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1972/06/28 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 建設委員会 第16号
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1972/06/28 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 建設委員会 第16号

#1
第071回国会 建設委員会 第16号
昭和四十八年六月二十八日(木曜日)
   午前十時七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十六日
    辞任         補欠選任
     高山 恒雄君     向井 長年君
 六月二十七日
    辞任         補欠選任
     林田悠紀夫君     上田  稔君
 六月二十八日
    辞任         補欠選任
     向井 長年君     高山 恒雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    理 事
                大森 久司君
                竹内 藤男君
                山内 一郎君
                沢田 政治君
    委 員
                上田  稔君
                小山邦太郎君
                古賀雷四郎君
                中津井 真君
                中村 禎二君
                米田 正文君
                中村 英男君
                松本 英一君
                二宮 文造君
                春日 正一君
   国務大臣
       建 設 大 臣  金丸  信君
   政府委員
       建設大臣官房長  大津留 温君
       建設省計画局長  高橋 弘篤君
       建設省都市局長  吉田 泰夫君
       建設省河川局長  松村 賢吉君
       自治大臣官房審
       議官       山下  稔君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中島  博君
   説明員
       国税庁直税部資
       産税課長     伊勢田巧教君
       通商産業省企業
       局企業調査課長  黒田 明雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地価公示法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
  〔理事沢田政治君委員長席に着く〕
#2
○理事(沢田政治君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十七日、林田悠紀夫君が委員を辞任され、その補欠として上田稔君が、また本日、向井長年君が委員を辞任され、その補欠として高山恒雄君がそれぞれ委員に選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○理事(沢田政治君) 地価公示法の一部を政正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○小山邦太郎君 しろうとの私が有力な専門家を前にして愚かな質問をいたすようですが、しばらく時間をちょうだいいたしたいと思います。
 このたびの改正で地価公示地域の飛躍的な拡大と、それから土地の取引業者に対して公示価格を指標として土地取引の円滑化をはかることにつとめるようその責任を持たしたということは、まさに一応の前進ではあると思われますが、最近における土地の異常な高騰を見ますると、どうも地価公示法だけでは地価対策に対して十分な役割りを果たし得ないではないか、それには力がまだ足りないものがあるんではないかと思いまするので、とりあえず今日までにおける公共用地の取得の状況及び一般土地取引の実情を具体的に御説明を願いたいと思います。
#5
○政府委員(高橋弘篤君) 地価公示制度は、御承知のように、一般の土地取引に対しまして取引価格の目安を与えるということになります。同時に公共用地の取得にあたりまして、価格についてそれを基準とするということになっておる次第でございまして、いろんな面で私ども相当の効果があると思いますが、先生の御質問のように、地価公示制度だけでは地価対策にはなお不十分な点があることは当然と思います。地価公示制度を今後ともいろいろ拡充してまいる必要があります。同時に、その他のいろんな施策を講じまして、総合的な土地対策を講ずる必要があろうかと存じます。
 御質問は、地価公示制度を公共用地取得また一般土地取引についてどういうふうに活用したかという御質問だろうと存じます。
 第一点の、公共用地の取得につきましてこれを基準とすることになっておりますが、四十五年から地価公示がなされておりまして、四十六年について数字を申し上げますと、地価公示制度が施行されている区域内の公共事業の施行個所が、これ建設省とか公社、公団、地方団体も含めましての数字でございますが、四十六年度に二千百三十八カ所ございます。その中で基準といたしましたのが千六百五十五、約八割でございますが、これは基準とすることができるものについてはすべて基準としているというふうに私ども考えておるわけでございます。つまり、基準とすることを要しなかったものが百八十四、これは前年度以前に算定されました価格に基づいてこれは継続して取得をしていると、これは事実上基準とできないわけであります。
 それから基準ができないものというのは、これは地価公示の地点がまだ少のうございますから、いわゆるそれを基準とするにはその類似の利用価値を有する標準地が存在しなかったと、付近で、というようなことでございます。したがって約八割でございますが、大体基準ができるものにつきましては大体基準としているというふうに大体考えております。
 それから一般の土地取引についてございます。これは従来におきましては目安にするという目的になっておるわけでございますが、基準ということじゃございませんので、具体的に一般取引につきましては私ども報告がございませんが、一般土地取引につきまして地価公示をある程度やはり基準にしながら取引が行なわれたであろうと私ども考えます。
 その一つの数字的なデータといたしましては、御承知の地価公示は市町村役場で閲覧することができます。その閲覧件数というものが大体毎年数千件ございます。それから実際に閲覧しなくても電話の照会というものも相当あるのでございます。そういう人たちはおそらく閲覧しまして、相当これを参考にしながら土地取引をしたのだろうというふうに考えます。
 それから不動産鑑定士に鑑定評価を頼む場合が相当年々ふえてまいっておりますが、不動産鑑定士が鑑定評価する際にもこれを基準にしなければならないというふうになっているわけです。その不動産鑑定士の鑑定評価の件数も、報告を受けておりますと相当多くなっている次第でございます。
 同時に、一般の土地取引につきまして、最近の傾向としましていろんな会社が、仲介業者なりデベロッパーなりが地価公示価格をみずから消費者に教えるというような傾向。さらにまたある会社によりましては販売価格を地価公示価格を基準としてきめるというような傾向があらわれてきておる次第でございます。たとえば簡単に申し上げますと、日本不動産取引情報センターというものがございまして、公示価格をコンピューターで投入いたしております。この関係の会社というのは相当多い、四百社ばかりあるわけでございますが、そういうコンピューターに入れておきまして、店頭でお客さんにそういう価格水準を紹介するということもいたしております。そういう次第でございまして、一般取引につきましては具体的に報告はあるというもんじゃございませんが、そういうデータからして、ある程度そういう地価公示価格を参考にしながら取引が行なわれているというふうに考えている次第でございます。
#6
○小山邦太郎君 ただいまの御説明で、公共用地には相当効果があると、これはひっきょう公示価格を基準としてというところに力があると思うんですね。ところがそれも地域が狭いから今度は都市計画区域となるとうんと広くなるので、その効果は歴然たるものであろうと思うんです。ただ、ただいまの土地取引会社等はコンピューターで云云ということですが、それは公示価格をコンピューターで集めるのはむしろ高いところで、今度いなかの地方に彼らは手を伸ばしてそれを参考として売ろうとすると、むしろ地価が高くなるんじゃないかというような心配がありますが、今度は幸いに区域が広くなりますから、広いところに公示価格を活用ができる、ただしその活用は、公共用地取得の場合とはおのずから力が違うので、それを指標にまあつとめろというぐらいなところですから、これはまだ少し足りないところがあるように思うのですが、当年すなわち昭和四十八年度における土地対策としては、他の法案ともからんで、どんなような具体的な計画でお進みになるのか、お尋ねをいたしたい。
#7
○政府委員(高橋弘篤君) 四十八年の地価対策につきましては、先般の一月二十六日に決定いたしました地価対策要綱と称するもので、当面の地価の総合対策をきめておる次第でございます。時間の関係でごく簡単に申し上げますが、根本的には地価対策を解決するには、その地価の上昇の原因でございます都市への過度集中というようなものをなくさなければいけないわけでございまして、そういう都市集中の流れを変えるという施策をまず抜本的に講ずる必要があろうかと思います、いろんな政策がございますが。同時に、当面の施策といたしましては宅地供給というものをふやしていく、計画的に膨大な量にしていくということが必要でございますけれども、単に宅地開発供給をふやすだけでは現在の土地の問題は解決しないわけでございます。つまり土地の特質からいたしまして、どうしてもこれは投機の対象にされやすい、そういう点があるわけです。したがって投機の抑制をしないことにはいかに宅地開発供給をふやしましても、いたずらに投機的な目的のためにこれが取得されることになるということになるわけでございまして、投機の抑制をまず考える。
 それから同時に、宅地開発供給というものが日本の国土全体を環境のいいものにするためにはどうしても乱開発になってはいけないわけでありまして、またそこに居住する人も環境のいい宅地を与えられなきゃいけません。したがって、そういう意味から言いまして、土地利用規制、乱開発の防止というものを十分に考えた施策のもとに宅地開発供給が行なわれる必要がございます。つまりそういう投機を抑制とか土地利用規制等のそういうワク組みの中で宅地開発供給が計画的に、かつ大量になされる必要があろうかと存ずるわけでございます。
 そういう施策が柱になりまして、地価対策要綱がきまっておる次第でございます。具体的にはあまり詳しく申し上げませんが、国総法の改正、都市計画法の改正を中心といたしまして、土地利用計画の策定、それから土地利用の規制という問題、またさらに特別規制区域におきますところのいわば地価凍結というような制度も考えられておる次第でございます。
 さらにまた、先ほど御質問のございました地価そのものにつきましても、地価公示法におきましては、地価公示法というのは地価を公示するそういう役割りの法律でございますけれども、これを受けまして、地価公示価格を著しくこえる取引につきましては別途、国総法で土地の届け出、中止勧告制度というのがございまして、著しく地価公示価格をこえるものにつきましては中止勧告をすることができるということで地価公示価格を守らせるという、そういう規定も今回国総法の中に入っている次第でございます。
 さらにまた投機抑制という意味におきましては、土地融資の抑制、さらに一連の土地税制の改善というものを今回いたした次第でございます。
