くにさくロゴ
1972/05/08 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 建設委員会 第8号
姉妹サイト
 
1972/05/08 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 建設委員会 第8号

#1
第071回国会 建設委員会 第8号
昭和四十八年五月八日(火曜日)
   午前十時十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十五日
    辞任         補欠選任
     梶木 又三君     米田 正文君
 五月八日
    辞任         補欠選任
     上田  稔君     船田  譲君
     中村 禎二君     初村瀧一郎君
     熊谷太三郎君     石本  茂君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         沢田 政治君
    理 事
                大森 久司君
                竹内 藤男君
                山内 一郎君
                松本 英一君
    委 員
                石本  茂君
                小山邦太郎君
                古賀雷四郎君
                中津井 真君
                初村滝一郎君
                船田  譲君
                米田 正文君
                田中  一君
                中村 英男君
                西村 関一君
                田代富士男君
                二宮 文造君
                高山 恒雄君
                春日 正一君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       建 設 大 臣  金丸  信君
   政府委員
       経済企画庁総合
       開発局長     下河辺 淳君
       建設大臣官房長  大津留 温君
       建設省都市局長  吉田 泰夫君
       建設省河川局長  松村 賢吉君
       建設省道路局長  菊池 三男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中島  博君
   説明員
       警察庁刑事局保
       安部防犯少年課
       長        奥秋 為公君
       環境庁自然保護
       局企画調整課長  新谷 鐵郎君
       厚生省環境衛生
       局水道課長    国川 建二君
       農林省構造改善
       局次長      杉田 栄司君
       通商産業省企業
       局工業用水課長  植田 守昭君
       建設省都市局下
       水道部下水道事
       業課長      井前 勝人君
       建設省河川局次
       長        川田 陽吉君
       日本電信電話公
       社総務理事    遠藤 正介君
       日本電信電話公
       社業務管理局長  小畑 新造君
   参考人
       水資源開発公団
       総裁       柴田 達夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○建設事業並びに建設諸計画に関する調査(河川
 行政等に関する件)
○屋外広告物法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(沢田政治君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 建設事業並びに建設諸計画に関する調査のため、必要に応じて水資源開発公団の役職員を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(沢田政治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(沢田政治君) 次に、道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案を議題とし、政府から本案の趣旨説明を聴取いたします。建設大臣。
#5
○国務大臣(金丸信君) ただいま議題になりました道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
 過密過疎を解消し、豊かな国土を創造するために、人口、産業の地方分散を進めることは、当面最も重要な課題となっていますが、そのためには、高速自動車国道から市町村道に至るまでの道路網の整備を緊急に進めることが必要不可欠であることは申すまでもありません。
 政府としては、現行の道路整備緊急措置法に基づきまして、昭和四十五年度を初年度とする第六次道路整備五カ年計画を策定し、これにより道路整備事業を推進し、今日まで相当の成果をあげてまいりましたことは御承知のとおりであります。
 しかしながら、道路交通需要はなお増大しており、交通混雑の激化、交通事故の多発等に見られるように、道路整備の立ちおくれが、経済活動と国民生活に大きな支障を及ぼしていることもいなめないところであります。
 以上のような観点から、政府といたしましては、現行の道路整備五カ年計画を発展的に改定して、昭和四十八年度を初年度とする新たな道路整備五カ年計画を樹立することとし、ここに、道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案を提出することとした次第であります。
 次に、この法律案の要旨を申し上げます。
 第一に、現に実施しております道路整備五カ年計画を改定して、新たに昭和四十八年度を初年度とする新たな道路整備五カ年計画を策定することといたしました。
 第二に、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する現行の計画につきましては、新たな道路整備五カ年計画に合わせて、昭和四十八年度を初年度とする積雪寒冷特別地域道路交通確保五カ年計画に改定することといたしました。
 第三に、奥地等産業開発道路整備臨時措置法につきましても、同様の理由により、その有効期限を昭和五十三年三月三十一日まで延長することといたしました。
 その他、これらに関連いたしまして、道路整備特別会計法の関係規定の整備を行なうこととしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
 なお、政府は原案につきまして、この法律は昭和四十八年四月一日から実施することとしておりましたが、衆議院において、公布の日から施行することに修正議決されました。以上。
#6
○委員長(沢田政治君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(沢田政治君) 次に、建設事業並びに建設諸計画に関する調査を議題とし質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#8
○田中一君 予算委員会で当然これらの問題が論議さるべきはずでありましたけれども、それに触れておらないのであります。四十八年度以降における日本の民族の生存のために必要な水、この水の問題について質問を申し上げます。
 最初に伺いたいのは、今日まで水利権として許可をされたいわゆる許可水利権というものが現在どのくらいあるか。そして、これはいまだ着工しないものがあるかないか、それらを詳細に御報告願いたいと思います。
#9
○政府委員(松村賢吉君) 現在、許可水利権は約一万件ほどございます。そのうち未着工のものにつきましては、現在まだ手元に資料を実は持っておりませんけれども、ほとんどのものは着工しているというふうに考えております。
#10
○田中一君 それ、ちょっとおかしなことを言うけれども、資料を持ってないから詳細はわからぬということですね。
#11
○政府委員(松村賢吉君) いや失礼しました。現在、ここに資料を持ってきてないということでございます。
#12
○田中一君 そうすると、未着工のものは一つもないとおっしゃるんですか。
#13
○政府委員(松村賢吉君) 一つもないというわけではございませんが、数が少ないということを申し上げました。
#14
○田中一君 たしか水利権の制限、水利権の許可された限界というものは、一年間以内に着工するというのがいままでの規則か何かにあったと思うんですが、その点はどうなっております。その後、手直しして一ぺん権利を取れば何年でもその権利が存続するというように私は理解できないんですが、現在その点はどうなっております。
#15
○政府委員(松村賢吉君) これは水利権の許可するときの条件におきまして、構造物等の着工につきまして条件をつけるものもございますが、一般的に、自動的に一年以内に着工ということではございません。
#16
○田中一君 私はこの問題、かつて十何年前に、各電力会社あるいは大企業が自家発電の水利権を取っておる、しかし、自家発電の許可されたところの水利権というものはどこにあるかという調べをしてみますと、約二年かかってようやく建設省が持ち出しました。本省にはそれが当時なかったんです。その当時、明治四十何年に許可された水利権がそのまま着工もせずに残っておったという現実を知ったわけなんです。これから水力発電用の水利権というものよりも、もはや水をいかに確保するかということのほうが大事だと思うのです。そういう意味において、未着工の水利権というものはどこにどう存在しているか。いま言うとおり、条件によっちゃ十年も二十年もあとでいいんだというようなものではなかろうと思うのです。むろん、これは水公団その他、公共団体がやってるものはいざ知らず、少なくともいまの、今日の大企業というものは、土地も買えば、あらゆるものを買い占めるという状態です。したがって、水利権の売買が行なわれないとは保証できないのです。これはむろん許可を受けた者は、そのまま、許可を受けたという権利を持ちながら隠れて自分のものにするということは、今日往々行なわれておることなんです。地主が土地を持って名義人になっておる。しかし仮登記をして、しかもそれは当然どこかの大資本に渡ってる土地がたくさんあるわけなんです。そういう意味で、この点についての調査をしっかりとしていただきたいのです。もしなければ直ちに取り寄せていただきたいと思います。
#17
○政府委員(松村賢吉君) ただいまの明細書、直ちに整えます。
 ただいま先生からの御質問がありましたように、実は遊休水利権と称しておりますけれども、こういうものについて、昔のものについては幾ぶんそういう傾向がございまして、現在も残ってるものが多少あると思います。しかし最近処理したものにつきましては、こういうものはないようにしておりますし、また現在もないと思っております。直ちに資料を整えまして御報告申し上げます。
#18
○田中一君 じゃ資料は持ってきていただきますが、遊休、眠ってる、休眠している水利権というものの処理はどういうぐあいにしようと思うのですか。現在許可をされている水利権、どういうぐあいに処理をしようとするのか、その方向をひとつ示していただきたいと思うのです。
#19
○政府委員(松村賢吉君) この遊休水利権につきましては、この内容を一件別に調べまして、これが事実上着工可能なものかどうか、これを現在調べております。それで、不可能なものにつきましては、この水利権を取り下げてもらうというような措置を順次とっておるわけでございます。
#20
○田中一君 これは建設大臣に伺っておきますが、こうしたものがまだ存在するなんということは、これはあり得ないことなんです。水の問題の質問の最初にこれを申し上げたのも、もはや単なる農業用の水とか工業用とかいうものじゃなくして、もっと別にこの水利権を持っておくという意欲的な金持ちも、財界人もあるわけなんです。したがって、これらがいわゆる許可条件に合わないで現在でも持ってるならば、これは直ちに失権させることが正しいものと思うのです。いま河川局長は、いろいろ事情を調べて云々と言っておりますけれども、失権になってるものを直ちに失権にするのは何が悪いのですか。ささいな間違いをしたものでも、たとえば国家公務員のストライキの問題でも直ちにこれを起訴するというようなことをしていながら、企業者が、大企業家がそれらの許可水利権を持ちながらいまだに眠らしておくということになった場合には、直ちにこれに対する失権宣告をすべきだと思うのですが、建設大臣の見解を伺いたいと思う。
#21
○国務大臣(金丸信君) 失権になってるものにつきましては、無効にするということは当然だと私も考えます。
#22
○田中一君 大体政府では、昭和五十五年度ぐらいまでの水需要に対する一つの対策を立てながら、これに対処しようという方向で検討されておりますが、現在むろん多目的貯水というものが中心になると思うのですが、それらの個所、それから、それに対するところの現在政府の考えておるもの、同時に、農林省は農業用水として考えているところの貯水ダム、これら一連のものをお示し願いたいと思います。
#23
○政府委員(松村賢吉君) 建設省関係のダムについて申し上げます。現在事業を着手中のダムが直轄、補助事業合わせまして百四十二ございます。それから予備調査中のダム、これが五百三十カ所、合わせて六百七十二ヵ所ございます。そのほか既設のダムといたしまして、直轄、補助合わせまして合計百五のダムができ上がっております。
 以上、建設省関係のダムでございます。
#24
○田中一君 百七十五ですか。
#25
○政府委員(松村賢吉君) 百五ダムでございます。既設でございます。
#26
○田中一君 農林省。
#27
○委員長(沢田政治君) 農林省来ていますか。
#28
○説明員(杉田栄司君) まことに申しわけございませんが、ちょっとおくれてまいりまして質問を聞いておりませんので、後ほどお答えしたいと思います。
#29
○田中一君 都市用水の需要の増大から農業用水が相当忘れられているのじゃないかという心配を私は持っておるのです。大体私は日本の経済、日本の産業、日本の民族は農業によってのみ将来の発展があるのだ、安定があるのだという信念を持っているものですから、昨年――一昨年でしたか、例の水田の宅地化の問題も、休田の問題も、相当強くその点触れて質問しておったわけでありますけれども、農業用水というものは、むろんこれは多目的な利用という形でもって使われておりますけれども、農林省が単独で行なっているところのダム計画、これをお示し願いたいということなんです。
#30
○説明員(杉田栄司君) 農業用水単独では昔からずいぶんあるわけでございまして、数字はちょっといまここで持ち合わせておりませんけれども、現在着工中のダムにいたしましても、二十ヵ所ぐらいはあると思います。なお、今後も農業用水の需要は、一方でお説のとおりにいわゆる開田抑制等で若干農業用水が減るという面もございますけれども、やはり日本農業全体といたしましては、今後、畑作物等に相当かんがい等を施す必要はございます。そういう意味で今後の計画といたしましても、新たに農業用水のためのそういうダムの計画等を立てていく必要があるというふうに考えております。
#31
○田中一君 建設省に。貯水量はどのくらいになるのです、これが完成したものとして。まあ調査段階のものもあるでしょうけれども、――じゃ、既設のものはどのくらいの貯水量を持っているのですか。
#32
○政府委員(松村賢吉君) ちょっと手元に、資料をここに持ってきておりませんので、至急資料を整えまして御報告したいと思います。
#33
○田中一君 建設大臣に伺いますが、どうも水という問題は、私もずいぶん外国等を歩き回っておりますけれども、日本のようなよい水を随時得ることができるという国は少ないわけであります。まあ簡単なもので、昨年も東京都は利根川水系の山岳地帯に降雨量が少なかったために非常に水に困ったわけです。幸い利根川導水がありましたから何とかまかない切ったわけでありますけれども、これは全く国民の感情として、あまりに安易に考えていると気持ちがするわけなんです。なぜかと申しますと、一時雨降ればということなんです。一雨降ればいままでの苦しみがすぐ解消するということなんです。しかしそれだけで、政治というものは、行政というものは待っているわけにはまいらないわけです。したがって水の問題について、ことに田中角榮君がああして列島改造論なんというのを吹きまくって、これに対処する水の供給、これらをどう考えているのかということについて――ことに山梨県は過去何回かの大きな水害にあって、しかし、いまはもうどうやら相当どの河川も治まっておりますけれども、しかし、まだああいう盆地、甲府は盆地になって、あとは全部山々に囲まれている農村でありますけれども、これは一つの例として、水に対する態度を、考え方を、建設大臣どう考えているか御答弁願いたいと思うんです。
#34
○国務大臣(金丸信君) ただいま田中先生は、私の生まれた山梨県を例にとってお話をいただいたわけでございますが、まあ水というものに対しましては、非常に大切なものであるということがまず、これがなければ人間の生活ができないということでありますし、また、これが多過ぎれば人間の災害に降りかかってくるという問題もあるわけでございますが、まあ今日の時点におきまして、治山治水もほぼ完了したという状況の中では、むしろ水をいかにして効率的に利用するかというところに重点が置かれるであろうと私は思うわけでございますが、そういう意味で、首都圏にいたしましても近畿圏にいたしましても水の不足を来たしておる、これについては、効率的に水を融通し合い、そして水飢謹の絶無をはかるということが今日の私は政治であろうと考えておるわけでございます。ことに首都圏における水の問題につきましては毎年頭を悩ますところでありまして、この問題については速急に解決しなくちゃならぬだろう。まあ利根川水系を考えてみましても、いろいろ水の問題をいま建設省も考えておるわけでございますが、しかし、さりとてダムをつくるのには民意も尊重し、そして対話のあるダムができ上がらなければならぬということですから、なかなか困難なところもあるわけでありますが、どちらにしても水を間に合わせなければならぬということは既定の事実でありますから、そういう面に向って最善の努力を今後してまいりたい、このように考えております。
#35
○田中一君 通産省の人来ていますね。――いま工業用水の導水路を、工業用水専用の導水路を持っている地点はどれくらいありますか。
#36
○説明員(植田守昭君) ただいま工業用水事業は主として地方公共団体が運営しておりますが、正確な数字はいまあれでございますが、ほぼ百四、五十でございます。百四、五十の事業体がございます。つまり、工業用水事業を経営している事業体の数でございます。
#37
○田中一君 そうすると、あとは全部上水と同じ導管から引っぱっておるというわけですね。
#38
○説明員(植田守昭君) 工業用水につきましては、ただいま申し上げました工業用水道のほかに、地下水を使用しているものもございますし、それから、おっしゃいますように、上水道から使っているものもございますが、上水道から工業用水に使っている部分ば全体の数%にすぎないと思います。
#39
○田中一君 地下水は年間どのくらいのものをくみ上げているのですか。地域もひとつ示してほしいのです。伺いたいのは、たとえば三つの都市圏、いわゆる首都圏、中部圏、近畿圏等でも地下水のくみ上げば相当規制されているはずでありますけれども、まだ相当な数量をくみ出しているのかどうか伺っておきます。
#40
○説明員(植田守昭君) これは全体的な数字でございますが、昭和四十五年の数字で申し上げますと、工業用水の使用量が大体八千五百万トンでございますが、その中で工業用水道から取水しておりますものが大体一一・五%でございます。それから地下水に依存している分が一八・一%、それから河川水の表流水等から取っておりますのが一四・六%、それから上水道から取っておりますのが四・一%、それからあと残りが五一・七%という数字が残るのでございますが、この部分は、一ぺん使った水を回収して使います回収水でございます。おおむね、ただいまのような割合で工業用水の割合がなっております。
#41
○田中一君 そうすると、いまの三つの都市圏は、規制されているところは地下水は使っておらぬということですね。
#42
○説明員(植田守昭君) おっしゃいますように、工業用水法によりまして、地盤沈下の障害が起きているところにつきましては、地下水のくみ上げ規制が行なわれております。それで、東京の例で申しますと、いま数字ちょっと調べないと詳しいことはわかりませんが、昨年あるいは一昨年規制も強化されまして、その強化されたところに従いましていま工業用水道を整備しております。そうして、くみ上げを制限すると同時に、強制的に工業用水道のほうに転換命令を出しまして、転換がこの一、二年のうちに終わりますと、ほとんど指定地域においてはくみ上げはゼロに近くなるという状況でございます。
#43
○田中一君 いま再生水が五一%と言っていますが、海水は入っておらぬのですか。
#44
○説明員(植田守昭君) ただいまのはすべて淡水でございます。
#45
○田中一君 海水は。
#46
○説明員(植田守昭君) 海水につきましても、これ以外に冷却その他に使われておりますが、いま数字につきましては持ち合わせておりません。
#47
○田中一君 下水道事業課長来ていますか。――最近の三つの都市圏の水の使用量、これは去年から出発している二兆六千億の下水道の整備計画これによる水洗便所の普及による使用量はどのくらい増大すると見ておりますか。
#48
○説明員(井前勝人君) 御承知のように水洗便所によります水の使用量は、大体平均いたしますと一人当たり三十リッター前後と見ております。昭和四十七年現在での普及率から見まして、その中での水洗用といたしましては約六十万トンでございます。それで現在の二兆六千というよりも、ついせんだって閣議決定になりました経済社会基本計画の年次でありまする昭和五十二年を考えてまいりますと、そのときの普及率が四二%と考えておりますので、その時点では現在よりふえる量は約八十三万トン程度になると思います。ですから、現在の約六十万トンプラス八十三万トン程度がさらにふえるというふうに見ております。
#49
○田中一君 それから上水のほうの人に伺いますが、現在まで完成している水道のうち漏水はあどのくらい見ております。都市用水として考えられているところの漏水、導管から漏水する漏水の率をどのくらいに見ておりますか。
#50
○説明員(国川建二君) お答えいたします。
 ただいまの御質問は、水道の漏水の問題と伺いましたけれども、この漏水は、実は水道の施設の構造と申しますか、あるいはその技術上の観点からこれを皆無にすることはもうほとんど不可能な実情がございます。水資源の有効な利用という観点から、この漏水というものは極力最大限に押えていくという方策を従来からとっておるのでございますが、また、この漏水の量そのものを技術的に把握することもきわめてむずかしい実情がございますが、大ざっぱに申しまして、全国的に平均いたしますと、おおむね一七、八%から二二、三%程度で入っておると、このように考えております。水道の計画上からは、将来の需要水量を見込みまして、施設の計画あるいは水源の確保等の計画を進めていかなければなりませんのでありますが、したがいまして、こういう避けられない漏水というものは、原単位と申しますか、一人一日当たりの給水量の中に一応見込んでおるのでございます。ただ、先ほど申しました漏水の率と申しますものも、これも決して放置しておるわけではございませんで、漏水防止のため、あるいは送配水管等の取りかえ等かなりの投資をいたしまして施設の改善を進め、その漏水と申しますものを防止するよう並行して進めておりますが、これが今後格段に、たとえばこれが半分になるとかあるいは三分の一になるとかというところまではなかなか実際にむずかしいと思います。既往の状態から見ていきますと、毎年これは改善されておりまして、毎年数%ずつはよくなってまいっております。しかし、そういう観点から、ある程度計画上の中にはそういうものを見込んで計画いたしております。そのような実情でございます。
#51
○田中一君 漏水問題というのは妙なもので、ことに、都市になると雨水すら導水路でもって海へ流し込んでしまう。いわゆる地下に浸透する水が少ないということが言えるんです。幸いか漏水というもの、相当老朽化しているところの導管から流れ出る水が地盤を強化するという一つの役目を果たしているんじゃなかろうかと私は考えているんです。したがって、もう都市用水というものは再生されない水だ。再生というのは、再びそれを使うことができない水だということになる。したがって、顕著な地盤沈下というものもそういうところに問題があるかと思うのですが、ここで金丸さんにちょっと伺っておきたいのですが、東京は御承知のように美濃部が知事です。名古屋も今度はまた市長はちょうだいいたしました。大阪は市長も知事もわれわれのものになりました。この三つの都市圏に属する行政分野がちょっと変わってきたんでありますが、この地域に一番大きな水の需要というものが、要求というものがあるわけなんです。どこかであなたが放言したことを聞いたのです。間違ったらごめんなさいよ。もう美濃部じゃ何もできないよというようなことを言ったことがあるやに聞いております。というのは水の問題です。したがって、この三つの地域の水不足解消という問題について、東京都は節水ということを市民に呼びかけています。これ真剣に考えております。いろいろ先年の利根導水その他でもって相当間に合ってはきておりますけれども、まだまだこれはとても足りるものじゃございません。そこで、政府として東京都あるいは中部地区、近畿地区等に積極的に水に対するところの集中的な施策を考えられているかどうか。これはもうあなたが命令すれば河川局長も直ちに行なうのでありますが、何か特別な施策を考えているかどうかを伺いたいと思うのです。
#52
○国務大臣(金丸信君) ただいま何か私が放言したようなことを言ったように受け取れましたが、私はまあそういう水の問題だとか住宅の問題だとか、建設省の扱っているものに思想はないと考えております。だから、そういうことを言った覚えはないのですが、かりそめにもそんなことを言ったとしたら問題だと私は思います。どちらにしても、水の問題はそういう思想を超越して、あるいは政党を超越してお互いの共存共栄をしなければならぬところでございますから、そういう考えは私はみじんも持っておりません。
 また、御指摘のように首都圏の東京あるいは中部圏の名古屋あるいは近畿圏の大阪、こういうところに対しては水の問題が一番――中部圏は一般的にならして、水は一般よりいいと思うのですが、問題は大阪、東京、こういうところの水の問題については積極的にやらなくちゃならない。私は全然差別を持って考えてはおりません。
#53
○田中一君 河川局長、五十五年くらいまでの水の需給の問題については計画が発表されておりますけれども、六十年ごろまでの社会情勢、それはどう変更するか、これはずいぶんそういう点は非常に勉強していい数字を発表しておりますけれども、これに対する対策はどう考えているか。ことに三つの都市圏これに集中して考え方を示してほしいと思うのです。
#54
○政府委員(松村賢吉君) 六十年時代に対します水の需給、これにつきましては、実は一昨年、広域利水の調査一次報告というのを出しまして、これによって大体需給の関係を考えております。これによりますと、一番やはり水の不足するところは首都圏でございまして、首都圏全域では毎年約二十億トンぐらいの不足を来たすのじゃないか。特にこれが京浜地帯に限りますというと、さらにその不足が大きくなりまして三十一億トンほどになるというような見通しを実はこの段階においてはつけておりました。また、これに次ぐものが近畿地区でございまして、近畿全体におきましては、これはまあ需給バランスはとれる。しかし、大阪地区――大阪、神戸、この地区だけをとりますというと、これも約十九億トンぐらいの水が不足するというような心配が実はあるわけでございます。
 それで、これに対する対策といたしましては、これも政府といたしましては水資源開発促進法というものがありまして、首都圏につきましては利根川、それから近畿圏につきましては淀川、それから中部圏につきましては木曽川、これがおのおの水資源開発の水系に指定しておりまして、これの水資源の開発の促進をはかっておるところでございます。こういうふうにやりまして、水資源の開発を積極的に進めていこうということでございまして、特にまた淀川水系の琵琶湖につきましては琵琶湖開発の特別法を実はつくっております。こういうことで進めたい。また、ことし水源地域の対策の特別の措置法、これを政府提案といたしましてこれから御審議をお願いするという段階で、水資源開発につきましてはとにかく積極的にこれを進めていこうということでこの不足を補うように進めるわけでございますが、ただそれだけでは私どもも十分とは考えておりません。それで、水の利用の合理化あるいは効率化、さらにひきましては産業配置の問題あるいは人口問題、こういうものまで進めまして、昭和六十年あるいは将来につきましては全体のバランスを考えていかなければならぬのじゃないかということでございます。それで、建設省といたしましても広域利水の調査につきましての一次報告を一昨年つくっておりますが、さらに第二次的な情勢等につきまして現在いろいろ検討を進めておりまして、六十年段階における水の需給につきましても万全を期すよう進めていきたいということで鋭意努力しているところでございます。
#55
○田中一君 しかし、五十五年ぐらいまででもう利根水系の水の供給量というものは限界がきているのじゃないかと思うのです。いま言われた琵琶湖の水をようやく十年後には阪神地区にも供給される見通しが一応ついております。しかし、これも琵琶湖並びに宇治川の水源を中心にしたところの限界というものは、これもきておると思うのです。まあ、せめて中部圏の木曽川を中心とする一連のものはまだあろうかと思うのですが、少なくとも利根水系並びに淀川の水系というものはいろいろ考えますとかなんとかいうものよりも、もはや水源地が枯渇しているという見通しが正しいと思うのです。その場合にどうするかということなんです。伺っているのは。まだこれから出そうという水源地のいろいろなあれやこれやの手当ての法律も出ておりますが、そうすれば水源地が、水が発見されるのだと、あるいは貯水ダムができるのだという見通しはあるかないか、私はないと思うのです。利根水系並びに淀川水系に対する昭和六十年度くらいまでの水の供給というものは、いま計画されているもの全部行なっても不足をするんじゃなかろうかという心配を持っているんです。これは、局長はつい最近来たばかりでもって大きな口をきかないでください。国民はだまされます。私はそう見てないんです。同時に、多くの学者はやはり私と同じような見解を持っております。どうなるかということです。私はしばしば、前々から流域変更をどんどんやれと、向こうの山からこっちに水を持ってきてもいいではないかと、こそこそ正しい水の行政だと、こういうことをもう二十数年前からやかましく言っているんです。現在調査した、あるいは既設の、あるいはもう工事中の水源地を求めても、昭和六十年には必ずもうその水系だけではだめだということは明らかなんです。その点は淀川水系並びに利根水系に対してはっきりした答弁を願いたいと思うんです。抽象的な、あれもこれもできるというようなものでなくして、もっと真剣に、昭和六十年代になったらば全くそのとおりであります、枯渇しますと、その場合にどうするかというのが、これからの水の大きな、国家が責任を持ってやらなければならない仕事なんです。したがって、これに対するもっと、ごまかしじゃなく、あいまいじゃなく、はっきりした見通しを立てていただきたい。あなたは数字を持っているじゃありませんか、数字を。ちゃんと数字を持っております、建設省は。それを明らかにしていただきたいと思うんです。
#56
○政府委員(松村賢吉君) ただいまの御質問につきましてでございますが、広域利水の第一次報告書によりますというと、京浜地区につきまして約三十億トン不足するという数字が一応出ておりますが、これにつきましては、首都圏全体でいうと約二十億トンでございます。その差はどこから出てくるかと申しますと、実を申しますというと、那珂川水系等の水を京浜地区に一部導水ということも考えている、こういうことで約十億トンを生み出す、そうすると、あと二十億トン一体どうするかという問題になるわけでございます。これは現在考えております調査地点その他におきましては、なかなかそこまではこの水系では出ないわけでございますが、さらにこれの開発にも努力をしたいということでございまして、また、この水の需要のフレームの問題でございます。この問題につきまして、先ほど工業用水課長あたりからもお話がありましたけれども、工業用水等につきましての水の循環利用、こういうものも積極的に進めていただいているわけで、さらにこれを強化いたしまして、これの需要を抑制すると申しますか、減らすということ、またその他、水の目的相互間の融通と申しますか、水の合理化ということ、農業用水等のいろいろなくふう、こういう問題も含めましてこれをできるだけ進めていく。また、ひいては、これの首都圏自体の計画、これにつきましても検討を進めて、何とかこれをまかなっていく、水の広域的な利用、導水を含めまして。これと水の合理化、それから地域計画の検討ということでこれに対処していこうということでございます。
