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1972/06/21 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 建設委員会 第14号
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1972/06/21 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 建設委員会 第14号

#1
第071回国会 建設委員会 第14号
昭和四十八年六月二十一日(木曜日)
   午前十時六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十日
    辞任         補欠選任
     岩本 政一君     中村 禎二君
     中沢伊登子君     高山 恒雄君
 六月二十一日
    辞任         補欠選任
     西村 関一君     工藤 良平君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         沢田 政治君
    理 事
                大森 久司君
                竹内 藤男君
                山内 一郎君
                松本 英一君
    委 員
                小山邦太郎君
                古賀雷四郎君
                中津井 真君
                中村 禎二君
                米田 正文君
                工藤 良平君
                田中  一君
                中村 英男君
                西村 関一君
                二宮 文造君
                高山 恒雄君
                春日 正一君
   国務大臣
       建 設 大 臣  金丸  信君
   政府委員
       行政管理庁行政
       監察局長     大田 宗利君
       建設大臣官房長  大津留 温君
       建設省河川局長  松村 賢吉君
       建設省河川局次
       長        川田 陽吉君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中島  博君
   説明員
       経済企画庁長官
       官房参事官    平   弘君
       厚生省環境衛生
       局水道課長    国川 建二君
       農林省構造改善
       局参事官     京谷 昭夫君
       林野庁指導部長  松形 祐堯君
       通商産業省企業
       局工業用水課長  植田 守昭君
       自治省税務局固
       定資産税課長   川俣 芳郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○水源地域対策特別措置法案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(沢田政治君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 水源地域対策特別措置法案を議題とし、本案の質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○古賀雷四郎君 水源地域対策特別措置法案は長い間の懸案でございました。三十八年度から全国知事会でも二十五県の都道府県にわたりましてこの要請を続けてきたわけでございます。関係各省のまとまりがなかなかできなくて今日まできたわけです。金丸建設大臣時代にこの法案がまとまりましたことにつきまして、私は特別の敬意を払いたいと思うわけでございます。また関係各省が利害得失を離れて真剣に国の水問題をひとつ前向きに解決しようという御尽力に対しまして、本店をかりまして敬意を表する次第でございます。
 私はまずもって、今日、いろんな社会環境が変わります、また地域の様相が変貌するという点におきまして、いろんな問題がダム地帯あるいは水源地帯に生じている。そこで、今日まで関係各省でダム等の設置につきましていろんな御苦労を重ねられて、用地買収等進めてまいってこられたことと思います。その際にやはり問題になるのは、地域整備の基幹事業であるいろいろな問題をぜひ解決してほしいというのが御要請でございました。そこで私は、この水源地域対策特別措置法案ができたということは非常な前進だと思いますが、しかし、私は必ずしもこの法律ができたからこのことができるというものじゃなかろうかと思います。先日の委員会におきまして野党の諸先生からいろいろお話がございましたが、やはり私は受益者と水没者、それから行政を行なう人の問題にも相当影響があると、行政の信頼という問題が、たとえば私は下筌、松原ダムでそれが見ることができると思います。実は下筌、松原ダムは私も当初から関係してまいりましたが、初めは非常に室原知幸さんも賛成の意向を示した。ひとつできるだけ御協力したいというお話で調査を進めてまいりました。ところが事務所長が途中でかわりまして、そこで態度が急に変わった。いま沖繩開発庁に行っている野島君がかわって参りました。その段階で室原さんの態度が変わってまいりました。この前の委員会でも御指摘になりましたが、この水源地域というのは非常に対策等に時間がかかります。時間がかかる中で事務所長がかわりますと、やはり相手の態度についても、国がそれだけの熱意がないんじゃないか、県が熱意がないんじゃないかという行政の信頼の問題に発展していく。そこで私は、この水源地域対策法というのがいかにりっぱな法律であろうとも、この法律を運用するのは人でございます。人がしっかりしてもらわなければ、信頼がなければ、これはもう絶対にどんないい法律であっても、私は水没地域対策を完全にできるということは不可能であろうと思いますので、その点に対しましてひとつ建設大臣の御決意をお伺いします。
#4
○国務大臣(金丸信君) 古賀先生からこの法律が絶対的なものでない、私も絶対的なものでないと思いますし、また一方、前進であることは一歩前進だと思うんですが、法律があればそれでよろしいかということになると、この法律を扱うものは人であるということで、その人の運営いかんによってはこの法律がよくもなるし悪くもなるということでありますので、その人という問題は重大なかなめだと私も思います。そういう意味におきまして、人事の問題等につきましても十分留意してかからなければならないし、また異動等の問題にしてもたびたび異動するというようなことがあってはならないというようなことも考えますし、その他慎重に対処しなければならない、そうして地域住民との情のある対話を行政というものがなさなければならない、このように考えておる次第であります。
#5
○古賀雷四郎君 最近の行政――私も建設省に長らくおりましたからいろいろ行政をやってまいりましたが、どうも最近の行政は通達行政、そういったものはペーパー行政と申しますか、法律案をつくったらそれで何でもできたような感じ、あるいは通達を出せばそれで終わり、その末端まではたして行き届いているかどうかという問題があるわけでございます。私はこの前、災害対策委員会におきまして、危険地における集団移転の制度を議員立法で立案いたしました。その法律がどこまで伝わっているかという問題を私は調べてみました。残念ながら個々の市町村にはほとんど知らされていない。法律をつくれば可能性は生まれたわけですが、その可能性を知らせる方法を一つも着実にやってない。こういうことで行政がはたしてできるのかどうか非常に私は疑問に思っております。そこで私は、行政の姿勢として、従来のペーパー行政あるいは法律行政、そういったものはもう絶対今後やめてもらって、行政官なら行政官がほんとうに現地に入って問題を摘発し、そして問題を処理していくというような考えでないと今後の行政は進まないと私は思います。そういう点につきまして私はこれを強く要請を申し上げたい。もちろん危険地における集団移転の問題は、これは自治省の所管でございますが、きょうは自治省もおいでになっておりますから、この辺の問題については末端まで徹底しています、おれのところにこんな危険地があるんだけれども、これをほんとうに救いたいんだがどうしたらよかろうかという考えが、ああ、こういう法律があるからこの法律を使ってひとつお願いしようという形がすぐ頭に響くように、ひとつぜひしてもらいたいと思うわけでございます。私はかなりの市町村を調べてまいりました。それは通達をおそらく出されて、それがたとえば建設課長の、あるいは総務課長のボックスに入っているとか、いろんなことがあってなかなか実際に運用されていない。この点はひとつ自治省もおいでになっていますから、御要請、御要望をしておきます。お願いしておきます。
 そこで私は、今後の水需給につきまして、経済企画庁から現在と将来の問題についてひとつお伺いしたいと思います。
#6
○説明員(平弘君) 古賀先生のような御専門の方に、私どものほうから現在及び将来の水需給について御説明申し上げるということは、いわば釈迦に説法というようなことにも相なるわけでございます。水問題というものは、これは土地問題と相ともに、国民の生活、生産にとりまして一番基本的な問題であるというふうに私ども常々認識をしておるわけでございます。かねて御承知の新全国総合開発計画におきまして、構想を立案いたします過程で、水需要の見通し、つまり四十年から六十年まで、約五百億トンの新規需要が生ずる、これに対応してダム、河口ぜき等の建設を進める必要があるということを明らかにいたしておりますが、御案内のとおり、新全国総合開発計画につきましては、環境問題の視点から再検討を加えるという過程に入っておりまして、今後の豊かな国土というものを築き上げますために、水問題というものもその重要な検討課題として加えてまいりたいと考えておるわけでございます。現在までいろいろな作業を取り進めておりますものの、点検項目が非常に多いこと、それから水の問題は特に大都市等のあり方とも関連をいたしますので、はっきりした成案を得ているわけではもちろんございませんが、四十五年を基準にいたしまして、やはり四百億トンをこえるという水の新規の需要の発生ということが予想されておるわけでございます。これに対応いたします水の供給につきましては、あるいは河川局のほうからお答えいただくほうが適当かと思いますが、過般公表されております広域利水第一次調査におきましても、約六百八十億トンの水の開発が可能であるという数字が出ておりますし、また現在建設省におかれまして第二次調査の取りまとめを進めておられるというふうに承知をしておるわけであります。全体の需給につきましては、一応需給バランスというものがとれた形に相なるかと思いますが、これは私から申し上げるまでもなく、水の問題というのは国土全体につきましてかりにマクロで需給バランスがとれましても、このことによって問題が解決するわけではもちろんないわけでございます。特にこの地域におろした場合、この問題の重大性というものが非常に濃淡異にするわけでございまして、さらに今後広域利水第二次調査の取りまとめ結果等も参考にさしていただきまして、相あわせて新全総の総点検作業の中で水の需給問題につきまして検討を進めさしていただきたいと思います。
#7
○古賀雷四郎君 五百億トンも足らないという話だそうですが、全国的には需給バランスがとれるということだそうです。需給バランスがとれても地域的に問題が解決できないということのようですが、私はいまの経済計画いろいろな問題を検討されるにあたって、水という問題はどういう考えでその経済計画が立てられているのか。たとえば工業再配置にしてもいろいろな問題もございましょう。あるいは人口再配分の問題もございましょう。水という可能性の限界において、どういうぐあいにそういった問題をその上に積み上げられているのか、ちょっと私もわからない点があるのです。それから農業問題でもしかりでございます。水が確実に受けられないのに干拓を進める、そのためにある時期においては非常に困難な状態が生ずるという問題もございます。また工場がいままでは川辺に問題が発展してきた。ところが水のないところに工場を建てられて、水がないと大騒ぎをする。たとえば川崎製鉄、この前の四十二年の大渇水のときに、ほんとうに大騒ぎでございました。一日に六億円の損ですというお話も聞きました。さような状態のところに立地させることに問題があるし、そういう水の需給の見通しを得て私は立地すべき問題だろうと思うわけです。まあ人口の問題もそうでしょう。東京都にこんなに人口をたくさん持ってきたら、ほんとうに水をどうしたらいいか私はわからないだろうと思うのです。日本の経済計画には、生活用水、そういう水という問題が、そういった人口、あるいは産業、それらの問題に対する制約条件としての水をほんとうに考えて計画されているのかどうか、ちょっと私疑問に思うのです。それで、こういう点について経済企画庁の関係でひとつお答えを願いたいと思うのですが。
#8
○説明員(平弘君) 水問題について一体どういう姿勢でこれまで計画等で取り上げてきたか、その態度がはっきりしないのではないか、こういうおしかりでございます。まあ新全総におきましても、上水、工水、農水等それぞれ利水面につきまして新たな需要を想定する作業を進めてきたわけでございますが、やはり水は国民の生活、福祉にとりまして非常に基本的な要素であり、これから増大する特に上水というものに適切に対処していくということはもちろん大切でございます。これにつきましては、いまお話がございましたように、人口の大都市地域への過度の集中というものをこのまま放置する状態を続けますならば、水というものはきわめて大きな制限要素として働きまして、とても人の住める状態というのが維持するようにはならない、かように考えておるわけでございます。この点につきましては新全総の際にもまあある程度の検討はいたしておりますけれども、問題の非常に緊迫した認識というものは必ずしも十分ではなかったのではないかと反省をいたしておる次第でございまして、特に今回この大都市の問題ということを中心に、増大する上水というものに対する対応を考えますと、これは大都市問題というものをこのまま放置してはならないということが非常にありありと浮かび上がるわけでございます。人口、産業の地方分散ということが非常にはだに強く感ぜられるわけでございまして、また農業用水につきましても、従来から高生産性農業を確立いたしますために、特に畑地かんがい等、これは従来水がないがゆえに非常に低生産性の畑作農業で、そういう状態を続けていたという点があるわけでございまして、やはり農業を力あるものとして育て上げてまいりますためには、特に従来閑却されておりました畑地につきましての用水の確保ということが基本的に重要な条件であるというふうに考えておるわけでございます。このような考え方は過般農林省のほうで御公表になりました土地改良長期計画等においても明らかにされておるようでございますが、このような新しい方向をも今後の水の需要想定につきましては加えていかざるを得ない。さらに工業でございますが、工業用水、これは非常に最近需要の増加が急速なものでございます。特に新全総の作業が行なわれました際には、この工業用水による水の需要というものは非常に膨大にのぼるということが一つの特徴になってまいったわけでございます。水の需要の増加の過半を工業用水の増加が占めるというような状態でございました。ただし工業の過度の集積ということが問題でありますのと同様、工業における過度の水利用、水利用の合理化ということを欠いた工業出荷の増大ということは非常に大きな問題をもたらすわけでございますので、極力知識集約的な、用水節約型なものに指向していく、同時にまた、工業の立地につきましても水需給の逼迫した地域から自余の地域への再配置を進める、かような方向を進めていく以外にないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#9
○古賀雷四郎君 工業再配置とかいろいろありましょうが、私はその問題の発想についてちょっとお伺いしておきたいと思うのですが、日本の行政というのは大体都会をどうするかということが先にきまって、それから地方の行政が行なわれてきたと私は思うのです。まあ集中の利益が終える段階におきましても都会に集中する。それでみんなが集まってくる。いなかはほったらかし。そこで、こんど都会が一ぱいになると都会の過密をどうするか、工場をどうするかという話になる。ぼくは発想的に問題が非常におかしいのではないかと思うのですね、おかしいと言っては失礼だけれども。たとえば均衡ある発展というのは、やはりすべてがバランスある発展がとれるように、みんな平等に見てもらわないと非常に困るわけです。そういう意味で発想の観点が都会中心の、都会をどうするかという観点からすべて問題を解決しようという工業再配置計画であるし、人口再分散であるし、すべてがそういった観点からなされているということについて、私はいなか出身ですから非常に疑問を感ずる。だから地方は幾らしても発展しない。私はそういう点について今後、まあ水問題もそういった点で地域性という非常に大きな限定された要素がある。そうすると、その中で水資源開発可能量というものがきまれば、おのずと工業だっていろんなものが、ある程度の配置と申しますか、産業だってできるわけですね。そういった点に対する考えは、これは私の意見として、今後ぜひ改めていただかなくちゃいけないという気がいたします。いままで都会中心だったから、しばらくはほんとうに地方を育てていくのだ、地方の実情、特殊性を生かした地方を育てていくのだというお気持ちになっていただいて、今後その問題を詰めてもらわないと、やはり過疎地帯は絶対に浮かばれないということになろうかと思うのです。だからひとつ発想の転換と申しますか、せっかく最近言われているはやりことばですから、この際ひとつ経済計画その他におきましても、すべてにおいてやっていただくとありがたい。道路行政でもしかりです。道路行政だって生活環境道路ができていない。そのために非常にいなかも困っている。都会はアスファルト道路であるけれども、いなかは砂利道路である。同じ国民でそういった行政の差があるというのは非常におかしい。そこで私は、これは水問題に限って、ひとつ水の需要の根拠ですがね、これをまず各省にお伺いしたい。
 まず農林省にお伺いしたいのですが、農林省のかんがいとかいろんな計画に対する基準年次はどういうことになっているのでしょうか。渇水年の基準年次は。
#10
○説明員(京谷昭夫君) 私どものほうで水利事業をやる場合の基準年次の考え方は、十分の一の確率でやっております。
#11
○古賀雷四郎君 私はそういう十分の一という点に非常に疑問を感ずるのです。十年に一回の渇水、第三位か第二位かと思うのですが、そういう渇水を対象にしてやるから、最近のような開発が進んだ場合に、どうしても水が早くなる、保水能力がないということになると、しょっちゅう干ばつが起こる。そして、それを緊急に補水する、たとえば渇水のときにそういった干ばつで困る場合に補水する能力がない。ためがない。だから、この基準年次をあげると、それは非常にいろいろとたいへんでしょう。金が要るし、いろいろな施設をやらなければいかぬと思いますが、少なくとも私は十年に一回の渇水年というのは、過去のデータでございます。保水能力のある時代のデータである。保水能力のない時代にそういう渇水年次が適用できるのかどうか、非常に疑問に思っている。だから農業用水は、それはいろいろ浸透するところもしないところもございましょうし、いろいろ条件が違いますけれども、やはりその考え方というものはもう少し再検討願いたいという気がいたしております。
 それからもう一つは、厚生省にお伺いしたいのですが、上水道用水の現在の必要量ですか、必要量をどういう算定基準でやっておられるのか。そして、現在大体どういうぐあいになって、どういう単価でやっておられるのか、ひとつ単価を、最高と最低でけっこうです。
#12
○説明員(国川建二君) 上水道の需要水量の推定、想定と申しますか、計画の、三水道の推定でございますが、上水道の場合、いわゆる都市用水、特に生活用水といいますか、を主体とした守備範囲でございます。しがいまして一般的には人口がベースになるわけでございますが、人口のみならず、その都市の規模、性格、あるいは立地条件、そういうものによりまして水の使用量がかなり違うわけでございます。したがいまして一般的には、中小都市のような場合にはいわゆる一人当たりの水の使用量、そういったものを過去の実績とそれから増加の傾向、類似の都市の状態、そういうようなものを勘案いたしまして将来の推定をいたしておりますけれども、大都市等におきましては、水道用水の需要構造そのものが非常に複雑でございます。先生御承知のように、いわゆる狭い意味の生活用水のみならず、さまざまな用途、都市機能を保持するための用途の需要がございますので、一がいに一人当たりの給水量というものだけではつかみがたいものがございます。そういうことで、いろんな統計的な手法等も用いまして需要水量を想定いたしておるわけでございまして、最終的に、結果的にそれを計画給水人口で換算してあらわすというようなことをとっておるわけでございます。一般的に水道の計画は、施設の耐用年数等を今後考慮いたしまして、十年とか十五年先の計画を見込んでおるわけでございまして、大都市におきましては、計画給水量を一人当たりで申し上げますと、六百リットルとかあるいは八百リットル程度を目標にしておる場合もございますし、中小規模の水道では二百リットルあるいは三百リットル程度を見込んだものを計画の水量の根拠といたしております。