 同時に、一番最初に申し上げました一番根本的に問題になりますものは、何といいましても宅地開発供給を計画的に早急にいたす必要があるわけでございますので、そういう面につきましてのいろんな対策を一応方向づけをいたしておる次第でございまして、なおこういう面につきましては、土地対策要綱に従いまして、今後もきめこまかく私ども政策を進めてまいる必要があろうと存じますので、今後ともよろしく御指導をお願い申し上げたい次第でございます。
#8
○小山邦太郎君 土地は高いからといってほかの品物のように生産を増す、供給を高めるということにいかないので、特殊な物件でもあり、しかもその使い方によっては国家的にも社会的にも影響するところが非常に多いのですから、たとえ自由経済のもとにありましても、そういう公共的な関係の深いものにはこれをそのまま投機の対象に放置しておくということはまずいではないか、何か制約の道はないものか、いま届け出をさせたりいろいろのところに御注意があるようですが、もう一歩進んだくふうはないものか、その方面の御研究もわずらわし、さらに公共用地は先ほどお聞きいたしたとおり、この法律によって相当の成果をあげ、また今後は地域が拡大されれば一そうその効果は歴然たるものがあろうと思うんですが、公共用地としてでなくとも、その土地の利用が社会的にも国家的にも重要な政策にマッチするものであると、たとえばいま住宅が足りない、そういうようなものをやるときには、何か地方公共団体かその他公的な機関に大幅に取得さしていくというような道は開けないものかと、いうことをお尋ねしたい。
#9
○政府委員(高橋弘篤君) 土地はおっしゃるとおり、御指摘のとおり特殊な性格を持つものでございまして、ほかの商品とは違いまして、特別なやはり性格を持っておりますので、どうしても公共の利益に適合するような、そういう利用のされ方が必要であろうかと存じます。そういう意味におきまして、土地取引の規制という面につきまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、土地の届け出、中止勧告制度という制度を新たに設けたり、さらにまた特別規制区域というような、いわば土地取引の許可制度及び地価凍結の制度というものができるような仕組みになっている次第でございまして、相当のこれは施策であろうかと存じます。こういうものの運用を通じまして、御趣旨のような点を十分に達成いたしたいというふうに考えている次第でございます。
 また、御提案の、地方公共団体を十分に働かせまして公的な土地の保有の拡大をはかるという点についてでございます。これはもうごもっともなことでございまして、現在すでに公有地拡大推進法という法律が昨年成立いたしまして、またさらにこの法律につきましても市街化区域から特定区域という対象区域を広げておることは御承知のとおりでございます。この審議はまたいずれ御審査になることと存じます。この公有地拡大法によりましては御承知の地方公共団体が先買いできることになっている次第でございます。また土地開発公社という組織ができまして、公社は従来は事業がはっきりきまったものでなければ先買い権がなかったわけであります。こういう法律によりましてまだ前の段階、予定地の段階におきましても、また一定規模以上のものにつきましては必要な公共用地として将来使う必要のあるそういうものにつきましても先買いをしてこれを取得することができるようになっている次第でございまして、こういうものを私ども十分に活用いたしまして、御趣旨に沿うようなことにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
#10
○小山邦太郎君 ただいまの御説明で住宅宅地等についての御配慮に何かお考えを持っておられるようですが、とりわけ今日は住宅不足を訴えているときで、それにはまず宅地を確保して、そうしてそう大きなものは要りません、働く勤労者、青年等が何とか努力していけばまあすぐは家は建たなくとも土地は手に入る、そうすればさらにまた楽しみを持って浪費を戒めて、そして貯蓄の美風も養われ、いわゆる持ち家住宅等のことも夢ではないということになると思うんですが、現状のままでは、もうこのごろ郷里など帰って若い連中に会うと、持ち家住宅とかなんとかうまいことを言うけれども、あれはもはやわれわれには無縁な空虚な話でというようなことを聞かされ、その考えからでもありましょう、まあ汽車に乗ってみて、並み等のほうには、しらが頭が非常に多い、しかも、グリーン車に行ってみれば若い者だらけだ、全く世の中は変わったものだなあと思わせられるようなわけでございます。ひっきょう、これも青年に夢がなくなった結果でしょう。それは政治の貧困からではないかと思うので、たとい私有地である宅地の問題であっても、政治上きわめて重大な社会的な意味を持っておるこの宅地については、公共用地同様に、あるいはいまお話しの宅地事業団というようなものも一つの構想でありましょうが、地方には地方事情に詳しい自治体もあり、また、そこには住宅等の心配をしておる公社のようなものもありますから、公団をおつくりになった場合といえども、いたずらに中央で地方の小さいことまで仕事に手をつけるようなことは能率の上から考えても仁智にまで及ばない。むしろ中央において計画を立て、これは宅地といえば今日までは上水道だけでよかったんでありましょうが、もはや公害の非常に多い、そしてやがては雨量の多い日本でありながら水資源に不足を訴えるというようなことさえも聞いておるのですから、その取得した住宅地には上下水道等の用意もしっかりする。そして使った水をまた再び使えるようにすることはたいへんに大事なことで、そういうことにはただ地方地方にまかしておいてもいけないから事業団のようなものが必要であろうと思いますが、とかく役人の数ばかりふやして、ねらいはよくても地方との連絡が不十分であるというようなことがあってはいけませんので、これらは十分御注意の上すみやかにそういう方向に向かって勇敢に歩みを進めていただきたい、具体化していただきたい、こう思いますが、この点について、これはたいへん大事なことですから大臣の御所見を私の願いを込めてお尋ねをいたす次第でございます。
#11
○国務大臣(金丸信君) 宅地の問題、土地の問題につきましては先生の御指摘のとおりでございまして、ことに青年が夢を持つことができ得ない、退職金をいただいても家を持つことさえできない、それだからその場限りの遊びにふけってしまうというようなことになったら日本の将来はどうなるんだということを考えてみますと、まことに政治的責任は大きいと私も痛感をいたします。そういう意味で、宅地問題につきましては今日の一番の政治の大きい課題であろうと私は考えております。そういう意味で、先ほど来局長からもいろいろ御説明がありましたが、そういう線に沿いまして、できるだけ宅地の供給を、そうして廉価な宅地を提供しなければ一般青年の需要を満たすことはでき得ないというようなことで、あらゆる施策を勘案しましてこれにこたえてまいりたいと、こう考えております。
#12
○小山邦太郎君 大臣のその御決意を伺って非常に力強いですが、政府にはいろいろなやることがあって、また他省との予算の関係等もあってやりにくいというような場合には、むしろ促進するために、委員長、委員会あたりでもお考えをいただいて、共同提案でひとつ立法化してですね、ぐずぐずしておれないように具体化することに御配慮を願いたいようにも思うのですが、こんな気持ちを私は少なくとも持っておりまするので、大臣におかれてもすみやかに具体化にお進みくださるようにお願いをいたします。
 最後に、土地の公示価格制度が拡張をされる、そうして取引者にもその責任を明らかにするような御指導が徹底すれば、これは大いに前進を見たものと思いまするので、ただこれの運営にあたって、いままでは、公示価格の評定というですか、それは鑑定委員会かなんかの少数の人であったようですが、地域が広がり、情勢もだいぶ変われば、その機関だけでは間に合わないだろうと思うので、今後どんなような方法でおやりになりますか、それをお尋ねして私の質問を終わります。
#13
○政府委員(高橋弘篤君) 地価公示制度につきましては、ことしの一月一日で五千四百九十地点でございます。来年は、この法案をお認めいただければ、来年の一月一日の地価公示は一万四千五百七十地点という国の基準地点を考えております。国の基準地点としては一応これは私どもで大体いいと、こういうふうに考えておりまして、ただ地価公示制度を全国的に拡大いたしまして、今後いろんな面で活用する部面が多かろうと思いますが、これを活用するためにはこの程度では何ともならないわけで、国の基準地点を中心にいたしまして都道府県及び市町村で、私ども地価調査を行ない、それに基づいての公示を行なうというふうに考えております。
 将来は、住宅宅地についてだけ申し上げましても大体二十四万地点ぐらいの公示が必要になろうと思います。そのためには、御指摘のとおり、現在の七人の国の機関でございます土地鑑定委員会だけではなかなかこれはむずかしゅうございますので、都道府県及び市町村に土地鑑定委員会を私ども設置いたしまして、そういう土地鑑定委員会が、いま申し上げましたような国の基準地点を中心にいたしまして、二十四万地点ぐらいの地点について調査を行ない、地価公示を行なうという制度を建設省としては現在考えておる次第でございまして、関係方面に私ども強力に交渉を行なってぜひ実現させたいというふうに考えておるわけでございます。
#14
○二宮文造君 私は地価公示法の一部改正案について若干質疑をいたしたいわけですが、その前に、河川局長、非常に大事な問題が出てまいりましたので、その点について、本論からちょっとはずれますけれども、行政の姿勢という問題について若干お伺いをしたいと思うわけです。
 九州管区の行政監察局で二十六日、建設省関係の昭和四十八年災害査定設計単価表と昭和四十八年災害査定設計標準歩掛表、その他運輸省関係の書類等を含めまして、出てならないこういう資料が業者に渡っているということで、そのことがわかって、行政監察局ではこれは問題であると、このようにとらえて調査を開始した、こういう報道がされております。この件について、二十六日ですから事のしさいはまだ明確でないかもわかりませんけれども、担当部局のほうで現在の時点までお調べいただいた経緯、これを御報告願いたいと思います。
#15
○政府委員(松村賢吉君) 最初に、まことにどうも申しわけないことをいたしまして、今後十分注意することをまずお答えとして申し上げておきます。
 この事件につきましては、実は私どものほうもまだ新聞情報の程度でございますが、九州地方におきまして、実は建設省関係といたしますと、昭和四十八年度の災害査定設計標準歩掛表、それから災害査定設計単価表、これが技研興業、ここの手に入っているという新聞の記事が実は手に入っております。それで、この四十八年度の設計単価表及び標準歩掛表、これは一体どういうものかと申し上げますると、御承知のように、災害査定というものは急速に非常に短い期間において災害査定をやらなきゃならぬということから、これの標準の歩掛表とか単価表というものをあらかじめ各都道府県から建設大臣にこういうものでやりたいという申請が出てくるわけです。それでその承認を四月一日でいたしまして、当該年度の災害の査定に使用するというものでございます。それで、その災害査定にこれを用いまして災害の査定金額、査定設計書をつくりまして、これによって査定を行なうわけでございます。
 そこでこの災害査定というものは一年間に、非常に短い時期にやらなければなりませんので、各都道府県並びに各市町村、こういうところにおきましては、この標準歩掛表並びに単価表というものを、災害査定設計書をつくることに従事する人々が皆さん持っていてやらなきゃならぬというような状況になっております。建設省といたしましては、この災害査定設計単価表につきましては約四百部、それから歩掛表につきましても四百部を刷りまして関係各省庁並びに都道府県に配付しているわけでございます。各都道府県におきましてはこれを実際に災害査定に使用するために、おそらく、これは推定でございますけれども、これをリコピー等で焼きまして、実施する、設計担当に従事する者に使用させているという実情かと存じております。