#57
○西村関一君 関連。
 いま水の問題で大事な質問がなされているのでありますが、私は公害・環境特別委員会でこの問題を取り上げようと思っておりますが、関連で一問だけお尋ねをいたします。
 近畿圏の水の問題につきまして淀川水系が重要な柱になっているということは、いま局長の御答弁にもございました。ただ量だけの問題でなしに、質の問題、よい水を送る。一千万の近畿圏の生活用水、住民の生活になくてはならぬところの水を供給する。よい水を送らなければ、くさい水を送っておったんじゃこれは何にもならないんであります。これは琵琶湖総合開発法の審議のときにもやかましく論議をされたところでありまして、琵琶湖の水の復元、きれいな水にする。すでにどんどん汚染されているんでありますが、そういうことがこの法律の審議の中でやかましく言われ、政府もこれを了承したところであります。昭和六十年の見通しに立って淀川水系の水の供給ということが考えられておりますが、その水はきれいな水でなければならぬと思うのであります。どんどん工場排水あるいは下水道の問題、農薬の問題等々の汚染が進んでおる。十年後には琵琶湖は魚も貝も住まないところの死の海になってしまうということ、土木学会の調査が出ておることは御承知のとおりであります。こういう点につきまして、量の問題とともに質の問題水の質の問題に対しても政府は重要な関心を払っていただかなければならぬと思うんであります。すでに京都市の水道はくさくて飲めないということが言われておることは御承知のとおりであります。そういう点について金丸建設大臣はどういうようにお考えになっていらっしゃるのか、大事な点でございますので、この機会に一問だけその点を伺っておきたいと思います。
#58
○国務大臣(金丸信君) 水道は、人間が使う水のことでありますから、公害に汚染された水が使われるということになりますれば重大な問題であると私も思います。そういうことにならないように環境保全をやらなくちゃならぬ。ことに建設省といたしましては、下水道の問題もあるわけでございますから、下水道の問題につきましては、処理の問題を第一、第二処理、あるいは私は、琵琶湖の問題につきましても、下水処理を第一処理でやれない場合には第二処理までやりましょうと、こういうことまで申し上げたわけでございますが、どちらにしても、水ばかりためればいいということではなくて、両々相まってやるということに十分細心の注意を払って今後まいりたいと、こう考えております。
#59
○田中一君 いま西村委員が言っているのはほんとうなんですよ。もう十年たったらどうにもならぬ。といって、いま、あのままの水を浄化しようなんということを考えていじり回すとたいへんなことになります。全然もう飲めません。京都の人間は水がなくなってしまいます。底の深いところは――深いところといってもたいした深いところじゃありませんけれども、そのままそっとしておいて上澄みを取って生きているわけなんです。十年このままうっちゃっておけば、ほんとうにどうなるかわからない。こういう点はほんとうにこの間の琵琶湖総合開発法の審議のときにも十分言ってありますけれども、これはほんとうにいま大事なことなんです。これは河川局長、建設省でそれに対する何か対策を考えているのかどうか、重ねて伺っておきます。
#60
○政府委員(松村賢吉君) 建設省といたしましては、河川の水質の維持、特に琵琶湖の水の水質維持ということは重大な関心を持っておりまして、常時調査等をやっておるわけでございますが、この施策といたしましては、建設省自体としてこれを考えておりますのは、琵琶湖周辺の流域下水道、これは下水道担当も来ておりますが、この下水道によりまして琵琶湖の水質の悪化を防ごうということは建設省の施策でございます。そのほか間接的にはいろいろと治山治水関係の事業等によりまして、流入する水質の維持等も考えておるわけでございます。また、これを全般的に見ますというと、環境庁、あるいは農林省、厚生省、その他担当のところ全般を含めまして、これの水質維持につきましては、特に琵琶湖につきましては、近畿圏等を主にいたしまして、つとめているところでございます。
#61
○田中一君 どうも河川局長、非常に答弁がうまくいっているけれども、もっと技術屋というものは真剣に問題に取っ組んで、自分の今日まで調べておるところの数字をもって、政治に対してもっと動いてくれよというような信念で言うべきものなんです。単なる河川行政官であってはならないのです。たとえば節水その他でやるから、あるいは再生水道を使うからとか、何とかかんとか言っているけれども、事実において、近畿圏においても、首都圏においても、水が、相当限界がくるのが近いということです。その場合にどうするかということをもっと真剣に考えなければいかぬと思う。たとえば霞ケ浦の淡水化という問題、これをどう利用するか等も考えておられると思う。思川に対する開発、これなんかも一向に進んでおらない。金さえあればできるのですよということを、いつか君とぼくとで話し合ったときに、君が言ったことがある。金なんか幾らでもあるじゃないですか。いまこそ福祉社会をつくろう。また政府も方針を変えてきて、福祉社会をつくろう、政治は福祉重点だと言っております。水の問題は生存の問題なんです。そうすると昭和六十年まで、現在政府が持っているところの施策をそのまま進めていけば、近畿圏三千万の人間には、人民には何ら生存の不安はございませんということは断言できるのか、私はそんなことはできないと思うのですよ。季節的な小さな干ばつ、降雨量が水源地に少ないということでもって大騒ぎをしているのです。これに対処するのが水行政の根幹なんです。むろん降雨量等は、統計からくるところの割り出し方に違いない。不時の災害もあれば干ばつもあるということ。しかし日本の水の行政というものを握っている君にすれば、もう少し真剣に、上つらでなく国民が納得するような形の説明をすべきであると言うのです。法律の問題を言っているのではない。現象の問題を言っているのです。東京都は、首都圏は昭和六十年においても何ら水の心配がないような対策がございますという答弁ができますか。同時に、その前に、答弁の前に通産省に聞きますが、せんだってセンターをつくって海水の淡水化、それから水の再生産等の研究を始めるのだということを言っておりました。また、指導するんだと言っておりました都道府県、各地方の。来てますか、だれか――その点は、その程度はどうなっているんですか。それでまた具体的に実用化される時期はどのくらいであるか、そしてそのコストはどのくらいになるかということ。一ぺんに言っちゃいますが、柴田水資源公団総裁には、あなたがいままでやっている各ダムの水の単価です。トン当たり単価というもの、いままでやったおもなるところの一つ一つの水源地におけるトン当たりの単価ですね、これをひとつ説明していただきたいと思います。
#62
○説明員(植田守昭君) ただいまお話の出ました財団法人の造水促進センターというのが、近く、おそらくあさっての十日に発足をする予定にしておりますが、ここで考えておりますのは、いろいろこれから水不足問題がきびしくなると思いまして、特に工業用水のように、まあ飲めなくてもいい水でございますので、できるだけ一ぺん使った水をもう一ぺん再生して使おうということで、造水――水をつくるということを進めたいと考えております。それで、造水促進センターは、一言で言いますと、造水に関する技術の開発、あるいは実用化、普及ということを考えていこうと思っておりますが、当面の具体的な施策といたしましては、まず一つは、下水の水を再生して工業用水に配るということで、四十八年度から東京都で一日五万トンの規模の、活性炭ろ過による造水ブラントの建設を行ないたいというふうに考えております。これができ上がりましたら、実際に工場に給水してみたいと思っております。それからあとは、。パイロットプラント・スケールでございますが、たとえば石油化学の水でございますとか、紙パルプの水でございますとか、こういったものを再生してもう一ぺん使うということの技術開発を急ぎたいというふうに考えております。
 それからさらに、海水淡水化の問題もあるわけでございますが、海水淡水化につきましては、現在、私どもの部局は違いますが工業技術院で、昭和四十四年から五十年を目標にいたしましていろいろ研究開発を進めております。いままで茅ケ崎で三千トンのプラントで研究していまして、ことしから大分県で十万トンのテストプラントを建設中でございますが、これにつきましては、実用化につきましては、まだ少し問題がコストその他でございますが、将来はこういった問題も造水の一環の問題といたしまして取り上げていくべきだろうと考えております。
 それからコストの点でございますが、先ほどちょっと申しました活性炭によります有機物の除去につきましては、前処理工程も含めまして、おおむね十五円程度というふうに考えております。それからさらに脱塩をいたしますと、それに二十円ぐらいオンされるだろうと考えております。当面は有機物除去を考えておりますので、十五円程度という感じでございます。それから海水の淡水化につきましては、まだ百円というオーダーになりまして、非常に高いわけでございますが、これは燃料費が非常に問題でございますので、将来は原子力発電なり火力発電とドッキングいたしまして、そのエネルギーを使うことによって相当コストダウンできるだろう、また目標といたしましては、三十円ないし四十円というのを目標に掲げて研究開発中というのが現状でございます。
#63
○田中一君 そうすると、処理後の塩はどうするんです。海水の淡水化のうちの残った塩、塩分はどう処理するんですか。
#64
○説明員(植田守昭君) 副産物の利用とか、そういった点につきましても、この研究の目的になっているわけでございますが、私も直接の部局でございませんので詳細なことは承知しておりませんが、塩なり、あるいはカリウムその他微量成分が出てくるようでございまして、その辺の有効利用ということも含めて研究を進めているところでございますが、その微量成分につきましては、いまのところ、必ずしも、何といいますか、非常にメリットのある有効利用ができるかどうかということにつきまして、そこまで進んでないように聞いておりますが、私、その点につきましては、ちょっと詳細を、いま、わかっておりません。
#65
○田中一君 柴田総裁、あなたのほうでいままでやっていたコスト、どれくらいになっていますか。
#66
○参考人(柴田達夫君) 御質問の、山元開発の原水単価で申し上げます。矢木沢ダムがトン当たり二円三十五銭。下久保ダムが二円二十四銭、これは東京の場合。埼玉へくる上水、工水のほうは下久保ダムにつきましては一円三十三銭……。
#67
○田中一君 どっち、下久保……。
#68
○参考人(柴田達夫君) 下久保ダムです。東京の上水については二円二十四銭、埼玉に対しては一円三十三銭。印旛沼開発では三円十八銭。それから利根川河口ぜき、これは非常に安いのでありまして一円九十三銭。以上、利根川水系。淀川水系にまいりまして、高山ダムが三円五十七銭。青蓮寺ダムが四円、阪神につきましては四円十六銭、地元の名張市の水道に対するものは三円三十八銭。それから正蓮寺川利水事業というのがありますが、これは上水、工水ともに二円八銭。終了しました事業についての単価はそういうことでございますが、見通しとして、今後ダムの適地がなかなか困難にもなりますし、条件等が悪くなりますにつれましてこの単価は上がってまいるかと思いますが、現在、工事中のものについて申し上げますと、利根川の草木ダム、これは渡良瀬川ですが、八円十三銭、だいぶ高くなっております。それから霞ケ浦開発、思川開発は、それぞれ三円二十二銭、三円四十五銭程度でありますが、本年予算がついた奈良俣ダムでは十円程度。房総導水路が八円九十二銭。室生ダム、これは淀川水系ですが、九円五十九銭。淀川水系で引き続き一庫ダムが五円五銭、琵琶湖開発が五円六十銭、日吉ダムが六円八十三銭、比奈知ダムが八円六十二銭というように予定されております。
#69
○田中一君 今後相当コストが上がると思うんです。そこで、この水の受益者、一面、水を貯水するという費用がかかるんだから金を払えよというのがいまの行き方なんですが、受益者が都市生活者の面からいうと、都市用水という面からいうと、この水の単価というものは、これはもう貯水池の単価でありますが一市民が受ける場合の単価というものは、これはもう一定の地域差がないというようになっておるんですか、どうですか。これは厚生省のどこへ聞いたらいいか、建設省か、厚生省か、それはどうなっていますか。
#70
○説明員(国川建二君) お尋ねのものは水道料金のことだと思いますが、水道料金につきましては、水道事業そのものが、まあ主としてほとんどの場合、市町村――地方公共団体の経営で行なわれておるわけでございますが、ただ、その水道の会計も特別会計で処理されておりますし、都市の歴史と申しますか、規模等によりましてさまざまなものがございますが、したがいまして、建設費も違いますし、おのずから水道料金等も水道事業ごとに異なるということになっております。ただ、最近の傾向といたしましては、水道料金の中でも特に生活用水と申しますか、家庭用の水道料金というものは、その料金体系の中で、できるだけ安く設定していきたいという傾向でございまして、この傾向そのものは私どもは好ましい傾向だと思っております。
#71
○田中一君 そこで、四月二十三日の読売に出ているんですが、群馬県ではもう水がなくて泣いているということが出ております。非常に、逆に地元は首都圏のうちの都市化区域の市民が考えてくれないかという訴えをしているんです。御承知のように、利根水系というものは群馬県が起点になっておりますからどうしてもそういう傾向が起きると思いますけれども、群馬県に供給している水というものはどのぐらいあるのか、ここに示されているように非常に少ない供給量でしかないのかどうか、この点、河川局長ね、君、正直に言いたまえよ、ことばはどうでもいいから、ほんとうのことを言いたまえよ。
#72
○政府委員(松村賢吉君) 利根川水系でもって群馬県に供給しておるといいますか依存している量を申し上げますというと、昭和四十年に生活用水〇・二六トン、工業用水一・五ミトン、農業用水四・六トン、計六・三九トンという数字になっております。また、昭和四十五年現在ではほぼ同じでございまして、生活用水が少しふえまして〇・五八トン、工業用水一・〇八トン、農業用水四・六トン、計六・二六トンということになっております。それが昭和六十年見込みと申しますか。予定では、生活用水二・〇四トン、工業用水三・八八トン、農業用水五・一三トン、計十一・〇五トンということになっております。
#73
○田中一君 そんな数字を聞いているんではないんだ。四十七年現在でやっと生きられる水しかもらっておらないと言っているんですよ。いいですか。四十五年がどうの、六十年がどうのと言っているんじゃない。現在ですら、ようやく自給自足をやっているようなもんだと言っているんです。実際そうなんですか、群馬県では。
#74
○政府委員(松村賢吉君) 群馬県におきましての水需給の全体といたしましては、ただいまちょっと数字を申し上げましてしかられたわけでございますけれども、この群馬県は、やはり東京等の下流につきましては水そのものの不足、それにつきましては幾ぶん少ない。しかし、まあ利根川水系といたしましては、現在全体として水が十分というわけではございませんので、群馬県におきましても、需要供給、これはほぼようよう間に合っておるという程度かと思います。それで、今後の水源開発、こういうものにつきましては、やはりこの水源県の需要、これは下流県に優先いたしまして張りつけるように、私ども現在計画中のダム等においてもやっておるわけでございます。
#75
○田中一君 そうすると、これ、新聞記事はうそだというのですか。自給自足やっとだといっておるのです。もう一つは、水源地に対する手当ての法律を出すのもどこにあるのか、真意が。これはまだ大臣からの提案理由の説明を聞いておらぬけれども……。
 じゃ、あもう一つ聞きます。沼田ダムは、これは実行しようとするつもりですか、建設大臣。
#76
○国務大臣(金丸信君) このダムにつきましては実地調査もいたしておるわけでございますが、水没家屋等が非常に多いということで、地域に及ぼす影響も重大でありますので、これは断念しよう、こういう考え方でございます。
#77
○田中一君 河川局長は、群馬県に対する水の供給はなるべく制限しておいて、沼田ダムでも納得すればなんという考えを持って六十年度の十一・〇五トンなんということをはじき出しているの。どういうことなの。それは沼田ダムは、やる計算かやらない計算か、どっちか。
#78
○政府委員(松村賢吉君) これにつきましては、先ほど申し上げました数字そのものは、群馬県の水の将来需要を制限しているということではございません。
#79
○田中一君 あたりまえだよ、そんなこと。
#80
○政府委員(松村賢吉君) 制限しているわけじゃなくて、むしろこれはほかの地域について優先的にやっておるということでございます。
#81
○田中一君 これは六十年に十一・〇五トンいくということは、この沼田ダムが完成したらばこれだけの供給ができるということを言っているのですか。いま建設大臣が言っているように、これは今日断念しなきゃならないのだと。こういう段階の数字とどういう関連があるのか伺っておきたい。
#82
○政府委員(松村賢吉君) この数字につきましては、沼田ダムは包含しておりません。現在施工中の八ッ場ダムその他、こういうものでまかなう数字でございます。
#83
○田中一君 建設大臣、水は、災害をもたらさない水というのは幾らつくってもいいことなんです。そうして水がますます需要がふえる傾向にあります。そこで、沼田ダムの問題につきましては、建設大臣がまあもう一年お続けになるそうでありますから、おれが在任中はしないのだということじゃない形の意思表示を政府としてすることができますか。
#84
○国務大臣(金丸信君) この問題につきましては、私一人がそういう考え方でやらないということを申し上げるということでなくて、私が大臣をやめましても、この問題はやめたいと、こういうことをはっきり申し上げておきます。
#85
○田中一君 問題の沼田ダムでありますし、これはそういうはっきりした答弁を願ったことは非常に地元民も安心しますし、いたずらに強行しようという、行政権が優先して強行しようという、いままでの各開発工事から比べますと、非常に人間的な配慮があって非常に賛成します。
 そこで、思川の問題ですが、思川の問題は現在どうなっておるか、これ柴田さんに聞いてみたいと思うのです。
#86
○参考人(柴田達夫君) 思川開発事業は、私どもの開発公団におきまして実地調査をやっております。実地調査の内容の問題の中の一番問題になっておりますのは、鬼怒川から渡良瀬川の思川のほうに分水をいたします問題につきまして、今市近辺が地下水が減るんじゃないかという心配を持たれております。それについて重点を置きました調査を、これはちょっと長くかかりますが、二年、引き続き本年やっておる次第でございます。
#87
○田中一君 しかし、思川の問題は、ずいぶんいろいろ計画変更、計画変更やっておりますけれども、いつごろ政府からやれという認可がくるような段階ですか。
#88
○参考人(柴田達夫君) 先ほど来お尋ねの、首都圏の将来に対する需要計画の中では、いろいろございますが、やはりこの思川開発も見込まれているわけでございますから、思川開発で水が出てこなければそれだけ穴があくわけでございまして、そういう意味では、政府からも、最もこれはやはり需給問題としては早くやるようにということをせかれておる性質のものでございます。しかし、地元の心配、何と申しましても、農業関係その他におきまして地下水が非常に減るんじゃないか、それの復元がはたして可能かというようなところに地域住民全体の心配がございますものですから、これにつきまして、学者の委員会を設けまして、地元の大学の先生その他いろいろ参加していただきまして、二年がかりで調査をいたしまして、その結果によりまして、支障が少なくて地元の御納得ができますならば予定どおり仕事をさせていただく、反面、先ほど来、政府で、河川局長からお答えになっておりますように、栃木県地元農民の将来需要もあわせて目下、県のほうから出していただくようにお願いしておりますが、これがまだまとまっておらないというような点も問題としては残されておるわけでございます。
#89
○田中一君 群馬県が、水源地を行政区域に持っているために相当な不安を感じておりますが、ことに思川の場合には栃木県が主でありますけれども、東京都では、御承知のように、市民に、水の使用の制限と申しますか、むだづかいしてくれるなという呼びかけをしております。現在のようにまあまあ小河内も水が相当ある、何があると言いながらも、人為的に使用量が増大している首都圏、ことに東京都においては、これにこたえようとする水源が見つからない、ないということになりますと、これはたいへんなことになるんです。せんだっても、住宅問題の調査のときに申し上げたとおり、埼玉県のこま川団地なんか、いまだに水がありません。だから家が建ちっぱなしです。人が一人も住んでおらないんです、約二千戸ありますけれども。地域と水、住宅等を考えますと、まず水の問題が解決されなければ人間はそこに住めない。当然であります。こういう点の住宅に関する行政指導も水の問題から出発するということは御承知のとおりでありますから、それらについても十分なる指導をしていただきたいと思うんです。
 そこで、農林省にもう一ぺん伺いますが、去年の何月ごろでしたか、東南ニューギニアでは二十万人ぐらいの餓死者が出るのであろうといって新聞は伝えておりました。事実、日本からも、農林省から若干の米を送ったというふうに聞いておりますが、ついことしになりましてからも、アフリカにおける異常気象で、相当数の飢餓者といいますか、餓死者が出るんではなかろうかと伝えております。日本は米が主食でありますが、水田というものをここまでつぶしてくる、ことに都市周辺の水田をつぶすのは何かと申しますと、これは何でもない、住宅の宅地にするんだといってつぶしてきているのが現状なんです。しかし、水の問題あるいは気象の問題等で、米がとれなくなった事態というものを想定しなければならぬのが政治の実態です。中共におきましても、ソビエトにおきましても、数々のクーデター、革命、粛清なんという問題政治の立て役者の失脚なんという問題も、全部農業問題なんです。いまかりに、ことしは平年作だという話でありますけれども、水の問題に限らず、いまのような減反あるいは転換等を行ない、農業に対する意欲を農民が失いつつある時代、そうしてそれにあおりをかけて、その農地、山林等を買いあさっている土地買い占めの問題等を考えますと、非常にこの二、三年というものに、日本の、人類の生存に対しての大きな危機がくるんじゃなかろうか。これは世界的な、地球上の飢餓状態が生まれるんじゃないかと言っている日本の評論家もいます。外国の評論家も言っております。こういう点に対して、もしもそうした時代があり、そうして急速に米作というもの、あるいはこれに関連する農業生産というものを行なわなければならぬという場合、どういう手を持っているかというのが一つと、それから現在保有米はどの程度あるのか伺っておきたいんです。食糧はどの程度あるのか。年間消費するもの並びにこれに対する備蓄米、それから本年度の生産の見通し等はどの程度になっているか伺っておきます。
#90
○説明員(杉田栄司君) 私、食糧庁でございませんので正確な数字を持っておらぬわけでございますけれども、先生お説のとおりに、やはり現在の農業のいわゆる食糧品の需給バランスといたしましては、わりとうまくいっている。もちろん小麦その他相当海外に依存するものもたくさんあるわけでございますけれども、特に主食の米あるいは果樹等につきましては、相当に、むしろやや過剰ぎみに推移してきておりまして、うまくいっているというふうに思えるわけでございますけれども、しかし、これが将来の問題で、いわゆる世界的な食糧の不足というような事態を考えますときに、いまのままでいいのかどうか、これは一つ問題であろうと思いますし、あるいはまた、いわゆる減反政策と呼ばれる政策の結果として非常に農民の中に意欲が失われておる、これがやはり一つ大きな将来に影響を及ぼす問題だろうというふうに思います。そこで、農林省といたしましては、農産物の需給の展望につきまして試算をいたしまして、その試算に基づきまして生産目標をきめて将来に処していこうということで、昨年の十月に公表しておるわけでございます。それによりますと、飼料あるいは小麦等の、そういう特に海外の輸入に依存するものを除きまして、特に米等につきましてはあまり問題はないという結果になります。米の保有につきましても、現在のいわゆる休耕制度というのは四十八年度で終わりますけれども、さらにその需給バランスを考えて、四十九年度以降その調整をはかっていくならば、需給にはあまり問題は国内だけではないというふうに考えられておるわけでございます。
#91
○田中一君 いまの保有米の説明、してくれなかったでしょう。
#92
○説明員(杉田栄司君) ちょっと、食糧庁のほうの数字を私聞いておりませんので、後ほど数字で先生のほうに……。
#93
○田中一君 端境期までにわれわれ国民全部が一応生きていけるだけの保有米はあるというように聞いておったのですが、つい最近ですが、どこかで、二〇%ないし二五%しかないと、端境期までには、それ乗り越えるのに、ということを聞いたわけなんです。これはたいへんなことだと思う。米はそんなに簡単につくれるわけじゃございません。一定の条件のもとに、まあ日本の場合には一年かかるわけです。むろん冬季間はこれ別でありますけれども、二期作がございませんから一年に一ぺんしかとれないわけです。そうなると、一体ああして水田を全部つぶしていって宅地にするなんということが、市民感情として自分の安い宅地が供給されればいいんだなんという考え方より以前の問題として、米を、終戦直後と同じように黄変米でも何でも買わなきゃならぬような時期がくるのじゃなかろうかと思うのです、実際に。
 そこで、そのうちの一番主要なるものは水です。水がなくなれば――農民は貫行水利権として当然取るものは取っておりますが、はたして、どういう場合でも、いままで日本の民族が生きられるという水は、水田が減ったからといっていつでも復活して開田が早急にできて、そしてまかない切れる、あるいは若干は輸入に依存するにしてもできるんだという基本的な農業政策というものを持っておられるのかどうか、これも聞いておきたいのです。
#94
○説明員(杉田栄司君) 米の生産、特に水との関係でございますけれども、水田の面積につきましては、将来の需給見通しからいきますと、やはり七十万町歩ぐらいは水田は減っても、現在の技術なり、あるいはまた農家の努力でまかなえるという結果になっております。しかし、食糧全体の問題としてとらえます場合には、やはり畑作を相当にふやさなくちゃならない。しかも、その畑作が、非常に作物の価格が変動いたします関係もございまして、従来投資が行なわれておりませんでした関係で、非常にコスト高になっておる。そこで、どうしても水を含めまして畑に対して相当な投資をしておかなければ食糧として十分期待にこたえることができないというようなことになると考えられておるわけでございます。その品目別の需給見通しは後ほどお届けいたしますけれども、そこで、それに要する水でございますが、面積といたしましては、水田の壊廃が昭和六十年度をめどにいたしますと四十三万町歩ぐらいあるんではなかろうかというふうに思われております。そのほかに水田から畑にかわるものもあるというようなことで、いま申し上げました七十万町歩という数字を頭に持っておりわけでございますが、その結果、水田の水需要が六十七億トン減るということになるわけでございます。ところが、一方のほうで圃場整備をいたしまして、機械化営農に持っていく関係で非常に水がふえてくる、単位当たりの水がふえるという関係で、やはりそれに近いぐらいの程度の水がふえますので、水田の絶対量としてはそうあまり減らない、大体二十億トンぐらいが減るのではないかというふうに見ておるわけでございます。一方、畑のほうにおきましては現在一〇%足らずの畑がかんがい施設を持っておるだけでございまして、九〇%の畑はそういう施設を持っていないわけでございます。そこで、それらに水をかける施設をいたします関係で八十九億トンくらいの畑の水がよけいに要るのではなかろうか。さらに畜産の伸展に伴う水等、あるいはまた水田裏作の主要作物等についても若干の水が要るというようなことを考え合わせますと、年間で、これはほんとに試算ではございますけれども、現況よりも八十五億トンぐらいの水の量がよけいに要るようになるのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。そのための施策といたしまして、先般決定をいただきました土地改良長期計画で必要な機械、かんがい、排水施設等を実施していくというふうになっておるわけでございます。
#95
○田中一君 じゃ、備蓄米の数字はあとで知らしてください。
 建設大臣に伺いますが、現在の水供給という面から見て農業用水、これは大体そこまで激しく要求  これ慣行水利権ですが、これは水路を持ちやっている。ところが、休耕あるいは全然宅地化してしまえば、これは必要なくなってくる。そうすると現在の都市用水というものの性格、工業用水も高度成長政策、ことに公害を生むような産業というものが相当これから整理され、かつまた地域限定がされると思うのです。そうすると、これ水というものは、渇水時にどこに優先されて配分されるかという点を考えてみますと、われわれはどう考えたらいいでしょう。上水道、下水道もこれはうっちゃっておけないのです。いまの下水道が整備されますと、一々ふん詰まりになりますから、とんでもない、これはもうなくちゃならない。入れる、出すというのは、これはもう人間の生存の要諦なんですから。この水というものを、都市用水というものをどういうぐあいに一というのは、もう一ぺん言います。水というものはどこが渇水時に優先されるべきかということを考えますと、どういうぐあいに水に対する考え方をきめたらいいのか、それをひとつ建設大臣はあとでいいですから、局長どういうぐあいに見方をしたらいいか答弁してください。
#96
○政府委員(松村賢吉君) 渇水に際しての水の配分と申しますか、これの優先順序、これにつきましてはいろいろ考え方はあろうと思いますが、先ほど先生仰されました生活用水、これを重点的に確保するということがまず重要かと思います。生活用水と申しますと、上水道用水でございます、主として。
#97
○田中一君 河川法五十三条はきめているのですが、これはあいまいなんです。当事者同士で話し合いなさいということになっているんです。だから、この点は無責任だと思うんだな。地域によって違ってもいいですよ、地域によって。農業用水、まあ日照りの八月ごろ、ちょうど花の咲く前には渇水のほうがいいくらいだと言っています。いろいろあるでしょう、専門家でないからわからぬけれども。何かここでもってきめておかなければならないんじゃないかと思うのですが、その点はどうです、五十三条の解釈はどうですか。
#98
○政府委員(松村賢吉君) これにつきましては関係各省あるいは関係県、市、こういうところが集まりまして、渇水問題が起こります際には、節水率と申しますか、こういうものについて協議をしてきめておるということでございます。
#99
○田中一君 しかし、アロケーションで、当然自分がもらえるんだという権利は主張するはずですよ。それは工業用水ある時期とめてもいいものもあるでしょう、ある時間的には。しかし、生活用水というものはなくちゃ困るんです。したがって、それらが、生活用水、生存の水、これが優先されるという考え方になるべきだと思うんですが、その点はどうです。これはむろん、各省権利者が集まって、ああしよう、こうしようという調整をすればいいんですが、まっ先にしなきゃならぬことば何かという順序、そういうものを原則的にきめておく必要があるんじゃないかと思うんです。ひとつ建設大臣、その点どういうぐあいに――これはあいまいなんです。あいまいというのは、当事者が相談してきめなさいよと、こうなっているんです。
#100
○国務大臣(金丸信君) 絶対必要量である生存用水というか、生活用水というか、そういうものをまず第一に確保するということが必要であろう。そういうことになりますと、都会と地方ということになりますと、地方には何らかの方法もある、手だてもある。都会にはその手だてがないということになりますから、密集地域である都会地をまっ先に考えなくちゃならぬだろうということに私はなるだろうと思いますし、また渇水期の場合にそういう手だてはどういうふうにすべきかと、そういうことにつきましては、今後十分研究してみたいと思います。
#101