#13
○古賀雷四郎君 単価はどうなっていますか。高いところで幾ら……。
#14
○説明員(国川建二君) 建設単価で……。
#15
○古賀雷四郎君 いや、水道単価……。
#16
○説明員(国川建二君) 料金のお話だと思いますが、これも料金の制度もいろいろございまして、用途別に分けたりなどいたしておりますので、一がいに申し上げられませんけれども、家庭用水、生活用水の値段を基本料金で申しますと、上水道の場合は全国平均が三百十五円になっております。簡易水道になりますと、規模が非常に小さいために五百円から六百円程度になっております。
#17
○古賀雷四郎君 時間がないものですから答えを簡単にひとつお願いします。
 いまお聞きになりましたように、水道の普及率等もございましょうし、いろいろあって、私は相当今後は上水道の需要水量がたくさん要るだろうと思うわけです。そういった点で、それからまた水道料金というのは私は非常に問題だと思うのは、たとえば離島におる人は六百円もの水を飲んでいると。片一方、東京都におられる方は東京都が金持ちだから二十何円かで水を飲める。同じ生活を保つのにさような差がある。これは水というのは生活用水ですから、これはできるだけなべてやってもらいたいと思うわけです。大臣こういう点でどういうぐあいにお考えでしょうか、ひとつお考えをお聞かせ願えればありがたいと思うのですが。
#18
○国務大臣(金丸信君) 格差のはなはだしいということにつきましては考えなければならない政治的な問題だろうと思います。まあ格差のないようにできるだけ努力することが政治だろうと私は思っております。
#19
○古賀雷四郎君 そういうぐあいで、米だってある程度値段がきまっています。片一方の水のほう――水と米とあれば大体かなり生きられるそうですが、米の値段はある程度きめられる。水の値段はほんとうに生きていかなければいかぬのに、そんなに差があって、たとえば非常に離島みたいな貧乏なところはものすごい値段がかかる。そこで私は、当然国がこういった点は補助制度でカバーしていくという考え方があるべきだと思えるのですが、どうかひとつそういった点は行政か政治、そういったものでぜひ解決できることにしていただきたいと思っております。
 どうもほかにもいろいろ聞きたいのですが、もう時間の関係があまりありませんので、本論に入りまして、この法案は私はいろいろ関係しましたから別に質問するのはおかしいようなかっこうでございます。しかし幾つかの問題を、ひとつ法案の中身でお願いしたいと思います。
 この中で河口ぜきというのが入ってない、それから淡水湖というのが入っておりませんが、これは将来たとえば長崎県あたりは相当大きな淡水湖をつくらざるを得ない。また水が非常に貴重な時代になると、河口ぜきをつくりましてどうしても水をやっていかなければいかぬと思うのです。まあ、この法案にそぐわないという御答弁がございましたけれども、水問題が非常な貴重な段階に入りましたので、ひとつ、たとえばこの河口ぜきといったものについて、それらに対するいろんな地域の変貌、機能の変化に応ずる諸対策を行政指導あるいは助成措置等でもつけられれば非常にけっこうですが、やる考えがあられるかどうか、局長にお伺いしたい。
#20
○政府委員(松村賢吉君) 河口ぜきにつきましては、その内容、規模等から本法の対象にするには適当ではないというふうに考えておるわけでございますが、しかし、そうかといって、この河口ぜきをつくることによってこの周辺の地域の影響をないがしろにしてよいと考えておるわけではございません。現在も、河口ぜきにつきましても、その地域の実情に応じまして、この整備計画に見合うような事業、農業改良事業もございます、道路事業もございます、こういうようないろいろな事業につきまして実質的に効果のあるような行政的措置を現在考えておりますし、これからもこの措置を拡大いたしまして、実際の問題といたしましてこの対策法を適用するのとほぼ同様な効果をあげていきたいというふうに考えております。
#21
○古賀雷四郎君 ぜひひとつそういうことにしていただきまして、行政措置なりで十分な措置ができるようにお願いしたいと思います。
 また、海山坪に淡水湖をつくって一いろんな話がございます。長崎の干拓の問題もございますし、ずっと前から門司のところに淡水河口湖の計画がありました。河口湖と申しますか、海中湖と申しますか、そういう計画が一つも実らない。三十八年ごろの話ですから、もうずいぶん古い話です。そういう話が水が逼迫しておる北九州地区でまとまらないというのは、そういった地域整備法みたいな対策ができていないからか、あるいはそれらに対する費用負担の問題等もあろうかと思います。そういう点を十分検討していただきまして、ぜひひとつそれらの問題につきましても行財政の措置ができますように希望しておきます。
 そこで指定ダムの基準でございますが、これはきのう御答弁がありましたから質問を省略いたしますが、できるだけひとつ基準を下げていただきまして、あらゆる必要なダムについてやっていただけるようにぜひお願いしたい。
 それから、ここで水源地域の範囲というのがありますが、水源地域の範囲というのは、これは貯水池のある市町村ということになっておるようです。これは整備事業が行なわれるようになっておりますので、それは指定する必要はないというように行政的に判断されますが、やはり地域住民としては、そういった事業の行なわれる地域を指定整備地域の範囲にしてほしいという強い要請があります。そこで、いろいろ御検討をくださいまして、できるだけ多くの地域、関係の多くの地域が入るようにひとつぜひお願いしたい。これは答弁は要りません。
 それから、生活再建に対するいろんな措置がなされておりますが、私は、ダム等ができた場合、やはり水没者に対して、よりよい生活再建ができるような形をぜひしていただきたいんですが、これは訓示規定みたいなもんでございまして、さらにひとつ、この問題につきましてあっせんにつとめるというんじゃなくて、ほんとうに積極的に行政的な力――力と申しますか、行政的な恩恵と申しますか、そういったものをできるだけ数多く与えていただく。この中にはいろいろ具体的に書いてあるのもございます。たとえば職業の紹介とか、あるいは農地の転換とか、いろんな問題があります。そういった問題をぜひひとつ具体的に解決して、水源地域整備計画をやっていただく必要があるんじゃないかと思うわけです。生活再建のための措置をこれはつとめるものですが、これをひとつ強力にやってほしい。この文句では私はちょっと不満ですが、ひとつ、せっかくの御努力によってここまできたんでしょうから、ぜひお願いしたいと思います。
 それからもう一つは、整備事業の完成の問題ですが、これはダム等ができる場合、竣工の時期に当然つくらるべきだと思うんですが、これにはさようなことが書いてありません。努力義務さえもこれには書いてない。その点で、ひとつぜひこれは、できるだけ必要な事業につきまして財政的な措置を講じて、少なくともダムができるまでにはでき上がってしまうようにひとつ御努力を願いたいと思いますが、その辺で河川局長ひとつ。
#22
○政府委員(松村賢吉君) この整備事業の完成の時期でございますが、私どもといたしましては、これは原則としてダムの完成時までに完成させたい。もともと、この整備計画というものは、ダム周辺の影響を緩和するということがその目的でございますので、ダムの完成までにこれをつくるということが一つの目標で当然あろうと思います。そういう原則でいるわけでございますが、しかし、事業によりましては相当膨大な事業がかかる。それから、そのために、物理的にもあるいはこれがダムの完成に間に合わないという点もあります。こういう点も考慮いたしまして、特にいつまでという明記はここにしておりませんが、実際の措置といたしましては、原則としてはダムの完成までにやるように、これからの実際の整備計画作成の段階において考えていきたいというふうに思っております。
#23
○古賀雷四郎君 それから、この法律の中で、既存のダムについての固定資産税の関係が入っておりません。これは実は、従来、既設のダムについては、いろいろ苦労されましたけれども、ほんとうにその得るところがないと。特に治水ダム等につきましたら、ほとんど固定資産税等も課せられませんし、市町村は、まあどちらかというと犠牲をしいられたままであるという感じ。ただいま発電のほうは取っておられますが、その他の水利用につきまして固定資産税を具体的に課していくような考え方があるかどうか、自治省のほうにお伺いしたいと思います。
#24
○説明員(川俣芳郎君) 現在、補助ダム及び専用ダムの水道事業さらには工業用水道事業にかかる土地につきましては、市町村交付金の対象とされておりますが、ただいまお話ございましたように、これらのダムの土地以外の固定資産及びその他のダムにつきましては、地元市町村の財源対策という面から、水道事業及び工業用水道事業の用に供する部分につきまして、固定資産税を課し、または市町村交付金を交付するということについて検討すべきである、かように考えております。なお、公共料金との関連をも考慮すべきであると、かような意見もございますので、関係各省の意見をこの問題については統一する必要があるとも考えております。したがいまして、関係各省と協議をしながら今後引き続き検討をいたしたい、かように考えておるところでございます。
#25
○古賀雷四郎君 この問題につきましては地方自治体の意見が非常に強うございます。もう御承知のことだと思います。そこで自民党の利水小委員会におきましても、この問題については税制調査会の各委員会に出してあります。建設大臣、国務大臣として、この税制問題につきまして、ほんとうに困っているダム関係の市町村、特に既設ダムには救いようがないという現段階におきまして、ぜひ御考慮をお願いしたい。大臣のお考えをひとつ。
#26
○国務大臣(金丸信君) 私も先生の考えと同感であります。そういう意味で、関係、ことに大蔵当局と十分、自治省とも折衝をいたしまして目的を達成するようにいたしたいと思っております。
#27
○古賀雷四郎君 どうもありがとうございました。
 第十条の国の普通財産の譲渡の問題ですが、ダムの水没地には、農地とかいろいろ、生活再建をするためにどうしてもほかに土地を求めなければいかぬ。そのときには、やはり林野が一番多いわけです。そこで従来から、私もダムのいろんなその問題について関係してきたことがございますが、なかなか実際解決しない問題が多い。それで林野庁、本庁ではよくわかっておられますけれども、下部機構でなかなか話がまとまらないという実例がたくさんございます。そこで、この問題につきまして、せっかくこの水源地整備法もできましたので、林野庁の林野財産の払い下げというのはどういう形で行なわれるのか。ここは「国の普通財産」ということで書いてありますが、特別会計である林野庁の財産、これらの払い下げの問題、それらの払い下げに関する林野庁の態度をひとつお答え願いたい。
#28
○説明員(松形祐堯君) お答え申し上げます。
 ただいまの法律の趣旨に基づきました整備事業のための国有林野の払い下げ等につきましては、国有林野が行なっております諸事業がございますが、それらと十分関係を持たせながら積極的に私どもはこれに取り組んでまいりたいと思っております。
 なお、ただいま、本庁ではこうであるが下部機構においてはと御指摘ございましたが、十分下部機構にも徹底するように指導してまいりたいと思っております。
 また、国有林野は大かたが企業用財産になっておりますけれども、必要がある場合は用途廃止をいたしましてでもこれを普通財産として払い下げるつもりで、そのような姿勢でまいりたいと思っております。
#29
○古賀雷四郎君 ぜひひとつそういうことでお願いしたいと思います力各現場の事務所までひとつ御通達を願って、必要な協議に応じていただきますようお願いしたいと思います。
 そこで、私はもうそろそろ質問を終わりたいと思いますが、この前、私の県の佐賀新聞というのがございますが、佐賀新聞のところからこういうことを聞いてきました。佐賀は水に不足しているでしょうか、あるいは佐賀県人の水に対する考え方はいいのか悪いのか、県の行政の態度はいいのか悪いのか、いろいろな問題を聞いてきました。私は具体的に投稿いたしましてあるんですが、私はほんとうに県内というわけにはいきませんので、やはりこれはほんとうに水不足であるのかどうかという問題をひとつ真剣に考えていただきたい。というのは、まあ最近ようやく広域利水調査によってある程度水源の開発可能性がまとめられております。しかし、実際は長期的な施設計画というのがないわけです。私の県にも長期的な施設計画はない。水の需要はこれだけといわれておりますが、長期的な施設計画というのはない。長期的施設計画をひとつぜひまとめて、それで、こういう施設計画のもとにはこれだけの水の可能性があるんだと、そこで産業とかいろいろな問題が考えられていくということになろうかと思うのです。どうか施設計画は、それはなかなか地質調査をしてやっていくと、これはできるとかできないとかいろいろ議論がありましょう。筑後川の上流にも一億トンのダムをつくりたいというお話もございましたけれども、これもなかなかできないというような状況もございます。そこで、なかなかむずかしい問題だと思うのですが、これは建設省で行政指導して、各地点ごとにおよその見通しをつけながら施設計画の長期計画というのをつくっていく。それはたとえば年次別需要の、要求の水量とそれに合った施設計画ができるならば非常にけっこうですが、それに合わなくても、やはり長期的な施設計画を持って具体的な需要をまかなっていくという考え方をぜひお願いしたいと思っておりますが、その点についてお答え願いたい。
#30
○政府委員(松村賢吉君) 確かに水の需要に対しましての供給の施設の計画、特に水源施設の関係、これにつきましてはなかなか問題点が多うございまして、確定した計画というものはなかなかつくりにくい状況にあります。しかし、水の需要に対応するためには、これはぜひともなければならないものだというふうに考えておりまして、確定的、決定的というものではなくでも、こういう施設をやればこうなるというやつの比較その他、こういうものをひとつつくるように努力を現在もしておりますし、これからもこれを進めまして万全を期するようにつとめたいと思っております。
#31
○古賀雷四郎君 ぜひひとつ長期的な施設計画を判明した分でもつくって、これだけの水が得られるというような段階的な操作でもけっこうです、よろしくお願いします。
 最後に私は御質問をしたいんですが、私は建設委員会で前にも申し上げましたのですが、河川法では流水の公共性をいっているわけですね。したがいまして水の開発のしかたな号水の利用のしかたあるいは水の管理の主体、方法などは当然公共的な立場に立って考えなくちゃいかぬわけです。そういうものは河川法ではっきり示されておる。そこで私は、この問題をもう一回原点に帰って考えてみる必要があるのではなかろうかという気がいたします。と申しますのは、ダムに水利権がついているから、その開発した水が流れてくる。川の水は、色は同じですが、これは水利権という色がついた水がつかない水と一緒に流れておる、それが公共用水と全部言えるかどうか私は非常に疑問に思う。この水は色がついているから使えない、水利権という色がついている。それからまた農業関係におきましても水利権というものが上も下もたくさんある。そうしてお互いに水利権という色のついた水が川の中を流れておる。ところが、この水はこの水利権の水だといって分類できない。だから、しょっちゅうけんかが起こる。上、下流の農業の一番取水の最盛期なんかにはしょっちゅうけんかが起きている。だから、そういった水利権のついた水というためにいろいろないさかいが生じて非常に混乱させておるという問題がございます。また、農業用水と都市用水もそうですが、生活用水もさようでございます。この水の需要の非常な増大と非常に水に対する切迫感が強い現時点において、私は水利権というものをもう一回考えてみる必要があるのではないかという気がいたします。河川法の中に、流水の正常な機能を河川管理者は維持しろということが書いてあります。流水の正常な機能を維持しろということは、要するに国民が平等に水を使えるように、水は河川管理者がつくりなさい、そうして低水の、流水の正常な機能というものを維持してもらいたいということだろうと思うんです。そういうことにしますと、高水の管理は一応建設省でやっておられるのでありますが、低水の管理についても特に私はそういった意味で今後非常に重要な問題になってくるであろうと思うんです。私は先ほど申し上げましたように、川に流れている水は色がついていると申し上げました。色がついているからめったに使えない。厳密な意味でいえば、その色のついた水で手を洗うことすら問題があると思うんです。さような水を川に流していいのかどうかということでございます。
 この辺でひとつ私は御提案申し上げたいのですが、低水管理のあり方については、ひとつぜひ真剣に御検討に願って、水は川を流れてきますから、生活用水が必要な場合、非常に逼迫した場合には生活用水にもやらなければいかぬ、農業の反対がある、そうするとできない、なかなか困難である、そういったトラブルがしょっちゅう起きておることはもう御承知のとおりです。もちろん緊急調整会議等を開いて調整されてきた実例もございますけれども、私は低水管理制度というものを、この辺でもう一回りっぱに改めて水の公共性を十分主張した低水管理制度を考えていただきたいというぐあいに念願いたしておるわけでございます。そういう意味からいいまして私は、水制度全体の問題でございますが、水の開発の制度に対しましても、やはり水利権をつけるのか、つけないのか、多目的ダムというダムがあります。これは法律も二十八年につくられた法律ですが、この多目的ダムは水利権という水がちゃんと確保されている、そういう水が流れてくる、これが公共用水なのかどうなのかということは私もよくわからない。いろいろ疑問点がたくさんついてくるわけです。それから、利用、管理についても必ずしも一元化されていない。
#32
○委員長(沢田政治君) 古賀さん、そろそろ終わってください。
#33
○古賀雷四郎君 そういった点で、ひとつ、低水管理制度につきまして具体的にお考えがあるならば、ひとつ御答弁を願って私の質問を終わります。
#34
○政府委員(松村賢吉君) 水の低水管理の問題、確かに先生の言われたように、いろいろな問題が内在しております。公共用水のあり方、これの管理の方法、あるいはいまの水利権の問題、これらにつきましては、一つ一つ重要な問題でございます。私ども河川を担当する者といたしましても、これの問題につきましては、つとに着目しているわけでございますが、ただし、結論を早急に出すにはあまりにも問題が大きいということで、われわれのほうといたしましても研究委員会等におきましていろいろと検討を続けているところでございますが、さらに、この問題につきましては、どういう方法が一番ベターなのか、ベストと言わぬまでもベターな方法、こういうものを見つけ出し、この管理につきましての方向を定めるよう進めていきたいというふうに努力したいと思っております。
    ―――――――――――――
#35
○委員長(沢田政治君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、西村関一君が委員を辞任され、その補欠として工藤良平君が委員に選任されました。
    ―――――――――――――
#36
○委員長(沢田政治君) 質疑を続行いたします。
#37
○工藤良平君 私は、水源地域対策特別措置法案と関連をいたしまして、ダムの基本的な問題について若干御質問をしてまいりたいと思います。実は私、ダムの問題につきましては、昨年の六月の本委員会で御質問をしてまいったわけでありますけれども、その後の経緯等も含めましてお伺いをしてまいりたいと思います。
 まず最初に、この法案をつくります過程の中で、いろいろと今日までの水資源に対する総括的な議論というものが行なわれてまいったわけでありますけれども、そういう意味から、この法案が、水を確保する上においてその地域周辺に対する対策を講ずるということはもちろん必要なことでありますけれども、ややもいたしますと、その目的というものが、やはり依然としてダムやあるいは湖沼の水位調節施設の建設を促進するということが主たる目的のような気がしてならないのでありますけれども、そういう意味合いから、特にこの法案を提出いたしました建設大臣としての基本的な考え方を、まず、形式でありますけれどもお聞きをしておきたいと思います。
#38
