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1972/06/14 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 建設委員会 第12号
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1972/06/14 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 建設委員会 第12号

#1
第071回国会 建設委員会 第12号
昭和四十八年六月十四日(木曜日)
   午前十時十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十四日
    辞任         補欠選任
     上田  稔君     玉置 猛夫君
     古賀雷四郎君     高橋 邦雄君
     中津井 真君     片山 正英君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         沢田 政治君
    理 事
                竹内 藤男君
                山内 一郎君
                松本 英一君
    委 員
                片山 正英君
                熊谷太三郎君
                小山邦太郎君
                高橋 邦雄君
                玉置 猛夫君
                中村 禎二君
                米田 正文君
                中村 英男君
                西村 関一君
                田代富士男君
                二宮 文造君
                高山 恒雄君
                春日 正一君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       建 設 大 臣  金丸  信君
   政府委員
       運輸省鉄道監督
       局国有鉄道部長  住田 正二君
       建設大臣官房長  大津留 温君
       建設省都市局長  吉田 泰夫君
       建設省道路局長  菊池 三男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中島  博君
   説明員
       環境庁自然保護
       局計画課長    宇野  佐君
       文化庁文化財保
       護部記念物課長  古村 澄一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(沢田政治君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○田代富士男君 どうも最初に、おそくなりましてすみません、待っていただきまして。
 先日の委員会で、ちょうど私の順番の前に突然として委員会が中断されまして、その続きとしてきょう行なわれたわけでございます。
 建設省といたしまして日本の産業の発展のために、また、われわれ社会の発展のために道路行政に対して力を注いでいらっしゃる点はわれわれも理解することができます。しかし、その道路行政のあり方につきまして、いままでのようなやり方でのようなやり方でよい点もあるかもわかりませんが、時代の流れとともに変えていかなくてはならない面も出てきているんではないかと思います。特に田中総理が総理になられまして、また日本列島改造論等の中を見ましても、いままでの成長経済から福祉経済への転換をはかっていかねばならないと、そういう面も多々見受けることができるわけなんです。で、端的に、現在の人間で言うならば血管ともいわれるべきものが、国土にたとえるならば道路じゃないかと思うんです。その道路自身がやはり人間を中心とした道路になされているのかと、このような観点から見ました場合に、やはり人間中心よりも、こういう自動車を中心とした道路というようなほうに片寄りつつある点があるんじゃなかろうか。そういうところから、自動車中心の道路となってまいりまして、その付随した事項といたしまして、いま環境問題を中心といたしましていろいろなことが起きてきております。私が申すまでもありません。公害の問題、あるいはそれに付随したいろいろな問題が起きてきております。だから、いまのままの道路行政でよいものか、あるいは、いま申しますとおりに経済の体系も成長経済から福祉経済へひとつ変えていこうと、こういうような時代でございますから、抜本的な発想の転換というもの、福祉型の道路といいますか、そういう方向に転換していくような行政をやっていく時期に入ったんじゃないかと私は私なりに理解をしているんですが、その長に立っていらっしゃいます大臣のお考えをまずお聞かせ願いたいと思います。
#4
○国務大臣(金丸信君) 田代先生の御指摘のとおり、ただつくればよろしいという時代ではなくなったと私も思います。そういう意味におきまして、道路をつくるについては環境保全ということも考えなくちゃならぬし、また自動車の構造の改善もやらなくちゃならぬけれども、その他、総合的な対策は当然練られなくちゃならぬが、抜本的なことも考えなくちゃならぬと私は思います。また、いままで都会中心のような道路の形成であったけれども、これも福祉経済を形成していく上において、生活道路というようなものに重点を置かなくちゃならぬということも考えなくちゃならぬ、あるいは自動車がこのままこのように多くはんらんすることがよろしいかというようなことを考えてみると、自動車を通さない自転車道――大規模自転車道というようなものをひとつ考えてみる必要もあるんじゃないか。どちらにいたしましても、いままでのようにただつくればいいという時代でない、公害のない環境保全をした人間本位の道路をつくるということが、きょう建設省に与えられた大きな責務だと私は考えております。
#5
○田代富士男君 いま大臣がお考えになっていらっしゃることと、私がこうありたいと私なりに願っていることとほぼ同じ目標じゃないかと思うんです。そういうことで、具体的な例といたしまして四十八年から五十二年、第七次計画を立てられまして、いま取り組まんとされておりますけれども、その中にも、いま大臣が申されました大臣の決意といいますか、大臣の、こうありたいというその方針というものは加味されていかなくちゃならぬ。そうしますと、福祉型の道路行政というものがこの第七次計画の中に出てくると思いますけれども、いま大臣がお話しになられましたが、第七次計画の完了時点におきましては――もちろん、いま自転車道路の計画等もやっていかなくちゃいかぬということ等もありますけれども、第七次計画時におきましてはどの程度のものになるのか、その点につきましてちょっとお聞かせを願いたいと思います。
#6
○政府委員(菊池三男君) ただいまの御質問、福祉型の路線に変わって第七次でどういうふうになるかという御質問でございますが、これはどういうふうにお答え申したらよいのでしょうか。たとえば一般国道あるいは都道府県道、市町村道というものの現在のところの整備は、特に国道につきましては現在九〇%ぐらいまで舗装が伸びております。それから、非常に大きく分けてでありますけれども、都道府県道につきましては約六〇%ぐらいが舗装ができております。それから市町村道につきましては約一六%でございます。これが今度の五カ年でどのくらいになるかということを申し上げます。それで、たとえば国道につきましては、今度のこの舗装でございますけれども、大体九八%ぐらいの整備が、舗装が終わるということでございます。それから都道府県道につきましては約九〇%舗装が終わる予定でございます。それから市町村道につきましては二八%。市町村道は全体の延長が非常に大きいものでございますので、舗装の率としてはまだ二八%でありますけれども、現在の舗装の約倍近くぐらいになるかと思います。
#7
○田代富士男君 いま局長も申されましたとおり、国道、都道府県、市町村道と分けた場合に、われわれ国民生活、特に生活道路としての一番関係の深い点は、三つとももちろん関係があると思いますが、その重さという点から申し上げますならば、この市町村道路というのが生活道路と端的に表現できるんじゃないかと思うんですね。これが一六%弱というようなことで非常におくれているわけです。こういうところに国民のやはり不満といいますか、そういう面が、満たされない面があるんじゃないかと思うんです。これは一度には解決できない問題じゃないかと思うわけなんですけれども、特に私は、いま数字的なことございましたけれども、この生活道路ともいうべきこの市町村道路の整備に対しましては、一応予算の範囲内で仕事をされるんですから、それ以上の仕事はできないとしましても、大臣の一つの決断によりまして、これをより充実するようにはかっていただきたいことを、一応、私は代表として、これを希望として申し上げておきたいと思います。
 まあ何といいましても、いま道路が一番問題にされているのは環境破壊の問題じゃないかと思います。そういう面から考えますと、道路ができ上がったときには、いままでの既存の考え方は、道路がついたら道路の幅だけの破壊されたものに限ってたけれども、最近はそういうわけにいかなくなってきた。すなわち道路の両幅の広い範囲内の生態系への影響というものが非常な大きな問題になってきた。端的に言うならば、道路というものは一つの線としての機能、道路はさらに面、それから今度はその周囲の生態系までの影響が大きいということば、空間までの影響が大きくなってきたということは、非常に私は、これは時代の流れといえばそれまででございますが、やはり主体者であります人間自身の生存ということを第一義に置いていかなければ何のための道路開発であるかという、そういう人間中心主義という立場から考えていくならば、いまからの第七次計画に沿ってどんどん仕事をされると思いますけれども、この道路行政を主体とされます当局としまして、自然環境の破壊との関連性につきましてどのように今後取り組んでいかれるのか、この点、具体的な面をお示しいただきたいと思うんです。
#8
○政府委員(菊池三男君) ただいま先生からお話がございましたように、道路をつくりますと、その道路の沿線、あるいはもう少し広くその道路のために影響を受けるのは事実でございます。従来の道路整備が線という考え方から、ただいま先生言われましたように面、そしてまた空間ということも考えなければいけない時代であると思います。それで私ども実際に道路をつくりますときに、そういう環境を破壊しない、生活環境と調和のとれた道路をつくりたいということを考えております。たとえて申しますと、同じルートを選びますときにその土地利用計画というものを考慮し、あるいは、それでもなおかつ市街地あるいは住居地域を通らなければならないこともございますが、そういう場合にはそれなりの対策を講じた道路をつくっていかなければならないだろうと思っております。また、ただいま御質問のように自然環境の破壊をどうするかということでございます。全国で、道路をつくろうという計画と自然環境を破壊する、あるいは文化財をどうするかというような問題で、あちらこちらでそういうトラブルが起こっているのも事実でございます。私どももやはりルート選定にあたりましては、なるべくそういう国立公園あるいは国定公園というような自然を破壊しないような形で通りたいということを考えておりますけれども、やはり道路である地域とある地域を結ぶということになりますと、そういう地域を通らなければできないということもございますので、そういう場合には環境庁といろいろ打ち合わせし、また地元の意見を聞きながら一番環境破壊の少ない形でそこを通らざるを得ないというふうに考えております。そうかといって、そこを完全にはずしますと道路はつながらないということで、これまた道路の機能がなくなりますので、そこら辺が一番私どもの頭を痛めているところでございますけれども、これはやはり環境庁、住民との話し合いの上でそういう公害の一番少ない、環境破壊の少ない道路をつくっていこうということでございます。
#9
○田代富士男君 いま鋭意努力されると思いますが、都市部、そういう面に対しましては、今度は公害という問題ですね、これに対しまして、いまおもに一般的なそういう自然環境破壊ということでございましたが、都市部等におきましてはどのようにして対処されるお気持ちですか。
#10
○政府委員(菊池三男君) 都市部につきましても、なるべく住居地域を避けるというような問題がまず路線選定の上で第一でございます。その地域の開発計画あるいは土地利用計画というものを見ながらルーティングをやるわけでありますけれども、それでも、先ほど申し上げましたように、どうしても住居地域を通らなければならないという場所が出てまいります。そういう場合には構造的な面で、あるいは掘り割り構造にするというようなこと、あるいは防音壁を立てる、そしてその壁というものはたいへん目ざわりでございますので、緑樹帯をつくって木でおおう、あるいは非常に通過交通の多い路線でありますれば、いま考えておりますが、両サイドに十メートルずつぐらい緩衝緑地帯というものをつくりまして、そこに壁を立てたり木を植えたりして、いわゆる道路環境と生活環境を分離したいというようなことをいま考えております。そしてそういう道路は、都市部でありますと都市計画決定をして、工事を始める前に、そういう意味で、こういう道路がこういう形でできますということを十分に地元の方と話をしてやろうという考え方でおります。
#11
○田代富士男君 いま申されましたとおり、防音壁だとか掘り割り式だとか、緩衝地帯を設ける、こういうことになりますと、いままで建設省当局が道路というものの建設に対していろいろ予算を組んでおいでになりましたけれども、それプラス、言うなれば、いままでの仕事としてやる必要はなかったと言えば語弊があるかわかりませんけれども、当然いままでもやっておかなくちゃならなかったと解していきたいと思いますが、プラスアルファの分がずいぶん出てくると。そうしますと、単価の面におきましてずいぶん高いものになってくるんじゃないかと思いますが、私は、そういう金銭で解決できるものは、これはまだよいとしましても、こういう自然環境というものは、一度くずされたものというものはなかなか取り戻すわけにはいかないと思うんです。たとえば、樹木の一つをたとえましても、十年たった年輪というのはこのくらいです。やはり百年たった年輪の樹木というものは、そういうものは、ものは言いませんけれども、やはり百年たった樹木というものは百年たっただけの、にじみ出るといいますか、そういうものがあると思うんですね。そういう面で、開発という点でいまどんどんそういう樹木が倒されている。そういう点で私は、以前マレーシアに行ったおりに感心したことが一つあるんです。マレーシアの国というのは建設の国だと聞かされまして、向こうは成人を迎えたならば、成人した人は必ず樹木を一本植えるようになってるんだ、樹木を。そのようにして国土を守ることになってるんですということを聞きまして、なるほどわれわれ自身も、そのくらい国土を愛するといいますか、自然環境を後々の子孫のために残しておこうとなったならば、そういう立場で考えたならば、もっと同じ道路をつくるにいたしましても違いがあるんじゃないかと思うんですね。そういう点につきまして、少々コストは高くついてもやっていくべきだと思うんですが、大臣いかがでございましょうか。
#12
○国務大臣(金丸信君) 将来民族生存のために――一時の金の高い安いという問題に目をつけて、将来の民族のためにならぬような道路をつくるということはならないと。そういう意味で金が少々上がっても、それが曲がることによって効果が大きいということであるなら、当然私はやってしかるべきだと、こう考えております。
#13
○田代富士男君 そういう大臣のいまのお考えを、考えにとどまらず、ひとつ実証で示していただきたいことを、これ希望としてお願いをしたいと思います。
 それで、四十七年の六月六日でございますか、各種公共事業にかかる環境保全対策につきまして閣議了解事項がございます。この中でも明確にいま私が申し上げたようなことが了解されておるわけなんですが、国または政府機関等が道路、港湾あるいはいろいろな各種事業をやろうとするときには、計画の立案、工事の実施等に際しまして、その事業の実施にあたって公害の発生やあるいは自然環境の破壊等、環境保全上重大な支障をもたらすことのないように留意してもらいたいという、そういう意味と、また第二項目には「環境に及ぼす影響の内容及び程度、環境破壊の防止策、」、いろいろ調査研究をするような、そういう所要の措置をとっていただきたい、こういうことが閣議了解されております。また昨年の十二月の二十六日、これは首都高速道路基本問題調査会の答申だと思います。基本問題調査会の首都高速道路に対する答申が出ておりますけれども、一部違いがありますけれども、大体同じような内容になっておりますし、いま局長が話をされました、道路だけをつくるんでなくして、両サイドに緩衝地帯を設けなければならない、たとえばいま四車線の道路でしたら大体二十メーター範囲内、十八メーターくらいになっているんじゃないかと思いますが、そうすると、両サイドにこれを設けるとすると、大体六十メーターの土地を買収しなければ道路はつけることはできないと、こういう計算の上から、ざっと言えばこのようにならない点もありますし、広くなるところもあるでしょう、ちょっと入り込むこともあるかもわかりませんけれども、一応こういうことが答申として環境保全対策という立場から出てきております。しかし、この答申のほうを読みますと、いろいろしなくちゃならないということはわかりますけれども、もう私が説明するまでもなく、こういう公式な文書というものはどうにでも解釈できるようなふうに、とり方によってなっているわけなんです。やらなくても、これはたとえて極端なことを言いますと、これはこういう意味なんだという、そういうふうにとりがちのところがございますけれども、私は、これだけの答申なり閣議了解されておりますし、いま大臣にお尋ねいたしましたとおりに、これは何としてでもこの精神を生かしていただきたいと思うんですが、大臣いかがでございましょう。
#14
○国務大臣(金丸信君) 空文に過ぎるということでなくて、あくまでも精神を生かして実地にこれをやらなくちゃいけないと、私はことばだけでなくて実行いたします。
#15
○田代富士男君 大臣がやると言っていただいておりますし、特に大臣の御出身の御当地というのは山林に囲まれたところでございますし、自然保護という立場からも、ぜひともひとつ大臣がよき例を建設省に残していただきたい。歴代の大臣の中で、この自然環境を保存するというくさびが金丸大臣のときにできたという、それをひとつお願いをしたいと思います。