 それで、これがどういう経緯でこの技研興業の手に渡ったか、これにつきましては現在私どものほうはまだ判明しておりません。いずれ調査をしたいとは思っておりますが、非常に関係方面多いものですから、なかなかこれを突きとめるには困難は生ずると思いますが、調査をしたいと思っております。
 それで、この両設計書並びに歩掛表は、先ほどから申し上げておりますように、災害査定をやるための査定設計書、これをつくるための表でございまして、各府県がこの災害査定の実際工事するための発注、これの実施設計書というものはこれとはまあ別に、その査定時期から相当ズレもございますし、単価等も実施単価をつくりまして実際には設計書を組んでやっておりますので、直接発注行為に関係あります設計書をこれに基づいてつくるというものではございませんが、災害の査定を行なうときの設計書、これに使用されるものでございます。まあいずれにいたしましても、このような文書が建設業者の手に渡るということは非常に好ましくない。私どもといたしましても、常にこれの機密保持には注意しているところでございますが、今後ともこのようなことのないように厳重な注意をしていきたい、こういうふうに考えております。
#16
○二宮文造君 いまの局長の答弁を伺っておりますと、まことにたんたんと事務的に答弁をされておって、事の重大性というものがあまりないような認識を持たせるような答弁ではないか、私はこのように伺いました。平ったく言いますと、災害復旧の工事、これをまあ国なりあるいは地方自治体なりがやる、そしてそれを業者に請負いをさせる。しかしこれは実施設計ではないとおっしゃいますけれども、単価表とか歩掛表とかというものが、こういう公文書が業者の手に入っておりますと、要するに積算を非常に何といいますか、本省の意向に沿ったいわゆる査定がきわめて受けられやすい、そういう状態でその設計もし、あるいは入札もできるわけですね。したがいまして、これを持っていると持ってないとではこれはもう業者のハンディというものは全く違う。したがって、これは本省側のコメントはこういうふうに言われておるわけです。これはもう局長もお読みになったと思いますが、「流出した二つはいずれも本物をコピーしたものだ。災害復旧工事の国費補助事業の事業費計算の基礎になるものでマル秘が原則。入札参加者にわたっては困る。ナンバーがないので、どこから流れたのかわからないが、出所を調べてみる。」、いまの局長の答弁よりもはるかにトーンの高い、困ると、マル秘扱いだと、なぜそれが流れたんだろう、必ず調査する、こういうふうに問題のとらえ方がいまの答弁よりははるかに調子が高いわけです。いまの局長の話を聞いておりますと、これは実施設計ではありません、また変わってきますからたいしたことはありませんと、まあおっしゃいませんけれども、そういう趣旨のものですが、この文書はここでコメントされておるように、建設省の本省ではマル秘扱いとして扱われているものですかどうですか、これをお伺いしたい。
#17
○政府委員(松村賢吉君) 私が軽く取り扱っているというようにおとりくださったことは、私の発言の内容がまあ当を得なかったと思います。それにつきましては、私決してそういうことを申し上げているのではなくて、これはまあ非常に重要なことである、厳重に注意しなければならぬということを申し上げたかったわけでございますが、この標準歩掛表並びに単価表、これにつきましては、建設省としてはマル秘の扱いをやっております。
#18
○二宮文造君 そこで、私はまだどう流れたかというルートを調査しなければわからないと思いますが、少なくとも九州管区行政監察局では問題を重視しております。しかも建設省関係ではありませんけれども、運輸省関係の文書の一つに、五月二十六日付で技研興業本社第二営業部から同社の地区本部長あてに「参考にして下さい」と指示を書いた別紙付せんがついていた。いま私問題にしておりませんけれども、運輸省関係の資料も流れております。その一つは、本社の営業部長から現地の地区本部長に対して、付せんをつけて送ってきているわけです。先ほどの局長の答弁によりますと、四百部刷って地方公共団体にも出している。地方公共団体もそれをコピーしたに違いない、こういう言わずもがなの説明をされているということは、地方公共団体から流れたんじゃないかということも憶測をされているような、そういう答弁ですが、運輸省関係の資料についている付せんが本社から送られてきたものだ。きわめてこれは重大な意義があると思うのです。この点どうお考えになりますか。
#19
○政府委員(松村賢吉君) 私先ほど申し上げましたように、この書類がどこから流れたかという経路につきましては、現在のところまだその調査が済んでおりません。したがいまして、本省から流れたものかあるいは地方公共団体のほうから流れたものか、この点に関しては今後の調べ方によるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、私といたしましてはこのような書類が中央筋、これから流れたものではないと実は信じている次第でございます。
#20
○二宮文造君 そうしますと、この運輸省関係の書類に、本社の第二営業部長からの付せんがついておったということはあまり重視されてないわけですか。
#21
○政府委員(松村賢吉君) いや重視していないということではございませんで、まあ私のほうの信念と申しますか、そういうことはないと、私実は職員を信じているわけでございます。根拠があって言っているわけではもちろんございません。またしかし、そういう付せんにつきましても、これはまあ私のほうはそうあってはならないと思いますが、やはりそういうことも念頭に入れまして、調査そのものは慎重にやっていきたいと思っております。
#22
○二宮文造君 この技研興業はたしか昭和四十五年ですか、これは私も決算委員会でその技研興業関係の質疑をやった思い出がありまして、ちょっと資料を調べてみたんですが、八王子付近の土地代金が回収――まあ回収といいますか、八王子付近の土地を担保に郵政互助会から融資を受けております。そしてその技研興業が当時手を広げ過ぎて、資金的に非常に手詰まって不渡りを出した。そのために融資先である郵政互助会、これにも若干の迷惑をかけるんじゃないかということで、当時ずさんな経営としての技研興業ということで問題になったことを思い出しました。そのときに不渡りを出しておったのですが、現在この技研興業は、いわゆる総合建設業として大臣免許を受けておりますか。
#23
○政府委員(松村賢吉君) 昭和四十七年十月二十七日付で建設大臣の登録を受けております。
#24
○二宮文造君 しかもこの技研興業には元建設省関係、本省関係の方が技研興業の重役陣に名を連ねているというのですが、元建設省関係で技研興業にいまいらっしゃる方は何人いますか、重役も含めて。
#25
○政府委員(松村賢吉君) 現在三人おります。
#26
○二宮文造君 その三人の最終といいますか、最終の職歴はどういう職歴でしょうか。
#27
○政府委員(松村賢吉君) 一人は建設本省の砂防部長でございます。
#28
○二宮文造君 河川局……。
#29
○政府委員(松村賢吉君) 河川局の砂防部長でございます。それから一人は中部地方建設局の河川部長、それからもう一人は、これはちょっと場所はわかりませんが、出先機関の工務課長をやっております。
#30
○二宮文造君 これは、私別に結びつけてお伺いする、質問する意図はありませんけれども、しかし、偶然の一致のように感ずるわけです。いま、この問題について答弁をされているのが河川局長。よろしいですか。それから、その取締役に名を連ねている方が元本省の河川局の砂防部長、さらにまた中部地建の河川局長ですか。
#31
○政府委員(松村賢吉君) 河川部長です。
#32
○二宮文造君 河川部長ですか。こうなってきますと、これは、やはり河川局長とすれば、この文書がそういうふうな係累で流れていったんではないかという一つの推理、これは十分にお立てになって、調査の本筋にされるべきであろうと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
#33
○政府委員(松村賢吉君) 十分、その点について調査をやっていきたいと思っております。
#34
○二宮文造君 まあ、問題の本質が、行政監察局の手で調査をされてまいります。ですから、その時点で明らかにもなりましょうし、また、直接担当の建設省としても、そのルートがいかであれ、この調査を継続されなきゃならぬと思いますけれども、私は従来から、天下りといいますか、お役人とそれから企業との密接な関係というものについては、ある程度のモラルをつくるべきだということで、かねがねから問題にしているわけです。しかも、こういう問題、こういう事件が端的に出てまいりますと、これは将来を考えてみて、この技研興業、少なくとも、どっから出たかはわからないけれども、本省ではマル秘扱いにしている書類を、何か努力をして、手を回して書類を手に入れたという業者ですね、この業者には、本来入っちゃならないものを手を回して入れたという、したがって、そういう裏道を行くような業者については、やはり何らかの注意といいますか、あるいはまた懲罰といいますか、そういう制度を設けなければならないのじゃないか。さしあたりこの技研興業が大臣登録の総合建設業者である。おそらく建設本省なり、あるいは地建なりの指名業者にも登録されているでしょう。したがって、事件が、こういう文書、入手してはならないものを努力をして入手をしたということについて、少なくとも何らかの制裁というものは、これは当然考えられなきゃならぬ、あるいはその権利の一時停止だとか、あるいは登録業者から抹消をするとか、そういうふうな、いわば制裁というものが行なわれないと、企業側ではこういう努力を相変わらず続けると思います。そのたんびに役所側では陳弁これつとめなければならない、こういうものは手に入れてはならないのだ、もし妙なものを手に入れると本来の業務に差しつかえる、こういう制裁規定をおつくりになり、しかもそれを発動するだけの決断がなければ、この種事件の絶滅は期しがたいと思うのですが、この点は局長どうでしょうか。
#35
○政府委員(松村賢吉君) 先生の仰せのとおりでございまして、われわれといたしましてもその処罰の問題、制裁の問題については、慎重に考えまして措置したいというふうに思います。
#36
○二宮文造君 いや、くどいようですが、これは将来を展望したようなことじゃだめだと思うのです。現実の問題として、たとえば公共団体から入手した、本省から入手した、入手経路はどこでもいいです。こういう手に入れてはならない文書を、手に入れる努力を企業はやったわけです。その一点だけでも、こういう公共事業の指名を受け、あるいは工事をする資格はないと、こういう判断をされても私はいいのじゃないか。永久にというわけにはいきません。これは一をもって他を罰するという考え方、そうして、こういうこの種の事件を将来絶滅させるというそういう立場から、当該事件について確固たる処置が必要ではないか。一般論じゃありません。当該事件について、どういうふうなことを考えながら調査をされるかということを、私もう少し明確に聞きたい、こう思うわけです。くどいようですが、答弁いただきたい。
#37
○政府委員(大津留温君) 建設省関係の工事の請負契約をするその指名にあたりまして、いろいろ基準を設けております。ただいま先生が御指摘になりましたような、この公正な競争を阻害するような行為があった場合にはこの指名を取り消すとか、あるいは期限を定めて指名を停止するという措置もとることにしております。すでにそういうことで基準も設け、通牒も出しておるわけでございますが、今回の事件につきましてはただいま事実を調査中でございますので、どういうような措置ということが申し上げられるまで明らかになっておりませんが、もしこの会社が、入札にあたって非常に有利な立場に立つという目的のために、策を弄してこういう書類を入手したということが明らかになりますならば、まさに公正な競争を阻害するという行為があったものとして、ただいま申し上げました指名の取り消し、ないしは指名の停止というような措置も十分考えられると思います。
