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1972/04/09 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 予算委員会第四分科会 第4号
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1972/04/09 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 予算委員会第四分科会 第4号

#1
第071回国会 予算委員会第四分科会 第4号
昭和四十八年四月九日(月曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
   分科担当委員の異動
 四月九日
    辞任         補欠選任
     川村 清一君     辻  一彦君
     横川 正市君     西村 関一君
     工藤 良平君     宮之原貞光君
     中村 利次君     萩原幽香子君
     河田 賢治君     加藤  進君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    主 査         矢追 秀彦君
    副主査         楠  正俊君
    分科担当委員
                上田  稔君
                梶木 又三君
                高橋 邦雄君
                竹内 藤男君
                吉武 恵市君
                工藤 良平君
                辻  一彦君
                宮之原貞光君
                萩原幽香子君
                加藤  進君
   国務大臣
       文 部 大 臣  奥野 誠亮君
   政府委員
       人事院事務総局
       任用局長     渡辺 哲利君
       人事院事務総局
       給与局長     尾崎 朝夷君
       行政管理庁行政
       管理局長     平井 廸郎君
       公安調査庁長官  川井 英良君
       文部政務次官   河野 洋平君
       文部大臣官房長  井内慶次郎君
       文部大臣官房審
       議官       奥田 真丈君
       文部大臣官房会
       計課長      三角 哲生君
       文部省初等中等
       教育局長     岩間英太郎君
       文部省大学学術
       局長       木田  宏君
       文部省社会教育
       局長       今村 武俊君
       文部省体育局長  澁谷 敬三君
       文部省管理局長  安嶋  彌君
       厚生省児童家庭
       局長       穴山 徳夫君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 展子君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       青木 英世君
       文部省文部大臣
       官房人事課長   望月哲太郎君
       厚生省医務局医
       事課長      手塚 康夫君
       厚生省児童家庭
       局育成課長    阿部 正利君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十八年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十八年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十八年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○主査(矢追秀彦君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。
 分科担当委員の異動について報告いたします。
 本日、中村利次君及び河田賢治君が委員を辞任され、その補欠として萩原幽香子君及び加藤進君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○主査(矢追秀彦君) 昭和四十八年度総予算中、文部省所管を議題といたします。
 前回の会議と同様、政府からの説明を省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○主査(矢追秀彦君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#5
○工藤良平君 私は、文部省関係の予算について若干お聞きをいたしたいと思っているわけであります。もちろん、私は教育の専門家で全くございませんし、ただ、私の政治経験を通じまして、このような人たちをどうして救うかという立場できょうは議論をしてみたいと思っているわけであります。
 で、すでにこの障害児のいろいろな対策につきましては再三にわたりまして本委員会でも論議が進められてきておるところでありまして、先般も障害児に対するいろいろな対策についてわが党の田中委員からも御質問があったところでありますが、私は、この障害児並びに長期療養者の訪問教育等の問題について、きょうは具体的に文部大臣あるいは関係の厚生省の皆さんから御意見を聞きながら、前進的な政策を引き出してまいりたいと思っているわけであります。
 昨年、予算委員会の分科会で、小笠原先生がこの問題について詳細に御質問をいたしておるようでありますけれども、昨年委員会の約束の中でも、相当大幅にこの対策を強化をいたしたい、こういうことを文部大臣が言明をいたしているわけでありますけれども、この点について本年度、具体的にどのようにそのことを生かしておられるのか、概略でけっこうでございますのでお聞かせをいただきたいと思います。
#6
○国務大臣(奥野誠亮君) 心身障害児の一人一人、その障害の状況も多様でございますだけに、特別なくふうをこらしていかなきゃならないこと、きわめて大切なことだと、かように考えているわけでございます。
 一つには、御承知のように、特殊学級を小・中学校に設けておるわけでございまして、そしてそれに応じまして先生の配置も行なっているわけであります。四十八年度におきましても特殊学級を全国で千四百学級を増設することで都道府県教育委員会と連絡をとって進めているところでございます。同時にまた、養護学校に収容して障害児の教育に当たっていかなきゃならないわけでございます。この養護学校の増設、これを、必要な養護学校を四十七年度から七ヵ年で整備したいという考えで進めてまいってきているわけでございます。しかしながら、多額の経費を必要とすることでもございますのでなかなか進行しがたい、そういう事情もございますので、養護学校の設置にあたりましては新設も増設も全部三分の二の国庫負担をすることにしようということに方針を前進さしたわけでございまして、そういうことで、この七ヵ年計画をぜひ計画どおり達成させたい、そして対象の児童全部養護学校に収容できるように進めていきたい、こういう考え方で努力をしておるところでございます。
#7
○工藤良平君 非常に不幸な子供たちの勉強をしたいという親の願い、さらに、本人自身も非常に体は不自由でありますけれども、そういう願いを持っている。それにどうこたえていくかということがやはり政治的な問題として今日まで私は論議をされてきただろうと思うのであります。もちろん、その対策について相当な努力をなさっていることも事実でありますけれども、いまお話しのように、やはり中教審で示された十ヵ年というものを七ヵ年にでもして努力をしていきたいという立場もわかりますけれども、しかし、そのような努力をしてみても、現在やはり収容していけばなお勉強の機会が与えられるという者に対して一体どの程度こたえることができるのか。私は、この点についてはまだまだ大きな問題があると思います。そういう論争については、きょうは四十分でありますから、そう多くを語る時間がございませんので、私は大分県の別府にいま石垣原養護学校というのができておりまして、これは厚生省と文部省の努力によりまして、もちろん、この病院の統合そのものについては若干問題はありましたけれども、統合によりまして六百といういま病床がございますが、そのうちの二百四十が小児病棟として筋ジストロフィーから、あるいは長期の結核療養者、さらに、その他の重症心身障害者を収容いたしまして、いま二百四十名がおるわけでありますけれども、そのうちいま教育を受けておりますのは約百名だと言われております。そこで、私はきょう、具体的にいろいろ私が説明をするよりも、この担当しておる先生方がどのように真剣に教育のことを考え、しかも、この人たちの善意と努力によっていまようやくささえられているという事実を、私、時間がございませんけれども、ここに一つの文章がありますから読み上げて皆さんのひとつ参考にしていただきたいと思うわけであります。それは、
  「詩を書く子どもたち
   ジフトロフィー
    一人の子が
   廊下を歩いている
   重い足どりで
   ゆっくり歩いている
   手すりに寄りそい
   一歩一歩、歩いている
   手すりがなくなった
   こんどは
   自分の力で歩こうとする
   手すりから手が
   手のひらから指先へと
   離れていく
   足がふらつき
   今にも倒れそう
   しかし
   歩こうとする
   あっ一瞬
   手が床についてしまった
   だが手すりにつかまり
   立とうとする
   でも倒れる
   立とうとする
   又倒れる
   又立とうとする
   倒れる
   顔じゅうに汗と涙がにじむ
   最後の力をふりしぼり
   気力で立とうとしている
   腰をぐっとあげ
   顔を真赤にそめて………
   立った
   立った
   とうとう立った
   僕の手のひらにも
   汗が光った
 これは中学三年吉本昭一君の詩である。立ちたい、歩きたい、それはこの学校の子どもたちの切なるねがいである。本校にはこうした子どもたちが約六十名いる。西日本全域から集まった不幸な子どもたちばかりである。この子どもたちに、かすかなりとも希望の光をあたえたい。私は学校教育の中でその光を求めつづける。けれどそれはなまやさしいことではない。
 この子らの生きがい――それは率直にいって病気が全快することである。全快しないまでも全快する可能性が見出されるならばこれにこした生きがいはあるまい。一日も早くそうした望みがかなえられるよう念ずるものである。けれどそれは医学の問題であり私の手の届くことではない。ただ心から念ずるのみである。そして、私は教育の面からこの子どもたちの生きがいを求めつづける。それが可能か不可能かもいまだつかめないままに。――私の頭の中には懸命に生きようとする子どもたちの姿がある。
 一昨年中学を卒業した本村勇君は、昨夏、旺文社発行の月刊雑誌中学三年の文芸欄に「夕立や水色の風恵みけり」の俳句を出して入賞した。寝たつきりの本村君は昨年十月二日その雑誌と記念品でもらった赤いペンシルを枕元に置いて静かにこの世を去っていった。かしこいよい子どもであった。葬儀の日、同じ病気で入院している中学二年の弟が、「先生ぼくもうあと二年生きるね。」とA先生にいったそうである。この子どもたちは肉身や友の死により時折り切実に死を考えさせられ、死を強いられ、自己の運命をみせつけられてゆくようである。こんな子ども達に生きがいを求めることは無理であろうか。死の恐怖から遠ざける努力をする以外に道はないものであろうか。ある教師は、右指だけしか動かない寝たっきりのN子から「私には少しも勉強を教えてくれない。この病院にくれば勉強を教えてくれるといったから、わたしは入院したのに。」とせがまれたそうである。この教師は、教育こそここの子どもたちの生きがいであるという。勉強したいということ、それがそのまま生きがいであるとは言いきれないかもしれないが、少くとも希望であり、生きる手ごたえであるとは考えられないであろうか。社会に出てゆく望みのないここの子どもたちに、英語や数学を教え、理科や社会科を学習させることは教育そのものの目的のほかに、生きる支えとしての意味がより大きいことを見のがしてはならない。そしてその支えを私はより大切にしていきたいと思う。」、さらにこの先生はこう書いております。
 「三年前、小児病棟が一棟増設され、西日本各地から未就学児童が入院してきた。その時の様子をある教師は、「まったく動物園のようでした。泣く、わめく、物をなげる、けんかをする、私などは何度もつばを吐きかけられたものですよ。」と話してくれた。その子どもたちが今ではこんなにあかるく、生き生きと病院生活を送るようになったのである。昨春、私が赴任した時、主治医はそのことを「教育の力です。」としみじみ語ってくれた。そうした子どもたちの中から、現在中学卒業生十二名、本年度末にはあわせて二十四名の者が学業を離れることになる。この年齢になると病気が進行するためほとんどの者は動けなくなり、ベッド生活を余儀なくされる。その日々は起床から就寝まで型通りの病院生活のみとなり、三度の食事には事欠かないが、変化のない毎日がくりかえされるようになる。音楽を聞きながら竹細工をしている子どもの姿からは、こころなしか中学生当時の張りも生気も見られないようである。それにたえかねてか、三名の者は通信高校の通信教育を受けている。けれどもベッド生活であるため、スクーリングは受けられない。ある者は世界の名著を読み、またある者は文学全集をあさっている。高校の教科書を勉強している者もいる。せめてもの手ごたえを求めてのことであろうか。
 それは生きる支え――教育を受ける機会を取り去られたみじめな子どもの姿としか私の目にはうつらない。九年間一生懸命努力してつかんだただ一つの生きる力、生きるためのねがい、ささえをこのかわいそうな子どもたちから取りあげないでいただきたい。二十四名の子どもたちのために、いや、今後つぎつぎに中学を卒業してくる子どもたちのために高等部の設置を切に望むものである」。これは、たいへん長くなりましたけれども、この校長の長い教育の経験を通じて書かれた文章でありますが、これはいまの私は、この養護教育なり、こういうかわいい子供たちに対するすべてのものが網羅されているような気がするわけであります。したがって、私はこれから具体的にお聞きをいたしますけれども、いま児童福祉法によりますところの療育給付について、今年度具体的に、たとえば学用品の支給月額がどのように伸びているか、その点を一点としてお聞きをしたいと思います。
#8
○政府委員(穴山徳夫君) いまの御質問は教育費の関係だと思いますが、これは例年文部省と同じ金額と申しますか、伸び率で計上しておりまして、四十七年度が小学校が一年から三年までが月額五百六十六円、四年から六年までが六百六十六円、中学が千二百八十一円でございましたのを、四十八年度からは小学校の一−三年が六百七十一円、それから小学校の四年から六年までが七百二十八円、中学が千四百六十五円ということで計上しております。
#9
○工藤良平君 この額にいたしましても、私はもっともっとふやしていただきたいという希望を持っているわけであります。これは機会をあらためてぜひ大臣のほうでもそういう措置をとっていただきたいと思いますが、その中で、重症心身障害児の場合にはどうなっているか、お聞きをしたいと思います。
#10
○政府委員(穴山徳夫君) この教育費が施設に入所している子供に支給されますのは、現在では精神薄弱児、それから盲ろうあ児、肢体不自由児、それから肢体不自由児で先生御質問の国立病院のようなところに委託している子供、そういったようなところで義務教育を受けている場合と義務教育に準ずる教育を受けている場合には現在支給になっております。ただ従来、重症心身障害児の施設については、この義務教育の関係というものが考慮されておりませんでしたので、教育費の支弁の対象にはしていなかったということでございます。
#11
○工藤良平君 これは、昨年の委員会で、私が先ほど申し上げましたように、小笠原委員が厚生省、文部省とずいぶん論争をした点でありまして、免除、猶予という問題がずいぶん問題になりまして、免除というのははずしていいじゃないか、こういうような考え方がずいぶん議論されまして、その適用について免除ということでなくて、やはり猶予という形がいいんじゃないかということで当時の文部大臣も御回答なさっているわけでありまして、私は、この別府の西病院と併設されております養護学校、いずれも見て回りまして、特に、重症心身障害児の場合も、御承知のように病院でありますから、一ヵ所に教室に入れて勉強するという人たちもありますけれども、動けない人たちにはベッドまで出かけていって先生が教えるという形をとる場合があります。あるいは病床のすぐ同じところに、小さな部屋で二人か三人の子供を教えるということをやっております。ところが、重症心身障害児で教育の対象になっていない、いわゆる免除、猶予された子供たちが、一時間、二時間教えている間に、動けない子供がいつの間にかはってきてその教育の中に入ってくるという現実を見せつけられまして、これは病院の誠意と先生の努力によりまして、この西病院では八名の人たちを昨年試験的に実施をしておりまして、さらに八名の患者を加えて十六名でこれをぜひやりたいということで努力をいたしておるようでありまして、かなりの成果をあげておるという現実を私は聞いているわけでありまして、さっきの文章にもありましたように、生きる抵抗というもの、それがせめて、いまその子供たちには教育というものが生きる抵抗の最大限のものだということで、極端にいいますと、ほんとうに虫けらのような子供がそういう努力をしているという現実を見せられたときに、重症心身障害児といえども、そういう医者の協力あるいは先生の努力によりまして教育の機会が与えられるとするならば、そういうものに対してもやはり同様の措置というものはとられていいのではないか、これは学校の切実な要求であり、また、病院側としても切実な要求としてそのことが出されているわけでありますけれども、そういうものがケース・バイ・ケースとして文部省のほうとして厚生省と十分打ち合わせをしてできないものであるか。現実にやっているわけでありますから、そういう実態を調査をされまして、そういうものに対しては、同じような措置というものはやられていいんではないか、こういうように思うのでありますけれども、その点についての御返答をお願いします。
#12
○政府委員(穴山徳夫君) 重症心身障害児といえども、教育をすれば効果があがるということは先生の御指摘のとおりでございまして、私どもも、そういう意味で、文部省のお話をお聞きしますと、いわゆる教育の概念というものも、最近では特殊教育が進むに従って広くなってきたということをお聞きしておりますので、私どもも重症心身障害児に対しての教育というものはぜひ何らかの形でやっていきたいというように考えております。
 で、この国立の西別府病院は、ちょうどいわゆる重症心身障害児と一緒に、先ほど一番最初に先生お読みになりましたいわゆる筋ジストロフィーの子供が入っているところでございまして、結局現在のここに付設されております養護学校というのは筋ジストロフィーの子供たちを教育するためにつくられた養護学校でございます。そこを利用して重症心身のほうも使っている。これは非常にけっこうな話なんですけれども、ところが、病院によりましては、筋ジストロフィーの子供は収容しないで重症心身の子供だけ収容しているという病院もございまして、そういうところでは、現在、養護学校あるいは養護学級の併設というものがなされないというようなところもございます。したがって、各病院によっていろいろ状態が違いますけれども、この西別府病院のような状態で、しかも、現実に重症心身の子供でも教育を受けているというようなことであれば、私どもも、何と申しますか、先ほどの教育費の問題にいたしましても、現在は筋ジストロフィーの子供たちは出ておりますけれども、重症心身のほうには、いま一番最初に申し上げましたような事情で、出ていないわけでございますけれども、これからは、いま西別府病院のような実態があるところについては、私どもいろいろ調べまして、まあ平等にと申しますか、適切な配慮をしてまいりたいというように考えておるわけでございまして、先生のおっしゃるような問題につきましては、私どもも積極的に検討してまいりたいというように考えております。
#13
○工藤良平君 この点、大臣いまお聞きのとおりでございまして、そういう実情にありますので、これは全国的に見ましても、ごくわずかだと思います。別府の西病院の場合には、全国でも非常に数少ないうちの一つでありますから、人数としてはきわめて少ない。しかし、その少ないわずかな金額でありますから、ケース・バイ・ケースで、こういうような実情がありますので、まず実施をしていただく。さらにそれを逐次広げていくということが、私は必要ではないかと思いますので、この点については現実にそういうことで進んでおりますので、ぜひ本年度からでもそれを実施をしていただきたい。これは大臣のほうからも御答弁をいただきたいと思います。
#14
○国務大臣(奥野誠亮君) 疾病その他の事情によりまして病院などに入って療養しておられる児童や生徒も、みずから進んで勉強していきたいという気持ち、あるいはまた親にとりましても教育を受けさせたいという気持ち、切実なものがあろうと思います。いまお話しになりましたとおりでございます。それを実らせるために、病院などにつきまして養護学校を併設するとかあるいは特殊学級をそこに置くとかいうことを積極的に進めていきましてそのような希望を実らせていくこと、きわめて大切なことだと思います。文部省としては、むしろ、そういう方向もあわせて進めていきたいという希望を強く持っておるのであります。
#15
○工藤良平君 さらにもう一つの問題は、さっき大臣からも冒頭にお話がありましたように、施設については、年次計画で相当積極的に進めてはおりますけれども、まだまだ全体的にそれを収容する段階に至っていない。そういう施設がないために結局義務教育の免除とか猶予ということをやらなければならないという実情だと私は思っているのでありますけれども、そこで問題になりますのは、こういうような制度をより拡大をしていく、そういうためには、やはり厚生省と文部省との意見の調整というものが私は必要になってくるんではないだろうか、このように思うわけでありまして、この点について特に厚生省に私はお聞きをいたしたいわけでありますけれども、現在の医療制度のもとにおきましては、たとえば長期の結核療養者だとかあるいは進行性の筋ジストロフィー、こういうふうなものにつきましては、これは入院費の全額が無料ということが達成されているわけでありますけれども、そのほかの難病奇病といわれる、長期に療養しなければならない子供たちがいるのでありますけれども、こういうものに対して、医療制度のまだ完全な実施がこれらの人たちに行なわれていないということから、多額の負担をしなければならないということで 施設に入れないという人が私はいるのではないか、このように思うのでありますが、そういう意味から、療養医療制度をさらに大きく適用をしていくということはできないのか。この点についてひとつ厚生省のほうから、もしいらっしゃいましたら、お聞きをいたしたいと思いますし、文部省の考え方もお聞きをいたしたいと思います。
#16
○政府委員(穴山徳夫君) 正確なお答えになるかどうかちょっとあれでございますけれども、現在はこういう病院形態をとっておりますところは、重症心身障害児の施設もそうでございますが、これは医療機関になっておりまして、そこではいわゆる収入と申しますか、いわゆる医療費を請求して医療費の収入を受けて運用をしているということになっているわけでございます。それで、そういうところに収容いたしました子供たちにとりましては、一応使った費用は負担をしてもらって、それで負担し切れない人たちに対しては一部公費で見るという形になっているわけでございます。四十八年度も、これについてはいままでいろいろ問題がございましたので、全額徴収をするような階層を非常に高く上に上げましたり、そういったようなことで合理化をはかったわけでございますが、今後ともこういった面については私どもも合理化をはかっていきたい、負担の軽減をはかっていきたいというように考えております。
#17
○工藤良平君 それともう一つの問題は、現在、石垣原のこの養護学校の実情を見ますと、非常に心配をされている点があるわけです。それはベッド数が一応限定されております。したがって、さっきの作文の中にもありましたけれども、だんだん年齢が上がってまいりまして、中学校を卒業いたしますと、この人たちは本来からいうと、この施設から出ていくということになるわけなんですが、他の施設になかなか移らせるということもできないということでそのまま収容してまいります。そうすると、ベッド数に限定がありますから、この人が出られなければあとの人が入れない。希望者はあるけれども、あとの人を入れるということもベッド数の関係でできない。したがって、だんだん年が上がるに従って下級の学年がなくなってまいりまして、せっかくりっぱな養護学校をつくりながら、やがて先を検討していくと、非常に心細い感じがするということを担当の皆さんが非常に心配している。これはもちろんそういうベッド数をさらにふやして、もう一つは、やはり高等部も設置をしていただければ、やはりこれは死ぬまで教育を――一定の年齢になりますとなくなるという現実を見てみると、せめて高等部でもつくって勉強させてあげる。世界文学全集やそういうものを読んでいるという子供たちもいるわけでありますから、そういうふうなことは当然考えていいんではないかという気がいたしますが、その点についてはどうでしょうか。
#18
○政府委員(岩間英太郎君) 仰せのとおりでございまして、私どもも、非常に力足りない点を思いますのは、こういう心身障害の方々を就学の面でだけお世話をすればこれは何とかなるというものではないという点でございます。しかしながら、私どもができます範囲ではできるだけのことをやりたいということで、養護学校を、先ほど大臣が申されましたように、まず普及をはかる。同時に、幼稚部とかあるいは高等部までそれを伸ばしていくということであろうと思います。そういう方向で努力をしたいというふうに考えております。
#19
○工藤良平君 時間がありませんから先を急ぎますが、このようにいたしまして、りっぱな施設ができ、努力がなされている。しかし、その一つの矛盾のために教育の機会というものが残念ながら子供たちに与えられないということがある。それをどのようにして最大限に生かしていくかということ、これは非常に大きな課題だと思います。
 そこで私は、これと対照的に、国立の別府病院というのがございまして、ここにも小児病棟があるわけでありますが、これは年間二十四、五名ぐらいが平均して入っておるようであります。ここの病院の先生さらに父兄の人たちが一緒になりまして、こういう長期に、三ヵ月あるいは六ヵ月、長期に療養していく小児病棟の子供たちのために訪問教育をぜひ実施をしていただきたい、こういうことで、この国立病院で四十五年、四十六年の二ヵ年間に試験的に実施をなさったようであります。その結果を私先日学校でいただきましたけれども、これを見ますと、病院に入った子供たちもそれを受け持った病院の先生たちも、さらに訪問教育でその子供たちを担当した先生たちも、また、在籍校である出身の学校の先生たちも、非常にりっぱな教育効果をあげている、りっぱな制度だ、ぜひこれは実施をしていただきたいということで、みんなの気持ちとして一致をしているわけであります。