 こういう環境保全対策のことから、一つ、私はなるほどかくあるべきじゃないかという心を新たにしたことがあります。それは、いま具体的な例を述べますが、また、これはとり方によれば反対の意見の人もあるかと思いますが、しかし、私はいまるる申し上げておりますとおりに、人間中心主義という立場から考えていくならば、私の思っていることも間違いはないじゃないかと思うんです。それは、仙台市の郊外に大白山というのがありますね、その大白山という山は高さが大体三百二十一メーターの山でございますが、ここには非常にたくさんな植物あるいはチョウチョウ、そういうものが恵まれた自然環境の中に生存をしている、学術上でも貴重な場所として大事にされているところなんです。ところが、仙台市当局が宅地開発の必要性からこの周辺を開発する計画を立てられたわけなんです。また、この周辺を通過する東北縦貫道がありますが、そういうわけで、東北縦貫道とはちょっと離れておりますから、宅地開発するその位置から東北縦貫道に至るまでの道路の建設ということも仙台市当局の手で計画されたわけなんです。ところが、東北大学や岩手大学などの学者の皆さんから強力な反対の声がございました。公明党といたしましても昨年の十月にこの現地調査をいたしました。さまざまな、いろいろな資料も集めました。それからも検討いたしました。そういうことから、地元の生物学者、そういう強力な反対のもとに、仙台市当局におきましては、宅地並びに東北縦貫道に連絡する道路の計画を立てたけれども断念することになりまして、そういう植物あるいはチョウチョウの生息地として有名な大白山が無事保護されたという結果を見ることができたわけなんです。これは開発計画につきまして、地元のこういう学者、こういう人たちの強力なるバックによりまして、これを守られることができたわけなんですけれども、これが一般的な道路でこのような強力なるバックがなければ、そのまま道路あるいは開発計画になっていたのじゃないかと思うのですね。その大白山の計画書、どういうところかという、ここにも私は研究されました調査報告書を持っております。私も簡単に目を通しましたけれども、この学術調査報告書を読みますと、なるほどこれは学者がこれだけ保存をしようという意味を理解することができます。それをすなおにいま仙台市当局が踏み切った、開発中止ということ。まあ、そういうことで私は非常にこのことにつきまして感銘を受けました。
 そういうわけで、いま私が申し上げました環境保全対策に対する首都高速道路基本問題調査会の答申といまの閣議了解事項ですね、こういう精神からいいまして、この仙台市のとったこの問題というものは値するんじゃないかと思うのです。だから、人間の生活で一番大事なものは何かというと、衣食住です。これは一番の根本です。その衣食住の住宅、住宅開発という、それをこれはもう断念した。そして、なおかつ、それに付随する道路まで断念したという、この仙台市当局のあり方につきまして、今後、建設省としてもこれは参考にすべき――まあ仙台市のことを建設省が参考にすると言うと語弊があるかもわかりませんけれども、その精神をくみ取っていただきたいと思うのですけれども、この点いかがでございましょうか。
#16
○国務大臣(金丸信君) 私は政治というものは意地を張ったり、いこじに出たりということでなくて、あくまでも謙虚に悪いものは悪い、また世論の大勢というものがこうだという方向が出れば、その方向に、世論に従うべきだと。ことに人命尊重、環境保全という最大の政治問題がいま世の中の一つの問題点であるわけですから、そういう意味で私は、仙台のとった方法というものはまことに貴重な体験を聞かしていただきまして、非常に参考になったと思います。ありがとうございました。
#17
○田代富士男君 そこで環境庁の方がお見えいただいていると思いますが、建設省と環境庁とは、これは仕事の分野において相反する面もあるかと思いますが、協調してもらわなければならないわけなんですが、いまも仙台の大白山のことをお尋ねをいたしましたけれども、昭和四十八年から始められます環境庁の計画の一つに自然環境保全法がございますが、その第五条の中に規定されてあります基礎調査というのがありますが、現段階においてはどうなっているのか、今後どのようにそれを生かされようとしているのか、そこらあたりのことをお聞きさせていただきたい。どういう方向に持っていくべきであるか。それと同時に、その中に出てまいります自然度の概念についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、そこらあたりをまず説明をしていただきたいと思うのです。
#18
○説明員(宇野佐君) 四十八年度から二億五千万円の予算をもちまして、自然環境基礎調査というのを始めるわけでございます。で、これにつきましては、当初、この自然環境保全法の第五条にございますように、おおむね五年ごとにいろいろの自然環境の保全のための調査を行なう、こういう考えに立ちまして、まず日本の国にございます、置かれております自然環境の現況を把握をする、こういうことから発足したわけでございます。これを五年ごとに繰り返してまいりますと、その間にこれを比較することによりまして、日本の国の自然というものがどういうふうに変化をしていくか、こういうことがわかるというふうなことを考えました。これによりまして必要な施策が出てくる、そういうふうに考えたわけでございます。いわば自然の国勢調査というふうに私どもは呼んでおったわけでございます。ところが、それでは五年後を待ちませんと結果が出てまいりませんので、当面非常に緊急を要します問題でもございますので、この際、現況を押えると同時に、それをもとにいたしまして、守るべき自然といいますか、自然環境保全という立場から見て守るべき自然はどこにあるのか、どの程度あるのかということも把握すべきである、こういう考えを入れまして実は四十八年度の調査を組んだわけでございます。ただ、これにつきましては、この調査を計画いたしましたところが、やはり非常に緊急を要する問題でございますので、できるだけ調査期間をとにかく短くしたい、とりあえず一年で調査を終わって当面の施策を出したい、そういうことがございました。そういう意味の調査期間の制約、それから実際に調査に当たります専門家――やはり植生の調査などいたしますにつきましても、専門家の数というのはそう多くございません。やはりこういう調査を数多く重ねていけば、そのうちに専門家がいろいろと育ってくるわけでございますけれども、当面は数に制約がございますので、そういう面からもある程度マクロなつかまえ方をせざるを得ない、そういうふうなことがございまして、一応いまは全国を一キロメートルメッシュといいますか、ほぼ一キロメートルの平方でございますが、それに全国を切った調査結果を集約しよう、集計しよう、そういうふうな考え方に立っております。
 調査をいたしますのは、まず植生、これを基本にいたしまして、それに動物、地質等も加えていくというふうな考え方で、現在は学者の先生方にお集まり願いまして、その調査方法、それから集計の方法、そういうものについての大体において了解といいますか、御検討を得て、これから各県にそれぞれ委託をいたしまして、実際の作業を進めていただく、そういう考え方でございます。いま申されました自然度という問題は、この中で出てまいったわけでございますが、植生を基準にいたしまして、植物を基準にいたしまして、日本の国の自然が一応原生に保存されているところ、いままでほとんど人手が入っていないところというものを一つのランク、それから全く開発されて都市化してしまっているところを別の極にとりまして、これをいまのところ十段階でございますが、それに分けて整理をしていこう、そういうふうな考え方でございます。一応理論的に、まあ原生林――完全な原始林、原生林というのがあるかどうかはいろいろ学者の意見の分かれるところでございますけれども、そういう地域を自然度の一番高いところというふうにとりまして、それの極端の反対を都市化されたところといいますか、完全に自然が残っていないところというふうにとりまして、その間に段階をつけていこう、そういう考え方が自然度の考え方でございます。
#19
○田代富士男君 いまの説明で理解できましたが、この植生図でございますが、やはりこの植生図ができたその調査を資料にして、今後、建設省のそういう道路一つをとりましても開発されていくようなことになると思うのです。ここでいまこの自然度が十ということが環境庁としては一番好ましいと思うのです。これが九、八、七、六と、自然度一となれば、おそらくこの国会周辺のこの度合いでしたならば、自然度で言ったら一か二ぐらいになるかと思うのですが、これは数字が少なくなるということは、今度は逆の面からいくならば、今度は開発度は一のほうが一番高いという逆の方向、こういう関係になると思うんですね。だから一がいにこれは、自然度と開発度との関係というものは地域によっても違いがあるかと思いますけれども、やはりここらあたりが建設省とよく連絡をとっていただきたいと思う点なんですね。開発度が高いということは自然度が低いということになりますし、まあ、こういうことで植生図を作製しようということは出てきたんじゃないかと思うんですね。そういう意味から建設省はどんどんどんどん道路計画に従っていかなくてはならないけれども、今後、環境週間にちなみまして、いま申されました日本列島の緑の診断図とも言うべきものがこの植生図じゃないかと思うんです。そうした場合に、環境庁のこの植生図に従っていくといった場合には待てないと、建設省としては。ここらあたりの関係を今後どのようにやっていかれるのか。やはり建設省としては、これを待たなくちゃやれないというわけにいかないわけなんです。じっとがまんの子であったというわけにもいかないわけなんです、大五郎じゃありませんけれども。だから、どんどん進めていかなくちゃならない面もあると、まあ、ここらあたり環境庁としてはこういう自然環境を保存しようというわけで予算も二億五千万円の予算が計上されまして、これに取りかかられた。これは大事なことなんですけれども、ここらあたりの関連ですね。いまさっきからの大臣のお話をお聞きしておりますと、もうこのことは含んだ上の大臣のお話だと思いますけれども、いま環境庁の方が申されました、この植生図等の作製、それから自然度を保っていきたい。十であればよろしいけれども、これがすべてが自然度一、自然度二、こういう事態になったらたいへんだと思うんですね。二、三日前の新聞だったか何ですか、歩行者天国を上野まで続けたときに、あの上野周辺を航空写真でとっていたあれが出ていたと思うんですけれども、昔と今と比べて緑がいかに少なくなったかということを訴えておりましたけれども、やはりわれわれというものはそういう自然に帰りたいと、自然を保護という点がありますし、この道路行政との関連ですね、ここらあたりを環境庁と建設省との関係といえばそこに全部含まれますから、ここらあたり大臣どのようにして話し合いをされていくのか。お互いに尊重する以外にないと思いますが、どうでございましょうか。
#20
○国務大臣(金丸信君) 自然保護と自然破壊という、この二つの問題を考えますと、まことに一致点がないわけでありますが、しかし、それは一致点を求めなければならぬというところにむずかしい問題もありますし、また、いまのこの時点においては、それを求めることが当然のあり方であると、こう考えますし、それを管轄しております環境庁とも十分話し合って、調和のとれた、破壊をするにも調和のとれた中で自然を十分に残すような創意くふうというものをしなければならぬと、こう私は考えております。
#21
○田代富士男君 まあ自然環境保存と同じように今度は、いまさっきもちょっとお話が局長から出てたと思いますが、文化財の保護という点ですね、これは当然、文化財の保護という面につきまして建設省として配慮をしていただいていると思うわけなんです。しかし、往々にいたしまして、この文化財というものも一たびくずしてしまったならば、これは取り返しのつかないものでございます。これに対してどういうお考えを持っていらっしゃるのか、この点ひとつお伺いしたいと思います。
#22
○政府委員(菊池三男君) 文化財につきましては、大体、文化財があるであろうということが事前にわかりますのが多いわけであります。したがいまして、そういう場合には事前に十分調査をいたしまして、ルーティングのときに文化財を避けられる限りルートを避けております。しかし、それでもやはり道路には一つの規格がございますので、やむを得ずその中へ入ることもときたまございます。そういうときには教育委員会のほうと打ち合わせをいたしまして、事前調査を十分に行ない、あるいは道路のほうで費用を持ちましてそれを発掘する、そして発掘したものをきちんと整理するというようなことをやって仕事をやっておるわけでございます。
#23
○田代富士男君 ひとつ具体的な例をお尋ねしたいと思いますが、大阪の市内の大阪城のそばに馬場町があります。NHKのところでございます、大阪の。そのNHKのすぐ近くに昔、大阪の灘波の都のあと地があることは御承知だと思います。いま地元におきましてはいろいろ賛否両論が出ております。御承知のとおり、あそこは築港深江線の高速道路が建設中でございます。馬場町のところまではもうその高速道路が入っておりまして、森之宮からずっと深江の方向に至りましては高速道路が建設されまして、そこだけが中断されて、いま地元で大きな賛否両論の問題が提起されているところなんですが、これに対してはどういうお考えであるのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
#24
○政府委員(菊池三男君) ただいま、そこの築港深江線のところでございますが、現在、阪神公団と大阪府の教育委員会といろいろ打ち合わせをしているようでございます。たとえば橋梁のスパンを長くいたしまして足を立てるのを広げるというような形でやったらどうかとか、いろいろ何か具体的な打ち合わせをやっているのでございますが、ちょっと私まだその結果どうであるかというところまではここでは存じておりません。
#25
○田代富士男君 いま局長ここであらためてお聞きしませんけれども、いろいろ賛否両論のあれがきております。私としましても何とかその問題聞いた以上は、大阪市民の皆さんの声をある程度、聞きっぱなしというわけにいきませんから、あとでけっこうでございますから、建設省としてのいろいろなお考えなりお聞かせ願いたいと思います。ここではこれ以上なにいたしません。
 そこで、文化財保護という立場で、まあ、この仕事となりますと各都道府県の教育委員会と大きな関係がありますし、こういう文化財保護の専門家というものが非常に少ないという点が一つですね。だから、私の調べた範囲内のあれでございますが、この都道府県で文化財のこういう調査を担当する人がわずか三百五十人ぐらいしかいらっしゃらない。その後継者であります考古学の講座が設置されております大学で、その講座を卒業する人が非常に少ない。国立大学におきましては毎年十名から二十名前後で、私立大学で大体百名から百三十人ぐらい、合計いたしましてもこれ百五、六十人、それと三百五十人の現在の人たちでいろいろ文化財に対する調査等がされていくと思うんです。こうした場合に、道路建設のスピードと、その道路建設にあたってはやっていいというのではなくして、事前調査というものが、これはいまさっきの閣議了解あるいは答申の内容にもありましたとおりに、この調査を尊重していかなくてはならない趣旨になっておる。そうすると、道路をよけいにつけ足した場合には、その調査をする資格のあるそういう人が多量におるならば、正比例していくこともあり得ると思うわけなんですが、こういう面においても一つの欠けた面があるのじゃないかと思うのですね。こういう点につきまして、きょうは文化庁の方おいでいただいておりますね、やはり特に一番大事な点じゃないかと思いますが、道路も開発していかなくちゃならないけれども、こういう文化財を保護していくという立場から、相反する面あるいは相通ずる面もありますけれども、こういう点に対して、いまのままではよいというわけにはいかないと思うのですね。日本の発展のためにも、どのようにこれに対処していくのか、そこらあたりちょっとお聞かせ願いたいと思います。まず文化庁のほうから……。
#26
○説明員(古村澄一君) 文化財の保護の仕事をいたしております文化庁といたしましては、祖先の非常に貴重な遺産であります埋蔵文化財を何とか後世に残していきたいという基本精神にのっとりまして、関係各省と御協議申し上げているわけでございます。具体的には、住宅開発あるいは道路開発等が企画されます段階におきまして、重要な遺跡というのは避けてもらうということを事前に交渉してまいっておる次第でございます。先ほど先生から、専門家の数の不足の問題御指摘ございましたが、確かに都道府県におきます埋蔵文化財の担当の専門家は、御指摘のとおり三百五十人ぐらいでございます。これにつきましても、年々、都道府県の教育委員会に対しまして、専門家を採用するようにという強い行政指導をしてまいってふえてきたわけでございますが、まだ十分ではないという点は十分承知しておりますが、おっしゃいますとおりに、その供給源たる大学を出てくる学生数が、一年間に大体百五十人ぐらいが考古学を専攻した学生として出てまいります。そういった点から、非常に底辺の薄い職員層であるということはよくわかっておりますので、何かもう少し研修とか、そういった埋蔵文化財を担当する職員の資質の向上方策というものも十分検討してまいらなければならぬのではなかろうかと思っております。現在、文化庁では、大体四十日間の日程をもちまして、都道府県の職員の資質の向上のための研修会をやっております。しかしながら、規模が十五人を四十日間研修をかけるということでございますので、非常に十分ではないという点、反省しておりますので、これの一段の拡充をやってまいりたいというふうに考えております。
#27
○田代富士男君 最後に、時間もきたようですから、いま環境庁のお立場あるいは文化庁の立場として、それぞれ自然を保護したい、あるいは民族としての文化遺産を保護していきたい、一面では国土の開発として建設省として仕事を進めていきたいという、三つどもえといえばそういう形でございますが、これは大事なことであります。特に仙台市の大白山の具体的な例をお聞きいたしましたけれども、こういう点を加味して、今後ひとつ道路行政面に生かしていただきたいと思うのですけれども、いかがでございましょうか。これで私の質問は終わりたいと思いますけれども……。
#28
○国務大臣(金丸信君) 田代先生の御指摘は、いまの時点において、いわゆる福祉型国家をつくるという、その人間尊重、これなくして何ものもないのだという、私もその点については同感であります。そういう意味で、道路の問題につきましては、万全な環境保全ということを考えながら推進していくことをお約束をいたします。