#38
○二宮文造君 これは大臣にお伺いしたいと思います。
 いま官房長から、指名業者の姿勢というものについて、建設省のまあ何といいますか、内規を中心に御説明がありました。私は、策を弄そうが弄すまいが、手に入れてはならないものを手に入れたということ、そのこと一点で、それがもう最適であろうが不最適であろうが、それはもう指名業者としての資格はない。また、これをないがしろにしますと、何だかんだといろいろな説明をつけて罪一等を減ずるようなそういう態度でいきますと、この種事件は続発をして、結局、本省なり、あるいはその役所関係で仕事をしている人が苦労しなければなりません。したがって、これはやっぱりその一つの行為が、見のがすことのできないようなことを示していると思う。したがって、それは官房長には官房長としての答弁があるかもしれませんけれども、しかしそういう綱紀の粛正をし、またこれから公共事業も非常にふえてまいります。この公共事業の請負あるいは指名については巻間いろいろなうわさも立てられております。そういうものを払拭してますます需要が増大してまいります公共事業を適正に運営していくためにも、この問題はないがしろにできませんし、当該の会社である技研興業に対しても、これはほんとうに確たる態度でもって処置されなければならないではないか。あわせて省内から犠牲者が出ることは私は好みませんけれども、綱紀の粛正、書類の取り扱い、そういうものについて格段の御指導をいただきたい、こう思うんですが、それらを含めて大臣の答弁をまずお伺いしたい。
#39
○国務大臣(金丸信君) 今回の事件につきましては、まことにその責任の位置におる立場として遺憾にたえません。申しわけない次第でありますが、私はいろいろ先生の御指摘の点につきましても同感の面もあるわけでございますが、四百部という部数をマル秘で配るということについても一つ問題があるんじゃないかという私は感じがいたしますし、そういう点で今後こういう面についても創意くふうをしなくちゃならぬじゃないか。しかしここに一つ問題点が出たわけでございますから、この問題をどう処理するかということについては厳正な態度で臨まなくちゃならない、こう考えております。ことに綱紀粛正というような面も考えてみますと、業者と建設省の役人がぐるになっておったというような問題があったとすれば、これは許しがたいことであると私は思います。そういう意味で相当強い姿勢で臨まなくちゃならない、御指摘のようにその場合は犠牲者があるかもしらぬということも私は考えております。
#40
○二宮文造君 これは行政監察局のほうで調査を進められておりますが、当該の建設省においても調査をされて、いぜれか確然とした機会にまた御報告をいただきたい。またその処置につきましても私どもはただいまの大臣の答弁を頭に置きながらその経過を見さしていただきたい、このように考えております。
 問題の地価公示法に戻りまして、地価対策、これはもうきわめて大臣も頭を悩ましておられる問題であり、また建設委員会の一員であります私どもも地価対策というものについては絶えずこの委員会で問題にし、政府の適切な施策というものを要望もしてまいったわけでありますけれども、どうも政府の手の打ち方というものが私は手ぬるくて手ぬるくてしかたがない、こう感じられるわけです。
 たとえば私も抜き書きしてまいりましたけれども、昭和四十年の十一月の地価対策要綱、この前文にこう書かれております。「近年における地価の異常な高騰により宅地取得難は深刻を極め、」「住宅建設に大きな障害となつているのみならず、道路その他」「公共投資の資金効率を低下せしめる等、いまや社会経済上大きな問題となるに至つている。」、もう確かに問題点を前文ではっきりと提起をされております。これが昭和四十年十一月。そして、いろいろありますけれども、二回、三回とありますけれども、去る四十八年一月二十六日約七年ちょっとたって閣議決定された土地対策要綱、この前文には、「近年における」「人口・産業の都市集中は、都市地域における土地利用の混乱、地価の異常な高騰等を招き、」「大都市地域における土地取得難は一層深刻な問題となっている。」、表現は違いますけれども、問題のとらえ方というのは全く同じなんです。同工異曲とこのように言わなければならぬと思うのですが、状況は少しも変わっておりません。
 振り返ってみますと、この八年間に、要するに政府は四十年、四十三年、四十五年、そして今回と四回にわたって土地対策要綱を出しておりますけれども、そのたびにいわゆる公約といいますか、それがほごにされ、あるいは骨抜きにされ、残っているのは形として残らないでプリントが残っている、こういうような感じがしてなりません。極端な言い方ですけれども、土地対策はほとんど前進をしなかった。こう言っても誤りないのではないかと思うのですが、いわゆる八年間の政府の発表した土地対策要綱、そういうものを振り返りながらひとつ大臣の認識、これを私はお伺いしたいと思うのです。
#41
○国務大臣(金丸信君) 土地対策の問題につきましては、都市に人口・産業集中というような問題が出まして、ことにその度合いを増してまいったわけでございますが、そういう意味でいま御指摘のように、土地の問題について進展がなかったんじゃないかという御指摘でございますが、私もそういう点については、かくかくかようにこうやってきたと、こう申し上げるすべもないわけでございますが、しかし今回国土総合開発法だとか、あるいは都市計画法とか、あるいは土地の投機抑制をやるとか、あるいは土地の税制の改正をやるとか、あるいは土地に対する融資の抑制をするとか、こういうようなことをするための法案等を提出いたしておるわけです。あるいはまた国会で可決された法案もあるわけでございますが、そのようにして国総法というような法律は、私はいままでかつてない法律じゃないかというような感じもいたしておるわけでございますが、土地というものの私権に対して相当な抑制をしてかかってきておるという面について、公益優先、公共優先というような考え方、私権ぎりぎり一ぱいのところまで持ってきておるというような考え方、そういう意味で相当な今回の法案改正の点等を考えてみますと、いままではまことに遅々とした面もあったと思うわけでございますが、この時点においての政府の考え方というものは一歩も二歩も前進してきておるんじゃないかと、私はこう考えておる次第であります。
#42
○二宮文造君 過去は遅々として進まなかったけれども、今国会にいろいろな提案をし、それらが効力を発揮するに至って漸次土地対策というものはかたまってくる、こういう大臣の希望的な意味も含めた御答弁でありますけれども、問題の地価公示価格、これを法を制定して公示価格を出すというあの時点に、公示価格もやはり地価抑制の重大な一翼としてそのとき説明もされましたし、またそういうつもりで地価公示法というものが制定をされた。しかし振り返ってみますと、昨年から今年にかけては地価公示価格で対前年比が三〇・九%ですか値上がりであり、その前年は一二・四%の値上がりである。そのまた前年は一六・五%の値上がりである。要するに地価公示法というものが、法が制定をされ、そしてこれが地価抑制の、あるいはまた土地取引の何らかの指標にしてあわせて地価抑制をはかりたいという意図は、現在までのところむざんに破られている、こう私は見なければならないと思う。
 また巷間いわれるところによりますと、先ほどは公共事業については用地取得の基準にする、民間の取引においては目安にするというような説明がこれは小山委員との間に行なわれておるようでありましたけれども、巷間いわれていることは、地価公示法は単なる参考にすぎない。この委員会でも私前に、内幸町の土地をめぐりまして、地価公示法が無力ではないかというような質疑を取りかわした覚えがありますけれども、地価公示制度の存在価値というものが、要するにいままであまりその威力を発揮しなかったのではないかと思うんですが、この点、計画局長どうですか。これからじゃありませんよ、いままでの点を反省してみてください。
#43
○政府委員(高橋弘篤君) 地価公示制度は、先ほど小山先生にも申し上げましたように、現在までのところは公共用地の取得の基準ということと、一般取引では目安であるわけです。公共用地の基準という点については、私は相当効果をあげていると思います。地価公示制度ができる一つの背景となったものは、関東地方ではオリンピック工事が非常に多かった、関西では万博工事が非常に多かったわけであります。そのときに公共用地の取得価格、まあ基準がなかったわけでございまして、いろいろな公共用地の取得の競合があった、公共用地を取得することによって地価が上昇しているということをいわれたものでございます。その場合におきまして、公共用地取得の基準がございますならば、そういうことがないというような背景もありまして、地価公示法が一つできたというように私ども考えておるわけでございまして、先ほども数字で申し上げましたとおり、地価公示の対象になっている地域におきましては、大体、取得にあたりましてはこれを基準にいたしておるわけでございます。
 地価公示の価格は、これは御承知の、正常な価格ということでございまして、特殊な動機だとかというものを除きました普通の市場で取引される交換価値というものでございまして、いわば仲値ということになっておるわけでございまして、市場性というものがこれはあるわけでございますから、どうしても経済現象に応じまして需給のバランスの関係で上昇してくるわけでございまして、地価公示制度そのものが地価を上げているというよりも、地価公示制度というものは、これは地価の総合対策の中の一つの役割りを果たすものである。それを抑制したり、また需給のアンバランスを、これをバランスをとるという方策は、別に考えられる必要があるわけでございます。
 しかし、公共用地の取得につきましては、そういうふうに相当効果をあげていると思います。ただし、民間の土地取引につきましては、従来のところ、これは目安ということになっているわけでございまして、その意味におきまして、先生の御指摘のとおり、NHK問題その他をはじめとしまして、地価公示価格を著しく上回るという例もあるのは、まことに私どもも残念であるわけでございます。将来のことはまた申し上げることといたしまして、一般の土地取引につきましては、ある程度参考に私どもはされていると思います。先ほど申し上げた閲覧件数だとか、また、不動産鑑定士の鑑定を依頼しますと、鑑定評価についてはこれを基準にするとか、また、一般の民間会社から最近は地価公示価格を一般消費者に教えている、みずから販売価格をきめる際に地価公示価格を基準にするというようなところもあるわけでございまして、そういう例はあろうかと思いますけれども、先生のおっしゃるような地価の一般取引については法的拘束力はございませんから、従来そういう地価公示価格が守られない例が相当あったことはまことに残念であると考えております。
#44
○二宮文造君 私はいまちょっと計画局長の答弁を聞いていて、要するに大蔵省なりあるいはNHKなどが、この地価公示を全く問題にしなかったというところに、非常に問題があると思うんです。お役所ですよね、お役所ないしは準役所、その辺が土地の取引に、大蔵省にしても、NHKにしてもですよ、公示価格というものを全く問題にしなかった、こういう経緯を振り返ってみて、せっかくの地価公示法が、その存在価値が薄れてしまっているということを、きわめて注目しなきゃならぬと思うんです。
 そこで計画局長は再三、公共事業においてはこの地価公示制度というもの、地価公示価格というものが基準になっていると、こういうふうな御答弁でございますけれども、その関係をもう少しこう具体的に、公共事業の場合、御説明いただけませんか。たとえば公共事業個所が何カ所として、そのうちで公示価格を基準にしたもの、あるいはすることを要しなかったもの、あるいはすることができなかったもの、こういう大ざっぱな件数でしょうが、分けて、多少その数字の動きを御説明いただきたいと思います。
#45