○田中一君 あんまり都市生活者だけが自分を優位に立って先にくれということになると、また水源地の人にも困るでしょうが、水源地では地下水もくみ取れるんです。もう都会じゃございません。それは大工場は地下水を持って飲める水もあるところもあるでしょうけれども、その点これは、法律的に、河川局長どういま建設大臣の答弁に対して、建設大臣はそれを検討してみようということなんですが、事務当局としてはどういう考えをもってこの規定がつくられておるのか。実際においては生活用水が優先いたしますということの、いままでのそうした扱い方をしておったんじゃないかと思うんですが、その点はどうです。
#102
○政府委員(松村賢吉君) やはりこれは、生活用水優先ということは守らなきゃならぬと思います。これにつきましては、法律的にいきますというと、あっせん規定等もありますので、これを活用していければいいかと思いますが、なお法律問題につきましては次長のほうからちょっと御説明させます。
#103
○説明員(川田陽吉君) 先生御承知のとおり、河川法第五十三条の第二項といたしまして、精神規定でございますが、いわゆる渇水調整を行なう場合には、「当事者は、相互に他の水利使用を尊重しなければならない。」というまず義務づけをやりまして、その次の三項におきまして、河川管理者は、その協議が成立しない場合におきましては、「当事者から申請があったとき、又は緊急に水利使用の調整を行なわなければ公共の利益に重大な支障を及ぼすおそれがあると認められるときは、水利使用の調整に関して必要なあっせん又は調停を行なうことができる。」という規定を背景にいたしまして、ただいま大臣から御答弁がございましたような趣旨、水というのは、先生かねがね仰せのとおり、人間生活の最も基礎的な、重大な生存の要件でございますので、各利水者の設得と理解ということを得ながら、基本的な心がまえといたしましては、生活用水に重点を置いたあっせん、調整を行なうべきものと考えております。
#104
○田中一君 経済企画庁に聞きますが、今度の新しい国土総合開発の問題についてはいずれあとにしますが、この治山治水五カ年計画の中に、水は今後――いまのところはまだいいんですが、今後、将来として日本の国土を中心にしてあらゆる面から水を求めようという政策が立てられておろうと思うんですが、各省間におけるこの調整というものは、それはまあ経済企画庁が行なっているはずでありますが、いままでに各ポジションの間に問題が、議論が出たことがありますか、水の取りっこです、結局。それから水源地の求め方等について。そして水の供給、これはますます増大しなければならぬという場合に、新しい考えとして、新しい貯水池を全国的な形で求めていく、いわゆるつくっていくというような先行投資をすべきだという考え方、こういうこと議論になったことございますか。その点、ちょっと聞いておきたい。
#105
○政府委員(下河辺淳君) 一番目の御質問であります水の取り合いという問題でございますが、実際にはダムの建設にあたりまして農業の立場あるいは治山治水の立場あるいは工業用水の立場、水道用水の立場、いろいろ御承知のようにございますから、調査を始めます段階で各省間あるいは地元の利害関係者の間で意見の食い違いを見ることばないわけではございませんで、かなり激しいやりとりもございます。しかし、私ども経済企画庁が扱っております水資源開発促進法に基づきます基本計画をきめ、ダムをきめ、そして実施主体をきめるという過程の中では、そのやりとりに一つの終止符を打ちまして、結論を出して、調整した上で予算措置をして、事業実施主体のほうへ実施をお願いするということをルールとしておりますので、調整のついたものがかなり多いと思いますが、やはり御指摘のように水の逼迫が非常に激しいわけでございますから、水を生み出すことについての調整問題についてはさらに私ども努力を重ねる必要がある実態にあるというふうに思います。
 それから二番目に御質問いただきました先行的な水の開発という点でございますけれども、実は先ほどから御指摘いただいていますように、首都圏、近畿圏等におきます水の逼迫状態はここ一、二年というところでも逼迫している状態で、なかなか先行投資型のところまで手が届かずに、むしろ追いかけて開発していくということで、先ほど水資源公団の総裁から申しましたように、なかなか調査もうまくいかない場合もございますし、地元の調整がうまくいかない場合もございまして、きめられた計画を着実に実施するだけでも相当骨が折れているという実情でございます。先行的にというところは、私たちが全国計画をつくります際には全国土にわたって水のネットワークを意識しておく必要があるんじゃないかという御提案をいただいて勉強を始めた時期もございますけれども、実務としては、いま申し上げたように現実に追われているというのが実情でございます。
#106
○田中一君 先ほども申し上げたように、地域によっては水は要らないんだという地域もあるんです、過疎地帯には。これらのものを積極的に流域変更をして必要な川に落とし込む。これはいままでもずいぶん歴史的に問題がありましたけれども、いまはもう常識になっております。水はだれのものでもないです。水は無私物であり、かつまた民族全部の生存のために必要なものです。したがって必要な地点にまで水を落とし込むということはできると思うのです。かつては発電が先行するとか農業が先行するというような形がありました、いままでは。いまでは、これは日本ばかりでございません、世界的なものだと思うんです。水が必要でない場所にも流れておる。むろんこれには、必要でないと言っても、いわゆる生活用水として必要でない余裕があるところです。こういう地域もあるわけなんです。この水を、たとえ費用がかかろうと、あるいは技術的にどんな困難があろうとも、必要な河川に流し込む、落とし込むということはいまこそ必要だと思うんです。したがって、全国的に、どの線の水はどう、雨量はどう、何はどう、雪がどうとかいうことはわかっていると思うんです。高度成長政策、こいつが熱源、エネルギーというものを中心にして開発された時代がございました。しかし、いまはそうでないことは明らかなんです。口じゃ人間尊重と言う。しかしながらまだわれわれは、日本の民族は天から与えられるところのこの水をたかだか一〇%、一割しかほんとうに生かして使っておらぬという現状は、これはもうどの統計を見ても明らかです。したがって余裕のある水は、ホンファッフしようと何しようと、これを必要な河川に流域を変えていくということこそ今日の緊急な課題であります。ただ単に水は水源地から低いほうに流れて海に流れ込むのだという過程における利用だけでなくして、積極的な姿勢で水量というものを調べ、それをプールすることです。これは四国にもその他にも例がございます。青森県の赤石川にしても、ほかにも例はたくさんございます。こういう開発、流用といいますか、むだに海に流し込むという水を、余裕水を必要なところに持っていくという仕事が現在水を解決しようというまず最初のとば口であります。いたずらに水源池ばかり荒し回るのじゃなくして、自然流量というもの、これを余裕あるものはどちらからでも、少数のものでもかまいません、集めて、集水して、必要なところに山越しで送っていいわけなんです。ことに北陸方面は御承知のように年間を通じて隆雨量が非常に大きいのです。そこに住んでいる方は生活用水としてどこまで使っているか、この検討もしてないんではないかと思うんです。こういう場合には、山越しで太平洋へ落ち込む河川のほうに送り込むということを考えていただきたいのです。これは流域変更です。かつては血の雨を降らしたところの農民がおれの地域の水はおれたちの農民のものだ、この水はおれたちのものだと、これは今日法律的にも慣行水利権として定着しております。しかしながら、もはや水の行政、水の根本的な解決というものは流域変更にあるのだ、農民のかつてのような水に対するところの執着は減っております。水は必要な場合に必要なところに持ち込むことが一番正しいのです。たれ流しの水だけに、おれのものだと言っている思想はもうなくなりました。したがって、この時点こそ、人類の生存のためにも、公平な、豊かな生活を守るためにも必要であろうと思うんですが、下河辺君、ひとつこれに対する考え方、これを定着させるように努力していただきたいのです。と同時にこれに対する君の答弁を聞いて、それから建設大臣、今後の水の行政というものは余裕水は必ず不足している河川に落とし込む、それが農民諸君のために存在するんだという私の意見に対する御批判をひとつ願いたいと思います。
#107
○政府委員(下河辺淳君) 御指摘いただきました点でございますけれども、実際私どもがいままでやってきました点は、たとえば利根川水系について基本計画をきめます場合に、出発点では利根川のことだけ考えておりましたけれども、だんだんと実態を考えまして、荒川であるとか中川であるとか、あるいは霞ケ浦であるとかという周辺水系まで一緒に考えようというところまでは実務的にはきているかと思いますけれども、今日の首都圏の水の逼迫の状態から見ますというと、それだけではなかなか処理がつかないという実態でもございますから、御指摘いただきましたように、もう少し広域な水利について検討しなければならないというふうに考えておりますから、その点では、御指示いただきました点について、企画庁としてもさらに河川局とも相談して勉強をしたいと思います。しかし、その際にもう田中委員に申し上げるのは釈迦に説法でありますけれども、吉野の場合、筑後の場合、いろいろ経験してまいりまして、やはり水源地の方々、あるいは流域の方々というものは水について長い歴史を持っておられますから、水量が他の地域に流れ去ってしまうことについてはなかなかいろいろな問題が利害関係としてもあり、感情問題としてもございますから、それらとの調整の問題というのはきわめて慎重に考えてみたいというふうに思いますし、一方で、きょう国土総合開発のことはあとでとおっしゃったので長く申し上げませんが、やはり人口の配置そのもの、あるいは産業の配置そのものにやはり少し根本的な問題があるという見方もしておりまして、現在一都三県の人口推計を首都圏の方々と少し相談を始めておりますが、一番激しい場合にやはり三千八百万をこえるのではないかという推計がございます。水の問題、広域の問題非常に多角的に全体を考えました場合には、二千八百万程度に押え込まなければならないんじゃないかという検討もしておりまして、そういうことを少し見通したことと同時に、また、先生おっしゃるような水の供給体制、広域化についても検討を加えなきゃならないというふうに考えておりますので、ことしは利根についての水計画についてさらに検討を始めたいという予想もしておりますので、その辺、御指摘の点を踏まえて、さらに検討を続けたいと思います。
#108
○国務大臣(金丸信君) 先生の御高説を拝聴いたしまして、水は大切にしなければならないということだけは当然でありますが、まあ吉野川の高知県から香川県に水を引いたというような例もあるわけでございますから、そのまま流し、海に送ってしまうということは、外国で申せば、水が不足しておるところはポンプアップまでしてまたその水を使うというところもあるようでありますし、そのような貴重なことをしなくても、まだ日本では流域変更というようなことでいけばやれる面もあろうと思います。いま下河辺局長からもお話ありまして、なかなかむずかしい面があることは間違いないと思うのですが、そのむずかしいことを解決していくことも政治であろうと私は思いますので、十分ひとつ検討してまいりたいと思います。
#109
○委員長(沢田政治君) ただいまから休憩に入り、一時十分に再開いたします。
   午後零時九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十分開会
#110
○委員長(沢田政治君) 建設委員会を再開いたします。
 屋外広告物法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
 その前に、委員長として一言お答えしたいと思います。
 それは、屋外広告物法の一部を改正するに際して、田中委員のほうより、この法案の中心は何といっても条例に具体的な部分を委任しておる、こういうことだから、条例そのものを審議の参考上ここに出すべきだと、こういう要求があったわけです。それを委員長が受けて、委員長として当委員会に、次回の委員会までにこれを配付することを要求したわけです。その際に、政府のほうでもこれを了としたわけであります。そうして、田代委員の審議に入ったわけでありますが、どうも田代委員と政府側の答弁がかみ合わぬと、そういうことで私のほうから過般要求しておった条例を出してほしいということで、田代委員の審議の途上においてその条例が出されたわけであります。ところが、それ以前に、質問の順序もこれあり、田代委員のほうから条例の提出方を政府のほうに求めておったと、ところが、審議の途上において事前に田代委員に対して出しておった条例と、その後の条例を見まするならば、明らかに相違があるわけであります。でありますから、当委員会としても非常に審議に重要な支障を来たしたわけでありまして、委員長としてもまことに遺憾であり、好ましくない、こういうように考えざるを得ません。したがって、悪くとれば、これは常識的にとっても、意図的にこれをずらせて、しかも別のものを出したんじゃないかということも考えられるわけであります。そういうことで、これから審議に入っていただくわけでありますが、そういう疑念があると審議もスムーズにいかぬと思います、これは。どうしてかかる手違いになったのか、手違いじゃなく意図的にそうしたのか、この点を都市局長でもけっこう、官房長官でもけっこう、明確に責任を持った答弁を委員長としては求めたいと思います。
#111
○政府委員(吉田泰夫君) 御指摘の件についてお答え申し上げます。
 四月十二日の委員会におきまして、田中先生からの御質問中に、今回の改正部分についての標準条例案を次の委員会に提出するよう御要求がありましたので、内容を検討いたしました上、委員部を通じて標準条例改正要綱案として取りまとめ、これを委員会に提出いたしました。これが四月二十四日の委員会に委員部から配付された資料でございます。
 ところが、それに先立ちまして、御質問のあった四月十二日に田中先生から夕方までに至急届けるように連絡がありまして、当日夕刻取り急ぎ提出いたしました。また別に田代先生からも御要求があり、同じものを先生にお渡ししたわけでございます。
 これらの資料の中には、委員会に後刻提出いたしました資料と異なりまして、講習会修了者の特例の規定が入っておりません。これは内容の検討が不十分であったために講習会修了者の特例の規定を落としておりましたものを両先生にお渡しした次第でございまして、その後、十分検討いたしました結果、右の特例の規定を標準条例案に入れて、的確に指導する必要があると考えまして、これを加えたものを委員会に提出いたしたわけでございます。
 経緯は以上のとおりでありまして、決して他意があったわけではございませんが、軽率に資料を提出をいたしましたために、その後の委員会の御審議にたいへん御迷惑をおかけしましたことを深くおわび申し上げますとともに、今後は十分注意いたしまして、このようなことのないようにいたします。
#112
○国務大臣(金丸信君) ただいま都市局長から御説明申し上げたわけでございますが、事のいかんを問わず、かようなことをいたしましたことについては、まことに御迷惑をかけまして、申しわけない次第でありまして、心からおわびを申し上げますとともに、今後かかることのないことをお誓い申し上げまして、おわびといたします。
#113
○委員長(沢田政治君) 委員各位のお聞きのとおり、動機は別としても政府側の手落ちであったと、こういう釈明がなされておるわけでありまして、さらにまだ疑点がありまするならば、委員長はこれに対して発言を許したいと思います。
#114
○二宮文造君 すでに大臣からお話がありましたので、もう何をか言わんやという段階にきておりますが、私は二点、さらにこの問題についてお伺いをしておきたいと思います。
 その一点は、いまの都市局長の説明によりますと、田中委員が委員会のこの席上で資料を要求された、そして夕方までに出してもらいたい、時間的な問題は別として、少なくとも委員会の席上で要求されたその資料を提出をされた。それを単なる事務的な折衝が不十分であったというような釈明では、今後、私どもは建設省から提出される資料について、一々これは討議が十分になされたんでしょうかどうでしょうかと、こういうふうな詰めをしなければなりません。事はさように簡単なものじゃないと思うんです。少なくとも委員会の席上で要求された、しかも問題の焦点になる標準条例、その要綱を二通り出された。まあ、どこかから聞こえてきた声によりますと、とりあえず出したというふうなお話も前回承りましたけれども、これはその一言で解決できる問題ではないと思います。そして私どもはやっぱり田中委員、しかもそれと同じものを田代委員に提出をされた、これは当然建設省として意向を取りまとめたものと、こうお認めになるのが適当ではないかと思います。しかし、その後、解釈の不備が省内で疑問になってきて、したがって、このように取りかえて提出をさしていただきましたと、こういうふうに釈明されるのが私は正しい釈明のしかたではないか、ただ事務的に協議が十分でなかったというような釈明ではあいまいではないかと思うわけです。これが一点。
 それからもう一点は、前回の委員会で内閣法制局の方がお見えになって、そして第九条の解釈の問題についてるる御説明になった。あの解釈が正しいとしますならば、何もあらためて第九条の問題を云々する必要はない。事少なくとも内閣法制局ともあろうものが、自在に法文を解釈するような答弁を当委員会にしておるということは、私は問題だと思う。これは内閣法制局の方がいらっしゃいませんので答弁を求めることはできませんが、しかし、当面の建設省としては、なぜ内閣法制局にあのような答弁をさせたか、その背景についてもう一度説明をしていただきたい。この二点を私はお伺いをして、この問題についての建設省――ひいては今後のいろいろな法案にも関連してまいります。もう一度建設省の確たるお考えを承りたいと思う。
#115
○政府委員(吉田泰夫君) 十二日の日に両先生にお渡しした案につきまして、いかに日にちが切迫していたとはいえ、非常に不十分なものを出しましたことを重ねておわびいたしますとともに、急いだとはいえ、その段階で、私ども、あの標準条例案を考えていたわけでございます。それをお渡しした上で、なお委員会に提出するまでの期限を使わしていただきまして、いろいろと問題にならないような、十分、私どもの意図が府県にも伝わるような意味の標準条例案を書かなければいけないということに気づきまして、明確にあのような講習会修了者でなくても、同等と認められるようなものがあればいいんだということを標準条例案に書かなきゃいけないということを反省し、加えさしていただいた経緯でございます。
 なお、内閣法制局に私どもが私どもの都合のいい解釈をお願いしたわけではないわけでございますが、問題は、私どもも第九条の原案でも講習会修了者の設置義務を条例で定める際に、その条例で適用除外その他の規定は置けると思いますが、しかし、それは法律でははっきりいたしません。置けるというだけでございまして、必ず同等の者を同等に扱えということにはなりませんので、そういう意味では、第九条の法文自体に講習会の課程を修了した者ばかりでなくて、それと同等の知識を持っている者も条例上同じく扱われるということが明確にあったほうがより適当だと考えております。あのときの御質問は、九条でそういう適用除外的なことが条例で書けるかという御質問だったので、法制局もあのように答弁されたものだと考えております。
#116
○高山恒雄君 この問題は、まあいろいろ、いま説明にこれつとめ、かつまた大臣からも非常に政府としての手落ちであると、今後一切そういうことのないようにしたいと、こういうお話もあったわけですから、私はしかし、あえてこの問題で申し上げておきたいことは、この種の法案は、掲げてある条文だけを見ればいかにも簡単な問題であると私は察知ができるわけです。しかし、田代委員が質問いたしましたときの経過から私が想像しますのに、少なくとも法律を出す場合に、政府としての関連省との連絡、たとえば労働省との、職業訓練を終えた者の資格のものがあるのかないのかとか、そういう検討の欠陥だと私は思うんです。その欠陥を指摘されたので、これはしまったということから、ここにその課程の全部または一部を免除することができるという解釈をつけざるを得ないところに追い込まれたんではないかというような感が深いのであります。で、私はこの種の問題だけじゃないと思うんです。法案を策定して委員会に提出する場合は、少なくとも関連省が必要とするならば、やっぱり政府としてそういう話し合いを内部で十分する必要があると、その欠陥がここに出ておると私は思うのです。
 私、きょう三時からになるか四時になるかわかりませんが、質問をすることになっておりますから、もう一つのそういう点もございますので、そのときに質問はしようと思いますが、私はそういう過程を踏んできておる今度のこの法案については、やっぱりミスはミスとして今後の関連省との連絡を密にして、そうして法案の作成にあたると、この基本的なものがなければ、私は自後こういうことがあってはならないということだけでなくて、関連省との連絡を密にして、異議があるかないかという内部の調整が最も必要かと思うのです。この点を明らかにする必要があるんじゃないかと考えるんですが、むしろ、これ大臣、どうお考えになりますか、答弁、お聞きしたいと思うのです。
#117
○国務大臣(金丸信君) 建設省の職員の中でこういう問題が起きたということは、まことに私の責任でありまして、当然、先生のおっしゃるようなことは十分やってしかるべきことをやっておらなんだという面もあったと私も思います。そういう点につきましては厳に戒めまして、今後かかることのないように、各官庁とも十分な連絡をとらせ、そうしてこのような二枚舌を使ったようなかっこうにならないように今後持ってまいりたいと思っておりますので、今回に限りましてお許しを願いたいと思います。
#118
○委員長(沢田政治君) 本件に関してはこれで打ち切るわけですが、二段の解釈を持ってこっちがだめであればこっちというように、そういう二段がまえというようなことはとってほしくないと思うのです。これは議員の指摘によってミスだ、修正するということならいいんですけれども、責任の所在をうやむやにして、こっちで乗り切れるならこっちで乗り切ろうと、こういう法案に対する準備、態度、解釈では、そういう法案については今後まあ審議できなくなるかもわかりません。しかし、そういう釈明がありましたから、陳謝もありましたから、本件についてはこれで打ち切ります。
#119
○田代富士男君 去る四月二十四日の当委員会におきまして、私の質疑をしてまいります中で、第九条の講習会の課程を修了した人を中心とした論議が問題点となりまして、ただいま委員長から話がありましたとおりに、この問題は委員長にも私一任しておる形でございます。また建設大臣、あるいは関係の局長からもお話がありましたが、やはり私も国民の代表の一人といたしまして審議をしていく場合に、やはり質問をするには質問をする基準となるものが必要ですから、そのために資料をお願いして、その資料を中心として質疑をやっているわけなんです。その資料が、これはまだ本意ではない資料であるといわれた場合には、今後も困ることでありますし、いまお話があったとおりでございますから、今後そういうことが起きないようにひとつ気をつけてやってもらいたいと思います。
 前回に引き続いて、私はこの法案の趣旨につきまして質疑を行ないたいと思いますが、あくまでこの問題点は、美観風致を維持いたしまして、公衆に対する危害を防止するということがこの第一条の精神になっております。私は最近の新聞も全部調べてみました。いろいろ屋外広告物によるところの被害というものが多いのに実は私もびっくりしている次第です。これは何とかしなくてはならないということで、今回こういう広告業全体の質の向上という意味も考えまして、講習会云々ということも考えられたことと思います。しかし、そういうものをやったからこれが解決するという問題じゃないと思うんです。起きている問題一つ一つを取り上げていきますと、これを行政指導していく立場にあります建設省の立場として、行政指導が行き届いてない面が非常に浮き彫りされているんです。これは私は今回この問題を通じまして、いろいろ調査いたしました段階で痛感をいたします。こういう点を、問題点を取り上げまして、一つ一つ解決していく方法と、それから大きく包括していく方法と二つの方法からとっていかなかったらならば、この第一条の精神にありますような趣旨に沿うことばできないじゃないかと思う次第です。その一つ一つ、こまかい問題ですけれども、二、三点、私は具体的な問題を提示いたしまして、これはどうするのだということから、これを積み重ね、そしてまた大所高所から検討していかなくちゃならないと思いますから、例をあげますと、アクリル樹脂でつくった看板等がございます。これが十メーターないし十二、三メーターのものがありますが、その看板のうち、台風でそのアクリル樹脂でつくった十何メーター一枚ということはありませんから、そのうちの一枚がはげた場合には全部がだめになっていくわけなんです。そういう意味から、看板の大きさとその材料の関係も私は規制する必要があるんじゃないかと、まず第一点を取り上げたいと思うんです。
 先日の委員会で私が質問をいたしましたのは、四メーター以上の看板には建築基準法の対象になっているけれども、基準法の具体的な条件がそれに働かされますけれども、四メーター以下には屋外広告物法にはよりますけれども、都道府県の条例やその他の施行規則を見ますと、具体的な安全規則は示されていないじゃないかということも質問をいたしましたが、これと合わせまして、ただいま申し上げましたとおりに、アクリル樹脂等でつくった看板というものは、非常にこれはそういう面の危険度といいますか、そういうものがある。そこで、広告の大きさと材料との関係という、そういうことにも規制をはかる必要があるんじゃないか、いま申しましたとおりに、これは小さな問題の一つ一つの提示でございます。こういうところから解決していかなくちゃならないと思います。まず、その点はいかがでございましょうか。
#120
○政府委員(吉田泰夫君) 屋外広告物の、特に公衆の危害を予防するという面につきましての重要性はおっしゃるとおりでございます。材質によりまして大きさが風その他に対する耐力を持ち得ないということも十分考えられるわけでございまして、屋外広告物法に基づく条例等におきましても、大きさ等の規制は、必ずしも危害予防の面ばかりではございませんが、通常含めておるわけでございます。
 それから材質につきましては、標準条例などには的確な規定を置いておりませんが、たとえば標準条例案の第八条に「倒壊又は落下のおそれがあるもの」あるいは「著しく破損し又は老朽したもの」、こういったものは設置してはならないというような表現でもって、広告物を当初に設置する場合及びその後の維持管理について規定しているところでございます。
#121
○田代富士男君 いまの私尋ねたことは、端的に言いますと、看板の大きさと材料の関係も規制すべきじゃないかということを端的に言いましたが、ちょっと私いま局長の説明では理解できないんですが、もうちょっと端的に御説明願えないものですか。――じゃ、もう一つ例をあげましょう。これは具体的な問題ですから、局長もたいへんだと思いますから、もう一つ例をあげて申し上げますと、いろいろ建物があります。いまこの審議をやっております、この会館の建物は新しい建物です。こういう鉄筋もあればモルタルもあります。また古くなった建物もあるわけなんです。こういう都市部にはさまざまな建物があるところに、さまざまな広告というものが取りつけられてあるわけなんです。取りつけられてある広告につきましては、外見から見ますと事故が起きそうもない完璧に取りつけをされているように見えますけれども、その建物にもいろいろ種類があります。いま申しましたそういう建物と看板の大きさですね、あるいは重さ、そういうものによりまして、もちろんいろいろ配慮はされてありますが、ボルトでとめるかあるいはくぎで設置をするか、また、とめるところの構造部分がどうなっているのかということが、あまり明確にされないままに取りつけなくちゃならないから取りつけているという、そういうようなのが実際の実情じゃないかと思うんですね。そういうことで、たとえば台風や突風が起きたときに、その広告物が落ちて、第一条にありますとおりに、公衆に対する危害を防止するんじゃなくて、反対のそういうような現実の事故が起きているわけなんです。そういうわけで、安全な取りつけ方法をする基準というものが端的に言ってない。これだけの大きさの看板であるならば、これだけの重さの看板であるならばこうこうすべきである、あるいは、ボルトの種類におきましても、こうこうなるものを使用すべきであるとか、そういうようなものですね。そこで、第一番目に私が質問いたしました看板の大きさと材料の関係もあわせて規制すべきであると。これは一貫いたしまして安全な取りつけ方法に対する基準というものがない。そういう点に、こういうものが野放しの状態になっているから、こういう点は検討をすべきじゃなかろうかと、こういう質問でございます。意味、おわかり願ったでしょうか。
#122
○政府委員(吉田泰夫君) 材質あるいは材質との関係における看板の大きさ、あるいは、そういった大きさ、重さによる取りつけ方の基準というようなものを明確にして広告物による危害を未然に防止するように検討すべきであるというお話だと承りました。おっしゃるとおりでございまして、取りつけ方その他の安全基準の詳細につきましては、先生、先日御指摘がありましたように、建築基準法等によりまして、一定の大きさ以上の広告塔などの工作物に、建築物の確認に準じました工作物の確認というような制度がございまして、そちらの規定でしさいにチェックすることになりますが、これの適用にならない程度の大きさのものでありましても、ものによりましては危険を生ずるということは十分考えられるところでございまして、現在の屋外広告物法に基づく条例等におきましても、広告物の表示につきましての許可申請に対し、そういう危険を伴うような程度の大きさのものなどにつきましては設計等を添えて出させるようにいたしておりまして、県の部内におきましては建築系統の専門家も含めまして検討の上、許可しているわけでございます。材料そのものについて直接的に規制するほうがより安全のために適切であるということは考えますが、屋外広告物法の現在の体系から見まして、そこまで今後書き込んでいくべきかどうかについては十分検討さしていただきたいと思います。
#123
○田代富士男君 まあ、これはこまかい問題といえばこまかい問題でございますが、やはりこういう問題を一つ一つ解決していかなければ、私は、これは検討するとおっしゃいますけれども、まあ私なりに、ほんとうに検討してもらえるのかということはこちらにぴんとこないんです、正直に申しまして。まあここでおざなりの答弁で終わるんじゃなかろうかと思いますが、ともすればそうなりがちですけれども、これは一番、事故が起きてからそういう対策に力を入れるのと、事故を起こさないように未然に力を入れるのと、どちらにポイントを置くかという大事な点じゃないかと思うんです。私がいま具体的な問題を二つ取り上げましたけれども、これは事故を未然に防ぐという方向です。だから、起きてからその事故の被害をどうこうするという、それも考えなくちゃならないけれども、事前の力を注ぐことも大事じゃないかと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
#124
○国務大臣(金丸信君) とかく、検討するということは流れがちになる傾向のあるという御指摘、そういう傾向が私もあると思いますが、ただいま局長が検討するという、その検討につきましては私も十分監督して検討いたしますから、ひとつ、まかしていただきたいと思います。
#125
○田代富士男君 そこで、もう一つ。すべてのことがあまりにもうやむやの状態であるという端的な例は、一つの広告を出す場合には広告主がおります。その広告主から依頼を受けました元請の広告業者がおります。その元請業者が自家営業をやっている場合は、そのまま作業を始めて広告物を製作をしてちゃんと取りつけまでやるでしょうが、一がいにそうはいきませんで、その下に下請業者というのがおります。現在の過程というのはスポンサーから元請、下請に回されるというのが一つの流れのようになっているんじゃないかと思うのです。その場合、この第一条の精神にありますとおりに、公衆に対する危害を与えた場合の責任というものは、端的に、広告主、元請、下請業者、この三者のうちのだれがこの事故を起こした場合の責任を持つのか、この責任体制が明確にされてないと思うんですけれども、この点はいかがでございましょうか。
#126
○政府委員(吉田泰夫君) 屋外広告物法上の責任者は屋外広告物を表示する者でありますから、その広告主ということになりまして、業者については広告物法上の責任ということはないわけでございます。もちろん、建設業法とかあるいは建築基準法の適用がある場合も多いわけでございますので、そちらのほうの法令では業者あるいはその下請業者まで含めました責任が問われることはあるということでございます。