#29
○高山恒雄君 私は、すべての交通運輸問題についてのアンバランスの点について基本的な考え方をお聞きしたいんですが、前回、田中委員の質問で、十九兆五千億円の具体的計画を示してもらいたいという質問に対して、特に都市だけではなく市町村の開発も考えていきたいという答弁をされております。しかし、いろいろ予算の計画その他を見ますと、非常に何と申しますか、幹線道路のみに力を入れて、地方道の立ちおくれというものには一向に対策が立ってない、地方自治体にこれをまかすというような形の行政で、それに対する予算も十分ではない。したがって、この地域別のアンバランスはどうお考えになっておるのか、ひとつ私は解明を願いたいと思うのです。まず、そのことをお尋ねします。
#30
○政府委員(菊池三男君) 地域別のアンバランスということでございますが、実は今度の十九兆五千億の一番基本となっておりますのは、やはり国土の普遍的な利用ということと、それからやはり生活道路の整備を進めるという非常に大きな柱が二つございます。いまの国土の普遍的な利用という面では、あるいは地域のアンバランス、どうしても都市周辺に道路整備が集中し、過疎地域に道路整備が少ないというようなこと。これは実際いままでが、やはり自動車交通の多いところの整備をやっておりまして、そういう意味では、過疎地域のほうの道路の整備がおくれているということは事実であろうかと思います。そこで今度の五カ年におきましては、高速道路を早く、全国どこからでも二時間で乗れるような形で整備をしたいということと、同時に、国道等につきましても、これは生活道路と直接ではないように見えますけれども、最近の国道は、ほとんどが一次改築の山の中を通る道路でありまして、これは生活と密接な関係のある道路がほとんどでございます。また二次改築におきましても、できるだけ大都市あるいは地方の中核都市というものを、バイパスをつくりまして町の中に通過交通を入れないようにしたいということ、これもやはり見ようによっては私は生活道路と思っております。それに、さらに都道府県道、市町村道というものを今度の五カ年計画で大幅にふやしまして、従来の、どちらかといえば都市集中型であったものを過疎地域を重点にするということが、今度の十九兆五千億の非常に大きな改正の要点でございます。
#31
○高山恒雄君 これは数字的なものをお聞きしたいんですがね。重量の輸送のできない橋はどのくらい日本にあるんですか。それからもう一つは、トラックの制限、二千キロですか、の輸送のできない橋がどのくらいあるか、その点ひとつお聞かせ願いたい。
#32
○政府委員(菊池三男君) ただいまの重量の重い車の通れない橋はどのぐらいあるかという御質問でございます。ただいま設計をやります場合には、自動車の重量の軸重十トン、輪荷重十トン、総重量二十トンというものが設計荷重になっております。これが自由に通れない橋ということになりますと、地方道−市町村道にまいりますと、これはまだ交通不能のところがたくさんございますが、国道あるいは都道府県道ということになりますと、そういう二十トンの車が自由に走れなくて、ある程度制限をしなければならないというような橋は今度の五カ年内で全部解消したいというつもりでおりますが、これが約二千カ所ぐらいございます。これは先ほど申しましたように、市町村道とか交通不能のところははずしてでございます。
#33
○高山恒雄君 大臣、いまお聞きのとおりですよ。片やどんどん幹線道路はできますけれども、過疎地における道路なんていうものは全くみじめなんですよ。ここに私は道路政策の一つのアンバランスがあると思うんです。それは地方の自治体でできないものならば、政府はもっとめんどう見てやるべきじゃないか。できないままにほっておいて、そして今日、幹線道路だけがどんどん進むということになれば、これはやっぱりたいへんな事態だと思うんです。こういう点を大臣はどうお考えになっておるのか、基本的なひとつお考え方。ことしのこの予算の問題にもいま言われますけれどもね、これ大体七千六百キロ、まあ五十八年度までにやろうというのでしょう。この五カ年計画の対照表を見ても、有料道路は二%ですよ。それから地方単独事業というのですか、これ一、八%です。少ないんですよ、これ。だから、そういうことでいま問題になっておるようなそういう地方過疎地域におけるところの道路が一体できるのかできないのか、ここではできるとおっしゃっておりますけれども、私は解消しないと思う。こういう点にもっと政府は地方財政がいかなければ地方財政のめんどうを見てやるような方策を立ててそこに力を入れるということが望ましいではないかと、こういうふうに考えますんですが、大臣ひとつお聞かせ願いたい、考え方を。
#34
○国務大臣(金丸信君) 道路というものがいままで都会偏重という考え方、私も政治家としてそういうように判断をいたします。それではならぬということでおそきに失した感はありますが、生活道路−地方道に力を入れていくということで今回の予算に盛ったわけでございますが、今度このままの状況でやっていきますと地方道の市町村の負担というものはどうなるんだと、こういうことから考えてみますと、まことに財政的に貧弱な市町村の経済を私は相当圧迫するんじゃないかということを心配をいたしております。その点につきましても何らかの施策を講じなければ絵にかいたぼたもちになってしまうと、こういう考え方を持っておりますので、この点につきましては今後とも十分検討して対策を練っていきたいと、こう考えております。
#35
○高山恒雄君 その財源の確保ですがね、具体的には地方交付税の積算の基準を引き上げてもらうということですね、一つは。地方道の譲与税等、市町村道の整備のための諸税の引き上げ等もこれは全力を注いで特定財源を設けてもらう、これをひとつやってもらえるかどうかですね。私は、こういうふうに絵にかいたもちのようなものを出していただいても、実際問題としてできるかいなと、こう不安があるもんですから、実は大臣にお聞きして――こんなことは大臣に聞かなくたって政策の中に出てこなくちゃいかぬと私は思うのです。それが出てないです。大臣、それを今度やってもらえますか、いまの財源の問題について。
#36
○国務大臣(金丸信君) 御指摘の点は一番重大な点であろうと思いますが、十分この問題につきましては今後検討して、各関係省庁と連絡を密にいたしまして市町村道がうまくいくように最善の努力をいたします。
#37
○高山恒雄君 他の議員から質問がありました点は私は省いて御質問申し上げたいと思うんですが、道路行政の一元化を進める必要があると思うのですよ、道路行政の。現在、建設省所管道路のほかに農林省所管の農道がございます。私は、この農道というのは一メーター半ぐらいの全くの農道かと思ったら、そうじゃございません。かなりの道路がございます。そうして林野庁所管もまた林道を持っております。運輸省所管の有料道路というのもございます。これは道路運送法によって私企業に認められておるもの、それから環境庁所管の遊歩道等がございます。こういうふうに各省が道路を管理しておるのでありますが、こういうものの一元化は政府としてできないものかどうかですね、道路に関しては。私は一つの例を申し上げますが、これは宮崎ですが、実はいまから八年前に農林省関係で道路を――たんぼを買収して、そして四メーターですかの道路をつけてやる、そして、そこに橋もかけてやる、こういう契約をして土地の払い下げをさせて、道路だけはできたんですね。今度、橋をかけるときは建設省がそれはまかりならぬ、まかりならぬというのでとめて、八年前にそういうことをやられたんだけれども、いまだにその橋はその目的地にはかかってない、他のところにかけちゃった。したがって、私たちは先代から譲られた大事な農地を提供して、そして農道の改善をやってもらったのにかかわらず、実はだまされた、こういうことを私は聞いたんですが、これらは全く私は、先ほど申しましたように、各省が道路行政を持っておるというところに大きな問題があろうかと思うのです。この点は戦後の、この二十八年にもなるこの事態において、もっと近代的に道路行政というものを一元化すると、こういうことを考える時代が来ているんじゃないかと思うのですが、これは大事な問題であるし、大臣ひとつ考え方と、考え方だけではなくて、これは閣議に取り上げてもらってやる必要がある、こういうふうに私は思うのです。その地域の方はこれは全く迷惑をこうむっておると思いますね。私は行ってそれだけのことを聞いてきたんですが、まさにこれは政治の欠陥からくる地域住民の不幸な事態だと私は思うのです。大臣、この点どうです。
#38
○国務大臣(金丸信君) 各省で道路をつくるというようなことになりましたのは、それにはそれの事情もあったと思うわけでございますが、しかし、そのために国民に非常な迷惑を及ぼすということになればとんだ災難でありまして、それが行政であってはならぬと私も思います。そういう意味で一元化することは理想であります。建設省といたしましても、関係省庁といま協議をいたしておるわけでございますが、その定容につきましては道路局長から報告いたします。
#39
○政府委員(菊池三男君) ただいま先生言われましたように、建設省のわれわれの道路以外に、農林省で相当大規模にやっております。それから、それ以外にも漁港としての道路あるいは公園の中につくっております公園道路あるいは林道、たくさんございます。昔は非常に規模が小さかったんですが、最近は相当やはり車が通るという前提で大きいものもできておるのが事実でございます。ただ、私どもは基本的な姿勢といたしまして、やはりわれわれは、建設省は道路のネットワークをつくるということから、国道、県道あるいは市町村道が現在八十六万キロございますけれども、そういう意味のネットワークの基本となるものは当然、建設省でやるべきである、それから、それ以外の農道等でやりますものは、そのネットワークとは別に、これは農村のいろんな環境整備というような別の目的でやるわけであまりますので、これはそういう目的でやる限り、私どものほうは直接にはネットワークとは関係のないというものをやってもらい、先ほど先生おっしゃいましたように、農道でやろうとしたところが建設省のほうでだめだということで、それが中止になったということでございますけれども、私どもそういうことがないように、これは毎年、農林省のほうと打ち合わせをやっておりますし、また、いろいろ基本的な考え方を両方ともはっきりさせまして、そういう場合に、もしそれがたとえば幹線市町村道であるというような場合には、それは私どものほうで同時にやりましょう、幹線市町村道につながるそのほかの農村地域の道路、これは農林省のほうでおやりいただいて、私どものほうは同時に合わせてやりましょうということで、私どものほうもそういう特別に農林省との関係の関連事業というものを予定いたしまして、事前に打ち合わせをして同時にやるというたてまえをとっておりますので、いま直接的にはそれが混乱するということはないように思います。
#40
○高山恒雄君 いまの説明で、いまはそういうふうにやっておられるということですが、私が言ったのは、実態を見ましたのは橋までかけるという契約をしておった、ところが、これは宮崎県の西都市ですが、その郊外になるわけです。その契約をしておったところが橋になるとまかりならぬ、こういうことで橋梁の位置を変えたというんです。せっかくのその道は、四メーター以上のその道は行き詰まりになっているわけです、川のふちで。これ、また具体的なものを持ってまいりますが、何かの方法で農民がせっかく提供した土地を、ばかをみないように成功さしてもらいたい。私は、この点はまた特別の資料を出したいと考えております。この点ひとつよろしくお願いしておきたいと思います。
 それから、この一貫行政の問題の中で、国鉄の問題について御質問したいんですが、運輸大臣が「時の動き」に出て座談会をやっておられるんですよ。そこで、五代氏との座談会の中で運賃改定の問題について懇談をやっておられるんですが、質問者の五代氏はこういうことを聞くわけです。新幹線その他の旅客の場合は相当の黒字が出ておるじゃありませんか、ところが問題の貨物になると相当の赤字が出ておるという話を聞きますが、それはほんとうですかということを聞いておられる。で、大臣は、この貨物のほうの運賃を一挙に上げると物価にまず第一に響きます、したがって、いまはこの貨物輸送という問題が問題の主体にやっぱりなります、したがって、それとの競合をするためにもどうしてもやっぱり貨物の運賃を上げるわけにいかないんだというようなお話をされているわけです。現実に、国鉄の問題は御承知のように昨年も流れ、本年もいま参議院に、あすあたりに来るのじゃございませんか。そういう状態で、物価の値上がりに響くということで非常にこれは重要視されておる。しかも旅客の場合は黒字ということもはっきりしておる。そして、しかも二三%の値上げ、貨物の場合は二〇%しか上げてない。こういう事態の中で、実際問題として中京園の住民の足ということで電車その他の交通一切に対しての調査をやっておりますが、いまこの国鉄等を利用しておるものはわずかに八・三%しかないと、こう言っておりますね。これでは赤字になるのも当然だと思うんですが、その点を考えますと、まさに大臣が座談でもやっておられるように、貨物の輸送というものは今日ほとんどもうトラックに食われておるんだ、こういうことを私は心配するんですが、一体、現実はどうなっておるのか、その点、国鉄関係の方にお聞きしたいと思うんです。
#41
○政府委員(住田正二君) 国鉄の貨物輸送でございますが、いま御指摘がございましたように、非常に不振の状態にあるわけでございます。数字で申し上げますと、輸送量でございますが、ここ数年来約二億トンということで推移いたしております。推移といいますか、むしろ減少ぎみでございまして、四十年に二億トンの輸送量であったものが四十六年度では一億九千四百万トン若干減っております。ただ、トンキロで見ますと若干ふえておりまして、四十年には五百六十四億トンキロでございましたものが四十六年で六百十三億トンキロということでトンキロの面では若干ふえております。これはやはり国鉄の貨物輸送というものが中長距離において特性を発揮するということで、短距離のほうはトラックのほうに食われて中長距離のほうは伸びているということではないかと思うんです。しかし、いずれにいたしましても、トラックとの関係を見ますと国鉄の輸送全体におけるシェアは非常に減っております。十年前の昭和三十六年当時では、貨物輸送量全体におきまして国鉄のシェアは三七%であったわけでございます。それが昭和四十六年度では一八%に減っております。また、トラックのほうは昭和三十六年が一七%であったものが昭和四十六年には四三%ということになっておりますので、大幅にふえております。そのようにトラックとの関係におきましては国鉄の貨物輸送は減っているわけでございますが、その内容を見ますと、石炭とか鉱石とか木材というような第一次産品が減っておりまして、米、ミカン、石灰石等が若干ふえているという現状でございます。また二次製品では石油とかセメントというものがふえております。それから最近コンテナ化をはかっておりまして、コンテナのほうは急増いたしておるという現状でございます。
#42
○高山恒雄君 大臣、私はこれも政府の総合的な政策が足りないと思うんです。今度の計画でいきますと、国土開発ということで自動車道七千六百キロですか、昭和五十八年までに供用する目途を立てておられるわけですね。これがどんどんどんどん進めば貨物はますます減りますよ。私、減ると見てますよ。先ほどの報告のとおり、四十六年度、一七%が四三%になったといううんですから、このとおりにふえるわけです。そうして、一方においては国鉄は赤字だということで、長年放任した形において近代化をする余裕もない、何の改善もしてない。ただ新幹線ができただけですよ、国鉄は。そして斜陽産業になりつつある。しからば、そういう国鉄運輸業と自動車運輸業とのバランスというものは、政治がとらなけりゃどこがとりますか、自由競争の社会において、こんな手落ちのことは私はないと思うんですよ。そうして、いま国鉄から貨物を取ってしまうということになれば、まさに国鉄は給料も払えないでしょう。みじめなものですよ、これは。といって、こういう危険作業である限りにおいては、御承知のように、何といっても、人間の削減をするといっても危険でできない場合がある。いかに近代化するといっても、それは多少のおくれもあるかもしれませんが、なかなか急激なことはできない。
 たとえば、一つの例を私申し上げます。岐阜県――私は岐阜県ですから岐阜県のことはよく知っておりますが、越美線というのがございます。これは福井の大野とつなぐんです。もう二十八キロつなげば国鉄がここは通るんです。そうして、数年前からこの運動を、国鉄の施設要請を強く政府に対してもしておる。運輸省にも、もう何回かやっておる。われわれにも陳情が何回か来ております。これが依然として今日まで、やるともやらぬとも――あと二十八キロですよ。御承知のように、大野は繊維の産地です。それから郡上を中心とする地域は木材の産地ですよ。だから、地方はその要請をするわけです。ところが、一方には道路をつくっております。これでもまだ十分ではございません。そういうものは、たとえばいずれにするのか。私に言わしたら、こういう地域は鉄道で残すと、むしろ道路では危険だと、鉄道輸送を重点にやらすべきじゃないかというような結論を政府が出すべきだと。そういう総合的な計画というのが、まあ私は全然ないとは言いませんよ、全然ないとは言いませんけれども、今度のなんで総合計画を立てるということを言っておられますからね。そのことは大賛成ではありますが、いま起こっておる問題を考えてみますと、ほとんど政府の政治的な欠陥ですよ、これは。これを一元化しない限り、片や一方、国鉄においては犠牲者を出していく、一方においては自動車の過密化における国民の犠牲をつくっていく、こういう行政というものが一体あるでしょうか。私は納得がいきません。幾ら自由社会にあっても、もっと政府においては一貫した運輸に対する総合行政というものを考えていかなければ、道路をつくったからといって、これは決して発展するものじゃないと私は思うんです。
 いまや陳情が来ておるのは、皆さん御承知のように、九州の日豊線はどうするのかということを言っている。東北では十和田湖を中心とする太平洋回りをどうしてくれるのか、ここを回してくれと、こう言っておる、陳情が来ております。こういう問題は、一体、自動車で行くのか国鉄で行くのか。いまは新幹線に乗るよりも普通の急行に乗って、静かに汽車の中でレジャーを楽しんだほうがいいという層もたくさんあるわけだ。そうすると、一方、御承知のように、私はこの前の連休に自動車で名古屋のほうからこっちに来てみましたが、小田原の料金を取るところがございますね、私が帰ったのは三時ごろですよ、四キロから自動車がつらなっておる。そうして料金を払うところは九カ所ある。それでも四キロつながっておるんですよ。それは運転する人はいらいらしますよ。これらも、つくって料金さえ取ればいいというのじゃなくて、夕方の四時になって、もうあと一時間すればうちに帰れるんだというのに、そこまで一生懸命走らしてやってきて、四キロ連なって料金を払わなければいかぬというのは、これは何としても運転手の気持ちをいら立たせるということですね。帰れないんだ。そういうことの改革ができてない。道路をつくるだけではいかぬ。私は、そういう点をもっと政府が主導的な立場に立って総合的な計画の上でやるべきだと思うんです。そうすると、国鉄の赤字も場合によっては黒字になる。新幹線だけが輸送ではない。あるいはまた道路をつくることだけが輸送ではない。既成の国鉄を利用するという方法がある。たとえば、いなかを走る過疎地帯の汽車であれば、旅客だけじゃなくて、大きな荷物が持って入れるような汽車に改革すればいいじゃないですか。そうして名古屋なら名古屋に来たら、そのまま荷物を持って自動車に乗って、得意先なら得意先に行けるような汽車の改革をしたらいいじゃないですか。荷物料も取り、人間の輸送料も取ればいい。こういうことを一つも考えないで、総合的な計画を立てないで、今日の輸送行政に対する問題は、まさに政府官庁におけるところの、省の競合的なやり方によって国民が迷惑をしておると言っても私は過言ではないと思う。大臣この点どうお考えになりますか、お聞かせ願いたいと思います。
#43
○政府委員(菊池三男君) ただいま総合交通問題のことが出ましたので、ちょっと道路の考え方を申し上げたいと思いますけれども、実はこれは昭和四十六年の十二月に、臨時総合交通問題閣僚協議会というものがございまして、そこで今後の総合交通体系はこうあるべきであるということの一つの方針を出してございます。それによりますと、ただいま先生言われましたように、やはり長距離、中距離は国鉄でやり、それから短距離の輸送は道路であると、特に今後百キロ未満の短距離輸送というものが相当出るであろう、これはその百キロ未満のものが単なる自動車、百キロ未満だけではなくって、鉄道あるいは海運の端末輸送というものもひっくるめた百キロ未満の交通が相当出るであろうということを実は予測しております。それに合わせて鉄道のほうも道路のほうも整備をすべきであるというような方針が出されております。それで、実は先ほど運輸省のほうから交通の道路のシェアが非常に大きくなったというお話がございました。その数字もそのとおりでございます。ただ、今度、経済社会基本計画が昭和五十二年までの計画でございます。道路整備五カ年計画とたまたま年度が一致しておりますけれども、その五十二年の想定を見ますと、大体、道路のシェアは同じぐらいでございます。現在四三%のシェアのものが四四%に上がるかもわからないということで、ほぼ横ばいということでございます。また、これは建設省だけでやっておりました国土建設長期構想という一つの想定がございます。これは昭和六十年を目標にしておりますけれども、そのときにはやはり道路のシェアは現在より若干下がるであろうという予測をしております。そういうことで私どもこの五カ年計画につきましても、総合交通問題というものを踏まえ、そして経済社会基本計画を踏まえて、道路の受け持つべき貨物輸送あるいは旅客輸送はこうあるべきだという考え方から実は進めておるわけでございます。
#44
○高山恒雄君 いや、それをやっておってもいかぬから、皆さんこれをやろうとするのでしょう、国土総合開発庁の新設、設置法案を出しておられるのでしょう。それに書いてあるのですよ。総合的な交通施設の体系整備など国土の総合開発に関する総合的かつ基本的な政策を企画し立案して今後やるんだと、こうなっておる。これを最初からやっておれば問題ないのです。やってないから問題が起こっておる。私はそのことを言っておるのですよ。今度法案も出しておられることはよく承知いたしておる。しかし、いまの現実を見るとそうじゃないのだ。片や斜陽産業になりつつある。これはしかし日本だけじゃありませんがね、アメリカにしたって、それはフランスにしたって、私も行ったことがありますからよく知っておりますが。しかし、現在日本に大きな貢献をしたのはやっぱり国鉄なんですよ。その国鉄を全然なくさなくたっていいじゃないですか。道路だけが輸送じゃありませんよ。それならば私の一つのこれは私案的なことを申し上げますけれども、もっと駅に大きなターミナルをつくることですよ。そうして農村、過疎地域におけるところの道路を改革してやる。そこまで自動車で来て、それから汽車を適用するという方法があるわけなんです。そういうことが総合的なものでなければならぬと私は思うのですよ。先ほど申し上げましたように、たとえば越美線を生かすのか、もうそのままにほうっておくのか、いや、あれは道路でやってしまうのだと言うのか。私は、そういう点が日本の総合計画がないために今日の事態が起こっておると。そうして前回も流れました、今度も流れるかもしらぬ、国鉄のあれはね。それで同じことをまた出してきておる。そうじゃなくて、こういう計画のもとにこれからはやりませんというようなことでもはっきりするならば、われわれ国会議員にしても、それは政府の言うとおりだということに観念しますよ。けれども、一方においてはこういう現状の中で、ただ旅客賃だけを二三%も上げる、貨物は赤字であっても二〇%しか上げないというようなでたらめな行き方に対しては、それは反対せざるを得ないですよ。ここで国鉄の問題論ずるわけじゃないけれども、私は大臣に申し上げたいのは、総合政策が足らない。それはいまの大臣だけじゃありませんよ。先代からのずっとの政策が各省各省思いつきの道路開発をやっておるために、国鉄は金がないから何にもやれなかった、したがって斜陽産業としてどうにも動きがとれぬようになる、給料も払えないようになるのじゃないかということをいわれておりますよ。こういう事態は何も国鉄だけの責任じゃない、政府の責任だと私は主張せざるを得ない。この点、大臣どうお考えになりますか。
#45
○国務大臣(金丸信君) 総合交通体系の問題につきましては、御指摘の点も認めざるを得ない面もあろうと私は思います。各省なわ張りというような面もある、弊害があらわれておるきらいもなきにしもあらずという感じもいたしますし、今後そういうことのないようにひとつ十分留意いたしまして、あらゆる各省庁との連携を保ちながら、政府一体となってこの問題に対処してまいりたいと思います。
#46
○高山恒雄君 それではひとつ善処を特にお願いしたいと思います。いま先ほどから私が申しますように、越美線も一つの、その問題をどちらにするかという大きな過渡期にきておるかと思うのです。よろしくお願いいたします。
 次に進みますが、建設省が進めておられる国土開発幹線自動車道については、その管理上の問題点が特に多いのじゃないかと思うんです。これはもう何回も問題が出ております。特に救急体制をどうするかというような問題は、沿線の市町村にゆだねられて、それをむしろ強化したということになっておりますが、依然としてこの問題は急を要する、人間尊重の問題から急を要する問題ですが、もう一ぺん再検討をして、これらの問題は建設省としてはやるべきだと、こういうふうに私は思うのであります。特にこの救急業務を担当することについて、かりに東名、名神のような長距離の場合ですね、高速道路の救急業務が一貫して行なわれていない。これはやっぱり一貫する必要がある道路を管理する道路公団に、これを何回か、まあ私だけじゃございません、多くの先生方がこの点はもう注文も出しておられる。依然として、しかし、かわりばえのしない状態で、公団は今日まで一元化的な行動はやっていない。これはひとつやる必要があると思いますが、どうお考えになっておるか、お聞きしたいと思います。
#47
○国務大臣(金丸信君) いままでやっておることにつきましては御承知のようでありますので説明を省きますが、今後この問題につきましては、一本化するということが必要であるということは私も十分わかります。また、各市町村がこれを負担するということはなかなかしょい切れない、いまの貧弱財政の中で。まあ、いろいろ公団も自動車を提供するというようなことをして、救急車を提供するというようなことをやってはおるわけですが、あるいはまた特別交付金によってまかなうというようなことをやっておるけれども、なかなかそれだけでは満足できないような結果のようでありますので、この点については今後なお鋭意研究、努力いたしたいと思います。
#48
○高山恒雄君 これは局長でもいいですがね、先ほど私ちょっと触れましたけれども、料金の簡素化ね、これはできないものかどうかですね、こんな近代化の社会においてですよ。たとえばこれは、私は思いつきですがね、おかしければ笑ってもらってもけっこうだが、箱根で休憩しますわ、あそこに、これから何キロ先に行けば料金を払わなくちゃいかぬ、できるだけ現金で入れてください、現金で入れたらぱっと通れるようにね、機械装置できますよ。現金の用意をしてください――どうしてそんなことを考えないのですか、これだけのあなた近代化社会になっておるのにですね。四キロですよ。これはわれわれしろうとが一回乗ってみて痛感するのでありますから、それは運転をやっておる人はいら立つのに違いございませんよ。まさにあそこは広くなっている。九カ所も支払い場所がございますからね。しかし私は、こういうものにこそ近代化的なことを考えて投資をすべきだと思う。運転をやっておる人は、そこまで百キロないし百二十キロ出しておる人が多いんですね。やれやれ東京に着いたと思うやさきに四キロも連ねて、何時間もかかるというような行き方は、これはおかしいですわね。それを箱根にちゃんと書いておって、現金で支払いください――三百五十円入れたらぱっとアクセルすれば、何でしょう、行けるでしょう。ところが、いまあなた、あれだけの料金やったらみんな一万円札出しますわ。さあ勘定してつりをやっているという、それは四キロつながるのはあたりまえの話ですわな。こういうことが、できることがやっていない。研究してくださいよ。どうお考えになりますか。局長でけっこうです。
#49
○政府委員(菊池三男君) ただいまのお話ごもっともでございます。実は私ども何とか料金所が簡素化できないものかというようなことをいろいろ考えてございます。ただいまの箱根の場合にそういうことが非常にむずかしい原因が二つございます。
 一つは、箱根の場合は一般有料道路でございます。東名、名神というような高速道路と一般有料道路とは料金の考え方がはっきり変わっております。高速道路の場合は、もう今度は五種類を三車種に減らしまして、たいへん簡素化いたしました。ところが一般有料道路の場合は、料金はその自動車の受ける便益の範囲内で出すんだということになっております。そうしますと、便益計算いたしますと、やはりいわゆるミニカー、小さい三百六十CCクラスの車と大きい乗用車あるいはトラックというものがそれぞれ便益がみな違いますので、均一料金にいたしますと非常にそこに不公平が出てくるということが一つございます。そこで、できれば一種類か二種類にしてしまいますと、もう簡単に均一料金でやれますから、そういう機械徴収ということができますけれども、おそらくいまのところ七種類か八種類ぐらいの車種に分けて取っております。したがいまして、そういう機械化ができにくいということが一つの原因でございます。
 それからもう一つは、実はそれではもっと単純な首都高速道路あるいは京葉道路というところで均一の料金区間がございます。百円という均一料金がございます。そういうところでは機械化したほうが早いんじゃないかということで、実は船橋のところでありますけれども、そういう百円入れますと自然にバーがあいて車が行けるというような装置を併用したことがございます。ところが、どうも車のほうはやはりおつりをもらったりする関係もありまして、どうもそれを使いたがりませんで、結局あんまり利用されないということで、やはりそういう方法もなかなか受け入れられないのかなということで、いろいろこれは先生おっしゃいますように、簡素化することはもう必至の問題でございますので検討しておりますけれども、ただいま申し上げたような事情でなかなかそれが実行できなかったということでございます。
#50
○高山恒雄君 できるだけ、しかし、それはでけぬという前提に立たないで研究してもらいたいと思うんです。隘路のあることは私もないではありません、考えております。
 次に、異常気象時における不測の災害に備えて高速道路の防災体制の整備をする必要があるんじゃないかと思うんです。私も二、三回あそこを通りまして、やっぱりそういう危険性がないじゃないと思うんです。こういう点は具体的にできておるのかどうかわかりませんけれども、雨量計も一つの大きな問題ですね。それから風速計、気象観測用の機械の整備、あるいはまた道路情報のシステムの整備、さらにトンネル内の火災等に対する防災訓練の強化、落石防止のための施設整備等ですね。これは落石はやっておられるようですが、そのほかの問題も、あれだけの長距離になり、雨量等においては相当のやっぱり困難がある、いままでもそういう災害が多いという点を考えますときに、私どうしてもそれをやるべきだと、こう思うんです。この点はどういうふうにお考えになっているかですね。
#51
○政府委員(菊池三男君) 異常気象時のときに落石等がございますと、非常なハイスピードで走っておりますために非常に大きな事故になることを考えまして、異常気象時の場合であっても安全に走れるようにということで、実はのり面等について再点検し、現在まだ若干もう少し手当てをしたほうがいいという個所があるようでございますので、これは四十八年度にはおおむねなくなると思います。それ以外にも防災個所につきましては五カ年計画で逐次やっていくことも考えておりますが、それと同時に、やはり降雨量が非常に多いとき、あるいは風の強いとき、あるいは除雪も十分いたしますけれども、突然雪が降ったというようなとき、やはり交通の制限をしなければならないと思います。ただいま先生おっしゃいましたように、そういう気象の状況をなるべく早く公団がキャッチいたしまして、そして、それに合わせて、またすぐそのキャッチした結果、そこを通行している車になるべく早くそれを知らせなければなりません。これはラジオ等について知らせることもありますけれども、同時に、もう高速道路に入っております車はなかなか状況がキャッチしにくいということから、走りながらそういうことがキャッチできないかということで、ずっと道路に沿って線を引きまして、それを受信する装置を車につければ常にその高速道路の状態がアナウンスされるというようなことをやりたいということで、いま試験的に設置しておりますけれども、そういうようなことも合わせながら管理の十分な体制をはかりたいというふうに考えております。
#52
○高山恒雄君 これ最後にしたいと思うんですが、大臣ね、日本列島改造論で「私はこう考える」ということで、田中総理の言が出ているのですよ。それでもこういうことを言っておられるんですね。「時速九キロのくるま社会」だと、こう言っておられます。それで都市集中のメリットとデメリットの交差があるが、それを日本列島改造で解決つけようということだろうと私は思うんですね。したがって、ここで大臣が発表しておられるのも、やっぱり建設省の道路行政だけに力を入れた表現をしておられる。「四十七年から四十八年に完成が予定されているのは、東北縦貫道・岩槻−宇都宮間九十二キロメートル、九州縦貫道・南関−植木間二十二キロメートル、中央自動車道・高井戸−調布間八キロメートル、北陸自動車道・金沢−小松間二十三キロメートルである。四十九年度末までに開通する予定の高速道路は、全国で合計一千九百キロメートルとなり、六十年度末には七千六百キロメートルに達する予定である。」という発表なんて、これ皆さん方出しておられるこれと同じことを言っておられるわけですよ。私は、こういうことが日本列島改造論ということで自動車だけにあまりに力を入れ過ぎて、片や不幸な状態が起こっておるというこの事実をどうしてもやっぱり解決する必要があると思うんです。これは先ほど大臣から御答弁がございましたけれども、私は念のためにひとつこの運輸行政については、産業の面からだけでなくて、もっと現実を生かした中で、そして、それでいかない欠陥の場合にどういうふうに道路の開拓をするかという問題が出てきてもいいと思うんですよ。それには何としても、この立ちおくれておる過疎の道路に私は力を入れてもらわなければだめではないかということを強く主張したいんですが、市町村道でも二八%しかできないと、こう言われるんでしょう。で、先ほど橋の不備な、重量の運送ができないものは何ぼあるのかと言ったら、まだはっきりつかんでないようですが、私も資料持ってきたんですが、きょうは向こうへ忘れてしまっておるので申し上げられないんですが、これは何としても最後に私はお願いしたいのは、財政の問題をいかに地方にしてやるかという点、ひとつ大臣、責任持ってこの点はやってもらいたいと私は思うんです。これはこれだけの計画で、これだけの予算を組んでやれと言っても、それは地方財政たいへんですよ。御承知のように、下水は下水でおくれております。簡易水道も非常な不備です。そういう道路だけじゃなくて、すべての問題が地方自治体には大きな荷物を背負わされておるわけですよ。私は前回も申しましたように、下水道なんていうようなものは表面に出てきません。地下をもぐるものについては、みんな現在の首長、いわゆる村長にしても町長にしても、なかなかつくりたがらない。表面に出てくるものには力を入れたがる。そういうものの総合的な計画が建設省内においてすら十分でないという問題から、この日本の運送力に対する産業開発、いわゆる日本全体の構造改善をやろうという総理の考え方ですね。今度出てくる法案では、産炭地だけの振興法じゃございません、そうじゃなくて、一体、日本の産業というのはどの付近までこれを開発していくのか、こういう点の青写真を示していただかなければ、これは国会議員といえども審議のしようがございません。こういう点、ひとつ特に私は大臣にお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思うのです。
#53
○国務大臣(金丸信君) 道路の問題につきましては、運輸行政ともマッチしたやり方をやっていかなければならないことも十分わかります。また私は、都会の再開発、地方の開発という問題は、まず地方の開発をすることが先だ、それは受けざらをつくるということであるという意味から考えてみましても、過疎対策というものをやるべきだと。この過疎対策ということになりますと、地方自治団体の財政圧迫という問題が当然からんでくるわけでございますが、この問題につきましては、先般来から申し上げておりますように、できるだけひとつ各省庁と連絡をとりまして、圧迫にならないように、そうして道路網が完備するように、地方道――生活道路というものか完成するように努力いたしたいと、こう考えております。
#54
○委員長(沢田政治君) ただいまから休憩に入り、一時に再開いたします。