○政府委員(高橋弘篤君) 先ほども小山先生に申し上げましたのでございますが、毎年度のがございますが、四十六年度についてもう一度御説明申し上げますと、四十六年度の地価公示の対象地域におきましての事業施工個所数が二千百三十八カ所でございます。その中で、基準としたものが千六百五十五、約八割でございます。あとの二割は基準とすることを要しなかったもの、これが百八十四、これは昭和四十五年度以前に算定された価格に基づいて継続して取得したものである、事業認定に基づく価格固定が四十五年度以前に行なわれたものだと、まあそういうものでございます。それから基準とすることができなかった個所、二百九十九カ所でございますが、これは近隣地域だとか、また類似地域に類似の利用価値を有する標準地が存在しなかったので基準にすることができなかったというものでございます。そういうわけでございまして、基準とできるものにつきまして、また、しなけりゃならぬものにつきましては、大体私ども基準にいたしておるというふうに考えているわけでございます。
 具体的な個所について、公共事業用地の取得価格を基準としたものについての個所、手元に資料がございますが、直轄工事、それから補助事業、公団の事業、それぞれ公示価格に基づきまして、その公示価格を修正いたしまして、それぞれの事情補正、時点修正、格差修正をいたしまして、出ました価格を大体基準にいたしまして取得をいたしておるのでございます。
#46
○二宮文造君 要するに、公示価格を基準として、公共事業の用地の取得の価格がきめられたという、その例として千六百何件のうちのこの五件、いま御指摘の直轄事業だとか、補助事業だとか、公団事業、こういうものについてのその詳細な資料を私ちょうだいしておりますが、これをこう一見しまして、非常に、何といいますか、公示価格と取得価格との間にばらつきがある、それはもちろん土地の格差もありましょう、それからまた、取得した要するに年月日の違いもありましょうけれども、たとえば関東地建の河川用地として市川市で取得をした場合を考えてみますと、四十五年一月一日の公示価格は、平米当たり三万一千円であった。それにその用地を取得した四十五年十一月のいわゆる取得時期の時点修正率を掛け、そしてその土地の格差、この修正率を掛け、そしてそれらをもってその公示価格を修正した金額が四万二百円として、この四万二百円で取得をした、こういうふうな資料になっておりますが、私はむしろこの最終価格というものがきまって、いわゆる用地買収で、地主と折衝して幾らで売ろう、幾らで買おうということがきまって、それから今度は公示価格に戻って修正率を掛けていっているんじゃないかなという気がしてしようがないんです。というのは、あとの四件とずっと比べてみますと、私もこの土地もわかりませんし、格差是正率がはたして正しいものかどうか、あるいは時点修正率が正しいのかどうかという確信がありませんから強いことは言えませんけれども、非常にばらつきがある、公示価格と取得価格の間に。
 もっと明確に考えるとすれば、これにもう一つ資料を足していただいて、固定資産の評価額は一体幾らなんだと、それから今度は相続税の評価額は幾らなんだと、それと公示価格とのパーセンテージ、取得価格とのパーセンテージというものを見ていただきますと、もう少し、公示価格を基準にしたという、そういう説明が可能ではないかと思うわけです。ぜひこれは、私のほうではわかりませんので、今後の参考として追加した資料を御提出願いたいと思うんです。おわかりでしょうか、局長、その意味は。固定資産税の評価額とそれから相続税の評価額と、こういうことを見させていただきたい、こう思うわけです。いずれにしても、もし局長の説明がそのままであるならば、少なくとも公共事業においては、用地取得においては公示制度が何らかの意義を持ってきた、きわめていいことだと、こう私は思います。しかし、それは一つの皮肉を込めた言い方でもあるということを御承知いただきたいと思います。
 そこで私、これ前にも問題にいたしましたけれども、この地価公示法が本院を通過しますときに、この委員会で附帯決議をつけました。その一項に、「公示価格を固定資産税、相続税等の評価の基準として活用するため、本制度の実施地域とその他の地域との調査等について技術的な検討を行なうこと。」、要するに、同じように国が一つの土地を評価するのに、相続税の評価価額がある、固定資産税の評価価額がある、しかも公示価格がある、こういうふうな三本立てでは権威を失墜するんじゃないか、土地対策という、地価対策という重要な意味を込めての公示制度ならば、同じ国がやることだからさや寄せをしていくような努力を関係官庁ですべきではないかということは、これは前々から、私ばかりではない、各委員の議題になっておりますが、それが現在まだ行なわれておりません。そこで、どうしてこういう食い違いが出るのか、幸い大蔵省あるいは自治省の関係の方も来ていただいておりますので、公示価格のきめ方、財産税の評価額のきめ方、固定資産税のきめ方、これひとつ御説明いただきたいと思うんです。どこにこういう食い違いが出てくるのか、お願いしたいと思うんです、それぞれ。
#47
○政府委員(高橋弘篤君) まず最初に、公示価格についてその評価方法について申し上げます。
 この公示価格につきましては、先ほども申し上げましたように、売り手にも買い手にも片寄らない、一般の自由市場で通常成立いたします適正な価格、いわゆる正常価格といわれておるわけでございまして、この評価につきましては、専門家でございます不動産鑑定士等が二名以上が鑑定評価をいたしまして、そうして国の機関でございます土地鑑定委員会がこれを審査調整いたしましてそうしてきめておるわけでございますが、不動産鑑定士の鑑定評価は、鑑定評価についての省令にその基準が示されておりますとおり、三つの方式を活用いたしましてそれを十分に駆使して評価いたしておる次第でございます。
 その一つは、いわゆる取引事例比較法という方式でございます。つまり近傍の取引事例に着目いたしまして多数のそういう適正事例というものを基礎にいたしまして正常な価格をきめるということ、第二点は、収益還元法という方式でございます。その土地から生み出されます収益に着目して、その収益を還元利回りでこれを還元するというやり方でございます。第三は、原価法という法式でございまして、土地の造成費用をその時点におきまして造成したものとして、それに要する原価に着目したものでございます。こういうような三方式を駆使いたしまして鑑定評定して、さっき申し上げました土地鑑定委員会にこれを出して、土地鑑定委員会がこれを専門的な立場でさらに審査調整をいたしまして公示をするということにいたしておる次第でございます。
#48
○説明員(伊勢田巧教君) 相続関係の評価について、地価公示との関係で宅地に限定して御説明申し上げます。
 相続税の場合、市街化形態をとっておる宅地につきましては路線価方式という評価法がございます。それ以外のところでは、固定資産税に倍率をかける倍率方式というやり方をとっております。いずれにいたしましても、路線価あるいはまた倍率方式、そういったもののもとになるものは、評価の標準地を選定して、これをもとにして地目間あるいはまた地域間のバランスを考えながら評価をしていくというやり方でございます。で、相続税の場合の標準地の近くに地価公示法の標準地がございますれば、それを相続税の場合の標準地ということに取り込んでいっております。そういった標準地を選定いたしまして、売買実例とかあるいは精通者意見、あるいはまた地価公示価格、そういったものを参考としながら評価することにしております。
#49
○政府委員(山下稔君) 土地の固定資産税の評価方法についてお答え申し上げますが、土地の固定資産の評価は、各市町村ごとに置かれております固定資産評価員が評価をいたしまして市町村長が価格を決定するという仕組みになっております。その評価方法は、自治大臣が定めます固定資産評価基準によって行なわれる仕組みになっております。で、固定資産評価基準において定められております土地の評価方法でございますが、売買実例価格から正常売買価格を求めまして、その正常売買価格に基づいて適正な時価を評定するというのが基本的な考え方でございます。
 これを具体的に宅地に限定いたしまして御説明申し上げますと、宅地の評価方法は、市街地宅地評価方法とその他の宅地評価方法と二通りございまして、この中で市街地的形態を形成しておるところに適用されます市街地宅地評価方法を簡単に申し上げますと、市町村の宅地を、商業地区、住宅地区等の各地区に区分をいたしまして、その区分されました地区の中をさらに街路の状況等から判断いたしまして、状況が類似している地域に区分をいたします。そしてその中から標準宅地を選定いたしまして、その標準宅地につきまして売買実例価格から適正な時価を評定いたしますが、この場合に、売買実例価格から正常と認められない条件がある場合においては、これを修正をいたしまして適正な時価を求めまして、そうして標準宅地の時価が求められますと、それに基づきまして各街路ごとに路線価を設定する。そうしてこの路線価を基礎といたしまして各筆ごとに各地区計算方法によって評価をする、こういう仕組みになっております。なお、全国的な評価のバランスを考えるために、評点一点当たりの価格の決定とか、指示平均価格の算定というものを講じてバランスをはかることにいたしております。
#50
○二宮文造君 それぞれ専門家から専門的な評価方法をいっぺんに聞いたものですから、私のほうはそれを聞きながら、どこがどう違うのか、きわめて判断に苦しむわけです。しかし、少なくともいま説明をお伺いしておりまして、国税庁の関係の方の御説明の中には、地価公示法との関連という御説明があったような気がします。ところが、自治省関係の固定資産税の評価には地価公示法というのが一項も出てこなかったんですが、自治省から見たこの地価公示法の立場というものはどういう立場に置かれて把握されているのか、この点、ちょっと認識をお伺いしたいと思います。
#51
○政府委員(山下稔君) ただいま申し上げましたように、売買実例価格から適正な時価を評価するというのが基本的な仕組みでございますが、この売買実例価格の中から適正な正常な売買価格を引っ張り出す、この作業は個々の固定資産評価員ごとに行なっているわけでございまして、その場合におきましては、いろいろの不正常の条件を落とすとか、精通者の意見を参考にするとか、評価員ごとにいろいろの要素を取り入れて評価をいたしているわけでございます。
 固定資産の評価と公示価格との関係につきましては、固定資産の評価が、評価の個所数がきわめて多いという現状から申しまして、現在の地価公示の行なわれております個所数では完全にそれを用いて評価するということが技術的に困難でございます。具体的な数字で申しますと、四十八年におきましては、地価公示が大都市を中心とする周辺都市の市街化区域に五千四百九十地点でありますのに対しまして、固定資産の評価のほうは全土地をやらなければならない。宅地だけに限定いたしまして、各宅地の中の、先ほど申しました標準地だけに限定いたしましても、三十万個所評価しなければならない。地目全部の標準地で申しますと、七十七万個所に及んでおります。このようなことから申しまして、技術的に全国のすべての土地を地価公示を基準として評価をするということは、現時点においては技術的に困難であるという問題もございます。ただ、趣旨から申しまして、将来地価公示制度の充実を待ちまして、課税上可能な限り、地価公示価格と均衡を失しないように評価をしていくべきものだと考えております。
#52
○二宮文造君 なるほど地価公示の評価地点と、それから固定資産関係の評価地点の数がきわめてばらつきがあるということは、これはもう承知しております。しかし、地価公示法が、少なくとも国の行政として地価公示が制定されたその意図には、取り引きの資料にしていくということでしょう。したがって、少なくとも、しかも五千数百個所ではあるけれども、それは大都市周辺地域でいままで公示価格というものはされてきたわけです。ならば、少なくとも固定資産の評価基準の中には、この地価が公示されている地点については、それを参考にするとか、基準にするとかという一項を設けるべきではないですか。そうでないと、同じ国の行政の中で建設省ではやっている、自治省はそれを全く無視してしまっている、こう言われてもしかたないのではないか。四十八年度はそれが一万四千カ所にもまたふやされるわけです。当然評価基準の中に地価公示法云々の一点を入れるべきではないかと思うのですが、現在の状態でも自治省はまだ評価地点の数が違うから、われわれは参考にするという一項目は入れないという姿勢をおとりでしょうか、この点ちょっとお伺いしたい。
#53
○政府委員(山下稔君) 固定資産の評価につきましては、地価公示とのバランスのほかに、相続税の評価とのバランスというように多岐にわたるバランスを考えていかなければならない点がございます。そこで相続税の評価方法との統一という点も合わせまして、地価公示とのバランスをどういう形でとっていくか、今後の検討課題であろうと思っておりますが、先ほども申しましたような事情から、いまの個所数の食い違いから申しまして、限定されたところだけ地価公示によるということは技術的に困難でございますので、いま少し地価公示の制度の充実を待った上で検討してまいりたいというふうに考えております。
#54
○二宮文造君 私は納得できません。続いて次の質疑の中からもっと問題点を掘り下げていきたいと思うのですが、私の手元に公示価格と課税上の評価額、こういう資料をちょうだいしております。これはたしか建設省のほうからいただいたのではないかと思うのですが。東京都、あるいは二十三区の中の代表的なもの、あるいは都下の市、それから横浜、それから埼玉の川口、浦和、大宮、上尾、戸田、入間と、こういうところのものはいただいておりますが、それをちょっと一べつしまして私感じますのは、川口市の場合、公示価格を一〇〇としまして、固定資産税の評価額が四〇、それから相続税の評価額が五三と、こういうパーセンテージが出ております。これは前もってお伺いしておきたいのですが、この川口市の場合、要するに資料は地価公示の標準地点、いわゆる公示地点ですね。そこの地点に合わせた固定資産税評価額であり、相続税評価額ですね。その元が狂いますと、これからの議論がかみ合いませんので、同じ地点ですね。わかりました。同じ地点で川口市の場合は公示価格を一〇〇としますと、固定資産税の評価額は四〇、相続税の評価額は五三と、こう出ております。ところが今度は一番低いところを見ますと、千葉県の船橋市の場合は公示価格を一〇〇としますと、固定資産税は二六、相続税が六二と、こういう比率を示しております。また今度は横浜市の鶴見区でみますと、公示価格を一〇〇としますと、固定資産税の評価額は二九、相続税の評価額は五九と、一覧しますと相続税の場合は公示価格を一〇〇としまして六四から五二の間におさまっております。ところが固定資産税の場合は公示価格を一〇〇としますと五〇から二六という間におさまってくるわけですね。同じように国ないしは地方公共団体が税の対象とし、あるいはまた地価の対象としてみてまいります場合に、こういうばらつきがあったのでは、公示価格のきめ方が適正でないのか、あるいは固定資産の評価がその市町村の評価によってばらつきがあるというのか、あるいは国税の場合を考えてみまして、こういうふうにばらつきが出てきますと、公示価格と。同じなんですよ、同じ国民としてこれは納得できないと思うんです、要するにこの評価額に対して税率がかかってくるわけですから。これは国民に税に対する信頼性を持たせる意味でも抜本的に改正をしなきゃならぬじゃないかと思うんです。したがって、第一、三つの価格があるということが私は納得いきませんし、同じ固定資産の評価額にしても公示価格との関係でこういう五十二から二十六までのばらつき、倍と半分ですか、こういうばらつきが出てしまう。相続税の場合も六十四から五十二まで、これも十幾つのばらつきが出てくる。こういうことをこのまま放置できないと思うんですが、それぞれどう歩み寄りをし、国民に納得がいくような数字にかえていこうと努力されるのか、将来の考え方というものを私お伺いしておきたいと思う。
#55
○政府委員(高橋弘篤君) ただいま御指摘の公示価格と固定資産税、相続税の評価額というものの間に乖離があるということにつきましては、望ましいことではないと考えておるわけでございます。ただ自治省からも先ほど話ございましたように、現在の地価公示制度が数が非常に少のうございます。まずこの地価公示制度を全国的に拡充、整備して、そしてそういう整備ができたときにおきましては、そういう国の公的評価についてはその一本化をはかる。同時に適正化をはかっていくという必要があろうかと存じます。
 固定資産税は四十八年が評価がえの年でございましたが、これは御承知のように三年に一回の評価がえがございます。この次は五十一年でございます。私ども建設省といたしましては、これを何とかして次の評価がえのときには一本化できるように、適正化できるようにそれまでに全国的に地価公示制度を整備拡充してまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、この点につきましては一月二十六日にきめました政府の土地対策要綱の中におきましても「地価公示制度の活用による地価対策を一層推進するため、公示価格との関連において公的土地評価の適正化と一本化を図ることを検討する。」という項目が入っておるわけでございまして、小山先生にも先ほど申し上げましたように、私どもは五十一年の評価がえに間に合わせるために五十年までに全国で二十四万地点の公示をいたしたい。約二十四万地点ぐらいあれば、まあ宅地についてだけでございますが、宅地についてだけは二十四万地点ございましたら固定資産税との一本化ができるというふうに事務的にいろいろ検討いたしておるわけでございます。そのためには、御審議いただいております地価公示法の改正でまず当面都市計画区域、それからそのあとにおきましては全国的に都道府県及び市町村に土地鑑定委員会を設けまして、地価公示制度を整備してまいりたいというふうに考えておるわけでざいます。ぜひ私どもといたしましては、これは実現方をはかりたいというふうに考えております。
#56
○説明員(伊勢田巧教君) 相続税の場合、先ほど申し上げましたように、地価公示法における地価公示価格等を参考にして評価しておるわけでございますが、われわれが関係しておる相続税の課税標準ということになりますので、御承知のように土地の値段というものは非常に値幅がございますので、適正な価格の中値、これが公示価格に該当するかと思いますが、そういったものの中値の七〇%を目途に評価をすることにしております。
 一方、相続税の場合は四十八年でございますと、四十七年の七月一日を基準日にして評価しております。地価公示法の場合は毎年一月一日が基準日でございます。その間の半年の間の地価の変動、そういったものが開差として出てくる仕組みになっております。先ほど先生から話がありましたこの表から見ますと、東京圏でございますので、地価公示法の説明によりますと、東京圏では三四%の値上がりだという発表でございます。半年、簡単に考えてみますと一七%程度の値上がり、それを差し引きますと、大体六〇%から五七%程度、そういったところが目安、目標ということになろうかと思います。
#57
○政府委員(山下稔君) いま御指摘がございましたように、地域によってそれぞれ差はございますが、地価公示価格に比較いたしまして固定資産税の評価額が低い水準にあるということは事実でございます。したがいまして、先ほどお答え申し上げましたように、またただいま建設省からもお答えがありましたように、いまの時点では技術上困難な問題がございますけれども、将来地価公示制度の確立を待ちまして、相続税とのバランスも考慮しながら課税技術上、評価技術上できる限り評価の均衡をはかっていくという方向で努力をすべきものであるというふうに考えております。
#58
○二宮文造君 審議官にお伺いしますけれども、私低いことを問題にしているんじゃないんです。低いことを問題にしているんじゃなくて、地価公示を一〇〇として各地点の評価に非常にばらつきがある。片一方では地価公示価格に五二%、こういう固定資産の評価をしているところがあるかと思えば、また一方では二六%というような評価をやっているところもあると、こういうばらつきがあることが公示価格を全く無視をしている形になりゃしないかと、同じ国の行政の中でそういうばらつきのあるような評価のしかたはまずいではないか、こういう質問なんです。ですから低いから問題にしているわけじゃなくて、ばらつきを問題にし、お互いに縦割りということは承知しておりますけれども、どうしてせっかくの地価公示法というものがありながらそれにさや寄せをしていこうという努力を関係官庁でしないのか、国民に対してこれは迷惑ではないかと、こういうところを私は問題にしているわけです。
 それも含めてあとで大臣に御意向を伺いたいと思うんですが、自治省にまずもう一点お伺いしたいのは、昭和四十八年の一月一日付の固定資産の評価で、非常に評価額が上がって、いま固定資産税について国民はもうたいへん困っております。何ら免税点もありませんし、そしていまの時点では昨年、一昨年に比べて二倍ないし三倍もの固定資産税になっている。これが五十一年だか五十四年だかになりますと、この前年の、あるいは前々年の十倍ないしひどいところになると二十倍にもなるんじゃないかと、憶測も含めて固定資産税について非常にいま問題を巻き起こしております。現にそれがもうすでに家賃にはね返っています。地代にはね返っています。それは結局今度は地価の高騰に大いに影響していますけれども、この固定資産税の取り扱いについて、たとえば住宅地について免税点を設けるとか、あるいは一気に税額が上がるのをカバーするために税率を下げるとか、標準税率をそのために改定をするとか、こういう作業が地方税の関係で非常に大事になってまいりますけれども、自治省ではその辺のお考えはどう思っておられますか。
#59
○政府委員(山下稔君) 固定資産税の実際の課税は、ただいま問題になっております評価額ですら課税されておりませんで、昭和四十七年度の水準で申しますと、その評価額の四割弱の水準でしか課税されていないという実情でございます。これは三十九年の評価がえのときに評価額が宅地で平均六・三倍というような大幅な上昇を示しました。さらに四十五年度の評価がえでさらに二・三倍、今回の評価がえでさらに一・八倍というような上昇を示しましたので、そのまま課税いたしたのでは税負担が急激にふえるということを考慮いたしまして、前年度の税額を毎年一割ないし四割ずつふやしていくという形で漸増させてきておりました結果、いまだ評価額に比べましてすら、四十七年度で四〇%にも達しないというふうな水準で課税されている状況になっております。しかし、いまのこういう負担調整措置によりますと、結局前年度の税額を一割ないし四割ずつふやしていくという形になっておりますので、最近の評価額から見ますと、土地によっては非常にアンバランスになっている。最近の評価額から見ますと、同じ評価額である土地であっても、実際の税額が違うというような形になっております。こういう形であったんでは固定資産税の性格からいって好ましくないというふうに考えましたので、本年度の地方税法の改正で、原則として評価額で課税する、ただし、住宅用地については評価額の二分の一で課税するように軽減措置を講ずる、こういう前提で、かつ四十八年度、四十九年度は負担調整措置を講じながら、五十年度で評価額もしくは住宅用地についてはその二分の一に課税するという仕組みにいたしました。
 しかし一般的に住宅用地につきましては、いままでの負担調整措置を原則として四十八年、四十九年は継続いたしまして、五十年度で評価額の二分の一で課税するということになりますので、いま御指摘のような大幅な値上げがありましたのは、非常に特殊な場合でございます。と申しますのは、評価額に対しまして実際の負担水準が異常に低いところ、たとえば五%とか六%程度でしか課税されていないというようなところにつきましては、先ほど申しました改正に加えまして、特に昭和四十八年度においては、いかなる土地においても評価額の一五%までは引き上げる、四十九年度では三〇%まで引き上げる、その結果住宅用地については昭和五十年度で五〇%になる、こういうしかけを別につくりました。そこで五%とか六%というように非常に低い水準で課税されておりますものが一五%で課税されることによって、二倍ないし三倍になるという事態が起きるわけでございまして、そういう事態になります土地は、いま申しましたように、現在の税負担が異常に低いというところでございます。評価額に対して異常に低い水準で課税されているところでございます。そういうことを考慮しまして、この程度はやむを得ないのではないかということで、本年度の地方税法の改正をお願いし、御可決をいただいたわけでございます。