 もちろん、子供の療養ということが目的でありますけれども、療養と教育というものが兼ねてできるならばこんなすばらしいことはないと私は思っておるわけで、この二年間の試験教育を行なわれまして、四十七年の三月にこれが終了してしまったと。したがって、その後これがどうなるのか。ぜひ実施をしていただきたいという希望があるんだけれども、残念ながら、大分県の場合にもこの別府の石垣原養護学校に三名の先生の定員をふやしていただければ、この国立別府病院の小児病棟の子供たちも全員普通の学校の子供たちと同じ程度の学力になるぐらいの教育効果を十分にあげることができるんだという実は強い要望があるんですけれども、県の財政の関係かわかりませんけれども、残念ながら本年度もその三名の定員をふやすことができずに、とうとうそういう手だてができなかったということを私は聞いているわけであります。このようなことについては、ぜひこれは制度化するということも必要ではないだろうか。もちろん、研究過程でありますけれども、ぜひやはりこういうことは私は実施していただきたいというように思っているんですけれども、その点について文部大臣、どうでしょう。
#20
○国務大臣(奥野誠亮君) 県に要求していれられなかったということは、あるいは教員の定数の関係であろうかとも思います。
 先ほどちょっと申し上げましたように、四十八年度で特殊学級千四百学級ふやすことにしているわけでございますけれども、これも、毎年増設をはかりながら関係の府県に教員定数を増加配分していきたい、こう考えているわけでございます。そういう過程を通じまして問題が解決されていくんじゃないだろうかと、こう考えるわけでございます。
 いずれにいたしましても、四十七年度から七ヵ年内に施設の整備を終わりまして、そして都道府県が養護学校を設置しなければならない義務を現実に施行していきたい、あるいはまた、保護者が障害児に対しまして義務教育を受けさせなければならないその義務も施行していきたい、こう考えているわけでございまして、やはり義務化の過程におきまして相当周到な準備は必要じゃなかろうかと思いますが、いまおっしゃいました方向に従いまして文部省としては最善を尽くさせていただきたいと、かように考えます。
#21
○工藤良平君 特に、いま私が後段で申し上げました訪問教育ですね。これは、全体的に見れば、もちろん、一人一人の在宅の子供までもそれをめんどうを見ていくということになりますと、これは長期の計画に基づいて進めなければならない、容易なことではないと私ももちろん思っております。しかし、こういうように、養護施設と併設ではないけれども、しかし小児病棟がある。六ヵ月いたしますと、子供たちは留年しなければならぬと、まあ、これは生涯にとりましては、長い目で見ればそれはたいしたことはないかもわかりませんけれども、しかし、やはり育ち盛りの子供にとりましては、一年おくれていくということは、病気ではありますけれども、残念なことだと思うんですね。しかし、それが訪問教育によって、わずかの定員をふやすことによって、それを配置してあげる。そのことによって子供たちが留年せずに、また、在籍校に戻った場合にけっこう十分にやっていける。こういうことであれば、そういう教育効果があがっているとするならば、これは私は、部分的でもいいから文部省の方針としても実施をさしていく、こういう指導というものはあっていいんではないだろうか、このように思うんでありますが、その点についてもう一度。
#22
○国務大臣(奥野誠亮君) 養護学校を設けます場合にも、病院とか社会福祉施設などとあわせて設置するという行き方が一番大切じゃないかと思います。同時にまた、特殊学級をつくる、法律の上には、あわせまして教師を派遣して教育を行なうということも書いているわけでございます。また、そういうことも受けまして、若干の府県におきましては、いろいろとそういう意味のくふうを尽くしていただいているようでございます。まだ研究実験の過程にあるものでございますので、法律にうたいました、教師を派遣して教育を行なうという中身をどう進めていくかということにつきましては、文部省が具体的に示しまして指導するという段階にまで至っておりません。しかし、御指摘のように、まことに大切なことでございますので、実施をしております各府県の協力も得ながら、できるだけ早い機会にその内容をきめまして、そしてそれに従って府県を指導するように持っていきたいものだと、かように念願をしているところでございます。
#23
○工藤良平君 これが、財政上の問題なのか、それとも教育上の問題なのか、もちろん、それは両面があると思いますけれども、一体、今日の段階ではどっちが一つの壁になっているのか、その点いかがでございましょうか。
#24
○国務大臣(奥野誠亮君) 過去にさかのぼりますと、財政上の問題ということになろうと思います。現在になりますと、もう財政上の問題とは言えないと思います。そういうこともございまして、どういうような方向でやるかということについての研究がまだ十分でございませんので、現在の段階におきましては、そういう内容を研究いたしまして、具体的にこういう方法が一番いいんだということを見定めて実施していきたい。同時に、やるといいましても、やれる人が幾らでもあるわけじゃございません。また、そういう先生の養成も必要でございますので、教員養成の大学におきましてそういう課程も随時増設をはかってまいってきているわけでございまして、そんなことから七ヵ年計画というものを立てているわけでございますが、この七ヵ年計画を完全に達成して、そして五十四年度からは全部必要な教育を心身障害児にも受けさせるような段階に入っていきたいと考えているわけでございます。
#25
○工藤良平君 それからもう一つ。
 これは事務的なことになるかもわかりませんけれども、病院側に言わせますと、ぜひ、病院側もそういう誠意で子供たちに、長欠者に対して勉強さしてやりたい。ただ一つ問題になるのは、在籍校に籍がそのまま存在しながら入院してくる。こういうことから、どうもそういう在籍校との関係も若干あるのではないかという気がするわけでありますけれども、そうすると、入院をするときにむしろ籍を病院に移す、こういうようなことによって一つの壁というものも払われていくのではないかということを主張する先生方もいらっしゃるようでありますけれども、こういう点については、これは便宜的にそういうことができないのかどうか。そのことによって、あるいは現在非常に、ある一人の教師の誠意によって、制度ではないけれども、誠意によって教えてあげる。こういうようなことから学力を低下させずに済むという実例もたくさんあるようでありますから、そのような措置が何かうまい方法はとれないものかと思うのですね。現在、制度化できないとするならば、制度化が一番いいと思いますけれども、その点はどうでしょうか。
#26
○政府委員(岩間英太郎君) 手続としては先生がおっしゃるように前の学校の籍を移すということは、これは可能であると思います。ただ、親御さん方にしてみればたいへん繁雑な点もあろうかと思いますし。また、お帰りになってからの不安等もあるかと思いますので、そういう点は手続をしてやってもよろしいんですが、手続をしなくてもやれるというふうな方法も一つ方法としては考えてもいいんじゃないかと思います。先ほど大臣からもお答えしましたように、まだ制度的には不備な点がたくさんございます。そういう点を、これから七年計画の進行と合わせまして早急に対策を立てるということにいたしたいと思っております。
#27
○工藤良平君 それから、これは、最後の質問でございますけれども、時間が参りましたから打ち切りたいと思いますが、この先生方の記録によりますと、やはり重症心身障害者の教育をするために、いま別の学校からこの学校に入ってみて、やはり教育の非常に重要性というものを教育者でありながら、いままであまりにもそういう点について無知だったということを先生方みんな言っております。で、そのいままで過去における自分の教育と同じ教育でありながら、ずっと違った角度から教育を見ることができた。したがって、私どもはやはり全県下、全国にたくさん散らばっているそういう不幸な人たちをどのようにしてさがし出すかということで、この教育に入った人たちがみずから自分の余暇をこの道にささげて、日夜歩き回ってその子供をさがし出して、そうして病院に遮れて行き、先生と相談をしながら施設に入れてあげる。施設に入れられないとするならば、それはどこにどういう問題があるのかということを努力をして、いま問題の解決に当たっているという私は現実を知りまして、非常にこの教育者の立場というものに頭の下がる思いがいたしているわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、寝たきりの重症心身障害児でありましても、文学全集を熱心にひもといているという子供たちがいるという現実を見ますときにどのようにして、私たち五体のしっかりした者がそれをささえてやるかということがいま大切なことではないか、このように思っております。そういうことから、これは各委員会で何回となく論議されてきたことでありまして、私の申し上げましたことは、その衝に当たっている人たちの努力の何万分の一にも当たらないと私は思うんです。しかし、そういうものをこういう場で私たちが一生懸命議論をして、一日でも早く、それが一人でも多くの人に政策として光が与えられるとするならば、こんなしあわせはないのではないかと、このように思っておるわけでありまして、ぜひひとつそういう意味から、文部省当局におきましても厚生省と十分な連絡をとりながら万全の措置を講じていただきたい、こういうことを私は申し上げ、最後に、大臣の決意もお伺いをいたしまして、時間も参りましたから質問を終わりたいと思います。
#28
○国務大臣(奥野誠亮君) 工藤さんのお話、まことにごもっともなことでございまして、また、文部省といたしましてもその方向に従いまして全力を尽くしている最中でございます。先ほど来申し上げておりますように、施設なり人なりの養成、これを七ヵ年の間に完全に果たしまして、そして五十四年度からこの関係の教育の義務制の実施をぜひ達成したいと、かように考えております。
  〔主査退席、副主査着席〕
    ―――――――――――――
#29
○副主査(楠正俊君) この際、分科担当委員の異動について報告いたします。
 ただいま、工藤良平君が委員を辞任され、その補欠として宮之原貞光君が選任されました。
    ―――――――――――――
#30
○宮之原貞光君 まず、公安調査庁長官にお尋ねをいたしますが、政府は、いまでも日本共産党を破防法に基づくところの調査対象団体と見ておられますか。見ておるとするならば、その根拠についてまずお伺いいたしたい。
#31
○政府委員(川井英良君) 現在、調査団体の一つになっております。なっております理由は、破壊活動防止法に基づいて破壊団体と認められるものの調査をするわけでございますので、その団体は破壊活動防止法に規定する調査の条件に当たっていると私どもが認定しているからでございます。
#32
○宮之原貞光君 そういたしますと、まだ日本共産党を暴力主義的な破壊活動集団だと見ているわけですね。
#33
○政府委員(川井英良君) 破防法によりますと、過去において破防法に規定するような暴力主義的な破壊活動を行なったと認められる団体で、その団体がその後の動向に徴しまして継続または引き続いて同じような行動に出るおそれあるいは可能性があると、こういうふうに認められる場合にはそれを調査することができると、こういうふうに規定されておりますので、そのような意味合いにおいて現在調査の対象になっている、こういうことでございます。
#34
○宮之原貞光君 私は、そのような見方とは見解を異にする者でありますが、それはさておきまして、奥野文部大臣も同様な見方をされておられるか、お聞きいたしたいと思います。
#35
○国務大臣(奥野誠亮君) お説のように考えております。
#36
○宮之原貞光君 そうすると、これは政府のやはり統一したところの見解だと見てよろしゅうございますね。
#37
○国務大臣(奥野誠亮君) そのように思います。
#38
○宮之原貞光君 次は、文部大臣にお伺いいたしますが、文部大臣は同和問題の本質並びにその解決策をどうお考えになっておりますか。基本的な考えをまずお伺いいたしたいと思います。あなたは、この問題におけるところの自民党内の権威者だと、こう承っておりますので、お考えをまずお聞きいたしたいと思います。
#39
○国務大臣(奥野誠亮君) 同和問題が、こういう問題が制度的になくなりまして百余年を経過しながらなお残っているということは、たいへん不幸な事態だと思います。その事態を解消するために、心理的な差別の問題もございましょうし、実体的な差別もございましょう、そういう問題につきまして両面から抜本的な改革を行なっていかなければならない、そういうこともございまして、先年同和対策事業特別措置法が制定されたわけでございますので、この法律を踏まえまして、十年の時限立法でございますが、十年間にその内容を充実させるような施策を全般的に積極的に講じていくことだと、かように存じているわけでございます。
#40
○宮之原貞光君 どうも私の質問とは違った答えですがね。どういう政策をとっていますかというなら、いまあなたが答弁なされたように、特別措置法でやっていますと、こういう答えがあってしかるべきですが、私は、同和問題の本質、これをどうお考えになっていますかと、こういうことをお尋ねしたいのですがね。まあ、時間がありませんから、後ほどでいいでしょう。
 で、次にお尋ねいたしますが、あなたがいまお話しになりましたところのいわゆる特別措置法の母体になったとも思われますところの同和対策審議会、これが四年がかりで同和対策の問題についての答申を出しておりますね。このことを基本的に支持をされるのかされていないのか、また、その中の教育方針について賛成なのかどうか、まず、それを簡単にお伺いいたします。
#41
○国務大臣(奥野誠亮君) お答えが食い違っておったようでございますが、私は、同和対策事業特別措置法の中にいろんなことを書いているものですから、それで、その気持ちだという意味でお答えを申し上げたつもりでございます。何といいましても、人権尊重の精神を貫いていく、それの充実をはかっていくこと、これが根本にあるのではないか、かように考えているわけでございます。
 同対審の答申を受けてあの法律ができているわけでございますが、同対審の答申全部をいま正確に覚えていないのですけれども、全体としては私は賛成でございますけれども、個々につきましては若干私なりに違った意見を持っておった部分があったように記憶いたしております。どの部分でありましたかちょっと正確に覚えておりませんが、具体的の問題につきまして、またお答えさせていただきたいと思います。
#42
○宮之原貞光君 教育方針についてです。
#43
○国務大臣(奥野誠亮君) 教育の基本方針の問題につきましては、文部省で案をつくりまして、同和対策協議会と連絡をとっているわけでございますけれども、なかなかいろんな協議会の中にも意見があるようでございまして、話がついていないようでございます。関係者の理解が得られなければなりませんので、できるだけ相談をし合いながら基本方針の作成にあたっている、そう経過を承知しているわけでございます。
#44
○宮之原貞光君 その同対審の答申でございますが、先ほど私がお聞きいたしましたところの同和問題の本質は、この同対審の答申の中でやはり明確にされておると私は思うんです。いわゆる同対審答申の中に、「同和問題とは、日本社会の歴史的発展の過程において形成された身分階層構造に基づく差別により、日本国民の一部の集団が経済的・社会的・文化的に低位の状態におかれ、現代社会においても、なおいちじるしく基本的人権を侵害され、とくに、近代社会の原理として何人にも保障されている市民的権利と自由を完全に保障されていないという、もっとも深刻にして重大な社会問題である」と、このように書いておる。そして「市民的権利と自由のうち、職業選択の自由、すなわち就職の機会均等が完全に保障されていないことが特に重大である」と善き、そしてまた、「同和地区の住民に就職と教育の機会均等を完全に保障」するなどしてその「生活の安定と地位の向上をはかることが、同和問題解決の中心課題である」と、こう書いてあるわけでございますが、私は、これはきわめて正しい指摘だと見ておるのでありますが、大臣、どう思いますか。
#45
○国務大臣(奥野誠亮君) 賛成でございます。
#46
○宮之原貞光君 そして、その答申の中に、その早急な解決こそ国の責任であり、同時に国民的課題であると強調しておるのであります。「国の責任」というのは、即、私は政府の責任だと理解をしておるのでありますが、いかがでしょうか。
#47
○国務大臣(奥野誠亮君) 政府の責任でもありますが、国民全体が私はそういう気持ちを持つことが大切だ、国民全体がそういう気持ちを持つことが、この問題解決の基本だと、先ほどお述べになりました中にも実体的な差別の問題、心理的な差別の問題両方おあげになっておったところでございました。心理的な差別の問題になってまいりますと、より一そう国民全体がそういう自覚を深めていかなければならないと考えられるわけでございます。政府の責任であることを私は否定するわけではございませんけれども、それ以上に、みんなでそういう差別的な気持ちを持たない、個々の人間の人権を徹底的に尊重していかなければならない、そういう気持ちに徹していくこと、こういうことがやっぱり非常に大切なことじゃないだろうかという気持ちを深くするものでございます。
#48
○宮之原貞光君 それはもちろん、国民全体が共通の理解を得るということはきわめて大事ですよ。しかしながら、国民全体にそういう共通の理解を持たしめるところの努力をする責任は政府でしょう。一番の中心は、何といっても、政府がやっぱり積極的にイニシアをとってやらなければならないと思うのですが、それはどうなんですか、それはやっぱり国民にみんな責任があるのですか。
#49
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、先ほど申し上げますように、政府の責任を否定するわけではありませんけれども、いまの小さい子供たちはそういう気持ちはないと思うのです。ないと思うのですけれども、親がいろいろ言うものだから、だんだん子供がそんな節持ちになってくるのです。ですから、政府の責任だということを言っておっただけでは私は問題解決しないと思うのです。やはり家庭においてもそういう無持ちになろうじゃないか、社会全体においてそういう気持ちになろうじゃないかと、これが私はやっぱり基本的に大切じゃないかなと、かように考えておるものでございます。
#50
○宮之原貞光君 それは私も、国民全体がこの問題について全然責任ないとは思っていませんよ。しかし、いま何回も申し上げますように、そういうようないろいろな手だてを講じていくのは政府じゃないですか。国民に理解を得るようないろいろな施策の面で積極的な手だてを講ずることは政府の責任じゃありませんか。どうですか、この点は。
#51
○国務大臣(奥野誠亮君) 政府の責任であることを否定していないのです。政府の責任ばかりだというような感じになってしまったら問題は解決しない、こういう意味で申し上げているわけでございます。国民みんなで、この問題を日本の恥じゃないかという気持ちを、国民全体で持ちたい。正直言いまして、私は奈良県の人間なものでございますから、奈良県に帰りますと、こういう問題やはり深刻なんです。しかし、東京で生活している限りそんなことはないのです。そういう問題は忘れているのです。国民みんなが、忘れるようにならなければならないのが、やっぱり根強く続いている。そうなりますと、社会、家庭みんなが反省をするという気持ちをもっと強めていきたいものだと、こういう気持ちがあるものですから、宮之原さんのせっかくのお話を、はい、そうでございます、と言い切れないでおる、その気持ちもぜひくんでいただきたいと思います。
#52
○宮之原貞光君 いずれにしても、イニシアとらなければならないのは政府自体なんですからね。これは私は先ほどから何回も申し上げているように、政府ばかりの責任だと言わないけれども、そのやはり大半の責任は政府が負うてもらわなければ困りますよ。でなきゃ、いまあなたがおっしゃったように、政府もそうだけれども国民も同じだというように、また国民に押し戻されては、この問題、私は困ると思うのです。そうでしょう。大臣、どうですか。施策の面でやはり政府がいろいろな法律をつくるなりいろいろな行政上の施策をやるんでしょう。それをまさかあなた否定をするわけじゃないでしょう。どうですか。
#53
○国務大臣(奥野誠亮君) 政府の責任ばかりではないが、とおっしゃっていただいたので、少し話し合いが通ずるようになったように私は思います。積極的に政府としても当然努力していかなければならない問題でございます。
#54
○宮之原貞光君 それで、同和問題の解決のやはり中心の一つは、私はいわゆる同和教育のあり方だと思います。先ほどの大臣のお話によりますと、まだ、文部省としても明確なやはり同和教育の問題に対するところの基本的な指導方針ができ上がってないと、こういう先ほどお話を聞いたのですが、そのように理解してよろしゅうございますか。
#55
○政府委員(岩間英太郎君) 同和教育に関します基本方針の作成につきましては、私どもも従来から努力しておるわけでございますけれども、総理府に設置されました同和対策協議会におきましても、文部省に対して参考案を作成せよということの要請がございます。その検討の結果、同和教育の基本につきましてはなお後日の研究を要するということでございましたけれども、昭和四十七年の三月に、私どものほうで、同和教育に関する当面の指導指針を、同和対策協議会のほうの御意見に基づきまして作成を進めておりまして、現在これに対する意見を都道府県とか関係者に送付して検討を進めているところでございますけれども、先ほどちょっと大臣から申し上げましたように、なかなか意見のまとまりがございませんで、それがまだできていないということは私どももたいへん遺憾に存じております。できるだけ促進をいたしまして、そういう問題が早く解決いたしますように私どもも努力を惜しまないつもりでございます。
#56
○宮之原貞光君 それは、あなた四十七年の三月に出されたという初中局の初等教育課長名で、これはいわゆる同和対策協議会が皆さんに答申をした意見書をそのまま付して地方へ、各県教委に出して、意見があったら出してくださいという程度のもんでしょうが。それを文部省の暫定的な当面の指導方針でございますのでとは、これはちょっと責任のがれもはなはだしいと言わなければならぬと思うのですよ。まだ現実にできておらないことは事実なんでしょう。どうですか、初中局長。
#57
○国務大臣(奥野誠亮君) 文部省におきまして案を作成をして、それで同和対策協議会ですか、との間の話し合いに入ったわけでございますけれども、異論が出まして、どうしてもそのままでは困るというようなことがございましたので、それじゃ、ひとつあなたのほうから案を出してくれませんか、それに基づいてつくりましょうじゃないかというようなことで進めようということになったのが、昨年の一つの案が、同和対策協議会会長から「同和教育に関する当面の指導指針並びに同和教育行政に対する要望事項」でございまして、でございますので、文部省はこれを受けまして、これにつきましていま関係方面の意見を聞いていると、そしてできるだけ早く成案を得たいということでございます。積極的な努力をしながらも、なかなかむずかしい問題でございまして、関係方面から強い異論がたびたび出るものでございますので、たまりかねて、それじゃ、皆さんのほうから案を出してくださいと、こういうふうに文部省が態度を変えたわけでございます。それが昨年いただいたわけでございますので、この案につきまして関係方面のいま意見を求めているというところでございます。
#58
○宮之原貞光君 先ほど大臣も大体基本的には支持するとおっしゃったところの同対審の答申にいたしましても、その中に同和教育に関して、国としての基本的な指導方針が明確に出されておらないことは非常に遺憾だ云々と書いてあるんですよ。すでにこれは昭和四十年でしょう。八年も前に文部省自体が出しておるところの同和教育に対するところの指導のあり方について出しおらぬから早く出せ、これはおかしいじゃないかと、怠慢を責められておるんですよ。それを、それはいろいろ事情はありましょうけれども、まだ出し得ないということは、これは私はやはり怠慢のそしりは免れ得ないと思うんです。だからして、たとえば特別措置法に基づくところの今度の教育予算の問題にいたしましても、それは一面、高校の奨学金とか進学用等の助成金の問題については若干昨年よりは進歩しているところはありましょう。しかしながら、大学奨学金がゼロだということについては非常な不満をやはり関係者は持っておる。こういうやはり実態も、先ほど申し上げたところの、文部省自体がこの問題についての早急に基本的な態度を持っておらないところに私は基因するんじゃないだろうかと思う。そういう文部省自体が持たんでおって、私は衆議院におけるところの文相発言を聞いていますが、一生懸命地方の教育委員会を批判しておりますが、御自分は基本的な方向を示されんでおって、地方の教育委員会はおかしい、おかしいという批判は当たらないと思うんですよ。そういう点は、私はもう怠慢以上のものがあると思いますが、その点、どうなんですか。
#59
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほども申し上げましたように、基本的なものは同和対策事業特別措置法、それに示されておるわけでございます。それの具体化の問題になってくるわけでございまして、具体化の問題につきまして、文部省の案につきまして同和対策協議会の関係者の方々、いろいろ意見を言われるわけでございまして、できる限り御満足をいただいた方法で示していかなければなりません。また、関係の向きにつきましても、いろんな御意見の方々おありのこと、御承知だと思います。また、考え方も幾変遷してきておることも私は宮之原さんよく知っておられるだろうと思うのであります。そういうこともありまして、なかなか両者意見が合って示すという方向にいきませんので、しかたなしに、それじゃ、皆さんのほうから意見を出してくださいということになってしまったわけでございまして、なお、大学進学についての奨学金制度がないということを具体の問題として例におあげになったわけでございますけれども、これはやっぱりこれなりに考え方があって、そういうことで来ておるわけでございます。何かよい仕組みを四十九年度には、ぜひ私つくりたいと考えているわけでございますけれども、ただ、怠慢のためにやらないというようにおっしゃいますので、それはそうじゃないんですよということだけは一言述べさしておいていただきたいと思います。
#60
○宮之原貞光君 まあ、時間の関係上次に進みますが、ときに文相は、副読本の「にんげん」というのを御存じだと思いますが、これが同和教育の教材に採用されておるところの意義についてどのように理解をされておりますか。
#61