○国務大臣(金丸信君) いままでのダム建設にあたりましては、とかく、つくればよろしいというような考え方がなきにしもあらずという感がいたしたわけでございます。しかし、きょうのこの時点において、ダムをつくるということにつきましては、その地域の人たちの生活様式は深刻に変わっていくというようなこと、あるいは水没するというような問題も出てくる。そういうような環境の著しい変化をする地域の人たちに、いままでその利益を得るのはその下流の人たちが得て、その地域に直接する人たちはその利益を得ることができなかったというようなことで、とかく問題も起きておりますし、私は、あたたかい対話のできる情のこもった話し合いの中でダム建設というものが進んでいかなくちゃならない、行政の中で、ただつくればいいというような考え方ではもう相ならぬ。そういう意味で地域住民の、そのダム周辺の人たちの生活の問題や、その他環境の変化、あらゆるものに対処して思いやりのある施策ということを行なうことが、私はこの法のまず精神だと考えております。
#39
○工藤良平君 このダムの問題につきまして、私、ずっと以前に議論をしたことがあるのでありますけれども、ダムを建設する場合の犠牲者に対する補償の問題について、たとえば家屋が水没をする、水田が水没をする、そういうものに対しては、直接的な補償でありますから全体的な生活の保障を見るという段階までは至っていないのがいまの日本のこういう公共事業に対する補償の実態ではないかと私は思っているのでありますけれども、そういうことではなくて、やはり生活保障的な要素というものを相当加味していかなければ、公共事業の推進、それからまた、ひいてはこの地域の開発なり、あるいは環境の保全ということは容易でないということを私は十分承知するのでありますけれども、そういう意味合いから、この趣旨というものは、それを完全に補完をするという立場に立っていくという立場から考えられているのかどうか、その点について、もう一ぺんお伺いしたいと思います。
#40
○政府委員(松村賢吉君) ただいま先生言われたように、いまのダムの補償、直接の補償につきましては、いわゆる財産補償と申しますか、これを中心といたしますものでございます。ただし、その運営におきましては、できるだけ生活再建というものを加味して考えてやっているわけでございます。ただし、これのみでは、やはり周囲の全体の要望にこたえることはもちろんできないわけです。と申しますのは、ダムは、水没するもの、直接に影響を受けるものだけでございますが、その周辺の地域につきましての間接的な影響、こういうものをカバーするためには、やはり水源地域の対策というようなものを考えなければいかぬというようなことでこの法律を考えたわけでございまして、こういう意味合いにおきまして、この法律によって生活再建が万全になるよう、私どもはこの法律の結果を運営していきたいというふうに考えております。
#41
○工藤良平君 そのことは、また後ほど私、具体的なこの法案の条項の中にも出てきておるようでありますから御質問をしてまいりたいと思いますけれども、そこで、基本的な問題で非常に現在、この日本の水の需要と供給の関係につきましては逼迫した状態が出てきております。しかし、日本は非常に雨の多い国でありまして、そういう意味からいいますと、非常に恵まれていると申しますか、大陸あたりでは一年に二百ミリしか降らない、百五十ミリしか降らないというような地域もずいぶんあるようでありますけれども、そういうところで生活が営まれ農業が行なわれるという実態があるわけでありますが、日本の場合には非常に雨の多い国でありますけれども、しかし、それにもかかわらず、水というものは、水の需要と供給の関係はきわめて逼迫をしている。これ、建設省の資料によりましても、昭和六十年を想定いたしましたこの水の需給というものが提起をされておりますけれども、その点から見ましても非常に重要な課題であろうと思いますが、その長期の見通しと、それから水の供給対策について、これはむしろ経済企画庁の担当になるかと思いますけれども、もちろん河川を担当し全体的な水の管理もしておるわけでありますから、そういう点について、建設省のほうの見解をお伺いしておきたいと思います。大臣、できれば……。
#42
○政府委員(松村賢吉君) 建設省に溶きまして昭和六十年の水の需給の見通し、これにつきまして実は現在計算中でございます。まだ結論までは至っておりませんが、それの中間的の検討の数字が出ておりますので、それにつきまして御説明申し上げますと、新国土建設の長期構想というものを昨年十二月建設省で出しておりますが、これに基づきます全国の人口フレームあるいは工業の出荷額、こういうものによりまして推計をいたしたわけでございますが、昭和四十六年から六十年までの間に新たに河川の水を必要とする量が約四百億トン、毎年になっておりまして、これに対しましての供給といたしましては約五百七十のダムを中心にいたします対策、流況河川とか河口湖その他いろいろ考えておりますが、こういう施設をやることによりまして四百六十億トンほどの水を生み出すことができます。したがいまして、全国的に見ますというと、これの水の需要と供給はバランスをとれるということでございます。ただし、これは非常に地域に偏在しておるわけでございます。そういたしますというと非常に不足する地域は出てくる。たとえば南関東地区と申しますと、東京、埼玉、千葉、神奈川、これを含んだ地域でございますが、これでは毎年約二十億トンほどの水の量の不足が生ずる、あるいはまた近畿――京阪神地区におきましては約十二億トンほどの水の不足ができる、また北九州におきましても約四億トンほどの水の不足が生ずるというような、水不足の生ずる地域が出てきます。これは、いま考えております水の供給を行なっての上にこういう不足が出てくるということになりますと、さらに供給計画の見直し、それからひいては人口パターンあるいは出荷額、こういうものとの調整、あるいはそのものに対する水の需要の調整、こういうことでもって調整していかなければならぬと考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても水分開発というものは全力を尽くしてやりましても相当むずかしい問題が、地域が出てくるということは間違いございません。われわれといたしましてはぜひともこれの供給バランスを考える義務がございますので、そのためにおきましてもこの水源施設の開発ということにつきまして努力していきたいということでございまして、その一連といたしまして、この法律もその一翼をになうということになるかと存じております。
#43
○工藤良平君 いまの概略の説明によりますと、説明によりますと、昭和六十年の水の需要というものが約千百六十三億トンと、こういうように想定をされておるわけでありますが、そういう意味から、この水の確保のために約五百七十のダムによって四百六十億トンの供給可能量というものを見つけ出そうと、こういうようにいたしておるようであります。私はここら辺に非常に大きな問題が出てくると思うのであります。これから五百数十、さらに六十年以降三百億トン程度の水が供給可能だという想定もされておるようでありますけれども、そのような河川水による水の供給というものを考えてみる場合に、今日まで進めてまいりましたダム建設にあたっての実情というものをつぶさに検討してみますときに、地質的に比較的良好であるという地域につきましては、すでにダムはほとんど建設を終わっているという状態ではないか、このように思うのでありますけれども、そういうような意味から考えますときに、この法案の果たす役割りというものは私はきわめて重要な問題を含んでおると見なければならないと思うわけであります。で、そういうことから、一体五百七十というダム、これは一応の想定でありますけれども、それぞれ各河川ごとにマスタープランというものは立てられてきておる地域もございますけれども、そのようなことを考えてみますときに、一体建設省としてどのようなことに中心を置いてダムの建設なりあるいは河川水の確保をはかろうとするのか、きわめて基本的な問題でありますけれども、これからの河川行政の重要な問題としてお伺いしておきたいと思います。
#44
○政府委員(松村賢吉君) ダムを建設する上におきましては問題が非常にたくさんございます。まず、その地域におきましてダムをつくることによって水没をされる皆さま方並びにその周辺の影響を受ける方々、こういう者に対するこのダムの必要なる理由の御理解をいただくこと、あるいはその補償の問題、あるいは周辺の整備対策、こういうものを万全を期してやらなければならぬことはもちろんでございます。また、そのほかにダムにつきましては、当然そのダムの技術的な問題がございます。これに対して、ダムの安全性その他につきまして十分な調査と、それに対する対策を考えて着工しなければならぬということもございます。また、ダムによりましての水の使い方、これはその地域の中で使うこともあり、また、それを他の地域へ持っていくこともございます。こういう場合にその地域間の調整、その他いろいろな問題が生じます。これらにつきまして十分な調整を行ないましてやるように考えておるわけでございますが、これにつきましてはなみなみならぬ問題が残っていることも事実でございますので、一そうの努力を進めていきたいというふうに思っております。
#45
○工藤良平君 私は、ダム建設にあたっては、もちろんそのダムがその目的に最も有効的に活用されるということはダムを建設する以上当然だと思います。もちろん、それと同時に最も重要なことは、日本のような地質の悪い地帯にこれから建設をしなければならないという条件があるとするならば、その安全性ということについては何をさておいても最も重要視しなければならない問題ではないか、私は、このように思うのでありますけれども、その点についてはこれからの論議の中心になってまいりますので、大臣のほうから、その点に渇する明確な御答弁をいただいておきたいと思います。
#46
○国務大臣(金丸信君) ダムをつくるに安全性ということはまず第一に考えるべきことであると思ます。
#47
○工藤良平君 安全性を確保するためには何が必要なのか、安全性を確保するためには何がまず必要なのか、この点について。
#48
○政府委員(松村賢吉君) 安全性を確保するためには、そのダムの構造地点の地質状況その他、これをまず調査をすること、あるいはそれに対応する対策、それからダムの構造、設計、こういうものを慎重にやった上でこのダムの計画を立案、着工するというふうに考えております。
#49
○工藤良平君 そこで、さらにお伺いいたしますが、いま新しい工法が研究をされ、非常にダムの建設については技術が進んでいるということも私ども十分に承知をいたしておりますが、しかしながら、その技術を過信をするあまりに、逆にそのことがたいへん大きな災いを生むという結果も出てくるのではないかと思います。イタリアのバイオントダムで起こったような災害というものが予想されないという保証はない。バイオントダムの災害というのはどういう形で起こったか、その点についてすでに十分にご承知だと思いますけれども、その特徴を明らかにしていただきたいと思います。
#50
○政府委員(松村賢吉君) イタリアのバイオントダムの地すべりは昭和三十八年の十月九日に起こりました。このダムはイタリアのアルプスの中にございまして、アルプスの造山運動によるきわめて大きな地質の分離面に沿いまして起こったものでございます。ダム建設以前からも地すべり現象はありましたが、この地すべりはダムの貯水がその一因になったともいわれております。地すべりによって移動いたしましたその山の量は、上下流の方向で約千八百メートル、標高差が六百メートル、その大きな範囲にわたりまして、その量が約二億七千万立方メートルと推定されているわけでございます。この大部分が貯水池にすべり込みまして、このために貯水池の中が、貯水面より約百メートル以上の高さを持つ山によりまして貯水池が二分されたというふうに聞いております。それで、そのことによりまして、その地すべりの現象がごく短時間に発生したために、貯水池の水約二千五百万立方メートル、これがダムを溢水いたしまして段波となりまして下流に甚大な被害を引き起こしたというふうに私ども聞いております。
#51
○工藤良平君 その場合にダム本体である、二百六千五メートルの本体がどのような状態であったか。
#52
○政府委員(松村賢吉君) ごく一部の破壊を除きまして、全体としてはダムそのものはそのままこわれないで現存しておるというふうに聞いております。
#53
○工藤良平君 世界のダム技術の最高水準といわれるこのバイオントダムの建設において、ダム本体は微動だにしなかったと、しかし、それは地すべりによってたいへんな大災害を起こしたという最も身近なダム災害の事例があるわけであります。日本のいまのダムの現状を見ますと、きょうのこの資料にも出てきていますダムの堆砂状況、これはもちろん大きな地すべりは起こってはいないようでありますけれども、これは堆砂によりましてダムの機能が失われているという実情であるわけでありますけれども、これは多目的ダムの調査だけしか出ておりませんけれども、私は昨年いただきました、これは通産省の発電を目的としたダム、この調査によりましてもすでに完全に埋没をしてしまっているダムというのが非常に多いのであります。そういった意味で、このダムの目的が完全に堆砂によってその機能を失っているというダムが相当数にのぼっている。本日のこの資料によると、堆積の状況は、多目的ダムではたいしたことはないような資料になっておりますけれども、私がもらった通産省の発電による堆砂の状態を見ますと、非常に驚くべき堆砂の状態が進んでいるわけであります。ダムというのは大体百年を一つの目標にして建設をされておるということを私は聞くのでありますけれども、そういう意味からいきまして、特に日本のように、地すべり地帯に接近をするところにダムをつくらなければならない状態の中において、私はこれはきわめて基本的な問題ではないかと、このように思うのでありますが、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。
#54
○政府委員(松村賢吉君) 確かにダムの堆砂の問題は重要な問題でございまして、この堆砂につきましての考え方、これについては一考を要する点もあると思います。
 なお、ちょっと、ただいまの資料の点でございますが、この資料につきましては、実は多目的ダムのみならず全部のダム、主要なダムを全部網羅しております、この内容には。しかし、この堆砂の問題と地すべりの問題とはおのずから別に考えるべき問題だとは思いますけれども、この地すべり問題につきまして、ダムに対する影響、これにつきましては私どもも慎重に考えまして、ダムの計画をやるべきものというように考えております。
#55
○工藤良平君 この資料に全部網羅しておりますか。私の通産省から取った発電のダムだけでも相当なものですよ。載ってないのが多いですよ。全部入っておりますか。これは余談になりますけれども、いまそういうようにおっしゃいますから聞きますけれども、私の持っている通産省の数だってたいへんなものですよ。これ全部網羅していますか、一部分ではないですか。
#56
○政府委員(松村賢吉君) 昭和四十七年三月現在の総貯水容量五百万トン以上の全ダムということで、五百万トンよりも小さいものは含まれておりません。
#57
○工藤良平君 そういうようにはっきり言っていただかなければ、ダムは五百万トン以上だけではないのであります、小さなところでもたくさんあるのでありますから、私が持っている範囲では、かなり堆砂がもう進んでいるというのがたくさんあるわけでありますから、これを見ますと、さほどないのですけれども、たいへん大きな問題があると思いますが、これは余談でありますから、そういう実情にあるということは十分御認識をいただきたいと思うのです。
 そこで私は、最も具体的な問題になりますけれども、下筌、松原ダムの問題について、これは昨年たいへん問題になりましたが、私ども何回か現地に参りまして調査もいたしてまいったのでありますが、建設省といたしましても、これに対する調査というものも実施をしてきたようでありますが、結論的に申しまして、調査に行った当時におきましては、私どもは場合によってはたいへんな災害というものも予想されるので、やはり水の調整についてはきわめて慎重に扱わなければならない、したがって当初の計画どおりにダムの運営をするということについては問題があるのではないかということを主張いたしました。しかし当時建設省といたしましては、問題がない、ダム本体については一切、一〇〇%これは心配はありませんので、ダムの運営については予定どおり実施をいたしますと、こういうように発言をしてまいりましたし、また調査結果に基づいたこの調査資料によりましても、あまり大きな問題がないような印象を与える発表をいたしておりますけれども、この点について建設省としてはどのようにお考えか、これから具体的に私はその問題点を詰めていきますけれども、まず冒頭にその点をお聞きをいたしておきます。
#58
○政府委員(松村賢吉君) 下筌ダムの関係の地すべりでございますが、この地すべりにつきまして私ども十分調査をいたしまして、その結果も聞いております。この地すべりにつきましては確かに局部的にいろいろと危険なところもございます。それで、これに対する局部的な措置はやっておるわけでございまして、全体といたしまして、この貯水をやって大きな被害が起こるという報告も受けておりませんし、その点については十分かと思います。ただし、やはりこれの監視は続けることが必要でございますし、これについて調査は継続しております。また、新たに小規模な崩壊等が生じたことも聞いております。これらに対しまして、さらにこの調査の継続、監視を続けていきまして、被害が起こらないよう措置していきたいというふうに考えておる次第でございます。
#59
○工藤良平君 これは、昨年の満水試験以降に起ったものか、ことしの満水試験から新たに起こったものか、さだかではありませんけれども、いずれにいたしましても昨年の満水試験以降、貫見地区あるいは野田地区、室原地区、下筌橋と、こういうことでいろいろ問題が起こってきたわけですけれども、ことし新たに中津江村の野田地区の川津久男さんという方のところで新たに発見をされているわけでありますが、それと栃原部落、これは集団移転をした部落でありますけれども、その真下になります、もとの県道のコンクリート壁のようでありますけれども、これに新たな亀裂が発見をされた、こういうようにいわれておりますけれども、この点の事実関係についてはどのように把握をしていらっしゃいますか。
#60
○政府委員(松村賢吉君) ことしの四月に、野田地区の民家の基礎と県道に亀裂が発生を観測されております。また、栃原地区の旧道等に亀裂が生じたのは五月でございます。これにつきましては、直ちに調査を行なっておる次第でございます。その結果といたしましては、私どもの見解といたしましては大きな崩壊はないと考えておりますけれども、さらに傾斜面の安全性を確保するために、護岸の補強等の対策を講ずることにしております。
#61
○工藤良平君 私、先日、建設省の方から説明を聞きましたけれども、たとえば栃原部落のすぐ真下にできました新しいこの県道、旧県道のコンクリートべいの亀裂というものについて、これは川が直角になっておるので、普通の流水がこれに当たって実は亀裂ができたんだ、こういうことをおっしゃっているんでありますけれども、それはいつごろそれじゃ建設されたものなのか。従来から水は流れていなかったのか。この統計によりましても、ここ二、三年は非常に雨量が少ないんです。四十年あたりのほうがはるかに多かったんです。普通の流水、あるいは台風であっても今日まで耐えてきたわけなんです。それが、なぜ、ことしになってそのことが新たに発見をされたのか、従来までわからなかったのか、新たに亀裂が生じたとするならば、それは別に影響はないのか、私は疑問を持つのでありますけれども、その点についての報告はどうなっておりますか。
#62
○政府委員(松村賢吉君) 栃原地区につきましては、もとの水位よりダムによりましてだいぶ水位が上がっておりますので、水に洗われたと申しましても、湛水をした結果、そこに、水に洗われておそらく基礎が一部あらわれたのではないかと思います。
#63
○工藤良平君 そのことも、やはりダムの建設によって、いわゆる湛水をする過税の中で起こってまいりました新たな事象だと私は思っているのでありますが、いま局長は、あまりたいしたことはない、局部的な地すべりとか、そういうものは起こっているけれども、そう大きな地すべりというものは想定をされないということでありますけれども、それで私はお伺いしますが、今日まで、熊本県側、大分県側、このダムをめぐりまして問題の起こった全体的なこれを延ばした場合の距離は、一体どれくらいになりますか。何キロくらいにわたってこの問題が起こっておりますか。
#64
○政府委員(松村賢吉君) 約十キロにわたって起こっております。
#65
○工藤良平君 十キロにわたって、部分的であろうともクラックが起こり、雨が降ればがけくずれが起こる、こういう状態がすでに十キロにわたって起こっているとするならば、これは小さな問題ですか。たいへんな問題じゃございませんか、その影響というものは。
#66