#127
○田代富士男君 いま局長の話を聞きますと、広告主にも責任があるけれども、その事故が起きた場合のいろいろな事故の現象から見た場合には、取りつけをした下請業者とか、そういうものになることになりますが、ここらあたりが明確ではないわけなんですね。もっと明確にできないものですか。いまの範囲内の条例でこれは明確にされていると思われるのか、それとも、もっとこれは明確にすべき点が現在あると思われるのか、その点どうでございますか。
#128
○政府委員(吉田泰夫君) 屋外広告物法上は、先ほど申しましたように、許可を受けるその主体は広告主ということになっておりますので、この法律に関する限り、あるいはこの法律に基づく条例に関する限り、その責任者は広告主ということになります。
#129
○田代富士男君 しかし、そうもいかなくて、私はなぜ心配をするかといいますと、この広告業者、特に屋外広告物をやっていらっしゃる業者という全般的な業界の状況というのは、登録制にすべきであるということもまだ踏み切れない、そのために今回は届け出をやろうという、まだそのような状態でありまして、端的に申しますと、零細なそういう業者が多いわけなんです。で、こういう事故を起こした場合に、そういう負担というものがその業者にかかってきた場合には業者はたいへんです。そういう面で明らかに私はすべき点があると思うが、そういうことがあるんじゃないか、それを心配するために明確にしておきたかったわけでございます。
 そこで、これは業界のあるお方に尋ねたわけです。そういうこともあり得ます、そういうことで、業界の中でも、その連合会に入っている人と入っていない人と、ずいぶんのお方がいらっしゃるそうでございます。その連合会に入っている人はこういういろいろな規定に沿ったことをやられておりますけれども、それを改めていかなくちゃならない点もありまして今回のこういう法案審議ということにもなったと思いますが、その業界の人がこういうような意を述べておりました。それは、現在、全日本屋外広告業の団体連合会がございますが、ここである保険会社との間に広告物の賠償責任保険を結んでいらっしゃるそうでございます。これは一応の体制がこれで整っているようでございますが、この内容は、広告物の破損だとか、倒壊したとか、落下等によりまして第三者の人あるいは物に与えた損害を補償する制度、いわゆる対物対人責任保険であるわけなんですね。このような広告物自体についての保険制度があるそうでございますが、これはあくまで任意保険である。これは強制ではない。しかし、いま言うように零細な業界でございますから、何か機会がなければこういう思い切った改革ということもできないから、これを機会に強制保険への転換を検討してはどうか。また、私、手元にその資料も持っておりますが、ここに持っております保険の内容の資料を見ますと、現在保険の対象になされてないものもありますが、その対象をさらに保険の対象にされるように範囲を広げてはどうか、そのような意見も聞かれたわけなんです。今回、業者の届け出によりまして業界の実態をつかもうとしていらっしゃる建設省といたしまして、こういうような任意保険の現在の一応の体制は確立されておりますけれども、すべて交通関係におきましても強制保険ということも実施されております。ここにおきましても第一条の精神から申しますと、公衆に対する危害を防止するためにも、また、これは防止するよりも今度は起きた場合のことも、零細業者であるためにこういうような強制保険ということも検討する必要もあるんじゃなかろうかと、このように一業者の意見を声として私は反映させたいと思うのですけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
#130
○政府委員(吉田泰夫君) 先生のおっしゃいますとおり、現在任意制のもとに保険会社との間にこの種の保険制度を結んでいる例はございます。私ども、いざ事故が起こった場合のことを考えますと、こういった保険制度に加盟されて、いざというときの賠償が担保されるということはまことにけっこうだと思います。ただ、これを一挙に強制加盟方式による保険制度にまで切りかえるべきかどうかにつきましては、まあ損害賠償の保険制度による担保という面から見れば、そのほうがはるかに実効があがることは事実でございますけれども、一方そこに強制というものが働くということにつきましてなお検討しなければならない問題があると思います。御指摘でございますので、今後この賠償責任保険のあり方について十分慎重に研究させていただきたいと思います。
#131
○田代富士男君 それは事故が起きた場合に備えあれば憂いなしという一環として、これも今回これだけ対処しようとされておりますから、いまさきの大臣の趣旨に沿いまして考慮し、検討していただくようにお願いをしておきたいと思います。
 それから今回の法案の趣旨によりますれば、各営業所にはそれだけの講習会を修了した資格のある人を配置しなくてはならないようになるわけなんです。そうしますと、いま全国でこういう広告業者というお方はまずどのくらいいらっしゃるものか。また、建設省かこの講習会修了者と同等の資格を有する人とみなされるお方はどのくらいあると見ていらっしゃるのか、そこらあたりの数字をお示し願いたいと思います。
#132
○政府委員(吉田泰夫君) 業者の数は全国で大小合わせまして約六千六百というふうに把握しておりますが、この講習会修了者と同等とみなされる者の数というものにつきましては、いろいろな職業訓練法その他によって類似の、あるいはそれ以上の長時間にわたる訓練、講習等を経られた方も多いわけでありますけれども、その数の総数については的確にはつかんでおりません。いまざっと試算いたしますと、職業訓練法による指導員、一級技能士、二級技能士、これを合わせますと約四千五百人ほどいるようでございます。
#133
○田代富士男君 もう一度ちょっと確認いたしますが、全国の業者は大小入れて六千六百、そうして講習会修了者と同じ資格のある人が約四千五百、こういうような見方をしていらっしゃるわけなんですね。そういたしますと、これは数字の上からこういう判断をすることはどうかと思いますが、大きい営業所は支店もあるでしょう。しかし、大体業者の中で法人化、すなわち株式、有限、合名会社あるいは合資会社等は大体三四%くらいしかない、このように聞いております。その中でも株式の形態をとっていらっしゃるのは二〇%弱であるということになりますと、営業所を持ってやっておる人というのはさほどあまりない、一応少しあるとしまして約六千六百ということでございますから、営業所の数をふやしたとして七千と見て、それで講習会修了者と同等の数が四千五百と見た場合に、数の上ではあと二千名前後でございます。それじゃこの二千名の人が講習会を受けるわけですね。そういたしますと、当初の第九条のそもそもの問題は、こういう講習会修了者のみということでは、ここが問題になってきたところでございますが、これは私は繰り返しませんけれども、千名か、あるいはそこらの人が十八時間の講習を受けて営業所についたとします。そうした場合に、千名かそこらの人の講習会でねらわんとしていらっしゃいますような効果がどれだけ出るか。私は千名やそこらぐらいやったとしても、これは講習会を行なう前の業界全体の状況とさほど変わりがないじゃないかと私は思うんです。その点の考えですね、いやそうじゃないと言われるかわかりませんが、それで当初はこういうような講習会修了者と同じ資格者を営業所に配置するという考えはなかったかと思います。この論議は、前回もこれが問題点になったところですが、また端的に言ってそういうあれだから、六千ないし七千の人が講習会を受けるならばこれだけの効果があると。それはそうでしょうけれども、今回は千名や二千名弱の人であるならば講習会やってもさほどの状態のかわりばえはないと思うんですが、この点のどういうメリットがあるのか。それはなければおやりになりませんけれども、私はさほどの影響はないと思いますが、その点どうでしょうか。
#134
○政府委員(吉田泰夫君) 職業訓練法による同等とみなされるような人々が、まんべんなく各業者に入っておられるとなりますと、その数で全国の営業所数のかなりの割合を占めるということにもなりますが、実態を伺ってみますと、わりあい大企業のほうに片寄って入っておられ、中小の業者にはあまり入っておられないというようなこともありまして、必ずしもそのような引き算だけで講習会を必要とする人の数が計算されるというわけでもないわけでございます。また、新たに講習会を受けなければならない人の数が、全体の営業所数から見てそう多くないと見ましても、やはりそれだけの人は全く講習会なしで営業している現状に比べれば、やはり多少の講習といえども基礎的な知識を修得されるわけでございますので、今後法律あるいは条例、あるいはその表示の方法等について十分に知らなかったというようなことによる不都合というものは、まず相当程度是正されると思われますので、やはりそれだけの効果はあると考えております。
#135
○田代富士男君 そこで、それだけの効果があると、まあ、そのように思われるからこの法案を出していらっしゃると思いますが、ここは端的に言って矛盾があるんですね、講習会そのものに。その対照的な例を私はあげます。
 たとえば、ろうあ者が講習会を受けるとするならば、どういう措置を講じようとされるのか。技術者ですから、往々にしてこういうろうあ者等が従事している場合が多い。例をあげますと、福島県のいわき市というところがあります。そこに有限会社のとんぼ工芸という会社があります。この会社につとめております二十四歳の青年がおります。この青年はろうあ者です。ろうあ者でありながら、四十七年度の第一回の全国障害者技能競技大会の広告美術部門におきまして優勝をしております。このとんぼ工芸の社長の話です。これは社長の話、私の意見ではありません。彼は会社にとってはなくてはならない人で、将来わが社の重役にもなってもらいたいと思っている。ただし、彼は会社に恩義を感じてくれているので将来もやめないつもりでいるらしく、一生ここで働かしてくださいと言っている。まあ、おしですから、ことばじゃないけれども、そういう意思でおるということですね。しかし、このような優秀な青年が独立してやりたいというならば、当然応援もしなければならないだろう。もし、そのとき講習会が行なわれるとすれば、やはり考慮してもらうことになるでしょうねと。もうこれは優秀な技術を持っております。広告美術部門で優勝を飾っております。そうすると、いま局長は、この十八時間の講習会の内容は、屋外広告物に関する法令が六時間、屋外広告物の表示の方法に関する事項が四時間、屋外広告物の施工に関する事項が八時間と。まあこの二十四歳の青年は全部知らないかしれませんが、もう実際には会社の重役にもなろうとしている立場ですから、こういうことはもう全部、心得ている人とみなすわけなんです。ただ、彼がつとめているということだけであるけれども、独立する場合にはどうか。これはおしです。しかし、いまの局長の話、あるいは前回の委員会での局長の話は、この講習会に参加した人は、一応どれだけのものを修得したか、しなかったかは別にいたしまして、出席をしたことによってそれだけの資格は与えられることになっております、修得したものの有無よりも。そうなりますと、今度、端的に言いますと、十五年から二十年広告業をやっている、そういうおうちがあります。そうした場合に、御主人がこの講習会を受けなくて、奥さんが受けたとします。そうすると、奥さんが受けたとしても、この十八時間、日にちにすれば何日になるかわかりませんが、この人も同じ資格を持ったことになるんです。広告業をやっているところの奥さんがその講習会に出席しただけで。
 そうしますと、この講習会をもって広告業界のレベルをアップしょうというのがそもそもの趣旨であります。しかし、一面では、このようなろうあ者でありながら全国の障害者の技能競技大会の広告美術部門で優勝したような優秀な人、これはもう講習会を受けなくてもそれだけの資格はあっても、講習会を受けなくちゃならぬ。いま申しますとおり、今度は広告業をやっておるところのおかみさんが、ちょっと忙しいからおまえ行ってこいといって十八時間出れば、それでもう資格を許される。こういうことを考えていきますと、講習会の内容というものが都道府県の条例で細則は定めるということになりますけれども、趣旨はレベルアップするといいますけれども、私はこれは本末転倒じゃないかと。そういうわけで、この第九条の講習会の条例、「講習会修了者」というところに対しましては、いろいろのまだ、これは――私あげたのは一例でありますけれども、問題点が非常にあるんじゃないかと思うんです。私はこの二つの対照的な問題をあげました。これは具体的な問題です。これに対して第九条との関係はいかがでしょうか。それと、この法案自身のレベルアップをするという趣旨に対して、これはおかみさんが受けた場合もそれは資格を有するといった場合でも、これはちょっと本末転倒じゃなかろうかという、そこらあたりの考え方についての見解をお願いいたします。
#136
○政府委員(吉田泰夫君) おっしゃるような方であれば、これは第九条に基づく条例におきましても、非常に高度の知識、技能ある、は経験を持っておられることがはっきりいたしておりますし、必ずしも講習会の課程を修了しないでも、それと同等以上ということは知事において優に認定できるわけでございまして、おそらくそういうことによって、今後の広告業を営んでいかれる場合に支障はないと存じます。なお、ろうあ者その他のいろいろ身体障害者の場合もあるわけでございますが、こういったものにつきましても、講習会の方法によりまして受講できるようなことを考えたいと考えます。
#137
○田代富士男君 もう一つは、第九条の精神に乗って、この広告業者のおかみさんが受けた場合のことは、いま答弁がないんですが、当然このとんぼ工芸の将来重役にもしたいというろうあ者に対する場合は、具体的にそれを考えていくと言うけれども、そういうろうあ者に対する対策というものは、現在はないわけなんです。現在あるんですか。今後検討していくとおっしゃるけれども、どういうふうに検討されるのか。私が言っているのは、こういう、たとえば広告業を営んでいるおかみさんでも、その人が広告業の仕事をやる人であるならば、これはプラスになりますけれども、主人が忙しいから行けないから、資格だけだったらおまえ、おれはいいからというわけで出された場合に、ただ資格を取ると。そうした場合には、これの趣旨に沿わないと、そういうこともこの中では明確にされてないと、この点に対してはどうなんだと。だから、この前からは、この第九条のこの条文そのものも問題ですけれども、内容にも多くの問題が残されているという問題点の一つなんですけれども、この点はどうでございますか。
#138
○政府委員(吉田泰夫君) まず、「講習会の課程を修了した者」ということでございますが、これもただ、たとえばその三日間の講習会に出席したというだけではなくて、やはり出席してそれなりの知識を修得したということでございますから、普通は簡単な考査等によりましても――もちろん、そうむずかしい試験をやるというわけではございませんが、そういった考査によってその課程修了ということを認定することになると考えられます。先ほどの、非常に熟練者のたとえば奥さんが三日間講習に行けば、それでこの資格が与えられるということは、普通に出席されて、普通に聞いておられれば、その考査にも通るでしょうから、そういう意味で御指摘のとおりでございますが、たとえ、そのような簡易なものであっても、現在何の制度もないということに比べれば、それなりの効果はあると私ども考えて御提案さしていただいているわけでございまして、講習会を修了したからもう十分だというようなことには必ずしもなりませんが、まあ何にもないのから一歩出発して、最低限度の講習会を受けるということを条例で定める道を開くという趣旨でございます。
#139
○田代富士男君 初めて聞いたんですが、これは講習会が終わりました時点で簡単な考査をするということですけれども、この条例の中にそれは含まれているんだと言われればそれまでですけれども、簡単な考査といいますと、どんな考査ですか。これはちょっとたいへんなことですよ、いまここで簡単な考査をするとおっしゃいますけれども。これは趣旨説明のときにも、まあ私は、この法案がこれで三日目でございます、この屋外広告の法案。一貫して、第一回目のときには、そういう何か試験があるのかというようなことも出たかと思いますが、そういうときには、そういうものはやらないというようなふうに話が出ていたような、これは私の聞き違いかわかりませんけれども。これ試験が、私がいま言ったように、広告業の奥さんが出席した場合に、それも通すのかということで考査をすると、そうした場合にその奥さんは十八時間受けても、その考査で通らなかったら、十八時間受けても何にもならぬということになるわけなんですね。そこあたりはどうなんですか。だから、どの程度の考査であるのか。そうしなければ――中には、こういう零細業者でろうあ者等もおると、中には字の書けない人もおるでしょう。そういう人は筆記考査なのか、口頭考査なのか、そこらあたりの具体的な、これは県の条例で定めるのかあるいはどこでだれがどう定めるのか、それは都道府県において自由とされるのか、その辺が一つも明確にされてない、この点はどうなんですか。
#140
○政府委員(吉田泰夫君) まあ考査と申し上げましたのは、出席日数が足りないとか、そういうことで判定するのが一番考えられるわけですが、普通に出席しておりましても、全く聞いておらぬというようなことでも困るわけでございますので、そういう意味で、最小限度のことを聞いたということがわかる程度のことを考えておるわけでございまして、非常に簡単な、まず普通に出席して、普通に聞いておられれば、当然課程を修了した者と認定できるような平易なものでなければならないと考えております。
#141
○田代富士男君 これね、局長ね、私が質問するときこういうこと、たまたま伺うんですけどね、これはちょっとおかしいですよ。おかしいと思われませんか。講習会に参加させて、より質の向上をはかってこの近代化をはかっていこうというわけなんでしょう。それで、最初は講習会修了者のみに限るというふうに解釈されていたのが、同等の資格ある人もよろしいということで、われわれはいま理解しているわけなんですけれども。それで、いま端的に私が両極端な例を、具体例を出したわけなんです。その両極端の具体的な例を出した場合に、われわれの納得できるような説明が得られないわけなんです。だから、いま言うように、広告業の奥さんが行って出席しているだけで、考査をするけれども、だれでも答弁できるくらいのそういう考査であるなら、やってもやらなくてもいいじゃないですか、そうなったら。だれでもというくらいだつたら。そこらあたりですよ。どこできめるのか。都道府県の条例でそういう考査をするというものが一項目入るのか。考査となりますと、これは少なくとも労働省所管におきましては職業訓練等ありまして、カリキュラムを組んでおりますよ。少なくとも、それと同等の資格となりますと、それ相当の考査をしなければこれは意味ないと思うんですよ。考査をすると言うから、ちょっとおかしくなるのと違いますか、そこらあたりどうですか。
#142
○政府委員(吉田泰夫君) まあ考査ということばを使いましたが、私ども考えておりますのは、出席しましてもほとんど聞いていないというようなことでも意味がありませんので、大体聞いて、その日数を消化したもいうことを、何らかの判定を普通行なうのではないか、そういうことで考えたわけでございまして、もちろんこの認定のしかたにつきましては、具体的には条例によってきめるわけでございます。
#143
○田代富士男君 いま局長ですね、この考査によって何らかの判定を行なうという、何らかの判定の基準となるものは何ですか。
#144
○政府委員(吉田泰夫君) 講習会によっていろいろな法令あるいは表示の方法等一定の時間講習するわけでございまして、それを普通に聞いておられれば当然まあおわかりになるはずだというようなごく簡単なことを聞いて、それも全部できなくてももちろんいいわけでございまして、とにかく講習会を一通り聞いたということがわかるようなことが普通考えられるんじゃないか、こういう意味で申し上げたわけでございます。
#145
○田代富士男君 これはね、私これは理解できませんよ。これはね、一般論での御説明では、これは理解できませんよ。だから、当初からこの講習会については問題があるといった問題がまた再びここで浮き彫りされてきておりますよ。私これちょっと考査をする、講習会修了者に対して。たとえば私がいま具体的な例をあげましたいわき市のとんぼ工芸の青年は、技能大会で優勝した青年はどんな考査でも通るでしょう。しかし、広告業の主人が病気のために日にちに参加できないから奥さんを出した場合に、奥さんが講習会に出席したけれども考査にひっかかった。考査ということは、いまの段階ではどこにも出ていない。県の条例でそれは明確に出されるのか。出されるとするならば、建設省としてもそれだけの考査をするということになりますと、考査をする、何らかの判定と言いますけれども、考査の何らかの判定をするという基準というものを明確にしなければ、これは都道府県においてやさしいところときびしいところと、でこぼこができた場合にはこの責任はどうなりますか。少なくともこの線は初めて行なう。簡単に、大げさに言うならば、これは各美容師あるいはああいう理容師組合にも国家試験があります。一番最初お医者さんから始ましました。そういう国家試験ということまではいきませんけれども、ことばをかえるならばそれに準じたものになるわけです。一番最初ですからやさしいでしょうけれども、この考査というものがいままでわれわれの頭にはありませんでした。そういうものは、講習会に参加した人は自動的に今回は認められるという考えできていたところが、考査をすると局長からいま聞いてびっくりしているわけなんです。考査の内容は何かというと、何らかの判定を下す。何らかの判定となるならば、基準は何かといってもそれが明確でなかったならば、ちょっと明確にこれは大臣していただきたいと思う。明確にしてもらわなかったら、これは質問を続けるわけにいきませんよ。その点どうでしょうか。これは明確にしてもらわない以上は、私ば質問を続けるわけにいきませんよ、これ。
#146
○委員長(沢田政治君) 速記とめて。
  〔速記中止〕
#147
○委員長(沢田政治君) 速記つけて。
#148
○政府委員(吉田泰夫君) 先ほど考査と申し上げましたが、講習会を修了、ただ課程を全課程出席すればいいということで条例を定めてもいいわけでございますので、運用のちぐはぐの起こらないように、この九条に基づく条例におきましては、考査のたぐいのものは、いかに軽易なものでもやらないということで、ただ課程に出席したということをもって修了者と認めるように指導いたしたいと思います。
#149
○田代富士男君 そうしたら委員長、私は資料をもらって第九条の質問をしましたよ。そのときの資料は、第一回目にもらった資料は、建設省としては、これは急いでつくった資料でありまして、ほんとうのものじゃありませんということだった。それで、本委員会の当初に私はその問題を委員長に預けてありましたから、委員長からこの問題についてのお話がありまして、解決して、今後そういうことのないように、私はこの講習会に対して、いまやってもあまり効果がないのと違うかということから、じゃ具体的な問題を出しましょうといって、いわき市のとんぼ工芸の問題と、ある広告業者の奥さんとの問題を対比して出した。その時点で局長は、それは、そういう広告業界の奥さんに対しては考査をするからというようなことを言われた。いまは、その問題に対して考査をしませんと言ったら、これは首尾一貫してませんよ、これ。これが十分もたっていませんよ。考査をします、どういう考査をするのかというのは、何らかの判定をいたします。その基準はといったら、ない。それで、いまは考査を取りやめます。こういうようなあやふやな第九条であるのかどうか、大臣いかがでしょうか。こんなあやふやな第九条だったら問題だと思うのです、私。大臣も前回も聞いていただいた。何も私が建設省をいじめているわけじゃありません。国民の代表として言っておりますが、いまの答弁は考査すると言った、十分もたたないうちに考査はしません。何ぼ変身の時代だといいますけれども、こんなみごとな変身は私はないと思うのですが、これはどうなんですか。
#150
○国務大臣(金丸信君) 私もこの法案を一読いたしましたが、この問題は、試験は、考査はやらないというように解釈をいたしておったわけでございます。問題は講習会をやることに、過渡期ですから意義がある、こういうように私は解釈をして、それでよかろう、こう私は、いろいろ矛盾もそこに生まれるとは思いますが、過渡期ですから講習会をやることに意義がある、こういうことに私は解釈をしては了解をいたしたわけでございます。
#151
○田代富士男君 そうしたら、大臣のお考えと局長のお考えが食い違っていたら――大臣と局長とは車の両輪でなくちゃならぬ。その両輪の片方が行ったら、これは、この法案は進まぬということです。これはどうなんですか。
#152
○国務大臣(金丸信君) 局長は、講習会をやって、ただ出ればよろしい、居眠りしていてもよろしいわなんという気持ちになられては困るからというようなことで、ちょっとはずみで飛び出したことばだと私は思います。ぜひひとつその辺は御理解いただきたいと思います。
#153
○田代富士男君 まあしかし、大臣がはずみとおっしゃれば、私はこのことでまた建設省に対してどうこうというあれはありませんけれども、いまの話を聞いていて、少なくとも私は個人としてばかにされているのじゃないかというような感じを受けるのです、正直に申しまして。いやしくも、これが初めての第九条の審議じゃないのです。第九条の審議は問題点があるからというわけで、私なりにも慎重にこれを取り上げているわけなんです。それで私はるるいろいろ質問をした中で、こういうことならば本末転倒じゃないかということを私は出しまして、それに対して考査をしますと、これも一回じゃなく私は二回、三回念を押して、それに対してやりませんと、大臣もそういう考査をやらないつもりでいたと。こうなりますと、私の質疑に対してまあ適当にということになりますと、私としても、簡単にそういうはずみでと言いますけれども、これははずみというのは、何かの場合に突如として出た場合にはずみです。しかし、これは第九条の「講習会」というのは前回の委員会でも委員会がストップをした問題です。それに対して、またはずみが出るということは考えられないですね。はずみよりも私は真実が出たと思うのですが、どうですか、大臣。
#154
○国務大臣(金丸信君) はずみということばが適切であったかどうかわかりませんが、先生の論法が急なために戸惑ったというようなところがあるんじゃないかと思いますが、真意は考査をすべきでない、これは局長が言うことでなくて大臣が言っていることですから、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
#155
○田代富士男君 じゃ、そういうことのないように、私は、これはもう一度明確にしておきますけれども、講習会に参加した人であるならば、いずれにしてもこれは資格を与えるということを確約できますね。考査等はしないということを明確にしていただきたい。
#156
○国務大臣(金丸信君) 考査等はやりません。免許を与えます。
#157
○田代富士男君 じゃ、この問題はこのくらいにいたしまして、大臣がおっしゃったとおりを私も信用いたします。
 それで、労働省所管のいろいろな職業訓練等があります。そういう国家資格についての扱い方につきまして、労働省との間に具体的な協議がされたと思います。前回は、この法案を出すについて、あまり協議がされてなかったと思いますが、その後、協議も進んでいると思いますが、その内容の報告をお願いしたいと思います。
#158
○政府委員(吉田泰夫君) 労働省との間におきましては、職業訓練法に基づく職業訓練指導員免許所持者、それから技能検定合格者、それから職業訓練修了者であって、広告美術仕上げにかかる者につきましては、この屋外広告物法に基づく講習会の課程を全部免除する、それからいま申し上げましたものに該当するもので帆布製品製造取りつけという課程にかかる者につきましては、その関係の講習会の課程を一部免除する、こういうことを打ち合わせております。一方、労働省といたしましては、この屋外広告物法の一易改正法案の施行前に、いま申し上げましたような者が講習会修了者と同等の知識を有することとなるように、多少不足する科目についての追加をする、こういうことにいたしております。
#159
○田代富士男君 労働省との関係についてはいまお話を聞きましたが、私が前委員会から、これは労働省との関係をおもなポイントとして質疑をやってまいりました。これは労働省だけじゃないと思うんです。文部省等におきましては、それぞれこういう工芸関係の学校等におきまして、たとえば広告美術科等のカリキュラム等をやっている学校等がありますけれども、そういうその他の省に対しましては条例案要綱についてはどのような打ち合わせをされたのか、お聞かせ願いたいと思います。
#160
○政府委員(吉田泰夫君) 条例案要綱におきましては、同等と認められる者を免除するとか適用除外するとかということを考えておりまして、その認め方につきましては、知事の定める規則によるとか、そういうようなことでさらに詳細をそれぞれ規定いたすことを予定しておりましたために、一々の資格につきましてどういうふうに扱うというふうなことを標準条例案には書いてございませんが、いま申しましたような程度の内容の講習会でございますので、これに適すると思われるようなものはやはり拾っていくべきだと思います。また、一部科目につきまして明らかに同等以上のものも多々あるわけでございますので、そういうものにつきましてはその一部科目を免除するというふうなことにすべきあると考えております。いろいろと関係する資格も多うございますので、まだ網羅的に各省と打ち合せしておりませんが、たとえば電気工事士法に規定する電気工事士の資格を有する者につきましてはネオンの類に関する課程というものは省略していいんじゃないか、あるいは建築士法による建築士の資格を有する者につきましては広告塔とか広告板その他これらに類するものについての課程というものは省略していいんではないかということを考えております。
#161
○田代富士男君 これはまだ各省と、文部省なら文部省といろいろやっていった場合には問題点が出てくるかと思いますが、今度は時間も一時間ということで定められた時間が参ったようでありますが、時間がありませんが、講習会をこれやるということでいままた問題が起きたわけなんですけれども、どういう人が講習会を担当するようになるのか、また講習会を、いま、さっきから申しますとおりに十八時間三つの内容で行なわれますけれども教材はどういう教材を使用されるのか、そこらあたりのことについて御説明を願いたいと思うのです。
#162
○政府委員(吉田泰夫君) いま私どもが考えております講習会の課程は、屋外広告物に関する法令、屋外広告物の表示の方法に関する事項あるいは屋外広告物の施工に関する事項等でございまして、まず法令につきましてはやはり担当の県の職員が一番詳しいと思いますから、この講師としては県の職員がふさわしいのではないか、その他の事項につきましては、まあそういったことに経験あるいは学識を有する方が講師になっていただくのが適当であろうと、こう考えております。教材につきましては、その講習会の内容によりまして最も理解を得やすいような教材を各県において作成するということになっております。
#163
○田代富士男君 もう時間がありませんが、あとお聞きしたいことは、この講習会の内容の資格の問題についていろいろお聞きしたいと思ったんですが、時間がありません。最後に私は、最初から一貫して申し上げてきたことは、この屋外広告の業者の皆さんは零細業者が非常に多い、いまさっき申しましたとおりに、法人化されているのが、全体の三四・二%というような状態で、個人でやっている人が六五・八%と、こういう比率が高いわけなんです。また、この屋外広告業者はあまりなれていないしろうとでもすぐつくれる広告物もあれば、熟練者でなくてはつくれない、そういう広告物もある。種々雑多です。大きいの、小いさいの、さまざまありますが、これはすべて大量生産できない手づくり的なそういう業界で、零細企業の人がほとんどでありますから、今後こういうような業者を建設省のほうで掌握をしていきたいとおっしゃると同時に、こういういろいろな規制というものが打ち出されていきますと、一たんは業者を苦しめる場合もあり得るかわからないけれども、また、業者を育成していく、近代化させていく一面にもなると思うんですが、そういう面で、大事なことば保護、育成という面で、こういう全面的に零細業者に対する保護政策を私はとってもらいたいと思うんです。そうしなければ、これは根本的な解決にならないと思うんですが、大臣、その点いかがでございましょうか。
#164
○国務大臣(金丸信君) 最近、環境というものに対して国民の関心が非常に高くなってまいりましたし、また一面、そういう面で非常に環境の、ことに東京の風致というような問題等を考えてみますと、広告法という法律も御協力を得て改正しなければならぬわけでありますが、しかし広告業者は、御指摘のとおり、非常に弱小業者が多いということでありますから、建設省自体にいたしましても、保護、育成ということについては十分改正の暁にいたしてまいりたい、このように考えております。