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、個々の学校がそれを採用になる、それについて別段特別な意見を持っておるものではございません。先般、衆議院で議論になりましたのは、府の教育委員会ですか、市の教育委員会ですか、公費で買い上げて全校にそれを配布した、そこに私は異議を認めておるものでございます。これにつきましては、たとえば、部落解放同盟という特別の団体の考え方を特に強く押し出しておる面が一部にあったりするわけでございますから、これはやっぱりいろいろな意見があったりする問題を公費で買い上げて全体的に配布していく、そして、それに基づいた教育をやらせるように持っていく、これはやっぱりよく考えていかなければならない点じゃなかろうかと、こう思いまして、そういう趣旨の答弁をしておるわけでございます。
#62
○宮之原貞光君 質疑にまっすぐ答えてくださいませんか。そう先ばしって、先ばしって答えないでください。私があなたに聞いておるのは、あなたの後段おっしゃったことを聞いておるのじゃないんですよ。副読本「にんげん」というものを出して、それが各地でいろいろ採択されておるが、採択されておるところの意義、意味づけ、いわゆる意義ですよね、それをどうお考えですかということを聞いておるんですよ。
#63
○国務大臣(奥野誠亮君) 個々の学校が特別にそれに意義を認めて採択されるということについては、別段特別な考え方は持っておりません。
#64
○宮之原貞光君 じゃ、私は若干申し上げておきましょう、よくおわかりいただくように。
 これは、あなた、同対審が言っておるように、教育問題が一番やはり基本的な問題の一つである。したがって、憲法二十六条の、教育を受けるところの権利ということが非常にやはり同対審の中でも強調されておりますね。それだけにどういう教育を受けるか、このことはやはり関係者にとっては非常に大きな問題だと私は思うんです。しかも、この現在の教科書なりあるいは指導要領を概観した場合に、部落問題が欠落し、あるいは部落解放の展望が明確にできないばかりか、差別に通ずると思われるような個所もないでもないのです、現行の指導要領のその中には。あなたがおっしゃったように、一般的に見れば、それは普遍性があるかもしれぬけれども、関係者から見ればそれはあるのです、率直に申し上げて。たとえば、一年生の社会科の中に、特に家の職業の大切な意味を理解をさせよう、という単元がありますね。あるいは六年の社会科の中で、明治の終わりごろには就学率九九%云々とか、あるいはユニセフの問題、あるいは中学の国民の権利と義務というところで、自分の責任でどんな職業を選ぶことも自由です云々と、こういう事項が、この教科書などにあるんですよ。こういうところの問題などは、東京のどまん中で教えるようなものの感覚じゃこれは教えられませんね。それはあなたも選挙区が奈良ですから一番御存じだと思います。そうなれば、やはりこれは必然的にこれを補うという意味では、ちょうど公害の問題について現在の教科書やあるいは指導要領が不十分だから公害読本というものがあるように、これはやはり同和教育の問題からすれば、この副読本の存在意義というものは必然性があると見なければならぬ、その点はあなた、理解されますか。
#65
○国務大臣(奥野誠亮君) 全体としては真剣に御研究になってお書きになっている。何らそれについて異議を差しはさむわけじゃございませんし、また、努力されている点は多としたいわけであります。しかし、中にいろいろ問題になる個所が出てくるわけでございますので、そういう点について私は心配を持っておるわけでございます。
#66
○宮之原貞光君 心配というのはどういうところですか、その副読本の中身で。
#67
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど来申し上げましたような、特定の団体の立場に立った記述あるいはそれの宣伝と思われるような個所などがある点について疑問を抱いているわけでございます。
#68
○宮之原貞光君 それを具体的におっしゃってくださいよ。
#69
○国務大臣(奥野誠亮君) 「にんげん」を、書物をいま持っていませんので、持ってきてお答えいたします。
#70
○宮之原貞光君 じゃあとから答えなさいよ。いま持っていませんでは、まことに私は準備が不十分だと思うんですが、しかし、まあ、私に与えられた時間になりますと、ここの委員長もやかましく言いますから次に進みます。
 それなら、別の観点から聞きましょう。あなた、あの「にんげん」が、大阪のように行政ルートを通じて全府下の児童生徒に配られたところの経過については御存じでしょうか。ノー、イエス、はっきりおっしゃっていただければいいんです。
#71
○国務大臣(奥野誠亮君) 詳しいことは承知しておりません。
#72
○宮之原貞光君 知らないでおって、十分詳しいこと御存じなくて、あんまり衆議院の分科会みたいなことを言われたら実は困るんですよね。これは、私はやはり大臣にもわかっていただかなくちゃならんから申し上げるんですがね、昭和四十三年の五月に、あなたも御記憶あるだろうと思いますけれども、大阪市を中心に全大阪から近接県にわたるところの大規模の越境事件がありましたですね。越境入学問題ですよ。いわゆる公務員、民間の子供たちを中心にして、部落の子供、部落の学校をきらって続々と大阪の中心街の学校に集まったという、大量の越境事件があった、御記憶あると思いますが。そのために、たとえば大阪では私鉄、国鉄のターミナル附近では学校が急速に膨張して、そのために過剰学級以上のような状況です。あるいはまた、私立学校に入りたいということで、いわゆる俗称有名私立学校ができて、その越境資金をうんと、ぽっかり取って設備をすると、こういうようなことですね。それで一方では、部落を含むところの学校では児童生徒は逆に減少する、施設はほっぽりかされるという一つの大きな問題があったんです。おそらくそれはぼくは文部省は御存じないとは思わないんですがね、これ。もし同和教育というものについて、さっきもお答えになられたように真剣にこの問題に取り組んでいるとおっしゃるなら、これ、知らないはずはないと思うんですがね。そういう四十三年五月に大きな問題が出てきたんです。そういうことから、いわゆる部落の子供たちの教育の機会均等というものが著しくやはり阻害されるという可能性が出てきた。そこで解放同盟を中心にいたしまして、行政当局に市の教育委員会に善処を要求する。いろいろ話し合いの結果、部落を含むところの学校の教育条件をまず整備しましょう、それから、その越境してきたところの子供たちを、これはやはりまた学校に復帰させるための努力をしましょう、復帰させましょうということとあわせて、重要な解決策として、実は先ほど申し上げましたところの副読本「にんげん」の全員配布、教材採択の問題が出てきた。これはどういうことかというと、越境問題ですね、越境入学、義務教育の。これは法的な強制を持ってあるいは復帰させることができるかもしれんけれども、部落問題が正しく理解をされないということから、この差別意識は、無理やりに帰してみたって、これはこの中で薄らぐということには保証はないわけですね。あるいはまた、かりに形ばかりに原籍校に復帰しても、差別というこの問題はやっぱり内向していく危険性がある。したがいまして、先ほど申し上げたところの教科書や指導要領の中にも、いわゆる同和教育という立場から見ますれば問題点がある。そういうようなこと等から、部落問題を正しく位置づけるためにはどうしよう、そのためには、単に同和地域の子供たちだけでなくて、全府下のやはり生徒にあるいは先生方にこれを読んでもらうということが大事じゃないか、そういう理解がない限りは、大臣が一番冒頭に答弁されたように、国民全体としても、責任があると、大臣、こうおっしゃったと同じように、同和教育の問題は、部落関係者あるいはその地区だけでこの問題を理解させたんじゃだめなんだから、そこからやはり少なくとも大阪府下の児童生徒にみんな配布して読まそうじゃないかと、こういう経緯を経たんですよ。こういう経過の中で全校配布――教育委員会が責任を持って配布しましょうと、こういうことになったということを、やはりきちんと踏まえておいていただかなきゃならんと思う。そしてこのことはまた大臣ね、先ほど大臣が原則的に認めるとおっしゃったところの同対審の基本方針の中にも明確にあるんです。いわゆる同和教育という問題は、単に同和地区に限定されたところの特別の教育ではなく、全国民の正しい認識と理解を求めるという普遍的な教育の場において考慮されなきゃならないという、このことにもこれは当てはまると思うんです。そういう事実関係をきちっと踏まえておいて、私はやはり教育委員会ルートを通じての配布の問題について正しい、あんた判断をしてもらわなきゃ困ると思う。それを残念ながら、この衆議院におけるところの日本共産党の村上発言は、そのことは行政ルートを通じてそういう配布されるのが悪いんだ、悪いんだということを一生懸命言ってあなたに同意を求めておりますけれども、そういう経過の中からこの問題が派生をしてきて、しかも、同和教育というものをやはり全体の問題にしよう、あんたがお答えになったところの少なくとも大阪府下では府全体の教育の問題にしようという教育的な配慮からなされたわけなんです。その点はあなた理解できると思いますが、どうですか。
#73
○国務大臣(奥野誠亮君) 「にんげん」の問題とか、いまのような「にんげん」が採択された経過などをこの分科会で聞くんだということがわかっておりましたら、私も積極的にそういう資料も持ってきたり説明もできるところでございましたけれども、なかなか同和問題も広いもんですから、御指摘の事例を知りませんで恐縮でございました。しかし、同和問題は深刻な問題でございますし、また、大阪を中心とする地方におきましては、この問題できびしい対立も繰り返されたりもしているわけでございます。したがって、同和問題の考え方、これを全住民あるいは全児童生徒に徹底させていきたいという気持ちを皆さんがお持ちになること、これはよくわかるんです。よくわかるんです。ただ、この間、共産党の村上委員からいろいろ指摘されました問題は、特定の団体に入っていなければいろんな行政上の恩典を受けられないとかあるいは暴力でいろんなことを行なわれているとかということと関連をしていまお話しのような問題が出てきたわけでございます。そういうことから、私は教育委員会で「にんげん」を採択することを完全な自主的な判断で行なわれるなら、これは私は一つの考え方になろうかと思うのでございますけれども、そこにかりそめにも強制的な行為が入っておったとするならば問題がある、こういう懸念もいろいろ持っているわけでございます。いずれにしましても、皆さんが真剣にこういう問題につきまして理解を深める、また理解を深めさせるための努力をする、こういう点については、ごもっともなことだと思います。
#74
○宮之原貞光君 副読本を採択するのは、それぞれの教育委員会がすればいいんでしょう、自主的にね。それはあんた、あたかもそれを採択させるのに暴力行為があったみたいな印象を与えるようなあんた発言をされておるがね、あったんですか。そんなら聞きますけれどもね。あんた、あったという確認のもとにいま言われたんですか、そういうようなことを。
#75
○国務大臣(奥野誠亮君) いろいろな脅迫的な行動はあったと思っております。
#76
○宮之原貞光君 それは具体的にどういうことですか。じゃ、その「にんげん」採択にあったらひとつ聞かしてくださいよ。
#77
○国務大臣(奥野誠亮君) 先般の村上委員の発言、全面的にそのとおりだと私は申し上げているわけじゃございません。いま御指摘もございましたので、調査をさしているところでございます。でありますので、そういう調査を待ちまして間違いのないように、せっかくのお尋ねでございますので、機会を得て御報告をさしていただくようにしたいと思います。
#78
○宮之原貞光君 じゃ、その問題の論争は次に譲りましょう。
 先ほどあんたは、その副読本「にんげん」を公費で配るのが悪いんだと、こういうお話ですがね、先ほど申し上げたところの同対審の方針、あるいは先ほど申し上げた同和教育のあり方について、府の教育委員会は、教育上好ましいという形で、必要だという形で配るというのに、何で公費で配れば悪いんですか。
 じゃ、重ねて聞きますけれども、公害問題で、東京は公害読本を、副読本をつくっておりますね。それを無償で配っていますわね。大臣よ、無償で配っていますよ。それも悪いんですか。
#79
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、公費で副読本を買って配ることをすべてが悪いと申し上げたつもりは一つもございません。いま具体の「にんげん」が問題になっているんです。「にんげん」につきましては内容に私はいろんな疑義を持っていると答えているんです。現に私は本を持っておりませんから、いま取り寄せているところでございます。その疑義も、疑点のあるところも明らかにいたします。それを公費をもって配りますと、半ば強制的にそれを使わせることになるわけでございます。問題のある教材を強制的に使わせるような形になることについては私は非常に疑義があると、こう考えているわけでございます。公害のように――また公害の教材の内容にもよるかもしれませんけれども、内容に問題のないことであれば、また同和関係においても内容に問題のないことなら、私は公費をもって配ること、何ら異議はございません。具体の「にんげん」に関して私はそう申し上げているわけでございます。
#80
○宮之原貞光君 「にんげん」が配られてから何年になりますかね。そんなら、奥野文部大臣というのが来て、就任して初めてこれを問題にしたと理解していいんですね。それならば、いままでの文部省はこの問題について一言一句も言わないでおって、いまごろ、あんたの主観を交えたようなことをこう言っておられるみたいですがね、それはどうなんですか。あんたが初めてですよ、それは、聞くのはね。文部省はいままでこのことについてどういう態度だったか、それを聞きたい。
#81
○国務大臣(奥野誠亮君) 配布されたのは四十五年のようでございます。それからこの問題をめぐりましていろんな議論があちらこちらで起こってきているわけでございます。そういうことから「にんげん」の内容も目を通すようになってまいりました。そうするとやっぱり若干問題の個所があるなと、これを半ば強制的に使わせるということになってくると問題が起こってくるんじゃないかな、こういう感じを持っておったやさきに村上委員からお尋ねがございましたので、私も公費をもって配ることについては疑問を持ちますと、こう答えてまいってきているわけでございます。
#82
○宮之原貞光君 具体的に指摘をされてまいりましたらまたそれは議論をしたいと思いますがね、しかし、少なくとも言えることは、三十五年に配布されて……
#83
○国務大臣(奥野誠亮君) 四十五年。
#84
○宮之原貞光君 四十五年にね、いままでなるのにだよ、それをほおかむりしておったというところにも、あんた方やっぱり責任を感じざるを得ませんわね、これは文部省は。もしあるとするならばだよ、やはりあんた、この問題はどうだろうかということで教育委員会とそれはいろいろ話し合いをされるというのはけっこうでしょう。しかし、少なくとも、これは副読本の採択権というのはそれは地方の教官委員会にあるんですからね、何と申し上げても。だから、それとも十分な話をするべきはずなんです。それを、そういうような手だてもやらんで、ぽっくり公の席上で疑義があると、その疑義の問題についても、いまの現在の段階では明確にされておらない。こういうことについて私はやはり文部省の責任はこれは追及されなきゃならないと、こう思います。しかし、その具体的な問題はこれ以上議論はもう発展しませんから、まだほかの問題もありますからね、続けますよ。それは追ってやっぱりやりましょう。宿題にしましょうね。
 次に、もう一つ聞きますが、矢田中学事件ですね、大臣は、この問題については、事実は承知していないがと言いながら、いわゆる村上議員の発言を全面的に肯定をされたような角度から、大阪市の教育長、さらには市議会を批判されていますが、一体この事実関係のポイントをどこにあるとあんたはお考えになっておりますか。
#85
○国務大臣(奥野誠亮君) 「にんげん」の問題も、四十五年に配布されましてから、少なくとも大阪におきましては、日本共産党と日本社会党との間でいろんなやりとりが生まれてきていることも事実でございます。そういうような経緯を踏まえて私も問題のあるところを調べだしたような次第でございます。
 矢田問題のことにつきましては、政府委員のほうからお答えをさしていただきます。
#86
○政府委員(岩間英太郎君) これは、大阪市の教育委員会からの報告によりますと、四十六年の二月及び五月に矢田中学校の岡野教諭外七名に対しまして、同和教育についてのその考え方が間違っておるということで、市の教育研究所におきまして一年間の研修を行なうように命じたと、一年を経過いたしまして研修のレポートの提出を求めましたところ、その提出がなかったので、引き続き研修を命じて現在に至っているというふうなことでございます。こういうふうな人事の問題につきましては、私どもとしましては、まあ、文部省としまして介入する立場にはないというふうな考えでございまして、これはやはり地元の教育委員会の判断にまかしておるわけでございます。しかしながら、この問題につきましては、その間に暴力問題の有無につきまして裁判でいま係争中のようでございます。したがいまして、内容そのものにつきましては、私どものほうから御意見を申し上げますことは差し控えさしていただきたいというふうに考えております。
#87
○宮之原貞光君 まあ、私はここで事件の経過を述べようという気はないんです、時間もありませんがね。ただ、やはりこれが村上委員から指摘をされたところのあの文章づらだけでこれは議論するわけにいかないんですよ。これはあんたも一番御承知のように、同和教育の問題で、部落関係の問題で、越境とか補習あるいは同和という問題がどれくらい大事であるかということはおわかりでしょう。少なくとも越境というものは、先ほどちょっと例をあげましたように、結局部落を忌避するところの差別思想ということがやっぱり根底に流れているんですよね、何と申し上げても。あるいは補習という問題は、基本的な就職ということをかちとろうとするならば、何としてもやはり学力のおくれておるところのその地域の子供たちの補習教育によっても学力を上げなければならないという特定の課題をやはりその地域の先生方持っているんですね、これは。したがって、そういう越境とか補習という、こういう問題について、あたかもそれが普通世の中に一般にいわれているような労働強化とかあるいは行政の締めつけだというようなかっこうでやっておるというところに実はやはりこの問題に対してこれはあまり不見識じゃありませんかと、こう言われたところの問題が、そもそもの、大臣、この問題の発端なんですよ。しかも、それを指摘されて、これは三月の十八日段階では、当事者たちもそれはちょっと軽率だったと、こういうことを考えておる。それから一週間ぐらいしたら、どうですか、開き直ったんですよ、それは。どこが差別なんだと。それはちょうど衆議院の村上議員が言ったように、どこが差別文書だと、こう開き直ったと全く同じなんですよ。一番部落問題の基本になるところの越境とか同和とか補習という問題がそれがすりかえられて、労働強化だ、どうだこうだ、皆さんどう思いますかという問題の指摘自体が、提起自体が、これはやはりこの同和教育を扱っておるところの教員として私は不適格だと思うんですよ。それぐらいの問題を、どこが差別文書ですかと言うこのセンスに私は全く――まあ前衛政党だという話ですけれども、どうもいただけない話なんです。そういうやっぱり一番基本的な問題がある。しかも、それは、先ほど申し上げたように、認めながら、一週間して開き直っている。開き直って、自分たちを批判する者は反党分子だ、反共分子だ、反共暴力分子だと言う。ちょうどあの「赤旗」がいろんなことを書きますね、あれのような口つぶりでこの問題を取り上げているやり方は、これは何と申し上げても、うしろにやはり一つの政党というものがからんでおるというところの問題なんですよ。それを一方的にだね、いや、ごもっともでございますと肯定するがごときあなたは発言をされたら私は困ると思うんですよ、それは。もしこれが暴力云々というんなら、それは司直の手にまかせればいいんであって、裁判がどういう判定を下すかそれは別問題である。
#88
○副主査(楠正俊君) 宮之原君、時間です。
#89
○宮之原貞光君 したがって、その問題についてはきちんとした私は理解を示してもらわなければ困ると思うんです。これは吹田一中の問題だって同じなんです、これは。これはもう時間がありませんから私は申し上げませんけれども、あの村上委員が言ったことを全面的にそうだそうだとあなたは肯定するような言い方ですけれども、だいぶ事実は違うですよ、これは。そういうものを客観的に、たとえば調査員でも派遣をして、あるいは文教委員会の委員を派遣して調べるというなら話は別ですよ、その中で判断をするというならね。だって、ここに加藤さんがおられますけれども、これは現地の私が聞いた話によれば、加藤さんあたりは、九月の何日ですか、九月の五日ですよ、そこに二十数名の方々と一緒に乗り込んでいますよ。現地の連中は私にこう言いました。加藤さんが乗り込んで、国会の文教委員が参ったからと、こういうような型であなた校長に面会求めていますよ。(「文教委員に間違いないじゃないか」と呼ぶ者あり)しかも、あなた方は、じゃあ文教委員会を代表して来たんですかと、こう言われたら、これは二の句も継げませんわな、あんた。あたかも、そういうように国の一つの権力というものを背景にしたみたいなかっこうで二十数名の共産党の国会議員あるいはその他の者が入り込んで校長に面会を強要するという(「二十数名というのも間違いだ」と呼ぶ者あり)やり方は、一体これは正常じゃありませんよ。(「基本認識間違っているよ」と呼ぶ者あり)そういうやり方をあなたはこの間一方的に認めるような、肯定するようなかっこうで、そのやり方は云々というのでは、私はちょっと軽率のそしりを免れぬと。もしあなたがそうお認めになるなら、参議院でも文教委員会でもどこでもいい。文教委員会なら文教委員会で、同和教育の基本にかかわる問題ですから、行って調査すればいいのです。あるいは暴力云々の問題は、これは司直の判断によってやればいいんですよ。政党というものがうしろにからんできてやいのやいの言っているところに、私はやはり正常でない姿を見出すんです。こういうことを私はあってしかるべきじゃないと思うのです、これは。こういう問題がやはりからんでおるという点について、やはり文部省としても配慮をして、そして慎重なあなた答弁するならしてもらいたいと思うのです。そうしなければ、あの衆議院の第二分科会ですか、あれは、何か一番端と端の政党が意気投合したみたいなかっこうですわね、これは。それで、自分たちではまだ破防法適用団体だとこう言いながら、それと全く軌を一にするような形でスクラムを組んでいるかっこう、どうしてもいただけませんね。私は客観的にみんなが納得できるというんなら話は申し上げません。(「何が客観的だ」と呼ぶ者あり)それだけに非常に問題があるということだけを私は申し上げておきたい。
 もう委員長からやかましく言われていますから、多くは申しませんけれども、こういう問題についてはそういう複雑な背景があるということをあなたちゃんとわきまえて答弁すべきだ。それを自分の同和教育に対するところの考え方だけからこの問題を私は割り切ってもらっては困ると思う。その点、いかがでしょう
#90
○国務大臣(奥野誠亮君) 大阪地方できびしい対立の生じておりますことを心配している一人でございます。同時にまた、いま御指摘になりましたようにいろんな問題がからんでいること、これも事実だと思います。この間の村上さんのお話に対する私の答弁、私としては慎重に答えたつもりでございますが、あとで速記録読み返しておりませんので、何もかも肯定しているようなふうにお取りになっていると思いますが、あそこで持ち出されたことに関する限りにおいては私もそう思いますというような式でお答えしている面が何ヵ所かあったと思います。同時に、調査もしているわけでございますし、できる限り、こういうことからせっかくの同和問題の解消が、それがかえって困難になるということになっても不幸なことでございますので、積極的に問題の解決に文部省としても努力を尽くさなきゃならない、こういう気持ちでおるわけでございます。今後も具体の問題ごとに私たち調査をし、真剣に考え、必要な助言を怠らないようにいたしてまいりたいと、かように考えます。
#91
○矢追秀彦君 本日の質問は非常勤職員のことをやるわけでありますが、その前に、けさのニュースで文部省が週休二日制の問題に関して、学校については土曜日は休みにしないと、そういうことで、ただし教職員については検討を命じさしておるということについてのニュースを、けさの九時のNHKのニュースで聞いたんですけれども、文部省として何かこれについて指示等お出しになったのですか。検討されておるわけですか、お伺いいたします。
#92
○国務大臣(奥野誠亮君) 先日参議院の文教委員会で、祝日と日曜日が重なった場合翌日休みにするという法律案にからみまして、週休二日制についていろいろお尋ねをいただきました。それに対しまして文部省としてこの問題は検討してみますと、こういう点について問題点があると心得ておりますということを申し上げたわけでございますけれども、それ以上に出たような決定などはいたしていないわけでございます。
#93
○矢追秀彦君 その問題についてはまた場所を改めて伺いますが、初めに人事院のほうにお伺いいたしますが、要するに日雇いの職員、公務員であって非常勤の職員については、法的にはどのような人を言うのか、その法的根拠はどのようになっておりますか、これをお示しください。
#94
○政府委員(渡辺哲利君) 非常勤の職員と申しますのは臨時的な官職と申しますか、そういう臨時的な官職についた職員を申すのでございまして、その内容は、主として委員、顧問、参与等の政策に関与する職員、それから事務ないしは技術的な補助を担当いたします職員等々多岐にはわたっておりますが、主要な形態はそういうことでございまして、これらの職員については臨時的な官職でございますので、一応形式的には国家公務員法の全面がかぶりますけれども、特例といたしまして、臨時的官職だという趣旨で、任用等につきまして特例が設けられておりまして、これは八−一四という規則でございますけれども、一般の公務員と違ってその採用等につきましては試験選考等によらずに、自由に任用することができるというような規定になっている次第でございます。
#95
○矢追秀彦君 その非常勤の勤務時間及び休暇についてはどうなっておりますか。
#96
○政府委員(渡辺哲利君) 勤務時間等につきましては規則一五−四というのがございまして、これに非常勤の形態といたしまして日々雇用のものと一週間に四分の三の時間をきめて雇用するのと二通りございまして、日々雇用のものについては八時間――常勤職員と同じでございますが――それから期間をきめますのは、一週間の四十四時間の四分の三以内できまっておるというような規定になっているわけでございます。
#97
○矢追秀彦君 こういう人たちは現在公務員全体では何名になっておりますか。それから、これは文部省にお伺いしたいんですが、文部省全体ではどれくらいになっておりますか。
#98
○政府委員(渡辺哲利君) 実は私どものほうではよくはっきり数がわかりませんのでございまして、総理府のほうで例年調査をしておられるのでございます。その調査結果が実は人事院の年次報告に参考として一番末尾に載せてございますけれども、四十六年の七月一日現在で非常勤職員の総計が十八万六千八百九名という数字が年次報告で御報告申し上げている数字でございます。
#99
○説明員(望月哲太郎君) 国立大学におきますところの非常勤職員につきましては、昭和四十七年七月一日現在一万七百二十六名在職しております。
#100
○矢追秀彦君 この人たちの給与、待遇面で一般の公務員とはどのような比較になっておりますか。これは文部省に限ってお伺いしたいと思います。