   午後零時二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十分開会
#55
○委員長(沢田政治君) これより委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、上田稔君、古賀雷四郎君及び中津井真君が委員を辞任され、その補欠として玉置猛夫君、高橋邦雄君及び片山正英君がそれぞれ委員に選任されました。
    ―――――――――――――
#56
○委員長(沢田政治君) 休憩前に引き続き道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案の質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#57
○春日正一君 最初に、これ、この前、治山治水のときにも一度意見を出したことがあるんですけれども、この改正案は、中身は五カ年計画の発足年度を変更するということだけになっているわけですね。しかし実際には、この五カ年計画の中身というものは、十九兆五千億というような国費を使っている。国の今後五カ年間の道路行政の基本をきめるという性質のものでもあるし、だから当然、現行計画がどこまで到達したか、そして改定を要する問題点がどこにあるかというようなことをやはり国会にかけて審議をするということにしなければ、国会というものは何というか、めくら判を押さされるような形になるわけですね。五カ年計画をきめなさいと、そういう形、ことだけで異議なしということになって、中身はまるっきり国会にははかられない形になっているわけですわ。だから当然、国会にかけるべきじゃないか。治水計画あるいは国土総合開発計画とか経済計画というような、そういう主要な計画も当然これは国会にかけて、国会の場でいい悪いが議論され、手直しもされて確定されていくという手続がとられてこそ国会の役割りも果たされるんじゃないか、そういうように思うんですけれども、大臣も建設委員長をずっとおやりになったこともあるし、そのほうは御経験深いと思うんですけれども、この点、この次の機会からやはり改めるもいうようにしたらどうかと思うんですけれども、その点どうですか。
#58
○国務大臣(金丸信君) 国会は最高の審議する機関でありますし、国民の代表のおられるところでありますので、うやむやに事を進めていくというわけにはいかないと思います。そういう意味で私も衆議院で建設委員長もやりました。そういうようなことを考えてみますと、予算のない審議というものは、これはおかしなかっこうだということを思います。次の機会からは必ず出すようにいたしたいと思います。
#59
○春日正一君 そこで五カ年計画の案についてですけれども、現行の第六次五カ年計画の計画年次が昭和四十五年から四十九年までというのを、あと二年残して改定する理由というのは一体どういうことか。それからまた、この三カ年でこの五カ年計画の目標とするところにどこまで近づいていっておるのか。計画の事業量に対して進捗状況はどうなっておるのか。その辺聞かせていただきたい。
#60
○政府委員(菊池三男君) 初めの御質問は、今度の第六次の五カ年計画が三年で終わりまして、ちょうど四年目に入っているときに五カ年計画の改定をやるということは、どこにその大きな改定をする理由があるのかという御質問と思います。御承知のように、第六次五カ年計画まで必ずほかの、国の経済計画とマッチして道路はその中の一環ということで考えられてきております。第六次五カ年計画につきましては新長期経済計画というものを踏まえて五カ年計画がつくられたものでございます。ところが、最近の国際情勢が非常に変わりまして、日本の経済計画を大幅に見直さなければならないということで、新しく経済社会基本計画というものが閣議決定されたわけでございます。そこで、その中でもいっておりますように、従来と変わった福祉路線を非常に強調した経済計画に変わっております。したがいまして、この道路整備につきましても、従来の新長期経済計画を踏まえてやっておったのから、新しい経済社会基本計画にのっとった、その内容にマッチした、斉合性をはかった計画というふうに改めるべきであるというのが第一点でございます。
 それからもう一つは、昨年十二月に、建設省におきまして国土建設の長期構想という昭和六十年を目標にした国土建設の構想を出しております。それによりますと、六十年までに約九十九兆円の費用がかかるということでございます。そういたしますと、第六次でやっております計画ではとうてい需要に追いつけないということでございます。
 そういう二つの大きな基本的な考え方が変わったもので、道路のほうもそれに合わせ、そして同時にそこで強くいわれております福祉路線というものに、道路のほうもそれに切りかえるべきであるということで、今度大きく変えたわけでございます。
 それから第二点の御質問の、第六次五カ年計画は、その三年までどの程度のことがあったかという御質問と思います。事業のお金の面から申し上げますと、順調に計画どおり進んでまいりまして、ほぼお金の面でも、それから事業量の上でも、その五カ年計画の三年間というものは、第三年目というものは十分にその計画あるいはそれより若干上回ったぐらいに進捗してございます。
#61
○春日正一君 それで、まあ事業量といっても、ここでその量を全部聞いておったらとても私の持ち時間では間に合わないしするけれども、私ども事前に建設省のほうからお聞きしたんでは、金額だけで各項目いって合計五七・二二%という執行額だというふうな説明を受けているんですけれども、これ金額だけの進捗率では実際どこまで仕事ができたか私らにわからぬわけですわ。だから、計画で掲げた目標のどの程度までやったのか、また、このままで目標が達成できない、あるいは目標自体不十分になったかというような、そういう点がわかるような資料を出してもらうわけにいきませんですかね、いますぐというわけでもないけれども。
#62
○政府委員(菊池三男君) 第六次の五カ年に対しまして、お金の面で各事業ごとに何%やったかということを先に申し上げますと、一般道路事業としては、もう進捗率としては約六〇%でございます。したがいまして、それを今後、残りの二年間をやるにつきましては、大体四十七年度とほぼ同額のお金をつければ達成できるぐらいになっております。したがいまして、若干伸びておるということでございます。
 それから今度お金じゃなくて、事業の量で見てみますと、これは有料道路につきましては、五カ年計画はお金できめておりますので、お金だけしか比較できません。有料道路事業は、高速道路等につきましては仕事をやるのに非常に時間が、五年ないし七年かかりますので、事業費で言いませんと、事業量としては幾らお金をかけておってもできるまでは供用開始がゼロであり、ある日突然事業量があがるということになりますので、なかなかものさしとしては適当でないということで、五カ年計画も事業費できめておりますので事業費で申しますと、約五三%が有料道路事業の進捗率でございます。これもあと残りは四十七年度とほぼ同額をつければ終わることになるわけでございます。
 それから一般道路事業につきましては、お金と同時に事業量が検討されるわけでありますが、事業量につきましては、たとえば一般国道につきましては七〇%の進捗をしております。五カ年計画で約七千キロやろうとしておりましたのに対して、四千九百キロぐらいもうできておりますので、七〇%ぐらいということは、事業費よりも事業量のほうがもうちょっと伸びたということでございます。それから地方道につきましても、これは改築につきましては五七%の出来高、舗装につきましては七一%の出来高でございますので、これは数字で出せと言われれば、ここに持っておりますけれども、以上のようなわけで、お金の面以外にも事業量でも相当予定以上に進捗をしておるということが申せるわけでございます。
#63
○春日正一君 その資料出してもらわぬことには、その話聞いただけではわからぬわけですね。私ども聞いても、そういうものは出てこない、金でしか言えないということになっておる。それで、たとえば第六次の計画目標では、「国の経済計画及び国土総合開発計画に即応し、将来の道路輸送需要の増大に対処するための輸送能力の画期的拡大、交通事故及び交通混雑の解消並びに道路環境の改善を図り、もって国土の有効利用、流通の合理化及び国民生活の改善に寄与することを今後の道路整備の基本とする」ということになっているのですね。ところが、このたびの改定の提案理由の中で、大臣の説明の中で、「道路交通需要はなお増大しており、交通混雑の激化、交通事故の多発等に見られるように、道路整備の立ちおくれが、経済活動と国民生活に大きな支障を及ぼしている」というように、第六次で掲げた交通事故及び交通混雑の解消並びに道路環境の改善というような点では成功していないということを説明されておるわけですね。この問題はあとで問題にしますけれども、しかし、今度の第七次の整備計画の目標というのを見ますと、この道路整備の計画説明書では目標も書いてないのですね。こういう、ただここにある二枚ぐらいなぺらっとしたものをくれて、これで高速自動車道路をどうするとか、一般道路をどうするとか、そういうことだけずっと書いてあるけれども、それでもってどういう効果をあげようかという、さっき六次で書いてあったような一般的な目標というようなものは書かれてない。だから、そういう意味でも、ますますもうわれわれに事をわからぬようにしていくような行政の進め方になっているのじゃないかということを懸念するのですけれども、その点はどうなんですか。
#64
○政府委員(菊池三男君) 第七次の五カ年計画につきましても目標はございます。実はこの資料は、五カ年計画の事業量や事業費についての資料要求がございましてお出ししたので、これは閣議決定する内容でございますけれども、特に目標というのはついておりませんけれども、これは意識してつけなかったのじゃなくて、こういう資料要求があったものでこれだけお出ししたわけで、実は今度の第七次の目標といたしましては、やはり国民生活の向上というものをまずしょっぱなに出しまして、国土構造の骨幹である高速自動車国道から日常生活の基盤としての市町村道に至るまでの道路網を整備するのだというようなことを――いままでは特に市町村道云々ということばが入っておりませんでしたけれども、今後は市町村道に至るまでの生活道路を整備するのだというような考え方を実は織り込むつもりでございます。
#65
○春日正一君 この問題は、道路整備緊急措置法の二条二項でも、整備の目標それから整備事業の量というものをきちんと書かなければならぬということになっているんですね。だから国会に審議を求めるなら、少なくとも法律できめられたぐらいのことはそろえて出してこなければ、これは手落ちだと思います。あまり手軽に事を扱い過ぎておる、この点は注意してもらいたいと思う。
 それから次に高速自動車道路についてですけれども、昭和四十一年に国土開発幹線自動車道建設法をきめてから、新全総でも第五次、六次の道路五カ年計画でも、七千六百キロメートルを六十年までに完成するということにしてきたわけですけれども、今度の七次の計画では、六十年までに一万キロメートル、五十八年度までに七千六百キロメートルを完成する、そのために、この期間内に七千六百キロメートル、三十二路線の全線に着手するというふうにしておるわけですけれども、つまり二年間繰り上げたという急ぐ理由ですね、これはどういうわけか。
#66
○政府委員(菊池三男君) これは七千六百キロを昭和六十年までにやる予定でございますが、国土の均衡ある利用というようなことを考えますと、なるべく早く高速道路のネットワークをつくる必要があるということで、昭和六十年を少しでも繰り上げたいということでございます。また、今度の経済社会基本計画におきましても、七千六百キロのほかに、さらに一万キロぐらいにするというような構想ものっておりますので、昭和六十年までに高速道路あるいはこれに準ずるもので一万キロぐらいにしようということになっておるわけでございます。なぜそういうふうに早くするかということでございますけれども、ただいまのところ高速道路の考え方といたしましては、日本の地域のどこからでも二時間走れば高速道路に乗れるというようなネットワークを早くつくりたいというふうに考えておるわけでございます。そうすれば非常な過疎地域も、それによりまして、そのそばの中核都市というようなものに近づき、そういう過疎問題が解消されるということから、なるべく早くネットワークを完成したいという気持ちでございます。
#67
○春日正一君 その問題あとでまた聞きますけれども、さらに、この七千六百キロ、三十二路線以外に特に緊急を要する区間について着工するというふうに書かれておるのですけれども、この三十二路線以外のどんな路線を構想しておいでなんですか。
#68
○政府委員(菊池三男君) 七千六百キロは国土開発幹線自動車道建設法によって予定路線としてきめられてございます。それ以外に一万キロぐらいにしようという構想はございますが、その七千六百キロを延ばすものもございますし、あるいはそれを補完するというようなものもひっくるめて約一万キロぐらいにしたいということでありますけれども、これは具体的にどういう路線をどうするかということがまだきまっておりませんので、どういうものをするのかということにつきましては、まだいまの段階ではさまってないところでございます。
#69
○春日正一君 この建設省からもらった説明書でも、「また、国土開発幹線自動車道七千六百キロメートルを延伸し、および補完する路線について調査を実施し、とくに緊急を要する区間について着工するものとする。」と、こうなって五カ年計画でもう四十八年から発足しているわけですね、現に。そこで、そう書いてある以上、大体どの辺にどういうものをということがまだきまってないということはおかしいじゃないですか。だから、それは言いたくないという意味ですか。
#70
○政府委員(菊池三男君) これは言いたくないということよりも、まだ七千六百キロしかきまっておりません。それで、これも昭和六十年度までにやろうというのを繰り上げ達成したいという気持ちがございますけれども、たとえばこれが今度の五カ年にそれを全部やるんだとすれば、当然きまっていなければならないと思いますけれども、そういうようなものを踏まえての五カ年計画でございますので、これはいつそういう延伸という形になりますか、これは国土開発幹線自動車道建設法の予定路線の法律改正ということになりますので、まだ具体的にきまってない、ただ、そのぐらいのネットワークが必要であろうということでございます。
#71
○春日正一君 ここで特に延ばしたりあるいは補完する路線についてという、これは今度の第七次の五カ年計画の説明書なんですよ、おたくからもらった。だから、もう四十八年から始まっている問題の説明書なんですよ。それの中に、七千六百キロ、三十二路線以外のものについて、調査もし着工するといっておるんだから、当然、あなた方のほうでそう書く以上、どの辺にどういう道路が要るだろうとかどうとかということは考えなしに漫然と書くわけじゃないでしょう、十九兆五千億の中にこれ入るわけだから。そこのところを聞いておるんです。
#72
○政府委員(菊池三男君) 先ほども申しますようにこれは一つの目標でございます。今度の五カ年ではこの七千六百キロを繰り上げ達成したいし、さらにまだ追加するものもあるんだから、今度の五カ年では相当積極的に高速道路についても延ばしていかなければならないのだという姿勢のために実は書いてございます。それからまた、ここに、「調査を実施し、とくに緊急を要する区間について着工する」ということでありますけれども、これも具体的な路線があれば、もちろん、その路線についてこういうものをやるんだということが出るわけでありますけれども、これは法律改正をやらなければきまらない問題でございますので、まだ私どもは具体的にどれをあげるということではありませんけれども、少なくともそういうものもあるだろうということのこれは想像でございますので、具体的にどういう路線があるのか示せと言われると、まだきまってないという段階。ただ考え方は、これはいろいろございます。高速道路がいまの日本において七千六百キロでいいのか、あるいは一万キロなのか、あるいは一万五千キロであるのか、また、一万キロにすればどういうふうなところがあるんだろうとか、一万五千キロにすればどこまでが整備ができるのだろうかとか、いろいろ考え方はございますので、いろいろ勉強はしておりますけれども、まだ具体的な路線としてはさまっていないし、これはもし法律できまれば、そのとおりまた実施するということになるわけでございます。
#73
○春日正一君 法律できまればということになれば、わからぬままということになるのですけれども、しかし六十年までに一万キロにふやす理由ということは田中総理の日本列島改造論の中で説明がされておる。改造論の一二七ページから一二八ページのところですね、ここを見てみますと、「また都市と新しい臨海工業地帯、臨海工業地帯と内陸工業地帯を結ぶ高速道路、たとえば北関東の茨城新港−水戸−宇都宮−高崎−前橋など港湾や空港、各都市のあいだをつなぐ高速道路」というようなことをあげておりますし、また、「数年以内に第二東名、第二名神の建設が必要になることはまちがいない。」というようなふうにして、この最高責任者の総理大臣が天下に公表した文書の中には、新しいそういう路線が必要になるというようなことが書いてある。そうして、そういうものまで含めて、一万キロメートルに六十年までにふやさなきゃならぬということをいってある。ということを考えると、常識的に見れば、いま言ったようなものが、この説明の中で延伸または補完するものというように考えられているんじゃないかというふうに思うのですけれども、その辺どうなんですか。
#74
○政府委員(菊池三男君) 具体的な問題としてはそういうものもあり得ると思います。ただ、しかし、ここに載っておりますものが全部入るのか、あるいは入らないのか、また、七千六百キロがもし一万キロになるとすれば二千数百キロふえるわけでございますので、これにあがっておりますものを全部足してもそうなりますかどうか、そこまでは検討しておりませんけれども、あるいは第二東名という考え方もございます。しかし、その第二東名というものが延伸あるいは補完するという一万キロか、それがどのくらいになるかわかりませんけれども、七千六百キロ延ばす場合にはたして第二東名が入るのかどうかということが、これはまだ私どもとしてもいろいろ検討しておりますけれども、先ほどから何回も申し上げますように、それは法律できめることでございますので、入るのか入らないのかということは、いまの段階では私どももまだ言えない、まだそこまで熟していないと思います。それから先ほど申しました経済社会基本計画におきましても、将来一万キロを六十年までにやるべきだという構想もございます。私どもの国土建設の長期構想におきましてもおおむね一万キロぐらいということでございますので、そういうことを踏まえて今度の五カ年というものを考えているんだということでありますので、どうも、この日本列島改造のこの具体的な路線がこれにはまるのではないかということにつきましても、これまた、これから大いに検討してきめるべき問題だろうと考えております。