#165
○高山恒雄君 基本的なことをちょっとお尋ねしたいんですが、違反の張り紙、立て看板の除却の措置の簡素化、こういうことを第一の目的としておられるんですが、その中で、条例に明らかに違反した表示に対しては、これは相当期間を放置されていること等が明らかな張り紙は、あるいはまた立て看板は知事の命によってこれを除却すると、こういうことになっておるわけです。したがって、これは相当の期間ということはいろいろ判断があろうかと思うんです。一体「相当の期間」という、いま政府が考えておられる、放置されておるその期間というものをどの程度に見ておられるのか、この点まずひとつお聞きしておきたいと思います。
#166
○政府委員(吉田泰夫君) 相当の期間を経過したという場合の「相当の期間」といたしましては、各都道府県における張り札とか立て看板の許可期限というのが通常一カ月程度であることなどを考えまして、長ければ一カ月程度、しかしながら広告物の表示内容等から見まして、すでにその表示内容の期限を経過しているというものにつきましては、一カ月たたないものであっても相当期間経過しているということが言えるんではないかと考えております。
#167
○高山恒雄君 その場合、少なくとも手続をとって張り紙をした場合は、いつまでたってもこれはもう取り除くことはないんだと、こういうふうに考えてもいいのかどうかですね。違反者だけの、あるいは十日なりあるいは一ヵ月なりして違反と認めた場合はそれを取り除くと、これはわかりました。ところが、手続をとって、いつまでも長い期間放置されている場合もありますわね。そういう場合はどういうふうなお考えなのか、手続とった場合のことです。この点はどうですか。
#168
○政府委員(吉田泰夫君) 許可を受ける等の手続をとりましたものにつきましては、これもその広告物の内容なり、ものによりまして違いはあると思いますが、許可期間というのが通常きめられます。その許可期間が過ぎれば、さらに更新許可するということもありますし、もうそれで許可しないということもあるわけでございまして、もし許可の更新がなされないということになりますと、そこで許可がない状態になりますから、そこから違反の状態が始まるということで、同様に扱われるものと思います。
#169
○高山恒雄君 そうしますと、延長もできるわけですから、かりに一年間なら一年間の認可をもらうという場合に、それはけしからぬと規制することがあるんですか、ないんですか。これは非常にこまかい問題ですけれども、往々にして地方にはあるんですよ。一年間ひとつ広告をしたい、張り紙をしたいんだと、こういう場合はどんな長期でもこれを認めるという方針なのか。その基準はどこにもないと思うんです。こういう点はどうなっておるのか。一年でも二年でも張り紙をして、法の手続さえとれば、それを認可したものは一年でも二年でも放置できるということになるのか。それとも期限にはある程度の限定があるのかというと、法律上はないんじゃないかと思うんです、私は。その点はどうですか。
#170
○政府委員(吉田泰夫君) 標準条例案ではその第九条に、知事は許可をする場合に許可の期間を定めることができるというふうにありまして、「前項の許可の期間は、一年をこえることができない。」というふうにいたしております。期限が過ぎた場合の更新の規定はもちろん置いておりますが、そういうことで、私どもとしては一応最長一年ぐらいを考えた期間というものを示して許可する。それから先ほど申しました張り札、立て看板のような軽易なものにつきましては、これは標準条例には書いてございませんが、各県の条例では通常一ヵ月程度の期間を定めておるものが多いのでございます。
#171
○高山恒雄君 私もその法律を見て質問しておるんですよ。むろん、再延長できるということもわかっておるわけですし、したがって、私が申し上げておるのは、そのことを聞いておるんじゃなくして、一年でも二年でも手続さえとればできるんですかということを聞くんです。手続で許可しない場合もあるのかどうか。場合によっては許可しないと、こう言うかもしれませんわね。地方条例でまちまちだと思うんです、この点は。したがって、何かの条例で基準があるのかといったら基準もないようです、いままでね。あるいは六ヵ月以内なら六カ月以内の期限を切るべきだとか、何かその基準があればいいですけれども、いまあなたのお話では、大体一年以内ということぐらいを条例に考えてはどうかと思っておると、こう言われるから、そういうふうに考えてもいいのかどうかですね、その点をはっきりして言ってください。
#172
○政府委員(吉田泰夫君) 許可を行ないます場合に原則として期間を切る、その期間というのは最長一年ぐらいにしたらどうかというようなことを標準条例案では示しているわけでございますが、それを受けまして各県いろいろな規定をつくっております。東京都では、ものによりまして二年以内、一年以内、一カ月以内、三段階のものをつくっておりますが、この期間が過ぎた場合に、もちろん更新の規定は各条例とも置いているわけでございまして、その更新の手続を経ればさらに許可期間が延びるわけでございます。ただ、更新の許可をするかしないかというようなことは個々具体的な判断になりますので、条例でもそこまでは書いておりませんけれども、これは個々のその広告板の、広告の表示のしかたにつきまして具体的に判断していくということでありまして、広告物自体が相当長期間保存に耐えるような美観風致、あるいは危険という点もないようなものであれば更新されることが多いし、まあポスターとか張り札のようなものであれば自然取りつけも悪くなりますし、そういう意味であまり更新しないということはあるかもしれません。
#173
○高山恒雄君 わかったようでわからぬのだがね、もっとはっきりしておいてもらいたいんですがね。つまり張り紙についてとまあ仮定しますが、認可を受ける場合に半年の認可を受けたと、こういう場合には再度申請すれば一年認められると、こういうことはあり得るわけですね。それから、最初から一年やりたいという張り紙もないとも限らぬと思うんですよ。それをまた一年延期するという場合もあり得ると思うんですね。したがって、今後の条例の中で大体一年を基準にして、一年半も二年もということは考えておりませんと、こういうふうに割り切ってもいいですか。答弁をはっきりしてくださいよ、その点。
#174
○政府委員(吉田泰夫君) 再度申し上げますが、標準条例で私どもも各県にモデルを示しておるのは、最長一年ということでございますので、おっしゃるように、一応一年以上の期間のものは望ましくないということにいたしております。
#175
○高山恒雄君 それから、私物の場合ですね、私物の場合、土地が自分の所有地である場合、家屋が自分の所有のものである場合、そういう場合は許可を受けるのか受けないのか。たとえば、一つ掲示板をつくると、そうして掲示板そのものにはこれはあるいは広告板としての手続が必要かもしれません。それに張るものはかってに何を張ってもいいと、こういう解釈が成り立つんですが、その点の規制はないと思いますが、それはどうお考えになっておるのか。
#176
○政府委員(吉田泰夫君) 自己の管理する土地あるいは建物に表示するものでありましても、屋外において公衆に向けて表示するものは一応はその対象になるわけでございます。しかしながら、標準条例案においても示しておりますように、まず自己の住所とか事業所等に自己の店の名前あるいは商標、そういった内容のものを表示する、いわゆる看板、こういったものは適用除外にするとか、あるいは自己の管理する土地とか建物、これに管理上の必要に基づいて表示する広告物、こういったものも適用除外にする、ただし、どんな大きさのものでもいいということは、これまたいかに自己のための看板などでありましても不都合な場合もありますので、規制等にゆだねてその規格などをある程度制約する、その規格内のものならば適用は除外する、こういうようなことを指導しているわけでございます。
#177
○高山恒雄君 私はその点でなぜしつこく聞くかと申しますと、労働組合が長期ストライキをやります。そうすると、首切り反対というようなビラをずっと張りますね。会社のへいやなんかにたくさん張っていますよ。そういう場合、これはもう必ず経営者から苦情が出ると思うのです。そういう場合は、かりに一カ月以内であったらもう全部これははぎ取ってしまうということなのですか。そういう権限を与えるのですか。労働組合は長期争議をやっておる、なかなか頑迷で言うこと聞かないと、したがって、半年もあるいは一年もかかっておる争議がありますよ。その場合、工場のへいなんかにだっと張り紙をしたりなんかして、首切り反対あるいは退職金よこせとかいうような張り紙をうんとやりますわ。そういう場合に経営者から苦情が出ると、県知事の命令によって直ちに取っちまうのですか。その点はどうですか。
#178
○政府委員(吉田泰夫君) 公職選挙法などでははっきりと管理者等の同意を要すると書いてありますが……。
#179
○高山恒雄君 選挙法のことじゃないですよ、私は争議のことを聞いておるんですよ。
#180
○政府委員(吉田泰夫君) 屋外広告物法に基づきます標準条例案で、許可の基準というものを知事が規則で定めるようなことをうたっております。そういうところで多くの場合、他人のものに立てる場合にその管理者の同意を要するという扱いにいたしているわけでございます。
#181
○高山恒雄君 その場合ね、これはもう今度は自治体と組合とのまた争いになろうと思うのですよ、実際問題としてね。そういう紛争の中に立ち入って、苦情が出た場合はそれを除去するというようなことをした場合、これはよほどの検討を要する問題ではないかと私は考えるのですが、そういう問題の場合は別途取り扱いの方法を、基準的なものを考えるべきではないか。大臣、この点どうお考えになりますか。紛争の最中に苦情が経営者から出た、したがって、直ちに県知事の命令によってそれを除去してしまう、新たな、ここに一つの紛争が起こるわけですね。そういう場合は別途私は考える必要があるのじゃないか、いたずらな紛争を起こす必要はないのではないか、経営者と労働者との争いであって、ビラの取りはずしその他によって紛争をさらに複雑化するというようなことはできるだけ――労使問題に介入しない方法でこの解決をつけさせるというのが賢明ではないか、私はこう思うのですが、大臣はどうお考えになりますか。
#182
○国務大臣(金丸信君) まあ労使問題は労使で話し合って円満に解決することが一番理想的だと私も思います。そういうことですから、できるだけそういうものに対しては、まあ二年も三年もかかるということはなかろうと思うわけでございますが、できるだけ特別扱いをするようなことを考えざるを得ないというようなことに一みだりにこちら側から行ってはいでしまうというようなことになったらとんだ問題が起きる、労使でその問題の解決をすべきだと私は思います。第三者が入るべきじゃないのではないかという感じがいたしております。
#183
○高山恒雄君 局長、いま大臣の見解で、局長はどうお考えになりますか。
 それと同時に、これに関連してひとつお聞きしておきたいのですが、鉄道等は知事の指定する区域は禁止するということでやっていますわね。これは条例は大体そうなっていますよ。したがって、これはまあたくさんあるわけです、今日でも。われわれ汽車から見ても、至るところにもうありますわね。で、これもいたずらな紛争を起こさないために、あのままにして国鉄もやっておられるのだと思いますが、しかし、この指定する区域というのは、いまではばくとしております。ばくとしておりますが、こういう条例を付与する法律をつくるということになりますと、少なくともやっぱりこれは再考されるというような危険はないのかということを私は心配しておるわけです、いまの鉄道のいろんな看板を見て。そういうものの一つの、いま大臣がおっしゃったような見解の中で、やっぱり区域やその他についてもある程度の政府一案、基準が必要じゃないか、国鉄等においては。皆さん御承知のように、全国に国鉄はあります。それを、各自治体の考え方は、思い思いに区域の指定をしてみたり、それを禁止してみたりするということは、いたずらにこれは紛争を激化させる大きな原因になろうと思うんですが、そういう点、ひとつ局長はどうお考えになるか。大臣は、介入すべきでないとおっしゃっておりますが、大臣のことばを私は信じておりますけれども、鉄道区域等によって今後縮小される危険性があるんじゃないかという感じすら私は持ちます。その点、どうお考えですか。
#184
○政府委員(吉田泰夫君) 先ほど大臣が答弁されましたとおり、私どもも、その労使間の問題のようなものに、たとえこの法律に基づく条例、法律の規定によって知事に許可権限ができましても、いたずらにその権限を行使するということは避けるべきだと考えております。なお、鉄道の区域についても、別段、この法律の改正が通りましても、従来と変わることはないわけでございまして、特に鉄道の駅構内などは屋外ではございませんので、この法律の対象外となっているわけでございます。
#185
○高山恒雄君 この鉄道の、地方自治体――私もここまで勉強してないんですが、知事の指定するというのは鉄道のいわゆる管内ですか、管内をさしておるんですか。それ以外の路線、地域でしょう、それ以外の地域まで区域として認めておるんでしょう、現在は。それであるならば、私は、それを場合によっては縮小するのじゃないかというような感じを持つわけですが、管内だけで、これはもうそれ以外のことは考えていないんなら、それでけっこうです。その点、ひとつはっきりしておいてください。
#186
○政府委員(吉田泰夫君) 従来からこの鉄道とか道路の区域、あるいは、それから展望できる区域というようなことで、特に展望できる区域については二百メートルぐらいとか五百メートルぐらいとかいうことが実際条例等で規定されているわけでございますが、鉄道の区域につきましては、その範囲は明らかでございまして、それもいわゆる屋外に限るということでございます。
#187
○高山恒雄君 それじゃ、従来と変わりはないと、こういうふうに感じてもいいわけですね。
 そこで、もう一つお尋ねしますが、国立公園がございます。で、これも一つの基準に沿って知事の認可がなければ広告を出すわけにもいきませんが、かりに知事が認可をして、国立公園等の看板等で、往々にして、先ほどの二宮先生の御質問じゃないけれども、三分の一が風で飛んじゃって、あとに見苦しい姿がそのまま残っておるというようなところがなきにしもあらずです、これは。そういう場合の国立公園のそういう広告あるいは立て看板等においても、地方は、この法律に基づいて地方条例で取り除いてしまうのかどうか、そういう権限を持つのかどうか、この点をはっきりしておいてもらいたい。
 それからもう一つ。さらに講習を受けるという人は、三メートルとか四メートルとか、寸法においてもこれはある程度の規制を受けると思います。あるいはまた、資材においてもある程度の基準をおきめになるだろうと思いますが、そういう場合に、国立公園にもそういう広告を出す場合はその基準に従ってやらなければいかぬということになるのかどうか、国立公園の場合は別だとお考えになっておるのか、その点をお聞きしたいんです。
#188
○政府委員(吉田泰夫君) 自然公園法の規定で国立公園の区域内についての広告物の関係の規定もございますが、屋外広告物法及びこれに基づく条例は広告物というものだけに着目して、美観風致の維持あるいは公衆に対する危害の防止ということを目的としたものでありますので、自然公園法の国立公園の区域内に入り得ないというわけではないと思います。したがいまして、広告物条例の対象になっている限り、取り除く権限も知事は行使できるということであります。まあ実際には、屋外広告物法は必ずしも都市と限らないのでございますが、主として都市公園とか、そういった意味の公園などを頭に置いていることが多うございますので、自然公園法の区域にまであえて重複して対象区域を広げているとは限りませんが、そういうものもあり得るということでございます。
#189
○高山恒雄君 したがって、都市公園も国立公園も同等の取り扱いをしていくんだと、こういうことですか。
#190
○政府委員(吉田泰夫君) 私どもとしては、都市公園などは特に屋外広告物条例の対象にして、美観の維持等に積極的に取り組んでもらいたいと思いますが、自然公園の区域にまであえて積極的に取り組めと言う気はありません。ただ、その対象にしていけないかと言われれば、いけないというわけでもないということでございます。
#191
○高山恒雄君 環境庁、見えてますか。――やってもいい、やらぬでもいいというような答弁をいましてみえるんですが、こういう法律をつくる場合、国立公園かて承認を求めて、ある程度の広告もあると私は見ておるのです。したがって、この問題の法案を作成する場合、国立公園も統一をすべきだと私は思うんですよ。環境庁としては、この問題について相談を受けて、皆さんの意見もある程度挿入されたもので――これこそ風致美観、環境というのは、これはもう重大な問題だと思うのですね。そういう面から考えてみて私は重要視すべきじゃないかと考えますから御質問申し上げるんですが、御相談を受けて、環境庁としての意見をお吐きになったのか、これをどういうように適用していこうとお考えになっているのか、この点ちょっとお聞きしたいんです。
#192
○説明員(新谷鐵郎君) 私どもといたしましては、もちろん、この法案が出る前に内容については承知をいたしております。ただ、いま御指摘のような点につきましては事務的にこまかい打ち合わせをしたということはございません。ただ、そのときに、私ども承知しておりましてそういう話し合いまでいたしませんでしたのは、自然公園法に基づきます国立・国定公園内の広告物の規制は、これは環境庁長官の権限に基づきまして、もちろん実際には都道府県知事に機関委任されておりますけれども、いわば国立公園、国定公園の管理的な行為といたしまして、やはりそういう公園であれば全国一律に風致景観保護の観点から規制を行なうという趣旨のものでございます。で、この屋外広告物規制法は、美観風致の維持のほかに公衆に対する危険防止等の観点も加えまして、あくまで都道府県の事務といたしまして地域の実情に応じて必要な広告物の規制をする、そういう趣旨の制度であると理解いたしておりましたので、私どもといたしましては、観点が違うので、それぞれの規制があっていいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#193
○高山恒雄君 大臣ね、いまのお聞きのとおりですがね。私はこの種の法律を改正しようという場合、先ほど大臣みずからもおっしゃったように、環境面から見ても、あるいは美観風致ということを考えてみても、やっぱり日本全一体の問題として考える必要があるんじゃないか。いま局長のお話では、これを適用してもいいというような答弁です。したがって、これも統一のものにならないと思うんですね。で、環境庁といえども都道府県知事にある程度の一任はされておるわけですよ。したがって、認可をする場合もあり得ると思うんですね。で、いまこそこういう重要な問題は、先ほども出ておりましたが、やっぱり私は各省との完全なる連絡のもとにやる必要があるんではないか。そうして日本全体の美観ということを基本にして、そうしてこの種の法律をやっぱり提案するということにすべきだと思うんです。どうも政府はこういう点が抜かっておるわけですね。それで、いろいろこういう表面ばかりを見ますと、立て看板の違反をしておる場合、あるいは張り札の違反をしておる場合の取り除くことの簡素化が第一だということになっておるわけですな。取り除くことじゃなくて――取り除くことも美観にもなりましょう。けれども、これからつくろうとするものに対する監督というものは日本では必要じゃないかと私は思うんです。大臣、こういう点が各省ばらばらの姿における行政処置だと私は非難したいんです。大臣、この点どうお考えになりますか、それをお聞きしておきたいんです。
#194
○国務大臣(金丸信君) 環境というものが大きなこの法案の中心になっておるわけでございまして、そういう意味でいろいろ御指摘の点も十分わかるわけでございますが、その中で、広告物の一番いわゆる美観をこわしておるのは都市であるというところにこの法案の重点が置いてある。先生のおっしゃられる国立公園のその問題についても配慮すべきであるということは当然だと思います。都会ばっかりやればいいということじゃないと、言われてみればそう思いますが、重点が都会を中心に、人の集まっておるところを中心に考えてある法案であるということで御理解をいただければと、こう思いますが。
#195
○高山恒雄君 国民はいろいろな宣伝がしたいんですよ。今日ほど情報化時代といわれておるにかかわらず、まだ、この張り紙等の、張り札等の宣伝がしたいわけですね。ところが、私、例を申し上げますが、たとえば、都道府県・自治体が関係しておる福祉センターとか都市公園の入り口だとか、一定の寸法の、公園の面積に応じた掲示板を置くなら置くとか、そして一カ月以上広告が経過した場合はその上に張ることもできるし取り除くこともできると、そういう美観的なことを政府みずからがやるべきだと私は思う。そういう設備が日本にはないわけです。世界一という宣伝を日本はしておるんです。日本全体から見ても宮崎県ぐらいが一番こういうなにが少ないでしょう。どこに行っても、汽車から見てもあらゆるところに宣伝をしておりますね。それはもう美観をそこなっておるんですよ。諸外国では見られないところのいろいろな張り札、立て看板等が出ておりますね。せっかくこういうものをつくるならば、屋外広告物の法案を考えるならば、そういう点に重点を置いてやるべきじゃないかということを私は主張したいんです。これは私の意見ですが、今後、ひとつ、そういう点も考慮に入れておいてもらいたいと思います。
 それからもう一つお尋ねいたしますが、技術講習義務を今度は――先ほどの質問じゃございませんけれども、されるわけですが、これに対しては、私は費用が要ると思います。先ほど、六千六百ですか、にすでに四千五百はある程度の技術を持っておると、あと三分の一が今後この講習を受けることになろう、こういうことですが、こういう講習を受ける受講者から受講費用というのを取るのではないかという感じが私はしておるんですが、無料にするのか受講料を取るのか取らぬのか、この点をひとつはっきりしておいてもらいたい。
#196
○政府委員(吉田泰夫君) 実費程度は徴収できるものと考えておりまして、具体的にどういう額を取るかというようなことば、県の条例、規則等で定められると考えております。
#197
○高山恒雄君 そういうことがおかしいと思うんだね。すべて地方自治体にまかせて条例できめさすという行き方でしょう。同じ日本国民であって、一つの政府がこういう資格を与えるという場合に、一体、取る県と取らぬ県があってもいいんですか。少なくとも、受講料は必要としないということならしないように、私は方法があると思うんです。そういうものを、同じ日本の国民でありながら、それで、法律は国会でこうして立法しながら日本の国民にまちまちであってもいいということを言えますか。そういうことこそ統一をすべきじゃないかと私は思うんだが、大臣、どうお考えになりますか。地方条例できめれば取った、取らぬだですよ。一つの例を申し上げましてもいいですが、ここに資料がございますが、各都道府県で違反者の罰金を取っております、罰金を。この罰金の中でも、四十七都道府県で――まあ、これは四十六です、沖縄が帰ってくる前の資料ですから、四十六年度ですからね。その都道府県で罰金を取った金を予算に組んでおるのは香川県だけですよ。百七十二万五千円。あとは予算外にしておるんじゃないですか。全然取ってない県がありますよ。徳島は取ってないですよ。そういうことこそ一われわれ立法機関におって国会議員がものをきめるのに、日本の一億国民の中のわずか六千人か八千人の人の受講生がおるとして、しかもそのうちの三分の二はもうすでに講習を受けた価値のある、資格を持つ人がおる、わずか二千人か二千二、三百人の人だけが講習を受けて、十八時間の講習を受けるということになれば、少なくとも一万円か八千円取るんじゃないかという気が私はしておりますから、こういうことこそ条例に対して統一をとるべく指示を与える施策を入れるべきではないかと、これがなってないじゃないかということを私、指摘したいんです。何でも条例ならもうこっちできめないほうがいいですよ。現状のままで地方自治体にまかせたらいいんですよ、そのほうが。やっぱりこういう統一のできるものこそ、私は政府が一つの基準を出して、取らないで、無料でやらすならやらすと、こういう行き方をすべきじゃないかと思いますが、大臣どうお考えになりますか、この点。
#198
○国務大臣(金丸信君) これは各県まちまちであるということになれば問題だと思いますし、行政的な面で指導によって一律というようなことにしなくちゃならぬ。いま先生一万円というようなお話も出たわけですが、そんなにかかるということじゃなくて、せいぜいかかっても二千円程度だろうという話でございますので、私もその程度だったら将来講習が終わってから本もいただくだろうし、講習されるとき、内容というようなものは全部持って帰れるということでございますから、その程度じゃよかろうと、こういうことで、しかし、それはまちまちになってはならないと、これはあくまでも行政指導で徹底して各県一律でなくちゃならぬと、こういうようにも考えておるわけでございます。
#199
○高山恒雄君 局長いいんですか、いまの大臣の御答弁で、統一をしたいとおっしゃる御意見ですが。あなたは先ほど自治体にまかすと言われる。どうですか、その点。はっきりしておいてください、これ。
#200
○政府委員(吉田泰夫君) 私、先ほど申し上げましたのは、私ども考えれば実費程度は取ってしかるべきだと、こう申し上げたわけでもございまして、それにもかかわらず県の条例の定め方によって取らないというときに、それもいかぬということもないだろうという意味でございます。ただいま大臣が申されたとおり、できるだけちぐはぐにならないように指導いたしたいと思います。
#201
○高山恒雄君 その点はひとつできるだけ統一をしてください。私はそういう金は手数料で出ると思うんですよ、各都道府県の。これ手数料として取っておるわけですわ。大臣、私は張り紙の手数料というものはやめるべきだという意見を持つんです。こんなもの手数料の必要はないですよ。先ほど申しますように、取ったり取らなんだりする県があるし、ある場合は収入として百七十二万五千円予算にちゃんと入れておるところもあるし、いいかげんなものになるんじゃないかというような心配をしますね、公金を。ところが、やっぱり東京あたりでも二千二百二十五万九千円ですか、これ取っておりますが、こういう金を、手数料をどうしても必要とするなら、私はこの担当部ですね、担当部のある程度の基準をやっぱりきめて各自治体にやらすべきだと。一人のところもありますし、人口に応じていろいろでしょうけれども、ほとんどがこれ兼務ですよ。やっておる人は一人ですね。兼務で十ないし八の人が、そういう手続に来たときにこれを認可する場合の手数料として判を押したり何かしますが、これは決して、この判は市役所なら市役所、県庁なら県庁の専門家がそれやっておるわけじゃないですよ。こっちから二千枚持っていけば、二千枚にこの判を押して持っていきなさいと言って、こうやらせておるわけだ、実際は持っていって手続をとった人が判をついてくるわけですよ。こういう複雑なものの手数料なんというようなことば私は廃止すべきだと。それよりも、今度は違反者に対する罰則ができたわけですよ、違反者に対する罰則の罰金こそ必要じゃないか、やりたいものには手数料なんか取らないで、むしろそういう面をきびしくして、そうして手続をとる場合には認可を与えて、そうして認可の判を押さすと、押すのはその人が押していくと、こういうふうにしていけば、これは担当職員の定員をきめる必要もないし、あるいは兼任で私は十分間に合うと思うんですよ。いまもそういうやり方をしておるわけですよ。なおまた、この手数料については、これもまちまちです。一枚に対して一円のところもあります、二円のところもあります。先ほど私が言いましたように、全然取ってないところもある。こういういいかげんなものであるならば、もっとこれを基準をきめて、地方自治体にきめさせて、そうして秩序正しくやっていくと、できるだけ違反者を出さないようにすると、手続のとおりやすいようにすると、これが私は政府の指導であり、各地方自治体のつとめじゃないかと思うんです。こういうまちまちをさしておくために、むしろそういうむらができて違反者も出てくるというのが現実ではないかと、違反者をむしろそういう不統一のためにやっておるんだと。かりにある県の人が大阪に行ったと、大阪に行ってある人に聞いて、こういうビラをなしておるが、これは何ぼ手数料取ると、こう聞いたら、いや大阪は一つも取らないよ、こう言っていますよ、いや一方は二円取っていますよと。これはむしろ罪を政府がつくっておるようなものです。そういう不統一のやり方が立法機関である政府として、しかも国会でそういうことを是正ができないというようなことは、私はこれはもう県民に対してもすまないと、むしろやめるべきだと、手数料は。違反者に対する罰金をむしろつくったほうがいいと、そのほうが秩序正しいと、こういうふうに考えるわけですが、大臣はこういう点についてはどうお考えになるか、ひとつ見解をお聞きしたいと思うんです。
#202
○国務大臣(金丸信君) 手数料の問題につきましては、まちまちであるということについては、これは問題だと思いますし、こういうことがまちまちでないようなことにしなければならないと、でき得べくんばただであってしかるべきだと、こういうお話でございますが、私は自治体にまかしておるこの関係を、ただにしろということを指示することがよろしいか、これは行政的な指導でいろいろやらなくちゃならぬと思うんですが、いろいろ各県、各事情もあろうと思いますし、また各県、各自治体の事情も私承知いたしておりませんので、十分ひとつ調べて研究さしていただきたいと思います。
#203
○高山恒雄君 この法案で選挙を目的として張られるものに対しては、この前も質問が出ましたけれども、その考え方というものは選挙期間中という御答弁をしておられました。これはもう選挙期間中は選管においてちゃんと規定があるし、選挙法に基づいてやるのですから、私はそのことは質問はしたくないのです。これは選挙法に基づいてやる、選管がやることですから。しかし、選挙は各前の売れた人もあります。全然新しく出る、名前の通ってない方もあります。ところが、そういう人はできるだけ均衡をとらすやっぱり方法が必要だと思うのです。そこに事前活動ということが起こってくる。事前活動を目的として、たとえば県単位にそういう張り紙をしたい、こういう場合でもやっぱり二円取られるのですよ。もし、届け出をしてなかったら、それを張った場合は、選挙ともなれば、御承知のように各党から全部苦情が出てきます。そうすると、これはあわてて翌日取ってしまいますよ。こういうことも私は失礼だと思うのですよ。私は、実際にその目にあってよくわかっているのですよ。翌日取ってしまいます。こういう問題を明らかに私はしておかなくちゃいかぬと考えますのでお聞きしたいのですが、選挙目的の場合に、選挙期間以外のときにその人が届け出をした場合は、これはやっぱり三十日なりあるいは半年なら半年の張り紙は自由に、普通の一般の広告と同じように取り扱うのかどうか明らかにしておいてもらいたい。選挙期間中以外でもそういうことの認識に立ってといいのかどうかはっきりしてもらいたい。
#204
○政府委員(吉田泰夫君) 選挙期間外の屋外広告物の表示につきましては、その内容を審査いたしませんので、一般の広告物と同様に扱われ、許可を要する場合は許可を要するということになります。
#205
○高山恒雄君 選挙期間以外でも、一般の張り紙、立て看板等の手続があるならば、その期間中はよろしいと、こういう解釈でいいですか。
#206
○政府委員(吉田泰夫君) 選挙期間内はそのとおりでございますが、選挙期間外につきましては……。
#207
○高山恒雄君 外ですよ。
#208
○政府委員(吉田泰夫君) 選挙期間外につきましては普通の広告物と同様に扱われる、条例上は。こういうことでございます。
#209
○高山恒雄君 この間の答弁と違いますことは、この間の田中委員のときに私が関連質問さしていただきたいときには、選挙期間中という御答弁をされたわけです。きょうは選挙期間中以外の場合は一般の広告物と同じような取り扱いをして、手続をとっていただくならばそれでよろしいと、こういうふうに変わってきたわけですが、再確認をしますが、それでいいわけですか。
#210
○政府委員(吉田泰夫君) 答えが変わったとは思いませんが、選挙期間外の広告物は、その内容を区別することなく、一般の広告物の条例が適用になるということでございます。
#211