#101
○説明員(望月哲太郎君) お答え申し上げます。
 非常勤職員の給与につきましては、給与法第二十二条第二項に「非常勤の職員の給与との権衡を考慮し、予算の築囲内で、給与を支給する」ということになっておりますので、これを根拠にいたしまして非常勤職員の給与につきまして決定を行なっておるわけでございますが、まず採用する際の給与につきましては一般の公務員と同様の方式によりまして算定いたしましたものを支給をしております。そのほか、たとえば期末・勤勉手当であるとか、通勤手当であるとか、住居手当であるとか、いわゆる都市手当に類するもので調整手当であるとか、休日給であるとか、超過勤務手当であるとか、特殊勤務手当であるとか、そういうふうな各種の手当につきましては、一般の公務員と同様の措置をいたしております。それから、退職手当につきましても、退職手当法の規定によりまして一般公務員の二分の一ということでございますけれども、これを支給いたしております。それから休暇につきましては、労働基準法の規定に準じまして年次有給休暇を与えております。
#102
○矢追秀彦君 文部省のほうから一つデータをいただいたわけですが、これは職名は寮母です。それで定員内の場合が一年目が四万四千六百円、非常勤が四万四千六百円で、まあ十年目の差が五万六千五百円と五万三千百円と、これをいただきましたが、これは行(二)でありまして、これは一番差の少ないデータをいただいたように思います。で、行(一)の場合はどのくらいの差になっておりますか。
#103
○説明員(望月哲太郎君) お答えいたします。
 ちょっとただいま具体にその数字の例をここで持っておりませんけれども、考え方といたしましては、御承知のように、日々雇用職員につきましては一年を限って任用をするということにいたしておりますので、契約を更新するたびに新たに新規採用をするという雇用の形態をとらざるを得ないということがございまして、その新しく採用いたします際の初任給の決定は、五年以内までは、それまでの職場の経験を、十五月をもって継続して勤務している場合の一年分に考え、それから五年以上の場合には一年半をもって一年に考えるということで換算をいたしておりますので、その意味におきまして、かりに全く職場の経験のない人が定員外職員となった場合には五年間で一号の差が出てまいります。十年の場合には大体三号程度の差が出てくることになろうかと思います。ただ、金額的につきまして、ちょっといま私どもで手元で計算したものはございませんので、金額は幾ら差ができますかということにつきましては、もちろんその人の学歴その他の経験によって個々別々でもございますが、ちょっといま手元に計算したものがございませんので、数字につきましてはただいま申し上げかねるわけでございます。
#104
○矢追秀彦君 それでは昭和三十六年の二月二十六日、このときに閣議決定がなされましたが、そこで定員外職員の長勤化防止、この問題が決定をされておりますが、これはどのように理解をされておりますか。
#105
○政府委員(木田宏君) 私ども、その閣議決定の趣旨に沿ってできるだけ運用につとめておるわけでございます。
#106
○矢追秀彦君 しかし、現実にはかなり長期にわたって、すなわち五年ないし十年ぐらいの期間に勤務をしておる定員外職員がいるわけでありますが、文部省としてはどれくらいになると把握をされておりますか。
  〔副主査退席、吉武恵市君着席〕
#107
○政府委員(木田宏君) お答えを申し上げます。
 先ほど定員外の非常勤職員は任用局長のほうからも御答弁がございまして、その職として臨時的な官職についておる者でございます。国立学校等におきましては、その職として臨時的な性質の職が年々存在するということだけは継続いたすわけでございます。でございますから、先ほども申し上げましたように、約一万人の非常勤職員と称するものがおるわけでございまして、事業規模によりまして増減がございます。で、そのかなりの者が、と申しますのは、在職年限等で申しますと、三年以上になります者はそのうちの二四%、約二千六百名弱でございまして、特定の職員について見ます限り、一年限りでやめていくというのが一番多いわけでございます。人事のあり方といたしまして、できるだけ閣議できめました方針に沿って人事管理をするように各大学にも指導いたしているところでございます。
#108
○矢追秀彦君 いま閣議決定に従って指導しておると言われますが、いま三年以上で二四%、こういうふうなデータが出ておるわけですが、具体的にどのような指導をされておるのですか。
#109
○政府委員(木田宏君) この大学の関係に四十七年度約二万人の非常勤職員がおるわけでございますが、現実にそれぞれのポストにつきまして、どうしてもある時期あるいは勤務時間の態様その他で、臨時的な職として人を入れていく必要があるというポストがこのような数になるわけでございますが、その人事管理につきましては、これが常勤的な職員と同じような人事管理にはなかなかなり得ないわけでございまして、どうしてもその職員との関係で常勤的なポストに職員を移しかえるほうがいい場合には、これまた年々の欠員あるいは新採用、増員等に見合います新採用の際に、特定の人については振りかえるという措置をいたしておりますが、職として臨時的な職には臨時的な職員を充てる、その任用上の処理を遺憾なくするようにという指導を、これは毎回でございますが、大学の学長会議、事務局長会議等で強く指導しておるところでございます。
#110
○矢追秀彦君 大学における定員外職員のおもな職種はどのようなものと理解したらよろしいでしょうか。そちらとしてはどう考えられてますか。
#111
○政府委員(木田宏君) 事務の補佐員――事務の補佐員と申しましてもいろいろな態様もございますが、研究資料の整理等を担当するもの等もございます。それから技術の補佐員、これは研究機器の保守等をいたしますものあるいは実験実習の補佐員というような性質のものがございます。また、技能の補佐員として分類できるものもございまして、まあ、実験動物の飼育でありますとか、農場、演習林等の作業をするといった作業員などがこれに入ろうかと思います。そのほか、教務につきまして教育研究活動の補助をしておる職員も若干ございますし、また、清掃夫のような用務の仕事をいたしております臨時の用務員もおるわけでございます。
#112
○矢追秀彦君 いまのお話だと、やはりあくまでも補助的な仕事でなければならぬわけですが、実際はまだまだこの臨時職員というのがかなり重要な仕事をしておる場合があるわけです。こういう点については文部省としては掌握をされておりますか。また、それに対する指導はされておりますか、どうですか。
#113
○政府委員(木田宏君) ただいま申し上げましたような臨時的な職で仕事をしてくれております者も、その職そのものといたしましては非常に重要なものであるという点は私どもも承知をいたしております。演習林の手伝い等いたします作業員にいたしましても、あるいは研究機器のオペレーションを手伝うそういう補佐員にいたしましても、職そのものとしては非常に大事なものであるということは考えておりますが、その職のあり方と、それに人を当てはめていく当てはめ方というものが、御指摘がありましたような臨時的官職の場合には、いわゆる定員の常勤職員とはおのずから違っておるわけでございますので、その点は各大学にも十分実態の把握と分析につとめて人事採用の遺漏のないように指導をいたしております。したがいまして、まあ、ある程度まで私どももその実態は承知をいたしておるつもりでございます。
#114
○矢追秀彦君 まあ、承知をしておるとおっしゃっておりますが、現実はまだまだもっと大きな問題があると私は思います。具体的な例でいま申し上げますが、これは群馬大学の医学部の附属病院の実例でございますが、現在定員内職員が、事務系で三百五十五名、技術系が五百十三名、合計八百六十八名です。これに対して定員外職員が、事務系が百十七名、技術系が百九十八名、合計三百十五名で、割合にいたしますと二六・六%になっておりますが、この二六・六%という数字は、このまず割合自体が高いと思われますか。これは妥当であるか低いのか。その点はどうですか。
#115
○政府委員(木田宏君) 大学病院を通じての平均から見ますと比較的高いほうだと思っております。
#116
○矢追秀彦君 この中には、まあ教授がポケットマネーで雇ったり、あるいは研究室の先生方が共同でお金を出し合って雇ったりするそういうのは全然入っておりませんし、また、わずかな期間の人も除いてあるわけですが、とにかくこの中でかなり長い人もおります。で、七年以上になる人だけでも数からいいますと十四名、これだけが七年以上いるわけです。で、ほかの大学の医学部も大体いま平均としては高いと言われましたが、大体同じ実情であると、こういうことをいま局長言われましたが、私はまずこのパーセンテージが高いことも一つ大きな問題ですが、この中で非常に長期間、七年以上の人がいるわけです、十四名も。しかも、もう十年になる人もいます。まあ、この事実ですね、先ほど三年以上がかなりおるということも言われましたが、十年という長いのがあるわけです。これはまあ日雇いというふうなものじゃなくなってしまっていると思うんですが、これについてはどうお考えになりますか。
#117
○政府委員(木田宏君) 群馬でいま御指摘になりました比率は、国立大学附属病院の非常勤職員の比率が定員に対しまして約一五%に相当するという点から見てやや高いということを申し上げたのでございます。当の御指摘がございました群馬大学につきましては、七年以上にわたります者が、御指摘の数字とあるいは若干違っておるかもしれませんが、私の手元の資料では十二名ほどになっております。その中で事務系を担当しております者が四名でございますが、それ以外は寮母あるいは配ぜん婦あるいは洗たく婦あるいは看護助手四名等でございまして、これらの職員につきましては、個々の事情は承知をいたしませんけれども、しかし、配ぜん婦あるいは寮母としての雑役婦でございますが、そういう方々の勤務の態様そのものが、やはりいろんな勤務時間との関係その他ポストの扱いとして臨時的なもの、この臨時的なポストに同じ人が繰り返し就任して臨時的な性質の仕事をしてくださっているというふうな考え方を私どもとしてはとっておるわけでございます。また、看護助手につきましては、これは看護婦の任用資格等との関係で、その特定の御本人を定員化のポストに移し得ない等の事情もあるいはあるのではないかと思ったといたしておりますけれども、看護助手をいたしております臨時職員の中には、家庭の事情その他から、むしろ夜勤などのない臨時的なポストで繰り返しなれたポストを長年つとめられるということもございまして、私どもとしては、そのポストの性質が臨時的なものという運用になっているものと考えておる次第でございます。
#118
○矢追秀彦君 で、ひとつ非常に問題は、これだけ長い間つとめておったわけでありますから、やはりこういった日雇いでありますと、非常にまあ身分が保障されないといいますか、極端に言うと、毎日首になる可能性があるわけですよ。辞令を見ましても、こういうふうに書いてあります。「臨時用務員に採用する 任期は一日とする ただし任命権者が別段の措置をしない限り昭和三八年十二月一八日まで任用を日々更新し以後更新しない 日給(勤務八時間につき)四〇〇円を給する」と、これは昭和三十八年六月十九日、まあ、ちょっと古くなりますけれども、任期一日の辞令をもらって、これでまあ、ずっとこの人は十年近くいるわけです。三十八年六月十九日ですから、もう約十年近くいる。こういうふうな、これは臨時用務員になっております。だから、非常に不安でありながら、非常に病院としては必要な人であるということで長いこといるわけですけれども、実際現実にはそういった不安感があっていろんな訴えになってきておるわけでありますが、これはあとでかためて定員化の問題はお伺いしたいと思うんですけれども、もう少し何とかいままでできなかったかと思うんですけれども、要するに、十年間も日雇いが続くということ、これはどういうことですかね。
#119
○政府委員(木田宏君) いま御指摘のございましたのは、看護関係の職員であったでございましょうか、私、ちょっとうかつに聞き漏らしておりましたんですが。
#120
○矢追秀彦君 看護関係です。
#121
○政府委員(木田宏君) 先ほども申し上げましたように、看護関係の職員につきましては、資格の関係がございまして、その手伝いをするというような形の人たちを看護婦の正規の定員で看護婦として採用するということもできない事情がございます。また、家庭の事情その他の関係から、夜勤その他のない、正規の看護婦とは違った勤務態様のものとして手伝うという形で毎年コンスタントにその手伝いを続けてくださるという方等もございますので、ただ長年その同じ状態が繰り返されたから定員化にしなければならぬ、こういう扱いもいたしかねるところでございます。
#122
○矢追秀彦君 時間がありませんので、ちょっと個々の問題についてはあまり深く入りませんが、この方はほかにもちゃんと資格は持っているのですよね。これはいまの仕事とはちょっと違うことなんですけれども、資格も持っておりますし、やはり仕事の立場はあると思うわけです。だから、もちろん本人は、仕事の意欲は十分あるわけでして、やはりそういう人もありますので、ひとつ御配慮はいただきたいと思います。
 それからもう一つ私が問題にしたいのは、先ほど来こういった定員外職員の仕事というのは、あくまでも補助的な仕事ということでありますが、現実には、補助どころか、それが主体になっておるといいますか、その部門をささえておる、中心になっておるという例があるわけです。具体的に数字で申し上げますと、この附属病院の中央診療部、ここだけを見ますと、中央手術部、これは助教授の先生等も含めまして定員は三十一名で、そのうち六名が定員外の職員になっています。それから中央検査部では定員が二十一名、それに対して定員外が十四名と、まあ、そういうふうに非常に検査部などは多いわけです。この中央検査部などは、御承知のように、尿とか、脳波とか、図とか、血液とかを調べる部門でありまして、これは確かに人手の要るところでありますが、非常に多いのですね。たとえば中央検査部では行(二)の方がだれもいないのです定員では。にもかかわらず、定員外職員が四名と、こういうことになっております。薬剤部も定員が十七、それに対して定員外が十三名と。で、しかも、年度別の中央検査部だけを取り上げますと、だんだんふえてきておりまして、四十七年度、定員数が十七、定員外が十五、こういうふうになって、年度別に見ますと、四十七年度でずっとふえてきておりまして、定員が十七。これは昭和四十三年から定員が十七です。それに対して定員外が四十三年では三名であったのがずっとふえまして、四十七年では十五名と、だんだんふえてきておるわけです。病院がだんだん忙しくなって患者さんもふえてきておりますから、そういった検査もやらなければならぬことで、どんどんふえてくるわけでありますので、当然ふえることもわかりますが、現実問題として、こうやって表を見ていきますと、もう一つは中央材料部というところでは、定員が一に対して非常勤、いわゆる定員外が三名もいる。定員より定員外のほうが多いわけですね。こうなってくると、この中央診療部、特に大事な中央検査部、ここら辺は実際は定員外職員でささえられておると、こう考えても過言でないと思うのです。もちろん中央検査部も、私も実際やっておりましたから、それは女の子でやっていいものもあります。だけれども、やはり、最終的にはもちろん医者が見ておればそれでもいいんだと。先生が見ておればいいと言いますけれども、やはり大事なテストになると、そういった定員外の人、特に資格のない人などがもしいた場合は、これはまかせられないし、もし資格があったとすれば、これはちょっと定員外ではたして長年使っていいのかどうか。これは定員化をしなければならぬという問題が出てくると思います。こういう一つの例の実情ですが、どこでもこういった中央検査部門等はかなりこういうふうな実態になっていると思うのですが、一つの問題が、先ほど言った定員外職員によってこの部門がささえられておるという事実ですね。これが、その大学病院として正常な姿なのかどうなのか、その点はどうお考えですか。
#123
○政府委員(木田宏君) いま御指摘のございました中央検査部等、比較的最近かなり業務量のふえてまいりました、しかも専門的な職種の実態につきましては、私どもも、いまの定員がそれですべて十分だというふうには必ずしも考えておりません。恒常的な職としての定数が、その部門に、もう少し割り当てられてしかるべきではないかというような、私ども自身の反省も持っておりまして、そういう実態についてはまた掌握に努力をいたしておるところでございます。しかし、一面から申しますと、実は、国立大学におきます非常勤職員のポストは、そのポストの性質上、先ほどの非常に現場的な仕事とは別に、高度の技術的な研究的なポストがかなりたくさんあるわけでございまして、研究のためのアシスタントをする、あるいは大きな機械の操作のための手伝いをする、あるいは検査等のかなり程度の高い仕事の手伝いをする、こういうポストをどういう職の人で、どういうふうに人事管理をしていくのがいいかということには、かなり考えなければならぬいろいろな問題があると思うのでございます。そのポストに恒常的な人を張りつけまして、そうしてそれを生涯の職にするというようなことで、はたして処理ができるかどうかという逆の面の反省もあるわけでございます。かなりの高度の知識を得た人が、ある一定の期間、一定の時間、そのアシスタントをしてくれるということによって事柄が動いていくという性質もありまして、そういう人事管理のやり方全体と考え合わせて、いま御指摘のありましたいろいろな問題を、私どもとしても、もう少し検討しながら実情に合うようにしなければならぬ。問題意識は打っておりますが、それは、恒常的な定員化をすれば済むということでは必ずしもないのではなかろうかという一面の気持ちも持って、いまいろいろな実情を調べておるところでございます。
#124
○矢追秀彦君 それから厚生省の場合、病理細菌技術者というのがあるわけですが、実際、病院でいいますと、臨床検査部に当たりますが、この厚生省の場合は、定員外職員はいないわけですね。ところが、大学の附属病院には、先ほどから申し上げたように、そういう人たちがおる。今度の、昭和四十八年度の文部省の概算要求はこの衛生検査技師の増員は何名になっておりますか。
#125
○政府委員(木田宏君) 衛生検査技師関係の増員は四十八年度はございませんでした。
#126
○矢追秀彦君 四十七年度はわかりますか。――あとでけっこうです。わかったときでいいですから、時間があまりありませんので。
 それからもう一つの問題は、この医学部の各附属学校です。ここにおける定員問題ですが、これも看護学校では、これは群大の場合、看護学校では専任教員が四名、定員職員が五名、定員外職員が三名、それから助産婦学校では、教員が二名、それから定員職員はゼロ、定員外職員が一、それから臨床検査技師学校、これはレントゲンとか、ああいった関係だと思いますが、専任教員が二名、定員職員がゼロ、定員外職員が一と、この助産婦学校、臨床検査技師学校では事務関係がだれもいないわけでして、定員外職員だけが一人ずついて、あとは定員職員はゼロと、附属学校だから、本体の医学部のほうから応援に行ってやっておるからいいというふうになるかと思いますが、これからの方向として、この看護学校にしても、特に助産婦学校その他の臨床検査技師の関係もいま非常にふえてきております。希望者も多くなってきておるし、やはり学校としては、充実をさせていかなければならぬ部門だと思います。それがこういう現状でいいのかどうか。これは、どういうふうな改善指導をされるのか、その点お伺いしたいと思います。
#127
○政府委員(木田宏君) いま御指摘のございましたような、いろいろのパラメディカルの職員の養成のための附属学校でございますが、実質的に病院と一体的な運営になっておりますために、事務のほうは大部分病院の事務部が中心になって、いろんな庶務、会計、人事等各般の世話をいたしております。教官につきましても、一応の定員はございますが、その定員だけで事を処理するわけではございませんから、これまた、医学部全体を通じて教育に断たっておるわけでございますが、しかし、いま御感触もございましたように、その状態のままでいつまでもいいかという点につきましては、これまた私どもも、もう少し体制を整える必要があるのではないかというふうに考えております。特に、看護要員その他、衛生検査技師等の要員の養成につきまして、もう少し本格的に取り進めたいということで、短期大学の設置等をこの数年来進めてまいっております。遺憾ながら、スタッフが十分に整いません関係上、一挙にたくさんの整備をいたすことができませんけれども、今後、私どもは、やはり要員の養成の重要性ということを考えまして、そうした体制の整備にはつとめてまいりたいというふうには考えております。
#128
○矢追秀彦君 次に、行管のほうにお伺いしたいんですが、これは昭和四十四年の五月十五日の参議院の内閣委員会におきまして、行政機関の職員の定員に関する法律案、これに関する附帯決議として「定員外職員については、その実態について速やかに検討し、定員化を含めて合理的な処遇の改善を図ること。」と、これが出ております。それからさらに、昭和四十五年十二月四日、参議院本会議におきまして、まあその結果いろいろ調査をされての答弁になったと思いますが、佐藤総理から「定員外職員の問題につきましては、昨年八月以来調査を進めてまいりましたが、その調査結果によりますと、いわゆる定員化の措置を要するものはないと、かように聞いております。」と、こういう答弁が出ておりますが、まあ、先ほどからいろいろ申し上げましたように、現状は、調査の結果、定員化を要しないというふうなものではなくて、いろんな問題があると思います。この前の調査はどういう調査をされたのか、私は、その調査の内容口身もあまり信用できないんですけれども。その後は調査をされておるのかどうか、この答弁の前の調査と、それ以後はされたのかどうか、それから今後の方向は。時間がありませんので、かためて御質問いたします。
#129
○政府委員(平井廸郎君) ただいま御指摘の閣議決定に基づきます昭和四十四年八月二十三日付の行政管理事務次官より各省事務次官あてに次のような調査事項を依頼いたしておりまして、その内容は三十六年の閣議決定に基づくいわゆる非常勤職員の雇用状況についての順守規定がございますが、それの順守状況並びに日々雇用職員の在職状況、さらにいわゆる常勤労務者の在職状況についての調査を依頼したわけでございまして、これはきわめて広範多岐にわたりますので、直接行政管理庁で実態の調査ができませんでしたので、各省庁にそれぞれお願いをいたしまして、その結果を取りまとめたわけでございますが、これを昭和四十四年七月一日現在で調査いたしました結果といたしまして、先ほど御指摘になりましたように、四十五年の十月十六日にまずその調査結果を閣議で報告をいたしておりまして、その後、各省庁の報告によりますれば、定員内に繰り入れすべきものはないということの総合的な報告になっているわけでございます。それを受けまして先ほどの本会議での総理答弁がなされたわけでございますが、それと同時に、今後さらに定員管理については厳正に実施するように各省にお願いしておるわけでございまして、その後、新たに調査をしたものはございません。
 それでは今後の方針でございますけれども、先ほど来御質問なり御答弁の中にございましたように、定員内職員の問題と申しますものは、あくまでも行政機関職員の定員に関する法律の第一条にもございますように、恒常的に置く必要がある職に充てるために常勤職員の定員をきめるわけでございまして、そういう意味におきまして、その職が恒常的に置く必要があるかどうかというような点を中心にして毎年度の定員査定にあたって検討を進めてまいりたいということでございます。
#130
○矢追秀彦君 いまその定員化する処置の必要なるものはないということですが、現実に聞いておられたと思いますけれども、これはもう七年も、十年も同じことをやっておる。あるいは先ほど言った臨床検査部といったようなかなり技術を要するようなところ、これにしかも長いこといるというのは、定員化しなければならぬところだと思うのですがね。だから、調査は、いま考えておりませんじゃなくて、まあ大臣おられませんから、局長さんでは言えないかと思いますが、ぜひもう一度きちんと調査をされて、もう一度これ検討をしていただく。特に、こういう大学関係等の大事な部門でどうなっておるか、いわゆる事務処理だけやるところなら私、あまり問題ないと思うのですがね、こういう技術関係というのは、やはり問題だと思います。この点についてはどうですか。
#131
○政府委員(平井廸郎君) 先ほど来、文部省当局から御答弁のありますように、そういう職種なりあるいは業務の重要性については、私どもも当然同感でございますが、ただ、事柄の性質上、いわば一般公務員と同様な勤務形態をとり、かつ、それに一般公務員と同様の資格要件を持った者でもって充てることが適当であるかどうか、そういった点には、一がいに定員化になじまない点もあろうかというふうに考えております。ただ、事柄、今後の問題といたしまして、そういった検査機構なりあるいは教育機構についての強化の問題が出てまいりますれば、その一環として私どもは検討いたしたいと考えております。
#132
○矢追秀彦君 時間が参りましたので、人事院のほうにもお伺いしますが、この問題の、先ほどからのやりとりを聞いておられまして、人事院としては今後この問題についてはどう取り組まれるおつもりですか。
#133
○政府委員(渡辺哲利君) 私どもといたしましては、いずれにしても、非常勤職員と申しますのは、先ほどもお答え申し上げましたとおり、臨時的な官職に置かれる職員だという理解でございますので、現行の非常勤職員に関するいろいろな取り扱いについては、変更する考えはいまのところは持っておりません。で、先ほどからいろいろお話のございました点等は、私どもの所管ではございませんけれども、やはり定員をどうするかというようなことで御検討いただくべき問題ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
#134
○矢追秀彦君 最後に、文部大臣にお伺いしますけれども、まあ、先ほど来のやりとりを聞いておられて、私は、特に大学の研究室あるいはこういった病院は、非常に現状においても職員が足りないわけです。で、私も、大学に数年おりましたけれども、実際に実験補助などは困るわけです。助手をやっている私たちが、朝来て、試験管洗いもする。女の子一人が実験補助、きちっと定員の中に一人おるわけですけれども、それは大体教授の手伝いをして終わり、私たちの研究の手伝いはほとんどやってもらえない、こういう実情です。だから、しょうがないから、研究生に、来ておられる先生方にお金を出してもらったりして、そうして実験補助の女の子を二人とか三人入れて、これはもう全然公務員とは関係ない、完全なプライベートなものですけれども、それでも充てなければ、実際仕事は何もできない。だから、研究にも差しつかえがあるし、あるいは学生の授業のほうについても、非常な影響が出てくるわけです。そういった点で、まだ私たちも、実際助手という立場ですから、何でもやるのもけっこうですけれども、要するに、実際の研究あるいは教育以外の仕事にかなり時間をとられておる。これが研究室の一つの実情です。同じように、附属病院のほうでも――先ほど申し上げたのは、大学の附属病院のことです。いま私申し上げているのは、研究室の場合でありますけれども、要するに、もともと定員が足りない、そこへ持ってきて、まあ、定員外職員である程度補う。ある程度補うならいいんですけれども、先ほどのように、むしろ定員外職員によって実情はささえられておる。これは先ほどから局長のほうからいろいろな技術的なむずかしい点もあるというお話でありますが、やはりこれは、きちんと文部省としては実情調査していただいて、特にこの医学関係というのは患者さんも扱うわけですから、非常に大事な部門ですし、これから非常に大学医学部関係をふやしていかなきゃならぬ状態です。お医者さんも不足しておる。しかも、患者はどんどんふえてきておる。大学の附属病院は、文部大臣も御承知と思いますけれども、これはもうパンク寸前ですよ、いまや、このままいきますとね。患者さんは多いし、人は少ないしで、このままでいくと、私は、大学の附属病院のあり方というものも問題になると思うんですけれども。そういう実情の中で、こういった問題をどう前向きにとらえて――ただ法律がどうだとかじゃなくて、ほんとうに大学というもの、大学の附属病院、さらに患者さんということも考えて、きちっと善処をしていただきたい、こう思うんですが、その点の所信をお伺いして質問を終わりたいと思います。