#75
○春日正一君 局長の立場としてはそういうことだろうと思うのですがね。しかし、一万キロに延ばす理由として、列島改造論の中では、昭和六十年度には三兆円時代が来る、で、輸送需要が増大して、貨物の輸送量は一兆三千二百億トンキロ、四十四年の四・二倍になる、このうち陸上輸送を六千六百億トンキロとして、そして、それを運ぶということで新幹線九千キロメーター以上、それから高速自動車道一万キロメートル、石油パイプライン七千五百キロメートルでさばくというようなことが書いてあるんですね。そうして、さらに五十万トンタンカーが入港できる巨大工業港というようなものを考えて、むつ、宿毛湾それから橘湾、志布志というようなものを整備して、今度、四国架橋に石油パイプラインや水道管を抱かせて、橘湾からあげた原油や吉野川の水を阪神工業地帯に運ぶというような構想が書かれておる。だから、今度の改定というものも、この田中総理の日本列島改造計画に沿って改定されたんだというふうに見るのが妥当だと私は思うのですけれども、そうじゃないんですか。
#76
○政府委員(菊池三男君) これは国の将来の計画をきめますときにはいろいろな考え方がございます。この日本列島改造もその一つであろうかと思います。ただ、私どもが一つの政府ベースとしてきめます場合には、やはり経済社会基本計画なりあるいは国土建設の長期構想なりという私どもの考えて、またきめておりますものがあくまで基本になるわけでございます。この日本列島改造も、もちろんそれに対するいろいろな参考でもあると思いますけれども、これによってということではないというふうに申し上げたいと思います。
#77
○春日正一君 それはおかしいし、これは局長に聞いても無理だから大臣にお聞きしますけれども、まあ日本列島改造計画によったものではないと言うけれども、しかし田中角榮という方はそこらの野人ではないんですね。いま総理大臣ですわ。内閣総理大臣、政策決定の全責任を持っている人ですわ。その人が列島改造論という本を書いて世に出したのが四十七年の六月、それから内閣総理大臣になられて国土建設の長期構想案というのができたのが四十七年の十二月ですよ。田中内閣のもとでつくられたんですよ。それから、新経済社会基本計画というのは四十八年の二月。そして、この三つの数字は一致しているんですね。ということになれば、これは常識で考えたって内閣総理大臣が天下に自分の構想を発表しておいて、そして総理大臣になってからつくらせた、そういう計画も、それと数字的にきちんと合っているということになれば、やはり総理の構想が進められないということになればかえっておかしな話でしょう、政治家として。その点、大臣はどうお考えですか。
#78
○国務大臣(金丸信君) ただいま局長から話したところが真意だと私も思います。日本列島改造論は、これが国の総合計画ということではないと思いますし、しかし、これを参考にしたということだけはいなめない事実であろうと、こう私も思います。
#79
○春日正一君 まあ、とにかく、それでは列島改造論でいわれておる数字、それから国土建設長期構想案、新経済社会基本計画、この三つの文書の数字は一致しておるという点だけは確認しておいてほしいと思うんですよ。
 そこで今度の、さっきの説明の中でも国土の利用可能性を拡大するとかあるいは過密を分散するとかいうふうに言われたけれども、しかし、これまでの政府の国土政策、たとえば旧全総あるいは新全総というのでも、分散、格差の是正、拠点開発というふうにいいながら、みんな逆になって、集中、過密、過疎の激化というような結果になっておるわけですね。それで、これはやはりこの国土計画の理論が間違っておったということじゃないかと思うんですよ。これは根本問題ですからね、あれですけれども。たとえば拠点開発の理論、これを見ますと、二十一の新産業都市、工業整備特別地域を設けて重化学工業をそこでつくる、その波及効果ということを考えて産業基盤、公共投資をそこに集中する、道路や港湾、鉄道など。そして、そこに重化学工業を誘致して、そうすれば当然、そこで原料があれば二次加工をそこに誘発することができるし、さらに、それとの関連産業が発展して一つの工業都市ができ、そして都市化が進行すれば食生注も変化するから近郊農村の近代化というようなことも可能になる、関連地域の所得水準も向上していくし、財政収入も増加して住民の福祉も向上する、国土の均衡ある発展、人口、産業の分散ができるというような論理だったと、私は文章続んでそういうふうに理解しておるんです。ところが、実際どうかというと、二、三年やっただけで政府自身ももう失敗を認めざるを得なくなっているんですね。拠点産業は確かに誘致はしたけれども、関連産業は興らない。たとえば四日市なんか行ってみれば、あすこはコンビナートはうんとあるけれども、そこで関連産業が興っているかといえば興らない。都市型産業というものは地方に出ていかない。それから都市化現象も起こらぬし、文化的な生活条件というようなものもそこに生まれてこない。生産所得は確かにふえているけれども、地元に落ちるのは労働賃金だけで、利潤は大都市の本社に吸収されて、そこの計画で配分されちまうというようになっている。税金でも、ほとんど国税に大部分が集中されて、地方税にはあまり回らぬというような状態。そういう状態の中で東京、大阪、名古屋というような大都市圏に人口が集中し膨張して、地方は、工場誘致ができなかった場合には、先行投資のための借金でえらい財政圧迫されて困っている。それから誘致したところでは、公害と災害が増大している。地元産業が破壊されている。しかも関連産業は興らない。農漁業は公害その他を含めて衰退していっているというような状態になっているわけですね。そして市町村の財政も、先行投資のための借金、元利払いに追われて予想しなかった財政支出、そういうものが出てきて苦しくなっている。たとえば四日市の場合には税収が二十億、それで公害対策関係の支出が二十三億というようなことなんですね。だから、拠点開発をやれば、そういうずっと一連の経過を経て住民福祉の向上、そして日本国じゅうがうまく発展するという論理というものはすでに失敗しておる。このことは、今日の公害問題なり何なり、そういうものを見ればますますはっきりすると思うんですよ。だから、そういう意味では、そういう産業計画そのもののつくりかえ、あるいは転換ということがいま問題になっているのだろうし、特に国際的な経済環境というような問題からも、いまのように重油や鉄鉱石や、そういうものを外国から入れてきて、そして素材になるようなものをこの狭い島でうんとつくって売り出すというようなことをやっておっていいのかという問題、この点を総理自身も、知識集約型の産業に転換しなければならぬということは認めておいでになる。そういうことになれば、当然そういう見地から産業政策も転換されなきゃならないだろうし、道路政策についてもその産業政策の転換の上に立てられなければならないんじゃないか、そういうところにきておるんですね。ところが問題は、この改造計画でもそうですけれども、知識集約型の産業に転換しなきゃならぬ、過密、過疎を解消するんだといいながら、先ほど私が言ったような、いままでの経過というものについての反省というものがほとんどされてなくて、やはりいままでの、六〇年代の高度成長の延長線上に産業構造の状態を想定し、その輸送というようなもののために道路や鉄道を考えるということになっておる。
 だから、そこらが一番問題なんで、そういう意味でいえば、道路政策でも今度出てきたものを見ると、第六次計画に輪をかけて、もっと、何というか、大規模なネットワークを形成していくというような方向になっているわけですけれども、こういうような点については、建設省としてもいままでの道路計画をやってきて、道路をつくればつくるほど車がふえて混雑してくるし、それからまた産業計画の問題が出ておる矛盾というようなこと、公害その他のことも考えて十分な検討がされた上で今度の第七次ということがいわれているのかどうか、その点、聞かしてほしいんですがね。
#80
○政府委員(菊池三男君) 今度の第七次五カ年計画につきましては、実は一般道路をとりますと、たとえば国道につきましては、国道のまだ一次改築ができてないところがだいぶございます。九〇%ぐらいができておりますけれども、あとの残りはまだ交通の不能のところもございます。そういうところが大体主体になるわけでございます。それから、同じ国道でも元一級国道と言っておりましたのは、もうほとんど改良終わりまして、一次改築終わっておりますけれども、都市あるいは市街地におきましては非常に渋滞と交通事故ということになっておりまするので、そういうものに対しての、できるだけ環状的なバイパス道路を整備するというのが国道のほとんどでございます。先ほどの一次改築にあわせて二次改築はそういうバイパス道路がほとんどでございます。また、県道につきましては、舗装がまだ現状では六〇%ぐらいしかいってない。改良も同じようでございます。それをもっと促進する。市町村道につきましては、さらに整備のおくれておりますのを取り返すということでありますので、何か高度成長というものに伴った自動車交通緩和を中心に考えた道路整備というふうにとられやすいのでありますけれども、中身の実態は、そういうような、どちらかといえばやはり生活道路、生活環境の改善ということを中心とした道路整備がその内容のほとんどでございます。
#81
○春日正一君 そうすると、新五カ年計画案では大体どういうような貨物需要の増大の見通しに基づいてこれが立てられたか、簡単に説明してくれませんか。
#82
○政府委員(菊池三男君) これは一昨年の十二月に、総合交通問題閣僚協議会というのがございまして、そこで今後の総合交通体系のあり方というものを打ち出しております。そこでは道路――自動車によります運輸、それから鉄道あるいは海運というものの将来のあるべき姿、そうして将来、貨物需要がどういうふうに伸びていくだろう、どういうふうに移るであろう、また、旅客輸送につきましても、どういうものによっていくかというようなことを想定してございます。それが、たびたび申し上げますが、経済社会基本計画におきましても、同じように五カ年先の昭和五十二年の推定をやっております。これでまいりますと、現在道路が受け持っております貨物の輸送のシェアは、トンキロで申しますと四三%ぐらいでございます。それが昭和五十二年度、すなわち、この五カ年計画の最終年度におきましては四四%、約一%トラックによる輸送がふえるであろうという想定を立てております。私どももそれに合わせてこの五カ年も組んでおるわけでありますけれども、さらに国土建設の長期構想という昭和六十年時点では、だんだん海運がふえて道路におきますシェアは若干いまよりは落ちるのではないかというふうな考え方を持っております。いずれにいたしましても、この総合交通体系の閣僚協議会では、百キロ未満の交通需要は今後、道路単独、あるいは海運、鉄道というものの端末輸送というものをひっくるめまして相当ふえるであろう、それは道路が受け持つべき貨物輸送のシェアである、そして中距離あるいは長距離の定常的な大量貨物輸送につきましては、やはり鉄道によりますコンテナ輸送あるいはフレートライナー方式というものがどんどん促進されなければならないし、また同時に海運が伸びてくるであろうというような想定をしております。
#83
○春日正一君 大体六十年時点で、自動車で輸送するものが四千五百三十五億トンキロ、それから鉄道、海運によるものが九千二百八十億トンキロで、合計すると一兆三千八百十五億トンキロ、これは列島改造論でいっておる一兆三千二百億トンキロと、ちょっと多い程度、ほぼ一致するという数字ですね。そうして改造論の需要増大の見通しは、先ほども言いましたけれども、国民総生産が三百四兆、工業生産額が二百七十三兆、その内訳として、粗鋼が約二億トン、石油精製一千五百万バーレル、石油化学一千七百万トン――これはエチレン換算――ということか前提になっているんですね。しかし、鉄鋼、石油などの資源供給型の産業というのは、すでに公害とか資源の面その他から行き詰まりがはっきりして、産業計画懇談会の提言、産業構造の改革というようなものの中でもこれは再検討せざるを待ないというふうになっておる。知識集約型産業に転換しなければいかぬということになっておる。だから、そういうものに合わせた――いろいろ言われるし、あなたの立場では、さっきから私の言っているようなことをそのまま肯定したら首が飛ぶから言えぬかもしらぬけれども、しかし、そういうものに合わせた道路計画だというふうに受け取って大体間違いないですね。
#84
○政府委員(菊池三男君) そういうふうに受け取るということは、ちょっと私よく理解いたしかねたんでありますけれども、いずれにいたしましても、そういう長期構想なり、あるいは私どもの国土建設の長期構想、あるいは経済社会基本計画というようなものを踏まえて将来の輸送体系というものを想定し、それに合わせた計画を立てておるということは間違いございません。それから非常に将来の問題でありますので、あるいは将来の自動車の保有台数にいたしましても、日本列島改造論で想定しております数字、あるいは私どもの出しております数字も若干違っております。それから経済社会基本計画は五十二年度までしか出しておりませんけれども、五十二年度の数字もやはり私どもの数字とは若干違っております。それから先ほど先生が言われました産業計画懇談会、これで出しております数字も私どものほうの数字より若干低うございます。そういう意味で、いろんな部門でいろんな計画が行なわれておりますけれども、それぞれの予測のしかたによって若干ずつの差はございますけれども、そのどれもが、そう圧倒的に数字が違うということではないように考えております。
#85
○春日正一君 大体その辺はそのくらいにして、ところで、高速自動車中心の道路網ですね、ネットワークの形成というものが、はたして民主的な都市、農村づくりの計画や人口の集中を分散させるのに役立つかどうかという問題ですけれども、むしろ従来の実績を見ると、これが逆になっているのじゃないか。非常に高速自動車道路がずうっと発達してきている中で、たとえばモータリゼーションの弊害として毎年百万人近い交通事故による死傷者が出ておりますし、それから騒音、排気ガスというような道路公害が拡大してきておるし、あるいは道路のための土地の取り上げ、町の分断、あるいは自然環境や文化財の破壊、そうして最後に、公共交通がそのために衰退している、地方自治体の経営するバスとか、そういう事業なんかが非常に困難になっているというような状態が現実に出ておるし、そのことは、先ほど私、一番最初にもちょっと読みましたけれども、今度の七次計画の提案理由の中にも、交通渋滞だの何だの、そういうものが出てきているから改善しにやならぬという理由の一つにあげられておる、そういう状態ですね。だから、道路をつくれば自動車がふえて、そうして都市への集中というものが激増してくる。これはまあ、そこを見てもわかるでしょう。東名と首都高速つないだら、ここから私、行く場合、夕方なんかは、渋谷のほうへ行く車はうんとふえましたよ。うんと入ってくる。だから中央道だ、関越道だ、そんなものをみんな入れてきたら、おそらく首都高速パンクするのじゃないかと私は思うけれども、そういうふうな形で道路がよくなれば車がふえて便利になるから、むしろ本社機能なんというものは東京とか大阪というような巨大都市に集中するし、工場もその沿線にできるというような形で、やはり人口の過密、そういうものを促進する、そうして実際上、農業経営というものを破壊するようなことになっていくのじゃないか。そういう実例はたくさんあるけれども、私いま一々あげませんけれども、たとえば本社機能なんかは東京都に昭和四十五年で五〇・九%、大阪に一七・八%、名古屋に五・八%、神奈川が五・三%ということで、七九・八%、これが三つのあれに集まっているわけですね。だからサラリーマンでも、いままで大阪へ一日がかりで行って、泊まって帰ってきたものが、日帰りできるようになれば都合がいいから、それは本社機能というものは東京に集中して、ますます地方に対してはそういう日帰り的な形での仕事のやり方をさせるようになるということは、これはあたりまえですよ。そういうふうな意味から見て、あなた方はこの道路をつくることで、それで過密が解消されて地方に出ていくというふうに考えておいでなんですか。
#86
○政府委員(菊池三男君) ただいまの問題はたいへんむずかしい問題でございます。道路局長としてのお答えではあまりにも視野が狭過ぎるようなことになるかもわかりませんが、やはりそういう過密、過疎の解消というのは総合的な行政の欠陥の問題でございますので、私ども道路という一つの部門から見ての考え方でございますので、その点はあるいは満足なお答えになるかどうかわかりませんけれども、少なくとも道路という考え方から見ますと、やはり生活圏の道路を整備する、そして地方の中核都市あるいはそれに付随した地方生活圏の都市と生活圏域というようなものをやはり整備することが、一番地元の方もそこに残り、そしてまた産業もそこに移るということではないかと思います。これはたまたま高速道路等について見ましても、確かに日帰りをするような交通もございます。それから日曜日になりますと乗用車が七十数%になりまして、これはそのうちの相当な部分が観光というものでもあるかもわかりません。しかし、この高速道路ができることによりまして、たとえば栗東だとかあるいは浜松だとかいうようなところに工場がどんどん移ってきて、そしてまた、それに働く方々がその地域にそのまま残るというようなことでありますので、やはりこれも一つの、高速道路としての過疎対策の効果ではないかと私は思います。たいへん道路という部門だけしか私はお答えいたしませんので、お答えになるかどうかわかりませんけれども、いずれにいたしましても、やはり国道、県道あるいは市町村道というものの、地方の生活圏域の道路の整備ということがやはり非常に根本的な問題であるのではないかと思います。そういう意味で、今度の経済社会基本計画におきましても、道路というものに対するシェアが二一%という相当高い位置を占めているのではないかと思います。
#87
○春日正一君 まあ、あなたの言うことは非常にいいですよ。その生活道路を改良してよくやっていく、私はまさにそうなきゃならぬと思う。ところが、今度の五カ年計画の数字、それから傾向的に見ますと、やはり高速道路の比重というものは下がらぬで、むしろ大きくなっていっている、予算規模から見て。だから、あなたの言うことと違っているわけですわ。あなたのことば自体が、今度の計画に無理があるということを証明しておいでになると思うのですよ。私たくさん実例があるので集めてきたけれども、時間がないから一つだけ、最近の新聞に出たものを言っておきますと、この大都市における事業所の増加ということで、「事業所の大都市集中続く」ということで、事業所といっても一般に全部含めていっているんですけれども、昭和四十七年九月一日現在の事業所統計、三年間の増加率、全国では九%であるけれども、東京は二五.五%、神奈川は二四・三%、大阪は二六.八%、減ったのは山形県が〇・二%、鹿児島県が〇.三%、こうなっているのですね。過密、過疎の現象というものを端的に出している。だから私は、今度のような高速道路網を全国に張りめぐらすということがどういうことになるかということを真剣に考えなければならぬだろうという問題を提起しておるわけですよ。
 そこで、この問題について言えば路をつければいいという時代はもう過ぎて、車がふえるから道路をふやす、道路がよくなるから車がふえるという形のイタチごっこで、都市集中とそれから公害というようないろいろな問題が激成されているということは、さっき来、私、言っていることでも明らかだし、しかも、最近来たモータリゼーションの本家であるアメリカのマスキー、あの人がそう言っているんですね。「大石元環境庁長官と対談」ということで、彼は、「ハイウエーの新たな建設は、市民の車に対する購買欲をより一層刺激し、メーカーも加速度的に生産を拡大していくようになる。車が増え、公害が拡大し、都会の人々の生活がますますみじめなものになりつつあるだけに、車を減らしていく一方で、都市での大量輸送システムを発展させていく必要があるという意見が、国会議員の間でもふえてきている」、本家のアメリカで、すでにこういうことになっているし、実際にロサンゼルスでは交通が麻痺している。サンフランシスコでは高速道路の建設計画を否決して、湾岸の高速鉄道を建設するというようなこともしておるし、ニューヨークの市長は市民に自転車等を奨励し、そして歩行者天国をつくるというようなことをやっておる。現に、日本でも、歩行者天国というようなことをやるようになっているし、ノーカーデーといって、ついこの間は大臣方皆さん、こう歩いておいでになるんですね。建設大臣はどうなさったか知らぬけれども、そういうような状態になっておる。そういうときに、そういうことに対する検討、反省なしに、さらにこれほどの大きなこの高速道路網をつくって、とにかく全国、一日でもって、五時間でですか、どこへでも行けるみたような、中心から五時間でどこへでも行けるみたいなことにすれば、これは中心に集中するにきまっているのだから、いままでの実績からいって。だから、そこら辺の反省、検討というものはどうされたのか。ぼくは、この問題は、昭和四十五年の四月十一日の参議院予算委員会の一般質問でもって、交通問題を取り上げて、それで、このモータリゼーションの問題を質問して、やはりモータリゼーションじゃだめなんだということで、この公共交通機関を中心としての輸送システムをつくる必要があるだろうということを言った。当時の運輸大臣の橋本登美三郎さんは、ああ、それはごもっともと言った。ところが、それからちっとも変わらぬで、その後立てられる道路計画というようなものも高速自動車道路を中心にして、それから国道があり、主要地方道がありというような形で全国に広げていくというような形が相変わらず続けられておる。それでは、いまあなたが言った趣旨と違うのではないか。その点、どうなんですか。役人として矛盾感じませんか。
#88
○政府委員(菊池三男君) 高速道路だけについて言えばそうでございますが、私、申し上げましたのは、十九兆五千億という総額の中で、ほとんどの事業は一般道路事業でございますので、その一般道路事業の占めるウエートが非常に高い。たとえて申しますと、十九兆五千億のうち有料道路事業の占めるのが四兆何がしかでございます。残りの十五兆円というものが一般国道なり県道なり市町村道ということでありますので、十九兆五千億という全体から見た場合に、そういう生活道路というものを中心に考えておるのだと申し上げたわけでございます。その有料道路事業が四兆九千六百億でありますけれども、そのうち、先生のおっしゃいます全国の高速自動車国道というものに投資しておりますのは二兆六千七百億でございます。そういたしますと、全体の十九兆五千に対しての二兆六千でございますので、そういう意味で、全般的な問題として、そういう生活圏、生活道路に今度の重点があるのだということを申し上げたので、矛盾はないかというおことばでございますけれども、そういう意味では、私はやはり生活道路に今度の五カ年が志向されているというふうに申し上げてそう矛盾はないと思います。
#89
○春日正一君 いや、あなたは道路局長でしょう。だから、金の面で、十九兆五千億のうち四兆六千億ですか、まあ、そのくらいしか高速に使わないのだから、比重としては三分の一かそこらじゃないかというような説明のしかた、また考え方で道路行政をやられたらこれは困ると思うのですよ。道路というものは、一つの体系として組まれておって、いま出されてきておる計画は、そういう高速自動車道路を中心として、そのターミナルにつながる一般国道や、あるいは主要地方道というようなものからずっと計画されて延びていっているわけです。だから、その体系の中心に高速自動車道路があるということが問題なんですわ。
 そこで、この問題では私も結論を急ぎますからあれですけれども、四十一年八月段階での旧長期構想、六十年に自動車がどのくらいになるかという見通しは、三千五百万台ということになっているのですね。ところが、新しい長期構想案では四千二百五十万台と、こうなっている。うんとふえている。だから、これはこのままでとどまるかどうかわからぬ、もっとふえるかもしれない。つまり、道路が整備されれば予想を越えて車がふえるということの、これは一つの証拠だと思うのですね。そこで、何ぼ道路をつくってもいわゆる弊害がふえるだけで、かえって交通のむだを助長する。けさなんかも、私、大阪から新幹線で行くのを見ておったけれども、千里のニュータウンのほうから来るマイカーだそうですけれども、こうずっとじゅずつなぎでぎっしりですね、朝の七時ちょっと過ぎたころに。もうその時期に来なければ困るというので来るのだそうですけれども、ああいうむだ――乗っているのは一人きりですわ、運転手、運転しているのが。そんなむだなしに、公共の交通手段で運んだらこれは資源の節約にもなるだろうし、あるいは交通の円滑化にもなるだろう。だから、そういう意味で、この公共交通の確立による輸送配分というような問題を再検討して、五カ年計画というようなものもつくりかえる必要があるのじゃないかと私は思う。この点は大臣が来てから大臣にお聞きしますわ、あなたに聞いてもこれは無理だから。
 そこで次に、生活道路の体系化と整備の問題。あなたは生活道路に非常に重点を置くと言われたから、そこでお聞きしますけれども、じゃ、新五カ年計画案では、生活道路――足元道路の整備についてはどういうふうな計画を立てておいでですか。
#90
○政府委員(菊池三男君) 生活道路の考え方でございますが、実は生活足元道路といいますると、当然、市町村道がその対象になると思います。ただ私どもは、その市町村道以外に県道あるいは国道につきましても、先ほど申し上げましたように、国道の一次改築というようなものはいまはだいぶ整備されたために、あと残っておりますのは比較的僻地の、あるいは県境にまたがる過疎地域というのが残っておるわけでございますが、そういう道路もやはり生活道路の一環だろうと思います。したがいまして、生活道路としてどのくらい考えているかと言われますと、そういうものもひっくるめてやりますと非常に大きな数字になりますし、もう少し狭く考えまして、たとえば市町道ということについてだけ考えますと、現在、市町村道が八十六万キロございますけれども、その八十六万キロのうち、過疎対策あるいは新産都市、そういうような特別立法でやるものも含めまして二十三万キロほど市町村道については整備をしたい。これは市町村道の中の幹線的な――幹線市町村道と私ども呼んでおりますが、二十三万キロを整備したい。それ以外に、これは地方単独事業によりまして約三十万キロほどございますが、その三十万キロについて、主として舗装でありますけれども、これを整備したい。これは大体、昭和六十年を目標にやりたいというふうに考えております。これが非常に狭い意味の生活道路でございます。
#91
○春日正一君 では大臣来ましたから、大臣留守中の質問のあれで、結論だけお聞きするんであれだと思うんですけれども、つまり高速自動車道を中心にして道路だけ延ばしていくということが、結局ますます車をよけいふやして、そうして都市集中というようなものを促進するし、さらに、いろいろな公害その他も起こしてくるし、まあ非常なむだですね、交通のむだというようなものもたくさんつくり出されておる、そういう意味で私、四十五年の四月の参議院の予算委員会で交通問題を取り上げて、当時の橋本運輸大臣に、公共交通手段を中心とする交通体系に切りかえていくことが必要じゃないのか、モータリゼーシッンはもうだめだから、ということをお聞きしたら、あのときは橋本さんは御説ごもっともと、こう言われた。しかし、その後ちっとも変わっていなくて、今度出てきたものもやはり高速自動車道路を中心の道路体系というふうになっているんですけれども、やはりこの際、田中さんの改造論で言うと、二十一世紀の初めには平たん地の五分一ぐらいは道路にする必要があるというようなことも書いてあるんですけれども、そんなことじゃなくて、やはり公共交通を確立して輸送配分なんかも再検討していくというふうにして五カ年計画もつくり変えていく、そういう必要があるんじゃないか。このままでいったら、大臣が提案のときに言われた交通渋滞、交通事故、いろいろなまだ障害があるという問題はおそらく解決しないだろう、そう思うんで、そこら辺の公共交通を主にする交通体系に日本の道路づくりの考え方を変えていく必要があるんじゃないかということを私は考えるんですけれども、大臣はどうですか。
#92
○国務大臣(金丸信君) 都市集中の交通網というものは、これは謙虚に私は反省すべきものだ、ことに都会に道路をつくれば、つくったところへまた自動車が集まる人が集まる、いわゆる悪循環を来たしているという状況は現実だと私も思います。そうい意味で交通体系のあり方というものを再検討するという必要がありますし、また高速道路の問題につきましても、都市集中という問題については十分に検討しなくちゃならぬ。私は、過疎、過密の解消あるいは都会と地方の所得の格差をなくするとこういうような点から考えれば、地方開発という意味でいわゆる過疎地帯の道路という問題に十二分な配慮をすべきだということを考えておるわけでありまして、道路行政を進める中において十分、先生の考えを踏まえてやっていきたいと、こう考えております。
#93
○春日正一君 私の局長とのやりとりお聞きでなかったものですから、大臣そういうふうにお答えですけれども、ぜひ、この問題は日本の国土政策の基本になる問題としてひとつ考えてほしいと思うのです。
 それから、いま局長は、地方道路について力を入れると言われたのですけれども、確かに第六次に比べれば第七次のほうは改良、舗装ともふえてます。しかし現状で見ますと、全国の市町村道八十六万八千キロのうち改良率というのは一六.六%、舗装率は一五・四%しかないのですね。そして補助事業の対象にならないために地方単独事業でやられるというようなことがあって、それがおくれておるというようなことがあるわけです。そこで道路法第五十六条、道路整備緊急措置法施行令一条というので国が費用を補助する道路というのを、「大臣が指定する主要な都道府県道又は市道」、それから第二が「資源の開発、産業の振興その他国の施策上特に整備する必要があると認められる都道府県道又は市町村道」、市町村道がここに出てくるのですね。そういうふうにしてきたために、やはり国の施策から遠いということで市町村道が除外されておったのではないかというようなふうにも考えられるわけです。そこでこの際、生活道路と足元道路というものですね、一番住民の毎日使う道路、これを補助の対象に加えるようにしたらどうかというふうに考えるのですけれども、そういうふうな考えはありますか。
#94
○政府委員(菊池三男君) ただいまのお話、五十六条の規定は確かに前段が主要地方道のことであり、そして後段が県道、市町村道のことでございます。市町村道について特にやりいいようにしたらというお話でございますけれども、この五十六条は主要地方道というものを特に抜き出し、そして、それ以外の県道あるいは市町村道については、いろいろ資源の開発あるいは産業の振興その他、国の施策上特に道路を整備する必要があるものについては補助することができるということになっておりまして、従来の県道も市町村道もこの条項で補助対象ということになっておりますので、特にこの条項を云々しなくても、いままでもやっておりましたし、今後も同じようにできるということでございます。
#95
○春日正一君 そうすると、これは拡張解釈というか、解釈で足元道路まで補助対象は広げられるということになるわけですね。まあ、それは頭に入れておきます。それでは次にいきます。
 そこで、地方生活圏構想というものを実施しておるのですけれども、道路はその中でどういうふうに整備されるのですか。
#96
○政府委員(菊池三男君) 建設省で考えております地方生活圏構想といいますのは、地方の都市を中心にある圏域をきめまして、その圏域の中を、これは道路あるいは下水あるいは住宅というようなものをそこに計画的に集中して投資をして生活圏の整備をしようということで、全国のうち北海道をひっくるめまして百六十三カ所ほど圏域を考えてございます。そこで、道路はそのうちの何になるかという御質問でございますけれども、やはりそういう圏域に対する公共投資としては、道路事業は、ほかの下水道事業あるいは河川事業よりはやはり金額的にも相当な額がそこに投資されるということから、地方生活圏構想の中のやはり相当強いウエートを占めていると思います。
#97
○春日正一君 この計画でも、人口十五万あるいは三十万、半径二、三十キロメーターということで、そういう一つの生活圏を考えて、中心都市、一次生活圏中心部を結ぶ道路、これが一級、それから一次生活圏中心部と基礎集落圏を結ぶ道路、これが二級、その他級外というようなことですね、そういうような形でやっていく。だから大体、幹線市町村道というようなものが対象になるようですけれども、そうすると、結局この考え方は、地図を見て考えると、高速自動車道路それから国道という、こういうネットワークの中での一番末端の一つのネットワークで、これもネットワークを補完して、全国のすみずみまで自動車で入っていける、あるいは自動車がなければ生きていけぬというような、そういう構想になっているわけですわ。私、伊那の谷、長野県の諏訪から伊那にかけてのあの計画の地図を見てびっくりしたんですけれども、私は伊那の生まれですから、諏訪を中心にして、飯田を中心にして、この二つの中心にあの長い伊那の谷のあれを集中させるというんです。そういうことは歴史的に発展してきた経過から見ても、地理的に見ても非常な無理なことをやろうとすることですよ。ほかの県のことは私は知りませんけれども、自分の生まれ故郷の計画を見て、こういうひどいことをやるもんかと思ったんですけれども、結局これもそういう全国的なネットワークの中に組み込むための計画ですわ、いま建設省の考えておいでになる地方生活圏構想というものは。だから、モータリゼーションの全面的な促進につながる危険があるし、これは間違っていると思いますよ。だから、やはりまず生活道路の体系を中心部から放射状につくっていくんではなくて、住民の住んでいるところから、ここを起点にして公共交通機関、たとえば駅へ行くとか、バス停へ行くとかというような、そういうところへつないでいくような、そういうふうな形にして、公共交通機関を中心にしながら道路がつくられていくというようなことになれば、モータリゼーションというような方向にはいかずに、しかも住民は自分の生活環境を改善して、そこで暮らしていけるようなことになると思うんですわ。
 そして、もう一つは、街路の補助事業を採択する基準ですね、町の、これはどういうふうになっていますか。私はいまの意見は意見として言っておいて、あと今度は町のほうですね、街路の補助事業採択基準。
#98
○政府委員(菊池三男君) ただいまの御質問は、都市内の街路の問題でございますか。
#99
○春日正一君 ええ。
#100
○政府委員(菊池三男君) これは都市計画事業によりまして、まず都市計画を決定し、その都市計画決定したもののうち、一般的には、そのうちの幅員の十六メートル以上あるものということでございますけれども、ちょっと私これ所管が違いますので、詳しい、いわゆる採択基準というものはわかりませんけれども、都市計画決定がされ、それについて事業決定をしたものについてやるということになるわけでございます。
#101
○春日正一君 私も建設省からこれは聞いたあれですがね、十都市は幅員二十メーター以上、特別の場合は十五メーター以上、混雑度二以上というようなところですね。その他の都市では十二メーター以上、特別の場合は八メーター以上、この特別は混雑度一・五以上というように聞いてるんですよ。ところが、こういう補助基準の結果、東京都の道路投資というものは、昭和三十七年から四十年度までをとってみますと、一般国道一〇〇に対して、主要地方道が五〇、一般都道が二四、区市町村道ですね、これは三多摩ですけれども、これは一ということになってるんですね。非常に住民に密着した道路に対する投資というものは一%というようなことになっている。その結果、東京都バス路線の三分の二近くが都市計画街路としての改良済みになっていないところを通るというようなことになっているし、区画街路の整備もほとんど手がつかずになっているというような状態ですね。その後、美濃部知事にかわってから裏通り作戦というようなことで、区画街路の整備というようなことも強化をする努力はしているんだけれども、やはり東京の場合、事故は、車道の幅員七・五メーター以下の裏通りに多いというような状態になっているわけですわ。だから、街路の補助の採択基準を、もっと幅の狭い区画街路や細い街路も対象にするようにして、これの改良を促進するということが必要じゃないかと思うんですけれども、その点どうですか。
#102
○政府委員(菊池三男君) 確かに裏通り等で事故は多いことも事実でございます。そういうものの整備、これは補助対象の事業の、いまの採択基準であろうと思います。したがいまして、実は先ほど申しましたように、市町村道等につきましては、補助対象の事業と、それから単独事業がございます。ちょっと私、都市の街路のことは存じませんけれども、これは同じと思います。一般道路事業につきましても、八十六万キロの市町村道のうち、一級市町村道あるいは二級市町村道とわれわれ言っております幹線的な市町村道は、二十万キロちょっとでございます。あと残りにつきましては、それ以外の市町村道ですが、地方の単独事業というもので相当大幅にいまでもやっております。それから一級市町村道あるいは二級市町村道につきましても、舗装というようなものは、地方単独事業のほうが補助対象事業よりもあるいは多いということになるわけでございます。改良とか、あるいは橋梁とか、非常に集中して費用のかかりますものは補助事業で積極的に取り上げていくということでございますので、ただいまの東京都の場合におきましても、そういう幅の狭い道路につきましては、東京都の単独の事業でやるということが主体であろうかと思います。