○高山恒雄君 それから、これは大臣にお聞きしたいのですが、事前活動であっても、――これは非常にむずかしいけれども、大臣一人じゃほんとうにお答えになれないかもしれませんけれども、事前活動であっても、いわゆる手続の認可を受けるなら、これこそ私は手数料を取るべきではないという見解に立つのですが、この点はどうお考えになりますか。選挙を目的とする事前運動の一つの宣伝広告のためにやる場合ですね、そんなときには公の問題として手数料としては取らない。これは枚数が多いんですよ、大臣。これはどこの県でもそうでございましょうけれども、これを全部取っておるなら、こんな収入じゃないですよ。たとえば、一つの地区の信任で立候補しようという、これから六カ月先にはいよいよ選挙だ、そういう場合の事前運動をやる場合、二万枚、三万枚というものを手数料として取られる場合は、二円にしますと相当な金額にのぼるわけです。ところが、それを取っていないところもある。もう、かってに張らせている。これこそ私は、事前運動であっても当然手数料は、これは無料にすべきだ。目的がはっきりしている限りにおいては、これは無料にすべきだと、こう考えますが、大臣この点どうお考えになりますか。
#212
○国務大臣(金丸信君) 先生と同じく私も選挙する身でございますから、この法案をつくるにつきましても、そういう面については細心の注意を払ってもらいたいということで指示をいたしたわけでございます。いま先生の、はっきりした目的がある政治活動だということであるならば無料にすべきだ、こういう問題につきましては、ひとつ研究させてください、十分に検討してみたいと思います。
#213
○高山恒雄君 十分検討していただきたいと思いますが、日本の場合は、いま選挙法の改正もやろうというので、出そうか出すまいかというやさきでもありますし、私は広く人材を求める意味からも、そういう公のことを目的とするものについては、金を取るべきではない、手数料なんか。認可を与えたら、認可承認の判をもって手続をとった人に押させる、枚数だけの届け出をさせるとか、こういうふうな簡素化された処置をとることが賢明だと思うのですが、大臣から研究させていただきたいということでありますので、ぜひこの点だけは公の一つの問題として私は検討してもらいたい、こういうふうに考えます。
 時間が参りましたので、私はただいまの希望意見を申し上げて質問を終わりたいと思います。
#214
○委員長(沢田政治君) 審議を継続いたしますが、その前に委員の異動について御報告いたします。
 ただいま、上田稔君及び中村禎二君が委員を辞任され、その補欠として船田譲君及び初村瀧一郎君がそれぞれ委員に選任されました。
#215
○春日正一君 広告物条例についてお聞きする一つの前提として――日本国憲法の二十一条、これには「集會、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」と、無条件で書いているんですね。そこで、これは憲法学者その他の間でも、主権在民という憲法の体制、それに基づく議会制民主主義、国民の権利、そういうものを守っていく上で、この表現の自由というものは、憲法のほかにきめられておるいろいろな財産の自由その他もあるけれども、とりわけ民主主義の体制を守る上で重要な権利なんだということが定説になっております。そこで、大臣は、この主権在民の憲法と表現の自由という問題についてどういうふうにお考えになっておるか、その点から聞かしていただきたいと思います。
#216
○国務大臣(金丸信君) 表現の自由というものは民主主義のまず一番の根幹であろうと私も思います。しかし、無秩序な無制約な表現の自由であってもならないと、そこに一つの秩序あるものがなくちゃならないと、こういうように考えております。
#217
○春日正一君 この議論はおいおい進めますから、本論に入ります。
 そこで、憲法の二十一条では表現の自由を、先ほど言ったように無限定に保障するとはっきり書いてある。ところが、屋外広告物法は、美観風致を維持し、危害を防止するためと第一条の目的にはっきりと書いてありますね。そういう目的で広告物に対する禁止、制限ができると、こういうことになっておるわけですわ。そうしますと、広告物というものは、いままでの議論でもすでにはっきりしているように、外に出して人の目に見えるものは全部広告物という扱いになっているわけですね。そうすれば当然それは、国民の、自分の考えを他に知らせる、あるいは訴える、そういう権利とか、あるいは国民のほかの側から言えば、いろいろな情報を多面的に受け取って、国の政治なり自分の進路なりに対して正しい判断を形成していくというような必要な条件、そういうものがやはりその広告物というものの中には含まれてきておるわけですわ。そうすると、当然、大臣が言われたように、無秩序なことじゃ困るからという、そういうものがかりにあるとしても、この表現の自由というものを無制限に――美観あるいは安全というようなことで、これを憲法の上において無制限に制限するというようなことはできない道理だと思いますよ。そうすると、一体、政府としては、ここの限界、広告物条例における制限の限界、その憲法とのかね合いについて一体どういうふうに理解して考えておいでなのか、そこの点を聞かしていただきたい。
#218
○政府委員(吉田泰夫君) 憲法の保障します表現の自由はきわめて重大な自由でありますので、これを美観風致の維持あるいは危険防止という観点から規制する場合にも当然限界があると考えます。私どもは、その限界のまず基本は、現在の屋外広告物法にもありますとおり、少なくともその広告物の表示の内容に関知しないこと、何といいましても表示の内容というものが表現の自由の最も中核をなすものでありますから、その内容に関知しないということが適当ではないかと、こう考えております。
 その他、今度は表示の手段とか方法ということになりますが、これにつきましては、現在の法律及びこれに基づく条例等によりまして、各県ですべて制定、実施されているところでございまして、いろいろ規定のしかたに若干の差はありますが、いずれも表現の自由というものと憲法上抵触しない範囲内において合理的に定められていると考えております。
#219
○春日正一君 確かに広告物法そのものを読んでみれば、「「屋外広告物」とは」云々というあれにして制限の内容についていろいろ具体的にきめております。しかし、実際にはそうなってないわけですね。建設省自身が法律にないこと一たとえば法律には電柱に広告物を云々ということが書いてないわけですわ、法律には。ところが、建設省が出したモデル条例、これのほうを見ますと、これには禁止の中に、「次の各号に掲げる物件に広告物を表示し、又は広告物を掲出する物件を設置してはならない。」というようなことにして、(5)という項目で「電柱、街灯柱その他電柱の類で知事が指定するもの」というようなふうにして、電柱に広告物を出すことを一面では全面的に禁止しておる。これはあとで、またそのすぐあとにこういう使い分けをしておる。そうしてまた次の一いまのは第一項のところですけれども、二項で「電柱、街灯柱その他電柱の類(前項第五号に掲げるものを除く。)には、はり紙、はり札又は立看板を表示してはならない。」というようにして、知事が許可したものは電柱にはやっていいけれども、いわゆる営業用の巻き看板とか張り出し看板みたいなものは許可するけれども、しかし、一般の民衆が、たとえば首切り反対だとかなんとかいうようなポスターを張ったり、そのようなことをしてはならぬというようなことを建設省指導しておるわけですよ、この条例で。建設省がそれを指導しているわけですわ。ところが、国民の権利という立場から見て、たとえば不当に権利が圧迫されて、そのために、生活を守るために労働争議をやるとか、あるいは公害反対の運動を起こすとかいうようなことで、そのことを世間に訴えていくためのビラは張ってはならぬ、張らせないというようなことをなぜ建設省指導するのか。明らかに国民の権利に対する攻撃を建設省が指導しておるということになるんじゃないですか。先ほど大臣の言った答弁とも違ってくる。これはどういうことなんですか。
#220
○政府委員(吉田泰夫君) 標準条例案で電柱を禁止物件の例示にあげておりますのは、電柱が普通、道路の両側にありまして、非常に目立ちやすい、そういうことは張り紙とかポスターなどの表示にはきわめて便利であり、有効である反面、その管理に徹底を期しがたいと、それから一つ一つの電柱ではなくて、電柱はずらっと立っておりますから、全体として見た場合に非常に多数の張り紙等が無秩序に表示されるということが予想されるわけでございまして、それ自体が町の美観風致を害するということもありますし、それから、そういうものが変色したり、破損したりした場合に、一そうその美観を害するという事態にも至るということが容易に想像されるわけでありまして、そういう意味で、美観風致の維持という観点から電柱を禁止物件とするということは適当であろうと考えております。
#221
○春日正一君 いまの話ですね、電柱というものがたくさんあって目につきやすいから、べたべた張られたら困るんだと、美観風致に関係があるというようなことを言われる。そういうことを、一建設省のお役人なり、あるいは政府が判断して、これは美観風致に関係があるからといって国民の生き死ににかかわるようなそういう訴える場所を奪ってしまうとか、あるいは政治的な非常に重要な問題について、国民に政治団体なりその他の団体が訴えようとする場所を奪ってしまう。その美観風致の判断を、建設省の大臣なりあるいは役人なり、そんなところだけでやってもいいものかどうか、一体。どうなんですか。それは、そういう権限があなたにあるというんですか。
#222
○政府委員(吉田泰夫君) 標準条例を出す前から、各県で屋外広告物法に基づく条例をそれぞれ制定しておりまして、県によりましては、電柱を禁止物件にしたり、一部、知事の指定するものを禁止物件にしたり、そういう扱いをしているところが多かったのであります。この条例は、この法律に基づきまして各県の議会を経て制定されるわけでございますが、その場合、その県内における学識経験者等の意見も審議会等をつくりまして聞いたりして、提案し成立させているわけでありまして、そのほか、こういったことにつきましては、幾つかの判例もございますので、私どもも憲法違反という問題はないと考えて一おる次第でございます。
#223
○委員長(沢田政治君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#224
○委員長(沢田政治君) 速記つけて。
#225
○春日正一君 いま各府県できめたというふうに言われていますがね、建設省がこういうものを出して、そうしてどれだけの府県が、電柱に張りビラやそういうものをやってはならぬというようなことを具体的にきめていますか。
#226
○政府委員(吉田泰夫君) 禁止物件にしているところ、特に張り紙、張り札、立て看板等について禁止物件にしている県が大部分でございまして、一部許可制度としているところもございますが、何らかの意味で規制をほとんどの各県が行なっております。
#227
○春日正一君 これは建設省のほうから出してもらった材料と思いますけど、これで見ると、二十五都道府県条例のうちで十七府県条例が電柱禁止という条項を持っているんですね。だから、こういうものが相当影響を与えて広いところへやっておる。そこで、電柱は最も目につく工作物で、色があせたり、破れたり、美観をそこなうというふうに言うんだけれども、まさにそうだから、電柱は昔から国民の掲示板だといわれたんですね。そして、小犬上げますとか、あるいは店員募集とか、アルバイト募集なんというような場合にも電柱に張って知らせるというようなことをやってきたんで、これは日本の国民にとっては、明治以来もうずっと電柱にそういうものを張って広く知らせるということは習慣になっておるわけですわ、一つの。ところが、一方では美観とか安全というようなことを問題にしてそういうものを禁じながら、一方では突き出し看板だとか巻き看板などというようなものを許可していいことにしておる。これは一体どういうわけですか。
#228
○政府委員(吉田泰夫君) 御指摘の突き出し看板とか巻きつけ看板というものは、確かに広告物そのものとしては張り紙やポスターよりもいわば重いといえるものですけれども、実際には、こういったものは逆に表示方法を制限したり、あるいは管理を事実上する場合に行き届くわけでありまして、その辺が、張り紙、ポスターなどが一斉に張られる場合と比較いたしますと、まあ美観風致に及ぼす影響が少ないというようなこともありまして、こういった突き出し看板等のたぐいにつきましては、その掲出する場所とか規格、数などは制約しておりますが、その範囲内で許可しているという実態でございます。
#229
○春日正一君 私の聞いているのは、そういう県知事が許可して金かけたもんなら美観風致はそこなわないで、それで金をかけない政党なり労働組合その他民主的な団体なりの張りビラや張り札というものは美観をそこなうというふうに断定できるのか。質屋の看板だとか、ずいぶんあれですよ、許可されたものの中でも思わしくないようなものも出てますよ。なぜそこの区別をつけられるのか。金かけた商売用の広告ならしていいと、政治的な訴えならして悪いと、きれいならいいっていうなら、きれいならいいで、この程度のきれいなものなら張ってよろしいというようにすればいいんで、それを一切全部ならぬということにしておる、その理由にはならぬでしょう、あなたのいま言ったことは。
#230
○政府委員(吉田泰夫君) まあ金をかけたものなら許可できるという、そういう意味ではないわけですが、事実上、現在許可制のもとに認められている突き出し看板、巻きつけ看板のたぐいのものは、その良好な管理――その物理的状態等から見まして良好な管理、あるいは広告物の表示方法の順守というようなことが守られやすいということでありまして、もちろんこれを一掃すればなお美観風致の面から見て望ましい場合が多いと思いますけれども、やはり電柱も所有者から見て一つの財産権でもありますし、そういう意味で比較的に美観風致を害することの少ない性格の広告物に限っては許可制のもとに認めるということも合理的であると考えております。
#231
○春日正一君 これは私の言ってることにちっとも答えてないわけです。今度は財産権だの何だのと妙なことまで言い出してる。美観風致と財産権と何の関係がある。そうでしょう。広告物法には財産権を保護する――書いてないですよ。目的に。美観風致だけだ。その言いわけに財産権を持ち出してる。そういうところ非常にこの法律の無理というか、矛盾したものがあるんです。実際にいって、最近の政党のポスターなり民主的ないろいろの団体やそのほかの団体のポスターとか掲示物では、へたな広告よりはよんどりっぱなものがありますよ、きれいなものが。これはもう大臣も御存じだと思うんですよ。だから、それを金かけてやったから美観上よりいいというようなこと、これは一個人の営利を目的とするものですよ。一方は国の政治にかかわるものとか、あるいは労働運動その他、国民の基本的権利にかかわるものという、非常に大事なもの、これは美観上よろしくないから取り払えと。私は一番先から、だから問題のかみ合いはここのところなんだと、主権在民の憲法と広告とのからみ合い、ここのところで議論しようということで問題を出してるわけです。あなたのいまの答弁では、国の政治の中で、憲法できめておるその議会制民主主義といいますか、主権在民の原則を守るのに一番必要なそういうものは全部排除して、そうして商売用の質屋の広告とか、そんなものならよろしいということになれば、明らかにこれは憲法の趣旨に反してくるんじゃないかと。だから、そこのところを、なぜそういう政治的なものなり一般のものを排除して、商売用のものだけ許すということにしなきゃならぬのか、それが憲法にどうして違反しないというのか、そこの説明をはっきりしなきゃならぬです。
#232
○政府委員(吉田泰夫君) まあ、巻き看板のようなたぐいのものは、その内容として確かに営業用のものが多いと思いますが、この標準条例案におきまして考えておりますのは、そういう内容が営業用であるとか営業用でないとかいうことでは毛頭ないわけでございまして、その看板の形態、種類、そういったもので考えているだけであります。しかして、これをまあ実態として見るときに、張り紙とかポスターなどに比べまして美観風致を害する程度が少ないと考えられますので、こちらのほうについては例外的に許可制をもって認め得るものとし、張り紙、ポスター等につきましては禁止物件とすることができると考えた次第でございます。
#233
○春日正一君 その問題、議論しておってもしようがないから先に進みますけれども、それではちっとも説得力を持ちませんよ。
 そこで、もう一つ聞きますが、そういう一般の張りビラや張り札や立て看板や、こういうものは禁止しておきながら、警察とか官公庁のものは、モデル条例では適用除外して張れるようにしておるのですね。モデル条例第六条「(適用除外)」を見ると、「次の各号に掲げる広告物又は広告物を掲出する物件については、第三条から前条までの規定は適用しない。」と、こうなっている。「法令の規定により表示する広告物又はこれを掲出する物件」、「国又は地方公共団体が公共的目的をもって表示する広告物又はこれを掲出する物件」、「公職選挙法による選挙運動のために使用するポスター、立札等又はこれらを掲出する物件」と、こうなっているのですね。一体あなたはいま、そういう程度の張り出しとか、あるいは巻き看板みたいなものは、より美観をそこなわないという点で許可を得たら認めるというようにしているのだというふうに言った。そうして一般のビラというのは、短期間に集会の知らせをするとか、あるいは争議団の訴えをするとか、いろいろそういう短期間のものです。そういうものはきたないから許さないと。きたないということと憲法上の表現の自由という問題はどっちが大事なのか。そういうことを、いまあなたは言われた。言った口の下からあとを見れば、警察のものとか官公庁のものとか、そういうものは幾らでも張っていいということになっている。これは一体どういうことなのか。警察が張っていいなら、主権である国民が張って悪い道理はないでしょう。
#234
○政府委員(吉田泰夫君) 国とか地方公共団体が表示する広告物についてはモデル条例で、おっしゃるとおり適用除外の例にあげております。美観風致の維持上も、国または地方公共団体であれば、それほどひどいことはしないだろうというような期待も片一方にはあり、片一方では、国または地方公共団体がやるからには、そういった公共目的もあろう、そういったことと調整しておいたほうがいいだろうということでありまして、両々相まちまして美観風致を害することがあまりないだろうということに期待をかけて、社会通念上こういったものを適用外としたつもりでございます。
#235
○春日正一君 あなたのほうは、そのほうが都合がいいだろう。確かに役人にとってみれば、国または地方公共団体の必要なものは電柱使っていいとしておいたほうが都合がいいには違いない。しかし、そうすると結局、金出して張る商売用の広告をする人と、それから国または地方公共団体と――選挙は別ですけれども、これを除いて、大多数の国民は自分の意思を世間に訴える手段を奪われてしまう。あなたは自分の都合で、こうしたほうがいいだろうと思ったと言う。憲法を頭に置いて考えたのか。表現の自由は国民のすべてにあるのだ。無限定で一切の表現の自由といっている。当然ビラ張る自由もポスター張る自由もあるわけだ。憲法ではっきりきめられたものを、ただ、このほうが都合がいいというようなことで禁止していいのかどうか。何回でもここに返ってくる。役所には都合がいいから張らせる、役所に張らせていいものをなぜ国民に張らせないのか。その理由を説明つきますか。国民は主権者ですよ。
#236
○政府委員(吉田泰夫君) 一つには、電柱以外にも広告物を張る場所がないとは言えないのじゃないかということもありますし、国または地方公共団体を例外措置と考えておりますのは、そういったところであれば、たとえ適用除外にいたしましても、美観に著しく支障を及ぼすような形または方法で電柱にビラなどを張ることはまずないであろうという期待があるわけでございます。再度申し上げますように、電柱は非常に広告をするには便利なものでございますが、それだけに非常に人の目にもつき数も多いということで、美観を害する程度も非常に高いということでありまして、電柱というものに着目して、これを場合によっては禁止物件、場合によっては許可物件というふうに取り扱うことには合理的な意味があると考えております。
#237
○春日正一君 合理的な意味も説得力もないですよ。それならなぜ、いま言ったように、金出せばやっていいといい、官公庁のものならいいという――官公庁のものが必ずしも美観上いいものでないということは、あとで私、写真見せますが、ひどいものがある。むしろ、あなたの言われるように、官公庁のものは電柱に張ってもよろしいという、その適用除外を設けたいということ自体の中に、電柱が非常に大切な広告手段である、国民の意思表示なり伝達の手段であるということを立証しているんじゃないですか。その点どうですか、電柱の広告力というものについて、効果というものについて。
#238
○政府委員(吉田泰夫君) 標準条例案の第六条の適用除外は、別段電柱だけの適用除外という意味で書いたわけじゃなくて、広く第五条までの規定の適用除外を書いたものでございます。いまのような意味はあえて持っておらないわけでございます。
#239
○春日正一君 それはだめだ。電柱を引き出して問題にしておるんだし、電柱にちゃんと適用除外がかかるんだから、一番の問題は。たとえば、ここに書いてある中でも、公園の噴水のところへビラを張るとか、あるいは、あそこの楠公の銅像にポスターを張るとか、本来美しいものであるべきものをよごすようなことはしていけないと、これははっきりできるし、憲法上からもその解釈が出てくるだろう。電柱そのものは美しいものじゃないですよ。目ざわりのものなんだ。美観ということを言うなら、むしろそれが問題なんだ。ところが、それにビラを張るのがきたないから、それもおまえらのビラ、庶民のビラはきたないから張っちゃいかぬ、役所のは張ってもかまわないんだ、これはどういうことなんだ。主権在民という立場から、そういうことばが出るのかどうか。大臣にこの点の解釈ひとつお願いしたい。
#240
○国務大臣(金丸信君) 私は法的解釈はふえてでございますが、環境という立場から美観風致という問題、実は私も選挙する身ですから、先生のおっしゃるように、確かに電信柱は人の目につくと、私も当時、まだ選挙のポスターがどこへ張ってもよろしいということであったわけですが、そのポスターを電信柱の一番高いところに張ってあった、高いところですから取るにも取れないということですから、一年も二年もかかっていて、私も通るたびに、あんなところに、あんなものまだ張っちゃいけないなあと、こういう感じが私はいたしたわけでございます。そういう意味で先生のおっしゃる考え方も、局長にも、私は選挙というものがこの法律に触れては困ると、こういうことですから、この法律自体が、ふろ場の中でおならしたような、まことに骨抜きのような場面もたくさんある、それをいろいろ考えて、これが骨抜きでもやむを得ぬと、選挙する上にこの程度ならいけるんだろう、先生のおっしゃるように、確かに電信柱の広告価値というものは非常に私はあると思います。また建設省自体が官公庁ではよろしいという考え方については、これは私はこういうものがきまったといっても、憲法の内容が変わったということを国民一人一人通知するわけにはいかないということで、まあ、それは一例でありますが、そういうような面で、国民が主権者ですから、そういう意味で、政府が思いやりを持ってやるということであるならば、これもやるべきだ、こんなような私は感じがいたしておるわけでございます。
#241
○春日正一君 どうも、そこのところはっきりしないんですけれどもね、そこでひっかかっているとあれですから先へ進みますけれども、私はこう思うんですよ。営業用の広告だとか官公庁の広告類というものは、緊急性からいえば、まあ特定のものを除いたら相当ゆとりのあるものだし、ほかの掲示個所を選択することもできる幅が大きいと思うんですよ。役所で掲示をやるとか、あるいは商店や会社がああいう掲示物を出そうというときに、それはきょうやらなきゃならぬ、すぐやらなきゃならぬということはないし、ほかの場所を選ぶ可能性も、まだ幅はあると思うんですよ。ところが、政治活動とか大衆運動の宣伝上でいえば、この電柱に張るということが、これは緊急性も非常に高いし、そうしてまた場所としても、電柱に張って知らせるということが一番これは効果的だし、ほかにはないわけですわ。人のうちの壁にかってに張るわけにはいかぬということになれば、そういうことなんですね。そうして、先ほどからも言っているように、表現の自由は憲法で保障しておる。それ自体が非常に高い公共性を持つものなんですね。そうすると、当然そういうものを掲示できるようにすべきじゃないのかということですわ。その点どうですか、これは大臣のあれですけれども。
#242
○国務大臣(金丸信君) 私はまあ、これを局長から説明を受けるとき、私の受けた感じでございますが、これは政治の問題で申し上げますと、一政党にだけ及ぼす影響じゃない、使えないということであれば、どの政党にも使えないということが、これはまんべんない公平な処置だというような解釈で考えたわけでございます。
#243
○春日正一君 私は政党だけ言っているわけじゃないです。たとえば公害がある、そこにマンションが建って日照権が侵される、困るからといって近所の人に訴える、結局、電信柱に張るというようなことになってくるわけですね、公害が起こった、反対だ、と言ってやると。だから、私は政党の問題選挙の問題、これも非常に大事な問題ですけれども、それだけを言っているんじゃなくて、国民が、やはり他に訴えて自分たちの立場を知ってもらう、そういう意味で、やはりそれを使う、そのことが必要なんですね。そういう点ではアメリカ合衆国の最高裁の判例なんかでも、これは一九三九年の判例というふうになってますけれども、市街地の美観を確保するという目的のために街頭でのビラまきを一切禁止した条例が問題になったときだ。ビラを受け取った者が、その場でビラを捨ててしまうので町がたいへんよごれて困るというのが市当局の言い分であると、これに対して最高裁は、ビラまき行為に付随して市当局が街路の清掃や手入れをしなければならないという負担を負うことになるが、それは言論、出版の自由が憲法上保障されていることから生ずるものであると、憲法上当然そういうことが起こるんだと、この憲法上の保障があるからといって、市が街路上でのごみ捨て行為を取り締まる権限がなくなるわけではないんだから、むしろ、ごみ捨て行為を取り締まる方法は幾つもあるじゃないかと、その一つとして、街路でビラを現実に捨てた本人を罰したらいいだろう、こう言っておる。これは三九年のアメリカの最高裁の判例ですね。日本でも下級審では、この問題がもう問題になっている。簡裁あたりでは幾つか判例が出ております、日本でも。まだ上のほうまでいってませんけれども、そういうふうな問題なんですね。だから大臣は狭く、私どもお互いに政党だから政党活動とかなんとかというふうに解しておられるようですけれども、そうじゃなくて、主権者としての国民の権利ですね、そういう立場から見て商売人と役所は張っていいけれども、一般国民は張ってはならぬという道理がどこから出てくるのかということです。
#244
○政府委員(吉田泰夫君) いまお話のあったビラまきについては、直接関係ないかもしれませんが、この屋外広告物法では対象にいたしておりません。
 それから、重ねての御質問でございますが、やはり官公庁が設置するものは、一般的にいいまして、美観を害する程度が少ないであろうと、また、そうやたらに数多く張られるものでもないであろうというようなこともありまして適用除外にしておるわけでございます。もし適用除外であるということに便乗いたしまして、非常に美観を害するようなものがあれば、これは条例の対象外にはなりますけれども、事実上連絡し、それを是正してもらうというようなこともとり得ることかと思います。
#245
○春日正一君 それはほんとうに国会議員をこけにする答弁ですよ。法律というものとか条例というものは御承知のように、成立すればそれは一人歩きするんですよ、外へ出ていけば。だから、適用除外ということになれば適用除外なんで、あとであなたがつきまとって、これをあれすると、あまりきたないからといって注意するとかなんとかというようなことにはならぬですよ。だから、なぜそれを適用を除外しておいて、一般国民、ほとんど大多数の国民に対してはその権利を奪うのか、その根拠を聞かしてもらいたい。納得できる説明を聞かしてほしいということを言っているんだ、これが一番問題なんだから。
#246
○政府委員(吉田泰夫君) まあ標準条例ではいろいろ許可を要する物件あるいは禁止物件の例示をしてありますが、その中に、先ほど来問題となっている電柱があるわけでございまして、この電柱がそれ自体、美観に寄与するものでないことは御指摘のとおりでございますけれども、人の目に立つ道路ばたに多く、しかも数多く並んで立っているものでありますだけに、そこに一斉に多数の張り紙等が張られた場合の美観風致を害する程度が非常に高いということから、一般的にはこれを禁止物件とすることは妥当ではないか。ただし、この電柱ばかりではございませんが、ほかの項目もすべて含めまして、一般的に国または地方公共団体が表示するような広告物について適用除外とすることが妥当であろうというふうに考えておるわけでございます。
#247
○春日正一君 あとでまたこの問題はそれじゃ繰り返しますが、そこで今度は電電公社のほうにお聞きしたいんですけれども、電信柱に対する広告の許可、これはどういう基準で行なっているんですか。料金、手続、収入金額、そういったようなものはどうなっているか。
#248
○説明員(遠藤正介君) 電電公社の電柱は、いわゆる電柱という中で電力線ではございませんで電話柱でございますが、それらにつきましては、ただいまお話のございました法令のほかに――これば公社の施設でございまして、電気通信サービスを提供するために持っております施設でございます。したがいまして、そういう点から現在の法令のほかに、私どもといたしまして、その業務上の必要その他の基準を定めまして、詳細は主管の局長に説明をさせますが、その基準に基づいて広告を認めておるわけでございます。
#249
○春日正一君 説明してください、もっと詳しいこと、つまり基準がどんな基準か。
#250
○説明員(小畑新造君) 御説明します。
 第一点の法令あるいは条例等でございますけれども、これは先ほどからいろいろお話がありましたような、道路交通法でございますとか、あるいは屋外広告物法と屋外広告条例としては、建設省のほうで出ております指定区間内の一般国道における路上広告物等の占用許可基準、そういうような法令、条例等で定められている制限がございます。その制限をそのまま、それに従っておるわけでございます。
 それから第二番目の、公社の業務上の支障の有無といいますか、必要性ということにつきましては、たとえば電柱には、各加入者宅内へ引き込みます接続端子函というようなものでございますとか、あるいは地下ケーブルを引き上げる柱でありますとか、あるいはその柱の上でいろいろと試験をするというような性格を持ちました試験柱というような、いろいろな性格の電柱がございます。そういうような電柱は公社が保守する上においていろいろ支障がございますので、広告の掲載を禁止しております。それから広告の大きさ等でございますけれども、もちろん、これは法令、条例等にもいろいろ定めがございますけれども、公社といたしましては、これは下げ看板のほうでございますけれども、縦、大体一・二メートル以内、横四十五センチ以内、面積が一平米以内というような大きさ、構造上の制限もしてございます。なお、内容につきましては、これは公社の電柱でございますので、一応、まあ一般的にいいます公序良俗に反しないとか、あるいは美観をそこねないとか、あるいはまあ選挙活動だとか、あるいはそういうような公社自体の何といいますか性格上から問題の起きないような、そういうような内容につきまして制限をきめておるわけでございます。
 以上申しましたようなことで、現在、公社の電柱は全国で約一千万本ございますけれども、一千万本の電柱のうちで広告が掲載されておりますのが三十四万本、正確には三・七%になるわけでございますけれども、その広告が、一本の電柱に一つの広告あるいは一本の電柱に二つの広告、そういうものもございまして、広告件数は四十万件ほどございます。なお広告による公社の収入でございますけれども、年間約一億六千万円、これは四十六年度の収入でございます。
#251
○春日正一君 まあ、いずれにしてもポスターだとか、立て看板というようなものは立てられないと、つまり金を払ってやった、その基準、条例にかなったような張り出し看板だとか、巻き看板だとかいうもの以外はできないという仕組みになっているのですね。
#252
○説明員(小畑新造君) ただいま先生のおっしゃったとおりの仕組みになっております。
#253