#135
○国務大臣(奥野誠亮君) 数年来、定数の削減を進めてまいってきておりますので、そのことがかなり無理をしいている向きもあろうかと思います。同時にまた、仕事がいろいろ複雑多様になってきている。それに合わせまして定員の増加をはからなきゃならないものが対応できていない面もあろうかと思うのでございます。そういうところが、いまの臨時職員問題になっているといたしますと、それに対する対応策を、文部省としても積極的に考えていかなければならないことになろうかと思うんです。そういうこともございますので、御指摘の調査を文部省といたしましても進めていきたいと思います。そして必要な対応策がとれるように努力をはかってまいるようにいたしたいと思います。
    ―――――――――――――
#136
○主査代理(吉武恵市君) この際、分科担当委員の異動について報告をいたします。ただいま横川正市君及び川村清一君が委員を辞任され、その補欠として西村関一君及び辻一彦君がそれぞれ選任されました。
 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分から再開することとし、暫時休憩をいたします。
   午後零時二十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十二分開会
#137
○主査(矢追秀彦君) ただいまから予算委員会第四分科会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、昭和四十八年度総予算中、文部省所管を議題とし質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#138
○辻一彦君 私は、幼稚園の問題について最初二、三お伺いいたしたいと思います。一 少し前に、私立幼稚園のいろんな会合に出てみたり、あるいは私立の幼稚園を回ってみて、非常に私立幼稚園の設置者、また職員の皆さんが苦労されている、こういうことを感じました。特に、大きな点は、やはり公立との格差がいろんな面においてある、こういうことでございます。で、どうしても財政的にいろんな点の無理がかかってくると、これが、一つは職員の給与、一つは保護者の負担、そしてもう一つは、最終的には、設置者へのしわ寄せと、こういう形になってあらわれておる、こういうように思うわけなんです。そこで、最初に、四十八年度は幼稚園教育振興十ヵ年計画の第二年次に当たりますが、十ヵ年計画の目標などの概要等はどの程度になっているか、ちょっと簡単に話していただけますか。
#139
○国務大臣(奥野誠亮君) 幼稚園につきましては、御承知のように、幼稚園に入りたくても入る幼稚園がないという地域もあるわけでございますので、少なくとも五歳児に関します限りは、幼稚園に入りたければ入れるような施設を整備したいということで努力をしているわけでございまして、たしか四十七年度から七ヵ年計画でそれを達成させたいということで都道府県にも照会をし、その計画を求めながらその完成を期したい、かように考えておるわけでございます。そういう意味で、施設に対します助成、三分の一補助でございますけれども、そういうことも行なってきているということでございます。
#140
○辻一彦君 ちょっと先ほど申し上げましたけれども、全国の幼稚園の在園児の大体七七%以上が私立の幼稚園に入っております。そういう中で、公立も、じゃそれでいいかというと、非常に問題がまだまだあって、不十分でありますが、その不十分な公立に比べてなお私立の格差が大きい。こういう点で、さっき言った三者にいろんな形の負担がかかっておると思いますが、こういう点をお考えになってどうお思いになられるかひとつ。
#141
○国務大臣(奥野誠亮君) お話しのとおりだと思うのでございます。私たちが、幼稚園の整備をはかるにあたりましても、公立の幼稚園、私立の幼稚園、それぞれが努力を競い合えるような姿勢が必要だと、公立の整備を急ぐあまり、私立の幼稚園の存立を危うくするということも避けていかなければならない、かように考えているわけでございます。そういう考え方のもとに整備をはかっていきたい。整備をはかるにあたりましても、施設だけじゃなしに、よい先生方が私立の幼稚園につとめていただかなければならない。しかし、御指摘のような問題もあるわけでございます。大学に対しましては、経常費助成を国がやっているわけでございますけれども、高等学校以下の面については、都道府県にやってもらうというたてまえで、私立の幼稚園の経常費につきましても、府県から助成をしてもらう、それを国の私立の大学の助成と歩調を合わせてもらうということで、年々その率を高めてもらっているわけでございます。四十八年度におきましては、四十七年度三割であったのを四割に引き上げてもらう、四十九年には、さらにそれを五割に引き上げてもらう、こういう考え方をとっているわけでございます。地方交付税法上の基準財政需要額、基準財政需要額の中に府県から私立の幼稚園に助成される財源を見込んでいる。したがいまして、基準財政需要額に基準財政収入額が達しない場合には、その不足額が国のほうから地方交付税交付金として府県に交付されていく。府県は、これを財源にして私立の幼稚園に対しまして経常費を助成していくということになるわけでございます。そういう仕組みをとってまいってきているわけでございます。同時に、私立の幼稚園の場合には、どうしても受益者負担的になるものでございますので、保護者の負担が多くなるわけでございます。多くなるわけでございますので、国が支出しております就園奨励費も私立の幼稚園にまで及ぶようにその交付額を引き上げるという措置を四十八年度においてはとらしていただいたわけでございます。最高二万円まで支給できる道を開いたわけでございます。それは、私学にも及ぼしていこうという考え方に立っているわけでございます。
#142
○辻一彦君 私の見たところ、財政が困難だというので、町村の幼稚園が保育所のほうに切りかえたという例があります。私は、保育所もまた、保育に欠ける児童を教育する――幼児教育をやる、また保育を行なうたいへん大事な場所だと思います。だから、保育所は保育所で非常に重要でありますが、財政困難だから幼稚園を保育所に切りかえる、こういう角度ではまた問題があろうと思うのですが、そういうようないわゆる私立幼稚園あるいは公立にしましても、幼稚園の状況というものは、財政的にも困っているということを一言申し上げておきたいと思います。
 そこで、具体的にしろんな公私立の幼稚園の中で格差があると思うのですが、次の五つの点でどういう格差があるか数字がわかればちょっと報告していただきたい。
 一つは、園児一人当たりの教育費。二は、授業料といいますか、保育料。三は、入学金。四は、公費の負担。五は、教員の給与と、まあ四十四年における数字は前に資料で出ておりますが、四十五年度あるいは四十七年の実績と四十八年推定できる点があれば、それについて知らせていただきたいと思います。
#143
○政府委員(安嶋彌君) 実は、四十七年度が終わったばかりでございますので、まだ実績額が出ておりませんし、四十八年度につきましても、まだ推計の数値をつくっておりませんけれども、直近のものといたしましては、四十五年の数字がございますので、それで御説明申し上げたいと思います。
 園児一人当たりの教育費でございますが、四十五年度、幼稚園の場合、学校法人立でございますと、これが約六万二千円かかっております。それから個人立でございますと、四万六千円ということになっております。
 それから、一人当たりの公費の負担でございますが、四十五年の学校法人立の幼稚園でございますと約二千五百円でございます。個人立の場合でございますと約三百円でございますが、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、この年度は経常費の補助が始まった年度でございまして、初年度でございますから金額はごくわずかでございますが、その後四十八年度におきましては、人件費の四割ということが目標になっておりますから、この額はかなりふえるはずでございます。
 それから、入学金でございますが、私立幼稚園の場合は、四十五年度約五千円でございます。
 それから、教員の給与でございますが、実は四十三年度の数字が一番新しいわけでございますが、私立の場合、これは学校法人立、個人立等含めての平均でございますが、教諭で二万四千三百円という数字が出ております。
 それから、授業料。入学金はさっき申し上げましたが、授業料でございますが、四十五年度、私立の場合は三万二千円という数字がございます。
#144
○辻一彦君 ちょっと、教員の給与についてもう一度。
#145
○政府委員(安嶋彌君) 四十三年度の数字でございますが、私立幼稚園の教諭につきまして二万四千三百円。これは文部省の学校教員需給調査報告が基礎でございます。
#146
○辻一彦君 四十五年と四十三年といろいろ数字があるので、ちょっとこの比較がたいへんしにくいんですがね。たとえば日本私立幼稚園関係のこの要覧で四十四会計年度の数字が出ておりますが、これに教員の給与のほうも出ております。それを見ても、四十三年が私立が二万四千三百円ですが、四十四年会計年度では、この要覧によると、私立が四万二百六十八円、公立が六万三千三百二十三円と、大体このパーセントは六三・六%、公立に比べてたとえば職員の場合が六三・六、まあ六四%と、こういうように非常に大きな格差がある、こういうことが言えると思います。この数字はここ二、三年の間にある程度変化があるにしても、大まかに言うと、こういう傾向というものは、なかなか変わらないのじゃないか。
 そこで、教員の給与の点から申し上げますと、こういう格差のある中で、非常にやる気をなくしている幼稚園の先生方がやっぱりかなり残念ながらいらっしゃる。もう少し公立に、あるいはこのほかの公務員に準ずる程度の給与ということを、待遇ということを考えないと、なかなか、この幼児教育の重要さを強調するだけでは、ほんとうの幼稚園の教育というものが、私、熱意をもって進んでいかないんじゃないかと、こう思うのですね。
 そういう点で、先ほどお話がありましたが、たとえば私立大学には去年度から半額の人件費に対する助成が出るようになっていますね。こういうように、義務教育ではないけれども、教育の機会均等という点からいえば、義務教育に準ずる非常に重要な幼児教育、それに当たる教職員の、職員の待遇ということを、何かこういう私大のような方法によってもっと大幅に改善をしていく、こういうことが考えられないかどうか。その点、いかがですか。
#147
○国務大臣(奥野誠亮君) 幼児教育を考えます場合に、幼児の教育に携わる人たちの処遇を改善していくこと、これは大切なこと仰せのとおりだと、かように考えるわけでございます。また、そういう考え方で、いまおっしゃったようなことを実はやっているわけでございます。その充実をはかるために文部省としてもさらに努力をしなきゃならないと、かように思います。公立の幼稚園の場合には、市町村が公立の幼稚園を設置し維持していく、それだけの経費を地方交付税法上の基準財政需要額に、個々の市町村ごとに算入していく。この算入のしかたにおいて十分を期するように、文部省としても一そう自治省にお願いをしなきゃならぬわけでございますけれども、努力をしていくべきだと思います。従来以上に私、そういう点に努力を傾けることによって、幼稚園よりも保育所とかいうような気持ちのないようにしていきたいと思います。
 私立の幼稚園の問題につきましては、大学について行なっております経常費助成を、都道府県から個々の幼稚園にしてもらうという仕組みをとっておるわけでございます。その仕組みを、国が私立の大学の経常費助成を行ないますのと、はずを合わせているわけでございます。国の場合には、四十九年度で全部経常費の五割助成に持っていこうとしているわけでございまして、医学部等につきましては、すでに四十八年度において五割助成になっておるわけでございますけれども、その他の分は四割にとどまっておるわけでございます。その四割は、四十八年度において都道府県から私立の幼稚園にはしてもらわなきゃならない、こう考えておるわけでございまして、四十九年度になりますと、さらに五割、五割の内容をさらに逐次引き続いて高めていきたい、こういう考え方をしておるわけでございます。同時に、公立の幼稚園の先生につきましては、今般国会に義務教育教員の給与の改善について予算と立法をお願いしているわけでございますけれども、こういう問題が幼稚園にも関連を持っていく。公立の幼稚園の給与が改善されることによって私立の幼稚園の給与の改善も行なわれるようになるだろうと、こういう期待を抱いているところでございます。
#148
○辻一彦君 けさの新聞によると、幼稚園の就園奨励金が、先ほど御発言のように、一万円から二万円に引き上げるという、予算が通れば、というあれが出ておりますね。と同時に、設置の基準を洗い画したいという記事が出ておりますが、三十一年にきめた設置基準からすると、かなりいま問題があると思いますが、この点について、大体どういう内容、問題点を設置基準の洗い直しとして考えておられるか、その点、ちょっとお伺いしておきたい。
#149
○政府委員(岩間英太郎君) 幼稚園教育を振興いたしまする上におきまして、まず第一に考えておりますのは、幼稚園の普及ということでございます。先ほど御質問があって大臣からもお答えしたと思いますけれども、私ども十年計画を立てまして、四歳児及び五歳児の希望する者を全部入園さしたいというふうな希望を持っておるわけでございます。しかしながら、その際に、やはりいまの幼稚園の基準、これにつきましてもいろいろ検討を加えまして、普及の上で支障がないようにしていきたいというふうなことも考えておるわけでございまして、具体的な問題としましては、過密地帯あるいは都市中心部でさらに幼児を多く収容しようといたしますと、校地とか校舎とか、そういう面でのいろいろな制限がございまして、なかなかはかどらないんじゃないかというふうな感じもいたしますので、そこで幼児教育の普及を考えます場合に、まあ教育上支障のない範囲でできるだけ緩和して普及をはかるという方向へ持っていったらどうかということをいま考えているわけでございます。これにつきましては、具体的に関係者の集まりをお願いいたしまして慎重に検討してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#150
○辻一彦君 これから専門の方による委員会をつくられて行なわれるということですが、これは三十一年の出時に比べると、一学級の園児の数だとか、あるいは建物の基準だとか、ずいぶん実態が変わってきていると思うんですね。こういう点を十分考えてやっていただいて、特に私立の幼稚園で、いま平屋なんかをつくっているところはもう非常に少なくて、ほとんど鉄筋でやっている。その場合には、いろんな基準単価であるとか、こういう点がかなり実態と合わない。そういう点で、十分今日の建築状況なんかの実態に合う基準の洗い直しをぜひ設定していただくように願いたいと思うんです。その点、どうですか。
#151
○政府委員(岩間英太郎君) たいへんごもっともな御指摘だと思います。私どもそういう点を含めまして全体的に検討してまいりたいと考えております。
#152
○辻一彦君 私立の幼稚園の問題はいろいろありますが、ごく簡単に言って、まず公私の格差を解消してほしいと、そして一生懸命子供と一緒にやれるような、そういう状況をつくってほしいというのがたくさんの皆さんの声だと思いますから、ぜひこれをひとつことしの具体的な基準の洗い直しの中でも十分考えて努力をいただくように願いたいと思います。
 私、もう一つ医学教育の問題について少しただしたいと思うんですが、それは、私は福井県ですけれども、今庄という山村があります、雪の深いところですが。ここにいままで町でちゃんとした公立病院を持っておりましたが、お医者さんがなくて、そしてとうとう閉鎖をした、こういう例があります。それからまた、いろんなところを歩いて見ると、せっかく市の病院でありながら、施設はりっぱにありますが、産婦人科のお医者さんがいないと、こういうことで、そこだけが設備を遊ばしている例、あるいはせっかく診療所が町村、漁村等にありながら、お医者さんが確保できないのでこれが締めたままになっている、こういう例がいろんな形で医師不足という形で出ております。そこで、これらはお医者さんが足りないということは、地域的な現象なのか、あるいは全般的に医師が不足をしているのか、その点をどうお考えになっておられるか、これは文部省と厚生省の両方からお伺いいたしたいと思います。
#153
○政府委員(木田宏君) 医師が現在どの程度足りないかというような点につきましては、私ども厚生省から一応めどになる数字をちょうだいいたしております。それは先般の厚生白書にも人口十万人当たり百五十人の医師といったような基準が示されております。最近になりまして、百五十人をもう少し高い線で考えてもいいんではないかという御意見もあるようでございますが、一応厚生省当局からは、十万人当たり骨五十人という数字をちょうだいいたしております。
 で、現在の状態は人口十万人当たり百二十数名という実情であろうかと思っております。しかし、この数年間に医学関係の大学もかなりできましたし、定員も相当ふえて、現在五千七百名程度に達しておると考えておりますので、遠からずその基準線には達し得るものというふうに私は考えております。しかしながら、もう一つ、医師が足りないといわれますのは、地域的な偏在という問題があろうかと思うんです。これは実は、文部省のほうでは、直接文部省の施策として措置できる範囲を越えたことでございまして、厚生省の当局のほうで医療政策の問題としてお考えをいただかなければならんことかと思いますけれども、今日のように保険医療等の体制が進んでまいりますならば、どうしても保険の点数単価その他の現状から考えてみますならば、医師が患者をより多く扱い得るような地域に医師が存在をするということは、これまた否定できないことではなかろうかと思っております。したがいまして、今日の僻地等におきます医師の不足という問題については、これは新たな観点から厚生省のほうでいろいろと御施策を検討さるべき課題ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
#154
○説明員(手塚康夫君) ただいま大学学術局長からお話がございましたように、現在のところ、去年の末の数字でございますが、医師の数は十二万三千百十七名ということで、この数が足りるかどうかという問題、これは需要の推定というのはきわめてむずかしい点がございますが、四十五年九月に文部省に対して、昭和六十年においては人口十万対百五十、これを目途にして医師の養成の増をはかっていただきたいと、そういう申し入れをいたしまして、その後文部省の御努力により、現在の時点では、六十年における人口十万対百五十という目標はほぼ達成できそうな気配でございます。ただ問題は、十万対百五十でよろしいかどうかという問題は別途でございまして、これにつきましては、厚生省としても、さらに需要の計画、これを検討している段階でございます。なお全体としての数の問題もございますが、そのほかにいまお話にもございました地域の偏在という問題がございます。それにつきましては、やはりこれ、いろんな要素がございますので、これも検討を進めているわけでございますが、一つのデータといたしましては、人口十万対の法師数がかなり低いほうを見ますと、やはり無医大県がかなりかたまっているということはやはり言えるんではないかと思います。御必要ならその数字を読み上げますが、よろしゅうございますか。
#155
○辻一彦君 何県ですか。
#156
○説明員(手塚康夫君) 無医大県でございます。
#157
○辻一彦君 未設置県。
#158
○説明員(手塚康夫君) 医大のない児でございます。
#159
○辻一彦君 ちょっと、それじゃその県について低いほうの順序から十ほどあげてください。
#160
○説明員(手塚康夫君) これは資料が昨年末ということでございます。それと沖繩はちょっと資料からはずれるんでございますが、別資料からいきまして集計いたしますと、一番悪うございますのは沖繩でございまして、人口十万対の数で申しますと五十一・一名ということになります。次に悪いのが埼玉でございます。これは六十九・〇ということになります。次は茨城でございまして、七十七・四、それから栃木八十五・一、五番目が宮崎八十八・四、六番目が山形八十九・一、七番目が千葉八十九・八、八番目が秋田九十一・六、九番目が静岡九十二・四、十番目が滋賀九十三・一ということになります。ちなみに全国平均は、この資料の場合には百十七・三ということになります。これは多少未届けのものを入れるか入れないかの数字がございまして、先ほどの文部省の局長の御答弁は無届けを入れたものの数字でございます。
#161
○辻一彦君 いまの未設置県のあれで、医大医学部未設置で低いところからいけば、十の県というのは大体それでいいわけですね。
#162
○説明員(手塚康夫君) これは人口十万対の医師数の比で、少ない県を申し上げたわけでございます。このうち医大が完全に設置されていて、なおかつ低いというのは、その十のうちでは千葉が、これは医大ございますが、低うございます。その他は実は医大のない県も、沖繩はもちろんございませんし、埼玉はございますが、四十七年度に設置されておりますので、まだ卒業生は出ておらないということでございます。茨城でも四十九年一度に設置予定ということで調査費は計上されておりますので――設置予定ということであります。栃木は四十七年度に設置されておりますが、これももちろん卒業生がございません。宮崎も、調査費は計上されて四十九年度に予定されております。山形は本年度設置予定と、それから秋田は四十五年度に設置されておりますが、まだ卒業生が出てこない。静岡も、四十九年度の調査費で設置予定ということになっております。それから十番目の滋賀もやはり調査費計上で、四十九年度に予定されているということで、この数字から見ました場合は、そこら辺も一応医大はないということで、無医大県というのは、ちょっとそういう意味では誤解かもしれません。
#163
○辻一彦君 ちょっと参考に伺いたいんだけれど、山梨、滋賀、福井県なんかはどうなっています。
#164
○説明員(手塚康夫君) いま先生の御指摘の御質問で十番目までということでお答えしたわけですが、そのあとに続きますのが、山梨、九十三・五でございます。これも無医大県でございます。その次の神奈川は九十四・六、これは、医大がございます。それから、十三番目が福井、九十七・九、これは無医大県でございます。それから十四番目が愛媛で九十八・五、これは四十八年度設置予定ということになっております。以上が人口十万対比で百を割るところでございます。
#165
○辻一彦君 数字は大体わかりました。全体として医師の数がかなり確保されつつあるということですが、一面では、地域的にかなり偏在をしてなかなか医師が十分でないと、こういう地域も府県ごとにかなりあると思うんですね。そういう中で、いま公立の医大ないし医学部を設置してほしいという希望が非常に強いと思うんですね。その前に、ことしにおける、私大における医学部の入学の経費といいますか、こういうものを見ると、非常に経費がかさんでいるように思う。たとえばある新聞によると、最高三千万程度もかかるところがあると、こういうことを報道されておりますが、最近における私大の医学部等で非常に入学金経費がかさむ、この実態について文部省でつかんでおられるか、あったら簡単に報告してください。
#166
○政府委員(安嶋彌君) 四十八年度の私立の医学部の授業料等の学生納付金でございますが、実は歯学部と一緒になった数字しか手元にございませんので、それを含めて申し上げたいと思いますが、授業料は年額にいたしまして三十九万円でございます。入学金が十九万円、施設拡充費が三十九万円、その他実験実習費等が八万円でございまして、全体といたしまして、入学時に正規に徴収されるものの額は約百六万円ということになっております。ほかに、御指摘のように、入学時に帯付金を徴する学校も多いわけでございますが、これはあくまでも入学を条件としないものであるというふうに私ども指導もいたしておりますし、大学側の説明もさようでございますが、実態といたしますと、医学部の場合でございますと、まあ、これは四十六年度の調査でございますが、平均的には六百万円ないし七百万円の寄付金が、ただいま申し上げました学生納付金以外に徴収されているということでございます。これは文部省に正規に報告のあった額でございますから、あるいは巷間伝えられるような額のものが、中には最近あるかもしれません。しかし、そこのところは、私は正確な実態はつかんでおりません。
#167
○辻一彦君 それは公の数字ですから、それはそれでいいのですが、実態はかなり開きが大きい。で、数年前、これは二年ほど前になりますか、六百万以上の入学金といいますか、これを納めたのが五〇%にのぼっている。こういう資料も出ておりますね。その点から見ると、この問題は、医学の機会均等、教育の機会均等という点からいうと、非常に問題がある。しかし、これは私大の振興問題であるとか、そういう点と一緒に考えなければならないので、この短い時間では論議ができない。そういうことで、これは別といたしますが、そういう点から考えると、公立の足りないところに、やはり医学部等をもう少し、地域によっては増設する必要がかなりあるのではないか。こういうことで、いまかなりの府県から、新しく増設の要求が出ておると思いますが、最近におけるそれらの見通し、そういうものについて簡単にお聞きしたいと思います。
#168
○政府委員(木田宏君) いま御指摘がございましたように、現在国公私立の医科大学のない県が十五県ほどございまして、これらの県はごく一部を除きまして、ほとんどすべて、医科大学を持ちたいという御要請がございます。私どもといたしましては、できるだけ今後の整備につきましては、国公立の医科大学を中心に整備を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございまするけれども、個々の地域の実情、また現実に医科大学を構成いたします教職員等の充足状況、地域の診療体制との関連、そういう点を慎重に勘案いたしながら、できるだけ漸を追って事を進めてまいりたいというふうに考えております。
#169