○政府委員(松村賢吉君) 私が申し上げましたのは、大規模な地すべり――一つの場所に大きな土量を含みます地すべりというものはない、と。この十キロの中に、いわゆる小規模な地すべりも一部ございますが、崩壊もございます。こういうものが現在している。まあ全体として問題が小さいとは申しておりません。これは確かに大きな問題でございます。
#67
○工藤良平君 その感覚が私はたいへん大きな問題だと思うんですよ。
 私は、もう一ぺんそれじゃお伺いしますが、ダムとは一体何ですか。ダムとは一体何ですか、そこから私はもう一ぺん問い直してみなきゃならぬ。ダムとは一体何ですか。
#68
○政府委員(松村賢吉君) ダムとは川をせきとめまして水を貯留するものでございます。
#69
○工藤良平君 それは単純に言えばそうでしょう。それがあなたたちダムをつくっている技術者としての考え方でしょう。ダムとはダム本体をさしていうのではないか。アーチ式ダムをつくる。両岸の地質がよければアーチ式ダムができるんだ、経済的だということでつくるんです。しかし、ダムというのは、そういうことだけですか。水をためることによってその周辺にどのような変化が起こるのか、その水を安全に貯留し得るような器をつくるという、広範にわたっての調査が行なわれ、その安全性が十分に一〇〇%確立できるという観点に立って器をつくり上げるということがダムというものの本質じゃございませんですか。あなたのいまのような答弁では、私は納得できませんよ。基本的な問題なんです。ここに、いま言った十何キロにわたって、こういう現象が起こっているにもかかわらず、部分的な問題として済まされる。ダムの本体だけをつくることがダムのすべてだというように考えているとするならば、たいへん大きなあやまちが起こってくるんではないか、私はこのように思うんですが、そういう意味から、さっき私はイタリアのダムの問題を出し、なぜこういうことをいま議論をしておるのか、基本的な問題だから、そう言っているわけなんです。大臣、この点、どうですか。
#70
○委員長(沢田政治君) 建設大臣。局長じゃない。
#71
○国務大臣(金丸信君) 先生のおっしゃるとおり、ダムは水をためるとともに、その周辺すべての安全性ということ、人命に及ぼす影響というようなことに万全を期さなければならぬと私も思います。
#72
○委員長(沢田政治君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#73
○委員長(沢田政治君) 速記をつけて。
#74
○国務大臣(金丸信君) その問題は重大な問題でありますし、また地域住民からいえば非常な関心の問題でありますので、建設省といたしましても十分調査して御報告をいたします。そして万全を期してまいる所存でございます。
#75
○工藤良平君 私は、この問題についてあげ足をとろうとかということじゃなくて、いかにこの安全性を確保していくかということ、特に下流の人たちにとりましては非常に重大な問題でありますから、私はこの点に万全を期したいということでいろいろ質問を申し上げているわけです。これからいろいろ問題点を出してまいりますから、その点については大臣十分お聞き願って、あとで総括的に御答弁をいただきたいと思っております。
 そこで、この事件が発生をして以来、昨年の十月に専門家による調査団を編成をいたしまして、調査を実施をいたしているようでありまして、その結果というものを私ここにいただいているわけでありますが、その中でちょっと疑問の点が残りますからお聞きをしてまいりたいと思うのですけれども、その編成は一体どういうメンバーの皆さんで編成をされたか、きょうできれば御発表いただきたい。あとでまたこれはそれぞれの専門の皆さんの内容等についてもお聞きをしたいと思うのですけれども、それが一つ。それから何日間実際に検討されたのか。まず、その点をお伺いをいたしたいと思います。
#76
○政府委員(松村賢吉君) 調査団の構成でございますが、科学技術庁の国立防災科学技術センター地表変動防災研究室長井口英明、それから農林省農業土木試験所造構第四研究室長岸本良次郎、通産省工業技術院地質調査所環境地質第一調査研究室長安藤武、建設省土木研究所地すべり研究室長渡正亮、以上の四名でございまして、調査月日といたしましては、いままでの既設調査データ等すべて検討したわけでございますが、現地調査の期間は約一カ月でございます。
#77
○工藤良平君 この資料を若干、私、質問してまいりたいと思いますが、私ども参りましたときにもボーリングを現実にやっておりました。この中にもありますように、それぞれの地域でボーリングを実施をいたしておるようでありますが、ただ、これを見ましても、個所数はわかるのでありますけれども、一体どういう深さで、たとえば古室原の十二本の取水については場所がどういうもので、第一号は何メートル、ボーリングをしたか、その結果がどうであったか、こういうことが私は非常に大切になってくると思うのであります。それはなぜかといいますと、この報告書の締めくくりの中ではあまり問題でないというような印象を与える報告になっておりますが、もちろん、そういうことであればけっこうでありますけれども、しかし、私どもがその判断をする場合に必要な資料というものはもちろん十分に公開されなければならないと私は思っております。それでは、たとえば一番高いところの部落、――水面からかなり、百何十メートル、百二十メートルですか、あるわけですね。そうすると、そのボーリングは一体何メートルやったのか、水がたまってまいり満水の状態になったときに、どのような地下水の状態によって地質が変化をしていくのかということを詳細に調べなければ、いま言う部分的なものはわかるかもわかりませんけれども、全体的に、こういう広範囲にわたってクラックが起こっておる状態の中においては、さらに大きな意味の調査というものをやっていかなければならない。それだけ水が入ることによって地下水の水位が高められ、それがどのように地質に影響するかということが当然検討されなければならないと思うのですが、私が現地に参りまして聞いた範囲では、それほどのボーリングは行なっていないような印象を受けたのでありますが、その点についてはどうですか。たとえば、水面から百二十メートルの高さで取水をするとするならば、相当深いやはりボーリングの調査というものが必要になってくると思うのです。しかも、これは、いまクラックが発生をしたその地点を中心に行なっておりますから、もう少し広範囲なものが必要ではないか、このように思うのですが、その点の内容と、それから実際に行なったデータというものを私は公開していただきたいと思うのですが、その点はどうですか。
#78
○政府委員(松村賢吉君) このボーリングの深さその他につきましては、私ども建設省といたしまして、やはり学者の先生その他の御意見に基づきまして深さその他を決定しております。大体ボーリングの深さは、通常やっておりますのは約五十メートル前後のボーリングをやっております。これで通常の地すべりと申しますか、こういうものは調べられるわけでございますが、ただ、いま先生の言われました全体の百メートルとか百五十メートルとかというボーリングは必要かどうか、これについての調査につきましてはさらに検討いたしたいと思います。
#79
○委員長(沢田政治君) データの公表はどうなんです。
#80
○政府委員(松村賢吉君) この内容につきましては、公表と申しますか、私のほうは公表いたします。
#81
○工藤良平君 いま局長、今度発生をした以降に地質調査のためのボーリングをしたのは百五十メートルですか。
#82
○政府委員(松村賢吉君) 五十メートル前後と申し上げました。
#83
○工藤良平君 五十メートル前後ということになりますと、水面にはかなり遠いわけですね。これは私、この資料を中心にいたしまして、実は正直申し上げまして、地質学者にこの検討を願いました。この資料では、全く検討に値しないと、判断が成り立たないんだと、こういう資料ではと、こういうことを言っているんですよ。私も常識的に考えてみたんですよ。百二十メートル水面からあるところにボーリングを始めたのに五十メートルで、一体、満水状態のときにかなりまだ上のほうなんでしょう、離れているわけでしょう、水面から水がどういう形で入ってきて従来ある地下水を押し上げ、断層を変えていくのか、どういう影響が出ていくのかということを見なければいけないわけでしょう。私はそう思うのです。私は技術家じゃありませんよ、技術家じゃありませんけれども、やはりダムの建設については、あらかじめ、つくる以前に地質の調査を徹底的にやると同時に、さらに、でき上がって湛水試験をやる、満水にしたときにその地下水がどのような範囲まで及ぼしていくのか、その水がずっと浸透することによって地下水を押し上げる、それが災害の引き金になるわけでしょう、危険の引き金になるわけでしょう。私はそう思う。それに、もし雨季の集中豪雨というものが加わったときに大災害というものが、予想しないものが発生するわけです。私はそう思うんですよ。ですから、あかじめ事前の、何百メートルという地質の調査をやるボーリングが必要と同時に、ダムが完成した湛水試験の段階におけるやっぱり徹底的な調査というものが必要ではないんでしょうか。特にこのダムは地質が悪いということは、十数年前、小原先生や小出教授によってこのとおりのことが指摘をされているわけです。五十メートルの、それじゃボーリングでいいという判断が成り立ちますか。私は常識的に考えて、それはおかしいという疑問がいま出てきたんですけれども、どうですか。
#84
○政府委員(松村賢吉君) これはこちらのほうといたしましても専門家の御意見によってやっているわけでございますが、一般的にいいまして貯水池の変動に伴う地下水の変動、これは地下水の勾配というものがありまして、これの必ずしも一番底までやらなければならぬというものではございません。また、地下水面の推定ということもある程度できます。また、地すべりの可能性のある地層の変化、こういう点もボーリングによってある程度調べられるわけでございまして、現在われわれがタッチしております、並びに御相談いたしました先生方の御意見もこれで十分ということでやったわけでございます。
#85
○工藤良平君 いま建設省の御依頼をした先生方の見解はそうであったということですね。それじゃ、この下筌、松原ダムは御承知のようにたいへん長い闘争がありました。係争がありました。もちろんこれは裁判の問題にもなりました。しかし、その過程の中で指摘をされていることは、きわめてこれは地質的に危険であるということが鑑定書の中でも小出教授の意見として出されているわけであります。それは当時あまり問題にならなかったのです。それよりもむしろ土地を収用するかしないかということが前面に出ましたために、こういう基本的な問題というのがいつの間にかうやむやにされてしまったということは私は非常に残念に思っている。その後この問題が出てきましてから、いろいろ文献を探り、当時の鑑定書等も読んでみまして、いかにこのダムに対する的確な当時の指摘がなされていたかということは現実の問題として出てきている。そういうことから私は非常にこの点を重要視しているわけです。
 それではさらにお伺いいたしますけれども、それで十分であるとするならば、いま一般的にダムをつくる場合に予備調査をやる、その段階の地質の調査に全体的の予算のどれくらいが使われるか、しかも、この予備調査というものは相当広範に、徹底的にやらなければならないということが、これは建設省、おたくの建設省河川砂防技術基準というのがあるようでありますけれども、これに基づいて予備調査というものを徹底的にやらなければならぬということになっておりますが、下筌、松原ダムで使った総体的な予算の中で予備調査に幾ら金が使われたか、しかも、それはいま言いました基準に基づいてきちんとなされているかどうか。これは概略御説明いただきまして、後ほど私は資料の公開を要求したいと思います。一一チェックをしていきたいと思いますが、これは行管にも私はぜひ後ほど集約的に申し上げようと思ったのですけれども、ダムの全体的な予算の中における予備調査の経費、これはまあ行管のほうにもお聞きしたいと思いますので、それと、一般的にいって当初の事業計画を決定したときの予算とダムが完成するまでの予算の倍率について全体平均と今日までの最高、その点もあわせて、これは行管が調査をしておるようでありますから、お伺いをしたい。
#86
○政府委員(松村賢吉君) ただいまの資料さっそく調製いたしまして提出いたします。
#87
○工藤良平君 行管の方いらっしゃいますか、私いま御質問したことをちょっと伺いたい。
#88
○政府委員(大田宗利君) ただいま御質問の経費の問題でございますけれども、四十二年に水資源の開発に関しまして監察いたしております。その資料、実はいま持っておりませんので、後ほど御報告したいと思います。
#89
○工藤良平君 じゃ、その点については、あと最後のほうに行管に対する最後の御要望申し上げますから、それまでに概略を調べて、私はここへ資料をいただいておりますけれども、後ほどひとつ御説明をいただきたいと思います。
 建設省のほうに戻りますけれども、いま局長から、下筌、松原ダムの完成した以降の調査につきましては、この前の調査で十分だと、このようにおっしゃったわけでありますが、太鼓判を押せますか。
#90
○政府委員(松村賢吉君) 十二月の調査の段階におきまして、そういう判断でやったわけでございますが、その後の変動、これを調べておるわけでございます。それで、いわゆる移動状況その他の調査をずっと続けておりまして、これがある程度まとまったところで、さらに全体の見直しと申しますか、調査団を再編成、これのメンバー等も検討し直しまして、再調査と申しますか、いままでのデータのそろったところでさらに次の調査をやろうというふうに考えております。
#91
○工藤良平君 この報告書ですね、これはさらに詳細なデータがあって、それを皆さんが検討して、その結果これに集約をされた、このように私は思うのですけれども、これは私は他分専門家に検討していただきましたところが、このデータではデータとは言えない、こう言っているわけですね。たいへんなことだと思うのです。これによって、貯水量の変化によって周囲の状況がどのように変化したか、地下水の変化、変動の資料、データが全くない。これでは下筌、松原ダムの問題を検討する最も重要な資料が実はそろっていないのだ、だから検討しようにもしようがないのだということを言っているのですけれども、いま局長のお話では大体この前の皆さんの調査で十分だと、こうおっしゃるのですが、全く違うわけですね。私どももやはり現地に入ってこのような状態を見てくるとそういう心配が起こるのでありますけれども、局長がそういうような感覚に立っているか、そうじゃなくて、これはたいへんな問題だからやはり徹底的なそういう段階ごとの調査が必要だという観点に立たれるのか、その点、私は重要なポイントだと思う。あとでこれは大臣に集約的に聞きますけれども、一番詳しい局長がそういう感覚に立つか立たないかということ、大切だと思うのですが、その点はどうでしょうか。
#92
○政府委員(松村賢吉君) この地すべりの関係の問題といいますものは、ある程度継続しての調査というものも一つのデータです。その意味ももちまして、いま観測を、ボーリングしたところの水位の変動とか何か全部観測を続けておるわけであります。これをある程度、昨年続けておりますから、出たところでさらに全体の見直し、これは重大な問題ですから、見直して、それに基づきまして各調査団を編成した先生方の御意見も聞き、それによってボーリング等をさらに追加して深く掘ることが必要だというような御意見がまとまれば、またやりたいというふうに考えております。
#93
○工藤良平君 私は、去年の暮れの補正の予算委員会で、ちょっと前の建設大臣と田中総理にこの点について強く要望いたしたわけでありますけれども、ですから、まっこうから対立する意見とかなんとかということではなくて、こういう重大な問題についてはいろいろなやはり専門家を集めて、そして総合的に検討して、よりいい結論を科学的に出していくということが大切ではないかと思っておるのでありますけれども、この資料では検討するにとにかく検討できないということも言っておる先生方もいらっしゃるわけですから、やはりもう少し幅を広げて、高い見地からの検討というものが必要になってくると思うのです。これは木村大臣はお約束をしたのですけれども、どうもいまの局長のお話では、これはうまく事務引き継ぎができないと思うのですけれども、これは大臣、ぜひそういう幅を広げて各層のやはり広範な対策をやるというのが必要ではないかと思うのです。なぜ私はそういうことを言うかというと、下筌、松原ダムの問題については比較的地質が悪いといわれてきた。当時は、これはもう最適のところだと建設省は言ったのです、計画書を出すときには。しかし、この前の答弁では、局長は、いや、筑後川の水系の中では比較的いいということであって、全国的に見ると決していいところではありませんというふうに表現が変わりましたから、それはまともにお聞きをするとして、やはりこれからは、こういう地帯にダムをつくらなきゃならぬということは当然考えられてくる。もちろん、いまの新しい工法によって相当な部分が、いわゆるダム本体についてはだいじょうぶだということが一〇〇%保証できるということがいわれている。これは一〇〇%保証されなければたいへんなことになるわけですから、それは私は否定はしませんけれども、しかし、こういうダム本体がだいじょうぶであっても被害が起こるということはあり得るわけでありますから、そういう総合的な調査というものは絶対に必要だ。そのためにやはりいろいろな層の考え方の違う人たちの実情もぜひひとつこの調査の範囲の中に入れて総検討すべきではないか、私はこのダムが、これからの日本のダム、水需要全体の大きなポイントになっていくだろう、標本になっていくだろうというところまで実は考えている。大臣、その点はどうでしょう。
#94
○国務大臣(金丸信君) 亀裂が生じるあるいは地すべりが生じておるということは、それに原因があるということになりますと重大な問題でありますし、それを究明することは、建設をした建設省としてもその責任は十分あるわけでありますから、先生のおっしゃられるように、いわゆる視野を広げて専門家を依頼して、地域住民が安心感が持てるような資料が、これでだいじょうぶだとか、いやここを直さなくちゃならぬとか、いろいろの結果が出てまいると思うわけでありますが、そういうようなだれからも信頼できるような学者をひとつお願いをいたしたいと、こう考えて、なおそのようにひとつ持っていくようにいたします。
#95
○委員長(沢田政治君) だから大臣、いままでの建設省で依頼している調査団はだいじょうぶだと、反面、こういうことじゃデータにもならぬと、こう言って懸念しておる学者、専門家もおるわけですね。だから、この問題はイデオロギーの問題じゃないと思うのですね。もし人命に大きな犠牲があった場合、一局長が首切られただけで済む問題じゃないのです、これは。将来のダム行政に対して大きな暗影を投げる問題ですよ。事人命の問題です。だから、そういうように人命に対しても非常に心配しておる方も、イデオロギーじゃないのだ、これは。生命のことなんだから、だから、そういうものも入れてもう一回再調査をして、そうして今後の措置とか運営とか、恒久対策を講じて当委員会に報告してくれということを言っているわけだ。そういうふうにしてくださいよ。これは委員長の意思として申しておきます。いいですか。
#96
○国務大臣(金丸信君) ただいま委員長からお話のありましたようにいたしたいと思います。
#97
○工藤良平君 それからもう一つは、さっき局長、部分的な問題だということで、私は、大きな被害があってはいけないけれども、万が一起こるかもわからない、起こる要素はないと言えないわけですね。いままでいろいろ言ってまいりましたけれどもね。そこでたいへん重要なことは、ダムの運用を従来の予定された計画どおりにやっていくかどうかということが非常に問題になっているわけですね。貯水量の問題もそうですが、私は非常に重要だと思っているわけですね。ですから、それは一応一〇〇%安全だというデータをそろえたその上に立って結論が出るまで、やはりそのダムについては調整をしていく必要があるのではないかという気がいたします。