○春日正一君 そこで、電力関係は私ちょっと間に合わなくて呼ばなかったのですけれども、電力関係もほぼ同じような規制をしておるわけです。たとえば関西電力の場合だと、子会社の関電産業というのに二千五百万円で請け負わせて、年間約四億円の広告料金をこの会社は取っておるというようなことですね。そういうふうな形、そうして政党のポスターやそういうようなものは張らせないことになっているということですね。そうしますと、この電柱とか電信柱――まあ、いま電話柱ですわね、電信柱もあるけれども、そういうようなものは人の通行する道路上に立っておって、一般人民にやはり非常な迷惑をかけているんですわ。私もけさ来るときに見てきたけれども、うちのすぐ玄関わきみたいなところに立っているのもありますし、私の近所なんか、このくらいの歩道ができた、まん中に電柱が立っているんですよ。だから、歩道の意味をなさないような、そういうのが方々にありますよ。特に狭い道路なんかに行けば、電柱があるために非常に道路そのものが狭められているようなことがある。しかし、それは電信電話事業なり電灯、電力事業なりの公共性ということを認めて国民が耐え忍んで、受忍しておるわけでしょう。おれのところのそばに立っては困ると言わずにしんぼうしておるわけでしょう。それからまた、地方自治体や国も、そういう公共性があるからこそ道路を使わせるということもしておるわけですわ。だから、そういう意味でいえば、先ほど局長が言われたけれども、所有権とかなんとかというようなことを、電電公社なり、あるいは電灯会社が普通のマイホームの壁に張ってもらっちゃ困るというような意味で主張する権利は私はないと思うんですよ。国民もそのために耐え忍んでおるんだから、公共のために。そうしたら、そういうものを公共のために使うということはあたりまえのことだ、それは電電公社の電信事業なり、あるいは配電事業、そういうものに支障があるような使い方をされてはこれは困るけれども、そこにポスターを張るということは配電にちっとも差しつかえないわけなんだから、そういうものを制限する理由というものはちっともそこから出てこない。ところが、いま言ったように、電電公社にしても電力会社にしても、料金を取って相当の利益をあげておる。そうしながら、一方では、憲法で保障された国民の表現の自由という問題に対しては、それはいかぬという態度をとっておる。これとあなた方の態度はちゃんと一致するんですよ。つまり国民にものを言わせない、憲法を空洞化させる、単なるこれは広告物条例じゃないですよ。そういうふうな感じがするわけです。
 そういうわけですから、先ほど言ったように、表現の自由ということが主権在民の政治体制というものを守っていく上で特別に公共的な性格の高いものだということになれば、電柱などの本来の機能をそこなわない限り、これの利用に対して、所有権あるいは管理権があるからといって、その意向にまかせてしまうというようなやり方が許されていいのか。国民も忍んでおるんだ。だから当然、民主主義的な国民の権利を保障する憲法の、表現の自由を保障するということのために、電電公社なり電力会社が電柱を広告に利用されるということも受忍しなければならぬのじゃないか、それで相殺されてくる、私はそういうふうに思うんですけれども、こういうあれを見ても、いまはもうそういう管理権というようなものよりも、表現の自由ということのほうが民主的な国家のあり方として優先させられなけりゃならぬという意見が強くなってきている、こういう時期ですから、この点はやはりはっきりさせて、そうして、ここの条例に書いてあるような、こういう禁止的なものはやめる、そうして、もっと表現の自由が行使されるように適用除外の方法をとる必要があると思うんですけれども、どうですか、そこのところは。
#254
○国務大臣(金丸信君) まあ先生から除外例の御指摘があるわけでございますが、官公庁だけが除外例でよろしいということについては、私も疑義を持ちます。これは十分条例で検討して先生の御説のようにいたしたいと思っております。
#255
○春日正一君 大臣に私の考えが通じてそういう返事をいただいたんで、この点はほんとうに真剣に考えてやってほしいと思います。
 そこで、ポスターとか立て看板というようなものが表現の手段としてどういう重要なものか、この点について建設省の認識、これをお聞きしたいんですが、表現の手段としての重要性というものについて。
#256
○政府委員(吉田泰夫君) ポスターといった広告物は、非常に簡単に表示できるという意味で、まあ広告の手段としては非常に効果のある、そういう意味で重要な手段であると考えております。
#257
○春日正一君 そういうふうに非常に効果のある手段ということは考えておいでになると。まさにそのとおりなんで、私も労働運動を始めて約五十年近くなりますけれども、昔から、まあ労働運動に入るとガリ切り三年、ビラ三年といってガリ版切ったりビラ張ったりというような仕事を若い者は一生懸命やったものですわ。そのくらいビラを電柱に張るというようなことは戦争の前の時期からもう一般に習慣化されて、これはもうずっとそのまま戦後まできておったものですよ。そして民主主義が定着して広まっていくという過程を考えれば、政治が一部の特権階級からだんだん国民全体のものへ浸透していくという過程であるし、民主主義をほんとうに浸透させ強めていこうとすれば、やはり国民の間に表現の自由、それに基づく活動というもの、これが必要になってくる。そうすると、当然一番有効な、そして一番貧しい者ですね、そういう者にもできる手段であるビラ張り活動というものがますます重要になってくるわけですね。だから、そういう点をあなたはいまお認めになった。お認めになったけれども、実際上はいろいろ言って、この規制がされておるということになると、では一般の市民や労働者にどこにどんな宣伝方法があるというのか、それを聞かしてほしいと思う。電信柱に一切張るな、もちろん高速道路の橋脚にも張っちゃいかぬし、どこにも張っちゃいかぬという禁止がずっとできている。それ以外に、一般市民や労働者、金のない人たちが緊急に宣伝をやろうというのに一体どういう方法をとったらいいのか、どこでそれが保障されているのか、一体どこに張り紙や張り札を出せばいいのか、この点をひとつ建設省のほうから説明してほしい。特に憲法の九十九条ですか、憲法を守る義務が国家公務員にも国会議員にも課されておる。そういう憲法を守る義務を負った人間としての立場から憲法二十一条の表現の自由を国民が行使する、その場合、こういう禁止がされてしまった。その条件のもとで、どこでそれを行使したらいいのか、そのことをあなた方は当然考えてこういったことをやったと思うんだけれども、それを説明してほしい。
#258
○政府委員(吉田泰夫君) ビラを張る場所としては、標準条例では電柱などは禁止物件ということに考えておりますが、その禁止物件以外の場所であれば、たとえば許可地域であれば許可を受ければ張れるわけですし、許可地域でない場所もあるわけでございまして、張る物件といたしましても、標準条例で禁止しているものは電柱のほか、橋梁だとか、街路樹だとか、いろいろありますが、たとえば一般の民家のへいのようなものは別に規定しておらないわけでございまして、もちろん、そういう場合には管理者、所有者の同意が要ると思いますけれども、広告物条例としては禁止されてない場所はほかにもあるわけでございます。また、先ほどもちょっと触れましたが、ビラ張りじゃなくて、ビラ配りというようなことは広告物法では一切関知しておりませんから、それは自由だというわけでありまして、まあポスター、ビラ等は非常に有効な広告手段であることはよくわかりますが、それが有効であるだけに、えてして大量に張られて、その結果、美観風致を害するということが多いということから、多くの県においても電柱を禁止し、あるいは許可物件としている次第でありまして、これをもって表現の自由が侵害されたというふうにはならないと考えております。
#259
○春日正一君 どうもわけわからぬですがね。あなたは電柱には張っちゃいかぬと。私はさっき言ったでしょう、電柱というものは公共に必要だというんで、地方自治体も便宜をはかっておるし、住民もそのためにいろいろな、うちの入口のわきに立てられたりなんかすることでもしんぼうしておる。そういう性質のものなんだ。だから、そういう性質のものだから、ビラを張ったりなんかするぐらいのことは、当然そっちの側でもしんぼうすべき筋合いのものじゃないかということを私は言った。あなたは、これはいかぬ、きたないからといって。それで民家の壁へ張る分にはかまわないと、マイホームの壁、国民の壁へ張れと、これはどういうことですか。民家の壁へ張れと本気で言っているのですか。国民の壁へ張れということを、これ天下に公表したら国民何と言いますか、大臣。電柱に張っちゃいかぬけれども、普通の民家の壁なら許可を得れば張ってもいいですよと、張って古くなったらきたなくなること間違いないじゃないですか。それは保障にならぬですよ。
#260
○政府委員(吉田泰夫君) 民家の壁へ張る場合は、その民家の所有者あるいは管理者と話し合いをしまして、了解を得て張るわけでありますから、そういう意味で、電柱のように無断で大量に一斉に張られるというようなことが少ないであろう、また、張りましたあとの管理につきましても、民家に張られているわけですから、その民家の人も十分注意して自後の管理等に注意しているということも期待されますので、そういう意味で電柱などとは違いまして、標準条例案では禁止物件には入れておらない、こういうわけでありまして、無断でべたべた張っていいという意味ではないわけです。広告物条例の禁止物件としては考えておらない、こういう意味であります。
#261
○春日正一君 そうすると、あなたの言うのは、民家に張らせれば許可を得なければならぬから、そうどこにもここにも張られるわけじゃない、つまり国民の表現の場所が狭められるからいいというんですね、そうでしょう。そこをはっきりさせておいてもらいたい。
#262
○政府委員(吉田泰夫君) それは厳密に言えば――厳密に言わなくてもかもしれませんが、電柱につきましても管理者がいるわけでございまして、本来はその同意が要るわけですが、管理者が家屋などと違いまして遠く離れたところにおって、見回りもききにくいということから無断で張りやすいという状態、その違いがあるわけでございます。民家につきましては、確かに同意がなくて張れば、その管理者が撤去してしまうでしょうから、広告の効果もあまり期待できませんし、やはりどうしても同意が要ると思います。同意が要るから数が減るという、確かにそのとおりであります。が、まあ数が減るということばかりじゃなくて、そういう管理者がすぐそのそばに常時住んでいるというような状態から、あとの美観風致の維持、非常にきたなくなった場合の撤去等についても十分目が届くであろうというふうなことも加味しまして、あえて禁止物件には入れておらない、こういうわけであります。
#263
○春日正一君 実際上、数が少なくなる、しかも、それ古くなれば、そこの住民が取ってくれるだろうというような、国民に全部責任をおっかぶせて、そうして実際、表通りの電柱に張れば通る人みんな見るけれども、民家の壁だったらなかなか見る人は少なくなる、表通りの商店街なんかそうべたべた張るわけにいきませんから。そういうような意味であなたは、宣伝効果が少ないから、この禁止から除外したというふうに言っているように私は受け取れるのですけれども、そう受け取っていいですか。
#264
○政府委員(吉田泰夫君) 宣伝効果が少ないからという意味ではなくて、まあ一々同意をとるということですから、どこでもというわけにはいかない。そういう意味で結果としてそういうこともあるかもしれませんが、あとの管理その他が徹底がはかられるという意味もかねまして申し上げたわけでございまして、電柱一切に禁止された場合に、たとえばどこに張る場所があるかということについてお答えしたわけでございます。
#265
○春日正一君 張る場所がないですね、実際上いえば。だから、そういうことになると、憲法二十一条の表現の自由は一切保障するという、その保障を当然、政府がやるべきでしょう。だから、たとえばの例をいえば、まあ私は、これは全面的に賛成してという意味で言っているんじゃないけれども、選挙のときに選挙のポスターの枚数を制限したりいろいろするかわりに、選挙の特別の掲示板をつくって衆議院選挙の場合には張らせるというようにして、そのかわりその他の場所に張ってはならぬ、こうしてあるんですね。だから、もし条例でもって電柱にはいかぬと禁止するなら、当然、建設省としてあるいは政府としてそれに匹敵すべき掲示の場所を掲示板なり何なりつくって、ここに張るのは自由である、それ以外の場所には張りなさぬなということにしなければならぬのじゃないか。あなたそのことについては何も言わぬ。私は大臣に言うけれども、建設六法に憲法が出てないんですよ。何の六法であろうと憲法だけはきちっと載せといてもらわにゃ困るはずなんだけれども、そこらに、いまの局長の姿勢というものが出てくるわけだ。憲法を何にも知らない。だから、そういう点どうなんですか、そこのところは。そういう考えはあるんですか。
#266
○政府委員(吉田泰夫君) ビラを張る場所を相当制限いたします場合には、そのかわりに手ごろな場所に公の手などで掲示板等を別に設置して、そこに張らせるようにするということはきわめて適切なことだと思います。そういうことでございますが、遺憾ながら、まだ各県各市におきまして広告物の需要に応ずるほどの掲示板が設置されていない状況であります。しかしながら、私どもはできるだけ広告をする場を片一方で広げるという意味を含めまして、今後できるだけ積極的に公の手によってそういった掲示板を設けるということを励行してもらいたいと考えます。
#267
○国務大臣(金丸信君) 広告をする場所がないということですから、掲示板というお話は一見識だと私は思います。この面につきましては、ただいま局長からもお話がありましたように、ひとつ考えて補いをしたいと、このように考えております。
#268
○春日正一君 そこは考えていただいても、すぐにさっとできるというものでもないと思いますし、そういう意味で、先ほど大臣も、官公庁の適用除外だけでなくて、私の意見のものも適用除外にするように考えてみたいと言われた点は、これをむしろやってほしいと思うんですが、その点、もう一度確認したいんですが……。
#269
○国務大臣(金丸信君) なかなか先生のおっしゃる問題は美観風致という問題とマッチしない面もありますし、いま電電公社にいたしましても、あるいは東電にいたしましても、いわゆる張り紙を張られないように何か施設をしてやっておるということも私は耳にしています。そういうことですから、これからだんだん困難になっていくであろう、こういうことも思うわけでございますから、十分その辺検討して、先生のただいま申されましたいわゆる広告板みたいなものを各市町村に設けられるようなことをひとつ考えてみたいと思います。
#270
○春日正一君 これを、いまのこの広告物法の中で一体にしませんと、禁止は先にやった、いつできるか保証がないというんでは、これはどうにもならぬわけですから、だから、やはり一体にするとして、できなければやはり適用除外をやってもらう。これは神戸の市の条例では適用除外になっているんですよ。京都の府の条例でも適用除外になっているんですよ。ところが、適用除外になっているからといって、神戸の町が大阪に比べて特別きたないということは、私も神戸も大阪も行っていますけれども、これは感じないんですね。だから、適用除外したからどうということじゃない。むしろいまは、いろいろな民主的な団体なり政党にしてもそうですけれども、きたないことをしておけば信用が落ちるから、選挙が終わったらすぐ掃除してしまうとか、あるいはべたっと張っては悪いからベニヤに張って巻きつけて取りやすくしょうとか、みんなくふうしてやっているわけでしょう、お互いに。そういうことなんですから、適用除外して何の弊害もない。だから、その点を考えていただきたいと私は言っているわけですわ。
#271
○国務大臣(金丸信君) その点につきましても十分ひとつ検討してみたいと思います。
#272
○春日正一君 それじゃ、次に警察庁のほうにお聞きしたいんですけれども、現在、屋外広告物条例や軽犯罪法違反というような容疑で全国的に相当な数の人たちが逮捕されておるわけですけれども、どんな状状況のもとで年間どれくらいな件数が検挙されているのか、その根拠法規になっているものはおもにどういうものかという点について説明してほしいと思います。
#273
○説明員(奥秋為公君) 御説明いたします。
 四十七年に屋外広告物法の条例違反で検挙しましたのが七十五件、人員が百三十三人。これは検挙といいましても、いま先生のおっしゃいました逮捕という、その区別が私のほうの電計の中でははっきり区別されて入っておりませんので、その点、何名逮捕したかという点はちょっと申しかねます。
 それから軽犯罪法の第一条第三十三号の違反で検挙しましたのが三百八十五件、人員が五百九十四人。それで、これも先生にお断わりしなければならぬのですが、この三十三号は先生御存じのように、「みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁札その他の標示物を取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者」、これも一応入っています。それから私どものほう、これも電計は一応、軽犯罪法第一条三十三号違反ということでおさめておりますので、時間をかしていただきませんことには、このうち「みだりに他人の家屋その他の工作物」、この関係の数字は直ちにはちょっと出てこないんじゃないか、こう思います。その点、御了解いただきたいと思います。
 それから道交法関係では、道交法の七十六条の第三項に、交通の妨害となるような物件については一応取り締まることができるという規定があるわけです。これにつきましても、現実には、交通の妨害となるような方法の立て看板といったものを路上に放置しておくもの、それから交通の妨害になるような方法であき箱その他の物件を路上に放置しているものが一緒に入っておりますので、これを看板等だけを特に抜き出して数字を申せと言われますと、しばらくこれも時間をかしていただきたいと思います。電計には人員等が入っておりませんので、一応、人員等につきましては、いま直ちに先生のおっしゃるようにいかぬと思います。
 それからもう一つ、道交法の第七十七条第一項の違反ですが、まあ、いろいろなものが実はここで書いてあるわけですが、特にこの中で「道路に石碑、銅像、広告板、アーチその他これらに類する工作物を設けようとする者」、これがこのうちの何件に当たるかということにつきましても、各県のほうにまだこまかく状況を聞いていませんので、内訳の数字は出ません。一応、七十七条第一項違反としまして件数は千七百八十七件という数字になっております。
#274
○春日正一君 相当な人たちがビラその他の関係でやられておるんですけれども、ところで、これで気のつくことば、同じビラ張りでも、東京では軽犯罪法違反容疑ということで逮捕されているんですね。それから大阪では屋外広告物条例違反容疑というのが多いわけですね。これの違いはどこから出てくるんですか。
#275
○説明員(奥秋為公君) 先生も御存じのように、軽犯罪法のほうは一応、財産権の侵害ということで、まあ張り紙です。これを他人の家屋その他の工作物につけた。それから広告物条例のほうは非常に範囲が多くて、中の対象いろいろあるわけです。ですが、私もこれは各県の状況をずっと聞いてみませんと正確には申し上げられないと思いますけれども、条例の関係でも、あるいは張り紙が中に入っておるということでありますと、ただ罰条の違いが正直に申しまして、条例のほうは罰金、それから軽犯罪のほうは科料ということになっていますのと、その点が、特にその行為等の悪性を調べている段階で適用を違えているんじゃないか。これは私の推測です。まだ県のほうに聞いておりません。
#276
○春日正一君 私の判断では、東京では、屋外広告物条例に張り紙、張り札、立て看板に対する電柱への禁止というものはないわけですね。だから結局、軽犯罪法ということになる。ところが、大阪ではそれがあるんだから、だから、ここにこれだけ、いま裁判で争っているものがありますけれども、三十三件、これみんな広告物条例で検挙されて、裁判で争っているわけです。こういうことになるんですね。そうなると、結局、警察の考え方は取っかまえるということを前提にして、取っつかまえる口実として、東京は広告物条例がないから軽犯罪法だといってつかまえる。電柱は、電電公社のものにかってに張ったからといってつかまえる。何でそんなことをしてやる必要があるんだ。それから大阪では条例があるものだから、条例でやるということですね。そうすると、この広告物法というもの、この条例というものが、警察の思想弾圧なり、政治活動あるいは民衆運動の弾圧の道具にされているというふうに言わざるを得ないわけです。その点どうなんです。
#277
○説明員(奥秋為公君) これは先生も御存じのように、私のほうは、特にこういった関係につきまして目をさらにして取り締まっているというふうな数字には、実情にはなっていないわけです。正直に申しまして、いまのところこの広告物関係の取り締まりは非常に低調です。それで、大体私のほうの考え方としましては、広告条例関係につきましては、一応やはり美観等の関係もありますので、主管行政庁が第一措置をとっていただきまして、行政措置命令等を出していただいて、それに基づいて、もし聞かない場合には警察が手を出したらどうかというふうに実は考えているわけです。それで、現実に警察が検挙しています大要を申し上げますと、大体、その警らの途上におきまして現認した者、そういった現認された者につきましては、一応やはり職務質問で聞いて、しかもその持っているビラ等が相当たくさん持っていて、もうすでに相当どこかに張っておるというふうな、そういう者につきまして氏名等を聞いて検挙するというようなことで、先生のおっしゃるような趣旨の取り締まりはいたしておらないつもりです。
#278
○春日正一君 ところが、そうなっていないんですね。確かにビラ張り一般については十分やってないと思います。たとえば私ども国会へずっと来る途中、特に国会周辺なんかは、ある種の団体のビラがべたべた張ってある。ちっともつかまったという話を聞かない。ところが、労働組合とかあるいは民主団体ですね、こういうものの事件というのは、たとえば大阪高裁にかかっている事件、全国一律最賃制を確立させよ、戦争への道・日韓会談反対といったのを張ったら取っつかまった。アメリカの侵略の足場をつくる韓日会談反対といったら、これはつかまった。こういうものばっかりですね、ここにずっと出てくるのは。しかも、こういうものの中でがまんのならないのは、非常な無法がやられておる。
 たとえば、こういうのを聞いて、あんた、どう思います。一九七〇年の七月四日の夕刻に豊島区の上池袋四−三三−一の路上で、共同保育「子供の家」、ここの保母さんが二人で近くの電柱に資金集めのバザーのポスターを張ったということで、しかもこれは現行犯でもない、張って帰ってくるところを警官が追っかけてきて、おまえ張ったんだろうと言って引っぱって行った。そうして弁護士のほうから接見におもむいたけれども、弁護士であるかどうか信用できないというようなことを言って面会させない。そうして泊めておいて、女の人を警官が一メートル半離れて見ておるところでまる裸にして、そうして一番下のものをここまでおろさして――隣の病院の看護婦か何か呼んできて、それに実際やらしたそうですけれども、そういうことをして、いわゆる裸身検というのですか、そういう人権じゅうりんをやっておる。それに対して抗議もし、あれもしたけれども、警察はすなおには認めませんけれども、しかし、日弁連の人権擁護委員会は、これを調べて、警察に対して警告書を出しております。それから日弁連そのものも、会長の名前で池袋警察署長に対して、職権乱用についてということで警告書を出しております。こういうふうなことをいうのがたくさんあるんですね。だから大臣、聞いてくださいよ。きたなくなるとかなんとか言って、気楽に、電柱にはいけません、何にいけませんと言う。それで法律には「美観風致」というふうなことだけ書いてあるのだけれども、そのことを利用して、そういう政治弾圧がやられておる。一体、あなた方は、こういうことをやめなきゃならぬと思うけれども、やめる指示をしますか。いまあなたの言われたように、つまりビラを張ったからすぐ取っつかまえるというのじゃないというようなふうに指示をしますか。
#279
○説明員(奥秋為公君) 先ほど、私、ちょっと説明が舌足らずのものになりましたけれども、いま現実に軽犯等でもってやっている大半のものは商業広告がほとんどなんです、私の聞いている範囲では。一部、先生が言っておられるような、そういった以外のもののやはり広告もビラ等もあるように私は思いますが、いま先生が言ったように、直ちに、たとえば二、三枚のビラを電柱に張ったらそこですぐ検挙して署へ連れてくるというようなことは、私はおそらく一線においても行なわれていないと思うんです。
#280
○春日正一君 やったんです、現に。
#281
○説明員(奥秋為公君) それは、おそらく私の想像としては相当数やはりビラを張られたんじゃないかと、こう思います。
 それから、その身体捜検等につきましては、これは確かに、特に女性であれば細心の配慮のもとに行なわなければいけないということで、これは先生がもし非常に非道な身体捜検をやられたということであれば、この点は十分調べまして改めるようにさしたいと思います。
#282
○春日正一君 私は荒唐無稽なことを言っているのじゃなくて、ちゃんと本人の、そういう被害者の側のここに状況も報告されているし、それを調べた日弁連の人権擁護委員会の調べ、あるいは警告書というものもあって、それを根拠にして言っているわけですよ。そういうことがやられておるし、あなたは気楽にやってないと言うけれども、きょう、いま、私のところへ、この質問をしているならついでに聞いてくれと言って持ってきたのですけれども、東京の中央地区で、私のほうの地区の党員が、後援会――都議会選挙もありますので、というので後援会の決起大会をやろうということでポスター、これを商店の承諾を得て、そうして張っておいた。ところが、それに対して広告物条例違反だから撤去せえということが、通知がきた。こういうことば初めてのことなんですよ。いままでは、まあ選挙のときにやったり、いろいろしても、期限が切れたから撤去してくれとかなんとか、そういうことは言ってくるけれども、今月の二十日かそこらにやるといって張り出したばっかりのものをすぐ撤去せえと言ってきたのは、これは初めてだ。ですから、明らかに都議選に対して一つの干渉というふうに受け取られるようなことにやっぱり利用をされておるし、あなた方の、その責任のもとにある人たちがそれをやっておる。今日ただいまの事件です。だから私詳しいことよく知りません。いま抗議に行っているそうですけれども、向こうは広告物条例違反だと言っているようですけれども、そういうふうな形で、いま東京都歩いてごらんになれば、各党の党員の方の顔写真入りのポスターたくさん出ています。そういうものに対して、そういうものがくるというような形で政治的に使われる、むしろそこが一番問題じゃないのかというふうに思うのですよ。だから、そういう意味では、そういうこと絶対やらせないように指示する、もっと親切にやってほしいと思うのです。そこで、こういうような取り締まりのために使われて――私、例をあげればまだ幾らもここにたくさん書いてますけれども、非常にひどいのがあるのです。取っつかまえて、縛って、自転車にくっつけて、それで何キロか警察に行くまでの間、自転車に乗って引っぱって、まあ昔の引き回しみたいなことをしている、ビラ張りを。やっている例もある。だから、そういうことまでやられておるし、そうまでいかなくても、とにかく取っつかまえて豚箱へ入れることば正当なんだということまではこの条例、法律の裏づけでやっているわけです。そこのところを大臣、頭に置いてもらわなければ困ると思うのですが、大臣のほうでは、町よごしちゃいかぬからという気持ちでやろうと、法律ができれば一人歩きする。そして警察はそれを使ってやる。道交法でもそうですよ。ビラまきやったから、それで引っぱられた人がずいぶんあるのですね。人の通るところでビラまいちゃいかぬと、人の通らぬところでビラまきようがないのだから、通るところでまくにきまっている。それを道交法違反だといって引っぱっているというようなことですね。だから、こういうことに利用されるんだと、そこをぜひ考えておいてほしいと思うのです。
 そこで、さっきの除外例の問題ですね、警察はあそうやってビラ張った者を幾らでも引っぱるんだけれども、警察自身が電柱にたくさんビラを張っているのですね。私は、その点、写真借りてきたからこれはぜひ見てもらいたいと思うのです。こういう写真です。「届け出る皆んなの勇気が暴力絶やす」というような、こんなポスターもあります。それから「暴力が消えて明るい灯がともる」とかなんとか、そういうようなものもある。それからもっとひどいのは、こういうものがあるのです。これはどうしますか、大臣。「可愛いい子一人で出すな遊ばすな!都島警察署」として、この下に、「アルバイトサロン 女神 ホステス募集」、ずっとこうなっている。警察とぐるになっているのですよ。警察がついているから張っていいことになっている。見てください。どうなんですか、大臣、見てください、これ。こういうものが適用除外になっているわけです。警察、もって何となす。どうですか、警察庁。
#283
○説明員(奥秋為公君) 私どもとしましては、美観をそこなわないようにしながら、警察の真意をやはり皆さんによく知っていただいて、要するに犯罪をなくすという活動をするための一つの活動としてそういうことが行なわれておると思います。それで、おそらくそれにつきましては、電電公社等につきましても話をして了解をつけてやっておると思います。
#284
○春日正一君 現に警察がこうやってビラ張っているのを、現場とらえて写真とっているんですよ。それでビラまいて宣伝したら、ビラはがしましたよ。自分のほうではこういうことをやっている。そうしてわいわい騒がれるとはがしてしまう。そういうことをしながら、労働組合とかあるいは政党なんかで、政府に気に入らぬようなものに対してはねらい撃ちにこういうものを使ってやってくる。だから本来、美観や安全を守るというためのものなら、そのための限度にしなけりゃならないので、こういうものを理由にして政治弾圧というようなことはやられなくちゃならぬし、まさにそういう意味で私は一番先言ったけれども、繰り返すけれども、憲法二十一条の表現の自由というものから見て、この屋外広告物法というものは憲法違反の要因を含んでおるのじゃないか。だから、そういうものはやめたらいいと思う。
 そこで、やめたらいいと言って言いっぱなしでもあれですから言いますけれども、こういう基本的な自由というか憲法にかかわる問題ですから、だから軽犯罪法なんかでもあれ相当乱用されておりますけれども、しかし第四条には適用上の注意として「この法律の適用にあたっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。」と、こういう、何ていうんですか訓示規定というんですか、そういうものが入っているんですね。ところが、この屋外広告物法というものは、いま私ずっと述べてきたように、事ほどもさように憲法二十一条と深いかかわりを持っている。そういう法律の中でこの訓示規定さえないんですね。表現の自由を侵しちゃならぬ、そういうことをしてはいかぬ、最小限にとどめにゃならぬというような規定すらないんだけれども、それは一体どういうわけなんですか。
#285
○政府委員(吉田泰夫君) 軽犯罪法は目的の規定がなくて、いきなり第一条から罪ということで三十何号にわたる罪が規定されているという、そういう規定のしかたでありまして、そういう意味で第四条に、おっしゃいましたような乱用してはならないという適用上の注意という規定がございます。一方、この屋外広告物法では、その法律の目的を美観風致の維持及び公衆に対する危険防止ということにはっきり限定しておりまして、内容はほとんど条例にゆだねておりますが、それはそれなりの意味があって、国の法律で直接的に規制するよりも、地方の事務として地域的な判断で具体化すべきであるということから条例にゆだねる形式はとっておりますが、その基本となる制限の態様につきましては法律で定めておるわけでございますし、それを受けまして条例で許可基準あるいは禁止制限等の場所を明示している、こういう仕組みになっております。そういうことでございますので、この法律とそれに基づく条例というものが軽犯罪法などと違いまして乱用されるおそれはないと考えますので、あえてそういった規定は置いておらない次第でございます。
#286
○春日正一君 あなた、乱用される心配ないと言ってもさっきから私言ったけれども、これほどたくさんの、ここにあげてあるだけで昭和三十九年から四十二年までの分だけで三十三件もビラ張りでやられているんですね。乱用されているんですわ。そういうものもあるし、同時に、先ほど来私が言っているように、表現の場所どこにあると言ったら、あんた人のうちへ張れと言ったでしょう。そうして、私はそういうことじゃまずいだろうと、禁ずるなら立てる場所、張る場所をちゃんとつくってから、こっちはいかぬと言えと言ったら、大臣もそれはもっともだと、卓見だと言われた。そういう条件のもとでずうっと乱用されてきているんですわ。だから、そういう意味で条例にゆだねてある、それはけっこうだけれども、条例をつくる場合にもその憲法二十一条の条文を、精神をしっかり踏んまえて、そうして、これが乱用されるようなことになってはならぬというようなものがあれば、条例をつくるときに相当考えて議論もするし、条例もつくるということになるんだと思うんですよ。だからね、それは入れておくにこしたことないですよ。その点、大臣どうですか。
#287