○辻一彦君 時間の点から端的に一つ伺いますが、北陸のほうで医大や医学部のない県が富山、福井とありますね、充足率からいうと、百を割っているのが、福井で、九十七ですか、八になりますね。そういう点で、新潟、富山、石川等に比べると非常に低いわけですが、いま医学部設置の必要性から非常に強い要求が今年度においても出ておりましたが、これらについて、この必要性をどういうふうに考えておられるか、あるいはどういう見通しであるか、この点、簡単に伺いたいと思います。
#170
○政府委員(木田宏君) 福井県の御関係の方々が、四十八年度の予算編成の際にも、福井県に医科大学を設置したいというような御要請のあったことは私どもも十分承知をいたしておりまして、いろいろとその申し出につきましても検討をさしていただきました。その場合に、先ほども申し上げましたように、設置の場所、あるいは設置に関連いたしますいろいろな関係案件というものを検討いたしまして、そうして漸を追ってこの体制を進めたいという考えで、ことしは福井につきましては見送りにいたしておる次第でございます。
#171
○辻一彦君 重ねて伺いますが、条件から検討して、来年度以降、来年度あたりにそういう見通しが、条件的にあるのかどうか、その点はどうですか。
#172
○政府委員(木田宏君) 医科大学を一つつくるにつきましては、大体人員にいたしまして一千名、予算規模にいたしまして、施設費を中心に約百億を上回る整備をいたしていかなければなりません。また、教職員の整備のみならず、看護婦の充足、地域の関連病院の関連等を考えまして、堅実な進め方を私どもすべきではなかろうかというふうに思っております。今年御審議をいただいております旭川以下三校の設置、また、今度の予算で御審議をいただいております四十九年を目途にしての準備の体制、こうした点をそれぞれ進めてまいりまして、まあ今後の課題として慎重に検討したいと考えております。
#173
○辻一彦君 時間の点から詳しくは申し上げませんが、これは福井県では非常に要望の強い問題になっております。次に検討されるときに十分ひとつ条件を検討しながら考えていただきたいと思います。
 最後に一つだけお伺いしたいのは、この文部省の予算に「青年教育施設の将来計画に関する調査」というのがありますが、この中身といいますか、この調査のために具体的にどういうことをやるのか、どういうことを考えておるのか、この点を二、三伺いたいと思います。
#174
○政府委員(今村武俊君) 国立青年の家の配置計画が一段落いたしまして、そして一昨年以来今後青年教育施設の全体計画をどうすべきであるかといったような意見が起こってまいりましたので、来年度の、昭和四十八年度の予算要求に青年教育施設の将来計画を策定するための調査費の要求をいたしました。約二百万円ほど計上されておるわけでございます。
 ことしの秋以来、調査委員会を開きまして、今後公の施設あるいは民間の施設を含めまして、青年教育施設の全国的な全体像はいかにあるべきかということを検討するつもりでございます。
#175
○辻一彦君 簡単に申し上げますがね、これらの青少年の海洋センターとか、国立青年の家とかあるいは日本青年館の改築とかいろいろありましたですね。その中でいま具体的にこの調査をする対象として、かなり限定されてきたように考えるんですが、どれを考えておられるか。それからまた、どういう構成でそういう調査の委員会を発足させるのか。いつごろ、その結論をどのぐらい出すのか。それだけ聞かせてください。
#176
○政府委員(今村武俊君) 日本青年館がこの調査の対象としてその一つにあがることは、私どもも委員会を開く前の段階である現段階においてほぼ予想いたしております。実は年度当初から発足させたいところでございますが、社会教育審議会の青少年教育分科会において、その他の案件にいま時間、労力を取られておりますので、ことしの九月から発足させたいという予定でございます。そして、できますならば年度中にある見通しを得たいという構想でございます。
#177
○辻一彦君 メンバーは。
#178
○政府委員(今村武俊君) そういうことでございまして、メンバー十名を予定いたしておりますが、まだ個々の人選については当たっておりません。
#179
○辻一彦君 これで終わりますが、大臣に一言お伺いしたいと思うんですが、日本青年館はまあ御存じのように大正の末葉に全国の青年のいろんな
 一円貯金運動によってつくられましたですね。しかし、あれから非常に長い時間がたっている。しかも、全国の青年運動のいろんな意味の拠点として大きな役割りを果たしてきたと思うんですね。いまこの改築問題が出ておりますが、この調査委員会がこれを含めて、また重点的に日本青年館の改築を中心に検討される、取り組まれる、こういう段階になっているようでありますが、これについてひとつぜひ青少年の運動の拠点として十分考えられるようにお願いをいたしたいと、このことを一言大臣に伺って終わります。
#180
○国務大臣(奥野誠亮君) 日本青年館が本館の改築についていろいろ考えをめぐらしておられることも承知しておりますし、「青年教育施設の将来計画に関する調査」にあたりましては、この問題も一つの調査対象だとかように考えておるわけでございます。日本青年館の改築問題が進展して成功しますことを期待している一人でございますので、よく考えてまいりたいと思います。
  〔主査退席、副主査着席〕
#181
○萩原幽香子君 四十八年度予算案によりますと、「幼稚園教育内容の改善等に関する調査研究費」、これが八百万円計上されてございますね。それは四十六年度から引き続き二百万円ずつ計上されておったわけでございますが、今日までその調査、研究の実情はいかがでございますか、承りたいと存じます。
#182
○政府委員(岩間英太郎君) ただいま御指摘になりましたように、私どものほうでは、調査費を取りまして、幼児教育はいかにあるべきかというふうな、いわば大所高所からの御意見を承るようなことをいままでやってまいりました。これは具体的に申しますと、幼児問題懇談会というのを設けまして、そこでこの問題を御討議願っておるわけでございます。いままで、まあ回数は、大臣の御出席をぜひお願いしたいということで、大臣の御都合等もございましてあまりやっておりませんけれども、しかし、私どもとしては、現在幼児教育に携わっておられる第一線の方々の御意見をなまに大臣のお耳に入れる。そうして全体的な施策を考えていただくということができておるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
 奥野大臣、御就任いただきましてから、予算それから国会と引き続きましてたいへん御多忙でございますので、一段落いたしました段階におきまして、ぜひ奥野大臣にも委員の先生方からじかに幼児問題についての御意見を聞いていただきまして、そうして御判断を仰ぎたいというふうに考えておる次第でございます。
#183
○萩原幽香子君 そこでですね、これまでの調査あるいはその懇談会の中で、どういう点が問題になりましたでしょうか。
#184
○政府委員(岩間英太郎君) 大きく分けまして、問題は二つあるわけでございますけれども、つまり、幼児期に知的な教育をやるべきかどうか。それよりは幼児期におきましてはむしろ伸び伸びと遊ばせると申しますか、というふうなことはいかがか、その点が一番大きな問題でございました。
 幼児期の教育というものをどういうふうにとらえていくか、その点がきまりませんと、それ以後の具体的な内容というのはきまらないわけでございますから、その点につきまして皆様方の御意見を承っておるという段階でございます。
 皆様方の大体の御意見といたしましては、幼児期はやはり伸び伸びと、まあ知的な教育にとらわれずにやるべきだというふうな御意見が大勢を占めているわけでございまして、しかしながら、聞くところによりますと、たとえば朝鮮人民民主主義共和国でございますか、あそこでは知的な教育が主体だというふうなこともございまして、私どもも国内の御意見は国内の御意見といたしまして、広く国外の意見も調査をいたしまして、あるいはその実態も調査をいたしまして、全体的な方向を定めてまいりたい。その意味で、調査のほうもふやしていただいたというふうなことでございます。
#185
○萩原幽香子君 この懇談会の中に、厚生省関係の方も加わっていてくださるわけでございますか。
#186
○政府委員(岩間英太郎君) そのとおりでございまして、まあ幼児の教育ということになりますと、幼稚園ばかりではなくて、保育所という存在も実質的にあるわけでございます。もちろん、目的は異なっておりますけれども、そういう意味から考えまして、厚生省のいわゆる中児審と申しますかの先生方にもお加わりを願うということでございます。
 具体的に申しますと、明星大学の岡田先生、この方は前厚生省の保育担当の専門官でございます。それから円城寺先生、これは中児審の委員でございます。それから時実先生、中児審の保育対策特別部会の委員でございます。それから平井先生、中児審の保育対策特別部会の委員でございます。それから五島先生、中児審の保育対策特別部会の会長でございます。それから山下先生、中児審の保育対策特別部会の委員でございます。そういう方々に御参加を願っております。
#187
○萩原幽香子君 直接保育所を運営していらっしゃる方とか、保母さんとか、そういう方の代表はいかがでございますか。
#188
○政府委員(岩間英太郎君) 直接教育を担当しておられる方では、幼稚園の関係の方が多いわけでございますけれども、たとえば新居先生は恩賜財団の母子愛育会の理事長でございます。
#189
○萩原幽香子君 そういうことになりますと、やはり保育所の実際運営に当たっている人というものは入っておりませんですね。――それじゃ中教審の答申の中でも「〃保育に欠ける幼児〃にもその教育は幼稚園として平等に行なうのが原則である」、こう述べられておりますけれども、これは子供の立場に立てばしごく当然のことだと考えるわけでございます。したがいまして、「幼稚園教育内容の改善等に関する調査研究」というのは両省が共同でおやりになることが望ましいわけだと考えるわけでございますけれども、ただいまのところは文部省でおやりいただいて、主催していただいている、こういうことなんでございますか。
#190
○政府委員(岩間英太郎君) 教育の具体的な内容の面につきましては、やはり私どもが直接責任を負わなければならないというふうな考えでおります。しかしながら、幼稚園と保育所をどういうふうに整備をしていくかというふうな点につきましては、これは子供というのは同じなわけでございますから、そういう子供たちを保育所と幼稚園でどういうふうな分担に応じて収容していくかという問題につきましては、これは厚生省と一緒になりまして調査を進める、そういうような二つの方法をとっているわけでございます。しかしながら、教育の内容につきましては、やはり私どものほうでお世話をしなければならないのじゃないかというふうに考えておりますけれども、もちろん保育所等で実際におやりになっておりますいろいろな経験ないしは御意見というのは吸い上げていこうという方向でまいりたいと思います。
#191
○萩原幽香子君 中教審の答申では、「将来は、幼稚園として必要な条件を具備した保育所に対しては、幼稚園としての地位をあわせて付与する方法を検討すべきである。」、こういうふうに述べておられますけれども、この点の検討はどこまで進んでおりますか、承りたいと存じます。また、この答申に対して文部省、厚生省はおのおのどのようにお考えになっておられますか、承りたいと存じます。
#192
○政府委員(岩間英太郎君) この問題は、やはり先ほど申し上げました幼児教育懇談会あたりで一応基本的な問題が進みましたらお取り上げを願いたいというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、幼稚園と保育所の関係と申しますのはいろんなあり方もあろうと思います。たとえばいまのようなものも一つの考え方でございますけれども、沖繩あたりでは三歳までは保育所のほうで原則的に保育をする。それから四、五歳になりますと、これは幼稚園のほうに行ってしまうということで、保育所で預かっております四、五歳児がきわめて数が少ないというふうな実態でございます。そういうのも一つのあり方かなという感じもしないことはございませんけれども、しかし、わが国全体の保育所と幼稚園に通っておる子供たちの実態を見ますと、ある地域では保育所があって幼稚園がない。ある地域では幼稚園があって保育所がないというような、両方である程度補完するような機能というものを持たなければならないのではないかと考えられるような実態もあるわけでございます。したがって、この問題につきましてはそういうふうな現実と実態を十分考えながらどういうふうに具体的に持っていくかということを、われわれ行政官でございますから、具体的にどういうふうに持っていったらいいかということを考えなければならない。中教審のほうではひとつああいうことをきっかけに保育所と幼稚園の問題を考えてみろというふうに私どもは受け取っているわけでございます。
#193
○萩原幽香子君 いま局長さんがおっしゃいました中に私二つやっぱり問題点があると思うんです。一つは沖繩の考え方でございますけれども、三歳未満は保育所、そして四歳、五歳は幼稚園と、こういうことになりますと、いわゆる保育所の機能としての保育に欠けるという点で、一体四歳になれば親がどちらもいるようになりますのが、状態が変わらなければ依然としてこれは保育所が担当しなければならないということになるんではございませんでしょうか、それが一つです。
 それから、やはり三年保育というものを文部省としてはどのようにお考えになっていらっしゃいますのか、この点、ちょっと承りたいと存じます。
#194
○政府委員(岩間英太郎君) まず第一点の問題でございますけれども、沖繩の場合でも保育に欠ける子供はやはり保育所のほうに残っておって、四歳、五歳で幼稚園に通うほうが適当な者がおそらく幼稚園に行っておるんじゃないかというふうに考えるわけでございますから、保育に欠ける子供はあくまでも保育所で保育していただいてけっこうだと思います。ただ現実問題として、保育所の中に幼稚園に通うべき子供まで収容していただかなければならないというふうな地域的な実態があるわけでございます。私どもは行政の立場にあるわけでございますから、形式的に、保育に欠けるから幼稚園に行くべきだというふうなことではなくて、そういうふうな現実問題をやはりつかまえてやっていかないと問題があろう。ですから、ただいま先生のおっしゃいましたことがこれは正論でございます。保育に欠ける子供は保育所でやっていただくということでございます。また事実、沖繩の場合でも若干の子供が残っておるわけでございまして、そういう子供はおそらく保育所で保育していただいているというふうに考えるわけでございます。でございますから、私どものほうはあまり実態に即してものを考え過ぎる点はございますけれども、やはり区別すべき点は区別していく、その実態に即していける点は実態に即していくということを考えてまいるということでございます。ただ、その行き方が正しいかどうかというのは、これは別でございます。まだ全国的にそういう問題、そういうふうな行き方をすべきであるというふうに私ども思っておりません。沖繩でそういう形が一つあるので、これも参考にしていきたいということでございます。
 それから三歳児の保育でございますけれども、私ども三歳児保育というものは当然まっ正面から取り上げていかなければならないわけでございますが、ただ、現実問題としまして、現在三歳児というのは五%でございます。また、父兄の御希望等も伺っておりますと、四、五歳児は幼稚園に行かしたいというふうな御希望でございます。そういうふうな点を考えまして、当面四、五歳児を対象にしましていろいろな施策を進める。三歳児を実際に保育をしようという幼稚園があればそれはある程度省令にしていいということであろうかと思います。
#195
○萩原幽香子君 幼稚園における三年保育というものについて文部省としてはどのようにお考えでございますか。
#196
○政府委員(岩間英太郎君) それはただいま申し上げましたように、正面から取り組むべき問題であるということでございます。まだそこまで、一つは私どもの立場としましては、手が回らないと申しますか、計画を立てるにはまだ不十分な点がある。また、父兄のほうも三歳からということにつきましてはややちゅうちょする面があるんじゃないか。そういうふうなことでございますけれども、あくまでも正面から取り上げるべき問題であるという点は、先ほど申し上げたとおりでございます。
#197
○萩原幽香子君 私は、同じ幼児期にありながらたまたま保育に欠ける、保育に欠けないといった家庭環境のために、一方は保育所、一方は幼稚園といったように保育の先生の資格や設置基準などの違った条件のもとで育てられるということについては、幼児にとってはよいことだとは考えないわけなんでございます。保育所は保育所としての機能がある、幼稚園は幼稚園としての機能があると、こうおっしゃいましても、同じ三歳児、四歳児をとってみたときに、それがたまたま自分の家庭環境によっていろいろ条件の違うところで生活しなければならないということはやはり考えなければいけないと私は考えるわけなんです。その点につきまして厚生省、文部省はそういう点のお話し合いをどのように詰めてくださったことがおありか、承りたいと存じます。
#198
○政府委員(岩間英太郎君) 保育所でどういうふうな教育を行なっていくかという点につきましては、さきに文部省の初等中等教育局長とそれから厚生省の児童局長の共同通達があるわけでございます。この線に沿いまして幼稚園と保育所の関係につきましては調整をはかっていきたいという点を考えているわけでございますけれども、現在法律のたてまえが両方で違っているわけでございますね。で、私ども行政官はその法律を執行する立場にあるわけでございます。法的な面で違った保育所と幼稚園という二つの存在が許されておるという根本的な問題につきましてまでは、私どものほうでは、まだ両方で話し合うという点までは行っておらないというのが現状でございます。
#199
○萩原幽香子君 ではお伺いしますけれども、この保育の内容というものについては当然一元化すべきではなかろうかと考えるんですけれども、この点、大臣、いかがでございますか。
#200
○国務大臣(奥野誠亮君) 御指摘になりましたように、保育所と幼稚園、それぞれ、片っ方は保育に欠ける子供を預かる、片っ方は園児――幼児に対して教育を施すということでございますけれども、共通している部分を多分に持っているわけでございますので、相互に連絡をしながら、どちらも保育についても心がける、どちらも幼児教育についても心がける、その内容をどこまで基本的なものとして一致させていくかというようなことを早く私は確立したいなと日ごろ念願しておるものでございます。お説まことにごもっともでございまして、私、ぜひそういう方向へ早く一致した方針を見つけ出したい、かように念願しておるものでございます。
#201
○萩原幽香子君 そこで、短大でたとえば保育所の保母になる保育科というものがございますね、それから幼稚園の先生になるその単位を取るというのもございますね。私はまず、その保育というものの内容を一元化するためには、まずまずその保育に当たる先生の一元化と、これをやらなければならないんじゃないかと。そうしますと当然、短大でそういったように分けて保育に当たる人を養成していくというところにも問題があるんではなかろうかと、こう考えるわけでございますけれども、その点について大臣、いかがでございましょう。
#202
○国務大臣(奥野誠亮君) おっしゃっているところにも問題あろうかと思います。保母の養成のほうは厚生省がいろいろ設置基準などをきめているわけでございますし、幼稚園のほうは学校教育法に基づく先生みんなそうでございますけれども、文部省で所管している。でありますから、文部省と厚生省と話し合う問題は、いま御指摘になったような問題、そういうことについても非常に重要な問題を含んでいるように思います。ぜひ私としても考えさしていただきたいと、こう思っております。
#203
○萩原幽香子君 実は最近の短大卒の中には両方の免許状を持ってる人がかなりあるわけでございますね、保育所の保母の免状、幼稚園の先生の免状。そういうことでございますと、この保育所と幼稚園の先生の交流というものをお考えになる、そういう御用意はございませんか。
#204
○政府委員(岩間英太郎君) 御指摘のように、両方の免許状が取れるようになっているというふうな養成所があるわけでございます。これはまあ、ただいま先生がおっしゃいましたように、両方に行けると申しますか、両方交流できるような希望がおそらく生徒たちにあるから実質的にそういう形になるんじゃないかというふうな気がするわけでございます。しかし、厚生省のほうでは幼稚園以外にゼロ歳児から三歳児までの予供を預かるというふうなことでございまして、よけいに資格が要求されるのかなあというふうなことも私ども考えないではございません。まあ、これは厚生省の御判断の問題でございます。できましたら、同じ子供を扱うわけでございますから同じ資格というのが望ましいわけでございましょうが、そのゼロ歳から三歳までにつきましては私ども、ちょっと自信がないわけでございます。
#205
○副主査(楠正俊君) 厚生省は来てないかな。
#206
○説明員(阿部正利君) 育成課長でございますが、私は保育所の所管ではなしに。
#207
○萩原幽香子君 実はこの問題を聞くっていうことを厚生省のほうにも通じたわけでございますが、この内容について聞きますということでね。
#208
○説明員(阿部正利君) それでは私の所管ではございませんので、ちょっと責任ある答弁はできないわけでございまして……。それじゃ、すぐお呼びしましょうか。
#209
○萩原幽香子君 時間がございませんから、ではまたお伺いしますけれども、これは両省からお聞きしないと問題の解決にはならない、こういうことなんでございますね。ですから、保育の内容の問題について特に私は一元化の問題についてお聞きをしたいと、こういうことを申し上げておったわけでございますから、これでお答えのできる方がほしかったわけなんでございます。ではまた後ほどそれではお伺いをすることにいたしましょう。
 で、現実の問題といたしましては、どうもやはり保育所は厚生省のかまい、幼稚園は文部省のかまいと、こういうことになっておりますので、やはり保育所と幼稚園の先生のほんとうは交流ということができていないのが現状でございます。ですから、私はほんとうを言って、保育の内容は一つになりたいという願いからいえば、当然先生もまた自由に交流ができると、こういう姿でないといけないのではないかというふうに考えるわけです。そこで、文部省としては大体そういうような形のようでございますけれども、その促進のためにそれではどういう対策をお考えになっておりますか、承りたいと存じます。大臣からどうぞひとつ。
#210
○国務大臣(奥野誠亮君) 実は私も国会議員の立場において国会で同じような質問をしてきた人間でございました。それがたまたま文部大臣を拝命することになったわけでございます。三十八年からでございましょうか、文部省と厚生省とが話し合いまして保育所と幼稚園とをどう建設していくかというようなことなどで通達も出したようでございます。保育所も必要だ、幼稚園も必要だ、なかなか両方一つにしたようなものにはできないということで来ているわけでございますし、今後もあるいはそういうことになるのかもしれませんけれども、御指摘になります保育所であっても最小限度教育的見地からこういうことをしなければならないじゃないかと、幼稚園であっても最小限度保育的見地からこういう配慮をしなければならないじゃないかと、共通部分もあるはずだという御指摘だろうと思うのでございます。私も全く同じような気持ちを持つわけでございますので、今後さらに、文部省と厚生省との間で話し合いをしているようでございますけれども、定期的な研究の機会をつくるなり、あるいはまた関係の方々に、いま初中局長から申しました懇談会的なもので解決を促進するなり、ひとつくふうをこらしてみたい、かように考えるわけでございます。そして、御希望の線に沿うように努力していこうと、こう思います。
#211
○萩原幽香子君 これはぜひやっていただきたいと思うのです。先ほど局長さんのお話の中にもございましたように、地域的に、あるところではもう保育所が八〇%、あるところでは幼稚園が八〇%、そうしますと、末端ではこれは全く同じことを要求しているということの一つの証左だと思うのです。それにもかかわりませず、上では厚生省と文部省との関係がもう一つぴたっといっていないというようなことになりますと、必然的にこの内容が違う。特にこの間私も申しましたように、保育所の先生はいわゆる高級守子りであるといったようなことをさえ、こういう暴論を吐く人さえあるといったような状態の中で、私は保育所と幼稚園というものがなかなか一体になりづらい面が出てくるのではなかろうか。ですから、これはどうしても一文部、厚生両省におきまして同じような保育内容を持つ、したがって、先生も同じ資格を持った人がこれに当たる、こういうふうにぜひお願いをしたいと思います。
 そこで、お伺いをいたしますけれども、世界の先進国ではこの幼稚園、保育所の関係というものはどのようになっておりますのか、承りたいと存じます。
#212
○政府委員(岩間英太郎君) 私のほうではそういう十分な調査ございませんので、いまちょっとお答え申しかねるわけでございます。
#213
○萩原幽香子君 先年私フランスに参りましたときに、フランスには保育所というものがない、こういうことでございました。託児所と、それから幼稚園でございますね。ところが、そのときに私非常に勉強になったと思いましたのは、午前八時半から午後二時まで預かる人、それはいわゆる幼稚園でございましょうね、日本で申しますと。それから、そのあと十七時まで預かる人、これは預かる人が違うわけでございますね。午前中はいわゆる教育要領にのっとった教育を進めるんだと思います。で、午後になりますと、これは健康管理と申しましょうか、そういうことで預かっていく、こういうことになっていると思うんです。だから、こうした交代制保育というものはどうでございましょうか。私は、これは先生のオーバーワークの面からいっても非常にいいんじゃないかというふうに考えるんですけれども、これはかりに文部省がやはり全部考えてみてくださいと言われたときには、こういう交代制というようなことについてどのようにお考えになりますか、大臣の御意見を承りたいと存じます。
#214
○国務大臣(奥野誠亮君) たいへんおもしろい試みだと思います。そういうことも一つの研究課題ではなかろうかと。全部に押し広げることについては、あるいは困難なところもあるかもしれませんけれども、これはたいへんおもしろいお話ではないかと、かように思いますので、十分研究させていただきます。
#215
○萩原幽香子君 私は、保育園を経営しているわけでございます。それで、午前中は大体、私は保育所でございますけれども、幼稚園の教育要領でやります。午後になりますと組を解体いたします。五歳から二歳まで解体をいたしまして、そして、それは五歳の子が二歳のめんどうを見るといったような人間関係も育てながら、そうして先生たちも何人かの人がそれで全部の子供たちの責任を持つと、こういうやり方をいたしまして、その間に、たとえば六人で午前中は持つ、その先生たちをたとえば四人にすると、そうしますと、あとの二人の先生はその間に自分のいろいろ勉強をする、あるいは休養をとる、こういうことをいまやりながら、考えながらやっているわけでございますがね。だから、ほんとうにその一元化というものが、ぜひ必要ということになれば、そういった考え方も私はやってもらわなければいけないのではなかろうかと、そういうふうに思います。