 それはなぜかといいますと、このおたくの報告ですね、私はこの雨量の調査を見ました。昭和三十八年から降雨量の調査がこれに出ておりますけれども、これによりますと、六月、七月にかけての雨量でありますけれども、これをながめますと、昭和四十年が六月の中旬で四百六十二・二ミリということで、それ以降はあまり大きな雨が降っていないわけです。大分県、幸いにいたしまして、従来は台風の常襲地帯でありましたけれども、ここ数年非常に雨が少ないわけであります。で、このダムを建設をするというそもそもの発端というのは、私がいまさらに申し上げるまでもないと思うのでありますけれども、昭和二十八年の六月のあの大水害でこの問題が急遽起こりました。私どもより、さっき質問しておりました古賀先生なんというのは最も先輩で専門家ですけれども、その当時、あの夜明ダムのあの地点で一体どれくらいの水が流れたかということが非常に問題になりましたですね。毎秒八千トンの水が流れた、あるいは一万トンをこしたという二つの意見がありましたけれども、結局はそれは八千トンということで上流で二千トンの水をカットする、そのために下筌、松原ダムをつくるんだという想定に立っているわけですね。あのときに雨量はどれくらい降ったと思いますか。たいへんな雨量ですよ。これはあとで言ってくださいよ。これは近ごろの最高では四十年が六月の中旬全体を見て四百六十二ミリですけれども、その後、実は七百ミリくらい一日で降ったところなんです、これは。非常に集中豪雨が場合によっては降るところなんです。そういう集中豪雨がまいりまして、ダムがいま言うように二千トンの水をカットしなければならぬということでつくったわけですね。ですから、ここで水をカットするためにダムがどういう状態にあるか、最高雨量を想定した場合にどういう状態になるか。六千トン以上の水が流れれば下流が被害を受けるわけですから、それをとめなければいかぬわけですね。そのような最悪の状態が出たときに集中豪雨でいまがけくずれが起こったとするならば、一体どの程度の――何十万トンか何百万トンかの土砂くずれが起こった場合に、ダムの水がいわゆるダム本体を乗り越えて外に溢流するかどうかということですね。こういう最悪の状態も当然想定をされてダムというものの運営が行なわれ、調査が行なわれていると私は思うのですが、この点についての最悪の状態を想定をして一体どういう程度の水をあそこで貯留できるのか、お伺いしたいと思います。
#98
○政府委員(松村賢吉君) このダムの管理、操作につきましては、周辺地域のいまの地すべり特別地域、こういうところの傾斜系あるいは水系、この他の通報を連日やっておりまして、危険の際にはいつでもそれに応ずる措置をするようにやっておるわけでございます。それで、いまの最悪の場合にどういうことになるかということになりましても、これは実は最悪の状態の算定のしかたでございますが、いま先生の言いました五十万トン、六十万トン、あるいは数百万トンの程度の、もし、くずれた、場所にもよりますけれども、それでは、そういう何といいますか、ものすごいダムを乗り越えての災害というようなことはおそらく起こり得ないと思いますが、私のほうといたしましては、そういう事態を観測で事前に察知をすると申しますか、それによって対処していきたいというふうに考えておるわけでございます。
#99
○工藤良平君 これは局長たいへんな問題で、室原さんが非常に主張した点は、下筌、松原ダムを災害を防止するためのダムとしてつくるとするならば、やはり全体的な筑後川のマスタープランというものが必要なんだ、あそこで八千トンあるいは一万トンという議論が残りましたよ、残りましたけれども、最終的に建設省は八千トンという想定をしたわけですね。ここには二千トンの開きが実は出ているわけです。しかも雨は下流のほうから降ってまいります。水量がどんどんふえていく。しかも玖珠川と大山川の関係から、玖珠川と大山川の時間的な時差がどういうかっこうで起こってくるかということによっても、たいへん大きな問題が起こるんだということも指摘をされているわけですね。そういうことから考えてまいりまして、いま言うようにどの程度の――やはり水があのダムにたまっているときに、最悪の状態が起こると想定をすると、一体どのような対策が必要かということがおのずから私は起こってこなきゃならぬと思うんですね。その対策があらかじめ講じられなければならない。しかも、この調査によりましても、いま局長のお話のように、十キロをこしてその要注意地帯が出てきたわけです。十キロにわたってですよ、たいへんなことなんですよ、これ。私はいま例として何十万トンか、何百万トンと言いましたけれども、いま言うイタリーのような状態が起こらないという保証はないんですよ。このまわりの地帯の、まわりの山の体積を計算をしてみますと、おそらくすっぽりとダムがつぶれてしまうような体積が十分にあるわけでしょう。これはおたくの、これは名前はもちろん私は全く極秘で言いませんけれどもね、毎日そこを回っている技術家の現地の人が、私どもはほんとうに身の毛がよだつ思いがいたしますと、こう言っているんですよ。ですから、そういうことを考えてみると、この下筌、松原ダムの対策については、過去の長い係争の歴史はありました。これに対するいろいろな意見もありましょう、違いもありましょう。しかし、いま私たちが冷静に、科学的に、このダムというものをながめ、それに対する事前の策としての対策を講ずるということは、これは政治を担当するものの最大の眼目でなきゃならぬ、これについて私はだれも異論を唱えるものはないと思うんです。どこに欠陥があるのか、どこにあったのか、過去の問題も現在の問題もすべて洗い出して、私たちはこの対策を講じていくということは必要ではないか、そういうことをやらなくて、何で五百七十のダムをつくる、六十年以降にさらに三百億トンの水を確保する可能性があるということは私は言えないと思うんです。それだけの責任があるのではないか、それだけ重要なんだと、このように思いますが、ちょっと局長の答弁、どうも私、納得できないですね。もう少し前向きの答弁できないですか。
#100
○政府委員(松村賢吉君) この下筌、松原の問題、この問題、確かに先生に言われるまでもなく、教えられる点はたくさんあります。それで、これの教訓と申しますか、われわれといたしましては、結果的には一部調査の粗漏な点もあったと言わざるを得ませんが、こういうことをよく肝に銘じまして、次の計画にはこういうことのないように万全を期す所存でおります。そういうことで……。
#101
○工藤良平君 それでは、これは議論がどうもかみ合わないわけでありますけれども、たいへん重要な問題でありますし、また先ほどからしきりに言っておりますように、当時、関係人でありました小出先生あるいは小原先生等がこのことを真剣にやっぱり指摘をしているわけで、私もこの点については、傾聴する価値が十分にあるというふうに判断をいたしまして、実はあえてこの二人の先生の名前を出しながらお話を申し上げて、もっともっとたくさんこの問題に対する指摘をしている方はあるわけでありますから、私はこれはぜひこれからの科学的な調査分析の中で活用するようにお願いをいたしたいと思うのです。
 そこで、行管のほうに戻ってまいりますが、行管としても河川の問題あるいはダムの問題について、いろいろと調査をなすっておるようでありますが、行管にお願いをいたしたいことは、安全性やこれからの対策につきましては、建設省を中心にして全力をあげて取り組んでいただきたいと思いますけれども、それと同時に、私はさっき申し上げましたように、これからのダム行政の中で、しかも水の需要がきわめて逼迫をしてくるという状態の中で、しかも、それが予算のより効率的な運用と、それがどのように国民の福祉に還元をされていくかということが非常に重要な問題になりますから、そういう意味合いから下筌、松原ダムのいわゆる当初計画と完成までの経緯、さらに最も安全性のための必要な項目である基本調査の段階における建設省河川砂防技術基準に基づいた調査が完全に行なわれているかどうか。もちろんその基準の中には、場合によっては省略することもできる、こうなっておるのでありますけれども、それが一方的な判断の上に省略をされるということになりますと、これまた問題がありますから、そういう点に対する調査というものもこの際やっておく必要があるのではないかと私は判断をいたしますが、その点に対する調査、さらに先ほど申し上げました地質調査の予備調査がどういう範囲で、どのような予算を使ってなされているか、そういう点についても調査をする必要があると私は思います。もちろん、これは将来の長い展望の上に立って非常に必要だと思いますので、そういう点も行政監察の担当の衝にある立場から御見解を伺い、ざらに具体的に調査を私はぜひしていただきたいという希望を持っておるのでありますけれども、その点に対してもあわせて御見解を伺いたいと思います。
#102
○政府委員(大田宗利君) 先ほど申し上げましたとおりに、四十二年度に調査を実施しております。しかし、当時の調査はむしろ若干全国的な調査でございますので、その点、詳細な調査ができていないと思います。したがいまして、先生のいまおっしゃいましたとおり、いろいろ問題があるようでございますから、その点を踏まえまして調査をいたしたいと思います。ただ、現在、行政管理庁としましては土地問題なりあるいは物価問題、それから公害問題というものに全力を傾けておりますので、その点、若干御猶予いただきまして、さっそく検討したい、そういうふうに考えています。
#103
○工藤良平君 下筌、松原問題については、あとの日程の時間がありますから、私はもっともっと詳細に詰めたいわけでありますけれども、時間の関係もありますから、大体ここら辺で集約をしておきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、大臣、お聞きのとおりでございまして、なお多くの問題もありますし、それを一つ一つ私たちが解明をいたしまして、一〇〇%安全性というものを確保し、そのことによって住民の安全というものを守らなきゃなりませんし、そのことがやはり治水という重要な役割りを持つこのダムの本来の任務を全うすることになるのではないかと、このような気もいたしますし、その点についての大臣の積極的なこのダムに対する取り組み、とりわけ、さっきから私、再三言いますように、このダムが全国的なやはり一つの標本になるのではないかという気がいたしますので、その点から特に大臣の御決意のほどをお伺いをいたしたいと思います。さらに、先ほど申し上げましたように、絶対の安全性が確保できるまで、ダムの水の調整については、当初の計画を変更してでもやはりその点については慎重を期するということが必要ではないかと思いますので、その二点について大臣の最後の御答弁をいただきたいと思います。
#104
○国務大臣(金丸信君) 安全性の問題につきましては、先生の御指摘のとおり、私もまさに同感でございます。そういうことでございますから、先ほど申し上げましたように、徹底的に調査をいたして、将来万遺憾のない、後顧の憂いのないようにしてまいりたいと、こう考えておりますし、また現在も調査をするということは、その危険があっては困るということで調査をするということでございますから、貯水量等の問題につきましても十分慎重に対処してまいりたいと、こう考えております。
#105
○工藤良平君 それでは、ぜひ私はそのことを期待をいたしまして、本題のこの法律に戻りまして若干御質問をいたしたいと思いますが、非常に具体的になりますけれども、先ほど古賀先生のほうからも御質問があっておりましたが、この法律適用は、これから建設されるダムや、あるいは湖沼の水位調節施設の建設によって起こる地域について対策を講ずるのか、従来つくっておりましたものについてはそれはもうおしまいなのか、そのことをまずお伺いしたいと思います。
#106
○政府委員(松村賢吉君) 完成しているダムにつきましては適用いたしません。今後つくるダムが主体でございますが、現在工事中のダムのうちでもうすでに完成に近いもの、これにつきましては、水利計画に相当するものをやはり地元と相談しながら相当進めておりますし、いまからやりましてもダム完成までには間に合わない点もございます。こういうような点がありまして、完成に近いものは除きます。以上でございます。
#107
○工藤良平君 これは非常に微妙なところだと思うんですね。しかし、私は、ケース・バイ・ケースで、場合によってはそういう手だてを講じなければならない地帯というものもあるのではないかと思うんですね。たとえば、私は農村地域の出身でありますけれども、ダムを目の前に見て、水がたまっている、たまっていながら、その水源地域は干害の常襲地帯というところがたくさんある。いま、下筌、松原が一番いい例ですけれども、目の前に水があるんですけれども、残念ながら、そのすぐ近くの小学校にはぞうきんを洗う水もないという状態がしばしば起こるんですね、おかしな現象なんですけれども。ですから、そういうような事態については、地域周辺――もちろん、直接的にそこが水没地帯になったわけでもありませんし、土地は全然取られてはおりませんけれども、しかし、その周辺、同じ町の中でそういう事態が発生をしているという現実があるのであります。これは、別の角度から、学校施設という角度からやるとか、あるいは土地改良事業あたりでそのダムをもらうことによって別の角度からやるという方法もありましょうけれども、そういう点についても、これは補助金等の関係がありますから、やはりよりいい条件を与えてやるという意味で、場合によってはそういう適用もあってしかるべきではないかという気がするんです。それは拾いかけますと際限がないと思いますから、ケース・バイ・ケースということで、その裁量というものはあるのかどうか、全くだめなのか。この法案が決定をいたしましたその時点から、いま言うようにダムの建設をするということになるのか。その点については明確には言えないと思いますけれども、運用としてそういう幅ができるのかどうか。
#108
○政府委員(松村賢吉君) 完成したダムの運用ということはおそらく不可能だと思います。ただし、運営におきまして――いまの補助率の問題は別にいたしまして、そういうようなことができるような措置は行政の運営面において措置していきたいと思っております。
#109
○工藤良平君 それでは、現在予定をされているダムの中で対象となるものは当面どれくらいになりますか、建設省、農林省それぞれの所管があると思いますが。
#110
○政府委員(松村賢吉君) このダムの該当というものは、これから内容を検討いたしまして――基準は大体、線が出ておりますが、ただし、これといって、各省と最終的にあれしているものはございませんで、大体、見込みでございますので、まだ確定した数字は出ておりません。ただし、オーダーといたしまして、大体、数十と申しますか、四、五十から六、七十というか、そういうオーダーの範囲でございます。それから特にかさ上げ対象のダムが十数ダムだと思います。
#111
○工藤良平君 この条文の中で「相当数の住宅又は相当の面積の農地が」と、こういうものが一つの対象になっているんですが、その規模はどのくらいですか。
#112
○政府委員(松村賢吉君) 第二条第二項のダムの指定でございます。これは指定ダムでございますが、水没する住宅の数が三十戸以上、それから、あるいは水没する農地の面積が三十ヘクタール以上。ただし、北海道につきましては、この水没農地については別の基準を設けたいと思います。これが指定ダムの基準でございます。それから補助率をアップする――第九条一項のダムの指定の基準、これにつきましては、水没する住宅の数といたしまして二百戸以上、それから水没する農地の面積といたしまして二百ヘクタール以上。以上が一般でございますが、ただし、そのダムによります受益が当該県以外に及ぶもの――二府県以上にまたがるダムと申しておりまするが、これにつきましては、水没する住宅の数が百戸以上、それから水没する農地の面積が百ヘクタール以上というものを基準といたしたいと考えております。
#113
○工藤良平君 この条文の中に各所に出てくるわけですけれども、主として基礎条件の変化ということがうたわれておるんですけれども、いわゆる主として基礎条件の変化というのは、一体、どういうことをさしているのか、どういう判断をしているのでしょうか。
#114
○政府委員(松村賢吉君) 地域の基礎条件とは、住民が安定した生活を送るための基盤となる諸条件をさす広範囲な概念でございまして、生産機能と生活環境はその重要な要素でありますが、そのほかにも地域共同体における人間関係等の要素も包含するという、非常に何と申しますか一つの概念的ではございますけれども、こういうことを基礎条件と考えております。
#115
○工藤良平君 そういうことは、言いかえますと、非常に抽象的でありますから、広範囲にわたって解釈もできてくるわけですね。そうすると、またもとに戻るのですけれども、たとえば三十戸、三十ヘクタールとか、あるいはかさ上げの場合に二百戸、二百ヘクタールとかいうようなものも当然この弾力的な運用というものが起こってくるのではないかという気がするのでありますけれども、その点はどういうことでしょう。
#116
○政府委員(松村賢吉君) これにつきましては、このダムそのものをこれは政令で指定するわけでございまして、いまそれの一つの基準と申しますのは、一つの内規と申しますか、ということできめるわけでございます。でございますが、しかし、これにつきましてはやはり一定の取りきめがないというとわれわれとしては収拾がつかないということになりますので、これに特例が全然ないとはもちろん申せないと思いますけれども、原則としてはこの基準でいくというふうに考えております。
#117
○工藤良平君 もちろん、私はそういうことをなぜ言うかといいますと、この水源地域の変化というものは、非常に直接的な影響と同時に、また間接的な影響というものが出てまいりますね。たとえば、いまお話がありましたように三十戸減るということと二百戸減るということは、過疎地域にとりましてはたいへん大きな間接的な、まあ直接的といわれるかもわかりませんけれども、影響が出てまいりますね。いろいろな施設等にいたしましても、その地域の生活を営む上におきましてはですね。そうすると、その範囲というものはかなり柔軟な弾力性のある運用ということが当然私は考えられるのではないかと、このように実は理解をしておるわけでありますが、そのような、かなり範囲を広げて考えていいものなのかどうか。たとえばあるAという村がありますけれども、その中で三十戸水没をする、その影響が間接的にたいへん大きな影響が起こってくる、ある施設をつくるという場合に、それはごくきわめて、たいした影響ではないけれども、しかし、その地方にとりましてはやはり間接的に大きな影響が出てくると、こういうことになった場合に、それはもちろん適用されると、こういうように理解を、まあこれは具体的に出てこなければなかなか判断がつかないと思いますけれども、計画策定の際に一つの大きなこの基準というものになると思いますので、どのように判断をしたらいいのか伺いたいと思います。
#118
○政府委員(松村賢吉君) この基準の考え方でございますが、三十戸と申しますのは、実は私どもでは、まあ農業世帯でございましょうか、こういうものの最小部落単位と、大体そういうことになっております。それが三十戸ということ。それから二百戸と申しますのは、基礎集落と申しますか、地方生活圏の中の基礎集落圏が大体二百戸、これも一つの最小単位、こういうものを基準にいたしまして、こういうものに近い、ほぼそういう家屋が水没するということになりますと、それに伴います整備計画事業、これが相当大きくなるんじゃないかということで、これはやはり一つの基準として、これで整備計画を行なう必要があろうと。特に二百戸以上ということになりますというと、これは地方自治体と申しますか、これは市町村あるいは県も含みますが、これに対する負担も非常に大きくなるということから、かさ上げ規定を設けておるわけでございます。したがいまして、その一つの小部落というものに対する影響というか、まあ最小単位といたしまして市町村、こういうもの全体に対する影響を主として考えているわけでございますので、まあ、しかし一部落につきましての影響が多いということもあると思います。しかし、これはそれのみでしたら、やはりいまの行政的なもので措置をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#119
○工藤良平君 なかなかむずかしい問題ですね。後ほど出てまいりますけれども、たとえば三十戸の人たちが集団移転をする、その場合に農道をつくったりあるいは基盤整備をしたりと、こういうことは今度の中ではやろうということなんですね。ところが、たとえば小学校が水没するわけではないけれども、二百戸なら二百戸が水没をする、その人たちはそれぞれ分散をしていくと。中にはその村に残る人も若干あるというような場合に、ここに小学校を新しくつくると。もちろん直接的にそれが水没するわけではありません。水没するわけじゃないけれども、その二百戸が、学校はなかったけれども、しかし分散をしていって、残った村の全体の中で同じ小学校をつくるとするならば、その負担というのはやっぱり残った人たちにかかってきますね。そういう場合には、当然この対象として国がささえてあげますよと、こういうことになるのかどうかですね、具体的にいいますと。
#120
○政府委員(松村賢吉君) この整備計画の地域、これを指定しますのはダムの所在する市町村というものを原則にしておる。でございますので、そこの中で水没の方々が外に出て、あとに残った者に対する影響ということも含めますから、これは当然いまの先生のおっしゃるとおりになると思います。また、集団移転地がその地域外にもしあるような場合に、その集団移転のいろいろ必要な事業、これはやはり整備計画事業として取り上げることはできます、地域外でありましても。こういうことでございます。
#121
○工藤良平君 それから具体的なこの整備事業の実施の問題ですけれども、事業の整備計画は都道府県知事がつくって、それを主務大臣に出して、各関係省の協力のもとに進めると、こういうことになるんですが、この事業主体というのはその場合どこがやることになるわけでありますか。それぞれ、たとえば土地造成やれば、農地の造成やれば、それは農林省が所管をする、あるいは学校はこれは地方自治体、それから河川のほうは建設省、何々、それぞれの部門でやるのか、それとも各地方自治体がそれは事業主体になって総括的にやるということになるのか、あるいはダムの建設をする所管のそれぞれのところがやるということになるのか、その点はどうなんですか。
#122
○政府委員(松村賢吉君) 事業主体といたしましては、それぞれの事業主体がやることになります。
#123
○工藤良平君 ちょっとそれぞれの事業主体というのはそれぞれダムを目的ごとにつくっていく事業主体ということなんですか、その点どうですか。
#124
○政府委員(松村賢吉君) 道路だったら建設省、あるいは農地でしたら農林省というふうに、それぞれ従来の事業主体、従前の、それがやることになります。
#125
○工藤良平君 整備計画は都道府県知事が出すけれども、実際の仕事というものはそれぞれの所管によって行なわれると、こういうように理解してもいいわけですね。
#126
○政府委員(松村賢吉君) そのとおりでございます。
#127
○工藤良平君 それから、これはさっき私ちょっと申し上げたんですけれども、第八条の関係ですね、これは「生活再建のための措置」ということで、直接補償と同時に、また生活保障的な要素を、この場合にかなり補完をするという意味で出されてきておるわけでありますけれども、私、さっき申し上げましたが、公共事業に対するこの補償が直接的な補償であるということから、これを生活保障に切りかえるべきであるという議論を私は以前展開したことがあるんですが、そういう意味から申し上げまして直接補償だけではどうしてもやはり足らない部面があると、その点を補完的にこれをさしあたりまかなっていくんだと、将来はそういうものについても当然、生活保障的な方向にいくということがいいのではないかという私は考え方を持っているんですけれども、そういう一つの過程としてこれを補完的にやるということなのか、全然別個のものとしてそれを考えるのか、その点はどうなんですか。
#128
○政府委員(松村賢吉君) いまの全体の生活保障に保障体系を持っていくということにつきましては、これは問題はダムだけではございません。したがいまして、これがそのほうに持っていく一つの手段かということではなくて、やはり一部は補完と申しますか、これをすることになると思います。
#129
○工藤良平君 いや、そのことは私は非常に重要だと思っているんですよ。けさの新聞は土地収用法の改正をどうのこうのとかいうことをちょろっと見ましたけれども、私、土地収用法のときにこれずいぶん議論をしたことがあるんです。私はやっぱり私権の制限というものが相当強化をされてくるだろうと思うんです。これまた公共事業を進める場合にはそういうことは必要になってくる。だとするならば、直接補償的なものじゃなくて、生活保障的なものに大きく変わっていかなければならぬという私は考え方を持っているんですけれども、そういう意味から、過渡的な問題として、そういう方向にいく過程として理解をしていったらいいのかどうかということ、それはそれとして、依然としてそういうことですよと、若干の補完的な意味ももちろんこれはあるけれどもということなのか、その点どうでしょうか。
#130
○政府委員(川田陽吉君) お答え申し上げます。
 先生のただいまの御指摘の件は、公共事業全体に関するいわば用地買収等に伴います損失補償の基準の問題、基本的なそういった問題でございます。金銭補償でいくか、あるいは全面的な生活保障でいくかという大きな分かれ目の問題でございまして、私どもの立場としてはまだそういった方向がどちらの方向で結論が出ているかという点、いまだつまびらかじゃございませんが、ダムを実施する立場から申し上げますと、補完的にこのような体制を維持し、このような措置を講じながらやっていかなければならないというふうに考えている次第でございます。補償基準の抜本的な検討という問題につきましては建設省の担当部局においても常に検討を怠らないで進めているところと思っております。
#131
○工藤良平君 そのことは、これは大臣にもひとつ御答弁いただきたいと思うんですが、具体的にこういう事例が起こる。たとえば、いま一・五ヘクタール、一町五反持っている、農業をやっている。ところが家は水没をする。水田がそのうち〇・五ヘクタール取られる。そうすると、この人はいままで農業で大体やってきたけれども、全く部分的に半分になるわけですから、できなくなるわけです。ということになると、それじゃ水没した〇・五ヘクタールだけをどこかに造成をしてあげればそれでいいのかということになると、やはりその人の生活というものは完全にくずれてしまうわけですから、これはやっぱり生活保障的に考えていくとどこかにやっぱり移転をさして、そこでいままで一・五ヘクタールで農業で食べていってたけれども、それではいけないと、たとえば水田三ヘクタール、あるいは牧草地を五ヘクタールとか、かなりの部分は考えなきゃならぬということが出てくるわけで、これはやっぱり基本的な保障の問題だということで私は議論をしてきたわけですけれども、そういうものの、経過的に一気にそこまでいけないから、これで若干補完をしながら、そういう空気を醸成をしながらそこに持っていこうということなのか、それはやっぱりはっきり次長からお話があったように、基本的な問題なんです。しかし、そういう方向にやっていかなければ、やはり私権の制限ということできわめてむずかしい問題が出てくるのじゃないかという気がいたしますので、これはやはり大臣としても早急に検討をしていく必要があるんじゃないか、このように思うんですが……。
#132
○国務大臣(金丸信君) その問題はなかなかむずかしい問題でありますが、ひとつ十分検討してみたいと思います。
#133
○工藤良平君 これはむずかしい問題といって横のほうにやっておったんじゃ進まないわけですから、そういう意味で前向きに検討すべき事項ではないか、このように私は思います。ぜひともひとつこの点は大臣御認識を新たにしていただいて、検討を進めていただきたいと私は思うのです。
 そこで、時間がかなり過ぎましたから、ここらあたりで大体締めくくりに入っていきたいと思うのですが、第九条の問題ですが、別表によりまして補助金の割合が出ております。国の負担の分が出ておるわけでありますけれども、やはりこういう問題については特殊な事情でありまして、最高の率をとるべきではないだろうか、このように考えておるのですが、その点についてはどうでしょうか。
#134
○政府委員(川田陽吉君) 第九条の条文におきましては別表に定める割合の範囲内で政令で定める、こういうふうに第二項で規定してございますが、政令は全部最高限度で政令を定めるという考え方でおります。
#135
○工藤良平君 ぜひやはりこの問題は最高額をとっていく、こういうことを検討していただきたい、このように思います。
 それからもう一つは、私この前、農水で御質問を申し上げたわけで、建設省の開発課長から御答弁をいただいたわけですが、水資源開発促進法に基づきまして開発の水系が指定をされます。そうすると予備調査をやりまして、この中でダムを建設することが可能であるかどうかという調査をやっていくわけですが、可能であればそこに基本計画を策定し、実施計画に入る、こういう段取りだと思うのですが、この前、大分県の例を申し上げたのですけれども、筑後川上流地帯のダム群の建設について建設省としても非常に意欲的に進んでまいったわけでありますけれども、御承知のように東有田の地域にダム群ができることになっておりましたが、これがたしか六年余り、七年近い年月をかけて調査をいたしましたけれども、最終的にこれが中止ということになりました。もちろん中止につきましては、私どもこれについて別に中止したからけしからぬということじゃありませんし、それでいいと思います。もちろん賛成、反対それぞれの意見があったわけでありますけれども、ただ私ここで申し上げましたのは、ここにダムができる、やはり予備調査の段階でありましても、一応水系を指定されまして調査に入りますと、やはり地域の人たちは、ここにもうダムができるのだ、こういうような何といいますか、精神的なあれがあるわけです。ですから、本来からいいますと、法律上からいいますと、何も調査に入ったからといって道路の整備についてもあるいは基盤整備についてもやって何ら差しつかえないのですけれども、しかし、ダムが一応できるのではないかという想定に立つと、そういう新規の投資というものがなかなかできない、こういうようなことから農家の人は新しい自分なりの計画を立てていくというような状態が起こってまいります。たとえばこの前、具体的に申し上げましたけれども、農業後継者の問題についても、どうせうちのほうはダムの湖底になるのだから、農業をやるということは不可能だから別の方向にということで子供の進路指導だって全く違う方向にやらなければならない。ところが、今度は中止になったからまた農業をやらなければならない、それじゃ、よそに行っている子供を連れてきてまた農業高校に行き直してなんといっても、これはなかなか不可能なことですし、そういう有形無形の影響というものがたいへん出てきます。ところが、これは救う道がないのであります。どこでも、ダムはできないわけでありますから、その予備調査の段階における救済の方法というのは全くない。これはもちろん行政的な措置として何らかの形で急速にやはり地域の開発というものを促進してあげるということになるだろうと思うんですけれども、そういうことについて特にダムをつくる段階では工学的に処理できる小さい断層でも、都合が悪くなると、いわゆるつくらなくなった場合には、その責任が、一本の断層によって地質が悪いということで簡単に投げ捨てられる。地域の人たちは七年も八年もおくれてこれから開発に取り組まなければならぬという非常に経済的な損失というものがあるわけですが、もちろんそれは直接的にこの人に幾らの補償金ということはできませんでしょうけれども、ただそれを地域開発という立場で一気に、各省やはり協力をしてそういう場合には特別の措置をしてあげるとかいうことは必要ではないだろうか、このように私は思うんですけれども、そういう場合に建設省として、もちろん関係は農林省、経済企画庁等々の関係があると思いますけれども、どのような措置を講じたらいいのか、これは地方自治体にとりましては非常に深刻な問題でありますから御見解を承っておきたいと思います。
#136
○政府委員(松村賢吉君) この問題につきましては、これはどうも実際には悪意があるわけじゃなくて、やむを得ずそうなっている、あとの救済策をどうするかということでございます。確かに先生のおっしゃったとおりに補償の対象にはこれはとてもできません。それで、これを救済するには、やはり一つは、その地域のいわゆる公共事業の整備のおくれ、そういうことによってこういうやつを何とか取り返すように努力してもらうというようなことで、私どものほうとしてもそういうような場合には必要な関係省庁あるいは府県ですね、こういうところと連絡いたしましてできるだけの措置をとっていきたいというふうに考えておるわけです。先生御指摘の東有田の地区、これにつきましても、実を申しますというと今年度県道の保存実施とか、あるいは大分県から公共施設整備のための貸し付け金ですね、こういうようなもの、いま準備をいろいろやっているそうでございます。そういうようなことでできるだけの措置をとっていきたいと思っております。
#137
○工藤良平君 これは、この法律ができましても、水資源開発促進法においても多目的ダム法においても、これは全く補償の対象にはならないわけですし、そういうことがこれからもときどき起こるのではないか。必ずしも白羽の矢が立ったところにダムができるということは、これは全く保証ができませんので、そういう意味からいいまして、こういう漏れについてはぜひどこかでやはり対策を講じて救済していただきたい、このように思っておりますので、この点ひとつ大臣に特にお願いしたいことは、関係各省とも十分に連絡をとりまして万全の対策を講じていただきたい、そして落ちがないようにやはりやっていただくことが大切ではないかと思います。そういうように申し上げ、全体的なこの水需要の問題については、逼迫をしていることは私がいまさら申し上げるまでもないわけでありまして、もちろん私ども、その点がほんとうに住民に還元をされ、環境が保全をされ、それが有効に利用でき、しかも安全性が一〇〇%確保できるということであれば、何もこの点について拒むものではないわけです。そういう意味で、ぜひひとつ前向きの対策というものを講じていただくように私は申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 なお、資料の点につきましては、先ほど途中でもいろいろ申し上げましたので、ここで集約はいたしませんけれども、ぜひ資料の公開ということで、申し上げました資料を出していただくようにお願いをしておきたいと思います。
#138
○委員長(沢田政治君) 先ほど以来、途中途中確認してまいったわけでありますが、工藤君から先ほど要求した資料については、委員会に対する資料として出してください。
 ただいまから休憩に入り、一時五十五分まで休憩いたします。
   午後零時五十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時開会
#139
○委員長(沢田政治君) ただいまから委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、水源地域対策特別措置法案の質疑を行ないます。
#140
○高山恒雄君 この法律は将来予定されている水不足に対するダムの建設を強力に推進するための法案だと思いますが、現在ダム建設のネックとなっておる用地ですね、交渉の円満化をはかるために提案されたものじゃないかと、こういうふうに考えますが、そこで、まず本論に入る前に、昭和六十年における水の需要の見通しですね、それから地域的なアンバランス、たとえば関東、近畿では大幅に不足しておるのじゃないか、逆に北海道、東北、山陰ではかなりの余裕もあるような状況であるようでありますが、ひとつその内容について御説明をお願いいたします。
#141
○政府委員(松村賢吉君) 昭和六十年における水の需給関係でございますが、建設省におきまして昨年の暮れ発表いたしました新国土建設の長期構想、試案でございますが、これによります全国の地域別の人口想定、あるいは工業出荷額、こういうものからしまして水の需要の推定を最近しております。まだ結論は出ておりませんが、中間的な段階といたしまして一応はじいた数字について申し上げますと、全国的に見ますというと、昭和六十年段階におきまして新たに必要になります河川依存の水の需要の量、これが四百億トン余りになります、毎年。それに対しまして供給の可能見込み、これ六十年までいろいろと、もちろんこれも確定ではございませんが、試算しておりますが、約四百六十億トン余りの供給が全国的には出る予定になります。しかし、全国的にはこれによりまして需給がバランスすることになるわけでございますけれども、各地域を見ますというと不足する地域が相当出るおそれがあります。たとえば関東地区、このうちの南関東、すなわち東京、埼玉、千葉、神奈川、これを見ますというと約二十億トンぐらいの不足のおそれがある。それから京阪神につきましても十二、三億トンの不足するおそれがございます。それから北部九州方面においても約四ないし五億トンぐらいのおそれがございます。そういうような水の不足のおそれが地域的には出てくるわけでございます。したがいまして、この水の供給を想定いたしますのに約五百七十ほどのダム、それからまた別に、あるいは河口ぜき、それから流況調整河川というような、いろいろな施設をやりましてこの程度ということになるわけでございます。したがいまして、こういう水の逼迫する地域につきましては、さらに需要のほうの、たとえば人口の分散、あるいは工場の分散等によりまして考えるか、あるいは水を他から持ってくるか、いろいろの手があると思いますが、こういうことをさらに検討しなければならぬ。いずれにいたしましても水の逼迫する地域につきましては相当の水資源の開発と申しますか、これをやる必要がある。それにはダムの建設、これにつきましても万全の方法をとっていかなければならぬ、そういうことでございます。
#142
○高山恒雄君 そこで触れたくもないことですが、田中総理はその著書で、日本列島改造論で、昭和六十年までに建設が必要なダムは全国で千百カ所以上になるだろう、農業用水を別としても、工業用水、生活用水を供給するためには、やはりダムは現在の二百五カ所ですか、その五倍以上に急ピッチにふやさざるを得ないというようなことが著書に載っておるわけです。したがって河川行政を担当しておられる建設省としては、昭和六十年までに具体的にどの程度のダムがほんとうに可能と算定しておられるのか、この点がやはり大事だと思うのです。たとえば、昨年末発表された新国土建設長期構想では、昭和六十年までに約七百二十カ所やるということを言っておられます。したがって田中総理が言われる点とは相当開きがございますが、いろいろ政府の責任ある方のこうしたものが出ておると、かなり水不足に対する何といいますか、判断のしかたといいますか、一体この狭い日本列島に千百以上のものが実際可能なのかどうかということもわれわれは心配するわけですが、その点について可能なのかどうか。先ほど、不足している、アンバランスの点についてはわかりましたが、いま建設省が考えておる七百二十カ所というようなのも実際に実現できるのかどうか、こういう点ひとつお聞かせ願いたい。
#143
○政府委員(松村賢吉君) 日本列島改造論で千百のダムが必要だということを言っておりますが、私ども五百七十のダムを想定すると、こういうことになると言っております。しかし、これは五百七十というのは、実は総理の言う千百とはちょっと違いまして、すでにできておるダムもあるわけです。――これからつくるやつは五百七十、そのほか建設省といたしましては洪水調節オンリーのいわゆる治水ダム、こういうものも三百余り考えております。こういうのを足しますというと約千個ぐらいに相当する。そうしますというと総理が千百と言うのとほぼ近いような数字にはなるわけです。
 それでこのダムが実現可能かどうかという問題でございますが、これを実現するには端的にいいまして相当問題点は多々ございます。補償問題しかり、それから地域間の水の融通関係の問題しかり、各種の問題が山積しております。したがいまして、並みたいていのことでは達成はむずかしいと思います。しかし、われわれといたしましては、現下の水需要からいいまして少なくともこの程度を目標にしてやらなければ水の関係を全うすることができないというふうに考えている次第であります。
#144
○高山恒雄君 五百カ所ふやして七百二十カ所ぐらいになるということの答弁ですが、やらなくちゃいかぬということは、どうしても必要だということは現実の問題として考えておられるわけですね。一千百はやらなくとも、七百二十カ所ぐらいにはどうしてもしなくちゃいかぬ、これは建設省としても、この水不足に対する処置として現実にやらなくちゃいかぬ、こういうお考えですね、この点ひとつ。
#145
○政府委員(松村賢吉君) 先生の言われる七百二十というのは、ちょっと私よくわかりませんのですが、これから新たに建設省として利水のためには五百七十は必要だと、これはぜひともやらなきゃならぬというふうに御理解願いたいと思います。
#146
○高山恒雄君 それは新国土建設長期構想で、そういうことを言っておるんですが、大体しかしあなたの五百と言われるのと、現在二百何ぼ合わせますと、七百何ぼになりますから、大体私そうかいなと思うんですよ。
 そこで、通産省の関係の方、見えていますか。――お聞きしたいんですがね、工業用水と都市の用水の回収ですね、いわゆるこの利用率を大幅に増加させるしか方法がないんじゃないかというような考えも、われわれはしろうと考えに思うわけです。したがって、下水の再生利用等の造水プラントといいますかね、の開発を急ぐべきではないか。これら工業用水、都市の用水の再生利用の現状、今後の見通しについて、ひとつあわせてお聞きしたい。なおまた、最近非常に国際的にも発展して現実に大きくやられておる地域もございますが、日本でも実験は終わっているようですが、海水の淡水化の現状、あるいはまたコスト、将来の見通しについてはどうお考えになっているのか、この点ひとつお聞きしたい。
#147
○説明員(植田守昭君) いわゆる造水といいますか、排水の再生利用につきましては、下水処理水の再生とそれから工場排水の再生と私ども二つに分けて考えておりますが、その下水処理水の再生につきましては、現状をちょっと申し上げますと、工業用水道で下水処理水を水源とするものが現在でも四カ所ばかりすでにございます。東京都の江東地区にもございますし、それから川崎、名古屋、大阪というところにそれぞれあるわけでございます。これらの工業水道は、下水処理水を沈でん等の処理をいたしまして送っているわけでございますが、率直に申しまして、まだ水質の問題もございまして、需要する側から見ますと、いろいろとクレームがつくというふうな状況でもあるわけでございます。それで、こういった下水の再生につきましては、もう一つ高度な処理が必要であろう、技術的にももう少し進んだ処理をする必要があるだろうというふうに私ども考えておるわけでございますが、そういった観点から、昭和四十五年から三年計画で私どもで再生利用の実験調査を進めてまいりまして、これは東京都の南砂町の浄水場で、たとえば活性炭の処理千五百トンというふうなパイロットプラントで進めてきましたが、一応そういった点でかなりの技術的なめどができましたので、今年度からは東京都に日量五万トン規模の造水プラント、下水処理水を活性炭でろ過する造水プラントを計画いたしまして、現在基本設計その他に着手したところでございます。この五万トンの下水処理の造水プラントは、もちろんわが国でも初めてでございますし、国際的にもこういった大きなものはまだございませんが、これを実際に給水してみまして、その成果があがれば、今後はほかのいろいろな都市におきまして、水の不足したところで、こういった造水プラントは進むんではなかろうかというふうに私どもは期待しております。それから工場排水の再生処理につきましては、下水処理水まりもある意味ではまだおくれております、もっとも冷却水等につきましては、かなり再生利用も進んでおります。現在、産業全体で約五二%程度の水は再生水でまかなっているという状況でございます。しかし、私どもといたしましては、昭和六十年ぐらいまでに、少なくとも一ぺん使った水の回収率を七〇%ぐらいまでには高めたいと思っておりまして、そういった点でやはり工場排水の再生利用の実験を現在進めております。四十八年度は、石油化学の水でございますとか、紙パルプの水につきましてパイロットプラントを建設すべく現在計画に着手したところでございます。
 それからもう一つの海水淡水化でございますが、海水淡水化につきましては、昭和四十四年から私どもの工業技術院で大型プロジェクト制度という制度で、五十年を目標といたしまして、総額約五十億円の予算をつぎ込みまして研究中でございます。つい最近までは茅ケ崎で三千トンのプラントで研究してまいりましたが、ことしからは十万トンのプラントを大分県の鶴崎に建設中でございまして、昭和五十年度には十万トンのプラントの設計ができるような成果をあげるべく現在進めているところでございます。御指摘のように、現在でも海水淡水化は、たとえば中近東等には日本から輸出したプラントがございますし、国内でもまた、二、三千トンクラスのものは二、三ございますが、まだコストの点で、たとえば二、三万トン程度でもトン当たり百円からかかるだろうという状況でございまして、この辺、解決すべき問題は残されております。私どもといたしましては、いずれにしましても、排水の再生利用や海水淡水化はこれからの重要な問題だと思いますので、実は先月にも財団法人で造水促進センターというふうなセンターも発足いたしまして、こういったところで造水技術の開発それから実用化というふうなものを推進していきたいというふうに考えております。
#148
○高山恒雄君 建設省は、この工業用水に対して再生利用というようなことは将来どういうふうにこれが発展し、かつまた、これを利用していくかというような点はどうお考えになっておるのか。通産省の研究はまあ研究として、現実に、先ほど言われたように川崎市、名古屋市、江東地区、大阪市にはもう四カ所、これ工業用としてやっておられますね、下水を。こういうふうに一方では通産省計画でどんどん進んでおるわけですよ。むしろこういうものが、いわゆる六十年までにはどういう計画のもとにこれと結びつけるかというようなことを検討されたことがあるのか、ただダムだけに依存していこうというお考えなのか、その点の見解をお聞きしたい。
 もう一つ、この海水を淡水化するという現状は、先ほど通産省おっしゃったとおりだと私も思うんですよ。日本の機械が行って、もうすでに外国でやっておるんですからね。これがまあコストの問題で、トン当たり百円だと先ほども言っておられますから、これはとても現実ではいかぬというような考えもないではありません、われわれもね。しかし、もっと設備的に拡大された生産能率を持つ近代化ができるなら、これはもうコストが安くなるかもしれません。そういう面の総合的な問題で再利用法あるいはまた海水の淡水化というようなものを含めて、六十年までの問題については考慮があってしかるべきではないかというような感じが私はしておるわけですよ。そういう面に対してはどうお考えになっておるのかですね。
#149
○政府委員(松村賢吉君) お答え申し上げます。
 先ほど私申し上げた中に、河川水の新たな必要な量、約四百億トン余りと申し上げました。これを出します際の実は需要を想定いたしますのに、この需要の増加を算出いたしますのに、いまの工業用水――工業用水は出荷額当たりの水の使い方、これを非常にしぼっております、実を申しますと。ということは、実は水を再生利用いたしまして、循環利用を極度にすることになるだろうと、特に水の不足するであろう京阪神地区とか、南関東地区、こういうようなところにつきましては特にしぼった実は計算をしておるわけです。また、下水の再使用、こういうようなものにつきましても、水の需要の算定に入れておりますし、また、地下水が地盤沈下等で代替を要する、こういうものの必要な水量、こういうものを入れまして河川水といたしましてこれだけ必要ということに実はしておるわけで、一応その数字そのものが、さらに回収をよけいできるかという問題はあるかと思いますが、そういうものの想定のもとにこの河川水の必要量というものを出しております。
#150
○高山恒雄君 そうしますと、いまの工業用の、たとえば再利用水というようなものはどのくらいの見通しですか、トン数で。たとえば六大都市なら六大都市を中心にして、このくらいのことを考えたでけっこうですから、どのくらい見積もっておられますか。それでも足らぬというのがこの六十年の、先ほどおっしゃった数字ですか。それをちょっと内容だけ、こまかいことはいいですから。
#151
○政府委員(松村賢吉君) ちょっとここで何億トンという数字、資料を持っておりませんが……。
#152
○高山恒雄君 いいです。パーセンテージでいいです。
#153
○政府委員(松村賢吉君) 現在工業用水の回収率、これはいろいろありましょうが、大都市付近では大体五〇%ぐらいになっておりますが、それを七〇%くらいまで上げようと、まあ二〇%ぐらい反復利用をふやせようということでございます。そういうことで実は計算をしております。
#154
○高山恒雄君 それから、ダム建設によって著しく影響を受けるのは何といってもダムの周辺の地域が大きな影響を受けるわけです。何回か地域において問題が出ておりますが、したがって、総合的な整備計画はどうしても必要だと思うんですよ。したがって、地域開発を推進しようとするものであるが、ただ、ダム建設地は何といっても山間過疎地帯と言わざるを得ないのですね。そこで、本法による整備計画と、山村振興法、過疎地域対策緊急措置法、豪雪地帯対策特別措置法等に基づく各種の地域振興ですね、この計画についてはどうお考えになっておるのか、それに基づく事業との関係はどのようにされておるのか、具体的に説明されたい。なおまた、本法によると、この整備計画の作成にあたって、これらの既存の地域の振興計画との調整ですね、これは今後行なわれていくのかどうか、この点をひとつお伺いしておきたいのです。
#155
○政府委員(松村賢吉君) 御承知のように、ダムの今度の水源地域の整備計画でございますね、整備計画、特にそれによります水源地域、その水源地域というものはダムの周辺に限られております。比較的小範囲と申しますか、この山村振興法、過疎地域対策緊急措置法、こういうものの地域の一部といいますか、そういうところにつくるとすると、まあ一部になるわけでございます。したがいまして、こういういままでの既存の計画とこの水源地域とは、これは別個に実は計画はつくられるわけでございます。しかし、既存のこういう地域の計画、これ等を十分参酌してこの水源地域の整備計画はつくってまいります。もちろん、ですから、整備計画の中に、すでにその他の計画にあがっている事業と重複して入ることもございます。しかし、いずれにいたしましても、この計画を調和させてやるように私どもはやるつもりでおる次第でございます。
#156
○高山恒雄君 いや、最初のあなたおっしゃった一部だというお考えですね。たとえば現実にもあっただろうと思いますが、その水系の上流にダムをつくる。そうすると、そこには人口が百戸ぐらいしかない、その百戸の人をどう疎開させるかという点は下流に集中せざるを得ない、こういう場合があるでしょう。そういう場合に、これは一部じゃないですよ。村全体から見てこれは大きなやっぱり問題だと思いますね。移動する人はわずか百戸か五十戸かというような問題でしょうけれども、その百戸なら百戸あるうちで七十戸が疎開しなくちゃいかぬというならば、その二つに割れた地域の下流に大きな必要の土地を拡張して住宅をつくってやるとか、そういう整備もしなくちゃいかぬでしょう、やるからには。それは町がやらなくちゃいかぬ、あるいは村がやらなくちゃいかぬでしょうが、そういう面も含めたその調整をどういうふうに行なっておるのか。私は、先ほど申しました法律の適用もやっぱり必要じゃないかという考え方をするわけです。山村振興法だとかあるいは過疎地域対策緊急措置法がありますが、そういうものも考えながらやらなければやれぬのじゃないかという気がしておるものですから、どういうふうにこれを、各種の地域振興法を適用して――一緒に考えておるのだと、こういうことならいいのですが、そうでないとさっきおっしゃるから――一部分という考え方はどうもおかしいのじゃないかな。
#157
○政府委員(松村賢吉君) どうもことばが足らないで失礼いたしました。この整備計画、私、一部と申しましたのは、整備地域を指定する部分、これが山村振興とか過疎地域とかという指定地域ですね、これに比べて範囲が小さいということを申し上げたので、その一部ということではございません。訂正いたします。それで、この水源地域の整備計画をつくる際に――これはまあ過疎問題を解決する一つの手段でも当然ございます、なるべく過疎の地帯に、外へ流出するのを防ぐために、その地域にいろいろな施設をするということも整備計画の一つの重要な問題でございます。ですから、そういう意味におきまして、すべてのいままでのそういう計画、これは調和をとりましてこの整備計画をつくっていきたいということでございます。
#158
○高山恒雄君 それで、この山間地域におけるダムの建設で人口の流出が激化して過疎化していくのがもう常識ですわね、いままでからそうですが。したがって、この水没地域の人々が周辺の地域にとどまるのか、あるいはまた何かほかに生業を営むような方向に転職をしていくのか、場合によってはダムのこうした開発のために今度は逆に観光開発もやらなくちゃいかぬというようなところも出てくるんじゃないかというような気がするんですよ。あるいはまた企業の誘致も必要になってくるのじゃないか。そこで、この第一条の目的で、生活環境と産業基盤を整備するため水源地域の整備計画を策定しと述べておられますが、水源地域の産業育成のために具体的にはどうお考えになっておるのかですね。そういうことは、先ほどあなたおっしゃったように、部分的というようなことでそこまで考えておられないのかどうかですね。これはやっぱり地域の過疎地帯において往々にしてあることじゃないかと私思うんですが、その点はどうお考えになっているのか。産業基盤というような整備もお考えになっておるのかどうか。
#159
○政府委員(松村賢吉君) これはやはりその地域の発展と申しますか、過疎の防止と申しますか、こういう意味で産業育成、こういうものはもちろんどういう方法でやるかは各地域によっておのずから違うと思いますが、そういうものを育てていく、そういうことに役立つように水源地域の整備計画、これはまあ道路もございましょう、あるいは林道等もございましょう、その他の基盤、施設の整備、いろいろありますが、こういうものをやっていこうということでございます。
#160
○高山恒雄君 そこで一つやっぱり問題が出てくるんですよ。第五条に掲げておられる整備計画の内容となる事業に観光開発等地元産業の育成のための事業を加えるべきとわれわれも考えるわけですが、それは具体的に出てないんですが、これは政令で何か入れていこうというような考えですか、表面には出てないんですがね、これが。その点ひとつ……。
#161
○政府委員(松村賢吉君) この整備計画にあげます内容の事業、これにつきましては、ほとんどのものが実は公共事業と申しますか、国あるいは地方の公共団体、こういうところが出す公共事業に近いようなものがほとんどを占めているわけでございます。それはまあ国の補助の関係もありますし、それからいろいろ資金の問題もございますが、そういうことでやっておりまして、いわゆる私企業でございますが、これはこの整備計画の事業の内容とは実はしておりません。したがいまして、その観光事業をやるいわゆる基盤になります道路とか、いろいろなそういう施設をやることは可能かと思いますけれども、その観光に必要なあるいはホテルとか、あるいはどういうことになりますか、その直接のいわゆる私企業的なものをこの中に入れる考えは実はございませんのです。
#162
○高山恒雄君 それはあなたのおっしゃるとおりですよ。しかし必要な道路、つまり幹線道路なら幹線道路一本引きますわね、そうしてそこを工場誘致なら誘致して地域産業の開発のために集約していきたいとか、そういうことがあるでしょう。そういう場合、道路とかなんとか、むろんそれは通産省の関係もございましょうし、いわゆる集団産地ですね、振興法もございますが、そういうものに基づいてやろうとした場合にですよ、つまり建設省としては、ダム開発におけるそれに伴った開発ですからね、ある程度の道はつくってやるんだとか、やはりそういう考え方がなければ私はできないと思うのですよ。そういう点はどうですか。
#163
○政府委員(松村賢吉君) 仰せのとおりでございまして、そういうことに必要な道路、これは村道であるか、あるいは県道であるか、いろいろあると思いますが、こういうものを造成する考えは当然ございます。
#164
○高山恒雄君 それから、これは午前中もだいぶ御質問がございましたが、私はもう繰り返してこんなよけい言う必要はないのですけれども、私も現実をちょっと見ておるものですからお聞きしたいのですが、このダムの水質の保全とか、あるいはまた水量の確保ということは、これは全く大事なことだと思うのですよ。私は災害のときに宮崎県のあれは東臼杵でしたか、西臼杵に参りまして、それで、もう災害があって十日もたっておるのに全く汚濁したままの水、それが自後完全に清流にならないで問題になったことを新聞でちょっと私見たのですが、これもやはりがけくずれが原因だと思うのですよ。この実態は完全にもう正常化しておるのかどうか、その点、御承知ですか。宮崎県の東臼杵だと思うのですがね。
#165
○政府委員(松村賢吉君) 大淀川の岩瀬ダムの上流の話でございましょう。承知しております。
#166
○高山恒雄君 そうですか。私は承知をしておられるのならそれでいいんですが、いまは清流になっておるのですか、どうですか。なかなか汚濁が完全にならないということで、新聞で私拝見したのですがね。その点お聞きしたい。
#167
○政府委員(松村賢吉君) 現在は旧に戻っております。私どものほうといたしましても、上流に砂防の流路工を全部で四カ所くらい今年度実施している次第でございまして、これの濁流防止ということは十分考えております。
#168
○高山恒雄君 したがって、私はそういう現実を見ておるものですから、この上流地域における水源の涵養林の保存、あるいはまた、造林事業が最も大切だと思うのですよ。むろん山くずれも大きな原因であることは言うまでもないのでありますから、この涵養林の保存と育成についてはどのような方策を講じておられるのか、これは林野庁かだれか見えておれば、こういう問題に対して、建設省とのダムの関係におけるところの関連性をどういうふうに保存、保持していこうという考え方が今日まで行なわれておるのかどうか、この点がお聞きしたいのですがね。
#169
○説明員(松形祐堯君) お答え申し上げます。
 ただいま宮崎県の西諸県郡野尻町にある岩瀬ダムでございますが、それの水質の確保についての関連した御質問かと思いますが、実は私ども先生の御指摘のとおり、森林が持っております水源涵養機能とか、あるいは国土保全機能、あるいは近ごろたいへんやかましくなっております生活環境等の保全等の関係もございまして、そういう公益的な森林の持っている機能についての要請というものが非常に高まってまいっております。また同時に、昨年の木材の暴騰等から見られますとおりに、木材生産機能という面も非常な要請が高いわけでございます。したがって、これらをマッチさせまして、もっと健全な森林をつくっておくということが先生の御質問、あるいは御指摘の趣旨でもあろうかと、こういうふうに思うわけでございます。したがいまして、私ども森林法に基づきまして計画制度というのがございますが、その計画制度に基づきまして計画的な森林造成というのを進めておるのでございます。特に水源涵養上大事な森林につきましては、水源涵養保安林というふうに指定いたしまして、ただいま全国の森林面積の約三〇%の六百八十八万ヘクタールという森林を保安林に指定しておりますが、その半分以上が水源涵養保安林といたしまして指定しているわけでございます。保安林でございますから、伐採の制限なりあるいは植栽の義務、そういう開発規制というものもはっきり明示いたしまして、個々のケースでそれを制限いたしておるわけでございます。また、そういう森林造成というものがたいへん大事でございますので、特に水源涵養保安林等の造林につきましては、一般的な造林にはない、一回造林されたものを切りまして、植える場合は、現在は補助金は出しておりませんけれども、この水源林等の保安林につきましてはそれの補助金も出しておりますし、また天然木等を切りまして、拡大造林と称しておりますけれども、そういう場合は非常に高率な助成をやっておるというのが従来の実績でございます。しかし四十八年度からはこれをさらに拡充いたしまして、保安林だけでなくて、重要水源地域等の公益性の高い森林等につきましては、実質上の補助単価あるいは補助率的なものを上げまして、四十七年度の五割以上の単価にいたしております。さらにまた、植林のときの補助金というだけでなくて、森林をこれから造成する、三十年、四十年かかります関係から下刈り等の行為がございますが、これにも水源林等につきましては助成をするという新しい制度をつくったわけでございます。なお、御承知いただいておりますとおりに、水源林造成ということを中心といたしまして、三十六年から森林開発公団が発足をいたしております。毎年約二万ヘクタールぐらい水源林造成をやっておるというふうなことで対処いたしておるわけでございます。しかし、ただいま御指摘のようないろいろな公益的機能に対する要請が高まってまいっております関係から、そういう計画制度の拡充と開発規制というようなことを中心といたしまして、今国会に森林法の改正ということを上程いたして御審議をいただいているところでございます。
#170
○高山恒雄君 私が質問しようと思ったこと、みんなあなた詳しく言ってしまったので、あんまり言う必要はないと思うけれども、ただ問題は、水没されたものに対する補償等その他はいままでもやっておられるわけですが、やっぱり保存ということになりますと、これはもう切るわけにいかないわけですからね。これを一体どのくらいお上げになったのか、その点の補償はどうなっておるんですか、そこがお聞きしたいですね。いわゆる水没する地域における森林の価値というものと、土地の、山の平米に見合った単価というものは支払いをいままでもしておるわけなんですけれども、もう伐採ができないでしょう。したがって、そういう場合の補償というものはあるのかないのか、その点はどうなっておるんですか。
#171
○説明員(松形祐堯君) 保安林制度の中に補償制度がはっきりいたしております。
#172
○高山恒雄君 それを上げたと、さっきおっしゃったから、どのくらい。
#173
○説明員(松形祐堯君) 造林助成といたしまして、植林する場合の助成として五割、五四%程度でございますが、上げております。ただ保安林に指定されまして、特にこういう重要なダムの上流となりますと、切るわけにいかない。切らない場合には、ある立木に対する補償制度というものが確立いたしておりますので、それを適用して、補償というようなことで、切らないための受ける損失を補償いたしております。
#174
○高山恒雄君 そこで、建設省のほうにお聞きしたいのですが、この第八条で、水没地の住民に対する「生活再建のための措置」ですね、これが規定されていますが、従来どのような処置が講じられてきたのか、その実績について説明してもらいたいと思うのです。なおまた、ダム建設による補償を受けた人々の、これはもちろんいろんなことを私も聞いておりますからお聞きするんですが、その後どのような生活環境と経営を営んで暮らしておられるのか、調査したことがあるのかないのか、あればその結果を一ぺん発表してもらいたいと思うのです。もしなければ、私は何としてもこういう問題は今後開発しようという大きな基本になるわけでありますから、早急にやっぱり追跡調査というふうなものもやって、みんなが安心して政府の水資源確保に賛同のできるような姿勢をみずからつくっていくということが必要ではないかと思うのですが、そういう面について資料があればお知らせ願いたいし、なければやる意思があるのかないのか、これは大臣もひとつ御答弁願いたいと思うのです。
#175
○政府委員(松村賢吉君) 「生活再建のための措置」につきましていままでやってきたことは、まあケース・バイ・ケースでいろいろございますが、一例を申し上げますというと、たとえば代替地の取得の資金の貸し付け、これは主として県費を融資するというようなことでお願いしている、そういうものもありますし、それから生活再建相談所、こういうものを普通のダムにおいて、たいがいのダムにおいて設置しております。そういうのを設置いたします。その生活の再建の相談、すなわち代替地の相談とか、職業のあっせんとか、こういうものをやっている例が非常に多い。ごく一例でございますが、そういうことでございます。
 また、ダムの追跡の調査でございます。これ補償が終わったあと、その水没された方々がどういうような状態になっているか、これを追跡して調べるということは非常に重要なことかと思います。建設省といたしましてもこの重要性はすでに認めていたわけでございますが、なかなかこれをやるのにいろんな問題もございまして手間どっていたわけですが、現在、実は釜房ダムあるいは矢作ダム、下久保ダム、こういうふうな個別な検査によって実は追跡調査をやっている最中でございます。それで、まだこの結果はまとまっておりませんので、これまとまり次第、御報告また申し上げたいと思います。また、その他のダムにつきましても、こういう調査はできるだけ多くやりまして、その資料等に基づきまして今後の補償の対策等にいろいろ考えていきたいというふうに考えております。
#176
○高山恒雄君 そうしますと、政府がいよいよ着手するという、その地域の、つまり水没部落の方の職業あっせんその他についても、転職の場合でもある程度やってやるとか、あるいはまた自分はもう町に出て、たとえば職業訓練所で何か職をつけてやっていきたいとかいうふうな場合は紹介をしてやって、ちゃんとそういうふうな指導はしているんだ、こういうことですか。それが一つと、いま生活状態の追跡調査はしてないということですが、もしそれ実態調査ができたら、ぜひ資料をお願いしたいと思います。このことは、なぜ私が申し上げますかといいますと、それは十人十色ですから、みんながそこを引き揚げて、十人が十人ともいい暮らしができるとは思いませんけれども、しかし、十人のうち七人までがあまりよくなかったということは、結果的には、これは失敗なんですよ。私はそれをおそれるわけですよ。したがって、これは追跡調査をやるというのはおそいくらいですが、ぜひこれは速急にやって、そうして二カ所とか三カ所とか制限しないで、最も不便であった地域の状態の方をやっぱり調査の対象にして、そうして、もし、そういう不幸な方が六割ないし七割もあるというならば、再度あたたかい手を伸ばすという方針を私はとるべきだと、それが政治だと、こう考えるんですが、ぜひその点を強く私は局長に要請しておきます。
 大臣、この点についてはどうお考えになりますか、ひとつお聞きしたい。
#177
○国務大臣(金丸信君) 追跡調査の件につきましては、まことに重要なことで、やりっぱなしであとはかまわないというようなことであったんでは政治にならないと私も思います。十分に今後、調査をいたしまして、いま局長から二、三の例をあげて御説明があったわけですが、いろいろのケースをひとつ追跡調査をして、全き施策をもって臨みたいと、こう思っております。
#178
○高山恒雄君 次に、第九条の、補助の特例が認められておるんですが、ひとつ要件を具体的に説明してもらいたいと思うんです。
 それからもう一つは、この水没住宅が二百戸以上と出ていましたね。ここの最後の何に出ておるようですが、二百戸以上、それから水没農地面積が二百ヘクタール、これは先ほどの質問にもお答えになっておりますが、この基準としておられますことが、どうもわれわれがこれを見ると、これから十年の間に建設省がやろうとされておる場合、ある程度のやっぱり目算は立てておられるでしょうが、何ぼ該当するのか。これは水没住宅が二百戸以上とか二百ヘクタールの農地面積だとかいうことは、私は数多くないと思うんですよ、これは。先ほど私が申し上げましたように、何としても水源地を必要とするところは、過疎地ですよ、これは。そういうダムをつくろうという地域において、水没住宅が二百戸とか農地が二百ヘクタールとかいうようなことは、われわれしろうとが考えてみて、一体百の中に何ぼあるのか、ですな。そういうものが基準になっておるというところに、どうもおかしいなというようなことを疑わざるを得ないんですが、この十年間に予定されておるのはきわめてわずかじゃないかと思うが、どのくらいあるとお考えになっておるのか、これはお聞きしておきたいと思います。
#179
○政府委員(松村賢吉君) ただいまの第九条で指定いたしますかさ上げのダムでございます、二百戸以上に相当するもの、あるいは二府県以上に利益を及ぼすもの、これにつきましては半分の百戸以上ということでございますけれども、現在すぐに指定可能と申しますか、こういうダムにつきましては、まだはっきりきまっておりませんで、いろいろ検討している最中でございますが、おそらく十数ダムであろうと思います。また、これがこれから十年間に一体どのくらい出てくるだろう、これにつきましては、もちろん、もっと、実はばく然とした数字でございますが、おそらく三十戸あるいは四十戸、そういうような数十戸、少ないほうの数十戸じゃないかと、大体そういう程度のダムがこの九条の対象になるものと考えております。
#180
○高山恒雄君 これ、午前中も質問があったんですから私もあえてすまいと思うけれども、その質問の答弁の中であまりにもはっきりしないものだから、私も最初から見ておって、そういう地域は、私はこれこそ例外で、ほんとうに一つか二つじゃないかというような気がするんですよ。二県にまたがれば百、百で、あんたのおっしゃるように。そういう地域がまたべらぼうにあるかというと、これはまたないと予想せざるを得ません。といって、先ほどの午前中の答弁で、住民の生活の環境等も考えながらその変化の特例は考えておるんだ、こういうことの説明であったかと思いますが、たとえていえばどういうことですか。それは、ほんとうに先ほどの午前中の質問にも、はっきり言われないんですよね。たとえていえばどういうことか、その特例というのは。これが、私は法律の、何といいますか、こういう法律をつくっておいて、これをたてにとられて、地方町村は全く困るじゃないかといういままでの例をわれわれは聞いておるもんですからね。法律上、それはどうにもならないんですと、こう言われるとこれは幅がないわけですよね。特例というのは、あなた方のさじかげんでやられるわけだ。逆に、特例が逆ならまだいいんですけれども、ワクを大きく、二百戸とか二百ヘクタールとかいうようなとらえ方をしておられて、それで特例はあるんだと、その変化に応じてこれは特例を考えていくんですと、こう言われるけれども、これは、基本的には法律で守り抜くということが原則だろうと私は思うんですよ。そういう原則の中に二百戸以上、二百ヘクタール以上というようなことになってくると、これは私はまれだ、あとは全部特例で処置する、ここに私は法律のあやがある、こういう疑いをせざるを得ないんですが、この点はどうですか。午前中の答弁しかやっぱりございませんか。これはだれも感ずるところですよ。
#181
○政府委員(松村賢吉君) ただいまの私のほうの御説明の中にちょっと舌足らずの点がありましたので追加いたしますが、二府県以上にまたがるダムと私申し上げましたけれども、これはダムそのものが二府県にまたがるということではございませんで、上流にダムをつくって下流の県に受益が及ぶダム、こういうものを称して二府県に受益のまたがると称しておるわけでございます。
#182
○高山恒雄君 流域が、ね……。
#183
○政府委員(松村賢吉君) 受益。受益が……。
 そういう意味でございまして、二府県、両方にダムそのものはまたがっていると、それはレアでございますが、ほとんどありません。そういうものを言っているわけでございます。
 それで、ただいまの特例の話でございますが、私は、端的に申しますと、この特例というものは現在のところ考えておらないわけでございます。大体この原則によってやっていこう――いまのところは考えられませんけれども、どうしても考えなきゃならぬようなものがあった場合のことを言っておりまして、いま、これから指定するものについて特例というようなことを実は考えておりません。
 ただいま申し上げました数字は特例を考えてない数字でございます、十数ダムと申しましたのは。考えないで、その程度の大体適用になるということでございます。
#184
○高山恒雄君 ますます納得いかないようになったな……。
 結局、これは具体的にすると、ここに書いてあるように、水没住宅が二百戸以上でしょう。それから水没農地面積が二百ヘクタール以上という要件をつまり基準としておられるわけだ、ここで。こういう基準に該当するダムの建設は今後十年間にどの程度しからばあるとお考えになっておるのかということを詳しくいうならお聞きしたいんですよ。これはやっぱり基準でしょう。これでやりたいとおっしゃるんでしょう。こういう大きな住宅また農地面積というものの該当地域というのはどのくらいあるのか、こんなに大きくないと思うんです、人家二百戸も水没するというふうなところは。ここらがぼくらにはわかりにくいんですがな、まあ、あなたは技術屋でしょうから……。そこを納得がいくように、ひとつ説明してください。
#185
○政府委員(松村賢吉君) たびたびどうも舌足らずのことでございまして失礼いたしておりますが、最初にお断わりしておきますのは、水没戸数が二百戸以上、それから農地面積が二百ヘクタール以上というのは、これは並立ではございません。どちらかが条件に合えばいいと……。
#186
○高山恒雄君 ああ、そういう意味ですか。
#187
○政府委員(松村賢吉君) はい、どちらかということでございます。
#188
○高山恒雄君 農地だけじゃない……。
#189
○政府委員(松村賢吉君) いや、二百戸以上水没してもこれは適用いたします。それからまた、家屋が二百戸を割っておりましても、二百ヘクタール以上の水没農地があれば、やはりこれを適用する。いずれか一つが条件を満たしておればいいという基準でございます。
#190
○高山恒雄君 それを最初から言ってくれなければあかん。
#191
○政府委員(松村賢吉君) そういうことで、基準に適応するダムというのが、現在、水没戸数、農地、これを厳密にいま調べておりますのですが、そういたしますと、いまはっきり申しませんでしたのは、まだ結論が出てないのですが、十数ダムがこの条件に合うということでございます。
#192
○高山恒雄君 わかりました。最初からそう言ってもらわなければいかぬのだよ。
 しかし、どうもこれではそれは出てこないんだが、どれをとらえて言われるんですか。この法律ではいずれかがということは出てないですな。法律に出ていますか。政令でやらなければいかぬのでしょうな。必要な条項は特例で定めるべく政令でやるということですね。そういう意味ですね。法律には出ていないでしょう。ちょっと言ってください。
#193
○政府委員(川田陽吉君) お答え申し上げます。
 第九条の一番初めのところで「次の各号の一に該当する指定ダムで政令で指定するもの」と、こう言っておりまして、一号が「その建設により水没する住宅の数が特に多いダム」ということで、行政的な運用基準として、その住宅の数は二百戸ということにただいま局長から御説明申し上げました。この一つということでございます。
#194
○高山恒雄君 どうも誤解を招くな、こういうことは。われわれしろうとにはわからぬね。
 それじゃ次に進みますが、第十一条で、九条による補助の特例が認められない指定ダムに限る水源地域の整備計画の実施について財政上及び金融上の援助を与える旨規定されておるわけですが、この具体的な内容をひとつ説明してもらえませんか、補助の特別が認められておるという。
#195
○政府委員(川田陽吉君) 第十一条では、整備事業の実施を推進するために、第九条該当でない第三条のダムがいろいろあるわけでございます。三十戸以上水没、あるいはまた三十ヘクタール以上水没するダムにつきましては、都道府県知事が定めた水源地域整備計画につきまして、関係各省は公共事業費等の予算を充当いたしまして、おおむねダムの竣工の年までに整備計画事業を仕上げるという運用で各省とお話をつけておりますが、そうした財源に必要な国の資金、地方の資金を確保するための根拠条文をこの第十一条に定めた次第でございます。
#196
○高山恒雄君 わかりました。
 この法律によるその具体的な処置は、これから建設されるダムに適用されるのだろうと思いますが、現在工事中のダムについては適用されるのかどうか。現在やっておる、工事中のところがございましょう、また、その水源地域の整備実施もございましょうが、住民の協力を得る必要もあると考えますので、この工事中のものについてはどういうふうに適用されていくのか。それはそれで前のでいくのだと、こういうお考えですか。その点。
#197
○政府委員(松村賢吉君) 現在工事中のダムのうちでもうすでに完成に近いもの、と申しますのは、補償問題等はほとんどまとまりまして、あるいはまた補償用の道路、それからまたその他のいわゆるこれでいう整備計画の内容になるようなものも行政措置でもって一部やっておりますが、こういうものも相当進んでいるもの、こういうものにつきましては対象にいたしません。工事中といいましても、まだ予算上工事といっても事実上工事に入っていないものもたくさんございます。こういうようなものについては当然適用いたします。
#198
○高山恒雄君 予算上のことは適用するということですね。その点、はっきりしてください。
#199
○政府委員(松村賢吉君) 予算上では工事予算がついておりまして、しかし、まだ工事そのものはそう大規模に進んでいない、一部やっているところはございましょうけれども、こういうところについては適用いたします。この法律を適用いたします。ただし、ダムの工事が相当進みまして、もう補償問題もすべて解決し、それからこれに伴う道路等も完成に近い、相当できておるというようなめどのついておるダム、これにつきましてはこの法律を適用いたさないつもりでおります。
#200
○高山恒雄君 それは具体的にちょっと聞きたいんですがね、途中のやつはどのくらいあるんですか。先ほどあなたがおっしゃるように、助成も、すべての問題を今後の問題として適用してやりたいというのは何ぼあるんですか。もう九分八厘までできておるというのは何ぼあるんですかね。
#201
○政府委員(松村賢吉君) いま的確な数字はここに持っておりませんが、おおよそ五ないし十個程度のものが適用除外になると思います。その他のものは大体適用になるかと思われます。
#202
○高山恒雄君 適用が五ないし六ですか。適用外……。
#203
○政府委員(松村賢吉君) 適用外でございます。
#204
○高山恒雄君 適用件数はあらかじめわかりませんか。――それじゃこれはもう時間をかけてもいかぬからあとで調べて、ひとつ報告してください。これはみんな必要だろうと思います、この問題。委員長、この点ひとつお願いしておきます。
#205
○委員長(沢田政治君) いいですね、的確にしてくださいね。
#206
○政府委員(松村賢吉君) はい。的確な数字は申し上げられませんが、概略この程度というのを御報告したいと思います。と申しますのは、まだ数字が確定しておらない、ですから見込みの数字、大体の見込みの数字を御報告したいと思います。
#207
○高山恒雄君 それから今度、国の負担の割合の増額をよく努力してもらっておると私は思うんです。けれども、この「水道法第三条第三項に規定する簡易水道事業に係る水道の新設」の十分の四というのは、ちょっと納得いかないのだがね。
 それから、その次の下水の問題もそうですがね。どうですか、私はなぜ納得がいかないかということを簡単に申し上げますと、先ほど私が一つの例示をあげましたように、一つのある地域の村に百五十戸あった、五十戸は水没してしまう、あとの百戸の地域に五十戸が集約して転宅をやる。そうすると、百五十戸ないし二百戸の人が今後ふえるかもしれませんね。そうすると、伏流水ではいかぬ、これは簡易水道でもつくらなければだめだと、こういう見解が出てくると思うのですよ。ところが、ダムをつくって利益があればいいのだけれども、地方行政の中でそれだけの私はプラスになる市町村はないと思うのです、過疎地帯ですから。そういうものに対して、これこそ私は水道法というようなものにとらわれることなく、十分なるひとつ国家の補助というものをして、いままではむしろ不便であったけれども、そういうものができてかえってよかった、簡易水道もできたし、都会もいなかも変わらないような情勢になったというためにこそ、私は補助金をふやして、むしろ建設省あたりが進めてやったらいいじゃないか。ところが、市町村はそれだけ集中の部落になってくれば、当然これは簡易水道というようなことも考えられます。そうした場合、いまの何から言えば、やっぱり受益者が負担しなければいけない。上水道にしたって受益者が負担している。そういうことを考えてくると、ダムをつくってかえってマイナスになった、われわれ天然水の最もいい水で生活をして、そうして井戸にしてもりっぱな清水であった、そういう環境のいいところで暮らしておったのに、こういうところにダムをつくって、そうしてしかも飲む水まで金を出してわれわれがつくらなければならないという、そんなばかな話はないじゃないかと、これは非常に成り立つのですよ。また当然だと思うのですよ。しかも、この水源というものは、あらゆる、先ほどもあなた二府県の受益者とおっしゃいましたが、二府県にとどまることなく、多くの問題があると思うのですよ、国全体から見て。私はこれらこそやっぱり最高の補助金を出して、簡易水道なら簡易水道の設置を促進してやるべきだと考えますが、大臣これはどうですか。依然としてこれは現行から飛躍した考え方が出てないものですからね。
#208
○政府委員(松村賢吉君) 水道の事業の補助金のかさ上げでございますけれども、これは現行の簡易水道の補助金、これにつり合うものとしてこういうふうになっておるのでございます。ところが、いま申されましたように、水没した家屋が水没外のところへ移転して、そのためにいままでの簡易水道が急速によけいに必要だというような、これは、おそらく水没されている家族も簡易水道を使っておられたのじゃないかと、そういう例の場合はそういうことが多いかと思います。そういうような場合には、その水没した部分の水道の補償と申しますか、これは別途のダムの補償費のほうで出すことができます。そういうようなものによって合併施工というようなことも考えられますし、できるだけ先生のおっしゃられるような例につきましては、救済措置を事実上の問題としてとれるように考えたいと思います。
#209
○高山恒雄君 あなたの構想もないとは私も言いませんよ。山奥の五十軒か六十軒でも簡易水道をやる、それは水質の悪いところはそれをやっているんですよね。しかし、天然水であるいは伏流水で間に合うきれいな水の出るところはそういうことをやっていない。対象のダム開設地域は何といったって過疎地域なんですよ。そういう地域で、そんな三十軒か五十軒に簡易水道をつくっているかというと、私はおそらくつくっているのが少ない。あなたのケースもないではない、こう思いますよ。だから私は、それがいままで非常に分散しておった地域の人が一カ所に五十軒なり六十軒なりにかたまってきて、少なくとも百軒になった、これはこの際、この地域は伏流水も十分でないから簡易水道をつくるべきだということについては、特別の私は処置をしてやってもいいのじゃないか、これを申し上げておるんですよ。これは大臣どうですかね。そのくらいのことはぼくはしてやらなくちゃいかぬと思いますね。
#210
○国務大臣(金丸信君) この立法の精神がそこにあるわけでございますから、十分検討してみたいと思います。
#211
○高山恒雄君 それは総体的に増額して特別の措置をとっておられることにはわれわれも決して不服ではございませんよ。けれども、私はやっぱり申し上げますならば、下水道の問題も私はこれは実は強く主張したいところです。けれども、まあ下水道ということになりますと、幹線の補助というものがありますから、これはそれである程度カバーもできると思うのです。しかし、水道というのは、なかなか山村において簡易水道をつくっておるというようなところはないのです。特に、私たちが水害でよく見ますと、あれは富山県でしたね、富山県の水害のときも、全部堤防が切れて、ダムの堤防が切れて簡易水道が一ぺんにやられちゃった。それで、あと今度は再建するのにたいへんだというのでいろいろ苦情を聞いた経験もございますから、私はこの際、やっぱりダムをつくったために飲料水が十分でないというような地域で簡易水道を要望する場合は、特別の措置をぜひひとつ考慮してもらうことの希望意見を強く述べまして、私のきょうの質問を終わりたいと思います。
#212
○委員長(沢田政治君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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