 しかしいま先生が御指摘のように、さらにこういう状態にありましても、住宅用地に対しては特別の配慮を払うべきであるということは、いろいろ意見も聞いております。地方税法の審議におきましても、御意見がございましたし、地方税法成立のときの付帯決議にも、小規模住宅用地について軽減措置を講ずるように検討すべきであるという御決定をいただいておりますので、そうした付帯決議の御趣旨も体しまして、小規模住宅用地に対する軽減措置については、将来検討していかなければならないのではないかというふうには考えております。
#60
○二宮文造君 ここで大臣にまとめて御答弁いただきたい点があるのですが、その一点は、先ほど問題にしました地価公示価格それから相続税の評価額、固定資産税の評価額、これをやはり同じ国の行政の一つでありますから、この評価の面については、さや寄せをすべきである、少なくともこんなに格差のあるような、また地域によって比率のばらつきがあるようなそういうふうな評価額の取り方ではまずいではないか。いままでの答弁によりますと、公示価格の標準地点があまりにも数が少ないので参考にならないというふうな意見のようです、また建設省もそれに甘んじているようですが、少ないから、少なければこそ、その五千カ所なら五千カ所については公示価格に権威を持たせなければいけないんじゃないか。少ないほうが作業がやりやすくて、そこに前例を開いておきますと、将来二十何万地点になったときに、これは今度は単なる掛け算で済むわけです、倍率の掛け方、倍率をきめればいいわけですから。そういう主義で、少ない時点にまた早い時点にさや寄せすべく関係官庁と話し合いをし、早急に解決すべきではないかというのが一点。
 それからもう一つは、いま自治省の審議官が、地方税法における固定資産税の扱い方というのでるる説明がありました。とにかく従来あまりにも低いところがあったので、それをある一定の線にまで合わせていく作業をいまやっている、でこぼこを直す作業をやっているという事務的な答弁ですけれども、私は実際面から考えてみますと、従来安い固定資産税で済んだものが、そういう行政の手直しによって、思いのほか三倍、四倍、五倍というような固定資産税を負担しなければならぬ。一方、建設省のほうでは、労働省などとも相談をしながら、持ち家政策をどんどん進めている。それで、持ち家政策を進めながら、一方では固定資産税で締めつけていく、こういうかっこうでは、住宅政策というものが全く関係官庁によってバランスがとれない。税金のことを考えないで、とにかく長年貯金をして、やっと持ち家ができた、土地も粒々辛苦して買えた。ほんとうにネコの額のような土地であり、それこそ家族がわずかに足腰を伸ばすような家である。そういうところに今度は行政の手直しによって固定資産税がぶっかかってくる。こういうかっこうになりますと、住宅政策をやれ、やるなというようなかっこうになってしまいます。
 そこで、これは建設大臣としてのお立場じゃなくて、国務大臣として、この持ち家政策とそれから小規模な住宅あるいは住宅のための用地、この関係については、少なくとも宅地なら百坪あるいは家なら三十坪を限度に固定資産税の免税を考える、こういうところにまで抜本的な措置をしていきませんと、ほんとうに庶民の住宅政策というものは進まないし、またそれが結局また単に持ち家だけじゃなくて、アパートなり貸し間なり貸し家なり、そういうものにはね返ってきているという現状から、この固定資産税の取り扱いについて、政府として国務大臣として、庶民の要望に耳をかして早急に善処をされる姿勢があるのかどうか、この二点について大臣の答弁をお伺いしたい。
#61
○国務大臣(金丸信君) 相続税、固定資産税、地価公示の三つの問題につきまして、これは一日も早く一本にすることが道だと私も考えております。また建設省も五十一年をめどにといっておるわけでございますが、それより早く解決することが国民のためだとも思うわけでありまして、各関係の大蔵省あるいは自治省とも鋭意連絡をとりまして、できるだけ早い機会に格差のない一本にするような努力をいたしたいと、こう考えております。また固定資産税の問題につきまして、住宅政策を推進する上におきましてはかような固定資産税が上がるというふうなことにつきましては、住宅政策を推進する上においては非常な支障を来たしてまいります。そういう意味で建設大臣といたしましてもあるいは国務大臣といたしましても十分ひとつ閣議にもはかりあるいは関係大臣とも強い折衝をいたしまして御期待に沿うようにいたしたいと、こう思っております。
#62
○二宮文造君 それからこの地価公示法の一部改正の提案理由の中に、大臣はこう述べておられます。「まず第一に、地価公示の対象区域を拡大することといたしました。すなわち、従来、地価公示の対象区域は市街化区域に限ることとされておりましたものを、都市計画区域に改め、市街化調整区域並びに市街化区域及び市街化調整区域に関する都市計画が定められていない都市計画区域においても地価の公示を行なうことといたしております。」と、要するに地価公示の対象区域の拡大というものをこの一部改正の柱に掲げております。
 そこで都市局長にお伺いしたいんですが、全国の市町村のうち都市計画法に基づく市街化区域あるいは市街化調整区域のいわゆる線引き作業が完了している市町村数と完了していない市町村数、これを現在どうなっておりますかお伺いしたい。
#63
○政府委員(吉田泰夫君) 線引きを完了しておる市町村数は七百四十二、線引きをすべきことになっていますがいまだ線引きになっていないという市町村数が百十八でございます。なおこのほかに、首都圏と近県の近郊整備地帯の中で都市計画区域になっていない町村が七つございます。これは都市計画区域になっておりませんから、線引きすべきことにはなってないんですけれども、近郊整備地帯の中でありますからこの七つの町村について都市計画区域が指定されれば、同時に線引き対象になると、こういう意味でこれも線引き未完了というふうに計算いたしますとさらに七つふえまして、百十八が百二十五ということになります。
#64
○二宮文造君 線引きがされることになっておりますのに完了してないと、作業が完了してないというのは理由はどこにあるのですか。
#65
○政府委員(吉田泰夫君) まず未完了市町村数百十八のうち、この三月三十一日に新たに線引き対象都市として建設大臣告示によって指定した市町村数が七十一あります。これは都道府県知事が市町村長の意向を受けまして、いわば要望を受けた形で新たに追加指定したわけでございまして、これにつきましては最近対象都市になったわけですから、現在鋭意その作業をしているということでありまして、今年度中ぐらいを目途に線引きを進めたいと、こう考えております。その最近指定になった七十一を差し引きますと四十七ということになります。このうちまた沖繩の那覇周辺十三市町村というのが沖繩の復帰とともに線引き対象になりました。これも現在公聴会も終わっておりまして、本年度中に線引きすべく努力中でありまして、見通しがだいぶ立ってまいりました。こういった特殊事情のところを――特殊事情といいますか、最近対象になったところを除きますと、残りは三十四市町村というわけでありまして、これは北海道の苫小牧とか茨城県の鹿島、筑波の研究学園都市、愛媛県の今治、西条、新居浜等のところが市町村の数として多いわけですけれども、いろいろ個々の事情がありますが、共通して申し上げますと、要するところ農林漁業に関する土地利用計画等の関係で、地域住民との意見の調整に手間どっているというところであります。これらにつきましては、現在県及び市町村におきまして鋭意その調整を進め、できるだけすみやかに線引きを行ないますよう準備中でありまして、一部地域においてはすでに公聴会を終え、最終的な詰めに入っているということでございます。
#66
○二宮文造君 そこで、線引き作業が終わっております市町村、その中で地価公示が行なわれている市町村は幾つですか。
#67
○政府委員(高橋弘篤君) 三百六十三市町村及び東京の二十三区ということでございます。
  〔理事沢田政治君退席、理事山内一郎君着
  席〕
 先ほどの都市局長の御説明の完了した市町村の大体半分ぐらい、半分以下、弱でございます。
#68
○二宮文造君 いま説明がありましたように、要するに線引きが終わっている半数が地価公示が行なわれているということは、あとの半数はまだ地価公示が行なわれていないわけです。線引き作業が、市街化区域内での地価公示がまだ不十分な状況にある中で、先ほど提案理由の中にありましたように、今回の一部改正で市街化調整区域にまで地価公示を広げる、なぜその市街化調整区域にまで拡大をする必要があるのか、これをお伺いしたい。
#69
○政府委員(高橋弘篤君) ただいま申し上げましたように、大体半分ぐらい地価公示があるんです。これは四十八年一月一日現在です。すでに御承知のように、何度もまた御説明申し上げているように、四十八年度予算で市街化区域を全部これは完了したところ、線引きを完了した市街化区域につきましては全部地価公示をすることにしております。それが大体約一万二千でございます。大体これで倍になりまして、すべてこれは四十八年ごろに完了するわけでございます。同時にそれ以外のところも拡大していこうということでございます。この点につきましては先ほどから申し上げておりますように、地価公示制度をもっと地価対策上に利用する、たとえば先ほどの話の、公的な土地評価についてもこれを一本化するための活用方法があるわけでございます。その他いろんな、全国的にこれの整備を完了しますといろんな土地対策上の利用価値があるわけでございます。そのためにはどうしても全国的に地価公示をする必要があるわけですが、まずその第一段階といたしまして都市計画区域について拡大したいということでお願いをいたしておる次第でございます。都市計画区域の中には市街化区域、それから調整区域その他の地域があるのは御承知のとおりでございまして、その際、調整区域というようなものだけを除外するということでなしに、すべて都市計画区域内全部をこれをまず整備をしようということでございますが、それは最近の土地取引その他市街化区域だけじゃなしに、全国的に土地取引について非常に活発になっているわけでございます。特に都市計画区域内におきましては非常に土地取引が著しいわけでございますので、今回都市計画区域内について地価公示をすることについて御審議をお願いをし、私どもとしましてはぜひお認めいただいて、将来全国的にこの整備を完了する第一段階といたしたいというふうに考えている次第でございます。
#70
○二宮文造君 そこに問題があると思いますよ。いまの説明では最近の土地取引が市街化区域ばかりでなく、調整区域にまで広がっているから、やはり取引の都合上、そういうふうに調整区域にまで地価公示のワクを広げておかなければならぬと、こういういまの御説明のようだったんですが、御承知のように都市計画法では市街化調整区域というものの性質ははっきりきめられてあるわけですね、調整区域。これは市街化調整区域というのは開発を抑制する、緑を残す、あるいは優良な農地を残す、そういうことで、まあいわば自然環境を保全する、そういう意図をきめて、しかも計画法では今後十年間ですか、いつも申し上げますが、十年を見通して線引きをしなさい、そして線引きが終わったわけです。これはこの前の委員会でも私大臣に質問しました。田中総理が最近の実情から線引きの再検討をやれと、こう建設大臣に命じたというような報道があるけれども、建設大臣どうですかと、こういうことを私伺ったら、たしかそのとき大臣の答弁は、そういう命令は受けておりません、しかもこの線引き作業というのは非常に重要なことで、安易に調整区域を取り払うといいますか、線引きを再検討することはいたしませんと、こう大臣は確約をされた。その大臣の答弁は、きめられた調整区域のいわゆる自然環境を保全するというところに非常に重点を置かれての答弁であったと思いますけれども、いまの計画局長の答弁はそこがもう取引の対象になっているから、その円滑な取引をはかるためにも対象区域を調整区域にまで広げておかなければならぬ、これはちょっと大臣の答弁とそこの地価公示法の一部改正が示す姿勢とが食い違っているような気がするんですが、どうでしょうか。