○国務大臣(金丸信君) 先生のおっしゃる、いわゆる表現の自由という問題につきまして、それをできるだけそこなわないようなことを考えなければならないということでございますが、その点につきまして十分、条例、行政指導面でひとつ償っていきたいと、このように考えております。
#288
○春日正一君 そうすると、法律ですぐ変えるっていうわけにいかぬでも、せめて、また条例案を今度は新しく出すんだろうと思うんですけど、それの冒頭にでも、憲法二十一条の表現の自由を侵さないように十分に注意して最低限にそれはやらなければいかぬというような訓示書きでも書いてもらえますか。
#289
○国務大臣(金丸信君) 先生の意のあるところを十分くみましていたしたいと思います。
#290
○春日正一君 それから、次に罰則の問題に入るんですけれども、広告物の概念について広告物法の第二条では屋外広告物の定義ということをしていますけれども、これでは営業的なものと非営業的なものとの区別はしていないわけですけれども、これは一体どういうわけですか。
#291
○政府委員(吉田泰夫君) まあ美観風致を維持し公衆に対する危害を防止するというこの法律の目的から見ますと、広告物の内容が営利的かどうかということには関係がない、それを区分する合理的な理由がないと思います。なお、営利的かどうかということを区別するということになりますと、むしろ広告物の内容にも触れることになりまして、別途の問題も生ずるということでありまして、法律の目的から見て、それに即する形式的な規制をこの法律では考えているということであります。
#292
○春日正一君 そこで、そういうことで、この広告物の内容に触れないという口実で、実を言えば営利のための、いわゆる狭い意味の広告と、それから広い意味の、一般に公衆の目に触れさせるためのものという政治的な宣伝その他まで含めての、広いものまで含めて規制してしまうという法律のつくり方をしているわけですけれども、ところが、主権者である国民の表現の自由を保障するために、非営利的なもの、つまり政治活動や大衆運動にかかわる宣伝物の規制には、営利的な広告より慎重に配慮するのは、これは当然だと思うんですよ。その点はどうなんですか。
#293
○政府委員(吉田泰夫君) 法律や条例の条文上はその区別はできませんが、実際に運用される場合には、営業用のものは大体長期間掲示されるでしょうし、そういった違いもありますから、非営利的な広告物についての簡単な形式的違反を直ちに摘発するかということになれば、そこに考慮の余地があるかと思います。実際にもそのように扱われているのではないかと思います。
#294
○春日正一君 扱われていないから言ってるんですね。さっき言ったように、こんな事件があって――いま裁判にかかっているものだけですよ、大阪だけで。だから言っているんですね。だから、当然これは区別すべきだろう。この点では、四十七年十一月二十九日の大阪簡易裁判所のビラ張り問題の判断でも、「法益の侵害という実際上の結果がまだ発生もしていないのに、思想の表現が単に侵害の予想やその可能性だけでもって、言いかえれば、主権者である国民の政治、経済等に関する思想の表現が、当該思想を帯有している広告物、すなわちはり紙という手段を媒介にして把握することにより、その出口において、強調していえばまさに思想そのものの直前において処罰されるという結果になることが、それの自由を保障している憲法の建前に抵触しないものかどうかということである。」、大阪簡裁の判事はこう言っているんですね。だから、そういう意味でいえば、非営利的なものというのは特に区別して扱わなきゃならないのに、それが逆になっている、そういうことですね。そこで大臣にお聞きしたいんですけれども、やはり表現の自由という憲法二十一条の観点に立てば、広告の定義については明確に区分して、そうしてそれぞれの目的をそこなわないように、営業用の広告なら営業用の広告としての機能をそこなわないように、あるいは政治的、社会的なそういう運動のための広告というのはその目的をそこなわないようにしなければならぬ、一緒くたにしちゃまずいと思うんですけれども、どうですか、その点。
#295
○政府委員(吉田泰夫君) 屋外広告物法とそれに基づく条例は、その対象たる広告物の中身、表示の内容というよりも、そうでなくて、その掲示する場所とか掲示した物件とか、その規格、寸法といった形式的なものに主眼を置いたものでありまして、そういう意味で、それがかえって非営利のものを圧迫する結果になるのだとおっしゃいますが、しかしながら、やはりその中身をまた判断するとなりますと別途の非常な問題を起こすわけでございますので、やはりたてまえとしては従来どおり広告物の表示についての形式的要件というものを見る、そういう法律及び条例として考えていきたいと思います。ただ、運用の実態において形式的な違反が非常にささいなもので、回数も積み重なったものでないというようなときに、直ちにその違反を取っつかまえるべきかどうかということについては、美観風致の維持というような観点で配慮すべき点があろうかと思います。
#296
○春日正一君 さっきから言っているとおり、ちっとも平行線であれですけれども、もう一つの問題は、非営利的なものですね、これは電柱にビラを張った瞬間に違反にされて罰則が適用される、つまり罰則優先という扱いになっているわけですね。これはさっきの保母さんでもそうだけれども、バザーのポスターを張った、そうしたら帰りに警官に見つかった、ポスター持っておったから、おまえ張ったんだろうと言って引っぱられたという形ですぐやられる。ところが営利的なものでは、これ知事の指定する条件に反していても、そのことでは罰則に問われてないわけですよ。それについて一応回収、移転、除却命令というようなものを含む行政指導があって、その上で、それに従わない場合に初めて罰則が適用される。つまり営利的なものは懇切に行政指導をして、その上で従わないからといって罰則を適用するのに、非営利的なものを張ったとたんにぱくっとばくられて罰則を適用される。これは決してあなたの言っている公平なものじゃないんじゃないですか。本末転倒で、むしろこういう非営利的なものこそ、著しく美観を害するとかなんとかという場合に行政的な指導もし、それにも従わなかったらというような扱いをすべきじゃないですか。ここで逆になっている。これはどういう精神からそうされたんですか。
#297
○政府委員(吉田泰夫君) 罰則の適用あるいは事前に行政指導をするしないということにつきまして、法律上も条例上も非営利的なものと営利的なものを区別するということはありません。そういうことはないと思います。先ほど来申しましたように、全体としての美観風致を維持するための個々の積み上げということではありますけれども、わずかの形式的な違反をもって直ちに罰則をもって臨むべきかどうかは十分慎重に考慮すべきことでありまして、できれば行政指導等が先行して、その上でなおかつ聞き入れないときに罰則が適用されるという運用が望ましいと考えております。
#298
○春日正一君 あなたはそういうふうに言っているけれども、実際たとえば大阪府の条例を見れば、第二条三項で、ポスター、張り紙、立て看板は禁止と、そうして罰則の第十七条では、「左の各号の一に該当するものは、これを五万円以下の罰金に処する。」、第一条、第二条、第四条という、これは非営利的なものですよ。それから「第十条の規定に違反した者」、この十条の場合は変更の許可、第四条は危険広告物、こういうようなものが行政指導によってこれは従う。ところが、「第十三条又は第十四条の規定による命令違反」というのがその次にあって、これは営利のものですよ。だから、営利のものでは「第十条の規定に違反した者」というのが出ているけれども、しかし、一条、二条、こういうものはいきなりぽかっとくるわけですね。「第十三条又は第十四条の規定による命令違反」ということで、命令をされてそれに従わなかった場合という行政クッションがあるわけですから、これはもう法律の条文の上ではっきりそうきまっておるんだから、非営利的なもので張ったのはそれはぽかっとやる、そうでない、営利的なもので、立て看板だか、巻き看板だか知らぬけれども、そういうものは行政指導やった上で、聞かなきゃ処罰すると、こうなっている。逆じゃないか。
#299
○政府委員(吉田泰夫君) 条例上、許可を要するのに無許可で表示するとか、あるいは禁止されている区域に広告物を表示すれば、それ自体が罰則の対象になるわけでございますが、なお、違反是正のための命令を知事が出しまして、それに従わないというのも罰則の対象になっております。通例、除却命令に違反した場合のほうが、それだけの命令を事前にして、なおかつ違反しているということで、罰則が重く、いわば直罰といいますか、無許可あるいは禁止区域に至ったという場合の罰則は、一般的にはそれよりやや軽く罰則を定めている例が多いのでございまして、標準条例でもそういう差を設けておりますのが、まあいずれにしても、両方とも罰則の対象にはなるという点では変わりないと思っておるわけでございます。
#300
○春日正一君 ぼくはそんなことを言ってるんじゃないんですよ。つまり、条例の上で規定を読んでみれば、非営利的な、政党や大衆団体、労働組合なんかの張るものは、いきなりぽかっと警察が来てつかまえて処罰してしまう、しかし、金払って電柱にやっている営利的なものは懇切丁寧に指導して、それでも聞かなきゃ処罰しますよということになっているじゃないかと。つまり、そういうものを、主権者としての国民を取り締まることが、重くされるというか優先にされているという、それどういう立場でそうしたのかということですね。そういうものこそクッションを求めておいて、注意してというようにやったらいいんじゃないかということを言っているんですよ、非常にくどいようだけれども、ちっともはっきりそこがかみ合わぬから、あんたのほうと。
#301
○委員長(沢田政治君) わかるように答弁してよ。
#302
○政府委員(吉田泰夫君) はい。ポスター、張り紙というものは別に非営利的なものとか、営利的なものというわけではございませんで、実際には非営利的なものが多いかもしれませんが、営利的なものもありますし、そういう意味で条例上、営利的なもの、非営利的なものを区分していることばないと申し上げているわけでございます。
#303
○春日正一君 そこで最後にあれですけれども、最後というのは、あともう一つありますけれども、この問題としての締めくくりで言えば、法律上、まあ営利と非営利の区別のないたてまえをとりながら、実際には巧妙に区別をするやり方がとられておる。これは私さっきもこういうものを出したし、また時間さえあればこういうものの中身、全部読み上げてもいいですよ。そういうやり方がとられておる。しかも、これ憲法で保障しておる表現の自由にかかわる問題が、都道府県の条例でもってどうにもなるという重大な問題を含んでおるわけですわ。だから今回の法律の改正にあたって、まずここのところを直すのが本筋じゃなかったのか。法律改正にあたって、政治活動や大衆運動の必要で行なわれる宣伝物は広告物法からの適用除外ということ、そこを改正することが今回の改正での一番必要なことなんだし、先ほども言ったように、すでに法曹学界でも、あるいは裁判所の下級審では、そういう表現の自由というものが、所有権なり美観なり、そういうものに優先するんだというような判決をぼつぼつ出し始めているような時期なんだから、そこのところをお変えになったらどうだということが私は一番大事じゃないかと思う。それで、この点では大臣は、そういう点考えてみると言われましたから、先に進みますけれども、ここでもう一つ問題になるのは業者への指導、監督の強化という問題ですけれども、今度の改正点の一つに、知事の業者に対する助言、勧告など、第十条ですね、指導、監督の強化ということが規定されているんですけれども、具体的にはどういう助言、勧告ということを想定しておいでになるか。
#304
○政府委員(吉田泰夫君) たとえば屋外広告業者が組織している地域的な団体がありますが、そういったものと定期的に連絡会議を開催して協議するとか、あるいはもっと積極的に広告物の表示のしかた、意匠、色彩等について、たとえばコンクールを開くとか、いろいろなことがあると思います。その他条例とか広告物の表示方法について、県において解説書をつくって配付するというようなことが考えられます。
#305
○委員長(沢田政治君) 春日君、そろそろまとめてください。
#306
○春日正一君 もうあと、これでまとめになるんですけれども、どうもはっきりしないんだけれども、つまり助言、勧告というからには、当然あれでしょう、ただ業者の団体に集まってもらって、そこで話をするとか、先ほど来問題になっておった講習会を開いてどうするとかいうことではなくて、助言、勧告というからには当然、個々の事態に対して具体的に指摘するということだと思うんですよ。そういう意味じゃないんですか。
#307
○政府委員(吉田泰夫君) そういう具体的な場合に助言なり勧告するということも含まれております。
#308
○春日正一君 そうすると、いまの現行法でも第七条で除却・改善命令というようなものが出せることになってるのに、なぜあらためて設ける必要があるのか。
#309
○政府委員(吉田泰夫君) 現行法で除却とか改善命令を出します対象は広告主に対してでありまして、広告業者は屋外広告物のあり方について非常に重要な地位を占めているにもかかわらず、そういった法的な規制の対象には直接はならない次第でございまして、しかしながら、これを放置しておくということは適当ではありませんので、一方において届け出制を設けるとともに、指導、助言あるいは、ものによりましては勧告というようなことを行ないまして、不適切な広告あるいは個々の表示ということにつきましても、行政指導面でその実をあげるような根拠規定をおきたいと考えた次第でございます。
#310
○春日正一君 現行法では管理者を対象として行政指導はやるということになっているからぐあい悪いと言うのですけれども、現行法のほうが、この問題だけで言えば道理があるんじゃないですか。業者が広告主から注文受けて、それで一定の広告をつくって渡してしまえば、業者はそれで手が切れちまうわけだから、今度はその広告を注文した広告主のほうにぐあいが悪いぞということが言われて、広告主のほうから業者に、おまえにつくってもらったけれども、ぐあい悪いから直してくれということになるのがあたりまえで、広告主に渡してしまったものについて業者にどうこうというような勧告だの助言ということがいくということになると、筋違いになってくるんじゃないですか。当然それは広告主あるいは電柱の管理者、そういうもののところへ不適当なら不適当だということがいかなければどうにもしようがないんじゃないですか。
#311
○政府委員(吉田泰夫君) おっしゃるとおり、法的な措置等は現行法にもあります広告主に対する措置によって行なうわけでございます。いま申しましたのは、そうは言っても、実際的に広告業者が広告物をつくって掲示したりすることが多いわけで、その役割りが非常に大きいものですから、一件一件の具体例についてというよりも、よく不良工事をやるというようなものにつきまして助言なり勧告の道を開くということは妥当ではないかと考えております。
#312
○春日正一君 ちっとも妥当ではないですよ。ここの国会の議事堂をつくった、この議事堂のつくりぐあい、ぐあいが悪いということになって、それでは建設した建設業者に文句を言うかといったら、そうじゃないでしょう。やはりいま国会を管理している、参議院なら議長ですか、事務総長ですか、そういうところで問題にされて、それではつくり直そうとか、どうしようとかいうことになるわけでしょう。業者が注文を受けて渡してしまったものに対して、いつまでも業者に対して指導するとかなんとかいう筋がないじゃないですか。なぜ私が一番それを言うかというと、業者に届け出をさせて、そうして業者に対して地方自治体なり何かがにらみをきかすというようなことになれば、業者の仕事をどうしても多かれ少なかれ統制するようなことになってきますよ。そうして事前にもしその中身そのものについてまでくちばしがはさまれるような事態になれば、これはたいへんだ。事前にそれははさみませんとは、もちろんここでは言うだろうけれども、しかし業者に何でそれがなければならぬのか。そういう点で私はこの問題を心配しているわけです。だから、現行法の規定のほうが正当だと思う。つまり管理者に対して勧告し助言する、それによってまた業者に頼んで直させるものは直させる、それのほうがあたりまえです。それが常識です。どうもおかしい。そこが私にはわからぬ。どうですか。
#313
○政府委員(吉田泰夫君) おっしゃるとおりでございまして、筋としては広告主に対して措置することでございます。その規定はもちろん残しておるわけでございますが、その上に屋外広告業者の届け出制とあわせまして、実態上、屋外広告物のあり方について大きな影響力を持つ業者そのものの業務活動にも適切であってほしいという意味から、条例の定めるところによりまして指導、助言及び勧告ができる根拠規定を置いたほうが、より適切な広告物のあり方が期待できるのではないかと、こう考えたわけでございまして、それ以外に他意があるわけではございません。
#314
○春日正一君 私ちょっと時間も超過していろいろ質問してきましたけれども、あなた方の説明ちっとも納得いかないんですよ。やはり憲法二十一条でいう表現の自由と主権在民という憲法の規定、こういう立場から見て、あなた方の説明は憲法をちっとも念頭に置いてない。ただ目先の、きれいになるとか、きたなくなるとかということだけでものごとを処理しておいでになるという印象を受けましたよ。非常に残念だと思います。この点、大臣もぜひ、日本の民主主義がずうっと定着して、これから発展していくという状態の中で、これをこわすようなことにならぬように、やはりこの問題を真剣に考えてほしいと思うんです。だから、本来なら私はこういう問題では、もっとこの問題について関連しておる学者なり、実際に被害を受けた人なり、自治体の側なり呼んで、いまの実情をもっともっと聞いた上で、どうしたらこの憲法に沿うような形で美観や安全を守ることができるかということをもっと慎重に考えなけりゃならぬ問題だと、そういうふうに思うんですけれども、私いまここで証人喚問という要求を出しても唐突だと思いますからあれですけれども、そのくらい大事な問題だと、これを考えておいてほしいと思います。
#315
○国務大臣(金丸信君) 表現の自由という問題については重大な問題でありますから、先生の御指摘になられる、まあ歯車の合わないところもたくさんあるようでございますが、表現の自由というものは侵されないように、できるだけ最善の努力をいたしたいと、こう考えております。
#316
○田中一君 私、ちょうど前回の委員会で、部屋におらないときに、あらためて私が要求した資料のほかに新しい内容の資料をお出しになったということを聞いきました。これはばなはだ遺憾なことで、その追加されているところの条文というものは、いま自民党が修正案として修正しようというものにほかならないんであります。どういう意図でそのような二種類の資料をお出しになったか、これを一度――条例の内容です。こういうことは、私、今日までそういう事例を知っておらないのです。したがって、どこにどういう間違いがあってそういうことになったか、いわゆる悪意か善意か、その点について納得する解明をしていただきたいと思います。
#317
○委員長(沢田政治君) この点については、午前中の理事会の経緯に基づいて委員長がそれを確かめ、委員から疑義があったならばそれを受けるということで終了いたしましたが、田中委員が欠席でありますので、これは重複するようですが、決着ついた問題でありますが、政府から答弁願います。
#318
○政府委員(吉田泰夫君) もとより悪意があったわけではございませんで、十二日の日に先生から標準条例案を議会に提出するよう御要求がありまして、さっそく準備にかかっておりましたが、その日の夕刻までに渡せということでありましたので御提出したのが一つあります。このときには、そのときの判断で、その講習会修了者の設置義務規定に関しまして、同等以上の知識を有すると認められる者を除外するという除外例の規定を標準条例案に入れることに思いつきませんで、ああいう案をお出ししましたが、その後すぐ気がつきまして、あらためてその特例の規定を置くことにし、それを加えたものを正式に委員部を経て委員会に提出さしていただいたということであります。そのために、その後の御審議につきまして多大の御迷惑をおかけいたしましたことを深くおわび申し上げ、今後このようなことのないように十分注意いたします。
#319
○委員長(沢田政治君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#320
○委員長(沢田政治君) 速記を起こしてください。
    ―――――――――――――
#321
○委員長(沢田政治君) 委員の異動について御報告いたします。
 ただいま熊谷太三郎君が委員を辞任され、その補欠として石本茂君が委員に選任されました。
    ―――――――――――――
#322
○委員長(沢田政治君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。なお、修正意見のある方は討論中にお述べ願います。
#323
○山内一郎君 私は自由民主党を代表して、本案に対し、次の修正案を提出したいと思います。まず、修正案を朗読いたします。
    屋外広告物法の一部を改正する法律案に対する修正案
  屋外広告物法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
  第七条の次に三条を加える改正規定のうち第九条(見出しを含む。)中「講習会修了者」を「講習会修了者等」に改め、同条第一項中「修了した者」の下に「又はこれと同等以上の知識を有するものとして条例で定める者」を加える。
 以上であります。
 その理由は、第九条で屋外広告業者は、営業所ごとに、都道府県が行なう広告物の表示、物件の設置等に関する講習会の受講修了者を置かなければならないことにいたしておりますが、現在、職業訓練法におきまして、広告技術、仕上げの技能検定が行なわれており、その合格者は講習会修了者と同等以上の知識を修得していると認められるのであります。したがいまして、これら技能士等、講習会修了者と同等以上と認められる者が資格者として条例で明確にされる必要がありますので、この修正案を提出する次第であります。何とぞ御賛成をお願いいたします。
 なお、屋外広告物の乱立している現状にかんがみまして、政治活動の自由の確保について十分慎重な態度で臨むべきことはもちろんでありますが、美観、風致の維持をはかるため、違反はり紙、立て看板の除去措置の簡素化、屋外広告業者の届け出制度を創設することは妥当なものであると考え、本改正案の修正案を除く残りの部分については、賛成の意見を表明するものであります。
 以上であります。
#324
○松本英一君 私は日本社会党を代表して、ただいま提案された修正案並びにそれを除く残りの部分に対しても反対の意思を表明するものであります。
 都市の美観風致の維持、あるいは危険防止を目的として本法が制定されてから約十四年、二回の改正を経てきたわけでありますが、この趣旨かどれだけ国民の意識の中に浸透しているか、その程度は疑わしいものがあると考えざるを得ません。他国に例を見ないほど屋外広告物ははんらんして目に余るものがあるということは事実であります。しかしながら、違反広告物に対する規制措置の強化ということで、手続が簡略化されることは、何ものにもかえがたい政治活動の自由の確保に大きな危惧の念が持たれるのであります。民意が国政に反映されるための手段がいささかでも侵害されるおそれがあってはなりません。また、本来、育成指導の面が強調されなければならないものが、取り締まりの強化のみが前面に出ていることははなはだ不満に思うところであります。
 本改正案の柱の一つである広告業者の実態を把握するための届け出制度の創設についても、講習会修了者の設置義務が課せられていますが、委員会における質疑で明らかにされた程度の講習課程の知識と技術では、むしろいたずらに手数をかけるのみで、羊頭を掲げて狗肉を売るの類であり、実効をあげ得るものではないことを指摘して討論を終わります。
#325
○田代富士男君 私は公明党を代表して、屋外広告物法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行ないます。
 今回の改正案は、屋外店告物として掲出されている張り紙並びに立て看板等について知事などが撤去することができることとし、所要の改正を行なうこととしております。
 反対理由の第一は、このような措置が、いわゆる表現の自由、営業の自由など国民の基本的権利を不当に侵害するおそれがないかということであり、今日の時点ではとうてい認めることができません。
 第二に、本改正案は、いわゆる届け出制度をとると同時に、第九条の規定によって講習会修了者の設置を義務づけようとしております。しかし、当初、政府においては、十年も十五年もの実務経験者あるいは広告美術技能士などの有資格者も、きのう、きょう始めたばかりの人も同じ扱いをする考えしか持たなかったことは、質疑の段階での明白な事実であり、政策論としても未熟かつ不合理と言わざるを得ません。事ここに至って、自由民主党から修正案が提出されましたが、これとても実務経験者については相変わらず説明しきれないなどの難点が残るのであります。
 要するに本改正案は、屋外広告業界の実情についての十分の認識を持たないまま、その指導強化を意図した点を強く指摘するとともに、本改正案並びに修正案に対し反対するものであります。
#326
○高山恒雄君 屋外広告物法の一部を改正する法律案に対しましては、基本的には従来の法案に対して、違反な張り紙、立て看板等の除去の措置の簡素化ということを考えておるのでありますが、なお、しかし、こうした問題の除去の簡素化ということは非常にむずかしい問題がふくそういたしております。特にまた、この法案に基づいて、各地方の条例によって定めるという一つの基準を示すべきではないかと、私はこう思うのであります。現在においてすら各都道府県においては、少なくとも内容についてまちまちであります。たおえば届け出に対する、張り紙に対する承認の手数料、これを取っておるところもあれば取ってないところもある、こういう不統一なあり方が、国民ひとしく同様の、このいわゆる条例に基づいてやるという場合にしても、統一あるものにしなければならぬのではないか。それが政府としての基本的な姿勢でなければならぬと私は考えております。
 なおまた、もう一つの問題は、この講習制度を設置したことでありますが、これは義務制度になっております。なお、この義務制度の問題に対して、少なくとも、これからの講習制度がどの程度出るかわからないのでありますけれども、こうした指導に対して受講生から受講費を取って、そしてまかないをやるというやり方は、この際こそ改めるべきだと私は考えるのであります。表面では非常に簡素な法案のように見えましたが、内容に入れば入るほど、なおまた地方条例の今後の定め方においては多くの国民に迷惑をかけるということがうかがえるのであります。したがって、わが党といたしましては、この法案に対しては反対をいたしたいと思うのであります。
#327
○春日正一君 私は日本共産党を代表して、屋外広告物法改正案に対する反対討論を行ないます。
 反対理由の第一は、従来、張り紙だけに限定してきた行政庁の除却権限を、張り札、立て看板にも拡大しているということであります。政府はこの措置を、バーゲンセールや風紀上いかがわしい宣伝物、その他通行者に危険を与えるような広告物など撤去要求の強い地方自治体等の要請によるものであるとしています。わが党ももちろん、人命に危害を与え美観をそこなうような広告物は野放しにすることを認めるものではありません。しかし、こうした広告物の取り締まり対象の中には、政党や大衆団体の行なう広告物も含まれています。そして、この法律や条例が、従来、美観維持とか危険防止を口実として、しばしば表現の自由を侵害し、政治活動や大衆運動に不当な干渉、弾圧を加える根拠法令の一つとなってきたことは周知の事実であります。したがって、今回の改正案もまた、こうした弾圧、干渉の可能性を拡大する危険があるものと見ざるを得ないのであります。
 法律改正にあたっては、わが党は、政治活動や大衆運動など営利を目的とするものでないような宣伝物については、まずこれを適用除外することを明記すべきであることを主張します。それは、政党や大衆団体の宣伝物が真に美観をそこない人命に危害を及ぼすようなものであるならば、みずから国民の支持を失うことになり、当然、自粛せざるを得ないものだからであります。
 反対理由の第二は、業者の届け出制度の創設、講習会修了者の設置の義務づけ、行政庁の助言、勧告など、広告業者に対する一連の行政庁の権限の強化についてであります。これらの措置は、中小零細業者の圧倒的に多い広告業者に各種の困難を与え、営業の自由を侵害するものともなりかねません。また、業者への指導、監督を通じて、広告物が掲載される以前にも事実上の規制が可能となり、政治活動や大衆運動にかかわる宣伝物に対する事前のチェックを許す危険性もあります。したがって、わが党は、このような改正案には反対せざるを得ないことを明確にして、反対討論を終わります。
#328
○委員長(沢田政治君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより屋外広告物法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、山内君提出の修正案を問題に供します。山内君提出の修正案に賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#329
○委員長(沢田政治君) 多数と認めます。よって、山内君提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#330
○委員長(沢田政治君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。
 以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
#331
○中村英男君 私は、ただいま修正議決されました屋外広告物法の一部を改正する法律案に対し、各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
  屋外広告物法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案
  政府は、本法の施行にあたり、政治活動の自由の原則にそむくことのないよう、万全の措置を講ずるとともに、次の事項について、遺憾なきを期すべきである。
 一、広告塔および工作物等に掲出する広告物の設置については、公衆に危害を及ぼすことのないよう監督を厳重にすること。
 一、屋外広告業者は、零細業が多い現状にかんがみ、講習会参加経費について、過重な負担を強いることのないよう配慮すること。
 一、政治活動に関するはり紙等の手数料および市民運動、労働運動にかかわるはり紙、立看板等については、慎重に行なうよう指導すること。
   右決議する。
 以上であります。何とぞ御賛成くださいますようお願いいたします。
#332
○委員長(沢田政治君) ただいま中村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。
 中村君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#333
○委員長(沢田政治君) 全会一致と認めます。よって、中村君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議にすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し金丸建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。金丸建設大臣。
#334
○国務大臣(金丸信君) 本法案の御審議をお願いして以来、本委員会におかれては熱心なる御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。審議中における委員各位の御高見について、今後その趣旨を生かすようにつとめるとともに、決議された附帯決議についてもその趣旨を十分尊重し、今後の運用に万全を期し、各位の御期待に沿うようにする所存でございます。
 ここに、本法案の審議を終わるに際し、委員長はじめ委員各位の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表し、あいさっといたします。ありがとうございました。
#335
○委員長(沢田政治君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#336
○委員長(沢田政治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時二十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト