いの場合は賃金がきめられてないという実態がございますし、私どもは交通費がそういうふうにきめられておろうとあるいは込みであろうと、全体的にそれを全部すくい上げて調査をして、そしてその基礎によってやっていこうと、こういうことで処理をいたしております。現実に現場がだんだん、就労者が少なくなってまいりまして現場が遠くなっていく関係では、できるだけ就労者の便宜をはかって、自動車その他の輸送について便宜をはかるように財政その他の援助をしていくと、こういう方針でやっております。
#52
○小野明君 それも含んで千四百五十円というのはあまりにも私はめちゃくちゃだと思いますよ。だから将来、それも生活保護よりも低い賃金で働かしておいて、一番負担になる交通費を別建てに将来考えるということもできないということではちょっとこれは納得できませんですね。しかも、ほかの勤労者はみなそういう交通費を何らかの形で受けておると、失対の労働者だけが別ワクで込みで低い賃金の中に交通費も入っておるぞと、こういうことで、こういう考え方というのはどうも私は納得できませんが、将来問題としてもこれは検討されぬもんですか。
#53
○政府委員(桑原敬一君) 失対賃金のあり方につきましてはいろいろと議論がございます。だんだんとお年をとられてまいられます場合に、こういう形で賃金というかっこうで払っていいかというような基本論もございます。そういった意味で今後検討の課題になるかと思いますけれども、交通費だけを取り上げて現段階でどうするという考え方はございません。
#54
○小野明君 まあ、時間もないことですから、ぜひひとつこの通勤交通費の負担が軽減されるような措置を考えていただくようにお願いをしておきたいと思います。
 次に、社会保険料、これは健康保険あるいは失業保険、国民年金それぞれ上がるようになっておりますね。これらから考えてみましても、これは国民年金も五百五十円から九百円になりますね。これは三百五十円、二十二日で割れば十六円。それから日雇い健保、これも提案がされておるんですが、十三円から四十五円、三十二円上がる。賃金が千五百円未満の場合は十三円から二十五円、十二円上がる。失業保険も四円引き上げられる。こういうふうに具体的に社会保険というものが日雇いの労働者にかかってくるわけですね。大臣、よろしいですか。この社会保険料の負担というものを見ましても、最低、これは日雇いの失対事業に働く労働者の賃金についてはやはり五百円程度の引き上げは必要ではないか、最低の要求としてね。こういうふうに思いますが、ここで大臣の御答弁をいただきます。
#55
○政府委員(桑原敬一君) 日雇い失保あるいは日雇い健保の給付改善が行なわれるということになっておりまして、それに伴って保険料が増額になるわけでございますが、私ども過去の経緯、何回か改正ございましたけれども、特に保険料の増額について負担をいたしたことはございません。考え方はあくまでも給付の改善についてはその受益者で負担をしていくという考え方を持っております。過去、日雇い健保あるいは日雇い失保、給付改善がされまして保険料が上がっておりますが、そのときの賃金と保険料との比率が特に今回大きく負担がふえるというふうには計算上なっておりませんので、そういう意味で今回の労力単価をきめる場合についても十分賃金のアップで従来と同じような経緯で負担できると、こういうふうに考えるわけでございます。
#56
○小野明君 賃金アップで負担ができるとおっしゃるが、給付の拡大は言わぬでもこれはいいことだと思うんです。ただ、百六十八円三十三銭と一三・二%の上がりですよ。その中で社会保険料の負担が失業保険で四円、それから健康保険で三十二円、これで三十六円、それから年金の場合が十六円。まあ、区切りの問題もありますが、ほぼ百十円ぐらい上がるわけなんです。ですから、百七十円上がって百十円取られれば、結局幾らになりますか、六十円程度。一三・二%で手元に残るのは六十円程度。中には例外もありましょうけれども、大体六十円程度の上がりにしかならぬという計算になりますが、部長どうですか。
#57
○政府委員(桑原敬一君) 私どもは各種社会保険の全体についてつまびらかでございませんけれども、たとえば日雇い失保をとらえて、ことしの四月から四円上がるわけでございますが、二十二日働きますから、八十八円負担増になります。しかし片一方、失業保険がそれだけ必ずふえるわけでございますから、私どもとしては千六百円いままでよりもふえると、こういう計算になりますので、四円が月に直して八十八円負担増になりますけれども、日雇い失保の保険金が千六百円ふえるわけでございますから、そういったことで個別的にずっと見てまいりますと、特に不利になるとというふうに考えていないわけでございます。
#58
○小野明君 それは、いずれその計算は問題のあるところですから、社労の委員会等で議論をさらに煮詰めていきたいと思います。
 それから、地方自治体が日雇いの失業対策の労働者の賃金の増額等についていろいろ独自財源でプラスをする。その場合に労働省が緊急失対法の十条をたてにとって賃金付加はまかりならぬ、きびしくこれに圧力をかけておる。こういうことがいわれておるんですが、これはどういうことですか。事実ですか。
#59
○政府委員(桑原敬一君) 私どもは、失対賃金というのはあくまでも公の負担で一時的に失業者に就労の機会を与える事業でございます。したがって、その賃金というものは全国的に一律に労働大臣がきめると、こういう法律のたてまえになっております。したがって、住民福祉という観点で地方自治団体が御処置されるならば別問題といたしまして、賃金というものはあくまでも労働大臣がきめるという法律のたてまえでございますので、それに違反するような形でかってに地域的にきめられることは困る、こういうことで現地を指導しておるようなわけでございます。
#60
○小野明君 御承知のようなべらぼうな低賃金である。地方自治体は、それは産炭地でも、私はよく知っておりますが、これで食べていかれないという実情ですよ。ですから、夏あるいは冬の手当等で出していく。あるいは賃金に多少プラスになるような形で加給をしていく。これについても自治体は自治体としての判断がある。法律のたてまえはそれは労働大臣が、これをきめるということになっておるかもしれぬが、実際は食えない賃金になっておるのに、そして自治体がやることはいかぬと、これに、幾ら法がそういうたてまえになっておるにしましても、自治体は自治体としてのたてまえもあるでしょうし、これに干渉をして、絶対にこの失対に働く労働者の賃金に加給というものはまかりならぬ、こういう圧力をかけるというのはけしからぬと思うんですが、これは大臣にひとつ尋ねたいですね。
#61
○国務大臣(加藤常太郎君) 賃金の問題は、原則が、まあ方針が行政措置としてきまっておりますので、自治体で賃金のアップということを表面でやられますと困りますが、いろいろ福祉対策とかいろいろな関係で賃金外に手当式なものが出るに対しては、これは収入が上がること、これは反対ではありませんので、ただ、これが賃金だと、こうなると、これやはり関係しますので、まあ、その他のことがいいとか悪いということでなしに、そう圧力を加えるようなことは、これはないのがまあ当然と思います。
#62
○小野明君 そういうことはないと思いますと、終わりのほうがはっきり聞こえなかったんですが、そのように解釈してよろしいですか。
#63
○国務大臣(加藤常太郎君) まあ、それが特別よろしいというわけにも、なかなか言いにくいんでありますけれども、適当に福祉の問題で手当を出したとか、いろいろな、別途という場合には、これを、特によくなることに対して労働大臣が圧力を加えるようなことはこれは必要がないと思います。
#64
○小野明君 わかりました。
 最後になりますが、産炭地で緊急就労事業、炭鉱離職者の緊急就労事業をやっております。予算書を見ましても、これが今年度で事業費単価が四百円上がって三千八百円。人員でまあ三千二百人という数になっておりますが、この緊急就労について、打ち切るとか打ち切らぬとかいううわさが盛んに流れてまいるわけであります。現実に三千二百人の炭鉱離職者がこの事業に働いております以上、これを打ち切るということはゆゆしい産炭地では問題になります。したがいまして、これについては存続をすることをひとつお願いをしたいと思うんですが、大臣、いかがですか。
#65
○国務大臣(加藤常太郎君) この問題は、緊就の問題は四十九年三月の末で期限でありますが、ここで私から継続するということも言いかねる点、いろいろな政府の関係もありますので、他の官庁との関連もありますので、言うことがちょっとこう断定的には言えませんが、やはり就労の数だとか、その産炭地の実情とか、そういうことを調査してまあこれを継続するせぬはきめたいと思いますが、何だかこう、わかったようなわからぬ答弁のような関係でありますが、これは継続する可能性が、私の想像でありますが、まあ多いと、現在の時点ではそう申し上げる以外にちょっと申し上げかねるんでありますが、しからば悲観的かというと、これは悲観する必要がない感じであります。
#66
○小野明君 どう受け取っていいかわからぬ。大臣が、当事者でありながら第三者みたいな評論をされておるわけです。それじゃ、質問する私も一体どこをとらまえていいかわからぬ。ですから、あなたは当事者です。しかも最高責任者の一人ですから、一体どうするんだと、この緊就の三千二百人、ことしの予算で予算化してあります。今後は一体この事業について、今年度ははっきり示しておりますが、どうするんだと、あなたの御決意を伺わないと困りますよ。
#67
○国務大臣(加藤常太郎君) 情勢の推移を勘案いたしまして、前向きで検討する所存でありまして、前向きということは、これはもう私の決意は確固たるものがありますが、ただ、政府部内の各方面の了承も得なくちゃならぬので、これはひとつ前向きで大いに検討すると、もう私の顔を見てでも十分真意がくみ取れると思いますので、ひとつ御一任を願いたい。
#68
○小野明君 どうも、この問題で政府が前向きというのは、もうみな言いますからね、これは常套語ですからね。まあ、うしろ向きと言わぬだけましかもしれませんが。これは、さらにこの問題はぜひひとつ緊就を継続するように大臣のさらに積極的な御努力をいただきたいと思うんです。
#69
○国務大臣(加藤常太郎君) 御趣旨に沿うように十分検討して善処します、これは。ただ、答弁のための前向きとかという意味ではなしに、決意だけは持っております。
#70
○小野明君 それで、さらにその福岡県、産炭地ですね、ほかにもありますが、北海道等もありますが。福岡の場合でいいますと、一般失対、それから緊急就労、それから開発就労、特別開発就労――特開と言っておりますが、この一般失対、緊就、開就、特開という制度を整理統合すると、この四つ制度があるのですよ。こういう話もちらちら伺います。私としましては、せっかくそれぞれの仕事は歴史を持って生まれてきた制度なんですから、それぞれの制度を内容を充実していく、事業を充実していく、こういう方向でこれを拡充をしていくと、こういうことで産炭地の失業者の多い実情をひとつこれによって救済をしていく、吸収をしていくということで御努力をいただきたいと思いますが、この点についてはいかがですか。
#71
○国務大臣(加藤常太郎君) 緊就、開就、特別開就の統合の問題は、これは意思がありません。御趣旨のような方向で進みます。
#72
○小野明君 終わります。
#73
○高橋邦雄君 最近、新聞報道その他によりますと、週休二日制を採用する企業が非常にふえておるということでございますが、週休二日制の普及状況がどんなぐあいになっておるか、その現状について御説明を賜わりたいと思います、政府委員に。
#74
○政府委員(渡邊健二君) 週休二日制の普及状況につきまして、昨年九月現在の調査の結果が最近出まして、新聞発表もいたしたわけでございますが、これによりますと、完全週休二日制、さらに隔週とか、月一回とか、そういうようなものも含めまして、何らかの週休二日制を採用いたしております企業の割合は一三・二%でございまして、前年に比べて約倍にふえております。それからその週休二日制の適用を受けております労働者の割合は三六%でございまして、これも前年から五割ぐらいふえておるわけでございます。これは全体の平均でございますが、しかし、企業の規模によりましてその普及の程度に違いがございますわけで、千人以上の大企業などでは企業の五二%、それから労働者の六三%が週休二日制に相なっております。それから千人ないし百人ぐらいの中企業で申しますと、企業の二一%、労働者数で二四%が週休二日制になっておりますのに対し、小企業――百人から三十人ぐらいの小企業では、まだ週休二日制をやっておりますものは、企業で八・八%、適用労働者で九・六%と、大企業に比べますと低くなっておりますが、しかし、それでも前年から見ますと、いずれも二倍以上に小企業でもふえておる状況でございます。
 なお、これは昨年九月の状況でございますが、その後、製造業の幾つかの産業では新しく週休二日制を始めたところもございますし、あるいは従来週休二日を隔週でやっておりましたものを完全週休にいたしたものも出てまいっておりますので、さらにただいま申し上げた数字は現時点においてはもっと進んでおると考えております。
#75
○高橋邦雄君 週休二日制の問題は、勤労者にとりましても、まあ福祉の向上という立場から非常に大事な問題だと思いますし、また、国際的な趨勢からも望ましいのでございます。この問題は、政治的にも経済的にも、また労働の方面から見ましても、ぜひこれをひとつ積極的に推進をする必要があるというふうに考えるのでありますが、いま御説明にありましたように、この実施の情況は大企業と中小企業の問では非常な差があるわけでございます。これを今後推進をする、普及を促進すると、こういうことにはいろいろ問題があろうかと思うのでありますが、基本的にはぜひこれは推進しなければならないというふうに考えるのでありますが、これにつきまして労働大臣の基本的なひとつお考えを承りたいと思うのであります。
#76
○国務大臣(加藤常太郎君) 高橋議員からの御質問の点でありますが、これは御承知のように、福祉優先という見地から見まして、従来からまあ日本ではよく働くという声が出ておるという関係がありましたが、世界の情勢、日本の労働行政の根幹といたしましても、現在労働省の、まあこれは目玉商品ということばは適切でありませんが、最重点項目として取り上げておりまして、ただいま政府委員から現況について話がありましたが、九月の統計でありますが、大体各方面の最近の新聞の報道なり、また、特に土曜日の最近の都内の自動車の混雑、その点から見ましても、相当これは大企業においては進んでおると思います。これについては、一時、これを法制化して推進したらどうかと、こういうような意見も聞きましたが、これはやっぱり労使の間で話し合ってやったほうがいいと、まあ、この御質問の中にはありませんが、やはりこれが時間の関係にも、就労時間の短縮にも関連がありますので、いろいろケース・バイ・ケースでよく話し合っていったほうがいいと、こういうので、これは政府でも先般閣議で経済社会基本計画で決定いたしまして、その期間中には完全に実施すると、こういう方向で、これはまあ理想的な姿に近い点でこれがうまくいっておると推測しておるのであります。ただ、問題がありますのが中小企業で、中小企業は、その企業そのものの基礎というものも、規模、資金とか、いろいろな関係がありますので、大企業と同様に中小企業を一律に考えることはなかなか困難がありますので、まあ計画期間中には、大企業は大体五年程度ではいくと、これにつきましては、銀行とか公共企業体とか、いろいろ政府関係にもありますので、先般閣僚懇談会で、この週休二日制の閣僚懇談会、これを定期的に開きまして数回やったのでありますが、予算が参議院を通りますと、さっそくやって、そういう方面までもいくと、特に中小企業の問題はこれはまあこまかく、そして地域的にもいろいろなこまかい指導をやらなくちゃならぬと思いますので、大企業に対しましては政府が助成するということはいたしませんが、中小企業に対しましては、週休二日制を実施する場合には、これに対しまして指導のいろいろな助成をすると、ことによったらいろいろ予算的なものも考えなくちゃならぬと、こういうので、まあ当面は完全週休二日制は中小企業にはさっそく実施、指導することは無理でありますので、隔週とか月に一回とか、地方によっては、職種によってはやはり閑散時にそれを行うとか、しかし、やはり大企業だけではこれはほんとうの週休二日制でありませんので、中小企業に対しましては、いま言ったように、いろいろなケース・バイ・ケースで指導を行ないたいと、こういう所存であります。
#77
○高橋邦雄君 まあ、週休二日制が普及してまいりますと、勤労者の余暇という問題が非常に大事な問題になってくるわけでございます。ところが、現状では、勤労者が安く利用できる施設でありますとか、あるいは家族ぐるみで余暇を楽しむそういった施設の整備がたいへんおくれているように思うのであります。そうした施設が十分ないと、こういうことになると、逆にどうも時間をもてあますということにもなりかねないわけでございます。ですから、余暇問題というのは非常に大事な政治問題ではないかという気がいたすわけであります。これは政府だけでなくて、地方の公共団体などでも、これから十分こうした問題にも取り組んでいかなければならないんではないかというふうに思うのであります。予算が編成される段階で労働省はたいへん雄大な労働者福祉施設の構想をお立てになったように承っておるのであります。それは当時労働者別荘村というふうに呼んでおられたようでございますが、そうしてその計画は五カ年計画で二百七十億円、こういう話も聞いておったのでございますが、四十八年度において福祉施設、余暇活用施設の構想を打ち出されたようでございますが、その勤労者いこいの村、これはどんな構想で設置をされるお考えなのか、また、これを設置する場合の地方の負担などがどういうことになってまいるのか、その辺の事柄につきまして政府委員の方にお願いをいたします。
#78
○国務大臣(加藤常太郎君) もうこれは当然二日休むといたしますと、御家庭で床におっては奥さんがごろ寝せられてかえって困ると、そうしてまた趣味の悪い方は二日をいろいろな――かえって心身が疲労するようなことになっても困ると、ところが、余暇といってもやはりいろいろな健全な趣味を持たなくちゃならぬが、やはり都会などにおいて、また工場においても、いろいろな雑音なり、もう常に心身ともに疲労いたします。それをほっとするというような福祉施設、余暇施設が最重要であろうと思いまして、本年度は相当な構想を労働省では立てて、これは内部的ではありますが、大蔵省とも折衝したんでありますが、いままでにない新しい新規の予算を、「別荘村」は名前がちょっときつ過ぎるというので「いこいの村」と変更いたしたのでありますが、費用の要らないひとつ余暇対策を講じたい。本年度はまあ十六カ所つくったんでありますが、これはやっぱり地方公共団体の協力がなければ、これはなかなか維持の問題なりいろいろの問題、土地の問題がありますので、土地は地方の自治体がこれを負担すると、現在まあ予算も通りつつありますので、全国でその候補地を選定しておるのでありますが、まだこれは余暇対策というものはただ労働省だけがこの計画をするのでは、これは私はちょっと無理があると思うので、やはり事業主もこれに対していろいろ自分の工場のほうで考慮すると、そうして政府のほうも考慮すると、そうして金のかからないひとつレクリエーションとか、家族連れで一泊とか二泊とかいうことを、これをぜひ今後推進したいと、本年はただまあ新規でありますので、ひとつ芽を出したと、来年はこれに対しましては本年の実績を十分生かしまして相当な余暇対策を講じたいと、こういう所存でおります。また、野外趣味活動のいろいろな問題、かような問題に対しましても、今後福祉優先という場合、そうして週休二日制をやる場合には、この余暇対策に重点を置かなくちゃならぬと、こういう所存でおりまして、今後その方針に沿って大いにこれが対策を講じ、そうしてこれが実施に実際に邁進いたしたいと思います。
#79
○高橋邦雄君 ただいま労働大臣からお話しのありましたようなお考えで、ぜひこの問題にひとつ情熱を注いでいただきたいと思うのであります。現在勤労青少年ホームというのが各地にあるわけでございまして、これは中小企業に働く勤労青少年が日常気軽に利用できるたいへん私は有効な施設だと思うのでありまして、地域社会で非常に大きな役目を果たしていると思うのであります。この勤労青少年ホームは大体全国的に見てどんな設置の状況なのか、これは政府委員にお伺いをいたしたいと思うのであります。それからまた、ことしの予算で幾つぐらい設置されるのか、あわせてお伺いいたします。
#80
○政府委員(高橋展子君) 勤労青少年ホームは、ただいま御指摘のございましたように、地域におきまして勤労青少年が健全な余暇活動の場を持つと、そのためのよりどころとなっておりますし、また、地域におきまして勤労青少年福祉行政を展開する拠点ともなっているわけでございまして、私、労働省といたしましては、この勤労青少年ホームの設置を、昭和三十二年度以降地方公共団体に補助金を交付することによりましてその設置の促進をはかってまいったところでございます。で、この設置につきましては、近年特に一般に勤労青少年の健全育成ということに対する関心が高まっておりますし、さらに余暇の増大というような傾向の中にありまして、非常にこの勤労青少年ホームについての要望も強まってまいっております。それで四十七年度末現在では、全国で二百二十九カ所を数えてこの設置を見るのでございます。で、また四十八年度につきましてはさらに四十七カ所の設置が予定されているところでございます。
#81
○高橋邦雄君 この勤労青少年ホームの問題でありますが、そこではいろんな青少年の相談に応ずとか、あるいは各種のクラブ活動の場として非常に活用をされておるわけでありますが、こうした活動を育成する、健全なものにする、こういうためにはどうしても指導者が必要ではないかというふうに思うのであります。やはり余暇をほんとうに生かす、正しい意味のレクリエーション、こういうものにしなければいけないと思うのであります。それにはどうしても適当な、適切な指導者の確保、養成、こういうことが非常に大事なように思うのでありますが、こうした点に何か具体的な対策、あるいは御計画などありましたらひとつお聞きしたいと思います。
#82
○政府委員(高橋展子君) 勤労青少年ホームにおける指導者の養成あるいは確保についてのお尋ねでございますが、勤労青少年ホームには館長のほかに指導員等の職員が置かれております。特にこの指導員につきましては、勤労青少年福祉法におきまして各ホームに勤労青少年ホーム指導員を置くということが設置主体の義務、努力義務とされているところでございます。また、この指導員につきましては、先生も御指摘のように非常に重要な役割りを持つものでございますので、この指導員はだれでもがなる、なれるというものではございませんで、労働大臣が定める一定の資格というものを要件といたしております。これも法律にそのように定められているところでございます。
 それで、労働省といたしましては、この法の趣旨に基づきまして、この資格のある指導員というものを養成いたすために、特に毎年指導員資格講習会というものを行ないまして、そこで指導員として必要な相談であるとかあるいはレクリエーション等に関する知識あるいは技術等も含めた研修を行なってこの資格を付与し、適正な指導員の養成につとめているところでございます。
 また、ホームの責任者である館長に対しましても、その資質の向上のための講習会、研究会を行なったり、あるいは相互啓発の機会を与えるように努力いたしているところでございます。
#83
○高橋邦雄君 もう時間が参りましたのでこれで質問はやめることにいたしますが、私は一特に働く若い人たち、青少年に対しましていろいろ御計画あるわけでございますが、ひとつ積極的に、それを内容のある充実したものにしていただきますように格段の御努力をお願いをいたしまして質問を終わることにいたします。
#84
○国務大臣(加藤常太郎君) この点は施設をつくっても指導員がないので何だかかえってそれが変なことになっても困りますので、いま局長から御答弁のあったように、やはり場所はつくったが指導員が大事だと。御承知と思いますが、今度は大規模で、六月一日に中野でサン・プラザという、百億かけたのでありますが、これを全国の主要のところに漸次拡大したい。これは六月一日に開所いたしますので、そのときには皆さんもひとつ見ていただいて、ここで全国的ないろいろな指導養成をすると、本年度ではまたこれが名古屋と大阪と次々とこれ拡大いたしていきますので、かような施設を利用してやはり指導員の養成、役所のほうの指導員もありますが、やはりそういった少年自体の交流とかそういうときに指導して、妙なかっこうの施設にならぬように、これは本格的に私も力を入れまして御趣旨に沿うように対処いたします。
  〔主査退席、副主査着席〕
#85
○藤井恒男君 私はわが国の海外への進出企業の労働問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 御承知のように、日本企業の多国籍化に伴いまして、海外への進出企業が飛躍的に増大しておるわけでありますが、進出先での雇用、労使関係など、労働問題が今日では最重要課題になっております。
 東南アジアに限ってみましても、私もこの一月に東南アジアを視察してまいったわけでございますが、タイにおいてはわが国の進出企業は百十社をこえておりますし、インドネシアにおきましても八十数社が現在進出しております。ことにタイは外資中わが国のシェアは約三五%でトップでありまして、第二位のアメリカが一七%ですから、はるかにこれを凌駕しておるわけです。古いデータですが、一九七一年末の現地人従業員が二万四千八百九十三名。したがって、現在ではもう優に三万数千名、日本の進出企業が現地人を雇用しておる、こういう状況にあります。
 一方、こういう中でタイ国においては一九七二年、つまり昨年の暮れに、タイ人の職業確保並びに登用を目的とした外国人職業規制法というのを制定しておわるけです。こういった背景の中から、今後この進出企業の労働問題というのが今日的な課題になっております。
 実はこのタイ国における商工会議所が発行しております「所報」というのを私もらってきたわけですが、これを眺めてみましても、タイ国においては、たとえば一九六〇年、争議件数は二百五十四件、延べ喪失日数が六十四日。これが五年後の一九六五年には争議件数が三百六十六件、喪失日数が六千五百六十六日。これが一九六九年になりますと飛躍的に数字が増大いたしまして、争議件数が七百六十九件、喪失日数が二万三千五百九十三日、こういう状況になっております。この種のやはり労働問題というものがせんだって新聞紙上をにぎわしました日貸排斥ということについての私は一つの要因でもあったのじゃないだろうかというふうに思うわけです。こういったバックグラウンドのもとに私、大臣にお伺いするわけでございますが、労働省として海外進出企業の労働問題についてどのように具体的に現在まで御指導なさっておるのか、その辺のところをまずお伺いいたしたいと思います。
#86
○国務大臣(加藤常太郎君) 最近の海外への企業の進出に伴って現地の労働関係が、急激な進出でありますので、新聞にも報じたように、なかなかトラブルが起こると、法規が違うと、習慣が違うと、こういうような関係でいろいろな問題がありますので、やはり労働省も外務省も、まあ、これは通産省も関係ありますが、関係各省と連絡をとって、これに対して日本の企業、日本のいろいろな労働政策のやり方、ただもうけたらいいと、使いこなしたらいいと、これでは私は、ほんとうに日本の平和経済というか、平和外交というか、平和的ないろいろなやり方に対して非難が集まってもたいへんであります。さような意味で、いろいろこれに対する指導なり、また情報の収集なり、いろいろな問題がありまして、これはまあ新らしい一つの行政の進展でありますので、これらのことに対しましても対処いたしてみます。そして、本年度の予算でこれに対する、やはりただ遠方から指導したっていけませんから、現地にひとつ労働省の専門家を派遣したいと、こういうので、初めて本年予算を獲得するようにやったんでありますが、独自の、労働省自体の拠点をつくりたかったんでありますが、これが最初でありますから、理想的にうまくいかなかったり、ジェトロの機関を活用すると、こういうので予算の獲得はできましたが、まだ微々たるものでありまして、これを来年度はなお一そう拡大して御趣旨に沿うような指導をいたしたいと思います。いろいろこれに対する専門的な問題につきましては労政局長から、政府委員から答弁させます。
#87
○政府委員(石黒拓爾君) 進出企業の労働問題につきましていろいろ問題がございますことは御指摘のとおりでございます。従来労働省といたしましては、実は三者構成――政・労・使の三者構成の視察団と申しますか、調査団というのを数回東南アジアに送ったことがございます。一番最近のではことしの二月。しかしながら、率直に申して、わが国の行政権も及ばぬし労働法の適用もない土地のことでございまして、私どものほうの資料も非常に不足しておりますので、具体的な指導というようなことは従来ほとんどやっておりませんでした。ただいま大臣が申し上げましたように、四十八年度予算で初めて若干の経費が認められましたので、今後これを積極的に行なってまいりたいと考えております。
#88
○藤井恒男君 まあ、わが国の進出企業で一番多く出ておるのは御承知のようにタイとインドネシア、ことにインドネシアは今後この一、二年の間に飛躍的に進出企業が増大するというふうに思われるわけですが、この二つの国それぞれに特殊ないま政情にあるわけです。しかし、特殊な政情にありながら現に労働運動というのは行なわれておるわけなんでこの両国における労働運動の特質などについてひとつ御説明いただきたいと思います。
#89
○政府委員(石黒拓爾君) インドネシアにおきましては労働組合が多数分立しておりましたのを、最近政府の指導によりましてこれを統合しようという動きがございまして、たしか二十五の組合が一つの連合体をつくるという動きになっておるという報告を受けております。その人数等につきましては大小さまざでございますが、よくわからないのもございまして、正確な人数はわかっておりません。
 それからタイにおきましては、長い間軍政下で労働組合が認められておりませんでしたが、最近になりまして労働組合の結成が認められました。で、現在十二の組合があるというふうに聞いております。しかしながら、この全国の連合組織といったようなものはいまだタイ国においては認められておらないということでございまして、両国について共通して申せますことは、一つはまだ労働運動が萌芽期にある、成熟期――成熟しているというところまでは行っておらないということと、両国の政治事情の特質からいたしましても、政府と労働組合との関係というのが非常に密接なものがあるというふうに聞いております。
#90
○藤井恒男君 先ほど大臣の御答弁の中にもありましたが、産業労働懇話会、これは座長に中山伊知郎先生がついておられるのですが、このもとにことしの二月十二日から二十一日にかけて海外進出の労働問題について視察に行かれたわけです。そうしてこのことを労働省に視察報告が出ておると思うのです。ことにその中で「アジアの労使関係は先進国と質的な相違はあるが、日本の進出企業は社会習慣のちがいから労務管理に悩んでいるため、現地政府との調整を図るほか、日系企業相互の連絡体制を持つ必要がある」、これがこの労働問題懇話会の答申だと、私は骨子だと思う。この間で重要なのは、先ほどおっしゃったように、なるほど現地では日本の法の及ぶ範囲じゃないし、社会習慣も違う。宗教も違う。いろいろな問題はあるにしろ、やはり日本政府と現地政府、それは何も現地に出向いて行かなくてもわが国においてもこれは調整はとり得るわけです。その調整を、あるいは情報交換、意思の疎通をはかるなどの措置をいままで講じておるのかどうか。あるいは進出企業の親会社ですね、これはわが国にあるわけなんです。ここから全部指令が出ておるわけですから、そいつを網羅して、そして現地における労働問題についてよりきめのこまかい配慮を行なわしめるというような調整機能というものが私は労働省にはあると思う。そういったことをやるべきだというのがこの答申だと思うのだけれど、それに基づく具体的な措置をおとりになっておるかどうかお伺いします。
#91
○政府委員(石黒拓爾君) ただいまの御指摘の点でございますが、タイには、タイ駐在の日本国大使館に昨年から労働省出身の者をレーバー・アタッシェとして駐在せしめており、それからまた、タイの日本人商工会議所の中には労働問題に非常に熱心な方もおられまして、その点では比較的意思の疎通等が行なわれていると思いますが、インドネシアにつきましてはそういった点はややおくれておると存じます。しかし、いずれにいたしましても、海外進出企業に対する情報の提供あるいは指導というようなことは、従来はもうたまたま相談に来た者に相談に応ずるという程度しかやっておりませんで、ただいま御指摘のようなこと、あるいは産労懇の答申も非常に適切な答申だと思っております。そういったことにつきましては、すべて本年度以降実行に移してまいりたいと思っておる次第でございます。
#92
○国務大臣(加藤常太郎君) いまの御指摘の問題、産労懇の方々から私もきのう、この問題でなかったのでありましたが、視察報告も、文書ではなくして、じかにいろいろなことを聞いたのでありますが、やはり日本が今後ドルのいろいろな問題――やはり日本がアジアの指導的立場で、軍関係とかそういう昔のような思想でなく、やはり懇切にいろいろアジアの開発をする。そういうような今後――いまタイ、インドネシアが中心でありますが、各方面にこれは進出して援助することが、並びに日本の産業、日本の貿易の振興にも私は必要だと思います。それについては、ただもうけ主義だというので行って、結局御報告を聞きますと、先方の労使の関係のトラブル、これが悪感情を抱かせ、国際関係に微妙な関係も及ぼしますので、これをひとつ日本の企業も考えなくちゃならぬと、これは結論が大体一致いたしておりました。しからば、労働省は向こうの労働者に対して行政権の及ばぬところでありますからこれは問題外でありますが、やはり企業を通じて日本の労働行政を参考にしていろいろ考慮して最善な進出をする。こういう意味で、今後その点についても産労懇なり、ときによっては企業進出の方々と懇談して、いろいろな労政の問題について今後とも相当重点的にやらなくっちゃならぬと思います。いまインフォーメーションの問題も申し上げましたが、やはりアタッシェの問題、これも今後各外務省の出先機関に日本の労働行政としてこうだというような、いろいろ知識を与えたり、いろいろな問題に対しましてもこれは必要だと思います。まだ外務省のほうはそこまで、何というか、必要性を痛感いたしておりませんので、これはやはり労働省が中心となってよく政府部内の意見を統一して、御趣旨に沿うような、これは新しい観点から出てきた面でありますので、今後それに対しまして善処いたします。これは大いにやります。
#93
○藤井恒男君 大臣の御意向、私は真実であろうと思うし、またそうあってほしいんですが、正直に申し上げて、私は労働省――僭越なものの言い方だけど――怠慢かそれとも力不足かどちらかだと言わざるを得ない。なぜならば、いまおっしゃったレーバー・アタッシェ一つ見ても、私は各国の大使館に問い合わしたんですが、二等書記官を含めて、アメリカはレーバー・アタッシェを約七十名持っておるわけです。それから西ドイツが同じく七十名、フランスでも五十名、イギリスが五十名。これに対して日本は七名。七名ですよ。先ほど申したように、タイ国においては、わが国の外資の占めるシェアは三五%、アメリカは一七%ですよ。それくらいの開きで日本の海外進出企業というのは多いわけなんだけれども、いま言ったように、アメリカの約一割しかレーバー・アタッシェはいない。これは二等書記官含めてだけど。もちろんわが国には参事官なんて全然いないわけなんです。各国はぞれそれ参事官も持っておるわけです。この七名の日本のレーバー・アタッシェといっても、労働省から外務省に派遣されたいわばお役人ということになるわけなんです。私は、外国のそれがやっておるように、やはりこれは大臣ひとつお考えいただきたいと思うんだけど、私もアメリカに行ってよくわかったんだけど、このレーバー・アタッシェに経験者、要するに労働組合を実務として経験した人たちが非常に多く進出しておる。このことは私、重要なことじゃないだろうかと思うんです。お調べになったらわかると思うんだけど、タイに派遣されておるレーバー・アタッシェも現地のILOの幹部にまだ全然会っていない。それはやっぱりお役人としてずっと労働行政をなさっておっても、そういった労働運動という横のつながりというものについては、どうしても私、窓が狭くなるんじゃないかというふうに思うわけなんです。そういう意味で、今後はこのレーバー・アタッシェにどんどん労働組合の出身者を登用していく、そういう道を開くというのも一つの方法ではないだろうかと私は思うのです。外国ではもうすでにそのことをどんどん採用しておるわけですから、何もそれは労働省の管轄下というだけの問題じゃなくて、もっと広い視野に立ってレーバー・アタッシェが何をなすべきかということを考えるべきじゃないかと思うのです。外国で、現にタイあたりでアメリカの進出企業で労働問題が起きたら、まっ先にそこに出ていくのはレーバー・アタッシェなんですよ。専門家として労働問題に顔を入れて、そうして出先企業と現地人との間の調停役を果たしておる。こうした態勢というものが私は必要だろうと思う。これはわが国の進出企業、これでへたなことをしてシャットアウトされるようなことになったら、わが国が通商国家として生きていかなければならぬわけですから、たいへんな問題になる。だから、もっと労働省が声を大にしてその必要性を私、言うべきだろうと思うのです。その点についてひとつ。
#94
○国務大臣(加藤常太郎君) 労働省創設以来年数も浅いし、どうも労働行政が、海外問題に対するレーバー・アタッシェの問題も、これは御指摘のとおり、力不足というか、これは外国に比べまして、アメリカなんかに比べるとこれはもう話になりません。今後――まあこれも最近ようやくアジアなりまた各方面にレーバー・アタッシェを設置するということが実現し、実現しつつあるのでありますが、従来からは、ジュネーブなり、ヨーロッパ、アメリカ、アジア方面にという限定された、そうして人数も少人数でありますが、これは御指摘のとおり、今後大いに、力足らずというか、さようなことのないように御趣旨に沿うようにこれは大いにやらなくちゃならぬと思います。
 また、これは言いにくいことでありますが、やはり海外に行きますと、どうしてもお役人の体験だけでは各国のレーバー・アタッシェと比べましても、日本国内の一部の事情熟知という程度では、これはどうしてもいろいろな関係がうまくいかないと思います。そういう意味で、まあ、これは例が違いますが、アメリカの日本における駐在大使に実業家を起用する。これは例が違いますけれども、いろいろな面から、さような組合関係だけでなく、事によったら企業の経験のある人で労務担当の方とか、こういうようなことも私は必要と思います。ただ、日本の労働界の事情はいろいろな複雑なところもありますので、実際にこれを実施するという場合に、相当ないろいろな難問題もありますが、やはり私は広く人材をレーバー・アタッシェにこれを採用する。これは今後――従来の日本行政全体の点から見ましても、多少そういうような遺憾の点がありますが、特に海外においては他国といろいろな比較対照をされますので、御趣旨は大いに私はこれを体して、今後レーバー・アタッシェの選任に対しましてもこの問題を考えて検討しなくちゃならぬという気持ちであります。
#95
○藤井恒男君 だいぶ時間が来ましたので、最後の質問に入りますが、いまおっしゃったように、レーバー・アタッシェについては、アメリカでは約七〇%、西ドイツでは約六〇%が労働組合出身者なんです。だから、わが国でも健全な労働運動をつちかってきた有能な人がたくさんおるわけですから、そういった人たちをどんどん活用して、そして、まあ失礼な言い方だけれども、開発途上国の方たちの労働運動というのはまだまだ揺籃期にあるわけですから、健全な形でこれをやはりサポートするということは決して私出過ぎたことではない。むしろアジアとして連帯感を高めるよすがにもなるだろうというふうに思いますので、今後レーバー・アタッシェのどんどん増員をはかるという大臣のお話でございますので、そういった採用には広い視野に立ってひとつやっていただきたいと思います。
 次に、国際労働インフォーメーション・センター、これは先ほどお話が出ておったんだけれども、当初労働省から予算要求をしたわけですね、二千七百万円ですか。これが通産省のジェトロにこの予算がついたということは、これは労働省にとって面子のないことじゃないですか。面子とかいうことは下品なことばかもわからぬけれども、どうですこれ、大臣。労働省が必要として予算をつけたのが隣の通産省に行って通産省の予算についてしまった。労働省手をこまねいて黙っておる。これは労働行政でしょう。労働行政、いま言われたような趣旨のことが必要だから国際労働インフォーメーション・センターというのをつくろうとしたわけなんです。それがジェトロに持っていかれて黙っておるのか、どうです、この点。
#96
○国務大臣(加藤常太郎君) これは最初昨年末から本年に対して予算の、これは内輪の話でありますが、大蔵省の交渉ではこれはもう労働省独自のインフォーメーションをひとつ本年度芽を出したいと、こういうもう決意であったことはこれは間違いありません。ところが、やはり独自となりますと、人件費だけでなく、事務所なりいろいろな予算が多額になりますので、本年は遺憾ながらジェトロの一部にというようなかっこうでありまして、必ずしもこれは私は理想的な関係と思いません。しかし、とりあえず本年は出さなくちゃならぬという意味で、不満ながらこうなった。不満ということばは適切ではありませんが、いま御指摘のようなことも、これは内密ではあったのでありますが、やはり理想的な立場に立って来年度についてはいろいろ考えたいと思います。
#97
○藤井恒男君 時間が来ましたので最後に大臣にお願いしたいわけです。いま大臣は何かひとつつばつけてできればそれでいいわいというようなお考え方かもわからぬけれども、私はこの種のセンターを労働省に設置するのとジェトロに設置するのでは非常に意味が変わると思うんです。ことに海外で受ける印象、イメージというのは、これはもう質的に違うものだ。だから、ジェトロというものの存在意義、要するに日本貿易振興会ですからね、そこにセンターを置くということ、これはセンターの目的をやはり私、逸脱すると思うんですよ。そうでなくてもイエロー・ヤンキーというふうにいわれるようにとかく批判があるところに、そのセンターをこの際労働省に設置して、そして、かの地における現地人の登用をはかるとか、労使の安定をはかるとか、労働者の生活を豊かにするという情報収集をやろうとするのと、そのセンターを貿易振興会に置いてやるのとでは、これは受ける側の印象はもう全然違うと思いますよ。やはりもっと輪をかけてこの際さらにもうけるために労働問題を調査するのかととられたって何と答えますか。振興会における労働センターという目的は、そうとりますよ外国人は。だから私、この点はそう簡単な問題じゃないと思う。だから、それを手をこまねいて見ておるというばかな手は私、ないと思う。ただ、本年度の予算の中で、だからといってこれを組みかえることは私は不可能だろうと思いますので、この際大臣に、先ほど大臣自身が御決意をお述べになったとおり実行しようとするなら、来年度の予算ではこれを移管すると、この問題を。ジェトロはジェトロでそのセンターを持つことはけっこうですよ、それは。だけれども、来年度ははっきり労働省にこの種のセンターならセンターをつくる。そして、これにはやはりわが国のナショナル・センターが二つあるとはいうものの、健全な労働運動をやってるわけですから、労働組合も参画せしめて、一つの海外における労働問題の調査研究、あるいは意思の疎通をはかり、さらに発展せしめるための措置を講ずる、この種の構想をぜひ持っていただきたい。最後にそのことを確約していただいて私の質問を終わりたいと思います。
#98
○国務大臣(加藤常太郎君) これは私の意思は、御意見は大いに尊重してこれを参酌いたしまして、最初からその点で出発いたしたのでありますからその方針でいきます。本年はもう、私も就任当初で多少力足らずという点があったと私も反省いたしておりますが、御趣旨を大いに尊重して来年度はひとつがんばりたいというくふうをいたします。
#99
○藤井恒男君 お願いします。
#100
○矢追秀彦君 私は外人労働者の問題について少しお聞きしたいと思います。
 現在種々の形をもって外人労働者がふえてきておりますが、労働省としてはこの外人労働者に対してどのような基本的なお考えをお持ちか、まず伺います。
#101
○国務大臣(加藤常太郎君) 先般労働省が発表いたしました雇用対策基本計画にも、このごろ若年労働者が不足いたしまして高年者がふえているというような関係で、賃金その他が外国労働者を入れたほうが企業の立場からいくとうまくいくんではないか、こういうような意見も出ておりますが、先ほど言ったように、雇用の基本計画でも、閣議で了承いたしまして、原則として外人労働者はこれは入れないという原則は決定いたしております。
#102
○矢追秀彦君 現在労働省で確認をしておる外人労働者はどのぐらいおりますか。職種別にお願いいたします。
#103
○政府委員(道正邦彦君) ただいま大臣からお答え申し上げましたように、原則として外国人労働力を入れないというたてまえをとっておりますが、例外的に若干の者を入れております。それはわが国で養成確保することが困難な熟練労働者でございます。主体は中国料理のコックさん等でございますが、法務省から合い議を受けまして、労働省で、ほんとうに国内で養成することが困難な職種であるか、あるいはほんとうに経験のある熟練労働者であるかどうか等を審査いたしまして入国を認めております。四十七年に入国を認めました外国人労働者は二百四十七名でございまして、四十七年は若干多目になっておりますが、例年百人から百五十人、多いときで二百五十人程度ということになっております。
#104
○矢追秀彦君 いま言われたのは技術研修生ということでの数ですか。
#105
○政府委員(道正邦彦君) ただいま申し上げましたのは熟練労働者としての入国でございまして、研修訓練生は入っておりません。
#106
○矢追秀彦君 いまデータはあればいただきたいんですけれども、先ほど少しコックさんとか言われましたが、できましたら職種別に数字を、後ほどでもけっこうですからいただきたいと思います。いま少し申し上げた研修生、これはどういう実情でございますか。
#107
○政府委員(遠藤政夫君) ただいまお答えいたしました熟練労働者のほかに、技術研修のために入国いたしております者がございますが、これは数字だけ申し上げますと、四十六年度二百三十七名、四十七年度は十二月までに百二十名でございます。
#108
○矢追秀彦君 この研修生という名目で民間会社に入った外国人が、現状は研修はなかなか行なわれないで労働が強制をされて、それに対する不満も一部に出ておるわけでありますが、そういった実情について労働省はどの程度把握をしておられますか。
#109
○政府委員(遠藤政夫君) 技術研修生の受け入れにつきましては、入国希望者を法務省のほうから私ども労働省で協議を受けまして、その協議の対象になりました受け入れの企業、あるいは受け入れの取り扱い団体等につきまして実地調査をいたしました。その研修の受け入れの体制、研修の計画内容、そういったものが技術研修計画に照らしまして適正妥当なものであるかどうか、そういった点を十分審査した上で入国の許可に応ずるような体制をとっておるわけでございます。で、ただいま申し上げましたような実績で受け入れをいたしておりますが、先般来一部におきましてその研修の計画予定どおりの研修が行なわれてないような向きもございましたが、そういったものにつきましては、自後の監督指導の面で十分実地に指導いたしまして、予定の計画にそごしているようなものにつきましてはこれを是正し、指導するような体制をとっておる次第でございます。
#110
○矢追秀彦君 この技術研修生はどういう国から来ておりますか。国別にわかりますか。わからなければ大ざっぱでもけっこうです。あとで詳しいのはいただきたい。
#111
○政府委員(遠藤政夫君) ただいま手元に詳細な資料を持ち合わせておりませんが、韓国、東南アジア系統が主として大部分を占めております。あとで詳細な資料を差し上げたいと思います。
#112
○矢追秀彦君 やはり一番の問題は語学にあると思います。ことばの問題だと思いますが、この研修生に対する語学教育、日本語を教える、あるいはまた今度は逆にそういった人を現地のことばで指導できる指導員がその会社等にいる。どっちも必要だと思うわけですけれども、その体制が私はまだまだ整ってないように思うわけですが、その語学教育に対して、この技術研修生の語学教育に対してはどのような実情になっておりますか。
#113
○政府委員(遠藤政夫君) 民間企業でこの研修生を受け入れます場合には、研修の内容もさることながら、いま御指摘のような日本語のある程度教育ができるということも必要でありますが、その点も十分私どもは研修の内容ということである程度そういった教育ができるような体制のあるものということで審査をいたしておるわけでございます。本年度から労働省におきまして海外技術協力のために研修生を労働省で受け入れる計画を実施いたしておりますが、この制度につきましては、三カ月間日本語教育を中心としたオリエンテーションをやりまして、それの修了後それぞれの個別企業に研修を委託するというような体制をとっておりますので、民間企業の受け入れにつきましてもその点は十分そういう目的を達成し得るような手段を講ずるように指導してまいりたいと思っております。
#114
○矢追秀彦君 時間がきょうはありませんのであまり深く突っ込んではいたしませんが、実際、英語だけであればそう問題はないんですが、東南アジア諸国のことばになりますと、日本の外語大学の先生を取り上げましてもなかなか十分な教育ができない、そういう体制にあるわけでありますので、そういう点の東南アジアに関しては相当な配慮をしなければならないと思います。その点を強く要望をしておきたいんです。
 次に、お伺いしたいのは、特に東南アジア方面からこういった技術研修生の現地からの希望、これはかなり多いわけですか。ふえつつある傾向ですか。それはどの程度のパーセントをこちらでとっておるのか、競争率といったらあれですが、それがあるのかどうか、その実情はどうなっておるのか。
#115
○政府委員(遠藤政夫君) 傾向といたしましては、この研修希望、研修のために入国を希望する数はだんだんふえてきておると思います。ただ、具体的にどれくらいふえているかということは、詳細な数字は私どもでは把握いたしかねておりますが、先般産業労働懇話会の労、使、公益三者構成の東南アジア調査団が派遣されまして、その視察の結果によりましても東南アジアを中心とします発展途上国におきましては、日本の技術協力、特にこういった研修生の受け入れ、あるいは技術、技能の専門家の派遣、こういったことを強く要望されておりますので、今後そういった適正な研修内容、施設、そういった点から受け入れの可能なものにつきましてはできるだけ受け入れを積極的に推進していきたい、かように考えておる次第でございます。
#116
○矢追秀彦君 先ほども申し上げましたように、研修生が労働をさせられてしまってなかなか研修が実際受けられない、こういう点はやはり研修生と労働者の区別が明確でない、こういうところに問題があると思いますが、こういう場合の区別はどのようにしてきちんとされておるのか。またもし、かりに研修生をあまり教えないで労働を強要した場合、その責任者はどういうふうな処分をされるのか、勧告程度なのか、その点はいかがですか。
#117
○政府委員(遠藤政夫君) 具体的にこの研修生受け入れにつきまして、それが適当であるかどうか審査をいたします場合の基準といたしましては、職業訓練法によります職業訓練の基準という定めがございまして、この定められた基準に該当するような訓練の制度、計画、施設、そういったものが備わっておるかどうかということを一応の基準として、めどとしてこの審査をいたしておるわけでございます。したがいまして、従来までに研修生を受け入れております企業におきましては、完全であるかどうかは別としまして、一応この訓練基準に該当するような研修施設内容を具備しておるということが条件になっております。したがいまして、その制度によりましてこの受け入れられた研修生が研修を受けておるというのが実情でございますが、中にはたまたま一応の制度なり計画なり施設を持っておりましても、一般労働者と混合されて同じような形で研修の計画内容に欠けるような面があったものもないとは申しませんけれども、そういうものにつきましては自後の指導によりましてそれを是正させまして、そういった一般労働力として受け入れられたかのような誤解を招くことないように是正をしておる次第でございます。
#118
○矢追秀彦君 現在いろいろ問題になっておりますのは、観光ビザで入って来た人が実際働いておると、こういう事実でありますけれども、これはどの程度調査をされ、掌握をされ、それに対する対策を講じておられますか。
#119
○政府委員(遠藤政夫君) この研修生の受け入れの関係につきましては、六カ月以上の研修を必要とする者につきましては法務省から私どものほらに協議がまいりまして、それをただいま申し上げましたような一応の審査基準によって審査をいたしておるわけであります。研修の場合も六カ月末満の者は法務省の専管で、法務省のほうで適当であるかどうかを判断されて許可をされておるように伺っております。したがいまして、観光ビザで入国いたした者につきましては、私どものほうでは全くその内容が察知し得ないような状態でございますので、実際問題として観光ビザで入ってどこかで働いている、あるいは研修を受けているというような事実があるかもしれませんが、私のほうで関知できないような状態になっております。
#120
○矢追秀彦君 大きな会社ではそういうのはあまりないと思うのですけれども、実際、飲食店とか、そういうふうなところでは、かなり観光ビザで来た人が実際働いて、そして期限がくれば帰ってまた入れかえる、こういうのがかなり現実にあるわけですよ。これはどこが実際責任を持って監督をしておるのか、労働省なのか、法務省なのか、その辺はどうですか。
#121
○政府委員(道正邦彦君) 観光ビザで入国する場合には、観光でございますから労働省の所管外でございます。しかし、観光ビザで入国した方々が働くということになれば、これは本来入国目的に反する行為でございますから許されないわけでございますが、その辺の取り締まりはそれぞれ所管省でおやりいただく。基本的な政策といたしまして、外国人の規制について法律制度を外国がやっておるように検討すべきかどうかという基本的な問題がございますけれども、労働省といたしましては、政府全体が外国人労働力は入れないという基本方針をとっておりまするし、現に入ってきておる労働者が毎年二百人前後ということでございますので、将来の問題としては検討いたしたいと思いまするけれども、現在は法的な規制は何もない状態でございます。
#122
○矢追秀彦君 実際、私も詳しい調査をしたわけではありませんが、そういういま言った観光ビザで入って仕事をする人がどんどんふえてきておる。特にサービス業関係は、これからふえる可能性は十分あると思います。一応、いま政府の方針としては、原則としては外人労働者を受け入れないと、こう言われておりますが、まあ今後の問題として、やはりいろいろ実際、問題が出てくる。実際、人手不足、まあこれは人手不足になった原因は、こういうふうな経済高度成長にしたから人手が足りなくなった。だから、そちらを押えれば別に新しい労働力がなくてもいいじゃないかという議論もあると思いますし、また、最初に出てまいりました高年労働者の職業の転換ということでカバーできるという問題もあると思いますけれども、もう一つの問題は、やはり日本の今後の国際協力という点において、特にそういった東南アジア諸国の人が日本で技術を勉強して帰りたいということが出てきますと、先ほどの技術研修生というものをもっときちんとした形にして、むしろそれは拡大をしていくという方向が好ましいと思うわけでありますが、その点については、労働大臣は今後の問題としてどうお考えですか。
#123
○国務大臣(加藤常太郎君) これはもう日本の先ほどの企業の進出と同様、やはり政府としても東南アジア方面の、これはことばはどうかと思いますが、後進国を援助すると、これはもう方針でありますので、援助の一環としてやはり特殊技能とか、いろいろな点がアジア方面はおくれておると思います。そういう意味で健全な研修生の受け入れ、これはけっこうと思いますが、よく民間でいろいろな申請がきたり、いろいろなことがくるんでありますが、研修に名をかりて低賃金で働かすというような企業本位のことになってもたいへんであります。そういう意味で、今後これに対していままではあまりそういうことが顕著でなかったんでありますが、最近特に賃金の関係で、そういうような関係の申請も多々出てきておることを私自体も聞いておりますが、かような問題に対しましてやはり諸外国の情勢、日本の労働のまあ求人、求職のいろいろな関係、状況を考えて大いにやらなくちゃならぬが、へたをすると日本の労働行政の根幹を破壊することになって、日本人の労働者の賃金関係に悪影響を及ぼす、こういうような点も考慮いたしまして、やはりこれは政府は力をいたさなくちゃならぬと、これに対しまして昨年三千万円、本年は六千万円、人数にいたしますと本年は六十人分でありますが、小額でありますが、これを大いにひとつ活用して健全な研修生の養成はこれは大いに推進しなくちゃならぬという方針で、今後もその方針で大いに善処いたします。
#124
○矢追秀彦君 まあ、フランスでもいろいろ外人労働者が問題になっておりまして、かなり不穏な情勢まで出てきた結果になりましたので、日本の場合も、今後もしこういうようにだんだんふえてきた場合、差別ということで問題が出る可能性も十分ありますので、その点はひとつきちんとした配慮をした上で、まあいま大臣、予算のこともおっしゃいましたが、もう少し強力な私は機関が必要じゃないかと思います。いまあるのはあまり本格的な機関になっておりませんので、その点の機関を設置してやられるべきであると思います。そうしないと、やはりいま言った語学教育等の問題で非常に問題が出てくると思いますので、その点についての大臣の所感を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#125
○国務大臣(加藤常太郎君) 御指摘のとおり、まあ新しいひとつの傾向でありますので、まだ御指摘のように、予算的な裏づけその他の点についても遺憾の点も多くあると思いますので、御趣旨を尊重いたしましてこれが改善、充実、これに対しまして労働省といたしましては大いに熱意を持って検討してこれを実施に移していく、来年度は本腰に力を入れたいと思います。
  〔副主査退席、主査着席〕
#126
○塚田大願君 私は、労働災害の問題で御質問いたしたいと思います。
 まず、大臣に端的にお伺いしたいんですが、私は、ここにことしの三月二十四日付の読売新聞の岩手版を持ってきております。このトップの記事といたしまして、こういう記事が載っております。「保母さんの自殺。無にしないで!ケイ腕症候群患者の会立ち上がる。」こういうかなり大きな記事でございます。これ、ちょっと長い記事ですけれども、要するに、どういう事件かということを説明いたしますが、こういうふうに書いてあります。「去る十八日「ケイ腕症候群」と呼ばれる病気で苦しんでいた盛岡市内の保母、金野仁美さん(三三)が、北上川に入水自殺した事件は、各方面に大きな波紋を投げかけている。」で、間をおきまして、「しかも金野さんの場合は、職業病に認められなかったことが、金野さんを死に追いやったと見られている。」と、こういう事件であります。この事件、大臣御存じですか、どうですか。まず、お聞きしておきたいと思います。
#127
○国務大臣(加藤常太郎君) 報告は受けて、頸肩腕症候群の症状が原因であったと、こういうような報告を受けておりますが、詳細な点については、まあ重大災害でありませんので、もう少し詳細は知りません。政府委員からその点についてひとつ。
#128
○塚田大願君 いや、いいです。まあ、大臣が御存じならば、これから質問するのに都合がよろしゅうございますが、ただ、全然大臣が知らなかったというんでは質問になりませんのでいまお聞きしたわけです。要するに、大臣のためにちょっと説明しておきますけれども、この問題は、こういうことなんです。この金野さんという保毎さんは盛岡市のキンダーホームという保育所の保母さんでございまして、この方が三年前から手のふるえなどひどくなって、去る四十六年秋に休職をされました。そして、昨年六月に職業病認定の申請を盛岡の労働基準署に提出をされました。ところが、これが十一月になりまして却下になった。その後、はり治療などを続けておりましたが、病状は悪化するばかりでありまして、ことしの一月に市内病院に入院された。しかし、全治の見込みもなく家族に死にたいと漏らしておられた。まあ、こういうことなんですね、経過は。
 そこで、私もこの問題を調べてみましたが、この方の認定請求の趣旨理由書というものもここにございます。御承知のように、非常にこまかいぺンの字で、九枚にわたって書いてある申請書でございます。これにも、やはりこういうふうなことが書かれておりました。これは九枚読むわけにいきませんが、こういうことです、要点を言いますと。一人の保母が病欠すると他の保母にしわ寄せがくるために休むこともできない。そのため、栄養ドリンクやセンパートラベルミン、吐きけどめですね、こういう薬を飲みつつ仕事をしていた。治療は現在はりきゅうぐらいしかない。これには保険がきかず毎日三百円、月六千円から八千円かかる。経済負担が非常に大きい。先が長いことを聞くと不安で、ときどき死んでしまいたくなるときもありますと、本人の申請書に出ておりますが、これが却下になったということなんですが、いろいろ地方紙も報道しておるんですけれども、もしこの新聞がほんとうに報道しておるような事実だったとすれば、この申請の却下というものはどういうものなのかということになると思います。したがって、労働省としては、こういうほんとうに却下ということが、この方を死に追いやったということになりますと、一体どういう責任をおとりになるのか、それをまずお聞きしたいと思います。
#129
○政府委員(渡邊健二君) 頸肩腕症候群につきましては、かなり前から業務に基因して非常にそういう問題の発生があるということで問題になっておるわけでございますが、従来非常にそういう問題の多かったのは、たとえばキーパンチャーだとか、あるいはレジを取り扱うチェッカーだとか、そういうような手指をよく使う作業に従事される方が手を非常に使われることで頸肩腕症候群になられることが多いということで問題に相なっておったわけでございまして、私どもはそういうことで、頸肩腕症候群につきましては、数年前からいろいろ研究をしたり、専門家の御検討をいただいたりしておるわけでございますが、そういうことで、そういう手指作業をする人の頸肩腕症候群につきましては、いままで業務上外の認定基準等も専門家につくっていただきまして、そういうことによってその認定に当たっておるわけでございます。ただ、そういう手指作業でない一般の方については、これは必ずしもそういう事例も多くございません。したがって、これはケース・バイ・ケースによりまして、そういう申請があられる場合には、専門医の御意見も聞いて業務上外の、業務に基因するものかどうかという判断をしていただいておるわけでございます。
 それで、先生いま御指摘の方につきましても、私ども現地の局から、そういう方から業務上に基因する頸肩腕症候群だということで、労災の給付の請求があったけれども、専門家の意見も聞いて、不支給の決定をしたというふうに聞いておるわけでございます。なお、業務上外の認定をいたします監督署長の行政処分に対しまして、それに不服であられる方は保険審査官、さらにはそれに不服である場合には、中央におきます労働保険審査会という不服審査の手続がございまして、そういうもし異議があられれば、そういう行政異議審査の手続があるということも御本人にはよく説明をしてあるというふうに現地の局からは聞いておるわけでございます。したがいまして、私どもは専門家の御意見も聞きまして、これは業務に基づくものと認定をしなかったわけでございますので、私どもは、それが業務に基づいたもんだとはいま考えておりませんが、まことにお気の毒なことでございまして、もし、そういう認定等に御不満があれば、法律に基づいてせっかく設けられております不服審査手続等もさらに十分活用して御納得いく手続をとっていただけたらと、こういうふうに感じておるところでございます。
#130
○塚田大願君 いろいろ説明がありましたけれども、その監督署のこの決定の通知書も私、控えを持っております。まあこれだけのものです。何行でしょうか、五、六行です。片一方は、こまかいペンで九枚も十枚も書いてある。ところが、監督署の通知というのはまことにちょっとわれわれが読んでもよくわからないですね。要するに「業務の過重により増大したとは認められない。」とか、「医学的所見によれば、多覚的に所見が認められない」とか、こんなことをちょこちょこと書いて、そしてこれを却下した、こういうことなんです。いま不服申し立ての制度もあるとおっしゃいましたけれども、一般の方々ですね、これはなかなかそういうお役所を相手にまあけんかをするような、そういうことはそう簡単にできることじゃないんですね。もっと私は、こういう労働行政が親切であれば、少なくともこの方は、まあ相当痛かったために、そしてまた経済的な問題もあって、こういうことになったと思うのですが、私は、この辺にやはり問題が一つあるということを非常に強く感ずるのです。いまキーパンチャーとか、幾つかおっしゃいましたけれども、最近、非常に頸肩腕症候群に悩んでおられる方が多いのですね。だんだんふえてきます。私の娘は小学校の先生しています。四、五年やっていますが、最近痛いと言い出しまして、病院行ったらどうもおかしい、こういうことなんです。ですからこのキーパンチャーだけでなく、今日では看護婦、保母、特殊学校寮母、一般事務員、教員、印刷工、板前、新聞記者などの業種まで、つまり三十種類ぐらい、こういう病気が広がってきておる、こういうふうにいわれておるのです。ただ、表面があまりはっきりしないものですから、何だかあいつなまけ病じゃないかなんということをよく俗に言われておるのです。したがって、私はこういう状態にあるときにやはり労働省がこういう新しい職業病をはっきりさせて、そしてその認定ももっと積極的におやりになるということが私必要だと思うのです。ところが、たとえば、こういう新しい職業病の点につきましては、横浜や東大阪では同じ保母さんでも認定されておるのですね。ところが岩手では認定をしない、こういういまばらばらな状態だと思うのです。それはいろいろケース・バイ・ケースだとおっしゃる、その相手によりけりだとおっしゃるのだけれども、しかし大体病状というものは一つなんであって、私は、こういう新しい職業病に対しては、こういうばらばら行政でなくて、もっと積極的な姿勢で取り組んでもらいたいということ、これが一つ。
 それからもう一つは、この職業病というのは、企業者側が非常にしぶるのですね、保険金掛け金の問題で。だから結局本人がその病気を証明しなければ、医者の証明で認定されない、こういうことになる。そうでなくて、やはり公害病と同じで企業者側の挙証責任を明らかにする、むしろ、その企業者側のほうでその病気ではないという証明をさせる、企業者側の挙証責任制をむしろはっきりさせる。いまは逆です。自分本人が私は病気ですよという証明をしないと、これが認定にならない。そうでなくてやはり公害病のように、企業者側の責任を私ははっきりさせるような、そういう措置を私はとる必要があると思うのですが、この点は大臣にお聞きしたいと思うのです。
#131
○国務大臣(加藤常太郎君) この問題は、最近特に各方面でこれが問題化しまして、いま御指摘のようにチェッカーとか、いろいろな関係だけと思いましたら、電話局員だとか保母さんだとか、いまのお話ではタイピストだとか、やれコックなどもなるというように、いろいろ広範囲になりまして、私の承知いたしておりますのは、大体三千何百人がいま対象になっておる、こう聞いておりますが、新しい一つの――病気は従来からあったんでありましょうが、いま、私の意見ではありませんけれども、塚田議員からおっしゃったように、それに便乗して、私はここが痛い、ここが痛い、こういうのも取り入れると、これはたいへんなことになりますので、やはり基準――出先の各機構の職員が断定すると、これもなかなか、やはり医学的な知識がないと困りますので、これは衆議院のほうでも、もう四、五回いろいろこれが問題になっておりますので、御趣旨のような、何かこう、やはりこれは普通の、専門家でない方の判定というのも、これはなかなか困難な点もありますので、やはり専門医の判定ということはこれはいたし方ないと思いますが、特に最近はいろいろ執務の状態が機械化いたしますし、科学化いたしますし、器具もいろいろ緻密になってきておりますので、よくこれらに対して、御趣旨の線に沿ったような一つの基準的なものを――地域によってこれは認めぬ、地域によっては認めると、担当の係官によってはと、こういうふうなことになってもたいへんでありますから、最近の現象でありますので、御趣旨のような線で十分検討いたしますから、特にこれは大問題になってきつつありますので、以上のような考え方で進めたいと思います。
#132
○塚田大願君 ぜひ大臣がおっしゃるように前向きな姿勢で、とにかくこういう不幸をもう二度と繰り返さないようにしていただきたいと思うんですね。一人の命といえども決してこれは粗末にしてはいかぬ。労働者の一人の命を大切にするというのが私は労働省の一番大切な基本理念でなければいけないんじゃないかというふうに考えるんです。その点ぜひひとつお願いしておきたいと思います。
 次に、私は労災病院の問題についてお聞きいたします。
 労災病院は労働省の所管で、かなりたくさんの病院をお持ちでございます。また、この労働災害対策施策といたしまして非常に重要な役割りを持っておると思うのでございますが、昭和三十七年以降、この労災関係の病院が全国で三十四あるそうでございますが、この労災病院が全部独採制になった、独立採算制にされた。特に昭和三十九年以降は、これが非常に強力に実施されるようになったということでございますが、その結果、この労災病院の事業内容というものが非常に悪くなった。つまり労災患者を軽く扱う、そういう方向に走っているというふうに私は感ずるのですが、この実態はどうでございますか。時間もございませんからごく簡潔にひとつ御答弁を願いたい。
#133
○政府委員(渡邊健二君) 労災病院につきましては、労働保険から建設費や機械、器具費等は出資をいたしてこれをつくっておりますが、平常の運営につきましては、医療収入をもって諸経費をまかなっておるわけでございまして、これは当初からそういうような運営をとっておるわけでございます。しかしながら、労災病院がそのために運営がゆがめられておるというふうには考えておらないわけでございまして、確かに看護婦の不足の問題等等はございますけれども、これは労災病院だけじゃなくて、現在の各病院に共通したそういう看護婦等の不足等の問題もあるわけでございます。私どもは労災病院の運営につきましてはできるだけ努力をいたしまして、労災患者に十分な必要な療養を施し得るよう、その適正な運営をはかるように労働福祉事業団に指導してまいるようにつとめておるところでございます。
#134
○国務大臣(加藤常太郎君) 政府委員から答弁したように、私も地元に労災病院がありますので、いろいろ、よく差額ベッドの問題だとか、労災の方以外にも診療すると、いろいろな御要望が出ておりますので、かような運営等について、なお一そう私ひとつ全国の病院の責任者も呼んでいろいろな非難がないように、やはり本来の使命を――ただ独立採算だからといっても、ほかの病院と違ったような使命の重大性を認識して、それに対処するように、最近責任者を呼んでよく御趣旨の線に沿うように善処いたしたいと思います。いろいろなことを聞いております。
#135
○塚田大願君 局長はたいしたことはないと、そんなに間違ったことはやっていないとおっしゃるんだけれども、私どもから見ますると、たいへん狂っておると、労災病院は。たとえばここにも統計ございますよ。入院患者の構成をひとつ見ましても、年々労災者の入院の比率が下がっているんです。昭和三十七年には四〇・九%であったのが、四十六年度は三〇・一%になっております。どうです、この十年間ばかりの間に一〇%も比率は下がっておるのです。外来の場合でも同じ、外来の場合では三十七年に一四%であったものが今日、四十六年度は一一%です。こんなふうに比率が下がっておる。しかし労働災害はふえておる。こういう実情で実際はこれに逆行しておるというこの数字がちゃんと私は証明していると思う。
 それからいま大臣はしなくもおっしゃいましたが、差額ベッドの問題ですね。これだって私は、労災病院に差額ベッドがあるというのは実は知らなかった。聞いてみてびっくりしました。まあ、一般の病院に差額ベッドがあるというのは、これはある程度常識になっている。しかし、労災病院で差額ベッドというのは一体何だ。そこで、私はこの点もいろいろ調べみてましたけれども、相当数の差額ベッドがある。これについて局長一体どう考えるか。先ほどの答弁に照らしてどういうふうに御答弁されますか。
#136
○政府委員(渡邊健二君) まず、第一点の労災病院で労災患者の占める比率が徐々に下がっているという御指摘でございまして、私ども、そういう実情を承知いたしておるわけでございます。これはまあ一つには、労災病院を設置いたしましたとき以後の産業構造の変化等で、たとえて申しますと、昔は九州とか北海道とか、いわゆる炭鉱地帯には非常にたくさん集中して労災病院を建てたわけでございますが、石炭産業の事情の変化から、そういう炭鉱労働者が減ったといったような問題もございましょうし、また、他面におきましては、昔は一般の民間の医療機関の設備が非常に貧弱でありまして、労災病院というのは非常に設備の整った数少ない施設であったわけでございますが、逐次一般の病院の設備が充実してまいりまして、公立病院あるいは民間の私立病院においてもいいものができてまいりましたために、労災にかかられました方でも、近所にいい病院がある場合には、必ずしも労災病院に来られなくて、近所のそういう官公立病院、あるいは民間の病院にお入りになるという方もあられる。こういったような事情もあるわけでございまして、私どもといたしましては、決して労災患者が入院を求められたのに労災患者を入れないでよその労災以外の患者を優先して入れておると、そういったようなことはいたしておらないわけでございまして、労災患者の方、もちろん、労災病院設立の本旨に基づきまして、優先してお取り扱いをしているところでございます。
 それから第二点の差額ベッドのことでございますが、差額ベッドと申しましても、全部が全部不適切だということで私どもないと思うわけでございます。たとえて申しますと、病状によりまして非常に重い方などは一般の病室でなくて、個室とかあるいはその他の上級病室に治療上お入れする必要がある場合があるわけでございますが、そういう場合につきましては、差額ベッドと申しましても、その差額は本人から徴収するということでなしに、労災保険からそういう病状によって必要を認めて特別の部屋に入れた場合には、その差額を労災保険から給付をいたして手厚い療養をするようにいたしておるわけでございます。なお、療養上は特にそういう特別の部屋に収容する必要がないというような場合でありましても、近時はだんだん諸事、一般の方の希望の程度が高くなってまいりまして、特別な部屋に入りたい療養上はそういう必要を医者は認めなくても、そういう御希望の方もあるわけでございますので、そういう点も含めて必要に応ずるために差額ベッドをある程度設けることは私どもは必ずしも一がいに非難すべきことではない、かように考えております。ただ、全体としてはそういうことでございますが、個々の病院によりますと、私ども見ましても差額ベッドの設け方、運営等について必ずしも適切でない点がございますので、その点につきましては先ほど大臣からお答えもございましたように、十分適切な運営がされるように今後一そう指導してまいりたい、かように考えるわけでございます。
#137
○国務大臣(加藤常太郎君) もう先ほどもお答えしたように、事業団も指導者を通じていろいろな御指摘の点をなお一そう改善することはけっこうでありますから、よく最近のうちに一ぺんやることと思います。私は直接というわけにいきませんから事業団を通じていろんな点を私ども聞いておりますから、局長のほうはうまくいっているといいますけれども、いろいろ細部にわたってはさような点もありますから、注意を喚起して、そしてやはり改善するところもありますから、施設もところによっては老朽化したりいろいろな関係ありますので、やはり大いに改善に努力する、こういう方向に持っていきたいと思います。
#138
○塚田大願君 さっき局長がくどくど時間をかけて弁解をするんですけれども、とにかく独立採算制をとっておる。そうなれば病院として自立していかなければならない。当然労災の患者じゃもうからない。差額ベッドをたくさんつくってやらなければならない。これは当然論理的な必然性だと思うんです。そういう意味で私は差額ベッドが非常にふえてきたと思う。ここに数字がございます。こういう状態です。大臣よく聞いてください。富山の労災では一〇〇%が差額ベッドですよ。これはどういうことですか。驚くべきものです。大阪労災八七%、関西労災六三%、関東労災五五%、厚生省はかつて昭和三十九年に、この差額ベッドについて病院に対する通達を出した。ここではともかく五分の一ないし四分の一以下にしなければいけない、一般の病院は。こうまで言っておる。ところが国の所管する労災病院が、国の監督する労災病院が一〇〇%なんて私はもってのほかだと思うんですよ。まず弁解よりも私はこれをはっきり解決していただく。そうして、ほんとうに労災の立場に立って問題を処理していただきたい。
 もう時間がきまして督促がありますので私あれしますが、この労災病院の場合にもう一つ重要な特徴があります。リハビリテーションですね、これも問題なんです。これはいまの点数ではとてもやっていけない。結局、指導員なんかを減らしてやっている。満足なリハビリテーションができておらない、こういう実態もございます。ここにも資料を私たくさん持っています。それはリハビリなどといっても名前だけ。ですからこういう問題が山積しておりますので、ぜひひとつ大臣の適切な指導をお願いしたいと思います。
 最後に、私は先ほど出しました失対賃金の問題について一言だけ大臣の所信を聞いておきたいのですが、やはりさっきからも論ぜられまして、私も聞いておりましたけれども、失対賃金というのは今日まあとにかく四十八年度で賃金改定をしても一三・二%、月二十二日働いても三万一千九百十八円、これじゃやはり人間として暮らしていけないことは明らかです。ましてこの失対の人たちは二・五人の世帯を持っている。これに三万円ばかりの金で食っていけなんといったって、これはもう無理な話なんで、ですからいま失対の方々が五百円のアップを要求されるのは、私はもうこれはまことにつつましい要求であって、これをしも聞き届けられないというふうな労働行政であっては私福祉国家が泣くのじゃないか。田中総理も福祉元年だなんていわれているし、特に、福祉のためには労働省や厚生省の役割りというものは私は大きいと思うのですよ。ですから大臣、あまりみみっちいことを言わないで、思い切ってこの辺で内閣の中でも大いに大論議をやって、私は、この失対の賃金についてはひとつぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思う。そのためには大臣、私ひとつ提案があります。私先ほど保母さんの自殺することを言いました。いま失対のことを言いました。こういうところが一番目が当たってないのですよ。一番たいへんな仕事をやっておられる。私は労働大臣というのはまずそういうところを実情をはっきりつかんで、閣議では最近、水戸黄門がはやっているのだそうだけれども、大臣もひとつ失対の箱番か何かに朝早く行って話してみてごらんなさい。私はその辺のことがよくわかると思う。労働行政の真髄を私はつかむことができるのじゃないか。そのことをひとつ最後に要望して、大臣の御答弁を聞いた上で私の質問を終わります。
#139
○国務大臣(加藤常太郎君) ほんとうにいいアイデアで、私もそう思っておったのであります。ちょうど国会でいま審議中でありますので、これが済んだらそういうことをしたい。いまのいわゆる失対の問題も本年もがんばったのでありますが、がんばって皆さんの御期待にもう少し沿えないという御批判もありますけれども、今後その点については努力いたします。
 リハビリテーションの問題は、それはもうほかの病院もやっておりますけれども、労災病院のこれは何といっても主たる目的でありますので、この点も御趣旨に沿うように大いに検討いたします、労災病院の特殊性の特に大事なところでありますから。
 以上であります。
#140
○主査(矢追秀彦君) 以上をもちまして、労働省所管に関する質疑は終了いたしました。
 午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後一時十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時七分開会
#141
○主査(矢追秀彦君) ただいまから予算委員会第四分科会を再開いたします。
 分科担当委員の異動について報告いたします。
 ただいま小野明君及び塚田大願君が委員を辞任され、その補欠として須原昭二君及び加藤進君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#142
○主査(矢追秀彦君) 昭和四十八年度総予算中厚生省所管を議題といたします。
 午前の会議と同様、政府からの説明を省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#143
○主査(矢追秀彦君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#144
○阿具根登君 厚生大臣に御質問申し上げますが、これは厚生大臣ということよりも法務大臣に質問するのが妥当だと思いますけれども、厚生大臣の考え方をお聞きいたします。
 終戦後、極東裁判がありまして数名の方がそれぞれ刑に付されましたが、そのほか、日本の軍事裁判によって相当な方々が処刑されておる。この問題について、極東裁判と日本の軍事裁判とは一体どう見るべきかと。この問題について、厚生大臣のお考えをお聞きしておきます。
#145
○国務大臣(齋藤邦吉君) 極東裁判は、国際的な戦犯をさばくという裁判でありましたでしょうし、それから国内の軍法会議その他の裁判は、国内における軍人に対して日本の内部における裁判というふうに理解をいたしております。
#146
○阿具根登君 それは読んで字のごとくでございまして、私は、そういう意味で尋ねておるわけじゃないんです。戦争責任においてどちらが罪が重いだろうか、どう判断すべきだろうかと。それはいろいろ感情があります。敗者を勝者がさばくということはいままでなかったじゃないかという反論もございますし、国民感情もいろいろあります。しかし、終戦後二十八年もたった今日、極東裁判で裁判を受けた人あるいは国内の問題で軍事裁判を受けた人と、これをいま静かに考えてみる場合に、極東裁判は外国の人がやったんだ、軍人裁判は日本の軍隊がやったんだと、それで片づけられるかどうかという問題なんです。字句の問題じゃなくて、精神的な問題をお尋ねしておるのであります。
#147
○国務大臣(齋藤邦吉君) 戦後もうすでに何十年――二十八年も経過しておる今日でございます。そういうふうな事態を踏まえて考えてみますと、日本人が日本人をさばくという裁判についてはもうちょっとあたたかい措置があってもいいんじゃないかと、こういう私感じをしております。戦争中のまっただ中の裁判であればこれまた別でしょう。しかし、終戦前後という大混乱の、有史以来の大混乱のときに日本人が日本人をさばくということをいたしたわけでございまして、こういう点は相当私はあたたかい気持ちで見る必要があるんではないかと、こんなふうな感じをいたしております。
#148
○阿具根登君 わかりました。そういう大臣のお気持ちをくんで御質問を申し上げていきます。
 そういうお考えからしますと、いろいろ刑法の中身がそれぞれ違っておりますが、たとえば、極東裁判によって極刑をされた方々の遺族に対しては慰謝料が、遺族扶助料が当然支払われておる。これは法律できめられておるから、ここで異論を申し上げるわけでも決してございません。しかし、日本の軍法会議で処刑された方々の中に二十八年たって今日まで遺族扶助料ももらっておられない方々がおられるわけなんです。これは、一体どういうふうにお考えになりますか。
#149
○国務大臣(齋藤邦吉君) 実は先般も、こういう問題が敵前逃亡という、これは戦争末期のことでございましたが、そういう事案がありまして、ああいう混乱の際に敵前逃亡をやられた方々の扶助料、奥さん方の扶助料、これを支給しないのはどうであろうかというふうなこともありまして、先般これを改正いたしましたことはすでに御承知のとおりでございます。そういうふうに具体的な例々によって多少は違うかもしれませんが、できるだけやっぱり一般論を申し上げますれば、一般的に申し上げますれば、できるだけあたたかい処遇をして、かりに戦争でなくなられたその本人は別として、もうすでになくなっておるのですから、その奥さんや子供さん方のことを思えば、そういう方々、かりに敵前逃亡といたしましても戦地のことは何もわからないわけです。おとうさんはりっぱな兵隊として行って名誉の戦死をしたと、こう思っておられる方もおるでしょう。そういう意味合いにおいてあたたかい気持ちで一般的には私は見てあげるのが筋ではないかと、こういうふうに考えております。
#150
○阿具根登君 わかりました。そういう意味で、恩給局長お見えになっておりますね、お尋ねいたします。
 私が援護局にお願いしましていただきました資料がここにございますが、これも法律できまっておると思うのですが、軍法会議で刑がきまって大赦令で大赦になった、そういう方々も二年以下の人は恩給復活だと、それ以上は復活じゃないと思っておりますが、それはいかがですか。お尋ねいたします。
#151
○政府委員(平川幸藏君) 御指摘のとおりでございます。
#152
○阿具根登君 そうしますと、私がいただいたこの資料の中で終戦前のことは一切含んでおりません。終戦後軍法会議によって刑を受けた人、それぞれありますが、合計で二千三百二十三名おります。その中に大赦令に該当しない人が相当ございますが、これは別の問題としておきたいと思うのです。同じ軍法会議であっても、一般刑法を使用されてやられたとか、あるいは私たちが聞くにたえないような事件もございますから、そういう問題を一緒に私は質問しておるんじゃないんです。
 それでたとえば、いま厚生大臣が言われました逃亡の罪、これ一つとってみましても、終戦になってから五百一人の人が処刑を受けております。そうして、二年以上の刑に服された人が四十名おる。さらに抗命の罪、これで九十名の人がおる。そして、その中で二年以上の人が二十七名。暴行脅迫及び殺傷、これは二つに分けてございまして、たちの悪いのといいますか、大赦令に該当しない者が三十名おりますが、この中にそれ以外に二年以上の刑に服した人が七十四名、合計百八十四名という人は、これはすべてが恩給や遺族扶助料に該当する人だとは思わないですよ。それはいろいろあるでしょう。しかし、この中に遺族扶助料あるいは恩給、そういうものに該当する人はどのくらいおりますか、いま私が申し上げた数の中に。
#153
○政府委員(平川幸藏君) 実は、恩給の裁定につきましては、先生も御承知のことかと思いますが、権利のある者につきましてのみ厚生省を通じまして私のほうにまいっておるわけです。先ほど先生が指摘されました二百数十名の中に、はたして何名ぐらいがどうなっているかということにつきましては、私のほうではわからないということでございまして、履歴を持っておりまする厚生省のほうでわかるとすればわかるということでございます。
#154
○阿具根登君 厚生省、わかりますか。
#155
○政府委員(高木玄君) 具体的なケースについて調査してみないと、ちょっとわかりかねます。
#156
○阿具根登君 そうすると、これを調査するとすれば、援護局が調査するんですか。それで、一応急なことで調査できておらないかもしれませんから、わずか百八十四名です。そのうちおそらく大部分の方はそういう資格のない方だと思いますからわずかだと思いますが、調べればすぐわかると思いますから、一応調査していただきます。
 そこで、昨年衆議院でこの種の問題が質問あったときに、こういうことが言われておる。昭和二十年八月十四日ポツダム宣言受諾と同時に日本の陸海軍は解消したものと認めなければならない。そのため陸海軍人を軍法会議で処罰したものは無効となるというような見解、それに似た見解を陸幕が出しておる、こういうことが言われております。これは、当時の竹下官房長官も認めておられるようでございますが、厚生大臣はどういうふうにそれをお考えになりますか。
#157
○政府委員(高木玄君) 軍法会議の効力の問題でございますが、この終戦後の軍法会議の効力はどうだという問題につきまして、陸海軍の軍法会議は、終戦後も復員部隊の規律保持という観点から、逐次廃止されつつありましたけれども、新憲法施行の日の前の日でありまする昭和二十二年五月二日まで、なお一定の範囲で適法に存置されておったということであります。そして、新憲法の施行により陸軍海軍刑法とともに全面的に廃止されまして、その事務はそれぞれの後継裁判所に引き継がれることになったのであります。したがって、軍法会議がその廃止に至るまで言い渡した裁判は、一般的に有効なものだというふうにされているように承知いたしております。
#158
○阿具根登君 軍隊が崩壊してしまってから、一部、一定の期間そういうことはやられたと思うんだけれども、それは、同時に軍隊が崩壊しておるから、その後にこれは消えるものだと、こういうふうに解釈されておるものと思いますが、それはいかがですか。
#159
○政府委員(高木玄君) 軍隊は解体になりましても、やはり海外から復員部隊が正々と復員してこなければならないわけでございますので、それらの復員部隊の規律保持の観点から存続されたものというふうに考えております。
#160
○阿具根登君 それはわかっておるのです。それはわかっているけれども、そういう過渡期の場合のその処置というものは一時的な処置であって、そして、新憲法下になったならば、これは当然消滅するものだと私は思っておるのです。それはなぜかならば、そういうどさくさのまぎれに正しい軍法会議が行なわれておるか、行なわれておらないかという問題が問題なんです。そのころ軍法会議の法務官だけが整然としておったという姿じゃなかったと思うのです。あとで事例も出しますがね。そういう法秩序、きまった法律どおりの裁定でなかったことも、その当時のどさくさではやむを得ないと私は思うのです。しかし、それはそのとき一時であって、新憲法下ではそれは一切認めることにはならないんだ、私はそう思うのですが、いかがですか。
#161
○政府委員(高木玄君) この終戦後の軍法会議で陸・海軍刑法を適用いたしまして刑に処せられた者の大部分につきましては、昭和二十年、二十一年、二十七年の三度にわたる大赦令によりまして赦免の対象になりまして、刑の言い渡しの効力が失なわれております。また、そのポツダム宣言受諾の趣旨にかんがみまして、昭和二十一年当時から大赦令による赦免とは別におよそ軍事関係法令に違反して受刑中の者につきましては、その罪名のいかんにかかわらず、治安上支障がない限りすみやかに仮出獄または刑の執行停止の方法によって釈放する措置を講じてきたように思います。
#162
○阿具根登君 それも存じております。それも存じておりますが、今日の時点から考える場合に、大赦令によって罪を免除されたというそのものに私は今日は疑義を持っておる者です。当然軍隊がなくなった。それは、明治憲法のもとで軍隊が認められ、軍法会議が認められておった期間の問題は別として、大赦令で免除になったということでなくて、当然終戦直後はその罪はなくなったと、私はこう見るわけなんです、軍隊がなくなったから。でなければ、これから私が質問に入ります終戦当時の都の防衛の主力航空隊であった厚木航空隊の司令が、海軍大佐小園安名氏が、これが徹底抗戦を叫んでやった場合の軍法会議には、これは御承知のように、陸・海軍刑法によっては佐官以上には弁護士が二人ついておらねばならないことになっておったのです。それが弁護士も何にもつかずに、これが十月の十七、八日ごろ二日か三日で終身禁錮になされておるわけなんです。陸軍刑法にさえ違反しておるわけなんです。それが今日まで続いておるとするならば、あなたのようないまの答弁でそれが通用するかしないかお尋ねします。
#163
○政府委員(高木玄君) 先生の御質問のように、軍隊が解体した以後の軍法会議における刑の言い渡しはすべて無効だというふうに解釈するかどうか、この問題につきましては、実は法務省のほうの御見解を徴していただきたい、私どものほうではちょっと法の有権解釈はいたしかねる立場でございます。
#164
○阿具根登君 もちろん、このあと法務省に私は尋ねていきますよ。しかし、援護局を預かっておるあなた方の考えをいま聞いておるわけなんです。これは、法的に法務省に質問するようにちゃんと次の時間とってありますから。これは法的に私は皆さんに質問しておるわけじゃないのです。あなた方が、援護という名前でやっておられる限りにおいて、こういう事態があった場合はどういうふうにお考えになるかということを私は聞いておるわけなんです。
#165
○政府委員(高木玄君) この厚木航空隊の事件を先生おあげになりましたが、この厚木航空隊の事件につきましては、当時海軍の軍法会議が持たれましてさばかれたわけでございまして、その当時は、まだ海軍省も残っておった時代だったと思いますので、私ども聞いておるところでは、この軍法会議は有効に成立しているというふうに聞いております。
#166
○阿具根登君 こういうような、人が人をさばく場合にはあくまでも厳然たる規定に従わなければならないはずです。そうしなかったらそれは無効なんです。それなら先ほど申し上げましたように、これもまた向こうでやりますけれども、弁護人が一人もつかずに、そしてどさくさできめられたやつが正しいとお思いになりますか。当然きまったように軍法会議なら軍法会議でも弁護人が二人つかなければならないはずです。それが弁護人がついていないんです、一人も。何の釈明の余地も与えられておらないんです。それで、先ほど厚生大臣も言われましたように、敵前逃亡であってもあの場合はやむを得ないんだ、だからこれは無罪にすべきであるということをおっしゃられておるわけです。この小園大佐の罪名というものは党与抗命罪です。人を殺したわけでもない、逃げたわけでもないんです。いままで軍中枢の命令によって降伏というものはあり得ない、日本は勝つか死ぬかどっちかだという訓練を受けてきた人が、突如降伏だと言われたので、日本には降伏はないという訓練をわれわれは受けてきた、教育を受けてきておる、だから降伏してはならぬというビラをまいた。ビラをまいただけでこの人は終身禁錮になったわけなんです。どういうふうにお考えになりますか。
#167
○政府委員(高木玄君) 私どもの感じでは、終戦時に際しまして、終戦のときの非常な非常事態、その混乱におきましてさまざまな事件が発生いたしております。たとえば、陸軍における宮城事件等も同じような終戦時における徹底抗戦を叫んだ人たちによりまして宮城内におきまして陛下の録音盤を奪うとかあるいは当時の司令長官を射殺するとか、そういったような、陸軍におきましても宮城事件のような事件が起きております。これらの事件につきまして、確かに先生言われるように、厚木航空隊の事件では、もちろん、人を殺したというような事態は一つもないわけでございますが、当時の海軍としてはこの事件を何か非常に重視して重く扱っておるという感じが私の率直な印象として受けます。何かこう、非常にこの事件を海軍省が最後に非常に何かたいそうなものに扱ったというふうな感じを率直に受けております。
#168
○阿具根登君 局長のただいまの答弁と全く私も同感です。だからこういう質問をしたいんです。
 当時、調べてみますと、台湾におきまして、航空隊は、内地が降伏しても台湾は徹底抗戦だということで八月の二十日まで夜間訓練までやっておるわけなんです。そういうのは一切罪がないわけです。そしてさらに、終戦放送後、第五艦隊は出撃しておるわけです。そういうのも何の罪も科せられておらない。それに、ただ抗戦だといってビラをまいた人を長にして六十九名の人がこの罪に問われたというのは、たまたまその直後、アメリカの駐留軍が厚木を駐留の基地にしたいといってきたので、アメリカに対する非常な遠慮からこの人たちが犠牲にされたというような気がして私ならないんです。だれ一人傷つけていないんですね。あのときに一人も抗戦言わなかったらそれはおかしいんです。いまから考えてみるとばかみたいなことだとこう思いますけれども、あの雰囲気から考えるなら、当然そういう人が、それは陸軍でいまおっしゃいましたようにいろんな問題が起こっておる。そのくらいのどさくさというのはこれは当然だと思うのです。それをなぜここだけがこういうきびしいやつにさらされて、今日もまだ未亡人は遺族扶助料を一銭ももらわずに鹿児島でさびしく墓を守っておられるんです。ところが、戦争の最高責任者として確かに死刑はされたけれども、その家族の方々はずっと二十八年間遺族扶助料をもらっておられるわけです。こういう片手落ちのことがあっていいかどうか、私はそれを叫んでおるのです。小園大佐以下六十九名の方が、大半の人は大赦で免除されましたけれども、しかし名誉回復ということは一切行なわれておらなくて非常にさびしい思いをされておる。一方では、逃亡の罪もそのころのことだからこれははっきりしておらない。まだいろいろの人の例を私は持っております。吉池軍曹の問題でもこれは非常な疑問がある。しかし、これは衆議院でやられておりますからこれはここでやりません。また、その他にも食糧をさがしに行って、そうして部隊にはぐれたからこれは逃亡だと、武器を持っておったからこれは窃盗だと、こういうようなことでさばかれてまだ泣いている人がおるわけなんです。それが二十八年もたった今日、どうしてこれがこのまま放っておかれるだろうかと、これが私は疑問に思ってならないわけであります。これについてひとつ御答弁を願います。
#169
○政府委員(高木玄君) 先生が言われたように、終戦時の非常な混乱で局部的な規律、軍規違反というような事件は非常に多かった。幾つかあるわけでありますが、この厚木事件が非常に重視されて、しかも、非常に短期間内に臨時軍事法廷が持たれてさばかれたことにつきましては、これはもう私の推測でございますが、この当時の海軍上層部の真意はわかりません。しかし、マッカーサーの厚木進駐というような問題とのからみもありまして、もし進駐してくる外国軍隊が、この厚木における抗戦という事態をとがめて、これを罰するというような事態が起こることをおそれ、むしろ、この海軍の軍人として職を同じくし、またその気持ちも十分にわかる海軍の軍人が、自分たちの手で自分たちの法律でさばいておいたほうがいいというふうな、ある意味での親心でさばいたんじゃないかというような推測もされるような感じでございます。
#170
○阿具根登君 そのお答えもわからぬではありません。たとえば、親心であったかもしれぬけれども、結果的に見れば一番親心じゃなかった。逆に、これを米軍に裁判してもらったら、この人たちは極東裁判でやられた方々と一緒に二十八年間遺族はちゃんと遺族扶助料もらっておったわけなんです。かりに親心であったとするならば、そのために二十八年間、遺族は泣いているんです。それを何とかしてこれを助けてやらねばならぬじゃないかというのが皆さんの気持ちの中にもあるはずなんです。法律がじゃまになってこれができないなら、法律を出さねばならぬと私は思うのです。そうして一時でもそういう悪夢は早く洗い流してやらねば、そのままもんもんの情を抱いて未亡人がなくなっていったら、だれが慰めるか。こういう問題もあると思うのです。これに対して、一体どうすればこれは復活できるのか、その点をお尋ねしておきます。
#171
○国務大臣(齋藤邦吉君) どういう手段を講ずれば復活するかということは別として、阿具根先生のおっしゃった御質問に対して私の率直な気持ちをまず申し上げておきたいと思います。
 この事件がどういう関係で非常に重く取り扱われたか、そういうふうないきさつは私は何も存じません。それから裁判に弁護士が出なかったのか、出たのか、それも私は事実何も承知いたしておりません。しかしながら、そういうことは一応別としまして、戦後のああいう大混乱の中にこういう人たちがああいう行動をした、その人たちにとってみればやむにやまれない心境であったんだろうと思います。私は、その人たちの行動を是認するとか何とかいう意味において申し上げるのではありませんが、そういうことを私は申し上げるのではありませんが、そこで私は、こういう方々が戦後に起こった事件であり、しかも、非常な混乱の中に起こった事件であり、人を殺傷したわけでもない、こういうふうなことを承わるにつけましても、何とかこれはしてあげなければならぬなという私感じを率直にいたします。
 特に、いままでの大赦令によって、幸いその過半数ですか、恩給が復活したのは。恩給の復活が、この事件についてはその方々の半分以上あったかもしれませんが、そのほかの方々は二年以上というようなことで恩給の復活もない。私はお気の毒だと思います。そして、またその奥さんにとってみれば、自分の主人はりっぱな日本の軍隊として働いたと、私信じていると思うのです、いまでも。そういうことを考えてみれば法のたてまえ、そういうことはいろいろありましょう。私は軍法会議を批判する意思もありませんが、何とかできるならば、救ってあげるようにしたいなという感じを、私は質問を受けて率直に思いました。特に、上官はもうなくなられておるようですが、まあ上官自身は大勢の方を指揮してやったんですからそれだけの責任を上官が負う、これは私やむを得ないと思います。しかし、部下の方々はそれほどの罪であったのかどうか。二十年たっても恩給も復活ができないのだという事態に置かれることを覚悟してやったものかどうか。私はやっぱりその辺は問題だと思います。できることならば、何とかこういう方々は遺族援護という面から救ってあげて、まあ軍法会議が行なわれたというその事実は消すわけにいかぬでしょう、これはできないと思いますが、その法律的ないろいろな効果については、何とか救ってあげたいなという率直な感じをいたしましたので、そのことをまず最初に私お答え申し上げておきたいと思います。
#172
○阿具根登君 そうすると、恩給局の方におわかりかどうか知りませんが、この小園大佐以下六十九名に対して、小園大佐は終生禁錮、それからその他の方は八年から四年の大体禁錮刑の判決を受けましたが、これはいつですか。正確な日時、わかっておったら知らせてください。
#173
○政府委員(高木玄君) 司令の小園大佐が党与抗命の罪で無期禁錮の判決を受けたのは昭和二十年十月十六日でございます。それから中尉の岩戸良治さん以下六十一名、この方々が海軍刑法により党与抗命、党与逃亡の罪によって刑に処せられましたが、この方々が処せられましたのは、昭和二十年の十月十二日でございます。それから、中尉古川倫夫さん以下八名の方が党与抗命の罪によって全員禁錮四年の判決を受けておりますが、これは昭和二十年の十一月八日でございます。三回に分かれて判決を受けておるようでございます。
#174
○阿具根登君 そうすると、大赦令が一番最初に出たのはいつですか。
#175
○政府委員(高木玄君) 昭和二十年の十月十七日でございます。
#176
○阿具根登君 わかりました。
 そうすると、昭和二十年の十月十七日には大赦令が出ておる。その一日前に、終生禁錮刑をやられたんですか。しかも、大赦令の出たあとに十一月の八日に出ておる。また六十名の人は十二日。わずか五日前、何かここに政治的なにおいがしやしませんか。大赦令があした出るというのがきょうわからぬわけないでしょう。しかも、それは適用されないんでしょう。何か政治的な意味がありやしませんか。
#177
○政府委員(高木玄君) 党与抗命の罪が大赦令によりまして赦免の対象になりましたのが、昭和二十年の十月十七日でございます。それから、党与逃亡の罪が大赦令によりまして赦免になりましたのは、昭和二十七年の大赦令でございます。
#178
○阿具根登君 私が質問しているのは党与抗命のほうです。
#179
○政府委員(高木玄君) たいへん失礼いたしました。いま逆に申しまして、党与逃亡の罪が赦免になりました大赦令が昭和二十年の先ほど申し上げたやつでございまして、党与抗命の罪が赦免になりましたのは昭和二十七年の大赦令でございます。
#180
○阿具根登君 そうすると二十七年に小園大佐は仮出獄した、二十七年の大赦で仮出獄したと、こういうことになりますね。
#181
○政府委員(高木玄君) 昭和二十七年の大赦令によりまして赦免の対象になりましたので、この党与抗命につきましては、刑の言い渡しが効力を失ったわけでございます。釈放自体はもっと、大赦令の前に減刑によりまして釈放されておったようでございます。
#182
○阿具根登君 私の調査では、二十七年に仮出獄をしております。そうして三十五年になくなっております。
#183
○政府委員(高木玄君) 私どものほうの記録によりますと、昭和二十五年の十二月に仮釈放になっておりまして、三十五年の十一月五日になくなっておられます。
#184
○阿具根登君 それはあなたのほうが正しいでしょう。いずれにしても、そうすると、それから五年間獄舎におられた、そうして三十五年になくなられた。しかし法のたてまえによって扶助料の復活は今日までもできておらない、こういうことなんです。もう私の時間が過ぎまして、向こうで法務大臣が待っておられるそうですから、これで終わりますけれども、法的な問題で皆さんに、責める理由は何もございません。私は皆さんにそれぞれの立場から、今日日本が二十八年たって、世界の第二のGNPだといわれて、先進国だと、文化国家だといわれておるのに、まだこういう問題が放置されて、その陰で泣いておる人がおるということは、文化国家だとはどうしても言えない。こういう考えでやむにやまれず私は申し上げておるわけでございまして、この法の改定については、格段のひとつ御努力を願って、こういう方々を助けていただきたい。かように思いますし、私もそれぞれの手続をとりたいと思います。よろしくお願いいたします。
    ―――――――――――――
#185
○主査(矢追秀彦君) この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。
 ただいま羽生三七君及び阿具根登君が委員を辞任され、その補欠として田中寿美子君及び佐々木静子君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#186
○佐々木静子君 それでは私からお尋ねさしていただきます。
 厚生大臣が難病対策に取り組んで、特に力を入れておられる由承っておるわけですが、現在、日本における難病の代表的なものの一つとしてスモンがございますが、このスモンについてきょうは伺いたいと思います。
 御存じのとおり、スモン患者はわが国では昭和三十年ごろより発生し始め、昭和三十六年ごろより全国各地で多発いたしまして、昭和四十四年ごろまでの間に爆発的に増加したわけでございますが、現在全国に何人のスモン患者がおられるのか。この実情を厚生省ではどのように把握しておられるか、まずお答えいただきたい。
#187
○政府委員(加倉井駿一君) 私どもの疫学調査をいたしました結果、全国で約三千名の患者がおります。それから実際に治療をいたしました患者につきましては、延べ九千二百四十九名の患者について治療をいたしております。
#188
○佐々木静子君 そうすると現在三千名で、治療した人が九千何百人というのでありますと、その差額六千人は全快したというふうに見ておられるわけですか。
#189
○政府委員(加倉井駿一君) 御指摘のとおり、なおった患者もおりますし、また死亡された患者もおられます。
#190
○佐々木静子君 六千人の患者がなおった、あるいは死亡したというのは、これは非常に荒っぽいお答えじゃないかと思うんですよ。六千人、かりに話半分として三千人としても、三千人がスモンで死亡したなどというようなことは、これはたいへんな問題じゃないですか。厚生省は何人死亡したと認定しておられるのですか。
#191
○政府委員(加倉井駿一君) 私どもへ、一応届け出あるいは登録をされた患者さんが先ほど申し上げました九千二百四十九名でございます。したがいまして、これらの患者さんは一応私どもの治療の対象、その他いろいろ調査研究の対象になった患者でございまして、現実に私どものほうで治療の対象――現時点において治療の対象になると考えておりますのが、先ほど申し上げた三千名ということでございます。
#192
○佐々木静子君 これは私は、専門外のことで詳しくはわかりませんが、この医学の統計、医学書によりますと、スモンは全治するのが非常にむずかしい、せいぜい一〇%ぐらいしか全治していないということなんですが、かりにこの医学の定説をそのまま準用すると、この差額の人たちは、差の何千人かは、九割は死んだということになるわけですか。
#193
○政府委員(加倉井駿一君) 死んだということではございませんで、先ほど申し上げましたように、一応私どものほうへ届け出をされて、私のほうに行政的に登録をされた患者さんが九千二百四十九名ということでございまして、その中には、なおった方もおられまするし、それから現に治療をお受けにならぬ方もおられるわけであります。したがって、現に私どものほうで行政的に治療を要すると判定、認定いたしましたのが約三千名の患者さん、こういうことでございます。
#194
○佐々木静子君 それはやはり厚生大臣が、特に難病対策に力を入れていらっしゃる、で、一流紙でも再々報ぜられているところでございます。この難病の代表的な病気であるスモン、これの実情の把握というものを、まず厚生省がもっと積極的に力を入れておやりにならぬといけないんじゃないか。何人おられるかということもはっきりと、概括的にでも、もう少し現状がつかめないと、受け身の姿勢であっては、なかなか十分な対策というものがとれるはずがない。このごろでこそ、スモンが感染性でないというふうに、大体一般の人に考えられるようになったんですけれども、非常に業病として、スモン患者が出るとなれば、一族の結婚にも差しさわる、村八分になるというふうな、いろいろな悲惨な状態がございましたから、これはなかなか実情把握するというようなことは、受け身の姿勢ではむずかしいと思いますけれども、難病対策に取り組まれる以上は、やはりしっかりと前向きな姿勢で取り組んでいただかないといけないと思うのでございますが、大臣はその点についていかがでございますか。
#195
○国務大臣(齋藤邦吉君) おっしゃるとおりでございまして、私どもは、四十八年度の予算におきましては、従来、難病ということにつきまして予算も多少出しておったわけでございますが、いままでの疾病対象を、調査する対象を二十疾病にふやしたり、あるいは無料化を、相当な数をふやすというようなことをいたしておるわけでございまして、それがためには、いまおっしゃったように、数もはっきりつかまにゃなりませんし、その点は怠慢と、多少おしかりをいただいたが、やはりそういう実態をつかまえて対策をやるのでなければ意味がありません。したがって、今後とも実態把握については力をいたして、はっきりした数字の上に、はっきりした実態の上に医療を行なっていく、こういうふうに努力いたしたいと思います。
#196
○佐々木静子君 いま大臣が、前向きの姿勢で、実態把握に取り組んでいただくということ、非常にけっこうなことだと思いますので、ぜひお願いしたいと思うわけです。昭和四十四年の九月二日に厚生省がおつくりになったスモン調査研究協議会というのがございます。四十七年の三月十三日の研究総括の結果によりまして、スモンの原因として、キノホルムの服用ということが述べられ、患者は、キノホルム剤の服用によって、神経障害を引き起こしたものと判断されております。体をなおすために、キノホルムを飲んだその結果、神経障害とか、歩行困難、起立不能、あるいは感覚麻痺、視野狭さく、果ては失明にまで至ったり、あるいはなくなったというような本人のお苦しみは言うに及ばず、一家の悲惨な状態もまた言語に絶するものでございますが、これが健康をよくするために用いたところの医薬品によってつくられた病気であるというものに、私どもは、りつ然としたおそろしさを感ずるわけなんでございます。このような名状しがたい悲惨な生き方を余儀なくされている患者さん方に対して、厚生大臣が、前向きな姿勢で、これから医療行政とか、薬事行政を取り組んでいただくということを非常にけっこうだと思いますし、そのことをぜひともお願いすると同時に、このキノホルムについて多少お伺いしたいと思います。
 キノホルムは、十九世紀の末にスイスにおいて合成されて、初めアメーバ赤痢の特効薬として、腸内の殺菌薬に用いられていたということでございますが、日本では薬局方にキノホルムが収載されたのはいつごろからでございますか。
#197
○政府委員(松下廉蔵君) 昭和十四年に日本薬局方に収載されております。
#198
○佐々木静子君 昭和十四年といいますといまから三十四年ほど前のことでございますが、これ実は、アメリカで二十七年前に、キノホルムを十日以上連用すると危険であるということについて、医薬品の規格を定める薬局方というもの、この使い方が、かなりにきびしくアメリカでは制限されておったということなんでございますが、日本では、そのような措置を、その当時おとりになっておったか、おとりになっておらないとすると、日本ではどのような行政措置をとっておられたか、何もおとりにならなかったとすると、どういうわけで何もおとりにならなかったか。
#199
○政府委員(松下廉蔵君) わが国の薬局方におきましては、御承知かと存じますが、医薬品の成分、規格等の基準を定めておるものでございまして、使用方法等につきましては、薬局方では確たる定めはいたしておらないわけでございます。ただ、常用量等につきましては、通常の場合の常用量について、薬局方の注解等で説明されておる例もあるわけでございますけれども、行政的には、薬局方の性格といたしましては、薬事法の規定に基づきまして、あくまで医薬品の規格、成分の基準を定めるということが趣旨になっておりまして、その点は、御指摘のような点とは多少異なっておるわけでございますけれども、ただ、このキノホルムが、スモンとの関係が問題になりました時点におきまして、このキノホルム製剤につきましては、特殊な疾病の使用以外については、全面的に製造を禁止するという措置をとりまして、対策を講じておる次第でございます。
#200
○佐々木静子君 いまの御答弁で、この薬局方というのは、医薬品の規格を定めるのが趣旨だと、そういうふうに御答弁になったと思うんですけれども、これはね、アメリカで、もうすでに二十七年前というと終戦直後でございますね、日本の。そのころに、もうキノホルムはあぶない、十日以上使ったらだめだということをやかましく言っておる。それなのに、日本では、薬局方はその規格をきめるだけだ、そしてまあ、というようなことで、特にキノホルムについて警告を発するとか、なぜそういう特別な措置をとられなかったのか。あまりにもこれは人命を軽視してるんじゃないですか。
#201
○政府委員(松下廉蔵君) ただいま御指摘のございました二十七年時点におけるアメリカの薬局方の改正につきましては、私どもその時点では承知していなかったというふうに聞き及んでおります。ただ、先ほど申し上げましたように、常用量等につきましては、規格基準と並べましてキノホルムにつきましては、一回量が大体〇・二、一日量が〇・六グラムということは、これは、薬局方が定められましてから終始記載いたしまして指導しておるところでございます。
#202
○佐々木静子君 これは、私どもは知らなかったで済まされる問題じゃないと思うのです。これは少なくとも国の薬事行政の最高の責任をとられる方が、アメリカでこのキノホルムがあぶないということが警告されているのに、それをかりに知らなかったとするならば、知らなかったということはいかにも不勉強で怠慢じゃないですか。その点について知らなかったで済まされるとお思いになりますか、どうですか。
#203
○政府委員(松下廉蔵君) おしかりを受けましてまことに恐縮でございます。私どもといたしましても医薬品の安全性ということは御指摘のように非常に重大な問題でございまして、過去におきましてそういう点についての調査があるいは十分でなかったという点はいまの担当者といたしまして十分反省しなければならないと存じます。ただ弁解いたすようでございますが、医薬品に関しましての副作用、安全性の問題というような点につきましては、最近、急速に学問的な研究が進み、また、世論の支持もございまして、非常に調査が進んできたわけでございまして、二十七年の時点におきましては、なお関係者におきましても、そういう意識が多少低かったために、御指摘のような欠陥があったとすれば、その点はいまから反省いたしまして、今後そういうことのないように注意しなければならないと存じております。
#204
○佐々木静子君 率直にその非を認めていらっしゃる御答弁でございますので、あえて私もそれ以上のことはお尋ねいたしませんが、結局この薬事行政を担当される一番の責任者として、やはり内外の文献とか、臨床例などを十分に研究していただいて、国民の一番大切な命とか、健康の問題でございますので、これは十分に薬事行政というものに力を入れていただかないと困る。どうも私ども拝見しているところを見ますと、これは国民の命や健康よりも、どうも製薬会社のもうけ主義に加担していらっしゃるのではないかというふうに、私ども――これひがみばかりではないと思うのです。そのように見えるわけなんでございます。もしそうでないとするならば、そうした国民の感じをこれなくするためにも、これはき然とした態度で、やはり国民の命を大切にするという行政にこの際思い切って切りかえていただかないといけないと思うわけなんです。そして、この現在の薬事法の十四条によると、「厚生大臣は、日本薬局方に収められていない医薬品、」などについて「これを製造しようとする者から申請があったときは、その名称、成分、分量、用法、用量、効能、効果等を審査して、品目ごとにその製造についての承認を与える。」とございますけれども、その承認を与えるために――これは実務がどうなっているかということをちょっとお伺いしたいわけでございますが、これは薬の種類にもよると思いますので、例をキノホルムの複合剤についてちょっとお伺いしたいと思うわけですが、この新聞報道によりますと、キノホルムの複合剤――この四十五年に販売中止になるまで約二百種近いものが販売されていたというわけでございますが、これらのものはやはり輸入の場合の許可とか承認、あるいは製造の許可とか承認がいずれも申請されて、その許可あるいは承認がなされた上に販売されたんだと思うのでございますが、このキノホルムの複合剤――二百種近い複合剤は、これは実際はその承認あるいは許可手続というものはどなたがなさるのか。まずその点について伺いたいと思うわけです。
#205
○政府委員(松下廉蔵君) 法律的な意味におきましては、責任者はもちろん厚生大臣でございますが、実務的な面におきましては薬務局で、現在の組織で申しますと製薬第一課という課がございまして、一般的な医薬品の、いま御指摘のような局方に定められております医薬品を含んだ複合剤というようなものにつきましては、製造しようとするものの申請に基づきまして、製薬第一課の所管事項といたしまして、それぞれ専門の技官が、所定の基準に従いまして厳格な審査をして承認あるいは許可の可否を決する、そういうシステムをとっております。なお、役所の組織はその当時におきましては、多少変わっておりましたが、根本においては、大体同じような形式であるとお考えいただいてけっこうでございます。
#206
○佐々木静子君 その当時多少変わっているとおっしゃいましたが、いまはその当時のことについてお話になったのですか、できればその当時のことをお聞きしたいわけです。
#207
○政府委員(松下廉蔵君) キノホルムあるいはキノホルムの製剤は、大正時代からこれは行なわれておりますので、何段階かに分けて御説明しなきゃならぬわけでございますが、昭和十八年の薬事法ができます以前には、明治二十二年の法律であります「薬品営業並薬品取扱規則」、当時薬律と通称されておりました法律に基づきまして、所要の手続をとるというようなことで、この時分には、局方品は製造は自由でございました。で、局方外の医薬品につきましては、地方長官への届け出というような簡易な手続で行なわれておったようでございます。薬事法制定以後は、昭和三十五年の現行薬事法までは、製造所ごとに局方以外の医薬品につきましては、そういった御指摘の配合剤等につきましては、厚生大臣の製造の許可を受けるということで、それは製造所の製造能力、それは衛生的な意味におきます純正な医薬品を製造できるかどうかという意味ももちろん、それを主にいたしましての製造能力と、それから当該医薬品が医薬品として適当であるかどうか、それは効力及び安全性の面を含めましての、その両面の審査をいたしまして許可をするという手続をとっております。それから昭和三十五年、現行の薬事法になりまして以後は、製造許可と製造承認制度とを分離いたしまして、製造承認制度につきましては、局方外の医薬品についてはまず製造しようとする品目が、効能及び安全性について医薬品として適当なものであるかどうかということを厳格に審査いたしまして、製造業者ごとに品目の承認をする。さらに具体的に、どこの製造所でその医薬品を製造したいという段階におきましては、もう一ぺんその製造所におきます製造所の能力あるいは人的施設等を勘案いたしまして、当該品目を製造するのに適当であるかどうかということを審査いたしました上で許可をする、そういうたてまえをとっております。それから、局方医薬品につきましては、現行では、品目自体については保証されておりますので、製造所ごとの許可それだけで製造許可する、そういう形でございます。
#208
○佐々木静子君 これは私は、薬学の専門家じゃございませんので、詳しいことはわからないのですが、この「ジュリスト」四七三号「薬事法をめぐる問題点」について論文を拝見しますと、これは高橋さんといわれる東京大学の医学部の先生ですけれども、医薬品の製造許可承認の問題について、薬が申請されると――これは最近のですから、最近の薬事法、新しい薬事法のもとのことだと思いますが、「一番簡単な場合には、昔は薬務局の製薬課長の権限でどんどん通していました。」これは先ほどお話しになったものだと思います。それからさらに「構造的にちょっと新しくて、これは検討を要するというような場合には、薬事審議会に諮問する」、それから「さらに、全く新しい化合物なんかでこれはかなり重大だという場合には、常住部会のほうを通します。」というふうに論文に書いておられるのですが、これはそのとおりでございますか。時間がないので簡単にイエスかノーでお答えいただきたいと思います。
#209
○政府委員(松下廉蔵君) 中央薬事審議会に新医薬品の製造について諮問をいたしておりますことは、御指摘のとおりでございます。いまお話しになりましたのは非常に、全く新しい、また効能、副作用等について重大な問題があるというものは、総会が非常に委員が多うございますので開けませんために、まず担当の調査会で審議をいたしまして、さらにそれをそれぞれの所管の幾つか調査会を総括いたします特別部会にかけ――通常新薬ですと新薬の特別部会がございます。それをさらに総会にかわる常任部会にかけるという三段階をとっておりまして、調査会にかけました段階での専門の委員の方の御判断等を勘案いたしまして、比較的従来のものに類似しているというようなものは調査会限りというような区別はいたしております。その点では大体御指摘のとおりでございます。
#210
○佐々木静子君 そうすると、第三段階のうち、キノホルム複合剤については、第一の一番簡易な方法で許可されているということでございますね、先ほどの御答弁をあわせますと。製薬第一課長の権限で許可されてきたということでございますね。
#211
○政府委員(松下廉蔵君) 法的な手続といたしまして、文書による諮問はいま申し上げたようなものに限って行なっておりますけれども、通常のものにつきましても、必要に応じて、調査会あるいは特別部会等の御意見を非公式に伺うという手当てはいたしております。ただ、キノホルム複合剤につきましては、何ぶん相当以前のことでございますので、そういった口頭の照会があったかどうかということはつまびらかにいたしません。部内的な審査によりまして許可が決せられておったというふうなことは、おそらくそうであったろうと考えております。
#212
○佐々木静子君 薬の製造あるいは輸入の許可申請というのは、私はちょっと書式を見せてもらったんですが、これは大体こういうことで書面審理でなされるわけですね、通常の場合。このキノホルム複合剤の場合は、むろん書面審理でなすったわけでございますね。
#213
○政府委員(松下廉蔵君) 一応審査といたしましては、提出されました資料に基づいて審査をいたしました。ただ、学問的に権威のあるデータでございませんと審査の対象になりませんので、そういった資料が不十分なときには、学界の批判に耐えるような資料を出せということは追加して要求いたしまして、そういうものが出てこない場合には承認をしない、あるいは許可をしないというようなことはままあるわけでございます。
#214
○佐々木静子君 これは実は先ほど厚生省のほうからキノホルム複合剤についての一覧表をいただいたわけなんでございますけれども、この中で、書面審査以外で特に臨床実験なり特別の研究というか、許可について特別の審査をなさったものがあるとすればどれなのか、御指摘いただきたい。
#215
○政府委員(松下廉蔵君) 先ほど申し上げましたように、キノホルム複合剤は、かなり古い時期に許可を与えられたものがだいぶんございまして、差し上げました資料は、キノホルムを禁止いたしました時点における全品目を掲げております。百七十二種類ございますので、ちょっと現段階におきまして、どれについて、いま申し上げたような具体的な措置がとられたかということは、当時の関係者に一々照会いたしませんとちょっとわかりかねるのでございます。
#216
○佐々木静子君 それは、もとの関係者に一々聞かなければわからぬというくらいに、厚生省の中では、許可した薬品についての整備ができておらぬのですか。何か調べれば、このときはこういう資料で許可した、これは特別に調べたというようなことは、簡単にやっぱりわかるくらいに整備しておいていただかないと、担当者がほかにかわった、あるいはなくなったというようなことになった場合には、これはどうにもならぬことになりますが、それくらい整備ができておらぬわけですか。
#217
○政府委員(松下廉蔵君) ちょっと御説明が不十分だったかと思いますので、補足させていただきますが、私の申し上げました意味は、先ほど私が御説明いたしましたような個々のケースにつきまして、一般的な行政慣例としては、薬事審議会の議を経るものでなくても、問題がある場合には、それぞれの機会に担当者からそれぞれの専門の部会等に口頭で意見を聞く場合がございます。そういったものは、資料にもちろん書き込んでいるわけでございますけれども、そういったことで、全然問題がなかったような場合には、結論といたしまして、そのまま書類に残っていない場合もございまして、そういったケースについては、ちょっとわかりかねるという意味でございまして、先生の御質問は、あるいは書類をもってさらに追加資料を要求したかどうかという御趣旨であれば、それは調査は可能であろうと思います。
#218
○佐々木静子君 それから、このジュリストにも報ぜられていることですが、一般に、製造あるいは輸入の許可を申請して許可になった場合の資料ですね。これは何かなかなか厚生省は公表なさらないということなんでございますが、それはどういうわけで、われわれ国民が知ることができないわけですか。これは却下になった場合には、行政訴訟その他の手段がありますから、その資料を訴訟を通じてでも見ることがあり得るわけなんですけれども、この許可になった資料こそ――これは当該申請した製薬会社は許可になったからそれでいいかもしれないけれども、重大な利害関係に立つのは国民ですから、国民がこれ公表を求める場合には当然公表しなくちゃならないんじゃないか。良心的な医療行政、薬事行政をしている以上は進んで公表すべきじゃないかと思うんですけれども、これは公表していただけるわけですね。
#219
○政府委員(松下廉蔵君) いまのジュリストの座談会につきまして私も拝見いたしておりますし、高橋先生からは直接そういう御趣旨のことを伺った記憶もございます。ただ、その節も申し上げたことでございますけれども、いまのお話の、に対する重大な保健衛生上の利害関係を有するというものでありますだけに、こういったものの審査につきましては、先ほどから申し上げておりますように、学問的な批判に耐えるような資料を要求し、また、新しい形の医薬品につきましては、専門家をもって組織いたします薬事審議会、そういった専門機関の議を経て、最も厳正な科学的の批判に耐える形で審査をしておると私ども考えておる次第でございます。したがいまして、こういったものの資料につきましては、ものによりましては、企業のノーハウにわたるものもございます。また、国民の健康を守るというような立場から申しますと、行政の現在の組織から申しますれば、そういった公正な権威のある専門家の審議会の御意見を尊重して処理するのが最も適当であるというふうに考えておる次第でございます。
#220
○佐々木静子君 これはいまの御答弁では、この企業の秘密に属するということで厚生省がそれの公開を拒むとなされば、これはまさに企業のための厚生省であって、国民のための厚生省じゃないことになるわけなんです。これは国民のための厚生省じゃないんですか。国民のための厚生省であったならば、そのことによって企業が――企業のことばかり考えずに、国民がそれの公開を求めたならば、これは当然公開すべきじゃないか。これ、審議会が慎重にやっているならやっているで、なお厚生省にとってけっこうじゃありませんか。これはやはりどんどん公開すべきだと思うんですけれども、その点について厚生大臣いかがでございますか。これ、国民がどういう基準で公開されているかということをこれは強く望んでいるわけなんですけれども、どうも厚生省では秘密でやっていて、そしていまの御答弁にもあるように、企業のノーハウ、そういうふうなことが答えから出てくるわけなんでございますが、厚生省はそれほど企業一辺倒でいいとお考えになりますか。大臣、いかがでございますか。
#221
○国務大臣(齋藤邦吉君) 厚生省は企業一辺倒でも何でもありません。もう国民の健康第一でございますから、私は必要があったら公表したらいいと、こう思います。ただ、それが会社のいろんな企業の秘密とか何かいろいろありますね。特許とか何かいろいろあります。で、そういうことができないものが私はあろうかと思います。そういうことをやっぱり役所が発表してあげることはまずいでしょう。それは国民に心配しないように、こういう薬はこういうふうになっていると、私も専門家じゃございませんからわかりませんが、できるだけ国民に知らせることが私はやっぱり一番大事なことだと、かように考えております。
#222
○佐々木静子君 大臣から非常に御理解がある御答弁いただきまして、私ども国民としましても非常に心強く思っているわけでございますので、どうぞひとつ国民の立場に立ってどんどんそういう薬事行政をお進めいただくように切望するわけでございます。
 それから時間があまりございませんので簡単に伺いますが、古くにもう日本薬局方に載せられていたところのキノホルム、これ一日の常用量が規制されておりますけれども、現実には、このキノホルムの、これは確かなデータで調べたところでございますが、スモンで失明した患者の中には、八百八十日間、薬局方の常用量をはるかに越す一ないし三グラムのキノホルムを、これも公立病院で飲まされていた人がいるわけなんでございます。これ間違いない資料なんですけれども。アメリカでは二十七年前に十日以上のキノホルムの服用は危険だと禁止されていた。いま申し上げたとおりですが、これを聞くと、八百八十日間も連続飲まされていた、これを聞くと、もう何ということかと私どもあ然とするわけなんでございますが、こういうことが起こるのも、薬を使うことによって、まあ病院なり診療所の経営がそのほうがよくもうかるというふうなところで、なかなかその常用量が薬局方に載っておりましてもそれが守られにくい。よほどきわだった副作用が目の前にあらわれてこない限り、この薬をつい大量に与えてしまうというのが、いまの医療の現状でございますけれども、こういう取り返しのつかない被害がどんどん生まれてきているというようなことから考えますと、このめちゃくちゃな薬の投薬をチェックするような方法ですね、これは大臣として何かお考えございますか。
#223
○国務大臣(齋藤邦吉君) 実は私も、けさ薬務局長にそんな話をしたことがあるんです。私も実はキノホルムの入っている胃腸薬を飲んだことがあります。八百八十何日、そんなに飲んだことはありませんが、ちょっと外国に行きますときに、私もちょっと持っていって飲んで、非常にきくんです。これきくんです。非常にいい薬だと私は、そのとき思っておりました。ところが、いろいろな副作用が出まして、こんなことに、禁止になったわけなんですが、要するに私はこう思うんです。お医者さんも一般の方々もそうですが、薬の使用方法を厳重に守れば、そんなに副作用がない場合があるんです。ですから、けさも薬務局長に言ったんですが、こういうことは、しちゃいけませんと、三日以上飲んじゃいけないなら、いけないというようなことを赤線でも引いて、使用方法をはっきりもうわかるようにしなければいけないと思うんです。これは一般の国民が薬屋さんから買ってくる場合じゃなくて、お医者さん自身もそういうことがあるんです。お医者さん自身がよく薬の知識がなくて、いまお話のように何日も続けて飲ませる。これは副作用が出るにきまっていますよ。それは一日、二日なら出ません。私なんかも外国に行くとき一週間ほど飲みましたが、このとおりぴんぴんしておりますから、副作用は何もないんです。ところが、この副作用のために、私らも禁止されて、近ごろはおなかを悪くしたときに飲む薬がない、こういうふうな状況に私は、なっておるんです。ですから、使用方法を、これを一般もお医者さんも、わかるようにしてあげなくちゃいかぬと思うんです。これはやっぱりこういう点は薬務行政として私は欠陥だったと思います。使用方法をはっきりさしてあげる、こういうことが私は一番大事なことじゃないかということをしみじみいま痛感しております。
 それからやっぱり薬の専門的な知識の上からいって、疑わしければつくらせないと、これが一番いいと思うんですね。そのくらいにならにゃやっぱり薬による副作用というものは避けられない。あぶないと思ったらやめさす。食べ物でも同じだと思うんです。薬でも同じ。あやしきものは罰せずと昔ありますが、あやしきものは使わせず、飲ませず、これがほんとうじゃないか、こういうつもりで、今後、薬務行政なり公衆衛生なり環境衛生行政を、私在職中必ず指導してまいりますから、どうかその点御安心を願いたいと思います。
#224
○佐々木静子君 たいへんにけっこうな御答弁いただきまして、私どもも、ぜひ大臣にいまの御答弁どおり実現していただきたいと、お願い申し上げるわけです。裁判では疑わしきは罰せずと言いますけれども、いまおっしゃったように、この薬事行政に関しては少なくとも疑わしきは禁ずるということで、これはぜひとも国民の立場に立って、大臣が御答弁どおりに、薬事行政を行なっていただくことにもう絶大な期待をかけているわけでございますから、よろしくお願いいたします。
 そしてもう時間がございませんので、あと最後一点だけ。
 これ現在老人医療の無料化が行なわれてまいりましたし、また、地方自治体によっては、すでにこれは六十五歳とか、あるいは六十七歳以上の老人も無料になっているということを言うところもずいぶん出てきているわけでございます。また、国に先がけて地方自治体では、赤ちゃんの医療無料化の実現している市町村もたくさんあるわけでございまして、これは私どもにとって、たいへんにけっこうなことだと存じているわけでございますが、一面、売薬で療養していた者が医者にかかることになった結果、一般の小売りの薬局における売り上げが少なくなってきている。そのために経営上支障を来たしているというふうなこともよく聞くわけなんでございます。これ福祉方面に力を入れると、こう当然に起こってくる問題なのでございますが、この零細企業といいますか、小売りの薬局の保護の点に対して大臣何か特別な施策をお持ちでしたら御所信を述べてください。
#225
○政府委員(松下廉蔵君) 具体的な問題をちょっと御説明申し上げたいと思います。
 いま先生から御指摘のございましたような点、私どもも薬剤師会等から常々伺っております。もちろん、先生御指摘になりましたように、原則としては、お医者さんの医療を受ける、できるだけそういう機会を多くするということはもちろん必要でございますけれども、現在の社会の実態といたしまして、やはり大衆薬による保険医療ということも、これ国全体の医療から考えますと、少なからざるウエートを持っております。またその第一線をになっております薬局の使命というようなものは、調剤と並びまして、国民医療上大切にしなければならない点だと思います。で、現在の体制といたしましては、薬局はやはり自由経営でございますから、経営が成り立っていくと、それによりまして、やはり衛生上の十分な整備もできるわけでございまして、そのために薬事法の規定の中で、配置規制というような規定も置かれ、経営が無理がないように法律的な制約もあるわけでございますけれども、御指摘のような点も含めまして、薬局が調剤及び医薬品の販売という、本来の総合的な機能を発揮することができるような方向で、今後たとえば公的な融資の活用、そういったようなものも含めまして、できるだけ努力をしてまいりたいと考えております。
#226
○佐々木静子君 それでは最後に、大臣に――いまたいへんにけっこうな御答弁いただきまして、私ども力強く、心強く思っておるわけでございますが、いまの点も含めまして最後に大臣に御所信をお述べいただきたいと思います。
#227
○国務大臣(齋藤邦吉君) いま薬務局長からお話のありましたように、老人医療無料化、これはまあ非常に私けっこうなことで、御老人の方々にできるだけ受診の機会を多くして、長生きをしていただきたいと、こういうわけで、私は、非常にけっこうだと思うのです。まあいままで売薬で済ましておったのをお医者さんのところへ行くというんで、薬の小売り屋さんたちが非常に売れ行きが減ってきたと、それから小児医療、乳児医療、まあこれは国がそこまで踏み切っておりませんが、多少そういうことで売れ行きが減ってきたと、私もほんとうにこれいろいろ話を聞いておりまして心配しております。何とかいい方法がないだろうかと、私も実は、いまさしあたり応急的な売れ行きをよくする方法といいましても、なかなかこれそう簡単に私もまいりませんが、何とかこれは解決してあげなければならぬ問題だということで、私にとりましても大きな研究課題であるということで、頭を悩ましておるということだけは申し上げておきたいと思います。
#228
○須原昭二君 私は人口問題について若干前提としてお尋ねをいたしておきたいと思うんです。時間の関係がございますので前もって理事者の皆さんに申し上げておきますが、できるだけひとつ私も意見をかまえて申し上げます。したがって、意見の間違っておった点はひとつ御指摘をいただいて重複を避けたいと思います。したがって、二回質問して同じような答弁であっても時間が長くなりますから、この点は合理化をしていただくように前もって理事者諸君にお願いしておきたいと思います。
 特に、この日本列島改造論が出ておりますが、この日本列島改造論の一番やはり根幹になるものは、何といっても人間が多いということに問題が起因するものである。そういう基本的な問題からひとつ皆さんにお尋ねいたしたいと思うわけでございます。特に人類にとって二十一世紀は暗黒の時代だと、こう専門家は口をそろえて言っておるわけです。先進地域においては、人間環境の汚染の進行、生産資源の絶対的な枯渇、人口の都市集中における過密過疎の弊害、開発途上国においては人口増加に追いつけない食糧の不足、労働人口の爆発的な状態と雇用機会のアンバランス、それから公衆衛生の不備、こうした要素が複雑に重なり合ってですね、今日国際的な不安、これがひいては平和そのものも脅かしていると言っても私は過言でないと思うんですが、これら世界のかかえる問題の元凶は、一言で言えば、先ほど申したようなこの爆発的な人間の増加、ここにあるという認識はもう一般化しておるわけです。したがって、特に全世界の人口の約五六%でしたか、これを抱いておるところのアジア地域においては、きわめて深刻な問題であるわけですが、はたして日本列島改造論を出した田中内閣、特にその人口問題について一番権威のある厚生省が、このアジアの一員であるわが国において――いまだ一ぺんも田中内閣というものは、日本の人口問題は深刻な段階に達しているのかどうか、この問題については公にしたことがないのです。日本列島改造論のどこ見ても書いてない。この人口問題は非常な深刻な段階にきているかどうか。この点を公にこれは認めてもらわなきゃならないと思うのですが、その点についての確認をまずひとつしておきたいと思います。
 時間の関係がございますから、二つぐらいずつ重ねて合理化をはかりたいと思います。
 いま一つは、昨年十一月でしたか、東京でエカフェの会議が開かれております。第二回のアジア人口会議。わざわざ三木副総理まで御出席をいただいて、厚生省からも出ておられると思うのですが、これは十年に一回開くアジア人口会議でありまして、十年前には、ニューデリーで開かれた。この家族計画の重要性を各国が確認をして帰ってきておるわけです。そして十年たった今日、十年を経て、エカフェ地域におけるエカフェの加盟各国が、どのようにこの問題解決をやってきたか、その評価。そうしてそれに基づいて今後何をなすべきかという前向きな論争をなされておるわけですが、はたして日本はその会議に臨んでどのように対処してきたんだかということ、こまかいことは聞きたくはございません。ただ、その中で確認をされた、エカフェの第二回人口会議で、東京の、東京プリンスホテルで開いたんですから、日本の政府ももちろん出ておるわけですが、ここで決議をされた人口戦略宣言、ここに私持ってきておりまするけれども、これは日本も賛成をしておるのですが、その宣言をどういうふうに意義をとらえておるのか、この二点についてまず大臣からお尋ねをいたしたいと思います。
#229
○国務大臣(齋藤邦吉君) 後段の問題につきましては、私当時まだ大臣でございませんでしたのでよく存じておりませんが、全般的に申しまして、人口問題、これは私は深刻に受けとめなければならぬ問題だと思います。全人類の最近における爆発的な人口増加、そういうことは別といたしましても、日本だけでもこれ考えてもたいへんなことだと思います。終戦のころはおそらく六千万程度の人口であったでしょう。それがここ三十年近い問に一億をこす。おそらくこの状況でいけば十年なり十五年先になれば一億三千万、五千万、まあ五千万までは十年、二十年後にはならぬと思いますが、一億三千万くらいになると思います。はたしてそういう人口が現在置かれておるような生活環境の中で、心身ともに健全な形において、日本人口が育っていくであろうかということを考えてみますと、これなかなかたいへんだと思います。最近における、空気は濁り、水も濁り、緑も失われる、こういう状況の中で、まあ日本人の主食である米だけはまあ何とか自給自足がかりにできるにいたしましても、そのほかの食糧はほとんど外国に依存しなけりゃならぬ、こういうふうな中で、そういう生活環境、食糧の中で、心身ともに健全なる日本人口一億三千万、五千万を養っていけるかどうか、私は相当深刻なものと考えて、いろいろな問題をとらまえながら、いまから前向きにこの問題を解決していくように、一朝一夕には結論は出ないにしても、努力をしていくべきではないかと、かように私は率直に考えております。
#230
○須原昭二君 田中内閣は、日本の人口問題は非常に深刻な段階に達していると、こういう結論ですね。
#231
○国務大臣(齋藤邦吉君) 深刻ないま段階に達しているというよりも、間もなく深刻な段階に達するから、いまから考えるべきであると、かように私は考えております。
#232
○須原昭二君 まあその日本語の解釈はあとから申し上げたいと思います。いま厚生大臣ですら一億二千万だとか、三千万だとか、五千万だとか、抽象的なことを言っておられるのです。厚生省の人口問題研究所で出た予測を見ますると、わずか五十年ですよ。大臣が二十年とかおっしゃいますけれどもね、五十年後には日本の人口は最低三千五百万人ふえる、現在よりもふえてですね、一億四千万人に達するといっているのです。私から言わせればこれはきわめて控え目な数値なんです。これは後ほど申し上げましょう。――いまいろいろの説が出ておりますが、厚生省の資料の中におきましても、日本の人口は増加率がゼロに近づきつつあるという認識の上に立っている、ここに間違いがあると言わなければならないんです。この増加率ゼロということはどういうことかといえば、常に同じ状態に置いていくということです。それはむずかしいことばで言うならば、女子純再生産率、こういうことで呼ばれるわけなんです。日本の婦人一人が、出産能力のある女性が平均一人ずつ産んでいくという、こういうことなんです。しかしながら、他面、それはそういう状態でずっといくんですけれども、それは前提があるわけです。両親が、子供を産んで、そしてとたんに死んでしまわなきゃいかぬのですよ。カマキリと一緒なんです。こういう仮説の上に、この説が成り立っておるわけですから、そんなことはできっこありません。そういたしますと、実際は人口がゼロ成長の状態に達するには、いまから一生懸命がんばっても、六十年たたなきゃ解決できないんです。六十年たったら二〇三〇年ですか、二〇三〇年に一億四千万人になったら、日本の人口問題はたいへんなことになるんです。だから、いま大臣がおっしゃるこの深刻な段階に立っているということは、これからの問題じゃなくて、もう現実にきているんです。この認識の上に立ってもらわなければならないんですが、その点はどうですか。
#233
○国務大臣(齋藤邦吉君) 見識高いそうした御意見をお聞かせいただくにつけて、何か非常に深刻な感じがいたしてまいりました。
#234
○須原昭二君 そこで、私は、政府に提案をしたいんです。少なくとも六十年後のことではなくて、この十年ぐらいのうちに、日本の人口増加をゼロにするための政策を私はとらなきゃいかぬ。これは日本列島改造論の中に入れるべきですよ。これ一ぺん田中さんに、特に御親密でございますから、大臣からよく伝えてください。この日本列島改造論の中には、最も基本的な要件である人口問題が不在であるから、この点を補充すべきであると――日本列島改造論そのものを認めるわけじゃないですよ。この点が落ちておるんです、一番重大な問題が。この点はひとつこの機会を通じてお願いをしておきたいと思うんです。
 そこで、最近厚生省が、またまた考えられております優生保護法の改正、この問題は、いずれ提案があってから、私は論争をいたしたいと思うんですが、この問題は避けたいと思うけれども、日本ではいま厚生省のこの統計を見ますると、一昨年の、四十六年でしたか、中絶総数が出ておりますが、七十三万九千六百七十四件中絶したと、こういっております。これは届けられたのだけであって、潜在的なものを調べますると、われわれの推測では大体二百万件の中絶が行なわれているんです。妊娠可能な女性が八人に一人は中絶をしておるという結果が出てくるわけであって、これこそ私はたいへんなことである。まず中絶をする前に、子供を産ませないような条件をつくり出すことが最も重要な問題点ではないか。こういうことを言いますと、産業界は、労働人口が減っちまうから、といって歓迎をしない。そういう側面があることは、あまりにもそちらの方向を向いておるのではないかと思うんですが、こういう優生保護法の問題については、後ほど機会を見て論議をするといたしまして、特に政府は、いま広報などを通じて、国民に人口危機を説明して、子供は一人か二人かでとどめるように説得する――強制することできませんから、そういう広報活動をどんどんやるべきだと私は思うわけです。
 優生保護法の問題については私は反対ですから、中絶を望むものです。これを認めて、進んで妊娠をしないような、そういう事前の策にやはり方向変換をすべきだ、こういうふうに私は申し上げておきたい。特に、たとえば英国などは、避妊サービスを無料でやっているんですよ、国費を投じて。こういう事実を皆さんは御存じないのかもわかりませんが、しかも避妊の方法については依然として日本の制度というのは、まだ厚生省が指導しているやり方というのは、きわめて古代的な、封建的な、安全度の低いコンドームのようなもので――伝統的なやつで、いまでは何かスタンドで売っているような、あのような愚劣なことをやっておる。こういうきわめて伝統的な、安全度の非常に低い制度というようなのは考え直して、そういう伝統的なものではなくして、私は経口避妊薬というものを――後ほどここへ店開きします。全部、これは論議をいたしますけれども――こうしたやっぱり近代的な方法によって、あるいはリングなんか、こういうものを採用するように奨励すべきであると思うんですが、その点はどうですか。局長でけっこうです。――時間が足りないから、早く。
#235
○政府委員(穴山徳夫君) 私から……。後ほど薬務局長から経口避妊薬とリング、その他の問題について御説明いたしますが、いま私どものほうでは、先生御承知のように、いわゆる家族計画を進めているわけでございますけれども、これはいわゆる産児制限あるいは人口抑制という目的ではなしに、いわゆる計画的な出産という見地から、母体の保護あるいは母子の健全なる育成ということでやっているわけでございます。現在やっておる方法は、いま先生がおっしゃったような方法をおもにやっておるわけでございます。
#236
○政府委員(松下廉蔵君) ただいま御質問の避妊に関する医療用具及び医薬品の問題でございますが、まず、現在、許可承認いたしております品目は、いまおあげになりました医療用具といたしましては、コンドーム及びペッサリー、それから避妊薬といたしましては、局所用の避妊薬、大体三種類の成分を含んだものが許可されております。
 で、御指摘のまず経口避妊薬の問題でございますが……。
#237
○須原昭二君 後ほどやりましょう、それ。
 いまおっしゃった避妊の方法というのは、何十年も続けてきたまさに伝統的なやり方で、ちょっとも進歩してないんですよ。そういうところに改良がなされていないことを私は指摘をしておるわけで、したがって、私たちは近代的な方向へいくべきである。何か、人口問題について、あなたたちは非常に消極的であると私は思うんですよ。
 そこで、私はお尋ねするんですが、局長、経口避妊薬は政府はいま認めてないんですね。ノーかイエスか、それだけでいいです。
#238
○政府委員(松下廉蔵君) 承認いたしておりません。
#239
○須原昭二君 リングは認めてないんですね。イエスかノーか。
#240
○政府委員(松下廉蔵君) 承認いたしておりません。
#241
○須原昭二君 周期変更剤、月経困難症の治療薬、生理不順の治療薬は認めていますね。イエスかノーか。
#242
○政府委員(松下廉蔵君) いま御質問の効能を持つ医薬品はほかにもいろいろあろうかと思いますが、おそらく女性ホルモンを含む医薬品についての御質問かと存じます。それにつきましては切迫・習慣性早・流産、無月経、月経異常等の効能を持ちますホルモンを含有いたします医薬品につきましては、一定数承認いたしております。
#243
○須原昭二君 そこで、まあ店を開くわけですが、ここに全部、これ、並べてあります。たとえばエナビット、ノアルチン、リンデオール、アノブラール、ソフィア・C、オビュレン、その他たくさん名前がありますが、時間の制限がございますからやめたいと思います。これらのすべての薬の、この中に入っているすべての薬の中で、内容は内服薬ですが、プロゲスチンすなわち黄体ホルモンと、それからエストロゲン(卵胞ホルモン)の混合・複合剤、錠剤です。これは、英国や、アメリカや、オランダや、ドイツや、スイスや、デンマーク、近くは今日ではもう中国ですら使っているわけですけれども、これはすでに十年前から使って、そのつど改良がなされてきているんですよ。しかし、その成分を比較をしてみると何ら変わってないんですよ、それらの諸外国のつくっているものと、そして日本でいま販売をされているものと。よその国では経口避妊薬で堂々と通り、日本では、同じ成分のものが、経口避妊薬の名前は使ってはいけない。それは月経困難症だとか生理不順の薬ということならいいということは、どういうことなのか。私は、まさにこれは奇々怪々でならぬ。同じ製品でありながら、名前をつけていけない。なぜ経口避妊薬を認めずに、月経周期変更剤だとか、生理不順だとかあるいは月経困難治療薬、こういう名前を打てば許可をするんですか。その点が問題なんです。これが一つ。日本は避妊を禁止をしておるんですか。禁止をしておるぞというなら、どこにその法律に準拠をして禁止をしているのですか。その点を明らかにしてもらいたい。
#244
○政府委員(松下廉蔵君) ただいまのいろいろおあげになりましたエストロゲン含有の医薬品でございますが、先ほど申し上げましたような効能のもとに認められておるものがあることは御指摘のとおりでございます。また、その成分が、諸外国におきまして経口避妊薬として承認されておるものと類似の成分を有しておることも、専門家の御意見を聞いて承知をいたしておりますが、ただ、いまいろいろと申し上げましたような症状は、いずれも、これは婦人の病的な症状でございまして、そういった病的な症状を呈した際に、短期的にこれを治療するために、医師の投薬によって用いるというのが現在承認されておるものの効能でございます。それに対しまして、経口避妊薬というような効能を認めて、これを承認いたします際には、健康な婦人が長期にわたりましてこれを服用するという点が、現在認められております医薬品の使用方法とは異なってまいりまして……。
#245
○須原昭二君 法律のことを言っているんだよ、法律を。法律のどれに準拠をしてやっているんだ。それも行政指導じゃないか。何言っている、法律だよ。避妊を禁止している法律があるかというんだよ。
#246
○政府委員(松下廉蔵君) 避妊を禁止しておるという法律は、私の承知している限りではございません。
#247
○須原昭二君 そこで、先ほどから申し上げているこちらにあるのは国産品ですよ。この問題については言いません。しかし、エナビットというのはアメリカのサールの会社で、包装も一緒ですよ。書いているのは、避妊薬と書いてないだけですよ、日本の製品は。ドイツのシェーリングが出しているこの薬でも、その内容に、薬効の中に、それが書いてないだけですよ、日本の製品は。みんなそうなんだ。同じ成分でありながら、法律が避妊ということを禁止をしている。カトリックの国ならともかく、なぜ薬効の中へそういうものが、避妊効果があるんだということを規定してはいけないのですか。ここが問題点なんです。
#248
○政府委員(松下廉蔵君) 内容につきましては、非常に類似の成分を含んでおることは、おそらく御指摘のとおりであろうと思います。ただ、先ほどもキノホルムにつきましても御質問がございましたように、同様な医薬品でございましても、その投与の期間、あるいは投与の量、投与の態様によりまして、医薬品の副作用は大きく変わってくるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、健康な婦人が相当長期間、こういったホルモン剤を服用するということによります副作用は、一時的な疾病に対して効能とのバランスを見ながら、副作用を押えても使用しなければならないという効能に着目いたしまして承認いたします場合とは、やはり行政的に、より慎重を期さなければならないという要素があると考えておりまして、なお、慎重な検討を続けておる次第でございます。
#249
○須原昭二君 医療用だからと――それは妊娠というものは予防と、避妊というのは治療用じゃない、医療用じゃないということですが、そうしたら、栄養剤なんか薬品としてこれを認めていくのはおかしいじゃないですか。一般用と医療用と分けてあなたは考えて、避妊をこれを項目の中へ入れぬという、先ほどの答弁はおかしいと思う。そうしたら、今度は副作用と変わってきたでしょう。なるほど副作用の問題については、私も薬剤師ですから率直に申します。あなたたちは、薬の副作用、副作用と、副作用があるから薬は悪いんだというものの考え方は間違いなんだ。薬物には副作用があるのはあたりまえのことなんです。先ほども佐々木さんがおっしゃったように、その使用法をいかにしてそれをチェックをするかというところに問題があるのであって、副作用と言うんだったら、たばこ吸っとってもこれはみんな副作用が全部あるんです。しょうゆを一升飲んでごらんなさい。副作用は出てくる。副作用の論議なんかだめなんです。副作用があるんだったら、その根拠を明らかにすべきなんです。そうでしょう。
 そこで、私は申し上げたいんです。ピルのこの副作用の問題については、その副作用の論議の前にもう一つ問題点がある。厚生省でピルが、経口避妊薬が、ピルがピルとして許可されそうになったことがあるんですよ。あなたは知らぬのですよ。あなたは事務官だから、わからないんだ。そのときは、副作用の問題ではないんです。あれはちょうどマルピーでしたが、何か製薬会社の汚職が起きてパーになった。その次には、厚生省が今度は産婦人科学会に諮問をして、そしてその産婦人科学会も、副作用は問題にならないと、経口避妊薬ピルの解禁の答申を準備したことがあるんです。そうしたら、若年労働者が不足してしまって、これは時代逆行だといって一喝食らって、厚生省は引っ込めちまったんだ。こういうデータを私は持っている。その証拠に、この学会の権威者であります小林産婦人科学会の会頭さんが「家庭画報」の中に、医学的には問題がないが、いつも横やりが入るのでと、こうちゃんと明記されている。ピルが、先ほど申し上げたように、生理不順だとか、月経困難の薬であるということが、今度は一般の女性に知れ始めちゃったら、あなたたちは何をやったか。一昨年の十二月二十八日大みそかに、みんなの知らぬうちに、厚生大臣の決定権である中央薬事審議会の薬効審査会、その中に副作用審査会という審査会までつくっておきながら、そこに何ら諮問をせずに、官僚的独善で要指示薬に決定してしまっただろう。どういう根拠でやったんだ。いかなる根拠でピルが禁止をされるのか。同成分の混合黄体卵胞ホルモンのこの問題を、そういう官僚だけで簡単に独断でそういう要指示薬にして、ますます一般女性の手に遠いものにしてしまったいうことは、どういうことなんだ。まさに疑問で、奇々怪々ですよ、これは。
 副作用の問題を申し上げておきましょう。副作用の問題を豊田参事官からもらった。書いてあることがふるっている。血栓症だ、腟ガンだ、乳ガンだ、生まれてきた子供、女の子が腟ガンになると、こう言う。ピルを使ってて、生まれてくる子供がおるかね。ばかなこと言っちゃだめですよ。国際家族計画連盟の中央委員会は、もうすでに四十五年の四月一日、世界じゅうから専門家を集め、ピルについて討議を行なった結果、ピルは、その性質上予測できないある種の危険性を将来もたらす可能性もあるが――四十五年の段階ですが、現在のところ、母体健康を保つためには最も重要な手段であり、今後もこれを続けて用いることが正当であるという結論に達したと、四十五年四月一日に声明文を全世界に公表している。それから、ここに私は持ってきたけれども、一ぺん読んでみなさいよ。あなたたちは最高の学府を出ておられるんだから、横文字読めるでしょう。薬物の安全性について最も早く最もきびしい――あの最も早く安全性に気がつき、そして最もきびしい安全性の高いイギリス。イギリスの、国際的にも非常に高いレベルだと言われている委員会でありますが、英国医薬品安全委員会ですよ。その資料はあなたにお上げしますから、よく読みなさい。七二年の十月ですよ、昨年の十月、経口避妊薬の副作用としての発ガン性の不安はないと断定をしてますよ。血栓症はすでに六八年、卵胞ホルモンが〇・〇五ミリグラム以下ならよいと立証しているんですよ、これは。それを胎児の腟ガンになる、乳児の子宮ガンだ、血栓症だと、こんな薄弱なあなたたちの副作用モニター報告で処理をするということは、きわめて非科学的ですよ。だから大臣、私の申し上げたように、いまは亡くなられた前の厚生大臣に私は言ったんです。薬務局長というようなこのような重要な職責は、今後は技官にかえるべきだ、薬の専門家にすべきだ。こういうことを言ったら、あの人もそのとおりだと、しかし、いまは帯に短したすきに長し――あまりいい人がないとおっしゃった。松下さん個人を私は言うんじゃない。そういう人を中心に置いて薬務行政をやらなければ、先ほどの佐々木さんのような質問はどんどんあとを断たないですよ、これは。
 特に私はもっと進めておきたいと思うのです、認識を改めてもらうために。薬物の副作用があるからといっておるけれども、副作用があるなら、ほんとうに百歩譲ってこれが心配なら、白日のもとにピルというものを明らかにして、品質管理といいますか、品質改良開発の方向へ積極的に前向きに進むのが当然製薬家の責任ですよ。そうでしょう。それがほんとうの姿ではないか。これがほんとうの行政のあり方ですよ。たとえば率直に申し上げますが、黄体ホルモン、最初は世界でも一錠中には九・八五ミリグラム、一錠の中ですよ。九・八五ミリグラム入れておった。しかし、今日ずっと三年、四年、五年、十年たっているうちに、もう九・八五ミリグラム要らぬ。今日ではこの製品を見ますると、二・五ミリグラムまで減ってきているんです。四分の一でけっこうだ。それから卵胞ホルモンのほうは〇・一五ミリグラム、それがどんどん改良しているうちにこれは逆に〇・七五に世界のやつはなっているけれども、日本人は世界の女の人よりも小さいですから、これは私の考え方で言うならば〇・〇五ぐらいが適当だと思うのです。そうすれば、副作用の作用は全くないんですよ。使用方法についてもみんな克明に書いてありますよ。中に入っています。研究を続ければいいんですよ。いまではもう卵胞ホルモンを一定にしておけば黄体ホルモンは少しで済むんだと、ここまで文献は明らかにしている。こういう問題を抜きにして、ただ情報があったから、これはあきまへん。だから、これは危険ですから要指示薬と。要指示薬になってどうなっているんですか。要指示薬になったら制限されましたか。私はここにメーカーの生産リスト、生産のデータを持ってきたけれども、たとえば新EPでも要指示薬なら減ったと思うでしょう。要指示薬の規定になったのは去年の四月、その以前三カ月、あと三カ月を比べてみると、前が五三、四七、エナビットなんかは四一・八が五八・一に伸びている。リンデオールなんか三五・七が六四・二になっている。要指示薬になってもどんどんふえている。そういうことはどういうことなんですか。たとえば、それが副作用があるとしながら、チェックされていないんですよ。医師が出すならば要指示薬として指示書が出てくるだろう、薬剤士がチェックするだろうということで、あなた方は、良心的にあっちに回したかもわからぬ。しかし、現実にはふえているんです。ここに大阪府の医師会の会長の山口さん、大臣が任命した中医協の委員ですよ。この方ですら「要指示薬には反対であり、協力できない。」と声明書を出しているんです、公文書を。しかも私は、これは健保制度の問題の財政の問題で指摘をしたいんだけれども、薬価基準に登載されないもので、登載されているという同効の薬剤で、交換できるものは十分説明して保険診療として切りかえよと、堂々と書いてあるのです。
 たとえば、新EP錠を女の人が取りにきたら、二百円の初診療をとって、EPは使いなさんなと、これは薬価基準に載っているアノブラールという、ここにありますけれどもこのアノブラールを代用しなさい。そうするとあなたはただで済みますよと、こういうことになっている。そしてどんどん使っているんです。こんなばかげたことが堂々とまかり通っているんです。そして一般の女性には、経口避妊薬は副作用がある、使ってはいけません、使ってはいけませんというような方向へいっているということは、まさに私としてはどうしても認めるわけにはまいらない。大臣の所見を承りたいと思う。
#250
○国務大臣(齋藤邦吉君) 先ほど来の御意見承りまして、私も専門的なことはよくわかりません、率直に言ってわかりませんが、相当やっぱり反省をし、検討し直す必要もあるというふうなことを感じました。しかし、具体的な例について私は知識ありませんから、その点はお許しをいただきたいと思います。十分検討いたします。
#251
○須原昭二君 要指示薬の決定も、実は大臣の決定でやったというのですよ。それは、大臣は薬の専門家じゃないから、わからないから、部下を信頼して判を押されると思うんです。判を押すまでの過程を一ぺん追及してもらいたいと思う。せっかく中央薬事審議会という、そうそうたる薬学者を全部集めてつくっているんだ。そこの薬効審査会にもかけずに、副作用審査会がちゃんとあるにもかかわらず、そこにも諮問もせずに、なぜ官僚やお役所だけできめるんですか。これを称して官僚独善と言うんですよ。そうでしょう。
 滝沢医務局長さん、きょうは、技術者じゃなく参考人のようなつもりで呼んだんですがね。あなたは、実は家庭画報の中に、私個人としてはリングの解禁は積極的に進めるべきだと思うし、ピルの場合も、医学的にはむろん認めるべきだと思っておりますと、お書きになっておりますが、意見を御発表になっておられると思いますが、やはりお医者さんだけあるな、技術者だなと、やっぱり薬務局長も薬剤士にしなくちゃいけないなと思って、実は敬意を払ったんだけれども、御心境をお聞きしたいと思います。
#252
○政府委員(滝沢正君) 私、公衆衛生局長ということは優生保護法を担当いたしておりまして、これが改正にからむ医師会の講演会等でも私の見解というものを申し述べております。この問題の中で、先生御指摘のピルともう一つはいわゆるリングと言われる――まあリングとちょっと形態が最近は変わってきておりますけれども、この問題を二つ取り上げまして申し上げたわけでございますが、これはまあ問題になっておりますような副作用、あるいはわが国民のいわゆる習性的に考えました家族計画の実態、こういうものを考えますときに、まず同様に考えることは無理であろう。したがって、まずリングの問題はこれは積極的に考える必要がある。これはむしろ医師の管理のもとに行なう必要がある。それから経口避妊薬につきましても、その効果あるいは国際的に広く使われている実態、そういうものを考えまして、わが国の中絶の実態、こういうものを考えましたときに、行政の判断としては、この避妊薬の問題については、もちろんこれを使用する手段あるいは管理の方法、こういうものに十分検討しなければならぬものがあると思いますけれども、むしろこれは積極的に導入する方向を考えるべきであるということは確かに申し上げてあるわけでございます。
#253
○須原昭二君 わかりました。それでよし。そういうふうにやっぱり専門家は考えているんですよ。ですから、私は皆さんにもう一ぺん再考しろと――役所は再考するといろいろ機関をつくって屋上屋をつくってまた時間がかかる。こんなことをやっておったらまた人口はどんどんふえていくんだから、これは早急にひとつ結論を出していただきたいと思うわけですが、幸いにして松下さんも実はこれは言っているんです。松下さんも、四十八年二月十九日の薬事時報をたまたまちょっと見てみたら、経口避妊薬は認める方向に進まなければいかぬと、こう言っておる。そのつどそのつど厚生省の方向というのは、あっちを向いたりこっちを向いたり、あっちからものを言われるとやめて、こっちから言われるとあっちへ移したりという、そういうばらばらなものですか。
 ちゃんと優生保護法改正案提出で、第一課に対して松下薬務局長が指示をしたと、談話としてですね。「優生保護法とのからみあいで薬務局としての体制はととのえておく必要があり指示はした。しかし経口避妊薬について能動的に認めるというのではない。学会等から意見があり、必要性があるという世論ならば調査会をつくって検討してもらう。」こういうふうに、前向きで、あんたいかぬ、いかぬ言いながらも、まあ前へまた進もうかというような意見を出している。そこで意見を聞きましょう。
#254
○政府委員(松下廉蔵君) ただいまの記事は、私も読みまして、その記事については若干誤報がございますので、御説明申し上げたいと思います。
 私が製薬第一課長に対しまして、ピルの問題経過につきまして説明を聞きたいと、資料を整理して説明してくれという指示をしたのは事実でございます。ただ、私はそれは薬務局長に就任いたしましたときに指示をいたしましたわけでございまして、やはりピルというものが先生の御指摘のように、いろいろな御意見があり、いろいろな問題をはらんでおるということは、従来ほかの局におりましても、私も承知いたしております。したがって、薬務局の所管事務の一環として、こういう重大なものは、なるべく早く勉強しておきたいという趣旨をもって、第一課長に資料の整理を命じたわけでございます。
 それから、記者会見をいたしました際には、この優生保護法との関連におきまして、ピルの取り扱いについて質問が記者から出ております。その質問に対しましては、そういうことが議論される段階では、もちろん先ほどから申し上げておりますような、慎重な配慮を加えなければならないという意味での説明をいたしたわけでございまして、私自身がこれを前向きに認めることが適当であるという趣旨を表明したものでは決してございません。
#255
○須原昭二君 そうすると、いま医務局長――前の公衆衛生局長が言っていることと、あなたは意見が違うんですね。そういう意味ですね。それは個人的ですか。それともいまはお役人として、局長さんとしての御答弁ですが、御本人どう思われますか。局長は前向きに言ってるんだ。あんたはうしろ向きのことを言っているんだ。
 そこで厚生大臣ね、こういうふうに意見がばらばらになっているというのはおかしいでしょう。そんな不安定な上で大臣つとまりますか。どうですか、そうでしょう。部下を信頼できぬでしょう。そんなもんにめくら判を押したってだめですよ、めくら判を。どうですか。
#256
○国務大臣(齋藤邦吉君) どうもこれ、よく閣内不統一なんということばがよくありますが、省内不統一のような感じが私もいたします。これははなはだ申しわけない話で、しかも国民に対してこういうことは私はまずいと思うのです。やっぱり厚生省としては一本の姿で、こういう点は問題であるから、こういう点は研究しましょう、こういう点は問題解決したから、じゃ許可するなら許可しましょう、これはまずいからやめましょうと、これはやっぱりはっきりすべきだと思います。そういう意味において、今後は薬の問題は衛生三局、その他関係するところ多いわけでございますから、慎重に意見の統一をはかって、国民に帰趨について誤解を抱かせないように大いに善処いたしてまいるつもりでございます。
#257
○須原昭二君 私は、これはね、いま医務局長がおっしゃったように、私は、医学的には問題はないと思う。問題は政治的な問題になりつつある。これはなっておる。そこに不純なものが入ってきておると言っても私は、過言じゃないと思うんですよ。専門家の中では、副作用など私が申し上げたように、もはやいまではあまりたいした問題ではないんですよね。それを相変わらず、副作用を理由にして認めなかったり、公告、この「医薬品の不適正な販売方法について」という通達を出されておりますが、この避妊効果を標榜したり、暗示して、これらのホルモン剤を販売することはいけませんと、行政省は書いている。これは薬効の誇大、こういうものがきき過ぎますよ。誇大だとか、薬効の偽り、こうしたものは違法だとこう言っているんです。厚生省自身が薬効があるにもかかわらず、それを隠している。逆ですよ、これは。避妊の効果あるにもかかわらず、隠している。そういうことを強要するという態度はおこがましいですよ。こういう点は厳に慎しんでもらいたいということ、いま大臣がおっしゃるように、省内不統一だとおっしゃいましたから、この点は統一していただきたいが、こうしたやはり医学的というよりは私は、政治的な方向でやられている。医学的な問題ではなく、もっと雲の上で何か高度な政治的な判断によって禁止されているような感じがしてならぬと思うのですが、こういう方向は私は非常に適切でないと思います、先ほども佐々木委員からおっしゃいましたように。もう時間がきたようでありますから、終わりますが、このキノホルムの問題でも、日本薬局法の中には、一日〇・二グラム、一日〇・六グラム常用量と、こう規定をされておる。常用量という規定をされておる。これはこの総覧で解説がしてあるというような実は薬務局長の答弁であったけれども、これは権威者が――世界の情報に基づいて日本の最高の薬事学者が全部結集をしてつくったこのもので、その常用量もきちんときまっているんだから、これに基づいてきちんとチェックをしておったら、キノホルムなんか出てこないんですよ。そうでしょう。
 今度はそれを要指示薬にしたら、お医者さんから指示書が出るから、そこでチェックができるだろうと思ったら、今度はどうですか。要指示薬にしたら逆にどんどんふえている。薬局の店頭から全部なくなっているというのが現状なんですよ。世界は医薬分業に向かっているにもかかわらず、台湾と韓国と日本だけ。こういうチェック機関こそ私は必要だと思う。
 それからもう一つ、だからといってですね、ピルをそういうチェックが必要かといえば、私はそうではないと思う。率直に申し上げますが、女性は女性自身が自分の体の構造については基礎的知識を持っている。持ってないとするならばですね、日本の中小の義務教育の中で保健という科目はない。あるんでしょう。そういう中できちんとやられているんです。ピルについてもっとよく理解をさせる。使い方について自分でどれを選んだらいいのか。たとえば体重の大きい人、小さい人ありますよ。だから〇・〇五グラムというのが基準ですけれども、小さいお方だったら〇・〇四グラム、卵胞ホルモンがね。このぐらいのものを使ったほうがいい。こういうことを指導するのが、厚生省のこの家族計画推進の政策であり、産児制限の政策だと私は思うのです。そういうみずからの人口、みずからの体をよく知っておる婦人が、まず、みずから選び出すような方向に指導していくことがもっとも――たとえば服作用が強いというならば、百歩譲って、これを少なくすることが適切な方法だと私は思うのです。だから、私はピル解禁をすべきだ。ピルを自由に、自由にですよ。自由に薬局の店頭で薬剤師の指導のもとに解放したって私は、けっこうだと思う。こういう適切な近代的な方法でなければ、いまや日本のこの過剰と言われる深刻な人口問題を解決する法は私は、ないと思うのですよ。大臣、私はですね、緊急にこの経口避妊薬を認め、簡単に――簡単にというと語弊がございますが、よく説明し、それこそ政府が宣伝をして、そして女性自身が、みずから自分の体に適応する、そういうピルを選び出すような機会、利用することが簡単に――簡単というと語弊がございますが、手の届く範囲内において薬局の店頭で自由に買うことのできる、そういう方向を私は考えるべきだと思うのです。この点について、特に大臣は、まあ省内不統一だという陳謝のことばがございましたから、あんまり強く大臣には言いませんけれども、そういう不安定な中に立っていれば、大臣がふらふらするのはあたりまえのこったと思うのです。部下を督励をして、ひとつ再考を願いたいと思うんですが、その点はいかがですか。
#258
○国務大臣(齋藤邦吉君) 冒頭から人口問題の深刻性について御指摘があり、その後るるいろいろお話がございましたが、私の薬務行政についての基本的な考えを申し上げますと、私は政治的に薬務行政はあってはならぬ。これはあくまでも国民の保健なり健康ということが中心の行政であるべきものであって、単なる政治的な感覚で薬務行政がおかされるということがあってはならない、かように考えておるものでございます。
 なお、御指摘のピルその他の問題につきましては、医務局長、薬務局長、その辺に多少意見の食い違いもあるようでございます。おっしゃるとおり、不安定のもとに大臣がやっておったのじゃ大臣自身が不安定になりますから、私も安定するようにひとつ成長します。そして、この問題については、私ほんとに知識ないんです、全然知識ありません。これは専門家でも何でもありませんから知識ありませんが、十分そういう点を研究し、それから先生方の御意見も十分尊重いたしまして十分検討をいたさせていただきたいと思います。
#259
○須原昭二君 きわめて、時間も延長してしまって非常に恐縮でございまして、申しわけないと思うのですが、ひとつ大臣、意はよくわかりました。したがってそれは省内だけで論議しておったって私はだめだと思うのです。日本薬学会もありますよ、中央薬事審議会もありますよ。そういうやはり専門家を、一ぺん緊急に審査会をつくって――審査会というと、大体かけると二年ぐらいかかりますから、そんなことをやってるとその間に二百万、四百万ふえますから、人間だけでも。たいへんなことですから、早急にこれを結論を出していただく審査会をつくってもらう、その点をひとつ御明示できませんか。
#260
○国務大臣(齋藤邦吉君) 十分専門家の方々の御意見を承って結論を出すようにいたします。
#261
○田中寿美子君 たいへんに手きびしい攻撃が厚生省に続いているわけなんですけれども、私は気が弱いからなかなかそうきびしいことは申しにくいけれども、いま聞いていて、まあちょっとついでですけれども、何で女ばっかりが避妊の役割りを承らなきゃならないのかな、その辺も少し研究してください、ついでに。
 いま須原委員から人口を制限せよという議論が出たわけなんですが、私は生まれている命をうんと大事にしなきゃならないという、そういう非常に重要な課題がやはり厚生省にはあると思うのです。きょうは重症心身障害児の命を守ってほしい、こういう立場から御要望したいことが一ぱいあるわけなんです。
 で、先般来、島田療育園の問題が問題になりまして、そしてあの場合はたいへん職員の数が少なくなってきたので子供を家に戻さなければならないような危機的な状況にあるという訴えがあって、たいへんマスコミでも伝えられましたから、あの危機の状況は避けられたということを、最近私は島田の方から聞きました。しかしそれは一時的な危機の回避にすぎないのであって、そして重症心身障害児の施設のいまの状況や人員の状況ではやっぱりまたすぐに退所してしまう、働く人がいなくなってしまう、人員が慢性的に不足である、あるいは施設が悪い、その他困難な問題だらけだと思います。それで一番基本的には、赤字や人手不足の問題、こういうことだと思うのですけれども、こういう問題を私は――厚生省の行政というのは非常にそういうことが多いのですけれども、福祉というものを何か恩恵のように考えたり、あるいはだれかの犠牲の上にやってはならないというふうに、基本的にそう思うわけです。で、厚生省の行政をしていらっしゃいます方は、長い問の自分たちのやってきたその行政の上にまあ上乗せしていくくせがついてらっしゃいますから、急にこう発想を変えるということはたいへんむずかしい。これは厚生省だけではない、官僚がみんなそうだと思うのですけれども。厚生大臣、いま福祉への転換の時期であるというときに厚生大臣におなりになったのですから、ことに一番弱い立場にあります重症心身障害児の問題は、年金だとか、健康保険、医療保障の問題とか、そういう問題と一緒に、特に重点的に考えていただきたいと思うので、最初にその御決意を聞かしていただきたいと思います。
#262
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私はいままでいろいろな予算委員会その他で厚生行政についての私の考え方を申し上げてまいりましたが、厚生行政は年金、医療それと相並んで社会福祉という問題が非常に重要であることは私も力説いたしてまいりましたし、そのつもりで努力もいたし、今後とも努力をいたす考えでございます。あくまでも福祉というのは、お話もございましたように、恩恵的に与えるなんというものであってはならない。これはやっぱりこの世の中に、しかも日本人としてお互いに生まれてきた以上、お互いが助け合いながら、そしてやっぱり安定した豊かな生活ができるようにお互いに努力をしていかなければならぬ。その上に立って国家ができるだけめんどうを見るといいますか――めんどうを見るというのもおかしなことばでございますが、国はあくまでもそうした人々のハンディキャップを除くようにして援護の措置を講じていく、そしてお互いにこの日本に、日本人として生まれたということはしあわせであったということを感じさせるように、感じるようにしていかなければならぬであろう、私はさように考えているわけでございます。特に重度心身障害児の問題は、ほんとうにこれは私はお気の毒――お気の毒と言っちゃおかしいのですが、ほんとうにたいへんなことだと思います。そうした子供を持っている御家庭の悲惨な姿、ほんとうに私もよくああいう方々のお母さんたちの会議に出たこともございますが、ああいう子供を持った御家庭というものの悲惨さ、明かるさを何とか取り戻してあげたいという感じ、それと同時にあの子供の生命を守ってあげる、非常に私は強い責任を感ずるような気がいたしているわけでございまして、最重点を福祉の面においては重度心身障害児の問題と、寝たきり老人の問題に全力を尽くしていくべきである、かように私考えております。
#263
○田中寿美子君 だれでも自分が好んでそういう心身障害児に生まれているわけではないわけですね。生まれてきた、その命に対してほんとうに、これは国がめんどうを見てあげるということばをお使いになりましたけれども、これはわれわれがお互いに国民同士がめんどうを見るということだと思います。
 それで先日、私どもは四月二日ですけれども、社会党の調査団でびわこ学園に参りました。あそこに半日くらいおりまして、そして実情を見たり、職員や子供たちと話をしたりして、もうまことに深刻な印象を受けて帰ってまいりました。私はその晩よく眠ることができなかった。あそこで働いている人たちの激しい怒りが私どもにぶつけられまして、そしてその怒りが私たちにも移ってきているような感じがするわけなんですね。で、まあほんとうに――第二びわこ学園のほうでございます。あそこは第一と第二がございます。たいへん施設も粗末だと私は思います。あれは民間の人が始めた施設でございます。私は幾つかのそういう外国の施設を見ていたし、また国内でも比較的もう少しいい施設を幾つか見ているのですが、まあ外国の場合でしたらさしずめああいう重症心障児のいる施設というのは芝生がまず建物のまわりにあって、そして冬ですから暖房がちゃんときいていますし、廊下だってもっと広いし、それから会議室や食堂や休憩室もあるし、談話室もある。そしておふろといっても一人ずつ入れられるようなふろ場で入れている。そういう状況がほんとうは重症心身障害児には好ましいと思うのですけれども、そういうのとははるかに遠い施設でございました。そして、その始めたときから借金で始めているわけですから、その借金をまかなう、その赤字がたいへん重くのしかかっているわけですね。それは経営の上にものしかかっている。ですから、お互いに切り詰めた切り詰めた経営をしながら、その中で園長以下子供たちもまた職員もたいへん粗末な食事をしております。私たちも一緒に食事をいただきました。そして、そこで働いている職員たちは全く重労働でございますね。で、腰痛を持っています職員がたくさんいるものですから、半日ぐらいずつ休まなければならない人がいるわけです。これは命令で休まされている、健康診断の結果ですね。そして次々と――島田の場合も同じですけれども、退職者が出ていくわけですね。絶えず入ってきても出ていく。こういう中で、一日六回おむつを交換するような仕事、入浴の仕事、食事を食べさせる仕事、それはもうたいへんな負担でございます。で、浴室でちょうどおふろに入れているところも見ましたけれども、体重が次第次第に、あそこにいる子供が重くなっていくわけですね。で、年もだんだんとっていって、体重が三十五キロから三十九キロまであるのがもう十七人。あそこは全員で大体――第二びわこですけれども、百十九人ですね。それで、体重が三十五キロから三十九キロになっている者が十七人、それから四十キロから四十五キロが二十七人、四十六キロから五十キロが十二人、だんだんおとなになっていくわけですね、まあ子供と呼んでいますけれども。まあそういう人をおふろに入れているさまを見ましたけれども、まあ設備が悪いですから、平面のところにあるおふろに横から――自分は中に入るわけじゃありせんから、手を出して、こうやって子供をささえながら洗ってやる。これはたいへんな労働、それを何人かやらなければならないわけですね。ですから腰痛になるのはあたりまえだろうというふうに思いました。で、夕食が三時半にもうやられる。夏の暑いときなんか、三時半の夕食というのはもうほんとうに耐えられない暑さだと、施設がよければともかくですね。で、なぜそんなに早くやるのか。朝は五時から子供たちを起こして食事につかなければいけない。というのは、一人一人にずいぶん時間がかかるわけでございますね。おさじで口に入れてやらなければならない、やわらかくした食べものを入れてやらなければならないあの作業というのは、一人に三十分はかかる。それから、もしちょっとでも能力のある子には、自分でスプーンを持たせて、そのスプーンで食べさせるということがその子供を少しでも生かしていく、能力を引き出すことになるんだというので、しんぼう強くそれを指導しようとすれば、これはどのくらいかかるかわからない。だから、かわいそうだけれども三時半から夕食を始めて、五時過ぎぐらいまでに終わらして、あとは朝の五時、六時までは何にも食べさせることのない子供たちですね。こういうふうな状況を見ていまして、これは私はぜひ一ぺん大臣も――幾つかごらんになったと思いますけれども、こういう民間の施設に非常に苦労な仕事をまかせている状況を見ていただきたいと思うんですね。そうして、こういう仕事には特別の設備費も入れてやらなければいけないし、職員の待遇や何かも考えなければならない、こういうふうに思うのですが。それで、時間が短いものですから、たいへんたくさんの問題を私たちは感じてきましたが、今後社会労働委員会等でゆっくりとその問題は触れたいと思うのですけれども、厚生省は五十年ぐらいまでに、あるいは五十二年とおっしゃることもあるんだけれども、全部の重症身障者を収容するということをよくおっしゃっていますね。で、これは何人を収容するつもりでおっしゃっているのか、ちょっとおっしゃってください。
#264
○国務大臣(齋藤邦吉君) これは総理も衆議院、参議院の予算委員会等においてはっきり言っておりますが、一応一万六千人。一万六千人といいますのは、昭和四十六年度から五カ年計画をもちまして、四十六年度から五十年度まで五年間に一万六千人を全員収容しようということにしております。この数字はどこから出たかと申しますと、その前の年に一応調査しました資料がございましたので、それをもとにして一万六千人を収容しよう、で、大体四十八年度終わりますと一万一千人分の施設は整備されます。したがって、四十九年度、五十年度で、残りの五千人を収容する、こういう結論にいたしておりますが、しかし、はたして一万六千人だけで今後済むのかどうかという問題があるわけです。
 そこで、この問題については、やっぱり御承知の経済企画庁の経済社会基本計画、あれに基づいて厚生省が今後五カ年計画でまた新たなるものをつくりますから、一応五十年度の実績を見て、これは五十年度までには間違いなく一万六千人を収容できる施設はつくりますが、はたしてそれで足りるかどうかということを再検討いたしまして、足りない分についてはそのあとの計画を補正いたしまして、五十一年度、五十二年度、そこで追加していくようにいたしたいと思いますが、一応一万六千人というものを目安に努力をしたいと思います。
#265
○田中寿美子君 その一万六千人というのは、いわゆる厚生省でいう重症心身障害児ですね。重症心身障害児というものの定義は、「重度の精神簿弱及び重度の肢体不自由が重複している児童」、これは児童福祉法の四十三条の四です。ところがこの島田療育園もそうですけれども、びわこ学園、あるいは秋津療育園、みんな厚生省の定義による重症心身障害児だけではなく、いわゆる動く重症心身障害児というのが入っているわけですね。これは大体五万ぐらいいると言われていますね。そして、この子供たちを収容しないということは私は重大なことだと思います。で、何か収容さえすればいいというものでは決してない。重症心身障害児といって、じっと寝たっ切りで動かない子供をベッドの中に入れれば、これで収容が事足れりというふうにお考えになっては困るのですね。その辺はどうお考えでしょうか。
#266
○政府委員(穴山徳夫君) いま先生が御指摘のとおりの問題があるわけでございまして、いま大臣が一万六千人、厳密に申しますとあと五百あるわけでございますが、一万六千五百を五十年度までに整備しようというのは、いま先生のおっしゃいました肢体も不自由、精薄、両方とも重度の重複している者がそのぐらいおるという推定で計画をつくったわけでございます。そのほかに御指摘のように、重度の精薄という人たちもいるわけでございまして、それについての整備計画もいま大臣がおっしゃいました五カ年計画の中でやりつつあるわけでございます。ただ、これは重症心身の者一万六千を目標とする施設の整備に比べますと、若干ペースダウンしておりまして、まだもちろん十分な数ではございません。したがって、私どもも重症心身の問題を最重点に取り上げますと同時に、やはりこういった重度の精薄児、あるいは重度の肢体不自由児、そういったような重い子供たちを入れる、収容する施設というものも大いにつくっていかなければいけないというように考えているわけでございます。
#267
○田中寿美子君 いま重度の精薄児、重度の心身障害児というふうに分けておっしゃって、いわゆる動く重症心身障害児というのはその両方に入っているというおつもりのことばだろうと思うんですけれども、これをやっぱりちゃんとした施設に収容するということと、それから同時に、これはたいへん大きな基本的な問題を含んでいると思うのです。重症心身障害児をじっと寝かせて置いておけば、これはだんだん退化して死んでしまうわけです。そうすればいいというような考え方を絶対にとらないでほしい。中央児童福祉審議会のほうからもそういう答申が出ておりますね。どんなに重度の身障者であっても、これは教育を受ける権利があるし、また能力があれば少しでも引き出してあげるというのが重症心身障害児に対する対策であるということが出ておりますので、その方向でやっていただくという意味で、もう一ぺんその重症心身障害児に対する対策を私は立て直してもらいたいと思うのですが、そういう部門を引き受けているのが私ども行ったびわこ学園であり、そして第二びわこ学園では、そのために何とかして子供たちの能力を引き出してやろう、少しでも進歩させてやろうという努力を職員が一生懸命になってやろうとする。そうすればするだけ職員にたいへんな負担がかかるわけでございますね。それで現在までは児童二人に対して、あれは一・七くらいに対して一人という割合の職員がいるわけですけれども、これは交代勤務がございますね。それですから結局五、六人に一人、あるいは十五、六人のグループに二人、三人といった分担になっていくわけです。そうしますとさっきお話しましたようなおふろに入れる場合を考えてもあるいは御飯を食べさせているところを見ましても、それはもうたいへんな重労働が続きます。そのために腰痛症をみんな起こしているわけなんですね。それで数も七十一人が健康診断を受けて、ほとんど全部が腰痛症を持っているわけですね。それでこの問題に関し、私が言いたいことは、ぜひこういうところの職員を一対一ぐらいのところを目ざしてふやしていただきたい。四十八年度の予算では一・五対一の予算を取ってある。その予算の取り方は医療費としての部分とそれから重症指導費という加算がついておりますね、五五%の。そのほかに日用品費というのが幾らか入っておりますね。それで幾らかその加算費のところで人員を補充することをしてもよろしいというふうになっていて、何とか少しずつ保母さんだとか指導員だとかそういう介護員を埋めて、そこのところまでやっているわけですね。しかしそれでも腰痛のために休まなければならないという命令を受けている人たちがいるわけです。とうていやっていけないような状況の中で、しかも子供の指導、療育ということを非常に良心的に考えているわけですね。そのジレンマをぜひ救っていただくために何とかして職員をふやすための努力をしたいということなんですが、それに対して何かいいお考えがございませんでしょうか。
#268
○政府委員(穴山徳夫君) いま先生がおっしゃいましたいわゆる子供の教育の問題でございますけれども、これは確かに最近はだいぶ変わってまいりまして、昔は重症のような子供であればただ寝たきりでしかあり得ないというような考え方があった時代があったわけでございますが、最近はいろいろ教育の方法あるいはその他の問題が進みまして、まあ、ああいう子供であっても何かやればある程度の能力が、身の回りの世話は全部まではいかないかもしれませんけれども、たとえばスプーンが持てるようになるとか若干の能力というものが引き出せるというようなことがわかってまいりまして、それで私どもも当然この方向というのはさらに押し詰めていかなければいけないし、それが子供の人権というものを守る基本であるというように考えております。文部省のほうでも教育という概念を最近は広くいたしまして、いわゆる読み、書き、そろばんの時代から、こういった重症心身障害の子供たちでも、やはり何と申しますか、自分の身の回りと申しますかあるいは生活能力、生活活動と申しますか、そういったようなものを引き出して身につけさせるということも広義の教育であるというようなところまで教育の概念を広げようというようなことになってまいりましたので、私どももただいまの文部省と相談をしながら、こういう重度の子供あるいは重症の子供たちについての教育というものをどうしたらいいかということについて、現在文部省と相談をしながらいろいろと考えているわけでございまして、先生がおっしゃった方向に私どもも持っていかなければいけないというように考えております。それでそのときにやはり確かにいろいろと手がかかるようになるし、人手の問題というものも出てまいるわけでございます。四十八年度の予算はいま御審議願っているわけでございますけれども、一応先ほど先生がおっしゃいましたいわゆる加算の額というものを引き上げまして、大体一人月約四万くらいの加算額をつけて、まあこれでいわゆる重症身障者の施設というものは、これは医療施設でございますので、普通であれば基金から支払われる医療費をもって全部まかなわれるわけでございますが、病院としての設備と申しますか、病院としての必要とする人員のほかに、やはり保母でございますとか、あるいは指導員、そういったようなものを置く必要が出てまいりますので、そういったようなものを置いたりあるいはまた看護婦、准看、そういったような人たちの給与改善と申しますか、いわゆる医療費とあわせてそういったような人の待遇の改善にも使っていいというような意味で流しているわけでございます。ことしはいま申しましたような額に、まあ前の年に比べれば引き上げをいたしましてやっているわけでございますが、これから先におきましてもこういったような面の改善を加えながら、やはり充実をはかっていかなければいけないというように考えているわけでございます。
#269
○田中寿美子君 現実に、いまの加算額で大体目標は一・五対一くらいになるわけですが、さっき申し上げましたように交代勤務ですから五、六人に一人というような割合になるわけですね。それで、そうやって仕事をしている介護員の人たちが、現場でその子供を扱う人たちの間に非常に腰痛が多いわけです。第二びわこ学園の場合ですね。健康診断をした結果、七十一人が健康診断を受けたのですけれども、全員が何らかの形で腰痛症を起こしている。ひどい者はどんどんやめていく。わかるともうやめていく。身障者の世話をしていて、自分が身障者になるように、腰痛というのはヘルニアとかいろいろあります、生涯つきまとってしまうわけですね。それで労災補償の認定をしてほしいということで申請をしたわけなんですが、大津の労働基準監督署で労災の認定を部分的にしております。いまもなお申請中のものもあるわけでございますけれども、そのことを労災関係の労働省の方、いらっしゃいましたら御説明願います。
#270
○説明員(山口全君) ただいま先生の御質問のびわこ学園の腰痛患者につきましては、昭和四十五年の秋ごろに三十名ないし四十名の異状を訴える方がおりまして、そのうち九名が労災の認定申請を出しておられるのでございます。その九名につきましては全員業務上の疾病として認定していると聞いております。
#271
○田中寿美子君 現在申請中の者は。
#272
○説明員(山口全君) 現在何名申請を受けているか承知しておりません。
#273
○田中寿美子君 いままた申請しているわけなんですが、認定を受けますと治療費が出る、それから休業すればその補償が六〇%か出るわけなんですが、そのほかにああいう看護の仕事というのは労働時間の特例の適用があるわけですね。普通八時間労働のところ九時間している。そうして一週五十四時間、これも私は妥当じゃないと思うのですね。こういう点もこれは労働大臣、こういうところで働く人の労働時間の特例というものは廃止すべきだと思うのです。いかがですか。
#274
○国務大臣(齋藤邦吉君) おっしゃるとおりでございまして、社会福祉施設のうちで一番むずかしい仕事はここだと思うのです。やはりここについては勤務条件をできるだけ改善してあげて、長く介護していただくというふうに私はすべきだと思います。したがって、先ほどもお話のありましたように、現在四十八年度の予算ではそういう子供を、一・五に対して一人ということでございますが、この点については四十九年度において、いまお話しのようなやり方で一対一くらいの比率でめんどうを見るようなやり方を考えなくちゃならぬだろうと思います。いろいろな社会施設福祉施設のうちでやっぱりここが一番むずかしくてそして働いておられる方に一番過重な労働をしいていると私思います。そういうふうなことでいまのような労働過重がないようにこれは最重点を置いて努力をいたしたいと考えております。
 それからなおひとつ、これはお尋ねもありませんでしたが、ここの子供はだんだん、先ほどお話しもありましたように、だんだん年とってきているのですね。年とってくるというのはおかしいが、子供じゃなくておとなになりかけてきている。そうなってくると、若い看護婦さん方にこれをおふろに入れさすのもこれたいへんだと思うんです。で、私は先般来児童家庭局長に、男のこういう看護夫というのですか、看護士というのですか、何かやっぱりこういうことを考えないと御婦人方はあの重い子供、子供というよりもおとなになりかけた者をおふろに入れるわけにいかぬのですよ。だから何かそういうものを考えられぬだろうかと言ったら、男を入れるのもなかなかこれまたたいへんだと、こう言うんですな。ですから私はパートでもいいからおふろに入れるときならおふろに入れるときだけとか、何かやっぱり男手をかりないと、御婦人方だけでは世話できないんじゃないかと思うんです、ほんとういうと。これはだからそういう意味において児童局長に男子の介護をするような人を何とか制度上入れられるようにしたらどうだということをいま研究さしておりますから、何か新しいまたいい方法を考えつくんじゃないかと思って、そういう方面に努力いたしたいと思います。
#275
○田中寿美子君 いまね、大臣たいへんいいことを言ってくだすったのです。四十九年度には一対一くらいにしたいと、そのために最重点に力を尽くすとおっしゃったので、たいへん私はこれはいいことをおっしゃってくだすったので忘れませんです。つまり一対一にするためには、重症指導費の加算を、いま五五%加算なんですね、医療費に対する。あれを一〇〇%くらいにしないといけないのですね。ですから思い切った予算をつけるということが必要だと、数にしたらそんなに多くないわけですから。それといまおっしゃった男も実はいるのですね、男の看護員も。しかし、あれが悪いですからね、待遇が。なかなか女性も定着しないのに、まして男の人は定着していかないということですね。ですから待遇がうんとよくなっていくことと、それからたいへんな過重労働をみんなでカバーできる人員が必要だということと、それからもう一つはこれは施設がよくないといけないわけですね。あんなふうに平面のところでおふろにこうやって横にしゃがんで入れるなんというのはほんとうにかわいそうだと思います。やっぱりもう少し平面をくふうして、そんなに北欧みたいに、すばらしい機械化された、ボタン一つで上がったり下がったりというのでなくてもいいです。それは動く身障者もいるわけですから、手でもって抱くことも私は大事なことだろうと思いますので、それはいいけれども、平面を変えたり、すのこを置いたりするような施設費も必要なわけですね。こまかく少しそれも見ていただきたいので、福祉施設に対するそういう施設整備費というものを少し考えてもらえないかということをちょっとお尋ねしたいのです。
#276
○政府委員(穴山徳夫君) いま御指摘になりました、たとえばふろ場の改造の問題でございますけれども、そういうような費用も施設整備費というものの中に含まれているわけでございまして、まだこれから実行計画をつくっていくわけでございますけれども、その実行計画を考える場合に御指摘のような重症心身施設の職員の手が少しでも軽くなるというような面についての改良というようなことは私どもも考えていかなければいけないというように考えております。
#277
○田中寿美子君 それでいま現に、現在の時点では人員が不足しているわけですね。さっき申しましたように、実際に交代勤務につきますと、五、六人の子供を一人が見たり十五、六人を二人とか三人が見たりする状況でございますね。それで現に腰痛症を起こしていてそして半日休めという命令のある人やら、それからその施設の中で、はりとかマッサージとかいうようなことをしなければならないような人たちがみんないるわけですね。それで、この人たちにどうしても代替要員が必要だと、そのために何とか今年度においていま急場を救っていただきたいと思うんですがね。そのために、まあそうですね、いますぐ今年度の四十八年度の予算はもう計上してしまったと、あれは一・五対一くらいの比率の予算でございます、五五%の加算ですから。それでそれに少しでもそういう一番ひどいところですね、ああいうところに対して考えていただくことができないかということなんですが、いかがでしょう。
#278
○政府委員(穴山徳夫君) 私どもといたしましては、いまの予算の構成上、そういったような代替要員の支払いにつきましては、各施設の医療費及び私どもが出します加算の額、これをうまく使っていただいて代替要員の費用には充てていただきたいというように考えているわけでございます。
#279
○田中寿美子君 それが現状ではできないのですよ。それで現に代替要員が必要だと、それでだれかを雇ってしまう。そうすると赤字が出てくるのですがね。そういうようなことを、まあ緊急に必要なところに対して代替要員を雇った分を何とか後に補正でもけっこうですし、何かの形でめんどうを見ていただくということができないでしょうか。
#280
○国務大臣(齋藤邦吉君) 来年度の予算はもうすでに編成して御審議いただいておるわけでございますから、そのワクの中で、そういう緊急な困っておるところがやっぱりあると思う。しかし、全部が全部ではないと思うのです。国立療養所などに併設しているところにはそう問題はないかもしれません。民間施設等についてやっぱりそういうもう差し迫ってどうにもならぬというのが私はあると思いますからそういうところを調べてみます。調べてみまして、その予算のワク内で何とかやれるように、まあ全部が全部御希望のとおりできるかどうか、それは別としまして、やっぱり厚生省のあたたかい気持ちがそういうところに流れていくように努力をいたしたいと思います。
#281
○田中寿美子君 たいへんきょうは厚生大臣いいことをたくさんおっしゃっていただいて私、感謝します。人間をふやさないためのさっきは議論でしたけれども、生まれている人間の命はできるだけ大事にし、そしてそれが人間らしく生きられるために一生懸命になってその能力を引き出すということのために仕事をするというのが厚生省の非常に大きな使命だと思いますので、いまおっしゃったような点を何とか、厚生省のどこの費目からでも代替要員の、わずかなものだと思いますから、それだけでも見ていただくということができれば、現在非常に苦しんでいる職員たちがあそこから去っていくことがないようにできるんじゃないか。たいへん理想を持って子供たちを少しでも人間らしくしようと思っている人たちなものですから、それだけのあたたかい心をぜひつかっていただきますようにお願いをしまして、私はせっかくいいことを言っていただいたところでやめておかないと、あとでひっくり返されると困りますので、そこで終わりにしたいと思います。
#282
○国務大臣(齋藤邦吉君) もう一回答えておきますが、こういう問題は政党政派を離れて解決すべき問題でございます。大蔵省の主計官もうしろで聞いておりますが、大蔵省の主計官も非常にこういうことには熱心な、関心を持って、わが厚生省の味方でございますから、言うたことは必ずやりますから、どうかその点は御安心を願いたいと思います。
#283
○田中寿美子君 皆さん聞いていらっしゃる前ですからお願いします。
  〔主査退席、副主査着席〕
#284
○矢追秀彦君 私は最初に小児ガンの問題について質問をいたします。
 現在、小児ガンの子供が全国的に多数おり、ゼロ歳、一歳、二歳の誕生日を迎える以前や、あるいはかわいい盛りにガンにおかされ、そうしてガンにおかされた子供はもちろんのこと、両親も非常に悲惨な目にあっております。このような小児ガンは一日も早く絶滅をしていかなければならないと思います。そのような観点から若干の質問を申し上げるわけであります。
 現在の小児ガンの患者数と過去十年間の年度ごとの発病数をお知らせいただきたい。
#285
○政府委員(穴山徳夫君) 現在小児ガンの実態を正確に把握することが非常にむずかしいわけでございますが、大体児童一万人について一人の割合で発生するというような説がございまして、それで計算いたしますと大体十八歳未満では三千五百人程度になるわけでございます。それで、それと比べあわせるような意味におきまして、過去十年間の発病数のいま御質問がございましたけれども、十年間の発病数はちょっと不明でございましてわかりませんのですが、人口動態統計で年間どのぐらい子供が死ぬかという、悪性新生物によって死ぬかという数字をちょっとあげてみますと、ここのところ五年ばかりの数字をあげてみますと、四十二年が二千二十七人、四十三年が二千二十九人、四十四年が千九百五十一人、四十五年が千九百八十一人、四十六年が千九百十五人でございまして、大体二千人前後の子供たちが小児ガンでもってなくなっているという数字が出ております。
#286
○矢追秀彦君 この小児ガンの発病する年齢は現在までのデータでは何歳ぐらいですか。また、子の死亡率はどうなっておりますか。
#287
○政府委員(穴山徳夫君) ただいまの数字を大体年齢に分けてみますと、たとえば先ほど申しました四十六年の千九百十五人なくなりました中で、ゼロ歳から四歳までが六百三十六人、それから五歳から九歳までが四百五人、それから十歳から十四歳までが三百七十人、十五歳から十九歳が五百四人ということになっておりまして、数としてはゼロ歳から四歳が一番多いという数が出ております。
#288
○矢追秀彦君 この、いわゆるガンといわれておるものの内容でありますが、要するに病気ですね、病名といいますか、これはどのようになっておりますか。どれが一番多いですか。
#289
○政府委員(穴山徳夫君) 種類といたしましては白血病、それからリンパ節のガン、それから脳腫瘍、神経芽細胞腫、それからじん臓のガン、骨のガン、肝臓のガン、目のガン、睾丸のガン、その他というような種類がございます。
#290
○矢追秀彦君 この小児ガンに対する国の予算でありますが、これはどのようになっておりますか。過去の年度別にできましたら額を示していただきたい。
#291
○政府委員(穴山徳夫君) 小児ガンに対します予算は四十六年度からついてございまして、補助率は二分の一でございますが、国の金を計上いたしましたのが、四十六年度が二億円、四十七年度が二億円、四十八年度が二億五千万円でございます。
#292
○矢追秀彦君 その中身でありますけれども、大体どういうふうな対策が重点になっておりますか。
#293
○政府委員(穴山徳夫君) これは治療費でございます。
#294
○矢追秀彦君 その治療費はどの程度まで、それはもう全部府県のほうにまかせてあるわけですか。
#295
○政府委員(穴山徳夫君) これは府県が二分の一つけまして公費負担で見ているわけでございます。
#296
○矢追秀彦君 私の言う中身というのは、一切の治療費なのか、あるいは薬の面では保険等も一部では可能ですけれども、新しい薬の場合などはどうなっているのか、そういうちょっとこまかい問題になりますけれども、その辺はいかがですか。
#297
○政府委員(穴山徳夫君) これは保険の自己負担分を見るということでございます。
#298
○矢追秀彦君 保険のかからない、最近わりあい新しくいろんな薬が出てきておるようでありますが、かなり早期に発見をして、いい薬もあるので、かなり治療例もある。ただし一部保険にかからない薬もあると、こう聞いておりますが、それに対しては適用はされるのかされないのか、その点はどうですか。
#299
○政府委員(穴山徳夫君) 保険で見られない部分につきましては、この公費負担はかかりません。ただ保険で見られない分につきましては、財団法人に「がんの子どもを守る会」というのがございまして、そこでやはり医療費の援助事業をやっておりますが、その対象にはなっているわけでございます。
#300
○矢追秀彦君 いま言われた財団法人の「がんの子どもを守る会」というのはこれはどういうふうな団体でありますか。具体的に説明してください。
#301
○政府委員(穴山徳夫君) この「がんの子どもを守る会」は、昭和四十二年の五月に、NHKのキャンペーン等によりまして企画されまして、四十三の十月に財団法人「がんの子どもを守る会」ということで設立認可をされたわけでございまして、その運営費は、富国生命保険相互会社から四十三年から現在まで支出をされる。その額が四億六千万円でございます。この財団法人のやっております事業は、一つが医療費の援助事業、それから治療研究の助成事業、それから相談事業と、そういったようなものを目的としてやっているわけでございます。
#302
○矢追秀彦君 これに対しては、政府のほうとしては、補助とか予算をつけるとかそういう形は全然これは財団法人ですからできないかと思いますが、おとりになっていないわけですね。
#303
○政府委員(穴山徳夫君) これは全部富国生命のほうから出ておりまして、私のほうからは国費は出ておりません。
#304
○矢追秀彦君 大臣にお伺いしたいのですがね。いま言われたように、この会ができたのが四十三年、政府のほうが予算をつけたのが四十六年と、絶えずこういう問題が政府より、まあこれもまた民間になるわけですよね、政府でない機関のほうがたいてい先に先行するのですね。それで大きな問題になってから政府のほうでは補助金を出すと、それで実際治療費は一応ある程度のめんどうは見られておると、こうなっておるわけですけれども、実際この四年間、実質的には三年ですよね、予算もつかなかった。こういう会ができて活動しておりながらおくれておる、こういうふうな行政を私はいつもふしぎに思うわけなんですけれども、いつも政府はあとからこう薬を張ると、この点についてはどうお考えですか。
#305
○国務大臣(齋藤邦吉君) この小児ガン等につきましては、先ほど来お話のありましたように、四十八年度、これは田中総理の非常な決断によって大規模に難病対策を取り上げようということにいたして、その一環として自己負担分を全額公費負担で見よう、こういうことにいたしたわけでございますが、おっしゃるとおり国の仕事ということになりますと、やっぱり全国一律主義ということが国の予算、政策の中心になるものですから、とかく地方自治団体がやったり、よその団体がやったりということでおくれていく傾向は避けがたいものがあると思いますが、はたして福祉のような問題についてこういうあとを追っかけていくようなやり方がいいのかどうか、私は問題があると思うのです。やっぱりもう少し福祉のような問題はどんどんどんどん先取りするような気持ちでいくべきではないかというふうな感じもいたします。しかしどうも、御承知のように国の予算というのは大体前の年の八月に予算要求して十二月なり一月に予算をきめてそれがきまるのは四月ということで時間的に相当時間がかかるということもありまして、やっぱり少しおくれていくということは避けがたいかなとは思いますが、やっぱり福祉の問題はもっともっと先に立って先取りするような気持ちでいくべきではないかと、こういうふうなことを率直に私感じております。
#306
○矢追秀彦君 この「がんの子どもを守る会」の治療委員会から四十四年、四十五の二カ年間、さらに最近また七一年度のデータが集められて実態調査の結果が出ておりますが、この結果については厚生省としては掌握をされておりますか。
#307
○政府委員(穴山徳夫君) 「がんの子どもを守る会」が小児悪性新生物登録という事業をいまやっておりまして、その結果は四十四年初診の分が四十五年の集計で九百三十三例、それから昭和四十五年初診の分が四十六年集計で九百七十一例というところまで私どもは承知をいたしております。
#308
○矢追秀彦君 この中にある、まあ報告でありますが、いろんな問題がここで出てきておりますけれども、一つは血族結婚による白血病その他網膜芽細胞腫等ですね、そういう血族結婚の関係性、これについてはどういうふうに厚生省としてはお考えになっていますか。
#309
○政府委員(穴山徳夫君) この疫学調査の結果、統計上白血病患者に血族結婚が有意に多いという結果が出ていることは承知をいたしているわけでございますが、その要因につきましては現在体質的なものが関係するかもしれないという可能性は否定できないと考えられておるわけでございますが、なお今後十分学問的な研究が必要であるというように考えております。
#310
○矢追秀彦君 いまの、今後の学問的研究が必要であると言われますが、厚生省としてはこれに対して今後どういうふうにしていかれるつもりですか。たとえば研究班をつくるとか、あるいはどこかにこれを依頼されるとか、あるいはこの「守る会」にそういった点を委託されるのか、この点はどういう対策を考えておられますか。
#311
○政府委員(穴山徳夫君) ただいまガン研究費というものがございますので、その中で小児ガンの研究もやるということでございますし、いま先生おっしゃいましたように、この団体自身の中にも研究委員会がございまして、そこでも研究をやっているということも承知いたしております。
#312
○矢追秀彦君 いまそのガン研究の中でやると言われますけれども、それを具体的にどういうふうにやるかということを聞いているわけなんです。その中でやられると、いろんな部門で、部局で、いろんな研究所とかあるいは大学とかそういうところでばらばら行なわれる、まあそれは悪いことはありませんけれども、もし小児ガンを本気になって二億五千万円もつけてやるわけですから、かなりやはり大きな予算になるわけですから、そうなりますとやはりこれを取り上げるならばさっき申し上げたような研究班をつくるというような必要も出てくると思うんですよ。私は別に研究班をつくらなくてもいいと思うんですよ。やはり集中的にどこかに厚生省として依頼をするなり、まだそれに予算をつけるということがもちろんガンの大きな中の一つでありますけれども、必要だと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
#313
○政府委員(穴山徳夫君) 私は実は事務官でございますので詳しいことがわかりませんので、もしお許しを得られましたらば母子衛生課長に御説明さしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#314
○説明員(島田晋君) ただいまの御質問にお答えいたしますが、小児ガンの研究につきましては、先ほども局長が申し上げましたように、ガン研究費の中におきまして疫学研究というものとそれから治療研究というもの、さらに財団法人におきまして研究会というふうなものをつくっておりまして、それぞれの大学の専門分野におきまして研究をいたしております。北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、九州というふうに各ブロックごとに主要な病院に予算をつけましておのおのその小児ガンの特殊性につきまして研究をいたしております。さらに私どものところで心身障害の研究費というのがございますが、こういう中にでもそういうすべてのこの胎児性の問題というふうなものと取り組んで研究をいたしているところでございます。
#315
○矢追秀彦君 次に、やはりこの研究のデータの中で白血病患者のうちにかなりいわゆる放射線に被爆をしておる、そういうデータが出ておりますけれども、その点は御承知ですか。
#316
○政府委員(加倉井駿一君) お尋ねの点は原爆被爆者の二世の問題というふうに理解いたしましてお答えいたしますが、原爆被爆者の子孫に白血病が多いか少ないかということにつきましての研究が予研並びに広島のABCCの共同研究で研究をいたしました結果が四十二年度に発表されておりますが、現在の段階におきましては原爆被爆者とそうでない者との間に白血病の発生につきまして有意の差がないということでございまして、被爆者であるがゆえに白血病が多発するという結果は出ていないというふうに私どもは理解いたしております。
#317
○矢追秀彦君 それはどこの研究結果ですか、いま言われたのは。
#318
○政府委員(加倉井駿一君) 国立予防研究所とABCCの共同研究でございます。
#319
○矢追秀彦君 それから原爆被害者だけではなくて、やはり父親か母親または片方が病院に行っておったりレントゲン技師であった場合などの家庭から白血病とかウィルムス氏腫瘍が出ておりますけれども、その点についてはどうお考えになりますか。
#320
○政府委員(加倉井駿一君) 学会におきましてそういう研究の結果を発表されている方もございますが、現在のところやはり遺伝的な問題も含めまして長期間追跡をする、さらに研究を続けなければならぬというふうに私どもは考えております。
#321
○矢追秀彦君 これは非常に私は問題だと思うわけです。このデータを見ましてもかなりはっきりしておりまして、もちろん原爆被害者の白血病の遺伝の問題がありますけれども、それ以上に妊娠中のいわゆるレントゲンの被爆によってその子供に対する影響が出るか出ないか、この問題はおろそかにできないと思うんですけれどもね。さっきの御答弁だとどうも否定的なほうが強いような気がするわけです。現実にもアメリカやイギリスでは妊娠中の婦人に対してはレントゲン照射をやめておるわけですが、こういうふうに英、米両国ではこれをやめているという事実から考えても、わが国としてもこれはただそういう結果が出ておるから、二つぐらいの研究所だけで出ておるからとか、あるいはまだ問題があるからというようなことでいいかげんにしてはならぬと思うんですけれども、その点はどうですか。
#322
○政府委員(加倉井駿一君) 先ほどのお答え申し上げました点につきましては一般的な問題でございまして、女性がエックス線照射を受け、その後、その照射の影響によって遺伝的な問題が発生するかどうかということでお答えを申し上げたわけでございますが、特に妊娠中につきましてはこれは当然御指摘のように、エックス線検査によりまして、それが胎児に影響を及ぼすということは明らかでございます。したがって特別の注意を払う必要があろうかと存じます。そういう意味から、私どもといたしましては、妊娠可能な女性は妊娠前に健康診断を受けるようにすることを原則といたしまして、特に妊娠中エックス線検査が必要な妊婦につきましては、胎児に対する影響が少ない妊娠ないし五カ月の時期にエックス線量の少ない直接撮影によって腰部に十分な防護を行なって実施するように指導をいたしております。
#323
○矢追秀彦君 指導されておると言われますが、それはどういう形で指導されておるわけですか。通達が出ておるのか、あるいは都道府県のほうにきちんと施行令等で入っておるのか。その点はどうですか。
#324
○政府委員(加倉井駿一君) 通達あるいは施行令等による指導ではございませんで、私ども主として実施いたしております胸部の結核のレントゲンの検診あるいはガンの検診の際におきまして、それに対する注意といたしまして、レントゲン技師あるいは医師その他を対象にいたしました地区別の講習会、あるいは各種の研修会等、またそれを担当いたします都道府県段階の主管課長会議等に際しまして、そういう機会を利用いたしまして十分注意をするようにという指導をいたしております。
#325
○矢追秀彦君 まあ指導はされておるようですが、現実には病院や診療所というのは案外無神経なところが多くあるわけです。たとえば、一例では妊娠の有無を実際は確かめないで下腹部の検診が行なわれておる。あるいはまた結核予防の学童検診は、まあ非常に数も多いし、ああいう流れ作業で一挙にやってしまいますので、こまかい注意ができなくて、背の低い低学年児童は下腹部までレントゲンを浴びてしまうと、そういったことでやはり生殖腺に悪影響の及ぼされる可能性が出てくる。そういうようなことが実際はなかなか守られていないと、そういう例があるわけでありますから、いまいろいろ厚生省としては実際はまあやられておりますけれども、もうちょっときちんとしなければならぬのじゃないかと、こう思うわけですけれども、今後の強力な指導はどうされるか、その点を重ねてお伺いしたいと思います。
#326
○政府委員(加倉井駿一君) 御指摘のような事実があることも私ども十分承知いたしておりますので、ただいま御注意がございました点につきましては十分今後とも注意をするよう重ねて指導をしてまいりたい、かように考えております。
#327
○矢追秀彦君 特に最近ちょっと問題になってきておりますのがこのレントゲン技師あるいはお医者さん、そういった人に対するレントゲン照射の指導、教育の問題なんですけれども、これがやはりきちんとされない限りはいま言われたことも実行できないと思いますので、それに対しての教育の一環として徹底することはでき得るのかどうか、この点はどうですか。
#328
○政府委員(滝沢正君) この点につきましては、実は私たちも先生の御指摘がございまして、放射線の技師の養成所あるいは診療エックス線技師の養成所の講義時間その他がどのように定められているかということを調べてみましたところ、一例でございますが、診療エックス線技師の養成所では千百五十五時間の養成時間の中で、放射線に関する授業が三百七十五時間割り当てられておりますが、特に御指摘の放射線の管理技術、測定法あるいは法規等については九十時間、医学部の場合は四千二百時間という総体の授業時間の中で、放射線学の講義、実習等が八十四時間ということでございます。
 結論的に申しますと、これで放射線学会あるいは関係者の御意見が、やはり防護の問題等についての基礎的な知識としては不十分であるという見解が出ますれば、われわれとしても、必要によっては文部省、あるいは養成所につきましては厚生省の立場でこれが改定について検討いたしたいと思いますけれども、いまのところ、基礎的な防護の知識については講義の中で十分行なわれておるというふうに理解しております。
#329
○矢追秀彦君 現状でいいと言われておりますが、御承知と思いますが、第十一回の原子力総合シンポジウムにおきまして国立放射線医学総合研究所の渡辺部長から、医療被爆手帳制度採用の提唱があったわけでありますが、これについて厚生省はどのようにお考えになっておりますか。この間衆議院のほうでは検討中という答弁があったと伺っておりますが、前向きの検討なのか、現状でよいというのか、その点はいかがですか。
#330
○政府委員(滝沢正君) この点につきましては、渡辺部長の御提案が原子力の発電所の関連の環境放射能の問題との関連でございますが、しかし御提案の趣旨は、治療ということは、これはガンの治療等のために病気をなおすためですからこれは相当量の放射線を使いますけれども、御提案の趣旨は、一般の健康診断等において非常に無神経にこの放射線の問題が取り扱われているという御提案でございまして、被爆手帳というものも一つの考え方であるが、しかし具体的には、放射線を受ける可能性のある方がみずから医師に、何枚レントゲンをとったのか、あるいは透視であったか撮影であったかという事実を記録しておいて注意したらどうかというような具体的な御提案もあるわけでございます。
 こういう御提案について、われわれはもちろん前にもお答えしましたように検討いたしておりますが、具体的には、非常に医療機関によって使っております機械等にも差がございますし、それから、一つの診断を的確にするためには方向を変えて何枚も撮影しておるというような実態、しかもそれがエックス線テレビを使うような、非常に放射線の被爆が少なくなっているような改良されている機械であるか、依然として古い機械であるか、こういうことまで全部含めまして、医療機械の実態に応じた正確な記録というものをさせることについては事実上非常に困難性があるというふうに思いまして、渡辺部長が最後に提案しております、やはり医療を受ける側の方にそういうような放射線を浴びる機会が多いような患者については、若干自己記録的なものでもこれをさせるような指導が必要ではなかろうかというふうに考えますし、場合によっては、そういう特殊な患者について提案の被爆手帳のようなものを具体的に考えることも考えられるわけでございます。しかしながら、いま申し上げましたような、具体的にこれを被爆手帳として記録し、これをさらにAの機関からBに移りBの機関からCに移りというふうにこれを活用して、総体的な本人の被爆量というものを認定していくということには具体的に非常にむずかしい問題がございますので、当面われわれとしては、この渡辺部長の提案をわが国の放射線問題に対する警告と受け取りまして、特に、先ほど御提案の教育機関における教育の強化の必要性の有無、あるいは一般的な医師のこのような問題に対する考え方を確立していく、こういうようなことで、先ほど公衆衛生局長からも答弁ございましたように、特に集団検診その他の器具・機械の改良、こういうようなことに重点を置きまして、国民を放射線の被爆から総体的に減少させていくという方向に努力しないといけませんと思いまして、個々の人たちの被爆手帳の問題は、御提案の趣旨は十分わかりますが、具体的に被爆手帳というものを持っていただくことの実行上の効果、困難性ということを考えて、具体的な手帳の実施ということにはまだ踏み切る決心がついておらないわけでございますが、この趣旨は十分尊重して指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
#331
○矢追秀彦君 きょうはあまり時間がありませんので、まだ詰めたいことはほかに一ぱいあるのですけれども、特に病院関係、研究所、そういったところでの、まあこういったレントゲン照射ももちろんありますが、そのほか放射性物質に対する扱いが案外ずさんなんです。だから専門家のほうがきちんとしておるかと思えば、案外ルーズな面がありまして、実際いろんな事故のデータ等私持っておりますけれども、これはまた他の科学技術の委員会もございますし、そちらのほうでもやりたいと思いますが、特に厚生省関係のほうでこれから先もこういった放射性物質もふえてまいりますので、特に病院、研究所、大学、そういったところにおけるこのレントゲン照射を含めた放射性物質の管理も含めてもう少し厳重にしていただきたい。時間があれば具体的なデータも示してやりたかったのですが、その点を強く要望したいと思います。それに対して大臣のお考えだけ伺っておきます。
#332
○国務大臣(齋藤邦吉君) 放射線の問題、X線の使用、それに伴う照射の問題、おっしゃるとおりでございます。今後ともそういう方面の管理、これに対する指導、そういう方面について十分強化いたしまして、御意見のような方向で努力をいたしたいと思います。
#333
○矢追秀彦君 時間がありませんので簡単にあと二つほかの問題を伺います。
 一つは、父子家庭対策です。母子家庭につきましては厚生省でもいろいろ対策を講じておられますが、最近父子家庭――父と子供だけの家庭というのがふえてきております。これに対してはどの程度掌握をされて、それに対してはどのような対策を講じられておるか、今年度の予算ではそういった点は考慮されておるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#334
○政府委員(穴山徳夫君) 若干古い数字でございますが、現在父子家庭の数につきましては、昭和四十四年の十月一日現在で全国家庭児童調査というのをいたしまして、そこでその結果によりまして把握されましたのが、父と児童のみの世帯、これが四万七千世帯あるわけでございまして、子供のいる世帯全数の〇・三%を占めているという数字を把握いたしております。
#335
○矢追秀彦君 今年度予算での対策……。
#336
○政府委員(穴山徳夫君) 父子家庭につきましては、私どもは母子家庭と異って一般に家督能力の低下を招くものではないというような見地から従来特に父子家庭対策というものについては予算を計上したりいたしまして対策を講じているわけではございませんが、ただ、父子家庭につきましていろいろな問題があるのは事実でございまして、たとえばそれに対しましては児童相談所とか福祉事務所とか家庭児童相談室、そういったようなところで相談を受け、あるいは実情の把握をする、あるいは指導するというようなことをやっているほかに、たとえば父が長期にわたって不在であるとか、あるいは子供の養護に欠けるというような場合には乳児院とかあるいは養護施設に入所をさせる、あるいはまた日中の保育に欠けるというような場合には保育所に入所させる措置をとる、あるいは児童館の利用をさせるというようなことで父子家庭のそれぞれ実情に応じた対策を立てるということを考えているわけでございます。
#337
○矢追秀彦君 四万幾つと言われましたが、朝日新聞によりますと、四十四年の厚生省の調べでは十五万三千世帯となっておりますが、これはどちらが正しいのですか。
#338
○政府委員(穴山徳夫君) 十五万三千世帯というのはこれは母のみがいない世帯が十五万三千世帯で、これは全体の約一%でございますが、母のみがいない世帯というのが二つに分かれまして、先ほど御説明いたしました父と児童すなわち十八歳未満の子供だけの世帯が四万七千世帯、それから父と十八歳未満の子供と、それから十八歳以上の者の世帯、すなわちじいさんばあさんでございますとか、あるいは十八歳をこえた子供の兄とか姉とか、そういったような人も含めての世帯というのが十万六千世帯ということで、先ほどは父と完全に十八歳未満の子供だけの世帯の数を申し上げたわけでございます。
#339
○矢追秀彦君 これは大臣にお伺いしますが、実際に四万七千というのはかなりの数字であると思います。現在法律面では何ら援護はないわけです、母子福祉法とか、児童福祉法というふうな法律に基づく援護は何もない。これは今後法制化ということを考えた上での対策とされていくのか、それとも法律は別につくらないで、あるいは改正をしないで行政面だけでこれは救済し得るとお考えなのか、その点はどうですか。
#340
○国務大臣(齋藤邦吉君) 父子家庭の問題はいろいろな社会構造の変化に伴ってどういうふうに変化していくかわかりませんが、やっぱりそういう現実的な困っている問題があれば国としてはそれぞれの手を打っていかなければならない、そういうふうなことで養護施設に収容したり、あるいは保育所に入れたり、そういうふうなことをいたしてはおるわけでございますが、今後そうした父子家庭についての社会的要請が強まるということでありますれば、私どもはこういう問題について制度的にもどうあるべきか、これは検討していかなけりゃならぬ問題だと思います。そういうわけで、社会的要請とにらみ合わせながらこういう問題について前向きに検討してまいりたいと、かように考えております。
#341
○副主査(楠正俊君) 他に御発言もなければ、厚生省所管に関する本日の質疑はこの程度といたします。
 次回の分科会は六日午前十時十分に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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