#103
○春日正一君 東京都の場合でも、あるいは地方の市町村の場合でも、それ単独でやれと言ってもやはり財源に切りがあるわけですね。だから、生活道路を重視すると、特にあなたは今度の、私の質問に対しては、生活道路をまっ正面から出して、高速自動車道路優先ではないんだというような答弁をされておいでになるという姿勢からいうなら、まさに幅員の狭い生活道路に補助をつけるということによって、この改良を促進するということがなければならないのじゃないかというふうに思うんですわ。いままでのままでいいということはないと思うんですが、どうなんですか、それは。
#104
○政府委員(菊池三男君) これは市町村道につきましては、道路管理者は市町村でございますので、なるべく自主的にということで、いわゆるほんとうの足元の道路は市町村がやる。ただ、それには、先生おっしゃいますように、いろいろな財源の問題がございます。そこで、たとえば自動車取得税ばそのうちの七〇%が市町村に入っておりますし、また、今度の、トン税と言っておりますが、自動車重量税の場合にも、重量譲与税が直接市町村に道路財源として入るということでございます。今度十九兆五千億というように市町村道事業が、これ、補助も単独もひっくるめまして大きい数字になりますと、さらにもっと考えなければならないんじゃないかという御意見があろうと思います。これは当然でございますので、これまた来年までに財源をどうするかというときに、これは国費と同じように地方費につきましても財源の問題を検討することになっておるわけでございます。
#105
○春日正一君 いま局長も言われるように、そういう特定財源は地方にも配分されるんですけれども、それだけじゃ足らないから、なかなかそういう生活道路の改良というようなことができないわけですね。だから、やはりそういう点ではもっと補助をつけるなり、特定財源をふやすなりするということが必要なんじゃないかというように思います。
 それから最後に、もう一つの問題ですけれども、建設省として生活道路の整備についてどういう目標と整備の基準を持っておいでになるか、そこをお聞きしたいと思うんです。
#106
○政府委員(菊池三男君) 先ほども申し上げましたように、生活道路というものの考え方が、広く考えるか、狭く考えるかによって違いますけれども、広く考えますと、私は、先ほど申しましたように国道も入ると思いますけれども、これはさておきましても、県道等につきましては整備目標をどう考えていくかという御質問と思います。県道につきましては、主要地方道は昭和五十五年度までにほぼ終わりたい、それから一般都道府県道につきましては昭和五十八年度までにほぼ終わりたい、それからもっと狭い市町村道につきましては、先ほど申しましたように、八十六万キロのうち二十三万キロにつきましては昭和六十年度までに完了したい、それからさらに足元道路としての市町村道の三十万キロにつきましては単独事業というようなことによりまして、これも昭和六十年度までに舗装整備を完了したいというふうに考えております。
#107
○春日正一君 私の聞いているのはそういう大きな意味の生活道路ではないんですよ。高速自動車道路でも、ある意味でいえば生活に使う人もあるだろうけれども、そういう意味じゃなくて、つまり住民が住んでおって、家から駅へ行く、買いものに行く、学校へ行く、そういうような意味の生活道路ですね。
#108
○政府委員(菊池三男君) はい、私、意味を取り違えておりました。そういう意味では、市町村道の考え方と申しますのは、補助の対象に考えておりますのは、先ほど申しました一級市町村道、二級市町村道。これは一級市町村道というのは、おおむね五十戸ぐらいの集落と集落を結ぶ、あるいはその集落とそこの中心であります役場を結ぶ、あるいは学校と結ぶ、あるいはそこの生活消費物資の中心であります買いものをするところと結ぶというようなものが一級市町村道でございますし、それから二級市町村道と申しますのが、戸数おおむね二十五戸程度のもので同じような考え方を持っております。それからさらに、それ以外のものでも、たとえば通勤あるいは通学というものの道路、あるいは学校が統廃合等によりまして通学体系が変わるというような場合の通学道路とか、それからバスの路線等につきましては積極的に取り上げていこうというような採択基準はございます。
#109
○春日正一君 もうちょっとですから、もうすぐ終わりますから……。
 いま言われたようなことで、これはさっきもお聞きしたのですけれども、やはり補助の対象というようなものは限られておるし、それから生活道路の整備というような点でも、ただそういうものに対して整備しますというだけで、一定の一つのビジョンというか、そういったようなものも示されなかったのですけれども、やはり住宅地を起点にして、だれでも、どこへ行くにも便利で安全に快適に行けるというような道路体系をつくっていくということが、やはり一番基本的な考え方として置かれなければならないのじゃないか。そのためには、やはり一番に、住民一人当たりに大体、生活延長としてどこくらいな道路が必要なものなのか、あるいは一人当たりの生活道路の面積としてどれくらいなものが必要なのかというようなことも考える必要があるだろうし、特に副次的な指標として、災害があった場合に逃げていけるような防災道路とか避難路というようなものの機能があるかないか、それから歩道の設置率、あるいは側溝の整備率、共同溝の整備率、街灯の設置率、落石やがけくずれの危険の防止というような点をやはりはっきり明確に基準として出して、それに応じた道路をつくれるような財政配分なり補助をつけるというようなふうにしていくことが必要なんじゃないか。これを検討されたらどうか。つまり、住んでいるその身のまわりからきちんとつくり上げていくということを検討されたらどうか。
 時間がありませんから一度にお聞きしますけれども、当面、幅員五メートル半以下の生活道路をまず幹線よりも先に整備をする計画を立て、国のほうでも補助をこれに大幅につけて生活道路を優先的に整備してはどうだろうかというふうに思うのですけれども、まあ、その点については、これは政策問題なんで大臣からお聞きしたいと思うのです。そういうふうな考えがあるかどうか。
#110
○国務大臣(金丸信君) 生活道路優先、いわゆる生活に直結する道路をまず第一という、きょうの時点を考えてみますと、謙虚に私も先ほど申し上げましたように反省もして、人間の生きる意義のあるような道路をつくるということが、きょうの政治の目標であろうと私も思います。そういう意味で、行政を進める中で、そのほうのことにつきましては十分ひとつ配慮して進めてまいりたいと考えております。
#111
○委員長(沢田政治君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#112
○西村関一君 私は日本社会党を代表いたしまして、いま議題になっております道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行ないます。
 申すまでもなく、道路は国民生活に欠くことのできない基礎であり、基盤をなすものであります。しかしながら、現在までの道路整備の実態を見ますると、ややもすると産業基盤、産業幹道路の整備に重点が置かれ、国民生活に密着した地方道、特に市町村道路等の、いわゆる生活道路の整備に対する施策が著しくおくれているのであります。このため、交通事故の多発化が進み、道路交通の混雑が激化するなど、大きな社会問題となっているのが現実の姿であります。
 今日、わが国の社会経済情勢を見ますると、これまでの高度経済成長に基づく経済活動のあり方に政策の転換を迫られております。したがって、当然、道路行政のあり方につきましても、高速自動車国道等の幹線道路を主体とするところの、産業基盤整備効率を追求する道路整備五カ年計画案の内容から、自動車等からの公害を防止し、自然環境を保全し、無計画な大都市集中の抑制を前提とした市町村道路、生活道路の整備を最優先にした道路整備計画に根本的に改めるべきであります。
 第七次道路整備五カ年計画案は、田中内閣の提唱している日本列島改造論を具体化していく上で、その先導的な役割りを持たせようとするものであり、地方中核都市、大規模工業基地の予定される地域を結び、建設する計画内容であるように見受けられるのであります。こうした高速道路を中心にした道路整備の計画に対し、その財源の裏づけを持たないまま、十九兆五千億円という膨大な事業費を見込み、予測される不足財源を何らかの税負担で国民に課そうとする政府の態度は、全く許すことはできないのであります。
 かかる意味をもちまして、この道路整備五カ年計画を策定しようとする本法律案に対しては反対の意思を表明し、討論といたします。
#113
○二宮文造君 私は公明党を代表して、道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案に対し反対の討論を行ないます。
 まず反対の第一は、昭和四十五年度に発足した第六次道路整備計画を達成しないまま三カ年で打ち切り、田中首相の日本列島改造計画の中核として、十九兆五千億円という膨大な事業規模の第七次道路整備計画を繰り上げて実施しようとしている点であります。このような産業基盤整備主導型の道路への過剰投資は、必然的に今日の景気過熱に一そう拍車をかけ、インフレを促進させ、国民生活をますます圧迫することは必至であります。
 反対の第二は、財源計画があいまいな点であります。御承知のように、第七次道路整備計画の十九兆五千億円の財源措置が明確にされておりません。さらに、地価上昇が当然予想されるにもかかわらず、その上昇分を加味しないままスタートしょうとしております。これでは再び計画が途中でとんざすることは明らかであります。
 反対の第三は、産業基盤整備主導型に偏重しているという点であります。国民は、高速自動車道路より、歩道の整備や、子供が安心して歩ける生活道路の整備を望んでおり、また自転車道や遊歩道など、自然環境と親しめる道路の整備を望んでおります。ところが、第七次道路整備計画は、このような国民的要望にほとんどこたえていないのであります。
 このような観点から政府案に対し反対をするものであります。以上をもちまして反対討論といたします。
#114
○春日正一君 私は日本共産党を代表して、道路整備緊急措置法改正案に対する反対討論を行ないます。
 反対理由の第一は、この改正案は、第七次道路整備五カ年計画を本年度から発足させるために、計画年次を第六次計画の昭和四十五年以降の五カ年から、昭和四十八年以降の五カ年に変更するだけのものになっています。しかし、国民にとって重要なことは、五カ年計画の内容であります。そもそも五カ年計画は、この法律にも明記されているように、向こう五カ年間における道路整備の目標とその事業量を定めるなど、道路行政の基本を定めるものであります。従来の政府の道路政策は、建設省自身も新国土建設の長期構想案で認めざるを得ないように、産業基盤整備を重点とし、国民の生活道路、地元道路は軽視されてきました。したがって、十九兆五千億円と内定された新五カ年計画が、従来のように大企業中心の高度成長優先となるか、国民生活優先の内容となるかは、国民にとってはきわめて重大であり、したがって、国会においても十分なる審議が期待されているところであります。しかるに、政府は、国会の議決事項を形式的な年度の変更にとどめ、審議が内容に及ぶのを避けるやり方をとっています。これは国会軽視と言っても過言ではありません。わが党は、この道路五カ年計画はもちろん、治山治水事業五カ年計画、経済計画、全国総合開発計画など、国の重要な計画は国会の議決を経て決定するように制度を改めることを主張するものであります。また、その審議にあたっても、遂行すべき目標に対して、従来の計画の進捗状況や問題点をはっきりさせ、それらの点が新計画でどのように改善されるかを明確に提起するなど、国会審議に対する政府の姿勢の改善を強く求めるものであります。
 反対理由の第二は、第七次道路整備五カ年計画の内容についてであります。この新五カ年計画の事業規模は、現行第六次計画十兆三千五百億円から十九兆五千億円と、一・九倍の巨額に達しています。しかし、その内容は、従来の計画や新全総が三十二路線、七千六百キロメートルを昭和六十年完成としてきた高速自動車国道を、五十八年完成に繰り上げ、六十年度までには一万キロメートルに拡大し、この五カ年に三十二路線の全路線に着手することにしています。また一部は、七千六百キロメートル以外の新規路線にも着手するとしていることにも見られるように、高速自動車国道の建設を最重点としたものになっています。これは田中首相の日本列島改造論をそのまま生き写しに政府の道路計画に政策化したものにほかなりません。列島改造論は昭和六十年、三百兆円の国民総生産を前提に、四倍となる工業生産に対応して増大する貨物輸送をさばくために九千キロメートルの新幹線、一万キロメートルの高速道路、七千五百キロメートルの石油パイプラインを建設するなど、大企業優先の高度成長を続ける交通ネットワークの形成を打ち出しています。このことは新道路五カ年計画の立場を明確に示すものであり、すでに破綻した新全総など大資本本位の国土政策を、巨大開発、ネットワークの形成、工業分散と新二十五万都市など新たな装いで一そう強化しようとする列島改造論実現の大きな柱の一つとしての性格を明確に示すものであります。政府は、高速自動車国道を中心とした道路網の形成を、全国への開発可能性の拡大などと、あたかも集中の抑制と分散、過密、過疎問題の解決のきめ手であるかのように言っています。しかし、今日までの実績は、大企業の選ぶにまかせた資源供給型産業の臨海立地の促進であり、その他方での公害と自然環境の破壊、地元産業、農漁業の衰退、地方財政の圧迫と地方自治の破壊など国民に対する犠牲と困難の激化であります。また、モータリゼーションと相まって道路公害、交通事故、自然環境と文化財の破壊、町の分断、土地の取り上げ、公共交通の衰退などが激化し、過密、過疎問題は一そう深刻になっています。これは大企業の貨物優先、自動車優先の交通政策、道路政策のもたらした当然の帰結であります。新しい国土計画や道路計画の作成にあたっては、こうした政策の根本的転換を国民は期待しています。こうした国民の期待に立って、わが党は、つり合いのとれた国づくり、全国の都市と農村、どの地域でも住みよい町づくり、村づくりを進めるのに役立つ道路政策の確立を主張します。全国に全体として望ましい産業構造を構成する生産施設、文化施設などの地域の特性を生かした配置に役立つ道路、居住地域を起点として、だれでも、どこに行くにも便利で快適で安全な交通を保障する道路政策こそ国民の望むところであります。そのためには、まず、生活道路などの体系化と目標を明確にし、整備基準を立てて国の国庫補助を大幅にふやし、その整備計画を策定することが急務であります。
 こうした観点から、第七次道路整備五カ年計画をつくり直すことを強く主張して、反対討論を終わります。
#115
○委員長(沢田政治君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#116
○委員長(沢田政治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおりに可決すべきものと決定いたしました。
#117
○松本英一君 私は、ただいま可決されました道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、社会党、公明党、民社党及び第二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
  政府は、本法の施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
 一、第七次道路整備五箇年計画の策定にあたつては、財源対策を早急に検討し、一般財源の大幅な投入、特定財源の確保等、適切な財政措置を講ずること。
 二、道路の整備にあたつては、地域住民の意見を尊重するとともに、緩衝緑地を設置する等の改善策を講じ、良好な環境の保全に努めること。
 三、地方道、とくに市町村道の整備を強力に推進するため、国庫補助の対象範囲の拡大に努めるとともに、財源の確保と指導体制の確立を図ること。
 四、歩行者の安全を確保するため、歩道、歩行者専用道路等の整備を図るとともに、交通危険箇所の総点検を継続実施して、事故防止施設の整備を促進し、併せて道路情報管理施設の整備及び道路監理員の拡充等、道路管理体制を強化すること。
  右決議する。
 以上であります。何とぞ御賛成くださいますようお願いいたします。
#118
○委員長(沢田政治君) ただいま松本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。
 松本君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#119
○委員長(沢田政治君) 全会一致と認めます。よって、松本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、金丸建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。金丸建設大臣。
#120
○国務大臣(金丸信君) 本法案の御審議をお願いして以来、本委員会においては熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすようにつとめるとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分体し、努力する所存でございます。
 ここに、本法案の審議を終わるに際し、委員長はじめ委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。
#121
○委員長(沢田政治君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#122
○委員長(沢田政治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時七分散会
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ソース: 国立国会図書館
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