 で、これで厚生省にちょっとお伺いをするわけでございますけれども、そういったようなやり方、あるいはこの間、九十人ですと二時間に一人の余分の人を置くということでございましたね。この問題について、もう少し詳しく御説明いただけませんですか。
#216
○説明員(阿部正利君) 私は保育所の担当ではございませんが、私のお聞きしている点で申し上げたいと思いますけれども、新しく昭和四十八年度の予算におきまして、従来保育所の子供さんたちを担当している保母さんの定数がきまっております。それで、これらの方たちの勤務条件を緩和するという意味合いで、新しく非常勤の職員を採用することができるような手当ができたわけでございます。それがただいま先生おっしゃったような形において、保母さんの労働条件を軽減するという意味合いを含めて、一保育所がたぶん二時間だと思いますが、大体二時間当たり平均しまして雇い上げられるような措置が講ぜられるようになったというふうに伺っております。
#217
○萩原幽香子君 いろいろな点で、もっと文部省にしましても、幼稚園の定員も少ないわけでございますね、ですから、いろいろ考え方をこらしながらやらないと先生たちの労働過重の問題も出てまいります。特に保育所においてはそういう問題が出てまいりますので、私は子供のしあわせということの一点にしぼってこうした問題を考えていただきたい。これは文部省のかまいでございます、これは厚生省のかまいでございますなんておっしゃいましても、現実の子供というものはそういったものではないわけなんです。ですから、そういう点でひとつ十分お話し合いをしていただいて、私どものいまやっておりますような保育所でも、午後になったら組を解体してやると、こういったようなことについて、これは大臣のかまいではないとおっしゃるかもしれませんが、子供のしあわせという点からこういう問題をどのようにお考えか、承っておきたいと思います。
#218
○国務大臣(奥野誠亮君) これは非常に大切な問題、ことに幼児教育の重要性がいわれておりますし、保育に欠ける子供さんたち、保育に全きを期さなければならぬ、これも従来からまた大事なことでございますので、両方をどうして国民の立場から見て満足のできるような形で遂行していくかということを真剣に研究していきたいと、かように思います。
#219
○萩原幽香子君 時間がございませんから、働く婦人が年ごとにふえておりますけれども、それに伴って不在家庭児というものが非常にふえていると思うのですが、どのようにふえておりますか、その実態をひとつお伺いを申し上げたいと存じます。
#220
○政府委員(高橋展子君) お尋ねのいわゆるかぎっ子でございますか、この実数につきましては非常に把握が困難でございまして、正確な数字は私どもも掌握いたしておりませんのでございますが、労働省の行ないました一つの調査によりますと、職場に出て働いている婦人に限ってのことでございまして、農業とかあるいは商家等の働く婦人は別になりますが、職場に出て働いております女子労働者のうち、中学生以下の子供を持つ者は約半数でございます。さらに内訳を申しますと、学齢前の子供を持つ者が約二割、それから小学生の子供を持つ者は二六%でございますから約四分の一でございます。それから中学生を持つ者が一七%ということでございます。ただ、これらは子供を持つ数でございまして、それらの子供さんたちがあるいは公の施設で保育を受け、あるいは家庭の中で母親以外の人の保育と申しますか、めんどうを受けている、あるいは御近所等で私的なお約束でめんどうを見てもらっている、いろいろやり方があると思いますので、その中でほんとうにいわゆるかぎっ子といわれるような状態になっている子供さんがどれくらいかということは、正確にはちょっとわかりかねるわけでございます。
#221
○萩原幽香子君 これは私は実はこの間、尼崎に参りまして調査をしてまいったわけでございますが、兵庫県の尼崎市の市立小学校四十一校について調査をいたしますというと、昭和四十七年度で不在家庭児というのは在籍児二三・六三%を占めておる。これは小学校だけでございます。その中で一人ぼっちまたは小学生以下の兄弟しかいない者というのが全児童の一二・〇四%ということになっているわけでございますね。そこでいま労働省のほうは、そうしたこまかいことについての資料はないということでございましたが、文部省はいかがでございますか。こういうことについて全国的に調査をされたことがございますか、いかがでございましょう。
#222
○政府委員(今村武俊君) 遺憾ながら文部省では全国的な調査はやっておりません。
#223
○萩原幽香子君 そういたしますと、そういう小学生以下の兄弟あるいは一人ぼっちといったような子供というのはどんな生活をしているというふうに御想像になりますか。これは大臣、いかがでございましょう。
#224
○国務大臣(奥野誠亮君) いろいろであろうと思うのでございますけれども、社会全体でそういう子供さんたちの十分成長していかれるような施策をめぐらしていかなければならない。いま御指摘になりましたどういう生活をしておるかという場合に、保育所、託児所に預けられている子供さんも多数いらっしゃるわけでございましょうけれども、それ以外に十分な手の行き届いていない家庭もかなりあるんじゃないか。保育所が全部に行き渡っているわけではございませんので、そういう地域においては問題が残されているというふうに思います。
#225
○萩原幽香子君 いや、大臣、私がいま申しましたのは、市立の小学校四十一校でございますから、保育所に行っているというわけではございません。そういう子供が多いものですから、尼崎のある小学校の校長先生は、もうそういう子供を持っている親は、できたら一ぺん職業を捨てて家庭に帰ってほしいと、そういうことまでおっしゃいまして、その当時、そのときに学校の校長さん、公民館長さん、いろいろな方がお集まりでございました。で、その校長さんがそうおっしゃったとたんに、それは無理だという声が非常に強く出たわけでございますけれども、そういうことを校長先生に言わしめるものは一体何だろうかということを私はほんとうに考えさせられたんです。もう子供を持っている親なんていうのは、一ぺんはもう働きをやめて子供と一緒におってくれと、こういうことまでその校長さんに絶叫せしめるもの、それは一体何だろうかということを考えました。それにもかかわりませず、文部省ではそういった調査をやっていないとおっしゃるのは、私は非常に子供を大事にするということにはならないような感じがいたします。児童憲章の精神は一体どこへ行ったんでございましょうか。大臣、いかがでございます。
#226
○国務大臣(奥野誠亮君) 話を取り違えておりまして恐縮いたしました。
 今日働いている人たちの子供さんたちを十分預かれるようにしなきゃならないということで、厚生省のほうで保育所の整備を急いでおられるだろうと思いますし、また、職場ごとに保育所を設けられる傾向も非常に強まってきていると思うのでございます。その中における教育的配慮が十分でないからあるいは特に労働をする婦人が家庭に帰ってもらいたいというような意見が出てきたのではないだろうかと、こうも考えるわけでございます。でありますだけに、保育所の整備等、保育所の中における教育のあり方、そういうことも総合して、厚生省、文部省一緒に力を合わせて解決に当たっていかなきゃならない、かように思うわけでございます。
#227
○萩原幽香子君 これはいま尼崎がやったようにおやりになろうとすれば、私はこの調査は可能だと思います。尼崎は四十一校の小学校についてこういうふうにおやりになったんですから、だから、そういうようにひとつおやりいただいて、少なくともその小さな小学校の子供たちがひとりぼっちでいたり、あるいは小学生同士でいたりするといったような状態はほんとに何とかしなきゃならないということを十分考えていただきたいと思うんです。
 そこで、尼崎ではどういうことをやっているかということをちょっと御参考までに申し上げてみたいと思います。
 尼崎では学童保育というものをやっているわけでございます。いわゆる保育所ではございませんで 学童保育でございます その方法は、市立の児童館というものをたくさんつくります。一年に二館ほどずつ市立で児童館をつくっております。これはすべての子供の健全育成をねらったものでございますけれども、もう一つ児童ホームというものをつくっているわけでございます。それは児童館のないところに児童ホームというのをつくって、小学校内の施設なんかを改装いたしましたり、あるいは市立の幼稚園なんかをお借りいたしましてこういうことをやっている。一ヵ所に二人の指導員を置いて、家庭にかわるあたたかい雰囲気をつくろうという努力をしているわけでございます。ですから、全国的にこういった児童ホームとかいったようなものを持っているところがあればひとつお聞かせをいただきたいと存じます。
#228
○国務大臣(奥野誠亮君) 国のほうではどうしても行政が縦割りになっておりますし、地方にいきますと横でつながりが通っているわけでございますので、地方の教育委員会等におきましては、文部省の仕事と厚生省の仕事と両方受けまして、たいへん総合的な仕事が進められているんだろうと、こう考えるわけでございます。
 児童館の問題は厚生省の所管なものでございますから、児童憲章の趣旨が実現しますように、そういう施設の整備を進めておられるわけでございます。
 かぎっ子の学齢児童の問題になってまいりますと文部省の仕事でございますので、そういう意味におきましては、学齢児童が十分に育つように努力していかなければならない。どうも中央においては両者の関係が必ずしもしっくりいってない。しかし、下部ではくふうをしておられるものだから、案外円滑に進められている。その円滑に進められている事例を国として取り上げまして、これを全国的に普及さしていかなきゃならない、その役割りをもっと積極的に果たしていかなきゃならない、こういうお気持ちが多分におありだろうと思うんでございます。私もお話を伺いながら、そうだなあという感じを持たしていただいたわけでございまして、保育所と幼稚園の関係だけじゃなしに、かぎっ子の問題も含めまして、文部省と厚生省さらに連絡を緊密にしながら、よい事例も調べまして、そういうよい事例にのっとって全国的にそういうことが普及しますように施策を講じていかなきゃならないと思いますので、そういう方向で努力をさしていただきたいと思います。
#229
○萩原幽香子君 これは、いま尼崎の場合は市の予算でやっているわけでございますね。こうした施設に対して、国は不在家庭児対策費といったようなものを予算化なさるおつもりはございませんか。
#230
○国務大臣(奥野誠亮君) いまお答えをしましたように、両者のやっておりますことを総合的に話し合いをしながらよい方向を見出したい、その問題の一つとして研究さしていただきたいと思います。
#231
○萩原幽香子君 ですから、私は国の縦割り行政は困りますということをもうずっと申し上げているところなんでございますね。ですから、幼児の問題といい、こういう不在家庭児の問題といい、これはもう文部省も厚生省も労働省も、すべての省にまたがってくる問題になってくるわけでございますね。もっと言えば、企業にも関係の出てくる問題になってくるかもしれません。こういったような児童の問題というようなものをどこか一ところで総括していただけるようなところができると、これは非常にありがたい。大臣、いかがでございますか、児童省ぐらいをひとつ設けていただいて、こういうすべての問題を処理していただくということはいかがでございましょうか。
#232
○国務大臣(奥野誠亮君) でき得る限り縦割り行政の中にも横の連絡をとっていく。青少年対策ということになりますと、いまおっしゃいますようないろいろな省がからんでくるものでございますので、総理府の中に青少年対策本部を設けまして、そこでできる限り総合的な対策を講じようということにしているわけでございます。縦割り行政はできる限り専門化さしていかなければならない面において必要なことでございます。しかし、横の連絡しばしば欠けるおそれがある。欠けないように努力していかなきゃならない。児童省という問題は別にいたしましても、児童を中心に横の連絡をもっと緊密にはかりまして、そして十分な対応策をとれるようにぜひ努力をさしていただきたいと、こう思います。
#233
○萩原幽香子君 先ほど児童館の問題を申し上げましたときに、ちょっとこれをお尋ねをするのを忘れておったんですけれども、厚生省、ことし児童館は何館ぐらいおつくりになる予定でございますか。
#234
○説明員(阿部正利君) 児童館は昭和三十八年度以来国の補助金で設置を奨励してきております。四十八年度は百二十ヵ所程度を予定いたしています。
#235
○萩原幽香子君 大体これは百二十ヵ所ではどうしようもない問題ではございませんでしょうかと思うんですね。
 それで大体予算はどういうふうになっておりますか。
#236
○説明員(阿部正利君) 大体百二十ヵ所で総額約一億一千万円程度予定いたしております。
#237
○萩原幽香子君 これは非常にもう最近のこの物価の値上がりということになりますと、国が三分の一、県が三分の一なんとおっしゃいましても、これはなかなか三分の一にはなりにくいと思うんです。そうしますと、地方自治体におんぶすることは非常にこれまた多くなると思うんですね。こういうことにつきまして、大蔵省少し予算を多く出されるような御準備はございませんか。
#238
○説明員(青木英世君) 私、実は文部担当の主計官でございまして、児童館の点はちょっと担当しておらないわけでございますが、たとえば幼稚園の施設あるいは義務教育の小・中学校の施設と、こういうようなものにつきましては、例年物価の上昇と、あるいは特に四十八年度におきましては昨年度実施いたしました実態調査の結果、地方の超過負担分がございますので、それを二ヵ年で解消するとか、こういうようなことを単価の面で織り込んでおります。
 なお、児童館の点につきましても、担当の主計官に十分連絡をしたいと思います。
#239
○萩原幽香子君 それは学校のことから類推していただいてもわかると思うわけでございますね。どれぐらい予算がオーバするかとかいうことについて、これは私、児童館の問題で大蔵省のほうにもお聞きをいたしますと、こう申し上げたんですけれども、何か担当外のことばっかりを私お聞かせいただいているようで、まことに何と言うんですかね、たびの裏からかゆいところをかくと言うんですか、そんなような感じばっかりで、ちっともほんとうに私が求めている答えが返ってまいりませんで残念でございますが、じゃもう最後に一つだけ聞かせていただきたいと存じます。
 社会教育なんでございますが、婦人を対象にした各種の学級がございますけれども、その目的、内容及び実態を承りたいわけでございますが、これ、大体個人の教養を身につけるとか、子供の教育について考えるとかいったようなことに重点が置かれているんでございましょうか。それとも、ほかに大きな目標がございますでしょうか。
#240
○政府委員(今村武俊君) 婦人学級は、婦人が市民として、あるいは主婦として、就労婦人として、母親としてそれぞれの機能を持っているわけでございますが、それぞれの機能を最大限度に発揮するために、それぞれの市町村ごとに自主的に行なう事業につきまして国は援助しようとするものでございまして、国が特にそのうちのどれに対して重点を置くといったようなことは、現在のところやっておりません。
#241
○萩原幽香子君 実はこれ最近特に重度心身障害児や老人施設の看護婦、介添人の不足がやかましくいわれておりますし、そして韓国などからも研修生という名目で手伝ってもらわなければならないような事態にもなっておるわけでございます。そこで、私はこの社会教育の中で、婦人を対象にする学級などにつきましては、社会の一員として働くためにと、こういったような項目が設けられてもよろしいのではないか。そして一方では、非常に忙しく働いていらっしゃるけれども、一方ではずいぶん時間をお持ちの家庭の主婦もいらっしゃるわけでございましょう。ですから、そういう方がせめて一週間のうちに二時間でも三時間でもこうしたところのかわいそうな子供たち、だれにも見てもらえないような子供たちにあたたかい手を差し伸べるような指導というようなものは願えないものなんだろうかということを、人がない、人がないと言うけれども、一方には人があると思うんです。それをどう働いてもらうかというところがいま非常に大事な問題になっているんじゃないかと思いますので、この点、局長さん、いかがでございましょう。
#242
○政府委員(今村武俊君) 最近の社会動向の変動から見ましてまことに適確な御指摘だと存じます。私どももそういう方面にいささか着眼をいたしております。婦人の余暇活動の年齢的な時代における変遷、あるいは時代の動きととに起こってまいります婦人の余暇の変遷等々を考え、いま先生の言われるような社会福祉施設等における奉仕活動の必要性、そういうこと等、いろいろ勘案いたしまして、婦人のボランティア活動を促進する必要があるということで、いま実験的な段階にございます。昭和四十六年度から四十八年度に至るまで、婦人のボランティア活動を、大都市の系統が多いもんですから、大きな市に十委嘱いたしまして、どういう形で持っていけば、受け入れ側あるいはボランティア活動をする側、両方の連絡がうまくいって、スムーズに社会に受け入れられる、しかも、ボランティア活動をしたいという婦人の希望が十分生かされるかどうかという検討を四十八年度までやることになっております。その成果を基礎にいたしまして、先生のおっしゃるような方向へ漸次持っていけるならば幸いであると思って検討し、その方向を促進する方向にございます。
 また、昨年度は、社会教育の教材映画として、婦人のボランティア活動という主題で制作いたしまして、いま全国の各地でこれを見ていただいて、それを基礎にして御婦人たちに討議していただきまして、将来先生のおっしゃる方向へ持っていけたならば幸いであるということで、徐々に検討しておる段階でございます。
#243
○萩原幽香子君 これ実際そういうところで働いていらっしゃる婦人の団体あるいは婦人のグループ、こういうものが全国で最近ございますでしょうか。――ございますか。
#244
○政府委員(今村武俊君) 十の都市に委託しておりますのは、農村地帯ではなくて、都市の地帯で婦人がボランティア活動をやりたいという希望がいろいろ出るわけでございます。種々の婦人団体の討議の場合などでそういう御希望が出ますので、その線に沿って私どものほうも条件の整備をやりたいということでいま研究委嘱をし、映画の制作をして進めたいということでございまして、特にボランティア活動をする婦人の団体を意識しておるわけではございませんが、各種の婦人団体の討議の中で、婦人がそういうことをやりたいという御希望の表明がだんだん多くなってきているという実情でございます。
#245
○萩原幽香子君 これほんとうにいま私は何とかやっていただきたい問題で、小さなところからでもよろしゅうございますが、やっていただくということに重点を置いて、もう検討、検討ということではなくて、実際それをやってくださる方ということにしていただきたいと思うんです。
 それで、大蔵省にお尋ねをするわけでございますけれども、こういったような問題にしましても、ただボランティア活動ということだけではどうもむずかしい状態ではなかろうか。ただ働きということについて、私は、ぜひこういう、ただ働きを喜んでできるような教育を進めたいんですけれども、いま金のほうが人間より上にあるような状態のそういう風潮の中で、すべてボランティアというわけにもまいりますまいでしょうから、こういうことをやってくださる婦人に対して予算的な措置はいかがでございましょう。考えられますでしょうか、どうでしょう。
#246
○説明員(青木英世君) 婦人活動のみならず、社会教育活動全般の問題として考えますと、まあ、財政当局としましても、公民館とかあるいは図書館とか、こういいました社会教育の施設に対します補助金というのは、従前からかなりふやしてきておるわけでございます。たとえば、四十六年度がたしか十七億ぐらいでございましたが、四十七年度は三十一億、四十八年度は五十一億ということで、まあ四十六年度と比べますと、約三倍ぐらいにふえておるわけでございまして、国としては、こういう施設あるいは設備といったものの補助とか、あるいは助成というものを中心に考えていくべきではなかろうかと思いまして、その他の活動費あるいは社会教育に要しますいろいろの諸経費はまあ地方団体において負担していただくというのが原則ではなかろうか、このように考えております。
#247
○萩原幽香子君 やっぱり大蔵省のお考えは冷たいですね。ほんとうに重度心身障害児の子供たちがいまどんな生活をしているかということを考えたときに、これは地方自治体で考えていただきます、そういうお答えは、私は国民の一人としていただけないと思うのですよ。やはりそういうことをやってくれる婦人が積極的に出たら、それに対しては大蔵省としてもこれぐらいの措置はしたい、ということが私は聞きたかったわけです。まあ、施設については約三倍になったか何倍になったかわかりませんけれども、そういったような婦人が出たときに、そういうことに協力しようという者が出たときにはそれ相当に私たちとしても考えますというお答えがなぜできないのでしょうか。これひとつ文部大臣から承りたいと存じます。
#248
○国務大臣(奥野誠亮君) 婦人のボランティア活動、いろいろ多様にわたると思います。また、積極的にそういう活動を国としても期待していきたいと思います。期待していく場合に、どういうものについて公費で負担したらいいか、これもよく研究していくべきだと思います。そういう費用をどこで出すかということ、これも次の問題だと思います。でありますから、どちらにしましても、どういう活動についてどのような経費を公費で見ることが適当か、この結論を出すことが先じゃなかろうか、こう考えるわけでございます。そうして、それがものによりまして、府県なり市町村なりからも出してもらう。そうすると、府県なり市町村から出してもらえるように、地方交付税法の基準財政需要額の中へはっきりこういう経費を公費で負担するのだということを明確にしていく、その方法が大切じゃないかと、かように考えるわけでございます。さらに進んでは、国が奨励的な意味でいくばくかの金を国家予算に計上するのもいいじゃないかという結論もあるいは出てくるかもしれません。そういう方向でひとつ研究さしていただきたいと思います
#249
○萩原幽香子君 ぜひお願いします。
 終わります。
#250
○加藤進君 私は、大学院生の問題について御質問申し上げます。大学院は、わが国の科学者、技術者のほとんどただ一つと言っていい養成機関だと思います。で、この大学院で、全国四万の大学院生が、わが国の科学技術の発展のためにその第一線に立っていま勉強に励んでいます。こういう大学院と、大学院生の存在を抜きにしては、わが国の科学技術の発展を論ずることはできない、こういう決定的な意味を持っておると私は思うのでありますけれども、文部大臣はその点をどのように認識されているでしょうか。
  〔副主査退席、主査着席〕
#251
○国務大臣(奥野誠亮君) おっしゃいますとおりに、大学院の果たしている役割りは非常に大きなものがあると思います。将来のわが国の研究教育に関する指導的人材等は、もっぱら大学院において養成されておるものとまで考えておるわけでございます。
#252
○加藤進君 ところが、いまわが国の大学院と大学院生の現状はどうかという実態についてでございますけれども、はなはだ憂うべき深刻な事態に直面しておるのではないか、私はこう考えるわけです。で、そのあらわれの一つは、博士の学位を持っておりながらしかも就職はできない、こういういわゆる博士浪人――オーバードクターの問題です。わが国の科学技術の将来をになうきわめて有能な人材が、就職もできないで失業状態にいる、これはゆゆしき問題だと私考えます。そこで、文部省は現在、オーバードクターと称せられるこれらの技術者の失業者が全国で一体どれくらいいるのか、この点の数字はどんなものでしょうか。
#253
○政府委員(木田宏君) 私どものほうで、毎年、指定統計を通じまして、卒業者の進路の状況を調べておるところでございますが、昭和四十七年五月一日現在におきます卒業者の就職状況あるいは無業者の状況等を見てまいりますと、博士課程の大学院にありましては、卒業した者の六一%が就職をし、三一%が無業者であるという報告になっております。また、修士課程につきましては、卒業した者のうち五九%が就職をし、二六%が進学をし、無業者である者が九%という数字になっております。しかし、これらはその時点におきますデータでございまして、その後の経緯その他につきましては、現在の状況ではこまかい計数等ちょっと、とりょうもございませんので、どのくらいたくさん職につかないでおるかというお尋ねに対しましては、必ずしも的確なお答えになっていないかもしれません。しかし、毎年こういう調査をいたすことによりまして、大体博士課程卒業者の三割がその時点における無業者であるということは言えるかと思います。その事由その他につきましては、なお分析をしなければならぬものもあろうかと思いますから、これらがすべてオーバードクターと言えるかどうかという点についてもまた疑問に思っておりますが、現状、数字の上では以上申し上げたとおりでございます。
#254
○加藤進君 文部省が、これほど重要な問題について正確に数字さえつかんでいないということはきわめて私は重大だと思います。しかも、文部省の出される推定の数字においてさえ、状況はきわめて深刻だということもまた明らかだと思いますが、私は、ここで全国大学院生協議会の報告書によって、一体どのような事態に至っておるかということを若干説明したいと思います。
 で、京都大学での調査の結果では、昭和四十七年現在――昨年です――国・公立十七大学、七十八研究科においてオーバードクターの数は千三百五十九名にのぼっています。これにその他の国立・公立と私大を加えますとその数は二倍に達して、全院生の五%に当たります。これはオーバードクターを含めたドクターコースの二〇%に及んでおることもその数字が示しています。――二〇%ですよ。こういうことが京都大学の調査においても明らかです。博士課程在籍者のうちで、実に五人に一人は博士浪人――オーバードクター、こういうたいへんな事態が今日起こっておる。もう一つ、私は、ことしの二月に行なわれました北海道大学の調査によって申し上げますと、昭和四十七年度の北大のドクターコースの人数は五百三十五人、そのうちオーバードクターは八十九名、これは学生部の調べであります。これに研究生としてアルバイトについているオーバードクターの数を加えると百名を優にこえるんです。これがオーバードクターの現状です。
 そこで、私は聞きますけれども、文部大臣は、こうして年々増大していくオーバードクターの増加について、そのおもな原因は一体どこにあるのか、どうお考えになりましょうか。
#255
○国務大臣(奥野誠亮君) オーバードクターの実態は、大学によって事情がかなり違うんじゃないだろうかという気持ちもいたします。しかし、基本的なことを言いますと、需要と供給とがアンバランスになっているものだから、博士課程を過ごした人をぜひほしいというところ、それ以上に供給が行なわれている――変なことばでございますけれども――と言えるものもあるかもしれません。そうしますと、やっぱりそれに見合ったように、博士課程のコースも国として配慮していかなきゃならないんじゃないだろうかという気持ちがなされるわけでございます。なおまた、博士課程を修了した方のお考えが、さて就職しようとする場合に実らないという、そのマッチのしかたにもいろいろ問題があろうかとも思います。原因は多様だと思うのでございますけれども、こういう点につきまして、文部省としても、もう少ししさいを十分分析しながら対応策を積極的に考えていく必要が多分にあるというふうに、お話を伺いながら感じさせていただいたようなところでございます。