#71
○政府委員(高橋弘篤君) 私の申し上げましたのは、調整区域について、これは市街化を抑制する区域である、そういう性格を変えるというものでは決してございません。今度の改正によりまして、開発許可を緩和する、そういうものでは決してないわけでございます。ただ、先ほどから申し上げておりますように、一つは全国的に地価公示制度を整備していく、その第一段階として都市計画区域についてこれを拡充強化する、その際に調整区域だけこれを除くということは、これはやはりおかしいことでございます。調整区域におきましても開発許可についてその方針を緩和するというものではございませんけれども、現在許可を受ければ、たとえば農林漁業的なものとか、日常必需的なものであるとか、そういうようなものについては許可ができるようになっておるわけでございます。また現実問題といたしまして、全国的に土地の取引というものが行なわれておるわけでございます。まあそういうような実態からいたしまして、今回先ほどから何回も申し上げておりますように、都市計画区域に拡大をするということをお願いしているわけでございまして、開発許可をこれによって緩和するというようなことは毛頭考えていないわけであります。
#72
○二宮文造君 これは非常に初歩的な質問で申しわけないんですが、公示価格は宅地としての公示価格でしょう。農地としての公示価格じゃないでしょう。この点どうです。
#73
○政府委員(高橋弘篤君) これは宅地としての価格を公示するわけです。現状農地でございましても宅地見込み地というのがございますけれども、すべてそれは宅地としての評価でございます。
 それから一つ、先ほど申し上げるのを忘れておりましたけれども、これも先ほど小山先生か何かに申し上げたわけでございますが、公有地拡大の推進法の改正案をいま御審議をいただくことになっておりますが、その中におきましても公共用地の取得の基準、先買いをする場合に、その先買いするときに公共用地を取得するその基準として地価公示価格を基準とするということになっておるわけでございまして、そういうような意味も含めまして都市計画区域について拡大いたしたいということでお願いいたしておるわけでございます。
#74
○二宮文造君 ですから、私があくまでも市街化調整区域というものの本質、これは開発を抑制し、緑を保全し、優良な農地を残すと、いわゆる開発を抑制する、そのために市街化調整区域というのを設けたわけです。そして線引きをやったわけです。しかも巷間その線引きの再検討が要するにもういわれているわけですね。だから安易にこれを再検討されたんじゃ、線引きのまた引き直しをされたんじゃ、当初都市計画なりあるいは国土計画というもので考えた緑の保全というのは無に帰してしまうわけです。ですから市街化調整区域というものの性質というものはやはり厳守してもらわなきゃならぬ。一方、そういう姿勢でなきゃならぬのに地価公示法をそういう調整区域に拡大をするということは、線引きのやり直しというものを頭に含めているのじゃないか、これは安易にやってくれちゃ困るという立場で私は質問をしているわけです。
 そこで、じゃ、この開発を抑制すると称して線引きをされた市街化調整区域が企業によっていまどれぐらい土地が買い占められているかということを私は問題にしたいと思うんですが、これは通産省にお伺いしたいんですが、先日大手商社について市街化調整区域内の企業の土地取得状況、これのヒヤリング調査をなさったと思うんですが、その結果をあらまし御報告願いたいと思う。
#75
○説明員(黒田明雄君) 私ども通産省で商社調査として行ないましたのは、前提といたしまして大手六社の商社につきまして三月十三日から十五日にかけて調査をいたしました。その際商品のほかに有価証券及び土地について行なったわけでございます。そのうち土地について御報告いたしますと、有形固定資産として計上されているもの、これは営業用土地と考えてよろしいかと思いますが、面積で申し上げますと四十六年上期に四十七万四千平米、その下期に九十八万平米、四十七年上期には百二十二万八千平米、四十七年下期、これは一月末現在でございますが、八十四万六千平米でございます。それから売却についても調査してございますが、御質問があれば後ほどお答え申し上げることにいたします。
 他方、商品用の土地の購入でございますが、四十六年の下期に八百三十一万平米、四十七年上期には八百十九万平米、四十七年下期、これも同じく一月末でございますけれども、千百十二万平米の購入がございます。期末残高でございますが、商品用土地の期末残高は四十六年下期で千五百九十六万平米、四十七年上期で二千百六十七万平米、四十七年下期、一月末日現在で三千七十万平米ということになってございます。ただ私どもの調査では地域別の調査をやっておりませんで、以上申し上げましたのは全国的な数字でございますので、ちょっと先生御質問の点についてはお答えできない面がございます。
#76
○二宮文造君 それじゃ建設省の計画局のほうで御調査された市街化調整区域内での企業の土地の取得の状況、これを御説明願いたい。
#77
○政府委員(高橋弘篤君) これは昨年私どものほうで東証の一部二部上場会社の全会社を対象にして調査いたしたわけでございます。回収率は五七%でございますが、この調査によりますと、昭和四十一年から四十六年までの取得しました土地のうち市街化調整区域内の土地は、同期間内にすでに譲渡したというものを除きますと、四十六年度末現在で保有されている土地の面積が全国で七千百ヘクタールということになっておるわけでございます。
#78
○二宮文造君 こういうふうな企業による調整区域の土地の取得があるわけです。しかも、この市街化調整区域の七千百ヘクタール、これだけ企業が取得をしているという、そのうち五千三百ヘクタール、これはたなおろし資産ですね。事業用資産じゃありません。ということは、譲渡を目的、売却を目的にしたような意図も含めた、いわゆる買い占めの部類に属するような取得が、取得面積がこのデータではっきりしているわけです。この実情を踏まえた上でこの公示価格が市街化調整区域にまで拡大をされ、取引の指標となるということになりますと、もうせっかくの線引きが何もなくなってしまうんじゃないかという心配がさらにしてくる、こうなるわけです。そこで、これらの業者がいわば一がいに買い占めとも言えぬでしょうけれども、買い占めをしている土地を処分するためにはやっぱり開発をしなきゃならぬ、開発を緩和するためには線引きをやり直しをしなきゃならぬ、そうするとまた取引の指標にするためには公示価格というのがあれば便利だと、こういう一貫性をもってきますと、ここでなしくずし的に市街化調整区域の開発が認められるんじゃないか、こうも思うんですが、これは前回の大臣の答弁を頭に置きながら、ひとつ大臣の、私が言いましたようないまの一連の動き、そういうものについての御所見をお伺いしたいと思います。
#79
○国務大臣(金丸信君) 市街化区域と調整区域の問題につきましては、これは権威あるものであって、簡単に変更すべきものでないという話は、私は前の御質問に答えたことも記憶いたしております。そういうことでございますから、この市街化調整区域の問題につきましては、先生のおっしゃられるような、いわゆるそこまで拡大して線引きを変えるというような考え方は私は持っておりません。
#80
○二宮文造君 それで、それに関連するような事件がいま私の手元に二つあるのですがね。御承知のように、埼玉県、ここでは去る五月二十一日に、調整区域であっても、そのうちに線引き変更があって開発できるんじゃないかというようなその筋の思惑、それを防いでいこうという意図から、さらにはまた将来の人口流入を抑止すると、こういう意図のもとに、要するにもう線引きは動かせませんと、どんな思惑があろうとも調整区域の開発は認めませんと、こういう線引き凍結宣言を埼玉県はしております。また横浜市では、人口の抑制と緑地保全と、こういう観点から、県営の住宅団地でも建設まかりならぬと、こういう態度をはっきりとさせているようでありますけれども、こういった地方公共団体のとった措置、このものについて大臣の御所見をお伺いしたい。
#81
○国務大臣(金丸信君) 最近大都市の地域の地方公共団体におきましては、環境問題とか水の問題とか交通の問題、あるいは関連公共、公益施設の整備に必要な財源の負担というような問題等で非常に消極的になっておるわけでございます。先生の御指摘のとおりだと思うんですが、しかし、需要の点におきましては非常に国民的な強い要望がありまして、地方公共団体がさようなことをきめたからそれに従っていくというわけにもいきませんし、そういうことでございますから、環境保全という問題については十分な配慮もし、あるいは水の問題、交通の問題等、あるいは公共施設に対する財政負担の軽減等を政府が十分にこれに軽減をするような方途を講じてやるというようなことに努力をして、今後の需要に、国民的願望にこたえていかなくちゃならぬ。しかし、先生の御指摘の点の傾向というものは、埼玉県、横浜ということでなくて、首都圏関係の都市にはその空気というものは強いということだけは承知いたしておるわけでございます。
#82
○二宮文造君 どうも私は、調整区域にまでこの地価公示法の対象区域を拡大をしていくということに、どうしても疑念を払うわけにはいきません。
 で、最後に大臣の所見を伺って終わりにしたいと思うのですが、最近の地価高騰の原因の一半は、公的機関を含めて、多くの開発事業主体による土地取得の競合、いわゆるぶんどり合戦、そういうものが、開発事業主体による土地取得の競合が土地の所有者の思惑とかみ合って、それに拍車をかけて一そう地価を著しくつり上げていると、こういう傾向もなきにしもあらずではないかと、こう考えます。そこで、このような事業主体同士の間で行なわれるような競合というものを排除するために、一定の規模以上の土地については国あるいは地方公共団体という公共、公的機関ですね、これが一元的に取得をして、そうしてそれぞれの事業主体に供給をすると、こういうふうな方法を採用し、またその取得の場合の価格というものは地価公示価格によるように制度を改めていくと。要するに、もうぶんどり合戦しない。一定の公的機関がそれを買って、そうして必要なところへ、事業主体に配分をする、その買うときに地価公示価格というものを採用する、こういう制度を早急に開いていかなければ、要するに地価公示に対する権威もありゃしないし、権威も保てないし、せっかくこのように審議をしてきめられても何の役にも立たないというのでは、これはもう片腹痛いといいますか、処置なしです。だから、一方では地価公示法の権威を保つ、それには、先ほど言いましたように、いわゆる相続税の評価額とかあるいは固定資産税の評価額とかいうそれの斉合も必要になりましょうし、また一方では土地の不当なつり上げというものを抑制もすると、こういうことにもなろうかと思うんですが、こういう制度について、これはただ観念的にいいとか悪いとかいうことじゃなくて、早急に取り組んでやっていかなければならないんではないかと、こう私思いますが、大臣の所見を伺って、一応、地価公示に対する質疑は私は終わりにしたいと思います。
#83
○国務大臣(金丸信君) 土地は公益優先という立場、あるいは土地は国民の共有する領土だというふうな私は考え方を持っておりますから、私権抑制のぎりぎりまでやってしかるべきだという点では先生のお考えに共鳴する点が多いわけでございます。しかし、この問題につきましては前向きにひとつ取り組んでみたいと思うんですが、いろいろひとつ検討さしていただきたいと思います。
#84
○理事(山内一郎君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後零時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
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