#256
○加藤進君 まあ、一言でいうと、あまり需要か多くないのにドクターの数が多くなってきたと、こう言われるんでございますけれども、私は、これは正しい状況の把握ではないと思います。
 一体、いま国・公立の大学ではどういう状態が起こっておるかというと、御承知のように、定員法でそのワクがきびしくしばられています。なかなか大学は卒業しても大学の研究室に残ることは不可能な状態がまず第一に起こっています。じゃ、国・公立大学でなくて国・公立の研究機関はどうかというと、やっぱり同様にここにも定員法が作用してこのワクにきびしく縛られておることは御承知のとおりです。定員減はあっても、定員はふえていません。それじゃ民間へ行ったらどうかと申しますと、マスターコースで卒業した諸君はある程度受け入れられていますけれども、ドクターコースになりますと、卒業して年齢は二十六、七歳、こういう年齢上の条件もあって、なかなかドクターの採用がしにくい状態が現に起こっております。同時に、これに加えて、昨今のあのドル・ショックでございます。新規採用は取りやめる、研究所は縮小する、あるいは閉鎖する、こういう事態が起こっておるわけでございまして、一体、せっかく大学を卒業し、大学院で五年間勉強して、いわば金の卵になって、さて、社会で羽ばたこうとすると、全く門が閉ざされている。これが私は偽らない現状ではないかと思います。その主たる問題は、やはり大学自体にある、また、日本の国・公立の研究所の存在自体に問題がある、まあこういうふうに言わざるを得ないと思うのでございますけれども、大臣は、ここで、一体大学院というものは国が何の目的のためにつくったものであるか、こういう点をしっかりまず把握していただかなくてはならぬと思いますけれども、その点はどうでしょうか。
#257
○政府委員(木田宏君) 大学院はどういう性質のものであるかという点につきまして、従来、大学院、ことに大学院の博士課程は研究者養成のものであるというふうに考えられてまいりました。修士課程につきましても、わが国の大学院につきましては、研究者養成という考え方が非常に強うございました。で、このことがはたしていつまでもいいかどうかということは、基本的にまた問題がございまして、私どもは、現在、大学設置審議会の基準分科会におきまして、これからの大学院はどうあるべきかということについての内容、基準の検討をしていただいております。それは、先ほど大学院について非常なオーバードクターがあるではないかといういろんな御指摘がございました。受け入れのポストが少ないという点もございますが、一つは、大学院というものに対する世間一般のものの考え方というものが、かなり以前からの考え方であります純粋な研究者養成ということを出てないことからくる一つの制約があると思うのでございます。で、その意味で今後修士の大学院はわけてもでございますが、新しい形の高等、高い程度の教育機関、いろんな専門職種の教育機関というふうに変えてまいりたいと思っておりますし、博士は研究能力の養成ということを主眼にいたしますけれども、これは大学や研究所の研究者だけの養成ということでいいかどうかという点についてももう一度考え直していく必要があるというので、論議をしていただいておるところでございまして、わが国の大学院の学生数は、現在のオーバードクターという実態から見ますと、非常に多過ぎるように受け取られる面もございますが、国際的な比較をしてみますと、きわめて少ないということが言えるのでございまして、今後の日本の学術研究体制、あるいは社会における指導的な研究能力を持った職員の充足養成、あるいはさらにまた今後私どもが考えなければならない高等教育自体の拡充整備ということを考えました場合に、わが国の現在の養成状態というものは、これはもっともっと不十分で拡大を考えなければならぬのじゃないかということすら考えておるところでございまして、大学院の性格自体と、それに対する社会のものの考え方自体についてもこの際あらためて考え直す必要があると、こう考えておるところでございます。
#258
○加藤進君 そういう文部省側の見解は一体どういう法的な根拠があるのでしょうか。何に基づきますか。
#259
○政府委員(木田宏君) 大学院は、御指摘がございましたが、学校教育法によりまして、大学が学問のうんのうをきわめるということと、大学院は学校教育法の六十五条に「学術の理論及び応用を教授研究し、その深奥をきわめて、文化の進展に奇与することを目的とする。」という趣旨があがっておるわけでございますが、この現実の適用をどのように考えるかという点につきましては、関係者の中にいろんな論議がございまして、わが国の大学院を今日の状態のままにいつまでもしておいていいというふうにはどなたもお考えにならぬものでございますから、昨年、文部大臣から大学設置審議会に正式に大学院の今後のあり方について諮問をいたしまして、近くその中間的な御見解をもらう予定にいたしております。その論議の過程の中で、私の申し上げましたようないろいろな考え方が述べられておる次第でございます。
#260
○加藤進君 大学院のあり方についての諮問をされておるということは聞いておきます。しかし、現在までの大学院、大学院生のあり方、そこから起こっておるオーバードクターの問題、こういう問題は、文部省側としては、学校教育法に準拠してこういう教育を今日までやってこられたわけでしょう。大学を卒業して修士課程、博士課程、五年間を経てきておられるような大学院生の諸君、この大学院生の諸君は、まさに学校教育法六十五条に基づいて「学術の理論及び応用を教授研究し、その深奥をきわめる」と書いてあります。深奥をきわめるためにこそ大学院におるんでしょう。また国も、この学校教育法に基づいて研究者とするつもりでドクターコースに生徒の諸君、大学院生の諸君を置いてきたわけでしょう。そうじゃないでしょうか。それ以外の目的があるんですか。
#261
○政府委員(木田宏君) いま御指摘がございましたように、学術研究の深奥をきわめるという方向で大学院の運営をいたしておるところでございます。
#262
○加藤進君 だからこそ私は言うんです。ドクターになって就職ができない。しかし、政府・文部省の方針に基づいて大学で勉強し、そして卒業後も五年間余分に勉強してきた目的は何かといえば、研究者になるためです。国の要請に基づいて研究者になるために来たんです。ところが、その研究者となって希望をつないできた今日までのドクターの諸君、このドクターの諸君に道がばったり閉ざされている。私は、その意味では、オーバードクターの問題は、国の、いわば文部省の責任にかかっている。文部省がこの諸君をさらにこの学校教育法の趣旨に基づいて、真に学術、科学の深奥をきわめさせるために研究し、そして将来の科学技術の第一線に立たせる、こういう確固とした方針を持ってこのオーバードクターの問題に対処していただかなくてはならぬのではないか、こういうふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
#263
○政府委員(木田宏君) 大学あるいは大学院が、それぞれの目的を持って学生を教育するということは、卒業の時点におきまして、全員にすべて職を保障しなければならぬというふうには私ども考えません。むしろ、特に学問の道に突き進んだ人たちが、それぞれその険しい学問の純粋性を追求するためにいろんなコースをとるであろうということにつきましては、自分自身がやはり自分の課題として考えていかなければならぬ面も一面あろうかと思います。また同時に、それは研究をしようとする者だけではなくて、それを指導する者の側につきましても、将来のそのあり方について適切な指導をするということがなければならぬと思います。いま加藤先生が御指摘になりました大学院のオーバードクターは、一般的に合計の数としていま御指摘のようなことはございまするけれども、私どもは、そのあり方が、専門分野によってかなりばらつきのあるということについても着目をしたいと思っております。また、大学によりましても、かなりばらつきがあるということも着目をしたいと思っております。それは、それぞれの大学の指導のあり方、また学生のものの考え方ということにもそれぞれかかわってくることでございまして、すべてが文部省において保障しなければならないもの、こういうふうには、御意見でございますけれども、私ども考えておりません。
#264
○加藤進君 これはきわめて重大な発言だと思いますよ。こういうオーバードクターの問題について国が責任を持ってめんどうを見るということがなかったら、一体この諸君は今後どんな活動が保障されるでしょうか。あるでしょうか。あたら有能な才能、科学技術の第一線に立ってきた有能な才能は、一体どうなるでしょうか。
 そこで、私はドクターコースを修了したが就職ができないために一体いま何が起こっているのかということをちょっと私はここで申し上げたいと思います。これは三月二十八日の朝日新聞に東大理学部の学術会議の会員である小野周教授がこう言っておられます。オーバードクター、すなわち博士浪人の問題が一番深刻になっているのはおそらく理論物理学であろう。五年くらい前には、どの大学でもよければ何とか助手のポストは見つけることができた。ところが、現在では、小さな大学でも物理の助手を公募すると、たちまち十数人の博士の学位を持った候補者が押しかけてくる。ひどい場合には、一つのポストに数十人という例さえ起こってきている。この博士の就職をどうするかということで教授は、頭痛の種になっている、こう言ってます。私はこれは真実のことばだと思いますけれども、文部大臣は、この小野周教授のことばについてどうお考えになりましょうか。
#265
○国務大臣(奥野誠亮君) 深刻な問題になっていること、よく理解できるわけでございます。また反面、私たち医大をつくろうとしますと、基礎医学の先生がなくてつくれないんです。そう考えてきますと、やはり大学院のあり方につきましても、全国的に見まして、もう少し検討する余地があるような気がいたします。さらに、研究者の道を選ぼうとして博士課程に進まれた、しかし、その方々の進むべき研究職が十分でない、お困りになっている。これはやはり深刻な問題だと思います。したがいまして、できる限りそういう道も、日本の将来のためにふやせるものはふやしていきたいものだと、かように考えるわけでございます。ただ、いま申し上げましたような、ちぐはぐがあることも事実でございますので、総体的にぜひわれわれ善処していきたいものだと、かように考えるわけであります。
#266
○加藤進君 そこで、具体的に、一体このオーバードクターの存在ということはもうよくわかったと、事態の重要性もわかったと。だとすれば、文部省としてこれをどんなふうに解決される気なんでしょうか。
#267
○政府委員(木田宏君) 先ほども申し上げましたように、博士課程を卒業した研究能力のある者ということについての世の中全般の考え方を変える努力をする必要があると思います。とかく従来の考え方で申しますと、博士さまというのが、すべてを知り尽くした非常なでき上がった高い者という印象があり過ぎまして、職場でも、博士を持っておると、そういう人は逆に採用しにくい。私どもは、もっと高等学校の段階にも入ってきていただきたいというふうにも思いますけれども、高等学校の教師は大学院で勉強することのほうが望ましいという考え方を持っておりながら、理科系の先生方はなかなか高等学校の段階まで回ってきていただけてない。これは、一つには、理工系の拡充策という過去の流れがございましたからそういうこともございましたが、私は、そういう研究者が、もっと広い進路に進んでいくということを一面考えなければならぬと思います。また、これからの学問の進展等を考えました場合に、大臣からもお話が出ましたように、今後の新たな動向というものは、いろんな分野によってそれぞれ考えて対応策を措置さるべきものと思っております。理工系につきましても、理学の卒業生が理学部の先だけを考えるという狭いことではなくって、広く高等教育の研究機関あるいは大学全体のあり方というところへもう少し目を向けるようにしてくださるならば、私どもも、今後の高等教育の拡充策の中で、こうした方々の職場というものは十分需要として構成できるものだというふうに思っております。なお、そう申しましても、特定の専門分野の高い水準の方々でございますから、それがどのポストにどういうふうにかみ合うかということはそう簡単ではございません。したがいまして、現在大学院の学生が、卒業後新たな職を得るまでに、若干の時間的な余裕がかかるであろうということも考えまして、学術振興会等では、奨励研究員等の措置も講じて、こうした卒業研究者が、なお研究を継続しながら適切なポストをさがし当てられるようなことも考えたいと思っておりますし、その間また、所定の要件はございますけれども、育英資金の返還免除等のことも講じまして、こうした研究者が適切なポストに進んでいくということについては心がけておるつもりでございます。
#268
○加藤進君 大学院が続々つくられた時期がありますね、これは政府がそのようないわば人材養成政策をもってつくったものでしょう。その結果、今日のような大学院、大学院生のオーバードクターというものが現に起こっている。こういうことになれば、結局、政府の行き当たりばったりの人材養成計画の犠牲者になってきておる、こう言われても言い過ぎじゃないじゃないですか。私は、この問題について、すでに前の前の高見文部大臣のときに、大学院生と一緒にこの問題の重大性を訴えました。高見文部大臣も、これは非常にたいへんな問題であるから文部省としても積極的にこの問題の解決に努力する、こういう言質だけはいただいておったわけでございますけれども、いまの御説明を聞きますと、ほとんど対策らしい対策が持たれていない。大学院は科学技術の深奥をきめるという目的のために、五年間の期間をもって養成してつくられたりっぱな第一線の若手科学技術者、この技術者に、希望に基づいて将来の日本の科学技術を背負うような道に進んでもらうことができないというのは、これは単に大学院生だけの問題ではない、大学だけの問題でもない、日本の科学技術の振興いかんという問題に私は結論的にはかかってきておる、こういうふうに考えるわけでございますが、その点について、もう少し文部省側の積極的な対策と態度というものをぜひ私はお聞かせ願いたいと思います。
#269
○政府委員(木田宏君) 御指摘のように、過去におきまして大学院の拡充をいたしたことはございますし、今回もまた大学院の新設等につきまして、予算を通じあるいは法案を通じて御審議をいただいておりますが、それは国立大学に関する限りは、従来修士の課程の拡充をいたしてきたのでございます。博士の課程の拡充につきましては、文部省はいまだ組織的な拡充策をとったことはございません。ただ、現在までの大学院の扱いでは、講座部門の増に対応いたしまして、一応大学院の学生が勉強でき得るような学生経費等を積算しておる。その意味では、ドクターコースの大学院についても若干の増を見たことがございます。大学によりましては、その修士の課程の大学院いわゆる修士卒業生がふえたことからいろいろな実態等を勘案されたと思いますが、博士のところにも、領域によりましては定員を越えて収容しているという点がございまするけれども、しかしながら、現在までの実情では、大学院の学生数は、定員に対しまして決してこれを越えているものではございませんで、定員数の七割――修士について七七%、博士について定員数の五割という状況でございます。
 先ほど御指摘がございましたように、今後の大学院をこのままでいいかという点は、前にも御指摘があったとおりでございますから、私どもは、高見大臣のときだったと思いまするけれども、大学院のあり方について審議会に正式の諮問をいたしまして、今後のとるべき方向をいま検討していただいており、近くその御見解の表明をもらえるものと期待をいたしておるところでございます。
#270
○加藤進君 文部大臣にお答え願いたいのですけれども、いまそうして大学院で勉強し、大学院を卒業してしかも職もない、こういう現状でございますけれども、日本ではそれほど技術者が多過ぎて困る、こういうふうに認識されるのでしょうか、どうですか。
#271
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、別に多過ぎて困るというふうには考えておりませんし、もっとわが国全体で研究者を優遇するといいましょうか、あるいは研究調査に積極的に金を使うといいましょうか、そういう方向に努力していかなければならない、いきたいものだと考えておるものでございます。
#272
○加藤進君 OECDの調査によりましても、決して日本は研究者が多いはずではない。こういう数字がはっきり出ております。この点について特に大臣にお考えを願いたいのは、このような研究者に、ほんとうに持てる能力を発揮させるように、日本の科学技術、ひいては世界の科学技術に奇与できるようにしていくために、まず第一に、現在の大学を総定員法などで縛っていくのではなしに、大学そのものをもっと拡充強化するということが必要ではないか。地方の大学は、旧七帝大に比べると非常に格差が落ちるといっています。この地方大学をもっともっと充実さして、総合大学化していくということができるのではないか。こういう点で、真の解決策を見出していただいて、こういうりっぱな将来の科学技術のにない手、日本と世界の未来のにない手と言ってもいいこの諸君に対して、十分に働き場所を保障していただきたい、私はこう思いますけれども、その点の御見解をいただきたい。
#273
○国務大臣(奥野誠亮君) 主として学校を中心にいま御意見を聞かしていただいたわけでございます。毎年大学への進学率が二・四%ぐらいずつ伸びていっているようでございます。そういうこともございまして、先般、高等教育懇談会では、昭和六十年に大学への進学率が四〇%になるという予定のもとに高等教育機関を整備すべきだという御答申をいただいたわけでございます。同時に、現在の大学のあり方が、東京、大阪等の大都市に集中いたしております。このことは、日本の将来を考えます場合には、やはりこの辺で集中を抑制すべきだ、全国的にある程度均衡のとれた大学の配置を心がけなけりゃならない。そうしますと、私立の大学に、今後大学増設の役割りをそう大きくは期待できなくなるわけでございます。そんなこともございまして、今後の大学の整備を国・公立中心に置いてはかっていかなければならないんじゃないだろうか、かようにも考えるわけでございます。そうしますと、国・公立の大学を積極的に整備する、したがってまた地方の大学を充実さしていく、こういう方向をとることになりますと、いま加藤さんのおっしゃったような方向とちょうどぴったりしているんじゃないだろうかなという気持ちがいたします。いま申しましたような方向で、積極的な努力を払っていく考えでございます。
#274
○加藤進君 ぜひその点の御努力をお願いしたいと思います。
 そこで、オーバードクターの問題と関係しまして、もう一つ問題になるのは、いわゆる奨学金の問題でございます。この問題はオーバードクターだけでございません。しかし、オーバードクターにとっても非常な切実な問題になっていますが、そこで文部大臣にお尋ねします。文部省では、この大学院生の生活の実態がどんなものになっているのか、あるいは院生の経済問題というのは一体どんなふうな問題になっているのか調査していただいたことがあるでしょうか。
#275
○政府委員(木田宏君) 私ども、三年おきでございますか、学生の生活実態調査をいたしておるのでございますが、大学院生そのものにつきましては、数の関係等がございまして、的確な分類区分ができておりません。しかしながら、大体最近、一番新しい昭和四十五年度の調査によりますと、学生の年生活費が三十四万円でございまして、大学院生につきましても、生活という点から考えますならば、それを若干上回る程度ではなかろうかというふうに考えております。
#276
○加藤進君 はなはだ表面的な理解で、ちょっと困るわけでございますけれども、事態は非常に深刻だという点で私は数々の資料を持っています。北大の資料、それからまた全国の院生協の資料等々がございますけれども、きょうは時間がございませんので十分な触れ方をするわけにはまいりませんけれども、この二月に出された北大の調査報告書によりますと、院生のほとんどがアルバイト、こういう現実がはっきりしています。一体何に金が要るのかということになりますと、従来は居住費、食費など生活費の部分は比重的にはわりあい少なかった。研究費に回していた。ところが、最近は逆になりました。勉学研究費はだんだん減ってきている状態です。こうして一体勉学のために大学に行くのか、アルバイトのために大学に行っておるのか、大学院で研究しておるのかということを疑わざるを得ないというような諸君まで実は出てきておる。こういう深刻な事態があるということを認識してもらいたいと思うんです。このような諸君が、まさに将来の日本の科学技術をになってくれるとするならば、こういう状態に文部省は放置しておいていいのかどうか、この点をひとつはっきりとしていただきたい。そのためにも私は奨学金制度というのはきわめて重要な意味を持っていると、こういうふうに考えるわけですけれども、大臣、どうでしょうか。
#277
○国務大臣(奥野誠亮君) 大学院に通っておられる方々が安んじて研究に全力を尽くせますように国として配慮すべきことはこれは当然のことだと、かように考えるわけでございます。そういうことで、奨学金の運用にあたりましても、奨学金の増額でありますとか、あるいは貸与の員数をふやしますとかいうようなことについて相当配慮をしてきたつもりでございまして、現状では、博士課程の方々の希望者全員に奨学金が支給できる、貸与できる、修士課程の大学院生の希望者の半数には奨学金が支給できるということになっているようでございます。四十七年度にかなりな増額を行なったところでございます。しかし、将来とも、この奨学金の金額の問題でありますとか、あるいはまた貸与員数の問題でありますとか、あるいはこの償還の免除のできる範囲の拡大の問題でありますとか、総合的に常に前進をはかれるように努力をしていくべきものだと、かように存じております。
#278
○加藤進君 いま奨学金という制度がありますけれども、内容としてはこれは貸与ですね。私は、貸与の制度では十分なことは不可能だと思います。どうしてもこれは給費制に切りかえてほしい。これが根本的な要求でもありますし、私は、そういう方向で、ぜひ実現の努力を払っていただきたいと思いますけれども、その点、いかがでしょうか。
#279
○政府委員(木田宏君) 現在のところ、いま御指摘のように、修士・博士の課程の奨学金はすべて貸与でございます。この将来の奨学金のあり方として、いま御指摘がありましたような御意見も十分あり得るところでございまして、私どもも考えなければならぬと思いますけれども、今日までの段階におきましては、これが研究者を確保する、教職員についてくださるということを期待するという意味におきまして、そういう教育研究の職につかれた場合には、実質的に給与と同じような返還免除の措置をとり得るのでございます。したがいまして、この運用によりまして、給与と実は同じような運びができるのではなかろうかというふうにも考え、その面の改善、くふうもさらに続けていかなければならぬと、このように考えております。
#280
○加藤進君 そこで、奨学金の返還の問題です。いまおっしゃるように、この奨学金の返還の問題については、現在の規定で、ドクターコースを修了すると同時に一般的には返還しなくてはならぬ、こうなっておりますね。
 ここで問題になるのは、さきのオーバードクターの場合でございますけれども、オーバードクターの場合に、奨学金が打ち切られて収入の道がなくなった。ところが、奨学金の返還は要求される。こういう状態が起こっているわけでございますけれども、この状態、このままほうっておいてよいでしょうか。
#281
○政府委員(木田宏君) 返還につきましては、大学院を修了または退学後一年以内に教育研究職に就職をするという一般的な返還期限の猶予がございます。しかしながら、この育英会法の施行令でございますが、施行令十九条に「日本育英会ハ文部大臣ノ認可ヲ受ケタル特別ノ事由アリト認ムルトキハ前項ノ修業又ハ退学後一年ノ期限ヲ更ニ四年以内延期スルコトヲ得」ということにいたしてございまして、育英会のほうで、この教育研究の職に近い者、あるいは先ほど申し上げました奨励研究員等の資金を受けるような職にある場合、または大学の教務職員、技術職員、あるいはこれらに準ずるような職に従事する場合、また、外国にあって学び、研究に従事しているような、そういう実情、もっともと考えられますような要件のあります場合に、先ほど申し上げましたように、さらに四年間の期限の猶予を考えるという運用をいたしておるわけでございます。したがいまして、研究を続けるという面を考えながらも、返還期限を卒業後直ちにというようなことでなくって、弾力的に運んでいける、こういう措置になっておる次第でございます。
#282
○加藤進君 そこで私は、文部大臣に提案をいたしますけれども、このオーバードクターの非常に困難な生活状況を解決していくために、オーバードクターの、まあいわば失業の状態がなくなって就職ができるまでの期間この奨学金の返還を猶予するという程度の措置はとり得るものと思いますけれども、その点についての文部省のお考えはどうでしょうか。
#283
○国務大臣(奥野誠亮君) さしあたっては、いま政府委員のほうから御答弁申し上げましたような方向で猶予できるわけでございますので、個々のケースにつきまして善処するようにすべきだと、かように存じます。
#284
○加藤進君 それでは最後にお願いをしておきますけれども、このオーバードクターの問題、それから、院生の問題、これはどうも教育行政の中では、あまり日に当たっておらない部門だと私は考えております。この意味では、私は高見文部大臣以来この問題について警告を発しておきましたが、引き続いて現文部大臣も積極的な努力を払っていただいて、こういう人材をむだにしない、こういう立場に立って、社会の発展、科学、文化の振興のために、ぜひともこのような諸君の力を寄与さしていただきたい。このことを最後に期待いたしまして、所信を聞いて私の質問を終わりたいと思います。
#285
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど来話が出てますように、大学設置審議会に大学院のあり方について諮問している最中でございますので、その答申を受け、またその審議と並行して、どう充実し、解決していくかという検討を続けていきたいと思います。
#286
○主査(矢追秀彦君) 以上をもちまして、文部省所管に関する質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして、本分科会の担当事項であります昭和四十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、科学技術庁、文部省、厚生省、労働省及び自治省所管に対する質疑は終了いたしました。
 これをもって本分科会の審査を終了いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#287
○主査(矢追秀彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 これにて散会いたします。
   午後三時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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